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1961-10-25 第39回国会 参議院 建設委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十五日(水曜日)    午後二時二分開会   —————————————  出席者は左の通り    委員長     後藤 義隆君    理 事            田中 清一君            村上 春藏君            内村 清次君    委 員            岩沢 忠恭君            小沢久太郎君            紅露 みつ君            西川甚五郎君            米田 正文君            武内 五郎君            藤田  進君            田上 松衞君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 中村 梅吉君    国 務 大 臣 藤山愛一郎君   政府委員    経済企画政務次    官       菅  太郎君    経済企画庁総合    開発局長    曽田  忠君    建設省河川局長 山内 一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○水資源開発促進法案内閣提出、衆  議院送付) ○水資源開発公団法案内閣提出、衆  議院送付)   —————————————
  2. 後藤義隆

    委員長後藤義隆君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  水資源開発促進法案水資源開発公団法案、両案を一括して議題といたします。  前回までに説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。政府側から藤山経済企画庁長官中村建設大臣曽田経済企画庁総合開発局長鮎川河川局次長が出席いたしております。  それでは御質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 内村清次

    内村清次君 この政府から提出されました水資源関係の二法案につきましては、この水資源開発基本計画国土総合開発計画との諸計画関連が、特に深いと私は考えておりますが、昭和二十五年に制定されました国土総合開発法は、これはまあ御承知のごとく経済、社会、文化の総合的見地から国土の保全と水と土地等天然資源開発主眼といたしまして、立法せられておることは申すまでもございませんが、したがって、この水資源開発基本計画をまた国土総合開発一環として計画されている。そして今回これを実施していこうということに私は解釈いたしておりまするが、この国土総合開発法に規定する四つの計画の中に作成されているものは、わずかに特定地域総合開発計画だけでありまして、ほかの全国計画、都府県の計画地方計画はすべていまだ放置されているのでございまして、法律制定後すでに十一年経過しておりましていまだにまだ計画ができておらない。昭和二十五年の五月二十六日に国土総合開発法制定の前後には、これは藤山長官はもちろん国会の方にはおいでではございませんでしたからして、当時の状況といたしまして、地方自治の建前からいたしまして、公選知事はほとんど選挙公約に県内の国土開発産業振興政策一つ選挙の立て旧看板として、全国知事県民に訴えていったことは御承知のとおりでございます。  ところがその県民もその期待にこたえてそれがいつ実現するであろうか、まあ非常な熱意をもって今日まできておるわけでございまするが、たとえばこの熊本県や大分県の例をとってみましても、阿蘇、久住を中心としたところ特定地域に対する指定、これもなされておりまするけれども、政府の投資、それから開発計画の目標のわずかに一七%ぐらいしかできておらないというような現状であるのです、もうおそらくこの全国県民方々知事選挙公約に対しましても、またあげて国の施策に対しましても失望しておる。そこで最近ブロック的な開発促進法というものが次から次に出ておる。これは御承知のごとく東北地方開発法案九州地方あるいはまた四国、北陸、中国、もうこの国会中心といたいたしまして、こうやったブロックの地方計画というものがたくさん出ておりまするけれども、経済企画庁ではおそらくこうやった地方計画に対しましての今後の計画の推移、それからまた実施の方法につきましても、おそらくこれはもうお手あげではないか。私たち九州地方審議会委員をしておりまするけれども、その審議会運営さえも一つの曲がり角にきておりやしないかと、こう思っておるわけです。こうやった国土の総合的な開発というものがなぜ十一年後の今日まで十分な施策がなされていかないのであるか。どこにそうやった放置されたところ原因があるか、また効果が上がっておらないところ原因があるか。こういう点につきまして企画庁長官から御答弁をお願いしたいと思います。
  4. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいま御指摘のありましたように、総合開発計画がたいへんにおくれておりましたことは遺憾でありまして、こうした問題については十分早期計画を立てて参りますことが必要であることは申すまでもないのであります。ただなかなか広範な問題でございまして、各方面にいろいろな意見もございますので、相当に慎重にこれはかからなければならなかったと思うのでございます。過去のいきさつはそういう点から非常におくれたのではないかと思っておりますが、ようやく本年七月十八日に国土総合開発法によります総合開発計画というものが七月の十八日の閣議で了解をして、世間に発表いたしたわけであります。これは素案でございますので、この素案自体についてはいろいろな問題もあると思いますので、各方面の御批判を仰ぎながら計数等についても調整を行なった上で、本年度——来年三月までに計画最終的決定をいたしたい、こう思いまして、現在努力をいたしておる段階でございます。そういうことでございますから、過去いろいろ延びました理由もあろうかと思いますけれども、今日においては十分この国土開発法を生かして参るように努力いたしておる次第でございます。
  5. 内村清次

    内村清次君 何分国土総合開発計画というものは手広い問題であるから今日までそういうことになったのだというようなお話でございますけれども、長官はもちろん今回企画庁長官として責任ある立場になっておられまして二十五年から今日までその主管大臣というものは相当かわりになっております。私たちは一貫いたしまして、終戦後の国土開発というものは、やはり経済がだんだん成長するとともに、また民心が安定するとともに、まず一番に政府施策としては、国土の総合的な開発の上に立って諸計画がなされなくちゃならぬということを、自乗各委員会におきましても主張をしてきたものです。特に私たちの経験といたしましては、岸内閣の際にも予算委員会ではこの問題と二時間ばかり取り組みまして、当時政府熱意をただしたわけでございますけれども、そのときに藤山長官も御承知でありましょうが、一応その計画の上に立って電源の問題が非常にアッピールしておった。電源のほうの開発促進法によって、電源はおもに重点的に施策されていく。しかし電源以外の国土開発については一向に予算措置熱意がない。こういう状態であったことは、これはもう藤山さん、その当時は電源関係のほうに御熱心だったかしりませんけれども、そういった経緯があるわけです。特に政府国土開発熱意が足らなかったというばかりでなくして、その機構の上についても非常に熱意がないではないかというような点が十分あるわけです。というのは、おそらく藤山さん……今日まで大臣が何人おかわりになったか、主管大臣が。これは内閣がおかわりになるたびにかわるのだからいいけれども、それを所管しているところ企画庁内の開発計画方々が、どういう任期の状態仕事をなされておるかということを御検討になったことがありますかどうですか。この点、現在の開発局長は非常に就任以来全国国土開発計画に対しましても熱意を持って、先ほど言われたように一応の素案はできた、閣議決定はなされた。なされてはおるけれども、しかし、それが審議会にかかって具体的な各省実施計画となって現われることが、はたしていつの間にできるかという問題です。と同時に、私は先ほど言ったようにもうすでにブロック的な審議会というものがたくさんできてしまった。こういった場合のときに、一貫して全国的なプランの上に立っております。地方ブロック的な開発というものが、どういう関連性を持っているかということにつきまして、長官は一定の考え方がありますかどうですか。こういった私の提起いたしました問題点につきまして御答弁をお願いしたいと思います。
  6. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) おくれました理由にはいろいろあろうかと思います。問題それ自体が非常にむずかしいばかりでなく、いろいろなこと、があったと思いますが、特に企画庁当該担当者方々がしょっちゅうかわるというような問題については、私も企画庁仕事をやります以上は、企画庁は御承知通り各省から人がきておりますので、企画庁自身が必ずしも自主的な立場でもって人事を考えますよりも各省との関連において考えざるを得ない点のあるところ原因もあろうかと思いますが、今後企画庁仕事がますます非常に重要になって参りますから、各省からの十分な人材をとると同時に、それがある期間は落ち着いて一つの問題に取り組むように考えていく必要はあろうと私も実は考えておるのでございます。各地のいわゆる地方的な総合開発計画、御指摘のように東北であるとか四国であるとか九州であるとか、そういうものがそれぞれ地区ごとに成立いたしておるのであります。もちろん、これはその地方自体の総合的な開発を主として推進することでありますけれども、それが全国総合開発計画のやはり一環となって参るような形において運営されなければならぬのでありまして、その意味から申せば、御指摘のように総合開発計画がまずできて、そうしてその中において地方開発計画がその線に沿って立案されることが理想的であろうと思いますが、現状必ずしもそういうふうになっておりません以上は、その関連を今後十分に密にしながら企画庁としては全体の総合開発なり主張を貫徹しますように、日本経済力を総合的に高めていけるようにそれぞれ調整をして参らなければならぬと考えております。そういう意味において今後十分な関心を持ちながら運営をいたして参るつもりでございます。
  7. 内村清次

    内村清次君 この問題は、私たちはこの法律に従った審議会委員でもありますからして、そのきめられました委員会の席上でも十分ひとつその特定地域の問題につきましても、それと全国国土開発関連性につきましても、十分長官に私はお伺いしたいと思います。先ほど言いましたように、この審議会自体さえもひとつの曲りかどにきておりはしないかという点を私といたしましては痛感されておるのです。で、この点は深くひとつ長官期待のできますよりに少し知識を深めておっていただきたいと思うのです。  先ほど言いましたように、国土総合開発の中におきまして、今回の二法案ですでに予定されておりますところ利根川開発、こういり問題と関連いたしまして昭和三十一年に制定されたところ首都圏整備法に基づくところ首都圏整備計画というものは、もうすでに今日の状況ではあるいは改定しなければならない、法律自体相当これを変えないと、現在の過大都市であるところ首都圏というものが、今後都市立地条件として不合理な点があるということは、これはもう政府自身も十分認められておるわけです。それにかかわらず、今回この利根川水系開発という問題が、水公団を設置される問題の一環として計画されておる。こうなってきますると、一体この首都周整備法というものはどうなっていくか、いわゆる首都圏の今後の計画というものはどうなっていくかということがまずやはりこれは明らかにせられないと、この第一に着手されようとするところ利根川開発が大きな問題となってきやしないかと思うのですが、これについて長官はどういう所見を持っておられますか。
  8. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知のように都市過大化していくということについては、今日あらゆる観点交通から衛生その他あらゆる観点から見て当然問題になってくるわけでありまして、そういう意味におきまして問題が起こりつつあることは御指摘通りだと思います。したがいまして首都圏整備に関する問題につきましても、そういう面から相当に問題が今後とも検討されなければならぬと思いますが、この今回の法案の趣旨というものは、現在の情勢を前提にして、少なくも今後の過大化防止というよりは、現在の状況における工業用水なりあるいは飲料用水なりというような問題を主体としてまず解決していかなければならぬというところに、水の総合的な利用によってそれを解決していくというねらいがあることは申すまでもないのでありまして、そういう意味において急速にこれを御審議を願いまして、そうしてその公団の活用をはかっていくというのが根本の方針でございます。したがって将来首都圏をどういうふうに過大都市から救うかというような問題と直接関連はいたしておりませんし、その点はやはり首都圏方面において十方な御計画を願わなければならぬと思いますが、われわれの、ねらいとして、は、さしあたり現状及び将来における水の円滑な供給という問題として取り上げておる次第でございます。
  9. 内村清次

    内村清次君 ただいま長官の御答弁の要旨を聞きますると、この二法案を通じて流れておるところ目的というものは、緊急な水不足に対するところの水の供給にあるというようなお話でございまするけれども、これはただこれを立案される上におきましては、ただいま申しましたように、これはあとでも質問申し上げまするけれども、一貫して非常に都市形態において大きな変化が起きてくる、いわば過大都市的な形成というものが今後なされていたのだ。同時に——これが第一点でございまするが、この首都圏の問題は、ただ単にその東京の工業地帯、あるいはまた住民に対して水の供給だけをするからこの公団ができるのだというようなこと、それからまたさらにこの首都圏のほうはまた首都圏のほうで研究しておるからということだけでは私は済まされないと思うのですよ。この点からやはり今日まで緊急に水不足に対してそれを補給するんだ、工業を盛んにするんだ、あるいはまた都民の給水を十分にするんだというばかりでは、私は法案目的というものについて非常に一方において大きな都市的な変化というものが起きてきやしないかということを心配するわけですが、こういう点については十分関係の向きとは連絡をとって、直らに法律を改正するものは改正していくんだと、そういう点まで話し合いがついておるかどうか、その点はどうですか。
  10. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) もちろん首都圏整備に関して今日まで、あるいは今日以後問題になりますのは、おそらくこの首都圏人口をある程度疎開すると申しますか集中を排除して、そしてそこにいろいろ都市計画の上で計画されておりますが、ある程度衛星都市計画その他もあるわけです。そういう面についても、むろんこの水公団ができましたときも、首都圏がそれを作られる場合に、われわれもこの水資源というものを十分に活用することでございますから、現在までの農業用水を確保することはもちろん、そういう将来にわたっての首都圏整備に関する、たとえば衛星都市ができたような場合の水の供給というような問題については、一河川水系を指定してそこの水の合理的な利用をやろうということでございますから、当然連絡をとってこういう問題については考えて参らなければならぬ。ただ人口疎開というようなことに関しては、やはり首都圏が立案されたものに対して水の問題で公団としては協力していく、あるいはこの計画としては協力していく、こういうことになろうかと思います。
  11. 内村清次

    内村清次君 この点につきましては、建設大臣首都圏委員長になっておられるからまたあと建設大臣からも詳しくお話を聞かないと、ただいまの御答弁ではまだ十分ではないと私は思うのです。これは相当首都閥に対するところの大きな問題がまだ残されておると思いますからして、この点はあとに譲ることにいたしますが、この所得倍増計画との関係でございまするけれども、もちろん池田内閣所得倍増計画というものは、もう今年度においてすでに大きな変更がなされた、政府のほうでは経済の行き過ぎだ、調整段階だとこう言っておられますけれども、当初の成長率を考えてみましても、今日の問題あるいはまた次年度の問題を考えてみましても、すでにこれは企画庁で御計画になりました諸計画とは相当かけ離れた現象が今現われておるんだ。こういった情勢の中にこの水資源開発水系を見ましても、政府計画をされておるところ水系を仄聞いたしますと、まず利根川、淀川、そして次には北九州関係の遠賀川、それから木曽川、吉野川、こういうような計画がなされておると、こう私たちは聞いておるわけです。この吉野川を除きまして四河川というものが、実にわが国の四大工業地帯と大都市を指向しておることは、これはもうすでに御承知のとおりです。これらに対しまして公団の事業が、政府の答申に加えて、公団債の発行、こうやった次々と政府の手厚い保護がなされていくということになって参りますると、地域的な格差というものがその他の地域相当かけ離れてくるようなことになりはしないか、これは私は地域格差をなくすために、政府のほうでもいろいろの手を考えておられるようだ。またこの国会にも低開発地帯ですか、あるいはまた工業地帯を設置するような法律案だとか、あるいはまた予定されておるところ産業都市建設というような問題も考えられはいたしまするけれども、直ちにこの公団が発足されるとそういった手厚いところ保護のもとに過大都市というものが相当起きてくる。その上に国民格差というものは相当所得の上に現われてきやしないかという点が残されておりまするが、これに対してはどうやった政府の手を打っていかれるか、あるいはまたどうやったお考え方を持っておられるか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  12. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) お話のように過大都市化防止するということが必要であることは申すまでもないことであります。ただ同時に過大都市防止しようといたしましても、一方でやはり低開発地域もしくは新たな産業立地条件を備えたところに、交通の便でありますとか、あるいはその他の便益を付与すれば産業都市となり得るあるいは経済都市としての中心になり得るというところには、それぞれそういう手を打って参らなければならぬ、あるいは交通機関を整備することによってあるいはその他の水その他の問題を解決することができるような部面については、そこに、新産業都市と申しますか、あるいは低開発地域における都市形成ということを一方では進めて参らなければ、それを進めないで過大都市だけを防止をするのはできないわけであります。そこで政府としては御承知のとおり、低開発地開発を促進する法案を今国会にも提出をいたしておって、そして税制その他の面から新しい都市形成の基盤を作っていこうと、また新産業都市と申しますか、新しく地方々々のそれぞれの特色を生かしながら新産業都市形成していく、こういうことで並行して進めて参るように考えておるのでございまして、そういう面については申すまでもなく十分な力を入れて参ると、こういう所存でございます。
  13. 内村清次

    内村清次君 私が質問しておるところ主眼点というものは、先ほど申しましたような水系が次々に公団によって開発されていくと、こうなってきますると、開発されたところ都市というものは、これがただ不足の水を補てんするばかりでなしに、あるいはまたそこの住民に対するところ飲料水不足を補てんするばかりではなしに、あるいはまたはやはり周辺の農村地帯に対しての灌漑用水の問題も十分になってくるとそうしてくると不足を補うということばかりでなくして、やはりそうやったところには必ず人口というものはますます集まってくるではないか。あるいはまたは政府施策によって財政的な問題についても相当な援助がなされていくんだからして、財政面からもそうやった県というものは豊かになってきはしないか。そうすると豊かになる都市は膨張するばかり。あるいはまたそのほかのところは、やはり政府施策が今後なされるといたしましても、それに、追いつくだけの財政力、あるいはまた人口集中というような問題は、これは取り残されはしないかということを私は言っているわけです。そういう現象は必ず起こるか起こらないかということに対して、大臣はどういうふうなお考え方を持っておられるかということです。
  14. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 先ほど申しましたように、この二法案一つの狙いというのは、少なくとも現在の工業地帯利根川で申せば京葉工業地帯というような地帯における著しい水不足を当面緩和することも一つ目的でございまして、そのこと自体が行なわれましても、それが非常な新たな産業を誘致するというほどに、当面の需要をこえて利用されるかどうかということは若干問題があろう。それほど当面水が不足していると申しても差しつかえないのじゃないかと思います。また将来日本産業というものが、やはり重化学工業方面に逐次構造が変化をしておりますので、そういう意味合いから申して、既設工場変化に伴っても水の所要量が要ることでありますから、これだけですぐに既設工業地帯が非常に膨張の原因になるということは、必ずしも考えられないのじゃないか。しかしむろん今日の問題は、過大都市化の傾向があることはむろんでございますから、それを何らか他の見地から疎開もし、あるいは過大都市化防止していくというために、衛星都市なりあるいは低開発地帯産業を移動させるなりという施策と、両々相まってやって参らなければならぬことは、これは当然でございまして、そういう面について十分な考慮をして参りますればこの水資源の二法案による恩恵がすぐに既設都市過大化に、直接非常に大きな貢献をするというようなことにはならぬのではないかと、こう考えております。
  15. 内村清次

    内村清次君 この点につきましては、長官のお考えにどうしてもまだ私たちは納得できないところがあるのです。これはまあ所見が、あるいは並行になるかもしれませんが、私は確かに過大都市を助長するようなことになるのだと、国民所得格差というものが、相当政府のほうで手を打っていかないと、やはり格差は開くような状態になるのだと私は今思い込んでおります。この点につきましては、またあとの機会に十分ひとつ大臣所見を戦わしていきたいと思うのです。  そこで今回の法案ができるにあたりまして、先国会提出までに相当これは世論も注目をいたしました。特にまた関係全国府県知事の問題にもなった、あるいは特に水源県の知事の問題にもなった、特に水源県の知事相当なまだ意見を持ちながら、今日まできているという現実です。そこで私は、なぜこの全国知事会あるいはまた水源県の知事と、しっくりとこの法案提出までに協議がなされなかったのであろうかというように思っておりますが、その間の事情をひとつ詳しくお話願いたい。なになにがまだ水源県のほうの知事が、不満に思っておるのか、具体的な例をあげてひとつ御説明を願いたいと思うのです。
  16. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この案を作成いたしますときには、水の問題は地方的には相当重要な問題であることむろんでございまして、各方面からいろいろな陳情等もわれわれも承知いたしております。主としてそういう方面について、これは自治省意見十分企画庁としては聴取いたし、自治省としてはやはりそれぞれ知事会その他の意向も参酌されて意見を出されておると思っております。まあそういうことによってこの法案の作成を進行づけて参ったのでございます。
  17. 内村清次

    内村清次君 これは大臣がどこまでこの問題についてよく御研究なさり、あるいは知事意向を把握されておるか、今の御答弁では私の質問いたしましたことからはちょっとあまり概括過ぎるのですよ。これは大臣によく具体的に腹案がないとすれば、これはかわりの政務次官でもだれでもよろしゅうございますから、どの点どの点がまだ残っておるんだと。で、これは当委員会といたしましても、現にあす水源県の知事さん方も参考人に呼んで、その方々からお聞きするような手はずは組んであるわけなんです。当然そこでも御意見の発表があるだろうと思うのです。私は、先ほど言いましたように、この法案につきましては相当な世論がわいた、しかもこれは官庁のほうでは、まあ建設省それから通産省、あるいは厚生省というような各省のなわ張り的な主管関係の争いが醜くあった。それには各代議士も相当動いたというようなうわさも私たちは聞いております。だからして、そういういきさつからいたしまして、まず開発しようとするところの当県の知事あたりがどの点に不満があるか、どの点を心配しておるか、これという問題がこの段階にきましたならば一番必要な問題だろうと思うのですからして、衆議院段階で修正をされたとはいえ、なおかつまだ不満が残っておる点がありはしないかということは、やはり所管大臣といたしまして気をおいてもらわなくちゃいかぬと思うのです。そういう点が確実に長官の耳の中に深く刻み込んであるかどうか。この点をお聞きしておるわけですから、具体的な問題でおわかりにならないならば、ひとつ政務次官のほうの答弁でもけっこうでございますが、大臣がそういったことだけはひとつ気に持っていただきたいと思うのです。
  18. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) こまかい点については、政務次官なり局長が来ておりますから、詳細に御説明を申し上げると思います。  水の問題がまあ非常に、重要であって、昔から水の争いというようなものがこれは非常な大きな地方的な争いになり、そうして歴史的にそれが問題を起こしているということは私どもも承知しておりますし、したがって、この法案が何か工業用水だけを確保して、上流における治山治水なり、あるいは農業用水なり、または将来の開発に伴う水を供給しないで、全部下流と申しますか、既設都市に持っていくというようなふうにはわれわれ考えておらぬのでありまして、十分上流県その他通過いたします県の過去におけるいきさつ等も織り込んで、そうして基本計画、が立てられなければならぬことは当然のことでございます。でありますから、そういう点についてはわれわれも十分に承知いたしておるつもりでありますけれども、しかし何と申しても地方のやはり過去からの利害関係あるいは水に対する愛着の力というものは、相当に強いことは申すまでもございませんから、したがってそういう観点から見られますといろいろな意味において心配をされるのも無理からぬことだと思います。しかしその心配を十分解消するように考えて参らなければならぬのであり、それが円滑なこの法案の遂行の一番大きな目的だと思います。われわれとしては、先ほど各省の権限争いがあったというようなお話でございますが、別に権限争いがあったとは思っておりませんけれども、やはり水道の問題あるいは農業用水の問題等に関しましては、それぞれ環境衛生の立場あるいは農業の立場から各省も御意見がございますし、そういう意味において、われわれとしては各省意見を聞き、特に地方のいろいろな総合的な問題につきましては自治省意見も聞いて法案の作成をいたしたわけでありますが、そういう意味において今日までやって参ったわけであります。  なお従来の経緯につきましては局長から御説明をいたさせます。
  19. 曽田忠

    政府委員曽田忠君) 二法案の立案にあたりましたものといたしまして、特に地方公共団体との関連につきましてお答え申し上げたいと思います。  御承知のようにいろいろ各種の問題が関係各省の間にありましたわけでございますが、地方公共団体との問題につきましては、われわれといたしましては、それを代表しております自治省意見を十分入れましていろいろ折衝の結果、こういう原案にきまったわけでございます。特に都道府県知事側といたしまして問題としておりました点は、一つはこの上流水源地に対しまする配慮が不十分じゃないかというような御議論があったようでございます。これにつきまして、われわれといたしましては、この水資源開発促進法の第三条にございますように、水系全体につきまして広域的な用水対策を樹立するという点を考えておるわけでございまして、当然上流水源地域につきましても、その基本計画におきましては、水の需給を考えるというふうに考えておる次第でございます。  それからもう一つの問題といたしましては、基本計画なりあるいは水系の指定をいたします場合におきまして、総理大臣は都道府県知事意見を聞くということに原案は相なっておるわけでございます。これに対しましてこの意見を協議に改めてくれという御希望が出たのでございますが、これにつきましては従来の法律の建前上、つまり、内閣総理大臣と、各省大臣関係におきましては、いわゆる同格と申しますか、そういうような関連上協議という言葉を使って、おるわけでございまして、都道府県知事に対しましては意見を聞くというのが従来の建前になっておるというような関係で、意見を聞くというふうな法案を作っておるわけでございまして、むろんこの意見を聞くという場合におきましても、できるだけ都道府県知事意見を尊重するという建前はもちろんとるべきだと考えております。  なお、都道府県知事意見を出す場合におきまして、都道府県議会の議決を経なければいかぬということを法律に明記していただきたいという希望があったのでございます。これはいろいろ他の法律にも、そういう議会の議決を経なければいけないという規定のあるところもございますし、そういう規定のない法律もございますが、われわれといたしましては、都道府県知事意見を出す場合におきましては、当然その住民意向を反映した意見が出るべきだという考えで、特に法律上議会の議決を経なければいかぬという規定は必要はないというふうに考えたわけでございます。  それから公団関係で申し上げますと、公団と都道府県の知事との関係におきまして協議ということに原案はなっております。これは先ほど申し上げましたように、内閣総理大臣と都道県知事は同格というわけには参りませんけれども、公団と都道府県知事は一応同格である、したがいまして、法律的な表現といたしましては協議というふうに考えざるを得ないわけでございます。原案も協議という文字を使っておるわけでございますが、これに対しまして協議を同意に改めてほしいという御意見がございます。これにつきましては特にこの協議といいます内容は、要するにお互いが話う合いをしまして、十分意を尽くし合ってそうしてまとめるというのが協議の意味でございまして、同意という言葉を使います場合には、簡単に不同意というようなそういり事態が起こる。といいますことは結局公団仕事といいますものは相当多くの都道府県にまたがっておりまして、各府県ごとにそれぞれ慎重な話し合いが必要であるという意味におきましても、協議という文字が適切であるというふうに考えたわけでございます。  それから、あとはこれは建設省側から御答弁願ったほうがいいと思いますが、河川法の適用の特例の問題でございますが、これにつきましては、ちょっと誤解がありましたようでございまして、たとえば水利権を公団が奪ってしまうというような誤解がありましたまろでございますが、水利権はあくまでも都道府県知事現状通り持っておるという心とは変わっておりません。  もう一つは、いわゆるこの法律では特定施設と申しておりますけれども利水に関する工事を公団がやるわけでございますが、その場合には公団河川法の例外といたしまして、公団みずかちが河川に関する工事をすることができるという規定になっております。これにつきましてもいろいろ議論があったわけでございますが、この公団が行ないます事業は数都道府県にまたがっておるのでございまして、現在ではいわゆる直轄事業としてやっておるわけでございます。したがいまして、それをそのまま引き継ぐというような関係で、特に公団がその事業をやります場合に、従来の都道府県知略の権限を奪うものではない、という考えで原案を作ったというように御説明申し上げた次第でございます。  以上でございます。
  20. 内村清次

    内村清次君 この問題はあと法案の条項の質問の際に、私たちはさらに突っ込んで政府考え方を聞いていきたいと思うのです。で、総括して言いますと、水源県の知事を納得させるというような心配は要らないというところまできておるかどうか、この点が一番重要だと思うのです。で、この点については今局長は長官にかわってお話をされましたけれども、一言に申しまして大丈夫、だ、水源県のほうは何とももう意見はないの、だというよりなことが言い切られますかどうですか。この点だけ最後に聞いてあとは具体的な法案の問題にいきましてから私は聞いていきたいと思います。
  21. 曽田忠

    政府委員曽田忠君) 先ほど申し上げました中で、管理規程に関しまする知事の協議という規定が、実はこの原案にはなかったわけでございますが、これは実はいわゆる実施計画というものが公団と都道府県知事の協議によってきまります関係上、管理規程の重要な問題につきましては、実施計画において当然盛られておるというような意味合いにおきまして、原案におきましては、管理規程に関しまする公団と都道府県知事の協議の規定が実はないのでございますが、この点がちょっと問題でございましたが、衆議院の修正におきまして、この管理規程に関しまする公団と都道府県知事の協議の規定が入りました関係上、まあこの点につきましては一応問題はないと思っておりますが、その他の全般の問題につきましては、私どもといたしましては、運用の問題はいろいろあるかと思いますけれども、全般といたしましては、都道府県側の御意見は特にそう御異論は多くないのではないかというふうに考えております。
  22. 内村清次

    内村清次君 先ほど言いましたように、法案審議中にまた質していきたいと思います。  そこで長官に、これは建設大臣と一緒に聞きたかったのですが、しかし、おもにこれは建設大臣の所管にかかる問題でございますからして、建設大臣のほうから責任ある御答弁がなされるものと、こう期待しておりまするが、しかし、今回のこの二法案が出ました以上は、特にまた企画庁として、大臣は直接総理大臣の窓口にならなければならないと考えますが、こういう点を十分に連絡をとっておられるかどうかという点。と申しますのは、今回の水資源開発の二法案の性格というものは、今日までとってきておるところ河川行政と申しますか、この河川行政という問題を根本的に改革されていく段階にある、こういうふうに考えておるわけです。と申しまするのは従来河川法が制定せられましてから今日まで、各河川に関する事務というものは重要な国家事務である。しかも国家事務のうちに流れている問題としては、まず治水問題、いわゆるどうやって河川から受けるところの災害を防止するかという問題が今日まで河川法の一貫した流れです。それがだんだんと今回の利水関係にこの承点が置かれてきておる。こういうような関係で、河川の水でありますからして、これを国民の幸福のためにどのようにその利益のためにお使いになるかということは、これは最も文化国家としての成長上あるいは経済の発展成長上これは必要である。必要であるが、とにかく今までとってきたところ河川行政という問題が、今回の二法案によって利水に相当重点が変わってきた。こういった関係からいたしまして、これはひとつ今までの河川法という問題をどう今後考えていくか、こういう問題が起きてこなくちゃならぬと思う。それでこの問題は、河川制定以来相当基本法でありますからして、各条項に従って、今日まで都道府県知事主管とし、あるいは国の建設主管として今まできたのですが、大臣はこの河川法を改正するというような問題が、閣議あるいは今回の二法案を作る過程においてなされたかどうか、こういう点をお考えになっているかどうか。この点につきまして、まず長官意見だけ聞いておきましょう。
  23. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 河川に関する問題を扱いますときに、建設省と十分な連絡をとり、また建設大臣と緊密に協力して参らなければならぬことは、これは当然でございまして、したがってまた私どももその趣旨のもとに建設省とは非常な緊密な連絡をとって今日までも来ておりますし、またこの法案がおそらく建設委員会にかかるのもそういうことからであろうかと思います。河川法の従来の建前が治水にあることは申すまでもないのですが、その治水を今度は角度を変えて、今お話のございましたように利水に方向転換するのだというのでなくて、治水プラス利水ということで総合的に運営されるのだ。したがって、利水をすることによって治水にも役に立つようなプラスが出てくる。また治水をやることによって利水の方面にも合理的な利水の計画が立てられる。治水から角度を変えて利水に問題が移ったというのでなしに、河川法の根本の趣旨である治水に河川の重要性から見て新たな利水というものがプラスされたのだ、こういうふうに私ども解釈いたしておるのでございます。しかしそれがプラスされて総合的に運営される場合に、現行の河川法を変えるべきか変えるべからざるかという問題については、私として今にわかに何とも申し上げかねるわけで、将来とも建設大臣と十分な話し合いをしながら建設大臣の御意見等も承わって、そうして万全を期していくのが当然だと考えております。
  24. 内村清次

    内村清次君 ただ私たちが憂慮しておる問題は、時の問題としてこういった公団設置の問題が、世論の要請もありましょう、あるいはまたは池田内閣としての特異的な政策の一端かもしれませんが、ともあれ今の大臣のお言葉を聞いてみますると、治水というものが根本であるがそれにプラスの利水問題を考えていくのだ、こういったお考え方ですね。そうしてみるとウエートはもちろん治水にあるのだ、こう断定していいかどうか。この点は第一に重要な問題ですからその点をまず答弁を聞きましょうか。
  25. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) プラスしていくということは、水の消極的なはんらんあるいは流出、あるいは損耗というようなもの、それに伴います諸般の損害というものを防護していく。今度は積極的にその防護された水を合理的に使うというのでなくして、重点が治水にあるか利水にあるか、といえば、私どもは今後の運営としては両方の万全を期していくということであろうかと、こう考えておるわけでございます。
  26. 内村清次

    内村清次君 一番心配されることは、利水に重点を置いて治水を考えないということでは本末転倒したものになる。結局洪水の前には、たとえ利水の各施設がなされておっても、住民に対するところの被害の問題をあわせ考えてみると、これは何としても河川に対する治水というものが第一義であって、それにプラスの利水であるというようなお考え方で、ウエートは一緒だということよりもむしろその川の水害というものは完全に防御されたものである、治水上に防御されたものである。その上に立って利水面も一つ考えていくというような考え方でないと私はいけない、こう思うわけです。そういうような観点からいたしましても、私は、このたびの全国知事会におきましても、あるいはまた水源県の知事の一番心配しておる問題も、まず根源はここから出発してはいないかと思うのです。特にまた私が聞こうとするところは、もちろんこの利水面になって参りますると、やはりダムの問題が発生して参ります。そうするとダムの操作という問題がまた発生して参ります。今日まで私たちは遺憾なことには、ダムの操使によってあるいはダムの建設によって、そのダムの上流あるいは下流関係に及ぼしたところの治水上の惨害というものは、相当大きなものがあると思うのです。事例はたくさんあるのです。こういった事例がある中で今後水資源公団はやはり必要があればダムを建設していかなければならない、水路の建設をしていかなければならぬ。こういった事態に対しまして完全な治水上の防護体制というものを確立しなくてはならぬのですが、こういう点に対してのしっくりした計画というものはなされておるかどうか、この点一つ長官から聞いておきたいと思います。
  27. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ダムの操作規程の問題、またダムの操作の結果において、あるいはその水がはんらんをするような状態が最近の事例において起こっておるか起こっていないかという問題は、これは重要な問題であると思います。そうしてまた、そういうことが起こっては相ならぬわけでありまして、そういう点については先般来内閣としましても、通産大臣電源開発関係におけるダム操作の問題等について、いろいろ問題があるやに言われておりますので、今日では十分それの調査及び対策等について建設大臣と協議をし、将来の問題として、もしそういうことがあるならば解決の方向を見出していこうということに進められておると思います。この計画ができましてそういうようなダムを構築するということは、当然行なわれてくるわけでありまして、したがってそういうような場合に、やはり将来のダムの操作規程その他治水上の問題が出て参りますれば、われわれとしては、むろんこれらの全般の計画を立てます上において、当面治水の主管大臣である建設大臣意見を聞いて、また地方意見を聞いて万全を期して参りますことは、これは当然のことでありまして、水を完全に利用するということは、一面から言えば、治水が十分にできていくということ自体が水を完全に利用するということにも相なるわけでありますし、水そのものを十分に保全していくという、治山治水の立場から考えて参らなければならぬのでございまして、そういう面についてはわれわれとしては十分な注意をして、そうしてそれぞれ当該主管官庁の意見を全体の計画の上に織り込んで参らなければならぬと、こういうふうに考えております。
  28. 内村清次

    内村清次君 その点は特に建設大臣の方が主管大臣ですから、見えましてから具体的に聞きたいと思いますが、いま一つ経済企画庁長官に伺いますことは、これも関連した問題ですけれども地盤沈下の問題ですね、これは私が申すまでもなく今回の第二室戸台風のときにも、兵庫県や大阪府あたりには相当の、被害が起きておる。あるいはまた既往におきましては、現実に続いておるところの東京都の江東区、あるいは新潟の可燃ガスの問題からくるところの地盤沈下、こういった今政府として特に重要な問題として取り上げていかなけけばならぬ問題が、この建設委員会でも従来論議されておるのです。と同時に社会党は地盤沈下対策の法律を出しておるけれども、政府のほうでは、そういういろいろ災害が起きているにもかかわらず、まだ何らこの対策の法案というものが出て参っておりません。ところが今回水資源関係でやはり当然この地盤沈下の問題とぶち当たっていくのです。特に淀川の問題あたりはそうであろうと思うのです。また利根川水系におきましても江東区の問題がなおざりにされてはならない。こういう重要な問題に対しまして長官のほうでは所管大臣と十分御協議なさって、政府として、この対策を法律、すなわち規制法として出すような手はずを進めておられるかどうかですね。その点は一つ責任ある答弁をやっていただきたいと思います。
  29. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 工業用水につきましてはすでに規制法ができておりましてそして地下水等のくみ上げについてはその法律に従って今後制限もし、あるいは廃止もしていくということになっております。大阪の先般の中心地帯におきます地下水のくみ上げによる地盤沈下というのは、主としてビルの冷房装置というようなものから原因がきているわけでありまして、それらのものに対しましては今後は地下水等を取らないで、そうして水道用水を使ってクーリングタワーで冷やして使うというような措置をとっていくわけであります。この問題については建設省で今日将来の規制の問題について案を考えておられますので、政府としても決してこれをなおざりにいたしておるわけではございません。企画庁といたしましては、こうした総合計画を立てます上におきまして、それぞれ現在の行政官庁として主管官庁のある仕事を総会して参ることでございますから、それらの各省の行政官庁としての立場から見た御意見を尊重して、そうしてそれを取り入れるということは当然のことだと思っております。
  30. 内村清次

    内村清次君 今長官からは現在工業用水の法というものができておるんだとこうおっしゃるんですが、確かにそのとおり。温泉法というものもあります。ただこの温泉法や工業用水のくみ取り規制の問題につきましては、今回の台風によるところの大きな原因でありました大阪地区あるいはまた兵庫地区の問題とは、少し様相が変わっておるのです。これ以上に今後やはり工業市が発展して参りますると、相当この地下水の問題というものが大きくなってくる。と同時にまた新潟のごときは、これはもう相当な被害であって、すでに河川の堤防もあるいはまた海津堤防も沈んでしまっておるという現在ですよ。こういった事態が各所に起こっておるさ中に、私たちはいち早くこの法案を出してからもう二年になるのです。もう毎国会継続審査、継続審査でがまんをしておるのです。ところが今の御答弁では建設省のほうで何とか考えておるだろうということでございますが、そういったなまぬるい御態度では私は今回のような災害がまた日本には常襲的に、起こって参りまするから、間に合わないと思うのですね。その被害は私は甚大と思う。国民に及ぼすところの不安というものは相当甚大であると思うのですが、そういうなまるいことでなくて、私は一つ早く政府のほうで法律をお作りができないならば、党が出しておりまするところ法案委員会でひとつ審議をして、すみやかにお互いに取り上げて、この法律が適用されるような状態にするように一つここで言明してもらいたいと思います。
  31. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今、だろうとは申し上げなかったつもりでございますが、建設省がそういう法案の準備をしていると私ども承知をいたしておるのでございます。いずれ建設大臣お話があろうかと思いますが、そういうことで決して万全のことを考えないわけではございません。
  32. 紅露みつ

    紅露みつ君 企画庁長官に伺いたいと思います。まずこの水資源の二法案でございますが、これは人口の激増につれてまた経済の成長につれまして、国土総合開発ということが促進されるわけでございますが、これは当然のことだと思います。しかし国土総合開発という大きなものが、打ち出されまして、特定地域開発というものはその中に埋没してしまうような工合に、二義的にも三義的にも扱われるというような行き方なのでございましょうか。先ほどのお話を伺っておると、まだ国土総合開発のほうを私どもは拝見していないんでございますが、そういう大きなものを打ち出して、その開発のためには地域開発というようなものは犠牲になっていってもかまわない、その大きなもののためにはですね、そういうようなお考えでこれが打ち出されておるんでございましょうか、まず伺いたいと思います。
  33. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 国土総合開発計画を作る結果として当該地域を犠牲にするという考え方ではないんであります。全く反対な考え方で、国土総合開発計画をすることによって地方的な地域開発の基盤ができる、というふうに考えていただいて差しつかえないと思います。
  34. 紅露みつ

    紅露みつ君 そうでなければならないと思うのでございます。しかし今お尋ねしたようなことがどうも二法案には盛られておる、そういう精神が非常に強く出ておるように思うんでございまして、念のために伺ったのでございますが、今の御答弁が当然だと私は思います。  そこでこの二法案でございますが、まず一つ驚いたことがございますので、これは局長の先ほどのお話でございますが、この二法案について関係地域知事は大きな異存は持ってはいないだろう、大した異存はないだろうというお話でございました。このような認識不足をもってこの法案を成立させるということでございましたなら、私どもは絶対反対——与党の立場はわきまえております、法案に反対しようというような前提で御質問を申し上げておるわけではないんでございます、審議も促進しようという立場であるということも承知しております。しかしそんな前提に立って、そんな認識不足でこの法案を、成立させたらたいへんです。これは長官の御意見をあらためて伺います。
  35. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 地方の都道府県の知事方々がこの法案にあたりましていろいろ御心配になるのは当然だと思います。特に水源地帯方面あるいはその河川の流れております流域の地帯を持っている府県、そういうのは非常に心配されることは、これは当然だと思いますし、われわれとしてはそういう御心配をできるだけ除去し出て、そうして御意見を伺い、完全な計画案を策定して参りたいと思っておりますけれども、しかし現実にそういうものの運用なりの面をごらんにならない場合には、やはり水源県が犠牲になるのじゃないか、あるいは途中の利用県がそのために従来の利用を弱められるんじゃないかというような御心配、そうしてそれに伴いましていろいろの御意見があることも当然でございます。したがってこういう案を策定いたします場合には、それぞれ当該都道府県の知事の御意見を十分聞いて、そうして万遺漏なきを期して参りたいと思うのでありまして、言葉が局長足りなかったかもしれませんが、別にその異議がないという意味で申し上げたわけではないのでありまして、御了承願いたいと思います。
  36. 紅露みつ

    紅露みつ君 事務当局の御答弁ですから長官がそういうお考えであれば、これは深く追及するのはやめますけれども、もしそういうようなお考えがあって、これが前提になるのでございましたら、やっぱり異存のある知事は全部関係地域から呼んでいただきたいと思います。そうしてまた知事ばかりではありません、たとえば徳島県あたりに例をとりますともう知事だけではないのでございます。住民あげての、これはちょっとオーバーな言い方をいたしますれば、死活問題に関するというような強いこれは要望でございまして、地域の代表たる知事意向意見を聞くというようなそんな軽く扱われては困るんです。そんな安易な問題ではない。先ほどこれはたしか長官がおっしゃったと思うのでございますが、水に対する愛着というような御意見が出たと思いますけれども、そういうお言葉、そんななまぬるいものではないのでございます。それはもうすこぶる深刻でございまして、そう安易に扱われては非常に困る。これはもっと真剣に一つ扱っていただきたいと思います。  それからこれも局長のお話がございましたが、これはやっぱり長官に伺いましてこの観念が長官にもおありとするならば、この際改めていただきたいと思います。総理と各省大臣とがまず同格である、公団法にある公団知事にいうときには協議を使って、総理大臣知事に協議ということは格の上からこれはないことだ、こんなことを言われるのでございますが、一体これはどういうことでございましょうか。おもに私はこれは官選知事時代の政府知事を任命するというような古い観念にとらわれた考え方ではないかと思います。そういうような観念があるから一方的にこういう法案が押しつけられるんだと私は思うんですよ。そういう観念そういう感覚が私は問題だと思うのです。一体長官どういうふうにお考えになりますか。
  37. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 同格とかいうような言葉はある程度適当な言い方ではなかったわけでありますが、私の承知しております範囲内では、むろん地方意見を尊重していくということは当然のことでございまして、ただ従来の日本の法体系からいってこういう書き方がずっと慣例にもなっております。したがって今回の場合にもそういう書き方をいたしたのでありまして、私どもはそれが別に同格だから協議をし、あるいは同格でないから意見を聞くというような意味でこういう言葉が使われたのではなくて、法の整備と運用の面において、明朗な運営をしていく上において、こういう表現が必要だということで法案にそうなっておると思います。  今、水の重要性について紅露委員からだいぶんにおしかりをいただきましたけれども、私も従来の水争いの重要な問題、しかも、平素仲のいい隣村でも水争いのたびに、場合によると生命に危害を加えるような争いが起こるというようなことは十分承知しておりまするので、水に対する各地方住民の方方の感情というものが、お話のように非常な深刻なものであるということは十分承知しております。ただそういうことを地方の民選の知事のことでございますから、十分その心持を体してそうして知事が活動されるのだ、こういうふうに思っているのでございまして、知事意見中心にしてこれは参ることが一応政府として必要じゃないか、こういうふうに考えております。
  38. 紅露みつ

    紅露みつ君 長官の御意見は同格とか、まあ上下の観念でないという御意見でございますので安心いたしました。これであの条文の審議に入りましたら直していただけると存じます。  それから尊重してという御意見でございますが、まあ衆議院のほうを通過して参りまして、附帯決議を拝見いたしましても、尊重する、考慮する、遺憾なきを期する——こんなのは全くとりようによりましてはどんなふうにでもとれるのでございまして、限度なんかございませんね、限度のない言葉です。ですからこんな深刻な重要な問題に対しましては、こんなことではやはり関係地域の者は、これはもう納得ができないのですね。こんな幅の広い字を——これはまあ国会の慣例語でございますけれども、困ったときには、遺憾でございます、いや御意見は尊重いたします、十分考慮いたしますと、こんなことで片づけられるべき性格のこれは法案ではないと思うのです。だからこれはまあそれこそ御考慮願って、こういうことではすまされないということを申し上げておきます。  それから私がこういうふうにこの問題を強調いたしますゆえんのものは、まあ徳島県に例をとって申しましたからまた続いて申しますけれども、吉野川のごときはもうこれは先祖代々もう水害に悩まされて参っているのでございますね。ことに戦後におきましてはこれは例外ないほど毎年水の災害を受けて、そうしてそれがもう積もり積もってだんだん貧乏をしていく県の経済がもっていかない。ついに低開発地帯とか後進県とかいうようなありがたくないレッテルを張られているわけです。ところが近年になりましてだいぶ水の開発、水の利用ということが進展して参りましたものですから、これこそまあ絶好のチャンスだと、どうかこの機会をとらえて水を禍いから福に転じよう、そうして今までの累積した損害もこれで埋めていこう、そうしてどうか後進県から脱皮していこうというので非常に意気込んでいるわけです。そうしてちょうど工場も地方に分散する、あるいは産業都市地方建設しよう、こういうようなことになったのでたいへんに勢いを得ておったところにこの二法案が出てしまったわけですね。そうして、出てしまったと私は言いたいのです。これは大へんな不満でございますので、これが出てしまって知事の権限というものが著しく狭められた。極端に言えば、いろいろな計画もあってこれから立ち直ろうというところを、水を取り上げられるようなことになる。これではほんとうに納得がいかないのですから、押しつけていけばいけるかもしれませんけれども、それは政治ではないのです。ですから、この法案を、冒頭にも申し上げたように、私どもはつぶそうとは思っておりません。だからもっと納得のいくまでに変えていただかなければならないと思う。それには、私もこれは初めて聞いたのですが、上下の観念がないということでありますならば、法案の改定もいとやすいことだと思いまして、安心いたしましたから、あとのまた条文のほうに入りましたときに、これはひとつ修正をしたいと思いますから、それをひとつお考えをただしたいと思うのでございます。ですから長官にお尋ねをすることは、先ほど内村さんから御質問になりましたようなこの法案に対する角度もあり、私のような角度からの質問もあるわけでございますが、そういうようなことを長官は、地域々々によっていろいろな角度から御検討になったのでしょうか。これを一様にただ取り扱われるということでは解決つかないと思うのでございますが、どうなんでございましょうか。
  39. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今お話がございましたけれども、利水を完全に合理的にするという場合に、河川が荒れっ放しであっては、これはとうていほんとうの利水ということだけを目的にしてもできないわけでございます。したがって、治水ということが当然利水の前提としてあることは、これは申すまでもないわけであります。でありますから、利水ということを十分にやっていこうと思えば、治水ということが完全に行なわれないで、毎年の豪雨で河川がはんらんしたり、荒れたり、河川敷が変わったり、そういうような状況が起こっては完全な利水ができないことは申すまでもない。したがって、治水ということを重要に考えてやって参らなければならぬ。ただ治水そのものの基本的な仕事建設省が河川監督の上で十分やられるので、これとあわせながら、この機能も並行しながらやっていくということになろうと思います。ですから、治水をないがしろにして完全な合理的な利水ができるとはだれも考えておりません。ですから前段御心配のようなことは私はないと思います。  それでは、御指摘のような徳島県にこの水を活用しようと思ったけれども活用ができなくなるのじゃないかというような御意見のように思いますけれども、これは河川が上流から下流まで各府県を流れておるものでございまして、それぞれやはり関係府県におきましては、自分の施設の水の利用というようなことは、これは確保して参らなければなりませんでしょうし、将来必要な産業発展が見られるならば、その水自体をそういう方面にも利用するということを、その関係府県としては考えることになろうかと思います。したがって、一つ河川における水の利用をどういうふうに配分していくか——下流だけで利用するのだ、あるいは上流だけで利用するのだということでなしに、全体の川自体が一番効率的に水が利用されるように、関係府県においてもお考えを願って、そうして産業の発展をお互いにお考えいただくということでなければならぬと思うのでありまして、そういう意味において、われわれはこの基本計画を策定いたしますときには、十分関係の府県の御満足のいくように話し合いながらそういう計画を遂行していくと、こういうことになろうと思うのであります。
  40. 紅露みつ

    紅露みつ君 お話のように、利水をいたしますためには治水が伴わなければならないと、それは今後の問題としてよくわかります。そうなければならないのでございますから、いずれそういう手が打たれるではございましょうが、私の申し上げましたただいまの言葉は、従来から堆積いたしましたその損害のことを申したのでございまして、この大きな河川を持つ地域の累積した損害というものは、長官お認めになりますか、いかがですか。
  41. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 過去における河川のはんらんその他による問題については、私も詳しくは存じておりませんけれども、おそらくそのときどきに、政府としても災害対策あるいは水害対策等の面から、十分関係者に対して処置をいたしておるのではないかというふうに存じております。
  42. 紅露みつ

    紅露みつ君 なかなかそうはなっておりませんが今日は長官お時間が迫っておるようでございますし、まだあと御質問があるようでございますから私は今日はこの程度にいたしたいと思いますが、開発局長に申し上げておきますが、やはりこれは長官もお聞きいただきたいほうがいいと思ますから。あなたの上下の関係は、従来の慣例できっとそうおっしゃったのだと思いますが、もしそうだといたしますならばそれは改めなければいけないと思いますけれども、新産業都市促進法というのがございますね。あの中には知事が市町村長に協議して云々ということがございますから、お調べになって——これは知事と市町村長とは同列じゃございませんけれどもあなたの先ほどのお気持からおっしゃれば、知事が市町村長を任命した時代の感覚からいえばこれはやはり上下の関係があるはずなんです。そういうものは、今日公選によって選ばれておる知事であり、町村長でありするのでございますから、それらもお調べになって——それは慣例としてもおかしいし、それから感覚としてもそんな感覚でいられては私困るように思うのでございまして、お調べいただくように申し上げておきます。それから長官には、ぜひその感覚はひとつ事務当局から注入されないようにしていただきたいと思う。そんな古っこしいものは捨てていこうではございませんか。この水資源開発法なんというもの、このものの自体が非常に画期的なものなのでございますから、感覚もひとつ画期的に新しく行っていただくようにお願いを申し上げて、私の今日の質問はそれで終わりますが、この続きといたしまして、条文に入ってからまた御質問をいたしたいと思います。
  43. 田上松衞

    ○田上松衞君 申し上げたいことはたくさんあるのですけれども、お立場を了承しつつ申し上げます。さような関係からいたしまして、この際質問というよりか、私どもの考えておることを交えながら意見的に申し上げまして、それでどうお考えになるかというふうにお聞きしますからそのつもりでひとつ的確な御答弁をいただきたい。質問に入る前に申し上げておきたいことは、自体今度の水資源開発促進法案と銘打ったわけですが、これは頭の文句が抜けておるんじゃないかということですよ、私率直に申し上げますと。いうなれば特定河川水資源開発促進法案というのであればよく了解できるんです。ところが大きく冠を水全体を取り扱うがごとき水資源開発促進法案なんということにしちゃったから、そこで国民期待とはマッチしないという感じをまず強くするわけなんです。一体国民が考えておること、あるいは待望しておった問題は何かというと、こういうような特定河川の水の開発なんというようなそういう程度でなくして、水というものをもっと重大に考えておるわけなんです。これはもういうまでもなく御承知だろうと思う。すなわら水行政の一元化、あるいは水資源開発及びその高度利用、こういうようなのもが、さっき紅露さんもこの点の指摘をされたわけですけれども、国土の効率的利用国民経済の発展をはかる基礎条件でなければならない。だからこういうものの立場からこれが開発を促進するということが、今日の政府に課せられた重要な任務でなければならなぬ、という今日の時局的な考えを国民が強く持っておるわけなんです。ところが今度の法案に盛られてある問題は何であるかといいますると、ただそういう点は軽視いたしまして、この前一般質問等で私申し上げたことですけれども、全くもう無計画に膨張してしまうところの工場の招致であるとか、あるいは大都市の過度の人口集中、こういうようなものだけを対象として、それでとりあえずこれらに対処するための特定河川水資源開発を出したわけです。このことは率直に申し上げまして、今始まった問題ではなくして前からいろいろ出されていた。私どもも十分説明を聞いておるわけなんです。具体的にいうならばとりあえずは利根川、淀川の水系開発目的としているんだと、この次には木曽川であるとか、あるいはできれば北九州であるとかというようなところへ追っついていきたいということは、これはもう率直に申し上げますが、建設省あたりが前に出したときにそのことをすなおにいっておられたんです。これから枝をさいてさっき長官が、関係行政機関のいろんななわ張り争いがまああったらしいけれども、というような程度に認めるがごとく認めぬがごとくのようなニュアンスで言われたけれども、こんなことはもう世間が知り切っておって、もうはきりしておって始末がつかなくなってしまって、しかしやはりそのなわ張り争いの関係は残しつつも、気の毒な立場として経済企画庁がこの調整役みたいな形でこれを押しつけられてしまったということが、これがほんとうなんですよ。私どものほうがよっぽどわかっちゃっている、こんな問題は。そうでないとするならば、こんな、だらしない案を企画庁が自主的に作るというのならば、それは企画庁じゃないでしよう、そんなことじゃああ。  そこでこういう意見を言って、申し上げておきたい。こういう観点に立って申しますならば、私どもはどうすればいいのかといいますると、特定河川だけの水資源開発でいいのじゃなくして、沼の水であるとかあるいは地下水であるとか。または海水であるとか、一ぺん使った廃水の転復活用であるとか。そういうようなものを含んでの一切の水行政の一元化というものから推してこなければ、さっき申し上げた頭から水資源開発促進法なんというようなものについては議論するのにはふさわしくないじゃないか、まあこういうことを申し上げるのですよ。まあこれと関連いたしまして、ただ開発利用だけの促進だけにとどまらずして、現在あるところ水資源の保全、涵養というものも目的として明らかに書かなければならぬとこう考えておったのですけれども、この点について先だって衆議院で修正されて入れておるようですから、その最後の問題だけはまあまあと思うのですが、以前申し上げたこの考え方についてひとつすなおに長官の感想ですね、お聞かせ願っておきたい。
  44. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) お話のように、水資源という形だと非常に受ける感じは、全国のあらゆる河川というふうに考えられますけれども、お説のとおりわれわれも利根川もしくは淀川もしくは淀川水系をまず第一に考えるということでありまして、したがって、そういうものが完成して現在の工業地帯に対する水の十分な利用ができますれば、逐次公団の活動を伸ばしていく、あるいは法律によります地域を広げていくということは考えておりますけれども、さしずめ全般的な水そのものをどうするというところに至っておらぬのは事実でございます。  各省のまあなわ張りと申すことでございますが、特になわ張りだけの争いではなくして、むしろ厚生省は水道その他環境衛生の立場から十分水のことを考えておられますし、通産省は工業用水関係の問題を考えておられますし、また水全体を今日まで所管しておられました建設省としては、それを高度に利用するのには水系の活用をどうしたらいいかということを考えておられるのでありまして、そういう意味からいって若干の御意見の食い違いもあったかと思いますが、しかしそういうものが調整されて今日出ておりますので、特別になわ張り争いが現に今起こりつつあるということはないと思っております。  なお、御指摘のようなたとえば利根川を例にとりました場合に、その完全な利用をするというのには、やはり霞ケ浦でありますとか、あるいは手賀沼でありますとか、印幡沼でありますとか、そういう種類の湖沼を含めましてこの利用の道を当然考えていくことになるのでありまして、河川だけを必ずしも対象にはいたしておりません。
  45. 田上松衞

    ○田上松衞君 今になってはおそいかとも思うのですけれども、そこで勇気をふるって国民期待にぴったり合うようなことにするために、よかれあしかれここまできてしまったのですからさっき申し上げたように、あっさり水資源開発促進法案の頭のところへ、特定河川と私は申し上げたのですけれども、それらのいろいろその上につながる水の問題を考えるならば、特定水系という文字でもいいのですけれども、これをひとつおっかぶせる気持はありませんか、どうですか、法律の名前にです。
  46. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) さしあたり着手すべき水系として利根川もしくは淀川を考えておりますけれども、しかしそれを逐次広げていくという考え方は捨てておらぬのでありまして、むろん今日これらのものを整備して参るのには相当の金額もかかります、経費も必要でございますから、すぐにというわけには参りませんけれども、こういうことでございますから、お説のような特定ということをかぶせますことがはたして適当か、また特定ということをかぶせることによっていろいろ問題も出てくるのではないかというふうにも考えられますので、その点御了承を願いたいと思います。
  47. 田上松衞

    ○田上松衞君 ちょっとぴったりしていないようですが、当然やはり特定河川なり特定水系なりのものですから……。ただ、申し上げておきたいことは、さっき申し上げたように水全体、地下水、海水、廃水等を含むという、広い意味のこういうものが欠けておるのですから、水資源というものは水の中の一部だけのものであるというようにとれますので、その意味において、この場合における水資源開発とは川の水、あるいはそれにつながっているちょっとした湖の水の程度だということで、国民にはまだ水というもののとらえ方というものは、この程度ではないんだという感じを与えることがいいんじゃないか。冠だけ大きなものをやっておるところに、どうもあき足らないものを強く感じられるわけですから、その意味で申し上げておるのです。
  48. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 水全般の利用、たとえば海水の蒸留水化というような問題あるいは所によって、やはり地盤沈下の起こらないような山岳地帯その他において地下水を非常に活用するというような問題になりますと、当面の問題としては、私はやはり公団の範囲にはあまり活動の範囲が広くなり、やはり一つ水系の水を十分に活用する、したがってそれに関連しております湖沼等については、含めて活用して参らなければなりませんけれども、そういう点について公団が新たな分野に出ていくというようなことについては、相当考えて参らなければならぬので、にわかに御賛成はできないかと思います。
  49. 田上松衞

    ○田上松衞君 お約束の時間がどんどん迫ってしまいますから、まだわからぬままにこれは結局あしたに延ばすよりしようがないわけですけれども、ぜひ、一番先に申し上げましたように、意見を申し上げておいて将来の参考にでもなるかという意味合いから申し上げておくわけですが、さっき触れましたように、経済企画庁がこれに当たついくということでは非常に不満足、不安がある。単なる調整の役割というならばそれでもやむを得ないと思うのですけれども、ほんとうにこの水を取り上げますならば、私どもの考えとしては、総理府に内閣総理大臣が衆議院、参議院両院の同意を得て任命するところの学識経験者あるいは公益代表、さらには地方公共団体の代表、こういうものをもって構成するところのほんとうの水資源開発委員会というものを設けまして、そうしてその委員会基本計画の策定であるとか、あるいは水計画の策定であるとか、こういうものをなさしめたらどうだ、さらにはちょっと内容に入りますけれども、その基本計画というものは、今地方の事情等を考慮した上でこれは申し上げるのですが、広域経済圏ごとにこれを策定いたしまして、そうして問題になっております都道府県知事の意思を尊重する。そこで同意を必要とするというような工合に規定するようなことをしたらどうか。さらに今度は手足を持たなければならないから、そのための基礎調査、あるいはさっき申し上げまするところの高度利用のためのいろいろな試験であるとか研究であるとか、あるいは資料の収集、及び調査会がなしまするところのいわゆる所掌事務といいますか、そういうものを扱わさしたり、一般的にいうならば、委員会の権限を補佐するという役割をさせまするところ一つ水資源開発庁というものをひとつ設ける。そのあとはいうまでもなく事業の実施機関として公団を作ることは、これはけっこうです。そういうようなものを作るというようなことが、水資源、水行政の一元化のためには一番望ましい姿だろうと私ども考えているのですが、これに対して長官どういう工合に考えるか。
  50. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今日、行政事務が非常に複雑になってきておりますし、あるいは新しい時代に即応するような諸般の事務がふえてきておりますので、行政機構全体に対して再検討して参るということは、これは必要だと考えておます。ただ水資源開発庁というものだけを取り上げて今やるのがいいかどうかということについては、私直ちにそれがいい、だろうということを申し上げかねますので、たとえば港湾の管理の問題その他各省にまたがって、将来の行政管理の方式、あるいは行政運営の方式について全般的に再検討をいたしまして、そういうような問題を考えていくということには私も必要もあろうと思いますが、当面の問題としてすぐに水資源局を作るということには、にわかに賛成はいたしかねるのであります。
  51. 田上松衞

    ○田上松衞君 何だか中途半端になったようで申しわけないようで、時間が済んでいることはわかっているのですけれどもちょっとがまんして下さい。促進法でちょっと申し上げておきたいのです。基本計画を策定しようとする場合には、総理大臣閣議の決定によらなければなければならぬ。それから決定したならば、これを公示しなければならぬ。逆にいうと、それでよろしい、こういうことになるわけですね。やはりこの点が少し、国会を尊重するという立場から、これは少なくとも策定した基本計画はこれを国会に出しまして、それで国会の承認を得るようにした方がいいのではないか、こう考えるのです。逆にいいまするならば、こういう行き方でありますと、それがやがて失敗したときにおいて、必ずしも内閣だけが責任をとらなくても、これは国民全体の、国会全体の責任によることですから、その点から見ましてもそういうような規定は必ずしも損じゃないのだろう、マイナスにならぬと思うのですが、これはどうでしょう。
  52. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 国会を尊重することはむろんでございますけれども、ただこれらの基本計画その他は行政に関する事務でございますので、政府がやはり責任を持って計画を立て、遂行をするというのが常道であろうかと考えております。
  53. 田上松衞

    ○田上松衞君 ぜひ聞きたいことがもう少しあるのですけれども、どうせ中途半端になってしまったからこれ以上御迷惑をかけちゃ申しわけないと思いますので、ただここで明らかにしておきたいことは、よかれ悪しかれ私はこう申し上げるけれども、御承知のとおり衆議院の段階においては私どもは若干の修正を加え附帯決議をつけましてこれを通しておるという立場なんですよ。同じ政党のことでございますから、申し上げるまでもなく私どもはこれはやはり通すべきだという基本的な考えを持っていると、はっきり申し上げるのです。ただもう少しいろいろこれを国民にも納得させなければならぬ立場もございますから、そういう点からしているので、決していたずらにけちをつけるとか、いやみを言うのではないのですからそのことは頭に置いていただいて、あとお出になっております関係の方にも、あすの答弁につい、てはそういう心組みで一つお答えいただくように、きわめて親切な意味で申し上げているのです。
  54. 後藤義隆

    委員長後藤義隆君) 速記をちょっとやめて。   〔速記中止〕
  55. 後藤義隆

    委員長後藤義隆君) それじゃ速記を起こして。  本日の両案に対する質疑はこの程度にいたしまして、これにて散会いたします。    午後四時四分散会