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1961-10-30 第39回国会 参議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月三十日(月曜日)    午後三時八分開会    ——————————   委員異動 十月二十八日委員鍋島直紹君辞任につ き、その補欠として秋山俊一郎君を議 長において指名した。 本日委員秋山俊一郎君、津島壽一君及 び基政七君辞任につき、その補欠とし て鍋島直紹君新谷寅三郎君及び赤松 常子君を議長において指名した。    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     小幡 治和君    理事            小林 武治君            西田 信一君            秋山 長造君    委員            小柳 牧衞君            郡  祐一君            西郷吉之助君            新谷寅三郎君            館  哲二君            湯澤三千男君           小笠原二三男君            鈴木  壽君            松永 忠二君            赤松 常子君            中尾 辰義君            杉山 昌作君   国務大臣    自 治 大 臣 安井  謙君   政府委員    自治政務次官  大上  司君    自治大臣官房長 柴田  護君    自治省行政局長 藤井 貞夫君    消防庁次長   川合  武君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策基本法案内閣提出、衆議  院送付)    ——————————
  2. 小幡治和

    委員長小幡治和君) ただいまから委員会を開会いたします。  災害対策基本法案を議題といたします。  御質疑の方は順次御発言を願います。
  3. 松永忠二

    松永忠二君 大臣にお尋ねいたしますが、中央防災会議性格ですが、これを読んでみると、単なる諮問機関ではない。「防災基本計画作成し、及びその実施を推進する」と、こういうふうに出ておるわけです。中火防災会議性格というものは、行政的に言うと、どういう性格を持っているものなんですか。
  4. 安井謙

    国務大臣安井謙君) これは、内閣総理大臣責任者にいたしまして、関係機関の長が集まって例の防災に対する基本計画を練るという性格のものでございまして、形式的に言いますと、政府附属機関といったような形のものになろうかと思います。
  5. 松永忠二

    松永忠二君 単なる諮問機関ではなくて、総理府の附属機関だと、こういうお答えでありますが、そこで、中央防災会議組織を見ると、会長に内閣総理大臣を充てて、委員指定行政機関の長を充てる、専門委員を置くことができるということになっておる程度ですが、そうして防災会議事務局というようなことも出ておる。こういう一体組織でここに規定しているように防災基本計画作成して、これの実施を促進することができるということは、私たちとしては少し考えられないのですが、どういう構想を持っておられるか。こういうやり方ならば、中央防災会議が確かに計画作成する、そして十分その実施をすることができると、こういうふうにお考えになっておられるのか、この辺をまずお聞かせいただきたい。
  6. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 災害に対する機関といたしまして、御承知のとおり、現在各省それぞれの分野において法律もあり、制度もあり、受け持っておるわけでございますが、災害そのものを対象にした総合的な機関を設置することが、今後の災害対策を強力に進めていく上から必要じゃないかという観点から、この防災会議考えたわけであります。その際に、いわゆる完全な行政官庁として防災庁であるとか、あるいは防災省といったような組織を作って、実質上のすべての機能権限をそこに与えていくという考え方一つあろうかと思ったのでありますが、それをやりますと、各省からのそれぞれの部門を持ってくるというようなことになって、実際上運営にいろいろ摩擦を生ずるし、力を弱める危険もあるというようなことから、現状組織をそのまま置きまして、そしてそれぞれ今の防災会議というもので、その組織現状のまま機能を与えてやろうということで、防災といいますか、災害に対する総力をそこに集めたい。実際の活動はそれぞれの機関にまたそれをおろしてやっていきたい、こういうふうな考え方相当効果もおさめるのじゃないかと思っております。
  7. 松永忠二

    松永忠二君 その点はもう少しあとでお聞きすることにして、ここに事務局構想が出ておるわけですが、これは現在どういうふうな構想を持っておられるか、その点。
  8. 安井謙

    国務大臣安井謙君) これは事務局としては、防災会議運営していきます上の各行政機関間の連絡といったようなことで、事務局自体にそう大きな権限を与えるというような性格のものじゃなかろうと思っております。
  9. 松永忠二

    松永忠二君 もう少し具体的に、たとえば、まあ伝えられておるところによれば、消防庁事務局とする。この前の質問では、大臣消防庁長官を直ちに事務局。長とするわけじゃないという答弁をされておりましたが、消防庁事務局にするとすれば、具体的にどういう一体人員とか、構成というものを考えておられるのか、これはいかがですか。
  10. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 内容の大体の考え方につきまして、行政局長から御説明いたさせます。
  11. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) この法律自体では事務局長にだれを充てるか、あるいは事務局構成をどういうふうにやっていくかということについては触れておりませんで、それらの細目は政令で規定をするということに相なっておるのでありますが、現在までこの法案作成をいたして参りました過程におきまして、大体の方向というものは論議をせられておるのであります。大臣も申されましたように、まだ確定的なものとしてきまっておるわけではございませんですが、事務局長には、一案としては、消防庁長官をもって充てていく、その他の職員につきましては、事柄の性質上、各省からそれぞれ職員派遣してもらう。さらにその場合には、現在の消防庁職員が、これが庶務的な仕事に当たっていく、そういうような構想でもって事務局運営がなされていくのではないかというふうに考えておるのであります。
  12. 松永忠二

    松永忠二君 各省派遣されるというか、出される職員というものは、常時この事務局に出勤するのか、それとも何か必要な会議のある際に招集をされるのか、その辺はいかがですか。
  13. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 最小限の職員は、各省から派遣してもらう者についても常勤という建前にいたすつもりでおります。
  14. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、その常勤というのは一体どのくらいを考えておられるのか、また消防庁が庶務的な仕事をするとすれば、新たに消防庁職員をどのくらい一体ふやすという構想を持っておられるのか、その点はどうですか。
  15. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) その点まだ具体的に構想を固めておるわけではございません。なお予算その他の措置も必要といたしまするので、それらの点、漸次固めて参りたいと考えておるわけでございますが、ごく事務的に考えておるところによりますると、消防庁自体におきましても、現在の職員数、その他の態勢をもっては、このような大きな仕事の庶務というものをやっていくことはとうていできませんので、最小限度二十五、六名、あるいは三十名程度職員というものが必要になって参るのではないかと考えているのであります。
  16. 松永忠二

    松永忠二君 今話の出てきている各省からの派遣常勤というのは、一体どういう構想を持っておられるのですか。どういう程度の、何名くらいを一体考えておられるのですか。
  17. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 少なくとも三名程度職員派遣をしていただく必要があろうかと思っております。むろん仕事性質によりまして、十ぱ一からげに全部三名という必要もないと思いますけれども、大体のところ三名程度の供出はお願いをせざるを得ないのではないかと思っております。
  18. 松永忠二

    松永忠二君 今お話のは指定行政機関から各三名と、こういうふうに考えておられるのですか。
  19. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) さようでございます。
  20. 松永忠二

    松永忠二君 大臣にお尋ねいたしますが、十二条に構成が出ているわけでありますが、第十三条に、中央防災会議指定行政機関から資料提出とか、あるいは意見開陳とか、必要な協力を求める。それからまた中央防災会議は、地方防災会議なり協議会に必要な勧告指示をするということが出ておるわけなんですね。これがその防災会議一つ権限としては、ここに規定されたものが、明確になっているものが唯一のものだというふうに私たちは理解しているわけなんですね。だから、中央防災会議は、指定行政機関とかそのほかの機関から、資料提出、見開陳協力と、必要があれば地方勧告指示ができると、こういうことでありますけれども、一体実際問題として、今災害関係については、非常に各省庁の間で複雑な権限を持っていて、それが非常に不明確な点もある。たとえば農林省と建設省の砂防等にはたいへん大きな交錯の点もある。むしろそういうところを一体どういうふうに統一調整をとっていくかということが、いわゆる防災には非常に重要な点であるし、こういうことが新しい基本法というものによって明確になるというところに、基本法の一番重要な問題点があるというふうに私たちは思うわけです。ところが、一体その中央防災会議が第十三条に示すような一体権限を持って、はたして防災基本法とも称するようなものができて、そこに調整統一が行なわれるというようなことについては、はなはだ疑わしいというような気持を強く持つわけなんですが、こういうことについてはいかがですか。
  21. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 中央防災会議仕事内容として、今御指摘のようなものは非常に重要だと思います。十一条の三の二でございますか、防災に関する施策総合調整で重要なものを扱うといったようなことも、そういう趣旨でうたっておるわけでございます。
  22. 松永忠二

    松永忠二君 私が申し上げているのは、そういうことを実施するのには、中央防災会議というのは、やはり特殊な権限というものを持たなければいけないはずだと、それでなければ結局できない。ただ単に資料を出したり、意見を述べさせたり、協力を求めたり、あるいは地方ただ勧告指示をするという程度のことで、はたして一体各省庁のなわ張りを解消して、あなたのおっしゃったような、いわゆる統一調整するということが可能なのかどうか、そういう点についてどういう考えを持たれているのかということをお聞きしているわけです。
  23. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 中央防災会議事務及び諮問事項というようなところで、今御指摘のような内容についてはうたっておるつもりでございますが、事実上の問題といたしましても、各省間のいろいろな摩擦あるいは権限の不統一といったような問題は、すべてそこの会議におきまして、それぞれ調整をいたすということは、やり得ることであると確信しております。
  24. 松永忠二

    松永忠二君 確信をされていただけでは、僕は済まないと思うのですね。その確信裏づけられるには、中央防災会議というものの決定したものについては、各関係行政機関がこれを実行しなければならない責任があるというようには何も規定はされていないわけです。別に中央防災会議関係行政機関の長とか、あるいは地方関係行政機関との関係は、ここに示している権限だけにとどまっているわけですね。この程度のことなら何も新たに——こういう程度調整できるというものなら、今までこれだけ一体輻湊した関係法律があるので、これを指導調整をしなければならぬという国民の声は起こってこないと思うのですよ。だから、こういう点については、僕は今の確信ということではなくて、こういうところに、中央防災会議というものを、もっと権限の上において確立をする必要があるのではないか、そういうことを私は申し上げているのだが、この点については、努力をしたのだが、各省庁がなかなか権限拘束されることはがえんじないのでできなかった、しかし将来はそういう点についてやはりもう少し統一調整のできるような機関にしていくというような気持を持っておられるのか、そういう点をお聞きしているわけですがね。
  25. 安井謙

    国務大臣安井謙君) その点は、防災会議そのもの連絡調整機関だけじゃありませんので、御承知のとおりに、この防災基本計画を立てた、それを今度は各省庁に実施義務を負わせる、こういうふうになっておるわけです。    ——————————
  26. 小幡治和

    委員長小幡治和君) ただいま委員異動がございましたので、御報告いたします。  本日付をもって委員基政七君が辞任をされ、その補欠として赤松常子君が委員に選任されました。    ——————————
  27. 松永忠二

    松永忠二君 その義務があるとかなんとか言ってみても、一体どこにそういうことが規定をされているのですか。
  28. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 第三十六条に、指定行政機関の長の防災業務計画作成について規定をいたしておるのでありますが、この場合、指定行政機関の長は、防災基本計画に基づいて、防災業務計画というものを作成をしていかなければならぬ、こういうことで、基本的な方針でございまする防災基本計画というのは、中央防災会議作成をされるわけであります。その作成された基本計画というものを前提にいたしまして、それに基づいてそれぞれの各省でもって業務計画作成をしていかなければならぬという、ここで大きな一つのワクをはめておくということにいたしております。さらに、第三十七条の第二項でございますが、指定行政機関の長は、防災業務計画作成及びその実施にあたっては、他の指定行政機関の長が作成をいたしまするそれぞれの防災業務計画との間に調整をはかる、そうして全体として防災業務計画というものが有機的に運営をされていくように努めなければならぬということにいたしておるのであります。さらに、第三十八条に参りまして、各省庁が作成をいたしまするいろいろな法律に基づく計画がございますが、それらの計画の中で防災に関する部分につきましては、防災基本計画なり自己作成作する業務計画、他の省庁作成する業務計画矛盾抵触をするものであってはならない。そういうものは、基本方針というものが打ち出されて参りますると、それに従いまして既存の計画等についても改定し改善を加えていくべきであるということを明白にいたしまして、御指摘のような点についてそごのない運営がはかられて参るように配慮をいたしておる次第でございます。
  29. 松永忠二

    松永忠二君 それは、今度は逆に言えば、文章だと私は申し上げたいのですよ。それならば、防災基本計画というものは、それだけ各業務計画拘束するとか、あるいは各省庁の今まである業務計画というようなものはそれに抵触しないとかいうようなことになれば、それをそのままに実行していくという、つまり計画でもって拘束をしていくということは、考え方だと思うのですがね。つまり、権限というようなもので拘束をするのではなくて、基本計画という計画業務計画というもので統制をとっていこうと、その計画計画に違反してはならぬ、抵触してはいけないと、そういう形の順を追ったことで、中央災会議というものが一つ権限を持っていて、その決定された権限が実行されていくということではなくて、きめた計画が次の計画拘束するとか、抵触しないとかいう条文の打ち出しをしているわけです。これはそうだと思うのです。そうなってくれば、それでは防災基本計画そのものは一体どれだけのものを作るのか、これが一体具体的な問題を作るものなのか。これを作らないとすれば、結局は抵触しない文章さえ作ればいいわけです。拘束をされるというような文章を抽象的なものを作っておけば、それでいいわけですよね。抽象的な計画を作って、抽象的な計画拘束するなんと言ってみたところが、それは趣旨として、ただ単にそれを拘束するという言葉が出ているだけのことだと思うのです。そうすると、まず焦点を縮めて、中央防災会議というのは、権限として指定機関行政機関拘束する権限はないのか、あるのか、この辺をまず伺いたい。
  30. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 中央防災会議自体各省各庁というものを指揮監督するというような権限は与えておらないのであります。その点は、中央防災会議自体各省庁の長をもって組織されるという建前から申しまして、当然の自己拘束として、そこでもって作成される基本計画なりその他の方針というものにつきましては、各省庁が拘束をされることは当然であるという前提に立っておるのでありまして、権限的には御指摘のように必要な協力を求める、あるいは地方防災会議に対する勧告指示ということで弱いではないかというお説もあることはわかるのでございますが、こういうような構成建前でもって実際上運営して参ります場合におきましては、現在よりもやはり相当効果の上がった前進が期待ができるのではないかと、かように考えておるのでありまして、防災計画等実施面を通じましてその点がさらにはっきりと確保されるような措置を講じておる次第でございます。
  31. 松永忠二

    松永忠二君 はっきりしたのは指揮監督権限はないということであって、したがって、行政機関ではない。結局、防災基本計画という計画は立てて、その計画に基づいて業務計画作成をされ、そういうものが地方防災会議計画にも順次それを尊重していくという形をとっていく。だから裏返せば、極端に言えば、基本計画でそういう権限にわたることをきめることができない、一本化して指揮監督するということはないし、防災基本計画というのは、まことに各省権限拘束するようなことがないように、しかも、各業務計画を抽象的に吸い上げて、美しい文章を作れば、それでもって差しつかえないということになると思うのです。そこで私の言ったことは、独断だとおっしゃれば、一体防災基本計画そのものはどういう法的な効力を持つと規定されておるのですか。基本計画のいわゆる決定事項というものは、どういう権限的な効力があるというふうに規定されておるのですか。
  32. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 防災基本計画において規定をいたしますべき内容につきましては、三十五条に規定をいたしておるのでありますが、その中で災害予防なり災害応急対策なり、あるいは災害復旧ということにつきまして、個々の部門々々についてかなり詳細にわたって重点を置かなければならぬということについても列挙をいたしておるのであります。したがいまして、基本計画自体どういう形のものになりますか、今のところ、われわれといたしまして推測の限りでございませんが、内容的にはかなり具体性を持った詳細なものができ上がって参ろうかと考えております。ただ計画はあくまで計画でございまして、その計画に基づいて各省あるいは県市町村というものが、それぞれの立場に応じまして業務計画なり地域防災計画というものを作って参ることになるわけでありまして、それらの各省庁の業務計画なり、あるいは地方団体作成いたしまする地域防災計画というものの基本といたしまして、基本計画に矛盾したり抵触したりしないように、それに基づいてやっていかなければならぬというところから、おのずからなる拘束性が生じて参るという規定の仕方をいたしておるのでございます。
  33. 松永忠二

    松永忠二君 それでは一体防災基本計画というものは、これはすでにここで決定をされれば、その決定事項が直ちに権限効力を発揮するものですか。それともこれはちょうど治山治水十カ年計画計画の中に、一度これを閣議決定という形に直して、これが初めて施行されていくものでありますか、その辺はどうですか。
  34. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) これは計画でございますので、計画作成されたということが、直ちに今おっしゃるような意味における効果を発生するものではございません。これに基づいて、それぞれの各省庁において具体的に施策決定をしていく、あるいは閣議の議を経てきまっていくという過程を通じまして、それが具体化され実現がされて参るのでございます。
  35. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、防災基本計画というものには、第三十五条に、次の事項に関する資料を添付しなければならないということが出ているわけですが、防災基本計画というのは、一体予算的な計画を伴うものなんですか。それとも、そういう予算的な計画というものは、これについていないものなんですか。そういう点はいかがですか。
  36. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 金額の見積もり等は、おのずから基本計画自体の中にも触れられるものはあると思います。また基本計画自体につきまして、どういうことをやっていくと、たとえば治山治水関係では、どういったことに重点を置いてやっていくと、その実施目標は何カ年に置くというようなことになりますれば、おのずから経費の見通しというものも中に含まれて参るものもあり得るのではないかというふうに考えておるのであります。ただ、そういうふうになりましても、これはむろん毎年度の実施をどの程度やって参るかということは、それに基づいて各省庁が予算要求をし、国会の審議をわずらわして決定をいたして参るものでありますることは、これは申すまでもないところであります。
  37. 松永忠二

    松永忠二君 大臣にお尋ねするのですが、さっきの質問でも明らかなように、別に中央防災会議決定したことが直ちに決定として実施されるわけではない。中央防災会議は各行政機関を強制するような指揮監督する権限はない。防災会議のきめる防災基本計画というものに基づいて——基づいてというか、それをどっちが事実上は先になるか、僕は別だと思うが、私はむしろ業務計画を吸い上げて基本計画になるという形でいくのだろうと予想しているのですが、逆にほんとうの意味防災基本計画ができて、それによって各省のいわゆる業務計画ができるということになれば、当然防災基本計画の中には、予算裏づけといいますか、そういうものが含まれなければ、要するに、俗にいう文章の羅列に終わってしまうのではないか。治山治水十カ年計画というものが、あれが非常に効力を持っているというのは、そこにはっきりと予算の総額があって、実施計画というものがちゃんと具備をされているというところに、まああの計画が非常に効力を発揮している理由があると思う。だから、少なくも防災基本計画の中には、そういうふうな予算的な裏づけというか、いわゆる基本計画実施するのに伴う予算的な計画というようなものが、必ず具備されているということが必要だと思うのです。そういう点についてやはり計画を作る、その計画に中心を置いたこの基本法なんですから、そういう意味防災基本計画は、そういう予算的な計画というものを必ず裏づけにしていく必要があると私たちは思うのですが、大臣はどうお考えになりますか。
  38. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 防災基本計画は、おそらく相当広範囲ないろいろな方面にわたると思います。したがいまして、これは予算計上を必要とするような性格のものも相当たくさんあるし、それには数字的な裏づけと、予算計上計画というものを盛らなければいけないという面も相当たくさんあろうかと思いますが、そのほかにも、今度は予算と無関係にといいますか、別の方面でもそれぞれ企画を立てる、調査をする、あるいは調節をするといったような機能も持っておるだろうと思います。
  39. 松永忠二

    松永忠二君 そういう点については、やはり条文なり、そういうところに明確にしておく必要があるのじゃないか。そういうなれば、ますますそれが非常に重要な意味を持ってくるというようなことになると思いますが、こういう点については、資料の中にもそれを入れていないというようなことは、私たちから言うとちょっと理解がしにくいわけなんですね。こういう点はどうなんですか。
  40. 安井謙

    国務大臣安井謙君) お話の点は非常にごもっともかと思います。何分にも防災基本計画自体が非常に多岐にわたるものでございますし、今お話のような予算計画を伴うというような形のものもできましょうし、その他もできる。そうして要は運営の仕方でございまして、これは防災会議自体に一定の権限を付するということもさることながら、それでなくて、今のような建前をうたっておきまして、あとは政府がそれを取り上げて、正式の決定にするなり、各省庁で取り上げて、これを正式の自分のそれぞれの企画に織り込むとかいうふうにそれを動かしていくものだ、そういう意味から防災会議自身に何か特定の形式上の権限を与えるということもなかなかむずかしい面があろうかと思う。実際は運用でそれが行なわれていくのじゃないか、こう思っております。
  41. 松永忠二

    松永忠二君 権限の問題は別にして、基本計画というものの中に、数字的のやはり根拠というものを渇くほうが、基本計画効果というものは発揮できるのじゃないかという意見については、どうなんですか。
  42. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 御説のとおりに考えております。
  43. 松永忠二

    松永忠二君 そこで、また権限の問題なんですが、この中央防災会議というのは、各省防災の企画というものを統一的にやるということもやれないわけですね。企画については、統一的に防災をやる、つまり各省が企画することは当然権限として持っているわけです、また別個にですね。だから、権限からいえば、ちょうど経済企画庁のように、防災の企画というものを統一してやる。また、今各省庁にわたってずいぶん研究所や調査機関があるわけですね。全部これまたむだな重複しているものがある。そういう防災に関する調査とか企画というものを行政として一本にするというようなことが行なわれていけば、実施機関は各行政機関がやるとしても、企画だけは一本化していく。そうなってくれば各省でもってそれほどばらばらの企画とかいうこともないし、企画に非常に重要性を持つということになると思うのです。だから、企画と作成実施というものを両方持っていればけっこうだけれども、作成だけなら作成で一本化した権限を別にこの中央防災会議が持っているわけじゃない。じゃ、もっと防災の非常な総合的の計画を立案するということになると、この防災会議というのは、各省庁の長が集まるだけで、専門機関というのは置くことができるという程度のことであって、一体これではたして総合基本計画はできるのか、このメンバーで。こんな人たちがそろってみたところで一体何が基本計画ができるだろうか。結局は事務局のほうから出してきたものを認めるということ、事務局というのは、今話の出ている消防庁のほうで事務をやる。各省庁から二、二出てきた人たちが集まって協議をした、ほかの省庁から出てきた者は、それほど自分の機関拘束する権限を持って出てくるわけじゃない。そういう者が出てきて相談をしてみたとこが、この中央防災会議で作る基本計画というものは、基本的に非常に傾聴に値するような一体基本計画が出てくるかというと、ここにもまたそういうものは出てこない。いっそそういうものなら諮問機関で、もっと広範囲の有識者をも入れて、それでそのりっぱな計画を作り上げる、それをその後いわゆる閣議決定をしていくというやり方なら、まだそこにも話がある。河川審議会のようなああいう形にしていくなら、まだそこに話がある。集まってくるのは指定行政機関の長で、大臣が集まってきても、何にもそれをやるだけの能力は事実上ない。それじゃ事務局ががっちりしているかというと、事務局は、今言ったように、単なる消防庁事務機関から二、三出てきた人たちの集まりということになると、実際のところ、私たちは、中央防災会議が結果的には各省庁の作った業務計面を抽象化すただ機関でしかないんじゃないかということを感ずるわけなんですがね。私が言ったようなことについて、そうじゃないのだ、これで十分できるのだということを大臣からひとつ聞かしてもらいたいのです、私たちがわかるように。
  44. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 最初も申し上げましたように、このものの考え方が二つあると思うのです。一定の明確な権限機能を与えるような行政機関的なものを置いて、防災一本でやるという考え方もあろうかと思います。現在われわれは、各省機関がそれぞれ防災については、実績も上げていないんじゃなし、相当な機能も発揮できる仕組みをそれぞれの専門部門においては持っている。しかし、それが全部が不統一といいますか、統一のもとに企画されたり、調整されていないために、種々の摩擦があったり、不便が起こる。あるいはまた強力な推進に不自由もある。そこでひとつ各省でやっているそういうものを一堂にまとめて、総理大臣のもとで十分に、常に検討を怠らないようにしていこう、これはいろいろ御心配になれば際限はないと思います。防災に対する政府の心がまえといいますか、企画を進めていく上からは非常に私は意味がある、こういうふうに思っておるのでありまして、どこかに一定の権限をきちっとつけて、あるいはそこ独自で、ほかの省はそこについてこい、こういうふうな企画をそこで立てるというふうにはわれわれも考えていないわけなんです。
  45. 松永忠二

    松永忠二君 そういう必要がないのかどうかという点については、どうお考えになるのですか。
  46. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 各省のそれぞれの機能をそれぞれの立場で有効に生かすことを考えたほうがいいので、今おっしゃるように、機能権限を特定の防災会議へ与えて、一方的にそれぞれ各省を命令するというような形のものは、むしろ現在のところ摩擦が多過ぎて、効果が薄いのじゃないかというふうに考えているわけです。
  47. 松永忠二

    松永忠二君 その点については考え方の違いだと思うのですがね。しかし、たとえば今一つの河川について、水系について考えてみると、この水系の一体治山治水はどういうふうにやるかということについて、一体この基本計画でやっていってどういう調整が具体的にできるのですか。
  48. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 水に関する具体的な調整、また具体的な水系についての調整の問題になって参りますと、今度の国会で御審議をいただいている水資源の開発その他の点を通じまして、漸次問題が前進をしていくだろうと思うのであります。しかしながら、それはそれといたしまして、この防災会議自体におきましても、防災基本方針というものをきめて参らなければなりませんが、治山治水基本的な考え方というものについても方針を打ち出していかなければならぬということが出て参ります。さらには、災害に関する施策総合調整について重要であると認められる場合におきましては、内閣総理大臣がこれを諮問をするという権限もここにひとつ認めているわけでございます。したがいまして、防災基本方針が打ち立てられて、そこで基本計画というものが作られて参りまする場合に、この水系の利水の方法等につきましては、こういったやり方がいいのではないかというような、一つの示唆というものも出てくる可能性というのはあり得るだろうかと思うのであります。全部の水系にわたってどうこうというようなことは、おそらく基本計画自体については出て参りませんけれども、全体としての考え方の方向というものはそこに打ち出されて参ることが望ましいことでございますし、そういう可能性はあるわけでございます。そういう問題が出て参りますれば、当然防災会議構成員として各省庁の長というものは、これに実質的な拘束を受けて参りまするので、所管業務を行なって参ります上において、その基本方針にのっとった施策というものを考えていく、またその施策を実現するために、あるいは法律改正をやらなければならぬというような問題も出て参ります。そういう場合には、やはり現行法でできなければ、この改善策として法律改正というような措置もあわせて講じていくというような方法を通じまして、それらの調整につきましても、一歩を進めた措置がなされることが期待されるわけでございます。
  49. 松永忠二

    松永忠二君 今、治水治山あるいは防災関係でいえば、一つの水系について常の予防の措置、それから災害復旧の場合における上流と下流の関係、かれからそこへ作るいろいろな河川の工事というようなものを一貫したものが水系の中に計画があって、そうすれば必ずその水系というものが一応総合的なことが行なわれるわけなんだ。ところが、一体この基本計画というものは、そういうものを含んだ基本計画ではない。それで総合調整ということをいって書いてあるけれども、二の「防災に関する施策総合調整」といっても、そういうことではない。そういうことには触れられない。それでは出てくる業務計画は、横へ連絡のある事務責任は別にどこにもない。業務計画業務計画の間の調整というもの、そんなことは何も書いてない。どうも一体、一つの水系の中の具体的に今問題が起こっておるのは、一水系なら水系について総合的な調整をしていく必要があると言われておるわけです。その総合調整というのは、これを作ったことによってどれだけどういう形において前進するのですか。ただ単に、あなたのおっしゃるように、基本計画があるから、その基本計画に基づいて考えると、こう言ってみたところで、何もその業務計画は各業務計画で作ればいいのであって、その業務計画と隣の建設省の作った業務計画と農林省の作った業務計画が横に調整する必要があるというのは、どこにも出ていないわけですから、だから、私たちは具体的にこれができたために、どういう形で、それを一つの水系なら水系の治山治水計画なり、あるいはそこにおける水資源の開発なんというものが、総合的に調整されるのか、そういうことを調整するということができる機関というものがなければしょうがないじゃないかと言っておるわけなんですよ。言葉では基本計画に基づいて作るとおっしゃったけれども、その基本計画というのは具体的なものじゃないのだと、お話のとおりそれほどのものではない。それじゃ、業務計画業務計画は、だから私たちが言うようにむしろ、一つの水系の企画というものについては、一つのところが実施するのだ、その企画に基づいて関係する農林省は農林省でおやりになるし、通産は通産でやる、建設は建設でやる、そうなれば一つの水系なら水系の治山治水というものが、いろいろな工事というものが、いわゆる総合調整ができる。このような基本計画を一体中央防災会議で立ててみたところが、そういうことは具体的にどういう形でできるのですか。そういうことを私はこれじゃできなかろうじゃないか。結局、文章で書いたものを、各作るところではそれをやる。せめてそれができなければ、もう一つの段階の治山治水の費用が幾らだ、あるいはその関係工事が十カ年間に、何年間にどのくらいやるのだというそのワクでもきめてくれるならば、それに基づいて各省がまた計画を立てるという手もあるけれども、そういうものを必ずしもつけなくてもいい、言葉で書いてあればいいのだということになれば、具体的のこともできないけれども、また具体化する一番もとになる金もこの中に組まれてこないということになれば、何を一体これで総合調整ができるのかということが私たちはわからないのですよ。確かに少しずつは、今やっていることをちょっとはそれは作ったのだから、少しはそれはあれになるでしょうがね。問題はその防災の、今国民の望んでいるのはそういうことではないと僕は思うのですがね。もっとしみじみ一つの水系について、さんざばらばらの行政が行なわれているのを、もっと基本的にこれを一つの水系ならこの水系についてのものを徹底したものをひとつ立案してもらって、その立案したものについては、各省が必ず実施をするという形で総合的に実施してもらいたい。そういうふうな希望を持っていると思うのですが、どうもこれではわれわれはわからない。
  50. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 松永さんのおっしゃるようなことが防災計画のやり方で全部これはできると思うのです。それじゃどうやって——ここに一つの水系をきめるにしてもいろいろなやり方もあるし、その場その場によってのケースできめ方もいろいろ違うと思うのです。ただ防災会議でひとつ農林省と建設省、それから運輸省も入ってよく専門家で相談して一本のものを持ってこいという、こういう命令というか、話し合いもできると思うのです。それからあるいは特定の場合に、その防災会議自体が一定の企画をやって、これでひとついけるかどうか検討して手直してくれという打ち合わせもできるし、私は運営については、いろいろなケースがあり得る。それから必要によっては予算のワクをきめてこれを閣議決定するという場合もあり得る。要は、これからの運営をそういう場で作っていこうというのがこの法律のねらいであろうと思うのでありまして、今いろいろ御指摘になりましたような事柄を、この防災会議の場を通じて今後ひとつ実現をしていこう、こういうふうに考えておるわけです。
  51. 松永忠二

    松永忠二君 それを、私はそういうふうになっているから、企画については一ところで企画する、何も権限を逸脱をして実施機関を取ろうというのではないのだからね。総合的な企画については、ここがやるのだということになっておれば、そのほうがいいじゃないか。そういうことぐらいはなぜ考えないのかと、こう言っているわけなんだ。あなたの言ったようなこともできる場合もありましょう。あるけれども、各省庁ががんばっちゃって作らなければそれきりですよ、それをまた消化できるほどの事務局を持っているわけじゃないのだから。専門の各省庁があって、それが具体的なデータを持っているのですから、これはそのものに一体事務局が対抗して対案を出すだけの能力もなければ、力もありません。だから各省庁よりむしろ上の、いわゆる企画については、そういう企画を、総合して立てる、樹立をする、あなたのおっしゃったような、とにかくその一地域、その一水系については、治水防災計画というものはもう一本化したものが必ずそこでできる、作ろうという意図はわかるけれども、作れるか作れないかということは、これじゃ保証はできないと私は言っている。保証のできるものにしたらどうかということが私の言っていることなんです。保証するためには、少なくもそういう計画については、実施のところまでまとめようとせんにしても、計画だけでもそれをひとつ統一して計画できるというふうにしたらどうか、そういう必要があるんじゃないかということを申し上げているのです。
  52. 安井謙

    国務大臣安井謙君) ですから、最初にも申し上げましたように、そういうふうなお考え方一つ確かに立つと思うのであります。確かにそれも非常に有効なやり方の一つであろうという気もいたしますが、現在この法律考えておりますことは、各省機関がそれぞれ持っている機能は、その限度において十分に働かせよう。そしてそれをばらばらで動くのではなくて、総合的なもので常に連絡調整をしながら働かせていこう。だから企画部門というような専門の部門一つ防災会議で持って、そういうものを各省で押しつけていくという形も、これは私は一つの形としてあり得ると思いますが、それでは今の現段階で各省庁の企画部門との摩擦ということも考えられるし、そうではなくて、各省の持っている企画性もその防災会議で吸い上げて、そこでまとめて、それぞれの各省機能を生かしていこうという考えであるので、考え方は、今のお話のようなことも確かに有効な方法であると思いますが、この法律ではそういうふうに考えないで、各省機能を生かしていこうというふうに考えておるわけで、それでも私はそれに総合的な調整をすれば、あるいはさらに防災に対する企画を進めていく上からは相当大きな政治的な意味もあるし、現実に事務を進める推進力にもなり得ると思うのであります。
  53. 松永忠二

    松永忠二君 ただ口を開くと防災基本法、何か対策があるかというと、防災基本法と、総理大臣も盛んにそう言っている。そういうくらいなものなら、せめて私たち考えているくらいのことはやってもいいのじゃないか。それは一歩前進するという程度のことを、基本法でやるというのなら、それはあなたのおっしゃったようなところも、ひとつの前進でしょう。前進でないと私は言一ませんよ。しかし、少なくとも基本法として一歩前進をし、そういう点について問題があるということを、再三指摘をされて、行政官庁の中でも指摘をされているわけです。そういう意味からいうと、もっと基本的に前進をすべきである。また、あなたのおっしゃったようなことが、はたして事務局の今述べられた構成でできるのかどうか。二、三人行政庁から出てきて、消防庁事務局へ行って、それができるのかどうかという点については、どうもそういう能力を発揮できないのじゃないかというふうに、私たちも思う。だから、もう少し根本的ないわゆる対策を、少なくとも基本法というなら、立ててもいいのじゃないか。結局、やろうと思ったけれども、できなかったということじゃないのですか。初めからこの程度のことを考えていたのか。それとももっとやろうと思ったのだが、できなかったのですか。どっちなんですか。初めからこういう基本法、これでいいと考えておられたのか。大臣は、何か聞いていると、基本法はこれでいいのだというお話だけれども、われわれはもうちょっと前進をしたものを考えて、交渉もされただろうけれども、いわゆる今の行政機関権限のなわ張り争いの中では、なかなか実際はできない。せいぜいここらくらいのところだということで、ここで下がらざるを得なかったのじゃないかと思うのですがね。何かそういうことの理解できないような発言をされるので、われわれのほうでもちょっと言ったわけですがどうなんですか。
  54. 安井謙

    国務大臣安井謙君) それはこの一つ法律を作る場合でありまするから、それの目的だけのために、各省との調節妥協ということも、現実の問題としてあることは事実です。御指摘のとおりに、これが決して万全を期した、完璧の、これさえ動き出せばすべての防災に完全に対応できる法律だとは、これは私ども考えておらぬのであります。これは総理自身が本会議におきましても、これが完全なものでないということを言明されたとおりであります。ただその評価や何かはいろいろございましょうが、防災会議というもののあり方について、今御指摘のような行き方と、二つあると思うのでして、この場合に、これはなまぬるいかもしらぬが、各省のそれぞれの機能をフルに生かして、言葉は悪いですが、しりをひっぱたくというためにこれを使おう、こういう意図で……。それからさらに、やろうと思ってできなかったのは、むしろ防災会議にあるのではなくて、たとえば国の責任でやるという場合に、どれとどれを国の責任でやるべきだということを、さらに法律で具体的にうたうべきじゃないかというような御指摘も、ごもっともだと思うのであります。そこらになりますと、またこの二段階にして、この次にうたおうというふうな形になっておる点もありまして、そういう点では確かに御指摘のような御不満もあろうと思うのであります。しかし、これは順次ひとつ御協力を得て、直していいものにしていこう、こういう考え方であります。
  55. 松永忠二

    松永忠二君 ひとつわれわれの心配している点が心配にならないように、つまり事務局が充実をせられて、そうして総合調整が行なわれるというようなことに、欠けることのない運営のできる事務局ができる。それからまた、もともと権限一つに集めてやるのじゃないのであって、防災会議が作った防災基本計画、つまりこの動きが一番中核になるものであるから、この基本計画拘束力というものが、具体的なものというものが、非常に大きくこれが今度の場合には影響してくると思う。したがって、それについて、われわれは何というのですか予算的な裏づけ、ワクというようなものについて、必ず具備した防災計画——言葉で書いた防災計画じゃなくて、その防災計画実施に伴ういわゆる予算的な総ワクは、どのくらいのものなのか。これは各省にわたってどうなるのかというようなものを具備した基本計画が作られるなら、それでもいい。その基本計画に基づく業務計画が実現されれば、まだそれでも一歩前進はできると、私たちも思うのですよ。そういう意味で、防災基本計画というものの内容というものについては、よほどひとつここでよく考えてもらいたい。それで、十分具体性を持ったものにしてもらいたい。それから中央防災会議そのものも、いわゆる機能が十分発揮できるように、ひとつ特に今大臣の言われたことが実際に行なわれるように、配慮をしてもらいたい。この点はこれでとどめたいと思います。
  56. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 関連。国民が、あるいはまた私どもも含めてでありますが、災害対策基本法というものができるということに対する期待には、これは考え方はいろいろあると思いますから、その一々について申し上げるわけにいかぬと思いますけれども、ともかく日本の国の、このしょっちゅう絶え間のない年々の災害に対して、ほんとうに抜本的な災害の防除対策、ここでいうとあるいは予防といいますか、この法文からしますと、あるいはそういう言葉に当たるかもしれません。それから災害が出た場合のそれに対するいわゆる対策、それからまた出たあとのいわゆる災害復旧仕事、これに対してほんとうに従来のようないわば間に合わせといいますか、あるいは災害のしょっちゅうしりを追っているような、後手後手と回っているような、そういうことでなしに、もっときちっとしたものを作ってもらいたいと、こういうことだと思うのです。そこで、今松永さんから問題がありました、その防災会議あるいはそこで作られるところの防災基本計画というものですね、これは私、やはりこの法では、一つの中心をなすものになってくるだろうと思いますし、この分厚い法案の中から見ても、その占めるページ数からいっても、相当なページ数をとって書かれてあるのです。だけれども、そういう点からしまして、やはり中央防災会議、あるいは地方に作られるものもそういうことでありますが、特に中央防災会議というものがしっかりして、また、そこで作られる基本計画というものが、やはりりっぱなものであり、かつ、それができるだけ早く実行されるということが、私はやはり根本にならなければならぬと思うのですね。そういう点からしますと、あるいは私ども松永さんと同じように、何かこの中央防災会議なり、あるいはそこで作られる基本計画というものが、どうもあまり力のないものになるのではないかというふうに思われるわけでありまして、あるいは確かに計画ができるかもしれません。しかし、その計画各省庁においてどの程度誠実に実行されるかというようなことになりますと、それは三十六条とか三十七条においては、確かに基本計画に基づいた業務計画というものを作らなきゃならぬと、こういうことがありますけれども、そのどれをとるのか、どの程度とるのかというようなことにつきまして、これはやっぱりまだ私どもは心配せざるを得ないと思うのです。たとえば、これは今度この法案が通ってできる中央防災会議とは違うものだと言われればそれまででありますけれども、たとえば内閣に作られた交通対策本部というようなもの、これは各省庁にまたがっていろいろなことがある。特に事故を中心とした事故防止のための交通対策をとらなきゃいけないというので、前には事故防止対策ですか、今度はあらためて交通対策本部というものを作ったのでありますが、そこでいろいろ問題になり、あるいは検討され、そうしてその結果出てきた結論ということに対して、各省庁が一体、建設省なり、あるいは運輸省なりがどこまで真剣になって、特に予算裏づけをしたようなことをやっておるかというと、私非常に疑問だと思う。疑問どころじゃない。これは作文はできて対策はできているけれども、実際はなかなかそのとおり進まない。道路交通も、たとえば鉄道なり軌道なりと道路との立体交差の問題一つ取り上げてみても、これはまことにお粗末であり、あるいは踏切対策というものを考えてみましても、まことに寒心なといわなければならぬ状態にあるわけなんですね。ですから、私はこれは今特に私が申し上げたように、今度は法に基づくこういう中央会議であるから、今の交通対策本部というものは、何も法に基づいたものじゃないからと、こういうこともあるいは違いとしては指摘せられることかもしれませんけれども、しかし、問題の解決をしなければならぬという考え方においては、一致した考え方だと思うのです。そういう点からしますと、今私申し上げたような点からしまして、どうも中央防災会議ができたり、あるいは地方にもできた、しかし、実際の災害防止、予防なり、あるいは災害が起こった際のそういう措置、あるいは特に災害復旧のいろいろなそういう仕事というものはなかなかこのままでは、われわれが期待し、国民が大きく期待しているようなそういう形にはなっていかないんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  前置きが少し長くなりましたが、私は、松永委員指摘せられますように、何かやはり中央防災会議なら中央防災会議が、しかも、そこに作られる防災基本計画というものは、これは各省庁のそういうことに関係する仕事部門に対する相当な規制が加えられるものでないと、災害基本法はできた、中央防災会議ができた、基本計画ができたといっても、なかなかこれは実効を上げることはむずかしいのじゃないかというふうに思うんですが、これは松永さんの言ったことと結論においては、私繰り返しのようなことになりますけれども、その点もう一度大臣から考え方というか、そういうことをお聞きしておきたいと思います。
  57. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 御指摘の今の交通関係の対策協議会というようなものもあるが、なかなか強い力になっていないんじゃないか。それと同じようなものに出しちゃ困るという御心配も私はごもっともだと思うのです。ただ、あれとは多少機構的に、政治的に強い形をこれは相当とっております。あの交通関係の今あげられましたような例については、比較的事務段階での連絡協議といったものが主体となっております。この会議防災というものに対して、政府全体が心がまえを強く打ち出さなきゃいかぬじゃないかという政治的意味も非常にあると思います。いわゆる総理が最高責任者になり、そうして今言われましたような、たとえば具体的な防災計画がそれぞれの省から、あるいは持ち寄りの形でできる場合もある、あるいは金額、予算を画定する必要がある場合もあろうと思います。そういう場合には、それを閣議にかけることによって、政府全体としてオーソライズするというふうな行き方も運営上はあると思うのであります。今の非常に弱いものになって、おざなりのものになっちゃいかぬという御指摘は十分注意いたしまして、それは運営面において、先ほど松永委員からも御指摘ありましたような点は、十分考慮して、効果のあるような運営に持っていきたいと思っているわけでございます。
  58. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 もう一つ関連して。そこで、この法案からしますと、大臣が今おっしゃるように、これは運営面でやっていくしかないと言わざるを得ないと思うのです。私ども心配するのは、その運営面でやっていくということではたして所期の目的が達成せられるかどうかということなんであります。特に、これも松永委員から指摘がありましたが、一体、中央防災会議でいろいろ基本計画な作ったりなんかするでありましょうが、しかも、その事務局というのは、二十五人か三十人程度だ、あるいは各省庁から二、三名ずつエキスパートが来るかもしれません。そういうことがあるにしても、いずれ二十五人か三十人で、あるいは他にまた、場合によったら専門委員というものを置くということも書かれてありますが、そういう人がかりにおっても、いわば常勤の者はわずかであって、そういうスタッフで、私は能がないという意味じゃなくて、能があっても、そういうわずかなスタッフで、決して何といいますか、運営の面におきましてもうまくいっているかどうかということを全体として目を配ってやっていけるかどうかということは、これは私は疑問だと思う。だからといって、何も人数をふやすだけが能じゃもちろんございませんけれども、ここにあるのは、いかにも防災会議のほんのいわば事務処理をするという程度のものにしかすぎないのじゃないかと思うのです。この法では、先ほど藤井局長から聞いた説明だけであれば、わずか小さな、課にも及ばないというようなそういう事務局で、集まってくるのは指定行政機関の長だ。長が一体どの程度のこまいことまでやっていけるかというと、これはちょっと、はなはだ失礼だけれども、あまり期待ができない。会議に行って、よしよしときめることはできるかもしれないけれども。ですからやはり私は単に運用の面でこれから実効を上げるように注意をしたい、こうおっしゃるけれども、それはこの法文からいってそう言わざるを得ないだけの話であって、私は、運用の面でも発足早々行き詰まるのじゃないか。あるいはペーパー・プランはできるかもしれませんよ。しかし、ほんとうに、何べんも申し上げますように、実効を上げるような、そういういわゆる災害対策というものが、はたして各省庁において期待されたような形に実行に移されていくかということに、私は非常に心配があると思うのです。私はこれはこういうものがあって、災害対策というものを遂行していかなければいかぬという、そういう前提に立ってものを考えて言っているつもりなんでありますが、そのためには、まだやはりこれじゃおざなりのものになってしまうのじゃないかという依然として心配があるわけですが、もう一度、これきりでやめますから、あらためて。
  59. 安井謙

    国務大臣安井謙君) おっしゃるとおりで、事務局に十分質的にいい人を置かなければならぬということも、これは十分考えられるのでありますが、これは何度も申し上げますように、防災会議自体あるいは事務局自体がほんとうにすべてのものを発案していくとか、あるいは計画の素案を作ってそれを会議の席上でいろいろ検討するということより、問題はむしろそれぞれ出てきております防災会議のメンバーである各省庁が、自分のところの所属の防災に関するあらゆる智のうから出た結論をそこに持ち寄って取りまとめをやっていくというふうに考えていきたい、一つの方法としては。それから大きな方向としては、それじゃ政治的に見ても、あるいは行政的に見ても、こういったようなものが必要じゃないかというものを出した場合に、その事務局自身が自分だけの力で作るというのではなくして、それはそれぞれの各省庁におろして、そこで十分案を練っていくというふうに現在の諸機構の制度をそのまま生かして、それをとにかく総合して常に前進の方向に持っていこう、こういうことで防災会議を置こうという意味でありますので、今これは松永委員からもしばしば御指摘いただきましたが、きちんとどれだけの能力とどれだけの権限を持ってどういう仕事ができるのだということになりますと、これはかなり幅の広いものになると言わざるを得ないのじゃないかと思うのであります。
  60. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ですから、ざっくばらんに言うと、私は松永さんや鈴木委員がおっしゃるように、そういう意図を持つ強力な基本法としての考え方でないのだ、この法案は。逆に言えば、この字づらで見たとおり、今の各省ばらばらのものをどこかで調整するために、法的に何かの措置をもったところに、各省庁から委員としてその長を集めて調整するだけのことなんだというふうに、逆に私はそう思う、ざっくばらんに。ただ問題は、さきに内閣総理大臣防災基本方針諮問する。それは案を示して諮問するのですか。それとも案なしにこれは作れというふうに諮問するのですか。その場合には、その基本方針省庁が作るものではないから、だれが作るのですか、これは。その原案になる、骨格になるものはだれが作るのですか。ここだけは聞いておきたい。
  61. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 防災基本方針というものにつきましては、おそらく諮問の形式——私どもはここできまったこととして申し上げるわけにも参りませんのですが、項目を少し具体的にするものの、態度としては、防災基本方針いかんというような格好で諮問がなされる、そういう筋合いのものであると考えております。そういたしますと、それを受けてだれが原案を作るのかということになると思うのでありますが、その場合には、やはり事務局長のところで総理大臣基本的な考え方の意を体して、しかも、各省からいろいろの各部門々々についての考え方というものを資料として集め、また現実に意見も聞いてそれらの上に立って取りまとめを行なうという格好にならざるを得ないのじゃないかと思っております。
  62. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 普通の行政審議機関では、専門委員のほかに各省の局長級を幹事として、そうして専門委員なり幹事役のところで素案ができるわけだが、この場合には、幹事はいない。だから局長のもとで行なわれるのだが、それもやっぱり各省のそれぞれの担当者に聞いて各省意見調整されて出てくることでしょう。各省庁がすっぱだかで議論する、そんなばかなことはないのだから。それで承認されたということになれば、今度は総理大臣はいち早く立場をかえて、会長になるわけだ。答申を受けた内閣総理大臣は今度は会長職に立ち返って、そうしてそれに基づいて基本計画を立てることになる。その基本計画は数字的なものまで入るのですか入らぬのですか。この防災基本計画の最も大事な点は、長期的な総合的な防災計画を樹立することになっておる。そうすると、これは資金的にも年次別には出ないだろうけれども、これだけの財政投資を持ち、これだけのことを根幹としてやらなければならぬ、こういうふうな計画になるのですか。やっぱり抽象的に何々とするものとするという列挙方式でこの基本計画というものが出てくるのですか。それいかんによってよほどこれは態度が違ってくる。私は、大蔵大臣指定行政機関の長もみな入っているところで、各省が結局最後にきめる防災業務計画というものがあるわけだが、めいめいが持っておる防災業務計画というものを立て得る可能性の範囲で各省庁が基本計画のほうに逆にものを言い出してくるのです。これは行政官庁のなわ張りなんですから、各省が土台にしてこれだけのものを砂防なら砂防にどうしたい、どうする、この際大蔵大臣からこの大ワクを認めさせておいたら都合がよいとなれば、それだけが基本計画のほうに各省庁から主張されてくるわけですが、話は逆なんです。基本計画が先にぽんと立って、それに従って各省業務計画を作るのではないか、実態は。業務計画ができる範囲、構想というものをみな腹の中において、その範囲で衝突しない点だけの基本計画が出てくる。今までの国土総合開発であれ、地域刑の開発の問題であれ、あらゆる行政審議会のそのやり方というものは、各省にまたがるものは全部それなんです。がんとして各省は言うことを聞かないですから、それと同じ形がこれにも出てくると思うのですね。そうだとすれば、松永さんがやはり心配されている点は、これはこれなりに生きるというためには、少なくとも防災基本計画というものは、財政資金まで、そういう計画までがきちんと載って現われてくるという形で、その次に防災業務計画というものが各省において行なわれる、その点については、大蔵大臣なり、大蔵省側のほうにおいても大綱は了承している、そういうものが閣議決定になっているのだ、金の裏づけのある、長期計画閣議決定になっているのだということでなければ、この業務計画はどんどん遂行されていくというまでにはいかないと思う。このことについては、大臣はそういうふうにやるのだと今言えますか。
  63. 安井謙

    国務大臣安井謙君) その防災基本計画を立てる際に、防災会議におきまして、そういったものをまず先に立てて、そうしてその範囲内で各省実施計画を立てるという延前であります。しかし、実際に動かします場合には、今の防災会議そのもののメンバーだけでは急にできるわけがない。それぞれがそれぞれの関係部門資料を持ち寄り、あるいはそれぞれの計画を持ち寄ることによって各方面からの検討が行なわれるということによって、各それぞれのセクションで考えておることを、それをさらに総合的に検討しておることの間に十分な調整ができて、そこで防災基本計画というものができ上がるであろうと思うのでありまして、それがはたしてとこまで予算を伴うといいますか、資金計画を伴った具体的な計画になるか、あるいはとりあえず治山治水の問題には、それじゃ建設省の持っているこの計画をさらにこういう程度に変更しようという形で現われてくるか、あるいはある程度まで抽象的な形でもう一回これを各省で自分の方針で新しく計画を立て直すという形で現われてくるか、これはいろいろな場合があると思うのであります。
  64. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いろいろな場合がある。だからこそ、どこかで長期の見通しを立てて総合的な基本計画を作るわけですから、国土開発であれ何であれ、そういうようなところの内閣に対する答申というものは、十カ年において財政資金これこれをこの部分に投入するということをきめていく、また現在治水でも治山でも、あるいは道路計画でも何カ年計画でどれだけの財政資金を投入する、そのワクはきめていく。そういうワクがないものが何で基本計画と言えます。それを今度は具体的に完全に実施するがための各省業務計画となって各省予算が、それぞれのその時期々々における財政資金のワクの中で各省責任で順次これを実現していくという方策をとらないで、ただ文章だけでこうするものとするというくらいで、どこに積極的にこれを推進していくという役割が果たせるか。少なくともこの法律が動くようになるならそこくらいまではやらなければ、さっきから言うとおり、ただ単なるから念仏になる。私は年次的に資金のワクをきめろということなら、それは大蔵省は財政法上からいっても応じますよ。けれども、資金量との見合いのない基本計画というものを、内閣総理大臣が会長で各省責任長官が集まっているところでできないだなんて言うことを初めから考えるなら、こんな法案やめた方がいい。でかすように努力するくらいのことは言わぬといかぬですよ。
  65. 安井謙

    国務大臣安井謙君) お説のとおりでありまして、そういうものをでかすように大いに努力をするし、また、その実現を期待して動くということであることは間違いないわけであります。ただ、たとえば治山治水というものを、治水を対象にして、たとえば建設省でできておる何カ年計画があると、それを今そのまま取り入れることもあれば、あるいはそれに修正を命じてやり直しをしてさらにいいものに直してくる場合もこれはあり得よう、こう思うのであります。
  66. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちょっと言葉を聞くのですが、「防災基本計画作成し、及びその実施を推進すること。」「非常災害に際し、緊急措置に関する計画作成し、及びその実施を推進すること。」、この「実施を推進する」という内容はどういうことですか、藤井さん。
  67. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 基本計画でもって申しますと、基本計画作成をされたその段階でその実施の状況はどうなっているかというような点につきまして報告を求めて、それがまだやれておらぬということであれば、その原因を探求して、原因を排除してさらに一歩前進するようにやらなければいかぬじゃないかというようなことでもってこれの推進をはかっていく。あるいは非常災害についても、緊急措置計画作成をやりまするとともに、その実施についても推進をはかっていくと。ただ単に計画作成ということだけでなくって、実施について常時関心を持ち責任を持ってその前進をはかって参るという責任を持っておるという意味でございます。
  68. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちょっと、話が中央防災会議ですけれども、当面しておることと離れまして、この中央防災会議は、内閣総理大臣が会長になるのですね。これは地方公共団体あるいは執行機関あるいは各行政の長、こういうものに対して、実施を推進するための公文を発する場合には、どういう人の、どういう役職の名前でそういう公文を出すのですか。
  69. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 中央防災会議会長何某ということです。
  70. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 現在でいえば、会長池田勇人、これで各行政機関の長に指示し、勧告し、指導し、助言する、こういうようなことがあるわけなんですね。
  71. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 権限のところでは、先刻申し上げておりまするように、指示勧告については、地方防災会議等に対して、その権能を行使するわけでございますが、その他資料提出なり協力を求めるという規定もあるわけでございまして、これは防災会議の活動として行なわれまする場合においては、御指摘のとおり、防災会議会長池田勇人というふうになるわけでございます。
  72. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 松永さんが内容質問に入られたので、私費閲することがちょっとここで困ったことがある。この法文に入る前に一つ質問したいことがある。この法文の提案説明を自治省大臣である安井さんが総理から任命されたという根拠はどこにあるのですか。  それから委員長にもお尋ねするが、この法案地方行政委員会に付託されたという根拠はどこにあるのですか。
  73. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) なぜ自治省でもってこの法案について説明に当たっておるかということについて……。
  74. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 自治省が説明などしているのじゃない。あなたは政府委員であって説明している。安井さんは国務大臣として説明しておる。
  75. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) その点を御説明を申し上げたいと思いますが、実は問題は二つあると思うのでありますが、一つは、組織面あるいは権限関係からの弁証でございますが、これは現在、自治省自体が国と地方公共団体との間の連絡調整ということを一般的に所管をする建前に相なっておるのであります。この災害対策というようなことは、各省各庁にそれぞれ事項別には関連を持つ重要な問題でございますけれども、これを総合的に防災という点から一括してやっていくということになりますると、都道府県自体、都道府県の各部というようなことだけではなくて、教育委員会関係も、警察の関係も全部に関連を持って参ります。そういう意味で国と地方公共団体との一般的な連絡調整ということから見まして、一番自治省が関連が深いのではないかという点があったわけでございます。そのほかに、御承知のように消防庁が外局としてございまして、この消防庁自体というものは、いわゆる水災、水による災害等を除きましては、火災のみならず、その他の一般的な災害防除ということに対して責任を持っておるわけでございます。そういう意味で自治省がこれを所管をするということが適当ではないかというふうに考えられたのでございます。  それからもう一つは、今の権限組織の点と関連してでございますが、本法案作成にあたりまして、自治省が従来からいろいろ検討も重ねて参っておりまして、その点、各省との間の連絡なり世話がかり、取りまとめの衝に当たって参りましたという事実上の問題もございまして、その二つの点から自治省が本法案作成についての取りまとめの中心になり、国会における答弁の衝に当たっておる、こういうことでございます。
  76. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 経過としては理解しましたが、自治省の権限外のことでないのですか。自治省というのは、あなたたち政府委員として答弁や説明に当たっているから私は黙っているけれども、法律ができて、自治省がこの法律を動かす所管省なんですか、総理府ですよ。自治省はそれは地方との連絡や何かはいろいろあるだろうけれども、この法に基づいて政令その他を出すのは総理府です。自治省はここで委員会の審議が終わったとたんに手が切れるのですよ、この法案から。そういう形の人が、いやしくも国会で責任をもって政府答弁でございます、説明でございますというのはおかしいじゃないか。もっときつく私は言いたいのだけれども、大臣がいるから……、おかしい。また、われわれ地方行政委員会は、総理府所管たるべき法案を審議の対象にする権限はない。   〔委員長退席、理事西田信一君着   席〕
  77. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 小笠原委員の純理論的なお話は、そういうことも言い得るかと思うのでありますが、事実問題として、この国会で法案を扱い、それからさらに、いろいろ法律の所管省になるという場合に、こういう例はよくあるのでございまして、たとえば選挙制度調査会を置きます場合に、これは総理府にやりましても、総理府がほとんど何ら自分のほうで実態的な仕事をやらなくて、実際は自治省がこれを扱っておるということで、これは進めていけばいろいろ議論はあろうかと思いますが、実務の振り分けの便宜上、そういうことに相なっておるのでございまして、格別の支障のない限り、ひとつお認めを願いたいものだと思います。
  78. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は、議長が直接委員会に付託した以上、不満に思っているが、審議は続けます。撤回せよとか、そういうめちゃくちゃなことを言うのではない。しかし、選挙制度調査会とかというようなそういう法文と違って、これは各省、各地方にまたがるいわゆる基本法なんだ。そういうものをわれわれ地方行政のその所管の範囲で、この全体について審議するだけのほんとうは権限は実際的にはないのだ、われわれのほうの立場でいうと。だから、われわれも越権的な審議まで委員会としてやらせられるということについて、逆にあなたたちのほうに迷惑だと言いたいのです。おそらくこれは各関係省庁から出て、国会審議をしなくちゃならぬことだ。しかし、私は審議の引き延ばしだと言われたくないから、そういうことを今主張するのではありません。しかし、少なくとも私のいうのは、自治省が手がけたものだし、だから、お前さんのほうでやりなさいというような形で、そんな形でこの法案が出されたということの経過からいえば、この法律が生きて働くにしても、われわれが所期するような、そういう実際的に強い働きをする法律にはならないのだ。各省がこれについて積極的な支持を与えているとは思われない。もしも与えているなら、支持しているところは積極的にこれを取り上げて、その提案のなわ張り争いくらいやっているはずなんです。何もそういうことがない。平々坦々たるものなんです。これでは私は、さっきから同僚委員が言うとおり、不十分なものがあるのではないかと心配するのです。さっきから藤井さんが言うとおり、局長に消防庁長官を置く。また法案提出するのに、自治省になった根拠として、消防は水防関係を扱うからだくらいのことでは、とんでもないことですよ、そんなことは。私は少なくとも、時間があるなら尋ねたいのだが、消防庁長官を局長にしていいのだという、だれがこんなことをきめたのだ。総理大臣自身が災害の復旧なり防災なり徹底的にやるのだ、自然災害からこの国土を守るのだという気魄、気概があるなら、一消防庁長官を局長にする、そんなことでほんとうに業務ができますか。各省との連絡調整なんかできますか。━━━━━━━━━実際的にそういう点が同僚委員としてみな不満なんですよ。われわれは支持したい。応援したい。もっといいものにしてもらいたい。だからまた松永さんのほうに余談になったから譲りますが、その消防庁長官を局長にしなければならない理論と根拠を示してもらいたい。
  79. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 今までの立案の過程においてそういうような話が出ておるということを、ざっくばらんに申し上げただけでございまして、この点は総理大臣も言明されておると聞いておりますが、まだこの局長に消防庁長官をもって充てるというようなことがむろん決定をしておるわけではございません。
  80. 松永忠二

    松永忠二君 また少しお尋ねしますが、この都道府県防災会議と市町村防災会議のほうに少し話を移すのですが、この都道府県防災会議委員構成組織を見ると、そこに出ているような組織ですが、これをまた実際のところ、一体事務局というのはどこに置くのですか。
  81. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) これは都道府県の条例でそれぞれ具体的にはきめられると思うのでありますが、現在の組織、機構というものを前提にいたしました場合においては、一つ考えられますのは、各県には防災を所管する課がございます。防災課というようなものを特に設けておるところもございます。そういう場合には、これの庶務というものが、それらの防災課系統の組織がこれに当たっていくということに相なるのではないかと思います。  それから第二の場合といたしましては、最近、各県におきましていろいろ広域行政なり、さらには各部にわたりまする企画連絡仕事なりというような仕事がふえて参っておりますので、これに対処いたしまするために、企画課とか、あるいは連絡室とかいったような制度をだんだんと作ってきております。あるいはこれを整備して部制にまで高めようというような動きのあるところも出て参っております。そういった場合におきましては、まさしくこの防災というような各部面に関係の多い仕事、その連絡調整を特にはかって参らなければならない仕事は、性質上それらの管理企画部面を担当いたしまする部課において所管をいたすことに相なろうかと考えております。
  82. 松永忠二

    松永忠二君 そういうことについては、政令で定める基準に従ってということで出ておるわけですが、今のお話では、いろいろな例をあげられたわけなんですが、そういうことを政令できちっときめていくというつもりなんですか、その点はどうなんですか。
  83. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 現在のところでは、各県いろいろ事情もございましょうし、こういう部課でもって所管をしろということまで具体的に政令で規定をするつもりは持っておりません。
  84. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、事務局も各都道府県ばらばらで適当にやればいいということになってくるような様子も出てくるわけなんですね。それで、個々の都道府県防災会議について感ずるところは、やはり一体この委員地方防災計画ができるのかどうか。われわれの感じとしては、緊急な防災の問題はこれで片づくだろう、こういうことで、しかし、ほんとうに基本計画に基づいて地方防災会議が作っていくということになれば、やはりこれでは十分できないではないかということを考えるわけなんですがね。事務局についても、明確に政令できめるというわけじゃないし、一体これだけの人員をそろえて、地方統一ある都道府県防災計画ができるということについては、やはりこの点も問題があるのではないかというふうに考えるのですが、この点はどうなんですか。
  85. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 中央段階におきまする防災基本計画と同じようなことであろうかと思うのでありますが、問題は、現在まで地域関係のある機関は、地方公共団体のみならず、いろいろあるわけでございまして、それらがいわばばらばらにやっておりましたものを、ここにひとつ連絡調整の場を求めて、これを中心にして基本計画に即応いたしました地域防災計画というものを作っていこうという試みをいたしておるわけでございます。で、構成員は、地方団体関係のみならず、国の地方行政機関等も入って参ります。また、それが入ると申しましても、当然こまかい資料等は部課に命じて、その系統でもって作成をさせ、また意見があれば、それを調整して、一応仕上がったものとして、それが会議にかけられてまとめられて参るものでございますので、私たちといたしましては、現在よりももう一歩進んだ総合的な計画性のある防災計画というものが作成されるということに相なることは確実ではないかというふうに考えております。
  86. 松永忠二

    松永忠二君 これはもうちょっとあとで、地方の一体計画と同じように少しからめてお聞きをいたしますが、市町村防災会議というのは、一体どういう構成で作るのですか。ここには別に明確になっておらないのですが、これはどうなんですか。
  87. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 市町村の場合におきましては、地元に関係のある国の出先機関等のある場合においては、むろんこれを含めて防災会議構成をやっていくことにいたしたい、かように考えております。ただ、小さい町村等におきまして、そのような機関等もない、いわば町村自体の力でもって一体的にそれぞれの機関というものを把握ができる総合的一体性というものは、町村長自体の指揮、区処によって十分達成できるといった場合におきましては、これはあえて防災会議を設置しなくても、従来の建前でいけるのではないか、かように考えておる次第であります。
  88. 松永忠二

    松永忠二君 大臣にお尋ねしますが、防災ということは、一体市町村を中心にして、そこに非常な責任を負わせて、総合調整をやるのがいいのか、それとも都道府県に中心を置いて総合調整をやるほうがいいかという点については、どういうふうにお考えになっておるのですか。
  89. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 現地の第一線という意味におきましては、市町村が第一線に立つわけだと思いますが、これを県を単位に総合調整して、相当有機的な——災害の規模にもよりますが、規模を通じて相当有機的な活動をするには、やはり県が実際上の統率者になるというような場合もあり得ると思います。
  90. 松永忠二

    松永忠二君 この法律では、市町村に非常な責任を負わせているわけですね。基礎的な地方公共団体としての市町村の責務ということを。で、第五条二項には、市町村に非常にたくさんないろんな責任を負わせているわけです。これについては、むしろ都道府県というものに責任を負わせて、都道府県が防災に関し直接責任を負って総合調整もするし、実施もしていくということのほうが、より一そうほんとうの意味でこれが行われていくのじゃないかということを考えるのですが、この点はどうなんですか。
  91. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 御説のとおりだと思いまして、今の地方防災会議の長は、御承知のとおり知事をもって充てる。でありまするから、ほんとうに総合的にいろいろな調整をやっていく上からは、これはやはり県単位のものになろうかと思います。ただ自治体の第一線という意味で個々の責任をとるのは、やはり市町村ということに重点を置いておりますが、運営からいえば、今の県単位に相当重点を置いておるというふうに考えていただいてけっこうだと思います。
  92. 松永忠二

    松永忠二君 この点については、やはり条文の上でいうと、やや問題があるというふうに私は思うのです。都道府県の責務、市町村の責務ということについては、こういう条文の規定はもう少し都道府県に責任を負わせていくべきではないか、ここで中心的な一つの作業をやらせていくことが必要ではないかということを考えるのですが、これは意見の違いもあると思うのです。そこで、私が今質問した中でも非常に重要な地方防災計画というものの実施計画を樹立をし、また、これを推進していく地方防災会議というもの、それからまた市町村は、市町村防災会議というもの、協議会を作れるわけですが、これについてもやはり中央防災会議と似たようなことが、中央防災会議ほどでもないけれども、中央防災会議と似たような欠陥がやはりあるのではないか。そういうことが、実は今度はやはりはね返って、防災業務計画なり、地域防災計画の上に出てきているのではないかということをわれわれは感じているわけなんですが、この点について少しお尋ねをしたいと思うのです。  そこで、まず各行政機関、つまり各省庁の作る防災業務計画というものについての問題でありますが、これは第三十七条に規定をしているわけですが、一体この各省庁が作る防災業務計画というものは、たとえば話の出ている治水治山の計画というものはこの防災計画の中に含まれるのですか。それはどうですか。
  93. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 基本計画の中には含まれるべきものと解釈しております。
  94. 松永忠二

    松永忠二君 そういうことになると、まあこれは小さいことですが、この一体条文のどこにそれが出ているのですか。この法律のどこに。
  95. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 第三条の(「国の責務)」のところに、「国は、……災害予防災害応急対策及び災害復旧基本となるべき計画作成し、」というふうに相なっておるのであります。で、ここで災害予防基本ということに相なって参りまするので、ここでまあ広く災害の未然防止という点も当然その対象として考えられるという建前をとっておるのであります。そのために、第八条に参りまして、第八条の第二項でございますが、災害の発生の予防あるいは災害の拡大を防止するために、次のようなことをやらなければならぬ。その中の一つの重要な項目といたしまして、「治山、治水その他の国土の保全に関する事項」ということを掲げておる次第でございます。
  96. 松永忠二

    松永忠二君 この具体的な防災業務計画というのはどこに出ているのですか。今言ったようなことはただ総括的なことですが、防災計画というのは規定しているのですが、どこのところにそれが出ているのですか。
  97. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 「所掌事務について、防災に関しとるべき措置」ということでございますので、具体的に言えば、建設省なら建設省というものが治山や、特に治水というような点については、当然その所掌事務に関して、防災に関しとるべき措置ということをここで定めることに相なるのでございます。
  98. 松永忠二

    松永忠二君 条文のどれでしょうか。
  99. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 三十七条の第一項、「所掌事務について、防災に関しとるべき措置」、この中に含まれるのであります。
  100. 松永忠二

    松永忠二君 どうもそういうところに含まれるということを説明できるのは、作った人なら説明できると思うのですが、防災業務計画は第三十五条に、防災基本計画とそれから防災業務計画防災計画について重点をおくべき事項は、おおむね次の各号に掲げるとおりとすると、ここに出ているのは業務計画内容ですが、この業務計画内容の中に、それを指摘できる事項はどこにあるのですか。
  101. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 根本的な治山治水その他の問題、あるいは「防災に関する総合的かつ長期的な計画」というのは、これはこの法案自体といたしましても非常に重要視いたしております。むしろそれが災害対策の今後の基本である。従来はその点が非常になおざりにされておるために、毎年毎年の災害というものが起こってきておるというようなひとつの意欲を表面に出しますための表現を考えておるつもりでございます。この三十四ページの三十五条の第二項に提げておりますものは、防災業務計画地域防災計画において重点をおくべき事項として、災害予防以下それぞれ細目にわたって書いておるのでございますが、個々の災害予防という問題は、むしろ災害が発生した場合に対処するための準備と申しますか、狭義の意味災害予防以下について、相当こう具体的に、項目も多いものでありますからして、注意的に列挙をいたしたのであります。国土の保全、治山治水というような点は、さらにもっと前提となる災害の未然防止という観点から重点をおいて考えることは当然の前提として考えておるのであります。
  102. 松永忠二

    松永忠二君 で、防災基本計画には第三十五条で明確に「防災に関する総合的かつ長期的な計画」ということを言っておるわけですね。ところが、その「防災業務計画及び地域防災計画において重点をおくべき事項」という「重点をおくべき事項」というようなことが書かれておるのにかかわらず、ここに国土保全とか、そういう関係のものがうたってないというようことについては、むしろあなたのおっしゃったようなことが理解できないじゃないですか。それだけ重要なものであるとすれば、防災業務計画というものには必ずそういうふうなものがなければできぬ、基本計画というものは。それはさっき話に出ているように、これを基本計画裏づけとしてそこへ持っていくということが非常に必要になってくる。それは防災業務計画において重点をおくべきものというものが、まことにどうも一番基本的なものをはずしているのじゃないか。「重点をおくべき事項は、おおむね次の各号」——第三十五条の2の「防災業務計画及び地域防災計画において重点をおくべき事項」を、基本計画からきめると書いてあるのだが、その基本計画が「重点をおくべき事項」と書いてある中にそれが落ちているとわれわれは考えるのですが、そういう点については、むしろ第三十七条に「所掌事務について、防災に関しとるべき措置」というようなそんな簡単な言葉で表現はできないし、やはり国土保全、そういう立場の基本計画を各防災業務計画が持っているということをもっと指摘をするほうが妥当だというふうに私たちは思うのですが、むしろあなたのおっしゃったようなことは、重要なら重要なほどこの点については、やはり明確にしておくべきじゃないかと思うのですが、この点どうですか。
  103. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) この点は、お話しになっておりまする点と私たち考え方を異にしているわけではございませんで、むしろやはり災害の未然防止対策、なかんずく治山治水その他の国土の保全に関して今後は重点をおいていって、一番いいことは災害自体をなくすこと、そこに国の施策というものをあらゆる面に集中していかなければならぬのじゃないか。そういうような点から第八条において、「防災上の配慮」ということでもってそれらの点を積極的に鮮明をするという方針をとったわけであります。ここに防災業務計画等において「重点をおくべき事項」として書いてございますのは、これの災害予防といっても、これはむしろ狭義の意味災害が発生をした場合に対処をいたしますための準備から始まりまして、さらに災害が起こった場合の救助その他の応急措置、さらには災害の復旧ということにつきましては、項目をいろいろ列挙いたしまして、ここに並べるという方策をとったのでありますが、治山治水その他の問題につきましては、むしろ前提条件として重点をおくべきことであり、これと若干時点を異にするのじゃないかというような立場から、これからははずしたわけでありますが、これは故意に抜いたとかいうことではなくて、それは当然の前提として計画自体に盛られていくべき筋合いのものであるという立場に立っている次第であります。
  104. 松永忠二

    松永忠二君 私たちから言わせると、ちょうど防災基本計画予算的な裏づけというようなものをある程度、今言うとおり年次計画ではなくて、総ワクの計画というものを、たとえばその中にうたえないとすれば、資料に入れなければできないとかいうようなことがあれば、さっきから話に出ている点も幾分理解もできる。今度防災業務計画の中に、それじゃ基本方針計画というものが明確にうたわれていくように措置されているかというと、そこにもそれが明確にならないで、事務的なむしろ何というのですか、緊急措置のようなものに非常にたくさんの項目をあけてやられているという点にも考えを持っているわけです。そういう批判ですね。それはひとつおのおの意見のあるところだと思うのです。私はそう思っている。そこで、第三十七条の防災業務計画は、さっき話が出てきておりますが、この各省の作る防災業務計画というものを調整をするということが非常に必要なことになってきている。各省の長が勝手に自分たち防災業務計画を実際は作って、今話に出ている、われわれは結果的にはこの防災業務計画を抽象化した基本方針ができてくるのではないかというようなお話が今小笠原委員からあったように、基本計画をどうしてきめるかと、こういう話のときに、基本方針いかんといったら、各省のものを吸収して作るというお話で、そうならば各省の長は自分のことにあまり触れない基本的なものだけをきめてもらえば差しつかえないと、こういう話になってくるのではないかという心配を実は持っているわけです。そこで、その各省の長の作る防災業務計画は、第三十七条の2にこういう言葉だけで書いてあるわけですがね、「指定行政機関の長は、防災業務計画作成及び実施にあたっては、他の指定行政機関の長が作成する防災業務計画との間に調整を図り、防災業務計画が一体的かつ有機的に作成され、及び実施されるように努めなければならない。」と、こういうように出ているので、ここが実は一番重要なところだと思うのですね、この2が。今後一体こういう程度のことでその防災業務計画調整ができるのか。努めなければならないとか、調整をはかるとかといってみたところが、別にこれを拘束する何らのあれはないわけです。ただ調整をはかり、努めなければならないという、こういうことで一体、今防災業務計画が各地ばらばらに実施されているそのこと自体に問題があると今言っているのに、その防災業務計画について立案する場合の法的な拘束力というやつをやっぱりここで規制していく必要があると思うのですが、これで一体できるのですかね。この点はどうですか。
  105. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 防災業務計画作成する前提といたしましては、まず防災基本計画に基づいてこれを作成をしていかなければならぬということを三十六条の一項で規定をいたしまするとともに、今御指摘のございましたように三十七条におきまして、他の指定行政機関の長が作成する業務計画との間の調整をはかって、防災業務計画が一体的かつ有機的に作成されていくように努めなければならぬという一つの目標というものを義務づけたわけであります。ただ、これでは力が弱いではないかというような御指摘の点もまあわかるわけでございまするが、ただ総合調整等について各省の見解が対立をしていると、それをただここで円滑にやるように努めなければならぬということでも話し合いが全然つかない場合には困るというような問題もございますので、その点につきましては、もう一つ措置考えておるわけでございます。それは、十一条の防災会議の所掌事務のところで、第三項に防災会議に対する諮問事項がございますが、この中の二番目に「防災に関する施策総合調整で重要なもの」と、どうしても話がつかない、あるいはあらかじめ総合調整をはかっておくことがよいと思われるものにつきましては、防災会議でもって基本的な方針諮問をして意見を求めておくという措置を講じますることによって、今のような点の心配をできるだけなくするようにあわせて配慮を加えておるつもりでございます。
  106. 松永忠二

    松永忠二君 そういうふうな御説明になればなるほど、この諮問に一体こたえ得るだけの中央防災会議組織があるのかないのかということにまた結論は戻っていくわけなんですね。だから、そういうところにありますというお話ならば、それにこたえるだけの組織があるのかどうか。組織で解決しないなら権限事項があるのかどうかと言っているわけなんです。権限はなくて組織があるというなら、それじゃやれる組織力かということをわれわれは指摘しているわけです。そういう点について、この法律権限を強化するなら権限でやっていく。そうして権限組織とかね合わせてやっていくということでなければとうていできないと思うわけだが、それを単に組織——今程度組織でそのことをこの条文に基づいてやっていくということが、一体できるかどうかというところに今の論議の中心があるように私たちは思うわけです。こういう点についても、防災業務計画の横の調整というものは一体どこでやるのかということになれば、さっきから話に出ている基本計画調整する以外にない。基本計画はそういうようなこまかい業務計画をもとにした、いわゆる総合的な案を盛ったものというわけでも別にないということになれば、結局各業務計画が一番中心になって、その業務計画の中で差しつかえのないものだけを基本計画に集めていくということによって、その程度ならこの機構でもできるというふうな批判を持っているので、こういう点についてはやはりどうもこの点は不十分ではないかというような気持を強く持っているわけなんです。
  107. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それにちょっと関連して。藤井さん、私ね、今の松永君の質問を聞いていると、私が当初質問したような防災基本計画をいうものに治山治水、砂防あるいは港湾なり、それらの基本的な災害復旧なり、あるいはそれらと関係なしにも防災的見地から長期的なそういう土木事業を行なっていくというようなことはない。基本計画には載らないのだというふうに私も考えざるを得ないようなんですがね。立案の過程にそういうことに重点を置いたとは考えられない。ということは、私は別の立場から質問しますがね、第三十六条、今御指摘になったように、各省の長が計画を作る。あるいは作った計画を検討し修正を加える、ときには修正する。それはいいです。二項になると、そうした場合には、「内閣総理大臣に報告し、並びに都道府県知事及び関係指定公共機関に通知するとともに、その要旨を公表しなければならない。」、これが防災計画なんです。こういう公表しなければならぬというものの中に、そんな砂防だとか港湾の事業だとかいうようなものの年度的な計画というものが載るわけはないと、私はその点はやはり松永君の言うたように、第三章防災計画の第三十五条二項にある当面の措置——事態が起こってきたら手ぎわよく消火でも、あるいは水防でも、あるいは人命救助でも、そういうようなことをあらかじめ計画したとおりやれる、そういう施設やあるいは人間やあるいは訓練や、こういうことを準備することが防災計画である。どうも都道府県の防災会議なり市町村の防災会議の中を見ると、実際的に災害が起こった場合の都道府県知事や市町村長のいろいろな動きというものが明細に規定されておる。これでは、それで見ると、やはりこれは自治省の所管の法案らしく、災害が起こってきたら、それに即応して直ちに災害を僅少に食いとめていかなければならぬ、そういう意味防災、こういうことに立案の趣旨があって、この基本法というものができたように思われるのですが、違いますか。
  108. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 現在の制度におきましては、御承知のように、たとえば災害の応急対策等につきましては、法律制度等はばらばらではございますけれども、一応できておるのであります。ただ、それについて一貫性を持たして参らなければならぬということと、なお足らざるところについては、これを補完する措置が必要であるということを建前といたしまして、この所要の措置を講じておる面がございます。なるほど問題が問題でございますために、応急の対策その他につきましては、現在の規定自体がかなり広範詳細にわたっておるのであります。そういう意味合いをもちまして、ここには災害予防から始めまして、応急対策等につきましてもかなり詳細な規定をいたしておりますことは事実でございます。しかしながら、この法案の根本的な考え方一つの大きな柱というものは、災害の未然防止ということに重点を置かなければならない。そもそも災害が起こってしまって、あとの措置について万全の対策を講ずるということも大事だけれども、災害自身というものをなくしていくということが大事であるという一つの大きな柱を立てておるつもりでございます。そういう意味で、国ないし地方団体が配慮すべき事項といたしまして、ただ単に消極的な、あるいは局部的な災害応急対策等にとどまらずして、災害ないし、あるいは災害防止に関する科学的な研究というようなものをさらに積極的に進めていく、治山治水その他の国土の保全に関する事項というものについても、重点を置いてやっていかなければならぬ、あるいは国、地方団体はあらゆる施策が、要するに防災災害対策という観点から、関連のある事項については、全部関連づけて考えていくように平素から用意しなければならぬ、そういう建前を貫こうといたしておる次第でございまして、御指摘の点につきましては、原案の作成過程におきましても、また、この原案が表現をいたしておりまする規定の形式から申しましても、災害の未然防止ということについても、大きな重点が置かれておるものと考えておるのであります。   〔理事西田信一君退席、委員長着   席〕
  109. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでここのところをはっきりしたいのですが、この法文でいう防災々々ということは、災害予防災害応急対策あるいは災害復旧、こういうことであって、あなたが言う災害を未然に防止するというととは入っていないのじゃないですか。
  110. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 二条に定義がございますが、との中で、二号で防災ということを定義いたしております。防災は広い考え方でございまして、災害の未然防止、災害が発生した場合における被害の拡大の防止及び災害の復旧ということに定義をいたしておる次第でございます。
  111. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから、定義をしていることはわかったが、この条文をずっと読んでいくと、災害の未然防止ということが中央防災会議なり、地方防災会議なりの当然の任務といいますか、そういうふうには書かれていないのじゃないかというふうに思うのです。もしも書かれておるとすれば、それは必ず各劣等における防災業務計画に、あるいは地方地方で大なり小なりにそういうものが出てこなければならぬと思うのです。もしも出てきたとすれば、それはさっき私指摘したように、修正されたりした場合には、公表し関係機関に通知しておかなくちゃならぬ。だから恒久的な災害を未然に防止する施策が、たとえば農林省における砂防、建設省における治山治水・そういう業務計画ができたら、それは各都道府県知事に通知される、公表される、そういうふうに扱うのですか。
  112. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 程度の問題はございます。たとえば先刻来お話の出ておりまする国土の保全等に関し、治山治水等の年次別の計画を詳細にやっていくというようなことは、あるいはむずかしいかもしれませんが、しかし、所管業務について、やはり災害の未然防止というような観点から立てられます計画につきましては、これはやはり防災業務計画に乗せて関係方面に通知すると、それは内容として含ませるべき建前でございます。
  113. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういう趣旨だということはわかりましたが、大臣、そのとおりですか、そうさせますか。
  114. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 予防という点を、防災という意味が、災害を未然に防止するという点を相当大きな柱に置いておることは、今政府委員説明のとおりです。
  115. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ですから、狭義の意味の、おおむね重要な事項はこれこれだということの前提として、ほんとうに長期的な恒久的な対策として、私が指摘したように治山治水から砂防から、あらゆる部面の国十保全、それらに関連して各省防災計画を発表する、公表する、そういうことをやっていただけるのですね。この点ははっきりしておいていただきたい。
  116. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) この規定に従って内閣総理大臣に報告し、あるいは要旨を公表するということの中には、治山治水等の防災、あるいは予防計画というものも当然含まれるものと解釈いたしております。
  117. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 ちょっと関連して。いわゆる災害の未然防止という問題ですが、さっきも私ちょっと申し上げましたが、これ一番大事だと思うのです。今、藤井局長も大事というような、大臣も当然重点的に考えているのだと、こういうお話なんですが、そこで、この法案なずっと見ていけば、あるいはいわゆる基本計画の中には当然そういうものは入ってくるだろうと思うのです。また入らなければならぬと思いますが、しかし、これは何べんもみんなが心配しているように、申し上げますが、ともかく早く災害を起こさないような方法をやってもらわなければならぬのです。何といっても起こった災害に対して緊急の対策を立てる、あるいは災害復旧仕事なする、これはまあいわば当然のことですが、それよりもむしろ災害が起こらないように、被害の出ないようなことにまず国の仕事として、あるいは地方団体仕事として早急にやられなければならぬと思うのです。現にある河川について毎年のように災害が起こると、堤防のかさ上げをし、補強することによってそれを防ぐことができるというのは、みんなわかっておっても、何年たってもそれが行なわれない。あるいは上流に砂防ダムを築くことによって流出を防ぐことができる、それによっても大きな効果があるということはわかっておっても、砂防のダムができない。場合によっては、大きなダムを作って洪水の調節をやらすということはわかっておっても、それができない。一体今度、こういう基本法ができて、基本計画が立てられる場合に、そういうことが促進されるという、今私が言ったようなことは当然早くやられなければならないという、そういうことが促進されるということなんですか、これはどうですか、その点は。
  118. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 当然促進される建前でございますし、促進されなければ意味をなさないことではないかと思っております。
  119. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 そうしますと、当然防災基本計画の中には、私はある程度松永委員の言われたこととちょっと違うかもしれないが、ある程度そのような計画を持たなければ、しかも、の裏づけを持ったものでないと、これは安心できないと思うのです。そうして事業に対するちゃんとした計画を持たれなければならないと思う。そこまでやっぱり私はいかないと、単に災害が起こってからの応急対策とか、あるいは来た場合にこうしなければならないという心がまえとか、あるいは水防関係のいろいろな準備とか、そういうことだけでは何も基本法を作らなくとも、もっと今の災害救助法なり、あるいは水防関係のそういうものをやることによって、私は今水害のことをひとつ申し上げておるのですが、それでできると思うのです。だから、あくまでもやはり基本法ができるということは、私は一番最初申し上げましたようなことによって災害がなくなるのだ、あっても最小限に食いとめて住民の不安をなくすのだということでなければならないと思うのです。これは大臣、あれですか、今、藤井さんはそういうことが中心でなければならない、こうおっしゃいましたが、これは法案を出すためには閣議決定を経ておることだし、政府としてほんとうにそういうことを、災害の未然防止といいますか、ほんとうの意味の予防、それに対して今後積極的にこれをやるのだというようなことについて、どの程度の確認なり態度決定がなされておりましょうか、ちょっとお聞きしたいと思う。
  120. 安井謙

    国務大臣安井謙君) お話のとおりに、防災というものが、予防と応急対策と事後措置という三つから成り立っておるということは、今御説明申し上げましたとおりであります。ところが、正直に申し上げまして、この法律案全体を通じて、ページ数の非常に多くの部分を占めているところは応急対策の面でございます。というのは、この法律を出します際に、最初に私が説明いたしましたように、それぞれの部門の当然やり得る機能については、できるだけそれぞれの各省機能、制度を尊重していくという立場から、あとはそれをいかに有効にフルに動かすかということだけを、この竜では予防の面を考えておるわけです。そこで、ここでは各省の担当すべき治山治水をどうするとか、砂防をどうするとか、高潮の堤防をどうするとかいうようなこと、あるいは国がどういう予算の取りきめをしなければならないかということについては、これは実は具体的に触れていないので、その点が委員の皆さん方から御批判の出るゆえんであることは私もよくわかるわけであります。しかし、一番大事なことは、さらに各省が非常に有効な施策法律をもって今までも相当やっている。しかし、それが各省ばらばらであるのだから、これを防災会議という形でまとめまして、そうして足らないところとか、矛盾しているところは、常にそこで注意を促して推進させていこう。それからばらばらになっているものはそこで総合調整をしていこうというところに大きなねらいがあるのでありまして、個々の各省の所管にわたる事項までここで規定するということになりますと、これは法律としての形をだいぶ根本的に考えなければならないという面があるので、今御指摘になりましたように、非常になまぬるい表現といいますか、何といいますか、非常に簡単に表現しておるという面もあることは事実なのであります。同様のことは事後の措置についても言えるのであります。改良復旧についても、これは単なる復旧でなくて、改良に努めなければならぬということは規定してあるわけであります。しかし、どういうふうにやるのかということは言っていない。そこで、一番スペースをとっているのは、何といっても地方団体の第一線が防災の応急対策をやります際のいろいろな施策について非常に事こまかに解いている。これは実際問題として、各省それぞれ各機関が現地でばらばら、消防は消防、教育は教育あるいは警察は警察、民生は民生、これが大体御承知のように縦の命令系統が一本になっておりませんので、そういうものを一本にまとめて、一体の運営を府県単位等を中心にしてやり得るように、しかし、それをやりますためには、既存の法律がたくさんありますから、それと抵触さしてはいかぬというので、いろいろなものをこうして並べて、非常に緻密といいますか、念の届いた表現がしてあるので、これをずっと通覧されますと、予防と応急対策と華後措置という三つの大きな柱でありながら、実際そういう面だけが非常に強く出ているように形式上はなっておることは、どうも私ども見て、もう少し何とかならぬものかという感じが実はしないではないのですが、こういう形式にまとめる以外に、今の取っかかりとしては方法がなかったということがほんとうの実情でもあります。しかし、予防の措置をやるにいたしましても、防災会議で相当各方面省庁それぞれの省の責任者がそこでさらに検討してきめるというわけでありますから、これは必ず生きて元の巣に帰ってくるという効果は、私非常に強く出てくるものだというふうに思っておるわけであります。そういう意味では予防措置にこの防災会議が非常に重点を置いておるということは、政府として責任を持って御答弁できると思うのであります。
  121. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私端的にもう一度お聞きしますが、今度こういう法案が作られるということに政府としては相当決意があったのではないかと思うのです。単に事務的に各省ばらばらになっておるものを、できるだけ調整し一本にまとめる、あるいは不足のものを補うというそういうことだけでなしに、災害対策ということに対して、本気になって取っ組むのだ、こういう決意があったのではないかと思うのです。しかし、あなたもお認めになっているように、ずっと読んでいった場合に、どうも僕らは不安になるところがある。端的にもう一度お聞きしますが、こういう法案を出し、政府が大きな決意をもってやるということは、基本的には災害の防除、防除というよりはむしろ未然にそれを防いでいく、こういうことに今後大いに力を入れてやっていくということであるというように理解をしたいのだし、あなたもそういうお答えをしておりますから、ここで間違いないかということを……。したがって、私は実は総理大臣にも来てもらいたかったのですが、それが一つ。  もう一つ心配なのは、具体的な例を申し上げますと、各省庁のいろいろな仕事の中に、非常に連絡の悪いといいますか、あるいは計画がちぐはぐになって、計画実施が一致しない、こういうことが従来しばしば指摘されておるわけです。現に、これは河川と道路の問題について申し上げますと、河川のかさ上げをやってきた、これはけっこうですが、そこに交差している道路と橋があって、橋は依然として低いままに堤防だけをやって、橋が場合によっては川の水をまともに受けて、それがたまたま木橋であるから流失する。流失するから下流にさらに害を及ぼす。復旧はやはり木橋だ、こういうことがあるわけですね。こういうような計画並びに実施上の不統一といいますか、各省てんでんばらばらなこういうことが、今度のこういう法ができ、地方の会なり、あるいは中央防災会議なりというものができて、そしてまた、それに基づいたところの実施計画というものができた場合に、これは私はやはり一日も早く解消すべきものだと思うが、そういうものに対してやはりうんと効果を期待していいんですか。私は端的に申し上げます。
  122. 安井謙

    国務大臣安井謙君) まさにそういう問題こそ、非常に効果を期待していただけると思うのであります。それは各省のそれぞれの責任者が集まって、防災という観点から、あらゆる各省の所官事項について批判もし合い、ものも言い合って、こういうことはいかぬじゃないかとか、あるいはこういうふうに直すべきじゃないかとかいうものを、実際問題としては、相談する会議になると思うんです。だから、そういったような各省が今それぞれの省庁間の責任においてやっておるというものを持ち寄って、そしてそれに対する忌憚ない意見や、やり方についての、何といいますか、修正をやっていくということがこの防災会議で相当私は期待できるものだと思っております。
  123. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 まあ簡単にそれは期待ができますかね。道路のほうからいえば、金がないからこの橋梁を新しくして、今言ったようにかさ上げに即応するようなことができないと、こう言う。河川のほうからいえば、これはまあ計画によってこうやってきたんだと、何年たっても直らないでしょう。私が申し上げましたのは、私はそのことを申し上げているので、実際にそういうところがあるんですね。これは今度これができれば、さっそくできるというふうには、私はちょっと心配でございますがね。だから、そういうことをやるためには、さっきの問題に戻りますが、よほど防災会議なり何なりというものがある程度の力を持たなければだめだと思うのですよ。
  124. 安井謙

    国務大臣安井謙君) そこがまあ今の、何度も申し上げますが、考え方の違いでありまして、たとえば今の鈴木さんの言われる堤防と橋の関係なら、これはまあ建設管内の問題ですね。ところが、別の機関があって、別の機関がそれを監督したり、意見を言うというふうな、機関に持ち上げて、これへぶつけていくんじゃ、今度は建設省の立場からはなかなかこれは解けないんですよ、実際問題としては。そうじゃなくて建設省からそういう係や建設大臣防災会議に出ていますね、それで建設省からこういう問題もあるじゃないか、どうだと、こういう議論が出てくれば、そういえばそうだということで、合意の上でこいつは持ち帰って直していくという効果は、私はこういう形式の防災会議に、より多く期待ができる。一つの庁あるいは省的な権限を与えて、各省権限にさらにそれをチェックするというやり方では、かえって現在の行政機構の能率は上がってこないと、まあこれは判断の相違で、皆さん、松永さんもさっきから御指摘になっておられるし、鈴木さんも言われておるので、私もたしかそういう考え方もあると思いますけれども、今の内閣の組織なり、行政の運営の仕方から見ると、むしろそうでなくて、それはそれぞれの権限でやり得ることにしておいて、しかも、そいつをさらによりいいものにまとめ、調整していく、必要によってはそれは今のような治山治水計画を含めてこれを予算化していくという作業も、その場合出る場合もあり得ると思うのです。そういうふうにしてかなり弾力を持った運営の仕方にしていっておいたほうが、私は防災一つの対象にして内閣全体が推進をしていく上から、より好もしいということで、まあこういう案に仕組んでおるわけであります。
  125. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して。賢明なる大臣ですから、あまりこれ以上言わぬのですが、聞かれるからあなたはそういう答弁をするので、実態上そういう具体的な個所的なことについてどうのこうのなどということをこの防災会議がやる建前でできているものではないと思います。私は少なくとも今当面、さっき大臣がおっしゃったように、応急的な対策としても、農林省が食糧を確保する、供給する、交通途絶の場合どうする、鉄道はどうする、通信途絶のときはどうする、衛生上のそれはどうする、どの地域にどういうことが起こったと仮定した場合には、どういう計画でやる、そういう当面の問題で総合調整することがもう軸の、重点とするところだと思うのですよ。もしも、私はさっきから何べんも言っているのだが、災害予防、それから災害応急対策、災害の復旧という三木の柱のうち、どうしてもこの法文全体を見れば、あなたも正直におっしゃっているように、後者の二つの部分にウエートがあるので、基本的な災害の予防という点については、本格的な取り組みの姿勢というものが、ほんとうはしっかり現われていないと私は思う。もしもその姿勢が現われるとするなら、今国土開発の全国計画というものを充実中だと思う。あるいは地域的の、私の県などでいうと北上の特定地域とか、あるいは北九州の特定地域とか、全部、二十カ所以上の特定地域で網を打って国土保全の、それは資金面も加えて検討されているものがある。その上に今度は東北開発とか、四国開発とか、そういう開発関係計画では、全部これは国土保全というものが最重点になって計画が載っておる。そういうものがあるなら、ほんとうに本格的にこれに取り組むなら、少なくとも各省国務大臣を集めて、総理大臣が長として会議を開くなら、その一体となって今国土開発を認否されておるそういう国土保全の計画をみんな集めて、つぶさにそれを検討して、そうして真に予防という措置から、国土保全という立場から、体系的な計画を立てられ、それに資金を裏づけしてこれを年次的に遂行していくという、そういう強力な施策をどうして防災基本計画でやらないか、それくらいの建前を私はとるべきだと思う。ないわけじゃない。全部あるのです。あるが、総合的に勘案した国土保全の施策があるにもかかわらず、現在は金がつかないがために計画計画の年次どおり遂行されていない。金さえつけばどんどんそれが遂行されて災害が未然に防げる。だから私はこれが基本法だというならば、少なくともそういうものまで持ち込んで、そうして防災基本計画というものを作るのだ、そういうことで今行政審議会その他がそれぞれやっているものを総合的にここへ吸い上げてくる場としてこれをお扱いになったらどうか、これは私の希望なんです。  藤井さんにお尋ねするが、この防災会議に出席を予定される各省の長はどういう人ですか、列挙してあげてもらいたい。それよりも閣員のうち入らないものはだれだということを言ってもらったほうが早い。
  126. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 今考えられるのは、外務大臣が入らないと思います。そのほかはみんな入る……。
  127. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうでしょう。そういうような防災会議というのは、閣議に準ずべき、日本の国の基本施策を立てるだけのスタッフですよ。それが応急の水防がどうだ、砂防がどうだ、衛生がどうだ、金がどうだという技術面の調整ということで問題を討議するのだというふうなんでは、基本法の名が泣く。少なくとも各省の長であり、各行政の責任者である、外務大臣を除きました全体が集まってやるというなら、そういう恒久的な国土保全の施策をやるんだ、これを計画として作るんだ、そうしてこれを実施を推進するんだ、各省の長は責任をもって自分の行政権限においてそれを実行するんだ、こういうふうなことが何かこの中に盛り込まれれば、明示されればどんなにいいかということ、資料がないわけじゃない。計画はぎっしりとある。どこの砂防には幾らの金をかけてやる、この河川水域にはこうこうこうやるのだと、みんな計画はある。それは自治省自身わかっておるはずです。そういうものを吸い上げてきて、こういうことをやるべきだ。やるのでなかったら、わざわざ忙がしいときに各省の長を、責任者を集めて閣議に準ずる会合をすべきじゃない。また別な意味からもお尋ねしますが、私はこういう会議を、それだけの国務大臣を集めて、総理大臣が会長としてやる行政組織に疑義を持っておるのです。国の行政の最高決定をする閣議と別に分かれて各大臣がそれぞれの行政の長としての、長官としての権限を持っておる者が、委員などといって集まって、外務大臣だけ除いて、そうしてそういうことをやる会議というものは、私はしろうとでわからぬけれども、国家行政組織の上から望ましいこととは私は思わぬ。従来なら行政の長たる長官国務大臣が何か委員会の長や何かやりますよ。しかし、複数でみんな集まって、一つの行政組織です、これは防災会議という。そういうものをやるというようなことは、私は、あの防衛会議ですか、ああいうものはこの種のものかと思いますけれども、一般こういう行政について私は考えられないと思うのです。それをしもなおかつ事務次官ではだめだ、各省の長でなければだめだというなら、各省の長でなければだめなだけの裏づけのある重い、高い、ほんとうの防災基本計画が立つような、国土保全というようなことがほんとうに眼目となり、計画的にそれが消化されるような立案あるいはその実施を促進する、こういう会議にしてもらいたいと思うのですね。私は意味は二つ申し上げた。行政組織上私はこういうものは望ましいとは思わぬ。しかし、やるとするなら、そのくらいの重いもの、高いものとしてこれが活用されるようにしたらどうかということなんです。
  128. 安井謙

    国務大臣安井謙君) お話の、たとえば国土総合開発やその他の現在防災の作用をすべき法律や制度や予算計画があるじゃないかという点は、まさにそのとおりで、したがって、三十八条におきましても、そういうものを列記して、これが防災の目的に沿うようにしなければならぬということをうたっておるわけであります。それから今言われますような、外務大臣をとりあえず除けば、あとは全部閣僚が網羅されるであろうと、こういう会議の形式がどうかと言われますが、これもなるほど、御意見としてはいろいろあろうと思いますが、今までそういう形式で防災といいますか、災害に対する対策に取っ組む機関がなかったわけなんです。それがてんでに勝手にやって、しかも、これはむろん閣議というものがあって、閣議でそれではそれをやればいいじゃないかという御議論がありますが、それがたまたま災害でも起こってくれば、それはそういうときに起こりますが、常時そういうものを対象にして閣議でやるわけにはいかない。しかも、その災害というものを、各省にまたがっておる防災の対策や、あるいは計画というものはありますから、わざわざ防災のためのそういう会議というものを起こして常時そういうものを一本にして対策を練っていくが、その中身は、それぞれ各省が持っているものを常にインプルーブしていくのだ、際問題としてはそうなるということを、私は非常に必要なことであろうと思うのであります。そういう意味で、具体的にはなかなか、防災会議がそれなら一つの非常に実力を持った事務機構を持ち、あるいは機構にすべきじゃないかという御議論に対しては、それぞれの各省が今権限を持っているので、それをみんなとってこなければならぬことになる。そうすると、それでは結局各省との間の連絡はむしろうまくいかない。だから、今まで防災というものを対象にして、各省が一木になってものを考えるという機構がないのですから、これをぜひこの際作ろう、政治的にいえばですね。で、一体内閣はそういうものを本気で考えているのかという鈴木さんの御質問にも当たるわけで、これは法文にするといろいろこういう形になりますが、今までばらばらになっているものを一木にする機構はないのだから、ひとつ一本にして、それぞれをインプルーブしていこうという考え方防災会議の目的はできております。それから、それについては国土総合開発法というものも、それ以下のものも三十八条であげているように、防災計画に矛盾しないようにやっていかなければならぬということをうたって、あるいは国土開発の計画は、そのままそっくり大部分が、ある場合には、防災会議基本計画として取り上げられるようになる場合もあり得ると思うのです。しかしそれは、そういうふうにして、できるだけ既存のものを生かしていこうということで考えているので、その趣旨から、私は今までなかったものが非常な前進になると思うのです。
  129. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それならどだいこの中央防災会議というものは、各省の長が持っておる権限をここに取り集める部分はないのですか、あるのですか。
  130. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 防災会議ができることによって、各省庁の権限をこちらに持ってくるという性質のものはございません。
  131. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もしもそういうものがないのだというなら、私はやはりおかしいと思うのです。基本計画と名がつこうが、何計画と名がつこうが、農林省なら農林省の食糧なり砂防なり、その他に関する計画についてここで決定される、あるいはまたその次の、非常災害に際し一時的に必要とする緊急措置の大綱を諮問する、内閣総理大臣がですよ。この行政組織に。あの、審議会のような機関じゃない。これは行政組織そのものですから、行政機関そのものですからぬ。それに諮問するのです。こんなことは閣議がやることで、諮問しなければ閣議決定できないようなものじゃない。これは国務大臣内閣総理大臣固有の権限です。諮問して初めてその緊急措置がきめられて云々ということではないかと思うのですね。私は同じ基本計画で、たとえば農林省所管、建設省所管、運輸省所管の港湾でもなんでもここに持ち込んで基本計画がきまるということになるなら、これは各省の長が来ているから、同意が与えられて、また閣議決定になっていってスムーズにそれは決定になるからいいものの、一つの行政組織として扱うのだから、諮問機関でないのだから、各省権限を実際とったものでないのだというなら、新しくここに権限が出たんですか。新しく生まれたものなんですか。
  132. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) その点は、防災会議自身は防災基本計画作成あるいは、今お話のございました、非常災害に際しての緊急措置に関する計画作成、それと内閣総理大臣諮問に応じて防災に関する重要事項の審議をやる、こういう事項権限として持つわけであります。
  133. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから、その権限というものがなかったら、防災会議がなければ、各省の長が持っておる権限じゃないのですか。
  134. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) そういう意味合いでございますれば、いわゆる防災基本計画業務計画というのは、この法律で初めて作り出そうとするものでございますけれども、そういうものでなくて、一般的に防災に関する計画を立てる、その実施に当たるというこでございますれば、それは各省長の本来の権限としてやり得る事項が当然入っておるわけでございます。その点につきまして、先刻来大臣からも、るるお話がございますように、関係各省の長というものが、防災という観点からお互いに連絡調整の場として、こういう機関を設け、こういう機関を通じて防災対策というものの完璧と円滑な実施を促進していこうというのがねらいでございます。
  135. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それならもう一度はっきり聞きますが、中央防災会議というのは、諮問機関であり、各行政の連絡調整機関である、そういうことですか。
  136. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 計画作成機関でもあり、また諮問機関でももあるということでございます。
  137. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 計画作成ということであれば、だから先ほどから言うとおり、各省が持っておる固有のそれを持ち寄ったものであろうというのです。そうでしょう。あなたは各省の長の権限は侵していないと言うけれども、一部それを持ち寄ってきているのでしょう、計画作成するという行政行為は。
  138. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 基本計画というものは、この法律でもって初めて想定し……、
  139. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 業務計画に触れないからいいのだ、基本計画だからいいのだという根拠はないのじゃないですか、みな行政ですよ。
  140. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) そういう意味で、潜在的には各省庁が持っておる権限であるといえば、そのとおりだと思います。内閣法の建前から申しましても、そのとおりであると思います。ただ、この法律自体で初めてそれを明文化して、これを各省連絡調整の場に供しようということになるわけでございます。
  141. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の申し上げるのは、それほど——まあこの問題は、またあとでやることになると思うのですが、それほど重要なものであるなら、なぜこういう回りくどい中央防災会議運営にしているのですか。内閣総理大臣が会長で、外務大臣を除いた閣員の組織で、そして内閣総理大臣が、内閣総理大臣たる会長職に対して、会の長とある機関に対して諮問を求める。そうすると答申を、内閣総理大臣たる会長が、内閣総理大臣に答申をする。そうすると内閣総理大臣は、内閣総理大臣たる会長の機関である。との防災会議基本方針なり、諮問事項に基づいた計画作成を命ずる、こういうようなことは、なぜこんなたてわけが出てきたんですか。
  142. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 小笠原委員がおっしゃるのは、何もそれだけの閣僚を網羅するとか、機関を網羅するのだから、閣議事項としてきめればいいじゃないか、何もこんな回りくどい防災会議を持つ必要はないのじゃないかということですが、これは実際問題として、そういうことも言えると思うのですが、大事なことは、それじゃ閣議でそれをやるものだとすれば、いろいろこういった、きめておくだけではなかなか防災災害対策というものを常に総合的に取り上げる機会がなくなるということなんです。そこで、防災会議という、防災というか、あるいは防災基本計画というものをほんとうに内閣全体、あるいは大部分の人が頭に入れて、常に検討して進めていかなければならぬというためには、やはり新しい一つの形式であるのであります。こういう形を置いたほうがいい。今まででもそれなら必要じゃないかというが、実際上はなかなかそういう機会に恵まれないし、できないということなんで、だから組織を、そういうように掘り下げていけばいろいろの問題があろうと思いますが、さらっと考えて、要するに防災というものに対して、各関係閣僚が常に討議をし、そうして関心を持って推し進めていく機会を……、これは今の法律の説明にはなりません。もともと考えついた趣旨は、そういうところに一つ重点があると考えていただけば、私はこの防災会議を設けるということは、非常に政治的にも意味がある、こう思うのですが。
  143. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その点は、そういう趣旨で了解します。だから皮肉な質問はしないし、したとしたらそれは取り消します。私の話は変えたと言ったのですから、なぜ変わってこういうことを聞いたかというと、外務大臣だけ除いた閣員の集まり、行政組織で、内閣総理大臣が会長になり仕事をするのに、内閣総理大臣がその機関諮問をするなんていう、こんな必要はないのじゃないか。思ったことを何でも閣議決定したらいいじゃないか。なぜ、こういう諮問事項計画作成事項というものとは分離したのか。なぜ、何の必要があってこういう分離をしたのですか。文章上、手続上からいえば、さっきも言いましたけれども、内閣総理大臣が、内閣総理大臣を会長にまず任命するでしょう、辞令を出す。関係閣僚を委員として辞令を出す。そうして防災会議が局長も含めて組織され、それへ内閣総理大臣が、内閣総理大臣が会長になっておるこの機関に対して諮問をする。諮問された内閣総理大臣が会長であるこの会議は、内閣総理大臣たる会長が主宰してその諮問事項を審議して内閣総理大臣に答申をする。自分が自分に答申するのだ。答申された自分は、また総理大臣として会長にそれに基づいて計画を作れと命ずる。命ぜられた内閣総理大臣たる会長が計画作成に当たり、できれば内閣総理大臣に報告する。よってもって内閣総理大臣は必要があれば、閣議にこれを諮る。どうしてこういう手続のごちゃごちゃしたことをおきめになったのか。根拠があるならばこれも教えてもらいたい。
  144. 安井謙

    国務大臣安井謙君) それは、そういうふうに分析していかれますと、非常にしちめんどうに見えるのですが、これは防災会議というものを法律的に置いて、おのおののきめ方をきめるという一応そういう形を法律的には手続としてとるのが体裁をなすゆえんと思うのであります。しかし、実際問題としては、今言われるような非常にしちめんどうな、言われたとおりのような、行ったり戻ったりするこの手続が行なわれるわけじゃないので、ただ形式上こういう形をとっているのは、ほかにも、私は直ちには思い当たりませんが、幾つも法制化するときの一つの形式としてはたくさんあると思うのです、こういう形式のものは。
  145. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そんなら今の大臣お話の部分を例示してもらいたい。私がなぜこういうことをしつこく聞いておるかといいますと、憲法なり、内閣法によって、内閣総理大臣が行政の長として一切の行政の責任を負うものがはっきりしているのです。それが、その責任を負う最高責任者が一部の責任を負う機関の長になっている、そんなことは行政組織の混淆でないかということをしろうと論として私は言うのです。だから、そういうことはないのだと、りっぱに憲法にも内閣法にも趣旨はちゃんとしているのだというふうにさえ教えてもらえば、私ははあ、そうですかということになるのです。
  146. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 現在の災害救助法には、御承知のように、中央災害救助対策協議会というのがございますが、これは会長が内閣総理大臣ということになっておりまして、大体まあ防災会議の場合と同じような建前になっておるのでございます。ただ、これについては……。
  147. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは行政組織ですか、協議会は。
  148. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 災害救助法の第四条です。これにつきましては、所掌事務は、情報の収集、それから救助その他緊急措置に関する各種の労務、施設、設備等の整備、備蓄等に関する計画の樹立、非常災害に際して救助その他緊急措置に関する労務等の調達、配分、輸送等に関する緊急計画を樹立すること、こういうふうになっておるのであります。
  149. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今例示されたものは、防災会議組織上、法律上同様のものですか。
  150. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 全く同じではございませんが、計画作成あるいは情報の収集等で中央防災会議と同様の性格を持ったものでございます。
  151. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういう形態を望ましいものだというふうにお考えになっていますか。かまわないのだという消極的な立場でお考えになっているのですか。
  152. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 大臣からも先刻来お話がございますように、災害対策基本法案建前自体が、各省庁はそのままにしておきまして、あるいは各所管の法律というようなものについては、根本的な変改を加えないという建前をもって、その前提計画化と総合化というものを推進をしていこういうねらいを持ったものでございます。しかもその場合に、やはり実効性が上がるものでなければならない。単なる諮問というようなことでありましては、これがよく指摘されまするように、聞きっぱなし、言いっぱなしというようなことになってしまっても困るわけでありまして、その点、実質上責任のございまする各省大臣というものが防災という見地から話し合いをします連絡調整の場を持っていく、そのためには、やはりこういう機構を設けることが最も適当ではないかというふうに考えた次第でございます。
  153. 赤松常子

    赤松常子君 たいへん時間もおそくなってあれですが、私しろうとでございますので、教えていただきながらお答え願いたいと思うのです。先ほどからいろいろ御質疑を伺ってみまして、私たいへん心配になっている次第でございまして、いろいろ今これを見て参りますと、この中央防災会議を総理府にお置きになるということが、非常に弱い、弱体の一点だと私は思うのです。それは各省と肩を並べているという、そういう建前になるのじゃないかと思うので、これは私のしろうと考えでございますが、そういう横の同じ権限を持っているとの会議から各省にいろいろ諮問したり、あるいは調査をしたり、協力を求めるという場合に、私は弱い拘束力しか持てないのではないか。で、私のお尋ねは、なぜ内閣直属に、こういう基本法というりっぱな名前のついている、内容は先ほどからいろいろおっしゃいましたように、お粗末で、いろいろ今までの法案を継ぎ合わせたということの御非難がございますが、しかし、災害国日本の汚名を返上して、日本の国土を恒久的に守っていくという、そういう恒久対策を作るお仕事をする機関が総理府に置かれるということは、私は非常に弱体だと思うのです。それで、なぜ内閣直属にできなかったかという、これはまた今の組織法でむずかしいとおっしゃれば、これはいたし方ないことでございますけれども、私はそういう点は非常に不満でございます。今申しますように、防災及び緊急の際に、非常に緊急を要する、あるいは即決を要する、こういう非常に行動を敏速にしなければならないという問題と対決するには、総理府にあるということよりも、その上の内閣直属になっていて、そしてもっと強制力と拘束力を持つ態勢がとられないものだろうか、この点が第一。  その次は、大臣、局長の御答弁の中に、必ずしもこれが万全ではないというような御意思を私少し付度いたしましたのでございますが、今までなかったこういう機関を、まずワン・ステップとしてこの程度で置いておくのだと、これからまたさらに発展し、充実したものを考えていくのだという将来の構想があってのワン・ステップでこれをお示しになったのか。この二点について、ちょっとお聞きしたいと思います。
  154. 安井謙

    国務大臣安井謙君) そういうふうな問題は、この内閣に置くという場合もあり得るし、あるいは総理府に置きましても、これは私便宜上の措置として実体にそう影響はあるまいと思いますが、もしそういったものの扱い方につきましては、局長からまた説明があろうと思います。  それから法律が、私は法律全体が必ずしも万全のものではないと、こう申し上げたので、今考えております防災会議という形式は、現在のところ、この形式が一番よかろうと、こういうふうに考えておるわけでございます。むろん、これはいろいろ実際をやってみました上で、いろいろな不便があるとかいうことはまた別で、むろん直すにやぶさかじゃございませんが、防災会議というものの形式はこの形式が一番よろしかろう、まあ法律全体につきましてまだもう少しはっきりしたほうがいいじゃないかというような御批判もほかにもあろうと思いますが、そういうような点で、何分新しい形の法律の発足でありまするから、万全じゃありませんし、現に衆議院で修正をいただきましたこの緊急事態の布告といったような内容も、十分御検討願うような余地もむろんあるかもしれません。そういう意味じゃ、むろん完全に、もう動かすべからざる、一行一句動かすべからざる法律というよりは、将来にわたってはまたいろいろ御示唆によって修正もしていくべきところもあろう、こういうふうに正直考えておるわけであります。
  155. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 補足的に申し上げますが、国防会議等のように、この中央防災会議というのも内閣直属にしてはどうかというのは一つの御意見だと思います。内輪のことを申してなんでございますが、立案の過程においては、そういう点を問題点としていろいろ研究した段階もあったのでございます。ただ内閣直属機関というのは、これはやはり最小限度ということになり、内閣内、インナー・キャビネットと申しますけれども、閣内の機関ということに相なります。この防災に関する各省のやっぱり連絡調整の場ということになりますと、それ自体やっぱり各省にまたがる問題でございますので、この調整はやはり総理大臣、総理府の最たる総理大臣権限ということに相なるわけでございますので、これもやはり総理府の機関ということにいたしたのでございます。ただ構成メンバーが各省大臣ということになりますので、まあこういうことを言っては他の附属機関なり審議機関諮問機関に対して失礼ではございますけれども、その比重なり重みというものがおのずから違うのではないかということで、あまりその点をこだわらなくても所期の目的は十分に達成できるのではあるまいかということで、本会議の置く場所というものを総理府ということにいたした経緯がございます。
  156. 赤松常子

    赤松常子君 内閣総理大臣性格、なるほどおっしゃいますように、行政府長官、長という性格もございます。けれどもまた、内閣というもののその機関の長であるという、こういうまた性格もお持ちでいらっしゃいます。ですから、この総理府の中に置くということでは、私今心配いたしますように、各省と同じ立場でありますね。それでなくて、内閣という、その内閣の長であるという性格の総理大臣のもとに、憲法調査会のごとく置いてもらったほうが、より強力で、拘束力を持ち、迅速、そうして何と申しましょうか、緊急事態に処すという場合に、たいへん便利ではないかと私は思う次第でございますのです。その辺のことをちょっともう一度おっしゃっていただいて、私もうこれでおしまいにいたします。
  157. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 確かに一つの御意見であるというふうに考えておるのでございます。ただ、内閣総理大臣自体もやはり各省連絡調整ということに当たるものでございますし、その権限を行使するということに関連をいたしまして、やはり附属機関といたしましては総理府に置くのが原則の建前上からも適当ではないかということになったのでございます。ただ、そのことで効果が全然期待されないということになりますれば、さらに一応現行制度上の被格の措置であってもあるいは考慮すべき点であったかも存じませんけれども、先刻申し上げましたように、構成のメンバーが各省大臣が入っているということでございまするので、その点、他の審議機関等と違って、十分にその目的が達成されるのではないかというふうに考えまして割り切った次第でございます。
  158. 小幡治和

    委員長小幡治和君) 午後七時まで休憩いたします。    午後六時二十五分休憩    ————・————    午後九時七分開会
  159. 小幡治和

    委員長小幡治和君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  ただいま委員異動がありましたので報告いたします。  本日付をもって津島壽一君が辞任され、その補欠として新谷寅三郎君が選任されました。
  160. 小幡治和

    委員長小幡治和君) 災害対策基本法案について質疑を続行いたします。
  161. 松永忠二

    松永忠二君 休憩の前の委員会でいろいろお話があったわけですが、いろいろ大臣意見も話されたわけですが、今話の出ている業務計画などについては、われわれの考え方によると、第三十八条でいろいろな各種の基本計画が実際あるわけです。で、実際にはこの基本計画を、各省計画をむしろこの際再検討するというような法律の規制があったほうがいいのではないか、つまりこの計画が、この基本計画業務計画に矛盾し、抵触するものであってはならないと、こういうことがあるけれども、非常にある意味では消極的だ、やはり基本計画業務計画実施するために、従来あるこの計画をむしろ再検討するという、そうして計画を作っていくという、もっと積極面があってもいいのではないかというような気持をわれわれとしては持つわけなんです。そういう点が非常に消極的だというのであって、しかも、こういうふうな計画はすでにある。問題は、この計画がばらばらになっているというところに問題があるし、それをむしろ調整をすることは今度できる、基本法を作ることによってできるんだ、そういう期待をむしろ持っているわけです。そういう点においては、前から言っているように、非常にわれわれの考えている面よりも消極的だという感じを強く持っているわけなんです。この点については、大臣はそれでいいんだというお話だけれども、われわれは長く政府基本法を作る、自民党の岸内閣以来からの宿題であるこの問題を解決するとすれば、そういうふうな問題はこの際解決されているという期待を持っているわけなんで、今あるいろいろな計画とか、あるいは行政の機関をフルに動かして、その間にそれを調整するということだけではなくて、一つ計画に基づいて各機関が少なくもフルに活動するということのほうが、そういうことをむしろ望んでいるのではないか。大臣の言われているようなことも一つ考え方だけれども、そういうものよりもより以上の期待を実は国民も持っているのじゃないかということはわれわれは指摘をしているわけです。それにこたえるだけの法案ではないではないかということがわれわれの考え方だと思っているわけなんです。そういう点ではやはり少し差があるという感じを強くするわけです。この点は基本的な問題ですが、この都道府県と市町村の防災計画について、第四十条とか、あるいは四十一条等にきめられているわけなんですが、特にその四十四ページの二にあるように、「都道府県の地域に係る防災施設の新設又は改良、」というような、そういうことは、そのこと自体これは都道府県ででき得る権限ではないではないか。こういう内容は現実の問題として上級の団体が上の機関権限を持っているものじゃないか。こういう新設とか改良ということを都道府県の地域防災計画に入れることができ、あるいは特に市町村の防災計画にそれを入れることができるということになると、これは上級機関とどういう一体関係がそこで考えられているのかどうか、この点はどうなんですか。
  162. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 都道府県の防災会議作成をいたしまする地域防災計画の中には、単に都道府県あるいは都道府県知事の権限でやれる事項、それだけに限定をするということでは、いわゆる総合性というものが期待されないというところから、実は防災会議自身につきましても、国の出先機関あるいは公共機関等にそれぞれ入ってもらって、ここでもって計画作成し検討していくということにいたしているのでありまして、ねらいは、今お話のございましたように、都道府県だけがやれる事項に限定するということでは所期の目的が達成せられないということで、当該都道府県の区域にかかわる問題でございますれば、それぞれ分担をきめまして、国の部面においてやるべき仕事、あるいは都道府県あるいはその他の公共機関が分担に応じてこの計画の中に盛り込んでいくと、そういう配慮をいたしたつもりでございます。
  163. 松永忠二

    松永忠二君 そういうことを市町村防災計画に織り込まれていくためには、市町村防災計画組織というものが当然考えられなければいけないわけですね。この点はどうなんですか。
  164. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 市町村の段階でも国の出先機関等の関連がありますものにつきましては、防災会議構成員に入っていただくということでございます。ただ全然出先機関等がないものにつきましては、市町村自体でもってやれる部面が多いということになります。わざわざ組織としての市町村防災会議というものを作る必要はないのではないかということで、こういう建前にいたしているわけでございますけれども、しかし、市町村の区域にかかわる施設でございまするならば、その点は市町村の権限に属する事項のみならず、その他の事項につきましても、この中に規定をいたしていく、それの基本になりますものが基本計画なり、あるいは都道府県の計画というものと矛盾抵触ということになりますると困りますけれども、その精神にのっとりまして、市町村防災計画の中にも、単に市町村独自の権限でやれるもの以上に関係のある事項について規定をしていく、それをも包含していく、そういう建前をとっているのでございます。
  165. 松永忠二

    松永忠二君 都道府県防災計画については、まあ一応そういうことはこの法律の面でもうたってあるわけだけれども、市町村の防災計画を作る場合に、その市町村施設の新設とか改良という問題は、これはもう市町村に関係することよりも、むしろこれは都道府県に関係することということになる。あるいは国に関係するということになるわけです。そうすると、一々その市町村防災計画を立てる場合には、それらの市町村にその関係の者が委員として入っていくということを考えておられるのですか。
  166. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 必ずしも関係のあることをやるために全部委員に入るということは考えておりません。ただ、それらの点につきましては、市町村防災会議におきまして、市町村防災計画作成をいたしまする場合におきましては、あらかじめ知事に協議をしていただく、そうして知事自体もその協議に応ずるという場合におきましては、都道府県の防災会議意見を聞かなければならぬということにいたしておるのでありまして、その間おのずから計画作成の面にあたりまして調整が行なわれていくということを期待をいたしておるわけであります。
  167. 松永忠二

    松永忠二君 その上の段階はいいわけですが、市町村防災計画を各市町村が立てると、その場合にその市町村にある国家の関係の事業、それから府県関係の事業の改良とか新設というものをつまり計画していなければ、地方防災計画というものはできないわけでしょう。そうですね。つまり市の防災計画を立てていくのには、当然市の中にある事業というものについてのいわゆる新設とか、あるいは改良ということがその計画の中に入っていくべきである。そうなれば国や市町村の関係の人が委員に入っていなければ、実は市町村防災計画というのはできないわけですね。つまりここにあるところを見てみると、「当該市町村の地域に係る防災施設の新設又は改良」というようなことについて事項別の計画を立てると書いてあるでしょう。また都道府県や国に関係する計画についても、新設、改良という、市町村にある限りはそれが含まれてあるようにここにちゃんと計画されているわけです。そうなってくると、そういう市町村の防災計画を樹立するにあたって、一体国や都道府県の人が委員としてこの計画の中に、防災会議に私は入ってくるということができるのかどうか、そんなことをやるだけのつまり一体人員というものがあるのかどうか、こういう点については、事実上不可能じゃないかということも考えられるわけですね。だから、こういう点は都道府県についても言えることだけれども、まあ都道府県は大きいわけですから、これは何とかやっていけると思うのですよ。しかし、市町村となると、これは非常にたくさんな数だ。しかも、その市町村の防災計画には市町村内にある防災施設の改良とか、あるいは新設というものが含まれる。新設や改良というのは市町村の独自の権限じゃできないわけでしょう。また、そんな計画を独自に立ててみたところが、それが都道府県や国で認められていなければ何にもならないということになるわけです。ただプランにすぎないということになる。実際的なものを作ろうというならば、当然市町村や都道府県や国の人を委員としてまじえて計画を立てなければならない、そういうことは、事実上その可能なだけの一体府県や国には用意があるのかどうか、そういう点はどういうふうに考えておられるのか。
  168. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 今御指摘になりましたように、市町村防災会議に国の関係やら一およそ国でもってやるべきことであれば、国の機関が入ってこなければならない、あるいは都道府県においてやるべきものについては、都道府県の関係職員が入らなければならぬということになって参りますと、これは事実上そういう要員もございません。三千五百の市町村にそういうようなことは事実上できがたかろうと思うのであります。おのずからその場合においては、市においても、大きい市等におきまして、そこに出先機関等があるといったようなものは当然入っていただくわけでございますけれども、その他のものについては、全部が全部防災会議にそういうものが入っていただくということは事実上できがたいということに相なろうかと思うのであります。したがいまして、市町村の防災計画というものの対象になって参りまするものは、独自で、自分でやっていけるものはこれはむろん問題ございませんけれども、そのほかに国でもってやってもらいたい、あるいは県でもつてやらなければならぬという事項につきましても、計画の中にはむろん入るわけでございますけれども、その間、これはただ単に要望事項で終わってしまったのではつまらぬではないか、ただ単なる計画として、陳情みたいなものになってしまうのでは、これまたおもしろくないのじゃないかということに相なろうかと思うのであります。そこで、実際上の問題といたしましては、私たちはかように考えておるのであります。すなわち都道府県の防災計画というものは、建前といたしましては、市町村防災計画はこれに順応していかなければならぬということになりますけれども、実際問題といたしましては、市町村防災会議でもって防災計画の素案というものを作っていく、で、これを知事にあらかじめ協議をしていただく、その段階でもって、県の立場でもって都道府県全体の防災計画をどういうふうにやっていくかという調整がついて、そこで、都道府県防災計画というものができ上がってき、それに照応して市町村の防災計画というものも即応した調整が行なわれていく、そういうことに実際問題としてやって参りますることによって、おのずから都道府県防災計画と市町村防災計画の間には調和がとれて参るのじゃないか、かように考えておるのでございます。
  169. 松永忠二

    松永忠二君 今度その上を考えてみると、都道府県防災計画業務計画を受けていく、業務計画基本計画を受けていくんだと、こういう話ですね。言葉ではそれは私はできると思うのですよ、言葉では。そうなると基本計画というものには、末端にまで、市町村を含んだ基礎的な事業にまでちゃんと計画を持った基本計画がなければ、どこかにそういうものがない限りは、地方防災計画もできないということですよ。都道府県、市町村防災事業もできないということですよ。だから、あなたのおっしゃるようなそれだけの段階をもって確認をされた計画ができるというならば、実は基本計画そのものを、業務計画そのものを明確にそういうものだということを裏づけ組織と、あるいは条文というものがそこにないと、結局はあなたのおっしゃることは、言葉ではできると思うのですけれども、具体的にそれがそうなれば地方の市町村防災計画は都道府県のを見てやるのだ、都道府県のをきめるときには、業務計画を見てやるんだ、業務計画を見るときは基本計画を見るんだ、一体、基本計画業務計画の中には下からちゃんと積み上げたものを作っていくということがなければ、一体市町村、都道府県ばらばらの各業務計画地方行政機関のあるものをどうしてまとめて業務計画の横の連関をはかっていくかということになってくると、言葉ではまことにうまくいっておっても、実際は非常にむずかしい。むずかしいことをやろうというならまた理屈は元へ戻るのですが、それならそれらしく、たとえば基本計画なり業務計画というものが横で連絡するちゃんと法律的な根拠がそこにあるというならわかるのですがね。そういうことになって、結果的には、それはまあ言っておるだけということになるということになると思うのですがね。この点は一体どういったその辺に調整がとれて、うまくいくという見込みなんですか。
  170. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 防災計画の中で今お話に出ておりますような防災施設の新設または改良というような施設関係になって参りますると、先刻申し上げたような実際上の調整措置というものを講じて参らなければ、単なる要望事項になってみたり、あるいは相互にちぐはぐが起きてみたりというようなことに相なってくると思うのであります。ただそれらにつきましては、したがいまして、都道府県防災計画というものを作る際においても、市町村のほうの意向というものを積み上げて参りまして、それとの調整あるいは国との調整というものをはかることが事実上必要になって参ると思うのであります。ただ防災計画は、そのような予防的な問題というものは、これまた一つの重要な柱でございますけれども、そのほかもっと直接的な災害予防なり、あるいは災害の応急対策なりという問題も出るわけでございまして、これらにつきましては、それぞれの市町村が現地の処理というものを第一線機関としてになっていくという建前に相なっておるわけでございます。そういう意味合いをもちまして、現在も、たとえば救助ということになりますると、救助計画といったようなものはそれぞれ県でもって作っておりまするし、あるいは水防計画というようなことになりますれば、それぞれ市町村の水防事務組合なり予防組合というようなもので立てている。あるいは消防については、市町村が主体になって消防計画を実際に立てておるわけであります。これが完璧に動いているかどうかということは別問題といたしまして、そのような制度の建前でもって実際の運用がなされて大過なく行なわれてきております。そういったものをひっくるめまして、この業務計画の中に、防災計画の中に盛り込んでいくということに相なって参りまするので、そう調整をとって参ること自体が困難なことでもないのではないか、かように考えております。その計画を立てた上で、いろいろ計面上の不足のあるものにつきましては、他の市町村に対する応援、その他の要請の問題も織り込んでいくというようなことに相なって参りまして、全体としての調整というものがおのずからはかられて参るのではないかと考えております。ただお話しになりましたように、そうこれは簡単に、この法律ができたからといってすぐでき上がるものではございません。かなりのやはり準備と検討をいたしまして、現地に実際に動くような体制の準備でなければ、これは計画倒れになってしまって実効が上がらないわけでございますので、そういった点を十分に配慮しながら、現実の指導面につきましてはよく検討を加えていく必要はあろうかと思っております。
  171. 松永忠二

    松永忠二君 あなたのおっしゃったことの、あとで言われたことについては、あるいはそういうことは少しはできるかもしれぬですがね。しかし、まあ大臣にもお尋ねをしたいのですが、一体、防災基本計画が強く要望されている点は、どっちのほうに一体重点があるというようにお考えになっておるのですか。
  172. 安井謙

    国務大臣安井謙君) これはまあ先ほども御質問でお答えしたと思うのでありますが、この基本計画につきましても、やはりこれは予防と応急対策、事後措置というものをそれぞれの分野で考えていかねばなるまいと思っております。
  173. 松永忠二

    松永忠二君 そういう点については、応急の対策とかいうようなものについては、ある程度これでできるかもしれぬですね。しかし、その予防とか復旧ということになれば、特にその予防というようなことになってくると、改良とか、あるいは新設とかいうようなことになってくると、これでは動きにくいというようなことは、まあ当然わかると思うのです。
  174. 安井謙

    国務大臣安井謙君) そのとおりでありまして、この法律自体、そういった予防そのものを具体的に動かす、あるいは改良復旧というものを具体的にこの法律がそのまま何かを命じてやらせるという形にはまあなってないわけです。したがいまして、先ほども申し上げましたように、予防として必要な事柄を取り上げて、それぞれの主管官庁にやらせるというようにむしろ仕向けていくということに重点がありますので、この法律で具体的にそういったものをそれぞれに規定していないということになろうかと思います。
  175. 松永忠二

    松永忠二君 まあいろいろな角度で言っているわけですが、そういうことは必要だけれどもできないのかどうか。必要なら、われわれからいえば、そういうことをこういうものできめてもらいたいというような気持を持っているわけなんです。だから、総理大臣も言っているような、完全なものではない。それからまあ、大臣もそういうことを言われているのだが、今即時にそれはできないとしても、そういうことは必要だと考えておられるのか。大臣の答弁では、いや、この法律はそういう法律じゃないんだという言い方をしているわけですね。だから、われわれは基本法というなら・そういう法律でないというのはおかしいじゃないかと言っているわけですよね。連絡調整法という法律なら別ですよ。災害基本法と言っているのに、その基本法の中にその応急と復旧と予防だと、こう言っているのに、応急はできるけれども、予防やあれはどうもうまい工合にいかない、ただ、あるものを鞭撻するだけだというけれども、言葉で鞭撻といっても実際にはどれくらいかわからない。だから、今の行政機構の権限の中では容易なことではないけれども、とにかく、当然基本法として備えるべきものとしては、予防とか復旧というものについても、やはりそういうふうな実行できる計画を作り、この法律でやれるという、現実に施行するのは各関連の法律としても、そういうことをできるものが基本法としてはねらわなければできないものだと考えているのか。どうも大臣の答弁を聞くと、基本法はこれでいいのだという言い方をされているから、われわれは、いろいろな角度から、これじゃ困る、これじゃ困ると、こう言っている。だから、複雑な今の行政機構の中ですぼっと割り切れるものがあるなら、とっくに法律はできていると思う。しかし、なかなかそうじゃない。しかし、その中でも工夫しながら今調整をしようとしているし、将来、ある時期においては、われわれの期待するような方向に持っていってもらえるのではないか、そういうことを考えているのではないかということになれば、不備な点があったとしても、われわれとしては、まあ不満足ながら、ここにも項目もあることだから、今後の充実をはかるということでわかるわけですが、どうも大臣の答弁の仕方は、そういうふうなことに触れない。それだから、ややこしくあっちこっちと、これもそうじゃないか、これもそうじゃないかと、われわれはただ指摘しておるわけです。その点をお聞かせを願いたいのです。
  176. 安井謙

    国務大臣安井謙君) おっしゃる意味はよくわかるのでありますが、これは先ほども言いましたように、もっと端的な言い方をすれば、防災庁なり防災省という形のものまで整えれば、御所望の——御所望といいますか、御指摘の比較的もののはっきりしたものができると思うのであります。しかし、そういう形をとるというところまでいくと、これは今日の全体の行政機構の中じゃ、かえって非能率なものになるのじゃないか、実際運営していく場合には。それよりは、現在ある組織と、現在ある機能をフルに働かせる作用を防災会議が持つほうがいいのじゃないか。しかし、その持ち方につきましては、いろいろ今御指摘がありましたような点は、私は、これは百二十パーセント十分であるというふうには、必ずしも申さないわけであります。そういう点では、またこれは実際の運営に当たってみていろいろ修正をしなければならぬ点もあるいはあろうかと思っております。そういう意味での今後の修正なり、あるいは改正というようなものもやらなければならぬので、これが完全無欠であるとは決して申しませんが、ただ、今、一面から言われるような形の防災庁なり防災省を作ってまでいく、極端に詰めていけばですね、そういうような形のものには、今の防災会議は持っていくつもりはないという意味では、こういう立て方で考え方としてはやっておるので、その意味じゃこれでもいいのだというふうに申し上げるわけであります。
  177. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 関連して。防災庁とか防災省とか、そんなものを作らぬでも、この防災会議で各実施官庁にそれぞれ閣議決定にまで持ち込む案でいろいろ資金的な裏づけのある計画を立てたりやらせることができる。だから、何も一挙にそういうことだけを一方的に主張しておるわけではない。ただ、これだけでは、さっき言ったように、予防ということがあまりにも表面から見えないから問題にしておる。ところが、この議論、何ぼしていてもどうもうまくないから、私は聞きたいのですが、附則で「この法律は、公布の日から起算して一年をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。」とあるね。いつからやるつもりでおるのですか。このほうを聞いたほうが早道だ。こっちも無駄が省ける。
  178. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 一年以内で政令の定める日から、ということに相なっておるのでありますが、この問題につきましては、なお関係法令で整理を要する点がございます。それと中央防災会議なり地方防災会議構成、あるいは構成ができましたあとの運営の仕方等についても準備が要るわけでございます。しかし、一面におきましては、なるべくこれは事柄が事柄でございますので、早くやりたい、できるだけ早目に実施をしていかないと、また来年のことにもならないということにもなりますので、結論的に申せば、私たちの現在の気持といたしましては、来年度から早ければ実施をいたしたい、おそくても六月あたりからはこれを実施に移して参りたい、このように考えておる次第でございます。
  179. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでよくわかったので、そうだとすれば、この法案はこの国会で上げなくてもいいね。
  180. 安井謙

    国務大臣安井謙君) そうはいかぬのだ。
  181. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ということは、これを上げると不都合な部分を私、申し上げたい。この第八章を衆議院段階で修正削除した。しかしながら、第八章の題目は残しておる。で、条項の数字的な整理はしないで、中身だけごそっと取っておるわけだね。取って、そして参議院のほうには、まあこれはあとなんです。私たち衆議院のほうでやりましょう、次に。だから、参議院さん、あなたのほうは、こんなことを論議しないで、その他のところだけ論議して通しなさい、こういうことなんだ、これは。ところが、これは施行もされないうちに、次の通常国会で、衆議院のほうでは修正案を出すというわけにはいかぬですよ。施行されない法律を、どういうものなんだろうね。私はしろうとでわからぬ。公布されない、生きて働かない法律を修正する。修正していいというなら、それはいよいよもって参議院軽視だ。衆議院はふらちだ。そのことの手伝いをするために、行政府は一生懸命成立させろ成立させろというんなら、私はどうも不満です。もうまるきりこれは第八章がなくなって、全文はこれだけですよということならこれは通す。そして衆議院なり、参議院なり、あるいは政府なりがみずから修正提案してくることはいい。ところが、ごそっと引き抜いたのを、公布もされない前にそれをまたはめ込む。法律修正を政府なり衆議院段階で考えてくるということなら、われわれは、参議院は、そういうことが予想されながらも法律案を通すなんという、そんなめちゃくちゃなことはできない、そういう予想されたものを。形式上八章が残っておるから。八章が消えていてこれだけですということなら、形式上もわれわれは、ああそうですか、で通しても何でもないけれども、みすみす穴になっておって、それはどなたかよそのほうではめ込むのだと、こういう法律審議ということは、今までのうちにありますか。それは衆議院の方に申してははなはだ恐縮だが、衆議院と政府側とにおいて、あまりに安易な手続をもって、参議院に、事いやしくも法になるものをよこしたというふうに私は思われる。これはどう措置しようとしたのか。まあ聞きようによれば賛成しないわけのものでもない。よく説明してもらいたい。
  182. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 最初の、実施の時期が四月なり六月になるというのなら何もあわてることないじゃないかという一つの御意見もおありであろうかと思うのでありますが、これはこの中にもあるように、この法律を通すことによって、国の責任なり地方団体責任も明らかにするとか、いろいろ対象をきめまして、従来の災害ごとに起こっておる特別立法といったようなものも基本化する。その基本化する時期は、次の国会を目途にやっていこうと、こういうようなつもりもありますので、そういうようなものに間に合わすためには、ぜひこの際、この法律を通していただいて、できるだけ来年の災害に間に合うような、少しでもいいものを準備をこの次の通常国会を通じてしたい、こういう意図もあって、これはひとつぜひこの国会で通していただきたい、こういう考え方一つあるわけです。   〔委員長退席、理事西田信一君着席〕 それから八章を内容削除しておる点につきましては、今言われるような、衆議院と政府の段階でそれをのんだという点においていろいろ御議論もあろうかと思いますが、これはやはり、まあ政府が出すことになりますか、あるいは、まあ議員提案にはなるまいと思いますが、政府がさらにこの法律案の修正という形で出すということになりましょうが、その点について、これは衆議院を通ってきて、今度は参議院でどうしてもいかぬということになりますれば、参議院でまたいろいろ修正もあるなり、その修正案の否決もあり得るということになろうと思うので、決して参議院の審議権を無視しておるというようなつもりは毛頭ないわけであります。  それから公布の前に法律案の修正案が出せるか出せないか、これは技術的な問題でありますので、ひとつ行政局長からもいろいろ説明してもらいたいと思います。
  183. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 公布の関係は、この法律ができましたら、できるだけすみやかな機会に公布はいたしたいと思っております。したがって、法律は両院——もうベテランに申す必要もございませんですが、両院通過すれば法律はできますし、それは公布ということになるわけでございますので、直ちにそれが動いているか動かないかということとは別問題といたしまして、法律案の一部改正という格好で提案ができるものと解釈いたしております。
  184. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 よくわかりました。それでね、戒名は書いてあっても実体がない。これは私たちどういうふうに審議すればいいのですか、この戒名自体を。いや、その中身は次の国会に出しますから暫時お待ち下さい、限定してこの法律を成立させて下さい、こういうのですか。この内容は何だという質問権はわれわれに固有のものとしてある。どういうことをきめようとしたいのだ、将来においてね。それはある。答弁できますか。削除されてしまったのだから、削除案などは対象にならぬ。それでこの法律案を成立させろということはどういうことだ。答弁できて納得がいけばいい。第八章災害緊急事態でしたか。ここに内容として何個条ということも個条がきまっていますよ、個条を整理していないんだから。どういう条文をこれへ盛り込もうとしていますという質問に対しては、いかに藤井さん、明敏な方であっても、どうにもこうにも今後において決定するもので、案がないのですから、答弁できないのじゃないのですか。  そこで私お尋ねするのは、成立させたいためにお尋ねするのですが、なぜ第八章の題目だけ残したのか。これは衆議院の権威者にお伺いしたい。
  185. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 確かにおっしゃるように、この八章の題目だけ残して内容を削除したというようなことは、これは一つの新形式のようなものでして、いろいろ疑問が出るという点についても、それは私ごもっともだと思うんです。これは今まで法案の扱いとしては確か例がなかったということでありますが、これは実際問題として、この法案を扱われました衆議院の過程におきまして、こういう事態のものはなるほど必要だと思うが、事がいろいろ波及するところも大きいから、趣旨は認めるが、内容についてはもう一回政府考え直せ、こういう御趣旨でこれは削られたものだと心得まして、新しい形式ではありますが、私どもその御趣旨に沿いたいと思っているわけであります。今の内容内容というか、考え方としては、なるほど必要なように思うが、影響するところがいろいろ多いから、もう一回考え直して出直せ、こういうこの修正をいただいたものだと私のほうは心得てその御趣旨に沿って今後も処理しようと思っているわけであります。
  186. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 なるほど衆議院段階ではこの審議の状況はそれでよくわかったのです。しかし、参議院へ来てそんなこと通りますか。われわれは衆議院とは独立しているんです。これが生きて働かないから実体としてはいいですよ。けれども、法律というものはこういうものがありますか。法律でさっきから盛んに例示をされたから、これもお尋ねしたい。例示される法律が、この種のものがありますか。
  187. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 一応審議の、審議と申しますか、衆議院の修正の過程におきましても、私たちは私たりなりに一応調べてみたわけでありますが、その点は、ざっくばらんに申して、初めの法律の際からこういう形が出るものが、寡聞にして聞いてはおりません。その意味では新例でございます。
  188. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まず私も賛成してこれは通したいけれども、困ったものですな、これは。いやしくも新例だというなら、日本国の法律ですからね、これがなくなっても結局次期国会に改正案を出すのだという建前があるなら、何らこの形式を残しておかぬでもよかったようにも思うのですがね。どうでしょうか、衆議院のほうは。まあ、これはあとでいろいろ質疑を打ち切ってしまったとき、これでもいいのだということで賛成が多ければ——反対できないのだな、おれもな。これは困ったことなんですな。
  189. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 今、行政局長の答えましたように、確かに従来あった形式のものじゃない。新しい形のもので、そういう意味の疑問が出るかと思いますが、今のような経緯からこの章自体の持っている趣旨は必要なんだという意味で、今後まあ政府が出すという解釈でいろいろ法制的にも検討して、そういう場合が法律としてあり得ないわけでもなかろう、こういうことでこれは政府としても認めたわけなんでありまして、まあ形は確かに新例でありますので、いろいろそういう扱い上の御疑問あるかと思いますが、しかし、決して参議院の審議権を無視するとかなんとかいうつもりは毛頭ありませんし、いずれ出てきた場合には、また十分御審議をいただくのでありますから、そういう趣旨でひとつ御了承賜わりたいものだと思います。
  190. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 速記をとめて下さい。
  191. 西田信一

    ○理事(西田信一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕   〔理事西田信一君退席、委員長着   席〕
  192. 小幡治和

    委員長小幡治和君) 速記を始めて。
  193. 松永忠二

    松永忠二君 もう少し聞いて終わりますから。第四章の災害予防のところですが、災害予防のこの点については、もう前から大臣が言っているのですが、第四章の災害予防なんというのは一番重要なところなんですね、災害予防というのは。その災害予防のところを見てみると、これは全くただ組織の整備義務とか、訓練とかそういうことで、施設とかそういうふうなものについての災害予防を一体どういうふうに考えるのかというようなことが出ていないわけですね。こういうことについて、やはり一応考えてみたんだができないのですか、それともこの程度基本法はいいというふうに考えられて作られたのですか、その辺はどうでしょうか。
  194. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 第四章の災害予防というのは、災害が発生した場合に対処する準備行為というような面が強く出ておる、いわゆる狭義の意味災害予防ということにつきまして必要な規定を列挙いたしたという建前でございます。もっとそれよりも根本的な災害自体の未然防止とかいう点、これはこの中には実はうたっておらないのであります。それは決してこのようなことは必要でないということではございませんで、これは累次申し上げておりまするように、国の施策自体におきましても、国土の保全ということが最も重要なことであるという点を明示をいたしておりまするし、そのために、あらゆる施策というものをあげて防災に寄与するようにしなければならないというような点、あるいは防災に関連のありまするいろいろな既存の計画自体につきましても、防災基本計画あるいは防災基本方針等ができれば、それに基づいて再検討をしていく含みを持っておるというような点からいたしましても、これは別の重要な柱として災害の未然防止ということには特に重点をおいて参りたいということでございます。ここに書いてないからと申しまして災害の未然防止につきまして非常に冷淡であるということではございません。むしろそこに重点をおいていこうという考え方を持っているのであります。
  195. 松永忠二

    松永忠二君 大臣にお尋ねするのですがね、今度の防災基本法で各指定行政機関や、地方指定行政機関あるいは地方行政機関、そういうようなものが予防それから緊急対策というような点で非常にいろいろ責任を負っているようにできたわけです。大臣も説明しているように、応急措置として十分完備をしていきたいということでいろいろと規定もできてきた。これだけ義務が強く打ち出されてくるとすれば、この義務を完全に実施するためには、応急対策に限ったとしても、非常にやはり責任が重くなってきている。そういうことで当然これだけの義務が負わせられるならば、それに即応したような定員ですね、それから予算措置というものは当然考えてもらわなければ、責任ばかり負わされてしまって現在定員でやってくれというのじゃとてもやれないということは、これはもう各行政機関の異口同音に言っている言葉なんですね。ところが、大蔵大臣はこの前の本会議の答弁では、定員増は考えていません、こういう答弁でしたがね。これでは結局どうにもならぬのじゃないかと思うのですがね。この点については、大臣はどういうふうに考えておられるのですか。
  196. 安井謙

    国務大臣安井謙君) これは元へ帰りますが、第三条で例の、国が災害予防及び応急対策、復旧のために処すべき態度をきめてあるわけでありまして、第三条のところでそれぞれ国及び地方団体の負担をきめて、そしてそれに伴う適正な配置をしなければならぬというふうに書いてありますので、この精神によって、それぞれの適切な処置をやっていこうということになろうかと思います。
  197. 松永忠二

    松永忠二君 それをもう少し具体的に言うとどういうことですか。
  198. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 具体的には今の中央防災会議は先ほど説明申し上げましたような形で作り、また地方防災会議も、それぞれの知事が主宰者になる形で作っていくということでありまして、その程度の、地方で作る場合のそういった経費は、その必要に応じて国が持つ分、地方で持つ分として区分しているものはこれは片づくことであろうと思いますが、そういうような形でそれぞれの持ち分をきめていって、従来ともすれば地方が国のすべき仕事をあいまいに押しつけられておったとか、あるいは府県のすべき仕事を市町村に押しつけられておったというような弊害はなくしていこうと思っているわけであります。
  199. 松永忠二

    松永忠二君 私の今質問したような事項については、努力しようというような気持を持っておられるのですか。はっきりあなたの口から今どうこうというようなことは言えないとしても、私の聞いておることは、あなたのお答えになっておることじゃないのだ。だから、そういうふうなことについては、非常に困難だけれども努力をしたいという気持を持っておられるのですか、どうですか。
  200. 安井謙

    国務大臣安井謙君) お話のとおり、今のお話の御趣旨の線に沿って、この法案が成立しました以上はやりたいと考えております。
  201. 松永忠二

    松永忠二君 それではこの点を、これは行政局長に。第五十九条、第六十条、それから第六十三条、第六十四条、第六十五条、ここにいろいろなことが規定されているんですがね、市町村長の権限として。ところが、一体これは消防法とか水防法に規定をしていることとどういう関係を持つのですか。消防法の二十一条には「消防長又は消防署長は、」ということで「管理者又は占有者の承認を得て、これを消防水利に指定して、常時使用可能の状態に置くことができる。」と、消防水利の指定とか、「前項の水利を変更し、撤去し、又は使用不能の状態に置こうとする者は、予め所轄消防長又は消防署長に届け出なければならない。」、第二十八条には「火災の現場においては、消防吏員又は消防団員は、消防警戒区域を設定して、命令で定める以外の者に対してその区域からの退去を命じ、又はその区域への出入を禁止し若しくは制限することができる。」、これと同じようなことがつまり規定をされているわけですね。それから水防法の第十四条には「水防上緊急の必要がある場所においては、水防団長、水防団員又は消防機関に属する者は、警戒区域を設定し、水防関係者以外の者に対して、その底城への立入を禁止し、若しくは制限し、又はその区域からの退去を命ずることができる。」、第二十二条には「立退の指示」というようなことがあるわけですね。そうすると、一体この水防法とか消防法でそういう権限を持っている者がおって、それはそのままにしておいて、そうしてまた市町村長には同一のことができるように法律規定をしているわけですね。そうすると、これはいわゆる命令二途に出るというか、三途に出るというか、さまざまな権限に基づいて出るわけですね。一体そういう消防法や水防法との関係というのはどういうふうに考えておられるのですか。
  202. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 原則的な建前は、第十条にございますように、「防災に関する事務の処理については、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。」ということで、その意味は、この法律が一種の補完法、一般法になるという建前に立つわけでございます。で、この事前措置等につきましてここで規定をいたしておりまするのは、あらゆる災害というものに対処いたしまして市町村長等が講ずべき措置について規定をいたしたのであります。ただ水防法、消防法等におきまして、これと類似の規定のあることは御指摘のとおりでございまするので、事態によりましては、消防法、水防法がそのままであるということになり、この災害対策基本法が動いて参りますると、場合によって両方の法律が同時適用をされていくという事態もあり得るわけでございます。ただ、その場合におきまして、命令が二途に出るというようなことになっては困るわけでございますので、一つの問題はなお整理法等において他の法律で重複その他のございますものは整理をしなければならないという点が一つございます。それからもう一つは、角度が違いますので、同じような規定があったからといって、直ちにこれを整理するというのではなくて、やっぱり消防法は消防法自体としてそれが動いていって差しつかえないというものもあろうかと思います。その場合に同種の規定がございました際には、もしも法律改正で整理がせられません場合におきましては、業務計画その他におきましてその分担というものをはっきりきめる、あらかじめ相談してきめておく、そういう措置を講ずる必要もあろうかと思います。それから第三には、この基本法案で規定をいたしておりまする事項の中で、たとえば警戒区域の設定、立ちのきというようなことがございますけれども、この点は他の消防法、水防法などというものと若干ニュアンスが違っておりまして、消防法、水防法では、警戒区域と申しましても、それは消防活動あるいは水防活動に支障が生ずるおそれのある場合にその支障を除くという意味が主でございます。しかし、ここで市町村長にそういう権限を与えておりますのは、これはむしろ建前が違いまして、その区域内における住民の生命、身体、財産というものを保護していく、そのために立ちのいてもらうというようなねらいの相違もあるわけでございます。そういう三点にわたりましてなお調整を要するものは調整をして参りまするし、計画自体において分担をきめるならきめるということにもいたしておりまして、全体として命令二途に出る、そのために救助活動その他が困難に陥れられるということのないように、その点は十分に配慮を加えて参りたいと考えておる次第であります。
  203. 松永忠二

    松永忠二君 今質問した問題については、第十条の規定によって水防法と消防法が優先するのか、それともこの問題については水防法や消防法をあらためて調整して市町村長のこの命令に一本化するのかということはどう考えているかということを聞いているわけです。
  204. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 第十条の建前から言いますると、水防活動については水防法、消防活動については消防法が優先する建前になるわけでございます。しかしながら、なお調整を要する点につきましては、法律の整理というようなことで、その間明白な重複ないしはちぐはぐが起こらないようにできるだけの措置は講じて参りたいという考えでございます。
  205. 秋山長造

    秋山長造君 先ほど来の同僚議員の質問で漏れている問題で若干御質問したいと思うのですが、地方には中央防災会議に準じて府県の防災会議、市町村の防災会議ができるわけですが、府県の防災会議構成を見ますと、議会関係は一切オミットしてあるわけですね。中央でも各大臣をもって構成されるわけですから、まあ議会関係はオミットされているわけですが、そのかわりに第九条でその防災に関する計画及び防災に関してとった措置の概況を政府は毎年国会に報告する義務を負っておる。地方防災会議については、この構成メンバーに議会関係は一切オミットされておるだけでなしに、さらに中央においては国会に報告するというようなことがあるのですが、地方にはそういうことは一切ないわけなんですね。で、この点はどういう理由かということ。と申しますのは、やはり防災ということは、ただいわゆる役所仕事だけで片づく問題じゃない。むしろ役所仕事だけでは片づかない面が非常に大きいのではないかと思うのですがね。やはり民間の衆知を集め、総力を結集するという態勢にならなければ、先ほど来いろいろ質問がありましたように、実効を上げにくいのじゃないかと思うのですが、その点どういう御見解を持っておられますか。
  206. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 防災対策の完璧を期します上におきまして、住民その他の積極的な協力態勢というものを整備しなければならぬ、それを期待するような態勢に持って参らなければならぬ、これは御指摘のとおりでございまして、たいへん大事なことであろうと思っておるのであります。ただ防災計画作成なりあるいは地方防災会議構成の問題でございますけれども、これは中央段階におきますると同じように、いわゆる行政機関相互間の連絡調整の場といたしまして、いわば執行機関というものが構成メンバーとなってやるものでございます。地方の場合におきましても、国の出先機関その他がここに加わって参るわけでございます。そういうような建前から、議会というものをその構成メンバー等に加えるということは、建前上からしておらないわけであります。ただ実際上の問題といたしましては、法律ではございません地方予算措置あるいは条例措置というものでもってやって参らなければならぬ事項がたくさんあるわけであります。そういう裏づけがなければ、とうていこの計画自体というものが円満に遂行されないということになるわけでございますので、議会との関係につきましては、そういう予算の審議過程を通じ、あるいは条例の審議の過程を通じまして、法律的には十分議会意思というものが反映されて参りまするし、政治的な問題といたしましては、事実上地方におきましては議会とそういう内容等につきましても緊密な連絡をとりながら進んで参ることが期待されるわけでございます。
  207. 秋山長造

    秋山長造君 地方においてあるそういう事情は国においても同じことだと思うのですよ。で、やはり国会に、国民の代表たる国会に報告をするということは、その報告を通じてやはりいろんなことを国民に国会を通じて知らせ、同時に、国会を通じて協力を仰ぐと、こういう趣旨だろうと思うのですがね。これが地方におりていくに従って、ますますそういう面の必要は強くなるのじゃないか。で、中央のほうではいわば計画を立てたり、あるいは連絡調整というようないわば机のしの仕事が多いと思うのですね。これが府県段階におり、さらに市町村段階におりるに従って、計画がただ机の上の計画だけでなしに、計画即実践、こういうことになっていくだろうと思うのです。だから、それならばなおさら、ただ当然そういうことはこの予算審議を通じ、その他を通じて行なわれるだろうという期待をするというようなことでなしに、もう少しどこかへ、議会へあるいは報告して、そうして県民なりあるいは市町村民なりに周知徹底させるとか、また逆に地方住民の協力を仰ぐ、求めるということが、どこか法文の中でやはり保証されていなければ、ほんとうにもう何もかにもがただ机上評価、机上プランに終わってしまうのじゃないかという気がするのですがね。
  208. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 御趣旨の点はごもっともな点もございますけれども、先刻申し上げましたように、防災会議自身の構成メンバーが、国の出先機関等も入って参るわけでございます。そういう防災会議自体につきまして、その活動なりあるいは計画なりというものについて・当然議会に対して法律上報告その他承認というようなことをやりますることは、建前論としてどうであろうかという角度から、そのような措置は講じなかった次第でございます。ただ当然との計画内容等を実現するに際しましては、条例、予算等を伴いますので、それらの審議の過程を通じて議会意思が十分反映されるということを期待しているということでございます。
  209. 秋山長造

    秋山長造君 押し問答になりますけれども、こういう法文で、おっしゃるような説明をつけて地方へ流してごらんなさい。それはわれわれ議会人には用はない、役人だけで勝手にやれ、こういうことになってくると私は思う。これは実効は期し難いと思う。そういう面については、この法文にうたってないことは、はなはだ遺憾に思うのですけれども、今、局長のおっしゃるとおりのお気持でやはりこれを地方におろして指導される場合には、行政指導の面でもやむを得ないから、十分そういう面の、法文でこの欠けている面を補っていかれるように留意されたほうがいいのじゃないか。  それから次にお尋ねしたいのは、この法案全体を読んでみまして、第一条にも、この国土の保全だとか、国民の生命、身体、助産の保護だとか、ということがうたってはありますけれども、法文全体を通じて、どうもやはり今までの災害対策というものがこの公共施設、たとえば災害復旧にしても、公共施設の復旧というようなことに重点がかかって、災害にかかった個人々々の救援というようなこと、個人々々に対する援護対策というようなことは非常におろそかになっていると言っては語弊があるかもしれないけれども、事実上はやはり公共施設本位のやはり災害対策災害復旧ということが行なわれておったと思う。この法文全体を読んでみましても、ただばく然と災害対策あるいは災害復旧というようなことをうたってあるけれども、その災害を受けたかよわい一人々々の被災者に対する救援措置、援護措置というものをどうするのかということは依然としてうたわれておらない。三十五条の二項のところに、業務計画重点をおくべき内容としてずっと列挙してありますが、その中の三士五条二項の三のホという最後のところに、わずかに「被災者の生活確保に関する事項」、こういう言葉がうたわれていることと、それから八条の三項で、衆議院があまりにひどいということで修正されたんでしょうが、修正して「被災者の援護を図り、」云々という言葉が衆議院修正でわずかに入れられた程度であって、それ以外にはどうもこの百二十カ条の条文をずっと読んでみて、被災者個人に対する救援対策、国民の生命、身体、財産を災害から保護するという第一条にうたわれておるその国民生活の安定という趣旨は、事実上貫かれておらぬと思うのですがね。この被災者個人あるいは民間の被害に対する対策ということに対しては、これだけの基本法を作られる以上は、今までの弊害を改めて思い切ったやはり制度なり対策なりを講ぜられてしかるべきじゃないかというように考えるのですが、その点いかがでしょう。
  210. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 災害を受けました個人の援護あるいはその復興についての積極的な施策というものを講じて参らなければならぬことは、それは当然の国の責務と言っていいのではないかと考えております。という意図は、今御指摘になりましたような点にも現わしておるつもりでございまして、第八条の第三項に「災害からの復興」というふうに規定をいたしましたのは、これはむろん個人の災害についての援護、これに対する諸施策というものも含ましめる意味に用いておったのでございます。ただそれに対しまして、衆議院の審議の過程で、それならばそれで、もう少しはっきりその点はすべきである、さらにもう少し被災者の援護ということにも重点をおくのだという積極的な意図というものを明らかにすべきであるという趣旨から、修正がなされたのではないかというふうに私たち了解をいたしておるのでありまして、そのことはそれ自体としてけっこうなことであろうと思っております。なお、そのほかに被災者の生活確保の措置であるとか、あるいは被災中小企業者の振興というような点についても具体的に規定をいたしておりまするし、さらには激甚災害の特例のところに参りまして、九十九条第三号に「激甚災害の発生に伴う被災者に対する特別の助成」というものが、激甚災害の特例法案規定をいたしまする三つの事項一つとしてこれを特に掲げておる等、個人の被災者に対する援護措置というものにつきましても、特別の配慮をしていかなければならぬという心がまえは示しておるつもりでございます。ただ具体的に、しからば現在のような態勢でいいかといいますと、これは現在の建前では十分でないということであろうと思います。現在も個人災害等に対しましてもある程度各省でもって措置は講じております。項目的にはかなり多数の項目があるわけでございますけれども、なおそういうことじゃ手ぬるいという点が出て参っておるのであります。ただそれらに対しましては、どの程度の援護措置をやっていくかということにつきましては、いろいろ他の行政各般におきまする施策との均衡問題等も考慮して参らなければなりませんので、現在具体的に今後どうしていくかということにつきましては、まだ確たる成案を持っておりません。こういう点につきましては、やはり防災会議の意向その他の点も十分に参酌をいたしまして、個人災害者の援護ということにつきましても、さらに各省連絡をとって格段の措置を講ずるように努力をして参るということに考えておるのであります。
  211. 秋山長造

    秋山長造君 従来災害救助法がありまして、災害救助基金の積み立てというようなことが一応三十七条以下で規定されておる。各年度の普通税収の千分の五ですか——千分の五を積み立てて災害救助基金にする。今度の法案でも、百一条に「災害対策に要する臨時的経費に充てるため、災害対策基金を積み立てなければならない。」というような規定が一応ある。従来も災害救助法に基づく災害救助基金の積み立てというような規定があったわけですけれども、実際にはこれは厳格に守られていない。むしろただ法律でうたわれておるだけで、実際にはこれはもういいかげんになっておるのが実情だと思う。しかも、この災害救助基金にしても、この中からやはり個人災害なりあるいは民間災害に対して、ある程度措置がとられておるのだとよかったのですけれども、実際にはこの間も北海道のあの森町の火災について、財政局長なりあるいは厚生省の局長なり出席を求めて聞いてみたのですけれども、別に個人に対しては制度的なものは何もしていない。たとえば見舞金のようなものでも、これは全然地方へまかせ切りで、幾らか涙金のようなものを包んで行っているところもあるし、行かぬところもある、そういうような実情なんですね。したがいまして、中小企業にしても、被災した中小企業の振興というようなことは、なるほど業務計画の中の重点一つとしてうたわれてはおりますけれども、しかし、それじゃ具体的には何をするかというたら、今までよく言ってきたように、金融の面で若干めんどうを見るというくらいのことじゃないかと思うのです。これでは私は基本法を作って、基本法さえできれは災害対策は何もかにも片づくのだというようにあなた方は宣伝されたかどうかしらないが、少なくともこれは災害基末法というものから受ける感じとして、一般の国民はそういう期待を持っていると思う。基本法ができたら今度は今までのようなやりっぱなしではなくて何かしてもらえるのだろう、一人々々の国民はそういう期待を持っていると思う。にもかかわらず、それに対してただ業務計画の中に重点をおくべき点として、被災者の生活確保に関する事項というものを一条書いてあることと、それから九十九条で激甚災害について「被災者に対する特別の助成」というものを何か考える、こういう程度のことしか書いていないのでは、私は画期的な災害基本法という看板に対してはなはだ恥かしいし、国民の期待を裏切るもはなはだしいと思うのであります。  そこで具体的にお尋ねいたしますが、九十九条の激甚災害について被災者に対する特別の助成ということは、具体的にどういうことを考えておられるのかということと、それからもう一つは、この被災者の生活確保については、激甚災害でなしに一般の災害として被災者の生活確保に関する事項、一人一人を比べてみると、規模の大きい小さいはありましょうが、激甚災害と激甚災害でないのと規模の違いはあると思いますが、個人の場合を考えれば、激甚災害の場合も激甚災害でない場合もちっとも変わらない、国民の側から見れば、やはり激甚災害であるなしにかかわらず、災害を受けた被災者個人に対する思いやりというものは、ただ口でどうするということだけでなくて、あるいはそのつど若干地方団体の出す見舞金程度でお茶を濁すということでなしに、もっと何か制度的な一つの、たとえばこの被災者救援資金というようなそういう制度をきちっと作って、そうして地方団体が積立金を積み立てていく、そうしてそれと同額くらいを国からも出す、そうして一つの基金を作って、その中からまとまった金を災害で死んだ人には幾ら、あるいは家を焼かれた人、家を流された人には幾らというくらいのことをやってもらわなければ、これは災害基本法を作ってもちっとも——役所仕事のほうは多少まとまるかもしれませんが、一般国民には一体何のありがたみがあるのかということになるのですね。その被災者に対する救援資金というようなもので何か一つの制度を作ったほうがいいのではないかという考え方は、従来もあなた方のほうでも研究をしたりあるいはそういう意見が相当あったのじゃないかと思うのですがね。そういう構想があるのかないのか。ないとすれば、ぜひこの際災害基本法というような、あなた方の言葉をもってすれば、画期的な法律ができるわけですから、この機会にぜひお考えになるべきではないかと思うのですが、大臣、いかがですか。
  212. 安井謙

    国務大臣安井謙君) 個人災害に対する救援ということは、確かに社会政策というような意味からも非常に必要であろうと思うのでありますが、この法律で扱っておりますのは、今のような激甚災害から復旧に立ち上がるについてのでき得る限りの措置ということにとどめております。と申しますのは、個人の災害をどこまで救済するかという問題になりますとあまりにも今日範囲種類が広過ぎると思うのであります。これを一々今国なり地方公共団体がそれの救済に乗り出すということに相なりますと、ちょっと簡単には手がつくまいと思うのであります。しかし、今御趣旨のようなものについては、今後十分検討をしていかなければならないと思っております。私は、これは個人の考えでありますが、やはりこれは保険制度のようなものを加味したものでなければ、ただ一方的に地方や国が金を支出するというような形のものではなかなか広範囲に、かつ種類の広い個人災害に及ぼすことは非常に困難ではないかと思います。しかし、いずれにしましても、まだそこまでの成案ができるまでに至っていないわけで、将来の問題として十分検討していきたいと思っております。
  213. 秋山長造

    秋山長造君 その点はほんとうに真剣に研究していただきたいと思う。そうしてできるだけ早い機会に私がさっき言ったような、何かそういう一つの制度的な被災者援護というものを考えていくべきだと思うのです。それは強く希望しておきます。それから、さっきも言いました百一条の災害対策基金を積み立てなければならないということになっておりますが、これは先ほど申しました災害救助法の災害援助基金と同じような言い方がされておりますが、災害救助基金は、さっきも言いましたように、普通税収の千分の五を積み立てなければならないということになっておるが、別に罰則もないし、事実上は適当になっておるということが実情です。それと同じことをまたこれで繰り返しても私は意味がないと思うのですがね。この百一条の災害対策基金というのは、これは政令でこまかいことはおきめになるでしょうが、これは義務づけるのですか、どうですか。
  214. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) この災害対策基金の問題につきましては、一つは、今お話が出ております災害救助基金、そういうようなものの基礎法、根拠法という役割を演ずることにもなるわけでございます。それからもう一つは、地方財政法で、これは目的がちょっと違いますけれども、地方団体の財政の健全性というものを長期的に保証いたしまするための積立金等の措置も、一面においては災害の場合に使っていいということになっておりますので、広い意味ではこの災害対策の基金であるというように言い得ると思うのであります。しかし、お話にも出ておりましたように、現行のそのような制度をただ裏づけしたということでは意味がないわけでございます。将来にわたりまして、やはりそういう基金制度自体についても、現行のものに再検討を加えまするとともに、もう少し広い立場から、どのような基金制度というものを置いていくか、一面においては被災者の援護措置内容ということとも関連し、また、もう一面には地方団体のこれに対処する臨機応変の態勢というものを整えさせるという二つの意味合いをもちまして、もう少しこれも根本的に検討を要する問題ではないか、かように考えておるのであります。したがいまして、そのような方向で検討をいたしまして、所要の結論が出ますれば、その線に沿って法律改正その他の措置が講ぜられることに相なって参る、かように考えております。
  215. 秋山長造

    秋山長造君 百一条を見ますと、「別に法令で定めるところにより、」云々とこう書いてありますが、別に法令で定めるところによりという中には、たとえばさっき言いました災害救助法三十七条以下のように、すでに法律にはありながら、事実上はいいかげんになっているようなこともこの災害対策基金という中には含まっているのですか。それとも別にといいますか、そういうものを発展的に吸い上げて新しいもっときちっとしたいわゆるいいかげんでは済まぬというものなんですか。
  216. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) ここに特に掲げました意図といたしましては、現状のそういうような基金というものだけでもって万事事足れりという消極的な態度でなくして、もう少しやはり基礎のはっきりとしたものに将来としては改めていきたい、そのための検討を同時にやっていきたい、そういう意欲を示しているつもりでございます。
  217. 秋山長造

    秋山長造君 次に行きますが、この災害基本法に関連して財政金融措置という項目があるわけなんですが、そこを読んでみますと、大体この法律実施していくための経費というものは、もう原則として地方負担になっている。その中でもだんだんと下へ下へと押し下げられて、結局は市町村負担ということになってしまっているのではないかと思うのですが、五条にも市町村の責務については、特に市町村は基礎的な地方団体としてこのいろいろな計画実施の最終的な責任を持たされているようなことになっているのですが、ただ、国や県はいろいろなことは言うてみるけれども、いろいろな条文はたくさんあるのであります。要するに、県や国はこの計画の立案、机の上での立案あるいは府県なり市町村なりに対する指示、命令、勧告というようなこと、さらに総合調整というような言葉のあやでお茶を濁して、実質的にやはり責任を持ち、実質的に費用を負担しながら仕事をやっていくというようなことはどうも全部市町村というような感じを受けるのですが、やはり国の責任というものを、衆議院のこの修正でもずいぶん強く、九条ですか、「政府は、この法律の目的を達成するため必要な法制上、財政上及び金融上の措置を講じなければならない。」というように衆議院で非常に強い妥当な修正がなされているのですけれどもね。その点の経費の負担関係というのはいよいよどよ、なるのですか。市町村ばっかりになっているのですがね。
  218. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) この法律建前はそれぞれの機関責任というものを明確にするという点も一つの目的に相なっておるわけであります。その場合におきまして、原則といたしましてはその実施責任者というものが第一次的には費用を負担する、これは一つの筋として建前として当然のことであろうというふうに考えるのであります。ただ、そう申しましても、財政上これを負担する能力がないとか、また負担できないというようなままに放置をいたしますることは、これは許されないことでございます。したがいまして、その点についての意図を明確にいたしまするために所要の財源措置を講ずるということにいたしておるのであります。一つは、自己負担ということになるものにつきましても、当然政府といたしましては、それをまかなうに足るだけの財源の裏づけというものを講じて参らなければならぬ義務を負うことは当然であります。そのほかに、事柄の性質によりまして、国自体が負担金、補助金という形で、これに対して財政的な援助を講じて参るということも第二段として考えられるわけでありますし、そもそも基本的には国自体が災害にかかわる経費負担についてはその適正化をはかって参らなければならない、どうしても災害が起きた場合におきましては、そこだけがしわ寄せを受けて、そこでもってすべてをやっていけといいましても、これは無理なことでございます。したがって、国自体が国家の総体的な立場から財政措置というものを講じて参らなければならぬ。そのためには現行の経費負担制度というものがはたしていいのか、補助率その他についても現在の制度を踏襲してそれでいいのか。そういうような点についても、根本的な検討を加えて、その適正化をはかる必要があるということで、「国の責務」の中で、「災害に伴う経費負担の適正化を図る責務を有する。」というように原案に規定をいたしたのでございます。その趣旨がさらに敷衍せられまして、今度の衆議院の修正におきましては、さらに広く、法制上、財政上及び金融上の措置を講ずるということが規定されましたので、その点がさらに明確化されたことに相なると考えております。
  219. 秋山長造

    秋山長造君 九十九条のこの激甚災害の場合に、これは激甚災害に対する特別立法をされるわけでしょうが、その補助率の引き上げなりということは、当然考えておられるのですか。
  220. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 普通の公共事業にかかわる災害復旧等の国庫負担あるいは国庫補助率というものの率につきましては、かさ上げということは当然に考慮せられて参ると思うのであります。これの立法化をはかります際には、現在まで特例法でもって累次やられて参りました制度がございますが、こういう制度というものも十分参考に供しながら、適切な措置が講ぜられて参りまするように、われわれとしても努力をして参りたいと思っております。関係各省との打ち合わせ、あるいは財政当局との折衝というような点で、なかなかむずかしい面も残りますけれども、ひとつ特例法案という既定の事実があるわけでもございますし、また、激甚災害について特に特例規定をしていくというねらいから申しましても、そういったことが一つの基礎になって積み重ねられていくということは当然なことであろうと考えております。
  221. 小幡治和

    委員長小幡治和君) 本案に対する質疑は、これをもって終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 小幡治和

    委員長小幡治和君) 御異議ないと認めて、さよう決しました。(秋山長造君「定足がない。そんな手荒なことはだめだよ。ちょっと休憩してくれればいいのだから、そんな、定足も何もないのに、そんなことをあなた、やられても困るよ。ちょっと待って下さい。」と述ぶ)  それじゃ、このままで待ちます。(秋山長造君「今のはだめですよ、そんな荒っぽいことをやっちゃだめだよ、事情を言っているのにだね」と述ぶ)  本案に対する質疑はこれをもって終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  223. 小幡治和

    委員長小幡治和君) 御異議ないと認め、さよう決しました。  暫時休憩いたします。    午後十一時九分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕