○阪上
委員 これは次官からお答えいただくのは非常に無理かとも思いますが、やはり一連の地方開発という問題につきましては、
各省間でそれぞれ連絡もとっておられる、そうして聞くところによると、新産業都市建設促進法などという、どこにポイントがあるかよくわからぬような
法律が出てきそうでありますが、そういう
関係から、
自治省としても全然それは建設省がやる仕事だというふうにいうわけにはいかない問題ではなかろうかと思うのであります。私一例をとってお伺いしてみたいのでありますが、そういう新都市
計画なり都市建設
計画なり大都市の改造
計画なりというような問題を、新しい
法律に求める以前に、現在すでにそういったスラムなどというものが全然頭にないところの膨大な都市
計画というものが進められているのであります。一例をとってみますと、たとえば、大阪府の問題なのでありますけれ
ども、大阪府の衛星都市である吹田市の一画に四百億円からの金をぶち込みまして、いわゆる今はやりのニュー・タウン建設が行なわれておる、こういうことなのであります。このニュー・タウン建設の
内容につきましては、こまかくは知りませんが、どうもその方向を
考えてみますと、これは全くニュー・タウンではなくて、単なるベッド・タウンにすぎない、こういうことであります。これは大なり小なり東京の郊外においても行なわれている問題ではないかと思うのであります。あるいはその他の都市においてもそういう
考え方で、漫然とベッド・タウンを作ることによってニュー・タウンだなどというような、非常にあさはかな都市建設
計画が進められている、こういうことなのであります。今どき世界のいろいろな都市
計画なりあるいは新都市建設なりの実態をながめてみましても、スラム街の解消を頭に置かないような新都市
計画などというのは、世界のどこにもないです。
日本だけであります。そうして単にベッド・タウンを作って、新都市
計画だ、新都市
計画だというような言い方をし、しかも膨大な行政投資をこれにぶち込んでおる。そして大都市の姿をながめたところが、今言ったような吹きだまりがあって、もううみがどんどん出ておる。この様相を
考えてみるときに、全く
関係地方自治体も、あるいはそれを指導している
自治省も、こういう面においては全く無為無策であって、一体何を
考えているのかということを私は言いたいのであります。四百億円の行政投資をやって町作りをやっておる、私は先年ヨーロッパの方へ視察に参ったときに、ちょうどロンドンの郊外にあるスティーブネージという新都市を見てきたのであります。この新都市
計画の
内容をながめてみると、まず第一番にロンドンのスラムを解消する役割を果たさなければならぬ、こうなっておる、そうして職のない人に対して、住居と職場をその新都市の中で一挙に与えていこうという
計画が実現されているわけなのであります。これは、ニューヨークの場合も、パリの場合も同様であります。そういったほんとうにスラムを解消していこうということが不即不離の
関係において新都市建設につながっておる、こういうことなのであります。ところが
日本で今あの住宅公団等がやっております、あるいは都道府県の直営でやっておりますああいったベッド・タウンの建設は一体何であるか、ああいうことをやっておるならば、いつまでたってもこの吹きだまりは除去されないのであります。それに対して建設省も、
自治省も、もろ手をあげて賛成して、膨大な投融資のあっせんの役割を果たしてみたり、こういうことをやっているわけなのであります。今どき都市開発をやり、新しい都市建設をやるものが、雇用という観点を離れて、どうして地域間の格差というものが是正できるか、こういうことであります。私は、
自治省なり、建設省なりのここ数年来とってこられたところの都市
計画に対する
考え方を、根本的にこの際是正されなければいけないと思う。それから同時に、この
関係地方自治体なんかの意見を私は聞いてみたのでありますけれ
ども、こういうことを言っております。あのスラム街の環境を浄化するのだ、花を植え、木を植えるのだという、それはいいでしょう。それから住宅が非常に不良住宅であるということ、これはその
通りです。従って、鉄筋五階建のアパートを作って、安い家賃で貸すのだということ、これもよかろう。あるいは今言ったように、愛隣館をもう
一つ建てるのだ——
一つや二つでは足りませんけれ
ども、愛隣館をもう
一つ建てるのだ、それから西成分室をもっと拡張するのだ、こういうことを言っておりますが、それをじっと
考えておりますと、そのことは明らかにスラム街の改良にはなる、少し今より程度のいいスラム街を作ることにはなるけれ
ども、スラム街を改消するという方策は全然この中には含まれていない。最近
関係各省の次官を集めて何かスラム街対策協
議会とかいうのを作っておられるそうですが、
自治省はその中に入ってないように思うのでありますけれ
ども、一体これは何を
考えておるのか、私にはよくわからない。新聞発表等によってながめて見ますと、当然今までやらなければならなかったことをやっておらなかったので、これをやるのだという程度にすぎません。当該自治体自体が、そういうものの
考え方で、徹底的に解消する、そうしてあの建物はブルドーザーでもって一挙にぶちこわすのだ、こういうようなほんとうに解消していこうという熱意がない。それが証拠に、せっかく新都市を作っておきながら、ベッド・タウンを作っておきながら、その中にスラムの解消対策というものを全然含んでいない。なぜあんなものを
自治省が許されたか、なぜ建設省があんなものに対してもろ手をあげて賛成しておるか。貴重な公共投資をするのでありますから、もっと真剣な態度で、しかも昨年苦い経験を山谷においてわれわれは持っておるのでありますから、スラム対策に対して、もっと抜本的にこれをなくしてしまうのだという
考え方をぜひとも私は持ってもらいたいと思うのであります。このことについて、各
関係省でもって十二分に私は
検討してもらいたいと思うのでありますけれ
ども、一体その協
議会というのは、そういったものを
内容としてスラムを解消することの決意に燃えた協
議会であるかどうか。これはどれだけの権限を持っておる協
議会か。
自治省がなぜ入っていないのか。そういう点について
一つ次官からお答え願いたいと思います。