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1961-10-10 第39回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月十日(火曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 園田  直君    理事 纐纈 彌三君 理事 渡海元三郎君    理事 川村 継義君 理事 阪上安太郎君       伊藤  幟君    小澤 太郎君       久保田円次君    津島 文治君       永田 亮一君    前田 義雄君       佐野 憲治君    野口 忠夫君       山口 鶴男君    門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         自治政務次官  大上  司君         自治事務官         (財政局長)  奥野 誠亮君  委員外出席者         自治事務官         (行政局行政課         長)      岸   昌君         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君         専  門  員 圓地与四松君     ――――――――――――― 十月六日  国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する  請願(加藤常太郎紹介)(第一号)  同外一件(赤澤正道紹介)(第一六号)  同(相川勝六紹介)(第一七号)  同外一件(愛知揆一君紹介)(第一八号)  同外二件(有馬英治紹介)(第一九号)  同(綾部健太郎君外二名紹介)(第二〇号)  同(井村重雄紹介)(第二一号)  同(伊藤幟紹介)(第二二号)  同(石橋湛山君外二名紹介)(第二三号)  同外一件(内海安吉紹介)(第二四号)  同外一件(上村千一郎紹介)(第二五号)  同(臼井莊一君紹介)(第二六号)  同(大村清一紹介)(第二七号)  同(藏内修治君外一名紹介)(第二八号)  同(小泉純也君紹介)(第二九号)  同(坂田英一紹介)(第三〇号)  同(白浜仁吉君外一名紹介)(第三一号)  同(始関伊平紹介)(第三二号)  同(周東英雄紹介)(第三三号)  同(瀬戸山三男紹介)(第三四号)  同(田原春次紹介)(第三五号)  同(高田富與紹介)(第三六号)  同(中馬辰猪紹介)(第三七号)  同(塚原俊郎君外一名紹介)(第三八号)  同(寺島隆太郎紹介)(第三九号)  同(富田健治紹介)(第四〇号)  同(中島茂喜紹介)(第四一号)  同(永田亮一紹介)(第四二号)  同外一件(丹羽兵助紹介)(第四三号)  同(二階堂進紹介)(第四四号)  同(濱地文平紹介)(第四五号)  同(原田憲紹介)(第四六号)  同(福田赳夫紹介)(第四七号)  同(福田赳夫君外一名紹介)(第四八号)  同(福田篤泰君外三名紹介)(第四九号)  同(福田篤泰紹介)(第五〇号)  同(船田中君紹介)(第五一号)  同(本名武紹介)(第五二号)  同(細田義安紹介)(第五三号)  同(松本俊一紹介)(第五四号)  同(松山千惠子君外一名紹介)(第五五号)  同外一件(松浦周太郎紹介)(第五六号)  同(三池信紹介)(第五七号)  同(三浦一雄紹介)(第五八号)  同(三浦一雄君外六名紹介)(第五九号)  同(柳田秀一紹介)(第六〇号)  同(渡邊良夫紹介)(第六一号)  同(早稻田柳右エ門君外一名紹介)(第六二  号)  同(藏内修治紹介)(第九三号)  同(石井光次郎紹介)(第一七八号)  同外一件(玉置一徳紹介)(第一七九号)  同(藤田義光君外四名紹介)(第一八〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月六日  府県財政健全化に関する陳情書  (第一号)  地方議会議員健康保険制度化に関する陳情書  (第二〇号)  町村行政組織改善に関する陳情書  (第三一号)  地方交付税種地格差是正に関する陳情書  (第三二号)  新町村建設促進に関する陳情書  (第三三号)  地方財政健全化に関する陳情書  (第三四号)  町村事務合理化促進に関する陳情書  (第三五号)  地方公務員定年制実施に関する陳情書  (第三六号)  消防団員退職報償金増額に関する陳情書  (第三七号)  消防団員等公務災害補償責任共済基金法基づ  く補償基礎額引上げに関する陳情書  (第三八号)  消防施設に対する国庫補助率引上げに関する陳  情書(第三九  号)  国道及び県道改修に伴う地元負担金免除に関す  る陳情書  (第六五号)  地方交付税財政需要額算定に自衛隊員繰入れ  に関する陳情書(  第七一号)  地方債標準単価等引上げに関する陳情書  (第七二号)  積雪寒冷地における固定資産税課税是正に関  する陳情書(第七  四号)  企業債償還期限等改正に関する陳情書  (第八四号)  災害対策基本法案成立促進に関する陳情書  (第一〇八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策基本法案内閣提出第四九号)  昭和三十六年度分の地方交付税単位費用の特  例に関する法律案内閣提出第六〇号)  地方自治に関する件      ――――◇―――――
  2. 園田直

    園田委員長 これより会議を開きます。  去る九月三十日本委員会に付託されました内閣提出災害対策基本法案議題といたします。
  3. 園田直

    園田委員長 これより、政府より提案理由説明を求めます。大上自治政務次官
  4. 大上司

    大上政府委員 ただいま議題となりました災害対策基本法案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  わが国は世界に例を見ない災害国でありまして、連年各種災害が頻発し、甚大な被害を繰り返してきているのであります。これを克服することは、国をあげての最も重要な問題の一つであるといわなければなりません。従いまして、この頻発する災害に対し、これを未然に予防し、災害に臨んでは警戒、防御、応急救助等の策を講じて被害を防止し、またはこれを最小限度にとどめ、また不幸にして被害発生したときは、そのすみやかな復興をはかり、民生を安定するために必要なあらゆる施策を適切に講ずることはきわめて緊要なことであります。  現在災害対策については、行政上または財政上の個々制度はかなり整備されておりますが、その相互の間に、総合性計画性が必ずしも十分でなく、またその実施は、政府行政機関都道府県市町村各種公共機関等、あげて有機的な連絡協調を保って行なわれなければならないのでありますが、この点においても欠けるところなしとしなかったのでありまして、かねて総合的な災害対策基本体制を確立する必要性が痛感されていたところであります。  昭和三十四年九月に発生した伊勢湾台風は、死者四千七百人、負傷者約四万人に上り、その物的損害額は数千億円に達する甚大な被害を惹起したのでありまして、行政審議会の答申においても、総合的な防災体制を確立することの急務なる旨が強調されているのであります。これにかんがみ、災害対策に関する基本的立法について検討を進め、成案を得て前国会に提案したのでありますが、成立をみるに至らなかったものであります。その後も災害が繰り返されておるのでありまして、そのすみやかな成立を念願して再度提案し御審議を願うことにいたしたのであります。  この法律案におきまして、特に留意いたした点は、次の通りであります。  第一は災害対策総合化であります。  現行災害対策関係法規を総合的体系的に位置づけ、それらに基づ活動組織化し、計画化することは最も緊要なことと存じます。特に災害対策に関して、政府地方公共団体公共機関及び住民それぞれの責任分野を明確にするとともに、その総合的な協力と迅速適切な計画的活動を確保するために、中央及び地方防災会議を設け、なお、災害に際しては災害対策本部を設けることとしたのであります。  第二は災害対策計画化であります。  災害発生を予防し、または不幸にして災害発生を見た場合には、その被害をできる限り軽減するためには、平常から周到な計画を立て、関係機関の緊密な連絡調整をはかり、必要な諸般の準備を整えるとともに、訓練実施し、適時適切な応急対策を講ずることができる体制を備えておくことが必要と考えられます。そこで中央及び地方関係機関防災計画の作成を義務づけ、これに基づいて計画的に災害対策実施することとしたのであります。  第三は、災害対策緊急性にかんがみ、特に災害が国の経済及び社会秩序維持に重大な影響を及ぼすべき異常かつ激甚なものである場合に対処する体制を確立することであります。  この法律案は、これらの諸点を考慮しつつ、中央における総合的な基本計画基礎にして、それぞれの地域の実情に即して、都道府県及び市町村中心として関係機関相互に協力し、国の総力をあげて災害に対処する体制整備することに特に意を用いたのであります。  以下法律案の主要な事項について概略を御説明申し上げます。  第一に、総則におきましては、国、都道府県市町村指定公共機関住民等防災に関する責務を掲げるとともに、国及び地方公共団体が特に配慮すべき重点事項を掲げ、この法律災害対策に関する他の法律との関係等を明らかにしたのであります。  第二は、防災に関する組織として、総理府中央防災会議都道府県都道府県防災会議市町村市町村防災会議を設けることとするとともに、災害発生した場合には、都道府県市町村災害対策本部総理府非常災害対策本部を設けることができるものとし、なお災害時における職員派遣制度について規定したのであります。  第三は、防災計画でありまして、中央防災会議防災基本計画、各省庁等防災業務計画都道府県防災会議市町村防災会議等地域防災計画を作成しなければならないものとし、防災計画には、現行消防、水防、災害救助のほか、災害対策として必要事項を総合的に規定し、災害対策総合調整とその計画化をはかることとしているのであります。  第四は、災害予防でありまして、防災準備態勢に意を用い、防災に関する組織整備訓練物資の備蓄、施設設備整備点検等義務を規定しているのであります。  第五は、災害応急対策であります。現在災害救助法による災害救助制度整備されておりますが、災害時の応急対策としては救助だけでは十分でありませんので、情報、警報、避難、交通の規制、漂流物の処理、応急教育その他必要と認められる措置について必要な規定を整備し、現行各種災害応急対策に関する制度を総合補完することとした次第であります。  第六は、災害復旧でありますが、災害復旧事業実施責任を定めるとともに、将来再び災害発生することを防止するため、災害復旧事業費決定にあたっては、これにあわせて施行すべき災害関連事業あるいは改良復旧事業が円滑に実施されるように、十分の配慮をしなければならないこととしたのであります。  第七は、災害に対処する財政金融措置であります。災害予防災害応急対策及び災害復旧事業に要する費用負担区分を明確にするとともに、災害に対処するため必要財政上の措置等について規定することとしたのであります。なお、著しく激甚な災害発生したときは当該地方公共団体経費負担の適正をはかり、被災者災害復興の意欲を振作するため必要施策を講ずるものとし、これがため別に法律を制定することとするが、これは、できる限り災害発生のつど制定することを避け統一的な法律を制定しておくものとし、その立法上の基準を定めることにしたのであります。  第八は、災害緊急事態に対処するための特別措置であります。国の経済及び社会秩序維持に重大な影響を及ぼすべき異常かつ激甚な非常災害発生した場合においては、内閣総理大臣は、災害緊急事態の布告を発し、緊急災害対策本部を設置することができるものとし、なお、緊急の必要がある場合において、国会が閉会中で、臨時会を召集するいとまがない等のときは、特に政令で一定の緊急措置を講ずることができることとしたのであります。すなわち、(1)物資の配給、譲渡引き渡しの制限または禁止 (2)賃金及び価格等最高額決定 (3)金銭債務支払い延期及び権利の保存期間の延長について、政令緊急措置を講ずることができるものとし、現行憲法の範囲内において必要最小限度措置を講じ、もって公共の福祉の確保に遺憾なからしめることとしたのであります。  以上が、この法律案を提案いたします理由及び法律案内容概要でございます。  この法律案につきましては、その運用の実際に徴して今後さらに整備充実をはかっていくべき点は少なくないと存じておりますが、この法律案により災害対策に関する基本的体制整備され、わが国災害対策が強力に推進されることになるものと存じております。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  5. 園田直

    園田委員長 以上をもちまして本案提案理由説明は終わりました。  本案に関する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  6. 園田直

    園田委員長 昭和三十六年度分の地方交付税単位費用特例に関する法律案議題とし、質疑を継続いたします。川村継義君。
  7. 川村継義

    川村(継)委員 今回地方交付税単位費用特例に関する法律案が提案されておりますが、その中心地方公務員給与改定生活保護基準改定、これらに伴う改定であります。私はきょうは、同僚の山口委員太田委員等がお尋ねいたしました問題になるたけ正極しないようにお尋ねをしてみたいと思いますけれども、あるいは重なるところがありましたら、御了承の上にお答えをいただきたいと存じます。  まず、私は率直に内容の点からお聞きしておきたいと思いますが、今度の改定基礎になっております基準財政需要額増加見込みが二百九十六億余りのようであります。その中で交付団体の分が二百十億、このようになっておりますが、この交付団体の二百十億という金額は、法案中身にもありますように給与改定分及び生活保護基準引き上げ、それだけを含めた必要経費でございますか。
  8. 奥野誠亮

    奥野政府委員 今お話になりました交付団体基準財政需要額増加額には、給与改定に関する部分のほかに生活保護費改定に関する部分が一億一千万円程度入っておるわけでございます。
  9. 川村継義

    川村(継)委員 交付団体分として増加見込みをしてあります二百十億の中に生活保護基準引き上げに一億余り見てある。残りが給与改定分、このように考えてよろしゅうございますね。
  10. 奥野誠亮

    奥野政府委員 その通りでございます。なお、念のために申し上げますと、生活保護費改定に要する総領が一億五千四百万円程度でございます。不交付団体分が四千三百万円程度あるわけでございます。
  11. 川村継義

    川村(継)委員 そうしますと、生活保護基準引き上げに伴う一億五千万円程度というのは、その中身を少し説明していただけませんか。大へん少ないような気がするのですが……。
  12. 奥野誠亮

    奥野政府委員 生活保護基準改定が十月から実施されるわけでございます。その割合が五%と抑えておるわけでございますが、その所要額を算入してあるわけでございます。しかし、生活保護につきましては、御承知のように八割が国庫負担でございまして、二割分が地方団体負担するということになっておりますので、比較的地方財政に及ぼす影響は、国庫の場合よりも少なくて済むということになっておるわけでございます
  13. 松島五郎

    松島説明員 ただいまの点について補足して申し上げます。  今回改定になります生活保護内容は、御承知通り生活保護では医療扶助葬祭扶助教育費扶助生活扶助というように幾つかの項目がございますが、今回十月一日から改定になりますのは、そのうちの生活扶助費でございます。国費で五億八千万円、地方負担で一億四千万円、合計いたしまして七億二千万円の増額になっておりますが、基準財政需要額に算入いたしますのは、そのうちの地方負担分の一億四千万円でございます。
  14. 川村継義

    川村(継)委員 そうしますと、正確に数字をはじき出して参りますと、給与改定分が幾らになりますか。交付団体だけでいいです。
  15. 奥野誠亮

    奥野政府委員 御承知のように単位費用の中に一応職員数行政項目ごとに何人、どういう給与の人が何人、こういう計算で入っているわけでございまして、それぞれ給与額国家公務員改定給料表に即しまして、そのままスライドさせております。そういう結果、自動的に増額になります基準財政需要額が、交付団体だけで申し上げますと百九十一億四千七百万円になるわけでございます。しかし地方財政計画上ではそれよりは多くなるわけでございますので、その差額をその他の諸費純増分で包括約に算入するというような方式をとっておるわけでございます。その額が交付団体分で十七億五千五百万円、こういうことになっておるわけでございます。それに生活保護費で算入しております一億一千百万円を加えまして二百十億一千三百万円、こういうような計算をいたしておるわけでございます。
  16. 川村継義

    川村(継)委員 ちょっと今のところを、私聞き落としたようでありますが、給与改定必要金額、それは人事院勧告基づいて十月から実施するとして必要金額はどれくらい計上されておるわけですか。
  17. 奥野誠亮

    奥野政府委員 地方財政計画上の計算で申しますと、総額が二百八十五億円で、交付団体分が二百五億円でございます。しかし、これは一般職のものだけでございまして、議員委員等のものにつきましてもある程度影響を持ってくるだろうと考えておるわけでございます。それから交付税基準財政需要額に算入する場合に、個々単位費用引き上げております。個々単位費用引き上げますのは、これはそれぞれ行政項目ごとに員数とか給与などを決定しておるわけでございますけれども、これを国家公務員給与改定給料表にそのままスライドさせる。そうした場合には交付団体、不交付団体を入れまして二百七十億七千八百万円にしかならない。交付団体の分だけで百九十一億四千七百万円、そうするとその間に開きがありますので、その他の諸費の中で包括的に交付団体だけで申しますと十七億円あまり算入しておるわけです。それに生活保護のものを加えまして二百十億円になっております。地方財政計画上は、一般職員交付団体で二百五億円ということになるのですが、それに議員等のものが四、五億円あるだろうと考えておるわけであります。
  18. 川村継義

    川村(継)委員 今の一般計画上出て参ります二百五億というのは、その中には義務教育関係を含めてですか。
  19. 奥野誠亮

    奥野政府委員 その通りであります。地方団体負担分だけを含めてございます。
  20. 川村継義

    川村(継)委員 私が今お尋ねしたところで、まだどうものみ込めないところがありますが、ちょうど交付税に計上された地方交付税特別会計に繰り入って参ります三税の率が二百十億、そうすると今度給与改定等に考えられていったお金が二百十億、なかなかよく合っておる。あまりにもきれいに合い過ぎておるので、これは交付税の二百十億を逆にずっと下の方に押し下げていってうまく合わせられてしまったのであって、その算定のほんとうの必要基礎から積み上げられたのではないのではないか、こういう疑問を持ったからお尋ねしたわけです。今のお話数字でまだ合点がいかぬところがありますが、その辺のものの考え方は、どういうようにとってこられたのですか。
  21. 奥野誠亮

    奥野政府委員 私たちは給与改定に要する経費は一〇〇%保障しようという気持を従来から持っておったわけであります。従いまして交付税として相当額増加を期待しておったわけでございますけれども、他面法人事業税法人税割増収もございますので、これはやはり実績に従って算入すべきであろうという考え方でおったわけであります。そういうようなことから考えますと、必ずしも給与改定のためだけに交付税の二百十億円必要とするというわけにはならないかと思います。しかしながら、幸いにして二百十億円の増収額を得たわけでありまして、これは全くの偶然の一致でございます。しかし、今申しましたように法人事業税法人税割増収を計上することになりますので、八月の決定の際に調整率をかけて財源不足額を一〇〇%補てんすることができない分が六十四億円くらいあるわけであります。交付税が二百十億円以上ふえることになりますので、大体においてこの六十四億円程度のものを完全に補てんすることができるようになるのではないかと思っておるわけであります。給与費増額を補うだけでなしに八月の決定の際の財源補てん不足額、これも完全に補てんすることができるようになるのではなかろうかというような見通しを持っておるわけでございます。
  22. 川村継義

    川村(継)委員 あまりにも偶然に一致し過ぎて、どうもかえってとまどうようですけれども、これはいろいろ弁解は聞かないことにしましょう。  それではその次にお尋ねしておきますが、このもらった資料の四ページの給与単価の問題です。これは行政局の方からお答えいただいても財政局からお答えいただいてもいいと思いますが、そこに部長級課長級甲吏員乙吏員というようになっておりますが、これは人事院勧告基づ給与表部長級は三の十一、ずっとこういうようなとり方をしてあるようであります。この格づけをここに引き出されたその根拠、これはどこから出てきておりますか。たとえば部長級を三の十一にとられたその考え方、あるいは甲吏員を五の十二にとったその考え方、これはどこから考えられてきているのですか。基礎的なものを示していただけませんか。
  23. 奥野誠亮

    奥野政府委員 これは従来から単位費用計算します場合に、標準団体行政規模を想定いたしておりまして、その場合に標準団体ではどういう程度職員を何人必要とするかというような基礎を持っておったのであります。それが給与改定のつどスライドさせて変えてきているわけでございまして、現在部長クラスがその行政については一人要る、あるいは甲吏員級が何人要る、こういうような基礎を作っておるわけでございまして、その基礎数字は変えていないのでございます。ただ給与改定のつどそれをスライドさせてきているということでございます。それでは当初標準団体行政規模をきめる場合に、第何号の人を想定したかということになって参りますと、やはり標準的な団体においてどの程度給与の人をどの程度置いているかというようなことから出発して想定したわけでございます。
  24. 川村継義

    川村(継)委員 抽象的にはお話のようなことだろうと思います。ただこの三の十一であるとかあるいは五の十二であるとか、以前からこういう形でちゃんと一つ標準を置いてとってきておるわけです。はたしてそれが妥当であるかどうかということになりますと、大へん疑問が出てくるわけです。おそらくこれをきめていかれるそのもととなったものは、あるいは職員の構成あるいは年令的なもの、いろいろ考えられておるのじゃないか、こう思います。そうなりますと、これは今度の改定でやるべきであったか、あるいは昨年の人事院勧告のときに考えるべきであったか、いろいろ問題は残ると思いますけれども、ただ部長は三の十一にきめておるとか、乙吏員は六の十にきめておるとか、こういうような考え方でずっと踏襲するということについて、これは単位費用算定をする場合の号俸、給与費単価算定の場合に矛盾が出てくることはありませんか、その辺はどうですか。
  25. 奥野誠亮

    奥野政府委員 単位費用基礎につきましてはいろいろ検討の余地はあろうかと思います。またそういうつもりで毎回検討はしているつもりでございます。さしあたってそれぞれの行政について矛盾が起こってきているというようなふうに私ども考えていないわけでございます。しかし今後といえどもそれぞれの標準団体行政規模につきましては検討を加えていくべきだと思いますし、また同時に行政内容が質的にいろいろ変わっても参りましょうので、そういう場合にはこういう給与額についても改善を加えていくという必要は生じてくるかと思います。
  26. 川村継義

    川村(継)委員 そこでたとえば甲吏員というのは五の十二に押えてある、乙吏員というのは六の十に押えてある。これは都道府県分ですね。これはこの前の給与改定ではそのような押え方をしてあります。今度も同じような押え方をしてあって、これは職員の構成の上から考えて、あるいは年令的な構成の上から見て一体どういう位置にあるのか、この辺のところは検討をなさっておられますか。
  27. 松島五郎

    松島説明員 この標準団体のそれぞれの行政に携わります職員の構成の問題でございますけれども、先ほど局長から申し上げましたように、標準団体をとりまして、また現実に標準団体に近い団体をとりまして、そこにおきます人員構成を基準といたしまして、一応こういう職員がこういう仕事に従事するという想定をいたして、給与額の積算率に使っているわけでございます。ただ給与改定の場合には、それ自体昇給という問題が起きませんので、ただいまここに資料で書いてございますように、単純に五の十二なら十二の相当号級にスライドさせるというので単位費用改定いたしてあります。ただ毎年度の、新しくその年度の単位費用をきめます場合には、昇給という問題もございますので、それらの問題を加味して、たとえば去年は五の十一であったものがことしは五の十二になるというようなことも考えて単位費用改定いたしてきているのでございます。ただ問題は、こういうふうに一つの経理の中にある職種ある等級のものを固定をいたしまして考えます場合に、はたして昇給というものが年々ある職員について、個々に想定された職員について考えます限りは昇給ということはあることになるのでありますけれども、それが新陳代謝ということが、同時にある意味においては行なわれるわけでございますから、その間の調整をどうしていくかという技術的な問題は依然として残っておるわけでございます。そういった点もときには考えまして、この給与額の積算の基礎を逐次修正をしていく、こういうやり方をやっておるわけでございます。
  28. 川村継義

    川村(継)委員 私がお尋ねしているのは、たとえば四等級なら四等級、五等級なら五等級の職員の構成というものも考えられるだろう。それから昇給、昇格等もありましょうが、年令構成というようなものもあるだろう。そこのどこに基準を置いて、たとえば五の十二なら十二というものを設定されたかということです。あるいはこういう給与改定等においては、五の十二に今までは設定してきたけれども、今度は五の十三をとるのが妥当ではないか、こういう考え方は出てこないのかどうか、お尋ねしているのはこういう点なんです。それを昔と同じような形で五の十二なら五の十二で押えていくと、給与単価も非常に無理なところも出てくるし、それだけ算定に大きな影響を及ぼすのではないか、むしろ悪い影響を及ぼすのではないかと、こう考えておるからお尋ねしておるわけです。今甲吏員を五の十二なら十二と設定をせられておるが、これを十三なら十三に押えて給与費単価を考えていくということはあたりまえではないかと私は思うからお尋ねしておるわけです。
  29. 奥野誠亮

    奥野政府委員 お話まことにごもっともなことだと思います。当初やはり標準団体の実態を中心にして考えたことがございます。現在になりますと、地方財政計画上の給与額基準財政需要額に算入される給与額とがどういうような割合になっているだろうかというようなことを中心にしながら、今おっしゃいましたように積極的にあるいは高い号俸の職員をどの行政に使うというような作業をしていかなければならないのではないか、こういうふろに心得ておるわけでございます。幸いにして、先ほど申し上げましたように、給与額につきましては、地方財政計画上の給与費をかなりフルに算入して参ってきておるようでございますので、今直ちにいろいろな行政費に算入されております職員給与費につきまして、高い号俸を使う必要があるというような段階にはなっていないというように思うわけでございます。今後もなお地方財政計画上の給与費の額ある.いは個々行政費につきまして決算と基準財政需要額との比較、そういうことを絶えず検討しながら今のような問題を考える資料にしていきたい、かように存じております。
  30. 川村継義

    川村(継)委員 一口に言いますならば、たとえば五の十二なら五の十二できめられたのは、標準団体の去年ですかおととしですか、何年か前の調査によって、一つの平均的なものがそこに出てきた、こういうところで押えられてきたわけですか。
  31. 奥野誠亮

    奥野政府委員 必ずしも平均というわけじゃございませんけれども、大体そういうことをめどにして一つの区分を設けたことは事実であります。
  32. 川村継義

    川村(継)委員 そこで私先ほどのような疑問も出てきたわけです。そうすると現在は、私が言うまでもなく、都道府県にいたしても、特にこういうような五等級、六等級といわれるような級においては、言うところの頭打ち職員というものが非常にたくさん出ておるようであります。本庁関係では係長の役職付が四〇%以上私はあるのじゃないかと思いますが、地方公務員になりますと、せい一ぱい二〇%あまり、こういうように大体踏んでいるわけですが、そういう関係も一つの原因になって級別のいわゆる号俸というものについて頭打ちをしておる職員が非常に近時多くなっている。そういうことを考えると、何年か前に五の十二号で妥当であったという一つの押え方というものは、もうくずれておるのじゃないか。そうなりますと、五の十三なら五の十三、五の十四なら五の十四、そういうところに見ていく根拠も出てくるのじゃないか、そういうように考えるのですが、その考え方は妥当ではありませんか。またその辺で考えて改定すべきは改定すべきじゃないだろうか、こう思うのですがね。
  33. 奥野誠亮

    奥野政府委員 お話しのような点もよく考えて作業していかなきゃならぬと思います。先ほど財政課長も申し上げましたように、地方財政計画上は昇給財源というものをかなり見込んで参ってきているわけでございます。必ずしも平均給与額を固定させておりませんで、現在の職員構成からいいますと、どうしても平均給が上がってくる、こういうことにならざるを得ないわけでございます。従いまして給与改定が行なわれませんでも、御指摘のようにある程度高い号俸に切りかえて算定していくという必要があろうかと思うのでございまして、そういうことは若干は従来もやっておるわけでございます。全く固定しているわけではございません。今回は固定さしております。将来これをどう引き上げていくかという問題は、やはり地方財政計画給与費基準財政需要額に算入されております給与費を比較して、どの程度基準財政需要額に算入されている給与費が少な過ぎるかというようなことを基礎にして、御指摘のような作業をしなければならないと思います。そういう方向については将来も十分検討を加えていきたい、かように存じております。
  34. 川村継義

    川村(継)委員 今申し上げましたようなところが一つ考え方としてやっぱり成り立つものであるならば検討していただかなければ、そういうようなところで算定された基礎数字というものが結局不足がちになってきて、それだけ地方財政の運営上マイナスを来たす面が出てくるだろう、こう思われるからお尋ねをいたしたわけですけれども、ぜひ一つこの後そういう点については御検討をお願いいたしたいと思います。  それから同じ資料に出ておりますいわゆる各種単位費用改定に手をつけておられますが、おそらくその中身給与関係が中心になっておると思います。そこで、その資料の四番目でございますが、改定例というものがそこにあげてあります。それは一例でありましょうが、市町村分の戸籍住民登録費についての改定例がそこにずっとあげてありますが、これは従来からとってこられたような積算の基礎の方式のようであります。ところが今度この改定に伴って、たとえば単位費用改定、これは今度の改定に申し上げるのは無理かと思いまするし、そこまでは考えられなかったと思うのですけれども、その積算される場合に、いわゆる事業費について全然配慮されなかったということは、どういう理由でございましょうか。一口に言うならば、今度は給与改定だけだからその点だけ扱ったわけだ、こういうことになりましょうか。
  35. 奥野誠亮

    奥野政府委員 後段にお話しになりました通り理由でございます。
  36. 川村継義

    川村(継)委員 これは次の通常国会等で改定問題があるとするならば、おそらく検討してもらえるものだと思いますけれども、今日やはり交付税あるいはそういう算定を考える場合には、やはり私はもう少し事業費等の内容についても十分な検討を加えていただかなければ、必要財政需要を満たすものにはならぬ、こう考えるわけです。たとえば戸籍関係のそこに例があげてありますその中の事業費にいたしましても、改定前のやつと改定後のやつは同じ七十一万四千七百六十円と、こうあげてある。ところがこの事業費の中には旅費も含まっているはずです。賃金も含まっているはずです。消耗品費も含まっているはずです。印刷製本費等も見てあるはずです。あるいは通信運搬費等も見てあるはずです。備品費も見てあるはずです。ところが今日印刷製本の費用を考えてみても、通信運搬の費用を考えてみても、備品費を考えてみても、これはやはり相当大きな経費の増大を来たしているということは、すぐわかることですね。そういうものを考えて実は単位費用をはじき出していかなければ、ほんとうに地方財政をまかなうところのものにはならぬのじゃないか、こう思われるわけです。今度の場合は給与改定だから人件費等に対してだけ手をつけてあるようですけれども、この点はこの後どういうふうにお考えになっていかれるのか、一つ考えを聞かせておいていただきたいと思うのです。
  37. 奥野誠亮

    奥野政府委員 来年度の基準財政需要額算定についての単位費用改定いたします際には、積極的に全体的に見直してみたい、こういう考え方をいたしております。またそういうつもりで検討を続けております。
  38. 川村継義

    川村(継)委員 これはもう思い切ってぜひ一つ十分なる検討を加えていただきたい。これはここにたくさんの単位費用改定項目を示してありますけれども、全項目にわたってそういうことは言えると思うのですね。たとえば市町村の小学校費についても、学級費について、児童費について、すべてそういう事業関係の積算というものの費用が、ただなおざりに当てがい扶持的に考えられていっては、今日の地方財政の面から考えて現実に即するものとは思われませんから、次の通常国会等においては全項目にわたって、人件費はもちろんのこと、それらの庁費、事業費等についての積算基礎において、これは一つうんと考えていただかなければならぬ、そのように思っております。  それからその次にお尋ねしておきたいことは、申し上げるまでもないことでありますが、建築の単価改定がなされました。これはこの前同僚委員の方からもお尋ねをいたしておったようでありますが、この建築単価改定、つまり産業教育関係あるいは公立学校の校舎建築費用、それからもう一つは住宅関係、そういうのが改定があったようでありますが、これに対してどのような処置がなされておりますか。これは直接交付税単位費用改定と関係ないかもしれませんが、お尋ねをしておきたいと思います。
  39. 奥野誠亮

    奥野政府委員 建築費単価改定に伴います地方団体所要額につきましては、従来の地方債算定方法と全く同じ方法で算出した額を地方債計画に追加するという措置をとったわけでありまして、その額が二十一億円でございます。なお、新年度からは単位費用基礎をそういう面でも改定したい、かように考えておるわけでございます。
  40. 川村継義

    川村(継)委員 聞くところによりますと、たとえば一つの例を申し上げますと、義務教育関係の校舎建築の坪当たり補助単価、木造については今まで二万七千二百円であったのを三万二千五百円にしておるようであります。鉄骨の分については四万二千九百円であったものを四万七千八百円にしておるようであります。鉄筋の分については五万六千二百円であったものを六万一千四百円にしておるようであります。わずかな単価改定をやっておるようでありますが、これに見合うところの起債関係も、どうせこれは考慮してもらっていると思いますが、起債の単価というものは手をつけておられますか、あるいは従前通りになっておりますか、その辺のところをちょっと説明して下さい。
  41. 奥野誠亮

    奥野政府委員 今地方債で二十一億円増額したというのは、御指摘になりました新しい単価ではじき直しました結果、必要となった額でございます。義務教育施設につきましては、七割を公共事業で行ない、三割を単独事業で行なう、こういうことにいたしておりまして、その三割の単独事業につきましても、今指摘になりました新しい単価に従いまして地方債所要額をはじき直しまして地方債の追加を行なったわけでございます。
  42. 川村継義

    川村(継)委員 これは自治省にお尋ねしてもちょっと変だと思いますけれども、今市町村で一番大きな財政負担になっておるもの、一番困っておるものは、学校建築、特に中学校の生徒の急増に伴う急増対策、この費用に非常に頭を悩ましておるようであります。これだけ文部省の方でも補助単価改定したようですけれども、これは実際から見ると、まだまだ非常に少ない。われわれのしろうとから見ても、こんな補助単価改定でいって間に合うかと言いたいほどの金額でしかないわけです。従って急増のための校舎建築をやるについても、おそらく本年度あたりはずいぶん大きな負担市町村財政にかかっていくと思いますが、一体自治省としては、そういう面から考えていって、文部省との間にこういう単価の設定をなさるときにどういう交渉をなさったのか、文部省の基準でよろしいと皆さん方は一体認めておるのかどうか、あるいは地方財政の困窮を来たさないために、やはりもう少し改定率を引き上げるべきであるということに話がなっていたのか、その辺のところを聞かせておいていただきたい。
  43. 奥野誠亮

    奥野政府委員 今お話しのように、市町村は学校建築の問題で非常に困っておるわけでございます。それは一つは、積算の基礎になりますところの建築費の単位が低過ぎるという問題と、総体で算出された補助金が必ずしも個々地方団体に適正に配分されているというわけにいかない。たとえば単価にも地域差がございます。同時にまた改築を要する、あるいは増築を要する程度団体によってかなり違っておるわけであります。そういう実態に必ずしもぴったり合ってないというような二つの問題があろうかと思うのでございます。前段につきましては、私どもは今回の補正予算に際しまして、ぜひ建築単価の是正をやってもらいたい、こういう希望を文部省に伝えて参ったわけでございまして、閣議におきましても自治大臣が積極的に意見を述べられて参ったようでございます。なおまた地域の実態に合うように補助金の配分をするというようなことにつきましても、従来から文部省に強く要請をして参っているわけでございます。ただ最終的にどの建築単価を使うかということにつきましては、これは大蔵省が査定の当局者になって参るわけでございますので、最終段階におきまして、自治省もそれでいいということできまったというようなわけにはなっていないということは事実でございます。閣議できまるわけでございますので、もちろん自治大臣も入っているわけでございますが、事務的にその辺われわれも納得してきめていくというような運び方にはなっていないということは事実でございます。
  44. 川村継義

    川村(継)委員 三十七年度の予算が編成をされるという時期に、この今の建築単価等の改定の見込みはありますか、あるいはもう今度の改定がなったのだから、このままでやはり三十七年度も押していくだろうということになりましょうか。その辺のところは奥野さんの見通しはいかがでございますか。
  45. 奥野誠亮

    奥野政府委員 今回の改定にあたりましては、日銀調べの卸売物価指数が昨年の六月とことしの六月との間においてどういう変化が起こったかということを資材別に調査しまして、これが基礎になって改定が行なわれているわけでございます。従いまして、新年度の予算の場合には、ことしの六月ではなしに、それ以後の新しい数字を使うことができるのだろうと思うのでございます。その数字が大きく変わって参りますれば、当然これらの単価改定されるというように私は考えておるわけでございます。
  46. 川村継義

    川村(継)委員 大へんありがたい見通しでございますが、はたしてそうなりましょうか。これは一つこの後の問題としてとっておきたいと思いますが、お尋ねしていることがちょっと横道にそれて、大へんなにでございましたが、交付税の改正で最後に一つ直接の問題として財政局でもどこでもいいのですが、お尋ねしておきたいのは、先ほど聞きました給与費単価改定について都道府県市町村とで格づけの差をつけたのはどういう理由でありますか。
  47. 松島五郎

    松島説明員 この単位費用積算の基礎になるたとえば甲吏員なり乙吏員なりの間に差があるのはどういう理由かというお尋ねだろうと思いますが、県の場合は人口百七十万の県を標準団体として想定しまして、その団体における職員構成を見まして、単位費用の積算の基礎になる給料を出しているわけでございます。一方市町村の場合は、人口十万の団体標準団体と想定しまして、その団体における甲吏員なり乙吏員なりの職員配置を基準にして単位費用を出すわけでございますので、団体の大きさが異なります関係から、当然そこにおける職員構成も変わってくるということで、その積算の基礎になる単価が違っている、こういうことでございます。
  48. 川村継義

    川村(継)委員 お話の理屈はその通りだと思いますが、都道府県の百七十万単位、市町村の十万単位、そういう標準団体から考えると、なるほどそのような理屈にもなろうかと思いますが、給与単価をきめる場合には、先ほどあなたたちのおっしゃった理屈からすると、五の十二なら十二、八の十なら十、こういうように一本のしぼり方では都合が悪いのですか。私が言ったような考え方ならばそれは差もできるかもしれぬが、あなたたちが先ほど言ったような考え方からいきますと、一本にしぼって算定しても不都合は来たさないのじゃないかと思うのですが、それはどうですか。
  49. 松島五郎

    松島説明員 御質問の御趣旨がどうもよく私にのみ込みかねますが、先ほども申し上げましたように、百七十万の団体基準にいたします場合と十万の団体基準にいたします場合とでは、標準団体という言葉は同じでございますけれども、内容的には違うわけでございます。従いまして、市町村の場合は、その十万なら十万の標準団体基準にして、人口なりあるいは担当します行政事務の態様によって伸ばしていくわけでございますので、この積算の内訳が全く同じであるということは、かえって不合理ではないかと考えます。ただ給与改定に要します改定の財源率という問題になって参りますと、これはまた別個の問題でございまして、御承知通り今回の給与改定は、どちらかといえば上に薄く下に厚いという形に若干なっておりますので、市町村の場合の給与改定に要します財源率は、財政計画上は一般職員につきましては八・一%という改定率になっておりますけれども、府県の職員につきましては、一般職員でございますが、七・八七というふうに、月給が高い者が多ければ改定率が低くなり、・月給の低い者が多ければ改定率は相対的に高くなる、こういう形で計画算定いたしまして、それを基準にして今回の給与計算をいたしておるわけでございます。
  50. 川村継義

    川村(継)委員 だから先ほどもお尋ねいたしましたように、たとえば都道府県甲吏員は五の十二、これをそのたびにずっと押えておくということ、市町村甲吏員は五の十、こういう押え方をずっとしておることは、給与費単価を考える場合にはどうも合点のいかぬところがあるのじゃありませんかとお尋ねしたわけですが、先ほど検討しなければならぬというお話がありましたので、こういう技術的なことについては、どうも私の考えていることと、またお尋ねしていることと、お答えをもらっておるところとがよく食い違うようでありますけれども、その点は一つ十分御検討を願いたいと思います。  そこで、最後に奥野局長にお尋ねしておきたいと思います。現在この地方財政の大きな立場から考えるときに、財政運営の上から考えて、何か大きな障害となっておる、非常に困ったというようなそういう問題、何かそういうものがありましたら聞かせてくれませんか。
  51. 奥野誠亮

    奥野政府委員 どういう角度からお答えをするかによって問題のとらえ方が違うわけでございますけれども、私たちの一番心配していますのは、わが国経済発展なりあるいは生活水準の向上なりに対応するだけの公共施設を地方団体維持し得ているかどうか、そこにギャップがないかどうか、逆に言えば、ギャップがあるためにせっかく国民の生活水準が向上しようとするのに、他面において阻害する役割を地方団体の施設が演じて、経済がどんどん伸びようとするのに、地方団体の施設がそれを押える役割を演じているという面がありはしないか、こういう点でございます。地方団体自身もそういう大きな悩みを抱きながら、それらの打開に努力をしておるわけでございます。
  52. 川村継義

    川村(継)委員 本年度の初め地方財政計画を一応設定をされた、それからことしももう半年過ぎた。その間、地方財政全般から考えてその運営上何か問題が起こっておるかということ、つまり一つの例を申し上げますならば、昭和三十六年度は公共事業の費用につきましても相当大きな地方負担がかかってきておるわけですが、半年ですから全般的な見通しはなかなかむずかしいかもしれませんが、公共事業の消化の問題、あるいはどこかに障害ができておるのかというようなこと、あるいは各種の物価の上昇に伴って、市町村等の財政的に何か欠陥を生じた面はないかというようなこと、そういう点、お気づきがあったら聞かせていただきたい、こういうことであります。
  53. 奥野誠亮

    奥野政府委員 今御指摘になりましたように、当初地方財政計画を作ったときと、その後の事情の変化で困っておる点は、やはり木材の値上がりあるいは人件費の高騰というようなところから、たとえば学校の建築にいたしましても、あるいは公営住宅の建築にいたしましても、当初の財源措置ではそれを完全に作り上げるということが困難だという面が出て参ってきています。そのことがまた今回の国の補正予算とか、あるいは地方財政計画の修正ということになっているわけでございまして、そういう点につきましては地方団体も非常に困っているようでございます。従いまして、今回の補正等によりまして、ある程度そういう問題の解決に力を尽くしていきたい、かように考えているわけでございます。
  54. 川村継義

    川村(継)委員 交付税改定に関しましては、以上、二、三点お聞きして、これで終わっておきたいと思います。
  55. 園田直

    園田委員長 門司亮君。
  56. 門司亮

    ○門司委員 簡単にお聞きしたいのですが、交付税算定の今基準改定が行なわれておりますが、これは来年度あたりは全面的に一応これを改正する必要がありはしないかと思うのです。そのことを一つ聞いておきたいと思います。そのことは、いろいろ内容的に、たとえば新しい法律市町村の町名地番というものの改正というものも一応行なうことになっておるようです。最近最も重要な問題は、地方の中小河川のはんらんによって、これの改修その他について地方の自治体は非常に困っておる。これらもいろいろ原因はありますが、いずれにしてもこのきめられておる算定基礎数字は完全でない、こういうようなことが今後ずっといろいろ考えられてくる。いかにも測定単位が実際にマッチしないような感じが出てくるのですが、これについて政府は何か考えておりますか。全面的に一応法を改正する必要があると思うのですが、その点もしお考えがあったら聞かしていただきたい。
  57. 奥野誠亮

    奥野政府委員 御指摘のように、地方交付税制度の運営につきましては、三十七年度を目途に思い切った改正をしたいということでいろいろ研究をいたしている最中でございます。たとえば先ほど来お話しになっておりますような、建築単価が上がってきた、基準財政需要額の場合には減価償却費の形で算入しているわけでございますので、その基礎も新年度からは改めなければならないだろう、こういうように思っておるわけでございます。あるいはまた国の公共事業費の配分とそれらにかかる基準財政需要額算定が必ずしもぴったりいっていない面が、御指摘の河川事業費でございますとかあるいは港湾事業費とかというようなものにあるわけでありまして、そうしますと、河川事業費とか港湾事業費とかにかかる基準財政需要額算定について、何か改正を行なう必要があるんじゃないかというような問題もあるわけでございまして、こういう点につきましても今いろいろと研究をいたしておるわけでございます。  さらに一般的な方向といたしましては、弱小の町村基準財政需要額を傾斜的に引き上げるという必要があろうかと思うのでございます。そういう方向の改正もいろいろと研究をいたしている最中でございまして、いずれにいたしましても全般的に手直しをしたい、かように存じております。
  58. 門司亮

    ○門司委員 そのたとえば全般的に改正される時期は、できるだけ早い機会にこれを出してもらいたいと思います。  それからもう一つのこの機会に聞いておきたいと思いますことは、今度の補正予算で交付税増額は認められておりますが、その他の財政処置が、政府の見解としては、税の伸びで十分だとお考えになっておるかどうかでございます。そのことは、御承知のように地方の財源の主である地方税は、実は国税ほどの伸びを見ないわけでございます。このことは当局もすでに御存じのことだろうと思います。そうだとやたしますと、先ほどから川村委員の質問にもありましたように、当然補助単価も上げなければならないほど物価が上がっておることはわかりきったことである。同時に、いろいろな仕事の面で費用が出てくることもわかりきったことである。約二兆円の地方財政の中で、大体給与関係あるいはいろいろな消費的経費を差し引いて、残りの建設関係と思われるものが三分の一くらいの数字になりはしないかということが大体大まかに考えられます。そうすると、これが今新聞その他で伝えられておりますように、いろいろな諸物価の上昇が、ごく大ざっぱに見て五%くらい上がっておる、あるいは六・四%という説もある。しかし、かりに五%上がっておるとしても、それだけの費用は物件費その他でよけい出ておると思う。よけい加算されなければならないと思う。従って、七千億の五%というような数字は、これはことしの地方の税の伸びではまかないきれないと考えられるが、そういう点について何か政府の方はお考えがございましたら、この際一つ拝聴しておきたい。
  59. 奥野誠亮

    奥野政府委員 御指摘のような問題があると私たちも考えておるわけであります。さしあたっての地方財政に対します措置としては、お話しになりましたように、地方交付税増加配分、またその際にはある程度地方税の増収も見込んで配分することによって、税収入の増加の潤いの全然ない地方団体にも若干の恩典を分け合っていくというような措置を、今回の改正においてとることができるわけでございます。従いまして、二百十億の財源が配分されるだけじゃなしに、さらに先ほど来申し上げましたような、穴が完全に埋まっていなかった六十四億円も埋めることができるというようなことになろうかと思うのであります。さらに地方債増額することによって建築費の単価増に見合う措置もとることになっておるわけでございます。そのほかに、御指摘になりましたように、一般的に物価が上がっているわけだから、そのために地方財政はかなり困っているのではないかという点、これも御指摘の通りであります。ただ三十六年度の地方財政計画を立てますにあたりましては、三十五年度に対しまして総体ではたしか二三%の増になっておったかと思います。また公共事業につきましては三〇数%の増加額を見込んでおるように思います。その見込んだものが数字通りには地方団体が仕事をこなせなくなってきている、これは事実でございます。しかしながら、以前よりも悪くなったという事実にはもちろんならないわけでございまして、政府が言うた通りには、そのままの財源としては全体になってこなかったのじゃないか、こう言われればまさにその通りでございまして、そういう点につきましては、今後の是正に向かって努力をして、できる限り改善するように工夫して参りたい、こういうふうに存じております。
  60. 門司亮

    ○門司委員 きわめて抽象的な答弁で、問題はこなせないといいますが、こなせない一つの原因の中には、やはりそういう財政的の面がかなり多く含まれていると思います。御承知のように地方の自治体というものは末端の行政をやっておりまして、国の方で、たとえば住宅の方で、こういう問題にこういう手当をしたといっても、それが実現するまでの時間的の問題と、さらに実現させる努力というものの中には、どうしても私は今のような財政措置では工合が悪いのじゃないか。もう少し政府は思い切って、今度の補正予算の中では、少なくともさっき申し上げましたように、国の方は税金が取れ過ぎるから実際は弱っているのですね。七月三十一日の国税庁の統計を見てみましても、昨年より五%以上もよけい取れているという統計が書いてある。ところが地方の税制を見てみますと、固定資産税その他は上がる余裕は全然ございません。遊興飲食税がやや伸びれば伸びるということだけであって、あとの映画、演劇の入場税というものは大体所定の見込みよりも減ると思います。そういう地方財政を考えてみますると、伸びる余地がほとんどないのであって、しかもかりに五%上がっておるといたしましても、三百億内外のものがどうしても足りなくなる。それを今度の二百十億で一応カバーすることがあるいはできるかもしれない。しかしそれは交付団体だけであって、不交付団体にはそれが全部回るとは言えない。従って、大まかに見て三百五十億くらいのもの、あるいは四百億近いものがどうしても足りないと考えられるところに、二百十億の交付税の交付だけでは私は満足にとうていやっていけないと思う。従って、それに対する財政措置というものが当然、この臨時国会政府の予算補正が行なわれるなら、地方自治体の財源措置というものについても何らかの形で考えらるべきではなかったかというように考えておるのでありますが、まあこれは押し問答しても、これ以上抽象的御答弁しかできないと思いますから、最後に申し上げて意見を聞いておきたいと思うのですが、従って起債その他については、政府はでき得るだけの幅で、事業の遂行のできるように、事業が停滞しないように行なわれるような処置をとられるかどうかということを最後に一つ聞いておきたい。
  61. 奥野誠亮

    奥野政府委員 さしあたって地方債計画に百十一億円を追加したわけでございます。今後の問題としましては、できる限り地方税の自然増収のあるような団体につきましては地方債を遠慮していただきまして、非常に窮屈な団体にそれを振り向けていきたい。要するに地方債計画の運用において、御指摘になりましたような矛盾の解決に少しでも努力を続けていきたい、こういうつもりでおるわけでございます。      ————◇—————
  62. 園田直

    園田委員長 地方自治に関する件について質疑の通告があります。この際これを許します。川村継義君。
  63. 川村継義

    川村(継)委員 大臣お見えになりましたが、きょうは午前中の時間ももうたくさんありませんから、ごく簡単にお尋ねいたしておきたいと思います。それは東京都の区長の選任問題についてです。きょうはいろいろ考えをあれやこれや述べて論議するつもりは全然ございません。ただ、現状の姿がどうなっておるか、それを大臣からお聞きしておきたいと思います。  第一は、申し上げるまでもなく、特別区の区長は議会が都知事の同意を得で選任することになっておりますが、聞きますと、渋谷区の区長が八月の六日でございますか、任期が満了になってそのまま今日まで何かえらいごたごたがあって、選任になっていないということを聞いているわけですが、その渋谷区で選任をしない理由、それは何でございましょうか。まず第一にそれをお聞かせいただきたい。
  64. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話の、東京都の渋谷区におきまして区長の任期が八月六日に参りましたが、その後まだ選任が行なわれていないことは川村委員のお説の通りでありますが、この理由といたしましては、実は区のうちの相当部分のうちで、区長が今お話の区議会で選任して知事の承認を得るという仕組みが、どうも自治体らしいあり方として好ましくないから、一つこれを公選にしてほしいという要望が非常に区議会を中心として強くなっております。公選に対する目鼻がつくまで区長の選任を見合わせたい、こういう意向のようであります。
  65. 川村継義

    川村(継)委員 今お話がありましたように、区長の公選に対する要望が非常に強い。このことはお聞きしているわけでありますが、その区長公選にせよという、いうならば世論でございますね。おそらく世論といっても差しつかえないと思いますが、そういうのはどうしてそういう声が起こってきているか、自治省としてはどのようにお考えでございましょうか。
  66. 安井謙

    ○安井国務大臣 区長公選の問題につきましては、御承知のように終戦後の新らしい自治法によりまして、当時二十三区ございますこの区が、それぞれ自治体の扱いを受けるというふうに自治法できまっておりまして、従いまして区長が公選になっておったわけでありますが、一方では、一つの都事形成しておる二十三区がそれぞれ公選であまり自由勝手にやられることも総合行政の上からいかがかというような点もあり、いろいろな状況判断をされまして、その後、自治法が改正されまして制限された自治体といったような形になっております。従いまして、その際に自治法の改正によって、この区長も直接の公選によらない区議会の推薦を知事が承認するという形に改正されたわけでありまして、その後それが行なわれておるのであります。この問題につきまして、はたしていずれがいいか、いろいろ議論がございまして、区長選任の方法としましては、知事の任命制度によるというのが一番はっきりした立て方でもあろうかと思います。それからいま一つ現在行なわれております区議会の実態を尊重してその推薦に基づいて知事が承認する。あるいはもう一つは、はっきりと一般の地方自治体と同じような意味での公選。この三つの方法があろうと思いますが、これにつきましてはそれぞれ長所、欠点を持っておりまして、目下検討をいたしておるというような実情でございます。
  67. 川村継義

    川村(継)委員 それらの経過やら何かを別にいたしまして、私が自治省のお考えを伺ったのは、渋谷区等について区長を公選にせよという要望が非常に強くなっておる。つまりそれにはやはり渋谷区の区長が選任制ではいけないという理由があると思います。その理由もあるし、あるいはほかにやはりそれだけの要望が出てくる以上においては理由があると思うのです。なぜそのような声が大きく盛り上がってきたか。たとえば、どうもおれたちは区長を持たない、これでは住民の自治の精神に反するじゃないかとか、いろいろ考え方があると思います。それらの世論が起こってきた理由はどのように自治省は把握をしておられるか、それを大臣からお聞きしたい、こう思っているのです。
  68. 安井謙

    ○安井国務大臣 区長を公選にしろという議論が非常に各区を中心にして起こっております事実は、私どもも十分認識をいたしておるのであります。実際申し上げまして、これがはたして都民全体の世論であるかどうかにつきましては、まだ私どもにわかに判断が下しかねるところもかなりあります。ただ言っておられます方の要望からいいますと、かつて公選でやっておるじゃないか、二十三区についてそれぞれ完全な独立自治権を与えてほしいという理由であろうと思います。ですから、そういう事実があり、これは一種の政治問題として自治省も十分にこれを検討しなければならぬとは思っておりますが、これが今のところ全体の世論であるかどうかにつきましては、まだいささか——たとえば同じ基盤を持っております東京都の都議会の方の考え方といったようなものもあわせて今後考えていく必要があると私は思っております。
  69. 川村継義

    川村(継)委員 私がお尋ねしておるのは、いろいろ解説がましいことでなく、そういう世論がどうして起こっておるかということであります。おそらく今の渋谷区なら渋谷区における選任なんか、いろいろやはり都合が悪い理由があるのじゃないか。あるいは東京都の区民の人たちに自治権に対するものの考え方というのが強くなっているのじゃないかと私どもはいろいろ考えておりますが、自治省としてその辺のところをどうお考えになっているかお聞きしたわけですが、大臣のお答えでわからぬことはありませんけれども、少しばくとしておるようでありますが、ただその問題は、渋谷区の選任ができないという理由は、そういう区長公選にしろという要望、それだけでございましょうか。それだけで選任ができないということになると、大臣の今のお話じゃありませんが、東京の全体の世論でもないようだというお考えがある以上、何か選任ができない理由としては薄弱なような気がするのですが、渋谷区議会がこれを選任しないのはほかに理由があるのじゃありませんかね。ただ単なる区長公選というその要望だけが渋谷区の議会で選任できないというただ一つ理由でございましょうか。まだほかに何かそういう理由がございましょうか。
  70. 安井謙

    ○安井国務大臣 今選任のできない理由はどうかというお問いでありますが、私ども直接正面から伺っておりますのは、区会推薦制度をやめて、一般からの直接選挙にしてほしいという要望に対する何かめどがつくまで推薦を見合わせたいというのが表向きの理由である、そう考えております。ただ実態から考えますと、区議会の選任ということに相なりますと、御承知のように区会の中には同じ保守系でも二つも三つも割れておるとか、同じ革新系でもこれも二つもあるというような場合もあり得ると思います。非常に内部が少数分派されておりますために、区長を直接推薦するという手続においてなかなか議がまとまりにくいという状況も非常にあって、それも選任を妨げておる一つの事情になろうかと思っております。
  71. 川村継義

    川村(継)委員 おそらくいろいろ内部的に、あるいは表面の理屈としてあると思いますが、これはやはり自治行政を考える上において、あのように延びておるということはなかなか大きな問題でなければならないし、当然自治省としてもその対策を考えてしかるべきじゃないかと思われる問題点だと思います。  そこで、重ねてお尋ねいたしておきますが、終戦後自治法が改正されて、一応特別区の区長は公選になっておった。ところが、昭和二十七年でございましたか、自治法の改正でとれがいわゆる選任制になった。その大きな理由、いきさつは、先ほど少し大臣のお言葉の中で触れられたようでございますが、そのいきさつ、理由を、お考えになっておるところをこの際聞かせておいていただけませんか。
  72. 安井謙

    ○安井国務大臣 これは私どもも考えまするに、二十三区というのは昔の東京市でございまして、いわば一本の市としての自治体を構成しておるので、その中に二十三のものがそれぞれ完全自治体という形で存在するということは、総合的な自治行政の上からもかなり支障を来たすのではないか。それから一方、当時公選制度ではございますが、区にまかせられたといいますか、区独自で持ち得る行政の仕事の範囲というものはきわめて限定をされておったものである。従いまして、一般にいう市あるいは町村のような意味の自治体と同じにこの二十三区を扱うことはいかがであろうかという考え方がありまして、そうして今のような制度に変わったものと心得ております。
  73. 川村継義

    川村(継)委員 私は、こまかなところを特別区のことはよくわかりませんが、二十三区の人口分布は、これは大体行政課の方で御存じになっておるかと思いますが、どうなっておりますか。小さいものもありますが大きなところもあると思いますので、全部でなくていいですから、大きなところ、小さなところ、わかっておりましたらちょっと話して下さい。
  74. 安井謙

    ○安井国務大臣 大体二十万前後から大きいところは六十万前後、六十万を越すところもあります。
  75. 川村継義

    川村(継)委員 そうなりますと、いろいろ考えてみなければならぬと思いますが、この特別区というのは、これは地方自治法による地方公共団体でしたね。
  76. 安井謙

    ○安井国務大臣 自治法上は、一定の制限を受けておりまするが、特別区としての自治体を認めておるわけでございます。いわゆる憲法でいう地方自治体そのまま当てはまるものとは様子が違うと思います。
  77. 川村継義

    川村(継)委員 それは大臣ちょっと待って下さい、今の御見解は。普通の地方公共団体、特別の地方公共団体、これがおそらくあると思います。これは自治法上あったと思う。そうなると、特別区というのも地方公共団体ですわね。そうすると、憲法でいうのとは違うというのはどういうところでございますか。憲法の九十三条には、これは何も特別区とか普通の地方公共団体の区別なく、地方公共団体としての一つの建前がちゃんと確立しておる、うたわれておる、私はそう考える。それが違うというのはどういう点でございますか。
  78. 安井謙

    ○安井国務大臣 私も憲法論の詳しい議論はどうもよくあれでございまするが、この解釈によりますと、憲法でいういわゆる自治体というのは都道府県市町村と明確にうたってあるわけでございます。二十三区につきましては、自治法上自治体という性格を与えておりますが、それには一定の制限を設けておる。こういう意味から、これを完全なる自治体というふうにみなすわけにはむろん参らない、こういうふうに思っております。
  79. 川村継義

    川村(継)委員 今大臣は、憲法で市町村とは別々に分けてあるというお言葉でありましたが、憲法にはそういう分け方はしておりません。九十三条には「地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。」第二項「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体住民が、直接これを選挙する。」と、地方公共団体という名前で憲法には明記してあります。地方公共団体となると、特別区も普通の地方公共団体も、これは地方公共団体ということは、自治法に明示していると私は思います。そうなると、憲法で差異がある、憲法には市町村都道府県と区別しておるなんて、それはちょっと大臣の御見解が違っているのではありませんでしょうか。
  80. 安井謙

    ○安井国務大臣 私は、憲法でいうその地方公共団体というのは、都道府県市町村、こうきめられたものを明確にさすものだと思っておりまして、さらに地方公共団体につきましていろいろな性格を規定しておりますのは、先ほど申し上げました自治法でそれぞれ一定の制限、資格を設けた地方公共団体がある。こういうふうに申し上げたわけでありますが、これが自治法の第一条の二で、地方公共団体を普通の地方公共団体、特別の地方公共団体、この二つに分けておるわけであります。二十三区は大体この特別の地方公共団体、こういうふうに私どもは解釈しておるわけでございます。
  81. 川村継義

    川村(継)委員 私は論議するつもりはありませんでしたが、憲法でいう地方公共団体というのは、特別区であろうと普通の市町村であろうと、それは含まれるわけであって、そう解釈すべきでしょう。ただ、自治法の上で特別区というのは特別の制約を規定した、こういうことになるわけですから、これは憲法でいう地方公共団体には変わりはないわけです。  まあそれはそれとしてよろしゅうございますが、そうなると、やはり特別区というもの、これは憲法の精神にのっとるならば、一応地方公共団体として、あるいは議員の選挙、あるいは長の選挙ということはあり得るわけですね。としなければならない。ところが、これは私の推測でございますけれども、東京都の場合には、いわゆるその行政のあり方やあるいは自治の能率の問題、そういういろいろ複雑なものがからんでくるから、完全な地方自治体としてはかえって工合が悪いということで、特別区というもの、一つの完全自治体でない特別区というものの権能を規定したということになっておるのじゃありませんか。そこで初めは区長公選もやってみたけれども、どうも区長公選というのはいろいろ工合が悪いというようなこと、そのほかいろいろ占領政策なんというような考え方もあって、昭和二十七年の自治法改正では、これを公選をやめて選任に持っていった、こういう考え方やいきさつがあるのだろうと思った。私の考え方が妥当であるかどうかわかりませんが、要するに私はそう考えておりますから、憲法の上からいうと、やはり特別区というのも、ちゃんと議員の選挙もあるし長の選挙もあってしかるべきである。しかしそれが東京都の場合には、なかなか行政その他の問題からいって、完全自治体としてこれを考える場合にかえって工合が悪いということで、今の制度が置かれてあるのではないか、このように考えておるわけです。  そこで、この公選の問題でございますが、おそらく今かりに区長公選をして完全なる自治体としてこれをやらせるということについては、これは大きく議論の分かれるところだと思います。ただ、今の選任のあり方と公選のあり方を考えた場合に、どちらが真に住民のためになる行政というものが行なわれるかということ、その点だけでも考えてみてもいいんじゃないか。再び昭和二十七年の時点に返してみることもあながち不都合ではないんじゃないか。区の財産権の問題であるとか、課税権の問題であるとか、そういうことは一応別にして、区長公選というそのことだけを考えて、区長の選任制をとるよりも公選制をとった方が区民の立場から考えていい行政が行なわれるということになるならば、それだけでも考えてみてもいいのじゃないか、昭和二十七年の時点に返しても決して不都合なことはないのじゃないか、こういうことも考えられると思います。その辺について大臣いかがお考えでございますか。
  82. 安井謙

    ○安井国務大臣 憲法の言い回しといいますか、解釈につきましては、どうも川村先生の御表現の方がより適切な言い方であったかと私は思います。ただ、私の言っております意味は、地方公共団体は憲法で明確に長を公選しなければならぬとうたっておるのでありまするから、そういう意味での地方公共団体に憲法上当たらない、こういう趣旨を言ったのですが、言葉はどうも不足かもしれませんので、これは今の御説に大体同調いたします。  そこで、それなら自治法をもとに返して、直して、いわゆる憲法でいう地方公共団体、普通の公共団体扱いにして、公選にしてはどうか、公選にするのも一つの方法じゃないかという趣旨の御提案であろうと思いますが、この点は私もいろいろ考えてみる必要があると思うのでございます。はたして公選によってやった方が地方住民の利益にそのまま合致するということが言い切れるかどうかということには、かなりまだ問題があろうと思います。しからば今の選任制度がはたして非常にいい制度かどうかということについても、これも非常に問題があると正直のところ考えておりまして、この問題はなかなかむずかしい問題でもありますので、私どもといたしましては、でき得る限り東京都の都議会等の意向あるいは東京都の理事者側の意向というものも参酌し、また二十三区の実態も十分に究明をいたし、同時にその結論的なものにつきましては、地方制度調査会に現在御調査を願い、答申をいただくことになっておりますので、この答申を待ちまして最後の自治省の態度をきめるつもりでおるわけでございます。
  83. 川村継義

    川村(継)委員 地方制度調査会の答申を待って態度をおきめになるわけですか。一応自治省の見解をもとにして地方制度調査会等に諮問案を出すというような形にはならぬわけですか、その点ちょっと。
  84. 安井謙

    ○安井国務大臣 先に結論を出してそれに対する意見を求めるという形でなくて、現状に対する結論を答申として求めたい、こういうふうに考えております。
  85. 川村継義

    川村(継)委員 聞きますと、これは渋谷区だけの問題じゃなくて、十一月でございますか、十二月でございますか、他の区においても任期が切れるところがある。杉並でしたか、港区でしたか、聞いておるのですが、こういうところでもやはり同じような公選に持っていけという声がずいぶん出ておる。あるいはその他の区でも何かそういうような区長公選への、非常に世論というんですか、世論になっておるか私まだ実態をよく知りませんが、そういう声が非常に出てきておる。こういうときでございますから、私はやはり自治省としても十分検討されるべき問題ではないか。ただ地方制度調査会の答申を待ってどうこうという、順序はそうかもしれませんが、やはりこの際自治省としても一応の見当あるいは見解というものを持っておられる必要があるのじゃないかと思いますが、その必要はございませんか。やはりあくまでもこの問題についてはノー・コメント、地方制度調査会の結論が出てからでいいじゃないか、こういうお考えでございましょうか。最後に一つ聞いておきたいと思います。
  86. 安井謙

    ○安井国務大臣 地方制度調査会の結論の出る時期というようなことも相当問題になると思いますが、私どもといたしましては、むろん今お話しのように、自治省として諸般の情勢を勘案して、どうあるべきかということについても十分な検討は進めて参りますが、それに対する結論の出るのは、なるべく早く一つ地方制度調査会から答申をいただいてからにしたい。それには時期的に一年も二年もかかるというのでは、これはまた問題であろうと思いますので、なるべく早い機会に答申が出ることを期待して今のところ処理をしたい、こういうふうに考えております。
  87. 川村継義

    川村(継)委員 数日前でございましたか、東京都議会が開催されて、終わったようでありますが、そこでも何かこういうような決議案が上程されるとかどうとか聞きましたが、上程されないで継続審議になったとかと聞いております。そうなりますと、これはやはり自治省としても何とか検討されなければならない時期ではないかと思いますし、大へん失礼なお尋ねかもしれませんが、大臣個人とされましては、区長の公選ということについてはどちらでございますか、御賛成ですか、またあるいは言うべき時期ではないとお考えでございますか。
  88. 安井謙

    ○安井国務大臣 私は、実はそういった打ち割ったお話でございますが、できました当初から、公選の制度のとき、改正のとき、また最近問題が起こっているとき、個人としてはかなり身近にこれを感じておる問題でありますし、相当いろいろと意見もございますが、まだ私、今どちらへ踏み切るべきかという結論は、残念ながら出す段階に至っておりません。
  89. 川村継義

    川村(継)委員 何かお聞きしますと、今の東京都知事の東さんですか、あの人が都知事選挙に出るときには、公選の公約をして出ておるのだそうでございますね。大臣御存じかと思いますが、その公約はどういう公約をなさったか、これは行政課の方にお尋ねしておきたいと思いますが、東さんが都知事に出られたときに公選の公約をされておるが、一体どういう言葉でどういう観点から公選を主張して都知事に出られたか、何かそういう資料でも手に入りましたらいつか作ってもらいたいと思う。大臣、東さんが公選のことを公約されたということは従存じでございますか。
  90. 安井謙

    ○安井国務大臣 たしか知事選挙の際に、東候補としては公選問題について十分な配慮をするというふうな、公約と申しますか、意思表示をしておられたことはあったと思います。ただその時期あるいは具体的な方法、そういうものには別に触れておられなかったと思います。
  91. 門司亮

    ○門司委員 関連して。ちょっとこの機会に聞いておきますが、これは非常にむずかしい問題で、実は自治法の改正になりますので、次の自治法の改正のときに聞こうと思っておりましたが、問題がちょうど出ておりますから……。これは特別地方団体といういわゆる自治法の第三編の二章と四章との食い違いと思いますが、これがもとになって学者間でいろいろ論議がされております。これは事実であります。しかし学者の議論は学者の議論といたしまして、いわゆる地方自治法にいう特別区の中には財産区のようなものもある。従って特別区としての取り扱い上からいえば公選論は成り立たないという議論をする学者が実はあります。私は討論会もいたしましたからよく存じ上げておりますが、しかしそういうものはそういうものとして、私はこの際自治省に聞いておきたいと思いますことは、首長の公選制で起こった弊害がどのくらいあるかということを自治省は調査したことがあるかどうかということであります。区長公選に伴ういろいろな、あまり芳しくない事件がしばしば起こっておりますが、それを自治省は調査されたことがございますかどうか。もしあったとするならその資料を一つ出してもらいたいと思います。
  92. 岸昌

    ○岸説明員 区長公選の弊害につきまして文書によって調査いたしました資料はございません。しかし御承知のように、二十七年の、現在の自治法の改正になりましたのは、その前に設けられました地方行政調査委員会議、通常神戸委員会と申しておりますが、この神戸委員会におきまして、都政の沿革、二十二年地方自治法になりましてからの都区のあり方等につきましてしさいに検討をされました結果、現在のような特別区にすべきである、こういう勧告を出しております。その勧告基づきまして二十七年の改正が行なわれたわけでございますので、神戸委員会で調査をいたしました資料はございます。
  93. 門司亮

    ○門司委員 私はそういうことを聞いておるのではないのだ。区長が選任制になってから今日までの間の議論をしようとすれば、憲法上、法律上の議論はいろいろむずかしい学者間の対立があります。きょうはそういう議論をする必要はないと思いますが、ただ地元の人がどうしても公選制でなければ工合が悪いと主張せられておるのは、私はやはり一つの根拠があると思います。従ってその根拠の中には、今の選任制が不都合だというものが出てこなければ、結局不都合だという議論が成り立たないわけであります。その辺の実情を自治省は調査されたことがあるかどうかということです。どうして選任制がよくないかということを、地元の諸君は言っておりますが、そのよくないということを言っておることについて、自治省は調査をされたことがあるかどうか。自治省の調査ということを聞きますのは、今大臣は地方制度調査会の結論なんていうことを言われておりますけれども、地方制度調査会の結論を自治省は守ったことはないのです。実際に自分の都合のいいことはとりますけれども、都合の悪いところは一切がっさい葬られているのが今日までの実情でありますから、あまり大臣の言葉はあてにならないと思います。都合がよければ採用されるかもしれないが、都合が悪ければ調査会の意見というものはとらないで、大して重視されない。だから私の聞いておりますのは、あとの参考の資料にしたいと思うのですが、区の住民がどうしても公選にしてもらいたいということには、私はかなり具体的の根拠があると思います。その根拠を一体自治省は調べられたことがあるかどうかということです。もし調べられたことがあるとするならば、一つ自治省の資料として出してもらいたい。私どもの方にはいろいろ言ってきておりますから、一応の資料は持ち合わしておりますが、調査されなければされないでよろしいのですけれども、あなたの方で御存じになっていることがあれば、それを参考までに出していただきたいということです。
  94. 岸昌

    ○岸説明員 問題を少し取り違えたようでございますが、選任制につきまして、いろいろ住民の方々のお考えになっておりますことを調査したことはございません。ただ現在の選任制度につきまして、最も明らかな弊害の一つと認められますのは、選任に至るまでの間に相当期間がたっておりますのは、これは顕著な事実でございまして、この選任制になりましてから、後任区長がきまりますまでの期間、こういうものは明らかな資料としてお出しできると思います。
  95. 渡海元三郎

    ○渡海委員 今大臣のお答えの中に、地方制度調査会の答申を待っておるということがございました。最近地方制度調査会の行政部会が開かれたようでございますが、その席上におきましてこの問題が具体的に討議されつつありますか、また具体的にこの問題を取り上げて諮問されております現状でありますかどうか、この点を一つ伺いたい。
  96. 岸昌

    ○岸説明員 諮問は首都制度全般の問題でございますが、その中で検討事項といたしまして、ただいまの都区の問題を検討していただくようにお願いいたしております。
  97. 渡海元三郎

    ○渡海委員 あわせて審議の現在の状態、もし審議されておるようでございましたら、その点をお伺いしたい。
  98. 岸昌

    ○岸説明員 地方制度調査会におきまして、首都制度の問題を取り上げましたのは三十三年八月からでございます。まず行政の現状につきまして、都の関係方面からおいでをいただきましてしさいに調査をいたし、引き続き国の各省の行政の立場から見てどのような問題点があるかというような点につきまして、都行政に関係のあります国の各省、首都圏整備委員会初め関係各省の説明を聴取いたしました。引き続き特別区の代表の方、議会側、執行部側からおいでをいただきまして、現在の特別区制につきまして、いろいろ御意見を伺いました。特別区の問題、首都圏の問題は、三多摩の市町村さらには隣接いたしております府県、関東地方の府県、市町村とも関係がございますので、そういう関係地方団体の代表の方においでをいただきまして御検討いただいたわけでございますが、そういう現状の検討が一段落いたしましたので、この九月から、ただいま申しましたような都区の問題を初め、そういう主要な問題点を項目的に取りまとめまして、それについて委員各位の間で御検討をいただいておる段階でございます。
  99. 園田直

    園田委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。  これにて散会いたします。    午後零時二十五分散会