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1961-10-30 第39回国会 衆議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月三十日(月曜日)    午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 鈴木 仙八君    理事 荒舩清十郎君 理事 木村 公平君    理事 高橋 英吉君 理事 小川 豊明君    理事 勝澤 芳雄君 理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    正示啓次郎君       鈴木 正吾君    藤井 勝志君       古井 喜實君    安宅 常彦君       赤松  勇君    田中織之進君       八百板 正君    山田 長司君  出席政府委員         大蔵事務官         (管財局長)  山下 武利君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁不動産         部次長)    小宮山 賢君         総理府事務官         (調達庁不動産         部管理課長)  水谷平一郎君         大蔵事務官         (国税庁徴収部         長)      堀口 定義君         農林事務官         (大臣官房秘書         課長)     和田 正明君         農林技官         (農地局参事         官)      堀  直治君         農林事務官         (農地局管理部         農地課長)   山路  修君         農林技官         (農地局計画部         長)      今井 富蔵君         農 林 技 官         (農地局建設部         かんがい排水課         長)      鈴木 太仁君         会計検査院事務         官         (第二局長)  樺山ただ夫君         専  門  員 黒田 久太君 十月二十七日  委員山田長司辞任につき、その補欠として山  花秀雄君が議長指名委員選任された。 同日  委員山花秀雄辞任につき、その補欠として山  田長司君が議長指名委員選任された。 同月三十日  委員赤松勇君、森本靖君及び山田長司辞任に  つき、その補欠として田中織之進君、安宅常彦  君及び八百板正君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員安宅常彦君、田中織之進君及び八百板正君  辞任につき、その補欠として森本靖君、赤松勇  君及び山田長司君が議長指名委員選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十四年度政府関係機関決算書  昭和三十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十四年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十四年度物品増減及び現在額総計算書      ————◇—————
  2. 鈴木仙八

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  昭和三十四年度決算外三件を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。小川豊明君。
  3. 小川豊明

    小川(豊)委員 国税庁当局にお尋ねしますが、高松国税局三島税務署で起こった不当公売事件は、もはや十年以上を経過すると思われるのであります。国会で私がこの問題を取り上げてからでも、今日までに大体八年くらいになると思うのですが、申すまでもなく納税国民に課せられた重大な義務であります。   〔委員長退席高橋(英)委員長代理着席〕 従って、課税徴収にあたっては、公正妥当なるべきことはもちろん、公売等執行にあたっても、納税者にやはり親切丁寧な配慮がなされなければ、国民の税に対する信頼が失われて、苛歛訣求の声が起こってくるわけであります。本件は、登記簿を改ざんしてまで強行したということになっておって、この点では当局の重大な失敗であろうと私は思うのであります。しかも、国税当局最高裁まで持ち込んで、敗訴の決定を見た事件であります。ゆえに、国税庁当局としては、すみやかに納税者の申し立ても聞いて、ある程度の弁済の義務を果たして初めて権力の権威というものが保持されるわけであります。ところが、最高裁判決が下っても、解決への努力をしておるということは聞いておりますけれども、なおまだ解決になっておらない。そこで国民責任を追及するのは矢のごとく急で、みずからの義務を負うことが牛のごとくということになってはいけないわけです。奥村氏が大蔵政務次官のときだと思うのですが、もう二年くらいたつと思います。私がこの委員会でこのことをただしましたときに、奥村政務次官は、まことに申しわけないが、すみやかに解決して、次の国会報告をするので、御猶予を願います、こういう答弁をなされておるわけで、あなた方も御承知だと思うのです。しかるに、それが今なお解決されておらない。一体その理由はどこにあるのか、これが私のお尋ねしたい点であります。どうか善良な納税者を貧苦のどん底に陥れるようなことのないようにすみやかにこういう件は解決すべきである。これはこの席上をかりて、納税者権利を守るために、国民の納得のいくような御説明を願いたい。私はこう思うわけであります。
  4. 堀口定義

    堀口説明員 お答えいたします。  小川先生の御指摘になりましたように、税務執行について慎重にやって、国民信頼を得るようにという点につきましては、まことに御同感でありまして、私たちも平素心がけておるところでありますが、たまたま御指摘のありました高松国税局管内高石準一氏に関する執行の問題につきまして、手続に手違いがありました点については、残念に存じておる次第でございます。本件につきまして、先生の御指摘もありましたように、三十三年に最高裁判決がありましたので、その後、国としても当然賠償すべきであるという立場から話し合いをしておったわけでございますが、いずれにしましても、高石さんの方の賠償の請求額と国の大体の考え方との間にあまりにも大きな開きがございましたので、現在両者の話し合いによりまして、東京地裁で裁判上の和解をしようじゃないかということで話し合いがつきまして、和解進行中でございまして、若干時日をとっておりますのは、高石さんの方でいろいろ証人の申請等が次々にございまして、まだ終結を見るに至っておらない次第でございますが、私たちといたしましては、なるべく早くこの和解が成立して、本件解決できるように希望しておる次第でございます。
  5. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは私は、実はこの臨時国会で少し国税庁当局にお尋ねしたいと思って、いろいろ資料を集めたのですが、まだ完全に集まりませんので、通常国会に持ち込まれるだろうと思います。滞納者全国でどのくらいの件数で、どのくらいの金額で、執行したのはどうだとか、いろいろ調べてみたのですが、その中で国を相手にして訴訟にまで持ち込んだ件数は、ないのであります。ところが、一方われわれが外へ出て一般の人に会うと、税に対する不満というのをかなり聞かせられるわけです。なぜそういう不満があるのに訴訟をして争わないかというと、そういうことをやっても、国を相手にしてやれば五年も十年もかかってしまって、勝っても結局経済的にはこっちが負けてしまう、これは泣き寝入りになるほかないのだ、こういうことも聞かされている。そういうことがあっては、私はいけないと思うのであります。やはり当然の権利として主張できるようにしていくことによって、初めて税の権威というものが保持されるわけです。その点で、この高石という人の三島税務所の問題は、十年もたっているのです。そうすると、訴訟高石という人が勝ったか知れませんけれども、工場財産というものが公売されてしまっていますと、十年仕事ができないでいるから、従って、疲弊こんぱいどん底に陥ってしまう。そのために、いろいろな人がそれにまたくっついてやることになって、高石君も当然の権利として主張しても、得るものは何もなくなってしまうじゃないか。そういうことのないように、やはりこういう事件が起こったら、国が誠意を持って本人と十分話し合って解決するようにしなければならぬ。高石君は、今は来ませんが、一年前に私のところへ三、四回来たことがあるのですけれども、そのときは、今のあなたの御答弁の通り、金額の問題になって、私はここにいるから、その金額の問題にまで入ってあなた方と妥協してやることは少し越権になるので、問題が起こってはいけないと思って、金額の問題にまでは触れないで、ただ解決したい、こういうことを言っておいたわけであります。高石君の要求というものを私が見ても、これは少し妥当性を欠くじゃないかという点は見ておったわけですが、しかし、そういうことは、あなたの方で本人との話し合いできまりがつく問題ですから、いずれにしても判決が下ってさらに二年も三年も放置されているということでは、納税者としてその経済的な窮乏というものを防ぎ切れなくなるわけですから、この点を留意して、私は、これは深く言いません、すみやかに解決することを望むと同時に、奥村さんとその後会っても、もう今は大蔵政務次官でないからいいでしょうが、大蔵政務次官の当時に、私は決算に出るのはごめんだ、何でと言ったらば、ああいう答弁をしてしまって、この次にあの問題に対してこういう解決をしましたと報告をしなければならないにもかかわらず、できていないから、決算には呼ばないようにしてくれ、こういうことを奥村さんが言われていたくらいで、どうか政務次官にそんな苦痛を与えないように、すみやかに解決することを希望する次第です。  これで私のこの問題に対する質問を終わります。
  6. 堀口定義

    堀口説明員 小川先生の御趣旨をよく体しまして、なるべくすみやかに本件解決するように努力したいと思います。よろしくお願いいたします。     —————————————
  7. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 小川君。
  8. 小川豊明

    小川(豊)委員 それでは農地局の方にお尋ねします。  これは印旛沼周辺農民開墾塩業という会社との関係なんですが、これは約八十八町歩関係農家は百戸からあると思います。この八十八町歩は沼の周辺ですから、農林省はこれを大正年間開墾塩業という会社に払い下げているわけです。ところが、昭和二十二年に、国は県をしてこの土地農地解放のため、牧野として開墾塩業から買収さして、今申し上げた百戸ほどの関係農民に売り渡した。ところが、開墾塩業という会社——政府買い上げのとき、これを牧野買収にしたわけです。これは未墾地買収にすべきであったのではないかと思うのです。ところが、これを牧野買収にしたという農林省当局、あるいは県当局考え方に対しては、私は同調できる。というのは、牧野買収未墾地買収では、完成に対する期限のあれがありますから、これに対しては非常に善意をもってやられたと思うのです。ところが、開墾塩業では、これに対して、牧野にあらずという訴訟を国あるいは県ですかを相手取って起こして、県か国だかは牧野にあらずというので負けてしまった。そうすると、この百町歩ばかりの土地は、農民開墾塩業というものに返さなければならぬことになる。そこで何年も手間をかけ、労力をかけ、金をかけて沼を水田にしたものを、開墾塩業に取り上げられてしまうのであるから、大きな問題になって、私のところへも来たので、県の方にも話したのだが、県の方では、訴訟に負けてしまったのだからどうにもならない、こういうことであったので、それでは大へんなことになると思うので、開墾塩業相手取って農民土地確保のために訴訟を起こして、今訴訟はどうなっておるか、進行中だと思うのです。開墾塩業の方では、聞くところによると、一反歩当たり十万円か十五万円の金を農民に要求しておるわけです。農民の方では、おれのこしらえた土地なんだから、そんな金は払えない、三千円か五千円で当然じゃないかと言っておるそうです。その点のあれはどうなっておるかわかりませんが、ただ、そういう経過の中で、開墾塩業に払い下げを、非常に努力をしてやった方だと思うのですが、農林省東京農地事務局用地課桑原信雄という人がおる。これは今この沼の周辺農用地問題相談所というのを設立しているそうですか、この人は開墾塩業土地を八十二町一反八畝二十一歩というものを、金額にして約二千四百十九万一千三百四十一円になるそうですか、これをあっせん運動料として開墾塩業より受けたということを聞いております。これは聞いただけではっきりわかりませんが、そしてこれを農林省に売っておる。農林省はこれを反当たり二万八千円、二万一千円、三万五千円というようにして、ただ同様で開墾塩業に払い下げた——またあなたの方では、こういう訴訟が一方にありながら、開墾塩業から、別の土地ですが、これを三万五千円とか二万八千円とかで、桑原という人の努力で買い上げておる。そうすると、今訴訟進行中のものは、そこに農林省の買い上げた価格は、一つの公定価格的なものとしての価格が出てくるのじゃないか。農林省がこういうふうに買い上げたのだから、農民もこれで買い取れというのが当然出てくると思うのです。そうすると、農林省のとられたやり方というものは、せっかく農民のために法律によって買収をして農民に払い下げてやりながら、農民に非常な負担と不安とを与えることになる。それだけでなく、一方においては、さっき言った桑原という人は、農林省用地官でありながら、この間に介在して、開墾塩業からあっせん運動料として土地を相当もらっている、こういうことになるわけです。一体こういう場合に、農林省としてこの処置をどうおつけになるつもりですか。あなたの方が牧野買収でやったのは、訴訟で負けているくらいだから、あなたの方の手落ちだ。未墾地買収でやるべきものを牧野買収農民に払い下げたが、農民はこれに金をかけて水田をこしらえた。そうしたら、これは牧野にあらずといって訴訟に負けてしまった。農民開墾塩業に取り上げられてしまった。ところが、そういうさなかに、別の土地——あなたの方は、農民の側に立ってこの問題の解決に当たってやる、責任上そうでなければならないにもかかわらず、あなたの方は、別に三万五千円とか二万八千円とかでまたほかのところを買い上げているから、ここに開墾塩業農民が払わなければならない価格根拠というものをあなたの方が打ち出してしまっている結果になるのです。そうすると、この訴訟によって農民が三万五千円なり二万八千円なりを開墾塩業に支払うべしという判決があった場合に、あなたの方はどういう措置をおとりになるのですか。この点をお尋ねするわけです。
  9. 庄野五一郎

    庄野政府委員 印旛沼土地買収事件でございますが、御指摘のように、農地改革当時、今訴訟になっております開墾塩業株式会社所有地でございました印旛周辺採草放牧地でございますが、それを国といたしましては買収いたしまして、これを周辺農民に売り渡しております。これにつきまして、開墾塩業の方から、該土地牧野、すなわち採草放牧地でないという、認定が違うということで訴訟になりまして、この訴訟の原告は今申しました開墾塩業でございまして、被告は関係農業委員会になっております。前自創法におきましては、農業委員会において買収計画を立てて、それに基づいて国が金を支払う、こういうことになっておりまして、買収計画それ自体は地元の農業委員会が立てるわけでございますので、その農業委員会買収計画が違法だということになっておると聞いております。第一審は千葉地裁でございましたが、該土地採草放牧地かいなかということで、われわれといたしましても、当時の農民採草の用に供していた、開墾塩業から借りて採草の用に供しておったという事実の証明をしたわけでございますが、裁判所の取り上げるところとならずして、第一審においては、該土地採草放牧地の用に供していなかったのではないかということで、農業委員会の方が敗訴して、ただいま高裁の方に控訴中でございます。やはりわれわれとしては、該土地採草放牧周辺農民が使用していた、農地買収前から農地買収当時、採草の用に供していたということをさらに立証することに努力いたしておる次第でございまして、該訴訟東京高裁に係属中でございます。  それから一方、御指摘のほかの周辺土地でございますが、開墾塩業が所有していたところを国が買収した事実——三十五年でございますが、買収いたしております。これは御承知と思いますが、印旛沼干拓事業が終戦後から継続しておるわけでございますが、工事が着々進行いたしまして、印旛沼国営干拓事業事業用地といたしまして、干拓いたします場合の堤防になります堤防用地その他干陸予定地は、国としてそれを取得しなくてはならない、こういうことで昨年買収した次第でございます。御承知と思いますが、土地改良法によりまするいわゆる干拓事業は、土地改良法の改正によりまして、民法上の契約によって用地を国と——事業主体が国でありますれは国と、それから土地改良事業用地になります予定地所有者でございます所有者と、相対で契約して取得する、こういうことになるわけでございますが、印旛沼国営干拓事業が非常に進んでおりまして、どうしても堤防予定地を買わなければならぬ、こういう事態にありますし、また、これが取得できないと、印旛沼干拓事業それ自体が非常におくれるといったような事情もございまして、事業遂行上やむを得ず、昨年開墾塩業と話をつけて、大体今御指摘になったような単価で買収した事実がございます。これは、国営干拓事業遂行上やむを得なかった措置かと、われわれは存じておる次第でございます。御指摘のように、片方では該土地と隣接しました土地について、採草放牧地であったかいなかということの認定をもとにしまする、いわゆる農地解放時代事件訴訟になっておりまして、また、訴訟内におきましても、農業委員会農民との調停事件に持ち込んで今話をつけております段階で、そういう段階におきまして、国がここを干拓事業事業用地として買収したということは、事情やむを得なかったかと存じますけれども、いろいろな問題が生じて、われわれ今非常に解決に苦労しておるわけでございます。それで、われわれといたしましては、訴訟におきまする農地解放の無効にならないように最善の努力をいたしますとともに、訴訟内におきまして、今裁判所が入りまして調停をやっておるわけでございますが、それにつきまして、国といたしましても、千葉県あたりを十分指導し、また千葉県と十分打ち合わせをいたしまして、何とか円満裏開墾塩業との話がつきまするよう、調停内において努力をいたしておる段階でございます。
  10. 小川豊明

    小川(豊)委員 ここでお尋ねしたいのは、牧野買収をやったから、この訴訟は一審で負けているわけですね。これは未墾地買収であったならば、差しつかえなかったではないかと思うのです。これはどうかわかりませんが……。そこで、牧野買収でやったから負けたとすると、これは、訴訟相手農業委員会であったといいますけれども、未墾地買収でいくのか、牧野買収でいくのか、そういう点の折衝なり指導なりというものは、これは農林省農地局でおやりになることか、あるいは県を通じてやることであって、農民の方でこれは牧野で買った方がよいとか、おれの方は牧野がよいから牧野買収してしまえ、未墾地買収してしまえと勝手にできるものではなく、あなたの方の県を通じての指導によってこういうことになっているではないか。それは違いますか。
  11. 庄野五一郎

    庄野政府委員 二十二、三年の農地解放当時のことでございまして、非常に急速に全国農地解放を進めるという段階でございまして、一々農林本省におきまして、当該土地の問題が、牧野であったか未墾地であったか、あるいは不在村地主の保有の土地であったか、そういった事実認定はなかなか把握できない状態にありました。そういう関係もございまして、当時の旧自創法におきましては、現地農業委員会が一番現地農地事情の実態に通じている、こういうこともございまして、農業委員会において買収計画を立てて、それを県が農林省に申告いたしまして、それに基づいて買収の金を支払う、こういうことになっておりまして、農林省として特に当該土地未墾地であるかあるいは採草放牧地であるかというような指導はいたしておりませんが、やはり農民採草放牧をしておったか、あるいは何もしていない原野のままであったか、こういうような認定は、農業委員会が当時の現状に即して客観的にやったことと存じております。
  12. 小川豊明

    小川(豊)委員 御答弁ですがね、そうすると、牧野と指定するか、未墾地と指定するかは農業委員会の自由であって、県も農林省もそれに対しては関係ないのだ、こういうお話に受け取れるのですが、そうですか。
  13. 庄野五一郎

    庄野政府委員 事実の認定について、われわれとして一つ一つ買収計画について実情を十分調査するというわけには、当時参っていないと存じます。ただし、法律上の問題として責任がどこにあるか。これはやはり農業委員会なり、県なり、最終の買収をいたしました国なりにあろうかと存じますけれども、事実認定段階におきましては、該土地採草放牧に使われていたか、あるいは原野のまま放置されて  いたかといったようなことについては、農業委員会認定いたしたと存じております。
  14. 小川豊明

    小川(豊)委員 私がお聞きするのは、もう訴訟になってしまったのだから、従って、事実認定の問題ではなくて、そういう牧野であるか、未墾地であるかの決定責任は、国が負うものなのか、県が負うべきものなのか、農業委員会が負うべきものなのか、この点が一つと、この問題については、この前の委員会でやはり私がお尋ねしたのです。ちょうど訴訟の始まるころでした、お尋ねしたときに、当時の農地局長であったか、どなたであったか知りませんが、政府の方から出てこられて、この点について農民にはいささかも迷惑をかけないように努力をいたしますと、そのときはっきり答弁なさっておるのです。私は、迷惑をかけないようにするというのは、気持の問題ではなくて、法律上、農民が迷惑をこうむるべき問題ではなくて、県なり国なりがその責任を負うべきなりという立場に立ったから、そういう御答弁をなさったのだろう、こう判断しておったのです。今御答弁を聞くと、その決定が誤っているというので訴訟になって負けたのです。これは農地委員会訴訟の当事者になったわけですが、一体県や国はこれに対してはいささかも関知しないのかどうか。しないならば、この前の国会での農民に迷惑をかけないようにするという御答弁は、何の根拠に基づいてこういう答弁をなさったのですか。この点が一つ。  それからもう一つは、あなたの方で印旛沼干拓をしなければならないので、二万八千円であろうが、三万円であろうが、買わざるを得なくなって買ったという、そのことを追及しているのではない。それを買ったことによって、こっちの訴訟の方の土地の代金の一つの法定的な価格というものができてしまう。そうすると、農民はこういう決定があった場合、非常な負担をしなければならないことになる。土地は、自分で沼地に金をかけ、手間をかけてこしらえているのです。そしてなおかつ、これに対して三万五千円なり二万八千円なりを払わなければならなくなったら、あなたの方は最初善意で非常に好意を持ってやったことでも、農民にとっては非常に過重な、耐えられない負担になってくるんじゃないか。これに対する措置はどういうふうにおとりになるつもりか。この二点をお尋ねします。
  15. 庄野五一郎

    庄野政府委員 当該土地の事実認定農業委員会でやったことは事実でございますが、農業委員会は、旧自創法によりまして、買収計画を立てまして、国の機関としての農業委員会買収計画決定に基づいて、国が支払っているわけでございます。やはり国の機関たる以上は、国に責任がある、こういうふうにわれわれは考えております。それは法律上の問題でございます。  それから一面、国営干拓事業用地買収として昨年買収いたしたのも事実でございますが、これは先ほど申しましたように、干拓事業の遂行上やむを得なかったということで、三十五年時点におきまする近傍類地の価格を標準にして、農地の取得をやって、話がまとまって買ったということになっておりまして、三十五年当時の近傍類地の価格と、国営干拓事業で必要とする土地価格を類推積算して考えた価格であります。それが大体二万五千円、そういう形になっておるわけであります。この価格と、ただいま訴訟になっております土地価格を、時点をいつにおいて比較するかという問題は残ろうかと存じますが、いろいろ御指摘のような非常にむずかしい問題が起こって、私たちもこの解決に頭を痛めておる次第でございます。われわれといたしましては、裁判所が関与いたしております調停事件におきまして、何とか円満に話がつくように最善の努力をいたしまして、できるだけ農民に迷惑のかからないように解決していきたい、こういうことで最善の努力をいたすつもりでございます。
  16. 小川豊明

    小川(豊)委員 大体わかりました。最終的には、農地委員会だけの責任ではなくて、法律で作られた農地委員会であるがゆえに、従って、県にも国にも法律責任があるのだ、その答弁でけっこうだと思います。  次に、今の御答弁で、これは私はきっと問題になるだろうと思うのは、三万円なり何なりで国が買い上げて——時点といったところが、この時点は二年くらいしか相違がありません。従って、これはおそらく判決に対して重要な要素になる。買い上げなければならなかった理由は、私も了承します。それできめられた場合の農民負担に対して、今のあなたの御答弁では、できるだけそういう迷惑を及ぼさないように努力しますということですが、これこそ今の時点ではそういう答弁よりほかに答弁はでき得ないと思いますが、これは私は、農民負担に帰すべき筋合いのものではないのではないか、こう思って、この問題を取り上げているわけなんです。今きまったわけではない。こうする、そうするということは、いろいろ具体的にはあとで出てくると思いますが、できるだけ農業委員会にかけっぱなしにしておかないで、県を督励して、この問題が有利に解決されるようなあなた方の努力を、私は今の時点では切望しておく以外に方法はないわけです。   〔高橋(英)委員長代理退席、荒舩委員長代理着席〕 これに対して、あなたの方で少しほうりっぱなしではないかというような気がするわけなんで、質問をしたわけであります。どうかそういう努力一つ重ねてもらいたいと思います。
  17. 庄野五一郎

    庄野政府委員 決してほうりっぱなしではございませんので、県に出向いたり、あるいは県の責任者を呼んだりして、調停あるごとに十分打ち合わせをして、何とか有利に解決できるように最善の努力をいたしておる次第でございますが、今後とも、一そうそういう点につきましては十分留意して、できるだけ努力したい、こう思っております。
  18. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員長代理 木村公平君。
  19. 木村公平

    ○木村(公)委員 決算委員会においては、やはり予算が正当に使われたかどうかということの結末をつける意味において決算の審査をいたすわけでございますので、この問題におきましても、そういう意味から一つお聞き取りをいただきたいのでございますが、現在日本の農林省の考えておりまする農地というものに対する根本的の考え方について、私どもに疑惑な点、不明な点が多々ございますので、その点について、実はこれは大臣からお伺いすべきが本筋でありましょう、おそらく最終責任者であります大臣からの御答弁でなければ意義を有しないかもしれませんけれども、突然きょうは農地の問題がここで議論されるということを聞きましたので、用意が足りませんけれども、幸い農地局長がおられますから、一応農地局長なりの御意見を伺っておきたいと思います。  伺いたいことは五つ六つございますが、私の一番理解に苦しみますことは、日本は戦争に負けてから海外の領土を失った。植民地主義というものは、当然今後はアウフヘーベンされなければならない。そこで植民地主義というものが克服されて、そしてそれをとらないということになる以上は、国内的の領土拡張ということがどうしても必要であるという面から、私どもは、常に口を開けば、山地の開発であるとか、あるいは海面の埋め立てをやるとか、いわゆる国内領土の拡張ということに今日まで努力して参ったわけでございます。これはひとりわが党だけでなく、社会党の諸君といえども同感でございまして、山地の開発、海面の埋め立て、いわゆる国内領土の開発、未利用資源の百パーセントの活用というような意味におきましても、そのようなことが今日政治の面に現われておるのであります。ところが、一方、比較的農地の改良が活発になされて見るべき効果があるにもかかわらず、改良されたその農地が、改良の完成を待って、あるいは待たないうちに、その上に道路ができたり、工場ができましたり、住宅ができて、どんどんつぶれていく。多額な国費を投入して農地の改良をやるわれわれのつもりでは、山地を開発し、海面を埋め立てることによって、工場を作るとか、あるいはまた農地の拡張もする、新都市も作り、新農村も山の中等を切り開いて作るということが、国家のため一つの国策であろうと考えてやってきたのです。従って、農地をつぶすというようなことは、国策ではないはずであるとわれわれは考えておるにもかかわらず、昨今の状態を見ておりますと、すでに国費をもって改良されたる土地改良の上に、どんどん道路ができる、住宅ができる、工場が建築される、そういうことのためにまた派生的にいろいろな問題が出てくる。たとえば解放地主なんかに言わせれば、一坪二十七円くらいで解放させられたのだ。ところが、どんどん農地がつぶされて、そこへ工場が来る、道路ができるということになると、一坪一万円くらいで目の前で売っておる。そういうものを見れば、われわれがたとい国家の犠牲であるとはいえ、一坪で二十七、八円、いわゆる一反歩当たり七百数十円のばかげた値段で手放させられて、そうしてそのときの小作が、今一坪一万円、反三百万円くらいの高値をもってどんどん売っておる。一体売り先はどこであるかというと、よく調べてみると、それが道路公団であったり、住宅公団であったり、あるいは国家であったり、そういうこともある。そうすると、彼ら自身は、解放地主から見ればいかにも不公平じゃないかということを考えるのも、けだし無理からぬことであろうと思いますが、それは派生的な問題でありますから、今日追及しようと思っておりません。私の申しますのは、そのように農地が食われていく。あなた方の御努力によって農地改良がなされ、土地改良がなされておる、その農地が食われていく。その改良以前の農地が食われるということなら、まだがまんもできますが、改良された農地がどんどん食われていくという、このことに対して、農林省は一体どのような措置、どのような抗議、どのような考え方をしておられるかということが、まず基本の問題でございますから、これから伺っておきたいと思います。
  20. 庄野五一郎

    庄野政府委員 農地の転用の問題かと存じますが、農地につきましては、御承知のように、農地法に基づきまして、われわれは運用いたしておるわけでございます。終戦直後からの問題といたしましては、やはり食糧不足ということと、海外その他の帰還者等の帰農する場所、あるいは就職の場所、こういった問題がございまして、御承知のように、戦後の緊急開拓時代、こういう時代があったわけでございます。未墾地を開拓いたしまして農地とし、あるいは海面、水面を埋め立てまして、あるいは干拓いたしまして農地といたしまして、食糧増産をいたしますとともに、帰農者等の用地を提供する、こういった事業にわれわれとしては非常に大きな努力を払って今日に至っておるわけでございます。こういった土地改良をやり、あるいは開墾、開拓いたしました農地が、最近非常に農業外に転用されているじゃないか、こういうような御指摘でございます。これにつきましては、農地法の五条で、五千坪未満は知事の許可を要する、五千坪以上は農林大臣の許可を要するということにいたしまして、国の意思によりまして、この農地の転用問題について許可、不許可の方針を決定いたしておる次第でございます。ただ、国の経済の発展によりまして、最近におきます特に一般経済の急速な発展に即応いたしまして、工場その他道路、公共用地といったようなものの需要が、非常に増加いたしております。これをいかに農地等の保存ということと調整して参るかということが、現下の非常な問題でございまして、われわれといたしましては、農地法の五条によります県知事あるいは農林大臣が許可いたします場合の基準というものを、前からあったわけでございますが、一昨年これをまたさらに現下の事情に合うように、国の経済の発展に即応するように改定いたしまして、農地転用基準というものにのっとりまして、許認可の諾否を決定いたしておる次第でございます。われわれといたしましては、やはり農地でも、国の経済に即応して、必要なところが最小限度農地外に転用される場合というものは、場合によってはやむを得ないじゃないかというような考え方を持っておりますけれども、国の経済の発展に即応するとは言うものの、農業としても、やはり第一次産業として国の経済の根幹になるものでございますから、第一次産業たる農業にできるだけ支障なり、悪影響を及ぼさないように、そういった点は十分注意しなければならぬ、こういうふうな考え方でおります。転用基準によりましても、農業としてどうしても保持しなくてはならない農地は保存する、保護するという考え方を、われわれとしては貫いているわけでございまして、そういった農地には、土地改良その他の農業投資はできるだけやっていかなくちゃならぬ。ただし、市街地の周辺といったようなところの農地は、国の経済発展に即応しまして、市街地が自然的に膨張していく、あるいは日本の二次産業が急速な発展をいたしますについて、日本の経済が工業化の道をたどっていくわけでございますが、そういう面から、やはり二次産業、三次産業の立地条件、経済条件等をよく検討いたしまして、万やむを得ない、たとえば都市周辺、あるいは資源を保有しておりますその資源の周辺で、農業に支障がないといったところは、やむを得ないのではないか、こういうような考え方でおります。それで、農地につきましては、農業上どうしても保持しなければならぬというようなところは、第一種農地というような考え方で、できるだけ保存するようにいたします。都市周辺の、転用されてもやむを得ない、他面、第二次産業、第三次産業、あるいは人口膨張といった面から、どうしてもこれは都市の経済的発展上必要であるといったようなところの農地は、万やむを得なければ農業外に転用されてもやむを得ないじゃないか、こういうような考え方であります。第一種農地といいますのは、いわゆる農業上必要なところは確保したい、こういうような考え方で運用いたしております。
  21. 木村公平

    ○木村(公)委員 私の心配しますのは、長々と御答弁がありましたが、要約すれば、一種、二種とあるようですけれども、通観しますと、土地改良が無計画になされて、なされたすぐ直後に、あるいはその完成を待たずに、それがつぶれていく。そうすると、国家の投資、土地改良になされる投資は、むだになるわけです。その計画性がないということを私はあなたにお尋ねしている。もちろん、国家の要請として工場が分散され、農地がつぶれていく傾向にあるのだ。そうして所得の倍増計画なども国策として考えられている。そうすれば、当然現在の都市の近郊の農地というものはつぶれざるを得ない運命にあると、私どもは考えております。   〔荒舩委員長代理退席、高橋(英)委員長代理着席〕 そのことを私は追及しているわけではございません。そういうことを前提に、御存じの上で土地改良がどんどんなされていき、完成を待たずしてそれがつぶれていく。そうすると、土地改良をした国費は、決算委員会立場から見れば、むだ使いされているのではないか、そういうことをあなたにお尋ねする。従って、これを防ぐ道はどこにあるか。農地局長として、この根本策をあなたはどこにお立てになっているか。ただそれなら都市近郊だけはなるべく土地改良をしないといったような、かりに基本方針をお立てになるとするなら、それについてここで明言されれば、われわれは、それに対するいろいろなまた私どもの考え方を申し述べなければならぬ。そこであなた方の根本方針として、国策的見地から見れば、農地がこれからつぶれていく傾向にあることは否定できないのです。工場が分散される、新都市が農村に樹立される傾向にもある。そこでわれわれは、そういうように農地がつぶれることをおそれまして、できれば山地を開発してそこに新都市も建設したいが、新農村も建設する。むしろ農村をふやすくらいの方法で政治を行ないたいというて、私どもは山地開発をやってきた。それと同時に、海面を埋め立てることによって、工場の敷地がなければ工場の敷地を提供する。そうしてなるべく農地はつぶさないようにしたいという政治上の考慮をして参ったのでありますけれども、だんだん政府の行き方が変わりまして、最近においては、農地をつぶすということに対しましては、非常に大きな考慮が払われておらない。その根本の考え方政府全体にあるといたしましても、農林省のあなた方として、そういう傾向が現われてくるとするなら、その傾向に対処して、土地改良の面においてどこから始むべきか。せっかく土地改良をやっている上に、すぐ道路ができてしまう。そうすると、土地改良をやっただけの費用がむだになる。あるいはせっかく土地改良を完成したとなると、それが宅地か工場になる、そうして農地がつぶれてしまうということでは、農地改良、土地改良のために万金の国費を投じても、それがむだ使いになってしまうということを、この決算委員会としては追及せざるを得ない。そこであなた方にお伺いしたいのは、根本方針をどこに置かれるのだ。国がそういうような方針で今後農地をつぶしにくる場合には、農地をどの方面に開拓しようとなさるのか。山地を開拓してそこに新しい農地を見つけようとなさるのか。あるいはさらに水面、海面を埋め立てることによってそこに新しい農地を見つけようとするのか、既存の農地をどうして守ろうとされるのか、あるいは守り切れないから、これをつぶしていくという形を単に傍観されるものであるかどうかという、農林省としての根本方針を、農地局長ならおわかりだろうと思う、その点を一つ伺わしてもらいたいと思うのであります。
  22. 庄野五一郎

    庄野政府委員 国土の総合利用計画というものが、御指摘のように、あってしかるべきだと存じます。現段階においては、国土の総合利用計画がまだ十分立ってない段階におきまして、われわれとしては、御指摘のように、農業側から、農業として保持しなくてはならぬ、そういった地域なり、地帯なり、あるいは土地なりは保護したいという方針は、変わりはございません。土地改良をやるにいたしましても、戦後からずっと緊急食糧の増産時代というような時代を経まして、土地改良その他の開墾、干拓といった事業をやって参った次第でございますが、そういった計画と、二次産業あたりの工場立地計画というものが今後できて参ると思いますが、それとの調整は、十分つけて、農業の生産力の保持といったものについては、十分われわれとしては確保して参りたい、こういう考えでおります。今後の土地改良の採択等につ営ましても、やはり二次産業あたりの立地計画というものを基本にして、無計画に農業地帯が二次産業等に転用されることのないように、計画として十分総合性を持った国の経済発展に即応するような計画ができますれば、それとの調整において農業としての確保すべき地帯を十分守っていきたい、こう考えておりまするが、現段階においてはまだそういうものがないので、土地改良をやったり、国の投資の行なわれた農地は、極力これを保持するという方針を明確にいたしております。
  23. 木村公平

    ○木村(公)委員 世間で誤解をされておるのではないかと思われることがあるのです。それからあなた方自身も少しイージーゴーイングじゃないかと思われますのは、農村人口の問題で、農村の人口が非常に日本は稠密だ。欧米各国と比較して、農村に人口が多過ぎる。所得倍増の面からいっても、こんなことでは日本の農村の繁栄はない。農村の人口を都市に連れてくるということの必要、それから農村の次男、三男等の職域の拡大というようなことに対しては、われわれは賛成であります。その線に沿ってわれわれは今後も政治を進めたいと思うのでありますが、ただ、農地の面からいきますと、日本の農地というものは、日本国全体に占める広さの比率は大きいでございましょうけれども、国そのものが小さいところでございますから、日本の一億の人口を養うために農地の占める広さの比率というものは、必ずしも欧米と比較して大きくない。むしろ狭小であると言わざるを得ないのですが、この農地が無計画につぶれていく。つぶれていくことはよろしいけれども、われわれが心配しますのは、せっかく国費を投入して農地として万般の施設をされたあとにつぶされるという、この無計画性について、私どもは、常に心配をいたし、国家のために憂慮いたすわけでございます。従って、都市周辺の農地が、国策的に見ましても、あるいはあなた方のいろいろの御体験によっても、つぶれなければならない運命にあるとするならば、都市周辺の農村の土地改良に対してはしばらくこれに手をつけないで、むしろつぶれないと予想される方から土地改良を活発になさるというようなことが考えられると思うのでございますが、その意味において、たとえば山地の切り開き、あるいは水面、海面の埋め立てというような面に新分野をお作りになるのか、それとも既存の農地を減らさないようになさるとするならば、どういう方法があるのか。われわれ見ておりますと、今の政府の趨勢は、農地をつぶすような方向へ行くのです。所得倍増の面からいきましても、工場の分散、それから新都市建設なんかの計画を見ても、農村へ農村へと土地が拡大されていくような傾向にある。そうすると、農地がつぶれる運命にあると考えておることも、これは間違いではないだろうと思う。その場合に、農地の擁護者であるところのあなた方が、基本的の考えとして、農地をいかに守るかということのまず具体策をお聞きいたさなければならぬ。もしも守り切れないとするならば——現在の農地でも、人口から参りましても少ないし、国土全体が狭小でございますから、一欧米諸国の農地から考えると、明らかに狭小なのです。多過ぎやしません。狭過ぎるこの農地が、またつぶされていく。今のところは米が多過ぎて困るとおっしゃるけれども、やがては食糧事情等についても、別の観点から一つの杞憂を持っている——杞憂であるかどうかわかりませんが、一つの心配を持っておりますから、農地がつぶされるということに対して、双手をあげて私自身が賛意を表するわけにいかない。まして農地の擁護者であるあなた方が、どんどん目の前で農地がつぶれていく状態をごらんになって、拱手傍観される手はないと思う。もしもつぶされる運命にあるとするならば、国費を節約する方法として、土地改良をつぶされないところからやるとか、あるいは山地開墾をするとか、水面を埋め立てるとか、今よりもっと多くの国費をそういうようなことに投入される。そうしてつぶれるにきまっているようなところの土地改良は手控えされるとか、同じ予算のうちでも、もっと操作よろしきを得れば、国費はむだ使いをすることなく、上手に使えるような気がしてならないのでございますが、この点について、その道のほんとうの責任——究極的には農林大臣か責任者であるけれども、実際はあなたが責任者だ。あなたの根本的な考え方、どうしてつぶされる農地を守るかということが一点。あるいは保護し切れないとするならば、新分野をいかに開拓されるか。今は農地が多過ぎるからつぶれてもよろしいという御考えであるかどうかということを伺っておきたいと思います。
  24. 庄野五一郎

    庄野政府委員 農地の転用につきましては、先ほど申しましたように、農地法によりまして知事あるいは農林大臣の許可事項になっておりますので、必ず許可申請がくるわけでございます。許可申請の内容を十分検討して、農地が無計画に、そして不必要につぶされることのないように、われわれとしては最善の努力を払って、いわゆる第一次産業として当然これを保持しなければならない農地というものを保持していく方針は、堅持いたしております。  なお、土地改良の農地がむだにならないようにというごもっともな御指摘でございまして、われわれといたしましても、継続事業につきましても、そういった万やむを得ず国の発展上市街化するところについては、費用を分担させて、農民の費用の節約をやる。あるいは新しい土地改良を採択いたします場合には、第二次産業、第三次産業等の計画も十分勘案いたしまして、土地改良の国家投資がむだにならないようにということについては、十分注意をいたしまして、御指摘の御趣旨に沿うように今後とも運用していきたい、こう思っております。  なお、農地の改廃といった面も、毎年一万五千町歩といったふうにつぶされているという現状でございまして、これにつきましては、御承知と思いますが、未墾地の開発、あるいは干拓事業というものをできるだけ推進いたしまして、農地の絶対面積がふえるとも減らないようにという方針で、土地改良なり開墾、干拓の事業を計画的に推進しておる次第でございます。
  25. 木村公平

    ○木村(公)委員 時間もないようですが、一つだけ農地局長にお尋ねしておきたいのは、農地が減らないようにするという考慮はお持ちであるということが、今のお答えでわかったわけです。つぶされた農地は、他の方面において年次的に計画を進めて拡大していくのだ、だからつぶれただけ補い得るかどうか知らぬけれども、絶対量としては減らさぬ方針でいきたいというお言葉でございますので、一応私は安心して、その点は信用するよりほかございませんから、次に移ります。  次に、低湿地帯の排水の問題でございますが、これはもう常にあなた方もこの問題では苦慮されておると思いますけれども、災害の起こるたび、あるいは少し雨が降りますと、すぐ農地が流失したり、あるいは冠水したりするところが全国にたくさんありますることは、すでにあなた方が統計上お調べのところであろうと思います。これに対して、いわゆる機械排水をしておるところが、全国各地にこれまたたくさんある。しかし、このごろは、御承知の通り、農村と都市がほとんど混淆いたしまして、都市の下水が農村にあふれ出るというような状況で、いわゆる農村だけの排水能力でもっては、農地の冠水を排除することすらも困難である。排除しても、上流から工場用水であるとか、その他飲料水であるとかいうものの下水が、どんどん入ってくる。これがために、昔のように都市と農村とせつ然と区別をして、農村地帯の水、低湿地帯の水は、農林省関係の排水機でもって機械排水をする、都市の方は、建設省関係でするといったような、しゃくし定木な状態では、洪水あるいは災害の場合にこれがほとんど用をなさないということは、昨今の災害で十分おわかりかと思いますが、これに対する農地局の対策——とても農林省だけの排水機でもっては排水能力が足りないのだ。そこで建設省とこのような折衝の結果、上流工場排水については、農業排水を別にして、このような施策を今後とるとか、こういうような考えを持っているとか、あなた方だけのお考えを一つ承っておきたいと思います。
  26. 庄野五一郎

    庄野政府委員 御指摘のように、最近非常に集中豪雨等がありまして、従来の排水事業として機械排水をやって参りました地帯につきましても、非常な滞水被害を出しておる実情でございます。こういうような低湿地帯の排水問題というものにつきましては、今後とも、われわれといたしましては、排水改良事業というものを、災害防除的な見地から見直してさらに拡充していきたい、こういうような考え方で、特に御承知のように、新潟とか、岐阜あるいは愛知、三重の木曾、揖斐、長良の滞水地帯、また、各地に非常な低湿地帯がございますが、そういったところの災害防除的な排水事業というものを、新しい事業として、来年度からは何とか計画的に事業ができるようにいたしたい、こういうような考え方努力いたしております。  なお、御指摘になりましたように、最近都市の発展等がございまして、農地の排水ばかりじゃなくて、いわゆる村落なり、市街地の下水なり、工場ができますれば工場排水等も、農業用として設置いたしました排水機で処理するといったような実情に相なっておるわけでございまして、そういう問題については、建設省ともよく打ち合わせておりますが、農林省といたしましては、そういった排水は、一つの公共的な面があるといったような見地から、国の負担を河川並みにしていくといったような考え方を来年からは何とか打ち出したい、こういうような考え方でございますし、またそういったところの受益者の負担の問題につきましても、県なり市町村なりが、農民と一緒に都市下水あるいは工場排水等の負担をするなり、あるいは契約等によりまして、工場等からも受益者負担をさせるなりの指導もいたしたい、こういうふうな考え方で処理しております。
  27. 木村公平

    ○木村(公)委員 最後に一つ、ちょうど和田秘書課長が来ておられますので、農林省関係職員の選挙運動について、若干の質疑もいたしたいし、啓蒙もしたいと思うのです。  私が今さらここで申し上げるまでもないと思いますが、役人が自分の職務を利用して選挙運動をするということの弊害は、もう全く目に余るものがあるということは、日本の国会においてもしばしば論議をされて、それがための排除法でも作らなければならんじゃないかという機運すらも横溢しておるようなわけでございます。なかんずく参議院選挙を控え、あるいは衆議院選挙前において、みずからの職務を選挙のために利用して、そうして当選を期するという弊害は、実にわれわれの目に余るものがあります。農林省において申し上げますれば、林野庁に籍を持っておる者が全国区に出るという場合に、各地において国有林の払い下げ等が活発に起こる。そのことは資料としてお出しをいただきたいのでございますが、ただいまは昭和三十四年度の決算をやっておりますので、三十二年度以降、やがて審査をしようとする三十五年度までの林野庁関係の払い下げの実体、あるいは東北であるとか京都であるとかいう農地局関係においても、実に驚くべき選挙運動をやっておる。ばかげて人の前では言えないようなことを、しかも、みずからは立候補することを宣言したあとにおいてやっておることが、過去においてもあるのです。そういうようなことを、官房長のかわりに来ておられる秘書課長は、一体御承知なのか。ただ、お役人が公務をさぼって、あるいは公務をさぼるだけでなく、公務に便乗して、出張と称してから出張をして、国費をもって選挙運動をするというようなことならば、まだ見のがすこともできるかもしれぬ。それとても、考え方によっては、事は重大な弊害だと思う。そうでなく、自分の職権をもってある程度認可、許可ができる、その自分の職権を利用、乱用して、これを選挙運動に利用するというようなことは、買収以上の悪質なものだと思う。もしもそのようなことが公然と行なわれて、監督者である秘書課長からも、官房長からも、大臣からも、次官からも、そのようなことについて叱責もない、防止もしないということがありますれば、今後それが白昼公然と行なわれて、それがために、そのような職場におらざるところの一般の大衆のうちで、志を政治に立てて候補に立つような者は、はかり知れざるところの損害を受けると同時に、おそらく競争にたえないことになるのではなかろうか。それがために、国会においても、今、重要な役職についておった者は、一年あるいは二年前にやめなければ立候補させないとかいう問題を真剣に論議しておるのでございますけれども、もうすでに数年来人の端に上っておるいろいろなことがございますが、そのようなことに対して、秘書課長はお聞きになっておるのかどうか、お聞きになっておるとすれば、これに対する対策をお立てになったかどうか、そういうことは当然役得とお考えになっておるのかどうか、一ぺん秘書課長に伺っておきたいと思います。
  28. 和田正明

    ○和田説明員 次官、官房長の御出席要求がございましたけれども、ちょうど日米経済会議の予備会合のために出席をしておられますので、私かわりましてお答え申し上げます。  ただいま御叱正いただきました件につきましては、一般的に考えまして、国家公務員が選挙運動を実質的にいたしますことは、国家公務員法、それに基づく人事院規則等で、御承知の通り、規制されておるわけであります。そういうことが具体的に起こりませんように、常日ごろ努力はいたしておるわけであります。具体的には、来年予定されております参議院選挙との関係につきましては、特にうわさのありました方々については、あまり長くその職にとどまっていただきますことは、いろいろな誤解を招くおそれもございますので、すでに本人にも申し上げまして、退職の手続をとっていただいたわけでございます。今後とも、そういうことが起こりまして、いろいろと世間の誤解を招き、またいろいろ御迷惑のかかりませんように、次官、官房長ともよくお打ち合わせをいたしまして、できるだけ指導に努めたいと思います。
  29. 木村公平

    ○木村(公)委員 それならば、資料としてこの次までにお出しいただきたいと思いますのは、昭和三十四年度、三十三年度、三十二年度の農林本省農地局かんがい排水課において行なわれました事業実績、これを一つ資料としてお出しをいただきたいと思います。  それから京都の農地事務局の昭和三十四年——やがて五年度の決算に入りますれば、五年度のものも要求いたしますが、四年度以前の局長の出張の状況、並びに農地事務局限りでできます認可条項があるとすれば、認可されましたところの事案並びに場所、仕事の量等も、資料として御提出をいただきたい。  それから最近における仙台農地事務局の問題は、日にちがまだ浅いから大したこともなかろうと思いますが、仙台農地事務局におけるごく最近に認可されました事業について、もしも記録がありますれば、それも御提出を願っておきたいと思います。  以上三点の資料の提出をお願いして、私の質問を終わります。
  30. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連して。ただいまの資料提出、私たちも望みたいところであります。それとともに、今木村委員指摘したと同じケースが他の省においてもあるはずでございますので、この資料要求について、理事会においてこれを検討して、同一のケースのものの資料提出を決算委員会として要求するように取り計らいを委員長においてやってもらいたいと思います。
  31. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 御相談しますが、今の木村君の御要求等は、直取引について、各関係官庁あたりで自発的に御提出になれば、委員会として拒むべきではないと思いますが、しかし、厳格にいえば、理事会で意思決定をしまして、委員会として要求するように権威づけた方がいいと思いますので、散会後理事会を開いて、この点についてよく協議したいと思います。安宅常彦君。
  32. 安宅常彦

    安宅委員 私は、山形県の泉田川土地改良区、この問題に限定をいたしまして、農林省の本日御出席になっておられる方々にいろいろと質問をしたいと思うのであります。決算委員会でありますから、農政のいろいろな移りかわり等の政策については、なるべく私は避けたいと思いまして、この土地改良区の計画並びに事業の進行状況、さらに今後の措置等について、詳しく聞きたいと思いますから、明確な御答弁を賜わりたいと思うのであります。  まず、山形県の泉田川土地改良区で、今申請によらざる計画変更などを中心に相当の混乱が現地に起きておる、こういう事実があるのでありますが、農林本省に対してそういう報告があるのかどうか。あるとすれば、どういう報告が来ておるのかということについて、農地局長から御答弁を賜わりたいと思います。
  33. 庄野五一郎

    庄野政府委員 泉田川の国営土地改良計画でございますが、当初計画は、二十八年の二月に縦覧公告をいたしまして、所要の手続を済ませまして着工に移っておりますが、その後、農業経営のあり方等も検討いたしまして、当初計画は開田と畑地灌漑というものを中心に計画を立てた次第でございますが、その後、用水補給という点には変わりはございませんが畑灌を田畑輪換というような形に切りかえる方が、地元の農業開発上非常に効率的だということで、計画変更をただいま手続中でございます。この計画変更については、ただいま地元に計画変更の内容を説明いたしまして、いずれは縦覧公告をして同意を求める、こういう段階になると思いますが、計画変更は、ただいま地元農民に対して、こういう内容になるのだ、二十八年当初の計画はこういうふうに変わるのだということを、ただいま説明中でございます。
  34. 安宅常彦

    安宅委員 それは、あなたの方でやっているのは私も知っているのですよ。現地で相当の混乱が起きているはずだ。それで、この混乱の状況について報告がきておるはずだ、こういう質問をしておるわけですから、そこのところをずらさないで御答弁を願いたい。
  35. 庄野五一郎

    庄野政府委員 当初計画の変更につきましては、地元においても反対なりあるいは納得できないというような声があるわけでございまして、その面に対しまして、十分計画変更の内容を説明して納得を求めるというように、今努力いたしておる次第であります。
  36. 安宅常彦

    安宅委員 この問題は、はっきり言うならば、二十七年に泉田川沿岸農業水利事業期成同盟会、こういう会が設立され、推進母体となって、当初の計画については農民から調印を求めたわけです。ところが、これに対してはいろいろと問題点があったのでありますが、要すれば、土地改良はただでしてやる、こういうふうなことで、あるいは国営土地改良事業にしなければならないから、三千町歩以上の区域を保持しなければならない。従って、あなたの方も一つ判こをついてくれないかなんというような、いろいろな事態が起きて、要すれば、ただだと思ったものだからみんな判こをついてしまった。こういうことに考えておったところが、義理で入ったんだから大したことはないだろうと思っておったら、あとで差し押えの通知がきて、これは大へんだと思って納めた人は除いて、百八十九人の人々が田畑や不動産の差し押えの強制執行を行なわれた、あるいはとられた、こういうふうな問題から大へん大きな紛争になった。滞納の人々はその当時四百四十五人くらいあったのですが、そのうちから、ただいま申し上げた百八十九人というのが強制執行を命ぜられた。これはあまりにひどいではないか、こういうことで、初めて、それでは事業の内容を知ろうではないかという空気が出てきて、今度はいろいろと土地改良区の幹部に聞いてみた。ところが、それはただじゃなかったということがまず一つわかり、さらに問題になったのは、申請によらざる計画変更がすでに申請されておったと申しますか、幹部の間では話になっておったのでございましょう。そういう内意を受けたと見られる農林省が、大体その方針に従っていろいろと計画を立てられておった。これが大体三十四年の十一月ごろに、その構想が着々進んでおったということがいわれておるわけであります。県の事務当局話し合いをしてみましたところが、あっさり昭和三十四年の十一月に当初計画を変更したのだということを言っております。さらに、地元の農民の団体から山形県議会の農林常任委員長あてに調査団を派遣するように要請をいたしまして、その調査団の調査結果に基づいて、農林常任委員長が公文書で発表したところの報告があります。これにも明らかに「現在の計画は、昭和三十四年十一月に当初計画を変更したものであるが、」云々と、こう書いてあります。「農業の曲り角にきている関係農民にとって、将来の営農等から、計画変更をした現在の計画に不安をもっている。」こういう報告をしておるのであります。こういう状態になっておるので、非常に大きな当初からの非民主的なやり方と、それから申請によらざる計画変更が、地元農民の納得しないままに推進をされたということによって、大きな混乱を起こしておる、こういうふうに私どもは聞いておるのであります。これに関する報告は、全然ありませんか。
  37. 庄野五一郎

    庄野政府委員 この泉田川の国営事業は、昭和二十七年から着工いたしておりまして、その後、農業経営の事情等も変わりまして、地元等からも畑灌でなくて田畑輪換でぜひやってくれ、こういったような要望もございまして、御指摘のように、三十四年十一月に計画の練り直しをやったわけでございます。その際、土地改良法に基づきまする変更手続が非常におくれまして、正式の変更手続を十分しないままに工事がそのまま進められたということについては、われわれといたしましてもまことに遺憾に存ずる次第でございまして、今後は、そういうことのないように十分注意したい、こういうふうに考えております。計画変更につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、地元農民に十分説明いたしまして、納得のいくようにいたしましてから同意等をとって正式に進めていきたいということでございまして、御指摘の点は、われわれとしてもまことに遺憾しごくに存ずるのであります。今後こういうことのないようにいたしたい、こう存じております。
  38. 安宅常彦

    安宅委員 ただいま重要な発言があったのでありますが、地元から田畑輪換方式にしてもらいたいという要請があった。それはいつ、だれの名前で、どういう方法で申請があったのか、それをお聞かせ願いたい。
  39. 庄野五一郎

    庄野政府委員 県を通じましてそういう声をわれわれは聴取した次第でございまして、今御質問のように、だれがどういう書面で、こういうふうには聞いておりませんが、県としまして、その地帯の農業開発上、やはり畑灌というのでは非常にむずかしいのではないか、田畑輪換で水田酪農等を取り入れた方がいいのではないか、こういうふうなことがありまして、ただいま申し上げたような計画に変えるということになりまして、正式の手続が終了しておらないということは、まことに遺憾に存じておるのであります。
  40. 安宅常彦

    安宅委員 国の経営しておる事業である土地改良事業、これらの計画変更をやる場合において、単に県からそういう話がありましただけでは、これは済まされない問題であります。県が公文書であなたの方にそういう申し出をしたと思いますか、そういう時期はいつで、どういう文書でやったか、こういうことについては、あとで一つ資料を出していただきたいと思います。それでないと納得できません。地元といったって、地元の農民は今それで反対してわあわあやっておるのですから、県からきたとすれば、県の正式の機関から出たはずでありますから、必ずこれは提出していただきたいと思います。近いうちに提出して下さい。わからないでは済まされないですよ。
  41. 庄野五一郎

    庄野政府委員 現地は、この計画をとるにつきましては、開田をやるというのが第一の希望だったわけでございまして、それについて一々申請とかそういうことじゃなしに、やはりこの地帯の農業開発上、開田をやってくれということでございましたが、水の関係等もあって、畑灌を一部やらざるを得ないではないかということで当初計画は進んだわけでございます。畑灌では、その地帯ではまだ十分こなせないから、何とか水の点を考慮して田畑輪換という程度までは持っていっていただきたいということを、われわれ聞いておるのでございます。なお、調査いたしまして、そういう資料がございますかどうか、十分検討いたしまして、ありますれば、御提出申し上げます。
  42. 安宅常彦

    安宅委員 そういう資料がございますかどうですかというのは、納得いかないですね。それでは、あなたはだれから聞いたか、風のうわさで聞いたわけではあるまいし、そういうことで計画変更ができるものでありますかどうか。それはとんでもない答弁だと思う。
  43. 庄野五一郎

    庄野政府委員 われわれは、風のうわさ等ではやっておらないわけでありまして、県と十分打ち合わせをやってやるわけでございますが、そういう文書になった資料があるかどうかということを申し上げておる次第でございます。いつも土地改良の採択なり、あるいは事業の推進なり、あるいはそういうものの変更なりについては、県当局と打合会を開いて、そこでいろいろやっておるわけでございまして、御指摘のような、だれとだれが出したような資料があるかどうかというお話でございますが、そういうものはないかもわからない、よく調べましょう。こういう次第でございます。御了承願います。
  44. 安宅常彦

    安宅委員 これは文書もなければ、単なる協議でやった。日本の官庁というのは最もうるさいところでありまして、小さな橋一つかけるにも、判こが三十要るとか四十要るとかいわれているときに、その資料がありますかどうかという答弁では、答弁にならない、こういうことを申し上げておるのであります。それならば、会議でやったのか。いつの会議か。そういう文書でやったのか、明らかにその資料をあなたの方で、私に、たとえば一週間以内に提出できる、こういう約束はできませんか。
  45. 庄野五一郎

    庄野政府委員 国営の事業は、御承知のように調査をやりまして、それから実施設計を立てまして、それを審査して地元の同意をとり、それから工事内容等の実施設計の技術的検討をいたしまして、所要の手続をとってから着工、こういうことに相なるわけであります。しかし、調査なり、設計なり、あるいは着工の段階におきまして、いろいろ工事を進めて参りました経験なり、あるいは工事進行上の工合から、ダム工事等につきましては、現地の事業所等におきまして、設計がこういうふうに変わった方がもっと効率的だ、あるいは農業経営の面から、こういうふうにダムのかさ上げをやって、水を多くして、畑灌よりは田畑輪換にした方がいいのだ、こういったような意見も、地元の事業所あたりを中心として、工事の実際の設計なり着工なりする段階においてやはり出てくるわけでございまして、そういう面からも打ち合わせをやって、設計変更をやるというようなこともあるわけでございます。そういうようなこともこの場合にあったのじゃないか。こう思うわけでございまして、そういう点で、工事の進捗の面から設計変更をせざるを得ない、こういうような段階もございまして、それを今は地元に納得できるようにという説明をいたしておるわけでございます。よく調査いたしまして、また御答弁なり、御説明なり、申し上げたいと存じます。
  46. 安宅常彦

    安宅委員 地元の意見があったからこうやったとあなたが答弁したから、私は聞いているのです。申請によらざる計画変更ですから、あなたの方で勝手にやったのかもしれない。そうなれば、ますます責任は重大になってきます。それは別として、いずれにしても、どういういきさつでやったかは私の方に通知をしてもらいたい、こういうことを要求いたします。  問題をかえまして、それでは、この問題になっておる土地改良事業に対して、三十五年度までの、二十七年の設立実施計画の完成後の国費の支出額は、総額幾らになっておるか、それを御答弁願いたい。  あわせて、それは決算としてすでに承認をされておるのはいつまでであるかということも、これはきまっておるような問題でありますが、答弁を願いたいと思います。
  47. 庄野五一郎

    庄野政府委員 支出済みの方は、今調べて、いずれ御報告申し上げますが、当初計画で国営事業費は八億三千万円でございますが、変更後は二十億四千二百万円というふうに相なっております。
  48. 安宅常彦

    安宅委員 そうしますと、ここで一つお尋ねをしたいのでありますが、あなたの方の事業所で発行をしたこういう概要図があります。計画変更前のと変更後のとがあるのでありますが、これには、当初の計画は十一億円と書いてある。これはどういう違いなのでしょう。
  49. 庄野五一郎

    庄野政府委員 今申しました変更前の当初計画が八億三千万円というのは、二十七年に国営に着工いたしましたときの予定事業費でございますが、その後、物価等の値上がり等がございまして、物価で是正いたしました分が、十一億何がしかと存じます。
  50. 安宅常彦

    安宅委員 物価の話が今出ましたが、それでは当初計画をそのまま実施をした場合と、それから計画変更をした場合とは違うと思いますから、当初計画をそのまま実施した場合には、完成年度をいつにしておったのかということと、推定の国庫支出額の大体の総額、これを知らしていただきたいと思います。
  51. 庄野五一郎

    庄野政府委員 国営事業の二十七年採択の場合の完了年次は、三十七年を予定いたしてやっております。
  52. 安宅常彦

    安宅委員 そうすると、推定の総工事費としてはわかりませんね。
  53. 庄野五一郎

    庄野政府委員 当初の計画で申しますと、八億三千万円に対しまして、約十億五千万円の予定でございます。
  54. 安宅常彦

    安宅委員 それはさっきも大体それらしいことは申されたですからわかるのですが、仙台農地事務局の発行の、納得させるための書類、これはあなたの方で見ておられるのかどうかわかりませんが、これには、ただいま答弁があったように二十億四千二百万円と書いてあるのですが、農林省のさらに別な資料によれば、二十一億百万円と書いてあった。これは計画変更後でありますが、こういうふうに違うのですけれども、これはどういう意味ですか。
  55. 庄野五一郎

    庄野政府委員 変更後の分は、国営事業費は二十億四千二百万円と申しましたが、なお、その後いろいろ県営部分を国営に取り込むとか、そういった地元負担の軽減等の措置も検討された段階において、一応二十一億というのが出たかと思いますが、ただいまのところは二十億四千二百万円、こういうような考えでおります。
  56. 安宅常彦

    安宅委員 それでは、この計画変更によらざるものと、計画変更したあとの事業費の差が、大体十億一千万円くらいになるようであります。この差の内容を説明していただきたい。
  57. 堀直治

    ○堀説明員 かわってお答え申し上げます。  ただいまの事業費の増額の中身でございますが、当初の計画におきますダム関係の費用は、物価の変動によりますと約九億四千五百万、これがダムが床掘りをいたしまして、なおかさ上げをいたして水の量を増しましたので、それの計画後の事業費が、約十五億八千百万円、従いまして、二十億四千二百万円になりました残りの四億六千百万円というものは、従来は県営工事でやるという計画になっておりました水路を国営事業にして、農民負担を減らそうという関係できまりましたものが入っておるという形になります。
  58. 安宅常彦

    安宅委員 それではそろそろダムの問題に入りますが、このダムの設計についてでありますけれども、あなたの方で発行されたこの事業概要図によれば、三十年末でダム地点の確定を行なって、三十一年には一切の買収、補償、仮締め切り堰堤、仮排水隧道などの工事に取りかかり、三十二年度にはコンクリートの打設設備を完了して、三十三年からダムの工事を開始した、こういうふうに書いてありますが、これに間違いはありませんか。
  59. 庄野五一郎

    庄野政府委員 その通りでございます。
  60. 安宅常彦

    安宅委員 そうしますと、先ほど私が質問したのに対して、三十四年の十一月ごろ計画変更を何らかの手段で——つまり会議を開いたか、地元からの文書がきたのか、あるいはあなたの方が勝手にやったのかは別として、そういうことを決定したのが三十四年の十一月というふうになりますが、当初三十三年にダムの建設は始まったのでありますから、そのダムの建設当時には、計画変更を見越していない工事を始めた、こういうふうになるのがあたりまえと思いますが、その通り了解してよろしゅうございますか。
  61. 庄野五一郎

    庄野政府委員 三十三年のダムの床掘りを始めるまでは、当初計画で実施の方針で着工いたしました。こういうふうに存じております。
  62. 安宅常彦

    安宅委員 そうしますと、床掘りを開始したのはいつごろですか。さらに質問を敷衍しますが、一切のダム地点を確定し、さらにコンクリートの打設設備を完了したのは三十二年でありますから、ただいま床掘りを始めるまでは当初計画であった、こう言いますが、床掘りを始めるのも、コンクリート打設工事を完了したのも、すべて三十二年に床掘りをすでに完了していなければ、現在のダムはでき上がらないはずなのです。ですから、初めからそういう工事をしたのではありませんか。
  63. 庄野五一郎

    庄野政府委員 三十二年まではダム建設の準備でございますので、三十三年から打設を始めますまでのいろいろなダム・サイトの調査、あるいはボーリング、そういったものは三十二年に大体終了しておったかと思いますが、三十三年に打設を始めたときに初めて床掘りを開始したのではないか、こういうふうに考えております。
  64. 安宅常彦

    安宅委員 そうすると、今度は三十三年度よりダム・コンクリート打設を開始し、以後順調な進行を見ておる、こういうふうに書いてあるわけです。そうすると、床の方も上の方も、全部三十三年度には現在の工事をしておるそのままの設計で工事を始められた、こういうことですか。
  65. 庄野五一郎

    庄野政府委員 準備段階では当初計画で進めまして、三十三年にいよいよダムの形体の打設の始まるときには、変更を予定したダムの床掘り等を始めた、こういうふうに承知しております。
  66. 安宅常彦

    安宅委員 わかりました。そうしますと、当初計画より四・三メートルかさ上げをやっておる。床の方は大体六メートル掘っておるわけです。六メートル掘らなければかさ上げもできない。六メートル掘らないでかさ上げだけしたら、ダムはひっくり返ってしまうから、これは当然だ。そういう意味で床も掘る、四・三メートルの上の方のかさ上げもやった、こういうことですね。
  67. 堀直治

    ○堀説明員 ダムを作りますためにダムの高さをきめ、あるいはダムの床掘りの深さをきめるのは、一応の調査もいたしたわけでありますけれども、実際に掘ってみましてから、その地盤がコンクリート・ダムの圧力に耐えるかどうか、いろいろ試験をしなければならない問題もありまして、変わることがほかにもあるわけでございますが、この泉田川の地点におきましては、地盤が比較的悪うございまして、相当掘りましてもなかなか固い岩盤に出ない。それでは、この程度の固さでどの程度の高さが持ち得るかどうか、いろいろ研究をいたした結果、床掘りの深さも、今申し上げましたような、予定よりも六メートルばかり深くなりましたけれども、それでやめることにし、また床掘りを深くいたしましたから、従って、コンクリートの量が非常に多くなるわけでございますが、そういたしますと、ダムの高さがもとのままでは、非常に割高なダムになる。かてて加えて、当初考えました畑地灌漑というための水量といたしましても、工事に着手するまでにいろいろ調べましたところが、少し少な過ぎる。これでは当初のような効果を上げることができないだろうというようなこともございまして、水量的にはもう少し水がほしい。なおまた、ダムを作るときに、経済的にダムを作るためには、貯水量をもう少しふやした方がいいという二つの点から、ダムのコンクリートを打設する前に検討した結果、かさ上げをし、またダムの大きさも変えるということに方針をきめたわけでございまして、そのためにいろいろ法的な手続が逆におくれてしまったことについては、まことに申しわけないのでございますけれども、工事の計画の変更については、そういう関係で、その土地の現場の状況とその他の関係から、やむを得ずこういう計画を——結果としては一番いいだろうということで、そういう計画に変更したわけでございます。
  68. 安宅常彦

    安宅委員 そうすると、ますます重大になってくるのですよ。つまり地盤が悪いから床を掘らなければならないということは、貯水量を増しすために掘ったのではなくて、地盤が悪いから掘った、こういうふうにあなたの答弁から聞こえる。それから本来ならば、地盤が悪いから、床を掘っても、当初の計画通りしかダムは建設できないはずだ。これを四・三メートルを上げたということは、地盤が悪いからだったら、あぶなくて上げられないじゃないか、そういうことが一つ問題点になる。もう一つは、あなたの発言の中に重要な問題がある。どういうことかといいますと、当初計画をした畑灌の水量が、そのころになってみたら、畑灌でさえも不足だということがわかったので、もう少し水を増そうじゃないかというふうに考えたから、四・三メートル上げたという答弁になっておる。それでは貯水量が若干当初計画よりもふえることにはなっております。非常にあぶない、貯水の水がいつくずれるかわからない、心配だ。これともう一つは、田畑輪換方式にするために水を増したのではなくて、当初から畑灌に必要な水が足りないということがわかったので、あなたの方ではかさ上げした、こういうふうに答弁をしている、その通りですか。
  69. 堀直治

    ○堀説明員 床掘りの深さを深くいたしましたのは、上の方に非常に悪い層がございまして、これをどうしても掘らなければならぬということで掘っていったわけです。
  70. 安宅常彦

    安宅委員 あぶなくて水はためられないじゃないか。
  71. 堀直治

    ○堀説明員 それで掘っていったわけでございまして、これで大体今の水をためるに差しつかえないという程度まで掘った結果、そこの地盤まで掘れば、もう少しダムの高さを上げても、ダムの方の安定度からいえば十分であるという二つのかね合いのところでいったわけでございます。  それから畑地灌漑の水が不足かどうかということは、これはまたいろいろ議論のあるところでございますけれども、当初計画をいたしましたのが、非常に日本では早い時代の畑地灌漑計画でございまして、アメリカのデータ等によりまして、どれだけの水を何日間灌漑するという、非常に大ざっぱな計画で実は計画を立てたわけでございますが、事業所ができまして、各地域別に土地の状況の調査をした結果、これはそう簡単にいかないじゃないかという問題もあったわけでございます。そういうようなこととかね合わせまして、これは畑地灌漑だけでも確かに水が不足する、こういう考え方を私たちとしては持ったわけでございます。しかし、そういうことを思っても、今のダムの問題と違いまして、これは農民の同意も要るわけでございますので、しっかりしたデータがなければそういうことはできぬわけでございますが、どっちにしても、今の計画変更をやらないでも、やっても、ダムの大きさを高くした方が、先ほど申し上げましたような経済効果の面から見ても、貯水を増せるだけ増した方がよろしい。それからなお、水をどういう形にして使うにいたしましても、ダムの水がよけいあった方がいい、こういう二点から、そのダムの高さを上げようということにしたわけでございます。
  72. 安宅常彦

    安宅委員 その辺どうもはっきりしないのですが、あとの方ですね。前の方は、あなた技術者ですから、私ここで議論したって水かけ論だと思いますが、それは床掘りしたのは、地盤が悪いのだ、だから掘ったのだ。それじゃ、今までの水をためるだけにきゅうきゅうとしてあなたは床掘りをしたはずなんです。それを床掘りしたら、六メートルも下げて、やっと対比上——これは私らもいろいろ研究してみましたけれども、四・三メートル上げるということは、これは水かさを増すために上げたのであって、地盤が悪いから床掘りをして——床掘りしたのは同じ水量をためるためには、心配だから床掘りをしたでしょう。それが今度四・三メートル上げたというのは、これはあぶなくてしようがないダムじゃないかということで、農民は心配をしているのですよ。あなたはそうじゃないと言う。これはいつまでたったって、あなたはそうだ、そうだとがんばるだろう。私は、そんなことはあぶないと思う。こういうことは水かけ論だと思うのです。  それであとの方は、当初の計画でいっても畑灌の水さえ足りぬということは、明らかにあなたは言っているのです。そうしたら、農民に、これだけの畑灌ができるのだ——開田々々とさっき局長言ったけれども、開田なんかあまりないのですよ。実際現実に田があるやつ、これに対する水利の関係で水が足りないだろう。そういう土地改良事業、開田のところは一部しかありません。そういうところにもってきて、田の人も畑の人も、これは水が足りないのだということを今でも考えている。当初の計画をあなたが立てたときに、すでに畑灌の水さえ足りないということがわかった。こんなずさんな計画で調印をさせたということは、私は、非常に重要な問題があると思う。ただ、アメリカあたりの資料を見て云々とあなたは言ったけれども、これは何かビショップ勧告とかなんとか聞いているが、それはずっとあとの話であって、あなたの方で初めにコンクリートを打設するときにわかったというのでありますから、アメリカの資料を持ってきてどうのこうのということは、私は理由にならないと思うのです。あなたの方で初めコンリートを打ち始めたころから、畑灌に対してさえ水が足りない、ましてやたんぼに水が行かないということはわかっておった、こういうふうに告白しているのと同然だと思うのですが、どうですか。
  73. 堀直治

    ○堀説明員 大へん言葉が足りなくておわかりにくかったかと思いますが、畑地灌漑にいたしましても、用水補給にいたしましても、ある一つの水量でもってやろうという場合には、水は非常に多いほどいいわけでございますけれども、ダムの大きさその他いろいろな関係で水の得られない場合には、その程度の水でもって行なう。従って、ひどい旱魃のときには多少水が不足する。それが五年の旱魃で不足することもあるし、十年の旱魃で不足することもあり、あるいは二十年の旱魃でなければ不足しないというような、いろいろな段階があるわけであります。当初計画いたしましたときの畑地灌漑も、そういう意味で、この程度の水でやむを得ぬからいいじゃないかということで計画したわけでございまして、もしもよけいにためることができれば、これはやはりよけいの方がようしいという意味で私申し上げたのでございまして、その点、それだけなければ旱魃を受けるとかということではございませんので、その点は一つ御了解願いたいと思います。
  74. 西村力弥

    ○西村(力)委員 局長に聞きますが、事前の調査にどれだけの金を使ったか知りませんが、掘ってみたところが、当初計画だけ床掘りをやったのではとてもおさまらぬから、やはりよけいに床掘りをやらざるを得なくなったということ、それからまた当初の貯水量では、床掘りをやったとたんに不足だということがわかってきた、こういうような調査というものは、一体あるものか。農林省の農業土木の水準というものは、そんなものかどうか。これは全く僕らとしては不思議にたえないですね。あそこの土地は私も少し知っておりますが、たんぼを開くことはなかなかむずかしいところであって、井戸掘り人足なんかは、あそこの井戸掘りを請け負うと損をする。幾ら掘っても水が出ない。土壌がそういう工合になっておるんですね。そんなようなことも聞いておるんですが、いずれにしても、あなた方の水準がそんな程度であるというのは、これは困ったものだ、こう思うんです。そういう点はどうです。結局三十四年から計画変更の動きが出たということになりますが、もう三十二年の、その事前の段階において、すでに農林省は計画変更を企図したということになっちゃうんじゃないかと思うんですが、どうですか。そんなつまらぬ技術で仕事を始める農林省では、ちょっと困ったことだ。すべての責任農林省のそういうところに来てしまうんじゃないか、こう言われてもやむを得ないようにも思うのですが、それは一体どうなんですか。
  75. 庄野五一郎

    庄野政府委員 調査段階におきまして、十分ダム・サイトなりあるいはダムの敷地にあります岩盤の調査はいたしておる次第でございます。ただ、ボーリングも全部緻密にやるわけにもいかない場合もございまして、本泉田川地区におきましては、ボーリング等で大体これでよかろう、こう考えた地層が、いよいよ床掘りにかかってみましたところが、非常に弱かった、こういうようなことがはっきりわかったわけでありまして、準備段階におけるボーリングの数が多少少なかったんじゃないか、そのためにこういう結果が出たんじゃないか、こういうふうに私は勘案するわけであります。床掘りにかかりまして、初めてコンクリート・ダムの支持力が不足するということで、さらに床掘りを深くいたしまして、そしてその床掘りによりましてダムを築きました場合には、強い岩盤まで到達いたしますので、従来の当初計画ではそれだけダムの効率が悪いので、これをかさ上げして——六メートル掘ればかさ上げができるというような事態でございましたので、効率を上げるためにかさ上げをして、水をたくさんためた方が、地元の用水事情から最も効率的にいく、こういうような関係もございまして、床掘りをやって、初めてその床掘りの段階においてかさ上げという問題も出てきたということでございます。
  76. 安宅常彦

    安宅委員 ただいま西村委員からすべて農林省責任ではないかというか、こういう質問に対して、あまりはっきりしたことは言われなかったように聞いたのでありますが、こういうずさんなことをやったというのは、農林土木の権威からいって非常にまずいことになると思うのでありますが、これはあなたの方から怒られる人がおるといけませんから名前は言いませんが、それから県の当時関係した人もおるのですが、いろいろ聞いてみますと、電源開発のために桝沢にダムを掘るということになっておったのを、いろいろな事情農林省が引き受けたような形になり、ダムが建設された、こういういきさつがあったと言われておるのでありますが、そういう関係はありませんか。そういうことでもなければ、掘ってみたら砂利だったということでは、あなた方技術陣としてはやりそうもないことではないかと、私はあなた方に敬意を表しながら言っておるのでありますが、どうなんです。初めから計画したのですか。
  77. 堀直治

    ○堀説明員 電源開発がやったという話は、私の方では実は伺っておりません。泉田川のダムは、最上の総合開発計画の非常に重要な仕事であるということで、県から総合開発委員会の方に申請がございまして、総合開発の仕事の主要工事として先に乗ってきたということは、事実でございます。
  78. 安宅常彦

    安宅委員 その辺がどうもうやむやだと思うのです。従って、きょうはどこまでもやりたいと思っておったのですが、なかなか白状もしないだろうし、時間も迫っておりますから……。  そういう総合開発計画として、今でも東北総合開発の最上特定地域開発計画、こういうことで予算がついているような格好をとっておりますから、そういう点はなるほどと思われます。従って、このようなずさんな計画を当初計画として立てられたあなた方の責任は、ますます重大になってくる。  それから地盤が悪いから、床掘りを六メートルやって、この際だから四・三メートル上の方をかさ上げした。米の増産一本の農政の移り変わりがだんだんと来て、そうして田畑輪換方式がよかろうということを頭に考えて、さらに最もあなた方の責任に帰着すべき点は、畑灌でさえも当初の計画では水が足りなかったのでという理由もそれにつくのでありますが、そういうふうに考えて、あなたの方では計画変更を決意された。そしてすでにそのダムは、計画変更は同意できるものとして昭和三十三年度から工事を始めた。当初計画について、申請によらざる計画変更をやる場合には、この土地改良区の農民の三分の二以上の同意を得なければならない、これは皆さん御承知の通りです。工事は今でもやっていないのですよ。工事をやる以前に、五年も六年も前から、すでにあなた方は計画変更をやったものとしてダムを建設している。これはまことにもって大きな責任である。違法行為である。法律的にはどういうふうになるのですか。違法行為じゃないか。
  79. 堀直治

    ○堀説明員 ただいまおしかりを受けましたけれども、床掘りを深くしなければならなくなったというのは、普通のように砂利が底までかんでおったから深くなっちゃった、土があったから掘らなければならなかったというのではないのでありまして、岩盤はあるにはあったのであります。岩盤の質がコンクリートのダムを作るのに強度の点で不安であるという問題から——普通だったら、わずか掘っても岩質が違いますからいいのですけれども、そういうことで掘ったわけでございますから、ダムは高さを変えても変えなくても底から築き上げなければならぬわけであります。従いまして、かさ上げの問題は、もしもこういう計画変更が承認にならなければ、かさ上げはやめなければならぬということが起こり得るわけでございます。だから、初めからかさ上げを目標にしてそれだけのものを掘ったのではないかとおっしゃいますけれども、その点はそうではないのでございます。要するに、初めから岩盤が悪かったじゃないか、こういう点でおしかりはまことに受けざるを得ないのでございますけれども、そういう意図的に、大きくするのだから深く掘ったんじゃないかということでは決してございません。
  80. 西村力弥

    ○西村(力)委員 一体地質調査四メートルとか六メートルくらいのところを、的確に調査できないというのはあるのですか。何十メートルの下まで的確にということはなかなかわからぬでしょうが、四メートルやそこらのところの調査で、それがわからなかったということが一体あるのかということです。ばからしくて聞いておられません。
  81. 堀直治

    ○堀説明員 川底から砂利層がございまして、それがたしか十メートルくらいありまして、その先のことを言っているわけであります。その先何メートル掘るか、二メートル、三メートルよけい掘るかという問題でございますから……。
  82. 安宅常彦

    安宅委員 責任があるのかないのか、はっきりして下さいよ。あなた、そんな技術的なことばかり言っておりますが、四メートル三を抜いてもいいような話だ。そうしたら、貯水量がもとのままになる。畑灌さえも足りないということをあなた、告白したじゃありませんか。四メートル三を抜いたら——ビショップさんが言ったとかなんとか言われますが、とにかくアメリカの資料によってみたら、当初ばく然として早い時期にこの計画をやったのだ。少々ずさんであった。ところが、このままでは畑灌さえも容易でないので、四メートル三を上げたのだと、あなたは言った。四メートル三を抜いたら、当初計画でさえもできないじゃありませんか、畑灌が足りないのだから。そんなことをあなた方がやったんだという責任を認めなさい。しかも、今度は、この際と思って四メートル三を上げて、貯水量を増して、そして田畑輪換方式でいくのだ、こういうことで、今度は水もたまったし、計画変更を決意された。しかも、それは三分の二の同意を得るための公示もしないでおる。二重の責任があなた方にあるはずだ。この責任——明らかに悪うござんしたということをさっきから言っているのだから、そういう意味で申しわけありませんということを言ったのではないのですか。どういう意味で言ったのですか。そこをはっきり言って下さい。責任がありますということを、そういう意味で言ってもらわなければならぬ。
  83. 庄野五一郎

    庄野政府委員 準備段階でボーリングをやりますにつきましては、技術的な問題でございますが、地点をどれだけ選ぶかというような問題もございまして、そういう点で多少不足した面もあるのじゃないか、こういうふうに私申し上げた次第でございます。ボーリングをいたしましても、なかなか岩盤の亀裂とかそういったものはわかりかねる場合もございまして、床掘りをやって砂利をはいでみると、亀裂性その他の弱い面がはっきりすることもございまして、この泉田川の場合も、初めそういうふうな床掘りにかかってそういう点が明確になってきたのではないか、こういうふうに私たちは考えているわけです。先ほど申しましたことは、計画変更の手続がまだ正式にとれないうちにかさ上げを予定したような工事で進みつつあるということにつきまして、非常にわれわれは遺憾な点がございますので、今申し上げましたように、十分農民に計画変更の内容を説明いたしまして、法律上の同意の手続を済ましていきたい、こういうふうに考えて、はなはだ遺憾でございましたと申し上げた次第でございます。
  84. 安宅常彦

    安宅委員 最初参事官が、畑灌でさえも足りないとはっきり言っているのですよ。その責任はないとおっしゃるのか。それからもう一つは、手続上遺憾な点があったと言っておりますが、土地改良法には、遺憾であったでは済まされないようになっているのです。よろしゅうございますか。遺憾であったということは、遺憾には違いない。それ以上の責任をあなた方とらなければいけないでしょう。たとえば、好きでもない婿を押しつけておいて、手続上まずかったから、どうかこの婿をおれの面子にかけてもらって下さいと言うのと同じじゃないか。そんなでたらめな話はないでしょう。農民が了解するとかしないとかの話も出ない数年前から、すでにあなた方は計画変更に基づいた工事をやっているのですよ。そうしたら、土地改良法違反ではありませんか。
  85. 堀直治

    ○堀説明員 大へんお言葉を返すようでおかしいと思いますが、水が足りないのは、畑地灌漑で一週間に何ミリの水を渡すということであれば、面積で変わらないで、貯水量が変わらなければ、これは計画通りなわけでございます。私が申し上げましたのは、もう少し水があった方がいいではないか。要するに、一週間に何ミリという水よりも、一週間にそれにプラスまた五ミリなり六ミリなりの水があった方がより効果が上がるのではないかということで、水が足りないということを申し上げたのでございまして、前の計画よりも水が不足するということでは決してございませんので、その点、お間違いないようにお願いいたしたいと思います。と申しますのは、ここは御存じのように、軍馬補充地の跡地でございまして、萩野の開墾地というのが昭和初めに発足しているわけでございます。当時加藤完治先生が山形におられまして、あそこに五町歩の畑を持って開墾をしたわけでございますけれども、私、そこに行ってみたことがございますが、やはりあの地は水がなければいかぬ。卓越のときには畑作が全滅するというような問題で、非常に水があった方があの土地の農業経営をやるのに工合がよかろうということが、前からいわれていたわけでございます。ところが、ダムの適地とかその他なかなか見つかりませんで、水利の改善ができないままにおられたわけでございますが、それで今後ため池を今の泉田に作れば何とかなるのではないかということから、あの事業が発足したものと聞いております。私たちも、なるほどあの土地に水があれば農業経営が非常によくなるということから、今のような計画で、水が少しでもよけいあった方がいいのではないかということを考えたために、先ほどのような発言をしたわけでございまして、その水が一週間に何ミリの計画を変えるということは、初めから水がないということがわかっているのではないか、こういうようなことでは決してないのでございまして、その点一つ御了解願いたいと思います。
  86. 安宅常彦

    安宅委員 あとの方はどうなんです。あやまりなさいよ、はっきり言っているじゃないか。重要な段階になって黙っていてはだめじゃないか。遺憾でございますというのは、そういう意味で遺憾でないのですか。どういう意味だ。
  87. 庄野五一郎

    庄野政府委員 工事の進捗段階におきまして、いろいろ予測しない事情等もございまして、計画変更をやらざるを得ないという例は、泉田ばかりでなしにいろいろほかにもございまして、そういう点は計画変更の手続をとって、地元の同意を得てさらに進めていく、こういうことを通例にいたしておりますが、この泉田につきましては、着工いたしまして、コンクリート・ダムの耐圧力等の問題がはっきりいたしまして、その際に直ちに計画変更の同意を求めてやるべき事案であったのを、それをおくれまして工事を進めた、そういう点につきまして、手続上まことに遺憾な点があったわけでございます。その点、私、おわび申し上げている次第でございます。
  88. 安宅常彦

    安宅委員 それでは、畑灌の場合に、当初計画で三十ミリというのですが、農民がそれを計算してみた。そうしたら、やっぱりそんな水じゃ金を反当たり四、五万円をかけてやってもらわぬでもよろしい、こうまで極言をしている人がおるのであります。さらにあなたがおっしゃった昭和地区でありますが、昭和地区では、今農林省が農業基本法などというものを通して、選択的拡大などということを言っておりますが、その重点は畜産にある。そういうときに、昭和の初めからあの人たちは畑作でもって大きな富を築いている。そして安定した農業経営をしているのに、今さら田畑輪換方式などといって、畑灌のほかに今度は開田分の費用も持たなければならぬ。二重に持たなければならない。そういうものを上から押しつけられて、あなたの方が勝手に変更したのですから、これは申請によらざる計画変更でありますから、そういうことをされてはなはだ迷惑である。今さら水田を作れと農林省はいうのであるか。選択的拡大でわれわれは一生懸命農業基本法の方向に沿ってやっているつもりなのに、今度は田を作れとは何事だ、こういって怒っておる。そういうことについて、農政のあり方とこの計画について、大きな矛盾を感じませんか。それが一つ。  さらに、そういうようなことが非常に大きな不安になって、今いろいろと問題が起きておりますが、この土地改良事業というものは、国営であります。国営でありますから、土地改良区の経営その他経理の内容等、いろいろな問題についてあなたの方で厳重な監査、監督をする必要がある、こういうふうに法律では明記されておると思うのでありますが、そういうことについて遺憾な点があるのではないか。たとえば昭和三十二年七月十九日、会計検査院の検査官が、この土地改良区には使途不明の金その他があって、非常にまずい経理をしておるということを指摘しておる。その模様などは、まだ何らの処理もされておらぬということは、県の農林常任委員長報告にも明らかに公表されております。こういう点。  さらに、小以良川の買収のいきさつなどによるこの土地改良区の農民の経費の負担増、こういう問題等をからめて、われわれの計算によれば、買収費などの赤字分、あるいは計画変更のために増した分、あるいは土地改良区の経費その他を含めれば、大対一戸当たり四万数千円かかる。団体営まで全部計算しますと、五万円くらいになるのではないか。これに十年年賦のあなたの方の資金を借りたといたしましても、利子等を含めると、これは大へん莫大な借金を背負わなければならない。一町持っておれば五十万円の借金になる。こういうことまでやって、そうして土地改良をやる。りっぱな田ができたそのときには、その借金のカタで自分の田ではなくなっておる。こういうようなことができるということを非常に心配しておる。さらに参事官自体が言ったように、比較の問題でしょうけれども、畑灌に対してさえ水が若干足りないではないか、こういうふうに思われているような計画をあなたの方で立てられておるのでありますが、農民は、今まで先祖代々ずっと田を作り、畑を作っておるから、どのくらいの水が要るかということは本能的にわかっておる。そうすると、このダムを作ってもらっても、どのくらいの水がくるかということはわかっておる。三十万ですか、その単位は私は専門家でないからわかりませんが、それくらいの水だったら、今までだってきているじゃないか。何も無理してそんなところの水をもらわなくてもいいじゃないか、こういうふうに田畑輪換の地区の諸君は言う。それから水路を作ってもらうところの南の方の地区、これは小月野とか荒小屋とかでありますが、新庄市のちょうど北部にあたっておるところでは、今はもう待ち切れなくて、自分で井戸を掘って開田しているのです。こういう人たちは、二重に負担がかかる。これらの連中が土地改良区の金を納めないということになれば、その他の人々は、もうとんでもない、その分まで背負わなければならない。萩野の昭和地区の諸君が、田畑輪換は要らないということを言い出した。私どもと一緒に、二回も当地区の農民の諸君が農林省に陳情に行っております。そうしたら、無理してまでそうやらぬでも——田畑輪換方式というのは、今果樹が植わっているのをつぶしてまでやらぬでもいいという意味のことを言った。しかし、そこはもうすでに畑地として経営しており、農場としては確固たるものになってしまっているのです。そういうところを田畑輪換をやらなければ、どこをやるのでありますか。そういうことになれば、その分の経費までこちらの諸君が持たなければならない、こういう結果になる。もう心配で心配で、寝ても起きてもこのことだけを考えなければならないような、そういう計画に現在なっておるのであります。こういう問題について、何かあなたの方で土地改良区の経営なり、それから土地改良事業そのものに対する農民負担等から見た、あるいは農政の移りかわり等から見た、そういう方針といいますか、指針といいますかについて、検討したことがありますか、これを一つはっきり聞いておきたいと思います。
  89. 庄野五一郎

    庄野政府委員 御指摘のように、一部には酪農、果樹で安定している地区も、私承知しております。ただ、一般的に申し上げまして、畑地灌漑よりは田畑輪換の方が、農業経営の安定上非常に有利であるというようなこともございまして、先ほど申しましたような経緯で、旧田の用水の補給をやるとともに、当初計画の畑灌から田畑輪換の方に一般的にきたわけでございまして、地区によりまして酪農、果樹等ですでに安定しているといったような地区がありますので、そういう地区につきましては、今後末端において、実施の際に十分そういう現地の実情を考えていきたい、こういうふうに考えております。
  90. 安宅常彦

    安宅委員 あなたはそういうことを今おっしゃいましたが、そのほかにいろいろ問題がある。はっきり言いますが、そういうことになれば、今三千町歩以上の計画がある。その面積が減るでしょう。それから負担しなければならない農家というものは、ほとんど変わりはないでしょう。そういうことで、非常に大きな問題点がそこに出てくるわけです。そのほかに、非常にこの計画がずさんなことには、新庄市の旧市のちょうど北部にあたる地域などは、工場地帯ができるやら、市で買収して市営の住宅、こういうものがたくさんできておる。鉄道防雪林が膨大な地域にわたってある。自動車の練習場まである。さっき言ったように、もうすでに改良が終わった地区がたくさんある。こういうところはどうしてくれる。そうしたならば、その分をみな農民が背負わなければならない。どこで背負ってくれるかということになる。それからダムを勝手に四・三メートル上げたけれども、農民承知していません。勝手に上げておいて、あとで了解して下さい。金がかからないのだったら、それはみんな了解します。ところが、その工事によって、ダムの費用だけであなたがおっしゃったように、九億四千五百万円のやつが十五億八千万円になった。この差だって、これは農民の関知するところではない。従って、判こを押さないのです。しかも、もっとおかしいのは、この土地改良区の選挙人名簿を見ますと、あなた方のこの計画変更前、あるいは後の地域に入っていない人々が、たくさん選挙人名簿に入っているのです。それから初めから判こを押さない農家というものはたくさんある。今度は地域内に入っている人ですが、その人たちが判こを押した覚えがない、覚えがないけれども、選挙人名簿に載っておる、こういう人さえもおる。当初の計画からおかしい。しかも勝手に計画変更をきめて、三分の二の同意を得ないうちに、しかもその数年前から工事を始めておる。農林省が全般的な責任を負わなければならないそういう経費の増に対して、農民がよろしゅうございますと言うと、こういうふうにあなたは今でもお考えなのかどうか。この見通しをはっきり言って下さい。
  91. 庄野五一郎

    庄野政府委員 当初計画のときには、所定の手続を正式に進めまして、三分の二以上の同意を得て着工いたしております。  なお、その際全然知らなかった農民がおるようなお話でございますが、三分の二以上の同意があれば着工できるわけでございますので、一部には判こがない場合もあろうかと思いますし、また、いろいろな事情で判を押したが、その後反対したいという方もいらっしゃるようでございます。また、土地改良区等の幹部等に一切委任されておられて、はっきり事情を知らないような農民もあったかと思いますが、そういう点については、今後とも十分PRをいたしまして農民に納得いくようにいたしたい、こう考えておりますし、また、計画変更後の問題につきましては、ただいまPR中でございまして、御指摘のような点はよく尊重いたしまして、地元の同意を得るように最善の努力をいたしたい、こういうように考えております。
  92. 安宅常彦

    安宅委員 それでは、説得の文書に移りますよ。説得できますか。説得できるか、できないか、あなたの方ではやるというのですが、しかし、自動車の学校の敷地とか、工場敷地とかは、持ってもらうように今まで手続上慣例としてなっておるそうですか、市の住宅の分とか、それから個人の住宅の分とか、これはだれも背負う人はおりませんよ。すばらしい面積なんです。そうすると、大へんな問題になる。それから選挙人名簿に上がっておるけれども、判こをついた覚えがないという人もいる。それから地域外の人が選挙人名簿の中に入っておるという、でたらめな土地改良区の登録人員になっておる。こういう問題をひっさげて、土地改良法にのっとっていないということを農民から言われたら、どうするのですか。告訴でもされたらどうなるのですか。しかも、反対をしておるというお話ですが、計画変更までは賛成したのだから、それは私らの方では責任を負うという、建設的な意見を農民は持っておるのです。計画変更を勝手にしておいた分は了解できない。しかも、こういうふうに面積が減ってしまって、負担しなければならない農家の戸数だけはそのままである。こういうようなことではいけないと、農民は言っておる。しかも、資料を出すたびに戸数が減ったり、ふえたり、面積も、当初の計画のときには非常に広い面積があった。この概要図を見ますと、あちこち切って、かえって面積が減っておるのです。ところが、このパンフレットを見ましても、逆に第一次の計画よりも、計画変更後の面積がふえておるのです。計画変更前の面積は、三千六百三十二町歩だと書いてある。計画変更後は三千六百六十五町歩以上ある。地域を切ったはずのものが、なぜ面積がふえたのか、こういうでたらめなことをPRして、農民はこれを見るたびにますますおかしくなる、こういうふうになっているのです。そしてこれには、今度経費が安くなりますと書いてある。何が安くなるかと見てみたら、県営の分——県では、県の補助率を今度上げたのです。計画変更を承認しなければ、県の補助率を上げた分は適用しないととれるように書いてある。不届きしごくではありませんか。こういう計画変更がなくても、土地改良事業に対する県の補助率は、ことしから上がった。これは当然です。そういうふうになったのです。ところが、今度は計画を変更したら、皆さんの一反歩当たりの地元負担金は今までよりも安くなるのでありますと書いてある。そんなでたらめなPRの仕方がありますか。こういう責任は、すべてあなた方の方にある。もし農民がこの計画を承認しないといった場合に——現実に今民主化同盟という団体ができて、県やその他、そういう土地改良事業所あるいは土地改良区でも、正式に公文書にその団体の名前を明記して、いろいろと意見の取りかわしをやっております。こういう人々は、大体三分の二くらいの人があべこべに、計画変更ははなはだもっておかしなやり方であるという意見を持っておる諸君である。あなた方が幾らがんばって何年かかっても、そういう点が明らかにならなければ、特に本委員会において、局長初め皆さんが、手続上間違ったことをしたのははなはだ遺憾であると言っておる、こういう間違ったことを幾ら農民に押しつけようとしても——しかも、二月当たり負担額が、田畑輪換の場合は平均倍近くなる。こういうところの人々が、大体平均五万円くらいの反当たりの経費負担をしなければならない。こんな投資までして、現在の農業のあり方、農業行政のあり方、将来の農政のあり方等を農民が本能的にぴんと頭にきた場合に、経営ができるかどうかということを一番先に頭に置きます。そういう場合には、この公示をしても、絶対に三分の二の同意を得られないと思う。こういうときには、どうしてくれるのですか。あるいは得られたとしても、その条件として、勝手にかさ上げした分は知らないぞ。それからダムなんか、水をよけいにやるのだからいいのだと言っても、承知しないのに何億円という金をかけてダムを建設した、その何億円分は、農林省は違法な工事をしたのだから、法に照らしてこの分は農民負担いたしませんと言われた場合に、いや、お前は当初計画に判こを押したのだから、この計画変更分のかさ上げ、あるいはそういうダムの経費の増加分は負担してもらいたいと言っても、通らない話である。その分は、農林省が損をするのか、大蔵省が損をするのか、私は知らぬけれども、そういう点は、農民に押しつけることができないと思う。そういうときにどうします。これは明らかに国費の乱費である。とんでもないことになるのではないかと、私は思います。あなたは、そういう事態になったときに、どうするつもりですか。
  93. 庄野五一郎

    庄野政府委員 いろいろおしかりを受けておるわけでございますが、水の問題は、量がふえますので田畑輪換にし、また受益費もそういう関係からふえてきたのではないか、こういうふうに私は考えるわけでございます。なお、受益地区内の転用等につきましては、転用いたします側からもこれを徴収するようにいたしたい、こういうふうに指導しておりますし、ほかの地区でも、そういうように指導しておりますので、転用されました場合には、転用先からもこれを徴収して、農民負担にならないように指導をいたしていきたい、こういうように思っております。また、計画変更にあたりましても、県営工事を国営に取り込む等の措置を講じまして、できるだけ地元負担の増高を防ぎ、低減するようなことをやっておるわけでございますが、なお、今後とも、県ともよく相談いたしまして、そういう点の地元負担の非常にふえることのないように最善の努力をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお、本工事の農民の同意につきましては、従来の経過なり、あるいは今後の農業経営のあり方等も十分農民説明いたしまして、農民の同意を得るように最善の努力を続けていきたい、こういう方針でございます。
  94. 安宅常彦

    安宅委員 約束の時間を過ぎておりますから、最後に言いますが、今の答弁は、同意を得るために一生懸命がんばりますということなんですね。そんなばかな話はないですよ。悪うございました、それではこれは一たん白紙に返しますから、一つ同意を得られるかどうか、当初の計画でやるといっても、経済効果が上がらないだろうから、何とかしてもらえませんかということで、一たん白紙に返してやるのだったらいいけれども、自分の責任をたなに上げて、既定計画をそのままずっと押して同意を求めるつもりである。何億円という金をいきなりかけておいて、私のうちでは菜っぱは五貫目しか要らないのに、百貫目も持ってきて、お前の方で注文するだろうと思っておったから持ってきたけれども、腐るから何とかしてこれを買ってもらわなければ困ると言っても、菜っぱだって買えませんね。それと同じことですよ。そういうことをあなた方は強引にされようとするのか。それを一つはっり答弁してもらいたいと思うのです。  それからもう一つ、転用された部分については、転用しておる側からもらうように今までもなっておるという話でありますが、いろいろ工場なんかを建てたところには、好意的にもらうことが今までもできたそうであります。ところが、市営の住宅などというものは、あなたの方ではもらったためしがないそうですよ。私は、新庄の市長とこの間話をしてみた。ところが、この住宅の問題どころか、第二頭首工で、泉田川の上流で計画変更後に作られるその堰堤でぴしゃっと水をとめられた場合には、今その流域からもらっている新庄市の上水道がおかしくなるのであります、こう言っておるのです。ところが、新庄市長は、この土地改良区の監事をしておる。だから、進退きわまった。忠ならんと欲すれば孝ならずでございますと、新庄市長は言っているのです。ぴしゃっととめられたら、今度下の方の農民も、今まで改良をして井戸ポンプで掘っておった連中は、みんな全部水が出なくなる。そればかりではない。新庄五万市民の水がなくなるのです。ようしゅうございますか。新庄市では、この土地改良区の問題は、そういう社会的な問題にまで発展しようとしているのです。そのときにあなた方は、どこまでもそういう問題を押しのけて、納得をさせるつもりでございますという答弁では、私は答弁にならないと思う。私の声が高いので、何かえらい気合いをかけておるように聞こえるかもしれませんけれども、おしかりを受けましてとあなたおっしゃっているけれども、そういう意味ではなくて、責任をとってもらうならとってもらう。そうして地元の農民と白紙に返して話し合いをして——あなた方は、反対をしている側といいますが、反対をしているのではない。責任をとれと言っている。土地改良区そのものはいいと言っている。そういう人々と対等の立場でこの問題を話し合いする。農地局長が言うように、経費の軽減その他についても考慮をしますというわけでありますから、そういう問題等を含めて話し合いをする、こういう意思がありませんかどうか。これを聞いておきたいと思います。
  95. 庄野五一郎

    庄野政府委員 計画変更につきましても、いろいろ地元の負担の点もございまして、先ほどから再々申し上げましたように、県営を国営に取り込むといったようなことも考えておりますし、また、県ともいろいろ打ち合わせまして、地元の農民負担ができるだけ増高しないように、こういった手を講じながら、農民の同意を得るように最善の努力をいたします、こういうことを申し上げている次第でございまして、御了承願いたいと思います。  それから新庄市の水道の問題でございますが、今後の頭首工の計画あるいは実施の段階におきまして、そういう不安のないように、新庄市とも十分よく打ち合わせて参りたい、こう考えております。
  96. 八百板正

    ○八百板委員 関連。今いろいろお話を伺いまして、農地局長が初めからずっと自分でやったことでもないのでございましょうから、過去のいろいろないきさつについてその責任をどうこうするという点については、さらに検討の必要があるだろうと思うのでありますが、いずれにいたしましても、今までやって参りましたやり方について、手続上遺憾であったということを局長が言っておられるのであります。手続的に遺憾であったということは、言葉をかえれば、手続的には違法なことをやっておったということになるだろうと思うのであります。これを遺憾であったと局長が認めまするということは、こういうふうな遺憾なことを繰り返して行なわないということをはっきり認めた、こういうふうに理解するのが常識だと思いまするが、この点はいかがでございますか。こういう遺憾な行為を重ねて承知の上でやろうというのであるか、それともこういう遺憾な行為はやめるということであるか、これを明らかにしていただきたい。
  97. 庄野五一郎

    庄野政府委員 こういう御指摘の点もございまして、昨年から、手続変更は、事情が変わりましたつど、各工事場におきまして地元の同意を得るように努力して、そのつど手続変更をやるように、今はこういう経験に徴していたすようにしております。
  98. 八百板正

    ○八百板委員 それはもう手続上やらなければいかぬということは、きまり切っておるのです。遺憾であったということは、もう少し深めていきますと、今にわかったわけではなく、遺憾でありながら今までやってきたわけです。遺憾であるということを承知の上でやってきた。この決算委員会において遺憾であったということを明らかに言明した以上は、遺憾であったという行為を重ねて繰り返す意思があるかどうかということ、遺憾であるという事実をこれ以上進めるということはいたしませんね。これだけをはっきりさしておいていただきたい。決算委員会のわれわれの当然の責務だと思う。手続の済まなかった、遺憾であることをやってきた。これからはやらないということを明らかにいたしますね。
  99. 庄野五一郎

    庄野政府委員 国営なり県営なりの工事の運営につきましては、従来計画変更を完了間際にやるというような非常にルーズな点もあったかと存じますが、そういう点は今後改めまして、そのつど変更の手続をやって工事を進めるようにいたしたい、こういうふうに考えております。特に本地区につきましては、ただいま計画変更の手続を農民の納得を得るように努力いたしておる段階でございまして、農民の同意を得るように最善の努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  100. 八百板正

    ○八百板委員 一般論としては、手続の完了のないものをやらない。この場合においても、手続の完了しないものをやらないということに当然発展するわけでありますが、そこのところが今の話でははっきりしないのであります。はっきりしたような、しないような、地域農民の理解を得るように一生懸命努力しますというところに、これは当然の行為でありますが、当然にそれらの手続を済まさずに今日までやってきたということについて遺憾の意を表しているからには、その手続が完了しない限りは、そういう遺憾な行為は本件について重ねて行なわないということを明らかにしたものと解してようしいですね。
  101. 庄野五一郎

    庄野政府委員 手続の同意を得るように努力いたす考えでございます。
  102. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私お聞きしたいのは、農林省責任において計画変更をされた。それは遺憾であるということを認められた。その計画変更に伴う経費増がきている。それが農民負担となっているわけです。そういう状況下において、農民を説得し、事後承認を求める。そのためには、農民負担を軽減する措置をできるだけとっていこうということをあなたはおっしゃっておられるようである。その点、計画変更に伴う負担増はゼロにする、だから承認してくれ、そこまでの決意を持っておらなければならぬじゃなかろうか。先ほどの答弁は、いろいろな方法で負担増の分を軽減する努力をしたい、そういう努力を裏づけとして農民の了承を求めたい、こう言っているのですが、重ねて言いますと、ゼロにする、こういう立場で説得するということはできないか。そのことができないとして、そこまでいかないで、農民がどうしてもだめだ、不承認の場合にはどうなるか。この二点について、あなたの方の見解を明らかにしてもらわなければならぬと思う。
  103. 庄野五一郎

    庄野政府委員 ただいま最善の努力をいたしておる段階でございますので、将来のことについてはまだ考えていない次第でございます。われわれとしては、同意を得られるという考えでできるだけ説得をいたすということで進めております。
  104. 安宅常彦

    安宅委員 これは八百板委員からも話があった通り、遺憾な行為をしておるのであるから、遺憾であるとあやまっておる。ぶんなぐっておいて、どうも済みませんでした。あとぶんなぐられた方は損するじゃありませんか。そういうことは今後やらない、こういうことを言わなければなりません。しかも、PRで文書を出して、今一生懸命説得をしておりますが、その中で、計画変更をやれば経費が少なくなりますよというふうに見える文書を出しておる。しかも、当初計画よりも面積が減っておるにもかかわらず、ふえた文書を出しておる。ところが、よく調べてみますと、いわゆる通常言うなわ延び、これなども全部計算したために受益面積がふえたのだとしか私は思えない。なぜかならば、当初計画よりも地図の上では地域が減っておるのでありますから。これでは農民が非常に心配する。そうして先ほどの経費を軽減するであろうと思われる文書の根拠は、県が負担率を増したということだけが理由になっております。そう見ますと、当初計画をそのままやったら、経費の軽減にはならない。計画変更を承認すれば経費の軽減になるような文章にとれるように書いてある。しかも、その前文を見ますと、現在果樹や酪農を経営していくために、どうしても日本の農業というのはそういうふうになっておる。そういうところに持ってきて、さらに水稲栽培などをやれば、ますます農業は安定するであろうなんと書いてあるのです。そういうことを見たら、矛盾撞着もはなはだしいPR文書だということが、農民は文書を見ただけでわかります。だから、非常に怒っておるのです。これは遺憾でありましたと言っておきながら、それをたなに上げて、いわばこういうばかな計画には賛成できない、しかし、前の計画はわれわれは承認をしたのだから、建設的にやりましょう、さらにまた、経費の軽減その他があるならば話し合ってもよろしい、こういう建設的な意見を持っておる農民に対して、だまし討ちをし、切りくずしをしておるのだとしか思われないと、現地農民は言っておる。これは遺憾な行為の上にさらに遺憾な行為をあなた方は重ねてやっておる、こういうふうにとられても決して仕方のないようなやり方なんです。従って、そういう行為はやらない。先ほど私が言ったように、一たん白紙に返して、そうして話し合いをする気はありませんか、こういうふうに言っておるのです。それには新庄市長も加わらなければなりません。なぜかならば、水がなくなるからです。どうしてもこの問題は疑義のある農民の団体を加えなければなりません。土地改良区の幹部も、もちろん加えなければなりません。事業所も、あなたの方の本省側も、加わらなければなりません。こういう話し合いでもしなければ、同意を得ることができないのではないかと私は言っておるのです。だから、そういうことは説得は可能だと思っておるなどと言わないで、遺憾な行為に追い打ちをかけるような行為をさらに重ねないで、八百板委員が言うように、そういう行為はさらに積み重ねないという答弁を明らかにあなたの方からしていただかないと、この質問は、何日かかるかわからないほど私はがんばらなければならないことになる。あなた、はっきりそこのところを言明して下さい。
  105. 庄野五一郎

    庄野政府委員 われわれといたしましては、いろいろPRの段階において誤解があるかと存じますので、そういう点のないように十分注意いたしまして、新庄市なりあるいは地元農民なりとの話し合いを進めまして、同意を得るように努力をいたしたい、こう考えております。
  106. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 機会があるから、これは一応これで打ち切って、田中君。
  107. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私の質問に入ります前に、まだ農地局長がおられますので……。  私は、計画変更その他のことに基づいて起こりました事態に対して、できるだけ関係農民を中心として了解を得られるようにあなたたち努力せられることは当然だと思うのです。しかし、万が一大多数の農民の賛成が得られないという場合に、役所の方が既定通り計画を進めるということでは、それこそ血の雨が降る結果になると私は思うのです。従って、最善の努力はするけれども、最終的に農民の大多数の同意が得られないという場合には、農林省が一歩下がって関係農民と話し合うだけのかまえがなければならないと思うのです。同僚諸君の最後に局長から聞きたいという点については、最善の努力はするが、万が一そういう農民の多数の同意が得られないというような事態になれば、農林省としても、問題をさらに振り返った立場に立って、なおまた関係者と話し合う用意があるということだけは、局長答弁しなければ、この問題は——委員長のせっかくのあなたたちに対する助け舟ですが、国会決算委員会権威のためにも、これを明らかにしていただきたいと思いますので、局長に重ねて御答弁願います。
  108. 庄野五一郎

    庄野政府委員 再々申し上げておるように、よく注意いたしまして関係農民の説得に努めたい、こう考えております。今、同意が得られないときはどうするか、こういうような御質問でございますが、そういう場合は万ない、われわれはこういう確信でおりますが、将来のことでございますので、そういう場合にはいかにするかは、われわれとしても十分検討をしたい、こういうふうに考えております。ただいままだその辺の将来のことまで申し上げる段階ではないと存じまして、誤解のないように十分農民の説得をしたい、こういうふうに考えております。
  109. 安宅常彦

    安宅委員 誤解のないようにと言ったって、あなたの方で同意を得ないで違法な行為をして、遺憾でありますとあやまっておるのですから、そこから誤解が生ずるのはあたりまえであって、そういう答弁ではとても納得できない。不十分である。従って、私は、時間がありませんから、きょうのところはその質問を留保しておきます。その権利を確保しておかないと、あとで逃げられてしまうから、発言を留保しておくということを明確にここで宣言しておきます。
  110. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 了解しました。留保につきましては、機会があると思いますから、そのときにまた十分やって下さい。
  111. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 田中君は大蔵省関係、だそうですか……。
  112. 田中織之進

    ○田中(織)委員 時間もずいぶん経過しておりますし、また本会議の予定もあるようでありますから、私の伺いたい問題は、都内目黒区駒場町にあります、かつて極東軍司令官官邸として昭和二十年九月に接収された旧前田邸に関する問題でございますが、関係政府当局にはこの問題についての資料等も準備していただいておると思いますので、簡単に御質問申し上げますから、要領よくお答えをいただきたいと思います。   〔高橋(英)委員長代理退席、小川(豊)委員長代理着席〕  まず、調達庁にお伺いいたしたいのでありますが、今申し上げました物件につきまして、その後これを所有者の希望等もあり、かたがた、これは岸内閣当時であったかと思いますけれども、政府のいわゆる迎賓館に使用するという問題等の話が出ました。所有者立場から見れば契約があったという主張をいたしておりますが、そういう事情がございまして、現在この四分の三程度のものが接収を解除するといいますか、大蔵省に買い上げになっておる。ところが、現在洋館及び日本風の建物のある四分の一程度のものが、今私が申し上げましたように、たしか昭和三十二年ごろであったと思いますが、岸内閣の時代にこれを迎賓館に使用するという話が出て、そういう売買の予約契約のようなものが結ばれたので、それに基づいて返還の話が出ました。ところが四分の三程度の大部分のものが国に買収せられておる関係から、また迎賓館に使用するという計画が取りやめになった関係から、これが返還を受けることを所有者が拒否して現在に至っておるように私は聞いておるのであります。この間、昭和三十五年の三月二十八日付をもちまして会計検査院の第二局長、当時保岡さんであったと思いますけれども、保岡さんから東京調達局長あてに実地検査の結果についての照会もなされておるようでございますが、この検査院からの照会等の関係もございまして、調達局においてその後どのように処理せられましたか、まずお答えをいただきたいと思います。
  113. 小宮山賢

    ○小宮山説明員 会計検査院の保岡二局長から、私の方に対しまして、三十三年四月以降当庁としてとった具体的措置いかんというふうなお尋ねがありましたので、それについては文書をもって御回答申し上げたのでございますが、この問題について結論から申し上げますと、当庁といたしましては、この前田邸の四分の三の、現在国有になって大蔵省の関東財務局が管理しておりますものと、残りの四分の一でございますか、米側から返還になりましたけれども、所有者があくまでも受領を拒否しておりまして、調達庁が管理経費を負担してずっと今まで管理しております部分についての方針につきまして、その後内閣審議室の方で、調達庁だけでは片づかない問題なので、これは三十四年の四月二十五日を第一回とし、第二回目は八月十七日、第三回目は十一月十一日、その間公式でない会合はたくさん開いたのでございますが、正式にはその三回にわたって、各省でどういうふうにこんがらがった問題を解決するかということについて協議し、大体意向がまとまりました。従いまして、当庁といたしましても、形式的に申し上げますと、その各省申し合わせの線に沿って、今主として大蔵省に一括その問題の解決をお願いし、当庁も側面から御協力申し上げておるというのが一つであります。  それからもう一つ、返還後当庁の管理しております部分を所有者が受け取りませんので、どうしてもその部分は調達庁の方で管理をしなければなりませんが、三十二年の十一月十八日に返還になりまして以来、調達庁の管理しました現在民有の分につきまして、今年の七月末までで約六百九万円の庁費、主として留守番の超過勤務、夜勤の費用とか、あるいは若干必要な庁費類ですが、庁費から約六百九万円を支出しているという現状でございます。  なお審議室における各省の取りきめの内容につきましては、御質問があればお答えいたします。
  114. 田中織之進

    ○田中(織)委員 今不動産部の次長が申されました、三十五年三月二十八日付の検査院の第二局長からの照会でありますが、それには今申しました「三十三年四月付本院照会後貴局のとった具体的処置」、それから「今後の処理方針」、三番目、「大蔵省で支出した管理費を調査のうえ年度別、事項別金額調書を提出されたい。」ということで三項目になっておると思うのですが、そこでお伺いいたしたいのは、この照会の中に支出済みの管理費、これは三十五年の三月二十八日現在で三百八十八万円のほか、東京調達局の計算による建物等の返還補償費八百五十八万円、返還後三十五年三月末日までの受領拒否分の土地、建物借料相当額約二千四百万円、計約三千六百三十四万円の多額に及んで、今後さらに増大する状況である、こういう文言があるわけなんですが、今調達庁として支出された庁費は、管理費、留守番を置いているのが六百九万円だというのは、三十五年の三月末日以降新たに出したものがそれだけだという意味合いなんですか。その点を明らかにしていただきたい。  それからその間、現在に至るまで、米軍からは返還されましたけれども、所有者が受け取らないというような場合の賃料というようなものは、普通の場合でありますと、これは取りきめがあるのかどうかということも明らかにしていただきたいと同時に、かりに明らかであるというような場合には、民間等における場合、供託とか何らかそういうような手続をとるわけでありますが、米軍の使用はとまっているわけなのですが、管理費だけで、返還を拒否している所有者に対しては、その物件から生ずべき収益というようなものについての補償という点は、調達庁として、現行の法制のもとにおいて考えなくてもいいのかどうか。また、私が今申し上げましたような管理費あるいは補償費というようなものが——かりに解決をして、本人が引き取るとか、あるいは大蔵省がこの部分を買い上げるとかいうような場合には、そういうような経費はどういう形で支出するものなのか。あるいはそれが返還を拒否しておる所有者にどうして渡されるか。その点について、幾つかの項目にわたりましたけれども、お答えをいただきたいと思うのです。
  115. 小宮山賢

    ○小宮山説明員 お答え申し上げます。  第一の、先生の申されました会計検査院に私の方で出しました調達庁が管理のために払っております金額と、私が先ほど申し上げました金額の差は、これは締め切りと申しますか、総括の時期が違うためにそういうことが起こりましたので、三十二年の十月十八日に返還になりましてから、三十二年度分として八十九万五千七百十七円、三十三年度分といたしまして百七十四万三千四百二十七円、三十四年度分としまして百四十七万九千三百十円、三十五年度分といたしまして百四十七万五千四十一円、それから三十六年度分の年度当初から七月末までにおきまして五十万七十七円、合計約六百九万円というのでございます。従いまして、検査院に申し上げました五百何万という金額は、当然六百九万の中に含まれているということであります。もちろん、この調達庁の管理部分のほかに、関東財務局の管理部分がございますから、その分につきましては、当然当庁の所管外ですが、所管庁において管理費を支払われておると思います。  それから御質問の第二の、経緯につきましては、非常にむずかしい問題なのでございますが、三十二年の十月十八日に正式の返還を受けました。ところが、所有者はそういう買収途上の半端なものは受け取れない、全部買ってくれるという売買の予約があったんだから、全部引き取ってくれというふうな趣旨で受領を拒否されているのでございます。しかし、調達庁側といたしましては、形の上では国庫債務負担とかあるいは売買の予約をして、年度で全体を買うという約束をして、本年度は幾ら、本年度は幾らというふうな建前で買うような形になっておりまして、それぞれ単年度契約で所要部分を買い取っていった。三十二年度最後の年も、もちろん残りの部分を買うつもりで予算を組んでおった。ところが、執行前にぱっと返還になってしまった。返還になってしまうというと、私の方といたしましては、当時の防衛支出金による買収の計画上、行政協定上不必要な地域を買うということについて、予算の建前上、調達庁としても、もう返還になったとすれば用途がない。用途がない国有財産を取得するというと、国有財産法上疑義がございます。私の方の防衛支出金というものは、大体が米軍に提供ということを前提として買う建前になっておりますので、当庁としては事情非常に困った状態でございましたが、処理が当庁としてできず、むしろ、たとえば迎賓館にするなら外務省の所管予算、また、その他の目的にするならそれぞれの予算でやらなければならないというふうな羽目に落ち込んでしまったわけでございます。ところが、今日まで国有の部分の処分も、また所有者に引き渡すこともできず、こういう長い期間たち、私の方としても管理費をただ出して番だけしておるということは、建物も天井が抜けてくるというふうな始末で、非常に管理費についても腐心しておるので、できるだけ早く何らかの形で、たとえば適当な買い手を見つけて、国の部分も、また所有者の部分も、所有者の納得を得て円満に処理するということが望ましいのでありますが、その建物、土地所有者である中島さんの方からは、たとえばことしの末に解決するといたしましても、三十二年の十月十八日から今日まで、実態上争いがあるにしろ、民有部分は調達庁が管理している、相手は受け受らない、それを賃貸借契約上、国が賃貸借料とまではいわないものの、賃貸借相当額の補償について当然何らか見るべきであるという御主張が、東京調達局長の方に出ております。しかし、ただいまのところ、私の方は、まだ相手方に対しまして、その問題をどうするかということの御回答はいたしておりませんし、それから理屈で申しますと、うちの賃貸借契約書の面では、見るとか見ないとかいう条項がございません。しかし、返還から問題解決までのそういうふうな所有者のこうむった損害をどうするかという問題につきましては、これはそれだけで所有者と話し合っても問題の解決はつきませんので、この前田邸の問題の全般的な解決の一環として、ある場合には調達庁として関係省とも協議の上適当な措置を考えなければいけないと思いますので、今のところ受け取るまでの借料相当額の部分をどうするかということについては、まだ態度を相手方に示していないというのが、今の正式な立場でございます。
  116. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そういたしますと、内閣審議室へ関係各省が集まってこの問題の処理について話し合いをなされたそうですか、それは一つの結論が出ておるのでしょうか。差しつかえがなければ、その内容を明らかにしていただきたいと思うのです。今不動産部次長がお答えになったような形で、まだペンディングのままでいるものなのか。それとも、そもそも調達庁が米軍の司令官の官邸として接収したということにこのトラブルが始まっているわけですから、調達庁が中に入って、所有者、また四分の三が国有地になっておるわけですから、大蔵省の管財と、三者の間でこの問題の最終的な処理についての基本方針というようなものが、現在まとまっておるのでしょうか。その点はいかがでしょう。もし調達庁からお答えがしにくければ、大蔵省の管財局長から伺ってもいいと思うのです。
  117. 山下武利

    ○山下政府委員 ただいまお尋ねのありました内閣審議室における協議会の結論といたしましては、ただいま不動産部次長からお答えのありましたように、前田邸の問題にはいろいろ従来のいきさつがあったわけでございますから、それらを一括して処理する。いわゆるあの建物全体を一括して処分するという方向でいきたいということのようでありまして、具体的な処分につきましては、それぞれ関係の各省において善処するということになっておるわけでございます。大蔵省といたしまして聞いておりますところでは、所有者の御希望は、まず第一に、残りの部分もすでに約束のあることであるから国として買い上げてもらいたいということと、もし買い上げができなければ、すでに国有に帰した部分は自分に売り戻しをしてもらいたい、こういうことに尽きるように聞いております。最初の部分につきましては、先ほど調達庁当局から御説明のありましたように、すでに行政目的というものがない現在におきましては、これは国として買い上げることは困難であろうというふうに考えております。それからすでに国有に帰しました部分を旧所有者の中島さんに売り渡すという件につきましては、これはいろいろ検討いたしました結果、旧所有者のことでもあるし、隣接地をまだ所有しておられるということでもありますので、国有財産法にいう随意契約の適格者として認めても差しつかえないというふうにわれわれは考えております。ただ、その売買の値段、方法につきましては、全体の問題の一環として御協議しなければならないというような段階であるわけでございます。
  118. 田中織之進

    ○田中(織)委員 内閣審議室で話し合われたこの物件の処理の基本方針は、抽象的ではありますけれども、そういう方向へ進めなければいかぬと思います。しかし、何しろ対象の不動産というものが、最近の不動産ブームでだんだん高騰しているというか、変動しておる段階であるだけに、価格の算定、補償費の算定、あるいは一たん国有地として国が買収したものをかりに売り渡すという場合の価格算定等についても、たとえば最近における付近の不動産の価額の変動——と私は申し上げる、必ずしも高騰だけの要素でもないと思うのですが、なにの問題があると思う。そういうようなものが、当然考慮の中に入れられなければならないと私は思うのです。この場合に非常にむずかしいのは、現在日本風の建物と洋館のある——しかもその建物が使用いたしませんから、古い建物でないにいたしましても、無人の建物というものはいたみが早いのは常識でございます。そういう関係になっているものの処分と、やはり現在四分の三の国有地になっているものをひっくるめての処分というものとの間に、大きな価額上の相違の問題が出てくるのじゃないかと思う。  もう一つは、中島何がしという所有者の方で主張しておるように、占領時代の特殊なことではありますけれども、その施設提供という形で国が接収した、完全な提供をする意味で、調達庁が年度別に予算を組んで国有地として買収したという形になっているのだと思うのですが、それが米軍の方から突如として返還された。返還されたことはけっこうなことでありますけれども、返還されたからといって、所有者に四分の一のものをお前に返してやるからといったって、これは簡単に受け取れる性質のものではないと思うのです。検査院から出ておる照会の中にも、その間の事情というものは当然考慮せらるべきものではないかという、言外にそういう意味のことがあるように受け取られるので、私は、これはやはり今山下管財局長答弁されたような線ですみやかに原所有者に一もちろん売り渡しの条件等の問題もありますけれども、返還と売り渡しをしてやるべきではないかと思う。しかし、その場合には、今申し上げたような点が価額算定にあたって当然考慮せられるべき条件ではないか、私はそのように思うのですが、この点については、調達庁並びに大蔵省の管財局長として考慮せられる用意があるのかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
  119. 山下武利

    ○山下政府委員 国有財産の売り渡しにつきましては、価額の評定に一つの原則がございまして、いわゆる原則として時価を参酌してきめるということになっておるわけでございます。しかし、本件の場合は、いろいろと複雑な事情もございますので、必ずしもそれ一本やりでいけるかどうかにつきましては、若干考えなければならぬ点があるかと思います。ただ、いろいろと先ほどから申し上げておりますように問題が込み合っておりますし、価額の点のみならず、ほかにもいろいろと参酌しなければならない、あるいは解決しなければならない点も含めておるわけでございますから、そういうものを一括して審議いたします場合に、価額の問題も十分に考慮いたしたい、かように考えているわけであります。
  120. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その場合に、先ほど調達庁側にお伺いをしたのでありますけれども、あなたの方では、返還が法的にきめられて以後現在に至るまでの期間放置されているわけですね。その間返還をするといっているのに対して、お前の方は受け取らないんだという言い分はあるかもしれませんけれども、現実にその間の不動産から当然来るべき賃料その他にかわるべき収入というようなものについての補償は、接収は解除されたとはいうものの、やはり調達庁の所管で処理しなければならない問題じゃないかと思うのでありますが、その点はいかがでしょう。
  121. 小宮山賢

    ○小宮山説明員 御質問の、返還から問題が解決するまでの宙ぶらりんになっておるところの民有地について借料相当額を補償するかどうかという問題は、先ほど申し上げましたように、今払うとか、払わないとかいう態度を打ち出しますことは、かえって全体解決に影響を及ぼすので、態度を留保しておりますが、基本的な考え方といたしましては、基地行政を担当しております調達庁として、米軍が来たことによって個人財産を快く提供に応ぜられて、本人買収されることを予想してやってきたものが、突然半端な、経済効果がない形でもって返還になっちゃった。それを受け取れ、あとは一切片づくまで知らぬということにつきましては、私ども基地行政担当の立場としては、十分そうした所有者事情と、それから事件がそこまでになりました経緯等を参酌して解決しなければなりませんので、私としては、まだ各省とも協議しておりませんが、本問題の全般的解決のときには、十分所有者事情を考慮した態度をとりたいと存じます。もちろん、民有の部分のそうしたクレームの問題でございますから、所管といたしましては、私の役所で当然取り扱うことになると思います、予算科目はどういうことになるかわかりませんが。
  122. 田中織之進

    ○田中(織)委員 検査院の第二局長にもおいでいただいておるわけで、検査院の方にも伺っておきたいのでありますが、お聞きの通り、三十五年あなたの方から、当時の保岡局長から出された照会に対して、調達庁からは先ほどお答えになったような回答がなされておるのであります。この照会がなされてからすでに一年有余を経過いたしておりまするが、今お聞きのような段階にあるわけなのです。私は、問題は、接収解除になってからもすでにかなりの年限がたつ問題については、いろいろの要素が入ってきておるというので困難な点があろうかと思うのですけれども、三十三年の四月、それから三十五年の三月と二回、あるいはそれ以上も出しているかもわからぬと思うのでありますが、本件については検査院が特に処理を早くしろという、通達に類するような形の文書を出されているわけなのです。検査院の立場から見て、こういうものについては、やはりもっと鞭撻をされるということをやらなければならぬ立場に置かれているのではないかと思うのでありますが、その点、会計検査院当局の御見解を国会として伺っておきたいと思うのです。
  123. 樺山ただ夫

    ○樺山会計検査院説明員 この問題は、先ほど調達庁の方から御説明がありましたように、解決の方法としては非常に困難な問題があるわけでございます。ただ、私の方といたしましては、毎年管理費用といたしまして約百五十万程度の経費を支出している状況でもありますし、なるべく早く適当な方法で解決していただきたい、こういうことで照会をいたして参ったわけであります。先ほど申しました三十五年の三月に照会いたしました以後におきましても、実地検査等におきまして、その促進方の注意をいたしておる次第でございます。
  124. 田中織之進

    ○田中(織)委員 毎年のように管理費が出ているというだけではなくて、わずかな留守番程度のもので放置していくということになると、これはやはり国のほんとうの意味における富という観点から見ても、ゆゆしい問題ではないかと思うので、私も、大蔵省及び調達庁当局の本日の答弁には、解決への努力をされる誠意を認めたいと思うのですけれども、検査院としては、こういう点については、やはりこういうものの処理をすみやかにやらせるように推進をしていただくのが、検査院への国民の期待ではないかと思うので、努力をしていただきたいと思う。  それから最後に管財局長にお伺いをいたしておきますが、価格の点だけではなくて、かなり込み入ったいろいろの事情があるのでということは、一つは、たとえば国への買し上げの中途で接収が解除になったという形で、現在四分の三が国、あなたの管理のもとに置かれる国有財産である。四分の一は民有地になっているのですが、それは算術的に四分の三、四分の一と分けたものではないと思うのです。やはり全体としての経済的な価値というものを私は考えなければならぬと思うので、その点で、現在所有者に当然返還をせられるべきものを持っておる。まあ所有者立場から見れば、自分の持っているのがこの物件の価格の真随になる部分だ、こういう主張をするでありましょうし、また買い上げのときの価格も、検査院の照会の中で金額を私も承知いたしております。それが当時の、先ほどお述べになった時価主義というものに準拠したものであろうかと思いますけれども、そういう事情で現在ペンディングになってきているということになりますと、現在の時価ということになれば、私は、相当な大きな開きがあろうかと思う。ところが、片一方にそれをチェックする事情があるだけに、局長の言われた価格以外の複雑な事情をも考慮してという意味の中に、そういう関係のことを考慮するということを意味せられておるのだと思うのであります。そういう点で、ただ国有財産処分の原則の時価主義によって一たんは民有地を買い上げた。しかし、それは接収されている当時の、一つの異常な状態のもとに国が買い上げたという事情もありますから、私は、必ずしも国有財産処分の一般的原則は、この場合には公式通りに適用するわけにはいかない配慮も必要なんじゃないだろうか、かように考えるのですが、この点についての管財局長の御所見を伺って、私の質問を終わります。
  125. 山下武利

    ○山下政府委員 御意見の通りでございまして、あの財産処分につきましては、必ずしも国有財産の一般原則だけでは割り切れない点があるということを申し上げたわけでございます。ただ、先ほど申し上げました価格以外の問題と申しますのは、たとえば、すでに返還になりました部分について、国が所有者に対する返還を拒否されておるという問題もございますし、また、その拒否されておる期間の賃料相当分を要求されておるというふうな問題もございまして、国としては、これらの懸案を全部一ぺんに解決した上で、全体を一体として円満に処理したいということを申し上げた次第でございます。
  126. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時三分散会