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政府委員(
内藤誉三郎君) 昔の中等
学校と現在の高等
学校は質的にも実は違うと思うのでございます。で、以前の中等
学校は、原則として小
学校六年から参りまして、四年または五年の中等
教育を行なうことになっておるわけでございますが、この中で量的に
一つは非常に違った。と申しますのは、従前は中等
教育の占むる割合は、小
学校六年を卒業した者の大体二五%、四分の一が中等
教育を受けておったわけでございます。ですから、この点から
考えますと、今日は六〇%まで普及いたしておりますので、量的に非常に違いが出てきた。それから
一つは、
内容の面でございますが、確かに
格差が激しくなったこともこれは事実でございます。で、中等
学校の場合は、新しい六・三・三・四
教育でございますが、前期中等
教育すなわち中
学校三年は、これは義務制になって、全部の子供が
学校に行くようになっているという点が
一つ違っておる。それから、後期中等
教育すなわち高等
学校の分は、今申しましたように、六割が進学しておる。で、
内容的に申しますと、従前の制度は、どちらかといいますと、ドイツの学制を
日本は取り入れましたので、中等
学校の中
学校は主として高等
学校、専門
学校に行く機関でございまして、いわばイギリスのグラマー・スクール、ドイツのギムナジウムに当たる
学校であったと思うのでございます。ところが、新学制になりまして六・三・三・四というシステムで単線型になっておりますから、そこで必ずしも高等
学校が大学なり、または専門
学校への段階としての
教育ではなくなって、国民
教育としての使命を強く持ってきた。で、国民
教育としての最終段階になっておりまして、その中が幾つかに分かれておる。もちろん将来大学を目ざすところのものもございます。これはアメリカでもアカデミック・コースと申しまして、進学に行くようなコースもございます。それから普通課程の中で、進学をしないで普通課程で終わるというのもございます。これがまあ相当最近は多いのでございますが、そのほかに農、工、商等の実業
関係の
学校がある。従前の中等
教育の制度と異なりますのは、普通課程で進学をしない、普通課程のままで終わって就職をするという層が非常に厚くなったのでございます。で、この点がまあ新しい
教育制度の中の
一つの
特色かと思うのでございまして、それは制度に伴うものではなかろうか。イギリスのグラマー・スクールやドイツの、ギムナジウムのように、六、七年の大学準備
教育というならそれなりに
内容も統制できますし、程度も大体同じでございますが、
日本の場合には進学をする部門と普通課程でそのまま就職する者というふうになっております。それから農、工、商等の実業
関係、すなわち高等
学校の
内容が相当多種にわたって、
内容自体が相当変化を持っておる、こういう点で従前の中
学校のようなわけには参らぬと思う。
もう
一つは、先ほど申しましたように進学率が非常にふえて、だんだんと国民
教育の様相を呈して参りましたので、その点は
義務教育に準じてある程度の
格差ができるのはやむを得ないのではなかろうか。しかしながら、高等
学校の
目的であるところのものは、これは十分果たしていきたい。その中でそれぞれ、進学を中心にする者あるいは高等
学校を出て就職する者、あるいは農、工、商等の実業に向かう者、それぞれの特質を生かせるような
教育を推し進めるべきではなかろうか、こういうふうに
考えておるのでございます。
本質的に異なったのは、先ほど申しましたように、
教育制度の面からきたということが
一つと、それから進学率がだんだんふえて参りまして、国民
教育の最終段階としての様相を持ってきたという点が、従前の中等
学校とは趣を異にしておるように見受けられるのであります。