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1961-10-25 第39回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十五日(水曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 前田 正男君    理事 赤澤 正道君 理事 齋藤 憲三君    理事 西村 英一君 理事 岡  良一君       佐々木義武君    保科善四郎君       松本 一郎君    石川 次夫君       西村 関一君    松前 重義君       三木 喜夫君    内海  清君  出席国務大臣         国 務 大 臣 三木 武夫君  出席政府委員         科学技術政務次         官       山本 利壽君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   島村 武久君         外務事務官         (国際連合局長         事務代理)   高橋  學君  委員外出席者         原子力委員会委         員       石川 一郎君         原子力委員会委         員       兼重寛九郎君         原子力委員会委         員       駒形 作次君         原子力委員会委         員       西村 熊雄君         科学技術事務次         官       鈴江 康平君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   杠  文吉君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  井上啓次郎君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  菊池 正士君         参  考  人         (原子燃料公社         理事長)    高橋幸三郎君     ――――――――――――― 十月二十五日  委員村上勇君辞任につき、その補欠として細田  吉藏君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(原子力行政一般  に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 前田正男

    前田委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  すなわち、原子力行政一般に関する問題について、日本原子力研究所理事長菊地正士君及び原子燃料公社理事長高橋幸三郎君を参考人と決定し、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田正男

    前田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 前田正男

    前田委員長 これより参考人及び政府に対する質疑に入ります。なお、三木国務大臣は、所要のため午前十一時三十分に退席される予定でありますので、大臣に対する質疑をまず行なっていただきたいと存じます。  質疑の通告がございます。これを許します。赤澤正道君。
  5. 赤澤正道

    赤澤委員 大臣に冒頭に一つお伺いいたしたいと思います。  ソ連が、残念にも、全世界の反対を押し切って、五十メガトンの例の爆弾を爆発させまして、汚染された灰がぼつぼつ日本の本土へも近づきつつあるという情報ですが、科学技術庁としては、対策と申しても、もう打ってしまったものですし、しかし、目に見えないものですから、その被害は場合によっては甚大なることも予想されるわけですが、今の段階でどういう措置をなさっておられるか、お伺いいたします。
  6. 三木武夫

    三木国務大臣 赤澤委員指摘のように、世界にこれほど中止の要求があったにかかわらず、大型核実験を強行したというこのソ連の態度に対しては、きわめて遺徳でございます。とにかく、やったのであります。これに対して対策を講じなければならぬ。そういう核実験をやったという報告を受け取りまして、直ちに原子力局指示いたしまして、関係各省間の連絡会議を昨日も開いたのでございます。そして、その連絡会議でいろいろ検討いたしております中心問題点は、今後調査測定、この機能を強化していく、それから常時、環境的な条件というものをキャッチできるようにしておく、そして、そういう場合に対して、国民に対する被害最小限度に食いとめなければなりませんので、適切な報道、指導、こういう処置も講じたいということで、とにかく各省間にまたがっておりますから、この連絡を緊密にして、総合的な対策を立てて、そしてこういう不幸なるできごとに対して、できるだけ放射能被害を少なくするように努力をしたいと考えております。
  7. 赤澤正道

    赤澤委員 この放射能の害が人体に許容される量というものは、科学的に立証されておるわけですけれども、間問間まだ許容壁に達しないという発表をいたしますと、案外みな安心してしまって、雨に打たれたり、ほこりをかぶりするわけです。やはり許容量というものはありますけれども、非常に汚染度が激しい場合には、私は相当量被害人体に与えるものと考えるのです。専門的な見地からそこらの御解明をお願いしたいのですが、どなたか、原子力委員の方でけっこうです。
  8. 杠文吉

    杠説明員 ただいま御指摘通りに、許容量という考え方は、原子力平和利用の際に用いられておりますところの基準によりまして、国際的に放射線防護委員会というものが設けられておりまして、俗にICRPと略称しておりますが、そのICRPの勧告いたしましたものが、すなわち、ただいま御指摘許容量ということになろうと思います。これは、一般人につきましては年間〇・五レムというようなことに相なっておりますが、しかしながら、これはあくまでも平和時に用いられるところの基準でございまして、今回のように、核実験によるところの被害と申しましょうか、人体に対する障害というようなものにつきましては、許容量という概念は用いられないというのが、一般の通念でございます。しかしながら、われわれは、放射性降下物が漸増してきて、従いまして、いろいろ放射能が高まってきているというこの環境の中において、いたずらに平和時の基準量であるから用いられないと言っておいて済ませるかどうかということが問題でございまして、従いまして、ただいま大臣からも御答弁がございましたように、昨日も、この点をどうするかというようなことも各省連絡会議議題中心でございました。本日、また十時から会議を開いておりますから、その会議におきましても、その点がやはり中心になるだろうと考えております。その際に、一応私どもの腹案といたしましては、アメリカにおきましてFRCと略称していますが、連邦放射線審議会というものがございまして、そこでいわゆるウォーニング。レベル警告線量とでもいいましょうか、警戒線量とでも申しましょうか、そういうものを内規的に設けておるということを承知いたしております。それは許容線量を一応基準にいたしまして、その十分の一程度のものに一応のめどを置く、そしてそれをまた三分の一くらいしたところのものを、一応のウォーニング・レベルというふうに考えております。しかしながら、これはまた今の放射性降下物の中には各種ございますから、たとえばストロンチウムが非常に多いのか、セシウムが多いのか、あるいはカーボンが多いのかというようなことによりまして多少変更がなされてしかるべきではないか、人体に与える影響というものもそれぞれに違っておりますので、そこで、その辺との組み合わせにおいて、固定的な基準として発表しているというようなものではない、従いまして、われわれが注意を与えるにしましても、一応そのようなものを基準にしたらどうかというのが、昨日来の議論の一応の結論でございます。
  9. 赤澤正道

    赤澤委員 放射性物質が降下するのは、大体いつごろという見込みでしょうか。
  10. 杠文吉

    杠説明員 今回はソ連でございますから、これはジェット気流の吹き方にもよりますので、そのジェット気流の吹き方いかんによっては、早ければ四日くらい、すなわち、今日から申しましたらもうここ二、三日くらい後には、何らか現われてくるのではなかろうかというように考えておりますし、また、あるいはそれがおそくなった場合には、七日ないし十日くらい後に影響が現われてくるのではないかというのが、気象庁とも話し合った現在のわれわれの推測でございます。
  11. 赤澤正道

    赤澤委員 今わが国の代表をまじえて国連議論が行なわれておりますけれども、その結論さえ出ないのはわれわれまことに遺憾とするところですが、しかし、現実にそういう有害なものが降ってくるわけですから、とにかく国際的にも国内的にも、政治的な議論議論として、やはり国民全体が大なり小なり被害を受けるわけですから、事実を、時を移さず国民に知らしめるという措置がとられなければいかぬと思います。それに対しては万全に考えてあるのでしょうか。
  12. 杠文吉

    杠説明員 ただいまお答え申し上げましたように、ウオーニング・レベルというようなものを、何にしても一応暫定的にきめまして、そしてそれに比較してどれくらいの程度までになっているか、放射能程度をはかりまして、これは気象庁の各機関が今のところ宿直勤務でもって昼夜観測いたしておりますので、そこでとらえましたものをその一応の基準に照らしまして、これはすぐ速報で出て参っておりますから、その際にいろいろな具体的な指示をいたしたい。指示と申しますのは、たとえば厚生省の保険局を通じまして現地に、たとえば札幌地区における野菜はぜひ洗って食べるようになさい、あるいは稚内地区における天水は必ずこしてお飲みなさいというようなことを指示いたしたい、こういうふうに考えております。
  13. 赤澤正道

    赤澤委員 けっこうだと思いますが、少なくとも細心の注意を払っていただきたいと思うのです。  大臣の御都合があるようですから、この問題について御質問がありましたら先に……。
  14. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 大臣にお伺いしたいのであります。  原子力局に五十メガトン核爆発実験被害について、早急善処するようにという御指示をなさったそうでありますが、これは私の考えからいたしますと、なかなか困難な、しかも、緊急を要する問題だと思うのでありまして、こういう点につきましては、ただ関係各省庁の間でこの問題について論議を重ねておりますうちに、どんどん汚染した空気の被害はくるし、灰は降ってくるし、これに対する緊急対策というものは、やはり科学技術庁長官として断行せられる以外に方法はないのじゃないかと私は思う。そう考えておるのでございますが、それに伴う国費というものも相当必要だと思うのであります。そういうのは予備費とか、そういうところから御捻出なされて、緊急の措置を講ずるように原子力局にお命じになっておると思いますが、それを一つ念のために伺っておきたいと思います。
  15. 三木武夫

    三木国務大臣 非常に緊急を要しますために、連絡会議も今日くらいで結論を出すようにしたい、その結論に従って、必要があるならば予備費要求したいと考えております。
  16. 岡良一

    岡委員 ただいまの御質疑とお答えに関連して、この際、はっきりとしたところを承っておきたい。  まず第一に、私は、原子力委員会なり科学技術庁なりの放射能許容量というものに対する概念が非常にあいまいだと思う。そこで、放射能には許容量というものはないのであるというのが、私は、放射能というものに対する基本的な考え方であるまいかと思うのですが、まずこの点、大臣の御所信を伺いたい。
  17. 三木武夫

    三木国務大臣 私も岡委員と同様に、許容量ということはない、ただしかし、この程度ならば気をつけなければならぬとか、これは許容量がないということで、それならば放射能というものがどの程度まであれば直接に人体障害を与えるとか、基準を与えることは必要である。しかし、許容量という考え方のもとで、これまでは放射能を受けても大丈夫だという考え方は、私はとらない。それは、遺伝の点などはまだ究明されてない問題が多いのですから、これまではもう全然障害がないのだというようなことを言い切ることは、まだ学問的な未解決な問題を残しながら、そういう断言をすることはよろしくないと考えております。
  18. 岡良一

    岡委員 そこで、次にお尋ねいたしたいことは、今の杠局長の御答弁でございますが、アメリカの例を引かれまして、アメリカには警告数字というようなものがある、それはいわゆる許容量の十分の一のさらに三分の一である。そういたしますると、許容量の十分の一は、一リットルの水について二百二十万カウントといわれておる。でありますから、そのさらに三分の一というならば、七十万カウントというものは警告値ということになり得るかもしれません。そこに私は、いわば非常に非科学的な問題があろうと思います。これは杠局長も申されました。問題はカウントの大小ではない、その放射能の中に含まれておるところの、いわばプルトニウムなり、あるいは炭素なり、あるいはセシウムというような減衰期の長い、しかも、人体に対して破壊的な影響を及ぼす諸元素というものは、われわれは微量測定しなければならない。その結果によって、初めて正確な警告値が出し得ると私は思うのです。そこで、今政府考えておられるように、従来の概念から許容量の十分の一、さらにその三分の一がよかろうというような、きわめて非科学的な根拠の上に立った警告数値――アメリカがそれを採用しておるかもしれませんが、それは、現在の許容量概念からは、もはや私は通用しないと思う。従って、私は、やはり独自に新しい、科学的に合理性のある数字というものをすみやかに出すべきだと思う。単にアメリカ数字を援用するということでは、私は、今日の段階では済まないと存ずるのでございますが、この点について具体的にそういう措置をおとりになるか、これを大臣に承りたいと思います。
  19. 三木武夫

    三木国務大臣 岡委員も御承知のように、世界的に見ても、降下放射能影響というものに対してはまだ究明し尽くされていないことは、御承知通りであります。各国ともこれは研究の大きな課題になっておるわけです。従って、現在われわれが指示を与える点においても、言われるごとく、非合理な点は確かにあると思います。今後力を入れていきたいと思うことは、こういう測定に対しての、もっと合理的な測定方法というものを、これは少し金もかけて検討したいと思っております。しかし、とにかくソ連大型核実験再開して、その放射能影響を受けるわけでございますから、岡委員の言われるそういう合理性という点からは、非常に欠陥はあると思いますけれども、そういう合理的な測定方法が発見されるまで何らの指示を与えないということは、行政処置として好ましいものでもないので、とりあえずはいたしますけれども、それでは満足するものではない。その影響に対しては、こういう問題は、日本国際政治の上で一番発言力を持つのでありますから、その裏づけとしても、日本が今後世界世論を動かしていく上においては、特に日本が一番そういう研究において進んでいく必要もあるわけでございますから、今後は、そういう点については一段と努力をいたしたいという考えでございます。
  20. 岡良一

    岡委員 国際連合科学委員会審議経過を簡単に私ども承知しておるところでは、中間報告では、ストロンチウムやあるいは炭素やセシウムについての微量測定については、一応結論が出つつあるように思います。従って、問題は、このような微量測定法を採用する、そして実際に測定し得る設備、その裏づけとなる予算を与えるかどうかということが、一つ問題点だと思う。いま一つは、日本では各測候所あるいは気象台は、いち早くカウント報告しておるようであります。しかし、それと同時に、具体的にもっと分析した結果というものの報告がない。分析された報告というものは、ただ散発的に、所在の国立大学の個人の研究室名をもって発表されているという程度でございます。これではほんとうに放射能影響調査するための科学的な体制は、私はなっておらないと思う。従って、まずこれを作ることが必要じゃないか。現に五十メガトンの核爆発をやりました。なるほど、ここ数日のうちに大きなカウントを持った雨が降るかもしれない。しかし、問題はそうではないと思う。おそらく、上空に吹き上げられた放射能灰というものは、ここ数年にわたって降ってくるかもしれません、あるいは数カ月にわたって大きく降ってくるかもしれません。従って、このような体制というものは、今この機会にこそ、すみやかに政府が確立さるべきだと思う。こういう体制を作られ、それに伴う必要なる予算措置をすみやかに講ずべきだと思う。そうして各大学研究室の散発的な測定ではなくて、もっとこれを全国的に、組織的に調査を進める、こういう体制を作られるかどうか、この点を重ねて承っておきたい。
  21. 三木武夫

    三木国務大臣 各省連絡会議に私が指示いたしましたのも、一つには、ソ連大型核実験放射能被害に対して応急の措置を講ずると同時に、こういう降下放射能に対して、今後こういう事態が続く可能性もありますので、これに対する総合的な体制を強化したい、これに対してどういうふうにやるべきかという点も、会議の検討すべき議題として指示いたしたのでございますから、そういう線に沿うて、今後調査測定分析等機能を強化していきたいと考えております。
  22. 岡良一

    岡委員 さらに、この問題に関連して国連局長にお伺いいたしたいと思います。  日本は、先般国連総会で、カナダ共同放射能調査の強化に関する決議案を出したということが伝えられております。その内容を簡潔に御報告願いたいと思います。
  23. 高橋學

    高橋政府委員 先般、日本カナダその他の国と共同いたしまして、国際連合特別政治委員会におきまして、科学委員会報告審議に際して決議案を提出いたしました。この決議案は、先週の二十日でございますか、特別政治委員会において七十五対ゼロ、棄権十七の多数で採択されました。この決議案内容は、従来は、科学委員会報告国連総会で討議いたしまして、この科学委員会内容をさらにテーク・ノートするというのが毎年の慣例でございましたが、ことしは、国連総会開会直前に開かれました科学委員会におきまして、たまたまソビエト核実験再開が伝えられました。科学委員会においてもこの核実験再開に関して、その任務を大いに果たさなければならないという意向が科学委員会報告の中に入りましたので、この点をとらえまして提出されました日本カナダその他二十五カ国の決議案は、前文において、原爆の実験をやる国はそれについての責任をとらなければならないということを宣言したのが、新しい点の一つであります。  それから次に、科学委員会が、できるだけ早くその報告を出せるように研究してもらいたい。科学委員会最終報告は、来年の国連総会までに大体出す予定になっておりますが、その前に、できれば、今度のソビエトによって始められました一連の核実験影響について、何らか報告が出せれば出してもらいたい、こういう要望でございます。  それから第三点といたしまして新しいことは、世界気象機関WMOが、従来気象関係情報世界的に交換していたその組織を利用して、この放射能測定に関しての国際協力が、さらに進められないかどうか研究してもらいたい。  こういう新しい三点を含めました決議案を提出いたしました。これが、先ほど申しましたように、二十日の特別政治委員会で圧倒的多数で承認されたわけでございます。この委員会におきましては、他方、チェコスロバキアから従来と同趣旨決議案、それから科学委員会に対して、各国及び各国際機関がもっと協力するようにという趣旨決議案が提出されまして、この決議案の方も通りましたけれども、こちらの方は三十三対二十二と、非常に賛成が少ないので、いずれこの両決議案が本会議へ提出されて、本会議で討議されるわけでございますが、今までの様子でございますと、おそらく二十五カ国決議案だけが通るのではないか、こういうふうに予測されております。
  24. 岡良一

    岡委員 この国連日本カナダ両国共同提案にかかる放射能影響調査を強化する、当然、これは閣議においても、国務大臣である三木さんは御了承になったのでございますか。
  25. 三木武夫

    三木国務大臣 当然に国連日本提案国となって、こういう決議通りますれば、これと日本協力しなければなりませんが、最終的な決定には至っておりませんので、まだ閣議議題にはなっていませんけれども、これが国連において議決をされましたときには、日本はその放射能被害に対して、国連調査に十分の協力をいたしたい考えでございます。
  26. 岡良一

    岡委員 私は、今外務省から御報告委員会からの経過を見れば、当然総会においても可決されることと思うのであります。従って、原子力委員長としての三木さんは、事後に閣議において了承を与えなければならないということになるわけでございます。そこで、私はお尋ねをいたしたいのでございますが、今御報告を聞きますると、国際気象機構というものが調査主体になるというような御報告でございます。私はこれがカウントか、もっと正確な科学的な分析が必要かという問題点の分かれ目の一つであるかと思うのであります。従って、私は、事実そのような決議が採択されるならば、それを担当する主体国際原子力機関でなければならないと存じます。国際原子力機関は、先般の総会には長官も御出席になりました。理事会年次報告を見ると、放射能影響調査については、国連系列機構の中でも最も大きな、百をこえる研究契約をやっております。現に臨時実験室を設けて、各国の要請によれば、あるいは植物や水や、あるいは食べものや土壌などについての科学的な分析もやっております。従いまして、国際原子力機関は、それ自体が原子力平和利用を掲げておる機関である、しかも、専門家科学者を集めた機関である、当然、国際的なこのような種類の仕事というものは原子力機関がやる。国際気象機構というものは、単に幇助機構として、核爆発があったかどうか、あったとすればそれを探知し、どの程度の規模のものであったかという情報を提供するにすぎない。事実科学的な調査というものは原子力機関でやるべきではないか。現に三木長官も、総会に御出席なさって演説をなさいました。その国際原子力機関を強化する、そうして原子力平和利用軍事利用を圧倒する、そのためにも、国際原子力機関の権威を高めなければならないということを切実に訴えられておりました。この立場からも、日加両国共同提案による調査の具体的な主体国際気象機構であることは、非常に筋が違っておるので、当然これは国際原子力機関がやるべきだと私は信ずるのでございますが、長官の御意見を伺いたいと思います。
  27. 三木武夫

    三木国務大臣 やはり原子力機構というものが具体的には協力をしないと、なかなか、その調査というものは万全を期しがたいと思います。そういう意味において、主体がどこになろうとも、国際原子力機構というものの十分な協力が得られることが、前提になると私は信じております。
  28. 岡良一

    岡委員 これはもう当然原子力機関中心となり、主体となってやるということにぜひ――日本理事国で、運営に責任を持っておりますから、ぜひとも一つかじをとってお進め願いたいと思います。  これで長官に対する質問をやめますが、あとで、微量測定に関する各研究室等への補助金等についての数字を、局員あたりから報告を願います。
  29. 高橋學

    高橋政府委員 ただいまの岡委員の御質問に対しての国務大臣の御説明を補足いたしますと、この決議案内容と申しますのは、世界気象機関原子力機関、及び必要あらば原子力機関科学委員会と協議をして、そうしてできるだけ早くこの情報収集機構を使えるかどうかを研究しろということを申されたのであります。これはたまたまWMOにおきまして、気象関係において世界的に非常に発達した相互連絡等機構がございますので、それを利用すれば新しい経費もあまりかからないし、これは使えるのではないかというので、従来、放射能調査については、原子力機関はもちろんでありますが、あるいはFAO、食糧農業機構でありますとか、WHOとか、これらの国際機関、いずれも協力いたしておる次第であります。
  30. 岡良一

    岡委員 これは、問題はその点でございますが、国際原子力機関協力するというのではいけないのではないかということを私は申し上げておるのです。というのは、日本の現実をごらんになればおわかりだと思う。気象台は、カウントまでは発表いたします。しかし、問題はカウントではなく、事実放射能の害はどこにあるかという、微量測定による成分の分析をやらなければならぬ。これは大学研究室が現在やっておるようであります。問題は、そこまで掘り下げなければ放射能の防護に対する科学的対策は立たないのだ。でありますから、日本の現状を見ても、気象台が単に爆発があったことを探知する、その規模の大小についてのある程度のめどを与えるということ、あるいはまた、カウントということによって、ある程度の危険の度を示唆し得るということでは、ほんとうの科学的対策は立たないのだ。こういう意味で、その問題を中心に動いている原子力機関中心になるべきだということを申し上げておるわけでありますので、この点、ぜひ一つ長官の善処方をこの機会に強くお願いしたいと思います。
  31. 杠文吉

    杠説明員 ただいまの同委員の御質問に対する直接のお答えにならぬかとは思いますが、気象庁では例のグロス・カウントを発表しておりますから、そこで、それだけの仕事かというふうにお考えかと思いますが、気象庁には気象研究所がありまして、これは六カ所でもってストロンチウムセシウム等の分析をやっております。それで今回もそれが各省連絡会議議題になりまして、やはりグロス・カウントと同時に、せっかく分析をやっておられるのですから、公表したらどうか、気象庁としても、やはり公表させてもらいたいというようなことに相なりました。
  32. 前田正男

    前田委員長 関連して西村関一君の質問を許します。西村関一君。
  33. 西村関一

    西村(関)委員 三木長官にお尋ねいたしたいのですが、米ソの核実験再開によりまして、特に五十メガトンの大型爆弾が投ぜられたということのために、人類の生存に一大脅威を与えておる。特に放射能の谷間といわれておる日本のわれわれといたしましては、非常に大きな問題として看過することができない場面に直面しておるのであります。ただいまの岡委員質問に対しまして、大臣は、根本的な科学的な調査に万全を期するとともに、当面の緊急の措置についても、関係各省と緊密な連絡をとって遺漏のないようにいたさなければならないという御答弁でございましたが、すでに五十メガトン爆弾のちりは、もう一両日を出ずして日本の上空に降ってくる。しかも、それが成層圏にたまっておるところのものが数年間もかかって徐々に、しかも直接的に、間接的に人体被害を及ぼしてくるというような状態に立ち至りまして、われわれといたしましては、ただ日本の科学技術陣を動員するということだけではなしに、国際的な科学陣を総動員するような態勢を樹立いたしまして、この放射能物質に対するところの研究並びに措置を進めていくということが大切であることは、今申し上げた通りでございます。  それに関連をいたしまして、私は前回の本特別委員会においても申し上げたと思うのでありますが、今こそ、三十万の広島、長崎の直接の犠牲者、また、今日もなお、原爆のために精神的に、肉体的に非常な苦しみを受けておるところの二十万の犠牲者、そういう忘れることのできない犠牲を払っております日本としては、国連機構に呼びかけて、放射能物質に対するところの権威ある国連研究機関日本に作るということが、今こそ、日本政府がイニシアチブをとって主張すべきときではなかろうかと思うのであります。先ごろ、国連の政治委員会におきまして調査に関するところの決議がなされ、これが総会にかけられようとしておる。これは、ただ単に出先の大使の意向ではなしに、日本政府の強固な意見として、ただ調査のみならず、権威あるところの研究機関日本にこそ設くべきである、こういうくらいの意気込みでもって国連を指導をする、国連でイニシアチブをとるという考え日本政府に必要ではなかろうかと思います。そういう点につきまして、私はあらためて大臣の御所見を承りたいと思います。
  34. 三木武夫

    三木国務大臣 各国とも、放射能被害については、非常に厳重にその被害というものを考えて、いろいろな放射能調査に関する機関を持っておることは、御承知通りでございます。従って、国際的に連絡をして、放射能測定とか、調査とか、影響とかいうものに対して国際的な協力の必要なことは、御承知通りだと思います。そこで、国際的に協力を一歩進めて、そういう国際的な機関を作るかどうかということは一つのサゼスチョンだと思いますが、ここで直ちに国連という機構の中で作れというわけでございますから、非常に関連をするところが多いので、一つの御提案として検討いたしてみたいと思います。
  35. 西村関一

    西村(関)委員 一つの提案として検討してみたいという答えでございますから、ぜひそうお願いをいたしたいと思います。私は、このような提案を国連機関にすることによって日本は非常に大きな役割をする、国連を通じて世界人類に果たすことができると思うのであります。それこそ、三十万の直接犠牲者、二十万の間接犠牲者の犠牲にこたえる道だと思うのであります。その点につきまして、特に関心の深い三木国務大臣におかれましては、閣議の席におきましても特に強い御発言をしていただいて、国論の統一のために御検討を願いたいということをお願い申し上げまして、私の関連質問を終わりたいと思います。
  36. 赤澤正道

    赤澤委員 国産燃料の開発について、公社のお考えを一、二お尋ねしたいと思うのですが、大臣が幾らも席におられないようですから、その中の若干の点について、大臣考えをさらに承っておきたいと思います。  御承知通り、国際的に燃料価格がどんどん下がって参りまして、最近AECあたりもだいぶ考え方を変えておるように思います。にもかかわらず、国産燃料の開発の必要性はごうも衰えたものでないと考えるのですが、この点について大臣はどういう御認識なのか、一応承っておきたいと思います。
  37. 三木武夫

    三木国務大臣 現在までの調査では、天然ウランの埋蔵量は、日本全体としてはそう多くない。従って、将来原子力平和利用、この需要を、燃料の天然ウランが補っていけるとは思っておりません。しかし、ある程度の国産のウランがあるわけでありますから、まあ、採算もありますけれども、しかし、原則として国内の資源を開発する。それが需要を満たし得ないにしても、国内の資源を開発するということは、私は必要だと思う。従って、今後天然ウランの開発についても、できるだけ国内の資源開発ということはいたしたいという考えでございます。
  38. 赤澤正道

    赤澤委員 もう五年越し公社の方では営々としてやっておるわけですけれども、今、長官は埋蔵量が大体見当がついておるというように言われましたが、これはまだやっておる最中ですから、どの程度かわからぬが、大体貧乏国だから、ウランだって、そう富鉱がたくさんあるわけでもあるまいというお感じかもしれません。しかし、今の段階からもうパイロット・プラントの計画くらいを持って、小規模ながらそういう粗製練の段階に手をつけるということは、私は技術開発の上にも必要だと思うのですが、これについてはどうですか。
  39. 三木武夫

    三木国務大臣 まあ、一つの粗製練をやるについても、一定のウランの鉱石は必要でしょうから、そういうことで探鉱を続けておるわけでありますが、しかし、粗製練までは現地でやったらいいという私は意見なんです。時期については、そういう天然ウラン等の開発の状態ともにらみ合わせて、時期には多少の弾力性を持たなければならないが、粗製練は山元でやったらいいという私は意見でございます。
  40. 赤澤正道

    赤澤委員 もう小さいパイロット・プラントでも設けて、実際やってみる時期になっているかどうかということについては、あとで公社側と検討してみたいと思います。  もう一つ。ものがものだけに、民間で権利を持っている人がたくさんあるわけですが、実際は、今それは眠った形で、公社が採掘を進めておる状態です。長期計画では、将来この開発を促進するためにも民間方式を採用しておるわけですが、そうなりますと、公社は公社としての立場もあるし、若干迷いもあるのじゃないか。迷っておらぬと言われるかもわかりませんけれども、やはりそこらのところに何か割り切れぬものがあるのじゃないかという危惧を実は持っておるわけなんです。この開発方式を将来民間に移してやるものか、それとも国の方で公社中心に開発していくものか、そこらのところについての御判断を一つお聞きしたい。
  41. 三木武夫

    三木国務大臣 ただいまのところは公社中心考えております。この問題は将来の問題として検討はいたしますが、今はそういう考えでございます。
  42. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 ただいまの赤澤委員の御質問に関連して、大臣にちょっと伺っておきたいのでありますけれども、これはきょう御即答をお願いするという意味ではございません、よく一つ御勘考の上で、大局的に御答弁をいただければ幸いだと思うのです。  最近、日本で石炭問題を中心といたしまして、原子力ももちろん含めての総合エネルギー対策ということが、はやり言葉のように各所で取り上げられておるわけであります。日本は、私から申し上げるまでもなく、資源が乏しいので、どうしても石炭を利用していかなければならないというので、今エネルギー対策が石炭問題に重点をしぼられているのでございますが、この石炭をどうして生かすかということと、それから、もう一方、石油の自由化という問題、これも相からんで、非常に大きな総合エネルギー対策としての問題になっておるわけであります。国家安全という立場から申しますと、御承知通り、外油に七割も八割もエネルギーを依存してそのままにしておくということは、これはちょっと危険ではないか、何とかして二百万トンの埋蔵量を持つ石炭の利用方法がないかというふうにして、今いろいろ論議がかわされているようでございますが、大臣にお伺いいたしたいのは、総合エネルギー対策という見地から、日本原子力というものを再考する余地はないかどうかということでございます。と申しますのは、原子力をエネルギーに考えてみますると、どうしても将来、エネルギーとしての王座を占めるのは、私は原子力だと考えておるわけであります。今日のようにナショナル・セキュリティを加味して総合エネルギー対策を国家が立てんとするときに、日本原子力エネルギー化というものは今日のようなスピードでいいのかどうか、最近打ち立てられました原子力発電に関する長期計画、十年間に百万キロワット、二十年間に七百万キロワットないしは八百万キロワットというような計画で、日本の安全を確保すべきエネルギー対策が樹立できるのであるかどうか、もっと日本は積極的に原子力というものに力を入れて、時期を早めて大量の原子力エネルギー化をはかるべきじゃないか、そういうふうに私は考えるのでありますけれども、日本のような特殊な条件に置かれておる国は、特にそういうことを考えて、原子力に重点政策をもう一ぺん指向する必要があるのではないか、そういうふうに考えておるのでございますが、大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  43. 三木武夫

    三木国務大臣 総合エネルギー対策というものは、立ったような形にはなっておりますけれども、もう少し総合的に検討して、計画を立て直さなければならぬ課題の一つだろうと思います。原子力についても、今後十カ年ぐらいの計画を変更して、原子力の発電というものをもっと速度を早めるということは、私は考えてない。こういう未知な新しい産業に取り組んだわけでありますから、十カ年は今考えておる速度だと思います。しかし、二十カ年というものを考えたときに、十カ年計画の全体のエネルギーの中で占めるのは一〇%も占めないで、八%ぐらいのものですが、やはり私自身も、今後十カ年から二十カ年の間の原子力開発というものは、もう少しウェートを置いていいのではないかという感じを持っております。しかしこれは、単に原子力ばかりからも考えられません。石炭の問題もあるし、石油の問題もあるし、そういうことで将来検討をしなければならぬけれども、私はそういう感覚を持つものでございます。
  44. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 もちろん、今早急に日本にどんどん原子力発電所を作って、総合エネルギー対策の一環としての重要性を付加しようと思っても、これは財政的に、技術的になかなか困難なものが私はあると思うのでありますが、とにかく所得倍増計画を見ましても、今七千カロリーの石炭換算にいたしまして一億二、三千万トン、それが四十五年になりますと三億トンに近いものになる。しかも、そのパーセンテージを見ますと、外油が大きな割合を占めている。こういう外油依存のエネルギー対策を立てておいて、日本はそれに支払う外貨だけでもしょっちゅう貧乏していなければならない、また、石油の世界的なカルテル政策によって、日本の市場はそれに占拠されてしまうというおそれもある。そういうときに、日本がとるべき将来の総合エネルギー対策の一環としては、日本のある一つの運命を卜するという立場においても、ただいま赤澤委員質問されたように、今までの調査によって、これしかウラニウムがないからというような前提のもとに原子力問題というものは考えるべきかどうか、こういうエネルギー対策として非常に緊急性を帯びてくればくるほど、どうしても国家としては重点的に、その燃料の有無を積極的に調査をして、開発するという段取りを作っていかなければならないのじゃないか、こう私は思うのであります。また、日本の科学技術の水準を総合的に上げて、日本の国でいわゆる国産原子力発電を行なっていくということは、理想としては私も大賛成でございますが、そういうことだけで、一体日本の総合エネルギー対策の前途に安全性を与えられるかどうか。最近の情報によりますと、アメリカのドレスデンだったと思うのですが、もうすでに百九十二メガワットの発電を今やっている。しかも、私がこれを視察いたしましたときには、たしかGEが七ミル・ギャランティでもってこれをやるのだということであります。でございますから、日本の一切の技術を取り入れて国産的に原子力発電をやっていくという理想は、厳然として持っていなければなりませんけれども、ある場合においては、将来性を考えるならば、むしろそういう技術導入を行なっても日本原子力発電というものをやっていく方が、私は、ある意味においては安定した総合エネルギー対策になるのではないかというふうにも考えられるのであります。この日本の長期計画も、そういうことを算定した上においてお考えになったのだとは思いますけれども、現在のように、外貨の事情あるいは総合エネルギー対策の問題が焦眉の急となって参りますと、いやおうなしに、問題というものは将来の原子力エネルギーにしぼられていくんじゃないか。だから長官は、原子力委員長という重責をも兼ねておられるのでありますから、それをもう一ぺん再検討されまして、ここに積極策を盛られて、日本原子力というもの全般に対しての見通しを早急にきかせるというお考えのもとに再検討を行なっていただきたい、私はそう思うのでありますが、こういうことに対して長官はどうお考えになりますか、伺っておきたいと思います。
  45. 三木武夫

    三木国務大臣 総合エネルギー対策という問題は、これは大きな課題でありまして、練り直さなければならぬものを持っている。その一環として、原子力の発電というものに対しても検討を加えたいとは思っておりますが、何分にもここ十カ年ぐらいの間の開発計画は、これはそれ以上に開発計画をふやすということは私は考えていない。むしろ十年以後、それが今のような計画というものが、今齋藤委員の御指摘のあったような客観的な諸条件を勘案して適当かどうかというものに対しては、検討を加えたい。しかし、まあ当面十カ年ぐらいの計画は、変更しようという意思は持っていないのでございます。
  46. 赤澤正道

    赤澤委員 公社の方に伺いますが、最近、これは喜ぶべき現象だと思いますが、ウラン製鉱の国際価格がうんと下がっておりますね。先般AECの発表でも、ポンド当たり六ドルまで下げて発表したようなことをちらと新聞で見たのですが、大体これについての将来の見通しを公社としても研究しておられるでしょうが、それについてお調べになっている大体のところをお知らせいただきたい。
  47. 高橋幸三郎

    高橋参考人 ただいまの御質問に対して、私どもの持っておるデータをちょっと申し上げます。  先般もここでこの問題に触れましたが、私どもが今日まで海外からイエロー・ケーキを輸入いたしましたのが約九回でございます。そのうち、最初南阿から入れましたときはかなり値段が高うございましたが、最近は、アメリカから実際輸入した価格は非常に下がっております。これを数字的に申しますと、南阿の場合は八千四十三円パー・キログラムであります。それがだんだん回を重ねるごとに値段が下がって参りまして、ごく最近、今年になって九月に輸入したものはわずかに三千二百五十二円パー・キログラム、こういうふうに、ちょっと想像がつかないような値段の変化がございます。これは一体どういうことか、われわれもずいぶんいろいろ調べてみました。結論的に申しますれば、要するに、国内商社の競争が非常に激しい。ですから、身銭を切っても公社に実績を残そう、こういう考え方が相当影響しておるように拝見しました。アメリカは、決してこういう値段でAECは認めておりませんので、アメリカのAECでは、国内の民間会社、また海外との取引の契約の価格は、御承知通り八ドル・パー・ポンドというのが大体の標準になり――以前は十ドルでありました。最近またこれが下がっております。これは昨年の十二月、アルゼンチンの原子燃料会議のときに、アメリカの代表がはっきり言ったことがあります。つまり世界的に見て、ウランが非常にオーバー・プロダクションになっておる。ですから、現在は非常に品物があり余っているけれども、しかし、将来はどうしても世界的にウランの資源を開発しなければならない。開発するために、相当有利な経済性を持たなければそれは進まない。そういうところから、八ドルという線は一番合理的な値段だろうというふうに考えておられるようです。ですから、アメリカは、将来やはりその線はくずさないだろうというふうに私どもは考えて参ったのであります。そうすれば、やはり国内の今の法外に安い値段というものは永続性がない。しかも、量的に大量に入手することは事実困難でありまして、だからごくスポットで、一時的な現象にすぎないだろう、こういうふうに私は考えております。
  48. 前田正男

    前田委員長 この際、先ほどの大臣の御答弁に関連しまして、松前君から関連質問の申し出がありますので、これを許します。松前重義君。
  49. 松前重義

    ○松前委員 至って簡単でありますが、先日大臣の御出席のない席上で、原子力委員会科学技術庁との行政的な責任の分界点について、原子力局長から御答弁があった。その御答弁内容からいうと、原子力委員会政府の諮問機関である、一口に言えばそういう御答弁がありました。そこで、われわれが、原子力基本法によってそうして原子力委員会を作ったときには、そういうつもりで作ったのではないのでありまして、原子力委員長原子力に関する行政の最高責任者のつもりで作ったわけです。そこのところを一つ明確に大臣から御答弁を願いたい。これは非常に大事な問題でありまして、もしそうでないならば、これは原子力委員会の性格その他をもう一ぺん再検討して、法律の改正その他も必要であるというふうに私は感じますので、この点一つ大臣にお願いをしたいと思います。政府の統一見解を一応御発表願いたいと思います。
  50. 三木武夫

    三木国務大臣 原子力委員会は、性格としては諮問機関だ、しかし、諮問機関であっても、その諮問は、よほど内容的にも異なったものを持っておるわけであります。それは企画、審議、決定は総理大臣がこれを尊重しなければならぬということになっておりますから、単なる諮問機関というより非常に影響力を持った、その決定というものに対しては、行政庁に対して非常に大きな影響力を持っておる。しかしながら、これは御承知のように行政執行権は持ってないわけで、これは新しい一つの式で、従来の諮問機関あるいは行政機関のカテゴリーを多少――新しい性格の委員会でありますから、そういうことで、そういうカテゴリーから考えればいろいろな疑問が起こりましょうけれども、新しい一つの性格を持った委員会だ。しかし、それはどういう性格かということを言われれば、行政執行権はないのでありますから、諮問機関であるといわざるを得ない。諮問機関といっても、従来の諮問機関とは違った、強い行政に対する影響力を持った諮問機関である、かように考えております。
  51. 松前重義

    ○松前委員 大体諮問機関という言葉が非常に誤解を生ずるものですから、そこの点をもう少し。今の長たらしい御説明がなくてもお話が率直にわかるように――大臣説明を聞けばだいぶわかります。だいぶわかる程度で、どうも的確にぴんときませんが、そこのところをもう少し御研究になって御発表にならないと誤解を生ずるので、原子力委員の方にはほんとうにお気の毒のような気がして仕方がないのですが、このことをちょっと……。
  52. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 関連して。当時参議院においてこの問題は相当長く論議の対象となりまして、速記録を読み返してみますと、私は経済企画庁政務次官として、答弁の衝に当たらせられて答弁をしておるのです。大体ただいま大臣答弁をされたような線で答弁をしておるようでございますから、あまりあやまちはなかったのじゃないかなと今思ったのであります。ただ、その後ずっと私原子力委員会のあり方を見ておりますと、ただいま松前委員の申されたように、一体これは行政委員会としての感覚から見た方がいいのか、諮問機関として見ていった方がいいのか、国家行政組織法から見ると、まことに紛淆疑わしい存在になり来たったわけです。特にわれわれは、その当時、強力な諮問機関であるならばこれに事務局を設置して、行政、諮問をはっきりと分けたらいいじゃないかというような意見も出したのでありますが、今日は、御承知通り、この事務は原子力局がやっているわけなんです。ですから、行政委員会でないのがいわゆる決定権を持っている。おそらく原子力局の鞅掌事務の規定を見ても、決定とはしてないけれども、推進という字を使ってある。同じことを書いてあるのです。だからどこからどこまでがどうなって、どこからどこまでがどうなのか、外観から見ますとすこぶる紛淆を来たすように見えるわけなのです。これは一度、松前委員の御希望もございますから、何か特別な研究処置を講ぜられまして、その間をはっきり割り切って、法体系においても明確な線を引いていただく方が、私は原子力委員会の活動においても、それから原子力局の活動においても非常にいいのじゃないか、さように考えましたので、ちょっと関連的に申し上げた次第であります。
  53. 赤澤正道

    赤澤委員 公社に対するさっきの質問の続きですが、理事長はパー・ポンド八ドルに目安を置くと言われましたが、実際はアメリカあたりでも、製練業者に言わせると、採算ベースは三ドル以下だ、三、四ドルでもけっこうやれるのだと言っておるようです。にもかかわらず、やはりこれは政治的ないろいろな含みもあることはわかっておりますけれども、大体八ドルというところに目安を置いて考えていいとお考えになっておられますか。
  54. 高橋幸三郎

    高橋参考人 その点は、内容にわたって十分調査しておりませんけれども、八ドル以下という場合は、たとえてみれば、アメリカの国内でもそうですが、カナダのような非常に大規模な設備を相当期間運転継続をして参った、そういう設備を持っておる場合は、もうすでに償却済みの工場を動かしておる。ですから、実際の仕上がりコストというものは安いようであります。五ドルあるいはそれ以下かもしれません。ですから、現物のストックが非常にふえて困るという政府考え方からすれば、それを安くさばくというふうな見方でそういう値段が出てくるだろうと思いまするが、しかし、新たに――ほかのカナダとかその他の国では新たな生産はストップしておりますが、アメリカだけは今でも新しい契約は出ております。私の知っている範囲では、ごく新しい、ことしの夏ごろの外国の情報でしたけれども、やはり八ドルに近い線で契約しております。私が八ドルという線をなぜはっきり言えるかといいますると、これはアメリカのAECの資源部長のジョンソンという方が、アルゼンチンの会議のときに、最後にその価格の問題に触れまして、かなり確信を持った演説をなさいました。そのときの表現が、八ドルという線が最も合理的な値段で、合理的ということは、つまり世界のウラン資源を開発する立場から見て、ペイしなければ開発がとうていできるはずはありませんから、ペイする線に乗せて、国内の、世界のウラン資源を――国内だけじゃありません。これは一国の問題じゃありませんので、世界のウラン資源をどうすれば人類のために利用できるかという観点から、八ドルという線は一番合理的でないのだろうかということが論拠のようでした。そういう意味で、私もその会議に列席しましたので、八ドルという線が、世界のそういうふうな考え方からすれば、大体順当な相場じゃないのだろうか、こういうふうに私は感じておるわけです。
  55. 赤澤正道

    赤澤委員 さっき三木大臣のお話を聞いておりましたが、どうもまだ、探査の結果見当のついた鉱量が非常にわずかで心細いから、これから先まだ積極的に進める気になれないという意味に私解釈したのです。やはり原子力委員にしても公社のあなた方にしても、学者はだの人が多いですから、慎重に慎重にとお考えになれば、あなたもこういう鉱山関係はお詳しいですから、実際会社を損さしてはいかぬというので、石橋をたたいて渡られる考えならまだ今の段階ではそうかもしれませんけれども、私はそうじゃないと思うのですよ。パイロット・プラントあたり作るのに大して金がかかるわけでもないし、人形峠だけではなしに、現地でも方面、麻畑あたり、とりあえず二十万トンくらいの鉱量が推測されるとか、神倉あたりが五十万トンぐらいあるとか、次々に出てくるわけです。まだ違ったところにも有望なところがあちこち見つかっておる状態ですから、やはりここらで、そんな消極的なことでなくてやるべきだ、パイロット・プラントぐらいは作って、今からそういう方面を着手するのだというくらいな企画を持たれませんと、いつまでたっても進まぬと思うのです。さあいよいよ粗製練でもやろうというときになっても、今でも人形峠についても二つばかり方式を採用して、どっちがいいか研究もしておられるようですが、鉱床ごとにやはり状態が違っておるようですね。ですから、そういった意味でも、やはりパイロット・プラントくらいは至急にお作りになる必要があるんじゃないかと思うのです。私も実は十二時から所用がありますので、急いで御質問するわけですけれども、今国際価格をお尋ねしたのは、さっき三木大臣も国産原料ということの特殊な立場は認めると言っておるのですが、何しろ残念ながら貧鉱のことですから、これを処理しましても製鉱値段にして、とてもアメリカの業者が、あるいはカナダのエルドラドあたりがやっておるような状態にはならぬと思うのですよ。しかし、それにいたしましても、やはりわれわれは、開発はあくまで進めていかなくちゃならぬという考え方に立っておるものですけれども、さっきパー・ポンドで製鉱のこと言ったわけですが、今のところあそこの開発を進めていって、国産原料の場合はどのくらいの価格に落ちつけられるという見当も全然お持ちになりませんか。
  56. 高橋幸三郎

    高橋参考人 御意見通り、私どもの現在考えておる線は、いつまでもこれをほっておくというということはございませんが、さしあたって鉱量の問題は、御承知通りで、最近東郷方面にまたいい鉱量が出ましてどんどん開発中でございますが、鉱量について、現在、これからわれわれがやろうという点についてはあまり心配はない。品位も、人形峠の方は、最初低かったものですから多少危惧の念がありましたけれども、東郷鉱山の方は、かなり品位のいいものが出つつありますので、実はわれわれとしてはかなり明るい希望を持っております。  それでは、お説の、いつからパイロット・プラントを入れてやるかという計画は、今年もうすでに――われわれは案は前から検討して参っておりまして、三十七年度の予算にそれは計上してございますが、大体のプランを御説明申し上げますと、かりに三十七年度の予算通りました場合には、すぐわれわれは調査準備にかかりたいと思っておりまして、予算を、三十七年度の次の三十八年度の予算に計上したいと思っております。そして、それがこっちの希望通り許可になりますれば、建設に約一年半ほどかかります。そうしますと、三十九年の中ごろに工場ができましょうから、そこですぐに試験に入って、引き続いて四十年、四十一年と、その規模でもってかりに百トンパー・デーという点でいきますと、年に三万トンですから、これは大した鉱量じゃありません。現在わかっている鉱量が、もうすでに人形峠だけでも百五十万トンございますし、それから現に確定しつつある東郷方面のあることも考えますれば、鉱量についてはその程度数字は心配ないと思います。そして仕上がり原価も、今の量が少ないから、比較的品位のいいところを抜き掘りするわけじゃありませんけれども、いいところをとろうと思えば困難じゃありませんから、いいところをとれば、そうコストは――先ほどの八ドル・パー・ポンドのアメリカの標準に近いところで、多少はオーバーするかもしれませんけれども、そんなところでいきたい、こういうふうに具体的には考えております。
  57. 赤澤正道

    赤澤委員 計画をもう少し具体的に伺いたいんですけれども、きょうは時間がないものだから――しかし、何だか大臣の話を聞いていると、鉱量がないのだからまだまだそんな段階じゃないという考え方と私は受け取ったんですが、あなたがやはり大臣にそんな感じを持たせられたということは失敗ですよ。
  58. 高橋幸三郎

    高橋参考人 それは、大臣のおっしゃったのは、本格的な開発をおっしゃったのだと思います。今私の申し上げたのは、いわゆるわれわれのいうパイロット・プラントで百トン・パー・デーというものはまことにちっぽけなもので、大臣のおっしゃったのは、さらにその二倍も三倍もある三百トン、五百トンという本格的な採掘を意味しているのだと思います。われわれの説明と今大臣のおっしゃったことと、食い違うとは思いません。
  59. 赤澤正道

    赤澤委員 それならけっこうです。本格的にやろうとすれば、十分パイロット・プラントあたりで検討した結果、自信のあるものをお作りになるでしょうが、今から急にどうこう言ったって解決つく問題じゃありません。ただ、あそこは非常に民間の鉱区が入り組んでおりまして、公社のものもあれば県や市町村のものもある、民間のものが非常にたくさんある、こういう複雑なことになっておりますね。そこで、公社としてもやりにくいお気持はわかるのですけれども、しかし、これはかりに民間の手で開発される方向に向かっていったとしても、公社が、それによって起こったいろいろな派生的な問題について責任を問われるものでもありませんし、公社側として、公社独自で将来ともやっていくのだ、開発、また採掘、粗製練、精練までやるのだという考え方でおやりになった方がいいと思うのですが、そこらの考えはどうですか。
  60. 高橋幸三郎

    高橋参考人 その点については、赤澤委員のおっしゃる通り同感でございます。われわれとしては、それを民間にやってもらおうなんという考えは、一向持っておりません。しかし、国内情勢が、御承知と思いますか、ウランの国有の問題なども出ておりますので、どういう情勢になるかについては、今後、しばらくいろいろな方面の情勢を判断の上に決定すべきだと思っております。
  61. 赤澤正道

    赤澤委員 貧鉱処理については、もちろん公社でも処理について――精練段階ではやっておるわけですし、粗製練でもそれぞれ研究しておられますが、民間でも並行してやっておるわけですよ。だから、あるいは民間開発の方がコストの上では安く上がるということも、考えられぬこともないわけですね。しかし、とにかくそれは今パー・ポンド・八ドルの線でいけるくらいな自信を持ってやるというお話ですから、そういけばけっこうですが、やはりこういうものを促進していくためには、もうからなければ開発しませんから、そうすると、やはり精練したものに対する価格保証なんかについて、これは原子力委員会ではどういうふうにお考えになっていますか、民間が開発した場合ですね。
  62. 石川一郎

    石川説明員 今から四年ぐらい前だと思いますが、あれは鉱石を買うというところまでは値段を発表した。その以後のことはまだ考えておりません。いかにも貧鉱でございますし、今お話しのように、鉱区が非常に入り乱れておりますものですから、どうも民間でやるのは非常にむずかしいんじゃないかという感じは持っております。しかし、まだ民間でやるとか、公社に引き続いてやっていただくということは決定しておりません。大体公社の方がいいんじゃないかというふうに考えておりますが、まだ決定をいたしておりません。
  63. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 関連して。ただいまの原燃高橋理事長のお話、それから石川原子力委員のお話を承ったのですが、赤澤委員の御質問に関連して伺っておきたいのです。  アメリカでもハドル・パー・ポンドの保証をして開発をやっておる。結局、原子力エネルギーの理想論からいえば、燃料も国産燃料でもっていくということが一番理想で、それは濃縮ウランという点になれば別問題でございますけれども、とにかく日本で自国産のエネルギー燃料を持つということは非常に望ましいことでありますが、これは何も私が申し上げるまでもなく、石川先生よく御承知のことと思うのですが、最初にボーキサイトからアルミニウムを金属化したときには、金よりも高かったといわれておるわけです。ですから、最初の製練に着手するときには、将来国家的に重大な問題であれば、やはり国家がこれに価格保証をする、安定感を与えて開発、製練に向かわせるという方策が必要なんじゃないかと私は思う。とにかく五、六年前に、〇・一%を含有するウラニウム鉱は一トン五千円という値段をきめられたのですが、その値段をきめられてから、今度八〇%のイエロー・ケーキは、どういう成分のものは幾らに価格を保証するということがないと、お先まっ暗で、みんなギブ・アップしているのじゃないかと思うのです。今世界的にウラニウムが、製練過程においてどんどん値が下がってきておる。しかし、ただいま高橋理事長のお話しのように、世界的なウラニウムを開発するという建前から、アメリカは八ドル・パー・ポンドをくずさないということを言っている。日本日本のウラニウム原鉱開発のために、イエロー・ケーキの価格を保障していくという政策は、私はあっていいと思うのです。そういうものがあれば、それは物好きな人がやるかもしれない。やって失敗に失敗を重ねて、ついに所定の目的を達成するかもしれません。そういう意味において、われわれは、原子燃料公社はもっと積極的に、失敗をおそれずにどんどんやっていいと思うのです。民間なら失敗すれば首つりしなければならないが、原子燃料公社は、失敗したって首つりする必要はない。だから、失敗をおそれて積極策を用いないということになれば、進歩というものはないということになりはせぬかと思うのです。ですから、そういうイエロー・ケーキに関して早急に一つ価格保証を設けて、積極開発に官民合同の力を注ぎ込むという方策をお立てになっていただいた方が、私は原子力全体の問題を推進するのにいいんじゃないか、そういうふうに考えるのでありますが、これに対して一つ御高見を拝聴いたしたい。
  64. 石川一郎

    石川説明員 ただいまはなにを持っておりませんが、ちょうどわれわれ、総合エネルギー対策の方に幾らか関係がございますので、われわれ、石炭に対してもある一種の意見は持っております。同じようなことをウラニウムに対してもやらなければならぬかもしれぬということは考えておりますが、民間の方に三十坑ぐらい探鉱してもらったのでありますが、まだどこからも出て参りません。見つからないものですから、そこを掘ろうということもまだ出てこない。鉱石が今見つかっているところは公社だけでございますから、もう少しゆっくり考えさしていただきたい大きな問題でございます。
  65. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 それはもちろん、ウラニウムの探鉱には国費が投ぜられておるわけですね。ウラニウムの探鉱に国費が投ぜられたということは、民間がウラニウムの探鉱をやったって間尺に合わない、それはガイガーの計数管でもって実在は認められるだろうけれども、これにボーリングをやる、探鉱坑道を切って鉱量の確定まで民間がやれるかどうか、やっても〇・一%の鉱石一トンが五千円では引き合わない。また、今までは、〇・一%の高率の含有量を示した鉱石というものは少なかったのであります。ところが、〇・ ○五%になると、価格がきまっておらぬでしょう。これは探鉱のボーリングの対象にはならないわけです。もちろん採掘の対象にもならない。しかし、そこに国家は必要性を痛感して、探鉱費を入れて、もうどのくらい入ったかわかりませんけれども、相当莫大な探鉱費というものをつぎ込んだわけです。ある量は見通しがついた、品位も見通しがついた、しかし、その製練の技術というものは、これは原子燃料公社だけがオーソリティではない。民間側にもたくさんあるかもしれません。もしこういうような確信を持った製練技術というものが確立されて、さあ一つおれが製練してみたいという希望者が出てきたときに、それでは保証価格をおつけになるのかどうか、そういう場合は国家が、イエロー・ケーキ八〇%の含有率に対してはどれだけの価格でもって買い上げてやる、そういうめどをつけていただかないと、民間業者はさっぱりお先まっ暗で、やる気が起きないのではないか、こう思うのでありますが、こういうふうな具体的な問題に対してはどうお考えになりますか。
  66. 石川一郎

    石川説明員 今も申し上げた通り、どうしたらよいか、石炭さえもまだきまっておりません。先ほど申し上げたのは、民間の鉱山に金を出して探鉱していただいたのです。約一億以上今までに使っております。ついでにマンガンならマンガンを掘って、そこにウラニウムがあるというところを探鉱していただいております。ところが、それが稼行するような鉱床にまだぶつかっておらない。そういうわけでありまして、今公社の方でやっていただいておるものだけが、どうやらめどがついておるのであります。ですから、今のお話は二つに分けて、民間の方でやっておるものは、将来有望になれるようなものはございません。これは通産省から奨励金を出してやっております。それから公社の方は、先ほど来お話しのような状況でございます。その方はこれからどうするか、長期計画の方もできるだけ民間でやっていただきたいというような希望を持って、期待するというようなことでありますから、そうなる場合には、これははっきり、今のお話のようなことを考えなければならぬということになると思います。
  67. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 石炭の問題は、日本に二百億トン埋蔵量がある。それを年産五千五百万トン掘って、これを合理化するために、今の石油の値段に比較してトン当たり千二百円引き下げたならば、これでもって追いつくかということに焦点があるわけです。ところが、貿易の自由化によって原油がもっと下がれば、千二百円引き下げたのでも間に合わない。それじゃどのくらい引き下げたらよいかというと、もう千円か千五百円引き下げなければならない。底なしの沼だ。そこで、抜本的に合理化対策を進めると同時に、どこの線でもって石炭の値段をギャランティするかというような体制における論議がかわされておることは、御承知通りです。それでありますから、私から申し上げるまでもなく、一体鉱山の鉱業というものは、探鉱をやって、採掘をやって、製練にまで持っていかなければ本筋じゃないわけです。今、日本の中小鉱山というものは、全部貿易の自由化の波にさらされて立ち行かない。これはやはり、国家が値段の保証をやってくれというのが一般の声です。同じようなことがウラニウムだって言える。ウラニウムが何百万トンあるという、この品位は平均すると何ぼだ、それを採掘、製練に持っていったときに、国家がどのくらいの保証価格をもって採掘、製練を積極化するという基本方針がなければ、だれも手をつけようとしませんよ。ですから、ほんとうにウラニウムというものの日本における実在性を確認して、これを採掘、製練に持っていこうとすれば、ここに何らか国家の援助策というものがなければ、これはやれないわけです。公社はやれるかもしれない。しかし、民間に、広く有能な方法、技術革新的な方法を見出して、さあこれに取り組めというときに、ある一定の目安、価格保証がなければ、採掘、製練に取り組む人はありません。ただいま赤澤委員の言うように、もうそろそろ、そういう実際的な製錬体制にまで入っていいんじゃないかということは、われわれも同感なんです。公社がせっかく何年間かやって、新聞辞令かどらか知らぬが、あそこにも何十万ある、ここにも何百万ある、日本にはすばらしいウラニウムがあるというけれども、何年たったって製練の過程には乗っていかないということでは、私は、原子力問題はマンネリズムに陥ったのではないかという声が民間側からあがってくるということも、無理はないと思う。だから、思い切ってこの際製練に取り組む、日本は、国内のウラニウム資源に対しては、イエロー・ケーキに対してこれだけの価格保証をするから、やりたい者は一ぺんやってみろ、公社もやるという体制を作っていかないと、なかなかこの問題は進まないのじゃないか、こう私は思います。もう一ぺん御高見を拝聴したい。
  68. 石川一郎

    石川説明員 まだ私は少し時期が早いと思います。もう一年か一年半くらい見てからやりたい、はっきりした案を立てたいと思っております。というのは、だんだん新しい鉱区が見つかって参りますが、鉱質も幾らか違うようです。そういうことをちょうど東海村の方の研究所で研究しておりますから、はっきり結論がついたときにやるべきじゃないかと思います。ちょうど高橋君が言われたように、来年、再来年くらいに考えたらよいのではないかと考えております。
  69. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 私の申し上げておるのは、そういうことじゃないのです。〇・一%の含有のウラニウム鉱の価格をきめるときも世界の価格を調べて、それからいろいろな条件をそれに加減乗除して〇・一%の鉱石は五千円でいいんだ、採掘しても間に合うだろうという保証価格をつけたんですよ。そういう保証価格を、もうそろそろ製練の方にもお考えになってしかるべき時期にきているのじゃないかということを申し上げているのです。それが一年早いというのは、一体どういうことですか。それは、日本ではそういう価格を作るめどがないということですか。
  70. 石川一郎

    石川説明員 製練方法が確定しておりません。人形峠の方はだいぶ研究が進んでおりますが、鳥取県の方は鉱石が違いまして、製練方法が多少違いますから、そういうことをずっとやっていかなければならないと思います。ほかの方は見つかっておらないのですから……。
  71. 前田正男

    前田委員長 次に、石川次夫君。
  72. 石川次夫

    石川委員 きょうは、朝から大型核爆発実験というような重大な、緊急性を帯びた問題などもあって、大へん時間が長引いております。私どもの方も大へん重要な問題でありますから、相当長時間を要する予定であったわけでありますが、時刻が十二時を過ぎておりまして、やむを得ませんので、ごく簡単に要点だけを御質問したいと思っております。  私の質問したいと思いますことは、最近原研の中で、これは事件と言ってはあるいは大げさかもしれませんが、少なくとも話題になるような事件が三つほどあるわけです。実は、この点について、原研の労働組合の諸君とも話し合いました。しかし、御承知のように、こういう純然たる科学技術の問題につきましては、経営者対労働組合という問題で処理すべきことではないということを考えております。しかし、御承知のように、原子力の科学というのは非常に若い科学でございますので、私がいつも言っておることなんでございますけれども、若い科学者意見は十分尊重しなければいけないのじゃないか、こういう意味で、それらの人たちの意見をしんしゃくしながら若干御質問したいと思います。  その前提としてまず申し上げたいことは、許容量考え方について、先ほど原子力局長の方からもお話がありましたように、ICRPで出しておる許容量の勧告は、決して許容線までの被爆はないであろうということではないと思うのです。これは、有害な影響と社会的な影響の間の妥協として、やむを得ずここまでは仕方がないのだということで認められたのが、いわゆるICRP勧告による許容量である。従って、これはゼロであるべきである、ゼロでなければならぬという考え方に立脚して許容量というものを考えていかなければならないというふうに理解いたしておるわけでございますが、原研の理事長さんもおいでになっておりますから、その点についてまず御意見を伺いたいと思います。
  73. 菊池正士

    ○菊池参考人 私、前回のこの委員会齋藤委員からのお話を多少誤解しておりまして、多少不穏当な言葉がございましたので、この場をかりましておわび申し上げます。  それから、今の問題でございますが、許容線量考え方については、今お話しになりました通り考えております。その妥協線と申しますか、これは原研の持つ使命とバランスにかけて、どういうふうにきめたらいいかということを考えて参りたいと思います。
  74. 石川次夫

    石川委員 それで、実は原研あたりでもいろんな実験をやっておるのでございますけれども、これはもちろん今の許容量考え方に従って、あくまでもゼロであることが望ましいという観点で行なっておると私は思うのです。やむを得ざる場合もあるかもしれませんが、少なくとも考え方とすれば、許容量まではやってもかまわないのだ、実験をする上には当然やむを得ないという考え方でおやりになっているとすると、私は非常に問題があると思うのですが、その点はどうお考えですか。
  75. 菊池正士

    ○菊池参考人 そういう考え方ではいけないと思います。ただ、原研の仕事をやります必要上、ある程度の被爆というものはどうしても避けられないと思っておりますので、それをできるだけ低く押えていくのが、放射線管理の任務であると思います。その場合、目安をどこに置くかという場合に、許容量というものが一つの線としてそこに出てきてはおりますけれども、極力避けるべく放射線管理をやっていくのがほんとうだろうと思います。
  76. 石川次夫

    石川委員 その点につきましては、いろいろ意見もありますけれども、具体的な問題をとらえながら一つ伺いたいと思います。  一つは、これは理事長から指示があって行なったことではないと思います。しかし、新聞などにも大へん話題を呼んでおりますのは、保健物理関係の部長さんが、人体実験といいますか、ストロンチウム許容量の五分の一くらいだったと思いますけれども、飲んでしまった、そのうちの九割くらいは短時日でもって放出してしまったというようなことを含めての発表があったわけであります。これは、私は、非常な研究者の熱意の現われだというふうに考えれば考えられないこともない、その点では敬意を表しますけれども、一体こういうやり方をする必要があったのかどうか、一体人間がやらなければならなかったことかどうかという点の疑問が一つ残るわけであります。  それからあと一つ、こういうことは言うまでもないのですが、しろうと考えでも非常に個人差がある。個人差がある問題を、一人の人間がやって大丈夫だということだけでは、簡単な、実験の結果、科学的な発表ということにはなり得ないのではないか。私は、電気に対しましても、個人差が非常に大きいという事実を発見したのであります。おそらくこれと同じようなことが、その放射線の場合にもあり得るのではないか、個人差が相当あるというふうに考えるのです。その個人差を無視したような意味で、とにかく大したことはなかったというような発表をしたことについてはいろいろ問題があるわけでございますが、これは理事長が知っていてやったことでも何でもないので、責めるつもりは毛頭ございませんが、こういう実験が必要であったのかどうか、そうしてああいう発表をしたことが妥当であるというふうに考えられるかどうか、その点をまず伺いたい。
  77. 菊池正士

    ○菊池参考人 まず、その発表の件でありますけれども、発表は、保健物理部長自身は発表をしていないのであります。ただ、新聞記者にする発表といえば発表でありますけれども、科学的な意味での発表は一度もしておりません。それでああいう結果になりましたことは、大へん私も遺憾に思っておりますが、今の個人差の問題について私が了解している範囲では、あの実験は、飲んだ結果が個人に及ぼす作用を見ようとしたわけではないのでありまして、九〇%以上が出たとか出ないとかいう問題は、いわば副次的な問題でありまして、あの実験をやろうと思ったことは、からだの中に入ったものの測定と体外に出ていくものの測定方法が、あの方法で正しいかどうかということを見たいということが主体であったと私は了解いたします。その点に関しては、測定方法の検査でありまして、個人差は、この点では問題にならない。ですから、あの場合に、あれをほかの動物でやるということは意味が違って参ります。生物学的な影響を見ようというものであれば、それは動物実験でできますけれども、ああいう意味の測定のやり方についての検査を見ようとするのだと、ほかの動物ではちょっとうまくいかない。しかし、ああいう実験につきまして、いろいろ御批判がありましたが、そのことのよしあしは別といたしましても、タイミングその他から申しまして、決してあれでいいんだとは思っておりません。その後いろいろ方々の御意見その他を伺っておりますが、今後、ああいう人体でやるような実験の場合には、事前に必ず私に連絡してくれるように一そうして十分検討の上でなければ許可しない方針であります。
  78. 石川次夫

    石川委員 青木さん個人を責めるわけではありません。非常に悲壮な勇気をもって、特攻精神でやられたことには敬意を表します。しかし、どうも科学者として、一体そういうことでよかったのかどうかという点と、あと一つ問題になりますのは、発表の時期が一まあ正式に発表したつもりじゃなかったのでしょう、おそらく新聞社のスクープのような形でこれは表面化したというふうに理解いたしております。しかし、結果的には、少なくとも核実験再開をして、放射線の障害というものは一体どうなるのかということが非常に話題をにぎわしておるときに、大したことはなかったんだということは、あたかも同じ時期に出てきたということになりますと、政治的なねらいはなかったにしても、結果的には非常に影響するところが大きかったという点で、私は非常に残念だと思うのです。このことにつきましては、理事長責任ではないわけでございますが、事後処理としては、今おっしゃったように少なくともこういう人体実験というようなことをやるような場合には、これは必ず理事長としての確認をされた上でぜひ一つ実験をするように、そういうことで御答弁がありましたから、この点についてはこの程度にいたしておきます。  そこで、先ほど申し上げた許容量の問題というものに今度はひっかかってくるわけであります。許容量の以内だからかまわないというような考え方許容量まではやってもいいんじゃないかというような考え方が前提にあるんじゃないかというような不安が、われわれとしては起こらざるを得ないわけなんです。やはり先ほど申し上げたように、許容量ゼロであってほしいという前提で一つ処理してもらわなければならぬということを一応申し上げて、その次の問題に移ります。  それはアルゴン四〇が冷却をして四一になって、これが放出をするということになっておるわけなんですが、CP5は特にアルゴンがたくさん出るように聞いております。CP5は、御承知のようにいろいろな問題があったのでございまして、一万キロというのが一万キロ現在は出ておりません。千キロぐらいしか出ておらぬわけであります。にもかかわらず、最初想定をした放射線量が、アルゴン四一に関しましては大体十倍程度も出ているというような話も聞いておるわけであります。そういうふうなことも含めて、どうしてもこの放出試験というものもやりたかったのだろうというふうに想像はするわけでございますけれども、この放出試験をやるということが発表されましてから、労働組合の方とは正式にちゃんと話し合って、了解をつけて、しかも、付近の住民に周知徹底せしめるという前提で、一つやってもらいたいということを連絡したといっておるわけであります。そういうことがあったにもかかわらず、一方的な発表でもってこの放出試験が行なわれてしまった。ここにもまた先ほどと同じような考え方が出てきますけれども、許容量までは差しつかえないのだというような考え方が、どうもこびりついておるような感じがして、仕方がないわけであります。これは、十日には六・三キューリー、十一日には十四キューリーというような放出試験をやったわけでございますけれども、そのときの安全体制というものは、一体どういうふうになっていたのだろうか。というのは、そのときには、見学者というものは依然として前と変わらないような形でもって、従前通り行なわれておったというようにも聞いておるわけであります。従って、〇・五レムが年間最大許容量というようなことを前提として放出試験をやってしまったのだろうと想像しますけれども、こういう試験がはたして必要であったのかどうかという点が、また私たちの非常に疑問とするところであります。休日のようなときをねらってやった方がよかったのじゃないかというような問題が出て参ります。放射能を伴うものでなければ、そういうような実験はできなかったのだろうか。しろうとの意見でございますが、そういうことも考えるわけです。少なくとも一万キロで予定したアルゴン四一の放出量というものが、すでに千キロの程度で出てきたというくらい、放射能あるいは原子力に関する測定予想というものは、日本の科学の力をもってしては――まあ世界の科学もそうかもしれませんが、非常にむずかしい問題なんです。そういうむずかしい問題でありますけれども、とにもかくにも、これはアルゴン四一の放出試験を一方的にやって――と言うのは語弊があるかもしれませんが、完全に従業員との了解点に達した上で、しかも、休日なんかを選んでやるべきであったというふうに考えるわけです。その点と、そういう放出試験というものは一体必要であったのかどうかという点について、一つ理事長の見解を伺いたい。
  79. 菊池正士

    ○菊池参考人 まず、その必要性の問題でございますが、これは今ちょっとお話がありましたように、確かに、現在空気中にありますアルゴンは、炉体の中を通って煙突から放出されております。その量は、もともと予想されたより確かに高うございます。これは十倍という数字は、必ずしも私の聞いているのとちょっと違います。その点はどうでもいいですが、確かに予想より出ております。ただ、そのことと今後の実験とは関連しておりません。今度の実験は、ああいう原子炉等の事故のアナリシスをする場合に、東海村のある一点から放射能が拡散して出た場合に、それがどういうふうに伝わっていくかということが、前々から問題でございます。それを今までずっと、沃化銀というこまかい粉末を煙突の上からまいて試験するという方法もやっておりました。しかし、終局的に放射能全体の影響を見ようと思いますと、そういう放射能を含まないものでやるのではどうしてもうまくいかない。放射能を持ったものでやることが非常に望ましい。それで実際にどういうふうに拡散するかということは、ハザード・エヴァリュエーションの場合にいつでも問題になります。現在日本で行なわれておりますのは、大体はイギリスの気象庁方式という式を使ってやっております。その式についてのチェックの問題は、これはイギリスなどでは、やっぱりアルゴンの放出によって行なわれておりますが、しかし、これはかなり気象条件や地形的な影響を持っておりますので、東海村の地形及びローカルの気象条件に対応してそれがどの程度まで適用し得るか、それを確かめたかったのがあの実験でございました。私は、これは確かに事前に相談を受けまして、やはり一応やるべき性質のものであるというふうに判断いたしました。  それから、あとの方の、休日を選ぶべきであったかどうかという問題でございますが、これも確かに、今おっしゃったように、許容量考え方と密接に関係を持っております。と申しますのは、もちろん被爆をゼロにするということが望ましいのでございますけれども、被爆をゼロにするためには、それだけの対策を講じるということになりますと、費用の上ばかりでなしに、実際問題として非常に困難な問題に遭遇いたして参ります。やっぱりどこで妥協するかということにいつもなりますから、問題がそういった形で出てくるのだと思います。この場合には、ふだんアルゴンのあれが何にもなしでも、煙突から出ておりますものの千キロの場合のちょうど十日分くらいに当たるものが、ただ二時間ばかりの間に出たという結論になります。ですから、アルゴンのこういう影響は、いずれ積算量が問題になって参りますので、千キロやっておれば十日分に出るもの、それを二時間でやるということになりますと、大体において、将来連続運転を始めるといたしますと、そのときの量よりもはるかに少ない量にもなりますし、それからいわゆる許容量というものから見ましても、外へ出ますものは千分の一以下になります。そういうような観点から、私は特に休日を選ぶとかいう、そういう方法をとる必要はないというふうに判断したわけでございます。
  80. 石川次夫

    石川委員 時間がないのは非常に残念でございますけれども、大体そのうちにコールダーホールという非常に大型のものがくるということを前提にして考えますと、アルゴンの放出量がCP5は特に多いのだということでございます。設計よりも一けた多い。一万キロの場合に想定したのは二百キューリー毎秒というのが、大体千キロワットの現状で百五十ぐらいあるのだというふうに話を聞いているのです。十倍近いという感じになります。この測定以上の、非常に多量のアルゴンが出ていたわけです。その原因は一体わかったのでありますか。
  81. 菊池正士

    ○菊池参考人 これは炉室全体を送風機で抜いておりまして、従って、気流がどういうふうに炉体の中を流れて、そして煙突へいく空気の量の計算は非常に困難でございます。従って、私は、その前のときの予想量というものに狂いがあったのではないかと思います。これは将来とも十分研究しまして、これを減らす方法についてはいろいろと考えております。しかし、そう簡単には減らないと思います。たとえば炉の中の遮蔽部分までも含めて、ニュートロンの温度分布を変えてもいいつもりでいろいろなことをやって、あるいはそれを減らすことができるかもわかりません。この違いました原因は、簡単に計算に乗らないような種類のものであったのではないか。従って、想定された計算に間違いがあったのではないかと、そういうふうに考えます。
  82. 石川次夫

    石川委員 いろいろ伺いたいのでございますけれども、どうやら聞いてみますと、その原因が相当明らかになっておらないような感じがするわけなんですが、そういうときに、こういう拡散実験というものをやるということよりは、その原因の究明をする方が先ではなかったかということと、安全体制というものの観点からいいますと、見学者は通常通りやっておったというようなことをいわれておりますので、その点については相当手落ちがあったのではないか。  許容量の問題でございますけれども、ここまではいいのだということではなくて、ゼロであることが望ましい、ゼロでなければならぬという考え方でいくとすれば、安全体制というものを十分に考えて行なうべきであった、こうわれわれは判断をするわけであります。  その点についての質問はこの程度にいたしますけれども、ここで原子力局長にちょっと伺いたいのです。実験をしたということの発表があった前に、予備実験というものをやっているという話なのでございますが、この予備実験については、原子力局の方に連絡がございましたか。
  83. 杠文吉

    杠説明員 予備実験とおっしゃいますのは、おそらくは七月中に行なわれたといわれているものをさしておっしゃっているのではなかろうかと思うのでございますが、七月中に行なわれましたというその実験については、承知いたしておりません。
  84. 石川次夫

    石川委員 その点、私は問題があると思うのです。予備実験では量は少なかろうとも、原子力局に何らの連絡もなしに、こういう実験が、いわばやみ実験のような形で行なわれたということに私は問題があると思うのです。そのことについては一応このくらいにしますけれども、あと一つ原子力局長に伺いたいのは、科学技術庁の告示二十二号に出ておる、いわゆる許容量みたいな考え方、これはやむを得ない場合はここまでは仕方がないが、ここまででとにかく最高限を押えなければならない、というような数字だというふうに解すべきだと思うのです。実験をするのだったら、ここまでかまわないのだというふうに解釈できるのか、この告示の性格を伺いたいと思います。
  85. 杠文吉

    杠説明員 先ほど来、許容量等についていろいろ御質疑があったのでありますが、私の方でも、冒頭お答え申し上げておりますように、許容量というものは一応ICRPの勧告においては定められておりますけれども、それまでは差しつかえないというような線量だとは考えておりません。従いまして、告示等におきましても、そこまでならば差しつかえない、そこまでならばどんどんおやりなさいというような意味のものではない。やむを得ずそこまでの量の実験を必要とするならば、まあ仕方あるまいというような意味の水準だというふうに解釈いたしております。だから、できるだけそれよりも以下において行なわれることを希望し、また、そのように指導していきたいというように考えております。
  86. 石川次夫

    石川委員 このCP5は今のところ千キロでございますけれども、これは将来一万キロに持っていこういう構想であります。そうすると、アルゴンが予想したものよりも多くなるということに、かてて加えて、コールダーホールが入ってくる、三号炉も一万キロということになっておりますので、地元のわれわれとしては非常に不安を感じておる。それと今原子力局長が言いました点について、告示二十二号に出ている数字は最低の許容量、ここまでは実験はいいのだということではないので、そういうことでやるということ自体が、法的に疑義があるじゃないかという考えがするわけでございますけれども、その点は、いずれまたあらためて質問の機会を得たいというように考えますので、この点については完全に安全体制というものを整えながら、見学者などのないような時期を選んで、慎重の上にも慎重を期すべきだ、放出試験などは軽々しくやるべきではないということを申し上げるにとどめたいと思います。  それからその次の問題でございますが、放出試験のときに拡散状態がどうなっているのだということを調べた、その副産物として出てきた問題として一これは理事長はよくおわかりになっておることと思いますが、リニヤックから放射線が出ておったということが偶然発見された。ですから、もし放出試験というものがなくて、放射能の線量の調査というものをやらなければ、これはとんでもない、このままずうっと永久に続いていくことになる危険性を持っておったというふうに考えるのです。その点、放出試験をやったことの一つの成果があったというような皮肉な見方も出てくるわけでありますけれども、一体これをこのまま放置したならばどういう状態になったかということを非常におそれておるわけであります。これが偶然発見されたからよかったのでございますが、発見されなかったらどういう影響を与えたのでしょうか。
  87. 菊池正士

    ○菊池参考人 あの事件は全く遺憾な事件でありまして、いろいろとその原因等を追究いたしまして、結局、あの実験室の当事者にある程度注意の点があったということに結論としてなりまして、四名に対して厳重に警告をし、処罰をいたしました。  ああいうことは実際困ることでありまして、今最後におっしゃいました、あれがあのまま続いたらという問題でございますが、これは、今後のことを申しますと、今後は漏るおそれのあるところの定期検査その他の線を強めまして、ああいうものがあれば――あること自体がはなはだおかしいのでございますが、あってもそういうことが実際ないような態勢をとって参りたいと思っております。
  88. 石川次夫

    石川委員 これは伺いますと、建物の付近では一レントゲン・パー・アワーくらいのものがあった、片方の離れたところでは十レントゲン・パー・アワーということであります。これがそのまま放置されれば非常に問題が大きかったのじゃないか。それがたまたま放出試験、これはわれわれは相当慎重を要するし、やるべきでなかったと思いますが、その放出試験の調査の結果出てきたというところに相当大きな問題がある。そういうふうに、いろいろと予想することのできないような事故というものが、原子力関係の仕事には往々にして出てくるので、これは今菊池さんもおっしゃいましたように、安全体制というのはよほどしっかり考えなければいかぬ。保健物理というものも、そのためにあるのだと考えております。おそらく、その事後の処理としては、理事長の通達も出ているようであります。それから遮蔽などを行なって、絶対今後二度とそういうことの起こらないような態勢をとっておると思いますが、具体的にはその地点に一体どういうふうな対策をおとりになっておりますか。
  89. 菊池正士

    ○菊池参考人 具体的には、放射線が漏れましたのは、一部に遮蔽のロックの中に――将来その方向へはビームを出す予定になっておりまして、これは出すようにちゃんと修理をいたしてあります。そのための穴が、十分ふさがれておらず出ております。その部分に十分の遮蔽を施しました。それから出ていた部分は、大部分がふだん人の通らない松林の部分が多いのでございますが、その部分に全部綱を張りまして、標識を施しまして立ち入りを禁止する処置をとっております。将来その方向へビームを出すことになりましたならば、もう少し恒久的な遮蔽の装置を十分作る必要があると思っております。
  90. 石川次夫

    石川委員 大へん瞬間が長くなって恐縮でございますけれども、ここで考えられますことは、こういうふうに、予想できないような放射線というものをどうしても浴びる機会が出てくるという事例が、一つはしなくても出てきたわけであります。実は損害賠償補償法が出ましたときに附帯決議が出ております。従業員の補償というものは、まず十分に考慮すべきである。ここにおられる齋藤さんなんかも非常に積極的な意見を出しまして、これが附帯決議になって出ておるわけであります。この補償の考え方は、二通りあると思うのです。いわゆる予防補償という考え方と、それから災害保険の適用という問題になって参りますが、そのうちの一つといたしまして、この間新聞に大きく出ておりました、村地教授がなくなられたという非常に不幸なできごとがあった。それから私が伺っておるのでは、そのほかにもいるのだそうであります。といいますけれども、これは本人に対して人道上の大問題でありまして、本人にあからさまに伝えることはできない。公表ができないということだけで、そういう学者の中で、現在そういう障害にあっておられる不幸な方がおられるということを聴いております。ここではそういうことは言うべきでないだろうと思いますが、そういうことがありますから、今と違って、不注意に放射線を扱ったというところに原因があるかもしれません。しかしながら、今の事例にございますように、十分の上にも十分の安全対策をしいたのにかかわらず、ビームから放射線が漏れておるという事故がはしなくも証明しておりますように、はからざる放射線というものを受ける危険性というものは、第二者、従業員には多いわけであります。従って、そういう人たちに対しましては、災害保険の関係と予防補償というものは十分にすべきではないか、こう思うわけであります。この予防補償の関係では、菊池さんにばかり質問して恐縮でございますけれども、原研の中で関係者が全部集まりまして、理事者側と組合側と両方が集まって、予防補償というものはこうすべきだ、このくらいの放射能を浴びたときはこのくらいだという額まで出して、受けた放射線の比例に応じた額を月々の手当とする。将来起こり得るであろうことに備えての予防補償というものは正しい考え方であるということで、一つ結論が答申書として出ておるわけであります。これは原子力局との交渉あるいは大蔵省との関係もあるかもしれませんが、なかなか軌道に乗っておらないということを聴いておりますけれども、所側においても、もちろんこれに対しては十分な検討を加えて、組合側と打ち合わせをして、一つ結論が出ておるわけでございます。これは当然実現をさせなければならぬ責任があるのではないか。もちろん組合の方からいえば、この程度では非常に不十分だという考えを持っておると思うのでございますが、とにもかくにも、両方が打ち合わせた結果、こういうふうな答申書が出ておるのです。これがなかなか軌道に乗らない。おそらく産業界の方で、そういうものを出されたのでは容易でないのだというような考え方が、強くこれに働いておるのではないかというふうに想像はいたしますけれども、この衝に当たるものの責任といたしましては、実現をさせることに積極的に考慮を払うべきである、そういう責任をとるべきであると思うのですが、ここに三木さんもおいでになっておりますので、この予防補償というものをどうお考えになっておるか、それから菊池さんには、一体これをどうしても実現させるという熱意を今でもお持ちになっておるかどうかという点について、見解を伺いたいと思います。
  91. 三木武夫

    三木国務大臣 従業員の災害補償制度については、附帯決議もございましたし、労働省とも連絡をして、あるいは原子力部会等も、この問題については広い視野から検討を加えておるわけでございます。  その次にお触れになった予防補償の考え方、一定量の放射能を受けたときに、人体に対して何らの障害がないような場合にも、これに対して補償せよという考え方であります。これはなかなかのむずかしい問題であります。いろいろほかの諸国などの例も調べてみましたけれども、こういう補償の例というものは、なかなか諸外国においても実施していないように承知いたしておるわけであります。この問題については、今すぐにこういう問題を実況するということを申し上げることは困難であります。今後の研究課題として検討いたしたいと思っております。
  92. 菊池正士

    ○菊池参考人 この点につきましては、私は答申をもらいまして、それに対する私たちの考え方をはっきりと所に出しましたし、今でもその考え方を持っております。もちろん現在の状態では、労災保険による補償だけでは不十分である。これは私も十分に認めるわけでございますが、非常に低線量の分の保証の問題については、私はどうしても納得いきませんので、非常に低線量の分では、そういった形の保証ということには私は不賛成であるという意思を、その時分にはっきりいたしております。低線量と申しますのは、先ほどから問題になっております許容線量以下ということであります。ただし、こういったものを取り扱うについては、いろいろそういった危険を伴いますから、従業員に対して、そういうふうな障害補償という意味でなくて、取り扱い手当式の意味での手当というものは出してやりたいという考え方は、今でも持っております。むしろそういう低線量の面での補償ということとは考え方が違いますけれども、実質的にはそういう形である方が正しいことのように思っております。ですから、あの答申に出ましたものを、そのままの形で実現すべく努力できないという倉見を私は表明しております。その点は今でも考え方は変わっておりませんが、実質的に、私は大体ああいう考え方が満たされる方向に持っていきたいとは考えております。
  93. 石川次夫

    石川委員 町間が大へんたちまして恐縮でございますが、実は何回も申し上げますように、この答申書というものは、所側と労働組合側との両方の合意で一応出した結論なんです。従って、理事長さんはこれを見られても、これは自分としては納得がいかない点があるとおっしゃるかもしれませんが、この結論が出たのには、やはり理事長としての責任を持たなくちゃならないと思うのです。従って、内心は、菊池さん個人の意見としてはこれを実現させたいというお気持であろうと思いますが、諸般の事情から、そういうことが公開の席上言えない立場にあるのだというふうに理解いたしますから、これ以上は追及いたしませんけれども、とにもかくにも、今のような予防補償という考え方に該当するかどうかという点については問題がありますけれども、放射線手当というようなものは、現在でも出ておるわけであります。たとえば電気通信研究所の茨城支所というのが東海村の近所にできておりますが、ここでも手当がついております。それから神奈川県立の工業試験所、東京都のアイソトープ総合研究所、それからエキス線の技師でも国家公務員の場合には一日三十円、東京都では月二千円というように出してある実例は多いわけです。やはりそういう考え方で、それよりもかなり思いがけない危険性が多いと思われる原研の従業員には、第二者災害賠償の一環として、予防補償的な考え方は当然とられるべきではないか、こう考えるわけですが、ここではっきりした答弁を得ることは非常に困難だと思いますので、予防補償についての考え方は、いずれあらためて伺う機会を持ちたいと考えておりますが、とにもかくにも菊池さん自身としては、熱意を持ってこの実現に努力をしてもらいたい、こういうことを申し上げるにとどめたいと思います。  それで、今度は災害保険の場合ですが、先ほども気の毒な実例としての村地先生の場合は、すでに現職を引いております。従って、これが職務による障害であったかどうかというようなことの証明が非常に困難だというところから、災害保険の対象にはならないだろうということがいわれておるわけですが、ここには担当の方がおられませんけれども、一応原子力局長あたりから、これは一体災害保険の対象になるのかどうか、この点についての見通しを、知っている範囲でお聞かせを願いたいと思います。
  94. 杠文吉

    杠説明員 残念ながら、村地先生の場合の状況につきましては、新聞に報ぜられていること以上のことを承知いたしておりません。いずれの場合の障害によって村地先生がおなくなりになったのかというようなことは、その原因にさかのぼってのことを承知いたしておりませんので、やはり石川委員が御指摘になったように、確かに放射線関係の仕事をなさっておったのでございますから、一つの例として考えられますので、今後も十分な関心を持って調査はいたしてみたいのでございますが、現在のところ何らの資料を持ち合わせておりませんので、お答えいたしかねるのでございます。
  95. 石川次夫

    石川委員 この前、全会一致をもって付帯条件をつけて、原子力損害の賠償に関する法律案が通過したのでございます。そのときの付帯条件をあらためて読み上げるまでもございませんが、「原子力事業者の従業員の業務上受けた災害に対しては、労働者災害補償保険法の適用のほか、原子力損害の特殊性にかんがみ、必要に応じ、別途被害者の保護に遺憾なきよう立法その他の措置を講ずべきである。」こういう付帯条件がついておりまして、この付帯条件を十分に尊重することを前提として、非常に不満な点も多かったわけでございますけれども、この前の原子力損害の賠償に関する法律案というものが通過したということは、今さら申し上げるまでもないと思います。そこで、今の村地先生の場合は、おそらく私は、労災保険の対象にならないんじゃないか、こういう公算の方が大きいと思います。そうしますと、原子力を扱う従業員というものは、非常に悲惨な目にあう危険性があるわけです。でありますから、たとえば広島の場合にそのようなことが行なわれておったようでございますが、あそこにおった人が、あの土地にあの時点でおった人は、その後白血病その他の症状が出れば、全部例外なく、その被爆の結果そうなったのだという認定をしております。それと同じようなことを、原子力を扱う従業員に対しては適用する必要がどうしてもあるのではないか。従って、この原因がわからないから、これは放射線の障害であったかどうかわからぬということでは困ると思うのです。それから仕事をやめてから後でもこれは出てくる。非常に潜伏期間が長くて、十年あるいは二十年たった後に出てくるという可能性も多い病気であることは、言うまでもないわけでございますから、これを無条件に、そういう仕事に携わっている人に対しては特別の立法措置を講ずることによって、その従業員の保護をはかるということでなければ、私は原子力科学の推進をはか上るにおいても非常に大きな障害になるのではないか、こう思うわけなんです。従って、特別立法をして、そしてこれは従業員が出すということじゃなくて、使用者といいますか、経営者といいますか、そういう側が全額負担するという別途の法案を用意して、無条件的に、そういう仕事に携わった人に対しては、そういう放射能障害的な現象が出れば、その結果当然出たものだというふうにみなすということがなければ、私はいかぬと思うのです。この立法を急いでもらわなければならぬと考えておるわけでございますが、これに対する三木長官の御意見を伺いたいと思います。
  96. 三木武夫

    三木国務大臣 従業員の災害補償制度については、できるだけ早く結論を得たいと検討いたしております。予防補償の点については、にわかに賛成できないということは申し上げた通りであります。
  97. 石川次夫

    石川委員 予防補償の点についてもあらためて伺いますけれども、これはやはり手当的な形で出すべきだという意見を持っておることを申し上げておきます。せっかく附帯決議が完全に尊重されるという前提で補償法案が通っておるわけでございますから、これはぜひ実現することに積極的に努力していただきたいということを、重ねて強く要請しておきたいと思います。  そのほか、まだありますけれども、まだ岡さんからも何か質問があるということでございますので、なお機会を得てこの予防補償並びに災害保険の関係については質問をしたいと思いますので、きょうは一応この程度にしておきたいと思います。
  98. 前田正男

    前田委員長 岡良一君。
  99. 岡良一

    岡委員 質問は全部次の機会に私は譲りたいと思いますが、ただいまの石川君の原子力事業の従業員の業務上の災害に対する補償でございますが、附帯決議の際、私はその趣旨弁明をいたしました。私どもの全会一致をもってうたった附帯決議趣旨は、この損害賠償法が実施されるときには、もう次の条件は具備されておらなければならないということが、まず前文にうたってあるわけです。その中に、特に労働者災害補償保険法の適用のほかに、原子力損害の特殊性にかんがみて、必要な立法措置等についても、これは責任を持ってこうしてもらいたいということがうたってあると思います。その当時も、すでに、労働省の諸君にも来てもらった論議の際にも、とにかく原子力災害、放射能障害というものは、たとえてみれば被爆してから病気が発生するまで非常に時間がかかる、なかなか現在の労災法ではこれは救えない状態がある、これは一体直接被爆と因果関係があるのかどうか、挙証責任というものが当人に与えられておっても、医学的になかなかむずかしいのではないか、あるいは労災の特に打ち切り補償になってくると、症状の固定ということが条件になっておる、ところが、放射能障害というものは固定した症状というものがなく、季節とか生活環境によってまた病的状態になり、生産力が失われるというような状態になるわけで、この労災法ではなかなか救えないものがあるのではないか、であるから、こういう特殊性を考えて、ぜひ一つ責任ある対策を講じてもらいたい、これは損害賠償法が実施されるときには、これもあわせてぜひ一つ具備するようにすべきであるというのが、実はこの附帯決議趣旨でございます。でございまするから、先ほど来の長官の御苦心も重々私は了解いたしますが、来年の三月には損害賠償法が実施されるのですから、実施されるまでには原子力委員会としても、ぜひ一つ従業員の放射能災害の補償につきましても責任ある措置を講じていただきたい、このことを強くお願いいたす次第でございます。
  100. 三木武夫

    三木国務大臣 できる限り附帯決議趣旨に沿うて、結論を急ぐことにいたしたいと思います。
  101. 齋藤憲三

    齋藤(憲)委員 御質問申し上げたいのでありますが、時間の関係上やめます。次回適当な機会にお伺いいたしたいことは、先ほど来御質問申し上げました原子力長期計画に基づいて、十カ年間に百万キロワットの発電所を作るという問題に対する具体策――私考えみますと、どうも今のステップではできないと思う。しかし、こういう長期計画を発表されて、その実現的な具体策がないと、どうもわれわれがほかへ行って、お前、十年間に百万キロの原子力発電がほんとうにできるのか、ああいう発表をしておるからできるのではないかと思うでは、なかなか責任も果たされないわけでありますから、こういう問題に対して、日本原子力発電会社と原子力委員会とは一体どういうような話し合いを進めておられるのか、まず第二号炉までは原子力発電会社が作ることになっておるが、その後は一体どこの会社が、どういうような形式で原子力発電所を作っていくのか、そういうことが雲をつかむようでさっぱりわからないのでありますが、そういう点について御質問を申し上げたいと思いますから、十分一つ御相談の上で、具体的な回答を得られるように御準備をお願いいたしまして、次会に質問を譲ります。
  102. 前田正男

    前田委員長 本日はこの程度とし、原子力関係質疑はなお適当な機会に行なうことといたし、次会は、明二十六日午前十時より、地震予知等に関する問題について参考人より意見を聴取し、また、対ガン科学技術に関する問題について調査を進めます。  なお、参考人の各位には、御出席を願いまして大へんありがとうございました。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時一分散会