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1961-10-30 第39回国会 参議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月三十日(月曜日)    午後三時四十一分開会    委員異動 十月三十日委員岡三郎君辞任につき、 その補欠として森中守義君を議長にお いて指名した。    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     山本 米治君    理事            川上 為治君            剱木 亨弘君            椿  繁夫君    委員            赤間 文三君            上原 正吉君            大泉 寛三君            岸田 幸雄君            古池 信三君            小林 英三君            鈴木 万平君            阿部 竹松君            森中 守義君            吉田 法晴君            加藤 正人君   国務大臣    通商産業大臣  佐藤 榮作君    労 働 大 臣 福永 健司君    自 治 大 臣 安井  謙君   政府委員    通商産業政務次    官       大川 光三君    通商産業大臣官    房長      塚本 敏夫君    通商産業省通商    局長      今井 善衞君    通商産業省石炭    局長      今井  博君    通商産業省鉱山    保安局長    八谷 芳裕君    通商産業省公益    事業局長    樋詰 誠明君    労働省労働基準    局長      大島  靖君    労働省職業安定    局長      堀  秀夫君    労働省職業訓練    局長      三治 重信君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○産炭地域振興臨時措置法案内閣提  出、衆議院送付) ○臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○石炭鉱山保安臨時措置法案内閣提  出、衆議院送付)    ——————————
  2. 山本米治

    委員長山本米治君) これより商工委員会を開会いたします。  議事に入るに先だって、委員異動がありましたので、報告いたします。  本日、岡三郎君が委員を辞任され、その補欠として森中守義君が委員に選任されました。    ——————————
  3. 山本米治

    委員長山本米治君) それでは、まず石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案産炭地域振興臨時措置法案臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案石炭鉱山保安臨時措置法案、以上四案を便宜一括議題といたします。  これより四案について質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 森中守義

    森中守義君 この石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案提案理由の説明の中に「現在累積して残存している安定鉱害だけでも約二百四十億円にのぼり、」ということで、具体的に二百四十億という数字が示してありますが、これはどの程度の範囲のものを調査した結果、こういう数字が出たのですか。全部くまなく調査した結果の数字でしょうか。
  5. 今井博

    政府委員今井博君) これは現在鉱害と普通に考えられるもの全部一応調査いたしました。これを調査いたしましたのは、鉱害復旧事業団が中心になりましたが、各県や関係市町村鉱害関係者全部動員いたしまして、約半年以上かかって調べ上げたものでございます。一応現在鉱害現象と見られるものは全部これで入っていると思います。
  6. 森中守義

    森中守義君 そこで、今のお話ですと、ほとんど全部網羅されておる、こういうことのようですが、たとえばその特定地域農民あたりから申告があった、そういうものも入っておりますか。要するに通産省のほうで一定の水準を作ってふるい落としたようなことはないのですか。全部込みにしてありますか。
  7. 今井博

    政府委員今井博君) これは今、先生指摘になりましたような全部の陳情を網羅したということにはあるいはならぬかもしれませんが、一応市町村なり、県なり、鉱害担当者がおりますから、こういう人たちをほとんど動員して調べ上げたものでございます。合理的な鉱害申し出については全部網羅しております、こういうふうにわれわれは考えます。
  8. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん一応事務的にはただいまのようなお答えをいたすより事務的な自信はございません。しかしながら、何と申しましても、非常に広範な地域にわたる鉱害でございまするから、これ以外は一切取り上げないとか、そういうようなわけにはもちろん参りませんので、ただいま御審議をいただいております法律案は、期間が延長されますならば、さらに今後起こるであろうもの、また今日までの調査でも未調査もの等をさらに追加することに、もちろん、政府としてはやぶさかでございません。その点を御披露いたしておきまして御理解を賜わり、いろいろ問題のあります点については重ねて私どもとして再調査もいたすつもりでございます。
  9. 森中守義

    森中守義君 今通産大臣お答えで非常にはっきりしましたが、まあここに表現されている言葉からいきましても、いかに膨大なものであるかという一つの表現のようにも、これはなっております。同時にまたこれが絶対的に動かしがたい固まったものでもないというお話ですから、それならけっこうですが、具体的にここで一つお聞きをしておきたい点は、熊本県の天草郡に苓北町というのがございます。ここに志岐久恒炭鉱というのがありまして、大体三、四年前から亀裂を生じて、約三尺くらい陥没をしておる。したがって、熊本県議会でも、地元要請にこたえて決議をしたり、同時にまた県の県議会経済委員会が出向いてこの調査をやった結果、明らかに鉱害であると、こういう認定をしたのです。同時にまた県から福岡鉱山監督局にその旨通知したあと福岡監督局現地に視察に、調査に行ったそうですが、その答えがこれは鉱害ではないと、こういう認定をしたのです。かなり食い違っているわけですね、熊本県議会結論鉱山監督局結論というものは。  まず、そこで、この二百四十億円の中で天草の今申し上げた志岐久恒の点が入っているのか、あるいは入っていないのか、まずそれが第一点にお聞きしておきたいと思います。
  10. 今井博

    政府委員今井博君) この中に入っているかどうかはちょっとわかりかねます。その点はよく調査をいたしてみます。
  11. 森中守義

    森中守義君 今、今井石炭局長お話ですと、どうも私が提起した具体的な問題についてはあまり詳しく御存じないようですが、もしあなたのほうに全然こういう話が来ていないのか、あるいは課長段階までくらい来ているのか、その辺の経緯を少し詳しく話して下さい。
  12. 今井博

    政府委員今井博君) この話は私のところまではまだ上がっておりませんが、課長のところには現地からいろんな報告が参っております。その報告の概要を申し上げますと、確かに今、先生がおっしゃいましたように、この七月に鉱害部でこの一苓北町の要請があって調査をいたしました。
  13. 森中守義

    森中守義君 いつですか、それは。
  14. 今井博

    政府委員今井博君) それは七月ということに聞いております。その調査の結果は、炭鉱影響及び鉱害影響は少々あるかもしれぬが、大部分は自然現象と申しますか、旱魃といいますか、旱魃による自然現象というふうな調査の結果に相なっておるようでありまして、その後その調査結果を県の方にも相談いたしまして、県も一応それを了解されて、ただいまは県と苓北町とそれから炭鉱と三者間ご一応円満に協議中と、こういう連絡がございますが、それ以上の詳しいことについてはまだ報出口を受けておりません。
  15. 森中守義

    森中守義君 ちょっと今言われたその自然現象理由以下、旱魃ですか、陥没ですか。
  16. 今井博

    政府委員今井博君) 旱魃でございます。
  17. 森中守義

    森中守義君 これは私は熊木でして、天草事情はよく知っているのです。旱魃による自然現象というようなお話ですが、どうもこれはちょっと受け取れないですよ。大体、この天草というところは苓北町が米どころなんです。しかも特別に本年あるいは昨年あたりは、御承知のように、台風もきておりません。比較的によくとれておる。この地域だけ特別に旱魃であるという理由は、どう考えてみても、今日の熊本県下全体を見回してみても、旱魃があったという話は聞かないのですが、何か少し、こう、曲げられているのじゃないですか。
  18. 今井博

    政府委員今井博君) ただいま申し上げたのは、現地すなわち通産局の鉱害部からの報告でございまして、それ以上の詳しいことはちょっと今現在わかりかねます。今までの何から見まして、特にこの報告を曲げたということはあまりございませんので、一応われわれはこれが正しいものだとは思っておりますが、さらに、そういう点について非常に疑義がございますれば、もう一度現地と打ち合わせしてみてもいいと思います。
  19. 森中守義

    森中守義君 疑義があれば現地と打ち合わせるということは当然ですしね。しかも、局長御存じないのにこれ以上聞いてもどうかと思うのですが、それはそれとして、別な角度から見た場合、この改正案が出ると、しかも二百四十億という一応取りまとめた数字も出されているのです。こういうことは課長は私は知っていたと思うのです、苓北の問題はね。今あなたは課長段階まではきていたと、こうおっしゃるが、なぜこういう問題を局長まで上げないのですか。しかも、今旱魃による自然現象だという理由現地の方では言っておる、こういうことなんですが、これは全国的に見ましても、台風の通ったその特定地域とか、その他特殊な事情による所は別として、おおむね熊本県の昨今の農作物というのは非常にいいのです。これは一つの常識でもあるのですが、何か課長なら課長がこれを見られて、これは旱魃による自然現象だというような報告がきたときに、それ自体について疑いを持つようなことはなかったのでしょうか。むしろ、私はなぜ課長段階でそれがとまったのか、この改正案を出そうというときに、こういう問題があれば、局長へ当然話は通しておくべきである、そう思うのですが、その点どうですか。
  20. 今井博

    政府委員今井博君) 鉱害問題は非常にいろいろなむずかしいケースがたくさんございまして、私のところへ全部一々タイムリーに上がってくるというわけのものではございませんが、特にこの現地からの報告、この件に関する現地からの報告が、一応県と苓北町と炭鉱会社、この三者間で今協議中だ、こういうふうな今報告になっておりますが、課長としてはいろいろなたくさんな報告が参りますが、特に問題のあるやつはわれわれのところに上がってきますけれども、この件については一応これで協議が進行しておる、こういうことで私のところまで上がらなかったのじゃないか、こういうふうに考えております。したがいまして、自然現象すなわち旱魃という自然現象天草地域土地柄から見て、非常に疑問の点が多いということでございましたら、もう一度現地に再調査をやってもらうとか何とかいう措置をやっていきたいと思います。
  21. 森中守義

    森中守義君 そのお答えは実は大臣から私はあとでもらいたいと思っている。  そこで、もう一度今の関係で聞いておきますが、その前にちょっと申し上げておきたいのは、現地でこういうことを言っているのですよ。熊本県会では明らかにこれは鉱害だという認定をした。それに対して、鉱山監督局は、そうじゃない、今石炭局長が言われるように、旱魃による自然現象である。ずいぶんこれは食い違った結論なんですね。しかして、今お話によると、県、それから町、それに会社、三者がこの措置に当たっておるということなんですが、第一、その地元においては、この鉱害対策の特別な協議会ができていますよ、地元の代表が集まりましてね。で、こういう人たち意見というものは、会社にも、県にも、あるいは鉱山監督局にも十分これは通じている。それで、現地で、そういう県と通産省の食い違った意見を何と言っているかといいますとね。御承知のように、天草に十近い中小炭鉱がありますがね。この中でも久恒は一番いいのです。経営状態もいい、しかも炭質もかなり上炭であって、カロリーも高い、こういう状況ですからね。おそらくこれは災害復旧のために会社の方が金を出すのをいやがった、しかも、本社が福岡だから、出先の監督局にいろいろ手を打つのはそうむずかしいことじゃないのだということで——あってはなりませんけれども、そういうことがあってはならないけれども、そういうように疑惑の目をもって見ているそれ自体が私は石炭行政に対する、いうなれば国民の一つ疑惑と不信を招いていると思う。で、一体どういう立場の人が現地に出かけて行って、それでこれは旱魃による自然現象であるという結論を出したのか知りませんけれどもね。どうしても納得がいかない。こういうことが現地における率直な住民の意見であるということは、ぜひ一つ大臣も、石炭局長も御了承願っておきたいと思う。それで、これ以上、御存じないようだから、どうか、どうかという畳み込んだ質問もはなはだ不見識であると思うのですが、おおむね、私がお尋ねするよりも、説明した中から、ずいぶん通産省の方で判断をされていた問題とはかけ離れている、事実はね。こういう認識を私は持ってもらいたいと思うのです。しかも、こういうようなことがいつどういうような不測の事態を発生するかわからない、そういう危険な状態があるのだ。しかも水田等は、このあたりはこれは反当八俵ぐらいできますよ。非常にいいところですよ。それが二俵ないし、三俵ぐらいしかとれない、こういう凶作状態です。それは水がもう全然ないということですよ。ただ、私は残念ながら、ここに農耕地がどのくらいであったかということをはっきり持ってきておりませんから、まあそこまで具体的に申し上げる材料を今持ちませんけれども、平年作八俵が二俵ないし三俵ということになると、これは相当なものですよ。しかも、それは旱魃という一つ理由は、今から三年ぐらい前からこの現象が始まっているのだ、だから、五俵が三俵になり、三俵が二俵になる、こういうことで、ひょっとするとこれは自然現象による旱魃だというような見方をしたのかもしれません。しかし、沈下状態は毎年深くなっているわけです。それだけに水が出てこないということで、この辺の農家というものは非常に深刻な問題に今逢着をしている。こういう事実を私はじかに見てきたわけでして、通産省の方は御存じなかったということになりますとね、この二百四十億の中に、この苓北志岐久恒炭鉱の  あえて私は鉱害と言いますが、これは積算の根拠になっていない。しかし、通産大臣は、いや、これは絶対的なものだ、そういう事実があれば追加するのだ、こういう先ほどのお答えもありましたが、一体この事実をどういうようにこれから先、取り扱っていくのか。これはひとつ、責任ある佐藤通産大臣から明確にお答えをいただきたい。具体的に、調査にやってもいいというようなことでなくて、即刻実情調査してもらいたい。同時にまた、その事実を発見したならば、この中に追加できるものかどうか。
  22. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 御意見、しごくよくわかりました。で、私が申し上げるまでもなく、天草無煙炭は将来有望だといわれております。また、石炭資源が、なかなか豊富でないわが、日本といたしましては、こういう有望炭田はぜひとも開発したいのでございます。そういう場所において原因不明の故障を生じておる、こういうことでは石炭産業の将来ということを考えましても問題だと思います。で、ただいま関係の県、市町村、あるいは経営者、三者が協議中だという報告を聞いておりますが、これはもちろんその現地関係の方が直接お話しになることはけっこうだと思いますけれども主務省である通産省といたしましては、ただいま国会において地元森中さんから御意見が出ておるこの段階において、ただ地方にまかしておくというわけには参らないと、かように思いますし、ことに先ほどいろいろまずいうわさまで立っているじゃないかということまで御指摘になっていらっしゃいますので、その意味からも、当然通産省としてははっきりした判断を下す段階にきておると、かように思います。そういう立場をとりまして、ぜひとも至急に、早急に現地専門の係官を派遣しまして実情調査する、こういう処置をとりたいと思います。で、調査の結果、この鉱害というものが明確になれば、もちろん鉱害対策の今後の問題として数字の中にもこれを捜入する、こういう処置をとって参りたいと、かように考えます。そういう公平な、また私のない処置をとるつもりでございますので、どうか一つ御了承いただきたいと思います。
  23. 森中守義

    森中守義君 まあたいへん通産大臣の適当な答弁でけっこうです。  そこでいま一つ、なかなかこの商工委員会に出る機会がありませんので、天草の問題で聞いておきたいのですが、御承知のように、この作業員を五十名、まあ多くて百五十名くらい持っているのですけれども、小さな中小炭鉱が非常に多い、天草の場合には。しかもこれらが実情では所定の販売コースがきまっていない。それで主として大阪あたりから船を仕立てて買いに来るんだそうです。それで、炭主のほうでは山渡し幾ら、こういう主張をする。ところが買い手の方ではいや船渡し幾らだということで、なかなか販売コース一定しない。しかも競争が非常に激しいものだから、結局買いたたきをされて、かなり生産コストをダウンして売っているという実情です。しかもそういうことが、半年、一年、あるいは二年という累積された結果、牛深炭鉱という山が一つあります。この牛深炭鉱のごときは経営者が三年ともたないんですよ。次から次にかわっていく。これはもう実に天草中小炭鉱の独得のケースなんです。で、こういうことは一体どういうように今まで行政指導されてきたんですか。
  24. 今井博

    政府委員今井博君) 中小炭鉱販売関係が非常に商社に買いたたかれるといいますか、そういう現象があるということはわれわれも承知いたしておりまして、中小炭鉱合理化の一番大事な点は共同販売機構を作ることが一番先決じゃないかというふうに実は考えております。したがって、事ある機会にこれは生産共同能勢もできれば非常にけっこうだと思いますが、まず第一着手としては販売関係について共同販売をやるという指導を実はやって参りました。西九州中小炭鉱については、実は共同販売会社がもう事実できております。これはだいぶ商社いろいろ反対とかがあったようですが、これを押し切って実は作りました。これは非常に成功しておる。事あるごとに、われわれとしてはそういう地域的な販売機構をお作りになったらどうかという勧奨を申し上げておるわけです。天草の例は確かに中小炭鉱が非常に多い。しかも無煙炭、その無煙炭は非常に現在需給関係が強いわけですから、ほかの一般炭よりはもっと販売条件が有利であるのが普通だと思うのです。したがって、これはこの際、先生の御指導とか、われわれもいろいろ勧奨をいたしたいと思いますが、やはり販売についての共同化という方向に御指導いただければ非常にいいのじゃないか。そうすれば、金融的に見ましてわれわれも応援する手段がいろいろございまするし、できるだけ早くそういう方向に持っていきたいと実はこう考えております。
  25. 森中守義

    森中守義君 それからいま一つの問題は、幸いにして今まで落磐その他の事故がない、天草にはね。比較的少ない。その限りにおいては非常にけっこうだと思うのです。しかし、それは非常に近代的な採掘をやっているから、そうだとは言えない。かなり古い方式の乱掘をやっているようです。しかも坑内保安作業なんというものもかなり気を使ってやっているとはいいながら、第一その資金が乏しいもんだから、あれもやりたい、これもやりたいと言ってみても、なかなかその近代産業まで到達しないということで、かなり原始的な採掘なんですね。したがって、そういう現状ではいつどこでどういう事故が起こらないとも限らない。私はあまり石炭関係実情については詳しくありませんけれども、一応常識的に考え得る、鉱山保安法とかあるようですが、そういうものをきちんと適用して、一年に一回あるいは二年に一回というようなことで、天草等の全部の鉱山に対して適切な監察が行なわれておりますか。
  26. 八谷芳裕

    政府委員八谷芳裕君) 天草炭田は今、先生おっしゃいましたように、非常に中小炭鉱が多い。これは層が非常に薄層であるということと、無煙化されておりまして、断層、褶曲も非常に多い。こういうことできわめて小炭鉱で一万トンあるいは二万トンがせいぜいというような山になっておるわけであります。ところが幸い今まで天草におきましては災害が非常に少ない。しかし、たとえ過去においてはそういう災害が少なくても、現地監督局におきましては、やはりちょっと安心をするというようなことによって、保安の管理に手落ちを生じて災害を起こす、こういうことがないように十分監督をし、また指導をやっておるわけでありますが、特に資金面におきましては予備費の支出で、近代化資金が二億六千万、それから中小企業金融公庫で十億と、こういう金の融資が認められておりますので、こういうものを希望されれば、またそのごあっせんも申し上げる、こういうことをいろいろやっておる。筑豊の非常に深い山とは変わりますけれども、私ども監督保安行政を持っておるものといたしましては、十分に日ごろから注意を払っております。
  27. 森中守義

    森中守義君 今、保安局長お話ですと、二億六千万と十億ですね、そういう金をあっせんをする、こういうことですが、これから先、行政当局のほうでいろいろと監察を行なう、ないしは業者の自発的な申し出があるという場合に、この融資の方法は将来も継続いたしますか。
  28. 八谷芳裕

    政府委員八谷芳裕君) この融資は今度の臨時措置法にも明文化されておりますように、政府はできるだけこういう融資あっせんに努めなければならないわけでございまして、これは当然明年度予備費で認められておるものを、また来年度も継続してこういう方向に進めたいと考えております。
  29. 森中守義

    森中守義君 けっこうです。それから坑内あるいは坑外に勤めている人たち賃金状態ですが、何しろさっきもちょっと申し上げたように、炭質上炭であるにかかわらず、買いたたかれてかなり窮屈な経営をやっているそうです。そういうことのしわ寄せが坑内あるいは坑外影響して、異常な低賃金だと聞いております。こういうような問題についてはどうなんですか。一定実情調査されて、そうして大手並みにはいかないにしても、多少の手直しをするとか、そういうことの勧告等を行なうようなお考えはありませんか。
  30. 今井博

    政府委員今井博君) 中小炭鉱合理化指導という対策をここ数年来やっておりまして、すでに現在までに実施しましたのが二百五十程度にも達していると思いますが、その場合には、やはり中小炭鉱合理化する場合にその調査結果に基づいてこういうことをおやりになったらどうかということをアドバイスする、必要があれば資金あっせんをする、こういうことをいたしております。その中で天草は、もちろん私は一部やっておると思いますけれども、特にまあそういう点に問題がございますれば、毎年やっておるわけでありますから、特に天草の問題を取り上げて調査をさらにやっていくということは計画をいたしております。ただ賃金幾らにしろとか、そういうようなところまで実はまだ入れないという実情でございます。
  31. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、石炭局長、今の御答弁ですと、先ほど大臣が言われたように、やはり志岐久恒の問題はさっそく手をつけなければならぬということですが、今私が申し上げ、かつ局長答弁されるようなことも合わせ含めて、今回は調査の対象にすると、こういうことになりますか。
  32. 今井博

    政府委員今井博君) 今回はまあ非常に急ぐ鉱害——鉱害であるかどうかという点について非常に意見が分かれておるようでありますから、早急にその問題について適当な人を派遣して調査するということをまず第一にやりたい。それから現在の私が答えました中小炭鉱合理化指導の問題につきましては、これは一応今まで計画を立てまして、予算とにらみ合わせながら指導を計画的にやって参るわけでありまして、さらに緊急にそういうことをやる必要があるという場合には、その計画の中にできるだけ入れまして、ひとつやってみたいと思いますが、なお、相当広範囲にやっておるものでございますから、これはまあ全体について早急に間に合わすだけの調査ができるかどうか、これはまあ一応計画を再検討いたしまして、十分これを繰り上げてやれる余裕がございますればやりますし、それがやれないという場合は、さらにずっと引き続いてやっておりますから、来年度にかけてさらにやるということは十分考えております。
  33. 森中守義

    森中守義君 よくわかりました。ただ私が合わせ含めてやるのかということを聞いたのは、こういうことなんですよ。おいでになったことがあるかどうかはわかりませんが、天草の場合には、これはもうほかに産業という産業がないのです。漁業があるというものの、これはもうほんとうに沿岸の零細な漁業なんです。農業はどうかということになりますと、先ほど指摘した苓北一帯、この辺に穀倉地帯が多少ある。森林がどうかといえば、これは大森林というのはない、ほとんど雑木だ、それで木炭をやる程度なんです。あと陶石等が多少あるくらいで、ほとんど見るべき産業がない。そこで、問題は離島振興という例の離島振興法ですね、これは通産省の所管でなくて、経済企画庁の所管なんですが、離島振興というものがやはり国策として採用されている今日、一体天草はどうかということになると、今申し上げたように、石炭が一つのよりどころになっている。だから中小零細の炭鉱が買いたたきをされて、非常に乏しい経営をやっている。しかも先ほど二億六千万と十億という話が出ましたけれども、一体こういう十二億六千万程度で離島振興の名にふさわしいような天草石炭産業の近代化ができるかどうかということになると、これはなかなか私は問題があると思う。しかし、そういう声がほうはいとしてわき起こらないという原因は、やはり石炭を大事にしなくちゃいかぬ、会社が存在するのだから、これを大事にしようという地元石炭産業に対する期待と、それによってこうむっている恩恵というものが、私はこういう声を大きくしていないのじゃないか、それならば国として放って置いていいかということになるとそうはいかぬと思う。こういうものの見方をすれば、当然ひとつ国としてもまず先んじて、なるほど離島振興は通産省の所管でなくて経済企画庁の所管だとは言い得ても、この際、そういう悪条件下に置かれている天草石炭産業については特に気をつかう必要があるだろう。ですから、私は単に鉱害だけではなくて、その他の天草石炭産業の現況というものの青写真を一応とって、その上に立って資本の導入をやるなり、あるいはまた先ほど局長が言われた販売コース一つのルールを作っていくなり、そういうひとつ近代化の方法をぜひこの際採用すべきだと思うのです。大臣が中座されましたから、政務次官がおられるので、ひとつ政務次官のほうから、このことに対する所見を伺って私の質問を終わりたいと思います。
  34. 大川光三

    政府委員(大川光三君) ただいまのお話に出ました問題については、大臣ともよく相談をいたしまして善処いたしたいと、かように考えております。
  35. 森中守義

    森中守義君 大臣また来るのですか。
  36. 山本米治

    委員長山本米治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  37. 山本米治

    委員長山本米治君) 速記をつけて。
  38. 森中守義

    森中守義君 それでは、今のことは政務次官の答弁でもけっこうですが、非常に大事な問題ですから、一応大臣が来られたならば、もう一回ひとつお答えを願うようにして、私は保留しておきます。ただ、ぜひともそういうような実情であるということを関係者のほうにも十分この際御認識を願っておきたいと思います。
  39. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 四件の法案でございますので、質問が飛び飛びになって大へん恐縮ですが、なお、衆議院のほうで四件の法案について相当質疑応答がなされておりますので、速記録で読ましていただきましたから、その点は省きまして、小さい点を少しお尋ねしてみたいと思います。  この「石炭鉱山保安臨時措置法案提案理由」といういただいた文書の中の第四の四行目に、「これにより労働者の保護に遣漏なきを期することといたしております。」、こう書いてある。保安関係の法律でございまするから、保安の上の労働者の保護かと思ったわけですが、文章を見ると「平均賃金の三十日分」云々と書いて、その下に「労働者の保護」云々と書いてございますから、これは生活の問題だと思うわけですが、まさか三十日分に相当する金額を支払うことが労働者の保護に遺漏なきを期するということじゃなかろうと思いますので、その中身ですね、具体的にどうなさるのか、保安局長さんにお尋ねいたします。
  40. 八谷芳裕

    政府委員八谷芳裕君) ただいま御質問ございました提案理由の中に入っておりますこの第四の問題、これはいわゆる離職金の支給規定の問題でございます。現在合理化法によりまして買い上げをやっております。これは合理化事業団が買い上げているのです。あの中にも賃金の一月分相当額の離職金を支給する、こういうことになっておるわけでございますが、それと同じようにこの廃止勧告によりまして炭鉱をやめていくという場合に、離職することになります労働者に対して賃金の一月分相当額を離職金としてお払いしますと、こういう規定でございますが、もちろんこの規定一つによりまして労働者の保護に遺漏なきを期しているというわけでなくて、この交付金は、いわゆる整理交付金は合理化事業団がこれを一度法定代理人として受け取るわけであります。合理化事業団は賃金債務と鉱害債務、賃金債務は未払い賃金と退職金でございますが、そういう未払いになっております賃金債務と、それから鉱害債務というものを最優先的にこれを支払う、こういう形になるわけでございます。そういう賃金債務の最優先支払い、こういうこととあわせて労働者の保護に遺漏なきを期する、こういう考えでございます。
  41. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 保安局長に直接関係があるかどうかわかりませんけれども、今おっしゃった合理化事業団の買い上げによって北海道、常磐、山口、九州と、各産炭地域でそれぞれ合理化事業団の買い上げた山があるんですが、御承知のとおり、特に九州地方がひどい、暴動が起きないのが不思議だというくらい、しかも今週から先週にかけて通産、大蔵、自治、労働四大臣現地に行ってみてきて対策を立てなければならぬという現状なんです。それが合理化事業団で買い上げた山の労働者が万をもって数えるほどおるわけです。あれと同じような方式で行くということになるわけですが、あれと同じでやるということが遺漏なきを政策的に期している思っているんですか、そういうような考えであればこれは問題なんですが。
  42. 八谷芳裕

    政府委員八谷芳裕君) 今度の臨時措置法で定めております未払い賃金あるいは退職金の取り扱いは、現在合理化事業団がやっております合理化法によりまするのよりは最優先的に支払うという面ではこちらのほうがずっと労働者の保護に資していると、こう考えるわけです。この廃山していきます労働者に対して法律面では、この離職金の支払いと、それから未払い賃金の支払い、こういう二つの面で進むわけでございますが、もちろん離職者の対策、こういう問題を抜きにして、とれが遺漏なきを期しているということにはならないわけでございまして、この離職者の対策につきましては、この臨時措置法に現われております法律面以外に十分にこれをやっていかなければ、円満な閉山ということにはならないだろうと考えます。
  43. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 保安局長さんで、仕事が違うから、中身よくわからぬと思うので、私その点しつこく聞きませんけれども、今の合理化事業団の買い上げた山も、金がある限り大体優先的に金を払っているわけですよね。いろいろ問題のある山もあります。しかし、大体そういう方向で石炭局があるいは合理化事業団を通じてやはりそういう行政指導をやっておるようです。だからこれはほとんど変わらない。そうすると、三十日分しかもらえないわけです。保安局長は、長い間国家公務員として国に奉仕されたから、一産業人として国に奉仕する人と立場が違うかもしれませんけれども、あなたが三十日分だけもらっておやめなさいと言われて、これは国が十分保護して遺漏なきを期するということが言えるかどうか、自分の身と対照してお考えになったらいかがですか。羊頭を掲げて狗肉を売る文章ですよ。こういうことでもって足れりとするから、保安局は監督の任に当たりながら、一カ年に一千人ずつの犠牲者を出す。労働者の保護ということで、美しい言葉で書いてあるんですが、中身が伴わないということをそれこそ遺憾だと思うんですが、御答弁があったら承りましょう。
  44. 今井博

    政府委員今井博君) この関係は石炭局も関係いたしておりますので……。
  45. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 これはあなたの担当の法案ですか 僕の聞いておるのは、石炭鉱山保安臨時措置法案提案理由の説明で、これは保安局で責任あるわけでしょう。その保安局で出した中身を僕は承っておる。
  46. 今井博

    政府委員今井博君) この提案理由はもちろん保安局で書かれたものであり、一応所管は保安局になっておりますが、山の廃止に伴う交付金の支給とか、そういった面は石炭行政とも関係いたしまして相談してやっておりますので……。今保安局長が申し上げました趣旨は、現在事業団が山の買い上げをやっております業務と、今度の保安臨時措置法でやりまける山の廃止業務との比較を申し上げた次第でございまして、このたびの保安臨時措置法によりまして、山を廃止する場合には、未払い賃金あるいは退職金というものを最優先的に考えるという二とを実は説明いたした次第であります。事業団が現在やっておる山の買い上げは鉱害を最優先的に考えておりまして、したがって賃金の未払いについては、鉱害が最優先いたしますので、その次にくる、こういう順序になっておりますが、今度の保安臨時措置法によります場合は、未払い賃金それから退職金というものと鉱害の賠償金、この二つを同列におきます。この二つを最優先に考えておる、こういう立て方をいたしておりますので、現在やっております事業団の山の買い上げの場合の賃金の未払い分に対する処理の仕方よりは、数等これは優遇して考えておる、こういうことを実は説明として申し上げた次第でございます。
  47. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 石炭局長より三代か四代前の石炭局長さん当時できたんだからして、その法案の中身をあなたよりも十分詳しく知っておるんですよ。だから僕は法案の中身を聞いておるんじゃない。もしあなた方が国家公務員として国のためにお尽くしになったということは十分わかりますけれども炭鉱労働者も一産業人としてやはり国のために尽くしたんだから、金額に差があるかもしれないけれども、あなたたらがもし三十日で打ち切りですよと——働いた賃金をもらうのは当然ですから、これは恩恵でも何でもないんですが、三十日分をもらって、それが自分の身に引きかえて、保護に遺漏なきを期したということで、あなたたちは了解するのかどうですかと、こういうことを聞いているんです。筑豊へ行ってごらんなさい。大臣さえ現地を視察されている。両局長行ってごらんになりましたか。そこをどうかとお伺いしておるんですよ。
  48. 今井博

    政府委員今井博君) もちろん離職金の三十日分だけでは十分であるというふうに考えておるわけではございません。ただ離職金も払いまするし、それから先ほど御説明いたしましたように、今までの山の買い上げよりは、鉱山労働者の未払い賃金、退職金については優遇して考えておるというふうな点もございますので、それをあわして、できるだけ遺漏なきを期した、こういうふうにひとつ御了解願いたいと思います。
  49. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 これ以上同じことを繰り返しませんけれども、との文章が、相当恩恵的に感ずるような文章を作っておいて、羊頭を掲げて狗肉を売るということになるのですよ。そういうことですから、あなたの見解がそういうことであればよろしゅうございます。  その次に、今度は要綱のほうですが、要綱のほうの第三、いろいろ書い  てございますね。これに該当する山は、お調べになって法案を作ったことだろうと思いますから、数を御承知だと思いますが、大体どのくらいござい  ますか。
  50. 八谷芳裕

    政府委員八谷芳裕君) この第三は、総合調査に基づきまして、必要があると認めるときに保安に関する改善の勧告をする、こういう規定でございます。これは日ごろから、この保安法の違反等につきましては、常に監督官が現地に参りまして調査をした結果、そのつど必要な命令あるいは指示をいたしておるわけでございます。この第三項に書きました改善の勧告は、さらに、そういう、単に現在の保安法あるいは保安規則によります規定の違反事項ということにとどまらず、さらに大きな観点からいたしまして、保安の改善に資するということについて勧告することができる、こういう規定を作ったわけでございまして、これは今後の調査によりまして、この場合は改善の勧告をしたほうがよろしい、こういう場合が出てきたら、これを改善勧告をしよう、こういう考えでおるわけでございます。
  51. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 私のお尋ねしているのは、たとえば法律を作る場合に、こうこう、こういうことが起きるおそれがあるからということで法律を作る場合と、これはこういうことではいかぬ、したがって、政府が行政指導をしなければならないのだが、法律を作ってやらなければならぬとか、あるいは法律を作らぬでもやれるとか、いろいろ区分されると思うのですが、この第三項を読んでみると、当然法律が必要なんだから、こういう臨時措置法が出てきたわけですが、おそらく九州から北海道まで含めて、この法律を企画、立案するにあたっては、大体こういう山はこういう法律をもって勧告しなければならぬというようなことで、お調ベになっておるでしょう。ですから、それに該当する山が幾つぐらいあるかということをお尋ねしているのです。なければないという御答弁でけっこうなんです。
  52. 八谷芳裕

    政府委員八谷芳裕君) 次の廃止の勧告につきましては、こちらは予算その他もございまして、一応の想定をし、また過去の調査によりましての目算もいたしておるわけでございますが、この改善勧告のほうは、総合調査を施行されまして、総合調査を現実にやりました結果に基づいてやるということで、どの炭鉱とどの炭鉱というふうなことは、現時点においては明確に考えておりません。
  53. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 いや、私はどこの炭鉱が該当するとか、どこの鉱山が該当するということをお尋ねしているわけじゃないわけです。しかし、最後のほうになると、交付金は事業団を通じて云々と書いてあるわけです。あなたのほうで大蔵省に対して予算要求をしなければならない。このくらいの山が該当する山であると、通産大臣はこういうふうに勧告するのだが、したがって、山がつぶれるから予算がどうかという問題が生じてくるでしょう。ばく然としておって、まさか大蔵省が——佐藤通産大臣にお伺いすると、大蔵省が固くて困るということを常におっしゃっているのですから、ただ、ばく然と大蔵省が、あなたのようなお話では、ああそうですかといって金が出ぬだろうと思う。あなたのようなお話で金が出るんだったら、佐藤通産大臣が今まで僕らに言ったことは全部うそということになる。そうではない、必ず第三あるいは第四のこういうものが出てきたときには、やはり幾つぐらいの山が該当して、幾らぐらいの金が必要で、これを事業団を通じてやる、こういうことになるのではなかろうかと思うのですが……。
  54. 八谷芳裕

    政府委員八谷芳裕君) この改善勧告につきましては、必ずしも経費が直結しないわけでございまして、ただいまお話のございました第四の鉱業の廃止の勧告、これにつきましては、交付金を明確に算定し、あるいは離職金を算定する必要がありますので、これにつきましては、ただいま大蔵省と予備金の支出折衝、その他をやりまして、現在この第四のほうでございますが、これにつきましては、昭和三十六年——本年度は、三十九炭鉱、三十五万二千トンを一応考えております。それから来年度につきましては、四十炭鉱の四十五万トンでございます。ただし、本年度につきまして、当初これを立てましたときから暫時時間の経過も経てきておりまして、極力この数字に合わせるような方向で努力をしたい、こういうふうに考えているわけです。
  55. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そうすると、この第四番は、石炭鉱山における鉱業の廃止の勧告云々とありますから、大臣が勧告するという場合には、やはり裏づけが必要だということで、四十二炭鉱ですか、勧告の大体お調べになった該当山は。
  56. 八谷芳裕

    政府委員八谷芳裕君) 三十六年度におきまして廃止勧告の予定数は三十九炭鉱でございます。それから三十七年度で四十炭鉱、こういうふうに考えているわけです。
  57. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その次に、第六番目にある、保安に関して政府資金云々をするという条項がございますが、これは今までと変わった方向で、何らか新しい款項目を設けて金を融資するとか、補助金を出すとか、こういうことになるわけですか。
  58. 八谷芳裕

    政府委員八谷芳裕君) ただいまの御質問の問題でございますが、これは当面の資金といたしまして、ひとつ保安専用機器の設置に必要な補助金を考えております。これは補助金額は、三十六年度の予備費支出として七千三百八十六万九千円でございますが、第二番目に、石炭合理化事業団によります無利子の近代化資金の貸付、これといたしまして、やはり保安機器でございますが、あるいは坑道の機器等につきまして二億六千万、さらに中小企業金融公庫から低利かつ長期の融資十億、こういうものを考えているわけでございます。さらに日本開発銀行のほうから四億というものを、この保安の確保のために融資をしてもらう、こういうことを考えております。
  59. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 通産大臣が出たり入ったり、また出たりで、森中先生のさいぜんの保留した質問があるはずですが、私の発言の途中でもけっこうですから、大臣がお見えになったときには、森中委員に発言をさして上げて下さい。
  60. 山本米治

    委員長山本米治君) 承知しました。
  61. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そこで、大体わかりましたが、最後の第十二の、労働省設置法及び通産省設置法の改正によって監督官の人員をふやす云々ということが書いてありますが、この法律は二カ年間の臨時措置法です。二カ年間で臨時措置法がなくなると人員が減るというシステムですか。
  62. 八谷芳裕

    政府委員八谷芳裕君) これは二カ年たてば、たとえば通商産業省に四十人の定員増加をはかった、これはすでに定員は認められまして、今ほとんど増員をしましたわけですが、これを明確にこの法律でこれは定めるわけでございますが、これは決して二年でこの問題が終わるわけでなくて、これで一たん認められますと、この項目だけはずっと永久に続いていく、こういうことになります。
  63. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そこで、政務次官の大川先生にお尋ねしたいわけですが、これは大川先生最もわかる話で、ぜひあなたでなければならぬ。実は、これは今井石炭局長じゃちょっと困るんです。  実は、これは大川先生、この法案と関係してですが、直接法文には関係ないわけですが、仏作って魂入れずということがありますので、これは質問といろよりも要望になるわけですが、昨年九州で次から次へと爆発事故あるいは水没事故が起きまして、多くの炭鉱労働者の犠牲者が出たわけです。そのとき監督に行っとった保安監督官が自殺なんという——炭鉱の爆発のためかどうかわかりませんけれども、そういう問題が起きたわけです。したがって、私ども炭鉱へ参っていろいろ聞いてみますと、つまり保安監督所にいる通産省の監督員の諸君ですが、坑内に入って、坑内に入ってですよ、新しい機械を据え付けるというのを監督するのに一時間四円しかつかない。坑内——全然危険で通れぬような区域をやはり監督官は通って検査しなきゃならぬが、一時間八円しかつかない。ドンと爆発して、いつガスのために、爆風のためにやられるかわからない現場へ行く監督官が、一時間二十円しかつかない。これは、もっとも金によって監督官が動くとは思いませんけれども、しかし警察官、消防署員、これと比較して、実に鉱山監督局の監督官——通産省の下級の公務員は安いんです。これを大川先生承知かどうかわかりませんけれども、今度新しい予算が、いよいよ来月から十二月にかけて予算措置がやられるんでしょうが、これは大川先生ぜひやっていただかなければならぬと思うわけです。いかがでしょうか。大川先生も来年選挙ですから、ことし一つくらいいいことを、実績残されたらどうですか。
  64. 大川光三

    政府委員(大川光三君) ただいま阿部さんからお尋ねの点は、非常に私も重要な点であるし、関心を持ってお伺いしましたが、ただ保安要員の給料が少ないという点については、今後多少これに改正を加わえるという用意があるのでありますが、その詳細はほかの政府委員から説明いたします。  ただ問題は、こういう危険な仕事の衝に当たる人たちに対しては、ただ一定の俸給とか金銭とかいう以外に、もっと大きな身分保障ということを考えておかなきゃならぬのではなかろうかというように私は感じておる。同時に警察官の場合、あるいは消防署員の場合でも同じように、こういう危ない仕事に携わる人には、その身分保障というものも大きい立場から考えにやならぬのじゃないか、かように考えておりますが、改正の点についてはほかの政府委員から説明をしていただきます。
  65. 八谷芳裕

    政府委員八谷芳裕君) ただいま御質問ございました監督官の待遇改善につきましては、去る七月一日から入坑手当につきましての改善を行ないまして、従来、ただいまお話しのございました一時間八円、これは、かりに八時間の作業をしますと、八八——六十四円でございますが、この巡回の場合の一時間八円、一日に引き直しまして六十四円というものを、一日二百三十円、ちょっと単位の取り方が、もとの給表は時間でございまして、今度のは日でございますので、直接比較できませんから、八時間に換算して申しますと、巡回の場合が六十四円から二百三十円、それから災害調査の場合には百九十二円、これを六百九十円。それから通常の施設、その他の検査の場合は三十二円を百二十円と、約四倍に近い程度にこの入坑手当をもらえるように改善をいたしました。
  66. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 実は、そういう話は知っとるけれども、それではもう全然スズメの涙ほどしかならない。したがって、昨年あの爆発の起きたときに、総理大臣の池田さんに、こういうことになっているが、総理は一体どうなさいますかと言ったら、それはもう阿部委員の言うとおりで、これは大いに奮発しなければならぬと、こうおっしゃった。今はおやめになったから、私はおやめになった人を云々したくないのですが、そのとき小岩井さんが保安監督局長さんだった。今の保安局長は私は今初めてお会いしたのですからわかりませんが、小岩井さんという人は全然政治性がないから、池田さんが大いに奮発しようというのに、さっぱり通らない。坑内に入ったら、そんなものは全然話にならない。問題が起きてからけしからぬ——僕たちも怒るけれども、しかし、それはやはり優遇してやらなければだめだ。したがって保安監督部をあなたのほうで一手に責任を負ってやっておられるでしょうけれども、どうも保安局長というのは歴代あまり政治性を持っているのは局長にはならぬようだ。したがって、大川政務次官はどちらのほうを担当しておられるか、二人おられるからわかりませんけれども、予算措置のほうは、特に保安監督局長のほうを応援してもらいたい。あなたは、それだけではありません。身分保障という大ふろしきを広げられたけれども、僕の言ったことだけでもやってくれればけっこうですから、それはこの国会だけうまく答弁しようというわけではないでしょうが、それはあなたの公約ですから。これはこれで終わります。  産炭地振興で千二百円下げなければならぬということで石炭業界が出発して、今日塗炭の苦しみをなめているわけです。池田総理もみずから、私が通産大臣佐藤君が大蔵大臣のときに、今より二カ年前でありましたが、こうあれかしと、これが成功すると思ってやったが失敗いたしました、こう言って総理みずから言明している。おそらく石炭局長もお聞きになっていると思いますが、佐藤さんがおいでになればいいと思うのですが、なかなかお見えにならぬようですから……。この千二百円コスト・ダウンの中身をどことどこと、どこで、何を下げて、締めて千二百円になる。こういうことになるのだろうと思いますが、その中身を、あなたのほうでおっしゃった中身をちょっとお尋ねいたします。
  67. 今井博

    政府委員今井博君) 千二百円のコスト・ダウンにつきましては、石炭鉱業審議会の生産部会でいろいろ検討いたしました結果、揚げ地で千二百円を引き下げる必要があるという結論になりまして、それの中身といたしましては、山元のコストで千三百円、それから流通関係で平均いたしましてこれは百五十円を引き下げる。そういうことをやることによりまして、京浜の主要揚げ地において炭価を六円下げる。こういうことに答申が参りまして、それに基づきまして千二百円引き下げの計画を立てた次第であります。
  68. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 千二百円下げなければならぬという目標は、単に油——重油、原油、石油等、競争しなければならぬ立場に置かれておるから、それでレベルを合わせるために千二百円下げなければならぬ、こういうことですか。
  69. 今井博

    政府委員今井博君) その点は石炭鉱業審議会の答申の内容は以上のとおりでありますが、その根拠は、先生の御指摘にありましたように、三十八年には油の価格がそのくらい下がるであろうが、当時油の価格が、重油の価格がBC平均で約九千七百円という数字になっております。それが三十八年度におきましてはBC平均で約九千円、C重油だけをとりますと八千四百円というふうに下がることを予定し、それに対抗するのには炭価を千二百円を引き下げる必要がある、こういうことで、そういう措置をとった次第であります。
  70. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 中身はわかりましたが、そうしますと、一般に言われておる千二百円という結論を出した当時と今と、相場が、諸物価の価格が違うわけですね。たとえば一例をあげても、鉄道運賃がトン当たりコストが六十四円、全国平均ですが上がっておる。九州の若松においては機帆船関係の人が扱い料を高くしてもらわなければならぬ、こういうことで見えておる。金額でも、そろばんをはじかんでも、相当上がっておるということが明確です。諸物価も上がっておる、坑木代から始まって。にもかかわらず、千二百円を堅持するということですか、それとも、ずっと一般物価指数の上昇に伴って率を縮めてくるのか、あるいは伸ばすという構想があるのですか。ばかの一つ覚えのように千二百円、千二百円と言って、客観情勢、物価指数がどうなろうとも千二百円ですか。
  71. 今井博

    政府委員今井博君) 千二百円は、その当時とは確かにいろんな客観的な諸情勢が変動いたしておりますが、同時に、その当時考えました千二百円というものは、石炭鉱業を三十八年度まで合理化する場合の一種の限度と申しますか、三十八年度まではいろんな手をもってしても千二百円が限度であろうということもあわせ議論されております。現状におきましては、できるだけの合理化をやるという線から申しましてこの千二百円、三十八年度における千二百円という計画については現在改定する意思は持っておりません。
  72. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それじゃ現在における三十八年度の千二百円コスト・ダウンを変更しない、こういうことですか。
  73. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま今井石炭局長お答えしたように、ただいまの時点においては千二百円下げ、これに各界の御協力を願う。また政府自体で低利の融資その他も計画して千二百円下げる、これを実現すべく最善の努力を払っておるというのが現状であります。で、今までしばしば申し上げた点でございますが、いわゆるばかの一つ覚えに千二百円下げということを申しておるわけでございます。この点からまあ運賃についていろいろ議論が集中されておりますが、前内閣時分に運賃の後払いという閣議決定しておりますが、これがまだ実施されておらない、もちろん後払いが実施されましても、一定の時期がくれば支払わなければならぬのですから、それじゃ運賃問題についての根本的解決を見たとは考えられません。しかしながら、まず第一段階は、前内閣できめた程度のものはまず実施に移すことになるのじゃないか、こういうことで、ただいま石炭関係閣僚会議でも運賃の問題を一つ取り上げているというのが実情でございます。  将来千二百円下げが可能かどうか、こういう点でいろいろの御議論があろうかと思いますが、私は今までのところ、三十八年までの予定といたしましては、ただいまの状況ですぐそれを変更する、そこまで必要はないんではないか、と申しますのは、業界においても一部反対もございますが、一部におきましては、石炭需要を確保するという意味で、ただいま申す千二百円下げ、あるいは七割の需要の確保、こういう約束をしておるから、とにかく経営者としては最善の努力を払ってみたい、かように申しておるのであります。そういう意味で、このきめました計画は一そう、まだ期間もあることですから、これが実現に最善の努力を払ってみる、こういうので、千二百円下げを機会あるごとに発表もし、そういう説明もしておるところでございます。
  74. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 今通産大臣のおっしゃった運賃の延べ払いですね。あとで何年後に払うことになるかわかりませんけれども、私も新聞紙上で見ましたが、かつて昔、日本の復興は石炭が必要であるということで、石炭を掘らなければならぬという大原則で、炭鉱労働者諸君が朝鮮あるいは中共から来ておったものですから、終戦と同時に全部帰ってしまった。家がない、政府から炭住資金といって膨大に金を貸したわけです。炭鉱経営者がそれを借りてどんどん家を建てた。これは払わぬでいいだろう。あるいは二十カ年か三十カ年の年賦返済だろうということで家を建てた。そして労務者諸君をたくさん入れた。そうしたら三年もたたぬうちに全部払えということになって、炭鉱は大恐慌を来たしたことがある。通産大臣承知だと思いますが、今簡単に延べ払いで運賃を取り扱って、それで千二百円云々と言われたが・そのときの二の舞いが起きぬということは断定はできませんが、それでは完全な政策の一つにならぬと思うのです。  それからもう一つ、今のお話の中にございました千二百円というのは堅持するのだと、しかし、幾つかの方法で、政府はプラス・アルファの方法で政策をもって堅持するのだ。こういうことですが、今申し上げましたとおり、鉄道運賃を初め、あらゆるものが上がっておる。したがって、上がったものについて、千二百円が千六百円になっておるか千六百五十円になっておるかわかりませんが、その差額だけは政府はこの保護政策の一環として行まっていくというふうに理解してよろしいですか。
  75. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 少し結論を急がれておるようですが、そこまではまだ結論は出ておりません。おりませんが、しかし私が、今運賃一つについて申せば、これは今の後払いだけでは根本的対策ではない。それで、どうせ、まず第一段としては、前内閣時分の閣議決定の実現をするが、同時に、進んでは根本的対策を立てたい、かような希望を持っておることを率直に申し上げるわけでございます。あるいはまた電力料金が上がった、あるいは坑木の代金が上がった、あるいは労賃が上がった、いろいろあると思います。あると思いますが、千二百円下げをいたす際でも、炭鉱労務者についての賃金も、これは据え置きのつもりではございませんから、わずかではありますが、一応賃金の上がることも、労務者自身の賃金の上がることについては予想が立っておるわけであります。ところが実際は、この予想で考えたものより以上に上がっておるという実情でございますから、今言われまするような点については、これは経営の、いわゆる経営合理化と申すよりも、日常の状況において消化が可能ではないか、こういうことも実は考えておるわけであります。いわゆる消化が不可能と考えられる非常に大きい部分を占めると考えられるのが運賃でありまするので、まずその運賃を取り上げておるというのが実情であります。  私はこの石炭産業について、ただいま阿部さんが御指摘になりまするように、戦後この石炭についての非常な奨励といいまするか、助成方法をとってきた。そこで最近は重油がもっと安く、そうして便利な方法でこれが使える。だから固体燃料から液体燃料に推移する、こういう態勢は一面見のがすことはできないと思う。いわゆる消費者の自由選択というものはあると思います。だからそういう意味で、大きくその点を取り上げると、石炭産業は斜陽産業だ、こういうことになるようでございますが、この点にブレーキをかけ、いわゆる安定産業たらしめることが政治のあり方だろう。かように私ども考えておりまするので、石炭産業自身も、あるがままの姿ではなく、やはり一そうの工夫をしていただいて、そして安定的産業たらしめる。その意味での需給の安定をはかっていく、こういう処置をとりたい。そのためには、労使双方が協力して安定産業たらしめることに御協力を願いたいし、政府もその労使の意気込みに対して、当然なすべき処置はなすべきではないか、これが基幹産業である石炭を安定産業たらしめるゆえんだ。こういうことを実は申しておるのであります。これは私が申すまでもなく、阿部さん御自身のほうが専門家であられるから、この趣旨は誤解はないだろうと思いますが、私のいわゆる安定産業という点から申すならば、これを職場にしておる労務者の、現在も、また将来についても、不安を持たないで、安堵してそこで働けるということだと思います。その意味においては新しい賃金体系が望ましいんだ。また経営者のほうから申しますならば、いわゆる資本に対する適当な報酬がなきゃならない。そういうものが、いわゆる千二百円下げ、五千五百万トンという場合に、どの程度の配当なり利子というものを考えておるか。こういうふうに、もしも通常の産業に対して払われる考慮がないとしたら、いわゆる安定産業とはなり得ないんだと思います。でございますから、ただいま取り上げております基本的なあり方は、まだ出炭も五千五百万トンには達しておらない。その実情のもとにおいては、現在より以上の出炭をする、五千五百万トンを目標とする。同時にまた、これは完全に重油と競争しようとは申しませんが、まず可能だと考えられる千二百円下げ、これに全部が協力していただきたい。今後は私どもは、さらに金額を示しての合理化要求はいたしません。かように申してはおりますが、同時に経営者も労働者もさらに工夫をしていただいて、生産性を向上していただき、労務者の賃金も上げることができるようにし、また株主に対しても配当ができるようにする。さらにまた進んでは、消費者に対しても安い石炭を供給し得るような、そういう本来の企業努力そのものはもちろんやっていただきたいと思いますけれども、いわゆる政府合理化目標として幾ら下げるんだ、こういう指示をしなくっても済むようにしたい。その意味の基礎的なものとしての五千五百万トンであり、千二百円下げ、こういうように私自身も理解し、また関係の方にも御理解をいただくようにお願いをいたしておるというのが現状でございます。したがいまして、これがどうしてもできなければ、政府は積極的に五千五百万トンあるいは六千万トン、こういうような安定供給という点に特に力を入れるとか、あるいはドルで支払わなくって円で支払いのできるもんだから、少々値段は高くてもこのほうがいいんじゃないか、こういう議論には、そのまますぐ賛成というところまでいっておらないというのが現状でございます。
  76. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 通産大臣は毎日炭労の諸君とお会いして話をしているから、きわめて答弁がうまくなっております。そこで私のお尋ねしたいことは、たとえば、国鉄運賃を安くしてもらって、結局国鉄の収入減になるか、政府の財政的補助ということになれば、政府の金庫が減ってくる、こういうことになる。そこで私どもは、石炭の価格を下げるということには賛成なんです。しかし、そちらを削る、あちらを削るというふうな方法では、石炭の価格というものは、それは下げたところで微々たるものであって、盲腸炎になったとき、つまり注射か湿布で盲腸を一時押さえておって、そうして痛みをとめるという程度にすぎぬ、こう思っておるわけです。ですから、今通産大臣が斜陽産業云々と言われたわけですが、私は、資本主義社会にはなかなか安定産業というものはないんじゃないか。たとえば、三年や五年の安定産業はあるでしょう。しかし、きょうの石炭の運命があすの石油であるかもしらぬ。きょうは肥料会社がいいと思っても、来年になるとだめになるかもしらぬということで考えておるわけですが、その今どん底に石炭産業が置かれている。これは直ちに斜陽産業だと、確かに私も通産大臣と同じように言えぬと思うんです。  そこで私ども石炭政策をいろいろ検討してみて、私は、通産大臣は、これは自民党の方ですから、ソ連とか、あるいは中共とか、こういうような社会主義諸国と同じような政策をやってくれとは言いません。しかし、ソ連とか、今申し上げました中共を除いて、イギリスでも、あるいはフランスでもベルギーでも、オランダでも、やはり保守政権でありながら、やっていることがたくさんあるわけです、御承知のとおり。一例をあげてみますと、鉱区の整理統合ということは、フランスなんて五百ほど鉱区があったわけです。それを百三十ほどに整理統合をやってしまった。日本はまだそれをやらない。ということは、ここは三菱、ここは三井、住友、古河、明治・大正時代の鉱区をてんでんばらばらに持って、そこにうちのほうは坑口を開設して五万トンの石炭を掘る。こちらのほうは違う会社がまた五万トン、こちらが十万トンというので、同じ鉱区を両方あるいは三方からとにかく採掘していくというような実態です。ですから、これを整理統合をやると、これは直ちに一カ所から石炭を搬出することができるので、これは価格が大幅にダウンすることができると思うのですが、政府は政策の一環として、そういうことはお考えになっておりませんか。
  77. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 鉱区、鉱業権の整理、これは当然やらなきゃならぬと思います。そういう意味で、鉱業法の改正なども検討中であります。  また、石炭をいわゆる安定産業たらしめるという点から申せば、深度の深い大きい炭田の開発あるいは新炭田の開発、こういうことをしなきゃならない、これはやっぱり積極の面だと思います。  また、現在あります山自身の合理化について、積極的な施策もいたしますが、新たに、今までは開発のできなかったようなそういうものに新技術を導入する、あるいは有望な新炭田の開発をする、こういうところが、今後の私どもの力を入れるところでなければならぬ、かように思っております。
  78. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 それから、その次にお尋ねしたいのは、流通機構の問題ですが、たとえば、北海道で石炭が二千五百円か三千円で販売されておりますね。東京に来て、私どもが買うのは一万一千六百円くらいです。これは大臣は御承知おきかどうかわかりませんけれども、五千五百カロリーくらいで、東京で市販は、今申し上げました一万一千五、六百円、一かます五百六十円ですから、二十かますで一トン、そうすると、北海道で三千円の石炭が東京で一万円以上する。一人の人が八千円も九千円ももうけておるとは私は思いませんけれども、しかし、その間、特に六つくらい販売業者からあらゆる業者が手が入るわけですね。ですから、一トン買って五千円ですから、二トン買えば一万円で、大体一万円で無理して一年中の暖房をとっているというのが現状です。これが三千円でたけるようになれば、一万円で三トンたける、こういう実態になるわけですが、流通機構がこれまた複雑怪奇ですから、なかなか容易でない。したがって、政府がここにメスを入れて、公団か、あるいは何でもけっこうですから、名称は、そういうような機構にして、流通の一元化をはかる方法がないものかどうかということを考えておるわけですが、この点はいかがでしょうか。
  79. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いわゆる石炭で問題になりますのが小口の消費者の場合と大口の場合、これは両方とも問題があるわけです。いわゆる大口のほうは炭鉱の直売と申しますか、そういう口を開くことによって、ある程度私は解決ができるのじゃないかと思います。現に電力会社その他にまとまって納めておりますものは、そういうような方法がとられておる。いわゆる中間機関はあまり経ないでやられる。もう一つ問題は、いわゆる炭種、銘柄というものが、今のように多数であると、これが非常に石炭取引をしてむずかしいものにしている。輸送の面でも、炭種、銘柄が多いということが非常な苦痛だと思います。一つの船に積むにしても、それを全部、炭種、銘柄で区分けをしなければならない、こういうところにむだがあると思うのであります。しかし、炭種、銘柄の整理ということは、言うはやすくして、実際はなかなか行なわれておらない。しかし、これに何かメスを入れなければだめだというので、同じ山から出ます炭については、その炭種をできるだけ減らすようにということを、山元に対して指導をしておるわけであります。また、できるだけ直売をするように、そういう方法も指導しておるわけであります。  ただいま言われます小口の消費者、そういうところが山元の炭が家庭に入ってきたとき非常な差がある。これが非常に目につく。ことに山で働いておられる方は一そうそれを痛切に感ぜられる。山ではおれたちがこれだけの苦労して掘り出したにかかわらず、値段は安い。東京に行けば一万二千円だ、とんでもないことだと、こういうことをいわれておりますが、その数量的な問題から見ますと、これはいわゆる一応考慮には値いたしますが、実際的問題としては、その範囲は少ないのじゃないかと私は思います。結局、今申す炭種、銘柄の整理ができないと、今一本の公団等の構想、これは実際には実現しにくいのじゃないか、かように私は考えておるわけであります。
  80. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 通産大臣から不思議な話を承るわけですが、炭種、銘柄が流通機構の簡素化なり一元化なりにじゃまになるということですね、こういうわけですか、つまり三百トンや四百トンの石炭を掘る山は、これは銘柄なんか持っておりませんよ。付近の大炭鉱の租鉱権の山である、あるいは鉱業権者がいるでしょうが、炭層が同じですから同じ銘柄で、そんな流通機構を、船で運ぶにしても何でも、絶対私は影響ないと、こういうふうに判断できるわけですが、銘柄というのは、何万トンという石炭が毎月毎月出る山がそういう銘柄を持っているのですから、そうすると銘柄をたくさん十種類くらい同じ船に積み込むなんていうことは、これはあり得ない。通産大臣はどなたからお聞きになったかわかりませんけれども、そういうことはないのですが、理由があればお聞かせ願いたいのですが。
  81. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは私が若い時分に経験した事柄であります。今、よほど改善されているかと思います、今のようなお話をなされれば。しかし、戸畑や若松において実際に炭を積み込む場合に、同じ本船に炭車どれでも全部ぶち込むというわけにいかないのです。やはり適当なところで仕切りしなければいけない、この区分けをするということが大へんなんです。これは塊と中塊という、これは別な炭だ、これはだれが見てもおわかりだと思いますけれども、しかし、同じ中塊、小塊にいたしましても、山元によりまして、カロリーが違っておりますから、そういうものを一緒に積み込んだんでは、揚げ地において困ってくる。だから、同じ一ぱいの船に一千トンなら一千トンの同じ種類の炭をまとめることができれば、ただいま申すような必要はないのです。今御指摘になりますような小さな山だと、そういう山はまとめて五百トンだとか、あるいは千トン、なかなかできるもんじゃありません。もしも、五百トンあるいは千トンまとめるというなら大へんな港の貯炭場、船積み場においてそれだけの貯炭場を持っていないと、あとの処分ができないものです。また鉄道自身が送っておりましても、炭車については一つずつみな炭種ですね、発地のものがみなついているわけです。しかし北海道になりますと、これはもう炭の一口の量も大きいですから、九州炭のような十五トンの炭車でなくて、これは三十トンになる。それにいたしましても、すぐわかることは、中塊あるいは粉炭、さらに微粉炭というものがございますから、これだけ見ましても、やはり仕分けをせざるを得ない。その上カロリーで違う、あるいはまた山元の選炭あるいは水洗、そういうような都合によりましてそれぞれ特殊な事情に置かれている。こういうことでございますから、これはなかなか簡単にはいかない。現在もなおそういう状態にあるものと思っている次第でございます。
  82. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 通産大臣が国鉄門司におったときというから、だいぶ古い話でしょうが、次期総理大臣といわれる佐藤さんにして、そういうまだ古い考えでおられるから、石炭産業というのはなかなか政府の施策に現われてこない。ということは、北九州の例をとっても、あの辺に貝島というのがある、あの辺全部貝島炭ということになります。ここに吉田委員がおられるが、高松炭なら高松炭といえば、その辺に中小があっても、もちろん全部そういうことになる。粉炭から塊炭から中塊から、いろいろありましょう。しかし、それは単なる輸送をどうするかという問題でありまして、私の言うのは、山から掘ったら、販売権を持っているのがある、一手販売権を持っているのがある。その次に取り扱い店がある、小売店がある、こういう各種各様にあるわけです。ですから販売機構、なかんずく、石炭をただそろばんはじいて帳面を動かしただけで、一トンから百円、二百円も利潤を得ている人があるわけです。これは大臣知らぬかもわかりませんが、石炭局長はわかっているはずです。そういうことはないようにして、そうして直接取引をするように国が施策してやったらどうかと、こういうことを言っているわけです。単に運搬の問題だけじゃございません。
  83. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 先ほど申しますように、これは言われるとおり幾つも通る、そこで、先ほど申しますように、山元が直接売りを始めることが必要なんだ、こういうことを実は申したのであります。これは直接売るというようなことでなしに、山の数もたくさんあるのだから、配炭公団の構想はないかと言われるから、ただいまのところ、そこまで進んでいない。こういうお答えをしたわけなんで、私も今申し上げるような取引の実態から見まして、それが簡素化されれば非常にけっこうだと思います。しかし、おそらく実際の扱い方から見れば、あるいは電力会社へ納める、あるいは鉄道へ納める、こういう大口のものでありますと、山が直接やるか、あるいは山にかわっての代行機関がやるか、これは非常に少ない段階において処理されている、かように思います。ただ問題は、いわゆる家庭用炭になって参りますと、たとえば自分のところは山口の無煙炭を使いつけておる、あるいは天草の炭を使いつけている、あるいはまた常磐の炭を使いつけている、こういうようなことで、それぞれの得意があるようでございますが、そういう意味の場合だと、いわゆる石炭の小売業者、その手を通ってくると、それは非常に高いものになる、かように思います。しかも揚げ地あるいは着駅における荷役施設等も、そういうところだと十分使われておらない。今とにかく肩で石炭の揚げおろしをやっておるようなことでは、これは非常に高い石炭になると思うのです。こういうものが数量的にしからばどのくらいになるのか、こういうことが一つの問題だということを先ほど来申し上げておるわけであります。今の配炭公団の構想は、一応ごもっともな考え方ですが、まだ実情においてはちょっとそこまでいきかねるということを実は申したわけであります。
  84. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 私は、配炭公団ということを主張しておるのじゃないわけです。なかなか池田さんを中心とする佐藤さん、河野さんを相手として、配炭公団を設けろといったって、それはうんと言わぬでしょう。ただしかし、一部分まではやはり生産者から消費者へ直接いくような方法を講じていく、石炭をたくさんの人に安く使ってもらうようにいくべきではないか。したがって、石炭も大いに消費者がふえるということを考えて今申し上げたわけですが、一例をあげてみますと、飯塚というところがある、飯塚市ですね。大臣もこの間視察に行ったようですが、飯塚市の小学校、あの辺に住友なり三菱なり、あるいは日鉄鉱業の山があるのですが、その山から直接小学校の石炭を買うというわけにいかぬわけです。役所や学校は豆炭などをたいているわけですが、北海道は全部石炭ですからいい例ですが、あらゆる炭鉱市町村、付近の小学校は、直接その石炭生産者から買うことができない。必ず販売権を持った、ルートを使ってでなければ買われませんので、そこで二百円なり二百五十円なり上がる、こういうことになっておるので、これを政策的に何とかならぬでしょうかという話をしているわけです。  その次にお尋ねしたいのは、これも大臣みずから現地を御視察になられたから、あまりくどく申し上げませんけれども、九州へ行くと、山田市ですね、これは人口五万、今三万人こえて、炭鉱がなくなって、鉱産税から、固定資産税から、小さくは市民税までとることができません、こういうことで九州の筑豊一帯、これは一例ですが、田川にしても、御存じの大正鉱業のある中間市にしても、大問題が起きているわけですが、この処置についてどうお考えになりますか。これは安井さんのところの管轄かもしれませんが、直接あなたのほうも石炭産業を管轄しておられますので、お尋ねいたします。
  85. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまお尋ねの問題ですが、私は筑豊へ参りまして、意外な話を聞いた、給食用の燃料に重油を使っている、そういう話が学校の、はっきりしたものを確めたわけじゃございませんが、そういう話を聞いた。これなど考えてみますと、どういうことになるのか、やっぱり重油のほうが扱い方が楽だ、簡単なんだ、こういうような話をしておられました。少なくとも産炭地ならば石炭も使いなれている、ぜひとも石炭を使ってほしい、こういう希望を述べましたが、そういう事態がある。そういう場合に、なるほど山元で買えないというお話もございますけれども、私は、これは山の経営者自身が少し協力するつもりになれば、その程度のことは可能なんだ。いわゆる専門にやるまでもなく、山の炭をひとつ分けましょう、それは可能なんだ。まずそういう手近いところは具体的にそういうことで処理したらいいじゃないかと思います。ただ、今阿部さんに申し上げますが、逆に重油のほうが使いやすいというような話すら実は聞いて驚いた状況であります。だから、山の石炭の消費需要という問題につきましては、もう少し理解のある処置をとることが絶対必要だと思います。それもこまかな準備を必要とするものではない、かように思います。  次の問題の山田市の問題、先ほども山田あるいは赤間の方々がお見えになっていたと思いますが、今これがやかましく産炭地振興という問題として取り上げようといたしておるわけであります。私は産炭地振興というものを最初に聞きました際に、炭の出るとろの振興は、石炭を掘ること以外にないじゃないか、こういう話を実はしたところでございますが、最近になっていろいろ工夫してみますると、山があるいは老令に達して、もうそこは掘らなくなった、今回の飯塚の忠隈鉱などはその例だと思います。その出炭が昔のようでないということ、そこに山自身の変遷があると思います。だから、山自身が変遷すれば、山で生活していたその町自身が、炭が出なくなるばかりでなく、消費市としても値打ちもなくなるわけです。いわゆる全体的な疲弊になるわけでございます。そこでいわゆる離職者対策ができましても、その町ぐるみ何とか考えていかなければならない、これがいわゆる産炭地振興の問題だと思います。  かように考えますので、直接の離職者に対する対策は比較的に早くから叫ばれ、処置がとられておりますが、この柱の産業が倒れた結果、その町の歳入も減れば、これを相手にしていろいろ商業も起こっている、その商業もばったりだ、こういうものに対しての処置を考えなければならない。安井自治大臣が最近現地を回って帰られたばかりであります。明日の閣議ではおそらくその報告が聞けると思いますが、今まで話を聞いたところでは、財政的な処置の問題としては、いわゆる特別交付金が二日時分に出る、そういうもので見たい、こういう言い方を在来からされておりますが、今まで通産省も研究し、また国会においても論議が出ておりますように、産炭地事業団を形成して、積極的に産業の育成をするというような処置をすることが望ましいのじゃないかと思いますので、これはいわゆる山田市自身、そう小さく考えることはないので、今の交通整備の状況からいけば、筑豊一帯としてのひとつ産炭地振興ということを考えれば、適当に労務の移動も行なわれ、あるいは通勤もでき、住宅地としてはそのまま残る、いろいろ町自身として存続の意義があるような方法があるのじゃないか、かように実は思って、この産炭地振興の事業団、今の産炭地振興法自身を足場にして、そういう方向でさらに政策を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  86. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 その大臣の御答弁のそれから先を聞きたいわけですよ。そこまではよくわかる。さて、それではどうしようかというのを承りたいと思うわけですが、この法律でいきますと、三千万円で昨年国会に出てきたわけですが、昨年の国会で成立を見ずして、そのまままた三千万円ということで出てきたわけですが、三千万円はあくまで、お伺いすると産炭地関係調査費である、こういうことになるわけですから、この三千万円の金を使って調査して、どういう結論が出るか、これはわかりませんけれども、しかし、もう火急の問題ですから、これがいつ調査結論が出てくるかわかりませんので、一例をあげて申してみますと、田川というところへ大臣はお出かけになったときお寄りになったかどうかわかりませんが、三井が田川の鉱区を持っているわけです。こちらには住友が鉱区を持っているわけです。石炭産業将来危ないということで、どちらも手をつけぬわけです。そこで政府が五億か十億の金を出して、三井にも住友にも出資させて、そこで鉱区を両方に供出させ、石炭を出炭させるというような方法、これをとると、三井、住友といえども乗り出してくると思う。私も石炭がなくなったところへ、産炭地振興法だといって五十万トンか百万トン残っている鉱区を無理々々掘れということを言っているわけじゃありませんし、自然につぶれていく山もたくさんあると思いますが、新しい方法で安くできる幾つかの現地があるわけです、幾つかの現地ですね。ですから、そういうことについて具体的に通産当局としては考えていただけぬものかどうかということをお尋ねしているわけです。
  87. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん、先ほどのお尋ねもありました鉱区の整理の問題あるいは開発の方法の問題、こういう事柄と結びつけて、有望な山がありますならば、いわゆる縦坑の資金といいますか、いわゆる近代化資金、こういうことで進めていったらと思います。今のお話は、あるいは後藤寺あるいは伊田付近の問題か、あるいは本洞付近の問題かと思いますが、いろいろあの付近の鉱区は錯綜しておるようでございますので、いざとなりますといろいろな問題があるやに伺います。伺いますが、これはやはり積極的に関係業者を指導していくことが必要だと考えます。これはやはり産炭地は炭を使うことが第一でございますからして、そういうことを考える。  それから、少し話をそらすわけではございませんが、最近は、いわゆる産炭地振興ということにもなるわけでありますが、企業団地を作るという計画がございます。これなどもそういう意味で産炭地振興の一助に使えるのじゃないか。ことに筑豊の直方なら直方というところ、八幡をそばに控え、今まで炭鉱向けの機械製作をやっているというような経験もあるのでございますから、そういうものが、山が不振になる、そういたしますと、直方の機械製作所あるいは機械工業自身も困るのでしょうから、それを新たなる事業の方向指導する、こういうようなこともやはり考えてしかるべきじゃなかろうかと思うのであります。私はこの前参りまして、非常に意外に思いましたのは、昔にはほとんど利用されないというように考えられた福岡の近くの香椎あるいは古賀付近ですが、この付近で今工場がどんどんできつつある。昔の海岸の松林がどんどんそういうので開拓されている。これなどを見まして、今の筑豊というものが、もう少し目を大きく開くならば、あるいは香椎や古賀の発展を今日見ている、その姿から見ると、やはり産炭地振興は可能なんじゃないか。そういう、実は少しうぬほれかもわかりませんが、そういう感じすら実は持ったのであります。ことに筑豊の話になりますれば、あそこには直方自身が機械工業についての一つの素地を持っている。あるいは幸袋自身が幸袋工作所等を持っており、相当数のものを作っている。そういうことを考えますと、私は今後のあの付近の方々の気持なり考え方によりましては、筑豊としては場所的になかなかいいところじゃないか、こうまで実は思うのであります。ただ、まあそれには、産炭地にはしばしばあるように工業用水の確保などが非常に不便でございますから、そういうものが確保され、それから土地が確保されれば、比較的地の利を得ている場所ですから、同時にまた新しい産業も興り得る、こういうように考えてしかるべきじゃないか、かように思うような次第でございます。
  88. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 そこで関連してお尋ねしたいわけですが、さいぜん話した三千万円、これは昨年当初は九億円要求したようでしたが、歩どまりが三十分の一で三千万円になったようですが、今年はやはり金の裏づけがないと、いかに理屈を並べてみても、これは仕事にならぬ、こういうわけなんで、まだ予算決定せぬ以前に大臣に聞くのは大へん恐縮ですが、大体今年は大蔵省でどういう結果になるか別として、どのくらいのお仕事をなさって、どのくらいの予算要求をなさっておるか、もしお答えできれば伺っておきたいと思うわけです。
  89. 今井博

    政府委員今井博君) 現在大蔵省へ予算要求中の数字を申し上げますと、一般会計で十億円、そのほかに資金運用部資金として二十六億五千万、合計三十六億五千万の要求をいたしております。
  90. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 もう少し中身をお示し願えませんか。
  91. 今井博

    政府委員今井博君) ただいまの三十六億五千万の中身でございますが、工業の用地造成それから用水の開発、との関係で十億七千万、それから産出地振興の事業につきまして貸付金というものを考えました。これを十三億五千万要求しております。そのほかに揚げ地の火力発電所の建設につきましては、まだ根本方針はきまっておりませんが、とりあえず土地の手当は必要である、こう考えまして、その土地の手当の関係で約十億、その他こまかいものが約二億三千万ほどございますが、これは主として調査費でございます。それを合わせまして三十六億五千万、こういう要求をいたしております。
  92. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 通産大臣は前大蔵大臣ですから、昨年のように三十分の一という歩どまりはなかろうと思いますが、全く信用しているわけですが、そこで合理化事業団で買い上げた土地が膨大にありますね。あれは、全然処分せぬのですか、それとも何らかに使用しているのですか、それとも将来あれを利用して産炭地振興の一助にすると、こういうことになるわけですか。
  93. 今井博

    政府委員今井博君) 土地の処分については、まだ方針がきまっておりません。現在やっておりますものはボタ山の調査を——三千万の調査費の中でボ夕山の総合調査をやっております。土地につきましては、この産炭地域振興法の法律の中に、合理化事業団の財産については活用せよと——活用するような規定が入っておりまして、産炭地振興について、それが非常に有意義に効果的に利用されるという場合には、もちろんこの規定によって、これを活用したいと考えておりますが、まだ全般の調査が済んでおりませんので、方針は立っておりません。
  94. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 産炭地振興臨時措置法に対する質問は、これで終わりますが、最後に、三十八年度千二百円コスト・ダウンした場合に、五千五百万トンですから、そのときの人員は、大体どのくらいをお考えになっておりますか。それがまず第一点。  それから、今までもそうでしたが、人員整理ということが当然考えられることだと思うわけです。そういう点については、当然労働省と御相談なさって、今までもなされてきたでしょうし、将来もなされることだと思うわけですが、あなた方のほうで、こういう政策で、こういう、とにかく石炭行政をやる、したがって、労働省は引き受けてくれるかどうかという御相談を、おそらくなさっておられるというように私は判断しているわけですが、労働省は、一切責任を負ってよろしゅうございますという御回答があるのですか、そういうきめ方は、人員整理をされては困るという御回答ですか。そういうことは御答弁困難ですか。
  95. 今井博

    政府委員今井博君) 労働省には、離職者の数、それからそれの対策については十分連絡いたしておりまして、労働省のほうでも、その数字をもとにして、いろいろな対策を講ずるということになっております。十分連絡はいたしております。
  96. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 前の質問のほうは……。昭和三十八年度、通産大臣のおっしゃる千二百円ベース・ダウンは、これは堅持すると……三石炭局長、わかりますか。そのときに、大体、炭鉱の従業員というものはどのくらいになって、五千五百万トンという数字も出ておるわけですが、個人能率がどのくらいになってと、こういう御計画があるわけでしょう、いろいろな。  それはどういう御計画になっておるかということが第一点のお尋ねであったわけです。
  97. 今井博

    政府委員今井博君) 三十八年度の基本計画といたしまして、十七万五千人というものを想定してやっております。  このたび、さらに合理化をはかり、能率の悪い山を整理する必要があるというふうに考えまして、この数字を三十八年度は十六万一千六百人、こういうふうに見込みを立てておりますが、まだこの計画は、計画として決定したわけじゃございません。一応そういう見込みを立てております。
  98. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 最後にと言って、お尋ねするのは大へん恐縮ですが、そうすると、一万三千四百名の、とにかく剰余人員が出てくるわけですが、それをどこに振り向けようという御計画もあると思うのですが、その点はいかがですか。
  99. 今井博

    政府委員今井博君) これは、従来からの離職者対策の線に沿いまして、労働省の要離職者対策という数の中に入れておるのでございます。
  100. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 あとでまた、基本問題に入って質問をいたしたいと思いますが、産炭地振興問題について、阿部さんが質問をしておりましたので、その関連分を先にいたしたいと思います。  産炭地振興法について、現地に行っては、各大臣あるいは自民党の諸君といえども、この産炭地振興法案は不十分だ、もりともよくしたいという話は公式にしてこられました。ところが実際には、この前の法案が、そのまま実は出ておるわけです。それから衆議院の審議段階で、事業団を設けるという点については、これは事業団を設けたい、こういう答弁があったのです。それからいただきました、これは資料といいますか、「石炭新政策について」という、これは公式に、この内容等も触れられておるのですから、通産省としてきまった一応の新政策の内容だと思います。その中にも、産炭地振興事業団を設立する、こう書いてある。  ところが衆議院で産炭地振興法の審議をする際に修正をして、一条を入れるか、あるいは末尾に書くかは別問題として、今度の振興法の中に、事業団を作るということを入れてもらいたい、こういう要望をしたのですが、それは入れられなかった。そうして原案が、そのまま来ておるわけです。これは、どういう理由に基づくのか。産炭地振興事業団を作る。産炭地振興をやっていくためには、産炭地振興事業団を作ってもらいたい、こういうことは、これは、昨日の福岡県下の石炭産業危機突破大会の決議の中にも入っておる。これはお手元にいっておる。それから北海道から福岡、長崎まで、産炭地関係の県あるいは県議会の要望の中にも入っておる。鉱業市町村連盟の要望の中にも入っておる。これは産炭地振興といえば、具体的に法案を推進していく場合の母胎として、どうしてもこれは作ってもらわなければならん。  しかも、それは政府も作ろうということになっておるにもかかわらず、どうして法案の修正ができなかったのか、これをひとつ、お尋ねしたい。
  101. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この法律を提案いたしますについて、いろいろ各省関係と折衝をいたしたわけでございます。その折衝が、この程度にとどまったということを申し上げておるわけでありまして、これによりまして、方向がはっきりする。今の事業団の問題は、これから来年度以降の問題として、予算要求をしていこうというのが実情でございます。  で、いろいろ衆議院で審議されます際も、これを修正したいというようなお話もございましたが、政府として、まだ各省の関係が、そこまでまとまっておらないものでございますから、一応原案を通していただいたという実情でございます。
  102. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうすると、国会で答弁をされたのですから、私は政府の方針だと理解をしたのですけれども、石炭新政策の中に書いてある産炭地事業団を作るということ、あるいは国会を通じて政府を代表して答弁された通産大臣も、それからその他からも答弁があったと思うのですが、いわば政府言明として国会に正式答弁されたものが、各省の了解を得ていないということなんですか。奇怪千万です。
  103. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 国会を通じて政府の意向として申したもの、あるいは通産省として申しましたもの、これは来年度予算編成において、当然私どもが要求し、その実現を期しておる、こういう状況でございます。  したがいまして、この法律案を出しましたときの関係省の了解事項では、そこまではいっておられない。しかし、最近の情勢等にかんがみまして、この法律が出るのですから、さらにそれを進めるという場合には、考え方を政府とし、また通産省として明確に申したわけでございます。
  104. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それでは、法案を出すとき、あるいは石炭新政策について決定をされたときには、これは通産省の方針であり、それを国会を通じて明言をしたのだから、政府の方針としていいでしょう。通産省の方針だけで、政府の方針じゃございませんか。大物大臣であり、次の総裁を志される通産大臣が、国会を通じて言明して、それは通産省の方針でございまして、政府の方針じゃございません、そんなことは通りませんよ。  私は、事業団を作るということは、政府答弁として約束をされたから、必ず実現するでしょう、こう、実は産炭地関係の諸君にも言うてきた。はっきりしてもらいたい。
  105. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 別に逃げているわけではございません。なかなか追及急なものがございますが、私が、こうして申し上げます以上、私も閣僚の一人として、これが実現にベストを尽くす、これはもう、はっきり申し上げていいと思います。ただ、問題は金額的に、どういうような折衝になりますか、そういう問題があることをお含みおき願いたいと思います。
  106. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 金額の問題等は、それは、これからの折衝ですから、それはともかくとして、しかし、事業団を作るという問題は、これは国会を通じて政府の方針として約束されたのですから、国会もいあるいは国民も信頼をいたす以外にない。多少疑問があるようなお話をされたから追及をしたまでです。  先ほど、阿部委員からも質問がございましたけれども、事態は、調査をして、そうして来年あるいは来年以降に実施をすればいいという事態ではございません。労働者にいたしましても、なお現在の地位に不安がある。首切り、賃下げが行なわれるのではないか。そこで基本的な政策の転換を求めているわけですが、この基本的政策の転換の問題は、あとでお尋ねいたしたいと思いますが、産炭地域実情が、一日も放置できない段階です。そうすると、産炭地振興事業団の成立を約束をし、そうして三千万円で調査をするのだけれども、補正予算を組んでもやるべきものはやってもらいたい、こういう要望が出ているくらいでありますから、その産炭地振興の具体案も、もうそろそろお手元にあると思いますが、着手をせらるべきだ、あるいは事業団の構想についても、おそらく大綱は出ていると思いますが、それらの具体的な点を、大綱、構想だけでもお示し願いたい。
  107. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま審議会を開き、その審議会の答申を待っているというのが実情でございますが、最近は非常に急いで審議会でも議を練っておるようであります。十一月中におそらく結論が出るのではないかと、かように考えております。それで大体、方向がはっきりして参ると思います。
  108. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 今までの答弁が、そういう審議会の結論を待ってというような答弁ではなかった、少なくとも代表が会ったときの話は。それから事業団を設立するという方針を通産省で出されたとき、おそらく構想——さっき十五億とか十億というような数字も出たわけでありますが、事業団の基本的な構想についてお示し願いたい。
  109. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 予算を要求して、基本的構想がなくては申しわけないようですが、ただいま審議会の結論をまず見る。その一つとして、一応、先ほど来申し上げましたように、予算要求の線が、大体構想の内容をなすものでございまして、あるいは土地造成、あるいは工業誘致の条件の整備ということ、あるいは同時に、財界への融資、こういうようなことを実は考えているわけであります。
  110. 山本米治

    委員長山本米治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  111. 山本米治

    委員長山本米治君) 速記をつけて下さい。
  112. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 これは通産省にも関係があるのですが、産炭地振興の具体案が、要望としては各地から出て参る。あるいは各市町村から出て参る。それで、これは政府調査をして具体案を立てるだけではなくて、地元からも、自治体としても具体案を考えてもらいたい、こういうことで徴されておるわけですが、それを具体的に推進していくためには、その金が——土地がどうだ、あるいは水はどうなる、土地だとか水だとかいうものの整備、あるいは道路、あるいは交通、あるいは電話、通信、こういう問題も、産炭地域振興について絶対的な条件になります。その国の関連する部分は、国で整備してくれるだろうと思います。案を作られるだろうと思います。案を考えて、全額金を借りられればいいけれども、やはり土地を作るについては、やはりさっきお話がございましたが、整備事業が持っている土地、炭鉱がやまった土地がたくさんある。それを住宅とするか工場にするか、工場とするならば、どういう工場がいいだろうか。それには水がどうなる、交通がどうなる云々という条件が出てくる。そのときに案を立てて、さあやろうというときに、実はきのう自治大臣が真岡という——これは二、三年前に廃山になってる——行って内職をやっておるあれを見られた。ところが、その内職をやっていることについては、何の国の援助ももらってるわけでもない。わずかに黒い羽根の中から、指導員というのですか、世話人を出してやってるのですが、それを内職工場と言いますか、そういうものをやりたい。こういうような話が出た。  そうすると、そういうように内職工場をやるのに、平衡交付金なり起債のワクがあるかというと、それはありません。これは、そういう問題点をあれするだけでなくて、その解決の方法、あるいは融資の方法、あるいは国が地方自治体を通して援助をする具体的な案というものが立ち、それが具体的に解決されないと、実際に産炭地域振興というものは推進しない。おそらくその点は、石炭局長その他通産省としてはお考えになってると思うのですけれども、それがまあ、審議会で云々と言われても現に問題になってる、それをできれば、あの廃山になった、あるいは産炭地域振興の惨たんたる状態からいうならば、すぐにもやってもらわなければならぬところを、国なり自治体が、十分やってないものだから、黒い羽根なり個人的な同情を受けて、そういうことをやってる。こういう実態、ですから、それらの問題点は、さっき具体的構想をお尋ねしたけれども、お示しにならなかったが、これらの金融、あるいは条件を整えるについて、どれだけの決意と用意がおありになるのか。
  113. 今井博

    政府委員今井博君) 産炭地域の振興審議会は、現在鋭意結論をとりまとめ中でございますが、予算その他の関係もございましたので、一応、八月の末までに基本的な問題なり、緊急問題については、中間的にひとつ報告していただきたいということを率直に申して、非常に大ざっぱなものですが、各地方の部会長に集まっていただいて、中間的な報告を聞きました次第でございます。  そのときの共通した要望は、産炭地域振興については、これを実施するに際し、この中核になるような実施機関をぜひ作ってほしい。そういう希望が非常に共通の希望でございました。  それから、いま一つの問題は、先ほど大臣申し上げました土地の造成について、特に中小企業の団地造成について実施機関をしてやらせるほうがいいんじゃないか。こういう意見が非常に強かった。  それから今吉田先生がおっしゃいました貸付金の希望がまたこれは各部会とも共通した要望でございまして、これは具体的に、どういう場合にどうするというふうな、こまかいところの計画は出ておりませんが、産炭地域振興をやる場合に、普通の金融では非常に困難があります。何かもう少し有利な低利な貸付金というものをお願いしたい。こういう実は要望が強かったのであります。  ただ、これを実際にどういう実施計画があるかという点につきましては、これも十一月の末にならないと実際まとまりませんので、一応われわれは、この中間報告に基づきまして、予算の要求をいたした次第でございまして、先ほど阿部先生に、私がお答えいたしましたように、産炭地域振興事業団の事業の内容といたしまして土地の造成の問題と貸付金の問題、この問題を、それぞれ具体案を一応、われわれの方で作りまして、予算要求をいたした、こういう次第であります。
  114. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 水の問題なり交通、運輸あるいは通信等の問題にあげられませんでしたが、これは筑豊なんかの例をとってみても、水がすぐ問題になって、水がないから化学工場はだめじゃないかという話になる。  そこで水の点もこれは水資源法ですか、そのときに、私も申し上げましたが、筑後川の水を取るということは、すぐにはいかないにしても小型ダムを作ってもらいたいという要望が各地から出ておるのですから、これは公共事業なり、あるいは市町村がやっていく場合に、起債の対象にもなるでしょうし、すみやかに解決の方向にいくようにお願いしたいのですが、これは実施機関事業団それ自身が融資をするということになれば別でありますが、特別に金庫を考えるとか、そういうことを考えないと、そうでなくてさえ、筑豊その他で新しい産業が興らないで今日まできておるのですから、土地の造成にも、それから水、道路、交通、運輸あるいは通信等について考えてやり、それから貸付金の点についても、低利であるだけでなくて、これはやはり国なりあるいは地方自治体の援助というものが裏づけになって行なわれる、私はこの地方公営企業の形も一つの形だと思うのですが、少なくとも国から援助というものが、地方自治体を通って援助せられるということにならなければ、実際には、実りがなかなか困難だと思いますので、その点については、十分ひとつ考慮を願いたいと思うわけですが、いかがでしょう。
  115. 今井博

    政府委員今井博君) 産炭地域振興につきましては、御指摘のように、単なる土地の造成なり、そういう問題だけでは解決しない。すなわち道路を根本的によくするとか、あるいは電話が一日かかる、博多にかけるのに一日かかると、そういったやはり根本的な産業の関連施設といいますか、そういうものを、総合的に整備をはからなければ、私は企業の誘致なり産炭地域振興というものは実を結ばないと思うのです。  したがって、これは単に産炭地域振興事業団を作れば、それでできるという問題ではなくて、やはり全体の国の、そういういろいろな道路なり河川なり通信なり、そういう計画の中へ、できるだけ産炭地域振興に必要な事業というものを優先的に載せていただいて、それを総合的に推進するということでないと目的を達しませんので、もちろんこれは、われわれの構想としましては、振興事業団を一つの中核体にしてやりたいと思いますけれども、今御指摘になりましたような水の問題等もございますので、これは、それぞれ一つの実施計画というものを早急に作って、これをそれぞれの関連した担当する道路なら道路の建設省の道路計画に載せていく、そういったそれぞれの各方面の協力によって、総合的に推進していくということを、ぜひとも考えなければいかぬということを考えておりますので、さらに貸付金の問題等につきましても、これは、いろいろな今まで金融機関もございますし、開発銀行の地方部の資金を活用する、あるいは中小公庫、あるいは国民金融公庫、そういったいろんな機関もございますので、やはりこれらの、総合的に各方面の協力を得るという体制が、ぜひとも必要だと思います。したがって産炭地域振興審議会におきましては、それぞれの実施計画を定めて、これを推進する場合には、そういった一つの体制で産炭地域振興というものをやる、こういうふうに考えております。
  116. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 自治体の協力し得るような形態という点にも触れましたが、これは答弁がなかったんですが、これは産炭地振興の一つのやはりかぎだと思うんです。離職者あるいは自治体の議会だけでなくて、自治体それ自身が、産炭地振興について乗り出してきているところからいっても、あるいは細々とやっておる——さっき内職のことを申しましたけれども、今後の企業の誘致と言いますか、あるいは興こしていくのに地場産業の育成という点もあるし、自治体のやはり協力というものができ得るような形態をとらなければ十分でないと思います。その点については特にひとつ留意を願いたい。あとで自治大臣が来られましてから、また伺うことにします。  それから、これは産炭地振興の一つのあれでありますが、石炭の根本問題にも若干関連がありますけれども、産炭地では、石油に対抗できるとして産炭地で発電をして、そして電気にして送ろうという構想が起こっておる。流体化という点は、ガスの問題も含めて私どもも主張し、それから産炭地発電については通産省も取り上げられたのでありますが、ところが、実際に話が進んでみると、懇談会のA案、B案ではありませんけれども、産炭地発電というものは、今までの若松、それから苅田の低品位炭の発電も考えられるのだが、産炭地発電というのは、これが揚げ地発電に変わろうとしておる。あの若松、それから苅田の場合でさえ、産炭地の振興に低品位炭を産炭地以外に持っていくということでは、産炭地に滞留しておる失業者等に対して対策にならぬじゃないか、こういう強い批判と意見とが今出ておったわけです。まあ、それにしても、広範囲に言えば、福岡県なり何なりからいえば、産炭地の周辺にありますから、若干の、こういう問題等についても御意見があるかもしれませんが、地元での流体化云々ということについて言えば、揚げ地発電というのは、少しこれは方向転換だ——まだ確定ではないようでありますけれども地元の発電、産炭地での発電という点は、強く関係者が今なお要望しておるところでありますが、これは石炭局長じゃなくて通産大臣から承りたいと思うんですが、強力に推進を願わないと、今のような下のほうの折衝で処理されていると、その目的が実現しにくいんじゃないか。通産大臣の決意のほどを……。
  117. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはもう今まで、共同火力の発電を計画したのは、産炭地に近く、しかも炭の需要を確保する、こういうところに重点が置かれたものでございますから、そういう意味から、たとえば大村の発電所がそうである、あるいは大牟田に計画を進めておる、あるいは北海道ならば釧路に計画が進められておる。こういうようなことで、とにかく電力の需給の状況をみまして、できるだけ山のそばへ発電所を設ける。ただいまの状態で十分だとは私申しませんが、今計画がそれぞれ進んでおりますので、さらに石炭の安定、供給の確保というか需要というか、それをやるために、揚げ地発電の議論まで実は出ておるわけでございます。  ただいまの出炭量そのものから見ますると、一応需給の安定はできるんじゃないかと思いますが、しかしさらに石炭産業をして心配のないようにすると、こういう意味では、山元発電の計画と合わせて揚げ地発電なども計画してしかるべきだと、かように思います。
  118. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 私は、揚げ地発電が有利か、あるいは産炭地での地元発電が有利かということは、私どもがいただいた数字でも、これははっきりしている。それはやはり地元発電のほうが有利だ。揚げ地発電では、やはり百円も違ったかどうか知りませんが、手元にありますけれども、今見るのがありませんけれども、これは優劣がはっきりしている。今、大牟田でもあるいは大村でもいいというお話でしたが、大牟田で発電をするか、あるいは長洲等の、とにかく砂鉄事業を始めるところで発電をするということでさえ大問題です。産炭地発電ということから言えば、製鉄、砂鉄事業をやるところでいくと、これは地元発電にならないのではないか、こういう議論が、地元ではたいへん問題になっておる。  夢  それだけに、ぜひひとつ、強力なこれは推進を願いたいと思う、その辺に大物大臣の値打というものがあるのですから。はっきり出た数字というものは、これは動かすことができない。あるいは発電会社等からも意見というものが出て動かしておるものがあるかもしれぬと思うのですけれども、これは政策としておやりになる、私は総合エネルギー対策の中でも、これは衆議院の諸君が総合エネルギーについて調査に行った結論から言っても、経済問題だけでなくて、政治的な考慮が入ってきめられる。産炭地振興の問題は、これは政治的な問題だ。それだけに経済問題、それから特に数字がはっきり出ているのに、電力会社等に対する遠慮から動かされて、揚げ地発電に変わるというがごときは、私はもってのほかだと思う。通産大臣政府も、しっかりとしてひとつ、最初の方針どおり実現してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  119. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 重ねてお答え申し上げます。  今、大村及び大牟田は、もっと産炭地である北松浦に作れ、こういうような御意見もあろうかと思いますが、私どもは、これは大村は産炭地だというような意味で考える。あるいは大牟田も、これは産炭地ということが言える。また佐賀県下に共同火力の問題もございますが、これなども産炭地計画、こういうふうに私は考えます。苅田あるいは若松は、これまた同様だと思いますし、また釧路自身も、いわゆる産炭地発電と、こういうふうに思います。  ただ、今まで議論されておりまする、山元で発電をして、そうしてそれを超高圧の送電で遠隔の地まで持っていこう、こういう議論と揚げ地発電、これが実は対応する議論だ。これになりますと、相当学者の見解等も開きがございます。ただいま技術上超高圧送電が可能だという、そこまで言い切ることは、非常に困難であります。また送電用の鉄塔の整備その他等は、必ずしも有利な状況には今置かれていない。最近の補償関係から見ましても、また非常に長距離まで、そういう送電をする途中のロスあるいはその建設資金、それなどを考えますと、これは、なかなか議論があるようでありますが、これはむしろ炭自身を運ぶほうがいいのじゃないか、こういうことでございますが、そういう議論は別として、とにかく山元の近くに発電所ができ、そうして遠方まで送電しなくても、その電力が消費される。こういう計画が、いわゆる産炭地振興ともあわせて見まして、非常に望ましいことであります。またそういうような設備をすることによって、石炭の輸送のロスも軽減される。またその地方に安い電力供給ということになりますから、工業の発達上もよろしいと思いますから、従前にも増して、お話のような考え方を推進して参りたいと思います。  ただ、議論をするわけじゃございませんが、いわゆる揚げ地発電だとか、山元発電というのは、とかく超高圧送電だというところに結びつけられて議論をいたしますと、私は問題の所在を不明確ならしめるのではないか、かように思いますので、今やっております計画が、やはり石炭の需要を確保するゆえんじゃないか、かように思っておる次第でございます。
  120. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 時間があまりないので、議論したくないのですけれども、産炭地発電というのは、どうして起こったかということを考えられれば、これはドイツのルール地方の例じゃございませんが、やはり炭鉱の近くに製鉄所がある、鉄鋼工場がある、あるいは化学工場がある、そうして、ときどきガス化が行なわれる、あるいは電力に形を変えられる。そこで初めて、これはドイツの——ほかの事情は違いますけれども、完全雇用というか、あるいは石炭から鉄鋼に移っているという実態が起こってきているのです。  それを経済問題だけで産炭地発電を揚げ地に持っていったら、高圧送電にも、いろいろ問題があるだろうということですりかえられたんでは、これは政策にならぬじゃないか、一般的なエネルギー問題なら別問題ですが、とにかく産炭地の対策というのは、それはドイツのようにいかなくても、その点は、地元にとにかく電力が起これば、工場が来るというのは、これは常識ですから、その点は、むしろその解決は、その他の問題に支障をいわれるのじゃなくて、国も援助をして、これは具体的に妥当を得るかどうかしりませんけれども、高圧発電ならば高圧発電について、国が援助をするというくらいの政策的な態度を含めて推進していただきたいということを申し上げたわけであります。その点は特に答弁は要りませんから、御努力願いたいと思います。  産炭地について、鉱害地の復旧と利用、それから畜産、園芸の振興と関連加工業の育成というのが、産炭地域からの要望として出ております。これは質問するまでもないと思うのでありますが、それから条文を修正するときにも、あとの農業関係というのを入れたのも、これは共管にならないために、はっきり入れなかったけれども、農業問題等も考え、あるいは地元の農民なり、あるいは通勤者等も考えて、産炭地振興の中に含めていただきたいということで、法案の修正を願ったわけですから、鉱害地の復旧なり、あるいは畜産園芸の振興、関連加工業の育成等についても、十分産炭地振興の中で考えていただきたいと思うのですが、これは石炭局長でもけっこうですが、どういうように考えておられますか、お答えを願いたいと思います。
  121. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはもう、考えられることは、何でも考えてやるのが当然だと思います。  今回筑豊に参りましても、筑豊に展望台ができておる。そうして、そこが観光誘致になり、あるいはもとの炭鉱の土地だと思いますが、そういうところにスポーツ・センターができているとか、いろいろな施設などもできております。また一部果樹の栽培をやっているところもあるようでございます。  ですから、あらゆる面で考えられるものを考えて、そうして炭だけに依存していたのが、その炭に依存ができなくなったので、ただいま御指摘になったような各方面についての考えを進めていくことが必要だろうと思います。
  122. 森中守義

    森中守義君 先ほど、通産大臣にちょっと中座されましたので、一つの政策的な問題について、お答えを特に保留してもらったわけです。  それで私、ここへ来て法案の内容を拝見してみると、合理化臨時措置法提案理由の説明の中に、こういうことが書いてありますね。「現在高能率炭鉱の造成および非能率炭鉱の休廃止を中心とする生産構造の抜本的な合理化に努力」している、こういうことなんですが、これを私はもとの天草に、具体的な問題ですから、もう一度帰ってみた場合、今、天草に、さっき問題になった志岐炭鉱、それから坂瀬川、魚貫、竹の迫、権現山、久冨、それに牛深、旭、このほか四つくらいあったと思うのです。合計十二ある。そこで、あの小さな島に十二もの炭鉱がある。一体こういうような炭鉱は、今申し上げた非能率のものに入るのか、あるいは能率の中に入るのかわからぬですけれども、この事業団の中に吸収されるのですか。これは具体的にどういうことなんですか。まず、それを一つ聞かしていただきたい。
  123. 今井博

    政府委員今井博君) 事業団に組織されるかどうかは、事業団で買い上げの対象になるかどうか、こういう御質問かと存じますが、現在、事業団で買い上げる場合には、それぞれ山の方の買い上げてくれという希望に応じまして、それを受け付けて買い上げることとしたい、こういうわけで、今御指摘になりましたような炭鉱が、買い上げの基準に合致しておりまして、それから買い上げの希望がございますれば、その対象になる、こういうことになると思います。
  124. 森中守義

    森中守義君 それで、過去のことにさかのぼってあまりいろいろ言うのは、どうかと思うのですが、大体、大ざっぱに見ても十二あるのです。のみならず、ごく最近ですが、廃鉱が三つある。これは南天、都呂呂、和久登、この三つの炭鉱がもうつぶれてしまった。  この実情をずっと見てきますと、一体、この小さな島に十二あって、つぶれたものまで入れると十五なんです。異常な過当競争なんですね。許認可のときの方針が、どういうものであったのか、極端に申し上げるならば、こういうむちゃくちゃな石炭行政というものが、今日の一つの大きな問題を露呈してきたのじゃないかと思うのですが、まず、こういう一つの具体的な事例に対して、大臣はどういうようにお考えですか。あの天草の小さな島に、今生きている炭鉱だけでも十二ある。すでに廃鉱になったものが三つある。しかもこの廃鉱は、まただれか買い手がつけば、すぐ始めるかわかりませんよ、こういう状態なんです。どうですか、こういうような状態は……。
  125. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 炭鉱経営で一番むずかしいのは、中小炭鉱であります。で、この点で森中さん御指摘になったと思いますが、天草炭鉱というものが、総体として中小炭鉱であろう、かように思います。先ほどお話になりましたような他の場所に山を持っておる、いわゆる久恒炭鉱のような分は、中小ともいえないかと思いますけれども、その他は、おそらくこれは小さな山だと思います。ことに天草の炭は、古くからありましただけに、最近になりまして、戦後石炭が不足しておる、そういう場合に、特に開発意欲に燃え、また無煙炭であるという、この特質等から、手がけられたものが相当あるのではないか、かように思います。その事柄が、今日苦しい状態に追い込まれている、その実情だろうと思います。  こういうものに対する将来の指導を、一体どうしたらいいのか、もちろん役所といたしましては、どうも中小炭鉱だから相手にしないというわけにはいかない。だから、鉱区を整理いたします際におきまして、将来は問題として、できるだけ統合されることを希望いたしますけれども しかし離してしまうということでは、経営者としてはうまくないと思いますから、小は小なりに、やはり経営を続けていく、今まで概して言われますことは、中小炭鉱の場合でございますと、どういたしましても、山を掘ることも、需要がふえれば掘ることも比較的容易ですし、また少し景気が悪くなると休むことも比較的容易である、こういう意味で、中小経営者は、そういう意味の非常に融通のつく処置をしているというのが一般に言われておることだと思います。しかし、今日のように、石炭産業を安定産業たらしめる、こういう観点に立ったり、あるいは労務管理の適正というようなことがいわれる時代になって参りますと、過去の中小炭鉱経営は、よく考えていかなきゃならんということになるんだと思います。これはまあ一般について申し上げることでございます。ところで、天草は、事務的に見ますと、率で見ますと、炭層が非常に浅いといいますか、薄いといいますか、そういうので、地質からきている点が多いだろうと思いますが、そういう意味で、どうしても小型の炭鉱になりやすい、こういうように考えます。そこで、もう現在は、坑口制限という制度をとっておりますので、その意味において、許可認可します際に、いろいろ制限を加えて、そうしていわゆる過当競争にならないように指導しているというのが現状だと思います。  ただ、私は一般に申しまして中小炭鉱のよさもあるのだが、同時にその弊害も非常にある。ことに、最近のように、石炭業が非常な難局に当面し、しかも金融の面で苦しむような状態になって参りますと、中小炭鉱に対しては、一そう苦痛が出てくるのじゃないか、かように思います。  そこで、先だって十五億の緊急融資を計画いたしましたが、その場合においても、この中小炭鉱に対する金融は、ただいま申し上げるような実情を勘案して、具体的に申しますならば、中小炭鉱は担保など、いわゆる信用まことに薄弱なものもある。しかもそれに金融をつけるということでありますから、一般の金融では、金融ベースに乗らない。そこで通産局の中に融資あっせん班を設けて、そして個々の炭鉱についての相談にあずかる、これが一つ。同時にまた、金融をいたします場合に、在来の金融条件を緩和する。緩和はちょうど伊勢湾台風の後に中小企業向けの金融をいたしましたが、そういう場合に、危険負担を大きく見て、そうして融資を楽にするような処置をとりましたが、大体、今回の中小炭鉱に対する金融も、伊勢湾台風後のあの対策と同じような条件で金融の処置をとる、こういうことで指示をいたしておるわけでございます。しかし、おそらくあの程度では、なかなか救済ができない、こういうような実情になる、そして業者自身も、これでは立ち行かないということで廃止を要求されるということになりますと、いわゆる買い上げの方向へ進んでいくんじゃないか、かように思います。  まあ、とにかく今やっておられる山でございますから、監督官庁が十分相談に乗って、そうしてその山を続けていく意欲が強く、しかもまたその見込みがあると、かように考えますならば、融資の道も開いて、そうしてお助けするのが当然だろう、かように考えて、指導しておる次第でございます。
  126. 森中守義

    森中守義君 今日の石炭政策の転換といいますかね、それそのものは、これはもう何も大手筋とか、あるいは小山という区別は私はないと思うのです。今、大臣答弁からも、おおむねそういうように私は受け取っております。  そこで問題は、こういう群小の中小炭鉱になりますと、政策の転換の中に、特に採用されるべきことは、むしろ私は、保護政策だとも思うのです。  そこで、今お話になった金融措置等は、言うなれば一つの保護政策であるかもわからないのですが、ただ、ちょっと今お話の中で私気になりましたのは、容易に——中小炭鉱になると、始めることも閉じることも非常に簡単だ、こういうようなお話でした。しかし、それは経営立場からいけば、なるほどそうであるかもわからない。しかし、問題は、その中でじゃ働いている者はどうなのか。これは、そう簡単にいきませんよ。で、私はその辺が少しく問題だと思う。今、労働大臣も来られたので、あとで私も聞きますが、ことにこの雇用促進事業団、こういうものをせっかく作っていても、こういう小山は五十名か百名ぐらい、せいぜいおって百五十名だ、そういう人たちが、都合のいいときに始めて、都合の悪いときには簡単に閉山するということになれば、これは、あなたの言われるように、始めることも閉じることも簡単だということでは、これはなかなか済まされない問題だと私は思う。  それで、私の言わんとするのは、具体的な問題として、あの小さな天草に十五もの山がある。しかも、最近三つもつぶれている。またつぶれるかもわからない。しかもそれは不当な過当競争にも一つの原因があるでしょう。過当競争を続けていけば、結局各山ごとに、極度な秘密主義をもとらざるを得ないのじゃないかということになると、今日は、その政策の転換が強く叫ばれておるし、もちろんこういう中小の炭鉱も、そのワク内に入れなければならないが、その際に強い保護政策、強い行政指導をもって、簡単につぶれたり、あるいは生きたり、今まで恒久策がとられたのかどうか、その辺をもう少し明確にお聞かせいただきたいと思うのです。
  127. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私が申したのは、それがいいというわけではございません。その実情が、そういう形で今日まで推移した、そしてそういう事柄が、数を多くしている、同時に、それが最近の状況から見て問題をかもし出しているということを、実は私は指摘したつもりであったのですが、もし言葉が足りなくて誤解がありましたら、そういう点は誤解のないように願いたいと思うのです。ともすると、中小炭鉱というものがいわれますことが、需要の状況で開いたり、やめたりする、こういうのが過去においてあった、そういう意味で数がふえているのだ、そのことが中小炭鉱としては、たいへんな問題なんだということを実は申したつもりなんです。どうも言葉が足りないから、いかにもそれが中小企業のよさであり、それをすすめておるように、もしとられたら申しわけございません。そういう意味じゃございません。  ところで、この天草処置の問題でありますが、今、事務当局からも申しておりますように、これが特殊無煙炭である、販売の面で特別な保護をすれば、今の小さな山でも、なお近代的な労務管理ができ、山が続いていくのじゃないか、こういうことを実は指摘しております。そういう意味では、共同販売機構——非常に狭い範囲じゃありますし、十二、三なら、双方で話がつきいいでしょう。そういう意味のことを、ただいま通産省としては業界に呼びかけ、指導しておるという実情でございます。  だから、今金融の面とあわして、その特殊無煙炭が、相当強い需要がございますから、それを確保する方法、それをとって参りたい、かように思っております。
  128. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ちょっと関連。先ほど、阿部委員からも石炭政策の転換の要望を含めて質問がございました。今、同僚委員からも質問がございましたが、いろいろ質問をしておる中で、あるいは自治体代表、あるいは炭鉱労働者代表に対しても、今の石炭の危機をもたらしたについては、政府に責任  があるから根本的に解決したい、抜本的に解決したい、そのために全力をあげたいと、こういうふうなお話。ところが五千五百万トンベースと、それから千二百円コストダウンの線は、これは動かさない、あるいは動かない、こういう答弁があって、先ほども、そういう意味の答弁があったわけです。  実は、私はここが一番問題だ。こまかい議論をしておるあれはございませんが、それに、さらに石油等の自由化も加わって、石油が下がっていくにしたがって、千二百円でも足らぬのじゃないか、こういう不安もある。あるいは陳情に来ておる最中に、全国のそれぞれの山で二人に一人の、とにかく首切りが行なわれておる。そこで、生活あるいは雇用について心配のない石炭政策を確立してもらいたい。鉱業市町村関係あるいは県の関係から言いますならば、根本的な石炭政策の確立を願いたい。根本的な石炭政策、こういうあれが出て参りますのは、炭鉱についての、あるいは炭鉱に働いておる従業員についてのその生活の前途について心配のない石炭政策を確立してもらいたい。総合的なエネルギー政策と呼ばれようと、あるいはそれが石炭政策の転換と言われようと、あるいは抜本的な政策と言われようと、そこを求めておるのが、私は今の要望だと思うし、それから政府も声明されておるところだと思うのですが、そこで四千八百万トンを五千五百万トンにしたので、あるいは五千五百万トンは拡大するかもしらぬ、こういう政府答弁がありましたが、見ていると、あるいはイギリスだとか、あるいはドイツのように、かつては七〇%、八〇%であったのが、現在ではエネルギーの中で五〇%を切り、三十何。パーセントというような、これは将来、さらに減るかもわからない。こういうことでは、これは炭鉱にしても、あるいは従業員にしても、その将来には、やはり心配されるというのは、これを心配するのは杞憂だというわけに参らぬと思う。あなたは、政府としては千二百円以下の数字を示して、あれをするということはないと言われるけれども、しかし、あとは企業努力と言われる。その企業努力の中に、企業が、それじゃ整理をしていく、あるいは閉山をしていくということはないとは保証できない。だから問題は、政府が経済問題だけでなくて、政策問題として各国のように確立をするというのならば、三二%は確保するし、あるいは三二%は、もっと外国のようにこれを上げていきたい。今の従業員と今の炭鉱については、あるいは試掘をするもの、あるいは全然確保の望みのないものを問題にして、今の出炭あるいは今の従業員は、これを保障するのだから心配をしないで、日本の需要の拡大なり、あるいは生計を立っていくような援助というものは、政策としてはやっていくのだ、こういうことが言明されるならば、それは心配ないかもしらぬと思うのです。五千五百万トンベースは堅持するのだ、あるいは千二百円下げは、そのままいく、あるいはそれから先は企業努力と言われると、これは不安というものは解消できないと思う。あるいは最低賃金の問題あるいは失対の問題は労働大臣に伺いますが、これは、通産大臣が代表しておられると思うので、その基本的な点について、政策的な転換と申しますか、抜本的な解決をするという総理の言明の方向をひとつ出してもらいたい。
  129. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 一般的な石炭産業というものは、私は今の出炭量をこす五千五百万トンという目標を立てておる。しかしこれは同時に、今働いておる山がそのままで、あるがままの姿で炭を出すというものではない。ここに問題があるわけです。皆さん方と私どもの間に、もし意見の食い違いがあるとすれば、この辺に、ややあるのじゃないか。私どもは積極的に経済ベースに乗るように山のあり方を示していきたいと思います。だから、その場合の経済ベースの目標をどこに置くか、それがいわゆる千二百円下げであります。しかし山自身がすでに堀り尽くして、在来の山の形を存続することができないものがある。これは住友の忠隈あたりが、その一つの例であります。先月、これはやめておる。そうすると、そこに働いている人たちは職場を失わざるを得ない、こういう問題があります。あるいはまた、今、森中さんが指摘なさいました中小の山、しかも非常に小さな山で、そこらのものを、いろいろ存続の方法で、共同販売その他、あるいは融資などをやりましても、おそらく将来のことを考えると、閉山せざるを得ないというものもできてくるものだろうと思いますが、これは一つの、ある程度の経済性の目標というものが必要になってくることだと思います。この経済性を、どんどん変ってくる世の中に合わして、経済性をどこまでも主張すれば、これは石炭と、それから重油との価格の競争ということになりますが、そこまでのことは申しません。とにかくただいま可能なものは千二百円下げでございますということを申し、その意味の協力を願っておるわけであります。  しかし今四千八百万トン、これが五千五百万トンになりましても、そうでなくても、この炭鉱の労務者の離職、再就職というか、労務移動が、これくらい激しい職場はないようであります。国家の基礎的な大方針を示しても、おそらく労務の移動は、依然として激しいに違いない。さらにその上、ただいま申すように老朽などは最もはっきりした事例だと思いますが、そういうようなものがある。さらに経営を進めて参りますと、そこで不幸なる離職者が出てくるだろう、そういうものに対する対策は、一体どうなるのか、石炭産業自身は、ちゃんと確保されておりますが、やっぱりある程度の経済的なものは、ぞひとも工夫していかなければ、これは存続するというわけにいかないのじゃないか。  だから、別の表現をすれば、国内産業だとか、ドルは一ドルも要らないのだ。あるいはまた労務の安定、供給、需要の場でもある。だから、労務の面からもこれを考える。いろいろなことが言われますが、安定供給というようなことを言われますが、やはりそれにしても、ある程度の採算性は考えなければならぬ。それがいわゆる千二百円下げだと、かように私は理解し、そういう意味で皆様方の御協力を願っておるわけでございます。だから私は産業全体としては、いわゆる斜陽産業にあらずして、四千八百万トンが五千五百万トンという大きな目標を示しているのですから、その意味では、石炭産産は一つ期待を持たれていいと思います。  しかし、しからば個々の山は一体どうなのか、こういうことで、個々の具体的の山の話が出て参りますと、それぞれの山の面から見まして、おれはどうも不安だということも出てくるのじゃないかと思うのです。それは労使の間で、そういう山については、具体的な対策を立てられるものだと思います。お話し合いを進められると思います。  だから、政府自身といたしましては、産業全体の確保目標、しかも、それが掘り出され、需要が安定する、こういう方向に最善の努力をしたい、これが、先ほど来申す基本対策でございます。  だから、具体的な山とすぐ結びつけての御議論だと、なかなか話が合わない点ができるのであります。だから、不幸にして離職された方々に対して、やはり離職者対策というものが、さらに進んで参れば、合理化はやむを得ない、不幸にして自分は失職したが、それに対しての処置は、こういうことになるのだということだと、そこに安定的な機運も生まれるのじゃないかと、かように私は考えております。
  130. 森中守義

    森中守義君 私は、佐藤大臣お話を誤解したわけでも何でもないのです。ただ、承っておりますと、私は何といっても、行政の責任である大臣がということを聞いておる。しかし、あなたのお話は、どうも多少、評論めいたお話だったものだから、それじゃ困るのだというので重ねて問うたわけなんです。  そこで、私のほんとうに聞きたい真意というのは、石炭政策というのが、一体、中小炭鉱のことまでも、そのワクの中に入っておるのかどうなのか、これを聞きたかったんですよ。たとえば、今あなたは五千五百万トンですか、これの出炭量を一つの目標にしているというようなお話でしたが、さっき私がちょっと触れた天草から出る炭も、やはりこのワク内に乗っけるのかどうなんですか。すなわち需給計画の中に入れる、あるいは全体的な石炭政策の中に、中小炭鉱も入るのか入らぬのかと、これを聞きたかったのです。  それを一つはっきりさせてもらいたい。
  131. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大体、五千五百万トンになりましても、中小炭鉱としては、その三分の一を出炭していると、かように考えてしかるべきじゃないかと、かように思います。
  132. 森中守義

    森中守義君 ですから、その全体の政策の中に、中小企業も入れていくのかどうか。
  133. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) もちろん入れて参ります。それから、今申しましたように五千五百万トンという場合には、大体、今の実情等から見まして、中小炭鉱の出炭量はその三分の一、こういうふうに考えます。  ことに、この五千五百万トンの中には強粘結炭もありますし、無煙炭も入っておりますから、無煙炭の場合などは、天草だとかあるいは山口だとか、特殊な地域から出ておりますかり、そういうものを除外するようなことはもちろんございません。
  134. 森中守義

    森中守義君 それで、これは最後になりますがね。先ほど大臣も言われたように、要するに力がないですね、中小炭鉱になると。力のないということが簡単に廃鉱してみたり、あるいは権利を買って始めてみる、こういうケースが全国的に非常に多い。先ほど天草の例をあげたように、最近は、もう三つも簡単に廃山してしまった。それで私は、こういう大手筋は、もちろん力があるが、小山になれば簡単でない。したがって、力がなければ、特別に強い行政指導、強い保護政策を、こういう小山等にとらなければ、おおむね三分の一の出炭量を期待するといいながらも、下手すると、いろいろなことが波動的にくるでしょうから、困難さがね——続々とつぶれていくようになるのだから、そういう際に、保護政策をとるのかとらないのかというようなことを、愚問であるかもしれないけれども聞いておきたい。
  135. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 愚問ではない。行政といたしましては、たいへんな問題なんです。  ところが、今もお話がありますように、なかなか相手方として取り組むのに非常に困難な実情が幾つもあるわけなんです。その実情を、どれだけわれわれが行政の面で克服し得るかというところに、ただいま当面しているのであります。天草などは、比較的小さな山でありますが、場所が狭いところへ固まっておりますし、扱うものが特殊な無煙炭で灰分が少ないとかいうような点で、需要も安定しておるわけであります。だから、そういう意味では、比較的対策が講じやすいのです。しかしながら、筑豊の山などになって参りますとか、あるいは山口の炭鉱だとかというところになると、中小炭鉱の扱い方が、まことにむずかしいものであります。これは今の自由経済のもとにおいては、そういうものも、もちろん必要な炭であるし、その経営自身が悪いとは絶対にいえない状況にある。けれども、やはり業体自身として、ある程度の経済ベースはぜひとも考えていただきたい。そういう意味の内面指導をする。で、天草の場合などは、低利の資金融資の方法で工夫ができるとか、あるいはまた、先ほどちょっとお示ししたように共同販売することによって、その山の推持が可能ではないか。いろいろ技術や流通の面等から工夫をこらしているというのが今の実情でございます。  しからば、政府が思いきって、そういう山に対して、必要な炭だというので、これは、たとえばの金額でございますが、五百円、価格について政府が補償しろ、こういうようなことが考えられるかというと、そこまで私どもは突き進んで考えておらないということを、先ほど来、婉曲に実は申したつもりでございます。
  136. 森中守義

    森中守義君 おおむねわかりました。ただ、事実は少し違うので、この点については、通産大臣に認識を変えていただきたい。  それは、先ほど申し上げた志岐、坂瀬川、魚貫、竹の迫、権現山、牛深、旭、こういう生きた山があるのですが、これ全部が、あなたが言われるように無煙炭だけじゃない。このうちの一部ですよ。その一部については、なるほど顧客が安定している。その他は、やはりこれはあなたの言われるような無煙炭じゃなくして、普通の炭なんですよ。そういうものが、先ほど申し上げた南天とか都呂々とか和久登というように倒れていっている一わけです。  ですから、現存する十二、三のうちにも、無煙炭以外のものは、これはいつ倒れるかわからない。そこに、だいぶ事実が違っております。この点はひとつ、天草の炭が全部これは無煙炭だから、販売を保証されておるというような認識は変えていただきませんと、これは、事実とだいぶ違っております。  それだけひとつ、最後に私は申し上げて、一応終わります。
  137. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) さすがに地元の方ですから、事情をよくご存じだと思います。これによりまして、私どもも蒙をひらいていただき、そういう意味では、天草については、また天草で考えて参りたいと思います。概して申しまして、中小炭鉱の自由経済のもとにおいての何か非常な強みといわれたものが、こういう時期になって参りますと、先ほどの話ではございませんが、最も欠点として指摘されるのでございます。いわゆる需要があるから開いたとか、あるいはまた、やめたとか、こういう事柄が、今のように労務管理の面から見て、あるいはまた、その事業の安定性から見て、これは大へんな問題になり、ただいま欠点が指摘されている際でございます。  そういう立場に立ちまして、天草炭田を、もう一度、通産省もよく検討してみることにいたしたいと思います。
  138. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほど来、根本的なエネルギー政策の点で、通産大臣質疑をいたしておりましたが、具体的に指摘をしてお尋ねをしたいのですが、自治大臣が、地方行政委員会から抜け出されてきて、お帰りにならなければならぬということですから、途中ですけれども質疑を先ほど来、まあ質問してきたところですけれども、やらせていただきます。  自治大臣は、きのう産炭地あるいは県下の石炭産業危機突破県民大会に出席をされて、政府も責任をもって解決したい。地元の地方自治体も、労働者も業者も一体になって協力を願いたいと、こういう、まあ訴えといいますか、あいさつをされておられますがそこで問題になりました、鉱産税は入らなくなるわ、住民税は減るわ、炭鉱はつぶれ、それから失業をして生活保護費、失業対策費が、自治体の最大の仕事である。あとは自治体の予算も、その大半を食われる。給与さえも支払えない。こういう実態等はお聞きになったんですが、そこで、産炭地の地方自治体の財政力について、高率補助なりあるいは生活保護、失業対策というものは、全額国庫で持ってもらいたい、こういう要望さえ出たわけです。  大臣は、交付税なり特別交付税、あるいは起債等で、問題を解決したい、心配はさせるという話でございましたけれども、しかし黒字になっておるのも非常に努力をしながらやっておるので、実情はこうこうだという詳細な説明がありました。  そこで、具体的にこの基準財政需要額なり、法律によって計算をするわけでありますから、一般的に、国でその赤字は見ようとおっしゃっても、生活保護なり、あるいは失業対策というものを基準財政需要の中に入れて計算をするという特例等も開いてもらうということでなければ、特別交付税それ自身では、十分安心もいかない、ですから基準財政需要額の算定方法を変えてもらいたいという要望もあります。  それから、きのう大臣言われた、内職をやっているもの、これには何の国の援助も、それから地方自治体の援助もない、わずかに黒い羽根で、同情をもって集まった零細な金の中から、世話人と申しますか、材料を持って来る、あるいは製品を売りさばく世話人が六千円程度のものをもらっておるだけで、終日指導をしておるわけにもいかぬという実態、そこで給与の問題もございますが、あれを地元の希望のように、内職の工場といいますか、あの仕事をする工場をいたしますと、これは起債のワクがあるかというと、それもない、これにはやはり法律の改正が必要であります。こういうことで、地元からも追っかけて希望がございました。  それから、きのうは出ませんでしたけれども、保護児童の生活の、何といいますか、授業なりあるいは保育について、国庫負担をしてもらいたいという要望は、これは、文教委員会等を通じて今まで聞いておられたところでありますが、これらの点も、やはりこれは気持だけでは解決しないものであります。  それから合理化事業団を作るという点は、先ほども通産大臣から確認を願いましたが、家だとか土地だとかいうものはあるわけですけれども、それを事業団を通じて見られた、住宅等も払い下げてもらいたいということですが、事業団から自治体を通じて払い下げるという、やはり制度をこしらえませんと、あのあばら家も、とにかく払い下げてもらいたい、電灯あるいは水道の問題も心配になる、ふろの問題さえ、環境の問題さえ問題になると言いましたが、それを具体的に解決するためには、あるいは産炭地振興をやっていきます場合に、市町村を通じてこの貸付をする、あるいは援助をする、こういうことが具体的に、法律なりあるいは制度として確立をされなければ、言われるような、政府として、あるいは自治省としても、その他の省でもそうですが、これは援助をいたします、心配はかけませんと言われても、そうは実際にならぬわけです。これが総理の抜本的な解決という意味が、省においてくると、ひっかかりになりますように、各大臣が解決をしますから心配はないようにと言われるけれども、それはやはり制度の上に、あるいは場合によっては法律の上に、あるいは政令の上に現われてこないと、これは実を結ばぬわけでございますから、きのう見られた、あるいは赤字は解消してやる、心配は要らぬ、産炭地振興について具体案を出してもらいたいということですけれども、今、具体的に生活保護なりあるいは失業対策、あるいは財政の問題について、基準財政需要額の算定方法について・あるいは交付税の、何といいますか、配分の基礎として、あるいは内職センターなり、内職なり、産炭地振興で、これから仕事をやっていきます上について、あるいは子供の教育なりあるいは保育について、こまかく一々、やはり具体的に示していただかないと、言明は実を結びませんので、それらの点について、具体的にひとつ、自治大臣の方針といいますか、決意というものを承りたいと思います。
  139. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 昨日一日、産炭地を吉田委員と御一緒の形になって回ったわけでありまして、その際、いろいろ要望もあり陳情もございました。  それにつきまして、私はこれは石炭政策が変わったために、いろいろな離職者が出ておるのだから、広い意味で、政府の責任という意味で十分とるつもりでやらなければならぬ、同時に、しかし自治体の制度でもございますし、地方自治体そのものが、県なり市町村というものが、積極的にさらに立ち上がりの具体策を考えてもらわなければいかぬ、また経営者も、関連産業も、あるいは従業員も一緒になって考えていただかなければならぬという趣旨のお話を申し上げてきたのであります。  具体的な件になりますと、私の担当は、地方自治体の財政上の問題でございまして、要するに、地方自治体が、この石炭政策の転換のために出ているはなはだしい赤字というものを埋めるだけの操作をやらなければなるまいと思っております。特にその中でも、今の緊急就労の単価を上げる問題とか、あるいは生活保護費の国の補助を上げる問題とか、こういうもの、私自身の直接の担当ではございませんが、そういう御要望のあった点につきましては、よく関係の閣僚にも御連絡を申し上げ、さらに閣内で開かれておる関係閣僚会議でも御披露をしたいと思っているわけでありまして、私はさしあたりましては、必ずしも法的に措置をしなくても、現在、そういった保護、あるいは失対の関係の費用で、どうしても自治体が赤字で合理的な計算の上に立ってみて、赤字で困るという面については、これは特別交付税で、大体補給でき得るものだと考えております。もっとも数量にもより、また程度も、さらに非常に大きなものになってくるということになれば、やりますが、大体、今の状況でありますと、何とかそれでこなしていけるのではないか、いろんな内職の施設をやるという場合に、地方団体が、自分のほうで施設をやる、あるいは土地を買うといったようなことを自分でやるという場合には、これは起債の手続も、これは法的な措置を通じなくても、やり得るというふうに思っております。  ただしかし、総合的に、あれこれ考えてみますと、やはり若干、法律でも考えたほうがいいのじゃないかという問題が、今後、自治体自体が、いろんな計画を立てました場合、あるいは出てくるかもしれません、それについては、もっとよく検討いたしまして、必要な場合には、そういう措置も必要に応じては考えたい、今さしあたって、これをこういう新しい法律を作らなければ、自治体としてどうにも動きがつかないという問題は、今のところなかろうかと思います。  そういう意味で私どもも極力やります、また同時に、自治体自身もひとつ、創意工夫して立ち上がりの努力なり、具体的な計画を大いにやっていただきたい、こういうように考えておるのであります。
  140. 森中守義

    森中守義君 ちょっと。農林大臣もおられたほうが都合がいいですが、とりあえず労働大臣と安井さんとお二人に一問だけ聞いておきたい。  それは、実際の炭鉱離職者の場合酪農をやりたい、あるいは干拓地に集団で入植をしたい、こういう人もだいぶいるのですよ、ところが、今お話を聞いていると、特段の配慮を加えたい、こういうことのようですが、具体的な問題としまして、酪農をやるには、今までの助成金、補助金では、とても炭鉱離職者ではできない、そういうふうな場合、あるいは干拓地の入植を希望するような場合、非常に多いのです、今は。しかも反当幾らというように金も出さなければいかぬ、脱穀機、耕転機も買わなければならぬというので、これもまた、相当な資金を必要とする、こういうことについて、一体雇用促進事業団ですか、この辺のお話もよく聞いておりませんけれども、自治大臣のほうでは、一体地方自治体に対して、そういう問題について、資金の裏づけをしながら、特段のめんどうを見ようというお気持があるのかどうか、この辺のことについて、労働大臣及び自治大臣両方のほうから、具体的な今の干拓地に入植と酪農、こういう具体的な問題について、特にお考えがあれば、お答えを願っておきたいと思います。
  141. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) ただいま御指摘のような問題が、すでに過去においてもありました。労働省といたしましては、農林省のほうへ鋭意折衝したこと等がございます。三池の場合に、養豚事業をやろうというようなことで、ぜひ農林省でめんどうをみるようにということで、折衝したこともございます。それから干拓地に集団で移動しようというような、こういうことも、うまくいけばたいへんけっこうだと私は思うのでありますが、この種の事業の場合におきましては、おおむねそれまで干拓前の海なら海で、漁業に従事していたというような人が、まず優先的にというような問題等もございまして、なかなか簡単に参らない事情がございます。  労働省といたしますと、石炭離職者等に関しては、特別にというように申したいところであり、そういうことにつきましては、現実に、そういう希望がある場合に、農林省当局と大いに折衝したいと思っておりますが、御指摘のように、なかなか簡単に参らない事情等がございます。しかし、ただいま農林大臣が参っておりませんので、私ども限りで申せることではございませんが、こういうようなことにつきましても、一生懸命お世話するのが労働省の仕事でございます。労働省に関する限りにおいては、一生懸命お世話をしたい、かように考えておる次第でございます。
  142. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 干拓、酪農につきましては、私ども、これが専門でございませんが、これを自治体が何かの施設を考えるような場合に必要になってくれば、これは自治体自体の施設として考えるときに、これは起債の方法もつけ得るのではないかと考えております。
  143. 森中守義

    森中守義君 今、過去にそういうことがあったという労働大臣お話ですが、結果はどうなったのですか。  それから、干拓地に入植させる場合に、漁業等で経験があった人、こういうことなんですが、これは、もうほし上がってしまって、海ではないのですよ、魚をとるのではない、水田ですから、別に漁業の経験がなければ入植できないというようなことはちょっと話がおかしい。それでこれは、私の県内でも荒尾という所がありまして、荒尾に、そういう希望者がたくさんいるのですが、なかなか実現をしない。それで熊本県議会等にも、そういう話がだいぶ出たけれども、なかなか、それにはそれなりの条件が必要だというので、炭鉱離職者だからといって、特別にめんどうを見てくれないということで、非常に困っておる。ところが、すでにもう今日では、炭鉱離職者に対しては雇用促進事業団というものまで作って、めんどうを見なければならないような時代ですから、そういう一般的な基準を適用して適否をきめるということは、私は適当じゃないと思う。それですから、そういう趣旨に立つ限り、私はやはり、特段の配慮を加えられてよろしかろうと思う。ただ、農林大臣は河野さんで、ここにおられる佐藤さんと同じように実力者の一人だから、このほうの説得も容易でないように思うけれども、これはひとつ、佐藤さんの御援助も受けて、どうですか、これを具体的に手をつけてみませんか、だいぶ片づきますよ。
  144. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 先ほど私が申しました養豚の場合も、すでに成功しております例もあるわけでございます。  なお、干拓地について私が申し上げましたのは、干拓をしたような場合に、もともと漁民等で、その干拓地の地元の人であったというような人を優先的にということがあるので、したがって、炭鉱離職者をそこに持っていくのについては、なかなかめんどうがございます、こういう意味で私、申し上げたのであります。だれが係であるかということによって、うまくいくとか、いかぬとかということになってはいけません。微力ながら、こういうことについては、私ども石炭産業から離職するという人たちには、特段の配意をしなければならぬという見地に立って努力したいと思うわけでありますが、これは問題が、きわめて具体的になりますので、ただいま示唆をいただきましたし、努力してみぬかということでありますから、私は努力してみたいと思います。
  145. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 時間がだいぶたって参りましたから、要点だけをあげて質問をいたしますから、答弁も要領よくお願いしたい。  先ほどの基本的な問題ですが、雇用上の心配のない石炭政策を確立するために努力すべきである、抜本的な石炭政策の確立という点が要望されている、石炭政策の転換が要望されていると申されましたが、通産省からもらいました資料によると、二十六年度五四%、三十年度には四三%、三十四年度には三二%、現状は三二%、四十五年一八%、五十五年一一%、こういう先細りの心細い状態。ところが石炭の需要の拡大について、研究なりあるいは特別委員会等の問題もございますが、電力、鉄鋼その他重油との関係、外炭との関係もございますが、これらについて、長期契約の努力をするということでございますが、石炭の需要を拡大する、具体的なこれらの点についての、さらに突っ込んだ努力が方向として出ておりません。したがって、そういう具体的な、電力に石炭を、これだけは使わなければ、あるいは鉄鋼の国内炭の使用は、これだけは目標にして使わせる、産炭地発電等も、その一つでありますが、そういうものを基礎にして、三二%以上の、現況以上の石炭の需要を保証するということは、これは外国の例を引くまでもございませんが、具体策はあると思う……。経済問題や価格問題だけで、どこもやっていないということは、先ほども申しましたが、これは、各国の石炭政策を見た結論です。その点については、要望は聞いておられましょうが、どういうふうに考えておられますか。  それから、あわせて石油の輸入関税については、それも、一つの方法だ、研究してみようというお話がございましたが、これは、総理の答弁があったから、政府としては取り上げることと思うのですが、今までのあるいは炭鉱労働組合、あるいは産炭地の自治体からも要望が出ているわけでありますが、これらの点について、政府の、これから取り上げて実現のために努力する決意があるかどうか伺いたい。
  146. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの石炭の需給の計画、これはいわゆる事務官僚ばかりが立てる数字ではございません。各界の方々の御意見を聞きまして、いわゆる総合エネルギー対策という観点に立って、エネルギーの伸び、その場合に、石炭が占める割合はどうであろうか、こういうものを各界の御意見を聞いて、実は数字としてまとめ上げたものでございます。この点で、いわゆる別の表現の仕方から申しますと、五千五百万トンという数字にこだわることはないじゃないか、こういう御意見をしばしば伺っております。私もそのとおりだと思います。ただいまの目標は五千五百万トンという数字、しかもこれが三十八年度以降横ばいという形において、エネルギーの総量は伸びていく。しかし、石炭の供給が五千五百万トンにとどまるとすれば、ただいま吉田さんが御指摘になりましたように、パーセンテージは漸次下がっていく、こういうことであります。  でありますから、ここに一そうの工夫をする余地ありやいなや——そこでいわゆる企業努力ということを一方から申しまして、同時にまた、新鉱開発いたします場合に、新しい山ですが、特に原料炭を重点に置いて、そういう山を開発するならば、これは必ず国内で消費される、こういうととが看取できるわけであります。だから新しい山を開発し、しかも、それが五千五百万トン以上に——在来の山と合わして、それより以上の出炭ができて参りますならば、今のパーセンテージを必ず下げる必要はない、これはむしろ上げていくべきだと思います。  ただ、まことに残念でございますが、ただいまの石炭についても、やはり各界の見通しなどは、五千五百トンという数字は、なかなか大きな数字じゃないか、なかなかこれを確保するのも困難だろうと、こういうような御意見も各界にあるわけでございます。私どもといたしましては、これが、ただいま一部で要求されるように、石炭対策の政策の転換ということを要望しておられますが、そういう意味から、五千五百万トン以上の炭を出せと、かように申された場合に、いわゆる経済性をどの程度に見るかということに実は議論がなってくるだろうと思うのです。これは、私が先ほど来何度もお答えいたしておりますように、国内のもので、ドルを使わない安定的供給だと、あるいは雇用の安定の場所としても、これは必要だと、こういうことが言われますが、同時に、どの程度に見るかは別でございますが、経済性というものを全然無視しては、これは成り立たないものだと、かように実は思うのでございます。そういう意味から、各界の意見としては、五千五百万トンという実は、情ない数字になっております。しかし、今後、新しく開発を予定しております有明炭田であるとか、あるいは石狩炭田であるとか、こういうような有望な山が、それぞれ開発されて、出炭量がふえて参りますれば、私は必ず五千五百万トン以上のものを確保することが可能じゃないか、かように考えます。同時にこれは、原料炭の場合に、特に、その点を強調いたしたわけであります。いわゆる動力炭として考えた場合の火力発電で石炭を使っている。これがただいまは長期契約で、一応できております。ところが、現在の実情は、まことに残念ながら、この長期契約の数字には達していないようであります。この点が、あるいは皆様方専門でいらっしゃるから、そういう実情は握っていられることだと思いますが、今の電力向けの石炭の供給者の立場もいろいろあることだろうと思いますが、その数字が、まだ確保されていない。この点は、いかにも残念であります。  それからもう一つは、さらに将来炭がたくさん出た場合に、必ず過剰炭になるだろう、そういう意味の——この過剰炭を消化する意味においての、いわゆる火力発電所の計画というものが要望されておるわけであります。これは、先ほど御指摘になりました産炭地発電とか、あるいは揚げ地発電だとか、こういう表現で議論されているのであります。いわゆる三百万程度は火力発電にさらに増加しようと、要求すべき時期が来るのじゃないか。その三百万トンの消化の確保の道を立てる。そういう意味の計画が順次進められて参るわけであります。  これは先ほど申し上げましたから、重ねて申し上げませんが、炭がたくさん出てくると、ただいま申すような処置をとらざるを得ないのじゃないか、かように思います。私どもは、基幹産業である石炭、これを安定産業たらしめるという意味に立てば、先ほど来、いろいろお話になりました点が、もちろんそれそれの要点に触れた御意見でございますし、私どもの考え方と、そう食い違っているとは私は思いませんが、ただ、私どものほうで、強く経済性を主張いたしますと、石炭をいじめるのじゃないかというようなお話が出るだろうかと思いますが、私どもが主張する経済性は、ただいま千二百円下げる、これが大目標でございまして、それ以上指摘したり、それ以上、皆様方に要求するという考えはない。この意味では、石炭の値段、石油の値段を、はだかのままにして競争さすような考え方は持っておりません。こういうことを数回にわたって申すのは、その点であります。  ただ、私がどうしても、程度の差はあるにいたしましても、石炭の経済性というものを、やはり主張せざるを得ない、この点についての御理解をいただきたい、かように思います。  次は、関税の問題であります。関税については、いろいろの御意見が出ております。ただいまのところ、私ども、この関税は、いかにあるべきかというので、いろいろ検討しておりますが、ただいま石油についての調査団、これが近く帰ってくることになっております。この調査団を、せっかく欧州に派遣したばかりでございますので、そういう意味で、この石油、石炭との競合の点をいかに調整していくか、これなども、他の国の例などを参考にして参りたいと、かように考えております。  ただ、私が今までしばしば申しておりますのは、火力発電などにおいて、石炭も使い、同時に、油も使う、そういう場合に、価格自身で競争させないという建前をとるならば、高いものは高いなり、安いものは安いなりで使っていただけば、そこに平均のコストの下げができるのじゃないか。安いものに関税をかけて高くして、そうして石炭並みの価格にするということも、それは一つの石炭保護という言い方は成り立つかと思いますが、産業自身とすれば、安く使えるものを、わざわざ高くすることはないじゃないか、こういう一つの議論が真正面から実はあるわけです。しかし、私は、この関税の問題についても、ただいま申し上げたような固い考え方で一切触れないというようなことを申すつもりは毛頭ございません。これなども、その調査団が帰って参りまして、いろいろの御意見が出るだろうと思いますので、それらの意見を十分そしゃくいたしまして、そうして、この問題にも善処して参るつもりでございます。
  147. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 最後に、労働大臣に簡単に御答弁願いたいのですが、抜本的な解決をはかりたい、それから労働者に不安をなからしめたいといわれるのですが、最低賃金制度を考えるということですが、その最低賃金制度を考えるという確答を願い、問題は、最低賃金制等については認められたようでありますが、就職待機手当、それから訓練手当なり別居手当なりと失業保険との併給、それから前収補償については努力をしたいということでありましたが、これらについての、労働省の、労働大臣の明確な答弁を簡単にお願いいたします。
  148. 福永健司

    国務大臣(福永健司君) 最低賃金制の問題につきましては、すでに私からも、中央最低賃金審議会に検討を願ったところであり、会議が開かれまして、労使公益三者構成によるところの小委員会に、この問題が移されておりますので、ここで鋭意御検討をいただけば、なるほどという結論が出るであろうということを私期待しております。ことに、この労働者側の委員の中に、石炭の事情に非常に通じた人もおられるので、そういうことを期待しているわけでございます。これらを待って、政府として、さらに善処をしたいと思います。  それから前収補償的な措置についてでございますが、これは非常に大きな問題でございまするし、実施するといたしますと、非常な大きな予算も必要でございます。これにつきましては、必ずしも西独なんかでやっておりますような方式というわけにも参らぬかと思うのでございますが、一定の年令以上の者を雇ってくれるような場合といいますか、そういうことを大いに促進させる意味におきまして、賃金の一部を政府が何とか負担するような方法でもやったらどうかというようなこと等を、今検討いたしているわけです。これはただいまのところ、私限りでございまして、まだ大蔵省等が、そういうことをよかろうというところまでいっているわけではございません。ございませんが、先ほどから、いろいろお話もございますような事情等にかんがみまして、何らか、そういうような方法を考えていくべきではないかというのが、労働当局といたしましての考え方であり、鋭意検討をいたし、折衝もいたしていくつもりでございます。  ただ、この点は、いよいよ実施するということになりますと、新立法を伴う問題でございますので、それらのことも急いでやらなければならぬ、こういうことになろうかと思います。  それから待機手当式なものというお話でございましたね。待機手当そのものが、どうかということについては、これはなかなか意見もあるのでございますが、失業保険の期間を延ばすとか、あるいはその他何らかの方法、また転職訓練を受けて、おおむね過去の例に徴しますと、転職訓練を受けた諸君は、割合に再就職もうまくいっているようでありますが、一部、うまくいっていない人々もございます。で、そういう人々については、従来の、そういう扱いを、さらに期間を延ばしてはどうかというようなことを考えております。それから、したがって失業保険期間の延長等についても、従来も、若干の措置をとっておりますが、この深刻な事態に対処して、なお一そう、その趣旨を推し進めたような方法をとったらどうか、こういうようなこと等を考えております。
  149. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 ちょっと。質疑をこの程度にして、暫時休憩せられんことを望みます。
  150. 山本米治

    委員長山本米治君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  151. 山本米治

    委員長山本米治君) それじゃ、速記をつけて。  暫時、休憩いたします。    午後七時三十七分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕    ————・————