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米田勲君 大臣の今後の努力のことについては一応了解をいたしますが、ここで理解をしておいてもらわなければならぬのは、都道府県の方で積極的にそういう
予算を組む意思があるなら
文部省の方も組みましょうでは絶対に
改善していかれないということですよ。
文部省が積極的にその問題を打ち出せば、都道府県はその線に苦労をしながらでも合わせてくるというのが実態ですよ。
文部省がある水準を出せば、決してその水準以上には特殊な県以外は思い切った文教費を組まない、それが実態ですよ。主導権はあなた方が握っておる。あなたはよく地方分権というようなことを言われますけれども、実際は一つ一つきょうは長い時聞あなたに聞いて参りましたが、一つ一つの問題をとらえてみても、すべてあなた方のところに主導権があるのです。実態は、
法律はどうあろうとも、あなた方が一つの水準を示せばそれにみんな右へならえです、四十六都道府県は。だから日本全体の文教を前進させるということを考えるなら、まず文部大臣みずから思い切って国家
予算の中で飛躍的に都道府県に対する
補助、
法律の改正等を行なってやっていく以外にないということをあなたにぜひ御理解を願いたいわけです。
いろいろこまかい点にわたってまでは気が回らないことではありましょうけれども、しかし、少なくとも来
年度の
予算編成の八月ころからは、もう少し文部大臣も全般的に目を配って、この人方の言うことだけを一方的に聞かないで、現場の意見も現場の実態もよく文相みずから把握されて、そうして思い切った荒木文政がこういう諸問題の点に打ち込まれますようにぜひ私はこの際に希望しておきます。
そこで最後に一つ二つ時間がなくなりましたけれどもかんべんを願って私は申し上げたいのです。
それは、文部大臣は日教組の代表とは交渉をいたしませんと言い続けております。あなたのお考えはたびたび聞きました。あなたのお考えもある程度私は理解しております。しかし、私はあなたの言っていることには確かに
法律上の根拠はありますけれども、日本の
教育全体をよくしていこうとする実際的な立場に立てば、もっと判断の仕方が変わってしかるべきではないかというふうに私は思うのです。なぜ、私がこういうふうに申すかというと、あなたは日教組の幹部はおきらいのようであります。しかし、これは毎年、大会で
選挙をされてかわります。今の幹部がきらいだから会わないというのであれば、まあ、会う会わぬは自由だとあなたはいつも言われるから、それは別ですが、しかし、日教組と話し合いをする法的な根拠も、義務も、権利もないのだから話し合う必要はないという考え方は、私は、もう一度あなたは御検討願いたいわけです。なぜかというと、私は、この
予算の
分科会にメンバーを入れかえてもらってきて、あなたにお話をしている意味は、こういう現場にたくさんの問題があるんだということを知ってもらいたかったからだ。これは全国の職場から、それぞれの単位の都道府県の組合がこの問題を集約し、日教組へ問題を集約して、
教育の現場の
改善をはかろうと真剣に考えておるのです。それが実態なのです。行動の中には、あなたの立場からいえば、理解のできない、納得のできないことはあるかもしれません。しかし、それが全部ではないのです。
教育の現場をよくしようとして、一つ一つの問題を現場から集約して来ながら、この全国的な日教組の機関に、これらの私がきょう申し上げた問題を集約してあなたに訴えようとなさっている、彼らは。あなたに言わせると、都道府県の
教育委員会が法的に交渉の相手であり、場合によっては労働協約に似たものさえも結べるようになっておるのじゃないか、至れり尽くせりの制度ができているじゃないか、そことやりなさい、そう言われておる。何かの雑誌の対談でも私は読みました。しかし、その言い方は、実際の問題をそういう
法律ですりかえて、あなたの都合のいいような結論を出しておるということをぜひ私は理解していただきたい。なぜかというと、都道府県の組合が都道府県の
教育委員会と交渉をしても、先ほどから私はここで
予算の問題一つ一つを指摘したように、当事者能力がないのだ。
法律上はあるかもしれませんよ。形式上はあるでありましょう。しかし、
教育の現場の諸条件を
改善をしていくというためには、当事者能力は私はないと思う。都道府県の
教育委員会は、すべてやはり
文部省に来て、
文部省に了解を願って、国家
予算でつけてもらって、そうしてでなければだめなんです。都道府県の
教育委員会が、待遇の
改善、手当の
改善をしようと思っても、やることは自由だが、金がないのですよ。県費まる持ち出しでそんなことをやれる、そういう県はわずかしかないはずです。すべてやはり国からの
補助をたよって
改善をしていくしかない。それをイエスかノーか言ってくれる場所はあなたの場所なんです。あなたなんです。あなたのイエス、ノーを聞かなければ、団体交渉をやっても、都道府県の
教育委員会は組合に対して的確な答弁はできないというのが実態なんです。だから未解決の問題がある。その未解決の問題が、現場の者たちの作っておる職員団体の機関に集約してあなたに訴えようとしている。それが交渉をしてくれということなんです。もちろん、労働協約権を裏づけにした団体交渉権は彼らにはありません。
法律できめた団体交渉権もありません。しかし、少なくも荒木文部大臣が、日本の
教育全体をよくするために、日本の
教員とよく話し合って、理解をし合って、協力をし合っていく体制ができない限りだめだという観点に立つならば、私は大胆に、彼らと話し合いでもいい、交渉でも応ずることが正しいと思う。そこで、あなたがあちらこちらで日教組のやり方について意見を述べられていることを、その席上、大胆率直にあなたは述べられてしかるべきだと、私はこういう批判をしておるが、君らの一体見解はどうなんだろう、こういう事実があるが、君らはどう考えるのだといって、文部大臣が彼らに率直に意見を訴え、また彼らが現場で隘路となっている問題に率直に耳を傾けていく、そういう融和した話し合いの中、協力した話し合いの場を作ることが、私は日本の
教育を正しく前進させる大切な条件だと思っております。いたずらに日教組の本部と荒木文部大臣が対立をして、あんなものに会うか、片っ方は片っ方で手きびしく批判をしておる。あなたが幾ら日教組の本部を誹謗しても、実態は現場の
教員から積み上げられたあそこは機関なんですよ、少なくとも。その機関の代表者と会うことを、私は政治的な
目的がないとしたら、会わないとして今日まで頑強に通されているあなたの態度に対して、もう一度御検討を願うべきだ、それが日本の
教育を憂えておる者の共通の願いだ、私はこう思うのです。自由民主党から出た荒木文部大臣という政治的な立場はあるでしょう。しかし、日本の
教育は、現場の
教職員と文部大臣が対立をしている中では絶対に正しい方向に
改善はできません。このことに思いをいたし、そして一つ一つの
予算の問題で、
教育委員会が当事者能力のないことも、あなた自身も御理解いただいたと思いますので、この際従来の態度はあり、お考えはあったでありましょうけれども、ぜひ近い将来に検討を加えて、現場に起こっている
教育の諸問題についてよく事情を聞こうではないか、自分が努力していく
重点はどれかということはみずから判断するとしても、現場の人たちの代表の意見も聞こうではないか、しかし、自分の方でも、日本の文教政策上日本の
教育の将来のために思わしくないと考えておることは大胆率直にその場所で話をする、そういう話し合いの場ができてこそ、私は日本の
教育の前進のために大きなプラスが出てくるのだと思うわけです。いたずらに対立抗争していることだけで日本の
教育は前進しないということを、かねがね思っているわけであります。だから文教
委員会でもあなたにいろいろな角度から申し上げているのでありますが、ここであらためてあなたに、この地方
教育委員会の、私の判断では団体交渉の当事者能力がない、実態はないということと思いあわせて、団体交渉――
法律に言う団体交渉ではもちろんない、協約権を伴う団体交渉でもないでしょう。しかし、日教組の代表者と
教育の諸問題について話し合うという雅量と、そういう考え方を近い将来にぜひ打ち出してもらうような御決意はないか、あらためてお伺いします。