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1961-10-24 第39回国会 参議院 農林水産委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十四日(火曜日)   午前十時五十二分開会   ―――――――――――――   委員異動 十月二十三日委員亀田得治辞任につ き、その補欠として高田なほ子君を議 長において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     仲原 善一君    理 事     石谷 憲男君            櫻井 志郎君            森 八三一君    委 員            青田源太郎君            植垣弥一郎君            河野 謙三君            重政 庸徳君            田中 啓一君            高橋  衛君            藤野 繁雄君            大河原一次君            北村  暢君            清澤 俊英君            安田 敏雄君            北條 雋八君   衆議院議員            伊能繁次郎君   政府委員    農林政務次官  中野 文門君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省畜産局長 森  茂雄君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省農林経済    局参事官    松岡  亮君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○オリンピック東京大会馬術競技に  使用する施設建設等のための日本  中央競馬会国庫納付金等臨時特  例に関する法律案衆議院提出) ○農業近代化資金助成法案内閣提  出、衆議院送付) ○農業信用基金協会法案内閣提出、  衆議院送付) ○農林中央金庫法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○連合審査会開会に関する件   ―――――――――――――
  2. 仲原善一

    委員長仲原善一君) ただいまから農林水産委員会開会いたします。  委員異動について報告いたします。  昨二十三日亀田得治君が辞任、その補欠として高田なほ子君が選任されました。   ―――――――――――――
  3. 仲原善一

    委員長仲原善一君) オリンピック東京大会馬術競技に使用する施設建設等のための日本中央競馬会国庫納付金等臨時特例に関する法律案(衆第一七号)を議題といたします。  本案は去る十九日衆議院オリンピック東京大会準備促進特別委員長から提案され、二十日に衆議院より送付せられ、本委員会に付託されました。  まず本案提案理由説明を求めます。衆議院オリンピック東京大会準備促進特別委員長代理伊能繁次郎君。
  4. 伊能繁次郎

    衆議院議員伊能繁次郎君) ただいま議題となりましたオリンピック東京大会馬術競技に使用する施設建設等のための日本中央競馬会国庫納付金等臨時特例に関する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。  オリンピック東京大会開催については、かねてから国会といたしましても、数次にわたりその準備促進について態度を明らかにして参ったのでありますが、この趣旨に沿い、同大会馬術競技のために使用する諸施設整備をはかるため、日本中央競馬会の行なう競馬開催及びこれに関する国の納付金について特例措置をいたそうとするものであります。すなわち、わが国における馬術競技の健全な発達に寄与することをもその任務とする日本中央競馬会が、オリンピック東京大会に協力することは適当であると存ぜられますが、三年後に控えました大会支障なく開催いたしますには、同競技に使用される諸施設設備を手抜かりなく建設整備いたす必要があるのであります。しかして必要施設建設整備には多額の資金も必要といたしますので、昭和三十七年一月一日から三年間、全競馬場を通じて年二回の範囲内において農林大臣の許可を得て臨時競馬開催し、その競馬国庫納付金については、その全部または一部を免除することとし、これによりオリンピック東京大会馬術競技に使用する諸施設建設整備をはかろうという目的をもちまして本案を提出いたした次第であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  5. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 以上で本案についての提案理由説明を終わりました。   ―――――――――――――
  6. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 次いで農業近代化資金助成法案閣法第一八号)、農業信用基金協会法案閣法第一九号)、農林中央金庫法の一部を改正する法律案閣法第二六号)、以上三案を一括議題といたします。  三案は、去る十九日衆議院より送付せられ、本委員会に付託されました。  なお、三案に対する提案理由説明及び補足説明はすでに聴取いたしております。  そこで、きょうは三案の質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  7. 森八三一

    ○森八三一君 一点だけお伺いいたしますが、協会が新しく設置されることになりますると、当然そこには専任の職員が置かれることになると思います。その場合に、一昨年成立いたしております農業協同組合その他農業団体関係職員に対する共済制度と申しまするか、年金制度がある。今度の協会職員は、その年金制度対象になるかならぬかという問題が非常に重要な問題になると思うのです。この点について、この法律説明にはございませんが、別途措置されるようなお考えがありまするかどうか、その点を一点だけお伺いいたします。
  8. 松岡亮

    説明員松岡亮君) ただいま御審議を願っておりまする信用基金協会法案の附則第九条の法改正によりまして、協会職員年金対象になるというようにいたそうと考えております。
  9. 青田源太郎

    青田源太郎君 ちょっと近代化資金のことについてお尋ねしたいが、この近代化資金定義という中の第2、第3の問題について伺いたいのですが、この「融資機関」という中に、近代化資金農業協同組合関係にきまっているわけですが、協会法案の方で「銀行その他」というようなことが書いてあるわけですが、これはこの前も私一応お尋ねしたのでありますが、銀行その他の金融機関が、この近代化資金融資するということが実際にあるのかどうか、ちょっとお尋ね申し上げたい。
  10. 松岡亮

    説明員松岡亮君) ただいま御指摘になりましたように、近代化資金法案におきましては、融資機関には系統金融機関以外はまあ入っていないわけでございますが、信用基金協会法案のほうの融資機関におきましては、第二条第2項の第五号に「銀行その他の金融機関で政令で定めるもの」というのがございます。これは近代化資金法案とは違うのでございますが、現在すでにできております各県の信用保証協会等保証対象には系統以外のものが若干含まれております。それらも考えまして、保証協会の方におきましては、系統以外のものに対しても保証できる、現にそういうことをやっておりますので、そういうふうにいたしたわけでございます。
  11. 青田源太郎

    青田源太郎君 それでは一つ……。この協会の方に関連するわけでありますが、協会基金というのは、いわゆる協同組合関係あるいは国、地方公共団体、こういうようなものが基金を出しておるわけでありますが、その取りくずしの場合は、そういった関係機関基金を取りくずすということになりますが、そういう点について、銀行その他の金融機関基金協会に出していないのでありますので、そういう点にわれわれはちょっと矛盾をきたさないかと思うのですが、こういう点についてお伺いいたします。
  12. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 基金を取りくずすような場合も、場合によっては出てくるのでございますが、それは系統金融機関融資している場合に、それを保証した場合に限る、かように考えております。
  13. 青田源太郎

    青田源太郎君 取りくずしの場合は、この系統機関が出しておるものだけを取りくずすのですか。
  14. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 今御指摘になっております基金の取りくずしと申しますのは、解散した場合に、清算の際に取りくずす場合ではなく、おそらく融資保証をしておる……
  15. 青田源太郎

    青田源太郎君 代位弁済の場合ですね。
  16. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 代位弁済の場合をさしておられると思いますが、その場合には、剰余金あるいは基金の取りくずしによって、その他の金融機関に対しても保証をする、こういう場合がございます。
  17. 青田源太郎

    青田源太郎君 そういう点について、この農業団体でいえばこういう団体自体基金を積み立てしたものを、そういう基金を処出していない銀行その他の金融機関のいわゆる取りくずしまで、代位弁済までその基金がするということについて、多少問題があると思うので、そういう取りくずしあるいは代位弁済の場合は、ただ保証するということはいいですけれども、代位弁済の場合は、その点何かひとつ考えてもらう必要がないかというような意見があるのですが……。
  18. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 確かに御指摘のような点があるかと思いますが、その点につきましては、今後の指導あるいは運営上、協会の定款を作る場合とか、そういう場合に考慮に入れたいと思います。
  19. 青田源太郎

    青田源太郎君 その次に、この3の近代化資金定義貸付対象でありますが、この中の貸し付ける資金の中に、いろいろ畜舎とか果樹棚、こうずっと書いてあるわけですが、この中に小家畜とかあるいは飼料というようなものがワクにないわけでありますが、そういったものの資金の場合に、貸付保証対象に分かれておっては非常に困ると思うのです。この近代化資金貸付とそうしてこの一般貸付ワクが違うわけでありますので、今申し上げましたように、小家畜とかあるいは飼料代というような貸付ワクがないとか足らぬというようなことで、保証が非常に困難であるというような点があるわけですが、こういう点はどういうふうにお考えになっておられますか。
  20. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 今の御質問は、たとえば家畜を買った場合に、それと一緒畜舎による小家畜あるいは飼料資金までも一緒に借りていく、その場合に一緒保証を受けたい……。
  21. 青田源太郎

    青田源太郎君 いや、そういうものが近代化資金対象になっていないというのですが……。
  22. 松岡亮

    説明員松岡亮君) その点につきましては、確かに今回の近代化資金構想が、従来の制度金融と違って、むしろ進歩と申しますのは、セット融資ができる。畜舎を作る場合、家畜畜舎一緒融資ができる、こういう点にあるかと思うのでありますが、ただ、今あげられました小家畜飼料につきましては、今度作ります近代化資金は長期の低利資金、どちらかといえば設備資金という種類に属する資金でございますので、小家畜購入資金あるいは飼料購入資金というような短期の一年以内で償還するような種類の金につきましては、その制度対象外に置く、こういうふうに考えたわけでございます。  ただ融資機関は、同じ協同組合農協が貸すということでございますから、近代化資金を貸し付ける場合に、それに伴って必要となるそういう短期資金についても、農協一緒めんどうをみていく、こういうふうにやれば、その点は解決できるものではないか、かように考えております。
  23. 青田源太郎

    青田源太郎君 なるほど単協がそういうふうに融資する、いわゆる単協のころがし資金で貸した場合に保証協会保証するということは、これは一般資金でできるわけでございますが、そうすると、その近代化資金養鶏をやったりそういうような飼料、そういうような設備というようなものは、近代化資金で借れないということになるのですか。
  24. 松岡亮

    説明員松岡亮君) たとえば孵卵施設とか養鶏相当規模の大きな施設等につきましては、近代化資金対象になり得る、かように考えております。
  25. 青田源太郎

    青田源太郎君 さらにちょっと基金協会のことでお尋ねしてみたいのでありますが、債務保証の面でございますが、大体これは保証額の八〇%ということに施行令でなっているように思うのですが、実際こういうふうに国とかあるいは県とかそういう団体基金を積むということで保証するというならば、やはり一〇〇%保証するというのでなかったならば、八〇%を保証して、あとの二〇%はこの融資機関危険負担をしなければならないということになれば、単協の場合になりますと、かりに一千万という金を貸しても、二百万は、やはり単協危険負担するということがあるので、よほどこれは内容等を検討して、そうして貸付ということが、私はもう保証額が非帯に少ないというだけであって、活用されないのではないかという心配もあるので、国とか県あるいはそういう団体基金まで出させてやるというならば、保証は一〇〇%するというふうな行き方に持っていくのが本来じゃないかと思うのですが、これについてお考えを承りたい。
  26. 松岡亮

    説明員松岡亮君) その点につきましては、融通円滑化をはかるという趣旨からいえば、確かに一〇〇%の保証基金協会が行なうということが、あるいは望ましいかとも思うのでありますが、一面、近代化資金を作り、保証協会制度を設けるという場合におきましても、できるだけ系統金融の自主的な運営を待ちたいということも考えておるのでございます。それで、全部特別の基金から保証するというのは、その点からいいまして、やや行き過ぎではないか、やはり融資をする系統金融機関も、融資に対して一部の責任は持ったほうがよいのではないか、かように考えまして、八〇%を限度として保証する、こういうようにしたのでございます。
  27. 青田源太郎

    青田源太郎君 融資機関責任ということにつきましては、やはり国及び県、団体というようなことで、そういうふうに基金出資をしているわけでありますので、私はそういうような、自分団体から基金出資しているのに、そういうような貸付については心配がなかろうと思う。ただ単に、そういう保証額が少ないということによって事業が伸びないという心配を実際問題としてするので、その融資機関責任ということは、出資をしておるということが大きな責任を持っておるわけでありますので、やはりその融資機関心配なく融資ができ、一〇〇%保証がしてもらえるということが、この事業を発展さすという意味になるのじゃないかと思うので、これはひとつぜひ一〇〇%保証するように、今後考慮をお願い申し上げたいと思う。
  28. 松岡亮

    説明員松岡亮君) ただいまの御指摘の点につきましては、今後さらに研究をいたしたいと思いますが、私どもとして今まで考えておりましたのは、従来のこれの前身であります改良資金等におきましても、保証は八割を限度としておる、そういうこともございますし、特別に保証基金系統金融機関が積むということは、金融機関自体内部において留保する貸し倒れ準備金とかあるいはその他の準備にかわると確かにいえると思いますが、それだからといって、融資機関自体自分融資健全性を保持するために、それなら内部の留保をなくする、あるいはなくしてもいいかということは、相当疑問があるのではなかろうか、そういう意味におきましても、融資機関にも一部の責任を持ってもらいたい、かように考えたのでございますが、さらに今後検討させていただきたいと思います。
  29. 青田源太郎

    青田源太郎君 それから、この保証協会手数料を、保証料を取らない。保証手数料を取らないということになっているのですが、世の中に事業団体として無手数料というようなことは、事業団体の魅力といいますか、本質ということから、ないので、これは利益団体ではないのだから、多く取る必要はないけれども、多少でもやはり手数料を取るというのが協会事業本質でないかと思うのですが、これには手数料を免除するというふなことになっておるが、こういう点についてひとつ考えを承りたいと思います。
  30. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 保証基金手数料を取ったほうがいいのではないか、こういうお話でございますが、確かに普通そういう場合が考えられるのでございますが、まあ、この点につきましては、画一的に考えませんで、運用の面におきまして末端貸付金利が七分五厘をこえないような場合におきまして手数料を取ってもよろしい。で、こえるようなことはないようにいたしたい。どうしてもこえるような場合は、基金運用益だけでその保証料の財源にいたしたい、そういうようにしておるのでございます。
  31. 青田源太郎

    青田源太郎君 そうすると、末端貸付金利が七分五厘以内の場合には手数料を取ってもかまわないということになっておるのですか。
  32. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 保証料を出してもコストが七分五厘をこえない、そういう場合にはそういうことも考えられる、こういうことでございます。
  33. 青田源太郎

    青田源太郎君 次に、保証協会の三章の会員のことについてちょっとお尋ねしたいのですが、この会員が、出資一口と、そうして一口が一万円、そうして出資口数資格口数等数とになっておるわけでありますが、こういうようなことでいきますと、会員というのが非常に多くなる。したがいまして、総会というふうなことが非常にめんどうになる。ところが、この保証協会は配当せない、また脱退も自由にできないというような、いわば性質が、寄付同様、拠出金同様のものであると思うのでありますので、こういった組織でなしに、むしろ私は財団法人的のものにして、拠出金としていくのが非常にいいのじゃなかろうか、今のような社団法人的のこういうものであって、総会を開くということにいたしまして、各組織団体あるいは地方公共団体あるいは農業者個人というようなものまでが出資者となって、会員となるということになると、総会を開くということについてもなかなか、大きな府県になれば、何千人というような者が集まらなければ総会が開けぬというようなことになるわけでありますが、総会を開いてみても配当するわけでもなし、そうしてまた加入、脱退が自由であるというふうに書いてあるけれども、実際問題としてこの会員となる者はやはり保証関係がある者が会員となるので脱退はできないということになれば、これは形式的のような会員であり、総会であるので、こういう点は、むしろ社団法人的のものでなしに、財団法人的にひとつやっていただく。現に、全国的にやっておるのが財団法人ばかりであって、ほとんどそんな社団法人的のものはないと思うのでありますので、現在全国的に二十幾つできておる社団法人より後退したようなものを、国が法律を今さら作るというようなことに私はなるのじゃないかと思うので、こういうような総会とかあるいは議決というような点にもっと簡素化できるような考えがあるかないか、ひとつ承りたいと思います。
  34. 松岡亮

    説明員松岡亮君) まあ、社団的な組織を加味いたしましたのは、できるだけ保証を受ける人々が相寄って相互保証の実を上げるようといたしたいということと、もう一つは、基金を集めるにつきまして、できるだけ広い範囲から基金を集めたい、まあこういうような趣旨が加わっておるのでございますが、一方、たとえば個々の農業者につきましては、その属しておりまする単協会員になりますると、自分自身は直接会員となって出資をしなくても、単協会員となった結果として保証を受ける資格ができる、まあこういうふうにいたしまして、直接農業者出資をし、会員とならなくても、保証を受けられる、こういう仕組みにいたしたのでございます。その辺の点につきましては社団的な組織にするか財団的なものにするか、一長一短があるかと思いまするが、まあこれは社団的な要素をかなり強くしておると申し上げてよろしいかと思います。
  35. 青田源太郎

    青田源太郎君 これは今言われるように、多くの出資者を集めるとか、あるいは早急に、まあ拙速的にやるんで、こういうほうがやりやすいというような考えで私は作られたと思うのでありますが、実際、こういうような保証協会基金というものは、あくまでも営利を目的とするのではないから、やはり財団法人的にしていただくというのが本筋だろうと思うので、できれば、ひとつ全国的に結成の暁には、私はそういった組織を改正してもらいたいということを要望いたしておきたい。  それからこの近代化資金の問題について、この前、衆議院でも附帯決議がありましたように、この近代化資金の国の利子補給というか、これについては、予算関係上、本年は国が一分、地方公共団体が一分ということで、二分ということになっておるのですが、衆議院のほうでは五分以内というような決議もされておるわけであるが、この農業構造改善とか、あるいは近代化と申しましても、現在のような七分五厘の末端利子というようなことでは、とうてい農業生産性回転率あるいは利益率からいうて、こういうものはほんとうに活用されない、ほんとう近代化資金としてこれが活用されるのには、大幅な利子補給が必要であるということで、少なくとも、やはり来年度には五分以下に末端金利が使えるようにやってもらう意思がないか、こういう点をお尋ね申し上げたいと思います。
  36. 松岡亮

    説明員松岡亮君) この近代化資金構想を作ります際には、一応現在の農林漁業金融公庫共同利用施設あるいは個人施設、それから農業改良資金有畜農家創設資金などを統合いたしまして、相互融通ができるようにし、セット融資ができるようにし、あるいはワクを大きくするというようなことで、組合系統資金をできるだけ活用するということに重点を置きまして考えましたので、従来の制度金融の七分五厘の貸付金利を承継したのでございますが、その後、前国会において審議されました際にも、本国会衆議院におかれましても、七分五厘の金利は非常に高い、もっと下げて利子補給をふやせ、こういう御意見が非常に強くなっております。農業近代化あるいは構造改善を促進するという意味から申しますると、できるだけ合理的なところで安い水準に持っていったほうがよろしいのではないかということをまあ考えて、この前の国会が終わりまして以来、農林省といたしましても、どういう金利にするかということを検討を続けて参っておるのでございます。で、来年度の予算要求におきましては、農業近代化あるいは基本法に基づく構造改善を推進するという政策的な目的重点を置きまして、思い切って金利を引き下げ、場合によっては無利子資金でもって貸し出しをやる、それと近代化資金を一体として運用して、実質的には、ただいまお話のありました五分程度の金利水準で貸すように持っていきたい、そういうような構想も作りまして予算要求を進めておるのでございます。
  37. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今、近代化資金の話があったから、私も近代化資金から……。この近代化資金債務保証の問題、いろいろ内容を読んでみますというと、近代化資金一般資金も、ともに債務保証をする、こういうふうに書いてあるのでありますが、その協会考え次第によっては、近代化資金のみの債務保証をしていいのであるかどうか、両方ともやらなくてはいけないのであるかどうか、もし両方ともやるというようなことであったならば、一般資金に対する債務保証をやった結果、欠陥が生じたならば、協会運営支障を来たすようなことがありゃしないか、そういうふうなことを考えておられるかどうか、一応お尋ねしたいと思います。
  38. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 信用基金協会につきましては、近代化資金のほかに一般資金保証もなし得るようにできておるわけでございまして、ただ、その場合には、経理を区分いたしまして、近代化資金のほうの基金とそのほかに区別をしてそこに混淆を生じないように工夫しておるのでございます。しかしながら、一般資金保証は、必ずしも保証協会の必須の業務ではございません。したがって、実情によっては、一般資金に対する保証はやらなくてもいい、こういうことにいたしてあります。
  39. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 一般資金保証をやらなくてもいいということであるけれども、経営主体は同じなんです。
  40. 松岡亮

    説明員松岡亮君) そうでございます。
  41. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 経営主体が同じだから、やらなくてもいいけれども、やった場合において、損害を生じた場合には、経営主体に悪影響を及ぼすじゃないか、近代化資金保証が十分にできないようなことに追い込まれるじゃないか。であるから、私に言わせれば、一般資金債務保証はやるべきものでないじゃないかというのが私の結論なんです。どうして一般資金もこれに債務保証をやるということができるということに書いてあるのか、その根拠なんです。
  42. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 積まれております基金が、県の出資を半分とし、そのほかの民間出資を半分としまして、ちょうど近代化資金に見合った程度の基金しか持っておりません場合には、これは一般資金に対する保証ができないわけでございます。したがって、その場合にはやらない。それから、やる場合は経理を区分いたしまして、別途の会計で経理をしてもらう、こういう体制に置いておるのでございます。それで、なぜそれならば一般資金をもやり得るようにしたかと申しますと、現に財団法人あるいは任意組織の形でできております信用保証協会、県の協会におきましては、いろいろな資金に対する保証をやっています、近代化資金対象になるような施設だけでなくて、場合によっては農家の生活資金に対する融資保証までやっておるのでございます。それらの業務も継承いたします関係で、近代化資金以外のものにつきましても保証ができる、こういう制度にしたわけでございます。
  43. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それで、経理は区別すればどちらで問題が起こったかということはわかるけれども、経営主体が同一である以上は、一般資金のものによって損害を受けたならば、その経営主体に悪影響を及ぼすのです。であるから、今のお話によってみまするというと、一般資金保証することができるような準備があるならばやってもよろしいが、その準備がないところにはやらせないということに結論はなるのですか。
  44. 松岡亮

    説明員松岡亮君) ごもっともなことでございまして、結局、法人としては一体でございますから、一般資金保証のほうで大きな穴をあけますると、近代化資金保証にも差しつかえてくるということがあり得るわけでございます。したがって、その面につきましては保証率など定款あるいは業務規程で定めるというような場合もありまするから、その保証率のきめ方、あるいはその他の運用面において限度を設ける、そういうことをいたしまして、できるだけそういう事態の発生は起きないようにいたしたいと、かように考えております。
  45. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次に、近代化助成法の附則の九によって見まするというと、地方税のことはここに考えられておるようです。その他のことが考えられていないようです。そこで、少しく質問事項が前置きがあって長くなりますが、三十八国会において農業基本法ができ、その第一条において国の農業に関する政策の目標を明らかにして、第二条において、国はその目標を達成するため必要な施策を総合的に講じなければならないこととしております。しかして第四条においては、政府はこれらの施策を実施するため必要な法制上及び財政上――これにはもちろん税制上のことも含まれておるのであります――必要な措置をとらなければならないという義務をつけているのであります。今回の農業基本法の関連法案の一つとして、農業近代化資金助成法案提案されたのでありますが、農業の資本装備の高度化をはかり、農業経営の近代化に資することになっておるごとは適切な措置であると考えられるのであります。しかして農業者は、この資金によって農業近代化のためのいろいろな施設整備することとなるのであるが、これらの施設整備については、この法案による金融的措置とともに、税負担の軽減措置を講じ、税制の面からも農業近代化の促進をはかることが必要であるのであります。この法案の附則第九において地方税を改正して不動産取得税の課程標準の特例を設け、不動産取得税の軽減に若干意を用いているが、この法案の所期するところを十分に達成するためには、この法案により農業近代化資金融資を受けた農業者等が取得する第二条第三項に規定する施策については不動産取得税ばかりでなく固定資産税その他の税についても、この際、農業基本法趣旨に従って大幅に軽減する必要があると思うのであります。これらの点については、いろいろの法律によって特例が定められているのでありますから、そのいろいろな法律の特例に従って今回もやらなくちゃできないと思うのであります。しこうして、そのためには登録税法、印紙税法等の国税及び不動産取得税及び固定資産税等の地方税を通じ、税負担の軽減について、もっと黒い切った特別の措置をとるべきではないかと思うのであります。右に述べましたような税負担の軽減について、農業基本法執行のための第一の責任者である農林省は、いかなる考えを持っておられるのであるか、また、大蔵省や自治省ともこの点について交渉されたことがあるか、交渉されたならば、その結果はどうであるか、こういうふうなことをお尋ねしたいと思うのであります。
  46. 松岡亮

    説明員松岡亮君) ただいま御質問のありました点につきましては、もちろん基本法の精神に沿って今後も地方税、特に固定資産税等の引き下げについて努力すべきことはもちろんでございますが、この近代化資金によって融資を受けた施設に限らず、一般に農家の持つ固定資産について、できるだけ軽減をしていく、こういうように考えるほうがむしろ適切ではないか、かように考えるのでございますが、従来、農林省といたしましては、各種の協同組合共同利用施設あるいは農家の固定資産税等の軽減につきましては、税制調査会等の機関に対し、あるいは大蔵省に対しましても、まあ引き続きその軽減方について交渉をし、ある程度その成果をおさめていると考えているのでございますが、今後もそういうように努力をいたしたいと考えております。
  47. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今申し上げたように、大蔵省や自治省と交渉したことがあるか、もし交渉したことがあるならば、この近代化資金についてどういうふうな話であったかということを尋ねているところなんです。
  48. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 近代化資金で貸し付けられた対象になる施設の固定資産税を、特にそういうものに限って自治省と交渉をいたしたことはございませんけれども、一般に農家に課税される固定資産税につきましては、特に土地の課税については問題でございますが、それらにつきましては、従来非常に熱意を持って交渉して参りました。先般の固定資産税の課税標準の改正の際にも、大体重課にならないような線で押えることができたと考えております。
  49. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今度、政府は農業近代化資金助成法というようなものによって、できるだけたくさんの金を農村に投じ、これによって農業構造改善をしていこうというようなことになれば、これについては別な資金よりも、より多く力を入れなくちゃできない。政府の重要政策であるから、これについては特別に、今の私が申し上げたような税制上については考えなくちゃならないと思っているのであるが、一般的に交渉して、この税について、この件について特別に考えたことはないか、こういうふうに伺うのです。
  50. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 近代化資金融資対象に限って特別に交渉したことはございませんが、そのほかの一般的な登録税、印紙税あるいは固定資産税等の軽減につきましては、これはほとんど毎年といっていいくらいに具体的に交渉して、ある税度成果をおさめて参っております。
  51. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、農業信用基金協会法案について、青田委員から質問したのと重複しないような点だけお尋ねしたいと思います。  第十七条の第一項の「会員は、各一個及び出資一口につき一個の議決権を有する。」これは衆議院でいろいろと修正された結果、こういうふうになったんじゃないかと思っておりますが、構成員がどういうふうなことであるかはまだわかりませんが、もしも出資一口について一個の議決権を持つというようなことであったならば、私は、いざという場合においては悪影響をもたらすことがありはしないかという心配があるが、そういうふうな心配はありませんか。
  52. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 当初、出資一口について一個の議決権という原案で提出いたしたものでございますが、衆議院の御修正をいれまして、再度提出の際には、会員は各一個及び出資一口について一個の議決権と、もとになる一個の議決権と合わせた形の議決権を規定に盛ったのでございます。もちろんこの会員一人について一個の議決権という制度は、今の農協法等でとっている制度でございまして、それにはそれで確かにいい点もあるかと思いますが、一方で、株式会社その他の会社制度などにあります出資に応じた議決権という点にもよい点がある。特に出資をできるだけ集めたいというような場合におきまして、出資に応じた議決権という制度のよさもあるのでございますが、そのどちらもよしあしがあるかと思いますが、その中間をとって会員について一人一個の議決権、出資一口について一個の議決権、両方持ってもらう、こういう折衷案的な考え方をとったのでございます。
  53. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 折衷案は折衷案であるけれども、私にいわせれば、もしもある一つ団体出資の半分以上の金を出した、こう仮定するのですね。そういうふうな場合においては、そういうふうな結果、議決が公正に行なわれないようなことになるおそれはないかということなんです。
  54. 松岡亮

    説明員松岡亮君) まあ今の御指摘の点は、確かに一般の法人の場合におきまして、特に会社などがそうでありますが、出資の多寡によって議決の多寡がきまるという制度をとりました場合に、一般の法人の場合は確かにそういう弊害が現われるおそれがあると思うのでありますが、この基金協会は、特殊法人でありまして、特に県の出資がまあ半分である。しかも県の監督下にある。もちろん農林大臣も監督いたしまするが、そういうことがございますから、議決権の多寡でもって行き過ぎ、あるいは弊害が出るということは、まずないのではないか、かように考えております。
  55. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、第二項の「代理人」はいかなる者を代理人にするか。制限があるかないか。
  56. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 会員の代理人には別段の制限を加えておりません。同じ会員に代理を頼んでもよろしいわけでございますが、そのほかの者に代理してもらっても差しつかえない、こういうふうにいたしております。
  57. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今の答弁はちょっとあいまいですよ。代理人という者は会員でなくてはできないのであるか、会員外でもいいか、こういうようなことなんです。会員外でもいいということであれば、非常な弊害を及ぼしてくるのです。総会でいろいろの悪いことをするところの人間が入ってくるのです。あるいは弁護士というような者が入ってくるのです。であるから、この代理人という者は会員であるか、あるいは会員の家族であるかどうか。何とか制限を加えなくちゃできない。一般の場合においてはそういうふうな制限があるのです。これに対して一つも制限がないから、なぜ制限がつけてないのか。だれでもいいという今のお話だったら、非常な弊害を生じてきますよ。
  58. 松岡亮

    説明員松岡亮君) この法案では代理人の資格に制限をいたしておりませんが、もちろん代理人たるには会員の信頼を受けた人々が代理権を授与されて初めて代理人たり得るのでありますから、実際の運営の面におきましては、だれでもが代理するという事態はまずないと考えられます。必要によっては定款等で代理人の資格に制限を加えること、これはできないことではございません。
  59. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それは実際に一般の者を代理人にすることにしておいて、非常に弊害があったことを御承知ないからだ。私などは多年の聞こういうふうな問題で困っているのです。であるから代理人という者は、普通の場合だったら代理人は会員である者とか、あるいは会員の家族であるとか、あるいは何とかいう制限がある。この規定については無制限であるということは危険だというのです。定款や何かでその制限をするということだったらそれでいいけれども、この無制限にしたところには危険があるから、それは考えなくちゃできないのではないかと、こう言っているのです。
  60. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 農業協同組合法等の場合におきましては、確かに同じ組合員あるいは組合員の家族等に代理人の資格を限っているのでございますが、この場合におきまして、そこまでいく必要があるかどうか。実際にはまあだれでも代理されるわけではないと思いまするが、今、藤野先生の御指摘になりました点につきましては、いるんな先例もございまするので、今後研究をさせていただきたいと思います。
  61. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから第二十二条、「その出資口数を減少することができる。」と、こう書いてある。出資口数か減少することは無制限にできますか。これは協会の基礎を強固にするためにも出資口数を減少するについては、ある制限を置かなくちゃいけないと思っておるのです。無制限に出資口数を減少することができるというようなことをやっておいて、経営上に支障はありませんか。
  62. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 確かに無制限にいつでも出資を減らされては困るのでございます。したがいまして、正当な事由を定款で定めまして、そういう場合には出資口数を減少することができるといたしたのでありまして、この点については模範定款例として、出資を減少し得る場合を定款例としてあげていきたい、かように考えます。
  63. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから三十四条「役員の任期は、二年とする。」と、こう書いてある。こういうふうな例がありますか。別な例は四年とか三年というようなことを書いてあるが、また農協法のできた最初は、任期は一カ年というようなことであったが、農協法の場合に一カ年というのはおもしろくないから現在のような法律になっておるのです。あなた方が出したところの法律で、役員の任期を二カ年とする例があったら教えていただきたい、どれとどれということを。私に言わせれば、こういうふうなところの者の任期は、できるならば四年にすべきものだと思っておるのです。国会議員の任期も四年、市町村長の任期も四年、県会議員の任期も四年だ。あまりこの任期を変えたら経営上に支障を来たすのです。であるから二年にしたところの別な例があるのかどうか。二年にしてでも経営上支障がないか。こういうふうなことは、ある程度なれていかなくちゃできないのだ。二年の別な例があったらば教えていただきたいと思います。
  64. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 先例はたしか開拓融資保証協会におきましては役員の任期が二年と、こうなっておるわけでありまして、規定の仕方はこの三十四条の一項と同じでございます。「但し、定款で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。」と。この役員の任期は、確かに経営をコンスタントに安定させていく上にはあまり短い期間は必ずしもよくないと、かように考えられますが、一面、長過ぎてもまた支障の出る場合もございます。で、まあ今のような先例によりまして、こういう規定としたわけであります。
  65. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると長過ぎてはいけないということだったら、国会議員の任期もその他の任期もほとんど四年ですよ。それは長過ぎるというのですか。ただ、今の例一つでしょう、二カ年は。こういうふうな重要なものをくるくる変えるということはおもしろくないのですよ。たとえば産業組合法時代は理事の任期は三カ年、監事の任期は一カ年あるいは二カ年とかいってそうしてそれをただし書きで理事の任期は六カ年、監事の任期は四カ年とするというような言葉で書いてあった。それが今度農協法の改正では、いろいろの指図によって短くなったが、それではいけないからということで現在のようなことになっておる。通り一ぺんのものが、今のところはこういうふうなものは任期は三カ年なんです。これは役員の任期は二年となっている。どうしてそれを三カ年であるのを二カ年にしたか、定款で定めるならば三カ年以内でよろしいということであったならば、初めから三カ年にしたらいいじゃないか。この前の法律においても定款に定めたならば幾らでいいということを言って、実際は三カ年になっておる。法律の案文と実際と違っている、だからこういうようなことは、三カ年でいいのであったならば、なぜ初めから三ヵ年にしないかということです。
  66. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 農協法の場合は、「役員の任期は、三年以内において定款で定める。」こういうことになっておりますが、この法案では、「ただし、定款で三年以内において別段の期間を定めたときは、その期間とする。」と、これは逆の規定の仕方でございます。その辺、確かに御指摘をいただきましたので、二年というのは、あるいはちょっと短いという感じもいたしますが、一応農協法ともあまり違わない、それから開拓融資保証協会の先例もあるというようなことで、こういうことにいたしたのであります。
  67. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 農林中央金庫法の十一条には、「理事長及監事ハ定款ノ定ムル所二依リ出資者総会二於テ之ヲ選任ス」と、こう書いてある。であるから選任の方法は、定款で定めるのであるが、一体、定款ではどういうふうに定めさせようというお考えであるか。
  68. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 十一条の第一項の規定は、抽象的に「定款ノ定ムル所二依リ」としてございますが、大体各種の系統団体の御意見等も参考にいたしまして、ただいま考えておりますのは、理事長監事は、出資者総会というのは事実上なかなか開かれませんので、総代会で選任するということにいたしまして、その場合には、円滑に理事長及び監事の人選ができまするように、何と申しますか、委員会のようなもの、かりに管理委員会と称しておりますが、そういう委員会組織を定款で定めていただきまして、その委員会の推薦によって総代会で選任するようにしてはどうか、こういうような考えを持っているのでございます。
  69. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、今度は、「副理事長及理事ハ理事長之ヲ任命ス」と、こう書いてあるから、理事長が任命するのであるけれども、一体、理事長、監事、理事というようなものは、農林中央金庫の組織団体は各種のものがあるのであるが、その各種の団体に割り当てられる考えであるかどうか、あるいは学識経験者をどのくらい入れられる考えであるかどうか、これについてはそれが明らかでないが、そういうふうなことをどう考えておられるか。こういうふうなことが質問の要点なんです。
  70. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 今度の改正が役員の人選と申しますか、いわゆる民主化しまして、政府の任命制を廃止するということにございますので、法律としましては、最小限度の規定を設けまして、できるだけその役員の選任については自主的な方法で選んでいったらという考え方をしておりますが、ただ、非常に各種の団体、主たる団体としましても農林漁業それぞれの協同組合系統団体がございますし、そのほかにもこれに関連しましたたくさんの団体がございまいますので、その間から最も適任な役員を選任するについては、先ほど申し上げましたような管理委員会、そういったようなところで、ある程度団体の全体の調和のとれるような構成でもって役員を選任するというようなところに落ちつけるのが考えられるところではないかと思います。できるだけその際には、農林中金の業務に専心する人であって、農林金融についての見識の高い人をそれぞれの団体の立場から、できるだけ円満に推薦していただく、こういうことにいたしたいと考えておるのであります。その場合に、農林金融についての非常に見識の高い学識経験者がおられまするならば、そういう人たちにも入っていただくことは、これはもちろん差しつかえないと、こう考えます。
  71. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから十二条の第三項「審議委員ハ定款ノ定ムル所二依リ理事長之ヲ委嘱ス」と書いてある。そうして補足説明によるというと「審議委員十名以内」と、こういうように補足説明があるのでありますが、この審議委員というのはどういうような方面から選任するのですか。
  72. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 審議委員は定員が十名以内となっておりますが、大体その構成は、今、農林中金の構成団体となっております分野からいたしますと、これは何もきまったことではございませんが、大体農業に関する所属団体が四人ぐらいになるのであります。それから林業に関する所属団体が二人、水産業が同じように二人、そのほかに学識経験者として二人くらい、今の分野を前提といたしまして考えまするとこういうことになるのではないか、大体の構成は、所属する団体の大きな系統をそれぞれ代表するような方々がこういうよう構成によって審議委員会を作られる、そういうような考え方を持っております。
  73. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 第二項では「審議委員ハ定款の定ムル所ニ依り業務ノ運営ニ関スル重要ナル事項ニ就キ理事長ノ諮問ニ応ズルモノトス」と書いてある。だから「諮問ニ応ズル」のであって、意見は述ぶることはできないのですか。諮問に対する以外のことは何とも言うことができないのですか。
  74. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 制度の建前から申しますると、諮問されたことに対して意見を述べるのでございます。しかし、実際の運営におきましては、もちろん業務の円滑な運営をはかるためには、それぞれの御意見は十分参酌すると考えております。
  75. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから罰則です。旧法律の三十四条と三十五条――三十五条は抹消してあるが、旧法によれば「理事長、副理事長、理事又ハ監事ヲ百円以上千円以下ノ過料二処ス」と、こうなっている。そうして新しい法律によれば、それが三十五条になって、「三万円以下ノ過料ニ処ス」とこうなっておる。そして旧法と新法と対照してみるというと、旧法の二号の「主務大臣ノ命令ニ反シタルトキ」というのを、新しい法律では五号になって「第三十一条又ハ第三十二条ノ規定二依ル主務大臣ノ命令ニ反シタルトキ」と、こう書いてあるが、「百円以上千円以下」というのを「三万円」にした理由と、それから旧法の第二号と新しい法律の第三十五条第五号とは違うか、違わないか。
  76. 松岡亮

    説明員松岡亮君) この罰則は大体戦前の基準による罰則になっておりますので、量刑の程度が、これを戦後の、諸物価が上がってからのほかの法律はすべてこういう刑罰の基準に変わってきておるわけであります。それに合わせたのであります。で、古い規定の三十四条第二号と、新しい規定の三十五の第五号、これは大体相当するものでありまするが、今度の改正によりまして第三十一条と第三十二条が古い規定と内容が変わって参りましたので、それに相応して、新しい三十五条の五号の規定の仕方が変わっておるわけであります。
  77. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 従来の法律からいえば過料だけなんです。新しい法律によったらば、三十四条で今度は罰金という制度が設けられておる。そうするというと、従来は過料のみであったのを、今度は過料と罰金とを二つ並べて書いた。そうして過料を三万円、罰金も三万円とこうなっておる。罰金を加えたところの理由はどこにありますか。
  78. 松岡亮

    説明員松岡亮君) これは、他の銀行法その他金融機関に関する立法の例に従ったのでありまして、従来の農林中央金庫の監督に伴う罰則が、今の金融機関に対する監督に伴う罰則の基準に照らしまして、まあ軽きに失した、こういうことでございます。みな同じような金融機関に対する罰則を設けておるわけであります。
  79. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、今回の改正は、旧法では三十四条で過料だけであったが、その過料の金額は、時代の要求に応じて金額を上げ、しこうして、過去においては過料だけであったが、他の金融機関も過料と罰金と両方合わせてあるから、他の金融機関と同様に罰金と過料と併記した、こういうようなことになるのですか。
  80. 松岡亮

    説明員松岡亮君) そういうことでございますが、罰金を課せるものは、その違反の事実が別な事実でございますけれども、考え方はそういうことでございます。
  81. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというと、今度の三十四条というのは、新たに加えられたからこういうふうなことになったんですね。そうすると、この規定を設けなかったならば、罰金刑はなくなってしまうんですか。たとえばという例を質問したいと思います。
  82. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 三十四条の規定をなくしますと、罰金刑はなくなるわけでございます。
  83. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 まだあるけれども……。
  84. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちょっと、ほんの簡単に。直接この法律関係がありませんけれども、最近の経済界の状況からいきまして、私はちらほら末端農協に不良貸付によるところの破産であるとか、取りつけであるとかいうことの事実が、すでに表面に出たものありますし、そういうことになるのではないかといううわさを耳にして、非常に心配しておるのですが、そういう事実がすでに農林省の調査によって、最近どういう傾向になっておるのか、これをひとつ伺いたいのですが。
  85. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 最近の引き締め政策の結果として、末端農協等における貸付が焦げつきになったり、あるいは不良貸しになったりするということは、まあ考えられることでございまするが、今のところ、まあ私どものところに達しているいろいろな情報では、まだそう目立ってそういう事実があるということは聞いていないのでございます。しかし、引き締めが次第に末端に浸透して参りまするし、今後一そう進められるとなりますと、そういう可能性は十分あり得るわけでございますから、今後指導に万全を期して参る、かように考えます。
  86. 河野謙三

    ○河野謙三君 当然起こり得る事態ですね、そういうことは。過去においてもそういうものが絶無じゃなくて、相当、表に出たもの、また表に出ないけれども、そういう単協、特に単協において不正な事実というものが隠されていることは事実でございます。それがこの経済界の不況によって必然的に私は表面に出てくることは、これは何も予想でも何でもなくて、すでにそういうことは事実としてお考えになっていいと思う。そういう場合に、現在の許される監督規定の中におきましても、一段と監督を強化されないと、次から次に出てくると私は思う。そこで私は、農民の立場になりますと、一般の金融、町の金融機関はたくさんありますから、町で生活しているような人は、自分の選択によって金融機関を選ぶ。農村におきましては、町に行って預金をすることもできますけれども、これは事実は不可能であって、農民が持つ金融機関というものは農協だけなんですね。でありますから、一般金融機関におけるところの大蔵省の監督規定以上に――まあ規定するものをやかましくするばかりが監督じゃございませんけれども――運用の面等におきましても、よほど細心の注意をしていかぬと、全国的に非常に大きな問題が起こってくると、私は憂えるのです。そこで私は、あとで資料でけっこうですから、最近の農民の預金の状況、たとえば単位農協段階において一体預金が幾らあるか、その預金が全部信連に行っているわけじゃありませんから、信連の段階において幾らある、それから中金の段階において幾らある、その差額があるわけですね、常に。その差額の傾向はカーブにしてふえているのか減っているのかということを、ひとつ私は資料でいただきたいと思うのですがね。というのは、非常にまあ理想的にいえば単協において組合員の預金を金融するということは一番理想ですよ、上まで吸い上げる必要はない。ところが、その陰に理想の陰に、非常な危険がある。特に員外貸付というのは非常に多い。また、その員外貸付をやらなければ金を貸すところがないわけですよ。また、その利回りを上げるわけにいかない。そこで、単協組合員を初め幹部は、いかに利回りを上げるかということになりますと、これは員外貸付になる。員外貸付の一番大きなものは土建業者ですよ。これは私は全国的にそうだと思う。ところが、その土建業界が、中小の土建業界が不況の一番先に立って、まず第一にたたかれるのは土建業者であろう、手をあげている。それが必ず農村の金融に結びつくことは当然です。でありますから、これから十分注意するというのじゃなくて、私は、この際は、特別にやはりひとつ監査機構を動員してやるべきだと、こう思うのですが、これは私は毎度申しますけれども、あとになって気がついたって始まらぬですよ。そういう点について、農林省はすでに何かお考えになっているかどうか。お考えになっておらなければ、至急にそういうことについて何かおやりになる準備をしておられるかどうか。私は断言しますけれども、必ず起こりますよ、これは全国的に。そういう点についてちょっとお考えなり、また、具体的に何か考えておられるか。今までのような好況時代のように、あるいは年に何回とか、何年おきに何回とかいうことの、そんなゆうちょうな監査をやっておっては、私は非常な大きな問題になる。それは農業団体の、ひいては信を問われる問題になる、かように思いますから、だから、農業団体が健全な発達をする意味合いにおきましても、農林省農業団体と一体になって監査に特段の御注意をいただきたい、こういうふうに思います。
  87. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 系統団体系統外に対する貸し出しにつきましては、特に今までコール・ローンにつきまして金利高に誘われてとったということが、言葉は適当でないかもしれませんが、金利高の関係もありまして、系統外金融が一時、一、二年前のことでございますが、非常にふえる傾向があったのでございます。それに対しましては、農林省からも重大な警告を出しまして、さらに検査の結果不当と認められるものについては、それぞれ厳重な注意をして参っております。最近はそういった貸し出しがだいぶ減ってきておるのでございます。しかし、また金詰まりになって参りましたので、そういう可能性が十分考えられまするので、今、具体的に何か考えておるかという御質問でございましたが、具体的に新しくということはございませんけれども、目下各方面で監査を実施中でございますので、その際にはそういう点について特に念入りの監査をするように指導して参りたいと思います。  なお、御要求の資料につきましては、別途提出さしていただきたいと思います。
  88. 河野謙三

    ○河野謙三君 一体、従来、監査というのはどの程度まで行き届いておりますか。この場合、私は、末端単協といいますけれども、末端単協は年に一回必ずどこの単協にも監査を行なうというところまで手が回っていないでしょう。一体、それは監査能力を動員したとしても、年に一回必ず単協の監査が行なわれるのだ、行なわしめるのだというようにやることはできないのですか。私は少なくとも、その必要があると思うのでありますが、従来は一体、どのくらいになっておりますか。何年に一ぺんぐらい行なっておりますか。
  89. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 末端組合の検査は、これは県が県の職員を使ってやることになっておるわけでございまして、それの費用に対しては国から補助をいたしております。ただ、遺憾ながら、予算はこれは、毎年相当要求いたしておりますけれども、思うようにふえて参りませんので、どうも年に一回全部の単協を監査するというようなところまでは参っておりません。やはり二年に一回とか三年に一回とか、こういう状態でございます。
  90. 河野謙三

    ○河野謙三君 ですから、農林省当局はすでに十分その必要を認めておられると思いますが、来年度の予算等におきましては、少なくとも、末端単協には年に一回監査を県をしてやらしめることができるというくらいに、それに対する補助金その他をお考えになってやらないと、特に私、前段申し上げましたように、不況を目前に控えて非常に私は問題が起こると思います。一方において麦の値段や米の値段を多少上げてみたところで、自分の村の農協が一ぺん参ってしまったら、そんな麦や米の値段を一割、二割上げたって、そんなことは問題にならない。それも、ないならいいけれども、従来でもありましたし、これから必ずそういうことが予想されますので、私は、そういう点につきまして、予算の編成をこれからやるでしょうから、この段階で希望しておきますけれども、農林政策の予算要求の中に最もこれを強く要求して、少なくとも末端の農民が、自分の財産をちゃんと安心して農協に貯金できる、安心して生活できるということにしてやる、これ以上、私は農民の強い要求はほかにないと思うのですよ。ところが、それが満たされていない。それを予算関係その他で三年に一回とか、私のほうの県なんか、三年に一回回ったらいいほうですよ。そんなことでありますから、この点については、特に私はこの機会に希望しておきますけれども、こういう金融機構や制度について、大蔵省の金融の監督とむしろ同じような金融の監督をしなければいかぬと思っております。ああいう整備された金融機関を監督する大蔵省の金融の監督機構が全く整備されないうちに、末端単協はみんな何億という金を持っています。それが整備されない機構の中において動いている。当然それは農民が不安を持っている。でありますから、これについては私は特段の御注意をいただきたい、こう思うわけであります。
  91. 青田源太郎

    青田源太郎君 実は今、河野先生がおっしゃった監督の問題についてちょっと私尋ねたいと思うんですが、今度の改正案によると、理事長及び監事は総会で選任する、これはいいんですが、その次に、副理事長と理事、いわゆる理事者は理事長が任命するということになっておる。それと同時に、審議委員もやはり理事長が委嘱するということになっておると、理事長の権限というものが非常に強くなる。何かここでやはり、理事会と申しますか、あるいは理事の執行面について、やはりこれは監督をするというような機関が必要であると思うのでありますが、こういう点からいくと、副理事長、理事、審議会というのは、一体どういうふうな権限というのか、任務があるか、この点をひとつお伺い申し上げたいと思う。
  92. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 審議委員は役員と任期を異にしますし、また理事長が任命することになっておりますが、これは定款等で、もちろん総代会等の意見を聞きながら委嘱することになるかと思うのです。で、その審議委員の任務は、業務運営に関する基本方針、それから事業計画、資金計画、収支計画、それから非常に大事なことでありますが、金利の決定あるいは改定、そのほか出資の増減とか、定款の変更とか、どういう方針でも基本的になっております事項、これらについて理事長に対する牽制の役割を果たす、こういうように考えております。
  93. 青田源太郎

    青田源太郎君 そこで、そういうふうに何か僕は牽制機関が必要であると思うのでありますが、次に、この経理の内容について、従来協同組合は、今、河野先生が言われたように、協同組合法によって一年に一回の監査をせなくちゃならないということになっておるんですが、この中金に対する業務報告書というのは、この監査の面について、二十八条では、必要ありと認めるときは中央金庫に状況を報告せしめるということなんですが、必要のない場合というのか、例年は、やはりこういう法的に中央金庫を監査するとかいうような面は、どういった方法でやられるんですか。
  94. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 従前の法律によりますと、農林中央金庫に対する監査は監理官の職権でやることになっているのであります。これは大体従来は二年に一回監査を実施しております。その監査の仕方は、ほかの銀行等と同じでありますが、相当な人数を動員いたしまして、急に実施している。予告なしにやりまして、金庫等をまず押える、それから監査に入るということで、かなり厳重な監査を二年に一回実施いたしております。
  95. 青田源太郎

    青田源太郎君 それでは何ですか、業務報告書というのは、これは協同組合法と同じようにやはり提出さすのですか。
  96. 松岡亮

    説明員松岡亮君) それは改正規定の三十一条によりまして、「業務ノ方法ノ制限其ノ他監督上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得」ということで、役員会あるいは審議委員の会議を通った場合でも、場合によっては命令を出すということがございますが、そのほかに、農林大臣としては報告を求める権限を留保してございます。それによってできるだけ定期的に報告をとって参りたい、かように考えております。
  97. 青田源太郎

    青田源太郎君 この中金法の第五条でいうと、政府出資ということがあるので、これはまあすべて出資者が権限があるわけですが、現在のまあ中金の状況では、この政府出資というものがほとんどないわけになっているわけであるが、これは今後の考え方はどういうふうに考えられているか、お伺いしたいと思います。
  98. 松岡亮

    説明員松岡亮君) 従来ございました政府出資は全くなくなったのでございますが、今後も新たに政府から出資するという考えは持っておりません。系統団体に十分な資本がございますし、それを出資として集めて運営支障がないと考えております。
  99. 青田源太郎

    青田源太郎君 政府出資がなくなったなれば、この五条の定款を変更する必要が――この際ここの改正をする必要はなかったのですか。
  100. 松岡亮

    説明員松岡亮君) これは定款を改正しなければ現在の状態が違法ではないかという御疑問と、ほかの点もあるかと思いますが、まず今回の改正は、いわゆる農中の民主化ということで、必要なる最小限度の改正にいたしたということから、ほかの規定にはできるだけ触れなかったのでありますが、それと同時に現在の政府の出資すべしという規定が違法な状態ではないかという点につきましては、これは過去において出資を実行している。したがって出資すべしという規定に対する政府の義務は履行されて、それが戦時補償の結果としてまあ出資がなくなった。その後、優先出資も償却されたということで、そのなくなった状態が現在続いているということでありまして、今の規定があっても違法な状態ではない、かように解釈しているのでございます。
  101. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 午前はこの程度にいたします。午後一時三十分再開することとして、暫時休憩いたします。    午後零時二十八分休憩   ―――――・―――――    午後一時五十九分開会
  102. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 委員会を再開いたします。  農業近代化資金助成法案閣法第一八号)、農業信用基金協会法案閣法第一九号)、農林中央金庫法の一部を改正する法律案閣法第二六号、いずれも衆議院送付)の三案を一括議題といたします。  午前に引き続き三案に対する質疑を行ないます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  103. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 私ごく簡単にお尋ねいたします。  午前の委員会でも青由委員その他から質問があったのですが、法律では利率が七分五厘以内にということにきまっております。一方、衆議院委員会では五分に下げろという決議もつけられている。青田委員その他の質問に対して、松岡参事官の答弁としては、無利子の金融を考えて、これらとあわせて五分程度にする、こういう答弁であったのですが、その答弁の中身がどういうふうに計数的になれば五分程度になるのか、そして無利子の金というのは一体何なのか、それをひとつ御説明いただきたい。
  104. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 近代化資金金利の問題は、この法案では七分五厘ということになっておりますが、これはこの金利考えます場合には、非常に農業金利というものはむずかしい問題でございまして、一面におきましては御承知のように、農林漁業金融公庫という政府の直接の融資機関があるわけでございます。その状態を見ましても、現在は最高七分五厘から最低三分五厘、平均いたしまして五分五厘程度のものが大体農林漁業金融公庫の、政府の直接の融資機関がそういう金利で現在やっておる。ですから、これがいいということじゃございませんけれども、農業に対してどれだけの金利でやったらいいかという問題、これはやはり今後慎重に検討しなければならぬ問題であろうと思っております。この近代化資金の場合におきましては、一応系統の金を使うということを建前にいたしておるのでございまするので、そういう関係から農林漁業金融公庫金利とのバランス等も十分考えていかにゃ参りませんし、そういう点も考えて七分五厘ということに考えておるわけでございます。そこで実際問題といたしまして、いろいろの金利の低下の御要望も非常に強いのでございまして、この点につきましては来年度におきまして農業構造改善の指定町村をきめまして、何年かの計画で非常に集中的に構造改善を実施していこう、こういう計画を現在農林省考えておるわけでございます。で、そういうような、特に構造改善事業を推進して参りますそういう指定町村につきましては、この近代化資金を使いますことはもちろんでございまするけれども、特に力を入れまして、現在残っております農業改良資金の技術導入資金というのがございます。これが従来は大体二十億ないし三十億のワクだけでございまするが、これは大体政府の金を直接無利子で貸しておるわけでございます。昔のいわゆる技術改良のため補助金にかわりましたものでございます。無利子融資をいたしましております。これは現に特別会計をもちまして、そこで融資をしておるわけでございますが、これを充実をいたしまして、この近代化資金に加うるに、その無利子農業改良資金のほうからの融資を抱き合わせまして、そうして実質金利が五分程度まで下がるようにしていったらどうか、こういうことを現在考えておるわけでございまして、午前中の松岡参事官の答弁はそういう趣旨であろうと思っております。
  105. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 現在二十億ないし三十億の無利子金利をやっておる、それを近代化資金資金源と抱き合わして五分程度の金利にする、こういう御答弁なんですね。といいますことは、逆にいえば、五分以上の金利のものをなくする、こういうふうに理解していいですか。
  106. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) この近代化資金のいわゆる本筋のものにつきましては、七分五厘ということで考えて参りまするが、先ほど申し上げましたように、現実に構造改善をやっていくというものを何年かでやっていこう、こういう三千町村余りのものを何年かで片づけよう、構造改善事業重点的に片づけていこう、こういうことを来年度の予算では考えておりますので、まあ来年度は三百町村ぐらいであろうと思いますけれども、そういうようなところでほんとう構造改善を進めていく場合に、そこではどうせ当然近代化資金でいろいろの資本装備をやっていくわけでございますから、近代化資金を借りるわけでございます。しかし、それに一部今言いました農業改良資金の無利子のものをある割合は融資をいたしまして、そして実質金利が全体としてそういうようなところについては五分程度にいたしたらどうか、こういう考え方でございます。
  107. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 そうして構造改善計画の実施市町村に限って平均して五分程度になる、逆に言うならば構造改善計画を実施しない、農林省で承認されて実施するもの以外のものについては従来どおり七分五厘、こういうふうな理解でよろしいのか。それから平均して五分程度ということは構造改善計画市町村においては、もう五分より高くはならないという意味なのか、あるいは七分五厘で借りるものもあるが、はるかに安い金利で借りるものもある、その加重平均をすれば五分なら五分になるのだ、こういう意味なのか。
  108. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 初めの御質問についてはそのとおりでございます。おっしゃるとおりでございますが、二番目の問題につきましては、現在いわゆるどういう割合で、どういう事業に対してこれを抱き合わせてやっていったら、どうかというようなことを技術的にいろいろ検討中でございまして、いずれ来年度の予算の問題でございまするので、予算の編成期までには具体的なものを固める、こういう態勢でいろいろ検討中でありまするので、こまかくどうこうということは申し上げられませんけれども、一応大体そういう指定町村におきましては、とにかく構造改善をやっていく場合に、近代化資金等でねらいにしておりますような施設に対して五分程度の金が借りられるように、こういう目標でいろいろ作業をいたしておる段階でございます。
  109. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 この三十六年度予算編成期、つまり予算要求の立場においては、この近代化資金を新しく設定する際に、国庫で二分の利子補給をやろうという考え方で予算要求をやったけれども、大蔵省との折衝の段階でとうとうそれが成立しなくて、国庫で一分、都道府県で一分、一分ずつ合わせて九分五厘が七分五厘になった、こういうふうに私記憶いたしておるんですが、今度の三十七年度の予算要求には、その前の考えから後退して国庫で一分の補給をやると、つまり現在農林省がこの三十六年度予算で三百億のものを実施しようとしておる段階、国から一分、都道府県から一分、合計二分で七分五厘にする、こういう考え方の予算要求をされておるやに私記憶しておる。なぜ考え方が後退したのか、その点についてひとつ御説明願います。
  110. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 三十七年度の予算の編成方針につきましては、現在内閣でもまだ決定いたしておりませんし、ただ現在までいろいろ大蔵省に持ち込んでおりますものはいろいろなものが出ておりまするけれども、それはまあ事務的に一応実施計画を持ち込んでおるのでございまして、いずれ三十七年度の予算編成方針等も内閣できまるでしょうし、その際に十分ひとつこういう金利の問題等も検討しなきゃならぬというようなことで考えておるわけでございます。
  111. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 これで終わりますが、内閣の予算編成の段階において十分考慮をして、ということは、衆議院審議の段階においても附帯決議等がつけられたその精神を十分織り込んで、いわばあなた方の予算要求考え方をもう少し推進してやりたい、こういう決意ですか。
  112. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 御指摘のとおりであろうと思うのでございまするが、衆議院における附帯決議につきましては、農林大臣も努力をいたしますということをおっしゃっておるのでございまするので、私たち事務当局といたしましても、大臣の御趣旨に沿って最善の努力をいたしたいと考えます。
  113. 櫻井志郎

    ○櫻井志郎君 終わります。
  114. 北村暢

    ○北村暢君 まず第一点にお伺いいたしたいのは、今度の農業近代化資金の貸し付ける資金内容についてでございますが、従来の有畜農家創設資金――有畜農家創設特別措置法による国庫の補助というものと、今の金利の問題とも関連するんですが、そういうものが入ってきている。それからもう一つは、従来の公庫資金でありました共同利用施設資金、こういうものも入ってきているようでございますが、まず第一点お伺いしたいのは、この公庫との関係の問題なんですが、今度の近代化資金によりまして、公庫の資金でこちらのほうに移った状況、それと貸付条件というものが、どういう関係にあるのかこの点をまずお伺いいたしたいと思います。
  115. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 今度の近代化資金におきましては、従来、農林漁業金融公庫から貸しておりました共同利用施設の大部分と、それから主務大臣指定施設の大部分を近代化資金に移そう、こういうことを考えているわけでございます。もちろんその場合におきまして、共同利用施設等といいましても、たとえば発電施設であるとか、あるいは医療施設であるとか、非常に長期の――二十五年とか二十年のものがございます。こういうようなものにつきましては、これは公庫に残しておりますけれども、その他大部分のものについて、いわゆる協同組合系統金融として、これはやっていっても適当なのじゃあるまいかというふうに考えられるようなものは、共同利用施設、主務大臣指定施設の中からこちらに移す。こういうことになっております。条件は御承知のとおり公庫におきましては、共同利用施設、主務大臣指定施設ともに七分五厘でございまして、金利は大体同じにいたしております。それから償還期限は、近代化資金においては、当初主務大臣指定施設におきましては十年、それから共同利用施設においては十五年、こういうことを考えておりましたのでございまするが、この前の国会衆議院審議の過程で御修正を受けましたので、十五年以内、こういうことで全部を一本にまとめましたわけでございます。そういう関係で大体公庫の融資条件とおっつかっつのところになっているわけでございます。
  116. 北村暢

    ○北村暢君 それからもう一つは、有畜農家創設特別措置法のこの融資の条件で、従来この利子の補助に対して、「全部又は一部」、こういうふうに法律ではなっているわけですね。そうしますと、今度の場合、有畜農家ばかりでなしに、多頭飼育ということで、すでに家畜を持っている者に対して、頭数をふやす者についても融資をするわけでございますが、この関係は、全部または一部ということになっている点と、従来の貸付条件、利子の補助の場合と、今度の融資の一分利子補給の問題との関係で、これは不利にならないでしょうか、どうでしょうか。
  117. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 有畜農家創設資金におきましては、従来は十分の十の補助をいたしております。そういう点で、この近代化資金に取り入れましても、今までよりも条件が悪くなるということは適当でないと思いましたので、この近代化資金の場合におきましても、有畜農家創設に関係するいわゆる家畜関係のものにつきましては、これは国の利子補給を十分の十するということを考えております。従来どおり国が二分の利子補給をする、こういう建前をとっております。
  118. 北村暢

    ○北村暢君 それは有畜農家を創設する場合は十分の十補給するということで、頭数をふやすというものについての貸付条件は……。
  119. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) その点は非常に実際問題としてはどういう工合に区分したらいいか問題があろうと思うのでございます。ですから、そこで実際の扱いといたしましては、有畜農家創設とかあるいは家畜導入とか、そういうような関係考えまして、実際その年に家畜の導入ということを、ある程度の計画を立てまして、それに対応いたしまして、できるだけその分については、二分の利子補給をしたい、こういう工合に考えているわけでございます。
  120. 北村暢

    ○北村暢君 したがって、二分の利子補給を国でやるということになれば、一般近代化資金は一分の利子補給をするわけでしょう。それでこの畜産の振興についてだけは、頭数をふやすものは二分、それから有畜農家創設のものは十分の十補給をする。こういう説明だったと思うのですが、それでいいのですか。
  121. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 言葉が幾らか足りなかったかと思います。従来有畜農家創設資金として扱って参りましたものは十分の十の、十割の補助でございます。ということは、大体二分の補助でございます。二分全部を補助しておりましたわけでございます。ですから、新たに近代化資金考えます場合にも、二分補給というものを、そのまま引き継ぎまして十分の十の利子補給をやっていこう、したがいまして、県費の義務負担というものはないわけでございます。そういう結果になるわけでございます。同じく二分の補給でありますけれども、その他のものについては、半分は国が補助をします。それから家畜導入につきましては、二分全額を国が補給します。そういうことになるわけでございます。
  122. 北村暢

    ○北村暢君 まだはっきりのみ込めないのですけれども、そうしますと、これについては県の補給の分、全部というのは県と国とで全部ということになっておったと思う。その県の分についての規制は今度の近代化資金法でけしないのですか、どうなんですか。
  123. 坂村吉正

    ○政府委興(坂村吉正君) 一般近代化資金におきましては、県が二分の利子補給をいたしまする場合に、その半分の一分を国が利子補給を補助をいたします。こういうことでございますけれども、家畜導入につきましては、県が二分補給いたします場合に国が全額を補助をします。こういうことになるわけでございます。
  124. 北村暢

    ○北村暢君 そうすると、前の有畜農家創設特別措置法の第四条の解釈からいくというと、利子相当額の全部または一部を補助するときの補助に要する経費、こういうものを政府が見る、こういうことになってるんですが、これはそうするというと、これの解釈は、融資のあっせんがあって、たとえば六分なら六分、五分なら五分のうち二分を補給する、それを、二分のうち全部もしくは一部と、こういうふうな解釈にこの四条はなっておるんですか、どうなんでしょうか。
  125. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) この有畜農家創設特別措置法の四条の条項は、「全部又は一部」と、こう書いてありますけれども、実際は今まで予算で組んでおりましたのも二分の利子補給で、それに対する全額を補助する、こういうことで現在やって参りましたわけでございます。ですから、その実績よりも低下することのないようにということで、そのままこの近代化資金に取り入れましたわけでございます。
  126. 北村暢

    ○北村暢君 そこで、そういう有利な資金近代化資金として、しかも系統融資をする、こういうことになってきたわけでございますが、そこで公庫との問題についてお伺いしたいんですが、まあ当初私どもの感じからすれば、公庫資金というのはこれは、長期低利の設備資金融資するんだと、こういうのが建前である。ところが、この系統資金に対して利子補給をして、そして低利にしていくということになれば、この公庫資金との関係は一体将来、将来ですよ、どういうふうに考えていられるか。で、先ほども共同利用施設が大部分今度の近代化資金のほうへ移っていく。残るのは林業の施設、水産の施設、あるいは電力導入、こういうものが公庫資金として共同利用施設でも残るというお話でしたね。そういう場合に、この農業近代化だなんていうことを考える場合に、林業と農業との兼業でいくということも、近代化していくということも考えられないことはないと思う。あるいは水産関係だって農業と合わせてやっていかなきゃならないということも考えられると思う。そういうことになると、そういうものも、農業関係施設だけ、農業といっても畜産と蚕糸が、養蚕関係が入りますから、それ以外のものが残されるわけでございますが、そうするというと、これはほとんど将来移っていく可能性があるんじゃないか、こういうふうに思うのです。そうしますと、そのほかにも公庫の資金はいろいろあるわけでございますが、大体現在系統資金というものが、非常に資金内容というものは豊富になってきた。そうすれば、それに利子補給さえしていけば公庫の資金というのは必要なくなるんじゃないか、こういうような感じがするんですがね。今度の金利なんかでも、公庫資金は七分五厘から三分何厘までありますけれども、非常に多いのは七分五厘がやはり多いわけですね。災害その他は違いますけれども、七分五厘というのが相当あるわけです。そうしますと、かえって今の近代化資金というものを、先ほどの趣旨からいくというと、五分くらいまでに平均して持っていくような形で持つということになると、低利、長期の資金というのが公庫だということであったんだけれども、それにたよらずして系統資金でやっていけるのじゃないかということが将来起こってくるのじゃないか、こういうふうに思われるのですがね。そこら辺の将来の方針は一体どう考えられておられるのか、お伺いしておきたい。
  127. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) おっしゃるとおり非常に農業金融の問題としては根本問題でございます、この問題は。ですから、御承知のように農業の金融は、これは何としても長期で低利のものでなければなかなかやっていけないということでございまして、これに対してどういう条件がほんとう農業に受け入れられるかというような問題は、なかなかこれは非常にむずかしい問題でございます。しかし、やはり、全体として国の経済の状態あるいは財政政策というようなものも関連をいたしますので、そういう点で公庫というものを通じまして、そこでとにかく政府資金はそこに入れまして、そうしてその長期の低利の金を貸そうということを考えたわけでございますので、あくまでやはりそういう長期の低利の農業の基盤を造成するようなものについては、やっぱり国家投資を重点にして考えていくべきであろうというふうに考えておるわけでございます。で、一面農業協同組合系統にはおっしゃるように非常に資金がたくさん集まっておるのでございまして、しかも現実問題としてこれが農民に還元をされない、こういう実態でございます。最近におきましては、末端の全体の農協の預金は九千億程度になっておりまして、おそらく今年度のピークには一兆に達するのじゃないかというふうにいわれておるのでございますが、そういう状況でございますが、その農民に対する貸付は三、四千億という程度でございますので、そこに非常に問題があるのでございます。  そこで、いろいろこの近代化資金を検討して参ります段階におきましては、農業協同組合の金を公庫に持ってきて、そうして国なりで利子補給をやってそこから公庫から貸したらいいじゃないかという議論でございました。しかし、農業協同組合系統金融としてのいわゆる協同組合運動の自主性というものもある程度尊重して、そうして協同組合自分の金は自分で農民に還元できるのだという態勢を作っていく必要があると思うのでございます。そういう意味農業協同組合が自主的な系統金融機関として将来確固たる基盤を持ってひとつ大いに発展していく、そういうことのための援助の意味をもちまして、とにかく今の状況では農民に還元されないから、これに対してとにかく今金利なりあるいはその他債務保証なりそういう現在の系統金融で不備なところを国が補っていこう、こういうことで考えましたのが近代化資金でございます。ですから、おのずからそこには国の投資的ないわゆる基盤整備的なそういうようなものと、それからこれは系統金融としてとにかく共同の融資としてやっていっていいのじゃないかというものとの分野があろうと思うのでございます。そういうようなものにつきましては、お互いにやはり組合員から預かっている金でございますから、これをあるいは二十年、三十年というような非常に期限の長いものでもなかなかうまくいかぬでしょうし、金利につきましてもやはり組合員に預金の金利を払うのでございますから、そういう点も考え、十分事業も合理化いたしましても、なかなか急速に下げるというわけには参らぬと思うのでございまして、そういう点いろいろ勘案いたしまして、現在の制度近代化していくという制度考えたわけでございます。
  128. 北村暢

    ○北村暢君 今の御説明を聞いておりましても、どうもはっきりしないのですが、まあ今度の近代化資金の中には農業用の道路その他の施設の改良、造成、取得、こういうようなことをうたっているわけですね。今の説明ですと、農業基盤を整備する根本的な国家投資を要するものは公庫にいってやる、こういうことのようですけれども、近代化資金のほうにも農業用の道路とかその他の施設というものが入ってくるということ、どうもそこら辺の区別がはっきりしなくなってくるんじゃないか、こういうふうに思うのです。ですから、従来の農地または牧野の改良、造成もしくは復旧に必要な資金、これが改良造成事業として、まあ土地改良の資金その他の問題が出ているわけです。そういう場合は確かにこれは公庫で今までやっておる。ところが、そういう問題がそれでは農業近代化関係ないかというと、大いにあるわけですよ。それじゃ近代化資金の中で資金はだぶついているのだし、利子補給さえすれば、やればできないことはないじゃないかと、こういう問題が当然出てくるのじゃないか。したがって、農業近代化資金法ということで、今資金内容とか何か法律でこういうふうに規制しておりますけれども、それで公庫資金と区別しようというふうにかかっておるけれども、これはもう少し幅を広く解釈していくというと、これはもう区別がつかなくなってくるのじゃないか、こういうように思うのです。しかも系統資金は、先ほども言ったように、系統資金だって当初は国がこれを出資しておったわけですね。三十四年ごろからそれが必要なくなって中止している。したがって、十分資金内容からいって充実してきたから、系統資金だけでやっていける、こういうことのようです。それはやはりそういうことからいくと、今度またそれを充実させるために利子補給をするということは、国がやっぱり援助しなければならないでしょう。今の系統内における三段階制の系統融資をやっている中ですというと、資金コストの問題からいっても何からいっても絶対に農民の使えるような金でない、そのために系統外にどんどん出ていく、こういう状態でしょう。そのために利子補給をしようということなんでしょうが、どうもそこら辺の思想統一が、私は今説明を聞いただけではちょっと理解できない。したがって、今までの系統資金というのは比較的短期の営農資金を貸すというのがこの系統資金の大体の使命であったと思うのです。ところが、今度は十五年という近代化資金系統資金の中に入ってくるわけですから、そうしますというと、これは短期の営農資金じゃない。十五年という長期資金になって参りますというと、公庫資金の中にも十五年というのがざらにあるわけですね。でありますから、そういう区別というものは、従来の公庫と系統資金との区別という考え方は、ここら辺でちょっと改めなければならない考え方がここに出てきているのじゃないかと思うのです。それで、そこら辺の思想整理をしていくというと、今の公庫資金の総ワクはどのくらいですか、全部の総ワクでどのくらいですかわかりませんが、これはまあ林業、水産含んでおりますから、そのほか災害等も含んでおるわけですから、そういうものを除きますと、たいした額ではないじゃないかと思うのです。そうすると、そういうものは利子補給をして、近代化資金ということで、そういう思想のものがどんどんやっていけるということになると、長期資金というものを利子補給してやっていくということになると、この公庫というものは非常に将来縮小するような傾向をたどるのではないかというふうに思うのです。ところが、一方においては、公庫も資金コストの関係から支店を設けて、そうして公庫の直接貸しというものも、実はパーセンテージからいけば相当ふえてきているわけですね。そしてこの系統資金と公庫資金とが、金利の面においても、貸付条件の問題についても、非常に競合する場面が出てくるわけですね。現実にそういう方向が出ていると思うのですね。一体そういう点の問題について、どういうふうに処理されようとする方針でおられるのか。この点をひとつ回りくどくなくていいのですが、あなたの言われるのはわかるようでわからないので、わかるようにひとつ説明をしていただきたいと思うのですがね。
  129. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) おっしゃるとおり、まだ発足もいたしておりませんし、実際の運用上の面から見ましても、どういう工合に動いて参りますか、そこら辺の見当も実はまだついていないようでありますから、いろいろ御疑問の点もあろうかと思います。そこで、公庫との関係でございますが、公庫から、先ほど申し上げましたように、公庫の中でいわゆる系統金融でやっていってもいいのではないかというような程度のものを一応こっちに移して、系統はもう少し金融を強化するという方向にいったらどうかということを考えたわけでございます。ですから、先ほどおっしゃいましたように、今までの系統金融というのは、短期の運転資金しか貸していないという状況でございまして、はたしてそれでは農業協同組合系統金融というものは短期資金しか貸さないという態勢でいいのかという問題があるわけでありまして、そこにやはりいろいろ農協の経営の問題もございますから、非常に長期のものとか、あるいは非常に低利のものというものは、なかなかやれないかもしれません。しかし、やれる範囲で、できる、だけ合理化をして、そうして長期の融資も、いわゆる系統金融でもできるようにすべきではないかという、これがほんとうの農民の要望だと思うのです。ですから、そこで段階を追いまして、一応こういう程度のものであれば、系統金融としてもやっていっていいのではないかと、こういうものを公庫から移したわけでありまして、そのほかに今までやっておりましたのは、系統の金を使いまして、政府が援助をして、特殊の目的のために融資をしておりました、たとえば有畜農家の創設であるとか、あるいは農業改良施設施設資金というものがございます。そういうものについては、やはり同じような、何といいますか、農機具を入れるとか、そういうものにも出ていたわけでございます。そういう関係で、そういうものを一応統合いたしまして、系統の金を原資にして、足りないところは政府が補って、系統の金融もそれなりにひとつ強化をして、今後はそれの合理化をはかってできるだけ金利も下げていこう、系統自体の金利も下げるし、それから系統の金を農民に貸すというそういう、気分と態勢を作ろう、これが一つの大きなねらいになろうと思うのでございます。ですから、先ほど例にございましたように、たとえば土地改良とかいうようなものにつきまして、公庫にもございますし、それから近代化資金でも考えておりますが、これは従来もたとえば融資金額が十万円以下の非常に小規模の土地改良については、これはお互いがやっていくというような、そういうような性格のものと考えまして、従来、農業改良資金施設資金融資をしておるわけでございます。十万円以上の大規模の土地改良とか、それから道路を作るとかいうようなものについては公庫で貸しておる、こういうことでございまするので、それを一応そのなりに受けまして、小規模のものは近代化資金でやろう、それから大規模のものは公庫でやろう、こういう工合に考えておるわけでございます。
  130. 北村暢

    ○北村暢君 大体その考え方はわかるのですが、ただその系統が工夫をして、大部分が農民の預金でありますから、そういうものを農民が使えるようにする、この考え方は確かにいいわけです。ただ、そこで自主的にこの系統資金が長期資金として借りられるようになるということは、これは農民にとっていいことなんです。ところが、そこにやはり助成という意味が入っているようですが、とにかく国で利子補給をしたり、施策をとるわけですね。そこにもやはり公庫資金と混同してくる問題が出てくるだろうと思うのですね。そういうことになれば、公庫は政府の出資ということだけれども、出資やそのほかまあいろいろな処置をとりましょうけれども、国の施策として、政策金融としてやる。しかも政策金融というものが、系統資金にも利子補給をして政策的に農民に借りやすいようにして長期資金にしていくということになると、政策的な金融ということでは、やはり公庫資金を作った、余裕ある資金利子補給をしたかという差でありまして、やはり問題は錯綜していることについては間違いないのじゃないかと思います。でありますから、各国のこの金融の状態というものを見ても、非常に進んできた状態の中では、金融の事情だいぶ詳細に調査したようでございますが、それを見ましても、イギリスの例なんかを見ると、ほとんど自由に銀行制度でやっているし、中金のようなものでも、農林中金、商工中金を一緒にしたような形で実施している模様ですが、そういうものと、やはり政府が債務保証をするとか、あるいは担保金融に対する政府の債務保証をする、こういうようなことで若干区別をしているようですけれども、非常に自由なものの中でやっている傾向というものがあるようです。ですから、そういう点からいくというと、制度金融とこの政策的な金融と系統金融というのは、やはり自由な形というものとが混淆をしておる。というのは、大きなものと小さなものを区別したような程度でやはり何か混淆しているのじゃないかと思われます。ですから、従来から農林金融の交通整理の問題が問題になってきて、割り切れない形で今日まだあると思うのですね。ですから、今後はだんだん国の保護政策というものを打ち切っていって、そしてその公庫融資というようなものもだんだん減っていく、系統金融というものに利子補給程度をやって、将来について相当力が出てくれば、その利子補給もやらなくてもいいというようなことになっていくのじゃないか、そういうことを考えているのじゃないかというふうな感じもするわけです。そうでないというと、どうもその傾向として考えているようなことが出てこないのじゃないかと、そう思うのですよ。ですから、この移すにいいものは系統資金に移す、このようなことですがね。そうすると、この公庫の重要性というものはあまり何というか……、そうでなしにまだほかに施策として、公庫として力を入れなければならないものがあるために、系統に譲るべきものは譲る。公庫でもっと強化していくものは強化していくと、こういうことなのか。どうも私はまだ不勉強でわからないですからね、そこら辺のところをひとつ。
  131. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) おっしゃるとおり、今まで公庫でやっておったものをできるだけ系統に移して公庫あるいは公庫のほうの金は減ってもいいんじゃないかというようなあるいは誤解を受ける面もあったかもしれませんが、そういう考え方は毛頭ございません。そもそもの出発は、公庫の融資がこれは毎年々々非常に多額の融資を必要とするわけでございまして、本年度は六百億、昨年は五百二十億ということで、毎年非常な増加をいたしておるのでございまするが、これはなかなか思うような資金ワクの増加というものが十分にはいかないわけでございます。ですから、そういうような意味からいたしまして、これは公庫についてはますます充実をしなければいけませんけれども、実際問題としてそれだけのそれでは需要に応ずるだけの金が公庫で完全にとれるかといいますと、全体の情勢を見ますると、必ずしもそういうようなことではないのじゃないかと思うのでございます。本年度の六百億といいましても、昨年に比べて八十億増加いたしておっても、これはなかなか需要に対して非常に窮屈であろうと思っております。ですから、そこでできるだけ公庫としては力を入れなければならぬ融資部門でございますから、今後もまたふえて参りますから、そこでできるだけ系統でまかなうものについて公庫の肩を幾らか軽くしようかと、こういうつもりで公庫のほうにおいて必要なものにはこれを充実さしてやっていけるようにと、こういう考え方のもとに一部公庫からはずして参る、こういうことでございます。そこで、公庫におきまして、今まで共同利用農業改良資金、それから共同利用施設とそれから主務大臣指定施設と、これを合わせますと大体三、四十億のものでございます。それから、そういう状況で非常に必要でありまするけれども、たとえば土地改良だとか何だとか、そういう非常に基盤的なものにどうしてもこれから金が要るわけでございますので、なかなかこういう部門に対して公庫の中での割り振りが十分にできないような状況にございまするので、そういうところをはずしまして、公庫は公庫として充実させたい、こういうつもりで考えております。
  132. 北村暢

    ○北村暢君 それから、次にお伺いいたしたいのは、金利の問題でございますが、金利の点については、これは先ほど来七分五厘の金利では農民にはとても借りられないということで、実際にはこれは県で相当利子補給をしておるという実態があるわけです。で、農業近代化資金末端金利が七分五厘というのですが、実際には県でどのくらい補給しておるのですか。聞くところによるというと、もう事実五分もしくは五分五厘、そのくらいになるまで利子補給をしておる県が相当出てきておるということを聞いておるわけなんですが、そういう実情は把握されておるわけなんですか。
  133. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 最近におきまして、いろいろ各県の県単事業施設のために利子補給をしておるものが相当ございます。そういうようなことで、この近代化資金が発足をいたすということになりますると、各県におきましては、県でももちろん利子補給を、いわゆる国の義務の補給率の一分負担だけではございませんで、さらにこれにプラスをして利子補給をしようという県も相当ございまするし、それからまた末端の町村におきましては、これはこういう事業に対しては町村も負担をしようということで、町村におきましても利子補給を一分ないし二分やろうというようなところもございます。そういうようなことで、国、県及び町村が全体が非常に一致協力をして、大体これらの目的のための資金が相当金利が下げられるというようなことになるんじゃないかと思います。全体としての統計といいますか、統計的なものはまだ調査はございませんけれども、いろいろ聞いたところによりますると、県で一分あるいはものによっては二分くらい、町村でもところによっては二分の補給をしようといってやっておる町村もございます。ある県なんかにおきましては、町村会が決議をいたしまして、この制度に対してはみんな歩調をとって協力して町村負担をしていことじゃないかというようなことをやっておるところもございます。非帯にそういうような気分が大きく盛り上がってきておると思います。
  134. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、県で一分以上負担するところもある。町村で負担する。そして五分もしくは五分以下になるところもものによってはある。こういうことのようですが、国が一分負担する経費は一体どれくらいになるのか。三百億に対して一分ですからどの程度ですか、その予算がどれくらいなのか。それとまた県なり町村がそういうふうに利子補給をするということは、今そういうものがあると、こう言われたのですが、その必要性は私はやはり必要があって補給するんじゃないかと思う。だから、それは県なり町村なり勝手にやるのであって、国でそういうことは知ったことはない、国は一分だけ補助する、利子補給をすればいいんだ、これではさっぱり行政としてはいいかげんな行政じゃないか。それで地方によって非帯にアンバランスが出てくる。個々の農家についても非帯にアンバランスが出てくるのじゃないかと思うのです。そういうことであっていいということなんでしょうか。これは私はちょっとやはり問題があるのじゃないか、そういうふうに低いものでなければ、現在の農家というものは貸すといっても借りられない実態にあるのじゃないか、このように思うのです。そうだとするならば、そういう低いものでなければならないというのだったならば、この農家の農業の問題の関係融資金利というものについて国は一体どのように考えるか、これは一般金利の問題との関係からいって重要な問題だと思うのですよ。それとの比較は、一体国の金利政策として、農業はそういうふうな特別な安い金利にしなければならないと、こういうお考えのもとにそれが行なわれようとしておるのか、大蔵省あたり金利の補給をするという場合、もっとしてもいいたい。たいした予算じゃなければもっとふやしたってもいい、こういう考え方にもなるのだろうと思うのですが、それが金利政策の上からいって、農業だけにそういう低金利にするわけにいかぬ、こういうことが障害になって国の補給する分が一分、こういうことにとどまっておるのじゃないか。こういうふうに思うのですけれども、これは、下がるものは下がって差しつかえない、こうおっしゃるのか、国の一分補給というととはどういう意味でこれは予算関係からできないのか。金利政策上からできないのか、この点についてお伺いしたいと思う。農民はやはり低金利でなければ実際問題として借りられないと言っているのですから、そういう実態にある中において、そういう点が一体どういうふうな方針でおられるのか、この点をまずお伺いいたしたい。
  135. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 近代化資金のための利子補給といたしましては、三十六年度におきましても三十億円の基金一般会計に持ちまして、これは運用部に預けて運用するわけでございまするが、六分に運用いたしまして、そういたしますると、一億八千万円という金がまるまる一年間預けられるわけでございまするが、これは三十六年度の予算といたしましては、一億七千万という金を一応利子補給として計上いたしておるわけでございます。融資ワクは三百億でございますけれども、初年度でございまするし、制度ほんとうに動きまするのも、ある程度時期がずれましたものですから、平残を半分と見ますと、大体この一億七千万でこの三十六年度の三百億というものに対する利子補給はまかなえる、こういう計算をいたしております。一分の利子補給をするといいますることは、現在の大体組合系統金融金利が、普通の一般金利が九分五厘前後というふうに見ておるわけでございます。で、九分五厘の金では非常に高いのでございまして、そこでこういう設備に対する金利を幾らにしたらいいかということは、先ほど申し上げましたように、非常にむずかしい問題でございまするけれども、一応公庫におきましても、年に七分五厘ということで今までは実行いたしておりまするし、それから有畜農家創設資金等におきましても、七分五厘ということで今まで来ておるのでございまして、そういうものとのバランスも考えまして、一応七分五厘に下げよう、こういうことで考えたのでございまして、そこで、間の差の二分につきまして、国と県で半分ずつやろう、こういう考えのもとに一分の利子補給ということを考えたわけでございます。ですから、したがいまして、金利水準からいきまして、これは一分以上の補給をすると非常に下がってしまうから、これはどうも工合が悪いというような考え方、あるいは予算が足りないから一分以上は補給ができないのだというような考え方のどちらかと言いますれば、私の感じといたしましては、五分や六分のものであれば、それは金利水準からいって、農業に貸す金がそれでは非常に工合が悪いのだという問題じゃあるまいと思っております。ほかの公庫や何かとのバランスの問題と、それからあとは補給源のいわゆる利子補給をします財政上の問題と、こういう両方の問題の考え方でこれはきめていいのじゃあるまいかというふうに私は考えております。
  136. 北村暢

    ○北村暢君 それですと、今までの設備資金とか何か七分五厘になっておったから、七分五厘になるように利子補給をした、それはそのとおりなんでしょう、その七分五厘というものが私は高いのじゃないか、農業の実態からいって、高くて借りる者が実際問題としていないのじゃないか、そのために町村なり県なりが余分に利子補給をせざるを得ない状態にあるのじゃないか、そういうふうだと思っているのですよ。だから、それが予算関係からだと、三十億なら三十億の六分の運用をやって、その利子利子補給をしていこうということですから。それにしてもこの公庫資金出資のほうが三、四十億削られて、それをまあ運用するような形になって、今までと何も変わらないことになるのじゃないか、国とすれば変わらないのじゃないか、そんなような感じがするのです。ですから、これは各国の農業金利体系というものとの関係で、   〔委員長退席、理事石谷憲男君着席〕 私はやはりもっと下げるべきじゃないか、欧米各国の金利なんかももっともっと安いものがある、そしてまたこの償還期限なんかも、五十年、六十年という長期のものがあるわけですよね。それはそれなりにやはり相当長期の歴史というもので協同組合そのものが非常に基礎が固まっているという点はもちろんあるのですけれども、あるのでしょうけれども、そういう金利というものなりこの貸付条件というものが現実に欧米各国では行なわれているわけですね。そういう点からいくというと、この七分五厘なるものはいかにも高い利子、償還等についても十五年も、ずいぶん譲歩して十年を十五年に修正したようですけれどもね。さらに長期のものというものはあるわけですよ。そういう点からいって、決してこれは満足すべきものではないのじゃないか、こう思うのですが、この一般の市中の金利との関係で、そういう関係なしに予算関係だけでそれができないとするならば、やはりこの欧米の各国の農業金融の利子金利政策というものとの関連でもっと下げるべきじゃないかというふうな考え方がするわけなんですがね。それについてどうなんでしょう、この村なり市町村なり県なりで補給するものというのは、それにまかせておくのじゃなくしてやはり国が本格的にこの七分五厘というものをもっと下げることを考えるべきじゃないかというふうに思うのですが、これはどうでしょう。
  137. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) おっしゃるとおり、欧米等の例を見ますると、欧米のような農業等につきましても、先進国におきましても相当金融の面においてはめんどうを見ているわけでございます、国が。全体の経済の発達のそういう経緯も違いまするけれども、そういう点を見ますると非常にまあうらやましいわけでございまして、もちろん現在のこの近代化資金金利の七分五厘というものが、これは理想的なものであるとは思っておりません。それから公庫の現在の金利体系というものがあれで完全なものだということもひとつも考えておりませんけれども、全体の日本の状況から見まして、一応それでも農業に対しては一般金利に比べれば相当の政府では援助をしてやって参っておるのでございまするが、これを今後ともますますひとつ充実さしていくように努力をいたしたいと思っております。
  138. 北村暢

    ○北村暢君 努力をしていくという、そういうことを聞いているのじゃなくして、努力してあなたできるのですか。それじゃこの七分五厘というものを下げていく、先ほどの話も農業改良資金ですか、とのかね合いで五分くらいに、平均すれば五分くらいにしていきたいということなんで、近代化資金そのものを下げていこうという考え方はないでしょう、ないだろうと思うのですよ。その金利はやはり一般金利よりは七分五厘でも下がっているし、それ以上下げるということはとても考えられない、こういうことなんではないですか、それをあえて私は、それでもなおかつ農民が借りる金利からすれば高いのです。これはだめだと言っているのですから、それを肯定されるのか、どうなのか、どういうふうに判断されているのか、そこら辺をお伺いいたしたい。
  139. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) おっしゃるとおり、それは金を借りる金利でございますから、特に農業部門においては安ければ安いほどいいわけでございますけれども、全体の施策といたしましては、なかなか安ければ安いほどいいというわけにも参りませんし、その他の全体の経済情勢の関連もございますし、そういう関係で、今までも御承知のように、農林漁業金融公庫ではあれだけの毎年政府出資をいたしましても、それでも平均金利が五分五厘という経過でございまして、なかなかこれを理想的に、農業がどれだけの金利の負担ができるのかということをほんとうにはじいてみますと、これはいろいろ問題がございます。それで私どもはいずれこの金利の問題につきましては、そういう根本問題にまで入りまして、農業金利というものをやはり検討しなければいかぬのじゃないかということで、いろいろ学者等も集めて検討もいたしておりますけれども、なかなかこれはむずかしい問題でございまして、どれだけ払ったらいいんだということは、それは的確にはなかなか出て.こないと思うのでございます。そういうふうなことで、非常にやはり金利をきめる場合におきましては、今までの実績あるいはその他を一応基準にいたしまして、そういうもので発足をして、それでやってみて、はたして農業がそれでペイしてやっていけるか、あるいは償還がほんとうにやっていけるか、近代化が進むか、そういう点をやはり見ながら十分今後の問題として検討して参りませんと、それじゃこれだけ下げればいいということはすぐに出てこないと思う。安ければ安いほどいいということは、もちろん需要という面からいえば当然でございますけれども、なかなかそうも参りませんものですから、非常にそこら辺のきめ方がむずかしい問題でございますけれども、とりあえずはこういう体系で発足をさしていただいたらどうかというふうに考えておるわけでございます。
  140. 北村暢

    ○北村暢君 今の御説明では、とりあえずと言いますけれども、この七分五厘の金利というものは今始まったものではなくて、ずっと運用してきているわけです。公庫だってもう何年かやってきて、しかも画期的な近代化資金として出すのですから、デンマークの例でいくと、貸し出し金利が四・五から六%で、平均で五%となっているのです。イギリスの金利が、償還期限が六十年で半年年賦方式で金利が年五.五%、こういうことですし、欧米先進国の非常に進んだ、日本が進んでおるか、欧米先進国が進んでおるか、どっちが、その比較はどうかわかりませんけれども、わかりませんが、とにかく進んだ先進国といわれる国で、農業金利というものが今言った例、そのほかにもあるのですが、大体この五分というのが見当なんですよ。ですから、私は無理なことを言っているのではなくして、各国の例にもあるものを言っているわけです。欧米各国と日本とは違うのだ、七分五厘でもいいんだと、こういう納得をさせる条件があれば、私は納得をするわけですけれども、どうもむちゃなことを言っているのではなしに、各国の例からいって、日本農業というものを国際農業にたえる農業にしていこうという、近代化しようというわけですね、そういう中において、各国の例のある五%というものが大体標準になっているような状態の中で日本が大体七分五厘というのはこれも低いほうだということになると、しかもこれは農林金融の中の近代化資金はわずかに三百億でしょう、大体一兆円からの系統資金があるわけなんですからね。そういう中でわずか三百億の融資するもの、それが非常に優遇して七分五厘でいくということでは、これはどうしても私は納得しないわけなんですよ。ですから、この金利関係からいって、各国の欧米先進国の五分という大体の平均的な基準的なものが出ているのだから、そういうものをやはり目標に国としては農林金融の金利政策としては考えられなければならない。まずこれで発足してなんて、発足は、もうずっと前から七分五厘というのは発足しているわけですよ。今初めてやるわけじゃないのです、これは。そのために欧米先進国へ人を派遣し、調査もし、研究をしているはずなんです。これは農業団体でもやっているわけなんです。そういうような点からいって、私はどうしてもこの金利というものについて県や市町村の利子補給にまかしておけばいいという問題じゃないと思うのです。やはり国が責任をもってこの国際金利というか何というか欧米先進国の大体の例である五%標準というようなところへ近づけるという努力がやはりなされなければならぬ。これはまだ検討中で結論が出ないといえばそれまでの話ですけれども、そんなことを今検討する段階じゃないじゃないですか。ずいぶんこれは長く続いている金利ですよ。ですから、そういう点でまずこれで発足させるということでは私は何だか理解ができない。それを町村なり、あるいは県という地方財政の非常に貧弱な財政のところに押しつけて、それで国は一分の補給で七分五厘でございますというのでは、私はどうも理解ができないのですよ。だから、欧米がそういうふうに低い理由と、それと国際農業に太刀打ちしていこうというこの日本農業というものが一体この金利関係についてどうあるべきかということをもうそろそろ結論を出していい時期だと思うのですが、そういう点で私は簡単にまず発足してこれから研究をしてなんと言ったって、ちょっと理解できないのです、これは。
  141. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 非常にむずかしい問題でございまするが、欧米等におきまして、もちろん五分あるいは四分というようなものが相当支配的に多いのでございまして、まあこれは農業金融においてもそうでございまするが、御承知のように、ただいま私数字的には申し上げられませんけれども、たとえば各国の公定歩合を見ましても、これは日本の公定歩合に比較にならぬほど安いわけでございます。それから、一般の市中金利もこれは比較にならぬほど安いわけであります。そういう全体の何といいますか、経済の蓄積が非常にありまして、そこで低金利というものが実際あるわけでございまするので、その全体の経済の状態と日本の経済の状態と、はたして現在それではすぐに同じ状況に持っていけるかどうかという問題は非常に大きな問題であろうと思います。しかし、その中でもできるだけ農業についてはとにかく幾らかでもほかのものに比べてできるだけ安くして、そうして農業の経営の上に役立てていこう、こういうことで努力をして参っておるのでございまして、そこで現在の農業金融の金利体系が今のままで理想的だとは一つ考えませんので、これは公庫の金利につきましても二十八年以来ほとんど変わらない金利をやっておるわけでございまするから、いろいろ経済の情勢も変わって参りまするし、農業の姿も変わって参るのでございまするので、これらに応じまして、やはり金利の問題というのは全体として検討しなければならない時期に来ていると思うのでございまして、これはひとつ今後の問題としていろいろお知恵も拝借いたしまして研究をいたしたいと思っております。
  142. 北村暢

    ○北村暢君 だから、やはりこれは金利全体の問題だと私は思っているんです。あなたは予算関係で安くするというんだったら、まだ安くしようと思えばできると、こうおっしゃるから、それじゃ安くしたらと、予算ぐらいわずかなものですよ、一億八千万か一億七千万ぐらいの利子補給をしたって、国が大きな顔をして政策的にやったなんて言えるもんじゃない。それはもっとできるんだったらば私はやっていいと思うんですよ。ところが、やはりそうじゃないんでしょう。これはあなたが今おっしゃっておるように、公定歩合にしても何にしてもヨーロッパは非常に低いんですよ、一般金利そのものが低い、だから農林金融だけ比較したって、私は欧州のやつは四分から五分というのがあるわけなんですから、そういう点からいえば、すぐこれに持ってくるということは、これはそれじゃ日本の場合可能かというと、私は簡単にいかないもんだと思っている。それなるがゆえに、それでもなおかつ欧州の農業と競争していかなければならないというんですから、一般金利体系からいえば七分五厘か、七分五厘でも下げた、こういうふうな感じでしょう。それをさらに欧米の農業金利の五%平均に持ってゆくということは日本の場合非常に困難だと私は思うんです。それがやはり一般金利との関係からだと、そうだと思う。それを知りつつ実際に農民は五分ぐらいでないと借りられないわけでしょう、採算がとれるか、とれないか、とにかく県なり市町村が利子補給をしておるという現実は、あなたは答弁の中ではっきり認めておられる。そういう現実の上に立って日本のこの高金利政策の中で農林金融だけ非常な低金利でいかなければならないというためには、これはとんでもない政策転換をやらなければ出てこないですよ。   〔理事石谷憲男君退席、委員長着席〕 あなたは下げるように努力いたしますなんて言うけれども、努力した程度じゃ下がらないですよ、これは。そこで、先ほど来しつっこくお伺いしているのは、国が一分しか利子補給をしないというのは、金利政策全体の問題からやはりできないんじゃないですか、県と国で二分を補給をする以外に。政策としてあなたはもっと下げることができるのか、やはり県なり市町村がやっているというのは暗黙に認めておるだけであって、それはそういうふうに下げるべきものだとしてあなたは是認をせられて、でき得れば国の政策としてそこまで下げようという政策として予算が許すならばできる、こういう確信があるのかないのか、私はそこを聞いておるので、努力してゆきたいと思いますということだけでは、あなたの努力だけでは大蔵大臣なり……一般の経済の日本の高い金利政策というものを農林省の一経済局長が努力しても簡単に下がらないような感じがするから、それでもなおかつ確信があるなら、そのようにひとつ答弁をしていただきたいと思いますがね、そこら辺のところをお伺いしているんですよ。
  143. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) もちろん全体の金利水準そういう問題と関連のない問題ではございません。全体の経済情勢、それから金利状態、そういうものと当然関連のある問題でございますけれども、ただ私が申し上げましたのは、七分五厘がはたしてこれは金利政策上からいって、これ以上に下げられないのか、上げられないのかという問題になりますと、これはまだ程度の問題であろうと思うのでございまして、そういう意味からいいますれば、いわゆるウエートとしては金利政策ということにしいてこだわらなくても、農業部門においては現実にもそれよりも低金利のものを公庫等では出ておりまするし、そういうような意味で今後の問題としては全体の金利体系というものの中で農業における金利の体系というものもやはり検討してできるだけ合理的なものに下げてゆくという一つ努力をすべきじゃないかと私も考えておりますので、そういうような意味で申し上げたわけでございます。
  144. 北村暢

    ○北村暢君 この問題は、大蔵大臣も来て、ちょっと聞かなければ確かめておかなければならない問題だと思うのですよ、私は。金利政策全体のものですから、これは。いつか予算委員会か何かで、私は大蔵大臣に質問したことがあるのです。ところが、大蔵大臣は、金利政策上からいって農業にだけそういうふうなことはできないと、こういう答弁があったと私は記憶しているのですよ。ですから、しつこく聞いておるのですが、これは今の経済局長の答弁で、そういう七分五厘が適当であるかどうかということの検討の余地があって、なおかつ、これは上げるということはだれも考えないで、下げるということなんだが、これがそういう可能性があるということは、これは政務次官から御答弁をひとついただきたいと思います。大事な問題なんです、これは。
  145. 中野文門

    政府委員(中野文門君) 先ほど来、たいへんいろいろと御意見なり御質問が出ておりまして、私、拝聴いたしておりますが、事柄が相当以上に重大なことでございますし、十分にひとつ御意思の存するところを汲みまして、真剣に検討いたしたいと思います。御了承をひとつ願いたいと思います。
  146. 北村暢

    ○北村暢君 やっぱり経済局長の答弁と政務次官の答弁では、私は違うと思うのですよ。経済局長は努力すれば下がるようなことを言うのですが、決して政務次官はそういうことを言わないわけですね。検討するということですよ。それはそれしか答弁やはりできないのじゃないかと、私はそう思っておるのですけれども、できるような話を言うものだから、ほんとうにできるのかできないのか、まあお伺いしたのですが、これは金利体系全体の問題だと思います。しかし、私は、現状からいって県が補給し、市町村が補給しておることは間違いないのです。これは坂村局長が認めておるとおり、そうでなければ農民に適した金利ではない。そういう現実だけはあるわけですね。したがって、これは町村が勝手にやるから、県が勝手にやるのだから、それは国の知ったことではないといって、私はほうって置かれる問題ではないと思います。これは金利政策の問題からいっても何からいっても、これはやはりそういうものが妥当であるのかどうなのかという政府の見解というものは明らかにせらるべきだ。それと同時に、やはりこの日本の高金利政策の中にあって、なおかつ農業近代化ということについては欧米各国の農業金利である五%くらいまでに持っていくべきだ、これは私の主張なんでありまして、この点はひとつ、衆議院の論議においても、先ほどの櫻井委員の論議においても、まだ問題は私は解決したとは思っておりません。まだまだ問題は残っておると思っております。ですから、この問題は検討をされるということですから、十分ひとつ将来において検討をしていただきたいと思うわけです。  それから次に、償還期限の問題ですが、十年というのを修正して十五年ということにしたようでございますが、十五年以上の貸付期限というのは非帯に特殊なもの以外には公庫資金だって実はないと思います。これは造林の資金であるとか、あるいはそういうものしかないのすが、しかし、また欧米の問題を出して恐縮なんですけれども、実際に償還期限が六十年だなんという、五十年、六十年というのがあるわけですね。そういうものは日本には見られない。でありますから、この償還期限の六十年なんていうのは、非帯に安定した欧米先進国の農業ですらこういうものが今日あるという点と、この十五年というのは、これでも長くしたというふうにお考えになっておるかもしれませんけれども、全体の問題として、やはり償還期限というものはもっと長期にすべきでないか。そのことのほうが、金利が少々高くても、実は農家からすれば償還期限が長いということのほうが非常に喜ばれるのですね。金利が少々高くても、償還期限が長いということは実際に償還していく場合に負担は軽くなるわけなんです。そういう意味において、償還期限というのは非常に重要だと思うのですよ。ですから、お伺いしたいのは、この十年を十五年にしたということ、これは長いには長いに越したことはないということでしょうけれども、これはどういうことを基準にこの十五年ということを考えておられるのかということですね、これをひとつ説明していただきたい。
  147. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) この前の通常国会提案いたしました場合におきましては、主務大臣指定施設等につきましては十年、それから共同利用施設等につきましては十五年、こういう考え方でやっておりましたのでございますけれども、たとえば果樹のようなもので、そういうようなもので、あるいはこれは果樹振興法で参らないところの別の果樹のようなもので、これは十年というようなことでは非常にものによっては困るものがあるのではないかというようなお話がございまして、これはいろいろ区分けをしないで最高限をきめるのであれば十五年でいいじゃないかというようなことで、十五年という御修正をいただきたいわけなんでございます。そういう関係から、今度の法律案では十五年以内ということになっておるのでございまするが、その十五年として考えたいと思っておりますのは、果樹、あるいはオリーブであるとか、お茶であるとか、そういうような永年作物のものにつきましては、やはり相当長期のものが要るだろう、こういうようなことで考えておるのでございます。たとえば、いろいろ農舎を作るとか、畜舎を作るとか、あるいは原動機を買うとか、農機具を買うとか、そういう場合におきましては、もちろん償還期限が非常に長いのはけっこうでございますけれども、これらのものにやはり耐用年数もございまして、そういうようなものは、五年くらいでなくなってしまうようなものを一十年も二十年もかかってこれを返すというようなことも、ますますこれは農家にとっても非常に厄介なものになるのでございますので、そういう点は、やはり耐用年数等も十分考えまして環償期限というものも考えて参りませんと、実際問題として非常に農家が困るのではないかということもございますので、そういうものものに応じまして償還期限はきめて参りたいといふうに考えております。
  148. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、主務大臣の指定は従来の公庫資金で十年であったのですね。ところが、共同利用施設は公庫資金でも従来十五年以内であったわけですね。そうして今の御説明だというと、果樹、オリーブ等を十五年にするので、この共同利用施設その他は十五年といっても十五年以内、十年というか、何かそこら辺考えているように受け取れるのですが、それはそのようになっているのか、従来の貸付条件とは不利にならない形になって考えておられるのかということと、それから据え置き期間ですが、果樹の場合、今度の据え置き期間は三年以内ということのようでございますけれども、果樹の場合は、これは前からも論議したところですが、三年で収穫をあげるというのはなかなか、償還という時期には入らないのじゃないかと思うのです。そういうような点からいって、これはまあ七年か八年か、果樹として収入があがるまでやはり据え置き期間というものを置くべきでないか。こういう意見は果樹振興法のときにも出ておったわけなんです。そういう点が据え置き期間として取り入れられているのかどうなのか、どういうふうに考えておられるのかひとつ。
  149. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 先ほど説明が落ちましたけれども、償還期限につきましては、もちろん、従来共同利用施設につきましては公庫でも十五年の償還期限でございまするので、共同利用施設、それから果樹というようなものにつきましては、十五年というふうに考えたいと思っております。  それから、今までの主務大臣指定施設等につきましては、これはものによりまして十二年とか七年とかいうふうに区分をいたしまして、十二年相当のものといたしまして考えておりますのは、農舎、畜舎、蚕室というような、そういう建物、施設というようなものを大体十二年、それから原動機であるとか、そういう農機具類、機械器具類、そういうふうなものは大体七年というふうに考えていきたいと思っております。  それから、据え置き期間の問題につきましては、この法律では三年以内ということで、大体共同利用施設、それから主務大臣指定施設等考えますと、この三年以内で、これはもちろん今までも公庫でもやって参っておりまするし、まあ問題がないわけでございます。果樹等につきましては、これは三年以内ではものによっては非常に短か過ぎるものもございましょうけれども、大体果樹振興法によりまして公庫から貸し出すものにつきまして、重点的に果樹の振興につきましては果樹振興法によって融資をしていくという建前をとっておるのでございまするので、そちらのほうに重点を向けていきたいというつもりでございまするので、そちらの運用でひとつ十分有利な融資をして参りたい。ですから、この場合におきましては、あるいは非常に不便を忍ばなければならぬところもございましょうけれども、全体として三年で我慢してもらったらどうかというふうに考えておるわけでございます。
  150. 北村暢

    ○北村暢君 今の果樹の問題も、近代化資金と果樹振興法の公庫資金ですか、それと錯綜しちゃって、何かわからない状態になっているんですな。今後の農業近代化の非常に大きな役割は果樹にあるのですから、選択的拡大なんですから、だから、当然どっちかに統一して、条件のいい形というものは同じでなければならぬはずですよ。それが同じでないというところに、これも将来修正を要する問題だと思いますね。  同時に、今度の近代化資金というのはセット融資をするでしょう。そこに非常に大きな従来の貸付と違う特徴を持っている。貸付限度額についても非常に違うわけですよ。そういう点からいうと、償還期限の七年とか十二年とか十五年で今御説明ありましたけれども、これはやはり農業の経営として近代化していく、全体的な問題から考えていくというと、これは個々のものを借りるようなことで償還していくという考え方なら、そういうこともあり得るかもしれませんよ。しかしながら、近代化のためにセット融資をして、そうして相当多額のものを借りようというのでしょう。だから、こういうものは一つだけ切り離してものごとを考えちゃいけないので、やはりセット融資する限りにおいては相当まとまった何百万円というものを借りる。この貸付限度は個人の場合二百万でしょう。団体の場合は何か一千万くらいまで貸すというのでしょう。そういうもので本質的に農業の体質改善までやる、多額の投資をして、そして農業というものを近代化していこう、こういうのであったならば、私は、機械は七年だからとか、あるいは建物は十二年だとかなんとかでいくということ自体がおかしいのであって、やはり償還期限というものは総ワクの中で考えなければいけない。それだけ農業というものが他産業に比較して有利なものだとは思えないし、そういう点からいえば、やはり欧米各国でとっている五十年、六十年という長期の、日本でいえば超長期の資金というものがあり得るのだと思うのですよ。でありますから、今後の共同経営をやっていく経営なんかを想定する場合に、相当多額の資本金を投入してやるということになれば、そこら辺の掘っ立て小屋式の木造建築なら十二年の償還でもいいかもしれませんけれども、それはやはり普通の建築は耐用年数からいって二十五年、三十年というのは、それは普通ですよ。そういう点からいえば、セット融資という総合的の融資のことを考えれば、もっとやはり償還期限というのですか、これの長期の償還期限というものを考えるべきでないか。これはほんとうに例ないわけでなしに、事実行なわれておるわけですね。だから、したがって、自由化に伴って国際農業は太刀打ちできる日本農業をというのですから、今後さらに零細性を克服していく、そういうのであったならば、やはりもっと長い目でじっくり育成をしていくという考え方というものはあってしかるべきだ。決して十年を十五年に修正したら、これは満足だというふうには私は考えないのですよ。  そういうふうな点からいって、どうも政府の考え方というのは、従来の農林金融というものを、利子においても、償還期限においても、今までやってきたものを近代化資金に置きかえただけで、何らの新しみもなければ新鮮みもないのじゃないか。もう少し、本格的に農業基本法に基づく政策転換をやるという時代に、それじゃ何も新しいものはない、今までの公庫資金なり、系統資金なりという若干の利子を補給する程度で、それを移しただけで、これによって発足して今後成り行きによって検討いたしますでは、さっぱり新しみもなければ新鮮みもない、こういうふうに思いますがね、どうなんですか。そこら辺の償還期限というものについての考え方というのは、経済局長基本法に匹敵するような考え方としては、少しも改革も何もされていないのじゃないか。頭の改革が大体できていないのじゃないかと思うのですがね。
  151. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) おっしゃるとおり、私、どうもこの償還期限が十五年以内ということで満足だというふうには考えておりません。いろいろ、たとえば諸外国の例には非常に長期のものもございまするけれども、しかしやはり先ほど申し上げましたように、償還期限というものを考えます場合には、これはほんとうに返せる時期、借りたらなるべく早く返すほうが借金ししてはいいのでございますから、そういう点も考え、それから今までの実情等も十分考えましてそういうものを基礎にいたしまして、一応とにかく償還期限を十五年以内ということで考えておるのでございまして、ものによってやはりまたその償還期限の考え方等も変わって参ると思うのでございまして、たとえば公庫等におきましては、十分ではないにいたしましても、やはり造林等につきましては三十年とか、あるいはその他二十年、二十五年というふうなものもあるのでございまして、これは融資内容からいたしまして、どちらかと申しますれば、公庫の金融なんかに比べますると、まあ公庫を長期といいますれば、これは大体中期のものを対象にする、こういうようなことで考えておりますので、系統金融の性格からいいましても、急に非常な長期のものをというわけには参らぬと思うわけでございまするので、そこで大体十五年以内でやっていけるようなものを対象にしてやっていく、こういう考え方をとっておるのでございます。
  152. 仲原善一

    委員長仲原善一君) どうですか、もう……。まだありますか。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  153. 仲原善一

    委員長仲原善一君) それでは、速記をつけて。
  154. 大河原一次

    大河原一次君 局長の答弁でわかったのですが、国が一部の利子補給をする場合に、僕は三十億をそのまま利子補給という形で流していくのだと思ったら、そうじゃなくて、これが基金として積み立てられて、これに対する六分の利子をつけて、一億八千万円ですか、一億八千万がいわゆる国の一分利子補給という形になるわけですね。あとの一分は、これは県段階でやるのですか。県は独自の立場に立って、これは何か基金といったようなものを積み立てるか何とかいう形で、やはり一億八千万が利子補給として出されると思うのですが、県の段階ではこれはどういう措置をとられて……。これは県独自でむしろ考えることかもしれませんけれども。
  155. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 県の利子補給は、これは仰せのとおり県の独自の考え方で出しておるものでございまするが、全国的に調べてみますると、そのまま一般会計から出すようでございます。
  156. 大河原一次

    大河原一次君 一般会計から……。
  157. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) はあ、一般会計から出しまして、それに対しまして国が一分の利子補給をする、こういう格好になるようでございます。
  158. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは、何か、今のところは、僕も聞こうと思っておったんだが、大体そういった場合に、経費の二分の一補給するとなっていますね、国で、これを見ますと。提案補正を見ますとね。二分の一というのはどのことをいうのですか。
  159. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 県が二分の利子補給をいたしまする場合に、その二分の半分の一分を国が利子補給いたします、こういうことでございます。
  160. 清澤俊英

    清澤俊英君 なるほど。さっきも北村君がね、ちょっと質問しておったんですが、農業者定義のところですな、あすこでへ「「農業者等」とは」とこうなって、そのあとで、畜産、養蚕と、こうなっていますがね。ところが、先ほども言うていられるとおり、漁業のほうの兼業態もあれば林業の兼業態もある。ことに、今までは大体製炭業というものは、農業協同組合法などにしましても、ただし書きで一つ認めてあるのですね。認めてある。ところが、これだけはずしてあるのは、これはどういうわけなんですか。その一方、はずしてある一方、この説明書を見ますと、提案説明を見ますと、索道という項目がある。索道。索道というのは大体、炭焼きか製炭業者でなくして索道を使う業態というものは何かほかにあるのですか。これは落としたんじゃないかと思う。
  161. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 御指摘の問題でございまするが、農業者といいまする場合には、もちろん養蚕、畜産は入ります。ここでも、農業者が林業をあわせ営んでおりまする場合には、当然これは考えて参るという考え方でございます。ですから、そこで、そのもとは、どうして林とかあるいは水とかいうものを、林とか漁とかいうものを除きましたかといいますると、大体系統資金融資系統が違うわけでございます。ですから、現在漁業協同組合も、農林中金には加入はいたしておりまするけれども、別の系統でこれは融資をしておるのでございまして、一応農業協同組合の金を中心にしてこれを考えようと、こういうようなことでございまするから、たとえば漁業者でございましても、農業もやっており、農業協同組合に加入しておって、そうして農業の面で融資を受けるという場合もございましょうし、林業者の場合も、当然農業と兼業の場合にはこれは入って参るということでございます。  そういうようなことで、索道と申しまするのは、いわゆる純粋な森林関係の索道ばかりではございませんで、実際は果樹なんかをやっております場合に非常に索道を使っておるようなものもございます。愛媛の段々畑というようなところでは、果樹も非常に能率を上げるというようなこともございまするので、そういう面も考えて入れておるのでございます。それから、もちろん、ここで考えておりますのは、索道というようなものは一つの例でございまして、これは実情に応じて必要なものはどんどん追加して、何でも借りられるようにして参りたいというような考え方は別に持っております。
  162. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、製炭業は入りますか。製炭は林業資金で借りられるのですか。
  163. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) ここではいわゆる製炭業として専業のものは、いわゆる製炭業としては考えていないわけでございます。まあ農業協同組合の金を農業協同組合組合員が使うのだと、こういう考え方のもとに一応整理をいたしておるものでございまするから、もちろん、製炭業者が農業もやっており、農業協同組合組合員でありますれば、その面におきましては融資は受けられる、こういうことはございます。
  164. 清澤俊英

    清澤俊英君 この次に、系統金融機関のほかに「その他の金融機関」となっているが、「その他」とはいかなる金融機関をいうのですか。
  165. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 協会法案ですか、近代化資金……。
  166. 清澤俊英

    清澤俊英君 「その他の金融機関」。
  167. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) その何条でございましょうか。
  168. 清澤俊英

    清澤俊英君 二条か三条にすぐ出ているでしょう。「融資機関」というところに出ているじゃないですか。一般金融機関……。一般金融機関となっているのですね。その他一般金融機関と、こう書いてある。
  169. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) それは近代化資金法ではございませんで、農業信用基金協会法案のほうじゃないかと思いますが。
  170. 清澤俊英

    清澤俊英君 どっちにも出ている。関連しているから、どっちにも出ていますね。
  171. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 近代化資金におきましては、「この法律において「融資機関」とは、次に掲げる者をいう。」という、これは第二条の第二項でございまするけれども、農業協同組合法の農業協同組合と、農業協同組合法第十条第一項第一号及び第二号の事業をあわせ行なう農業協同組合連合会、これは信連――信用連合会のことでございます。それから三は、農業協同組合法第十条第一項第八号の事業を行なう農業協同組合連合会、これは共済連でございます。それから四は、農林中央金庫と、こうなっておりまして、その他金融機関というのはございません、近代化資金法のほうには。これは法案の二ページでございます。近代化資金法の二ページにございます。  それから、信用基金協会法案のほうにおきましては、これは法案の三ページにございます。三ページの第二条の第二項に、「この法律において「融資機関」とは、次に掲げる者をいう。」ということで、ずっと、協同組合協同組合連合会、それから共済組合連合会、農林中央金庫、「銀行その他の金融機関で政令で定めるもの」、こういう工合になっております。
  172. 清澤俊英

    清澤俊英君 「銀行」とはどういう銀行をいうのですか。
  173. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) この点は、近代化資金のほうにおきましては、これは信連あるいは農業協同組合が貸し付ける金に対しまする利子補給をやっている、それから債務保証をやっている、こういう問題でございまするが、基金協会におきましては、従来ともいわゆる近代化資金というような性格に入らないものにつきまして、一般の信用保証をやってるものがございます。たとえば、県におきましては、現在で法人格を持っておりまするものが二十九でございます。それから法人格を持っていないで、任意組合でやっておりますものが七つか八つございます。ですから、そういう今までやっております信用基金協会の業務を信用基金協会法で、信用基金で吸収しようということを考えておるのでございまして、そこで信用基金協会といたしましては、いわゆる近代化資金につきましての債務保証近代化資金でないその他の融資につきましての債務保証両方の仕事をやっていこうと、こういうことを考えておるのでございまして、そのその他のほうの融資におきましては、たとえば地方銀行から借りるとか、あるいは信用金庫から借りるとか、そういうようなものでございまして、そういうようなものに対しての債務保証を現在もやっておるものでございますので、それをそのまま引き継いで二つの業務を信用基金協会ではやれるようにしておこうと、こういう考え方でございます。
  174. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体そういうところから今借りておる金はどれくらいあるのですか。地銀等から借りておる金は大体どれくらいあるのか。
  175. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 総額は、今その調査がしっかりしたものがあるかどうかわかりませんけれども、全体といたしまして、地方銀行の貸し出しを見ますると、これは三十五年の十二月末でございまするが、地方銀行から農業に貸し出しておりますものが百五十七億でございます。これは地方銀行の貸し出し総額が二兆二千七百三十九億、その中で百五十七億というものが農業に対して貸されていると、こういうことでございまして、比率といたしましては〇・七%と、こういうことになっております。
  176. 清澤俊英

    清澤俊英君 一兆円からの系統金融機関が金を持っていて、それを有効に使わせるために今いろいろなことを考えているわけです。そういう御説明でしたな。北村君に対してそういう御説明だった。
  177. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) そういう説明は申し上げたことございません。一兆円からの農業協同組合に金がございまするから、この金を系統の力ではなかなか農業に還元融資ができないから、国あるいは地方公共団体が援助をしてできるだけ農業に還元させていこうと、こういう考え方でございます。
  178. 清澤俊英

    清澤俊英君 だから、農業に使うために一兆円もある金を農業に有効に使わせるために今の処置をとると、こういう説明をしておられる。今も同じことなんです。そういうものが余っておって、約百六十億近い金を農民が地銀から借りなければならぬというのは、これは一体どこからそういう問題が起こったのか。
  179. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) いろいろ農民の実情によりまして、これは地方銀行との取引のあるものもございましょうし、それから現実に末端における姿を見ますると、たとえば預金を全部が全部農協に持っていくという実態ではございません。あるいは銀行にも預けております。郵便局にも行っております。そういう実情でありまして、そういう関係で、地方銀行からものによっては借りるというものもあろうと思います。
  180. 清澤俊英

    清澤俊英君 このほか農機具商から月賦でいろいろなものを借りたりしておりますが、そういうものを詳しく計算したら、膨大な金を農民が、自己の系統機関に一兆からの金を持っていって、何で借りぬだろう。これは重大な――局長はくだらないことを聞くと、こう思われるけれども、そういうばかな形が出てくるという陰には何かあるのじゃないかと思うのです。私は何かあるのだと思うのです。借りられないというのは、何かがあると思うのです。その点、どうお考えですか。
  181. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) おっしゃるとおり、末端におきましていろいろな事情があろうと思うのであります。そういう関係で、それは一兆円の預金がありまして、必ずしも金を借りる場合に農民に農協から全部借りるか、こういうことをいいますと、必ずしも私はそうはいっていないと思うのです。たとえば今までの関係からいいましても、農機具商から前借りをする、肥料商から借りるというようなものもある程度はございましょう。そういうふうないろいろな因縁とかいきさつとかございまして、それは必ずしも農協一本にはいかぬと思います。一面、農協におきましても、先ほど申しましたように、自分は預金を預かっておりましても、農協ほんとうに今農民に積極的に自分がその仕事を合理化して貸し出す体制を作ってていないと思うのです。そういう関係で、あるいは金利が高い、条件がどうだというような問題もございましょうし、それからまた個人的ないろいろ問題になりますると、農協から借りるとどうも借金したのがわかるとか、そういうような問題もございまして、農村に参りますと、他人から金を借りるということは今までの空気といたしまして非常に恥ずかしい思いをするという点もあるのでありまして、あの人はあすこから幾ら借りておるということがわかるからどうも借りたくないというような、そういうふうな気分を持っておるところも現実にあるようであります。そうしていろいろな問題がありまして、必ずしもそれだけの金が農協にありながら十分に農協から出ていないというような現状であると思います。そういうところを、農協の体制を十分に整備をしそれから条件等で非常に足りないものを国で援助して農協の貸し出し体制を固めていこう、こういうような考えを持っておるわけであります。
  182. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は、あなたが言うように、借金しているところがわかったら困るなんといって考えている農民は、あまり近ごろないと思うのですよ。そんなのはそう数ないと思うのですよ。貸してくれないのですよ。貸してくれないには、また農協農協としての理屈がある、こう思うのです。理由があると思うのです。単に貸してくれないのはいけないというのは、私は一口に言えないと思うのです。そうしてみましたならば、少なくともそういう個人にもやはり何とかして借りられるような処置を講じてくれても私は罰が当たらないのじゃないかと思うのです。こういう一つの何かの施設をする場合にだけめんどうは見てやるが、そういうものには一つめんどうが見られないというようなことになると、これはおかしなものになりますよ。実際問題として、地銀からだけでも百六十億、近ごろはもうダットサンの一つや、トヨペットの一つくらい、ちょっとした百姓はみんな持っております。みんなこれは借金でやっておる。農協から二十万円も借りれば、それで終わりですよ。個人の施設は、そういうものはできてきているのですから、それはもう個人の方には保証はしてやるが、利子補給はしないというような話になりますと、これはどうもちょっとおかしなものじゃないですかね。こういうところにもっと考えるべき点があるのじゃないかと思う。
  183. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) この近代化資金は、あるいは清澤委員誤解があるのじゃないかと思うのですが、というとはなはだ失礼は言い方かと思いますが、共同利用施設にもそれから個人の施設に対しましても、融資をして、それに対して利子補給をし、債務保証をしよう、こういうことを考えておるのでございます。ですから、もちろんおっしゃるように、個人は貸さないということじゃございません。個人に対してももちろん貸すのでございます。公庫の主務大臣指定施設と申しますのは、個人の施設でございます。その個人施設に対しまして、利子補給債務保証もしよう、その金は系統の金を使おう、こういうことでございます。今まで農協から借りられないという点は、あるいは理事の連帯保証だとかあるいはいろいろ別に条件等もあってむずかしい、信用がないとなかなか借りられないという面もございましたけれども、そういう点を考えまして、債務保証ということで、そういう問題をひとつ解決して、そうして、その信用の補完をやっていこう、こういう考え方でございますので、御要望の趣旨に全面的に沿っておるのではないかと思っているのでございますが……。
  184. 清澤俊英

    清澤俊英君 個人の一般とは何を言うのですか、個人の一般のただここに書いてあるとおりの生活資金だけですか。
  185. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 個人がこの近代化のために、こういうきめてありますような施設を買うために、資金を借りるという場合にはこの金でいくわけでございますが、そうでなくて、たとえば生活資金を借りるとかその他のものもございます。そういうようなものに対して、従来ありました債務保証協会はその保証をやっていたものがあるわけでございます。したがいまして、そういう点も、一応この債務保証協会としては、従来の債務保証協会の機能をそのまま引き継いで、いわゆる近代化資金だけではなくて、一般のその他の資金についても債務保証もやります、こういう内容にしよう、こういう工合に考えているわけであります。
  186. 大河原一次

    大河原一次君 今後これは法人も入るわけですが、この法人の場合はいろいろあると思うのですが、農業基本法からくる、構造改善の線からくる、何といいますか、協業からくる有限会社あるいはまた合資会社こうしたものに対しても、いわゆる共同化の生活近代化資金が受けられるわけですね、対象になるわけですね。
  187. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) そのとおりでございます。
  188. 清澤俊英

    清澤俊英君 何か河野さんの言われる一億二千万円の構想と、これどう結ばれるのですか。何か結ばれているところがあるのですか。
  189. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 先ほども櫻井委員の御質問に対しましてお答え申し上げましたように、来年度の問題といたしましては、構造改善重点的に進めていこう、一応十カ年計画でということで考えているのですが、そこで、そういうところに対しましては、もちろん近代化資金はこのまま使われまするけれども、これを特に重点的に利子をある程度下げていくということのために、農業改良資金の方を充実いたしまして、こちらは無利子でございますから、政府の金でこれを抱き合わせて、なるべく五分程度まで実質的には下げるようにしていこうということで、いろいろ検討している段階でございます。
  190. 清澤俊英

    清澤俊英君 五分の利子はわかりますが、それぐらいのことは考えなければならぬですよ。大体周東さんもあなた方に命じてあるのだから。周東さんは三分と言うのですよ、三分で三十カ年ぐらいのことを私は考えておるから、事務当局に命じておりますと、はっきり言うておられるのです、この間は何か聞きますと、河野さんは、衆議院の段階において、私も五分ぐらいのものはまあ実力者としてとってみせると言うておられたそうだ。だからそんなことは、それはきまったものだと思っておるのですが、それを聞いておるのではないのです。私はそんなものは解決していると思っている。そこで河野さんの言われる一億二千万円の構想と、この農業近代化資金というものがどういう関連があるのか、こう聞いておるのです。
  191. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 一町村一億前後の金をつぎ込んで構造改善重点的にやっていこうというものにつきましては、そのうちの融資の分大部分、まあ二割ないし三割ぐらいになると思いまするが、融資の部分は主としてこの近代化資金とそれから農業改良資金というのが担当することになっております。
  192. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは大体五千万円程度でしたね、個人が二千万円ですか。個人が二千万円で、一億円のうちの五千万円が融資で、あとの五千万円は補助だと、こういうのじゃなかったですか。
  193. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 私の担当ではございませんから、正確にはお答えできないかもしれませんけれども、一億前後の金のうちで三分の一を融資、これは大体個人の施設ですね。それから三分の一は補助あとの三分の一は従来のいろいろ、土地改良その他いろいろの金も出ておりますから、そういうものを集中的に使っていくという形で構想を検討したらどうか、こういうことでございます。
  194. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、それとこれが結ばれるというと、どこで結ばれる――きっと結ばれるところがあると思うのですが、まず第一土地改良、それから何とかの改良と、こう改良が二つ続いているのですね、土地改良がこっちの方に、融資対象のところに交通道路というところに土地改良、それからいま一つ何かの改良と、こうなっているわけですね、改良となっているわけです。改良と造成は違うらしいですね。いろいろの法律を調べてみますと、造成は造成ときちっと出ている。一億何千万円もかけてこれは大した金じゃありませんですけれども、これからほんとう構造改造ををしようとするならば、相当の造成というものが要るようだと思うのです。この法律は改良でなくちゃ使われない。それとこれ、おんまるめるということはおかしいのじゃないか、私はその点で一つの疑問を持ったのです。これはそんなことで、きれいなことを言うているけれども、その実はこれからの構造改造なんというようなものをごくちっぽけなものに仕上げちまうのじゃないか、そうでしょう、改造というのですから。改造の金の、ごくわずかのものぐらい使ってやっていると、さっき北村さんのお話を聞いておれば、そうでもないようなところが出ておりますけれども、一応そういうことが考えられた、これ全体を見ていきますと、非常に小さい、小さいことにこれからの近代化をやっていくのじゃないか、こういうふうに考えられるのですが……。改良だけを考えている。しかもあなたが言われる通り、十町かそこらの、下ぐらいの、ごく小さいものを考えておられるようなふうにも、さっきの北村君の質問からいきますと、受け取られるところがあるのです。
  195. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) その点も先ほど北村委員の御質問にお答え申し上げたのでございまするけれども、この近代化資金におきまして、「農業用道路その他の施設の改良、造成又は取得」こういうものがございますが、これは先ほど申し上げましたように、今まで農業改良資金融資でやっておりました小規模土地改良というのがあるのでございます。これは大体融資金額十万円以下のものを相手にしておりますが、そういう小さなものでそれに付随した道路等もやはり造成や改良も一緒農業改良資金融資をしておったわけでございますので、それをこれに引き継ぎましたものですから、そういう小規模土地改良とかあるいは道路、それに付随する道路とか、そういう施設の改良造成、こういうものは当然これで見ようということを考えて、「その他」でほんとうに大きな……。あるいは土地改良につきましては公庫融資もございまするし、それから主体はやはり補助で補助金でこれはやっているということでございまして、そういう内容になっておるのでございますから、決してこれで構造改善をやっていくという考え方じゃございません。これだけで構造改善をやれるという考え方では毛頭ございません。
  196. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  197. 仲原善一

    委員長仲原善一君) じゃ速記つけて。
  198. 北村暢

    ○北村暢君 今までは近代化資金の狂うだったのですが、保証法のほうで、これもだいぶ質問が出ましたから詳しいことは聞きませんが、一、二点だけ質問さしていただきたいと思いますが、この協会組織は一体どういう組織になるのか、これは全国的からこの末端債務保証をするのに、むやみやたらにするわけにいかないでしょうから、いろいろ業務があるのでしょうから、その組織ですね、全国的な組織、それからその規模ですね、大体どのくらいの人員がこれに携わって、末端どういうふうな形になるのか、それから業務の委託ということでもって、協会は「業務法書で定めるところにより、その(業務債務保証の決定を除く。)の一部を融資機関に委託することができる。」ということになっているのですね、したがって、この融資をするものが保証をするほうの委託を受けてやるということは、これは何か混淆しちゃうのじゃないか、融資をするものが自分保証のほうの責任を持つということは、非常に矛盾しているのじゃないかと思うのですね。それで、したがってこの業務の委託ということが、協会組織、規模と、それから末端融資機関に業務を委託してしまうのでは、何が何だかさっぱりわからないことになるのではないかと思うのです。したがって、そういう点からしてこの十三条の規定というものが、こういうことはほかの保証協会というようなところにも例があるものなのか、それでこの正確を期することができるのかどうなのかということを、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  199. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 基金協会の構成といいますか、その性格につきましては、これはいろいろ考えようがあるのでございまするが、財団的な性格、社団的な性格、それはいろいろ一長一短がございます。しかし、何といいましてもその基金を中心としての団体でございまするから、性格としては財団的な性格が非常に強いと思うのであります。しかし、完全に財団的な性格でこれを考えますると、なかなかその運用上からも協同組合系統金融債務保証でございますから、そういう点からいいましてもどうかと思う点もございまするので、いろいろこの前の通常国会におきましても、衆議院審議の過程におきましても御意見がございまして、そこでその議決権等も、政府の原案では出資一口一票という考え方をとっておりましたのでございまするが、これに加えまして一人一票という制度を加えたわけでございます。ですから、したがいまして財団的な性格財産を中心にした性格と、それから社団的な性格を、農協的な性格をそこにつけ加えた、こういう内容考えていいのじゃないかというふうに考えております。  それから委託の問題は、一応考えておりますのは、ほかの融資保証の場合にも例がございまして、たとえば水産の場合の中小企業の融資保証であるとか、あるいは開拓の融資の場合にもそういう例がございますが、こういう協同組合系統金融機関を大体使っております場合においては、債権の取り立てにつきましては、その融資機関に取り立てを委託する、こういうことを実際例がございまして実行いたしておりますので、その例にならって考えたのでございます。
  200. 北村暢

    ○北村暢君 どうもちょっとわからないのですが、この基金協会というのは、現在各県に財団法人あるいは任意団体である基金協会その他があるわけですね、そういうところがやっているものを、今度の法律によってこれは何々県信用基金協会、こういうものがこう今度の法律によってできるのじゃないかと思うのです。一体どのくらいの人員の規模で、末端のほうが、今委任をされるとおっしゃるけれども、県の段階に協会一つあって、末端には単協に相当する融資機関として当たるわけですから、そういうところにもその協会の業務を委譲してしまう、こういうことになって、県の段階に協会というものが、何人かおって、それで協会組織としては事足りるというふうに、こう考えておられるのか、相当末端の段階まで協会というものが組織陣容を持って保証業務をやっていこうと、こういうことを考えておられるのか、そこら辺のところを聞いているのです。  それから従来の財団法人、任意団体というものは、今度の協会に吸収されるような形、この法律にいう協会に肩がわりするのではないか、こういうように思うのですが、ある県とない県があるのですから、したがって、そういう点の運用上の問題です。どういうふうになるかということをお伺いしているわけです。
  201. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 組織といたしましては、こういう性格の仕事でございまするから、できるだけ簡素化をする必要があろうと思うのでございます。したがいまして、ただいまおっしゃるように、県なら県で信用基金協会ができて、そこで大体、その他の組織は持たないでやっていけるようにしたらどうか、そういうような関係からいたしまして、債務保証の決定というふうな、そういう中心の仕事は、もちろん人には頼まれませんけれども、たとえば債権の取り立てをする、いろいろ信用調査をする、そういう仕事もございますが、そういうものは、できるだけ農協がございますから、農協に頼んでそしてやってもらうということも考えていいのではあるまいかと考えておるのでございます。  規模は現在のところ大体一県で五人前後あるいは十人前後、その程度の範囲のようでございまして、もちろん仕事がふえまするからある程度増員等もあるかもしれませんけれども、規模としては大体それよりもある程度ふくれるという程度ではあるまいかというふうに考えております。  それから現在財団法人のものと、任意協会のものと、それからないところとございますが、これは財団法人のものについては、権利金関係が、そこでは法律上はっきりしておりますから、そういうものはその権利金関係をそのまま引き継げるようにしよう、こういうことでございまして、任意のものにつきましては、もちろん新たに法人格を持ったそういうものを作って、ないところにつきましても法人格を持った新たなものを作っていく。しかし実際問題といたしまして、任意協会でありますものにつきましては、実態は、大体それが移っていくということになるのじゃないかと思っております。
  202. 北村暢

    ○北村暢君 そうすると、県の段階でそういう協会を作るというのですが、何か中央の段階で指導する機関、そういうものはできませんか。
  203. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 中央の段階は考えておりません。
  204. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 他に御発言もなければ、三案について質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより三案の討論に入ります。御意見のおありのお方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  206. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記を始めて。  それでは、別に御発言もなければ、討論は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  207. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 異議ないと認めます。  それではこれより農業近代化資金助成法案の採決を行ないます。  農業近代化資金助成法案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  208. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  この際、先刻懇談によってお話し合いのありました本案に対する附帯決議案を、便宜私から御提案申し上げ、委員各位の御賛成を得たいと存じます。それでは案文を朗読いたします。    農業近代化資金助成法案附帯決    議案   政府は、本法に関し、特に次の重  項について遺憾なからしむべきで五  る。     記  一、農業近代化資金資金枠を大巾   に拡大するとともに、政府の利子   補給を引上げ、末端金利を年五分   以下に引下げること。  二、農業近代化資金貸付を受けて   取得する施設については、不動産   取得税の軽減措置を拡大するとと   もに、固定資産税その他について   も、税負担の軽減を図ること。  右決議する。  以上が案文でございます。  別に御発言もなければ、この附帯決議案を本委員会決議とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。   ―――――――――――――  次に、農業信用基金協会法案の採決を行ないます。農業信用基金協会法案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  210. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。   ―――――――――――――  次に、農林中央金庫法の一部を改正する法律案の採決を行ないます。農林中央金庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  211. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、これら三案についての本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 異議ないものと認めます。よってさように決定いたしました。
  213. 中野文門

    政府委員(中野文門君) ただいま農業近代化資金助成法案並びに農業信用基金協会法案、さらに農林中央金庫法改正法案、以上三案をそれぞれ原案のとおり御可決いただきまして、まことにありがとうございます。  さらに、農業近代化資金助成法案につきましては、附帯決議が御決定になりました。附帯決議内容、さらにその精神に対しましては、十分に善処いたしたいと、かように思います。どうも一ありがとうございました。
  214. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  215. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 速記をつけて下さい。  水資源二法案に関し、建設委員会との連合審査の件については、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 仲原善一

    委員長仲原善一君) 御異議ないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十二分散会   ―――――・―――――