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1961-10-30 第39回国会 衆議院 商工委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月三十日(月曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 内田 常雄君 理事 岡本  茂君    理事 中村 幸八君 理事 長谷川四郎君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    小沢 辰男君       神田  博君    倉成  正君       始関 伊平君    首藤 新八君       白浜 仁吉君    田中 榮一君       田中 龍夫君    田邉 國男君       中垣 國夫君    野田 武夫君       原田  憲君    古川 丈吉君       南  好雄君    村上  勇君       山手 滿男君    加藤 清二君       多賀谷真稔君    中村 重光君       永井勝次郎君    玉置 一徳君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         法制局参事官         (第一部長)  山内 一夫君         総理府総務長官 小平 久雄君         公正取引委員会         委員長     佐藤  基君         通商産業政務次         官       森   清君         通商産業事務官         (大臣官房長) 塚本 敏夫君         通商産業事務官         (公益事業局長)樋詰 誠明君         自治政務次官  大上  司君         自治事務官         (税務局長)  後藤田正晴君  委員外出席者         議     員 石山 權作君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局官房総         務課長)    上村 尊雄君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局経済部         長)      小沼  亨君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局経済部         取引課長)   後藤 英輔君         文部事務官         (初等中等教育         局初等教育課         長)      上野芳太郎君         農林事務官         (振興局参事官)橘  武夫君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川出 千速君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 十月二十七日  委員佐々木秀世君及び白浜仁吉辞任につき、  その補欠として舘林三喜男君及び倉成正君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員倉成正君及び舘林三喜男辞任につき、そ  の補欠として白浜仁吉君及び佐々木秀世君が議  長の指名委員に選任された。 同月三十日  委員佐々木秀世君、野田武夫君、林博君、岡田  利春君、多賀谷真稔君、中村重光君及び伊藤卯  四郎辞任につき、その補欠として倉成正君、  田邊國男君、古川丈吉君、緒方孝男君、永井勝  次郎君、原茂君及び玉置一徳君が議長指名で  委員に選任された。 同日  委員倉成正君、田邉國男君、古川丈吉君、緒方  孝男君、永井勝次郎君、原茂君及び玉置一徳君  辞任につき、その補欠として佐々木秀世君、野  田武夫君、林博君、岡田利春君、多賀谷眞稔君、  中村重光君及び伊藤卯四郎君が議長指名で委  員に選任された。     ――――――――――――― 十月二十八日  金属鉱産物価格安定臨時措置法案多賀谷真稔  君外二十四名提出衆法第三一号)  金属鉱物資源開発助成法案多賀谷眞稔君外二  十四名提出衆法第三二号) 同月二十七日  競輪制度改善に関する請願大矢省三紹介)  (第一九一七号)  中小企業に対する事業資金融資わく拡大に関す  る請願齋藤邦吉紹介)(第一九一八号)  消費者利益保護のため不公正取引規制に関する  請願山口シヅエ紹介)(第一九一九号)  公共料金値上げ抑制に関する請願山口シヅ  エ君紹介)(第一九二〇号)  中小企業対策に関する請願稻富稜人君紹介)  (第二〇二三号)  中小企業業種別振興臨時措置法に基づく指定業  種の振興資金設置等に関する請願江崎真澄君  紹介)(第二〇二四号)  同外一件(首藤新八紹介)(第二〇二五号)  同(細田義安吉紹介)(第二〇二六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二十七日  中小企業産業分野の確保に関する法律案の成  立促進に関する陳情書  (第六二〇号)  中小企業への融資増額に関する陳情書  (第六二一号)  商店街組合法案成立促進に関する陳情書  (第六二二号)  山形県西村山地方石油天然ガス開発に関す  る陳情書  (第六二三号)  商店街組合法案成立促進等に関する陳情書  (第六七四  号)  中小企業振興対策確立に関する陳情書  (第六七五号)  中小企業業種別振興臨時措置法に基づく指定業  種の振興資金設置等に関する陳情書  (第六七六号)  大阪の工業用水道計画促進に関する陳情書  (第六八二号)  日朝貿易拡大に関する陳情書  (第六九一号)  石油鉱業総合育成対策確立等に関する陳情書  (第六九八号)  中小企業基本法制定促進に関する陳情書  (第六九九号)  離島振興法の有放期限延長に関する陳情書  (第七〇三号)  中小企業金融対策強化に関する陳情書  (第七二五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  電気用品取締法案内閣提出第三八号)(参議  院送付)  金属鉱産物価格安定臨時措置法案多賀谷真稔  君外二十四名提出)  金属鉱物資源開発助成法案多賀谷眞稔君外二  十四名提出)  鉱工業に関する件  石油、可焼性天然ガス及び金融等鉱産物国内  資源開発促進に関する件私的独占の禁止及び公  正取引に関す  る件  請 願   一 競輪制度改善に関する請願大矢省三君    紹介)(第一九一七号)   二 中小企業に対する事業資金融資わく拡大    に関する請願齋藤邦吉紹介)(第一九    一八号)   三 消費者利益保護のため不公正取引規制に    関する請願山口シヅエ紹介)(第一九    一九号)   四 公共料金値上げ抑制に関する請願(山    口シヅエ紹介)(第一九二〇号)    五 中小企業対策に関する請願稲富稜人    君紹介)(第二〇二三号)   六 中小企業業種別振興臨時措置法に基づく    指定業種振興資金設置等に関する請願(    江崎真澄紹介)(第二〇二四号)   七 同外一件(首藤新八紹介)(第二〇二    五号)   八 同(細田義安紹介)(第二〇二六号)      ――――◇―――――
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これより会議を開きます。  多賀谷真稔君外二十四名提出金属鉱産物価格安定臨時措置法案及び金属鉱物資源開発助成法案の両案を一括して議題とし、審査に入ります。     —————————————
  3. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 まず提案者より趣旨説明を聴取いたします。石山權作君
  4. 石山權作

    石山議員 ただいま議題となりました金属鉱産物価格安定臨時措置法案につきまして、提案者を代表し、その提案理由説明を申し上げます。  御承知通り金属鉱産物は、重要な基礎的原材料であり、重要な国内資源でもあります。それにもかかわらず、今日に至るまで、金属鉱業政策といわれるようなものは何一つ見られず、激しい国内外の競争場裡に放置されているのが、現状であります。わずかに銅については、銅安定帯価格制度がありますが、これとて、民間の自主的制度であり、価格に著しい変動を来たした場合、この制度が強力なささえとなるとは、とうてい考えられないのであります。  一般に、わが国金属鉱産物が国際的に見て割高であることは否定できません。にもかかわらず金属鉱業が現在大過なく過ごし得ているのは、国際価格が相当高いところで安定していたからであります。しかし貿易自由化は、こうした市況安定の様相を一変することは明らかであります。この自由化対策として政府は、関税による保護政策を考えているようでありますが、ガットとの関係もあって、金属鉱産物だけに特別の高関税を課することが困難な以上、従価税、従量税、タリフ・クォータのいずれの方式をとるにせよ、自由化に対するきめ手とすることはできがたいのであります。従って、社会党は、金属鉱産物に対しては支持価格制度をとることが、自由化対応策として当面緊急の政策であると考え、本法案提出した次第であります。  金属鉱産物に対する最近の旺盛な需要は、目をみはらせるものがあり、この傾向は、今後も拡大しこそすれ、縮小するようなことは考えられません。この旺盛な需要にこたえるためにも、金属鉱産物価格を安定させ、国内鉱業の積極的な発展策をはかることは、きわめて重要な課題であります。同時に、金属鉱産物海外依存度を無計画に高めることは、国際収支上からも大きな問題でありますし、国内資源をあたら死蔵させることにもなるのであります。現在把握されている金属鉱産物埋蔵資源だけでも、時価に換算して一兆五千億円に達するといわれております。今後発見される可能性を含めるともっと増加するでありましょうが、日本経済は、このような地下資源を死蔵させておけるほど、豊かではないのであります。特に貿易自由化による衝撃を直接加えますならば、雇用の面で大きな障害を引き起こすことは明らかであります。しかも鉱山山間僻地に存在するという特殊な事情を考慮いたしますと、このことは単なる経済問題でなく、政治問題にまで発展することは、最近の石炭の例を引くまでもないと思われるのであります。  以上のような観点から、この際、抜本的な金属鉱業政策確立が急がれるわけでありますが、まず、当面自由化による急激な価格変動を防止して、金属鉱産物価格を安定させ、もって国民経済の健全な発展に寄与させるために本法案提出する次第であります。  以下、簡単に本法案内容について御説明申し上げます。  第一にこの法律は、貿易自由化に対応して、金属鉱産物価格が著しく変動するのを防止するため、金属鉱産物安定価格及び需給計画を定め、その買取機関を設ける等の措置を講じ、もって金属鉱産物にかかる鉱山業製練業その他の事業の安定に資することを目的としております。  第二に政府は、金属鉱業審議会の意見を聞いて安定価格需給計画を定めることといたしましたが、安定価格は、国内鉱山及び製練業を保護するために安定下位価格、また金属鉱物から製練された地金原材料として使用する事業を保護するために安定上位価格とし、需給計画は、毎年度国内において使用される金属鉱産物について定めることとしたのであります。  第三は、特に本法案目的達成の上に、最も大きな役割を果たさせるため、日本金属鉱産物販売公団を設けました。この公団は、国内産の金属鉱物及び国内において製練した地金を一手買い取り、一手販売することとし、外国地金、スクラップも、この公団以外の者は輸入することができないようにいたしたのであります。  第四は、金属鉱産物需給及び価格の安定に関する重要事項を調査審議するため、鉱山業者及び製練業者労働者金属鉱物から製練した地金原材料として使用する事業者の代表及び学識経験者をもって構成する金属鉱業審議会を設けた次第であります。  以上簡単に、この法律案趣旨を御説明申し上げました。  議員各位におかれては、何とぞ慎重御審議の上、本法案に賛意を表されんことを切にお願いするものであります。  次に金属鉱物資源開発助成法案につきまして、提案者を代表し、提案理由説明を申し上げます。  御承知通り自由化に対応して国内鉱産物国際競争力を高めることはきわめて重要な課題ですが、国内鉱山から産出いたします鉱石の品位は非常に低く、また一鉱床当たり埋蔵量も貧弱でありまして、現状のままで、さらに合理化を進めることは困難な状態にあります。従って、今後は、高品位の大きな鉱床を発見し、これを開発することが、金属鉱山体質改善の上に、重要な課題だと思われるのであります。このためには、地下資源開発助成がどうしても必要であると考え、本法案提出した次第であります。法案内容に入る前に、まず御理解いただきたい二、三の点についてその必要性を御説明いたします。  まず第一は、地下資源開発には長い年月と多額の経費を必要とし、私企業の力のみをもってしては十分の開発が期待できず、どうしても国の積極的助成が必要であるという点でございます。最近発見された、同和鉱業の内の岱鉱床はまれに見る富鉱の大鉱床でありますが、これが発見までには十数年の歳月と十数億円の経費をつぎ込んだといわれております。これは大企業はもとより中小企業にとっても大へんな負担であり、しかも非常な損失と危険が伴うのであります。  第二は、金属鉱産物日本経済にとって不可欠の物資であるということです。従って安定供給源として国内鉱山を維持していくことはきわめて必要であります。また工業や肥料に不可欠の硫酸原料としての硫化鉱化学繊維やパルプに必要な硫黄、ガラスの主原料になる珪砂、製鉄や合金鉄用マンガン鉱など、いずれも重要な物資であります。外国に依存することはできるだけ避けて、国内自給率を高めるべきであります。  第三は、金属鉱産物日本経済に占めるウエートは比較的小さいが、埋蔵鉱量は相当豊富だといわれております。最近の非常に進歩した探鉱技術をもってするならば、従来の地表に露出したもの以外に、地下に深く埋蔵されております鉱体を発見することが可能であります。国際収支の不安定なわが国が、国内地下資源開発を積極的に国策として推進すべきであることは論を持たないところでありまして、地下に埋もれておる十兆億の資源をさらに二倍に、三倍にふやすことは、国の富をそれだけふやすことであり、これこそ真の所得倍増にかなった政策であると信ずるのであります。  以下、簡単に本法案内容について御説明申し上げます。  第一にこの法律は、国内重要金属鉱物資源探鉱を助成することにより、わが国工業に必要な重要金属鉱物自給度を高め、その安定した供給源を確保し、もってわが国産業振興及び発展に寄与することを目的としております。  第二に政府は、金属鉱山業者金属鉱物探鉱を実施する場合には、その探鉱促進わが国重要金属鉱物資源開発に特に寄与すると認めるときは、探鉱補助金を交付することができることとしたのであります。  第三に、重要金属鉱物資源開発を積極的に促進するために全額政府出資による金属鉱物資源開発事業団を設けました。この事業団探鉱等事業を行なうほか、探鉱資金の貸付、探鉱に関する技術指導等事業をも行なうこととしたのであります。  以上簡単に、本法律案の要旨を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上、本法案に賛成されんことを切にお願いをするものであります。
  5. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 以上で趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  6. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 この際閉会審査に関する件についてお諮りいたします。閉会審査を申し出る案件につきましては、去る二十七日の委員会におきまして、すでに決定しておりますが、本日の理事会の協議に基づきまして、ただいま提案理由説明を聴取いたしました多賀谷真稔君外二十四名提出金属鉱産物価格安定臨時措置法案及び金属鉱物資源開発助成法案の両案を閉会審査に付託されるよう議長に対し追加して申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認め、さよう決定をいたします。      ————◇—————
  8. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、本日の請願日程に掲載されております八件の請願を一括して議題とし、審査を進めます。  これらの各請願につきましては、文書表等により委員諸君も一応内容は御了承願っておることと存じますが、先刻の理事会におきまして理事諸君と種々検討いたしました結果、日程第二ないし第八の以上七件各請願は、いずれもその趣旨が妥当と認められますので、採択の上内閣に送付すべきものと決すべきであるとの結論を得たのであります。そのように決するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  他の請願につきましては採決を延期することにいたします。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認め、さよう決定をいたします。  なお、本委員会に参考送付されました陳情書はお手元に配付いたしました通り四十三件であります。      ————◇—————
  11. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、電気用取締法案議題とし、審査を進めます。  前会に引き続き質疑を続行いたします。松平忠久君。
  12. 松平忠久

    松平委員 ただいま提案になっています電気用品の取り締まりに関する法律に関連をいたしまして、私は最近電気伸びが非常に多くなってきたことと関連しまして、電気ガス税のことについて若干質問したいと思います。  昭和三十二年十一月の衆議院商工委員会におきまして、電気ガス税というものは一つもう撤廃したらどうか、こういう決議案を満場一致で採択いたしておるわけであります。その後電気ガス消費量が非常にふえてきておる。地方税の中における電気ガス税の額も飛躍的に増加していると思う。そこでお伺いしたいのは、今日電気ガス税地方税の中におけるパーセンテージ、それから本税が設定されてから今日までにおけるその増加率をここでお示し願いたいと思います。
  13. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 お答えを申し上げます。電気ガス税地方税中に占めます割合は、大体市町村民税中の約一〇%前後をずっと保っております。伸び率は、これまた年によって若干の開きはございますけれども、おおむね一一四、五%。平均にいたしますれば最近数年間そういう状況でございます。三十二年をとりますと、対前年度一一四、三十三年が一〇九、三十四年が一一四、三十五年が一二一、こういう率でございます。
  14. 松平忠久

    松平委員 私の調べたところによりますと、この税法が新しく制定された当時は、電気ガス税の税収は四十億円そこそこではなかったかと思うのです。それが今日は四百億になっているのじゃないか。そういたしますとこの税金が約十倍増額されているわけです。そこでお伺いしたいのは、地方税一般税金昭和二十五年度における税金が、昭和三十五年までの十年間でどのくらいの伸び率を示していますか。平均しますと私は三倍になっているということを記憶しているのです。たとえば住民税はどうです。
  15. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 市町村民税昭和二十五年の額が一千百八十億ばかりでございます。それで最近では大体三千九百億程度になっておるわけであります。
  16. 松平忠久

    松平委員 市町村民税は十年間で約三倍に伸びているわけです。電気ガス税は十年間に十倍になっているわけです。  そこでお伺いしたいのは、世界各国でもって家庭用炊事焼料税金をかけている国がありますか。
  17. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 各国税制はそれぞれ違いますので、一がいに申し上げにくいと思いますが、いわゆる売上税の形で課しているところはあるのではないかというふうに記憶をいたしております。
  18. 松平忠久

    松平委員 私が調べましたところでは、家庭用炊事のための燃料税金をかけている国は文明国の中ではございません。あなたは今でたらめを言っておるわけだ、あるいは推測で答えておるという程度のものなんだな。  そこで政務次官にお伺いしたいのですが、これは昭和三十二年に委員会においてそういう決議をしております。それに対して一体どの程度この電気ガス税というものを、ことにはそれは一般大衆課税であって、そうしてわれわれの消費生活のために最も必要である衣食住の中の食糧をわれわれが食べていくために使うところの燃料税金をかけている。全くこれは悪税なんだね。そこで、委員会決議もあるにもかかわらず、今日まで数年間放置しておるということは一体どういうわけなんです。怠慢もはなはだしいと思うが。
  19. 大上司

    大上政府委員 昭和三十二年度における決議事項その他の内容によりまして、自治省としてもそういう方面に遂行したいという一貫的な考えには、いまだ変わりはございません。従って決議事項を尊重して町村財政を根本から建て直すという考え方で進んでおります。よって本年度におきましてはお説の通りいわゆる零細負担排除という趣旨の面から免税制度を設けていった。さらに今般は税制審議会に対してわれわれもしかるべく御調査をお願いし、その答申を待って処置を講じたい、このように考えております。
  20. 松平忠久

    松平委員 本年の税制改革によりまして、三百円以下のものに対しては免税をするということになったわけですね。そこでこの恩典に浴する消費者は何%ありますか。電気は何%、ガスは何%あります。
  21. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 電気について申し上げますと、三百円の免税点定額電灯消費者は二百八十万戸、八〇%が免税点の特典を受けることになります。従量の方は五百三十一万戸、総消費者数の三四%が免税点以下でございます。ガスの方は三十八万戸で一〇%ちょっと欠ける程度でございます。
  22. 松平忠久

    松平委員 もう一つお伺いしたいのは、電気については、大口については免税になっているはずですね。そこで、大口になっている電気電気税免税額は、もしそれをこの税率によって一〇%とるとしたならば今日どのくらいになりますか。つまり私の聞きたいのは、何億ぐらいが大口に対して免税になっていますか。
  23. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 現在、いわゆる産業用非課税になっております額は、本年度のベースで百六十億見当になるかと思います。
  24. 松平忠久

    松平委員 それは何割ぐらいに当たりますか。私の言うのは、電気税の中で何割に当たるのですか。
  25. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 ちょっと今数字を調べまして……。
  26. 松平忠久

    松平委員 それではその数字を調べている間伺いたいのだけれども、ガスについては大口免税というものはございますか。
  27. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 いわゆる産業用というものはございません。ただ試験研究用とか、そういうものについての非課税はございます。
  28. 松平忠久

    松平委員 法律上の建前からいうならばガスについてもあるのじゃないですか。いわゆる原価の中の五%以上それを使うという産業に対しては免税するのだ、こういう規定でしょう。
  29. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 それは電気だけになっておるはずでございます。
  30. 松平忠久

    松平委員 ガスについてもそういう規定はあると思いますが、私の記憶違いかな。
  31. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 ございません。
  32. 松平忠久

    松平委員 それでは、電気ガスと区別してそういうふうに取り扱っているのは、どういうわけですか。
  33. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 この税ができました当時、ガスにつきましてはそういった種類のものがなくて、いわゆる原料になっております、鉄鋼なんかで使いますガス、こういった純然たる原料の扱いになっておるというものは最初から課税をしないという建前で、そういったガスがほとんどでございます。従いまして、それらについては課税をしなかった。ところが電気につきましては、その当時そういうような、たとえばアルミなんかの電解に使う電気といったような、電気そのもの原料になっているというものは、やはりこの際課税対象からはずすということで、いわゆる産業用のものをはずす規定を置いたわけでございます。従いまして、最初はこの電気ガス税の、電気についての免税規定というものは、いわゆる原料そのものということでございましたので、範囲が狭かったわけでございます。しかしその後いろいろな御要望等もありまして、逐年このいわゆる電気産業用のものの範囲が広がってきた。従って現在では大体五%程度電気を使うものは非課税にするという扱いになったわけでございます。従って当初の考え方からいたしますと、電気の方が逐次範囲が広がってきた、出発点としては同じような考え方で作られておったものでございます。
  34. 松平忠久

    松平委員 出発点は同じであって、電気の方がだんだん広がってきた、こういう答弁でありますが、そうすればガスの方はどうなっているのです。つまりそれと同じようにだんだんと広げるという考え方で、電気のごとく、コストの中で五%以上ガスを使うという場合には、特別の減免制度というものをやらないのですか。
  35. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 私は現在のガスは、やはり鉄鋼用のガスとか、そういったいわゆる原料そのものになっているガスが多いのではないか、こういうふうに考えております。従ってそれは課税しない、それ以上のガスは、やはり導管で引っ張ってきて使っておるというようなものは課税をする、こういう建前でいいのではないか、こういうふうに考えております。
  36. 松平忠久

    松平委員 もう一つここで質問したいのは、自家用発電です。自家用発電も同様に課税されておりますか。
  37. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 電気ガス税非課税にするかしないかということは、使用の用途なり目的で現在区別をいたしておるわけでございます。従いまして、自家発生であるということだけで非課税にはいたしておりません。しかしながら自家発生といえども、用途、目的等が非課税該当のものであれば課税にならない、こういう建前で進んでおります。
  38. 松平忠久

    松平委員 用途によって区別するので、その経営の形態については区別しない、こういうことですね。そこでお伺いしたいのですが、ガスの方は、自家発生のガスには課税をするのですか。
  39. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 いわゆる自家発生のガスにつきましては課税をしないということになっております。それは先ほど申し上げましたように、いわゆる自家発生のガスというのが原料そのものになっておる、こういうことからきておるのでございます。
  40. 松平忠久

    松平委員 プロパン・ガスなんというのは炊事用に使っているわけですね。これは工場の原料そのものではありませんよ。そういうものが最近非常にふえてきているじゃないですか。そうするとあなたの説明では足りなくなる。プロパン・ガスまで原料用として取り扱っているのですか。
  41. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 御説のように、電気ガス税建前から見ますと、いわゆるプロパンガスというものについては、課税上の不均衡があるように私は考えております。従いまして、プロパン・ガスの問題をどのように取り扱うかということにつきまして、現在税制調査会に私どもといたしましては諮問をいたしておるのであります。その結果を待って善処したい、こういうふうに考えておりますが、電気ガス税そのものの性格等とからみまして、非常にやっかいなむずかしい問題だとは思いますけれども、私どもといたしましてはやはりこれは検討すべき問題である、こういうふうに考えて諮問いたしております。
  42. 松平忠久

    松平委員 政務次官に伺いたいのですが、プロパン・ガスのことで今検討するということを言われました。その検討ということは、自治省の考えていることは、プロパンに税金を課すということを検討しようということなんですか。あるいはそうでなくて、プロパンと同じようにガス非課税にする、こういう考え方で検討するというのか、一体どっちなんですか。
  43. 大上司

    大上政府委員 お答えします。  これはさいぜん局長から申し上げたように、いわゆる負担の均衡という面から一つは考えていかなければならぬ、それかといって、他の電気ガス税等との見合わせも考えていかなければならぬ。結論的にはこれを現在課税すべきやいなやという問題にしぼって検討してみたい、このように考えます。
  44. 松平忠久

    松平委員 課税すべきやいなやということになると、プロパンについては課税する場合もあり得るというふうに了解していいのですか。
  45. 大上司

    大上政府委員 答申の結論いかんによっては、そういうことになり得るやもわかりません。
  46. 松平忠久

    松平委員 それは炊事用の電気ガス税というものは、もうやってはいかぬという商工委員会決議に反しませんか、あなたのその考え方は……。
  47. 大上司

    大上政府委員 その面につきましては、いわゆる免税点をどの辺に置くかというような問題を考えて、それをもって調整していきたい、このように考えます。
  48. 松平忠久

    松平委員 次に、伺いたいのだけれども、三百円の免税点に全然恩典にあずからない地域が全国に九カ所ばかりあるそうですが、それはどことどこですか。
  49. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 全部の地域につきましては後刻お答え申し上げたいと思いますが、たとえば東京ガスの管内で申し上げますと、相模原の地区等がさような地域になっておると思いますが、これは私どもといたしましても三百円の免税点を作る際には、慎重にその点は検討いたしたのでございます。ただこれらの地域の実態が、もともとあの地域は駐留軍がおったというような関係でカロリーが非常に高いものを使っておる。そうして全家庭が使っておるのではございません。やはり使用家庭についてみれば、一般の使っていない家庭よりは非常に高いこういった家庭が使っておる。こういうような実態が判明をいたしましたので、そういう地域がございますことを承知の上で、一応最初に作る免税点としてはこの程度でごしんぼう願わなければなるまい、こういうことで決定をしたのでございます。
  50. 松平忠久

    松平委員 今私が聞いたところは、それは全国でどことどこにありますか。
  51. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 具体的な地域につきましては、後ほど調べてお答えしたいと思いますが、今ここにございますのは相模大野地区としか記してございませんので、後刻お答えをしたいと思います。
  52. 松平忠久

    松平委員 私が承知しているところはこれは、小さい会社ですね、小さい会社の管轄区域ほどこの免税にあずからないのです。それはなぜかというと、電気の定額料金と同じように定額制をとっております。定額制が三百五十円、あるいは四百円という場合には全然その地域は免税にあずからない。そういう会社がいなかの方にはかなりあるのです。そこでいなかの——もっとも東京に比べたら生活程度の低いようなところ、そういうところほどあなた方が今度やったこの電気ガス税の三百円以下の免税のこの措置にはあずからないのです。政務次官その点は一つ聞いておいてもらいたいですね。そういう大衆課税でありながら生活費の少ないところほど税金がかかるような今日の決定の仕方になっている。だからこの免税点を五百円なら五百円に引き上げるということになるならば、全国的に恩典が受けられるわけです。ところが小さい会社はそういう工合になっておらない。そういうことをとくと考えられたらいかがかと思うのです。その点はどうですか、お直しになる考えはありませんか。
  53. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 もちろんこの問題は料金の問題とからむわけでございますが、小さい会社が全部料金が高いかどうかということについては、私は少し疑問があるのじゃないか。やはりいつ作ったかということによって償却がどのようになっておるかということも相当響いてきておるのではないかと思います。しかし私どもといたしましては、とりあえず本年免税点を三百円に設けたわけでございます。しかしこの免税点はやはり財政の実態なりあるいは納税者の免税の恩典に浴する方々の度合いが、どの程度であるかといったような点等を慎重に検討して、私はその時代々々に適したように逐次改善合理化をしていくべきもので、この三百円でいつまでもおるべき筋合いのものでは当然ない。私はさように考えております。ただしかしながら電気ガス税をかりに軽減して、また合理化をするのだということになりますと、私は考え方は三つあろうかと思います。一つ免税点を経済の実態、財政の実態に合わすというやり方、もう一つはいわゆる基礎控除の考え方も一つ出てこようかと思います。もう一つは税率の問題があろうかと思います。これらをどういったことで考えていくのが一番いいのかということについては慎重なる検討を必要とするであろう、こういう気持を持っております。またそういう気持で現在税制調査会にも付議をいたしておるような次第でございます。
  54. 永井勝次郎

    ○永井委員 関連して。今松平委員の質問に対して自治庁は実態を非常に粗雑に把握しておる、実態がわからないでいいかげんにめくら見当で線を引いている。北海道の場合農村の自電組合が現在二百六十一組合ある。そしてこの戸数が一万六千九百九十九戸ある。この戸数は開拓地とかなんとか非常に不便なところで、配電会社が直接採算に合わないといって配電をしない。そこで農林省から若干の補助をもらって、各戸一軒が十五万から二十万近くの自己負担をして電灯をつけている。そういうところですから電灯一つラジオ一つ、これだけの消費であって、料金は一戸平均五百六十一円、非常に高い、何倍という高い料金を負担している。これらのところが一つも今度の恩典に浴しない。ひどい状態のところが恩典に浴しない。それからもう一つは配電会社が採算に合わないからといって電気をつけない。そしてやむを得ず農村においては終戦後自家発電をした。自家発電したところが非常な経費で今負担が多くて追われている。そういうところはみんな減税の恩典に浴しない。こういうひどい状態になっている。それは三百円に一度引いてだんだんと直していくのだ、そんなのんきな話じゃないのです。こういうことをやるときは、もっとこういう不合理な実態というものを把握して、それをどう救済するかという適切な法的措置をしなければならない、先の問題でなくて現状をどうするかという問題、これをすぐ考えれば措置できる問題だと思うのですが、この点はどうですか。
  55. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 私ももしそういう実態がいかにも不都合であるということであるならば、これは当然是正をすべきものだ、こういうふうに考えております。ただ今御質問の点が村営の……(永井委員「違う違う、自電組合で、配電会社から引っ張ってくる」と呼ぶ)そういう実態はよく調べた上で善処したい、かように考えます。
  56. 永井勝次郎

    ○永井委員 それでは政務次官にもう一つ、そういう実態が明らかであれば、そういう問題については実施にあたって先々来年か再来年かというのでなくて、今の実施にあたってそういうものは救済措置を講ずる、こう確約するわけですか。
  57. 大上司

    大上政府委員 ただいま事務局長から申し上げ、なお松平委員の質問にも関連しておりますのでお答え申しますが、ただいま事務当局からはいわゆる免税点をどう考えるか、さらにこれを基礎控除で考えていきたい、さらにこれを税率で考えたい、そこへただいまの御質問のようにプラスいわゆる特殊事情というものを特別に勘案し、なおさらにそういう問題があるならば、われわれの方は、あえてこれを拒否することは毛頭考えておりませんので、直ちに検討を始めたい、このように思います。
  58. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 ただいまの点、政務次官がおっしゃいましたように、私どもとしては、まずいところがあれば直していきますが、ただその際に、電気事業でありますので、料金の体系そのものともあわせて、通産当局と相談をして検討したいと思います。その点をつけ加えさせていただきます。
  59. 松平忠久

    松平委員 今の永井先生の質問に、私も関連しているのですけれども、開拓地とかそういうところにおきましては、非常に不便でもって、電気の設備をするためにかなりの金がかかっている。国からも補助をしている。それがどうしてもできないところは、小さい発電所を作ってそこで運営をさせている、こういう例もあるわけです。そういうところは、一人当たりの電気料金というものは非常に高くついておる。三百円以下ではこれは上がらない。従って、こういうことはやはり実態に即して、新しい税制の場合に余裕をとっておかなければならぬところじゃないかと思います。そういうことに対して、今政務次官お答えになりましたけれども、三百円の免税点というものは、自治省において、それらの特殊の場合においては手心を加えるという、いわゆる行政上の裁量権、こういうものはあるのですか。
  60. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 これは、法律できまっておりますので、いわゆる行政上の裁量権というものはございません。
  61. 松平忠久

    松平委員 それじゃできないじゃないですか。何を検討するのですか。法律を直すことを検討するのですか。その点は……。
  62. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 私が申し上げておりますのは、地方税制は来年度改正するわけでございます。そして現在、電気ガス税の軽減合理化をどのようにしたらいいかということを、税制調査会の方に付議しておるわけです。そういう際にあわせて検討したい、こういう意味でございます。
  63. 松平忠久

    松平委員 そこで今日まで、三十二年からの決議案が採択されておって、ようやく三百円以下の免税ということをことしから始められた、こういうことでありますが、市町村民税の中で、いわゆる住民税等の増加率というものは、大体十年で三倍だ。電気ガス税の方は十倍だ。こういう事実から考えるならば、私は、これはやはり大体普通の税率の伸びと同じくらいに、三倍なりあるいは四倍なりというところにとどめておくべきじゃなかろうかと思う。そこまで税率を下げるなり何なりする、こういうことが、私は税の公平からいって当然じゃなかろうかと思う。しかも大口にはある程度電気については免税という措置がとられておるけれども、小さいものほど免税の恩典に浴さないというわけです。家庭一般炊事用の電気についても、一割の税金がかかっておるという国は、世界にもほとんどないということからいって、これはもう少し圧縮して、当初の税額が大体四十億であるとするならば、その四倍として、百五、六十億というようなところへ圧縮してやるという考えはないですか。そういう考えは自治省は持たぬのですか。政務次官どうです。
  64. 大上司

    大上政府委員 ただいまお答えを申し上げました通り、いわゆる普通の一般市町村民税が四倍に伸びておる。ところが電気ガス税は十倍も伸びておるじゃないか。そこで限度を、たとえば四割または五割程度にとどめないかという御質問のように思いますが、過去におきまして、法律の施行上いろいろの弊害も出てくることもあろうし、あるいは当初御審議を願ったことと反する法律的効果が生まれているのが、ただいま言いました、いわゆる特殊事情の電力の関係という問題が出てくると思いますが、押える、押えぬという問題は、これは別途の問題として、税収全体から、地方財政の確立という面から、総合的に判断しなければいけませんので、今直ちにこれを押えるということは言い切れないと思います。ただしさいぜん申し上げました特殊事情という問題については、行政上今日直ちに直らないという事務当局の発言でございます。当然そうでございましょうから、通常国会に十分御審議願うよう、それを頭に置きまして法案提出したい、このように考えます。
  65. 松平忠久

    松平委員 通産省に質問したいのですが、これは歴代の通産大臣から、この電気ガス税というものは廃止すべきだということを、この委員会でもかなり言っておられました。池田総理が通産大臣のときにも、これはまずいから、少なくとも税率を軽減するか、当初の予定額くらいに圧縮する、こういう考え方で進まなければならぬということを言明しておるし、それから、この間参議院において佐藤通産大臣は、これは明らかに困る、撤廃したいのだ、こういうことを言っておるのだけれども、一体事務当局として、今日までどういうことを関係方面と折衝したか、それをここで明らかにしてもらいたい。
  66. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 通産省といたしましては、ただいま先生が御指摘になりました、佐藤通産大臣が予算委員会ではっきりと申し上げておられるあの線が、事務当局としてもぎりぎりの線でございまして、通産省としては多年、ぜひ全廃していただきたいということを申し上げておるわけであります。通産省の意見というものは、全廃していただきたいということは、一貫して変わっておりませんが、ただ財源の関係等もございましょうから、もし全廃ができないというような場合にはということで、今事務当局が自治省の事務当局と折衝いたしておりますのは、まず産業用電気というものは、これは非課税にしていただきたいという点、それから三百円の免税点というのがございますが、免税点は、先ほど来お話のありましたような、恩典に浴する人もおれば恩典に浴しない人もおるというところも出てきます。また、三百一円になれば元からかかるということもございますので、それは控除の制度にしていただきたい、しかも三百円じゃ少ないので、六百円まで引き上げて控除をやることによって、一般の家庭の炊事あたりにかかる電気ガスの費用をできるだけ軽減してやりたいということでもって、現在折衝をいたしております。
  67. 松平忠久

    松平委員 大臣が見えたら、私は大臣の決意を伺いたいと思っておりますが、事務的には、今の答弁で私の質問は終わりたいと思います。大臣が見えてから、もうちょっと政治的な意味でお聞したい、こう思います。
  68. 早稻田柳右エ門

  69. 永井勝次郎

    ○永井委員 私はもう一つ自治省に、税の軽減の点でお伺いいたします。電力会社が全国に九つあって、料金の計算がそれぞれ会社別で違っている。アンペア制のところもあれば、あるいは従量制のところもあるというふうに、いろいろ計算基礎が違っていて、料金差がある。同じ量を同じだけ使って、そしてそこに、免税されるところと免税されないところとが一般的に出てくる。ことに、私が先ほど例に引いた農村自電の問題のごとき、これは特殊な条件である。こういうようなときは、課税の基準というものを、たとえば三百円以下というような場合でも、それを一定の、全国一律の率で換算し直してやる。これは一般的にはなかなかできないけれども、こういう農家の自電組合のような特殊な地帯、これはばかでもわかるわけです。自治省が実施して、そしてわれわれからこういうことを言われなければわからないというようなことは、いかに自治省が町村の末端の実態を把握していないかということを情けなく思うわけでありますが、そういうような場合、これを通常な料金ではどうなんだ、こういう換算し直して実施するということはできないのですか。これは法律改正に待たなければならぬけれども、法律は運用なんですから、解釈なんですから、実際非常に不合理な実態があるとすれば、もっとその解釈を適切にして良識的に実施するということが必要だと思うのです。農村における受電組合あるいは自家発電がこういう情けない状態の中で非常に大きな負担でやっている、こんな明らかな事実に対して目をおおうということはできない。これに対して、あらためて直ちに実施できる条件というものを考えられないか、政務次官から伺いたい。
  70. 大上司

    大上政府委員 なかなかむつかしい問題でございますが、いわゆる今日の法律建前からは、法律改正をまず前提とせなければならぬ、ところが、こういう特殊な問題については、法律上の解釈を、またはその当時の立法の趣旨から考えて適用してもいいじゃないかというようにお聞きしたのでございますが、われわれといたしましても、ここでどうこうという最後の結論を出さずに、さらによく検討して救助する面があれば、それに全力を注ぐことは何もやぶさかでないということで、検討さしていただくという答えで御了承願いたいと思います。
  71. 永井勝次郎

    ○永井委員 私は政務次官の言葉じりをとるわけではないが、さっきの答弁とだいぶ違うですね。だから、そういうものは、しかし実際実施できるような方法で最大限度に努力するということに了承して、自治省がどのように生きた行政をやるかということを注目することにしておきます。  もう一つ振興局の橘参事官お見えになりますか。——農村電力の実情というものはあなたの方で一番わかっているはずだと思う。補助金を出したり、そういう事柄について、これだけの電気ガス税金の問題が出ているのに、何ら行政的に措置をしていない、配慮をしていないということは、今の自治省の答弁で明らかになったわけでありますが、これからでもおそくない、行政措置について自治省と十分接触して、これらの問題解決に努力されるかどうか、決意を伺いたいと思います。
  72. 橘武夫

    ○橘説明員 農林省におきまして、ただいま永井委員の御質問にございましたように、農山漁村電気導入促進法に基づきまして、農村におきます未点灯農家の解消ということで、未点灯農家の発電施設あるいは送配電施設の改良、増設というようなことにつきまして補助金を引き続き出していることば御承知通りでありますけれども、全国の未点灯農家に対しまして、御質問ございましたようにいろいろ経費の点でも、地域によりまして差異がございますし、一律の補助金行政によりましてなかなかそれが必ずしも十分解消できておりません。その点につきましては、われわれといたしましてもなお今後一そう努力いたしますけれども、電力行政その他を担当しておられまする通産省及び自治省その他各省とも今後緊密に御相談を申し上げまして、できるだけの努力をいたしたいというふうに考えております。
  73. 永井勝次郎

    ○永井委員 樋詰局長にお尋ねいたします。やはり農村受電組合の関係でありますが、受電組合は、御承知のように会社がほったらかしてあるところが組合を作って電力を買って自分でやっている、こういうのですが、最近いろいろな電気器具を注文したり、あるいは会社の方から売り込みにくる、そういう場合に、そこのうちでどれだけの電気を使っている、あるいは変圧器がどれくらいという常識をこえて、ただ売ればよいということでいろいろなものを勝手につけていく。そうしてやってみるとヒューズが切れたりいろいろな状態がこの地区に起きているわけです。配電会社の区域でそういう不信行為をいたしますと、お前の製品はいけないと配電会社からメーカーがやられますので、おそろしいからやりませんけれども、山の奥の農村に入ると売っただけ得だということで、非常に投げやりなやり方をしているわけでありますが、これに対する善処措置について、今回の法案の運用に当たってはどう措置されるか伺いたいと思います。
  74. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 北海道電力会社の施設で北海道電力会社が供給しているということでありますれば、今先生のおっしゃいましたように電力会社が責任を持ってやるわけでありますが、今お話になりましたような自家発ということで、そこの住民が共同して発電を引いているという場合の保安の責任は、これはそれぞれ自家発の経営者が持っているわけでございまして、われわれといたしましては、結局そういう自家発の経営者の方々に、不良な、あるいは必要以上のものを買い込むというようなことのないようにということについてよくお話し申し上げたい、こう思いますと同時に、通産局等督励いたしまして、そういうようなところへ不良品、あるいは必要以上ぜいたくなものを無理やりに売り込んで、かえって事故を起こすといったようなことのないようにということにつきましては、PRその他の措置に十分努めたい、こう思っております。
  75. 永井勝次郎

    ○永井委員 メーカーに対しても、あるいは販売店に対しても、電気に対して一般は無知なんです。無知というよりは、不十分なんです。ことに奥地の農村なんかにおいては目が届かない。そういうところでいろいろなことをやるわけですから、それぞれのメーカーに対してただ製品の検査をするだけでなく、運営面も行き届くということが私は行政の配意だろうと思う。そういう点について、責任上ここからここまでは何だ、ここからここまではやむを得ないのだという投げやりでなしに、そういう不当なことのないような措置について、もっと明確に重ねて伺っておきたい。
  76. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 メーカーに対して不良品を作らないようにということ、これは当然通産省としてやるわけでありますが、流通の段階につきましても通産省の所管でございますので、ことに北海道のような場合、現地の通産局あるいは北海道庁というようなところと緊密な連絡をとりましてそういうことのないように、何かそこの電気の協同組合と道庁なり通産局なりがあっせんした方とがお互いに用品の購入その他について話し合いができるような格好で、行商その他いかがわしいものが入ってきたのにだまされて買わないように、もう少しいわゆる親切な行政に努めたいと考えております。
  77. 永井勝次郎

    ○永井委員 待つこと久しで、時間があまりありませんから要約してお尋ねをいたしたいと思います。  私は、この委員会でたびたび繰り返しておるわけでありますが、電気事業は公益事業で、地域的には独占だ、こういういろいろな要因がありますけれども、それぞれの地域において電気会社はそろばんに合わないことはやらないのだ、こういうことで切り捨てているわけです。そういう切り捨てのうき目にあっているのが農村における非常な僻陬地帯なんです。北海道の場合で申しますと、そういう地帯は、それぞれの部落が申し合わせまして、北海道電力会社から電力を買います施設を自分たちでします。そうして農林省から若干の補助をもらってやりますが、電灯一つつけるのに、貧乏な農家が十五万、二十万の自己負担で電灯をつけなければ電灯がつかない、こういうことになっておる。そうして一たんつけても、その料金は通常料金の二倍ないし三倍、これだけの料金を払わなければならぬ。しかも、それらの補修、管理は全部自分でやらなければならない。こういう政治があるのかないのかわからないような状態になっておるわけであります。それでもその地区の農家は電灯がほしい、ラジオも聞きたいということで、借金でそういう施設をしたのでありますが、やはり電柱とか、それから最初金がありませんから鉄線で線を引っぱったということで、これらの施設が今、更新時期にかかっておるわけです。この施設を更新いたしますのに、開拓でその日の生活にも困るような農家が二十軒か二十五軒で一千五百万円とか二千万円の費用を出さなければ施設の更新ができない、こういう時期に現在当面しておるわけであります。これらの問題について一体どう解決するか、この二つの問題をどういうふうに処置するかということが、実力者としての佐藤通産大臣に課された、政治家としての見識をきめる一つのポイントだと思う。どういうふうな考え方によって、どういう一つの方向においてこれらの矛盾した問題を調整し解決するか、この方針について承りたい。
  78. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 お話しのように、ただいまずいぶんいなかといいますか、山間僻陬の地で未点灯の地域が今なお残っております。大へん国民生活は向上し、文化も進んだといいながら、そういう地域のあることはまことに恥ずかしい次第だと思います。それかと申しましても、やはり非常に距離が遠隔になって参りますと、公益事業ではあるが、同時に採算制もとらなければならないということになりますので、こういう地域が残っていたのでございます。ところで、御指摘のように、すでにこういうのを普及さすために、国、それから自治体、同時に受益者、三者で費用を負担して、三分方法をとって今日まで、できるだけこういう文化のおくれた地域がないようにする、こういう行政指導をして参ったわけであります。ところが今伺いますと、そういう一たん引いたものもちょうど更新の時期にきておる。もう一ぺん設備をやり直さないと困るのだ、こういうところにきている、かように伺っておりますので、在来の方針によりましてその更新を一つ実施して、そしてそれらの方々を幾分かでも救済する、こういう方法をとりたい、かようにただいま考えておる次第であります。  御承知のことだと思いますが、過去における努力によりましてよほど改善されて参ったように思いますが、北海道地区では今なお全体の四・三%という数字が出ております。これは三十四年の数字でありますが、三十三年が四・八%、それが三十四年に四・三%になっておりますから、あるいは三十五年にはさらに改善されておろうかと思います。全国平均では〇・四八ということですから、大体普及もされつつある、今残っておるので特にひどいのが北海道ということであります。北海道は御承知のように送電線からの距離といたしましても六十キロ以上というような所もあるようです。五キロないし十キロ離れているというのが約一万戸、十キロないし二十キロ離れているというのが七千六百戸、六十キロ以上というのが五百三十戸、こういう数字になっております。これらの実情等にできるだけ合わせまして、ただいま申し上げるような方針で普及させたい、かように思っております。
  79. 永井勝次郎

    ○永井委員 私は、昭和二十五年には未点灯率が一一・七%あった、それが改善されて現在三%内外である、大いに改善された、そういう事務的な話を佐藤通産大臣に聞こうとは思ってないのですよ。そういうことは書類を見ればわかるのだし、そういう事務的なことはよきに計らえと言えば解決できる問題です。通産大臣はそんなけちな数字や何かごたごた言う必要はない。どういう考え方でこれらの問題と取っ組んでどう解決するか、この方針を聞いておるのです。実力者は、そういう小さなことは事務局にまかしておいて、大きな方針を示せばいいのです。それで何%に改善された——改善されたということ自体の認識がおかしいのです。これは農民の犠牲において、電灯を一つつけたために、一戸の水飲み百姓に十五万、二十万の借金ができておるのです。その借金に今金利に金利が重なっていっておるのです。だからその表面に現われた形だけで改善されたなんて、そういう認識はとんでもない話だ。借金ができておる。そうしてその借金をまだ払っていないうちにこの施設を全部また更新しなければならない、こういうのです。おざなりに何とか方法をして三者で分担してと言うけれども、電力会社の方では採算の問題です。農民にとっては生活の問題ですよ。生活の問題とつめのあかほどの採算の問題と比重にかけてどうするかということなんだ。実力者がそれだけ聞いてわからなくては——政治的な感覚で問題の所在をはっきりしなければならぬと思うのです。何%であるとかそんな数字を大臣から聞こうとは思っていない。高邁な見識を聞きたいのです。
  80. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど冒頭に高邁な見識を述べたはずでありまして、いわゆる高邁な見識としては、国が三分の一、地方が三分の一、さらに受益者が三分の一、こういう三者負担の方法でただいまやっておる。それがちょうど更新の時期に際会しておるから同じような方法でやっていこう。そういう場合には農林金融公庫等の融資で片づけたい。これを先ほど申し上げた。申し上げたが、その高邁な見識ではいかにも不十分だと言われそうだから、さらに実情を一通り申し上げたわけです。
  81. 永井勝次郎

    ○永井委員 三者三分の方式というのは一体具体的にはどういうことなんです。三者三分なんかしていませんよ。それから農家の負担力から言ったって、電灯だけで借金をしょって動きがつかないというそういうやり方では——農林金融公庫だって前の借金を払われないで重荷になっておるのに、もう一つ電灯の借金をしょおうたって、電灯だけでないのだから——今も通産大臣が来る前に、こういうところの農家は二倍、三倍の高い料金を払っておりますから、電気ガス税の今度の軽減、三百円以下のところには電気税を廃止する、こういうような恩典にも浴しない。そういうふうに何もかも弱いところへ弱いところへとしわ寄せして、そしてお前のところはどん詰まりならば金を貸してやるからやれ、スズメの涙ほどの補助金をやるからやれ、そういう小手先で解決するような問題じゃないのです。生活上の問題です。電気事業の行政の根本的な誤り、こんな狭い国を九つに分割して、それぞれの会社の景気で料金が違って、そして悪いところは悪いところで料金がうんと高くなるというような、こういう仕組みそのものがいけないと思うのですが、きょうは時間がありませんから、農村電化の問題に限定して、今当面している問題ですが、三者三分しているというのは、どういうふうに三分しているのですか。
  82. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 具体的には局長から説明させますが、ただいま申し上げますように、国、自治体、消費者、この三者で負担していく、こういう基本方針を立てておるわけでございます。
  83. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 私、大臣に申し上げ方が若干悪かったので説明さしていただきますが、三者三分と申し上げましたのは、先生御承知通り、一戸当たり九万円を限度として、九万円までのものは国が三分の一、都道府県が三分の一、自己負担が三分の一、この自己負担の三分の一につきましては農林漁業金融公庫から八割まで融資するということになっております。ただ先生が今問題にしておられますのは、多分この九万円で済まなくて、十五万円も二十万円もかかるというところの問題であろうかと考えられます。これにつきましては、実は北海道を取り上げて考えてみますと、未点灯部落を解消するために、あるいは現在非常に高い金を払って自分で引いている共同自家発、これを切りかえるために、あるいは小水力というのがあるわけでありますが、そういうものを全部整理すると百三、四十億円金がかかるわけでございます。それをもし北海道の全地域の電灯料金でカバーするということになりますと、二割五分くらい電灯料金を上げなければならない。電力も何も全部ひっくるめてやるということになりましても、全体で二百億ばかりの収入に対して十五億くらいですから、七、八%の値上げということにもなるわけでございます。確かに非常に僻地に住んでおられるお気の毒な方等もございます。これにつきましてはわれわれも、会社でできる限りの限度において未点灯部落を解消するようにというふうなこと、あるいは共同自家発も会社側に切りかえるという方法で努力したい、こう思っておりますが、北海道全体の、世帯の小さいといったようなことから、若干の時間がかかるのではないか。ただ、われわれといたしましては、今の程度を最善とは思いませんが、全体とのバランス等から見まして、しばらくの間この方針を続けることによって、同時に会社側には開発銀行の資金の配分というようなものにつきましても今後は考えて、北海道あたりが若干でも金繰りが楽になるようにということで努力してみたいと思います。
  84. 田中武夫

    田中(武)委員 ただいまの永井委員に関連してお伺いしたいのですが、未点灯部落は全国に幾らくらいありますか。それに対してその解消のためにどのような計画を持っておられますか。
  85. 樋詰誠明

    ○樋詰政府委員 全国では先ほど申し上げましたように〇・四八%でございます。戸数にいたしまして、八万五千四月、それが三十四年度末にあったわけでございます。最近では若干解消して、もう少し少なくなっていると思います。なお、この中で問題が相当ございましたのは、北海道と九州というあたりにあったわけでありますが、九州につきましては、過般の電灯料金の値上げの際にいろいろ検討いたしまして、大体今後五カ年で解消しようということで、今その実施に入っているわけであります。
  86. 田中武夫

    田中(武)委員 未点灯部落に電話がついておるのです。御承知のように電電公社では無電話部落の解消ということで数年前からやっております。そのために相当へんぴな戸数の少ないところにも電話はついておる。ところが電話がついておるのにまだ電灯がつかないというところがある。たとえば北海道の古宇郡の神恵内村だそうですけれども、その字珊内、それから川白、それから登津というところだそうですが、こういうところには全部電話がついておる。ところが電気がついてない。われわれ常識では、電気と電話なら先に電気が入るように思うのです。ところが電気が入らずに電話が入っている。私、電電公社の組織それ自体が満点とは言いませんが、いわゆる利潤追求の会社組織である電力会社と、公社組織である電電公社との違いが、ここに現われてきておると思うのです。先日佐藤大臣に私は電気業界の再々編成の問題について、今の保守党の政治家ではメスをふるう者はなかろう、しかし大臣に期待すると申し上げた。この電灯と電話の関係を見てもはっきりと現われておる。電話がついているくらいなら、当然そこに柱もついておるので電流は通っておると思うのです。それがなぜ電灯がつかないのか。そういう点、大臣はどう思われますか。
  87. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま電話はついておるが電灯がついていない、こういうものはさっそく電灯をつけさせましょう。それはもう御指摘の通りそういうことは考えられないのですから、これはさっそくつけさせるようにしましょう。今ちょうど具体的に町の名前も言っておりますから、そういうことにします。  先ほど申しました実情を申し上げますが、これは田中さん御承知のように、山の中の部落もございますし、ことに島の部落もございます。それから今ここで調べ上げましたのは東京あるいは北陸、関西、中国、九州、全部の実戸数でございます。従って一戸のところも同様に電灯がついていなければこれはついてないというので計上した数字です。それから東北と中部は、五戸以上の部落について調査をした。また四国は三戸以上の部落について調査したもので、この調査は比較的よくできておると思います。永井さんの肝心の北海道は、北海道町村制要覧によるということでございまして、この数字自身も私たち比較的自信がない数字でございます。ただいま御指摘になりましたのは北海道でございますから、そういう点、電話がついていて電灯がつかないというのはつけ得ると私は思いますから、どういう事情があるのか至急に実情をよく調査させまして、実情に沿いたいと思います。
  88. 田中武夫

    田中(武)委員 私が今読み上げました三部落は、これは北海道ですが、北海道にはまだあると思うのです。本州においても電話がついているが電灯がついていないところはたくさんあるそうです。そういうところを至急調査をして、今大臣の言明せられたように、直ちに措置をしてもらいたい。それを要望いたしておきます。
  89. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 承知しました。
  90. 永井勝次郎

    ○永井委員 お尋ねしますが、そうしますと、設備更新の場合も三者分担でおやりになる、こういうことですか。
  91. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 九万円を限度にして同じようにやろうということです。
  92. 永井勝次郎

    ○永井委員 それは間違いありませんか。確かに聞いておかなければ、そういう場当たりで答弁されたのでは……。
  93. 橘武夫

    ○橘説明員 農林省で補助いたしております農山漁村の電気工事の場合につきましては、災害復旧の場合は別といたしまして、一般的な設備更新の場合には、現在のところ離島の場合は別といたしまして、補助の対象としております。それ以外の僻地につきましては、補助の対象には現在なっておりません。
  94. 永井勝次郎

    ○永井委員 大臣、最初だけ一万円か一万五千円か、最高二万円くらいの補助で、それでは足りないんで、十五万、二十万——電灯一つつけるのに水のみ百姓が二十万も借金をしているのです。それが設備更新をしなきゃいかぬ。しなかったら電灯は消えちゃうのです。それに対して、二回目は補助がないんです。三者負担。だから大臣としては小さな問題と思われましょうけれども、これは基本的には会社の営利性を第一に考えるか、国民の生活を——そしてそれも実力者である佐藤通産大臣の政治力には無縁の力であるかもしれないが、これはほんとうに無事の民の農民の生活にあたたかい愛情が届くかどうかという問題です。力の関係からいえば、そんなものは切り捨てたって何でもないことだ。そういう一つの問題に対して、私は本格的に——政治家としての心の持ち方における基本のモラルの問題です。その問題を私は言うのです。だから高邁だとか何とか、これは少し言葉が大げさですけれども、そういう一つのモラルの問題として、もっとはっきりした考え方が出なければだめじゃないかと思う。会社のそろばん玉を合わせるために、このしわ寄せを零細な農民に全部ぶっかけて、さあお前ら金を出せ、そうしたらつけてやる、それでなかったらだめだ、こういうひどいやり方というものはないではないか、こういうことです。考え方だけ抽象的に——具体的に言うと、大臣ぼろを出しますから、私は抽象的に聞いておきます。
  95. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 抽象的な原則論は、永井さんが言われるように、どんな僻陬の地といえども文化に浴するようにしたい、それがまた政治でもございます。ただ先ほど来申しますように、山間僻陬の地が送電線から遠い距離であったり、あるいは島であったり、全部に行き渡らすということはなかなか困難の場合もあります。ただいま指摘されましたが、最初はとにかく九万円を限度にして、三分の一国も補助するということ、それが今明らかになりましたように、ただいままで農林省も考えてないということですし、今度は修理の場合といいますか、これをやり直す場合、これも災害のときは考えるが、災害以外は考えてないということですから、これは新しく指摘された問題なので、大いに努力して御要望に沿うようにしたいものだと思います。9永井委員私は最後に一つ大臣の所見を聞いておくわけですが、たとえば北海道の場合、北海道だけで設備更新するのに、二十数億かかります。無点灯地区にこれからなにするのに相当の金がかかります。これを一般料金の中でプールいたしますと、さっき局長が言ったように、北海道地区の電力料金というものは非常に上がって参ります。そういたしますと、工業であるとかなんとかいっても、地域的な電力料金の地域差というものが、工業の成立要件の阻害になって参ります。でありますから、料金を上げるにしたって、そこには限界がある。またこれを農民だけの負担にするということになりますと、これはとてもたえられるものではない。そういたしますと、私は根本にさかのぼって、電力行政は公益事業といい、そうして地域独占といいながら、そろばんの合わないところはおれはやらないんだと切り捨てておいて、それでいいのかどうか、こういう一つの具体的な問題が出てくる。それを電力会社の地域だけで解決しようとすると、今いったような地域差がますます拡大していくという方向になって、所得倍増計画における地域差をなくすということとは逆行をする。そこでどうしたらいいかといえば、方向としてはこんな狭い日本の国の中を九つに電力会社の地域を分けて、道路一つあるいは一軒を境にして電力料金の違いがあるなんというばかな電力行政というものは私はないと思う。九つの電力会社に区分しておくから運営上困ってきて、広域運営ということでごまかしておる。ほんとうは広域運営などという手直しは要らないので、九つが一緒になってしまえばなおいいのですが、広域運営という形でそれをごまかしている。また九分割をしたときは水火調整というので、水力発電と火力発電の調整をやらしている。そういう広域運営、水火調整というやり方で地域差の調整をやってきておるのでありますから、電力会社が一本になればなおいいのですが、今の段階としては九つの電力会社の上に機関を置いて調整して、北海道の電力も、九州の電力も、関西も東北も大体同じような電力料金に調整をして、高くなるところには町村における平衡交付金のようなものを出して、調整し合って、電力料金を統一していくという方向に持っていくならば、北海道の農村電力の問題も解決の具体的な方向にいくと思う。大臣が幾らそれは調整するんだ、調整するんだと口先で言ったって具体的な政策の裏づけがない限りそんなものは一歩も前進するものではございません。前の椎名通産大臣は、会社の蓄積資本をなしくずしに出してもやろう、こういうまでの決意を表明されたのでありますが、佐藤通産大臣は実力者としてもっと高度な所見が出て参ると思うのでありまして、私は最後に所見を聞きたいと思います。
  96. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 九分割した結果、料金等にいろいろ差等があるということで住民あるいは産業開発上の支障がある。現在においてそういう事態があることは御指摘の通りであります。これは必ずしもいいというわけじゃございません。また電力量そのものについても過不足があるという状態でございます。これは他の機会にお答えいたしましたように、そういう意味では電力量の融通はただいましているが、料金の点については均一な方向にはまだ進んでおりませんということを実は申し上げておるのであります。椎名大臣は大へん高邁な理想を持っておられたようですが、ただいまの実情はお話の通りまでは、なかなかいかないのじゃないか。御承知のように電力会社でも相当余裕があるという事態なら別でございますが、東京にいたしましても関西にいたしましても、この前ようやく電力料金を直したばかりでございます。しかしそれについても非常な批判があるというのが現状であります。公共事業だけにその料金のきめ方は非常にむずかしい。これは必ずいろいろな御意見のあるものだと思います。しかもそれが遠隔の地であるとか、今そこに相互融通ができかねる、こういう事情まで入ってくると、ただいま言われるようには簡単にいけないのじゃないか。私どもの気持といたしまして、事業なり経営が合理化されることによって低廉な電力料金になることを希望はいたしますけれども、現在は各地方ともそれぞれの実情がございますから、そう簡単にはいかない、かように思っております。今御指摘のような方向で努力はするにしても、現状には相当開きのある点を御了承賜わりたいと思います。
  97. 永井勝次郎

    ○永井委員 この問題は、具体的なものはもっともっと突っ込んで時間をかけなければなりませんが、本日は私だけが時間をとるわけには参りませんから、この問題は別な場所でなお突っ込んでいきますことを留保いたしまして、本日はこの程度にとどめます。
  98. 松平忠久

    松平委員 先ほど大臣が不在だったので、大臣の決意を伺うことができなかったのでありますが、実は自治省の政務次官その他担当局長とここで電気ガス税の問題について質疑応答があったのです。その中で明らかにされたことは、この十年問で一般地方税増加率は大体三倍くらいであります。電気ガス税の方の増加率は大体十倍であります。そういうことが明らかになったわけであります。それから三百円の免税点では、先ほど永井委員も指摘されました通りに、かなり小さい階層の貧しい方々の分について救うことができない、こういうことであります。もう一つは、ガス会社については小さいガス会社ほどいわゆる定額料金制をきめておりまして、それが三百五十円とか四百円になっておりますから、そういうところは一人も免税の恩典にあずからない、こういうことが一応質疑応答の中で明らかになったわけであります。そこで自治省の方としては今回さらに審議会に答申案を求めるということを言われておったわけでありますが、従来から通産省の態度としては全廃の方向で今日まできておるのじゃなかろうかと思いますし、それから今の池田総理も通産大臣のときにはその決意をここで述べたこともあるわけです。そこで大臣がこの間参議院でもこの問題については答弁になっておるのでありますけれども、今度一応の答申案が審議会で出されるというわけでありますが、通産省側としての大臣の決意をこの際承っておきたいと思います。
  99. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 電気ガス税につきましては、私通産省に参りましても、かねての通産省の主張、それには何らの変更はございません。ただいますでに交渉等いたしておりますが、自治省といたしましては財源がなくなるということで大へん心配をいたしております。だからその十分の見返り財源確保の見通しがつけば、本来の主張の通り廃止の方向に進むものではなかろうか、こう思います。ただいま免税点引き上げ等のお話が出ておりますが、これはその間の妥協案である、かように考えております。
  100. 松平忠久

    松平委員 かわり財源というと結局大蔵省との関係になると思うのですが、通産省は大蔵省並びに自治省との間に一つ通産側として割って入ってきて、そして何らかかわり財源を見つけてきていただきたい。ということは、この電気ガス税の全廃に関しましては昭和三十二年にこの委員会において全廃の決議が採択されております。そういう意味からも一つ強力に推進していただきたい、そういうことを要望しておきます。
  101. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま申し上げるように大蔵省、自治省、同時に通産省、こういう関係でいろいろ論議をいたしております。御承知のように今減税の問題は党側にも要望がありますし、いわゆる税制整理との関連におきまして具体的に検討されつつある、かように私は了承しておりますので、皆様方の御要望も、これは一致しておるだろうと思いますので、通産省としては一そうかねての主張をあらゆる機会に十分徹底するように努力して参るつもりでございます。
  102. 田中武夫

    田中(武)委員 本法案採決に先立ちまして大臣に一言要望いたしておきたいと思います。  それは先日大臣が中座せられましてから樋詰局長に本法案の各条項にわたって質問を試みました。そのことは局長よく御存じでございますが、たとえば本法第二条の一般工作物という概念が一定でない。従って指定商品というものが法律だけではっきりしてこない。こういうような、法律としてはきわめてあいまいな規定があります。実は時間があれば私修正案を出したい、こう考えておるのですが、参議院を終わってきたものでもあるし、会期末を控えて修正はいたしません。そのとき局長からは政令を出すときに十分心得るということでございましたが、できれば法において明確になるように今後処置を考えてもらいたい。各条文にわたって指摘いたしました点は、あとで局長に聞いていただけばおわかりのことですから、その点について十分に考えていただきたい、こう思います。
  103. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 大へん御熱心に御審議を賜わりましたにかかわらず、私が各衆参両院の委員会等をかけずり回りまして、十分御審議の模様等をみずから聞くことができませんで申しわけございません。しかしただいま田中委員が御指摘になりました点は、かねてから局長からも報告を聞いておりますし、今回の法律案を成立さしていただいて政令等作る際に、十分それを取り入れるように、工夫するようにと私も申しておりますし、ただいまのお話がありましたので局長自身もよく事情を知っておると思います。十分御要望に沿うように努力して参るつもりでございます。
  104. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 お諮りをいたします。本案に対する質疑を終局するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認め、本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  106. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 引き続き本案を討論に付するわけでありますが、討論の通告がございませんので、本案を直ちに採決するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認めます。  本案を採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  108. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認め、さよう決定をいたしました。      ————◇—————
  110. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 続いて鉱工業に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。田中武夫君。
  111. 田中武夫

    田中(武)委員 鉱工業、ことに石油、天然ガスという問題につきまして若干お伺いしておきたいと思うのです。  まず最初に、本年の六月五日に当委員会におきまして、石油、天然ガス開発についての決議をいたしております。この決議後通産省はどのような措置をとられ、あるいはどのような方向を樹立せられたかお伺いいたします。
  112. 川出千速

    ○川出説明員 当委員会決議されました石油及び可然性天然ガスの長期的な開発計画につきまして、三十七年以降国といたしまして一定の目標をきめて、その積極的な開発を推進するよう方向をきめました。現在のところそれに関する審議会が通産省に設けられております。通産大臣からその審議会の会長に今後の開発計画につきまして諮問いたしまして、その答申が最近出て参りました。その答申に基づいて政府の方針をきめる所存でございます。
  113. 田中武夫

    田中(武)委員 今局長が申されました石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会に諮問せられて、九月二十九日に答申がなされたことはわれわれも存じております。その答申の一部も持っております。しかしこの答申とわれわれの六月五日の決議とは若干食い違っておるのじゃないか、このような感じがいたします。と申しますのは、構造性ガスは大体石油と一緒に探すといいますか、探鉱し、その結果ガスだけ出るという場合もありますが、水溶性ガス以外は初めからガスのみを目的とした探鉱がなされないと思うのです。ところがこの答申によりますと、石油は今ありますところの石油資源開発株式会社がやるのだ、しかしガスはそれぞれの会社においてやるのだ、こういったような答申がなされておりますが、この点この答申の通りにやられるか。それとも、私は石油とともにやる、こういう方が効果的かつ能率的ではなかろうかと思うのですが、その点いかがでしょう。
  114. 川出千速

    ○川出説明員 答申を尊重して参りたいと思いますが、今先生のおっしゃいました点で、石油と天然ガスと一緒にやるかというお話でございますが、その点は、石油の関係は御承知のように石油資源開発株式会社が国策会社としてできておりまして、それが中核体でございますから、どうしてもそれが中心にならざるを得ない。これは事実上の問題ではないかと思います。それからそれに付随して出て参ります構造性の天然ガスは、それはそれなりで開発の効果は上がると思います。それから天然ガス自体の問題は、これは石油資源に限らないわけでございまして、日本の国内にはたくさんの業界がございますので、それを推進いたしたい、こういうふうに考えております。
  115. 田中武夫

    田中(武)委員 その通りなんだが、水溶性ガスの場合は独立の探鉱ができると思うのです。ところが構造性ガスの場合は、石油とあわせて同じ地層にあるのじゃないですか。だから石油と構造性ガスとは同じ手においてやっていくという方が効果的ではなかろうか、こういうことを言っておるわけです。水溶性ガスはもちろん各会社がやるのです。構造性ガスは、それを掘っているときに石油と構造性ガスが両方がくっついているわけなんです。
  116. 川出千速

    ○川出説明員 その点は先生のおっしゃる通り、構造性ガス石油と一緒に出ますから、これは一緒にやって参ります。
  117. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、この答申による各会社がやるのだ、こういうことは主として水溶性ガスだ、そういうように解釈していいわけですね。
  118. 川出千速

    ○川出説明員 天然ガス開発計画につきましては、これは構造性ガスと水溶性ガスとございます。両方とも開発の対象にいたしておりますけれども、経済性という観点から見ますと、世界各国で水溶性ガスをやっておる国はほとんどございませんで、これはどうしても構造性ガスの方に、今後の開発の重点を置いていくという考えでございます。
  119. 田中武夫

    田中(武)委員 同じようなことを繰り返しておるが、構造性ガス石油探鉱と同じ方法によってやるのじゃないですか。同じ方法というか、同じ地層にある。従って水溶性ガスは各企業がそれぞれやってもいいわけなんだが、構造性ガス探鉱石油とあわせて行なうようにしたらどうか、こういうことなんです。
  120. 川出千速

    ○川出説明員 五ヵ年計画はそういうような建前でできておると思います。
  121. 田中武夫

    田中(武)委員 その点わかりました。  それから昨年八月に経済審議会長期展望部会ですか、これが発表したところによると、現在の日本のエネルギーのうち、輸入に待っておるのは二五・四%。ところが目標年度には五四%、すなわち半分以上が輸入に待つのだ、こういう結果になっておるわけなんです。そこでこういう答申を見ますと、今後一そう輸入石油というものが多くなるのじゃないか、このように考えるのです。ところがその展望に示されておるところを見ると、昭和四十五年度の国産原油は百四十三万トン、天然ガスが二十四億七千五百立米、こういうように予想されておるわけです。そこで現在の日本国内における石油とか天然ガス、こういうものについて一体通産省はどのくらいあると把握しておられますか。
  122. 川出千速

    ○川出説明員 石油埋蔵量でございますが、これは三十一年以降の五ヵ年計画によりまして確認されたものが六百五、六十万キロございます。従って私どもは約七百万キロぐらいの埋蔵量が現在あるのではないかというふうに考えております。それから天然ガスにつきましては、これは地質調査所の大ざっぱな推定がございますが、水溶性の天然ガスはあらゆる地域に賦存しておりますので、それを入れますと非常に膨大な数字になりまして、四千億立米というような数字も出ておりますけれども、構造性ガス埋蔵量は百億立米以下でございます。われわれはほんとうの天然ガスということになりますと、構造性の方を重点に置いて参りたいと思いますので、構造性の埋蔵量を五ヵ年計画の中では掲げておるわけでございます。
  123. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと数字が食い違っているのですが、二月二十六日の前国会の当委員会において、地質研究所の発表によれば天然ガスは六千億立米、今四千億と言われたのが六千億、それを原油に換算して六億トンということになるわけです。そうすると現在の国内石油消費量の約二十年分に相当する、こういうことでありますので、ともかく今後探鉱ということを積極的にやることによって、もっと資源開発せられのじゃないか、このように考えておるわけなんです。先日石炭対策特別委員会で、与党の中川委員も、探しもせぬでおいて、ないとはだれがきめたんだ、こう言って佐藤大臣に食い下がっておったが、まことにそうだと思うのです。もっと真剣に探鉱をなすべきである。これはいまさらいわれておるセキュリティの問題であるとか経済性の問題を云々いたしませんが、国内資源開発のためにもつと積極的にやらなければならぬ、こう思います。大臣がおられませんので、一つ次官から決意を聞いて、次官の決意は大臣の決意と一緒だ、この了解をいたしたいと思いますが、どうですか。
  124. 森清

    ○森(清)政府委員 この問題につきましては大臣からもしばしば意見を述べておることでございまして、私どもといたしましても、現在の炭鉱の置かれている立場あるいは将来を考えまして、現在五千五百万トンで、しかも三十八年度には千二百円コスト・ダウンということを掲げておりますけれども、しかし情勢の推移によりまして、われわれはこの問題につきまして十分慎重な考慮を払うつもりでおるわけであります。
  125. 田中武夫

    田中(武)委員 その十分考慮を払われた中において、来年度のこの種探鉱費あるいは補助金、奨励金といいますか、そういうようなものはどれほど要求をしておられますか、今発表することはまずいことはないでしょう。
  126. 森清

    ○森(清)政府委員 田中さんも御存じだと思いますけれども、ただいま私どもは関係官庁との間でいろいろ折衝を続けておるところでございまして、ただいまこの席ではっきりした数字を申し上げるのはいささか当を得ないのじゃないかと思います。
  127. 田中武夫

    田中(武)委員 大体内容はわかっておるのだけれども、これではだめだというのが私たちの見解なんです。もっと積極的にやらなければだめじゃないか。しかも要求したものを大蔵省で頭を押えられて、それで何も言わずに引き下がるというようなことではまずいと思う。試みに石油資源開発株式会社法第一条を見ていただきたいと思う。「石油資源開発株式会社は、石油資源開発を急速かつ計画的に行うことを目的とする株式会社とする。」こう書いてある。「急速かつ計画的」となっておるのだが、ところが予算を見るとその反対であって、なるべくぼつぼつと、ゆっくりと消極的にやろう、ということは、石油資源開発株式会社の探鉱費を国がもっと出してやらずに、今まで探したものを売ってそれでまかなえ、こういったような考え方の上に立っておられるわけです。これは石油資源開発株式会社法の第一条の目的、すなわちこの会社ができるときの思想からだんだん退化していっておると思うのです。従ってもっと積極的な要求をし直して、ごちゃごちゃ言うなら、大蔵大臣をここへ呼んできなさい、当委員会においてやりますから。元気を出してやってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  128. 森清

    ○森(清)政府委員 おそらく田中さんのことでございますから、十分私たちの折衝の経過をよく御存じだと思いますが、御存じの通り通産省の予算は石炭問題あるいは自由化問題あるいは中小企業対策等々につきまして、相当大幅な予算請求を実はしたのでありますが、窓口におきましてこれが座礁いたしまして、なかなか難航をきわめましたが、ついに一応われわれの原案においてこれを受理はしてもらいました。しかし当然石炭問題につきましては、これは非常に大きな問題でございますので……。
  129. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと待って下さい。探鉱というのは探す方ですよ、石炭とは違うのです。
  130. 森清

    ○森(清)政府委員 わかりました。探鉱費につきましては昨年に比較いたしまして、相当大幅な増額を要求しております。しかし今後まだ大蔵省との折衝に待たなければ、最終的な結論は出て参りませんけれども、しかし私どもが考えますには、いわゆるメタル・マインの自由化対策にいたしましても一番の問題は探鉱費であります。探鉱費が十分なければ、御承知通りいわゆる国際的な市場でメタル・マインが勝敗を決するということにはなりません。従ってわれわれが最も力を入れておりますのは、この探鉱費の獲得でございまして、なお時期が参りましたなら、皆さん方のお力もあるいは仰がなければならぬかと思いますけれども、その節はよろしくお願いいたします。
  131. 田中武夫

    田中(武)委員 われわれが聞いておるところでは、来年度予算として大蔵省で要求しておられるのは、石油資源開発株式会社に対して財政投融資として十億円、ほかに民間投資二億円、十二億円がその石油及び構造性天然ガス探鉱費、それから一般ガスに対しては補助金として二億円、こういうものを出しておられると聞いておる。一方においては財政投融資、一方は一般会計、こういうような点にも問題があろうと思うし、もう今さら言うまでもないのですが、西欧諸国、ことにフランスとかその他がこういう問題に、ことに探鉱費にどのくらい金を出しているかということは御承知のことと思うのです。この程度のことで十分五ヵ年計画の第一年度として踏み出しができるのですか。
  132. 川出千速

    ○川出説明員 石油資源の財政投融資計画は、初年度探鉱費二十五億でございまして、これは石油資源の会社ともよく打ち合わせをした上、必要な所要額を通産省としては全額要求し、確保したいというように考えております。  それから、今のは財政投融資でございますが、予算措置の方につきましては、先ほど政務次官からお話がありましたように、前年度の予算額に比べると十倍以上の要求をいたしております。
  133. 田中武夫

    田中(武)委員 それでもまだわずかで足りない、西欧諸国に比べたら鼻くそほどのものじゃないか、こういうのが私の主張です。ともかく当委員会決議を十分尊重して、それの裏づけのあるような予算折衝要求をしてもらいたい、このように思うわけであります。なお現在アラビア石油がこれから多量に入ってくるという見通しであります。ところがその取引がどうなるのか、その解決策がまだきまっていないようであります。また近く北スマトラから原油が入ってくる、こういうことも見込まれておるのですが、この種の日本の技術、日本の資金というか日本の手によって、国外で開発したものを国内に入れる場合の措置、そういうものについてはどういう方向をとるのが正しいのか、そういうことをどう検討しておられますか。
  134. 森清

    ○森(清)政府委員 北スマトラやあるいはアラビア石油等については、実は今田中さんの御質問にありましたように、これをどう処置したらいいかという問題につきまして、私どもはこれは両者とも合わせて一つの問題として、今よりより協議中でございます。
  135. 田中武夫

    田中(武)委員 協議中じゃなしに、実は私アラビア石油を見たのですが、どんどんと出ておるのです。これを一つ早く効果的に受け入れるということの国策というか、これを立てませんと、まだ協議中じゃおそ過ぎるこう思うので、あえて申し上げたのです。それから御承知のように来年の十月からはエネルギー関係のいわゆる自由化がせられるわけなんです。そうすると国内のいろいろなエネルギー源に、ことに今石炭が問題となっていますが、混乱を起こすのです。そこでこれは一つの考え方ですが、そういうエネルギーを総合的に調整する国策会社というようなもの、あるいは公団的なものでもよろしいが、ここに私はエネルギー需給事業団あるいは公団、こういうものが必要じゃないか、こういうことを考えておりますが、いかがでしょうか。
  136. 森清

    ○森(清)政府委員 それもわれわれの考えなければならない一つの対象としております。それが必ずぜひそうしなければならないとまでは突き詰めて考えたわけではありませんけれども、一応考える対象にしております。
  137. 田中武夫

    田中(武)委員 ともかく来年十月の自由化までに、国内のこの種産業が混乱をしないで、十分にそれと耐え得るような方策を立てる、あるいはそれに必要な措置及び機構等を整理する、こういうことを特に要望しておきます。      ————◇—————
  138. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 この際自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党を代表して、長谷川四郎君外八名提案による、石油、可燃性天然ガス及び金属等鉱産物の国内資源開発促進に関する件について、本委員会において決議せられたい旨の動議が提出されております。  まず趣旨説明を聴取いたします。長谷川四郎君。
  139. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三党を代表いたしまして、決議する案文を申し上げます。    石油、可燃性天然ガス及び金属等鉱産物の国内資源開発促進に関する件   石油、可燃性天然ガス及び金属等鉱産物は工業の重要な基礎原料であり、今後需要増加の著しい重要な国産資源である。これらの国内地下資源開発しその安定的な供給を確保することは、極めて肝要なことであるが、国内資源開発は、貿易自由化を前にして、今や一大危機に直面している。   政府は、自由貿易化に対処するため、国内地下資源開発を助成促進し、雇用の維持、地方産業ないし低開発地域の振興並びに外貨負担の節減を図り、もって国民経済の健全な発展を期すべきである。   世界各国は、自国の地下資源開発し確保するため、あらゆる積極的な助成、保護の施策を講じている現状であり、この際政府は、国内地下資源開発については、政府の責任において積極的に推進するよう万全の予算措置を講ずべきである。   右決議する。  以上が決議案でございます。私が申し上げるまでもなく、各国がどの程度国内資源を愛用し、国内資源開発に全力を尽くしているかということは議論の余地もないところである。従ってわが日本は国内資源がないのだ、こういう観念的な頭を一掃してもらわなければならないのであります。というのは、日本のこれだけ狭い国に、はたして国内資源というものは、何が幾らくらいあるかということをお調べになっての結果であるならば、資源が少ないという言葉は用いられるだろう。しからば、北海道から九州に至るまで、ネコのひたいくらいしかないこの国の資源というものが、いつ調査されて、どれだけの資源があるということが証明されているか。資源が少ないということは、西洋文明を受け入れるときの日本人に対する彼らの謀略が、われわれの観念となっていることに気づかねばならない。従って、こういう点を今日に至ってもまだ覚醒することができず、依然として資源が少ないということが自分たちの頭から離れない。これは、われわれ政治を行なう者としては一擲しなければならない問題だと考える。昭和二十六年以来私はこれを言い続けております。かつて、昭和二十八年四月の二十八日、日本という国は貧乏でないのだ、われわれの怠慢の上において資源の調査ができないのだ、しかし、日本くらい資源のある国はないぞということを言ってある。その後において、砂鉄の問題は御承知通りであります。今局長のお話によれば、天然ガスは四千億立米だという。発表を見れば六千億立米だという。今から二年前は幾らだといいました。年を過ぐるに従って、たとえば想像においても六千億立米というものが出る。あるいは二億立米あるかもしれない。こういう点について少しも調査がしてない。どうやって資源を確保する。ただ輸入だけをすればいいのか。それであってはならない。国内資源というものは何のためにある。たとえば日本という国が孤立しても、祖国日本九千万国民はこれを元手にりっぱに食えるというものを、天は与えてあるはずである。それを、調査もせずしてないと言っている。全世界を見て、日本のような状態にある国が一国としてどこにありますか。英国はすでに今から六年前に、最も近代的な機械をもって第二回目の調査をし、探鉱をし、その結果初めてこれとこれがないからこういうような輸入をやろうということになってきた。  今日、日本は外貨不足だ。これだけ国民を塗炭の苦しみの中に陥れさしておいても、さらに外貨を使おうというこの根性を変えていかなければならない。われわれ国民は、地下資源を活用すべきであるということを、一人々々の国民が念願しておる。今日、人間の手によって宇宙が開発され、また宇宙を征服するものはだれだ。人間よりほかに何があるか。各国が宇宙を開発し、海洋を開拓しておる。わが日本は、この狭き領土がわれわれ日本人の手によって資源開発ができない、探鉱ができない、などということがあってはならないと私は信ずる。  このような点について、六月にも決議案提出し、もって政府の反省を促しております。国会が開かれるたびに、決議案をもって政府を反省させなければ行なえないなどというならば、通産省の必要はありません。通産省は輸入をするためにあるのではありません。資源開発をいかにやるかというのが、あなた方の使命でなければならない。その使命を十分にお考えいただいて、今後のなすべき方途を開拓していただきたいというのが、本日の決議案であります。  これはわれわれ政治を行なう者ばかりでなくて、国民ひとしくこの念願である。これをあなた方の力によって全からしむべく、大いに努力を重ねてもらいたい。われわれも皆さんと同様に、これらの点について必要があるとするならば、それこそ大挙して大蔵省と折衝するであろうということを申し上げまして、私の決議案提出趣旨説明を終わります。(拍手)
  140. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議につきましては、別に発言の申し出がありませんので、本動議の通り議決し、議長に報告の上、関係方面に参考送付することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
  142. 森清

    ○森(清)政府委員 ただいま御決議なさいました趣旨については、私ども全く同感でございます。そこで今後は、この御決議趣旨を体しまして、極力その実現に努力いたすつもりでございます。      ————◇—————
  143. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。質疑の通告があります。順次これを許します。板川正吾君。
  144. 板川正吾

    ○板川委員 私は、最近懸賞販売、景品付販売、いわゆるプレミア付の販売というのが非常に蔓延しておる状態にかんがみまして、こうした景品付販売あるいは懸賞販売等について、何らかの規制をすべきじゃないかという立場から質問いたしたいと思うのであります。総務長官の小平さんは時間がないそうでありますから、まず第一にお伺いいたしたいと思います。  日曜なんかにたまにうちにおりますと、ラジオを聞いてもテレビを見ましても、これすべて懸賞販売、景品付販売等が朝から晩まで行なわれておるのであります。こうした懸賞販売、景品付販売が盛んになるということは、正常な商業道徳に反する傾向だと思うのです。なぜならば、正しい商業道徳は、品質のいい品をできるだけ安く消費者に供給するというのが、商習慣であろうと思うのです。ところが懸賞販売等で販路を拡大しようとすると、その製品をより安く、よりよくしようというのじゃなくて、その会社がうまい懸賞を考案した方が、その販路が拡大していくということで、勢い製品の向上、安く売るというような努力を払わない。要するに大衆をごまかして、口車に乗せて、懸賞でつって品物を売っていこう、こういう傾向になって参ることは、これは消費者保護の建前から、私は問題じゃないかと思うのであります。あとで公販にお伺いしようと思うのでありますが、こういう傾向に対して、現在の法律ではやや不十分であろうと思う。これを何らかの規制をすべきじゃないか、私はこう思うのです。  諸外国の例を見ますと、ドイツ、フランス等では、こうした懸賞、景品付販売というのを原則として禁止しております。その他の西欧諸国でも、おおむね禁止をしております。アメリカがややその取り締まりがゆるやかだという以外は、西欧諸国ではそういう懸賞、景品付販売は原則として禁止している。そういう建前からいっても、どうも今のままでこれを野放しにしておくことは、消費者保護の建前から、私は好ましい傾向じゃない、こう思うのでありまして、これに対して総務長官のお考えを承りたい。
  145. 小平久雄

    ○小平政府委員 ただいまお話のありました懸賞付あるいは景品付、そういう方法による商品の販売の傾向が非常に強まりつつあるのじゃないかということは、私どもも毎日のテレビなりラジオなりその他の宣伝によりまして全く同じように感じております。ただいまお話がありました通り、諸外国におきましても、これらの販売方法の弊害をためる目的で、立法等も行なわれておるように私どもも聞き及んでおります。そこで現行の私的独占禁止法によりましても、これが運用によりましてはある程度の規制はできることかと思いますが、しかしまず第一にその前提といたしましては、現在の懸賞販売等の実態をよく把握するということが何としても先決でなかろうかと存じます。その点につきましては公取におかれて、すでにその調査に着手をされておるように私どもも承知をいたしておりまするし、おそらく公取としましても同様の見解から調査に着手されておることだと思いますが、いずれにいたしましてもその結果等が正確になりますならば、またこれが御指摘のように消費者への本来のサービスという点から申しましても外道であり、さらに弊害がはなはだしくなりますならば、広告宣伝費あるいは景品に要する費用そのものがコストにはね返って、むしろ消費者に弊害を及ぼす、不利益になる、こういう点にまで及ぶことは当然推測ができますので、そういう点につきましては公取の方において、現行法の運用でどの程度のものができるのか、またそれだけではかりに不十分だということになりますならば、諸外国の例もあることでありますから、何らかの立法措置をとるとか、いずれにいたしましてもそういう点について公取の意見等を私どもも十分に検討させていただいて、政府としての方針をきめていきたい、かように考えております。   〔委員長退席、長谷川(四)委員長代   理着席〕
  146. 板川正吾

    ○板川委員 懸賞付、景品付販売等の行き過ぎは認めておるが、その実態を今公取で調査中だ、その実態の上に立って必要があれば立法措置を講ずる、こういうことですか。
  147. 小平久雄

    ○小平政府委員 結論的に申せばそういうことであります。
  148. 板川正吾

    ○板川委員 私は現在の制度の中では立法的に不十分だと思っております。その点はあとでこれから公取委員長にお伺いしますから、あとで聞いて早急に立法措置をしてもらいたいと思うのです。もし政府でしないようでしたら、われわれの方の党であるいは議員立法等で提案をいたしたいと思いますから、十分な御検討を願って、できれば通常国会に成案を出していただきたいということを要望いたしまして、次は公取にお願いします。  公取委員長にお伺いをいたしますが、まず懸賞景品付販売の現状について調査をなさっておるようでありますが、その調査の段階でわかっている範囲で御説明を願いたい。同時に調査の内容について後日資料をもって御報告を願いたいと思います。とりあえずわかっているところだけ発表していただきたい。
  149. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 懸賞景品付販売がどの程度波及しているかを知るために、食品、家庭用品、その他日常生活に関係の深い商品やサービスの業界六十八を選びまして、その業界、団体に対しまして、その業界において昭和三十三年以降懸賞景品付販売が行なわれたことがあるかどうか、行なわれた場合は、その理由、効果、その他業界の実態などについてアンケートの方式で調査を行ないました。特に食料品の業界では、今年春ごろから相当大規模な懸賞景品付販売が行なわれているので、チューインガム、清涼飲料については主要な業者全員に対しまして詳細な調査を行ないました。これによって懸賞景品付販売の実態、影響、その行なわれやすい条件などについてある程度知ることができたので、さらに家庭用電気器具、化粧品、石けん、洋酒、ミシン、乗用車などの業界について詳細な調査に着手いたしました。また懸賞景品付販売によって一般消費者がどの程度動かされておるか、現在の懸賞景品付販売についてどう思っているかなどを知るためのアンケートの調査を準備しておる次第であります。  現在までの調査の結果およそ次のような事態が明らかになりました。調査対象とした六十八業種のうち三十五業種、これが最近懸賞景品付販売を行なっていました。特に盛んに行なわれているのは、清涼飲料、菓子、洋酒、乳製品、家庭電気器具、ミシン、時計、石けん、化粧品、歯みがきなど、いずれも競争の激しい業界であります。懸賞景品付販売には、販売促進效果があり、広告宣伝を効果的にする、買い物の楽しさを増すなどの利点が考えられる一面もありますが、また他面におきまして弊害もあることが認められたのであります。すなわち、第一といたしましてはその波及性であります。賞金、景品の額がだんだん高くなってくる、そうしてその效果は景品、賞金の額の増加の割合ほど増加しないし、一業界に広く波及した場合は、各社の企画が互いにその效果を相殺してしまうという社会的損失をも招いているのであります。しかも現状を放置しておくならば懸賞景品付販売は、ますます大規模になっていく傾向がうかがわれるのであります。次に懸賞景品付販売を無制限に行なわせることは、資力の乏しい中小企業にとって不利であり、今回の調査に際しましても、多数の中小企業は過大な懸賞景品付販売の規制を要望しておる次第であります。第三に、宣伝広告の内容は欺瞞的になりやすいのであって、数回にわたって分割して提供される賞金、景品が一度に提供されるような広告をしたものや現金が当たらないのに札束を絵に描いたもの、全く具体的なプランを準備しないで、特賞として世界一周旅行をさせるというような宣伝をしたものなどがありました。その他品質向上、価格引き下げの企業努力を怠りがちになり、価格を硬直させる、商品の品質を低下させる、消費者の尉倖心を刺激する、商品の購買選択を誤導するなどの問題があるとされておるのであります。
  150. 板川正吾

    ○板川委員 委員長、今までの調査の結果どうですか、懸賞景品付販売を野放しにしておく自由を与えておることと、今あとの方で言われましたようにその弊害と、どちらが感じとして重いと見ておりますか。
  151. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 御承知通り懸賞なり景品付販売が、最近非常に盛んになってきまして、今申しましたような、全然利点がないわけでもないけれども弊害が非常に多い、むしろ現在におきましては、その弊害の方が多いのじゃないかというふうに考えております。
  152. 板川正吾

    ○板川委員 そういう社会にとって、消費者にとって弊宮が生じる場合には、現在の法律ではどういう手続を経て取り締まりを行なうことになりますか。
  153. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 現在の法律におきましては、他に法律があるかもしれませんが、少なくとも私の方の関係においては、独占禁止法によりまして不公正取引の取り締まりをしております。それによりまして不公正取引のいわゆる一般指定と特殊指定というのがあります。従来特殊指定がだんだんできまして、ある程度の効果を上げておりますけれども、その業界以外につきましては、現在においてなお規制と申しますか、不公正取引を取り締まって消費者を保護するという点を考えなければならぬというふうに思っております。
  154. 板川正吾

    ○板川委員 独禁法の二条の七項による告示第十一号によって一般指定が指定されておるわけですが、この一般指定の何号に当たりますか。六号ですか。
  155. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 六号と考えております。
  156. 板川正吾

    ○板川委員 一般指定の六号をもって特殊指定を一つ一つつぶしていくということでそういう弊害を押えていこうという、現在の独禁法による規制の仕方で十分ですか。どうも私は今の法律の解釈、この一般指定の六号の解釈が問題だろうと思うのです。今こういうふうに懸賞広告販売を野放しにしておって取り締まらないというのはどういうことなんですか。たとえば一般指定では、六号で「正常な商慣習に照して不当な利益または不利益をもって、直接または間接に、競争者の顧客を自己と取引するように誘引し、または強制すること。」はいけない、こういっておるのです。こういう法律があるのに今野放しで行なわれているというのは、この解釈がどうも甘過ぎるのじゃないですか、どうなんですか。
  157. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 この一般指定の六号につきましては、かつてこの規定によって、ある新聞社が不公正な取引をしたことを問題にしたことがありますのは御承知通りであります。その場合は大した弊害も認めなかったのでありますが、先ほど申します通り今年の初めと申しますか、そのころから景品付販売、懸賞付販売というものが非常に盛んになってきたので、これではどうも弊害があって困るからほっておけないというので、先ほど申しましたような調査を始め、またこれを続けておるという状況であります。なおこの一般指定のほかに特殊指定というのがありまして、現在九業種について行なっておりますが、この特殊指定によってもある程度目的は達せられると思うのでありますが、特殊指定は御承知通り実際上の問題といたしましては、指定をするのにその業界が同調してくれなければやりにくいという事情もありますので、われわれの方としては現在のような状態に照らしましてどうすればよいかということを、調査と同時に対策を研究しておる次第であります。
  158. 板川正吾

    ○板川委員 特殊指定で禁止する方法もありますが、今特殊指定の場合は業界の協力態勢がなければだめだというのですね。では協力態勢を作って特殊指定いたしましても、特殊指定の違反がする罰則に触れないでしょう。そういうことになりますと、懸賞販売、広告販売というのは強い取り締まりの対象にはならないと思うのです。そういう点から考えていくと、今の法律では若干手ぬるいものがある。一般指定の告示をもっと追加して、内容も、欺瞞的な商行為とか、あるいは懸賞販売に対する事項を一般指定にして、もっと具体化して取り締まる方法も一つだろうと思うのです。しかし今のままではとにかく不十分だと思う。これは結局は、公取は意見を提出する権限はありますから、特別立法をして、懸賞販売あるいは欺瞞的な広告、こういうものを取り締まる必要があるのじゃないですか。
  159. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 ただいまのお話ごもっともでございまして、われわれといたしましても現状の取り締まりの制度では不十分ではないか。そこでこれを強化するためにはどうしたらよいかということを、目下対策を協議しておるという状態でございます。
  160. 板川正吾

    ○板川委員 先ほど洋酒業界の問題をちょっと報告がありましたが、よく夜寝るまぎわになると、トリスを飲んでハワイへ行こう、こういうのが盛んにラジオでは放送されていますね。またテレビ等を見ると、これまた何とかを買ってハワイへ行こうというようなことを盛んに宣伝をしている。トリスの問題に移りますが、先ほど私、総務長官に言ったように、トリスを宣伝してハワイへ行こうということでつって、お客がトリスを買うということになるのですが、洋酒の場合は業界の協力によって自主規制の何か申し合わせがあるのではないですか。たとえば懸賞販売のときは一件について五十万円限度とか、普通の酒の場合は十万円ですか、そういうふうな限度についての自主的な申し合わせが業界にあっても、こういうように勝手にトリスだけやれば、今度はオーシャンも負けずにやろうということになるのじゃないですか。この点は実情はどうなんです。
  161. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 お話の通り業界に申し合わせがあるということを聞いております。これは酒の問題でありますから、主として大蔵省が当たっておると思いますが、私の方はやはり大蔵省と十分連絡をとりましてこれに対処する。今お話のあったハワイ旅行の点につきましては、大体そういうことをしないように、いわゆる指導をしたはずなんでありますが、まだやっておるので、もう一ぺん文句を言おうかと実は思っておる次第であります。
  162. 板川正吾

    ○板川委員 実際ハワイに行った人があるのですか。その抽せんの内容は、あれはいつまでかわからないのですが、実際はどうなっているのですか。たとえば懸賞販売広告をした——契約説によれば社会的な契約をしたことになりますね。それが完全に行なわれたか行なわれないかというのは、現在それを監視する、検査をする官庁は公取じゃないですか。実際の執行状態——懸賞販売広告をして、実際それが行なわれたかどうかということはどこで現在調査するのですか。
  163. 小沼亨

    ○小沼説明員 トリスの場合にはまだ計画中でございまして、まだハワイに行った例はないようでございます。これは先ほどお話にございました酒類業団体法の販売方法の制限で、洋酒業界では最高額を五十万円以下に押えるという自主規制を、大蔵省の行政指導もありましてやっておりますが、トリスを飲んでハワイへ行こうというようなのは、五十万あればハワイに行けるという趣旨のことを、ああいうふうに宣伝しているのじゃないかということをわれわれは考えておりまして、先ほど委員長が答弁申し上げましたように、新聞広告等にああいうことを出さないようにということは十分指導しております。
  164. 板川正吾

    ○板川委員 トリスが、あるいは何でもいいのですが、自分の販路を拡張するということは、これは企業意欲として当然だと思うのです。しかしそういう競争をして他の顧客を自分の方に誘引するということは、やはり正常な商慣習を守ってもらわなくちゃならないと思う。なるべく酒の質をよくして安く売る、こういうことによって競争して顧客を誘引するというならいいのですが、懸賞で顧客を誘引するということは、どうも正しい商慣習ではないと思うのですが、考え方としてどうです。——どうも返事があまりできそうもないから聞くのですが、外国ではそういう状態をどういうふうに取り締まっておりますか。外国の立法例は……。
  165. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 外国の立法例といたしましては、原則としてこういうふうな景品なり懸賞というものを禁止しておる。ただ例外的にごくわずかなものだけには認めているものもありますが、そういう点においてわが国とは制度がだいぶ違っておると思います。
  166. 板川正吾

    ○板川委員 西ドイツ、フランスその他西欧各国は、アメリカ以外は大体禁止ですね。ただし例外として一部認めておるが、それはたとえばトリスの懸賞販売も、トリスを飲んで当たったらトリスがいくとか、あるいは洋酒のセットがいくとかというような程度は懸賞販売もよろしい。しかしハワイへ行こうとか、ロッテガムですか賞金一千万円とか、こういうようなことだつって、販路を拡大するという商行為は、これは本来ならば告示十一号の六号で取り締まりになるべきだと思うのです。ところが「正常な商慣習に照らして」というこの正常な商慣習というのを、さっき言ったように日本では公取が甘く解釈しておるために野放しに行なわれておると思うのです。ですからこの六号だけではなかなか取り締まりが不十分じゃないですか。だから結局新しい法律をもって規制しなければできないのではないか、こう思うのです。  具体的に伺いますが、よくジュースを飲んで賞品に自動車を出すとか、あるいはガムを買えば一千万円の懸賞が当たる、こういう懸賞広告をして、実際にその賞金を払った場合に、完全に一千万円といった場合一千万円払っておりますか。実際調べたことはありませんか。
  167. 小沼亨

    ○小沼説明員 今までのところ、そういう懸賞広告の結果実際にどういうふうに支出したかということは、調べたことはございません。
  168. 板川正吾

    ○板川委員 これは消費者保護の立場から調べるのは公取の任務じゃないですか。それとも他にこれを調査し得る行政機関がありますか。
  169. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 これは一つの私法上の奨約と考えておりますが、その契約の不履行なりあるいは詐欺という問題にもなると思います。そうなってきますと、それぞれの役所、たとえば検察庁の問題であるとか、そういうふうな問題になってくると思います。公取といたしましては不公正取引かどうかということを主にしてやるので、実はそこまではやっておりません。
  170. 板川正吾

    ○板川委員 にせのカン詰、馬肉、鯨肉の牛カン、これは欺瞞的な商行為として今度特殊指定しましたね。一千万円懸賞で販売をして、その実行した結果は大体三分の一だそうですね。三分の一の三百万円程度払えば、七百万円、三分の二は大体没になるような仕組みになっておるそうです。そうすると一千万円でやるという懸賞広告をして実際に実施した後それが三百万円程度だということになりますと、どういうのですか、これは私法上の契約の問題もあるでしょう。しかし私法上であっても、一般消費者に一千万円当たるかのごとく誤認した期待をさせ過大な期待をさせ、それで競争者の顧客を誘引するということになれば、これは公示十一号の六号で取り締まりの対象になるんじゃないですか。調査をできるのではないですか。私法上の関係だから公取としては今まで手をつけないというのはおかしいんじゃないですか。
  171. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 ただいまのお話の告示十一号の六号でありますか、その六号に当たるかどうかは、われわれの職権で当然やらなければならぬことであります。その点はやっております。ただお話のありました正常な商慣習というのが実は非常にむずかしいので、この点につきましては、先ほど例にあげました大阪における新聞社の違反事件につきましても、その商慣習の認定は非常に骨が折れたように聞いておりますが、いずれにいたしましてもこの六号違反ということがはっきりすれば、当然われわれがやるべきことと思います。
  172. 板川正吾

    ○板川委員 独禁法で何か今村さんが書かれたのなんかでも、正常な商慣習というものの判定がむずかしいと言っておるのです。しかし通常行なわれているから正常だという解釈は私は間違いだと思うのです。懸賞広告販売が通常行なわれているから正常な取引だということではないと思うのです。ですから、公取の方が従来通常行なわれていれば正常な商取引だというふうになっておったのでは、人がやるからおれもやるということでどんどんやっていけば、正常な商行為というものがかえってゆがめられるようなことになると思うのです。だから一千万円の賞金を出す、あるいは百万円の賞金を出す、こう言って実際三分の一くらいしか払わなくて済むというのなら、これは欺瞞的懸賞広告になるんですね。こういうのは独禁法で取り締まりできませんか。
  173. 小沼亨

    ○小沼説明員 先ほども御答弁申しましたように現在行なわれておることが不公正取引方法であるならば、これを差しとめるという職務はございますが、かりにこの一千万懸賞というものが認められるとして、その結果はたしてその三百万で実施したか、七百万で実施したかということは、いろいろな実情もございまして、抽せんには当たったけれども、当たった札を持っていなくて取りにいけないとか、いろいろ問題がありまして、一概に初めから一千万に対して当然三百万しか渡さぬという計画かどうかということは非常にむずかしい問題でございまして、これは具体的に差しとめの必要があるということと関連して出てくる問題ではないかと思います。
  174. 板川正吾

    ○板川委員 そういう一千万で誇大な広告をして、実際はどこでも三分の一程度でいいというのが慣習というか、普通になっているそうですが、それを正常な商慣習でないと思えば公取でやるというのですが、それが正常な商慣習か、でないかというのは、どこできめるのでしょうか。これは消費者のだれかが告発すればいいということになりますか。そうきまれば公取でやると言うけれども、それをどこできめるのですか。
  175. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 正常な商慣習ということはなかなかむずかしい問題でありますが、先ほど申しました大阪の新聞社の例で申しますと、それ以前に各社がそういう変なことはやらぬという申し合わせをして、それが相当長い期間行なわれたということをもって正常な商慣習が存在するというふうに解釈しておるのであります。従ってそういう同じような事情があれば、当然正常な商慣習ということが言えると思いますが、問題になった場合に具体的にあるかどうかということは、そのときに当たって研究したいと思います。
  176. 板川正吾

    ○板川委員 調査中だと言うのだから、その結論を待っておるのだろうけれども、一つ欺瞞的な懸賞広告の一例を出してみたいと思うのです。イギリス製のモルガン・ポマードという会社が、これによるとモルガン・ポマードを買った人にはこの会員証を渡す。   〔長谷川(四)委員長代理退席、委   員長着席〕  それで一個買えば、ここに証書を領収書のかわりに張って渡しますということ。それで毎年一回抽せんによって愛用者五十名をロンドンに招待申し上げる。こう言っているんですね。それでなるほどモルガン・ポマードを使えばイギリスに招待してくれるならいいなと思って、買わなくてもいい人も一買うかもしれません。あるいはこれが魅力で、万一のことを思って買う人があると思うんです。ところがこれには発表の方法や会員を登録する手続等には何ら触れてない。ですからこれが商品の中に入ってきただけで、実は欺瞞的な懸賞広告をしているんですね。こういうのはたくさんあると思うんです。だからこういう懸賞広告をした場合には、たとえば公取委に届出制にするとかなんとかという手続措置を現在行政的な措置でできませんか。こういう欺瞞的な懸賞広告をすることをやめさせる取り締まり方法はできませんか。
  177. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 ただいまお話しの届出の問題は、実はわれわれの方でも研究しておるのでありますけれども、届出の義務を課するということになると、おそらく立法事項じゃないかというようなことも考えておりまして、目下研究中であります。  なお今お話しのイギリスのモルガン・ポマードですが、外国の製品が日本に入ってきて日本の商品と競争するということは、他の点、すなわち日本の業者の経済力の点から申しましても、向こうが大きな資本で強い。日本の中小企業はもちろん、大企業でも向こうから見れば小さい、そういうものを保護する見地からいっても、これはなかなかむずかしい問題だと思いまして、できることならばそういうことはしないで済むようにしたいと研究している次第であります。
  178. 板川正吾

    ○板川委員 私が言っているのは、こういう欺瞞的な広告を一つ早急に取り締まる必要があるのではないか、こういうことを第一に申し上げた。  それからついでに聞きますが、このポマードは小さい小ピンですけれども市価千六百円、いなかの散髪屋に行くと二千円ぐらいで売っている。ところが向こうに行ってきた人の話によると、原価は百五、六十円か二百円ぐらいだそうです。これは調査してもらいたいと思うのです。輸入を独占して国内販路を独占して法外な高値で売る。外国ポマードなんてみえを張って買っているのですから、そういう状態を放置することは私は公取としてもまずいと思う。  それからいま一つの虚偽の広告宣伝も実態を一つ調査してもらいたい。これを要望いたします。
  179. 田中武夫

    田中(武)委員 今の懸賞広告の件について関連してお伺いしたいと思うのですが、先ほど板川委員の質問に対して、それは民法の問題である、刑法の問題である、このようにお答えになったのです。なるほど民法五百二十九条以下三十一条までに懸賞広告のことについて書いてあります。しかしこの民法が考えている懸賞広告というのは、一定の行為ということになる何かを発明、発見したようなときにはこれだけの賞金を出しましょう、典型的にはそういうものだと思います。今板川委員が問題にしておりますのは、物を買ったときに抽せん券をくれる、それが自動的に向こうでもって抽せんをやって、あなたは当たった、当たらない、こうなる、こういうのもやはり五百二十九条に考えている懸賞広告でしょうか。
  180. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 ただいまのお話、僕はあまり民法知らないものですからよく研究いたします。  なお板川委員のおっしゃったポマードの問題はさっそく調査いたします。
  181. 田中武夫

    田中(武)委員 五百二十九条以下三十一条まで書いてあるのは、昔の民法ができた当時の懸賞ということを考えておる。やはり一定の行為をした者に対してかくかくたる褒賞を与える、この一方的広告によって契約は成立する、こういう考え方なんです。たとえばガンならガンの新治療法を発見した者に対しては、なんぼなんぼの褒賞を与えよう、こういうことを書いて、それを発見した人に懸賞を与える、こういうことを典型的に考えておる。少なくとも民法ができた当時、今のような抽せん券制度というものはなかったのではないか。そうすると、民法の五百二十九条以下の懸賞広告を直ちに懸賞契約である。このように解釈するのもどうかと思う。同時にまたそれが実行せられなかったり、その内容がないときはもちろん詐欺罪になろうと思う。しかし公正取引委員会はいわゆる独禁法というたてに立って消費者を守る独立行政委員会である。そうするならば、消費者の側に立ってそういうものに対して告発権を持つべきじゃないか、そういうように私ども考える。なお今日この種の広告が問題になっていることは御承知通りである。もちろん立法措置を講じなければ、一々公取に対して認可を得た上でなければ懸賞広告はできない、こういうことはできないと思いますが、今日の状況を見ておるならば、ぜひそういう必要があるのではないか。現在の法制あるいは行政機構においては、実際消費者を守る立場はあなたのところだけなのです。経済企画庁なんというのは物価がどうとかああとか言っているけれども、実際はどうにもならない。ほんとうに法律をもって消費者を守るのは、あなたのところだけなんです。そのあなたのところがそんなたよりないことでは困る。それは民法の問題でございます、刑法の問題でございますと片づけられては困るのです。五百二十九条がそんな規定をしているかどうか、もう一ぺん勉強して下さい。その当時考えられた行為だけを言っておって、おそらく民法制定当時にはあのような懸賞広告は考えられていなかった、このように考えるのです。そうするなら、これはどこの所管になるかは知らないが、少なくとも消費者を守る立場にあるあなたの方から何らか問題を提起すべきである。同時にまた一般事例の中に行き過ぎ広告を不公正取引だとあなたの方はきめておる。そういうものをきめておりながら手放しで見ておるという手はない。しかも、文部省は来ておりませんが、そういうことによってガムを買うとかキャラメルを買うとかによって子供に大きな射幸心を植え付けておる。これが健全な国民の教育の発展の上に大きな障害になっておる。子供の時分から物を買って何だかいいものが当たるという射幸的なギャンブル的な観念を植え付けるというのはもってのほかです。これは何もあなたの方だけを責めるのではない。だから文部省に来てもらうように言っておるのだが、まだ来ない。こういう問題については一番あなたの方がきぜんたる態度で臨まなければならない。そういう点についての決意を聞きたい。
  182. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 ただいまのお話ごもっともでありまして、われわれもそういうふうに考えております。われわれといたしましては独禁法の立場からやっていきたいと思うのであります。すなわち公正取引という面からやっていきたい。それで先ほど申しました通り、最近過当な懸賞広告等があるものでございますから、調査を始めまして、これをどうしたら消費者の保護になるか、不公正取引の弾圧になるかということで研究しておる次第であります。
  183. 板川正吾

    ○板川委員 独禁法の建前でやりたいとおっしゃるのだが、しかし独禁法ではどうも取り締まり外だ。それは民法の問題だ、こういうふうな今までの話なんです。  そこで時間がないから結論だけ言いますと、やはり新しい懸賞つき販売の規制をする立法化が必要じゃないですか。立法化が必要だという場合は、公取はその意見を内閣提出して、国会に意見を申し述べることはできるのですから、私は早急に立法化をしてもらいたいと思う。たとえば立法化の内容なら、どこの法律を見てもそうむずかしく——時間をかけて、審議会を作って、審議会の答申を待ってやる程度のものではない。たとえば原則的に禁止をして、多少の例外なら例外を認める。それはごく社会的なギャンブル的な風潮をあおるようなことではない、ごくきびしい制限をつける。それから懸賞広告販売をする場合には届出をして、その結果を報告をさせる義務がある。公取が調査権を持って調査をする、あるいはそれに対する罰則、こういうようなことであれば何条かによって取り締まりが可能だと思うのです。これは公取が立法化して消費者の擁護の立場をもっと明確に打ち出すべきではないかと思うのです。これに対して委員長に決意を表明してもらって、通常国会に出してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  184. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 お話ごもっともでありまして、われわれも最近の忌まわしい状態を調べまして、どう対策をするかということを考えておるのです。御承知通りわが国も昔は内務省令である程度取り締まり規定があった。それが終戦の結果失効いたしまして、これにかわるべき法令もありませんので、われわれとしても何とか考えなければならぬというので、目下検討中であります。
  185. 田中武夫

    田中(武)委員 現在では薬事法に誇大広告の制限というものがある。制限はそれだけしか今のところ調べたらないようですが、こういう一般的な誇大広告あるいは人をして物よりか懸賞金なり懸賞というものに惑わされるような広告、そういうことは禁止、あるいはある程度生活に潤いを持たすというかニュアンスを持たすために必要とするならばその範囲をきめろ、そしてそれは今日では公取委員会の所管が一番正しいだろうと考えるわけです。そういう点について現在の懸賞広告のあり方、その実施等を調査の上、そして消費者を守るのはわれわれなんだという自覚とファイトの上に立って一つ速急にやってもらいたい。公取委で立法できるかどうかそれはわかりませんが、もしできないとすれば政府に立法方を建議するとともに、あなた側のみが今のところ消費者を守っているのだ、こういう気持を持ってもらわなければ困ると思う。
  186. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 いろいろ激励していただきましてありがとうございます。われわれとしてもそういうつもりで目下対策を研究中であります。
  187. 田中武夫

    田中(武)委員 板川委員の質問が終わったので、私、若干の質問をいたしたいと思うのですが、一番最初にお伺いしたいのは独禁法の違反の行為です。これは刑法総則の適用を受けますか。もちろん判決というものではないから、すぐこないかもしれませんが、審決等の場合に一つの罰則、刑罰規定については刑法総則の規定がすべてに適用される、準用せられるということが常識になっているが、独禁法の違反の行為についてはどうです。
  188. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 独禁法違反それ自身につきましてはいわゆる行政取り締まりの見地からいうのでありますから、刑法総則適用はないと思います。ただし御承知の独禁法にも七十三条によりますと、この法律規定に違反する犯罪があると考えるときはということが書いてあります。その犯罪という場合には刑法総則の適用はあるものと考えております。
  189. 田中武夫

    田中(武)委員 たとえば一つの審決をやる、それと同じような内容のことをなおかつやった場合は、これが判決であった場合は刑法総則の累犯規定が適用になるわけです。これは刑罰でないから、まつ正面累犯規定は適用にならないとしても、その趣旨においては同じようなことを何回か繰り返す、こういうようなことはどうでしょう、一回目の審決と同じような行為を再びやる、こういうときには刑法の累犯規定と同じような考え方を持つべきではなかろうか、こういう気持なのですが、その点いかがでしょう。
  190. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 ちょっと御質問の趣旨が受け取りかねたのでありますが、同じことを繰り返す、同じ独禁法違反を繰り返すということになれば、いわゆる犯罪があると思料するという可能性が非常に強い、こういうふうに思います。
  191. 田中武夫

    田中(武)委員 話がどうやら調停者が入って終わったので、具体的に出すことを私どうかと思っておったのですが、具体的に言えば、株式会社大和銀行は三十六年の六月二十六日にお宅は三十六年勧第三号によって審決をしておられます。それは、酸水素油脂工業株式会社の持ち株を十一条一項に違反をして持っておるということに対する審決でございます。時を同じゅうして、前にも当委員会において問題といたしました十合の問題これも同じ趣旨のものでございます。同じ十一条一項違反なんです。しかも、これが出たのは六月の何日ですよ。そのときにすでに第二の事件は提訴を受けておった。そういうようなときには累犯規定と同じような考え方をもって臨むべきじゃないか、こう申し上げておるわけであります。
  192. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 具体的の問題になりますと、ちょっとお答えいたしかねる点もあるのでございますが、前の酸水素の事件は、お話の通り六月ごろに審決をしておる、大和事件というのは、問題になったのが、この春、一月でしたか二月でしたか、そういう関係であることと、それから大和事件につきましては目下審理中でありまして、まだ審決をするところまで結論は出ておりません。
  193. 田中武夫

    田中(武)委員 この酸水素会社ですか、これは二十二年にお宅は勧告を行なっておるわけですね。そして審決をしたのが本年の六月なんです。そうすると、その間にもう一つの事件がお宅のところに入ってきたわけです。もちろん先ほど来言っておるように、刑法累犯の規定は確定判決云々となれば、それは刑罰が違うから違うけれども、やはり法違反という点においては同じような考え方で、同じように勧告したものに対して同じような性格のことをまた犯したということになれば、罪を重くしてやるということになるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  194. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 確定判定に該当する審決が同じようなことについて二度もあるということになれば、お話の通りだと思います。
  195. 田中武夫

    田中(武)委員 もうこれも大体わかったと思うのですが、独禁法違反事案のうち、公正取引関係のものは別として、原状回復その他のもの、たとえばカルテルだとか、あるいは今の十一条一項の違反等は、たとえその事実が消滅するといいますか、原状回復をせられたとしてもなお違反の罪は残る、従って取り下げが行なわれても、お宅の調査、審決は進めらるべきである、こう解釈しておりますが、間違いありませんか。
  196. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 私の方といたしましては、独禁法違反の事実をなくすことが一番大事なんでありまして、そういう意味におきまして、独禁法違反の疑いのある事件でも、その事件の調査中等におきましてそういう被疑事件が消滅することがあります。そういう場合には従来とも不問に付するということにしております。
  197. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、この十月の十六日に私が要求してお宅からもらった文書があるのです。それの「一般的に次のようなものである。」というところの(1)、(2)、(3)の(3)「また、不公正な取引方法違反関係を除きその他の独禁法違反行為についてそれが犯罪を構成する場合は、違反の事実が消滅しても、その罪について、検事総長に告発しなければならないことになっている。」と、こういうふうに書いたのがあるのです。また法規もそうなっておるのです。その点どうなるのですか。あなたはその事実が取り下げられれば、もうそのままでいいんだというような答弁をされたのですが、これによると、そのことがなくなっても告発をするのだ、こう書いてあります。
  198. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 違反事実が確定して、犯罪であると考えられれば、そういう問題は起こると思います。
  199. 田中武夫

    田中(武)委員 独禁法九十一条の一項二号「第十条第一項前段の規定に違反して株式を取得し、又は所有した者」となっておる。従いまして、独禁法違反の事実、違反ということは、取得したる瞬間、所有したる瞬間に発生しているわけです。その後いかなる措置を講じようとも、それは情状酌量というような点については考えられるとしても、犯罪構成についてそれを消すという行為にならない、私はこう思う。犯罪は構成せられておるというように考えるのですが、どうですか。
  200. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 審決を経まして被疑事件が独禁法違反ということがはっきりするということになって、それが犯罪と考えられるかどうかという問題だと思います。
  201. 田中武夫

    田中(武)委員 独禁法九十六条ですか、これによって、いわゆる告発権は公取委員会の専属権なんですよ。あなたの方がぼさぼさしていると、どんな問題が起ろうとも告発できないわけなんです。いわばあなたの方の専属権です。それを下手をやると、独占禁止を建前としている公正取引委員会が、なおかつ告発権を独占したことになる。これだけ強い権限をあなたの方は独禁法によって与えられておる。従って、独禁法の建前をとってこれをあくまでも守り、あくまでもこれを運用していく、これがあなたの方の任務でなくてはならない。ところが、最近あなたが委員長になってから、ことにその点がもさもさしている。はっきり言います。勇気がなさ過ぎる。独禁法の番人としての公取の権威は今や地に落ちつつある。そんなたよりのない返事じゃなしに、法律の解釈ですからはっきり言ったらどうです。あなたも法制局の参事官か何かやったでしょうから、法律はあなたの方が専門家だ。法律できまっていることに対して、なおかつ考えるとか、どうしようというようなニュアンスを残すことがあり得ますか。どうです。
  202. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 先ほど申しました通り、七十三条によりまして「この法律規定に違反する犯罪があると思料するとき」と書いてあります。そこでこれを分析しますと、この規定に違反するという独禁法違反の問題があって、しかしそれが先ほど申し上げました刑法総則に照らしまして犯罪を構成するものを考えられる、こういうことになるわけであります。そこで、この法律に違反するということは、審決を経て確定する、はっきりすることでありまして、審決を経る前におきましては違反するかどうかということは申し上げかねる、こういう次第であります。
  203. 田中武夫

    田中(武)委員 大体おっしゃることは、なるほど犯罪を犯しても、その裁判が始められるまでは被告じゃない、容疑者である、こういう意味と同じように、審決を経るまでは、いわゆる違反に対する容疑のみであって、違反とは言い切れない、こういう手続上の言葉として了解いたしましょう。しかし、何回かこういう委員会において申し上げましたように、たとえば二条の六項ですか、いわゆるカルテルの問題、これなんかも、やったときにすでに違反が発生しておる、あとから拘束性があったとかなかったとかいうことと関係なく、やったという事実によって違反が発生しておる。あるいは十一条一項の株式の取得ということは、取得したということによって発生しておる、こういうように私は解釈している。またそう解するのが、その後のたとえば九十一条のこの規定の仕方——何回も言っておるが「取得し、又は所有した者」こういうような書き方、あるいはまた先ほど言った九十六条によって、これらのことについての審決が終わってからの告発権はあなた方の専属権である。そういう点から考えて、十分にやってもらわなければ、あなた方の専属権でうやむやにやられて、談話の発表ぐらいで済まされたら大へんなことになる。従って、先ほど板川委員が言っているように、懸賞広告一つにしても百鬼夜行というような格好である。これは公正取引委員会によって、もっと人も必要であろう、予算も必要であろう、この点についてはわれわれはもっと努力しなければいかぬと思いますが、もっとはっきりした態度、きぜんたる態度必要だと思います。その点を要望いたしておきます。
  204. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 田中委員のお話、だいぶ前にもございまして、この告発の問題はわれわれの専属権である、そういう関係におきまして、この告発権を適正に運用するということを考えておるのでありまして、公取の歴史を見ますと、昭和三十四年に独禁法違反で告発したのが一つだけであります。それ以後ないということは、実は私どもとしても疑問に思いまして、お話の点を委員会にも報告しまして、それ以来ある事件のある場合に、これを告発すべきかどうかということを特に私から発言してみんなに相談しておる、こういう事情であります。御趣旨よくわかりました。
  205. 田中武夫

    田中(武)委員 それは違反のやつは、どんどん告発することですよ。それでなければ、あなた方自体の公正取引委員会が、だんだんなめられてきておる。どんどん告発することによって、悪いやつはびしびしやるのだ、そこに独禁法を守る公取委員会の権威を高めるゆえんがある、かように考えます。  法制局第一部長か見えましたので、実はもうこの項に関する質問は終わっておるのですが、せっかく見えたのだから伺いますが、実は先ほど来当委員会においてこの懸賞広告、ことにウイスキー一本買えば抽せんによってハワイに連れていってやるとか、あるいはガム一個買えば抽せんによって一千万円やるとかいうようなもの、こういうものについて、いろいろと独禁法の立場から公正取引委員長に質問しておったわけなのです。そのときに、この問題は公正取引委員長の答弁によると、多少商慣習というものを越えた場合、それが一般指定の公正取引となるような場合は問題となる、それ以外は民法上の問題であり、刑法上の問題である、こういうことなのです。そこでお伺いしたいのですが、民法の五百二十九条ですか、ここに懸賞広告に関して規定があります。しかし、これは一定の行為をなしたる云々なんです。これは、たとえばガンならガンの研究、水虫なら水虫の研究、こういうようなものを完成した人に対して何ぼでも出そうというような広告をしたような場合、こういうことをいっておって、今日のように、物を買うたら券をくれる、券に番号が書いてある。その券の番号を適宜な方法によって抽せんをしたり、矢でも打って当たった者に賞金をやろうというような、これはやはり懸賞ではありますが、五百二十九条のいわゆる一定の行為、こういう中に、そういうことが入るのかどうか。しかも、この法律ができたころに、そういったような懸賞まで予期していなかったのじゃないか。この五百二十九条は、一定の行為をやった場合、あるいは犯人を逮捕したとか、あるいは研究を完成した、あるいは迷子を見つけてきたとか、犬を捨ったとか、こういうことだと思うのです。どうなんでしょうね、五百二十九条以下の解釈は……。
  206. 山内一夫

    ○山内(一夫)政府委員 今の民法の規定は、やはり一定の行為をしたという場合をいっておるので、ただ商品の番号が何か書いてあって、それが当たるというのは、別に民法上の一定の行為という問題が生ずるわけでないから入っていないだろうと思います。ただ、商品を買った場合に、それはクイズに解答する権利が生ずるわけであります。そういう場合に、懸賞広告に応募する資格を得て、そこで一定の行為をするということになって、民法上の問題が出てくるだろうと思いますが、番号だけということでは、これに入らないのじゃないかと思います。
  207. 田中武夫

    田中(武)委員 公取委員長、先ほどあなたは、民法の問題だと逃げたですね。今、法制局の部長が言っているように、五百二十九条の規定しておるのは一定の行為です。ところが板川君も先ほど来問題にしておるいわゆる懸賞広告、そういったものは一定の行為じゃない。今、法制局の部長が言ったように、物を買ったことによってその投票券を得る、それに一つのクイズなんかついて、それに正解を与える、これは行為です。しかし物を買うと券をもらって、その場において抽せんを行なうというのは、この五百二十九条に合わないのです。私が先ほど言っている通り、そうすると民法の問題にならなくなる。うそだったら刑法の詐欺罪になることは当然です。しかし、やはり結論は出たのだからいいけれども、もっと法制上考えて、そういうことについての独禁法の立場、公正取引の立場から、先ほど来言ったようなことをやってもらう必要がある。法制局の答弁で明らかになったと思う。
  208. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 民法の問題というのは、私の申したのは、懸賞広告の規定とは申しておらぬので、やはりこちらから一定の消費者と一定の契約が成立すると考えられる場合がある、そういう場合に、その契約の不履行という意味で私は申したのであります。
  209. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと待って下さいよ。五百二十九条でないとするなら、どういう契約になるのですか。それは無名契約ですか。
  210. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 それは物を買った者にある物を与えるということを申している。そこにやはり一つの契約が成立するのじゃないか、その契約不履行という問題じゃないか、私はそう考えておるのです。
  211. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、抽せん券を渡す。その抽せんが当たった者には物をやろうということは条件付きか何かの契約ですか。懸賞に当たるということを前提条件とする条件付きの無名契約、むずかしくいえば、こういうことになるのですが、どうですか。
  212. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 それはやはり一つの契約じゃないかと思います。契約の不履行という問題になる。従って民法の問題になる、そういうふうに解釈しております。
  213. 田中武夫

    田中(武)委員 それを不履行なとき、当たってもくれなかったとき、それはあなたのおっしゃる通り、しかもそれはうそであったら刑法になる。一方においてそれが足らなかったときは契約不履行による請求権がある。今言っているのは、そういうことをも含めてだが、もっと大きくいえば、それが与える社会的な影響、それによる公正な取引の方、これを問題にしておるのです。あなたが民法の問題だと言うから、五百二十九条を引っぱり出したわけです。あなたがそういう意味に民法を使うたというならば、それは当たったことに対して契約を履行しない、あるいはうそをついたということは、民法、刑法の問題になることは言うまでもありません。われわれが問題にしておるのは問題の観点が違うのです。しかし、先ほど来もう何回か質疑応答を加えて、あなたの方でも十分考え、そういうことについての立法的なことまでもあわせて研究をする用意あり、こういうように解釈したから引き下がったわけですが、そういうことは間違いないですね。
  214. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 私の方では最近の情勢にかんがみまして、何とか取り締まりをしなければいかぬというので、研究しております。
  215. 田中武夫

    田中(武)委員 法制局が見えておるので、まだ文部省がちょっと呼んでもこないから、それまで質問します。  現在この種の懸賞広告、これがあまりにも行き過ぎであるといいますか、百鬼夜行の状態にある。現在のところでは、これを取り締まる法制上の規定はないと思うのです。ただ、薬事法で誇大広告の禁止というのがある。現在の法律でこれを取り締まるといいますか、そういう法律はありますか。薬事法で誇大広告の制限というのがある。それ以外にあるか。
  216. 山内一夫

    ○山内(一夫)政府委員 薬事法の場合は薬の効果に関する誇大広告で、おそらく懸賞広告というのは薬事法ではいかぬのじゃないかと思うのですが、現在どういう法制があるかとおっしゃると、私もすぐ全部が思い浮かびませんから、必ずしも的確な御返事はできないかと思いますが、一応誇大広告をして、そして商品を販売するというのは、商品の性能でもって競争するのは当然ですけれども、非常に違う要素の入った懸賞でもってやる、そしてしかも他方においてほんとうの商品の性能だけで競争する人がいるということになると、そこで非常な不公正な競争ということに相なりますれば、独禁法の問題に相なるかと思います。実は御承知のように牛カンの問題がございまして、そのとき考えましたのですけれども、それは公正な方法でやる人と不公正な方法でやる人が今の日本の社会にあるとすれば、不公正な方法でやる人を押えなければならぬということは独禁法の範囲かと思います。はなはだ憂うべき状態かと思いますが、全体にびまんして全体の商慣習が、そういうものをだれもがやるということになると、あるいはそのこと自体独禁法の形でどう取り扱っていいのか、その辺のところは、私もいささか具体的な適用の問題としてははっきりしたことは申せませんけれども、先ほど申しましたケースにおきましては、あるいは独禁法の問題になるのではないか、かように思っておるわけです。
  217. 板川正吾

    ○板川委員 独禁法の方では、告示十一号の六号によると、正常な商慣習というのは通常行なわれておる商習慣、通常の商習慣を正常な商習慣というふうにも置きかえて考えているんだと思うのです。通常行なわれている商慣習でも、懸賞販売が社会的な害悪を与えない程度の小さい形にあったときはいいけれども、寝ても起きても朝から晩までそういうものがずっと通常行なわれておる状態になってきた——通常行なわれておる商慣習が正常な商慣習に反するんじゃないか。今までの公取の独禁法の運用は、通常それが行なわれておれば、それを正常な商慣習と見て取り締まりを今までしなかったのじゃないか。だから通常の商慣習と正常の商慣習というのを区別して、独禁法のいう正常な商慣習に照らして、不当な手段で他の顧客を誘引する行為は悪いというのなら、私はその解釈をもってすれば今でも取り締まりはできないはずはないと思う。ところが公取は従来は、正常な商慣習とは通常行なわれておるものをいうのだということで、ばく然としておって、通常朝から晩までテレビ、ラジオ、新聞で広告しているのですから、これは正常な商慣習とみなしておる、こういうところにも問題があるんじゃないか、こう思うのです。どうなんですか。
  218. 山内一夫

    ○山内(一夫)政府委員 理論的にいえば今先生のおっしゃった通りだと思います。ただ正常という考え方が非常に道徳的な意味で正常と必ずしもいえないことがありまして、社会で許容されている限度というものがやはりそういうところに限界がございまして、その限界をどう理解されるかということはその当時の社会の認識等もあって、そこは公正取引委員会の御判断ということに相なるんじゃないか、こういう非常に抽象的なお答えしかおそらくできないと思います。理屈の上からいえば先生のおっしゃる通りじゃないかと思います。
  219. 田中武夫

    田中(武)委員 今板川君が問題に出しました公正取引委員会一般指定の第六号の「正常な商慣習に照らして」云々、この正常な商慣習と、商法第一条の「商事二関シ本法二規定ナキモノニ付テハ商慣習法ヲ適用シ商慣習法ナキトキハ民法ヲ適用ス」というこの商慣習とはどう違いますか。同じですか。
  220. 山内一夫

    ○山内(一夫)政府委員 大へんむずかしい御質問で、御質問の点にうまく御答弁できないかと思うのですが、商法のいう商慣習というのは、法律行為の解釈論として出てくる慣習を考えておりますが、独禁法の方の商慣習という慣習というものは、一つの違法性を考えるときの立場から、どの程度の段階を越えれば社会はそれを非難すべきものであるかというふうな考えでできていると思うので、それが内容的に常に同じになるかというと必ずしもそうも言えないのではないかと、かように思っているわけでございます。
  221. 田中武夫

    田中(武)委員 公正取引委員長に伺いたいのですが、あなたのところの規定の正常な商慣習と、商法一条の正常な商慣習とはどう違いますか。
  222. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 なかなかむずかしい御質問で、ございますが、私の方は先ほど申しました通り一つの審決例がございますので、それについて申したのでありますが、その例では不当な懸賞なんかをつけないということを、当該業界のものが申し合わせいたしまして、それが長く行なわれておった、そこでそれが一つの正常な商慣習である、それに反するからして、この六号に違反するという問題がある、そういうふうに考えたようであります。少なくともその限度において正しいと思います。ただし一般的に正常な商慣習とは何かといわれたときに、非常に迷うのでありますが、やはり業者の間にこういうことはよそうというようなことを申し合わせて、それが相当期間行なわれているということになれば考えられるけれども、それでなければなかなか正常な商慣習の認定というのはむずかしいと思っております。
  223. 板川正吾

    ○板川委員 洋酒の場合一千万円というようなのをやっているのがあるのですが、これは日本酒造組合中央会で、「清酒の取締条件の規制に関する協定」という協定をして、「組合員は自己の販売する清酒の取引に関し、その取引している若しくは取引しようとする酒類販売業者に対して、次の各号の一に掲げる行為をし、又はこれをする旨を示してはならない。」といって、演芸やスポーツや映画や旅行等に招待してはいけないとか、寄付をしてはいけないとかいうような申し合わせをして、洋酒の面でも同様の趣旨でやるということで、自主的に行なわれてきておったのに、今度トリスがハワイにいこうというようなことをやった場合に、それは金額にして先ほど言いました五十万円でハワイにいってこられるから、五十万円の限界が申し合わせできまっておるからいいだろうといいますけれど・も、しかしどうもハワイにいこうというような宣伝の仕方は、業界の申し合わせと違うのではないかと思うのです。そうしますと今までの申し合わせに反した行為だから、それを差しとめるという方法もできるのではないかと思うのですが、どうなんですか。
  224. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 そういうふうに私どもも考えまして、差しとめるように実はやっておるのであります。しかしてこの問題は酒の問題でございますので、主税局が主管庁になっております。そこで主税局と十分連絡をとりまして、主税局と一致してと申しますか、両方で押えるような方法を講じておるようなわけであります。
  225. 田中武夫

    田中(武)委員 佐藤公取委員長は先ほど問いをもって問いに答えた。答えはしていないわけです。とい5のはいわゆるあなたの方の一般指定でいう正常な商慣習とは何ぞや、あるいは商法の一条でいう商慣習とどう違うのかと聞いている。それに対してあなたは業者間において申し合わせがあった場合に、その申し合わせに違反してやるようなこと、これは正常な商慣習じゃないと言われたのですね。それじゃ、その審決はいつ出されましたか。
  226. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 昭和三十年に大阪の新聞社の事件がありまして、そのときに記事の差しとめ命令を  裁判所がその差しとめ命令についてそういうことを言っているわけであります。
  227. 田中武夫

    田中(武)委員 それは昭和三十年でしょう。ところがあなたが出された不公正な取引方法に関する一般指定は昭和二十八年ですよ。昭和二十八年に「正常な商慣習に照して」ということで書いてあるのです。その答えは三十年に出た審決をもってそれに当てはめるというが、その当時はそういう審決はなかったのですよ。二十八年ころに出されておる。あなたはそのときは委員長ではなかっただろうが、それはあなたの答えは間違っているよ。あとから出たのでしょう。告示の方が先に出たのです。「正常な」というのはどういうことです。
  228. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 私の申しましたのは、「正常な商慣習」ということを、具体的な判例的なもので説明すればそういうことになると申したわけなんです。従ってその判例というものは、法律が出た後に出ておる、それをあげたのでございます。
  229. 田中武夫

    田中(武)委員 今になって、たとえばこういうときにはどうであったと三十年の判例を示される。しかしあなたが一というよりも公正取引委員会が、二十八年に一般指定をされておる。だから一般指定を出される限りは、正常な商慣習というものがはっきりと観念づけられていなければならないと思うのです。それがあなたのところで今観念づけられていないわけです。従って今は直ちにお答えを要求しません。直ちに公正取引委員会を開いて、この一般指定六号の正常な商慣習はいかなるものなりや、なお商法第一条の商慣習とどう違うか、これを一つはっきりと態度をきめて、当委員会に出していただきたい、このように思います。いかがです。
  230. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 商法の商慣習というのは、ちょっと私の方でなかなか調べにくいと思いますけれども、私の方の解釈として正常な商慣習ということは研究いたしましょう。
  231. 田中武夫

    田中(武)委員 文部省の方にお伺いするのですが、ちょうどあなたの方へ尋ねたいときにあなたは見えなくて、おくれたことを遺憾と思います。実は今大体この質問の中で想像をされておると思うのですが、今ここで問題にしておるのは、いわゆる過大な懸賞広告等で物を販売しておること、これが独禁法の不公正取引にならないかどうか、あるいはそれに対する取り締まり等についてはどうかというようなことをやっておるわけなんです。そこで文部省にお伺いするのですが、たとえばガムを買うとかキャラメルを買うとかによって一千万円の懸賞をやるとか、あるいは物をつけてやるとかこういうこと、あるいは最近の児童あるいは小学生用の雑誌を見ても、本誌よりか付録が多い、こういうのが多いわけなんです。すなわちキャラメルとかガムとかいうようなものよりか、むしろその懸賞あるいはそれに付随してもらうところの物に対して興味を引いて物を買うということ、しかもそのときにガムで、ロッテですか、一千万円以上の、そういうことが児童に及ぼす影響ことに子供のときから射幸心を起こさせる、そういうことは大きな教育上の問題だと思うのですが、そういう児童に関係のある、子供に関係のある物品に対して、そういったような過大広告あるいは懸賞広告等についてはどのように考え、教育の立場からどう規制しようとしておるのかお伺いいたします。
  232. 上野芳太郎

    ○上野説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問の過大な懸賞によって子供たちに小さいうちから射幸心を起こさせるということは、教育上好ましくない問題だと思っております。で、具体的にどの程度のものがどういう弊害があるかということは、子供の発達段階で、子供たちの心理との関係でございますので、その個々の場合について検討しなければなかなか明らかにはなりませんけれども、一般的に申しまして射幸心をあおるようなやり方は、子供の道徳性を養う上から好ましくないと私ども考えております。
  233. 田中武夫

    田中(武)委員 好ましくないと考えておられて、現実に起こっている事態に対してはどう善処されましたか。
  234. 上野芳太郎

    ○上野説明員 学校の指導におきましては、小学校なら学校の子供たちの発達段階に即しまして、道徳なりあるいは生活指導の場面で子供たちを指導いたしております。一番問題になると思われますのは、子供の児童会、学級会、いわゆる子供たちの身の回りの生活の問題を議論いたします学級会の活動において、先生が指導される。そういう段階に、小学校の場合にはあるわけでございます。中学校の段階になりますと、ホーム・ルームの時間に身の回りに起こった問題について討議をする、あるいは道徳の時間にそういう方面に走らないような指導が行なわれております。今度は、この一月から教育課程が変わりまして、小中学校とも道徳的な指導が特に強化されておりますので、従来よりはそういうものに対する防ぎという面の指導は、徹底してきているものと私ども考えております。
  235. 田中武夫

    田中(武)委員 問題をそらせては困りますよ。私は、道徳教育をどうしようとか、そういうことを聞いているのじゃないのです。そういったようなガムなんというものは、おとなも食わぬことはないが、おそらく子供でしょう。キャラメルなんかでもそうです。それにいろいろな懸賞、ことに一千万円というような莫大な懸賞をつけてやっている。それに対して、文部省はそのような広告自体にどういう態度をとったかと言っておるのです。問題をそらせて答えてもらっては困る。道徳教育なんてつまらぬことを考える前に、そういうことを先にやりなさいよ。何かそういうことについて1学童用のもの、先ほど言ったように雑誌にしたってそうですよ。本誌よりか付録の方が多い、あるいは物を買ったら一千万円もくれるというようなことに引かれる。あるいはグローブ、ミットをやろう、こういったような射幸性をあおるような販売方法、これに対して文部省はどういう態度を、そのような会社なり商社にとっておるのか聞いておるのですよ。問題をそらせてはだめです。道徳教育なんてやめておきなさい。
  236. 上野芳太郎

    ○上野説明員 私どもとして直接そういう商社に対して今お話のような処置をとっているというのは、私存じておりません。
  237. 田中武夫

    田中(武)委員 今言ったようなそういうことは、児童教育上ことに射幸心を起こさせることにおいて思わしくないと言っている。ところがそういうことを野放しにしておる。もちろん文部省の権限をもってそれをストップさせることはできない。しかしながら、文部省にしても、社会教育上児童教育に対してこういう影響があるからやめてもらいたいというようなことを一言くらい言ったって、人は笑いませんよ。先生に道徳教育をしいたり、あるいはまた問題のある学力テストを無理に押し切る前に、そういうことを手を打ちなさいよ。たとえ法律的な拘束力がないとしても、文部省として子供の教育上こう考えるのだというようなことくらいやりなさいよ。やりますか、どうですか。
  238. 上野芳太郎

    ○上野説明員 今のような大きい問題につきましては、私課長でございますので、それまでお答えいたす権限を持っておりません。
  239. 田中武夫

    田中(武)委員 だから課長のような者を来いとは言わなかった。局長または大臣に来いと言ったんだが、来なかったのだから、やむを得ない。こういう話が出たということで、局長あるいは大臣に相談して、文書をもって私のところに出して下さい、処置をどうするかということを。
  240. 上野芳太郎

    ○上野説明員 帰りまして上司と相談いたします。
  241. 田中武夫

    田中(武)委員 ぜひそういうことに対する対策を立て、こうやるということについての回答を文書でほしいということを申し上げておきます。ごらんの通り、法制局、公正取引委員会、文部省、これだけ並べても巨大な資本におけるそういった射幸性を子供に刺激する、あるいは不公正な取引をやる懸賞広告、これに対してどの官庁も手を打てないというのが保守党政府の実態なんです。そこを反省してもらいたい。これは何も公正取引委員長に言ってもしようがない、文部省あるいは法制局に言ってもしようがない問題です。しかし先ほど来公正取引委員長も言っているように、この種の問題について一番関係が深いというか、それはあなたの方なんだから、すぐ広告制限とそれに対する懸賞等についての問題、こういった単独立法か何かを作れということを直ちに委員会においてきめて建議する、政府においてそれを検討する、そういうふうにしてもらいたいと思いますが、いかがでしょう。
  242. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 先ほど来申します通り、現在の世情非常に遺憾でありますので、これに対して対策を十分研究いたします。
  243. 田中武夫

    田中(武)委員 けっこうです。
  244. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。    午後二時四十一分散会