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1961-10-18 第39回国会 衆議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月十八日(水曜日)     午前十時十八分開議  出席委員    委員長 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 黒金 泰美君    理事 細田 義安君 理事 毛利 松平君    理事 山中 貞則君 理事 平岡忠次郎君    理事 横山 利秋君       足立 篤郎君    伊藤 五郎君       岡田 修一君    金子 一平君       久保田藤麿君    篠田 弘作君       田澤 吉郎君    藤井 勝志君       坊  秀男君    吉田 重延君       有馬 輝武君    石村 英雄君       佐藤觀次郎君    広瀬 秀吉君       藤原豊次郎君    堀  昌雄君  出席政府委員         大蔵政務次官  天野 公義君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    中野 正一君         大蔵事務官         (銀行局長)  大月  高君         通商産業事務官         (通商局長)  今井 善衞君  委員外出席者         日本輸出入銀行         理事      山本菊一郎君         日本輸出入銀行         理事      斉藤 正年君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第五一号)      ————◇—————
  2. 小川平二

    小川委員長 これより会議を開きます。  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。有馬輝武君。
  3. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 通産省とそれから経済企画庁、両方お願いしたのですが、今度政府国際収支改善に対する対策を出されましたので、それと輸出振興関係について、私は若干お伺いいたしたいと思います。  最初にお伺いいたしたいと思いますのは、経済成長テンポを、この改善対策基本としてどの程度に押さえておられるのかということであります。この点に関しましては、参議院の予算委員会その他におきましても、その成長率に対する総理考え方が毎回異なっておるようでありまするし、私どもの見方といたしましては、この国際収支改善対策効果あらしめるためには、少なくとも五%程度まで押さえていかなければ、所期効果が達成できないのではないか、このように考えておりますが、これに対して通産省あるいは経済企画庁として、この改善対策を出された基調としての経済成長率をどの程度に押さえられたか、この点についてのそのパーセンテージと、それが出てきた基盤についてお聞かせを願いたいと思います。
  4. 小川平二

    小川委員長 通産省今井通商局長経済企画庁中野調整局長両君に御注意申し上げます。本日は定刻の十時より出席を願うことになっておりましたが、かように遅参をされたということは、まことに遺憾であります。以後こういうことがないように、御注意を申し上げておきます。
  5. 中野正一

    中野(正)政府委員 今委員長から御注意がありましたが、おくれて参りましてどうも失礼いたしました。  本年度経済成長恥をどの程度に見るか、また今度の九月の終わりにきめました国際収支改善対策というものを出すようになりました背景となった経済情勢はどうか、こういう御質問であったと思いますが、当初われわれが一月のときに見通しました三十六年度成長率というのは、御承知のように実質で九・二%ということであったわけでございます。ところが最近経済企画庁で三十五年度実績見込みというものを出しましたが、これはわれわれの一月に見通しました当時の三十五年度実績見込みというのが十四兆二千三百億ということであったのであります。ところが最近になってようやく実績がほぼ確定をしたわけでありますが、その企画庁の発表によりますと、三十五年度実績見込みというものが十四兆五千六百億というふうに、三十五年度自身の台が非常にかさ上げになった、こういうことになったわけでありまして、その三十五年度の最近の実績見込みから、われわれが一月に当時見通しました三十六年度見込み国民総生産十五兆六千二百億というものを比率で出してみますと、ちょうどこれは七・三%ぐらいの成長率になっておったのであります。従ってわれわれが一月の当時の十五兆六千二百億、三十六年度見通しというものにかりに押さえよう、押さえると言うと語弊がありますが、そこへ持っていこうとすれば七・二、三%の成長であったわけであります。ところが、その後四月、五月、六月というふうに、個人消費あるいは設備投資等中心にいたしまして、御承知のように非常に伸びまして、特に設備投資がその当時の通産省大蔵省調査によりますと、大体三兆九千億から大体四兆円くらいのベースになるのではないか、われわれの見通しでは、三十六年度は御承知のように三兆一千四百億見ておったわけでありますから、相当大幅にこれがふえてきた。そこでこれは少し行き過ぎである、特に御承知のような設備投資は少し行き過ぎるということを中心にいたしまして、経済の拡大のテンポが早い、そのために物価が上がる、また国際収支、特に輸入の急増を見まして、経常収支中心として大幅な赤字を見て、特に五月以降は総合収支におきましても赤字を続けて今日にきておるという状況になったわけであります。そういうことから最近またわれわれの方で九月の二十六日に経済見通しの三十六年度中間暫定試算というものを出したわけでありますが、これは設備投資につきましても四兆円近い勢いを三兆七千五百億くらいに押えるという数字を出しておるわけであります。個人消費につきましても大体一〇%程度伸びる、こう見ておったのでありますが、これは最近の実績あるいは勤労所得伸びというようなものから見まして、大体一三・五%程度伸びつつある、一〇%といったものが一三%以上伸びるということになりまして、最近試算をしたものによりますと、一月のときには三十六年度は十五兆六千二百億くらいで大体おさまるのではないか。設備投資も前年度に比べて一割アップ個人消費も大体一割アップというふうに見ておったものが、個人消費は一四%伸びる、設備投資は今度の試算によりましても二三%程度年度に比べて伸びる、こういうことになりまして、十六兆五千四百億という国民総生産数字が出たのであります。これは今言ったように設備投資中心にしまして、相当内需抑制するという前提でないと、こういうことにならないわけでございまして、相当国際収支改善のための内需抑制、あるいは輸出振興いろいろな手を政府が打って、ちょうど十六兆五千四百億くらいにおさまるのではないだろうかという一応の中間的な見通しを立てたわけであります。  この数字を最近企画庁で発表いたしました十四兆五千六億という三十五年度実績見込みに比べますと、名目で一三・六%国民総生産伸びる。従いまして、先ほど申し上げました当初の見込み実質的に見て二・二%でありましたが、三十五年度の最近の実績から見ますと、七%ちょっとの伸びになる。これが名目でいいますと、一三・六%という伸びになるわけでありますから、それだけの比較で見ますと、倍まではいきませんで、七・二%に対して一四%近い名目伸びておる、こういう形になっておるわけであります。ただこれは御承知のように、卸売物価が四・五%、消費者物価が四・七%くらい上がるというように、今度の中間見通しで訂正をいたしましたので、それでデフレートいたしますと、実質伸びは、最近わかった三十四年度実績に比べましては九・七%の伸びということになるわけであります。従って、一部に、九・二%程度伸びであったが、九・七%になった、これだけドラスチックな政策をやって押えなければならぬのか、あるいはこれだけ伸びたといっておるのに、九・二%が九・七%になったではないかという御疑問もあるかと思いますが、そういう点は今申し上げました三十五年度自身数字が上がったものですから、そういう結果になっておるのではないかというふうに考えておるわけであります。  それからなお一月当時の三十五年度十四兆二千三百億をベースにいたしまして、今度の三十六年度の新しく作りました見通しに比べますと、これは実質で一二・二%の伸びということで、もとになる数字がいろいろあるものですから、これはなかなか説明しにくいのですが、一月見通しのときのベースから三十六年度を見れば一二・二%の伸びということで、いずれにいたしましても、最近の経済成長テンポというのは、物価国際収支等に相当問題を起こしておりますように、テンポが早過ぎる。こういうことで、これを国際収支中心にして少し成長をスローダウンさせようということで、九月二十六日に総合的な国際収支改善策ができたというふうなことでございます。
  6. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 そのもとになる輸出振興策についての税制金融面については、機会をあらためて大蔵省の方からお伺いいたしたいと思いますが、今の内需抑制について具体的にお話を伺いたいと思います。  総理府の統計その他によりましても、現在の消費伸びは非常に旺盛なものがあります。こういった面について大蔵大臣あるいは日銀総裁等の意向によりますと、たとえば預金金利引き上げ等については、現在のところ考えてないということでありますが、この内需抑制について具体的にどのような手だてを考えておられるのか、この点についてお聞かせを願いたいと思います。
  7. 大月高

    大月政府委員 最近の経済行き過ぎにつきましては、内需をどういうふうにして押えるかという問題がポイントになっておるわけでございます。その中におきましても基本はやはり設備投資行き過ぎている。その結果国民所得がふえる、それがまた消費に回るということで、設備投資といわゆる民間消費と二本立でこれを押えていくということが必要なんではないか。特にその根源をなすものは設備投資にあると判断をいたしております。そういう意味におきまして去る六月、大蔵省におきまして都市銀行九行の特別調査を実施いたしまして、設備投資の動向の実態を把握いたしました。その結果、七月の初旬に至りまして、当時の設備計画について一割以上繰り延べてほしいという要請金融サイドとしていたしたわけでございます。その結果、その後国際収支改善対策も発表され、公定歩合毛二回にわたって引き上げられたというようなこともございましたが、ごく最近その調査をレビューいたしました結果昨日発表いたしましたように、大体設備投資におきましては、調査対象百五十社につきまして、企業側自体において当初計画に対し七・九%程度削減計画修正をいたしております。われわれが判断いたしまして、今後の金融情勢は相当引き締まり基調に推移するということを考えますと、企業が今度の修正計画において期待いたしております銀行借り入れあるいは社債の発行ワク、そういうものについては、企業希望に比較いたしましてまだ相当下回るのではあるまいか。そういう情勢判断を入れまして、今年度どのくらいの設備投資になるかということを推計いたしてみますと、われわれの調査いたしました百五十社につきまして、大体当初の計画に対しまして一三・七%程度の圧縮になるかという推計が出ておるわけでございます。この百五十社の全産業に対するカバレージを考えまして逆算いたしますと、先ほど調整局長からお話がございましたように、大体三兆七、八千億くらいのところに全体として落ちつくのではないかという見通しをつけておるわけでありまして、金融基調が引き締まり基調で推移いたすということを考えますと、大体において所期の目的を達するであろう。そういたしますと、従来経済行き過ぎ基本になっておりました設備投資について、行き過ぎが次第に調整をされていく過程にすでに入っておると考えております。そういうことになりますと、一般消費自体につきましても次第にレベルが下がってくるというふうに考えておりますが、一方消費自体に対する対策といたしましては、大蔵省関係ではやはり貯蓄という点が大切であろうと思います。先ほどお話のございました預金金利引き上げるかどうかという問題につきましては、もちろん引き上げ貯蓄にプラスになるということは事実でございますが、全体の金利国際水準にさや寄せして参りたいという基本方針を考えますと、当面貸し出し金利、それも短期金利引き上げを実施いたしまして全体の貸し出しを押える。設備投資抑制につきましては通産省行政指導、あるいは金融引き締め、全体としてこれを調整して参る。その預金金利は全体のコストを上げないという意味。それから預金金利は海外の預金金利と異なりまして相当長期の金利でございますので、それは情勢を見てあらためて考えるということにいたしまして、当面引き上げない方針で参りたいと思います。しかしそれが貯蓄の面におきましては別途税制の問題もあります。たとえば現在預貯金の利子に対しまして、分離課税で一〇%ということになっておりますが、これをどうするか。あるいは現在貯蓄組合制度が運用上いろいろ問題がある。これを適正化いたしまして健全な貯蓄を吸収する制度に改めたいということを税当局と御相談いたしておりますが、そういう問題について貯蓄の推進に資するような観点からこれを改正して参りたい。その他懸案の問題といたしましては、たとえば郵便貯金の限度を引き上げるという問題もありますし、保険料の税額の控除の問題等いろいろございまして、税制の面で種々検討を加えて参りたい。  それから、もちろん国民運動としての貯蓄対策につきましても、現在貯蓄増強中央委員会中心にいたしまして、各種の施策を講じておるわけでございますが、その運動自体についても新しい企画を十分織り込んでこれを推進して参りたい。預金金利以外の面におきまして十分努力して参りたいということでございます。
  8. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今銀行局長からのお話でございましたけれども、預金利子引き上げを行なわないで、貯蓄組合の運営の問題あるいは通産省その他の総合的な抑制策によって貯蓄増強をはかっていきたいということでありますけれども、最近の都内における銀行預金率伸びというようなものについて、四行くらいで調査をした結果がありますが、局長もごらんになっただろうと思いますけれども、横ばいというよりもほとんど伸びておりません。それは今言ったような微温的な施策では預金伸び貯蓄伸びというものは期待できない。結果的には現在の旺盛な消費意欲を抑えることができないのではないかと思うのですが、その点について今銀行局長からお話のありました総合的な抑制策通商省で持っておられるのでしたらそれをお聞かせ願いたいと思います。
  9. 中野正一

    中野(正)政府委員 通産省は今担当局長が来ておりませんので、私からちょっと申し上げます。  先般、九月二十六日に国際収支改善策をきめまして、その後十月の十三日までに各省がどういうことをやったか、またその後どういうふうにやろうとしているかということを、これは企画庁の方で便宜取りまとめまして、そして閣議報告したわけでございます。そのうちで特に通産省関係あるいはそのほかの省の関係の方で、内需抑制についてどういうことをやっておるかということにつきまして御説明いたします。  まず財政面につきましては、先ほどちょっと銀行局長からお話がありましたが、十三日の閣議におきまして、官庁営繕工事につきまして一三%、公共事業関係費につきまして五・八%、財政投融資につきまして五・二%という繰り延べを、これは大蔵大臣から閣議報告されまして決定されておるわけであります。  それから設備投資抑制につきましては、通産関係が全設備投資の四割か五割の間くらいのウエートがあるわけでございますが、特に大企業が相当多い。従って、これを中心繰り延べをしてもらいたい、こういうことで、通産大臣がみずから商社あるいは鉄鋼、問題のありまする石油精製石油化学合成繊維、軽電機、セメント、自動車というふうな各主要業界の代表と懇談されまして、設備投資抑制を要望されております。そのほか各関係局長においても、各企業の属する団体あるいはそのうちのおもな企業に対して、通達あるいは懇談というような形で強力な行政指導を行なっておるわけであります。その結果を最近まとめまして、産業合理化審議会——きょう、あすくらいにやる予定じゃないかと思いますが、産業合理化審議会資金部会にこれを報告いたしまして、そこで審議会としてこれを最終調整をする、こういう段取りをしておられるようであります。と申しますのは、御承知のように、通産省関係主要企業につきまして、本年度投資見込みを、あれはことしの二、三月ごろだったと思いますが、調査をしまして、それを産業合理化審議会資金部会調整をしたわけでありますが、その当初の案が、通産関係で一兆八千億という数字が出てきたわけであります。一兆八千億というのは、前年度に比べまして大体三五%以上の伸びだ、こういうことで、産業合理化審議会でも、これは調整をせねばいかぬということで、たしか六月の終わりであったと思いますが、資金部会決定をいたしました数学が、通産関係の一兆八千億が一兆六千五百億という数字になったわけであります。これをさらにどの程度しぼれるかということでございますが、これにつきましては、通産省では、まず生産に直結しない工事をやめさせる、あるいは全面的に繰り延べさせる、それから、生産に直結するものであっても、ことしすぐ手をつけなくても、来年に繰り延べてもいいというようなものは、結局話し合いによりまして今調整をはかっておるようであります。企画庁希望から申しますと、一兆六千五百億という通産省の、今まで調整いたしました線をさらに五百億程度——これは数字はまだはっきり申し上げられませんが、それくらいは、先ほどの銀行局長の御説明にもありましたが、各企業ともだいぶやはり自粛というか、設備投資抑制については真剣に考えておるようでありますから、少なくとも五百億円程度はさらに圧縮できるのじゃないか。これは私、直接の担当じゃありませんが、企画庁の線から見るとそんなような気がいたします。いずれにいたしましても、近く産業合理化審議会産業資金部会に付議して、投資計画調整をはかるという段取りにいたしております。  それから大蔵省は先ほど御報告があった通りでありますが、なお通産省は、百貨店審議会の了解を得まして、各百貨店業者に対して、これは通産省企業局長名百貨店業者の店舗の新増設の抑制を相当強く——もうすでに許可があったもの、あるいは審議会でも大体いいのではないかといっているようなものまでも抑制しようではないかということで通達を出して、強い行政指導をしているようであります。なおそれ以外に、郵政省、厚生省、農林省運輸省等におかれましても、所管企業及び関係団体に対して設備投資抑制を要望しておられるわけであります。  なおこれ以外に、これは国際収支改善策でいわゆるビル建築をできるだけ抑えたらいいじゃないかという話が出まして、これは緊急と認められない三千平方メートル以上のビル建築につきましては、十月十三日の閣議でもって建築投資抑制措置についてという閣議決定を行ないまして、経済企画庁大蔵省通産省運輸省農林省、自治省というような関係局長でもってそういう建築投資抑制についての連絡協議会を持ちまして、建設省から報告をもらいまして、それをいろいろ審査をいたしまして、これはその業者立場からいえば非常に急いでやりたいということかもしれないが、政府全体あるいは国家的な立場から見てぜひ延ばしてもらいたいという勧告といいますか、要請といいますか、これはこの連絡協議会の意見が一致したものについて、建設省及びその企業所管官庁局長名でこの繰り延べの要望をするということになっているわけであります。大体そういうようなことで、内需抑制についてはまだはっきり数字的にはつかめませんが、だいぶ抑制措置効果が、これはもちろん先ほどお話がありました金融引き締めということが一番きいているわけでありますが、そういうことと並行いたしまして、そういう行政措置を今とりつつあるわけであります。
  10. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今だんだんのお話があったわけでありますが、次に消費抑制策についてどのような手だてを考えておられるか、これを具体的に御説明願いたいと思います。今度の改善対策を拝見いたしますと、消費行き過ぎているのでその節約について国民関心を高めるとか、あるいは先ほど若干お話のありました貯蓄奨励運動を展開するとか、あるいは国産品愛用奨励するとかいうような、いわば精神作興みたいな手だてが並んでおるのでありますけれども、こういったものではなかなか効果が期待できないのではないかと思いますので、消費抑制について具体的な手だてというようなものをどのように考えておられるか、そういった角度からお聞かせ願いたいと思います。
  11. 中野正一

    中野(正)政府委員 消費抑制につきましては、今御指摘がありましたように、国民一般消費節約貯蓄奨励の必要について関心を喚起するというか、協力を求める、こういういわゆる精神運動という以外に消費を行政的にどうこうするということはできもしませんし、またそういうことはやるべきではないではないか。それから今申されました国産品愛用というようないろいろな運動を通じて消費節約貯蓄奨励ということをやっていきたいというのが本旨になっているわけであります。
  12. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次にお尋ねをいたしたいと存じますけれども、これは八月におきましても九月におきましても、御承知のように、国際収支総合収支で一億二千万ドルをこえる赤字になっておりますが、この改善策の立てられた基本といたしまして、この均衡を保つめどをどのあたりに置いておられるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  13. 中野正一

    中野(正)政府委員 国際収支均衡めどは、これは私の方の大臣予算委員会等で何度も言っておられますが、総理はたしか本会議の演説では大体年末までに国際収支均衡するように持っていきたい、またそれは努力すればできるのじゃないかと言っておられますが、私の方の長官も、そのときそのときの応答で少しずつニュアンスは違いますが、いずれにいたしましても、来春から夏場にかけては輸出もあまり伸びず、例年大体輸入期でございますので赤字が続く、従って、秋口からの輸出期にかけて均衡ベースに持っていきたい、こういうことでいろいろ施策をやっておるわけであります。先般国際収支改善策を立てて今だんだん効果が出てきつつあるのではないか、すでに輸入面等についてはある程度効果が出ておるようであります。ただわれわれちょっと心配いたしますのは、輸出の方がどうもわれわれ数字をいろいろ見てみますと、われわれの期待通りまでいくかどうか非常に心配をしておりますが、そういうことで、いずれにしましても、来年の秋口から年末にかけてだんだん均衡ベースへ持っていくというのが今の政府方針であります。従いまして、そうなりますと、来年度はどういう政策をとるかにもよりますが、年度間としてはやはりまだある程度赤字が残る、こういう形になると思います。
  14. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今の中野さんのお話に関連してお伺いいたしたいと思いますが、この前金融引き締めと一緒に手直しされた輸入担保率について、今度はさらにまた逆な形で手直しをされようとしておることが報じられておりますけれども、その考え方の基礎についてお聞かせいただきたいと思います。
  15. 今井善衞

    今井(善)政府委員 輸入担保率につきましては、国際収支改善策の一環といたしまして、何とか輸入を少しでも押えたいという趣旨で、九月十六日に決定して十八日から実施しておる次第でございます。前回三十二年度におきまして国際収支が悪くなりましたときには、御承知のように三回に分けまして担保率を改定したのでありますが、今回はこの三回をまとめまして、その最終段階における担保率をもちまして大体直ちに実施した次第でございます。その内容といたしまして、大体原材料につきましては五%、それから製品特に奢侈的なものにつきましては三五%という担保率を決定いたしました。その間木材につきましては一%とか、あるいは機械の一部については一〇%とかいうふうなことはございますけれども、大体五%と三五%という線でもってやったわけでございます。ところで何分にも一夜ずけと申しますか、非常に作業を急ぎました関係で、たとえば輸出用原材料あるいは輸出用になります製品等につきましても三五%という高率のものもありますので、現在それを合理的なものにするという意味で多少手直しを考えておる、こういう段階でございます。
  16. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 具体的な品目についてはどのようなものを考えておられるのですか。原綿その他具体的にお聞かせを願います。
  17. 今井善衞

    今井(善)政府委員 三五%のもののうち、五%程度に引き下げるようなものがありはしないかということで検討しておるわけでございますが、たとえば輸出用の金属製玩具、それの原料はブリキのくず等を輸入しておるわけでございます。ところがそれが三五%になっておるというふうな関係がございます。そのほか輸出用の原材料あるいは製品でかように非常に高率の担保率を課せられておるものもございますので、それを是正するという趣旨で検討しておる次第でございます。
  18. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今の点について、たとえば今スクラップの例をあげられたのですが、輸入抑制のために前に担保率を引き上げられたわけです。今度はそれをまた引き下げるというのでありますが、この輸入抑制効果、そのかね合いについて、再度また手直しをしなければならないような事態に追い込まれるのではないか、そういった点について、今度手直しされるについては確実な見通しの上に立ってやっておられるのかどうか、ここら辺についての御意向をお聞かせ願いたい。
  19. 今井善衞

    今井(善)政府委員 現在、原材料は五%といたしておりますが、その五%の担保率が課せられておりますものは総輸入の大体九〇%前後でございます。三五%の高率の担保率をかけられておりますものは、総輸入の一〇%でございます。この三五%の高率の担保率を課せられておるものは、品物としては非常に多いのでございまして、そのうち若干手直しいたしましても、全体の輸入に占める比率というのは万分の一以下というふうな非常に微々たることでございまして、全体の輸入抑制の趣旨には全然反しない、かように考えております。
  20. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次に輸出振興策についてお伺いいたしたいと思いますが、税制面の指貫なりあるいは金融面の措置とともに、私はほかのいろいろの問題があるんじゃなかろうかと思います。たとえば見本市の活動なりその他具体的な政策を講じていかなければ、先ほど中野さんからもお話がありましたように、輸出伸びというものはなかなか期待できないのじゃないか。もちろん具体的な政策として、今申し上げましたように税制面、金融面でいろいろの手だてが講じられておるようでありますけれども、その他の施策として具体的にどのような輸出振興策を考えておられるか、この点についてお聞かせ願いたいと思います。
  21. 今井善衞

    今井(善)政府委員 本年度輸出計画を下回っております原因といたしまして、上半期におきましては海外の事情といたしまして米国の景気が悪かった、従いまして、米国向けの輸出計画に対しまして前年度に比べまして大体一〇%ぐらい下回っておったというふうな関係がございます。それから下半期に入りましてアメリカの景気は上向いて参りまして、八月くらいからLCの状況もよくなって参りましたし、現実の輸出も昨年度を上回りまして、大体現在昨年度の一〇%前後上回っておるのでございますが、遺憾ながら今度は東南アジアの方の景気が下向いて参りました。東南アジア方面の輸出があまり振わないというふうな関係になっております。元来輸出につきましては、海外の市況に左右されるという要素が一番強いのでございますが、本年度につきましてはむしろ海外の景気もさることながら、国内における輸出意欲と申しますか、内需が非常に旺盛なために、輸出よりも内需の方がもうかるという関係がございまして、輸出業界のみならず生産業界におきましても、輸出意欲が十分でない、特に輸出業界は別といたしまして、生産業界は直接内需輸出か、それを選択する立場にございますので、従いまして、輸出よりも内需の方にいくという傾向がございまして、内需が足を引っ張って、そのために輸出の機会を失ったということが一番大きな要素になっております。従いまして、今回の総合政策の一つといたしまして、この内需抑制が打ち出された。それによりまして輸出マインドは現在商社といわず生産メーカーにおきましても相当上回って参っておると思います。私どもといたしましては、この機会に特に民間の業界に輸出を伸ばすように強く訴えることをやらなければならぬということで、先般来通産大臣がおもな業界と懇談いたしまして、何とか輸出をしてほしいと協力方を求めておるのでございますが、また別に業界と輸出会議——きょうも機械の輸出会議がございますが、いろいろな輸出会議を設けまして、来月の半ばくらいまでに各業界との懇談によりまして協力を要請したい。大体今年の輸出をいかに伸ばすかと申しましても、すでに約定その他によりまして、大部分勝負がきまっておるというふうな関係もございますので、むしろ来年度輸出をいかに伸ばすかということで政府のやるべきことなり、あるいは民間の協力を求めておる次第でございます。  それから海外の問題につきましては、これは市場調査なり何なりによりまして、新しい市場を開拓する努力をしなければならぬのは当然でございまして、私どもといたしまして、見本市にいたしましても、あるいはジェトロの活動にいたしましても、常にそういう観点からいろいろ施策を進めておる次第でございます。特にアメリカにつきましては、現在だいぶ輸出は上回っては参りましたけれども、対米関係は非常な逆調になっておりまして、対米関係輸出入の差額は今年度おそらく七、八億ドル程に上るのではないかと思いますが、それが全体の日本の貿易収支の赤字とほぼ一致しておるというふうな関係もございますので、対米関係につきましては、向こうの輸入制限運動あるいは関税引き上げ、その他に対しまして、従来からもいろいろ手を打っておるのでございますが、今回の日米合同会議の機会を通じまして、その点は強く訴えて、向こうにわが方の要求について協力してもらいたい、かように考えておる次第でございます。
  22. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今、見本市、ジェトロの問題なりあるいは輸出会議の機構の運営なりについてお話があったわけでありますが、これと関連して外務省あたりで、ヨーロッパに——これはもちろん本来の目的とは違うかもしれませんけれども、フランスなりイタリアなりイギリスなりの差別待遇に対する調査その他の目的をもって、一つの機関の設立の趣があるやに聞いておりますが、そういったことについて御相談を受けておられますか。
  23. 今井善衞

    今井(善)政府委員 現在、御指摘のように特に欧州方面におきましては、ガットの三十五条を援用しまして日本に対しまして差別待遇をしております国と、イタリア等のようにガットの三十五条は援用していないにもかかわらず、実質的にわが方に対して差別待遇をしておる国がありますことは非常に遺憾なことでございます。従いまして、私ども機会あるごとにイギリス、フランス、イタリア等と外交交渉の場におきまして、その差別待遇の撤回方を求めておるのでございますが、現在におきまして日本に対して相当の差別待遇をしておるということは現実の問題でございます。私どもといたしましては、差別待遇を何とかなくするようにしたい。そのためには貿易は元来相互主義に基づいて運営されるのが建前でございますので、従いまして、わが方が今後自由化を進める際に、もし相手国が差別待遇を依然として続ける場合におきましては、わが方におきましても、これは遺憾なことでございますけれども、ある程度の差別待遇はせざるを得ないということを相手国に申し出て、相手国に対しまして、この二、三カ月、日本に対してこういうものの差別を撤回してくれるならば、日本としては差別待遇をしないけれども、もしやはり依然として差別をするということならば、その点わが方としても考えざるを得ないという建前で、外務省を通じまして相手国とせっかく交渉中でございまして、私どもといたしましては、その結果いい状態が止まれることを期待しておる次第でございます。
  24. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その点につきまして、私は各省庁の機構の運営の問題があろうと思うのです。特に最近在外公館に対して通商部なり何なり、そういったものの設置についても考慮されておるやに聞いております。たとえば最近日本の自動車、特に乗用車が香港あたりに伸びておる。が、その伸び方が、ドイツのベンツなりフォルクスワーゲンなりにはやはり及ばない。これはアフター・サービスの問題がありましょうけれども、やはり国として強力に輸出を伸ばす態勢が整っていないのではないか。そういった意味で、今お話のありましたような輸出会議なり何なりを——たとえばドイツにおきましては、ハンブルグ経済研究所といったものがあったり、世界の市場をつぶさに調査して、それが実際の行政面にじかに反映してくるというような態勢がある。これは私が南米を回りましたときにも、ドイツの自動車産業その他の伸びが非常に大きいので、何とか日本においてもそういった手だてをしなければならぬのではないか、こういう工合に考えて帰ってきたわけでありますけれども、今お話のような輸出会議その他の機構の意思が十二分に在外公館に伝わっていくような手だてというものを、やはり経済企画庁なり通産省なり外務省なり、担当省が十二分に連携をとって所期効果を上げるように一つ御配慮いただきたい、このように思うわけです。  次に、今お話にもありましたけれども、対米貿易の問題であります。この逆調を是正するために、バイ・アメリカンあるいはシップ・アメリカンその他いろいろ解決しなければならない問題があると思いますが、今までのアメリカの対日輸入制限運動に対して、どのような手だてをとってこられたのかということが一つ、それからもう一つは、今申し上げましたバイ・アメリカンあるいはシップ・アメリカンその他の問題について、来月二日から予定されております日米貿易経済合同委員会にあたりまして、日本政府としてはどのような態度で臨もうとしておるのか、この政府の態度について、この際お聞かせいただきたいと思います。
  25. 今井善衞

    今井(善)政府委員 現在アメリカの制限の態様は、たとえば関税引き上げというような直接手段に訴えますものと、それからバイ・アメリカン運動と申しますか、消費者の声は直接表面には出て参りませんけれども、たとえば労組が中心になって日本品のボイコット運動をするというふうな事例が間々あるのでございます。私どもといたしましては、在外大使館を通じまして向こうの政府と強く交渉するというのが本筋でございますが、そのほか具体的な品目、問題になりました品目につきまして、国内から関係業界が参りまして向こうの業界と相談するとか、あるいは向こうの労組と直接当たるとかいう、あらゆる手を打ってきたつもりでございますけれども、まだその手の打ち方が足りない。従いまして、向こうのバイ・アメリカンの空気というものは相当根強いものがございますし、また現に業界の輸入制限運動の結果、数品目について向こうの関税委員会に提訴されまして、関税を引き上げるというような問題が現在残っております。私どもといたしましては、やはりアメリカが自由主義の中心でございますので、従いましてアメリカの国内においてこのような保護的な動きというものをそのまま容認しておくということでは、結局世界の自由貿易と申しますか、貿易を拡大していく秩序というものは保てない。特に日本とアメリカとの関係におきましては非常に大きなアンバランスが国際収支の上に見られております。従いまして、それが解決を向こうの政府が責任を持って、たとえば輸入制限運動なり何なりに対して対処してもらいたいということで強く当たるつもりでございます。そのほかいろいろな関係があると思いますが、一番大きな気持としましては、かように政府に責任を持ってその関係を処理してもらいたいという気持で当たるつもりでおります。
  26. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今の態度についてはわかりましたけれども、あと二週間くらいに迫っております日米経済合同委に対して、日本政府として具体的にどのような折衝をされようとしておるのか、態度だけではわからぬですから、それをお聞かせ願いたい。
  27. 今井善衞

    今井(善)政府委員 会議が三日間でございまして、話し合う時間というのは十二時間程度でございまして、しかもその期間通訳を通じてやらなければならぬというような関係で、時間的な制約がございます。そこであらかじめ文書を交換してお互いに主張すべきところは相手方にわかるようにしていく。会議におきましては、そのうち特に相手に対して発言すべき点を強く発言していく、その場でもっていろいろディスカッションをして参りますけれども、大局的なお互いの相互理解、相互認識ということを中心としてやって参るような予定になっております。
  28. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 次に貿易自由化の速度の問題と関連してお尋ねをいたしたいと思います。  来年の半ばころまでには少なくとも九〇%自由化するということでありますが、この自由化の結果は、常識的に考えてみましても、輸入が急増する機運というものが出てくることはきわめて明らかであります。一方では輸入抑制措置をとりながら、一方では貿易自由化を最終的な段階まで進めていかれようとしておるのでありますが、その調整策について具体的な対策を持っておられるならこの際お聞かせをいただきたい。このことが一つ。  それから内外の物価のバランス、国内の建値が非常に高いものがあります。たとえば鋼板あるいは薄板、こういったものについては、申し上げるまでもなくイギリス、アメリカ等に比べまして、非常な割高になっておりますが、こういったもののバランスをとるためにどのような手だてをしておられるか、この点についてもあわせて聞かせていただきたいと思います。
  29. 今井善衞

    今井(善)政府委員 貿易自由化の問題は貿易の方から申しましても、貿易は本来相互主義に立つべきものである。従いまして、先ほどお話がありましたように、現在欧米諸国におきまして、いろいろの国が日本に対して差別待遇をしておる。日本に対して与えられている市場というものは非常に狭いわけでありまして、それを広くしていくためにも、わが方はやはり自由化をして、ギブ・アンド・テークという関係で市場を開放し合うということが必要であろうと思いますし、また国内の産業を強めるという立場から申しましても、やはり貿易の自由化をしなければいかぬ。IMFなりガットに入っております建前としまして、長い目で見て長期的な政策といたしまして、やはり貿易の自由化を進めていかなければならぬ、かように考えておるのでございますが、もちろんこの貿易の自由化は国際収支が安定しておると申しますか、それによりまして日本の国際収支なりあるいは産業活動に大きな支障を来たさないということが前提であるわけでございます。私どもといたしましては、この十月におきまして相当の品物について自由化をしたのでございますが、大体今回自由化いたしましたものは、比較的その産業の力がついて参りまして国際競争力がついてきた、従いまして自由化いたしましてもさほど輸入期によって国内の市場が混乱しないだろうというふうな品物について、今回約七百四十品目を自由化しておるわけでございます。今まである程度それらのものについては資金割当でもって輸入を認めておりますが、今回自由化いたしましてもそれによります輸入の増加はさほどのことはない、数千万ドル程度じゃないかというふうに考えておる次第でございます。今後自由化は来年の四月なりあるいは来年の十月、二回にわたりまして、やがて九〇%程度のものを目途としまして、自由化を進めるという計画になっておりますが、その際、私どもとしては国際収支の状況もよく考えながら、かつ自由化いたします品物についても、国内の影響というものをよく考えながら自由化をして参りたいと思います。その際、御承知のように関税でもってある程度保護しなければならぬという品物も出て参りますし、また自由化に備えるために現在民間企業といたしましていろいろ合理化投資をしておりまして、それによって力をつける、それらの成果を見ながら具体的に自由化の段取りをきめていきたい、かように考えておる次第でございます。  それから、今鋼材のうち、国際価格に比べて高いものがあるのじゃないかというお話がございましたが、鋼材につきましては御承知のように現在すでに六月から自由化しておるわけでございますが、関税はたしか一割程度だと思います。自由に輸入する機会が与えられているのでございますけれども、現実問題として鋼材の輸入はほとんどゼロでございまして、関税分だけ高いということは言えると思いますが、やはり今後鉄鋼業の合理化を一そう推し進めること、あるいは場合によっては必要ならば行政指導等によりましてできるだけ国際水準を保つように努力したい、かように考えております。
  30. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今の御答弁によりますと、国際競争力にたえ得ない品目については配慮していくということが主眼であって、来年の十月ころまでには九〇%自由化するんだという既定方針で推していくというわけではないのですね。その点はどうなんですか。
  31. 今井善衞

    今井(善)政府委員 来年の十月までに九〇%をめどにして自由化するというのは大きな方針でございますが、その際国際収支との関連は常に考えていかなければならぬ。従いまして、国際収支の成り行きを見ながら具体的な計画をきめていく、かようなことになると思います。
  32. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今の点につきましては、たとえば国内のエネルギー資源その他の問題にしても非常に重要な段階にきておりますものが多いだけに、特段の御配慮をいただきたいと思います。  次にお尋ねをいたしたいのは、九月の半ばに通産大臣先ほどお話のありました対日輸入制限国との間に、自由化の問題と関連させて、たとえばイギリスとかフランス、イタリアなんかに差別措置をとるというようなことを御決定になって、閣議の了解も得ておられるようでありますけれども、これが今後の貿易に大きな支障を来たすのではなかろうかと思うのでありますが、この点について局長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  33. 今井善衞

    今井(善)政府委員 自由化は十月一日からやったわけでございますが、十月一日から直ちにさような差別待遇国に対して、わが方も差別待遇をとるという趣旨ではございませんで、その点誤り伝えられた点もあるのでございますが、相手国が現存差別待遇をやっておりますので、従いまして、差別待遇を撤廃してほしい、あるいは緩和してほしいという交渉を行ないまして、その結果わが方の希望が相手国に受け入れられない場合におきましては、日本としてもある程度の差別持越というものはとらざるを得ないということでございまして、それがただいま、むしろ貿易に支障を来たすのではないかという御意見のように承りましたが、私どもとしては、さようなことは全然考えていないわけでございまして、相手国にこの機会を利用して、できるだけ差別待遇を撤廃してもらいたい、それによりまして、わが国の貿易を拡大したい、かような趣旨でございます。
  34. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 最後に銀行局長にお伺いいたしたいと思いますが、この前のIMFの総会のときに問題になりました世銀に対する借款の問題ですが、これは国際収支の問題と相関連してくるわけでありますが、その後具体的になっておるのかどうか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  35. 大月高

    大月政府委員 この問題は為替局長の所管になっておりますので、正確なお答えは私にできるかどうかわかりませんが、少なくとも私の聞いております範囲におきましては、世界銀行からの借り入れにつきましては既定方針通り進んでおるわけでございます。お尋ねの趣旨がIMFからの借り入れということでございましたら、これは具体的には折衝をいたしておりません。ただ全体の大蔵省考え方といたしましては、外貨の資金繰り全体につきまして、必要があれば各種の借款については十分弾力的に考えていきたいという全体としての態度ではございます。
  36. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 終わります。
  37. 足立篤郎

    ○足立委員 有馬委員の質問に関連しまして、一間だけ伺っておきたいと思います。  すでに話が出たかもしれませんが、せんだって週刊誌を見ますと、最近の輸入ブームの横綱三品というものが出ております。内容を見ると、驚いたことにほしブドウとインスタント・コーヒーと、さらにわれわれ想像もつかなかったのですが、エビの冷凍もの、これが輸入ブームの横綱三品だそうであります。記事の内容は大体御承知と思いますが、一体日本ではほしブドウを馬に食わせるのかと言って輸出する方があきれておる。コーヒーも日本人はグリーン・ティーを好むものだと思っておったが、嗜好が変わってしまったのかと言って輸出する方が半信半疑だ。エビに至ってはまた何をか言わんやでありまして、先方があきれるような状態なのであります。これはジャーナリズム的な極端な表現があの週刊誌にあったのか、事実こういうばかげた現象が今、日本に起こっているのか、これは思惑的なものも多分にあると思います。けさ私は新聞を見ると、あの一面を使ってインスタント・コーヒーの広告が出ておる。なるほどなと思って実は驚いたわけです。一体実態はどうなっておるのか、通産省から伺っておきたいと思いますが、これに関連して今、有馬委員からも御指摘があったのですが、やはり農林水産物資、第一次産業のものにつきましては、自由化についてもよほど慎重にお取り扱いをいただきたいということであります。今申し上げた三品も、いみじくも農林水産関係、第一次産業のものであります。やはりこれは、いかに抵抗力が弱いか、ちょっと消費ブームが起こればこういうものの輸入が激増する、とんでもない思惑違いになるという危険性をはっきり示しておるものだと私は思います。それで政府が発表している来年の九月九〇%という自由化計画の中には、やはり農林水産物資が相当含まれております。私はこれは再検討の必要があるのではないかということをつくづく感ずるわけでありますが、特に農業基本法も制定され、日本の農村の体質改善をやるんだということで、農林省は太鼓をたたいておることは御承知通りです。しかもそのねらいが、主として果樹園芸あるいは畜産というような点に置かれて、今モデル地区等も作って農村の指導が行なわれておるやさきであります。来年の九月の自由化計画の中を見ますと、畜産あるいは果実類、鶏卵等があげられております。これは私は、こうした政府の、農村の体質改善の大きな施策と矛盾する結果が起きやしないかということを今から深く憂えるものであります。ことに戦前私どもはいろいろな経験を持っておりますが、中共あたりのあのほとんどただ同然の冷凍卵あたりが入ってくれば、今養鶏事業等相当大がかりにやり、また手っとり早く一村をあげて養鶏事業でその村自体の体質改善までやっておるというようなことも報道されております。こういうところは一ぺんに壊滅してしまう心配が起こる。また果樹類などもくだものなども自由化によってどれほど打撃を受けるかということは想像にかたくないと思うのであります。こういう点は政府の一貫した方針なり施策なりが望ましいと思いますので、これは一つこの際、今申し上げた最近の横綱三品で教えられる点がありますので、政府におかれてもさらに慎重に御検討を願った上で九〇%という大きな目標は目標としても、その細目について、また政府施策と矛盾しないような慎重な、しかも思い切った再検討を願いたいということであります。  以上につきましての実態の御報告と、なお私があとからつけ加えた私の意見に対する御所見を承っておきたいと思います。
  38. 横山利秋

    ○横山委員 私も実はこの間週刊雑誌で読んで、インスタントのコーヒーについてどういうことかしらんと思って、関税を調べてみましたら、こういうことなんです。原料が三割、荒びきが三割五分でインスタント・コーヒーは二割五分というのです。原料と荒びきの方のコーヒーが関税が高くて、インスタント・コーヒーで輸入すると安い、こういうばかなことなんです。これはもちろん原産地が違うし、ガットの問題で国が違うんだから、相手仕事のあることだからしようがないことだと私は一歩下がって考えたんだけれども、しかし、国内のコーヒーの焙煎業者、メーカーから考えると、今のお話のインスタント・コーヒーがどんどん入るようにできておる、インスタント・コーヒーが怒濤のように入るようにできておる、こういう関税制度というものは、私は相手仕事のあることだといったところで、日本国内の立場からいうと、実に理屈の合わぬことだと思う。こういうことを私は考えるわけです。もっともこれは歴史をさかのぼりますと、インスタント・コーヒーが二割五分で低いということは、多分日本へインスタント・コーヒーがあまり入らないという条件のもとに定めたものであろうと思う。けれども、自由化に伴ってわっとインスタント・コーヒーが入ってきたら、これは当然考え直すべきことだ、これをほかっておくから怒濤のごとくインスタント・コーヒーが入ってきて、日本の国内でも、これはいかん、おれの方でも作らなければというので、森永やマックスウェル、ネッスル、MJB、ヒルスがこれをどんどん作り出しておるが、これではコーヒーを売っておる焙煎業者は全部一年か二年のうちにアウトです。しかも彼らの様子を聞いてみると、そんな機械の近代化とか、設備の合理化だとか、共同化なんかできるしかけのところじゃないのです。だからまるっきり野放し状態で、このままインスタントが日本国じゅうに洪水のようになって、馬に飲ませるか、牛に飲ませるか、犬に飲ませるか、まるっきり戦国状態だと思う。あわせて一つ御意見を伺いたい。
  39. 今井善衞

    今井(善)政府委員 インスタント・コーヒーと冷凍エビの話が出ましたが、大体その週刊誌に掲げられましたことはほとんど事実じゃないかと思うのです。この七月に、冷凍エビ並びにインスタント・コーヒーは自動割当制にしたのでございますが、主として業者の思惑によりまして、この際ある程度入れても大丈夫じゃないかというふうな気持で輸入申請が殺到したのでございます。数日間ならずしまして、輸入はそれぞれインスタント・コーヒーにつきましても、冷凍エビにつきましても、ともに七百万ドルに上ったのでございます。インスタント・コーヒーにつきましてはおそらくその程度のものが入ってくると思います。冷凍エビにつきましては、これは世界じゅうあさりまして、そしておそらく世界じゅうのものを買って、その半分もないというふうな状態でございます。現在入っておりませんけれども、相当部分が輸入許可をとりながら現実には入らないということになるのじゃないかと思います。その後におきまして、インスタント・コーヒーにいたしましても、冷凍エビにいたしましても、ほとんど輸入申請がないという状態で、さような状態を来たした。ほしブドウにつきましては、これは四月に自由化いたしまして、これはさような一時に殺到したという関係はなかったのでございますが、ある程度時間をかげながら申請が出てきたという関係でございますので、実はこういう消費物資につきまして輸入が殺到しましたのは、この三品目が初めてでございます。そのほかかような現象はないわけでございます。私どもといたしまして、今後かような現象が起こらないようにということで、十月に自由化をいたしました品目の中でも、さようなおそれが万一にもあるという品物は全部除外いたしまして、国内の合理化に役立たせるという品物を中心にして自由化いたしております。また輸入の担保率の引き上げの場合におきましても、かようなものが殺到することがないようにということで、先ほど申しましたように、今非常に高率な担保率をかけておるわけであります。今後の自由化の場合におきましても、さような殺到するようなおそれのある品物につきましては、ただいま申し上げましたような方針でもってできるだけ見合わしていきたい。先ほど農産物のうちの畜産品についてお話がございましたけれども、畜産関係につきましては、私の記憶では自由化する品物はほとんど入っておらぬじゃないかというふうに考えております。  それから先ほど関税のお話がございましたけれども、これは私も十分承知はしておりませんけれども、ごもっともじゃないかと感じる次第でございます。検討いたしまして、関税率について適当に善処したいと思います。
  40. 足立篤郎

    ○足立委員 特に関連質問をお許しいただいたので、一問でやめるつもりだったのですが、今の答弁ではちょっとふに落ちない点がありますので、お伺いいたしますが、来年の九月の九〇%自由化計画、私、何かの機会に経済企画庁から品目を羅列したもののガリ判刷りをいただいたことがあります。これを見ると、ほとんどが牛だとか鶏卵、鳥、卵と書いてあるのですが、鶏卵だと思うのです。それからくだもの類も若干入ってございます。最近はレモンの問題等もあることは御承知通りです。牛というのは牛肉を含むだろうと思うのですけれども、そういう点がちょっと疑問だったものですから伺ったわけです。くどくなりますが、鶏卵あたりは、私も満州に十二年も住んでおりましたからよく知っておりますが、中国ではほとんど飼育はただ同然であります。農家では相当数飼っておりますが、自分のうちに何羽鶏がいるか知らぬような状態です。例のオンドルに寝床だけ作っておいて、夜になるとそこに帰って寝る習慣になっている。昼間は勝手にえさをついばんで、ただで飼育している。朝出すときに一羽々々しりへ手をつっ込みまして、卵があるかないか確かめて、卵がないやつだけ放して、あるやつは朝十時ごろまで隔離しておくと卵を生むというしかけになっております。今農村では体質改善でどういうことをやっておるか、非常な金をかけて設備を作り、例のケージ飼いをやっている、飼料も混合飼料で、全部金を払って買う飼料で大量生産をやっておる。これが農村の体質改善の一つの柱になっておるわけです。他の畜産については言うまでもありません。こうした金をかけて今農村の体質改善をやろうとしている際に、今この委員会に近代化資金の法案がかかっておりますが、その際にこれと逆行するような安易な考え方で自由化がやられると、これは農業基本法の精神が滅却されてしまうということであります。この点はもう答弁は要りませんから、私は自由化計画の表の中で確かに見たのですから、間違ってもこういうものを来年九月にやられたのでは大変ですから、この点は御検討いただきたい、注文をつけて終わります。
  41. 小川平二

  42. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 輸出銀行法の一部改正案に関連しまして御質問いたしたいと思います。  国際収支の逆調に対し、対策決定を迫られました政府が、去る九月二十六日に景気の行き過ぎを是正するため、経済関係閣僚懇談会の議を経まして、国際収支改善対策を正式にきめました。第一に輸出の振興、第二に財政面施策、第三に金融対策、第四に投資抑制案、第五に消費抑制、第六に中小企業対策、以上の六つを柱とするものでありますが、中心となる輸出振興策として第一に取り上げられたのが輸出金融の優遇の強化策であります。これに関連しまして、輸出金融拡充改善措置として、これまた第一に取り上げられたのが輸出銀行の必要資金量の確保であったわけであります。内容といたしましては貸し出し増二百十億円が見積られまして、引き当てとしまして産業投資特別会計から五十六億円、前年度剰余金から二十四億円、計八十億円の資本金の増加と、運用部から百二十億円の借入措置、それにわずかでありますが回収金の増加等から十億円というものが計上されまして、二百十億円に見合う資金充足がなされる仕組みになったわけであります。そういういきさつからいきまして、国際収支の危機に対処するという、そうした音量から打ち出されたわけでありますけれども、私は輸銀そのものの持つ機能はむしろ中距離ランナー、長距離ランナーであって、短距離選手ではないと思うのです。そういう点でまず根本的に疑問がございます。それはそれとしておきまして、短距離選手に期待することを輸銀に期待しているというような格好になると思うわけですが、なお具体的にそれを申し上げますと、輸銀の融資対象の主柱をなすところのブラント輸出というものは、通関ベースでは輸出増大とはなるが、しかし延べ払い輸出の結果として、為替ベース、すなわち外貨の受け取りの増大とはならないので、当面の国際収支の危機を乗り切るという観点からは、私は効果はないと考えております。この点に対しまして政府の所見をまずお伺いします。
  43. 大月高

    大月政府委員 今般の国際収支改善対策は、お話がございましたように、当面外貨収支の面において相当資金繰りがむずかしくなるだろうということから出ておるわけでございますが、その基本といたしましては、長い目で見まして最近の輸出伸びに比較いたしまして、輸入の増大が根本の、原因になっておる。そのためにこれの対策基本としては内需を抑えていく、それから輸出を伸ばす、この二本建でなければいけない、こういう感覚から出ておると思います。それではいつまでにこの収支を改善するかという問題は、先ほどいろいろ御質問がございましたように、秋ないし年末というのが一応のめどになっております。もちろん輸出銀行が関与いたします輸出につきましては延べ払い輸出でございまして、五年とか七年とかの間に回収されるわけでございます。そういう意味で、当面すぐに外貨収支には寄与しないということは事実でございますが、何分輸出というものは一朝一夕にこれを促進することはできない、長い努力を積み重ねてこの増進をはかっていかなくちゃいかぬという性質を持っておりますので、当面かりに外貨の資金繰りが非常にむずかしくなるということでございましたならば、それはそれとして対処いたしまして、長い目で輸出を増進するということが国の経済政策として非常に重要である、そういう観点からこの問題が取り上げられておると思います。もちろん国際収支改善対策自体は当面の対策ということでございますけれども、しかしその基調をなす全体の考え方としては、何分輸出というものは根気よく根強くやらなくちゃいかぬという一面がございまして、それをあわせてこの際はっきりいたしたというような形に私は了解いたしております。
  44. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 銀行局長の答弁で大体明らかにされたことは、緊急対処の一環としてということにアクセントがあるのではなしに、輸銀自身の長期機能を十分伸張さして将来に向かって日本輸出振興の伏線としておる、そういうことがむしろ根本的な考えである、こういうことを明らかにされておりますが、政府自体はやはりそう考えておられますか。あなた以外、大蔵大臣はさように考えておるのですか。
  45. 大月高

    大月政府委員 輸出銀行の今度の資金の増強をいたします基本的な考えとしてはそうだと思います。ただ具体的にこの二百億の金を調達いたしまして供給するという現実の問題につきましては、ごく近い将来における輸出見通しから申しまして、これだけの資金が必要であるという推定から出ておるわけでございまして、基本的に輸出を伸ばしたいという情勢のもとにおきまして、輸出の資金需要があるということでございましたならば、これはできるだけそれを供給していくというのが基本的な考えだと考えております。
  46. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 問題は、今度の臨時国会に上程せられました予算の補正でございまするが、輸銀分二百十億円の資金増強策に緊急性があるかどうかということなんです。そのことを限定してでけっこうですがお答え願いたい。二百十億円の緊急性があるかどうか。
  47. 大月高

    大月政府委員 輸出銀行の資金は一つは出資からなっております。一つは政府関係の融資からなるわけでございます。それで出資につきましてはただいま御審議をいただいております日本輸出入銀行法の改正に見られますように、まず法律改正を要するという問題、それから予算の補正を要するという問題がございます。従いまして、この臨時国会がこの出資を必要とするか、あるいは次の通常国会において間に合うかという問題がその緊急性の問題かと思います。  それから融資の問題につきましては、これは財政投融資の一環でございまして、手続的には資金運用部審議会にかけてきめる問題でございますので、この点については特に国会の御審議の問題ではないわけでございます。ただ、今の法律の制度におきましてこの貸し出しのワク及び資金調達のワクにつきまして法律上の制限がございまして、出資金の二倍以内という制限がございます。この出資をふやさなければ資金の調達のワクについて限界がくる、そうするとその限界を取り払うために法律が要る、この法律は臨時国会でやるべきか、あるいは通常国会あるいは来年度でいいか、こういう一つの問題があると思います。そういうことでわれわれが本年度の輸銀関係輸出見通しを立てましたところ、次の通常国会では間に合わない。もちろんこま切れにいたしましてその半額程度をこの国会にお願いいたし、またその次は次として、次の国会ということもありますけれども、当然本年度内に見込まれる想定の数字がございましたならば、それを今の国会において処置していただく。しかも今国際収支の改善ということが基本になっておりますので、せっかくこの機会がございますときにあわせて御審議願うというのがさらに適当であろうという判断をいたしたわけでございます。
  48. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 輸銀それ自体の側に立てばいろいろな議論もあるし、これは資金を増加してもらったりそれから融資のワクを拡充してもらいたいということはあろうと思いますが、しかし緊急な国際収支の危機を乗り切るために云々というふうなこけおどし的な一つの大蔵大臣の演説とか、そういうことからどうも結びつかないように思ったのでその点を特にお伺いしたわけです。  それはそれといたしまして、いずれにいたしましても輸出銀行輸出入及び海外投資活動のための機関であります。そういうことで国家的な緊要な機関ではございますが、資金源が財政資金でございますので、これがどのように効率的に使われておるかということは、国民とともにわれわれの当然な関心事なわけであります。そこで、いろいろ資料を要求しましたが、発表していい資料と発表してならぬような資料という御注文もあったわけです。ここで発表して皆さんに配付されたものは実は配付されぬでもいいような資料であったわけです。そこで私といたしましては、どういうわけで他の資料は秘匿しなければならぬかという点は疑問でありますが、一応皆さんの方の御都合があると思いますので、全般的にこれを公開して質問をするということをせずに、ただ、今言うたような国家の財政資金の効率的な使用という一点にしぼりまして、具体的に投資のカテゴリーにおいて使われている金、これが関連する幾つかの企業に対して現在どのように効果を上げておるかだけを聞きたいと思います。  そこで、総括的には輸銀の貸し出しの総額は大体千六百億余円に上っておりますが、そのうち、貸付残高二百二十五億余円のウジミナス、それから同じく貸付残高百十八億余円のアラスカ・パルプ、同じく四十三億余円のアラビア石油、この三つの事業につきまして、一つ現在の概況を御説明いただきたいと思います。
  49. 大月高

    大月政府委員 具体的な問題でございますので、輸出銀行の方から御説明いたさせます。
  50. 山本菊一郎

    ○山本説明員 ただいまの御質問の三つのうちのまずウジミナスでございますが、ウジミナスは、ブラジルのミナスジェライスという州にございます鉱物資源を利用いたしまして、そこにブラジルとの合弁事業によりまして製鉄所を作ろうという計画でございます。これに対しましては、現地に、伯ミナスと言っておりますが、ミナスジェライス製鉄所というのを合弁で作りまして、そのうちの六〇%の資金はブラジル側が出しまして、四〇%の部分につきまして日本側が出すようになっております。それにつきましては、日本ミナスという会社を作りまして、そこに民間から資金を集めますと同時に、伯ミナスに出資する資金を輸銀から供給をいたしまして、そうして伯ミナスに出資する、こういう格好になっております。そこで、日本ミナスが伯ミナスに出資いたします資金のうちの大体半額を輸出銀行から投資金融といたしまして貸すということをいたしております。その金額が現在十四億五千万円になっております。そのほかにミナス製鉄所を作るにつきまして必要な資金があるわけでございますが、その資金につきましてはいろいろと日本から設備を持っていくわけでございます。これはどうせ一度に払えるものではございませんので、従いまして、その分については輸出金融といたしまして輸出銀行から日本ミナスに対して貸付をやっておる。ただいま、日本ミナスに対して貸しております、先ほど御指摘の二百二十五億くらいのうちの十四億を除きました部分は、全部そういう日本からの輸出機械その他の輸出金融でございます。現在ミナス製鉄所の状況は、第一期工事が非常によく進捗いたしまして、地ならしその他はもちろんできておりまして、機械の取りつけにかかっております。溶鉱炉は来年の三月に動き出すという計画で、仕事は順調に進んでおりますが、いかんせん、ブラジルで相当のインフレがございまして、そうして現地の資金に不足を来たすという状況が起こっておりまして、近々ブラジル側の人がこちらに参りましてそれに対する対策を協議する、ただいまそういう段階になっております。  それからアラスカ・パルプにつきましては、ここに斉藤理事が見えておりまして、そららの担当でもございますので、斉藤理事からお答えいたすことにいたします。  アラビア石油につきましては、これはクエート、サウジアラビアの中間の中立地帯の沖合いに油田を掘る計画でございまして、初めははたして成功するかどうかということについて非常に疑問が持たれたふしもあるのでございますが、幸いにしてこれが成功いたしまして、ただいまはもう二十本余りの油が出ておりまして、すでにその油自体は日本に参っておるような状況でございます。それの第一期工事と申しますか、現在の計画について、私どもの方からアラビア石油に対しまして海外で事業をする資金を貸し付けておるのが、ここにございますアラビア石油に対する四十三億の資金でございます。  それでは、アラスカ・パルプについて斉藤理事から説明いたします。
  51. 斉藤正年

    ○斉藤説明員 アラスカ・パルプにつきまして御説明申し上げます。  アラスカ・パルプは、アラスカにあります米国政府の国有林の木材の払い下げを受けましてパルプを作ってそれを日本に輸出する、そういう目的で昭和二十八年に設立された会社でございます。三十二年から工場建設を始めまして、三十四年の終わりごろに大体工事を完成しまして、それから伐採権を得まして、昨年暮れに一応工場の完成を見、現在操業に入っておるわけでございます。パルプの生産能力は年ショート・トンにいたしまして十二万トン、普通のトンに直しまして十万八千トンで、それは原料を日本に輸出しております。この工場の建設の所要資金は全部で約二百三十七億円でありますが、その程度かかっております。そのうちで約七十億程度は米国市場で調達いたしまして、あと百六十億程度が日本市場で調達したわけでございます。そのうち、輸出銀行の融資いたしておりますのが、百十八億円でございます。十二万トンの工場がフル操業に入りましたのは、先ほど申しましたように昨年の暮れからでございますが、大体十二万ショート・トンの能力は出ております。今のところ、工場の技術的に見た面では問題はないわけでございます。ただ、建設当時に比べまして国内のパルプ市場が非常に不況でございますので、当初計画した程度の収益は上げておらないという状態でございます。
  52. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 三つの事業につきまして御説明がありましたが、要は、国民経済にいかに寄与しているかということであろうと思います。きれいごとばかりでなしに、たとえばアラビア石油等につきましては、国際石油カルテルの攻勢等があって、販路その他につきまして国際カルテルの支配下に入らなければならぬような機運にあるようにも聞いております。むしろそういう弱点とかむずかしそうな問題を一つこの際明らかにしてほしいのです。  それからウジミナスにつきましては、たしか昭和三十二年に発足していると思ったのですが、当時日本の円で百七十億円か二百億円、そこでブラジル側が六、日本側が四の出資をする、そういうことで発足したと記憶いたしております。それに対しまして今の御説明では、日本側の資本の半分をになっている輸銀の出資額が十四億五千万円でありますから、日本側は全体としては二十九億きりしか出資されていないわけです。当時の計画が百七十億円といたしますれば、日本側の出資が七十億円ほどになるはずですが、その間に非常に差がございまして、出資それ自体において差があるということは、当初の計画された生産量が確保できないのだろうと私は思っておりますけれども、その点はどういうことになっておりますか。出資が少なくてなおかつ生産が上がればけっこうですが、そういうわけにいかぬと思うのです。
  53. 山本菊一郎

    ○山本説明員 ミナスに対する投資につきまして、最初の計画において予想せられましたのは十二億八千クルゼイロであったわけであります。これが日本側の分担額で、そのうちの半分を輸銀から供給するという考え方であったわけでございます。ところがそれは四回にわたって十二億八千万クルゼイロを払い込んだわけでございますけれども、実際はずっと物価が上がりまして、たとえばクルゼイロの換算率にいたしましても、初めは一クルゼイロが一円五十銭くらいであったものが、ただいまでは一円二十銭くらいになっておるというふうにインフレが起こったわけでございます。従いまして、これだけの出資をいたしましたけれども、実際問題としてでき上がった仕事は、その物価の値上がりによりまして足りなくなった、それだけの仕事ができなかったという状態がただいま起こっておるわけでございまして、ブラジル側は、この伯ウジミナスに金融しております向こうのブンデと申す開発銀行があるわけでございますが、それから資金を供給すればよろしいのでございますけれども、その資金にも限度がある。従って、この出資を少しふやしてくれという要求をただいま内々にこちらに持ちかけているという状態でございます。従いまして、あの事業を協力の見地から成功させますためには、さらに幾らかの出資はやむを得ないかとも存じますけれども、その話は今度向こうの交渉団が参りましてからよく交渉して、将来の計画を立て直すということに相なるかと存じます。アラビア石油につきましては、仕事は非常に順調に進んでおりますので、どういう点をお尋ねでございましょうか。
  54. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 順調に進み過ぎて湧出量が予定量より上回っておる。そこでそのはけ口のために山下太郎氏が米国の石油カルテルの筋に出向いて協議しておるということが新聞等で報道されておりますので、要するに、販路の確保という点に対しましては、デッド・ロックにあるのではないかと思うのですが、その点について一つ御解明をいただきたい。
  55. 山本菊一郎

    ○山本説明員 アラビア石油は日本の財界の協力によってできた会社でございまして、将来これが油の引き取りについては通産省等においてもただいままでもいろいろとごあっせんいただいておりますし、ただいまのところ引き取りは順調に行なわれておると思います。将来いろいろ紆余曲折はあるかと思いますけれども、業界の協力によって油の引き取りは順調にいくものと私たちは考えております。
  56. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 輸銀とか政府所期した通りの明るい見通しがあるならば、この投資は国民にとりましてもうなづけるわけであります。しかしながら今の御説明程度ではその内容が完璧であるかどうかという点がわれわれとしては納得するまでにはいっておりません。しかしこのことを議論しても仕方がないことだと思っております。ただ最近三十七年度予算策定におきまして租税の自然増収がたくさんある、この租税の自然増収のたくさんある多くの部分を国民の方に減税として返すということは一応保留しておいて、そして海外投資等に振り向けるために産投特別会計にこれを積み立てていくということが半ば公然と議論されている状況でありまするが、そういうさ中にあって、産業投資特別会計たな上げ資金の主要な流入コースである輸銀融資のあり方に対して、われわれとしては当然関心を持たなければならぬということになると思います。今私は三つの企業についてだけお尋ねしたわけですが、そのほか対インド円借款あるいはパラグァイ共和国というような、とんでもないところに資金を出しておりますね。こんなことを見ますと、何かわけのわからぬインド・ロビーとかパラグァイ・ロビー、パラグァイ・ロビーというのはあるかどうか知りませんが、そうしたあいまいなところに国家資金が出されておるというような感じを受けることはいなむわけにはいかぬと思うわけであります。そういう点で、毎年の予算編成に関連して、そうした終局点であるところのあなた方の銀行貸し出し資金というものが、効率的に国民経済に寄与しているかどうかという点、その点を確めたかったわけでありまするが、きょうの制約された時間内で全部論じ尽くすわけにはいきません。しかし、私どもがお伺いしようとする関心のある点はそういうところにあるわけでありますので、今後とも日本の中長期貸し出しのチャンピオンとして、一つえりを正して効率的な資金の運用に当たっていただきたい、かようなことを特に申し上げ、一応私の質問を終わることにいたします。
  57. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 関連して。輸銀の理事のどなたでもけっこうでありますが、ただいま御論議になりました各社に対する貸付残高について問題がありましたけれども、これについて極秘にされて、大蔵委員の全部に資料を配付なされない理由についてお伺いしたいと思うのですが、私たちはプラント輸出の問題その他いろいろだ問題で重要な関心を示しておりますので、もし特に理由がなければ当初の貸付高とともに、今の貸付残高についても各社別に明瞭にして、資料としてお出しをいただきたいと思います。
  58. 大月高

    大月政府委員 資料の問題でございますので、私からお答え申し上げますが、大体輸出銀行のやっております仕事は融資でございまして、普通の銀行の業務の一部をなしておるわけでございます。もちろん特徴といたしまして、この金が全額政府関係の金で出ておるということから、一般金融機関とはまた別個の意味がございますけれども、少なくとも金融であるという面におきまして、相手方企業の信用に関する問題につきましては、金融をしておる方の立場においてはいろいろな内容は申し上げない、これを基本原則といたしておるわけであります。もちろん国家資金の関係でございますから、いろいろ御要求がございますときには、それぞれ差しつかえない範囲におきましてお出しいたしておりますけれども、個別の問題、相手方企業の内容に関する問題については、できるだけお差しつかえない限り御遠慮願いたい、これがわれわれの基本的な考えでございます。従いましてもしどうしても、たとえばアラスカ・パルプとかあるいはミナスとか問題があるということで、内容を詳細にお知りになる必要があるということでございましたならば、むしろ当事者の会社をお呼び願いまして御質問願うことにつきましては、われわれといたしましては、本人が話すことでございますので何ら問題はないと思います。ただわれわれが検査をいたした結果承知していること、あるいは報告を聴取した結果承知いたしておること、あるいは輸出銀行立場におきまして、金融をしておる立場からその企業の内部を詳細承知いたしておることは、できるだけ一般の席においては語らないという方がほんとうであろうというのが従来の考え方でございます。
  59. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 どうも今の銀行局長の御答弁納得がいかないわけです。お話がありましたように、少なくとも国の資金をこのような形で貸し出しておるのでありますから、ただ企業の経営にタッチするというのじゃなくて、その額がどの程度になっておるかということは、われわれ国政審査の立場から当然知っておかなければいかぬと思うのです。それについて銀行の業務内容が云々というようなことで、今のようなお話で極秘にされるという立場の方がわれわれとしては納得がいかないので、ぜひこの点について各社ごとに出していただきたいと思うのです。
  60. 小川平二

    小川委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  61. 小川平二

    小川委員長 速記を始めて。
  62. 横山利秋

    ○横山委員 私は、銀行局にそういうことについて何もこちらがとんでもないことを言い出すつもりでなくて、国会議員として一般的な情勢を把握したいという意味で今までやってきた。そういう意味であるからこそ特に固執はしなかったけれども、最近の銀行検査の結果、まずい点もいろいろあって、これはいかぬというのであなたの方で隠しておって、それが千葉銀行となり埼玉銀行となって出てしまってから、いやあのときに私ども注意したんですけれども聞いてもらえなかったとか、注意したんだけれども、二年たって今度のことでございましたとか、そういうことが続く限りにおいては、私どもはあまりそう遠慮はしておられぬという気持が最近するのですよ。今回の問題でも、それは人によってはいろいろと特定のものを聞いてみたいという人はありますよ。けれども、大蔵委員一般としては、輸出銀行の実態に触れて審議をするということは当然のことなんです。それを一般的な銀行数字についてはどうもあまり話したくないという考え方が今まで隠れみのになって、われわれが剔抉すべきものが剔抉できずに今日まで推移しておるということを私は特に最近痛感するのです。ですから、今までただ預金者保護だの、やれ銀行業務の秘密性だのということで、われわれの審議を実質上妨害をなさる結果に私はなると思う。この際あなたとしても——あなたの責任ばかりじゃありません、従来の銀行局長なり大蔵省考え方がそうでありますが、金融機関のあり方についてはもう少しベールをはいで、私どもの審議のやりやすいようにしてもらわなければ困る。これは特に私は注文しておきます。今の問題でも、何ですか、こんなものを、何が一体極秘ですか。このことが極秘でなくて、一般的に銀行の問題については極秘にしたいというお考えではないのですか。この文書そのものが極秘であるべき積極的な理由はないのでしょう。あなたの今までの常識で見て、問題によっては私は極秘にしろという気持もわからぬことはないのですが、こういうことまで極秘にするという考え方が私にはわかりません。  それからあなたのおっしゃる、もし話があったら個々の会社を呼んでくれというのは、いささか私は言葉が過ぎると思うのですよ。個々の会社を呼ぶということは、われわれとしては個人で呼べとおっしゃるのか、大蔵委員会で呼べとおっしゃるのか知りませんけれども、個々の会社を呼べということの方がむしろあなたとしてはとめたいお気持じゃないのですか。逆にものを言っていらっしゃるなら別ですけれども、私はもう少し銀行局として銀行を監督指導する立場からいって、われわれもまたその責任があるのですから、間口を少しお広げになる必要があるのじゃないかと思うので、特に最近の事例からいって苦言を呈します。
  63. 大月高

    大月政府委員 基本的な考え方は先ほど申し上げた通りでございまして、一般の行政の方針あるいはその実態についていろいろお求めがございますれば、それは全部ここで資料としてお出しいたすべき筋合いのものだと思います。ただそれが金融に関連いたします個々の会社の問題になりますと、それはやはり出さないという方が穏当であろうかと思いますので、その辺の事情は一つおくみ取り願いたいと思います。
  64. 小川平二

    小川委員長 本件については、後刻理事会において協議することといたします。堀昌雄君。
  65. 堀昌雄

    ○堀委員 きょうは通商局長と調整局長がお見えになっておりますので、次会はちょっと御出席が無理かと思いますから、この関連の問題だけをちょっと私伺っておきたいと思います。  外貨の割当の下期の予算をお組みになった点でちょっと私気になりますのは、貨物輸入の内容につきましては大体一・六%ぐらいの伸びしか見てない。非常にしぼった格好で外貨予算が組まれておりますね。この外貨予算を組む土台になったのは、おそらく鉱工業生産が趨勢見通しで一八・五%になるのだということが、この輸入貨物の土台になったのじゃないかと思うのですが、この輸入貨物の外貨割当予算の基礎は大体どこにありますか。
  66. 今井善衞

    今井(善)政府委員 ただいま御指摘のように、下期の外貨予算は上期に比べまして予備費を除きますと一・六%ということになっておりますが、その場合に一番問題になりますのは、この下期の生産水準がどうなるかという問題と、それからまたこの上期に少しストックを積み過ぎております。従いましてそれが下期において調整される。私どもの計算によりますと、主要原材料十二品目が上期で三十六年三月末に比べまして九月末のストックが約二億ドルふえるという見方をしております。従いまして、そのうち少なくとも一億ドル程度のものは下期において輸入減になって現われるというふうに考えておりまして、従いまして、いわゆるこの自由化予算でございますところの自動承認制予算、これはこの上期に比べまして約五千万ドル減るというふうに見ております。  それからこの生産ベースでございますが、生産ベース年度間を通じまして前年度に比べまして一八・五%アップということに見ておりますが、上期に比べまして下期の生産ベースの増加は五・九%、下期は上期に比べて生産は増加になる。この五・九%と申しましても大体九月の出産水準を二、三%上がったところで、大体下期は横ばいになる。今度の景気調整に関する臨時措置によりまして、やはり現実に金融引き締め基調でございまして、生産ベースにおきましてもやがては十一月くらいからそういう影響がございましてある程度の横ばいになる、かように見ましてそのような外貨予算を組んだ次第でございます。
  67. 堀昌雄

    ○堀委員 実はここで今後問題になりますのは、在庫率をどう見るかということが今後の非常に大きな問題点だと思うのですが、過去の指数を見てみますと、在庫率は最近のあれがわかりませんから推計しておられたりいろいろするのを見ても、どうもそう十分に高くはない、少なくとも在庫率で見ると三十二年には一四三くらい、三十三年でも二三くらいあったのが、八月ですか、ようやく一〇三くらい、全体の在庫率で見ると、過去の在庫率に対する問題に比べると輸入総原材料はわずかだと思うのです。というのは、その当時の生産伸びとの関係から見まして、今は全体としての広がりが大きいものですから、今一億ドルあるとおっしゃった。これは私の方ではわからないと思うのですが、どうも生産伸びの問題になってきますと、私は実はこれは企画庁に申し上げたいのですが、過去の企画庁の計数を私は相当当たってみましたけれども、当初の見通しより低く出た実績というのはあらゆる資料の中でほとんどないのです。これは絶対に下がらないということは希望的観測であって、かくありたいというあなた方の気持は私は百もわかりますが、日本の経済は絶対にその通りにはいかないようになっておるという点を思いますと、実は最近のいろいろな経済修正をお出しになった点に私は非常に大きな疑問があるわけです。これはかくありたいという希望としては私も了承いたします。しかし今のこの年度から、九月から終わりにかけて鉱工業生産を横ばいにすることができるかどうか、昨年度伸びを見ましても、昨年度は鉱工業生産で見ると、九月が二一八、それから十月は二一六、十一月二二六、十二月二三九、ともかく普通の状態で見ても九月くらいから十二月へかけては一ポイント、二ポイントの過去の例ではないというのが最近の実情で、非常に引き締めをなさった昭和三十二年、三十三年のときがようやく何とか鉱工業生産が横ばいであった。今の場合に銀行局その他の問題はまた明日伺うことにいたしますけれども、引き締めはなるほどやっていらっしゃる。しかし私はこの間日銀総裁のお話をずっと聞きながら感ずることは、ほんとうに引き締められない性格が日本の金融基本的なところにあると思うのです。そうすると、はたして後期五・九%などという、これも希望的観測で、私は一二%ぐらいはどうしてもいって、結局鉱工業生産はいいところで抑え切れて二〇%になる。年間平均二〇%に押えられれば非常に成功、そこへいくかどうかは今後の金融引き締まり等の問題、総合政策のあれでございましょうが、過去の資料を見ますと、実は引き締めをしてからスロー・ダウンしてくる間の時間的な誤差がかなり私はあると思う。これを四半期別統計で調べてみると、昭和三十二年のGNPで見ますと、四月、五月に、たしか三十二年は引き締めをされたと思うのですが、それでちょっと下がったのは七−九月だけが前期比九六・五に下がっただけで、あとはGNPは九九・六、九九・〇、九七・七、一〇六・四ということで、それをここのところでもGNPでも下がってないし、民間設備投資についてみれば、十−十二月で七〇・四と一挙に一回下がっただけで、あとはほとんど横ばいということになっておるわけです。過去のああいうふうな在庫調整の問題ですら実はこういうことであったのに、今度は実需がこういう格好で伸びてきておるときに、はたして鉱工業生産を今後下期、特に十二月に向けて横ばいにできるかどうか、私は希望的観測はいいですが、それがもしできなかったときに、一体この予備費の二億ドルで外貨予算をまかなえるのかどうか。そこのところをちょっと。在庫率に対する見通しをもう一ぺん。今の二億ドルということは一億ドルでいいんですが、全体の指数等で見てどうなのかということと、予備費二億ドルでまかなえるか。機械については上期より三千万ドル減少ですね。輸入機械が三千万ドル減少する可能性は全然ない上に、二、三千万ドルさらにふえるのではないか。日本の機械受注の現状を見ると、当然こういうことはあり得ないと思うのですが、そういう点について。
  68. 中野正一

    中野(正)政府委員 今後の生産見通しを一応立てまして、それに応じて輸入原材料がどれくらいになるかということを通産省ではじきましたので、確かに今先生が御指摘になりましたように、われわれの方は今まで二二、三%の対前年同期比の生産伸び率でいったものが、一応われわれの想定では、八月から二ポイントずつくらい上がって、十月、十一月にかけて一ポイント、今二八〇くらいの線でありますが、一ポイントくらい上がっておる。それから大体十二月くらいから横ばい、できたらこういうふうになだらかなカーブに持っていきたいという、確かに希望的観測といいますか、政策的な配慮と申しますか、そういうことではじいておるわけでございます。ただ先生の御指摘になりましたように、そういかずに、かりに十月、十一月、十二月と二ポイントずつ上がっていきますと、今の需給状況なり今後の引き締め効果からいって、今度は一月から三月にかけて相当生産がダウンするという形になるので、そうなりますと、三十二年、二十九年のような引き締めの結果になって生産が停滞する、雇用の伸びも停滞する、賃金も停滞するということで、相当これは経済界に問題を起こすので、そういうことがないように、しばらくなだらかな横ばい程度でいって、また来年度にかけて少しずつスローの上昇カーブに持っていく、こういうふうに持っていきたい。と申しますのは、先ほど先生がちょっと申されましたが、過去の例を申し上げますと、三十二年のときには六月、その前もちょっと引き締めましたが、総合対策というのを六月に出したわけです。七月から生産が年率一八%程度の率でダウンいたしました。これは九カ月ほど、三十三年の四月に底をついておるわけです。そこまでは、今の七月から九カ月目の四月にかけてのスロープを引きますと、年率で二・二%のダウンの鉱工業地産になる、こういうことがありますと、この前のときのような非常なショックを日本経済に対して与える、こういうことのないようにという配慮を考えておるわけであります。それから二十九年のときの例を申し上げますと、これは三月から下がりまして、約五カ月間、これも年率一四%程度のダウンになって、それからずっと上がる、こういうことになっておるわけでございます。そういう意味で、下期の出産が大体十月から十二月くらいまでは前年度に比べて一七・八%ぐらい、一−三月にかけて一〇・三%ぐらいの昨年の鉱工業生産伸びに対して、昨年は今御指摘がありましたように、上期の初めの方は少し景気が停滞して、いろいろの事情で下期にぐっと生産伸びたわけですが、それに対して一〇%程度伸びということを考えておれば、まあそんなに低めに抑えたあれじゃないのじゃないか。これで年度間の数字でありますので、非常に比較しにくいのでありますが、三十五、六年の鉱工業生産伸びを平均してみますと、一八・五%の生産アップ、これに応ずる輸入原材料をはじいて一応計算してあるわけでございます。
  69. 今井善衞

    今井(善)政府委員 在庫について御質問がございましたけれども、先ほど二億ドルくらい在庫を増し積みしているというお話をいたしましたが、そのうち一番大きな品目は、たとえばスクラップとか綿花、羊毛というものでございます。スクラップにつきましては、今の鉄鋼生産を続ける場合に、年間大体六百万トン輸入すればよろしいということになっておりますのが、上期中にすでに四百万トンに達しておるというふうな事情もございまして、現実にスクラップの輸入申請は落ちております。さような関係でやはり在庫調整は相当行なわれる、かように今考えておる次第でございます。  それから、この九月の輸入承認は非常に大きかったのでございますが、十月に入りましてから、これは今度の対策効果と申しますか、いろいろ気運が変わって参りまして、輸入申請は非常に落ちついた状態になっておりまして、おそらく十月の申請額は四億ドルを測るのではないか。九月におきましては、これはちょっと思惑的なこともありましたが、六億ドルを突破いたしました。十月においてはさようなことになっております。  それから、機械予算とそれから予備費がそれだけで足りるかというお話でございますが、機械予算は前期は四億八千万ドル、これは実は当初は四億三千万ドルで組んでおりましたのを、足りなくて五千万ドル追加したわけでございます。今回はそれより三千万ドルくらい少ないということになっておりますが、実は自動割当制予算というものが別にございまして、その中に機械が相当今度自動割当になる。つまり機械予算から自動割当に移る予算というものが相当ございまして、これが約四千万ドルほどございます。従いまして、割当物資である機械の予算は前期より減らしておりますけれども、実質は大体前期並みというふうに考えておりまして、私どもの今の感じから申しますと、大体それでおさまるのではないか、かように考えておるわけでございます。予備費は二億ドルとっておりますけれども、今の見込みでは大体それに手をつけないで済むのではないか。万一手をつけなければならぬ、あるいはそれで足りないということになりますれば、非常予備費ということで予算の改正を行なうわけでございます。
  70. 堀昌雄

    ○堀委員 来年の十月を目途として貿易自由化率九〇%にしたいと言っておられるわけでありますが、実は西ドイツで調べてみますと、西ドイツはドル地域に対する自由化は一九五六年の末が六八%であったものが、一九五七年の末に九〇%までドル地域の自由化を進めているわけでありますが、この間におけるドル地域からの機械輸入の増加は、六五%実は一年間に増加をしている現実の姿が西ドイツであるわけです。それで現在から来年度に対して、今おっしゃったように自動承認の中へ移動していくものがある。今後どんどんふえてくるということだろうと思いますけれども、その場合に、これほどの急激な変化は、いろいろと引き締めているときに、ドイツのGNPがどういうふうに動いたか書いてないのでわかりませんけれども、ないとしても、やはり今の日本の国内の機械の生産の量、受注の量、それから設備投資を押える、押えると言っておられても、せい一ぱい押えて三兆七千五百億であるということならば、機械に対する需要というものは依然として相当高いものである。その際に、国内供給量が十分でなくて、受注残高が相当残っている過程では、私は機械輸入は来年度に対してさらにふえるのではないかと思いますが、そういう点は、自由化との関連ではどう考えていらっしゃるか。
  71. 今井善衞

    今井(善)政府委員 自由化気がまえで各企業といたしましていろいろ準備をしておりまして、その結果機械の輸入がふえております。この上期等につきましても、機械の輸入は今数字は正確ではございませんけれども、前年同期に比べておそらく七、八〇%くらいふえていると思います。特にアメリカあるいは西欧諸国からの機械輸入は非常にふえている。従いまして、今後機械輸入はある程度ふえるということは言えると思います。ところで、上期の四億八千万ドルという機械輸入は相当大きな規模になっておりまして、実はこの機械輸入につきまして今までは非常に厳格な査定をしておったのでございますが、この上期の予算あたりから、合理化機械につきましてはほとんど査定らしいものをしていない。国内にできないものはもちろんのこと、それから国内にできましても、たとえば納期がおくれる関係でとうしても輸入機械がほしいという場合には、あまり査定らしいものをしていないわけでございます。従いまして、現在の輸入承認ベースで半期五億ドル近いベースというものは、大体実需をそのまま反映しているということでございます。従いまして、自由化をしたからといって、それが自由化のために急激に伸びるという要素はむしろ少ないのじゃないか。むしろ実態は、国内の投資需要というものがどれだけあるかという問題によってきまってくる、かように考えております。
  72. 堀昌雄

    ○堀委員 時間がありませんから、ちょっと締めくくりで伺っておきたいのですが、一−八月で輸出は六・五%しか前年比伸びておりませんが、輸出銀行のプラント輸出がこの伸びに一体どのくらいの関係があるとあなた方は考えておられるか。今度出資をふやして大いに輸出銀行から貸しましょう、貸すことは私はけっこうだと思いますが、しかし、現在の輸出、私はちょっと項目別に調べてみたのですが、一−八月で見ますと、一番ふえているものは人絹糸で、価格前年同期比の比率で見て二四・八%、これが最高であとは大体一〇%程度で、重機械なんというところはちっとも伸びておらぬ。前年に比べれば下がっているくらいのものだということになるのですが、輸出銀行にこれだけこれから出資して大いに金を貸したとして、一体今年度輸出にそれがどのくらいはね返ってくるのか、それの見通しをちょっと伺っておきたいと思います。
  73. 今井善衞

    今井(善)政府委員 今年度輸出見込みは四十二億六千万ドルというふうに考えているわけであります。その場合、品目別に見ますと、一番伸びますのが機械関係、これは軽機械を含んでの機械関係であります。軽機械はほとんど輸出銀行と無関係でございますが、機械関係はおそらく今年度として二割四、五分くらい前年度に比べてふえるのではないか、かように考えております。それから思うようにいっておりませんのがたとえば繊維関係・それから残念ながら鉄鋼なんかにつきましても、達成率が非常に悪い。雑貨関係は幾らか伸びておるということでございまして、前年より約九%伸びる。それの大部分は機械関係が受け持っておるという関係になっております。それからその場合に、輸銀の関係のプラント輸出をどう見ているかと申しますと、昨年度輸出が約五億四千万ドル程度でございます。今年は六億七千万ドルぐらいになるかというふうに見ておるわけでございまして、従いまして全体のパーセンテージは一六・七%ぐらいになりはしないかと思いますが、先ほど銀行局長からも御答弁がございましたように、プラント関係は各国延べ払いということで、東南アジアあるいは後進地域に対して盛んに各国やっておるわけでございまして、従いまして、日本もこの機会に乗りおくれないようにやっていかないと、将来の市場を失うという関係がございます。全体の伸び率のうちで寄与している部分は、さほど多いとは申せませんけれども、さような関係で、この際やはり東南アジアに対する輸出というのはどうしても金がかかるわけでございます。先進国は御承知のように繊維だとか、雑貨だとか、これは金がかからないでコマーシャル・ベースでいく輸出でございますが、東南アジア関係は、どこの国もやはり金をかけて、日本あたりは特に金をかけないと輸出ができないという関係がございますので、その点御了承願いたいと思います。
  74. 堀昌雄

    ○堀委員 それは私も大体そうだと思うのですが、どうも政府は万事少しベースがずれているような気がするんですね。というのは、今ここで輸出銀行の出資をふやしてプラントをやっても、延べ払いだからきいてくるのはかなり先できいてくるわけですね。ところが過去にもかなりやってきたけれども、実はそれがきいているのだろうと思うんですけれども、はたしてどれだけきいているか。これは次の金曜日かに輸銀の方から伺いますけれども、どうも全体として非常に政府施策は常におくれておる。設備投資の問題も、五月でしたか、迫水さんに来てもらって、一戦をやったことがありますが、まだ予算をきめて間がないからこれからです、これからですということをおっしゃっていたけれども、それからどうなったかは現状の通りなんです。私は昨年の十月以来、渡辺さんといろいろここで論争したことがあるんですが、どうも私は率直に申して政府見通しが常に狂うということが問題になるので、それならどうしたらいいかということで、さっきもちょっと感じるんですが、鉱工業生産をコントロールできる方法は金融あるいはいろいろ設備投資の自主調整なり指導なりあるのでしょうが、一体これのきめ手になるのは何か。これはどなたか担当の方があるのかないのかわかりませんが、どなたからでもけっこうですが、一番きめ手になるものは、順位はいろいろあるでしょうけれども、一番きめ手になるのは何か。
  75. 中野正一

    中野(正)政府委員 これは非常にむずかしい御質問で十分お答えできるかどうかわかりませんが、鉱工業生産に対する需要面からの影響からいいますと、やはり設備投資が一番大きいわけでございますね。それから個人消費が一番鉱工業生産を押し上げる率は少ない。だから設備投資輸出、それから在庫消費、こういう順序になっておるわけでございます。そういう関係では、やはりわれわれの考えでは、たとえば来年の経済なんかを見る場合、非常にむずかしいんですが、国際収支に問題があるのですから、やはり常に輸出を先に伸ばして、それに見合って成長率というものを国際収支関係から考えていく、こういう形になって、できれば内需の方はできるだけ抑えて、輸出の方へ生産意欲というものを向けていく。その関係で鉱工業生産が上がってきて、成長率の方も上がる。こうなれば国際収支も大体安泰である、こういう形にやはり経済の運営は持っていかなければならないのじゃないか。従いまして、ことしの見通しも誤ったじゃないかというというのはその通りなんですが、設備投資について非常に、これほどの勢いでいくとは考えてなかったのですが、やはりその意味では設備投資というものを中心調整をするということは鉱工業年産を穏やかな伸びにする。同時にその余力を輸出面に向けて年産を上げていく。こういう形に持っていきたいというのがわれわれの気持でございます。
  76. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで企画庁に、時間がないかもしれませんが一つだけ伺っておきたいのは、最近の設備投資の中には、限界資本係数が上がってきておる部分と、それからいわゆる投資が投資を呼ぶという効果によるものとがあるわけですね。これは経済成長のスピードがあれば、要するにその中に吸収されて過剰生産が起きないという一つのメカニズムがある。これはお宅の方の月報で教えていただいたわけです。なるほどこれを読んで実は昨年の大蔵委員会で日本の生産消費輸出との関係の矛盾を申し上げて、結局自転車操業だ、設備投資が走っていなければこの再投資を吸収することができないので、出産財が一番伸びているということは問題だということを、昨年の一月の際に私は申し上げたことがあるのですが、これを非常にこまかく分析していただいている資料を拝見したことがある。それで見ると、私が当初予想したようにある程度のスピードがないと過剰生産が起きるという条件というものは、ここに明らかになっているのですが、来年は一つ鉱工業生産はあまり上げないようにしなければ輸出均衡はできない、こういう前提になると、ここでスロー・ダウンする。スロー・ダウンしてくると、当然ここで過剰生産というものが起きてくる条件、投資が投資を呼ぶという部分がダウンするために起こる過剰生産というものが出てくる条件ができてくる。そうすると、これは生産を押えたことによる部分と、それプラス・アルファの逆向けの落ち込みの加速度がつく条件が今度は出てくる。私はそういう意味で日本経済は今非常に危険な曲がりかどに立っていると思うのですが、こういう問題がはたしてどの程度——月報で見ると、投資が投資を呼ぶという部分が三割くらい、限界資本係数を二割くらいに見たらどうかと書かれているのですが、それほどにこれが大きいものだとすると、これは相当大きなアルファの問題が出てくると思うのですが、その点は調整局長は大体どう考えますか。
  77. 中野正一

    中野(正)政府委員 確かに今御指摘のように投資と消費関係、特に最近数年間設備投資が非常に大規模に伸びておりますので、相当これは生産量化しつつあることは間違いないですね。ただ現在の状況は、どうもわれわれが見ましても、通産省の操業率なんかを見ましても非常に高いわけでございますね。ものによっては、鉄鋼あたりはフル生産以上でやってしかも足りないから、銑鉄は先ほど話したように二百万トン入れる、それからビレットとか、そういうふうな半製品まで一部入れる、それから非鉄金属あたりもどんどん輸入するということで、能力も非常に一ぱい過ぎるということでございまして、もう少しわれわれは利用面を調整しながら出港力効果が出て、少しバランスが早くとれてくれればいいということを考えているわけでありますが、ただこれは御指摘のように産出係数なり、あるいは限界資本係数、そういう面から一応計算をしてみますと、これは相当供給力がオーバーして来年は相当の成長率にしないと供給過剰になるのじゃないかという、ごくマクロ的に計算をいたしますと、そういう数字が出るわけです。たとえば木村先先が言っておられる、いろいろやり方がありますが、投資の更新比率が一五%ですか、それに対して純投資に対する産出係数が七五%としましても、大体六割は、ことし三兆設備投資があれば、来年には二兆円近いその需要がふえないといかないということで、そんな一年間に二兆もふえるということは、相当の高度成長でなければバランスがとれないわけですから、確かにその意味では非常にむずかしい時期に来ておる。それを、結局私も先ほど申し上げましたような、やはりそれが輸出ドライブになるような国際的環境なりあるいは国内対策というものをやっていくということが大事ではないか。と同時に、内需というものを適当に伸びをならしていくというようなことで、適当な成長率に持っていく。それにいたしましても、これも参議院の予算委員会で私の方の長官がちょっとお答えになったのですが、これは通産省の操業率というのがどうもあまり信用できないという説が多いのですが、あまりいい数字ではないのですが、しかし一応統計上の数字が出ておりますけれども、現存大体八六%くらいの操業率が七〇%台くらいにはなるだろう。ところが三十二年とか三十三年あたりは大体七〇を割ったわけでございますね。ですから、七〇を割るということになると、相当の不況であるということになりますので、相当供給力が出てきても七〇%台くらいには持っていけるのじゃなかろうか、そんなような計算も一応しておるわけであります。いずれにいたしましても、非常に経済のかじとりがむずかしい状況に差しかかっておることは御指摘の通りであります。われわれももう少しよく勉強して的確な数字を出したいと思っております。
  78. 堀昌雄

    ○堀委員 これで終わりますが、稼働率は七〇を割ったと今おっしゃった。三十三年の上期が一回だけ製造工業について六九・四になっただけで、あとは大体七二・八、三十二年下期も七五・ ○で、製造工業としてみるとちょっとしかダウンしてない。だから私も、実はあなたのおっしゃるように、はたしてこの稼働率を全面的に信用していいのかどうか非常に疑問です。私もかなり統計が好きであれこれ引っぱり回して見ておって、納得のいかないものがあちこち出てくる。一体これがどこが間違っておるのかよくわからないのですけれども、そういう点で、率直に言って、来年の下半期に収支をバランスするためには、来年度は鉱工業生産は完全に横ばいくらいに行かなければならぬ。そうすると、過去から伸びてきておる状態から見て、池田さんのおっしゃっておるような五%、六%なんということを言えば——これは明日大臣に申し上げたいのだけれども、率直に言って、何しろ政府はほんとうに引き締める腹をしてないのですからね。なぜしてないかと言えば、設備投資に対する長期金利は上げないのだと、この間日銀総裁ははっきり私の前で言った、預金金利を上げないのは長期金利を上げたくないからだ、ということは、成長政策を大いにやるということです。ただことでちょっと引き締めるだけだ、ちょっと引き締めるだけなら行政指導で締めましょう。そんなことを財界の諸君がちゃんと知っておれば、ここで締めたものは必ずあとで損をするということは過去の例です。締めたら損だ、ないしょでも何でもいいから、こっそりでもいいから、なるたけ前へ一歩でも出ようということが資本主義の原則です。そういう資本主義の原則のあるところで、池田さんが腹をきめないで、長期金利には手をさわらないで、預金金利には手をさわらないで、周辺のところをちょっと形だけ整えて、行政指導でこれがしぼれるかどうか非常に大きな問題があると思います。これは来年の暮れになってまたここで論争すればいいことで、経済はそのまま正直に出てきますからそれでわかりますが、そういう点で、とにかく皆さん方がほんとうに直剣におやりにならないといけない。大臣やその他の人はいろいろ思惑があってなかなか国民の期待に沿うようにいかぬのではないかと思いますので、特にその衝に当たっておられる皆さんの奮起を要望しておきます。
  79. 小川平二

    小川委員長 次会は、明十九日午後、参議院予算委員会終了後大蔵大臣出席を求め、質疑を行なうこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十四分散会