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1961-10-25 第39回国会 衆議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十五日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 加藤 高藏君 理事 木村 守江君    理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君    理事 松澤 雄藏君 理事 石川 次夫君    理事 中島  巖君       安藤  覺君    大沢 雄一君       金丸  信君    木村 公平君       田村  元君    徳安 實藏君       丹羽喬四郎君    廣瀬 正雄君       細田 義安君    堀内 一雄君       前田 義雄君    久保 三郎君       栗林 三郎君    兒玉 末男君       楯 兼次郎君    日野 吉夫君       三宅 正一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 村上孝太郎君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建 設 技 官         (道路局長)  高野  務君         自治事務官         (大臣官房長) 柴田  護君  委員外出席者         大蔵事務官         (主 計 官) 宮崎  仁君         建 設 技 官         (道路局高速道         路課長)    齋藤 義治君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 十月二十四日  委員兒玉末男君及び田中幾三郎辞任につき、  その補欠として北山愛郎君及び片山哲君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員北山愛郎君及び片山哲辞任につき、その  補欠として兒玉末男君及び田中幾三郎君が議長  の指名委員に選任された。 同月二十五日  委員齋藤邦吉君、田村元君、丹羽喬四郎君、松  田鐵藏君及び久保三郎辞任につき、その補欠  として堀内一雄君、細田義安君、前田義雄君、  安藤覺君及び楯兼次郎君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員安藤覺君、細田義安君、堀内一雄君、前田  義雄君及び楯兼次郎辞任につき、その補欠と  して松田鐵藏君、田村元君、齋藤邦吉君、丹羽  喬四郎君及び安平鹿一君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員安平鹿一辞任につき、その補欠として久  保三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十月二十三日  鹿児島市地内持木川、野尻川等河川改良に関  する請願(上林山榮吉君紹介)(第六六三号)  除雪作業費国庫補助に関する請願唐澤俊樹君  紹介)(第六六四号)  同(松平忠久紹介)(第六六五号)  同(井出一太郎紹介)(第七六二号)  同(下平正一紹介)(第七六三号)  同(中島巖紹介)(第七六四号)  同(増田甲子七君紹介)(第七六五号)  同(中澤茂一紹介)(第八二八号)  同(原茂紹介)(第八二九号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第八五九号)  三郷、上高地間のスカイライン道路建設促進に  関する請願唐澤俊樹紹介)(第六六六号)  同(松平忠久紹介)(第六六七号)  同(井出一太郎紹介)(第七六六号)  同(下平正一紹介)(第七六七号)  同(中島巖紹介)(第七六八号)  同(増田甲子七君紹介)(第七六九号)  同(中澤茂一紹介)(第八三〇号)  同(原茂紹介)(第八三一号)  阿佐ケ谷駅南口改正道路の延長及び特別都市計  画街路放射補助線に編入の請願花村四郎君紹  介)(第六六八号)  国土開発縦貫九州自動車道薩摩内通過に関  する請願池田清志紹介)(第七七二号)  境港市下の川土地区画整理事業無期延期に関  する請願足鹿覺紹介)(第八三二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路に関する件      ————◇—————
  2. 二階堂進

    ○二階堂委員長 これより会議を開きます。  道路に関する件につきまして、を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。木村公平君。
  3. 木村公平

    木村(公)委員 私は、主として建設当局並びに大蔵当局に対しまして、国土開発縦貫白道車道建設に関しまして、若干の質疑をいたしたいと存ずる次第でございます。  皆さん方の御協力で、本日の朝日新聞の報ずるところによりますれば、多年の懸案でありました高速自動車道東海道並び法律に言うところのいわゆる中央道というものの予算づけが内定いたしたようでございます。この予算づけの内容、経過に対しましても、私は若干の議論があるのでございますが、これは後ほどにいたしまして、まず中央道におきましては、東京起点といたしまして、経過地は詳しく書いてありませんけれども、一応富士吉田までの計画を立てられまして、建設省案の四百十六億を十六億削ることによって大蔵省がこれを承認をして、そうして五カ年計画の中に入れられたということを新聞は報じておるわけであります。東海道においては、八百四十億をもって五カ年計画の中にこれを組み入れるということでございます。いずれも同慶にたえないことでありますが、ここで主として私は大蔵省当局にぜひともお聞きをいただきたいのは、これはいろはのいからの議論で、はなはだ恐縮でございますけれども中央道というものが、昭和三十二年に法律でもって、共産党の二名と当時の大臣と政務次官を除きました全員をもって可決されたゆえんのものはどこにあるかということの認識が、大蔵省においてはすこぶる不足をいたしておるように感ずるのであります。そのことがすべての面において抵抗となりまして、建設省案に対してももちろん、国会要望案に対しましても内面的に非常な抵抗がある。また一昨日までここにおられる主計局次長などは抵抗しておったようでありますが、はなはだしく私の不愉快とするところであります。  御承知通り日本は海外の領土を失いましたので、敗戦を契機にしてどうしても国内的に領土拡張をしなければならない。植民政策というものは今後はとるべきものじゃないのだ。そこで、われわれは、鋭意そのことに協力、努力をいたしまして、国内の領土拡張という意味から、一方においては海面の埋め立て、他方においては山岳切り開きということに着想いたしまして、そして努力いたしてきたものの一人でございますが、幸い日本国会はこれを非常に理解をいたしまして、これあるかなというので、実は三十二年に法律ができたわけでございます。いわゆる国土開発縦貫自動車道建設法の第一条にあります「この法律は、国土普遍的開発をはかり、画期的な産業立地振興及び国民生活領域の拡大を期するとともに、産業発展の不可欠の基盤たる高速自動車交通網を新たに形成させるため、国土を縦貫する高速幹線自動車道を開設し、及びこれと関連して新都市及び新農村建設等を促進することを目的とする。」という高邁、広大な国策的見地から、この法律共産党の二名を除きました満場一致をもって成立いたしましたことは、今なお諸君の御記憶の通りであります。しからば、日本国会満場一致の形で熱心にこの法律を成立さした以上は、この法律根本趣旨というものは国会意思であるといわなければならないのであります。国会意思はしからばどこにあるかと申せば、このような道路を作ることによって山岳部を切り開く。あるいは都市農村との格差の減少をはかる。あるいは新農村建設する。あるいは新都市建設する。役所の移転をする。そうして都市に集中せるところの人口の疎散をはかる。あるいは資源の面においては観光資源開発をはかる。あるいは鉱物資源開発をはかるとか、電力資源開発をはかるとかいうような、もろもろの多目的をもって、このような根本的な考え方から、山を開いて領土拡張する、そうして日本国土に多くの利益をあげたいというのでこの法律ができましたことは、おそらく同僚諸君はもちろんのこと、建設省といえども大蔵省といえども、これを御承知のはずであろうと思うのであります。しかるに、そのような高邁な目的をもってこれの立法がなされてから、すでに数年に相なるのでありますが、きのうまで、大蔵省においては、この高邁な目的というものの理解が少なくて、そうしてあくまで中央道の全通ということに対して抵抗をされたる形跡がありますことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。  私は御承知通り与党でございます。自由民主党に所属する一議員でございますけれども与党たると野党たるを問わず、国策であります以上は、もしも国策抵抗する者がありとせば、それは明らかにわれわれは排除すべき義務を感ぜざるを得ないのであります。私どもは、富士吉田までもって中央道と言っておるのではございません。法律によりますれば、中央道路線名中央自動車道と申しますけれども起点東京都、終点は吹田市にありますことは明らかであります。しかるに、今期五カ年計画におきましては、富士吉田まで以上の計画ができないという政府考え方、これにつきましては私は議論があるのでございますが、予算面においてもしも事実上そういうような考え方が成り立つといたしましても、あくまでこれは中央道一部分をやるということを前提にしていただかなければ、中央道はこれで打ち切られるのだということになりますれば、これは明らかに法律にいうところの中央道完成意味がないものといわなければならぬ。私どもは、その意味において、富士吉田までというのは中央道一部分をやるのであって、今度の五カ年計画においては一部分完成する所存であるけれども、第二期五カ年計画においては、あくまでも法律にいうところの中央道完成を目ざすとか、あるいはその覚悟でおるとか、そのつもりでおるとかいったような建設当局のお考え方をまず伺っておくと同町に、これを裏づける予算面において大蔵省が盛んに内部抵抗をされておる。そのいろいろの確証を私どもはつかんでおるのでございますが、大蔵省中央道に対してどのような見解をお持ちになるか。幸い主計局次長が来ておられるようでございますが、次長が一番抵抗されておる。その張本人であるところの次長さんから、きょうは一つとっくりとお伺いいたしたいのであります。
  4. 高野務

    高野政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの木村先生お話通り、昨日中央道東海道の五カ年計画に組み入れる計画資金額が、大蔵省との間に御相談がついたわけでございます。従いまして、さっそくこれから作業いたしまして、五カ年計画閣議決定に持ち込むという作業をしておるのでございます。私ども、今回の五カ年計画におきましては、中央道につきましては有料道路として計画せざるを得ない状態でございましたので、有料道路として計画しております。有料道路として東京富士吉田間の建設をやるということにしておるのでありますが、これはもちろん国土開発縦貫自動車道中央自動車道のうちの東京富士吉田間というつもりで工事に着手するわけでございます。
  5. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 ただいま木村委員から、私が国策抵抗しておるというお話でございますが、主計局の仕事と申すものは、御存じだろうと思うのでございますが、一定の限られた資金の中に、いかに最も国民の福祉を拡大化し得るような施策を盛り込むかという、その優先順位について、われわれなりにわれわれの考え方を申し上げて、しこうして政治的な御判断を仰ぐわけでございます。従って、中央道を作らないというわけではないのであります。この五カ年計画で認められました資金の中で一体どの道路を早くやるか、どの程度にやるかということについて、われわれなりの考えております投資効率からいった優先順位を事務的に申し上げておるわけでございます。すでに今道路局長からお話しになりましたように、政治的な決定もありましたことでありますから、私がそれについてとやかく申すわけではございません。ただ、今までの経過を語れとおっしゃるならば、われわれとしましては、さきの閣議決定になりました東海道との均衡を考慮しつつ、中央道の経費をいかばかりにするかということを決定しろ、そういう御趣旨に基づきまして、その均衡を確保するためにはどうしたらいいかということを、私なりの立場から申し上げたわけでございます。
  6. 木村公平

    木村(公)委員 大蔵省考え方は根本的に間違っておるのです。国会がすでに決定をいたしましたものを——それに対する予算づけについては大蔵省の責任であります。しかし、優劣決定するとか、私は私なりにあとか先かということをきめるといったような、そういう広大な強力な権限主計局の一次長に与えられておるという根拠は一体どこにあるのですか。さような根拠があるはずはありません。私どもはそれを奇怪千万だと言うのであります。中央道がいいのか、あるいは平坦部をつなぐところの道路がいいかということの判断は、あなた方がおやりになるものではないと思う。これは建設省の助言に基づいてわれわれが決定してよろしいことであります。これは当然の権限であると思うのです。われわれ国会決定せるものに対する予算づけに対しましては、あなた方にいろいろ技術上のことをお願いしなければならぬかもしれませんけれども、あくまでもあなた方が、私は私の考え優劣決定するとか、私は私なりの考えあと先決定するという、そんな国会を超越するがごとき、国会以上の権限が一主計局次長ごとき者に与えられておるとは私には考えられないのでありますが、その根拠を承りたい。
  7. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 結局、私たちの考え方は、政治が決定をし、かつその政府決定しましたことを国会が審査するので、私は何も国会権限を超越しようというわけではございません。それから、五カ年計画というのは、結局今後五カ年間の予算を拘束するわけでございます。従って、われわれといたしましては、資金が豊富にありまして、いかなる道路も御希望のままにできまする場合にはよろしいわけでございますが、一定資金の中におさめねばならぬというときには、われわれなりの考え方というものを申し上げて調整をせざるを得ないのでございます。
  8. 木村公平

    木村(公)委員 これは関連質問にどなたかがおやりになるはずでございますけれども、実は昨年の予算編成期にあたりまして、道路の五カ年計画を幾らにすべきかということがいろいろ問題になりまして、最終的には党の方の希望がある程度減額されまして、道路五カ年計画といたしまして、あなた方と談合の結果、最終的に承認されたのが二兆一千億であったことは御承知通りでございます。この内訳の中で、特に五百五十億を中央道に組み入れるということは確約があったはずでございます。しかるに卒然これが四百十六億に原案が削られてしまう。それをさらに十六億、何のつもりでお削りになったか知りませんが、四百億になった。まず五百五十億という確約は、道路局長もそこにおられますから御存じ通りでございますが、二兆一千億の場合には五百五十億でごしんぼう願いたいというあなた方の希望をいれて、そうしてわれわれは一緒に大蔵当局と談合した。これは裏話でございますが……。そこで、われわれは、少なくとも最低五百五十億というものは組み入れられるものと思っておったのでありますが、卒然とこれが四百十六億に変わってきた。そうして、その四百十六億のうち、大蔵省では査定の結果四百億より認められないと言い出した。こういう奇っ怪千万な話は私どもどうしても納得いかないのでございますが、まず道路局長から、どういうわけで四百十六億に減額されて原案をお出しになったかを伺いたい。さらに、十六億減額された根拠、なぜ十六億というようなわずかな金を減額されたのか、その点を次長から伺いたいと思います。
  9. 高野務

    高野政府委員 お答えいたします。  中央道につきましては、ただいま木村委員お話通りに、私どもといたしまして五百五十億という案を持ちましたことは事実でございます。ただ、その場合に、大蔵省が賛成したとかいうことは私はないと思います。これは余談でありまして……。五百五十億という場合には、私ども五カ年計画、二兆三千億という計画をいたしました。二兆三千億のうち、有料道路に五千二百億という配分を計画したわけでございます。その五千二百億のうち、中央道は五百五十億という計算をいたしました。五百五十億というのは、東京八王子車線八王子富士吉田車線で、富士吉田まで全部完成するという数字計算をしたのであります。しかし、その後五カ年計画の総投資額が二兆一千億になり、また有料道路は四千五百億になった結果におきまして、私ども、やむを得ないことではございますが、完成年度を多少繰り延べいたすということにいたしまして、四百十六億と計算いたしたわけであります。ただ、これは私自身を責めることになるわけでありますが、四百十六億、東京富士吉田までのうち、八王子富士吉田間は二車線完成するという数字はあげられなかったわけであります。これは大へん残念だったのであります。従いまして、今回四百億になりましても、実はこれは大へんおしかりを受けることでございますが、工程におきましてそれほどの変化はないのでございます。ただここで、東海道八百四十億、中央道の四百十六億が四百億になったという過程におきまして調整留保額といたしまして、二十億円を別途に留保することになっておりますので、これは今後の工事の進展に伴いまして、中央道東海道それぞれに使っていけるものだと考えております。
  10. 木村公平

    木村(公)委員 主計局次長、四百十六億を四百億になさったのはどういう意味ですか。
  11. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 これは、最後はわれわれの発言する機会というよりは、そういうふうな御決定になったわけですが、われわれの方は、御存じ通りもっと少なくてよいということで要求しておったわけでありますが、結局四百十六億が、あるいは東海道の八百四十四億が、今後いろいろな事業の経済的な条件の変化その他によって留保額が必要だろうということで、東海道から四億、中央道から十六億、合わせて二十億の留保額ができたということでありまして、その二十億は一体いかなる積算になっているかということについては、そういう妥協によって片づいた、こう御了解いただきたいと思います。
  12. 木村公平

    木村(公)委員 今の五百五十億と四百十六億との問題は、道路局長の御説明によりますと大体了承ができるのでございますが、ただ、小さいことのようでございますけれども、この中央道に対して愛情がないと申しますか、理解が薄いと申しますか、十六億を削って調整費という別のものを作る。しからば、その調整費性格でございますが、調整費というものはどうするのか。たとえば中央道完成のために、基本計画ができれば用地を買収するとか、あるいはまた一部分小牧寄りからも着工するとかいうような意味調整費なら、私どもも了解できるのでございますが、単に中央道から十六億削ろう、それから東海道から四億削ろう、十六億と四億とのこの削り方も妙な話で、理屈を言えば八百四十億も認める東海道から四億削り、四百十六億より認められないところから十六億削るということは、おかしいじゃないかということも言い得るでありましょうが、そのようなことはさまつなことでございますから、しばらく別といたしまして、この調整費性格です。この調整費というものはどういうような目的をもって残されたものか、あるいは承認されたものかということを、大蔵省からお伺いした方がよろしいかと思います。  もう一つ、時間がございませんから、あわせて道路局長に伺っておきたいと思いますが、中央道富士吉田までというものをお認めになったことはわかりますが、それより先小牧までの間というものはおやりになるのかならないのか。これはものの考え方で、有料道路であるから採算が合わないものは作れないということを一がいに言われますけれども採算が合うか合わないかに実は議論がある。合うという議論も十分成り立つわけでございます。あなたの方で合わないという議論があるいは大半を占めておるかもしれませんが、転換車両の数から申しましても十分採算が合い得るという考え方もあるし、もう一つは、なるほど富士吉田より西小牧までは採算が合わないと万歩譲ったにいたしましても、これは国策線でございますから、そういう場合には、それにかえるに有料道路にあらざるところの一級国道をもってするとか、あるいは高速自動車道法にいうところの自動車道を敷設するという——これは国策であるという見解が根本的な考え方、そうしてこういう山の中を切り開いて道をつけるということが、国内的には領土拡張になり、法律の第一条にいっておるように、新都市が作れるのだ。あるいは新農村建設に役立つのだ。あるいは地下資源開発できるのだ。あるいは観光資源を獲得することができる。その他あらゆる面から考えまして、国会はこの法律を立案して、これを可決しておるわけでございます。あらゆる目的から考えてこの山開きというものが国策として大事であるというので、ここにおられる諸君はほとんど全部大賛成をされた。ほかの諸君といえども共産党を除いては反対の者がなかったのでございます。その大国策道路に対しまして、わずかなことでありましても、十六億削るとかあるいは四百億にするというような、けちくさい考え方、しかも金がない金がないと言うかと思うと、東海道が出てくる。私自身考え方を言えば、どこを通りても私の方は通りますから、どちらを通ってもけっこうでございますけれども国策の点からいけば、これは目的が違うのです。中央道あるいはそのほかたくさんここに羅列されておりますのは、山を切り開いて道路を作ることによって、国内的の領土拡張したい、植民政策日本は捨てたのだから、国内的な領土拡張がしたいのだ、それと同時に、今開拓されざるところのもろもろのあらゆる資源を開拓したいのだ、それを利用したいのだ、それで国家に寄与したいのだという多目的をもって、この道路というものが立案され、法律と相なったのでございますので、おそらくそのことは建設省でも御存じかと思うのでございますが、中央道富士吉田までは一部分である。必ず所期の目的通り小牧まで結ぶのだ。小牧から先は現在やりつつありますから、小牧までは必ずやるのだということでなければ、結局中央道というのは未完成に終わるわけであります。しかしながら、もしも中央道をおやりになるとするならば、ここでお尋ねしたいことがある。すでに五カ年間調査をしておる。毎年五千万ないしは六千万の国費を使って、すでに五カ年間調査をして、その金は積もり積もって二億何千万になっておる。しかるにいまだ基本計画ができておりません。二億何千万円の調査費国費を使って、いまだ基本計画建設省はできない。運輸省、国鉄などは、失礼なことを言うようでございますけれどもペーパープランでも十分——今度の国鉄の新幹線でもペーパープランの区域すらある。そして着々と実行しておる。しかるに、建設省所管中央道建設に対しましては、すでに五カ年間五千万、六千万の国費を毎年使って調査をしながら、いまだに計画ができないから、もう五カ年間調査する。しからば、十カ年間調査をして、はたして基本計画が立つか立たないかということも疑わざるを得ない。五カ年間調査していまだ基本計画が立たないということに対して、道路局長はどのようにお考えであるか。もしも中央道を全線おやりになるつもりであるならば、はや基本計画をお立てになる時期であると考えるのでございますが、いかがでございましょうか。
  13. 高野務

    高野政府委員 先ほども申し上げましたように、今回の五カ年計画におきましては、中央道東京富士吉田間の建設に着手するということになったのでございますが、もちろん中央道東京小牧、あるいはそれを延ばしまして吹田までということでございます。中央道国土開発縦貫自動車道路法の一条にもございますように、日本の将来の理想といたしまして、私どもに与えられた非常に貴重な仕事でございます。また私ども道路技術者でございますので、あの山岳地帯に道を開きたいという夢を持っておるものでございます。しかしながら、現下の段階におきましては、これを有料道路計画せざるを得ない程度の資金ワクでございますので、有料道路として計画して、その有料道路として成り立つ東京富士吉田からまず着工するということであります。しかし、有料道路として成り立つと申しましても、現在の制度あるいは現在の取り扱いの有料道路という意味でございまして、先生がお話しになりますような、制度を多少変える、あるいは国の金を入れていくというようなことになれば、また別な考え方が出ることもよく知っております。また、将来現存いたします道路網が完成いたしまして、しかも道路に投資する資金が非常にふえた場合には、これを公共事業でもやりたいという希望を持っておるわけでございます。しかしながら今の状態では有料でやらざるを得ない。しかも、私ども役人でございますので、現在の制度でやるということで、東京富士吉田にかかるというつもりなのでございます。従いまして、私ども東京富士吉田までやれば中央道が済んだなどということは決して思っておりません。また、この計画についてでございますが、ただいま御指摘のように、過去数年、もう十年近くも調査をして参ったのでございまして、調査の成果は相当出ております。ただ私ども基本計画を今まで作れませんでしたのは、これを現実に着工するめどがなかなか立たない状態でございましたので、基本計画もできなかったということでございます。しかし、今度の五カ年計画では、交通閣僚協議会でも、一部ではありますが、これに着工するということになりましたので、基本計画をできるだけ早く作って参りたいと思います。私の今の考え方といたしましては今年くらいと思っておりますが、おそくとも今年度中には基本計画を立てて参りたいというつもりであります。
  14. 楯兼次郎

    ○楯委員 関連して大蔵省建設省の方に御答弁を願いたいと思いますが、今木村委員の質問の御答弁でふに落ちないことが二点あります。それは建設省大蔵省中央道均衡上四百億円に決定した、こういうことを強調されております。それから、中央道東海道にややおくれておるのは、有料道路として採算が合わない、これがあなたの方の唯一のよりどころであったような気がするわけです。そこで、あとで同僚委員から詳細にわたって質問があると思いますが、私は、今木村委員の質問に対するお答えには了解ができませんから、簡単に一つ査問をし、答弁願いたいと思います。  中央道は、二、三年前の建設省調査結果によりますと、建設費が三千二百億円、これは主計局次長も十分承知されておると思う。それから、東海道は、この資料によりますと二千四百億円という建設費が出ております。三千二百億円と二千四百億円を比較して、なぜ八百億と四百億が均衡されておるか。こういうことをあなた方は言われるのだが、われわれにはわからない。それから、有料道路として採算が合わぬ合わぬと主張されるのだが、いかなる調査に基づいてそれを強調されるのか。その物的根拠をここで明らかに一つお示し願いたい。この二点をお伺いしたい。
  15. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 最初に均衡という意味をお尋ねになりましたが、われわれは、東海道中央道均衡という意味を、有料道路として成り立つ東海道及び中央道東京富士吉田間の均衡というふうに考えております。従って、二千四百億と東京富士吉田間の九百億、これが約三千三百億ばかりになりますが、それに対して五年間に投入できる有料道路の関係の資金量千二百億の比率は約三七%と相なるわけでございまして、その三七%をいずれもの総資金額にかけまして出した数字がわれわれとしては均衡している。こういうふうに考えたわけでございます。  それから、有料道路として成り立つかどうか。これは結局そこを通ります自動車の台数がいかばかりであるかということによるわけでありまして、われわれの現在推定いたしております数字では、完成いたしました暁において、東海道の方は大体一日一万六千台くらいの自動車が通るであろう。しかし中央道の方は全線といたしますと六千台前後のものである。それでは、現在の六分の金利というものを考えますと、中央道の方は、特に富士吉田から中津川というものはペイしないのじゃないかというふうに考えております。このデータの詳細なことは、われわれの方は建設省の方からいただいておるデータによって判断いたしておりますので、道路局長から……。
  16. 楯兼次郎

    ○楯委員 詳細な議論あとでわが党委員の直門に譲りますが、大体われわれは——これはわれわればかりじゃない。日本全国、あるいは関係の議員は、中央道とは三千二百億円、これは建設省調査結果により出ておる。東海道は二千四百億円である。この均衡の上というふうにあなた方以外の者は全部了解しておる。だから、あなたがここで言う均衡上ということは、一般論としては私は通らぬと思う。こういうことを申し上げておきたい。  それから、この経済効果でありますが、これはなるほど調査のいかんによっては議論の分かれるところでしょう。この問題もあとでまた詳細な点は質疑応答いたしたいと思いますが、東京−名古屋間の長距離をどれくらいに見ておられるか、これはわかりませんけれども、ここでは質問をいたしません。しかし、建設省やわれわれの調査したところでは、採算が合う合わないという議論が数年間続いております。これは建設省の方にお答えを願いたいと思いますが、過日財団法人日本経済研究所に建設省が委嘱されて調査をした結果によりますと、当然採算が合うということが出ておる。ならば、これはもはや明白であろう。これはたとい三千二百億円、四千億円かけても、この有料道路一定年間にペイされるということがもうはっきりと決定づけられる。にもかかわらず、この国会委員会の席上で採算が合わぬとか、あるいはどうだ、こうだとか、こういう議論をされるということは、あなた方が、初めから、この小牧富士吉田間については将来へ引き延ばすんだ、建設の意欲を持たない、こういうことでこり固まっておるというふうにしか、われわれの方ではとれないわけです。この点どうですか。
  17. 高野務

    高野政府委員 お答えいたします。  ただいま日本経済研究所の調査報告をおあげになりましたが、日本経済研究所の調査報告によりますと、中央道は、経済の大きい意味採算性からいけばペイするということを申しております。私ども、この報告書を読みまして、またさらに他の学識経験者等の意見も徴しまして、これを今まとめているところでございます。もちろん法律までできておるのでございますから、日本全体の経済の上におきまして、中央道がペイしないなどということはあり得ないということであろうかと思います。しかしながら、私ども採算がとれないということを申したわけでございますが、これは、現行の有料道路のやり方で参りますと、採算がとれないということを申し上げたわけでございます。
  18. 楯兼次郎

    ○楯委員 もう一回。道路局長の答弁はどうもはっきりしないのですが、私の記憶しておるところでは、たとえば釜戸−多治見から少し入った比較的閑散な地域でも、東海道の浜松付近の交通量と同数であるということが、数年前交通調査をした結果出ているのです。これはお互いに採算が合うか合わないかという議論の分かれるところでありますが、あなた方が調査を依頼したこういう相当権威のある調査結果を見ても、またわれわれが数年前に交通量を調査した結果からにらみ合わせても、まず一定期間には採算がペイされる、こう考える方が常識的だと思っておる。私がそう言ったからあなたは言葉をにごされたようでありますが、先ほど主計局次長あたりは、もう有料道路では全然成り立たぬという、かちかちに病膏肓に入った頭でこの問題を議論されては、これはほんとうに国会意思を踏みにじるものである。木村委員のおっしゃる通りです。われわれは、これはいい道路だ、これはおもしろい、だから一つ賛成してやろうじゃないか、こんなことを言って十年前から議論をして通したのじゃない。しろうとでありますが、貴重な国費であります。われわれは、われわれの及ぶ限りの交通調査とかそういう参考資料に基づいて、議論議論を重ねた結果、現在の財政状態からいっても成り立つ、こういって通したのです。それを、今ごろ、とにかく大蔵省の相当権威ある方だろうと思うのだが、そんなものは有料道路として成り立たぬ。富士吉田までの有料道路として成り立つ区間を対比をして、中央道路と東海道均衡を見てやった。そんなばかげた議論は十年前の議論ですよ。今日予算の配分が最終決定になるというので当委員会に出たのですが、十年前の議論を権威あるあなた方から聞こうとは思わなかった。驚いたわけです。もう一回あなた方は勉強して、再認識の上に立って、この問題を再度協議をしていただかなければ、われわれとしては承知ができぬ。これだけを一つ関連質問でありますから申し上げておきます。
  19. 前田義雄

    前田(義)委員 関連して。  大蔵省次長さんにお尋ねしたいのですが、先ほど木村委員の御答弁の中に、要するに主計局というものは、経済効率とかいろいろ与えられたものを算定をして決定をする、それ以上のことは政治的判断に譲る以外にないという意味の御答弁があったように存じます。そこで、私たちの承るところによりますと、一月の三十六年度の予算大綱をきめる前の大蔵省の新道路五カ年計画に対する考え方は、一兆八千億を主張しておいでになる。そういうふうに聞いております。建設省が二兆三千億という主張でありますし、また自民党としても二兆三千億を大きく主張いたしていたわけであります。そこで、その一兆八千億を主張せられたときに、一体中央道に対してどのように大蔵省はお考えになっておったか。それをまず承りたい。
  20. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 私実は一月のときにはまだ主計局におりませんでしたので、こまかいことは存じませんが、私の推定いたしますところ、一兆八千億の五カ年道路計画大蔵省が本年当初において主張いたしましたときには、おもに財源上の面からの主張であったと思います。当時のガソリン税を据え置きにする以上、おそらく五カ年間に収入をされるであろうところのガソリン税の総額は、経済の伸びを前提に置きまして計算すると、こうなるだろう。それから、有料道路の関係につきましては、財政投融資の原資はおのずから郵便貯金、簡保その他の点から制限を受けますので、それが最近までの伸び方から推定をいたしますと、こういうことになるだろう。従って、そこらの点から五カ年間の規模を推定すると、一兆八千億程度にならざるを得ないというふうなことであったかと思います。
  21. 前田義雄

    前田(義)委員 私のお尋ねしておるのは、一兆八千億のときに、中央道に対してどのような岩考えを持っておいでになったか、それをお伺いしている。
  22. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 今次長のお答えのようにその当時おられませんでしたので、私担当しておりましたから申し上げます。  一兆八千億という案はいわば予算の折衝過程に出た案でございまして、別にその案できまったというふうなものではございません。その際に私ども考えました数字としては、有料道路は三千五百億円くらいでやってもらいたい、こういうことでございました。従いまして、その内容としては、有料道路としての採算上、優先度の商い東海道の方にむしろこの重点を置いてやっていくべきである、こういうようなことを申し上げておったわけであります。これは結局いろいろの経過がございまして、現在ある二兆一千億という案で有料道路四千五百億ということで、私どももちろんそれで積極的にやって参りましょうということにきまったわけでございます。経過の問題としてはそうであります。
  23. 前田義雄

    前田(義)委員 今のお答えじゃはっきりしないのでありますが、一兆八千億から二兆一千億になったということの経過大蔵省の方々もよく御存じと思う。三千億上昇して二兆一千億になったということの中身には、中央道というものが大きく取り上げられておることは、これははっきりした事実であります。そこで、先ほど次長からの答弁にあったわけでありますが、大蔵省主計局としては一応の算定をせられて、しかもその上に対しては政治的配慮に従うのだというような意味の御答弁があったわけでございますが、三千億新道路五カ年計画において上昇をしたということの内容においては、大きく中央道というものが取り上げられているのだということを、十分に認識があってしかるべきだと思うのです。そこで、その中にどれだけ中央道に対しての予算があるかということについてはここでは申し上げませんが、少なくとも三千億については、おそらくあなたのお考えになっている以外において大きな政治的配慮が加わっているという以上は、先ほど木村委員の御質問にもあった通りに、国会がこれを大きく主張をしてやった仕事に対しては、大蔵省主計局において、経済効果がどうであるとか、いろんなことを理由づけて勝手に算定を立てられるというようなことは、言葉は言い過ぎかもしれませんけれども、僭越なやり方ではないかと思わざるを得ないのであります。特に承るところによりますと、大蔵省は、四百十六億の建設省基本計画に対してすらも、三百四十億をどこまでも固執せられたということを承っておるわけであります。主計局の経済効果の算定というものがそのつどいろいろと変化をするというようなことがあってはならないものだと思う。一体どういう算定をお立てになったのか、それをじっくり承りたい。
  24. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 すでにきまったことでございますから、われわれがどういう主張を申し上げたかということをるる御説明申し上げても、あまり効果はないかと思うのでありますが、われわれは、やはり有料道路であり、かつ有料道路資金も限られておるということから、中火道なり東海道の超過便益あるいは費用便益比率というふうなものを、いろいろ建設省その他から資料をいただいて、それによってどちらをより多くやるべきかというふうなことを考えて参ったわけであります。しかし、両者の均衡を見てきめろという閣議決定お話でございましたので、われわれとしては、そういう均衡を、先ほど申し上げたように、三七%というところでやればどうなるかということから、中央道東海道資金配分についての案をわれわれが考えて申し上げたわけであります。
  25. 木村公平

    木村(公)委員 大蔵省の根本的な誤りは、中央道国策道であるということの認識が足りないということなのです。そこから派生して採算主義一点張りでもって、しかも採算主義のデータというものは建設省から出ているというお話でありますが、われわれには納得がいかない。おそらく中央道完成の暁には、東海道より距離が短縮され、たんたん砥のごとき道ができた場合に、おそらく勾配の点においても、あるいは屈折の点においても、相当の専門家が最も日本の自動車に向くような道を作られるに違いないと信ずるのでありますが、そのような道ができた場合に、転換車両計算などにおいても、おそらくまだ大蔵省は認識が足りないと思いますし、建設省も意図あって、転換車両のむしろ減少と申しますか、寡少な材料、資料を大蔵省に出しておられるのじゃなかろうかとすらも疑わざるを行ないような状態がございますが、一番大事な問題は、これが国策道であるのだ、国会ですでに満場一致きまって、そして日本国策のために山開きをしなければならないのだ、領土拡張をしなければならぬのだ、いまだ開発されておらぬところの資源を根こそぎこの際こういう時代であるから開発しなければならないのだ、そういう根本国策を忘れて、ただ採算主義の名のもとにおいてイージー・ゴーイングな道を歩みたがるところに、役人としての性格が露出しておる。それと同時に、こういうようなやり方をやって、今後もなおかつ内部において人のいい政治家をごまかすぐらいのことは幾らでもできるでしょう。しかし、そういうようなことをおやりになった結果において、どのようになったかということは、太平洋戦争を見てみれば一番よくわかる。あれも表面的には東条の責任でありましょう。しかし、内面的には、あの当時の役人というものが、戦争協力の名のもとにおいて、つまらないことばかりやって政治を歪曲したわけです。今あなた方が、採算主義の名前のもとに、国策を忘れて、政治家の考えておることを歪曲して、予算の面においてこれをいろいろいじくろうとする。そういうことで、やがては中央道というものがとうとう世の中に出ることができないようなことになるかもしれない。いわゆる国策というものに背馳することです。もしもそのような結果が出た場合には——みんなここにおられる諸君は、おそらく単純に自分の選挙区だけのためにやっておられるのじゃないのです。ほんとうに国家のために山開きをすることが大事だというので、中央道なり東北道等ができる。あるいは何々道という多くの山開きの法律があり、そして領土拡張ということが企図されておる。それが日本国会の現在のありのままの姿、日本の政治家の一様に考えるところの一番根本の問題です。その根本の問題を忘れて、一官僚が、自分が選択をするとか、東海道あるいは中央道のどちらがいいか悪いかということは、おれたちの選択にあるかのごとく錯覚して、手先でもってわれわれの関知しないときにそれに抵抗されるというようなことを今後も続けられますならば、私はほんとうに国家のために不幸であると考えますので、あらためて中央道というものが成り立ちましたところの国策道であるゆえんのものを御勉強願いたい。宮崎君も一緒に勉強してもらいたい。もしも私が人情のない、あるいは理屈一片だけを申しますれば、東海道を通ってくれれば、これが拡幅されて、そして高速自動車道となってくれれば、私自身は非常に便益を受けるのでありますが、東海道で将来車両が満員になって、そして狭隘を告げて、それがために国家に損失を与えるとか、あるいは車両に損失を与えるという個所は数カ所にすぎないということも、建設省はすでに御承知のはずです。そこにバイ・パスを作ることによって、実は巨額の金を使わなくても、東海道の議員諸君を初め大衆諸君の満足する道はあるとすらもわれわれは考えておる。中央道はそのような自動車だけに便益を与えるのが目的じゃないのです。山開きをするごとによって地下資源も取りたい、観光資源も得たい、あるいはまたそういうことによって道路の緩和もしたい、東海道の緩和もしたい、人口の分散もはかりたい、新都市も作りたい、新農村建設したい、そういうあらゆる目的のために国策としてこれが取り上げられたのでありますので、この点の認識を十分持っていただきたいと思います。  それと同時に、一つだけ最後に伺っておきたいのは、小さい話で恐縮でありますが、二十億のあなた方が調整費としてお出しになった金、これを、基本計画ができたあとにおいては、たとえば道路の用地買収などの費用に使い得るものかどうか。これは私はそういう財政法上のことはよくわかりませんが、基本計画が今年度かりにできる、できたあとにおいては、この二十億の金でひとまず用地買収もできるのかできないのかということを、道路局長からお伺いしたいと思います。
  26. 高野務

    高野政府委員 この調整留保額につきましては、まだ大蔵省とよく相談ができていないのであります。ただ私どもといたしましては、これは中央道東海道工事の進捗を見まして、その後におきましてこれを使っていきたいという金であると存じております。
  27. 木村公平

    木村(公)委員 最後に一つだけ申し上げて、私の質疑を打ち切りたいと思います。こういう場所で申し上げるのはどうかと思いますが、過日決算委員会におきまして、会計検査院長である山田と申す者が、国会を無視した、軽視したという言動がありまして、それがために解職された事実は御承知だろうと思います。大蔵省主計局次長がここにおられますが、主計局次長の御答弁を終始伺っておりますと、機構上の国会、国権の最高機関としての国会というものに対して、全くこれは勉強が足りない、理解がないように私どもは思いますので、はなはだしく不愉快であるのでございます。おそらく予算をおつけになる場合の一番大事なことは、国会できめられたものに見合って、国全体の予算を考慮に入れて予算づけをなさることが当然でございます。そうでなく、そういうことは一切無視して、おれはこう思うからこちらには予算をよけいつけてやろう、おれはこう思うからこちらの方は予算を削るといったような、そういうばかげたことが国会意思をじゅうりんして平然と行なわれるということが今後続きましたならば、これは重大な問題でございますので、私は、この点については特にきょうおいでの主計局次長並びに宮崎君に申し上げて、私の質疑は打ち切りたいと思います。
  28. 二階堂進

    ○二階堂委員長 金丸信君。
  29. 金丸信

    ○金丸委員 中央道の問題につきまして、私は山梨県選出ですから山梨県のことを言うわけではありませんが、先ほど来各委員からいろいろの査問が出まして、中央道国策としての必要性は当然これは認めておるところでありますが、今回四百億の予算につきまして三十七年から中央道に着工する、この年度計画というか年次計画がありましたら、一つ聞かしていただきたいと思います。
  30. 高野務

    高野政府委員 私どもといたしましては、五カ年計画の資料を出しますにあたりまして、もちろん年次計画を立てまして五カ年に入るワクを算出しているのでございます。それで、中央道東京富士吉田につきましては、東京−箱根間はこれは四車線、それから八王子富士吉田間は、まず最初の一段階といたしまして二車線ということを目標に立てまして、その後においてまたこれを拡幅するわけでございますが、それまでの第一段階の仕事といたしまして、全部で七百八十六億かかるのであります。そのうち五カ年の間に四百億という計上をしております。従いまして四十二年までに完成するというつもりでおります。なお、この各年度の額につきましては、三十七年度予算の際におきまして検討することでございまして、さらにこれを大蔵省と相談して参りたいと思っております。もう一ぺん申し上げますと、七百八十六億のうち五カ年間に四百億、こういうことでございます。
  31. 金丸信

    ○金丸委員 大蔵省へ行ってこれからいろいろ折衝するという案があるだろうと思うのですが、案がありましたら……。
  32. 高野務

    高野政府委員 今回の五カ年計画は、四百にきまりますと、さらに検討を要する問題でございますが、私どもといたしまして三十七年度予算の要求は二十億でございます。
  33. 金丸信

    ○金丸委員 その二十億は何に考えておられますか。
  34. 高野務

    高野政府委員 この二十億は、東京富士吉田間におきまして、道路公団が用地を買収する費用に考えております。
  35. 金丸信

    ○金丸委員 実はこの問題で、前に閣僚懇談会で、一度できまるものが二度かかって、ようやく中央道が一応東京富士吉田間ときまった。それは、大蔵大臣は一人できめるわけにはいかない、主計局に帰って相談というようなことだったと思うのですが、この問題でそのいきさつを聞いてみますと、当時八王子まで中央道という考え大蔵省であった。そういうことを考えてみますと、この二十億をきめたということは、大蔵省とどういうことになりますか。その二十億という問題は、東京八王子間の土地買収費だと私は聞いておるのですが……。
  36. 高野務

    高野政府委員 この二十億につきましては、私ども当初から東京富士吉田というふうな計画でやっておりまして、東京富士吉田の間の用地買収というっもりでございます。ただ、その後におきまして、交通閣僚協議会の段階におきまして、一つの意見といたしまして、東京八王子をやるべきであるという意見が出たことは事実であろうかと思います。しかし、私ども予算要求といたしましては、当初から東京富士吉田間、こういうつもりでございます。
  37. 金丸信

    ○金丸委員 関連して次長に伺うわけでありますが、今の二十億のお話なのですが、大蔵省としての考えを伺いたいと思います。
  38. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 これは来年度の予算編成における問題でございまして、われわれまだ係が説明を聞いておる程度でございまして、それに対してどう査定するかという考え方はまだきまっておりません。
  39. 金丸信

    ○金丸委員 実は私たちが一番心配いたしますのは、大蔵省は、どうしても中央道はできるだけ延ばさしたい、一応東京八王子間の土地買収ということにすれば、なかなか土地買収もむずかしいから、これは延びるだろうというような考えのもとに、この二十億というような問題が出てきておる、こういうようにも巷間に伝わっておるわけでありますが、私は、ここで、土地買収をするという問題につきまして、中央道八王子東京間ということでなくて、先ほど道路局長の話がありましたように、東京富士吉田間、買えるところから買うというような考え方を持っていくべきだと思うのですが、それに対して道路局長一つ承りたいと思います。
  40. 高野務

    高野政府委員 交通閣僚協議会におきましても、東京富士吉田という決定ができているのでございまして、私ども東京富士吉田というものを対象にいたしまして、できるだけ効率的に工事を進めて参りたいというつもりでございますので、用地買収は東京八王子というふうに限るというようなことは考えられないのでございます。と同町に、富士山ろく方面におきましては、すでに用地のめどがつくようなところもあろうかと思いますが、その辺を片づけて参りたいと思います。本来なら用地を買収する金は全部で百三十億くらいかかるのでございますが、これを一挙にやるという手があるのでございますが、しかし、これはやはり私ども用地買収の折衝その他いろいろな点がございまして、とても一挙にはできませんので、まず二十億という数字を出したのでございまして、用地だけは全線にわたって確保して参りたいと考えております。
  41. 金丸信

    ○金丸委員 中央道の今の二十億の問題ですが、今巷間伝わるところによりますと、大蔵大臣から、主計局の今までの報告というものは非常に間違っておった、政治情勢は非常に変わっておったということで、主計局のだれか知らないが、えらく痛めつけられたという話を漏れ承ったのであります。そういうようなことで、この勝負は大蔵省が負けだという言葉をだれかが言ったと私は漏れ承ったのですが、この問題は負けた勝ったという問題でなくて、そんな問題は抜きにして、この中央道土地買収という問題につきましては、私は東京八王子は土地買収はなかなかむずかしいだろうと思う。土地買収の問題については富士吉田東京間の買えるところから買って、できることならば全線を全部買うということが、一番安く上がる方法であろうと思うわけであります。それに関連して、これから買収ということになりますと、路線の決定という問題もあろうかと思いますが、路線の決定の問題について御意見を承りたいと思います。
  42. 高野務

    高野政府委員 中央道の路線の問題につきましては、過去数年にわたりまして大月線、道志線等を初めといたします比較線をそれぞれ調査いたしまして、案を持っておるのでございます。しかし、これは世紀の大事業を伴います。また多額の投資を要します道路でございますので、経済効果等もできるだけ一番高いところにこれをひく必要があるのでありまして、慎重に検討しているところでございます。五カ年計画のワクもきまったわけでございますし、今後予定路線の中で基本計画を立てていくわけでありますから、基本計画を立てるにあたりまして、縦貫道審議会の路線部会がございますので、路線部会等に諮りまして決定して参りたいと思います。
  43. 金丸信

    ○金丸委員 その決定はいつごろいたす予定でおりますか。
  44. 高野務

    高野政府委員 先ほど基本計画はおそくとも年度内ということを申し上げているわけであります。基本計画を立案いたしますには路線をきめなければなりませんので、基本計画決定以前に路線をきめるということになるわけでございます。
  45. 金丸信

    ○金丸委員 最後に一つ伺いたいと思うのですが、既存の道路公団の有料道路の収入の内容を、詳細でなくてけっこうですから、大体のお話を伺いたいと思います。
  46. 高野務

    高野政府委員 現在供用開始しております有料道路は四十五本あるのでございます。そのうち十八カ所が収支計算がプラスになっております。その利益金が三十五年度について五億二千万円でございます。また他の二十七カ所は現在なお赤字でございまして、これが五億六千万円、差引四千万円の赤字が出ているわけでございますが、これは開業早々でございまして、事実におきましては、私どもが見積もっております計画交通量の線をむしろ上回った傾向がございますし、将来増収が期待できるので、この四千万日の赤字は間もなくプラスの方に向いていくと思いますが、しかし全体としまして大体バランスしているということが言えるのであります。
  47. 金丸信

    ○金丸委員 私は福島県の磐梯のスカイラインの有料道路の話を承ったのですが、これは最初大蔵省見解としては経済がペイしないということで、なかなか着工の段取りにならなかったけれども、いろいろな関係ででき上がってみたところが、大蔵省考えよりはるかに上回る収入があった。私は、道路というものは、道路ができるからそこに自動車が入ってくると思う。山梨県あるいは岐阜県、長野県というような、経済の低い現在の状況から判断するということではなくて、将来という、百年の大計の上から考えるならば、必ずや私はペイ以上のものが出てくると思う七先ほど木村委員からもお話がありましたように、国策道路というところにこの中央道の意義があるわけでありますから、大蔵省も、国会で大部分の議決によってこれがきまったという線を尊重して、中央道を一日も早く完成させるように考えてもらいたい。私は山梨県ですから山梨県だけでいいということではなくて、あの赤石山脈の土手っ腹に穴をあけることは、日本国民としては大きな理想であり夢であると考えるのでありますが、予算の面も考えれば、なかなかむずかしい問題もあろうと思うわけでありまして、そういう意味から、小牧から岐阜県を通り飯田まで、まず次の段階では考えるべきであるということをお願いいたしまして、質問を終わります。
  48. 細田義安

    細田(義)委員 関連して。  先輩の諸君からいろいろ御質問があったのでありますが、道路予算考えが出まして、三十三年から三十七年にわたって一兆円の金をもって道路をやるということで、中央道に当時百三億というものが考えられておったわけです。三十七年度、来年度がその最終の年度であります。従来の一兆円の予算においても、三十七年度までには百二億という金が道路の整備あるいは実施の面に使われるという考え方があったわけです。われわれは二兆三千億を主張したのでありますが、財源の都合で折り合っての二兆一千億、この中において三十七年度に何と二十億でがまんをせよというような話であるとするならば、これはきわめて後退でありまして、前向きの姿というものは見られぬわけであります。私どもは非常に遺憾に思います。そこで土地は、東京の周辺はいろいろめんどうがあろうかと存じますが、たとえば長野県にしても、岐阜県にしても、山梨県にしても、その他の地区においては率先をして県も市町村もこれに協力をして参る。県有地であれば、これは奉納してもけっこうである、かような熱意を示しておるのでありますから、用地買収というものは、もっと予算を取って、これを遂行する熱意を持ってもらいたい。  それから、経済効率の問題が云々されておりますが、私どもは明日からの経済効率を大きく考えている。日本の国が貧弱だといって、今経済の成長が云々されておりますが、後進国の開発考えなければならぬということは世界の風潮であり、またその中において日本一つの役割を演じなければならぬという世界的な要請、こういうものが大きくあるわけです。そこで、国内における後進県を開発して参るということは、当代のわれわれの責任でございます。ただそろばんをはじいて、きょうまでもうかったやつだけをやるということでなしに、道路の生命は、この第一条に宣言しております通り、これは日本国の開発をするということ、ここに大蔵省諸君建設省諸君も目を開いて、これに理解を持ち、愛情を注いでやれば、この仕事は必ずできるのであります。過去において建設省諸君は数年前にできない相談だと言っておった。それが今大蔵省に伝染をしておるわけです。大蔵省諸君もやがては門を開いてわれわれについてくると思うのでありますが、今踏み切っておらない態度については、私どもは同僚、先輩諸君とともに非常に遺憾に存じておるわけであります。開発をする、おくれたところを引き上げてやる、生活の中において民生保護を加えてそこを引き上げてやる、こういう時代でありまして、国土全体を考えましても日本の利用度というものが増して参るということは、今日至上命令ですよ。これは役所のすみっこにおいて考えることではない。われわれ四百何十名が決然として立って、これこそが日本の当代のわれわれの責任であるということで決定をしたわけであります。これについて作業を進めて、これが実施できるようにすることが諸君の責任でなければならぬわけです。私は去った人をとやかく言うのではありませんが、前の道路局長の佐藤君は、氷が張る、霧が巻くからできない話だと言ったとき、きさま、やめろ、われわれがきめたことを実施するのが役人の責任だ、それができない人は役所においてそういう重要な仕事を担当すべき筋合いではない、こういう観点から——この仕事というものは愛情を持って理解を深めていけばだれも反対するものはないのですよ。今日減税の問題が考えられて、景気の見方がへんてこだったから、これに備えて一つたな上げましょうという議論もあります。同時に、社会保障を徹底して、底を上げて格差を解消すべきだという議論もあります。さらに、公共事業がおくれておるから、これをやるべきだ、いや二一%の国民負担をこえてはならぬから、減税を大いにすべきだという議論もありまするが、公共事業のおくれというものは、目先だけ考えてやっておったら——港湾に行けば三十日以上船がつかえております。私ども小平町に住んでおりますが、昔四十五分で通えたところが、今は一時間半かからなければ通うことができないという状況であります。私どもは、もっと活眼を開いて、明日を考えて勇気を持って施策をやることが絶対に必要だということを申し上げたいのであります。こういう基本的な点について、あなた方御両所はどのような御見解を持っておるか、お伺いしたいと思います。
  49. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 ただいま開発投資、先行投資の必要性について細田委員から御教示を賜わったわけであります。われわれも開発投資の重要性について目をおおっておるわけではございません。しかしながら、末尾においておっしゃいましたように、港湾が船込みで梗塞し、それから都市の交通が非常に繁雑をいたしておる。われわれ日本の経済の弱点というものは、こうした産業の基盤となるところの社会資本というものが非常に不足しておるというところにあるのであります。おっしゃるように、先行投資をやるということになりますと、現実にネックになっておりますところの梗塞部の打開ができない。そこばかりやっておるとまた先の前向きの開発投資がおろそかになる。ここに現在の日本の公共投資のジレンマがあるわけであります。従ってそれをいかなる割合で配分するか、最も効率的に現在のネックを打開し、かつおそらく数年後に迫るであろう社会資本の不足というものに対する先行投資をどうするかということが、最もむずかしいのであります。それにはそれなりのわれわれの考え方があるわけであります。しかし、われわれの考え方は、結局は政治という高い部面で統合されるわけでありますから、きまったことについては何も申し上げるわけではございませんけれども、しかし、先ほど戦前の官僚に対する御訓戒を賜わりましたが、私は、その官僚の考えるべき点というのは、やはり自分の考えておるところをはっきり申し上げて批判をいただくことだろうと思うのです。戦前の官僚というものがなぜああいう結果になったかということは私ども反省して、やはり現在の世の中においても、はっきりわれわれの所信を申し上げて批判をいただくこと以上にないと思うのであります。だからわれわれはそういうつもりで申し上げたのです。もしわれわれが間違っておれば、幾らでも勉強するつもりであります。しかしながら、この中央道決定経過において、われわれがどういうような考え方をしてどうしたかということについては、この際釈然として御了解をいただきたいと思うのであります。
  50. 高野務

    高野政府委員 細田先生の御意見及び国土開発縦貫自動車道中央道の意義については、十分承った通り同感に存ずる次第であります。私ども、先ほど申し上げましたように、中央道法律の示す通り日本の最も希望を持った道路だと思います。従いまして、今回の五カ年計画では東京小牧ということになったのでございますが、私などは、役所をやめましても、うちにおりましても、これが成立の一日も早いことを念願しておるものでございます。また、現在におきましては技術も進んで参りましたので、前の道路局におきましては、あの地域に道路はなかなか作りにくい、あるいは作っても利用はしにくいということを再三申し上げたのではないかと思いますが、私は、現在におきまして、あの工事が私ども日本の技術者でできないということは決して申し上げなくてもいいだけの自信がございます。また、あの山岳部におきましては、山岳部にふさわしい道を作ればりっぱに利用ができるとも思っております。
  51. 細田義安

    細田(義)委員 金の問題でありますが、現在の税収の状況を見ますと、四千五百億から五千億の予算外の増収があるであろう。九月の決算を見なければ、将来の見通しは確実なところは困難でありますが、経済は変になっておりますが、今までの業績を清算するわけでありますから、九月の決算はそう悪いものだとは、帳簿上において、は考えられないわけであります。従って、この金をどのように使うかということは、今後この理想を、われわれのこの法律で定めた問題を片づけて参るには、一般会計から幾ら入れればいいのだということ、これも一つの案であります。私どもは経済効率を云々して計画をしなければならぬということを申しておりますが、この考え方を推し進めていきますれば、岐阜とかあるいは長野とか、こういうところを現在通すということは、財源的にはとうてい不可能であります。私どもは高い角度からものを判断いたしまして、そうして将来の国民に感謝をされるような、先輩よくやったという仕事を残して参りたい、こういうことで後進県の開発考えておるのが中央道でございますから、これに一般会計から金を投じて悪いとか筋が違うなんという従来の考え方を固持するならば、これは考え方を変更してもらわなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、こういう点については、大蔵省はどのような見解を持っておるか。
  52. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 来年度予算でどの程度の租税の収入増加があり、従ってどの程度一般会計の金として道路関係に充てるだけの余裕が出てくるか。これは私がここで申し上げる段階でもございませんし、いろいろ予算の編成方針というものは今後においてきまるわけでございます。減税をどうするとか、いろいろな問題がございますので、ここで私が、どういうふうな程度の余裕があり、どの程度の繰り入れができるかということについての御返答を申し上げることは、ちょっと差し控えたいと思います。
  53. 細田義安

    細田(義)委員 中央自動車道建設に着手されるまでには、第一に予定路線がきめられなければならぬということで、これは昨年の五月にきまったわけであります。第二に、基本計画と整備計画国土開発縦貫自動車道建設審議会に諮ってきめなければなりません。中央自動車道東京小牧間、この間には昭和三十二年から毎年五千万円から六千万円の金が使われております。すでに五カ年間で二億数千万円の金が使われておる。しかるにいまだに基本計画が立っておらない。こんなばかな話はほんとうはないわけでありますが、現状はその通りであります。政府は、今度の五カ年計画に、東京富士吉田間の事業費を計上して、本年の十二月までにこの区間の基本計画をきめると言っておりますが、小牧富士吉田間の事業費については全然計上しないということを聞いておるわけです。これは私は非常に遺憾に思っておるわけです。そういたしますと、すでに五年にわたって調査をした、その上で今後さらに五カ年調査をしなければならぬというようなことになるわけですね。理論的には、ことしあるいは今後一カ年ぐらいで、要望いたしておりますところの調査を完了して、基本計画が策定されなければならないと考えているわけであります。以上の理由で、小牧富士吉田間の用地買収費これは金額は三十三億三千五百万円ぐらいだといわれておりますが、これは当然に来年度予算に計上すべきだ、私どもは、二十億にこだわってはならぬ、かように考えているわけでありますが、いかがです。
  54. 高野務

    高野政府委員 先ほど申し上げましたように、中央道調査も相当進んでおりますので、東京富士吉田間着工ということになったわけでございますが、基本計画につきましては、再三申し上げますように、今年度内に審議会に提出したいと思っております。もちろんその前に予定路線に従いまして計画路線をきめて参るのでございます。その上におきまして基本計画を作るつもりでおります。ただ富士吉田小牧につきましては、現在のところ現在の有料道路の制度におきましてなかなか償還でき得るめどがつきませんので、さらにこれの調査を続けて参りたいと思っております。内輪の話で恐縮でございますが、大臣からは小牧からこっちへ何とかして有料でできないかというお話がございまして、ずいぶん努力していい資料を出そうとしたわけでございます。それでなお現在の制度では採算のベースに乗りませんので、現在のようなことになっているわけでございます。しかし、私ども、岐阜から中津川、中津川から飯田につきましても、ことに岐阜−中津川付近は、今後そう遠い将来でなくとも、相当工業等の開発が行なわれているようでございますので、そういう点をさらに調査しながら、これにいかに早く着工できるかというめどをつけるために調査をいたしたい、こういうことであります。
  55. 中島巖

    中島(巖)委員 関連して。  珍しく主計局次長が来てくれたので、主計局次長に聞いてもらいたいのですが、今まで議論されている次長の言葉、これからここにおいでになる諸君の言葉は、この法律が成立するときに二カ年間もみ抜いて、日本のあらゆる経済人、あらゆる金融機関の人、そういう人を何十回となく参考人に呼んで、そのときもう議論をし尽した議論なんです。今ごろ経済効果がどうだの、交通量がどうだのという議論をする段階ではないのですよ。そういうことでこの法律が成立しているわけです。そこで、現在の様子は、皆さんの質問でもわかるように、大蔵省はけしからぬ、こういうほうはいたる世論があるわけです。それで、先ほど木村委員からも話されたように、官僚と軍部の思い上がりでもってあの大東亜戦争が始まったのと同じように、今の状態でいけばそういう状態になるのだという議論さえあるのです。だが僕はそうは思わぬのですよ。どういう理由で思わぬかというと、建設省は、この道路に徹底的に反対して、法案成立のときもあらゆる抵抗を試みたのですよ。それから、これが成立したあとも、小牧から東京間はやらせまいということで、大蔵省に数年にわたって吹き込んでいる。その頭であなたたちはおるのです。それから、失礼な申し分だが、自治省なんかはこの問題について何も御存じないのです。大ざっぱな話で、中央道はどこが起点でどこが終点だといっても、おそらくお答えできぬくらいだと思うのです。大へん失礼な話だけれども大蔵省としてはもっともだと思うのです。数年にわたってこれはだめだ、だめだと担当の役人に必ず吹き込んでおるのだから、その頭が抜け切らぬのです。それは当然だと思うのです。そこで謙虚な気持になってよくこれを研究してもらいたいというのが私の考えなんです。建設省関係のことはあとで私どもも究明しなければならぬと思うのですが、道路局長がかわったり大臣がかわったりして、建設省も最近、前向きじゃないけれども、横向きぐらいにはなったのです。横向きにはなったけれども、今まで数年にわたってだめだ、だめだと吹き込んだ大蔵省のあなたたちに、これはいいとは言えぬでしょう。現在の情勢はそういうものだと思うのです。ここをよく考えていただかなければいかぬのです。  それから、私は資料として提供しますけれども建設省は自分で調査して、おそろしく金がかかる、だめだという宣伝をしておるわけです。そして建設省は各方面に委託した資料を取ってそれを発表しておるのです。ところが、委託した資料まで、自分の都合のいい中央道がだめだという資料ならどんどん発表するけれども中央道がいいというような資料だと、ちっとも発表せずに秘密にしておるのです。実にけしからぬ態度です。それで建設省の委託によって財団法人日本経済研究所が調査した中央道沿線地域の経済開発効果の報告書というものが出ておるのです。これはおそらくあなたの方にいっておらぬと思うが、これで見ると、昭和四十二年に中央道ができたとして、昭和五十二年になればどうなるかと申しますと、中央道ができずにおれば沿線の所得は八千五百四十六億だ。中央道ができれば二兆四十五億だ。そうしてその差は、昭和四十二年に完成して五十二年の十カ年間で一兆一千四百九十九億だ。とにかく十カ年間に一兆二千億の所得の格差ができるということをはっきり建設省調査した。相当建設省はこれにブレーキをかけて、なるたけ不利なようにさせようと努めたと私は思うのだけれども、それでもなおかつこういう資料が出ておるのですよ。そこで、私の申し上げることは、国会で二カ年間をもみ抜いて、そしてあらゆる方面の権威者を参考人に何十回となく呼んで、敗戦後の日本経済という広い視野から、日本の経済も、日本道路交通の状況も、建設費の状況も、あらゆるところを勘案して成立したこの法律なんです。それを今さら、法律制定当時の経済効果がどうだとか資金がどうだとか、あるいはペイするとかせぬとか、そういうことを論ずべきものではなくして、優先的にこれと取り組んで、もし有料道路採算関係で縛られるとすれば、それを打開するような法律を皆さんが作って国会へ提出するというのがあたりまえじゃありませんか。たとえば今の資料だって、権限のない建設次官がわざわざ審議会を開いて不利益な調査の報告ばかりしておって、こんな報告をしたことはないのです。それから、先ごろもそこにちょうどおられる高速道路課長をわれわれの部会へ呼んで聞いてみれば、中津川−小牧の間は十九号国道を開設すれば間に合うとか、あるいはそれを開設したために多治見だとかどこだかの有料道路の料金収入が少なくなった、こんなばかなことを言っておる。そんな一部分のことを言っておるのではない。いわゆる政治家が政治感覚によって、敗戦後の日本経済はどう持っていかなければならぬか、こういうような大きな視野からきめた法律で、役人はその法律に基づいて忠実に仕事をすればそれでいいのですよ。根本的の問題として私はそう考える。それで、何も国家は道路でもうける株式会社じゃないのだから、道路では欠損しても、日本全体の上において大きく利益が上がってくれば、そういう観点でやるのが国策事業なんです。なお一つつけ加えて申しますと、東京都では交通審議会というのがありまして、昨年の三月、この交通審議会が都知事に対して答申案を出しております。これは道路ですよ。軌道も電車も何も入っておらぬのだけれども東京都の中だけで、今後十数年において、それを整備するためには二兆四千億かかるということを飯沼一省さんが会長で発表しておる。そこへうちが建ってしまって、どうにもしようがないようになってから、おそろしく金をかけてあとからあとから後進性の道路政策をやっておるのです。  そこで、この中央道の問題でありますけれども、法案制定当時さんざん持ち出した議論を今ここでやるべきではなくして、とにかく二カ年間にわたって非常な建設省抵抗でもって議論をし、日本の各方面の人の意見を聞いて、どうしても敗戦後の日本を将来立たせるのはこの政策よりない、こういう結論でできた法律でありますから、あなたたちは、建設大臣とかあるいは主計局次長とか主計官とかいう立場でおるわけなんだから、従って法律を守らなければいかぬでしょう。いわゆる法律を超越してほかのこともできるという人は、内閣法八条で定められたところの内閣総理大臣よりほかないはずだ。官吏は法律を忠実に守らなければいかぬのだ。  次に、さらに一言申し上げたいことは、実は土曜日に、水田大蔵大臣と、参議院の予算委員会が済んで本会議が始まるその瞬間に出合ったのです。中村建設大臣にもお目にかかったのですが、水田大蔵大臣は、東海道より中央道の方がよっぽど予算をつけてあるじゃないか、こういうことばかり主張しておる。私は何のことかちっともわからないのです。あとで聞いてみると先ほど答弁のありましたように、中央道というものは東京富士吉田までの間のものだ、こういうように大臣は頭から考えちゃっている。建設省の数年にわたるところの教育で、その教育された大蔵官僚のそこにおるお二人が大臣にそういうふうに吹き込んであるから、大臣はそういうとんちんかんなことを言っておる。従って、東海道より中央道の方が予算がよっぽどついておる、こういう答弁なんです。これは昨年五月予定路線がついて、中央道は現在は東京小牧間というのはみんなの常識なんです。つまり十月四日ですか、閣議決定均衡予算というのを、官僚のあなたたちが歪曲して、富士吉田まで切り詰めてしまって大蔵大臣に吹き込んだから、大蔵大臣はその気になって、よっぽど予算がついておる、こういうような考えを持っておる。  そこで、その次でありますけれども、これは建設省昭和三十三年にこしらえてわれわれに出した資料だ。これを次長見て下さい。昭和三十三年に道路整備五カ年計画を策定したわけなんですよ。それは皆さん御承知だと思う。ところが、日本道路整備の緊急性から考えて、いわゆる一兆の道路予算じゃ足りぬのだということで、昭和三十三、三十四、三十五年の三カ年でもって道路整備五カ年計画は改定して、現在の道路整備五カ年計画に入ったわけであります。そうすると、確かに昭和三十三年から始まった道路整備五カ年計画は三年で打ち切ったわけでありますけれども、打ち切ったのはどういうわけかというと、道路整備は非常に重大だから、今までの五カ年の一兆予算じゃ足りぬので、二兆もしくは二兆三千億の予算で新しい五カ年計画を始めなければならぬという、いわば発展的に五カ年計画をそこで打ち切ったわけだ。従って、当然基本方針に変わりなく道路整備を拡張するということになれば、昭和三十七年までに百二億四千万つけたのだから、昭和三十七年からの新しい道路整備五カ年計画予算が倍額になっておれば、二百四億という予算がつくのが当然じゃありませんか。それを、今聞いておりますと、来年度予算は十九億という。これはどういうわけです。そんな理屈は成り立たぬじゃないですか。かりにあくまで抵抗して反対するとしても、とにかく道路整備五カ年計画の理屈に合うような反対をすべきじゃないですか。この点について、これは大蔵省に答弁せよといっても無理ですから、道路局長答弁して下さい。
  56. 高野務

    高野政府委員 お答えいたします。  最初の日本経済研究所の調査につきましては、ただいまお話のように、また先ほども私から申し上げましたように、日本経済全体から見ますと巨額な利益があるという報告を受けております。これをさらに取りまとめて、ただいま経済報告書を取りまとめ中でございます。また、先般の交通関係閣僚協議会の際におきましても、私どもは、この資料を持ち出して、開発効果がこれだけあるのだという説明もし、主張もしているわけでございます。従いまして、今後これらの資料を取りまとめまして、お目にかける機会があろうかと思います。また、経済の効果というような点につきましては、そういう調査もしているのでございますが、もともと国の非常に大きい理想のもとに作られました国土開発縦貫自動車道でございますので、法律の線に従いまして、私どもは、決して横向きではなくて、真正面を向いて努力をしておるのでございます。私ども、技術の面におきまして、また行政の面におきまして力が足りませんで思うだけはできないのでございますが、しかし、五カ年計画におきまして、少なくとも東京富士吉田は仕事をするというところまでこぎつけたのでございます。  また、前の五カ年計画に百二億計上されていたのではないかというお話は、この前の閣議決定数字を分析して参りますと、確かに百二億という数字が出るのでございます。また、五カ年計画閣議決定の目標に、「東京から小牧市に至る区間についても調査の結果を待って準備に着手するものとする。」ということが書いてあるわけでございまして、先生がただいまおっしゃることは理の当然のお言葉であるとは思うのでございます。しかし、私どもいろいろな態勢でなかなかこの中央道に実際に着手できなかった実情もまた御理解願いたいと思います。今になりまして三十七年度予算を要求しておるのでございますが、これは先ほど大蔵省主計局次長からもお話がありましたように、大蔵省に説明した程度で、まだ予算案の編成というところまでいっていないのであります。先ほどから申し上げておりますように、二十億だけ要求をしておるのでございます、これは大蔵省に押えられた数字ではなくて、私どもがこれから基本計画を作り、整備計画を作り、実際に仕事をして参ります上におきまして、努力をいたしましても大体二十億くらいしか使えないという限度の数字を出したのでございます。しかし、近日中に五カ年計画も固まり、また方針も交通関係閣僚協議会できまった上におきまして、さらに検討して大蔵省と話し合いたいと思います。
  57. 中島巖

    中島(巖)委員 そこで、これは特に大臣主計局次長に聞いてもらいたいのですが、小牧吹田間の最初の建設省計画は、昭和三十二年度に着手して昭和三十五年度に完成するという計画で発表したのですよ。それからさらに、その計画計画通りいかないために、今度は三十七年度には完成して供用開始になるという計画を発表したのですよ。ところが、私はこの通りにはいかないじゃないかということを盛んについたのだけれども村上建設大臣昭和三十七年には必らずできるということを言っておった。ところが、現在の状態では昭和三十九年、こう言っているのですよ。その九年もあぶなくて、ことしあたりはむちゃくちゃな突貫工事をやるのだろうと思うけれども、こういうように幾たびか幾たびか延びた理由は、用地の買収ができなかったのですよ。たとえば昭和三十二年は三十四億何千万という予算要求をしまして、その予算が通っておるにもかかわらず、二億何千万くらいしか使っておらない。一割も使えなかった。その次の年は三十億の繰り越しと八十億だかの予算要求で、百十何億という予算を取りながら、二十億も使っておりはしない。そういうことがずっと続いてきておったのですよ。これは一般行政官庁なら実に大きな問題だけれども、公団は繰り越しができるから、そういうことをやっておったわけです。そこで、これが昭和三十五年に最初の予定通りできて、小牧吹田間があの計画の中心だが、昭和三十五年からこの道路が使えておったら、道路から上がる金も大きいだろうけれども、そんなものではなくて、中京から関西のあの工業地帯に与えるところの経済効果はけだし莫大なものなんです。それはみんな何が原因かというと、用地買収が原因だったのです。従って、こういうように策定した以上は、何をおいても東京富士吉田間の用地買収費全額をつけるべきなんです。建設省昭和三十四年十二月に発表したものによりますと、東京から小牧までの全線の用地の買収費は百九億なんです。おそらく東京から富士吉田までの買収費は八十億程度のものです。前の五カ年計画に百二億四千万円を三十七年までに使う計画があったのだから、これだけの予算は来年度の予算措置で少なくともやるべきです。もし昨年度の予算すなわち三十三年に策定した五カ年計画予算の百二億を下回るということになれば、あなたたちはやる気がないのだ、官僚が抵抗しておってやる気がないのだ、こういうことがはっきり言えると私は思うのです。これについて大臣はどういうお考えか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  58. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 確かに小牧吹田間の事業が非常におくれて参りましたことは事実でございます。これは御指摘の通り用地買収が非常に困難で、だんだんずれたわけでございます、かような現況にかんがみまして、われわれ今春の通常国会に公共事業のための用地取得に関する特別措置法をお願いしまして成立を見たわけで、今後はこの特別措置法を最大限に活用しまして、できるだけ用地買収を促進いたしたいと思います。とにかく用地買収がおくれるということは、年度がおくれればおくれるほど地価は高くなり、買収が一そう困難になって、所定の計画よりも多額の用地費が要ることになりますから、できるだけ用地だけは先行投資をいたしまして早く確保するということが、この道路事業の根本問題であろうかと私は考えております。かような角度に立ちまして、来年度予算はどうするかというお話でございましたが、われわれとしましては、できるだけ早く用地を確保する方向に向かいまして、努力を注いでいきたいと思います。ただ国の経済情勢というのは波を打ちまして、非常に情勢がいいかと思いますと、最近のような国際収支のふつり合いを生じまして、この是正をしなければ他の一般経済にも多大な影響があるという段階でございますから、これらの国全体の経済情勢ももちろん勘案をしてやらなければならないわけであります。これらの点につきましては、財政経済を担当しておりまする大蔵当局と十分討議を尽くしまして、できるだけの促進をはかり善処をして参りたいと私ども考えております。
  59. 中島巖

    中島(巖)委員 次長、えらいお忙しいようなので、御苦労さまでした。また通常国会に来てもらうようにして、お帰りになっていただきます。  そこで、個人的な話になりますけれども、中村建設大臣は今度これに非常にお骨折りになっていただいていることは、僕はよくわかるのです。実は土曜日にあなたと閣議室で相当議論をやりまして、それから参議院の本会議のベルが鳴って、閣僚は参議院に入らなければならない。私も衆議院議員の傍聴席でもってその様子を見ておったわけであります。そうすると、各閣僚は腕をこまぬいて予算委員長の説明やいろんな討論を聞いておるが、大臣は、隣の水田大蔵大臣に、鉛筆で紙に書いて、目の玉をぎょろぎょろ光らして盛んに説得しておった。水田大蔵大臣は横なんか向いておったけれども、結局あの閣議室で私と青木さんとで要求した事項を、また本会議の席に行って大蔵大臣を極力説得しておるのだろう、こう見て、私どもは、大臣がこれに努力されておる、また道路局長等が努力されておるということは個人的には十分了解しておるわけでありますけれども、今言った建設省全体の長年のこれに対する悪影響というもの、あるいは態度というものは、どうしても僕ら納得できぬ。究明せざるを得ぬ。現在大臣なり局長であるとすれば、これはその当時の責任もまた背負って立たなければならぬから、私はやむを得ず究明せざるを得ぬわけであります。こういうような立場で申し上げておるわけであります。先ほどもだれかから盛んに質問がありましたけれども、すでに五カ年間二億数千万円を入れまして、五カ年有余にわたって調査をしたでしまう。そこで富士吉田東京間はことしの十二月に基本計画を提出する、こういう答弁がこの間の当委員会の私の緊急質問にあったわけ一ですけれども富士吉田から小牧までも、すでに五カ年調査したから、ここ一年か二年のうちにどうしてもあなたたちは基本計画を提出せざるを得ぬと思うのです。その場合に、これから向こう五カ年間、用地の関係も、小牧−中津川、さらに富士吉田までの間をほうっておくという手はない。これに対して、予算要求で、今度の五カ年計画にそういう項目を設けなんだ、はたしてあの先の中央道をやる気があるのかないのか、こういうことに実際問題としてわれわれは考えざるを得ないのだけれども、これに対してはどういうお考えであったのか、大臣のお考えを承りたいと思うわけです。
  60. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 私どもとしましては、かねて縦貫自動車道法律を作られまするころから、先ほど来御指摘のありましたような議論や世論も聞きまして、法律ができ、今日に至り、なおその後今日まで相当多額の国費を投じまして具体的な各種の調査を進めてきておるわけでございますから、ぜひ実現に移すべきものであると心得ております。ただ、いろいろな経済効果とか気象状況とかいうことも考えることは必要でございますが、縦貫自動車道を作るということも、これは非常に勇渾な構想でありまして、国土の狭い日本、ことに国土を広げる余地の全然ない日本としては、国の力でできる限り国土を高度利用をする、また後進地域の開発をするということは、国家に課せられた一つの使命でございますから、そういう角度から考えましても、ぜひ実現に移して参りたい、こう思っております。私どもも、どういうふうな行き方で実現したらいいか、私自身は技術能力もありませんし、しろうとでございますが、たとえて申しますれば、本来りっぱな高速道路を作ろうというのが構想でございますが、さしあたりは用地買収だけでもして、そのうちの二車線なら二車線だけでも完成をするとか、何かそういう工夫をいたしまして、できるだけ国力なり国の経済力なりと見合った方法で、実現はとにかく早く期したいという考え方に立ちまして、善処をしようとしておるわけでございます。ただしかしながら、他の一般道路の現状を見ましても、御承知通りいろいろな国家的な事情で公共事業が手おくれをいたしておりますので、それらの挽回もまた急速にはかる必要もございますので、それらの諸問題とにらみ合いまして、努めてこの法律ができました趣旨に沿ってわれわれとしては努力をしていきたい、こう思っておるわけでございます。
  61. 中島巖

    中島(巖)委員 それでは私これでやめますけれども、今までの大臣は、そう言っちゃ失礼だが、官僚のロボット大臣のような人が非常に多いわけであります。しかし、この予算案では、もちろん私は満足せぬけれども、大蔵官僚の抵抗をぶち破ってこれだけの予算をつけられたことについては、現建設大臣の熱心な努力だという点は私どもは十分に認める。かつてのいわゆる七人のさむらいの気骨稜々たるところを示したと思って、僕らは満足いたしておるわけでありますけれども、この予算については私はあくまで不服であります。  そこで、最後に一言申し上げておくことは、もし来年度予算において中央道予算が百二億四千万円の額を切るようなことがあれば、これは内閣が国会をペテンにかけたことである。実に軽視をしたものであるとして、私はこの点はあくまで断固として内閣の責任を究明する。こういうことを申し上げて、私の質問を終わることにいたします。
  62. 細田義安

    細田(義)委員 関連して。  大臣にお伺いしたいのですが、先ほど来論議されておるわけでありますが、特にこの問題で沿道の府県が不安を持っていることは、経済効率とか、あるいは有料道路ということが曲調されて、これは富士吉田まではいいでありましょうが、それから向こうは一体財源措置としてはどうなるかという点が、われわれ同僚間においても相当問題でございます。高い立場から国土開発をねらっておるというような大臣の所信でありますから、これに一般会計の金を投入してやることは当然である、かように考えておるわけでありますが、この点についての大臣の御見解をお伺いしたいのです。
  63. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 当面いたしております二兆一千億、五カ年計画の規模は大体御推察の通りきめて参るわけでございますが、私どもとしましては、この国家的な懸案でございます縦貫自動車道につきましては、何とかこの五カ年計画の以内において基本的な調査を完了しまして、次の五カ年計画を策定する際には、間違いなく実行のできるような成案を得るようにしていくのが、世論にこたえるゆえんでもあり、また、先ほど申し上げたように、国土の高度利用をしていこうという建前から当然なことだと思うのであります。ただどれだけ一般財源から入れるかということは、常に国の財政経済全体とのにらみ合いがございます。経済の見通しというものは、およそ専門家でございましても、予想したよりもよくなる場合もあるし、またときに悪くなる場合もありますし、いろいろな変動を見ますから、これらの状態とにらみ合っていくべきだと思います。国の経済情勢なり何なりがずっと上向きになりっぱなしでいけるという状態が築いてこれたならば、それこそ、こういったような経済効果とか採算ベースとかいうものだけから考えて無理な企業的なものについては、できるだけ国費を大幅に投入していくべきだ。ただ残念なことには、日本の経済が非常に成長してよくなったとは申しますが、いいと思うと今度は人心の動きやいろいろなことからさらに下向きになるという変化をするのは、まだ日本経済というものが十分に基盤が安定していない証拠じゃないか。これがほんとうに安定して、ここなら安心だという段階がきたならば、おそらく財政当局も惜しまずに一般の財源を投入して——ただ有料道路であるから採算だけでいくのだということでは実際無理な路線でございますから、一般財源を投入すべきであると思いますし、またするだろうと思うのです。それが国の使命をになっていく政府機関の役目でございます。私ども実はそう考えておりますが、いつどれだけ入れるかということになりますと、これは目下のところだれにも測定できない段階ではないか、こういうふうに考えております。
  64. 二階堂進

    ○二階堂委員長 堀内一雄君。
  65. 堀内一雄

    堀内委員 すでに同僚議員からいろいろ御質疑がありましたし、また時間も少ないようでございますので、私は、今まで明らかになってない点、ことに五カ年計画に関する問題について、若干の御質問をいたしたいと思うわけでございます。  今度の中央道並びに東海道の路線の問題につきましては、建設大臣初め建設省の人たちは非常に努力をされ、そうして、新聞の伝うるところによりますれば、昨日その大綱が決したように聞いておりますが、この際大臣から正式に、この中央道東海道に対する予算の配分等について、お伺いいたしたいと思います。
  66. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 率直に申し上げますと、建設省としてはいろいろな角度から検討いたしまして、中央道四百十六億、東海道八百四十四億という数字を算出いたしまして、この五カ年計画案を策定いたしまして以来、大蔵折衝を続けて参りました。しかし、これはもう御承知通り議論すれば議論の余地は幾らでもあるわけでございまして、私、必ずしも大蔵省の言われておった言い分が見方によれば決して無理な言い分ではない、そういうようにも考えられるのであります。同時に、いろいろないきさつや政治的な配慮や各般の状態を勘案して考えますときに、私たちは、自分たちが作って提出をしました先ほど申し上げた数字の配分が妥当である、こういう見地に立って今日まで至ったわけでございます。その結果、最終的な調整をはかる必要に迫られましたので、私ども、今申し上げように、大蔵省の見方なり言い分なりあるいはそのデータなりというものについて、あながち不都合である、適当でないとも言い切れない気持もございますので、結局調整をいたしまして、東海道八百四十億、中央道四百億といたしまして、この両道の調整資金として二十億円を保留する、こういう若干の保留ワクを取りまして、こういうところに落ちついたわけでございます。これはぜひ皆さんの御了承を得まして最終的な決定に取り運びをいたしたい、こう思っておるところでございます。
  67. 堀内一雄

    堀内委員 そこで、先ほど同僚議員からも調整費二十億の問題についていろいろ論議がありましたが、この調整費二十億に対しては、あるいは用地費の方に回すとか、いろいろな意見があったのでございますが、その御決定に対して大臣がお考えになっておるところは、この調整費はどんなふうにお使いになるか、大体のお考えをお伺いしたい。
  68. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 これは一、大体事業の性質からいいましても、用地の買収その他工事の点につきましても、もう一息ここでこれだけやればこの部分完成する、あるいは用地買収が完了できる、しかしちょっとどうも寸法が足りないというような場合にこの資金を使いまして、今のところこれはどっちに使うとかどこに使うかということは考えておりませんが、そういったように活用をしまして、できるだけこれが有効な実を結ぶような使い方で使用をして参りたい、こう考えております。
  69. 堀内一雄

    堀内委員 質疑を進めます前提として、まず第一に、中央道東京の新宿からと考えておりますが、都心から八王子までの交通緩和に関しまして、首都圏整備の委員長とされまして、中央道以外にどういうような道路の構想をお持ちでございますか。それをお伺いしたい。
  70. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 御承知の遮り、甲州街道の整備をすることは、第一の案件としまして目下ごらんの通り進めておりますが、川地買収等が行き悩んでおりますので、予定通りには進行しておりませんけれども、できるだけ活発に進めて参りたい。それと町田市の方に通じます主要地方道がございます。これは原町田地区の市街地開発事業と大いに関連がございますので、大体改修は八、九分通りできて参りました。そこで、この改修を完了いたしますと同時に、早く舖装も完了いたしまして——市街地開発地域がせっかく現在五十数工場有力なる工場が集結をいたしまして、すでに完成して稼働しておるものもあります。また目下鉄骨工事等をやって工事中のものもございます。しかし、残念ながら横浜回りの道路以外にこれというしっかりした道路がございませんので、せっかくできました市街地開発区域を、ミルクを与え、おかゆをやり、だんだん通常食で育つようにするためには、どうしても交通機関の整備が必要でございますから、この路線は急いで完成をして参りたいと思っております。これに中央道が加わって参りますと非常に効果的ではないか、こういうように考えて進めておるわけでございます。
  71. 堀内一雄

    堀内委員 私は、自動車の発達に伴いまして、外国の道路の事情等を考えまして、将来はハイウェイというものが非常に重要になってくる意味からいたしまして、四車線くらいのものができましても、すぐ埋まってしまうと思うのでございます。実は大蔵省には、いろいろな御折衝の間に、大蔵省案として八王子までというような案もあったやに聞いておりますので、あるいはこれが中央道と乗りかえるというような案ではなかったということを考えたのでございますが、首都圏整備といたしましても、やはり中央道一本だけではとても足りないので、そこに若干の間隔を置きましても、やはりハイウェイというものを整備される必要がある、かように考えておるわけであります。  そこで、次の問題は、今国道二十号線が三十七年ないし三十八年で舗装が完了するやにお伺いしておるのでございますが、これが完成する当時におきましては、あれが一ぱいになってくる。同時に、あの屈曲のはなはだしい道路というものは非常に交通を阻害しておるというような関係から、建設省等におきまして、かりに中央道がないとするならば、どうしてもあそこにいま一本一級国道的なものを鉄道に沿って作る必要があるというような意見がすでにあるやに聞いておるのですが、その辺については大臣のお考えはいかがですか。
  72. 高野務

    高野政府委員 二十号国道につきましては、ただいまお話がございましたように、三十八年度までには舗装が全部できて、一応完成するということになるわけでございますが、しかしながら、ただいまの二十号国道は、橋などは六メートル程度の鉄筋コンクリートでございますが、幅の狭い道路でございまして、規格が比較的低いのでございます。私どもといたしましては、幅が狭くても、できるだけ早く二車線を確保するという努力をしているのでございます。しかしながら交通量が非常にふえて参っております。また今後もさらに自動車が増加して、混雑の度を増すということが調査の結果わかっておりますので、これをいかに処理するかという問題が当面の課題になっているわけであります。従いまして、私ども今の二十号のほかに道路がほしいという気持が十分あるのでございます。その対策といたしましても、中央道をぜひやるということが言えるのでございます。
  73. 堀内一雄

    堀内委員 そこで、私はまず路線の問題についてお伺いいたしたいのでございますが、国土開発縦貫自動車道法によりますれば、この道路建設に対しましては、基本計画並びに整備計画は審議会の議を経るということになっており、従って、同僚議員がこの委員会において質疑した場合のあれから申しますれば、基本計画は大体今年一ぱいにはできるというようなお話でございましたが、その辺について、今の建設省としての計画の進捗状況をお伺いいたしたいと思います。ことに基本計画というものはどんなものを含むものが基本計画であるかというようなことをお伺いしたい。
  74. 高野務

    高野政府委員 中央道調査につきましては、先ほどから御説明申し上げておりますように、もう過去数年にわたりまして、金額にいたしまして二兆数千億の費用を使って調査しております。大体比較線を含めまして調査を終わっているわけであります。経済調査というものの今報告書をまとめつつあるところでございまして、基本計画はできる段階になっております。しかしながら、私ども調査の過程におきましては、種々の比較線がございますので、比較線を一つの線にまとめる必要がある。これも先ほど他の先生に申し上げた通りでございますが、この中央道は巨額の金を必要とする事業でございますし、また非常に高い意義を持った道路でございますので、路線の決定につきましては十分慎重にいたさねばならぬと思っているのでございます。私どもといたしましては、私どもの資料を縦質道審議会の路線部会に提出いたしまして、路線部会で御決定を願いたいと思っている次第でございます。路線部会に路線を決定していただき、その後において基本計画を作りまして実施に踏み切るわけでございます。基本計画は私ども今年度内とも思っているのでございますが、できるだけ早くしたいと思っております。しかし、いろいろな都合で少しおくれるかもしれませんが、おくれましても年度内にはやってしまいたいと思っております。この基本計画に盛ります事項といたしましては、建設線の区間、建設線の主たる経過地、標準車線数、設計速度、道路等との連結地、これはインターチェンジであります。それから建設主体が入るわけでございます。この建設主体は、有料道路でやるといたしますれば、日本道路公団ということになるわけであります。
  75. 堀内一雄

    堀内委員 そこで、すでに五カ年計画がきまり明年度から着工というようなことを私ども希望しておるのですが、基本計画がきまってそれを調整して、さらに整備計画を作ってそれを調整してというようなことを考えますれば、非常に時間もかかることでありましょうし、同町に、かりに審議会へかけるにいたしましても、すべての問題は大体もうきまっておらなければならぬと思うのですが、ことし一ぱいでできるというお話でございますので、それを前提として、同町に私は、調査という点においては、相当建設省としてはできておるというふうに判断して、質問を続行したいと思っておるわけでございます。  そこで、建設省が最近の新聞等にも発表されました——おそらく建設省から出たものと思いますが、中火道の問題に対します通過地点の図等につきましては、いわゆる道志線と大月線というものが二本並行して出ておるのであります。元来言いますと、法律道路の通過地点の東京富士吉田というようなきわめてばく然たるものがあるので、これを進める場合には、少なくとも基本計画においてはその通過地点を決定しなければならぬと思うのですが、これについて、私は、現在建設省調査したその結果に基づくところの意見をお伺いしたいと思うのでございます。と申しますのは、道志線につきましては、日本縦貫高速自動車道協会ですか、あの方から百三十億安くできるというようなことが出て、それが問題になっておるのでございますが、事実道路の利用効果から考えますならば、先ほどもお伺いいたしましたように、二十号路線といったようなものはきわめておくれておりますので、先ほど道路局長が申されましたように、どうしてもあそこへ早く高速自動車道を作ることが必要だというふうに考えるのであって、そうすれば、かりに道志の方の道が百三十億円安くできたといたしましても、やはり依然として大月回りの方にそういった高速自動車道を必要とするということになりますれば、いわゆる二重投資といったような形になってくる関係上から、私はどうしても大月線をやるのが妥当である。また縦貫自動車道の最初のそもそもからの意見がそれであり、それにきまりますまでにも、ずいぶん今までいろいろな方面で調査した結果でありますので、私はどこまでも大月の方を回るのが当然だと思うのでありますが、すでに建設省におきましても相当御調査なさったことと存じますので、この際建設省の御意見をお伺いしたいと思います。
  76. 高野務

    高野政府委員 中央道の路線につきましては、ただいまお話がございましたように、大月線、道志線、その他の比較線を調査しております。それで資料も作っておるのでございますが、工事費につきましては、道志線が幾分安いという資料が出ておるということも事実であります。しかしながら、路線の決定をいたします場合は、単に工事費が安いということだけではなしに、その道路をいかに高度に利用できるかというような経済的な観点からも調査する必要があるわけでございまして、経済調査もやっているのでございます。私ども、ただいま申し上げましたように、基本計画を作る前に路線の決定をするわけであります。目下のところ道路局内におきましても十分検討している程度でございまして、まだ大臣には御説明してございません。大臣のところでまだ御決定になっておりませんので、きょうのところはどの線がどうだということを申し上げることは控えさしていただきたいと思います。
  77. 堀内一雄

    堀内委員 今のお話はその程度にしておきますが、ただここでもう一つ当局に御要望しておきたいのは、道志線という道路も非常に必要な道路なんです。これは昔東京の疎開道路として東京都が作り、またここに鉄道をつけようとしてある業者が努力したり、自動車専用道路を作ろうといったようないろんな計画が今日まで行なわれておることは、御承知通りでございます。そこで、将来富士五湖地方のあの地域を東京の疎開地域にするといったような問題から考えましても、外国の道路網の自動車道などの利用の状況から見ましても、どうしても中央道一本くらいじゃ足りないと思っておる。それからあの渓谷を通っていく道路というものも非常に必要だと思う。しかし、あの方面は、ただいわゆる自動車専用道路が通ったところであまり意味がないので、あそこには少なくとも二級国道程度のものを作るということが最も妥当じゃないかと思う。そうしたようなことに対して今まで御調査になったろうと思いますから、それに対する見解をお伺いしたい。
  78. 高野務

    高野政府委員 自動車国道だけで道路網が形成できないことは、ただいま先生もお話通りでございますが、この中央道は、どこを通るかという問題を別にいたしまして、道志の方を通せというお話が、地元から私どものところにも御陳情なり御要望の形でございました。数度にわたっておいでになるのでありますが、私そのときに地元の方に申し上げておりますことは、中央道がそこを通る、あるいは通らないにしろ、あそこには重要な県道があるのでございます。その県道を整備しなければ、もし中央道が通っても、その中央道を道志は利用できないではないですか、また通らないにしても、その道路は整備しなければならないではないですかということを始終申し上げているのでございまして、これは山梨県、神奈川県におきましても、あそこの道志付近を通ります県道の整備に着手しているのではないかと思っております。お話通り日本道路は、その道路それぞれが貧弱であると同時に、道路網の密度が非常に足りないので、アメリカの道路マップと日本の一級国道あるいは二級国道の図面を重ねてごらんいただきますと、日本道路は非常に荒いということはよくわかっております。道路網をさらに拡充していく必要もあろうかと思います。どういう場合にいたしましても、道志渓谷の道路は、今の県道を整備する必要があろうかと思います。
  79. 堀内一雄

    堀内委員 若干局地的な問題になりますが、実はあそこは県道として整備に努力はしておるものの、再建整備団体であった山梨県としては非常に困難をしている。そこで、もっぱらあそこを二級国道に編入という希望で、私どもの郷里をあげてやっておるわけです。これについては将来道路網のいろいろの調査等の場合においてぜひ一つ考慮して、むしろ一級国道程度にやってもらいたいという希望をまず申し上げておきます。  その次にお伺いしたいのは予算の問題でございますが、先ほど中島委員そのほかからお話のありましたように、現在の道路整備五カ年計画原案というような時代においては、東京富士吉田間をまず着工するものとして百二億というものが上がっておったのだが、それが現在の五カ年計画になりまするときに調査を続行するということになって、その百二億というものはプールの中に入ってしまったということを私ども記憶いたしておるのでありますが、そこに関係いたしまして、まず百二億というあの当時建設省が立てた案は、一体何を対象として作ったか。先ほど中島委員からも意見のありましたように、当局で出したところの資料によれば、これが小牧までいっても百九億というようなことになっておる。従いまして、これに数字が似たようなことから、全線の用地費を考えておったのか、あの百二億というものの中には用地費以外の何ものかを含んでおったのか、その辺の内情をお伺いしたいと思います。
  80. 高野務

    高野政府委員 前回の五カ年計画昭和三十四年二月の閣議決定されました道路整備五カ年計画道路整備の目標の中には、「東京から小牧市に至る区間についても調査の結果を待って準備に着手するものとする。」ということが書いてございます。また、事業の量から申しますと、有料道路の中の高速自動車国道の新設九百九十六億円とあるわけでございまして、二の九百九十六億円を分析して参りますと、百二億円がただいま申し上げましたこの東京都から小牧に至る区間について着手するという項目に該当するものと理解されるのではないかと思っております。また、当時の国会の説明などを見ますと、道路局長もそういう説明をしております。しかし、このときには、実は現在のように中央道にどういうふうに着工するかというような具体的な計画がなかったのでございます。また、ざっくばらんに申し上げまして、着工できる機運にもなかったように思うのであります。従いまして、この調査の結果を待って準備に着手するといっておりますが、具体的にどういう面に百二億を使うのかということは、計画されていなかったのではないかと思っております。
  81. 堀内一雄

    堀内委員 そこで今度着工の地点といったような問題になっていくわけなんですが、先ほどもお話が出ましたように、道路においては用地の買収が先決だということで、用地ができれば半分はできたようなものだということが一般にいわれておるのでございますが、これを大体見たときに、東京都心から八王子までという地域の用地買収を考えると、非常に困難がある。それから同町に、小牧吹田間の道路の関係からいきましても、予算が使い切れないで延びていってしまうというような問題があることを考えますと、この二十億というものを一応お考えになっておるのは、どんな理由から考えられおるのか、まずその点をお伺いしたい。
  82. 高野務

    高野政府委員 現在建設省が概算要求で大蔵省に持ち込んでおります数字は二十億円でございますが、この二十億円につきましては、東京富士吉田間の用地費ということを考えております。東京八王子に限るとか都内に限るということは考えておりません。
  83. 堀内一雄

    堀内委員 昭和三十四年十二月の建設省調査報告書の中に、中央自動車道東京小牧間用地補償費という資料が出ておるのでございますが、それを見ますと、東京八王子間が六十一億一千万円、それから八王子から富士吉田まで入れまして、これが約十六億ある。そこで、私は全般的な第一年度の予算の取り方をどうするかということをあとでお伺いいたしますが、用地の取得が非常に困難であるというようなことを考えますれば、この八王子から富士吉田までの間は十六億で済むのですから、この辺は一つ特にお考えになっていただきたい。八王子から大月まで、この区間というものは非常に交通も混雑しておるし、事故等も非常に起こって困っておるのであります。しかも、この付近の人たちは、用地はもう無償提供するとか、さもなければみんな協力して用地の買収には協力するというようなことを決議までしておるような状態でございますので、私は、単に東京の中心からという考えでなくて、八王子富士吉田間を整理することが、やはり東京八王子間の道路の利用効果を上げる上においても非常に必要だと考えますので、こうしたような考えをもってやられたのではないか、こら思うのでございますが、その辺はどんなお考えでございますか。
  84. 高野務

    高野政府委員 東京富士吉田間の用地補償費は、前に調査をいたしました結果は約七十八億程度であったのでございますが、その後用地費の値上がり等がございますので、目下のところ約百三十億くらい見込んでおるのでございます。そこで、ただいま申し上げましたように、私ども東京富士吉田間の用地を全線にわたって買収したいというつもりでございます。しかし、この用地交渉はなかなか時間を要しますし、またそれだけの準備もする必要がございますので、実はこれは先生方のおしかりを受けることはわかっていたのでございますが、自分でも能力がないということも勘案いたしまして、実は二十億程度にしているのでございます。それで、二十億をどう使うかという問題でございますが、私どもといたしますと、これはいずれ取得する土地でございますから、土地の取得が簡単なところからやりたいということは自然のことなんでございますが、ただ東京八王子というような市街地におきましては、非常に用地交渉に時間を要するのでございまして、非常に困難なのでございます。従いまして、私どもとしましては、楽なところからかかるということに踏み切ることはなかなかできない。従いまして、いろいろな準備をいたしまして、これはできるだけ早く用地が収得できるような方法をきめまして、計画的にやって参りたいと思います。
  85. 二階堂進

    ○二階堂委員長 堀内君、ちょっとお願いですが、時間もだいぶ迫って参りましたし、もう一人発言者があるのです。ですから、大へん失礼ですが、一つ簡潔にお願いします。
  86. 堀内一雄

    堀内委員 そこで、せっかく五カ年間に四百億という予算を取れるらしくなってきたおりからでございますので、この際、道路の経済効果といたしまして、先の方の道路ができることが、やはり根元の道路の経済効果を上げることにもなるというような関係から、どうしても今度は百三十億の道路の用地費が要るならば、先ほど大臣も言っておられましたように、土地がどんどん値上がりするということを考えますならば、すみやかに来年度は用地費だけでも百三十億くらいのものを取って、一挙に土地を買収するというくらいな熱意を持っていただきたいと思います。と申しますのは、ざっくばらんに言えば、あなた方が一番うるさいのは国会議員でありましょう。国会議員が全部そろってそう言っておるのだから、これはやらない方がたたかれるので、やってしかられるということは絶対ないと思う。でありますから、大蔵省との交渉等におきましては、とにかく国会議員が全員で提案した法律であるし、全員が賛成してやっておることでありますので、高野道路局長には四百六十何人の国会議員がついておるのだという自信を持って、少なくとも第一年度において用地費として百三十億ぐらい取って——東京八王子間については若干問題がありますが、私は、そのほかの状態であれば、いろいろな情報から考えましても、用地の取得については大して問題はないというふうに考えますので、一つ思い切って予算を取られて、用地の問題だけでも早く解決していただきたいと念願するのでございますが、あなたの決意をお伺いしたいと思います。
  87. 高野務

    高野政府委員 御激励いただきましてありがとうございました。新しい覚悟でやって参りたいと思います。
  88. 堀内一雄

    堀内委員 それに関連してもう一点だけお伺いしたいのですが、現在中央道に関連して笹子の道路というものができておるのでございます。今山梨県としては、御坂隧道を——あそこはいわばあばら道路というか、現地で非常に熱望いたしており、すでに各方面でも、県でも調査をいたし、建設省においてもいろいろ御心配を下さっているやにお伺いしているのでありますが、そうしたあばら骨のような線に関してどのようなことを今考えておりますか。
  89. 高野務

    高野政府委員 御坂峠につきましては、私どもといたしましても、富士五湖地方から甲府へ出る道といたしまして非常に重要だということをよく認識しておりますし、また現在の道路の状態が非常に悪いという点から、いろいろなふうに考えておるのでございまして、道路公団におきましてもいろいろ調査をやっておるのでございます。今後さらに調査を進めて参る所存でございます。
  90. 堀内一雄

    堀内委員 結論として要望を申し上げておきたいと存じますが、今日まで建設省当局大蔵省当局と非常に折衝された努力に対しては私ども感謝するのでございますが、くれぐれも申し上げたいことは、この中央道の問題につきましては、その第一期として今東京富士吉田間がまさに確定せんとしておるのでございますが、これは同時に各省で考えておるところの富士五湖地方に疎開するという問題につきましても、中央道がなくして何の疎開ができるのだということも考える。また、この付近の今の道路交通網の状態等を考えると、いっときもおろそかにすることはできない。一日も早くこれを完成しなければならないということは、当局を初めみんなの要望だと思っておる。さらに申し上げますれば、この点につきましては、先ほども申しましたように、国会議員総意の結晶であります。従いまして、今日までの経過に、いたしましても、大蔵省がどうのとすったもんだやってきたが、きのうの最高会議でもってぴたりときまったということでありますので、これは党としてもみんなそのつもりでおられるのでございますから、皆さんの折衝においても、相手が強いからということでしり込みせずに、その際には増援の意味において国会議員に御協力をいただくというような心組みにおいて、今後一つ積極的に努力されて、少なくともオリンピックまでには、このうちの一番の難関といわれておる大月から八王子くらいまでの間はでき上がらせたいというふうに考えていただきたいと思うわけでございます。  これで私の質問を終わります。      ————◇—————
  91. 二階堂進

    ○二階堂委員長 この際、下水道の問題につきまして、栗林君より発言を求められております。これを許します。栗林三郎君。
  92. 栗林三郎

    ○栗林委員 埼玉県の川口市に、市の公用自動車を去る昭和三十四年の初めから建設省の某課長が無料で市当局から便宜供与を受けて使用しておる事件があります。  この件につきまして、公務員の服務法律の問題、それから中央官庁と地方公共団体との行政秩序の問題、要すれば官紀の粛正に関しまして若干お尋ねをいたしたいと思います。なお、この問題は、たまたま建設省の某課長が関係がありますので、建設省当局にお尋ねをする次第でございますが、しかし、常に、下水道その他の事業で、起債や補助関係をめぐって、中央官庁と地方公共団体との立場はきわめて微妙でございます。その地方公共団体で生じた問題でありますので、地方公共団体の指導監督の立場にある自治省側の意見もただしたいと思いまして、自治省側の出席も要請したわけでございます。  まず、これから質問をするその問題について、事実を明らかにしておきたいと思います。川口市では、昭和三十三年の水道特別会計の予算から、百三十五万五千円で新しい乗用車を購入をしたわけでございます。ところが、この自動車が、川口市の公用には使われないで、三十四年の初めから無償で建設省に提供され、某課長が連日この車に乗って出勤、退庁に利用しておったのでございます。しかも、出勤から退庁までの間は建設省にその車を待機せしめて、公私の用に使っておったわけでございます。それが臨時のことではございません。三十四年の初めから今日に至るまで連日継続して行なわれておる事実があるわけでございます。この事実を建設当局御存じになっておられるかどうか。まずこの点をお尋ねしたいと思います。
  93. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまお尋ねのございました下水道課長が川口市の所有にかかる乗用車を利用しておりました事実につきましては、先般川口市議会におきまして問題になりまして、その際われわれ新聞等で、また本人からその機会に問題になったことを承知いたしまして、知ったような次第でございます。お話のように、動機はいかようにありましても、実質川口市の所有にかかる乗用車でございます。事の起こりは、川口市の市長さんが下水道促進会議の副会長であられました関係上、川口市の市長として、下水道促進会議の用務のために、川口市の乗用車を東京から川口市を往復せしめておったのでございまして、下水道課長がそれに便乗することになったので、その結果長期にわたって今のようなことがあったわけでございます。われわれ承知いたしましたので、直ちにそのことを中止せしめますと同時に、適当な処置をいたしたような次第でございます。
  94. 栗林三郎

    ○栗林委員 ただいま計画局長から答弁がありましたが、この問題は去る九月二十九日の川口市の定例議会におきまして暴露された問題でございます。ただいまの局長の答弁によりますと、少し違うと思うのですが、川口市の大野市長が下水道促進会議の副会長をしておることは私も承知しております。しかし、副会長はしておりましょうが、毎日のようにその用務があるとは考えられないわけでございます。従って、下水道促進会議の副会長としての大野市長が建設省へ来る、そのときに便乗させたというのであれば、これは問題になる筋合いではないと思います。そうではなくて、ほとんど毎日出勤、退庁のときにはこの自動車を使っておる。しかも、出勤から退庁時までの間は、ほとんど本省にその車を待機せしめておったわけでございます。でありますから、ときどき便乗ということであれば問題になりませんが、これは真実をつかんでおらない局長の詭弁だと私は思います。もう少し事実をはっきりつかんでいただきたいと思います。昭和三十三年度の予算で川口市は新しい乗用車を購入したが、当時の本省の下水道課長は岩井何がしと聞いております。この岩井下水道課長が三十四年の初めからこの車を利用しておったわけでございます。岩井前課長の自宅はたまたま川口市にあったようでございます。従って、市の車が、朝の八時ごろになりますと市の車庫を出て、そうして岩井前課長のお宅に出迎えに行く。その車に乗って登庁する。帰りはやはりその車に乗せて川口の課長のうちまで送り届ける。それですから、車の帰ってくるのは毎晩九時か十時ごろになっておったのが通例だ、こういうふうに明らかにされておるわけなんでございます。それですから、便乗とか、ときどき乗せてもらったとか、そういうような事実ではないのでございます。ところが、三十四年の七月に岩井課長がやめられて、寺島さんが課長になられたはずであります。今日でも寺島さんが課長をされておると思いますが、寺島課長が岩井前課長にかわってからでも、この使用が継続しておるわけであります。寺島課長のお宅は雑司ヶ谷にあると聞いておりますが、今度は毎朝川口からわざわざ雑司ヶの寺島課長のお宅まで迎えに行く。まことに至れり尽くせりのサービスでございます。そして、その車に乗って、先ほど申し上げたような状態で終日使って乗り回しておるわけでございますから、こういう事実が明らかになっておる以上、便宜上ついでに乗せてもらったとか、そういうものではないのでございます。この事実認識について、もう一回局長の御答弁をお願いいたしたいと思います。
  95. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 先ほど申しましたように、お尋ねの通りでございまして、一等最初の始まりのときに、たまたま前の下水道課長が川口市に在住しておりましたこともございまして、下水道促進会議の関係で川口市が車を提供する、川口市と東京との間を往復するということが利用するに便利な余りに継続して使っておった、こういうことが動機になったということを申し上げるために、便乗という言葉を申し上げたのでございまして、お尋ねのように川口市の車に乗っておったということについては、まことに遺憾に存じておる次第であります。
  96. 栗林三郎

    ○栗林委員 それでは端的にお尋ねしますが、この車を建設省当局が課長に言いつけて、ただで便宜供与をさせたのか、それとも課長の単独で便宜供与をさせたのか、それとも川口市当局がみずから提供して使っておったのか、この点をお尋ねしておきます。
  97. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 私が承知している限りにおきましては、川口市の市長さんが全国の下水道促進会議の副会長でありました関係上、同会議の用務のために川口市が提供しておるというのが事の初めのようでございます。従って、その間において前課長は川口市の在住者でありましたので、事実この車の使用を非常によくいたした。それからまた、現在の課長も、便利の余りに、東京から来る途中に自分のうちが雑司ヶ谷にあったものですから、下水道促進会議の事務所が水道橋にありまして、その関係で車が往復をするという状態にありましたので使っておったというのが、本人の言いわけでございますし、川口市の市長さんからも、下水道促進会議のために提供した車であったというように承っております。しかし事実は川口市の御所有にかかるものでございます。われわれが承知いたしております範囲を申しますと、そのようなわけでございます。
  98. 栗林三郎

    ○栗林委員 川口市の市議会におきまして、大野市長、大橋水道部長が本会議で議員の質問に答えております。その速記の要点を申し上げますと、局長の御答弁とは少し違うのです。時間がありませんから端的に申し上げますと、建設省から貸してほしいという要望があったので貸した、こういうように答えております。これは速記録の要点を申し上げておるわけですが、速記録全体を読んでも間違いはございません。建設省から要望されたから貸したのだ。その次には、要望を断われば補助や起債等にいろいろと心配するようなことも出るであろうし、また特に川口市は低湿地帯であるから、下水道事業の促進をはかる上においても、そういう要請があれば貸さないわけにはいかない、こういうように答弁をしておるのでございます。これは議会の速記録です。地方自治体というものは、名前は自治体になっておりますけれども、一割自治といわれておるように、それほどに貧弱な財源で、実際の自治体の形も内容もなしていないことは申し上げるまでもございません。富裕な公共団体は別にしまして、大体において府県におきましても市町村におきましても一割財源しかありませんよ。そういう貧弱な公共団体でありますから、特に建設省関係のこういう土木建設事業、下水道関係の事業に対して、財源を捻出するために強く建設省に働きかけておるということ、これは自治体として遺憾ながらそういう実情にあるわけであります。そういうようないわば弱い立場にある地方公共団体に対して、建設省から貸してもらいたいと言われれば、実際において断わることはできないと思う。そうじゃありませんか。従ってこういう行為は体のいいゆすりなんです。行政的なゆすり行為なんです。しかも公共の財産をただで提供しておる、便宜供与をしておるということは、一種の汚職といわなければならないと思う。私は一種の汚職行為と考えるが、局長はどうお考えになりますか。
  99. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、建設省の下水道課なりあるいはまた下水道課長から、市当局に乗用車の提供を特にお願いしたような事実は全然認められないのでございます。先ほど申しましたように、自発的に川口市当局が下水道の促進会議の事務局に対して提供されたものを、事実上下水道課長が大部分使っておったということでございます。しかし、われわれといたしましても、先ほどお話が出ましたように、公私を混淆いたしておりますことは明らかでございますし、また下水道の補助金に特別な配慮がなされておるというふうなことであるのかどうか、その事実もいろいろ調べましたが、われわれはその両面からそのような形跡はなかったと判断をいたしておるのが、今日の状況でございます。
  100. 栗林三郎

    ○栗林委員 ただいまの御答弁によりますと、建設当局は車の提供について川口市に要請したものではない、従って下水道課長の単独行為、こういうように思うわけでありますが、そういたしますと、公務員関係の服務規律につきましてお尋ねしてみたいと思います。公務員法の第九十九条に、これはきわめて抽象的な表現ではありますが、しかし私はこれは厳粛な規定だと考えております。九十九条に、「職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。」とあります。従いまして、岩井前課長なり、寺島現課長のとった行為は、明らかに九十九条に違反した行為といわなければなりませんが、この点に対してはどういうようにお考えになっていらっしゃいますか。
  101. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまお尋ねのごさいましたように、川口市の所有乗用車を長期にわたって事実使用をいたしておりましたので、九十九条の規定に照らしましてよろしくない行為でありますので、去る十月の六日に建設大臣から訓告処分を本人に申し渡された次第でございます。なお、乗用車の使用につきましては、その事実をわれわれが承知いたしましたと同時に、本人も新聞でいろいろ聞かれましたので、即刻そのような事実がないようにお返ししたというのが今日の状況でございます。
  102. 栗林三郎

    ○栗林委員 寺島課長が新聞を通じて談話を発表しております。それによりますと、この種のことはひとり川口市からだけ提供を受けているのではない、本省が忙しいときには、富裕自治体、たとえば川崎市であるとか東京都であるとか、そういうところからも借りて使っておるのだから、おれが使うことが何が悪いんだと言わぬばかりの、新聞を通じての談話を発表しているわけです。この事実から考えますと、ひとり川口市から自動車の提供を受けて、ただで使っておったのではなくて、建設省はかなり多くの地方公共団体の財産をただで使っておる事実があるように思われますが、この点についてはどうなんですか。
  103. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 私も、その新聞を見まして、きわめて遺憾に存じたのでございます。直ちに本人からどのような意味であったかということを聞き取ったのでございますが、これはまことに誤解を受けるもはなはだしい不用意な談話でございまして、今新聞報道のお話のございました意味は、会議の際に集まりました方で車を持っておいでになる方に、ちょっとあそこまで行くから貸してもらいたいということで乗ったような、臨時のことを申しておるのがこの実情でございまして、これと川口市から提供を受けておったような長期にわたった事実が同じ談話に出たものですから、まことに誤解を受けたのでございます。その事実は全く違ったものでありますことを、特に御了承をお願いいたしたいと思います。なお、建設省におきましては、このような事案は他のところには全然ないようでございまして、この点も重ねてお断わり申し上げたいと思います。
  104. 栗林三郎

    ○栗林委員 この際自治省側の官房長にお尋ねいたしますが、地方財政法の第八条は、財産の管理及び処分の件の規定でございますが、これによりますと、地方公共団体の財産を「適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けてはならない。」こういうように規定してあります。これはただで貸してはならないということだと思いますが、この点に関する見解を明確にしていただきたいと思います。
  105. 柴田護

    ○柴田政府委員 御指摘の自動車がその法律にいう財産に該当するかどうかということにつきましては、疑問があろうかと思います。そこで、いいますところの財産というのは、いわゆる行政財産、普通財産含めての財産でございまして、自動車というのは、厳密に言いますと財産から少しはずれるのではないかと思いますけれども、この場合の御指摘の項につきましては、文句なしに非常に遺憾なきわみでございまして、私どもも常々地方団体に不必要にあれする必要はないということを申しておりますけれども、遺憾ながら御指摘のような事件が発生してしまったわけでございます。今後とも十分そういうことのないように指導していきたいと思います。
  106. 栗林三郎

    ○栗林委員 ただいま自治省側の見解も明らかにされたようでありますが、今の場合は、自動車といえども、これをただで使うということは第八条違反だという見解を明確にしてくれたわけでございます。従いまして、過ぎたことではありますが、ただで三十四年以来今まで使っているわけですから、この際建設省は、川口市に対して、適当な対価を算出して、その損害を戻す御意思があるかないか、これを一つ局長からお伺いいたしたい。
  107. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 先ほど申し上げましたように、川口市当局におかれまして、使っておりました事実がわれわれの方から要請したということは、全然ないわけでございますので、従って市長さんとも会議あとで御相談をいたしたわけでありますが、私の方からも、そういうことをほかの職員がやっておりましたことについては、まことに恐縮いたしますと同時にお断わり申し上げまして、特に今までわれわれが知らなかったことについては十分陳謝をいたしたような次第でございまして、その程度で御了承をお願いしたような次第でございます。
  108. 栗林三郎

    ○栗林委員 この際自治省の官房長に伺っておきたいと思いますことは、地方自治団体は、先ほど申し上げましたように、補助、起債等を求めるために血眼になっておるわけです。従って、ややもすると、上級官庁、特に事業関係を持っている建設省側の職員からこの種の要請があれば、ひとり車ばかりではありません。その他のことにつきましてもそういう無理な要請があると、ワシににらまれたスズメと同じです。いやだとは言えないのです。そういう弱い立場にある地方公共団体を守るのが自治省の立場だと思うのですから、一つ自治省におきましても、そういう点について、中央においても建設省その他の役所が地方公共団体に不当にこういうような負担を押しつけるようなことのないように、厳重に注意を喚起してもらいたいし、地方公共団体に対しても、たといそういう要請がある場合でも、これは明らかに一種の汚職行為ですから、こういうことを見のがしておると、必ず汚職事件に発展することは間違いございません。そういう意味で、中央、地方における行政秩序を厳としてわれわれは立てていかなければならない、秩序を守っていかなければならない、そういう意味一つ適切な措置をとってもらいたいが、この点に対する官房長の御決意を伺いたいと思います。  それから、計画局長に最後にお尋ねしておきますが、いち早く新聞等の報道によって直ちにその事件を調査せられて、そうして関係者には訓告を与えた、こういう御報告であります。ややもすればこういうような事件について言いのがれをするのが常道でございますが、それを率直にそういう措置をされたということを御報告いたされまして、この点については私も了とするものでありますが、しかし、こういうようなことはそう簡単な処置では私はいけないと思う。別に私は首を切れ、こう言うのではありませんが、単なる訓告程度ではこの弊風は改まらないのではないか、こうも思われるわけです。決して私は厳罰主義、威嚇主義によって指導をやれと言うのではありませんが、一つ官紀の粛正という立場から、もっともっと厳重な態度で指導してもらいたいということを要望し、局長の御決意を承りたいと思います。
  109. 柴田護

    ○柴田政府委員 お話のように、国と地方団体との今日の関係から、必要以上にサービスすると申しますか、そういった場合が地方団体にありはせぬか。これは確かにそういう場合も間々あることでございます。また国からいろいろ無理を言われて聞かざるを得ない羽目に陥る。これも私地方におりましてそういう目にあったことがございます。しかし、いずれにいたしましても、それは決していいことではございません。私ども、そういう国から無理なことを言われた例はないかということを、実は常々注意して調べて参っております。ただ具体的には出て参りません。これはそういう立場に起こる問題でございますので、なかなか事実が明らかにならない。しかし、機会あるごとにそういうことはやかましく言いまして、そういうことのないように実は指導をして参っておるわけでございます。特に広い意味で一種の行財政秩序の破壊でございますので、そういうことのないように指導して参っております。地方公共団体も好きこのんでやっておるわけではございません。基本的には何と申しましても地方の財源が少ない、あるいはその間にいろいろな行政の網が張りめぐらされておる、こういうものを解きほぐしてすっきりした形に持っていかなければ、こういうことは根絶できない、かような考え方でおりまして、制度的にも実際的にもそういう方向で努力しております。また、国家公務員につきましても、私どものところも地方債等の関係がございますので、常々職員には厳重に注意いたして参っておりますけれども、各省相協力いたしまして、そういう方向で綱紀の粛正ということに一そう努めて参りたい。地方団体にはもちろん今後この事件を契機といたしまして一そう厳重な態度で指導して参りたい、かように考えております。
  110. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいま問題になりました点は、まことに御意見の通りでございまして、われわれも、この事柄を知りましてから、よく実情を調査をいたしまして、大臣にも直ちに御報告申し上げまして、今申し上げましたような処置になったのでございますが、もとより職員においては、こういうことがなくても、当然そういうことはみずから自粛自戒すべきことでございますので、当委員会におきまして問題になりましたことをまた大臣にもよくお話をいたしまして、一そう注意をするように、幹部といたしまして戒めていきたいというふうに考えております。
  111. 二階堂進

    ○二階堂委員長 次会は二十七日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時一分散会