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1961-10-13 第39回国会 衆議院 農林水産委員会農産物価格対策に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和三十六年十月十二日(木曜日) 委員会において設置することに決した。  十月十二日 本小委員委員長指名で次の通り選任された。       安倍晋太郎君    倉成  正君       坂田 英一君    寺島隆太郎君       丹羽 兵助君    米山 恒治君       片島  港君    芳賀  貢君       湯山  勇君    稲富 稜人君  同日 丹羽兵助君が委員長指名で小委員長に選任され た。     ————————————— 昭和三十六年十月十三日(金)     午後一時四十五分開議  出席小委員    小委員長 丹羽 兵助君       安倍晋太郎君    倉成  正君       寺島隆太郎君    米山 恒治君       片島  港君    芳賀  貢君       湯山  勇君    稲富 稜人君  出席政府委員         食糧庁長官   安田善一郎君  小委員外出席者         農林水産委員  小山 長規君         農林水産委員  藤田 義光君         農林水産委員  本名  武君         農林水産委員  角屋堅次郎君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    中西 一郎君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農産物価格に関する件      ————◇—————
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより農産物価格対策に関する小委員会を開会いたします。  このたび私が小委員長指名されましたが、各位の御協力をいただき小委員会の運営に万全を期したいと存じております。何とぞよろしくお願いいたします。     —————————————
  3. 丹羽兵助

    丹羽委員長 農産物価格についてまず政府説明を求めます。中西業務第二部長
  4. 中西一郎

    中西説明員 小委員長から説明を求められたわけですが、お配りしました資料に基づきまして簡潔に概略の御説明をまずいたします。現在までにいろいろ検討してきまして現段階での大蔵省に取りついで話をしようとすでに届けてはあるのですが、十分説明をしておるわけじゃないものでございますけれども、それの御説明をいたします。なお農業団体等意見も聞かなければなりません。その手続は済んでおります。  まずカンショバレイショ原料基準価格であります。  第一はカンショであります。  歩どまり二二%について十貫当たり二百六十円、昨三十五年産は十貫当たり二百五十円、歩どまり二一・五%ものということで基準価格がきまっております。「注」として、歩どまり一%増減するごとに十二円を加減する。従いまして、一貫目で申しますと二二・五%のときは二十六円六十銭、二二・〇%のときは二十六円、二一・五%のときは二十五円四十銭ということになります。従来、基準価格を告示しております際には、基準価格から歩どまりが減ずるものについてだけ幾ら控除するという表示で告示しておりました。今年からは歩どまり一%を増加するごとに十二円を加算するということをあわせて表示して参りたいと考えております。  その計算根拠でありますが。理由といたしまして、まず「1」は、政令附録算式によって算出した額、十貫当たり二百六十円。(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)というところに計算基礎を順次書いてございますが、前三カ年の平均生産者価格貫当たり二百五十三円、——物価賃金調査に基づくものであります。それから、(ロ)の農業パリティ指数、これは、本年八月指数が一三五・二三、過去三カ年平均が一二六・〇四。商品化率は、過去三カ年平均自家保有数量を本年産のものの自家保有数量と置いて、商品化率を五九・二%とする。それから供給価格弾力性係数、これは従来通りやっております。大正十年から昭和十年末での〇・九六七という係数を用いております。それから、政府手持ち澱粉売却量でありますが、現在十一万六千トンの在庫がございます。このうち七万二千トンは、精製ブドウ糖結晶ブドウ糖、一口に言って育成ブドウ糖と言っておりますが、育成ブドウ糖に向けて売るつもりでございます。これは御承知のように安売りをしておる分でございます。その分は供給量から除外する。その他の澱粉需給上必要な数字の四万四千トンについては計算供給に織り込む。そういう計算をいたしますと、十貫あたり二百六十円となるわけであります。  それから、次のページでございます。「2」、カンショ澱粉価格十貫あたり千五百九十円より逆算した場合、同じく二百六十円という計算になります。その理由でごございますが、カンショ澱粉市価は、三十四年の出盛り期千二百円から千二百五十円、三十五年産では千四百円から千六百円、こういうことであります。割合低目に推移したわけであります。その程度澱粉価格イモ作成長のために非常に役立つたということは認められるのですが、当面の澱粉事情から言いますと、政府買入れ基準価格を千五百九十円というふうに考えることは、需要面から見てそれほど無理はないんじゃないか。水あめブドウ糖需要価格の許容される上限として千五百九十円と考える。それをもって政府買入れ基準価格としてカンショ価格を逆算して出してみるということをここでやったわけであります。これはことし初めて試みた計算であります。  それから、つけ加えて申し上げておきたいことは、千五百九十円をこしまして千六百円台になる。それより上がるというときには、現在の水あめブドウ糖業界が、澱粉の値が高過ぎるということで、コスト関係からいろいろ陳情、要請を行なう一つの切れ目にもなっておると考えております。そういうことを考えて千五百九十円というものを置いてみたわけであります。  それから、「3」はパリティ上昇率「4」は米価値上がり率、単純な計算でございます。パリティ上昇率を見る場合は、反収の増を見るとか、あるいは労働時間の減少を見るとか、あるいは生産費計算に準じた計算もしなければならないと思いますが、ここでは「3」、「4」という単純な計算だけ置いておきました。  なお、農産物価格安定法では生産費等も勘案することになっておりますが、カンショ生産費はおおむねここ数年間十貫当たり二百円ということで推移しておりまして、最近では変わりはございません。  それから第二にバレイショでありますが、歩どまり一五・五%で十貫当たり二百十三円であります。カンショの場合と同じように「注」をつけておきましたけれども、この表示の上では、歩どまり一六%のとき二百二十円、一五・五%のとき二百十三円、一五%のとき二百六円ということに相なるわけであります。  その計算基礎でありますが、政令附録算式によって算出いたしますと十貫当たり百九十五円程度となります。この百九十五円を出します根拠といたしましては、現在九万数千トンを持っております政府手持ちバレイショ澱粉を全然供給に立てないという、いわば生産者に非常に有利な計算をして百九十五円になるわけでございます。その政府手持ちの九万トンの在庫市場に対する圧迫材料と見まして供給量に立てますと、百七十五円程度に下がって参ります。それはここには書いてございません。  そこで、過去五年平均澱粉価格をとりまして、それが二千百円になるわけですが、そこから逆算いたしましてバレイショ値段を出すというのが一つあとカンショに準じたようなものの考え方をとりまして十貫当たり二百十三円としたらどうか。「1」のところで十二貫当たり二千百円と書いてありますが、これが過去五カ年平均澱粉価格であります。そこから逆算いたしますと二百十三円になる。三ページの初めにその説明を若干書きました。逐年政府澱粉を買い入れております。バレイショ作付面積も相当ふえて参りました。マシュッド・ポテトと申しますか、生食用の新しい需要も起こりまして、そのほかに政府が買うというようなことで、生産が非常に刺激されておるわけであります。そこで現在は十二貫当たり二千円程度になっております。政府買入れ基準価格が二千百円であるにかかわらず二千円程度になる。物の圧力によって下がっておるわけですが、この際需給実勢そのままをバレイショ澱粉価格に織り込むのもいかがかということで、ここでは過去五カ年の平均市場価格を買入れ基準価格として逆算のバレイショ価格を出したということをいっているわけであります。  「2」、「3」は、パリティ指数上昇米価値上がり率が書いてあるわけです。生産費はおおむね十五円ということで推移しております。最近の調査もそういうことであります。  政令附録算式計算基礎は「注」で書きましたから省略させていただきます。  第三、澱粉でありますが、カンショ澱粉は、原料カンショ貫当たり二百六十円、この二百六十円を基準にいたしまして、歩どまり加工経費等を織り込みますと千五百九十円になります。先ほどの水あめブドウ糖業界コストの上でまずまずという辺の価格と思います。これがたまたま合致いたしております。  それから、バレイショ澱粉は二千百円というふうにここで出したわけであります。これは、バレイショ価格貫当たり二百十三円を基準として、若干きつめの加工賃になったかと思いますが、そういうことでやれるのじゃないかというふうに思うわけです。  それから、四ページのカンショなま切りぼしですが、これは十貫当たり千二十円。三十五年産は九百九十円。これは原料カンショ貫当たり二百六十円を基準にいたしまして、加工賃の中で人件費の占めるウエート割合に高い商品でありますので、加工賃上昇を織り込みまして千二十円としたわけであります。歩どまりは〇・五%上げていいのじゃないかということで三六・五%と見たわけであります。  第五のところは、なお検討を要する点が多いのですが、従来の経緯にかんがみまして、支持価格実勢価格とがあまり開かないような対策を講ずるということで、各方面の御意見を伺いまして四つばかり並べたものであります。  一つ政府手持ち澱粉を場合によっては放出しないということで、澱粉価格の暴落を防ぐ。輸入関係も当然配慮するわけでありますが、輸入については相当きつくやっております。政府売却も場合によっては締めなければならないということが(一)であります。  それから、(二)は、基準価格による原料イモ買い取り方指導奨励。この場合、ここに書いてありますが、それ以下は少し新たに考えてみたいという一つの案でありますが、政府買澱粉バレイショ澱粉で約二万五千トンばかり昨年も買いました。一昨年は二万一千トンばかり買いましたが、こういうふうに政府が買います場合に、それを作った澱粉工場え出荷した原料イモ生産農家価格証明を添付させるというようなことは非常にめんどうかと思いますが、やってみたらどうかというのがこれの趣旨であります。  それから、三番目は、運転資金の問題であります。金詰まり関係で投げ売りなどがないようにしたいということであります。  それから、四番目は、官営アルコール工場等における原料イモ——これには「いき取価格」と書いてありますが、「引取価格」の間違いでございます。引取価格基準価格を下回らないように通産省にも申し入れを行なう等のことをやって参りたいということであります。  以上、非常に簡単でありますが、御説明といたします。
  5. 丹羽兵助

    丹羽委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。      午後二時一分休憩      ————◇—————    午後二時五十九分開議
  6. 丹羽兵助

    丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農産物価格について質疑の通告がありますので、これを許します。湯山君。
  7. 湯山勇

    湯山委員 私はカンショなま切りぼしだけについてお尋ねいたしたいと思います。  このなま切りぼしの価格は、なまいも価格貫当たり二十六円なら二十六円ということになれば、自動的に出てくる算定方式があるのでございますか。どういうふうにしてこの千二十円というのが出てきたか、それを御説明願いたいと思います。
  8. 安田善一郎

    安田政府委員 おくれまして恐縮でございます。  当然に、御質問のなま切りぼしは、原料カンショ値上がりに応じまして、原料を見まして、加工賃を加えてきめるということになっております。従来政府の売買は割合に少ないものでありますが、基本的な考え方としましては、そういうふうにしたいと思っております。
  9. 湯山勇

    湯山委員 その点は資料にもそういうふうに書いてございますからわかるのですけれども、もう少し具体的に……。
  10. 安田善一郎

    安田政府委員 主としては、都市農村を通じまして、特に農村の人口は今都市その他の農業外産業に出ておりますように、加工賃の大部分を占めますものは労賃であると思います。比較的簡単な加工になるわけでございます。これを三十三年の今ぐらいに比べますと、三十五年では一三%ばかりふえておりますので、その要素をまず第一に考える。その他にイモ切りぼしの値段として考えることがあるならば、それは別のことの要素だ、こういうことで考えたいと思っております。
  11. 湯山勇

    湯山委員 別にどうという意図的なことでお尋ねしておるのではないのですから、率直にお説明願いたいと思います。というのは、労賃がこの算定の場合一三%多く見ておるということでございますが、そのほかにも別な要素を見ておるということなので、それらをどういうふうな計算をなさって、そうしてトータルが一千二十円になったか。これは無理に長官からでなくてけっこうです。
  12. 安田善一郎

    安田政府委員 御質問の細目は、中心的に庁内で処理しておってくれます者の御説明をお許し願いたいのでございますが、今申し上げました労賃値上がりが目立つ、そのウェートは工賃中約六割を占めておるぐらいの重要なウェートであるそういう点を特に申し上げたいと思ったのであります。
  13. 中西一郎

    中西説明員 若干技術的な点もあるのですが、加工賃を分けますと、諸材料費、これは修理費といっていいかと思いますが、工場修理関係、それから、第二が、先ほど来長官のお話にありました労務費であります。それから、第三が、固定資産償却関係、第四が、一般管理費、五番が、検査料ということになりますが、労務費のほかについては、現段階加工賃を大きく修正する必要はないというふうに考えております。そこで、労務費の方はウエートが約六〇%でありまして、それの値上がり関係を織り込んで、昨年産加工賃は百八十四円九十二銭と見ておりますが、ことしは百九十九円八十三銭というふうに見まして、十四円九十一銭のプラスになります。それを原料イモ関係に加算しまして、十貫当たり千二十円というのを求めてあるわけでございます。
  14. 湯山勇

    湯山委員 もう一つさらにお尋ねしたいのは、加工賃幾ら労務費幾ら固定資産償却幾ら一般管理費幾ら検査料幾ら合計一千二十円、こういう内訳をお示し願いたいのと、それから、この労務費は、一日八時間働くとして、これで一日幾らに当たっておりますか、それも一つお示し願いたいと思います。
  15. 安田善一郎

    安田政府委員 実は、いろいろの議論がありまして、昨晩その値段を農林省の原案にしたらどうだろうか、こういうことにいたしましたが、たとえば、お尋ねの労働報酬は、生産費調査から労働時間、市価販売価格、それからずっと逆算したものの粗収入になりますので、そこまで実は計算したかどうか、まだ係に確かめておりません。実はかぜを引きまして熱を出しましたものですから、もしありましたらかわりに申し上げさせますが、もしそうでありませんでしたら、この小委員会の終わりの方で出させていただきたい。——今わかるそうでございますから申し上げます。
  16. 中西一郎

    中西説明員 若干こまかい計算の過程を逐次御紹介申し上げます。  原料イモ貫当たり二百六十円と置きます。歩どまりは三六・五%であります。そこで、製品貫当たり原料代は七百十二円三十三銭になります。それに先ほど申し上げました加工経費を足すわけでございますが、加工経費内訳を申し上げますと、まず総額は百九十九円八十三銭であります。その内訳のうち、先ほど申し上げた修理費五十五円二十六銭、労務費百二十七円八十六銭、固定資産償却関係九円一銭、一般管理費五円二十銭、検査料二円五十銭、合計先ほど申し上げました百九十九円八十三銭であります。そのほかに運賃を十貫当たり百十円加えまして、合計千二十二円十六銭になります。それでもって千二十円といたしております。
  17. 湯山勇

    湯山委員 一日当たり労賃、……それが答弁漏れでしたから……。
  18. 中西一郎

    中西説明員 実はこれはちょとひまがかかります。
  19. 湯山勇

    湯山委員 けっこうです。あとでまたお聞きしたいと思います。と申しますのは、なま切りぼしに関する限りは、先ほど長官説明通りに、労務費が非常に大きいわけでございます。それで、愛媛県の南の方では、むしろ不漁のために実際はなま切りぼしにして出すことが非常に多いものですから、他の要素もありますけれども、なま切りぼしには非常に関心を持っておるわけで、所得倍増労務費値上がり、そういうことがどうこの案に盛られておるか、それを承りたかったわけでございます。今お示しいただいた資料で私も十分検討してまたあらためて意見を含めて質問することにいたしますから、一応これで終わります。
  20. 安田善一郎

    安田政府委員 この次にはぜひ申し上げます。それは実は申し上げましたものを逆算して自然出てくる数字でございますから……。
  21. 丹羽兵助

  22. 芳賀貢

    芳賀委員 質問に入るに先立って委員長にお諮り願いたいのですが、先ほど政府から案の内容の説明を聴取したわけですが、この政府説明資料に基づいて小委員会としては一応の質疑を行なって、その後において澱粉あるいはイモ価格、切りぼしの価格に対する小委員会としての意見の取りまとめを行なって、そして後刻小委員長から本委員会に対して報告を行なって、最終的には本委員会の意思の決定を行なう、これが毎年行なっておる価格問題に対する慣例ということになっておるわけです。それで、私たちも、小委員会を設置した以上は、従前の慣例に基づいたそういう方式審議を進めるようにしていただきたいというふうに考えておるわけですが、この点に対して  一応委員長から小委員各位にお諮りを願って審議方針を当初にきめていただきたいと思うわけです。
  23. 丹羽兵助

    丹羽委員長 ただいま芳賀委員から審議のあり方、方針について御意見がありました。私の承知しておりますのも芳賀委員のおっしゃったような方式をとっております。もう少し審議を進めていただいて、そしてまた休憩でもいたしまして御相談をさせていただきたい、さよう御承知おき願います。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、資料に基づいて質問をいたします。  第一の点は、これは、先日安田さんと個人的に話をしたときにも、長官個人的な見解でありますが、現在の農安法それ自体が、農安法に規定されておる各品目の価格決定をする場合に非常に適合しない点がある、特に政令附録算式なるものは、毎年カンショバレイショ澱粉等価格決定をする場合、これが決定の作業の障害になっているような節も多いわけですが、この資料説明によりましても、必ずしもこの附録算式にはよっていないようにわれわれも見ておるわけです。従って、こういう政令による算定方式が実情に沿わないということであれば、むしろ積極的に政令附録算式を根本的に改正して、新たなる基準というものを設定して算定を起こした方が妥当ではないかと考えるわけですが、それに対してはどのような御意見ですか。
  25. 安田善一郎

    安田政府委員 先般私の個人的意見をお聞き願いましてということでございますので、その限りにお聞き願いたいと思いますが、しかし、私は、個人であろうと、特に食糧庁長官としまして、担当の事務当局でございますが、大臣の御指示あるいは御承認のもとでしか動けませんけれども、貿易自由化が進む、農業基本法ができる、他方食管制度の問題が賛否のいかんを問わずある、こういうときに、やはり、全体の農産物の中には需要の多いものもあり少ないものもあり、国民所得倍増計画一つの目安のようなものであって真の計画ではないとしましても、農業全体をどう扱うか、農業従事者所得格差生活水準格差を他の産業と比べてどう扱うか、こういうことはその総体の動きをよく見てきめなければいかぬと思う。その意味におきまして、今の附録算式は、目下の私の個人的研究でございますが、その全体を含んで考えるべきである。特に、農業成長部門についてはどう考えるかという場合につきましては、最低支持価格をきめる農安法がありましても、考える点があると思う。ところが、ことしもう出回り期に入っておりまする、きょう議題になっておりまするもののような農産物価格は、幸いにしまして、幸いにしてと言うのは悪いかもしれませんが、初めからそう予定してあったかもしれませんが、安定法施行令の第二条にも、「附録算式により算出される価格、毎年農林大臣の行なう生産費調査の結果による甘しょ馬鈴しょ、なたね又は大豆生産費及び経済事情を参しやくして定める」、この要素がありますから、従来通りでなしに、全体の趣旨をここで生かせば、まあ、プリンシプルといいますか、プリンシプルは生きてくるのじゃなかろうか。しかし、本来は、農業基本法が出たり、国際的にはあるいは貿易自由化が行なわれたり、国内には新規需要の開拓がありましたり、農業といえども、成長部門作付面積も増し、反収も増し、また、品種としましても、原料用農産物原料含有量等を考慮する、そういうことなども重要でございましょうから、急いで研究する、その精神を相当に加味しまして現行法令で扱ったらいかがかと思っておる次第でございます。時間の問題であるということを申し上げておるわけでございます。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 農安法の問題ですが、もうすでに政府大豆菜種農安法対象から行政的にはずしたわけですね。これはこの七月一日から貿易自由化大豆菜種を移したということに大きな原因があるわけですが、結局、その理由は、貿易自由化を行なった場合に、外国農産物が自由な形で入ってくることになれば、現在の農産物価格安定法では貿易自由化圧迫から農産物を保護することができない、そういう理由の上に立って逐次自由化を進めながら、相当無理をして農安法対象からそれを除外して別途の措置を講ずるということで進んでおるようであります。これは今後の問題になりますが、たとえば澱粉等の問題についても、競争農産物外国トウモロコシということになってきますが、これらの問題についてはどういうふうな考えで臨むわけですか。
  27. 安田善一郎

    安田政府委員 基本的には、広範な農産物貿易自由化外国国内農業間の比較のこと、及びこれに対する農業政策のことをおっしゃっておると思いますが、端的には澱粉トウモロコシのことをおっしゃっておると一応御質問を解しましたのですが、御承知のようにバレイショ作付及び反収というのは相当上がる余地もあって、それ自身の合理化もある。いわんや労働日数が減ったり、労働時間が減りますとよけい生産性が向上するわけであります。バレイショの方でいきますと、これはまた御承知通り同様の問題があります。作付増、まあ裏から言えばてん菜の生産減とかいうようなこともありますが、農民諸子の御努力指導者の御努力もありまして、やはりこれは生産性向上もある。しかし、ブドウ糖のようなものを例にとりますと、その他の各用途澱粉用途で考えなくてはなりません。間接にはイモ用途ということになりますが、政府在庫で見ますと、バレイショ澱粉はどんどんたまって、実はたまり過ぎるくらいであります。カンショ澱粉在庫がだいぶ減って参ってきておるわけであります。これは、あめ価格、さらに、あめを使った最終製品消費者負担力等から来る需要消費の反映があるということでもあるわけです。そこで、政策としては、食管会計というものを生かしまして、農産物総勘定におきまして、あれは赤字を予想しておるというとちょっと強い表現かと思いますが、何も独立採算制で考えておるわけではないという建前でおりますので、やはり澱粉でも、バレイショカンショと多少差をつけてもいい場合があるのではなかろうかと思います。しかし、今回は必ずしもそうでありませんで、カンショの現行価格と改定価格はどう考えるか、バレイショも同様のことをどう考えるかということで、イモ類の間でもバランスをとってみたらどうかと思う。そうしますと、外国から入ってくるものの原料で、たとえばトウモロコシやマイロで入ってくるもの、あるいは製品澱粉で入ってくるもの、こうあるわけでありますが、原則としては、国内産業を育成保護する。イモ類、澱粉類はカンショバレイショを通じて成長部門と私は解しております。少なくとも維持すべき産業と考えております。  そこで、第一は、澱粉製品輸入については強い制限的態度をとる。お話のトウモロコシで言いますと、日本のトウモロコシは日本の気候風土に合いまして、広範な用途に必ずしも向きません。それから、種その他の点でなかなかむずかしい問題がございまして、生産技術としましてもなかなかの問題がある。特殊の個性を持ったものであります。そこで、飼料用というようなもので現にもう約百万トン入っておりますが、これを保税工場等で処理するとか、その他多少の加工でみがきをかけて飼料用以外に転用しない措置を講ずることによって、その数量も、外貨割当も、日本のカンショバレイショ及びその澱粉、そういうものと競合して悪影響を与えないようなことでやっていきたいと思っておるわけであります。しかし、それに伴いましては、関税問題その他いろいろありますが、もしそれでは足りない事態になりますれば、やはり、今回大豆菜種等について法案を提出いたしておりますような措置、それと同じ措置かどうかはわかりませんが、農業基本法農業の伸ばし方、農業従事者の所得生活水準格差是正、成長部門の取り扱い方、生産需要と、その中における価格の重要性、おのずからこういうことを考えていくべきだと思います。実は今それをサボっておるわけではありませんで、研究をいたしておるわけであります。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員 今の答弁によるとコーンスターチ等の澱粉製品輸入は、今後も強い輸入制限を行なっていく、これは明確になったわけです。  そこで、もう一点、いわゆるトウモロコシです。これはえさ用には百万トン以上も輸入されておるが、政府が飼料需給安定法に基づくトウモロコシ輸入等については、食管で買い入れておるから問題がないですが、それ以外の用途に向けるトウモロコシ輸入は、これを厳重に政策的に規制していかないと、外国の安いトウモロコシ自由化で入ってきて、これが澱粉原料として使用されるということになりますと、非常に強い圧迫が出てくるわけです。ですから、このことに対する政府の明らかな態度とか、方針というものをここできめておく必要があると思うのです。ですから、澱粉原料トウモロコシ等に対しては、やはり強い輸入規制をやるならやるということを明確にしておかないと、澱粉市場価格における影響も好ましくないことになると思うので、この点をはっきりしておいてもらいたいと思います。
  29. 安田善一郎

    安田政府委員 トウモロコシがAA制になっておることは御承知と思います。その当時の事情はもう一ぺん勉強しようと思って勉強中であります。しかし、現実には、百二十万トンくらい、あるいは需要を推算すれば百五十一万トンくらい入るだろう。大部分の百四十六万トンくらいがえさ用だと思います。そこで、醸造用とかコーンスターチが、残りの一万トン、四万トン、計五万トンが本年度で言えば入るような情勢にあるわけであります。これはAA制でございますから、需要があれば輸入商を通じて入ってくるということがあるわけでありますが、ちょうど農産物価格委員会をお作りになってイモ類の価格等をお扱い下さいますように、私ども政府一つ意見を決して固執するようなことはございませんので、よく御指導や御意見を賜わりまして、与野党とか政府とか国会とかいうことでなしに、よい方法の措置が必要である、こういうことがきまって参りますればとるつもりであります。今その過程にある、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  30. 芳賀貢

    芳賀委員 ここで澱粉用のコーンがAA制だから幾ら入れてもかまわぬというようなことを既成事実として大きく宣伝されると、これは非常に重大なことになると思うのです。ですから、現在までのコーンスターチの生産が微量なものであるとしても、やはり全面的な自由化の波に乗ってこれらのものが大量に入ってくる。コーンスターチの工業化がどんどん進んでいくということになればこれは、国内澱粉圧迫する重要な材料になるのです。これはコストから言っても使用価値から言っても国内産の澱粉はなかなか太刀打ちできない点があると思うわけです。それを野放しで今度は自由化で競争させるということになると、幾ら農安法の規定によって国が買上げ措置をやるといっても効果は生じてこないし、コーンスターチの生産がふえる分だけ結局国内澱粉供給力が狭められる。その分はやはり過剰傾向になりますから、国がその分を全部買い上げるというような措置をとる場合に何らの成果をあげないと思うのです。ですから、この点については速急に国としても方針対策を講じていかなければならぬ。これは重大な問題だと思うわけですが、きょうはここでどう結論を出すということよりも問題として提起しておいて、十分な検討をお互いにしていきたいと思うわけです。  次に、具体的な問題でありますが、ことしの価格決定のやり方は、大体澱粉価格を一応きめて、それから逆算して原料価格をきめるというような方式をとられたようであるが、この点については食糧庁当局の数日来の苦心の跡を認めることができるが、ただ概観して前年と同様の据え置きということになっておるようでありますが、これでは農民の期待に沿った案ということは言えないと思うのです。現状維持で来たという努力は一応認めるとしても、たとえば、資料に添付されておるように、米価上昇に比較した場合、あるいはまた資料には記載しておらないが、今年度の麦価の決定が行なわれた経緯から比較した場合においても、澱粉価格決定というのは非常に消極的だというふうにわれわれは判断するわけですが、その点はどうですか。特に参考として、この麦価と比較した場合にどういう数字が出るかということも述べてもらいたい。
  31. 安田善一郎

    安田政府委員 お答えがせっかくの御質問に十分にそのまま沿えないかもしれませんが、即するつもりでお答えを申し上げます。  今般は、従来の現行法の算式でやると、どうもイモ、なかんずくバレイショが下がってくるくらいのことが出るのは、さっき申しました農業基本法その他以下申し上げました精神と違う点もあるのじやなかろうか、あると断定してもいいんじゃないか。そこで、お言葉でございますが、澱粉価格を重要視したとお述べになりましたが、これは澱粉在庫も、用途を持った需要政府は中間の需要のわけでございますが、見積もりがたいものでございますが、この需給関係はどうだろうか。たとえば、需要が多ければ、供給がふえても需給は安定しておる。過剰ではないということでございます。供給だけを反映して需要は従来通り扱うとか、需要要素を入れない算式ではだんだん値が下がってくる。こういうことになるわけでございますので、需要要素経済事情その他として見ました。もう一つ供給の方でございますが、農産物ですから、特に食糧農産物でございますから、農家保有と販売量とあるわけであります。簡単に言えば商品化率の問題であります。この商品化率を、あるいは先生と違うかもしれませんが、先生がお述べになりましたような数字で勘案し、またその調査が逆算的にも精粗の度合いはありますけれども、商品化率を見ることによりまして、考えたわけであります。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員 その麦価の値上げと比較した場合どうなんですか。
  33. 安田善一郎

    安田政府委員 麦価をきめましたときには、御承知通り、食管法のいわば単純な農業パリティ決定時の一年前に比べればたしか六%か七%だったと思うのですが、それをきめることになりました。しかし、大・裸麦については、過剰の問題もありますし、作付け転換の問題もありますので、そこで、別途法律を制定しまして、それに沿った施策をとろうとしておるわけであります。それに引きかえて、農産物価格安定法の適用物資は、やはり、国会で御審議を経た際にも、食管法で取り上げるものと農安法で取り上げるものと農安法でも取り上げないものとに、何となく差があったのではないか、私は現行法の解釈をそういうふうにしております。それを現段階及び今後の農政の曲がりかど、農業基本法が出たあと貿易自由化が進み、需給事情が変わってしまうなど、農業の条件変化その他の関係をどう見るか。そういう価格のうちの農産物価格体系というものがうまくできるような法制なり法制の附録方式なり、政令によるきめ方なりを直すべきだこう思っておりますから、麦とイモ関係大豆菜種関係等を、差をと聞かれますならば、麦の方が引き上げ方は多くなる。その他の農安法のものは、農安法に縛られて、農業パリティにしろ、それを基準とするものをそのまま反映するという事情にも必ずしもない、いわんや、それに附録算式がついた場合にはそういうふうになってくるのだ、こういうふうに考えております。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことを聞いておるのじゃないのです。この資料に、たとえば農業パリティ指数上昇率によった場合は、カンショについては十貫目二百六十四円になる。あるいは米価値上がり率によった場合は十貫目二百六十五円になるとか、こういうふうに、それぞれの上昇率にあてはめた場合は原料イモ値段がこの程度になるということが親切にここに出ておるのです。ですから麦価の値上げ率にあてはめた場合には幾らぐらいになるかということを聞いておるわけです。
  35. 安田善一郎

    安田政府委員 来年収穫いたします麦で、ありませんでことし収穫するもののことだと思いますが。それはやはりさっき申し上げましたように米価と一緒ぐらいに上がるわけでございます。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことになると、これは、一般農民の立場から見ても、去年までは農業基本法もなかったし、所得倍増計画というものもはっきり出てきていなかったから、まあやむを得ぬということで過ぎたが、ことしは、わざわざ所得倍増計画などというものを宣伝してみたり、十分のものでは当然ないが農業基本法が成立した。そういう事情の上に立って、さてカンショバレイショイモ価格あるいは澱粉価格をきめるということになりますと、従前のまま据え置きということでは、これは所得倍増にもならぬし、農基法の効果もなかったということで終わってしまうわけなのです。長官イモについては成長部門だということも今強調されたわけで、そうであれば、やはり今後生産を確保して、これに対して、相当農民に努力してもらうということになれば、やはり米麦に準じた程度価格改定ということは附録算式がどうあろうとも、政策的に考えた場合には、そこまで仕上げておくということが当然政府の責任じゃないかとわれわれは考えておるのですが、いかがですか。
  37. 安田善一郎

    安田政府委員 そういう御意見がきっと出るだろうと思っておったわけでございます。確かに尊重すべき一つ意見だと思います。私は、それを精神を失わないように加味して今回は案を立てました。しかし、農安法を、農業基本法が出てきたからといって、その基本法の施行政令としてどう扱うかをきめて国会の御審議をまだいただいていないわけでございます。大豆あるいは菜種等について農安法によらず前国会で御提案を申し上げたのが審議未了になりましたので、あれには交付金という補助金のようなものがついておりますので、補助金の交付要綱はきめましたが、さて、現行農安法は生きておる場合、御提案を申し上げた法案は通らなかった場合、これをどう扱うかは、全く行政措置できめたというふうに御了解を願いたくないというところが実は今の私の気持であります。やはり、行政は法律に従うべきものでありますから、国会で審議未了になったら旧法が生きておるのですから、旧法を活用し、その精神で生かしていくべきものだ。また、農業基本法は理念を書いた法律でございまして、今後のいろいろの法律もそこから直接に出てくるわけであって、そこから出てくる理由をもって現行法を改正しましたり、法律以外の予算、財政投融資等の措置をとりましたり、そういうことであの基本法が出ると翌日から何でもかんでもどういうようにやらなければならぬというふうに行政のよるべきものがまだきまっておらない過程である、しかし精神を失ってはいけない、そういうふうに思っておるわけであります。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 長官に言っておきますが、われわれはあなたに陳情しているんじゃないのですよ。いいですか。行政官なら国会の意思を尊重して国会の決定に従って公僕として働いてもらえばいいのであって、基本法がどうだとか法律違反がどうだということはこちらで言いたいことなんですよ。行政府が行政的に農安法を無視したような行政措置をやってみたり、——われわれは、基本法についても、基本法だけ通したって無意味じゃないか、やはりこれは慎重に審議を尽くして基本法に関連のある全体の制度の体系というものを同時的に確立しなければ意味をなさぬということは前国会で指摘した点である。あなたは与党の諸君にそういう説教をするならわれわれはかまわぬですよ。しかし、われわれも含めた国会の会議の席でそういうことをのめのめと言うことは、これはちょっと反省の余地があるのじゃないかと思うわけです。そういう言いたい熱意があるということは認めるが。それで、私の言うのは、だから、基本法が通ったら農安法が基本法の精神に沿っていなければ、直ちに農安法の根本改正をやって、基本法の精神が通ずるような農安法を作る必要がある。社会党の場合には、数日前農安法の改正法案を国会に出しているわけです。まだ提案理由説明までいかぬが、社会党としては万々手配は整えておるが、一番大事な与党の皆さんがなかなかそこまで手が回らぬようなことで長官の非難を受けておるとわれわれは考えておるのです。だから、率直に尋ねておきますが、この程度の案というものは与党の了解がついた案ですか、まだそういうところまでいってないという案ですか、参考までに聞いておきたい。
  39. 安田善一郎

    安田政府委員 二点あると思います。  第一点は、私が申し上げたことが先生に誤解を生じたか、お気にさわったかもしれませんが、お許しを願いたいのでありますが、行政措置できめたじゃないか、きめようとしたじゃないかというのは、やはり現行法という法があれば行政というのはそれもちゃんと考えてそれによらなければいかぬということを申し上げたのであります。予算の分は予算の項があり、そのもとは、補助金等の適正化法から来るわけであります。そういう意味で、決してお説教したり何かそういう他意はございませんから、御了承願いたいと思います。  それから、第二点は、農業基本法が施行になりましたらすぐ各条項に従いました施策、特にそれが法令を要する場合にはやはり時間がある程度かかることを御了承願いたいと思うのです。基本法から出てくる精神だったら、五円か十円か七円か、こうはなかなか出てこないのではないか。だから、精神を失いませんで行政執行の案を立てつつあるということであります。その内容を申し上げますれば、やはり、作付増反収増とか澱粉、糖分の増とかいうことをやる、あるいは労働時間の短縮を生産農民の手取り増に持っていく、所得増に持っていく。従来は反収もそうではなかった。そう考えておるわけであります。  それから、据え置きと申されますが、上がる程度の額は必ずしも多くございません。多くありませんが、このくらいがいいのではないかということでありますと同時に、内容のイモ類で言いますと、澱粉含有率で、上の方も下の方も、含有量が多い方も少ない方も初めて今度表わしてきめようといたしますので、何円と書いたのは、たとえば二二%、こういう農民の努力澱粉量が多い場合、相当の値上げになると思うのであります。  最後の点でございますが、与党の内部のことは私がお答えするのは適当でないのじゃないか。しかし、与党の農業関係の部門のお方々と無関係ではない。与党が最終的にこれで了承されたかどうかはまだ承っていない問題でございます。あるいはなっておるかもしれませんが、農林省から申し上げる問題ではない、こう思います。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員 もう少し率直に言ってくれればいい。だから、与党の政調のこの程度でいいという了解を得た案であるか、まだこれではだめだ、もう一回練り直してこいと言われておるのか。何もそんなことははばかる必要はないのじゃないですか。
  41. 安田善一郎

    安田政府委員 与党内でもいろいろ意見がございますが、農林部会、農産物価格特別委員会、両合同部会等においては、各種意見があるうち、ここらあたりで農林省も自分の意見をまとめたらどうかというようなところであります。
  42. 芳賀貢

    芳賀委員 案の内容は据え置きだから、これでいいなんということにはならないが、ただ、問題は、今までが安過ぎるわけですね。特にカンショ生産地帯等は主として南九州の各県ということになっておりますが、こういう生産地に行ってみますと、実際古くからこういうイモ作以外にできないという条件が、特に台風常襲地帯であるという関係もあるし、いろいろな条件というものが宿命的にイモに結びついておるわけなんです。そして、 しかも、畑作地帯ではあるが、一戸当たりの農家の経営規模というものは非常に過小なわけですね。そういう中で今後農業成長発展に期待を持つということになると、やはり、価格形成の面においても、従前と据え置きでやむを得ぬというようなことでは、前進がないとわれわれは考えておるわけです。  もちろん需要との関係というものがあるが、これは、自然に放置した場合の需要の力と、あるいはそれに政策とか意思を加えて需要を拡大するという道は、政治の中に残されておるわけですね。一つの現われとしては、これは数年前から政府手持ちカンショ澱粉についてはその用途を一般市場へ放出しないということを前提にして、そして、これは結晶ブドウ糖原料として安売りをする、そういう道を開いて、一方においてはまた、結晶ブドウ糖生産の育成措置として、あるいは農林漁業金融公団からの融資の道を開くとか、生産されたブドウ糖に対しては一万トンに対して同量の輸入粗糖の特別割当を行なう、こういうような措置を講ずることによって、逐年結晶ブドウ糖生産が量的にも拡大されておって、そして、もう一年たてば、政府手持ちカンショ澱粉は全部これはもうなくなってしまうわけです。その方へ使用済みになるという、そういう見通しができておるのですね。これはやはり施策の上でそうした需要の拡大が行なわれたということになるわけです。ですから、そういう政策を積極的に進めていけば、たとえば商品化率とかあるいは消費の弾性値から見て、どうしても価格が上げられない、所得を上げることができないというような固定した結論というものは出てこないとわれわれは考えておるわけです。ですから、一方においては需要の拡大を政治的に政策的に強力に進めるという熱意がなければいかないが、これをやはり政府としても国会としても十分検討していけば、ほかの畑作物と同じ程度価格上昇というものを実現できるじゃないかというふうにわれわれは判断しておるわけですが、その点に対する政府としての考えを示してもらいたい。
  43. 安田善一郎

    安田政府委員 ごく簡単に、先生と趣旨を同じように考えております。補足して申し上げたいことが一点あります。それは、名目価格を二十五円とか二十円近くとか定めますことは、私どもは必ずしも据え置きと思っておりません。値段の名目価格は据え置きであります。やはり、農業で、特にイモのような場合、あるいは今後のてん菜のような場合は、農民の手取りが増すように考えるが、その要素は、反収増とか品種改良、肥培管理の仕方とかありましょうし、あるいは総所得がふえるように作付がふえるとか、それに対して援助するとか、助成、援助はいろいろなことにあろうと思いますが、本案は、普通の昔流に言いますと反当イモは二種類五百貫、今では七百貫かそれ以上でないといいイモ作農家ではないというのが常識じゃないかと思うのでありますが、そこらについて、統計は統計でございますから、これを十分に使い得るときはその目的に十分に使いまして、五百貫と押えてこの案ができておることだけ補足させていただきたい、こう思っております。
  44. 芳賀貢

    芳賀委員 五百貫の基準とすれば、これは二十六円にしても反当にして一万三千円しか粗収入があがらぬということになる。長官の言う七百貫にしても、これは一万八千円ですからね。ですから、九州のああいう狭隘な土地でイモ作をやって、一反歩の粗収入が一万五千円前後だということになると、その収益から来る農家の生活の実情というのは、これはもう想像にかたくないのです。だから、これをどうして脱却するかということにしないと、全部が七百貫とるようになってもわずか一万八千円しか収入がないということなんですから、この際価格面においてももう少し積極的な価格決定を行なっておかぬと、これはいかぬのじゃないか。
  45. 安田善一郎

    安田政府委員 先生と、御意見、私どもは基本的に違っておりません。かりに澱粉政府が買うことによりまして、澱粉原料イモ価格を条件をつけてささえましても、鹿児島県などでは、政府の買上げ澱粉原料になったイモ値段すらそこまでいっていなかったという過去の例もあるようです。さらに、たしかイモ供給全体の三 ○数%が澱粉になると思いますが、これを、飼料用をもっと蓄積するとか、半面、逆に今度は澱粉をさらにブドウ糖にしていく加工工業の育成でありますとか、その他新規用途の開拓等について来年度予算も要求いたすことにしておりますがいろいろな面からいきまして、イモ作をする農家が一反歩七百貫でも一万何千円で、一万何千円では農業基本法に沿っていないじゃないかということでないように、あらゆる施策を考えることはだんだんしていって、合理化と同時に、基本法の精神に当然沿うように、こう考えていきたいと思っております。先生の方からこうやれというようないい具体案がありましたならば、お教えをいただきますとちょうどいい時期かと思います。
  46. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、その見通しの問題ですが、政府原案によった場合は、特にカンショの場合は、このようなイモ価格澱粉価格の場合には、本年度産の澱粉については政府は買上げ措置を講ずる必要がないとわれわれは判断するわけです。政府としても、買い上げはしなくても済む、そういう考えで、この価格算定をやられたと思うのですが、いかがですか。
  47. 安田善一郎

    安田政府委員 その点は、非常によく御研究中のようでございますので、私も迷っておりますが、しかし、その線上にあるくらいのところで、決して買わないという程度ではない、買う用意はしてあるということもある。それが基本である。こういうふうに思っております。
  48. 芳賀貢

    芳賀委員 この数字であれば、これは明らかにカンショ澱粉は買わなくても済むということになる。ここに問題がある。食管で買い上げしたくないという気持はわかるが、買い上げしないためには買上げ価格を低く押えておく、そういうやり方が一番いけないのであるし、今後結晶ブドウ糖の育成措置を何カ年間続ければ大体企業として自立できるかという見通しも必要ですが、これに対してはどう考えるか。もう一年で政府の手持ちはなくなってしまうのですよ。
  49. 安田善一郎

    安田政府委員 その点は、まだ事務的段階だからそういう措置をとっているわけでございますが、早急に最終決定に持っていくように、時期でございますからそう用意いたしておりますが、カンショ澱粉政府手持ちが減ったと申しましても、その前の前でしたか御質問がありましたように、外国原料澱粉なりあるいは外国澱粉が入るということなどもあり、また、イモの性質から言いまして貯蔵がむずかしい。そうすると、加工業者の方がイモ年産者より経済的に見た場合強さ弱さが違う。そういうことなどもありますので、内部では澱粉価格安定と国内の対外関係に対する用意と、——これは澱粉用のイモについて言っておるわけですが、イモ全体もがっといきませんから、ことしぐらいの程度は、数量は別でございますが、手持ちを持っておるのがいいんじゃないか、こういう考えで進めておるわけでございます。
  50. 芳賀貢

    芳賀委員 この資料によると、政府手持ち澱粉売却方針については現在十二万六千トンある。そのうち、これはカン澱ですが、育成ブドウ糖用には七万二千トン、これは計算から除外しておるというが、これは売り渡しを行なうということなんですね。ですから、これは相当大童に売り渡しができるということは、買い上げしなくても済むということなんです。買い上げする事情のときにはこれは放出できないときなんです。だから、大体計画的には七万二千トンは売り渡しを行なう。その他用途に四万四千トン売却というのは、国方の方針としては、一般の用途に、一般の市場政府手持ちは出さないようにすべきであるという方針をきめてあるわけです。だから、一般市場の放出というのは考える必要がないのであって、これは農林委員会として今から三年前にきまっているのです。それがきまったからこそ、育成ブドウ糖用に重点的に向けるということになっておるにもかかわらず、一般用途に四万四千トン向けるという点がちょっとおかしいと思うのです。
  51. 安田善一郎

    安田政府委員 この印刷物、ときどきあわてて作りますと文中の語弊が出まして恐縮でございますが、カンショ価格をきめる際に現状はどうだろうというようなことを主として考えたものであります。しかし、それかといって、現状と言ったって、需要は一年間、——来年イモができてまた澱粉ができるということになりますから、さっき申し上げた通りでございますが、御配付しました資料育成ブドウ糖用が七万二千トン、これはいわばイモから来るイモ製品消費増加の政策ということである。そして法律は全販等の農業団体が自由販売をした場合の売れ残りを買おうという法律でございますので、これは字が足りないといえば足りないのでございますが、それはむしろ法律の行き方は従来通りの運用というふうに考えております。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、これに関係して明年度の育成ブドウ糖生産見通しはどういうことになっておりますか。これはたしか五カ年計画ができておったと思いますが、三十六年度がどのくらい達成できて、明年度はどういうような見通しか、その計画達成の見通しを一応聞かしておいてもらいたい。
  53. 安田善一郎

    安田政府委員 甘味資源自給対策というものが御承知通りきまっておるわけであります。中にブドウ糖も入っておるわけであります。その際に原価が違う各種の製法が次から次に出まして、計画とは多少のあれがあります。これは資料で提出をさせるようにしていただきたいと思います。あるいはかわりの者でよかったら申し上げます。
  54. 中西一郎

    中西説明員 三十四年の二月に食糧庁におきまして甘味資源の自給力強化総合対策というものを作っておりますが、それによりますと、昭和四十三年に結晶ブドウ糖十五万トンに考えておったわけでございます。それに対しまして、昨年から本年にかけてだいぶ年産が伸びまして、三十六年度は、大体の見通しですが、十二万トンくらいになるのじゃないかというふうに考えております。
  55. 芳賀貢

    芳賀委員 そういたしますと、順調にいけば三十七年度は最低十二万から最高十五万トンくらいまでは予測できるわけですが、今のような保護政策が続けば。
  56. 安田善一郎

    安田政府委員 その通りでございます。ただバレイショの方だけがちょっと自信がございません。
  57. 芳賀貢

    芳賀委員 そうなると、カン澱については政府手持ちも明年度までには全部なくなってしまう、さらに、将来も、政府買い上げの必要というものは、カン澱の生産が伸びた場合は別ですけれども、そう急にイモ生産だけが集中的に伸びるとも考えられないので、見通しはそう心配はないと思うわけですが、次に、バ澱の関係ですね。やはり政府手持ちが十万トンこえておるわけであって、これは買い上げすればするほど手持ちがふえるということになるので心配の種になりますが、この際、明年度でカン澱の手持ちはなくなるということを予想した場合、次にはやはりバレイショ澱粉政府手持ち分をいかにして有効に処理するかということが今から考えられていなければならぬと思うのですが、この点に対する検討は進んでいるわけですか。
  58. 安田善一郎

    安田政府委員 農林省・食糧庁全体としましても研究しておりますし、もちろん、私個人も、もっと自由な立場で、——自由というと悪いのですが、広い立場でいろいろ考えておりますので、きょう申し上げる自信がございません。ただ、御参考にこれについて例として申し上げますと、先ほど語弊がある文書で恐縮ですと申し上げましたところの七月二千トンの育成ブドウ糖用のカンショ澱粉について、作っている値段は安くしておりますが、普通の砂糖の原糖輸入のリンク制度による育成措置は本年上期で終わってあとはやらないということなどの措置があるようでありますが、バレイショ及びバレイショ澱粉というものは、甘味資源の自給化、すなわち、十年間に蔗糖、ブドウ糖、てん菜糖をも加えて半分ばかりを自給する、そういう計画になっておるわけですが、総消費量はその計画の十年後の数字がもうことしに現われてしまっておるほどでございます。それの再検討も早急にしなければなりません。それから、バ澱とカンショ澱粉との保護育成、使用開拓、需要増進、国内の甘味資源の自給強化、こういう点については、この方針に沿うてもっと考えるべきことがあるだろう、こう思っておることだけは事実でございますから、それだけをお答えしたいと思います。
  59. 芳賀貢

    芳賀委員 カンショ澱粉政府の買い上げの基準価格が三十七・五キロ千五百五十円ですね。育成ブドウ糖には百円の安売りをしておるわけですね。その百円の根拠は、長官も御承知通り、カン澱の一袋の一年間の保管料、金利が約百円ということになるのです。だから、無為無策で一年間買い入れたものをかかえておるよりも、その分を安売りとして放出した方が非常に有効であるということで、百円の安売りの基礎がそこから出ておるわけです。バ澱の場合には、基準価格の単位が四十五キロ、十二貫目ということになっておるわけです。そういたします・と、四十五キロの場合には一年間の保管料、金利が大体百三十円くらいということになると思うのです。ですから、これを毎年々々買い上げて、数年間政府がかかえておくということになると、二カ年間持てばもう二百六十円経費がかかるわけです。三カ年になれば三百九十円ということになるのですから、無策で何年も持つということであれば、この際バ澱についてもカン澱の払い下げと同じような方式、あるいは一年分の金利、倉敷分を差し引いて安く売るとか、あるいは二年分を安く売るとか、そういう思い切った方針を今度の澱粉価格決定の時期にあわせて方針として打ち出す必要があるのじゃないか。これはもちろん大臣の意向にもよることなんですが、それをあわせてやらないと、また明年度も相当量のバレイショ澱粉の買い上げということになると思うのです。この方針をきめただけで、市況に与える影響というのは相当大きなものがあると思うのですが、その辺は頭のいい長官としてはやはり考えておく課題だと思うのですが、いかがです。
  60. 安田善一郎

    安田政府委員 さっき考えておることがありますと申し上げました課題の一つはそれであります。それは蛇足かもしれませんが、大・裸麦についても同じ考えを持っております。ただ、きょう、そういうふうに考えておりますと、隣で速記をしていらっしゃるところで申し上げる自信がございません、こう申し上げておるのであります。
  61. 芳賀貢

    芳賀委員 これは委員会としてもぜひそういう方針を打ち出すようにすべきであると私は実は考えております。  そこで、今度は計算の内容に入りますが、澱粉計算をする場合、もちろん原料イモ価格基礎になるが、これを加工する場合の、いわゆる加工経費というものは、どのような算定をしても軽視できないと思うのです。昨年からの労賃値上がりとか、あるいはまたいろいろな資材の値上がりというようなものは相当目に見えておると思うわけです。そういう配慮がこの原料価格生産価格との間においては全然見られておらないと思うのですが、加工賃部門をどの程度去年よりは増してあるか、どういうことになっておりますか。
  62. 安田善一郎

    安田政府委員 加工賃については食糧庁で調査しておりますものを基礎にいたしておりますが、その額はたしか十貫当たり十七円増となっておると思います。もし違っておったら部長から訂正いたします。
  63. 芳賀貢

    芳賀委員 もう少し詳しく、三十五年度の基礎カンショバレイショ澱粉はこれだけであって、今年度はどれだけになって、差引十七円ふえたらふえたということでないと、去年もあまり厳密にやらなかった。去年は、ちょうど国会の閉会中三番町で南条農林大臣のときに政治的にとにかく据え置くということで終わってしまったので、価格的な検討はしなかったわけです。
  64. 安田善一郎

    安田政府委員 実は、率直に申し上げますが、昨晩の夜おそくかかりましてそう扱おうと、こうしましたので、くしゃくしゃした原稿は実はここにもあるのですが、きれいにすらすらと申し上げかねますから、あと資料を提出いたします。
  65. 芳賀貢

    芳賀委員 肝心な点だから……。
  66. 中西一郎

    中西説明員 バレイショ加工賃の方から申し上げます。  長官のお話で十七円程度とおっしゃっておるのが、これに当たるのですが、原料イモ十貫二百十三円としまして、製品貫当たり原料代は千三百七十四円十九銭であります。円以下のところはまだ少し変わるかもわかりませんが一応申し上げます。加工経費は四百七十八円二銭、副産物収入が差し引かれますが、それが百四十八円四十三銭、差引加工経費が三百二十九円五十九銭、以上を原料代に足しまして、千七百三円七十八銭くらいになります。それをもとにいたしまして、さらに精粉にするわけでありますが、その歩どまりは昨年同様九九・八と考えまして、精粉十貫当たり原料代は千七百二十四円九十八銭でございます。それに加工経費が八十一円二十六銭、副産物収入が差し引かれますが、それが五十九円三銭であります。差引加工経費は二十二円二十三銭、そこで、十貫当たり千七百四十七円二十一銭、それを十二貫にしますと二千百円という計算に相なるわけであります。カンショ澱粉でありますが、原料価格十貫二百六十円に基準を置きまして、製品貫当たり原料代は千二百二十七円七十三銭になります。加工経費は昨年より若干増加して四百七十六円六十八銭、副産物収入が差し引かれますが、それが百十三円六十七銭、差引の加工経費が三百六十三円一銭でございます。それを十貫当たり原料代に足しまして千五百九十円というふうに相なるわけであります、なお、カンショなま切りぼしは先ほど申し上げましたので省略さしていただきます。
  67. 芳賀貢

    芳賀委員 加工賃が非常に不適正だという議論は数年前から行なわれて、特に加工賃の精算方式を整理して適正にするというような当時農林省の方針もわれわれ聞いたわけですが、その後あまり改善されたあとは見えないのですが、ここで問題になるのは、この副産物収入の、バ澱の場合は十貫当たりで百四十八円になっておるが、最近の北海道における実情は、副産物収入というのは、おそらくなまかすを言うわけなんですが、これはほとんど澱粉工場生産者に還元するような形でこれを渡しておるわけです。ですから、工場がこれを副産物として販売処理するということは以前から見るとずっと少なくなって、ほとんどサービス的に還元するというような場合が非常に多くなってきておる。これは現地の食糧事務所あたりで実情はよくわかっておると思うのですが、副産物収入を上げると経局加工経費が少なくなるということになるので、こういう点はやはり実情に沿ったように是正しておく必要があると思うのです。  もう一つ、これは比較論になりますが、カン澱とバ澱の加工過程において、カンショ澱粉は自然乾燥の状態でこれはいいわけですが、北海道の場合には、いろんな条件が違いますからして、これは火力乾燥の施設がなければ、未粉が干し上がらないということになっておるわけです。ですから、そういう点は、やはり乾燥費用というものは、バレイショ澱粉の場合はこれは特別加算されておらないと適当でないわけですが、今の説明でいくと、いずれも加工経費が同様というよりも、むしろカンショ澱粉の方が四十円ばかり高いというようなことにもなっておる。 これらの点は、ことし初めての問題ではありませんけれども、やはりこの際厳密に検討しておく必要があると思われるわけですが、いかがですか。
  68. 安田善一郎

    安田政府委員 加工工場イモ作農家に対する副産物の還元は、できればお勧めをしたい。加工業者が農民に対するサービスとしてやるのはけっこう、いいことだと思いますが、それだから加工賃を上げるという必要はないという見解であります。余裕のある限り、原料供給してくれる農家で零細な農家、もうけの少ない農家には、大いに関連産業は自主的に各企業でいろいろ合理化できる点、負担にたえる点でサービスすべきものである。そう思います。てん菜糖でも奨励金などを一部、額は別といたしまして出しておるようであります。  カンショ澱粉バレイショ澱粉との加工賃の差は、方法が、先ほどおっしゃいましたような焼料を使って特別の火によらなくてはならぬ、天日じゃないということはありますが、現われました結果の調査による加工費、この加工費の中には入れてありますが、加工賃の項目のことにすぎないので、この調査結果をとっただけ、こういうことでございます。
  69. 芳賀貢

    芳賀委員 そうじゃないのです。加工経費が、未粉については、副産物等の収入を差し引くと、十貫目について三百二十九円五十九銭でしょう。カンショ澱粉の場合は十貫目について三百六十三円ということになっておるから、加工賃の比較によると、カンショ澱粉の方が十貫目四十円経費が高いということになるのです。高いからけしからぬというわけじゃないのです。比較した場合にこういうことになるのじゃないか。これは私たちも一昨年九州の澱粉地帯の実情を設備の関係とかいろいろ調査してきておるので、そういうことが、よく事情がわかるから、よけい比較した場合言えるわけですが、高いとか安いとかいうことよりも、いわばずさんだということなんです。  もう一つは、副産物がはたして価値的にバレイショ澱粉は百四十八円の価があるかどうかということも、これは現地の食糧事務所はわかっておると思います。実際にこういう価はないのですよ。だから、問題は、加工賃を安くする一つの便宜的な手段として副産物収入というのを毎年ふやして、差引経費はそうかからぬ、サービスで還元したものはこれはやはり収入と見るということでやっていけば、こういう答えが出るかもしれぬが、やはり、一年間に澱粉工場の事業というのは北海道の場合には二カ月間くらいですから、相当の合理化指導をやっても操業期間が非常に限定されるわけですそういう変則な企業というものは利潤は上がらないのです。しかし、やはり、イモ生産者と、それを加工する一連の産業を考えた場合には、ある程度企業の育成ということも現実に沿ったように考えてやらぬといけないじゃないかというふうに考えられるので、この点を指摘しておくわけですが……。
  70. 安田善一郎

    安田政府委員 政策論としては先生のおっしゃるような意見があると思います。しかし、加工賃政府がきめる、こういうような場合には、副産物費を引くのに、何にでも行なわれておることであるし、行なわれるべきことである、そうでない場合は企業負担による取引関係者のサービスであると思っておるのですが、あとカンショ澱粉バレイショ澱粉加工費は私どもの方の調査結果によりますということを申し上げたわけですが、調査結果というのは、現在の経営規模が違いましたり、御承知のように、多少、合理化、近代化がカンショの方が進んでおったり、バ澱の方が能率的であったりしまして、バ澱では乾燥費がかかるが能率的である、カンショの方は乾燥費のための人夫賃が多くかかるとかいうような要素などもございまして、調査結果をすらっと見たわけであります。
  71. 芳賀貢

    芳賀委員 こまかいことを議論しておれば長くなるですから、問題点だけを私は指摘しておくわけですが、次に、従来はバレイショ澱粉基準価格は未粉澱を基準としたわけですが、今回の資料によると精粉澱粉基準価格になっておるようですが、これはどういうことなんですか。
  72. 安田善一郎

    安田政府委員 これはちょっと端折って印刷物を書いたので、両方出します。だから、別に変えるということはありません。
  73. 芳賀貢

    芳賀委員 端折る場合は、精粉澱粉を端折って未粉澱粉を書けばいいのですよ。生産工程から言って、必ず未粉澱粉にして、それで食糧事務所の生産検査を受けるわけです。その後に今度は未粉を精粉化するわけですから、一般的にはやはり未粉澱粉価格というものが明確にならなければならぬのであって、それが基礎になって今度は精粉価格ということに当然なるので、その点を間違いのないようにしておいてもらいたいと思うのです。  それから、次に、取引の関係ですが、資料にも述べてあるが、せっかく現状の基準価格がきめられても、その通り正常な取引がされておらぬということは、月別の原料イモの取引価格の推移から見ても明らかなんですね。特に九州の場合、カン澱地帯は一番最盛期の十一月の原料価格というものは非常に低いわけです。これはやはり政府の指導とかあるいは行政上の手落ちが十分あると思うのですが、今後は、改善の方策として、二、三掲げてあるようですが、もう少し積極的に、澱粉生産の場合には基準価格によって原料取引を必ずやれということを強く実行させる方法というものはないわけですか。やるつもりならできると思うのですが。
  74. 安田善一郎

    安田政府委員 私は当時その職にありませんでしたが、そういう問題があることは、この委員会の横にすわっておりましても聞いておりましたし、また、食糧庁長官としましてお許しを得て就任しましてからも聞いておるのですが、まず第一は、農協というものがもっと自主的に活動すべきだと思うのです。これを助成、育成するかということは施策になると思う。あとは、政府の手持ちをからにしないで、そういう時期には買っておいて売らないということですが、ブドウ糖へも売らない。あとは多用途需要増進をやる。そのためにカッターとかを用意して、配合飼料や何かに回すとか、豚を奨励するとか、例で申し上げておるのでございますが、あるいはなまイモ加工、調理といいますか、上手にやるとか、いろいろあると思いますが、委員会で指摘をされてから、農林省できめました値段で買った原料イモ澱粉でなければ買わないぞ、もっと買えよ、きめた通り買えよという、おくればせな通達を出さぬように、通達を出しても取引が済んでしまったということのないように、できる限り工夫努力を、また御指導を受けていたしたいと思っております。
  75. 芳賀貢

    芳賀委員 政府が買い上げる場合、原料基準価格以下であっては買い上げしないというだけでは、きめ手にならないわけですね。もちろん、政府価格決定した場合には、告示するわけですが、澱粉価格については相当周知徹底するが、原料価格というものは第二義的に扱われておるわけですね。ですから、ことしからは、やはり、関係の都道府県とか、市町村とか、あるいは農協はもちろんですが、そういう機関に対しても通牒の強いのを流して、ぜひこれは徹底するようにしてもらいたい。あるいはまた、食糧事務所であるとか、農協とか、特に毎日原料イモを搬入する澱粉工場等にも、適当な場合にそういう内容を掲示しておく。農民が知らぬ場合があるのです。一体イモ価格政府がきめてくれたのかわからぬ農家が相当多いんですね。だから、あらゆる適当な個所に、こういうことになっているということを、原料価格の面等についてもPR、周知徹底するようなことはどうしても必要じゃないか。特に、長官の言われるように、一番大事な農協がそういうこうを怠っているようではいけないと思うし、また、最近は農協自身がその工場建設を始めておるのですから、今度は製造業者の立場でそういうことをあまり徹底しないで原料イモを安く取引するような、そういうふらちな経営が絶対ないとは言えないのです。だから、そういう点は農林省としても十分な指導をされる必要があるのじゃないかというふうに私たちは考えておるわけです。
  76. 安田善一郎

    安田政府委員 その通りにいたします。それ以上になお趣旨に沿うもっといいことをつけ加え得るならば、それをあわせて行ないます。
  77. 片島港

    片島委員 ちょっと関連して。  ただいま芳賀委員の話ですが、最盛期になると南九州は非常に買いたたかれるのでありますが、そうすると、基準価格というのがありましても、基準価格で買わなければ澱粉は買い上げない、こういうことになっていても、どっと原料のなまイモが出た場合には、非常に安く買いたたいて、政府に買ってもらわぬでもいいと言う。原料を買いたたいて安く買うから、十分ほかにはけるから、政府が買ってくれなければ買ってくれなくとも、自分は原料を安く買っておるから十分採算がとれるということで、ざるもざる、まるで基準価格があっても何にもならぬというような状態のときがくる。そういう場合に何か方法を講じていただかないと、普通高く売れるようなときは何も心配は要らぬのです。一斉に出回るときの取り締まりといいますか、規制する方法が全然ないというのが現状です。これに対して何らかの方法を考えてもらわなければならぬ。
  78. 安田善一郎

    安田政府委員 答弁を御要求になっておるかどうかわかりませんが、一応お答え申し上げます。  周知徹底をさせることが第一。農協がよく活動してくれることが第二。第三に、全国同じように行なわれるとは毛頭思いませんけれども。先生方の御意見も、加工賃とともにかねて御主張になっておりまするけれども、なかなかうまくできなかったという点は御承知と思いますが、農協の単協でも県連でも、イモのような腐敗しやすいもので大量に水を含んだものでございますから、どこかに委託加工でも出しまして、そうして原料イモの値をささえる。それを政府なりにおいて、普通の砂糖に関係しまして、こまかく申し上げ得る段階ではございませんが、何らかの工夫を考えまして、従来より少なくとも一歩前進はしたいと思っております。その間にまたいい御指導をお願いしたいと思います。
  79. 芳賀貢

    芳賀委員 もう一、二点で終わりますが、ことしから結局パーセントによる基準価格決定されて、その基準よりも歩どまりのいいものはパーセントごとに高く買う。悪いものは安く買う。これは非常にいい方法だと思いますが、ただ、澱粉の含有量を正確に測定するということはやはりなかなかむずかしい問題なんですね。ですから、こういう含有量の正確な測定をやることに対する指導というものも行なわれぬと、実際にたとえば一五%、バレイショ澱粉の場合は含有があるとしても、それがそれだけないということになると、今度は一貫目十四円安く売らなければならぬという事態も起きるわけです。ですから、基準歩どまりより上位のものについては高く買うということはやりやすいが、その基準よりも歩どまりが悪いものは、安く買うということになると非常に買いたたかれるおそれがあるわけです。北海道の場合には、今度はこの基準を一五・五%にされたようですが、ことしは、食糧庁でもわかると思いますが、昨年よりも澱粉歩どまりが悪いという報告が来ておるわけです。最近のこういう豊作状態を見ても、やはり、私たちの考えは、従来のように一五%を基準価格として、そうして上位、下位に対してたとえば一貫目十四円の差をつけるというようなことの方が、生産者から見たら有利になると思うのです。わざわざ実情に合致しない——それは一五・五%のイモもありますが、それ以下のが大半だということになると、むしろ従来通り一五%あるいはカンショの場合には二一・五%を基準価格としておいても、価格差をつけるということになれば何もこれは実質においては変わりがない、だから告示する場合は、特に北海道の場合には、一五%の価格というものを基準にして、一六%の場合には十四円上げるとか、それ以下の場合には、幾分格差をつけるとかいうことにして、やはり、基準以下のものに対してはあまり厳重にしないように、一%ごとに十四円なんということになるとこれは最初の年から弊害が起こるといけないと思うんです。そこは、指導が徹底するまでの間、歩どまりの悪いものについてもある程度弾力性を持たして、そして速急に品種改良等を行なって、基準以上に歩どまりの上がるそういう品種が普遍化したその時期に、悪いものはこうするということにいってもいいが、最初からこれでやると、ちょっと弊害があるんじゃないかと思うんです。
  80. 安田善一郎

    安田政府委員 二点か三点ございますが、第一点は、従来、歩どまりがいいものの方も告示価格が押えて、そのかわり下の方はこれと同じようにきめてあったわけです。
  81. 芳賀貢

    芳賀委員 下はたたいておったんです、きめてなくて。
  82. 安田善一郎

    安田政府委員 きめてあっても、たたくというのは、先ほどの一般問題…
  83. 芳賀貢

    芳賀委員 きめればよけいたたきやすくなる。
  84. 安田善一郎

    安田政府委員 そういう御意見もきっとあるし、研究いたしますが、しかし、いいもの、米で言えば産米改良とか、てん菜で言えば糖分の多いものを作るとか、実情に即さなくてはいけませんし、タイミングが合わなくちやいけませんが差があるものはやはり差があるということがいいのではないか。それが商品としての取引の関係。今回考えましたのは、従来下ばかり考えておるが、上も考える。それから、先ほど来申し上げました、もう少し値が上がっても特に上がるものが明瞭になっていいのではないか。そういうところを表わそうとしたことだけは御理解願えると思うのです。また、バレイショは、在来の種類というのが、私は実はその方面の知識は暗いのでございますが、あるようでございますから、この指導を徹底して、買い方の方だけで勝手にしないで、あるいはそんなものを使わないで、一挙には全部できないかもしれませんが、売り買いのすなわち農民と工場との双方の立ち会いがあって、ときどき余裕があれば県庁とか食糧事務所でも立ち会って見る。試験時代で初めてやり出すようなことになりますが、そういうことも目下考えておるのであります。労働過重になって職員が余分な仕事をやってくれるなということも全くないわけではないのでございますので、価格が最終決定され告示され、あと励行されるということを確保するまでには、なお研究しようと思っております。  それから、カンショの方は、ちょうどそのバレイショの在来の種類に当たるものがどうもうまいこと当てはまらぬらしいのでございます。ここのところは行政上使い得るものがない。だから、食糧研究所に今私は研究を仰せつけておりますが、ことしはちょっと考えが出て参りません。
  85. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、構想はいいのですよ。イモについても、澱粉の含有量によって——いわゆる澱粉を買うのですからね。ですから、ビートにしても、やはり糖分の含有度合いによって差をつけるということはいいですが、ただ、北海道に実例をとると、一ぺんに品種改良できないという点があるのと、優良品種もあるが、紅丸の品種がまだ相当多く残っておるので、これは、地域によっては、同じ種類であっても、地域が広いですから、一五%台のものもあるし、また一四%ぐらいしか含有のないものもあります。だから、従前通り一五%の線に基準を置いてやる場合と、一五・五%に引き上げた基準を作る場合とは、非常に変わってくるのです。だから、どうせその差をつける場合であれば、従前通り、一五%の線に基準を置いて、それ以上澱粉含有量の多いものについては、現地でもそういう取引は行なわれておるのですし、これは非常にいいので、基準よりも優良なものについては差をつけて買いなさいという指導がことしから行なわれることは非常にいいわけなんです。ただ、今までも、歩どまりの悪いものは安くたたかれておる実例もあるので、それに拍車をかけるように、基準よりも歩どまりの悪いものは十貫目当たり十四円安く買えるということになるとそこに弊害が生まれるから、これは、告示する場合には、格差についての実行にあたっては、低い分については当分の間十分考慮の余地があるのじゃないか、そういうことを申し上げたわけです。  それから、最後にもう一点、新規用途の問題ですが、北海道では、食品化する企業として、マッシュ・ポテトの工場が最近どんどんふえてきておるわけですね。これはまだ相当需要がふえると考えておるわけですし、この原料バレイショ供給する場合は、価格の面においてもそう不利ではないわけです。ですから、これについてもやはり十分政府としても見通し等について検討を加えて、安定した拡大ができるとすれば、これらに対する企業の育成といいますか、あるいは設備等についても、たとえば例があります通り、公庫融資等の道を開くということも一つの方法であると思うので、そういう配慮についてどう考えておられるか、伺いたい。
  86. 安田善一郎

    安田政府委員 先ほど申し上げてもよかったほどのお答えかと申し上げたいのですが、農林漁業金融公庫もありますれば、特に北海道開発公庫もあります。近代化資金というような、これは問題がいろいろあるかもしれませんが、とにかく提案をいたしておるわけであります。それらを活用いたしまして、ぜひ伸ばしていく関連産業にはもっと政府の手を厚くするようにいたしたい。それからまた、実験段階のものとか、あるいはその前の試験研究の段階のもの、企業化試験に関するもの、そういうものの方は、補助とか委託とか、——委託という意味は、ある意味では全額国庫負担のわけでございますが、そういうことを来年度予算要求からいたしたいと思いまして、すでにその一部は出しております。大蔵省に提出してありますけれども、そういうふうに努力したいと思っております。
  87. 芳賀貢

    芳賀委員 以上で大体問題になるような点を質問したわけですが、以上の質疑を通じて、結論的には、これは食糧庁の最終的な案ではないと思いますが、それにしても妥当性を欠いておるんじゃないか。原料価格にしても、澱粉価格にしても、前年同様ということに対しては、これは小委員すべて納得できない点だと思うのです。たとえばパリティ上昇率に比較しても、あるいは米価上昇、麦価の上昇率から見ても、少なくとも前年よりも五、六%くらいの価格上昇が案として出てこなければ、これは妥当な案とは言えないのです。五、六%といえば、原料十貫目については大体十円ないし十二、三円ということになるわけでありまこの案は据え置きですから、そういう点に非常に消極的な政府の態度が見受けられるわけですが、これはもう少し練り直して、少なくとも原料は五、六%上げる、澱粉については、そうした原料価格基礎にして、特に加工賃の面については、人件費、資材等の値上がりが顕著になっておるので、この点も十分考慮に入れた上で澱粉価格については原案よりも百円以上高く決定を行なうべきである。特に自家労賃の部面については何らこれは考究されておらないとわれわれは考えておるが、そういう点を総合して、自発的にもう一度長官の手元で案の検討を行なって小委員会にお出しになるべきでないかと思いますが、いかがですか。
  88. 安田善一郎

    安田政府委員 ちょっと答弁に困りますが、御配付申し上げた資料も、食糧庁第二部と書いてありますように、農林大臣の了承を得ない前に、きょうたまたま小委員会がございましたので、イモはいつでもよくここで御相談願う慣習もあります。ことをよく知っておりますから、率直に御相談申し上げるために、出しかねるようなこともかまわぬから出していこう、こういう態度でやったということを御了承願いたい。一つ価格算定において違いますことは、農安法による農産物は、前年の価格ばかりを見ないで、農業生産の状況でも、価格部門でも、農業というものは数カ年見ることの要素は入れた方がこれはほんとうじゃないかという点がどうも違うかもしれません。なお研究を重ねまして、早急にまた価格決定する時期でございますから、努力をするつもりでございます。
  89. 芳賀貢

    芳賀委員 もう一点だけ。これも関係した問題ですが、最近特に、てん菜糖の問題で、御承知通り政府のてん菜振興の北海道における八カ年計画がすでに実行に入って三年目なんですが、これが第一年度に比べてむしろ作付反別が減少しておるような傾向をたどっておるわけなんです。従って、今のようなてん菜の生産状況あるいは原料価格の事情のもとにおける八カ年計画の達成は困難であるというところに到達しておるわけです。  そういう事情もあって、一部農林省等において、バレイショカンショは類似性が非常に強いから価格決定等についてバレイショ澱粉価格が有利にきめられると、ますますカンショ作付やてん菜の作付等が減少して、てん菜糖の長期計画がくずれるようなことになるので、意図的にこの際澱粉や、バレイショ値段を据え置きにするか、あるいはできれば引き下げて、逆効果ですけれどもそういう冷血無情な施策を講じて、結局そろばんが合わぬからてん菜を作らなければしょうがないと、泣きながらてん菜の方に作付転換をやるようにすべきでないかということも考えとしてあるやに伝わっておるわけなんです。まさか農林省としてそういう無情な考えを持つ人は一人もいないと思うのですが、心配の種の一つですから、この際長官から念のために明らかにしておいてもらいたいと思うわけです。  それとあわせて、先般来三十六年度のてん菜の原料価格の当初の決定が非常に安過ぎたので、来年以降の生産の確保のためにも、中途ではあるけれどもてん菜の原料価格の一部改定を行なって引き上げてもらいたい、そういう現地の声も非平に強いわけでありますが、その点についてもこの機会に答弁を願いたいと思います。
  90. 安田善一郎

    安田政府委員 御質問の第一段の、過去においてきめました価格について、カンショバレイショあるいはお触れになりませんでしたが、ブドウ糖、てん菜糖、ひいては、私の方からつけ加えますれば、輸入粗糖による普通の砂糖の値段、これの間を私参りましてから係の者によく聞きましたが、先生がおっしゃるようなそれほどの政策家はいなかったようでございます。私はやはり、その間をもう少しなだらかにして、基準価格がありましても、関連のあることは関連をつけて、加工度合いとか、大資本と中小工場の間、近代化の進め方と農業生産、こういうものの間に、同じ基準でも基準とする上下の幅が農民の方に厚くなるように下げる。下がることはそう利用しないでもいいかもしれませんが、古い大工場だったら、たとえば償却が進んでおれば、糖価百二十二円というのは、百二十二円そのものでなくてもいい、イモで言えば一貫目二十五円といえば、二十五円以上が望ましい。バレイショでも同じだ。法律の運営上やれることも大半ございますが、直すべきこともいろいろありましょうから、その点は、過去においては先生今御指摘のようなことはなかったことだけは実は確かめたのですが、私が聞き間違えておるかだまされておれば別ですが、御了承願いたいと思います。  第二点は、過般、予算委員会でございましたか、農林大臣が、検討いたしますと申しましたか、研究いたしますと申しましたか、お答えを申し上げた通りでございまして、たまたま本年はてん菜糖を新設工場から買う年でないので、食管会計がてん菜糖を買う予算はございませんけれども、四月にてん菜の価格基準を出したこともございまして、そのことについての検討、努力でございますが、カンショバレイショについて本日案を示しまして御説明を申し上げました思想と、てん菜について考える考え方と、それに差はなく考えて努力をしたいと思っております。
  91. 丹羽兵助

    丹羽委員長 寺島君。
  92. 寺島隆太郎

    ○寺島小委員 もうだいぶ時間もたちましたが、例年、イモのシーズンになりますと、私のところに多数の陳情客が現われてまして、入れかわり立ちかわり、カンショ基準価格の設定に至った経緯を説明させられるのでありますけれども、もとよりここに出されました案は自由民主党のわれわれのいわば共同の作業によって成り立ったようなものでございまして、私どもの産地といたしましては、これは代議士でありますからして農林委員会の場において一国の農政の立場から論ずるのはもとよりでありますけれども、このでき上がった食糧庁業務第二部の案を見ますと、昨年に比べまして一貫目当たりわずか四十銭しか上がっていない。四十銭しか上がっていない地域が私の選出せられておる地域の農家であることを考えますと、まことに何の面目があって農業基本法を大きな声で説明いたしたか、実に答弁に苦しむのであります。そこで、私の手元に以下申し上げるような陳情書が参っております。    陳情書   農業基本法が制定され農業生産  性の向上と農民の所得増大をはかる  に必要なる諸施策が講じられんと  している秋、本年度産原料しょは  収穫の初期より昨年の農産物価格安  定法に基く基準価格を下回り最盛期  に至って暴落を予想される現況にあ  り、農業の現金収入の五割を甘藷作  に依存する地方農家の打撃は甚大で  あります。   農業諸団体は甘藷の飼料化、でん  粉の委託加工等当面の対策を強力に  推進して現状の打開に全力を傾注し  ている次第であります。   政府当局におきましては、現地の  窮状を御賢察の上、農産物価格安定  法の効果的運用をはかり、原料甘藷  の価格安定を期するため緊急左記事  項の実施を願いたく、農民の総意を  代表して陳情いたします。     記   (当面の対策)  1 農産物価格安定法に基づく昭和   三十六年産原料しょ基準価格の   引上げ並びに早期指示  2 でん粉の政府買上げに関する適   切な措置  3 国外でん粉並びに原料材となる   農産物輸入制限   (恒久対策)  4 原料しょ(でん粉)の需要及   び生産に関する長期計画の公表  5 原料しょ(でん粉)の一定量   の確保に必要な集中生産地の造成   をはかるための施策の実施  6 甘しょの飼料化を推進するため   の畜産主産地形成地域として重点   的に指導並びに施策の実施   昭和三十六年十月十二日    海上郡市農業協同組合協議会      委員長加瀬正一  この点について業務第二部長よりの文書をもって、関係農民に説明書として配布いたしたい。そうすれば、どうせ与党の私が本案についてああだこうだと言ってもいたし方ございませんので、第一点はそういうことで一つ御了承願いたい。委員長もこの陳情書を食糧庁長官に閲読せしめ、この案に基づいて答弁書を提出せしめるようお計らい願いたい。あわせて食糧庁長官のこれに対する御答弁も願いたいと思います。
  93. 丹羽兵助

    丹羽委員長 まず私のお答えを申し上げますが、政府がそれに対して文書でお答えを申し上げることを私に責任を持てとおっしゃっていただきましても、これは私の権限でありませんので、役所の方から答弁をさせることにいたします。
  94. 寺島隆太郎

    ○寺島小委員 この要望書にのっとって、しかるべく業務第二部長より文書もしくは口頭で答弁がありますかどうかということを、一応念を押しておきます。  それから、もう一点、ブドウ糖の育成事業に踏み切っておられますが、前長官、前第二部長以来、酵素糖化のブドウ糖もしくは結晶ブドウ糖の育成によってイモ作は安定する、こういうことを本委員会並びに当小委員会においてるる述べておられるのでありますけれども、その際に、前長官は、イモという作物は成長性のない作物であるとも言われており、先ほど芳賀委員質疑に答えられた安田長官の答弁は、前須賀長官と違って、まさにイモの前途にはバラ色のにじがあるかのごとき答弁をせられたように考えるのでありますが、イモを守っております私たちといたしまして、なかんずく逐次作付が昨年から見て減退いたしておる千葉県の農家といたしまして、結晶ブドウ糖の育成と兼ね合わせまして、イモ作の前途を大ざっぱに述べていただきたいと思います。
  95. 安田善一郎

    安田政府委員 第一点の文書回答でございますが、寺島先生の御要望はよく了解することができるのでございますが、今の時期で、長官名、いわんや第二部長名で文書をもって回答するのは妥当でない。しかし、あとで先生が言い直されましたような、口頭を加えた場合とかいうことでございましたならば、御要望を承る際によくお話しし合うとか、御意見を承る際に、こういう考えを持って進めておるということならばいつでも本委員会で申し述べましたような範囲内においては申し上げたいと思うのであります。なお、最終決定がなされましたならば、農林大臣自身または農林大臣のお許しを得まして食糧庁長官の名前を出しまして、先生御要望の趣旨に沿うことも、あるいは先生を通じて地元のイモ生産地農家の方々にお伝え願うこともいい方法ではないかと思います。  第二点は。前長官、衰退的な産業だと言ったかもしれません。私、実ははっきり記憶がございません。私が先ほど申しましたのは、決して農業中の衰退部門ではない、ただ維持または成長の部門である、こう申しましたが、なお、これは需要とか、加工度合いとか、新規販路の開拓とか、品種改良、いろいろなことの総合結果でございますが、あわせまして、主産地形成をもっとしっかりするようにしまして、これは農業構造の改善につながりましょうが、増産合理化の面からいきまして、単に従来の作付地域においてある一県をとらえましたら減るということだけをもって、国の、イモ類に対する、あるいはイモ類を原料とする加工品に対しまするところの、その先のことを考えての、何と言いますか、イモ農業政策と言いますか、そういうことを軽々に言うべきものではない。イモ類というものは、何しろ畑でございまして、夏作でございますので、これは維持成長させるべき産業だ、こういうふうに思っております。
  96. 寺島隆太郎

    ○寺島小委員 実は、問題はそこなんです。前長官のときに、前長官と振興局長と両者並べておいて、両者からそれぞれ一本ずつ、イモについて食糧庁長官は何と考えるか、私はこれは成長作物とは考えません、しからば同じ畑を管理しておる振興局長はどうか、同様な考えだと、思想統一。これは速記録を調べればあるのですが、そこで、振興局長がそれをとって、イモ作の及ばないところは落花生に転換させているんだということで、イモをやめて落花生をこしらえている連中があるのです。これは大損をしておるのです。そこで、ある程度イモも守っていかなければならぬという安田長官の考えは正しいと思います。そこで、どういうところで結びついていくかというと、結晶ブドウ糖なり酵素糖化のブドウ糖なんです。  そこで、特に第二部長に伺いたいのですが、一体、酵素糖化のブドウ糖結晶ブドウ糖というものはどういうふうに利用されているかという利用の実態について、当方でもいささか調査いたしておりますから、その農林省の調査の経過を速記録にとどめておきたいと思いますのでお話し願いたいと思います。
  97. 中西一郎

    中西説明員 結晶ブドウ糖用途別、どういうふうな消費状況になっておるか、精製ブドウ糖についてもあわせて調べたわけでございますが、ここ一年ほどさかのぼりまして約一年間の実績を申しますと、結晶ブドウ糖については、約五%、三千トンばかりがパン用でございます。それから、ビスケットに約四%、二千五百トンばかり、それから、製菓が一番ウエートが高くて四九%、二万七千トンばかり、カン詰用に約四%、二千トンばかり、ジュース、清涼飲料等に、これも約四%、二千トン、醸造用の酒関係が約三%、千五百トン、医薬関係、ソルビット関係約九%、五千トンであります。そのほか約一八%と推定されておりますが、砂糖に混入されておる分があるようであります。  精製ブドウ糖につきましては、同様の順序で申し上げますと、四%が製パン、一一%がビスケット、二六%が製菓用、三%がカン詰、同じく三%がジュース・清涼飲料、一〇%がグルタミン酸ソーダ、これは結晶ブドウ糖は使っておりませんが、精製ブドウ糖をこのように使っておるようでございます。三%が醸造用、その他四%、合計五万八千トンばかり。結晶ブドウ糖は、申し落としましたが、全体で五万五千トンばかり。合わせて十一万数千トンというのがここ約一年半の実績になっております。
  98. 寺島隆太郎

    ○寺島小委員 そこで、その答弁をそのまま肯定いたしますと、結局飛躍的に結晶ブドウ糖なり酵素糖化ブドウ糖なりを伸ばしていくためには、どうしても普通の砂糖に強制的に混糖させる工夫を講じていかなければならないと思いますが、これに対していかように考えておりますか。
  99. 安田善一郎

    安田政府委員 私個人はという意味で、私見を述べる意味でそう国会の先生にも申し上げたことがございます。ただ、これを法律や指導やその他の援助措置を添えて何かするということはやれるかどうか、目下検討中でございまして、必ずしも自信はございません。外国では、相当の先進国で文化程度が高くてもそういうことをやっておることも承知いたしております。なお重要な検討事項と思っております。さらに、ブドウ糖の製造方法で飛躍的に生産費を安くしたりする、従来でない方法はありそうであります。これは私どもまだそういう特殊の技術や試験のことについてまでは内容に立ち入りませんけれども、要は、先生の御指摘の砂糖とブドウ糖を混入すること、さらに、そうおっしゃいますことは、消費拡大をどうするかということを、栄養のことを含めて申しておられると思いますが、それらの点はよく研究もいたしまして、研究がついたときはすみやかに実行できますように努力したいと思います。
  100. 寺島隆太郎

    ○寺島小委員 今安田さんの説明はだいぶ用心した説明ですけれども、昨年まで、業務第二部長説明によれば、ブドウ糖と砂糖をまぜると、愛情のない夫婦のようなもので、互いに甘さが減じてしまう、こういう答弁でわれわれはごまかされてしまった。しかし、実際にマーケットを見て、どこのデパートでブドウ糖の現物を売っているかということを食糧庁のうしろに控えているあなたの方の役人に調べさしたことがありますか。銀座の松屋と浅草の松屋に売っているのです。しかし、ブドウ糖そのものは一年間に一袋しか売れないのですよ。しかし、ブドウ糖に砂糖を混糖したものは、一日にそれぞれのマーケットで十数袋売れている。それで、見込みを聞いてみると、ブドウ糖と砂糖をまぜたものは、両者の特長を出し合って非常に味がソフトでよろしいという。しかもそれは三井物産という巨大なメーカーが扱っておる。農林委員会における当時の村田前部長の答弁とまるきり違っておる。こういう状態もあわせてそんたくして、今後混糖法というものにぜひ踏み切るような準備と用意とを食糧庁においても御検討願いたい。これに対する所見をあわせて伺いたい。
  101. 安田善一郎

    安田政府委員 前部長が申しましたことをあるいは私から率直に申し上げれば、勉強足らずであったと思います。先生の御指摘のような措置をいかにしてとるかとか、どのくらいでとれるとか、戦時中のような混入の強制もできないと思いますが、しかし、産業というものは平均的な利潤をもって成り立てばよいので、特にこれは製造工業の場合はそうだと思いますので、外貨割当を維持しておるようなものについては、そういうような際に考慮が払えないものでもないかと、断定は今私はよういたしませんが、口先だけで検討と言うのではなしに、具体性を持った施策になり得ることとして研究中でございますので、きょうはこのくらいで一つお許しを願いたいと思います。
  102. 寺島隆太郎

    ○寺島小委員 あと安田さんなりに個人的に相談をいたしましょう。混糖が具体的に行なわれてブドウ糖需要が拡大するよう措置されるように要望いたしまして、私の質問でなく要望を終わります。
  103. 丹羽兵助

    丹羽委員長 本日はこれにて散会いたします。   午後五時二十分散会