運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1961-10-27 第39回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十七日(金曜日)    午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 中島 茂喜君    理事 伊能繁次郎君 理事 内田 常雄君    理事 草野一郎平君 理事 堀内 一雄君    理事 宮澤 胤勇君 理事 飛鳥田一雄君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君       内海 安吉君    小笠 公韶君       小沢 辰男君    小澤佐重喜君       大森 玉木君    金子 一平君       島村 一郎君    高橋  等君       辻  寛一君    八田 貞義君       藤原 節夫君    保科善四郎君       有馬 輝武君    緒方 孝男君       杉山元治郎君    田口 誠治君       滝井 義高君    原   茂君       山内  広君    井堀 繁雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君         農 林 大 臣 河野 一郎君         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         行政管理政務次         官       岡崎 英城君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  山口  酉君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局長)  原田  正君         厚生政務次官  森田重次郎君         厚生事務官         (大臣官房長) 高田 浩運君         厚生事務官         (保険局長)  森本  潔君         農林政務次官  中馬 辰猪君         農林事務官         (大臣官房長) 昌谷  孝君         農林事務官         (振興局長)  齋藤  誠君         農林事務官         (農林水産技術         会議事務局長) 増田  盛君  委員外出席者         議     員 角屋堅次郎君         総理府事務官         (行政管理庁長         官官房秘書課         長)      河野 勝彦君         総理府事務官         (行政官理庁行         政監察局監察審         議官)     井原 敏之君         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 十月二十七日  委員柳田秀一君、山花秀雄君及び受田新吉君辞  任につき、その補欠として有馬輝武君、滝井義  高君及び井堀繁雄君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員有馬輝武君及び滝井義高君辞任につき、そ  の補欠として柳田秀一君及び山花秀雄君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十月二十六日  恩給年金等受給者処遇改善に関する請願(  遠藤三郎紹介)(第一二八三号)  同(河本敏夫紹介)(第一二八四号)  同(松永東紹介)(第一二八五号)  同(松山千惠子紹介)(第一二八六号)  同(山口六郎次紹介)(第一二八七号)  同外一件(荒舩清十郎紹介)(第一三七七  号)  同外一件(遠藤三郎紹介)(第一三七八号)  同(岡田修一紹介)(第一三七九号)  同(高橋等紹介)(第一五二九号)  同(楯兼次郎紹介)(第一五三〇号)  同(渡海元三郎紹介)(第一五三一号)  同外一件(濱田幸雄紹介)(第一五三二号)  同(足鹿覺紹介)(第一六一二号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第一六一三号)  同外一件(濱田正信紹介)(第一六一四号)  同外一件(足立篤郎紹介)(第一七三七号)  同(上村千一郎紹介)(第一七三八号)  同(江崎真澄紹介)(第一七三九号)  同外一件(首藤新八紹介)(第一七四〇号)  同(高田富之紹介)(第一七四一号)  同(中垣國男紹介)(第一七四二号)  同(中村幸八君紹介)(第一七四三号)  同外一件(濱田幸雄紹介)(第一七四四号)  同(廣瀬正雄紹介)(第一七四五号)  公務員賃金引上げ及び権利保障に関する請願  (川俣清音紹介)(第一二八八号)  同外十一件(栗林三郎紹介)(第一二八九  号)  同外五件(石川次夫紹介)(第一五七八号)  同外一件(石山權作君紹介)(第一五七九号)  同(久保三郎紹介)(第一六一五号)  同(島本虎三紹介)(第一六一六号)  同(河野密紹介)(第一六一七号)  同(山花秀雄紹介)(第一六一八号)  文部省に産業技術教育局設置に関する請願(坂  田道太紹介)(第一二九〇号)  解放農地補償に関する請願外百五十八件(生田  宏一君紹介)(第一三四五号)  同外七十四件(内藤隆紹介)(第一三四六  号)  同外五十二件(中村庸一郎紹介)(第一三四  七号)  同外二件(野田卯一紹介)(第一三四八号)  同外五件(山本猛夫紹介)(第一三四九号)  同外十件(八田貞義紹介)(第一三五〇号)  同外六件(濱田正信紹介)(第一三五一号)  同外一件(森下國雄紹介)(第一三五二号)  同外九十二件(三池信紹介)(第一三五三  号)  同外十件(荒舩清十郎紹介)(第一四一九  号)  同(鴨田宗一紹介)(第一四二〇号)  同外四件(原田憲紹介)(第一四二一号)  同外四件(古川丈吉紹介)(第一四二二号)  同(安倍晋太郎紹介)(第一五六一号)  同(小川平二紹介)(第一五六二号)  同(大竹作摩紹介)(第一五六三号)  同外七件(坂田英一紹介)(第一五六四号)  同外七件(田中彰治紹介)(第一五六五号)  同外十一件(塚田十一郎紹介)(第一五六六  号)  同外二件(中山榮一紹介)(第一五六七号)  同外七件(原田憲紹介)(第一五六八号)  同(福田篤泰紹介)(第一五六九号)  同外二十八件(古川丈吉紹介)(第一五七〇  号)  同外七件(柳谷清三郎紹介)(第一五七一  号)  同外百十三件(安倍晋太郎紹介)(第一六八  七号)  同外二十六件(荒舩清十郎紹介)(第一六八  八号)  同外六十四件(内田常雄紹介)(第一六八九  号)  同(大沢雄一紹介)(第一六九〇号)  同外八百十八件(小澤太郎紹介)(第一六九  一号)  同外九十八件(簡牛凡夫君紹介)(第一六九二  号)  同外四十二件(金丸信紹介)(第一六九三  号)  同外十四件(久保田円次紹介)(第一六九四  号)  同外七十九件(笹本一雄紹介)(第一六九五  号)  同外六件(塚田十一郎紹介)(第一六九六  号)  同外二十五件(田邉國男紹介)(第一六九七  号)  同外二十九件(南條徳男紹介)(第一六九八  号)  同外一件(西村直己紹介)(第一六九九号)  同外十一件(濱田正信紹介)(第一七〇〇  号)  同(船田中君紹介)(第一七〇一号)  同外十三件(堀内一雄紹介)(第一七〇二  号)  同(森下國雄紹介)(第一七〇三号)  同外二十七件(一萬田尚登紹介)(第一八一  四号)  同外五十件(江崎真澄紹介)(第一八一五  号)  同外十一件(鈴木仙八君紹介)(第一八一六  号)  同外二件(田中伊三次君紹介)(第一八一七  号)  同外五件(床次徳二紹介)(第一八一八号)  同(三和精一紹介)(第一八一九号)  内閣行政における部落解放総合政策樹立に関す  る請願井岡大治紹介)(第一四三八号)  同(石山權作君紹介)(第一四三九号)  同(緒方孝男紹介)(第一四四〇号)  同(角屋堅次郎君外一名紹介)(第一四四一  号)  同(木原津與志君紹介)(第一四四二号)  同(久保田鶴松紹介)(第一四四三号)  同(小林進紹介)(第一四四四号)  同(田中織之進君紹介)(第一四四五号)  同(高津正道紹介)(第一四四六号)  同(山花秀雄紹介)(第一四四七号)  山形県河北町溝延、西里両地区の寒冷地手当増  額に関する請願牧野寛索紹介)(第一五八  〇号)  旧軍人恩給引上げ及び不均衡是正に関する請  願(福田篤泰紹介)(第一六一一号)  金鵄勲章年金及び賜金復活に関する請願(池田  清志君紹介)(第一七四六号) は本委員会に付託された。 同月二十七日  解放農地補償に関する請願外一件(小平久雄君  紹介)(第九二〇号)  解放農地補償に関する請願外二件(小平久雄君  紹介)(第九七六号) は委員会の許可を得て取下げられた。     ――――――――――――― 十月二十六日  恩給法の一部改正に関する陳情書  (第三二七  号)  靖国神社の国家護持に関する陳情書  (第三二八号)  教職員の給与体系改善等に関する陳情書  (第三二九号)  沖繩宮古市町村の戦時中伐採した軍需用立木補  償に関する陳情書  (第三八八号)  北方地域漁業権者等に対する特別措置に関す  る法律案成立促進に関する陳情書  (第四一六号)  東富士演習場米軍不法射撃事件に関する陳情  書  (第四  四二号)  恩給年金等受給者処遇改善に関する陳情書  (  第五一二号)  栃木県全域の寒冷地指定等に関する陳情書  (第五一三号)  青少年問題対策確立に関する陳情書  (第五一四号)  公務員内国旅行費基準引き上げに関する陳情  書(第五一五  号)  解放農地補償に関する陳情書外八件  (第五六七号)  同外十一件  (第五六八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  臨時行政調査会設置法案内閣提出第四号)  社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一  部を改正する法律案内閣提出第六八号)  農林省設置法の一部を改正する法律案(第三十  八回国会内閣提出第一〇九号)(参議院送付)  解放農地補償に関する請願外一件(小平久雄君  紹介)(第九二〇号)及び解放農地補償に関す  る請願外二件(小平久雄紹介)(第九七六  号)の取下げの件      ――――◇―――――
  2. 中島茂喜

    中島委員長 これより会議を開きます。  この際、請願取り下げの件についてお諮りいたします。当委員会に付託されております請願中、解放農地補償に関する請願外二件、文書表第九二〇号及び同外一件、文書表第九七六号について、十月二十六日付をもって、紹介議員小平久雄君を経て取り下げ願いが提出されております。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中島茂喜

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、両請願取り下げを許可することに決しました。      ————◇—————
  4. 中島茂喜

    中島委員長 臨時行政調査会設置法案議題といたします。  本案に関する質疑は終了いたしておりますので、これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  臨時行政調査会設置法案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  5. 中島茂喜

    中島委員長 起立総員。よって、本案は可決いたしました。     —————————————
  6. 中島茂喜

    中島委員長 本案に関し、石橋政嗣君外二十八名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議について提出者よりその趣旨説明を求めます。石橋政嗣君
  7. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 まず決議案の朗読をさせていただきます。    臨時行政調査会設置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法案審議過程において、調査会設置の目的は、公務員人員整理を意図するものでないこと並びに公務員身分変更を加えるものでないこと等をしばしば言明しているが、調査会が答申を行なう際には、右の政府言明を十分尊重すべきことはもちろん、重要問題については一致を原則とし、本法案を議決した当委員会意思より逸脱することのないよう要望する。   なお、政府は、調査会委員の人選に当つては、超党派的に公正を期すべきである。   右決議する。  若干提案理由説明を申し上げたいのでございますが、今までも行政機構改革を目途といたしまして、たくさんの調査会審議会等ができたのでございますけれども、その結果はあまり実効が上がっておるとは思えません。この点については、政府側答弁におきましても大体認められておるところであります。この実効の上がらない原因はいろいろあるわけでございますけれども、やはり一番大きな理由は、全国民的な世論の支持を得、超党派的にこの問題を取り扱っておらなかったというところに、一番大きな原因があるように私どもも理解いたしておるわけです。そういう意味から、今回政府側の熱情にもこたえまして、われわれ野党も含めて超党派的に一つ取り組もうという気持を持っておるわけでございます。そういう立場から賛成するわけでございますけれども、それにはやはり一応の条件があるわけでございまして、その条件を強く本委員会意思として表明しようとするものでございます。条件というのは、この決議案に盛られておりますように、まずこの調査会公務員人員整理をやらない、そういうものを取り扱わない、あるいは公務員身分変更を加えるようなことについても触れない、そういうことが十分に理解された上での調査会だというふうに私ども確認いたしまして、政府の再三の御説明なり答弁をも信じまして、超党派的にこれに賛成しようというわけでございますので、この点くれぐれも念を押す意味において、本委員会一致決議案として提出いたしておりますので、十分御留意を願いたいと考えているわけでございます。
  8. 中島茂喜

    中島委員長 本動議について採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  9. 中島茂喜

    中島委員長 起立総員。よって、本動議は可決せられました。  ただいまの附帯決議について政府の所見を求めます。川島国務大臣
  10. 川島正次郎

    川島国務大臣 附帯決議内容につきましては、当委員会において私しばしば言明しておる点でございます。御趣意は十分尊重して今後の運営に当たりたい、かように考えております。
  11. 中島茂喜

    中島委員長 なお、ただいま議決されました法律案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 中島茂喜

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。      ————◇—————
  13. 中島茂喜

    中島委員長 引き続き農林省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  14. 中島茂喜

    中島委員長 本案は御承知通り第三十八回国会におきまして全会一致をもって可決し、参議院に送付した原案を、参議院におきましては継続審査とし、本国会におきまして修正議決して本院に送付されてきたものであります。従いましてこの際、本案提案理由説明を省略し、第三十八回国会衆議院送付案と、今国会参議院送付案相違点につきまして、便宜農林大臣よりその修正趣旨について説明を聴取いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 中島茂喜

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは修正趣旨について説明を求めます。河野農林大臣
  16. 河野一郎

    河野国務大臣 衆議院で可決いただきました法案施行期日が十月一日となっておりまして、すでに時日も経過いたしましたので、参議院におきましては、この十月一日を十二月一日より施行するということに修正をしていただいたのであります。別にその他御説明申し上げることもないわけでございます。     —————————————
  17. 中島茂喜

    中島委員長 この際お諮りいたします。角屋堅次郎君より委員外発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 中島茂喜

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  角屋堅次郎君。
  19. 角屋堅次郎

    角屋議員 ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案について、農林大臣出席の機会に、基本的な問題についてお伺いをいたしたいと思います。  本案については、御承知通り去る第三十八通常国会で、衆議院を通過し、参議院継続になった案件でありますが、再び本案衆議院に回付されて参ったわけでありますけれども、私どもこの農林省設置法の一部を改正する法律案関連をして、今後の農林省全体の機構改革というものを一体どういうふうにするのかという点に、非常な関心と注目を寄せているわけであります。申し上げるまでもなくこの問題は、今日の激動する農林水産関係の情勢の中で、去る三十八通常国会では、農業基本法政府原案通り関連法等がいまだ日の目を見ていませんけれども、そういうものとの関連においても、これからの農林省機構をどうするかという問題については、新しく実力者大臣として就任をされた河野さんも、いろいろ考えておられるところだろうと思うのです。私どもいろいろ承っておりますところでは、河野さん自身としても、農林省機構をどうするかということについては、自分自身にも構想がある、しかしこれはいろいろ各方面意見を聞かなければならないので、今日検討段階だ、しかし新しい年度予算要求の中では、たとえば園芸局新設というふうなことで、すでに農林省自身としては決定を見ておる構想の問題もありますし、また聞くところによりますと、林野庁国有林野事業等公社化の問題については、大臣の方からいろいろ検討するようにというふうなお話をされているやに承っておりますが、そういう問題ももちろんありましょうし、また今日畜産とかあるいは蚕糸とか、あるいは新しく園芸局等新設というような問題になりますと、要するに農畜産物の、物を対象にした局編成というふうなものをもっと横断的な総合的な、いわば生産の総合的な立場から見た機構考えたらどうだという意見も一部に出ておるようでありますが、いずれにいたしましてもこの際に農林大臣から、明年度予算編成過程において、特にまた次期通常国会を控えて農林省機構改革の中ですでに構想として決定を見ているもの、現在重要な問題で検討過程にあるもの、あるいは将来検討いたしたいもの、こういうふうな問題について、農林大臣としての今日考えておられる構想について率直にお伺いいたしたいと思います。
  20. 河野一郎

    河野国務大臣 御指摘の通り農林行政相当角度を変えていかなければならぬ段階にありますので、農林省それ自身といたしましても、相当行政機構を必要に応じて変えていかなければならぬということは申すまでもないことでございます。しかし実は私は前回農林大臣になりましたときに、今ここに設置法の一部改正をお願い申し上げておりまする試験研究所等につきまして、総合的にこれを会議所の形式をとって試験研究をした方がよかろうということで、試験研究所の総合的な運営ということを考えてやったのでございます。ところが五カ年間を経過いたしまして、今回就任いたしますと、この設置法改正案が提案されております。そこで私はこの改正をなぜするのかということで、責任者たる東畑博士意見を徴しました。ところが東畑博士意見によりますと、この前試験研究所を総合的に運営するということで発足いたしましたけれども、その内容とするところの各研究所が、具体的に申しますと、畜産にいたしましても水産林野その他蚕糸というものが、総合的にやるためには、基礎的に、基本的に十分詰めるものは詰めなければ完全なものができていきません。遺憾ながらわが国の農業試験研究の点におきましては、従来米麦に重点があまり置かれ過ぎておりまして、その結果他のものが終戦後とかく力が抜かれております。そういう段階においてこれを総合的に発足いたしますことは、これまでの経緯にかんがみて適当でないということから、この改正をお願いいたしておるのである、こういう説明でありました。内容をしさいに検討いたしてみますると、まさにその通りでございます。そこで私はここにお願いをいたしております通りに、畜産試験場、園芸試験場蚕糸試験場というようなものを、それぞれの形において専門的に詰めていくということに実は踏み切って、私もこの改正案を、継続審議中のものをなお続いて今日御審議いただいておるのでございます。  そういう関係におきまして、実は省内の機構にいたしましても、ただいまお話しの点も、そういう意見もないことはございませんが、私といたしましてはここで農業基本法の線に沿いまして、新たに農業経営指導いたす場合におきまして、畜産畜産水産水産、その中に果樹園芸というようなものを基礎的に十分に強く農村に植えつけて、そしてそれを総合的に経営していくということの方が適当であろうというような考えから、実は明年度予算編成にあたりましては、さしあたり果樹園芸局を設置しよう、そうして従来の蚕糸と相並行して、畜産果樹園芸というものを、特殊農業という立場において、これを基本である米麦と組み合わせをして、農業経営の発展を期そうということに実は考えておるのでございます。そういうわけでございまして、明年度としてはさしあたり果樹園芸局を設置して、そういう角度で当分の間、まあ何年やりますかやりまして、そこに農村構造改善を期しまして、そうして実態がその角度まで進んだときに、今度は総合的な指導ということの横割りにしてやることが適当でないかという考えを私は持っております。  それならばこの改正明年度改正と一緒に、一気に全部やったらどうだという御意見参議院でもありました。ところが御承知通り試験研究の仕事は今の行政の、農林省のいわゆる内容改正とは別個で、一日も早く試験研究の方は発足いたしたいという考えで、この改正案審議を急いで実は参議院の方にもお願いいたしましたし、衆議院の方でもそうお願いいたしたいという考えからいたしまして、明年度にやります今の果樹園芸という特殊農業についての指導もしくは管理行政というものにつきましては、今申し上げましたように、さしあたり果樹園芸、養蚕それから畜産という特殊のものについて、相当に力を入れて農家経営を助けていきたい、それに基本である従来やっております米麦の奨励ということでいきたいと、こう思っておるのでございます。  お話にありました林野庁を改組するかどうか、これにつきましては、これも御承知と思いますが、すでにわが林野行政におきましては多年にわたって朝野の各方面から、今の林野行政が妥当であるかどうかということについて、研究が進められておるわけであります。私もこの林野庁における研究は適切な研究である、別に急いでやらなければならぬとは思わぬけれども、なお続けて研究をしていくということは指示いたしております。と申しますのは、林野行政がとかく国有林経営にあまりウエートを置き過ぎまして、一般山林もしくは山の行政が多少お留守になりがちである。およそ農林省の行なうところの林政は、全体の山の政治をやるのである。行政をやるのである。国有林経営、つまり国有林の木を植えるとか切るとか、一部の国有林をどうするとかいうことは、全体の林政の主体をなすものではない。これがあるためにむしろ災いされるという考えを実は私は持っております。さればといってそれを急いでやらなければならぬほどのことではありませんが、慎重を期して成案を得たならば適当のときにやったらいいだろうというので、せっかく研究を続けさせておる。おそらく一両年はかかるだろう、こう思っております。
  21. 角屋堅次郎

    角屋議員 最後に、農林大臣の時間の関係お話し合いがあるようでありますから、もう一点お伺いしたいと思いますが、今日食管の河野構想というものが、非常に大きな朝野注目を浴びておるわけでありますが、これを今後どうするかという問題は、通常国会にかけての問題でありますけれども、かりに河野さんの構想というものに基づいて法改正等が出てくる場合、食糧庁の機構というようなものがそれに結びついて、河野さんとしての構想を持たれ、またその構想そのものが実際に路線に乗る場合においては、その意味の食糧庁等の機構改革というものと当然結びついて出すというふうなお考えでおられるわけですか、その点ちょっと……。
  22. 河野一郎

    河野国務大臣 実は私の考えておりまする食糧政策、食糧行政の行き方は、必要な米麦を管理するということについては、何らの変更を加えようと考えておりません。従って行政機構そのものについて変える意思はございません。また変える必要はないと私は考えております。ただ一点御了解を得たいと考えますことは、従来、米で申しますと、米は集荷に重点を置きまして、農家からいかにして所要の米を買ってくるか、足りない米を集めるということに重点を置いた行政をやっております。ところが今日の段階におきましては、集めることが主ではなくて、いかにして適切に配給するか、せっかく政府が集めた米がやみに流れていってしまう。今まででございますと足りない米でございましたから、配給を受ける方の人が、消費者の方が、十分に熱意をもって監督していただいたと思うのであります。不正な米屋があれば、すぐに騒ぎが起こるということでございましたから、農林省自体としては配給の面におきましては、所要の数量を配給方面に流してやることが必要であった。従って集めることが大事であって、流す方は集まったものを府県知事に配給計画を立てさして、府県知事に渡してやれば、それが自然に流れていく格好であったのであります。ところが今日の段階におきましては、集める方は、生産の方は一応軌道に乗っております。従って所要量はいつでも政府の手に入ります。でございますからこれをいかにして配給を適切に行なうか、せっかく政府が多額の金をかけて農家から集めて、政府の倉に集めたものが、はたして正しく配給されるかどうかというところに多くの問題があります。従って私は私の考えておりますように変える、変えぬは別にいたしまして、御了承を得られる、得られぬは別にいたしまして、今後少なくとも農林行政として食糧管理行政をして参ります場合に、従来のように集荷に力を注ぎませんで、集荷の方面予算はむしろ減しても、配給の指導監督の方に重点を置いてやっていくということに考えております。これは今の私の考えを実行するしないに何も関係なしに、そういうふうにいくべきものである、こう思うのでございます。
  23. 中島茂喜

    中島委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。有馬輝武君。
  24. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 大臣のお時間があるようでございますから、今日質問できない点につきましては、いずれ農林水産委員会なりその他の機会を得て、お伺いいたしたいと思いますので、私は二点だけお伺いしたいと思います。  一つは、大臣が前に農林省を担当されましたときに、新農村建設の構想を出されました。これに対して、率直に申し上げまして、農村における期待というものは非常に大きかったし、またそれに即応する努力を各自治団体等においても、また農業団体等においてもいたしたと思うのであります。大臣の積極的な意欲と、各地域におけるその受け入れ態勢といいますか、受け入れに対する意欲が熾烈であったにもかかわらず、効果の面では予期通りのことができなかったのではないか。今度その意味で、農業構造改善事業として、大臣が十年計画で三千七百億くらいの事業計画でもって、全国の三千市町村ぐらいを対象に、この農業構造を改善する構想を進められようとしておりますが、もちろんこれは地域的に日本農業の実態からいたしまして、特殊性というものを生かしていかなければいかぬと思うのでありますが、問題はその重点をどこに置いていかれようとするのか。伝えられております構想によりますと、各地域の自治団体なり農業団体なりが主体になって、いろいろな分野について研究実験していく、その自主性にまかせるというふうに受け取られるのでありますけれども、私はやはり一つの方向を示して、その中で各地域の特殊性を生かしていかないと、よき農政の進展はあり得ないと思いますので、その重点をどこに置かれようとしておるのか、このことが一点。それから今、角屋君からお話のありました食糧管理に対する大臣構想お話があったわけでありますけれども、この点についてただ一点だけにしぼりまして、いわゆるやみのものをひなたに出した場合、どういった機構で扱おうとしておられるのか。大臣構想としてはどこにそれを扱わせるのか、その点だけをお聞かせいただきたいと思います。
  25. 河野一郎

    河野国務大臣 五年前に新農村建設運動計画というものを私が立てまして、全国の市町村に呼びかけて実行いたしました。ところが今お話しの通りに、金は確かに五カ年間、私がやめまして後も引き続き行っております。ところが指導の面において、多少遺憾な点があった。それをまた受け入れる地方の市町村もしくは団体の方にも、これに対する誤解があった。そのために一番非難されますのは、有線電話にかわってしまったじゃないか、何にかわってしまったじゃないかというような町村も相当にございます。しかし少なくともこういう雰囲気を作り出して、それが今日全国的な新農村計画運動という一つの運動になって、引き続き今日もそういう集まりがございまして、熱心にこれを要望し、その方向にいっておるというものもあるわけでございます。しかしいずれにしましても、前回の欠陥、失敗等を十分勘案いたしまして、今回はやっていきたい。今回は御承知通り農業基本法を基盤にいたしまして、その農業基本法の欲するところ、向こうところ、これと相関連し、表裏をなして、ここに新しい農村構造、農村経営というものを打ち立てていきたい。それには政府としてまずこの程度の御協力を申し上げようという考えでございます。その考えが今御指摘のように、下にまかしてもだめじゃないか、さればといって上から押しつけるばかりでもだめでございます。実は今考えておりますことは、具体的には、農業基本法によるところの農政審議会の諸君が、どういうふうに実行したらよろしいか、どういうふうにやったらよいかということを今せっかく御審議中でございます。これらの御意見を十分参酌して具体案を立てたい、こう思っております。一応の考えといたしましては、わが日本の農村に、将来たとえば蚕糸についてはどの程度の蚕糸経営したら適切であるか、村の数を大体きめよう、この程度の生産量が適当であろうということをきめていこう、くだものについても同様、園芸蔬菜についても同様、畜産についても同様、おおむね従来の米麦に対して、この程度の村、この程度の経営農村に組み入れることが適切であるということは、生産と消費の点から見合いまして、これを中央においてきめまして、下から計画して持って参りますものの中に、あらかじめこちらの方としても、全国の経営状態が非常に違いますから、その経営形態が違う中に、大体あなたのところはこの程度のものでどうでしょうというようなものを指示をいたしつつ、地方の合意を得て、そこに青写真を描いていく。特に私考えたいと思いますことは、決して予算関係で初めが小さいというわけではなしに、初年度、二年度等は、こういう実行にあたりまして各般の点について研究過程にあると私は思うのでございます。でございますから、初年度はまず三百カ町村くらいにいたしてみまして、一、二年これをやっておるうちに、大体これでよろしいというめどがついて参りましたならば、大幅に広げまして、そして全国三千四百何カ町村あります町村のうちで、大都市の周辺の町村と、ごく山の中の、林野ばかりで耕地が非常に少ないというところにつきましては、別途計画を立てることにいたしまして、その他の適切なる三千二、三百カ町村について実施したい、こういう考えでございます。同時に、私は今回の計画につきましては、ある程度法律上の裏づけをいたしまして、そしてこの基本法に基づくこの構造改善というものの法律上の裏づけをいたして、これが何年間にやるのだということをいたしていきたい。でございませんと、初めに補助金をもらったところは非常にその村がよくなるけれども、あとの残った村はしまいになったらどうなるということがあっては適切でございませんから、諸般の情勢を勘案いたしまして、十分公平に全部の農村についてうまくいくということにやって参りたい、こう思っておるのでございます。  それから次の食糧に対するお尋ねでございましたが、自由米の取り扱い機関につきましては、私自身もまだ具体的にこうすべきだということに結論を得ておりません。ただ良識的に、米屋さんもしくは協同組合というものが扱ったらいいのじゃないかと思っております。そうすると従来の配給業者と新しい米屋との関係はどうなるかということの御懸念が出て参ります。私は従来扱っておる米屋さんもむろん扱うがよろしい。新たに、現にやみ屋さんをやっていらっしゃる人も届出によって、そしてある程度これを規制して扱わせるのがよろしい。ただしやみと今の配給の米とわからぬではないか。現にわからないのであります。現に政府が配給しております米が、相当に正しく配給されておるかどうかという点については、指導監督上に遺憾な点があると私自身考えております。従って先ほど申し上げましたように、これからは一つ配給の点に重点を置いて指導監督していきたい、そこに重点を置いていきたいと考えておるのでございますが、そこでさしあたり考えられることは、配給の店と自由に販売する店と、店舗は絶対変えなければいかぬ。同一の店舗でやることはいかぬというぐらいのことはどうしてもしたい。それから罰則規定は厳重にこれは実行するように、米屋さんがもし違法な点があったらば取り締まるという、取り締まり規制等については十分考えなければいかぬという程度のさしあたりの考えでございまして、その他は各方面の御意見によって、どういうふうにしたら一番適切かということは考えていきたい、こう思っておるのでございます。
  26. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 農林水産委員会の方がお急ぎのようでございますので、一点だけ、これは抽象的で非常にお答えにくい問題かもしれませんけれども大臣に就任されて以来、私は農業団体との座談会なり各方面での御発言を、注意深くずっと新聞その他を通じて読んで参りました。その中に感じられますことは、はっきりはおっしゃらないけれども、ときたまには、河野さんのことですから、はっきり言っている場合もありましたが、今度の農業基本法にはプラス・アルファが必要なんだ、結論づけて申し上げますと、そういった御意向がうかがえるのであります。そのプラス・アルファの重点をどこに置いていこうとしておられるのか、この点だけをこの際お聞かせ願いたいと思います。
  27. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知通り農業基本法は、農業経営もしくは農家経済の振興を目途とした精神面が指摘してあります。これに対して具体的にどれをどうするという裏づけが実はありません。そこでこの具体的な裏づけを明確に出していくことが必要である。しからばそれをどこに求めるかという点が、つまり農家の所得はどの程度を理想として、どこに結着点を置くかということは、ここまで申すことは僭越かもしれませんが、私は畜産といい、蚕糸といい、果樹園芸といい、いろいろありますが、ただこれはそういうものをやればいいところもあれば、よくないところもあるわけでございます。全部が畜産をやっていいわけでもなければ、全部が養蚕をやっていいわけではございません。そこでこれらをどういうふうに組み合わせて奨励していくかというところに重点がある。また国際的にこれを考えた場合に、どういうふうな問題が起きてくるかということも考えていかなければなりません。少なくとも私は現在の日本農政というものは、現状においての保護農政を継続しつつ、新しい世界に臨むところの飛躍した日本の農業を打ち立てるという施策が、そこになければならぬと思うのであります。ただこれを国内の産業を保護する、育成するという、いわゆるドイツ流の農業基本法、ドイツ流の農政であってはならない。日本農政にはそれに臨むところの新しいものが必要である。少なくとも世界の農業の中で日本の農業は、狭いところにこれだけの大ぜいの人がやって参るという特殊性を十二分に考慮いたしまして、その点に私は配慮が必要ではないか、この点が世界農業の中で特殊農業であるという点について、ただドイツ流の農業基本法という点では足りない点があるのではないか、つまり私が申し上げますように、構造を改善して、そこには政府が多額の補助金を入れるということでなければ、日本農業というものは、今私が所期いたしますような農業を期待することができないのではないかという点について、私は私の意思を表明しておるのでございます。
  28. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次に、私は技術会議の事務局長にお伺いをいたしたいと思いますが、参議院の内閣委員会におきまして、この農林省設置法に関する質疑が行なわれた跡を振り返ってみたのでありますが、二、三の点について、私の会議録の読み方が悪いのか、理解しにくい面がありましたので、その点についてお伺いをいたしたいと思います。  それは技術会議の人事の任免権についてであります。国家行政組織法に基づきまして設置されました技術会議が、国家公務員法の第五十五条にいう任命権者、これについては、少なくとも大臣が任命権者であって、技術会議の会長はこれを補佐する立場にあるというような御答弁があったようでありまするけれども、その非常勤の技術会議の人たちが補佐する、それはどういう立場において補佐するのか、国家公務員法でいうところのどういう性格のものなのか、この点を明確にしていただきたいと思います。
  29. 昌谷孝

    昌谷政府委員 人事に関する問題でございますので、私からお答えさしていただきたいと思います。参議院で御質疑がありました点は、今御指摘がございましたが、技術会議は御承知のように国家行政組織法で申しますと第八条の機関でございますので、その人事につきましては当然農林大臣が任命権者でございます。それの事務を担当いたしますのが大臣官房であります。ただそういう場合に、それぞれの付属機関あるいは内部部局もそうでございますが、機関の長は、その大臣の任命権につきましては事実上いろいろ意見を申し述べ、あるいは意見を問われた場合に、大臣あるいは大臣官房に答えるというふうに、事実上の補佐行為をやっておるわけであります。その点は技術会議であるとその他の内部部局であると同じでございます。もちろん外局は外局の長が任命権を持っておりますけれども、それ以外のところにつきましては、八条の機関それぞれみなそのような動きをしておるわけであります。技術会議についても、その点は例外でございません。ただお話がありましたように、技術会議は合議制の機関であります。そこで機関の長たる会長は、技術会議としてのそういった意見を取りまとめまして、その総意を大臣に取り次ぐということに相なるのは、これまた当然なことだと存じます。以上が参議院で御議論になりました人事権についての技術会議の長としての関係でございます。もちろん事の性質上、技術会議に一々はからないで、会長があらかじめ会議の議員の同意を受けて、会長限りで補佐をしておる面もございます。あるいはその方が実質上は多いかもしれません。そういうわけ合いになっておるわけであります。以上が技術会議の人事権のことについての経過でございます。
  30. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 会長が取り扱う技術会議の人事については、何等級から何等級までですか。
  31. 昌谷孝

    昌谷政府委員 大臣が任命権を持っておりますことは、全公務員についての問題でございます。しかし農林省の場合におきましては、国家公務員法で許されております範囲内で、言葉が悪いかもしれませんが、いわゆる下級職員について内局の長、あるいは林業試験場等の試験場の長に、農林大臣の持っておる人事権の一部を委任をしております。これは先ほど申しました事実上の補佐行為とはまた別のことであります。その委任をしておりますのは、技術会議の場合は、研究職は五等以下、行政職はやはり同様五等以下を委任をしております。この委任の関係も、他の内部部局の場合と同様でございます。他の内部部局につきましても、今申しましたような職員の任命権については、公務員法上のいわゆる上級の職員に委任をいたしております。技術会議の場合は、その委任をしております部内の上級の職員にそういった人事権の委任が許されておりますので、やっておりますが、その委任をしております被委任者は、技術会議の事務局長ということにいたしております。これは技術会議の事務局長が、常勤の技術会議の職員のうちの最上級職員でございます。そこで事務局長に、今申しましたような以下の職員の人事については委任をしているということにいたしております。
  32. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その四等級以上の上級職員について、その非常勤の方が一年の間に何日出られるか知りませんが、実際上補佐的な立場にあるにしろ、内局、外局の長といわば同じ権限を与えられている。それでスムーズにいくかどうかという点については、疑問なきを得ないのですが、官房はどんな形でその点についてはタッチされるわけですか。
  33. 昌谷孝

    昌谷政府委員 技術会議の会長は非常勤でございますが、大体定例的に日をおきめいただいて、週にたしか二回技術会議の事務をおとりいただくためにおいでいただいておると存じます。そういう意味におきまして、官房で行なう大臣の任命の人事の執行につきましては、会長の御意向を十分承知をいたすことが可能でございます。また会長から積極的に御意見を伺うことも間々ありますが、相当あるわけでございます。なお会長と官房との関係の連絡につきましては、これはもちろん技術会議の事務局長がその連絡役を勤めるわけでございまして、その点は一般の内部部局あるいは一般の付属機関が、人事の補佐を事実上やっていることと何ら異なることなく、順調に取り運ぶことができているわけでございます。
  34. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 いわゆる農林省設置法について、これは政策論議は努めて避けなければならぬことは了解しておりますが、やはり機構の問題は、農林省の今後の農政の方向と密接不可分の関係にありますから、そういう点について最低限に触れざるを得なくなって参ります。そこで今政務次官の出席を要求しようと思ったのでありますが、お見えになりましたので、そういった立場から逐次お伺いして参ります。  政務次官は今お見えになったばかりでございますが、まず第一にお伺いしたいことは、食糧庁の検査機構の問題についてであります。これは政務次官も御承知のように昭和二十年ごろから前は、検査事務については県が行なっておりましたが、食糧管理法の体裁が整って参りまして、買い入れ、保管、加工、輸送、売却と一貫した体系の中で検査が行なわれるようになりまして、以前の検査というものとはおのずから性格が変わって参っております。ところがこの検査業務について、その昭和二十年以前のような形に移したらどうかというような意見がときたま出たりする。この点について、現在の食管法の体系の中で行なわれている検査と、以前の検査との明確な相違点というものから——この前も参議院において大臣から検査公団その他については考えてないというような答弁があったと存じますが、この点について、政務次官として今後この検査の問題についてどのように考えておられるか、この点を政務次官と官房長の方から一つお聞かせいただいておきたいと思います。
  35. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 昭和二十三年でございますか、それ以前の県営の方に移すということは全然考えておりませんし、いわゆる河野構想による食管制度の改善案の中におきましても、検査の問題については従来と全然変わることはないという方針で参っておりますし、今後も県営の方向に移すということは毛頭考えておりません。
  36. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その公団の構想というようなものは官房長、ないのですか。
  37. 昌谷孝

    昌谷政府委員 当面そういうことを行政の実際の問題として検討いたしていることはございません。ただ御承知のように先ほど国有林のところで大臣からお話がありましたけれども、世間にそういうことをおっしゃる御意見のあることは聞き及んでおりますが、当面行政の課題としてそういう問題とは取り組んではおりません。
  38. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次に、先ほど大臣にお伺いいたしました農業構造改善構想の具体化にあたりまして、私若干ふに落ちない点があるのでありますが、政策そのものではありません。機構上の問題といたしまして、最近統計調査事務所の出張所の統廃合といいますか、統合する動きが出ておりますが、これは各県によってそれぞれその進め方につきましても違っておるようであります。それで現在まであった出張所がどの程度統合されておるのか、その統合された理由はどこにあるのか、この点を若干お伺いいたしておきたいと思います。
  39. 昌谷孝

    昌谷政府委員 統計事務所の末端の組織につきましては、おおむね旧郡と申しますか、郡単位程度の最低の取りまとめと申しますか、職員のまとまりがいろいろ業務をやっていく上に便利であるということで、かねがね進んでおるわけでございます。いろいろ町村合併でありますとか、あるいは農業の移り変わりでございますとか、あるいは交通機関の変化でございますとか、そういった種々の事情によりまして、あるいは統計業務の重点の移行等によりまして、かねて持っておりました分け方が、うまく新しい、たとえば町村合併の結果とうまくマッチしないというようなことで、配置分合といったような点を手直しをして参っておることも事実でございます。これは別に特に計画的にそういうことを全国的に手がけてやったわけでもございませんので、必要に応じて、そのところどころの実態に応じてやってきておるのが実情でございます。若干交通機関が便利になった点もございまして、発足当時と比べますと若干一つの出張所の受け持ち区域としては広がっておるかと承知いたしておりますが、正確な数等についてはただいま承知をいたしておりません。今後につきましてもやはり農業の事情、あるいは交通の事情、あるいは末端における行政区域の変化といったような事情を組み入れまして、一番能率の上がるように職員の配置をより効率的にやっていくことは必要だと存じておりますが、特に何と申しますか、整理統合といったような意味合いのことで考えるべき性質のものではないというふうに考えております。
  40. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 官房長御存じでなければ、どなたか事務当局の方、その発足当時の数と現在の数をはっきりさせていただきたいと思います。といいますのは、少なくとも機構については、私はもちろん農業の進展その他農政の要求するところに従いまして、統廃合ということは考えられなければならぬでしょうけれども、しかしそれを軽々に行なうべきではないという考え方に立っておるわけです。ところが、今私が御質問申し上げました出張所の統廃合等によって、統計調査事務所の職員に与える心理的な影響というものは非常に大きなものがあります。伝えられるところの中西構想を推進していく一つの前提ではないかとか、いろいろな角度から、これは官房では想像もされないような心理的不安というものが職員の間に流れておる。このことはまた見のがせない事実だと思うのであります。そういう意味で今の点、数だけは一つはっきりさせていただくと同時に、今の御答弁では今後も町村合併なり——これは町村合併は終わっておりますが、統計業務の要求するところに従って、そういったことを行なうであろうということですけれども、私は現在の統計の仕事の実態から見まして、海から山まで、それこそ魚の骨の数まで調べるのではないかと思われるほど、統計の業務というものの分量はふえております。それだけに、むしろ出張所等については細分化していくことこそ、実態に即応する形ではないかと思うのでありますが、それをまとめていくということについては疑問なきを得ないので、その点、今後のあれについては、この際はっきり明確な理由がない限り、その統合は行なわないのだというような点についての農林省としての考え方を明確にしておいていただきたいと思います。
  41. 昌谷孝

    昌谷政府委員 お尋ねの前段の点につきましては、ただいま取り調べまして、後刻御連絡申し上げたいと思います。  先ほども申しましたように、もっぱら業務の能率を上げるという点から、そういった配置等は考えるべきだという基本的な考え方でやっておりますので、その意味から申しまして、統合した方がよろしければ統合もけっこうでございましょう。また先生の御指摘のような、必要のある場合には逆に新しく作るという必要も生じてくるだろうと私自身考えております。それで全体としての統計に対する要求と申しますか、負担の程度は、行政が細分化し、専門化してくればくるほど重くなることも、御指摘の通りだと存じております。従いまして現有の統計職員がなかなか今の程度の、何と申しますか、機動力あるいは能率では相当の時期によるかもしれませんが、負担が重いという実情にあることもその通りだと存じております。そこで必要に応じては人の増員もお願いしなければならぬ場合もございましょうし、またしかし私どもとしては、増員をお願いすると同時にと申しますか、それもさることながら、やはり現有の調査の能力をより向上させる、そのためにはオートバイあるいはジープ等の機動力を備えるというようなことも必要になって参ろうかと存じます。そういったいろいろの新しい手段、方法等も取り入れた上で、なおかつ出張所の数につきましても、あるいは所在場所につきましても、もっぱら業務能率という点から、統計に従事する人たちが一番働きやすいように考えていくのが必要であろう、私どもとしては将来にわたってもその方針で進みたいと考えております。
  42. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次に事務局長にお伺いいたしたいと思いますが、本委員会におきます農林省設置法審議の際に、官房長、事務局長にお伺いをいたした点で、農業基本法との関連の中でお伺いをいたしました。たとえば官房に企画、立案の事務を所掌させる、あるいは技術会議試験研究機関の成果を持ち寄りまして、今後の農政の方向をまとめていくのだ、こういう点について、その中身が何なんだ、今後の農政の方向というものをどこに置いていかれようとするのかというような点について、私御質問申し上げましたところ、その点に関しましては、基本法の成立を待って、その中身を入れていくのだというような意味での御答弁であったやに記憶いたしております。基本法が成立しました現在、すでに技術会議として運営されておる方向というものについて、この際お聞かせいただきたいと思うわけであります。
  43. 増田盛

    ○増田政府委員 試験研究機関が試験研究を行なう場合に、やはり一定の方向づけが必要であることは、だれしも否定できないところであろうと思うわけであります。ただこの際試験研究機関が現実に実施いたしますのは、いわゆる研究、企画並びにその実施が主体であります。すなわち研究、企画をやる場合には、御存じの通りますテーマ、研究課題を見出すわけであります。しからばこの研究課題をどういうルートで試験研究機関が見つけ出すかという場合におきましては、直接に農業条件の把握、あるいは農民との接触によって見出す場合もあろうかと思うわけでありますが、やはりこれだけでは恣意的でありますので、どうしても技術会議というような機関におきまして総合的な、統一的な試験研究の方向というものを打ち出す必要があるだろうと思うわけであります。しかもその技術会議で打ち出す方向づけというものは、どうしても農業なり農民なりの要請あるいは声というものを、正しく反映していくものでなければならないわけであります。それから農業基本法を中心にした今後の農業の動向というものにも即応するものでなければならず、さらにまた科学技術の進歩、こういうものにも即応していかなければならぬと思うのであります。私どもそういう面におきまして、いろいろな要素があるわけでありますが、こういう諸要請を一括いたしまして、試験研究の目標というものを作業をいたしまして、本年の五月か六月でございますか、大よその案ができたわけでありますが、この目標の中に、ただいま申し上げましたような、一方では科学技術の進歩、さらにまた農業の諸要請、農民の要望、そしてさらに農業基本法を基軸といたしますいろいろな行政施策、こういうものをできるだけ統一的に、相互関連的にとらえまして、それによって試験研究の目標というものを作ったわけであります。これはいろいろな試験研究の応用面、それから基礎面にわたりまして、事項別に広範に実は問題を網羅しておるわけでございます。この目標は今後十年間の方向を大体見通しまして、私ども作成をいたしておるわけであります。これによって、今後試験研究機関におきます内容に関しまして、その線に沿うように体制を整備して参りたい、内容を整備して参りたい、かように考えておる次第であります。
  44. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 目標を設定したというお話でありますが、私がお尋ねいたしておりますのは、その目標の内容についてであります。その膨大なものについて一々説明していただきたいということではなくて、その重点をどこに置こうとしておられるのか。少なくとも現在までの農政の重点というものが、米麦を中心とした農業であった。それが転換期にきておる。そして畜産、園芸に重点を置いていくのだというようなことでありますが、少なくとも今度の農林省設置法改正の中で、試験場その他をいじくり回されるということの意義が、どういうために、どういう目的でもって試験場なり何なりを統廃をしていくか、その意図が明確でありませんので、そういった意味で、その目標というものをこの際はっきりお聞かせいただきたいということであります。
  45. 増田盛

    ○増田政府委員 御存じの通りに今回の試験研究機関の体制整備には、大まかに言いまして三つの骨子、理由があるわけであります。第一点は、畜産、園芸等の成長部門に対して重点を指向するということであります。第二点は、最近におきます科学技術の進歩と、農業の諸要請にこたえまして、試験研究の部門別強化を推進するということであります。第三点は、試験研究の管理面からながめまして、研究管理の適正化をはかるということで、この三点に重点が置かれておるわけであります。  そこで、ただいまいろいろお尋ねのありました特に米麦農業をどうするのか、こういう点に例をとって申し上げたいと思うわけでありますが、従来の試験研究の体制がどうであったかということを考えますと、従来の試験研究の体制というものは、米麦偏重といわれておるわけであります。これは否定することができない事実であろうと思うけであります。しかしこれもやむを得ないことでありまして、米麦に重点を置いてきたということは、とりもなおさずまだ日本の農業が熟していなかったということだろうと思うのであります。しかし最近におきます畜産、園芸等の急速な進歩に応じまして、どうしてもこれに関する試験研究を独立させまして、それに専念させるという必要性が出てくるわけであります。しかし米麦農業に関しましてもこれは軽視するわけにはいかぬわけであります。ただし今後米麦試験研究内容が変わってくるということは、言い得るだろうと思うわけであります。すなわち生産性の向上もしくは水田の高度土地利用、こういう面に重点を指向して参るということになるわけであります。どうしても米麦を今後とも軽視することはできない。依然として米麦に対しても重点を置く必要があると思うわけであります。しかしその内容相当変化する。すなわち今後の農業の要請、農民の要請にこたえますと、ただいま申し上げましたような生産性の向上とか、たとえば機械化の確立、それから多収技術の確立、こういうものがどうしても出てくるわけであります。従いまして一般的に申し上げますと、成長部門に重点を指向することによりまして、試験研究所あるいは園芸試験場等の分化、独立が行なわれるわけであります。そのほかにやはりそれぞれの広範な試験研究分野、特に中央におきましては現在農業技術研究所がいろいろな所掌事務を包含しておるわけでありますが、その中にあります農業土木であるとか、あるいは茶業であるとか、こういうものをどうしても独立さして、専門的に推進した方が効率的であるという判断のもとに、今回の改正が行なわれておるわけであります。しかし最後におきましては、やはりこういうようないろいろな分化を行ないます場合に非常に大切なことは、技術会議の総合調整の機能を重視するということであります。それからもう一つ、やはり農業の諸要請にこたえて試験研究をやります場合に、どうしても目先のことだけにとらわれるという危険性があるわけであります。しかしこういうものをやはり避けまして、真に試験研究の基礎をなします基礎研究、こういうものは従来以上に重要視をする必要があると思うわけであります。さらにまた農民の場に直結いたします県の試験場が中心となって行ないますところの実用化試験というものも、今後大いに重視をしていかなければならぬと思うわけでございます。ただいまの私の説明であるいは御質問に沿うておりますか、ばくとした点があるわけでありますが、また御質問に応じましてお答えいたしたいと思います。
  46. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今御説明になりましたような一つの目的と機能を持った各試験研究機関、この試験研究機関を統合調整したものと、それから官房の企画との関係、これはどういう工合になるのか。具体的に私お伺いいたしますが、たとえば食糧庁の食糧研究所で、その意図するところは主要食糧の需給に応じて、そのときどきに応じた研究というものがなされております。それを技術会議でどのように把握されて、それが官房の今度の企画の中でどのように生かされていくのか、その三者の関連について、この際官房長からお聞かせをいただきたいと思います。
  47. 昌谷孝

    昌谷政府委員 試験研究のこと自体につきましては、ただいま事務局長からお答えいたしましたように、技術会議が総体的な調整を行ないながら、個々の試験研究については各試験場が自主性を持って研究をやっていくということでございまして、その行政との橋渡しは、在来のように各部門別に分かれました内部部局がそれぞれに試験場と連絡をとるということでは、かえって試験研究の総合性がそこなわれますので、今度お願いいたしておりますように、技術会議が責任を持って行政部局との橋渡し、あるいは外部の試験研究機関との橋渡し等をやって参ろうというふうに考えておるわけでございます。従いまして御質問の今後の行政の展開と、それの裏打ちとなるべき試験研究のあり方等につきましては、官房あるいはその他それぞれの行政をやっております局あるいは庁と技術会議が常時緊密な連絡をとりまして、それによりまして技術会議が各試験研究機関、実際に試験研究をやっておりますところと行政部局の要請との橋渡しをする。また試験研究機関の行政に対する要請は、技術会議がそれの行政部局に対する反映をはかるという形で整えて参ろう、その方が試験研究の専門分化ということと同時に、行政についても専門分化という要請がございますが、その専門分化のそれぞれの行政面、あるいは技術研究面での専門分化の要請、またその反面専門分化すればするほど必要になって参ります総合調整ということの要請、その二者を比較的矛盾なく遂行していくためには、行政部局については官房で連絡調整を従来よりも積極的に心がけて参りたいと思います。また試験研究機関については、技術会議が従来以上に積極的に心がけられる態勢を持ちたい、それによって技術会議を仲立ちとして、より円滑に進んでやろうというふうな考え方で進んでおるわけであります。
  48. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今のお話では、技術会議というものはあくまで総合調整の役割だけに限って、今後の農政の方向その他について、基本的なものについては官房の企画でやられるということなんですが、そこら辺もう少し明瞭にお聞かせ願いたいと思います。
  49. 昌谷孝

    昌谷政府委員 農林大臣が所管しております行政につきましては、大臣官房としては全体的にそれを補佐して参るわけでございますから、その意味では試験研究行政についてももちろん責任を持って調整に当たるわけでございますけれども、しかし試験研究といったような特殊のものでございますから、それを一般内部部局と官房との関係というような関係でなしに、もっとより自主性の強い、またより権威のある形で試験研究の問題を考えていきたいというのが、技術会議の発足以来の私どものねらいでございます。そこで行政面から出て参りますいろいろの要請を試験研究機関にお伝えをし、また試験研究機関から出て参りました課題なり成果なりを行政に反映させる、相互の成果の交流あるいは要請の交流ということが当然必要になって参ります。それは各内部部局、各行政担当部局と試験研究機関とが直接やるのでなしに、技術会議を仲立ちとしてやって参るというのが、今度お願いしておる試験研究のあり方でございます。もちろん官房はその間にありまして、ただいま申しましたような意味で制度上あるいは実質上、全体の運営が円滑にいきますように調整いたすということに相なろうかと思います。
  50. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 どうしても納得がいかないのは、昌谷さんのおっしゃる内部部局と技術会議その他の連絡調整まで官房でされる。もちろんそれも仕事の一つでございましょうけれども、私のお伺いしたいのは、技術会議で試験場や各試験研究機関の成果、果実というものをくみ上げて、それを農政の中に生かしていく主体は技術会議なのか、官房の企画なのか、各局なのか、そこら辺についてどうもぴんとこないわけです。そういった角度から御説明いただきたいと思います。
  51. 昌谷孝

    昌谷政府委員 そういう意味でのお尋ねでございましょうと思いますが、先ほどから申し上げております通り、それは一律にどこが主体というふうに申し上げることはむしろ適切でないし、困難であろうかと思います。問題の性質によりまして、技術会議がその主体として各試験場からくみ上げてきた成果を、それぞれの行政担当部局に伝えることもございます。それから各行政部局が行政上の要請として持っておりますものを、従来のようにその部局の必要だけから、自分の手近な試験研究機関に伝えるというのでなしに、技術会議を通じて、技術会議の判断によって、その課題をそれぞれの試験研究機関に最も適切に分配、配合していただくということにもなろうかと思います。その間にありまして官房は円滑に動いておるときには、今申しました技術会議と内部部局との相互交流で十分事は足りていくのだと思います。官房の企画室といたしましては、そういった円滑に流れておりますいろいろの行政なり試験研究なりの、さらに内部部局の関係で申しますれば、それぞれの内部部局間に行政上の総合調整の必要な場合等におきましては、もちろん官房がそのつど調整をいたします。しかし試験研究機関と各行政との要請を直接的に官房が中に入って、官房を通じてでなければ血がつながってないというふうな仕組みでは毛頭ないわけであります。そこで事が順調に行なわれておりますときには、技術会議を仲立ちとして各試験研究機関と行政担当部局とは相互交流、いろいろ思想あるいは成果の相互交流はできますし、それで官房が特に立ち入って事を行なうだけの必要のないような動きをする場合の方が、むしろ多かろうと思います。問題によりましては数局にまたがりますような行政、たとえば構造改善でございますとか、あるいは農業者の所得の問題でございますとか、そういう数局にまたがりますような問題であります場合には、官房がもちろん総合調整をいたしますけれども、しかし試験研究機関とのつながりは、必ずしも官房から直接ではなくて、それぞれの要請に応じて個々具体的に動いていくというふうにお考えいただくべきじゃないかと思います。
  52. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今の昌谷さんの御説明によりますと、官房の企画部面を強化するということの理由にはならないような気がするわけです。といいますのは、さっきからこれはくどいみたいにして、私の質問の仕方が悪いのかもしれませんけれども、少なくとも官房の企画部門を強化するというからには、私は技術会議でおやりになるのなら別であるけれども、技術会議の果実というものを実らせる、農政の中に生かしていく基本構想というものを、その官房の企画という頭脳が取り扱うのだという形で、今度の機構いじりならまだ話がわかると思うのですが、そこら辺については今昌谷さんの御説明を聞いておりますと、少なくとも現在まで官房がやってきたような連絡調整の域を出ていないじゃないか、また技術会議の方も総合調整ということにウエートを置いておられるのだとすれば、今言う果実はどこでどういう工合に生かされるのか、各部局に、これはこれだ、これはこれだという形でおまかせになるのか、いわゆる農政の方向——さっき事務局長にお尋ねしました今後の農政の重点はここに置くのだという形が、試験研究機関の仕事の集まりでもって出てきたものについてどう実らせるのか、その機構はどうなのかという点で、どうもぴんとこないのです。それでしつこくお尋ねをしておるのですが、農林大臣の頭脳はどこでやるのですか。たとえば先ほど農相からお話のありました食糧管理法に対する河野構想というものを実現していく。それは食糧庁におまかせ切りなのか、私は農政全体の立場からやはり食糧管理の方向というものについては、それこそ総合調整されたものの中で、全体の農政の中でながめられていかなければ、へんぱなものになると思うのですけれども、それは食糧庁におまかせ切りなのか、そこら辺についていま少し具体的にお聞かせを願いたいと思うのです。
  53. 昌谷孝

    昌谷政府委員 現在お願いしております法律の中で、官房の機能強化ということをうたっておりますけれども、これは御承知かと思いますが、在来やっておりました官房の機能が、それによって変質するものとは私は心得ておりません。やはり従来官房でやるべかりしことが、十分に行なわれていなかった点を補いたいという意図でございます。従いましてこの法律でお願いいたしましたような、たとえば予測の事務であるとか、あるいは国土の総合調査の事務であるとか、そういう事務を官房で新たにやることになりましたと申しても、それは従来官房でやるべかりし事務を、従前よりもより円滑に、より積極的に果たして参りたいという趣旨でございます。従いまして官房の機能そのものが、根本的には私は変わるとは心得ておりません。官房は御承知のように大臣を直接補佐をするわけでもございましょうけれども、やはりそれぞれの農林省の具体的な行政事務は、庁なり局なりあるいはそれぞれの付属機関なりに設置法によって分配をされているわけであります。官房はそれらの分配された行政事務の連絡調整、総合調整あるいはそれの全体を通ずる企画というものを担当するという点においては、官房の性格は変わっておるわけではございません。試験研究についても同様だと私は心得ております。  ただ、なぜそれでは従前の官房の機能をもう少し積極化しないと、本来あるべき姿として十分でないかという点でございますが、これは先ほど来申しましたように、行政の要請はむしろ今後畜産であるとか果樹であるとか、あるいは米麦であるとか雑穀であるとか、従来のように米麦だけでなしに、その他の多方面にわたって行政も専門分化をいたして参ります。また機能的にも、たとえば金融の行政でありますとかあるいは組織の行政でありますとかという意味から、機能的に申しましても専門分化の要請は強いわけでございます。農林省としてもそういった行政の要請にこたえるためには、園芸局を作らなければなるまいかといったようなことも検討をやっておるような点も、そういった現われでございますが、そういう専門分化を一方で試験研究機関と同じように行政の面でもやって参りますと同時に、また逆に申しますと、行政の最終目的が基本法でいっておりますように農業の生産性の向上であり、あるいはまた農家の生活水準の向上といったような——その専門分化したいろいろな行政を最終的に生かす場は農村というものであり、あるいは農家という有機体であります。従いまして行政は専門分化をすると同時に、またそういう新しい農政の方向からすれば、従来のようにもの別に、ものがたくさんとれればそれで行政の目的を一応達したというふうに安んじておられなくて、それが農家経済なり農村経済にどのように役に立っていくかという点に、最終の目標が出てくるわけでございます。そういう意味で各専門分化いたしました行政機関が一生懸命にやりますと同時に、それらを通じて——あるいは二局以上にまたがる行政の課題もふえてくるわけであります。そういう課題について私どもとしては当面、それが重複したりあるいはお互いに遠慮し合って穴があいたりすることのないよう、積極的に農家経済なり農業の生産性の向上という点に焦点を合わした行政の見方を推し進めていく必要があろうということが、今回の企画室の改変の一つの眼目でございます。従いまして官房が営みます職務の質そのものは同じだと思いますけれども、そういう意味で時代の要請とともに、おのずから役割は変わってくると申しますか、ふえてくると申しますか、そういう点を今回手直しをしていただきたいというふうに考えておるわけであります。試験研究行政とのつながりを必ずしも官房が全部やるわけでは毛頭ございません。試験研究機関と行政とのつながりは、従前は御承知のように農事でございますれば主として振興局ということでつながって、技術会議はその内部部局とつながった試験研究を、内部部局を含めて、その上で総合調整、二段の総合調整、二重の総合調整機能であったわけです。それではかえってうまくいかないので、試験研究機関を専門分化して、そのかわりそれの総合調整は一挙動に技術会議にやっていただこうというふうに今回は考えたわけでございます。その意味行政との橋渡しは、技術会議を仲立ちにすることによってより円滑にいくでございましょうというふうに期待をいたしておるわけであります。
  54. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 だんだんの詳しい御説明があるわけなんですけれども、たとえば前、農業基本法審議の際に、私たち野党の者が反対をいたしました一つの大きな理由として、生産費所得補償方式についてのいわゆる農産物の価格についての基本法の態度というものに、煮え切らないものがあるという角度から批判をいたしました。今後、今官房長がおっしゃる生産性の向上その他をはかっていくためには、今度も畜産物の価格の安定法案を御検討願っておりまするけれども、少なくともすべての農産物に対する価格の安定を農林省がはかっていくというようなバック・ボーンがなければ、私はおっしゃる通りの生産性の向上なんというものは望み得ない。せっかく試験研究機関でいろいろのことを検討いたしましても、それが農家の中におりていかない一つの障害になっている。そういう意味で、たとえば私は農林省に価格安定局、これは私の一つの個人的な考え方でありまするけれども、そういった部局さえ設けて、私が今言ったような面を推進していかないと、問題は解決しないのじゃないか。そういう意味で、今度官房の機能を強化されるのであれば、たとえば価格の問題についても、統計調査部で吸い上がってきたものを官房の企画室で生かしていくのだ、そういった総合調整の機能というもの、これが技術会議と血の通ったものになることが、これは単なる機構でなくて、農政の方向として血の通ったものになる、そういう体の機構考えなければ、単にその官房の仕事がふえてきたからという、それは現在の官房の機構の中でおやりになればいいことであって、仕事をし過ぎて悪いことはないのですから、大げさに農林省設置法の一部を改正する法律案というような形でおやりになることは、今までの御説明では私はどうしてもぴんとこない。農林省の頭脳がどこにあるのか、今度の農林省設置法の一部改正では理解できないわけであります。  同じことを繰り返して論議しておってもしようがありませんので、次にお伺いいたしますが、園芸局は現在の各局のどういった部面を統合し、さらにどのような新しい部局を考えておられるのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  55. 昌谷孝

    昌谷政府委員 ただいま来年度予算編成関連をいたしまして、私どもが大蔵省に相談いたしておりまする機構といたしましては、内部の機構としては園芸局あるいは果樹園芸局と申しますか、名前は必ずしも最終的にきまっておりません。いずれ行政管理庁その他関係のところと御相談の上、決定いたすことになると思います。いずれにいたしましても、果樹園芸等を専門にやる部局をはっきり独立さした方がよかろうという考え方は、先ほど大臣がお答え申し上げた通りであります。そのとき、現在は御承知のように振興局の中に園芸課がございますので、これが生産面あるいは流通面も担当いたしておりますが、一課でやっておりまして、十分の期待にこたえられないという点から、それを中核といたす一面がございます。それからもう一点は、同じく振興局の中に特産課という課がございまして、米麦、イモ類等を除きました主として工芸作物、特用作物等の生産等を担当いたしております。果樹園芸局におきましては、今申しました果樹園芸、蔬菜園芸、園芸作物、それから特産課でやっております特用作物、工芸作物といったような、いわば特殊的な農業を主体といたしまして、それにイモのようなものも今後は蔬菜として見る方があるいは適切かというようなこともございますので、それらもあわせて検討をして、主として従来の園芸課、特産課の行政を独立の園芸局に移したいというふうに考えるわけでございます。しかし園芸局を作ります趣旨が、先ほど来お話しのようなことでございますので、独立する以上は、加工とか流通とかいう面に、もっと今日以上にやるべき点があるというのも、そういった部局を作る一つの要請の重要な一環でございますので、それらにつきましては、現在の農林省としては振興局と経済局とで分かれて受け持っておるような形になっておりますので、それらにつきましても果樹、蔬菜等についての加工、流通面の行政は、園芸局で一貫してやれるように考えたい、さように考えております。
  56. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次にお伺いいたしたいと思いますのは、先ほど大臣にお尋ねいたしました農業構造改善の新しい予算と、それから現在行なっております特定農業地域の振興対策についての関連であります。私がちょっと拾いましただけでも、積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法、それから急傾斜地帯農業振興臨時措置法、それから湿田単作地域農業改良促進法、海岸砂地地帯農業振興臨時措置法、畑地農業改良促進法、こういった法律に基づきまして、各特定地域に対する振興対策を推進しておられるのでありまするが、本年度予算でも三百七十四万くらい組まれております。この予算の額から見ても推定されまするし、実際にこの法律の運営面から見ましても、ただ法律ができたからというような域にとどまっておりますることは——この中の一つの委員を私一ぺんやったこともあるのですが、一年に一回ぐらい委員会を開いて、こういうことでありますというような事業計画なり何なりを委員に知らせるぐらいが落ちでありまして、そういう意味で、私はこの日本の農業の各地域に応ずる指導態勢というもの、これを今度の構造改善の中で、先ほど大臣も非常に意欲的にお話があったわけでありまするが、こういったものを総合調整して生かしていくためには、どのような機構でどのように推進していこうとしておられるのか。先ほどの質疑の中でも、各地域の自主性を尊重していくということでありましたが、指導部面は農林省のどの部局でどのような形で行なおうとしておられるのか、この点についてお聞かせを願いたいと思います。
  57. 昌谷孝

    昌谷政府委員 振興局につきまして、従前そういった地域的な行政あるいは新農村事業、今度の構造改善事業等も、それを主として担当する部局は、振興局が行なうというふうに考えております。もちろん農地局の土地改良の問題でございますとか、畜産、果樹、蚕糸関係するところが多くございますので、それらはそれぞれの関係局と調整をし、連絡をしながらやっていくわけでありますが、窓口的にそれをまとめてものを考えるのは、振興局の任務というふうに考えております。今後、先ほど申しましたように、果樹関係あるいは畜産関係行政が専門的に分かれて参りますと、振興局が、そういった農村というものをいわば輪切りにしてと申しますか、横割りにしてながめ、あるいは農業経営というものを横割りしてながめるような行政の担当部局として、一そう今日よりもふさわしいものになっていけるであろうというふうに期待を持っておるわけであります。もちろん振興局でやりますことは、主として農業部門でのそういった地域関係のことでございまして、今度は林業、水産業との関係ということになりますれば、振興局は自分のやっております行政の範囲内ではもちろん連絡、調整をいたしますけれども、やはりそれは広い意味で官房の総合調整ということに相なることを期待して、今度も振興局の中の農林水にまたがる面を官房で担当して参りたいというふうに考えておるわけでございます。
  58. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 私は、農林省の各局の仕事というものを有機的に生かしていく、血の通ったものにするという意味で、技術会議のお仕事というものに多くの期待を寄せておりまするから、方向としてはやはり農政の一つの方向を見出していくために、またそれを実施していくために、各部局がぴちっと一分のすきもなく合わさっていくという形が非常に望ましいのでありまするけれども、たとえば食糧事務所でも調査の仕事をやる、統計でも調査の仕事をやる、そしてそれがどこでどう生かされていくかということになってくると、非常にあいまいもことして、せっかくの努力が努力にならないのじゃないかというような気持さえするわけです。そういう意味でやはり、私はさっきも申し上げましたように官房の特質を生かすなら生かすような前提でもって、農林省機構というものについてはお考えをいただきたい。それともう一つの方向というものが、たとえば技術会議なら技術会議、農政審議会なら農政審議会で打ち出されましてそれに対応する、こういうことであるからこうしなければという、対応する機構のいじり方というものがあってしかるべきで、私は今度の農林省設置法の一部改正法律案御提案の経過を見ておりますと、そこら辺でどうもあと先が逆になったような気がしてしようがないのであります。これは前国会から事務局長、官房長にもしつこくお伺いした点でありますが、そういった点についてどうしても納得がいきません。しかし理事会でお話し合いの時間もあるようでありますので、まだ機械公団その他の問題についてもお伺いしなければならない点が多いのでありますが、そういう点で、この機構いじりという点については先ほど農林大臣が所信表明をされましたときにも、前国会において提案されておったのでという以外に、今後の農政の方向、それにふさわしい、たとえば園芸局みたいな形での意欲的な機構に対する河野農相の法律に基づくところの機構いじりではないもの、ただ惰性でやってきているような気がいたしますので、願わくば私はこういったものについては、これは与党の諸君の御同意も得まして、いま少しためておいて、一気に上げてしまうというのではなくて、農政百年の大計を立てるためにも、やっぱし今後の農政の基本となるような機構というものを御検討いただいて、しっかりしたものを出していただく、こういう御努力をしていただきたい。このことを最後に強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  59. 中島茂喜

    中島委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。  午前の会議はこの程度にとどめ、本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      ————◇—————    午後四時四十七分開議
  60. 中島茂喜

    中島委員長 午前に引き続き会議を開きます。  社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を許します。八田貞義君。
  61. 八田貞義

    八田委員 社会保険医療協議会法の一部を改正する法律案につきまして、二、三点質問をさせていただきます。  まず大臣提案理由説明の中に次のようなことを述べられております。それは中央医療協議会が「御承知のようにここ数年来とかく運営の円滑を欠き、そのために、診療報酬の改定等の重要問題の取り扱い等に多大の支障を生じているのであります。」こういうふうに述べられておりますが、こういった過去の混乱は何に基因したかということを、大臣から率直に御見解をお漏らし願いたいのであります。
  62. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 中央医療協議会がその運営上とかく円滑を欠きました歴史は相当古いと思いますが、古い時代のことを一々つまびらかにいたしておるわけでもございませんが、私が承知いたしておりますところでも、ここ二年以上も実は中央医療協議会を構成する最も重要な要素をなす療養団体側がこれに参加しない、こういうような形になっております。本来のあるべき姿を逸脱いたしまして、いびつな状態で今日存在しておるような状況でございます。これにつきましては、利害を異にする立場の方々がお寄りになっていることでありますから、そういう面からのいろいろないきさつもあるいはあったかと思うのでございますが、一つにはやはり中央医療協議会の構成について、療養団体側が大きな不満を持っておる、さように承知するのであります。それはすなわち現在の制度では御承知のように四者構成と申しますか、保険者を代表する側、被保険者を代表する側、それから療養を代表する側と公益を代表する側、六人ずつで四者の構成の仕組みになっておるわけでございますが、それぞれ立場が若干違うことは明らかな事実でございますけれども、大まかに考えますと、結局診療報酬という問題につきまして、保険者、事業主、被保険者、それぞれ支払う方の側に立っておられるわけであります。申すまでもなく医師、歯科医師、薬剤師の諸君は支払いを受ける方の側に立つわけであります。そうなりました場合に、とかく意見が対立するということになるわけでございますが、今申し上げましたようなことでありますので、支払い側の数が二、六、十二と申しますか、療養担当側の数が六人、公益を代表する人が六人ということになりますので、数の上においてすでに支払いを受ける側が不利益な立場に立っておる。こういうふうなことが現在の医療協議会に対する私は大きな不満の理由をなすものではないかと思うのでございますが、その間具体的な問題等についていろいろ意見の衝突もあったりしたことも、感情的にもおもしろくないということもあったかと思いますが、構成の上から申しますと、そういう点に支払いを受けられる側が常に不利益な立場に置かれておる、こういうふうなお気持があるように承知いたしておるのでございます。
  63. 八田貞義

    八田委員 今大臣の御答弁によりますと、支払い側と支払いを受ける側との数的な不均衡があって、そのために支払いを受ける側の方でいろいろ不満があった。従ってそれを改正していけば運営がうまくいくだろう、こういうような御見解があったわけでありますが、その御見解はもちろん大臣が率直に申された御見解でありますが、これに至るまで、古井厚生大臣のときに社会保障制度審議会に諮問されたわけであります。その諮問をされまして答申をもらっておるのでありますが、その答申のできるまでの間に、社会保障制度審議会においてどういう点について具体的に論ぜられて、そうして最後に書いてありますように、「その運営の円滑化を図るために、すみやかに改組すべきだ、」こういう答申を出してこられたのですが、これに達するまでの間、どのような具体的事実を取り上げてこういう結論に導き出されたか。こういうことについて一つ大臣から御答弁願いたい。
  64. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今回提案いたしました中央医療協議会の改組に関する法案趣旨とするところは、その前に古井厚生大臣時代にお出しになりました協議会法と全く同一と私は考えておるのであります。前の案も御承知のように、ただいま私が申し述べましたような点を今後の円滑化をはかるために改正をせられたものと承知しております。これは社会保障制度審議会の御意見を徴して、そうして政府が立案いたしたものであります。当時の社会保障審議会においていかなる論議が行なわれたかということにつきましては、私詳細承知いたしておりませんので、政府委員から答弁をさせたいと思います。
  65. 森本潔

    ○森本政府委員 社会保障制度審議会における審議の状況でございますが、お手元に配付してある参考資料の二十八ページ以下に諮問と答申がございます。実は諮問をいたしましたのは、中央医療協議会の改組というような諮問をいたしているわけではなくて、社会保険等の診療報酬を適正にきめるにはどういう方法をとったらよかろうか、こういう諮問でございます。その中の一環といたしまして、医療協議会の改組というものが答申になっているという実情でございます。  それから審議状況の詳細につきましては、これは非公開でございまして、速記録その他もございませんので、ただ答申によってその結果を知るというだけの事情でございます。お手元でごらん願いますように、その結論として出ておりますのが、ここに出ている答申でございます。先ほどのように諮問が適正な診療報酬をきめる方策はどうなるということでございますので、第一段におきましてこの診療報酬を調査するためのルールをきめるための委員会を作る必要があろうということが第一点でございます。  第二点としまして、中央医療協議会を改組する必要がある。従いまして直接関係のございます中央医療協議会の改組の点につきましては、大体項目として現われておりますのが、現在の医療協議会を改組する必要があるというのが第一点。第二としまして改組の方法としましては保険者、被保険者、事業主を代表する者、俗に申しております支払い側のグループ数名、それから医師、歯科医師、薬剤師を代表するもの数名、俗にいいます支払いを受ける側であります。及び学識経験者数名によって構成する、いわゆる従来の四者構成を三者構成にするという御意見が第二点でございます。それから保険者代表につきまして保険行政経営と監督の分離があるまでは、理論上は別として保険局は保険者代表に入るのは適当でなかろうというようなことも言うておられます。それから第三といたしまして協議会でやる仕事でございますが、所掌事務につきましては適正な診療報酬額等をきめることを一つとするということでございまして、診療報酬の額の問題、それに関連する事項を中心に審議する。従いまして従来この中央医療協議会の所掌事務になっておりました保険療養担当者に対します指導監督ということは、中医協から権限として抜くのが適当である、こういうことを言っております。それからなお医学的、専門的の事項については、学会であるとかあるいは専門委員等の意見を十分聴取する必要がある。これは運営上の問題でございます。でござまして、審議過程におきましていろいろ議論もあったと思うのでありますが、要約して公表されているところの意見としましては、今申しましたような趣旨でございます。
  66. 八田貞義

    八田委員 審議内容は秘密事項であるから発表できませんというような答弁があったのですが、もちろんこれについてはいろいろさらに追及してみなければならない点がありますけれども、時間の関係上省略いたしますが、そうしますと、結局今局長が述べられた答申の内容を見ますと、一貫して見られることは、過去において見られたような混乱を絶対避けるための処置を講ずることが肝要である、こういうふうに答申の要旨を集約できます。それに応じて改正されて、所掌事務の範囲とかあるいは組織を改める、こういう点に改正の重点を求められたようでありますが、この改正内容について拝見いたしますと、「第一点は、社会保障制度審議会の答申の線に沿いまして、この協議会の所掌事務を健康保険、船員保険の適正な診療報酬額及びこれと関連の深い療養担当規則に関する事項とし、従前の所掌事務から療養担当者の保険診療に関する指導監督に関する事項を除いたことであります。」というふうに書いてございます。医療協の構成、組織の問題ですが、現行法にある四者構成を今度三者構成に持っていく、こういった組織の改め方につきましては、私は賛成であります。ただ問題は、この委員の選び方にもございますが、診療報酬額の問題、答申にはこういうふうに書いてあるのですが、「健康保険、共済組合、船員保険、日雇労働者健康保険、国民健康保険等における適正な診療報酬額等に関する事項を審議し、」これが一つになっています。それからもう一つは「保険診療に対する指導監督に関する事項にはふれないこととする。」これを答申の中の所掌事務の中ではっきりうたっておるのであります。これを拝見しますと、今度は指導監督に関する事項は除かれてあります。ところが答申の中にある診療報酬等という等を拡大解釈して、療養担当規則とかあるいは治療指針関係などの重要な医療内容までも、すべて中医療協の業務として等の中に包含したということは、私は非常に問題だと思うのです。というのは、医療内容という点になりますと、中医療協の構成から申しまして、しろうと委員が多く参加しておるわけでありますので、こういった医療協に医療内容を諮問してみても、はたして正しい答えができるかどうか、こういう点に一つの問題がございます。しかもまた答申には「医学的、専門的事項は、学会や専門委員に聴くこととする。」こういうふうに書いてあるのですね。こうしますと、答申を全く無視しておるというふうに私には感じられるわけです。こういう点について、大臣は答申を尊重されてこういうような改正をされたのでありましょうか。答申のときに指導監督に関する事項というものは省いた。ところが療養担当規則とか治療指針、こういった医療内容に立ち入った重大な問題は依然として中医療協の所掌事務の中に入る。はたして正しい妥当な答ができるのかどうかという点について、私は非常に不安に思うのです。大臣としてこういう療養担当規則、治療指針というような診療内容に立ち入ったような重要事項をどうして中医療協の中に含めたかということについて御答弁願います。
  67. 森本潔

    ○森本政府委員 私からお答えいたします。ただいま答申の内容を御指摘になってどうかという御質問でございますが、なるほどここに各保険における適正な診療報酬額等ということを一応書いてございます。そして診療報酬額とはっきり書いてございますれば、これは診療報酬額ということで何もまぎらわしいことはございません。それで等という問題がございますので、実はこの答申をいただきまして、説明でございますが、これをどういうふうに読めばいいのだということを審議会にお伺いいたしましたところが、この意味は、診療報酬に関係ある事項をたとえて設問をいたしますならば、今の療養担当規則であるとか治療指針のごときものを意味しておる、こういう御説明でございました。その答申の解釈はそういうことでございます。  それから実際上の問題といたしまして診療報酬額をきめるということ、これも基本的なことでございますが、その際にどういう内容の診療をするかという問題、これがやはり額との関係があるわけでございまして、どういうサービスに対してどれだけ払うという問題がございまして、やはり医療費の額というものは医療内容というものがある程度きまっておらぬときまらぬというような実情もあります。それからまた一面どういう診療をするかということは、社会保険という立場からいたしますと、それは保険給付の内容としてきめるわけでございます。ですからそういう面でどういうものを社会保険の内容にするのかという意味におきまして、やはりこの協議会としては当然触れなければならぬ問題だ、こういう解釈もいたしまして、答申の趣旨並びに実際の問題からいたしまして、先ほど御指摘の療養担当規則とか治療指針は当然考慮しなければならない、こういう結論に達したわけでございます。  それから指導監督に関する事項をはずすということになっておるがということでございますが、これはお話しのように中央医療協議会におきましては、従来指導の大綱をこの協議会に諮問するということがございました。これは先生おっしゃる通り、答申通りいたしたわけでございます。  それから協議会というのがしろうとの委員ばかりで、医療内容のことはわからぬだろうというようなお話もございましたが、そうむずかしいこまかい手術がどうのこうのという技術的なことはわからぬ点はございましょうが、保険に関係しておる人としましては大体のことを知っておるわけでございます。それから専門的な事項につきましては専門委員というものがございますので、そこで意見を聞くということがいえるわけであります。それから学会や専門委員意見を聴取する、これは運営の問題でございまして、政府が案を作る、あるいは協議会が答申をするに際しまして、そういう方途を講じて運用すればいい、こういうようなことでございます。
  68. 八田貞義

    八田委員 しかし局長、今のあなたの答弁はちょっと私は了解できないですね。診療報酬等という等によって、療養担当規則とか治療指針とかを含めました、こういう答弁があったのですが、しかしこれは答申にもはっきり書いてありますように、経済的問題にだけ限るというふうになっているのですよ。答申には「健康保険、共済組合、船員保険、日雇労働者健康保険、国民健康保険等における適正な診療報酬額等に関する事項を審議し、」というふうに書いてありますね。それからもう一つ「保険診療に対する指導監督に関する事項にはふれないこととする。」とあって、経済問題に限るというふうになっているのです。ところが今局長の説明があるように、診療報酬額等という等を拡大解釈して、医療内容に立ち入ったようなものを中医協の所掌事務にしたということは、やはり医療の主体性というものは保険者と厚生省側に握られてしまう、こういうような不安が出てくるわけであります。そういった不安が起こりませんということを絶対に言えますか。特に医学的、専門事項は学会や専門委員に聞くことにしなければならぬというふうに答申に書いてあるのです。こういうことになりますと、私は答申から離れておる、こういうふうに考えるわけでありますが、この点いかがですか。
  69. 森本潔

    ○森本政府委員 これは先ほども申し上げました通り、各保険における適正な診療報酬額等とございまして、額だけではないのでございまして、等というのはどういうことかと聞き合わせましたところ、今申したようなものを含む意味であるということでございます。答申についての御解釈は今のようにお取り計らい願いたいと思います。それから実態的な問題は先ほど申し上げた通りであります。
  70. 八田貞義

    八田委員 この点は私は非常に了解できません。もう一つ、指導監督の事項は省いてあるのです。この指導監督は医療協から所掌事務としてはずされておるのです。ところが健康保険法には依然として残っておるわけです。そうしますと行政措置として十分今までの官僚的な指導監督というのが行なわれるわけです。そうしますとこれは指導監督はやはり医療内容については厚生行政として専門的事項に入る。私はこれは学会や専門委員に聞くというようにはっきりした条項を作る必要があるのじゃないか、こういう点に非常な不安があります。作っていかなければ、今まで過去に見られたような紛争の根を断つことができない。せっかく中医協から指導監督を離してみても、健康保険法の中に依然として残っておる。これが厚生官僚によって行政措置として自由にやられていく。しかもその医療内容というふうな問題に対しては、やはり答申にあるように学会等の意見を聞く必要がある。こういったふうなはっきりとした条文を残しておく必要があるのじゃないでしょうか、大臣、いかがですか。
  71. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今回の改正は社会保障制度審議会の答申の線に沿いまして、医療協議会というものを大体医療報酬というものを中心としての諮問機関に改めたわけであります。そして指導監督に関する事項というものを省いたわけでございます。お話しの通り指導監督に対する権限は厚生大臣にあるわけでございます。厚生省といたしましては行政運営の上においてあやまちなきを期して参らなければなりません。そのためにはやはり関係の向きといろいろ御相談もし、御協力もいただき、そして間違いのないようにやって参りたいと思うのであります。官僚が一方的にぼつぼつやるというようなことは、医療行政としてとるべき態度ではない。関係諸団体の協力と理解を得て、その上で適正な指導監督をやって参りたいと私は存じております。
  72. 八田貞義

    八田委員 今の御答弁大臣の御熱意はよくわかるのですが、ただ私は厚生大臣の諮問機関である医療協議会に、保険治療行政のこまかなことまで審議を求めるということは誤りではないか、こういうような感じを持っておるわけであります。これをはさんで当然こういった点が過去において審議の停滞を起こす原因となってきたのです。こういった審議の停滞が過去において十分に経験されたものを、答申と反するようなことまでして、等という言葉を拡大解釈して残す必要がないと私は思うのです。これは今後の運営について厚生大臣が非常に心にしなければならぬ点であると思います。この点は非常に簡単にお考えになっておると、今後の医療協の運営がまたいろいろと停滞してくるのじゃないかという不安を持つわけです。ですから私はこういった保険治療行政に関するようなこまかい点を、単なる諮問機関にすぎないこういった審議機関に諮問するということは非常に問題であろう、こういうことを大臣に特に申し上げておきます。   〔委員長退席、草野委員長代理着席〕  それからもう一つお伺いしたいことは、組織の点であります。四者構成を三者構成に改めたというわけでありますが、私はこの三者構成の場合、診療報酬を支払う側と受け取る側これが同数で、そして公益委員とかあるいは中立委員、こういったようなものは数が少なくていいと思います。厚生大臣の諮問ではないでしょうが、厚生大臣のお考えによって医療懇談会が設けられた。あのときは支払う側と受け取る側とは同数なんですね。しかも非常にうまく運営される。これは大臣が経験されておることだと思う。できるならば受け取る側と支払う側とが同数で、中立委員とかこういったようなものは、はっきり申しますとなくていいのですね。それをどうしても置かなければならぬ、三者構成という答申に沿うために置かなければならぬというのなら、数は少ない方がいいのです。それをこの改正案を見ますと四名になっておるわけです。こういった三者構成で公益委員を四名にしたという点は、外国にそういった実例はございますか。
  73. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 協議会の構成は、御承知のように利害を異にするグループによって構成されておるわけであります。従って利害を異にするグループについては、私はやはり同数であるのが原則ではないか。他の日本における立法例にいたしましても、この点についてはみなそういうふうになっておるように承知いたしております。公益委員の数の問題でございますが、この問題につきましては、これまた私は同数というのが、まず普通の例であろうかと思うのでございます。従いまして私自身今回提案するに際しましても、同数でいきたいという心持で出発をしたのであります。私は率直に申し上げます。その間いろいろな事情もありまして、公益委員の数を若干四名に減らして提案するに至ったのであります。この数は少ない場合もありましょうし、また公益委員の数が多いという場合も例としてはあるというふうに私は承知いたしておるのであります。いずれにいたしましても利害を異にするというふうに見られておる立場、これはどこまでも同数という原則は貫かなければなるまいかと思われます。お話に出ました私の手元でやりました懇談会、これは法制上のものでも何でもございません。ただおいでになっていろいろお話を伺う御懇談を願うというだけのものでございまして、別にかた苦しいものでも何でもない。ただあの当時の空気から申しましても、また現在もそうでありますが、もう少しなごやかにお互いが話ができるような気分がほしい、こう思いまして、懇談会を作ったにすぎないのであります。これをもって直ちに法制上の諮問機関とかいう形にすぐ考えるということもいかがであろうか、こういうふうに私は考えます。
  74. 八田貞義

    八田委員 大臣は医療懇談会をお作りになって、非常にいい雰囲気のものをお作りになった。そういった経験を持っておられるのです。それをそのまま横すべりにしたくはないのだ、いい場合もあるのだけれども、悪い場合も考えられるから、そういった医療懇談会方式をそのまま横すべりにしたくない、自分の考えは、ほんとうは三者構成は同数であるべきだ。こういうふうなお話があったわけなんですが、公益委員と申しましても、四名あげておるのですが、中立性を証明する何らの方法もないわけなんです。結局大臣のお考えの中には、公益委員を同数にするというときには、もしも支払い側と支払いを受ける側との間に、意見が完全に一致しなかった、そういう場合に調整、妥協をはかっていく働きをするのが公益委員だ、そのために公益委員は同数の方がいいのだ。こういうふうなお考えかもしれませんが、公益委員にこういった妥協とかあるいは調整をはかる機能を持たせようとしましても、やはり限界があると思うのです。これは数が多いから、同数だから、ちゃんと調整機能が発揮される。少数だからあまり機能が発揮されないというふうな、簡単なことにはいかないと思うのです。むしろ私は医療懇談会形式の、ああいった受け取る側と支払う側が同数だ、しかも今まで見られなかったような雰囲気というものが醸成されて、いろいろなものが懇談されて、今後の医療をりっぱなものに仕上げていこうと、いろいろな意見の交換があったわけです。やはり私は四名という数字よりもむしろ、医療協議会ができれば会長が一名.そして会長に事故があるときはまた選挙されて会長代理を選ぶわけなんですが、私は二名でいいと思うのです。そういった医療懇談会で経験された雰囲気を医療協議会に持っていって、過去に見られたような混乱のないようにするのだという答申があるならば、私はそういった二名で十分な話し合いができると思うのです。それを四名にされた。しかも外国ではこういった例がないというふうにおっしゃったのですが、私はそういうふうに考えない。西ドイツでは、公益委員というものは三名だと私は聞いている。こういった点について、大臣が西ドイツの例を御存じなかったならば、保険局長からでも御答弁願います。
  75. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 外国の例はあまりよく存じませんが、ただ私の申し上げたいのは、普通の諮問機関の形からいいますれば、まず三者同数というのが一番多い例だと思います。また同数であって悪いという理由は少しもないと私は思うのです。同時に同数でなければならぬという理由もないと思うのです。結局利害を異にしておりますグループが、それぞれ同数でもってやっていく。その間に立ちまして公益を代表するという立場の人が、公平な立場に立っていろいろと心配をしていただくという機能が果たされれば、それでよろしいのではないかと思うのであります。通常の例から申しますと、三者同数という形が普通ではないかと思うのでありますが、今回いろいろな事情がございまして、そこに若干考慮を加えなくてはいかぬというので、私提案に際しまして、同数の原則を破って、公益委員だけ数をいじったのであります。しかしこの程度の人があれば、何とか公益委員としての役割を果たしてもらえるであろうということでやったわけでありますが、これが例の懇談会みたいに、懇談会は実は公益委員とか中立委員とかいうことは抜きにいたしまして、ほんとうに利害が違っているといいますか、立場の変わっておる双方がそのままぶつかってもらって、いろいろ御懇談を願ったわけであります。しかしこれは別に物事を決定するものでも何でもない、決議をするところでもないのであります。お互いに話し合う場として、利害が違っている人が直接会って、いろいろな話し合いをしてもらうことも、今後の運営の上において幾らかお役に立つのじゃなかろうか、こう思いましてやったことでございます。正式な機関ということになりますれば、どうしても今申しましたように、私がやりました懇談会のような形では、なかなかうまくいかないのではなかろうか、かように私は考えます。
  76. 八田貞義

    八田委員 大臣はそういうお考えなんですが、実際はやはり公益委員というものの数は少ない方がいい、私はこういう考えでございます。  ところで、公益委員が調整とか妥協のあっせんをするわけですが、一体公益委員を選ぶ場合に、中立性を証明する方法とか、人選の上においてどういうふうな心がまえでおやりになるのですか、この点ちょっと……。
  77. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 これは結局、大臣の公正な考え方に御信頼を願う以外にはないのではなかろうかと思います。少なくとも一方の側に特別の関係があるとか、あるいは片一方の側に特別の関係があるとかいうような人を選ぶわけには参らぬと思います。そうでない、どちらにも片寄らないで物事の判断ができるような人を選ぶ、最も適当と考える人を選ぶ、その選ぶことについて、特に基準を設けるというふうなことは、なかなか困難なことではなかろうかと思います。そこは責任大臣の判断におまかせ願う以外にはなかろうかと思うのであります。
  78. 八田貞義

    八田委員 そうすると大臣は、こういった公益委員の選出方法については、大臣におまかせ願いたい、こういうような答弁でございますが、もしも大臣におまかせできない、不安だ、あるいは中立委員であることを証明する方法として、アグレマンをとるべきだとか、あるいは他の方法によってこれをやらなければ安心がならぬ、こういうような意見が出た場合に対して、大臣はどういうふうなお考えをお持ちですか。
  79. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 政府の持っているいわゆる諮問機関につきましては、大体型ができていると私は思うのです。従ってこの医療協議会について特別な方式、特別な型を考える必要は絶対なかろうかと思うのであります。そういうことでありまして、もしその人選が間違っている、誤っているということなら、これは国会において、皆さん方からいろいろ御非難を受け、御批判を受けることはこれは、やむを得ないことであります。大臣としましては、公平な立場で、適材だと思う人を選ぶ以外には道はなかろうと思います。
  80. 八田貞義

    八田委員 大臣が非常にはっきり言って下さって、私は喜ばしいのですが、こういった厚生大臣の諮問機関である中立委員の人選というものは、これは行政事項なんです。これは厚生大臣が信念を持って、正しく人選されていいと思うのです。やはり大臣行政事項であるから、自分の信念で正しい人を選ぶのだ、そういうお考えを私は御堅持願いたいのです。  それからもう一つは、今度組織の中で、「医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員」というのは、現行法と同じです。ただ違うところは、「利益」という言葉をのけたことです。この利益をとられた意味はあとで伺いますが、そこでさらに、「委員の任命は、各関係団体の推薦によるものとする。」こういうふうに書いてございます。関係団体というのは、どういうふうなお考えでございますか。
  81. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この医療協議会の委員の御推薦を願う団体は、とれまでもたびたびやっておることでありますが、私は大体在来の方式をそのまま踏襲してよろしいのではないかというような考え方をいたしておるわけであります。
  82. 八田貞義

    八田委員 大臣は従来の方法とおっしゃったのですが、実は医療協がずっとしばらくの間混乱を重ねてきたわけなんですが、この委員推薦によって問題が起こったのです。これがやはり一つの大きな原因になっておる。従来の方法とおっしゃいますと、はなはだ私、大臣の御答弁がばく然としておって、どういうふうに理解していいのかわかりませんが、なぜ医師を代表する機関としての日本医師会というふうに委員推薦を日本医師会一本の窓口にするというような御構想なのか、あるいはまたそうでないというふうにお考えになっているのか、この点非常に重要な問題です。この点一つ。
  83. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この問題につきましては、今大体在来の慣行と申しますか、そういうふうなものができておりますので、その方式に従ってやって参りたいと思うのでございますが、今どの団体を推薦団体とするとか、この団体を推薦団体とするとかということを申し上げることは、一つ差し控えさしていただきたいと思うのでございます。
  84. 八田貞義

    八田委員 そこでくどいようですが、大臣にしっかり念を押しておかなければならぬのは、はっきりとした団体を明示できない、こういうふうにおっしゃったのですが、推薦団体をはさんで問題が起こったのです。というのは、坂田厚生大臣の時代、日本病院協会から委員を選ばれた。そのために問題が起こったのですが、大臣は日本病院協会に対してどのような認識を持っておられるか、一つお答えを願いたい。
  85. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 日本病院協会という名前を出してのお話でございますが、この問題が、いろいろ医療協議会の運営の上から申しましても、一つのむずかしい問題となっておったということは、私も承知いたしております。かようないろいろ従来ありましたいきさつを、私といたしましては解決いたしたいと思っておるのでございます。解決いたすことによって、療養団体側があるいは対立しておるとかあるいは抗争しておるとかというふうな姿のないものにいたしたいということは、十分念頭に置いておるところでございますが、今日本病院協会を入れるのか入れぬのか、こういうふうなことについてのお答えは、私は差し控えさしていただきます。
  86. 八田貞義

    八田委員 今大臣に私が御質問申し上げたのは、はっきりしなかったかもしれぬですが、日本病院協会の現状をどういうふうにお考えになっているか、こういうわけです。
  87. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 日本病院協会の内情がどういうことになっておるとかというふうなことになりますと、実は私は御返事はしにくいのでありますが、従来日本病院協会は中央医療協議会の委員として代表を出しておられた。その中央医療協議会に委員として出しておられるという事実は私ども認めなければならぬ。同時にまたそのことによって、病院協会というものが非常に妙な団体であるとかなんとかということにもならぬと思うのですが、何にいたしましてもこの機会に私はいろいろ従来の問題となっておりますような点を一つ解決したいという心持で、この案を御提案申し上げておるわけでございます。いずれにいたしましても、医師、歯科医師、薬剤師会と書いてありますその条項によって、従来病院側を代表する人も出ておるわけであります。その方の取り扱い方につきましては、何ら私は変わりはないと思うのであります。従って今回改組するに際しましても、やはりそれぞれの業態というふうなものは十分頭に置いて、それぞれの業態が代表せられるような方式でもってやっていきたい。懸案となっておりますいろいろな諸事項につきましては、できるだけの努力をいたしまして、少なくとも療養団体側が互いに対立抗争しているような姿だけは一つなくしたい、こういう心持で事を処理して参りたいと存じております。
  88. 八田貞義

    八田委員 大臣の御答弁では、日本病院協会というものは病院の集まりの団体であるようにお感じになっておるのじゃないかというふうな感じがいたします。そこで私は保険局長にお伺いしたいのですが、よく世間では日本病院協会という名前にとらわれて、日本の病院全部がその中に入っておる、こういうふうに考えがちであります。しかし現状はそうなっていないのです。一体日本病院協会の中に日本の病院がどれくらい入っておるか、現在の数字について御答弁願いたいと思います。
  89. 森本潔

    ○森本政府委員 日本病院協会に加入している病院の状況でございますが、これは全部入っておるという状況ではございません。それに加盟している病院の数でございますが、これは数字のことで、今記憶で申し上げてあるいは間違ってもいかぬと思いますので、数字は一つ略させていただきたいと思います。千とか千以内の見当というふうに聞いております。
  90. 八田貞義

    八田委員 どうも保険局長は知っておって逃げておるような格好なんですが、実際私らが調べたところでは、全国の病院数が五千八百十八、その中で現在日本病院協会に残っているというか、入っているのが六百十八、これは三十四年六月現在の数字でありますが、そうしますと、三十四年六月現在で見ますと、日本病院協会に加入しているのは、日本全国の病院の中で十分の一くらい、最近はもっと減ってきております。しかもこの組織の中に入っている病院は特殊な病院です。社会保険とか日赤とか済生会とか、農協等の病院なんです。言うならば、日本病院協会というものは、保険病院その他厚生年金で縛られているところの日赤とか済生会とか厚生、こういった組織になってしまう。こういった組織を私は医師の団体というふうには見られないわけです。この点は大臣、はっきりと御認識願いたいのです。こういった現状から、これから改正していくのだ、委員の任命を考えるのだというお話がございましたが、大臣は、過去において日本病院協会から委員が選ばれた事実があるのだからというお言葉があったのですが、関係団体としては、これは現状では特殊な団体、特殊な病院だけに限られておる。こういったものは、私は医師を代表する関係団体というふうには見られない。しかもまた日本医師会はよく開業医の団体だというふうに言われているが、これは私非常な誤りだと思う。日本病院協会は病院の全部の集まりだ、日本医師会というのは開業医ばかりの集まりだ、こういうふうに今まで流されてきているわけですが、その流されているものは、厚生省も相当罪があるわけです。ところが日本医師会というものは日本における医学教育機関、日本医学会、病院、診療所等すべての医師をもって構成する学術団体、こうなっているのですね。私は、厚生大臣から、やはり医師を推薦する関係団体というのは日本医師会だ、現状から判断すればこうだというはっきり御答弁がほしいのです。それで、大臣としては、そういった答弁はちょっと今差し控えたい、十分自分は現状を考えて正しくやっていくのだ、こういうふうな御答弁がありましたから、それに私は御信頼申し上げましてこれ以上追及しません。ただアメリカにも病院協会とか医師会があるのですが、ところが、アメリカの病院協会というのはホスピタリゼーションだけに限っていて、医師会はメディカル・アドミニストレーションの全般に及んでおるわけなんです。ですから、ただいま申し上げましたように、日本医師会もやはりメディカル・アドミニストレーション全般に及んでおる学術団体だ、こういうふうに大臣に御認識願いたいわけです。こういった点について、大臣は、現状を正しく把握するのだと言ったのですが、現状はかくなっておるのです。この事実についていかがですか。
  91. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この問題につきましては、先ほどお答え申し上げました通りと申し上げる以外に、私はお答えはございません。日本医師会がどうであるとか、歯科医師会がどうであるとか、病院協会がどうであるというふうな問題は、いろいろデリケートな問題もございますし、そういうふうな点は一つ御容赦願いたいと思います。療養担当者も何名か委員をお出しになることでございますので、その中には開業医の方の特色の豊かな方もおいでになりましょうし、病院のことについての特色の豊かな方もおいでになりましょうし、いろいろバラエティがあって私はよろしいのではないかと思うのであります。重ねて申し上げますが、具体的なことはあまり一つ御追及にならぬようにお願い申し上げたいと思います。
  92. 八田貞義

    八田委員 それくらいにしますが、私の申し上げたことを大臣十分に御認識願いたいわけであります。  それから、大臣にもう一つお伺いしておきたいことは、会議の問題です。これは会議というのは十八条にございますが、六カ月に一回開かなければならぬ、こういうふうに書いております。ところが、今までの過去の医療協議会の会議の持たれた状態を見ますと、一方的に保険者側の御都合によって開かれていることが多いのです。六カ月に一回以上開かなければならぬというのですが、こういう場合に、今までの状態を見ていきますと、みな保険者側の一方的な御都合で開かれておる、こういうことがあるわけです。それは結局、中には、医療協議会に医師代表が入らないからそういうことが超こるのだ、こういうふうに言われておるのですが、これは何も医師代表を送らなかったときばかりでなくて、その以前においてそういうことが行なわれてきておるわけなんです。正しく行なわれていない。しかもそれはまた、これは大切な所掌事項なのですが、診療報酬に対して諮問するというようなことが今までに一回も行なわれていないのです。診療報酬について医師の側から強く要請されて、そうしていろいろな問題が起こってきて初めてそれが取り上げられるというような状態になっています。これは診療額等に関する所掌事項として、第一番目にあげてあるのですから、医療費の適否について毎年一回ぐらい諮問しなければならぬというようなことを私ははっきりとうたっておく必要があるのではないか、こう思うのですが、この点はいかがですか。
  93. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 従来の実情についてのお話がございましたが、成規の手続を踏んでの開会ということになりますれば、どちらの方からのお話であっても開会しなくちゃならぬという規定にはなっているだろうと思うのでありますが、たまたま政府が開会をお願いするという場合がずっと多かったということであろうと思うのであります。また、ここ数年というものは、せっかく開きましても、肝心の医療団体側が御出席にならない。非常に不正常な状態のままにきておる。ただ、何か解決だけしなければならぬという特別緊急のことがあるために、やむを得ず政府の方から特にお集まりを願う、こういうふうな形になった場合が私は多いのじゃないかと思うのであります。それがすなわち、今日の医療協議会というものがいかにもこのままには放置できないという理由にもなろうかと考えるのでございます。  また、医療報酬の問題について協議会で検討することもとよりけっこうでございます。この問題については、実は、本日の提案の中には入っておりませんけれども、社会保障制度審議会の答申によりますれば、医療報酬を決定する基本となるべきルールを一つ作れ、こういうことがあるわけであります。私はこれはごもっともなお話だと思うのであります。できることなら各方面の納得のできるような基本的なルールがあって、それに乗って医療協議会が現実の医療報酬というふうなものをきめていくというふうになれば、一番しあわせだと思うのでございます。従って、私は、社会保障制度審議会の御答申の趣意というものは、何にも異存はない、そういう考え方でもって今後やっていくべきものじゃなかろうか、こういうふうに思っておるわけでありますので、かりにこの調査会が今直ちにできないにいたしましても、こういうふうな考え方というものはどこかで具体化していかなければなるまい、かように考えております。今回は提案する運びにとうとう今日まで至らず、この段階になりますればとてもむずかしいと思いますけれども、そういうふうな基準を設定するという努力は、政府としてどこまでもやっていかなければならぬもの、従って、実はこの点で、社会保障制度審議会からもおしかりをこうむっているわけでありますが、私は、その考え方に対しましては、少しも異存はない、できることならこしらえたいという心持でありますが、いろいろな関係との話し合いがまだ成立いたしません。そういうふうなことで、今回提案するに至らなかったわけであります。考え方を捨てているわけではもちろんございません。また、かりにこれがないといたしましても、現在の医療協議会の報酬の決定の仕方というふうな問題については、相当問題があるのじゃなかろうか。少なくとも関係者、つまり療養団体側も保険者側も被保険者側も納得できるような方式において、また内容において、医業の実態調査であるとかあるいは保険経済の実情であるとか国民の負担能力であるとか、こういうふうなことについても調査を進めまして、新しい資料に基づいて、関係者がみんな同じ資料に基づいて、そうして合理的な報酬を求めていくという努力は、これはあくまでもしなければならぬ問題かと思うのであります。まあ今私どもの心が急いでおりますのは、そういう基礎資料を早く作ることに関係の向きのそれぞれの御協力をいただいてやって参りたい、その上で医療協議会に対して、合理的な医療報酬を一つ出していただく、こういうふうな方向でもって進んでいきたいと思うわけでございます。
  94. 八田貞義

    八田委員 時間がないそうですから、一問だけで終わらせていただきますが、今の大臣答弁で大体了解をいたします。十分に注意してやっていただきたいと思います。  それからもう一つ、今度の改正法案について支払い側からだいぶ不満がある、また、社会保障制度審議会から意見書が出されたということを聞いておるのですが、この点に関して、この改正案国会で成立して、こういった支払い側の反対とかあるいは社会保障制度審議会の意見書に見られるように、うまく人選なんかやっていけるというふうな御自信がございますか。
  95. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この法案につきまして、まことに残念なことでございますけれども、支払い側と申しますか、そちらの側にかなり強い御不満がある、また諮問機関の皆さんの方におかれましても、非常に強い御不満があるわけであります。その点は私といたしましても非常に残念なことと思っておるのでありますが、この点についての私の考え方を簡単に申し上げてみたいと思います。  御不満の点は、一つは、成規の諮問機関に諮らないで前と違った案を出したのはどういうわけかということでございます。それからいま一つは、これは支払い側の皆さんもそうでありますが、前と重要な点において変更をしておるじゃないか、厚生大臣は今回法案を提案するに際して、前の案の基本をくずさない、そのつもりでやるのだということを言ったじゃないか、それに対してかなり重要な変更を加えているが、これはけしからぬ、こういうようなことで、実は私もまことにおそれ入っているようなわけでございます。ただ私の考えを率直に申し上げさせていただきますならば、各種の諮問機関に対して、政府はすでに御諮問を申し上げた、それに対して御答申をいただいたわけでございます。その答申の趣意というものをわれわれは決して軽視するとか無視するとか、そういう心持ちはございません。大体これを尊重してやっていくわけであります。それに基づきまして、前の法律案というものができた、今回もまたそれに基づいて、この前流れたからまた一つこれを出してお願いしよう、こういうつもりで出発いたしましたけれども、その間にいろいろな事情が生じて参りました。そこで、ただ私は、医療協議会が現在のままの状態でこれからまた半年も一年も続いていく、厚生省は医療協議会も満足に開くことができないということは、実は医療保障に関する行政の前進をはかっていく上から申しますと、耐えがたいことであります。なるべく早く正常な状態に持って参りたいというのが私の衷心からの念願であります。そういう立場に立って考えますれば、諮問機関の皆さんがお出しになりました御意見に対して、根本的に違った考え方をとるとか、根本的に違った法案を作るということなら格別でございます。私はさような考え方は毛頭持っておりませんけれども、格別でございますが、その基本考え方というものに沿って若干の変化がそこに生じて参りましても、これは御了承願っていいのじゃなかろうかというような気持がいたしておるのであります。つまり、御答申をそっくりそのまま、一字一句変えないで出さなければけしからぬと言われたのでは、実際政治の上で動いていく上から申しますると、これまた非常な窮屈な思いをするわけでございます。大筋において変わりがなければ、実際の政治をやっていきます上において、時に多少の手直しをするとかあるいは妥協をするとかいうふうなことも、これは一つ御容認をぜひいただきたいものだと、私はこう思うものでございます。  それからいま一つは、今度の案の内容でございます。なるほど前回提案いたしましたものと若干の点において違っております。ことに著しいのは、前のときには公益を代表する委員が八人、これが今度は四人になっているというような点が一番目につくところではなかろうかと思うのでございます。私はこれは見る人の見方によっていろいろのお考えもあろうと存じますが、少なくとも今回の改正の眼目でありますところの医療協議会を三者構成にするといろ大きな眼目、その眼目をくずしたものとは実は私は思っておらない。これでとにかく三者構成には間違いないのだ、またこれで医療協議会の運営もはかっていける、またこれで従来医療協議会に対しまして参加をこばんでおられた向きの御参加も得られるだろうという考えのもとに、あの点についての修正を加えたわけであります。その他微細な点もございますけれども、大体眼目はそこらにあったのではなかろうかと思うのであります。修正を加えましたのも、そう格別基本的に大きな修正をいたして提案をしたものとは私は思わないのであります。しかし、この点が非常にお気にさわりまして、あちらこちらでおしかりをこうむっておるというのが今日の実情でございます。  この法案が成立した暁において、しからば関係の団体の皆さん方が参加するかしないかというふうな意味のお尋ねであったと思うのでございますが、私は従来参加を拒んでおられました向きは、今回は参加していただけるものと考えております。ただ残念なことには、あちら立てればこちら立たずということになりますが、その辺に実は医療問題をめぐってのなかなかむずかしい情勢というものが今日まであったわけでございます。これを何とか地ならしすることに実は心を砕いておるわけでございますけれども、遺憾ながら私のとりました措置に対しまして御不満がある。この問題は、その御不満に対しましては、私は国会で皆さんの御賛成を得てこの法案が成立するということになれば、また外部の方々、国会の御意思もそこにあろうかということになれば、またあるいはお気持も多少変わるかもしれませんが、いずれにせよ、私としましては、せっかく皆さんに、すべての方に、関係者の方に参加をしていただいて、そうして医療協を正常化しようというつもりでやっていることでございますので、御賛成のもとにこの法案が成立すれば、各方面の方々の御参加に対しまして、全力を上げて誠意を尽くしてお話申し上げまして、ぜひ参加していただきたい。あちらが入ればこちらが入らないというようなことでは、これは医療協の体をなさないということになって参りますから、私は責任を持ってこの点については努力し、説得をし、御協力をいただきたいと考えておる次第でございます。
  96. 草野一郎平

    ○草野委員長代理 次に滝井義高君。
  97. 滝井義高

    滝井委員 社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部を改正する法律に関連をして質問をさせていただきます。  まず第一にお尋ねをするのは、一体灘尾厚生大臣は、医療協議会をいかなる目的をもって改組をされるのか、これをまずはっきりしていただきたい。
  98. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 医療協議会改組に関する法律案の提案説明にも申し上げておりますように、従来とかく円滑を欠いておりました医療協議会を何とか円滑に運営できるようなものにいたしたい、こういうつもりで御審議を願っておるわけであります。
  99. 滝井義高

    滝井委員 医療協議会が円滑にいかなかった、だから改組したい。円滑にいかなかった原因というのは一体どこにあるか。
  100. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 これは先ほどもお答え申し上げたつもりでございますが、長い間に利害の対立その他でいろいろな行きがかりというものも生じておると思いますが、協議会の構成の上から申しますと、いわば支払い側と受け取り側の委員の方々の数がアンバランスである。そこで常に支払いを受ける側の、いわゆる療養担当側の諸君が不利な立場に置かれておる、こういうような御不満が非常に強かったように思うのでございます。組織の上から申しますれば、この辺を一つ直す必要があるというのが社会保障制度審議会の御意見趣旨であり、前回の国会において法案を提出いたしました趣旨であり、同時にまたそれに引き続いて今回御審議を願う私の心持でございます。
  101. 滝井義高

    滝井委員 支払い側と受け取り側の委員が不均衡だった、これだけではないのじゃないでしょうか。それよりもっと根本的なものがあったんじゃないかと思うのです。たとえば前の国会で古井厚生大臣も指摘をしましたが、監督と運営の問題ですね。厚生省自身が三足のわらじをはくわけです。医療協議会の実際の主導権というものはだれが一体握っておったかということです。これは今まで見てみますと、保険局から局長と医療課長が、二人お入りになっているわけです。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕 この人たちを見ると、入っては保険者、出ては監督者です。自宅に帰ったら何になるかというと被保険者になる。最終的に支払いと受け取りということになると、結局のところ保険局というような主導権を握るところが支払いになってしまうのです。あるいは保険者と支払いというのは非常に似た立場になるのです。こういうところに根本的な問題が私は宿っておったと思うのです。今度の社会保障制度審議会の答申等を見ても、この点がやはり重要な問題として、厚生省は御遠慮願いたいということになっているんですね。一体この認識、この点を灘尾さんは今後どう是正をするかということが、やはりわれわれは医療協議会の改組とともに、非常に重要な問題になってくると思うのです。こういう点については、今支払いと受け取り側と、こういう単純な問題の提起の仕方をしましたけれども、もう一歩その中に入ってみると、こういう問題があるわけです。これについては、あなたとしてはどうお考えになっていますか。
  102. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この問題につきましては、御承知のように社会保障割度審議会でも重要な問題として触れておられる事柄であります。われわれはその答申の御趣旨を尊重してやって参りたいと存じております。なおまた厚生省といたしましては、別に今成案を持っておるわけではございませんけれども、今後の検討の問題といたしまして、政府の管掌する健康保険というものを扱っておるわけでございますが、その範囲におきましても、現業と監督の立場は分離した方がよろしいのじゃないかという考え方のもとに、いろいろ検討を今いたしておるようなわけであります。
  103. 滝井義高

    滝井委員 実は経営と監督を分離するという問題は古い問題であって、いつも検討する、検討すると言って、なかなか成案が出てこないのですね。こういう点がやはり厚生行政を大きく渋滞さしておる原因なんです。だから、委員の数が均衡がとれるということも非常に重要でしょう。しかしもっと根本的なことは、私はそういう機構上の問題がやはりあると思うのです。こういう点は何か医療懇談会等も一番大事な問題として確認されておるようでございますから、やりはあなたの時代にすみやかにメスを入れて御解決になる必要があると思いますが、どうですか。
  104. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 医療懇談会の席におきましても、その他の場所におきましても、保険の現業と監督と申しますか、この分離をはかっていきたいということは、私自身がすでに口から出しておることでございます。従いまして、私はこの問題については現に厚生省内部において具体的な案の検討を命じておるところでありまして、なるべく早く成案を得たいと思っております。
  105. 滝井義高

    滝井委員 八田君の質問に対して、さいぜん大臣から、現在厚生省が諮問をした社会保険審議会なり社会保障制度審議会側から、厚生省に対する強い反省の要請がされている。それについては、自分の方としては今後辞を低うして、積極的に今後の運営に協力をしていただくような方途をとりたいという意味の御答弁があったのです。これは、今までは医療担当者側が入らなくて混乱をしておった。今度の改正で支払い側なり公益側の協力が得られないということになると、改組前と同じ形が逆な形で出てくるわけです。私は、これは政治的なあなたの答弁をいただきたいのですが、灘尾厚生大臣としては、もし今回の医療協議会の改正案国会を通過するならば、今後の医療協議会の運営は政治的責任を持って必ず順当にやり得るという確信を持っておるという答弁が私はほしいわけです。そういう確信がおありになるかどうか。
  106. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は、いろいろ問題の多いさなかにこの法案の御審議を願ついておるわけであります。従いまして、せっかく皆さんの御賛成を得てこの法案が成立いたしました場合に、私の庶幾しておりますことが実現できないということになれば、重大な政治責任を実は感じておるわけであります。全力をあげて目的の達成に努力するつもりでおります。
  107. 滝井義高

    滝井委員 もう一つ問題が残るわけですが、それは改組される前の、非常に片ちんばになっておる現在の医療協議会で、昨年以来問題になっておりました病院のストあるいは医師会側の一斉休診等の問題から、七月から一二・五%の医療費の改定と、その後の二・三%の緊急是正が行なわれて、いわば一四・八%の改正が行なわれたわけです。額にすれば約一円五十銭ぐらいになるのじゃないかと思いますが、行なわれたわけです。昨年以来国家公務員は一二・四%のベース・アップがあり、さらに今度は七・一%のアップがあるわけです。当然これに対応するアップが、やはりそれらの医療担当者側にも医療従事者の側にも行なわれなければならぬ客観情勢があるわけです。そうしますと、一四・八%で大体今後の日本の医療機関というものは順当な経営ができる、たとえば年度末になってから再び病院ストその他が起こるような客観情勢はないと判断をしてよろしいかどうか、これは非常に重要な問題なんです。われわれは昨年以来病院ストに相当深く関係をして参りました。当時の大学その他の病院側あるいは公立病院側の出した資料によりますと、医療費というものは最低二円上げてもらわなければ、国家公務員と同じ程度の三千円のベース・アップというものはできませんという意見だったわけです。ところがそれが五十銭低い一円五十銭で厚生省は大体適正妥当なものだとお認めになって医療費の改定を断行せられたわけです。暮れになってそろいう客観情勢が起こらないかどうかということを、この際やはり一応前の医療協議会でやられた政治責任として明らかにしておいていただきたいと思います。
  108. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 経済界あるいは労働界の今後の推移というものを今から予断するわけにも参らぬと思うのでありますが、私はただいまのところ、まずこれで当分やっていける、こういう心持を持ちましてこの間の中央医療協議会の御同意を得ましたようなわけであります。
  109. 滝井義高

    滝井委員 実は私が心配するのは、山形県等の公立病院から、とてもやっていけません、これは何か特別の措置を——医療費を引き上げろというのじゃないのです。特別の財政措置を国がしてもらわなければ、すなわち補助金か、あるいは非常に低利の長期の融資をするか、何かそういう形でしてもらわなければとてもやっていけませんという形が出てきた。たとえば典型的な例は山形県の東根の日赤はもうすでに閉鎖になりました。これは東根だけではない。すでに公的医療機関で税金のかからない病院が至るところもはややっていけないという情勢が出てきつつあるわけです。これは池田内閣の所得倍増政策における物価の値上がりあるいは人件費の値上がりその他が基因をしておるわけです。そういう点ですでに山形県等からわれわれのところに続々陳情がきつつあるわけです。そういう点をわれわれは心配をしておるわけです。あれだけの医療費の改定というものは、当然将来を見越して、あなた方はこれで大丈夫だと緊急是正されたと思うのですけれども、こういう点を心配をするから言っておるわけです。この医療費の問題になると長くなりますからこれは機会をあらためてやりますが、そういう杞憂が一つあるということだけを御記憶になっていただきたいと思います。  次に、この法案関連をして、この前古井さんにもちょっとお尋ねしましたが、どうも明確な答弁が出てきていないのですが、社会保険医療協議会と社会保険審議会というのは、これは姉妹団体です。姉妹の委員会です。今回社会保険医療協議会は改組をしたけれども、そのもとになるところの、医療協議会ができてくる根本の健康保険法を審議する社会保険審議会というものは何ら触れられていない。一体どうして触れないのだという質問をしましたら、これは非常に忽忙の間にやったので、そこまではまだ手が届きません、こういうことだったのです。ところがあれから国会は休会になって、医療懇談会その他もお持ちになったはずですが、どうしてこの社会保険審議会というものに一言半句も触れないのかということです。
  110. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 社会保険審議会の問題につきましては、私は、この中央医療協議会と社会保険審議会とは、これは私の理解が違っておれば御訂正をいただきたいと思いますが、これは性質の違う諮問機関じゃないかと思うのです。社会保険審議会は、御承知のように政府の管掌する健康保険の運営に関する諮問機関だと承知をいたしております。この諮問機関がこのままでいいか悪いかということにはいろいろ御議論があろうと思いますが、ただいまのところ、まだこれを改正するというふうな準備も用意もできておらないわけでございます。不備な点があり、是正すべき点があればもちろん検討するにやぶさかではございませんけれども、これと一緒にやらなければならぬというふうなものとは実は私は考えておりません。
  111. 滝井義高

    滝井委員 それは少し大臣が認識不足です。なるほど政府の管掌する健康保険、日雇い健康保険、船員保険、厚生年金の事業の運営に関する事項をやります。しかし、日本の社会保険医療の中核になって動いてきたものは一体何かというと健康保険なんです。この健康保険法が一切のものを指導してきておるわけです。その健康保険法の審議は一体どこでやるかというと、社会保険審議会でやるのです。健康保険法によって医療協議会の運命はきまるのですよ。その運命のきまる社会保険審議会というものには一指も触れずして、その末端だけをやったって、これは百年河清を待つにひとしいのです。やはりそのもとを正さなければいかぬと思うのです。ところが、そのもとの社会保険審議会の構成は一体どうなっているかということです。これはこの社会保険審議会の構成をごらんになると、重要な二つのものが入っていないのですよ。重要な二つのものがはっきりとした形で入れられていない。それは保険者と療養担当者が入っていないのです。療養担当者は公益代表で入っているのです。今の社会保険でこれほど支払いと受け取る側がもめているときに、もはやこれは公益じゃないわけでしょう。当事者そのものであるわけです。なるほど政府管掌であるといっても、ではなぜ医療協議会に保険局なんかが入るかというような問題も出てくるわけですが、こういう点について法律を審議するもとが悪かったら、これはいかに末の医療協議会を直したってだめなんです。だから、私はやはり当然これを改組する必要があると思うのです。そしてこの医療協議会と同じように社会保険審議会においても、受ける側と医療を施す側とにきちっと分けて、そうしてやはり公益というものを入れて、この審議会が将来国民健康保険から何からすべてのものの立法上の審議をやるようにしないといかぬと思うのです。もしこれが政府管掌のものだから何も心配する必要はないというならば、末高さんあたりが何もしりをまくって、目をさかだててあなたに文句を言ってくるはずはないのです。政府も、おれの方にまかしておけ、もとのこれでいいわけです、そうはいかないのです。なぜいかないかというと、この社会保険審議会というものは、日本の医療の活殺自在の剣を握っておる健康保険を審議するところなんです。その法律によって医療協議会が生まれてきているわけです。だから、このもとをそのままにしておいてはいかぬと思うのです。この点について、あなたはこれを機会に、次の機会には改組する必要があると思うのですが、どうですか。
  112. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 社会保険審議会によって私は日本の健康保険制度がきまるものとは思っておりません。社会保険審議会は法が示すごとく、社会保険の中の政府管掌の保険の運営に関する諮問機関であります。もちろん健康保険法の改正というようなときにおいて、これと無相談で物事をやるというようなことは考えられない話でございますけれども、しかし、ここによってものがきまるのだというふうには簡単に私は結論はできないと思います。これはいわば健康保険組合の事業の運営について必要な機関であると同じように、政府管掌の健康保険についてこういう機関が必要だというような趣旨から設けられたものと理解をいたしておるわけであります。ただ現実の社会保険審議会のあり方、あるいは構成というふうな点について御意見がございましたが、これはこれとしてもちろん検討して差しつかえのない問題でございますけれども、これによってすべてがきまるというふうにはお考えになる必要はないと私は思います。
  113. 滝井義高

    滝井委員 それは灘尾さんが過去を知らないのです。この社会保険審議会にまず第一に法律はかかるのですよ。末高さんが会長のここにかかるのです。だから、今度あなたに反旗を翻した第一号の人はだれかというと末高さんだったじゃないのですか。この末高さんがあなたの足元から反旗を翻してきたのですよ。おれにまかせておけという、政府管掌のそのもとから起こってきた。その火事がどこへ燃え移ったかといったら社会保障制度審議会の大内さんのところに燃え移ってきた。そしてその火がどこへ移ってきたかというと国家に燃え移ってきた。だからこれが一番大事なポイントのところなんですよ。だからポイントを忘れておったところにもう一つ別のポイントの側から不満が起こってきている。これはどういうところから起こってきたかというと、この日本の一番社会保険の柱である健康保険を審議するここの委員会において、医療担当者の側が堂々と代表として入っていない。たとえば薬剤師も入っていない。歯科は最近一人入りましたかどうか知りませんが、歯科、医科、公益代表が一人か二人入るだけです。あとは入っていないのです。そしてこれはすべて法律がきちっときめられる。そうすると、法律できめられたことによって、医療協議会がどうするかこうするかということはみんなきめられるのですから、そういう点は当然もう少しくこの構成を改めて、やはりここにおいては支払う側と受け取る側と公益側ときちっと体系づけて法律の審議をやらなければいかぬのです。まず法律から起こってくるのです。健康保険法から起こってくるのです。健康保険法のないところに医療協議会というものはあり得ないのですよ。そういう点で、この点は今あなたも十分検討するということですから、ぜひ一つ検討していただきたいと思うのです。  それから灘尾さんの公式な見解を承っておきたいのは、今度のこの改正案の十四条に、今までの十四条の二号にあったものを十四条の第一項の一号に持ってきておるのですが、いわゆる適正な診療報酬ということです。この適正な診療報酬という概念を一体あなたはどう考えておるかということです。これは当然厚生大臣として、こういうものが適正な診療報酬だということを、やはりわれわれに明示していただく必要があると思うのです。
  114. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この問題はなかなかむずかしい問題だと思うのであります。私、的確に、適正な診療報酬とは具体的にどういうものだというふうなことになりますと、非常にお答えに困る問題でございますが、しかしおのずからそこに社会全体、国民生活全体を通じて一体医療報酬はどうあるべきか、あるいはまた医療を担当せられる側の社会的地位というふうなものは一体どういうふうな点に置くべきであろうか、いろいろな要素があろうかと思うのであります。的確に言って、具体的にこのものさしは現在私はないと思うのです。そこで適正な医療報酬を求めるために何かの機関が必要じゃないだろうかということがいわれておるわけでございます。社会保障制度審議会においても、中央医療協議会の改組もさることながら、医療報酬の算定についての基礎的な基準を作る調査会を設くべしと言われた御趣旨も実はそこにあるだろうと思うのであります。私はその考え方につきましては、何ら異存はございません。できればそういったような権威のある機関によって、適正な医療報酬を求める基準というものが作られることが望ましいことだと思っておるわけであります。  また、ごく卑近な立場に立って考えてみましても、この間の医療懇談会でもその話が出たのでありますが、現在の中央医療協議会における医療の報酬というふうなもののきめ方につきまして、各委員の間にもいろいろ御意見があるわけであります。必ずしも私は完全な資料によってそれが行なわれているというふうに言い切れない面があると率直に認めざるを得ないのです。とにかくお互いが別々に資料を持って、いいの悪いのと言っておってもしようがない話です。そこで関係団体の間でよく協議をして、一種の共同調査くらいの心持で——医療報酬は医業の実態とかあるいは保険経済と至大の関係を持つものでありますから、保険経済の実態であるとか、あるいは被保険者、国民の負担能力というふうなものについても、一つ共同調査というような心持で調査項目をきめて、その調査を通して、なるべく早く適正な報酬を求める基礎資料を作ろうじゃないかというふうな話し合いもその当時行なわれたわけでございます。私は、これはぜひやりたいものだ、こういうふうに思っておりますような次第でございます。お前どう考えておるかと申されましても、私は、実はほんとうに皆さんの御納得のいくような適正基準とはこういうものだということをお示しするだけの私には力がないということを、これは率直に申し上げざるを得ないのであります。ぜひ一つ調査いたしまして、あるいは調査機関を設けて、そういうことの検討を進めてみたいものと思っております。
  115. 滝井義高

    滝井委員 実は厚生大臣から今ごろそういう御答弁を聞くことは非常に残念なんです。実は医薬分業以来、適正な診療報酬、適正な薬価というものは、もう議論をされてきているわけです。あなたの方だって、たとえば曾田さんの時代には相当熱心におやりになった。医薬分業が本格的に科学的な資料を集めて国会で論議をされ出してからもう十年たつのですからね。だから、それは厚生省で当然やらなければならぬ。私に言わしむれば保険局の怠慢ですよ。そういうことをやらないから、こういうことになっちゃうのです。それだったら、幾らでもいろいろ諮問機関はお作りになっておるのですから、あるいは顧問も御任命になっておるのですから、そういうところでちゃんとおやりになったらいいのです。実態調査というのは、国立病院やら直営の診療所をお持ちなんですから、どしどしお調べになって、そういうものからできると思うのです。あるいは医療法の中にこの審議会がやはりあるのです。公的医療機関の診療報酬については、そこでやることができるようになっている。ところが医療審議会なんかちっとも動いておらぬですよ。幾ら私が国会で、権限のある法律があるんだからおやりなさいと言ってもやらないのです。だからこういうものは出たところでだめですけれども、しかし今のあなたの御答弁によりますと、臨時医療報酬調査会設置法なんというものも、もっと答申の線に沿ってきちんと出してくるべきであるのに、それも出してこない。大へん消極的なんですね。どうですか、そういう機関をお作りになって、そうして十分各界の意見も平等に聞いて、積極的にそういうものをおやりになるという、今度あなたの時代には必ずやるという確約ができますか。
  116. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私がいつまでやっておるか、これもわからない話でございますが、私は社会保障制度審議会の答申の大きな要素になっております医療報酬の基準に関する調査会を作ろうという考え方につきましては、全然同感でございます。こういった種類のものを作って、何かそこに各方面の納得のいく基準ができて、それに基づいて、そのときそのときの医療報酬というものが算定せられるということになることが一番望ましいと思っておるわけであります。でありますから、その方向に向かって今後ともに努力をいたしたいと考えております。今度の場合に提案する運びに至りませんのは、話し合いが十分に熟さなかったということでございますけれども、ただ単に私の方で法律を作って、そして法律を出しましても、現在の状況から申しますると、やはり関係方面のほんとうに御協力がなければできない。そこらの点を考えまして、こういう機関か何か早くでき上がるように努力いたしたいと思います。
  117. 滝井義高

    滝井委員 医療報酬の一般的な決定の準則とでも申しますか、そういうものを作る場合には、十分各界の意見を聞いて、そしてこれならば各界も協力ができる、実態調査その他もうまくいけるという、そういう一つ基本的な話し合いに立って、その話し合いがうまくいったならば、速急に次の国会に出していただきたい、こう思うのです。  次は、さいぜん八田君も触れておられましたが、指導監督に関することがなくなったわけです。しかし、健康保険には依然として指導監督に関することはあるわけです。その場合に、あなたの御答弁によれば、厚生大臣としては行政運営上あやまちなきを期しますという。ところが問題は現在保険医療機関、あるいは保険医、保険薬剤師等が厚生省に一番不信感を抱いておるのは、この指導監督の問題です。これは個別指導なり集団指導が行なわれ、その結果監査という爼上に乗ってくるわけです。この問題は、ずいぶんわれわれとしていろいろな角度から質問しましたが、問題はやっぱりここにあるわけです。だから、医療協議会から抜いてくるという論が出てくるわけです。ところが、これは抜いてしまうと、今度はあなたの方で自由自在にやれる、大綱について諮問を受ける必要はなくなったんですから、あなたの方が自由自在にやれるという問題が出てくる。これは人間関係を、私を信頼して下さいということでございますが、灘尾さんの時代に灘尾さんを信頼することはいいです。しかし大臣の命は八カ月か一年です。これは朝露のごとき命です。従って、これはやっぱりお互いにこういう世の中ですから、法律がきちっとする必要が出てくる。私は、これは重要な盲点だと思うのです。これについては、私はきょうはほんとうは何か修正をしなければならないと思っておったのですが、忽忙の中だから、修正ができかねるわけです。そこで、これは別の機会にあなたとしては、こういう問題については一つ国会なり関係方面と十分相談をして、痛くもない腹を探られないような立法上の措置を講ずる必要があると私は思うのです。たとえば指導監督の大綱を作る場合には、これは医療協議会から除かれたからには、今度はどこかこういうところに諮問をして作るというようなものを作る必要があるんですよ。それについて、制度審議会も上手の手から水が漏れるように書いてない。この法律の中で落として、あなたの答弁にもそれが出てきていない。この点について、一つ将来は国会なり関係方面と十分相談をして、誤りなきを期するという所信のほどをお伺いしたいと思います。
  118. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この問題につきましては、いまさら申し上げるまでもなく、指導監督ということがおろそかになってはいかぬ、同時にまた、指導監督が適正でなければいけないと私は思っております。今回の改正案では、制度審議会の答申によって、中央医療協としてははずすということになっておりましたから——お話しのような点については確かに考究する余地があるだろうと思います。ただ問題は、私はほんとうに思いますことは、この問題につきましてはどういたしましても、どんな組織を作りましても、結局関係者の方々がその気になって御協力いただくということでなければ、この目的を達成することは困難だと思います。何とかそういうふうな心持というものを医療問題をめぐって醸成していくということに、私は最大の努力を払いたいと思います。機構上の問題につきましては、なおよく検討さしていただきたい。とにかく運用につきましては、十分各方面との話し合いを遂げまして、間違いなくやって参りたいと、取りあえずは考えております。
  119. 滝井義高

    滝井委員 次は、今までの法律の十四条の一項の「療養担当者の保険診療に対する指導監督に関する事項」というのが、今の議論のように抜けたわけです。抜けて、今度は新しい改正案の十四条の一項の二号にああいう長い文章が入ってきたわけです。「健康保険法」云々で、最後には「厚生省令に関する事項」こういう十四条の一項の二号が入ってきたわけです。一体指導監督に関する事項というのと、十四条の一項の二号とはどこがどう違うのか。もし指導監督というのは、これは落ちたようにあるけれども、実際は十四条の一項の二号で今までと同じことをやるんだということになるとおかしくなる。この点はどうですか。
  120. 森本潔

    ○森本政府委員 旧規定におきまして「療養担当者の保険診療に対する指導監督に関する事項」というのがございましたが、これを落としたわけであります。それで、今度入れましたのは、具体的に申しますと、療養担当規則とか治療指針とか、そういうものだけを入れたわけであります。それで、この点は解釈の問題でございますが、従来の中央医療協の設置法の規定によりますと、指導の大綱だけでなしに、今申しました療養担当規則、あるいは治療指針等も指導監督に関する事項、この中で運用しておったわけでございます。それから具体的の根拠条文としましては、それぞれの健康保険法におきまして、療養担当規則あるいは治療指針等は中央医療協議会に諮問すべしという規定がございます。それを受けまして、新しい法律の二号に書いたわけでございます。ですから、新しい改正規定の二号に書いてございますことは、母法といいますか、健康保険法においてこれこれの事項を医療協議会に諮問すべしと書いてある事項を、ここに具体的に列挙した、こういうことになるわけでございます。
  121. 滝井義高

    滝井委員 条文のことはよくわかるのですが、ここの新しい改正案の十四条の一項の二号というものは、保険医療機関の責務とか、保険医の責務とか、こういうようなものが出てきておるわけですね。これはどういうことを意味するかというと、療養担当規則とか治療指針なんですね。ところが実際に指導監督をするというのは、その医者が療養担当規則を守っておるか、治療指針を守っておるかどうか、こういうことなんですよ。そうでしょう。そうすると、一体これはどけた、指導監督を除外したということになっておるが、実質はどこが違いますか、こういうことです。具体的にいいますとちっとも違っていない感じがするが。
  122. 森本潔

    ○森本政府委員 ここに二号に書いてあります、今仰せのありました療養担当規則、治療指針というものは、これは指導監督という見方もありましょう。しかし、これはむしろ保険医療給付の内容、あるいは保険医療機関、あるいは保険医が診療に際してやるべき医療行為の内容、こういうように読んでもらった方がむしろいいのではないかと思います。従来におきましては、この規定のほかに、指導の大綱を中央医療協議会に諮問するという規定があったのでございますが、その規定を削除いたしたわけでございます。従いまして、この二号に書いてあることは、これが指導監督の内容であるという見方もありましょうが、むしろこれを医療給付、保険給付の内容をここに書いたものである、こういう見方の方がむしろ適切ではないかと思います。
  123. 滝井義高

    滝井委員 指導監督に関する内容という見方もありますがという、そこが問題なんですよ。私の方としてはそうじゃない。保険診療の内容だ、こうおっしゃるけれども、これは保険診療の内容でも何でもない。療養担当規則というものは、保険診療をやる上の規則なんです。だから、これを守らなければ指導監督を受けるわけなんですよ。これは、いわば指導監督の準則みたいなものなんですよ。ここにあなた方のこの法案のごまかしとからくりがあるわけです、私に言わせれば。だから、しろうと目には、法文を詳細に検討しない人には、ははあ今までの十四条の一項一号の「療養担当者の保険診療に対する指導監督に関する事項」というのが消えてしまったから、指導監督はなくなったと、こうお思いになる。ところがあにはからんや、きちっと別な形で入っている。しかもそれは「第四十三条ノ四第一項及ビ第四十三条ノ六第一項の規定による命令」なんという、こういううまい形で入れられたわけです、それはどこにそういうことが現われておったかというと、前に古井厚生大臣がお出しになったときには、地方医療協議会にはちゃんと指導監督に関する事項をお入れになっておったのです。これは頭隠してしり隠さずだったのです。だから、こういうからくりというものは、これは厚生大臣、こういう点についてはしろうとですから、私は指摘を申し上げておきます。この点については、よほどあなたは配慮をしておかないと、悪い言葉でいうと、用心しないと役人から背負い投げを食いますよ。実際は指導監督というものを除いたと思い込んでおると、あにはからんや出てくる。頭隠してしり隠さずというのは、地方医療協議会に、前は指導監督というのがちゃんとあった。今度あなたはおどけになった。どうしておどけになったのですか。その除外した理由をはっきりしてもらえば、隠しておった頭がわかってくるわけです。
  124. 森本潔

    ○森本政府委員 中央医療協議会と地方医療協議会でございますが、これは同じような名前ですが、権限が違うわけであります。中央医療協議会は、診療報酬の額と、それからここに書いてありますような療養担当規則を審議するわけです。地方医療協議会は、保険医療機関の指定であるとか、指定の取り消しと、それからもう一つ、従来は指導監督というのがございましたが、指導監督という意味の実際やることは何かと申しますと、指導の方法、あるいは監督の方法、そういうものを諮問したのでございます。従いまして、今度は地方医療協議会で指導監督を諮問しないということになりますが、何を諮問しなくなるかと申しますと、具体的に言えば、いつの時期に、どの地区に対して、どんな方法で、順序で集団指導する、あるいは個別指導するとか、そういう方法論を諮問することがなくなったというだけでございます。
  125. 滝井義高

    滝井委員 実は、指導監督をやるのはどこかというと、森本さん御存じの通り、第一線がやるわけです。だから、やはり今後指導監督に関する事項は、この十四条の一項の二号に基づいて、地方医療協議会で指導監督の事項を落としたって、これでやるわけです。健康保険法でやっていくわけです。  今事情があるから、これでやめろというからやめますが、機会を改めてやっていきます。問題は、今後とにかく古井厚生行政のあとを受けて灘尾厚生行政をうまくやろうとするならば、いわばこの運営が今後うまくいくかどうかということが、灘尾さんの政治生命なり声望を決定することになるだろうと思います。せっかく十分な配慮を各方面にやりながら、勇気を持って邁進していただくことを要望して、以上で私の質問を終わります。
  126. 中島茂喜

    中島委員長 これにて本案についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  127. 中島茂喜

    中島委員長 本案に対し、石橋政嗣君外二十七名より、自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる修正案が提出されております。     —————————————
  128. 中島茂喜

    中島委員長 本修正案について、提出者よりその趣旨説明を求めます。石橋政嗣君
  129. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ただいま議題となりました社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。  本修正案は、自民、社会両党の共同提案にかかるもので、案文はすでにお手元に配付されておりますので、朗読は省略させていただき、その内容を申し上げますと、原案の中央社会保険医療協議会の構成委員二十人のうち、公益を代表する委員が四人となっておりますが、それら公益委員の任命について、新たに両議院の同意を必要とすることとしたことであります。その理由を申し上げますと、最近における医療費問題の混乱の現状にかんがみまして、以上の措置をとることによって公益委員の権威を高め、同協議会の公正妥当、かつ民主的な運営をはかり、同時に適正な診療報酬の確立を期し、ひいては今後のわが国の社会保険の伸展に役立たしめようとするものであります。  以上簡単でありますが、提案の趣旨といたします。何とぞ御賛同あらんことをお願いいたします。
  130. 中島茂喜

    中島委員長 修正案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  131. 中島茂喜

    中島委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。井堀繁雄君。
  132. 井堀繁雄

    井堀委員 私は民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題になっております社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部を改正する法律案並びにこれに対する自民、社会両党の修正案に対しまして、反対の討論をいたしたいと思います。  ごく簡単にその趣旨を申し述べたいと存じます。  政府原案は、保険制度の改正が要望されました趣旨に沿いますには、内容がきわめて不十分であるだけではなく、この方法をもっていたしましては、今日紛糾を続けております問題の解決をなしがたいものと判断するからであります。  言うまでもなく、今日国民皆保険を指向しております最も重要な時期に当面いたしまして、その中でも国民の健康を左右し、かつ社会保障制度の重要な一方をにないます医療保険制度につきまして、医療給付いたします機関とそれを受ける方の側においては、この制度の成り行きはきわめて重視されなければならぬことは申すまでもありません。現に大きな社会問題を誘発しておりますことも、その理由意味することであります。でありますから、本案はその解決に十分な役割を果たすものでなければならぬことは申し述べるまでもないのであります。しかるに本案作成にあたりまして、さきに社会保障制度審議会、社会保険審議会にそれぞれ政府は諮問いたしました。その経過並びにこれに対する答申の内容などからも判断できるのでありますが、たとえば社会保障割度審議会が二回にわたって諮問を受け、答申をしております中で、三月一日付の答申の内容の中で、私どもの非常に重視いたしております点は、少なくともこの制度の紛糾を解決するためには、まず医療報酬に関する解決を、この協議会だけにゆだねておったのではとうていよい結論は出がたいという点を指摘いたしまして、しかも具体的に医療報酬問題を解決するために、内閣に適正なる診療報酬設定のルールを確立し、及びそのために必要なる調査を行なう中立的な機関として、医療報酬調査委員会を設けたらどうかという答申であります。私はこれはきわめて重要な答申であると思うのであります。この説明を省きますが、少なくとも今日の三者ないし四者といいますか、利害関係者が相集まって協議をいたしますには、その基礎になるべき、すなわち原案ともなるべきものは、今日のように科学の非常に進歩した医療制度の内容を、またその内容に十分見合うようなりっぱな医療費というものを設定していくためには、この委員会だけでは不十分であるという点であります。ですから、当然調査会を先に作って、その調査会の提案に基づいてこの委員会が取り組むという形が望ましいという答申は、私はきわめて重大な意義を持つと思うのであります。しかるに政府案の中にこれが考慮に入れられていないという点は、非常なミスであると思います。  いま一つは、四月七日の答申の中には、このようなことが警告されております。すなわち、今問題になっておりまする医療協議会の機構や組織の改組よりは、その運営にあるのであるから、委員の選任あるいは専門事項等についての審議方法のあり方を十分考慮しなければならぬという点を指摘しておるのであります。  私どもは、当局を責めるのではありませんけれども、元来、従来の紛争の経過から判断をいたしましても、医師が今日医療費の値上げを要求するには、それぞれのりっぱな社会的理由があるでありましょう。あるいはそれに基づくそれぞれの資料も、うなずくものがたくさんあると思うのであります。しかし、保険の経済の中からくる経営並びに被保険者といった、それぞれの異なった利害関係の上に立っておりまする人たちが医療費の問題を適正にきめようとすることは、最初から困難なことは説明を要しない。でありまするからこそ、審議会がこの答申の中で強調いたしておりまするように、科学的な内容を、全く中立的な立場に立って大所高所から判断できる人たちによって原案が作成され、その原案に利害関係者がそれぞれの意見を述べ合って結論を出すという形が望ましいことを、私どもは強調しなければならぬと思うのであります。この点が配慮されていないということでは、この案は死案になっている。  先ほど来の質疑応答の当局の答弁を伺っておりますると、なるほど社会保障制度審議会、社会保険審議会などの答申を全面的にうのみにするというようなことは、もちろん私どもも望むところではありません。国会意思もありましょうし、行政府の意思ももちろんあることであります。しかしながら、その答申の急所がどこにあるかということは、われわれは十分考えていかなければならぬのであります。その答申を尊重することこそが、審議会制度に対する今日の民主的な制度としての効果を高く評価されるのであります。ところが、この点が、今具体的に指示したように全く無視された。  さらに政府は、どういう事情に基づくか知りませんけれども、以前は二回あるいは三回にわたり両審議会に諮問をいたしたにもかかわらず、今回の法案国会に提案するにあたりましては、この審議会に諮問をいたさなかったということは、私は、はなはだしく民主的な手続を軽視した政府の手続上の欠陥を非難しなければならぬと思うのであります。しかし手続のことよりは、私は、この審議会の答申の中に重要な意義が漏れておる点を繰り返し強調いたしまして、政府案の原案の一々については批判を避けます。たとえば、従来の六・六・六・六の二十四人を八・八・四にしたというあたり、なかなか苦心の跡はよくわかります。しかし答申案の中では、八・八・八にして出したというところに、なるほどこれをもって内容を左右するものとは私は存じませんけれども、こういう点を、政府が答申案に対して変更をいたしておるという点を重視するからであります。こういう点に意を用いるならば、なぜ前に申し上げたような根本的な問題にメスを入れようとされなかったか、こういう点はまことに遺憾しごくといわなければなりません。  残念ながら、その労は多とするのでありますけれども、以上の趣旨からだけでも反対をせざるを得ないのであります。  次に、時間がありませんから、修正案について簡単にわが党の立場を述べたいと思うのであります。  社会党並びに自民党の方々の御努力に対しては、敬意を払うことにやぶさかではありません。非常な御努力を願いまして感謝にたえぬところであります。大体その意図するところもわからないではございません。しかし決定的にわれわれが同意のできない点を一つ指摘しておきたいと思います。それは、今度の協議会の八・八・四のことで、四人に該当する公益側委員を両院の同意を得るといたした点であります。法律的にいいますれば、国家公務員の特別職に該当するものをここに充てた点であります。なるほど、その説明によりますと、公益側委員の権威を高めるという趣旨のようでありまして、権威を高めるということについては、私は決して反対するものではありません。しかし政府原案が、先ほど申し上げたように、答申によりますと八・八・八であったものを四に削っているが、これを八に戻すということの意味もあるかもしれませんが、それより決定的な問題となるべきものは、厚生大臣の諮問機関であるこの協議会を異質の委員によって構成することは、いろいろな意味において今後重大なる波乱を巻き起こすのではないか。ことにこの諮問機関の制度は、説明を要すまでもなく、利害関係を持つ人々の意見を十分反映せしめようという精神にほかならないのであります。もともと売手と買手の関係をとる場合もありましょう。あるいは経営立場からのみ一方的な利益を主張する委員もありましょう。また一方では生活権とか、あるいは健康を守ろうとするいろいろな角度からそれぞれの理由をもって主張される諮問機関であります。ところが、その中にあって、公益側の委員だけが公務員法に規定される種々の条件を持って、他の委員とは異にいたしております。一例をとりまするならば、国家公務員の特別職でありますから、これは公の意味における秘密を保持する義務が強要されるのであります。私の老婆心であればけっこうでありますけれども、もしその四人の委員が、秘密を守らなければならないという一事をたてにとって、この協議会に参加しても、これこれのことについては発言を差し控える、あるいはこれこれのことについては別個の協議をするという主張がなされたときに、八・八の一般の委員が反対ができるでありましょうか。結局四人の秘密会議が持たれましたり、あるいは四人だけの特別の判断に基づく協議が別個に行なわれるということが最初から規定されるということは、望ましくないのであります。他の機関にありますように、三者構成で公益側の人がイニシアチブを握る場合が非常に多い機関があります。しかしその場合には、同じ立場に立って論議し合い、検討いたし、しかる後に両者の了解を得て、おのずから別個の会議を持ったり決定をすることが従来の慣行であります。またこれが当然な民主主義のルールを守る方法であると思います。初めから一つの権力を与え、初めから一つの地位が保障されております者と、しからざる者とが対等の立場に立って協議することは、最初から非常に困難があるということよりは、矛盾した制度になってくるのでありまして、こういう点で将来混乱を巻き起こすのではないか。ことに多数の被保険者の利益を代表する人々、また医師会の強い要求などもあるととでありますから、両方の意見が必ずしも一致するというようなものではないことは、最初から明らかであります。こういう意味におきまして、その配慮は非常にけっこうであり、また敬意を表するのでありますけれども、その配慮のうち、今言ったような問題だけを取り上げても、むしろ今後混乱を生ずるのではないかと思いますので、この一点についてわが党は非常な不安を感じ、賛成をいたしかねるのであります。両党の御努力に対しましては、かえすがえすも残念でございますけれども、反対の意思表示をいたしまして、私の討論を終わりたいと思います。
  133. 中島茂喜

    中島委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず石橋政嗣君外二十七名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  134. 中島茂喜

    中島委員長 起立多数。よって、石橋政嗣君外二十七名提出の修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いた原案について採決いたします。  これに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  135. 中島茂喜

    中島委員長 起立多数。よって、修正部分を除いては原案通り可決いたしました。  これにて社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部を改正する法律案修正議決いたしました。      ————◇—————
  136. 中島茂喜

    中島委員長 引き続き、農林省設置法の一部を改正する法律案議題とします。  本案につきましては、午前中に質疑を終了いたしておりますので、これより討論に入ります。  別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  農林省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  137. 中島茂喜

    中島委員長 起立総員。よって、本案は可決いたしました。  なお、ただいま議決されました両法律案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 中島茂喜

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。   午後七時一分散会      ————◇—————