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1961-10-24 第39回国会 衆議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十四日(火曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 中島 茂喜君    理事 伊能繁次郎君 理事 内田 常雄君    理事 草野一郎平君 理事 堀内 一雄君    理事 宮澤 胤勇君 理事 飛鳥田一雄君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君       内海 安吉君    小澤佐重喜君       大森 玉木君    金子 一平君       高橋  等君    辻  寛一君       八田 貞義君    前田 正男君       杉山元治郎君    田口 誠治君       横路 節雄君    受田 新吉君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         建 設 大 臣 中村 梅吉君         国 務 大 臣 福永 健司君         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         人事院総裁   入江誠一郎君         人事院事務官         (給与局長)  瀧本 忠男君         総理府総務副長         官       佐藤 朝生君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   増子 正宏君         防衛庁参事官         (人事局長)  小野  裕君         検     事         (大臣官房司法         法制調査部長) 津田  實君         外務事務官         (大臣官房長) 湯川 盛夫君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      平井 廸郎君         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君  委員外出席者         人事院事務官         (任用局長)  矢倉 一郎君         外務事務官         (大臣官房文書         課長)     高瀬 直智君         外務事務官         (大臣官房会計         課長)     佐藤 正二君         農林事務官         (大臣官房秘書         課長)     和田 正明君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 十月二十四日  委員石田博英君、内海安吉君及び柳田秀一君辞  任につき、その補欠として八田貞義君、岸本義  廣君及び横路節雄君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員岸本義廣君及び横路節雄君辞任につき、そ  の補欠として内海安吉君及び柳田秀一君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 十月二十三日  恩給年金等受給者処遇改善に関する請願(  富田健治紹介)(第六〇二号)  同(廣瀬正雄紹介)(第六〇三号)  同(有馬輝武紹介)(第七七五号)  同(仮谷忠男紹介)(第七七六号)  同外二件(首藤新八紹介)(第七七七号)  同(床次徳二紹介)(第七七八号)  同外二件(濱田幸雄紹介)(第七七九号)  同(濱田幸雄紹介)(第八五六号)  同(松澤雄藏紹介)(第八五七号)  旧軍人恩給増額等に関する請願花村四郎君  紹介)(第六〇四号)  公務員賃金引上げ及び権利保障に関する請願  外十三件(川上貫一紹介)(第六七一号)  同外三十四件(志賀義雄紹介)(第六七二  号)  同(島上善五郎紹介)(第六七三号)  同外二十七件(谷口善太郎紹介)(第六七四  号)  厚生省に老人局設置に関する請願中山マサ君  紹介)(第六七五号)  解放農地補償に関する請願小島徹三紹介)  (第七二六号)  同外一件(八田貞義紹介)(第七二七号)  同(櫻内義雄紹介)(第八二六号)  同外一件(秋山利恭紹介)(第九一二号)  同外九十四件(荒木萬壽夫紹介)(第九一三  号)  同(伊藤幟紹介)(第九一四号)  同外百六十一件(小沢辰男紹介)(第九一五  号)  同(大沢雄一紹介)(第九一六号)  同外十三件(川野芳滿紹介)(第九一七号)  同外百三十五件(簡牛凡夫君紹介)(第九一八  号)  同(木村公平紹介)(第九一九号)  同外一件(小平久雄紹介)(第九二〇号)  同外五件(小山長規紹介)(第九二一号)  同外百七十六件(佐藤洋之助紹介)(第九二  二号)  同外九十四件(正力松太郎紹介)(第九二三  号)  同外十三件(瀬戸山三男紹介)(第九二四  号)  同外二十一件(山口好一紹介)(第九二五  号)  同外九十二件(山崎巖紹介)(第九二六号)  国家公務員賃金一律五千円引上げ等に関する  請願島上善五郎紹介)(第七三三号)  連合軍により破壊された特殊用途機械損失補  償に関する請願荒木萬壽夫紹介)(第六七  〇号)  同(小澤佐重喜紹介)(第八五四号)金鵄勲  章年金及び賜金復活に関する請願中馬辰猪君  紹介)(第八五五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第三九号)(参議院送付)  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第四一号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第四二号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五〇号)      ————◇—————
  2. 中島茂喜

    中島委員長 これより会議を開きます。  建設省設置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。田口誠治君。
  3. 田口誠治

    田口(誠)委員 きょうは理事会でいろいろ御相談をなさって、時間的な面もありまするので、具体的な面に入って質問をしたいと思いましたけれども、ちょっと相談しまして、差し控えたいと思います。  これは建設大臣御存じだと思いまするが、とかく災害の場合でも、その他道路の改良工事の場合でも、見積もり通り請負見積もり通りになされておらない。これを検査をされる場合に大目に見られておる。この大目に見られておる事実が、各方面で災害に大きな影響を及ぼしておるということは事実であるわけです。これは場合によりますると、どこの県にこういう不正があるからといえば、建設省の方からそういうことなら調査をしてその結果見積もり通りでない等から、それではといって予算を加減がされると、それぞれの地方自治体の方では相当お困りになるような面があると思いますので、それで国がやらなければならない国道関係のもの、それから県単でやらせるものに対しまして、建設省としてはどのような監督方法をとられておるか、この点を明確にしていただいて、そしてあとから要望をいたしたいと思います。
  4. 中村梅吉

    中村国務大臣 ただいまお話の点はまことに重要な問題でございまして、私ども就任以来特にその点に意を用いている次第でございます。直轄工事につきましては、建設省がみずから厳重な監督を行ない、また中間監督中間検査等も行なっておりますので、ごらんの通り不正行為といわれたようなものは起こらないのでありますが、補助事業にはたまたまそういうことがございます。伊勢湾工事などにつきましてもそういうことが発見されましたので、根本的に工事のやりかえをさせまして、将来に遺憾のないような施行をいたしておるようなわけでございます。補助事業につきましては、県が直接の監督者として監督を願っておりまして、国の方としましても、手の届く限り中間検査あるいは完成検査等に立ち会いまして、遺憾のないように注意いたしておるのでございますが、近来工事の量も非常に多くなっておりますので、一そう御指摘のような問題のありませんように、われわれとしては最善を尽くして参りたいと思っております。
  5. 田口誠治

    田口(誠)委員 大臣から誠意ある考え方の上に立ってお答えがあったのでございますが、私は、どこの県でどうということをきちんとその場を指定して申し上げると、いろいろな支障があると思いますので申し上げませんけれども、全般的にあり得ると耳にしておりますことは、最近のように災害がひんぱんに起こりますと、請負業者と県とかあるいは県会議員とか、そういう権力なり実力を持っておられる方と結びつきがどうしてもできまして、そこに私どもとしては相当考えなければならないような請負の仕方をさせておるようでございます。  それで一つの仮定的な例として申しますならば、伊勢湾台風のときに堤防が決壊をした。それを請負師に請け負わせた。ところが何月何日までに完成をしなければならないという日にちがきましても、それまでに完成ができずにずっと工事が延びていった。そこで完成をしないうちに今年の六月の集中豪雨という、ああいう災害ができてきて流れてしまった。こうなりますと、これは県なり地方自体なりの立場からいきますと、補助金関係から一つのカムフラージュをしなくてはならないということになる。そうしますと指定したところの期限に完成したという書類をさかのぼって作って、そうしてまたあとから決壊をしたところを新しく申請をしなければならない、こういうことになるわけなんです。だからその内容のことを申し上げますといろいろ問題が起きますので、どこの県でどうということは申し上げませんけれども、そういうことが多かれ少なかれどこにもちょいちょいあるようでございます。従って建設省としては、県に対しても請負師の選定ということと、それから完成期日の場合にはある程度なされておるか、なされておらないかというくらいの確認をなされないと、これはずるずるべったりでいきますと、将来非常にむだな予算建設省の方からは災害関係につぎ込まれるということに相なると思いますので、こういう点につきましても大臣として誠意ある御返事をいただきたいと思うわけです。
  6. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は補助工事等につきましても、先般の国会で建設業法改正をしていただきまして、この建設業法改正によりまして業者の格づけ等も適切に行ないまして、できるだけ指名入札等合理化して参りたいというように考えております。この点は着々体制を整えてやっておりますから、だんだんとよくなることと思います。たくさんの中には過去にいろいろ遺憾な点もあったと思います。今後とも一つお気づきの点はぜひ御注意をいただきまして、われわれとしましては事柄が公共事業でございますから、不都合があったからといって、犬ぶん的にそれをどうするということはいたしません。極力災害の防除のために万全を期して、理想的な設計に基づく工事施行のできますように努めて参りたいと思っております。
  7. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで現在の請負師に渡すところの単価、これは人夫賃を計算してみましても、金額が低いからなかなか人夫が集まらないのです。そういうことだから指定された日にち完成できないという一つ条件もありまするし、なお単価の低いものを力のない業者請負って、また請け、また請けをやって、はなはだしいものは四〇%くらいは頭をはねてまた渡しをする、そういうことになりますと、結局安い人夫でそうしてどこかで手を抜かなければ、採算が合わないということに結果論としてなりますので、現在のところでは単価をお上げになるという点についてのお考えがあるかどうか、またこういう点の御検討をされる用意があるかどうかということも承っておきたいと思います。
  8. 中村梅吉

    中村国務大臣 単価につきましては、近来の情勢から見まして一番重要な問題でございます。われわれとしましてはできるだけ適切な単価発注に際して見積もるように指導いたしておる次第で、この点は大蔵省との関係もございますが、近来土木工事等につきましては特に機械化合理化ということがかなり進んで参りましたので、こういうものを十分に織り込んで人件費等は十分に見、その他の資材費等も市場の実情を調査いたしまして、適切な価格をもって発注するように、努めて指導いたしておる次第でございます。従って場所によりましては予定事業量よりも、事業量が若干食われる場合が起こりやすいのでございますが、現在のところでは賃金と砂利、砂等の値上がりが主でありまして、他のセメント、鉄材等は弱含みで若干下がっておる傾向にございますので、工事合理化機械化を十分織り込むことによりまして相当カバーができますから、土木事業につきましては、建築とは違いまして、相当に適正な単価発注ができるとわれわれ見ておりますので、とにかくいずれにしましても業者にあまり無理をさせるということが工事の不正を起こしやすくいたしますので、余分な利潤を取らせる必要はもちろんございませんが、あくまで発注単価は適正であることが望ましいのであります。そういう角度に立って、直轄事業はもちろん、各都道府県に対しましても指導を続けておるような次第でございます。
  9. 田口誠治

    田口(誠)委員 次には砂防工事関係でございますが、これは局長さんもお見えになりませんので、直接大臣の責任ある御答弁でいいと思いますが、特に今度の室戸台風で、岐阜県の奥美濃の白鳥町の水害なんかを見ますると、切実にこの砂防工事重要性考えられるわけです。この点につきましては砂防協会もあり、それぞれ従来も努力をされておりますけれども、しかし直接な被害ということについての切実な悩みというようなものを今までに味わっておらない関係上、重要であるにもかかわらず、ややもするとこれが軽視されておるというような面があると思います。それで川底が高くなるという面につきましても、それからあの水害の状態を見ましても、これからは相当砂防工事予算も取っていただいて、力を入れていただかなくてはならないというように、われわれとしては現地を見てきて判断ができるわけなんですが、こういう点につきましても大臣の抱負をお聞かせ願いたいと思うわけです。
  10. 中村梅吉

    中村国務大臣 私も就任以来若干の地域を歩きまして、ことに豪雨災害等現状等を見まして、砂防がいかに重要であるかということを一そう深く認識をいたしたようなわけでございます。従いまして砂防については、来年度予算編成にこれから臨むわけでございますが、予算編成に臨む態度としましても、砂防については大いに重点を置いて極力努力をいたしたいと思っております。同時にまた行政機構につきましても、近き将来にできるだけ強化をいたしまして、砂防事業を充実して参りたい、こう思ってせっかく今努力をいたしておるところでございます。
  11. 田口誠治

    田口(誠)委員 きわめて抽象的な表現で御質問を申し上げましたけれども、私の申しました内容につきましては、今までに陳情とか、その他調査によって十分大臣御存じであろうと存じますので、私はこれ以上具体的にはお聞きをいたしませんが、ただいままで誠意ある御答弁のあったその内容を十分に生かしていただくようにお願いをいたしまして、まことに抽象的に終わりましたけれども、私の質問を終わりたいと思います。
  12. 中島茂喜

    中島委員長 他に質疑申し出もありませんので、本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  13. 中島茂喜

    中島委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  建設省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  14. 中島茂喜

    中島委員長 起立総員。よって、本案は可決いたしました。  なお、ただいま議決されました本案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 中島茂喜

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。      ————◇—————
  16. 中島茂喜

    中島委員長 次に、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の各案を一括議題といたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。石山権作君。
  17. 石山權作

    石山委員 給与大臣に御質問申し上げますが、来月行なわれる日米経済会議に、大臣経済閣僚の一人として、そのメンバーになる予定でございますか。
  18. 福永健司

    福永国務大臣 そういうようなことに決定をいたしております。
  19. 石山權作

    石山委員 最近の日米経済傾向を見ますると、大へんに輸入がふえております。そして輸出が非常に減っておる。やはり議題はここにしぼられていかざるを得ないのではないか。何でもお話を聞いておりますと、そういうあまりこまかいことはやらないで、何かトップレベル同士で抽象的にお話をし合いたいという儀礼的なものにもなるような意見もございますが、われわれ国民としましては、そんな儀礼的なお話ならば、この際何らやる必要がないのではないか。この日本経済の難局、日米経済のアンバランスを平衡さすというところに、われわれ安保条約に反対したのですが、その中身から生まれてくるこの経済会議は、その意味ではかなりな有意義なものだろうと思っているのですが、これがほんの儀礼的なトップレベルあいさつ程度に終わるという予想のもとで、この会議の開催がもくろまれているのかどうか、それも一つわれわれは知りたいのでございます。
  20. 福永健司

    福永国務大臣 相互的な理解を深める意味において、儀礼的という表現がいいかどうかはわかりませんが、   〔委員長退席草野委員長代理着席〕 多少そういった感じのするような接触の時間もあろうかとは思いますが、ただいま石山さんがおっしゃる通り、私どももまたせっかくそうした会議を持つことでありますから、いろいろの意味、ことに今あなたの言われるような意味においての成果もおさめたい、こういう考えで私たちは臨むようにいたしたいと存じております。
  21. 石山權作

    石山委員 そこで私は、あなたがこの経済会議に御出席になったとき、おそらくアメリカ側からは、日本の低賃金をば非常に主張されてくるのではないかと思うのです。つまり日米経済のバランスをとるという一つのテーマになった場合に……。おそらくあなたは、日本公務員初め労働者諸君の低賃金である理由というものを、克明に今勉強なさっているだろうと思う。いかにして答弁すれば低賃金が正当化されるか、まあきゅうきゅうとしてやるだろうと思うけれども、九対一の実質賃金の相違では、これはなかなかいい理論も生まれてこないと思うのですが、そこをつかれると思う。低賃金であるがゆえに低コストである、こういうものは投げ売りになるのだから、アメリカとしては、綿布を初め・トランジスター・ラジオでも何でも割当制のようにしてもらわなければ貿易はできないだろうというふうに、私は向こうから言われるだろうと思います。そうした場合に、給与担当大臣として日本労働運動を見ながら、日本労働運動あるいは労働者の福祉を考えていられる大臣としては、どういうふうにこのアメリカの言い分に対して御答弁なさるだろうか、その骨子をばこの際一つお聞かせ願いたいと思います。
  22. 福永健司

    福永国務大臣 今石山さんの言われるようなことが話に出るとか、私どもの方でそういう点について主張するとかいう意味で、ただいま申し上げるのはいかがかと私は存ずるのであります。率直に申しまして、そういう可能性はあろうと思いますが、実は二十六日に正式に議題をきめ、そうしていろいろの文書等も交換するということに相なっておりますので、今日直ちにこの会議はどういうふうになりますということを前提として申し上げることについては、いろいろわが国としても利害得失等もございますので、この点は御了承いただきたいと思うわけでありますが、今お触れになりました日本賃金問題というものは、おそらくアメリカとしても相当大きな関心を持っている問題だと私は考えております。そこでこの日本賃金問題というものは、今御指摘のありましたようにいろいろの方向へ波及していくものでございますから、これについて事前に私がそういう見解を述べるということは、これはちょっと申し上げにくいのでございます。御承知のようにアメリカ賃金日本賃金を比較いたしますと、数字的に比較いたしまして明らかに日本の方が低いことは申すまでもありませんし、また同時にそれなるがゆえに私といたしましては、できるだけ労働条件が向上していくということも望ましいとも考えておるわけでありますが、この問題は逆にまた安い安いというようなことが定説のごとくになりますると、アメリカの方はそういう低賃金でいろいろなものを作られてアメリカに送られてはたまらぬというので、日本から行く品物の輸入を制限するという方向にくるわけであります。従ってそこのところはあえてアメリカよりも高いとは私は申しませんけれども数字だけの比較ではいかぬのだ。これはもう申し上げなくても石山さんよく御承知通り同じ金額にいたしましても、アメリカでものを買うのと日本とでは、同じ金額でも向こうよりは相当いろいろなものが買えるというような実質的な点を考慮いたしますと、単に数字で比較しただけの議論でもいくまいというようなことも考えておるわけでございます。その他若干考えておるところもありますが、映画の予告編のごとくここで言ってしまいますと、ちょっとこれからのことにもいろいろ影響いたしますので、ほんのちょっぴり申しただけで恐縮でございますけれども、おそらくそういうようないろいろのことがあるから、お前も気をつけてものを言え、こういうふうに石山さんがおっしゃって下さるものと私は拝察をいたしまして、御注意ありがたく承るとともに、そういうことに十分気をつけてこの問題には触れていきたいと私は思うわけでございます。時間は会議そのものとしてはあまり多くありませんけれども向こう労働長官と私が直接接触していろいろ話し合う時間も別途相当ございますので、これらのことについては重々気をつけていきたい、こういうふうに存じておる次第であります。
  23. 石山權作

    石山委員 労働大臣の御答弁は何となく外務大臣の御答弁みたいで、外交というものは秘密で、しかも慎重考慮を要すべきものだ、あまりほんとうのことを言うとお互い国のためにならぬぞというふうに、私ら外務省方々からちょいちょい聞かされたり、新聞等で見ておるわけですが、事給与の問題などでは、体裁を飾る必要はないのではないか。労働者賃金体裁を飾ってみたところで、腹が一ぱいになるものではないのです。賃金というものは腹一ぱいになるかならないか、余剰があるかないかによって、生活が向上してくるとか、あるいは文化程度を推しはかるので、体裁でやっておることではない。外交はおおむね体裁という言葉があるかもしれません。池田さんも日本大国だと言うし、外務省方々も、またあなたたち大臣日本大国だと言っておりますが、大国なら大国らしく数字はどこへ出してもそんなにひけをとらない、隠し立てしないような数字、これは給与だけではありません。いろいろな点、厚生でもよろしい、医療設備でもよろしい、こういうものは持っていなければならないと思うのですが、ただ一つ給与担当大臣に私は申し上げたい。   〔草野委員長代理退席委員長着席〕  私も、注意をしてお話をしなさい、こういうことは考えています。逆手をとられては困ります。だからお前のものは買わぬといって逆手をとられては困ります。逆手をとられぬようにお話し願いたいのでございますけれども、円の価値、ドルの価値が違うから、日本の今の賃金でも皆さんは相当十分であろうなどというふうな言葉のあやを私は聞くわけなんです。それはおかしいと思うのです。第一、たとえば今度の減税でも、よその国では大体税金は二〇%だ、大蔵大臣がおるから特に私は申し上げるわけではありませんけれども、今度の査定からいうと二二%くらいになるということではありませんか。この二二%と労働者全体の取る賃金との引き比べは、こういう場合には外国の例を使うのだ。そうじゃないでしょう。たとえば生活水準は全体の何ぼぐらいだということになるわけですから、必ずしも日本の物価が安いから、賃金の総比率はたとえば九分の一であっても事足りるなどというようなことは、これは労働大臣給与担当大臣としてはちょっと権威があらな過ぎる言葉ではありませんか。もう一ぺん説明を承りたいと思います。
  24. 福永健司

    福永国務大臣 私は、速記録を見ていただいても明らかでありますが、一切給料がこれで十分だとか、あるいは上げなくていいとかいうような表現をいたしておりません。むしろ労働条件の改善は望ましいことであるということをまず申し上げます。同時に労働者全体の給与水準が上がることを願いつつ、また一面においては現状等についていろいろ話が出た場合に、単なる数字的の比較だけでは少しアメリカ側に判断を誤られるおそれがありますので、そういう点については適当な注釈も加えて参りまして、労働者もいいし、また輸出も増大するように、こういう総合的観点から適切な発言をしなければならないと思いますと申し上げたわけでございます。冒頭に石山さんが、まあ儀礼的云々というようなお言葉を一般論としてお使いになりましたので、多少そういうところもこの種の会議にはあるかもしれませんが、というような表現をいたしました。そこらにやや外務省的センスと似たような表現があったかと思うのでありますけれども、私はむしろ実質的な意味においては、決してそういうような考えではなくて、日本労働者のためも思い、また同時に輸出振興を考えて、どうあるべきかというようなことを考慮して、こうした会議に臨んでいきたい。こういうことでございますので、私の言葉の足らざるがゆえに、少し誤解を生じたやにも承るのでありますが、どうぞそういう誤解のなきようにお願いを申し上げたいと思います。
  25. 石山權作

    石山委員 おそらく労働省の首脳部の方々は、いろいろ資料を集めて、アメリカから、お前のところの低賃金はあらゆる面に影響しているのだ。特に日本と貿易の場合に、われわれがいろいろな制肘をしなければならないのは、多くのいろいろの原因はあるだろうけれども、この低賃金にあるだろうというふうな指摘の仕方で、私はやってくるだろうと思います。皆さんの方でも十分御勉強なさって、それぞれ適切な御答弁あるいは注釈をするかもしれませんけれども、あまり成功しないのじゃないか。なぜ成功しないかと申しますと、ここに何も数字をあげてお互い争う必要はないけれども、少しく差が大き過ぎるということです。これは逆に言えば、これも大ざっぱな表現になりますけれども日本の現在の経済的な力、あるいはそこから生まれてくる利潤、こういうふうなものに対して比較する給与の額、それから労働者の得ている権利、こういうふうなものは何とアメリカ側に説明しても、なかなか向こうの方ではのみ込んでくれないのじゃないか。あなたが下手にやれば、トランジスター・ラジオあるいはミシンではもっと少なくするなんということを始めるかもしれません。私はその点は上手にやっていただけるというふうなことを考えていながらも、実際上ではなかなかそういうふうなことにはならないので、ここを中心的につかれた場合に、日本の現実というものは私はおおい隠すことはできないだろう、こういうふうに思わざるを得ないわけなんです。  今度の場合、私ども世間の評判等を今度の人事院勧告で見ているわけでございますが、その中にいろいろな評判がございます。たとえば人事院勧告によって民間の給与を引き上げる、悪循環をなす。これは大蔵省あたりから出ておるのかもしれませんけれども、人事院勧告によって給与値上げをすれば、消費物価の値上がりを招く。いろいろな評判が出ているわけですが、ここで聞き捨てならない問題が一つあるわけなんです。それは今度の給与経済界の動きでございます。この経済界の動きと給与の比率を見ている人の意見によりますと、来年の賃金は低目に押えなければならないと言っております。賃金というものは前向きの姿勢であるから、過去の物価、消費物価をばあまりたてにとってもいけないのだ。将来にわたる物価、あるいは経済界の成長等をもあまり考えてはいけないのだ。こういうふうな言い方で、そうして賃金は低目に押えなければならない。そうしますと過去においても賃金は低目に査定される、将来においても低目にされるという考えのもとで賃金の査定が行なわれるとすれば、賃金が実際現実化された場合に、われわれは過去にも将来においても欠損をする、赤字の生活を営むということになりかねないと思うのですが、今度の政府のとったたとえば勧告に対して十月一日からこれを施行する、こういう考え方は、今日経連あたりで盛んに給与の限界という言葉を使っていることに相応するものではございませんか。何かもうすでに、日経連等経済団体が給与問題について考えている一つの大きな方針と、政府が今度の人事院勧告を受け取った態勢というものは、全く一致したような形が現われているということは、これは偶然でございましょうか。それとも緻密な経済的な計算の上に成り立った一つの合致すべき合理的な符合でございましょうか。私はどうも合理的というよりも、何だかこっちが迎え受けたような印象を受けてならない。この点を一つ、十月一日から施行するというこの考え方に対して、御説明をまずいただきたいと思うのです。
  26. 福永健司

    福永国務大臣 日経連等で賃金を低目に押えたいというような趣旨の発言をした人もあるようでございます。その他今いろいろお話もあったのでございますが、私どもは決して日経連と符節を合わして給与の決定等をいたしておることは全然ございません。ことさらにくっつけてお話しいただくこと自体に、私はどうも少し石山さんの方が無理にそういうようにおっしゃるような気がしてならぬのであります。政府はさようなことでは決してございませんので、低目とかなんとかちっとも考えておりません。給与はまさに適正に決定されるということを期待しておるわけでございます。  そこで後段の十月一日からベース・アップをするということにつきまして、しばしば予算委員会、本会議等でもお答えいたしておりまする通り、この点につきましてはいろいろな意見があり、いろいろな考え方がありますので、これを総合的に検討をいたしましてはああいう結論になった、こういうことを申し上げておるわけであります。総合的というようなことは非常に抽象的だが、その総合的ということを具体的に言えばどうか、こういうこともあるわけでありますが、公務員行政だけの観点から申しまするならば、さらに給与大臣たる福永健司の立場だけから申しまするならば、五月一日から勧告通り実施してもらうということが、一番私としてはありがたいわけであります。しかし政治は政府の責任において全般的な顧慮も欠いてはならぬ。これまた考慮すべき点であります。そこで内閣においてみんなで協議しまして、これはずいぶん時間もかかり、鋭意検討いたしたのでありますが、その結論において十月一日から実施する、こういうことになりましたので、自来私はこの結論に対してきわめて忠実でございます。そこでこの点については当時だれがどうということではございませんけれども、大体年度途中でやるのがおかしいのだ、来年四月からやったらどうか、こういう意見すらもあるわけでございます。そういうようなことでいろいろ検討の結果、十月一日というところに最後は落ちついたわけでございます。これを要するにいろいろの立場からのいろいろの意見はございましたけれども、総合的な結論においてそういうことに相なった、こういう次第でございます。
  27. 石山權作

    石山委員 人事院にちょっとお伺いしますが、今度の七・一%、一千七百九十七円でしたね。定昇はどのぐらいに見積もっていられるわけですか。
  28. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 大体従来とも四%と見ております。
  29. 石山權作

    石山委員 金額にしてどのくらいですか。
  30. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 一人大体千円でございます。
  31. 石山權作

    石山委員 それでは、これは大蔵大臣にお伺いします。大蔵大臣にはあとで私ども横路氏から特に丁寧にお伺いする段取りになっておりまするから、私は、法を非常に大事になさるという池田内閣の閣僚の一人として、大蔵大臣に問題を提出しておきたいと思うわけです。  私の持っている書籍の中では、昭和二十三年十一月十九日に臨時人事委員会を開きましてから、実に十三回くらい勧告が行なわれているわけでございますが、勧告が行なわれる中でちょっぴりしたものは、なるほどその通りのような格好でなさっているが——ちょっぴりしたことというのは、保留した場合のことで、ベース勧告をなさらない場合のことですよ。ベース勧告をなさったときは、ほとんど全部その通りやっておらないということです。つまり勧告の趣旨には一ぺんも合致したことをなさらない。そのときの言い分を大体過去にわたって調べてみますると、日本経済の変動等がありまして、その給与値上げの原資にかなり困難を感じているという理由がかなりございます。それからもう一つは、インフレ途上にあるので、行方さだかでない財政状態、こういうなものがおもにあります。しかし今回の場合は、私たちの聞き及ぶところによりますと、原資は約四千五百億、その他の収入を全部合すると五千億をこえるだろう。それから池田内閣の、あるいは水田蔵相の施政よろしきを得ているのでございましょう。財界もかなり安定成長をしているといわれております。こうした場合に——十三回も四回も勧告しているのですよ。そして人事院尊重という言葉をわれわれは毎回聞いている。なぜそのうちの一ぺんくらい、そのまま尊重という形で実施できないのか。大蔵大臣としては、どういう御理由がありまして、十月一日というふうに判定を下されたのか、その理由を承りたいと思います。
  32. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 理由はもうたびたび述べておるつもりですが、勧告の形が去年から変わってきておりまして、従来は勧告があって、勧告は尊重するという線で検討しても、財政的な理由がおもなことになっております。昨年から初めて、給与をさかのぼって改定する勧告が出ましたが、これはさかのぼって実施することがいいか悪いかという公務員給与制度の問題とからんで、昨年いろいろな検討が行なわれました。また御承知のように予算編成の問題として、三月に決定して、そして予算の執行に入るのを、常にそういう年次的な勧告が行なわれて五月にさかのぼるということでしたら、これはもう予算編成としては、事前にそういうことがあるだろうということを予定した予算の組み方をしなければならぬという事態にもなりましょうが、そういうことが実際問題としていいか悪いかという問題、ひとり財政上の問題でなくて、そういう諸般の問題が昨年は論議されました結果、十月一日から実施することが適当だろうという判断で、この国会の了承も得たという事情がございますので、本年度の勧告に対してどう対処するかということについて、私どももいろいろ検討しましたが、そういう勧告が年次的に行なわれるというような傾向になってくるとすれば、政府の予算中途における改定問題もやはり年次的になっていくことが予想される。そうしましたら、やはり年次的に勧告が行なわれ、年次的に改定するということが今後見通されるというようなことでしたら、期間は一年々々にそういう措置をしていくのが妥当ではないかというようなことで、昨年、いろいろ問題はございましたが、十月一日に実施したということに準じまして、本年も十月一日から実施することが一番妥当ではないかという判断で、政府はあの実期施日はきめた、こういういきさつでございます。
  33. 石山權作

    石山委員 人事院に伺いますが、勧告期日はいつですか。
  34. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 八月八日であります。
  35. 石山權作

    石山委員 大蔵大臣、さかのぼるということは、あなたはどういうことをおっしゃるか知りませんが、勧告を八月八日になさって、たとえば五月一日から施行せよといえば、三カ月さかのぼっているかもしれない。八月八日に勧告をして十月一日なら、さかのぼるじゃないでしょう。二カ月後退だ。  それからもう一つは、年次的に改定するという技術的な問題だというようにあなたはおっしゃっていますね。いいことじゃありませんか。経済がそれだけ年次々々に伸びて、みんなの給料を上げなければならないという態勢であれば、補正を組んだって原資は何ぼでも出てくることじゃないでしょうか。
  36. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 八月の勧告で五月にさかのぼれというのが昨年の勧告でございました。それにどう対処するかという処置を昨年、十月ときめた。ことしもそれに準ずることがやはり一番適当だろうと考えたわけですが、財政的にと申しますと、去年は財源がございました。ことしも洗いざらい出せば、かりに五月の一日から実施するということでしたら九百五、六十億、約千億で済むのではないかと思いますが、災害そのほかのものをやると、今後自然増収がどれだけ見込まれるかは、いろいろな措置をとっているときでございますから、もう少し見ないと、今後最初の予定通りの自然増収があるかどうかわかりません。しかし今見込み得るものとして、ぎりぎり一ぱいの財源ではないかと考えています。しかし財源の問題でこの問題を取り扱うというような慣例を開きますと、たとえば来年も同じような勧告が行なわれたというときに、来年はたして自然増収というものが予算決定後にどれだけあるかという見込みは私どもつきません。現に自然増収は必ずあるものと思っておるようでございますが、そうではなくて、昭和三十二年ですか、このときには、当初予算できめた財源が確保できなかった年もあって、国が赤字を出しておるというようなことですから、財源問題は、一ぺん予算をきめたあとで足らないことになるのか、余る方にいくかという予想は簡単にできませんので、従ってことし国自身の財政はある程度無理をすることができるからといって、これが年次的な勧告で年次的な実施ということになってさましたら、それはやはり将来を考えて心配のない妥当なきめ方を今することも私は必要だと思って、昨年の例に準ずるのが一番いいのじゃないかときめたわけですが、今度国自身の財政だけでいくかと申しますと、そうではなくて、国がやったら地方公務員も大体これに準ずるのが例でございますし、政府機関もやがてこれによって均衡をとった——三公社五現業、いろいろなところへの影響も当然ございますが、もし国がそういう措置をとった場合に、他の会計にどういう影響を与えるかということも考えてきめるべき問題だろうと思います。これを考えますと、御承知のように政府機関の中には、余裕が若干ある会計もございますし、全くもう余裕がなくて、他の機関はこれにならって決定ができても、政府が五月にさかのぼったという場合に、五月にさかのぼって歩調をそろえるということが絶対できない政府関係の機関、財政状態の部門もございますので、そういう大きい摩擦を与えることも、やはり政府としては考えなければならぬ。そうしますと一応政府が実施期をきめるときには、各会計もみな洗って、先の見通しを立てるというくらいの考慮も当然すべきでございますし、そういう一連のことをやった総合判断が、大体十月一日が妥当だということで、やはりここらが実際一番いいのじゃないかと私は考えます。
  37. 石山權作

    石山委員 私は財政全般から見ますると、大蔵大臣はなかなか難儀していられるだろうと思います。しかし給与の問題に関して、今大蔵大臣がおっしゃるようなことだとすれば、実に楽なものだと思うのです。そうでしょう。お金はあるのだけれどもやらない。これが一番楽なんだ。お金があってもやらないのが一番楽なんだ。ないものを出してやるというのがむずかしい。それぞれのところを苦労してかき集めてやるのが苦労です。あなたはあってもやらないというのは楽なわけです。しかもその楽な見方が——さっき私が例に引いた過去の消費物価というものを全部取り上げるということをしないというやり方、借りているのですよ。人事院勧告については、政府は借りているから、私はまず政治的考慮からして、たまに原資があるときくらい、ぽんと腹のいいところを見せるようなことでないと、労務管理はうまくいかないのです。あっててやらないというのですから、そのあっててやらないという理由が、まことに複雑怪奇だというわけでしょう。その種目にわたっては、さかのぼってやれるようなお役所があるというわけですね。やれないようなお役所がある、お役所機構があるというのでしょう。おかしな話ですね。わからないように説明されているから私はわからないと思うのだけれども、あってやらないから……
  38. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 あってもやらないというのじゃないのです。国自身は何とかやれる。ほかはやれない。地方財政は御承知通りやろうといったって、国の自然増収がどれくらいに出るか、そのうちの三税の二八・八%が戻ってくるということが予想されなければ、地方財政というものはやっていけない。国の自然増収というものが、どれくらいあるかという見通しの立たぬときに、それを当てに使うことができないということでしたら、地方財政は五月からの実施ということは、はっきり無理なことでございますので、国自身がかすかすであるからといって、国が実施することが地方財政にどういう影響を与えるかというようなことは、一応国の責任としては考えなければなりませんし、従って私どもは実施時期というものは、そういう財政的な理由から慎重を期さなければならぬということを言っているので、みんながやれるのにやらないというわけではございません。
  39. 石山權作

    石山委員 大臣にほんとうはもう少しお聞きしたいと思ったけれども、私の方の横路委員大臣にもう少し聞きたい点がある、こう言っております。しかし私、けさかきのうの新聞を見ますと、地方財政の赤字は、青森県と鹿児島県、二県くらいですよ。みんな黒字に転じている。おかげさまで秋田県も黒字に転じました。あなたが心配なさることは要らないのじゃないか。本年のあれは、全部地方は黒字に転換しています。あなたの言うことは、それはなるほどいかにももっともらしくお言いになっておりますけれども、実情はそういうふうに展開していっていないということなんです。原資があれば、地方の赤字に対して、あなた配分ができるじゃありませんか。大蔵大臣の技術という面であなたはうまく逃げようとするかもしれません。しかしそういうものではないと思う。国家の財政全体の問題からして、地方財政が赤ならば、赤の分に対して補給ができるという原資がここに厳然としてある。しかも補給を求めなくても、今年度の地方財政はやっていける。来年のことを心配する、再来年のことを心配すると言ったのでは、これはあなた、天眼鏡で人相見みたいなことにならなければ給与の問題を左右できないというのでは、これははなはだ情けないことです。去年の経緯を見、来年の経緯を見て、そして今年度の給与というものは大体ここら辺だと人事院が勧告をした。私はそれに対して満足しておりません。満足しておりませんけれども、たくさんの人間が営々として集めた数字は、そんなにまたむぞうさなものでもないというふうな尊重もしている面もある。ただ実施の問題になりますと、大蔵当局だけいじめていいのか、池田内閣全般の問題なのか、あるいはこれは福永給与担当大臣が少し勉強しないからこういうふうになったのかもしれませんけれども、まことに私は残念でならないと思う。財布に一ぱいお金があるのです。あるけれどもやれないというような話、いろいろな理屈をつけて説明を聞くのですが、私はなかなか納得がいきません。残念です。私あなたには貸しがあるのです。この前関税局の設置法に対しあなたに三つか四つ注文を持っておる。しかしこの場合、それを聞くと時間がかかりますので、それは伏せておきますけれども経済問題と関税行政については大いな議論があると思うのです。大蔵当局のやり方によっては、もうける者とばかを見る者が——最近において株の問題にしても、輸入の問題にしても、品目の問題にしても、いろいろな問題があると思うのです。しかしこれは給与と直接関係がないのに、私長々とやって、横路さんがせっかくがんばっているのですからこれで打ち切りまして、私は横路さんにバトンをお渡しいたします。
  40. 中島茂喜

  41. 横路節雄

    横路委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、この間総務長官に来てもらいまして、今石山委員からお話がございましたなぜ五月一日から実施しないのか、こうお尋ねしましたところが、多額の支出を必要として、そのために購買力がふえ、従って消費者物価が上がるからやらないのだ、こういうことなんです。そこで私はそれは政府の統一見解ですか、こうやったら、いや、大蔵大臣か企画庁長官に出てきてもらいます、こうなったわけです。その点一つお答え願いたい。今私うしろで聞いておりましたが、大蔵大臣の御説明は必ずしもそうではない。しかしそんなことで、総務長官は購買力が増して消費者物価が上がるからだめなんだ。今あなたのお話はそうではない。政府の統一見解というものをぜひ一つここでお聞かせいただきたいのです。
  42. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 今、日本公務員、地方公務員、それから政府関係機関というものの俸給が、国民所得に対してどのくらいかという正確な統計を今ここに私持っておりませんが、おそらく一割五分をこえるくらい大きいものではないかと思っております。そうなりますと、この給与というものが国民経済に与える影響というものは確かにあると思います。従ってこの給与制度の検討のときに、そういう国民経済への影響というものも、やはり一応検討の中に入れて考えろという閣僚の発言もございましたので、こういうことも総務長官の方ではいろいろそういう問題の考慮をしたのではないかと思います。ですからそういうそれに関したいろいろ発言があったかもしれませんが、最後の閣議でこの問題を決定するときは、そういう一連のことも考慮し、もっぱら今私が述べたような理由が中心で、やはり昨年に準じて十月一日に決定することが妥当だろうという、いわば総合判断の結果ということでございますが、もっぱら今私が述べたような理由で閣議できめたというのが実情でございます。ですから国民経済との関係とか、いろいろその担当部門の人は検討されていることとは思いますが、それだからこの際それを考えてこういうふうに決定をするというようなことは閣議では出ませんでした。
  43. 横路節雄

    横路委員 後段の方につきましては、あとで今の大蔵大臣考えは非常に不当だという点を申し上げますが、前段の方については、やはり国民経済に与える影響は相当強い、だからそういう面も考慮したのだ、こういうのですが、そこでほんとうは企画庁長官に出てきてもらいたかったのだけれども、与党の理事の方から実はきょう参議院の方に呼ばれているというので、大蔵大臣にお尋ねをするのですが、ここにあるのは経済企画庁が出した昭和三十六年度の「年次経済報告」なんです。この中の二十九ページに「国民総支出に占める個人消費支出の比率は三十五年度で五三%にまで低下した。戦後の高蓄積時代でも三十年まではほぼ六割台で推移していた。三十五年度のように消費比率が低下したことは、戦時経済以外にはみられない現象である。」こう述べているわけです。これは大臣も御承知だと思うが、日本経済が一番安定していた際の昭和九年の国民総支出に占める個人消費の比率は六八%です。今日たとえばイギリスにしても、フランスにしても、イタリアにしても、その他の国々は六〇%上回っている、戦時経済と同様だといっている。だからこれは逆じゃありませんか。いわゆる国民経済に与える影響はあるでしょう。しかし国民経済に与える影響というのは、今日政府がやっているこういうやり方は、国民総支出の中に占める個人消費の支出の割合は五三%に落ちて、戦時経済以外には見られない状態だといっておる。だから当然大蔵大臣考え方からすれば、逆に賃金のベースを高めて、個人の消費がいわゆる貯蓄に回る分もあるだろうが、消費に回る分が出ても、そのことはいわゆる戦時経済ではなくて平常な経済の状態に戻していくためには、逆に十月ではなくて五月からやって、賃金ベースを高めて、個人の消費支出を高めていくということが正しいのじゃありませんか。この点お答えをいただきたいのと、それから購買力が増すから従って消費物価が上がるのだ、こういうことをこの間総務長官は言っておりましたよ。これは政府の統一した見解ですか。五月から実施すれば多額の支出を必要とするから、購買力が増して、従って消費者物価が上がるのだ。今あなたがおっしゃったいわゆる国民経済に与える影響があるという中には、そういう意味があるのですか。その点を一つ明らかにしてもらいたい。そんなことはないならないと、それは総務長官の間違いなら間違いとはっきり言ってもらいたい。
  44. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 まず一番最初の問題ですが、国民消費が総支出の中で占める割合が少ないということは、国連の発表でもごらんの通り日本の蓄積率が非常に多い、世界で一番多いということの一つの半面になっておるだろうと思います。では国民の消費が減っているかといいますと、総支出の中に占める比率というものは、今あなたのおっしゃられたように減っているでしょうが、消費部門自身の伸びというものは毎年日本相当の伸びを示している。しかしその比率が少ないということは、蓄積に回る部門が日本は今世界で一番高いということであって、この傾向は悪い傾向ではないと思います。現に国民の消費というものは毎年々々伸びてきているのです。しかしまだこの程度が世界の水準から見て低いか高いかということは別問題でございまして、明らかに日本の国民の生活水準はまだ低いのですから、私どもはこれを上げるためにいろいろな一連の経済政策もとっておる。しかもその中で経済の成長と歩調の合わせられない低所得者というものに対して購買力をどうつけるか、生活力をどう保障してやるかというのは社会保障の問題で、従って私ども予算編成の中でも、成長政策をとる過程においては、どうしても社会保障的な経費というものが相当ふえるような形の準備を伴わなければいかぬということで、予算編成をやっていることでございまして、国民消費者自身が全体に占める部門の少ないということは、毎年国民の水準が低下しているということではないのですから、これは話が別問題だろうと私は考えます。  そこで俸給をふやすことがどういう経済的な影響を与えるかという問題ですが、私は日本の国民生活の水準が上がるというためには、所得がふえなければ問題にならないのですから、そういう意味で国民の労働所得が上がるのは差しつかえないので、むしろ上がることが目的の政策だと言えるのではないかと思います。ただ問題は、やはり名目所得か実質所得かの問題で、名目賃金がいかに上がっても物価が上がったら実質賃金が上がることですから、この悪循環を起こさせるようだったら、かりに賃金のベース・アップをやっても何にもならぬことですから、これだけは防ぎたい。実質賃金を上げるということがやはり目的なんですから、そうなるとここで物価対策というものが当然必要で、今後の物価を上げないために今とっている緊急措置というようなものも、悪循環を切って、不当に経済が伸び過ぎるということからくる物価高をここで押えるというのが今の措置でございますから、実質賃金が上がることをまず私どもはやらなければならぬ。名目賃金がそういう意味で実質を伴って上がるということについての問題は今何らない。賃金が上がってかまわないので、むしろ上げることが今のわれわれの政策の目的ですが、名目が上がっても実質が落ちてくるということは、これは政府政策として重大な責任がありますので、今り緊急措置をとっているのも、そういう意味の悪循環を一つ断たなければならぬということから出ている措置でございます。ですから日経連でいろいろ賃金トップとかなんとかいうのですが、これは日本経済を伸ばすだめには賃金を上げちゃならぬというような考えだったら、これは明らかに間違いだと思います。そうではなくて、今のやり方でいったら賃金が上がっても実質賃金が上がったことにならぬじゃないか、そういう意味でのストップということでしたら、これは私どもは今の経済政策として考えるべき問題だと思います。   〔委員長退席草野委員長代理着席
  45. 横路節雄

    横路委員 今の大蔵大臣の御答弁の中にはたくさん重要なことがありますが、最後におっしゃった日経連が実質賃金を維持していくという意味賃金をストップというならば意味があるだろう、こういうことを言ったが、それは非常な間違いじゃありませんか。今あなたがその前に言ったように、政府としては高度成長政策の中で賃金を上げていくことは望ましい、それはそうだろう。そのことと今日経連で言っている——私は別に日経連のことを議論したいわけではありませんが、大臣からお話があったので、実質賃金を高めていくという意味において、いわゆる賃金をストップしたりしていくというのならば意向があるかもしれない。そういう賃金のストップなんというのはないです。しかし、今の大臣お話の中で、総務長官がお話をされた賃金を上げれば購買力が増して、消費者物価が上がるのだという、この点については、そういうことはないと否定をなさるのですね。この点をはっきりさして下さい。そうでないと、賃金が上がれば消費者物価が上がるのだ、悪循環だということをともすれば言う諸君があって、総務長官はそのうちの一つの間違った方の代弁をしたと思うのですが、その点だけは大蔵大臣からはっきり言っておいていただきたいと思います。
  46. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 日経連の実質というのは名目の間違いでした。名目賃金がいたずらに上がることをストップしろということでしたら意味があると思うのですが、実質賃金をストップするというのでしたら意味がない。今のは言い間違ったと思います。  それから賃金を上げたらすぐに購買力が出て云々と、そう簡単には私言えない問題だと思います。なぜかと申しましたら、さっき申しましたように、日本の全体の支出に占める総支出中の消費支出が非常に少ないということ自身は、日本の蓄積性の非常に強いということを表わしている問題でございますから、私どもは減税をしたらすぐ購買力をふやしてしまって、何にもならぬとは考えません。減税の相当部分というのは、現在の日本のあり方を見ましたら、蓄積へ回るということが実質的に統計でも出ておるのですから、減税も意味があると同時に、賃金を上げることも、そういう意味では意味があるというふうに私は思っております。
  47. 横路節雄

    横路委員 大体において大蔵大臣は、総務長官のそういう御答弁を否定されたから、私は次に進みたいと思います。先ほどいわゆる貯蓄のお話が出ました。これは大蔵大臣も御承知のように、国民が非常に貯蓄性が高いということは、やはり政府みずからやっている社会保障の政策がまだ低い段階だから、従って老後の自分の生活の保障、あるいは病気になった場合、それをみずから用意しなければならぬ、そういう意味で貯蓄が高いわけです。そこで賃金のことなんですが、これも経済白書の中で生産性と賃金との関係を表にして出しているわけです。三十年の生産性を一〇〇、賃金を一〇〇にしますと、三十五年においては生産性は一四七に上昇している。ところが賃金は一三四・三%にしか上昇をしていない。一二・七%というように生産性は伸びていったが、賃金はまだまだ追いつかないという状態なんです。この点はどういうようにお考えになるのでしょうか。三十年で生産性、賃金をそれぞれ一〇〇とした場合に、三十五年に生産性は一四七、賃金は一三四・三——生産性が高まれば同時に賃金は高まっていくのです。高度成長経済というのはそういうはずなんです。ところが全然追いつかないじゃありませんか。だから、そういう点からいけば、私どもは人事院勧告の金額については反対だ。しかしせめて人事院が勧告をした五月から実施をしたらどうか。なぜ一体この生産性と賃金とのアンバランスが今日こういう状態になっておるのか、こういうことは私が言っているのじゃないのです。年次経済報告書の中に出ているのです。こういうことを大臣はお気づきなんでしょうか。そういうことを閣議では皆さんでいろいろと討議をなされたでしょう。年次経済報告は年次経済報告、これは勝手にやるのだ、こっちの方はどうやったっていいのだ、そんなものはおれの方はおれの方で、今の情勢の中できめるのだ、こういうのですか。それでは経済企画庁というものを設けて、そして年次経済報告というものが出て、われわれ国民も全部この報告をたんねんに調べて、日本経済の現状というものを把握しようというときに、生産性は三十五年で一四七に伸びているが、賃金は一三四・三、こういうことでいいものでしょうか。大臣どうですか。
  48. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 民間には生産性の非常に上がった企業がある。その企業だけ見たら、その企業内の労働賃金がこの生産性と符号しているところもあるでしょうし、いないところもあるだろうと思います。今度はまた民間企業で全然生産性の向上で賃金を吸収できない企業というものもたくさんあって、生産性は上がらないか、労働賃金相当の率で上がっているというところもあるでしょう。こういうものを総合されたのが民間給与の実態でございますので、人事院はその生産性と給与関係がどうなっているか、いないかという問題ではなくて——これはもう千差万別である。その民間企業内の給与というものが今どうなっているかという一つの水準を求めて、それに今の公務員給与を比較して、明らかに公務員給与の水準がこれだけ今おくれているぞという勧告を人事院がしているのですから、政府はその勧告によってそれを尊重して、どう処理するかということを考えればいい問題だと思います。ですから、では公務員なら公務員というものが、ほんとうにどれだけ能率を上げる方向へ来ているかというその生産性を計算して、それと完全に公務員の給料をもし合わせるということでしたら、これはより合理的かもしれませんが、そういうことはなかなかできない。従って政府はまた機構の簡素化とか、あるいは能率を上げるとかいう問題は同時に考えなければならない問題ですから、これは別の措置をとるというので、必ずしもそれに結びつけた給与制度を考えているわけではございませんで、民間給与の実態、その水準等から見て、公務員がおくれているか、おくれていないかということを人事院が調べて、そうして何%公務員の方が今低くなっているという勧告ですから、政府はその勧告に従うという措置で、私どもがやる措置としては私どもはいいのではないかと思っております。
  49. 横路節雄

    横路委員 大蔵大臣、それでも人事院はやはり民間給与水準等のいろいろな関係調査した上で、勧告をしているわけです。ですから、これも年次経済報告書の中に出ているのですが、一九五三年から一九五八年までのいわゆる生産性と賃金との関係は、アメリカでは生産性が一七・四%伸びて、賃金は二二・八%伸びておる。イギリスは生産性が一五%伸びたが、賃金は実に三九%伸びておる。西ドイツは生産性が三三・六%で、賃金が四一・四%伸びておる。フランスは生産性が四六・二%で、賃金は四九・二%伸びておる。イタリアは生産性が三八・四%で、賃金は三〇だから、賃金の方はマイナス八・四%です。日本は生産性が四五・六%伸びているが、賃金は三三%で、マイナス一二・六だ。民間でもこういう状態です。こういう状態を人事院は十分承知の上で、いわゆる国家公務員に対する給与についての勧告をしたわけです。だから、私は当然政府としてのやり方としては、せめて五月一日はさかのぼってやるべきだと思う。  そこで私は大蔵大臣に次のことをお尋ねしたのです。先ほどから私はあなたの答弁を聞いておって、重要な問題がたくさんあると思う。それは、まずあなたの考え方の中には、人事院を根本から否定している考えがございませんか。五月一日からやりなさいと勧告はしたけれども、いや、おれの方は十月一日からやるのだ、去年もやったじゃないか、だからことしもやるのだ。人事院に対して、もうお前の方は五月一日の勧告をやめろ、何ぼやったってやらないのだから、来年も十月一日だぞ、さっきもこういうことをおっしゃったでしょう。このことは、明らかに人事院勧告というものを無視して、人事院なんてない方がいいのだという、そういう人事院を根本的に否定する考えに立っているのじゃないですか。そうでなければ、そのときそのときの経済情勢——人事院は五月からだ、ああそう、それじゃ五月からやろう、どうも工合が悪いから今度は九月からやるのだ、どうも工合が悪いから次は十月からやるのだというのならば、まだしも政府の立場としては考えられる点もあるが、去年も十月一日からやったからことしも十月一日だ。おそらく来年も勧告するかもしれないが、そのときも十月一日からだぞ、五月一日に勧告しようと何と言ったって十月一日だ。さっきあなたはそうおっしゃったのですね。あなたは根本的に人事院を否定しなさるのですか。どんなに五月一日に勧告したって、そんなものやるものか。人事院総裁を前にしてあなたはばかに力んでそうお話になっておりましたね。
  50. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 人事院がある以上否定いたしません。人事院の勧告を尊重するという立場ですが、御承知のように人事院は別に国の財政がどうなっているか、これに関連する機関の経済がどうなているかということを一々考えて、勧告を出す必要はございません。人事院としては要するに民間給与がどうなっているか。そして公務員給与がこれと均衡がとれているかどうか。公務員を擁護する立場でこれを常に調査して、そうして開きができたときに政府に勧告して、そうしてくれということをやるのが人事院の任務でございますので、私どもは人事院の勧告を尊重するというのは、これは変わりございませんが、そうかといって今言ったように、人事院が全部そういう政府の立場に立った考慮をして勧告する必要はございませんので、勧告を受けた政府としては、人事院の勧告を検討して、そうして政府としてできることをするというのが制度の建前でございますから、政府は政府としての立場でこれを検討して決定する、そうすべきものだと思いますので、そういう立場で私どもはこの人事院の勧告を受け取って、今度内容を全部人事院の言う通りにのみましたが、実施時期は遺憾ながら五月一日からはやれなかったということであります。
  51. 横路節雄

    横路委員 先ほど大蔵大臣の御答弁の中に、ことしは五月一日から実施をしても、税の自然増収の伸びその他が見られるからやるのだ。しかし来年もしも勧告があった場合には、一体来年は予算決定後にどれだけの税の自然増収について見通しが立つかどうかは、自分たちとしては非常に暗い。見通しが立たない。だからことしは五月一日からやれるけれども、来年もしも勧告があったときに、もしもことし五月一日からやっておけば、来年も拘束されるかもしれないから、そこでことしは金があるけれども、十月一日としておけば、来年は勧告があっても来年も十月一日とすれば済むのだ。来年度の税の自然増収の問題と関連して、そういうお話をしましたね。そうするとあなた方は、人事院勧告は絶対に十月一日でやるのだ、どんな勧告があっても五月一日は絶対にやらないのだ。人事院が今後五月一日と勧告しようが、政府としては絶対に十月一日でやるのだ、そういうように御答弁されるならば、ここではっきり答弁しておいてもらいたい。
  52. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 ちょっとお聞き違いがあったかもしれませんが、ことしかりにやれるとしても、来年やれないという場合が出たときには、いろいろ政府の措置に大きい変更が出ることにもなるので、あまり財政事情だけで、それ一つだけを考えてやるということは不適当だということを言ったので、ことしはやれると言ったわけではございません。現にさっきあとから説明しましたように、ことしやろうとしましたら約一千億円なければいかぬと思います。その半分ぐらいで今度は済んでいることでございますが、かりに中央、地方の財政で一千億円ということでございましたら、ことしの見当でも、政府の方の財政はこれは見通しがむずかしい。しかし地方財政がさっき黒字だと言いましたが、若干の黒字が出ましても、富裕団体は交付金をもらっておりませんので、富裕団体が今度だけの措置で、八十何億円ですから五月にさかのぼるとしますと百何十億、交付金をもらわない富裕団体に今年度追加百五、六十億の余裕があるかないかということになると、これはございません。それからほかの交付金を受けている地方団体も、今度政府で予定された自然増の、三税の戻しというのではないですが、この交付金でやっと地方財政は今度はぎりぎり一ぱいで、地方公務員のベース・アップはまかなえるのではないかと思います。ですからかりにさかのぼったということになりますと、国の自然増を相当多く予想しなければやっていけませんが、国の自然増が今予想した倍ぐらいの自然増があるかどうかという見通しはむずかしい。むずかしいとしますと、地方財政で五月にさかのぼる余裕というものがあるかどうかということになると、私はちょっと困難ではないかと思います。ですから今年度においてはできるのだが、来年度心配だと言っておるわけではございませんで、かりに今年度できたとしてもということで、さっき言ったわけでございまして、今年度自身の財政状態は、やはりそこらが私はぎりぎりのところではないかと思っております。
  53. 横路節雄

    横路委員 大蔵大臣、第二次補正を出すことは明らかなんですね。なぜならば医療費の問題その他、あるいは労働大臣の所管の失業対策等で第二次補正を出すことは明らかです。これは大臣、去年のように金がないと言っておいて、あとからありましたというわけにはことしはいかぬ。あと千五百億ぐらいは税の自然増収は見られましょう、どうなんです、その点は。
  54. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 この九月末の収入工合はかりに機械的に見たとすれば、そのくらいは私は三月までに期待できるのではないかと思っております。
  55. 横路節雄

    横路委員 これは当初から自然増収は大体二千五百億から三千億くらい出るのではないか、そういう考え方に立って今お尋ねをしたのですが、なお千五百億ぐらいは見込まれて第二次補正の財源になることは明らかなんです。そういう意味ではこれは五月から実施は、国の財政措置としてはやれる。問題はその次に移りますが、やはりどうも大臣お話は五月一日は、どんな勧告があってもやらぬ、十月一日ですよ、だから去年もやったしことしもやった、こういうお話にしか受け取れないのです。しかしその次に先ほどのあなたのお話で、政府は十月一日となぜきめたかといいますと、他の会計にどういう影響を与えるか。政府関係機関、いわゆる三公社五現業等も含めてやれるかどうか、十分やれるところもあるし、やれないところもある、そういうことを全部ひっくるめて、まあまあ十月一日実施ということにすれば、他の関係機関もほとんどやれるだろう、こういうお話を先ほどは石山委員に御答弁なさっておる。私はお聞きしていて、ああ大蔵大臣としては、三公社五現業についてもまあ最低人事院勧告でやったようなことについては十月一日なら大丈夫やれるな、こういう感じで言いなすったのですね。先ほどの点はどうなんですか、私聞いておるのですから……。
  56. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 それは他の機関は給与制度が全然違っておりますし、そうしてまた給与の決定方法というものも全然別ですから、他の分について府政がこうやったらほかはみんなこれに歩調を合わせてやれるというふうに断言はいたしません。ただ先年度こういう例があったために、やはり一般公務員が上がったら、従来一般公務員との均衡を非常に考えているみな民間の機関でございますので、それについては一般公務員が上がったのに、その一方が何らのこともないということは、これはあり得ませんので、昨年と同じような過程のいろいろな問題がかりに起こったとしますと、昨年の解決の結果から見ても、すでに昨年は実際にはできないで、借入金で処理しているという会計も多うございますので、そういうことを考えましたら、政府がここでさかのぼって実施するなんというような昨年と違うやり方をやることによって、ほかへの影響というものはもっと大きい影響を与えてくるということは、これははっきりいたしますので、そういう点も考えたら、ぎりぎりの線が、やはり昨年の措置にならったところあたりでやることが妥当ではないかという判断をしたということで、昨年通りやったらほかは全部円満にいって、十分の余裕を持って対処できるというわけではないと私は思います。
  57. 横路節雄

    横路委員 大蔵大臣が先ほど、政府が十月一日ときめたのは、他の会計にどういう影響を与えるかという点を考慮してやったのだ、こうあなたがお話をなすったから、私が聞いている。だからあなたが、十月一日に実施することは、他の会計にどういう影響を与えるか。そこで十月一日に踏み切ったということは、他の会計においても十分やれる。またいずれ第三次補正か何かで出してくるのでしょうが、やれる、こういう意味であなたはおきめになったものだ、こういうふうに考えて私はお尋ねをしたのです。  時間もございませんから、あと一つ二つ、大臣も石炭対策特別委員会に呼ばれているというお話でございますから、そこで大臣にお尋ねするのですが、これは来年かりに勧告があったさっき大臣は、来年はもし勧告があった場合はと、こう言うから私も、もし来年勧告があった場合は、これは一切経済状態その他を考慮しないで十月一日ときめる、こういう方針なんですか。それともそのときそのときの経済状態、国の財政状態で、五月一日にやる、こういうこともある、あるいは九月一日にやるということもある、こういうのか。どうも大臣お話をさっきから聞いていると、人事院は中間で勧告して困るというような言い分なんです。そこで来年も勧告があった場合は十月一日という、この十月一日を一つの基準として将来とも押し通そうというのか、どうなんですか、その点は。経済状態が違えば、五月とやるのか、その点はどうなんです。
  58. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 その点は人事院に聞いてもらわないとちょっとわからないのですが、人事院がどういう勧告をするかということを今政府は知りませんので、人事院の勧告を受け取ってから政府の対策をきめるわけです。あるいは人事院が、たとえばこれは予算編成前に、来年度予算公務員の給料はこうしたらよかろうという勧告が、予算編成に間に合うような勧告をしてくれば、私どもは間に合わせますし、そうでないで、あるいは来年六月勧告になるか、十月勧告になってこういうふうにしろという勧告が出るか、これは私ども今わかりませんので、これは人事院の勧告を受け取ってから政府がきめるべきものだ、今頭から来年八月にきたらこうするのだというふうに、今からきめるべき問題ではないと思います。
  59. 横路節雄

    横路委員 あなたの方で、ことしの十月一日実施は去年やったからだ、こう言うから、来年はどうなんだと聞いたのですよ。そこで総裁にお尋ねしますが、今大蔵大臣お話の中で、何か人事院は来年度の予算編成に間に合うように勧告するようにしたらどうなんだ、そうしたらおれの方はもっと楽に考えるのだが、どうも中間でやられることは迷惑だというような、そういう話をしている。今お聞きになったでしょう。だから人事院総裁としてはこの勧告を、大蔵大臣の言うように、中間では迷惑なんだ、次の年度の予算編成に間に合うようにやってくれというのか、そこら辺のことは、今御一緒に聞いていて、あなたの方ではどう思っておりますか。
  60. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 先ほど大蔵大臣からもちょっとお話がございましたが、人事院といたしましては御存じのように、公務員法の精神と申しますか、そのときの民間賃金あるいは生計費等を勘案して、勧告すべきときは勧告いたしますので、政府の方でいろいろ御意見がございましても、その御意見を尊重いたしましたのでは、これまた勧告ができないこともあり得るわけでございまして、これは来年のことは来年のこととして、そのときに一つ考えさせていただきたいと思います。
  61. 横路節雄

    横路委員 人事院総裁、たまには骨のある答弁もしてもらわないと、まるで政府の方があなたの方を牽制しているわけです。先ほどからあなたは聞いておったでしょう。中間の勧告というのは、けしからぬとは言わぬが、不当だ、五月とは何だ、だから十月だ、やるならば来年度の予算に間に合うようにやれ、こういうふうな話をして、あなたの方を牽制しておる。今あなたの方は、政府の意向を尊重してやったのでは人事院の立場がない。立場がないということはその通りです。私はその意味でもっと人事院の独自性を発揮してやってもらいたい。将来はそういうことはあり得るのですか。たとえば翌年度の予算編成に間に合うように、公務員の場合はこういうベースでやるべきだ、こういうことは将来はお考えになるのですか、どうなんです。
  62. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 将来のことは全然今のところ白紙でございます。来年どういうふうに勧告するか、あるいは勧告しないか、あるいは勧告の時期をどういうふうにするかということは、そのときに人事官会議を開いてきめますので、今全然そういうことは考えておりません。
  63. 横路節雄

    横路委員 大臣日本における賃金労働者は二千万人いるわけです。今多くの労働組合の諸君は、今の日本経済の実態からいって、とにかく賃金ベースは一つ五千円上げてもらいたい、こういうことなんです。二千万人の賃金労働者に月五千円上げた場合に、年に一兆二千億くらいふえるわけです。先ほど私からも指摘いたしましたように、今年の国民総支出の中における個人消費は五三%だ。これが賃金労働者二千万人に五千円のベース・アップでいくと、年一兆二千億ですから、大体全体の比率からすれば個人消費の割合は一二%くらいふえるだろう。そうすると、五三%に一二%で六五%。このことは、昭和九年の日本経済が安定しているときでこれは六八%、なおこの点は、国民総支出の中における個人消費は昭和二十八年で六一・四%、三十年で六二・一%、こういう状態であったわけです。だから、国民総支出が非常にふえてきたその中で、今日日本賃金労働者諸君が一律月五千円上がる、それで二千万で一兆二千億、総体の占める割合は一二%で、全体は六五%だ。昭和九年の安定経済の六八%にまだ足りない。しかし二十八年、三十年でも六一・四%、六二%というときがあった。そういう点からいけば、先ほど大臣は、公務員給与については何も生産性と賃金との関係考える必要はないと言っているけれども、実際は公務員賃金というのは民間給与との関係がある。そういう意味で、私はその生産性との関係賃金はもっと上昇すべきだと思うが、この点はどうなんですか。
  64. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 生産性と労働賃金関係は、私よりも労働大臣の方が専門家でありますから……。
  65. 横路節雄

    横路委員 今大蔵大臣向こうに急いで呼ばれておるというので、私もできればこの一問程度で終えたい、お気の毒だから大蔵大臣は早く向こう委員会に行ってもらおうと思って、それで言っているのです。落ちついてここにおっていただけるならば、労働大臣にお伺いします。私はそういう意味で、生産性の向上と賃金との関係からいけば、まだまだ日本賃金はアップすべきだと思う。
  66. 福永健司

    福永国務大臣 労働大臣といたしましては、生産性向上の成果をどういうように分けていくことが望ましいか、こういうことになりますと、一つには労働条件の向上という形においてこれがなされる。それから生産性が向上することによって一般国民消費者へ、物価の値下げないしは当該事業における製品の値下げというようなことで、国民全体へいい影響を及ぼすというようなことも望ましい。それからもう一つは、その成果が一部企業の体質改善等に向けられて、ますます企業が健全化するというようなことが望ましい。こういうようなことが考えられると私は思うわけでございますが、最初に申し上げましたように、生産性の向上の成果が労働者労働条件の向上という方向相当程度向けられるということが私は望ましいと存じます。
  67. 横路節雄

    横路委員 私から大蔵大臣一つだけ聞いて終わります。実はこれは三十五年の経済白書ですが、こうなっているのです。賃金水準は欧米の水準に幾分接近しているが、戦前に対する上昇率で見るとまだまだ低い。米英の実質賃金は戦前、一九三七年に比べて約八割上昇し、西ドイツ約五割、わが国はわずか二割五分の水準にとどまっている。そういう意味賃金の開きというのはなお戦前よりも拡大をしてきているのだ。こういうように経済白書は言っているわけなんです。だからそういう意味で、日本賃金水準というものは戦前よりも他の国に比べて拡大をしているのだ、ますます日本の方は低くなっているのだ。こういう点から考えて、われわれとしては先ほど言いましたように、二千万人の賃金労働者の中の国家公務員、地方公務員諸君に、やはり一律五千円のアップというものは、日本の今日の経済状態からいって、私はやるべきだと思う。しかしそれができないにしても、重ねて言いますが、五月一日から実施するというのが政府としてやり得る上策だったと私は思うのです。それを来年度その他のことを考えてこれを押えたというところに、今回のこの給与に関する政府、特に財政当局である大蔵大臣としては、いささかこれは不当だと思う。今からでもおそくないですから、五月一日に変えてお出しになったらどうかと私は思う。どうですか。これで終わりますが……。
  68. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 財政当局として不当だったというのではなくて、財政当局であるからこそこれを妥当と判断したということが実際だろうと思います。そうあり余っておるからやれるというのではなくて、さっきからの説明でおわかりだと思いますが、かりに人事院勧告通りにやろうとしたら、今の財政事情ではやはり私は無理だと思います。今度の場合も無理だったと思います。
  69. 横路節雄

    横路委員 人事院総裁でも給与局長でもいいですが、今石山委員が来ますから、それまで一つぜひ聞いておきたい。  それは教職員に対する俸給表のことなんです。これは私の方からちょっと経過を話します。教職員に対する俸給表は、大学、高校、小中と三つに分かれておるが、その分かれておる小中、高校については一等級、二等級、三等級、この場合の分け方は、たとえば学校長は一等級、教員は二等級、助教員は三等級になっております。なおこの場合、学校教職員については超過勤務手当がないというので、初任給については他の一般の公務員よりは上げておる。しかし超過勤務手当がないということは、学校長に対して他の官庁のように管理職手当というものが支給されてなかったのです。一般の教職員に対しては超過勤務手当がない。そのことは学校長に対しては管理職手当がない。学校長に対してはそれぞれの職務内容上、一等級というものを別に作った。ところが二年ほど前から管理職手当というものを学校長に対して支給してきた。学校長に管理職手当を支給するならば、教職員に当然超過勤務手当を支給すべきであるが、教職員に対して超過勤務手当を支給しないで、学校長だけに管理職手当を支給するならば、一等級、二等級、三等級というものは全部はずして一本にすべきである。私が今言っておることは、大学とか高等学校、小中を一本にせよというのではなくて、それぞれの一等級、二等級、三等級というものは、超過勤務手当を支給するか、しなければ一本にすべきだと思う。これは文部省がそういう不当な措置をしておるが、私は人事院の方で適宜な措置として、この問題についてどちらかの勧告を行なうべきだと思う。給与のあり方からして、歴史的な給与の過程からして当然やるべきだと思うのでありますが、あなたで適当でなければ、御答弁されてから局長一つ答弁願いたいと思います。、
  70. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 私から一応お答え申し上げますが、不足のところは局長からお答えいたします。  教職員の俸給体系については、ただいま御指摘通りでございます。ただ今のお話のように一等級、二等級、三等級、これが職務給的になっておりますので、一等級は職務に相応した俸給を支給されておるわけであります。そのほかにさらに管理職手当を支給することが給与の二重払いというか、二重になるのではないかということが一つの御議論のようであります。給与につきましては御存じのように職務給と申しますか、職務給の体系を作っておりますけれども、その職務給の不足のところを各種の手当で補うということは、給与一つの技術的問題として他にもいろいろございます。たとえば民間で申しますと民間の役付手当というものがございますが、これはやはり職務給的には課長なり係長なりの給与を支給しながらしかも役付手当を支給する。また公務員においては生活給的な手当でありますが、通勤手当あるいは寒冷地手当というものは、みな本俸の中にもそれに相応する若干のものは含んでおるのであります。しかしその特殊な地域、あるいは特殊な形態のものに一つの手当を出しましてそれを補完するというふうに、職務給的給与体系のほかに俸給で足らない分を他の手当で支給する、これは技術的にはあります。  そこで次の問題は、ただいま御指摘のようにそれがいわゆる管理職手当であるか、あるいは超勤にかわるべきものであるか。一般の教職員に超勤を出しておらぬのだから、超勤にかわるべきものを校長なり教頭に出すことは不適当ではないかということが次に起こってくるわけであります。これは御存じのように一般の職員につきまして特別調整額、いわゆる管理職手当がつきましたのはだいぶ古く、昭和二十七年ころのことでございますが、そのときには予算上超過勤務手当を財源とし、また職務時間外の勤務ということを考慮したことは確かにございます。しかしながらこれは、そのときにも、単に超過勤務手当というものがかわるというだけではございませんで、法文も御存じ通り、管理監督の職務に従事する者という条文でございますし、事実大学の方には、学長でありますとかあるいは各課長、図書館長というものにも出しておりましたし、なおいろいろその後人事院におきましても、各省庁のいわゆる管理者とのバランスの問題がありまして、逐次これを補正してきておったわけであります。  ところがそういう沿革の問題は、一般の行政職員その他についてもあったのでございますが、三十三年でございましたか、例のいわゆる校長なり教頭の管理職手当というものが文部省から出て参ったときに、あれはたしか市町村立学校職員給与負担法でありましたが、そのときにいろいろ論議がございまして、これはよく御存じ通りでございます。それでそのときの文部大臣は国会において、この管理職手当というものは超勤にかわるべきものじゃないという意味において提案したのだという発言がございまして、それに対して浅井総裁も——いろいろこの問題については文教委員会その他で論議がございましたことは御存じ通りで、その管理職手当というものは、沿革上の問題はいろいろあるけれども、法文の形態あるいはその趣旨からいって、どこまでも本体は管理監督に従事する者に支給すべき手当であって、超勤にかわるものじゃないのだということを御説明した上で、いろいろ御論議がありましたが、国会の御承認も得て今日に至っておるわけであります。そういうわけで第二点の、いわゆる現在の校長、教頭の手当というものは、超勤とは別個の一つ給与体系である、こういうふうに考えておりますので、問題は、それを出したからといって、必ずしも一般の教職員ごとに超勤を出さなければならぬという必然的な関係は起こってこないのではないかと思います。
  71. 横路節雄

    横路委員 私これでやめますが、実は今の問題、もっとゆっくり時間をかけて議論したいのですが、私は文部省がどういうことを考えてどうやり、人事院としてはどうなんだということを聞いたのですよ。私は人事院としては今のような考え方で——ただそれは政府の立場についてるる述べたというだけで、あなたの方としては、当初ああいうふうに考えてあの俸給を定めたときは、管理職というのはないので、一等級、二等級、三等級ということをやった。一等級は職務内容に基づいてやった。新たに管理職手当が出された以上は、初め考えられたときの給与体系がくずれてきたのだ。従ってたとえば超過勤務の手当を支給するか、さもなければ一等級、二等級、三等級を一本にするか、こういう問題については人事院として再検討すべきじゃないか、こういうことを聞いたのです。もう一つ、行政職(一)、(二)のことについてもお尋ねしたいと思いますが、時間もありませんからやめますが、私は、人事院としても再検討すべきではないか。文部大臣がどうしたとか、何がどうしたということじゃなく、あなたの方として、給与全般からして再検討して、必要があれば勧告すべきではないか、こう言ったのですよ。その点はどうなんですか。
  72. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 今文部大臣がどう言われたということを引用いたしましたが、これは御説明をして御理解をいただくために実は引用いたしました。特別調整額といいますか、管理職手当の人事院規則は、御指摘通りどこまでも人事院独自の所管にあるわけでございますから、他の省でどうおっしゃったからどうという問題ではございません。ただずっと経緯が——何といいますか、人事院規則の改正というのは、表面に、必ず国会に出ておりますので、ごらんになると今の御疑問のように、何か突如として高校なり中、小学校の管理職手当が出てきたようなお感じを持つのはごもっともでありますが、実は管理職手当につきましては、ずっと始終各省庁の問題について補正をして参ってきておりますし、補正するにつきましては、各省庁の実情に応じて人事院で判断しながら補正して参っております・今の高校なり中、小学校の管理職手当の問題も、これが非常に重要な問題になるのは事実でありますが、やはり各省庁の御意見も聞きながら、そのときに人事院として考慮させていただいて、給与法のあの十条でございますか、あの給与に該当する者と認めて決定いたしたものであります。
  73. 草野一郎平

    ○草野委員長代理 石山君。
  74. 石山權作

    石山委員 給与のことにつきまして給与担当大臣にお聞き申し上げますが、今の給与は、長い間ベース・アップを勧告しないで、去年一二・四%の賃上げを行ないました。それまでの間にいろいろといわれている点は、わが国の年功制度、最近賃金問題を論ずる人はかなり注意を向けているわけですが、年功序列の形式に対してかなりの矛盾が生まれてきたわけです。たとえば一人の給与をきめる場合に、家族持ちであれば、家族の人数あるいは勤続年数というようなものがまず計上され、しかも官公吏であれば、そのほかに有資格者でなければ昇級、昇号がなかなかできない。これは普通は頭打ちといわれまして、前に三回是正をしたわけでございます。初任給、中だるみ是正、あるいはその上をまた継ぎ足す、こういうふうにやって、去年一二・四%やって、かなり意欲に満ちた体系を作ったわけでございますが、これは今言っている年功序列方式の弊害を克服して、非常に意欲に満ちた、職場の方々が喜んで働けるというような給与体系には移行してないようでございます。残念ですが移行してなくて、中途半端な体系になっているのではないか。この中途半端な給与体系、特に私たちに言わせれば、同一業務に対しては同一賃金という、最も生産的な意欲から見れば、今の公務員給与体系というものは、かなり陳腐的なものだろうと思うのです。これを意欲的ならしめるにはいろいろな考え方があると思います。   〔草野委員長代理退席委員長着席〕 先ほど大蔵大臣は、諸般の事情を考えて十月一日からと言ったのですが、政治というものであるならば、こういう矛盾の中で、ずっと何年来も沈滞をさせられている公務員諸君に対して、この際何かぽんと与えてやるというのは、労務管理においてとても大切なやり方だと思っているわけなんです。そういうやり方に対して、たとえば政府が今考えているような十月一日ではなくして、もっと前に持ってくるというようなやり方が当然考えられていい。それが全然押えられてしまう。そうすればいろいろといわれている賃金は上げているけれども公務員の作業能率はどうだ、勤務状態はどうだとか、いろいろ言っているわけですね。こういうようなことは、前の給与体系をごらんになればわかると思うのです。その給与体系の矛盾をば、頭打ちをば避け得る方法は、ベース・アップしかなかった。そのベース・アップは何年もやらなかったということなんです。そして去年、五年目ですか、四年目ですか、ちょっぴりやってみせた。ちょっぴりやってみせたけれども、われわれのあの給与体系から見れば、中途半端な体系で、同一作業、同一賃金の生産性向上のやり方から見れば、はなはだ遠いところにある。年功序列的なものに低迷しておる。ですからこの低迷を破るのには、まず原資を持って、昇給を大幅に行なうか、たとえばさかのぼってやってみせるか何かしなければ、この際できないはずです。そういうところから見た場合に、期末手当の六月分、普通から言えば〇・二ですか、これは今度の給与勧告では法律的にも生きてくるわけでございますが、それが今回十月一日からとしますと、来年の六月までその恩恵に浴しない。これは低い賃金、矛盾な体系、長年の間何らの施策を施されていない公務員給与体系等を見てますと、やり方がはなはだむざん冷酷な結末になっているのではないかと思うのですが、この期末手当分について労働大臣はお考えになったのでございましょうか。
  75. 福永健司

    福永国務大臣 いろいろ御所見を述べられたのでありますが、職務給の建前をとりながら、なおかつ一部にまだ中途半端なところがあるという点は、私も否定できないと思います。しかしおよそこういうような制度は、長い歴史的沿革を持っておりますと、なかなか一気というわけにも参らぬ点もあるかと思うわけでありまして、この内容について私がどうあるべきだということをやたら申しますことは、これは人事院の権限を侵すことにも相なると思いますので、ただいま石山さんの述べられた所見に対して、ちょっとした私の感じを申し上げたという程度にお受け取りをいただきたいと思うのであります。この期末手当の点につきましても、決定する前の段階においては、私は私なりの主張を強くいたしたつもりでございます。先ほどどうも給与担当大臣が不勉強の結果ではないかというおしかりを受けたのでありますが、結果において、石山さんのおっしゃる通りにいっていないという意味からおしかりを受けるのは、これはやむを得ないのでありますが、昨年の措置等にしましても、これに対して必ずしも石山さんのおっしゃるような見解のみではないのでございます。世の中にはおよそ逆の考え方の人もずいぶん多いわけであり、今度の場合におきましても、そういうことも見られるわけでございます。しかし給与担当大臣たる私は、私なりに主張するところは主張いたして参ったのであって、初めからこの期末手当についても、そうした顧慮が何も行なわれず、ないしは検討が行なわれず、この結果になったのかというような意味での御質問でございますが、経過的にはさような意味ではないのでございます。しかし結論がああいうようなことになりまして、従って時間的なズレが生じているということは、遺憾ながら事実その通りでございます。しかし先般来大蔵大臣も申しておりますように、いろいろの観点から検討の結果、最終的にさようなところに落ちついた次第でございますので、御了承を願いたいと思います。
  76. 石山權作

    石山委員 人事院総裁にお聞きしますが、給与体系の面で人事院としては大きく転換をする時期にきているのではないか。ということは、同一作業、同一賃金の生産性を念頭に入れている民間の給与を基準にして、公務員給与を勧告なさろうというこの態度は、私には非常に疑問がある。それはなぜかというと、民間の生産性向上というものと行政機関というものが、必ずしも一致しない。ということは、民間の性格というものと官公の労働者の性格というものとの間には、かなりの相違がある。私の今持っている書籍によりますと、いろいろな矛盾をなくそう、年功序列的なものをなくそうとしても、官公吏の場合には、上級職の管理職というものの年功というものは考えざるを得ないだろうというように、かなり詳細な例証を引いて決定づけているわけです。これはあなたと私とかなりの時間をかげてお話し合いをしなければならない点もあるだろうと思いますが、時間がないので、結論的に申し上げますが、そういう性格の相違がある場合に、長い間の習慣というか、それにはいろいろの事情もあるだろうと思いますが、そのままこれを踏襲していく、あるいは消費者物価指数の上昇率も一定の中においてその範囲を守ろうとしているやり方、こういうこと等もそろそろ考え直して、本来の公務員給与体系というものには、もちろん矛盾はあるだろうと思いますが、その矛盾を克服しながら、能率の上がる、勤労意欲の持たれる給与体系を、人事院としては当然考える段階にきているのではないかというふうに思いますが、その点について一つ承りたいと思います。
  77. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 先ほども来年功序列賃金と、職務給と申しますか、給与体系の問題についていろいろ御意見を拝聴いたしたのでありますが、要するに人事院といたしましては御存じのように、旧套墨守というか、安易なる気持を持って、そのまま延び延びになっておったわけではございませんので、たとえば三十二年には非常に大きな改正をいたしました。それからただいまのお話を伺っておりますと、結局勤労意欲を向上させるためにはどういう給与体系がよろしいか、これはおっしゃる通りでございます。やはり問題はそこに中心を置かなければなりません。そこでそのために一体どういう賃金体系がよろしいかということになって参りますと、これはなかなかむずかしい問題で、現在の段階としては、たとえば御存じのように、先ほど来御指摘になりましたような頭打ちを若干延ばすとか、あるいは官庁組織を——おのずから組織には組織としてのワクがございますから、かりに課長なら課長というふうに上がりませんでも、最高号俸を延ばすとか、いろいろ組織と給与との矛盾というものを逐次解消いたし、また国会なり組合方面の御要望も取り入れられますものは、地味ではございますが取り入れて、逐次改正いたしておるのでございます。ただ根本的にこれを変革することになって参りますと、お話しの通り民間給与公務員給与というものはおのずから性質が違います。これはなかなかむずかしい問題でございまして、現在の段階としては、現在の制度を逐次建設的に補正していくという方向で参りたいというのが、現在の状況でございます。
  78. 石山權作

    石山委員 私たちは、たとえば一人の労働者を見た場合にいつも言っていることですが、給料だけがその労働者価値を決定するものではないと思うのです。労働の内容というふうなものももちろんそれに付加されてくるだろうし、それからその職場によるところの特有な権利というふうなものが重なり合って、その労働者価値を決定すると思っているのです。そうしますと今のような公務員給与体系では、初任給の調整ということをやる。ベース・アップにならない初任給の調整、これはあなたの方で去年、おととしもおやりになったのです。ベース・アップにならない初任給の調整で糊塗しようとするこのやり方は、私は実にいけないことではないかと思う。逆に功妙に、ことしあたり日経連で盛んに言っている労務管理法をば、残念ながらあなたは前に打ち出しているような格好でございます。そして若い人たちを入れろという。そうすれば古い人たちの給料は一体どうかということでしょう。今までのやり方は私はそうだと思う。ベース・アップにならない初任給の調整によって、官は公務員の優秀な人材を集めようとなさいます。しかしこれは集まるでしょうか。なかなか集まらぬと思う。そうすると人事構成を見てみますと、中年だけがぐうっとふくれるということになるでしょう。こういう形態がくると、いやでもおうでも合理化を行なわざるを得ないという段階が必然にきます。ですから去年われわれが定員の問題を盛んにやったとき、中がふくれるということは擬装の高いベースになりますよ。それはそうでしょう。中年者が多くいるということは、ベースから見れば高く見える。しかし実際の生活状態からすれば、それは真実のベースじゃないのです。擬装のベースですよ。それを人事院は今まで見てきているわけです。ですから下部には不満があるということは歴然としているわけなんです。優秀な人材を集めようといったって集まってこないというような、そういう現象です。ですから、私たちはそういう意味でも初任給を高くするというやり方、そして中ふくまりにならないようなやり方をとらなければならぬですが、今のような人事院のやり方ではそうならないと私は思います。勧告の形態を見ているとそうならない。去年五万幾千名をば定員の中へ繰り入れたのですが、そのとき大蔵省は大へんに反対をしたのです。なぜ反対をしたかというと、この中ふくまりになる図形を持ってきたわけですね。ここだけごっそり入るのだから、将来の給与体系、人事形態から見ればまことにまずいものになるのだという意見で、私たちの言い分をばなかなか聞いてくれなかった。しかしそれでも何とかかんとかして所期の通りに定員繰り入れば行なったのでございますけれども、、私は先ほどあなたに申し上げたように、年功序列を生かす、年功序列の矛盾を生かして、初任者にも一つの希望を与えるとすれば、初任給調整が即ベース・アップにつながるという作業をなさらなければ、この問題は解決しない。そうして優秀な人が来いといったってなかなか来ないでございましょうし、職場においてまじめに働けといっても、私はなかなかそういう工合にいかないのではないか、こういう提案を、今度の勧告の中を見まして私思っているわけなんですが、総裁はどういうふうにお考えになっていますか。
  79. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 初任給調整手当につきまして御意見がありましたが、まことにごもっともでございまして、今度の初任給調整手当はただいま御指摘のように、将来のベース・アップといいますか、昇給につながらない。しかし決してそれだけで初任給を解決いたしておるのではございませんので、たとえば具体的に申しますと、初任給は初任給で千円なら千円上げております。ところが民間の最近の新しい採用方法というのは、御存じ通り一つの俸給体系というものの初任給に相当するものをよくするというだけの見地ではございませんで、たちまちほかの会社へとられるので困るから、自分の方へとってくる。そこでことし限りの措置ではございますけれども、そのときそのときに応じてぽんと初任給を引き上げるというような方法をとっておるわけです。そこで民間では御存じように、簡単にそこをぽんと上げまして、その前年なり前々年度のものを上げなくても、そういうことは割合割り切ってやっておるのでございますが、公務員給与体系というのは、そういうような給与体系というのは、はなはだ不健全でもありますし、また上級者との関係のバランスの問題もございますので、結局一つの労働市場としての民間との競争という関係もございますから、初任給を上げる中で、給与体系として上げまする部分と、民間のそういう一時的な対策に応ずる部分と、その二つを組み合わしたのが初任給調整手当でございまして、決して初任給調整手当でごまかして俸給体系の改善を怠っておるわけではございません。ですから七%に相当するものはずっと俸給体系で上げたわけでございます。
  80. 石山權作

    石山委員 人事院の作業状態については、私は私なりに高く評価している点もあるわけなんです。緻密に、こまごまとして熱心にやっている。しかしそのことが即公務員給与体系に大きくプラスしていることじゃないと思う。こういう小さなワクの中で、ワクの中だけはよく知っているのだ。しかしこのワクの中にいる人たちの気持というものは、あまり知らないかもしれません。なぜかというと、勧告される給与体系を見てみますと、そういう印象を受けざるを得ない。そこで何か一つ飛躍的なものが必要なのではないかということなんです。在来の型を破っていこうとするものが、これからは求められなければいけない段階にきているのではないかということです。今のままでいっては、年功序列のある点、これは上級職員です、管理職です。これは認めなければならぬと言っているでしょう。下級職員は民間と同じく同一作業、同一賃金の、生産性を念頭に置いたものの考え方で移行するとすれば、ここで矛盾が出てくるのは当然なんです。この矛盾をどういう格好で調和をはかるかということは、なかなか簡単にはいかないと思います。なかなか簡単にいかないということは、民間給与をそっくりそのまま上手に、精密に、正確に横移しをしてきても、これは本物にならないのではないかというのが私の意見です。この点は今即刻答えをいただける問題ではないでございましょう。しかしわれわれ給与を担当をいたしまして皆さんと長い間討論をした暁、この矛盾をどうしても解決するにはもう少し、今までの正確、緻密、熱心というだけでは済まなくなってきているのではないか、こう思っております。給与担当大臣としては、私らは残念ですが、敬意を表するというわけにいきません。あなたは一生懸命におやりになったという。あなたがその大きい体を小さくして御答弁なさっているのを見ると、いかにも恐縮したというふうに、一生懸命やったというふうに見えます。見えますけれども、実績とがちっとも上がっていないじゃありませんか。実績が上がっておらぬ。そこを私たち残念に思う。しかし先ほども大蔵大臣に対して僕らいろいろ申し上げたのですが、原資はあるのでございますし、皆さんの経済行政が妥当なのでございましょう。かなりに安定成長のめどがあるというふうにまだ言っているのだから、当然これはかなりのベース・アップに対して一文惜しみしないような格好ができるだろうと思っておりましたが、残念ながらそれはできませんでした。あなたはILOのところへ行かれて一席ぶって、だいぶ男を上げてきたというふうに聞いておりますが、どうなんでしょう。今度のこのILO批准の問題は、大国として外国の手前があるから提案をしておけ、こういうふうなことがもっぱら新聞等でも解説の中に書いてありますが、ほんとうの腹はどういうところにあるのでございますか。もう臨時国会も末期になってきておりますので、御説明いただきたいと思います。
  81. 福永健司

    福永国務大臣 最初に、ILOへ行ってぶってきたということでありますが、私はILOへは一ぺんも行っておりません。おそらくそれは列国議会同盟のIPUの間違いではないかと思います。男を上げたかどうか、それはどうだかわかりませんが、ILOのことについてはそういうことに御了承を願いたいと思います。  そこでILO関係の八十七号条約及びそれと関連を持つ諸案件の問題でございますが、これをすみやかに条約は批准し、また関連法律案の成立を期するという政府の態度には、ちっとも変わりがないのであります。御指摘のように臨時国会も余すところあまり多くありませんので、この問題の早急の処理を私も非常に焦慮いたしておる次第でございまして、従来の政府の方針通りの行き方ですみやかに善処をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  82. 石山權作

    石山委員 私先ほど給与体系の話を申し上げましたが、その一つとしてこれもお考え願いおかなければならない点は、諸手当の問題でございます。この諸手当の問題も今さら問題が起きたのではなくして、長い間の懸案事項になっておると思います。これはまた一つの賃上げの足がかりと申しますか、いろいろと問題を呼んでいるようでございますけれども、どれもこれもまた賃上げだというふうな大手を振るような手当にはなっておりません。法律的に生きているからたまたまつけるというふうな格好になっているわけです。これでは私はほんものの手当にはならないと思います。そして特に大きい暫定手当の問題等は、もうすっかりたな上げになったのか、話題に乗らないような段階になっておると思います。暫定手当の場合には特に基本給とともに考えられる問題であるし、経済が安定すればまっ先に取り上げなければならないウエートの重い手当でございます。これはこのごろ人事院がちっとも考えないということは、私は暫定手当、地域給当時の歴史的な面から申しましてもいけないことではないか、これも一つ今度の給与体系とともに考えてもらわなければいけないというふうに考えているわけでございますが、その点に関しましていかがですか。
  83. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 ただいまのお尋ねは一般的な諸手当の問題と暫定手当の問題と二つほどございましたが、諸手当のことについては、いわゆる特殊勤務手当的なものにつきましてはお話しの通り、やはりいろいろ不合理な点もございます。この点につきましてはただいませっかく検討中でございます。  それから暫定手当につきましては、人事院はほってあるじゃないかというお話がございましたが、決してそうではございません。これは実はこの前の国会が済みましたときに、人事院としてもこの問題についてはたびたび申し上げたように、いろいろ人事院の意見もございますし、国会方面の非常に強い御要望もございますし、いろいろ人事管理上の問題もございますし、前国会終了後今度は一つ暫定手当に本腰を入れなければならぬということで、給与局でも調査研究中でありましたが、この国会になりました。決してこれはほったらかしておるわけではございませんので、その点はどうぞ御了承願いたいと思います。
  84. 石山權作

    石山委員 人事院については、これは公務員のほんとうの権利義務、給与というふうなものを担当していられるのですから、われわれの一言々々はほんとうは血のにじむような息の通った言葉ですから、私どももこれからももっと十分に皆さんの方に話し合いをする、あなたの方も受けて立ってもらわなければならぬし、給与担当大臣はいなくなってしまったけれども、十分に話し合いをして、そうして矛盾をどこに落ちつけるか、こういう工夫をしょっちゅうなさっていただかなければ、いたずらに紛争をかもすというような格好になりはしないか。働く者が、官公吏の方が事を好んでやっているのではない。私は先ほど二、三の例を申し上げたように、いろいろとそこには矛盾撞着する面があって、それを払拭しなければならない。今まで見た面等が交錯しているのが今の人事院の給与体系であり、給与の面なんですから、その点は十分一つ考え願って、公務員諸君の話し合いに応じてもらいたい、こういうふうに申し上げます。  防衛庁長官にお伺いしますが、去年公務員は一二・四%昇給いたしたわけですが、自衛隊の皆さんはどういう格好で昇給なさったか。それからもう一つ、ことしは七・一%、公務員の方の定昇はおおむね一千円というふうになっているわけです。これは自衛隊の方々にはどういうふうな反映の仕方をするか。
  85. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 昨年一般職公務員は平均一二・四%でございました。それに対しまして自衛隊職員は一二・八%上げる。それから今回の引き上げは一般職が御承知のように七・一でございますが、自衛隊職員は七・六でございます。そしてこれは御承知のように今回の人事院の勧告はいわば低いところと申しますか、そういうところの上がる率が多かったわけでございまして、自衛隊職員も曹、士の職員が多うございますので、そういう結果になったと思います。従いまして一般職職員の上がった約一千円というものは、自衛隊職員についても同様でございます。
  86. 石山權作

    石山委員 これはこういうことを意味していますか。たとえば自衛隊を増員なさる。広告を出すけれども、なかなか所期だけ集まらぬ。やめようとなさる方を引きとめて、結局勤続年数の多い年功者の方々がだんだんに多くなっているというので、こういう数字が生まれてくるのでございましょうか。
  87. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 必ずしもそうではないと思います。現実になるほど募集はなかなか困難でございますけれども、最近の努力によりまして何とかやや上向きの状態になっておるわけで、従いまして勤続年数が非常に長くなった者ばかりが多いから、平均した上昇率が一般職よりも多いというわけではないと思います。
  88. 石山權作

    石山委員 私聞いているよりも、自衛隊の皆さんの給与の上昇率がいいようでございまして、大へんいいと思いまするが、食べものをちょっとお聞きしたいのです。これは何か金額としては、これは陸上自衛隊ですが、一日百四円二十銭、三千三百カロリーというふうに私記憶しているのですが、これは大体間違いございませんか。
  89. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 現在の糧食費は一日百四円、三千三百カロリー、こういうことでございます。
  90. 石山權作

    石山委員 私さっき給与の話をしたときに安定経済とか言ったけれども、大へん物価が騰貴しているわけですね。物価が騰貴した場合の操作はどういうふうになさっているのですか。
  91. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 今回御審議をお願いしておりまする法案が通りますると、糧食費は一日百二十一円になります。もっともこれは物価騰貴と申しまするよりも、食事の内容を改善する。たとえば現在ではまだ外米も食べておるのでございますが、それを純内地米にいたしますとか、麦の混合率を少なくいたしますとか、あるいはまた副食物にいたしましても内容をよくするというようなことでございますが、いずれにいたしましても百四円を百二十一円にいたしたいと考えておる次第でございます。
  92. 石山權作

    石山委員 そうすると三千三百カロリーは基準にしておいて、内容を少しくよくなさろうというようです。しかし私調べたのは夏ごろでございましたが、八月の野菜を調べてみたら、その隊では一四〇%の上昇率を見ている。しかし三千三百カロリーを維持しなければならないというものですから、副食物を減らして主食を多くした。それでまずい、いろいろな外米等をその中に入れてやってきたと言っているのです。そうしますと、夏にあまり消化のよくない穀類だけうんと食べるということは、これはだれが考えても健康維持から見れば好ましい傾向ではないわけなんです。そこで調べてみたら、がぜん夏になると残飯が大へんにふえるという傾向がちゃんと出ているわけなんです。ただしそれは即、隊員の疾病の件数が多くなる、こういうふうなことには通じていないようです。通じていないようだけれども、そういう現象がほうっておくと現われるということになるだろうと思います。それからそれをカバーする面としましては、主食を多く食べるということと、たとえばほかの費用で浮かしていく。たとえばお湯へ入ると水道、光熱費がかかるわけでしょう。だからお湯は四日に一ぺん、五日に一ぺんというふうに延ばしていく。こういうやり方をとってやっていると言っていましたが、物価騰貴になって、われわれの大切な子弟を預かっている自衛隊は、わずかのお金を出すことを惜しみまして、そして不健康なような状態にしておくようなことは、これは決して国の守りにはならぬと思うのです。いいことではないでしょう。こういうふうな物価騰貴に対処する何かの手があるはずなんだ。何もわけのわからない、速いジェット機を何百機そろえなければならぬというようなことも防衛の一つの任務かもしらぬけれども、われわれの子弟の健康体を維持していただくということはまず率先して、大切なことなんですから、そういうときにはどういうふうな便法を講じて、この物価騰貴に対処しておられるか。
  93. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 ただいま御指摘のような点もございますので、今回糧食費の改定をいたしたいと考えておるわけでございます。ことに今おあげになりましたように熱量のとり方を、今までは穀類に重点を置いておりましたのを、たとえば米にいたしますと今までは六百九十グラム、これを六百六十グラムに下げるというような、穀類によって熱量をとる割合を落としまして、できるだけ副食で補うというようなこともやっておるわけでございます。もちろんいろいろ地方によりまして、ことに生鮮食料品などについては物価の上下が相当ありますので、いろいろ苦労はしておるようでございます。今回のこの改定を御承認いただきますならば、相当な改善ができるものと考えておるわけでございます。
  94. 石山權作

    石山委員 それからもう一つ申し上げたい点は、健全ないわゆる防衛隊員といいますか、私たちはあまり健全にならないだろうと思っているのですが、それにしても図書などの数が大へん少ないようです。そうして隊員は逆にその少ない図書をばあさって読む。ですから常識的な隊員をたくさん作ってもらうことが、われわれのためには役に立つだろう。特に治安の問題、今度の自衛隊は治安が非常に重要任務にされている場合は、常識的な自衛隊でないと、治安ではわれわれと非常に相剋するような関係になると思います。常識的な問題になりますと、どうしてもいわゆる通俗的な、一般国民が知識的に得られる常識的な教育というものは、この場合非常に大切だろうと思う。ですから、何も兵隊さんの教科書だけ習わせておくことは要らぬ。恋愛小説も読まさなくちゃならぬ、マルクス・レーニン主義も読まさなくちゃならぬというふうに、窓口を広げる必要があると思います。その点も一つ今回新しい予算ではそれくらいのことは——飛行機なんか減らしていいですよ。飛行機なんか減らして、書物の数をふやすということを一つ工夫していただきたい。  それから東北地方になりますと、どうしましてもこれは学校の生徒さんもそうでございますが、雨天体操場を持たなければ、体育の向上も、健康の維持発展もなかなかできないわけなんです。その点を全然考えていないようでございます。冬季になって雪が降って、みぞれだけになりたときに、では隊員の方々は屋内で遊んでいられるかというと、そういうものでもないだろうと思う。かなりな強度な作業ないし訓練が行なわれるだろうと思うのですが、どうも外でばかりやらされるということも、東北、北海道の隊員にとつては、私はまことにつらいことではないかと思う。屋内でやれることもあるのではないか。屋内でやれることは屋内でやれるような工夫をしてもらわなければ困ると思う。行管の資料を見ると、役に立たないものを買っているのは、自衛隊がちゃんと例にあがっていますよ。郵政、国鉄、自衛隊と、ちゃんとあがっている。役に立たないものをたくさん買い込んでいるというのは——そんな役に立たないものをなぜ買うのです。役に立つようなことに金を使って下さいよ。長官、私の言うことは、何も社会党だからというて無理を言っているのじゃないと思う。私たちの健全な子弟をば健全にして返してもらいたいと思うのですよ。より常識的な人となって返してもらいたいから、そう申し上げているので、今度の予算にそういうことを考えられるかどうかということを一つ言って下さい。
  95. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 非常に御同情のあるお言葉をいただきまして恐縮でございます。われわれといたしましても、自衛隊員が健全な社会人として完成の道を歩むということが目標でございます。従いましてそれの教養のための図書その他につきましては、さらに努力いたしまして、十分広い視野に立った社会人として独立ができるような自衛官に育てていきたいと考えておる次第でございます。また特に積雪寒冷地帯における演習のための屋内の施設等につきましては、今後さらに努力をして参りたいと考えておる次第でございます。
  96. 中島茂喜

    中島委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時三十一分休憩      ————◇—————    午後三時九分開議
  97. 中島茂喜

    中島委員長 午前に引き続き会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。田口誠治君。
  98. 田口誠治

    田口(誠)委員 労働大臣給与担当大臣がお見えになりますので、明確にそれぞれの質問に対してお答えを願いたいと思うわけです。  実態から申し上げますが、人事院から勧告が出ましてから、公務員は五千円の一律ベース・アップ四月実施の要求をして、御承知通りの戦いをしております。今日までの質疑応答の経過からいきますと、人事院の勧告の内容についてもそうでございますが、五月実施を十月実施に延ばしたという理由については、正当な理由というものが明確に回答されておらないわけなんです。それで、こういう状態のままにおいてこの問題を多数決で決定をしていくことは、これはこの年末あるいは来春の闘争に大きな拍車をかけることになるので、当然こういう点については、労働大臣は御心配になっておられると思いますが、まず労働大臣として、こういうような状態の中においてこの給与問題をどう取り扱い、そして公務員の戦いをどう円満に処理していこうとするか、まずその抱負を承りたいと思います。
  99. 福永健司

    福永国務大臣 給与問題と関連いたしましての労働大臣としての立場は、できるだけ労働者も、また使用者の方も、両方納得するような姿において賃金の決定が行なわれ、万事円満にいくことが望ましい、こういうことになるわけでございます。  ところで公務員給与の問題につきましては、率直に申しまして、公務員諸君が大へんけっこうだというような工合に納得するというところまでいっていないことも、私は事実として認めるわけでございます。従って、たまたま労働大臣たる立場と給与担当大臣たる立場を兼ねておりまする私が、それらの点につきましては非常に苦慮いたしております次第でございます。できるだけ納得される姿においてということが望ましいのでありますが、しかしこの種の問題は、なかなか両者が全面的に納得するということの困難な場合も起こり得る次第であります。さような見地から、今度の公務員給与の決定ということにつきましては、私は一面労働大臣的感覚を持って、できるだけ公務員諸君考えておりますようなことも、大いに閣内でもこれを認識してもらうように努力いたしますと同時に、また適当な時間内に政府としての見解の統一もはからなければならぬというようなことであったわけでございますが、たまたま御審議を願っておりまする法案につきましても、いろいろ御意見の存するところでございまして、私のみならず、財政当局その他いろいろの責任者が伺いまして、皆さんの御質問にお答えをいたしておるのでございます。なおいろいろ御意見のある様子を拝見しておりまして、私も何とかこれらの問題が早急に国会としての結論にも到達するように願っておる次第でございます。
  100. 田口誠治

    田口(誠)委員 労働大臣も、当面の問題について相当御心配になっておる点は、回答の中からも察するわけでございますが、ただ心配をされておっても、ものは解決できないわけです。それで、その解決の方法といたしましては、公務員側の方から要求をした、それを出す政府側として、満配なものを解決策として、かもし出すということは、これは民間の労働組合の場合でもないとは言えませんけれども、やはり相当困難性があるわけなんです。従って、私はあとから人事院総裁にもお伺いしたい点がありますけれども、とにかくこの五月実施を十月に延ばしたという理由は、これは十九日の政府側の答弁からいきますると、金はあるんだ、ところが遡及精算すると、インフレをかもし出すのだという一口に言えば、こういう表現で回答をなされておりましたし、それからきょうの大蔵大臣の回答からいきますると、金がある云々という点については口を固く閉じておられたわけです。そうしますると、やはりこの延ばしたという理由について、正当な理由、これこれこういう理由からやむを得なかったという点が国家公務員の方でもわかれば、これは了解する点も——組織も人間であり、人間の集団でございますから、そのときの事情においては了解する面もございますけれども、ただ単なる現下の経済情勢にかんがみてという一片の表現であり、その表現をつきますると、先ほど質疑応答のありましたような、のらりくらりとした回答で、つかみようのないような回答がなされている以上、おそらくこの問題を強行に採決決定されたあと公務員の戦いというものが、非常に私どもの憂うべき状態になるのではないかという点を私自身も心配しておるわけで、それで給与大臣から、とにかくもう少し公務員諸君が納得のいくような、こういう理由でやむを得ず延期をしたのだという正当な理由というものを、ここで明確に示していただきたいと思うのです。
  101. 福永健司

    福永国務大臣 しばしば表現いたしましたるごとく、人事院の勧告というものは、これは当然尊重すべきものであり、公務員につきましては、普通の労働組合なんかと違った労働法上の立場もあり、従っていかに考えるかということについては、私も重々承知をいたしておるつもりでございます。公務員行政だけから申しまするならば、私はまさしく人事院勧告の尊重について、内容とともに実施時期について、五月一日からということが望ましい、と給与担当大臣としても存ずる次第でございますが、他の閣僚諸君からもたびたびお答えしておりまするごとく、内閣といたしましては、責任を持って国の施策全体の中でどういうようにきめていくかという問題もあるわけでありますので、そういった点から、繰り返し大蔵大臣が述べておるようなこと等もあるわけです。公務員諸君に、今まで大蔵大臣が言っておりますようなことを繰り返して申しましても、なかなかこれは立場も違いまするし、田口さんのおっしゃるように、わかってもらってやるのが一番いい。それは私もまさしくそう思うのでありますが、なかなかこれは、わかってもらうのは容易じゃなかろう、こういうように思うわけでございます。現に私自身も、閣内にあってこの結論を出す前に、大蔵大臣等の主張をごもっともというまでにはなかなか至らなかったわけでございます。しかし、総合的な判断を下す場合におきましては、一つの意見だけでもなかなか参らないわけでございます。そこで、内容は全面的に尊重して、その通りにするのであるが、実施時期については十月一日から、こういうことになったわけであります。私は、あえて大蔵大臣等の申しましたことを繰り返すわけではございませんが、財政上の余裕もないわけでもないけれども、地方財政その他への波及等も考え、いろいろの事態を考慮して、総合的に先ほどから申し上げておりまするような結論に到達せざるを得なかった、こういう次第でございます。立場の違う方から申しますと、大へんすっきりした話とまでにはなかなか参らない。従って、みんながみんなに納得してもらうということは、なかなか容易ではないというように私自身も考えるのではございますが、しかし、これについては、関係者一同ができるだけ御理解をいただけるように、今後も努力をしなければならない。結論は、政府としてもうすでに出しておることでもございますので、ひたすらそれを考えておる次第でございます。
  102. 田口誠治

    田口(誠)委員 労働大臣は、労働政策全般について、いろいろ仕事をしていただくわけなんですが、民間の労使関係と官公労の場合は、おのずからその内容を異にいたしております。しかしながら、公務員の場合の使用者というのは、大きくいえば国民であろうと思う。その代表として事に当たられるのは、これは政府である。それで、政府と官公労というのは、やはり労使間の関係で事を処理していかなければならないと思います。従って、私は学者ではありませんけれども、そう言っては悪いけれども、専門家でございまするが、こういう問題と取り組んだ場合に、人事院というこの法的な制度がある以上は、これはしばしば言うことでございますが、いずれにいたしましても、いろんな経過をたどりまして、公務員の場合は、一番団結権を発揮できるところの争議権というものを剥奪した代償として、人事院というものが誕生いたしておるのでありますからして、法律的には、この人事院の勧告を守らなければ、ここでこう処罰されるんだというような法律はできておりませんけれども、道義的な面からいきますれば、これは当然守らなければならない内容のものであるわけなのです。従ってそういうことから、万が一守れない結論の出る場合には、担当大臣が直接公務員と話し合いをされて、これこれこういうような理由でこうなるのだというようなことが、そうした行動を国会になされる前に、また閣内で意見の統一をされる前にお骨折りをされるのが当然であろうと思いますし、それをやらなければ、やはり労働政策というものの完全な履行、任務というものは果たせないと思うわけです。それで、福永給与大臣は、いずれにいたしましても、人事院の勧告通りに実施ができないという状態になろうとしたときに、国家公務員諸君と会って、こういう状態でどうしても人事院勧告を受け入れることができないのだという理由を説明されるようなお骨折りを担当大臣としてなされたかどうか、こういう点は、いまだ私は聞いておりませんので、その点をお聞きしたいと思うわけです。
  103. 福永健司

    福永国務大臣 労働大臣ないし給与担当大臣といたしましては、勧告を尊重すべきものであるということについては、全然異論はございません。ただ先刻も申し上げますように、政府の施設全体との関連において、総合的に判断、考慮しなければならないという点も、否定できない次第でございます。この点の調整が、今度の場合も非常にむずかしかったわけでございます。先ほども申し上げますように、実施の時期等についても、勧告通りにいくことが私としては最も望ましかったのでありますが、遺憾ながらさようにいかなかった。その事情については、先ほども申し上げた次第でございます。しこうして、どうしても部分的に勧告通りにいかないようなことがあるならば、公務員の代表諸君とも会って、いろいろ話をすべきであったというお話でございますが、私も幾たびかお目にかかりました。ただ公務員共闘の代表者の諸君等に、向こうが会いたいと言われるだけの回数は、お目にかかることができなかったのは事実でございます。これは正直に申し上げます。たまたまあれを決定いたします前後が、これは政府の者としての仕事ではなくて、私の国会議員としての立場よりいたしまして、列国議会同盟会議に行かなければならぬ。それも、最初は私が行かないようなことも考えておったのでございますが、核実験の再開というような事態が起こりまして、わが国といたしましては、この世界の会議においてわが国の立場を大いに説いて、また世界人類全体のために、核実験はやめさせなければならぬというような観点からの顧慮をいたしまして、急遽ブラッセルの会議に向かうことに相なりました。これも、たまたま私が列国議会同盟の執行委員をやっております関係上、この問題を緊急上程せしめるというような立場におきましては、執行委員である立場において強く主張しなければ、普通の議事手続をもってしては、春の会議に出ている問題ではございませんので、秋の総会に取り上げることがなかなかむずかしいという事情等がございまして、私が急遽参りました。その前に公務員共闘の諸君にも会って、事情を申しておいたのであります。田口さん御指摘のように、そのときにまだ納得してくれるところまではもちろんいっておりませんでした。そこで、問題の解決を閣議で結論を出すのも急がずに、もっと時間をかけてという希望等もあったのでありますが、臨時国会等の関係その他におきまして、政府でもやはりある程度の、これは政府は政府なりのタイミングを考えまして結論を出した。この結論を出した時期につきましても、公務員共闘の諸君は不満のようでありました。帰って参りましてからも、幾たびか代表者の諸君に会ったのでございます。お話のごとく、給与担当大臣ないしは労働大臣としての私の言い分が、わかったと言ってもらうところまで行ってないことを残念に思います。しかし、いろいろ話は私の方でも聞きました。先ほどの一律五千円アップの話等もされたのであります。こういった考え方、その他人事院勧告そのものについても、公務員諸君はこれでよろしいと言っているのではない。また先ほどお話しのように、争議権等を与えられていない公務員に対して、政府はいかに考えるべきかということ等につきましては、私は私なりにできるだけの主張もいたしたのでございます。しかし、また話は戻って大へん恐縮なんでございますが、閣議全体の構成メンバーによる総合的判断は、遺憾ながら私の主張した通りには参らなかった、こういうような次第でございます。しかし公務員の代表の諸君とは、今後ともまたいろいろ会って話も聞き、私も申し上げて、御不満は御不満として、できるだけ今御注意のありましたような点について、国のために働いてくれる諸君が気持よく働いていただけるというようなことには心していかなければならぬ、かように存じておる次第でございます。
  104. 田口誠治

    田口(誠)委員 閣議決定後ということにつきましては、これはなかなか交渉をしても、話し合いをしても、かんを立てておりますから、なかなか話し合いもむずかしいでしょうけれども、私の申し上げるのは、こういう労働問題を取り扱うテクニックとして、人事院から勧告されたその勧告通りに実施できないその時点において、当然これは担当大臣から、相手の公務員諸君と話し合いをして、正当な理由を披瀝されて納得されることが最もいいあり方であろう、こういうふうに考えておったわけですが、ただいまの御回答からいきますると、公務の旅行のために、こちらに残って十分にそういうことを尽くすことができなかった。ところがその点については、他の者に託しておいた、こういうような御回答であったと思いますが、これは、やはり民間の場合でも、社長がおらなければ副社長がやるとか、支店長がおらなければ支店長代理でやるとか、やはりいない場合にはそれぞれその権限を、問題については委譲もし、そして交渉の一つの命令も行なっていくわけなんですが、労働大臣の場合には、そういうことをどの程度真剣になされておるか。それからあとに残られた方が、その閣議決定前にはあまり話し合いをなされておらぬと思うのです。その前というのは、人事院勧告通り実施できないという、不可能という点がやや感知されたときから、この問題についてやはり十分になされておらないと思うのですが、私はこの点が一番労働政策として、労働組合の対策として、担当大臣としては大切なところだろうと思うのです。それで、だれにどういうようなことを託して、その人がどういうような行動を行なったのか、行なわないのか、この点もやはり伺っておきたいと思う。
  105. 福永健司

    福永国務大臣 私の不在中は、灘尾厚生大臣に臨時代理をお願いしたのでありますが、今、田口さんのおっしゃる意味で、私が問題をペンディング、未解決にしておいて、臨時代理の方に託して行ったという事情ではないのでございます。この公務員給与の問題につきましては、私が出発する前に閣議の決定をいたしておるのでございます。ただ少し違った意味で、本委員会の問題とは少し違うのでございますが、失業対策事業就労者の給与の問題については、ある発言をしておいて、未決定で参り、留守中に灘尾厚生大臣が、生活保護基準の引き上げと関連して大いに主張してくれたが、意のごとくいかなかった。帰って参りまして、そこで他の何らかの方法においてということで、私は鋭意努力中で今日に至っておるわけでございますが、公務員給与につきましては、出発前に閣議の決定をいたしたのでございます。そうして田口さんのおっしゃるように、決定前にどうしてもっと話し合いをしなかったかということでございますが、正直に申しまして、私は決定の瞬間まで、実は田口さんのおっしゃるような五月一日説で、一歩も私自身は下がっておりません。そこで、ぜひ勧告そのもの通りに今年はというように、強く主張いたしておった次第でございまして、まだ閣議の決定に至らざるうちに、どうもうまく行きそうにないから、十月というようなことでがまんしてくれろというような交渉は、私事実いたしておりませんし、私の今申し上げました事情が正直な事情でございますので、そういうことは、私としてはなかなか言えるはずのものではございませんが、しかし実施時期等につきましては、なかなかむずかしい事情があって、どうも雲行きとしては勧告通りというのがよほど困難のようである、しかし私はあとう限りの努力をしたいと思います、というような事情を代表の諸君にも言ったことを記憶いたしておるのでございます。そこでその際に、そういうようなことを含めて、さらにまた人事院勧告全体についての考え方等も、公務員共闘の諸君等は、いささか私どもと違う考え方等もしておりまして、国会の用務で、ことに核実験禁止の問題で世界の会議に行くということは、これは日本人としてもよくわかるから、それは行くがよかろうが、閣議決定は急がぬようにというような話はずいぶんあったのであります。しかしこの点は、どうも臨時国会とのタイミングの関係その他からいたしまして、遺憾ながらこれらの諸君の言わるるがごとく、閣議決定をずっとあとにというわけには参りませんでした。しかし、私の主張いたしました通りのようにもいかない総合的最終結論でありますだけに、さらに最終決定までに、時間をもうしばらくでももらえないかというようなこと等も言ってみたのでありますが、先ほども申し上げましたように、タイミングがもうぎりぎりのことでもあり、この種のことは、内閣全体といたしますと、あまり時間を置くと、なかなか決定ということについてよけいめんどうにもなるしという顧慮も、ほかの人からはあろうと思うわけであります。そんなことで、今申し上げましたような経過を大略経たわけであります。労働大臣ないし給与担当大臣として、どうもあまりうまくないじゃないかと言われまする手際の点に至りましては、どうも、私も今後いつまでやっているかわかりませんけれども、今回の事例を参考にいたしまして、大いに心していきたい、こういうように存じておる次第でございます。
  106. 田口誠治

    田口(誠)委員 この問題に関しては、これは労働大臣、また給与担当大臣がイニシアチブをとって、閣議でも主張されなければならないし、   〔委員長退席草野委員長代理着席〕 他の閣僚の方々も、やはり大臣の意見というものには相当ウエートを置かれなければならないと思うのです。ところが、その瞬間まで人事院の勧告通り守ろうという考え方でおられたということは、相当主張されたのだろうと思いますが、当然あなたの意見に大きくウエートを置かなければならない閣僚諸君が、最終的にはそのようにならなかったという点については、これは十九日以来質問を申し上げてはおるのですが、もう少しざっくばらんに、こういうような理由があって、どうしても工合悪かったのだ、こういう点を明確にしていただくわけにはいきませんですかね。
  107. 福永健司

    福永国務大臣 それらの点を、先刻も横路さん、石山さん等の御質問に対して、大蔵大臣も繰り返し答えていたようでございますが、大蔵大臣を初めとして何人かの人たちが、必ずしも私の主張したようなことだけで結論に達するわけにはいかぬという考えでありました。大蔵大臣の申しますことを私が繰り返しても、繰り返しているうちに幾らか食い違ったりしては工合が悪いので、どうぞ一つ大蔵大臣の申しますことは、田口さんよく御存じ通りでございますから、御容赦をいただきたいと思いますが、一連のああした考え方——私は私なりに筋の通ったことを言ったつもりなんでごいまするけれども、やっぱり筋もいろいろ筋がございますので、結局総合的に結論と、こういうことに相なりまして、御承知通りの結果になっております次第でございます。そこで私は、田口さんが経過的なことについて御質問でございましたので、実は正直に申し上げた次第でございますが、最終結論を得た後は、国務大臣の一人といたしまして、その結論に忠実であらねばならぬ、こういうことを先刻も申し上げた次第でございまして、ただいまの段階におきましては、いろいろそういうことを総合的に考えたけれども、最終的には、先刻来申し上げておりますような次第でございます。こういうことで御了承いただく以外に方法がないわけであります。
  108. 田口誠治

    田口(誠)委員 大蔵大臣が、大蔵省の予算編成をする責任者として、大体人事院の勧告は五月から実施をするというようなことをきめてもらうこと自体が、これはやはり予算に組めないことになるのだ、いわば補正予算にはこういう予算は組むべき筋合いのものではないのだというきわめて根拠のない点から言われたわけなんですが、それに関連をして、人事院の総裁は、来年度はその時期をどうするかというようなことの質問に対して、今のところでは次のことは答えられませんというような内容のことが、回答の上にあったわけなんです。そうしますと、去年は金がないといって延ばした。ことしは、十九日の回答では、金があるのだったのに、きょうになったら金がないということになり——金がないというか、今はぎりぎり一ぱいという表現を、大蔵大臣は回答の中で言われたわけなんです。言いかえれば、またことしも金がないということを言われたわけなんですが、そこで、重要な要素といたしましては、人事院の総裁は、十九日以来の質疑応答の経過から見て、大蔵大臣が、とにかく四月や五月に実施をきめてもらったとて、それはできないのだということをはっきりと言われておられるのであるから、それを変えようとするなれば、十九日の質問にも申し上げましたように、その裏づけとなるところの指数をとる月を変えなくちゃいかぬのですね。四月現在というとり方がしてありますが、そういう月を変えなくちゃならぬですね。これは、今までの総理府の統計のとり方の時期を変更しなくてはならないと思うのですね。しなくてもできるなら、それはできるでよろしいけれども、そういうことになると思うのですが、そういう点とからみ合わせて、これは入江さんに聞いても、先ほどの答えと変りないと思いますが、私は、やはりこれはあくまでも一つの労働問題ですから、それで、労働政策の一環としての給与の問題であるから、こういうむずかしい内容が明らかになったのであるから、労働大臣としては、こういう経過からいって、今後どういうような考え方をお持ちになっておられ、関係の省に対して、それぞれ具申をされる用意があるかどうか、こういう点も、ここでお聞きをしておきたいと思うわけなんです。
  109. 福永健司

    福永国務大臣 この点は、今田口さんがいろいろ御指摘なすったようなこと等もあって、人事院さんがとくとお考えになって、どうするのがいいというようにお考えになれば、私はそれを尊重するという建前で、人事院さんの方でどういうようにお考えになる方がよかろうとか、基準はどこらにおとりになって、今までのようなことでは工合が悪いんじゃございませんかというようなことをちょっと申し上げにくいのでございます。私といたしましては、今日までの経験にかんがみて人事院がお考えになることについては、尊重していきたい、こういうように存じております。
  110. 田口誠治

    田口(誠)委員 この問題は、ややもすると圧力というようなことに変わる場合もありまするので、一応労働大臣のその考え方は、基本的な取り扱いとしては了といたします。  これは人事院の総裁の方へお伺いするのですが、この問題について、とにかく公務員諸君があのように戦っておられることは——何といっても公務員法の一条の目的に反するわけなんです読み上げなくても御存じだと思いますが。そうしますると、やはり人事院というものは、何でもいいから公務員の方から給与の要求が出れば、いろいろそこで審議をして、結論を出して、一つの案を出せばいいというような、そういうものではないわけです。あなた方の仕事というものは、公務員が持っておったところの武器のかわりにあなた方ができたわけなんですよ。その武器のかわりにできた人事院が、安易な考え方で、案が出たからとにかく慎重審議をして、勧告の時期はいつになるかわからぬけれども、とにかく結論を出せばそれで事は足りるのだというようにお考えになれば、これはやはり大きな問題だろうと思うのです。それで、午前中の質問にもお答えになったあのお答えは、私はきわめてふまじめと言っては語弊があるかもしれませんが、不満足な回答であるわけなんで、とにかく大蔵大臣が四月や五月に基点を置いてもらっては、はっきり予算編成上からできぬのだと言っておられるのを変えようとするなれば、おそらく指数をとる月というような点についても変更されなくてはならないし、ここまでくれば、おそらく人事院の総裁も、今後どう考えるべきであるかということはおよそ頭の中には構想は持っておられると思うのです。それで、今日は構想以上のものを伺っても無理だと思いますので、今日までの質疑応答の中からきた、むずかしさの上においての今後の構想、来期の構想をどういうようにお考えになっておられるかをお聞きしたいのです。
  111. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 この人事院の勧告に対しまして、それぞれの方面においてそれぞれのお立場から御意見があり、また御不満があるということは十分拝承いたしております。しかし人事院といたしましては、公務員法の精神に誠実に従いまして勧告いたしておるつもりでありまして、そこで政府の方でいろいろ御意見がある、それに対して、たとえば来年どういろ構想を持ってやるかということにつきましては、やはり大きな線といたしましては——来年のことはどういうふうになりまするか、これは見当がつきませんことでございますし、来年の調査の結果によって人事院も態度をきめますわけでございますから、現在としては全く何とも申し上げられません。ただそのお尋ねの御趣旨が、先ほどの大蔵大臣お話の五月実施と十月実施といいますか、この問題について、調査基点とか、あるいは指数をどうとるような考えを持っているかというような意味の御質問でございますけれども、これはこの指数というものとか調査時期というものとは直接関係はないと思います。やはり調査は、現在のところ、来年のことははっきり申し上げられませんけれども、こういうものをあまりその年その年によって調査時点を変え、調査月を変えるということは、これはまた統計の正確も期せられませんし、いかがかと思いますので、やはり一年たった四月を基礎にすべきことが適当だと思いますが、四月を変えましても、これはそのときの政府の御見解によることでございますから、そのために四月を変えるかどうかという問題とは、直接の関連がないように思います。やはり人事院といたしましては、どこまでも公務員法の趣旨に従って、政府のお考えがいかにあるかは別として、一つ考えさしていただく、そこに今後の方針があるのではないかと思っております。
  112. 田口誠治

    田口(誠)委員 総裁は、公務員法にのっとってやっておると言われますが、公務員法の第一条の第一項には、やはり公務員労働条件を十分に見てやって、そして公務員労働者が職務の遂行にあたっては、最大の能率を発揮できるような方法を講ずべきであるということが、第一点として述べられておるわけなんです。そうしますると、大蔵大臣の言っておりますように、四月や五月に出してもらっても、これは受け入れられないのだ、予算編成上から受け入れられないのだということを明確にいっておる以上は、来年も同じになるということなんです。そうすれば、やはり公務員諸君がこれを不満として、そして要求をぶつけて、そして闘争を巻き起こす、闘争を巻き起こすことは、これは能率の向上ということになり得ないわけなんです。そういうことからいって、私は今までのお考えをお変えになる必要があるのではないか、こういうように考えられる。それがないと言われるなら、これはまことに大蔵大臣の回答からいって、今後公務員諸君のますますかんを立たせて、そして私どもの憂えるような戦いに拍車をかけることになるので、私はそういう点を憂えて今御質問申し上げておるのですから、それ以上の答弁がなければ、それでよろしいけれども、あれば補足してもらいたいと思います。
  113. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 田口さんが公務員給与並びに勤務能率という大きな点からお考え下さって、いろいろ御主張があることは非常にありがたいことでございますが、この問題は、大蔵大臣のけさほどの御答弁によって、人事院が調査あるいは勧告の時期について何か別な構想があるかということにつきましては、大蔵大臣がどうおっしゃったからどうとかいうことで、また勧告のいろいろな内容について考慮するということはいかがかと思いまするし、   〔草野委員長代理退席委員長着席〕 ただいろいろそこに技術的な問題があるといたしますれば、これはまた一つよく研究いたします。研究いたしますけれども、根本の問題といたしましては、やはり人事院は、公務員法の精神に従って、十分一つ公務員の利益を考えて勧告するという線になると思います。なお一つ十分研究さしていただきます。
  114. 田口誠治

    田口(誠)委員 重ねて申し上げておきますが、人事院はやはり法的な措置によって生まれて、りっぱな有人格を持っておるのですけれども、有人格があってないようなのが現在の実情であるわけなんです。ここに問題が出てくると思うわけです。有人格という表現が、ちょっと抽象的でわかりにくかったかもわかりませんが、人事院は人事院としての一つの権限、使命、こういうものがあるわけです。ところが今のところでは、それがあってないような状態にあるわけなんです。出されたとて、それは実施されないということになりますると、実際において守られぬということになれば、権限があってないようなおかしいものであるわけなんで、ここに今後の公務員諸君の戦いに非常に拍車をかける一つの要素もできてきておるので、私は大きく憂えておるのですが、こういう点については、何回繰り返しても同じだと思いますので、これ以上は繰り返しませんけれども、そういう点を十分に参酌されて、今後の人事院の勧告の問題については慎重を期していただきたいというのと、当然一つの任務と権限と責任というようなものをお持ちになっておる有人格のある人事院は、それだけに出されたものは、政府に対してもいろんな政治的な働きかけをしてでも、のませるくらいの信念というものがなくてはならないと思いますので、この点は質問よりも、私の方から注文を申し上げておきます。  労働大臣にお聞きしたい点がありますけれども労働大臣向こうで話しておりますので、帰ってきてからにいたしまして、ちょうどその間でございますので、一つ人事院にお伺いいたしたいのであります。  今度の「給与に関する報告と勧告」の内容の書いてある人事院の月報の中に、研究職の給与については別扱いにするという点が抽象的にうたってあるわけです。これは具体的にいえば、研究職員の人たちの今度の上昇率の問題については、能力のある者については二段階くらいはやるんだ、そして一段階もあるんだ、こういうことになると思うのですが、そういうことになるとするなれば、実際人事院として全体的な給与の勧告に対するところの責任を持つというにつきましては、一つの責任のがれというものが出てくると思うのです。人事院から直接研究職の職員のところに行って能力を査定してみたとて、なかなか査定できるものじゃありませんし、一つ給与表があれば、それに基づいてやるんならやれますけれども、それ以上に能力のある者については、特別の上昇を行なうということになりますと、これは現地にまかせなくてはならない。この給与の問題を、一括人事院で取り扱っておられるのを現地にまかせられるということになると、これは他との均衡上おかしいものがそこに生まれてくるのじゃないかと思うのですが、どうなんですか。
  115. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 ただいまお読み上げになられました勧告の研究職俸給表の優遇の方法でございますが、この点は、決してただいま御指摘のように、研究職というものを別扱いにいたしまして、各省で、研究職に限って勝手に何段階でも昇給できるというふうなことを考えていたしたわけではございません。これは少し説明さしていただきませんと、御理解いただけないと思いますが、御存じのように、一般の行政組織の方は、行政組織を中心にして俸給表が組み立てられております。それから教職員につきましては、御存じ通り、大学の先生にしても高等学校、中学校の先生にしても、組織的に考えませんで、御本人の一つの能力といいますか、御本人の経歴というようなものが中心になってきめられておる。  そこで、研究職というのが従来のように七等級といいますか、あまりたくさん障壁を作っておきますと、結局室長にならなければ、つまり上位の等級になりませんから月給が上がらぬ、そういうおそれがございますので、研究職もやはり大学の教官とかいうものに似た一つの職種として、等級の階層を少なくいたしまして、研究能力によっていわゆる等級が上がるように道を開いたということが一つでございます。  それからもつ一つは、等級が上がりますときに、能力に応じてといいますか、能力を実証するということが起こって参りますが、これも決して各省に——これは御指摘通りでございまして、あまりそこに重点を置きますと、バランスがくずれますから、現在の俸給は、やはり官職についたものに俸給を出すわけでございますから、いわゆる定数と申しますか、たえとば主任研究官とか上級研究官、これは一つのかりの名前でありますが、そういう定数はもちろん人事院で押える。そこに参ります一つの方法として、これは研究職に限らず、教育職でもいろいろ職種に応じた選考方法がございますので、単純に組織体的にものを考えないで、研究能力を判断して、その官職につけ得る道を開く、その程度でございまして、今のお話のように、ほかの職種と変わった特別の取り扱いをきめておるわけではございません。
  116. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうしたら、等級を一つ全体的に繰りかえたということ、そういうように確認していいのですか、それ以外のことはやらないで。
  117. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 等級を一つ少なくいたしましたというか、障壁を少なくいたしましたこと、それから上の等級に上がりますときに、今までのように室長とか部長とか、そういう組織上の官職になりませんでも、研究職として公務に従事する一つの必要といいますか、能力があると認めて、上級研究員なら上級研究員になり得るという道を開く、これは何も研究職だけではございませんで、いわゆる専門官職というのがそれでございまして、現在技術職員全体について——技術職というのはどうしてもポストがございませんから、ポストがないために月給が上がらぬというのでは、工合が悪うございますから、やはり技術の方面の能力から判断した一種のポストを作って上に上げるというふうなことと関連しておるのでございまして、研究能力に応じてその職場で貢献し得るような道を開くために、若干昇進の道を開く、その二つでございます。
  118. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうしますと、二点あるのですね。このあとの方の面については、何人該当するかということはわからないのですね。場合によっては、全員が能力があるから全員上げなければならぬ場合もあるかもわからないし、場合によっては、その該当者がないかもわからない。こういうような点を現地にまかせるとするなれば、一つのワクというものを与えてやらなければならぬ。上げるとしても、幾ら能力のある者がおっても、これこれのワクより上げてはいけないぞという、こういうワクというものを与えなければならないのだが、そういうワクができておるのですか。
  119. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 御指摘通り、そういうことは実際問題としてあり得ませんけれども、あるところでは全部上がるとか、あるところでは一人も上がらぬ、こういうことは実情に即しませんから、やはりおのずから定数といいますか、ワクができると思います。それを、どの程度のワクを作るかということは、今後役所の実情も考えながら、一つ検討いたしたいと思っておるわけであります。
  120. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいま私の御質問申し上げたことは、まだこれから検討するのですね。
  121. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま総裁からお答え申し上げましたように、能力がある者は幾らでも無制限に上げるということではございません。これは総裁が申した通りであります。おのずから、一つの研究機関が最大の能力を発揮するためにどの程度の研究官職を必要とするかというようなことが、一つの判断の基準になります。これは、簡単に作れるものであるとはわれわれ思っておりません。非常にむずかしいものだと思っております。しかしながら、研究能力あるいは能力というものを一つの判断基準にいたしまして等級というようなものを考えるということは、たとえば大学教育職におきましてもあることでございます。われわれといたしましては現在研究中でございます。これから新たにやるということではございません。これは法律が通らなければ実情に即さないということはありますけれども、われわれとすれば、これはできるだけ早く準備しなければなりませんので、現在も研究中でございます。まだ現在結論を得ておるという段階ではございませんけれども、研究を進めておる段階でございます。研究能力によりまして、どれくらい上のポストを作ったらいいか、これはただいま申しておりますように、現在研究を進めておりまして、なるべく早い機会にこの結論を得たいと思っておるのであります。もっとも最初から、そんなにうまいこときちっとできるかどうかわかりません。試行錯誤というようなことも今後あろうかと思いますが、漸次これは改良されていくべきものであろう。しかし、それかといって、最初からいいかげんのものを作るというつもりはございません。十分研究をいたしまして、それに相応したような定数を作りたい、このように考えております。
  122. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこが問題だろうと思うのです。たとえば同じような能力の人が十名おりまして、定数が五名だということになれば、能力が同じでも、上げてもらった人と上げてもらえなかった人とできるのですから、あとの五名とここに非常に不公平ができますね。だから、この問題はやすいように考えられますけれども給与局長給与局長という名前通りに専門家であろうから、私は、それ相当の抱負は持っておられると思いますけれども、私どもが民間の会社で能力査定をいたしまするときに、一つのワクのあった場合には、非常にその点で苦慮するわけなんです。ワクをはずせば、これは予算の面に関係してきまするし、これを通すということになりますると、これはやすいようで、実際に行なおうとすると非常に不公平なものができ、そうして研究職の職員が、お互いにいろいろなまずい気分で職場で働かなくてはならないということにも相なるわけでございます。それで、いまだに一つの案を持ってお見えにならない段階においてこういうものを出されたということは、私は、これはきわめて軽率なことでないかと思うわけなんです。これはあとの祭になると思いますけれども、非常にこういう点はむずかしいと思いまするので、そういう点につきましては、研究職の職員の方ともやはり十分相談もしていただき、意見も聞いていただき、公務員諸君の意見も聞いていただいて、そうしてその一案というものを作っていただきたいと思うわけなんですが、こういう処置をとっていただけますか。
  123. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 科学技術を振興しなければならないということは、現在の場合、わが国としては非常に必要なことであるということは、われわれ自覚いたしております。また、現に科学技術振興につきまして責任を持って推進しておられるのが、科学技術庁でございます。科学技術庁は、研究を盛んにするということが目的でございまするので、そういう点に関しまして、科学技術庁の御意見というものは十分尊重しなければならぬというふうにわれわれは思っております。また一方、研究公務員の組合の方々からも、いろいろ御意見は出ておりますが、能力査定というようなことはできるものじゃないから、むしろやらぬ方がいいじゃないかというような御意見も出ております。これも、われわれ忙しいので、しょっちゅうお目にかかるということはできませんけれども、すでに勧告によりまして、この問題について数回に及びましてお会いいたしまして、そういう方々の御意見もいろいろ承っております。今後といえども、われわれは十分御意見を承りたい。これはいろいろな意見がございますので、すべて意見が一致するというようにはとうてい想像できませんけれども、妥当な御意見で、十分われわれの参考になるものは、でき得る限り取り入れて参りたい、このように考えております。
  124. 田口誠治

    田口(誠)委員 その点で、官僚の場合と民間の場合と違うのですが、やはり官僚の場合は、一つの権力的なものでその声というものを抹殺する場合があるわけです。私の申し上げていることは、そういうむずかしい問題だけに、気に入るものだけは取り入れるけれども、気に入らないものは取り入れないのだという一線をここで引いてもらっては困ると思うので、研究職の公務員諸君、それから他の公務員諸君にもこの問題については十分に意見の交換をしていただきまして、そうした意見も尊重していただく、ある意味においては取り入れていただいて、そうして一案を作っていただくことが最も望ましいあり方であろうと思うので、それをやらなければ、おそらくこれはあとで問題になりますよということなんです。それは、私、こういう問題を取り扱ってきたものとしての経験からいきまして、やはり問題が起きますから、その点は強く要望をいたしておきます。  人事院総裁質問しているうちに、労働大臣がどこやらへちょっと出ていかれたが、労働大臣に対する質問の分が、まだほんのちょこっと残っておりますので、それだけ保留してあとの方とかわりたいと思います。
  125. 中島茂喜

  126. 横路節雄

    横路委員 人事院総裁にお尋ねしますが、三十三年の春の給与法の改定の際に、暫定手当については、あの当時五%本俸に繰り入れて、その次にまた五%入れてということで、最終的にはどこまで残すか決議して、暫定手当については段階を迫って整理するということで三十三年に——私も内閣委員会へ出ておりまして、その暫定手当を整理するときも委員の一人として参画したわけですが、その後暫定手当について、なるほど、町村合併で著しく差のあるところについては、先般一級だけつけるようになったのでありますけれども、しかし、そのことは暫定手当を廃止するという基本的な方針とは逆なわけです。逆と言うとちょっとおかしいかもしれませんが、それで、一体暫定手当はどうするのか。私は、今度のこの改定の際に、少なくとも暫定手当の五%の分については、当然本俸に繰り入れていくという点を明示してくるのかなあと思ったのですが、この点はどういう関係でやらないのか、これは、大都市の公務員の方はあるいは私の意見とはいささか違うものでしょうけれども、しかし全国的に見て今日もうすでに当初暫定手当が地域給としての性格を持っていたころとは、全く逆になったわけですから、そういう意味では私は、人事院は暫定手当を本俸に繰り入れていくということについてもっと大胆率直に方針を明らかにすべきである、こう思っている。これは、三十三年のときに御承知のような処置をやったわけです。それがなぜ延び延びになったのか、それからどうなさろうとしておるのか、その点を説明していただきたい。
  127. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 暫定手当につきましては、ただいま御指摘のような、従来からの国会の御要望あるいは各方面の御要望がございます。これは御承知のように、一面生計費その他の関係から申しますと、都会地の者と都会地でない者との間に生計費の差がある、あるいは民間賃金との差があるということ、これは事実でございます。そういう意味から言えば、一つの地域的な格差を設けることが、給与政策から合理主義的だとも言えると思うのですが、しかしいろいろ人事交流の関係でございますとか、あるいは全体の要望という関係から、どっちにしてもこれを解消といいますか、これをこういう不安定な状況で長く置くことが、いろいろな意味において許されないという事情になってきておるということは、十分承知いたしております。そこで、これをどういうふうにいたすかという問題につきまして、従来からいろいろ検討いたしておるのでございますが、現在、大体従来最高一五%ありましたのが、だんだん本俸が上がりまして定着いたしておりますから、最高が一一%くらいになっておるのです。ところがたとえば具体的に申しますと、東北地方全体として今一段階残っておるのは、仙台市でございますが、もう県としては全然地域給がついてない、県全体が無給地になっておるところも相当ございます。そこで、ここを一段階上げるためには、非常に広範囲な地域のいわば実質上のベース・アップということになるのでありますが、そういう関係と今の国会の御要望、それから現在の、地域的にも給与理論としては置く必要があるというような問題と関連して、どうして解決するかという問題でいろいろ苦慮しておるわけでございます。しかし、どっちにいたしましても、この問題は先ほどちょっと申し上げましたように、今御審議を願っておりますこの間の勧告のときには間に合いませんでしたけれども、なるべく早く結論を得たいということで、今努力いたしております。
  128. 横路節雄

    横路委員 これは総裁御存じだと思いますが、一番困っているのは学校教職員の場合です。しかも、町村合併をした。そこではなはだしいところは大体一〇%くらい、あるいは五%くらいにしても差がついておるわけです。そこで人事異動ができなくて非常に困っておるわけです。この点は、今総裁のお話は、今東北の仙台の例をとられて、仙台だけが暫定手当がついておる、あとついてないから、それを本俸に入れたらきっと国の持ち出し分が多くて困るだろうという意味のことだろうと思うのです。しかし、これは抜本的に暫定手当については改定しなければならぬことは十分御承知のはずなのですから、これはどういうことになりますか。それこそこの暫定手当だけは、三十七年度の予算に間に合うようにやるべきだと私は思う。そうすると三十七年の春の人事異動に間に合うのだが、そういうことはできませんか。やはり来年の八月ですか、そのころにいかなければ勧告ができないのか。暫定手当の制度に関してだけは、三十七年度予算に間に合うように勧告をなされば、政府も当然受け入れるでしょうから、そうすれば三十七年度の春の人事異動は十分やれる。こういうように考えてやるのが私は至当だと思うのですが、その点どうでしょうか。
  129. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 この問題は、来年の勧告と申しますか、これはまだきまっていない問題でございますが、たとえば来年の八月ごろまで遷延するつもりはございません。ただ人事異動の問題が、全部もうすっきりするように解消をかりに一定の時期までにやるかということになりますと、北海道が一番この点がむずかしいのでございまして、北海道という一つの地域において御存じ通り地域差があるわけです。ところがほかの本土と申しますか、こちらの方は、県単位に考えますと、もう大体解消した県も相当ありますので、もう少し手直しすれば解消するという問題が一つございます。それを一挙にやることは非常にむずかしゅうございます。やはり一つの見当をつけてなだらかに、いろいろな意味で穏当な線を出したいと思っておりますので、どっちにいたしましても、来年の八月ごろまでほおっておくつもりはございません。
  130. 横路節雄

    横路委員 その問題につきましては、できるだけすみやかに暫定手当について抜本的な制度改正についての勧告をしていただきたい。  その次に行政職(一)、行政職(二)のことなんです。私は午前中にいわゆる給与そのものについてお尋ねをしたわけですが、今度はその内容の行政職(一)、(二)のことなんです。実は私は、これは農林省のある試験機関でそこの職場にいる全部の人について調べてみたところが、行政職(一)、(二)についての区分は何を基準にしてやっているのか。これは農業試験場の関係ですが、その現場に行って、たとえば同じトラクターの運転手、同じ乳業の管理者、同じ作物の管理者ですが、行政職(一)、(二)の人を呼んで聞いてみますと、何で自分が行政(一)になり行政(二)になったのか一つも理由がわからないのです。私は、こういうようにここに具体的に持ってきておりますが、たとえばここにトラクターの運転手で、一人は昭和十二年に採用になり、一人は昭和二十三年の採用ですが、これは二人とも行政(二)です。ところが昭和二十二年、昭和二十九年に採用になった者が行政(一)になっているわけです。これは一体どういうことなんでしょうか。こういうことをここに並べてみますと、一つとして筋の通った行政(一)、(二)の区分なんというものはないのです。人事院で勧告されて今度出された一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案、この中を読んでみると、タイピストとかそういうものについては行政(二)から行政(一)に移している。しかしもともと行政(一)と行政(二)の分け方そのものが——御承知のように皆さんの方が専門家だが、行政(二)は単純労務ということでやったのだけれども、同じトラクターの運転手でこういうように違う。あるいは同じ作物管理者であっても、経験年数が古くてかえって行政(二)にとどまり、経験年数が新しい者がどういう理由でか行政(一)に行っている。これはあとで私はその職場の人に全部書いてもらった。そこで相当長時間話してみたが、だれ一人として何でこういう分け方をしたかわからぬという。大体行政(一)、行政(二)と分けたところに無理があるのです。私は初めから分けることに反対で、単純労務職というので与党の諸君の同意を得けなればならぬから、やむを得ず労務職俸給表というのを名称を変えて行政(二)にしたのだけれども、もともと無理なんです。何か基準があるものなんでしょうか。ここに持っておりますから、あとで終わってから見ていただいてけっこうですが、こういうことは一体何で区分するのですか、何か理屈はわかりますか。
  131. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま御指摘の点でございまするが、この行政(一)と行政(二)という問題で、これはこの前の八等級制度にしましたときにこれができた、この経緯は御存じ通りであります。前々から説明しておるのでありまするが、この行政(一)の俸給表の適用を受けるあるいは行政(二)の俸給表の適用を受けるということは、実は十五級時代に、その時代は一般俸給表ということでございましたが、資格基準表というものがございまして、現在の行政(一)に適用される資格基準表と、それからいわゆる技能労務職関係に適用されまする資格基準表というのが違っておったわけでございます。すでにその当時からそういう資格基準表が違って適用される者がおったのでありまするから、行政(二)ができましたときに新しくそこで初めて分け直したということではないのであります。このことは御存じ通りでございます。われわれといたしましては、行政(二)の適用を受けまする職員は労務及び技能関係職員でありまして、まあこの技能あるいは労務の方は別といたしまして、技能というものにつきまして問題がある、かねがねこれは議論になるところでありますので問題があるということは存じておりまするけれども、これは一応われわれといたしましては高度の専門的あるいは学術的な知識を必要といたしまする職務を遂行する職員、このような方々を技能職員というように観念いたしておるのであります。必ずしも高度の専門的または学理的な知識を必要とせず、主として経験や習熟によって遂行することができるというような職務を労務職員、そこで行(二)を適用するということにいたしておるのであります。申すまでもなく、この行政(一)の、ただいま申し上げましたような職員というものは、これは人事院の採用試験がございまして、その試験に受かってくるのが本筋の道であるということになるのでございます。われわれといたしましては、それでは行(一)と行(二)の分界点において問題がないというふうには存じておりません。これは非常に不分明なところがございます。過去におきましても、たびたびそういうお話が出て参りましたので、われわれの方といたしましては、こういう問題があるのは一応人事院に言ってくれ、そしてよく個々に職務の内容を見まして、そしてこれは行(一)適用が至当である、あるいは行(二)適用が至当であるという判断を人事院としてするから、そういう申し出をしてもらいたいということを各省庁に通知いたしまして、これはずいぶん過去におきましても、そういう問題点の解決をはかっておるのでございます。ただいま御指摘のようなのが出て参ったのでありまするけれども、こういう問題につきましても、われわれは個々の具体的なケースにつきまして、十分その問題を検討して、そうしてそういう行(一)と行(二)との間で境界が非常に不分明だというようなものにつきましては、個々に問題を解決して参りたい、また従来人事院といたしましてはそういう趣旨で各省の行(一)、行(二)の適用者の不均衡がないように、これはずいぶん行政指導をいたしておるつもりでございます。
  132. 横路節雄

    横路委員 これはいわゆる畜産試験場の関係なんですが、ここは家畜管理をやっておるのが五人いる職場です。そのうちで二人は行政職(一)で、あとの三人は行政職(二)なんです。いわゆる学歴、経験も同じなんです。仕事の内容は全部畜産の管理なんです。その次は、作物管理、それからトラクターの運転その他をやっておりますが、そのうちで仕事の内容はトラクターの運転手は行政(二)、作物管理も行政(二)それから耕馬管理も行政(二)ところがトラクターの運転手は行政(一)、、作物管理は行政(一)、耕馬管理も行政(一)、同じなんです。また試験機関において違うことはないのです。職場において、エレベーターの係だとか運転手だとか、それから掃除夫だとか衛視だとか守衛だとかいうのではないのです。御存じのように研究所における仕事というものは、作物管理なら作物管理、畜産管理なら畜産管理、こうなっている。あるいは研究の補助なら研究の補助となっている。同じ仕事をやっているのです。同じ仕事をやって行政(一)、行政(二)の区分をしておる。だから本来からいえば、この研究機関においては行政(一)、行政(二)の差別はほんとうはないはずなんです。試みに一つあなたが現実に農業試験場関係のそれぞれのところに行って当たってごらんなさい。何でこんなことをしているんだろうと思われると思う。大体分けたことが無理なんです。私は行政(一)を行政(二)に下げろというのではないですよ。私の意見は、試験機関においては行政(一)、行政(二)に分けること自体が無理だということです。仕事の内容は全部同じなんです。しかし今労働大臣もおいでになりましたし、ちょっと関連する程度ですから、あまり長くもできませんので、これは一つ資料をあなたの方へ差し上げますから、あとでよく検討してもらいたい。私一人ずつ当たってきたんです。そういう意味では試験機関においては少なくとも行政(一)、行政(二)の差はあるべきではないというのが私の考えです。これは一般の官庁における守衛とか何とかではなしに、一応みな作物管理、乳牛管理あるいは何々管理ということで同じ仕事をやっている。同じ研究に携わっておる補助職員でもあるわけです。そういう点で、これは一つ考えておいていただきたいとこう思うわけです。  それからその次に、きょうは試験機関のことをもう一つ聞いておきたいのですが、それは試験機関で、今度は現行の俸給表から今度の新しい俸給表への切りかえの中で、こういうことが行なわれている。私も今勧告の附則のところを見ているのですが、研究職についてはこうなっていますね。等級の切りかえは下の表により行なわれるが、研究能力等を勘案して、対応等級の上位の等級に切りかえることができるというのがあなたの方の勧告です。そうすると、現行の六等級は五等級と四等級、現行の五等級は四等級と三等級にいく、これは私の方から先に申し上げて、あなたの方からそれは間違いかどうか聞きますが、そこで現行の五等級が四等級と三等級に分けて切りかえられる。その場合に、四等級に切りかえるのは新制大学それから高等専門学校卒の旧制の博士号を持っている者、これが四等級、それから五等級から三等級に切りかえられる者は、大学院の博士課程を終了した者、それから旧制大学卒業の旧制の博士号の所有者、私の言っていることに間違いがあれば間違いと言って下さい。それから六等級で五等級と四等級に切りかえられる者の区分は、四等級は公務員の試験の合格者、それから五等級は公務員試験に合格していない者、そこで私が今特にお尋ねをしたいのは、現行の五等級で同じ扱いをしていたものを、今度の俸給表で四等級と三等級に分けてやるときに、いわゆる新制大学、高専の旧制の博士号を持っているものは四等級に格づけするのだ、三等級には大学院の博士課程の終了者あるいは旧制大学卒業の旧制の博士号の所有者、これは間違いなら間違いでいいのですが、もしもこうなっていたら、今机を並べて同じに研究室で五等級としてやっておる者が、今度はあなたの方から人事院勧告が行なわれて、わざわざそれを上位の等級に分けることができるというので、今度はいわゆる同じ博士号を持っていてもやはりそれは旧制の大学を出た者、新制の大学を出た者というふうに分けてやることは、この俸給表が切りかえられたあとにおける試験機関の職場の中におけるところのそれぞれのこれからの試験研究というものが、なかなか思わしくいかないんじゃないか、職場の中において妙な感情が起こりはしないか、こういうことなんです。私の今分けた分け方が、それは違います、そんなことはございませんというのであれば、それで差しつかえないが、どうもそうではなさそうだと思いますので、お尋ねをしておきたいのです。
  133. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまお読み上げになりましたものが、どうもちょっと私合点がいかなかったのです。それでこういうことをわれわれは考えております。現在五等級であります者が、四等級に今度切りかわるということがございます。今度の俸給表におきましては、四等級というのは、おおむね大学卒業程度の専門的知識を必要とするポストというように考えておるのでございます。従いまして、今後大学卒業程度以上の専門的知識を持っておりまする者等を新たに採用いたします場合には、これは四等級に格づけになる、こういうことでございます。現在それでは五等級に、すでに大学を出ましてそうして公務員試験等を通りまして入ってきておる者がおるわけでございまするが、そういう方々を切りかえました後に、場合によっては今後の人と前の人と同じ公務員試験を受けて通ってきました者の間に逆転関係が起こるというようなことも想像できるわけでございます。そのような場合に、やはり大学を卒業いたしておるその程度の専門的知識がある者は四等級にすることができる、この程度のことを考えておるのであります。三等級以上の問題になって参りますと、これはやはり、先ほど田口さんからもこの問題につきまして御質問があったのでありまするが、その能力を識別いたしまして、そうして上位の等級の職務を完遂する能力あるという者が上がっていく。その識別の方法等につきまして、現在研究中でございまするけれども、そういうことでやっていくということで、現在博士号を持っておる大学卒の者ならばどこへいくというようなことを、現在きめておるわけではございません。
  134. 横路節雄

    横路委員 農林省からおいでになっていますね。ちょっとお尋ねをしたいのです。今給与局長から、大学を出て公務員試験に合格した者は、現行六等級の者の格づけは、これは四等級にする、それだけを考えているのであって、というお話ですが、今私が間違いであれば間違いであると指摘をしていただいてけっこうですと言った、たとえば新制大学、高専卒の旧制の博士号を持っておる者は、今五等級のようですが、四等級に格づけするが、五等級で三等級に格づけする者は、大学院の博士課程を修了した者と旧制大学卒業の旧制の博士号を持っている者なんだというように、それぞれの試験機関で非常な危惧の念を持っておるわけです。この点は農林省としては絶対ないですね。そのことだけ聞いておけばいいのです。
  135. 和田正明

    ○和田説明員 人事院の給与局長がお答えになりました通りでございまして、私の方だけで特別そういうことをすることは考えておりません。
  136. 横路節雄

    横路委員 もう一ぺん農林省の方に聞きます。そうすると現行六等級のこれは四等級に格づけするのですね、国家公務員の試験を受けて合格している者は。そのことだけがきまっているということなんですね。はっきりしていただきたい。
  137. 和田正明

    ○和田説明員 六等級の者を四等級に格づけするのではなくて、大学を通りまして、公務員試験を受かって、現に農林省に勤めておりまして、現に五等級である者を今度の給与表が変わりますときに四等級に格づけする、そういうことでございます。
  138. 横路節雄

    横路委員 わかりました。  それでは給与局長にもう一ぺん尋ねておきますが、そうすると今私がここで読み上げたようなことはないのですね。なるほど今五等級で四等級に格づけになる、いわゆる大学を出て、公務員試験を合格した者であって、それで旧制大学卒業の博士号を持っておる者はどうとかこうとかいう差別はないのですね。そのことだけきちっとしておいて下さい。
  139. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ないとかあるとかおっしゃっても、まだ研究中のことなんであります。いろいろそれは方々で研究しておるかもしれません。ただ、われわれとしてそういうことをきめておるということはございません。今この法案を提出されますにつきまして、それを受けて人事院が実施することになるのでありますから、そのときにきめておりますことは、さいぜん申しましたように、今後新たに大学を卒業しまして新しく入ってくる者の等級がどこであるかということは、これは一応想定されております。それから、それとのバランス上、前後が、あとのカラスが先になるというような場合も予想できまするので、そういうことのアンバランスを是正する余地を残してある、こういうことでございます。
  140. 横路節雄

    横路委員 どうも今の給与局長の御答弁を聞くと、全然否定もなさらないわけですね。研究中なんですか。今研究中だと言われましたね。
  141. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 それは、今後どうなるかわかりませんので、とにかく現在そういうことをきめておるわけではございません。
  142. 横路節雄

    横路委員 もう一ぺん聞きますが、現在きめてないが、しかし将来人事院規則といいますか、あなたの方で検討をされて、将来そういうこともあり得るわけですか、どうなんですか。
  143. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 そのことは現在私の頭の中にないのでございまするから、従いまして、それはそういうことが合理的であると判断すればあるかもしれません。しかし、大よそ今私が何か頭の中にあって、ただ人事院としてそういうことを意思決定してないからそういうふうに表現しておるのだとおとりいただくと、それは違っておるということでございます。
  144. 横路節雄

    横路委員 防衛庁の人事局長にちょっとお尋ねしますが、今まで自衛隊の食費が、糧食費一日百四円だったものを今度百二十一円に上げますね、これは隊員の負担になるのですか、それとも全部国が支弁するのですか。
  145. 小野裕

    ○小野政府委員 自衛隊員の食費値上げになります分は、全部自分の負担でございます。
  146. 横路節雄

    横路委員 そうするとこれは、現行百四円から百二十一円の十七円分は、隊員の負担になるわけですね。その点もう一ぺん……。
  147. 小野裕

    ○小野政府委員 隊員の負担でございまして、その分は、今度給与改定で増額を予定せられました金額のうちからそれだけ減額はいたしまして、食費の方に振りかえております。
  148. 横路節雄

    横路委員 そうすると、そこでちょっとお尋ねをしておきたいのですが、今までは、給与と食費とこうなって、それが事実上は防衛庁は一つになっていた。一般の公務員給与で、給与の中から当然生きるために食べておったわけだが、それをあなたの方でははずして、給与と食費、こうなって、それを合算したものが実質的な給与だ。今度はそうすると、十七円分については負担だ、それは給与を増額されたからそれから引きます、こういう意味なんですね。
  149. 小野裕

    ○小野政府委員 その通りでございます。
  150. 横路節雄

    横路委員 もう一つお尋ねしておきますが、そうすると、陸上自衛隊の隊員がこれだけ増加されれば、一般の航空自衛隊の隊員であるとか海上自衛隊の隊員についても、それぞれ食費については増額になったのですか。それともなっていないのか。なっていれば、どういう割合に増額をして、その分も俸給の方から引くようになっておるのか、それはどうなっているのです。
  151. 小野裕

    ○小野政府委員 隊員につきましては、陸も海も空も、自分が負担している食費——本人負担分は同じでございます。ただ、加給食という問題がございまして、これは別途に、今までの予算にありますように計上をされております。
  152. 横路節雄

    横路委員 私、関連ですからこれでやめますが、給与局長に重ねて言いますが、試験機関の行政(一)、行政(二)は、私は一本にしておくべきだと思うのです。そういう意味で、なおあと同僚委員の方から労働大臣への質問もございますし、私関連ですから、この程度でやめますが、ぜひこの試験機関の行政(一)、行政(二)は撤廃されて一本にすべきだ、また先ほど申し上げましたように、個々の問題について検討してみても差がございませんので、そういう点は一つ十分検討していただきたいということを申し上げて質問を終わります。
  153. 中島茂喜

  154. 田口誠治

    田口(誠)委員 労働大臣にちょっと質問が残っております。先ほどの御答弁の中から察しますると、およそ私の方から確認したいと思うことが確認できると思いまするが、なお明確でないので確認をしていきたいと思います。いずれにいたしましても、今の給与問題は、審議しておっていつかの時期には採決されるということなんですね。今の勢力分野からいきますると、通るということになるわけなんですが、そうしますと、そのあとで残るものは、公務員の戦いが残っておる。そこで先ほどもくどく私の方から質問を申し上げ、それには相当丁寧な回答をいただいたのでございまするが、今後の公務員とのそうした問題につきましては一快くからだのあいておる限り団交に応じて話し合いをし、問題を円満解決するために努力をされるというように確認しておいてよろしいですか。
  155. 福永健司

    福永国務大臣 私は努めて、先刻来田口さんのおっしゃるような趣旨において、お目にかかるようにいたしたいと今後も考えております。ただ、ただいま団交に応じてというお言葉をお使いになりましたが、団体交渉という意味においてということになりますと、これまたもう私が申し上げるまでもなく、現在御承知のような制度になっておりますので、お話を伺うためにお目にかかりますと、こういうことに御了承願いたいと思います。
  156. 田口誠治

    田口(誠)委員 法的な拘束を持った労使対等の団体交渉ということはできませんので、それでその気持に準じたところの話し合いということなんですが、その点はよろしいのですね。
  157. 福永健司

    福永国務大臣 これまた準じてということになりますと、その話がつかないと、法律は通ってもまだ話がきまってないのだというようなことに理屈がいきますと、なかなかこれまためんどうになります。そこでどうぞ先刻来申し上げておりまするように、お話は伺ってできるだけお互いに理解を深める。私といたしますれば、いろいろ公務員の方で言われることも、まああるものは参考にし、あるものはこれを実施することができればそういうようにするというような工合に、いずれにしても話を聞いて善処するということにさせていただきたいと思います。
  158. 田口誠治

    田口(誠)委員 ちょっとかたくなって見えますが、法治国だから、法律がきまればその法に基づいて事が進められるということは、これは当然のことですから、それは御心配にならなくてもいいですが、ただ私は五千円の要求を掲げて今戦っておるから、この問題を一刻も早く円満に解決させる収拾策というものを考えなくてはならないと思うので、それには担当大臣が直接公務員の人と、話し合いという表現にしましょう。団交ということになるとむずかしいようですから、話し合いに応じて、そうして問題を解決するために努力をする、このことについては御異議がおそらくないと思うのですが、どうですか。
  159. 福永健司

    福永国務大臣 お話を伺いたいと思っているのですが、一律五千円アップというようなことについて強く主張しておられますが、こういう点で私と話して、よくわかったと言って、もうあとこれでよろしゅうございますというような工合に、なかなか簡単にいかぬと思うのです。そこでそういうことを解決するまで、何度でも会えというようにおっしゃるような工合に聞こえるのですが、できるだけそういたしますが、何分にも私も割合忙しい仕事をしょっておりますので、私の立場もどうぞ御理解もいただきたいと存じます。
  160. 田口誠治

    田口(誠)委員 お忙しい点はわかりまするが、こういう問題を解決するためには、双方が信義、誠実を持って問題解決に当たらなければならないと思います。それでこれの解決に当たろうとすれば、どうすればいいかということになるのですね。政府は政府の方で、ああやっておるなということでは、これは解決しませんし、公務員諸君の方も、どんどんと戦いをやっておるだけでも、これは解決しないかもわかりません。やはりそこには担当大臣公務員共闘の幹部とがおのずから話し合いをして、そうして円満に解決させるような方向を見出すための努力は、これは当然しなくてはならないので、私はそういう面からいって、今後そうした話し合いをするという面から努力をされる用意があるかどうかということをお聞きをしておるわけです。
  161. 福永健司

    福永国務大臣 努力いたしたいと存じます。
  162. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいま努力をしていただくということになりましたので、大きく期待をいたすわけでございます。  そこで労働大臣、よく公務員共闘の方からいろいろな問題を持ってきて、あとでいろいろとまた言った、言わぬということにもなったりしてごたごたしては、かえって紛争を大きく拡大していく要素をかもし出すことになるのだから、それで一つこの面については文書に書いてくれ、こういうような要求がときどきあるようですが、これにはどうも大臣の方ではとつつかれぬようですが、これは何か理由があるのか、どうなんですか。
  163. 福永健司

    福永国務大臣 私ばかりでなくて、総務長官等にも文書で回答するようにというようなことを言われたことが確かにございます。しかしたとえば数字なら数字、こうきめてどうというような純然たる、先ほどから話の出ております正確な意味においての団体交渉等でございますと、法律上にいわゆる団体交渉等でございますと、そういう形をとるのが多いのでございまするけれども、先ほどから田口さんもおっしゃるような相互的理解を深めるような意味においても、いろいろ話し合いをしていくというような姿でございますと、前後相当時間にわたったいろいろな話を総合的に聞かないと、誤解を生じやすいような、一行や二行の文字ではなかなかむずかしいようなことがよくあるのでございます。その種のことで書いてよこせと言われても、なかなか書き切れぬ場合等がございまして、遺憾ながら今までも、事務当局等にも申しましても、大臣の言われたようなことは、初めからしまいのことまでとても文書にならぬということ等を申す場合も実はあるのでございます。ところが公務員共闘の諸君等が言われるのは、おおむねそのむずかしい部分を文書にしろというのが多いのです。簡単に文書になるようなところを文書で答えたのでは承知してくれないようなこと等がございまして、今実は困っておるようなわけでごいます。その辺の苦心も一つお察しをいただきたいと思うわけでございますが、しかしよく事務当局とも相談してみたいと存じます。
  164. 田口誠治

    田口(誠)委員 いろいろなそういう事務的な面についてのむずかしい面も、それはあるでしょう。それで書き切れないようなものは、これは正式に大臣なり官房なりに全部書けといってもむずかしい面があろうと思いまするが、やすいことですら文書で出すことをとかくおきらいになるようですが、これは何か理由があるのですか。
  165. 福永健司

    福永国務大臣 その辺が非常に微妙なんでございまして、あまり文書等で往復しておるのが、何か先ほど石橋さんが不規則発言でおっしゃっておりましたが、組合の方は団体交渉のつもりでいるのだというような工合に解釈されるというようなことになりまして、文書等が幾つか重なってくると、これは何回目の交渉のときに、こういうわけでとかなんとかいうようなことになると、なかなかその辺がむずかしくなる、そういうようにむずかしくなると、あまり会うのもこれは容易じゃないというようなこと等にもたまたまなって参りまして、私は正直のところできるだけお目にかかるようにしております。なかなかきつい言葉で盛んにやる人等もあったのでありますが、だんだんやさしく言ってくれる人もあるようになりました。そこらにも接触することによる相互的理解も生じてくるというように私も考えておるのでございます。私は私なりに今後いろいろ、田口さんの今おっしゃったようなことも心いたしまして、努力いたしたいと存ずる次第でございます。
  166. 田口誠治

    田口(誠)委員 労働大臣からそういうようにお答えいただきましたが、いま一つ心配になることは、先ほどから問題になっております研究職の関係ですね。まだ決定をしておりませんものが提案されておって、その抽象的な文案が国会を通るということになると、先ほど私が繰り返し質問しましたように、これから作るということになるのですね。そういう場合に、研究職の職員の意見も十分に取り入れていきたいという意味のお答えもございましたが、今福永労働大臣のお答えになったような気持で、そういうような筋で、いまだ決定になっておらぬ部分の問題として残されておるようなものについては、これは私給与に関して質問しておるのですが、職員の声も十分に聞いて、それを取り入れてやっていただけるというように私の方で確認さしていただいておいてよろしゅうございましょうか。
  167. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 お話の点は十分尊重してやりたいと思います。ただこの問題が、研究職の能力をどういうふうに判定するかということが中心になる問題のようにわれわれ存じております。従いましてこれは研究所長さん方の御意見、あるいは科学技術庁の御意見というようなものもあわせ考える必要があるというように思いますので、できるだけ十分各方面の意見を聞きまして、御要望に沿うようにやりたいと思います。
  168. 田口誠治

    田口(誠)委員 まだあと質問される方があるようでございますので、私はこれで終わらせていただきます。
  169. 中島茂喜

    中島委員長 受田新吉君。
  170. 受田新吉

    ○受田委員 人事院総裁に最初にお尋ねしたいのですが、人事官会議というのが国家公務員法に規定されておるわけです。人事官会議は、週一回定まった場所で開かれるようになっておるのです。時おり勧告の直前に雲隠れされるやに承っておりますが、これは公務員法に規定された基準にのっとってやっておられるのか、あるいは特別の措置をおとりになってやっておられるのか、お答え願いたい。
  171. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 公務員法では御存じ通り週一回は、大体公務員法の精神と申しますか、定まったところでやっておるわけでございますが、なかなか実際問題といたしまして、御存じのように勧告直前におきましては、役所でやっておりますと作業が不可能なことがございまして、そのときの実情に応じまして他のところでやっておるわけであります。
  172. 受田新吉

    ○受田委員 その場合の議事録というものは残されておりますか。
  173. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 人事官会議は、普通の懇談以外の場合は全部議事録をとっております。
  174. 受田新吉

    ○受田委員 雲隠れのような形式で行なわれたようなものについても議事録は残っておりますか。
  175. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 大体において懇談というようなことはまれでございますから、他の場所において行ないました場合にも、記録は残しておると思います。
  176. 受田新吉

    ○受田委員 これは秘密事項ですか、公開しているものでしょうか。
  177. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 これは公開をしろという御要求があれば、公開をせざるを得ないと思います。従来は公開をいたさないでおりました。
  178. 受田新吉

    ○受田委員 人事院が雲隠れ場所において会議を開かなければならないような事情があることは、私残念に思うわけですが、しかし公務員法にはっきりと明記してある週一回一定の場所、また臨時の会をやられるにしても、そういう場合に、はっきり国民の前にその人事官会議のあり方がガラス張りであるようにすべきじゃないかと私は思うのです。作業ができないというような事情であれば、ちょうど国会の紛糾に際して議長がいないとき、おるときとかいうような議論と同じようなことになると思うのです。人事院はそういう意味においては、少なくとも作業できないということは、私はあり得ぬと思うのです。建物の中へだれも入るわけではないのですから……。いかがでしょう。とかく勧告の前にそういうことが新聞などで書かれておって、非常に心配なものですから、まずこれをお聞きしたいと思うのです。
  179. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 雲隠れ雲隠れとおっしゃいますけれども、もちろん別段どこへも所在を知らさないで会議をいたしておるわけではございません。しかしそれは——そういうことをこういう席で申し上げるのはいかがかと思いますけれども、場合によりますと、そう警察権を使うというようなわけにもいきませんし、実際問題として、これは先ほど実情がある程度わかるという御理解のあるお言葉がありましたが、なかなか役所で——それはもうすべて事務は役所でいたしますのが、これが常道でございますけれども、所定の期日までに作業を完了いたそうといたします場合に、所役でやっておりますと、なかなかはかどりません。これが実情でございます。その点は御理解を願いたいと思いますが、こういう点でもやむを得ず他の場所でいたしておるわけでございます。
  180. 受田新吉

    ○受田委員 私これ以上は追及いたしませんけれども、やはり法律に明記してあることだし、その会議録、議事録は幹事がこれを作成するとはっきりうたってあることなのですから、まだ公開したことはないということでございますが、私、最近世間にいわれている雲隠れ人事官会議における議事録を拝見したいと思うのです。そういう問題を私はまず今後も十分お考え願って、堂々とやっていただきたい。  それから次は人事院の権能の中に、特別職一般職のいずれに公務員を属すべきかという決定権があるわけです。現在のところ特別職に規定されてあるのを見ると、一般職として取り扱って差しつかえないようなもの、たとえば防衛庁の一般職員、こういう人々は俸給表も、今回の改定案を拝見しましても、一般職の俸給表を準用するようになっておるのです。そうした一般職特別職の判別をされる責任が人事院にあるという意味から、特別職として規定するのは適当でない、一般職に取り入れた方がいい、なるべく特別職一般職と見られる分はその方へ吸収するような判定をお下しになるべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  181. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 御存じ通り現在防衛庁関係職員法律できまっておるわけでございますが、人事院の判断できめますのは、法律できまっております以外のことにつきまして疑問があるときに一つの問題が起こりますけれども、大体現在は特別職一般職かということは法律でおきめになっておりますので、たとえばただいまおあげになりました防衛庁関係職員特別職であるということを国会の法律でおきめになっておりますのを、人事院の方でとかくのことを申し上げるのはいかがかと思います。
  182. 受田新吉

    ○受田委員 もちろん法律の根拠でできておることですけれども、これは人事院として一般職特別職の判定基準というようなものに対して、常に公平な、公正な御意見を持っておられなければいかぬ。法律でできておるから仕方がないということになれば、もう何事もあなた方のお仕事の中に入るものはほとんどないわけなんです。何のためにこの規定があるかわからないことになる。従って人事院の見解としてそういう意見を表明され、法律改正に持っていかれるという努力を国会でもなされるということが、私も適当ではないかと思います。国会がそういうものを一般職特別職かの判定をするのには、やはり専門的立場のあなた方の方の御意見を尊重することになると私は思うのです。  もう一つ福永大臣、かつての内閣委員長として輿望を背負われて実績を上げられた方ですが、あなたは給与担当大臣になっておられますけれども給与に関連する公務員制度の問題、給与につながってくる制度の問題の御所管はどうなっておりますか。
  183. 福永健司

    福永国務大臣 率直な表現で恐縮でございますが、私、労働大臣になりましたときに、総理大臣から給与の担当もということを言われ、それにつきましては私は私なりの意見があるのでございますが、これはともかくといたしまして、給与が私の担当だと思っておったのです。あとで辞令を見ましたら、公務員制度、その制度そのものが私の担当というようなことでございまして、これはやはり書いたものの方が正確に表現されているということで……。私は率直な話、この給与担当大臣といわれるいわゆる俗称は、私が官房長官時代に、まだ総務長官弔いない、無任所大臣等もおられないで、一切官房長官たる私がそのこと等もやっておったのでございますが、どなたか大臣にその方の仕事を担当してもらうのがより好都合な姿じゃないか——私は率直に言って官房長官はやり切れないからという気持も実はあったのでございますが、めぐりめぐって同じ名前の仕事が何年か後に私にと、こういうことになったのであります。私が人にお願いしたころには、きわめて平たい表現給与というつもりでありましたが、今度もらいました辞令には、私がかつて自分で給与担当という名前をつけた内容とは違う。もっと広いものがくっついて私のところに戻ってきたような格好に相なっております。
  184. 受田新吉

    ○受田委員 それではっきりしたわけです。先ほどからあなたは給与担当大臣だ、こう言われているものだから、給与以外の権限がないのかどうかということを今確認させていただいたわけです。今後は公務員制度担当国務大臣、こういうふうに辞令通りお呼びすることになるわけです。  そこで問題が一つ出るわけですが、俸給表というものは、これは給与準則で国家公務員法の中に規定されているわけですけれども、その俸給表を作る基準というものが、民間の給与とか、あるいはその他人事院の適当と認める事情等を勘案してこれは作成することになっている。従って給与準則に示された俸給表の中には、人事院の独自の判断というものが民間の給与その他より別にあるわけです。これはどうですか。その次に職務に対応するような意味のことも書いてあるのですけれども、俸給表を作り、また俸給そのものをきめられるにあたって、特別な事情というものは、これは大きく考えるべきものか、ウエートは軽く取り扱わるべきものと思われるか、総裁と大臣の両方からお聞かせ願いたいと思います。
  185. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 生計費、民間給与その他の事情、このその他の事情といたしまして、従来の人事院の見解なり解釈の仕方といたしましては、民間給与と生計費以外のその他の事情、そういうふうに考えているわけでございます。そこでただちょっとつけ加えさせていただきますが、そういうような民間給与は、たとえば職種ごとに若干そこに民間給与の高いのもあり、低いのもあるというように、たとえば公務員の部内の均衡の問題で特別なことがあるというものは、これは民間給与と関連をして、民間給与と比較はしながら一応考える。これは一つその他の事情ということではなく、民間の給与というふうに考えさせていただきます。その他の事情というのは、先般御存じのように二十九年度でございますか、給与勧告を一年留保したことがございましたが、ああいうような民間給与の上がり方とか、生計費のいかんにかかわらず、非常に特別な事情を人事院が勘案する必要があるときというふうに解釈して今日まで至っております。
  186. 福永健司

    福永国務大臣 申すまでもなく、その他の事情という上に人事院が適当と認めるという表現がいたされておりまするし、今入江総裁からは人事院の見解を表明されたのでありますが、ああいうような表明もされておられる次第でございますので、公務員制度担当大臣たる私といたしましては、人事院が考えておりまするところを尊重していきたい、こういうように存じております。
  187. 受田新吉

    ○受田委員 俸給の内容賃金内容、これは労働大臣は、一般民間労働者賃金の御研究は御所管だけに特にお詳しいと思います。特に公務員給与、これと中身が全く同じものかどうかというようなものが、一方にはパブリック・サーバントとしての給与、一方は企業の給与という、性格が違っても賃金そのものの性格、つまり何に対する賃金考えるかということについては、原則としては同じなんですか、多少違うことがあるのでしょうか。
  188. 福永健司

    福永国務大臣 私の理解しますところでは、仕事の性質は若干違うと思いますが、しかし違うのではあるが、給与の決定にあたっては若干違う事情もあるのであるが、民間の方の給与の状況を考慮して、人事院において勧告その他を作られる、こういうように理解しております。
  189. 受田新吉

    ○受田委員 性格論をお尋ねしておったのですけれども、時間がおそくなって大へんお疲れでしょうが、もうちょっと皆さんがまんしていただきたい。  ちょっとそれに関連するのですけれども、大体同じものだということになりますと、公務員関係給与というものは、せめて基本的に名称だけはまず統一していただきたい。一般職にしても特別職にしても、国家公務員賃金に該当する名称が違っている。これは給与担当国務大臣公務員制度ということになれば、大臣特別職も含みますね、あなたの場合は公務員ですから。
  190. 福永健司

    福永国務大臣 私も一般職国家公務員、さらに正確に言うと、そういうことになっているようであります、辞令にはそこまで書いてなかったと思うのですが。それで、法案等を出しますときには、特別職は大蔵省が来てやりますし、それから防衛庁の関係は、防衛庁長官が来ているというようなことになっております。しかし、そうしたら総括的にどういうことになるのだということになりますと、だれもかれも所管しない一般的なところは、やっぱりこっちへ来るのかとも思いますが、一応特別職は私の所管でないということに、第一次的にはなろうかと思います。
  191. 受田新吉

    ○受田委員 きょうはほかの国務大臣がおいでになりませんから、一つ福永国務大臣には、特別職を含む閣僚の一人としてお答え願いたいと思うわけです。それは名称の問題で、同じ国家公務員であって、給与、給料というのがある。それから検察官は俸給というておるし、裁判官は報酬といっておるのです。国会議員は歳費というておる。こういうふうに同じ国家公務員でありながら、国家財政から俸給を支出される立場でありながら、勝手な名称が用いられておる。もちろん歴史と伝統というものがありましょうとも、民主主義の今日においては、少なくともサラリーの問題については、国家公務員の場合は給料なら給料、俸給なら俸給と統一して呼ぶべきじゃないでしょうか。
  192. 福永健司

    福永国務大臣 国会議員等特別な立場のものまでも一緒にすることは、いかがなことかと私は存じますけれども、性格的に見てほとんど同じようなものについて、いろんな表現がされているということは、実は今お話を伺って、私もいろいろさような次第でござるかというような認識を得ている程度で、まことに恐縮でございますが、今おあげになりましたもののほかにもなおあろうかと思います。なお法律によって、根拠法律を異にするからということもございましょうけれども、今おあげになりましたような趣旨のものは、私個人的な見解といたしましては、あまりにいろいろな名前にせず、なるべくわかりやすい方に統一されることの方がよさそうに考えます。
  193. 受田新吉

    ○受田委員 名言です。法務省の方にお答え願いたいのですが、裁判官の報酬というこの言葉は、何だか旧時代的な印象を与えるのですが、それかといって、検察官になると俸給となっておる。これは、何か法務省における従来の歴史と伝統を誇るものがあるのでございましょうか。
  194. 津田實

    ○津田政府委員 裁判官の報酬につきましては、憲法にその規定がございまして、裁判官は報酬を受けるということになっております。従いまして、法律はそれを受けまして報酬と規定しておるわけであります。これは、一般職職員給与に関する法律におきましても、成規の時間の勤務に対する報酬という言葉は使われております。そういう報酬の実質、つまり手当等を、あるいは特別調査費等を除外したものという考え方に、やはり報酬はなるのではないか、こう思いますので、これは報酬と使われ、あるいは一般の形で俸給と使わせるというような形になるのもやむを得ないかと思うのでありますが、裁判官の報酬は、実質は俸給であると思うのであります。憲法が報酬という言葉を用いておりますから、報酬という言葉を用いておる次第であります。
  195. 受田新吉

    ○受田委員 憲法の報酬という言葉は、それは国家に奉仕し裁判に奉仕したことに対する報い、サラリーということです。だから、憲法に報酬と書いてあるから裁判官の報酬と書かなければならぬかというと、それは俸給と書いたって憲法の精神に違反するわけじゃないですからね。  それともう一つは、検察官は俸給と使ってある。これはどうです。憲法にないからですか。
  196. 津田實

    ○津田政府委員 これは、一般職職員給与に関する法律でも、いわゆる基本的なものは俸給という格好に使われておりますので、検察官ににつきましても、その俸給という文字を用いておるわけであります。
  197. 受田新吉

    ○受田委員 そこに特別職の司法関係職員の、一つの封建性というものが私は生まれてくると思うのです。裁判官、検察官が、いずれも司法試験に合格した者が登用されることになるのでございますので、これは憲法論で議論すれば、いろいろ異論が出るかと思いますが、この報酬を憲法に書いてあるから使わなければならぬ、こういうような制約を受けるものかどうか。裁判官の報酬は、結局俸給のことである、サラリーのことであるという意味に解して、裁判官も検察官も同様に俸給と規定すべきではないかと思うのです。
  198. 津田實

    ○津田政府委員 憲法におきましては裁判官の報酬につきましては、「裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」という規定がございます。これを受けて、裁判官の報酬等に関する法律は、報酬というものを受けておるのであります。従いまして、この報酬が憲法の報酬と同じものであるか、違うかということは、非常に大きな論議を巻き起こすおそれがありますので、憲法にいう報酬をそのまま受けて、法律が報酬としたものと考えております。
  199. 受田新吉

    ○受田委員 公務員制度に関係する問題でございますが、裁判官になる卵、すなわち司法修習生、これは国家公務員ですか、国家公務員でありませんか。
  200. 津田實

    ○津田政府委員 国家公務員ではございません。
  201. 受田新吉

    ○受田委員 給与をもらっておりますか、もらっておりませんか。
  202. 津田實

    ○津田政府委員 給与と申しますか、手当と申しますかはもらっております。それは、給与と解釈するかどうかは問題でございますが、ともかく手当はもらっております。
  203. 受田新吉

    ○受田委員 その手当はどの法律を基礎にいたしておられますか。
  204. 津田實

    ○津田政府委員 最高裁判所の規則の、裁判官報酬等暫行規則の中にきめられております。
  205. 受田新吉

    ○受田委員 最高裁の規則で俸給をきめるということになっておるようですが、一般職職員の場合は、法律または人事院規則に基づかずしていかなる俸給も支給できないとなっておるわけです。ところが、今のあなたの方の司法修習生は、国家公務員じゃないのです。国家公務員でない者に俸給を出すという根拠は、一体どこにあるかということです。
  206. 津田實

    ○津田政府委員 これは昭和二十二年法律第六十五号、裁判官の報酬等の応急的措置に関する法律によっておるわけでございまして、それによって、下級裁判所の裁判官の報酬、あるいは司法修習生の受ける給与額を定めておるわけでございます。
  207. 受田新吉

    ○受田委員 その法律そのものに、司法修習生の給与を定めるということが書いてありますか。
  208. 津田實

    ○津田政府委員 ただいま手元に法律がございませんので、調べてお答えいたします。
  209. 受田新吉

    ○受田委員 それでは質問を次に移して、あとから伺います。大体福永先生、今法務省に事例をとったのですけれども国家公務員でない人に法律給与を払っている。もしそれならば、国家公務員にすればいいのです。そういうところが、各省間でばらばらになっているのです。  防衛庁にちょっと飛び火しますが、防衛庁の公務員方々で、ここに一つ問題があるのです。これは特別職になっておる。調達庁だけ一般職だけれども、防衛庁の職員特別職になっておる。その中で、一般職の俸給表を準用するのと、参事官などのような部員以上の人々の俸給表というものを別にしておる。これも一つ問題なんです。もう一つは、事務次官と議長たる自衛官の俸給が一つだけ特別に出ておる。こういうところを見ますと、非常に問題がある。防衛庁の一般の職員は、一般職の立場をとっているにかかわらず、参事官は特に高い俸給表の適用を受けている。おまけに事務次官と議長たる自衛官——自衛官というのは、大体自衛官の俸給があるのです。陸将の最上級というものは、すこぶる大きな待遇を受けて、十一万何がしという俸給を受けている。こういうのがあるのですから、自衛官の最高号俸をもらう者を議長に充てればいいのです。わざわざ文官の俸給表の中へ、制服の自衛官の俸給を当然受くべき議長を、文官の事務次官と同じところに抜き出しているというのはどうも納得できない。これはいかなる事情があるかをお答え願いたいのです。
  210. 小野裕

    ○小野政府委員 いろいろお話がございましたが、最後の事務次官、統合幕僚会議議長の俸給を別にしておるという点でございますが、防衛庁におきましては、内局の最高の幕僚としまして、長官を助ける次官がおるわけであります。また制服の最高位という立場に統合幕僚会議議長がおるわけであります。この二人の人の地位を一応はっきりさせるという意味において、一般の内勤職員あるいは一般の自衛官の俸給表から分離した、こういう状況であります。
  211. 受田新吉

    ○受田委員 公務員給与担当国務大臣、問題は、同じ総理府の外局の中に、特別の俸給を受ける防衛事務次官があるわけです。ほかの行管とか、経企とかというところの次官は、一般職の一等級をもらっておる。ところが防衛庁だけが、同じ政府部内の外局の事務次官が特別の俸給をもらっておるのですが、別に制服を着て号令をかける立場にないわけですから、事務的な処理をされる事務次官であるわけですが、こういうようなところは、ほかの役所にはないのです。防衛庁の事務次官だけにある。防衛庁の事務次官が特別位が高いわけではない。私は門叶さんは非常にごりっぱな人であることを承知しておりますけれども、事務次官としては、たとい今度国防省に昇格しても他の省と同じなんです。同じ事務次官が防衛庁だけ高い俸給をもらっておる。それは管理職手当とかいろいろな議論が出ましても、ここだけが特別にこういうものを作ることはどうでしょうか。事務次官などというものは、やはり他の省と同じ立場に立っていかなければ、政府部内の統制はとれないではないか。それから議長たる自衛官は、自衛官の俸給ではないのです。事務次官と同じ俸給を別にもらっておられるわけです。私は自衛官というものは、やはり自衛官としての俸給をおもらいになって議長を兼ねるという形にいく方が、筋が立つと思います。これはぽこっと事務次官、議長、こうお出しになっておることが、何だか統帥権復活のにおいをかがせる危険があって、国民に親しまれる自衛隊ではなくて、上の方で号令をかける自衛隊のような印象を与える危険があるのですが、いかがでしょうか。福永大臣、ああなは非常に幅のある御見解をお持ちのようでありますから、何とかしなければいかぬ問題だと思います。各省に群雄割拠のような形でこういうふうな俸給をきめさせ、特別職大蔵大臣が勝手にきめることにたりますと、つい同じ政府部内で、知らぬ間にどこか独走をしておる危険があるわけです。閣内の意見も統一されて、せめて最高のポストの人々の俸給の基準は同一であるというようなことくらいは、勇気を持ってお直しになるべきじゃないか。別に手当が要るならばお手当を出せばいい。基礎額は同級であるということにきちっとおきめになるのがいいのじゃないかということであります。
  212. 福永健司

    福永国務大臣 この種の問題は関係の各省間でいろいろ話し合いをつけて、ことに予算的な問題との関連においては、今のお話でございますと、大蔵省と防衛庁とが話し合いをつけて結論を出してとうなっているものかと私は存ずるわけでございますが、こういうような問題で話し合いがつかないような場合には、総合調整というような意味において、私に責任があろうかと思うわけでございます。今直ちに防衛庁の関係のものについて、これがどうだという見解の表明は私まだ十分に研究いたしておりませんので、御容赦をいただきたいと存じますが、受田さんのおっしゃるような趣旨においていうならば、総合調整の見地から私は研究してみたいと思います。
  213. 受田新吉

    ○受田委員 福永大臣の高邁な識見、熱意を期待しておるのですが、閣議にこの法案がかかるわけですから、閣議にかかったときに、あなたは一つその閣議をリードされて、他の省とのバランスの問題もあるが、防衛庁だけは事務次官の俸給が特別にできておる、事務次官、議長及び参事官等俸給表というのが一つ出ておるが、こんなところはほかにないのだがどうだ、また自衛官たる議長が文官の中に入っているのはどうかというようなところを御指摘されて、閣議においてこれを調整される責任がある。いつの間にかさっさっといったのじゃないかと思いますので、今後一つ——このたびでもおそくはありません。まだ修正案も出せるのでございますから、御研究をお願いしたい。御研究ということでございますから、次回からそういうふうに一つ……。  それからもう一つ、外務公務員ですが、外務公務員の場合、特別職である外交官、これを一つ拾います。大使の俸給表と公使の俸給表がここに出ているのですが、大使が今度引き上げられてどれだけになったかというと、一番高い大使で、この特別職の俸給表で十五万五千円です。そうして一号俸が九万四千円で、局長クラスの安い大使もおいでになるのです。認証官議論はたびたびしましたから私きょうは省きます。けれども一国を代表して外国へ行っている人が、国内の局長くらいのサラリーをもらっておるということ自身は、やはり一つの問題があるのじゃないか。憲法を改正して、元首としての立場でやろうというような御意見が保守党の中にあるようでございますが、そういうのは、つまり信任状をもらうのにも認証官でなければいかぬというようなことと関係するわけですが、せめて外交官、大使として出ておる人は、私は最高五号俸は大臣と同じくらいの十八万という俸給にしてもいいと思う。そして少なくとも一番低いところでも、せめて事務次官クラスの俸給を支給すべきだ。これではいいかげんな大使が任命される危険もあるわけですから、やはり実力を持った大使、公使が派遣されるという立場をとるべきである。こういうわけで、外交官の俸給表というものは何を基礎にこしらえられたものか、大蔵省でもけっこうですから、ちょっとお答え願いたい。
  214. 平井廸郎

    ○平井政府委員 ただいまの御質問でございますが、確かに一国を代表いたします外交官の公館長につきましては、給与水準をもっと引き上げるべきではないかという御意見も、ごもっとものところもあると思います。ただ現実の任用形態その他からいたしまして、一般職の一等級なり二等級の俸給を受けていると同等程度の方々で大使に任用されている方もあるわけでございまして、そういった実情等を勘案いたしまして、大公使の給与額というものは基本的には決定しているわけであります。
  215. 受田新吉

    ○受田委員 だから認証官になる資格のない人が大使になっておられることもあると思うのですが、問題はそこにもあるわけです。軽い大使、公使ということになる。そこで外交もおのずからなめられるという危険もあるわけですよ。そういうところは一つやはり大使、公使に貫禄をつける必要がある。  それからもう一つ、外務公務員の在外勤務の手当。これは俸給表論議は前から議論しておるのできょうは言いませんが、在勤法は昭和二十五年でしたか、七年でしたかきまっただけで、それからずっとそのままになっておるのじゃないですか。
  216. 平井廸郎

    ○平井政府委員 在勤法につきましては、御指摘のように昭和二十七年に制定いたしましてから、基本的には改正は行なわれておりません。
  217. 受田新吉

    ○受田委員 在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律にちゃんと、「在外公館の長は、外務省令で定めるところにより、毎年定期的に、当該在外公館の所在地の物価指数、為替相場の変動状況その他在勤俸の額の検討のため必要な事項に関する調査報告書を外務大臣に提出しなければならない。」とある。そういうものが出されておるけれども、それを引き上げるべき段階でないと見ておられるのか。
  218. 平井廸郎

    ○平井政府委員 その法律の次の条文にあろうかと思いますが、外務人事審議会に関する制度がございまして、そちらで御検討いただいた上で、大蔵省に御要求がある建前になっております。
  219. 受田新吉

    ○受田委員 実情が伝えられていないのじゃないですか。諸外国において、他国の在勤法はぐんぐん伸びておる。日本だけが十年間もくぎづけされておるという実情を私は聞いておるのですが、こういう意味で、俸給は上がってくるけれども、在勤法は十年間据え置きということになると、ちょうど日本の勤務地手当みたいなものですから、国内では本俸が上がれば勤務地手当の額まで上がってくる。ところが在勤法だけは特別に抜き出してあるのですから、そのままになってくるという危険がある。今のものは、在外職員の中に、外交官として権威を傷つけるような形で節約をして、外国にいるときに大いにかせいで、国内におるときのマイナスを補おう、経済収支を外国に在勤中に補おう、こういうような間違った考え方の人も少数あって、そういうところから在勤法がくぎづけにされているというようなおそれはないか。少なくとも、そうした外交官としてのすっきりいけるような立場で、他国と同じ水準で引き上げるということは、別にお互い国民が納得しないことはないのですから、時期がきておると思います。あなたの事務的調査でどうでありますか。
  220. 平井廸郎

    ○平井政府委員 来年度予算の要求と関連いたしまして外務省からその要求が出ております。それにつきましては私どものところでただいま鋭意検討中であります。
  221. 受田新吉

    ○受田委員 鋭意検討中だということですから、準備されておるということですね。  以上、各省にまたがった問題を取り上げてみたわけですが、大臣、私はここで公務員給与の本質に触れたいのでありますが、社会党の同僚委員各位から相当こまかく追及されておりますので、重なったことは省きまして、漏れたところを一、二拾っていきたいのです。  昭和三十年の鳩山内閣のときに、公務員制度調査会の答申があったわけです。それによりますと、職員給与の中で諸手当というものは漸次整理簡素化していく、そうして実質的な減俸を来たさないように本俸に繰り入れる、こういう答申があったのでありますが、これはその後問題にしていないのですか、あるいは多少問題にしておるのですか。
  222. 福永健司

    福永国務大臣 そういう趣旨の作業がある程度行なわれたと私は理解しておるのでございますが、全部が全部そうはなり切っておらないようにも存じます。具体的には事務当局から申し上げることにいたします。
  223. 増子正宏

    ○増子政府委員 一般的な考え方といたしましては、給与体系の簡素化という観点から、各種手当の整理ということが当然考えられておるわけでございますが、ただ具体的な手当の問題といたしましては、それが現在相当給与上において深い意味を持っております場合には、にわかにそれを廃止し、もしくは直ちに本俸化するということができない場合が多いわけでございます。従って基本的な考え方としては、公務員制度調査会の答申の趣旨は、今日でも一般に尊重されておるというふうに考えておるわけでございます。
  224. 受田新吉

    ○受田委員 今度の法案及び人事院の勧告の中にもあるのですが、初任給調整手当、これはいわゆる俸給の特別調整額に該当するものでありますか、あるいは別の性格のものでありますか。
  225. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 これは手当でございまして、俸給のいわゆる調整額とは違います。従って具体的に申しますと、退職年金その他の基礎になるような意味の俸給とは違います。
  226. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると諸手当に入りますね。この諸手当というものは、先ほど御質問の中にも出ておったのでありますが、初任給調整手当というものは、給与の本質的なものじゃない、こういうことでいいわけですね。
  227. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 本質的なものではないというのはどういう御趣旨のお言葉でありますか。給与であることは事実であります。ただ俸給といいますか、本俸ではないということでございます。
  228. 受田新吉

    ○受田委員 基本給ではない、その他の中に入るわけですね。そこでこのような調整手当のようなものをやるよりは、ちゃんとそれを本俸に繰り入れてきちっとした方が、諸手当を整理するという原則にも合致するし、またそれをもらう側でも、何とか調整手当をもらったような印象を受けるので、これははなはだまずい。それよりも本俸をそれだけ切り上げて、すっきりしたものにされればいかがですか。
  229. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 この初任給調整手当の問題と、それから諸手当を整理するという問題と、二つの問題がございます。初任給調整手当は、先ほどもちょっと申しましたように、結局これは一つの労働市場としての民間の初任給に対抗するために、最初の初任給を引き上げる方法の一つとして考えたわけでございます。そこでかりに今度初任給の引き上げ千円、それから初任給の調整手当千円といたしますと、二千円初任給を引き上げれば御趣旨に合するのだろうと思います。ところが民間の実情から申しますと、実際は俸給体系としては、これは一つの仮定というか、具体的の会社に関係するものではございませんが、千円に相当するものが俸給体系の中に入りまして、あとの千円というものは、一つのその年の労働市場の問題として入る。そして民間では、かりに二千円上げまして、それで前年度の人はそのままおいておくという会社もありますし、その点は民間会社では割に割り切りまして、あとから入ってきた者が前の者より高くても、こういうことは割に簡単に処理がされておるのでございますが、やはり公務員といたしましては、まあ二千円上げまして、二千円を全部ずっと上まで上げていけばあるいはいいのかもしれませんが、そうしますとこれはまた民間の初任給のところは合いますけれども、上の方は合いません。公務員よりも低くなります。それでやはり給与体系としての初任給というものにおいて、実際問題として、一つの労働市場としての需給関係から起こってくる問題、そういう問題が実際の民間給与に看取されますので、その点を初任給調整手当といたしまして、それが何カ年間かに解消するような方法をとるわけであります。  それからもう一つ、先ほど来の手当の簡素化という問題につきましては、これは私個人の見解になりますけれども、もちろん給与の簡素化といいますか、そういう問題も大事でございますから、大きな方法としては手当を整理して本俸に繰り入れることは適当だと思っておりますけれども、しかし要は公務員給与というものが、実質賃金が下がっては困りますので、やはり合理的な手当は合理的な手当として存続し、あるいは置きまして、結局公務員給与が妥当なものになるように、方法は考える必要があると思いまして、何でもかんでも手当というものはやめてしまうというふうに考えるのはいかがかと思っております。
  230. 受田新吉

    ○受田委員 そう何もかもということでなくて、段階的に順を追うていけばいいわけです。特に初任給調整手当というものは、私は本俸へはっきり繰り入れていいのじゃないかと思う。一千円本俸が引き上げられた、それに調整手当が千円引き上げられた、二千円上がるわけですね。しかし二年目の者は五百円はくっついておるのですから、五百円の差はできるのですから、決しておかしい体系にはなりません。その意味でこそく手段のような操作をやられないで、はっきりと初任給を引き上げて、調整手当をそれにプラスしたものを本俸とする、こうやったって、五百円の差はついておるのですから、あとのカラスが先に立ちはしません。いかがでしょうか。
  231. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 今は上の方についてお話しになりましたが、それから一列下をお考え願いますと、実際問題といたしまして、新制高校卒あるいは短大卒の初任給というものは、勧告も民間よりそんなに低くございません。民間の給与よりもほんのわずかですが、低うございます。また実際の労働市場という、言葉は別でございますが、一つの採用状況から見ましても、一番困難をいたしますのが大学のところでございます。そこで大学のところを民間と対抗するために、かりにそれだけのものを上げる。そうすると、これは比喩かいかがかと思いますが、大学卒のところだけは千円突出する。しかしこれは俸給表をごらんの通り、やはり下がら上までずっと体系を保つ必要がございますので、これはなかなか——給与局長から御説明する必要があればいたしますが、間差の問題とかいろいろ問題があって、そこだけを上げることはちょっとむずかしい問題ではないかと思います。
  232. 受田新吉

    ○受田委員 給与局長でなくてけっこうです。総裁は非常に御勉強されているからいいのですが、そこで私が今申し上げていることは、決して矛盾しないので、初任給調整手当分を本俸に繰り入れて計算しろということですから、決してあとのカラスが先に立ちません。  それから今はなはだ小細工されたように見えるのは、たとえば行政職の俸給表の三等級の九号俸から二等級に昇格した場合に、六万一千二百円から六万一千百円というのが一番近いところにある。ところが百円ほど下になっている。しかし直近上位にあるから、一ぺんにその上の六万四千三百円というところにいく。これは等級によっていかにも小細工になっているように見える。直近上位にいくから、一ぺんに一号上がったと同じような形のものにされるような俸給の作り方になっている。こういうところに一部の試験採用による特別な人々はとんとんいくし、あとの人はとどまっているという危険も起こる、こういう俸給表をどうしてお作りになりましたか。
  233. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、昨年は研究職、教育職また行政部内における同様に考えなければならない技術者も相当いるわけでございますので、そういうところから昨年の勧告においては、上位等級のアップ率が多かった。これは議論が多うございましたが、そういう状況でございました。しかも俸給表の作成の技術上の問題になりますが、そういう関係になりましたために、従来の二等級と三等級の関係が、三等級の同じ号俸から二等級に上がる場合に、去年の勧告が実施された結果、その以前とあとにおいて一号おくれるようなことになったのであります。これは技術的に去年非常にまずかったところでございますが、そういう関係がございましたので、ことしはこれをもとの形に直すということを技術的にやった、ただそれだけのことでございます。
  234. 受田新吉

    ○受田委員 もとの形に直された結果、上がってくると六万一千二百円もその次の六万三千七百円の三等級のものも、みな同じところにとどまってしまうわけですね。
  235. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 それをそのままやるとそういうことになりますけれども、やはりそういうところになって参りますと、従来の俸給序列なり何なりというものがございますので、それを乱しませんために、昇格いたしました場合の昇給期間の調整というようなことをやりまして、その間の調整をつける。これは実施上やることでございますが、そういう措置を考えておるわけでございます。
  236. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、六万一千二百円で二等級に上がった人、それよりも先任であった人があとから二等級になるときには、先任であった方が、先へ六万四千三百円になった人よりも将来上がるわけですか。そういう措置をとるのですか。
  237. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 三等級から二等級になりますときに、三等級のどの号俸からなるかということが問題でございます。われわれの方といたしましては、二等級のポストにつけば二等級の初号ということになります。三等級の号俸が二等級の初号に達していないときは、そういう措置になります。ところがおおむねどういう号俸から一般的に昇格しているかということを見てみますと、今おっしゃいましたような三等級の十二号俸、十三号俸という辺が問題になる。三等級の十三号あるいは十四号から二等級になった場合と、それから十二号あたりから二等級になった場合、これはおのずから話が違うわけであります。同じ号俸から二等級になりましたものの前後関係はこれを調整する、こういう措置をとるわけであります。
  238. 受田新吉

    ○受田委員 今局長さんのお話では非常な不公平が生ずる危険があることは、はっきりわかったのですが、私はもうこれはお尋ねをすることはよしましょう。  それからもう一つ、この行政(二)から(一)にかわってくる問題の中で取り上げてみたいのは、これはいかにも優遇したように見えておるけれども、この行(二)の中から行(一)に拾う職種というものが一体どういう層の人がおるかということを考えてみると、一例がタイピストをとってありますが、タイピストというものは女性が多い。女性で(二)表のままにおれば十三年目ぐらいまでは行政職の俸給表の(一)よりもいい。いいところを歩いておる間に大ていの者はやめるのじゃないですか。女性はもう行(一)になって都合がいいのは、それからずっと長く勤務して十年、二十年とお勤めになるタイピストの人だけが——ほんのわずかな上に行く人の優遇のために行(二)から行(一)にかえているのじゃないですか。結果はそうなっているじゃないですか。
  239. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 この行(一)、行(二)の問題は、この委員会におきましても、しばしば御議論がございまして、本日も横路委員からいろいろ御指摘があったのでありますが、この行(二)の俸給表は身分差別だという議論がずいぶんあったわけでございます。また参議院の内閣委員会におきましても同様の御議論がございまして、行(一)、行(二)についてはよく考えてみろという附帯決議が前国会についた、そういう経緯がございます。われわれは、当初やはりこの行(一)になります職種は、初級職試験を通ってそうして入ってくる、高等学校の卒業の方々が入ってくる。タイピストあるいは統計器操作員あるいはパンチャーという方々は、そういう初級職試験を通ってくるというととは、例にはなっていないのであります。それでそういう技術を担当いたしまする職員は、おおむね技術、技能ということに着目いたしまして、これは行(二)の俸給の適用ということになっておる。御存じのように行(一)の俸給表は最低号俸のところが新制高等学校卒業程度のところになっておるのであります。行(二)の方は中学校卒を採用し得るような俸給表になっております。この問題は身分差別ではない。境界のところにおいては御指摘のような不分明のところが出て参りますから、そういうものにつきましては、十分個別的に事例に当たりまして検討して、そしてその適用をいずれの俸給表を適用するのが妥当であるかということをきめる措置は、従前からわれわれはやって参りましたし、そういうことを申し上げて参ったわけであります。それでやはりタイピストを行(一)に入れろという御意見が非常に強かった。従来いろいろな機会に、それはやはり俸給表の性質が違うのだからということをしばしば申し上げたのでありますけれども、それにもかかわらず、国会の御議論におきましても、また公務員の組合の方々がわれわれの方においでになりましていろいろお話がありますときにも、やはりタイピストは行6と同様に扱うべきであるという御議論があったわけであります。われわれとしては、これはどういうふうに解釈すべきであろうか、いろいろ附帯決議あるいは国会の審議等を通じて出ました御意見等をどういうふうにしたら尊重できるのであろうかずいぶん研究したのでありますが、最近におきまして、タイプを打つということは、これはもうタイプを打つという技能という面でむしろ問題をとらえるよりも、これはやはり行政の補助的事務という観点からとらえた方が一そう適切であると、こういう見解に達したわけであります。それで行(一)と行(二)の問題につきまして、われわれといたしましても、そういう観点からとらえ得るものは何々であろうかというふうに考えてみました際に、タイピスト、統計器操作員、それからパンチを打つパンチャーというものはそういう関係でとらえ得る。そういうものは新しい角度から——従来は機械的書記的業務というような観点からこれをとらえておった。とらえておったというよりも、従来そうなっておったのをわれわれがそういうふうに解釈しておったわけであります。新たにこれは機械的書記的事務というよりも、むしろ行政の補助的書記的事務という観点からとらえた方がよろしいという意味で、これを行(一)に移すということになった。そのときに、御指摘のように確かに最初の十年くらいは行(二)の俸給表の方がよろしいのでありますから、これは普通の形におきまして職務の転換が行なわれたというので俸給表の移しかえをやるという、従来人事院規則で定めておる方式に従ってこれを移しかえをすると、大へんな減収になる。ほかの方々は今度の給与法の改正によりまして給与が上がるわけであります。少なくとも一千円は上がるという形なのに、これは行(二)から行(一)に今度の措置で移しかえということをいたしますと、就職後十年未満の方は相当な減収になる。もしその方が最初から行(一)の俸給表の適用を受けておって、そうして漸次今日に至ったとするならばという計算でございますから、非常に落ちるのであります。それは非常に不当である、そのようなことはやはり実際的措置でないということで、今回はそういう方々につきましても、俸給表の移しかえにあたりまして増加額が千円を下らないという措置を、これは附則でやっていただくようにお願いしておるのであります。それでそういう方々はおおむね五、六年でやめるのではなかろうかという御意見であります。あるいはそういう場合もあるかと思いますけれども、最近の情勢を見ておりますると、おやめになる方が割合少ないというような関係もございまして、行(二)から行(一)に移しかえをいたしますと、それは行(二)の方が確かに給与がよかったのですから、それはほっておけば下がる。けれども、行(一)に移す場合にそういう措置は実際的でございませんから、これは今度の俸給改正に従いまして少なくとも千円は上がるということで、一般の人は上がるわけでありますから、それだけのことは措置するということをいたしたのであります。
  240. 受田新吉

    ○受田委員 非常に詳しく説明していただいたのですが、簡単に一つ……。これから簡単に質問します。このタイピストのような職務を持った皆さんがやめる場合は、比較的十年以下でやめられる人の方が多いのではないか、十年以上も残っておられる人というのは、数が非常に減ってくるのではないか。実態を一つ聞かしてもらいたい、それが一つと、もう一つ、ずっと長くおるつもりの人は行(一)を選択し、非常に早くやめたい人は行(二)をとるという選択権の自由を与えられるという措置がとられるかどうか。
  241. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今のことは、やめられる方が多いか少ないかという点でございますが、これは現実に統計をわれわれはっきりしたものを持っておりませんから何とも言えませんけれども、私の感じとしては、やはりおやめになる方は少ないのではなかろうかという感じを持っております。それから同じ職務をやります者がいずれの俸給表でもいける。それは行(二)の方が高い間は行(二)におって、行(二)の方が行(一)より金額が落ちるところで行(一)にかわろう、これは俸給表を適用するという建前から非常におかしいと思うのであります。従いまして、もし当初のように行(二)自体を適用しておる、六、七年でかりにやめるという場合には行(二)を適用した方が得でありますけれども、これはこの国会で御議論もあり、公務員諸君の御希望もあり、附帯決議もあるということで、人事院といたしましては、そういうことに対して真剣に考えた結果やったことでございますので、御了承願います。
  242. 受田新吉

    ○受田委員 これはなかなかめんどうな問題ですよ。どっちへころんでも公務員自身が満足される形のものにならなければいけないわけなんです。いやでも行(一)に持っていこうという形はどうかという問題です。そういうものに対して千円くらいの措置ではちょっと間に合わないということで、できれば、そういう場合に行(二)の特典をある程度もっと生かすというような方法を別に考えるというととも——今、局長さんは十年以内でやめる人はおらぬじゃないかとおっしゃったけれども、私は女性は結婚されてやめる率が非常に多いと思う。十年タイプをやって、十年たつ間にやめる方が——それ以上残って三十五、六から四十、五十と勤務する人の方がまれである。実態はきびしいですよ。そういうことです。  もう一つおしまいに一つ大臣に、去年これと同じような改正案が出たときに、防衛庁の職員と裁判所の職員だけはちょっと高過ぎるというので、大蔵省が頭をひねってなかなか返事をしなかった事態があるのを御存じですか。
  243. 福永健司

    福永国務大臣 私はまだそういうことについて聞いてはおりませんが、ありそうなことのように承知をいたしております。
  244. 受田新吉

    ○受田委員 大蔵省の方から、一つ去年の実情をちょっとお聞かせ願いたい。
  245. 平井廸郎

    ○平井政府委員 昨年度の事例でございますが、防衛庁等につきましては、一般職公務員との賃金差がいかにあるべきか、これは防衛庁職員給与規程、給与の作り方がやや特殊でございますので、そういった点を加味しながら議論したことは、事実でございます。
  246. 受田新吉

    ○受田委員 それから裁判官はどうです。
  247. 平井廸郎

    ○平井政府委員 裁判官等につきましても、同様でございます。
  248. 受田新吉

    ○受田委員 いろいろ議論をした。議論をしたほどやはり問題になっておるのですね。この点は、やはり非常に議論をしたと大蔵省の方がはっきり言われておるわけですから、少し停滞した時期があるのです。ありそうなことがあったのです。そこで、私は福永さんの政治力に御期待したいのですが、公務員制度調査会の答申の中にも、立法、司法、行政のすべての職員の統一的な立場をとるべきであるという意味のことが一応あった。これは中央行政機関という名称について、われわれは議論があったのですが、そういうものはあなたのところだって今できるのではないかと思うのです。あなたから、総理からその権限を与えていただくように、池田さんに強く要請されて、池田さんが胸一つおれにまかせておけというところまで、一つ強く進められてはどうか。つまり公務員給与の全般にわたっての統一的な行政を握る国務大臣という立場に立って、公務員ですからね、一般職特別職を分けないで、公務員全体の立場という、そういう閣議における了解というようなものをお取りつけになる必要がないかと思うのですが、非常に大事なことだと思うのです。
  249. 福永健司

    福永国務大臣 今の問題にしても、先ほど話が出ておりました在勤俸の問題にしても、大蔵省と当該防衛庁なり裁判所なりその他の役所との間で話がつけば、それで済んでしまうわけであります。どうしてもつかぬということになると、総合調整の責任は、現在の法制上も私にあるのじゃないかと私は考えております。しかし御注意等もございましたので、適切な方法もとっておいてもよろしいかと存じますしいたしますが、ただいまのところはいろいろやりながらもどうにか話がついておりますので、さなきだにいろいろめんどうなこともございますので、進んでそれをということもいたしておりません。これは正直に申し上げます。しかし今るる伺っておりますと、いろいろそういうようなことで、総合調整の必要があるんじゃないかということをつくづく感じます。よって、そういうことを感じた上での適切な措置をとってみたい、こういうように考えております。
  250. 受田新吉

    ○受田委員 それでは私質問を終わらしていただく段階に入ったわけですが、今問題が起こっておるのは、私しばしば例をとり上げて申しわけないのでございますが、各省にまたがるそうした割拠主義ということと、それから人事院——人事院が今非常に公平な公務員の身分や給与を担当する、いわゆるストライキ権に該当するものをお握りになっておるという立場でございますけれども、ときどき、しばしば政治的な意図のお仕事をなさる。たとえば管理職手当、学校長や教頭にまで管理職手当を出しておる。あのときは入江先生、神田先生等の御努力というものが、文部省の圧力で実を結ばなかったですね。これはどうですか、あのときはやりたくなかったが、文部省から教頭にという押し売りをやられたという事例があるのではありませんか。
  251. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 別に押し切られたとか——いろいろその間に議論がございましたことは、事実でございますけれども、人事院といたしましても、結局その話し合いがつきまして、ああいう結果になっておるわけでございます。
  252. 受田新吉

    ○受田委員 話し合いは文部省の言う通りになったですね。
  253. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 文部省の言う通りと申しますか、結果は確かに文部省のお考えになるようなことになっております。しかし、給与の問題について、別に政治的という意味でもございませんので、たとえば今度の科学技術尊重の問題については科学技術庁の意向を聞くとか、教職員の優遇の問題につきましては文部省の意見を聞くとか、私ども公務員組合の各位の意見も伺う、また各省の御意見も伺って、その間に人事院の意見を通させていただくこともありますし、いろいろありますわけでございます。
  254. 受田新吉

    ○受田委員 いろいろあるということで、大へんあいまいになってきたのです。私は非常に問題が今出てきたと思うのです。教頭に管理職手当を出したために、地方出先機関では課長クラスにも当然これは管理職手当が出るべき性質のものです。そういう国家公務員の場合には、管理職手当を出せない職種が——比較して出すべき者に出してないのがたくさん出てきたと思うのです。大学の先生などの場合でもそうです。行政管理庁の職員などは頭でっかちばかりそろっておられる傾向があるので、役付になれない。頭打ちだ。そういう事情が出てくる。そういうところを一角くずしたということは、人事院としては非常に権威を失墜したと思うのです。そういういろいろなところに波及する。小学校の教頭に出したということになると、もう管理職手当を出さなければならぬ職種がずいぶんたくさんありますよ。そうお思いになりませんか。お考えになるまでもなくお答えが願えると思います。
  255. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 それは確かに、管理職手当を教頭につけましたときに、他の職種について、単に均衡上からいえば出したらどうかというものがあることは事実でございます。しかし御存じのように、給与問題というものは大体波及する性質を持っておりまして、この管理職手当に限らず、一つのものを上げると一つのものが必ず他に波及するという性質がありまして、そこを極力一つ合理的に皆さんが納得のいくように努力して参りたいと思っておるわけでございます。
  256. 受田新吉

    ○受田委員 その結果、管理職手当をもらえない一般の公務員は超勤手当をもらっているわけなんですが、超勤手当というものは一カ月十二時間が中央官庁の基準である。地方出先は六時間、運転手などは十八時間に一応基準がいっている。管理職手当は二五%中央官庁のおもな人はもらっている。そういうようなことで、超勤手当をもらっている下級公務員と管理職手当をもらっている上級の公務員との間にも実際に非常な待遇差が出てきておる。大体超勤手当の変形みたいなものが管理職手当ですから、こういうものを作ったばかりにいろいろなやっかいなものが次から次と出てくるわけです。そうした管理職手当と超勤手当というものの調整を、実質収入をなるべく公平にさせるような御努力も私は必要ではないか。諸手当の問題が当然起こる。法務省の方、今、裁判官でも管理職手当をもらわない人で非常に不満を持っている人があるでしょうね。判事などはそうじゃありませんか。ちょっと一般公務員、教頭などを考えられたとき、あなたはどうお思いになるでございましょうか。
  257. 津田實

    ○津田政府委員 裁判官の管理職手当と申しますか、特別調整額につきましては、もちろん人数が限られております。現在は五百九名ですが、裁判官の総数にしては非常に少ないわけでございますので、一般の、単に勤続年数等を考えますれば、すでに各省の職員として管理職手当がついている者でも裁判官がついていないという事情はございます。そういう意味の不満足というものはあると考えております。  なお、ついでに先ほどのお答えを申し上げますが、先ほど申し上げました裁判官の報酬等暫行規則のルールの根拠法でございますところの昭和二十二年法律第六十五号、裁判官の報酬等の応急措置に関する法律は、昭和二十三年法律第七十五号によりまして一応廃止になっておりますが、司法修習生の受ける給与についてのみ従前通りという規定になっております。従いまして、この昭和二十二年法律第六十五号の司法修習生に関する部分は、現在生きておるわけでございますが、その条文によりますと、第八条でありますが、「司法修習生の受ける給与の額は、当分の間、最高裁判所の定めるところによる。」こういうことになっております。これに基づきまして現在の規則が定められておる、こういうことであります。
  258. 受田新吉

    ○受田委員 非常にあいまいな形で、残されておる危険があるわけです。今のそれは、法律の規定が残っておるのですか。
  259. 津田實

    ○津田政府委員 法律は廃止になっておりますが、司法修習生については、従前の例によるということになっておるわけです。廃止法律によって、従前の例によるということになっておりますから、その部分は残っておるわけであります。
  260. 受田新吉

    ○受田委員 そういうものは、法律の規則で別の方へきちっとうたっておくという努力をされておる方が、はっきりしていいと私は思う。消えた法律の中で、どこかに亡魂が残っておるような印象を与えておりますから、これがおかしくなってくるのです。これは非常に大事なことです。総裁、そういうことなんです。法務省の方でもそういう御意見がある。どこか一角そういうことをくずすことによって、波及するところが大へんに広がるわけですから、人事院というのは政治的な立場で動かれてはいかぬ。たといどう言われても、筋を通して押し切るということでなければ、われわれは信頼できない。人事院勧告尊重という原則を守っている私たちとしても、そういうことでときどき不安なことが起こるんですね。一つ十分御注意をお願いしたいと思う。  そこで最後に、局長がおられるので、任用問題ですが、大体、大学を出て公務員試験にパスした順調な立場の人だけが優遇されるという現状になっていると思うのでございますが、この人事院が出した資料、民間給与との比較などを見ると、その中に、小学校や中学を出ただけの人が相当部長や支店長になっているんですね。これは相当の数がおるですよ。ところが国家公務員の場合には、大学を出て公務員試験に合格しないで、もう無手勝でどんどん上がっていくという、かつての慶徳管理局長のような立場の人が、現に局長以上に何人おられるか、御答弁願いたいです。
  261. 矢倉一郎

    ○矢倉説明員 現在私の方の手持ちの中では、そういった点についての直接の調査はいたしておりませんので、何人おるか、数字は明瞭に申し上げかねますが、私の一応の今の感じとして申し上げますと、現在のところでは、大体地方官衙の長にはおいでになりますが、本省庁にはおられないのではないかというふうに考えております。
  262. 受田新吉

    ○受田委員 人事院は詳細は御調査をされて、職種別、規模別、学歴別民間給与額をお出しになっておられるのです。ところが公務員の内部の方を一向調査されておらぬというのは、片手落ちじゃないですか。民間の方は一生懸命やったが、公務員の方は一向やっていないというのは、片手落ちだと思いませんか。
  263. 矢倉一郎

    ○矢倉説明員 今御指摘の資料は、給与調査の中での御資料でございますが、私の方ではそういった点についての調査以外に、任用関係調査としては、今のような学歴等による調査は、明瞭なものをただいま持っております。
  264. 受田新吉

    ○受田委員 それじゃ給与局長、これと同じものがあるかどうかです。
  265. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまここに持っておりませんけれども公務員の実態調査のときにやっております。それで、そのポストがどういうポストであるかということはちょっとわかりませんが、三等級になっておる人が学歴別にどのくらいいるかという資料はございます。今ここに持っておりませんので、またあとで御必要があれば……。
  266. 受田新吉

    ○受田委員 これを拝見しますと、民間給与との比較をするのに、民間給与はこういうこまかいところまで一応お出しになっておるのですが、その中で支店長や重役にもなっておる人がおる。ところが公務員の方は、慶徳さんのような例は、今のところ思い当たる節がないようなことですね。大体、局長で、そういう特進の人というのはいないんじゃないですか。
  267. 矢倉一郎

    ○矢倉説明員 現在の制度から参りますと、実はそういう点についての差別というものは一切なくなっておりますので、制度的にはそういった学歴の区分というものはしていない。ただ、御承知のように、任用の仕方としては、一応成績主義ということを非常に重視いたしておりますので、従って、そういった成績の認定の可能である限り、昇進は可能だということにはなると思います。
  268. 受田新吉

    ○受田委員 そこです、問題は。ところが、試験採用でいった人が、大体日本は基礎が試験になっておるのですから、それによって順位でどんどんといくような形になっておるから、実力を持ち、勤務の状況においても非常に特色のあるすぐれた人が、試験に合格しなかったばかりに、下積みになっておるという現象になっておるのです。そこに官僚臭というのが現われてくるので、慶徳さんのような人材をどんどん見出すという努力を、人事院としてもされなければならぬ。各省もそういうふうにされなければいけないです。福永さんの労働省にも、そうした人材をどんどん吸収、抜摺される、こういうようなことにいけば、みんなが張り合いが起こるのですね。そういうところでも、大学を出て公務員試験の上級にパスして、とんとん拍子に各等級の一号俸をぽんぽん次から次へと昇格していくというのがあると、一般公務員には希望を失わせることになる。そういう点は、一つ十分御留意していただきたい。ことしの資料はないかもしれませんから、去年の資料でもけっこうですが、公務員試験に合格した人の数、及びその人が民間へ流れていく傾向があるのを食いとめてこちらが確保した数がどれだけあるかという、最近の資料をお出しいただきたいと思います。
  269. 矢倉一郎

    ○矢倉説明員 昨年度事務系で合格いたしましたのが五百八十五名、そのうち採用の決定しましたのが二百四十六名、辞退者が三百十六名ということになっております。理工系の方は、五百四十一名の合格に対して二百七十六名の採用、辞退者が二百三十九名、それから農学系は、二百四十四名の合格に対して百三十三名の採用、辞退者が九十七名、かようになっておりますが、御承知のように、一般の求職状況が公務員の場合にも影響しておるということは確かに事実であります。ただ、われわれの方の試験は、御承知のように八月に実施いたしますので、そこで八月にはまだ民間の方は採用を開始しておりません、一応の協定ができておりますので。従って公務員を受験する者の中には、今申し上げました将来の不確定要素がございますので、そこで公務員試験にも一応受験しておくというふうな考えの方が入っておられまして、これが若干辞退者の中にまじっておりますし、その中には御指摘のような、一応公務員になるつもりで受けたけれども、民間に流れたというのもあるかと存じますが、実はその辞退者の内容は、われわれの方では、一応合格者に対してそういった提示のあとで、各省採用のときにこられなかった人たちに対する照会をいたしておりますが、しかしその照会は、民間に逃げたというふうな形では出て参っておりませんので、まあそういった公務員試験で一応受けたけれども、民間のどこそこに入っているというふうな回答でございます。  それからこの機会にちょっとつけ加えておきますが、実は一応民間会社に入ったけれども、そのことのために、私の方では名簿から削る場合がありますが、そういう人たちが、再度公務員に希望したいというふうな人も、最近若干現われてきておるということは、やはり公務員もそれほど魅力のない職場だというふうな感じもなくなってきつつあるというふうな感じもいたしております。
  270. 受田新吉

    ○受田委員 この質問で終わりにいたしますが、私今御答弁をいただいたことで思い当たることだし、また問題になる一つの事例として、民間給与との比較においてもっと正確を期する、つまり、同じ立場で民間の給与がどうなっているかというやつをもっと詳細に検討していくような形にしないと、人事院に都合のいいような形をおとりになっておられる。今の小学校、中学校を出てどんどん進んでいく人の、特に民間との給与の比較などでも、そういう人を今対象にせぬで比較しておられる問題もあるが、また教育職においても、民間給与は非常に低いのですね。私立学校の先生は、あなたの方でお出しになった比較表を見ても著しい差があるのです。そして医療職などを見ると、今度は民間がばかに高い。五万六千円もしているのに、公務員の方は四万一千円、こういうふうになっておる。そういう比較する対象には都合のいいような形で、たとえば医療職の方はうんと引き下げておる、それから教育職はうんと引き上げるという形をとっておられる。これは、総合的な見地からやられておると思うのです。特に人材吸収のむずかしい医療職のごときは、民間給与よりも一万五千円も低いところへ置かれないで、もう少し奮発されたらどうでしょうか。これは、大学を出てインターンまでやっている、技術者としてもっと優遇するという措置をおとりにならぬと、国立の病院などに実際お医者さんは来ないんじゃないですか。そういう特殊の考慮というものが払われていないと思うのです。
  271. 入江誠一郎

    ○入江政府委員 確かに、たとえば教育職は民間私立学校の方が低い、医療職の方は民間が高い。また医療職でも、看護婦は公務員の方が高い。そういうふうなのを、お話しの通り総合的にやっております。そこで、医療職につきましても、今回、御存じ通り、たとえばインターンの問題を考慮いたしまして、給与改善をだいぶいたしましたり、あるいは初任給調整手当を増額いたしましたり、相当増額いたしております。これは率直に申しまして、給与の問題だけでは解決できぬと思います。と申しますのは、大体都会の病院、療養所は、割合人が不自由しないのでございますが、どうしてもいなかの療養所とか病院は、単に給与の問題だけでございませんで、研究ができぬとかいろいろな問題がございまして、やはり総合的に考えなければならぬと思っていますが、十分その点は私ども承知いたしながら、他の公務員との均衡も考え、今後努力したいと思います。
  272. 受田新吉

    ○受田委員 大へん時間をかけて皆さんに申しわけなかったので、これでおきます。
  273. 中島茂喜

    中島委員長 以上で一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の三案に対する質疑は終了いたしました。  次会は明日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十三分散会      ————◇—————