運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1961-10-19 第39回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月十九日(木曜日)    午前十時十七分開議  出席委員    委員長 鈴木 仙八君    理事 荒舩清十郎君 理事 木村 公平君    理事 高橋 英吉君 理事 小川 豊明君    理事 勝澤 芳雄君 理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    久保田藤麿君       正示啓次郎君    鈴木 正吾君       濱田 正信君    藤井 勝志君       赤松  勇君    山田 長司君       古賀  了君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (第五局長)  平松 誠一君         住宅金融公庫総         裁       鈴木 敬一君         住宅金融公庫総         務部長     望月 重雄君         住宅金融公庫貸         付部長     江ケ崎太郎君         住宅金融公庫経         理部長     金沢 栄信君         日本輸出入銀行         総裁      古沢 潤一君         日本輸出入銀行         理事      山本菊一郎君         日本輸出入銀行         理事      斎藤 正年君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十月十八日  委員森本靖君及び山田長司辞任につき、その  補欠として中嶋英夫君及び山崎始男君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員中嶋英夫君及び山崎始男辞任につき、そ  の補欠として森本靖君及び山田長司君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十四年度政府関係機関決算書      ————◇—————
  2. 鈴木仙八

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  昭和三十四年度決算を議題とし、本日は、住宅金融公庫及び日本輸出入銀行関係について、審査を進めます。  直ちに質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。  まず、住宅金融公庫関係について、木村公平君。
  3. 木村公平

    木村(公)委員 私は、住宅金融公庫につきまして、若干の質疑を試みたいと存ずるものでございます。もちろん、本委員会におきましては、適正なる審議をいたすためにいろいろ疑問点の解明をいたすことが必要でございますので、われわれは与野党を超越いたしまして、真に国民の代表といたしまして、疑わしきものはこれを一つこの場において御釈明を願う、そうして国民に深い理解を持たせるということが、私ども目的一つであることをあらかじめ御承知置きをいただいて、御答弁が願いたいのであります。  まず、住宅金融公庫がどういう仕事をなさっておるかにつきましては、私がここで督言を申すまでもなく、公庫法の第十七条に、業務の範囲といたしまして、いろいろ列挙されておるのでございます。昭和三十四年度、三十五年度にどういう計画でお始めになって、いかなる実績をお上げになったか、個々の業務についてなるべく具体的に、数字に即して詳細な御説明を伺ってから、いろいろ御質疑を申し上げたく存ずる次第でございますので、まずその点の御説明をお願いいたします。
  4. 鈴木敬一

    鈴木説明員 ただいまの御質問にまずもってお答え申し上げたいと存じます。  昭和三十四年度業務といたしまして、わが住宅金融公庫業務計画として予定いたしましたものは、戸数において十万二千戸、宅地取得、造成合わせまして七十六万坪を予定いたしたのでありまして、これに対しまして約三百八十億円の貸付契約を行なうように予定計画をいたしましたが、御承知通り、この三十四年におきましては、七号台風その他災害が発生いたしましたし、ことに九月に至りましては、伊勢湾台風等による住宅被害被災者融資する必要が相当量出ましたので、事業計画の一部を変更いたしまして、災害復興住宅貸付、並びに個人住宅及び産業労働者住宅につきまして、災害時における特別貸付を行なう計画をいたしまして、かれこれ計画に変更を来たしたのでありまするが、最終的な事業計画といたしましては、住宅戸数において十万四千戸に改め、宅地取得、造成合わせまして、当該年度貸付契約金額は、四百四十二億七千万余円に改まった次第であります。資金計画といたしましては、上述の通りでございます。当初の貸付予定額三百七十九億円としておったのでありまするが、ただいま申した伊勢湾台風発生等によりまして、災害貸付の必要が大幅に増額することに相なりましたので、その後の事業計画資金消化状況によりまして、最終資金計画における貸付予定額は、四百十五億余円に相なっておるのでありまして、その資金構成は、出資金四十五億円、借入金三百五億円、回収金など六十五億余円でありまして、これらの合計が四百十五億余円と相なった次第であります。  なお、これらの貸付に伴いまして、これらの債権の管理回収をいたしておるわけでありまして、この年度におきまする回収予定額は、一〇〇%といたしまして、それに対する九八・五あまりの回収成績を得たわけであります。その金額は二百五億余円でありまして、その一部は公庫借入金の返済に充てまするとともに、一部は新しい貸付事業資金に使用した次第でございます。  なお、これらの貸付業務並びにこれに伴う管理回収業務のほかに、御承知のごとく住宅融資保険を営んでおるのでありまして、これはすなわち、市中金融機関住宅建設のために貸し出す、その貸し出しにつきまして、保険契約金融機関公庫の間で取り行ないまして、貸し倒れ等の場合には、正当な手続を経たにかかわらず、赤に終わったような金額に対しまして、補償をいたしておるのでございます。これらの保険契約額が、五十七億円を一応のワクとして予定しておりましたが、実際の契約額は約五十億円と相なったわけでありまして、保険関係の成立したものは七百八十五件でありまして、その保険金額は四億四千万円と相なった次第でございます。  また、この住宅融資保険業務につきましては、住宅金融公庫独立会計の中におきまして、特別勘定を立てておる次第でございまして、当該年度における住宅融資保険業務での公庫としての利益金が一千万余円生じましたので、これは全額住宅融資保険特別勘定積立金として積み立てすることにいたした次第でございます。  業務概要を一応申し上げておきます。
  5. 木村公平

    木村(公)委員 ただいまの業務概要は、不日委員長から本会議にも報告をされることと存じますが、それにつきまして、さらにただいまの御説明資料として、公庫発足昭和二十五年度から三十五年度までの各業務別に、実績計画と対比しながら数字をまとめて御提出をいただきますならば、十分こちらでまた審議ができるかと思います。  そこで住宅金融公庫のお仕事の中心は、申すまでもなく、みずから居住するため住宅を必要とする者にその建設購入資金を貸すことは明らかなわけでございますが、今月の十二日の毎日新聞の伝えるところによりますと、今年七月に募集いたしました公庫一般建築応募全国で八万六千戸で、昨年八月の十二万二千戸に比べて三割の大幅減少だということでございますが、これは事実であるかどうかということも、お伺いいたしたいのでございます。  さらにまた、ここ二、三年来の応募状況一つ詳細に伺いたいと思います。
  6. 鈴木敬一

    鈴木説明員 ただいまの御質問にお答えを申し上げますが、新聞記事と大体符節を合わせるような事実に相なっておりまして、昨年度、つまり三十五年度申し込み件数、これは新聞記事もさようであったかと思いますが、個人住宅申し込み数字でございますが、昨年度は二十七万九千三百三十九件であったのでございまするが、本年度、すなわち昭和三十六年度におきましては、二十二万四千八十九件でありまして、パーセンテージをとってみますと、本年度は昨年度の約八〇%ということに相なっておりまして、大体二〇%、五万五千件ばかり減少に相なっておることになります。  しからば、これの原因はどういうことであるかというお尋ねであるようでありますが、いろいろ原因はあろうと思いますけれども、大体に通じておる最大原因は、住宅に要する敷地、つまり土地価格高騰、ことに大都会周辺等におきましては、なかなか敷地が得がたいというような辺に原因が存しておるのではなかろうか、かように考えておる次第でありますが、その詳細につきましては、まだ具体的な原因を把握しておりませんので、正確、詳細な御答弁は、この際申し上げかねます。
  7. 木村公平

    木村(公)委員 わが国の現状といたしましては、衣食の方は、満足すべき状態とは言い切れないかもしれませんが、大体良好な状態であろうかと思うのでございます。住宅につきましては、依然として住宅難が叫ばれておる。その際、住宅金融公庫を通じて一般大衆のために国家が国費をもって住宅建設しよう、そのために金融をする。この目的公庫に対して、建築希望者が減ってくるということは、重大なことでございまして、これは住宅難が解消したというふうに考えればおめでたいことでございますが、住宅難は依然として解消していない。しかも公庫に対する申し込み減少している。ただいまの御報告によりますれば、二割というお話でございましたが、もしもこの毎日新聞にして誤りがないとするならば、この点についても御見解を伺いたいのでありますが、こういうような書き方をしております。「去る七月に募集した住宅金融公庫一般建築応募全国で八万六千戸だった。これは昨年八月の十二万二千戸にくらべ三割の大幅減少であり、それまで毎年増加の一途をたどっていただけに、この減少は目立っている。公庫融資公庫の決めた標準建築費の七割五分となっているが、標準建築費が低すぎて実情にそわないので来年度から改められるようだ。」という一節がございますが、ただいまの御答弁、御説明によりますれば、申し込み減少した原因の最も大きなものは土地高騰ではなかろうか、従って、それは公庫と何ら無関係の問題である、土地高騰という一つ社会現象原因であるというような御答弁でございますが、その限りにおいては、まんざら御答弁にならないわけではございませんけれども、私ども公庫にお伺いいたしたいと存じますのは、公庫責任において、その減少については何らかの関連があるのではないか。公庫の運営の方法公庫金融の根本的な考え方、そういうもののために、この申し込み減少が招来されておるのではなかろうか。もちろん、土地高騰暴騰ということは認めます。それも原因一つではございましょうが、それは公庫でもって解決できる問題ではないのでございまして、ここでその土地値上がり以外の、公庫責任において解決できるものを発見して、そして国民の名において、これが是正できれば是正するということが、けだし私どもの任務かと存じますので、土地暴騰以外の原因考えられるもろもろのことについて、一つ考えがありとすれば、御説明をいただきたいのであります。
  8. 鈴木敬一

    鈴木説明員 土地値段の騰責ということは、確かに原因になっているだろうと思うが、公庫自身解決のつく方面において、何らかの是正策はないか、こういうお尋ねでございまして、これはきわめて私どもとして、職責上痛み入る御質問でございます。いろいろな意味合いにおきまして、一般庶民住宅資金を供給するという職責の上から、応募者がいささかでも減少する——一部の種類の貸付にせよ、減少するということは、大へん遺憾の次第でございまして、これが原因の追求については、いろいろ考えつつあるところでございますが、先ほどちょっと触れましたように、今年度個人住宅応募者減少原因につきましては、ほんとうはこれは個別に、具体的に、どういう原因で減ったかということを突きとめねばならぬのでございますが、なかなかこれを把握することが、つまり希望しなかった、申し出なかった人の原因を突きとめなければならぬのでございまして、事務的にいろいろめんどうさがあるものでございますから、つい思いながら、先ほど申し上げたように、具体的に、正確に原因を突きとめられない。ただ、土地騰貴、これが減少最大原因であるだろう、こういうことは申し上げて差しつかえないかと思うのでありますが、今の主としてお尋ねのございました、われわれの方で標準建設費と申しておりますが、住宅金融公庫法に規定されている住宅標準建設費を目標にして、その何十何パーセントを貸す、こういうことに相なっているその基準額、すなわち標準建設費が、現代の実情に合わせて低過ぎはせぬか。それで個人住宅申し込みの減った原因一つをこれがなしておりはせぬか。これも私ども、その点に重大なる関心を持っておる次第でございまして、先ほど申し上げた計数及び新聞記事のとらえ方も、今年度個人住宅申し込みは、御承知のように、近年は必ず二回申し込みを受け付けておりますので、比較的著しく減ったのは、大体第二回の申し込みが減っているように考えております。これは、御推測になりましたように、建築費値上がりということが、大体今年度の初頭——とは申せないくらい、ややおくれて比較的騰貴がございましたので、第一回のときはその影響はなかった、第二回のときの影響減少が現われたのでありますから、多分そういう原因もまた減少理由一つに相なっているのではなかろうかと推測されますので、その他の理由からいたしましても、庶民住宅建設資金を供給する立場から申しまして、標準建設費が低過ぎれば、結局通俗頭金と申しております自己資金を多額に投入しなければならぬ羽目に陥るわけであります。これはわれわれの使命から申しましても、庶民に対してまことに相済まぬ次第でございますから、この標準建設費増額改訂に向かいましては、先ほど来から主務省等に対しましてもできだけの努力を継続しつつある次第でございまして、私ども考え方としましては、標準建設費相当額上げていただきたい。これは御承知のように、公庫総裁がきめるということに相なっておりますが、その前提として、主務大臣の承認を得て公庫総裁が指定する、こういうことに相なっておるような手続もございますので、いろいろそういう点で、まだ三十七年度予算が編成協議中でございまして、この席上で私ども考え方数字等を具体的に申し上げられる時期に相なっておらぬと思いますので、その点はごかんべん願いますが、でき得るだけ現在の実情に合うようにしていきたいという意思でございますし、努力を継続したいと存じております。御了解を願っておきたいと思います。
  9. 木村公平

    木村(公)委員 なかなか御答弁が長かったのですが、結論は、土地暴騰もさることながら、公庫としてこちら側から見れば、標準価格に対しても多少低いようなことが考えられる。標準建設費と申しますか、標準価格というものが低ければ、従ってそれだけ現在の実情にそぐわないのであるから、自己資金が多く要る。そんなことで、金融公庫からお金を借りることはけっこうだけれども、自分の金が公庫から借りたもの以上によけい要る。そういうことではとても手が出ないということから申し込み減少したというようなことが、今の御答弁の中からも想像されるようであります。しかしながら、標準建設費増額というものは、一に大臣の許可が要る。従って、公庫の権限ではそのようなことができないというお話でございますので、それは私の方であなたの方の実態を伺えば、その実態考えながら、今の実態が現段階社会情勢あるいは物価等に合わない、そうして庶民のために金融公庫ほんとう仕事ができないのだということであれば、あえて私どもは、大臣に対しましても、所管省に対しましても、この点については働きかけなければならないと思うのでございますが、幸いにそこまであなたの方からお話がありましたので……。  もう一つちょっと伺っておきたいのは、今一体坪当たり建築費はどのくらいかという問題であります。いろいろありましょうけれども、ここにも出ておりますが、最低木造で四万五千円、これはほんとうのバラックのようなものであります。中級で六、七万、ちょっといいといえばすぐ七、八万から十万というのが、今の東京における坪当たり建築費だということを毎日新聞も書いておるようですし、私どももそのように大体承知しておるわけでございますが、あなたの方の標準建築費坪当たり幾らであるかということ、それからそれに対して、もしもそれはとても実情にそぐわないというならば、所管省である建設省の住宅局であるか、あるいは大臣に対しまして、あなたの方はその改訂の申し出でもなさっておられることがあるのかどうか。これはあなたの方が専門家でございますから、私が申すまでもないと思いますが、最近、ひとり土地値上がりだけではございません。建築の材料、大工手間賃、あらゆるものが上がっておることを、われわれ与党でありますけれども、残念ながら認めざるを得ない。その段階におきまして、標準建築費の決定されたのはいつごろか。その後いろいろ更改をされておるでしょうが、ごく最近において、一体標準建築費更改をあなたの方から建設大臣申し込みをされたことがあるのかどうか。さらにこれに付随して考えられますことは、手間不足ということであります。これはもちろんあなた方の方では解決できない問題で、労働省所管でございましょうけれども手間不足を今後どうするかどいう問題、大工、左間、いわゆる日本家屋に必要な枝術者養成ということも考えられる大きな問題でございますが、あなた方が現実お金を貸し付けて家をお建てになっておるのをどう見ておられるか。その場合に、今一番不足しておるのは何と何か。標準価格に対しては、これは安きに失するから、改訂を申し込んだのは最近は一体いつであったかというようなことも、この機会に一つ伺っておきたと存じます。
  10. 鈴木敬一

    鈴木説明員 実は手元に持っておりますのが、坪でなく、平方メートルの資料でありまして、坪の方はちょっと手元に持ち合わせておりませんので…。お尋ねの点の中で、木造等につきましては、やはり手間賃大工左官トビ職、そういうような手間の問題が一番重要な部分を占めておるのでございます。鉄筋あるいはブロック造等におきましても、やはり手間賃は足りないのでございますけれども、こういうものはあまり手間を要しませんので、建築費主要部分手間賃が占めておりますのは、比較的木造建築にある。木造のことについて申し上げますと、これは標準建設費を私ども地域別に定めておりまして、北海道地域と、北海道以外で二様に分けておるような次第でありまして、現在までのところの木造建築標準建設費は、北海道地域で坪三万六千三百円、それからあと乙丙とございます。乙地域で三万三千六十円、丙地域で三万一千三百五十円、こういうことに相なっておりまして、これは今年の四月から実施しておるのでございます。けれども騰貴の時期が主としてその後になっておりますので、今木造住宅で、甲乙丙地域ともにこの値段ではなかなかつらい、こういうようにいわれておるような次第でございます。  なお、現在技工者左官トビ職大工等養成等につきましては、間接ながら非常に希望はしておりますけれども、何分現在は徒弟養成のようなことの実行が、きわめてむずかしいと称せられておりまして、熟練工が老年になったあと、跡継ぎがなかなかできがたいというような状況であるそうでございまして、これの根本的解決等につきましては、お説のように、労働省あるいは通産省等他省所管としていろいろ御努力を願わなければならぬ分野があるかと存じます。現状は、先ほど、並びにただいま申し上げたような状況でございまして、これを相当額まで増額をお認めいただきたいという考え努力中でございます。
  11. 木村公平

    木村(公)委員 その問題につきましてはいろいろまだお尋ねしたいこともございますが、結論的に申しますれば、どうも標準建築費実情に合わない、だから、この点について一つ十分御検討の上、主務大臣に対してすみやかにこの改訂を要求していただきたい。私どもはそういう場合に御協力するにやぶさかでありませんので、ぜひともこれは——公庫申し込み減少するというようなことは重大な事態でございますし、しかも、減小原因は、土地高騰もさることながら、標準建築費実情に合わないということで、自己資金があまりに多く要り過ぎるというようなことが原因の主たるものであると私は考えられますので、この点について十分の御検討をいただきたいと思います。  次に、貸付の内訳の中で、分譲住宅計画建売住宅宅地分譲住宅宅地造成というものが列挙されておりまして、これらについては、地方公共団体協会、公社、あるいは労働者住宅協会のほかに、電鉄会社、私企業も関係しておるようでございますが、実情はどのようになっておるのでありますか。これはいろいろの関連もございますので、詳細に一つ承っておきたいと思います。
  12. 鈴木敬一

    鈴木説明員 この貸付先といたしましては、公庫在来から公共団体及び公共団体にかわる財団法人に限って貸付をして、分譲住宅建設及び管理つまりでき上がった住宅及び敷地庶民分譲するということをお願いしておるわけでありまして、分譲住宅の場合は、相手方に対しましてもちろんわれわれの扱っております住宅資金をお貸ししまして、その資金敷地を購入し、整地し、道路側溝等をつけまして、そこへ住宅を建てて、現物を希望する庶民に払い下げる、こういうような手段でいたしております。しかるに、並べて仰せられました建売住宅といいますものは、公共団体等相手方とする場合もございますけれども、原則として計画建売住宅と申しまして、一定土地を画しまして、住宅を建てて分譲する。結果は分譲に相なるのでありますが、そういう計画公庫として承認いたしまして、今年度においてあなたの計画されたこの分譲計画を承認いたします、つまり実施してごらんなさいというのが、計画建売住宅でございまして、これには公庫資金をあらかじめは一文も融通しておらぬのであります。それでお説のように、六大都市周辺電鉄会社に限り、沿線開発、すなわち六大都市周辺宅地開発のために、そういうような計画建売住宅契約をいたしまして、現実電鉄会社在来から持ち合わせている宅地、あるいは新たに買い入れるのもございますけれども整地をいたしまして、道路側溝等をつけまして、住宅を建てて、そして一定方法によりまして希望者公募——少なくとも新聞広告等手段に出てもらい、公募して希望者分譲契約してもらう。それまでは電鉄会社に、敷地購入費整地費その他の工事費及び住宅建設費等は立てかえて支弁してもらっておるのであります。そして住宅が竣工して竣工検査が済みまして、これならば公庫建築基準、規格に合っておる、合格しておると認めた場合に、希望者分譲手続に出てもらうのであります。譲り受ける者が決定いたしますれば、その譲り受けた個人に対して公庫契約をいたします。それは普通一般に公募して、個人住宅の受付をいたしまして、審査して、多くの場合にはやはり抽せんして、そして融資先個人等適格者をきめるのでありますが、それと同じような基準で、個人住宅融資先個人として適格であるかどうかを審査いたしまして、同様の基準で認めた場合に、その個人契約予定者といたします。そしてその個人公庫契約をするのであります。木造の場合には十八年賦、その他鉄筋の場合もございますし、ブロックの場合もございますが、それぞれの予定された償還年限で、その個人契約をいたします。個人は、公庫から個人住宅として貸付を受けた金に、さらに自己資金を加えまして電鉄会社に払い込む。電鉄会社は、それで初めて当初の敷地購入以来のすべての経費の穴埋めができる、こういうやり方にいたしておりますので、電鉄会社を相手とした計画建売住宅のやり方は、電鉄会社には資金としては一文も融通しておらぬ建前にいたしております。ですから、個人公庫から借りた金に自己資金を加えて電鉄会社に払い込みますと、公庫電鉄会社との関係はそこで断たれるような関係になります。もっとも、道路が損壊するとか、側溝がいたむとか、やはりそういう自後の措置は、十分にいわゆるアフター・ケアをしてくれろということは、電鉄会社に厚く指導するというか、勧誘しておりますけれども、法律関係としては、電鉄会社には一つ計画が完了するごとに関係が断たれるようなことで、まだ個人とは十八年、二十五年、三十年の契約は残るのですが、こういう契約でございますから、とかく電鉄会社に対する計画建売住宅のことが、資金を融通しておるかのごとく世上に伝わっておる場合がございますので、少しめんどうでございましたが、申し上げました。
  13. 木村公平

    木村(公)委員 あとにいろいろ質問の方がございますので、私一人でそういつまでも場をふさぐわけに参りませんが、ただ、今の長い御説明でございますけれども、まだ私どもで少し釈然といたさないところがございますので、まことにおそれ入りますが、地方公共団体協会、公社、あるいは労働者住宅協会のほかに、電鉄会社、私企業等に委任をされて、そして計画建売、宅地分譲等をおやりになっておる。そのありのままの、どの程度それに対して今まで金融をしておるか、それからどの程度の点はまかしておるか。あるいは今の電鉄会社の例をとりますれば、それは結局は電鉄会社が建てて個人に売った。その個人に金を貸すのだから、電鉄会社とは関係ないというお話であります。その点はよくわかりましたが、しからば、その電鉄会社から個人が買い受けた資金をどの程度、三十五年度、三十四年度だけでもけっこうでございますから、あなたの方からお出しになっておるかというようなことも、資料としてお出しいただきたいと存じます。  それからもう一つだけ。これはもうはなだぶしつけとも、失礼とも思われますので、私がこの席上で申しますことは、いささか同僚諸君からひんしゅくを買うきらいもございますけれども、どうも私どもが調べましたところによると、大体役所を定年近くでおやめになった方で、十年以上もあなたの方にいらっしゃる方が、相当数おありになるそうでございます。十年いらっしゃろうと百年いらっしゃろうと、そんなことは別に国会とは関係がないじゃないかという、あるいはおしかりを受けるかもしれませんけれども、すでに役所で定年近くまでお勤めになった方が、さらに十年もお勤めになっておるということは、練達堪能の士でありましても、いろいろ因縁情実ができて、とかくのうわさなどもあるごとがないとも言えないと存じますが、十年以上もお勤めになっておる方はどの程度いらっしゃるかということも、これはこの公の席上で御答弁をいただこうと思いません、資料としてお出しいただきたいと存じます。  以上で私の質疑は終わります。
  14. 宇田國榮

    ○宇田委員 関連して。ただいま総裁から懇切丁寧な答弁をいただきましたが、この貸付事務の手続の簡素化ということをもう少し検討してもらいたいのでありますが、御所見を承りたい。
  15. 鈴木敬一

    鈴木説明員 かねてから公庫融資手続がうるさ過ぎる、めんどう過ぎる、こういう御批判を当初からこうむっておりますので、その点は時々改善することに努めておるのでございますけれども、何分全く見ず知らずの一般の方に御融資を申し上げなければならぬのでございまして、その財力——おもに経済力でございますが、もっと熟知しておる方なら、その方の性向まで承知の上で御融通ができるわけでありますが、政府機関として一般に一律に、公正にお貸しする以上、これは非常にむずかしいと考えざるを得ないのでございまして、そのためにいろいろ煩瑣であると御批判を受けるような手続も含んでおりますので、これは気のつく限り省略する、簡素化するということは、重々努力をいたしておるつもりでございますが、なお今日に至ってもそういう御批判を受ける機会がよくございます。これは大へん遺憾のきわみに存じますが、今日以後できるだけその点について注意を払い、努力をいたす考えでございます。なおまた、そういう点に触れまして、今日以後、他の機会においても、お気づきの点がありましたか、御忌憚なく御注意を受けたいものと考えております。お願いいたします。
  16. 鈴木仙八

    鈴木委員長 小川豊明君。
  17. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今宇田委員から簡素化の問題が出ましたが、これは結局申し込みが前年度に対して八〇%だった。少なかった。説明では土地取得の困難ということが最大原因だということですけれども、私はやはりそれだけでないと思う。今の宇田委員の御質問関連して、私はそこから申しますが、私はここに一つのメモを用意しておる。あなたは、設立当初からそういう批判があったから、改善に努力しておられる、こういう御答弁でありましたが、これは昭和三十五年四月ですから、去年の問題です。四月に申し込みをして、六月に抽せんに合格した。これはいいでしょう。八月三十四日に関係書類一切を提出した。九月四日に土地の略図がまずい。すなわち、略図の書き方で建築予定の家が道路と少し離れている。公庫では道路に面していなければならないとなっているので、追加書類を提出した。九月二十六日に電話で、書類の審査がおくれているから尋ねたら、それで異常がないということだった。三十日も電話で連絡したら、さようの通り。十月一日になって、再度関係書類を、これは土地の地目変更その他書類を五通提出した。十月十二日に国民金融公庫に行ったとこいろが、書類は、まだ金融機関から来ない。で十七日に、二十三日にはこれを決裁して金融機関に送るという。二十四日の決裁、二十五日に発送したということを二十八日に聞いた。十一月一日になって、書類が不備で保証人を追加しろと言ってきた。それでようやく十五日に決裁ができた。そうすると、この経過で見ると、書類を出してからは半年以上かかっております。こういうことでは、住宅を建てようとする人からいうならば、その手続の煩瑣なことと、時間が非常にかかり過ぎることも、私は住宅金融公庫へ頼んでも、らちがあかないという批判が出てくる一つ原因ではないか、こう思うわけです。これは一つの実例なのです。  そこで次に、私は、この点を行政監察年報を追ってお尋ねしてみたいと思うのでありまするが、この監事制度に対して明確な根拠規定がないということで、この整備を行管から要望されておるが、これは改善されましたか。この点については、きょうはあと輸出入銀行の問題もあるし、その他の日程もあるから、ごく簡単に、改善されたら改善されたと、これだけでけっこうですから……。
  18. 鈴木敬一

    鈴木説明員 小川委員の最後のお尋ねは、行政管理庁から監事制度についての関係規定を整備せよ、こういう意見があったが、その事後措置はできておるか、こういうことですね。
  19. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうです。
  20. 鈴木敬一

    鈴木説明員 その点は、私の記憶によりますれば、他の政府機関その他も同様でございまするが、私の方には理事のほかに監事がございますが、監事の職務権限を規定ではっきりしない点があるが、それを明確化するような趣旨の規定その他ができないものかと、こういうような意見がたしかあったと思います。そのことを今小川委員がおさしになっているかと思いますが、これは私どもの方では、監事の監査要領といったようなものは内部で定めておるわけでございますが、監事は、主務大臣から任命されておる職務でございまして、ある場合には理事者と対抗するような職務を持っておるものと考えますので、内部において内部規定を現に設けておりまするけれども、これはきわめて荒っぽいものでございまして、きわめて明確な職務権限を規定するようなことでございましたから、これは主務大臣の方でお定めになるべきものかと思いますので、ほかと同じように、私の方で特別の監事の権限を定めたようなものは、その内規以外にはないという返事をたしかしたことがあると思うのですが、お尋ねの場合、私のお答え、食い違っておりましょうか。
  21. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これにはこう書いてあります。「監事の監査業務の執行および結果の処理等に関する根拠規定を整備し、その性格を明らかにする要がある。」こういうことが「監事制度の運営について」というところに出ている。ですから、私は、この点について、あなたの方でその必要がないという御答弁なら、それでもよろしいし、その指摘に対して、必要を認めてそういう趣旨に沿うように改善されたというなら、それでもいいのです。今の御答弁では、その点が明確じゃない。今の御答弁ですと、主務大臣のやることで、私の方でやることでないというのですが、これは主務大臣のやることだとは、私は思わないのです。あなたの方が当然やるべきことだ、こう思うのですが、どうですか。
  22. 鈴木敬一

    鈴木説明員 重ねての御質問でいささかおそれ入りますが、先ほど申し上げたように、監事の職分はむしろ主務大臣の職権に属する範囲のことが多いのじゃなかろうかと思うのでありまして、行政管理庁からの監察意見というものも、私どもの方に回って参りましたけれども、私の記憶によりますと、やはり主務大臣あての監察報告ではなかったかと思いますが、間違っておりましょうか。
  23. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 あるいは主務大臣に行っているかもしれません。しかし、これは監察を受ける各省、各政府機関にみな行っているはずです。ですから、少なくともあなたの方の業務執行にあたっては、重大な指針であり、指摘なんです。あなたの方にもたくさんの人がおられるのだから、われわれでさえも、この行政監察報告というものはできる限り目を通しているわけですから、あなたの方でこれに目を通さないというのは、私はおかしいと思う。
  24. 鈴木敬一

    鈴木説明員 私の方へ回ってきた記憶はあります。
  25. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 行っているか行っていないか、これは行管とあなたの方のことですから、私はわからないのです。ただ、あなたの方に行っていないから、読んでいないから、そういういうことはしないというなら、それでいい。読んだけれども、その必要がないという御答弁なら、それでもよろしい。改善なさったというなら、それでもよろしいのです。
  26. 鈴木敬一

    鈴木説明員 私の考え方といたしましては、公庫の内規として、こういうように監査してもらいましょうというものはあってもいいと思いますが、公庫が監事の職務権限を定めるということは、必要もないし、監事の権限に立ち入ることになるのではなかろうが。主務大臣としてきめられる必要があるということならば、主務大臣としておきめになる。そうすると、監事もそれに服しますし、われわれの方も服する、こういうことになるんじゃなかろうかと思います。先ほどからの御答弁は、そういう趣旨のことを申し上げたつもりであります。
  27. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは主務官庁がおきめになる監事の規定だから、あなたの方できめることでない、主務大臣がきめることだというなら、それでもいいと思います。ただ一点、これはやはりあなたの業務運営に関する精魂込めた指摘ですから、要求すれば来るのです。これはやはり目を通される必要があるんじゃないか、私はこう思うわけですが、この質問はおきます。  それからさっき木村先生の方からも出たのですが、資金計画実績の対比なんです。これはずっと前ですが、三十二年度あたりは、資金がだぶついておる。従って、この点についても、貸付業務の促進をはかり、資金の交付未済額をなくせ、こういうことをいわれているのですが、この指摘に対しては、その後改善されましたか。
  28. 鈴木敬一

    鈴木説明員 その年度に予定されました事業計画を完遂することが必要なことであり、そうあらねばならぬのでございますが、いろいろな事情で事業計画が一部繰り越しに相なる場合もございます。今この席上で直ちに御答弁申し上げかねますが、計画建売住宅等につきまして、年度末に最終完結ができませずに、資金を渡すことが年度にまたがったような場合がございまして、何年度でございましたか、会計検査院から検査報告として、もう少し——つまり事業計画が完遂してない、もっと促進するようにといったような意味を含んだ御報告が、国会に出まして、当時の決算委員会で御注意、御質問を受けた記憶がございます。ただし、この三十四年度については、過去にそういうような実績があったものですから、伊勢湾台風の臨時貸付等がございましたけれども、極力努力いたしまして、繰り越しを少なくするように、事業を完遂するように努力いたしたつもりでございまして、会計検査院からの報告も、そういう点に触れておらないように見ておる次第でございます。
  29. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 分譲建売住宅は、地方公共団体住宅公社、住宅協会、その他私鉄関係等に対して貸し付けているわけですが、これは毎年度多数の事業の繰り越しが行なわれているわけです。しかも、繰り越し分があった事業者にも、翌年度さらに配分を行なっているようにも見られますが、これは一体どういうことですか。貸付を受けて、その事業が完成しないで繰り越されているにもかかわらず、そこへさらに貸付を行なっているという事例があるのですが、これは、あなたの方ではどういうふうにお考えでしょうか。
  30. 鈴木敬一

    鈴木説明員 ただいまのお尋ねのごとき分譲住宅貸付、あるいは計画建売貸付等で、年度末までに予定額全部完結しがたいものも時々ございます。もちろん、事態かくのごとくなるまでには、できるだけ促進をいたしまして、べん撻いたしておるのでありますが、土地の買付、整地あるいは建築工事の遅延、その他の理由で、やむを得ず残を生ずる場合もございますが、さような場合、前年度実績を確かめつつ、次年度の新しい貸付計画をいたしておるのでありまして、前年度が余ってなおかつ貸し付けた、——一カ年度内にはそういう形にもなりますが、前年度分を完了して、なおかつ次の年度の新しい計画にかかるというようなものは、できるだけ追及いたしまして、そういうダブってなお余るというような結果が生じないように、前年度実績を顧みつつ新しい計画を認めておるような次第でございまして、不消化に終わるようなことはないつもりでございます。
  31. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 どうも総裁の講義を聞いておるようですが、貸し付けて、その事業ができずに繰り越されているにもかかわらず、さらにそこへ翌年度分を配分しておるというような行き方は、改めるべきじゃないか、それを完了してから考えるならいいですけれども、そうやってどんどんダブらしていく。ところが、一方においては、さっき申したように、小さい住宅融資に対しては、半年もかかってなかなからちがあかない。ところが、こういうものに対しては、できていないにもかかわらず、さらに翌年度分が配分されていくという行き方は、公庫としてお改めになるのが当然じゃないか、こう思うわけです。  その他いろいろありますが、もう時間もあれですからやめますが、ただ、さっき木村先生に対する答弁で、この貸付事業計画表で見ると、木造は、これは乙地か何かで三万一千幾ら、耐火で四万八千五百円、共同耐火で五万五千円、こういう事業計画になっておるのです。そうすると、これは現在の諸物価の高騰した実情の中では、とうていでき得ないことに、あなたの答弁でわかる。あなたの方では七五%をお貸しになるけれども、こういう計画でいくと、これは七五%どころじゃなく、五〇%もしくは五〇%を下回るような金額になるから、こういう基準公庫の金を借りても、とうてい予定したものができないということが、申し込みが八〇%にもならざるを得ない原因一つであります。これは先ほどの答弁でわかりましたからいいですけれども主務大臣がきめることだといってほっておくのではなくして、あなたの方の責任として、事業をもっと推進していくためには、この点を改めなければ公庫の事業は進まないとにいうことは、私はあなた方の強い主張であり、信念であるとして、主務大臣に申し出られなければならないと思うのですが、実情は、さっきの御答弁でお直しになるというお話ですから、私はこれ以上は聞きませんが、これはぜひ急速に直す必要があるのじゃないか。それから事務取り扱いについても、これを簡素化する必要があるのじゃないか。この二点を申し添えて私の質問を終わります。
  32. 西村力弥

    ○西村(力)委員 先ほどからの御質問によっても、今国会で学校あるいは住宅、そういうものの建築単価の引き上げが行なわれるようで、木造にしまして、大体一一・何%という単価の引き上げが行なわれております。そういう臨時国会に対する政府の態度をきめる場合に、公庫の方の融資の単価の引き上げということは、当然希望さるべきであったのじゃなかろうかと思うのです。そういう点はなされていないのかどうか。それがなされていない現実から、国民住宅を建てるということになると、自己負担が増す。今お話しの通りであります。また、計画を手抜きをしたいという気持も出てくる。極端の場合には、放棄せざるを得ないという工合になるかもしれません。そういう現実建築費が上がったことから、本人が幾ら努力しても、なお融資を受けた趣旨に沿うまでの住宅建設を見なかったというような場合、公庫側においては何らかの措置を考えららるべきじゃなかろうか、私はそう考えるのです。検査をする場合に、少し来年度回しになっておったにしても、そういうものを認めていくとか何とかする。これは検査が相当厳重でしょうから、そう簡単に計画を縮小したのを認めるとか何とかいう工合にはいきませんでしょうけれどもほんとうに善意で努力したにもかかわらず、この程度にとどめざるを得ないという場合における公庫側のそれに対する対処の仕方、そういう点も、相当考えていかなければならぬ事情にあるのではなかろうか、こう思うのです。  質問の第二点は、そういう単価引き上げの政府側の意向がはっきりした場合に、公庫としても、公庫融資の単価引き上げという努力をなさったかどうか。現実に上がっていない現状からくるいろいろな問題に対する救済的な措置というものを、どう考えておるか。
  33. 鈴木敬一

    鈴木説明員 先ほど来申し上げておりますように、標準建設費の引き上げにつきましては、鋭意努力を継続中でございまして、先生の御質問の中にありました学校建築等が、一一%上がったというような仰せでございますが、われわれの方も、学校建築あるいは公営住宅等、類似の建築単価の引き上げを試みられるようなものもございますので、少なくもそれらに劣らず標準建設費を上げていただきたいということを鋭意努力中なのでございまして、まあ抜からず実現するようにいたしたいと極力努力いたしておるのでございますから、御了承願います。なお、一応貸付手続中に値上がりを認めるというような場合もあり得ると思いますので、貸付が完結してしまったものは別でございますが、そういうようなケースが生じた場合は、なるべく追い貸しもでき得るような取り扱いをお認め願いたい、こういうことを含めて単価の値上がりを考究中でございますから、御承知おきを願っておきたいと存じます。
  34. 西村力弥

    ○西村(力)委員 努力中ということはわかるのですが、この際、政府がとにかく学校建築あるいは住宅関係の単価引き上げに踏み切ったのですから、政府と歩調を合わせて、今回住宅公庫融資の単価も引き上げるように要求し、かつ実現する努力をなさったかどうか。来年度はなさろうというのか。これは当然御努力願わなければいかぬし、また上げなければどうにもならぬだろうと思うのです。それはそれでよろしいのですが、また追い貸しの件、そういう点はお話がございました。ことに個人住宅の場合なんかにおいては、本人が善意をもって努力しても、なおかつ十分に公庫融資を受けた趣旨に沿うまでの結果を作り出すことができぬような場合には、そういう問題に対するきめのこまかい対処策というものを御検討願いたい。私の申し上げたいのはこういうことです。以上で終わります。
  35. 高橋英吉

    ○高橋(英)委員 ちょっと簡単にお尋ねいたします。欧州の方に行きますと、日本の住宅融資と違ったアパートの月賦販売みたいなものがあるのですが、あれは非常に便利なものと思いますし、それから政府の企画に基づくものなんでしょう。その点はよく公庫の方ではお調べのことと思いますが、比較的安く、月々の支払いで十年後か十五年後に自分のものになってしまう。これは所有権が移ってしまうということになるのか、最初から所有権が移っておるというのか、そこのこまかいことはわかりませんが、いわゆるアパートの月賦販売ということが行なわれておるのですが、そういう御企画はないでしょうか、どうでしょうか。
  36. 鈴木敬一

    鈴木説明員 まず、そういう分譲住宅鉄筋コンクリートのアパートを分譲する、これはわれわれの方で長期分譲住宅と称しておりますが、協会、公社、公共団体に類する財団法人に長期の貸付をいたしまして、長期にわたっての分譲をしてもらう、これは現に実行いたしております。それから、私の方でございませんが、住宅公団の方では、みずから建てて、会社等——個人もあるようですが、長期の分譲アパート制度もやっておるようなわけであります。私どもの方でやっておりますけれども、やはり資金の関係、それから企業団体の能力等から、まだ非常に多量には実現しておりませんが、これは極力今後にふえていくべき運命にある貸付方式ではなかろうかと考えておるような次第であります。     —————————————
  37. 鈴木仙八

    鈴木委員長 続いて、日本輸出入銀行関係質疑に入ります。木村公平君。
  38. 木村公平

    木村(公)委員 輸出入銀行の制度は、まことに今日本の重大な柱とも存ぜられますので、これについて若干の質疑を行ないたいと思います。日本輸出入銀行法の第一条によりますと、「日本輸出入銀行は、金融上の援助を与えることにより本邦の外国との貿易を主とする経済の交流を促進するため、一般の金融機関が行う輸出入及び海外投資に関する金融を補完し、」特に「補完」という言葉を使っておりますが、「補完し、又は奨励することを目的とする。」と書いてありますので、結局輸出入銀行のその目的は明瞭でございますが、それでは同銀行法の十八条を中心にした業務の範囲をまず承っておきたいと思います。
  39. 古沢潤一

    ○古沢説明員 十八条に規定いたしまする業務の範囲といいますか、日本輸出入銀行といたしまして、今一番融資残高の多いものが輸出金融でございます。これは、輸出入銀行の設立のときは、御承知のように輸出銀行でございました。あとで入というのが加わりまして、今輸出入銀行となっておりますが、そういう経緯がございまして、今一番力が入っておると申しますか、そういうものは輸出金融でございます。二番目が、技術提供金融、これは日本の技術を海外に輸出いたしまして、向こうの産業の開発に当たる、こういう金融をやっております。三番目が、輸入金融でございます。これは本邦の産業に必要な重要資源の開発を外国でやるというような場合には、この輸入金融でやっておるわけでございます。第四番目が、海外投資金融であります。これは御承知のように、今私の方の銀行でやっておりますのはアラスカ・パルプあるいはブラジルにおけるミナス製鉄所の建設であるとか、そういう種類の金融でございます。五番目に、海外事業金融というのがございますが、これは例をあげますと、今アラビアのクエートでやっておりますアラビア石油に対する融資、そういうものが海外事業金融。そのほかに債務保証の、これは外国から金を借りた場合、たとえばアラスカ・パルプで、ある部分は外国の金融機関から金を借りておりますが、それに対する支払いの保証をする、こういう業務でございます。
  40. 木村公平

    木村(公)委員 今の業務内容は大体承知いたしましたが、国内業者に対する輸出金融、国内業者に対する技術提供の金融、国内業者に対する輸入金融、海外投資の金融——ただいまの御説明の中にもその一端はありましたが、海外投資の金融、海外事業の金融、外国政府等に対する金融それから終わりに債務の保証などがその業務の中にあるわけでございますが、これらに対する業務実績ともいうべきものがあるはずでございます。大体の業務実績のアウト・ラインだけでもよろしゅうございますから、ちょっと御説明願いたい。
  41. 古沢潤一

    ○古沢説明員 ただいま手元にあります一番新しい資料でございますが、三十六年の三月三十一日現在で申し上げますと、輸出金融が千百三十四億四千二百万円、それから技術提供金融というのは、現在はございません。それから輸入金融が十九億二千七百万円、海外投資金融が百七十九億九千二百万円、海外事業金融が七十億円、保証残高が六十八億四千万円になっております。
  42. 木村公平

    木村(公)委員 申し上げるまでもなく、わが国は世界まれに見る高い経済成長を遂げて、外貨の保有高も二十億ドル前後に上がったことがありましたので、われわれも海外へ参りまして、一時は非常に鼻が高かったわけでございますが、昨今の状態はごらんの通りで、いつ円の危機に見舞われるかもしれないという不安もないことはないわけでございます。従いまして、輸出の振興はいよいよ大事になってくるわけでございますが、輸銀の本年度の必要資金量は、延べ払い増加のためと申してもよかろうと思います、延べ払い増加が主たる原因で、当初の九百七十億円から千二百億円前後にふえたはずでございますが、追加出資が予定されておるように聞いていたのですが、それはどうなったか。今の御説明だけではわかりませんので、透れも聞いておきたい。また、この際輸銀の資本金——輸銀法による当初資本金はわかっておりますが、その後増額された輸銀の資本金、政府の出資金借入金の現在高はどういうふうになっておるかということも、ちょっと承っておきたいと思います。
  43. 古沢潤一

    ○古沢説明員 輸銀の三十六年度資金計画といたしましては、当初九百七十億円を見込んでおりました。この原資といたしまして、政府出資が百二十億円、それから政府からの借り入れが四百五十億円、貸出金の回収自己資金が四百億円、合計いたしまして九百七十億円の資金計画を実行するような原資の予定を立てておったわけでございます。最近までの実績を主といたしまして、政府の輸出振興策の効果を見込んだところの見通しでは、三十六年度貸し出しは千百八十億円になる予想でございまして、当初の計画を二百十億円上回る見込みでございます。このために、三十六年度補正予算で、出資八十億円、それから融資百二十億円を追加することといたしまして、結局三十六年度貸し出し見込みは千八百十億円、その原資としまして、政府出資二百億円、それから政府借入金が五百七十億円、回収金自己資金四百十億円、合計千百八十億円を予定しております。
  44. 木村公平

    木村(公)委員 国際収支に最近赤字が出てきた。そこで輸出の増強をはからなければならぬことがいよいよ重大になってきたのでございますが、どうしても私どもが不思議に思いますのは、輸出入銀行の延べ払い制度でございます。世界の貿易市場は今後次第に自由化の傾向になり、各国の輸出競争も激しくなるだろうと想像されるわけでございますが、特に先進諸国の、東南アジア、アフリカ、南米等の後進国に対するプラント輸出や投資市場開拓の競争は、将来の一般輸出市場確保の立場から一そう激しくなるだろう、そうして現在すでに激しくなっておる。その上、これら後進国は、一般にドル不足のため、輸出代金の決済はほとんど延べ払いを希望しておる。特に輸銀等のプラント類の輸出代金は、その傾向が強い。この延べ払いの希望の一番強いのは輸出船舶ではないかと思いますが、輸銀の業務報告によると、船舶輸出契約額のうち、三十四年度の七二%から三十五年度には八三%になっておる。延べ払い期間も六・二年から六・三年に延長されておる。最近の船舶輸出の延べ払い状況は、一体どういうふうになっておるのか、将来の見込みはどうかということは、重大なことでございますので、ちょっと伺っておきたいと思います。
  45. 古沢潤一

    ○古沢説明員 船舶につきましては、三十六年度四月−八月期の受注の実績は二十六万六千トン、三十五年度の同期には二十七隻、二十五万四千トン、比較いたしまして幾分増加しております。それから今後の見通しといたしましては、世界の海運市場は依然低迷の域を脱しませんが、本邦業者の努力によりまして、今後も引き続き受注の増加を期待できる状態になっておるのでございます。なお、主要二十四造船所の輸出船舶手持ち受注は、三十六年八月末におきまして八十隻百四十五万トン、これは前年同期の九十二隻、百五十六万六千トンに対しましては、やや減少となっておるのであります。  それから船舶につきましては、数年前世界の船舶需要が非常に多うございまして、日本は、工期の早いのと、それから技術が非常にすぐれているというので、大体キャッシュ・べースと申しまして、船を作ってすぐ現金で代金が入って参ったのでございますが、その後世界の海運市況は非常に不況になりまして、運賃の状況も非常に悪くなったというようなわけで、船を作るものがだんだん少なくなるという傾向を帯びて参りました。従って、船を買う方から申しますと、なるべく安い船、しかも支払いは延べ払い、先に延ばして払う、こういう傾向を帯びて参っておるのであります。現在も大体そういう傾向を続けているのでありまして、これがキャッシュ・べースになるということは、ちょっとまだ先のことかと観察される次第でございます。
  46. 木村公平

    木村(公)委員 総裁にさらに申し上げるのはどうかと思いますが、その延べ払いの傾向が続き、しかも延べ払いの期間も延びていく、その傾向が多くなるということに対して、国家から見まして、そのことが経済的にどのように影響するかということは、私が申し上げるまでもなくよい傾向ではないと思うのですが、それに対して輸銀の当事者として、ことに責任ある総裁として——これは自然発生的な状態ではないと私は思うのです。これは人為的にいろいろ改めることもできると思いますし、打つ手はあると思うのです。まあそうだから仕方がないというお話のように聞こえますが、あなたの方としては、何かそれに対してお考えはあるのでございますか。
  47. 古沢潤一

    ○古沢説明員 船舶は、御承知のように非常に各国競争の激しい産業でございまして、たとえばアメリカは非常に高いものですから、これはもう問題外でございますけれども、イギリスとかドイツとかオランダとか、そういった国は非常な日本の競争相手でございます。日本の造船所で注文をとる場合には、しょっちゅうこれらの国と競争しているわけであります。もちろん日本といたしましては、船ができ上がればすぐ金が入ってくるのが一番いいわけでございますが、それらの諸国でもって海運市況が非常に悪いような場合には、延べ払いでもよろしいからうちに注文してくれ、こういう注文を出すわけです。これをしょっちゅう注視しながら、日本の注文をとらなければならないのでございます。それで、最初は三年とか四年とかいう延べ払いだったのが、最近は七年とか、場合によっては十年にしてくれとか、注文する方から申しますと、少しでも長い方が得なわけですから、そういった長い期間の延べ払いを要求しておる。その延べ払い条件が世界で一体どうなっているかということは、私の方でも調べておりますけれども、運輸省とかあるいは通産省、大蔵省、関係各省でしょっちゅう注意しておりますので、大体のところ、各省と協議いたしまして標準というものを作っておりまして、それによって建造許可やら輸出許可を交付しておる。そのあとでわれわれが金融する、こういった手続を踏んでいるわけでございます。それは、全く世界の造船界の状況によって延びたり縮めたりするのが実情でございます。
  48. 木村公平

    木村(公)委員 次に、東南アジア開発協力基金の問題でございます。  政府が、三十三年度予算だと思いますが、三十三年の七月十一日に法律第百六十九号の経済基盤強化のための賃金及び特別の法人の基金に関する法律という長い法律を作りまして、その第十条によって、東南アジア開発協力基金として輸銀に五十億円出資をしておるはずでございますが、昭和三十三年、同三十四年の二年にわたって、その五十償円の基金は全然運用されていないように思うのでございます。これは大金ですが、この五十億はどうなっておるのでございますか。
  49. 古沢潤一

    ○古沢説明員 御指摘の東南アジア開発基金、これは政府の方で三十四年、五年と基金を設けましたけれども、政府の方針が未定でございまして、これを一体どういうふうに使うかということはきまっていなかった。それで預けどころとしましては輸出入銀行がよかろうというので、私の方に別勘定を設けまして五十億を預かりまして、それは政府部内の運用といたしまして、利息が若干つきました。けれども、本年の三月十六日に経済協力基金というようなものが新しく発足いたしましたために、全額元金五十億円、今まで二年間にたまりました利息を合わせまして移管いたしまして、今経済協力基金でもって仕事をしておるという状態であります。
  50. 木村公平

    木村(公)委員 そうすると、この三年近い間は、政府の方針がきまらなかったから、いわばどこに預けたらよかろうかということもわからないままに、輸銀にでもほうり込んでおけというわけで、五十億ほうり込んであったわけですね。
  51. 古沢潤一

    ○古沢説明員 私、政府の方はわからない、多分そうだったと思うのでございますが、大体その金をどういうふうにして運用したらよかろうか、どういうふうなものに対して協力をすべきかという問題につきまして、私の方で指示を受けませんで、ただ、お前のところで預かれ、こう言われたので預かっておったわけであります。
  52. 木村公平

    木村(公)委員 その問題は、与党の私があまり深追いするのはどうかと思いますので、次の問題に移ります。  低開発国の援助の問題でございますが、これはほどんど世論といってもいいほどです。新聞の社説なんか見ておりますと、その必要性に対しては、ほとんど朝野をあげて賛成です。世界の趨勢もそういうわけでございます。日本も、あなたの方を通じて、輸出代金の支払い繰り延べという形で低開発国の援助がなされておるように思うのでございますが、昭和三十一年から三十四年までに協力してきたその経済援助は、この四年間に五億八千八百万ドルだと記憶しておりますが、その点多分そうだろうと思う。しかしながら、これから賠償の支払額を差し引くと、三億七、八千万ドルになるのじゃございませんか。そういうことになるかと思うのです。三億七、八千万ドルということになると、アメリカのような金持ちの国は別にしましても、フランス、金を借りておるイギリス、西独などに比べて、低開発国援助が非常に少ないように思うのです。これは、責任はもちろん輸銀にあるわけじゃないのですが、政府の責任でございましょうが、これに対するもう少し詳しいことを一ぺんあなたの方から伺えませんか。低開発国援助の現段階における事情でございます。
  53. 古沢潤一

    ○古沢説明員 ただいま低開発国に対する日本の援助額が少ないという御指摘でございましたが、賠償その他を除くと、東南アジア諸国に対する援助の声がやかましい割合には、日本としては足りないのじゃないかというふうな感じを私も持っております。と申しますのは、何しろ今でも日本は異常な外貨不足になっておりますが、元来あまり金がなかったわけです。政府の方針といたしましては、援助はあくまで商業採算の上でもってやった方が日本のためにもいいのだ、こういう考え方からだろうと思いますが、輸銀の融資もすべてビジネス・ベースに立って行ないましたわけで、従って、商売に乗らない、もうけがないものにつきましてはむずかしい、こういう状態だったわけでございます。しかしながら、やはり政府の方でも、それ以外に、商売から離れた、たとえばインドに対する円借款の問題とか、ただいま問題になっております。パキスタンの問題、そういって種類の、多少長くても、その国の産業開発のために日本が役に立つのだということを示す場合は、商売を離れた意味で借款を与えておりますが、その場合でも、ただアメリカのように、くれてやるとかなんとかという大まかなことはございませんで、やはり日本のものを買ってもらいたいというのが、大きな建前になっておるわけであります。借款は与えるけれども、日本でできる重機械類を使ってくれないか、こういう趣旨で与えておる借款でございまして、その点は、アメリカあたりのいわゆるグラントに類するような援助の仕方とは違うので、これは日本の実力から申しましても、そういった金はまだ出すべきじゃないのではないかというふうなお考えからだろうと思います。先ほど申し上げました海外経済協力基金と申しますのは、日本輸出入銀行のビジネス・ベースによるもの以外、もう少し条件をやわらげても、低開発国の産業開発に役立つならば、これをやってもいいじゃないかという趣旨でできたものと存じます。むしろそういう方面は、基金の方でやっていただくことになるのじゃないかと存じております。
  54. 木村公平

    木村(公)委員 いろいろまだ質疑を続けたいのではございますが、時間がないようでございますので、最後に二点だけお伺いをしまして、後日に質問を譲りたいと思います。  あなたの方の収益状況についてでございますが、輸出入銀行は、昭和二十五年以来三十三年までは、毎年利益を生じておられたとみえて計上されておりますが、三十四、三十五両年度に限っては利益はゼロになっておるのですが、最近の輸銀の収益事情はどういうふうになっておるのですか。それから三十四、三十五年の両年度だけ利益が全然ないのは、何か特別な事情があるのかどうかということが一点。  それからもう一点は、わが自由民主党の海外経済協力特別委員会が、七月に海外経済協力の積極的推進に関する国内処理体制についての基本方針案というものをきめておりますが、その中に経済協力の内容という一項がございまして、こんなことを言っているのです。「商業ベースによる援助と、経済援助を混同してはならない。現在わが国が行なっている輸銀の延べ払いは、あくまでも商業ベースの援助だが、低開発諸国の望んでいるのは、長期、低利の借款である。アメリカも経済援助を長期、低利の政府借款に限定しようとしている。今後、わが国としてもこの種の借款をふやす必要がある。むろん資金量には限りがあるので、わが国としては技術協力に重点をおいていく」ということをわが党がきめておるわけでございますが、ここにおいでの方は輸銀の最高幹部ばかりでございますので、何か政府と輸銀との間で、この問題について御協議なさったことがありますか。この量と、三十四年度、三十五年度の利益が皆無であった点、なぜ皆無であったかという点と、ただいま申しましたように、わが党がこのような取りきめをしておりますが、それに対して、政府とあなたの方で何か根本的な考え方について、御協議になったことがありましょうか、二点だけ伺って、私の質問を終わります。
  55. 古沢潤一

    ○古沢説明員 第二点でございますが、今のところ、私の方に対しては政府からそういう協議のあったことはございません。  それから第一点でございますが、これも先ほど申し上げました延べ払いに関係するわけでございますが、収益につきましては、輸出入銀行は貸し倒れ準備金というものを積み立てることになっております。積み立ての根拠といたしましては、日本輸出入銀行の国庫納付金に関する政令というのがございまして、その第一条第一項第二号に損金算入が認められる項目の一つといたしまして、「貸倒準備金への繰入額」ということを規定しておるのでございます。繰り入れの基準につきましては、その政令の第一条第三項によりまして、「大蔵大臣の定めるところにより算出しなければならない。」という規定がございまして、本行は、毎年大蔵省銀行局長の命によって、貸し倒れ準備金への繰り入れ限度の通知を受けることになっております。昭和三十四年度における貸し倒れ準備金への繰り入れ限度は、年度貸付金残高の千分の十と通知されましたのですが、実績は千分の七・一になっております。そういうわけで、利益の出た場合に、ある程度の貸し倒れ準備金というのが必要でございますが、それは現状においては残念ながら例年少なくなっているわけでございまして、十分な貸し倒れ準備金というものはぜひ必要なんでございますが、収益が少ないためにそれができないという現状になっております。
  56. 木村公平

    木村(公)委員 それでゼロなんですか。
  57. 古沢潤一

    ○古沢説明員 そうです。
  58. 木村公平

    木村(公)委員 わかりました。
  59. 鈴木仙八

    鈴木委員長 小川豊明君。
  60. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 きわめて簡単にお尋ねしますが、輸出入銀行の決算で、回収金の見込みが政府予算の見通しと毎年大きく食い違っております。三士二年度の予算では、六百五十億の回収の見込みに対して、実際の回収は四百四十九億、三十四年度予算は、四百四十億の見込みに対して実際の回収は三百六十五億、例年百億近くの回収不足というものが出ているのですが、この原因はどこにあるのか、その理由を伺いたい。
  61. 古沢潤一

    ○古沢説明員 日本輸出入銀行資金計画をちょっと御説明申し上げますと、予算を立てるのは、大体八月の末ごろから次年度の準備をするわけでございます。夏の終わりごろに大蔵省に概算要求というものをいたしまして、それを大蔵省で査定して、国会が開かれる時分になりますと、また予想が実情に応じて変化して参るわけでございまして、ぎりぎりのところで出すのは年末くらいになる。そういう手続をとりますのは、なるべく予想と実績が狂わないようにと努力している結果でございまして、それにかかわらず、回収、貸し出しなんかが狂うと申しますのは、輸出の見通しとか、投資あるいは海外資源の開発計画とか、海外経済協力というものの進行状況の要素につきまして、単に国内事情ばかりではなく、国際的な政治経済情勢の推移とか、相手国のいわゆる経済上の為替政策の変更であるとか、国際競争が激化して、注文の取れると思ったものが取れなくなってしまうとか、こういったことがしょっちゅうありますものですから、日本側の希望しました、私どもの立てました計画に沿いまして、これがぴったりいくということは、なかなか容易じゃないのですが、できるだけ努力をいたしまして、見込みと実績が違わないようにしていきたいと考えております。
  62. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それから輸銀では、去年の八月、輸銀の首脳部が通産省の通商、重工業局長等幹部と会って、輸銀の貸し出し金利は、輸出金融分が現在年利四%を四・七五%に引き上げる、それから重要物資の開発にからむ事業金融、投資金融以外の投資金融は年利七分、協調融資比率は現在七対三を五対五にする、それからアラビア石油、ウジミナス製鉄所など、特殊大口案件への投資金融は、適宜条件をきめる、こういう一連の金利引き上げ案を出したわけですが、その後、いろいろな経過を経てこの問題は見送りになっておる、こういうふうに聞いておるのですが、この金利引き上げというのは、私は輸銀側としては相当根拠のある主張だと判断をするわけですが、この金利引き上げが輸出振興という点からいって無理だという意見があるということで、銀行側と政府の輸出政策との矛盾というものを持ちながら、銀行としての経営というものは、一体健全な経営が保っていけるのかどうか、この点をお尋ねします。
  63. 古沢潤一

    ○古沢説明員 ただいまの御質問につきまして私ども非常に頭を悩ましている問題でございまして、御承知のように、一番大きな部分を占めます輸出金融につきましては、現在のところ年四%、長くなりますと四・五%ということもありますけれども、大体四%。それから予算によりまして、政府から借り入れを認められている、つまり資金運用部から借りる場合が六・五%ですから、逆ざやになる。当然損をするような勘定になるわけです。そこで銀行といたしましては、毎年政府から借りる場合に六・五%の利息を払わなければなりませんから、そういう利息は払わないで済むように、出資をできるだけよけいにして下さい、こう言ってお願いしておるわけでございまして、現にいろいろ御配慮を願っておるわけでございますが、総括的に申しますと、私どもの輸出入銀行というものは、先ほど御指摘のございました、例の民間金融の補完、奨励ということになっておりますが、自由主義列国のメンバーである日本は、自由に競争するのが建前でありますから、なるべく政府の干渉は避けていきたいというのが、この法律の趣旨でございまして、大体民間でやるのがほんとうでございますけれども、今長期の資本というものは、残念ながら日本には蓄積が足りない。どうしても政府の援助を得なければ、長期のプラントの輸出はむずかしいという状態でありますから、政府と民間との金融の割合が、八対二とか七対三とかいうことになっているわけです。それで金利につきましては、これは日本の輸出業者にとりましては、低ければ低いほどいいわけでございますが、日本輸出入銀行のような政府の金融機関が、むやみに安い金利を出して補助しますと、世界各国が文句を言ってくるおそれがあるわけであります。これはむやみに安くするというわけにはいきません。そこで、大体国際金利を標準とする。国際金利と申しましても、アメリカの世界銀行の金利を標準といたしまして、この日本輸出入銀行の金利をきめていったらいいじゃないかという考え方で、今やっておるわけであります。それに比較すると、四分というものは多少低いのであります。低いのでございますけれども、上げろと言われたときからだいぶ時間が経過しておりまして、それから業者も、先ほど申し上げましたように、少しでも金利は安いのがいいわけであります。たとえば輸出については、四分なら四分というその利息を基準として貿易業者は商売をしているわけです。元の値段をきめる場合、バイヤー契約する場合、そういった金利の計算というものは、商売の物の価格に含めて考えているわけでありますから、当時は、そういった関係から、なるべく据え置いてくれないかという要望が非常に強かったのであります。その後情勢が変化して参りまして、どうしても日本は輸出して外貨をかせぐ以外に方法はないということに現在なって参っておりますので、金利の問題は、大体政府の方で方針はきめるべき問題と思いますけれども、私の考えといたしましては、ここしばらくは情勢を見る必要があるのじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  64. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 輸出業者にとって、金利が安いのがいいことはあたりまえです。また国の方針も、輸出を振興しなければならないこともわかっております。従って、それに沿ってあなたの方がいろいろ苦慮していることもわかっております。しかし、銀行として経営して、さっき木村さんからも指摘されましたが、あなたの方は経済行為をしている機関として、決算じりがゼロでしょう。これはおそらく、貸し倒れ準備積立金の方へ回しておったから、決算じりにはゼロにしているのだろうと思うのです。経営からいうと非常に苦しい経営ですね。そうすると、私は、銀行として政府の方針に沿わなければならないのもわかる。しかし、政府の方針を聞いているのでもなく、業者の要望を聞いているのでもない。銀行を扱っている建前として、大体あなたの方の資金繰りというのは、運用部資金自己資金でしょう。運用部資金は六分ですか、あなたの方は貸し出しが四分でしょう。初めから逆ざやなんです。資金の需要はどんどんふえていくのです。ふえていけばいくほど、あなたの方の欠損というものが累積してくるのじゃないですか。そういうことを今後ともおとりになる方針なのか、それともこういうことは終止符をお打ちになる方針なのか、どうなんです。政府におまかせしておる、むずかしい問題だといっても、銀行の立場としては、いずれにしても、運用部資金を使っておる限りにおいて、これを解決しなかったら、あと政府出資をもっとうんと——いわゆる出資金の方をうんとふやすか、さもなければこれを上げるか、どっちかしなかったら、あなたの方の経営というのは危殆に瀕するのじゃないですか。この点はどういうふうに考えておりますか。
  65. 古沢潤一

    ○古沢説明員 法律の規定がございますように、うちは赤字を出してはならぬということであるわけであります。赤字になる場合には、金利は上げざるを得ないのであります。欠損を出してはならない建前上、どうしても金利を上げていく以外には方法はないし、それら場合によっては民間との融資比率を変更するとか、いろいろな方法がございます。けれども、うちの原資を市中から調達するということになりますと、いろいろ今問題があるように、輸銀債を出したらどうかというお話もございますけれども、これは資金コストが高くて、とても資金調達はむずかしい。そうしますと、結局政府の資金にたよらなければならぬ。政府にたよる場合に、運用部から借入金をするということになりますと、御承知のように六分五厘の利息を払わなければいかぬ。そうしますと、結局輸銀側が赤字を出さないで輸出金融その他の貿易金融をやる場合には、どうしても政府の利息のない出資が必要になってくるわけでございまして、これはぜひとも皆様の御協力によりまして、出資を多くしなければならぬ、こういうことをまず第一にお願いしたいと思っております。
  66. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 輸銀は建前として赤字は出さない、赤字は出さないという建前はあるけれども、運用部資金を使っている限りにおいては、資金量はどんどん増大していくのだから、これはどうやっても赤字が出ざるを得ないでしょう。従って、あなたの方で金利を上げることは輸出の振興に支障を来たすというならば、自己資金を増大していく、政府出資を求める以外に方法はないので、どっちかをとらなければならぬ。あなたの方では、そのとき金利の引き上げを要望なさるのか。同時に私は、自己資金をもっと増大する方法をとらないことには、輸出の振興には支障を来たすと思う。さもなければ赤字を出していく。これは原則に反してくる。自己資金の要求というものをもっと強くおやりにならなかったならばいけないのじゃないか。  次に、ブラジルの日伯合弁のウジミナス製鉄所ですか、これへの投資金額が四十億、輸出金融が二百二十億出されているわけですが、これはいつごろ、どういう経過で、この投融資の決定が行なわれたのか。そしてウジミナスのミナス製鉄所に対する輸出金融の総額は、一億ドルですから三百五十六億円になるわけですか、これは三年据え置きの十一年償還ということになっておると、私は聞いているわけです。三年据え置き十一年償還という条件を、いつ、どうしてきめたのか、これは、三年据え置きの十一年償還というのは、例外ではないか。非常にゆるやかな償還計画であって、十年以上を経過する場合は、返済が著しく困難と思われるとき、こうあなたの方の業務方針書になっておる。そうすると、困難と思われる事情というのは何であったのか。どうしてこういうことが生まれたのか、この点を伺いたい。  時間の関係がありますから、区切って聞かずに続けてやります。このミナス製鉄所に投融資がきまった当時は、ブラジルは非常なインフレの状態であったと記憶しております。従って、経済は混乱し、貨幣価値も暴落しておったわけですが、そういう悪条件の中で、なぜこういうような投資が行なわれなければならなかったのか。こういう条件のもとでは、投融資資金運用効率はきわめて悪くなると私は思う。ミナス製鉄所は、現在なお運転されていないと聞いております。たとい一億ドルの決済でも、輸出延べ払い分も入っておると思うが、この回収ということに対して、あなたの方でははっきり自信をお持ちになられるのかどうか、この点。  それからミナス製鉄所に輸出入銀行の投融資が行なわれた前後に、八幡、富士、日本鋼管、この製鉄三社がミナス製鉄所のコンサルタント・フィーといいますか、相談指導料として二十億円向こうから受け取っておるということも聞いております。そうすると、この二十億というのは一体どういうようにして調達してきて支払われたのかここの点もあわせてお聞きしたい。  それからミナス製鉄所への輸出金融二百二十億のうち、十六億円が投資金融として日本ウジミナス製鉄所へ出資され、他は延べ払い売金としてミナス出資会社に分けられている。そこで、ミナス出資会社の大手は一体どういうものがなっておるのか、この点をお尋ねしたいわけです。
  67. 古沢潤一

    ○古沢説明員 ミナス製鉄所建設計画は、昭和三十一年ブラジル側の要請によって始まった問題でございますが、ブラジルに日伯合弁の最新鋭の銑綱一貫工場を建設することによって、日本とブラジルの相互の認識を深め、資本及び技術の両面から両国の経済交流を促進するということが一つ。それからブラジルにおきましては、工業化政策推進のために外貨導入に積極的でありまして、欧米各国からの企業進出が盛んに行なわれているのでございますが、わが国も製鉄業のごとき基幹産業に投資いたしまして、その経営に参加することによって、今後における本邦企業のブラジルへの進出のための基盤を確保する必要があるということ。それから本計画におきまして、投資に随伴いたしまして、約一億ドル、先ほどの数字通りでございますが、約一億ドルに上る本邦からの設備輸出がある。これは本邦に非常にプラスになる。それから従来欧米の技術に依存したブラジルにおいて、本邦の製鉄技術及び機械工業の水準の高いことを示しまして、次の技術及び機械等の本邦からの輸出を促進し得るということが一つ。それから現地にリオドーセというところがございますが、その付近に農業移民を進出することのためにも有利であろう。それからまた、近代工業の発展に伴って工業移民を期待し得ること。それから将来は、豊富なブラジルの鉱産資源の開発にも寄与することがあろう。本邦にとり非常に有意義なものと判断されましたので、援助を与えることに決定いたしました。これは閣議了解がございます。その後工事も予定通り進捗いたしまして、本邦からの設備輸出も大部分完了いたしました。ミナス製鉄所建設に対する日本側の援助は、十分その意義があって、その実効も上がっておるものと認められます。回収の自信があるかないかという御質問に対してお答え申し上げますが、これはただいま申し上げましたように、非常に大きな政治的な意義というようなものがございますので、内訳は六対四の割合で、ブラジルが六、日本が四という割合で資本を出しておるわけでございまして、この株に対する配当と申しますか、事業がすべり出して、それに対して配当があるというようなことになりますと、その配当でもってこの資金回収するという建前になっております。ほかの方からの回収が予定できないという状態でございますので、自然年限が長くなるという次第でございます。五年据え置き十四年の投資金融、それから三年据え置き十一年の年賦払いということは、業務方法書に定められました期限、つまり限度以内の融資でございます。これは大体来年の上期には溶鉱炉の火入れ式をやるという予定で今進んでおりますけれども、これが動くようになりますと、だんだん整備されて参りまして事業は動いて参ると思いますから、この年限内には返済ができるものと信じております。  それから製鉄三社のコンサルタント・フィーの二十億円につきましては、私今まで全然聞いておりませんので、山本理事から御返事申し上げます。
  68. 山本菊一郎

    ○山本説明員 まずコンサルタント・フィーのことでございますが、日伯の合弁協定、堀越・ラナリー協定というものがこの事業の基礎になっておりますが、それを作りますときに、技術指導料として二十一億円を日本側に払うという協定ができたわけでございます。その支払う理由といたしましては、工場の建設工事、機械の購入、生産計画、人員の配置計画等につきまして、たとえば工場のレイアウトの仕様書を作るとか、機械の図面を引くとかいう点について、日本の鉄鍋三社と日本ウジミナスが協力し、指導しているわけでございます。その分について普通のコンサルタント・フィーを払う、それは二十一億円ということで約束ができておりまして、その金は、一応ときどき払い込みがございまして、ただいま日本ウジミナスの借り受け金でそれを受けておるという状況でございます。  それから第二のお尋ねでございますが、日本ウジミナスの株主関係のお尋ねかと承知いたしましたが、日本ウジミナスの資本金は、御承知かと存じますが、二十二億四千万円の資本金で、八月に増資いたしまして三十五億円になっております。それで、そのうちの鉄鋼三社と申しますか、二十二億四千万円の内訳として申し上げますと、八幡製鉄が三億五千五百万円、これが最高でございます。その次が富士鉄で三億三千万円、それから日本鋼管が二億五千六百万円というふうに続きまして、あと神戸製鋼、川鉄、住友金属工業、中山製鋼、東京芝浦というふうに、大体ウジミナス製鉄所に対します機械輸出に関係している会社が、この株主になって協力しておる状況でございます。
  69. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 時間がありませんから、この問題はもう少し深く触れる必要があると思うのですが……。私は、輸出を振興しなければならない、同時に低開発国の開発にも寄与しなければならない、そういう点で、かなりの冒険——とは言いませんが、英断であった。そして三年据え置き十一年償還というものをあのインフレのまっただ中にあなたの方が出したということは、そういう趣旨でやられたのだと思うのです。従って、これに対する日本の商社側も、その趣旨というものは十分に理解し、協力していくべきでなければならない。にもかかわらず——にもかかわらずというのは語弊があるかしらぬが、相談料あるいは指導料というものを二十一億円も向こうから取らなければならぬ、取るということは、協力の趣旨からいって、開発の趣旨からいって、私は、この点に対しては多大な意見と疑問があるわけです。しかし、きょうは非常に時間が制約されているので、この点はそういうことを申し添えてあとに譲るとして、次に海外投資の状況を見ますと、昭和三十一年が千八百万ドル、昭和三十二年が三千三百万ドル、三十三年六千万ドル、三十四年が五千四百万ドル、三十五年が一億七千百万ドル、こういうように、非常に順調に伸びているということが言い得ると思うのです。ところが、一般には投資金融はワクがないといわれておる。これは海外経済協力という美しい名で、全くこの金が大企業にのみワクが集中しているということを、私は言い得ると思う。たとえば昭和三十四年は、アラスカパルプとブラジルの造船所、製鉄所、この三件に対しての融資が全体の九割を占めておる。昭和三十五年度においても、アラビア石油、それからブラジルの合弁製鉄所の工場設備に対する延べ払い輸出の金額等に大半が使われている。一般分といいますか、これにはわずか十二億です。こういうふうに、非常に大手のみに安い金が集中されていく。中小企業の育成ということも、輸出の振興と同時に、日本の経済事情から非常に大切な問題ではいか。今の中小企業の実態は、あなたの方の融資対象にならないことは認めます。しかし、これは同時に編成し指導して、あるいは組合等を作るようにして、これらに対する融資の対象というものを盛り上げていくことが、当然輸出の振興に伴って必要になってくるのではないか。にもかかわらず、ここでこの膨大な資金のほとんど九〇%が、全くアラスカパルプとブラジルの造船所、製鉄所、この三社に使われておるということは、あなたの方の運用の方針として、必ずしも適切じゃないじゃないか。この点については考慮する点が十分あるのじゃないかという気がするのですが、御見解はいかがですか。
  70. 古沢潤一

    ○古沢説明員 アラスカパルプもウジミナスもそうでございますけれども、これは数年業界並びに政府で御協議の上、国策上これは必要だ、こうお認めになられた結果、私どもの方で融資の衝に当たるということになったものでございます。非常な莫大な金がかかるということでございますが、これも大体政府ベースの事業と見ても差しつかえないのじゃないか、民間でやっておりますけれども。そういったわけで、金額が多くなっておるわけでありますが、しかし、このブラジルの製鉄所にいたしましても、金額は多いけれども、先ほども申しましたように、プラント輸出、日本の機械が向こうへ出ていくチャンスである。実際はある一部分は外国から買っておりますけれども、大部分は日本の産業機械が向こうへいって、製鉄所ができる。こういったわけで、やはり日本に対しても非常に役に立つ事業であるというので認められたわけでございます。  それからこの輸出金融の一番大きなアイテムでございます船舶なんかについてみますと、造船所はいかにも大企業でございます。しかし、これに融資しました金額のうち約三〇%くらいは、下請、つまり中小に発注されるものでございまして、大企業に融資するからといって、それが全部大企業が勝手に使うというわけにはいかない。ある程度中小に非常な影響を持つものでございます。  それから、それでは中小企業自体が輸出入銀行の金融を受けにきたらそれを断わるかと申しますと、これは決して断わっていないのでありまして、中小企業でも十分に信用があり、海外の仕事ができるというようなものにつきましては、取り上げて審査しておるわけでございます。
  71. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 次に、三菱重工で六月二十四日に進水したオリンパスという船がありますね。これはあなたの方では融資が内定しておったものを、その後とりやめになった。とりやめになった理由はどうか。私どもの関知しておるところでは、これは出光興産が、起工前に船主のオリンパスをサンライズ社の——これは出光が出資している会社ですが、全額出資会社に切りかえる申請をした。従って、これは孫会社であるわけですね。そこで大蔵省でも、オリンパスは出光興産の事実上の孫会社ではないか、こういう判断のもとに、便宜置籍船ではないかという疑問をもって輸銀の融資をとめたのです。あなたの方では内定しておったものを、大蔵省からとめらたれということを聞いておるのです。そこで運輸省では、このオリンパスの船価が約九百八十万ドル、このうち五百万ドルはガルフォイル社という荷主が融資しているから、残りの分を輸銀で融資しても、実際上はドルをかせぐことになる輸出船である、運輸省では、こういう観点に立って、完工予定の本年の九月までには輸銀に融資を認めてもらう、こういうことを言っておる。大蔵省の方では、便宜置籍船ではないかといって押えておる。あなたの方でこれを認める方針なのかどうか。もし認めるとすると、国内船主の便宜置籍による輸出船に対して、これは認めなければならぬ。そうすると、これは開銀よりも利子の安い輸銀だから、どんどんここへ認めてもらう運動というものが行なわれてくるのじゃないかということが考えられるのですが、これに対する輸銀のお考え、方針はどういうことなのですか。
  72. 古沢潤一

    ○古沢説明員 便宜置籍船の問題につきましては、だいぶ長い間、いろいろな政府間の意見の調整ができませんで時間がかかりましたけれども現状においては、大体取り扱いがきまりました。先ほどのお話の輸銀で融資を内定しておったものだろうということなのですが、これは全然内定したことはございません。大体政府の方針がきまらないと私の方では扱えない問題でございますから、それに先立って融資をするというような内諾を与えたことはないのであります。その便宜置籍船の問題につきまして、今どうなっているかということを申し上げますと、日本からの輸出船が、海運市況、船腹の需給状況の事情により、日本側会社により用船されることが一がいに不適当とは言い切れないものと考えられるが、日本側の会社が外国に子会社を作り、これに船舶を輸出して用船する等、実質的に輸出とみなしがたいような契約について、輸銀資金の使用によりこれを促進することは適当でないので、輸銀資金が窮屈なおりでもあり、このような形の輸出については、輸銀融資の対象となることは適当でないというように考えております。
  73. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 従ってこれは融資をしない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。——わかりました。  次に、北スマトラの石油協力開発会社への融資です。これは、ブリヂストンタイヤ、それから木下商店、石油資源開発等によって作られておる北スマトラ石油協力開発株式会社というのは、インドネシアの石油資源開発に協力するということです。これに対する融資として、十年償還で百八十八億円の輸出金融が決裁されている、こういう話ですが、これは決裁されておりますか。
  74. 古沢潤一

    ○古沢説明員 北スマトラ開発会社に対する現在までのクレジットの供与状況と、これに対する私どもの貸し出し状況及び回収の見通しについて申し上げますると、三十六年八月末現在の貸し出しは、設備が約十三億円、役務が約一億円、合計十四億円でございます。これに対して輸銀は、市中銀行十二行の協調融資の形で、十三億千八百万円の融資を実行いたしました。この回収につきましては、契約期限である三十八年の三月までに約二十八万キロリットルの無償原油取得が期待されております。この販売収入として約十五億円が見込まれますので、本貸出金の回収には懸念がないものと考えられます。なお、本協調融資に参加した市中銀行は、日本長期信用銀行、第一、大和、富士、三井、三菱、興銀、勧銀、住友、三和、東京及び東海の十二行でございます。
  75. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そこで、これはあなたの方では、昨年の春ごろ、インドネシアの保証がない、輸銀の貸付項目に当てはまらない、これは技術と設備の輸出だから、投資ではない、輸出金融としては対価がない、こういう点で断わったが、当時小林中氏等が非常に努力して、これの貸し出しに踏み切ったのだ、こういうことをわれわれは関知しているわけです。そこで、本年の一月に輸銀で貸さないという態度をとっておる、こういうことも聞いておった。というのは、貸り入れ金額の金利分というものを乗せていない、それから一般管理費まで輸銀をあてにしてしまっている、こういうことで二度も断わられた、こういうふうに聞いておるわけです。そこで北スマトラ石油田では、新たに増産される石油の四〇%分を日本側が受け取る契約になっておるそうです。ところが、日本の設備と技術が行っても、去年の暮れではやっと八十万キロリットル出ただけであって、それ以上出た分は日本側の受け取り分になる。これは去年の暮れですが、今はそれ以上出ているのかどうか。この点をお尋ねします。
  76. 古沢潤一

    ○古沢説明員 いわゆるペルミナにつきましては、前から輸銀に対して融資申し込みが非公式にありましたけれども、私の方の業務の上からいたしまして、そう簡単に融資ができる状況じゃない。と申しますのは、一番大きな問題は、その会社の資本金がたった五億円、五億円の会社が百八十八億円の借金を政府からするというのは、どだいちょっと常識はずれだ。そこで私の方では、その会社に対しまして、もう少し資本金を増額すべきじゃないかということを申したのであります。その結果、会社は民間とそれからいわゆる政府の経済協力基金の方から出資金を得まして、大体私の方で融資ができるに必要な資本金を持つことになったわけです。と申しますのは、プラント輸出の場合は、機械が出るのであります。それに対する融資につきましては、それを作るメーカー初めそれを取り扱う商社とか、そういったところの保証をとるのが通例でございまして、その回収については全然懸念がないのであります。そういうわけで、今向こうに掘さくの機械を出しておりますけれども、それにつきましては、輸銀のいわゆるビジネス・ベースに乗る金額であります。ところが、一般管理費というようなものになりますと、私の方から融資できないので、どうしても自己資金によらなけれで調達できないわけです。そういうわけで、そういった費用も勘案いたしまして増資していただきたいというので、増資をしたということになっております。工事の方は、現地の治安状況やら何やらいろいろ問題がございましたけれども、幸いに今その問題もだんだん良転いたしまして、仕事を進めております。そして八十万キロリットル以上今出ております。この十一月か十二月ごろには、第一船が石油を持って日本へ帰ってくることになっております。そうすると、その石油の販売代金で、輸出入銀行から借りた金は返すという約束になっております。
  77. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは北スマトラ等に限りませんが、償還については通常外国銀行の保証があることが、あなたの方のお貸しになる条件になっているのじゃないですか。
  78. 古沢潤一

    ○古沢説明員 通常の場合には、うちが融資をしました場合には、外国の確実なる銀行のとか、あるいは保証、そういったものを要求しているわけです。そればかりでなくて、内地の業者に対してもかなりきびしい担保を要求しているわけでございます。国によりましては——このペルミナなどの問題につきましては、向こうの政府で、銀行のLCはちょっと出すことはできない、国を信用しないのかというようなことらしいのです。そういうことがぜひとも画一的に必要だということになりますと、この融資はできなくなってしまうわけでありますが、要するに輸銀から出た金が確実に返りさえすればいいわけでありますから、それが外貨であろうと、石油であろうと、あるいは日本の商社あるいは銀行等の保証で返ってこようと、どちらでもいいわけであります。そういった現状において必要と認められる支払いの保証をとりまして、そうしてそれを実行したわけであります。
  79. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、あなたの方では、パラグアイ、インド、ベトナム、こういうところに円借款を与えているが、これは保証はありますか。
  80. 古沢潤一

    ○古沢説明員 インド、パラグァイ、それは政府に対して銀行が貸しているわけでございまして、政府の保証があると申しました方がいいのであります。
  81. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは政府にはお貸しになったけれども、政府は別に保証というものは何も受けていないじゃないですか。保証をとってありますか。どういう保証の形式になっておりますか。
  82. 古沢潤一

    ○古沢説明員 政府が直接借受人になっているわけです。保証というものは必要ないと認めたわけです。
  83. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 もう一点、パラグアイだのベトナムだの、こういうところは革命とかいろいろな問題が起こるのです。そういうときにはどうなるのですか。
  84. 古沢潤一

    ○古沢説明員 そういう場合も一応考えないわけではございませんけれども、そういった場合は、相手国が一体どういうふうに外国に対する債務を処理するかという問題があります。これについて私の方からどうなるだろうということはちょっと申し上げかねますけれども、普通の商業債務ならば、共産国はどうか知りませんけれども、普通の自由主義国家ならば、外国に対する債務は引き受けるのが常例じゃないかと思います。
  85. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私はこれで終わりますが、こういう国は、今あなたの心配しているような革命の危機を包蔵しているのです。従って、保証があってもあるいはむだかもしれぬけれども、政府だからいい、政府だからいいといってお貸しになっているが、こういうところはかなり危険な借款なのではないか、こういうことを私は心配するのです。これらの問題を通じてもう少し掘り下げてみたいと私は思いますが、与えられた時間を非常に超過していますので、きょうはやめます。
  86. 鈴木仙八

  87. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまの小川委員の御質問の中で、北スマトラの油田の問題について、石油の採掘状況というものはかなり上昇しているという御答弁がありました。実は、ことしの夏、たまたま東南アジアを視察する機会がありまして、ジャカルタの領事館でこのことを質問したのです。ところが領事館では、技術者の不足のために成績が上がらないのを非常に遺憾とするという御答弁でした。今の御答弁を伺っておりますと、かなり成績良好のような御答弁でありましたけれども、これは事実かどうか。ここだけの御答弁のためにおっしゃるのじゃいかぬと思うのです。事実であるかどうか、もう一ぺん明確に御答弁願いたいと思います。
  88. 古沢潤一

    ○古沢説明員 現地における状況は、私の方の行員を二名融資前に出張させまして、現地を見させております。そのときの状態は、日本で考えているようにスムーズにいくかということを多少心配いたしましたけれども、その後だんだん治安も良好になりましたし、そのほか佐藤社長、小島常務等が現地に参りまして、大体うまくいきそうだ、日本から持っていった機械は、一部故障などを起こしまして、それに対して修理するのに時間がかかったということで、大体現状では、予定より六カ月くらいおくれておりますけれども、これは間もなく取り返せると思いますので、先ほど申しましたように、石油はもっと早く日本へ来るはずでございましたが、少しおくれて、今年末までくらいには第一船が入ってくるということになると思います。
  89. 山田長司

    山田(長)委員 銀行当局としては、貸し金が返済されれば、別に事業成績はどうであっても、そのことについてはとやかく言う筋合いのものじゃないと思いますので、ただいまの問題は念のために申しただけです。  次に、私伺いたいのは、投資金融の問題につきましても、地域別の融資状況にいたしましても、きょうの決算委員会に出された報告書によりますと、地域別になっておりますので、私たちがいろいろ伺うのには、資料としましては大へん大ざっぱで聞きにくい点があるわけであります。そこで、賠償条約によるところの東南アジア、あるいは西のアジア、あるいは中南米、ヨーロッパ、アフリカ、各地の状況について、私はもう一ぺん資料を出してもらいたいと思います。  ジャカルタにおきます大成建設のホテルの建設状態も、実は見て参りました。それから、シンガポールに東芝がテレビの放送局を建設したいというので、領事館に対して盛んに折衝をしているという状態を見てきました。私は、いろいろな点で、あすこにテレビ放送局ができるということに非常に関心を持って帰ってきた一人です。それからセイロンにトラックがいっているるのを見てきました。それからベトナムのダムの建設状況は、残念でありましたが、日時がなく、それから治安の状況等で見てくることができなかったのですが、コマーシャル・ベースによるところの商品が海外に進出するありさまを見て参りました。これは非常に喜ばしいことなのでありますが、現地にも通産省から人が行っておりますが、ただ品物を現地に賠償のかわりに売り込めばいいということであってはならぬということを感じてきました。それは、日本などよりはるかに東南アジアの道路の方が優秀です。そこで、ビルマに三輪車が七千台いっております。その七千台の三輪車は、人の力によって人を乗せる三輪車から、モーターによる三輪車へと移行して、日本から賠償物資のかわりにいっているわけですが、これが、向こうの人にいろいろ伺ってみますと、道路が非常によいために、日本の通念から考えたならば考えつかないことがあるのです。たとえば日本では、東京及び東京周辺でも道路が悪いために、少しの距離を走ってはとまっている。それから道路が悪いために、がたがたしてスピードが出せない。ところが、東南アジアの場合には、七十キロから七十五キロくらい出しても平気な道路です。それがために、ほとんどエンジンが焼けてしまっておるということです。少しスピードを出すと、日本の三輪車はとても問題にならぬということを、私はじかに現地の人から伺ってきました。こういう点について、通産省当局などでは、一体外国へ賠償物資でやる品物に対して、どんなテストをしてやっているのか。私はまだ通産当局からその意向を聞いていないのですが、たまたまきょうこのお話が出ておりますので、あなた方がもし通産当局と話し合う機会があるときには、ただ金を出しさえすればいいというのじゃなくて、物資についても十分吟味した形でやらないと、今度賠償物資をやられたあとで、日本の商品を実際に進出させようとするときに、それが不可能な状態になってしまうと思うのです。私はこれを目のあたり見て参りました。まだ最近いった車だからこれで済むけれども、これが少し古くなってきた場合に、取り返しのつかない事態になるのじゃないかという印象を持って帰ってきた一人なんですが、こういうものについて、もっと掘り下げた形が、私は輸銀当局としても考えらるべきじゃないかと思うのです。この点について、ただ金さえ出しさえすればいいというようなものの処理の仕方をしているのか、それともこういう場合における商品については、入手が足りなくて実は通産当局に全部まかせっ切りなのか、一応伺っておきたいと思います。
  90. 古沢潤一

    ○古沢説明員 ただいまのお話はもっともでございまして、日本の商品が外国にいって役に立たないというようなことになりますと、これは非常に重大問題だと思うのであります。それにつきましては、通産当局が主として主管省として取り扱っておると存じますが、ただいまの事例による三輪車のお話ですけれども、これにつきましては、私ども融資をしたことは今までなかったと思います。と申しますのは、三輪車のような半永久財と申しますか、そういったものについては……。
  91. 山田長司

    山田(長)委員 それは、三輪車といいましても、オートバイですよ。
  92. 古沢潤一

    ○古沢説明員 オートバイとか自動車とかいうものにつきましては、まだ私ども融資対象にしていないわけです。これは、回収も一年か二年、長くて三年くらいで返ってくるので、輸銀の金を貸さなくても、普通の商社並びに市中銀行でやれる部門に属すると認めております。かりにそういうものが輸銀にきて、金融をしなければならぬという状態を想定しまして、機械に対する知識というものは、残念ながらまだ輸出入銀行は持っていないのでありまして、将来だんだんそういう問題を扱わなければならぬということになりますれば、職員の中に技術者とか機械の知識のある専門家を置きまして、私たちもそういうものがいいか悪いかということについて意見を述べることも、あるいは必要になるかもしれませんが、現状におきましては、それは全部政府の方の問題になっております。
  93. 山田長司

    山田(長)委員 大手筋に対して輸銀から金を出しておる状態は、小川君の質問で大体わかったのでありますが、大手筋以外の部面に対して、やはりただいまのような融資方法は講ぜられておると思うのでありますけれども、これらについても一応資料を出していただくと参考になると思うので、資料の提出をお願いしたいと思います。
  94. 古沢潤一

    ○古沢説明員 できるだけ御希望に沿うように私の方で取り計らいます。こまかいことにつきましては、行員をお打ち合わせに差し向けますから、その上で御指摘を願いたいと思います。
  95. 鈴木仙八

    鈴木委員長 西村力弥君。
  96. 西村力弥

    ○西村(力)委員 輸銀の承諾というのは、手続はどうなっておるか。この中で、あなたの方の独自な判断で承諾をするのはどのくらいあるものか、これを伺いたい。
  97. 古沢潤一

    ○古沢説明員 日本輸出入銀行の取り扱うものは、大体プラント類でございまして、重化学機械が主でございます。これにつきましては、通産省なり運輸省その他がいろいろな条件その他につきまして査定いたしまして、これは日本で輸出をしていいものだということになると、輸出許可が出るわけであります。その輸出許可は、通産省だけでできる問題もありますし、大蔵省と相談してきめなけたばならぬ問題もありまして、金融並びに物に関する査定というものは、大体政府の各省でおやりになっているわけであります。ただ私の方は、それに対する金融をどうするかという問題なんでありまして、金融の条件、たとえば回収確実であるかどうか、それから融資の条件がある程度いいかどうか、そういった金融上の問題につきましては、うちがしょっちゅう大蔵省と打ち合わせの上きめているわけであります。
  98. 西村力弥

    ○西村(力)委員 具体的例としまして、たとえば織機。日本の織機は相当優秀だ。それから値段もあまり高くない。その面では競争力がある。ところが、延べ払い条件において他国との競争は全然できない、こういう具体例がある場合に、この延べ払い条件というのを操作するよしあしとか、何年にするとかいうのは、あなたのところの判断なのか、大蔵省がそこまでも規制をするのか。これは具体的な例として私は聞いておる。そのほかに、輸出の問題のときには、現地円で払うとか、そういうことが非常に問題になるわけで、日本の事情としては困難だろう、現地円支払いを受け入れるということはむずかしい場合があるでしょうが、値段が安い、物もいい、ただ延べ払い条件だけで競争に負けておる、こういうようなときに、これは大蔵省、通産省の意向をぴしっときめて、あなたのところでは動けないように、どうにもならないようにしてくるのかどうか。こういうことは、どういう関係になっておるか、私たちはこれを知りたいと思うのです。
  99. 古沢潤一

    ○古沢説明員 現状では、大体お役所でそういう商売の条件はおきめになっております。私の方でも、内々いろいろ現地の駐在員や何やらの報告がありまして、そういう商売の動きにつきましてはしょっちゅう気をつけておりますけれども現状では、大体お役所でこれでいいとか悪いとかいうことをやっておるわけであります。
  100. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしますと、輸出入銀行、あなたの方は金の操作というか、出したり入れたりするだけのことみたいになってしまって、どうも銀行としてのほんとうの自主的な、主体的なあり方というものがない。ただ窓口から通ったものを、よろしいということで出してあげましょう、それを一生懸命回収しましょうというようなことだけで、銀行のあり方としてはどうも簡単過ぎるという気がするのですが、私たちとしては、そういうあり方を少し改めていかなければならぬのじゃなかろうかと考えるわけです。そんなことをあなたの方の問題として私どもこれから検討して参りたいと思うのですが、きょうは時間もありませんので、以上でやめておきます。
  101. 鈴木仙八

    鈴木委員長 勝澤芳雄君。
  102. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私も、きょうはだいぶ時間が長くなりましたので、質問はやめましては、また次の機会にいたしたいと思いますが、資料をお願いいたしたいと思うのです。三十四年度、三十五年度業務報告書なりあるいは財務諸表関係の資料をお出し願いたいと思います。それから三十四年度が無理でしたら三十五年度でけっこうですが、貸付残高の貸付先、会社別、業種別貸付額、回収額、こういう状況について、次のときに質問さしていただきますので、三十五年度末で資料を整えて出していただきたい。以上二点をお願いいたしまして、次の機会に質問いたしたいと思います。
  103. 鈴木仙八

    鈴木委員長 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後一時十八分散会