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佐藤国務大臣 ただいまのお尋ねに対してお答えいたします前に、昨日
筑豊地方に参りました際に、大へんに
皆様方にお世話になりましたことを
一言お礼を申し上げたいと思います。自民党の藏内さん、また
社会党の多
賀谷さん、
滝井さん、あるいはまた
民主社会党の
伊藤さん、
お忙しいにもかかわりませず、
現地においでをい
ただきまして、私並びに
大蔵大臣の不十分な点等いろいろ補なってい
ただきまして、まことにありがとうございました。厚く
お礼を申し上げます。
今回の
現地視察は短時間でございました、意に満たないものがもちろんあるのでございます。しかしながら、
ただいま
一言お礼を申し上げましたように、
現地の
皆様方のお手配によりまして、比較的短時間の間に要領よく
現地の
視察ができた、かように私
感じております。
同町にまた、午後の時間は大部分、
産炭地の三県知事、あるいはまた
経営者の団体、あるいはまた
組合の幹部の
方々、それぞれ別々の会合を持ち、また、
ただいま問題になっております
大正鑛業につきましては、
経営者並びに
組合の諸君と席を同じくして、
大正鑛業の
実情等について詳しく
お話を聞きました。それから後に総合の
協議会を持ちまして、その間におきましても、時間はまことに短時間でありましたが、
皆様方の御意見、御
要望等を伺うことができまして、大へんしあわせだと思います。もちろん出かけます前に、すでに東京におきまして、総評や炭労や全
炭鉱、あるいはまた
炭鉱職員組合の方、それぞれ別々に
お話も聞いておりますし、また
経営者の
方々からも、
中小あるいは
大手それぞれの筋から
お話を聞いておりますし、また
書類等もい
ただいておりますので、大体の点はかくもあるだろう、かように
考えて
現地に参りました。しかしながら、やはり百聞は一見にしかずとでも申しますか、
現地に参りますると、
現地がかもし出しておる
雰囲気等から申しまして、また別なものも感得するわけでございます。そうした結果、何と申しましても、一日も早く
基幹産業である
石炭産業をして
安定産業たらしめる、これはもう絶対に必要なことだ、いわゆる
恒久対策として
指摘しております、
安定産業たらしめるあらゆる
具体方策、これは一そう
熱意を持ってこの大
事業と、取り組まなければならない、かように決意をいたしました。同時にまた、今日
現地において当面しておる、また、社会問題にまで発展しようとしておる事態に対しましても
緊急措置を講じなければならない、かように強く、深く感得した次第であります。
恒久対策の問題につきましては、また機会をあらためて
種々工夫を練っていきたい、かように
考えまするが、今日速急に
緊急措置を取らなければならないものは、いずれもが
石炭産業の
特殊性にかんがみての問題でございます。
一つは、最近の
金融引き締めによって
石炭産業がこうむっている
金融の問題であります。この点につきましては、出かけます前に、
中小炭鉱向けについて十五億の別
ワクを設けて、そうして
中小炭鉱向けの
金融の円滑をはかる、こういう
処置をとったのでありまして、すでに発表いたした通りであります。しかし、今回参りましていろいろ
お話を伺いますと、この十五億の
金額が私は少額とは申しませんが、御
要望等の点と比べますと相当の開きのあるもので、また、在来の
金融の仕方でありましては、この十五億すら消化というか、
金融措置が実際にできにくいのじゃないか、こういう点を
感じたわけでありまして、今回の十五億については、
伊勢湾台風の際にとりましたと同じような
金融措置を緩和した点でこの
融資あっせんもするつもりでございますけれ
ども、この点を一そう通産局の
あっせん班をして徹底さす、こういうことを実は指示いたして参りました。またこの点では、
中小炭鉱の
経営者との
協議会におきましても、具体的な
事務処理の
方法など詳細に
お話をいたしておきましたから、おそらくこの十五億はうまく
融資ができはしないか、また、ぜひともそうさせたいものだと思います。
同町にまた、
融資班は、ひとりこの十五億の
長期資金の貸付のみならず、今日当面しておられる
商業手形の
割引等につきましても
相談に応ずる、こういうことで、このをよく説明して参ったのであります。また、
大蔵大臣とも
相談をいたしまして、この
金額でとりあえずこの
処置をとるが、今後の
融資の
実情等にかんがみて、さらに将来重ねて手を打つということを決意いたしておるわけであります。また、これは
ひとり中小炭鉱のみならず、
大手筋もすでに
金融の面においては非常に苦しんでおる
時代でございますから、本日の
閣議におきまして、昨日の
視察の結果を詳細に報告すると同時に、この
大手に対しましても
金融の面で、
石灰産業の
特殊性にかんがみ、特に日銀並びに地方銀行が配慮するよう、大蔵省から通牒を出させることにいたしました。この方は
金額が幾らというような問題ではなくて、
金融の
円滑化に
金融機関自身が十分注意する、こういうことで特に注意を喚起いたしておいた次第であります。また、
金融の実際
面等から
実情に合わない点がございますれば、さらに私
どもも具体的に
金融をつけるべく
処置する
考えでございます。
もう
一つは、
離職者対策の問題であります。簡単に
離職者対策と申しますが、いわゆる
生活保護を受けておられる階層の
方々並びに現在なお
炭住に住んでおられる
離職者に対する
対策の問題であります。
現地におきましては、
失業対策あるいは
臨時就労対策その他の名目によりまして、いろいろこれらの
方々に
職場を与えるような努力を払っておられるやに伺ったのであります。ことに知事並びに
市町村長の
方々からの
お話など伺いますと、そういう手をそれぞれとっておられるやに伺いました。もちろん、これもある
程度の
効果を上げておることとは思います。しかしながら、もともと多数の
失業者を出したり、あるいは
生活保護者を出しておるような
市町村は、
市町村の
財政自体もまことに窮迫しておる次第でございますので、この
処置についてなお欠けるものがあるように見受けたのであります。ことに、最近休廃止した山は別といたしまして、三十一年当初に整理されました山、その
炭住、それは一切
修理もされず、そのままに放置され、そこに人が住んでおるわけでございますから、
住川そのものもまことにおそまつであり、それは惨たんたるものであります。これは
お話を聞いたというだけの者には、なかなか想像がつかない。私
ども現地に行って見て、初めてその
実態に触れた感がいたすのであります。この
生活の
実態に触れました際に、この
離職者対策につき、その住居を初めあらゆる面において、さらにさらに
内容を充実しなければならない、これを強く
感じた次第であります。
政府といたしましても、
離職者の問題は、いわゆる
臨時に、応急的に
仕事を与える
失業対策というような
事業もございますけれ
ども、やはり
離職者としては本格的に永続的な
職場を見つけるということ、これは絶対に必要だ、かように
考えます。そういう
意味で
労働省が、
広域にわたっての
職業あっせんということ、これをする必要を痛切に
感じた次第であります。ことに福岡、長崎、
佐賀と三県とも、伺ってみますと、
炭鉱労務者の半分に近い人は大体その児の人のようであります。残り半分、これが
県外から来ておられる方のようにお見受けいたします。従いまして、この再
就職という問題については、それらの点をも勘案し、また、一
たん山に入った
方々は心から山を愛し、その
土地を去ることになかなか踏み切らない、だから、甲の山で失職しても乙の山に転職するというような場合があって、なかなか恒久的な
職場を見つけかねておる、こういうこともあるようでございますから、これらの点はもう少し
実態に即した指導が必要だろう、こういう
意味で、これまた
労働大臣に、
現地地を
視察した後でありますが、本日も
閣議等においてそれらのを私並びに
大蔵大臣から
指摘した次第であります。しかしそれにいたしましても、
恒久対策はそう容易にできるわけでもないでありましょうし、
家族持ちであるし、あるいは子供が学校に行っておる、それらのことなど
考えますると、いずれその日その日を過ごすその
生活のかてとしても、
臨時事業を起こすことが必要だろう、こういう
意味で、急場の間に合わせの
事業を作ること、これを得に
労働大臣にも
お話をした次第であります。きょうは
労働省については、再
就職で他の場所へ変わる場合に
住宅が一番問題になるから、
住宅建設についての
ワクの拡大なり、あるいはその補助の拡大なり、これを
閣議で決定をいたしました。さらにまた、
炭鉱離職者を収容するような
事業場に対しても、特別な
融資の
処置など
考えた次第でございますが、こういう
処置をとる前に、やはり
生活の安定、これをもう少し指導する必要がある、かように私は
考えたので、率直にその話をいたしました。
また、
住宅自体の問題でありますが、これにつきましては、今のあの
炭住は
事業団の所有に帰しておると思います。
事業団といたしましては、も取りませんが、同時に、
修理もでききない状況でございます。従いまして、他に転居される、こういう場合がない限り、あの
炭住はつぶれていかないだろう、住む限りにおいては、また、
現地において
仕事が見つかる限りにおいては、とにかく一応住める
程度にはこれを
修理しなけれ、ばならない。雨が漏るまま、月の光が漏るままにほっておくわけにいかない。これは強く実は
感じたのであります。こういう点については、これから具体的に
考え、所在の
市町村等とも
十分相談をして
考えて参るならば、必ず
対策を得る、かような実は確信を持っております。
ただ問題は、肝心の
市町村自身も
財政が疲弊いたしておりますから、この
市町村に対する
財政措置も、これまた緊急を要します。近く、
自治大臣が
現地を
視察することになっております。また、
予算的には、来年の一月になりますと、
特別交付金の
交付がございますから、これらの
処置ができるように思います。それらの点もあわせて
処置していく、こういう
臨時応急の
処置は一通り――
内容的には十分とは申せませんが、一わたり当たったような
感じで
ただいまいる次第でございます。きょうも詳細に、
関係大臣ではなしに、
閣議におきまして全部を報告して、そして
ただいま申し上げるような
金融並びに
離職者対策のうちの
住宅についての
財政的措置、これを決定した次第でございます。