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政府委員(
滝本忠男君) 公務員法並びに給与法におきましては、職務と責任に応じまして給与を決定するということに相なっております。ただ、公務員法の六十四条というようなものを見てみますると、これはまあよく御指摘になることでありまするが、俸給表を
考える場合には、生計費、民間賃金というようなものを考慮し、さらに人事院の判断を加えて作るというようなことに相なっでおること、御承知の通りであります。でこれはこの法の建前は職務と責任ということで給与を決定するということになっておるのでありますけれども、長い間のわが国の習慣なり、また社会
一般の情勢なりというもので見てみますると、給与というものが職務と責任だけではなかなか割り切れないではないかという問題があるわけでございます。現在きめております、また今回御
審議を願うことになっております俸給表をごらんになりましても、
一つの等級における俸給の幅というものは相当長いのであります。これはほんとうの意味の職階給とは言えないであろうというふうに思います。そういう長い俸給表を作らなければ
現実の運用に適しないというのがわが国の
実情でございます。そういう長い
一つの等級における俸給の幅を作っておきましても、なおかつ、やはり現在わが国の、これはいいと悪いとを問わず、いわゆる年功序列賃金ということを言って、おりますがそれから見てみますと、まだ若干そこに食い違いがあるというようなこともございましょう。で、ある一方におきまして、わが国の
行政におきまする仕事の量の増加というものは非常におびただしいものであります。試みに、われわれは十年前の定員の
状況と、それから現在の定員がどれくらいそれぞれ省庁別あるいは仕事別に増加しているかというようなことを調べておりますが、それと同時に、そういう
部局におきまする仕事の量の増加がどういうふうになっているかという
状況も調べております。それによってみますると、これは仕事の
種類によりまして比率が一様ではございませんけれどもおおむね定員の伸びはまあ一%、二%、あるいは定員が十年前に比べて減っておるというようなものもあるのであります。ところが、仕事量のほうは、五倍から十倍、あるいは二十倍というふうにふえておるというような
状況もございます。こういう
状況から見てみますると、同じ組織におりまする
一つのポジションを占めておるという人の仕事というものが、十年前よりは相当高く評価していいのではないかということであろうと思います。そういうことがたとえば三等級初号というものの
金額の増額ということで現われておると思います。また一方、それだけでさばき切れぬで、先ほどからお話が出ておりますように、やはり仕事を、組織を持って、そして部下を持ちまして、そして
一つのラインというような形で仕事を何でもかんでも処理するということがいいのか、あるいは仕事の
種類によりましては、非常に部下の数は少なくても有能な責任者を置きまして、そうして仕事をやるのがいいのか、いろんな問題があります。最近いろいろ官職の設定というものがライン以外に出されておるということも、そういうところにあるいは原因があるのではないかというふうに思っております。いずれにいたしましても、職務と責任というものが最近——最近と申しまするか、時の経過に従いまして、わが国の現状におきましては、相当高く評価されているのではないか。同じ局長といっても職務
内容が非常にふえておる、その職責が高くなっておるというような
事情がございます。そういう
事情を勘案いたしまして、たとえば非常に困難な仕事を遂行されておる責任重大な局長等につきましては、これを一等級にするというようなことをやっております。と同時に、これは単に局長だけではない、課長につきましてもそういうことが言えるわけであります。課長補佐につきましてもそういうことが言えます。あるいは係長につきましてもそういうことが言えます。したがいまして、われわれのほうでは、そういうこと、並びに御指摘になりましたたとえば課長補佐で熟練しておるもの、課長補佐としての仕事をやるに十分な熟練と経験を積んでおるといううような方々が
現実におられるわけであります。係長についても同様でござ上います。そういう方々につきましては、やはりそれに応じて、課長補佐でありましても三等級にいたすということをわれわれのほうでやっておるのであります。そのやる度合いがひとつ間であろうと思いまするが、これはまあ
行政(一)について申しまするならば大体そういう例外的に、職務と責任の形式的な段階で言えば四等級であるけれども、非常に熟達しておるとして三等級にするという
措置をしておりまするが、その
措置の幅は、上下等級を通じて大体同様になるようにわれわれのほうで考慮してやっております。したがいまして、現在でも四等級で、本来ならば四等級の課長補佐でありまするけれども、三等級になっておられる方も相当おりまするしまた係長で四等級になっておられる方もある、このような
状況であります。