○石村
委員 租税特別措置法についていろいろお尋ねしたいことがたくさんあるのですが、その前に
委員長に、税法に関する審議についての大蔵
委員会の運営の仕方ということについて、御注文と申しますか、
お願いと申しますか、私の気持を申し上げ、また同時に大蔵省の事務当局に
お願いがしたいのであります。
私は長い間大蔵
委員をやっております。従って税法については大体わかっておる、こういうふうに自分では考えておったのですが、たまたまことし病気をしまして通常
国会はほとんど休みましたが、病床にあっていろいろな税法のことについて天井をにらんで考えたのですが、自分自身としてわかっておると思っておったことは大間違いだということを、痛切に反省させられたのです。私はわかっていない。今まで大蔵
委員会へいろいろ税法がかかってくる、かかってくると事務当局の
説明なりあるいは専門員室の御
説明なりを聞いて、今度の税法の
改正案は大体こんなところだな、こういうように受け取って、一般論と申しますか、政治論のみをやってきました。もちろん政治論が不必要だとは申しません。非常に必要なことだと思います。今度の
租税特別措置法につきましても、
山林所得なんかの問題について先ほどからいろいろ質問が出ておりますが、私もこういう
特別措置をしてはたして今の
木材の
価格を下げるというような効果があるかどうか、非常に疑問だと考えておりますが、こうした一般論も必要ですが、やはり直接個々の条文について議員としては綿密な検討をしなければならぬのじゃないか、こう考えておるのです。それは、税については私も苦い体験があるのですが、その体験も恐縮ですがお聞き願いたいのです。私は議員になる前にしがない町の炭屋をしておりましたが、ちょうど取引高税の問題で税務署から大へんしかられたことがあるのです。まきは当初取引高税の
対象になっていなかった。それがある時期において統制がはずされて取引高税の
対象になった。その後において私は正直にやはり取引高税をまきについては納めておる、こう考えておったのですが、取引高税がかかるようになって一年か二年か後になって税務署から、お前のところは取引高税を脱税しておる、従って脱税分についてこれこれ納めろ、こういう話があった。莫大な
金額なんです。重加算税、そんなものまで
計算したんだと思いますが、あまり大きな
金額ですからびっくりして税務署へ私は行きました。一体どういうわけだ、自分としては取引高税を脱税はしていないつもりだが、こう言いましたところが、税務署の
説明には、お前の方では納めてはおるが、実は取引高税のかからぬときに売ったまきの代金が、取引高税がかかるようになって後において入ったそのものの取引高税を納めていないんだ、従ってこれに対して何年前からのことだからこれこれのなにをかけて、当時三十万円か幾らかだったですが、そんな
金額を言い渡された。御承知のようにまきのようなものは大へん利潤の薄いものであります。取引高税がかかるようになってからは取引高税を考えてまき販売
価格も作っておる。取引高税のかからぬときには、生活必需物資だというのでやはりそれだけのもうけはない
価格で売っておったわけです。それが売ったときは取引高税はかからぬ、その代金が入ったのは取引高税がかかるようになってからだ。大体税務署は、売ればすぐもうけがある、その売ったものが売掛になって金がとれてもとれなくても売り上げ利益として損益
計算して税金をとる。それが取引高税のかからぬときに売ったものの入金が、あとになってからきたといって取引高税をかけるというのはあまりにも不当ではないか、こう言ったところが、その税務署のお役人の言うのに、あなたのおっしゃることはもっともです、こういう税法は私も非常に不合理だと思います。ここまではよかった。あとどんなことを言ったかというと、だがこの税法はあなた方がお選びになった議員が
国会でお作りになった
法律であります、従って文句があるならば選んだ議員に文句を言いなさい、税務署の職員としては
法律通りやらざるを得ない、こういう返事だった。私大へんけしからぬ発言だとは思いましたが、
法律がそうなっておるとすればしようがない、こう考えたのです。こういうように、おそらくその取引高税の
法律を作ったときも、議員はそんなことまでは知らずに作ったのではないかと思います。従ってわれわれがこの税法を審議するときにも、やはり具体的に各条文について綿密な検討を加えなければならぬのじゃないか。一般の政治論はもちろん必要ですが、こうしたものについて具体的な個々の条文について、綿密に議員がこの場で審議する必要があるのではないかということを、こうした体験その他を考えて、病中痛烈に反省したわけでありますが、どうか今後の大蔵
委員会において税法を審議される場合は、大蔵
委員長としてもそうした点を御考慮になって、税法の小
委員会でもけっこうですが、そういうところで一々各条文について逐次検討を加えるような運営をしていただくことを
お願いするとともに、大蔵省当局に
お願いするのは、この税法の条文はわれわれしろうとが読んだらさっぱりわかりません。これはもちろん正確を期せられるためにこういう文章ができ上がるのだとは思いますが、読んでいくと主語がどこにあったか忘れてしまうのです。一々ノートを書き上げて、この条文の主語はこれだ、そしてこの主語はどこで完結するのだということを書き抜いて、ただし何々、ただし何々ととあとへくっつけていかなければ、この条文は何を言っているのかさっぱりわからない。これをずっと読んだら、皆さんは専門家ですから何のことかわかると思いますが、この条文を読んでもしろうとには何のことかわかりません。そのまま読んだら頭には全然残らない、まるで外国語の本を読んでいるようなものだ、従ってこういう
改正をなさる場合には、あるいは新しい税法をお作りになる場合には、
お願いすることは、具体例を一々あげて、そうして各条文を適用して、この条文によりてここの例はこうなっていくんだ、今度の
租税特別措置にいたしましても、この
改正をしない前はこうなる、今度の
改正によって、ここはここの条文によってこうなるのだという
説明を、めんどうでしょうが全部お作りになって、われわれ
委員にお配り願いたい。そうすることによって私
たちしろうとがこの条文を審議し、はたして無理な
改正でないかどうかということをほんとうに調べることができると思うのです。いつかもこの
法律がわからないということを言いましたところが、たしか塩崎君だったと思いますが、私
たちにはわかります、こう言う。ところが、そのとき私は、この何々を除くとあるのはどの部分を除くのだと具体的な例をあげて聞いたら、塩崎君は、いやそれはこれですと具体的に指摘はできなかった。ただ何となしに私にはこうのみ込めます。こういうばく然とした
改正なんです。おそらく皆さん、大へん失礼ですが、
主税局長もこの条文を文法的に分解してこれは何だ、こう聞いたときには簡単には答えられないような条文ができておると思います。もちろん冒頭申しましたように、皆さん方は大へん正確を期せられる結果こうしたものができると思うのですが、それだけにわからないものですから、これはわかるように条文の書き方も考えていただきたいが、われわれが審議するについてもそういう具体例をあげて、一々適用条文を書いて
計算をしてお見せいただくならばわれわれにも理解ができる。これをぜひやっていただきたい。あしたに上げるとかなんとかいうことですが、私は今度の問題でもこの
租税特別措置法についても一々具体例を示していただきたいということを希望するわけです。これが冒頭に
お願いすることで、ぜひ今後そういう大蔵
委員会の取り扱いをしていただくこと、そうすべきだと私は考えるわけですが、これは希望として申し上げておきます。
そこで、ちょっとお尋ねしますが、実は昨晩もこれを読んでみましたが、とうとうさじを投げた、どこでさじを投げたかというと、問題になっておる
山林所得の
課税の特例で、三十条の二があり、そうして三十条の二の三項で私はさじを投げた。これはどういうふうにこの三項というものを解釈すればいいだろうかわからなくなった。三十条はもちろん生きておるのだと思います。この三十条は個人が、昭和二十一年三月三日から引き続き所有している山林を
伐採し、または譲渡したときの所得の
計算の特例なんです。それが今度三十条の二で、昭和三十六年または昭和三十七年において、昭和二十七年十二月三十一日から引き続き所有していた山林を
伐採し、または譲渡した場合においての
計算の特例として出ておる。これは考えてみますと、昭和二十七年十二月三十一日から引き続き所有していた山林というのですから、三十条の昭和二十一年三月三日から引き続いて所有していた人も三十条の二の中には当然含まれると思います。この三十条の二があって、三十条の二の三項の「第一項の規定の適用を受ける者については、」――この「第一項の規定」というのは今度の
改正の三十条の二の一項だと思いますが、これが「受ける者については、」として、三十条の条文の読み方、解釈といいますか、「同条の規定を適用する。」ということになっておるのですが、この
関係で三項と三十条及び三十条の二の
関係を御
説明願いたい。