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小平政府委員 去る七月、
総理府総務長官を拝命いたしました。今後
委員の
各位に何かとお世話になることと思いますが、何とぞよろしくお願い申し上げげます。
ただいま
議題となりました
北方地域旧
漁業権者等に対する
特別措置に関する
法律案の
提案理由について御
説明申し上げます。
歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島につきましては、
わが国固有の領土であるにもかかわらず、
昭和二十年八月以来
わが国の
施政権が及んでいないという特殊な状態に置かれております。このため、これら
北方地域の
地先の
漁場において
漁業を営んでいた旧
漁業権者等その他
北方地域の元
居住者は、
北方地域に復帰することはもとより、その周辺の
漁場において
漁業を営むこともできないという困難な
状況にあります。一方
北方地域において旧
漁業法に基づく
漁業権または入漁権を有していた者等については、前述のような
事情に基因するものではありますが、本土において戦後とられた
漁業制度改革に伴う
漁業権
補償の
措置をとることができないため、本土側の旧
漁業権者等に比し不利な地位にも置かれております。
北方地域に関するこのような特殊
事情及びこれに基因して旧
漁業権者等の置かれている特殊な地位等にかんがみ、これらの者に対し特別の
措置を行なうことにより、
北方地域に関する施策を講ずる必要がありますので、
北方地域旧
漁業権者等の営む
漁業その他の事業及びその生活に必要な資金を低利で融通する業務等を行なう
機関として北方協会を設立し、これに対し国が所要の資金の交付を行ない、もってこれらの者の営む
漁業その他の事業の経営とその生活の安定をはかり、あわせて
北方地域に関する諸問題の
解決を促進いたしたいと存ずるのであります。
このような
趣旨から、
政府は、前
国会に
北方地域旧
漁業権者等に対する
特別措置に関する
法律案を
提出したのでありますが、
審議未了となりましたので、今回これと同一
内容のこの
法律案を
提出した次第であります。
次に、この
法律案の
内容について概略御
説明申し上げます。
第一に、この
法律による
特別措置の対象となる
北方地域旧
漁業権者等の
範囲でありまして、その一は、
北方地域の
地先水面につき、旧
漁業権またはこれを
目的とする入漁権に基づき
漁業を営む
権利を有していた個人であり、その二は、
北方地域において定置
漁業権または特別
漁業権の免許または貸付を受けていた個人または法人の構成員もしくは出資者たる個人であります。その三は、これらの者が
死亡した場合における後継者であります。その四は、以上の者のほか、
昭和二〇年八月十五日まで引き続き六カ月以上
北方地域に生活の本拠を有していた
一般元
居住者であります。
第二に、
特別措置の
実施の
機関として北方協会を設立し、これに対しその業務の財源に充てるための基金として、十億円を国債をもつて交付することとしております。この国債の
償還期限は十年、利率は年六分としております。
第三に、協会の業務についてでありますが、その一は、
北方地域旧
漁業権者等に対する低利資金の貸付であり、これは個人に対する貸付のほか、
北方地域旧
漁業権者等と
関係のある
漁業協同組合その他の法人に対する貸付、その他
北方地域旧
漁業権者等の福祉の増進を主たる
目的とする事業を行なう市町村への貸付をも予定しております。また貸付の対象となる資金の
種類には、
漁業その他の事業に必要な資金のほか、生活資金も含めております。その二として、
北方地域に関する諸問題の
解決の促進をはかるため必要な
調査研究及び啓蒙宣伝を行なうこととしております。
最後に、協会の解散及び解散した場合における残余
財産の
処分につきましては、別に
法律で定めることとしております。
以上がこの
法律案の
提案の
理由及びその
内容の概略であります。何とぞ慎重御
審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
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