○高瀬荘太郎君 私は、参議院同志会を代表いたしまして
質問をいたしたいと思います。
ただいま上程されております
給与の法案についての詳細な質疑は、いずれ
委員会で行ないたいと思いますが、ここでは、今回の
給与改正と関連いたしまして、重要な一般的な問題についてだけ簡単に御
質問をいたしたいと思います。
まず第一に、今回の
公務員の
給与引き上げの
経済的影響の問題であります。これにつきましては通産大臣に御
答弁願いたいのでありますが、あるいは問題によりましては
総理に御
答弁をいただきたいと存じます。
国家公務員の
給与引き上げというものは、それだけにとどまりませんで、当然、地方
公務員、三公社五現業の
給与引き上げを必要といたしますし、また、学校法人の
職員とか各種の財団法人の
職員等の
給与引き上げを誘致いたしますことは必至であります。また、これが
民間企業のベース・アップを刺激することにもなるでありましょうから、
国家公務員の
給与引き上げというものは、ずいぶん広い範囲に波及するものと
考えなければなりません。したがって、これが公社とか財団法人、学校法人などの経営を圧迫することになることは当然であります。そこで、鉄道その他公社などが経営が困難になりまして、料金
引き上げを余儀なくするという結果になるおそれがないかどうか、まずその点を伺いたいと思います。それからまた非常に広い範囲の
給与引き上げを生ずるといたしますと、おのずから国内購買力の非常な増大になるということは当然でありますから、その結果として
物価に影響を及ぼしはしないか。そうなりますと、ひいては、通産大臣が平素非常に強く提唱されております輸出振興に影響することはないかどうか。そういう点で
経済界に重大な影響をもたらすおそれがあると
考えますので、これらの点につきまして、通産大臣あるいは
総理の御
意見を伺いたいと思います。
第二にお伺いいたしたいのは、今回の
公務員給与改正が
公務員の
給与体系に及ぼす影響についてでありまして、これを
給与担当大臣に伺いたいと思います。人事管理の適正ということは、
民間企業ばかりではなく、官庁業務についても、もちろん重要な問題でありますし、この人事管理につきまして、
給与体系というものが非常に重要であることも言うまでもないところであります。したがって、
政府といたしましては、
公務員の
給与体系について十分研究をし、適正な
給与体系というものについて確信のある
見解を持っていなければならないはずであります。ところが、昨年の
人事院勧告と、今回の
人事院勧告を、そのまま無条件に受け入れておるというところを見ますと、はたして
政府に確固たる
給与体系が
考えられているのかどうか、はなはだ疑わしいと思うのであります。ということは、昨年の
勧告は、上級職に厚く、下級職に薄かったのであります。ですから、これを取り入れることによりまして、上級、下級の格差は相当大幅に広げられたのであます。ところが今回の
勧告は、逆に、下に厚く上に薄くなっておるのであります。ですから、これを取り入れれば、その格差は相当縮まることになります。わずか一年の間に、このように、格差の幅を広げたり縮めたりするということは、たとえこれが
人事院の
勧告に基づくものでありましても、
公務員の
給与につきまして、
政府に確たる見識が欠けておる証拠ではないかと思うのであります。こんなことでは、また格差是正とか、中だるみ是正とか、始終
給与改正を繰り返さなければならなくなるだろうと思うのでありますが、こういう点について
給与担当大臣の御
意見を伺いたい。また、上級、下級の格差につきましてどの程度が適正な基準だとお
考えになっておられるのか、それを伺いたいと思います。
第三に、今回の
給与改正と関連いたしまして、
民間企業
職員の
給与体系と官庁
職員の
給与体系との
関係につきまして、
給与担当大臣の御
意見を伺いたいと思います。昨年の
人事院勧告も、また今回の
人事院勧告も、
民間給与との均衡ということに重点が置かれておると思いますが、
給与体系というものは、
職務の
内容、性質などによりまして、当然異なるべきものでありますから、
民間企業
職員の
給与体系と
公務員の
給与体系とでは、
給与の基準につきましても、あるいは
給与の格差につきましても、異なるのが当然であると思っております。また
民間企業の職制と官庁の職制とは異なるのが当然でありますから、両方の対応職をきめるということも非常に困難なはずであります。したがって、現在
人事院の行なっております
民間企業と官庁の対応職のきめ方にもはなはだ不合理だと思われる点が少なくありません。もとより
公務員の
給与につきまして、
民間給与との均衡をはかるということも必要には違いなのでありますが、
民間給与が
経済界の好況あるいは組合攻勢等で上がったからといいまして、
公務員の
給与をこれにならって直ちに同様にしなければならないというような、機械的な扱いというものは、決して適当とは言えないと思うのであります。
民間給与との均衡をはかるということは、決して
民間給与と均等化するということではないのであります。ところが、
人事院の
勧告も、またこれを受け入れる
政府の態度も、
公務員給与と
民間給与との差別を無視しているのではないか、ただ均等にすればよい、こう
考えているのではないかと思われるのであります。そこで
給与担当大臣に伺いたいことは、
公務員の
給与体系というものは、
民間企業の
給与体系とは別個の、独自の体系でなければならないし、したがって、また
公務員給与は
民間給与と均等化すべきものではないと思うのでありますが、
給与担当大臣の御
意見を伺います。
第四に、
公務員給与引き上げと行政能率の向上との
関係でありますが、
民間給与の
引き上げ財源というものは、事業収益の分配比率の変更か、あるいは経営の合理化、能率増進というような、経営努力によって調達されるのが通常であります。ところが
公務員給与の
引き上げ財源というものは、どうしてこれを調達するのが適当と
考えられるか。ただ税金でまかなうとか、公社の料金
引き上げでまかなうとかいうようなことでは、納税者を搾取したり、一般大衆を搾取するという結果になるのではないか。今回のような
公務員給与引き上げの
財源も、
政府としては、行政能率を大いに増進して、そこで相当の部分は当然まかなわなければならないと
考えるのでありますが、その点につきまして
総理の御
見解を伺いたいと思います。