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1961-10-30 第39回国会 衆議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月三十日(月曜日)    午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 中島 茂喜君    理事 草野一郎平君 理事 堀内 一雄君    理事 宮澤 胤勇君 理事 飛鳥田一雄君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君       小笠 公韶君    小澤佐重喜君       金子 一平君    島村 一郎君       藤原 節夫君    保科善四郎君       足鹿  覺君    緒方 孝男君       岡田 利春君    木原津與志君       杉山元治郎君    田口 誠治君       中村 重光君    西村 力弥君       山内  広君    山花 秀雄君       横路 節雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  木村 三男君         防衛庁参事官         (長官官房長) 加藤 陽三君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君         防衛庁参事官         (装備局長)  久保 忠雄君         調達庁長官   林  一夫君         調達庁次長   眞子 傳次君         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      大石 孝章君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     沼尻 元一君         外務政務次官  川村善八郎君         外務事務官         (アメリカ局         長)      安藤 吉光君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君  委員外出席者         防衛庁参事官  麻生  茂君         総理府事務官         (調達庁不動産         部次長)    小宮山 賢君         総理府技官         (調達庁不動産         部連絡調査官) 石川  厳君         総理府事務官         (調達庁不動産         部連絡調査官) 高野藤吉郎君         農林技官         (農地局参事         官)      堀  直治君         自治事務官         (行政局行政課         長)      岸   昌君         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 十月三十日  委員小沢辰男君、八田貞義君、緒方孝男君、杉  山元治郎君、原茂君、柳田秀一君、山内広君、  山花秀雄君及び井堀繁雄辞任につき、その補  欠として加藤常太郎君、石田博英君、岡田利春  君、太原津與志君中村重光君、西村力弥君、  横路節雄君、足鹿覺君及び受田新吉君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員足鹿覺君、岡田利春君、木原津與志君、中  村重光君、西村力弥君及び横路節雄辞任につ  き、その補欠として山花秀雄君、緒方孝男君、  杉山元治郎君、原茂君、柳田秀一君及び山内広  君が議長指名委員に選任された。      ――――◇――――― 十月二十七日  恩給年金等受給者処遇改善に関する請願(  井堀繁雄紹介)(第一八四九号)  同(池田正之輔君紹介)(第一八五〇号)  同外二件(岡田修一紹介)(第一八五一号)  同(岡本茂紹介)(第一八五二号)  同(黒金泰美紹介)(第一八五三号)  同(河本敏夫紹介)(第一八五四号)  同外三十一件(床次徳二紹介)(第一八五五  号)  同外三件(濱田正信紹介)(第一八五六号)  同(山田彌一紹介)(第一八五七号)  同(板川正吾紹介)(第一九九四号)  同(大沢雄一紹介)(第一九九五号)  同(坂田英一紹介)(第一九九六号)  同(椎熊三郎紹介)(第一九九七号)  同(鈴木正吾紹介)(第一九九八号)  同(高田富與紹介)(第一九九九号)  同(竹山祐太郎紹介)(第二〇〇〇号)  同(濱田正信紹介)(第二〇〇一号)  同(保利茂紹介)(第二〇〇二号)  同外二十二件(細田義安紹介)(第二〇〇三  号)  同(山内広紹介)(第二〇〇四号)  同(青木正紹介)(第二〇五七号)  同(荒舩清十郎紹介)(第二〇五八号)  同外四十件(池田清志紹介)(第二〇五九  号)  同(神田博紹介)(第二〇六〇号)  同(島本虎三紹介)(第二〇六一号)  同(舘林三喜男紹介)(第二〇六二号)  同(濱田幸雄紹介)(第二〇六三号)  同(松澤雄藏紹介)(第二〇六四号)  同(三池信紹介)(第二〇六五号)  文部省に産業技術教育局設置に関する請願(中  澤茂一紹介)(第二〇〇五号)  米軍演習場リマ地区」設定に伴う漁業被害補  償に関する請願川野芳滿紹介)(第二〇六  六号)  金鵄勲章賜金受給者処遇に関する請願(倉石  忠雄紹介)(第二〇六七号)  寒河江寒河江町外三地区等寒冷地手当増額  に関する請願牧野寛索紹介)(第二〇六八  号)  解放農地補償に関する請願外三百二十三件(安  倍晋太郎紹介)(第二一二七号)  同外二件(逢澤寛君紹介)(第二一二八号)  同外四件(青木正紹介)(第二一二九号)  同外四百七十五件(赤澤正道紹介)(第二一  三〇号)  同外五百四件(荒木萬壽夫紹介)(第二一三  一号)  同外四百五十四件(荒舩清十郎紹介)(第二  一三二号)  同外百七十六件(有馬英治紹介)(第二一三  三号)  同外五百四十八件(伊藤五郎紹介)(第二一  三四号)  同外五百二十九件(伊藤幟紹介)(第二一三  五号)  同外二十二件(伊能繁次郎紹介)(第二一三  六号)  同外八百五十五件(飯塚定輔紹介)(第二一  三七号)  同外二百六十二件(池田正之輔君紹介)(第二  一三八号)  同(稻葉修君紹介)(第二一三九号)  同外百五十六件(上村千一郎紹介)(第二一  四〇号)  同外七百三十四件(植木庚子郎君紹介)(第二  一四一号)  同外十二件(臼井莊一君紹介)(第二一四二  号)  同外五十三件(内田常雄紹介)(第二一四三  号)  同外二十件(江崎真澄紹介)(第二一四四  号)  同外四十五件(遠藤三郎紹介)(第二一四五  号)  同外千九十二件(小澤太郎紹介)(第二一四  六号)  同外四百十九件(大久保武雄紹介)(第二一  四七号)  同外四十九件(大沢雄一紹介)(第二一四八  号)  同外八十七件(大高康紹介)(第二一四九  号)  同外百二十五件(大竹作摩紹介)(第二一五  〇号)  同外四百八件(大野伴睦紹介)(第二一五一  号)  同外五百二件(大橋武夫紹介)(第二一五二  号)  同外三百十三件(大村清一紹介)(第二一五  三号)  同外千五十二件(岡田修一紹介)(第二一五  四号)  同外四十九件(海部俊樹紹介)(第二一五五  号)  同外六件(金子一平紹介)(第二一五六号)  同外百五件(金丸信紹介)(第二一五七号)  同外三百一件(鴨田宗一紹介)(第二一五八  号)  同外二百五十七件(簡牛凡夫君紹介)(第二一  五九号)  同外二十五件(北澤直吉紹介)(第二一六〇  号)  同外四十七件(久野忠治紹介)(第二一六一  号)  同外百十三件(久保田円次紹介)(第二一六  二号)  同外三百六十三件(藏内修治紹介)(第二一  六三号)  同外五十九件(黒金泰美紹介)(第二一六四  号)  同外五百八十三件(小枝一雄紹介)(第二一  六五号)  同(小金義照紹介)(第二一六六号)  同外六十四件(纐纈彌三君紹介)(第二一六七  号)  同外六百五件(佐々木義武紹介)(第二一六  八号)  同外二件(佐藤虎次郎紹介)(第二一六九  号)  同外四十三件(佐藤洋之助紹介)(第二一七  〇号)  同外八十九件(齋藤憲三紹介)(第二一七一  号)  同外九百七十七件(坂田英一紹介)(第二一  七二号)  同外三百二十四件(坂田道太紹介)(第二一  七三号)  同外三百三十九件(櫻内義雄紹介)(第二一  七四号)  同外十三件(笹本一雄紹介)(第二一七五  号)  同外四百三十七件(薩摩雄次紹介)(第二一  七六号)  同外二件(始関伊平紹介)(第二一七七号)  同外四十一件(澁谷直藏紹介)(第二一七八  号)  同外六十三件(鈴木正吾紹介)(第二一七九  号)  同外六十一件(鈴木仙八君紹介)(第二一八〇  号)  同外十七件(砂原格紹介)(第二一八一号)  同外二百五十件(園田直紹介)(第二一八二  号)  同外四十二件(田澤吉郎紹介)(第二一八三  号)  同外七十件(田中角榮紹介)(第二一八四  号)  同外三百件(田中彰治紹介)(第二一八五  号)  同外七十九件(田邉國男紹介)(第二一八六  号)  同外三十七件(高橋清一郎紹介)(第二一八  七号)  同外八件(竹内俊吉紹介)(第二一八八号)  同外六百六十三件(竹下登紹介)(第二一八  九号)  同外三十一件(千葉三郎紹介)(第二一九〇  号)  同外二百五十六件(塚田十一郎紹介)(第二  一九一号)  同外二十件(寺島隆太郎紹介)(第二一九二  号)  同外四百五十九件(徳安實藏紹介)(第二一  九三号)  同外二十三件(内藤隆紹介)(第二一九四  号)  同外百件(中垣國男紹介)(第二一九五号)  同外二百四十九件(中島茂喜紹介)(第二一  九六号)  同外二百七十一件(中曽根康弘紹介)(第二  一九七号)  同外九十九件(中野四郎紹介)(第二一九八  号)  同外二百六十三件(中村梅吉紹介)(第二一  九九号)  同外五十四件(中山榮一紹介)(第二二〇〇  号)  同外三十六件(永山忠則紹介)(第二二〇一  号)  同外二百二十二件(南條徳男紹介)(第二二  〇二号)  同外四十六件(丹羽喬四郎紹介)(第二二〇  三号)  同外二十一件(丹羽兵助紹介)(第二二〇四  号)  同外三百三十件(西村直己紹介)(第二二〇  五号)  同外二千三百四十二件(野原正勝君外二二名紹  介)(第二二〇六号)  同外三十二件(羽田武嗣郎紹介)(第二二〇  七号)  同外二百六十件(馬場元治紹介)(第二二〇  八号)  同外三件(橋本龍伍紹介)(第二二〇九号)  同外百七十九件(八田貞義紹介)(第二二一  〇号)  同外千四百四十四件(濱田正信紹介)(第二  二一一号)  同外百三十八件(濱野清吾紹介)(第二二一  二号)  同外四十一件(原田憲紹介)(第二二一三  号)  同外十三件(福家俊一紹介)(第二二一四  号)  同外百十三件(福田赳夫紹介)(第二二一五  号)  同外五百九十五件(福田一紹介)(第二二一  六号)  同外五百八件(福永一臣紹介)(第二二一七  号)  同外二十四件(藤井勝志紹介)(第二二一八  号)  同外百八十九件(藤田義光紹介)(第二二一  九号)  同外千二百七十一件(藤原節夫紹介)(第二  二二〇号)  同外三十四件(藤本捨助君紹介)(第二二二一  号)  同外四百十八件(古井喜實紹介)(第二二二  二号)  同外十四件(古川丈吉紹介)(第二二二三号  )  同外九十九件(細田吉藏紹介)(第二二二四  号)  同外百四十一件(堀内一雄紹介)(第二二二  五号)  同外四十三件(前田義雄紹介)(第二二二六  号)  同外五百四十一件(牧野寛索紹介)(第二二  二七号)  同外三百九十五件(松浦東介紹介)(第二二  二八号)  同外四十二件(松澤雄藏紹介)(第二二二九  号)  同外十二件(松永東紹介)(第二二三〇号)  同外七百七十二件(松野頼三君紹介)(第二二  三一号)  同外三十四件(三浦一雄紹介)(第二二三二  号)  同外二十六件(三和精一紹介)(第二二三三  号)  同外十五件(森清紹介)(第二二三四号)  同外百二件(森田重次郎紹介)(第二二三五  号)  同外百五十九件(柳谷清三郎紹介)(第二二  三六号)  同外二件(山口六郎次紹介)(第二二三七  号)  同外千一件(山崎巖紹介)(第二二三八号)  同外一件(山手滿男紹介)(第二二三九号)  同外六十件(山村新治郎紹介)(第二二四〇  号)  同外百五十九件(吉田重延紹介)(第二二四  一号)  同外四十件(早稻田柳右エ門紹介)(第二二  四二号)  同外二十三件(渡邊良夫紹介)(第二二四三  号)  同外六十七件(村上勇紹介)(第二三七七  号)  同外四百二十六件(松村謙三紹介)(第二三  七八号)  内閣行政における部落解放総合政策樹立に関す  る請願田原春次紹介)(第二二五八号)  公務員の賃金引上げ及び権利保障に関する請願  (河野密紹介)(第二二六六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二十七日  定員外職員定員化に関する陳情書  (第五八三号)  恩給年金等受給者処遇改善に関する陳情書  (第  五八四号)  小牧飛行場周辺騒音防止対策確立に関する陳  情書(第五八五  号)  解放農地補償に関する陳情書外四件  (第六一五  号)  同外四件  (第六一六号)  同外八件  (第六一七号)  同外三件  (第六三四号)  農林省園芸局新設促進に関する陳情書  (第六三三号)  隔遠地手当及びへき地手当格差是正に関する  陳情書(第六三六  号)  板付米空軍基地労働争議早期解決に関する陳  情書(第六八九  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件      ――――◇―――――
  2. 中島茂喜

    中島委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。飛鳥田一雄君。
  3. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 まず最初に防衛庁長官に、横浜市にあります上瀬谷通信隊の問題について伺いたいと思います。これは参議院の方ですでに相澤君がいろいろ伺っておりますので、私が別に新しく伺う必要はないと実は考えておったのですが、基地の方で非常に態度が硬化して参りまして、すわり込みまでやってのけよう、こういうような状況になって参りましたので、もう一度詳しく伺っておきたい、こう考えたわけです。   〔委員長退席草野委員長代理着席〕  まず第一に、上瀬谷通信基地中心にいたしまして、約一・六キロの円内において、土地所有者所有権行使が非常に制限されている、こういうことでありますが、その制限根拠がどこにあるのか、一度調達庁長官から伺っておきたいと思います。
  4. 林一夫

    ○林(一)政府委員 地位協定第三条第二項の後段でございます。その条文を申し上げましょうか。
  5. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 いや、お読みいただかないでけっこうです。  しかし、地位協定第三条の二項後段は、関係法令範囲内において、あなた方が米軍のために便宜を提供すればよろしいことになっておると思いますが、それでは関係法令というのは何と何ですか。
  6. 林一夫

    ○林(一)政府委員 現在私どもが考えておりますのは、たとえば電波法とか、あるいは都市計画法とか、首都圏整備法というような法令と考えております。
  7. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 電波法の何条ですか。
  8. 林一夫

    ○林(一)政府委員 電波法米軍施設には適用はないのでございますが、日本通信施設に関して制限を加えるというようなことについての規定はございます。
  9. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 それでは関係法令範囲内ということにならぬのではないでしょうか。
  10. 林一夫

    ○林(一)政府委員 もちろんこれは現在の電波法適用になりません。これを改正すればともかく、現在の電波法はもちろんこれには適用ないということでございます。
  11. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 ずいぶんひどい話で、基地があって、基地内については、すでに調達庁から借り上げられているとか、あるいは強制収用を受けるとか、何らかの形で法的な制限を受けるということについては、その人たち関係法令範囲内でやむを得ない、こういうことになると思いますが、基地外の、何の基地との関係もない、しかも調達庁との契約関係もない、何のあれもないものがどうして制限を受けるのか。これは憲法によって所有権行使というものは保障されているはずでしょう。その憲法によって保障されているものが、何の法規根拠もなくして所有権制限を受けるのは、一体どういうわけなんですか。関係法令というのは何ですか。電波法だとおっしゃるから伺ってみると、電波法適用ないとおっしゃる。何ですか。
  12. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この「合理的な措置関係法令範囲内で執るものとする。」ということは、これはもちろん向こうの要求に対して、現在の関係法令でとれる措置を考えるということでございます。もちろん現在の関係法令範囲内でとるとすると、いろいろ実際上には問題がありまして、非常に困難であるということでございます。
  13. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 困難であるということで、現実には農民所有権行使制限しているということになっているわけです。しかしあなた方が困難であろうとなかろうと、国民法律によって保護されるのでしょう。政府自身が法を踏みにじっていいのですか。ですからこの問題について地元の人が納得しないのはあたりまえじゃないでしょうか。基地があって、その一・六キロメートルの周辺の中で、すでに安藤鉄工所という鉄工所もその中に工場を建てようとした。大日向製作所というのも建てようとした。霧島工機というのも建てようとした。奥村鉄工というのも工場を建設しようとした。横浜市も市営住宅を建てようとした。そしてここで一番困っていますのは、上瀬谷という小学校がこの一・五キロメートルの範囲内に分校を作ろうとしたところ、これもチェックされた。子供たち一つの教室の中にむれているわけです。がやがや、ごよごよ、大へんなことです。そういう所有権行使現実にはみんなチェックされているわけです。どこでチェックをされているのかと言って聞いてみますと、県も市もみんなあいまいなんです。外務省の方から、できれば慎重にやってくれということを言ってきているというだけなんです。それはいけませんという理由は一つもないのですが、ところが現実にはいけませんというので建てさせない。そこで米軍の方の意向というものを聞いてみますと、基地近接の区画は建物の高さを制限する、それから屋外電気電話配線を事前に米軍と協議する、こういうようなことを言い、雑電波を発する工場などはここに建てないでもらいたい、非常に強硬なわけです。一体何によって人は生活をしていけばいいのですか。法律を信じて生活をしていけばいいのですか、それとも政府の御都合というものを信じて生活していけばいいのですか。根拠法規をはっきりおっしゃって下さい。
  14. 林一夫

    ○林(一)政府委員 上瀬谷通信施設周辺建築制限につきましては、私どもその対策に非常に苦慮しておるのであります。この周辺建築制限について米側要求がありました際、政府としましては、この周辺地域における建造物がどの程度その施設に対して電波障害を与えるか、その程度とか範囲とか、その他どの程度建物がこれに対して障害を与えるかというような、主として技術的な問題につきまして、合同委員会下部機関であるところの周波数分科委員会に付託をいたしまして研究を続けてきておるのでありますが、いずれにしましても、建築をある程度制限しなければ電波障害を起こすというような現状でございます。結局周辺土地所有者に大きな迷惑を及ぼす、影響を与えるという重大問題でございますので、私どももその対策に全力をあげて検討に当たっておるのでございますが、なかなかむずかしい問題でございまして、まだ成案を得ていないのであります。このような問題はやはり関係各省に関する問題でございますので、現在内閣審議室中心としまして、さらにこの五月にできました基地周辺等対策協議会というようなものの議題に取り上げまして、現在検討しておる段階でございます。現在各工場につきましては建築を中止しておるというような事態がありまするが、これは地元市町村長、県、軍、調達庁、こういう関係者が集まりまして相談の上、そのようなことが円満に行なわれておる。これは結果的に見ると、土地所有者には迷惑を及ぼすというような結果を来たしておるというわけで、この問題にははなはだ頭を悩ましておる現状でございます。
  15. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 頭を悩ましてすでに三年でしょう。この電波の問題が日米合同委員会で持ち出されたのは、すでに三年前だと僕は聞いています。三年たってまだ解決ができないというのはおかしいのじゃないでしょうか。しかも三年間も法律的な何らの根拠なしに、農民土地所有権行使をチェックしたままでいるというのは、これは重大問題じゃないでしょうか。三年間も農民土地所有権行使をチェックするという権利は、一体どこから出るのです。円満な話し合いなどといってみたところで、それは知事さんなり、市長さんなり、関係各省のお役人の間だけでしょう。そういう土地所有者が加わった円満な話し合いなら、お互いの合意ができ上がったのだからいいですが、いわゆる第三者の行政官庁の円満な話し合いじゃないですか。そういうものが国民権利を三年間もチェックする法律的根拠になりますか。根拠になるかならないか、それを伺いましょう。
  16. 林一夫

    ○林(一)政府委員 法律的根拠があればよろしいのですが、法律的根拠がないので困っておるのです。この制限区域が、この問題の解決が長くかかっておりますのは、何しろ影響を与える地域が非常に広いということ、そうして実際問題としてどの程度電波障害があるのか、またどの程度これを制限したらいいかというような、技術的な調査に相当時間をとられておるのです。また今申し上げたように、建築物制限することが法令的に非常にむずかしいというようなことで、その対策検討に手間取っておるわけであります。
  17. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 防衛庁長官にちょっとこの点だけ伺いたいのですが、何らの法律的根拠がない、あればよろしいのですがと、調達庁長官は非常に率直におっしゃるわけです。何らの法律的根拠なしに、あればよろしいのですがという形で、現実には三年間も所有権行使をチェックしているのですよ。これは明らかな国の不法行為ではありませんか。法律上の根拠なくして、国民憲法に保障された権利をチェックするというのは不法行為ではありませんか。この点だけを答えて下さい。
  18. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 事情はもうすでに御承知の通りなんでございます。それで現在まで米側要求と、現在の日本法律と、そういうものとのいわば食い違いというわけであります。しかしながら一方においてこの通信施設というものが相当重要なもので、ある程度米側が言っているものの全部ではございませんけれども、相当部分は何かやってやらなければならぬという現実事情もございます。従いまして今までそこに建物を建てるとか、そういうことについていろいろ話し合いで進んで参ったのでございますが、今後といたしまして、考えられることは、ただいま御指摘になりましたように法令根拠がなくて、現実には土地所有権者がその所有権をフルに発揮することが拒まれているという事情はございます。従いましてそれをいかなる形で、話し合いの上において、その土地所有権者が完全に所有権行使することがある程度拒まれることによる問題を解決するかということにしぼられて参ると思うのでございます。そういう意味で調達庁長官がお話し申し上げたように、その解決に努力を払っておるというのが現状でございます。
  19. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 何か僕は問題の立て方が違うような気がするのです。一体地位協定なり安保条約なりというものは、日本政府がアメリカに対してサービスをするための条約じゃないはずでしょう。お互いに権利義務を規定したものだと思うのです。これを肯定する立場に立ってみてもです。だとすれば、関係法令範囲内で処理をしてやる義務はあります。ですが、関係法令がたまたま不備であったら、日本人のために作られた関係法令ですから、米軍のために必ずしも御都合がよくない場合もあり得る。そういう場合にもその関係法令範囲を越えてまで、サービスをしてやる責任が一体どこにあるのですか。そういうのを残念ですが屈辱的態度というのですよ。僕はこの新地位協定が前の国会で出されたときに、外務省がPRなさったのを今でも覚えているわけです。きょう。パンフレットを持っていませんが、持ってきて読み上げてもけっこうです。この第三条に関しては関係法令範囲内で処理をするということになったのであって、前の行政協定に比べればはるかなる進歩だということがたしか書いてあったはずです。ところがそのはるかなる進歩はやがて後退して、前より悪くなっているじゃありませんか。あなた方はあの通信施設が非常に重要な機能を持っている、だから何とかしてやらなければいかぬのだ。もっと追い詰めれば、アジアの国際的平和と安全の維持のためにとおっしゃるでしょう。ですが、それは政府当局者のあなた方がお考えになっているだけであって、その周辺農民はそう考えているかいないか、あるいはまたそういうことを認識するだけの資料は持っていないのです。だとすれば、その人たち法律によって保護されたものは、法律によって実行してもらいたいということになるのが当然で、それは一つ政府の恣意によって彼らの所有権行使制限しているとしか思えないわけです。関係法令範囲内でということは、現在ある関係法令範囲内でやって差し上げれば、この条約に定めた義務は尽くせるという意味でしょう。
  20. 安藤吉光

    安藤政府委員 お答え申し上げます。ただいまお言葉にありました通り、この地位協定は安保条約六条に基づいて、要するに米軍日本施設を持ち、その機能を発揮するということは、今おっしゃいました通り日本の安全並びに極東の平和安全維持という大きな目的のためでございます。具体的施設ができましたときに、この施設の円滑なる運営のためにいろいろなことが起こるわけでございます。上瀬谷の問題もその一つであります。その場合に関係法令範囲内でやるということもまた先ほどから申されておる通りであります。実際問題といたしまして種々法令関係で、日本通信施設適用あるような法令が、その場合適用がないという事態もございます。しかしまた一方、たとえば民法に定める買収とかあるいはその他の方法によって解決し得る手段もございます。先ほどからお話のありましたように、米軍施設の円滑なる運用を期しますために、日本政府としてはこれらの諸法令を勘案いたしまして、できるだけのことをする、それが非常におくれていることは、私も安保合同委員会のメンバーといたしまして、まことに遺憾でございます。一生懸命やっておる次第でございまして、法律上の関係は大体そのように理解しております。
  21. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 あまり言いたくないのですが、一生懸命なさってもう三年たつのですよ。人生かりに二十から意識を持ったとして、六十までとすると四十年しかないでしょう。そのうちもう三年やられてしまっているのですよ。三年もほっぽっといて、こんなことはできるだけ言いたくないのですが、一生懸命やっております、どうぞ御了解をなどと言ったって、できないじゃないですか。安保条約の期間は何年ですか。
  22. 安藤吉光

    安藤政府委員 十年でございます。それからちょっとつけ足させていただきますが、三年の間に、これは非常に専門的な問題でございますが、双方の専門家が寄りまして、一体どの程度範囲があればいいかというようなことを話し、この間に範囲を非常に縮小したり、そういった点にも非常に時間がかかった点を御了承願いたいと思います。
  23. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 十年の条約期間で、前の期間も少し含めておりますが、すでに三年を経過してしまったということは、重大問題ではないでしょうか。あなた方安保条約を僕らの反対を押し切って強行突破なさったけれども、一体ほんとうに実感を持ってこれを守るおつもりなのですか。アメリカに対して守ったってだめなのですよ。国内に対しても安保条約でお前さんたちはこれだけしか権利制限されないのだということを、国民に対しても約束なさったはずなのですよ。ところが国民に対しては、上瀬谷農民は三年もだらだらほっぽっておく。これは言いたくありませんが、直接雇用の人は一年半もほっぽっておく。国民に対して条約をきちっと実践してみせる誠意があるのですか。ないものとしか考えられないのです。それを一つお答え願いたいことと、もう一つは三年間いろいろな話をして範囲を縮めたりしてきた、こうおっしゃるのですが、なぜ三年前に合同委員会にこれがかかったときに、すぐ上瀬谷農民たちに、この範囲はだめですよということを初めからおっしゃらないのですか。ほっぽっておいて上瀬谷農民は全然知らない、そうしてだんだんあっちへ工場を建てようとするとけられた、こっちへ工場を建てようとするとけられた。そのけられるのでも、日本金属の場合などは調達庁がないしょでもってそっとおやりになったのじゃないですか。そして全然知らせずにおいて、ぎりぎりになってきてこっちから聞きにいくと、初めてしぶしぶ返事した。同じ三年間でも非常に不親切な三年間じゃないでしょうか。僕はこういうことを外務省、調達庁がおやりになるとは思えないのですが、しかし現実にはあった。これに対する三年間法律根拠のないことを、林さんも藤枝さんもはっきりお認めになった。法律上の根拠なくして三年間この人たちを苦しめてきた、所有権行使制限してきた損害賠償は、どうやって払うつもりですか。これが第二です。そしてそれは明らかなる条約違反です。条約というのは、アメリカに対して義務を負うだけじゃないのですよ、くどいことを言いますが、国民に対しても、この範囲であなた方は権利制限される場合がありますから、それは了承して下さい、こういうことだからこそ国会にかけるのでしょう。もし国民に対して権利も義務も生じないようなものなら、いわゆる行政協定としてあなた方は国会を通過せずに、政府単独でお結びになっているはずです。技術的な問題だからよろしいのだという御説明です。国会にかけたということは、国民権利、義務はこの範囲で生じ、失われるのだということを、国民にはっきり示すためにこそ出しているのでしょう。それを三年間もほっぽっておいて、国民に対して安保条約の実現をしていない、行政協定の実施をしていない、こういうことにならざるを得ないと思いますが、この点くどいようですが、相澤君も伺い、僕もこの前の国会で伺っても、何にも問題が進展しないのですから、くどく伺わざるを得ないのです、どうですか。
  24. 安藤吉光

    安藤政府委員 条約の点について申し上げます。条約の関係は先ほど申し述べました通りでございます。もちろんこれは関係法令範囲内でやるということも明文で書いてございます。関係法令範囲と申しますのは、禁止そのものの範囲のみならず、積極的には話し合による民法上の措置をとるということも含まれておると思います。その措置が非常におくれているものについては、鋭意いろいろな折衝をしておるのですが、今までおくれておるということはこれは事実でございます。
  25. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 うそを言ってはだめですよ。それでは一体何日と何日と何日に外務省と調達庁はあの土地農民と折衝しましたか。日にちを言って下さい。
  26. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 先刻来お話がございましたように、前の行政協定並びに現在の地位協定では、米軍はこういう電波障害になるようなものにつきましては、その法外措置日本側に要求するという権能があるわけでございますが、しかしそういうアメリカの要求が妥当であるとしても、これを国内的に実施するためには国内法を待たなければならない。ところが先ほどお話がございましたように、この関係法令として電波法等が考えられるとしても、それでそういう米側要求を強制するというような力は持っていない。そういうことから、やはりアメリカの要求が妥当であるとしても、それを解決するためには住民との話し合いによらなければならないのだ。しかし住民と話し合うにしても、米側からの要求は、電波障害になるような建造物を建てる場合には、全部が全部建物がいけないというわけではないのですが、電波障害になるような建物は建ててもらいたくない、そういう措置日本側が講じてくれということでございますが、しかし住民と話し合う場合においても、一体どういった程度建物がいけないのか、この施設周辺ではこういった程度建物は因る、少し離れればこういった建物は差しつかえないとか、そういった程度のことがわからないでは、住民とも話し合いができないではないかということが、各省間でいろいろ議論されました。その結果、この周囲にある建物米軍施設にどういう影響を与えるかとか、あるいは制限の態様というようなことにつきましては、やはり電波の専門官である郵政省が軍側と協議してもらうという以外に道はないということで、郵政省を通じて長い間米側とそういう詳細なことを協議しておったわけでございます。そういった点が大体最近郵政省を通じてほぼ明らかになってきたわけでございます。それで従来地方住民との話し合いということは、直接は行なわれていないわけでございます。ただ先ほど話が出ました日金工の場合は、やはり日金工さんに建ててもらっては困るという法律的な根拠はありません。ただ米側からはそういう意向が出ております。そしてまた解決の途中でもありますので、そういう点何とかならないものかというような御相談を申し上げて、他に移転してもらったというようなことでございます。
  27. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 僕は何日と何日と何日に土地所有の人々と話し合ったのかということを言っている。安藤アメリカ局長は、今まで何べんも話し合ってきた、話し合いの過程で片づけるのだ、場合によれば民法による買収ということもあり得るのだ、それも関係法令範囲内だとおっしゃるから、それならば三年間でどのくらい話し合いをなすったのかということを伺ったところ、あなたは長々と今までの経過を御説明になる。みな知っているのですよ。問題をそらさずにやっていただきたいものですね。一体三年間もたって、法律上の根拠もなしに、やみくもに行政措置権利行使を妨げられている農民たちに対して、ただの一ぺんも交渉してないというのはどういうわけですか。およそ政治というものは国民を納得させるということが原則のはずですが、この点について長官、いかがでしょうか。あまりばかばかし過ぎて話にならない。
  28. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 経過は申し上げたようなことで、農民と申しますか、土地所有者の方々と話し合いをするその前提になる調査を今までやっておる。それが大体きまりまして、ほぼ固まりかけております。従いまして今後は、それを達成するためにどういう形をとるのが妥当であるかということで、土地所有者の方々と話し合いをするような段階に入るということでございます。
  29. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 また話し合いに入って三年くらいたつのじゃないですか。そうすると都合六年になりますが、どうでしょう。
  30. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 受けて下さる土地所有者の方々のお気持にもよりまするが、話し合いの段階に入りますれば、私どもはできるだけ早くその問題を解決したいと考えておる次第でございます。
  31. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 ところがその点についても非常な疑問を持たざるを得ないわけです。と申しますのは、ここの土地所有者たちは、北富士や東富士のようにすわり込んだり、いわゆる実力行使をしなければ片がつかないというのはおかしい。だからできるだけ話し合いでということで、何べんも何べんも県の渉外部を通じてこちらにもお伺いに上がったはずですし、内山知事もぜひ一つ何とかおれが話し合いで片をつけるから、むしろ旗を立てないでくれ、こうおっしゃり、土地人たちも、私たちに言わせれば少しのろいと思うのですが、現実にそれを守ってきたわけです。ところが一向進展していない。そして知事もとうとうこう言っています。もう自分としても手段を尽くして、尽くし終わった。だからこの人たちにもうこれ以上実力行使をするなと私も言えないと、ちゃんと言っているのですよ。それほど土地人たち話し合いを求めていたにもかかわらず、ただの一ぺんも今部長さんのお話では、農民話し合いをしていない。こっちの話が、米軍との話がきまらない以上会ったってしょうがないという態度でしょう。それがこれから先の話し合いをスムーズに進展させるもとでしょうか。やはり途中でも今米軍とこういう話をしている、だから君たちももうちょっと待ってもらえないだろうかとおっしゃるのが、スムーズにいく原因だろうと思うのですよ。ところが合同委員会オンリー、しかもその合同委員会だって結論が出てないはずです。出ているのですか。もし出ているとすれば、日本側の要求がぺしゃんこになった形で出ているはずです。一体これから先、長官のおっしゃるようにそんなに早くいくでしょうか。この問題にあまり長くこだわっているのはいやですからケリをつけたいのですが、何カ月以内に、どういう方針でやるか、こういうことを聞かしていただきたいと思うのです。私たちの考えている解決方法とは違うだろうと思いますが、具体的に伺わしていただきたい。現に江崎さんもこの前の北富士の問題についてかなりずばっとしたことをおっしゃり、それが次の藤枝さんをある意味で困らせはしただろうけれども、やはりそれが解釈を急がせる原因になるだろうと思います。あなたもお困りだったと思いますが、やはりずばりと言われると解決が早い。そういう意味で何カ月以内に、どういう方針でやるか、こういうことを一つ具体的に伺わしていただきたいものです。
  32. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 何カ月以内というようなずばり申し上げる段階ではございません。ただ今後の解決の方法としても、幾つかの方法が考えられるわけであります。従いましてそれをどの方法でやるか、しかもそれは申し上げるまでもございませんけれども防衛庁なり調達庁だけで解決のつく問題でないことは十分御承知の通りでございます。従いましてそうした政府全体としての方針をできるだけ早い機会にきめまして、そうして解決に努めたいと考えておる次第でございます。
  33. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 もっと具体的に、あなたの腹案を言えないですか。それくらい言わなければ農民は承知しませんよ。
  34. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 今のところただいま申したような幾つかの問題点がございますので、具体的な処理方針というものを申し上げる段階ではございません。ただ農民の方々が御要求になっている点も十分承知をいたしておるのでございまして、それらとにらみ合わせて解決を早めたいと思っております。
  35. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういうお話の段階ではもうみんなは待ち切れないのですよ。従って訴訟が起きますよ。一ぺん政府を相手にとった訴訟でも、何十人かの人が固まって起きてしまえば、そう簡単に法廷では和解なんてできませんよ。そうしますとあなた方は、具体的な解決方針などとおっしゃったって、それは逆にチェックされる場合もあり得るのじゃないか。訴訟をやれば明らかに政府は負けますよ。それは調達庁長官法律上の根拠がないということをここでも明言していらっしゃる。これは負けます。そうなったらゼロか一〇〇かという形でしか解決はないわけです。もう一つ現実にすわり込みを始めますよ。始めてしまった人に話をする方がいいのか、それともある程度あなたがここで腹案のようなものをずばりおっしゃって——もちろんそれは腹案ですから、いろいろ話し合っているうちに変わるかもしれない。そんなことをけちけち追及するつもりはみなないでしょう。ですが、何か具体的なものを見せていただくということの中に、解決の誠意をかぎつける。そういうにおいをかぎつけるという意味で大事だ、重要だと私は思うのですが。すわり込みを始めますよ。そのときになって、あとから出したってだめなんです。しかもきのう、きょう起こった問題なら、それはそういう言いのがれで済みますが、すでに三年間相たち申し候というものですから、今さら考えましてなどということで引っ込む人たちではないはずでしょう。もう少し長官の方として具体的なあれをずばり出せないものですか。
  36. 林一夫

    ○林(一)政府委員 先ほどからいろいろ説明申し上げておるように、この具体策を立てる前段階のいろいろな調査をずっとやってきておった。それは技術的な調査その他に関連する基本的な調査でありまして、どうしたらよいかということにつきまして相談して参ったのであります。今後はそのような過去の調査に基づきまして、どういう対策を作るべきかを内閣審議室、あるいは基地対策周辺協議会を中心としまして、相談していきたいと思っておるのであります。この対策につきましては、いろいろ考え方があるのです。神奈川県知事あたりもいろいろなサゼスチョンを与えて、こうやったらどうかというような御意見もあります。こういう地元関係の方々の御意見も聞き、何らかもう少し具体的な対策を早く作らなければいけないという考え方に立って、現在協議をいたしておる次第であります。
  37. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 またもとへ戻って、三年間も長い間技術的調査をやってきた、なかなかむずかしいことでとおっしゃるのですが、これは東京にいて調査できないのですよ。どうしても調査をなさろうとすれば、現地にある種の測定機なり何なりを持っていかなければできないことは、土地の人も知っておるのですよ。東京でやれる技術調査というのがあるなら教えていただきたい。ところがそういう調査なんか、現実にこの基地に参りましたのはことしの七月ですよ。問題になってからちょうど三年目、ことしの七月に初めて来たのですよ。いろいろ技術的調査をやってなんてあなたがおっしゃっていると、その速記録を読んで土地の人々は、うそばかり言っておるということに、ますます激高してしまうのです。ことしの七月以前に現実調査班が出たという実績があったらおっしゃって下さい。そうすれば土地の人はなるほどとうなずくかもしれませんから。出たか出ないか、出ておるとすれば何月何日に何人くらいでいらっしゃったか、これを一つ聞かして下さい。ほかのことは要らないです。
  38. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この技術的な調査をやっておるということは、前からやっておるということは聞いておるのでございますが、これは郵政省の方でやっておりますので、何日に行ったということはちょっと……
  39. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 行った報告は来ましたか。
  40. 林一夫

    ○林(一)政府委員 行った報告は七月に来ておるそうでございます。
  41. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 その七月以前にということを伺っているのですよ。だめですよ、問題をそらしては。七月以前に来ておるのですか、来てないのですか。
  42. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 米軍並びに郵政省の専門官との間に、制限範囲の問題とか、それから制限の態様の問題とかいうようなことで、話し合いは相当前から続けられてきたわけでございますが、実質的な、私たちがこういう話し合い、先ほど申しましたが、制限の態様等については、米側の考え方はこういうことだというようなことが、私たちにはっきりと報告されましたのが七月でございました。
  43. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 長官、三年もたたないと調達庁の方は米軍の意図がわからないのですか。
  44. 林一夫

    ○林(一)政府委員 米軍の意図は初めからわかっておったのであります。今の問題は、この技術的調査の結果の報告を受けるのがおくれたということです。もちろんこれは先ほども申し上げましたように周波数分科委員会と申しまして、これは郵政省の関係者がこれに当たっておるのであります。これらの方々が専門家でございますが、そういう方々が調査に当たっておった。そういう会合の合間においては、ちょいちょい非公式には話し合いは進めておった。その結果というものは聞いておる。報告のあったのは、正式の報告というか、それはただいま申し上げましたようなことだと思います。もちろん米軍の意図というものは初めからわかっております。ただ調査の結果、この調査が非常に手間取ったというような関係がありまして、おくれたような次第でございます。
  45. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 横道にそれるのはいやですからもとへ戻しますが、そういうふうに実際は調査も何にもやらずに、ことしの七月になって初めて調査する、三年目になって……。そういうことであなた方はよく話し合いながらきたのだ、話し合いながらきたのだと、こうおっしゃるだけでは、土地の人が承知できないのはあたりまえじゃないでしょか。現実生活制限されていながら、それを三年間も待たせられて何をやっておったのだかちっともわからない。たまにおっしゃれば、調査をしていたのだ——調査をしていないことは土地の人が一番よく知っているのですよ。うその中でも、よく実相を知っている者に向かってうそをつくのが一番下手ですよ、正直申し上げて……。知らない者にうそをおつきになる場合にはうまいうそをつけます。ですからそういうことが積み重なって政府の信用が落ちる。そしてそういう政府が、アメリカ局長がおっしゃるように、買収などというものにかかれば、よけい時間がかかるのはあたりまえじゃないでしょうか。ですからここでおっしゃるのだって、そうちゃらんぽらんなことをおっしゃらずに、もう少し具体的に、それでは一・六キロの範囲内でそれを甲乙地区に分けるとか、そして一番電波障害が激しいと思われるところから買収に乗りかかるとか、何かあなたの方からおっしゃる手があるじゃないでしょうか。そしてそれは年内には必ず話を始めますということを言えるはずです。僕らは正直申してそういう解決の仕方には反対ですよ。反対ですが、あなた方がここを通じて土地所有者に提案なさる方法としては、そのくらいな具体性があってしかるべきじゃないでしょうか。
  46. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま申し上げましたように周波数分科委員会におきまして、米軍と郵政省の専門家が具体的に研究を遂げてきたのであります。それによりまして、大体どの範囲ならば、どのくらいな制限をすればいいとかいうようなことがだんだんわかってきました。そういうような基礎的な調査資料に基づきまして、今後これに対してどうしたらいいかというような対策も生まれてくると思います。そういうようなことにつきまして、今後地元の知事初めそういう関係者の意見も聞きつつ、具体的に対策を作っていくというふうに考えております。
  47. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 もう何べん言ったって、押し問答ですからよしますが、最後に藤枝さん、どうでしょうか。今おっしゃった報告書が出てきた、これは間違いないでしょう。そうするとその報告書を差しつかえのない範囲で公表してほしいということが一つです。と申しますのは、三年間も専門家がやったのだ、専門家がやったのだとおっしゃるのですけれども、専門家々々とおっしゃるけれども、みんながなるほどとうなずくような結果があればこそ、専門家としての権威があるのです。ところが何にもない。秘密主義で問題を解決しようとしたってだめですから。もちろん米軍秘密部分もあるでしょうから、差しつかえのない範囲でこれを公表してもらうということが一つ。それからもう一つは、この問題について、たとえば甲乙地区に分けて話を進めるとかなんとかいう具体案ですね。それで必ず今月一ぱいには第一着手を始めますとか、来月でなければ第一着手は始められませんとか、そのくらいなことは一つ長官の方からおっしゃっていただいていいのじゃないか、そうでないとどんな混乱が起きてもわれわれは責任を持てませんよ。
  48. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 その報告書、私はまだ見ておりませんけれども、発表できる段階になれば公表することも差しつかえないと思います。  それからどういう具体的な処理方法をやるかということは、先ほどから申しましたように、なお政府部内の意見の調整等もございますので、はっきり申し上げられないのははなはだ残念でございます。しかしいずれにしても飛鳥田さんはそういう処理方法は反対だとおっしゃいますが、お考えになっておられるような問題があるわけでございます。要するにその制限地域を国が買収するとか、あるいは何らかの法的根拠をもって補償をするとか、そういった問題はおのずから出て参ると思うのでございますが、今申しましたようになお政府部内の意見の調整をする必要がございますので、いつ着手するかというようなことを具体的に申し上げる段階でないことを非常に残念に思う次第であります。
  49. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 この問題はいろいろ新地位協定その他にからんだ法律論がありますので、次会にもう一度詳しく伺いたいと思います。  そこで第二の問題としては、昨夜の新聞に出ておったのですが、それによりますと「極東の米軍当局者は二十八日米爆撃機が核爆弾計五十メガトンを積んでいることを確認した。」こうはっきり書いてあるわけです。そうして「ラザフォード米下院議員がテキサス州オデッサの放送記者に対し「すべての米戦略空軍基地にあるB52爆撃機は二十五メガトンの核爆弾二個ずつを装備している」と語ったことについて、これを確認した」こう言っているわけです。ところがこれについて「在日米軍スポークスマンのビリングス少佐は二十九日「日本、沖繩、韓国に駐留している米第五空軍の航空機は防御用戦闘機型のもので、所有機種の中にB52爆撃機は含まれていない。」」こう言っておられるわけです。しかし日本国民としては、B52が現実に核爆弾を積んでいるということが確認をせられた以上、これが日本にしばしば飛来してきているのではないかと疑っているわけです。疑わざるを得ないわけです。この点について防衛庁として、あるいは外務省としてどのような見解を持っていらっしゃるのか、これを伺っておきたいと思います。
  50. 海原治

    ○海原政府委員 今先生の御指摘になりましたB52の爆撃機というものが、日本にしばしば来ておるという事実につきましては、私どもは承知いたしておりません。ただ御参考までに申し上げますと、いろいろ大型の飛行機がございます。先生も御存じのように、横田には現在空中給油のための部隊があります。これはKB50Jという飛行機を持っております。こういう大型の飛行機はしばしばいろいろな飛行機に誤認されます。あるいはそういう誤りではないかと思いますが、私どもといたしましては、今先生のおっしゃいましたような事実につきましては承知をいたしておりません。
  51. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 外務省の方に伺いますが、そういうB52Gだと思いますが、B52Gが核装備を施して日本米空軍基地にもしやってくる、こういうような場合にはどうなさるのですか。
  52. 安藤吉光

    安藤政府委員 ただいまお話の、さきの海原局長の話に補足説明をさせていただきます。B52が日本におるかどうかということについては、米側にも念のために米側にも確かめましたが、現在のところおりません。それからラザフォード議員の話というのも確かめてみましたが、これは個人的発言であって、これを確認したというのはいろいろ問題があるようでございます。新聞報道でUP、APあたりは確認したように書いてありますが、確かめてみましたら、政府が公に確認したものではないようでございます。  ただいまの御指摘、B52が原爆を積んできたらどうするかというお話ですが、これは御存じの通り安保条約の地位協定によりまして、核兵器の持ち込みは事前協議になっておりますので、持ち込む場合は必ず向こうは協議してこなければならぬ。また日本政府としても核兵器というものは保有しないということは、従来からも宣明しておる次第であります。
  53. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 ところが現実に一月の二十六日に横田に来ているというのはどういうわけですか。
  54. 海原治

    ○海原政府委員 一月の二十何日かに来ておるということは、おそらく私たちも、情報としましてある雑誌に写真が出まして、これが52だということが載っておるという事実を聞きましたので調査いたしましたが、それは先ほど申しましたKB50Jの誤りではないかというふうに判断いたしております。
  55. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 誤りではないのです。僕もそう思いましたから——ある雑誌とおっしゃいましたが、航空情報だと思います。航空情報の四月号にきちっと横田の飛行場に来ておるのが載っているわけです。誤認しようがないほど明確に載っているじゃありませんか。しかも私はちゃんと編集部に問い合わせてみたのです。これは米軍発表の写真だと言うのです。米軍がこれはB52Gだというので、航空情報社に貸してくれたと言うのですよ。どこが誤認ですか。
  56. 海原治

    ○海原政府委員 私は誤認とは申し上げておりません。しばしば誤認される例があるということを申し上げております。今の御指摘の雑誌の点につきましては、事実私は承知いたしておりませんから、米空軍当局からそれが貸与されたものであるという点、並びにその雑誌編集者の言っておりますことは、調査の上返事させていただきたい、このように考えます。
  57. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 調査の上ということで済むことではないじゃないでしょうか。先ほど言うように核兵器を搭載している飛行機が日本に来ているのですよ。それを調査の上、調査の上と言っているうちに、何べんだって来るでしょう。調査の上、調査の上と言っているうちに、あるいはこれが問題を起こしてしまったらどうしますか。これは外務省の方は、ちゃんと日本に断わって入ってくる、こう言ったが、断わって入ってきていないじゃないですか。うそだと思ったらこの写真を見て下さい。一つ防衛局長、見て下さい。そしてまず尾部の機数を見て下さい。それは七六五〇五と番号が打ってあるはずでしょう。尾翼の数字ですよ。そうでしょう。ところが米軍が52Gにターボ・ファンをつけたものとしてきちっと発表している。これは米軍の公表の写真です。その数字を見ますと七六四七一となっているわけです。ちゃんと機の数字のつけ方もB52の数字のつけ方であることは否定できないでしょう。その下にCという字が書いてある。これを見たって明らかです。それを誤認しようと言ったって誤認のしょうがないですよ。現実に来ているのですよ。この事実を外務省がどうなさるのですか。
  58. 安藤吉光

    安藤政府委員 ただいま原爆を積んだ飛行機が来ているというようなお話でございますが、われわれが米側と連絡をとりまして照会いたしましたところが、原爆は一切持ってきていないと確言しております。
  59. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 冗談言っちゃいけないです。行ってごらんになったのですか。一月二十六日に行ってごらんになったのですか。
  60. 安藤吉光

    安藤政府委員 私は現場には参りませんけれども、核兵器を持ち込むということは条約上、安保条約の交換公文によりまして事前協議事項になっております。従いましてそういうことがあれば条約違反であります。そういうことは絶対やらないと向こうははっきり言っております。そうしてさらにごく最近、具体的に申しますと昨日も米側に照会いたしまして確認いたしました。
  61. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 行ってごらんにならないで、さも見てきたようなことを言ったってだめですよ。私は絶対うそをつきませんとおっしゃった方を、あなたはそれを全面的に信用なさいますか。そうはいかないでしょう。うそをつくかつかないかということをためしてみて、この方ならうそをつかないという信頼感が初めて生ずるのではないですか。僕らだって藤枝さんと何べんかおつき合いしているから、うそはつかない方だということがわかるわけです。初めてお目にかかった藤枝さんが、私はうそをつきませんとおっしゃったって、それをそのまま信じて、この国の安全を託するわけにいかぬでしょう。論より証拠、防衛局長、その写真を見て下さい。その飛行機の横っちょ、羽の一番先についているものは何といいますか。アメリカ局長も見て下さい。その羽の一番先についているミサイルは何といいますか。
  62. 海原治

    ○海原政府委員 私はこの写真だけでは、これが何型であるかということをお答えするだけの知識を持ち合わせておりません。しかし通常翼端につけますのはエア・ツユエアのミサイルであることが普通の場合多うございます。しかし場合によりましてはそれ以外のものも装備することがございまして、この写真だけではこれが何かということを、私は申し上げるだけの資格がないことを御了解願いたいと思います。
  63. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 少し常識のある話をしましょう。爆撃機が、SAC、戦略空軍が、空対空のミサイルをくっつけて大事そうに持って歩くなんということはありませんよ。そんなことはナンセンスですよ。そのミサイルは空対地ですよ。それはどう見たって、どの写真を比べて見たってハウンド・ドッグというミサイルであることは間違いないじゃありませんか。もしそうでないとおっしゃるのならば、現実に行って確かめてみてそうでないとおっしゃるのでない限り、この国の安全を背負っている皆さん方として軽率ではありませんか。
  64. 海原治

    ○海原政府委員 爆撃機には空対空のミサイルをつけるのはナンセンスだという意味の委員の御意見でありますが、それは必ずしもそうではございません。それからこれが何であるか、空対地のミサイルであるか、あるいは空対空のミサイルであるか、あるいはそのいずれのミサイルにしましても、その種類は何かということにつきましては、私どもの専門家に鑑定をさせたい、このように考えております。御了解願いたいと思います。
  65. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 少なくとも米軍がちゃんと航空情報社に発表した写真、それに通常Bが搭載しているミサイルとおぼしきものがついておれば、そうだと推定することに何の間違いもないではありませんか。もし違うのだとおっしゃるならば、違うということをわれわれに納得させるだけの根拠を、防衛庁や外務省の方々は持たなければならぬはずです。(「これから調査する」と呼ぶ者あり)これから調査したのではおそいのです。しかもそれはハウンド・ドッグというミサイルです。疑う余地がないですよ。それではハウンド・ドッグかどうかということを離れて、ハウンド・ドッグという空対地のミサイルはどういう内容を持っているものか、御存じですか。
  66. 海原治

    ○海原政府委員 お答えいたします。ハウンド・ドッグと申しますものは、その性能といたしましては射程距離約五百ノーチカル・マイル、スピードはマッハ二、これは大体B52級の爆撃機につける、このようになっています。
  67. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 一つ落ちていますよ。核弾頭を持つという項目を読み落としたでしょう。
  68. 海原治

    ○海原政府委員 装備といたしましては核を——ウオー・ヘッド、いわゆる弾頭のあれでございますね、装備といたしましてはニュークリアー核である、こうなっております。
  69. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 ちゃんと一月の二十六日に横田の基地にB52は——その写真でもはっきり確認できるようにハウンド・ドッグという核弾頭を持ち、しかも五百海里——ノーチカル・マイルというのですか、めんどくさいからマイルと言いますが、五百マイルの射程を持った超音速のミサイルをつけて日本に来ているのですよ。それはなるほど在日米軍の所属機ではありません。それはその通りであろうと思います。しかし始終日本に飛来してきているという事実は否定できないのじゃないですか。そうすれば日本には核兵器が入ってきているのですよ。現実は入ってきているのですよ。事前協議なんて何を寝言を言っているのだと言いたくなってしまうのですが、一体外務省の方々はこういう事実を御存じないのですか。電話をかけてあとから確認する、確認する——向こうにうそをつかれたらそれきりじゃないですか。アメリカはうそをつかず、こういう格言でもありますか。
  70. 安藤吉光

    安藤政府委員 御存じの通り条約というものは、これを守る信義の上に立っておるものでございます。そしてこの条約あるいは附属の交換公文によりまして、核兵器の持ち込みは全部事前協議事項になっております。従いまして私たちはもし万一こういうものがある場合、事前協議を受ける立場にあります。さらにまた最近照会いたしましたところによると、向こうははっきりと、米側は核弾頭は持ってきたことはない、こう答えております。もし核弾頭を持ってきたという事実がありとせば、これは私は証拠があればもう少し話し合ってもいいと思います。一応そういう条約上の根拠に基づきまして、向こうはないとはっきり言っております。
  71. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 証拠はあるじゃないですか。これを否定できるはずがありません。そうしてお互いに条約を結んでいる国と国とが信用すべきだという第一原則は私も賛成です。しかしその信用というものは、いつも事実によって裏づけられていなければならないわけです。幾つか事実によって裏切られれば、その信用というものは薄らいでいく、同時にまた用心しなければならない。こういうことは国の責任者として当然のはずです。そうでしょう。何べんも何べんもこういう裏切られた事実があるにもかかわらず、なおかつその夢破れずという形であったのでは、個人としてはお人よしでりっぱです。ですが、国の責任者としてはどんなものでしょうかね。私たちどう考えてみたって——この僕もおかしいと思ったから、この航空情報社に聞いてみたのです。そうすると、この写真は米軍発表の写真だという。そして一月二十六日にKC135Aという給油機を携えてやってきたということも、ちゃんと発表しているのだそうです。そしてその写真を見ますとちゃんと、はたせるかなハウンド・ドッグが搭載されている。これがそうでないなどと盛んに防衛局長はおっしゃるのですが、それは確認してみなければわからぬと言って突っぱればここは通りますよ。しかし国民は欺き通せるものではないのですよ。そしてまたB52に搭載されているハウンド・ドッグに非常に似ている形のものが搭載されていれば、そう考えるのが当然じゃないでしょうか。そうだとすれば日本に核兵器が入ってきているのですよ。横須賀に原子力潜水艦が入ってきたい、こういうときにお断わりになったのでしょう、そうじゃないですか、外務省は。
  72. 安藤吉光

    安藤政府委員 原子力潜水艦が入ってきたという事実はございません。
  73. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 お断わりになったのでしょうと聞いているのです。
  74. 安藤吉光

    安藤政府委員 断わるとかそういった問題ではございませんで、非公式に入ってくるような話があったものですから、これは日本としては入ってこられると誤解を生むから、いらっしゃらない方がいいという話は事実いたしました。非常に非公式なものでございます。
  75. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 非公式であろうとなかろうと、そういう政府の意図を表明なすったのでしょう。ところが港には原子力潜水艦が入ってくるのは困るとおっしゃって、飛行場にはこういうものが入ってくるのを知らぬ顔をして——いや知らぬ顔じゃない。知らないで過ごしている。こういうことはほっぽっておいたら今後もますます入ってくるのじゃないですか。まず最初に私、外務省に伺いますが、きのうああいう声明を、ああいう新聞記事をごらんになって、すぐお問いただしになったのでしょう。それともその前ですか。
  76. 安藤吉光

    安藤政府委員 ずっと前にもB52ですか、来ておるというようなうわさがございましたので、そういう情報等については常時、米側と会ういろいろな機会が多いものでございますから、前から尋ねておりました。B52は日本には入っていないということははっきりしております。それからこの前またそういう話が別の委員会でございましたので、さらに確認いたしました。さらにまたきのうああいう新聞記事がございましたので、再度またくどいようでございましたがただしました。
  77. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 こういう写真などを突きつけてお聞きになったのですか。
  78. 安藤吉光

    安藤政府委員 その写真は私見ておりません。
  79. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 日本の航空雑誌というのはこれ一冊しかないのですよ。このくらいなものを——これには始終いろいろなものが出てくるわけです。日本に来た飛行機の写真、黒いジェット機なんかもこれに一番先に載りましたよ。このくらいなものを見て、始終内部がインスペクションをやっておらなかったら、何をやられてもわからないでしょう。そのくらいの御調査さえなされないのですか、外務省というのは。一個人の僕でさえ調査しているのですよ。
  80. 安藤吉光

    安藤政府委員 まあわれわれとしましてはできるだけ、われわれとしてできる連絡をとっております。それから防衛等については、防衛庁もいらっしゃることでございます。諸般にずっと連絡をとってやっておる次第でございます。その航空の写真は、私個人は見ておりません。
  81. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 外務省ではそういう調査はしていないのですか。ただ信じているのですか。どうも伺ってみると、いつでもその感を深くするのですが、信ずる者は救われると言いたくなってしまうのですよ。ただ信じてばかりいらっしゃる。もうちょっとあれになっていいのじゃないですかね。  防衛庁長官、もう時間がありませんから一つ伺いますが日本にこうしてB52Gがやってきておるということは、これで否定できません。あとでお調べになってごらんなさい。否定できません。そうしてそれについているハウンド・ドッグが核弾頭を持っているものだということも、もう世界周知の事実です。それは妙に理屈をつけて否定をなさると、世界の物笑いになります。こういう事実が現実にあるのです。これに対して一体防衛庁としてどうお考えになっているのか。きょうはほんとうは外務大臣に伺いたいのですが、あなたがここで一番の最高の責任者だと思いますから、政府を代表して伺いたいと思います。
  82. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ちょっとその前に防衛局長から……。
  83. 海原治

    ○海原政府委員 先ほどの私の御説明に補足させていただきたいと思いますのは、その写真にあります皆さんがハウンド・ドックであるというふうに言っておられますのが、われわれはそれがハウンド・ドッグであるかどうかということがわからないので、専門家の鑑定を待つべきであるということを申し上げたのでございますが、なお念のために申し上げますと、今ここに持って参りましたのは世界的な権威のありますジェーン航空年鑑でありますが、これに出ておりますこの写真によりますと、B52のハウンド・ドッグは、胴体のすぐそばのこの部分に二基ついております。その写真のように翼のはしについておるものではございません。先ほど申しましたように、通常飛行機の翼につきますのは、いろいろ補助タンクであるとかあるいは演習用のときの模擬爆弾とかで、この写真で明瞭にわかりますようにハウンド・ドッグは、ここのこの胴体のすぐそばについておりますので、場所も違い、形も違います。従いまして私どもとしてはそれがハウンド・ドッグではないと申し上げたのでございますが、それだけの権威がございませんので、その写真を調査の上でお答え申し上げたいと思っております。ハウンド・ドッグであれば、先ほど申し上げましたように、これは核装備でございますので非常に重大でございますから、あえて補足させていただいたのであります。
  84. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 その航空情報の写真をお示しになって、この通りではないかということなんでございます。そのB52が日本へ来たことにつきましては私どもは確認をいたしておりませんが、これはさらに調査をさせていただきますと同時に、今防衛局長がお答え申し上げたように、私どもは米空軍が日本国民のいろいろな感情等も十分承知をいたしておりまして、そういう核装備を持ってくるようなことは考えられませんけれども、しかしながらさらに調査をいたした上で、今後の問題として善処いたしたいと考えます。
  85. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 ともかく防衛局長と私の間にはそういう点で意見の違いがあるようですから、その点は調べてみて下さい。私は飛行機についてはしろうとですから、航空情報に載っておるものを一応信ぜざるを得ないわけです。そうして日本の本ではこれ一つしかないのですから、その点を十分調査していただきたい。そうしてまたかりに違うところに——二十五メカトンなといいうのはもっと大きなものでしょうから、これはどこへつけているのかわかりませんが、きっと表に現われたようなところにはついていないだろう、こう私は思うわけです。そういたしますとなお調査はむずかしくなる。そうして現実にB52が日本にやってきているという事実がある以上、この点について核装備を持ち込むときには十分に事前協議をする、こういう条項を厳格にやってもらいませんとだめじゃないか、こう私は思うわけです。従ってこの点について日本に来ておるという事実をはっきりして今後の善処を要求する、こういうふうにしたいと思います。  そこで時間もありませんから第三の点について伺いたいと思いますが、防衛庁は四月の初旬に新島のために何かお金を支出なさったと私は聞いておるのですが、この点についてどうでしょうか。
  86. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 四月の初旬ではございませんで、三月の二十八日に委託出張旅費を出しております。
  87. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 幾ら出しましたか。
  88. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 五十五万四百四十二円でございます。
  89. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 その内容は。
  90. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 御承知かと思いますが、現在新島の試験場を設置するにつきまして、端端地区の買収をやっております。その端端地区内におきまして、入会権を主張される一部の方々との間に訴訟が起きております。この訴訟被告は新島村でございますが、防衛庁も非常に関連がございますので、共同訴訟を行なっております。その共同訴訟の関係者の方々が訴訟上の関係で上京されるにつきまして、防衛庁から支払った金であります。
  91. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 何人行きましたか。
  92. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 七名、延べ日数三百七十八日分でございます。
  93. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 延べ日数三百七十八日、七名というほど、そんなにその事件は打ち合わせにかかるものですか。私も弁護士ですが、その当事者なり証人との打ち合わせに三百七十八日というような出張旅費を払わなければならないほどの打ち合わせというものはないですよ。ちょっとおかしくはないですか。
  94. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 それは期間が長くありまして、三十五年の四月から三十六年の二月にかけて数十回の出張をされておるわけであります。
  95. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 それもはてめんようなと言わざるを得ないのでありまして、出張旅費というのは実費ですから、そのつど支払うのが当然で、三十四年、三十五年、三十六年と約三年間も新島の人に立てかえさせておいて、そうしてことしの三月二十八日になって一ぺんにどかっと払うなんて、そんな出張旅費の支払い方というものがありますか。そんなことがあるのですか。
  96. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これはただいま御指摘のように出張のつど払うのが原則でございますけれども、しかし村の方で仮り払いをして上京して来ておったものが、三十五年度に相当たまっておりまして、それを一時に過去のものを精算いたしました。こういう経過になっております。
  97. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 うそおっしゃい。村は経済再建団体になっておって、そういう仮り払いなんかできないことになっておるはずですよ。
  98. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいまはちょっと説明が足りなかったのですが、個人が、たとえば村会議員であるとか、あるいは村長さんであるとか、助役さんであるとかいうような個人の立てかえ払いという意味で申し上げたのであります。
  99. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういうふうに話を変えてはだめですよ。村が払っておると言うから、経済再建団体だからできないはずですよと言うと、間違いました、個人が払いましたと言う。その個人全部に僕が当たっておったらどうしますか。仮り払いをしております、あなたの方でそういう答弁をするのはわかっておるのですから、私の方では一応当たってみておる可能性がありますよ。
  100. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 出張された個人がおのおの自分で立てかえ払いをされたか、あるいは村長さん、そのほかのたとえば村議会の方々が立てかえ払いをされたか、その辺は私の方ははっきりわかりません。ただ出張された実績、これは何と申しますか、防衛庁へおいでになって訴訟上の打ち合わせをやりましたので、そういう実績は残っておりますから、従ってだれが立てかえられたかは私の方ではっきりわかりませんけれども、いずれにしても村の方の御説明では立てかえ払いをしてあるというお話でございましたので、これを一括して払ったのであります。
  101. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 村が立てかえたというのは違うでしょうと言うと、今度は個人だと言う。個人ですか、当たっていますよと言うと有力者だ、こういうふうに変わる。新島村というのは非常に貧乏なんですよ。その村の村長が五十五万円も立てかえて二年間もおられますか。それから村会議員の方々の生活状況というものも、失礼ですがわれわれ知っております。村会議員という名前はついておりますけれども、その村の農民であり、漁民なんです。その人たちが何十万という立てかえ払いができますか。失礼ですが、新島村の漁民の一年間の現金収入は平均十万円だということを、この前お役所の方がちゃんとこの委員会でお述べになったのですよ。現金収入が十万円しかないような人に対して、かなりの多額の金額、五万も六万もの金額を立てかえ払いをさせて、二年間もほっぽっておくというのはおかしいじゃないですか。そんなことおっしゃるなら、伝票を見て、一々その人たちに当たってみますよ。そんなことがあり得るはずがないじゃないですか。もう少しきちっとした責任ある答弁をなすってみて下さい。ぐずぐず言えば、テープレコーダーなり写真なり持ってきて、お互いに見たり聞いたりしましょう。
  102. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これはたとえば村会議長を例にとりますと、三十五年四月十五日、五月十日、十二月八日、こういうふうに三回にわたって上京ををされております。これは例でございますが、その用務は四月十五日には試験場設置を促進するための打ち合わせ、それから五月十日には自衛隊の工事をやっておりますが、その工事の打ち合わせ、それから十二月八日には村道問題についての打ち合わせ、こういうふうに三回にわたっておりまして、そのおのおのの金額は、一等最初が一万六千円、その次が一万三千円、その次が二万一千円というふうに非常にこまかい、あと全部ございますが非常にこまかいものでございます。それで防衛庁といたしましては、こういう村道工事であるとか、訴訟の関係であるとか、あるいは自衛隊の委託工事であるとか、そういう関係の打ち合わせのためにおいでを願った実績というものはつかんでおりますので、この実績に対して旅費を支払ったわけでございまして、それは村から金が出たとか、あるいはだれのポケットから出ておったとか、あるいは立てかえ払いにしておったとかいうことは、われわれの方でははっきりつかんでおりません。
  103. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 訴訟の打ち合わせとおっしゃるから、僕も訴訟の打ち合わせのつもりでおりましたら、工事促進のための打ち合わせに変わり、その次も工事の促進の話に変わり、全然違うじゃないですか。最初に訴訟の打ち合わせとおっしゃって、延べ三百何日というから、僕も弁護士ですが、そんなに訴訟の打ち合わせで三百何日も出張してもらわなければならぬような事件はありませんよと僕は言ったのですが、今度はまたとたんに新島飛行場促進の話、工事促進の話に変わってしまう。それは実はそういう形で伝票は切ってあるけれども、あとからそういう伝票は作ったけれども、実際は違うことに支出されたのではないですか。
  104. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これは先ほど訴訟関係の事務打ち合わせと申し上げましたのは、非常にこまかいものがたくさんございまして、その中で一番大きなまとまったものは訴訟関係でございますために、まずこれを代表的なものとしてお話をいたしましたが、しかし内容につきましては非常にこまかいし、また日数等につきましても、各件別の日数というものはそんなに長くはございません。ただいま二カ年にわたって三百七十八日分と申し上げたのは、それらを延べて全部合計をした日数でございます。  それから何かほかのものにその金を使ったのではないかということは、もちろんその金が最終的にどうなったかということは確認はいたしておりませんが、防衛庁としましては三月二十八日に新島の村長さんにお渡しをいたしておりまして、その出張発令も行なっておりますし、それから受領の証明ももらっております。しかしそれが出張の名義人に必ず渡ったかどうかということになりますと、先ほども申し上げましたように立てかえをして払っておられる向きもあるようでございますので、その点は私の方で握っておりません。
  105. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 もう時間もありませんから、それでは防衛庁のだれが、どういう工合にして、いつ、村長なり助役にお渡しになりましたか。
  106. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 三月の二十八日に、防衛庁の支出官から村長さんにお渡ししております。
  107. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 支出官はどなたですか。
  108. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 会計課の支出班長の鈴木部員であります。
  109. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 私はこういう話を伺ったのですが、もうなぞのかけ合いはよしましょう。防衛庁は四月の初旬、五十万円のお金をある考査官に持たして、自民党の某議員にお渡しをし、某議員から村の助役に渡され、村の助役は、三月十七日に新島であった乱闘事件に関して浅沼美知雄さんという右翼の方にそれをこうやく代として差し上げた、こういう話を私は聞いておるのです。そうしてまた私もある程度事実を追及してみて、なるほどと思うような事実をたくさん知っているわけです。それをここでぶちまけましょうか。そういう事実はないのですか。
  110. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 四月の上旬に、村の助役さんに五十万円渡したという事実は、私の知っておる限りございません。
  111. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 もっと露骨に申し上げましょう。上田さんという考査官、今は調達庁の労務部次長に行っていらっしゃるはずです。その方がこの院内に持ってき、ある政治家に渡し、それが村の助役に渡され、村の助役が浅沼美知雄さんのところに持っていったのは四月五日だというのです。そういう事実について、きょうはもう時間がありません。僕は、防衛庁がそういうように暴力団に——暴力団という名前が悪ければ取り消しますが、右翼の方々に対して、こうやく代を出すなどという形はもってのほかじゃないか、こう考えないわけにいかないわけです。従ってこの事実の真偽を明白にする必要があるだろう、こう思います。従って次の委員会の開かれるときに、お互いに証拠なり何なりを持ち出して、突き合わせてみましょう。私自身もある程度のことは知っているつもりです。その政治家の名前も言えとおっしゃれば、その方の了承があれば言ってもけっこうです。そうして防衛庁のだれとだれとだれが関係したかということを私も申し上げてけっこうです。そういう点で、委員長、この問題はもう一度やらしていただくことをお願いして、きょうは大ぜいの方が待っていらっしゃるので、僕だけ時間をとっては恐縮ですから……。これは非常に重要なものだと思う。わずか五十万円だとおっしゃるかもしれませんが、五十万円のこうやく代が、右翼の方々に防衛庁から新島のトラブルに関して払われておるということがもし真実だとするならば、これは捨ておけないことじゃないだろうかと思いますが、長官いかがでしょうか。
  112. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私の就任前のことでありますけれども、そのようなことはあり得べからざることだと存じます。従いましてさらに私自身も調査をしてみたいと存じます。
  113. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 ほかに、私はきよう警務隊と警察との間にできた了解、この問題なども取り上げて、自衛隊の警務隊の憲兵化していこうとすることについてもいろいろ伺いたい、こう思ったわけです。それからまた赤羽の十条工場について、相当大きな疑獄があるのじゃないか、汚職があるのじゃないかというような話も聞きます。従ってこの点について実は資料を出して、お互いに突き合わせてとっくりお話をしたい、こう思っておったのですが、そういうものをみんな含めて、次回の委員会に延ばさせていただきたい、こう思います。従ってその点について十分御準備のほどをお願いしておきたいと思います。今のように伝票を切りかえちゃだめです。
  114. 草野一郎平

    ○草野委員長代理 次に緒方孝男君。
  115. 緒方孝男

    緒方委員 私、きょうは防衛庁長官もお見えになっておりますから、この第二次防衛計画の内容や、今日置かれておる日本防衛の諸問題についてお伺いしたいと思いましたけれども、時間が非常に、三十分程度の御許可しかいただいておりませんので、具体的な一つの問題だけについて、まず調達庁長官からお伺いいたしたいと思います。  実は、芦屋の基地から米軍が撤退を完了したのはことしの五月だった、こう思いますが、これは順次撤退を始めたわけですが、米軍が芦屋の基地の撤退を申し出たのは一体いつごろであるか、あなたの方でおわかりになっておれば、一つ御説明を願いたい。
  116. 林一夫

    ○林(一)政府委員 はっきり記憶いたしておりませんが、昨年だと思います。
  117. 緒方孝男

    緒方委員 撤退の開始を始めたのは、昨年のもう十月ごろから撤退の開始を始めたと私も大体の記憶をしておりますが、ここに不思議なことは、ことしの三月になって基地内における民有地の買い上げを調達庁がなされておる。米軍はもう芦屋の基地は撤退する、使用しないという方針はすでに一年前から明らかになり、かつまた具体的に撤退も開始しておる中に、何ゆえ米軍は芦屋の民有地を買い上げなければならないという理由を申し出たのか、その間の事情一つお伺いいたしたい。
  118. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 現在芦屋は、米軍のかつては飛行場地帯とそれから対地爆撃場関係の地帯というふうに二つに分かれておるわけでございますが、調達庁が買収します場合には、返還前に買収するわけでございまして、従いまして、現在防衛庁の方で使用されている分については、返還前に調達庁が買収しております。なお、買収いたしますのは、その所有者等から買収してほしいというようなことや、それから将来、返還後においては防衛庁が使用計画がある、そういう場合に買収するというような方針をとっております。
  119. 緒方孝男

    緒方委員 現在防衛庁の航空自衛隊が入っておりますが、防衛庁が使用する必要があるから、調達庁としては民間からの買収の申し出があったからそれを買い上げをしてやった。特に米軍から調達庁の方に対して買い上げの要請があったわけではなくて、将来防衛庁が使うようになるからあなたの方はそのお買い上げをした、こういうわけですか。
  120. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 調達庁米軍施設である間に買収する場合においては、米軍からは買収してほしいというような申し入れはございません。米軍としては、使用できさえすれば、買収の形であろうが借り上げであろうがよいわけでございます。ただ調達庁が買収をいたします場合には、将来返還になっても防衛施設あるいは国の施設として活用する、そういう必要がある、あるいはその土地米軍に使われている間に変更をして原状回復が非常に困難になる、あるいはまたこの所有者等から国に対して買収してほしい、そういう要求がある場合等の場合に買収に応ずるという方針をとっております。
  121. 緒方孝男

    緒方委員 長官にお伺いいたしますが、調達庁というのは、米軍からの要請がある場合に、日本におけるところの、安保条約の規定に基づいて、そのアメリカの軍事用の便宜を供与するためにある機関であって、調達庁自身が、将来これは役立つかもしれない、あるいは将来これは何かに使えるかもしれないからという調達庁自身の考え方でそういろ問題を扱えるのかどうか、その点を一つお伺いしたいと思う。
  122. 林一夫

    ○林(一)政府委員 調達庁は、おっしゃる通り米軍のために施設その他の労務を提供するということがはっきりした大きな任務であります。従いまして、調達庁としましては、米軍から要求があり、その施設を買収する必要があるという場合においては、それが買収可能であるということをよく調査して、可能なる場合においてはこれを買収するというようなことで、話を進めてきておるわけであります。その場合に、いろいろ条件がございまして、先ほど不動産部長から説明がありましたが、地元がこの買収について反対をするというような場合には、もちろんこれは買収することはできません。またその土地の形が変更されて、返還後に原状回復するということが困難であるというような場合も、これは実際問題としてなかなか買収することはむずかしい。その他先ほどもお話がありましたように、将来これがやはり国家の施設として利用されるというようなことも一つの条件になる、こういうようないろいろの点を考慮して、買収を進めて参るわけであります。
  123. 緒方孝男

    緒方委員 どうも理解に苦しむ点があります。米軍が芦屋の基地に駐留しておったのは今年の五月まで、もう五月の時期には芦屋にはあと何人しかおらなかった。すでに五月が過ぐれば、調達庁は芦屋におけるところの用務というものは終了しなければならないような状態にある。その目前、わずか三月の間にその問題を片づけておかなければならないという、私は何の必要があったのだろうかと疑わざるを得ないわけです。米軍の方からこれだけは何とか入手しておいてもらいたいとか、何かの御要請でもあったならばともかくも、調達庁自身が買うておこうかとかおくまいとか、独断的な判断でもって買収交渉を進めて、すでにもう五月には用務はなくなってしまう中に、そういうことをする必要が一体どこにあるのかと私たちは疑わざるを得ないわけであります。もし必要ありとするならば、そのあとに入る防衛庁自身がこれは接収をしていこうとか、あるいはどうしようかという判断をするのが当然ではなかろうかと思いますが、その点はどうですか。
  124. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 調達庁といたしましては、従来、借り上げておった場合におきましても、所有者等から、借り上げ等では非常に因る、駐留軍の用に供していなければ売れたものを、駐留軍の用に供しているために売ることができない、そういうことでぜひ買ってほしいというような場合には、そういう所有者の意向を十分尊重するという建前をとっております。芦屋の場合におきましては、買収した個所は米軍から返る前にそういう所有者から強い希望がございましたことと、将来これはやがて国の施設となるであろうというようなことを考えまして、買収に応じたわけでございます。
  125. 緒方孝男

    緒方委員 なまくら問答で時間を費やすのは惜しゅうございますから、先に進みますが、あなたの今おっしゃったように、所有者の方からの強い要請があったからそういう措置をとったとすると、調達庁は今後その所有者なりその関係業者の強い御要請があれば、御要望に応ずるというお態度ですか。
  126. 林一夫

    ○林(一)政府委員 もちろんこれは米軍の要請に基づきまして施設を提供するのでございます。米軍の要請があり、その要請に基づいて買収なり借り上げというものが可能な場合において、買収あるいは借り上げの話を進めていくわけであります。その一つの条件として、今後国の施設として使用できる、利用できるというような施設の条件もありますし、また土地所有者の希望もあるというようなことで買収を進めたわけでございます。
  127. 緒方孝男

    緒方委員 先に進みますが、その三月に買い上げをしたのは一万二千九百九十五坪だと記憶しておりますが、大体それくらいですか。概略でお認めになればけっこうですが……。
  128. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 手元に資料がございませんのであれですが、大体その程度でございます。
  129. 緒方孝男

    緒方委員 多分坪当たりの単価が千九百円になっておると思いますが、それも御確認できますか。
  130. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 さようでございます。
  131. 緒方孝男

    緒方委員 しからば坪当たり千九百円という単価の算出はどういう基準によってなされたのか、これはいわゆるあなたの言う所有者の御希望があったからなされたという、こういう格好でなされたのか、何かの市価との関係の上に立脚した単価で算出されたのか、その点を一つお伺いいたしたい。
  132. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 調達庁が買収する場合には、買収そのものについては、先ほど申しましたように、所有者の希望というものを尊重するというような建前をとっておりますが、買収価格の決定、これはまた別でございまして、所有者の希望というのに拘束されるものではございません。やはり近傍類地の価格というものを参照して買収価格をきめるという建前になっております。
  133. 緒方孝男

    緒方委員 先ほどあなたの御説明の中には、米軍から特に御要請があったわけではない、所有者の方から強い御要請があったから、そういう処置をとっておいたがよかろうということで買収処置をとったということなんですから、問題は、われわれがほしくてたまらぬけれども、相手方が売らないで非常に困難な中でもって交渉したから、値段の単価が上がりましたというのが、これは普通の状態であろうと思います。そういたしますと、私たちは所有者の方から何とかこれを買うてもらえぬかと言うたときには、これはその値段も相当割安になるのが当然ではなかろうか、こういうふうに、一般的に考えればそう考えるわけです。ところが、私の知り得た範囲では、防衛庁がお買いになった土地は、二年前の昭和三十四年にある人が総坪数を八十万円で買うた土地である。総坪数が八十万円、二年前です。それが二年後の今年の三月に調達庁が買い上げた価格は二千万円以上になっておる。これだけの開きというものがどういう形の中で出てくるのか。私は一坪当りの単価千九百円についてもっと合理性のある御説明をしていただかなくてはならないと思いますが、その間の御事情を承りたいと思います。
  134. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 私たちの報告では、調達庁が買い上げました土地所有者は二十九年に六百円で買い上げた土地であるというふうに聞いておりますが、それはさておき、調達庁が昭和三十四年に千九百円で買い上げているわけでございますが、その千九百円というものが妥当であるかどうかというような点を報告を聞きましたところ、昭和三十四年におきましては、近傍類地の価格は二千円前後が大体の価格である、そういうことから、その千九百円というものは高い価格とは考えられないということでございます。
  135. 緒方孝男

    緒方委員 ここに芦屋飛行場の土地修正前後の価格調書というものが、今年出されたものがあります。よろしゅうございますか。飛行場の周辺で、まだ町——いわゆる民家が存在する正門前なりその周辺土地の価格が千円から二千円程度土地の相場だと思う。あなた方が買い上げた土地は、そのまま捨て置けばタヌキやイノシシの出るような山の中ではありませんか。この地図の中で出てくるところの価格の面から見ましても、その周辺における一番価格の安いところ、現在の価格の中においても八十円程度の価格の改定しか認められないというのが現在の大体状態ではないだろうかと思います。芦屋と言うてもこれは広うございます。商店街の中におけるところの土地の価格ならば、五千円なり六千円することもあるかも存じません。しかし町であろうとも、町のはずれになると千円程度のものです。それからまた三百メートルも五百メートルも入った山の中が、そんなに千九百円やら二千円するような場所でないことだけは事実でございます。いかなる所有者といえども、八十万円で買うたものを二千万円で買ってくれるなら、だれでも買って下さいと言って強い要望をするのがこれは当然じゃないかと思います。あなた方はその強い要望に応じて越権行為をなされたかと私は言いたい。どうですか。
  136. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 私たちの聞いておる報告では、やはり私たちが土地を買い上げる場合は、この近傍類地の価格というものを十分考慮して買い上げる。それで、この辺には、すぐ近くには売買実例等があったかどうか存じませんが、この問題になっている個所から一キロ範囲内における売買実例として、昭和三十四年度において大体二千円程度に評価されるのが妥当であろう、そういう点からこの千九百円というものがきめられたというふうに報告を受けております。
  137. 緒方孝男

    緒方委員 こういう資料は、その売買やその周辺土地の払い下げなども現在芦屋は要請をしておる問題もありますので、調達庁の方にを防衛庁の方にも行っておると思う。この地図も書いて、この辺は何ぼくらい、この辺はどれくらいな地価がしておりますということは、ちゃんと出ている。出ていることを百も承知で、あなた方はこんなところでも調達庁が買うなら二千円で買うてやろうという調達庁の価格というものがあるわけですか。
  138. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 調達庁の買収価格はあくまでもこの近傍類地の価格——これは普通の売買価格のきめ方でございますが、近傍類地の価格というのを考慮してきめられるわけでございます。ただいまお話のありました個所は、八十万円というようなお話が出ておりますが、私たちのところへ来ている報告では、この所有者からは大体坪六百円程度で昭和二十九年に買ったものである、それが日本不動産研究とか山林土地の価格調査というようなものによる上昇率をかけますと、さらに二千数百円になるわけでございますが、その近傍類地の価格というものを重点的に考えて、千九百円にきわめたものであるというふうに報告を受けております。
  139. 緒方孝男

    緒方委員 いよいよ内容まで一々言わなければなりませんが、あなた方が買うたところはかつての太田山——太田という人が所有していた。その太田という人は今芦屋にも遠賀郡にもおりません。その未亡人は岐阜かどこかに行っておるはずです。未亡人が岐阜かどこかに行っておって、その山を管理しておる人が、はたして未亡人との間に売買契約をしたかどうかわからないが、昭和三十四年度に八十万円で売買契約をしましたといって登記がえをしておる。そうして自分の名義の所有にしておいて、調達庁に売りつけをやったというのが、この芦屋基地の問題になってきておる。そういう中でもって近傍一キロ以内の周囲の値段でもって——周囲といっても山の上の方と下の方とは値段が違いますよ。そうじゃありませんか。しかもこの一万二千坪というこの坪数にも問題が出てきた。所有するまではここまで境界線があって、売買契約をするときにはその境界線が動いて算定されておる。これは調達庁所有者とが共謀してやったという以外にない。私はその坪数が正確にどこまで動いたというようなことは言われませんが、一般の評判はそうなっております。ましてこの売買契約を行なった昨年の暮れには、小倉の調達庁の職員のところには、わずかな金ではありますが、商品券がわりかしれませんが、全員に五千円ずつの金一封の御贈呈がなされておるはずです。その中にはそれを自発的に返上した者も数人はあります。そういう事実もはっきりわかりながら、それくらいなことはあなたたちのお耳の中にはちゃんと入っているはずです。入っておりながら黙殺しておきますか。所有者が熱望するならば、その所有者の御要望に応じてやろうというのが調達庁であれば、私も将来そういう御要望に応じてもらいたい場所もございます。
  140. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 私たち詳細なことは存じませんが、調達庁が買収する場合は、先ほど来申しましたように、あくまでも近傍類地の価格というものを基準にして買われている。この場合もそういう近傍類地の価格というものが基準にされたものである。それで取得価格との間に開きがあるということでございますが、取得価格は本人はそのように申しております。ただ私たちとしては、取得価格よりも現在の価格がどうあるべきかということに重点を置いて買収価格をきめるというやり方で進んでおるわけでございます。そういった点は私たちもさらに詳細に調査をいたしておきたいと思います。
  141. 緒方孝男

    緒方委員 私は何も取得価格を論議しておるわけではない。公式に出された土地の代価の表を見ても、あなたたちが買われたところは、現在多く見ても百円か百二十円です。それを調達庁が買おうとするならば、それが二倍であったとか三倍になりましたとか、あるいは五百円程度で買うてやらなければという御配慮のもとになされたものならば、私は文句は言わない。よろしゅうございますか、現在の地価標準を何ぼか上回りましたというのであれば、私は常識的な処置であろうと思う。しかしながら、現在の地価とは及びもつかないような価格がはたして妥当な金額であるかどうかということを私は考えなければならない。買った土地が高かったということよりも、そういう取引をするような地方末端の運営をあなた方はそのままに放任しておいてよいのかということです。年末に五千円ずつの小切手が贈られたというが、それは全般的なものです。この折衝に当たられた中には、場合によったならば、何かがありはしないかという疑いをわれわれが持っても仕方がないでしょう。あなた方はそういうことは絶対にないと断言できますか。その点を伺いたい。
  142. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この土地の買収は、ただいま不動産部長から説明がありましたように、近傍類地の土地の価格を標準としてきめて参ったのです。問題のこの土地も、近傍類地の土地の価格を参考にしてきめて買収したということで、私は報告を受けております。  なお、先ほど買収の土地の坪数が減らされておるというような御発言があったようでございます。この点につきましては、まだ私存じておりませんが、こういうような点については十分調査しまして、また御報告いたしたいと思います。  なお、こういうような土地買収の場合に、いろいろのうわさを聞くものです。平素そのような際における取り扱いについては十分注意をするようには私どもよく指導はいたしております。何かこの問題についても不正があるやに聞いておるのでありますが、まだその詳細については伺っておりません。
  143. 緒方孝男

    緒方委員 この新聞はごらんになったでしょう。これは福岡県の筑紫郡山家の桜谷射撃場に対する不正事件。この不正事件の中で、福岡調達局の企画係長が逮捕されて、まだ取り調べを受けておるはずである。ここにおいても同様な不正事件が起こっておる。またこの演習場を、ここは不適格だからというて今度は大野町の方に場所をかえようとしておる。またここに不正事件が起こるかも存じません。調達庁は、米軍の要請のないところに売買契約を進めては何かをかせぐ。こういうところにまた土地の売買問題を引き起こしてはまた不正をかせぐ。それが済んだと思えば次にまた移して何かをやる。何かブローカーみたいな仕事をやっておるような印象を国民が受け取ったからとてしようがないじゃありませんか。土地の価格が普通常識的に取引されるならばそういう問題も起こらないでしょう。もちろん調達庁防衛庁土地を手に入れることは容易なことでないことは、私たちも知っております。普通の市価で買おうということがなかなか困難であるということくらいはわかっておる。だから、普通の市価よりも倍になりました、普通の市価に対して相当のプラスをつけました、というような処置がとられたものならば、これは私はやむを得ないと思う。しかしながら芦屋の問題にしても、所有者一つ何とか買って下さい、買って下さいという運動が一年間続いております。某政治家もそれには関係しておるはずです。幾多の方々の陳情を添えて、買って下さい、買って下さいと言うて調達庁に泣きついておる。泣きつく原因は一体どこにあるか。とてつもない値段で買うてもらおう、うん買うたらあなたにも何かおすそ分けをやりましょうという有無相通ずる取引があればこそ、そういう問題が起こってくるのであります。この桜谷にしてみても山田という町会議員が調達局に売りつけをやって、私のところに来て下さい、私のところは一切私が責任を持って地主をまとめますからと言って、三百万円のピンはねをやったという問題が起こってきておる。そのうしろに取引しておるのが調達庁の職員じゃないですか。そういうところに今後の調達庁が公正な運営をやっていけると思うのですか。その点を調達庁長官にお伺いしておきたい。
  144. 林一夫

    ○林(一)政府委員 今回の問題について、裏に調達庁の職員が取引に当たっておるというようなお言葉でございますが、まだそのような詳細なことについては聞いておりませんが、私が知っておりますのは、この土地売買にあたって地元の上野氏なる者が何か不正を行なったといううわさは聞いております。それだけは聞いておりますが、その背後に調達庁の職員がおって取引をやっておるというようなことは、まだ聞いておりません。
  145. 緒方孝男

    緒方委員 上野君の問題は、これは売りつけた本人ですから、不正があるとかなんとかは抜きにして、調達庁の職員がそれに関連しておるというのは、実はある調達庁の職員のところに、年末に五千円の小切手を送ってきたけれども、私は受け取るわけにはいきませんから返しましたというのが数人出てきておるのであります。いいですか。みんながみんな返したかどうか、私は知りませんですよ。ところが折衝の衝にも当たっておらない人たちのところにすら五千円の小切手、商品がわりの何かが来るならば、折衝の衝に当たった方々のところには何かもっと大きなものが行っておらなければならないだろうと思うのは、職員も同じように見るだろうし、われわれもそういうふうに見るのは、あえて無理のない人間の感情じゃないだろうかと私は思う。何があったと私は言うわけじゃございません。そういう事実の中から私は推測して申し上げておる。そういうことはないと断言できないのは、ここにこういう問題も起こっておるのじゃないか。そうならば、あなた方もそういう不動産の取得を折衝する場合にあたっては、もっと合理的な一つの処置がなされない限り、不正はついて離れないだろう。その点を私はお伺いしておるのです。
  146. 林一夫

    ○林(一)政府委員 先ほどから申しましたように、私どもの仕事は、土地の買収とか借り上げとか、いろいろそういう利害関係が伴う仕事が多いので、平素から誤解を受けるようなことのないように十分注意をいたしておるのであります。この現在問題になっておることでございますが、この値段の決定というようなことは、先ほどから申し上げましたように、近傍類似の土地の価格で決定するという方針によって決定したのでございまして、地元土地所有者にそういう要望があってこれをせり上げたというようなことはないということは、はっきり申し上げること、ができると思います。  なお、お示しの新聞にあるようなことにつきましては、十分調査をいたしまして御報告いたしたいと思います。
  147. 緒方孝男

    緒方委員 これは長官にしてみれば、私は意外なお言葉を聞くわけですが、いわゆる所有者の強い要望があったから値段を引き上げたのではない、調達庁調達庁独自の価格判断にて適当であるという値段を決定したのだ、こういうのであれば、しからばその周辺には農林省の土地があるので、農林省に行ってここの土地を払い下げる場合は幾らの土地かということを私は聞きましょうか。いいですか。私はそんな言いのがれではいかぬと思う。この売買にあたっては、土地の有力者や、あるいは国会議員の中にもお足を運んだ人があるかもしれないが、あなた方は現地を見ずに、ことの土地はこれくらいにするからこれくらいなところで買うてくれという、現地の実情の調査も十分にせずして、現地の決定やそれらの人たちのものを妥当と認めた、これよりほかに私はなかったのじゃなかろうかと思う。もちろんあなたが長官のときじゃないですから、あなた自身を責めるわけにはいきませんが、これが調達庁の値段であったとするならば、その周辺土地の値段はごっそり変わって参りますよ。大へんな変動が起こりますよ。そういうふうに政府も認めてくれますか、どうですか。
  148. 林一夫

    ○林(一)政府委員 何回も同じようなことを繰り返して恐縮ですが、土地の買収ということは、近傍類似の土地の価格を標準として買うというような方針でやっております。この太田山の土地の問題でありますが、これはやはり買収という決定をするについては、福岡にある調達局で十分調査をいたします。また局のみでなくて、不動産審議会というものがございまして、そういうところの審議を経て慎重に価格を決定して処理するという方法をとっておるのであります。そのような慎重な方法、手続によりましてこの土地の買収に当たった、こういうふうに私は信じております。
  149. 緒方孝男

    緒方委員 あなたの御説の通りでしたら、私は何のために質問をしたのかわからないような形になります。この防衛庁のとられたところの千九百円という価格は、そんなに現状に合うた値段じゃないということだけは、私は事実だと思う。それを、私はまたその契約をほごにしようと言っているのでもない。いいですか、買った土地が高かったから、また売り戻せなどと私は言っているわけじゃない。私の言いたいことは、これはあなた方はこういう土地を買うたり、物件を取得する場合には、相当甘い予算を要求なさり、それがすらすら通っていく。防音装置についてのこういう被害については、非常に辛い予算の措置がとられる。あまりにも物件の取得には、何かついているのじゃないか。同じ予算をとるなら、同じ比重でもって仕事をやってもらわなければならないが、物件取得の場合には、非常にすらすらいくのだが、ほかの問題を頼んでも、なかなか都合よういかない。その点に非常に大きなアンバランスが生じてくるわけです。そういう形でやっておると、いつまでたっても、調達庁はだれか一つこれはもうけようとするには便利がいいところかもしれないが、防音装置でも頼むと、これはなかなかむずかしいところだというようなことになりかねない。そういうことであってもらっては困ると思うから、今後の物件取得も、あなたは書類の上では十分な手続をとってきたもの、そごはなかったものというふうに御判断をなさって判を押されておるかもしれませんが、あなたのところに上げてくる書類でそごのある書類を上げてくるはずはありませんからね。十分な手続はとりましたと言うて上がってくるでしょう。しかし、それをそのままめくら判でもって認めてもらったのが、必ずしも正しいと言われるわけではないと私は思う。私はこういう問題が次から次へと起こってきはしないかということを憂えるがゆえに、私は言っておる。まして芦屋基地は、御承知の通りに、米軍撤退後においては、民間に払い下げを願い、北九州一帯の工業地帯の住宅地帯なりあるいは工業誘致をして、産業地帯にしたいという強い現地の熱望があった。ところが、この個人の土地の売買問題をめぐって、上野君と言われる——名前を出してもかまいませんが、あなたが出したのだから。これは将来これが買えるならば、莫大な利益が入るという一つの条件のもとに、幾多の町の有力者あたりをいわゆる自衛隊誘致に誘い込み、ときには議会の中で暴力を働き、一方的に平和的な方向に進むことを拒否させて、自衛隊を誘致してきたという今日の経過も、あなたは御存じのはずです。そういう中で行なわれた取引だということ、そういう中で、個人の不正がなければ、政治的な取引だったと言わなければならぬ。私がもっと言いたいことは、調達庁米軍からの御要請があって、やむなくやりましたというならやむを得ないが、もう五月には、はっきりと調達庁はここの芦屋基地に対して口ばしをいれることもできないような状態ができる、不用の土地になるということが目の前にわかっておりながら、こういう土地の売買を行なうというととは、将来使うかもしれない防衛庁にその点は話してもらいたい、私たちは米軍からの御要請がない限り、そういうものを取り扱うわけにはいきませんと、あっさり断わるのが、私はほんとうの建前であったと思う。それをみずから乗り出してやったということに、非常に大きな疑惑を持っておるわけです。将来もそういうことをなさるのかどうか、この点一つお伺いしておきたい。
  150. 林一夫

    ○林(一)政府委員 もちろん、米軍の要請に基づきまして、土地を買収し、基地として提供するのであります。要請がなければ、調達庁は勝手に土地を買ってほかに提供するということはできないわけであります。この土地米軍の要請に基づいて買収に当たったのであります。この土地を買収する場合には、先ほど申しましたように、いろいろな条件がありまして、その条件に従ってこの買収に当たっておるわけです。やはりどこまでも米軍の要請に基づいて土地を買収しておるということには変わりはございません。今後もその方針でやっていくつもりであります。
  151. 緒方孝男

    緒方委員 私もこれで打ち切ろうかと思ったけれども、そうなると、これはまた食い違いが出てくるから聞かなければならない。不動産部長は米軍からの要請はありませんでした、しかしながら、所有者から強い要望があったから、調達庁の管理のあるうちにこの問題を処理しておきたいと思ってしました、あなたはそうおっしゃった。ところが、長官米軍からの要請があったればこそしたことであります、こう言っておるが、それはどっちがほんとうか、もし要請があったというならば、何月何日、どういう方法でもって米軍の方から要請があったか、公文書を示してもらいたい。
  152. 林一夫

    ○林(一)政府委員 米軍の要請によって土地を提供するということが調達庁の仕事であります。土地を提供する場合には……
  153. 緒方孝男

    緒方委員 おらぬじゃないか、何に提供するか。
  154. 林一夫

    ○林(一)政府委員 米軍の要請によって提供しておるわけであります。その提供する場合に、他人の土地ならばこれを買収する必要があるので買収するわけであります。また借り上げて提供するというような場合もあるわけであります。今までもそういう方針でやって参りました。今後もその方針でやっていくつもりであります。
  155. 緒方孝男

    緒方委員 それは抽象的な調達庁の規定づけであって、芦屋の基地に対しては、もう五月でもって私たちは一人もおらぬようになりますと言っておる。十月のこれから一部々々ずつ撤退して、五月を最後に一兵も残らぬように撤退をいたします、こうはっきり言明をし、具体的にそれを実行している途上です。いいですか、その中で、米軍の方から芦屋基地を一部民有地があって困るからあれを買うてもらえぬだろうかという申し出があろうはずがない。使わないところだ。はずのないところに、あなたの方では御要請に応じてと言うから、私はまた聞かなければならぬようになってくる。それは不動産部長がおっしゃったのがほんとうじゃないですか。米軍からの要請があろうはずがないと思う。あったらばその証拠を見せてもらいたい。
  156. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 ただいま長官からお話がございましたのは、米軍からはその施設を使いたいという要求があるわけでございます。その場合に、米軍にずっと施設というものを提供している場合には、それを買収して提供する場合もあるわけでございますが、それを借り上げて提供しても米軍との関係においてはどちらでもいいことになっているわけでございますが、ただ買収する場合には、全国的に、借り上げは非常に困る、何とか国において買収してほしいというような気持が非常に強いわけでございます。それで私たちとしては、その要望になかなか応じ得ないような場合も多いわけでありますが、所有者等からそういう強い希望がある場合には、調達庁施設である間は、なるべく所有者の意思に、そういう要望にこたえるという形で処理しておりますということを申し上げたわけであります。
  157. 緒方孝男

    緒方委員 先ほどあなたと長官との間の食い違いがあるのだから、その食い違いだけは一つはっきりしてもらいたい。調達庁長官が言われたように、ことさら芦屋基地の民有地に対しての買い上げの要請があったということがあるのかないのかということなんです。その点はなかったのでしょう。
  158. 林一夫

    ○林(一)政府委員 先ほど申し上げましたように、米軍の要請は施設の提供を要請しておる、その施設を提供するために借り上げあるいは買収をやっておるわけであります。この土地につきましても買収をやったのです。もちろんその買収を進める場合においては、先ほども申しましたように、いろいろの条件がある。買収するについては、あと防衛庁なりその他国家施設に利用できるということ、またその土地を買収するについて土地所有者がどういう希望を持っておるか、土地の原状回復が簡単にできるかというようないろいろの条件を考慮して買収にかかったわけであります。
  159. 緒方孝男

    緒方委員 防衛庁には防衛庁の中で特別にこういう施設を何するための別な機関を持っておる。同じ防衛庁の中においても、調達庁として米軍施設に対する管理をやっておるあなたたちと、自衛隊の中に独自にまたそういうものがある。それなのに将来自衛隊が使うからということで防衛庁の方からあなた方にあすこの土地をとっておけ、ここの土地をとっておけというような仕事はくれやせぬでしょう、それは全くないでしょう。全くないものなら、将来もう米軍が使うこともないだろうというところまで——これはあとで性格をちょっとお聞きしたいと思うのだが、一年に何回かくるかもしれないという状態のところにことさらに調達庁の予算をつぎ込むということは、普通に考えた状態じゃないですよ。何も私は本庁の方が無理にあすこを確保しておれということでなくて、下の方から、あれは一つ買ってやってくれと言われておりますがどうしましょうかという折衝の中から話はこんなふうになってきたものと思う。米軍から決してあの土地を確保してくれという要請があったはずはない、その点は不動産部長が言われることは、私はその通りじゃないだろうかと思うのです。その点もし長官米軍の御要請があったと言うのであれば、それは私はお間違いだろうと思うから、その点だけははっきりと認めてもらいたい。  いま一つは、芦屋基地の性格ですが、芦屋の基地米軍もその周辺には演習場も持っておる。当然その飛行場も使用するということも言っておる、だが今は芦屋の飛行場は米軍施設なのか自衛隊の施設なのか一体どちらなんです。それはどちらが主であり、どちらが従であるのか、その点は一つはっきりしてもらいたい。
  160. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 芦屋の地域は、飛行場地区の方は返還後防衛庁の方の施設になっております。またそれ以外のあそこは米軍が射爆撃の訓練場として使っておるわけでありますが、そちらの方は米軍施設になっており、調達庁の方が管理しておるというようなことになっております。
  161. 緒方孝男

    緒方委員 それでは、米軍が沖繩なり芦屋に来る場合は、調達庁を通じてこの連絡があって来るわけですか。
  162. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 米軍は、使用条件の範囲内では調達庁に一々相談してくるということはしておりません。
  163. 緒方孝男

    緒方委員 それは使用ということを今言われましたように、やはり自衛隊施設になったということはあなたもはっきりおっしゃった。そうすれば、なおさら私はあなた方の買い入れた理由というものがいよいよ納得できなくなってくる。二カ月後にはもう全く調達庁の手から離れる施設の物件の買い込みをやるなどということは、私はあたりまえの姿ではないと思います。あなた方がその売買を認めた責任を追及しようとは思わない。どうしてそんな状態になったのか、根本の問題を調べてみる必要はありませんか。調査してみる必要はありませんか。もう一切の権利を二カ月後には放棄してしまう状態の中で、なぜ一部の土地をともかく買っておかなければならない必要を感じたのか、どうもその点が私たちには納得がいかない。
  164. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 調達庁が買収する場合は、先ほども申しましたような所有者からの要望、そういうものも大きい要素でございますとともに、将来これが米軍から返った後においては、それが自衛隊の施設だけでなくて、国の施設として活用したい、そういうのは自衛隊の施設を含めてでございますが、そういう場合には、米軍から返ってきてそれがそのまま民間に返還になるという場合、所有者の非常に強い要望がある場合は別でございますが、普通そういう所有者の強い要望が相手方から表明されない場合においても、将来返還後も国が使いたいという場合には、こちらから所有者の方に交渉いたしまして、売ってもらうというような建前をとっておるわけでございます。
  165. 緒方孝男

    緒方委員 不動産部長は調達庁の不動産部長ではないのですか。総理府の不動産部長ですか。買っておけば国のために国有財産になるからということだけでもって、調達庁はそういう仕事の権限までまかされておりますか。調達庁業務の遂行の中において、あなたは業務を遂行するのであって、国政全般の利害得失、大蔵省か総理府みたような形でもってあなたは不動産のなにをやっておるはずはないと思いますが、あなたのなにからすると、何か大蔵省か総理府の不動産部長がやっておるような話になります。将来国のものになるからという抽象的なことで、そういう問題を扱う権限があなた方にありますか。
  166. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 所有者の希望等を十分勘案いたしまして、ことに国が将来そういうものを返還後も使用したいというような気持を強く持っておる場合においては、調達庁というよりも、私たちとしては、国の方針として大蔵省や防衛庁とも連絡をとりながら、そういう場合にはやはり土地を買収してほしいという希望を入れて処理してやるというような方針で臨んでおるということでございます。
  167. 緒方孝男

    緒方委員 私はそういう言いのがれをいつまでも聞いておる時間も過ぎましたから、あなたたちの苦しい答弁ばかりを聞いておろうとも思いませんが、この問題を破棄せよとか言うておる問題ではないが、こういう売買をしなければならなかった状態は、決してほめた話ではないと私は思う。現地にある小倉の調達庁なり福岡の調達局の方に責任を出せと言うのでもない。どうしてこういうことをやったかくらい、将来こういうなにをしてはならぬぞくらい、あなた方が下部末端に対して厳重な今後の行政の指導をしてもらいたいがゆえに言っているのです。あくまでもやったことはあたりまえなことだと言っておったのでは、私はいつまでたってもこの質問は終わりません。こういうことを言っていいんですか。どうなんです。いいことだと思うてこれはあなた方がやらしたわけですか。
  168. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 これは非常にむずかしい問題でございますが、私たちとしましては、できるだけ借り上げで済ませたいというような、これは駐留軍の使用というものが臨時的であるというようなとこからは、借り上げで原則として済ませるというのが、これは国側の財政支出の節減という面からは、そういう考えが出てくるわけでございますが、一面これはこの土地が長い間米軍に使われて、米軍のために使用に供されて、しかも所有者としてはぜひ買収してほしいといっても、普通の駐留軍の使用に供されていなければ売れたものを、駐留軍の用に供しているために売ることができないということは非常に気の毒であるということから、そういう希望者の意向はできるだけくんで、相手方の要望にこたえたいということで臨んでおるわけでございます。
  169. 緒方孝男

    緒方委員 本来芦屋の基地というのはあなた方が買い上げた土地ですか。これは戦時中に北九州の人たちがみんな金を合わして、そうしてあそこの土地を確保して陸軍に提供した土地ですよ。あなた方が買った土地じゃないでしょう。太田山だからというて同じことです。特別にほかのところには金をやっておるが、太田山だけは金を払っておらないというのならともかく、よその土地だって同じじゃないか。私はだから登記上まだ民有地として残っておるものに対してけじめをつけようということが悪かったと言うわけではない。いかにも何か所有者の方に今までかつて長い間不利益を与えておったから、だから膨大な値段ではあるが、千九百円というような値段で一応過去のものも償うて支払うてやりましたという理屈はこれは成り立たない。値段の面においても不当な支出であった。その買収経過から見ても私は正しい行政処置ではなかったと思う。多少はその点も、あなたたちもこれはまずかったなというくらいな気持もあっていいのじゃないですか。
  170. 林一夫

    ○林(一)政府委員 調達庁のこの土地の買収のやり方につきましては、先ほどから御説明申し上げました通りであります。合理的な方法でやってきたつもりでございます。緒方先生、何かいろいろのうわさとか、そういうものをもとにされていろいろ御発言がありました。十分そういう点も考慮に入れまして調べまして、その間の事情を御報告申し上げたいと思います。
  171. 緒方孝男

    緒方委員 またこの問題について防衛庁長官にもお伺いしたいことがありますが、長官ちょっとなにしましたので、次の委員会一つお伺いしたいと思いますから、きょうのところはこれで終わりたいと思います。
  172. 草野一郎平

    ○草野委員長代理 午前の会議はこの程度にとどめ、午後二時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時三十五分休憩      ————◇—————    午後二時五十三分開議
  173. 草野一郎平

    ○草野委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所用のため、私が委員長の職務を行ないます。  国の防衛に関する件について調査を続行いたします。  理事会の申し合わせにより、質疑時間はお一人約三十分程度でお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横路節雄君。
  174. 横路節雄

    横路委員 防衛長官にお尋ねしますが、八月の二十三日ころだったと思いますが、防衛庁長官が北海道においでになられまして、新聞記者団との会見の談話を私新聞で承知したわけですが、それによると、大体北海道の別海村矢日別地区を中心にした演習場については順調に話し合いが進んでいる、こういう談話を私は地元の新聞で拝見をしたわけです。  そこで、この問題は一体どうなっているのだろう、こう思いまして私も調べてみましたところが、本年の七月の四日に、防衛庁の事務次官から、北海道の開発庁の事務次官にこういう公文書が行っておるわけです。北海道地区における演習場の取得についての依頼、こういう点です。この点につきましては、この依頼書によりますと、第一点は、現有装備火砲の能力は、射程距離が二十キロメートル以上にわたっているので、演習場が必要であるということ。第二点は、防衛二法の実施で、北海道に一個師団を増設した、従って北海道の四個師団の総合演習をあわせ実施し得る大演習場が必要である、すでに先年矢臼別周辺において演習を行なった、従って矢臼別周辺において、本部部隊があげて大演習場を、その方面に、これが実現を深く希求してやまない、従って大演習場設置について貴職の格別なるごあっせんを賜わりたく、御依頼申し上げる次第ですというのがこの公文書です。  そこで一つずつお尋ねをしたいのですが、この射程距離が二十キロメートル以上にわたるいわゆる火砲、この実弾射撃場が必要なんだというのですが、射程距離が二十キロメートル以上にわたる火砲というのはどんなものですか、その点を一つお答えいただきたい。
  175. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 私も専門家ではございませんけれども、百五十ミリの加農砲は約二万五千メートルの射程距離を持っております。
  176. 横路節雄

    横路委員 その点はわかりました。そこで今、長官の方に私も地図を差し上げた。あなたの方が専門なんで、私の方が刷って差し上げるのはどうかと思ったが、地名のところで質問しなければならないから差し上げたのです。  そこで、私は、八月の十六日に、この矢臼別第三地区を中心にして床丹第一、床丹第二地区を全部北海道開発審議会の委員として視察をしたわけです。今あなたの方で、矢臼別をぜひほしいのだ、しかも四個師団が一緒にやれる演習場が必要なんだというのですが、お手元に差し上げた地図についてごらんいただくとわかるが、床丹第一、床丹第二というのは、一戸当たり五百万円ないし六百万円の金をかけて、いわゆるパイロット・ファーム方式によって近代的な農業経営をやっているわけだ。そこで床丹第一には百五十戸、床丹第二には百八十七戸、一戸当たり五百万ないし六百万——これをいよいよ今度は、矢臼別第三地区に、同じ。パイロット・ファームによる方式によってというので、二千五、六百万円の調査費をかけてすでに調査が完了しているわけだ。私は現地に行ってこれで調べてみると、長官もそれをごらんいただきたいが、別寒辺台というのは八千五百六十六町歩で、当初農林省の開拓予定地だったが、これは今林野庁の方に移しがえをしている。ところがこの矢臼別第三というのは、開発庁の方としても農林省の方としても、床丹第一、床丹第二と同じように。パイロット・ファーム方式でいくかどうかは別として、これは開拓地としてすでに計画をしている。ところが開発庁の大演習場というのは、矢臼別第三の予定されているこの開拓農地を防衛庁に所管がえをして演習場にしようとしているわけです。従って、距離をはかってみると、別寒辺台の端から矢臼別の端までは大体二十三キロから二十五キロくらいあるわけだ。しかしどう考えても、この端から端へ百五十ミリの加農砲で撃ったら、たとえばトライベツ地区の農家五十六戸であるとか、西春別第二地区の二百二十戸であるとか、西春別第一の四十九戸であるとか、こういうところは全部いわゆる弾道の下に入るわけです。従って別寒辺台と矢臼別第三だけを自衛隊の演習地というわけにはいかぬから、従って西春別第二、西春別第一、トライベツ、こういう地区も上がって演習場に交換をされてくるわけです。防衛庁長官はこれは御存じでやっているのかどうか知らぬが、別寒辺台から矢臼別までは大体二十三キロくらいだが、矢臼別から海岸線までは二十キロ足らずなんです。その海岸線からちょっとはずれるといわゆる危険地区推定線という、この間国会で私が取り上げた北方地域における安全操業の問題で、領海侵犯で拿捕されている地域になる。ここで実弾射撃をやると、この危険地域推定線の中の区域にも砲声は鳴り響くわけだ。何でこういうところへ事を好んでやるのでしょうか。どういうのでやるのでしょうか。この点、いや、もうやめたのだ、問題がやかましくなったからやめましたと言えば問題は終わるのですが、この点どうなっているのですか。
  177. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 御承知のように、北海道には島松の演習場がございますけれども、これは約一万メートルくらいの射程の演習しかできない。そこで先ほど防衛事務次官の文書をお読み上げになりましたが、そのような要求を満たすために適当な広い演習場がほしいということで種々調査をいたしました結果、ただいまお話しになっておりますように、矢臼別の演習場が最も適当であると考えまして、地元並びに、ただいま横路さんもおあげになりましたように、すでに北海道開発庁の開拓計画で調査もされておるところでございますので、そうした面の調整をとってぜひ自衛隊の演習場にしていただきたいということを目下連絡をいたしておるような次第でございます。  そうして、ただいまこういうところでやれば国際的にもいろいろ問題があるではないかということでございますが、先ほど申しましたように、道内の各所を調査した結果、ここが適当と認めたわけでございまして、決してそのために特にこうしたところを選んで刺激を与えようというような意図は全然ございません。
  178. 横路節雄

    横路委員 まず第一点は私は農地局長にお尋ねしたいんだが、これは床丹第一、床丹第二については、私が申し上げるまでもなく、あなたが専門家だ。一戸当たり五百五十万から六百五十万くらいかけていわゆる近代的な農業経営というのでパイロット・ファーム方式でやっている。床丹、矢臼別第三についてもそういう計画ですでに二千数百万円の金をかけて調査をやり、いよいよ今度は実施計画で、まだそれは使ってないけれども、ことし二百万円の金を組んである。別寒辺台については、初めは開拓適地というので、農林省はいわゆる開拓財産ということでやっていたが、これは開拓地としては不適当だというので林野庁に所管がえをしている。しかし矢臼別第三については、現に私は北海道開発審議会の委員として八月の十六日に現地に行っているんだが、この点については、現地においても、関係方面は当然開拓適地としてやるべきものだ、こういう考えでやっている。だから、今まで調査費が二千数百万円ついて、ことしは実施計画というので二百万円ついた、来年も開発庁としては予算要求をしている。これは防衛庁長官から言われておるように、農林省としては了解をしたのですか、この点はどうなんです。
  179. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 矢臼別第三地区の問題でございますが、この地区は国有林と国有未開地としてありました。そういうものを農林省で所管がえを受けまして、ただいま床一、床二と同じようなパイロット・ファーム方式で開発するという計画で調査等を進めておる地区でありまして、演習場問題につきましては、私の方では仄聞はいたしておりますが、防衛庁から直接そういうようなことは私どもは聞いておりません。
  180. 横路節雄

    横路委員 防衛庁長官、ただいま二千数百万円と言ったが、正確な金額は、今の土地の一万一千七百二十七町歩を農林省に所管がえをして、開拓適地として昭和三十年度からいわゆる調査費というので二千三百四十一万三千円を支出をしている。本年度は実施計画というので二百万円を出しておるが、今お話を聞くと、農林省の方では、うわさでは聞いているが、防衛庁長官から一度も聞いたことがないということだ。農地局長、矢臼別第三については既定計画通り、いわゆる床丹第一、床丹第二でやったと同じようなパイロット・ファーム方式でやるかどうかは別にして、農林省としては、これを開拓用地として開拓農家を入れて営農をやらせたい、この点は別に方針は変わってないわけでしょう。
  181. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 仄聞いたしましたという点につきましては、現地の別海の村長あたりからも演習場誘致の話もあり、それから農林省としてはすでに農業開発地域として調査を進めている、それから別途演習場誘致の問題もあるという話を聞いて、北海道なり開発局等にも問い合わせて、そういう依頼があったということだけを承知しておるわけであります。われわれとしては矢臼別第三については既定計画通り進める方針でおります。現時点におきましては、そういう方針に変わりございません。
  182. 横路節雄

    横路委員 防衛庁長官、あなたはたしか防衛庁長官として真駒内においでになって、私、札幌上空を飛行機で飛んでおるのを見たから、はあ、あなたがおいでになったなと思った。翌日の新聞に、別海の別寒辺台並びに矢臼別第三についての演習場は順調にいっている——今農地局長の話を聞いていると、仄聞するところによればという。仄聞というのはうわさ程度ですね。あなたの方では順調に話が進んでいるというが、農林省の開発適地として農林省の財産であるのを、どういうふうにして自衛隊の演習場としておやりになろうというのですか。
  183. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 これは横路さん御承知の通り、北海道開発庁の開発計画の一つとして行なわれておるわけであります。従いまして、北海道開発庁長官に、矢臼別を演習場として使わせてほしい、そのためにはその開発計画の変更をしていただきたいということを私直接川島大臣に申し入れをいたし、川島大臣も現地に行かれ、あるいは北海道のその他を視察されたときに私北海道でも会いまして、お前の方の希望ももっともであるから、もう少し事務的に進めるようにということでございました。その後も北海道開発庁を通じましてこの開拓計画の一部の変更をお願いしておる、こういうことであります。
  184. 横路節雄

    横路委員 ほんとうは調達庁長官、北海道開発庁の長官か次官に来てもらわなければならないと思って通告しておいたのだが、大村管理官が来ておりますね。木村さん、今長官から聞いて非常に不思議に思うのは、この矢臼別第三の約一万一千七百町歩、しかも床丹第一、床丹第二で非常な好成績を上げたパイロット・ファーム方式、しかも日本農業としては今まで例を見ない二月当たり五百万ないし六百万と、非常に成果をおさめておる。そこで矢臼別第三については、それと同じ方式でいくかどうかは別にして、今日開拓適地というものはだんだん少なくなってきておる。そういう中であなたの方では計画を進めているときに、防衛庁長官から開発庁の長官に対して、あなたの方の北海道の開発計画の一部を変更してもらいたい、こういうことを言われておる。長官は了承したのかしないのかよくわかりませんが、そういう権限が北海道開発庁長官にありますか。これは明らかに、いわゆる開拓適地としての農林省財産なんです。それを防衛庁長官から開発庁の長官に依頼をして、あなたの方の開発計画をやめて、おれの方に所管がえをしてもらいたい、開拓適地としてはやめてもらってくれ、自衛隊の演習場にするのだから開発計画は取りやめをして変更してくれ、そういう話があったとしても、よろしゅうございます、それではやめまして、一つそういうことは防衛庁の方に所管がえをしましょう、了解しましたというようなことを、開発庁の長官が言える権限がありますかということを聞いておるのですよ。
  185. 木村三男

    木村(三)政府委員 デリケートな問題ですが、実際の実例から申しますと、北海道の開発予算は北海道開発庁の方で要求いたしまして、総理府所管に計上されるわけであります。ただいまお話の出ました矢臼別の全体設計費二百万円というのは、まだ農林省の方に移しかえが済んでおりませんで、私どもの方に保留されておる状態であります。従って、これを農林省の方に移しかえが済んでしまえば、実施官庁は農林省でありますが、その前に実施計画について大蔵省と打ち合わせをして、それでよろしいということになれば、初めて予算が使用し得る状態になるわけであります。防衛庁長官の方で、私どもの方の長官にお話しになりましたその背景としましては、まだ二百万の全体設計費というものが開発庁の手元に保留されておる、そういう状態であっては、その財産の所属が農林省でありましても、全体設計費を管理する開発庁長官の方で、これを指定計画通りに実施計画の承認を受けて農林省に移しがえをするかどうか、こういう段階でありますから、その辺についての申し入れというものも、これは組織法とか設置法の関係でありませんが、予算の方の制度から言いまして当然なし得ることだと思います。
  186. 横路節雄

    横路委員 農地局長にお尋ねしますが、今のお話は、お聞きになっていたように、こういうことです。実施計画費として開発庁はことし二百万を予算に計上して確保した、しかしそれが今日開発庁の予算になっていて、農林省に移しがえが終えてない、だから農林省にその予算が移しかえが終われば、開発庁としては何ら口を出すことはできないが、二百万円ついた実施計画の金は今日開発庁でそのまま保留している、こういう段階だ、だから矢臼別第三については、農林省は関係ないのだ、開発庁長官の計画でやめた、それならば自衛隊の演習場にしよう、話を端的にすればそういうことになりそうですが、そんなことができるものでしょうか。きょうは私も時間は委員長からできれば三十分というふうに言われておりますし、どうせこの問題は、あとあとまで尾を引く問題ですから、なんですが、しかし、これだけは明確にしておいていただきたい。今の開発庁の監理官のお話では、われわれは了解できない。あなたの方の了解なしにそういうことがやれるのですか。この点どうですか。
  187. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 北海道開発の総合官庁でございます北海道開発庁に北海道開発の予算は一括して計上して、それぞれの所管省に移しかえて実施する、こういうふうに相なっていることは、ただいま答弁申し上げた通りでございます。矢臼別第三の調査なり実施設計の問題でございますが、調査は大体終了いたした段階でございまして、ことしから実施計画にかかる、こういう段階に相なったわけでありますが、床一、床二の経験、その後の農業事情の展開等もございまして、矢臼別第三の営農計画というものにさらに検討を要するという段階になりまして、ただいま農林省としてはまだ調査段階の方の問題を検討している段階で、本年直ちに実施設計に移るかどうかということは相当問題があろうかと存じまして、ただいま基本計画が新しい営農形態になった場合にどうなるかという点を検討しておりまして、まだ本年実施設計費の二百万というものは移しかえが行なわれておりません。
  188. 横路節雄

    横路委員 今私の聞いているのは、矢臼別第三について営農計画をどうするかというと、いわゆる開拓営農というものについて基本計画を立て、営農計画を立てて、どうするかということを検討中だ、従って二百万の実施計画費はついたが、それはまだ実施してない段階だ、だからいわゆる矢臼別第三について開拓者の営農計画をどうするか、今日までのパイロット・ファームの方式でいいのかどうか、こういうことは農林大臣がどういう機関でおやりになるか知らぬが、農林大臣がいろいろ検討なさるのでしょうが、そういう検討を今している最中なのに——なるほど予算からいけば、すでに調査費は二千三百万で調査は終えた、あとことしは実施計画は二百万、それを今ちょっと開発庁は保留しているのだ、だから防衛庁長官から開発庁の長官に話をして、あの計画を変更しておれの方にくれ、そういう場合に、農林省にはそれぞれ審議会というものがございましょう、そういうものを全然抜きにして、よしわかった、お前とおれは友だちだから、一つ矢臼別第三はお前の方にやろうじゃないかということになりますか、こういうことを私は聞いている。あなたの方でそういう基本計画を立てているでしょう。それを全然あなたの方を無視してやれますか。農地局長、どうですか。
  189. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 開発計画に変更を生するということに相なりますれば、われわれとしましては、当然北海道開発庁と農林省と地元の府県なりがよく打ち合わせて、そういう話し合いを進めるべきものだというふうに私は了解いたします。
  190. 横路節雄

    横路委員 しかし農地局長、これは農林省の財産なんでしょう。農林省の財産ならば、農林省の財産を防衛庁の財産に所管がえをするということは、あなたの方の責任じゃありませんか。そうではないのですか。ただ、あなたの方で御相談があるでしょうではなしに、この国有の開拓財産は農林省所管でしょう。しかもこの開拓財産を少なくとも防衛庁に所管がえをするためには、あなたの方に責任があるでしょう。あなたの方が聞き置く程度ではなしに、あなたの方が主務官庁でしょう。それはどうですか。
  191. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 現段階においては、所管がえ等の話はまだ私は承知いたしていないわけでございますし、また所管がえというのは最終段階における問題で、計画としてどういうふうにこの土地を開発し、あるいはどういうふうにこの土地を使うかという段階におきましては、当然相談があってしかるべきだ、こういうふうに考えておるわけでございます。そういう計画が確定いたしますれば、所管がえ、そういうようなことが起こるかと思います。ただいまのところではまだその段階までいうていない、こういうことを申し上げておるのであります。
  192. 横路節雄

    横路委員 農地局長、私の聞いているのは、これは開拓財産、開拓用地なんだから、農林省の所管のものでしょうと聞いているのです。所管がえはあとのことなんです。そうなんでしょう。
  193. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 当然そういう前提を置いてお答え申し上げておる次第で、ただいまは開拓財産として農林省の管理にあるわけでございます。
  194. 横路節雄

    横路委員 農林省の所管になっているのです。国の財産だけれども、それは大蔵省の財産の場合もあるし、防衛庁の財産の場合もあるし、農林省の財産の場合もあるわけです。  そこで私はあなたにお尋ねをしたいのだが、事務的にお答えを願いたいのです。それはどういうことかというと、かりに防衛庁側で強く要望してこれが防衛庁に所管がえになるという場合に、どういう機関にかけて審議をしていかなければならないでしょうかということを聞いているのですよ。ただ防衛庁長官と開発庁の長官と、よしわかったというものではない、ちゃんとそれぞれこれを審議して移していく経過がありましょう。どういう経路をたどっていくのですか、こう聞いているのです。
  195. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 かりにそういう計画がありますれば、農地局において所管いたしております財産でございますので、農林大臣の決定でよろしいかと存じます。
  196. 横路節雄

    横路委員 どうも農地局長、あなたよくこういうことについて御存じないようですね。農地局長はあまり農林水産委員会以外に出ないからおわかりにならないのかもしれない。ちょっとこれは農地局長としての御答弁では、ほんとうに私もいろいろ言いたいぐらいなんですよ。がまんしているところなんです。こんなことで大事な、しかも一万一千町歩、別寒辺台は八千五百六十七町歩、約二万町歩以上のものは、そう簡単に防衛庁に所管がえになったり、開拓用地がそんなに簡単に、農地局長の所管だから農林大臣の承認を得ればいいでしょうというようなものではない。だれかかわって御答弁できる人があれば、かわって答弁してもらっていいのです。
  197. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 開拓財産の処理につきましては、御承知と思いますが、不用地等も払い下げたりなんかやっておりますが、そういった場合は、やはり農地局におきまして開拓財産として保持する方がいいかどうか、あるいは開拓の目的に必要かどうかといったような点は、いろいろ調査いたしまして、農林省においていろいろ政府の決定方針に従って処理する、こういうことになるわけでございます。いろいろ開拓審議会等もございますが、こういうものの用途変更につきましては、特に開拓審議会、そういったものの議を経なくてもよろしいことに相なっております。
  198. 横路節雄

    横路委員 たとえば大蔵省の所管の国有財産、これを防衛庁に所管がえするときは、北海道における財務局長がそれぞれ審議会を持っていまして、それに対して、たとえば北海道庁を代表する者、学識経験者、その他いろいろ持って、その審議会で答申が行なわれて、そして財務局長の方から大蔵省の方に来まして、それから初めてそこで所管がえについてやる。いわゆる現地の意向というものが重んぜられるわけです。この開拓用地の営農指導というのはとこでやっておるかというと——農地局長のような専門家に私がこんなことを言うのは、ちょっと私は筋違いだと思いますがね。どうもあなたは、まあ前の経歴、どんな方かよく存じませんのですが、あまりよくその間の経緯を御存じないのではないかと思うから、私がお話しするのです。この開拓地に対する営農指導というのは、北海道知事の権限にあるわけですね。北海道庁でやっておるパイロット・ファームの方式というのはそうでしょう。営農指導については、北海道知事のもとに開発庁がやる、こういうようになっておるのです。そこでこれは開拓用地としては適地なんだが、これをやめて防衛庁に所管がえをするという場合においては、当然北海道における開拓農民の営農指導の立場にある北海道知事に諮問しなければならぬのですよ。そうじゃないですか。北海道知事は、そういう意味では、それぞれ自分のもとにある審議会を通じてこれをどうするかということについて意見を聞いて北海道知事は具申しなければならぬ、こういう立場にあるのではないですか。あなたの方で簡単に、これは農地局が所管をしているのだ、だからこれは農林大臣がうんと言えばいいのだというものではないでしょう。こういう開拓適地について、これに開拓農民を入れることをやめて、防衛庁に所管がえをして演習場にするなどということは大問題ですから、そうなっているはずなんです。これは私の方が間違っていますかね。農地局長、そうじゃないですか。
  199. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 御指摘のように、大蔵財産につきましては、国有財産審議会といったものが地区別にございまして、そこの意見を聞く、こういうふうに相なっているかと存じますが、開拓財産の処分につきましては、地元の知事の意見を徴するということに私たちは従来の取り扱いとしてやっております。で、地元の知事といたしましては、道の開発庁の現地なりあるいは地元町村長、地元の農業委員会、そういうところの意見を徴して、農林省の方に意見を付して具申する、こういうことに相なると思います。そういう段階までこれは行っておりません。
  200. 横路節雄

    横路委員 防衛庁長官、今農地局長の言っている通りなんです。そうすると、防衛庁長官は、順調にいっている、こうおっしゃっている。私は新聞で見たのです。あなたが河野農林大臣や川島開発庁の長官と一席——一席といっても大衆の前での一席だが、そこで大いに歓談をされて、話が順調にいっている——そうすると、当然これは手続としては北海道知事の意見を聞かなければならない。そうなっているのです、営農指導についての責任は北海道知事なんですから。そうすると、これは北海道知事の意見をお聞きになって、北海道知事としては、藤枝防衛庁長官の立場はよくわかった、そこであなたの方で正式におれの方に意見を求めてくれば、自分の方としては矢臼別第三については開拓適地ではあるけれども、これは開拓不適地として計画を変更して防衛庁に所管がえをするというか、自衛隊の演習場でよろしゅうございますとするか、目的は当然付さなければならぬからね。ということについては、これは北海道知事の了解を得られてああいう談話を発表なすったのですか。なすったんだろうと思うのだけれども、その点どうなんですか。
  201. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 もちろんこれを演習場にいたしますいろんな手続の問題はございます。従いまして、まず第一に、北海道の開発についての総合官庁である北海道開発庁の御意見が必要でございます。それが、あくまで開発をやるんだという御意見だと、それはとうてい演習場にいたすわけにはいかないわけでございます。従いまして、まず北海道開発庁長官に御考慮をお願いしたわけでございます。さらに現地に参りました際には、北海道知事ともいろいろ懇談をいたしております。しかし、ただいま横路さんがおっしゃったように、はっきりした具体的にそこまではいっておりませんが、できるだけ、地元の意向等もあるが、協力をしようという点ではお話があったわけでございます。
  202. 横路節雄

    横路委員 これは藤枝さんにお尋ねしておきます、この点は大事ですから。開発庁の長官は了解をしたわけですか。そういうふうに私ども受け取っていいんですか。その点はっきりして下さい。
  203. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 もちろん事務的ないろいろな問題はありますが、原則として、防衛庁の考え方に協力をしてやろうということは、意見が一致しております。
  204. 横路節雄

    横路委員 それからもう一つ、あなたは今北海道の知事にもいろいろ意見を聞いたが、北海道知事も協力しようとこうおっしゃったんですね。その点だけははっきりしておいて下さい。
  205. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただその前提がございます。地元のいろいろな意向等も聞かなければならないが、自分としてはできるだけ協力するということでございました。何が何でも自分はやるのだというようなことではございませんことをお断わりしておきます。
  206. 横路節雄

    横路委員 これは今北海道全体の開発計画の中では非常に重要な問題になっております。しかもこれはただ単に矢臼別第三地区だけではなしに、とにかく二十キロメートルを飛ばすのですから、百五十ミリの火砲なんですが、そうしますと、ただ単に今皆さんの方にも地図を差し上げてあるから、よくおわかりだと思うが、その別寒辺台とそれから矢臼別との間は非常に首のように細くなっている。ですから当然その西春別第二から西春別第一、それからトライベツというところをずっと広げていかなければならない。当然そうなります。特に、長官は御存じかもしれませんが、床丹第一、床丹第二というのは、これは牛はジャージー種というのを入れたんです。ジャージー種というのは非常に音に敏感でして、大砲をどんどん撃つと一ぺんに乳がとまったり流産するのです。だから、そうすると床丹第一、床丹第二等についても今日五百万から六百万かけて入れた各戸数についてジャージーを主体にしたこの酪農計画というものが、変更されなければならない。それから矢臼別第一、矢臼別第二、それからトライベツ、それから西春別第二、第三、これは全部同じく酪農地帯で、これはホルスタイン種が入っている。そういういろいろな意味を含めて、ここに多額の金をつぎ込んだ北海道の開発計画について、北海道知事があなたに対して、八月二十日前後にお伺いしたときに、北海道知事は、自分としては開拓用地であるが、これを開発計画からはずして自衛隊の演習地にするように協力しましょうという——今のあなたの答弁は、少なくともこれは大問題だと思います。あなたに大問題ではないのです。北海道知事としては大問題になるのです。これはこの別海村における営農計画、特にこの酪農計画というものが全面的に大きくこれが変わってくるんです。そういう意味で、私は今あなたに申し上げている。これは念を押して聞いたのは、北海道知事が、自分としてはその開拓適地としてのそれを一つ変えて、自衛隊の演習地になるように協力しようとあなたに言われたという国会答弁は、非常に将来重大な問題になるわけです。あなたになるというのではない。そこでその点を一つ……。しかし、これは農地局長にお尋ねしますが、北海道知事は、自分としては今長官は私はうそをおっしゃったとは思わない。長官は北海道知事としては協力しようと言ったとおっしゃった。しかし北海道知事は、開拓用地なんだから、適地なんだから、開拓財産なんだから、これを変更して、自衛隊の演習場にするというきょうの国会のことは、直ちに影響しますがね。しかし、北海道知事はどうもうまくないということを農林大臣に対して具申をしてきたときは、もちろんできませんね。これは農地局長にお尋ねしておきます。防衛庁長官でないのですよ。
  207. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ちょっとその前に……。
  208. 横路節雄

    横路委員 重大だから……。
  209. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほどから繰り返して申し上げるように、北海道知事の私に対する発言は、地元というのは単に町村長とか、そういうばかりでなくて、今横路さんがおあげになりましたいろいろな状態、そういう地元の意見も十分尊重しなければならない、ただそういう地元の方の了解が得られるならばという前提があることだけは繰り返してお答えいたしておきます。
  210. 横路節雄

    横路委員 いや、地元の了解が得られるならば、自分としては協力しようというのだから、やはり自分としては協力するということなんです。そうなんでしょう。自分としては協力する。しかしもっと大事なことは、地元の協力が得られることだということです。自分は反対だというのじゃないのです。やはり自分は賛成だということなんです。それには変わりないのですね。どんなに藤枝さんがお上手に答弁されても、北海道知事としては賛成だ、しかし地元の協力は得たいということなんです。  で、農地局長にお尋ねしておきますが、これは北海道知事から、これは自分としてはあくまでも開拓適地としてぜひ一つ北海道において農民を入れて、さらに床丹第一、床丹第二のような方式でやってもらいたい。あるいは今日農林省で考えている営農についての基本計画の方針に従ってやってもらいたい。こういうふうに北海道知事が具申をしてきた場合には、これは当然農林省としては、防衛庁がいかように希望あっても、これは演習場には、防衛庁には所管がえできませんね。知事が反対だと言ってもやるのだ、その辺のことはどうなんですか。
  211. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 北海道知事の御心境はまだ伺っておりませんが、行政上の手続といたしまして、演習場に変更する場合は、事前に都道府県知事の御意見を徴することに相なっております。ただし、この決定に政府が全面的に従うべきかどうかという問題は問題があろうかと思うのでございます。一応意見は聞いて、その意見の結果によって総合的に政府として判断いたす、そういうことに相なろうかと思います。
  212. 横路節雄

    横路委員 木村さんにお尋ねしますがね、来年度の矢臼別第三について開拓適地としてさらに実施計画費を七百万ですか、八百万組んで、すでに大蔵省に出している。この開発庁で矢臼別第三についての実施計画費を七百万ないし八百万、これを大蔵省に出したということは、もちろんこれは農林省、当面の農地局長との間に十分話し合い、了解をして出してあると私は思うわけです。北海道開発庁の予算は、各省とは別に勝手に出しているものではないと思う。この点はどうですか。
  213. 木村三男

    木村(三)政府委員 各省とも共通でありますが、私どもの方で総合的に予算を要求しますが、建設省の場合は、同じ事項について同じ要求がダブって出ることになります。手続としましては、やはり事前に話をつけまして予算を要求する。無断で出すということはありません。
  214. 草野一郎平

    ○草野委員長代理 もう時間が……。
  215. 横路節雄

    横路委員 これは大事なんで、大へん恐縮です。農地局長、今あなた、何だかこのことについてあいまいな答弁をしているけれども、今開発庁の木村さんの話を聞いたら、あなたの方でちゃんと事前に了解してやっているというじゃないですか。首をひねったりしないで下さい。あなたの方で了解して出しているのに、さっきからの話を聞くと、しごくあいまいなんだ。これはどういうのです。そういうあいまいなことで、何も防衛庁長官がおったからといって、あなたは遠慮する必要はないのですよ。あなたは何か不思議のような顔をして答弁をしておるが、了解してやったのでしょうか。どうなんですか。
  216. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 将来の北海道知事の意見に国がどういうふうに対処するか、こういう御質問でございますので、将来の問題は将来の問題として、私は現段階では十分お答えできないかと思いまして、先ほど申し上げたような答弁をいたしたわけであります。
  217. 横路節雄

    横路委員 あなたは何を言うのですか。来年度の予算で矢臼別第三についての実施計画費が八百万ですか、組んであるじゃないか。大蔵省に出してあるじゃないか。それは開発庁とあなたの方で完全に了解してやったんじゃないかと言っておるのです。その点はどうなんですか。だめですよ、そういういいかげんなことを言っては。
  218. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 お答えが行き違ったかと思いますが、私は、北海道知事がどういう意見をつけるか、こういうような点の御質問だと思います。予算の点は今御指摘の通りでございます。
  219. 横路節雄

    横路委員 それでは、農林省の農地局としては、この矢臼別第三については開拓適地としてやるという営農計画に基づいてやっておるじゃないか。それであるならば、この段階においては私たちは反対だ、私たちはそういう計画は聞いていないから、既定方針通りやるならやる、こうはっきり答弁されたらどうなんですか。農林省としては、少なくとも今の時点においては、この計画変更はないわけですね。矢臼別第三については、開拓適地としてやるということについては間違いございませんね。
  220. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 当初お答え申し上げた通りでございます。
  221. 横路節雄

    横路委員 当初と言っても、時間がたっているから、弔う一ぺん言って下さい。
  222. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 現時点におきましては、この矢臼別第三については農業開発を進める、こういうことでございます。
  223. 横路節雄

    横路委員 それじゃ時間もたっておりますから、あと私は長官にだけ申し上げて終わりますが、長官、ここに出している書類の中で、あなたの方では、北海道の第七混成団というのは、世界においてというのですか、世界においてというと話が大きいが、米軍に次いで第二位の何か非常に機械化された部隊であるといい、そうしてここで火砲その他についてあなたの方では非常にいろいろと宣伝をしておる。あなたの方では、おそらく自由陣営においては、アメリカに次ぐ第二の火砲部隊だ、こういうのです。そうですね。それがこの海岸線までわずか二十キロしかないのですよ。しかもこれは火砲二十キロの射程距離を必要とする実弾射撃場、おまけに一個師団ふえて四個師団が一ぺんにやる総合演習場、しかもこの海岸線からほんのわずか、この間私が予算委員会で取り上げたように、危険推定地区の線です。この点につきましては、国後で撃つ大砲の音も中標津等にはどんどん聞こえてくるのです。それほどに近距離にある。しかも農林省や開発庁であらかじめ予定しておるこの開拓適地をいよいよ演習場に変えて、四個師団の総合演習場にしようとする。しかも自営隊がアメリカに次ぐと誇る百五十ミリの火砲、海岸線までは二十キロしかない。これはどうなんでしょうか。少なくとも北辺の地において緊張の度合いを増すためにはなるでしょう。何で一体こういうことをやるのですか。私はそう思いますよ。かつてここで北海道の総合演習が行なわれたときでも相当反響があった。これを今度常設の四個師団の演習場、常設の百五十ミリを撃つ射程距離二十キロメートル以上の実弾射撃場にするという。海岸線まで二十キロというとわずか五里ですからね。これに刺激されて、これはもちろんあなたの所管外かもしれないが、沿岸の漁民拿捕その他が相続いでくるということは、考えられないわけではないのです。そういう国際緊張の度合いを北辺の地で増すような地帯に、何でこういう膨大な総合演習場、こういう火砲の演習場をお作りになるのか。これはこれだけ国会で今取り上げているのだが、あなたの方ではおやめになった方がいいと思う。これはおやめになった方がいいですよ。ただ単なる普通の実弾射撃場や普通の総合演習場ではない。ますますこれは国際的な緊張の度を増すだけですよ。何でおやりになるのですか。矢臼別第三、これについては、開発庁や農林省が既定計画通り開拓適地としてやろうと予算要求もしているのですから、今までの経緯等もおありだが、防衛庁としてはやめますとは言えなければ、再検討しますとおっしゃったらどんなものでしょう。その方が国際緊張を緩和する道になるのじゃありませんか。どうですか。
  224. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 横路さんから非常にお言葉上手に国際緊張をかき立てるような御意見があったのですが、私はさようには思わないのでございまして、自衛隊が本来の使命に基づいて教育訓練をやるということは、当然なことだと思います。そうして、特に何か近いところへ持っていったじゃないかというようなおとり方でございますが、先ほど冒頭に申し上げたように、道内各地を視察いたした結果、あそこが最も適当なところだということになりまして、そういう希望を持ったわけでございまして、この点は今後もそれを変更する意思はございません。
  225. 横路節雄

    横路委員 もう一つ藤枝さん、今言うこの演習場のことについては、お隣に教育局長もいるが、私は内局の問題だと思うのですね。ところが、私たちが現地で聞いてみると、なるほど腰にはサーベルを下げていないが、制服の諸君だ。制服といえばいわゆる軍人だ。この演習場取得に関しては内局の問題である。ところが、実際に現地に行くと、サーベルは下げていないが、制服の諸君がそれぞれの関係官庁の廊下をがたがた歩いている。面会を申し入れている。制服の権威をもって何か威圧を与えているようないろいろなことを私たちは聞くのです。この演習場の問題は内局の問題である。制服の軍人の問題ではないはずです。サーベルは下げていないが、再び制服の諸君がそれぞれの所管の官庁を訪れてそういうようにやることは、ここでずいぶん問題になっているが、いわゆる文民優先という原則にはずれるではありませんか。私はそういう問題について知っているのですよ。これはこの演習場との関係ではあるけれども、そういうことは厳に慎んでもらわなければ、今日まで防衛庁がこの国会で何べんも答弁をしているように、いわゆる制服の横暴ではないか。文民優先だという問題はくずれてしまうじゃありませんか。現に私どもいろいろ現地で聞いているのですよ。どうなんですか。これは内局の問題ではなくて、制服の軍人の問題なんですか。
  226. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 もちろん、その方針を決定して、どういうところにどういう施設を取得するかというようなことは、内局の問題でございます。ただ、内局で一々出かけられない場合に、現地の部隊に、こういうことは地元の意向を聞けとか、そういう指示を与えることはございます。しかし、ただいまおあげになりましたような、制服を着ているということで威圧を与えるというようなことがもしもあったら、これは厳に慎まなければならないことでございまして、今後といえども十分注意をいたしたいと思います。
  227. 横路節雄

    横路委員 時間がないから私はこれでやめますが、しかし長官、この問題は、あなたの方で再検討しないと、あなたの方は国際緊張の度を増すことになるのです。これがきまって、この海岸線わずかなところで、危険水域があって、そこで北海道の零細な漁民がどんどん拿捕されているのですよ。砲声が帰り響き、四個師団が一斉に演習をやり、常時射程二十キロ以上の火砲を持って実弾射撃をやる。この国境線わずか五里ですよ、昔の距離でいえば五里ですよ。何もそういうところに持っていって、四個師団の常設の演習場を作ってやるまで、そういう国際緊張を増すようなことをしない方がいいのです。それは池田さんが言う力が足りないから力を増すのだなんというふうに受け取られますよ。だからもう一ぺん再検討すべきです。私どもは直ちに中止すべきだと思う。  以上申し上げてやめます。
  228. 草野一郎平

    ○草野委員長代理 次に木原津與志君
  229. 木原津與志

    ○木原委員 時間がありませんので、端的に質疑を申し上げます。先ほど横路君から自衛隊の陸の演習場のことで質疑がありましたが、私は米軍の海の演習場のことで、長官の所見並びに調達庁長官にお尋ねを申し上げます。  長官も御承知のように、日本米軍の掃海演習場が二つある。一つは東京湾、一つは長崎県の佐世保港外にあるわけです。ところがさらにまた米軍から、長崎県の西彼杵郡に寺島水道というのがあるわけなのですが、その寺島水道で掃海演習をやるから、日本に対してその場所を行政協定によって施設提供をしてほしいというような要請があって、現にこの問題について防衛当局でいろいろと調査されておるということを聞いておる。地元でも非常にこの点に関心を持っておりますので、私はあえて地元の問題でございますが、長官に所見を聞きたいのでありますが、この寺島水道の演習場提供の問題について御説明を、もし事実とすればその経過をお答え願いたい。
  230. 林一夫

    ○林(一)政府委員 現在御承知のように米軍の機雷訓練場は佐世保の港外にあるわけです。ところがこの佐世保港外の機雷訓練場は波が非常に高いこと、また多くの漁船が操業しておるというようなことで、昭和三十三年六月、米側から施設特別委員会を通じまして、この機雷訓練場、米軍のための代替施設として佐世保港の近くに適当な施設要求があったのでございます。さらにこれは三十四年になりましても、施設特別委員会を通じまして、早くきめてくれというような要請があり、現在その適当なる場所を検討しておるわけであります。
  231. 木原津與志

    ○木原委員 そうすると寺島水道の方を提供するというような意向、ないしそれに基づいて調査をやっておられるというような点はないのでありますか。
  232. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この機雷訓練揚として適当なる場所としましては、やはり海運とか漁業等の関係を十分考慮してきめなければならない大きな問題でございますので、十分海運とか漁業等の関係検討いたしまして、調査をいたしておるのであります。その候補地としまして、おっしゃる通り寺島水道とか、あるいは千々石湾というのを調査して参っておるのでありますが、まだ結論には達しておりません。
  233. 木原津與志

    ○木原委員 この佐世保の掃海演習場の代替地がほしいということは、これは以前から話があった。まだ両長官が就任される前のことでございますが、佐世保港にかえて橘湾を代替地にほしいという米軍からの要求があって、それに対して私がこの前の通常国会の予算委員会でこれを問題にしたことがございます。そういったいきさつで、橘湾の方では地元の了解その他できないから、さらに寺島水道に目をつけで、そうして要求してきたものと私どもは推察をするわけなんです。  そこで私は前提としてあなた方お二方にお聞きしておきたいのでありますが、この掃海演習場に限らず、一体日本の国土をアメリカに提供する場合において、アメリカがここの土地、ここの海を必要だから提供しろというようなことを言ってきた場合に、はたしてあなた方はそれに対して、最終的にはこれが不適当だ、住民その他の生活関係から見てもここは提供すべきじゃないというように考えられ、そういう結論が出た場合に、あなた方はこの土地は困る、この海は困るということで拒否することができるのかどうか。事実また不適当だと思う場合に、敢然とこれを拒否して、アメリカの要求を拒絶するというようなことが実際上できるのかどうか、その点をまず明確にさしていただきたい。
  234. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この機雷訓練場の代替施設の提供の要求は、米軍としましても、どこどこ、どこどこというわけで具体的に場所を指定して要求してきたのではございません。佐世保港の付近で適当なところがあったら提供してくれというようなことであった。その付近につきまして適当なる場所を現在検討しておるわけで、もちろんこういうような訓練場でございますので、海運とか漁業に対する影響も非常に強いので、そういう点も十分考慮して、もし適当なところがあれば、地元関係者の御意見も十分尊重しまして、決定するという段取りになると思うのであります。現在はまずその適地を調査しておる段階でございます。
  235. 木原津與志

    ○木原委員 米軍の方から特定の地域、たとえば本県の場合は、具体的に寺島水道を掃海演習場によこせということを言ってきているわけじゃないということを調達庁長官がおっしゃられたから、私はそれならば、あなたにお尋ねもし、お願いもして、特別な考慮を払ってもらいたい点を申し上げたい。実は長崎県くらい漁場海域を広範に米軍に占拠されておる、いわゆる施設提供をしておる県は、私は日本の県の中にないと思う。一つ一つ例をあげますが、朝鮮動乱後の昭和二十八年に、長崎県の一番有力な漁場であった男女群島沖合のフォックストロット区域を南北約五十六キロ、東西三十六キロにわたって米軍に提供させられておる。さらにまたアメリカ第七艦隊の海上爆撃演習場にこれが指定されたと同時に、男女群島の南方の鳥島、ここに第一訓練海域というものでまた施設提供を受けておる。さらにまた五島の沖のゴルフ海域というところがある。との海域も演習場としてアメリカに取り上げられておる。そのほか佐世保港、向後崎、この制限海域を含めると、長崎県はあの狭いところで五カ所にわたって米軍に海を取り上げられておるのです。この面積がどれだけかといいますと、驚くなかれ四千五百平方キロの海を米軍に演習場として取り上げられている。従って一定期間内におけるこの海域の漁業は、一切停止させられておるのが現状なんです。四千五百平方キロの海面を制約され、長崎県の漁業は一体どこに立つ瀬がございますか。四千五百キロの制限海域と申しますると、長崎県の陸地は四千五百ないのですよ。二百万の人間が住んでおるその長崎県の陸地より以上の海面を、米軍に演習場として取り上げられておる。これが長崎県の海域の実態なんです。あえて私はだからよそに持って行けということをここで申すわけじゃない。われわれは演習場に取られることはどこの県でも反対だ。やるのは反対だ。反対だけれども、およそ政府政府としての立場で、どうしても演習場に提供しなければならないというのだったら、国内的な立場に返って、一体どこの県が一番これによって迷惑を受けておるか、そういう点をよく勘案して、もうすでに長崎県では五カ所屯、長崎県の陸地面積よりも広い海域を取られ、提供しておるという事実に立つならば、今度は長崎県は一応はずして、そうしてまだ一カ所も提供していないところにでも持っていく。こういうような態度をとることが政治家の第一の要件だと思う。これは政治の公平の原則だ。長崎県だけ、何の因果でか五カ所もあり、四千五百平方キロの海を制約されておるのに、さらにまたアメリカがこの佐世保港の近所で演習をしたいと言うからといって、これ以上の県民の迷惑をまた長崎に持ってくるというようなことは、政治じゃありませんよ。こんな政治をやっておったら大へんだ。池田内閣はこの一事でつぶれてしまいますよ。こういうようなことのないように、これから私は、この水域が住民の漁業その他の問題にとっていかに重要な生命線であるかという点を、ここでるるあなた方に御説明いたしますが、どうか一つこの長崎県の実態というものを一ぺんよく長官調査をされて、なるほど長崎県はすでに四千五百平方キロの海面を取られておるから、今度はどこかほかの地域に移さなければ長崎県はかわいそうだ、気の毒だ、こういうような考え方で、今度のこの水道施設の海域提供の問題について対処される必要があろうかと思いますが、その点についての政府の所見をお伺いしたい。
  236. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 長崎県は御指摘の通りでございまして、たまたま佐世保に米軍基地があるというような関係から、ただいま御指摘になりましたようなところが提供されておるわけでございます。私どもといたしましても、もちろんそういう県民の御迷惑というような点も考えまして、今後提供する施設につきましては、できるだけその御迷惑が倍加しないような方法をとっていくことを原則として考えていかなければならぬと考えます。ただ一面において、やはり現在ある基地との距離その他というようなことも要件になる場合がございまして、必ずしもその原則通りにいかない場合もあろうかと思いますが、できるだけそれはただいま御指摘がありましたような点を考慮しつつ参りたいと思います。
  237. 木原津與志

    ○木原委員 調達庁長官、どうですか。あなたが当面の事務の担当者じゃないか。
  238. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま大臣が御説明したように考えております。
  239. 木原津與志

    ○木原委員 私は今地図を持ってくるのを忘れてきましたが、大臣はこの寺島水道の地域の地図はごらんになりましたか。ここは長崎県の沿岸漁場としても非常に漁獲の多いところなんです。私が調べたところによりますと、ちょうど今あなた方が取り上げられようとしておるこの地域中心としてタイ、アジ、ブリ、イワシ、エビがとれる。だんだん減っておるので県当局も頭を痛めておりますが、この漁獲量が年間約一億円ある。しかもここの漁場を中心として生活をしておる沿岸の漁民が大体一千世帯、人口にして五千以上ですが、この大部分が近代的漁業形式を持った漁民でなくて、大体において一本づりの零細漁民が非常に多い。この人たちはここで今申し上げたような魚をとるよりほかにもう生活の能力のない人たちです。しかもまたさらにはこの西彼杵郡の半島の前の方に炭鉱地として有名な崎戸町、大島町がある。この崎戸町、大島町というのはどちらも人口一万以上のところですが、炭鉱地で島でありますために全然水がないのですよ。そこでこの対岸に七釜というところがある。その七釜からこの演習場を横切って毎日大島あるいは崎戸の住民に対して水船に水を積んで補給をしに行くのです。これが一日絶えたらもうストップですよ。住民がストップするだけではない。あれだけの大きな企業である大島炭鉱、崎戸炭鉱、これがぴしゃっととまるというような、普通の営業とかなんとかの関係ではなくて、住民の生存そのものの要件である水船の通るところなんです。さらにはまたずっと西の方に高島というところがある。この高島、伊王島、崎戸、こういったところの石炭がこの水道を通って関西方面に行く重要な運送航路だということになっている。これが今聞くところによれば、掃海演習場の面積が六十一平方キロ、掃海訓練の期間が月に延べにして十八日だということでありますが、その期間内に日本人の一切の漁船あるいはその他の汽船も立ち入りを禁止される。この期間内はずっと遠回りする、あるいはそこを通れないというようなことになりますると、ただ単にこれが住民の漁業に対する打撃だけではなくて、住民の生存あるいは石炭運搬、これに対しても非常に甚大な影響があるわけなんです。こういうところをえりにえって演習場にしようということは、先ほどの横路君の話じゃないけれども、これを演習場に指定してごらんなさい、これは大ごとですよ。大問題になりますよ。でございますがゆえに、崎戸町議会あるいは大島町の町議会、あるいはさらに長崎県議会でもこれを取り上げまして、反対の決議をしておる。おそらくこの趣旨の決議案があなたのところに届けられておると思いますが、こういう事情はさだかに調査されておられるかどうか、その点をお答え願いたい。
  240. 林一夫

    ○林(一)政府委員 このような機雷訓練場は、漁業、海運その他地元関係者に及ぼす影響が非常に大きいので、これを調査するにしてもあらゆる方面から慎重に調査して、ただいま御説明のあったような点についても十分調査を進めておるわけであります。
  241. 木原津與志

    ○木原委員 長官にさらにその調査のやり方についてお尋ねしますが、こういうような問題、地元住民あるいは県民の生活その他に非常に重大な問題を、地元の漁協あるいはその他関係市町村民の意向を聞いたり、あるいはそのほか提供することについての下調査をされる点において、あなた方はさきの橘湾を接収されようとしたときには、私が聞くところによれば、まず最初に県にこの話を持ち込んで、そして県を通じて地元の漁協だとか何か、そういった方面の意向を聞くというように、県を通じて渡りをつけられた。事の性質上、こういった問題については調達庁が直接地元民と折衝すると、この折衝の中において非常に不純な問題が起こってくるのですよ。先ほど来あなた方にいろいろ鋭い質問がなされましたが、この地元民との直接の折衝の中で、非常におもしろくない結果が次々と出てくる。具体的に例を申せば、あなた方は知っているかどうか知らぬが、九州調達局の現場に行った人たちが、補償金は十分出すのだから提供したらどうか、出しもせぬ補償金を出すように吹っかけてそうして話をする、こういうような利益をもってつるというような交渉の仕方をやっておられる。これが橘湾のときのように県を通じてやるというのだったら、これは割合正常な方向が打ち出せるかもしれませんが、この寺島水道の場合においてはどうしたことか、県は素通りして、九州調達局の方から地元の漁協あるいは町村の関係者に、県をつんぼさじきに置いて、直接交渉がされたということを私は聞いておりますが、そういうことをやってもいいのか、あるいはそうしろということを長官の方で指示されたのか、その点を明らかにしてもらいたい。
  242. 林一夫

    ○林(一)政府委員 こういうような場合に、地元関係の方々と折衝する場合においては、原則として県、地元関係市町村長あるいは漁業組合長、こういうような筋を通じて折衝するのが常道でございます。今先生のおっしゃったように、橘湾につきましては、そういうような調査方法をとったのであります。寺島水道について直接地元関係者に当たったということは聞いておりませんが、おそらく県にも当たり、関係市町村長にも当たるというようなことを経て、地元の方々に当たっておるのではないかと推察いたしますが、常道としましてはおっしゃるように県なりあるいは関係市町村長、関係組合長を通じて話を進めるというのが今までのやり方でございます。
  243. 木原津與志

    ○木原委員 今までの常道が県を通じてやるというのが常道だと言われたので、その点については了解をいたします。しかしこの寺島水道の問題に限っては、これは出先のものが出しゃばったのかしらぬが、県を完全にすっぽかして、そうして直接地元の漁民の人たちに折衝をしておる。これは何といったって私は九州調達局の出先の人たちのやり方が、あなた方の考え方を無視して、こういうべらぼうなことをやったのだと考えます。ですから一つこの点については、将来こういうようなことのないように、厳重に、必ず県を通じて地元と折衝をするのだということを確認さしていただきたい。そこでその点については防衛庁長官からも、さらにまた調達庁長官からも、これはまだ決定するかどうかわからない、また決定するにあたっては慎重な態度をもって臨むということでございますので、その点については一応了解いたしました。私どもとしては、先ほど申しましたような県の事情をよく勘案されて、どうか一つこの寺島水域、特に長崎県全体の水域に、これ以上の施設提供はどうしてもわれわれ地元の者として忍びないという点を考慮して、対処していただくようにお願いするところです。  さらにまた今度は補償額の問題、今言うように県内に五つの巨大な施設を提供しておる。これによって関係漁民が損失をこうむっておることは、これはもう言わぬでもわかっておる。そこであなた方は補償をやるからということをいつもよく言われる。提供をすれば、それにかわって損害に対しては相当額のその、損害に相当する損害賠償の補償をやるということが、これが基地を提供させる場合のいつもの常道なんです。ところで一体その補償が実際どれくらいなされておるかということについて、私はこの寺島水道に関係いたしまして、長崎県の場合の補償をちょっと調べてみた。ところが何と驚くなかれ、べらぼうにその補償額が少ないじゃありませんか。一例をあげますと、昭和三十五年度の補償については、長崎県からの補償申請額は七億九千万で、その七億九千万の補償請求に対して、これも何もでたらめな数字ではありますまい。現実関係者がこうむった損害を算定して補償の請求をしたのに間違いないのですが、この七億九千万の補償に対して、実際あなた方の方で査定をして現実に支払われた金額は幾らかと調べてみますと、驚くなかれ二千六百万円。七億九千万円の損害の請求に対して、あなた方の調定額が二千六百万円では申請額の三%、百分の三じゃありませんか。一体こういうようなことがどうして起こるのです。現実にその日その日損害を受けておる。その損害を見てやるから請求をしろというので、地元の漁協で責任を持って七億九千万の金額の請求をしておるのに、その百分の三の二千六百万円というのでは、これは一体何をしているのかとわれわれは疑問を持たざるを得ない。一体損害の補償ということについては、これは法律がありますが、どういう手続により、どういう根拠に基づいて申請額の三%の補償しかやらないのか、その点を一つ明らかにしていただきたい。
  244. 沼尻元一

    ○沼尻政府委員 ただいま補償額について、県からの請求額に対し支払額が非常に少ないとのお話でございますが、この漁業補償につきましては、御承知のように特損法というような法律に基づきまして、与えた損害に対する補償をするという建前で、漁船の操業制限に関する法律というようなその法律に基づきまして、府県知事からの申請を待って支払うという手続になっておるわけでございます。漁業の補償額が長崎県においては少ないというような話でございますが、そういう補償額が少ないというようなことにつきましては、長崎県ばかりでなく、他の県にもそういう声がございまして、私たちとしてはこの補償額をもっと増額する必要があるのではないか、必要があるというような見地から、ただいま検討いたしておるわけでございます。何分にも海の問題、ことに魚の補償高というようなことになりますと、陸上の補償額に比べまして積算等大へんむずかしい問題がございまして、そういう点からいろいろ御迷惑をかけているのではないかというふうに私たちも考えまして、そういう点ただいま検討いたしておるわけでございます。
  245. 木原津與志

    ○木原委員 補償額が少ないというても限度がある。申請額の三%、これでは補償にはなりませんよ。一体現在おしなべて日本の沿岸漁業、特に零細漁業に従事しておる人たち生活は、月にどれくらいの生活をしておると思うのです。みんな一本釣の人たちでも、一万円以下で一家五人、六人というような生活をやっておるのが実態なんです。それに対して申請額の三%というふうに至っては、もう生きる最低線を越えておるじゃありませんか。一体損害の算定がむずかしい。これはむずかしいことは私も認める。しかしものには大体の程度というものがありますよ。私がここであなたに説明しなくても、補償の原則というのはこれは法律できまっている。現に失った損害と得べかりし利益の喪失、この二つを勘案して損害を補償するというのが、特損法の原則じゃありませんか。それならば——申請した額の通りに査定をせよということを私は要求するのじゃない。しかし申請額の七億九千万に対して二千六百万、三%しかこれを認めないというに至っては、人間の生命線を捨てている線じゃありませんか。こういうものでこのくらいしか補償をしない。あなた方どなたかの発言もあったが、補償をするときには非常にしみったれた補償をする。新しい土地を演習場に使うときには派手に金を使うということで、先ほども問題になりましたが、今の例のように零細な、一万円以下の収入で生活をしておる人たちのことを思うならば、申請額の三%でその補償が終わったのだとするようなことは、あまりにもみじめ過ぎるし、残酷過ぎる。こういったような補償の態度は、私は断じて池田現内閣のやるべき態度じゃないと思うのですが、との補償について将来どういうように考えられるか、これは大臣からお答え願いたい。
  246. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいまの具体的におあげになりました申請額の三%だということは、たまたまそういうことになったのではないかと思います。すでに御承知のようにこの補償は、得べかりし利益の実損の補償という形でございますから、それに対してのいろいろな算定の基準で積み重ねて、二千六百万円になったのではないかと思います。しかしそれと同時に、先ほど不動産部長も申し上げましたように、その現在のいろいろな基準から積み上げた補償額そのものが、必ずしも現状に合っているとも私ども考えませんので、その算定基準の方法その他につきまして目下検討をさせ、できればもう少し補償額が上がるような方向で努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  247. 木原津與志

    ○木原委員 この機会に大臣にお話ししておきますが、この特損費の予算が年々ずっと削られて、少なくなってきておる。今年度の特損の費用——この補償費を含めた費用も、七千八百万円か減っているのですよ。私は今年の通常国会の予算委員会でもこの点をついて、なぜ減らしたか、これを減らすのはあなた方が、漁業に限らずその他の農業の補償でも、補償額をぶち切って少なくするからこういうように減るのじゃないか、これはむしろ今後増額する、特損費というのは予算をもっとたくさん取って、十分の補償をしなければならないのじゃないかということを、私は丸山調達庁長官に言ったのを覚えておる。今不動産部長が減って申しわけないということを言っておられるが、予算の取り方が少ないから、その予算のワクの範囲内で補償をやろうとするから、三%というようなでたらめな、人間の知恵の外にあるような数字をあなた方が出される。この根源は、特損費の予算が少ないということに原因があろうかと私は思うのであります。だから今度は、こういうような弱い者を泣かせるような、海を取り上げ畑を取り上げて、そうしてその生活の補償をやるという立場に立った人たちが予算を少なくしてどうするか、今度は一つ大臣がうんと馬力をかけて、この特損費は大蔵省に折衝して、ことしの倍取れとは私は言わぬが、ことしの予算以上の予算を取るという決意を持たれなければ、不動産部長が何と言ったって、将来は考慮すると言うたって、金がなければ話にならぬのだから、その点は予算上特殊な考慮をしていただきたいと大臣に要望する。  さらにまたこの演習場の点ですが、これは私は直接見たわけではないから知りませんけれども地元人たちの話を聞いてみますと、この寺島水道の機雷の演習は、海の底に機雷を置いて、そしてそれを浮き上げて拾い取るのでしょう。この演習に使うのは、プロペラが片方三メートルもあるそうです。そのプロペラで海の底をかっさらう。このプロペラを持った飛行機のようなもので海の底をかっさらう演習を今後一年、二年、あるいは長期にわたってやられるということになれば、魚の来る魚道をこわされてしまう。そのために魚がこの寺島水道で産卵しなくなる。あるいは魚介類、海草に至るまで、海の底をこのプロペラでかっさらわれたら、もう魚はこの寺島水道に関する限り一尾も来なくなるのではないか。この点が非常な恐怖になっている。しかも私がここで強調したいことは、現実の魚のとれながった補償はあなた方はやられますけれども、魚がおらなくなったときの補償は、現在の法律では補償のしょうがないのです。これは前任の調達庁長官の丸山さんも、この前私が予算委員会で質問したときに、もう魚がおらなくなったときの補償の仕方はありません、こういうことを言うておる。それならばなおさら問題は重大です。一千世帯の漁民の今後の生活を一体どうして補償するかということが、大きな問題になる。これはたまを撃つ演習ではない。海の底をかっさらって魚道がなくなってしまって、しかもそれに対して現在の法律で補償の方法がないというのだったら、この機雷の掃海演習だけは断じてやめてもらいたい。これをあなたに善処方を要望して、私の質疑を終わります。
  248. 草野一郎平

    ○草野委員長代理 次に中村重光君。
  249. 中村重光

    中村(重)委員 ただいまの木原委員の質問に関連しましてお尋ねしてみたいと思うのであります。  ただいま木原委員からるる実情を指摘して、米軍の演習場を設置することの適当でないということを強調したわけです。それに対しまして、長崎県の実情であるとかあるいはまた寺島水道の演習場を設定することにおいての影響ということから、できるだけ迷惑のかからないようなことで考えていかなければならぬ、こういうことを大臣は御答弁になったのであります。このことに対しましては長崎県当局並びに県議会あるいは関係市町村、あるいは漁業組合、それらの諸団体からも反対の陳情が出ておることだと思いますし、また福岡調達局が七月以来調査をし、また折衝をいたしておりますので、そのことに対しましても十分な中間報告が出ておるかと思うわけであります。その中間報告がどういうことになっておるか、それも伺ってみたいと思うのでありますが、それによってのいろいろの検討も加えられたであろうと思います。従いましてただいま太原委員から指摘の通り、また大臣が答弁をいたしました、できるだけ迷惑のかからないようにしたいというようなことから、一つこれを発展させてもらいまして、ここで米軍に対する提供は中止する、寺島水道の米軍演習場の指定、これに対しては寺島水道に関する限りはもうこれで打ち切るのだという御答弁がございますれば、私は質問をしないで、時間もだいぶ経過しておるようでありますから協力をいたしたいと思います。まずその点に対して、ここできっぱり中止するということを表明していただくことはできないかどうか、その点を一つ大臣から伺ってみたいと思います。
  250. 林一夫

    ○林(一)政府委員 先ほどから繰り返し申し上げましたように、この訓練場の及ぼす影響は非常に大きい。調達庁としましてもあらゆる点から十分調査して、適、不適を決定していくつもりでございます。現在までにいろいろな調査をいたし、また今後も地元の方々の意見も十分に尊重いたしまして最後の結論を得たい、こういうように考えております。現在のところまだ中止するというところまでには至っておりません。
  251. 中村重光

    中村(重)委員 それではある程度質問をしてみたいと思います。先ほど調達庁長官は、この指定にあたっては、直接地元折衝ということではなくて、橘湾で行なったように県あるいは関係市町村との折衝という経過をたどっていきたい、福岡調達局が直接現地折衝をやっておるとは思わない、こういう御答弁がございました。私は非常に意外な感じを受けました。ということは、あまりにもこの問題に対する福岡調達局の地元に対する説得工作、あるいは折衝というものは、あの手この手という形で行なわれたという事実であります。かつまたそのことが幾多の新聞に報道されて、地元は混乱をし、県当局はこれに対して反発をし、長崎県議会はこのことに対して大きな不満を持ち、緊急県議会水産商工委員会を開催し、もろもろのことが行なわれておるわけであります。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕 それらのことが調達庁でわかっておられないとは考えていなかった。それだけにその答弁が私は意外に感じました。  そこで私は具体的なことを申し上げ、長官の答弁を一つ得てみたい。今後どう対処していこうとするのか、また今度現実にそういうことが行なわれたことに対して、どのような処置をおとりになろうとするのか、まず事実をあげてみたいと思います。七月上旬から数回にわたって、地元の二、三の業者との間にひそかに説得工作が行なわれた。ここには名前をあげておる。私は申し上げますが、谷村技官が行っております。そうして説得と同時に説明を行なっている。続いては八月一日には門田事業部第二課長が行って、これまた説得し、説明をやっている。これらの動きが漁協に知れて表ざたになってきた、こういうことから地元十三漁協との折衝という形になって参りました。そういうことで地元も調達局のやり方は間違っておるのではないか、そういう考え方から、県を通じて正式に折衝をしてもらいたい、こういうことを地元漁協が調達局に注意をするという形になってきたのであります。そのようなことがおおかりになっていらっしゃらなかった。またこういうことがいいのかどうか、どうこれに対して処置をしようと思っておるのか、まずこの点を伺ってみたいと思います。
  252. 林一夫

    ○林(一)政府委員 御指摘のような調達庁の出先の職員が、直接地元の方々に折衝に当たっておるということにつきましては、今まで存じておりません。このようなことは先ほども申しましたように常道ではないのでありまして、今後は県を中心としまして常道で折衝を進めて参りたい、こういうふうに存じます。もしこういうふうなことを現在やっておるとすれば、さっそく地元の局の方に、そのようなことのないように注意いたしたいと思います。
  253. 中村重光

    中村(重)委員 もうすでにそういうことが行なわれ、私が指摘いたしましたように大きな混乱という形に発展をしております。先ほど申し上げたように地元漁協から県を通じて申し込め、正式に折衝しろ、こういったような注意によって、八月十六日に不動産部長が県に行くという連絡をいたしております。その連絡の通りに不動産部長は県に参りました。ちょうど私は八月十五日長崎県の水産部長室に参りました。そして水産部長とこのことについて話し合いをいたしておりましたときに、不動産部長が長崎県に来るという電話がかかって参りました、従って私はこのことについてよく承知をいたしております。水産部長もそのとき非常に憤りをもって、調達局のやり方に対して不満を漏らしておったことは、これは事実であります。ところが私がなおさら不可解に思いますことは、十六日に不動産部長が長崎県を訪れて意思表示をするということになりますその直前八月十四日に、地元十三の漁協が集まりまして、条件次第によっては賛成をするという決議をしたという事実であります。これは非常な不純なものを感じます。八月一日に第二課長が行って、そして現地交渉には行かない、県を通じて折衝をしろ、こういうことが地元から言われた。それによって不動産部長が長崎県を訪れるようになったやさき、その二日前に条件次第によっては賛成しようじゃないかという決議をしたことに、何かそこに工作というものが行なわれたということを疑わざるを得ません。こうした点に対してどうお考えになりますか。
  254. 林一夫

    ○林(一)政府委員 詳細につきましてそのようなことについてまだ報告を受けておりませんが、先ほどから申しましたように調達庁の方針は、どこまでも県を通じてやるという常道に従って、今後の話を進めていきたいと考えております。その点御了承を願いたいと思います。
  255. 中村重光

    中村(重)委員 地元では米軍演習場設置委員会というものが十四日に結成された。そこで初めは寺島水道を米軍の演習場として指定をするということは単なるうわさだろう、実は県もこう考えておった。県議会はもちろんだった。ところが十四日にそうした委員会が結成された。条件次第によっては賛成しようじゃないかというような動きが出てきたというので、事の意外に驚いた。長崎県議会といたしましては、これは大へんだ、先ほど太原委員が指摘しましたように四千五百キロという、長崎県の陸地面積よりも広い演習場を提供しておる。長崎県は御承知の通り李ラインによって締め出されておる。また東シナ海その他国際的にも長崎県は締め出されておる。沿岸漁業は日本の平均からいたしますと大きく下回る。一本釣の漁船というものはわずかに年間六万八千円程度の収入しか上げていない。こういう状態で沿岸漁業の振興ということには、県をあげて全力を集中しておるというのが事実であります。そういう中に、またここに寺島水道が演習場として設定をされるということになるならば、長崎県の水産業の振興、沿岸漁業の振興に及ぼす影響はきわめて甚大だということで、事の発展に非常に憂慮いたしました県当局水産部並びに長崎県議会水産商工委員会といたしましては、委員会を開催すると同時に、地元関係の漁協の代表を呼びまして、事の経緯を聞くといったようなことになって参ったのであります。不動産部長は長崎県に参りまして、小松副知事並びに石本水産部長、長崎県議会水産商工委員長に対して、今まで地元折衝をやった経過を話しておりますその中に、知事さんが反対をされて、ついにこれを中止しなければならない事態に立ち至ったということ、米軍が佐世保の基地に近いところに演習場を設定することを強く望んでおる、こういったことから、どうしても寺島水道を演習場として指定する、こういうことにしなければならぬという考え方からこういうことをやってきたのだというので、そこで正式に八月十六日にこれの実現方に対する協力を申し入れをいたしておるのであります。ここで石本水産商工部長はどう言ったかと申しますと、演習場の設定は沿岸漁業振興の立場からするとマイナスになるので賛成できない、しかし申し入れの内容などは関係漁協に伝える、こう答えております。なおまた一緒に不動産部長と話し合いをいたしました県議会の水産商工委員長は談話を発表いたしまして、寺島水道は、橘湾の中止に立ち至ったことから、これだけはぜひ実現をしたいという強い意思を持っておるという印象を受けた、これは非常に重大なことであるので、この点に対しては対策を積極的に講じなければならぬということを表明をいたしております。ただいま私が申し上げましたような点からいたしましても、いかに地元がこの福岡調達局の動きに対して刺激され、不満を持ち、また事態を非常に重視しておるかということを御承知いただけると思うのであります。なおまた、そこで私がただいま申し上げましたこと以上に、福岡調達局が非常に不明朗な不純なやり方をしておるという事実を申し上げてみたいと思うのであります。  その前に、地元関係漁協の動きとしてどういう行動が行なわれたかということを、やはり関連をいたしますので申し上げますが、八月の十九日に、地元の西彼杵郡の関係の漁協三十漁協が会合をいたしました。寺島水道の演習場設定は、当該地区の漁業者だけの利害の問題ではないのだ、西彼杵郡全体の漁業に及ぼす影響は非常に重大である、こういうことで会合をいたしまして、あらゆる角度から検討いたしました。ここに私は資料として持っておりますが、この資料を読みますと、おそらくどのくらい地元がこの点に対して心配をしておるかということを知っていただけることになると思いますけれども、時間がございませんので、その点は省略しておきます。  そこで結論としましては、条件次第によっては、補償自体については賛成をしようではないかということを決定をいたしました十三の地元の漁協といたしましても、初めのそうした申し合わせを撤回をいたしまして、全力をあげて、力をあわせて寺島水道の演習場設定には反対をしようという決議をいたしました。そこでまた長崎県の石本水産部長も出席をいたしまして、零細漁民が生活が苦しい、こういうことで、十分に補償するからということで賛成をしようということになったのであろうけれども、今までの実績からして補償というものは全く当てにならない、先細りになっておる、そうした補償の実態をその席上で報告しました。それらのことも関係をいたしまして、ただいま申し上げましたように反対決議ということになりましたが、私があまりにもでたらめなやり方だとして申し上げたことは、その後福岡調達局からまた崎戸を訪れております。そして十九日の三十漁協の会合においてどのような話し合いがなされ、決定がなされたかという情報を探りに来た。その席上でどういうことを言ったかと申しますと、補償は十年分くらい全部前に出してしまうのだ、十二分の補償をするのだ——金額までも言っておるようでありますが、そういうことを言っておる。そこで崎戸の漁協は、十九日の会合に出席をいたしました中村漁協長をつるし上げをいたしました。なぜに反対の決議をしたのか、補償は十二分にやると言っておるじゃないか、こういうので、またその場で会合を開きまして、これを一つ承認をしようじゃないか、こういう決議を申し合わせをするという形になっております。  ただいま調達庁長官は、全く県を通じて話し合いをやることが筋だ、こういうことをおっしゃいました。この後は十分改めるとおっしゃいましたが、このように手を変え品を変え——県の態度は総反対と出ておる。県議会の商工水産委員会も、委員会を開催して、地元関係漁協の代表を呼んでいろいろと事情を聴取し、現地調査をしておる。さらにまたこの漁協関係だけではなくて、先ほど木原委員から指摘されましたように、大島、崎戸に水を運ぶ水船の関係、高島から若松に炭を運搬するその運営関係の業者、あるいはまた大島、崎戸に毎日々々農家の人たちが一家総出で魚あるいは野菜を供給をしておる。こういうことが大きな障害になる。海底電線もはずれるようにはなっているけれども、海のことだからわからぬ。これも大きな障害を受ける。こういったもろもろの人たちが、この演習場設定の及ぼす影響を非常に重大視し、反対運動の動きをやっている。それをしり目に調達局から情報を聞きに行って、そうした三十漁協の会合では反対の結論が出ているにもかかわらず、これをひっくり返すような、補償が少ないなんというのは間違いだ、十二分にするのだと言って、巻き返しをやるというような行動が許されていいかどうか、今からそういうことはさせませんという注意くらいで済むかどうか、どうお考えになりますか。
  256. 林一夫

    ○林(一)政府委員 御指摘の事実については承知いたしておりませんが、もしそういうことが事実とすれば適当なことではないと思いますので、先ほど来から申し上げますように、今後は常道に帰りまして、直接県を通じまして折衝して参りたいと考えております。また調査にあたりましても、十分地元事情をつかむように慎重に調査して参りたい、こういうふうに考えております。
  257. 中村重光

    中村(重)委員 いろいろとそうした不明朗な動きというものについて、もっとたくさんの資料を私は持っております。現地へ参りました係官は、実に威圧的な言辞を弄しております。ただ補償を十分にするというだけではないのです。日米行政協定によって基地を提供する義務が日本にあるのだ、だから米軍がここが必要であるとすれば、いかに地元の反対があってもこれは提供しなければならないのだ、いかにあなた方が反対してもだめなんだ、こういった高圧的な威圧的な言辞を弄して、おどしすかして、地元の撹乱工作をやっている。実にけしからぬ行動をやっております。しかし時間も過ぎて参りますので、これ以上はそのことに対して申し上げません。私どもは追及することを目的として質問に立ったのではありません。実は地元から崎戸町長も、さらには基地関係の地区の県会議員も、寺島水道演習場設定を非常に心配して、木原委員と私に是が非でも一つ協力して——石橋委員地元関係でありますが、ともかく協力をして、この指定だけは取り消させてくれ、中止してもらいたいということで、心配をしております。そうした調達局の動きは、新聞に今申しましたようなことが出ておりまして、その動きの資料、また県議会の現地調査の資料もここに持っております。ただ私が推定で想像して申し上げたのではございません。これが県議会の関係者を呼んだ現地調査の資料、これが長崎県水産部長が非常に事柄を心配をいたしまして、いろいろな点から、先ほど大原委員が指摘されましたような補償の問題、さらには本演習場設定に対してどういうものが影響を受けるのか、その影響の深さはどういうことがということを詳細に書いた資料であります。さらには地元の崎戸町を中心として福岡の調達局に行って不動産副部長と会見をいたしました一問一答の資料もあります。これも私が指摘しましたような内容が盛られております。さらには地元関係の各種団体が集まって、すべてこれに対して反対意見を表明した内容がここにあります。その中にただ一つ崎戸の漁協の一部の者が、そうした係官が行ってあの手この手でいろいろやったので、自分たちは非常に苦しい、どうにもならないでおる。しかし十二分な補償が与えられるならば、自分たちはこれで立ち直ることができるじゃないか。せめて公務員の程度の収入でも自分たちに与えられるならば、自分たちの生活は何とかここで打開されるではないか。そういったようなことから、条件次第では賛成をするといったような意思表示をするといったようなことが、ここにもそういうことが書かれております。その他いろいろ資料を私は持っておりますが、ともかくこの演習場の設定が行なわれたならばほんとうに大へんなんです。大島、崎戸に水が行かなかったらどうしますか。野菜や魚を毎日供給しなければ生活ができないのですよ。その演習場のまん中を通らなければ行けないのです。これを迂回して参りますれば五時間以上かかりますが、波をまともに受けなければなりませんから、小舟は行けないのです。簡単なものではありません。あなた方は千々石湾の設定は、地元に反対があってこれを中止するということになりました。それはいいことです。それほど利害関係者の立場を尊重する、設定によって生ずる結果をおもんばかる、こういうことで中止を決定されたことは、私どもは敬意を表します。ところがこの寺島水道に至っては、千々石湾の比ではありません。直接の生活に及ぼす影響、長崎県の石炭産業、水産業に及ぼす影響、これらは全く甚大なものがあるわけです。先ほど大臣は、また長官も、十分そういった関係を尊重して迷惑のかからないようにしていきたい、こうおっしゃいましたが、その言葉はこれを中止するということ以外には、尊重する、迷惑のかからないようにすることにはなりません。もしあなた方が最小限度に損害をとどめようとするならば、まず野菜船を、船で行かないためにはどうするか。崎戸大橋々作ってもらわなければなりません。水を持っていけないのにはどうするか、海底水道を作ってもらわなければなりません。炭なんか運ぶにはどうするか、それには航送船を作ってもらわなければならない。これには十億の金がかかります。そういうことをやるから、これに賛成をしてくれと言われるならば、漁民の損害は依然として残りますけれども、漁民には十二分に補償をする、その他の産業関係は、今私が申し上げましたような補償方法を講ずるのだということを前に決定をして、そういうことで賛成をしろとおっしゃるならば、これをおやりになっても、そうした影響を最小限度に食いとめる、あるいは迷惑のかからないようにするということで実行することになるでございましょう。答弁を受けてもよろしゅうございますが、簡単にはそういうことは言えないでしょう。そうすると中止以外にはないではありませんか。私がただいま申し上げましたことに対し、くどいようでございますが、再度一つ大臣の御答弁を伺っておきたいと思います。
  258. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 そうした演習場の設定による影響につきましては、十分地元事情その他を調査いたさなければならないと思います。ことに単なる営業上と申しますか、その上の損失ばかりでなくて、人間の生存に関係するようなことに影響があるということになりますれば、なおさら重大でございます。従いましてそういう点を十分調査をいたしまして善処をいたしたいと考えます。
  259. 中村重光

    中村(重)委員 ただいまの大臣の答弁に対してこれの中止に期待いたしまして私の質問を打ち切ります。
  260. 中島茂喜

  261. 足鹿覺

    足鹿委員 鳥取県米子市並びに境港市両市にまたがります現在の自衛隊美保基地の問題につきまして、若干お尋ねを申し上げたいと思います。このことにつきましては、最近の間に防衛庁長官がたびたびおかわりになっておりますので、若干重複はいたしますが、新しく長官に就任されました藤枝大臣に最初にお尋ねを申し上げたいと思います。  この基地は御承知でもございましょうが、大東亜戦争中に海軍の基地としてできました。その当時は一反当たり三百六十円という、今から見ますとまことにお話にならない金でもって百数十町歩を農民が供出し、勝つためにというので、自分たちが労力奉仕をして作った因縁のある飛行場であります。それが後アメリカの基地になり、またその通信施設の拡張問題が起きましたが、地元の人々の反対によりまして取りやめとなり、現在は輸送部隊がおるわけであります。こういう経過を持っておりますから、地元民は、もうお国に対する責任は、あの当時の犠牲で十分である、自分たちはその国に対する義務は果たしたのだ、こういう気持を持っておることは、私がいつも申し上げておるわけであります。初めておなりになったので簡単にそのことだけは申し上げておきたいと思いますが、この美保基地を三十六年度予算に二十三億余の予算が計上され、また自衛隊法の必要な法改正等を経まして、自衛隊のジェット機の実戦基地として使用するために、滑走路の大拡張が計画をされ、それがたまたま十年来の郷土民の待望しておりました中海干拓計画のまん中にその滑走路の延長が行なわれるということから、いまだに島根県は中海干拓総合開発計画に支障ありという反対の立場を官民ともに堅持して、今日に至っております。鳥取県知事は条件によってはというような弾力のある態度をとっておられるようでありますが、地元民の気持というものは、このジェットの実戦基地に対しましては反対する声が圧倒的に強いのであります。これはいつも申し上げるわけでありますが、私ども防衛論争でこの問題を論ずれば切りがありませんから、地方のほんとうの発展と振興のためにという、その立場に限定して私は申し上げておるのであります。決してそういう思想上その他の観点からこの問題を論じておるのでない。それはまた別個に所信を持っておるのであります。それはまた別の機会に申し上げます。そういう点で一つお聞き取りを願っておきたいと思うのです。  本年の五月の中下旬に、前の政務次官の白浜さんですかが十数名の防衛庁の専門家を連れられまして、いわゆる説明においでになりました。さんざんな体たらくでお帰りになったことは、長官もお聞きになっておると存じます。膨大な資料を用意し、あらゆる角度から御説明になりましたが、地元民をして納得せしめることはできなかったのであります。その後さらに池田内閣の改造によって長官が御就任になった後に、門叶事務次官も調査測量の点について防衛庁の意向を持っておいでになったようでありすまが、そのときも何ら結論に達せず今日に至っておる。こういう最近の経過を持っておりますが、これらの経過から見まして、美保の基地を戦闘基地に切りかえるために必要な滑走路の延長という計画に対して、新長官としてはいかような方針でもって対処されようとしておりますか。おそらく国会等ではこの問題に対する御見解はまだ伺っておりませんので、お聞かせをいただきたいと思います。
  262. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 美保の飛行場につきましては、ただいまお話がございましたように、現在の輸送基地から実戦部隊の基地にいたしたい。それには滑走路の拡張が必要でございます。これはわが国の防空関係の全体をながめまして、どうしてもあの地にそうした実戦部隊を置くことが必要であるというふうに考えたのでございます。しかしながらこれをやるにつきましては、鳥取、島根両県並びに地元の皆様方の御納得をいただかなければならないわけで、その経過につきましてはただいま御指摘の通りでございます。私といたしましても、この美保の飛行場というものはぜひ確保いたしたいという観点に立ちまして、そうして両県の知事を通じまして地元の方々にこれが御了解をいただけるように、目下努力をいたしておるわけでございます。
  263. 足鹿覺

    足鹿委員 当初この問題に対して、本年初頭の予算委員会あるいは当委員会で、当時の長官西村さんその他に私、いろいろとお尋ねを申し上げたのですが、地元民の納得と協力を求めるのだということを常に申しておられました。ただいまもさような御趣旨に承りましたが、地方住民の意思というものをどういうふうにしてお確かめになるか、いろいろ方法はあると思うのですが、少なくともこの関係住民、実際その基地が拡充されて、飛行機が現実に飛びおりする地域の住民というものの考え方を中心にしていかなければならぬことは申し上げるまでもない。同じ鳥取県で4東部の方には直接何ら関係がない、島根県でも西部の方には何ら関係がない。でありますから、何としましてもその地方の最も関係の密接な住民の意思というものをわれわれは確かめることが、一番適切で妥当な方法だと思います。  そういう意味から先般来、昭和三十五年の選挙人名簿に登載されました有権者一人々々に当たりまして、長い日数をかけまして境港市と米子市との有権者のこれに対する署名をとりました。境港市におきましては九月十九日、米子市におきましては十月二日、それぞれ両市長に手交いたしました。一応申しますと、境港市では二万百七十六人中一万三百六十五人の反対署名がまとまりまして、手交式等をあげて、地方自治法百二十四条による市議会の意思表示を求めたこと等も、あるいはお聞き及びかと思います。米子市においても同様のことが行なわれておるのであります。これは決してただ単なる街頭署名とかそういうものではなくして、相当権威を持った、私どもは地方住民のこの問題に対する最も端的にして有力な意思表示だと考えました。そういうことになっておるのですが、そういう具体的な意思がはっきりしておりますし、島根県側におきましてはその滑走路の直下になることも予想される八束村は、村長以下全村民があげて反対をしております。また沿岸の町の市議会は、防衛庁のいろいろな切りくずし等もあったにもかかわらず、市議会も反対あるいは町議会も反対等の意思表示をしておる。島根県議会も反対の態度をいまだに堅持しておる。こういう情勢の中にあって、長官がいかように地元の納得と協力ということを申されましても、それはきわめて一方的な断定になるのではないか、かように思うのであります。元来こういうところに飛行場のあること自体が間違っておるのです。適地ではないのです。それに対してただ前長官からこういう引き継ぎを受けたというだけでもって判断されるということは、私は非常に当を得ておらぬと思うのです。しかもあとで申しますが、中海干拓を中心とする総合開発との差しさわり等も具体的にあるわけでして、そういう点については地元民、関係住民の協力と納得ということをおっしゃいますが、それは具体的にいうと一体どういうことでそれをやろうとしておられるのでありますか、その点もし具体的なお考えがあれば承りたいと思います。
  264. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 美保基地の問題につきまして、私就任前から承知もいたし、また防衛庁に参りまして、さらに十分検討をいたしたのでございますが、現在の状況においては、やはりあの地方に戦闘部隊を設けることが、最も必要であるというふうに考えておるわけでございますが、それにいたしましても、そういうことをいたすにつきましては、地元の十分な御了解と協力を得なければならぬことは申すまでもございません。私どもとしましては、そういう点については県知事さんを通じまして、そうして県議会なり地元の市町村の責任者あるいは議会等の御意向を十分尊重しなければならないと存じて、さような方向で県を通じてお願いをしておる次第でございます。もちろんそうした施設がそこにできますると、そのためにいろいろ地方としては、地方の開発計画その他にも影響を持つことは当然考えられるわけでございます。従ってその基地があるがゆえのそうした地元のマイナス面について、できるだけこれを埋めていくという考え方を持たなければならぬと思います。いわゆる地方の民生の安定あるいは地方の開発計画というようなものも、基地を設けるいろいろな面で地元に御迷惑をかけるわけでございますから、そうした面におきまして、これは単に防衛庁だけでなく、政府全体としてそれをやっていくような方向で考えなければならぬと思いますが、それにいたしても、そうした民生安定方策あるいは基地関係した地方の開発計画、そういったものにつきましても、これはやはり地元の希望と申しますか、要求と申しますか、そういうものがあるわけでございまして、そういうものもまた県知事さんを通じて政府と折衝をするようにいたして参りたい、かように考えておる次第でございます。
  265. 足鹿覺

    足鹿委員 その基地から生ずるいろいろな場合を考えて、民生の安定等について処置をする、こういうことであり、地方住民の納得と協力とは、知事あるいはその関係市町村の市町村長、あるいは県、市町村議会の了解というふうなことをお考えになっておるようでありますが、私は現在のもとにあって、地方住民の声というものは、先ほど述べましたような事態にあるということをまず御認識を願いたい。そして政党政治でありますためか、地方住民の声というものに対しては比較的簡単に、県議会あたりではそれぞれの党の方針だということで、ややもすれば割り切られるきらいがある。先ほど述べましたように両県と申しましても、その部分の人々は直接関係がありますが、それ以外の地区から選ばれた人々にとっては、直接大した関係がないことでありますから、県その他市町村の議会の意思というものは、必ずしもすべてを代表しておるということには、私はならない場合もあろうかと思います。県知事を通じてというお話もありますが、問題は、地方のその関係市長並びに市議会の態度というものが中心となって、そしてそこに判断の基礎が置かれなければならぬものではなかろうかと思いますが、それは議論になりますから、これ以上申し上げませんけれども、現在のところにおきましては、将来もっとこれに対する反対の声が強くなる分はありましても、決して当局が期待しておるような状態でないということは、率直に御認識を願っておきたいと思います。  そこで第二の問題は、いろいろな条件を並べて、そしてこの反対の鋭い声を押えていこう、こういう方針を防衛庁が当初から持っておられたことは明らかであり、今後もおそらくそれを強化されていくと考えられるわけでありますが、この点について、飛行場周辺の部落の移転補償が問題になり、あるいは中海を中心とする総合開発に関する政府の施策を要請するといったような声が、鳥取県側の方から出ているということを聞いておりますし、また島根県方面におきましては、八束村の中小学校の鉄筋コンクリートによる移転建設、基地交付税の支給、あるいは松江−美保関間の産業観光道路の設置、あるいは大橋川の潮どめ水門の設置、あるいは海中に突出する滑走路の両側へ、三百ヘクタールの埋め立てをして潮流の便をはかるというような、相当具体的な、この処理に対する条件らしきものが伝えられておりまして、これらについて総括して有利な補償条件で両県の納得を得たい、そのための農林、自治、大蔵関係当局に協力を求められたというふうに伝えられておりますが、その間に長官はいかような御指示をなさりておるのでありますか、具体的に御指示になっておりますならば、その内容等について伺いたい。
  266. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 具体的に話になっておりますのは、飛行場の進入路等の直下の移転補償の問題について、十分地元が納得するような移転補償をしてほしいということが出ております。しかしその他の、今おあげになりましたような問題は、何ら具体的には私の方に要求がされておりませんので、どのような具体的な問題になってくるか、今のところ承知をいたしていない次第でございます。
  267. 足鹿覺

    足鹿委員 去る十月五日に次官会議が開かれた際に、有利な補償条件で両県の納得を得たい。納得とは、つまり現段階においては実施その他の測量ではなくて、調査測量の納得を得たい。現時点ではそういう考え方で、今年じゅうにそれが終わるように方針をきめて、先ほど述べましたような条件等を例示して、関係各省の次官に協力を要請されたというふうに伝えられておりますが、そういう事実があるのでありますか。
  268. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほども申しましたように、その基地が拡張されることによりまして、地方の方々に与えるいろいろな損害もございますし、また地方開発計画にある種の支障を来たす面もございます。従ってこれについては国全体としてそうした地方に与えるマイナス面について十分見ていくという必要があります。そのためには単に防衛庁ばかりでなく、各方面の協力を得て、そうした民生安定あるいは基地周辺の環境整備、あるいは地方開発計画に対する協力等をしなければならないので、そういうことに将来なるから一つよろしく頼むということの依頼を各省にいたしたわけであります。
  269. 足鹿覺

    足鹿委員 私どもの承知しておるところによりますと、現在の定められた補償の条項というものにつきましては、その基準があると承知しております。騒音の補償、漁業権に対する補償というようなことにつきましては、防衛庁経理局で昭和二十八年七月一日に公布されたもので、三十年の七月にまた改正公布されております「陸上・海上・航空、各自衛隊等における土地等の購入又は使用に関する対価及び補償基準要綱」「教育施設騒音防止対策工事費補助金の交付に関する訓令」、これは防衛庁長官左藤義詮名義による三十三年十一月の訓令でありますが、この二つ以外には、われわれの現在承知しておる基礎はないと思うのです。ところがいろいろ伝えられるところによりますと、先ほど私が例示しましたようなことを、あなた方の出先は地方庁へ向かって、そういう仮定の条件を示したりあるいは流布したり、具体的には申されませんが、そう思えば思えないこともないようなことも——今長官自身も申されましたが、一体この規定以外に何に基づいてそういうことがなされるのであります。必要とあれば予算が幾らかかろうとも、規定があろうがなかろうが、とにかく産業、観光すべてのものに対して次々と防衛庁はやるのだということになりますならば、これは防衛庁の専制ではありませんか。私は現在の日本の政治体制のもとにあってそういうことが許されますならば、国会も必要ない、これはもう防衛庁のオールマイティでありまして、防衛庁が一たび必要と認めましたならば、何でもできるということになるわけであります。はなはだもってこれは奇怪しごくなことではないかと思います。少なくともあなた方の責任において一定の補償基準の要綱を作り、あるいは工事費の補助金の訓令等を発せられる。それ以外にはよるべき基準がないのです。観光道路を作ってやる、潮どめの樋門を作ってやる、滑走路の両側に防衛庁の経費で三百ヘクタールの埋め立てをしてやる、基地交付税は大幅増額して支給してやる、そういうことがはたしてあり得るのでありますか。また長官はそういうことを一つの必要の前には辞せぬ、こういう考え方でこの問題を処理されようとしておるのでありましょうか。これは私非常に重要な問題だと思いますが、一つ御所信を承っておきたいと思います。
  270. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 現実に損害を与える方々に対しましての補償ということは、当然やらなければならぬことでございますが、それ以外に、先ほど来申し上げますように、その基地があるがゆえにいろいろその地方にマイナスを与えるというのを、その地方の方々だけに負担させてよろしいかというと、それはやはり国全体として考えていかなければならない問題ではなかろうか。しかしもちろんそのためには国会で予算を御議決いただき、そうしてそれを政府全体として執行していくということでございまして、必要の前にはどんな金でも出すのだというような、そんな大それた考え方は一つも持っていないのでございます。ただ現実基地があるゆえに、その地方の方々にいろいろ迷惑をかける、マイナスの面がある、それをそのままほうっておいていいのだろうかというと、それはやはり国全体として見てあげなければならないではないか、そういう意味におきまして基地問題についての閣僚懇談会や、あるいは基地周辺の整備についての協議会を設けまして、政府全体として見ていくような態勢をとろう、こういうことでございまして、地元の反対があろうが何しようが、とにかく金を出せばいいのだというような、そんな大それた考え方は絶対持っておりませんので、御了承いただきたいと思います。
  271. 足鹿覺

    足鹿委員 鳥取県の自由民主党連合会は、先般防衛庁に対して申し入れをされたと聞いております。それにはいろいろなお話があったと思いますが、それは党の責任においてなされたことでありまして、他党のことでありますからその内容についてはあえてせんさくはいたしませんが、少なくとも私はその飛行場から自動車で約二十分くらいの至近の地におりますので、関係住民の気持で申し上げておるわけでありますが、とにかくいろいろ補償に関連して地方へ流布されておりますのは、防衛庁が有利な条件をくれるのだから、そういう一こくなことを言う必要はなかろう、こういう説得が行なわれておる。また説得の根拠は、防衛庁からおいでになった人が皆生温泉に長い期間御滞在になって、そうして公式にも非公式にもあらゆる説得工作を進められておる。しかしそれが一向効を奏さない。これは地方民もよく知っております。今にもあきらめられるかと思えば、いろいろなもっともらしいことを、先ほど私が例示しましたようなことを中心にいろいろやっておられるらしい。ですからもし私が今例示したようなことを、そのままとは申しませんが、そういうふうに自分たちの無理を強行していくために、できもしないようなことをやるように言うし、またやってやるのだと言う政治家も出てこぬとも限らぬ。これは全くこの地方民を惑わす結果になると思うのです。現在可能なことは、この騒音直下にある住民の住宅の移転の問題、この問題は少なくとも与えられた基準によって、その額は別として可能でありましょうが、伝えられるところによりますと、佐斐神という部落がございます。おそらく直下になるであろうと想定される。その部落は二百三十戸ぐらいの大きな部落でありますが、実際防衛庁が考えておられるのは十戸ないし二十戸ぐらいのものである。これは常識上われわれが考えても、その程度のものが直接騒音の被害補償の立場になるものだろうと思いますが、あにはからんや、一般に伝えられるところは、この部落全戸の被害補償をもらってやるからとにかく賛成せい、こういう調子です。そのもらう額は——どこから出るのか知りませんが、一戸当たり二千万円ないし三千万円もらってやる。そういたしますと、二百三十戸に対してそういう金が一体どこから出るのか。われわれの常識からいっても、全く想像も及ばないようなことが流布される。それが全く真実かのように——経理局長長官、お笑いになりますが、現実にその地方はほんとうの零細農です。三反程度の農地の狭少なところでありまして、昔から出かせぎに出る。アメリカあたりへも昔はどんどん出かせぎに出た地帯であります。今でも百姓ではなかなかやっていけないような、きわめて経営規模の小さい人々が蝟集しているところであります。町なんです。そういうところでありますから、どうせここへ住んでおっても、なかなかやりづらい、この際そういう金がもらえるならばというような気持を起こさせるような動きがいつとはなしに、いつも渦巻いておるのです。それはだれが具体的にどういうふうに言ったのかということは究明できませんが、何となしに防衛庁がやるというならば大きなものをくれるのだ、こういう有利な条件を流布して、いわゆる強固な反対の気持を分裂さしたり、撹乱をするような対策としてしか見られないようなことが行なわれておる。これは防衛庁もいろいろ戦争その他に備えて自衛隊の訓練等をおやりになっておるようでありますから、諜報活動とかなんとかいうことはまた御研究になっておるかもしれませんが、そういうことはやめてもらいたいし、あってはならぬと私は思うのです。やはり地方住民がどうしても納得がいかぬという状態は、もうこれは動かすことはできない。このことに対していかような条件を出されましても、これはとうてい私どもの見たところでは頭から無理なんです。それを先ほど来申しましたようなことによって強行されようとしておる、無理な説得を続けられているところに——私どもはどうしても防衛庁の率直な反省を求めて、この御計画を中止してもらいたい一念でございますが、移転補償の一つの事例を具体的に示してもらいたい。現在あなた方が美保のジェット機基地化について移転補償を具体的に考えておられるのは何戸で、それの補償単価はどういうものであるかということを——あれだけ今私が述べたように地方民の間にそういう説が流布されておるのでありますから、一体どういうことをあなた方は考えておられるのか。その事例を、これは私は別に肯定する意味ではありませんが、あまりにも突拍子もない怪奇しごくな条件を流布しておりますので、この際伺っておきたい。
  272. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 具体的な御質問でございますので、私からお答えいたします。移転補償について現地で一戸当たり二千万円とかというようなお話が出ておるそうでございますが、防衛庁といたしましては、いまだかつてそういう一戸当たり幾らであるとか、あるいは総額はどれくらいになるとかいう数字を出したことはございません。これは足鹿委員もよく御存じだと思いますけれども、せんだって私が御答弁申し上げましたように、ただいまの滑走路の計画というものは、まだ調査測量が済んでおりませんので、これはあくまでも防衛庁の希望でございます。従って調査測量が済まなければ、一体ああいう路線に従って延長ができるものかどうかというようなことが確定して参りません。従いましてそういう点が明らかになってこなければ、一体佐斐神で何戸であるか、大篠津で何戸であるか、小篠津で何戸であるとかいうような問題は、とうていこれは具体的には出てこないわけであります。  なお御参考までに、ほかの地区の移転補償について申し上げますと、ほかの地区で、これは九州でございますが、一戸当たり平均二百万円程度のものを予算化した例はございます。しかしこれも家屋の代償であるとか、あるいはその土地が農村であるか都市であるかというようないろいろな問題がございまして、これはあくまでもいなかの例でございまして、一体今度の美保飛行場に関連して、一戸当たりの補償額がどれくらいになるかというようなことは、まだここで推算することはできません。
  273. 足鹿覺

    足鹿委員 私が伺うといつもそうおっしゃるのですが、現地では先ほど述べたような実情にあるということをよくお聞きおきを願いたいと思います。ばかばかしいとあなた方が一笑に付せられるようなことが、どこからともなくそういう話が出てくる。不思議なことには、誘致賛成の署名をとって——十数戸ですが署名をとって、そして自分の上を通るようにしてくれという署名がどこから出たという話を聞いております。おそらく私の知る範囲内においては、それだけが賛成署名であろうと思いますが、それらを中心にしてあなた方がものを判断をされますことは、全く実情と離れたものであるということをはっきり申し上げておきたいと思います。いずれにしましても、この移転補償問題をめぐっても相当大きな食い違いがある。これはもうこの質疑の中でもはっきりいたしたことでもありますし、みだりに地方住民の民生の安定の問題、あるいはその地域の開発の問題等について住民に迷惑をかけるならば、国全体がこれに対する措置をしなければならぬであろうという長官の構想のようでございましたが、それとても無限大に、また根拠なしにそのときそのときの情勢に応じて弾力ある運用などということは、私はそれは今の日本の政治のあり方の上からも、おそらくできがたいことだと思います。そのつどそのつどそういう何らかの基準を適用していくのだということになりますと、では過去のものは一体どうなるのか、過去に相当そういう犠牲を与えたものに対しては追加補償の問題が起きてきましょうし、やはり基準は基準として一つの目安ができるものだと私は思うのでありますが、七月に自民党の中に基地対策特委別員会ができたということを私どもも聞き及んでおります。そういったことに対してあなた方が何か御検討になっておることは想像できますが、それとても法を無視し、あるいは防衛庁の予算といえども国民の血税であります。そうむやみやたらに使われていいはずのものでもありますまい。従って問題は根幹になりまして、勢い防衛そのものの問題にも及んでくるわけでありますが、それに触れますととても論議し尽くされない問題でもありますし、私はあえて触れようとは思いませんが、少なくともそういう恣意性の強い政治の姿は国を誤るものであろうと思います。その点は良識ある藤枝長官としては十分お考えになっておることと思いますし、考えてもらいたいと思います。  そこで先ほどの次官会議の協力要請という点であります。農林省もおいでになっておるようでありますが、先ほども述べましたように、飛行場の両そでに三百ヘクタールの埋め立てを防衛庁の経費でやるのだ、こういう説が地方には図面入りで流れておりますが、それらを中心にして具体的にはどういうお打ち合わせがありますか。現に中海には二千五百町歩余にわたって干拓計画が昭和三十八年には着工というところにまできております。それには綿密ないろいろな技術的な検討の結果、干拓面積が算出をされ、そして流れに対する水圧との関係、いろいろな調査に基づいて出されたのだと思いますが、そういうものがにわかに滑走路の両側にできるというようなことに対する要請を受けられたのでありますか。それのみに限りませんで、ほかにもいろいろ関連が出てくると思うのです、干拓計画のまん中にできるわけでありますから。そういうようなことについて、それがどのような形式、内容を問わず、何かお話を受けられて検討されたことはありますか。
  274. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 中海の干拓につきましては、御説の通りただいま全体設計の事業を進めている段階でございまして、大体三十七年度全体設計完了、こういう目標で進めております。御質問のようにこの美保関の飛行場の滑走路の延長につきましては、そういう計画があるから将来よろしく、こういった程度防衛庁からのお話は承っておりますが、具体的にどこにどういうふうに延ばすという点はまだ目下調査中であるから、そういう調査が済んだところでまた具体的にお打ち合わせするがということで、具体的な点はまだ今まで承っておりません。
  275. 足鹿覺

    足鹿委員 先日参議院農林水産常任委員長の談話として、今から二年ぐらい昔、国は干拓だけでは大きな意味はないというので、中海干拓の調査費が削られかけた事実がある。そのときに滑走路の延長に、つまり美保基地のジェット戦闘基地化に伴う施設の拡充というものを前提にして、中海干拓の調査費を計上したのだ、だから両立するのだという意味の談話が発表されて、私どもはそういうことは不幸にして——私宅昭和三十二年当時大蔵委員長をいたしておりまして、これは地元の将来の夢の実現である、われわれ山陰の者にとってはこの中海を中心とする総合開発以外には伸びるところがない、こういう見地から、党派の区別を忘れて、寝食を忘れて、その調査費の計上等については微力を尽くしたと思っております。現にまだその中海干拓のすみやかな実現を願っておる者の一人でありますが、私は一向聞いたことがございませんが、農林省は、表面にしろ裏面にしろ、そういうことを条件に中海干拓の調査費等の計上をお認めになった事実がございますか。これは庄野局長なり当時の技術課長の堀さんもおられますが、私ども一向聞いたことがないのです。あなた方の前の責任者であるということでありますならば、当時の農地局長なりあるいは当時の農林大臣なり、大蔵省関係の責任者にも御出席を願って、私はこの事実を究明しなければならぬと思っておりますが、今御不在のようでありますが、御出席の農林省関係で、この点についての実情を御存じがありましたら、お聞かせ願いたい。
  276. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 三十二年当時の大蔵省と農林省の予算折衝の段階においては、そういう話はなかった、そういうふうに聞いております。
  277. 足鹿覺

    足鹿委員 今私が申し上げたことも、これははっきり食い違っておる。私どもの理解するところでは、いかに党派を異にいたしましても、そういったことは事実を誤っておるのじゃないか、裏話としてそういうことがあったという意味のことを申しておられるようでありますけれども、私どもは全く意外な発言で驚いております。これは重大な問題であります。少なくともまだ具体的に何ら相談も受けておらぬという段階にさかのぼって二年も前に調査費を計上するかわりに、いわば平たくいえば、ジェット基地化を認めよう、何かそのような取引かやりとりがあって中海干拓ができたような印象を与えるようなことは、これはあなた方の責任ではありませんが、一応申し上げておくにとどめますが、事ほどさように話が食い違っておるのですから、先ほどの移転補償の問題も私が申し上げることが決して唐突なことではない。とにかくジェット基地化を推進するためには、いろいろな言葉が流布され、宣伝されておるのです。まことにもって私どもは奇怪千万だと思います。所信の相違はやむを得ません。やむを得ませんが、もっと国の問題についてお互いが論ずるときにはフェアであってほしい。謀略や全く事実無根のことをもって地方民を誘惑したり、惑わすというようなことがあってはならぬと思います。そのことを一応申し上げたかったのでありまして、ですから長官が考えておられ、また得ておられる報告等とは、実情が著しく違っておるということをよくこの際御認識を願っておきたいと思います。  そこで時間もありませんので、第三に調査測量についてお伺いいたします。先般門叶次官のおいでになったことが調査測量の正式の申し入れなのかどうかということを、門叶さんと数次の会見において申しましたが、それは申し入れの一つであろうという意味のことをおっしゃっておりました。しかし今の調査測量というものは、調査測量をしていけなければやめるというものではない。少なくともあなた方のお気持は、調査測量をしてその結果、計画に若干の変更はあっても、やるための調査測量であるとわれわれは理解しておるのです。そういうあなた方のお気持だろうと思うのです。従ってそれは決してただ単なる、単純な意味における調査測量ではない。従って地方民の納得と協力を得ることが一つの正式のスタートになる。そういうことになりますと、調査測量の申し入れの形式なりその方法というものは、どういうようにお考えになっておりますか。
  278. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ことしの七月十七日に事務次官が現地へ参りまして、調査測量についての了解を一ついただきたいというお願いをいたしております。これが正式か非公式かということになりますと、別に文書をもって伺ったわけではございませんけれども、これは前々から申し上げておる防衛庁の希望を再び強く申し上げたということでございまして、正式ではないかと思うのです。  それから今後どういう手順で調査測量に至るのかという御質問かと思いますが、これは先ほど長官からも御答弁申し上げましたように、あくまでも両県の御納得を得る。もちろんこれは法律的に、どうしても調査測量については同意がなくてはいかぬという規制はございませんが、しかし工事に着手いたします場合には、御承知のように公有水面埋立法による県知事の許可が必要であります。その前提といたしまして調査測量をするわけでございますから、従ってこの準備段階においてもなお両県の御納得を得たい、得る方が穏当であるという意味において、前々からそういう正式の声明をいたしまして、両県知事の御納得を得た上で調査測量に踏み切りたいということを申し上げておるわけでございます。
  279. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、今までも口頭等で調査測量に対する協力の要請をしてきた。しかし現在までそれが得る段階にきておらぬ。従って両県知事にいろいろと話をして、そして納得を得たときが、調査測量の正式申し入れの時期だ、こう解釈するわけですね。
  280. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 納得を得たときが正式の申し入れだというのではございませんで、納得が得られない限りは調査測量を強行するということはいたしません。正式の申し入れば口頭であっても前々からいたしておるわけでございまして、ただ残念ながら現在までに御納得を得ておりませんので、御納得が得られれば再びそこで正式依頼するとかいう問題ではなくて、これは調査測量に踏み切れる、こういうように考えております。
  281. 足鹿覺

    足鹿委員 少なくともこの大事について、今まで調査測量に協力要請を文書でお出しになったのですか。次官なり政務次官が、あるいはその他内局の人々がたくさん入れかわり立ちかわりおいでになった、そのものを総合して調査測量に対する申し入れ、こういうようにあなた方は考えておられるようでありますが、少なくとも今申し上げたような意味合いにおいて、そのこと自体は大きな拡張計画の実際分岐点なんですね。従ってその最終的な形式は、文書等によってあらためて出されるのですか。またその納得をした、あるいはしないということは、それぞれの機関に諮って文書等によって返事をすることをもって一つの結論に達した——これは普通の場合でも、ちょっとしたことでもお互いが意思の決定の確認ということを文書によってやるわけでございますが、その両県知事がどういうことをどういう機関に諮られるのか。県知事中心のあなた方の考え方も一つの考え方でございましょうけれども、私はむしろ地方の直接の利害関係の密接なところが大事だと思っておるものでありますけれども、それは別問題としまして、何十億の経費を使い、そして将来の地方の開発の運命を変えようというような、この大事なことが、調査測量の申し入れをいたしました、知事もそれでは協力をしましょう、あるいはいたしませんと言うことをもって、了解したとかしないとかいうことにはならぬのではないかという気がするのですが、どういうものでしょうか。
  282. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 先ほど御説明をいたしましたように、調査測量についての御了解、御納得を得るということは、法律上の要件にはなっておりません。従って様式行為として、たとえば今の公有水面埋立法による許可申請のような、書面でもってやりとりをしなくちゃいかぬというような規制はございません。ただ常識的に考えまして、ただいま御指摘になりましたように最終的に御同意が得られたということを確認するために、こちらから書類を差し上げて、それに対して御回答をいただくということは、これはあり得ると思います。しかし実質的には御承諾が得られれば、もう調査測量に踏み切っても差しつかえない段階である、こういうふうに解釈をいたしておる次第であります。
  283. 足鹿覺

    足鹿委員 御趣旨がそこにあるということはわかりましたので、次の問題に移りますが、第四に鳥取、島根両県の境界について自治省にお伺いいたします。  今度の国会で衆議院を通過いたしました地方自治法の一部を改正する法律案の九条の三——おそらくこれは参議院でも通過して成立するでありましょうが、もしこれが成立をいたしますと、この基地の問題がテスト・ケースの一つにもなるのじゃないかと思って、私は注目しておるのですが、要するに市町村間で話がつけば一番よろしい、それでつかぬ場合は県議会に諮って知事が裁定を下す、さらに話がつかぬ場合には自治省が最終的な裁断を下すということのようであります。この中海の問題の地点は、県境をめぐって歴史的な考証からなかなかそれはやかましいところでありますが、そういうことは別問題に、今直接私どもが感じますことは、境港市と米子市とのその境界を中心にできるわけであります。ですから、その中心がどこにくるかは、設計上の問題になってくると思いますが、ただそれだけで考えた場合には、この法律適用上は、それによってちゃんと境界が、境港市と米子市との境界の判断がつけば、それが一応ケリがつくということになるわけでありますが、これでは解決はつかぬのであります。鳥取県と島根県の県境は、島根県側は、その予定される地帯を島根県境がずっと入っておるのだという主張、鳥取県側は、いやそうではないという主張で、これはもめておるのであります。そういう場合における処置というものは、一体だれがどのような機関において裁定を下すものでありますか、この法律の何かほかに適用の条項等がありますか。
  284. 岸昌

    ○岸説明員 ただいま御指摘の地方自治法の一部を改正する法律案は、参議院先議でありまして、衆議院の御可決をいただきまして、すでに成立をいたしております。この公布の時期は十一月の半ばごろに予定をいたしておるわけでございますが、ただいまお尋ねの件がテスト・ケースになるかどうかという点につきましては、私ども必ずしもさようにはまだ考えておらないわけでございます。  お尋ねになりました境港市と米子市の間の境界の問題につきましては、これは両県にまたがらないわけでございますので、鳥取県知事が裁定をする、あるいは決定をするということによってきまるわけでございます。しかしながら鳥取県と島根県との間の境界ということになりますと、まず現在の自治法の建前は、都道府県の境界は市町村の境界を基礎にしてきまるということになっておりまして、市町村の境界がきまりますと、自動的に都道府県の境界もきまってくる、こういう建前になっておるわけでございます。従いまして今問題になっておりますところの境界も、鳥取県に属する甲市町村の境界と島根県に属する乙市町村の境界の問題になるわけでございます。これがはっきりしないという場合におきまして、争いがない場合には、自治法の九条の二の規定によってきまるわけでございます。それからはっきりしない場合におきまして、争いがございます場合には、これは完全に海のあるいは水面の上でございます場合には、先ほどお話のありました今回の改正によります九条の三の規定によって境界をきめることができるわけでございますが、その場合には九条の三のほかに、地方自治法の二百五十三条という規定が働きまして、両県知事の間におきまして、どちらの県の知事が九条の二なりあるいは九条の三によりまして、境界を決定または裁定するかを協議することになっております。協議が整いました場合には、その協議の結果きめられましたいずれか一方の知事が決定なり裁定をいたすことになるわけであります。協議が整わない場合、あるいは両県知事から申し出がありました場合には、自治大臣が決定なり裁定をいたす、こういうことになるわけでございます。
  285. 足鹿覺

    足鹿委員 わかりました。これに対する見解は、私も別に持っておりますが、時間もありませんし、一応あなた方の御見解が明らかになりましたので、その点は打ち切ります。  最後に長官に申し上げたいのでありますが、今までの質疑を通じて明らかにされましたように、関係省が計画をしておることに対する何らの打ち合わせもない。全く防衛庁が独走しておられる格好です。私どもは中海を中心とする山陰の理想郷を作っていく、これ以外にもう山陰の生きて伸びていく地帯は他にないのでありまして、それをわれわれは懸命に——それが郷土と地方の将来の発展を約束づけるものであって、ジェット戦闘機基地ができることによって、それは重大な障害になる。それはあなた方がいかような措置を講じられましても、決して万全なものでもありませんし、本質的には、今日本が大陸貿易を今後進めていかざるを得ない立場に立っているでしょう。そうした場合に、従来は境港市が中心になりまして、もとの満州あるいはウラジオストック等との貿易基地一つであります。そこのまん中に対ソ重要戦略の一環である戦闘機基地ができるということになりましても、これは地方住民としては、そういうことで将来の大陸貿易として伸びていかなければならない境港、その周辺の発展というようなことは、常識的にも考えられません。両立するなどということはとうてい考えられません。そういうように、地方の人々は理屈ではない。自分たちの皮膚に感ずる立場から、こういうものは大東亜戦争中における犠牲でもう十分だ、これ以上われわれになぜ犠牲をしいなければならぬのか、こういう気持は、あなた方がいかように説得されましても、これを払拭し、これを是正することは不可能でありましょう。直接私ども地元におりましてそういう切実な気持を持っておりますから、この質問をこの問題が解決するまでは何べんでもやらしてもらいたいと思っております。この機会は別にしまして、どこへでも行って私はこの主張を貫徹したいと思っておりますが、これは決して党派や思想上の立場から出発して、われわれが地方住民を扇動するとか、あるいはそういう世論の形成に当たるとかいうことでなく、今のような地方住民の、境港市、米子市の両市の住民が、正式の有権者名簿に載った者の過半数が署名するなどということは、なかなかこれは容易ならぬことであります。でき得べくんばわれわれは地方の住民投票を正式の方法によってやりたい。それによって防衛庁の真摯な反省を求めたいと思いますが、適当なその条文等の点も見つかりませんし、そういうこともきわめて困難でありますので、今の地方住民の意思の所在というものを、冒頭に述べました両市の有権者の過半数の署名という形で正式に両市長に表明し、善処を要望しておるわけであります。それはほんの一つの現われにすぎません。どうかこの点について、歴代の長官解決し得なかった問題を、藤枝長官において、ではおれが一つ実現して解決してやるというのでなしに、今まで何代かの長官解決し得なかったこの問題を、あなたの良識とあなたの見識において、これ以上の混乱と摩擦が起きないように御善処願いたいと思います。私は当時おりませんでしたが、八月、九月には地方住民が海上に船をかりまして、そして熱心な意思表示をいたしました。警察部等が漁船法の違反だとかいうので、干渉がましいことをなさったそうでありますけれども、話によってそれは解決がつき、事なきを得ました。しかしいかに両県の知事が、かりに調査測量を了承されたとしましても、調査測量をやられる場合には、流血の惨事の起きることはもう火を見るよりも明らかなことであります。われわれも決してそれを期待し、こいねがうものではありません。こいねがうものではありませんが、おそらく砂川の事態よりも深刻な事態が必ず起きると思うのです。われわれはそういう事態を避けたい。そのためにはほんとうにこの地方の声をお聞き願いたい。そしてこのような狭い、地方民のただ一つの夢をぶちこわすようなことをこの際率直に取りやめてもらいたいというのが、私どもの切実な声を代表する意見でありまして、その点を十分御認識を願いまして、事態が最悪の場合に直面するがごとき愚かなことのないように、新しい長官として御就任になりました藤枝さんの御善処を、私は地方住民の声を代表しましてこの機会に強く申し上げまして、時間もありませんので、きょうは私の質問をこれで終わることにいたします。
  286. 中島茂喜

  287. 西村力弥

    西村(力)委員 先日藤枝長官に、どこでしたか、本会議場の中でしたか、簡単に申し上げてありましたが、自衛隊の制服の、現在は建設本部で、東京建設部ですか、あそこに派遣されておりました稲田三佐という方が仕事をしておるときに暴行を働いた、こういう問題であります。このことは、今までそういう基地のいろいろの紛争の際には、警察官の行き過ぎの行為というものがたくさんありまして、そのたびごとに私たちは特別公務員の暴行傷害として問題にしておりましたが、制服がそういう行為に出たというのは初めてであります。事はささいなことでありますが、そう意味においては重大だと思いまして、ちょっとお耳に入れてあったはずですが、調査なさったかどうか、その結果どういうことでありますのか、お答えを願いたいと思います。
  288. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 調査の結果は局長から御説明させていただきます。
  289. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 稲田三佐が、新島で村道工事の際に発生をいたしました事件についての概略を申し上げますと、ことしの九月十一日、十時四十分ごろに稲田三佐が作業員六名と一緒に村道の拡幅工事に伴う測量事務に従事をしておったわけでございます。その際に反対派の一人である宮川長松さんの所有地に立ち入るという必要が起きまして、ちょうど付近でツバキの実を取っておられた宮川さんに会って、そしてこういう必要があるので所有地内に立ち入りをさせてもらいたいという希望を申し述べて、それで宮川さんからその承諾をとったわけでございます。そしてこの所有地に入ろうとしたときに、臼田さんという、これは島民ではございませんが、オルグの一人が、ここは私有地であるから入っちゃいかぬということでそれをとめられましたが、稲田三佐は、これは事前に所有者である宮川さんの承諾を得てあるので入ってもいいのだということで、二、三そこで押し問答があったようでございます。その結果、それでは宮川さんに来ていただいてそれを確かめようということになって、宮川さんに来てもらったところが、前に打ったくいをそのまま打ちかえるという程度ならば自分としては差しつかえないということを申した、こういうことでありまして、そういう証言がございましたので、稲田三佐外六名はその所有地に入ろうとした。   〔委員長退席草野委員長代理着席〕 ところが、臼田さんが作業員の間に立ちはだかって、その立ち入りを妨害をしようとされたわけでございます。その際に、稲田三佐は、臼田さんの右肩を左の手で押しのけた——ちょうど稲田三佐は右手に指揮棒を持っておりまして、左手は素手でございました。その左手でもってその臼田さんの右肩を押した。ところが、運悪く現場は斜面でございまして、でこぼこの道でありましたために、二人の足がもつれまして、臼田さんが倒れて、その際に稲田三佐の左手を引っ張るようにして、二人が一緒に倒れた。そのときに、臼田さんはパンツ一枚の裸体でございまして、また下には抗火石がありましたために、背中とか、あるいはひじ、ひざに擦過傷を負った、また右の胸部に打撲傷を負った、稲田三佐も右腕をすりむいた、こういうような事件でございます。  新島の警察では、その後事情を聴取いたしまして、その両人のほかに、当日の作業員等を呼んで事情を聴取いたしました結果、稲田三佐には暴行傷害の事実がある、また臼田さんには公務執行妨害と道路法六十七条違反の疑いがあるということで、書類を検察庁に送検をいたした、こういうのが事実でございます。
  290. 西村力弥

    西村(力)委員 ただいまのお話で、一つはこの言い争いが起きて宮川長松所有者を呼んで事前承認を受けたことを確かめたということがあるが、それはそういうことがないということを私は聞いている。そこが一点相違します。それから、左手で肩を押した。そのときに、稲田三佐というのは柔道の心得でもあるのかどうか、強くさか手をとった、こういうことを本人が言うておる。それから、けがの程度でありますが、これは防衛庁側では全治一週間というような工合に言われておりますが、実際の診断書を見ますと、けがしたのは九月十一日だったと思うのですが、その後ずっと加療しておりまして、九月の二十九日に出した診断書によると、向後三週間の加療を要する見込み、こうなっておりますので、そのけがをした当日からいいますと、この診断書は大体五週間以上かかる、こういう工合に判断をしておるのです。そこの点は、防衛庁では約一週間のけがだ、こういう工合に言われておりますが、そういう点が、私の聞いたところ、あるいは診断書を見てのところからいいまして、相違しておる点なんです。まあさか手をとったとか何とかということ、こんなことは証明もしようのないことだと思うのです。宮川長松を現場に呼んでお前は前もって承認したのかということを確認さしたというのは、それは聞いておるところとちょっと違うのですが、そこは少し明確にしてもらいたいと思うのです。  それから診断書のけがの程度は、この診断書にあることを認められるかどうか、こういうことですね。どうですか。
  291. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私も現場に居合わせたわけではございませんので、調査して受けた報告をそのままただいまお伝え申し上げたわけでございますが、私の受けておる報告には、確かに宮川長松さんを呼んで地積測量のため土地立ち入りが認められているという確認を求めたところというのがございまして、この点はもう一回念のために調べさしていただきたいと思います。私のただいままで受けておる報告ではそうなっております。  それから傷害の程度でございますが、私の受けております報告は、九月十四日付の新島診療所の診断でございまして、これには右胸部打撲傷全治一週間、左ひざ擦過傷全治三日間、こういうものが私の方に出ておる診断でございます。その後ただいま御指摘になりました報告書は私は拝見いたしておりません。
  292. 西村力弥

    西村(力)委員 これも新島の国保の直営診療所の医師水野亀雄氏、この人の診断ですが、病名は右季肋部打撲傷、こういうことになっております。そうして九月二十九日の診断書で向後約三週間の加療を要する、こう出ておるのですからね。やっぱり通計しますると五週間以上ということになるわけなんです。これは認められてしかるべきじゃないかと思うのです。そこのところはどうであるか。そういう問題は別の問題になりますので論争もありまするけれども、それは抜きにしまして、こういう制服の人が事業執行にあたって、そういう工合に関係住民に直接行動に出たということは初めてなんですが、防衛庁長官はこの事犯に対してどうお考えであるか、一つあなたの考え方を承りたい。
  293. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 報告によりますと、稲田三佐の公務執行中それを妨害した行為でありまして、従って最もよき手段といたしましては、それを警察に通報して、警察の力によってその公務執行妨害を排除してもらうということが最も好ましきやり方であったと思います。それが直接そうした行動に出ましたことは、事のいかんを問わず、まことにおもしろくないことでございます。今書類が送検されておるようでございまして、検察庁の判断等も待って考えて参りたいと思います。
  294. 西村力弥

    西村(力)委員 この点今後そうあるべきことでもないでしょうけれども、新島というのに行ってみますると、いろいろ私たちとしては法の名による無法地帯という感じを受けることが非常に多いのです。これははるか海を隔てた向こうでありますので、警察官の行動にせよ何にせよ、ほんとうに無法地帯という感じを受ける場合が多いのです。たとえば、私たちが道路を通ってある地点に行こう、そういった場合に、警察がこれをとめる。なぜとめるかと言うと、先方に行くと危険がある、だから通せない、こういうのです。危険があるというのはこちらか向こうかと言うと、向こうだと言う。向こうというのはその現地民なんです。道路に働いているいわゆる賛成派の諸君だ。それならばそっちの方をあなた方押えたらいいじゃないか、私を押える必要がどこにあると言ったが、こういうことを拡大していけば私たちが竹芝棧橋から乗るときにすでに警察がそれを阻止することが可能だということになってくる。これは警職法の問題で大騒ぎになりましたが、先方に危険を予測された場合には、それをストップすることができるといったら、新島に私たちが行く場合に、竹芝で私らが全部押えられても何ら文句は言えないということになる。こういうことは、警職法はああいう工合に廃案になったけれども現実に生かされているということになる。こういうような行為が非常にある。法の名による無法地帯だ、こう私は言いたい。そういう気分が自衛隊の方にもやっぱりうつったといいまするか、それでうっかりこうやっちゃったんだろうと思うのですがね。しかし、こういうことは新しいケースでありますが、十分に戒心を願わなければならないと思うのでございます。  それで、こういう処置は今後の問題でありますけれども、この処置に対しましては人事局の方で担当せられるんでしょうが、また一面こういう工合に傷害を与えたという相手側に対する立場というものを防衛庁では考えていかなければならぬのではないかと思うのです。こういう話は私の中心的な話じゃないのです。最も中心としたいのは、この強行策というものに対していろいろと意見あるいは苦情、反論、そういうものはあるのですが、本日はやめておきます。いずれにしても適当なる処置をせらるべきであろうと思う。私は個人稲田三佐をどうこうということを強く言うわけではございません。その点はつけ加えておきますが、その問題はそれだけにして、今後の十分なる御処置を一つお願い申し上げたいと思います。  次に、私の聞いておるところによりますると、昭和三十七年度の計画として、ジェット基地を山形あるいは新潟に作る、それは宮城県にある基地との関連性においてこれを作る、こういうことを聞いておるのですが、まあこの席ではっきりまだあなたがおっしゃるわけはないかもしれませんけれども、ないならないとはっきり言えるだろうし、あるならば言葉をごまかされるだろうが、いずれにしてもその件について一つ防衛庁の現在の計画というものをはっきりしてもらいたい。
  295. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ただいま御指摘になりましたような、山形ないしは新潟にジェットの飛行場を作るという計画はございません。
  296. 草野一郎平

    ○草野委員長代理 それでは次に田口誠治君。
  297. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 時間の面もあるようでございますので、一点だけにしぼって疑問の点と、それから地元からいろいろと要請のある面について御質問をいたしたいと思います。  その内容は、昨年の十一月から十混を通じて、岐阜県の郡上郡高鷲村地域に射撃場を新設する作業を開始されておられるのでございまするが、その内容がやはりそれぞれ人によっては違った解釈といいまするか、表現をいたしている。またいろいろなうわさも流れておりまするので、この際そういう点も明確にしていきたいと思います。そこで、あそこの射撃場を設置しようとするのは、まずどういう射撃場なんですか。
  298. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 さらに詳細は政府委員からお答えさせますが、第十混成団の管轄区域には砲の射撃の訓練ができる演習場がございませんので、ぜひそうした演習場を獲得したいということでございます。
  299. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その使用面積はどのくらいですか。
  300. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 約三百万坪を希望いたしております。
  301. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その中には民有林も官有林もあると思いますが、その仕分けがわかりましたら……。
  302. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 村有林が約三分の一ございます。そのほかは民有地でございまして、所有者は約二百名でございます。そのほかに一部国有地がございます。
  303. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その作業はどの程度進んでおるのですか。
  304. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 昭和三十四年の一月に大体ここが適地であるということを目当てをつけまして、高鷲村の村長さんに対して希望を申し出ております。それに対して、地元の方では七項目ばかりの受け入れ条件を提案いたしておりまして、その提案のうち、あるものは防衛庁としてできるものもあり、あるものはほかの省の関係のものもございますし、いまだ正式に御回答申し上げておりません。それで三十五年の六月に高鷲村の方の御了解を得まして、調査を行ない、また航空撮影等をいたしております。  なお直接の、正式な折衝というものは行なっておりませんで、もっぱら県の方にごあっせんをお願いいたしまして、県の方からの御協力を得て取得をいたしたいというふうに考えておりますが、伊勢湾台風等の関係もございまして、県の方も非常に御多忙でございますので、今日に延びておるという次第でございます。
  305. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それで、民有地を除くいわゆる官有林の方は、測量が終わっておるのですか。
  306. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 まだ測量は終わっておりません。
  307. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 測量といいますと、実際に現場へ足を踏み込んで測量される場合もありますし、それからヘリコプターを使って測量される場合もあるわけです。これは鉄道の路線の測量でも、新幹線の場合なんかは飛行機を使って測量いたした事実もあるわけであります。聞くところによりますと、ヘリコプターを使って官有林の面だけ測量が終わったというふうに聞いておりますが、そういう事実はありますか。
  308. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 国有地につきましてはまだ測量を終わっておらないことはただいま申し上げた通りでございますが、先ほどちょっと申し上げましたように、昨年の六月に高鷲村の方の御了解を得まして、森林の調査とそれから航空撮影を実施しておる事実はございます。
  309. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そのことと測量ということとは、関係ありませんですか。
  310. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 資料と申しますと、ちょっと失礼ですが、聞き漏らしましたので……。
  311. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 資料を要求しておるのでございませんが、今の森林調査とかそれから写真で調査をするということは、これは測量の一部に入るかどうか。
  312. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 もちろん測量の一部に入りますが、この前行ないました測量が不完全でございますので、今後防衛庁の希望といたしましては、もっと完全なものを測量いたしたいというふうに考えております。
  313. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 民有林の方のできなかった理由は、どういう理由なんですか。
  314. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 民有林は、私の方に参っております報告では、すでに測量を行なっております。ただ先ほど申し上げましたように、必ずしも完全な測量ではないので、もう一回航空測量等で完全なものにいたしたいという希望を持っております。
  315. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その測量というのは、いつごろやられたのですか。
  316. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 航空測量は、五月の十八日に行なっております。
  317. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 民有林の方は。
  318. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 民有林の方は去年の六月に調査をいたしておると思います。
  319. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 この点については、やはり話し合いをされて、了解の上になされたのか、わからぬなりにヘリコプターで写真をとったり秘密裏に行なわれたのか、どうなんですか。
  320. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これは高鷲村の村長さんに申し出をしまして、その御了解を得て測量いたしております。
  321. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、あそこの射撃場を設置しようとする範囲には、撃ち込む方と撃ち込まれる方との谷間がございますね、この谷間には開拓団が移住しておるわけなんですが、こういう人たちとの今日までの交渉経緯とかあるいは了解の程度とか、こういう面についてお伺いいたしたい。
  322. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 昭和二十一年当時、ただいま御指摘になりましたような開拓団の入植がございまして、その当時はたしか三十六戸ございましたが、何しろ高冷多湿の気候のところでございますので、必ずしも農耕に適しておらないということで、その後だんだん減りまして、現在は十一戸になっております。その開拓地の面積を見ますと、当初二百五十四町歩でございましたけれども、ただいま申し上げました、次第に開拓地を離れる方が出られまして、そのうちの六十六町歩が十一戸に売り渡された、また百十四町歩は地元に売り渡された、残り七十四町歩は国有地になった、こういう次第でございます。それで現在残っておられます十一戸の開拓者の方々との交渉は、ただいままでのところは防衛庁としては行なっておりません。先ほどもちょっと申し上げましたように、県を中心として、県にお願いをして何とかお話し合いをつけたいというふうに思っておる次第でございまして、ただいままでのところは、直接交渉を持ったということはございません。
  323. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 高鷲村の方からの申し入れというか、条件が出されたというその七項目というのはどういうようなことですか。
  324. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 高鷲村の方から申し出られました条件の七項目は、その第一は土地の買収価格でございますが、これは電源開発が実施した御母衣ダム買収の基準によって買収をしてもらいたいということであります。それから第二点は、自衛隊の駐屯地をここに設置してもらいたい。それから第三点は、国有林五百町歩を払い下げてもらいたい。これは切立開拓農家が土地を売り渡すかわりに、その五百町歩の国有林を払い下げてもらいたい。それから第四点は、国有鉄道の越美南線を高鷲村へ延長してもらいたい。第五点は、切立部落に対して貯水池を設置してもらいたい。第六点は、村の中の道路を整備してほしい。第七点は、学校を新設する等に必要な土木工事に協力をしてもらいたい。以上の七点が提案されております。
  325. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そのうちでオーケーを与えられたのは、どれとどれですか。
  326. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 この中で内部的に検討はしておりますけれども地元あるいは県に対して直接に具体的にお話をしたことはまだございません。
  327. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それで、この周辺は高鷲村の地域でありますけれども、白鳥町合併前の旧牛道村の山裏にもなっておりまして、白鳥町にもやはり相当関係があるわけなんですが、白鳥町に対するところの了解というか、その交渉の経緯というようなものもお話し願いたいと思います。
  328. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これも直接交渉を申し上げたわけではございませんが、郡上郡の町村長会議では、高鷲村を除いて設置には賛成である、今の御指摘の白鳥町につきましても賛成であるという御返答を非公式にいただいております。高鷲村につきましては、当初この問題が出ましたときに、反対期成同盟というものが結成されまして、一応反対の態度をおとりになっておりましたけれども、ただいまはそれが解消されまして、対策委員会というものが作られておりまして、条件によっては受け入れてもよいという空気のように伺っております。
  329. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それで、私の方で聞いておりまする条件でございまするが、これは十混から口頭で、賛成する賛成派に対して条件が出されておられるのは、道路の整備、これはやはり具体的な面についてはああいう山間僻地としては、どちらかといえば最も上位の道路を作ってもらいたい、作ってやるということです。それから、農作物は全部村のものを買い上げてやる、それから演習場の地域内には、演習をしておらないときは草刈りもやったり、たきぎ切りまではできるかどうか知りませんけれども、そういう作業を一切やらせるのだということ、それから付近のスキー場を拡大整備をしてやる、それから鉄道の延長については、ちょっと言葉が濁っておりますけれども、これにも最大の努力をしてやるということなんで、この点については、純朴な山間僻地の高鷲村の村民としては延長してもらえるというような取り方をしておるのですが、これはやはり十混から口頭でなされておられるのですが、防衛庁の方では、そういう点を報告を受けておられるかどうか。
  330. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 先ほど申し上げましたように、防衛庁といたしましては、高鷲演習場を使わしていただくためには、地元の御要求で、でき得る限りのことをしなくてはならぬという方針で、現在出されておりますこの七つの条件について、一体どれがお引き受けできるか、あるいはどれは、たとえば今仰せになりました鉄道の問題は国鉄の方にお願いをしなくちゃなりません。また国有林の払い下げにつきましては、林野庁の方へお願いをしなくちゃなりませんが、そういう交渉をまだ開始しておりません。従って、県の方から正式にこういう条件でというお話がありますと、われわれの方から関係方面にいろいろお願いをする、また自分たちの手元でできるだけのことはお約束をする、こういう段取りになるかと思います。ただ、ただいま御指摘になりました道路あるいは農作物の買い上げ、域内の草刈り、スキー場の拡大等につきましては、私どもは具体的に報告は受けておりません。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、おそらく現実にその部隊からそういう話が出たかどうか、私確認しておりませんが、もし出たとするならば、防衛庁の限りで、この程度のことはできる施設部隊もおりますことでございますし、あるいはこの程度のことができるのではないかという考えをだれかに漏らしたかどうか、その点は確認しておりませんが、そういうことでございます。
  331. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 民有林の測量を三十五年六月終わったというようにお答えになったのですが、これは官有林と間違っておりませんですか。
  332. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私の方に参っておる報告では民有林となっておりますが、この点はもう一度あらためて実情を調べてみたいと思いますので、しばらく御猶予を願います。
  333. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その点は多分間違っておると思うわけなんです。それでまああそこの山主にはやはり最終の価格も示されておらないし、それからいろいろな条件もまだ示されておらない、そういうような状態の中でまず測量だけやってもらうというようなことはあり得ないことでございまして、この点についてはやはり民有林の場合には、現在のところでは手がつけられないというのが実態だろうと思います。従って、官有林の面は、これはやはり官有林でございまするから、飛行機で写真をとったり、そして森林の調査を行なうというような面は、これはやれるかもわかりませんけれども、その点は多分間違っておると思いますので、再調査を願いたいと思うわけでございます。  そこで、まあ間違っておるということを前提にしてお聞きをするわけなんですが、今反対同盟が期成同盟になっても、まあ名前はいろいろ変わりましても、出しておる条件をのんでもらわなければ反対だということは、この気持は変わりはないわけなんです。こういう気持が現在において変わりない。これからの作業の進め方としては、これはまず県へ示して県から働きかけをしてもらって、その経過を聞いて、そして防衛庁の方としては了解できるものは了解し、それからできないものはできないということで、そういうところから作業が今後進められると思うんですが、その程度の消極的なことであるのか、それともそれよりなお積極的にやられるというようなお考えがあるかどうか。それと申しますのは、いろいろこの民有林の所有者に当たってみたけれども、なかなかうんと言わない。それで他の方にかえ地があるわけなんです。山のかえ地があるから、そことかえてもらうということを話しかけてみたけれども、あそこの民有林というのは非常にいいところなんですね。それでなかなかそれには飛びついてこない。こういうようなことであんな遠い山間僻地へ持っていって、十混は砲の実弾射撃の演習を行なうというようなことは、これはそれほどまでも積極的にやらなくてもいいじゃないか。それでまたほかの方にいいところがあれば一つ探してみようじゃないかというように、相当防衛庁の方では高鷲村の射撃場については消極的な態度に変わっておられるというように聞いておるわけなんです。そして私どもとしても、この問題を初めに取り上げられていろいろと作業を進められた経緯から見ましても、やはりほかにいいところがある。まあ高鷲の方は放棄してもいいというようなお考えがあるように思うわけなんですが、そういう点はどうなんですか。
  334. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 先ほど長官からお答えいたしましたように、十混の区域にはこういう種類の演習場がございませんので、どうしても高鷲演習場を取得いたしたいという希望を持っておる次第でございます。  なお地元側との交渉でございますが、県に中に入ってもらいまして、できるだけ県と防衛庁、あるいは県と地元の方というふうな関係において今後の交渉を進めていきたいと思っておりますが、なお土地の買収価格等の関係で、県で防衛庁の方で直接やってもらいたいというような個々的な案件につきましては、直接地元と交渉をさせていただくこともございましょうけれども、その場合におきましては、あくまでも県との了解のもとにそういう方法をとっていきたいというふうに考えております。
  335. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしますると、防衛庁からは、正式には、十混を通じては、いろいろな条件は全然示すような命令は出しておらぬということなんですね。
  336. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 正式に防衛庁としてこれこれの条件でということは申し上げておりません。ただ、先ほども申し上げましたように、現地の部隊の方で、いろいろな希望のうちで、まあこれくらいならば十混でお引き受けしてもできるだろうというようなものも、現地の方にあるいはこの程度のものはやってあげましょうということを言ったかもしれませんが、正式に七条件全体について防衛庁が意思表示をしたということはございません。
  337. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしますると、先ほどのお答えからいきますると、県に一任してあるのだ、こういうことなんですが、ただし私どもが聞いておりますのは、直接十混の方から口頭で呼びかけがあった、こういうことなんですが、この辺のところはどうなんですか。やはり県に一任して交渉をさせておるのか、その中へやはり十混の方も中へ入って、それを推進するような方法を示されておられるのか。正式な命令でなくとも、この程度のことをやってみようというようなくらいな話を十混の方へなされておられるのか、その点も承っておきたいと思います。
  338. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これは正式に防衛庁から地元の方にいろいろな条件で交渉を開始するという問題、そういう段階には至っておりませんけれども、現地の部隊から非公式に現地の御意向を探るなり、あるいはそれに対して自分の方でできるものは、この程度はできるだろうというようなことを申し上げたかもしれぬと思います。非公式に地元とお話し合いをしているということは聞いておりますけれども、条件全体について正式に協議を開始したという段階には至っておりません。
  339. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこでそういうようなテクニックを使われるとしますと、道路の整備なんかの場合には、これはやはり政府の方としてかなえ得ることだろうと思うわけですが、問題は農作物を村のものを全部買うのだ、これはなかなかむずかしいことだろうと思う、のです。これは現在ですら、どこの自衛隊の野菜類やそうしたものも、出るところは大体きまっておるのですね。その地域に相当野菜ができておっても、そこの野菜を買い取られるというようなことは、まず今のところではないように思うわけなんで、それでこういうような相当むずかしいと私どもは考えられるようなことを幾ら非公式にでも話し合いをされて、それが進んでいったとすると、防衛庁の方ではそれをお認めにならなければならないわけなんですね。それで先ほど申しましたところの六項目の点については、非公式に話が進んでいった場合には、防衛庁の方では自動的にお認めになられるものか、やはりそれは非公式だから僕らの方はそれはだめなんだとか、防衛庁としてはこの程度よりいかぬとか、こういうようなことがあり得るのか、その辺のところを一つ明確にしてもらいたいと思います。
  340. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 現地部隊でその地元でお作りになった農作物を全部買い上げると申し上げたかどうか、私もこれは直接聞いておりませんので、また報告も受けておりませんのでよく存じませんが、おそらくそういう御希望が地元から出て、それに対して、どうせ隊でも使うことでございますから、買えるのだということの御返答を申し上げたのじゃないかと推測をいたします。ただいま仰せになりました道路の問題、あるいは演習場内の草を刈ってもよろしいというような問題、あるいはスキー場を拡大するというような建設部面の問題が主でございまして、こういうものは従来とも防衛庁で各方面に施設部隊等を使って御要望を満たしておる関係もございますので、おそらくこの程度のことはできるだろうというつもりで、もしお話しているとすれば申し上げたのじゃないかと思います。  なお、農作物の買い上げの問題でございますが、これは御承知のように、防衛庁といたしましては、できるだけ地元でお作りになったものを買い上げたいということで、会計法あるいは予決令等で許されておる範囲内で買い上げを実施いたしておるわけでございまして、たとえば農業協同組合であれば随意契約ができますので、あるいはそういうルートを通じていただければ、買い上げもできるのじゃないかというような気持で現地の部隊はあるいは申し上げたのではないかと思います。  なお、鉄道の問題等につきましては、これは防衛庁限りではとうていできないことでございますし、おそらく側面的に御協力をしましょうくらいのことは申し上げたかもしれませんが、しかし、これは防衛庁としてお約束し得る権限の範囲外でございまして、もし現地でそういうことをお約束したとすれば、これは取り消さなくちゃならぬ問題かと思います。
  341. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 きちんと約束されていると申し上げておるのではなくて、条件として口頭で賛成派の方々にお話されておられる。それから賛成派の人々はそれを全くまじめに受け取っておられる。ところが、いろいろ基地の問題なり射撃場の問題であちらこちらで問題が起きますので、富士の演習場へ視察に行ったらしいのです。ところが御承知の通り、これは防衛庁と違いますけれども調達庁関係がお約束をしたことと、それから実施をしてくれたこととやはり相違があるというようなこと、それからこの射撃そのものによるところの、形にあまり現われぬところの被害というものも相当にあるというようなことを聞いてきまして、現在のところではまず反対という気持に村が固まっているようにわれわれは受け取っておるわけなんです。それで先ほど、村の方では大体認められたというような御回答がございましたけれども、そういうような調査の上に立って、やはり反対の方向へ向かっておるということでございますので、こういうような状態の中で今後この問題を取り上げられるとするならば、やはり、名前は反対同盟が期成同盟になろうが、どういう名前に変わろうが、相当強い反対が出てくるんじゃないか、こういうように考えられるわけです。時間が制約されておりますので、こまかいことは省略させていただいて、またいつかの機会に譲らしていただきますが、私特にこの際おどすわけではありませんが、申し上げたいことは、岐阜県の郡上郡、あの一帯は、人もよければ水もよいというような歌の文句があるように、非常に人間がいいわけなんです。従ってそれだけに打診的に一つの条件を出されてもそれを直接にまじめに受け取るわけなんです。それだけに、今度はこれはだめだといって反対をしかけたら、これは他の県、他の郡に見られぬ反対闘争が巻き起こる土民性を持っておるのです。これは昔の歴史を見ていただけばわかりますが、宝暦年間に金森という郡上藩主が悪政をしいたときに、幕府へ直訴をして一回目は失敗をして全部打ち首になって、それでもこりずにまた郡上の農民の代表の人が幕府へ行って、ついには目的を完遂して、そうして金森の殿さんはとうとうお首になった。まあ昔のことですから、けんか両成敗で直訴に行った人、それから連判状に判を押しておった人は全部打ち首になってさらし首になりましたけれども、そのように、反対といって戦いそめたら非常に強い意思で戦う一つの土民性というか、そういう民族であるわけです。これは近い話でいきますと、軽い話で申しますと、戦時中に、戦争目的のために計画輸送をしなければならないというので、日本の各所にあるところの運送屋を日本通運に統合することを半強制的にさせたわけなんですね。ところが郡上のあの越美南線は、これはやはり自由を束縛するのだとか、あれやこれやという理屈をつけて押し切って反対をしているうちに、とうとう終戦になって統合せずに済んだという、最近では軽い話ですけれども、そういうところでありますから、これからこの射撃場の設置の問題を進められる場合には、やはり十分に反対をされる方々の意見を聞いていただいて、そうして不祥事の起きないようなことを、私は老婆心ながらそういう昔からの一つの土民性を持っておるところだけに申し上げたいと思いますし、私どもの主張といたしましては、あんなへんぴなところへ持っていってそんな射撃場を作らなくても私はいいと思いますし、ああいうところへ持っていって射撃場を作ることは非常に大きな費用もかかることだろうと思うわけなので、私自身の主張としては、やはり今巷間に流されたように、半ばあきらめ式になっておられるというその線をやはり進めてもらうようにしていただくことがまことにけっこうであろうと思うわけなんです。この点についてはいろいろとなおこまかい面についてお聞きすることがありますけれども、与えられた時間がちょっと過ぎたようでございますので、きょうは終わらしていただきます。
  342. 中島茂喜

  343. 受田新吉

    ○受田委員 私は、皆さんも御疲労されておるところでありますから、疲労回復を兼ねて、最後に重大な防衛問題を、基地問題を中心にしてお尋ねをしたいと思います。  その第一は、藤枝さんが長官になられると同時にお引き継ぎになられた第二次長期防衛計画の点でございます。第二次長期防衛計画についてはまだ当委員会では質疑がされておりませんので、私からすでに決定をされた第二次長期防衛計画の構想及びその計画の中で問題になっておりますナイキ部隊、ホーク部隊等の構想をお伺いしたいと思います。特にこの第二次防衛計画はずいぶん難産をしたのでありますが、ここに掲げられてある決定の案を見ると、難産をした割合にあまりすばらしいものではなかったような印象を受けるのです。ただ、この長期防衛計画の中に、第一次防衛計画と比較しまして、よほどニュアンスの相違を見出す点があるのです。この防衛力整備計画の作成の趣旨、まずこの点からお尋ねしたいのですが、「わが国内外の諸情勢の推移を見通し、わが国に対し起こり得べき脅威に対処して、有効な防衛力の計画的、かつ、円滑な整備を図るため、」云々と書いてあります。第一次長期防衛計画の中ではこういう文句を拝見することができませんでした。それは「この目標は、内外情勢の推移等に伴って随時、再検討せられるものとし、」という程度のものでして、あまりぱっとした文句はなかったのですが、この第二次の中には「わが国内外の諸情勢の推移を見通し、」という新用語が出ている。加うるに「わが国に対し起こり得べき脅威に対処して、有効な防衛力」と、こう書いてあるのでございますが、まずこの内外の諸情勢の推移をどういうふうに見通しておられるのか。そして、その見通しに立ってわが国に対して起こり得べき脅威とは一体何か、これをお尋ねしたいのであります。
  344. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 まず、わが国内外の諸情勢の推移ということでございますが、一般的な国際情勢については、現在のような東西両陣営の一種の冷戦状態と申しますか、力の均衡状態、こういうものが継続するものというふうに考え、そして軍事的には現在の両陣営の核装備の現状からいたしまして、全面戦争あるいは核戦争を誘発するような局地戦というものはまずまず起こらない、しかしながら在来型兵器による局地戦以下の紛争というものは、これは起こり得るものというふうな想定をいたしておるわけでございます。  そうして、わが国に対して起こり得べき脅威という考え方は、極東におきまする各般の諸情勢から考えまして、わが国に間接侵略あるいは直接侵略、しかもそれは在来型兵器による局地戦以外のものでございますが、そういうものが全然起こらないとは保障しがたい。そういう脅威に対して有効な防衛力を持つということでございます。もちろんそれはいずれの国というようないわゆる仮想敵国を予想したわけではございませんけれども、極東の諸情勢等から考えまして、そういうことは全然起こらないとは保障しがたという見通しを立てておるわけでございます。
  345. 受田新吉

    ○受田委員 この第二次長期防衛計画の御発表は、七月十八日であったわけです。それはちょうど池田首相がアメリカにおいでになられて、ケネディさんといろいろお打ち合わせをされてお帰りになって直後の国防会議で決定したわけでございますね。従って、この池田総理とアメリカの首脳部との会談の中からここへ掲げられたような文句を生むような事情が起こっておるのではないかという懸念もできるわけです。何となれば、これはきわめて具体的に書いているわけです。「わが国に対し起こり得べき脅威に対処して、有効な防衛力」、だから起こり得べき脅威ということは、これは具体的とは言えませんが、割り切って、起こり得べき脅威ということを文句の上で今まで拝見したことがないのです。ところが割り切って起こり得べき脅威ということをお書きになっておられる。この今例をあげましたことは、日米安保体制のもとにおける防衛計画で、次の項に、今あなたがおっしゃったことは出ておるわけです。この新しく出た文句の内容は、今お説のような在来型の兵器で局地戦という意味のことですか。
  346. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほど申しましたように、要するに核の投げ合いになる、いわゆる人類の破滅を招くような結果を来たすような戦争というものは、まず起こり得ないという前提に立ち、そうして、しかしながら在来型兵器による局地戦以下の紛争というものは、第二次大戦後の世界の情勢を考えましても起こり得るのではないか、全然それが起こり得ないとは保障しがたいのではないかということでございます。従いまして、このことは、わが国の自衛隊ができました当時から、もちろん自衛力というものは一つは相手方から戦争を起こさせないようにする一種の抑制力であると同時に、不幸にして起こった場合には、それに対して有効な防衛をするという建前でございまして、これは特に池田・ケネディ会談の結果こういうことを入れたというものではございません。
  347. 受田新吉

    ○受田委員 在来型兵器といいますると、今までもあった兵器ということで、現時点で言うわけですね。そうしますと、大型の核戦争というようなものは全面戦争という意味であって、起こり得ないとしても、小型の核兵器を使う場合、これは局地戦の場合にも小型核兵器というものは当然予想されるわけなんですが、その在来型兵器を用いての小型核兵器戦というものは、その想定されるという仲間に入りますか。たとい小型であっても、核兵器を用いるということはないのだという前提でお考えですか。
  348. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 たとい小型のものでありましても、それが核兵器が使われたということになりますれば、おそらく単に小型だけでとどまらないで、とどまるところを知らないような核戦争になるおそれが十分にあると思うのでございまして、私どもは、そういう意味では、専門家は核の敷居が高くなったとか言っておりますが、小型の核兵器による局地戦というものも、結局はそれが全面的な核戦争になるおそれがあるので、起こり得ないのではないかという考え方を持っております。
  349. 受田新吉

    ○受田委員 これは議論になりますからよしますが、日本の自衛隊というものは、結局小型であっても核を使ってやるような局地戦にも対処し得ない実力しかないのだ、こういうことですね。
  350. 海原治

    ○海原政府委員 ただいまの受田委員の、「対処する」という言葉の解釈になると思います。特に核兵器が小型になって参りますために、従来に比べますと大口径の砲と同じ範疇と申しますか、範囲で議論されるものもございましょう。従いまして、自衛隊が対処できないかということになりますと、これは先生御存じのような装備を持っておりまして、もしわが国にそのような事態が起こりました場合には、保有しております装備をもって対処する、こういうふうにお答えするのが適当だろうと思います。
  351. 受田新吉

    ○受田委員 局長の御答弁で自信のある言葉をいただいたわけですが、在来型の兵器の使用による局地戦以下の侵略に対して有効に対処し得る防衛体制の基盤を確立するその中には小型の核くらいは十分対処し得るこの文句は、たといそういうことがあっても対処し得る、そういう自衛隊なんですか。
  352. 海原治

    ○海原政府委員 重ねて言葉の解釈になりまして恐縮でございますが、対処するということの意味でございますけれども、私どもが個人として恐縮でございますけれども、第二次計画の立案に参画いたしましたときの議論から申しますと、ここに書いてございますような在来型の兵器の使用による局地戦以下の侵略に対して備えるものだということは、第一次案のときには、立案当時におきまして今日のような核兵器の発達はございません。従いまして、別個の形の全面戦的な大規模な軍事的紛争があり得るじゃないかということが事実問題になったわけでございます。その辺につきまして明瞭な考え方を打ち出しておりません。それがこの第二計画におきましてははっきりと、いわゆる在来型の兵器しか持たないのだということを逆に制限的に出したところに意味がある、このように私どもは考えております。
  353. 受田新吉

    ○受田委員 在来型という言葉の中には、たとえばオネスト・ジョンにちょっとした核弾頭がつけられるというようなものも含まないのだ、こういうことですか。
  354. 海原治

    ○海原政府委員 核装備は全然考えておりません。
  355. 受田新吉

    ○受田委員 今局長の言葉で、核攻撃に対しても対処し得るというのは、日本の兵器でどういうふうに対処し得るのですか。
  356. 海原治

    ○海原政府委員 先ほど申し上げましたように、そういう攻撃があった場合にどうするか、こういう御質問でございますので、それに対処するということをお答えしたわけでございます。先ほども申し上げましたように、小型の核兵器ということになりますと、たとえばやがては五インチ程度の砲にもつくような弾頭ができるという趨勢でございます。そういうものの破壊的威力というものは、従来の大口径の砲の威力の数倍程度ということになりますから、そのような攻撃を考えた場合には、それに応じた対策は立ち得る、こういう意味で自衛隊の持っております装備でもって対処する、こういうふうに申し上げた次第でございます。
  357. 受田新吉

    ○受田委員 現在の自衛隊の兵器でどの程度それが対処できますか。一つ具体的に……。
  358. 海原治

    ○海原政府委員 どの程度対処するかという御質問に対しまして、的確にお答えする数値は実はございません。このようなものはすべてウエポン・システム的にいろいろとOR的な検討をいたしませんと、その与えられました前提によりまして、非常に数値が異なって参ります。従って、勢いお答えは抽象的にならざるを得ない点を御了解願いたいと思います。
  359. 受田新吉

    ○受田委員 今度の第二次計画の中に初めて出てきた部隊があるわけです。それはナイキ部隊とホーク部隊です。それぞれ二個大隊、この二つの新しい地対空ミサイル部隊とでも申しますか、この部隊というものは、第二次長期計画のいつごろ完成されることになるか、おしまいごろかもしれませんが、これは一体陸軍の——大体外国では陸軍が用いているところが多いようでございますが、陸軍の部隊に属するのですか、あるいは空をあてにするわけでございますので、航空自衛隊の方に属するのですか、どちらに属するのでございましょうか。
  360. 海原治

    ○海原政府委員 ナイキ部隊、ホーク部隊ともに、これは米陸軍の手によって開発されたものでございますので、米国におきましては、先生御存じのように、陸軍でございます。ただ、この供与を受けました諸外国におきましては、たとえば西独におきましては両方とも空軍でございます。しかし、ほかの国におきましては、ナイキは空、ホークは陸というふうに区分をしたところもございます。これはそれぞれの国におきましての伝統的な点もございます。かつその国の置かれておりますいわゆる戦略的な地形、軍の編成等によって決定されておるというのが、私どもの承知いたしておるところでございます。本来高射砲が発達したものというふうに考えてしかるべきだという見方もございまして、西独がナイキ、ホーク、ともに空軍に属しておりますのは、かつての高射砲は一切空軍の所属であったということでございます。そのように各国それぞれの状況がございますが、一般的に申しますと、ナイキは空軍の所属になっておるところが多うございます。私の承知しておりますところでは、陸軍の所属になっております国は四カ国です。
  361. 受田新吉

    ○受田委員 どちらに属せられるかということは、もう防衛計画が立っておるのですから、立っておると思う。特にアメリカという安保条約の体制のもとにある兄弟国の、皆さんの立場からするその国が陸軍に属しておる、こういう段階で一体どちらへ置かれることにきまっておるわけですか。
  362. 海原治

    ○海原政府委員 ホークは二個大隊とも陸上自衛隊の所属になっております。ナイキの二個大隊につきましては、来年の秋、現在及び将来米国に派遣しております第一大隊の要員が帰って参りまして、第一大隊を編成しましたあとで、その所属を決定するということにいたしております。ただいまは陸、空それぞれから要員を出しております。予算的には、陸上自衛隊の経費の中に入れて、便宜上切断しております。
  363. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっとおかしいです。陸上自衛隊の予算から便宜上出しておると言われるが、率直に申し上げて、ナイキの方はまだきめてないということですね。防衛計画をおきめになられておるのに、その所属がきまらないというようなことは、防衛庁としてははなはだ自信のないお話であって、陸に属するか空に属するかきまらない。空に属する国が多い、しかし大事なアメリカさんは陸にある、そこで今防衛計画は立てたが所属はきまってないのだ、こういうことはえらい自信のないお話ですが、どうですか。
  364. 海原治

    ○海原政府委員 ナイキ部隊二個大隊というものは、確かに新しいSAM時代でありまして、これを最もわが国の状況に適して合理的経済的に運営するには、陸の所属にした方がいいか、空の所属にした方がいいかという点につきまして、従来慎重に検討してきたわけでございますが、いろいろと重大な問題でございまして、実は意見が分かれております。従いまして、私長官を補佐する立場でございますが、このようにおきめいただきたいということを長官に意見具申する段階にまだ至っておりません。現在私の記憶が正しければ、アメリカに六十一名程度の教育要員が参っております。来年の秋までに三百名近い要員が参りますが、このナイキ部隊の今後の整備補給というものがどのようにあるべきかということも、実はまだ十分詳細なデータがございません。従いまして、現在教育を受けておりますこの要員の教育訓練の過程を通じまして、陸がいいか空がいいかという点を十分に検討いたしまして、誤りのない方針を決定することは、来年の秋以後におきましても別に支障はございません。従いまして、ただいま慎重にいろいろなデータを検討いたしております。これが実情でございます。
  365. 受田新吉

    ○受田委員 実情は伺いました。その実情というものは、ホークの場合は陸に割り切った。ナイキの方が来年の秋ごろまでに考えていきたい。これが第二次長期防衛計画に出ておらないなら私は文句を言いませんが、ちゃんと計画の中に出ておる。陸海空とそれぞれ三幕があるのに、どの幕に所属するかということさえもまだきまらないというような御計画というものは、防衛庁としてはよほど自信がないということになるのです。今までの御研究の結果で、大体軍隊がどっちに所属するかというくらいなことは、結論が出るはずなんです。三百人が戻ってからいろいろ研究してやる、こういう筋合いは、計画を発表された今日、はなはだ怠慢であると言わなければならぬと思うのです。長官、どうですか。
  366. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 ナイキの所属をいつまでもきめずにおくというのではないのでございまして、先ほど防衛局長からお答えいたしましたように、明年秋に現在の訓練部隊が帰りましたときに決定するという決定をいたしておるわけなんです。陸に置く利点もございますし、空に置くことの方がいいといういろいろな利点もございます。しかし、さらに先ほども防衛局長がお答え申し上げたように、まだわからない、アンノーン・ファクターもあるわけなんです。それらも十分研究いたしまして、明年の秋にきめたいということでございます。
  367. 受田新吉

    ○受田委員 ホーク部隊はすでに訓練要員が全部きまっておるわけですか。
  368. 海原治

    ○海原政府委員 ホーク部隊の教育訓練は昭和三十九年度と四十一年度に編成をいたしますので、その一年前くらいに出す、こういうことでございます。現在出しておりますのは、第一次のナイキ部隊の編成の要員でございます。
  369. 受田新吉

    ○受田委員 三十九年ごろに出そうというのに、もうその方は陸にきめた、これはどういうわけですか。
  370. 海原治

    ○海原政府委員 ホークという地対空のミサイルの運用につきましては、これは空に所属させるという点についての考慮の必要はない程度にまではっきりいたしておりますということがその原因でございます。
  371. 受田新吉

    ○受田委員 もちろんホークは低空における戦いになるわけです。しかしながら、空が低かろうが高かろうが、そういう部隊がどちらに属するかという問題については、これはもう訓練方針からいってもきまるわけなんです。低かろうが高かろうが、陸に置くなら陸に置くでやればいいし、そうして高い空の場合は、特に航空自衛隊の方に担当させなければいかぬかというような、そういうことは空の高さ、低さを論議するときにきまっていなければならないのです。私はその意味で、ナイキ部隊の所属をきめかねておるという防衛庁のお勉強ぶりの不足——すでに発表をされておるのです。発表されてなければ私は言いません。発表されておるときに、なお陸上自衛隊か航空自衛隊かどっちに属するかわからぬというような、そういうお考えとすれば、防衛庁というものはわれわれのたよりにならぬ防衛庁である。今からその部隊をお作りになるのですから、どこへ置くかをきめて、計画を天下に発表されるべきです。これは長官、あなたは政治家でございますから、こういう問題は技術的な問題があるにせよ、お出しになるときにちゃんと用意さるべき性質のものだとお思いになりませんか。
  372. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 こういう計画を作りますときに、その所属をどこにするかというようなことまできめることも必要かと思います。しかし、何しろ新しい問題でございますので、ことに日本の防空上非常な大きな問題を起こすわけでありますから、十二分な検討をいたして適当なところに所属させるということをいたすのも、防衛をあずかっております防衛庁といたしましては、やはり考えなければならないことではないかと私は思います。
  373. 受田新吉

    ○受田委員 ナイキ・アジャックスをお考えになっておられるようですね。それについて発射管もナイキ・アジャックスのものですか、あるいはハーキュリーズの方に属するものですか、どちらになっているのですか。
  374. 海原治

    ○海原政府委員 日本に持ち帰ります発射機は、今おっしゃいましたアジャックスとハーキュリーズが両方発射できる一般的なユニバーサル型でございます。アジャックス専用の発射機は現在ございません。すべてハーキュリーズとアジャックス両方が発射できるものしか生産していないということで、持ち帰りますものはユニバーサル型、両用のものでございます。
  375. 受田新吉

    ○受田委員 ハーキュリーズは核を装備し得るのですね。そうすると将来発射装置にハーキュリーズ方式をおとりになるとすれば、核装備をすることでお仕事ができることになりますね。
  376. 海原治

    ○海原政府委員 発射機は両方用でございますが、ハーキュリーズにつきましても、すべて弾頭が核ということではございません。これは核装備のものと通常弾頭と両方併用するわけであります。これも先般御説明申し上げましたが、通常、単機ないし数機の目標に対しましては、通常弾頭のハーキュリーズを使う、編隊の目標に対しましては、編隊のまん中あたりに核弾頭を撃つ、こういうことが一応の用法になっております。従いましてハーキュリーズすなわち核弾頭ということではございません。
  377. 受田新吉

    ○受田委員 すなわちという意味をお尋ねしているのじゃないのです。核弾頭をつけ得るものがハーキュリーズだ、従って、その装置がしてあれば、弾頭をつけさえすれば、その発射装置だけで、別に新しいものを持ってこなくてもいいわけですね。
  378. 海原治

    ○海原政府委員 その通りでございます。
  379. 受田新吉

    ○受田委員 問題はそこなんです。そういうことになっておるようですから、よほどはっきりしておかないと、その装置を悪用される危険がある。日米共同作戦などをやるときに、日本側はそういうものをやらないというており、事前協議とかいう議論があっても、御準備だけはできておる、こういうことになってくると思う。私今はこの問題について、その性能などという問題はお預けとしまして、この第二次長期防衛計画が発表されて初めての本委員会の発言でございますから、一つ具体的にそのナイキ部隊及びホーク部隊の設置場所というものを伺ってみたい。ホーク部隊は、まだ本国会において防衛庁の御意見を全然お聞きしておらぬわけです。このナイキ部隊についてはすでにいっか御議論の武山の問題もあれば、木更津、習志野の問題もあるわけです。大体ナイキ部隊はこういう東京周辺というところを予想されておるのか、それからホーク部隊は一体どういうところへ置こうとされているのか、これをお尋ねします。
  380. 海原治

    ○海原政府委員 ナイキ二個大隊のうちの最初の第一大隊につきましては、受田委員のおっしゃいましたように、東京周辺の自衛隊の施設に配置するということで、具体的な場所につきましてはただいま検討いたしております。検討いたします理由は、発射中隊は四個中隊でございますが、この四個中隊の配置がバランスがとれておりませんと、レーダー・サイトの関係もございますが、最も有効に合理的に使用し得る効率の面から、どこがいいかという点が、実は技術的には非常に問題でございます。従いまして、そういう点も目下専門技術的に調査いたしております。しかし、東京周辺であることは間違いございません。それから第二大隊の配置につきましては、現在数案ございまして、それぞれにつきまして鋭意検討いたしております。ホークの二個大隊につきましてもいろいろな考え方がございますので、検討をいたしております。有力な案といたしましては、北海道に二個大隊を置くという案もございます。しかしこれは、最終的ではございません。
  381. 受田新吉

    ○受田委員 ナイキ部隊は一個大隊を東京周辺、これは御説明いただいて一応了解します。ホーク部隊は有力な意見として北海道という意見がある。まだきまっておらぬが、有力な意見だという今のお説ですね。有力なというと、大体有力なところへおしまいには落ちつくというのが普通常識じゃないでしょうか。はっきりその有力なところが有力になるんですね。
  382. 海原治

    ○海原政府委員 先ほどの私の御説明で有力と申しましたのは、実は言葉が過ぎておりました。一案でございます。と申しますことは、ナイキ大隊、ホーク大隊というものを同じところに配置する必要もあるんじゃないかというような考え方もございます。しかし、何分にも二次計画はそれぞれ二個大隊ずつでございますので、これを日本の自衛隊の防空全般の組織の中でどのような配置に持っていくことが最も効率的であるかということは、現実にその配置ができます場所の具体的な可能性、その見通し等とも関連いたしまして、いろいろな検討が必要になって参りますので、いろいろと現在専門家の間で検討を重ねておる、こういうことでございまして、先ほどの有力という言葉につきましては、ここで恐縮でございますが、訂正さしていただきます。
  383. 受田新吉

    ○受田委員 一案がある、つまりホーク部隊を置けば北海道という一案がある、今具体的な地域が出たわけです。北海道へ置くという場合は、その案は北辺に防空ミサイル部隊を置くということで、特にその案のお考えの中に何か地域的な重要度というものを考えておられるわけですね。
  384. 海原治

    ○海原政府委員 ホークの性能といたしましては、通常これはいわゆる野戦機動的なもの、昔の野戦高射砲と申しますか、そういう範疇に入るものと考えられておりますので、一定地に固定いたしております要地防空的な考え方よりは、動き回る陸の部隊に随伴した高射砲的なものという考え方がございますので、その点から考えますと、北海道の部隊に所属さすことが、地形的に申しましても最も適当ではないかという点で、その案がございます。
  385. 受田新吉

    ○受田委員 このホークの性能はオネストジョンくらいはっかまえる、やっつけることができるわけですね。
  386. 海原治

    ○海原政府委員 私の記憶に誤りがなければ、オネストジョンをホークで撃ち落としたということは、実は聞いておりません。御参考までにホークの性能を申し上げますと、これは射程が三十五キロ、速度は二・八マッハということになっております。全備重量は、御承知のように、七十キロでございます。ホークでオネストジョンを撃ち落とすということにつきましては、私、先ほど申しましたように承知いたしておりませんが、調査をいたしまして、またお答えいたしたいと思います。
  387. 受田新吉

    ○受田委員 そのくらいの性能があるということは、私も聞いておるわけなんです。一つ調査を願います。  そこで新しく第二次防衛計画ではっきりとうたわれたこのナイキ部隊とホーク部隊、これは防衛体制においては一新機軸を生み出すものだと私は思います。そして、それが置かれる地域ということもまた重大な要素になると思っておるのです。防衛庁当局で今具体的にいろいろな案があることをお示しになったのでございますが、このミサイル兵器を日本へ導入をされるのは、どちらもアメリカから無償でお約束されておるのですね。
  388. 海原治

    ○海原政府委員 第一次のナイキ大隊の装備の主要部分につきましては、アメリカの一九六一会計年度の援助計画の中で無償供与ということでございますが、現在アメリカとの間では、この四個大隊全部につきましてお互いにある程度の負担で費用を分担し合っていこうじゃないかという話が進んでおります。従いまして、このナイキのこの分が無償、ほかの分が有償というわけには参りません。さらに御説明申し上げますと、こちらでナイキを配置するためのいろいろな施設整備であるとか、あるいは一般の関連器材の整備であるとか、こういうものを全部、ナイキ大隊、ホーク大隊ともにそれぞれ一応の推定をいたしまして、それを一定の割合、日米双方で合議をいたしました割合でお互いに金を分け合っていこうというのが現在の考え方であります。
  389. 受田新吉

    ○受田委員 アメリカは無償援助を有償援助に漸次切りかえようとしておるし、また日本政府当局としてもそういうお考えにたっておると思います。今この第二次防衛計画を拝見しますと、これから百八十億円程度をしかも継続してお願いしたいような文句があるのですが、その通りですか。
  390. 海原治

    ○海原政府委員 二次計画の立案の前提といたしましては、今受田委員のおっしゃいましたように、毎年平均百八十億程度の援助が一応最大限といたしましてあり得るであろうという前提をとっております。
  391. 受田新吉

    ○受田委員 これはあり得るであろうということで、あり得ないときはどうなるのですか。
  392. 海原治

    ○海原政府委員 事務的に検討いたします段階におきまして、年間百八十億と考えましたのは、今後五カ年間にわたりまして日米五、五の割合くらいで援助があり得るのではないかということを一応考えた次第でございます。その計画のさらに細部に入りますと、今先生がおっしゃいましたように、もし当方の期待した程度にアメリカの援助がない場合にはどうするかという第二、第三の案も一応考えております。その状況が最もいい場合には、毎年平均百八十億、五カ年間で約九百億というものの援助があり、これこれの平均額を双方負担する、こういろふうな考え方を持っております。
  393. 受田新吉

    ○受田委員 援助がない場合には、この部隊ができ上がらない場合があるわけですね。
  394. 海原治

    ○海原政府委員 二次計画におきまして予定いたしました主要部隊の編成に、ほとんど影響ございません。
  395. 受田新吉

    ○受田委員 この場合には有償に切りかえて予算要求をするわけですか。
  396. 海原治

    ○海原政府委員 今後の問題でございますから、私から方針をというわけには参りませんが、アメリカの援助といたしまして、いわゆる過剰物資として、全部MAP以外に供与が受けられる場合もございます。そういうことで軽戦車あたりを考えている場合もございます。また小銃もそういうもので受けられる可能性もございます。そういうことで受けられません場合に、かつそれが二次計画期間中において装備することが必要である場合には、日本側の単独の経費負担ということで実現することになると思いますが、その場合には、今後五カ年でございますので、当該年度の予算の範囲内で逐次段階的に計画的に整備していきたいと思います。
  397. 受田新吉

    ○受田委員 この部分の予算は、防衛計画を実施するためには、別ワクで高額に要求されることになりますね。
  398. 海原治

    ○海原政府委員 別ワクということではございません。この五カ年間の経費の見積りに際しましても、平均毎年の増加が百九十五億ないし二百十五億というふうに幅をとって見ております。これは毎年度の財政需要その他の状況によりまして、ある程度予算のきまり方に幅があるということでございますので、その幅の範囲内で今おっしゃいましたような点は適当に消化できるものではないか、このように私は考えております。
  399. 受田新吉

    ○受田委員 ナイキ部隊とホーク部隊がそれぞれ二個大隊完成した際における、それに伴う装備を含めてどのくらいの予算が要るものでございますか。
  400. 海原治

    ○海原政府委員 ただいまの御質問は、両大隊が整備されましたあとの維持費ということであるかと思いますが……。
  401. 受田新吉

    ○受田委員 いや、維持費じゃないです。それができ上がるまでの……。
  402. 海原治

    ○海原政府委員 建設のための経費でございますと、先ほども申しましたように、ただいまいろいろと具体的な経費を日米双方で積み合っておりますが、一応この二次計画の前提といたしました数字で申し上げますと、ナイキ一個大隊の標準経費というものは、合計いたしまして一個大隊分約百億でございます。ホークが一個大隊分九十三億程度、こういうふうに考えております。
  403. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、この四個大隊ができ上がれば四百億に近い金が要るわけですね。そうしますと、ここに百八十億ずつこの計画中に無償援助を受けたとして九百億、九百億の半分に近い額はこの二つのミサイル部隊のために必要である、こういうふうになりますね。
  404. 海原治

    ○海原政府委員 このミサイルのために四個大隊で四百億というのは全経費の推定でございますので、かりにその半分を米国が負担するということになりますと、二百億におさまるわけでございますが、この経費につきましては、実はまだいろいろと検討を要する点がございます。先ほど長官からも申し上げましたように、何分にも新しい装備でございますので、一例を申してみますと、ハイパーというレーダーがございますが、これがはたして要るのか要らないのかという点につきましても今後検討をした上で、日米双方の合意のもとに個々の装備を考えていくということになっておりますので、先ほど申し上げましたのは、あくまで一応の推定の経費でございます。
  405. 受田新吉

    ○受田委員 アメリカ当局は、日本防衛の自力的な成長を期待しているわけなんです。これは安保条約の趣旨からいっても、そういうことが言えるわけです。そこで無償から有償へと——あるいは今MAPのお話も出ましたけれども、MAPもそういつまでも期待ができる約束ではない。やがて国産主義ということになりまして、日本で大半のものを作るということになれば、これは防衛産業にも関係しますけれども、これに伴う予算的な措置は、相当高額のものに私はなると思うのです。そういうものを十分予想して、こういうお約束、こういう御発表をされたわけでしょうか。
  406. 海原治

    ○海原政府委員 自衛隊の装備品をできるだけ国産品をもってまかなっていきたいといいますことは、単にアメリカ側の要望ではございませんで、私どもとしましても、当然のことと考えております。従いまして、この二次計画におきましても、できるだけ自前のものを持ちたい、こういうことで考えておりまして、一応二次計画が予定通り遂行されるということになりますと、かれこれ三千六百六十億程度の国内装備品の発注を見ることに相なるかというふうに具体的には考えております。もちろん生産のことでございますので、会社の企業的な能率と申しますか、企業としての経営可能性の問題もございますが、できるだけ早く自前で各種の装備品を装備していきたいということで、どうしても日本では作れないもの、ないしはアメリカの援助を仰いだ方が得策であるもの等につきまして、対米援助期待の中に織り込んでおるのでございます。
  407. 受田新吉

    ○受田委員 ただ、対日軍事援助方針が、アメリカにおいては無償から有償へという方向に行っておるわけじゃないですか。
  408. 海原治

    ○海原政府委員 その通りでございます。
  409. 受田新吉

    ○受田委員 それをできるだけお願いしたいというので、現状維持にとどめたいという期待を一応されておるということは、それは情において忍びがたいものがあると一応認めますけれども、それがその通りにならないということは、この対日軍事援助方針がアメリカにおいてはそうなっているのですから、必ず途中において蹉跌することは間違いないと断定するのです。
  410. 海原治

    ○海原政府委員 私の説明が不十分で申しわけございませんが、この二次計画におきまして純粋の無償供与を期待いたしておりますのは、M41の軽戦車だけであります。あと九百億の中に入っております装備品につきましては、それぞれ日米が経費を負担していく、いわゆる有償援助の経費負担方式でいこうということで考えております。
  411. 受田新吉

    ○受田委員 この対日援助方針がそうなっておるのでございますから、現に毎年のごとく無償援助の部分が削られてきて、有償の方に切り変わっておるのです。その百八十億というワクを継続してお願いしたいという、そのことが無理であるとはっきり申し上げられる。
  412. 海原治

    ○海原政府委員 将来のアメリカの援助の見通しでございますので、受田委員が無理であるとおっしゃることに対して、私としては何ともお答えできませんが、先ほど申し上げましたように、一応わが方に有利な場合には百八十億程度、これがさらに、日米負担割合が五、五と考えておりましたのが、たとえば四、六になり、あるいは三、七になるといった場合にどうするかということは、今後の問題ではございますが、一応事務的には、それぞれの場合にはどの面をどう調整するという用意は考えております。
  413. 受田新吉

    ○受田委員 長官、あなたは内閣委員会にはしばしば顔を出され、総務長官当時からこの防衛論争をお聞きになっておられ、また防衛庁長官になられて非常に御満足とされたお方であるやに伺っております。従って、非常な熱意もお持ちだろうと思うのですが、大体今局長が申されたように、日本の期待があのようなことであるならば少し多過ぎる、そのことは含みの中に置いて、将来減額されることを十分用意しておかれなければならない。もう一つは、アメリカの考え方は、三十二年六月でしたか、岸・アイク会談において、日本防衛力が増強するに伴うてアメリカは漸次日本におる部隊を減らしていく、こういう約束をして、「一層削減する」という言葉まで使っておる。そういうところから、実際は日本の自力に期待しようとしておるのです。そういう観点から、いつまでもアメリカに無償援助をお願いするというような形でこの防衛計画をお進めになることは、あなた方の政府がお約束された日米安保体制の上からも、私はそごを来たす危険がある。特に掘り下げてお尋ねしますが、今私が指摘しました岸・アイク会談の、防衛力増強に伴うて日本におる米軍を「一層削減する」こういうことについて、現実日本は増強しておるのですから、それに伴うて在日米軍がだんだん減ってきておりますか。兵力が減っておりますか。兵備力が減っておりますか。約束通りいっておりますか。
  414. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 岸・アイク共同声明によりますその後の状況でございますが、御承知のように、米軍といたしましても、米地上部隊、戦闘部隊はほとんど全部撤退をしておるというようなことでございまして、その情勢にはあると存じます。
  415. 受田新吉

    ○受田委員 そのことは岸・アイク会談にはっきりうたってある、次の年度でそれをやり遂げると。事実それをやり遂げた。さらにその次に文句がある。防衛力の増強に伴うて日本における兵力は「一層削減する」というのが別のワクに出ているのです。初めのことをお尋ねしておるのではないのです。
  416. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 あの共同声明の後段の分につきましては、現実に在日米軍が減っておるという情勢ではまだございません。
  417. 受田新吉

    ○受田委員 これは岸・アイク会談の約束が履行されていないわけですね。「一層」という勇敢な言葉まで使って、削減すると言っておるわけです。
  418. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 岸・アイク会談が行なわれた当時から考えますれば、地上部隊のほかに、その他も相当な削減を見ております。
  419. 受田新吉

    ○受田委員 当時に比べればということで、その削減されないのはいつごろから削減されないのですか。
  420. 海原治

    ○海原政府委員 先ほど長官からも御説明いたしましたように、陸は現在六千人でございます。五千人ないし六千人程度というものは、先般も御説明いたしましたように、これはあくまで補給管理のための要員でございますから、いわゆる部隊的なものではございません。これは変化ございません。海は約一万四千人、これは海兵隊を含んでおりますが、横須賀、佐世保等の艦隊のための補給管理要員のためのものであります。空軍は約二万五千人おります。それで現在約四万五千人おりますが、私の記憶が正しければ、二、三年前から比べればすでに五千人程度は減っておる。現実的に申しますれば、現在二十四カ所ございますレーダー・サイトの点では全部航空自衛隊がやっております。こういうことで、逐次米空軍関係におきまして、特にわが航空自衛隊の兵力等が予定通り編成されて参りますと、その面からも米側の削減ということはあり得るかと思います。現在の状況は、先生御存じのように、領空侵犯につきましても、その大部分は特に全天候的な面は米軍に期待しておる現状でございますので、わが方の兵力の今後の充実次第に従いまして逐次減っていくということで、先ほどの数字の通りである、かように考えております。
  421. 受田新吉

    ○受田委員 今減り方がストップされておるという御答弁であったのでお尋ねしてみたのですが、日本の自衛力がふえるに従って向こうが減るというのも、その減り方は向こうの判断でいくと思いますけれども日本の自衛隊の増強の割合、このような増員計画を毎年お立てになっておるのに比べれば、減り方が少ないですね。
  422. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 自衛隊の増強ということは、必ずしも人数だけでもなし、装備の近代化ばかりでもないことは、うすでに御承知の通りであります。ですから、日本の自衛隊の増強という判断につきましては、いろいろ見方があろうかと思うのであります。従って、機械的にこっちが五ふえたから向こうが五減るというものではないのじゃないかと考えております。
  423. 受田新吉

    ○受田委員 もちろん兵員の問題だけではなくして、艦船にいたしましても毎年のごとく増強され、ジェット機のごときでも百八十機のF104を計画されておる。そういうところからいけば、今アメリカの減り方は一向減らぬといってもよいくらいだと私は思うのです。そこにどうも両方プラスすると一そうふえておるという形になるわけなんです。兵力というのは、御存じの通り、人数だけじゃないのですから、装備も入るわけです。両方含めて見て、私は何だか日本はどこまでもアメリカの指図に従っているような印象を受けてしょうがないわけです。ここは、政府としては、この岸・アイク会談に効果あらしめるように、在日米軍の逐次撤退をこちらからも要求していい、これは向こうのやるのにおまかせするのでなくて、こちらから要求していいことじゃないですか、この約束は。
  424. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 もちろん約束でございますが、先ほど申し上げましたように、わが国の自衛力が増強されて——これは相手のあることでございますから、少なくとも現段階においてそれらを考えて十分増強されて、米軍が撤退しても、どれだけ減少しても差しつかえない状態かどうかという問題については、相当いろいろな判断を下さなければならぬと思います。従いまして、方針としてそういうことでございますが、現時点においていかなる判断を下すかということは、また諸種の条件を広く考えてやっていかなければならないものと考えております。
  425. 海原治

    ○海原政府委員 先ほどの三十二年当時と現在との在日米軍の比較の数字でありますが、私の記憶が正しければ五千と申し上げましたが、三十二年は七万七千人、現在は四万五千人、差引三万二千人減っております。先ほどの私の五千人というのは誤りでございますので、訂正さしていただきます。
  426. 受田新吉

    ○受田委員 それは三十三年の末までに陸上部隊を減らすということだが、三十四年から先どれだけ減りましたか。これが大事です。
  427. 海原治

    ○海原政府委員 三十四、五年の資料をお持ち合わせておりませんので、調査してお答えいたします。
  428. 受田新吉

    ○受田委員 この岸・アイク会談で「明年中に」ということを特に含めておるのは、陸上部隊のことだと思う。それから「なお、合衆国は、」というのは、それから先の話ですから、それから先にどれだけ減ったかが問題なんです。三十三年の末までの分の計算は別にしなければならぬと思うが、それはお書きにならぬでも、また別の機会にお尋ねします。時間もないことですし、お夕飯も召し上がらないでお疲れは私は十分お察ししておりますが、大事なことで、私やはり民社党のたった一人の代表質問でございますから、お含みを願いたいと思います。  そこでもう一つ、この防衛計画を拝見しますと、イ、ロ、ハ、ニのニの項に「防衛力の向上に資するため、情報機能を整備充実し、」と書いてある。これはどういうような具体的な案を、現時点において、また将来においてお持ちか、お答えを願います。
  429. 海原治

    ○海原政府委員 そこに情報機能の充実強化と書いてありますのは、先生御存じのように、防衛庁のいろいろな調査、情報面が弱いということがしばしば指摘されていますので、各般の努力を重ねていくということでございまして、具体的には防衛駐在官の数の増加、あるいはその作業能率の向上というようなことがその内容でございます。
  430. 受田新吉

    ○受田委員 将来について、別の構想をお持ちじゃないですか。
  431. 海原治

    ○海原政府委員 将来につきましては、現在七カ国に九名、今度一名ソ連にふえて、十名駐在官を出しておりますが、その派遣先の国の数をふやす、あるいは駐在官の数をふやしていく、それぞれのアシスタントをつけて作業能率を向上するというようなことを事務的には希望として持っておりますが、まだ関係方面との打ち合わせ、了解を終えた段階ではございませんので、あくまで事務的な一つの将来の希望としての案でございます。
  432. 受田新吉

    ○受田委員 将来駐在官を各国にできるだけ多く派遣して、その地の情報をつかみたい。それは駐在官の増員、できれば各国に派遣することを目標としたいという御答弁だったんですが、それだけのほかに、まだ何か御計画があるんじゃないですか。
  433. 海原治

    ○海原政府委員 それ以外には、具体的に、現在ございます情報調査関係の機能、いわゆる作業能率の向上という以外に、特別の組織は考えておりません。
  434. 受田新吉

    ○受田委員 私がこれに関係してお尋ねしておきたいのは、ナイキ、ホークのような機密に属する兵器だと思うのですが、そういうような兵器を取り扱う部隊が新設され、また情報機関などを通じて外国の実態もわかってくる、こういうことになると、MSAの関係の機密保護法だけで間に合わない時期が来るのではないか。これだけで間に合うとお考えかどうか。これは高度の政治性を必要とする問題だと思いますので、藤枝長官にお答え願います。
  435. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 機密保護の問題につきまして、将来いろいろ考えなければならない問題があろうかと存じております。しかしながら、こういう問題につきましては、非常に影響するところも多いのでございまして、慎重に検討をいたして参りたいと考えております。
  436. 受田新吉

    ○受田委員 もう時間でお気の毒でありまするので、話をこのあたりで結ばしてもらいたいと思いますが、今の長官の御答弁では、ナイキやホークの日本から見た新兵器、これに対しても今のMAS秘密保護法だけで間に合うというお考えですか。
  437. 海原治

    ○海原政府委員 その通りでございます。
  438. 受田新吉

    ○受田委員 将来において機密保持を必要とする場合というのは、どういう場合ですか。
  439. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 今後あるいは日本自体でも開発していく面もあろうかと思いますし、あるいはまた、外国の相当高度の機密性を持った技術等を導入しなければならない必要も起こってくるかと存じます。従いまして、それに対処するための何らかの処置というものは必要ではないかと考えますが、また反面、影響するところも非常に多いのでございまして、この辺は十分に慎重に考えて参りたいと考えております。
  440. 受田新吉

    ○受田委員 今度の第二次防衛計画を拝見しますと、陸が十八万という目標がそのまま据え置きにされておるわけです。ところが、現実に今陸上自衛官に例をとりましても、二万五、六千人というものが現実には欠員があるわけですね。この欠員をそのままにして増員計画だけお立てになるということは、はなはだ現実に即さない。欠員がある分は、その分を実態に即して次の増員計画の際に一応ストップして、補充をすることに重点を置く、こういうような形でおやりになるべきものではないですか。給与費なども予算を十七、八万人も現在取ってあるわけです。そういう現実におりもしない人たちの給与費を予算の上で獲得をして、翌年にそれを未使用として繰り越すような形よりは、現実に募集成績等を勘案して、この年にはこの程度までしかいかないという目標をもとにして増員計画をお立てになるべきではないですか。
  441. 海原治

    ○海原政府委員 陸上自衛隊の定員十八万人への増員は、二次計画の上では昭和四十一年度、いわゆる最終年度に八千五百名を増員したい、このように実は想定をいたしたわけであります。現在の陸上自衛隊の現実の充員の状況、募集の状況等につきましては、再三いろいろと検討が行なわれた次第でございますが、一応四十一年度までには事態が改善いたしまして、八千五百名程度の増員が可能になるであろうというのが一応の前提であります。それまでは現行の十七万一千五百という定員で陸上自衛隊についてはいきたい、このように考えております。
  442. 受田新吉

    ○受田委員 第一次計画も十八万ですからね。第二次も十八万です。しかも欠員が二万五千もある。一次と二次が一向ふえておらぬわけです。二万五千も欠員がある。その二万五千をそのままにしておいて、定員ばかりふやしていくというやり方はおやめになって、現実に即した定員をおきめになるという方針にお変えになってはどうか、こういうことを私は今お尋ねしておるのです。
  443. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 欠員のありますことははなはだ残念なことでございますが、これが対策につきましてはいろいろ処置を講じておきまして、特効薬はございませんけれども、漸次改善されるきざしが見え出しておるわけであります。従いまして、ただいま防衛局長も申し上げましたように、四十年までこの現在の十七万何がしの充実に努力をいたしまして、そうして、その上におきまして最終年度において十八万に持っていきたい、かように考えておるわけであります。
  444. 受田新吉

    ○受田委員 私は、ナイキ、ホーク部隊の基地問題を中心に論議を進めてきた関係もありますので、別の問題はあまり多く申し上げたくないのだけれども、今の問題は、現実にことしまで十七万、こういうふうに増強してきたのですね。定数をふやしてきたのです。補充が足りないのに、応募者が少ないのに、大きな欠員を埋めないままで増員計画をやってきた。三十七年度からはしばらく陸の増員計画はストップしますから、定数は四十一年でいいのですから、今まで毎年々々ふやしておったのを、来年は陸上の定数はふやさないということになるわけですか。
  445. 海原治

    ○海原政府委員 陸上自衛隊の自衛官につきましては、その通りであります。一般職員につきましては、若干の増員をしたいということで、現在大蔵省には予算の折衝をいたしておりまして、まだ両者の合意を見ておりません。陸上自衛隊の自衛官の定員十七万一千五百という点につきましては、昭和四十年度まで動かさずにいくというのが現在の方針でございます。
  446. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、来年初めて陸上自衛隊は増員しない法案が出るわけですね。そうですか。
  447. 海原治

    ○海原政府委員 重ねて恐縮でございますが、陸上自衛隊の自衛官の定員につきましては、その通りであります。
  448. 受田新吉

    ○受田委員 そういう措置をとるということは一歩前進したわけですが、その欠員の補充対策が事を欠いているという点。最近多少経済界の調子が悪いというので、応募者がちょっぴりふえたとかいう新聞記事をちょっと見たのですが、どっちへ転んだって二万五千の欠員を埋めることは大へんなんです。容易なことではできないのですから、これは現実を十分よく考えて、今後御処置になることを希望申し上げておきます。  最後にお尋ねしますが、最近自衛隊の飛行機が——最近と指摘するまでもなく、いつものことですが、事故で墜落してなくなっていく飛行機がたくさんある。とうとい人命も失われるわけですが、一体防衛庁は飛行機をどのくらい事故でなくされたのですか。そうしてこれに対して、この補充の飛行機の数の計画、たとえば昭和三十六年度の末までには、練習機と実用機を五百五十ぐらいずつ御計画されているようですが、そういう事故機の補充というものは、この飛行機の数にどうなっているのか、これも一つお聞きしておきたい。
  449. 小幡久男

    ○小幡政府委員 事故機について申し上げます。トータルを申し上げます前に、ちょっと歴年別に申し上げます。F86Fについて申し上げますと、事故機が三十一年度に六機、三十二年度に十二機、三十三年度に二機、三十四年度に七機、三十五年度に九機、今年度は六機でございます。他に各種にわたりまして若干機数がございますが、これは非常に少のうございます。
  450. 受田新吉

    ○受田委員 総計で大体幾らになりますか。
  451. 小幡久男

    ○小幡政府委員 総計でありますと、概算ですが、F86Fで四十二機になると思います。
  452. 受田新吉

    ○受田委員 それと、今の後段の御答弁を伺いたい。
  453. 海原治

    ○海原政府委員 飛行機の消耗の予想につきましては、陸海につきましてはそれぞれ平均のパーセンテージがございます。航空自衛隊につきましては、一万時間について何パーセントの程度の消耗であるという一応の数字がございます。これらを計算いたしまして、二次計画の中においては、大体総機数においては、現在とそう変わりのないものになるという計画上の数字がございます。ただ、たとえばP2V−7という、海上自衛隊の方でございますが、これは二・五三という消耗率でございますけれども、非常にいい飛行機でございまして、またその整備も、取り扱いもよろしゅうございますので、この消耗率はゼロでございます。そういうふうに、いろいろ飛行機によりまして具体的な消耗の率が異なって参りますので、現在の飛行機が二次計画中にどうなるかということにつきましては、先ほど申しました一応の推定でその損耗予想を立てまして、それに見合うものの補充を考える、総数においてちっとも変わらないという見当でございます。
  454. 受田新吉

    ○受田委員 ジェット機の総数は現在幾らでしたか。
  455. 海原治

    ○海原政府委員 昭和三十六年度すなわち今年度末の保有機数の予想が千百五機でございます。この中で実用機は約五百七十機でございます。これが四十一年度末には千三百六十機、うち実用機が六百五十機、このように計画上は考えております。
  456. 受田新吉

    ○受田委員 今教育局長さんのおっしゃった四十二機というのは、実用機ですか。
  457. 小幡久男

    ○小幡政府委員 さようでございます。
  458. 受田新吉

    ○受田委員 実用機が五百何機あるうちで四十二機というのは、ほとんど一割近い損耗ですね。これは非常に大きな犠牲ですね、そうじゃないですか。
  459. 小幡久男

    ○小幡政府委員 昭和三十一年度でございますが、大体四十二機でございます。
  460. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、一割近いですね。
  461. 小幡久男

    ○小幡政府委員 歴年の累計でございますから、なかなか計数の比較、パーセンテージを出すのは少しむずかしいと思いますが……。
  462. 海原治

    ○海原政府委員 ただいまの減耗率を数字的に申しますと、たとえば陸の     —————————————
  463. 海原治

    ○海原政府委員 ただいまの減耗率を数字的に申しますと、たとえば陸の二・〇七%、海上自衛隊の先ほど申しましたP2Vは、二・五三と申しましたが、これは二・五でございます。F86Fは飛行時間一万時間当たりの事故の件数といたしまして二・三、これが安定いたしますと、大体二・〇でいくだろうというのが予想でございます。先ほど四十二機と申しますのは四年ないし五年の間におきましての事故でございます。このようなものは、一応の米国あたりの経験とも比較いたしまして、決して多いということではございません。
  464. 受田新吉

    ○受田委員 多いというほどでないとおっしゃるけれども、数年間の総和が現時点における飛行機の一割に近いものが損耗しているということは、非常に私は重大なことだと思うのですよ。これは非常に危険があるわけなんです、現在毎年々々五百機ずつがプラスされているんじゃないですからね。現時点の飛行機の数が五百幾つかしかないのですから、その中で今まで四十何機落ち、殉職したとなれば——あるいは殉職せぬのも多少あるでしょうが、とにかく非常に大きな犠牲をされておるわけです。これは人事局長がおられないから、次の、来国会にでも今の犠牲者の待遇の問題などももう一ぺんお聞きしたいのですが、いま一つお尋ねして質問を終わります。  それは、今度ソ連地区の核実験の結果、放射能の被害が日本にもあるというので、いろいろと科学技術庁あるいは気象庁等で議論がされておる。国民にも不安を与えておるのだが、防衛庁は特にこの放射能の被害についての何かの研究をされておると私は聞いておるのですが、いかがですか。
  465. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 今回の核の実験に関連いたしまして——従来も、航空乗員の衛生問題その他について、高上空におきます放射能チリの調査はいたしておりましたが、最近から、これの回数をふやし、場所をふやして実施をいたしております。そして、それによりまして得たデータは、原子力委員会中心にして研究を願うということにいたしております。
  466. 受田新吉

    ○受田委員 それは防衛庁のどういう機関がやっておられるわけですか。
  467. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 飛行機は部隊の飛行機を使いまして、そして、しかも高高度の面を、防衛庁側が収集の責任を持っておるわけであります。
  468. 受田新吉

    ○受田委員 その飛行機以外の、地上における研究はなされてないのですか。
  469. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 現在においては放射能チリの測定をやっておる程度でございます。
  470. 受田新吉

    ○受田委員 気象庁あるいは科学技術庁のいろいろと研究されておる面の中に、高度の空における放射能チリの研究というものは、自衛隊が担当しておる、こう了解していいですか。
  471. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 さようでございます。
  472. 受田新吉

    ○受田委員 そうするとこの放射能対策については、自衛隊が非常に大事な役割を持っていますね。科学技術庁としては、自衛隊のことは一向私は伺っていなかったわけですが、自衛隊が持っている機能というものは、放射能チリの研究をする上に非常に大事な役割だ、そしてその機関としては飛行機があり、その他いろいろな対策を考えておる、こういうことに了解していいですか。
  473. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 非常に高いところにおける放射能チリの収集等は自衛隊が行なっておりますから、その意味においては貴重な資料を集めておるということは言えると思います。
  474. 受田新吉

    ○受田委員 先ほど防衛局長のお説の中に、小型の核攻撃があったような場合にも、日本の自衛隊は対処し得る、こういうお説があったわけですが、そういう放射能のチリが落ちてくる場合、つまり小型でも実力はすばらしくなっているのですから、そういうものの国民に与える被害を防止するための防衛庁の内部における機関というものは、どういうものがあるわけですか、研究機関でもいいですが……
  475. 海原治

    ○海原政府委員 先ほどから長官の申されます放射能チリの収集というのは、具体的には、ジェット機の翼端に特殊なチリを収集するものをつけまして、高高度を飛んで、その得ましたものを技術研究本部その他のところで分析して検討する、こういう方法でやっております。これは航空自衛隊の航空機を使用いたしますのと、それから実験航空隊という、先ほど長官からもお話がありました高高度を飛ぶ場合のいろいろな人体に及ぼす影響その他を医学的に検討いたします部隊がございます。その部隊の隊員及び飛行機、これに技術研究本部も協力いたしまして、総合的に検討いたしておる、このようなことでございます。
  476. 受田新吉

    ○受田委員 これで質問を終わります。どうもおそくまで御迷惑をかけて相済まぬと思います。
  477. 中島茂喜

    中島委員長 次会は明三十一日午前十時半より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時四十分散会