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1961-11-01 第39回国会 衆議院 地方行政委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十一月一日(水曜日)    午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 園田  直君    理事 金子 岩三君 理事 纐纈 彌三君    理事 高田 富與君 理事 渡海元三郎君    理事 丹羽喬四郎君 理事 太田 一夫君    理事 川村 継義君 理事 阪上安太郎君       伊藤  幟君    宇野 宗佑君       小澤 太郎君    大沢 雄一君       大竹 作摩君    亀岡 高夫君       久保田円次君    津島 文治君       富田 健治君    永田 亮一君       前田 義雄君    安宅 常彦君       佐野 憲治君    二宮 武夫君       野口 忠夫君    松井  誠君       山口 鶴男君    和田 博雄君       門司  亮君  委員外出席者         自治政務次官  大上  司君         自治事務官         (行政局公務員         課長)     松浦  功君         自治事務官         (財政局長)  奥野 誠亮君         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君         自治事務官         (財政局公営企         業課長)    立田 清士君         自治事務官         (財政局調査課         長)      首藤  堯君         専  門  員 圓地与四松君     ————————————— 十月三十一日  一、地方自治法の一部を改正する法律案川村   継義君外二名提出、衆法第五号)  二、地方自治に関する件  三、地方財政に関する件  四、警察に関する件  五、消防に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方財政に関する件      ————◇—————
  2. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 これより会議を開きます。  園田委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  地方財政に関する件につきまして調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。阪上安太郎君。
  3. 阪上安太郎

    阪上委員 近年地方財政は非常に好転している。こういうふうにいわれております。しかしながら、地方財政は依然としてやはりいろいろな問題をかかえておるのであります。それできょうはいろいろな関係からきわめて簡単に二点ばかり御質問を申し上げたい、かように考えております。  まず初めに、税外負担についてお伺いいたしたい。そこで当局から、最近の税外負担状況、これを一つ簡単に要点だけお伺いいたしたい。
  4. 首藤堯

    首藤説明員 最近の税外負担につきましてのお尋ねでございますが、最近の税外負担につきましては、現在私どもの方で調査を進めておるところでございますが、現在の時点では完全な状況にまで取りまとめを実はいたしておりません。ただ、現在までに報告のございました四十二、三件ほどの状況から推計をいたしてみますと、御案内のように前に昭和三十二年度ころの税外負担につきまして調査いたしましたものを諸先生方に御報告を申し上げたものがありますが、それと対比をいたして考えてみますと、当時市町村住民その他に対しまして、公費をもって負担すべきものを税外負担として課しておったとして集計をされておりました金額が二百五十三億に上っておったわけでございますが、それに該当いたしますものとしては、三十五年度では大体二百二十四、五億程度ではなかろうか、このように現在の状況では考えておる次第でございます。  それからなお、ただいま申し上げました二百五十三億程度のものは、本来公費をもって負担すべきものを住民に課します場合に、課しました税外負担予算に計上いたしまして財源にいたしましたり、あるいは予算を通しませんで財源にいたしましたりしておったわけでございますが、その予算を通じませんものは三十二年度の額では百九十六億ほどであったと記憶をいたしておりますが、それに該当いたしますものとしては、現在の時点では大体百二十八、九億程度ではなかろうか、このように考えておる次第でございます。もちろん、なおこのような膨大な税外負担が残っておりますことは財政秩序の確保の上に問題があるかと存じておるわけでございますが、最近とられております諸措置によりまして、三十二年当時よりは若干は減少いたしておるのではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
  5. 阪上安太郎

    阪上委員 そういたしますと、当然公費をもってまかなうべき税外負担が、三十二年にわれわれも報告を受けておりますが、概略二百五十三億程度というところであった。それから財政措置としては、予算を通さないでそのまま住民負担にかけていくものがあるということも事実だと思うのですが、あわせてやっぱり四百億近いものがあるということはいえるのじゃないか。こういうふうに思います。そこで三十五年度財政計画に、この解消のために九十億円というものが計上されておって、その実施状況金額にしてどのくらいになっておるのですか。
  6. 松島五郎

    松島説明員 ただいまの御質問は九十億円の内訳でございますが、ちょっと調査いたしますので、しばらく御猶予いただきたいと思います。
  7. 阪上安太郎

    阪上委員 それでは、それはあとで調べていただくことにいたしましょう。私の見当では、よくわからないのですが、大体九十億というものが消化されているのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、新聞その他の報道するところによると、大体七十億円程度のものが処理されている、こういうふうにいわれておるわけです。そこで前回の三十八回国会の中で、税外負担解消について実は私は質問申し上げたわけであります。そのときに、たしか奥野財政局長さんの御答弁によりますと、三十六年度で当然引き続き措置されなければならぬが、これが財政計画に入っておらなかったということも事実でありますので、その際質問したのでありますけれども、そうすると、それは三十五年度実施状況を見て、できるだけ早い機会にそれを処置する、こういうふうに言明された。ところが今になってもなお措置されたというふうにわれわれは聞いておりませんので、一体三十六年度は、この税外負担をどういうふうに措置されるか、三十五年度の例にならってどの程度まで解消されていく措置がとられていくであろうか、承りますと、四百億近いものがあるのであります。そのうちかりに九十億程度ものが措置されておるとしても三百十数億のものが残っておる。これを措置しなければならぬと思うのでありますが、その具体的な措置の方法、いつやるか、こういったことについて確認したいと思いますので、御答弁願いたいと思います。
  8. 松島五郎

    松島説明員 先ほどお尋ねのございました九十億円の内訳は、道路橋梁関係で二十二億円、消防関係で十億円、教育費関係で四十四億円、その他で十四億円で、計九十億円となるのでございます。なお、ただいまお尋ねの三十六年度においてはどうするかという問題、あるいは今後どうするかというお尋ねでございますが、三十六年度は特別にこの税外負担解消というような形で銘を打って財源措置はいたしておりませんけれども税外負担がよってきたるゆえんを考えてみますと、学校経費十分交付税なりあるいは財政計画において算定されていないというようなことから起こってくる直接的な問題もございます。また一般的に市町村財政が不如意であるというところから、財政全体の中の問題としてそういった現象が起きるということも考えられるわけでございます。そこで私どもは、本年度は、前にも御説明申し上げたと存じますけれども、特別な銘は打っておりませんけれども学校関係経費増額基準財政需要額増額をはかることによりまして、たとえば小学校費でございますならば、通信費でございますとか、学校備品でありますとか、燃料費でありますとかあるいは印刷費でありますとかいうような、学校関係の諸経費増額をはかることによりまして、市町村PTA等負担を持っていただくということのなくなるように期待をしつつ、財源措置を講じてきておるわけであります。また後段に申し上げました市町村財政一般が窮屈なために、自然に税外負担に及んでいるという問題につきましては、これまたすでに御説明申し上げましたように、今年度は弱少市町村財政力強化ということを特に重点に置きまして、交付税算定等をいたしたわけでありまして、そういった方面等を通じまして、PTA負担解消あるいは税外負担解消に努力をいたしておる次第でございます。
  9. 阪上安太郎

    阪上委員 それではどうも私非常に不満足なのです。三十五年度の九十億の実施状態を見て、三十六年度においてできる限り早く——できるだけ早くとはいつかと私が質問したととろが、九月以降になるだろう、できるだけの解消措置をしていきたい。こういうことで答弁が終わっておったわけであります。そこで今伺いますと、財政措置が不足しておる、従ってわれわれはそういった財政措置学校施設なり何なり、そういったことについての措置をはかることによって特別に税外負担解消措置を講じなくてもいいのだという結論に達したように私伺うのですが、実施状況から見てそういう結論が出たのだ、もしそういうことだとするならば、税外負担解消などということは特別に取り上げる必要はない、こういうふうに思うのでありますが、それでいいわけですか。
  10. 松島五郎

    松島説明員 先ほどお話し申し上げましたように、学校関係につきましては、直接的にその学校経費増額をはかることによりまして、それとの関連を持ちながら税外負担解消をはかっていくという方向は、もちろんわれわれも考えておるわけでございます。そのほかに市町村財政一般的強化をはかることによって、さらにもう一つ大きな角度からこの問題を解決する、この二段がまえで措置していきたいと考えておる次第でございます。
  11. 阪上安太郎

    阪上委員 その二段がまえの中の、たとえばPTA負担といいましても、必ずしも学校建設ばかりに使われているわけではないのであります。これはあなたよく御承知だと思います。そこでそういったものとかあるいは消防団負担であるとか、当然国が行なわなければならぬような直轄河川に対するところの水防費負担であるとか、その他数えれば数限りなくあるところのそういった二段のうちの一つである今の制度では財政措置ができない面の税外負担解消、これを何によっておやりになるつもりでありますか。
  12. 松島五郎

    松島説明員 お尋ねの御趣旨に的確なお答えになるかどうかちょっと何でございますが、たとえば消防関係負担があるという点につきましては、消防費増額というような措置によって一面において対処していきたい。それと同時に、先ほど申し上げましたのは、市町村財政一般強化によって事態をもっと大きく解決していきたい、こういうふうに申し上げておるわけであります。  ただいまお尋ねの、直轄河川水防というような問題についての経費を、国が持つべきか、府県が持つべきか、市町村が持つべきかという点につきましては、国が持つべきものは国自体経費の問題となりますので、これは国家予算の問題でございます。各省予算の問題と相なりますので、これについて私ども市町村財源措置をするという性質のものではなく、従って国がみずから計画して支出すべきものと考えておるのであります。  なお、府県市町村関係につきましては、これもしばしば御説明申し上げておる通りでございますが、府県市町村負担を転嫁することを禁止するという方向に逐次範囲を広げつつあるわけでございまして、直轄河川あるいは直轄の国道というようなものにつきましては、その工事等に要する経費市町村負担さしてはならないという方向で今日進んでおることは御承知通りであります。
  13. 阪上安太郎

    阪上委員 当然国が負担すべきものを都道府県に転嫁しておる、都道府県が当然負担すべきものを市町村に転嫁しておる、市町村が当然やるべきものを住民負担きしておる、こういうことが問題なのであります。そこで、今言われたような方向で行かれましても、結局それは、ずっと順繰りに押していきますると、最終的には住民にしわ寄せされる。国が措置すべきものを都道府県措置さしちゃいけないのだということを言っておったとしましても、これをたどっていきますると、結局はやらなければならぬということになれば、住民負担になってしまう、こういうことであります。だからわれわれは税外負担解消が必要だということを申し上げておる。それを特別の措置、たとえば三十五年度にとられたような措置を本年はとらないという理由はどういうところにあるか。この点につきまして一つ政務次官、大臣がお見えになりませんので、あなたからお答え願いたい。税外負担解消というのはあなた方の公約じゃなかったのですか。
  14. 大上司

    大上説明員 お答えいたします。ただいま事務当局から御説明いたしましたが、現在この趣旨に基づいて調査をきしております。従いまして、これの最終的な資料が入るのが、約一年ほど経過すると思います。その期間に十分に検討さしていきたいと思います。  なお、ただいまの質問について、特に現在のいわゆる税外負担解消については、現行法ではたしてやれるのかという御質問があったかのように思います。この点につきましてもあわせて検討したいと思います。
  15. 阪上安太郎

    阪上委員 調査につきましては、三十五年の九十億措置するときに、不十分であるけれども、すでに一応調査が行なわれておったわけであります。もちろん大蔵省、文部省等との計算の開きは多分にあったわけでありますが、いずれにしても自治省としては持っておられる。それに基づいて、たしか公費で当然負担すべきものが百四、五十億あったように私は記憶しております。そのうちから九十億を措置されたということだと思うのであります。それならば、調査は今後依然としてお続けになるといたしまして、確実なものをつかむといたしましても、そのときに出て参りましたその数字の残額だけでも、なぜ三十六年度に、三十五年の方式に従って措置されぬのか、このことをさらに私はお伺いしておるわけなんです。
  16. 大上司

    大上説明員 お説の通りでございますが、幸いにいたしまして、三十六年度は進行中でございますので、いわゆる年度末調整、あるいはとれに付随するところの特交または地方交付税等措置をもって強力に御趣旨通り推し進めたいと思います。
  17. 阪上安太郎

    阪上委員 そうしますと、現在調査している結果によって年度末までに特別交付税その他の形において措置する、こらおっしゃるわけですか。
  18. 大上司

    大上説明員 少し私がお答えします問題を取り違えたようでございますが、問題は、累年のずっと積算されたものが現在残っていますが、それをどうするか、こういうような問題と承ってよろしいですか。——従いまして、それでございますから一応従来のいきさつ等がございますので、事務当局から説明させます。
  19. 松島五郎

    松島説明員 先ほど政務次官からお答えいたしましたように、三十五年度に初めてこの問題を取り上げて九十億円の措置をいたしたわけでございます。その後、その措置によってどういう方向に向かってこの問題が進んでいるかという点を十分調査した上で、さらに適切な措置を講じたいということで、先ほど調査課長から御説明申し上げましたように、ただいま調査をいたし、その結果を集計している段階でございます。まだ二、三報告のこないところもございますので、最終的な集計ができませんが、その内容を十分分析いたしまして、どういった措置をとるべきか、また三十五年度にいたしました措置がどの方面において効果を上げているのかという点を十分検討いたしまして、今後さらに改善をはかりたいと思います。
  20. 阪上安太郎

    阪上委員 そうすると、こういうふうに理解していいと思うのであります。私が先ほど申し上げた質問では、三十五年度の九十億の解消実施状況を勘案して三十六年度において措置するといろ御答弁が前国会にあった。従って、それに伴って三十六年度はどういうふうに措置されるのか、こういう質問を申し上げたところ、これに対しまして、三十五年度解消の経過をにらんでみたところが、結論として、一般財政措置で済ますべきものであるかのごとき答弁を得たわけであります。そこで私は、それではいけないのではないかと申し上げておるのです。やはりこれはそういう一般財源だけでは措置できない面を多分に含んでおるので、従って二段がまえでかりにお考えになるとしても、そういったものの措置は当然三十六年度に行なわれなければならぬのではないかということに対しまして自治省の御意見を伺ったところが、大上次官から、特別交付税その他によって措置すべきであるというふうにおっしゃられた。ところが、途中でこれがくずれまして、財政当局の方から、なお今後検討して、いかに措置すべきかという点も含めて措置考えるのだ、こういうことでございます。このように論議をしておりますと時間がたちますし、きょうはわずかな時間しかございませんのであまり申しませんが、いずれにしても何らかの形で措置することだけは御確約願えるのですか。
  21. 大上司

    大上説明員 できるだけの検討と措置をするということをお答えします。
  22. 阪上安太郎

    阪上委員 それでは一つそういうふうにしていただきまして、できるだけ早く委員会に、そういった措置の方途をお示し願いたい。そのことが適当か不適当かという論議はそのときにいたしたいと考えます。  引き続きまして、この際、ちょっと次官にお伺いいたしますが、この受益者負担税外負担とはどう違うのですか。あなた方はこれをどういうふうに御理解なさっておりますか。
  23. 大上司

    大上説明員 せっかくの御質問でございますが、これは理論的にもいろいろ解釈等もあるし、あるいは見解等もあると思いますので、一応事務当局から説明させます。
  24. 松島五郎

    松島説明員 地方自治法の二百十七条でございますが、「分担金は、政令の定めるところにより、数人若しくは普通地方公共団体の一部を利する財産若しくは営造物又は普通地方公共団体の一部に対し利益のある事件に関し、特に利益を受ける者からこれを徴収する。」というような規定がございます。受益者負担、こういった規定道路法などにもございますが、受益者負担という場合には、一定の地方公共団体が行ないます施設と、その施設によって利益を受ける者との間に相当な明確な因果関係がある程度確認される場合、その利益を限度として徴収するという場合を言っているのではないかというふうに私ども考えております。しかしながら、子供学校へ行けばその子供に関する限り利益があるじゃないかというような議論になりますと、なかなかこの間を明確にいたすことは困難でございますけれども、私どもは、一般的には今申し上げたように考えておるわけでありますけれども、具体的にはやはり個々の法令の根拠なり、あるいは具体的な受益性というものに注目して問題を考えていくのが適切ではないかというふうに考えている次第でございます。
  25. 阪上安太郎

    阪上委員 大体そういうことだと私は思います。しかし広い範囲でものを考えるならば、目的税も一切これは含まれるし、手数料も含まれてくるだろうと思うのであります。目的税負担金分担金使用料手数料保険料、あるいは寄付金夫役——これは災害のときなどに起こってくる問題だと思います、こういったものが一切がっさい私は受益者負担という概念に財政制度上なるんじゃないかと思います。しかしながら、それをこまかく分けていきますと、いろいろな分け方が出てくると思いますけれども、最近こういった受益者負担というものが、今申し上げましたような広い範囲において行なわれておる、こういうことなんであります。その結果、一方においてそういった受益者負担方式公営企業等にまで拡充されていって、そして独立採算制ということを建前として利益の上がるような事業、そういった方向受益者負担というものがしわ寄せされていっておるということが考えられるわけであります。そこで私時間がありませんから、ちょうど局長が来られたのですが、最近の公営企業のことなんであります。一体地方公営企業状態はどうなっておりますか、概略説明を願いたいと思います。
  26. 奥野誠亮

    奥野説明員 公営企業は、原則としてそれぞれ独立採算建前で運用いたしているわけでございます。ただ最近公務員給与改定が相次いで行なわれて参るようになっております。公務員給与改定が行なわれ、それに従って公営企業職員につきましても同じような措置をとらざるを得ない、これは実態だと思うのでございます。そうしますと、自然収入増加をはかる必要が出てくる。収入増加をはかるためには料金問題に手を触れざるを得ない。料金問題にはなかなかそう簡単には触れにくいというような実態もございまして、多数の職員をかかえるような公営企業はその矛盾にかなり苦しんでいるようであります。特に交通事業におきましては、相当数団体赤字経営に陥っておるというような状態でございます。三十五年度の決算によりまずと、ちょっと今正確な数字を覚えていないのですが、半数くらいの団体赤字経営に陥っているようでございます。その次に病院会計でもかなり苦しんでいるようでございまして、これは別に医療単価をどうきめていくかという問題ともからんできているわけでございますけれども、同様な問題に陥っているようでございます。その他の公営企業におきましては大体順調に推移している、こう私ども考えております。
  27. 阪上安太郎

    阪上委員 先ほどもちょっと論じておったのでございますけれども受益者負担というものと税外負担というものがごっちゃになって、そしてその受益者負担という考え方公営企業にまで伸びていっている。それが独立採算という形において、全く受益者負担と同じ性格のものになって公営企業というものが経営されておる。くどいようですが、独立採算建前としてやっている、そういうことになりますと、今ちょうど局長がおっしゃいましたように、経営が困難になって参りますその原因が人件費にある場合には、それが直ちに公共料金の値上げという問題に結びついてくる。それで私は一、二の例を知っておりますけれども、しかもこれらの団体状態を見てみますと、経営そのものに非常に不合理な点が多い。たとえばバス事業等におきましても、初めから借入金、起債でもって進めておる。そして独立採算建前であるがごとき一般企業にならっていかなければならぬと思いますけれども出資という面において非常におろそかにされてきた。従って、借入金でやっているのでありますから、元利償還は全部責任を持ってやらなければならぬ、こういう格好になってきておるわけであります。それがしかも地方自治体公営企業である。その企業の主体である地方自治体というものが、自分で出資をするという意図がない。もう一つは、出資をする意図があってもその原資がない。こういうような状態になっておるのでありますが、今伺いますと、特定の企業については、やはり半数以上は赤字であるということでございます。自治省とされましては、どういうふうにこの問題を処理されていくお考えでしょうか、これを伺ってみたいと思います。
  28. 奥野誠亮

    奥野説明員 公営企業のあり方につきましてはいろいろな考え方があろうかと思います。今御指摘になりましたように、大筋においては独立採算という建前で終始してきて参っておることは御承知通りであります。反面、交通事業でありましても、あえて独立採算制をとらず経営いたしまして、住民全体の福祉をはかっていくという立場もございましょうし、また実費弁償建前料金をきめるということで運営している向きもあるわけでございます。同時に公営企業職員給与は、一般会計職員給与と全く同じ建前で貫かれておるかといいますと、労働関係その他においても若干ニュアンスを異にしておることもございまして、幾分違らのであります。幾分違らのでありますが、それじゃ一般職員給与を改定する場合に、そのまま公営企業職員給与改定はしなくてもいいではないかということになりますことは、これはまたいろいろむずかしい問題があるようでございます。従いまして、そういう問題全体を通じてよく私たちも研究すべきではなかろうか、こういう考え方でおるわけでありまして、今直ちに独立採算建前をくずしてもいいんだというようなことには考えてないわけでございますけれども、御指摘のような問題がたくさんある。これらについては順次解決をはかっていかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。さしあたっては、できる限り低利安定した資金を利用できるようにわれわれとしては努力をいたしておるわけであります。
  29. 阪上安太郎

    阪上委員 私の手元にある資料によりますと、大体公共事業の三一%くらいが受益者負担でまかなっている、こういうことになっております。その中にはもちろんガソリン税であるとか、地方道路譲与税とかいろいろなものを含めてこういうようになっている。大へんに大きな負担住民は受けている。しかもそれが先ほど言いましたように、何か公営企業的な性格の形にだんだんとって変わっていくということが考えられるのであります。そこで今申し上げました何とかこれをしてやらなければいけないのでありますけれども、低利の資金を融通してやる、それはけっこうでありますが、地方自治体一つのバス会計などを例にとって考えましても、赤字が出たら直ちにこれは独立採算建前をくずしているのだからいけないというような論議がそれぞれの自治体の議会の中に行なわれるのでありますが、同時に、しかしこれは仕方がないからということで一般会計から繰り出して補てんするということになる。そのときに住民はどう考えるかといいますと、バスに乗った者が料金を払ってやればいい、一般会計から出すということは一般の税金から出すからいけない、われわれは乗らないのだ、バスの来ない場所に住んでいる者はどうするんだというような受益者負担の反作用的な考え方が出てきて、そのこと自体を否定する。その中に今の地方公営企業というものは置かれておるというふうに考えている。従って、そのときに特に考えてやらなければならぬことは、一般企業と同じように独立採算でいくということになりますと、当然の措置として出資しなければいけないのだ、このことについてはこの前地方財政法の改正によって、かなり指導的な方向というものが強く出されております。しかし実際問題として、その原資がないということで困っておるところもある。端的に言いまして、転貸資金等によってこれを補っていくというか、借入金解消さしていくというような方向をお考えになることはできないのですかどうか、この点一つ……。
  30. 奥野誠亮

    奥野説明員 さしあたって歳出の増加要因があるけれども、歳入の増加をはかることが困難だという場合には、今のような問題が給与改定のような際に起こってくるわけでございます。短期的に収支のつじつまが合うように考えていくのか、ある程度長期的につじつまが合えばよろしいというような考え方でいくのか、二つがあろうと思います。幸い公営企業につきましては、御承知のように企業経理をもって経理を行なうというようにいたしておるわけでございますので、収支の実態が明確になっておるわけでございます。従いまして、短期的に若干経理状況が悪くなりましても、長期的には合理化によってそれが吸収できるという道が立っています場合には、私は短期の資金を政府があっせんしてもよろしいのじゃないか、こういうふうに思っておるわけでございます。そういう意味もございまして、来年度交通事業赤字対策等ともからみ合わせまして、そういう資金の融通ができるようにいかないものだろうか一つ努力してみたい、こういう気持で局内でいろいろ相談をしている最中でございます。
  31. 阪上安太郎

    阪上委員 ぜひ一つそういう方向へ、公営企業赤字解消の方策を早く立てていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  32. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 太田君。
  33. 太田一夫

    ○太田委員 簡単にお尋ねします。  これは財政給与関係でありますが、実は伊勢湾台風以来今度の集中豪雨、第二室戸台風等によりまして非常な被害を受けました愛知県の津島市が、非常な財政困難に陥って、ベース・アップの実施がおくれているのです。それがどれくらいかと申しますと、三十四年のときには、一般公務員と比べまして九ヵ月おくれました。これは伊勢湾台風の影響です。それから三十五年四月のときには六ヵ月おくれているし、三十五年の十月一日の国家公務員の場合でも三ヵ月おくれて実施されている状態です。従って、伊勢湾台風直後は九ヵ月、それから六ヵ月、三ヵ月というように、国家公務員の場合とは少しずつ歩の悪い昇給実施ということになっているが、それは実際財政困難な津島市などにおいてはあたりまえのことでありますが、地方公務員法の第二十四条の第三項の精神からいうと、まことにまずいことだと思う。これをこのまま見のがしておいては気の毒だと思う。これを救う方法を一つ何かお考えになっていらっしゃるかどらか、この点をお尋ねいたしたい。
  34. 奥野誠亮

    奥野説明員 災害を受けた団体は、応急措置なりあるいは災害復旧なりに莫大な金を要するために非常に苦慮しているようでございます。その結果、私は津島市の給与実態をよく承知いたしておりませんけれども、御指摘のような問題が起こっているのだろうと思います。従いまして、私たちとしては、災害の起こった結果生じている財政問題、あるいは復旧に要する経費であるとかあるいは歳入の減少に伴う補てん措置であるとか、そういうことに万全を期することが大切なことではなかろうかと考えております。従いまして、ただ災害の起こった年だけではありませんで、その災害の規模の大きい場合には、連年災害を受けた団体として特別交付税などにも特にめんどうを見ていく、こういう措置をとっております。すなわち過去三年間の被害額を三等分して、それが標準税収入をオーバーしたような団体につきましては、災害の起こった翌年であっても、翌々年であっても、さらに特別交付税を若干増額するというような措置をとって参ってきているわけでございます。自治団体でございますので、個々の財政運営についてあまり干渉がましい態度をとりたくないわけでございますが、問題は全体としての財源を確保していくことにあるのではなかろうかと考えますので、今申し上げましたような措置をとって参りたい、かように考えております。
  35. 太田一夫

    ○太田委員 特別交付税増額ということで解決するというくらいしか現在方法がないことはわかりますけれども、一般職の場合においても給与に格差というものがある。それで五大市が一番よろしい、その次は大体において都道府県がよろしい、それから市がまあまあであって、町村にいくとらんと下がる。もっともこの市も千差万別でありますが、こういう格差がついているのを見のがしておくのはいかがなものであろうかと思う。公務員法の精神からいって将来何か根本的な解決策を講じなければならぬと思うのです。特別交付税ということにたよっているだけでは、なかなか望みが少ないと思う。たとえばそれが地方公務員給与法という形をとろうと、どういう方法をとろうとかまわないと思いますが、何か将来の明るい展望というものが、やはりこの際ないものでしょうか。
  36. 奥野誠亮

    奥野説明員 給与問題については、私たちは国家公務員であろうと、地方公務員であろうと、同じように公務に従事していて、その費用を国民全体からいただいておるという形にありますので、あまり差のないことが望ましい、こういう気持を基本的に持っております。国家公務員と比べた場合には、あるべき給与額が地方公務員の方が高いというような団体もございますし、低いというような団体もあるわけでございます。津島市の実態はよく承知いたしておりませんが、低い団体については、あとう限り国家公務員のベースまで持っていきたいということで努力して参っていますことは御承知通りでございます。そういう意味の通達も出しておりますし、また、国家公務員について給与改定が行なわれます場合には、地方公務員についても同様の措置がとられますように財政措置を見ておりますことも御承知通りでございます。また、できるだけそれに合わせて給与改定を行なってくれるように要請しておりますし、財政的な裏づけも、同時にまた今申し上げましたような要請も、そういうような態度で将来もやっていきたい、かように考えているわけでございます。
  37. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午前十一時八分散会