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瀧本政府
委員 この行(一)、行(二)の問題は、この
委員会におきましても、しばしば御議論がございまして、本日も
横路委員からいろいろ御
指摘があったのでありますが、この行(二)の俸給表は身分差別だという議論がずいぶんあったわけでございます。また参議院の内閣
委員会におきましても同様の御議論がございまして、行(一)、行(二)についてはよく
考えてみろという附帯決議が前国会についた、そういう経緯がございます。われわれは、当初やはりこの行(一)になります職種は、初級職試験を通ってそうして入ってくる、高等学校の卒業の
方々が入ってくる。タイピストあるいは統計器操作員あるいはパンチャーという
方々は、そういう初級職試験を通ってくるというととは、例にはなっていないのであります。それでそういう技術を担当いたしまする
職員は、おおむね技術、技能ということに着目いたしまして、これは行(二)の俸給の適用ということになっておる。
御存じのように行(一)の俸給表は最低号俸のところが新制高等学校卒業程度のところになっておるのであります。行(二)の方は中学校卒を採用し得るような俸給表になっております。この問題は身分差別ではない。境界のところにおいては御
指摘のような不分明のところが出て参りますから、そういうものにつきましては、十分個別的に事例に当たりまして検討して、そしてその適用をいずれの俸給表を適用するのが妥当であるかということをきめる措置は、従前からわれわれはやって参りましたし、そういうことを申し上げて参ったわけであります。それでやはりタイピストを行(一)に入れろという御意見が非常に強かった。従来いろいろな機会に、それはやはり俸給表の性質が違うのだからということをしばしば申し上げたのでありますけれ
ども、それにもかかわらず、国会の御議論におきましても、また
公務員の組合の
方々がわれわれの方においでになりましていろいろ
お話がありますときにも、やはりタイピストは行6と同様に扱うべきであるという御議論があったわけであります。われわれとしては、これはどういうふうに解釈すべきであろうか、いろいろ附帯決議あるいは国会の審議等を通じて出ました御意見等をどういうふうにしたら尊重できるのであろうかずいぶん研究したのでありますが、最近におきまして、タイプを打つということは、これはもうタイプを打つという技能という面でむしろ問題をとらえるよりも、これはやはり行政の補助的事務という観点からとらえた方が一そう適切であると、こういう見解に達したわけであります。それで行(一)と行(二)の問題につきまして、われわれといたしましても、そういう観点からとらえ得るものは何々であろうかというふうに
考えてみました際に、タイピスト、統計器操作員、それからパンチを打つパンチャーというものはそういう
関係でとらえ得る。そういうものは新しい角度から——従来は機械的書記的業務というような観点からこれをとらえておった。とらえておったというよりも、従来そうなっておったのをわれわれがそういうふうに解釈しておったわけであります。新たにこれは機械的書記的事務というよりも、むしろ行政の補助的書記的事務という観点からとらえた方がよろしいという
意味で、これを行(一)に移すということになった。そのときに、御
指摘のように確かに最初の十年くらいは行(二)の俸給表の方がよろしいのでありますから、これは普通の形におきまして職務の転換が行なわれたというので俸給表の移しかえをやるという、従来人事院規則で定めておる方式に従ってこれを移しかえをすると、大へんな減収になる。ほかの
方々は今度の
給与法の
改正によりまして
給与が上がるわけであります。少なくとも一千円は上がるという形なのに、これは行(二)から行(一)に今度の措置で移しかえということをいたしますと、就職後十年未満の方は
相当な減収になる。もしその方が最初から行(一)の俸給表の適用を受けておって、そうして漸次今日に至ったとするならばという計算でございますから、非常に落ちるのであります。それは非常に不当である、そのようなことはやはり実際的措置でないということで、今回はそういう
方々につきましても、俸給表の移しかえにあたりまして増加額が千円を下らないという措置を、これは附則でやっていただくようにお願いしておるのであります。それでそういう
方々はおおむね五、六年でやめるのではなかろうかという御意見であります。あるいはそういう場合もあるかと思いますけれ
ども、最近の情勢を見ておりますると、おやめになる方が割合少ないというような
関係もございまして、行(二)から行(一)に移しかえをいたしますと、それは行(二)の方が確かに
給与がよかったのですから、それはほっておけば下がる。けれ
ども、行(一)に移す場合にそういう措置は実際的でございませんから、これは今度の俸給
改正に従いまして少なくとも千円は上がるということで、一般の人は上がるわけでありますから、それだけのことは措置するということをいたしたのであります。