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1961-10-27 第39回国会 参議院 災害対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十七日(金曜日)    午後一時三十四分開会    ———————————   委員の異動 本日委員前田佳都男君辞任につき、そ の補欠として上林忠次君を議長におい て指名した。    ———————————  出席者は左の通り。    委員長     一松 定吉君    理事            赤間 文三君            柴田  栄君            米田 正文君            武内 五郎君            中田 吉雄君            村尾 重雄君    委員            稲浦 鹿藏君            小柳 牧衞君            紅露 みつ君            重政 庸徳君            西田 信一君            荒木正三郎君            小酒井義男君            椿  繁夫君            藤田藤太郎君            松永 忠二君            牛田  寛君            杉山 昌作君   国務大臣    厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君    通商産業大臣  佐藤 榮作君   政府委員    厚生大臣官房長 高田 浩運君    厚生省児童局長 大山  正君    農林政務次官  中野 文門君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省農地局長 庄野五一郎君    林野庁長官   吉村 清英君    水産庁長官   伊東 正義君    通商産業政務次    官       大川 光三君    中小企業庁長官 大堀  弘君   説明員    厚生省社会局施    設課長     瀬戸新太郎君    農林大臣官房総    務課長     石田  朗君    食糧庁業務第一    部長      田中  勉君    ———————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十六年六月、七月及び八月の  水害又は同年九月の風水害を受けた  中小企業者に対する資金融通に関  する特別措置法案内閣提出、衆議  院送付) ○昭和三十六年五月の風害、同年六  月、七月及び八月の水害又は同年九  月の風水害に伴う中小企業信用保  険法特例に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十六年九月の第二室戸台風に  よる災害を受けた地域における伝染  病予防費に関する特別措置法案(内  閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年九月の第二室戸台風に  よる災害を受けた社会福祉事業施設  の災害復旧費に関する特別措置法案  (内閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年六月及び八月の水害又  は同年九月の風水害を受けた都道府  県に対する母子福祉資金に関する国  の貸付けの特例に関する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年五月の風害若しくは水  害、同年六月及び十月の水害、同年  七月、八月及び九月の水害若しくは  風水害又は同年八月の北美濃地震に  よる災害を受けた農林水産業施設の  災害復旧事業等に関する特別措置法  案(内閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年五月、六月、七月、八  月及び九月の天災についての天災に  よる被害農林漁業者等に対する資金  の融通に関する暫定措置法の適用の  特例に関する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○昭和三十六年九月の第二室戸台風に  よる災害を受けた漁業者共同利用  に供する小型の漁船の建造に関する  特別措置法案内閣提出、衆議院送  付)    ———————————
  2. 一松定吉

    委員長一松定吉君) それでは、ただいまより災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告申し上げます。本日、前田佳都男君が委員を辞任され、その補欠として上林忠次君が選任されました。    ———————————
  3. 一松定吉

    委員長一松定吉君) これより本委員会に付託されております内閣提出災害関係法律案中、通商産業省関係厚生省関係及び農林省関係の八件を一括して議題といたします。  質疑通告がございます。重政君。
  4. 重政庸徳

    重政庸徳君 私はこの災害、単に災害復旧のみならず、すべての公共事業予算執行する上において、今の経済状況、いろいろな環境を勘案して、政府はどういうふうな心がまえをいたしておりますか。こういうことを総括的に御質問申し上げたいのでございます。それがため各省公共事業にわたった質問となろうと思う。あるいは政務次官では御答弁できないかと思うのですけれども、そういう場合には、一つ帰りになって、関係各省大臣が相談の上で、次の委員会で御回答いただけばけっこうと思います。と申しますのは、私が申し上げるまでもなく、この災害予算も従来の、いわゆる資材あるいは人件費等単価で、予算ができておると私は思っておる。現在のいわゆる金詰まり状態で、資材はさておきましても、特に労務に関する需要が非常に困難を来たしておるように思います。私どもが聞くところによると、一日千二百円あるいは千四百円でも、トラックをもって、そうして労務者を運搬せねば労務者を得ることができないというような状況が所々にあるように承わっております。で、このままで、この災害復旧法を施行いたしましても、私は完全な、急速な施行はできないというように考えております。これがため政府は、この予算を執行する上についてどういう心がまえで当たられるか、あるいはまた前波金を支出して金詰まりを救済するか、あるいはまたいつの単価の是正を、今の経済状態に合った的確な単価にこれを更正するか、そういうことは考えておらぬかどうかということを承わりたいと思います。これは前に申し上げましたように、政務次官では的確な御回答が得られないかと思いますが、もしそうだったら、お帰りになって、よく関係各省、特に農林省及び建設省、もちろん厚生省といろいろな関係がありますが、御協議になっていただきたいと思うのでございます。実はこの問題は、総括質問のときに申し上げれば適当でありましたが、私は質問通告をいたしておりませなんだので、その機会を得なかったので、本日御質問いたす次第でございます。
  5. 大川光三

    政府委員大川光三君) ただいまの重政委員の御質問のうちで、通産省関係に関する分についてお答えをいたします。  御承知のとおり、通産省関係のこの災害に対する関係におきましては、主として中小企業者に対する資金融通ということが眼目になっております。したがいまして、この資金を扱いまする三金庫に対しましては、なるべく迅速にその事務を処理するという考えを持っております。なお、復旧事業そのものに対する人的不足という点につきましては、ほかの省からお答えがあると思います。
  6. 中野文門

    政府委員中野文門君) ただいまの重政委員の御質問でございますが、災害予算に計上いたしておりまする予算単価というものと、現実の物資の価格、人件費現実支払い状況から見まして、その間にギャップのあることはまことにそのとおりでございまして、非常に重大な問題でございまして、いずれ大臣によく意向を伝えまして、適当な時期に御回答申し上げたいと思いますが、結局予算単価というものと、現実資材並びに人件費等の矛盾というものは、いずれにいたしましても、現実問題として解決をしなければ、仕事ができないわけでございます。同所からそういう点につきまして十分に打ち合わせまして適当な時期に御返答申し上げたい、かように思います。御了承願います。
  7. 重政庸徳

    重政庸徳君 委員長に申し上げておきますが、われわれは各党こぞって、この大災害の難民に対して、従来にない特別な、高率な助成をするという法律を審議いたしておるのでございますが、この問題が解決せねば、高率補助法律をここで可決しても全然意味をなさぬことになる。何も政府がせぬということになると、おそらく私は、二割もこの高率補助をなした部分は、従来と同じくらいな結果を来たすのではないか、だから高率補助意味がないということに帰結するんじゃないか。この問題は重大な問題、もちろん災害復旧のみならず、すべての公共事業については同一でございますが、この災害復旧高率補助を、ここで各法律を審議する上においては、この問題を第一番に私は解決せねば、この災害対策特別委員会の使命はないと思うのでございますので、この点はひとつこの特別委員会が終わるまでに、確固たる政府意向を、ひとつ責任を持って委員長、聴取していただきたいということを申し上げておきます。
  8. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 重政委員の御意見は了承いたしました。委員長ももちろん働きますが、重政委員にもそういう音心味において大いにお働きを願います。  佐藤通産大臣がお見えになりましたから、同大臣に対する御質疑を願います。
  9. 赤間文三

    赤間文三君 大臣お尋ねを申し上げるのでありますが、その前に、このたびの第二室戸台風は一般の人が考えている以上に災害が、大阪の例をとりましても非常に深刻なものであった。御承知のように、この第二室戸台風大阪でも浸水家屋が十一万戸という、実に膨大な数に達し、全部の二十二区のうちで十一区に災害救助法が発令をされた。ここに住んでいる百二十七万のうち罹災者の数は四十六万。ゼロ地帯のごときはもう数日問水浸しになって、泥海になっておる。実に深刻きわまる大災害が第二霊戸台風によって起こったのであります。大阪としまして一番大事な問題はいろいろありまするけれども、私らの過去の経験、いろいろな事情を見まして大阪をみずから守るということが、これは一番私は大事なことに考えております。そのためには思い切った地盤沈下対策を作らなければ大阪は救われない。地盤沈下対策といたしましては、御承知のように防潮堤を思い切って改良工事をやっていくことは当然でありますが、これとあわせまして、その沈下のもとになります工業用水という問題をでき得る限りすみやかに解決しなければ大阪はみずから守れぬ、こういうふうな私は実情にあると考えておるのであります。それでまず、この災害が起こりましたところの原因を除去するということが何よりも大事である。その原因除去は御承知のように工業用水施設強化して、思い切って必要な工業用水配給してやる。それとあわせましてこの工業用水の規制を法律においてやっていく。これよりほかには方法が実はないのじゃないかと考えております。それでお尋ねを申し上げたい第一点は、政府におかれましては工業用水法強化をせられる御意思があるかどうか。これをお尋ねしますのは現行法においては既存井戸はそのままということになっております。で、新しい井戸を掘るときは制限があるように承知をいたしておりまするが、既存井戸といいますか、工業用水井戸をそのままにしておく。これを今やっておられまする通産省行政指導によっていくという方針のように聞いておりまするが、このことだけでは、私はこれは百年たってもやはりこの沈下が防ぎにくいのじゃないか。できれば思い切って工業用水配給して、それにあわせて井戸くみ上げを制限していくという方策をとらなければ、これはできないのじゃないかという私は考えを持っておりまするので、この工業用水法強化について政府はどういうふうなお考えを持っておられるか。これが最も大きな私は問題だと思いまするので、お答えお願い申し上げたいと考えております。
  10. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 御指摘のように工業用水地盤沈下の大きな原因だ、その意味からやむを得ず工業用水法を設けたわけでございます。そうしてこの法律では地区指定して、その地区内における新規くみ上げを禁止するという方法をとってきております。ところが、現在指定されてきておる地区が適当かどうか。かように考えますと、今の地盤沈下実態等から見ると、さらに地域指定拡大しなきゃならぬという問題があるのであります。これは実情に即した処置をとる考え方でございます。また、先ほど来いろいろお話がございましたが、地盤沈下、これは工業発展を阻害する大きな悪条件であります。同時に、水というものは工業発展に欠くべからざるもの、その意味では水の都大阪というものが過去において非常に発展を来たした。また今日も水の都である特徴も持ち、また、その地下水大阪地帯工業発展に非常に役立ってきている。ところが、それがその利用の度が過ぎてくると、今度は弊害のほうが出ておるのでございます。まあ、これらの点を勘案いたしまして、水を制御するというか、工業発展に役立つように、利水はもちろんでございますが、また今のような悪条件をかもし出すものについては、これを使わないようにしていく。両々相待ち、まあ防潮堤というようなこととあわして処理していきたい。ですから私ども今工業用水法指定地域拡大、これはだんだん必要になってくるだろうと思いますが、これをやれば大事な工業発展しないことにもなります。そういう意味で一面工業用水地下水でなくて水道に転移する。こういう処置の方向へ指導し、設備整備をはかっていく、かような考え方でございます。
  11. 赤間文三

    赤間文三君 大臣のお考え非常に私けっこうに思うのでありますが、ただ、私、実際から見ますると、防潮堤建設工業用水措置はいわば車の両輪のように、両方が相待たなければならぬ。工業用水の問題についてはいろいろ御配慮を願っているが、たとえて申しますというと、工業用水の分量があまり少ない、配給を願う水が少ない。沈下を防ぐことにははるかに縁遠いだけの工業用水しか御配慮が願えぬというような実情でございます。ただいま仰せになりましたように、まず第一に指定地区拡大をしてもらう。これは非常に大事なことで、例をあげますと、わが大阪におきましても現在此花福島西淀東淀大淀の一部がやっておられます。これは今進行中でございます。このほかに今大臣がおっしゃいましたように、旭区、都島城東、それから東成というような所も、緊急にこれはやっていただかなければ、毎日沈下をしておるのであります。この地域拡大を願う。これは非常にけっこうに思いますが、あわせて工業用水設備を思い切って拡大を願って配水の水をふやしていただかないと、地盤沈下のほうが進んで沈下がくる。そうするとちょうど、さいの河原のように、また防潮堤を次から次へと作っていかなければならぬということになると思うのです。それで非常に有効な施設をやっていただいておりますが、第一にお願い申し上げたいことは工業用水施設を思い切って、ここ二、三年のうちに思い切った拡充をやってもらわなければ、地盤沈下が防げないというように考えておるのであります。この点について思い切って、ここ三年ぐらいの間に、大阪でどうしても必要と認められるような地区まで拡大せられて、設備一大拡充をやっていただけるかどうかという点につきましての大臣のお考えを、率直にお願いを申し上げたいと考えております。私の私見をもってするならば、防潮堤ウマを合わせてやるということが大事でございますので、緊急におもな地区工業用水ため沈下の激しい地区については、ここ三年ぐらいの間に緊急措置として工業用水道拡充強化をやっていただけるかどうか。この点につきまして大臣の御意見を伺いたいと考えております。
  12. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの地下水くみ上げ新規禁止ということと、工業用水道整備ということ、これは軍の両輪で、それと防潮堤でございますから、最近はやりの何とか方式ということになるかと思いますが、(「トロイカ」と呼ぶ者あり)三本立にならざるを得ない。そうして、ただいま御指摘になりました工業用水道ですが、それは臨海地区工業用水道は当初の計画より二年間これを繰り上げて三十七年度に完成する、かような今の計画、進め方でございます。
  13. 赤間文三

    赤間文三君 私がお尋ねを申し上げたい点につきましては、現在御承知のように、大阪此花福島西淀東淀大淀の一部、こういう点はやっておられますが、緊急にここ二、三年の間に旭、都島城東東成、それから現在やっているところの残りの部分を少なくとも三年くらいの間にこれを完遂してもらうということについて、大臣のお考えを率直に伺いたいと考えておる次第でございます。
  14. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 実情数字をちょっと申し上げてみたいと思いますが、工業用水法指定をいたしました当時において、これは全国地区、全体だろうと思いますが、七十八万トン程度地下水を使っている。そのうち大体二十一万トンが工業用水道転換いたしております。転換の残っておる分と、今後追加指定を進める地域くみ上げ量を加えて参りますと、大体九十三万トンというような水量になるかと思います。これに対しましては工業用水道整備を急がなければならないわけであります。来年度予算でそれらの点についての要求をいたすつもりでございます。先ほど申し上げましたのは臨海地区、いわゆる防潮堤かさ上げをいたしております臨海地区に対する工業用水道整備計画、これを二年繰り上げたということでございまして、この点誤解のないようにお願いいたします。
  15. 赤間文三

    赤間文三君 この大阪浸水地区につきましては、私は大臣に、防潮堤ウマを合わしてやらなければ、非常に国家的にも損である。どう考えましても、さきに申し上げました地区は、緊急にこ三三年間くらいの間に、ぜひひとつこれが完成をするように、この点特にお願いを申し上げておきます。  次にお尋ねを申し上げたいのは、工業用水道施設に対しまして、昨年までたしか四分の一の補助だったと記憶しておりまするが、ことしから五分の一になったのでございます。御承知とも思いまするが、大体私の調査によりますると、地下水くみ上げるときは、一立方メートルにつきまして、ところにより場所によって違いますけれども、二円五十銭から三円くらいの費用がかかると考えておるのであります。これをこの設備を設けまして、いろいろと水を配給するという段になりますると、私の計算では、四分の一の補助をいただくとしますと、大体二円五十銭から三円くらいの井戸くみ上げの水が、工業用水道にかわると六円五十銭くらいに高くなる。それからまた五分の一に下げられました現在におきましては、井戸の水をくめば二円五十銭から三円くらいの水が、六円八十銭くらいに高くなるのじゃないか。こういうふうな計算をいたすのであります。そういたしますると、莫大な水が要る工業用水を、できるだけ、井戸の水をくみ上げたのと相当違いはあってもたいした差がないようにしてやるということが、これは私はひとつの大事な問題じゃないかと考えております。たとえ工業用水道拡充いたしましても、井戸水を使うときと大へんな格差があるということになりますると、少々の行政指導くらいのことでは、あまり用をなしにくいうらみがあるのじゃなかろうか。こういうふうな考え方を持っておるのです。よりまして、お尋ねを申し上げたいのは、私の個人の意見からいうと、沈下を防ぐため工業用水というものは、特にひとつ政府の御配慮を願って、思い切った高率設備補助をやっていただくことのほうが適切じゃないか。かように考えております。新たに工場を設置するときの工業用水とは、全然性質を異にして考えてもいい。大事な国土保全をやりまするところの、沈下を防ぐため工業用水の問題については、これは別に考える必要があるのじゃないか。現在では沈下を防ぐため工業用水も、新たに工場を設けるときの工業用水のあれも、同じように五分の一の補助であるということは私にはわかりにくい。そこに当然もう私の考えでは、重大な国土保全のあれをなす沈下対策のときに思い切って補助をやっていただく。二通りに立てられることが時宜に適しているのじゃないかというような考えを持っているのであります。この点について、大臣はどのようにお考えになりますか。
  16. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今お尋ねの前の答弁で、どうも少し誤解があるといけませんから、補足して説明さしていただきます。  先ほど申しました九十三万トンだとか二十一万トンだとか申します数字は、これは全体、全国的な問題でございます。大阪地区だけについて申しますと、現在指定地域となっている地域くみ上げている地下水は、既設の工業用水道及び明年完成予定工業用水道十分転換が可能ではないか、かように実は思います。今までに指定されている地域のもの、それと、来年までにその指定地域のものが済む。このほか今お話がありました追加指定という地域がございます。ここらでは来年から八万トン程度工業用水道建設するように推進して参るつもりでございます。だから、この追加指定地域のものがおくれるということに相なろうかと思います。これまた、それに対応する工業用水道建設計画がございますから、これができ上がってしまいますと、大阪に対する地盤沈下は、一応これで対策が立つ。こういうことに実はなろうかと思います。この点は大阪の方、特に御関心が深いようでありますので、先ほどの答弁では要領を得ておりませんので、はっきりお答えをいたしたいと思います。  ところで、この工業用水道だと非常に高い、地下水のほうが安い。これは確かに地下水が安いから、今日地下水を使ってやっていた。その安いものによった結果が、地盤沈下を来たした。そこで工業用水道転換してもらう。そうすると、そういう地域が、全国にも幾多あるわけでございます。ただ、ただいまのところ限られた予算で要望にこたえるためには、やはり補助率は下がっても量を多くして、そうしてできるだけ開発するほうが、各地に対しても公平にいくのじゃないか。ことに工業用水の必要なところ、言いかえますと地下水などをくみ上げているというところ、これはもうすでに実は相当発達した地方、まあ財政的に見ましても余力ありと考えられる、そういうことを考えますと、やはり地下水くみ上げた結果、沈下が進行している。この点はただいまのごとく考えれば、四分の一よりも五分の一にして、総額をふやしていく。地方負担力もあるのじゃないか、こういう考え方通産当局としては実はしているわけでございます。  ただいまのお話も、るる実情から立論されまして、できるだけ補助率を高くしてくれと仰せられるようでございますし、また工業用水の本来からみて、安いことが本筋じゃないか——そのとおりでございます。その考え方に私ども反対するわけじゃございませんが、今の実情等から申しますと、むしろ補助率を下げても、また工業用水がある程度高くなりましても、やむを得ずこの工業用水道整備するほうが急務じゃないかというような意味で、ただいまのような予算を計上している。この点を御了承いただきたいと思います。
  17. 赤間文三

    赤間文三君 今の大臣お答え、この前も承っておりましたが、私は少し考えを異にしておるものであります。工業用水を十分に配給ができない。やむを得ず井戸からくみ上げために、莫大な土地沈下をして、高潮ごとに水につかり、工場と誓わず人家と言わず道路と言わず、全部のものがつかってくる。これは、われわれといたしましては重大な問題に考えております。地元が裕福だとか裕福でないとかいうようなものでなくて、ほんとにわれわれのあれから言いまするならば、土地沈下、しかも工場が何百何千とあり、住民が何十万と住んでおる、商店もたくさんある、こういうのが日夜沈んでいくというような状態というものは、これは、単なる府とか市だけの簡単な問題では私はないと思う。したがいまして、そこが裕福だからどうとか裕福でないからどうとかいう問題でなくて、私は率直に申し上げまするならば、国土保全は、これは国家の事業にすべき性質のものだ。あなたも御承知のように、川を一つ国が管理しておる、あるいは道路を管理しておる以上に、数十万の人間が住んでいて年々歳々沈んでいくというようなものは、これは国家的な事業として国がやって、しかも、地方はそれに分担金を出してやるということのほうが、筋からいったら私は合うんじゃなかろうか。実際から言いましても、この大阪工業用水を市をして調べさせますると、現在まで——二十五年から三十六年まで工業用水をやったのは二十六億五千万でございます。そうして、今後沈下を防ぐいろいろな施設をやっていくという点になりますと、あと約二百億の金が要るというのが出ておるのであります。そうすると、今まで二億七千万平均の仕事をやってきておりまするが、市が必要とする工業用水沈下ためを含めましてやると二百億も要るということになると、百年もかからなければ完成せぬというような状態に見受けられる。こういうことでは、とても国土保全というものができないのじゃないか。地盤沈下対策としては、なるべく広い所をやるほうがいいから、したがって、補助率は減っても考え方によっては、そうたいしたことじゃないじゃないかというお考えは、私の地盤沈下の部に関する限りは、なるべく広くやって少ないというのとは、だいぶ考え方が違うて、とにかくここ数年のうちに地盤沈下工業用水によって防げるものは思い切って防いでいただくように御配慮を願うことが大事じゃないかということを私は切実に考えておるのであります。御承知のように、大阪の例をとりましても、昭和二十五年から九カ年の日子で百四十億の巨費を投じて防潮堤完成しましたが、工業用水関係におきましてはまだこれとマッチをいたしておりませんために、今日におきまして大阪防潮堤計算しますと、二百九十五億かけなければ一応の高潮が防げない。それから港湾の部は百四十四億もかけなければ高潮が防げない。こういうふうな実情から見まして、私は、政府といたしまして、特にお願い申し上げたいのは、ひとつ地盤沈下を防ぐという工業用水というものは、新たに工場のできるときの工業用水とは別に、国土保全という点から特別のお考えを願うようにしたいと、こういう考えを持っておるのでございまするので、沈下を防ぐため工業用水とそうでない、まあみんなそうかもしれませんが、比較的それと縁故の薄いものとは分けてお考えを願うように大臣に御配慮を願いたい、こういうふうな考え方を持っているので、したがいまして、ひとつできればここ三年くらいの間に、要するに大阪の例をとりましても、沈下を防ぐだけの工業用水措置大臣にひとつこの際決意願って、重大な事業でありまするが、やっていただくようにお願いしたい。そういうことについて御意見なりあれば伺いたい。
  18. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 大阪関係の方が与野党とも、また委員長もそういう立場であられますので、財政が豊常だと、かように申したのが大阪にピンと来たというようにとれましたが、実はさような意味で申したのではございません。大阪は確かに富裕県ではございますが、大阪だから少なくていいと言うのじゃない。今も申し上げますように、工業用水道を設けるのはいろいろの理由がございますが、特に地下水くみ上げの結果地盤沈下を来たす。そういう所はすでに実は開発された所だ。そういう意味から申すと、これはひとり大阪ばかりではございません。他の場所でも地下水くみ上げ地盤沈下を来たすという所は、そういう意味では工業的には整備された地域だ、東京も同様だと、かように実は指摘できると思うのであります。そういたしますと、そういう場所においては、これは財政的にも資金的にも見当をつけやすい所じゃないか。そうしますと、政府自身が一般の補助をいたしておりますその率等から見て、四分の一という高率補助でなしに、五分の一程度高率補助が適当だろうというのが通産省と大蔵省との話し合いであると思います。で、通産省、大蔵省といたしましては、地盤沈下は非常に進行し危険な状態なんだ。これを早く安定さしてやることが必要だ。その意味では、これは率を上げて金額をふやせばそれは一番いいことだと思いますが、率を上げることはなかなか困難だ、他の国家補助との関連から見て。そうすれば、量をふやし、また自治体等の力とも合わせて地盤沈下対策を早急にしたらどうか、こういうのが今の考え方だということでございまして、どうも金持だとすぐ自分のところが指図されるようで申しわけないのでありますが、そういう意味指摘をしたのじゃございません。  それからもう一つは、先ほど来お話にありますように、今指定している地域、ここは現実の問題として新規なものは一切くみ上げを禁止しております。しかし、指定地域外だと、やはり新規なもののくみ上げがそこにできてくる。あるいはこれから、どうも指定地域内の新設工場は困るが、指定地域外なら工場の新設ができ、地下水くみ上げができる。こういうような問題も起こりやすいだろうと思う。だから、指定地域の追加も、必要なものはできるだけふやし、そうして予想される工業用水はそれに見合うものを一日も早く確保する、こういうことが必要だ。その場合には総体としての総予算額をふやすことが必要だ。これはひとり工業用水道補助がいくらだと、こういうのでなしに、一般の国の補助率とのにらみ合わせ等から、ただいまのような率をきめているというのが現状であります。御了承いただきたいと思います。
  19. 赤間文三

    赤間文三君 他に質問者もございますので、私はこの程度質問を打ち切りますが、ただ、お願いをいたしたいことは、いろいろな事情、権利義務の関係もあり、財政の関係もいろいろありましょうが、願わくば、大大阪、所得倍増にも関係の深い、工場も何千とあり、何十万と住んでいる所が沈下をしていくということは、これはもう一大事でございまするので、でき得る限り政府におかれましても、これが緊急対策について十分な措置をとっていただきまするようにお願いを申し上げまして、私は質問を終わりといたします。
  20. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 めったに、話は合わんのですけれども、この話は赤間委員ともよく合いますが、そのつもりでひとつ御答弁をいただきたいと思います。  大阪地下水くみ上げ量は、年間一億トンをこえております。八月の例をとってみますと、一千万トン、これはひとり主業用水だけではございません。建築の冷房用の地下水くみ上げも相当量ございますが、そこでここでは工業用水の普及、しかも短い年度の間に完成をしていただくように御協力をお願いしておるわけですが、ただいま大臣防潮堤強化、すなわち治水十カ年計画の繰り上げ実施、それと工業用水の普及と地下水くみ上げの全面禁止への方向をとっていくということでございますから、私も安心をいたしましたが、この間も私の知っておる会社で新しい井戸を掘ってどんどんやっておるものですから、調べてみましたところが、指定地域でない、こういうのがどんどん指定地域外に実はふえておるのであります。ですからこれは至急にただいまの五区ですか、大阪の中央部の五区以外に指定地域拡大していただくことを、これはお願いをいたしておきたいと思います。ただいま補助率の問題でお話が出たのでありますが、おかげで本年の九月の三日ですか、此花福島大淀の三区に日に六万七千トン供給のできる工業用水道ができました。ところが、できて日が浅いせいもございましょうが、ただいままでの申し込みでは二万七千トン程度しか申し込みがない、四万トンまだ供給できる能力を工業用水道が持っておる、できて間がないからそうなんだろう、こういうふうにも考えられますけれども……。もう一つは、ただいま赤間委員からもお述べになりましたような、国庫補助率が去年からことしさらに下がったものですから、どうしても工業用水道使用料というものが高くなります。五分の一になって、その上に経済の高度成長というようなことで資材が上がる、賃金が上がるというようなわけで、最近では六円八十銭、これから作るとすればトン当たり六円八十銭ぐらい原価がつくのではないか、こう言われておるのであります。そこへ地下水くみ上げの今の状態を許しておきますと、二円五十銭か三円程度くみ上げが可能なものですから、どうしても安きにつく、低いところへ流れる。こういうことになっておりまして、せっかく工業用水道を国の援助なり府市当局も努力をいたしましてやっておるのですけれども、使用料がこのように高ければどうしても安いほうを使うということになるわけでありますから、地下水くみ上げ規制というものをもっと強力にしていただきませんと、この沈下原因を防ぐことができないように実は思うのであります。そこでただいま工業用水法工業用水道事業法、二法ございますけれども、これは地下水くみ上げをパイプの深さと大きさでもって規制をしておるにすぎないのであります、指定地域といえども。百五十メーターからの深いところの水を引き上げれば沈下にはそうたいした影響はなかろうというので、このような規定が設けられたものと思うのでありますけれども、その指定地域のまん中の市役所のございます中之島が三十五年度で十五センチから沈下いたしておるのであります。このままにしておきますと、工業用水法による規制をこのままにしておきますと、価格が高い、だから安いものを使うということで、沈下の度合いというものを防ぐことは私はできないように思いますので、この工業用水法による地下水くみ上げの規制を、私は持論としては全面禁止の方向にいくべきだと思います。そうしなければどんなに工業用水が普及されましても、今のように使用料が高ければ、安いほうを使うということになって、沈下の度合いを停止することはできないわけでありますから、どうしても工業用水法による地下水くみ上げの規制をもっと強化する必要があると思うのですが、大臣のお考えを承りたい。
  21. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 御指摘のように値段というか、経済ベースという意味で、なかなか地下水の使用が転換ができないかもわからない、こういうおそれのあることを御指摘になりました。私どもといたしましては、一応道が開いてある、こういうことでございますが、さらにただいまのお話赤間さんのお話等の面からみまして、現在あります工業用水法のあり方、それについてももう少し検討さしていただいて、しかる上で対策を立てるようにしたいものだと思いますが、十分調査した上で確たる御返事を申し上げるようにしたいと思います。
  22. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 せっかく大臣から検討をしてひとつ研究したい、検討していろいろ方法考えたいということでありますから、つけ加えてこれは意見を申し上げ、重ねて所見をいただきたいのでありますが、工業用の冷却に使います水の水温というものは大体二十度程度のものが適しておるようであります。それが地下水くみ上げますと四十メートル、地表から四十メートルか五十メートルの深さの所の地下水がその水温に当たっている。ところが、それが一番、学者の説によりますと地盤沈下の影響を最も深刻に及ぼす地域になっているようであります。工業用水は二十度程度の水温が必要であるのに、夏分になりますと二十八度ぐらいの温度になりますために、どうしても冷却用にいたしますためには工業用水を使いましても、さらに八度の水温を下げなければ冷却用などには使えないという悩みがあるわけであります。最終需用家はそういうことでありますから、どうしても自分で工業用水を使っても水温を引き下げるため施設をしなければならぬ。ただいまトン四円で売っておりまして、そうして政府のほうは五分の一に下げたのだから五円五十銭までは上げてもよかろう。こういう意見でありますけれども、夏になりますとさらに水温を八度下げるため施設を、それぞれ工場なり会社がやらなければならぬという問題もございますために、相当高いものにつく模様なんであります。ですから国庫補助の問題を一般的な工業用水の普及ということと、災害地の工業用水道の普及拡張ということとは私は切り離してひとつお考えをいただくことを重ねてこれは強く要望するわけでありますが、どうしても今の工業用水の二つの法律では、やむを得ざるときには地下水くみ上げてもいいという何がございますために、地盤沈下に一番直接影響をする四十メートルから五十メートルの所の水をくみ上げることになるのであります。ですから、そういう点も一つあわせてお考えをいただきたい。沈下の一番の原因になる四十メートルか、五十メートル程度地下水くみ上げることを禁止する。そして今百五十メートルとか、二百メートルとかいって、いろいろ制限ございますけれども、この法律を三十三年ですか、作っていただきましてからでも、十四センチ、十五センチも大阪の中央部が沈下しておるわけでございますから、どうかひとつそういう点についてもあわせてひとつお含みの上、最も近い機会に、法改正なり、新しい立法の措置を講ぜられることを私は強く望むものであります。
  23. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの御意見よく拝承いたしましたので、それぞれまた専門家もあることでございますから、専門家の御協力を得まして、検討してみたいと思います。
  24. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は通産大臣質問したいと考えておった問題は、今お話しになった工業用水の問題に関連しているわけであります。したがって、赤閥委員、椿委員から質問があったので、大体それで尽きているように私は考えます。ただ赤間委員が要望としてお述べになった意見ですが、これは私は全く同感でございますので、この点をもう少し通産大臣に確かめたいと思うのです。いわゆる大阪地盤沈下の問題、これは赤間委員指摘されたように、国土保全の観点から考えると国が第一の責任を持つべき重要な問題であるというふうに考えるわけです。言うまでもないことですが、大阪は日本における最も重要な工業地帯であります。その工業地帯が年々著しい地盤沈下を見せておるということであります。これを自治体の仕事にする。そして国がこれを援助するという、こういう建前ではなしに、私はもっと国全体として重要な問題として考える。取り上げる。したがって、国が国土保全について第一義的に責任を持つような考え方に立つべきではないか。そういう考え、これは赤間委員と全く同じ所見なんです。それについて通産大臣答弁はあんまりはっきりした答弁はなかった。これは明瞭に私はしてもらいたいと思うのです。
  25. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) あまり議論にわたりたくないから実は避けたのですが、たとえば自然の状況のままに放任されておる地盤沈下、そういう沈下の場合だと第一義的に国がめんどうをみる。これは非常にはっきりしております。おそらく自治体を形成している地域内といえども、そういうことが理論的にいえるだろうと思います。これは大阪の場合でございますと、自治体内で、しかもその中に産業が興り、その産業育成の際に、これはやはり地下水くみ上げる。こういうことでございますから、この産業がある、そうして繁栄を来たしておる。その観点に立ちますと、自治体も同様に十分整備する責任があるのじゃないか、かように思います。私は、国だけだという御意見でないことも承知しておりますし、あるいは自治体だけの責任で処理すべきものと、かように申しておるものでもございません。国、自治体一緒になって整備すべき事柄だろう、こういうように実は考えておるのでございます。
  26. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 なかなかうまい答弁をされて、この対策について政府が責任があるように、あるいは自治体に第一義的な責任があるように、どちらかわからないような答弁なんですが、私の尋ねておるのは、第一義的な責任は国がとるべきである、こういう見解をとっているわけなんです。それは、地盤沈下が非常に局部的で小規模であるという場合は私は大きな問題にはならないと思います。しかし大阪の場合は、非常に大規模な地盤沈下、広範にわたって、しかも相当早い速度で地盤が沈下しておる。大阪府市の財政力をもってしても、これの対策を立てることが困難であるという実情に私はあると思うのです。私の大体聞いておるところでは、地盤沈下を防いで、今度の災害に非常な損害を与えた高潮に対して対策を実施するためには、大体七百億円くらいの金が要るというふうに、私は大阪府市当局から聞いているわけです。そうすれば、とうていこの地盤沈下対策について、大阪府市の自治体の力をもってしては一しかも、これを早急にやらなければならぬ。で、まあ大阪府市の希望では、少なくとも三カ年で一応の完成をしたい。これは当然であろうと私は思います。今度の災害を受けて、これはおそらく大阪府民、市民全体の心からなる要望であるというふうに思うのです。そうすると、とても自治体でまかない切れる性質の問題でないというふうに私は考えるのです。三カ年に七百億円の費用を投じてやっていく、とうていこれはできない。そういう点から考えても、これはもう少し——私は、政府が冷淡であると言って攻撃しているわけじゃないですが、もう少しこの点は考えようがあるのじゃないかというふうに考えておるわけなんです。先ほどからの答弁では、むしろ私たちの要望から通産大臣答弁は離れておるように思うのです。補助率を上げて、そうして事業をできるだけ進捗するようにしたい。これはやはり金を出し渋って……、金は私はあると思うのです、国家財政で。それはいろいろ考えの相違もあると思うのですが、この重大な国土保全ために出す金は国家財政からみて相当出せる、こういうふうに考える。それを補助率を下げて事業を推進するというようなことは全く逆な考え方じゃないか。だから補助率を上げて事業を推進するというなら、それはわれわれにも、だれにでもよくわかるのです。で、去年までは四分の一、ことしからは五分の一に下げておる。こういうことは理解しにくい。これは再考すべきであると思うのですが、どうですか。
  27. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはまあいろいろそこで議論がある。だから先ほどちょっと椿さんにお答えしたように、補助率を上げて資金量をふやすことができれば一番よろしゅうございましょうと申した。しかし補助率を上げて資金量が減るという心配がある。そうすると、工事は進まないことになると思います。だから資金量がふえて、そうしてそれが百億なら百億計上する、これが五分の一なんだ、そうすると、あとは五分の四出していただいて、四百億で五百億の事業ができるということになるわけです。しかし補助率を上げて、百億が四分の一なら四分の一になりますと、そうすると一年にはあとの四分の三出せば三百億、工事量とすれば四百億になる。これは計算がはっきりしておるわけです。だから同一の金額である場合には補助率が高いということは工事の進行に支障がある。だから補助率を高くすれば資金量をふやさないと、意味をなさないことになるのではないかと思います。  そこでもう一つお話のうちにありましたこと、これは別にあげ足をとるわけじゃございませんが、工事が小さければともかくもと言われる。これは別にあげ足をとるわけじゃございません。ですけれども、これなどもおそらく地元負担というか、国の厄介にならんでも済むのだ、幾分かそういう考え方があるわけです。これは別に第一次責任が、国であろうが、市であろうが、そんなことにおかまいなしに、やはり自治体の自立性というか、自主性というものを荒木さんは尊重しておられるのじゃないか。  それからもう一つの問題ですが、なるほど三カ年に七百億あるいは八百億、これを一時に出すことは非常に困難でございましょう。そのために借金能力があるかどうか、起債することができるかできないか、こういうところに自治体の力というものがあるわけです。だから、工事を非常に急いでやるのでなければ、ここへ現金を必ずしも積む必要はない。その年の間の歳入で全部を支払う必要もない。だからやはり起債その他の方法、これはまた政府がもちろん協力しないと、その所要の資金の確保はできないだろうと思います。私は、そういう方法でこれは処理さるべきものだ、かように実は思うわけでございます。別に私は、皆様方がせっかく、おれのほうで補助率を高めてやろうというものを何ということを言うのだというお叱りを受けるかもわからないようなことを、実は申しておるようにとられては困ります。私は、大体他の事業に対する国の補助その他等から見て、この程度がというのが、今までの、通産と大蔵との話し合いの結果である。この点を御了承いただき、事業遂行には、ただいま申し上げたように、国は国として協力する方法があることを御承知願います。
  28. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 補助率を下げて仕事量をふやす、国から出す金が一定しておれば、ある意味ではそういうことが言えるかもしれません。しかし、それは自治体の負担能力というものがやっぱり考慮されなければならぬと、かように思うわけです。私は問題の重要性からいって、やはり総額をふやしていかなければならない。百億円出すというところを百二十億にふやすとか、百五十億にふやすとか、国の負担を。そういう意味において、補助率を上げていって仕事量を促進する、増大する、こういう方針をとってもらうことを要望しておるわけなんです。ですから、この点はひとつ誤解のないように十分考えてもらいたい。  その次にもう一点だけ聞いておきますが、通産大臣も問題の重要性についてはよく考えておられるので、工業用水道にいたしましても促進をしたい、こういうお話です。しかし、もう少し具体的に、大阪市あたりでは大体三カ年で一応の完成をみたい、こういう熱心な希望を持っておられるようであります。で、今次の災害から見ましても、今までに起こった類似の災害から見ましても、これはもう最小限度の要望であると思うのです。だから、大体三カ年計画というものを政府として了承してやっていこう、こういう腹がまえがあるかどうか、これを伺っておきたいと思います。
  29. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これは先ほどお答えいたしましたように、今後指定地域になる八万トンの地下水、これは毎日八万トンくみ上げる、それに対する水道計画、これは市が持っておりますし、これを私どもが来年度の予算に要求して、その計画の実施に協力する、こういう考え方でございます。
  30. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  31. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 速記を始めて。
  32. 小酒井義男

    小酒井義男君 実は前回の当委員会で、徳島県の市外の災害のことで、実は現地で私が聞いたところによると、ちょうど、その堤防の決壊した所が、建設省の所管と農林省の所管の中間の所で決壊をしたのだというふうに聞いたものですから、そういう建前で実はお尋ねをしたわけですが、それを現地を見たときの印象としては海岸のように思ったのです。ところが、あとで聞きますと、海岸でなく、もう少し川のほうに入った所だと、こういうことなんですが、ああいう事故の起こった経緯をまず御説明を願いたいと思います。
  33. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 今、御質問の点でございますが、先生の御質問になりました地域は、徳島県の松茂町の今切川に面した所でございますが、地域としましては水産庁の漁港の区域になっております。先生のおっしゃいました個所は、建設省の堤防と農林省の堤防の接点になっておるという所ではございませんで、実はそこは漁港の区域でございます。ただ、仕事の関係が、実は昭和三十三年に地盤沈下対策として一応仕事をやっております。これはその地域が漁港に指定になります前から、ほかの、私のほう以外のところでございますが、地盤沈下対策の長期的な計画の中に入っておりまして、水産庁以外のところで実は仕事をやっておられまして、三十三年にそれは終わっております。そうして決壊しましたのが、そこの地盤沈下対策でやりました所からの延長、続いておる所でございます。これにつきましては、地元の徳島県でも、いろいろそういう接点の所については、もっと補強をしたいというようなことで、三十六年度に県で予算を組みまして、仕事を着工しようというところにかかっていたときに、そこが約五十メートルぐらいでございますが、決壊をしたというような事情に相なっております。
  34. 小酒井義男

    小酒井義男君 その決壊をした個所の両側はあとから工事したのですね。その工事をしたのは何年ごろにやった工事か、そうして今度決壊をした場所は、いつごろ工事をやられた個所か、そういう点ばわかりませんか。
  35. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 片方は、今申し上げましたように、三十三年にやっております。それからもう片方でございますが、これは三十四年度の災害のときに、やはり水産庁以外でそこの工事をしたというようなことがございまして、ちょうどそこに、はさまったのが五十メートルぐらいに当たるようでございます。それで、これは先生も地元でお聞きになりましたように、そういう所は当時は被害はございませんでした、三十四年には。やはり早く手直しをすべきだというようなことで、今年度、県で予算を組んでやったようなわけでございます。実は私のほうとしましては、今度のことがありますので、すぐに人を出しまして、応急工事もやり、再度災害にかからぬようにというようなことで、これは十分な復旧をしたいというふうに考えております。
  36. 小酒井義男

    小酒井義男君 何か、片方は三十三年に、あなたのほうでおやりになり、三十四年度にやったのはどこなんですか。
  37. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) お尋ねの点は、三十三年度に地盤沈下の工事をやってもらったのは運輸省でございます。これは従前、漁港地域指定になります前に、前から運輸省が計画を持っておられまして、地盤沈下の工事をやっておるわけでございます。三十四年度の災害につきましても、実は、これはは近くに今切港の商港がございます。そういうような関係で、運輸省が災害復旧をやっておるというようなことでございます。
  38. 小酒井義男

    小酒井義男君 私よりも詳しい事情を御承知でしょうが、徳島県というところば、財政的にあまり豊かじゃないのです。以前は、災害補助さえも辞退をして工事がおくれたような事情もあったところのようです。こういう地域で、一部だけ県の責任というようなことで、工事を残しておくということが、私は、行政面において問題があるのじゃないかと思うのです。最初、私は、これは、この港湾の行政は幾つにも各省に分かれてやっておりますから、そういう所のまん中の所で事故が起こったものだというふうに聞いてきたものですから、そういう行政のやり方というものは、やはり一元化をする必要があるということを主張したのですが、そうでない、あなたのほうだけの関係だと、こういうことでありますが、地方の非常に財政的に弱体なところは、やはり地方にまかせきって工事を残しておくというようなところに、こういう災害の発生をする原因があると思うのです。何か住家が四棟と非住家二棟と、ここで六棟流失したといって、現地の人は、危険だ、危険だといっているのにやってもらえなかったのだ、こういうことで、非常に憤慨して説明をしておりました。それは現地の人は、これが今説明のありましたように、県が計画をしているかどうかというような詳しいことはおそらく知らなかったと思うのです。これは、私がもう今回は松茂町を一カ所現地で見てきただけでありますが、ほかにもこういうふうに、海岸の堤防にしても、あるいは河川の堤防にしても同じことですが、一部を補強しますと、その次にどこかに弱体なところがあればそこから決壊をするという危険性というものはあるわけなんですから、どうか将来そういう個所が発生をしないように、十分ひとつ今後は注意をしてやってもらいたい。こういうことをひとつ要望を申し上げておきます。
  39. 伊東正義

    政府委員(伊東正義君) 何省で工事をしましても、そういうことは別で、国としまして、先生のおっしゃるように、一貫性を持たして工事をするということは、私は当然だと思います。海岸法ができましてからは、各省で相談しまして、海岸の築造基準等も一定のものにするということでやっておりますので、私どもとしましても、今度の問題でも十分反省するところもございますので、先生の御要望のように、十分気をつけたいと思っております。
  40. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  41. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 速記を始めて。
  42. 武内五郎

    ○武内五郎君 まあ災害地で住宅を侵された人たちに対して仮設住宅を建設するのは、厚生省のほうで設定されておるわけなんですが、御承知のとおり、仮設住宅はきわめてその費用が零細で、一戸当たり五坪で十万円という一戸建ての住宅であるわけでありますが、十万円で五坪でありまするので坪当たり二万円ということになります。坪当たり二万円というと、御承知のとおり、これは人間が住めるような程度の家ではないのであります。ことに、ルーフィングの屋根——屋根ふきをルーフィングでしておきますると、寒冷積雪地帯等ではとうていしのげないことは、これはもう明らかだと思う。二万円ですと、これは鶏の小屋の程度にしかできない、今日では。御承知のとおり資材等の値上がり等を考えてみましても、昭和三十年度の、かりに木材にとってみれば、昭和三十年度の価格の三倍を今日ではこえております。しかも、また同時に、労働賃金等も非常に上がっておりますし、とうてい私は坪当たり二万円では家屋らしい家屋というものは建つはずがないのであります。いつか、こういう問題が何かの委員会、私の関係した委員会質問が出た際に、これはあくまで仮設なんだという考え方に立っておるんだからと、こういう説明であったわけであります。  そこで、そうなって参りますると、いかにも仮設ではありまするが、そこに一年なり二年なり生活せにやならぬことになります。少なくとも立ち上がるまで生活せにゃならぬのであります。しかも、これから冬の季節を迎えるにあたって、それらの家屋の中に生活しなければならぬ人々が非常な不安におびえているのを私はほうぼう現地で見て参りましたのですが、一体、こういうふうなことで、あなた方は人間が住めるような家が建つと思うかどうか。  それから、何かこれに対して、もっとやはり人間が住めるような、一年でも二年でもまた人間が住めるような施設に改めていく考えはあるか。この際、特にそれを聞いておきたい。
  43. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) お答え申し上げます。  仮設住宅の単価は、最近までお話のように五坪、十万円であったのでございます。先生御指摘のように、建築資材その他の値上がりがありました関係を考慮いたしまして、また、そのほか屋根などにつきましても、従来ルーフィングあるいは杉皮というような計算になっておりましたが、これをトタンぶきにするといったような、内容の改善等もある程度考慮いたしまして、十三万円に引き上げまして、この第二室戸台風から実施することにいたしておるわけでございます。  そのほか、単価としては、もちろん非常に不十分な単価であるという御指摘を受けるわけでございますけれども、まあ、あくまでもお話のように、一般の住宅対策が講じられるまでの間のつなぎの応急措置であるということと、もう一つ、建築にあたりましては国有林材を優先的に払い下げを行なう。国有林材の価格は災害発生前の市価の二分の一の価格でございます。したがいまして、そういったような点をいろいろ考え合わせ、工夫いたしますれば、一応十三万円でやれるというふうに考えておる次第でございます。  ただ、今回の第二室戸台風の際におきましては、伊勢湾台風の際の仮設住宅が被害を受けたというような例もございましたので、今後の仮設住宅の問題につきましては、一部鉄骨などを使用した組み立て式の住宅などを考えてみたらどうかということで、事務的に検討いたしておる段階でございます。
  44. 武内五郎

    ○武内五郎君 十万円を十三万円に上げて対策を立てるというお話なんですけれども、私はまだそれではとうてい人間の住めるような住宅にならぬと考えます。ことにそれに対して、資材の供給で、国有林の払い下げ伐採によってまかないたいといっているようでありますが、その国有林の伐採によって資材の価格を低めて取得しようとする場合でも、やはりこれは時価に支配されるという点は否定できない。それから、かなり高い運賃等はどうなるのか、その点について、運賃等の関係で、かえって同じ結果になるのじゃないかと思います。  そういうような方面の考えがあったかどうかということをお伺いしたいし、それから、でき上がりました仮設家屋のうち、たとえば便所がない、台所かない——便所、台所のない家屋なんというものは人間は住めません。鶏や豚が食糧を供給されて生活するような状態であればいいかもしれません。家族をかかえて台所のない、便所のない家屋ということは、私はこれはもう人間に与える住宅じゃないと考える。厚生省社会局は少なくとも人間の実態に即したものの考え方対策を立ててもらわないといけないのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  45. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) 前段の国有林払い下げの際の運賃の問題でございますが、運賃は一応十三万円の中に入っておるわけでございます。これは極力最寄りの、最も近いところの営林局から払い下げを受けるという取り扱いをいたしておるわけでございますが、やむを得ず近くの営林局の管内にないという場合は相当遠方から運ぶという場合も出てくるわけでございますが、そういう特殊事情のものにつきましては、特例を認めてもらえるという扱いにいたしておるわけでございます。  それから便所あるいは台所というものでございますが、これも非常に窮屈ではございますけれども、一応この五坪の中に予定されておるわけでございます。しかし、この市街地等におきましては、集団的に相当多数同じ場所に建てます関係上、共同便所あるいは共同炊事場といったようなものを設けてやっておるところもあるわけでございますが、設備といたしましては、いずれにいたしましても、便所、台所についても手当をいたしておる次第でございます。
  46. 武内五郎

    ○武内五郎君 まあ運賃は国で予算も見ておるという話なんですが、製材費なんかはどうなんです。  それから家屋建築にあたってのその他の、たとえば今までルーフィングを使っておる、あるいは杉皮を使っておるというふうな家屋から、トタン屋根に変えるとか、あるいは木羽ぶきにするとかいうふうな場合に、その十三万円を超過するおそれが相当強いと思うのです。そうでなければ私は寒冷地帯、積雪地帯の冬季越冬ということはできないと思うのです。しかも私は、からのトタン屋根をふいたって零下に下がる青森辺、それから新潟の雪の積もる地方ではとうてい生活ができないと思うのですが、そういう点、家屋についての配慮はどうなっておるのか。
  47. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) 製材費も十三万円の中に一応含めております。  それから寒冷地の問題でございますが、これは目下のところ、寒冷地あるいは寒冷地以外の地域との区別はつけておらないわけでございます。この点につきましてはあくまでも早い人は一カ月あるいは二カ月で出ていく人もありますし、応急手当であるということで、そのような扱いになっておるわけでございます。
  48. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 厚生大臣が見えないので施設課長ですが、今の仮設住宅のことですね、たとえばそれが農家だったら農家のつぶれた所に、仮設住宅を個々に建てるという方法はとってないのでしょう。集団的にどこかの候補地とか、どこかというしばりがあるわけでしょう。
  49. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) さような制限は設けてございません。したがいまして、農村地帯では倒れた跡、あるいはその隣り、あるいは焼け跡、そこへ個々に建っておる例が多うございます。
  50. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうしますと、これは仮設住宅は期限が二年でしたね。あと払い下げるという措置をとっていますが、今町村が具体的に困っているのは建てる場所がないということで困っているというのが事実じゃないかと私は思うのです。だから個々の災害を受けた家が倒れたらそれは百分の三十、まあ最近はもっと幅を広げていいというのですが、自分の家の倒れたあとに建ててくれるのならどんどん希望者がある。しかし、そうでなしに一定の地域に仮設住宅を建てて、移住をして、それを二年の限度の中で処理をするということになっているから、土地を見つけるのに市町村は困っているというのが実情じゃないかと思うのです。あなたが今おっしゃったように、それじゃ自分の屋敷の中にどんどん建てていいのか、そういうことになっているのかな。
  51. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) これは公有地でありましても、私有地でありましても自由であります。ただ一応私有地でございますと、あとでこの貸借の関係がございますので、その点は明確にしてあとで紛議の生じないように注意さしておるわけでございますが、その私有地、自分の住宅の跡ではいけないとか、あるいは町村有地でなければならないとかいう制限は一切設けてはございません。ほとんど町村部で私ども見ておりますのでは、伊勢湾台風などの例を申し上げますと、自分の屋敷跡あるいはそのすぐ庭先へ建てておるという例がかなり多いわけであります。
  52. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そういうことなら市町村が土地を心配することはないだろうし、今住んでいるところに建ててもらえばいい。二年限度でも新しいところに建てるならそれは百分の三十じゃとても足らぬのじゃないか。今度の台風で仮設住宅を全壊家屋の百分の三十ということですが、これはどうですか。希望はどれくらいきて、実際はどれくらい実施されたんですか。
  53. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) 三割という承認の基準でございますが、これは一応のめどでございまして、必要があれば三割をこえて認める場合もありまするし、実情によっては三割以内で済んでいる場合もあるわけでございます。これは別段科学的根拠があるわけでございませんで、一応過去の災害の実績を考慮いたしまして三割という基準をきめたわけでございます。そこで第二室戸台風の例を申し上げますと、大体おもだった県で五割程度になっておろうかと存じます。ちょっと正確な数字を忘れましたが、大体大ざっぱに申しまして五割程度になっているかと思います。  それから敷地の問題でございますが、町村部では、町村部でも村落と市街地の部分と違いますけれども、敷地難のため建設が困っておるというような話はあまり聞いておりません。むしろこの市街地、特に大都市などで空地がほとんどないために敷地難で建設がおくれるということがいつも心配されておるわけでございます。  それからもう一つ、仮設住宅は応急救助として行なわれるものではございますけれども、やはり救助の種類としましては第二次的な救助になりますので、自分の力で建てられる方々は御自分の力でやっていただく、また親戚縁者等に身を寄せられる方はそこで一応落ちついていただく、どうにも方法がないという方々にだけについてやるわけでございますので、敷地があるから希望が多い、敷地がないから希望が少ないという性質のものではないわけでありますので、その点御了承願います。
  54. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうしますと、今年は五〇%だというんだが、あとの処理は大体今までの歴史からいって、二年の期限だが、二年の期限がたったらどういう処理をされていますか。払い下げるよう何かの処置をとるわけでしょう。どういう処置をとっていますか。
  55. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) 今、二年という期限を設けておりますのは、これは二年までは当然いいということよりも、むしろ二年以内にそういう状態を解消してほしいという目標を示しておるわけでございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、一月、二月で出て行かれる人々もかなりあるわけでございます。そこで、最大限をまあ二年というふうにいたしておるわけでございます。そこで、いろいろその世帯の状況によりまして、二年過ぎましても、なお居住している方もあるわけでございます。その際は大体例といたしましては、ほとんど無償に近い——無償あるいは無償に近い価格で居住者に払い下げられておるという実情でございます。
  56. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これに関連して公営住宅の問題が出てくると思うんです。だから建設省の第一種住宅、第二種住宅というようなものが、えてして行なわれているのは、集団住宅ですね。だから災害で資力がない場合には、特に農家なんかは——第二種住宅なら三分の二の国家補助になっていますが、資力のない人にはそういう格好のめんどうを厚生省は見ていますか、建設省の関係で。
  57. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) 資力のない方々につきましては、申し上げましたように、仮設住宅で応急な手当をいたしまして、さらに一般的住宅対策でありまする公営住宅あるいは住宅金融公庫からの融資、こういったようなお世話をいたして、できるだけ仮設住宅から早くよりよい居住をしていただくという処置に努力しておるわけでございます。
  58. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、あなたのおっしゃるとおり、仮設住宅というのは早く出ていただいて正常な住宅で生活してもらうというための、建設省との関係においてたとえば第一、第二種公営住宅というようなものを個々の場合でもそういうお世話を厚生省でしているわけですね、住宅の関係で。それはまた金融のたとえば措置についても、厚生省というのは何といってもそういう役割ですね。住宅の関係建設省だけれども、人命に関する問題は厚生省の役割ですから、だからそういうめんどうも厚生省建設省と交渉したりなんかして、あとのめんどうを見ておられるということですか。
  59. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) もちろん各現地におきましても、また府県におきましても、私どものほうにおきましても、ややともいたしますると仮設住宅がスラム化する傾向があるわけでございます、そういう点を防止する意味合いからいたしましても、極力住宅対策を早急に進めていただいて、仮設住宅の状態を解消するという方向で建設省のほうにもお願いして努力をいたしておるわけでございます。
  60. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 あなたにあまり強い要求をするわけにはいかんですから、それ以上の要求はしませんけれども、具体的にやはりあとのめんどうを見てあげなければ家は建ちませんね。だから個々の場合でも、たとえば第二種県営住宅、あれは町営になりますか、こういう格好なんですか。個々の場合にそういかなければ融資のめんどうを見る——家が今度つぶれたときに建設の融資は幾ら出ますか。
  61. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) その辺の詳細を実は承知いたしません。これは一切その面の関係建設省のほうでお願いいたしておるわけでございますが、大体第二室戸の際に、伺っておるところによりますと、災害発生後間もなく住宅金融公庫から被災地へ参りまして、部落単位ぐらいに説明会を開きまして、それで希望者に対する貸付の手続、条件、そういう点のPRをしておるということを見たり、あるいは伺ったりしておるわけでございますが、その詳細の扱いにつきましては、私ちょっと今資料を持ち合わせません。
  62. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それは少し何ですね、あなたは民生行政をおやりになっている厚生省だから、融資がどうなってどういう方法で借りる手続を援助してやって、そうして住宅が建つくらいのことは課長知っていなければちょっと困るのじゃないか。  屋内の堆積土砂も今度だいぶ集中豪雨でたくさん入っていますが、三%という基準は変えたのですか、変えないのですか。
  63. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) この三%という基準は狩野川台風の実績を一応用いたわけでございますが、あの数字では低過ぎるのではないかという御桁摘もあったのですが、もちろんその後におきましても三%をはるかに上回る場合も少なくないわけでありまして、そういう際にはその実態を見て実情に合うように割合の引き上げを考えて参ったわけであります。そこでごく最近におきまする集中豪雨の例からいたしますると、岐阜県あたりの例から申しますと、一〇%をちょっと上回っておる実績でございます。そういう点を考慮いたしまして三%を室戸台風から一五%に引き上、げております。
  64. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、これは何回も質問して明らかになっているからあまり言わないのですけれども、河川の沿岸で大水が流れて百戸あったら百戸全部土砂が入っているわけです。それは堆積土砂排除はめんどうを見るということを政府は言っておられる。これは今までの質疑で明らかになっている。議事録を見れば明らかです。ところが単位五千円で三%ぐらいでは実際問題としてはなかなか百戸の家の救助処理ができていないというのが現実なんです。だから道路建設省が見る。農地は農林省が見る。だから屋内は厚生省が見ますということで、無制限に出すわけにはいかぬけれども、できるだけめんどうを見る。狩野川や伊勢湾台風の際も水のつかったところが多い。これを平均して堆積土砂の入った家屋が三%だったから、これが一つのワクだ。これが今度は一五%に上げられたということですが、それはあまりに機械的に過ぎる。だから水だけつかって土砂を出す必要のないところは必要がないのです。しかし川の沿岸で百戸とも全部つかって土砂が入っていたら、これはやはり見てやらなければならぬ。だから単に三%の基準を一五%に上げるということだけで解決する問題ではない。これは私はくどく言いませんから、十分に厚生省が各府県知事に、こういう場合にはある程度のめんどうを見るのだ、単位が五千円なら五千円のめんどうを見るということで、基準が三%とか一五%というようなことはもう言われないほうが僕はいいのじゃないかと思う。そこらの具体的な問題についてもう少し熱意を入れてやってもらいたいと思いますね。なぜそういうようなことを今また繰り返し言うかというと、各府県の知事は、厚生省から三%のワクしかきめられていない。だからこれはもう三%しか出せないのだということで、百戸土砂が入っても三戸分の一万五千円だけもらって、あとはどうにもならぬのだということでみんな終わっている。そこらあたりを十分に認識してもらって、厚生省も狩野川とか伊勢湾台風のときの浸水家屋の中で、土砂がこれだけだったので三%になったのだけれども、土砂の排除は、事実は道路建設省、農地は農林省だから、屋内のことは全部めんどうを見るのだということをやはり親切に府県知事に言ってあげておかないと、今のような間違いが出てくる。機械的に三%を一五%に上げてみたところで、それは握り金にひとしい結果になる。実質的な救済にならぬのであります。実際にたくさんみな土砂が入っているところは救済されないわけですよ。そうでしょう。それで土砂が入っていないところでも一五%分もらえる。たとえば水だけが入ったところでも一五%もらえるというなら少し不公平です。だから実態に応じて、水のつかったときには水のつかったときの処置が必要です。水がつかり、土砂が入ったときにはそれだけの分は実態に応じて処置をするような方法をやっぱり考えていかなければいかぬ。ただ三%の基準を一五%に上げたら事足りるということでないということをまあひとつやってもらいたい。私はそう思う。  それから、大臣が見えないから、これはどうもあなたにばかり言うのはいかぬから、もうやめたいと思うんだけれども、あなたは担当者だから、担当者の一応の話だけをお聞きしたいんですが、この災害救助法からくる民生の問題については全部厚生省ですね。そうでしょう。だから農林の関係でも、商業の関係でも、厚生省が人命に関する問題はみんな処置をしてやらなければいかない問題で、たとえば災害罹災者の援護法というような格好で罹災された人に特別な保護立法を作って、見舞金であるとか、または融資であるとか、無利子というような格好で融資をして、再起のために援護して上げるとか、そういう問題が私はたくさんあると思うのです。しかし今みんなばらばらでしょう。各市町村の財政力によってばらばらなんですね。で、私はやっぱり大きくいえば、国の責任だという議論をここで今しょうとはいたしませんけれども、しかし国がやっぱりそういうところの基準を出してめんどうを見てやって、富裕県とか、富裕市町村はいいけれども、貧乏市町村なら何にもやれない、こういう見舞金とか、援護資金の貸し出しとかというようなことについても十分できない。だからこういう点は厚生省として災害救助という立場から十分にお考えになって、あなた社会局ですから、十分にそういう点はお考えになっていただきたいと私は思うんです。まあ救助法の関係は今度基本法が出て参って、基本法の関係で救助法の問題がどうなるかということもいろいろ議論がされてくるところ、だと思います。だからそういう点は十分にひとつ配慮してほしいと思う。たとえば、だんだん議論を進めていけば、終末処理の問題なんかでも、なかなか進んではいませんね。こういう問題は、災害のときにやっぱり塵芥、屎尿とかの終末処理の問題も一ぺん水につかってぱっとやったら人命、衛生上非常に悪い問題ですから、何かそういうものに対しても市町村がほんとうに国の保護、援護によってよいものができるようにしていただかなければいかぬのじゃないか。まあ今度は今までの法に関連して援護法、三つの法律を出しておられますから、これはこれでまあ私は高いとか安いとかという議論は別として、措置を講じておられることだと思うのですが、しかし具体的に法律になってこない仮設住宅の問題だとか、堆積土砂の問題だとか、それから今の被害者の見舞金の問題だとか、罹災資金の低利長期の貸し出しというような問題に触れてくると、手当が十分に明確になっていないのですね。ここで議論するときにはいい話ばかりが出てくるんですけれども、なかなか出てこないのですね。そういう点はひとつ十分社会局で検討していただきたい。いずれ厚生大臣がおいでになって、社会局長がおいでになったら話も十分に私もしたいと思います。あなたにあまり言うのはいかぬから、これくらいにしてやめておきますが、ぜひ省内でもその議論をしていただいて、われわれもちゃんとこういう場合にはこうしてもらいたいということを社会党から出してありますね。皆さん検討されていることだと思いますから、そういう点についてもこの会期中に質問して明らかにしていただかなければならぬと思いますから、ぜひ、ひとつお帰りになったら検討していただきたいと思います。  それから私は農林省が皆さんおいでだということですから、農林省にちょっとお尋ねをしたいと思います。
  65. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) 前段の救助の割合の問題でございますが、この一五%あるいは仮設住宅三〇%というふうにきめてはございますけれども、それで事足りるというふうに思っているわけでは毛頭ないわけでございます。御承知のように災害の様相がまことに千差万別でございまして、一定の基準というものを実は非常にきめにくいわけでございます。しかし、そうかといって全然よりどころがないということでも困りますので、過去の災害の経験に徴しまして一応のめどをきめている。それでさらにこの実際の運用にあたりましては、災害実情に応じまして弾力性のある運用をはかって行くというふうにいたしているわけでございます。なお、その単価等の点につきましても個々に検討いたしまして、早急に改善をはかるように努力いたしたいと存じております。  それから後段の罹災者援護法の問題でございますが、衆議院の方からもいろいろ御意見を承っておりますし、御趣旨の点はよくわかりますので、十分検討さしていただきたいと思います。
  66. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それからもう一つちょっとつけ加えておきますが、施設課長にですね。いろいろの災害対策の中で根本問題ですが、これは総理大臣とひとつ議論したいと思うんですが、一定のものさしを当てて、激甚地だからこれだけの補助、だ、激甚地でないところはこの補助率が少ないという議論があるわけです。そういう法律になっているわけですね、皆が。しかし個々の災害を受けた対策にしてみたら、地域がどうであろうと何であろうと、災害を受けたものに、激甚地でないからといって補助率が少ないということじゃ困るわけですよ。特に厚生省の民生の関係のあなた方が、そうはしないのだということを幾ら言われても、思想としては三%をぽっと今度五倍の一五%に堆積土砂のやつを上げたというようなものの考え方は、結局つかみ金とといいますか、その実態に即してやるということになっていない。実態に即してやるというなら、何も一五%も三%もきめなくてもいいでしょう。そんなうそをつく者があるわけじゃないから、実態調査して査定してやられるんですから、これはないと思う。それじゃそれだけのものを見てやろうという、そういうことこそ、私は厚生行政が今の災害の処理のいろいろ矛盾しているところを直していくのに、民生、人間の生命に直結している厚生省がそういうところを打ち破って行かなければいかぬのじゃないか。そういうことを私は言いたいわけですから、そういう点も十分お含み願いたいと思います。
  67. 武内五郎

    ○武内五郎君 仮設住宅のことですが、施設課長なら取り扱い上に詳しいわけなんですが、二年でこれは払い下げができますね。二年で払い下げができるのだから、そこに入っている人が、二年たたなくてもいずれ払い下げを受けるのだという考え方に立っていいのかどうか。そうなってくると、家族がふえたり、あるいは現在その五坪の家屋では、家族五、六人はとうてい生活できないというようなことで、二年後の払い下げを考えながら幾らかずつ建て増しして行っても差しつかえないのか。何かだいぶ文句言われているようでありまするが、地方の人々もその点についてだいぶ困っていることでありますから、どういう考え方になっているか伺いたい。
  68. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) 仮設住宅を払い下げるということは、いろいろ仮設住宅を建てました地域状況によって、可能であるかあるいは不可能であるかということがあるわけでございます。したがいまして、最初からもう払い下げるという前提でいろいろな施設をするということはちょっといかがかと思いますが、大体これはまあ先ほどお話のありました、農村等で自分の敷地内に仮設住宅を建てたというような場合におきましては、まあほぼ確実に払い下げが期待できるであろうということが言えるかと思います。そういうような場合には、私どもの立場では一応五坪ということを基準にいたしておるわけでございますが、実際にはそれぞれ個々人の力で、台所を広くしたり、いろいろ工夫をいたしておるようでございますが、やはり仮設住宅はあくまでも応急の手当てでございますので、五坪の基準を著しく上回るということを、一般的に払い下げを前提として認めるということは、ちょっと困難だと存ずるわけでございます。
  69. 一松定吉

    委員長一松定吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  70. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 速記を始めて。
  71. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 果樹災害対策についてごく簡単にお伺いしたいと思いますが、農業基本法で畜産とともに選択的拡大の大きな分野なんですが、衆議院を通ってきました修正案で社会党とかなり最後まで難航したものの一つだと思っているのですが、新しい対象だけあって、まだ十分でないと思うのですが、一応の今度の修正で方向づけがなされたと思うのですが、農林漁業金融公庫から出される既定の十億のワクについて、不足ならなおこれを追加供給するというふうになっていますが、今回いただいた資料からしましても、果樹関係の被害は相当多いと思うのですが、一体総額のどれぐらいのパーセントでその貸付を、天災融資法の貸付を申し込むであろうという予想で、そして融資ワクの不足は状況によってわからぬと思うのですが、どの程度これを追加供給せねばならぬというふうにお考えでしょうか。
  72. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) ちょうど面接の所管の振興局長がおりませんので、融資の関係ですから私お答え申し上げますが、御承知のように天災融資法と、それから農林漁業金融公庫と両方の金融の措置で果樹の復旧対策考えようというところが大体中心でございますが、天災融資法におきましては、いろいろの融資ワクの拡大とか、条件の緩和、こういうふうに考えておりまして、この面では現在調査ができまして最終的に決定しているということじゃございませんけれども、大体七、八十億くらいの——これは果樹じゃございませんで、全体につきまして、第二室戸台風を中心といたしました災害の被害の融資のワクでございますが、六十億ないし八十億前後のところで融資のワクを定めたらどうか、こういうことで政府の部内で検討しておるところでございます。で、まあ大体そのくらいのことで参りますると、今までの状況から言いましても、大体カバーできるのじゃないかというふうに思っております。それから公庫の方では、現在十億というワクはございまするけれども、これは実際どれだけの融資の申し込みがありますか、実行してみませんとわからぬものですから、まあ一応そういうようなことでやっておりまして、そして必要に応じまして、予備費等もございますので、そういう点で十分ひとつまかなえるように処置をして参りたいと思っております。
  73. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 その点は、じゃ今後の状況によらねばわからぬと思うのですが、十分追加供給はするということで、とにかくワクの拡大というのは、四つ、五つの中の一つの問題点であったと思うのですが、その点はもう安心して復旧計画を立てるに十分な追加供給ができるということが言えますか。
  74. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 災害対策でございますから、災害の復旧のために必要なものは、全力を尽くして、これはワクの拡大等も努めて参りたいというように考えております。
  75. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 この果樹は共済の対象になっていない一つの分野で、災害復旧にひとつの問題があると思うのですが、樹木や施設関係等についてはいろいろ出ているのですが、このフルーツですね、果物が落ちたという場合ですね、たとえば二十世紀とか、リンゴとか、なかなか数回も薬剤を散布し、生産のコストがかなり高いもので、まあミカン等は別にしまして、二十世紀等は必ずしも採算が有利でもないというようなので、私鳥取県ですが、ちょうど収穫期の直前に相当部分落果して、甚大な打撃があって、これはかなり問題になっているのですが、これはどういうふうに——まあ来年度からの果樹栽培の営農資金の手当というようなことについて、融資の方法その他について少し御説明いただきたい。
  76. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) おっしゃるとおり、落果いたしました果樹が、まあこれは非常な農家にとりましては損害になるわけでございますが、実際、非常に残念でございますけれども、落果した果樹についての損失補てんという制度は現在ございませんで、これはまあいろいろ検討をいたしていまするけれども、なかなかそこまでの施策はとれないわけでございます。したがいまして、天災融資法におきます経営資金の貸付と言いまするのは、次の作付に対するいろいろの農薬であるとか、肥料であるとか、そういうようなものの手当の金でございまして、そういうようなものを大体中心にいたしまして、まあその天災融資法によって、特別被害地域においては三分五厘の金を貸そう、こういうことの制度をとっておるのでございまして、そこでまあ特に果樹につきましては、一般の農家に貸付限度が三十万円でございますけれども、今度は特例法で上げまして、二十万円を三十万円に上げよう、それからもっぱら果樹の栽培をやっておる農家ですね、果樹の専業者というようなところにつきましては五十万円まで上げよう、こういう措置を講ずることにいたしたわけでございます。で、根本問題といたしまして、ほんとうに果実が落ちた場合の損失補てんをどうするかという問題は、これは今後の果樹の対策から言いましても、非常に大事な問題であろうと思うのでありまするが、今までこれにつきましては、果実共済というものをひとつ考えたらどうかというようなお話もございまして、これは三十五年、また三十六年政府でも予算を組みまして、三十五年には九十何万円、三十六年本年度は百十何万円の調査費を組みまして、各県に——県としましては四十何県でございますが、各百何十かの町村を指定いたしまして、そうしていろいろの種類の果樹につきましての共済というものをやれるかどうかという問題を検討いたしておるのでございます。しかし御承知のように価格の変動が非常に大きいものでございますし、ある程度災害で落果をしたり何かいたしますると、その場合にはかえって値段が上がって非常に農家収入からいいますと大きな、普通よりもプラスになるというような面もございまして、なかなかむずかしいのでございます。そういうようなことで結論のようなものはまだ出ておりませんけれども、そういう今までの調査を基礎にいたしまして、今後の果樹園芸の振興という問題もございまするので、そういう問題をひとつ早急に検討いたしたいと思っております。
  77. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私も落果したものの補償を国がやったりするということはなかなか困難だと思っております。しかし、リンゴにいたしましても二十世紀にいたしましても、その他数種のものはちょうどその熟期が台風シーズンに当たるものが多いわけであります。ですから、どうしても選択的拡大の大きな柱として果樹園芸というものを振興しようとしますれば、これも何らかの補償制度をやれるし、また自己責任で立ち上がるにしましても、それが可能なような融資なり助成が私必要だと思うわけであります。最近栽培しますくだものはなかなか高度な技術と手数を非常にたくさん要しまして、私はこの程度の二十万円、三十万円というようなことではなかなか立ち上がりにくいんじゃないかと思うので、今後ぜひこの果樹園の災害復旧の体系を整えて、そしてこの発展の障害にならぬようにやっていただきたいという希望を申し上げておきます。  なおこの保険についていろいろ検討しているということですが、これは早期に検討するということになっているようですが、一体他のこれまでの共済の法律の中に含めるような形でいこうとされるのか、まあこれまで調査されたりしたものもだんだんと集計されていると思うのですが、そういう点はどうなんですか。単独立法でやられようとするのか、そういう点まあこれはなかなかめんどうで、落果して値段が上がったりするということもあるのですが、一戸の農家の経営でこれは台風にかかる、これは台風にかからぬというようなことならそれはある程度相殺できるでしょうが、地域的にほとんどやれるところはみんな、まあ時期にもよりますがやられるということ、そうでないところは、鳥取県でも西の方は全然被害がない、東の方だけやられたというような格好で、なかなか特殊な内容を含むものだと思うのですが、これは一体早期に検討するということはいつごろで、しかも大体の調査された方向としては単独立法でいかれるのか、そういうことについてはいかがですか。
  78. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) おっしゃるとおり、非常にむずかしい問題でございまして、三十五年、三十六年と二年間調査いたしましたけれども、調査の考え方は、制度を頭におきまして調査をしているというよりも、むしろその基礎条件といいますか、バック・グラウンドをいろいろ当たってみませんと、なかなか保険にいたしましても、それから共済にいたしましても設計等がむずかしいわけでございます。で、日本でも前に和歌山でミカンでございますが、果樹共済をやりましたけれども、これも実際問題としては設計のずさんなために非常な赤字を出して一、二年でつぶれてしまったというようなことになっておるのです。またアメリカのようなところでも一カ所か二カ所か、カリフォルニア州あたりで果実の保険をやっておるところがございます。しかし、これもその地帯で大体その保険に入り得る資格者の一割ぐらいしか保険に掛けていないという状況でございまして、これもほとんどほそぼそとして、まあ将来どんな姿になるかわからぬような状態であるというふうに私たちの調査であるのでございまして、結局まあそのバック・グラウンドをとにかく調査いたしまして、どういう方法でこの果実の損失補てんということを考えたらいいかということをこれから検討しなきゃいかぬ問題であろうと思います。したがいまして、現在の農業災害補償法に乗っけるとか、あるいは別の体系を作るとか、そういうふうな問題もまだある程度方向がついたというような段階までは行っておりません。
  79. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 私もなかなか米麦のような相互の保険作用というものがこれは非常に困難です。そういう点でむしろやはり融資制度というもの、そういうものができるまで、なおできても私はやはりできるだけまあ自己責任にしましても、早く立ち上がれるような制度が比較的充実しやすいじゃないかと思う。ところが御案内のように、天災融資法は農協が取り扱い、町村が補償するという、なかなかあと足を踏んだ手がたい制度だものですからして、農協もともすればこれをきらい、町村も責任を伴うものですから、なかなかこれがうまくいかぬで、その両の何らかの工夫を必要とするのじゃないかと思うのですが、大体天災融資法はワクが全部こなせぬということですが、どの程度こなせぬのですか、そういう点について伺います。
  80. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 御指摘のとおり、天災融資法の消化状況は必ずしも全部がこなされているという状況ではございません。で、その原因はいろいろございまするけれども、実はやはり今いいましたように農協が金を貸すという、そこにいろいろ借りにくい面もあるのじゃないかと思うのでございまして、町村が補償し、それから県が補償し、国が補償しておるのでありまするから、被害者のために農協が思い切ってこれは金を貸してもいいの、だろうと思うのでございまするけれども、そこら辺が末端に参りますと、必ずしも円滑にいっているとは思われない一面もございます。それからもう一つは、ワクがこなせないという面は、災害が起こりましたときには、これは非常にその際の心理といたしましては、できるだけ大きなワクをとにかく要求をいたしまして、これがそう言っちゃあるいは語弊があるかもしれませんけれども、そうして、これだけワクがあるんだからいいじゃないかという安心感を与えたいという気持が県庁なり何なりにも非常に多いと思うのでございます。そういう意味からいたしまして、ワクが実際の費用よりも過大の面も場合によってはないとはいえないのでございまして、そういうようないろいろの面がございまして十分こなされてはおりませんが、私どもの指導といたしましては、とにかく災害対策なんでございますから、農協が金がないなら別でございまするけれども、十分な金を持っておるわけでございます。そうして取れない場合には、国が損失補償をやるというようなことでございますし、最近では毎年何億という前からのやつの損失補償をいたしております。予算にも計上いたしまして、そういう状況でございますので十分農協も指導いたしまして、災害対策として遺憾のないようにやらせていきたいと思います。
  81. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 損失補償の額は一体どれくらいであるかということと、私はやはり農協が他の関連事業との収支計算で非常に信用部におんぶするところが多くて、最近においては金融逼迫等もあって、信連にしましても、単協でも、ひどいのになるとコールに出したり、なかなか百姓に貸さずに、いろいろ利子の高いほうに出したり、ずいぶん農業協同組合法に反するようなこともたくさんやる、そういう点も関係しはしないかと思いますが、そういう点はいかがですか。大体どのくらいの損失補償をしておられるか。
  82. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) 天災融資法が発足いたしましてから全体の姿を申し上げますと、これは昭和二十七年度の十勝沖の地震からのものでございますが、それで今まで貸しておりまするのが大体八百八十六億、累計でございますが、これに対しまして三十五年度末までに百八億という利子補給をいたしております。そのうち国が負担いたしました額が七十億、こういうことに相なると思います。こういう融資の状況に対しまして損失補償の実行は、今までの例でみますると、まだ償還期限の到来いたしましたものがそう多くはございません。昭和二十七年発生の十勝沖地震から三十五年度までのそのものに対しまして、昭和三十年度から三十五年度までの間に交付をいたした金額が、これは大体償還期限が参りましたものに対して、そのころからある程度償還が始まっておりますが、それに対しまして一億五千万という損失補償金を交付いたしております。それから本年度の予算は一億を計上しております。
  83. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 これはどうですか。他の同種のいろいろな補償がある、中小企業その他が。補償率としては、私は割合少ないのじゃないかと思いますが、どうなんです。
  84. 坂村吉正

    政府委員(坂村吉正君) はなはだ申しわけございませんが、ほかの融資制度との補償の率を今私は正確に覚えておりませんが、今おっしゃるとおりあるいは少ないかもしれません。と申しますのは、大体におきまして農協から金を借りまして、地元にずっと居ついておる農民のことでございますので、大体これは長い年月には返っていくというのが実態のようでございまして、そういう意味からいたしまして、率といたしましては割合少ないのではないかと思います。
  85. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、武内委員質問されるようですが、ちょっと一、二点ひとつ伺っておきたいと思うのです。私は法案のくわしい議論じゃないのですが、昨日ですか、総括質問のときにもあったということを聞いているのですけれども、日本は山岳地が多くて川が、河川というものがだんだんと天上川になる傾向が強いのでありまして、この天上川になって、しかもその河川の改修その他が十分に行なわれてないから、たとえばひどいところになると、河川敷地に植林だとか、そういうものが行なわれて、雨が降ったら堤防が切れる。切れたらどこにしわよせがくるかというと、まず農地だと思うのですよ。河川の問題は建設省、そしてその被害を受けのは農地だという格好の例が非常に多いと思うのです。ですからこういうことは、まあきのう農林大臣お話があったようですから、くどくは申し上げませんけれども、しかし災害といったらそういうところから災害が起きているというのが多いので、私はきのう出ていなかったのですから、この問題について農林省が農地の災害をなくするために河川の改修、治山治水、こういう問題は建設省の担当になっているところと非常に関連があると思うので、農林省としてはどういう心がまえでおいでになるのかということをひとつお聞きしたいのです。災害が起きたら、河川の改修が十分できないので農地がいたんでいくというのがもうほとんどの例でございます。それが一つです。  それからもう一つは、今水資源の法案が議論されておるわけです。これはまあ第一条からみて、その都市の工業用水初め上下水または灌漑用水の問題まで、この水資源の二法案は公団と促進法ですが、入っておるわけですが、しかし法の大目的としているのは水を利用するということが大目的である。肝心の利根川水域と淀川水域をやるというのだけれども、治山治水は基本計画を四条の三項で十分に考慮してやると、こう書いているのだが、どれだけそれじゃ考慮されてやれるか。建設省があの主体になっておるわけですけれども、農林省は水資源のあの法律第四条の三項で治山治水は考慮するというだけで満足されているのかどうか。私はどうもこれもやつばし洪水時の災害関係して重要な問題をもたらすと思う。たとえば京都なんかですと、第一桂川なんというあんなものは亀岡に八〇%雨が降ったら水びたしですよ。それで下流を守っているという。これは日本全国でこんなところはないと思いますが、そういうところを放っておいて水だけ利用しようという法案が出てきているわけですが、それは農地も家も全部雨が降るたびにだめになっているわけですが、私は農林省としてはこういうことをどういう工合にとらえられているのか。私は二点をひとつお聞きしたい。関係者から。
  86. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) まず最初の河川と治山の問題でございますが、あるいは御指摘のように河川敷の内部に造林を行なって、そのために洪水の原因になるというようなところがあったかと思うのですが、これはまことに考え違いをしている。造林をした人の考え違いじゃないかと思います。私どものほうで気がつきました場合には、こういう点は十分注意をして、そういうことのないようにいたしたいと考える次第でございます。  治山と治水の問題でございますが、昨日も大臣からも御説明があったわけでございます。私どものほうの治山事業はこの林業の経営の一環と申しますか、造林事業、林道事業、治山事業、こういうものが一体になりまして初めて成果が上げられる。こういうような考えでやっておるのでございます。したがいまして、この河川の砂防とは、かつて古い時代にはこの利用をいたします範囲の問題等につきまして、かなりの論争もあったところでございます。しかしながら、最近におきましては、林野庁の治山は河川と申しますか、渓流をいたしますにいたしましても、支川の支川という程度のところをやることを主体といたしているのでございます。こういう場合におきましても、十分建設省の砂防の当局と連携を保ちまして、中央はもちろんでございますが、地方におきましても、それぞれ連携を保ちまして、今までかつてありましたこのようなことのないように注意をいたしまして、私ども順調に進んでいるところと考えているのでございます。で、この治山事業は私どもといたしましては、山の荒廃を回復し、同時に荒廃を防ぐ、両面の事業をいたしまして、保安林について漸次経済林に持って参るということを、終局の考えとして進めている次第でございます。  次に水資源の問題でございますが、仰せのとおりあの法案には、治山治水については十分考慮するというように現わされているのでございます。私どもといたしましては、やはりこの水を利用いたしますからには、やはりその水源であります奥地の山林と申しますか、保安林の整備ということがまず大事である。この森林の保水能力と申しますか、これが数字的にまだ表わせる程度の研究が進んではおらないのでございます。少なくとも森林があるということが、この水を保持する能力に効果があるということがはっきりわかっているのでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この水源地帯の森林、言いかえますと水源林でございますが、この造成ということには今後大いに努力をいたまして、この水の利用にも貢献をしなければならぬと、こう考えている次第であります。
  87. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 少し私の質問とはずれているように思うのですね。私の質問をしているのは、治山工事については保安林その他によって水資源の培養をするための努力をしたい、私はそれを聞いているのではない。むしろ水資源を涵養するための努力をされることはけっこうなんです。しかし、できた水をどこで高度に利用するかということが水資源の利用、公団または促進法という格好で出てくるわけです。しかし、水だけは利用するけれども、沿線の農地をどうして守るか、そうでしょう、沿線の農地をどうして守るのだということになってきたら、河川は建設省でやる。あの水資源公団にしても建設省が主体でやっているわけだが、京都の桂川の沿線の亀岡市なんかは雨が降ったら全部八〇%つかるのですよ、水が下へ流れないから。それを毎年繰り返しているのです。そういうことでいいんですかということです。私は今も水資源の審議に私は行ってきた。水をだから利用しようとするなら、一番上の水資源の保安林涵養ですね、水をためる一番奥のところも必要だけれども、しかしその水が流れてくる沿線というものはこれはほとんど農地です。農地を守るということをしながら、その水を十分にその目的に利用するということでなければ、水だけはそこへ持っていこう、しかし沿線の治山治水の問題については十分な配慮がされてないということは、農林省としてはどうなりますかということを私は言っている。  それからあなたは先ほど例がないと、私も三十四水のときに、滋賀県の日野川です、近江八幡の横を流れている川、この川の中の提防林はみんな民有林、植林がしてあって、竹やぶ、松林、茶畑、いろいろな植林がしてあって、大体、川幅百メートルから二百メートルくらいの川ですが、堤防がちゃんとある。しかし、流れているというのは十メートルか二十メートル、あとは全部楠林です。だから、雨が降って水がどっときたら、琵琶湖まで一キロか二キロしかなといころで全部切れてしまう、両側が切れているわけです。御存じないのかもしれませんが、私はそれで、これはいかぬと言って、三十四水の水害対策委員会で、ここで議論をして、何とかいたしますと、早急にしなければなりませんという返事はよかったのだ。建設省も農林省もお聞きになっている。私は京都ですから、しょっちゅうあそこを汽車で通って、いつ直るかと思って楽みに見ているわけだけれども、もう同じことです。雨が降ったら両側が切れているのです。、だからあの地域は何というか、切れ所と言うのです、地方の言葉で。ここは切れ所だから嫁の来手がないと、こう言う。それは冗談じゃないですよ、ほんとうにあそこの川のふちに行ってごらんなさい、もう今は近江八幡市になっていますが、切れ所だから嫁の来手がない、雨が降ったら切れるというのです、堤防が。もうすぐ一キロか五百メートルか、せいぜい琵琶湖まで二、三キロですね、その間にぷすぷす両側が切れている。まん中を少し改修したら、あのくらいの水はすぱっと琵琶湖に筒抜けに入る。それが切れ所ということであの地域はもうやむを得ない、ぶうぶうおこるだけでそのままである。こういうことがあったら、切れるたびに農地がみんないたむわけでしょう。これでいいのかどうかということです。私は最近も見ていますけれども、同じ状態ですよ、これは直っておりません。これは一つの私が見てきた例ですけれども、私はほかにもたくさんあると思うのです。天上川のところに雑草や何かがはえて水が切れる、こういう例が私はたくさんあると思うのです。これをなくしていくということになれば、水害による農地の被害というものは相当程度救われるのではないか、まあ京都の桂川は特殊なところですけれども、水資源との関係で私は何とかそれをまずやるということで水資源を利用しなさい、それでなければ意味がないじゃないかと言ったら、今度の水資源は桂川の水はとらないで、琵琶湖の水と木津川の水だけをとることにしていますという考え方です。まことにもって何といいますか、私はけしからぬ話だと思うのです。淀川は三本の川からなっている、一つの川がまだできておりませんから二つの川から水をとります、桂川の水はこの計画からとるようにはなっておりませんということを平気で言っている。そして三千万トンか五千万トンの雨が降ったらそこへ水がたまって農地が水にみんなつかってしまって、十時間も十五時間もかかってあの狭いところからぼつぼつ出て行って、大阪や淀川の沿線の流量二千トンぐらいの水があそこにたまって、その農地がつかっているわけですね。まあ日本全国のことですから、そんなところは目がつかぬのかもしらないけれども、それは農林省としても十分な配慮をして、水資源の利用というものについてもっと真剣にならなければいかぬのじゃないか。これは雨が降ったら常時災害です。手のつけようがありません。堤防が全部つかっておる。橋もつかっておる。ずっと一キロぐらいまでの間は湖です。橋も堤防も全部水の底であります、亀岡は。そういうことで、あわせて農地が全部つかって被害が起きている。三十五年度のときには私は農林省に行って、農地の堆積土砂を何とかしてくれということをお願いをして努力をしていただいたのですけれども、トラックにとにかく二万台も昨年の泥だけでたまっているという、どうするのだ。激甚地というものさしがあるときは、三十四災はいいけれども、昨年になるとどうにもならない。昨年は昭和二十八年からだいぶ長いから資力はあるけれども、一昨年やられて昨年やられて、どうにも出しようがないといってお手上げしているという、こういう状態もある。だから私は、水資源の利用の問題や河川の改修の問題というものが、農地の災害について二つの例を申し上げましたけれども、いかに重大な関係を持っているかということは、農林省は真剣に考えていただいて、そうしてやはりできるだけ被害が少ないように建設省との間に処置をしてもらわなければ、私は非常に災害の問題というのは根が尽きないんじゃないか。天竜川でもダムができたために、上のほうでものすごい水につかって困った。それは日本は狭いといっても、家がつかる地域よりも農地のつかる地域がうんと多い。これは生命線ですから、米、麦、農作地がつかってやられてしまうということは。だからその点は農林省は重要な問題としてお考えをいただかなければいかぬのじゃないか。例を二つ申し上げましたが、どうでございましょうか、そういうことをお気づきになっているのか、なっていないのですかね。
  88. 庄野五一郎

    政府委員(庄野五一郎君) 事が農地の関係でございますから、私からお答えいたします。水資源の開発促進法なり、その事業促進のための公団法なり、御指摘のとおりでございまして、ただいまのところでは利根水系と淀川水系の二本という予定で進んでおります。それでこの基本計画を立てますにつきましては、やはり御指摘のように治水の問題も基本計画の中に入れて十分立てる、こういうふうに相なっておるわけでありますが、なおまた治山治水の十カ年計画でも、その中に入れて、やはり指定水系のみならず、その他の水系も促進する、これは御承知だと思います。  それで、今御指摘になりました天上川の問題でございますけれども、これは非常にむずかしい問題でございまして、やはり天上川の対策としては、これ以上河床が隆起しないように、砂が流れてこないように、根本的には治山治水が必要だろうと思います。なおこの治山治水のためには、植林とかあるいは河川砂防、そういう問題がございますが、根本的にはやはり洪水調節のダムを上流に作るということが一つの大きな方法だと思います。これは利根水系あたりでは、そういう特定多目的ダムということで建設省所管で洪水調節をやるとともに、発電なり工業用水なり農業用水なり、あわせて利水にも使う、こういった計画のものが着々と進行もいたしておりますし、今後も水資源開発促進法によりまして、そういうものが開発されてくる、こういうことになってその点は逐次解決されていくだろう。なお下流部におきまする河川改修というものも下から逐次進めていく、こういうような状況でございます。その他の河川につきましては、やはりこれは水資源開発法ではございませんが、治山治水十カ年計画なり、あるいは特定多目的の特別会計の事業として、それから農地の部分、特に農地の被害の多い部分につきましては、農林省といたしましては防災ダムというのをやはり恒久的な洪水防除事業として今やっておるわけであります。これは建設省と農林省とよく打ち合わせまして、下流部の受益地がほとんど農用農地部分だ、こういうことでありますれば農林省所管としてやっておりますし、都市なりいろいろなものが含まれますれば建設のほうの所管と、こういうことになっておりまして、その事業を進める必要があろうと思います。  なお、天上川の対策といたしまして、流域変更をやるかどうかということも、二十八災のときの近畿の災害等で、相当真剣に研究したわけでございますけれども、御承知のようにやはり村落を通りあるいは農地部分を通っておりますし、また流入する親河川も河床が上がっているということで、なかなか流域変更をやるということも困難な状況でございまして、結局、やはり洪水調節ダムができれば洪水調節ダム、それができなければ砂防工事を十分にやって、そうして河床が隆起していくのを防ぐ、それ以外にないじゃないかと存じております。  なお、御指摘になりました桂川等につきましても、これは前には農林省として平和池の洪水調節ダムを作ったのですが、非常に不幸にして想像以上の豪雨で決壊するという事件があったわけですか、上桂のほうの対策といたしましても、なおあの地域に今後の問題としてはコンクリートによる防災ダムを作ったらどうか、こういう検討をいたしております。なお御承知と思いますが、保津峡の掘さく等も建設省あたりと話し合って、掘さく部の一部でございますが、掘さくをやるかどうか、こういう問題も検討はしたことはございますが、やはり上流部と下流部との利益の問題が相反するわけでございまして、そういう点でなかなか話し合いがつかず、遅々としてこの問題は解決いたしておりません。  天上川というのは非常にむずかしい問題でございまして、そういうような経過で、できるだけの防災洪水調節ダムを地形上できれば作る。そういう点と、砂防工事をやるということで進まざるを得ないのじゃないかと思いますが、一方において水質源の開発をやって利用という面もとりながら、そういった洪水防除ということもわれわれとしても力を入れて参りたい、こう考えております。
  89. 小柳牧衞

    ○小柳牧衞君 関連。先ほど治山問題について御質問がありましたが、いただいた資料によりますと、これは予算委員会でも少し質問したのですが、十分お答えを得られないのですが、復旧治山が非常に多くて、予防治山というものが非常に少ない。例年そうなっております。復旧治山ももちろん治山にはけっこうでしょうが、できるならば予防治山に力を入れなければほんとうのものじゃないと思う。また復旧治山の中でも、山腹工事と渓間工事を比べますというと、大体半々ぐらい。私どもとしては渓間工事は、あるものは河川の関係があるのだから砂防の工事でやっていいものもあるのじゃないか。もっと山腹工事に力を入れるのが農林省としてやるべきことじゃないかと思うのです。これが第一点。  第二点は、昔は砂防と治山と対立したけれども、最近は非常によくなってきた。私も大体そう思います。次官通牒、閣議決定等においてはよくなったとは思いますけれども、実際においてはさほどよくなってはおらないので、ずいぶん地方においては対立抗争をやっているし、その証拠としては、すでに行政管理庁より適当でないということを勧告せられたことが数回に及んでいる。それらの措置はどうしたのか。この二点についてお伺いいたします。
  90. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) まず予防治山と復旧治山の問題でございます。これは私どもも仰せのとおりでございまして、そういう方針でいかなければならないと考えております。今、一方におきましては復旧治山の事業が非常に多うございまして、それに追われて、同時に予防治山も最近大いに力を入れて参っているところでございますが、今後この点につきましては、御指摘のとおり私どももかねがねそういたさなければならぬというように考えておりますので、そういうように推めて参りたい、かように考えておるのでございます。次に渓間工事と山腹工事の問題でございますが、私ども仰せのとおり、砂防でやりますようなところまでやるべきでない。やはり山を主体にしてやるべきであるというような考え方には決して異存ないのでございまして、私どもといたしましては、山腹工事をいたしますために、やはり山腹その他のために渓間工事をどうしてもしていかなければならないという小堰堤の程度をやっておるつもりでおるのでございます。あるいは先生におきまして、こういうところはどうかというような例がありますかと思いますが、そういう点につきまして、御指摘、御指導いただきまして、今後なおさら改めて参りたいと思っております。  最後に両省間の調整の問題でございますが、仰せのように、行管より指摘を受けた面もあるのでございます。その後私どもといたしましては、両省ともに十分調整を保っているつもりでおるのでございます。足りない点につきましては、今後なおさらに努力いたしたいと思います。
  91. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は今申し上げましたように、農地局長がいろいろお話になりましたけれども、私はやはり農地を守り、住宅を守る、住宅地域は農地じゃありませんけれども、しかし何といっても川がだんだん下に流れるほど、日本の地形からいって農地が多くなって、山のほうには農地が少ないわけであります。そういう富裕農地といいますか、富裕農地というのが、今のような河川改修、治山治水の総合的な計画が立っておりませんから、少し雨が降ると農地がぴしゃとやられる。日本は特に零細農家でございます。ですから、少々の手当をしてもらってもどうにもならぬというところにあるのですから、私のお願いしたいことは、水害が起きる所でも、何とかこの河川の手簡をしておったら防げることがだいぶあるのじゃないか。ほうっておられるために、いつも被害を農地が受け、零細百姓が困る。こういう実態というものは、農林省は農地だ、河川のほうは建設省だから、いろいろ意見をお言いになるにしても、遠慮がちになるのかどうかしりませんけれども、私はやはりもっと重点的に、そういう問題については、農林省から強く河川の改修、治山治水の問題については主張されなければいかぬのじゃないか。ちょうど三十四水のとき、私は大体近畿の河川、被露地を全部回りました。たとえばりっぱな川がありながら、まん中に島をこしらえて、そのために農地がぴしゃっといっておるような、日野川でございますか、ああいう例もございます。取り上げてみればたくさんこれでいいのかというような、そのために農地がみんなやられておるという例が関西だけでも相当あります。私は一番極端な例は日野川と言ったのでありますけれども、そういう点については、やはりもっと農林省としては建設省に強く主張せられて、災害があっても、雨が降ってもある程度防げるというのがやはり河川の改修その他の問題ではなかろうかという点で、十分な御努力を一つお願いしたい。  それから通産大臣が見えておりますが、あの水資源の問題にしても、水だけをとったら事足りるということじゃなしに、あの第四条三項の基本計画には治山治水については十分に配慮するというのは、具体的にその水資源地から流れてくる沿線の問題については、水利権は知事が持っておりますけれども、やはり私は沿線の農民、住民のため対策というものを十分に立てて、水をより高度に利用してもらう、こういう点についても特に力を入れていただきたい。そうでなければもう雨が降ったら水害被害が起きる、それを繰り返すだけだ。だから天災なんと言いませんよ。最近はそこらの方々は人災だと言っている。これはもう天災というのは、昔とても広いところで川が流れていたときには天災だったかもしれないが、今のように、やらなければならぬことがやられていないから被害が起こる。これは人災だということを、その被害をいつも受けているところでは言っていますよ。だからそういう点をみずから政治のうま味で直していただくように特にお願いしておきます。通産大臣が見えまして、質問をされる方がおられますから私はきょうはこれでやめますけれども、一点だけぜひ強く要望しておきたいと思います。
  92. 中野文門

    政府委員中野文門君) 藤田委員の貴重な御意見、十分御趣旨に沿いますよう農林省といたしましても努力をいたします。さよう御了承を願いたいと思います。
  93. 松永忠二

    ○松永忠二君 通産大臣に、簡単なことでありますけれども、基本的なことを少々お伺いしたいのであります。  今度の室戸台風や梅雨前線の被害、ここに資料が出ていますが、中小企業庁の関係の被害が非常に多いわけであります。この室戸台風が約七百一億、梅雨前線が百十億、三十四年度災害約千百二億というような金額でありますから、相当大きな被害があるわけです。そこで私は中小企業、商工業者に対するところの災害対策というものは、ほかの農業、漁業者に対する対策よりも非常に不十分ではないかということを考えているわけであります。で、われわれは商工業関係災害復旧でいいと思うものは、非常に融資が迅速だということであります、災害があると直ちに融資が行なわれて、今いろいろ質問の出ておりました天災融資とか、あるいは創設資金とか、農業金融公庫の資金というものは、なかなか容易でない、手に渡ってくるのは時間的に非常におそいのでありますけれども、それに比較して商工業関係した中小企業金融公庫、国民金融公庫とか商工中金の金というのは割合早く手にくるということは、私は非常にいい点だと思うのですけれども、利子については非常に高いわけです。今出ている法律によって六分五厘の利子を三カ年限りにそれをやるということになっておるわけでありまするが、農業の関係あたりでいえば、特別被害者は三分五厘、普通の一般が六分五厘、そのほか五分五厘という利子のところもある。まずその融資の利子について、やはりあまりに差が多いのではないか、もう少し低利の資金を長期に貸せる措置というものをとるべきではないかと思うのですが、その点はどういうふうに考えておられますか。
  94. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) しごくごもっともなお尋ねだと思います。農業関係と商業あるいは工業等との関係においての金利がこれで適正かどうか。もちろん通産省といたしましても十分配思しなければならない点だろうと思います。ただ御承知のように、ある程度の差のあることはそれぞれの産業の特質から当然のことじゃないかと思います。ただその差が、一体今の差で均衡がとれておるのかどうか。これは私のほうとしてもなかなか説明のつきかねるところでありまして、ただ長い間の経過、それによる経験による金融措置のこの金利というのがただいま定められた。かように私は理解いたしております。しかしただいま松永さん御指摘のように、それにしてもやや開きがあるのじゃないか、こういう御指摘のようです。こういう点はまだ私どものほうにも、私自身は十分理解のできる説明材料を実は持っておりません。ただいま申し上げましたとおり、長い間の経験からこういう金利に落ち着いた、私かように理解しております。
  95. 松永忠二

    ○松永忠二君 出てきている法律も三年だけが六分五厘ということになっておるわけであります。片方の農業資金は五年以内ということになっておるし、そのほか非常に長期の期間がある。そこでもう一つ進んで、中小企業者つまり商工業者——私は中小企業とだけ言わないのでありますけれども、今度大阪あるいは名古屋あたりへ参りましても、相当なあそこの繊維業者あたりは被害を受けているわけであります。ところがその商工業者の施設に対しては何らの補助もない。ところが御承知のとおり、ここにも出ておりますように、農地に対しては五割補助が九割に上がっている、激甚地は。農地というものと一体商工業者の持っている機械、工場というものとどこに大きな違いがあるのかということになれば、私どもは今までめ慣例で農地というものがそういうふうに考えられるということであって、必ずしもその性格からいって私は工場、機械あるいは店舗と何もそこに相当大きな基本的な開きはないと思う。それだけじゃなくて、たとえば農業施設についても六十五%の普通の補助があるわけです。それが激甚地になれば九〇%の補助があるし、共同の利用施設についても五〇%の補助が出てきているというように、まあ非常な開きで、私は農業関係のものにこの補助があることを決して悪いとは申しません。農漁業若というものは、その施設というものが利潤に回ってくる期間というものは非常に長いのでありますから、そういう意味で特別な助成が必要であるとしても、商工業者に何らの補助もない、共同施設補助もないということは、私は全く片手落ちだと思う。これはもう通産大臣は御承知だと思うわけでありますが、災害地で商工業者が泣き言を並べますと、すでに注文等があったものは、つまり注文を他に移すということが行なわれるわけです。その施設に被害があったのは、それではほかのほうへ回してほかのところからものを仕入れようじゃないかということになるので、商工業者は被害があっても、泣き言を並べてそれを被害として持ち出すということをやっていないわけです。しかし、私も今度参りましたときに、名古屋の地方の商工業者の人たちは、もうそんなことは言っていられない、もうこういう被害になったのだから、こういう点についてはこれだけあるということを私たちは言わざるを得ないと思っているんだということを実は言っておったわけです。私は施設補助というものについて、商工業者の施設について、また店舗というものに対してやはり補助すべきではないか。特に共同の施設などについてはやはり農林漁業の関係と比較してみて、とにかく農林漁業でも個人の施設にも個人の農地にも、あるいは組合の共同施設にも^組合と言わなくても、小さい団体の施設にも補助があるわけです。これについては大臣は一体今の商工業者の災害対策について欠けるところがある、特にこういう点について一歩前進すべきだということをお考えになっているのかどうか。またこういう点についてどういう時期に一体具体化しようとお考えになっているのか。すでに災害基本法も提案をされている時期でありますので、大臣の御決意によっては、私は具体化する時期も決してないではないと思っておりますので、こういう点について大臣の率直な見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  96. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私どももしばしば災害地に出かけてみまして、商工業者のこうむっている損害、これを現実に見て、最も多いものは店舗がやられている。これは個人の住宅と同じような処置がとられればまた別でございますが、その場合に多く商品の流失あるいは汚損、こういうような事態に当面するわけでありますが、動産の損害というものが非常に目につく。ただいまも機械のお話が出ておりましたが、その機械自身もときにはいわゆる施設としての機械部分もございますが、動産的なものが非常に多い。そういうものに対する被害、損害について、過去の国が補償し、あるいは弁償しておる場合に、動産的な損害に対してめんどうを見ておるものが非常に少ないように思うんです。ここに一つの問題がある。そういうものに対しては多くの場合に金融措置で手当をする、その金融が特別金融以上の処置をとる、あるいは担保、保証等の点、あるいは金利で特別に考慮を払う、こういうことで過去においてもやり、また動産だからという気持が多分に働いておると思います。しかしこれは今までの損害の状況等から見て、これが一応の基準であるかとも思います。思いますが、いかにも商工業者が受けておる損害、その跡始末等を考えてみますると、あるいは農民との関係において欠くるところがないのか、被災者を同じように国がめんどうを見ておるかどうか。これは金額が同じだとか、こういうわけではございませんが、国がめんどうを見る対象物としてそういうものが均衡のとれた取り扱い方を受けておるかどうか、しばしば私自身も疑問に思う。そういう意味のことを苦にもして参ったつもりでございます。しかしどうも今日までのところは動産的な滅失、損害等については、先ほど申すような措置、これが大蔵当局というか、今までの手当の基幹になっておる、かように私考えておる次第でございます。
  97. 松永忠二

    ○松永忠二君 そのところまでは私もよくわかるんですよ。しかし、それだからどうするかということをお聞きしておるのであって、私は動産についてそれが非常な大きな金額の被害を受けておる、だからこれはある意味で私は施設を似たような意味にとってもいいんではないか。商店における在庫の大部分が流れてしまったということは、ある意味では農地に非常な被害を受けたというのと何ら変わりはない。単に店舗に被害を受けたから農地に匹敵するものではないというものではないと思うわけです。大臣のおっしゃるように、動産についても非常な被害を受けたことについても考えなければならぬが、大きな工場が破壊した、あるいは被害を受けたということに対しても何らの助成措置はないわけです、現在の法律では。そうして迅速な金融ということだけで一本やりできたわけです。あるいは信用保証の問題とか信用保険法というようなものを作ってゆく、その保証率を高めるとか、そういう形で一本やりでやってきたわけです。それで迅速な金融があれば、何とか商工業者は今まで切り抜けていたわけであります。しかし、これはこれだけの大きな被害を持ってくるような時期に対しては、やはりこういう点について一歩前進して助成すべきだ、あまりに不均衡ではないかと思うんです、ほかのものに対比して。漁船についても、たとえば共同の使用の漁船とはいいながら、一人の名前で二、三人の共同使用をしている漁船にも実は今度特別措置をして助成が出てきておるわけです。この前のときもそうです。そういう点については私は非常に商工業者、通産関係災害対策というのはおくれている。伊勢湾台風なんといっても、事業協同組合等の施設災害復旧に関する特別措置なんというのは出ておらない。中小企業に対する国有機械等の売り払い等に関する特別措置というのもかつては出たことがある、こういうことも今は抜けて出ていない。しかし、より一歩前進した形で今通産大臣が覆われたように、この際やはり農民、漁民その他の被害者と、それと商工業者の一体災害救助というものが均衡なのかどうなのか。前進する必要があるという私は考え方を持っておるんですが、この点について大体大臣もそういう考え方は持っておられるようですが、それを具体化するということについてこの際考えておられるのかどうか。今までそういうことをただ聞いていた、聞いていた、考えていたということではなくて、ちょうどその基本法もできて、関連法律もできよう、また基本計画も立てよう、かつ業務計画も作ろうと、こういっている時期でありますから、この点について大臣が決意をされれば、私は一歩前進したものがこの際出てくるのじゃないかと思うので、この点についての大臣考え方を聞いているわけです。
  98. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、まあいろいろとただいま御指摘になりましたように、はたしてこれが均衡がとれているかどうか、そういう点について、はっきり均衡がとれていると言い切り得るものが実はない。しかし、過去の経験等から見て、妥当な結果に一応なっているのじゃないか、こういうお答えをいたしております。でも絶えずこういう点は気をつけていかなければならぬことだと思います。そういう意味の検討はもちろんいたしますが、しからば、今日たとえば金利をさらに下げるとか、あるいは直接の国の補助に切りかえるとか、ここまでの結論は得てはおりません。ただいま松永さんも御指摘になりますように、かつて中小企業関係で織機を買い上げる、こういうような処置をとったことはございます。これはいわゆる災害ではございませんが、需要調整の面から必要な措置をとったことはある。しかし、おそらくこれは特例に属することじゃないかと存じます。問題は被害の状況その他等も十分勘案して考えないと、幾ら商工業といえども、自分たちの資本の回転によることだけでその損失をあとで取り返し得る、こういうものと、取り返し得ないものといろいろあるだろうと思います。そういう点は具体的な問題に当面して態度をきめていかないといかぬことじゃないかと、かようにただいまのところは考える次第でございます。
  99. 松永忠二

    ○松永忠二君 もう時間も急がれているようでありますので、私はただ大臣がそういうものは持ち合わせておりませんとおっしゃるかわりに、逆に私はこういう資料を出しているわけですよ。つまり農民の金融が五分五厘が天災融資では三分五厘じゃないか、それも金融の期間が何十年という期間を持っているのじゃないか、それにまた最も高いものであっても、一般の農民の被害に対する融資というのは六分五厘、ところが、現実には今度法律が出て保証されて六分五厘になっているが、それは三年間だけということに制限がされているのじゃないか。施設に何らの補助がないのに、農地には九〇%の補助が出るじゃないか、農業用施設に対しては九〇%の補助が出るじゃないか、共同利用施設については五〇%の補助が出るじゃないか、補助の出るものがあるなら示してくれと私は申し上げている。具体的に私は差のあることを指摘をしているわけであります。だからやはりこの点については、今までのそういうこともあったであろうし、そういうことでそうなっていたんだろうということではなくて、まあ商工業軒が特にそれを非常なあれとして言っていないのは、ほかにもいろんな理由が私はあると思うんです。今申し上げました理由もあるのですけれども、またこういう点については強い要望もあるし、むしろ積極的に国のほうからこういう点については調査もされて、積極的な災害対策を樹立をしてほしいということを私どもは思うわけです。われわれも実際直面して、あまりにその差がひどい。もちろん農業と漁業というものと商工業者というものについては、いろいろな仕事の性格上相違もあることであるから、同様ということは言わないにしても、これではあまりに差がひど過ぎるということを申し上げておるわけです。これについてはやはりひとつこの際、最も適切な時期でありますから、基本法等出る時期でありますから、大臣もひとつ特に検討して善処を願いたいと思う。
  100. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今回の第二室戸台風災害、これはまあ出たときも時期的に早々の間でありまして、調査が不十分であった点もあろうかと思います。ただ、第二室戸台風の被害は、雨こそあまりないにしろ、至るところで損害を発生している。大体今度は伊勢湾台風並みの処置をする、こういうことで一応計画を進めて参ったのであります。ただ、伊勢湾台風の扱い方と違っておりますものに、共同施設に対する救済方法が書いてございます。けれどもこれは当時の調査の関係から見ますると、特に入れなくちゃならぬとまで実は考えてなかったのでございまして、これはしかし松永さんの言われるとおり、国民に対する国の援助なり保護なりというものは、産業のいかんにかかわらず均衡がとれなければならない、こういう御指摘、これはしごくもっともだと思います。そういう意味で、なお通産省といたしましても他の機会に十分検討して参りたいと、かように考えております。
  101. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  102. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 速記を始めて。
  103. 武内五郎

    ○武内五郎君 八月の豪雨の際に、各地で農地が広範囲にわたって冠水いたしました。特に私は今回の水害における冠水地を見まして、いろいろ水害災害予防の点等を痛切に感じたのでありまするが、排水の施設が、たとえば排水場がほとんど機能を失ってしまった。ことに、実例を申し上げますると、新潟県の南蒲原郡中之島、栄村というような日本の穀倉地帯、そこでほとんど全耕地が冠水いたしました。その水かさが最高三メートルにも達したときがあった。したがいまして、排水機が数カ所にございまするが、その排水機がほとんど水をかぶったり、あるいは全然その能力がなかったりなんかして、排水能力を失ってしまった状態になって、一週間以上は水をかぶっておったわけです。で、御承知のとおり、その排水をやるために堤防を数カ所爆破した、そういうような非常手段をとっても一週間以上冠水していたわけなんですが、その排水機能という点を考えると、排水場の設置部が非常に低く、たとえば水がこれくらいに来るということを予想されて作ったのじゃなくて、何かこう一応そこへ排水機を設置すればいいじゃないかというような考え方から、ほとんど低く作っておる。したがって水をかぶって機能を失ってしまったという実例があったんですが、そういう面に対する指導等が十分考慮されなければならぬし、今までとられたかどうか。それから、そういう点の今後の復旧について、どういうふうに考えられておるかということをまずお伺いしたい。
  104. 庄野五一郎

    政府委員(庄野五一郎君) 湛水被害につきましては、御承知のように、堆土とそれから湛水の排除法で特別な助成をするように相なっておりますことは、御承知のとおりでございます。ただ、今御指摘のように、いわゆる滞水地帯におきまする排水機のポンプの能力低下あるいは能力不足、あるいは排水機場が少し低いのではないか、こういったような点の御指摘でございましたが、いろいろ排水機を設置いたします場合には、その当時得られまする降雨量というものを考えまして、それから排水機のいわゆる排水区域の降雨量というものを考えまして、それとポンプの能力というものを考えて排水機の能力の設計、それから排水機場の位置、排水機の高さ、こういったものを設計いたす次第でありまして、また排水機の能力低下とか、そういった問題については、常時排水機場の保守管理ということについては十分注意もいたしますし、また指導もいたしておる次第でございます。ただ、排水機の操作等につきまして、やはりどれぐらい降るかといったような見込みで、いつ排水機の始動をやるか——始動と言いますか、排水機を動かし出すか、こういったような時点の問題もありまして、排水機の始動がおくれますと一挙に水が押してくる。こういったような事態があって排水機を水につけてしまうようなことも起こるわけでございます。また老朽して排水機能の落ちたためにうまくいかない、水につかっちゃった、それからまた川のほうの水位が非常に急激に高くなって排水能力が非常に不足する、こういったような場合も、こういう局部的な非常な集中豪雨といったような場合には起こり得るわけでございます。まあこういう問題につきましては、老朽いたしました分とか能力不足といった分については、補修なりあるいは増設、こういったようなことも考えられましょうし、また事実そういった措置もとっているわけでございます。  それからポンプの始動をいつやるかというような点は技術的な問題で、やはり十分技術員を置いてその指導をやる。こういったような考え方でポンプを水につからないようにやらなければならぬ、こういうように考えております。またそういう低湿地帯で常時水につかってくる、それから付近が河川改修等で川床も変わってくるというような問題もありまして、今後の問題といたしましては、やはりそういう常襲滞水地帯の排水能力の増大なり、補修なりといuことについても、新しく災害予防的な施設として来年度あたりから要求して、計画的にそういう点のないようにぜひ監督もやりたい。こういう計画で、今考えております。
  105. 武内五郎

    ○武内五郎君 その点について十分考えることに相なるということなんですが、今までの施設というのは、たとえば平常なときにおける排水能力だけを考えて設置しているのじゃないかと思うのですが、たとえば過去何年間かの降雨量を考慮したりなんかして、平常の排水能力にプラス・アルファーされたる施設が必要じゃないかと考えられるのですが、そういうふうな考慮のもとにされておるものかどうかお伺いしたい。
  106. 庄野五一郎

    政府委員(庄野五一郎君) 大体、今の排水機の設計につきましては、極度の集中豪雨といったものに対処するということになりますと、非常にポンプの能力の大きいものを使わなくちゃならぬ。こういう点については、国の負担もさることながら、農民負担の問題もありますし、部分によっては大体五日程度の冠水もやむを得ないのじゃないかといったような設計になっております。それで、そういう点について、今後こういう局部的なものがくる場合にどういうふうにするかという点は、負担の問題ともからみ合わせてまた考えなければならぬと、こう思っております。  なお、先ほど申し落としましたが、そういう高水——非常に排水量以上の水がくるといったような場合の一つの方策としては、ポンプのまわりをコンクリート壁で囲んで、高い水が来てもポンプに浸水することのないように、あるいはまたチェーン、ブロックを天井からつけまして、それでもなお阻止できないような場合は、天井に巻き上げる、そういったような応急的なこともあわせて施設はやっておりますけれども、根本的には、やはり何十年に一回ぐらい来るような集中豪雨にどういうふうに対処するかという問題については、負担の問題等もからみまして非常に問題があると思いますが、一そうこの点は滞水防除の措置として今後検討して参りたい、こう思っております。
  107. 武内五郎

    ○武内五郎君 排水の問題はそのくらいにいたしまして、用水の取り口の工事の問題ですが、今回、利回って見たところで、数個所やはりその災害を受けている。ことに一番大きいものは、新潟県の白根町の用水取り口が決壊して、災害が起きている。そのほかに数個所やはり同じような災害が出ておるわけでありますが、その決壊いたしましたる取り入れ口の付近を見ますると、ほとんどその川の中に砂礫が堆積して中洲が発達して、そうしてその取り入れ口の岸壁を急激な流水で洗っておるわけであります。そこでだんだん弱くなっていって、激した水がそこにぶつかってくるということに相なりますると、これは当然こわれる。そういうようなことで今回その取り入れ口が至るところで実は災害を受けておるのですが、そういう点で、これは建設省とも密接な関係がございまするので、常にそういうことについての管理監督、また建設省との折衝等が行なわれておるものかどうか、お伺いしたいのです。
  108. 庄野五一郎

    政府委員(庄野五一郎君) 河川の、設けました井堰なり頭首工なりあるいは水門等の問題でございますが、大体そういう農業用の施設につきましては、施設の上下流については床固めとその他水制装置等も農林省建設省で分担してやっておるわけでございますが、また河川改修等でいろいろ河床状態が変わって参りますれば、それに対する措置もやはり大体農林省建設省と連絡をとりながらやっていくというふうに相なっております。なお、設計をやったりあるいは今後の復旧等の工事にあたりましても、十分水流と、それからそれが押し流してきます砂れきの問題等もわれわれといたしましては設計を決定するにあたって水理実験所の施設がございますので、そこで模型実験をやって、そういうことがないように今後十分注意いたしますが、今後もそういう面で施設の問題につきましては、さらにやはり十分県と、われわれももちろんそうでありますが、県等の技術者を通じて指導せしめて防護措置を進めたいとこう思っております。
  109. 武内五郎

    ○武内五郎君 ぜひそういうふうにお願いしたいと思いますが、その次に用排水の管理なんですが、この管理がどうも完全にうまくいっていない関係から、災害をいたずらに大きくしたという結果が最近出ておるのであります。最近土地改良等をやってだいぶ用水の改良等がされて参りましたが、この特に大きな障害になっておると思うのは、古い型の管理組合、慣行用水権は私は必ずしも否定するものじゃないと考えるのですが、その用水管理について、県または国から補助を受けている組合がその範囲で直接管理をやっておりますので、至るところにうまく用排水ができないという事実がたくさん見えております。これらの管理等に関する監督、それから今後そういう管理組合等の機構の改正等について考えられるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  110. 庄野五一郎

    政府委員(庄野五一郎君) 用排水施設の管理でございますが、用排水施設は国営なり県営なり、あるいは団体営で国の補助を受けて作ったものでございます。これができ上がりますと、施設の大きさによっては、あるいはその用排水施設の別途が多目的にわたる、そういったような面も勘案しながら、大体今までのところは土地改良法による土地改良区というものが農民の自主的な団体としてできております。そこに管理をさせる、こういうことはやっております。それで、土地改良法によりまして、用排水施設の管理をいたすわけでございますが、それにつきましては管理規則というものを作らして、それを県なりの認可あるいは指導監督のもとに管理規則というものを作って、十分そういう応急の場合、あるいは洪水の場合にも対処し得るような管理規則を作る、その管理規則にのっとって用排水施設を管理するようにということに指導もいたしますし、また監督もいたしておる次第でございますが、もし御指摘のような不届きなあるいはまずい点がございますれば、今後とも一そう県等を通じまして十分監督して、そういうことのないようにいたしたいと、こう考えております。
  111. 武内五郎

    ○武内五郎君 それで、そのとおりなんで、特に今回の中之島の冠水が非常に大きくなって参りましたのは、管理組合の運営等に大きな欠陥があったとも考えられます。その点も十分御調査の上最善の対策を立てていただきたいと思うのです。  その次に、私ちょっと食糧関係について……。
  112. 松永忠二

    ○松永忠二君 ちょっと関連して。今のことについて一つお尋ねするわけですが、その団体営でやっている排水のポンプで、実は上流から出てきた湛水をを排水をして、そのために使う電力とか、そういうようなものをやはりこの際めんどうを見てほしいという強い要望が湛水地域の農民の方々からあったわけです。この問題については、今度どういうふうな処理のされ力をしているのですか、それを一つお聞かせ願いたい。
  113. 庄野五一郎

    政府委員(庄野五一郎君) 湛水排除に関しまする今度の特例法が出ているわけでございますが、その法律によりまして激甚地指定を受けました地域につきましては、そういった電力費等も補助の対象にいたすようにいたしておりますが、通常の場合は、そういうものに対する補助はいたしておりません。
  114. 松永忠二

    ○松永忠二君 それはどんな程度になっておるのですか。補助の割合、率は。
  115. 庄野五一郎

    政府委員(庄野五一郎君) 湛水排除法で激甚地指定を受けますと、全部いろいろなポンプを急にかえてやったとか、あるいは電力をそのために使ったとか、そういうものを引っくるめまして十分の九の割合になります。
  116. 一松定吉

    委員長一松定吉君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  117. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 速記を始めて。
  118. 武内五郎

    ○武内五郎君 今度は食糧関川係ですが、本年度の産米に関して災害地における政府買い上げ米の問題ですが、災害米、特に何といいますか、白くなったりなんかした米ですが、乳白粒のたくさん含まれている災害米の買付基準、それからそれがどれくらいの割合でそういうものが出ておるか、お伺いしておきたいと思います。
  119. 田中勉

    説明員(田中勉君) ただいまお申し出のございました災害米の取り扱いの問題でございますが、食糧庁といたしましては、特に新潟県の場合におきまして、先般来の集中豪雨なりあるいは第二室戸台風等によりまして、かなり稲が倒伏をいたしまして、そのために非常な品位の低下を来たした米が出回りつつあることは事実でありまして、食糧庁といたしましては、当然米の予約制度のもとにおきましては、一等ないし五等の規格に合致するものを予約の対象として食糧管理法第三条によって買い入れておるわけでございますが、今次の災害が非常に広範であり、品位の低下を来たしたということは認められますので、特に全国的に等にかからない等外の上の規格、それから規格外の米、こういうもので主食用にどうやら回り得るというような限度のものにおきましては、一定の規格を設けまして政府は買い入れの対象といたしております。同時にそれを予約のまた対象にもいたしておるわけでございます。新潟県におきまして現在までとりました措置は、等外の上、それから先ほど御指摘ございましたような乳白粒の規格外米、玄米、これもとりました。なお、特に本年度の新潟県におきまする災害の特色といたしましては、発芽米が非常に出回っていることは事実でございまするので、発芽米につきましては、先般食糧庁から専門家を現地に派遣をいたしまして、県内において実態に沿うような、そういう見本を持って参りまして、明日これを本庁におきまして査定、判定をいたしまして、そしてこれが一つの規格に合致するものでございまするならば、極力買い入れの対象として参りたい、こういう段取りで今日までとり進めております。
  120. 武内五郎

    ○武内五郎君 今まで取り扱っておった基準格づけ等については、それでいいと思うのですが、私が今月の十三日に新潟の中頸城郡を調査いたしまして、ほとんど全郡にわたって倒伏した上に発芽しております。この状態は、私は特に食糧庁の食糧事務所について調査いたしましたのですが、その食糧事務所の検査員の諸君も非常に驚いている。ほとんど稲の一粒々々がみな発芽しております。私も現物を見て参りましたが、食糧事務所の職員の話では、試みに精米をやってみたら、調製をやってみたらどうだということでやってみたら、一反歩でわずか三俵分ぐらい万石にかかったのが残った。しかも、それもほとんどちょうどネズミを小さくしたような格好で尾が出ております。ほとんど全部出ておる。その減量が、大体この新潟県の上越支庁関係内だけで一万七千トンから一万八千トンに及ぶだろう。こういう状態であったわけです。この地方は大体おくてを植えているところなんで、そういう被害が特に強く出たわけなんで、そういうようなものは、これはほとんど九月の風水害前の等外上または規格外の買い上げ米にも匹敵しないような品質低下をみたわけなんですが、一体これらについてやはり同じように取り扱うかどうか、どういうふうに考えますか。
  121. 田中勉

    説明員(田中勉君) 私のほうから現地へ参りました専門家は、県内のやはり頸城のほうにも参りまして、県内全般を見て回りまして、そういうような見本をとって参っておるわけでございますが、なお頸城の砥うからは、昨日も私のところに見本を持って陳情に見えたことは事実でございます。その見本によりまして、現在まで定めてある規格以上に広げる必要がございますれば、さような措置も考慮いたしたいと考えておるわけでありますが、明日食糧庁におきまして、それぞれ関係のございます関係者をもってそれらの米を判定をいたそうと、こういう段階にきております。その結果によりまして措置をいたしたいという工合に考えております。
  122. 一松定吉

    委員長一松定吉君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  123. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 速記を始めて。
  124. 武内五郎

    ○武内五郎君 これが災害対策なので、まことにこれは重要な農村問題だ、農村被害の大きなこれは問題なのに、そう簡単に委員長から発行を制約されるようなことは困る。  それでは、そういうふうに新たに検討されて、場合によれば特別な規格を設けるということも考えられるのですか。
  125. 田中勉

    説明員(田中勉君) その内容によりましては、現在の規格を広げるほうがやければという結論が出ますれば、さような措置をとって参りたいという工合に考えております。問題は玄米だけを見て判定はできません。私のほうはその玄米から搗精いたしました白米がどういうものができるかというようなこともその考慮の対象にいたさなければなりません。すべて災害米についてはさような基準をもちまして、等外上とか、あるいは各種の規格外米を設けているような現状にあるのであります。特に発芽米というものは今年の稲作の非常な特色的なケースでございますので、さような点については、十分慎重に判断をして、できる限りさようなものの救済措置考えて参りたいと、かように考えておるわけでございます。  なお話がそれますが、政府買い上げの対象にならない米、そういうものがあるわけでございますが、低品位米のものがあるわけでありますが、そういうものの農業共済としての収穫査定というような点につきまして、これは食糧庁の所管ではございませんけれども、農林経済局のほうからも現地の統計調査事務所、そういう機関に、そういう被害米の収穫査定というようなものについての一つの弾力的な考え方というような通達も現実に出ております。
  126. 武内五郎

    ○武内五郎君 食糧庁はよろしゅうございます。農業施設災害について、法案の第一条の四号に、共同利用施設のうち政令で定める地域内のものは暫定措置法云々と、こう言って、共同施設に対する救済の道を立てておるわけなんですが、これはたとえば農業協同組合またそれに類似の協同組合等の共同施設等の災害をさすのか、そういうふうなたとえば法定組合だけに限るというものか、あるいはそのほかにもこれを適用するものかどうか。
  127. 石田朗

    説明員(石田朗君) 実はこの問題は各局に関係がございますので、便宜お許しを得まして私からお答えいたします。  ただいまお話のございました共同利用施設でございますが、これはこの本法に規定してございますとおり、農業協同組合そのほか森林組合等もございますが、それらの協同組合の所有いたしております共同利用施設の適用があるわけでございます。
  128. 武内五郎

    ○武内五郎君 この農業協同組合のような法定による法人、そういうような組合だけが共同施設を持っているとは限らない、特に今日はたとえば耕耘機その他の施設を共有して共同で持っている、あるいは小さい農業作業所等を共同で持っているという協同組合、非法人的な協同組合等が相当たくさん農村に実在しておるのですが、それらの被害に対する救済ということは考えないのですか。
  129. 石田朗

    説明員(石田朗君) ただいまお話ございました任意の共同のいろいろな施設がございます。現実にそれらの施設は、おっしゃいますように相当ございますし、これらについても十分これについて手当をいたさなければならない点はまことにそのとおりであると思います。現在、従来からのこの問題に関しまする復旧対策は、農林漁業金融公庫より主務大臣指定いたします施設につきまして、災害復旧の融資をいたしておるわけでありますが、公庫からの融資でございます。今回この融資につきまして、従来はこれは金利七分で融資限度は二十万円であったわけでございますが、今回の災害に限りまして、利率につきましては据置期間は六分、償還期間は六分五厘というふうに低利に、かつ融資限度は二十万円から五十万円に引き上げまして、それによってできるだけこれらの施設を復旧していただくように努力いたして参りたいというふうに考えておるわけであります。
  130. 武内五郎

    ○武内五郎君 任意の組合に対してもそう考えられるということですな。
  131. 石田朗

    説明員(石田朗君) そのとおりでございます。
  132. 武内五郎

    ○武内五郎君 そういたしますと、その融資等の取り扱いはどういう機関を経由するのですか。
  133. 石田朗

    説明員(石田朗君) これは農林漁業金融公庫からの融資でございますから、信連、中金等がございますが、ここを通じまして融資をいたすことに相なっております。
  134. 武内五郎

    ○武内五郎君 それはやはり農業協同組合等を経由するわけですね。
  135. 石田朗

    説明員(石田朗君) さようでございます。
  136. 一松定吉

    委員長一松定吉君) よろしいですか。
  137. 武内五郎

    ○武内五郎君 よろしい。
  138. 一松定吉

    委員長一松定吉君) それでは本日はこの程度にて終了いたします。  明日は午前十時より開会いたします。長らく御苦労様でした。    午後五時三十六分散会    ————・————