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1961-03-30 第38回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月三十日(木曜日)    午前十時二十五分開会    ——————————   委員異動 本日委員小山邦太郎辞任につき、そ の補欠として太田正孝君を予算委員長 において指名した。    ——————————  出席者は左の通り。    主査      武藤 常介君    副主査     千田  正君    委員            太田 正孝君            金丸 冨夫君            白井  勇君            平島 敏夫君            山本 利壽君            田中  一君            羽生 三七君            森中 守義君            松浦 清一君            森 八三一君   担当委員外委員            辻  政信君   国務大臣    運 輸 大 臣 木暮武太夫君   政府委員    運輸政務次官  福家 俊一君    運輸大臣官房長 辻  章男君    運輸大臣官房会    計課長     原山 亮三君    運輸省海運局長 朝田 靜夫君    運輸省海運局次    長       若狭 得治君    運輸省船舶局長 水品 政雄君    運輸省船員局長 吉行市太郎君    運輸省港湾局長 中道 峰夫君    運輸省鉄道監督    局長      岡本  悟君    運輸省自動車局    長       國友 弘康君    運輸省航空局長 今井 榮文君    運輸省観光局長 津上 毅一君    海上保安庁長官 林   坦君    高等海難審判庁    長官      増田 一衞君    気象庁長官   和達 清夫君   説明員    大蔵省主計民主    計官      谷川 寛三君    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道副    総裁      吾孫子 豊君    日本国有鉄道常    務理事     兼松  学君    日本国有鉄道常    務理事     磯崎  叡君    日本国有鉄道常    務理事     滝山  養君    ——————————  本日の会議に付した案件 ○昭和三十六年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十六年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十六年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)    ——————————
  2. 武藤常介

    主査武藤常介君) ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  分科担当委員異動について報告いたします。  昨二十九日、太田正孝君の委員辞任に伴う補欠として同日、山本利壽君が第三分科担当委員になられました。    ——————————
  3. 武藤常介

    主査武藤常介君) 昭和三十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、運輸省所管について昨日に引き続き審議をいたします。  なお、分科会における審査は本日中に終了し、一応午後三時から委員会が開かれ、主査報告が行なわれる予定になっておりますので、その点なおお含みの上御審議をお願いいたします。  運輸省関係につきましては、昨日運輸大臣から説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 羽生三七

    羽生三七君 昨年の予算委員会の同じこの第三分科会で、私は楢橋運輸大臣国鉄経営あり方について基本的な見解表明を求めたことがあります。つまり公共企業体という立場独立採算制という立場とそのどちらが基本的な性格なのか、この基本的な性格についての見解表明を求めましたところ、当時の運輸大臣は、その点については十分検討をしたいということでありましたので、その後もちろん国鉄当局においてもこの問題は検討されたことと思います。また十二月の臨時国会の際、池田総理に対してやはり同様見解をただしましたところ、池田総理も、ちょうどあれは運賃値上げが問題になりかかった際でありましたが、総理としては、しごくごもっともなことであるから、運賃値上げを決定するに際しては、まずこの基本的な性格から検討をしてかかりたい、こういう答弁をされたわけであります。しかし、今度政府運賃値上げに踏み切ってから後の国会答弁を承っておると、一応の見解表明はあるけれども、まだ基本的には非常にあいまいだと思います。従ってまず最初にこの国鉄経営あり方という問題、特に公共企業体独算制というこの二つの問題についていかなる基本方針をお持ちになっておるのか、まず最初にこの問題からお尋ねをいたしたいと思います。
  5. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) お答えを申し上げます。国鉄は、御承知通り日本国有鉄道法の第一条で公共福祉増進をすることを目的としておる事業でございまして、一方ではこれは公共という名を冠しておりますけれども企業でございますから、能率的に運営する必要のあることはもちろんでございますので、この見地から独立採算制をとっておるわけでございます。従いまして一見いたしますると、公共的の仕事と、いわゆる一般社会福祉増進目的とするという仕事、場合によりましてはこのことはそろばんにもちろん引き合いませんので、赤字を出すことあるべきこともまた予定されておるような仕事でございまして、これらを御指摘受けまする国鉄財政の上から見ますると、公共的負担といわれておる仕事でございまして、この公共的負担と、一方公共という名前を冠しておりますけれども一つ企業体であるという点から、能率的に経営しなければならぬという点から、独立採算制にいたさなければならぬという点とは、一見いたしますると、矛盾をいたしておりますような性格を持っておる二つの柱で立っておるのでございますが、元来高度の公共性を持っておりまする国鉄といたしましては、独立採算制のゆえをもって、公共性負担を免れるというようなことはできがたいのではないか。まことにこの二つの調和をとるということが、非常にむずかしいところではございますけれども、このバランスをとりながら、国鉄経営に当たるべきものである、こういうふうに私ども考えておる次第でございます。
  6. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、どちらに重点があるということでもなく、その間は適当にバランスをとって調節をとっていく性格のものだ、それが国鉄経営あり方と、こう了解してよろしいんですか。
  7. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) どちらに重点ということを取り上げて申し上げまするときには、公共的という方が重点的であるように思われます、しかしながら、国鉄では企業体として一方の赤字負担してまでも、公共負担にたえるというためには、政府一般会計補助があれば別でございますけれども企業体として一方で何らの補助を受けずに、自分だけの力で国鉄に課せられたる公共的使命を全うするというためには、国鉄自身経理内容が、相当にこれを負担する実力を持たなければなりませんからして、自然能率的に運営して、企業としての独立採算制を維持しながら、一方では公共性を発揮していくということに相なることと思うのでございまして、従いましてこの法律にも、「公共福祉増進することを目的」とし云々と書いてございますから、この二つを並べて、どっちに重きを置くかといえば、公共性の方に重きを置きますけれども、今の公共負担を、もしほかからの援助なくして、国鉄が果たしているとするならば、独立採算制をもって、健全な経営内容をもって、それを負担するだけの基盤実力がなければできませんから、これは同時にやっていくということになるので、ここに非常にむずかしい点があるように思うのでございまして、最近では政府といたしましては、国鉄公共負担というものが、その経済経理を圧迫することにかんがみまして、金額はまことに少ないわけでありますけれども、三十六年度予算に御承知通り、新線建設借入金利子補給の三億何がしというものを出しましたり、あるいはまたいろいろ従来から御議論のありました戦傷病者無賃輸送に対しましても、三十六年度からは六千二百六十万円というような、従来に見ざる大きな金額補助をいたすということにいたしているような次第でございますが、これでもまあ十分だとは私どもは申し上げられませんから、従いまして国家補助が十分でございませんから、国鉄としては能率的に運営して、独立採算制経済基盤を作り上げて、そうして自分に課せられたる公共負担をうまくやっていく、こういうことに、ただいまのところではやるよりほかに道はないと思うのでございまして、どっちに重きを置くかということを突き詰めてお問いただしを願います場合には、「公共福祉増進することを目的」とすると書いてありますかう、この方にウエートがあるようにも私ども考える次第でございます。
  8. 羽生三七

    羽生三七君 本来完全な公共企業体であるならば、今回のような運賃値上げという問題は起こらないわけです。今、政府の言う、公共性をある程度考えているというのは、これは私の考えでは運賃割引とか、定期割引、あるいは身体障害者に対するサービスとか、そういうものが若干、ごくわずかですが若干の公共性を持っている、こういうことになると思う。それを言うのだろうと思いますけれども、そうでない、基本的な公共性ということを言うことになれば、当然運賃値上げということは起こらないのです。そこで民間企業と、政府関係機関というか、この公共企業体との違いですね、民間企業利益があれば、利益を蓄積したり何かしたりできるわけですが、国鉄が結局民間企業と違うのは、そういう利益の蓄積なんかを考えなしに、とにかくまかないができさえすれば、その範囲内で公共性を、こうやっていきたい、こういうことでありますか。
  9. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいま御指摘のように、国鉄のやっておりまする公共負担というものは、一例をあげますると、非常に常識から見ると過大のようにさえ思われる通勤割引でありますとか、あるいはまた農林水産物資に対する割引でありますとか、あるいはまた赤字になりましても、地方の産業を発展せしめるためとか、あるいは交通計画の上から見て、鉄道網を作ります上に必要な線路を新しく建設をいたしますとか等々、相当公共的負担があるのでございまして、こういうことをいたしますためには、国鉄自身経理内容を健全化して、そういうことが負担できる、こういう力を持たなければならぬという意味で、まあ独立採算制というものがこれはあることは御存じの通りでございます。従いまして国鉄は、政府がわずかではございますけれども、資本を全部出資をいたしておりまするが、これに対して配当を要求するわけでもございませんので、国鉄経営が健全で黒字を出しておりまするならば、今申し上げましたような公共負担というものもある程度やるべきものがあると考えておるのでございます。
  10. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、今後とも独立採算制でいく場合には、経費増というものは不断に運賃値上げでカバーしていくのか、あるいは場合によっては一般会計からの補てん繰り入れということもあるのか、その辺はどうですか、独算制範囲内ということはわかっていますけれども。その場合、経費増が出てくるその場合に、どうしてもやっていけないという場合には、時と場合によっては、一般会計からの繰り入れによる補てんもあり得るのか、その場合においてはいつでも運賃値上げでいくのか、それはどうなんですか。
  11. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 御承知通りに、交通事業というものはこれは民間の、今お話がございましたから申し上げるわけでございますが、民間交通事業でも、これは世界一般経営のやり方でございますけれども借入金利用者運賃負担していただきますこと、借入金運賃負担と両方でもって交通事業経営というものはどこでもやっておりますわけでございます。従来、今の国鉄日露戦争後に国有鉄道になりましてから、いわゆる国の直営事業といいますか、特別会計でやっておりましたときにありましても、よく当時の議論で、建設が主であるか、改良が従であるかというような議論などがありましたときにおいても、やはり借入金建設事業の方はやる、また改良事業、すなわち踏み切りの問題であるとか、あるいはまた複線にする問題でありますとか、あるいは老朽施設を取りかえるという方のことは、運賃収入によって自己資金を捻出してやっているということで、当時特別会計におきましても、国の補助一般会計からの支弁による鉄道経営ということは、沿革上なかったことは御承知通りでございます。御承知通り、戦後におきまして、これが公共企業体という、公共という名前は冠しまするが、一つ企業体となって今運営されておりますのでございますからして、一般国民の税収を基といたしまする一般会計の方から、これに多くの補助をいたしまするということについては、これは御賛成の人もありましょうけれども、御議論のこれは分かるるところと考えるのでございまして、企業体としては、一つ自分の力で十分やってもらいたいという意見も強くあるようでございます。従いまして、そういう考えのもとで、今後におきましても一般会計国鉄に対する補助というものを、私どもは多くを期待することができないようにも考えます。さらばといって、それでは利用者運賃改訂というものを今後どんどん増していくことができるかというと、これはおのずからどこが限度だということは申し上げられませんけれども運賃改訂というものにも私は他の輸送機関競争等がございますし、また利用者負担とか国民生活影響する点を考えますと、抽象的に申しまして、運賃改訂にはある程度の限度があるように考えられますから、ますます国鉄といたしましては、その経理内容におきまして、経営合理化をはかっていく等のことを今やっておりますけれども、今後もますますこういうことに力を入れまして、今後は国鉄といたしましては、課せられたる公共福祉増進目的といたしまする、公共負担になりまする仕事をやはりやっていくよりほか仕方がないと思うのでございます。
  12. 羽生三七

    羽生三七君 この国鉄の今日の隘路というものは、特に輸送力問題等についての隘路は、私は多年にわたる政府施策が足りなかったせいだと思うのです。特に長期にわたって、財政投融資等におきましても、その総額が年々増大しながら、いつも国鉄に対してはあまりにも少な過ぎた。本年は若干見るべきものがありますが、少な過ぎた。そういう他産業との不均衡が、今日のこの隘路を招来した私は基本的な原因であろうと思います。そういう立場で、特に鉄道のような巨大な固定設備を必要とする産業で、鉄道建設というものは国家の特別な低利資金あるいは利子締結ですね、わずかな利子補給が本年度計上されておりますが、あるいは無利子資金、そういうものをある程度投入することなくしては、年々の利払いが多くなって、経営が困難になるのはこれは当然なんです。ところがこれに対して、公共企業体といいながら、政府は多年にわたって国鉄に対するそういう施策に欠けておった。これは国鉄当局を必ずしも責めるわけじゃありませんが、私は政府の全体の他産業との均衡の点から言っておる。これが根本的な今日の隘路を招来した理由だろうと思うのです。そこで政府がこの高度経済成長に見合う諸般の輸送力その他対策を立てていく場合には、私は単にこの財政投融資ワクをふやしてもらうというようなことだけではなしに、あるいは一般会計からの繰り入れが不可能な場合には利子補給とか、あるいはもっと進んでは私は無利子資金でもいいと思うのです。そういうものの要求をもっと積極的にやるべきだと思うのです。利子補給のこともお話がありましたが、これは事情は若干違うけれども民間産業である造船に対して相当利子補給をしているでしょう。国鉄がわずかの三億数千万の利子補給をとったからといって、そんなに政府公共性に立って行なった施策だ私は特に評価するわけにはいかない。だから私は、国鉄が本来の公共性を生かし、しかも一般会計からの繰り入れが当面困難であるとするならば、申し上げましたようなこの財政投融資ワクの拡大、あるいは利子補給、あるいは場合によったら無利子資金の提供、そういうことを政府が積極的にやらない限り、公共性ということの意味はあまりない。それじゃ完全な独算制で普通の企業体とどこが違うかといえば、ただ剰余金を蓄積して配当をやらぬというようなところが違うだけで、大して民間企業との違いはなくなる。従って今申し上げたようなことについて、国鉄当局あるいは運輸省としては、何らかの今後とも対策をとるお考えがあるかどうか、これを伺いたい。
  13. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 従来の国としての国鉄に対する政策につきましては、いろいろ御批判のあることを伺っておるのでございます。ただいまの御意見はまことに傾聴に値する御嵩見だと私は考えております。今後におきましては、政府国鉄公共負担が大きいことにかんがみまして、財政投融資などは本年は幾らか、御承知のように百数十億増しましたが、今後も増していくとか、あるいは金利を低下していくとかというような方法で、国鉄独立採算制援助をしていくようにこれはやるべきものであると思いまするとともに、私も努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  14. 羽生三七

    羽生三七君 この基本的な問題につきましては、あとからもう一回触れますが、これと関連をして、当面今回のこの公労協関係のベース・アップによって国鉄関係のこの所要経費はどのくらいになるのか、詳細な一つ説明を承りたいと思います。詳細でなく、大要でよろしゅうございます。
  15. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 今回の仲裁裁定の出方が多少従来の裁定と異なりまして、単に職員全体ということでなく、組合員についてだけの裁定というような姿で出ましたので、今詳細な数字については検討中でございますけれども、概略申しますと二百億円を若干上回る額になるのでございます。
  16. 羽生三七

    羽生三七君 その場合、二百億程度あるいはそれ以上これを上回る経費増が起こった場合には、三十六年度計画にどのような影響が起こりますか、手直しをするのですか。
  17. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) その点は相当なやはり負担でございますので、できる限り経費節減その他によって必要な資金を捻出いたしたいと考えておりますが、目下なお検討中でございまして、その原資の問題につきましては、政府当局とも十分協議の上対策を講じたいと思っております。
  18. 羽生三七

    羽生三七君 それは五億や十億の金なら経費節減によってということもわかりますが、二百億を上回るような所要経費を必要とする場合に、単に経費の節約なんということを言って、その結果がいろいろなところに隘路を生ずることになると思う。従って予算処置の点はとにかくとして、それによって来年度計画にどういう影響が起こるのか、それは手直しをするのか、その分だけどっか、つまり事業分量が減るとか、その点はどういうことになるのですか。その点を少し詳しく承りたいと思います。
  19. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 私どもといたしましては、今お尋ねのございました点は一番心配になる点であるわけでございますが、新五カ年計画はこれを完遂いたしませんければ国民経済の発展にも重大な支障を来たすおそれもございまするし、またそういうことになりますと、国鉄経営の安定もまた不可能になると考えられます。まあそういうような事情から、現在運賃法改訂もお願いしておるようなわけでございますので、あらゆる対策を講じてこの新五カ年計画の遂行に支障を来たすことのないように努力をいたす決心でおるわけでございます。
  20. 羽生三七

    羽生三七君 これはそういう努力はもちろん願わなきゃならぬけれども、やはりきょうあたりの委員会にはある程度の目安をつけて、そして一応の私は御報告を承りたかった。これについてはこういう予算措置、その結果として起こる影響は、こういうふうにチェックしていくと、事業計画通りやる場合にはどうするか。あるいは事業分量を減らすとか、その点はもう少し詳細に承りたかったんですが、まあ今御用意がなければ、それはこれ以上言いません。  そこでですね、その結果ですね、そんなことはもう蛇足で、そんなことを質問するのもどうかと思うが、その結果国鉄運賃の再値上げというようなことは、もちろん起こるはずはありませんね、これは。
  21. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) そのようなことは考えておりませんです。
  22. 羽生三七

    羽生三七君 今度のこの運賃値上げで、今後どのくらいの期間この再値上げを行なうことはないという保証があるのか。その見通しはどうですか。
  23. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 今度の新五カ年計画を策定いたします際には、相当長期見通しをつけて収支その他も検討いたしておりますので、少なくともこの新五カ年計画を遂行する間に運賃値上げを再びお願いするというようなことはないと思います。
  24. 羽生三七

    羽生三七君 運輸大臣、今副総裁はこの新五カ無計画が遂行される間は、再び運賃値上げが起こるようなことはないと思うと、こういうお話がありましたが、運輸大臣も同様のお考えを持っておると了解してよろしゅうございますか。
  25. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 私も国鉄の人から当分運賃値上げということをさらにやる考えはないということを伺っておりますですから、ただいまの副総裁答弁を確かなものと思います。
  26. 羽生三七

    羽生三七君 これと関連をしてですね、この国鉄職員給与の問題、これも当然先ほどからの議論でいくというと、独算制範囲内でいくと、こういうことになると思います。しかし、私は実は先日もこの分科会郵政関係所管の際に郵政当局お尋ねをしたのでありますが、国鉄はやや郵政とは違います。違いますが、こういう疑問も起こってくるのです。たとえて言えば、これは国鉄事情は違いますが、一つの例を郵政にとってみると、郵政事業国営事業であります。ところが、他の産業においては経済高度成長に応じて個人消費支出も伸びて、その結果需要が高まる、物が売れるようになる。従って物がたくさん売れるから、それを取り扱う人は所得がふえてくる。こういうことになる。それから郵政関係は実際に、それじゃこの郵便の利用率もふえるが、それがちょうど所得倍増と同じですね、伸びて、政府計画しておるような所得倍増と伴うようなつまり収入増になるかどうか、非常に一つの疑問があるわけですね。国鉄の場合においては、たとえば職員経費等の場合です。この政府自身所得倍増計画で十年後には給与はおおむね倍になる。もちろんこれは国民総生産、国民所得を言うのでありますから、一がいに俸給が倍になるということを言っておるわけでもない。ないけれども、おおむねその線に近くなるわけですね。そうすると、私非常に疑問に感ずることは、他の民間企業ならいざ知らず、政府機関あるいは政府関係機関あるいは公共企業体というようなもので政府が一番深くタッチしている産業において所得倍増というようなことをやる場合には、当然、十年後には、少なくとも一〇〇%倍にならなくても、おおむねそれに近い線が出てこなければうそだと私は思います。民間企業は、所得倍増計画は、政府答弁では、これは単なる構想とお考えいただきたいと、国民各位努力に待つ外にないと、こういうことでありますが、少なくとも政府関係機関は、政府が率先してそういう計画を出しておるんですから、それを達成しなければならないのでありますが、そういう場合に、今の独算制でいく場合、今の職員の待遇というような問題も、結局この範囲内にうまくいかなければ給与は上がらない。幸いにして所得倍増に伴ってみなの旅行もふえ、物資輸送もふえて収入がそれに見合うように伴っていけば、これはまあ問題はありませんが、必ずしもそのことと並行していかない場合には、今私が申し上げたことは一つ問題点になる。こういう点はどういうふうにお考えになりましょうか。
  27. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 今回この新五カ年計画を策定いたします際に、先ほども申し上げましたように、相当長期間の見通しをつけて収支計画等も策案いたしたわけでございますが、その際に、実は今やっております前の五カ年計画のときには、職員給与ベースのことにつきましては、単なる昇給のことしか実は初め考えておりませんでした。そこへたび重なる仲裁裁定等による、ベース・アップが出て参りまして、その面から計画にそごを相当来たしたということもございましたので、今回の新五カ年計画を策定いたします際には、職員給与という問題につきましても、所得倍増計画に見合う勤労者の所得の増加率というものも出されておりますので、それらの点も勘案いたしまして、単なる昇給財源以外に、国鉄職員についても適正な賃金というものはやはり確保されなければならないという見地に立ちまして、単なる昇給財源以外に、やはりある程度の賃金も上がってくるものという点を加味して収支計画考えてございます。それで、まあ各年度についてみますと、いろいろな波動もあると思いまするし、また、本年度三十六年度という単年度についてみますと、ベース・アップのことは予想いたしておりませんでしたけれども、五カ年間の計画においては、ある程度これを吸収できるだけの準備はしたつもりでございます。しかし、この間出ました仲裁裁定の中身等から考えまして、相当これは芳しいことになると思っております。思っておりますが、その面は、不足分は、これは将来は借入金等が若干当初の計画よりも増さざるを得ないというようなことになるかと思いまするけれども、全体の見通しといたしましては、適正な賃金は国鉄職員のためにも確保しつつ、また、職員経営努力によりまして困難な不足分その他の解消には馬力をかけてやっていけるというふうに思っております。
  28. 羽生三七

    羽生三七君 先ほどの原則問題にちょっとまた戻って触れることになりますが、私は、公共企業体という場合、公共負担というものは、これは社会政策的なものだと思います。割引その他の問題ですね。これは社会政策的なものだと思う。そういうことから、そのしわ寄せを国鉄だけが負担するということは私は筋が通らんと思う。というのは、国鉄経営問題点として四つの病根あげておりますね、国鉄諮問委員会が。その第一は公共負担という運賃割引、第二は赤字の新線建設、第三は運賃制度の不合理不均衡、第四は人件費、こう言っておりますが、しかし、そういう運賃割引あるいは新線建設、あるいは職員給与の場合もそうです。そういうものから来るしわ寄せです。それを運賃値上げに持ってくるのは私はおかしいと思うんです。運賃値上げだけに求めるのは。大体社会政策的なものである。公共企業体が貨物の運賃割引する。定期も割引する。その結果国鉄経営がある程度苦しくなる。それは運賃値上げだというのは、私は倫理的に筋があまり通らないと思う。そういうふうにお考えにならないでしょうか。やはりその場合には、社会政策的なものであるならば、そのしわ寄せは国鉄だけにしょわせるのでなしに、政府が少し——もちろん今どういう対策をとるかとは言いませんよ。これはここに大蔵大臣や総理大臣がおるわけじゃないから言いませんが、私はそのしわ寄せを国鉄だけにしょわせるということは筋が通らないと思う社会政策的なものです、公共負担というものは。その結果起こるんでしょう、いろいろな赤字が。赤字ということはありませんけれども、非常に困難な条件が起こってくる。それを国鉄がしょいかぶって運賃値上げで、当面をカバーしていく、これは筋が通らない。ですから、独算制という立場だからと言ってしまえばこれは皆さんの方で答弁する筋のことではなくなりますけれども、論理的に言って私は性格的にその点に非常に矛盾があると思う。この点はいかがでありますか。
  29. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 確かに御指摘のような点は十分今後考えなければならぬと存じますが、従来沿革的には、御承知のように、国有鉄道利用者負担によるところの運賃収入と、あるいは借入金によりまして公共的な負担もたえて参ったわけでございます。これは長い歴史的な沿革的なものでございます。ただ、最近のように、利用者負担におきましても、対抗機関の調達によりまして、ぼつぼつ限界が出てくるのじゃないかと考えます。そういたしますと、やはり公共負担につきまして、もちろんこれは政府産業政策的な、あるいは教育政策的な、あるいは社会政策的な要請によることはこれは当然でございまして、そういった政府の要請による公共負担について何らか考慮すべきであるという意見が逐次有力になりつつございます。で、これについて全然政府としても耳をふさいでおるわけではございませんで、先ほど大臣が申し上げましたように、一部ごくわずかではございますけれども、その萠芽と申しますか、そういったものが来年度予算にも現われておるわけでございます。こういった形はもっと強くなっていくかどうかということは、今後のやはり輸送情勢の変化、産業情勢の変化、そんないろいろな客観的な情勢の変化によることも多いかと存じます。すでに御承知のように、ヨーロッパ諸国におきましては、ここ十年の間におきまして、各国の鉄道経営の問題で一番大きい問題は、国の公共政策による犠牲的な負担というものを国家財政によって負担すべきであるということが一番大きな問題になって参りましたことは、御承知通りでございます。そこで、西独におきましても、あるいは近くイギリスにおきましても、その公共的な負担を何とか国でめんどうを見てやろう、こういうことになって、それが実現されつつあるわけであります。しかし、やはり原則としては利用者負担という考え方に立つべきであろうかと存じますが、この原則というものが今申し上げましたようにやはりだんだん変化しつつあるようにわれわれは見ております。でございますので、やはり今後の推移を見てこの政策の転換ということは考えるべきじゃなかろうか、かように考えております。
  30. 森中守義

    ○森中守義君 関連。監督局長にお伺いしますけれども、今、羽生質問に対して関連もあるし、また、午後私はもう少し詳しく聞きたいと思いますが、この種、公共事業の場合、建設資金といいますか、事業拡張をやる場合に、自己資本と外部借入金との比率はおおむね、ある種の規定された基準があると思います。大体どのくらいの比率が一番適当だとお考えになっておりますか。
  31. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 私の存じます限りでは、別にこれといったきまった基準はないように考えます。ただ、たとえば電電公社あたりの今の電話設備の拡充の資金調達の方法を見ておりますと、大体、むしろ自己資金の方が若干多いのじゃないか、かように考えております。で、国有鉄道の場合は、本年度予算は御承知のように、大体借入金自己資金は、運賃値上げをお認めいただければ、おおむね半々になると、かように考えております。民間におきましては御承知のように現在、資本構成が非常に悪うございまして、借入金の比率が非常に商いということは御承知通りでございます。私もそういう専門家でございませんので、大体どこらあたりが適当な比率になるのかということにつきましてはよく存じませんが、ただやはり、国有鉄道の場合には、あくまでその健全財政を維持しながら、そういう観点からもやはり考えるべきじゃないか、かように思う次第でございます。
  32. 森中守義

    ○森中守義君 吾孫子総裁にちょっとお尋ねしますが、先ほど、今回の仲裁裁定につきまして、都合によれば借入金等を増さざるを得ないのじゃないかと、こういう御答弁のようでしたが、おおむね給与総額を編成する際に、年間における定期昇給が何%、さらにまたベース・アップが何%、まあ大体、過去数カ年間あたりが実績として給与総額が組まれるというのが予算編成の私は常識だと思う。しかるに、先刻来の当局の御説明によりますと、その辺のことが一つも明確でないですね。で、私は、この予算書に出ている給与総額表の約一千八百億ですね、この中にはもとより給与総額、この定期昇給が幾ら、さらにまたベース改訂が幾らというように見込んであるのじゃないかと思うのです。その率がなければこの給与総額というものは多少おかしいと思うのですよ。そういうようなことでその点を一つお尋ねしたいのと、それからもう一つは、借入金等をふやさなければならないということなんですが、現在審議されている最中に仲裁裁定が出たわけですね。そこへ持ってくると、一体この実施は、多少時期はずれておりますが、この中から多少手直しをしなければ、すでに予算が成立したあとで借入金をふやしていくということになりますと、また予算性格が変わってくると思う。その辺はどういうようにお考えになっているのですか。
  33. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 私が先ほど借入金ということを申し上げましたのは、三十六年度予算においてすぐに借入金をお願いするようになるかどうかという意味で申し上げたのではございません。実は先ほど羽生委員の御質問にお答えする際にちょっと申し上げたつもりでございますが、今度の新五カ年計画長期見通しを立てました際に、ある程度適正な人件の増というものは、単なる昇給財源以外にも見込んで考えました。その見込みました人件費よりも本年度の仲裁裁定は、私どもの感じから申しますと、予想外に高かったのでございますから、今お願いいたしております運賃改訂の程度では、相当自己資金なんかが窮屈になるのではないだろうか、そういたしますと、初めに考えておった五カ年の見通し考えておった場合よりもよけい借入金をしなければならなくなって、そのための圧迫が経営の上に加わるのではなかろうかという意味で申し上げたのでございます。本年度、三十六年度の予算において借入金等をお願いせざるを得なくなるかどうか、その辺のことは、先ほど申し上げましたように、これからよく政府当局とも御相談いたしまして、何とかこの仲裁裁定を完全に実施するための原資の手当を考えて参りたい、かように思っております。そして、この新五カ年計画の中身そのものについて申し上げますと、実は今度の新五カ年計画では相当国鉄経営の体質改善というような点を考えまして、従業員の生産性をできるだけ向上するような、たとえば線路の増設にいたしましても、近代化にいたしましても、労働生産性を向上するような投資に力を入れてやっていこうというふうに考えておりますので、生産性の向上による増収をもって必要な原資を生み出していこう、こういうように考えているわけでございます。三十六年度の人件費の予算の中には、三十五年度における八百五十円のベース・アップに伴ってふえてくる人件費、それからまた四・五%の昇給財源というようなものを見込んでいるわけでございまして、そのために前年度よりだいぶふえておりますが、ベース・アップのための原資というようなものは、この給与総額の中には入っておりませんのです。
  34. 羽生三七

    羽生三七君 少しこまかいことになって恐縮ですが、今回の運賃改正では定期の値上げ率が一番多いと思うのですが、聞くところによると、六大都市周辺の国電区間では黒字になっているといわれますが、その辺はどうなんでしょうか。少しこれは詳しく聞きたい、プラスの要因、マイナスの要因、いろいろあるでしょうが。
  35. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 多少こまかい数字でございますので、お許しをいただきまして私から御答弁申し上げます。今回の運賃値上げ内容につきましては、定期と定期外の運賃値上げの率はほぼ同様でございます。当初伝えられました際には、定期運賃が大幅に上がるように伝えられましたが、これは現在提出いたしておりますものは、と定期外ともに約十四・六%の値上げでございます。これは変化はございません。東京付近におきまする国電区間の定期及び定期外の原価計算につきましては、御承知通り一つの車に定期客と定期外の客と一緒に乗っておりますので、非常に正確な原価の出し方はむずかしいのでございます。大体よく例に出ます中央線におきましては、三十四年度の原価が、私の方ではいわゆる一人一キロ当たりといっております。一人一キロ当たり七十四銭、それからそれに対応いたします収入は、定期旅客は五十七銭ということになっております。もちろん中央線、山手線等、東京付近の全般の定期、定期外を合わせまして黒字になりますが、定期客だけの原価の収支バランスを見ますと、ただいま申し上げましたように一人一キロ当たりの比較をいたしますとやはり赤でございます。
  36. 羽生三七

    羽生三七君 もう一つは、これは私よく、実態をつかんでおらないので、しろうと質問になるかと思うのですが、間違っておったら御答弁はどうでもいいんですが、今度の運賃値上げでは、貨物に比べて人間が虐待をされておる、そういうことがいわれておるのですが、その点はどうですか。これも貨物の割引とも、これは大衆に直接関係があるとも、いろいろありますけれども、農産物その他ありますが、とにかくまあそれ以外の、非常に大企業向けの割引相当ある。そういうものに比べて旅客運賃値上げということで、むしろ人間の方が貨物に比べて虐待をされておるという通説が出ておるのですが、私は実態をつかんでいませんからしろうと質問になるかもしれません。御説明願いたい。
  37. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ただいまの点につきましては、多分先生のお耳に入りましたのは、今までの原価計算上、貨物が赤で旅客が黒だったと、こういうことだったと思いますが、今回の運賃値上げにつきましては、若干貨物の方を旅客よりもウエートを高く見て、急激に貨物運賃の赤を是正いたそうといたしますと、ただいま先生のお言葉ではございますが、私どもの貨物運賃は、ごく大ざっぱに申し上げますと、国民の生活必需品には非常に運賃を安くいたしております。そうでなくて、たとえば機械とか油とか、そういったものは相当高い、原価を上回って運賃をとっております。従いまして、これは等級制度という非常に複雑な制度になっておりますが、これらをもし原価に見合うようにいたしますと、米麦あるいは肥料等の基礎物資生活必需品の基礎物資が非常に大幅な値上げをいたします。従いまして急激にその原価を償うというところまで持っていくわけに参りませんので、今回は貨物と旅客と比較いたしまして、貨物を少し旅客よりも賃率を上げております。しかし、全体といたしまして今までの貨物が赤で旅客が黒であるという傾向は多少是正されますが一躍これを黒とすることは非常にむずかしいと思います。
  38. 羽生三七

    羽生三七君 もう一つは、この質問はあとに辻委員がなさる質問でありますので、私は同じような問題にちょっと触れるけれども、性質が全然違うことになることを御了承願いたいと思います。実は私のしろうと考えでは、国鉄あり方はどうも幹線中心主義だという気がするのです。それで赤字路線いわゆる政治路線という問題については辻委員が御質問なさるようでありますからこれに触れませんが、極端な赤字路線、バスで済ませるところを無理やりに路線を引くような政治路線、これは絶対、もちろんそういうことはなすべきものではないと思いますが、しかし、地域格差ということをいっている場合に、諮問委員会の答申や、世評では赤字路線の廃止ということをいっているが、その限界はどうなのか。一体ちょっとでも赤字が出れば、それはもう好ましくない、黒字路線中心、幹線中心主役ということになるのか。あるいは所得倍増計画に基づく地域格差の是正というような観点からいって、場合によったらある程度の赤字があっても、当然これは公共企業体としてはやられなければならない、そういう性質のものもあるのか、その辺の調整というものはどういうふうに考えておるのか、これはきわめて常識的な質問を私はしておるのですが、どこの線がどうというようなことを言っているわけではありません。これは非常に私前々から疑問に思っていることなんです。いわゆる極端な赤字路線はいけない、政治路線はもちろんいけない。しかし、国鉄として排除しなければならぬ赤字路線というものの限界はどういうところに置いているのか。今の政府所得倍増計画、地域格差是正等の問題と関連をしてそれを一つお尋ねしたい。
  39. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) もちろんこの国鉄といたしましては、公共企業体でございますので、できるだけ原価主義に基づきまして、なるべくなら採算のとれるような仕事に持っていきたい、こういうことであろうかと思います。でございますので、ただいま御指摘の赤字路線にいたしましても、できるだけ何とか工夫して赤字を少なくする、でき得れば黒字に転換させたいというようないろいろな苦心をいたしております。しかし、それにいたしましても限界はございます。で、運輸省といたしましては、国有鉄道のいろいろな経営合理化方策はよくわかりますけれども、一方国民全体の立場に立ちますと、たとえば赤字路線の廃止にいたしましても、中央におきまして識者がいろいろ指摘しておりますように、つまり交通機関に非常に恵まれた中央におる人たちが観念的に、理論的に考えるようなものじゃない。地方の住民にとってみれば、非常に重大な影響がある問題でございますので、かりに赤字路線の廃止の許可申請が出ましても、これは慎重に扱わねばならぬということをかねがね表明いたしております。もちろん新線の建設につきましても同様でございまして、赤字の出ることがわかっておりながら、なぜこれを建設するかということはしばしば世論におきましては指摘されておりますけれども運輸省考えます世論というのは、一方においては識者の世論があり、一方においてはまだ鉄道とかそういった交通機関に恵まれておりません地方住民の切なる願いもまた世論であるというふうに判断しておりまして、鉄道建設審議会の御意見も徴しまして、しかもこれも最近におきましては、きわめて重点的に、ごく少数のものを選んで建設を進められておるような次第でございまして、お尋ねのような画然とした基準というものを数字的に今ここで申し上げる段階には至っておりません。こういう場合にはもう廃止を認めるのだとか、こういう場合にはどうだとかいうようなところまではいっておりませんが、気持を申し上げますと、そういうふうな観点に立って行政を進めておりまして、赤字路線の建設の問題であるとか、あるいはその廃止の問題であるとかいうような問題は、もう少し世論におきましてもっと大勢的に一方的な意見が支配的になりませんとなかなかこれは進められない、かように判断いたしております。
  40. 羽生三七

    羽生三七君 こまかい質問になりますので、もしあとは時間があったらということで、あと一、二点で終わりますが、今の問題は慎重に一つ検討願いたいと思います。これはそうでないと、政府のいう地域格差の是正ということはとうていできない。さりとて、明白にバスでもいいような路線を、みすみすわかっている赤字承知で政治圧力に屈して作るということも、これも全くばかげた話です、その辺の調整ということは非常に大事だと思いますが、これはこれ以上お尋ねいたしません。  最後に、最後といいましても、時間があったらこまかいことをやりますが、もう一つだけこの機会にお尋ねしておきたいことは、これはちょっと問題が横の方に飛ぶようで恐縮ですが、今まで米軍によって引き起こされておった鉄道事故の損害ですね。この損害は御承知のように、この国鉄というものは、公共企業体というものは政府機関民間機関かということで、当時の米軍の見解が分かれて、政府機関の場合は損害補償を要しないというのですね。そういうことから非常に相当額の損害補償が未払いになったと思うのですが、これは解決いたしましたか。
  41. 兼松学

    説明員(兼松学君) お答えいたします。米軍関係の損害につきましては、昭和二十七年までは順当に払われておりまして、私どもも受けておりましたのでございますが、二十七年に向こうの人が変わりまして、行政協定の解釈に二十八年以降疑問を打たれまして、国鉄の方は、あの中では公務員に与えた、相互に与えた免責条項に入るという解釈を向こうはとりましたが、日本は、国鉄としては国内的の解釈を法制局にただしましたところ、行政協定にいう公務員に解せられないということで、意見が対立のままになっておりまして、それ以降は当方も払っておらぬし、向こうも払わないということで、依然最終的な外交的解決を見るまで、相互にいわゆるペンディングになっている。当方側でも、洞爺丸その他の問題も従ってこちらの方でも払っておらぬし、向こう側がこちらに与えた損害もまだ係争中ということで、相互に係争中という姿になっております。
  42. 羽生三七

    羽生三七君 これは、こちら側が向こうに与えた損害というものを私は今初めて聞いたわけですが、これがどの程度か知りませんが、例の米軍トラックが列車に衝突したときの損害だけでも、当時私は委員会で承ったが四千数百万、この一件だけでも、聞いておるのですね。そのままなんですか、これは相殺する性質のものじゃないと思うのですが。
  43. 兼松学

    説明員(兼松学君) 相殺するかどうかは最終的な解決になりますけれども、まだ相互にはたして支払手続上相殺するかどうかはまだきまっておりません。ただ当方がやはり一番大きな、米軍関係でよく議論が出ると思いますが、途中で出ましたものは洞爺丸で約五十名の兵員がなくなりました事件でございまして、その方の問題も、また米軍が解決しない以上、こちらも解決しないというようなことで、相互に解決しないものがほかにもございます。
  44. 羽生三七

    羽生三七君 これは明白にして、こういう問題はペンディングにしておくというのも私はおかしいと思う。解釈の違いで、これは明白にして片をつけるべきだと思う。そんな解釈の違いというのは私はおかしいと思うのです。これは前から、数年前からこの問題は委員会で述べたわけでありますが、明白な結論を出してこの問題を片づけられることを、要望いたします。一応これで私の質問終わります。
  45. 白井勇

    ○白井勇君 私はごく簡単なことなんですけれども、大臣は御承知ないかもしれませんが、自動車損害賠償保障法というのがありまして、これは目的というのは、自動車で人の生命や身体に害を及ぼしました場合に損害賠償を保障する、被害者を保護する目的のものなんですね。そこで自動車は児童車損害賠償責任保険、これは責任保険といっておりますが、その責任保険の契約を結ばなければ運行できないということになっております。運行します場合は、自動車損害賠償責任保険証というものを持って運行しているのですね。これはまことにいいことだと私は思うのですが、大臣は農村の方で、御存じで、よくおわかりだと思いますが、農村でいろいろな言葉でいわれておりますが、牽引しますトラクターがあるのです。自治省はグランド・トラクターと呼んでおります。ああいうものが自動車に扱われておりますために、この責任保険というものに入らなければならないことになっている。ですから、農家がその牽引しますトラクターを買いますると、農協で扱います場合は農協で証明井をとってくれるわけです。それでナンバーをもらいますときに、その責任保険料を納めなければならない、これは年間大体八百九十円です、一台につき。そこで御存じの通り、あんなものは、牛のはうようなもので、いわば車両関係じゃ何といいますか、軽一両に扱われております。馬車よりも危険性がないようなものなんですね。ですからそういうものが人をけがさしたり、殺したりするなんていうことは、常識的に考えられる筋合いのものではないわけです。それがたまたま自動車に扱われている、そういう理由だけで年間に八百九十円の保険料を取られている。それならば、今までどういう損傷を与えた例があるかということを聞きましても、これはお役所はもちろん、だれもあんなものは調べる人もないわけです。去年あたりの統計を見ましても、その該当しますトラクターというものは全国で約四十五万台ある、おそらく三十六年あたりはもっとふえると思う。かりに四十五万台で八百九十円の保険料をただ納めているということになりますと、全国で四億ですね。そういうものがすらっと取られている、保険会社に。こういうことはだれが考えてみたってばかばかしい話ですね。それで片一方人に損害を与えるかということになりますれば、御承知通り原動機付の自転車というものがある。これは非常に損害を与えているわけですね。これはしかし扱い上は自動車じゃないからということで、その責任保険に入る必要がないわけです。こういうものは、事故を見ますと、二十八年に人を殺したり、人を傷つけたりしましたものが千七百十七件ですが、三十五年は六万二千八十件に達した。三十七倍ですね。もしこの法律の目的からいいますならば、原動機付自動車にも責任保険をかけなければならぬ筋のものである。ところが、今申し上げたように、何にも被害を与えることなく、私は山形ですけれども、県下全体を調べてみますと、今まで、かつてあった例は、外部から害を加えられて保険をもらわなければならない立場に立ったものが二件ぐらいある。人を傷つけるなんていうことはできょうがない。私はまことに不合理だと思うのです。ですから、私の方では、ある青年がそういう主張をしてみたところが、法律を建前にとられまして、警察やらいろいろの方面から圧力を加えられて、とうとう指導者の地位までも引かざるを得ない羽目になった青年すらもあるわけで、これはなぜ協力をしたかといいますと、農協では、農機具を売るわけですね、そうしますと、一定の保険会社が保険をつける手数料をもらう、これは農協も助かることですから、そんなことは、こまかい農民の立場に立って考えないわけだ。これはお役所で考えてもらいませんと理に合わないと私は思うのです。これは当然改正をしなければならない。私案はお宅の事務当局に話をしてみますと、これは法律改正を要するからめんどうなような話なんですが、私しろうとで、ちょっと方々引っくり返してみますと、簡単なことですが、どうも運送車両法というようなものがありまして、そこでいろいろ自動車の種類別とか、原動機付の種類とか範囲というものを省令に譲っているわけですよ。その施行令の一におきまして、原勅機付自転車の範囲及び種類というものがあります。二条では、別表で自動車の種類というものを出している、そこのところで手かげんをしますれば、たとえば原動機付自転車に入れてしまうということになれば、これは運輸省の省令だけで片づくことなんですよ。これはぜひ至急に大臣の御措置によって善処をしてもらいたいと思うのですが、一つ御回答を願いたいと思います。
  46. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 大体の考え方は私から申しまして、こまかいことは政府委員の方から御説明をさせることをお許しを願いたいと思います。  ただいま御質問の農村で使っておりまする農耕作業用の軽自動車がほかの自動車に比較いたしまして被害が非常に少ないと、そういう観点からこれを今の自動車損害賠償保障法からはずしたらどうかというような御意見は、一応は私どもしろうと考えから見るとごもっとものようにも考えられるのでございますが、御承知通り現在の自動車損害賠償保障法におきましては、国であるとか都道府県のような支払い能力のあるものが持っておるものは除外をいたしますけれども、その他の自動車というようなものは、ここの道路運送車両法の第二条に規定してあります自動車というものは、この中に、今の農村で使います農耕作業用軽自動車は含まれておるのでございますが、この道路運送車両法第二条に規定してある自動車というものをすべて強制保険の対象といたしておりますわけでございます。この建前からいうと、ある特定の車種が事故率が非常に少ないからはずしちゃどうだというようなことをすぐできるかどうかということにも問題がございますし、あるいはむしろ保険料を安くしたらどうだというような方にお話がある方もあるようでございます。要するに今御指摘の事故数が非常に少ない農村で使っておりまする農耕作業用の軽自動車といたしましても、やはりその道路の上を走ることが相当に見受けられるものなんで、そこで遺伝免許等を所管いたしておりまする警察庁とか、届け出等について自治省であるとか、自動車損害賠償責任保険に関係する大蔵省というようなものがいろいろ関係しておりますものですから、今お話のことは一応ごもっともなことのように思いますので、至急にこういう方面と打ち合わせをいたしまして、十分に検討をいたしたいと私ども考えておるわけでございます。こまかいことば政府委員から御答弁をさせていただきたいと思います。
  47. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) お答え申し上げますが、今大臣から御答弁のありましたように、農耕作業用軽自動車につきましても、道路上を走る場合がございまして、これが単に田畑だけを耕しております場合にはこれは当然適用を除外していいと思いますが、道路上を走ります場合がございますので、その点につきましてやはり道路交通法上の問題もございます。それからまあ届け出とか何とかいうようなことにおきましての自治省との関係等もございますし、もちろん担当しております大蔵省との関係もございますわけですが、これらの点につきまして確かに農耕作業用軽自動車事故率は原付第二種に比べまして少ないという点を私どもも認めております。もちろんひき逃げ等の例はございますけれども大へん少ないので、それらの点等に関しまして御趣旨を十分承りまして関係官庁と積極的に交渉いたしまして進めていきたいと、こう考えております。
  48. 白井勇

    ○白井勇君 どうも私は大臣の御答弁何かなまぬるいように思うのですけれども、これはだれが考えましてもこんなばかばかしいことはないと思いますよ。それは関係方向いろいろあるわけですけれども、原付自転車に乗ってみたって、御承知通り、届けをしたり道路交通法の取り締まりを受けるわけでしょう。それならなぜ原付自転車のこういう六万二千件も事件を出しているのに責任保険をかけないのですか。これは常識判断で、私はこんなことを当然やめなければいけないものだと思うから申し上げたのです。
  49. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) 原動機付自転車の第二種と申しますのは、ほとんど二輪の軽自動車と同じような形態をして参っておりますものが多いのであります。それらのものにつきましては、私どもとしましても保険の対象にすべきではないかということを考えておりまして、これらの点については現在自動車審議会等でも審議をしてもらっておりますのですが、自動車損害賠償責任保険の関係は被害者の保護ということが大目的でございますので、被害が多い場合にはこれやはりそういう方向で考えるべきではないかということで、むしろそういう点から現在検討を進めておりますようなわけでございまするが、ただいまの農耕作業用軽自動車につきましては、被害状況その他も勘案しまして十分に御趣旨の点も承って交渉いたしたいと思います。
  50. 白井勇

    ○白井勇君 それならあれですか、農耕用の実際被害があったという例、あなたお調べになったでしょう。
  51. 國友弘康

    政府委員國友弘康君) これは報告といたしましては出て参らないような形になっておりますので、全部一緒に出て参りますので、農耕作業用軽自動車の被害というものは出て参りませんのですが、保障事業で私どもの方で支払いましたものからずっと調べて参りましたが、ひき逃げ事故が一件ございます。私どもの方で最近調べましたのでは一件でございます。
  52. 白井勇

    ○白井勇君 そうでしょう。大臣、そういうことで、これは法律できましたのが三十年ですからね、今までに一件しかないのですよ。そういうのに八百九十円という少ないながらも保険会社で保険料を取らせて四億の金を納めさせている。こういう政治なんというものはないと思うのですが、常識判断でそれはお直しになったらどうですか。どうですか、大臣。
  53. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 先ほど申し上げましたように、農村で使っておる農耕作業用の軽自動車というものは事故がきわめて少ないことはただいま御指摘の通りでございますので、こういうものを関係の官庁とよく連絡をいたしまして御趣旨に沿うように一つ検討してみようということを先ほどから申しておるわけでございます。
  54. 武藤常介

    主査武藤常介君) 分科担当委員外委員の発言についてお諮りいたします。  辻政信君より分科担当委員外委員の発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 武藤常介

    主査武藤常介君) 御異議なしと認めまして発言を許します。
  56. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) 大臣も国鉄総裁もお年寄りですから、どうかすわったままで御答弁を願います。  公労委の仲裁裁定が行なわれまして約三千円のベース・アップを政府が認められた。これは大きな変化であります。にもかかわらず、運輸大臣は昨日ベース・アッブ以前の予算原案について当分科会説明されたのは少し私はどうかと思うのであります。手直ししなければならぬということをわれわれはわかっておる。二百億の人件費増に伴いまして国鉄計画その他に大きな狂いがある、それをわかっておりながら、もう数日で手直しが出るということを予想しながら、この時点においてこの問題について前提の狂った原案を審議することは意味がないと思う。もしそれを審議して、どうしたならば当委員会国民に対して、無責任だと思う、できないことを通すのですから、これに対して運輸大臣どうお考えになりますか。
  57. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 今回の仲裁裁定によりまする人件費の増加が先ほど説明いたします通り二百億円に上りますことになります。それでこれの財源の処理については、目下慎重に検討をいたしておりますわけでございまして、新聞にいろいろのことが出ておりますが、まだ私ども具体的にいろいろ聞いておりませんものですから、そこで従来のままの予算を十分に御審議を願うという意味で、昨日ここで朗読をさせていただきましたようなわけでございまして、まだ処理をする財源等につきましては、実際まだ検討をいたしているわけで、どういうものからどうするというようなことがきまっておりませんものですから、まことに手おくれで申しわけございませんけれども、現在出ている予算案の御審議を願うという意味におきまして、御説明申し上げたような次第であります。
  58. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) その御答弁が私ははなはだ無責任だと思う。あと二、三日で具体案が出るのでしょう、検討中のものが、補正予算でどうするか、国鉄予算をどうするかということが、あと二、三日で出ることがわかっている。わかっていながら、できないものをここでわれわれは審議をして、そして採決をするということは、国民に対して無責任きわまると思う。少なくとも、この段階において、たとえば借入金利子補給を国が担当するとか、赤字路線の建設をストップするとか、いろいろの手が出なければ、ここでわれわれは知っておりながら、できないものを手を上げて賛成できますか、政治家として。主査はどうですか、あなたはその審議をする責任者だ。
  59. 武藤常介

    主査武藤常介君) よく審議することにしましょう。
  60. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) よく審議するというならば、その具体案が出るまでわれわれはこの審議をストップする、そうせんと申しわけないですよ。できないことがわかっていながら、手を上げて賛成できますか。(「必要ないよ」と呼ぶ者あり)どうですか、おかしいでしょう。
  61. 平島敏夫

    ○平島敏夫君 おかしくないですよ、研究中だから。
  62. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 同じことを繰り返すようでございますが、この二百億円の財源をどうするかということは今検討をいたしておりまするわけでございまして、ただいまいろいろ具体的に御指摘になりましたが、そういうようなことをどうするかというようなことがまだきまっておらないわけでございますので、きまっておらないものを御説明することはできませんものですから、従来通りの御説明をいたしましたわけでございます。
  63. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) ちょっとおかしいのですね。この新しい予算が遡りまして、、そのあとで、仲裁裁定が出て、政府はそれについて考慮するならわれわれはまじめに審議できますよ。通す数日前にあの三千円のベース・アップを政府は認めているのです。認めたらこの原案は変わってくることはわかるでしょう。だれだってわかるでしょう。変わってくることがわかりながら、前提を不変のものとしてどうして一体無責任な審議ができるのですか。私は、何もあなた方の足を引っぱろうというのではないのですよ。みすみすあと数日たったら手直ししなければならぬということはわかっておる、新聞を見た国民は。それを、国家裁定の三千円の値上げは認める、政府ははっきり二百億かかるといっている。運賃値上げは四百八十億しかない。その半分を食われるのでしょう。その穴埋めをどうするかということを国会も政府も真剣にやらなければならぬのじゃないですか。それをほおかぶりしてやろうとおっしゃるのですか。私は何も野党的な立場で言っているのではないですよ、よく考えてもらいたい。責任をもって国民の前にこれを、原案をこう修正するというのなら、それならいつでもやる……。
  64. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいま申し上げましたように、いろいろのことを検討をいたしまして、いずれ政府は補正予算を案として提出をして皆様に御審議願うという大体の方針はきまっておるのでございますので、その補正案ができましたときに、補正予算案について十分御審議をお願いしてはどうかというふうに私ども考えておりますわけでございます。
  65. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) いつごろそれが出る予定ですか、対策はいつごろ出される予定ですか。
  66. 十河信二

    説明員(十河信二君) ただいまの問題について、原因は私のところにあると考えます。つい先日われわれの予想していないような額の仲裁裁定が下りまして、そのまた仲裁裁定の行き方が従来と少し違っております。さっき御説明申し上げましたように、そういうことで一体に百億になるのか、あるいはそれ以下でいいのか、それ以上になるのか、作業が私のところでまだできていないのであります。従って政府で確実にこれをどうこうするということの御決定ができないのは当然だと思います。その全責任は私にあると思いますから、しばらく御猶予を願いたい。それがきまらなければ、政府にこうして下さいということをはっきりお願いすることもできないような状態にあるのでありまして、その点を御了承いただきたいと存じます。
  67. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) じゃ、これはしばらくお預けとして、内容について逐次お伺いいたします。  今回運賃値上げをしなければならなくなった大きな原因はどこにありますか、国鉄総裁から。
  68. 十河信二

    説明員(十河信二君) 国鉄の今日最も困っておりますことは、国民の皆様に輸送力の不足、近代化のおくれておるということで旅行をしようという方が思うように旅行ができない、貨物を送ろうという方が適時適所に貨物を送ることができない、そのために取引が非常に円滑を欠いて、あるいは物価に不当な変動を来たすというふうな、そういう状態になっておるということが、これがわれわれ国民に対して相済まぬと思っておる点であります。その点をぜひ一刻も早く改めたい、でき得る限り最小限度の手当をしたいというので作りましたのが今度の新五カ年計画であります。その五カ年計画には御承知のように、年額約二千億の巨額の投資が必要になって参り、この投資をいかなる財源によってカバーするかということ、これは非常にむずかしい問題でありまして、われわれといたしましてはでき得る限り合理化をいたしまして、収入はふやす、経費は減らす、できるだけ皆さんに御迷惑をかけないようにしたいと思って今日までも極力やって参りました。今後も一そう馬力をかけてその点をやりたいと思いますけれども、何さまその金額は限られております。それで、一面においては借金を増していただく、財政投融資を増額していただく、一面においては政府から補給をしていただく、その足りない分は、やむを得ず運賃値上げをお願いして、この財源を埋め合わせると、そうしてサービスをよくして、国民におこたえをするということが、われわれのなすべきことじゃないかと、こう考えまして、いろいろ勘案いたしました結果、今日のように、約半分は借入金によってやると、約半分は運賃値上げをお願いするということに相なったのでありますが、そのおもなる使途は、さっき申し上げましたように、輸送力を増強すると、そしてサービスをよくして、近代化をして、皆さんにできるだけ御満足を願いたいという趣旨からやっておる次第であります。
  69. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) 非常に御丁重な御答弁がありましたが、その御答弁は、私の質問のピントをはずれておるのです。なぜ一体国鉄総裁がこういう苦しい目にあわなければならないかという、その原因を聞きたい。私の考えでは、これは採算のとれない赤字路線を、政治家の選挙運動にからませて今日までほおかぶりしてやってきた。これが経営面の大きなマイナスになっておる。もう一つは、借入金の利子が非常にかさんできた。当然これは国家利子補給をすべきものである。これは羽生委員意見と同意見なんで、造船会社にやっていながら、国鉄には知らぬ顔をしておる。そして、その赤字運賃値上げでやるということは間違いだ。もう一つは、国鉄一家といわれておる経営の、何といいますか、ずさんといいますか、乱れ、これに思い切ってメスを入れて、冗費を節約するという、この三点が、今日の国鉄財政というものを苦しい状態にした原因じゃないか。この三点さえなければ、運賃値上げをせぬでも、今あなたのおっしゃったようなサービスの改善とか輸送力の増強はできたはずだと、こう思うのです。でありますから、以下その点について、さらに具体的にただしたいと思います。  国鉄当局説明を見ますと、その収入の六五%が東海道線など十九線、それによってかせがれておる。赤字線が残りの二百五線になっております。十九線のほかに二百五線、これが全体の八割の赤字経営を続けておる。こういう御説明を承った。ことに、戦後新設された十九線、資料を出していただきましたが、例外なく赤字線だという。赤字承知の上で、どうして年々歳々多額の国費を突っ込まれるか。これはもちろん、羽生委員のおっしゃったように、後進未開発の地域の格差をなくする、将来の発展を見越しての赤字はやむを得ない。これは私了承するのでありますが、一体おかしいのは、大臣の諮問機関として作られておる建設審議会というのがありまして、その長は、自民党の総務会長がやっておる。その委員には、自民党と社会党の人が入っておられるし、国鉄総裁はその平委員になっておられる。一体、今まで審議会で答申した原案を、これは経営上成り立たぬというので、国鉄総裁なり運輸大臣なりが、ほんとうに良心的に拒否されたという例はありますか、運輸大臣
  70. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 私は、最近運輸大臣になったばかりですけれども、もちろん古い話は知りませんですが、ただいま御指摘になりました鉄道建設審議会というものは、国会議員の有力な各党の方が出ておられるばかりでなく、その他いろいろ財界とかいろいろの知識経験を持っている方が出まして、それでここで、たとえば交通の網を作るのにこれが必要であるとか、あるいはまた、地方を開発していくとか、産業を発展させるのに必要であるとかいうような見地からおきめになったものでございますから、これは諮問機関ではございますが、運輸大臣としてはそういう権威のある方のお集まりになった公正妥当な建議とか答申とかいうものは尊重すべきものであると私は考えております。おそらく従来の運輸大臣も、そういうお考えでもって鉄道建設審議会から建議または答申のあったことについては、尊重をして、実行をすることに努力をしてきたものと信ずる次第でございます。
  71. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) 私は、この審議会にあまり権威を認めない。それはなぜか、あなたも長い間政治家やっていらっしゃるからわかるでしょうが、選挙にからみ合わしている。おれが代議士になったらこの線に鉄道ひっぱってやる、そういうことを大っぴらに選挙民に公約しておって、抜き差しならなくなっている。だからあらゆる運動をして審議委員に加わり、国鉄に圧力をかける、そろばんがとれぬことがわかっておりながら、代議士の選挙運動の圧力で歴代運輸大臣が屈服しているじゃないですか。極端なことを言いますと、私は、あなたは政界の長老ですからそんなことはしないと思うが、木暮大臣以外の今までの運輸大臣は、大体陣がさというか、伴食大臣というか、党内の実力者はあまりなっておらない。そうして出されたこの赤字線を見てごらんなさい、自民党の大御所がいるところはそろばんを抜きにしてどんどんできているじゃありませんか。一々申し上げませんが、小にはこの鉄道を作ったというので、銅像まで作ってもらって、生き神様になられる、鉄道一本敷いたら絶対に落選しない。汚職をやろうが無能であろうが落選しない。こうまで豪語している連中がいるのです。こういう圧力に屈している。諮問機関ならばその諮問機関のことは参考にすればいい。その答申をうのみにするならば、これはむしろ行政権を諮問機関が握ったことになるでしょう。木暮さんは二度とおそらく運輸大臣になられぬでしょうが、あなたの御在任中にこの間違った政治路線をたたき切るだけの信念と勇気を持たなければ、国鉄だけ責めたってしょうがないじゃないですか。その結果がこうなっているのですよ。一々例をあげろとおっしゃるならあげますよ。何のだれが動いてどうなったということは出ている。時間がないからそれは節約しておくが、どう思われますか。
  72. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 繰り返し申し上げますように、鉄道建設審議会というのは、従来各方面の方が出まして、公正妥当な意見を吐き合って、そうして建議または答申をなさっていると私は確信をいたしておりますわけでございます。答申をごらんになりましても、国鉄に対して、新線建設によって赤字を累積せしめるということは忍びざるものであるというような、いろいろ御議論がございまして、あるいは、新線建設の費用は一切借入金によらずに、政府がこれを負担したらどうだというような御意見も出ているわけでございます。しかし、今日の財政の状態でそういうことに政府としては踏み切れませんで、建設審議会のそれにかわる意見として、新線建設借入金に対する利子補給をせめてなすべしというような御意見に従って、これをやっているわけでございますし、また、新線建設にあたっては、その建議の中で鉄道にどうしてもよらなければならなかったものは別だが、なるべく経済的なほかの交通機関なども使って、国鉄に対して赤字の累増のないように配慮すべしというような建設審議会の御意見というものも、建議なり答申なりに出ているわけでございまして、今御指摘のように政治線をがむしゃらに押しつけて、国鉄赤字を累増せしめて、無責任におるというような私は建設審議会ではないというふうに考えておりますのですが、これはいろいろこれに対しての御批判とかなんとかいうものは人によって違いますから、いろいろの御批判もあることと思いますが、私といたしましてはこれだけ社会党の有力な方も、自民党の人も寄り、また財界からもたくさんのお方が、ここへ出ておる人が、この二十七人の方が公正妥当なりとして答申または建議した線につきましてはできるだけ尊重をいたすということが当然であろうと私ども考えておるわけでございます。
  73. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) 十河さんは御老体でレールをまくらに討ち死にすると言って総裁になられて、そうして、今度また継続していっていらっしゃる。その姿には私は頭を下げておる。それならば政治家が圧力でもって選挙の対策とにらみ合わせて、そろばんのとれない、良心的にだめだと思う線があったら、それこそあなたこの間違った政治家どもと対決をして、そうして最後を飾るだけの英断をお示しなさい。そのことが赤字をなくする根本原因ですよ。どうですか、やりませんか、最後に。
  74. 十河信二

    説明員(十河信二君) 私は国民国鉄をお預かりしておると考えております。それゆえにでき得る限り国民の御要望に沿いたいということを私の責務と心得てやっておるので、さっき運輸大臣からお話のありましたように、建設審議会には与党も野党も学識経験者も、皆さんが出ておられる、国民の多数から選ばれた、いわば両党の総意と言ってもいいように私は感じておるのです。すなわちこれは国民の要望である、こう考えまして、私は違った意見を持っておる場合においても、 これをがんこに抵抗すべきであるかどうかということは私は考えぬわけで、自分一個の意見によって国民の多数の意思を無視するということは、決してこれは私のとるべき態度でないじゃないか、かように考えまして、私の意見と相違する場合におきましてもこれに服従して参った次第であります。
  75. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) そういうことならばおやめになった力がいい。そりゃ与党も野党もおるから公平とおっしゃったらとんでもないことですよ。与党も野党も選挙には、鉄道をつけるということは共通の利益なんです、国民がどう考えようか。そうして、その赤字運賃値上げで業者のピンはねをしているのですよ。それ、あなたはここで言えなくてもわかっているでしょう、ここで。十河さんらしくないですよ。時には政府にたてつき、国会議員をしかり飛ばしてもそういう不合理なことは食いとめるならばあなたにおってもらってもいいけれども、そうじゃないならば、あまり長くおられても意味がないのじゃないですかな。(笑声)いいかげんに引かれたらいいじゃないですか。  それじゃ一つの例を申しましょう。茨城県に白棚線というのがありましょう。これは戦争中にあったレールがはずされた、戦争中に。戦後またそこにレールを復活しようという要求が強かったのを、国鉄の良識でレールよりもバスがいいぞというので、鉄道のかわりにバス路線を整備されて、それが非常に地元に喜ばれて、黒字になっている。だから、あの山の中に鉄道一キロ敷くにはどんなに少なくても一億円かかるでしょう。一キロ一億円かかるでしょう。この一億円の建設費で既設の県道とか国道を補修して、そうして舗装を完全にして、バス道路にいたしますというと、少なくとも十倍、一キロで十キロのバス道路、りっぱな舗装道路ができる。そこへ国鉄のバスを通わせれば、トラックを通わせれば無理をして赤字鉄道よりも地元民にははるかに便利が感ぜられて、しかも経営は黒字になるという一つのモデルが茨城県の白棚線にできておると私は見ておる。なぜそれをおやりにならぬかということです。鉄道というものにあまり大きな期待をかけないで、むしろこの交通の比重はだんだん鉄道から自動車に、次いで飛行機に移ろうとしておる。その世界の動きをごらんになって、赤字線を作るよりもその金で十倍の長さの道路を舗装して、そうして鉄道四本通るところならばバスは十回通す。この方がよほどいいじゃないですか。そういうことをもう少し鉄道当局は真剣になって御検討になって、答申が出たときに、その線の要求はバスでがまんしてくれ、その方が便利で熟字になるのだということをもう少し強く主張することはできませんか。木暮さんどうですか、運輸大臣
  76. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいま申し上げましたように、権威ある建設審議会の建議、答申を尊重するという……。
  77. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) その間違った権威を直せと言っているのです、あなたに。
  78. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) これは、あなたは権威はないとおっしゃるけれども、私とすれば、与野両党の国会議員や、あるいは多くの財界の人やなんか出ていろいろ相談した答申や建議を権威ないとか、あるいは尊重しないというようなことは、運輸大臣としては言えるものではないと私は思いますから、それはそういうふうに聞いていただきたいと思います。  そこで、そろばんに合わずに赤字を累増するような線が出ました場合には、国鉄といたしましても、あるいは新しい交通機関ができますれば、沿道の人たちによく説得、納得をさせまして、そうしてこれを舗装道にして線路をはずして自動車を通すとかというようなことにも努力をいたしておりますわけでございまして、ただ、人によりますと、鉄道というものに、非常に子供らしいようですが、魅力を感じて、私どもが、鉄道でなく舗装道路で自動車を走らせた方がいいじゃないかというふうに考えましても、汽笛の音が響くことに非常にひかれて、どうしても鉄道でなくちゃならぬというようなことをおっしゃるのは困るのです。国鉄としても、私ども指導して、なるべくそろばんの上から見まして赤字の累増するようなことのないようにということを指導いたしておりまして、幾つかの線につきましては、国鉄から御説明ございましょうけれども、その沿道の方々によく御説明して御納得を願うというような努力を今続けておる線もあると私ども考えておるのでございます。今お話のような、鉄道を敷設するのには一キロ一億円以上もかかるということでございますから、国鉄赤字を累増させないという見地から、できるだけ国鉄に、鉄道によらずに交通の便を利用することのできるような説得を続けて、他の有利なる新しい交通機関によるようにということは、運輸省としても国鉄に対して指導をいたしておるのでございます。だんだんこういう線が出るのではなかろうかというふうに私ども考えておるのでございます。
  79. 十河信二

    説明員(十河信二君) 国鉄努力が足りないというおしかりを受けましてまことに恐縮いたしております。われわれは努力が足りないと私は深く反省いたします。が、しかしながら、われわれも今日まででき得る限りの努力をいたして参ったのであります。ただいまお話の白棚線につきましても、これを映画にとりまして、建設線の問題になっておるところ全国を巡回して国民に納得を得るように努力をいたしておるのであります。また私は建設線が開業をいたします際に、地方へ行って、そのときにもいろいろ地方の方々に説明をいたし、宣伝をいたしておるので一あります。しかしながら、あの鉄道が開通したときの地方民の喜びを見まして、日本の国民はまだまだ鉄道というものに、さっき大臣がおっしゃったように、非常な郷愁を感じておる。これは一つ国民の知識が足りないというか、見識が低いというか、そういうことを改めさせなければこのことは改まらない。私は先刻お話のように、鉄道を一線建設すれば永久代議士が当選するという、そういう状態であっては困ると、こう考えまして、まず国民がそういうふうなことを納得してくれるように努力することが基本的の要件であると考えまして、今日までも努力して参りましたが、今お話のように今後一そう努力をして、そういうことを宣伝し、教育というと非常におこがましいのですが、説明して参りたいと考えております。
  80. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) 大へん総裁の誠意のある御答弁ですから、じゃきょうはこれくらいにしまして……。
  81. 羽生三七

    羽生三七君 辻委員の御質問に関連してですが、鉄道審議会のあり方をちょっと承りたいと思います。それは国鉄当局がこれこれの路線をこうしたいという計画に基づいて出したものを審議会で審議するのか、あるいは審議会のメンバーが自分の好きなやつを持ち込むのか、その辺はどうなっておるのか。審議会のあり方一つ説明いただきたいと思います。
  82. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 鉄道敷設法の第四条でございますが、「運輸大臣ハ新線建設ノ許可ニ関シ必要ナル措置ヲ為ス場合ニ於テハ予メ審議会ニ諮問スヘシ」ということが書いてございます。それから同じく第四条の第三項に、「審議会ハ内閣総理大臣及関係各大臣ニ対シ新線建設ニ関シ建議スルコトヲ得」とございまして、当然これは日本国有鉄道がこういう新線を建設したいから運輸大臣に対しまして許可を求めてくる場合は、その許可をするかどうかということに際しまして、建設審議会に御意見を拝聴すると、こういう格好になっております。で、最初昭和二十六印七月でございますが、諮問第一号といたしまして、国土開発並びに交通政策より見た鉄道線建設の維持及び方策と、それから同日付で第二号といたしまして、さしあたり直ちに着手を要すると認められる鉄道新線の建設に関しとるべき具体策と、こう諮問いたしておりますが、それに対しまして、鉄道建設審議会から、日本国有鉄道鉄道敷設法の別表に従って新線を建設する場合には、つまり新線建設に関し許可を求める場合には、こういった諮問に対する答申の線に沿ってやるのがよろしかろう、こういうことでございまして、国有鉄道はその趣旨を体しまして、その自発的な意思に基づいて運輸大臣に新線建設の許可を求めておる、こういうことに相なっております。
  83. 羽生三七

    羽生三七君 そうすると、運輸省当局が——あれ国鉄ですか、当局が審議会に検討をゆだねる場合に、その原案というものに、今、辻委員が御指摘のようなとんでもない路線が出てきて、いわゆる政治ボスというか、そういう政治的圧力が加わる場合には、自分が出すのでなしに、運輸省が取り上げてそれを出すわけですね。当局が作る、それだから国鉄当局に政治家が運動するわけですね。当局案を作って審議会に出す、こういう経路をとるわけですか。
  84. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 先ほど申し上げましたように、鉄道建設の場合には、当然日本国有鉄道法に基づきまして、国鉄総裁運輸大臣に許可を求めて参ります。その許可をするにつきましては、やはり鉄道線建設についての一つの政策的な見地から、これを許可するかどうかということをきめるのが運輸大臣としては適当であろう、こういうことから、昭和二十六年でございますか、法律改正によりまして第三条以下、鉄道建設審議会というものが運輸大臣の諮問機関として、付属機関として設けられたわけでございます。従いましてその鉄道新線の建設につきましてどういう政策をとるべきかということをあらかじめ諮問いたしまして、あるいは逆に審議会の方から積極的に建議に相なりまして、こういう方針でやるのがよろしいということで、その線に沿って日本国有鉄道も新線建設の許可を求める場合にはやって、ほしい、こういうことでございまして、従来おおむね鉄道建設審議会の答申なり、あるいは建議によって新線建設が進められてきているような状況でございます。
  85. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) これはいろいろあなた方は、今、羽生議員の質問に対してお答えになったが、実際は新線建設の原案は各代議士が持ち寄るんです、自分の選挙区のを。そうして運動してそれを無理やりに通そうとしている。原案を国鉄なり運輸省で作って、これがいいか悪いか審議するんじゃない。まあ、それ以上はやめておきましょう。  それから、その次に、ことしの冬起こったあの未曽有の大雲に対して、雪害対策に対して施設その他の改善にどのくらいの予算を計上されて、それをどうしておりなさるか、具体的に承りたい。
  86. 滝山養

    説明員(滝山養君) お答え申し上げます。ことしの雪は年末帰省の客が殺到されまして、臨時列車を最大限に出したときに雪が降りまして、しかも先ほどから総裁説明いたしましたように、主要幹線が単線でございますので、余力がない、除雪車を入れるのにもいろいろと困難がございまして、そういう最悪の状態でもって、ああいう大へんな御迷惑をおかけしたわけであります。  それで根本策といたしましては、今回の新五カ年計画におきまして主要幹線を複線化するということによってこの問題の基本的なものは大幅に解決されるわけでございますが、しかし、さしづめの問題といたしまして、今回の新五カ年計画におきましても積極的な除雪対策というものを今織り込んでおります。大体毎年十数億のものを計上いたしまして、除雪の効果のあるたとえば雪溝というようなもの、あるいは機械化を促進する、従来の除雪機械をこの際の経験を生かしまして新しい、たとえばディーゼルを使うとか、あるいは両方向に使えるようなロータリー・ラッセルにかえるというような構想もいたしまして、積極的に今回の経験を生かしまして除雪について御迷惑をかけないような措置、また通信が今回の雪でもって相当の損害を受けましたので、今後は主要幹線、ことに雪につきましては無線を利用するというような措置を講じまして、今後の災害を最小限度に食いとめるということを今考えております。
  87. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) それじゃ、これは総裁のお耳に入っておらぬと思いますが、私の国はそれで被害を受けた。石川県、富山県。その一つの例を申し上げます。あのときに、帰るお客さまが冨山の駅を出た。富山の駅におきましては、駅員が前の駅はあいている、出なさいと出してしまったのです。ところが受け入れる駅においては、詰まっているからとめてくれと言う。お互いの駅が、あの雪に、満載された旅客のたき出しであるとかその他の世話をすることをきらって、お互いに責任をなすり合いながら、ほっちゃらかした結果が、駅と駅の中間のレールの上に、雪にさらされて十数時間、たき出しもできなければ、水も飲めない。暖房も消えてしまった。ふるえ上がっている。その結果、ある駅においては、暴動一歩手前まで激高した事態がある。これは鉄道従業員諸君の責任観念に私はかかってくるのじゃないか、こう思うのです。そういうことをお調べになりましたか。
  88. 十河信二

    説明員(十河信二君) お話のような従業員の不行届あるいは間違いというようなことも、あったかと思います。これもまことに申しわけがないと、私は心から国民の皆様に陳謝したいと思っております。しかしながら、従業員もまた懸命に努力をしてくれた、自分たちが食べるものも全部食べないで、そうして一生懸命に、家族総がかりでたき出しをして、それを駅へ運んでいくというふうなことをいたしました。私は従業員の努力、その奉仕のさまも、つぶさに報告を受けまして、涙を流してこれを聞いた次第であります。そういう次第でありますから、ああいう異常の際のことはいろいろと皆さんに申しはけのないことが多々あったと思いますが、それは一つ何とかごかんべんを願いたいと、私はただ陳謝するのはほかありません。
  89. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) いいところも見ております。しかし、今言ったような悪いところもあったのですから、こういうことがないように、将来特に注意してもらいたい。  それじゃその次に、経営合理化によって経費節減努力するとたびたび聞いているのですが、国鉄一家の経営合理化によって、どのくらいの予算が節約できたのですか。
  90. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) ただいまのお尋ねは、主として国鉄のいわゆる外郭団体もしくはそれに準ずるものとの関係において、今までどういうふうな努力をしてきたかというお尋ねであると思いますので、その趣旨で要点だけ申し上げたいと思いまするが、お話通り国鉄を中心にいたしまして、外郭団体その他について、いろいろ国民の疑惑を受けまして、数年前問題になったことでございますので、国鉄としても、これらの点は何とかして改めなければならないし、また疑惑を受けているような点は、明らかにしなければならないという考え方で、それぞれ国鉄の中だけのこの問題の処置を考えるということでなく、公正第三者の御意向も承るという考え方で、いろいろな委員会を設置いたしまして、一つ一つ問題を取り上げて、直してきたつもりなのでございますが、その結果、結論的に申しますと、まず一つは土地建物、それから高架下等の使用料金、それから構内営業料金、それから広告料金、こういうふうなものが、不当に安い扱いをしているのではないかというお話がありましたので、これらの点につきましては、数次にわたって改訂を行ないまして、昭和二十八年度に比べますというと、昭和三十五年度は約三倍半になっております。しかし、今後さらにこれらを引き上げることにつきましても、なお一そう努力をいたすつもりでおります。  それから交通公社の乗車券の代売手数料率、あるいはそれの後払運賃の納期の問題につきましても、これもいろいろ御指摘を受けた点でございますので、この手数料率につきましては、機会あるごとに引き下げをはかって参りましたし、それから納期につきましても、短縮に努めて参りました。従前に比べますと、よほどその点は改善されたとお認め願えるかと思うのでございますけれども、今回お願いいたしております運賃改訂の機会に、さらにその料率の引き下げ及び納期の短縮ということをやるつもりでおります。  それからいささか抽象的なことになりますけれども、いわゆる国鉄が持っております遊休資産、特に遊休固定資産というようなものを、これも今まで積極的に処分に努めて参りましたが現在帳簿価額は、約五十億円ほどこれがあることになっております。これらの遊休固定資産については、さらにその実態の把握に努めまして、売却可能なものについては、なお一そう積極的に三十六年度において処分いたすことになっております。それから遊休資産というようなものについても、もちろんこれを積極的に処分をいたします。同時に、資材の購入の面におきまして、これは必ずしも外郭団体云々ということではございませんけれども、購入の公正を期するとともに、単価の切り下げということについても、積極的に努力をいたすつもりでおります。  それから、概括的に申しますと、そういうようなことなんでございますが、なお非常にこまかいことのようでございますが、野球の国鉄野球団、これは本来国鉄とは全然別個の株式会社であるわけでございますが、その後援会というものがございまして、その後援会に対して、わずかではございますが、職員のレクリエーションというような意味で、補助金を出しておったのであります。それも今後はもうやめさしていただく、そういうようなことで、そういう面から、今度新しく捻出するめどといたしましては、おおむね二十億程度の資金を、さらにこの面からひねり出すという考え方で、三十六年度の予算はお願いいたしているような次第でございます。
  91. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) 時間がないから、簡単に申し上げます。それじゃこの国鉄のスワローズというのは、資本金がどのくらいで、どういうふうに作られているか、簡単に。
  92. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 資本金四千百万金でございます。
  93. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) その金はだれが出したか。
  94. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 昭和二十五年に、主として国鉄関係の団体から、三十株主ぐらいでございますが、それらが拠出したものでございます。
  95. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) 金田投手に月給を幾ら払っておりますか。
  96. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 球団運営の詳細のことにつきましては、私ども承知いたしておりません。
  97. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) だれも知らないのですか。
  98. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) ことに野球選手の給料につきましては、ほとんど今までの慣習上公表されてないようでございますが、一人一人の選手が幾らということについて、私ども承知いたしておりません。
  99. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) 私の調べたところでは月給が九十万円で、年収一千万円というのですが、間違っていますか。
  100. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) あの選手は一流でございますので、どの程度……、今先生がおっしゃった額でございますかどうか、正確には存じませんが、ただ国鉄の選手の中では、一番高い俸給を取っているように考えます。
  101. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) 新人の徳武選手を手に入れるために、契約金を幾ら払ったか。
  102. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 個人個人の選手の獲得等につきましては、もちろん承知いたしておりません。いろいろ新聞紙上で騒がれたことも事実でございますが、数千万円というような事実はないようでございます。
  103. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) 新聞に出たんですからな。私も調べたんですから。四千万円の契約金を払っている。そのうわさを否定できますか。
  104. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) あの当時は非常にあれがいい選手でございましたので、各球団とも非常に取りたかったことは事実でございます。それでスワローズに参りますためにも、いろいろ理由があったと思いますが、主として契約金等の問題よりも、やはり自分が働けるところだというふうに選んだというふうに聞いております。契約金が四千万円ということは、私は明白には存じ議せんが、事実でないと存じます。ただ給料その他については若干のめんどうを見ているんじゃないかと思いますが、契約金につきましてはそれほど高額は出せないと思います。
  105. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) 外郭団体でありますから監督の責任はあるんでしょうね、できるんでしょうな。
  106. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) いわゆる法律上の監督はございませんけれども、事実上あの球団は、元来国鉄職員が作った、国鉄職員の中から選手を出して作った球団でございますので、そういう意味の関係がございます。
  107. 辻政信

    ○担当委員外、委員(辻政信君) かりに新聞で発表されたことが事実で間違いないとするならば、月俸九十万円。三万円のサラリーを取る者の百十一人分です。しかもそれを手に入れるために、あなた方は知らんとおっしゃるけれども、少なくとも一千万円単位の金が動いていることは否定できないでしょう。おそらくこういう状態でおきながら、いやその内部を粛正したとか、合理化したと言ったって私はだめだ、納得できない、こういうことは。なぜこういうことをやらせるか、あなた方国鉄赤字の原因として、公共事業として奉仕しておるという、二言目にはおっしゃる。戦争でけがした者に六千万円の予算を組んだとおっしゃる。傷痍軍人に対してどのくらいの一体パスを与えていますか。
  108. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 年間約二十万人でございます。運賃額は正確に計算いたしますと、約八千六百万円でございますが、これは切符の券面上に現われました運賃でございますので、途中で旅行をやめることも考えられますので、これを大体約八割に否定いたしまして、六千何百万円が今日運輸省予算で見ていただいております。
  109. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) 私の調査によりますと、特項症、両眼両足のない者、四項症までが一年に十二枚の切符をこれで使える。五項症から七項症が一年に六枚、半分です。一款症から四款症までが一年に四枚。しかもこの切符は普通列車だけです。急行料金はやらない。ところが、両手両足のない者はのろのろした汽車に乗れない、つき添いをつけて、そのつき添い人と本人の二人分の普通急行券を買わなければならない。せっかくあなた方から無料乗車券をもらったとしても、鈍行一枚ですから、それを利用して、急行券二枚買いますと、ただで乗せたというのは形式上で、実際は金を払って乗っているのです。その金がどんなに多く見積もっても六千六百万円、それを国が負担している。あなた方の財布を切っているのじゃない。それに比べて、国鉄に働いている人たちの家族は、一体どういう旅行をしているか、家族が。職員なら文句は言わない。その家族は、ただのパスで行きたいところへ行っているじゃありませんか。私はたびたび見ているのです。これは私設の鉄道であったら、たとえば私鉄のバスであったら、バスの車掌がお客様より先にすわることはない。国鉄に行ってごらんなさい。非常に混雑のときに検札がやってくる。赤ん坊をおぶったおかみさんが立って、すし詰めのところで、たばこ食わえながら検札も受けずにこうやっているのは職長じゃないか、家族じゃないか。私はたびたび見るのです。そうしてあなた方二言目には公共奉仕やっているから赤字が出る——その年額はせいぜい六千六百万円で、徳武、金田両選手を引っ張り出す金の四千万円、それにちょっと毛の生えたようなものだ。かりにこれを急行券をやったとしたら、せいぜい一千万円か二千万円でしょう。徳武選手一人を契約する金で十数万の国のために手足をなくした人のために急行料金をやれるけれども、やろうとしない。総裁、どうですか。
  110. 十河信二

    説明員(十河信二君) まことに気の毒な、国のために傷ついた方でありますから、でき得る限り御趣旨に沿うように取り計らいたいと、検討いたさせております。
  111. 武藤常介

    主査武藤常介君) お諮りいたしますが、この辺で……。
  112. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) 私は予告してあるんです。答弁が長いから時間がかかっておる。私が引き延ばしたのじゃない。
  113. 武藤常介

    主査武藤常介君) 時間が相当過ぎました。——それでは簡単に一つ
  114. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) それでは、これは本委員会でも申しました。大蔵大臣も考えるというし、国鉄考えるというのですから、今年中に実現されるものと予想してよろしゅうございますか。
  115. 磯崎叡

    説明員(磯崎叡君) 極力御趣旨のように現在検討いたしております。
  116. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) 検討じゃない。やるか、やらぬか、国鉄総裁
  117. 十河信二

    説明員(十河信二君) 本年中には結論が出て、できることと思います。
  118. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) 運輸大臣、認めますか。
  119. 岡本悟

    政府委員(岡本悟君) 御承知のように、法律によって通常の運賃を国庫負担するという建前でございますが、さらにこれを国庫が負担していくかどうかということにつきましては、大蔵省とも相談いたします関係で、いろいろ打ち合わしてみたいと存じております。国有鉄道自分負担におきましていろいろ考える点につきましては、今総裁から答弁したような次第でございます。
  120. 辻政信

    担当委員外委員(辻政信君) これで終わります。  私が今一時間近くにわたって申しましたのは、決して皆さんのあげ足をとろうというような気持で言っているのじゃない。総裁以下苦労しておられることはよくわかっております。よくわかっておりますが、総裁がどんなに苦労しても解決できない問題は、代議士が選挙運動のために赤字線を政治力をバックにして強行している。これをはね返す勇気がないということが一つ。それから国鉄の外郭団体その他について、緊縮すべき点が大なたを振われておらない、これが第二。第三は、公共性を持った企業体ですから、借入金に対する利子補給は当然国が負担すべきであるが、それをやらずに大衆の運賃値上げでそれをカバーしようとするところに間違いがある。この三点を特に念を押して、それをすみやかに是正される措置を講ぜられることを了承して、私の質問を終わります。
  121. 武藤常介

    主査武藤常介君) 午前中はこの程度にいたしまして、午後は一応半から再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時四十七分休憩    ————・————     午後二時一分開会
  122. 武藤常介

    主査武藤常介君) それでは休憩前に引き続き、分科会を再開いたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  123. 森八三一

    ○森八三一君 私は国鉄経理につきましては、全くしろうとでありますので、努めて国鉄の運営には、好意を寄せながら理解をすることに、自分なりの懸命の努力をいたしておるつもりであります。そういう感覚に立って今までもしばしば疑問とする点をお尋ねをして参りましたが、どうもまだ納得ができませんので、重ねてお尋ねをいたしたいと思います。  経済成長、それに見合う輸送力の増強確保ということは、絶対に完成しなければならぬことでございまして、これはもう国の総力をあげてこのことに全力を注ぐべきであると思います。がしかし、他面に今非常に国民全体が心配いたしておりますることは、物価の値上がりに対する懸念であろうと思います。せっかく経済成長に伴いまして国民所得が増加して参りましても、物価の値上げにそれが相殺をせられて、何をやったかわからないということになったり、あるいは及んで輸出貿易にも悪影響が及び、及んで国際収支に破綻を生ずるというようなことになりましては大へんでありますので、この国民ひとしく心配しておる物価の値上げということにつきましては、政府も最善のこれは関心を寄せつつ取り組んでいかなければならぬ命題であろうと思うわけでありまして、そういうことは国務大臣という立場におきましても、運輸大臣という立場でも、あるいは国鉄総裁という立場でも、常に御心配を願っておる私は最大の要請であると思う。そこで、昨日御説明をいただきました国鉄経理についてお尋ねをいたしますが、御説明によりますと。四百八十六億円というただいま審議を求められておりまする国鉄運賃の三十六年度における増収というものを一応予定いたしまして、この年度における総収入が四千七百十七億円ということにお示しになっておる。ところが、そういうような収益を上げまするために、経営費の総額はと申しますると、これも数字的に明らかに三千二百四十億円であると説明をされておるのであります。そこで、単純な私ども経済的な考え方から申しますると、四千七百十七億円の営業収入がある。そのうちには四百八十六億円の今まだ予定ではありまするが、予定されると申しまするか計画されておる運賃収入の増加を見込んでいらっしゃいまするわけでありまするが、もしこれをないものと一応仮定いたしますると、差引四千二百三十一億円の国鉄営業収入ということになろうと思います。ところが、経営費の総額は三千二百四十億円ということでございまするから、差引九百九十一億円のまだ営業利益が残るということになりまするが、他面に利子及び債務取扱諸費二百四十九億円、予備費の八十億円等が別に見積もられておりますので、こういうものをさらに営業費的なものと考えまして、三百二十九億円を控除いたしますると、残りが六百六十二億円ということになるわけでありますので、通常の営業的な経営という感覚から申しますれば六百六十二億円の利益があるということになると思うのです。この考え方は、一体間違っているのか間違っておらぬのか。総裁なり、あるいは副総裁でも国鉄経理を直接やっていらっしゃいます方に御説明を願いたいと思うのです。今申し上げましたのは、ちょうだいした数字からざっと計算したのでありまして、そういうことは一体言えるのか言えぬのか。
  124. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 昨日私こちらにおりませんでしたので、昨日のあれはよく承知いたしておりませんが、ただいまのお話の最後の結論でありますもののうちから、実は減価償却費に当たるものとそれから除却費に当たりますものを差し引きませんと、いわゆる利益にはなりませんので、それを差し引きますとちょうどその六百何十億という分が消えてしまいまして、なお実は赤字になるわけでございます。
  125. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、今お話しの設備償却とかという部類のものは、この説明資料に基づきますと、資本勘定へ繰り入れ一千百八億円というもののうちに含まれているのじゃないか、こう想像いたしますが、その一千百八億円の資本勘定繰り入れの内訳はどうなっておりますのか、数字的な内容一つ説明していただきたい。
  126. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 減価償却費をこの一千百八億から差し引いた残りが利益ということになるわけでございますが、その残る利益のうち四百八十六億というのは今度の運賃改訂による増収分ということになるわけであります。
  127. 森八三一

    ○森八三一君 私が申し上げている数字をよくお聞き、願いたいと思います。私はしろうとですから、わかりやすく御説明を願いたいと思いますが、四千七百十七億というものが新運賃値上げの構想を含めた三十六年度の営業収入だということでしょう。私の申し上げているのは、その中から、四百八十六億という新構想に基づく運賃値上げというものを一応なかりせばということの前提を置いたのであります。そうしてやりますと、一応九百九十一億円の平面的な計算ではありまするが、利益が残る。これはまだ私は問題があるのです。修繕費の五百八十億円を一応損失に見込むということが妥当かどうかということも、一応検討内容として私はあり得ると思いますが、そういうこまかい問題はここで論議をいたしませんで、お示しの数字だと九百九十一億円の利益が残る。そのうちから、利子及び債務取扱費二百四十九億円というものは損失に属すると思います。それから、予備費の百八十億というものは、内容よく調べてみなければいけませんけれども、一応これも全部損失勘定にあてがうといたしまして、こういたしまして、なおかつ残りが六百六十二億円ある。これを利益と見られるのじゃないかという質問に対し、あなたはそのほかに設備の償却等があるので、それがまるまる残るものではないというお話がございましたので、この運賃値上げということを企画されるについては、当然設備償却その他というものが計算をされておると思いますので、その数字は幾ばくかと、こう聞いておるのです。
  128. 兼松学

    説明員(兼松学君) 今お話のございました四千七百十七億円の収入の中には、営業収入四千五百三十三億円と、そのほかに雑収入百八十億円、それから政府会計からの受け入れ、これは補助金と、それからいわゆる新線建設補助と、傷痍軍人の輸送に対する政府の補償でございますが、それを含んでの見込みでございます。それから経営費の三千二百四十億円の中には、償却及び除却が除かれておりますので、償却及び除却として、償却は五百五十四億円、それから除却は九十八億円を一応見込んでおります。それを累計いたしまして、それと運賃収入と、差額が一千百八億円となって、これを償却、除却で浮いてくる金と利益を足して、資本勘定に繰り入れて、工事の財源にするという予算になっております。
  129. 森八三一

    ○森八三一君 どうも私しろうとでございますのでわかりませんが、通常の経理計算という観念から申しますると、今お話のように、四千七百十七億円というものの中には、政府補助金だとかいうものが入っているにいたしましても、三十六年度中における国鉄の総収入というものは、四千七百十七億円だというのは間違いないですわね。そこからお示しになっておる営業費の総額三千二百四十億円というものを一応引く。それからこれには四百八十六億円という新運賃値上げの構想が含まれた収入ですから、これも一応ないものと勘定をして、それから利子及び債務取扱費と予備費を引いてしまって、残りが六百六十二億円になる。それから今お話の五百五十四億円と九十八億円と加えますると六百五十二億円ですね。これを引きますると、わずかではありまするが、まだ十億円のプラスが残るのです。そういう計算は間違いないか、間違いあるか、 いかがですか。
  130. 兼松学

    説明員(兼松学君) 利益金は、計算上の、財務諸表上の利益は四百五十六億円になるわけでございます。そのうちで、運賃収入に期待いたしますものが四百八十六億円でございますから、運賃増収、値上げによる増収がございませんならば、財務諸表上は差額だけの約三十億の赤字になるという計算でございます。
  131. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、その数字を私まだよく理解できませんが、御説明通りとして、運賃値上げなかったとすれば三十億の赤字である、こう了解してよろしゅうございますか。
  132. 兼松学

    説明員(兼松学君) さようでございます。
  133. 森八三一

    ○森八三一君 それで運輸大臣にお伺いいたしますが、私も先刻申し上げましたように、国鉄の健全運営ということをあくまでも考えていかねばならず、経済成長に見合う国鉄輸送力の増強ということも考えなきゃならぬと思います。私はそれを否定するものではないのですが、しかし他面に国民も非常におそれておりまするし、また、政治的にも当然そういうところに配慮をしなければならぬ情勢に置かれておりまするが、物価の値上げということは、これは極力避けなければならぬ。その二つの要請を考えてみました場合に、三十億円の赤字だというときに、なぜ四百八十六億の運賃収入を求めなきゃならぬのか。それは御説明にもありまするように、新五カ年計画に基づく建設事業をやらなきゃならぬという要請からくるわけなんですね。その要請にこたえるものとして、二千百二十一億円ですか、というものがここに計画されておりまするけれども、その大部分というものは新建設事業なんですから、一ぺんに償却をする必要はないので、その工事の耐用命数に従って償却をするように考えて参りますれば、国鉄の運営というものが危殆に頻するということにはならないではないか。だといたしますれば、新建設事業に伴う赤字というものと、今御説明の三十億の赤字が現にあるということであれば、それを償却する程度の運賃値上げということにとどめることが、この際の国の情勢としては当然考えなければならない要諦ではあるまいか、私はそう思うのですが、そうはならぬのかどうか。そうならぬとすれば、ならない理由は、一体どこにあるのか、そこをしろうとにわかりやすいように一つ説明いただきたいのです。
  134. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 御承知通り、ただいま御趣旨のありましたような経済成長にマッチするような国鉄輸送力の増強は、これはどうしてもやらなくちゃならぬ。そこで、その資金といたしまして三十六年度から五カ年計画が始まりますが、その三十六年度におきましては借入金を返す二百億円を加えますると、二千百五十億円ということに相なりますわけでございまして、この中で、まあ、大体半分は財政融資あるいは鉄道債券等の借入金でやる、残りの半分というものを国鉄自分で捻出する、自己資金によってやる、こういう建前をとりましたので、まず減価償却を六百億円程度、それから残りのものをあるいは経営合理化等によって幾分か捻出をいたしまするが、利用者負担によってまかないたい。利用者負担は、今のような物価問題のやかましいときに、こういうものを取り上げるのはどうかというお話がございましたが、御承知通りに、鉄道の旅客、貨物両方との、運賃は、長い間物価の趨勢か見ますると、非常に低位に置かれておるのでございまして、過去における運賃改訂のあとの卸売物価の変動などを見ましても、この程度の、四百八十六億、実収一二%程度の運賃改訂というものは、物価にはあまり響かないであろう、もし響いたとしても、きわめて微少なものであろうというふうに考えまして、今度の運賃改訂に踏み切りましたわけでございます。
  135. 森八三一

    ○森八三一君 私のお尋ねしていることにお答えがピントが合っていないようですがね。私は、今まで鉄道運賃というものが非常に据え置かれまして、他の物価の値上がりよりもおくれておるということは承知しております。がしかし、このことは決して悪いことではないので、安いということが日本産業全体の進展には稗益しておるのです。また、そのことが国際貿易の上にも非常に貢献をしておるのですから、必ずしも並びをとらなければならないという筋合いのものでは私はないと思うのです。それは議論にならないと思うのです。それから今私のお尋ねいたしましたように、全部こう計算をしまして、数学的には一応三十億円の赤字だ。それから今度行なう新建設事業というものの中に、収益を伴ってこない、経済的にそろばんを持てない事業があるといたしますれば、これは確かに健全経営の面から運賃収入に依存をしなければ、これはできないと思います。その点は私も肯定するのです。けれども、大部分の新建設事業というものは、その年にはなるほど収益は上がってこないかもしれませんけれども、長い目で見て参りますれば、東海道の新幹線にいたしましても、霊化のことにいたしましても、これは国鉄運営上にはいずれも私はプラスの要因をなしているだろうと思うのです。ですから、その間は借入金で処置をして参りますれば、他日収益が上がってきてその償却というものは可能じゃないか、そういう可能の期待されることについて、今物価値上げの心配されていることに拍車を加えるような措置というものは、この際の政治としてはいかがかと、今お話のようにこの程度のことは、企画庁の長官も〇・二%くらいの物価へのはね返りを考えるとおっしゃっておりましたが、きょうの新聞で見ましても、すでにもう卸物価は予期以上に上がっておる、小売物価も異常な値上がりを示しておるということが報ぜられておるのですね。こういうことが、やはりこれから運賃値上げなどあってくると、さらに拍車を加えていって、今の政府のお考えになっておる経済成長というものをはばむという、おそるべき結果が生まれてくると思うのでございます。でございますから、この際そういうことに悪影響を来たすようなことは、どんなささいなことであっても、私はしんぼうしなければいかぬと思うのです。そういうふうに考えて参りますと、他日に収益が期待をせられて、そうして償却が可能であり、国鉄の運営を危殆に瀕せしめるというようなものでないということであれば、この際は配慮がなされてしかるべきものだと思うのです。安易に運賃値上げに求めていくということはいかぬと思うのです。そういう点を一体どうお考えになっておるか、私はどうもわからないのです。ただ、過去における物価の値上がりがどうだこうだという、そんなことはもう今時点においては、問題にならぬことだと思うのです。物価の値上がりに影響がないなんとおっしゃっても、これはもう予算委員会当初なり、施政方針演説で御説明になったときとは変わった様相が現に出てきているのです。こういう現実の動きというものを考えますと、そう安易に考えることはいかぬので、どうしてもやらなければならぬことはやっていただきたいと思うのですよ。やらなければならぬことはやっていただきたい。それをやめなさいということを言っていっているのじゃないのです。そういうことのために、もう少し知恵をしぼったらどうだ、こういうことを申し上げているのです。どうしてそれができないのかわからないのです。これは総裁の方では私の申し上げることがおわかりになっていて、相当政府には要請なすったけれども政府の方でやってくれぬものだから、結果やむを得ざる挙に出たと、そう了解しているのですが、そうじゃないですか、総裁
  136. 十河信二

    説明員(十河信二君) 別な委員会の席上でも、同様の問題について、運輸省あるいは国鉄の方から御説明申し上げたと存じますが、来年度から大体年々二千億ばかりの投資が必要である。この投資は今の御質問の中にもありましたように、輸送力不足のために、旅行したい者が旅行できない。物が十分運べないで、閑散期にも繁忙期同様に恒常的に滞貨がだんだんとふえていくというふうな状態では、ますます物価の騰貴に拍車をかけるのじゃないか。従って国鉄輸送力増強ということは焦眉の急だと思うのでございます。  ただ問題は、この急を救うに必要な施設をする費用、その投資をどこに求めるかということが問題じゃないかと思います。二千億の投資の中の約半分は先ほど御質問の中にもありましたように、利潤を生まない。借金でやっては元金も利息も払えないという種類の投資があるのであります。それでありますから、そういう投資はどうしても国鉄運賃収入でかせいだ剰余金を振り向けるか、そうでなければ一般会計から出資していただくかの二つの道しかないのであります。一般会計におきましては、同じ輸送の面においても、道路も非常に急を要する施設でありますから、これまた急いでやらなければならぬ。そういうことでかれこれ総合的に勘案した上で財政投融資ども増額をしていただきましたけれども、どうしても半分ぐらいが残る。そこで先ほどお話にありました六百億円の償却費をそちらの方へ振り向ける。そのほかにさらに五百億円程度の不足がありますが、これなどは一つ利用者の方々にその負担を願い、その面においては国民の生活、あるいは物価等にも多少の影響はあるかもしれませんが、その方がかえって物価を安定さす上においても適切な処置じゃないかと政府で御決定になり、われわれもさように心得まして、それで今回の約五百億に上る運賃値上げをお願いいたしておる次第でございます。
  137. 森八三一

    ○森八三一君 どうも、私どもまだしろうとには理解できません。そうすると三十六年度に一つ限って、具体的に数字的にお聞きしますが、三十六年度に新しく輸送力増強のために新建設工事勘定でおやりになりまする経費というものは、一千九百二十一億円になりますね。この一千九百二十一億円の内容というものは、この御説明にずっと出ておるのです。出ておりまするが、この中で、建設中はもちろん経過中でありますので、収益は上がらぬと思います。しかしその建設事業が完了いたしますれば、これは収益が当然伴ってきて、長い目で見ていけば、その工事というものは赤字ではないということになると思うのです。中には赤字になるものもあります。そこで、それじゃ具体的に聞きまするが、三十六年度に行ないます千九百二十一億円中、将来を見通しましてもこの事業経済的にペイしないというものの金額は一体幾らになるのですか。
  138. 十河信二

    説明員(十河信二君) 兼松常務理事から数字の説明をいたさせます。
  139. 兼松学

    説明員(兼松学君) 三十六年の予算のうちで東海道新幹線の建設費四百四十億それから電化、ディーゼル化、車両の増強というものは将来利益を生み得るものでございますので、借入金に期待いたしておりますが、幹線の増強とか、通勤対策、踏切保安の経費のようなものは利を生まないということで約半分を考えております。
  140. 森八三一

    ○森八三一君 今の御説明で、もう少し詳細に聞きたいのですが、東海道新幹線の建設四百四十億円というものは他日に収益が期待できるから、これはよろしい。電化の費用二百二十四億円もこれもよろしい。それからディーゼル化というのもいいのですが、これは幾らですか。
  141. 兼松学

    説明員(兼松学君) 電車化、電化、ディーゼル化等を合計いたしまして二百十八億と考えております。
  142. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと千九百何十億円のうち、この二つだけの、約六百六十億ですか、それだけが将来経済的な、収支の成り立つ見込みのものであって、その他の千三百億というものは、収支成り立たぬ事業昭和三十六年度には実施なさる、こう了解してよろしいですか。
  143. 兼松学

    説明員(兼松学君) 言葉が足りませんでしたので、初めから全部言わせていただきます。二千百二十一億を大別いたしまして、自己資金でなければならぬものが千百二十億、それからその残額千一億が原則として将来利益を生み得るものと考えておりまして、自己資金によらなければならないと考えております。千百二十億円の内訳は通勤輸送の対策に百十三億円、それから都市計画関連の工事三十一億円、踏切対策費二十五億円、これを一団といたしまして百六十九億、その次に線路の増強、信号保安設備の維持というようなものが合計いたしまして二百四十六億円、それから資産維持のための投資といいますか、施設、車両の老朽取りかえが二百四十四億、一般改良工事のうちで、取りかえに相当するものが二百四億、合計四百四十八億、それに伴います総係費が五十七億、それから借入金の返還等が二百億、合計して千百二十億が自己資金でやるべき工事である。それから外部資金考えております工事としては、車両の装備二百四十九億円、御指摘のございましたような電化、電車化、ディーゼル化及び停車場改良等が二百十八億、それから総係費十九億、それに新線建設費七十五億、これは将来に国家から補給がございますので、利子の補給があることを予想してそれを見合って考えております。それに東海道新幹線の増設費、合計いたしまして千一億円は外部資金でやり得るものという考えでございます。
  144. 森八三一

    ○森八三一君 今のお話の中のその取りかえとか、設備の更新とかいうのは三千二百四十億円の修繕費という中とは別なんですか、五百八十億円というのは。
  145. 兼松学

    説明員(兼松学君) 別でございます。修繕費でやりますものは、通常の、たとえば線路のまくら木を取りかえていくとか、線路のレールを同重量のものと取りかえるというようなものは修繕費で出しております。建物が古くなりまして取りかえる、車両が古くなって取りかえるというようなものは、支出としては資本支出にいたしておりまして、その財源としては償却の財源を繰り当てておるわけでございます。
  146. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、先刻御説明の六百五十二億の五百五十四億と、九十八億の六百五十二億の償却に要する引き当てというのは、今お話しの更新等に見合う財源として考えてよろしいということになるのではないか。といたしますると、当初の方の計算で上ってくる六百五十二億というものを、やはり利益として留保せられるという形になるのじゃないですか。
  147. 兼松学

    説明員(兼松学君) 鉄道の現在の会計制度といたしましては、いわゆる取りかえ資産の維持につきましては、修繕費で払っておりますけれども、償却資産の通常の維持は、もちろん修繕費でございますけれども、償却資産というものを、車両を取りかえるというような場合には工事支出としておりまして、それに見合うものが償却を積み立てていくわけでございまして、償却は今のお話では多いのではないかというお話でございますが、国鉄の償却は、通常の法人税法の償却とほぼ準じたものでございまして、ものによりましては、若干国鉄の方が期間が長くなっておるものもございます次第でございます。
  148. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、もう一点わかりやすく一つお伺いしますが、私が最初に申し上げましたように、総収入政府補助等も加えて四千七百十七億、そのうちには四百八十六億の新運賃の見込みを入れておりますが、これを差し引いて、運賃値上げのなかりしということを前提におきますと、四千二百三十一億円の収入である。それに三千二百四十億円の営業費を要しますので、これを差し引きますると九百九十一億円である。その九百九十一億円というものの中から利子及び債務の取り扱い費の二百四十九億円と予備費の八十億円、合計三百二十九億円というものも損失と見ましてこれを引きますると六百六十二億円残るのです。その六百六十二億円というものは六百五十二億の当然の年次償却あるいは金利等がありますので、そういうものに全部引き当ててしまうから、結局国鉄の営業収支としてはゼロになる。新しく行ないまする新建設事業というものについて考えて参りますると、そのうちの約半分の一千億というものは将来に収益の期待できるものである、残りの一千億円というものは将来に期待できないと、だから、それに見合うものとして、今回の約五百億に近い運賃値上げ考えたのだと、こういうことになるのですか。
  149. 兼松学

    説明員(兼松学君) いろいろ表現の方法や、こまかい点については問題もあるかと存じますが、大筋としては先生の仰せの通りであります。
  150. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、一千億に近い今年度の収益を伴わない事業をやる。それに対して五百億の運賃収入を見るということになりますると、的には五百億の赤字というものがまだ今年は残る。決して国鉄の運営というものは健全化されておるのではないということが、私は言えると思うのですが、それでよろしいのですか。
  151. 兼松学

    説明員(兼松学君) 財政的に言えばさようだと存じます。
  152. 森八三一

    ○森八三一君 それでは運輸大臣、どういうことですか、一体、国鉄の運営を健全化するためにかく考えて、そうして、この新五カ年計画というものをやれます、そのあとも大丈夫だとおっしゃっている。今伺いますると、まだ本年度だけでも五百億円赤字をかかえ込んでいる。来年度も同じように進んでまたかかえ込むということになりますと、いつの日に国鉄の運営というものは健全化されるか。これはおかしいことですよ、こんなこうやくばりみたいなことをやっておっては大へんですよ。
  153. 兼松学

    説明員(兼松学君) 私の説明が多少足りなかった、下手だったかと思いますが、要するに、運賃値上げが行なわれないならば、そういう欠損の結果になるという答弁をしたつもりでございます。
  154. 森八三一

    ○森八三一君 運賃値上げが行なわれないなれば、ではないでしょう。今申し上げまするように、一千億円の赤字事業をやるのですから、運賃値上げがあって五百億円カバーされるので、残りはやはり五百億円残るでしょう、計算上は。これは普通の子供にもわかるそろばんですよ。運賃値上げなかりしとすればこうなる。そうして六百六十二億の黒が残る。それは通常の償却等に引き当てなければならない、差引はゼロ。新建設事業として行なううちの一千億というのは赤字だ、赤字の上に五百億の運賃を入れたのですから差引五百億。こんなことは子供でもわかる。
  155. 兼松学

    説明員(兼松学君) ただいま申し上げました自己資金の一千百二十億の中には、償却に見合う取りかえを含んでおりますから、その分がちょうど概算的には償却に相当するわけでございます。
  156. 森八三一

    ○森八三一君 どうも私の頭が悪いのか、新建設事業の中には取りかえをするものと、それから借入金の償却も含めて一千百億というものが赤字仕事で、それからディーゼル化とか、新線とか、東海道新幹線で約一千億というものが将来に期待ができる、含めて千百二十億というものが赤字事業なんでしょう、取りかえも全部含めて。それに対して五百億の運賃収入計画されているということですから、差引五百億どうしても残るのじゃないですか、そういうことになりませんか。
  157. 兼松学

    説明員(兼松学君) 国鉄のいわゆる予算制度のうちでは、当年度に償却費を見まして、その償却費に相当するものを資本勘定に繰り入れて資本支出にするような制度になっておりますので、いわゆる自己資金でやるべき利を生まないと申しました中には、それ自体が利を生まない設備拡充の部分と、現在設備を持っておるものを取りかえ維持するための、いわゆる実質的な償却分と、二つが入っておりますので、千百二十億の中で、まあ償却に見合う分が約半分ございますので、そういったような御説明になったわけでございます。
  158. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、最初に申し上げたように、六百六十億ほど一応残る、その残りはこれを設備の償却等に通常の観念で引き当てるものに見合うのだ、その見合うということと先刻御説明の二百四十億ですか二百四億というもの、これとがちょうど同一体のものであるということなんですか。
  159. 兼松学

    説明員(兼松学君) 当年度の試算そのものについておっしゃれば、そういうことになります。
  160. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、ただいまの、もう一ぺん整理さしていただきますが、本年度だけの収支計算では償却等を見ないという場合には、約六百億円の黒字というものは一応出る。しかし、国鉄の設備というものの償却等は、当然考えなければならぬので、それに引き当てますると、その六百億というものはゼロになる。そうすると、新建設事業というものは二千億円ではなくて、約千五百億円程度だ、その中の一千億円というものは将来に収益が期待できる。そこで、残りの五百億というものだけを運賃収入に期待した、こういうことに整理ができるのですか。
  161. 兼松学

    説明員(兼松学君) その通りでございます。
  162. 森八三一

    ○森八三一君 その点は一応了解いたしました。  そこでもう一点お伺いいたしたいのは、こういうことになりまして、きょう午前中の質疑で明らかになりましたように、今度の裁定によって約二百億の職員費を必要とするということになって参ったということでございますと、午前中には、何か、運営の合理化とかなんとかおっしゃいましたが、私は、運賃値上げ案をおきめになる過程において、可能な合理化というものは全部洗いざらいおやりになってお出しになっておると思うのです。まだ余地を残して、そうして国民運賃に期待する、そんな考えではないと思います。といたしますると、その二百億円をいうものはここでいかように始末するかという問題は、国鉄のこの計画に基づく計算のほかにその収入というものが求められなければならぬ。もし、それが求められるとすれば、この新五カ年計画というものはどこかでチェックされる。そうなりますと、今度はまた、その穴埋めをするための運賃値上げということが考えられなければ、国鉄の運営というものは健全化されないというところへ回っていくと思う。ところが、五カ年間は運賃値上げはせぬと、こう言い切っていらっしゃるから、そのつじつまはどこで一体合わせるかという問題を、これは運輸大臣、どう処置されますか。
  163. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 先ほどもお答えを申し上げました通り、先月の公共企業体等労働委員会から仲裁裁定が出まして、これが国鉄負担二百億円程度のものになりますので、この財源をどういうふうにするかということは今、検討中でありまするわけでございまして、できるだけ新五カ年計画というものが、日本の経済成長関連いたしまして、どうしてもやらなくちゃならぬ問題としてここに提示してありまする以上は、これに今のベースアップによる関係が影響を及ぼさないように、できるだけ処理いたしたいと、こういうふうにただいまは考えているところでございます。
  164. 森八三一

    ○森八三一君 これはまあどういう名案を考えるかしりませんが、私どもしろうとから見ますると、最善の工夫をこらして、節約し得るもの、合理化し得るものを完全に合理化した上で運賃値上げ案というものをお出しになった。五カ年計画は五カ年計画としてやらなければ、日本経済の伸展がそこで阻まれる。結果としてまた運賃収入に現にそれがはね返ってくるということにつながってくるんですから、新五カ年計画というものは、どうしても完遂しなければならぬとすれば、これはもう考え考えないという問題ではなくて、どういう金を出すかということは別問題政府が始末してやらぬ限りは、国鉄収支というのは、これは理論的には合わぬことになりますね。そういうことになるんじゃないでしょうか。
  165. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいま申し上げたことを繰り返すんですが、今のベース・アップによる人件費の増しました二百億円に対しまする財源を今、目下どういうふうにあんばいするかということを検討中でございます。
  166. 森八三一

    ○森八三一君 まあそれ以上お聞きしてもいけませんが、そういうことが及んで、また合理化ということで、いろいろこの人事管理の問題に波及をしてくるようなことにまで及んでくると、また国鉄の輸送の上に混乱が生ずるという問題がつながって参りますので、そういう問題につきましては、十分御考慮を願っておると思いまするが、そういうような人事管理の問題に波及をしていくというような点については、十分一つ御考慮を願いたいと思います。一応私の質問はそれで終わります。
  167. 田中一

    ○田中一君 この際伺っておきたいのは、政府のいわゆる国民所得倍増計画に基づく港湾整備のうち、裏日本関係のものが今日の段階で相当もう完成の時期にきておって、相当仕事が縮小されるんじゃないかという点でございます。倍増計画でも言っているように、太平洋画のベルト地帯に対する施策相当伸びるような傾向を持っておりますけれども、いわゆる低開発地域の施策がどうなっているか。大体それを説明を願いたいと思う。
  168. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 御承知のように、今回作成いたしておりまする港湾整備の五カ年計画でございますが、これの基本方針といたしまして、横浜、神戸等の外国貿易港の整備という問題また、産業基盤を強化する意味合いにおきまして、石炭、石油、鉄綱等の工業原材料を取り扱いまする港湾の整備の問題、それから、いわゆる地域の所得格差を是正して、地方の産業開発のために必要な港湾の整備等に重点を置いて編成するという建前をとっておるわけでございます。ただいまお話がございました、このいわゆる太平洋ベルト地帯と裏日本の港湾との整備の格差ができるのではないかというふうにまあおっしゃっておると思いますが、ただいま申しましたように、この裏日本、日本海沿岸でございますが、私どもといたしましては、この港湾が地方開発のいわゆる基盤になるという考え方で、まあどちらかと申しますと、太平洋沿岸に比べましてこの日本海沿岸はまあおくれておるというふうに考えられますので、その点に対しましては、いわゆる先行投資という考え方に立ちまして、港湾の設備をいろいろいたしますことによって地方の産業を開発し、また促進するというまあ考え方で、秋田から新潟あるいは山形その他裏日本関係の港湾のいろいろな施策を進めてきたわけでございます。そこでまあたとえばでございますが、裏日本におきましても、工業開発の基盤となるような港湾あるいは対岸貿易と称しておりますが、ソ連材の受け入れをするとか、あるいは沿岸輸送の北海道方面との交易のための港でありますとか、あるいはその地方の立地条件を生かした工場誘致をいたすための港湾、現にその地方に工場ができておりますものを、さらに整備することによって工場等を誘致していくというような港湾が幾多あるわけでございます。従いまして、そういう点に対しましては、今回の五カ年計画におきましても、これを長期的に考慮いたしまして、五カ年間の計画量をきめる。何年度にはどういう施設を行なうというふうな計画的な整備計画を立てようとしているわけでございます。と申しますのは、これも御承知でございますが、従来港湾につきましては、運輸省といたしましても、古い五カ年計画の作成もいたしました。しかし、これがいわゆる単年度の事業でございましたために、予算が当年にならないときまらないという関係で、地方の港湾を利用する方面あるいは工場をそこに建設するというような事業者に対しましても、いつどういう施設ができるかということが、なかなかはっきりつかめなかったという実情でございましたので、そういうことではその地方の産業を促進するということに非常に不便、不利をいたしますので、今回これを計画的に実施する。そういうことでこの港湾を利用し、あるいは港湾地帯に工場を誘致するというような面におきましても、それらの地方の開発と港湾とが即応いたしまして、その地方の産業の推進に役立つようにというような考えを持っているわけでございます。従いまして、お話しのように、特に太平洋ベルト地帯に重点を置いて、裏日本関係はそれほどの重点がないというようなことは考えておりませんので、全体としての整備を計画しているというわけでございます。
  169. 田中一

    ○田中一君 しかしまあ、日本海方面でこの新しい計画で顔を出しておりますのは富山新港だけでございます。あと私は個々に申し上げますが、一つ答弁願いたいと思うんですが、秋田港一体いつ完成するのだ。なるほど港湾整備のむろんこれは早期完成、そうして経済的な一つのプラスの面を守るのは当然でありますが、秋田港一つ見ましても、これは浚渫はむろんのことでしょう。しかし、岸壁工事などは三十八年度でおしまいです。酒田港にしても、一万トン岸壁というのは三十六年度、本年度で終了してしまう。新潟も同じように、これは五カ年計画に乗って一つの役目を果たそうという計画になっておらぬわけです。これを一つ一つ——富山港が三十七年でおしまい。伏木はことしでおしまいになる。七尾は三十八年度でおしまい。敦賀の岸壁も三十六年度で完成するというようなことになりますと、新富山港のことだけが考えられているのであって、私は、今までの計画でそのままピリオドを打ってしまうというようなことになると思うのですが、従って、太平洋岸のベルト地帯のみに重点を置いているということは、一つずつ見てもわかるところであります。従って、今までの計画より以上の経済成長を見ていくならば、たとえばソ連との貿易の拡大とか、北鮮または中共との将来予想される正常な形の交貿関係というものが持たれるということをわれわれは期待している。従って、それに対する準備を全然しておらぬというふうに感ずるわけです。従って、こうした後進地域の港湾整備というものは、新しい新五カ年計画には沿っておらないではないかという疑問を持つのは当然なわけなんです。その点はどういうような意図で、今局長が言われたように、そういう考えはないんだとおっしゃるけれども、事実においてこれは証明されているということになると、今の局長答弁は強弁にすぎなくなる、こう思うのですが、その点、もう少し詳細に御説明していただきたいと思う。
  170. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 今回提案いたしておりまするこの新五カ年計画につきまして、港湾整備緊急措置法を提案しているわけでございます。その措置法によりまして、この五カ年計画内容につきましては、港湾審議会の議を経まして閣議決定するという手続をとるわけでございます。従いまして、お話の各港につきましては、これは御承知のように、港湾の開発、発展につきましては、港湾管理者ができておりまして、この港湾管理者が、その自分の港湾の開発、発展について、あらゆる面からその計画なり、あるいは管理、運営の面を責任を持つわけでございますが、そういう意味で、港湾管理者が港湾の計画を一応樹立するわけでございます。それと、国の全体的な立場からの考え方とを勘案いたしまして五カ年計画の全体を樹立していく、こういう建前になりますので、各地の港湾の整備につきましては、十分現地の港湾関係者あるいは港湾管理者の意見を入れまして樹立するわけでございます。そういう建前になっておりますので、今の港湾審議会に諮問いたしますので、そういうようないろいろな点がその審議会を通じて具体化するというふうに考えているわけでございます。
  171. 田中一

    ○田中一君 あなた、今回の所得倍増計画に乗って地域差の解消とかということを言っておりますけれども、現在の計画の中で見て、港湾整備というものは、後進地域に対する施策というものは、とにかくもう一、二年で終了してしまうという姿をとっていることは間違いございません。これは、おそらく港湾局長もそれを認めると思うのです。もしも、新しく——新しくというか、あなたが先行投資という言葉を使っておりましたが、将来平和な日本を作る、世界に冷戦もなくなって、平和な、正常な諸外国との交易ができるようになるならば、私はもっと大きく、裏日本の港、裏日本の貿易というものは盛んになるべきものである、こう考えておるわけです。御承知のように、ソビエトなどは、イルクーツク周辺の都市開発と申しますか、周辺を都市化していく、工業地帯を持ってこよう、いわゆる新都市を作ろうという計画です。私は先年行って見て参りました。相当激しい交易が今後行なわれるじゃなかろうかと思うわけでございます。たとえば、原料にいたしましても、仕向け先にいたしましても、何といってもソビエト・ロシヤがあれだけの意図をもって、人の住まぬといわれるようなシベリアの開発というものに乗り出しておる。これは、社会党も共産党も自民党もございません。お互いに平和な姿の民族の繁栄を考えるならば、遠い豪州とかアメリカから物を持ってくるよりも、何といっても、対岸の共産圏と呼ばれている国々との交易によって日本の民族に対する繁栄というものが早く来るのではないかという気持がするわけであります。従って、これは港湾管理者が自分の必要に応じて数々の整備の要求が出るのだというようなことなどは、これはあなたが言っていることであって、あなた以上の大きな意思というものは、これは政府の方針でございますので、港湾局長以上の意思というものはやっぱり政策として政府が持っているわけなんです。そのうたい文句の中に後進地域であるところの裏日本は、灘湾整備の面から見るならば、完全に捨てられているのではないかということが感ぜられるわけです。ただ一つ、富山が新しい港——冨山新港と申しますか、これが顔を出しておりますけれども、現存洞海湾あるいは四日市、紀州等が一昨年から始まったと思いますが、この計画と比較してみますと、今までの、ほんとうの前進しない整備段階後に置き去りにされているということが、これはあなた自身が知っているはずだと思う、裏日本の各港に将来の期待を持った整備を行なおうとしていこうということになりますと、あなたはどうお考えになります。そういう意思があり、そういう考え方のもとに新しい計画がここに樹立されておるかどうかという点について御答弁願いたいと思う。
  172. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) お話よく承知いたすわけでございますが、われわれといたしましても、裏日本の関係の港湾整備、またその地方の産業の開発ということは、従来から何とかしてこれを推進いたしたいというふうに考えておるわけでございます。今お話の富山新港を数年来調査いたしまして、昨年から実は取り上げてきたわけでございますが、その他にも現在たとえて申し上げますが、新潟港につきましても阿賀野川辺に新しく港湾を作って、今お話のような将来の対岸貿易に備えていくという計画も実はいろいろ出ておるわけでございます。それから七尾、金沢方面におきましても、その地方に干拓あるいは土地造成というような計画も出かかっておるわけでございます。また秋田方面につきましても、大きな臨海工業地帯を作ろうという計画も出ております。そういう問題につきまして、われわれといたしましてもお話のようにできるだけそれらの後進地域の開発が促進できるような方法について地元ともよく協力いたしまして、それを推進したいというふうに考えております。ただいろいろと計画をいたしますのに、技術的な面あるいは経済的な面その他の点でいろいろ検討しなければなりませんので、そういう点は検討いたしまして、そういうものが実施の可能性の見込みが立って参りますれば、それを実現をする方向に持っていこう、こういう態度でおるわけでございます。従いまして今回の長期計画の中におきましても、そういう実現可能の方向に対しての計画、あるいは実現するかどうか、そういうことを調査していこうというような点につきましても、今回のそれの中でそういうような費用を見込んでおるつもりでございます。
  173. 田中一

    ○田中一君 たとえば新潟港の例を一つとりましても、新潟港が今日においては全体の水揚げは戦前よりも上回っておるというような現状のように聞いておりますけれども、そういう中でいろいろ国際情勢がよくなって、そして非常に平和裏に貿易が行なわれる、そういう見込みがつけばこれをするのだという考え方に立っているのか、現在のままで十分だという見地に立っておるのか。私は自分で知っております。この程度のもので対岸貿易ができるものじゃないですよ。現在共産圏から来るものが少ないからこれでまかなっておられるけれども、冷戦がなくなってきて、ことに日本の政策が変わってくるならば、いち早く相当な拡大された規模のもとに整備しなければならぬものと考えておるのですよ。従って運輸大臣、一体閣議などでは対ソ貿易その他の問題については、今まで取りきめられておるところの規模でよいとお考えになっておるのか、またどういう点が議論され、もうあっちとは一切おつき合いしないのだ、今の取りきめ程度のものでいいんだというような考えでもって今回の五カ年計画あるいは十カ年計画がなされたものか、その見通しはどうです。共産圏との貿易等につきましては、どういう見通しのもとに今度の計画が作成されたか伺っておきます。
  174. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 先ほど来るる御指摘になりました太平洋方面の地帯に重点が置かれて、従来からやっている先進地域の方にのみ資金が投資されるような結果になるのではないか、いろいろ具体的な例をあげてお話でございましたが、私どもは今度の五カ年計画におきましては、いわゆる国民所得を地域的においても職業的におきましても格差を是正するということにある程度の重点を置いていろいろの施設をやっておりまするわけでありまして、そういう意味から申しましても、今の太平洋岸簿のみに投資をしているというようなことをこれから繰り返してやるようなことはございませんで、裏日本の方の港湾につきましても、港湾管理者がいろいろの計画を、今御指摘のような外国貿易の点などについてもお持ちになっていることと思うのでありまして、そういう構想によりまして、港湾審議会の方で取り上げまして、ただいま申し上げましたように太平洋沿岸にのみ重点を置くのじゃないという見地に立って、裏日本の港湾の整備等につきましても十分に力を入れたいと思うのでございます。ことに従来ややともすると、御議論になりました大きな外国貿易のための特殊の港湾にのみ力を入れるということのありませんように、広く地方の産業基盤を育成するとか、あるいは地方の港湾を作ることによりまして所得の地域格差を是正するとかというようなことにも力を入れます方針でございますとともに、また工業用の原料の鉄鉱石であるとか油類であるとかというようなものを扱う場所につきましても、今回は五カ年計画ができましたので十分整備に努めたい、こういうふうに考えておりますわけでございます。
  175. 田中一

    ○田中一君 じゃ港湾局長一つその裏日本の港に対する地域格差をなくするという方針のもとに立てられた十カ年計画、前期五カ年計画との関連一つ説明していただきたいと思います。各港々につきまして、どの港が現在こういう規模でやっている、しかし将来に備えてこういう形で考えている、これはそうしていつごろどうなるということを説明していただきたい、今大臣の言われているようなことが現実に行なわれているならば。
  176. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 一港一港説明をしなければならぬわけでございますが、一応方針として申し上げたいと思いますが、先ほどからいろいろお話を申し上げておりますが、この港湾計画にあたりまして御承知のように、その港の扱い量、たとえばどういう貨物がどのくらいくるというような見込みを立てるわけでございますが、それにつきましてまあソ連材とか、あるいはその方面の貨物がどういうふうにくるかということについて、まあこれは日本全国の見通しなり、あるいは各港それぞれについて五年先、あるいは十年先の見通しを立てまして、それに対応した港湾設備をやっていく。で、これは私の方で港湾審議会というのがございまして、重要港湾以上はそこで全部諮問いたしまして、相当詳細に計画を樹立いたします。それに対しましてのいろいろな将来の貨物の取り扱い、船舶の出入の見込み等を立てておるわけでございます。そういう方針で、裏日本の各港につきましてもそれぞれ港の計画を樹立して進めていくわけでございますので、ただいま申しましたように、これは今回の五カ年計画におきましては、各港については今後港湾審議会の議を経まして確定していくという方針でございます。ただいまのところでは、ごく大ざっぱになるかもしれませんですが、秋田、酒田、新潟、敦賀、舞鶴、境、浜田等の港が裏日本の関係になるわけでございます。従いまして、それぞれの港につきまして、岸壁、あるいは航路、あるいは防波堤、物揚場とか、そういった港湾の基本的な施設につきましてそれぞれの計画を樹立して進めておるわけでございます。  なお、先ほど申しましたように、今後の情勢いかんによりましてはそれに対応できるように施策を進めることも考えておるわけでございまして、お説のように、裏日本の港湾につきましても、今後それらの地方の開発、発展という点を特に重点的に考え施策を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  177. 田中一

    ○田中一君 この海湾の整備とか拡張ということは、まあ道路を作るよりももっと時間がかかると思うのです。そうして先ほどあなたがおっしゃっているように、工場地帯を造成するのだということも、結局出入口であるところの港の整備によって、規模によって左右されるのです。どちらが先行するか、地域格差をなくするための低いところの工業地帯の造成ということが先か——まあ臨海工業地帯を言っているわけですが、港湾の整備が先かと申しますと、やはり僕は港湾の整備が先だと思うのです。これが先行しなければくるものではございません。従ってこれは新潟の場合にいたしましても、幾ら運輸省の方でもう少し強化しなければならない、もう少し拡大整備しなければならないという考えを持っても、地元にそれに対するところの熱意がなければ、これはもう強制するわけにはいかぬのです。しかし、そこにどういう理由であなたの方で考えているところの線に地元が乗れないのかということを考えますならば、自分の県が近代化し臨海工業地帯というものがもう持たれるような条件にある新潟港のような場合は、これは私は県が財政上の負担にたえぬということがあろうとも、今回の所得倍増計画の大きな役割としての港湾整備という事業は、新潟港なら新潟港に強く国の意思というものが反映されなければならぬと思うのですよ。おそらく運輸省としては新潟等には相当の期待をかけていると思うのです。これは河口港と申しますか、私どもほんとうにいいと思うのです。しかし、それがどうして今回の計画の中にも、あるいは港湾審議会で新しい計画の中に当然織り込まなければならぬという問題が入っておらないのか。入っておりませんよ、はっきり言って。一昨年でしたか、永野運輸大臣の時代に初めての例の五カ年計画というものをお出し下さった。あれが不十分であるから、おそらく今度の新五カ年計画が私はできたと思うのです。その際新潟の問題は全然これは問題になっておりません。臨海工業地帯としての条件は備えているのです。対岸貿易というものは、これはもうわれわれがやればもっと早くなるかもしれぬけれども、今の政府ではいつごろになるか、わかりませんが、しかし一応の見通しは持っていると思う。いつまでも北鮮並びに中共とけんかをしているようなつもりがあろうとは考えておりません。たとえわれわれでなくても、保守党の内閣ですらそのきざしはもう見えております。これが強い国民の要望であるからです。そうするならば新潟港ぐらいの——新潟港一つを取り上げてもかまいませんが、新五カ年計画に何らかの形でもって芽ばえがなくてはならぬと思うのですが、それは取り上げられておらない。港湾局長が一番よく知っているはずです、何とかしなければならぬということを。私は、そこに今回の経済成長に伴う地域格差というものを解消するのだといううたい文句は、これはうそだと言えるのです。道路の問題にしてもつぶさに調べてみますと、このままでいくならば地域格差がますます広がるというような計画であることは間違いないのです。新潟港が——これは一つの例ですよ。新潟港が今後どういう役割を果たそうとするか、所得倍増計画に対してどういう考え方を持っておったか、新潟港一つについて見ても、私はそれは盛られていないと、こう見ているわけですが、どうですか。
  178. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) お話でございますが、新潟港につきまして、田中先生十分御承知なんですが、これはわれわれの方といたしましても、いわゆる日本海沿岸の実は中心港でございます。ただ御承知のように、地盤沈下、あるいは海岸決壊、いろいろの実は問題がございますが、それはそれとして、いろいろ対策を関係各省で進めておるわけでございますが、港湾関係につきましても、お話のように対岸貿易につきましても、対国内貿易につきましても、あるいは北海道貿易につきましても、また特に最近では新潟付近の電源あるいは臨海地帯の工場の設置、あるいは誘致、非常に実は熱心なわけでございます。従いまして現在の港湾設備ではいずれ将来これは行き詰まりを来たすであろうということから、新しい観点に立って新潟港の画期的なと申しますか、港湾の整備拡充をはかりたいということが、まあ昨年あたりから相当討議されておるわけでございます。そこで、われわれの方といたしましても、この問題を取り上げまして、そして、できればこれをこの五カ年計画の中にまあ盛り込めればよかったんでございますけれども、まあそこまで実は計画が固まってきておらなかった。そこで、今度は、この、そういった港湾の設備拡充計画十分検討いたしまして、できればさらに調査費等を計上いたしまして、この計画の推進をはかっていきたい。従いまして、先ほど申しましたように、この五カ年計画におきましては、そういった情勢に対処し得る調整的な考え方もございますので、これが調査の結果実現可能であるという見込みに立ちますれば、これを五カ年計画の中に盛ることも考えられると思っております。
  179. 田中一

    ○田中一君 当初、港湾局は前期五カ年計画に対して六千億から七千億程度のものを要求しようとしておった。これはあなたの方にそれだけの実現可能な、調査が終わったところのものを持っておるから要求するのです。また、五カ年間にこれは完全に完成し得るのだという予想のもとに、自信のもとにおそらく要求したと思うのですが、経済企画庁は五千数百億の査定をして一応の、というのは、五千数百億のものは前期五カ年間でできるのだという見通しを確認したわけです。ところが、予算折衝して、御承知のように二千五百億になってしまった。これが前期五カ年計画の姿なんです。あなたにそうした政治的の責任をとれというのじゃございません。事実、経済企画庁ですら五千三百億の整備が当然必要である、この計画を遂行するには必要であるという見込み方をしているにかかわらず、二千五百億に縮まってしまったということは、これは決して港湾局あるいは運輸大臣を責めるのではございません。運輸省としてはそこまでの自信を持った、そうしなければならないという自信を持っている。むろん、多少の水増しはあるでしょうけれども、査定を受けるという面はあろうけれども、少なくとも、経済企画庁が認めた五千三百億というものは、これが二千五百億になったというのは、やはり重点施策としては、ベルト地帯の港湾整備が先に行っているということだと思うのです。これは事実、今までのあなた方の計画や経緯を見ても、あるいはそれが後期五カ年計画の中に入り込んであるかもしれません。しかし、まあ幾ら何年計画を持ったところが、どの計画長期計画というものは一年か二年、長くて三年でもって御破算になって新しい計画が生まれているのが、これが戦後日本の姿ですから、いつまでも池田内閣続くものじゃありません、保守党内閣が続くものでもないと私は自信を持って言えるわけですけれども、しかし、今、運輸大臣が言っているように、低開発地に対する施策は怠っておらないということを言っておるけれども、事実においてここに怠っているということを言わざるを得ない。なぜ、経済企画庁が大体認めたところの五千三百億というこの事業が二千五百億に縮減されたか、これは運輸大臣一つあなたの、先ほどそういうことはないと言っているならば、この事実を何と国民説明されるか、伺っておきます。
  180. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいま御説示の五千三百億というのは、十年間の投資額の総計でございまして、その前五カ年は二千五百億円ということで新しく特別会計を作って五カ年計画をやっておりますようなわけでございます。
  181. 田中一

    ○田中一君 それでは、前期と後期と、どういう分け方をしておりますか。前期と後期の振り分けは。
  182. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 私からお答えしてよろしゅうございますか。——ただいま大臣がお答えいたしましたように、経済企画庁では、港湾行政投資として五千三百億、なお、このほかに、御承知と思いますが、産業立地調整費というのが五千億、これは十カ年で見てあるわけでございますが、これは産業立地に関係する港湾だけでなくて、道路なり農地なりありますが、その中から港湾に相当する分を回し得るのだというような考え方に立っておるわけでございます。われわれの方といたしましては、交通対策委員会等におきましては、六千数百億の投資が出ておりますが、運輸省といたしましては、御承知のように、五千三百億に対しまして、六千五百億程度を十カ年で要望したのでございます。そこで、前期五カ年に対しましては、大蔵省の方は一応四六というような考え方をしたわけでございますが、われわれの方といたしましては、そういうことじゃなくて、いわゆる、ただいまおっしゃったような港湾の先行投資という意味で、少なくとも、前期に三千億程度のものは要るのだということを要望したわけでございます。しかし、財政上のいろいろな問題がございまして、最終的に二千五百億ということに落ちついた、こういう形になっておるわけであります。
  183. 田中一

    ○田中一君 私はあなたの方の部局で作った書類によって質問しておるわけです。今、運輸大臣は、十カ年計画で六千億と言ったけれども、あなたの方のどこで作ったか知りませんが、あなたの方で作った書類には、五カ年間で六千億ないし七千億要求したというように書いてございます。その点は間違いございませんか。
  184. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいま港湾局長から申し上げましたように、十カ年計画といたしましては、運輸省といたしましては、六千五、六百億円の行政投資をする必要があるように考えていろいろ折衝をいたしましたのでございますが、私どもがただいま知っております程度では、経済企画庁の審議会におきまして、十カ年五千三百億というふうに大体の見当をつけましたことを聞いたわけでございます。今申し上げましたような、運輸省としては六千億以上を十カ年に行政投資する必要ありと考えましたものですから、前の五カ年におきまして、予算折衝のときには三千億円を下らない数字につきまして大蔵省の方に交渉をいたしたのでございますが、いろいろ財政の都合もございますので、前半の五カ年は二千五百億円ということで決定をいたしましたようなわけだと思うのでございます。
  185. 田中一

    ○田中一君 これは港湾局長、間違いないですか、私は五カ年というように理解しておるのですが。
  186. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) ちょっと私、追加さしていただきますが、私の方で、先ほど申しました、大田のお答えいたしました通りでございますが、私の方でこの港湾の予算要求全体といたしましては、いわゆる公共事業といたしまして約三千億、そのほかに、港湾及び海岸防災事業がある、これは今の二千五百億に入らない、これが約九百億ほどございまして、そのほかに起債関係事業が約二千億ほどでございます。そういうものを入れますと大体六千億になるわけでございます。
  187. 田中一

    ○田中一君 そうでしょう。まあいいですわ、その点は、大体同じでございますから。そこで富山新港はこれに入っておりますか、今度の計画では。
  188. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 入っております。
  189. 田中一

    ○田中一君 冨山新港の規模、それからいつごろ完成か、工事はどういうふうにするかということを一つ詳細に知らしていただきたいのですが。
  190. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 少し大ざっぱになるかもしれませんが、五カ年間で行政投資約三十億でございます。やります仕事は岸壁二万トン級接岸の岸壁をニバース、それからそれに伴います航路泊地の浚渫をいたします。それがまあ主なるものでございまして、あと土地造成等につきましては起債によって行なうわけでございます。
  191. 田中一

    ○田中一君 総工費としては大体二百三十八億、間違いございませんか。
  192. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 全部入れまして、起債等その他を入れましてそういうことになります。
  193. 田中一

    ○田中一君 この事業の調査はすっかり終わったわけですね。
  194. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 終了いたしました。
  195. 田中一

    ○田中一君 規模は大体大まかでいいですが、何か資料あれば資料出してほしいのですが、お持ちですか、何か。
  196. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) ただいま持ち合わせませんので、後刻それではお届けいたしたいと思います。
  197. 田中一

    ○田中一君 五カ年間で使用に耐える  ほどになりますか。
  198. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) なると思います。
  199. 田中一

    ○田中一君 工場誘地の計画等はどう  いうものをどのくらい、そしてこの全体の事業量に見合う経済効果等の計算もすっかりできておりますか。
  200. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 大計画でございますので、まあこの工場誘致等につきましては、通産省との方とも地元は十分連絡をとっております。大体まあその経済効果、あるいは工場誘致の、どういう工場を持ってくるかというふうな見通しでございますが、まあ、これからいろいろ施策をするわけでございますので、まあ実際にどういう工場が来るかということは、一応の見通しは県当局なり地元の方で立てておりますが、それに対していろいろな折衝なり努力が払われるかと思います。
  201. 田中一

    ○田中一君 二万トン・バース二つということになりますと、大体水揚げはどのくらいになります。出入りはどのくらいになります、水揚げは。岸壁が二つでございましたね、一万トンが。
  202. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 一万トン・バース二バースで大体二、三十万トン、年間扱えると思います。
  203. 田中一

    ○田中一君 通産関係の人いないのかな。一体どういう規模で、これも一つの地域格差をなくそうという一つ計画と思いますが、どういう程度の経済効果をねらっているか知りたいわけなんですよ。そしてまた隣接の所には相当整備された港もございます。それが足りないから、ここにこういうものを作るのだということになっているのかですよ、もう余地がない、ほかの港、余地がないのだ、拡張の余地がないから、ここに新港を作るのだという考え方か。その点が私には非常に疑問に思えるのです。それからたとえば工場誘致にしても、水の問題、工業用水の問題どうなのか、あるいはこちらの方でももうガスでもあるのかどうか、ガス資源でも。そういう点の計画はやはりどこかでできていると思うのです。これはあなたの方では建設の方の事業計画でしょうけれども、全体の計画としてはそういうものがあると思うのですが、そういうものは全部完成されているわけですか。
  204. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) ただいま申しましたように通産省の方でもいろいろ考えておりますので、私の方といたしましては一応まとまっております。まあ、この計画は御承知のように付近に富山、伏木という港がございますが、現在ほとんどフルになっておりまして、この港を活用してどうこうというそういう余地があまりない。それから工業地帯の関係でございますと、どうしても膨大な土地が要るわけでございます。それとそれに伴っての大型船用の施設あるいは泊地航路そういうものが要るということで、あすこが一番立地的には適当であろうという結論になっているわけであります。持って参ります工業といたしましては鉄工業あるいは木材工業あるいは繊維工業、御承知のように富山県は電源が非常に豊富なところでございざいますから、電気を利用した諸種のそういった関連の工業がくるものと考えておりますが、水につきましては、これはこれも御承知と思いますが、太平洋沿岸と違いまして、その点は比較的恵まれているということで、まあ、非常に有望なところじゃないか、また、そういうようにわれわれも努力いたさなければなりませんし、地元におきましても、この地帯の開発のために格段の努力をしていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  205. 田中一

    ○田中一君 大体あなたの方でも常に第一から第四の実施部隊を持っているわけです。そうして裏日本の方の事業はほぼ二、三年うちには完成、濃淡程度のものは残る、維持ぐらいのものは残るでしょうけれども、大体完成されるような計画になっている。そこでそうすると、この仕事はむろん地建に、第一港湾建設局の方にやらせるということになると思いますけれども、この仕事の取り組み方は直営でやりますか、それとも請負でやるつもりなんですか。
  206. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 御承知のように直轄事業と申しますのは、内務省当時から存続している形態でございますが、この富山新港につきましては、これをどういう形でやっていくかということは、実際この工事をやります場合につきまして工事担当者において十分検討いたしまして、この工事が円滑に遂行できるように考えるわけでございますが、もちろん、われわれといたしましてはこの直轄工事の技術力というものを実は高く評価しているわけでございまして、この技術力を極力高めまして時代の要請に沿うようにいたして、この工事を円滑に遂行していきたいというふうに考えております。工事の方法につきましては、いろいろな方法がございまして、直営なり、あるいは部分請負とかいろいろ御承知と思いますが、そういった方法をいろいろ勘案いたしましてやっていこうというように考えております。
  207. 田中一

    ○田中一君 これははっきりした直営の部分もあれば、請負の部分もあるということになると思いますけれども、少なくとも一建に属しているあなたのところの職員ですね、この人たちは、この仕事が始まれば、大体配置転換等はなく、ほかの上がったものの方に、御承知のように今度の新定員、新しく定員になる方々は、どうも定着している方々が多いために、いろいろな問題が起こるのですよ。これは港湾局長いつも苦労の種だと思うのです。それで、どういう形でもって、仕上がってくるところの、完成するところの現場の諸君をどういう工合に持っていこうとするか、伺っておきたいと思う。
  208. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) これは労働問題といたしまして各地にそういう問題が起こるわけでございますが、われわれの方といたしましては、組合と、そういう配置転換、あるいは工事の増強態勢等につきましても十分相談いたしまして、話し合いの上で無理のないように持っていきたいというふうに考えて、従来もそういう方針でやっておりますが、全国各地につきまして若干の機動性を持たしていきたいというふうに考えております。
  209. 田中一

    ○田中一君 富山県は、御承知のように、建設関係の労働者が割合に多い所なんです。そうして主として冬季間は仕事ができないために出かせぎするような風潮があるわけです。北海道並びに東海、近畿地方にまでも、東京はもちろんのこと、いわゆる失業保険がほしいために出かせぎをやる傾向が非常に強いのです。これは富山ばかりではありません。富山、新潟、山形、秋田、青森、青森なんかは非常にひどい。それで、こういう種類の技能労働者は、主として失業保険のもらえる期間だけは完全に契約して使ってほしい。そうしてあとは、くにに帰って何か仕事をしているという行き方が多いわけです。そうして、今度の全員定員化と申しますか、そういう形になってくると、今までのような一カ月契約、二カ月契約というものは、当然これは民法上の契約ですが、今度は昇格の問題が起きてくる。そういうことはもう避けたいという気持がおそらくあなた方の腹の中にあるんじゃないかと思うのですよ。それで、一般仕事がうんとふえてくるという現段階で、労働者との雇用関係をどう結ぶかということをこの際伺っておきたいと思うのです。
  210. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) これは、お説のように、われわれの方といたしましては、全員定員化ということで進めているわけでございます。また一方で、相当技術力を向上させるということで、いろいろ研修なり、講習なり、訓練なりということをやって、実施もいたしておりますが、今後もさらにこれを強化いたしていきたい、こういうふうに考えております。ただ、工事の実施に対しましては、工事担当のそれぞれの局長がいるわけでございまして、その方で工事の実施にあたってできるだけ円滑な方法をとるわけでございます。われわれといたしましては、これは内務省の時代からそうでございますけれども、直轄の技術というものをできるだけ向上させていくという趣旨で、一方で、最近におきましては、都会地においては相当民間の技術等も向上しておりますし、それらの面の技術指導という点も考えなければならない。われわれの方は、できたものを受け取るということでなくて、これは直轄事業でございますから、請負を使うわけでございます。われわれの工事計画に従って、それぞれの請負を適当に使って、また現在の直轄の雇用計画と申しますか、現在の労務者諸君、そういう人たちはこれを十分に、技術、そういったものを向上さして、これらの仕事全体として円滑に進行させる、こういう考え方で進んでおります。できるだけ全員定員化をはかりまして、従来のような不明朗な雇用形態をとらないというように考えておるわけであります。
  211. 田中一

    ○田中一君 一般単純労務といいますかね。単純労働者に対する雇用計画はどういう……。先に伺っていきましょう。一体直営工事に対する態度は、今後この事業全部を遂行するための態度はどういう方向でいこうという考えですか。あなたの方には四つの直営部隊があるわけです。これは長い、それこそ内務省時代から経験豊富な、多少賃金  は高いかしらぬけれども、経験豊富な技能者がたくさんおるわけですから、これを活用しなければならない。しかし、それじゃ足りない、これだけの仕事があれば定員をふやしていこう、という考え方でおるのか、あるいはそうでなく、日雇い的な立場の労働者を短期間採用して、そしてそれを繰り返していくという考え方に立つのか。あるいは一カ月ごとに首切って、一カ月未満のうちに首切って、また別の者を雇い、またそれを首切って別の者を雇うという形でいこうとするのか。これは、非常に定員化の問題とからんだ、あなた方の方の一種の防衛態勢かしらぬけれども、どういう態勢でいこうとするのか、伺っておきます。基本的な態度を。
  212. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 建設局長が担当する問題と思いますが、基本的な考え方といたしまして、今おっしゃったような期間雇用という形は、これは中途半端だと思うのです。やはりそういうことはできるだけ避けまして、現在非常勤等で働いておる者はこれを定員化する、つまり、政府職員といたしまして、労働者であっても政府職員としてこれを使用し、そうしてまたそれに対する技術訓練あるいは講習等をやって技術の向上をはかっていくというふうにやはり持っていきたいと思います。それから仕事がふえて参りますれば、やはり部分的には請負等を活用するというようなこともとっていくことになると思います。これは工事全体としていかなる方法で工事を続けていくかということがまた一番大事な問題だと思います。
  213. 田中一

    ○田中一君 こういう新しい事業が一カ所に起きますと、これが全部五カ年間で完成しようということになりますと、労働者の奪いへ合いが起こってきます。雇用条件がいい所、賃金のよい所にどうしても集まっていくのが実態なわけなんですね。そこで伺っておくんですが、この狭い土地、ことに季節労働者的な、出かせぎ的な性格のある地元の方が、地元に定着して、そうして仕事を持っていくということになりますと、長期契約を望むわけです。契約をいたしますと、今度政府ではいわゆる定員法というものは廃止して、設置法定員ということを、独自で、所管大臣が自分の必要において大蔵省と折衝してきめるような段階になると思いますが、膨大なこういう事業主体がいろいろある。運輸省もあれば県もあるし、また、いろいろな工場がここにくるとするならば、それが独自の事業を始める。労務者が払底するわけです。そうして前にも言っているように、労働条件のいいところに集まっているのが実態なわけですよ。一面、野放図もなく、野放図というか、足りないものはどしどしと職員として採用していくのだという考え方をあなた自身は今後持とうとするのか、その労力を確保するためにその方法はどういう工合にやっていこうとするのですか、非常にむずかしい問題が起きて参りますが。
  214. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) なかなかむずかしい問題でございますが、工事の実施に当たりまして、何と申しましても、直轄の技術力というものが根幹になるわけでありますので、これを主体にいたしまして、あと不足する面につきましては、十分な監督指導のもとに事務的な請負等も活用するということで、ただやたらに人を入れたら工事がうまくいくということは考えられませんわけでございます。
  215. 田中一

    ○田中一君 請負方式も併用するということになりますと、賃金の格差というものがその労働者の中に起きてくるわけですね。一応の契約期限がある。直轄工事の方の活用する労働に対する労働条件がよくなければ請負に行くわけです。請負の完成時期ともなれば、突貫工事と称して、仕事はずいぶん無理さすけれども、賃金を余分にやるということになるわけです。こういう出合い的な工事場というものは、そうした意味の労働力の争奪戦というものが始まると思うのです。そういう点はもうおそらく避け得ないものだと思う。一つどういう方法でこれを行なっていこうとするか。きょうは時間がないから、その方途を一つ明らかにしてほしいと思うのです。今度の新富山港の建設はけっこうです。しかしながら、こうした五カ年間で総額二百三十億以上の金を使うということになりますと、もうあなた方が考えられないような問題が起きてくる。こちらが、請負人が自由濶達に多少の手抜き工事をするということは、原則ではございませんけれども、早くするためには多少そういうことも、技術の上手なマネージメントでもってうまくやって、賃金をふやして労働時間を長くして効果をあげようとするかもしれぬけれども、直営工事というものはそういうことはできない。そんなに賃金を、手当を余分にやる。今でさえ賃金や手当が低いのだから、なかなかそうは動かぬ。そうすると、直営工事に対するところの雇用条件、労働条件というものは非常に大きな比重となってかかってくるということになるから、その点十分考えていただきたいと思うのです。  それからもう一つだけ伺っておきます。どうですか、これだけの新五カ年計画が予定通り消化し得るかどうかという点についてはどうお考えになります。
  216. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) どうもそういうふうにおっしゃられますと、何と御返事をしていいかわかりませんが、先ほどから申しておりますように、われわれの方は御承知のように各港ごとに積み上げ作業をいたしまして、港湾審議会に諮問をいたしまして閣議で決定する、これは従来こういうことをやらない、初めての実はケースでございまして、それだけこの港湾の事業計画的に確実に実施していこう、特に緊急措置法と特別会計法を制定していただきまして、実施を確実にしていこうという趣旨でございますので、われわれといたしましては、全力をあげてこの工事が予定遮り遂行していくように努力する、こういうふうに申し上げたいと思います。
  217. 田中一

    ○田中一君 最後に何の問題を伺っておきますが、今度の定員法撤廃による全員定員化という方針について、七百数名あなたの方では定員にならない人たちができ上がる。そのうち一応の基準で、これだけは単純労務と申しますか、日雇い的なものではないという観点から、落ちる者は別として、当然該当すべきものであるけれども、一応振り落としたという形の者は七百何名という数字があるわけですが、これを一体どうするお考えですか。
  218. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) ただいまお話の七百数名の者は、三十二年に定員化をはかりまして、行政管理庁で審査してこれだけ残ったわけでございます。今回われわれといたしましては、この全員定員化ということを強く要望しております。これは運輸省だけでなくて、各省とも、行政管理庁でさらに十分審査を進めて決定したい、三十六年度に実現化を極力はかりたいというふうに考えております。
  219. 田中一

    ○田中一君 三十六年度中に全員定員化をはかるという意味ですか。
  220. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) ちょっと間違えました。三十七年度中に定員化をはかる。
  221. 田中一

    ○田中一君 私この間この問題について建設大臣ともいろいろ話し合ったんです、あそこは一番残る人が多いものですから。任用基準はどういう工合に考えておられますか。たとえば行(一)、行(二)はどちらをどうとるか、あるいは採用年限が古い者からとっていこうとするのか。
  222. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) ただいま申しましたように、行政管理庁で実態調査をするわけでございます。われわれの方といたしましても行政管理庁と十分連絡いたしまして、少なくとも現在の資格要件を備えております者はこれを定員化してきたいというふうに考えております。なお、行政管理庁とも十分連絡をいたしていきたいと思います。
  223. 田中一

    ○田中一君 しかし予算がつき、定員のワクができて、何かの基準をもってやれると思うのですよ。採用年限の古い者から順次行(一)、行(二)に関係なしに任命していくという方法も一つございます。あるいは今度全員定員化する分をどういう形でやるかということは、やはり腹をきめておかなければ、またあなた方の現場に問題が起きるわけですよ。態度を伺っておるのです。行政管理庁に相談して云々なんということは、これは話になりませんよ、行政管理庁が使っているんじゃないですよ。
  224. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 現在お話予算化いたしました三十六年度の分、ただいまそれにつきまして任用基準をいろいろ実は検討しておる最中でございます。
  225. 田中一

    ○田中一君 組合とも相談していますか。よく相談して、まあ摩擦のないような形でいこうというお考えですか。運輸大臣は、これは良識ある、そうして民間において苦労なすった政党大臣です。政党人の大臣です。従って、いこうという大臣が私に言ったことがございます。これっぽっちも摩擦を起こすということは私の在任中にはいたしません。みんな一生懸命仕事をしてくれる人でございますという、良識ある——これは公式の場ではございません。われわれと私語の中にそういう話をしておる。あなた方はやっぱり大臣の意を体して、りっぱな行政を行なわなければならない。従って、今そこで答弁しにくいなら文書答弁でもかまいませんけれども、まあ問題を起こすようなことはなさらないようにしていただきたいと思うのです。
  226. 中道峰夫

    政府委員(中道峰夫君) 組合の方とも再々、いろいろこの点については話し合いをしております。
  227. 田中一

    ○田中一君 私はこれでやめますが、きのう、委員長に申し上げておいたように、建設省に対する質問はまだ残っておるというように申し上げておいたのですが、その点はどうなりますか。これは運輸省関係が終わったならば一つ建設省に対する質疑を続いていただきたい、お願いを申し上げます。
  228. 武藤常介

    主査武藤常介君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  229. 武藤常介

    主査武藤常介君) 速記をつけて。
  230. 森中守義

    ○森中守義君 大へん終日で御苦労ですけれども、いましばらくお願いいたしたいと思います。  最初お尋ねしたいのは、午後からちょうだいしました五カ年計画の概要について、この中で、大体四十年まで五カ年計画の所要の経費は約一兆、そこで年間平均二千億要るんだ、こういうことであるわけです。しかも大体一画の中に投資額だけはさまっているのですね、ところが資金計画が出ていない、これはどういうようになさるおつもりですか、先ほどの森委員の質問に多少市復するきらいがありますが、非常に大事なことですから、それを最初に聞かしていただきたい。
  231. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 新五カ年計画の投資額の投資計画先ほどお配りいたしました資料の通りでございまして、これを実行いたしますための資金計画につきましては、私どもの方として、もちろん五カ年間の見通しをつけて考えておるわけでございますけれども、そのうちの第一年度に当たります三十六年度の収支計画をただいま予算として御審議をいただいておるわけでございまして、三十七年度以降につきましては、私どもが今計画いたしております線に沿うて予算化していただくようにお願いをしていくつもりでおるわけでございます。
  232. 森中守義

    ○森中守義君 これはどうなんでしょうかね。先ほど総裁だったか、副総裁だったかわかりませんが、大臣であったようにも記憶しますが、羽生質問に対して、当分は料金値上げはしない、すなわち利用者負担はかけぬのだ、そういうお話があった。しかし問題は、その投資計画だけが明らかにされて資金の裏づけがこれにない、ということであれば、今、副総裁はそれはそれなりに一定の予定を持っているのだ、こういうことのようですが、これをこのまま受け取りますと、五カ年計画というものはあくまでも計画であって、金繰りいかんによっては、これは八〇%になる場合もある、あるいは五〇%になる場合もある、いわば一種の目標設定という感じを私は抱くのです。    〔主査退席、副主査着席〕 もしそういうようなことでないとするならば、今、副総裁が言われたように、何も三十六年度だけの二千百億という建設関係の予算だけでなくて、一応資金計画もここに一つ明確に出してもらいたい。そうしませんと、大臣が言われた、当分は利用者負担になるような値上げはしないと、そのことの裏づけができてこないのです。お持ちならば一つ述べていただきたい、どういう資金計画になっておるか。
  233. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 先ほど、当分の間、さらに重ねての運賃改訂をするというようなことは考えておりませんということを私が申し上げました。これは相当長期的な見通しをつけてこの一新五カ年計画というものを策定いたしたものでございまして、そのための所要投資額というものは年平均にして二千億くらいずつになりますと、その二千億くらいの投資の中で約半分に当たるものは減価償却に見合うものでありますとか、あるいはその採算を度外視して、採算のとれない投資に当たるようなものが半分ほどございます。しかし現在の収支状態では自己資金がそれだけ確保できませんので、その足らない分、約五百億くらいに当たるものを運賃改訂で財源を自己資金として確保できるようにお願いしたいということでお願いしておりますのが現在の運賃改訂案であるわけでございます。この自己資金でむろん足らない部分があるわけでございます。全体の投資計画のうちの約半分というものは、これは初めから借入金のつもりでおりますのでありまして、将来まあ運賃値上げが、ただいまお願いしておりますものをお認めいただきましても、なお他面において借入金も見ていかなければならないわけでございますが、それをただいま現在において、それじゃこの五カ年間にどれだけ国鉄のために借入金を確保するかということは、そこまでは今一ぺんにきめていただくわけにもいきかねておりますので、五カ年計画収支の概要につきましては、政府御当局にも御説明を申し上げ、御了承も願っておりまするけれども、具体的な計数ということになりますと、これは一応国鉄としてのまあ希望というようなことになります。従いまして、明確なものを、三十七年度以降それぞれの年度において自己資金が幾らで、借入資金が幾らということをただいまはっきりしたことを申し上げることはむずかしいかと思うわけでございますが、大体の見通しはつけてあるわけでございます。
  234. 森中守義

    ○森中守義君 今お話しになりました前段のことは三十六年度のことなんですね。私の今承っているのは、四十年までの五カ年間の展望、もっと具体的にいうならば、三十七年以降の資金計画はどうなっているか。その辺のことは、自己資金が幾ら、外部資金が幾らという程度のことぐらいは大体当局としてはお持ちになっていないと、さっきお話しになりました利用者負担はもうかけませんという答えが出てこないんですよ。そこで、少し議論になりますけれども、やはり問題は、毎年二千億やっていくということになりますと、ことしの場合だってあれでございましょう、自己資本が一千百二十五億、これに対する借入金が九百九十六億、約二分の一ですね。で、これから逐次お尋ねいたしますが、やはり旅客あるいは貨物、これらの伸びをどういう工合に見るのか。さらにまた、私は午前中関連質問で承りましたように、ことしのように給与総額を一千五百十七億見ておりますね。これらもやはり、毎年ベース・アップあるいは定期昇給、そういうのもずっと見込んでいかないと、さて運輸収入だけが三十六年度の場合には四千五百三十五億ある、あとに減価償却であるとか、あるいは政府の助成であるとか、まあ助成といってもわずか三億ぐらいですから、まあこれは正しい意味での助成には私はならないと思うわけです。しかし、営業全体の出ていく金は相当あるんですよ。これはあなたの方からお出しいただいているのを見ましても、総収入の四千七百十七億に対して三千二百四十億出ておりますね。だから、むしろ収入の伸び、旅客、貨物の伸びと実際の支出の伸び、これらの比較等がもう少し具体的に出てこないと、自己資本が幾らそれでは振り向けることができるか、それに対応して外部資金が幾ら必要だという答えが出てこない、こう思うんです。だから、すこぶる明確に、しかも具体的な数字がなくても、三十七年から四十年まで自己資本が幾ら、外部資金が幾らというその程度ぐらいのことはここで言われておかなければ、五カ年計画の体をなさない。いわんや利用者負担にならないという答えが出てこないと思うんですが、その辺のことを私は今ここでは開いているわけです。
  235. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 今後の、五カ年間における輸送量の伸びの見通しにつきましては、差し上げましたパンフレットの二ページの上のところに書いてございますが、大体輸送量といたしましては、旅客関係の輸送最が年平均五%、貨物の方は一・三%ぐらいの年率でふえていくという想定をいたして、それに見合う輸送設備なり何なりで輸送力をつけていくという大体の構想でございます。それで、五ヵ年間の全体の所要資金は九千七百五十億というふうに計算いたしておるわけでございますが、そのうち自己資金を充当したいと、こう考えております額は、これはまあ端数のついた額を申し上げますけれども、ただいまのこれは計画でございます。
  236. 森中守義

    ○森中守義君 いや、大ざっぱでいいです。
  237. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 五千七百九十二億でございまして、それが自己資金による分と考えております。それから外部資金によります分といたしましては五千九百九十二億を見ております。それで、この外部資金五千九百九十二億のうち、千七百三十五億というものは東海道新幹線に振り向ける予定でございまして、残余の四十二百五十七億というものが、その他の、車両増価でありますとか、あるいは輸送増に伴う設備増強及び近代化のための投資、あるいは新線の建設費、あるいは借入金返還等に充てるという予定でございます。それらのものは外部資金によることにいたしております。それから五千七百九十二億という一己資金の充当の予定で考えておりますものは、これは大まかにまあグループ別に申しますが、一つ公共対策のための投資約九百五十億、これは中外を申しますと、通勤対策費でありますとか、踏み切りの対策費でありますとか、あるいはまた都市計画関連の工事費でございますとか、そういったようなものがまあこの公共対策のための投資として九百五十億ほど予定しております。それからその次に、輸送の安全補強あるいはサービス補充のための投資として千五百二十八億ほど考えております。中身は線路の補強費でありますとか、あるいは防災工事、信号等の保安設備に使う金でございます。それから資産維持のための投資が二千五百六十三億、これらの工事に伴いまする総係費が約三百億それから借入金の返還等に約四百四十億ほどばかりを考えております。その合一が五千七百九十二億ということになるわけでございます。これだけの金は自己資金で捻出いたしたい。それから残余の、先ほど申しました東海道新幹線を含む車両増備、その他近代化、新線建設等のための予算が五千九百九十二億、約六千ぐらいになるわけでございます。さようなことで、これを五カ年間に配分いたしまして、所要資金のうち一部分は今回の運賃改訂によって出て参ります増収分を合わせやっていく。それ以外の分は借入金でお考え願いたい。そんなようにまあ思っているわけでございます。それから人件費のことについて今お尋ねがございましたのですが、人件費につきましては、今後五カ年間の収支検討いたしますに際しまして、単に昇給資金というものを見るということだけでなく、やはり所得倍増計画に見合った勤労者所得の伸びに伴って、ある程度の適正な賃金のアップというものはあるという想定で、ある程度昇給資金以外に人件費も伸びていくことを想定して計算いたしております。大体そういうことでございます。
  238. 森中守義

    ○森中守義君 非常に詳細な御説明でよくわかったのですが、どうでしょうね、少し私の理解の仕方が悪いのかわかりませんけれども、今、吾孫子さんの言われた自己資金の五千七百九十二億、それから借り入れの五千九百九十二億というのは、三十六年度分も入るのですか、要するに五カ年計画の一兆の中井なんですか。
  239. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) さようでございます。三十六年度も含めてございます。
  240. 森中守義

    ○森中守義君 そういうことになりますと、これはさっき私お尋ねして今に延ばしておりましたが、大体借入金限度というものは幾らぐらいが一番いいのですか。ことしの借入金の元利の償還額二百九十何億でしたか、見られておりますね。これはこのように総経費の一兆のうちの約二分の一強になりますと、相当償還額が高くなるということは、結果的に国鉄財政をかなり圧迫してくる結果に私はなってくると思うんです。これはもう事実問題として、そういうことが四十年の間にだんだん傾向として強まるのではないでしょうか、それはどういうように考えておりますか。
  241. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 借入金限度というのはどのくらいかということはなかなかむずかしい御質問であると思うのでございますが、これは借入金のいろんな条件にもよることでございますから、利子が低利な資金とか、そういうものが得られればまた違ってくると思いますけれども、ただいま私どもが新五カ年計画を策定をいたしますのに際していろいろ考えましたのは、もし運賃改訂なしにこれだけの所要資金を全部借入金でまかなっていったらばどうなるだろうかということをまず計算してみたわけでございます。そうしますと、四十年度末の長期借入金残高が一兆一千億以上になりまして、それに対する利払いだけでも七百二十数億になるのでありまして、これじゃとても企業体として体をなさないことになる。そこで、まあぜひ自己資金獲得という意味運賃改訂をお願いしたいということになったわけでございますが、しかし、それもまあ自己資金運賃改訂をお認めいただきますれば、先ほど来申し上げておりますように、だいぶふえるわけではございまするけれども、やはりこれだけの投資をいたしますのには相当借入金の方もふえて参ります。ただいまも一応これは概算でございますけれども、現在の計画借入金をやって参りますると、昭和四十年度の長期借入金残高はかれこれ八千億くらいになります。それに対する利払い、利子及び債務諸費というものは五百億をこえるような姿になりますけれども、全体の企業の規模というものが国全体の経済成長とも並行して大きくなって参りますので、まずこの程度でございますれば、経営の基礎に破綻を来たすというようなことはなくやっていけるのではないかというふうに見ております。この状態をさらに先の方へ引き延ばした検討もいたしておりますが、昭和四十年のときには、まだ完全に経営状態はよくなるというところまでは、この収支の方では申し上げにくいのでございますけれども、これをずっと引き延ばして参りますというと、将来において収支状態もとんとんになる、こういうような見通しをつけているわけでございます。
  242. 森中守義

    ○森中守義君 大蔵省の主計官はおられますか。
  243. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) はい、参っております。
  244. 森中守義

    ○森中守義君 今、吾孫子総裁お話ですと四十年で大体八千億になる。しかも元利補償等を見積って大体年間五百億、こういうお話なんです。もちろん私はしろうとですから、一般的に自己資金借入金との比率はどういうものであるのが一番妥当な、しかも健全財政であるかということはよくわかりませんが、仕事から考えてみても、四十年までに一兆の仕事をする、しかるに寝際の借入金が八千億、十分の八を占める、しかも元利償還が五百億ということは、これは企業経営として私は非常に危険な経営だと思う。大蔵省はどうお考えでございますか。
  245. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 建設をやっていく上におきまして、自己資金はどれくらいでまかなっていくか、借入金にどれだけ依存していくのがいいかはなかなかむずかしい問題でございまして、国鉄性格からいって、一がいに私企業との関係において比較するわけにも参りませんので、幾らが適当かということを申し上げることはできないのでありますが、先ほど国鉄御当局からお話しございましたような一応私ども考えを持っております。将来のことについては、先ほどいろいろお話がございましたが、私どもは、そういったことも頭に置きながら、本年度の予算の御相談にあずかったわけでございますが、借入金の問題を考えていく上におきまして問題になりますのは、一方におきましては財政投融資に依存するわけでございますので、まあ本年度で申しますならば、七千二百九十二億の投融資の中で、国鉄にどれくらいシェアを与えるべきかという点も考えなければならぬ。将来の問題といたしましても、財政投融資の原資がどれくらいあるかといったようなことも考えなければなりませんので、なかなかどれくらいが適当であるということを申し上げることもできないと思います。長い目で見た見当といたしましては、ただいま申し上げましたように、おおむね、先ほど御当局からお話しがありましたようなふうに考えております。本年度の問題といたしましては、約一千億が借入金になっております。これはただいま申し上げましたいろいろな制約がございますが、国鉄の借り入れ能力の面から見まして、ただいま御審議いただいておりますところの運賃改訂を御承認いただいて、経常収支の面でも改善がなされるならば、これくらいの借入金ならば十分まかなっていける、国鉄経理の健全性を害することはないじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  246. 森中守義

    ○森中守義君 私がお尋ねしておることは、相当長い目で見た場合の双方とも一つの想像ですからね。どれが一番正論であるかということは別問題としまして、大体運賃収入が今回の料金改訂を認めて四千正百三十三億ですね。ですから、これをさっき、副総裁の言われた五%づつの貨物ないし旅客の伸びを見ていっても、大体六分の一ないし五分の一程度の元利償還、大ざっぱに計算しまして、こういうことなんですね。そこで公社の、同種形態の専売とか、あるいは電電公社、こういうところと見た場合にどうなりますか。私はしろうととして見た場合に、元利償還が事業収入の六分の一、五分の一、どうかすると四分の一、その程度になってくるということは、財政の健全性を失うどころではなくて、非常に危険な経営じゃなかろうか、こう思うのですけれども、主計官の方ではどういうように見ておられますか。できるならば専売あるいは公社あたり、同種の公共企業体あたりと比較して御答弁いただくと非常にはっきりすると思いますが。   〔副主査退席、主査着席〕
  247. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 御質問は大へんむずかしい御質問だと思うのでございますが、電電との比較のお話が出ましたので、電電と国鉄との企業の、何と申しますか、まあ基本的な数字について、一応、それと収支の関係との比較というような意味合いで少し申し上げたいと思うのでございますが、その前に、先ほどども昭和四十年度には八千億の長期借入金になるであろうということを申し上げましたが、これは三十五年度末、すでに三千七百億あるわけでございまして、その上に今度積まれる額でございます。ですから、三千七百億をマイナスした額がこの四十年までの間にふえて参ります長期借入金でございます。それから私が五百億と申しましたのは、これは元本の償還分は入っておりません。利子とその債務取り扱い費というものだけでございます。そこで電電との比較でございますが、ただいま手元にあります数字で申し上げますと、まず電電と国鉄との資産額の比較を申し上げますと、国鉄の資産は一兆四千百三十二億ということでございまして、それに対する電電の資産額は五千二百三億ということになっております。そういう盗難額に対して収入はどうかと申しますと、これは三十四年度の数字でございますが、電電の方は収入が二千百二十四億、それに見合う国鉄収入は三千七百四十億ということになっております。それでは営業利益はどんなことになっておるかと申しますと、この年の電電の営業利益は四百四十六億でございまして、国鉄の営業利益は二十八億というようなことになっております。それからこの年の設備投資の設備資金は、電電は千十六億、それに対して国鉄は千七十六億ということで、ほぼ同様でございます。そして三十四年度末のそのときの借入金の額は、電電の方は千五百五億でございまして、国鉄の方は三千六十二億というような額になっております。職員の数は電電の方が十八万三千七百六十九人に対して、国鉄は四十四万八千九百九十六というような数でございまして、全体として見まして、電電公社の企業の規模というものは国鉄に比べて相当小さいのでございますけれども利益金が年々累増しておりまして、収入の二五%にも及んでおり、設備投資額は国鉄にほぼ匹敵しておる。まあ理想的な拡大再生産の姿でありまして、国鉄の私どもから見ますというと、まことにうらやましい状態であると思っておるようなわけでございます。
  248. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 手元に資料がございませんで失礼いたしましたが、先ほど申しげましたように、借入金の適正な比率等を議論いたしますことは非常にむずかしい問題でございまして、国鉄性格からいたしまして、ほかの産業と比較することもなかなかむずかしい。電電の場合、ただいま副総裁からお話申し上げていただきましたが、あの独占事業である電電公社の現状と運輸交通業全体の中におきます国鉄の占める位置等から申しまして、非常に事業投資の性格自体が違っておりますので、一がいに比較して申しますこともなかなか適切に参らぬのでございますが、先ほど申されました数字を元にいたしまして、一応、国鉄が試算しました数字をいろいろな資料で今計算してみたのでありますが、五年後の負債の累計額と資本金、これはただいまの名目資本金ではございませんで、再評価したあとの一兆二千億を元にして申し上げますが、これに対する割合負債比率は、大体五割余になります。この資本金と負債の額との比率でございますが、昭和三十五年度は三五%程度で、これを過去の昭和十一年と比較してみますと、過去と比較することが、特別会計であったときの比較でございますので、適切でないかもしれませんが、九三%になっている。それから一般の私企業、運輸通信業全体のただいまの借入比率がどうなっているかと申しますと、借入金が資本金を相当上回っている、こういった点から考えましても、健全性を害するところの借入金ということではないのではないかというふうに判断いたす次第でございます。これまた先ほど申し上げましたように、四十年度における財政投融資の中で、どれだけ国鉄がシェアを持ち得るかということは、これは非常にむずかしい問題でございますので、一応、先ほど国鉄御当局から申されました借入金の御要望の額を元にして計算したわけでございます。それから、利子と卒業総収入との比率でございますが、これまた、昭和十一年においては約十四%に上っているのでございますが、三十五年度におきましては、約六%でございます。これが、先ほど国鉄の数字によると、昭和四十年度では、七、八%程度のところを予想されている。支払利子率と運輸総収入との比較、これは先ほど申されました国鉄の御計算の数字と比較いたしまして、そう違ったものにはなっておらないというところからいたしまして、先ほど当面の問題を申し上げましたが、国鉄の運営について不健全な影響を与えることにはならぬのではないかというふうに考える次第でございます。ほかとの比率、他の業種との比較等ができませんものでございますから、この率が適切だということを申し上げることができないのであります。結論といたしまして、おおむねこの程度の借入金であれば、経理の健全性を害することはないのではないか、こういうふうに考えております。
  249. 森中守義

    ○森中守義君 大体わかりましたが、これはさっきから申し上げているように、自己資本と借入金との比率はどの程度が一番妥当かというのは、もとよりこれは一つ議論になってくると思う。ただ、私の今手元にある行政管理庁の行政監察、この内容からいきますと、もちろん主計官あるいは副総裁から今お話がありましたように、類似産業である専売あるいは電電公社と対比することは必ずしも経営基盤ないしはその経営規模から適当でないかもしれません。行管の言っているのを援用いたしますと、要するに全体の三%をこえてはならない、三%以上こえると直ちに財政相当圧迫をしてくる、従って、三%以内であることが経営としては一番望ましい、こういう答えを出しているのですね。これは財政の専門家である主計官あたりの御意見をもう少し聞かしていただければいいと思うのですが、今私が申し上げた勧告は、電電公社に対する勧告なんです。すでに三七%をオーバーしている。しかも電電公社の場合でも、第二次五カ年計画相当上回った借入金をしているので、警告を発せられておるわけです。ですから、これは一般的な問題としまして、公社にしても専売にしても、あるいは国鉄にしましても、どの程度の率が一番適当であるかということは、単なる議論の展開じゃなくして、一つの結論がそろそろ生まれてこないと、よかろう、大丈夫だろうということでは、えらいことになると思うのですよ。従って、国鉄の当局あるいは大蔵省の御意見を承りましても、今日の時点に立った経営を基礎にして判断をされておりますね。全体の視野に立ってどのくらいの率が正しいかという答えは出ておりません。そうなりますと、基準になるものがない、それで時によりますと、どうも少しこれは外部資金が多過ぎたということで押える。残された道は何かということになりますと、結局、利用者負担だ、何もこれは国鉄に皮肉を申し上げるわけじゃありませんが、一応こういう目算を立てて、それで今回の料金改訂をやっておいて、一年、二年たてば、よんどころないという理由で、もう一回料金改訂をやろうじゃないかということが、私は生まれてくる危険性があると思う。前回の料金改訂からまだ何年もたっておりません。それだけに一応の原則的なものが明確に示されておらないと、同じようなことが繰り返される、こういうことをこの審議にあたって痛切に私は感じる。むしろこの種の検討については、それじゃだれがするかということになりますと、主計官に大へん申しわけないのですが、むしろあなたの方でそのコントロールをされるべきだ。自己資金借入金の比率はどの程度が正当であるかという一つの基準をお作りになる必要があるんじゃありませんか。これは多少議論になりますが、一つ御所見を聞かしておいて下さい。
  250. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) 私は借入金の基準を作るかどうかという問題よりも、やはり本日の議論の中にも出ておったようでございますが、工事の性格によりまして、いろいろ自己資金でやるべきものか、借入金でやるべきものかという分類もできる。つまり、五カ年計画の一兆に近い建設を全額自己資金でやれということも適当でございませんし、全額借入金でやれというのも適当でございませんが、先ほど森先生との御質疑応答の中でお話がいろいろ出ましたように、性格によりましての振り分け、借入金でまかなうべきものかどうかという検討も、これは必要なことでございまして、そういった点からの工事の資金調達をどうするかという検討がまだ一つ足りない。それから、借入金でいくにつきましても、国鉄性格からいたしまして、財政投融資の問題でありますから、いろいろほかの投資御要請との分け前の問題があります。こういった資金供給面からの制限もございますので、幾らまでを適正かという限度をきめることが適当かどうかという点につきましては、問題があろうかというふうに考えております。それから一番大事なのは、借り入れをするにつきましても、先ほどから議論がありましたように、相当巨額のものになっていくわけでございますが、増高するところの利払いの能力もなくなるということでは、これまたいかぬわけでございます。どうしても、借入金をいたしますについての借り入れ能力をつけるという意味で、やはり経常収支面の、経営面の改善ということが大きく取り上げられなければならぬのではないか。今回御審議いただいております運賃改正につきましても、経常収支面の問題がございまして、これから出発いたしているわけでございますが、先ほどお話がありました通り、一方におきまして、ただいま申し上げました借り入れ能力をつけるという意味から申しましても、運賃改訂によりまして経常収支面の改善を行なうということが必要じゃないかというふうに考えております。いろいろ申し上げましたが、何パーセントが適当かという率は、先ほど申し上げましたように、一応のめどは私どもつけたわけでございますけれども、これでなければいかぬという率をきめることは適当でない、工事の性格からも考えなければいかぬし、それからまた、今言ったような財政投融資全体の資金供給面からのいろいろな制約も頭に置いて考えなければいかぬ。大きくは、結局つまるところ、経常収支面の改善ということを考えなければいかぬということであるかと存じます。
  251. 森中守義

    ○森中守義君 私は今回のように、国鉄に限らず郵便料金も上がる、あるいは電気料金も上がるというようなことを総体的に見ていますと、やはり原則がはっきりしていないと思うのですよ。最後はとにかく金が、要るのだ、事業の拡充発展をはかるためには金が要る、こういうことになると、ただもうそれだけの錦の御旗でどんどん料金が改訂されていくということは決して好ましくない。そこで、根源は何かと考えますと、やはり一つの原則的なものが明確に示される必要がある、こう思うのです。これは私は先般郵政の場合にも同様なことを主張いたしました。しかし、それは国鉄にも当然あてはまると思うのですよ。施設の拡充をしなくちゃならない、あるいは改革をしなくちゃならない、だから金が要る、利用するのは国民がするのだから、すぐ利用者負担でよろしい、こういうようなものの見方、結果的にはそういうことになると思うのです。それはやはり限度があると思うのです。いわんや国鉄のこの内容を拝見した場合に、かなり大幅な——大幅なという上りも国鉄財政の健全性を失うような借入金をしようとする。ところが片一方においてはどうかということになりますと、いわゆる海運界に対する利子補給が行なわれる、あるいは道路公団、住宅公団、それぞれに相当高額な財投が見られているのです。しかし、国鉄の場合には補給金というのは、きょう午前中もちょっと話が出たようでありますが、わずかに三億、あとは公募債である、あるいは外貨を持ってくるというようなことで、見られるべき内容がないのです。もっと極端に言うならば、利用者負担のみに責任を負わせて、それから資金を吸い上げる、ここに今回の料金改訂に対する一つの矛盾といいますか、あるいは政府国鉄運賃改訂に対する全体の比較において、どうしても私どもとしては納得しがたいところがあるのです。もとより住宅公団と言い、あるいはまた海運界と青い、できるだけめんどうを見なくちゃなりませんが、はたしてこれと比べた場合に均衡がとれているかどうか。ですから結局は最後の場合には利用者負担にとるのだ、こういう抜け道というのか、そういう思想が国鉄の運営の中に相当強く反映してこの結果に現われている、こういうように私は見ているのです。そこでもう少し現実的にも理論的にも、だれしもが納得がいくような料金改訂の原則、自己資金借入金がどういう程度であればよろしいという原則が確立されておれば、もう少し変わってくると思うのですよ。むしろけさほどからもお話がありましたように、何といっても公共事業なんだ。だから海運、あるいは住宅公団やその他に金を回すなという意味ではなくして、ただ利用者負担ということにのみたよらないで、もう少し公共性があるならあるように、政府の方から見るべきじゃないか、こういったようなことを私は考えているわけです。——これは主計官にお尋ねするのは少々どうかと思いますから、一つ大臣の方から、その点についてどういうふうにお考えか、御所見を承っておきたい。
  252. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいま自己資金借入金との割合がどのくらいがその経営内容の健全さを示すものであるかということにつきましては、いろいろの観点から勘案しなければなりませんから、一がいにここでおおむね大体どのくらいだということを言うことはきわめて適当でないというお話がございましたので、私もそう考えておる次第でございます。ただ、午前中の委員会におきましても私は申し上げましたかと記憶いたしましたが、あるいはほかの委員会でありましたかもしれませんが——これは間違えましたら取り消しておきますが、交通事業というものの経営は、どこの国におきましても利用者負担を原則としていたしまして、不足のものを借入金でまかなっているというような仕組みになっておるのでございます。日本の国鉄政府直営事業特別会計でありましたときにも、やはり改良事業であるとか、あるいは取りかえのようなものは主として自己資金によるために利用者負担をお願いし、さらに建設の場合には借入金によるということをやりまして、直営事業のときでも一般国民負担する税金を主といたしまする一般会から補助するというようなことはなかったようなわけでございます。しかしながら、だんだん鉄道の輸送界における位置というものが昔と変わって参りまして、今日におきましてはあるいは日本輸送界の王者であるということを言い切れないほどに、新しいほかの交通機関、すなわちバスであるとかトラックというものが鉄道と競争するような立場に立って参りましたようになりますと、これはよほど従来とはだんだん考えが変わってくるのではないかというふうにも私どもには気がつくのでございます。金額はまことに少のうございましたが、従来一般会計から補助をいたしますことのなかった新線建設借入金に対する利子補給というような、金額は少ないことではございますが、従来の一般会計からは国鉄を見てやらぬということから踏み切って、新しい考え方が出てきておるようなのも、やはり国鉄の位置というものが従来の独占事業であって輸送界におけるいわゆる唯一無二の王者であったということの時代と変わってきたことを勘案したもののようにも考えられるのでございます。ことに先ほど来御質問がありましたように、国鉄公共性を高度に持ちまして、公共負担を一方でやるべき使命を持っておることを考えて参りますると、今後におきましての国鉄経営に対しましては、いろいろまた変わった国としての扱い方が出てくるような気もいたすのでございますが、こういうことは抽象的な議論でございまして、現在の財政融資の原資の分量であるとか、あるいは財政の実情等を勘案いたしますと、なかなか理屈通りには参らぬことだと思うのでございますが、先ほども御返事いたしましたように、私ども国鉄が健全な経理経営内容を持って、それを基盤として国鉄本来の使命である公共事業の力に、公共投資の方を負担していけるように、だんだんと努力をいたすべきものであるという方向だけは考えておる次第でございます。
  253. 森中守義

    ○森中守義君 まあこれは私の意見ですが、結果的にことしの財投の配分等を見てみますと、さっきから船の関係を出したり、あるいは住宅公団や道路公団等を引き合いに出したわけですが、その方面は極力財投でまかなった。しかし、国鉄には運賃値上げがあるということで、計画的にこういう方向に向けられてきたというように言われても私は仕方がないと思うのです。  そこで国鉄総裁お尋ねしたいのですが、国鉄の場合には、現実に二千百億の金があればいい。それは公共料金の値上げでなくても、政府から補給金あるいは財投の原資等をもらえばできるわけです。あなた方はどちらを選ぼうとされたのですか、ことしの場合に。ここに出ておる内容からいきますと、鉄道線建設補助金として三億円、それから鉄道債の引き受けが百四十億、これだけしか出ていないのですね。だから政府の方では本来ならば出すべき性質のものであるけれども運賃値上げという手があるから、国鉄はその手を使っていこうということで、こういう結果になったと私は見るのです。あなた方は、政府に対して財投をもう少しほしい、補給金をよこせというようなお話がされたのですか。御努力されましたか。けさほどから国鉄総裁国民事業だ、国民に迷惑をかけてはならぬというようなことをしばしば言明されてきましたが、結果から見て、ほかには利子補給がどんどん行っている。あるいは財投が行っておる。国鉄鉄道債の引き受けが百四十億、補給金がわずか三億、こういうことであなた方満足されたのですか。総裁に、大事なことですから……。
  254. 十河信二

    説明員(十河信二君) たびたび申し上げたように、もう二千億の中には、相当これをやれば、国民に満足を与えるだけでなく、国鉄収入を増すことができる。国鉄財政の健全化に寄与することのできる種類の投資が相当あるんでありますから、その点は、たびたび申し上げまするように、借入金でやっても、できるだけ私は早くやりたい、そう考えまして、さっきからたびたびお話がありますように、借入金でなく政府の出資でやってくれることになれば、利子の負担もそれだけ軽くなるから、それはもういいにきまっているのでありますけれども、しかしながら、政府もいろいろと出費多端でありますから、われわれといたしましては、できるだけ早く、今申し上げましたような施設を拡充いたしまして、国鉄財政を健全化したいと、そう考えまして、かれこれ勘案して、まあ半分程度は利払いをする、収益を生む企業でありますから、これを借入金によってまかなうということに決定せられた政府の方針に私どもも同意いたしましてやったのであります。
  255. 森中守義

    ○森中守義君 辻さんじゃありませんけれども、私はそういうことを聞いているのじゃない。できるだけ鉄道の施設がよくなるということは、これはもうもちろん異論はないし、国民はそれを待望します。しかしながら、運賃値上げしなくて、ほかから金を持ってきてできるなら、これにこしたことはないのです。そこで申し上げていますのは、住宅公団とか、あるいは道路公団とか、こういうところには財政投融資が行なわれているじゃないですか。国鉄だってその対象になり得るのです。しかるに、結果的に見ると、わずか三億の補給金と百四十億の鉄道債の引き受けだけだ。これでは少し片手落ちでもあるし、公共事業という国鉄性格にも反するから、総裁あるいは副総裁は、運賃値上げができるだけ少なくていいように、全くしなくていいように国から資金を出すようにお話はされなかったのか、こういうことを私は聞いているのですよ。あなたの答弁では、国鉄としては特段の意思を決定をしないで、政府の方針にただ従った、こういうことなんですが、私は、日本国有鉄道というものは、そういう特定の意思の決定のできないような機関だとは思いません。その辺の事情を聞かしてもらいたいと、こう言っている。
  256. 十河信二

    説明員(十河信二君) たとえば新線の建設につきましても、私ども建設審議会にもいろいろお話を申し上げまして、建設審議会でも政府の出資、または出資ができなければ、せめて利子補給をしてほしいという要望をいたしまして、三十六年度の予算におきましても極力政府が出資して下さるようにということをお願いして、それができませんでしたが、利子補給だけして下すった。これは先ほど運輸大臣から御説明がありましたが、金額はわずかでありますけれども政府がそういうふうな負担を背負うという道が開けたという意味において、私は非常に重大に考えておるのであります。その意味において感謝しておる次第であります。
  257. 森中守義

    ○森中守義君 まあこの問題、一つそれでいいとしますけれども、ただ、運輸大臣あるいは大蔵省には特に要望しておきたいのですが、今まで私がお尋ねをした自己資本と借入金との比率ですね。こういうことは、ただ単にこの場で質問に対する答えということでなくて、一つこれから先の課題として関係当局において御検討いただきたいと思います。なおまた、料金をどうするかということも、建設資金が足りなくなったから料金を上げる、まあこういうようなものの行き方でなくして、やはり原則というものが正確に公共事業の場合には定められていいと思いますから、その辺のことも十二分に一つ御勘案をいただいて、これから先の研究課題として御検討いただきたいと思います。いかがでございますか。
  258. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいまのお話は、非常に示唆に富んだお話でございまして、われわれといたしましても、御意見のあるところをよく検討いたしまして、大いに、今お示しになりましたような問題については、今後十分に研究していきたいと考える次第でございます。
  259. 谷川寛三

    説明員(谷川寛三君) いろいろ私どもの勉強になりました次第でございますが、先ほど運輸大臣からお話がありましたように、今後ともなお研究して参りたいと思います。  なお、この際申し上げておきたいのでございますが、運賃値上げをしたのは、建設費をただ単にまかなうからという、巨額な建設をするからといういうだけの理由ではございませんで、先ほどからいろいろ御議論がありましたように、やはりそれを借入金でやるにいたしましても、もとはやはり経常収支の面の改善がどうしてもなされなければならぬ。その場合に、いろいろ改善の方法がございますが、ただいまの国鉄運賃が、ほかの一般物価なり公共料金に比べまして不均衡に低くなっておる。これを正しますことが、一つには、適正な輸送分野の確立とい高でも絶対必要ではなかろうか。たとえて申しますと、一般の通勤定期でございますと、一カ月乗れる東京−鎌倉間でございますが、これが普通でございましたら、六日分ぐらいしかないといったような運賃体系は、いかにもおかしいのじゃなかろうか、こういった点を正していかなければ、日本の交通全体として見ました場合に、適正な運用ができないのじゃないか、こういった点をある程度直さしていただいて、それで収支の改善に相当な貢献がなされるならば、まず、そこからやる必要があるのではなかろうかというように私ども考えた次第でございます。  先ほど一般会計からめんどうを見たらどうかというお話もございましたが、一般会計からめんどうを見ると申しましても、これは結局税金で見るということでございますので、国民一般負担になることは、これは同じなわけでございます。それよりも私どもは、先ほど申しましたように、いろいろ検討した結果、ただいまの運賃体系というものが、これが是正されなければ、いろいろ問題がある、そうして、それを是正さしていただければ、国鉄収支にも非常に貢献がなされるということであれば、しかも、それが、先ほどからお話がありましたように、一般国民の消費者に対する影響もそう大したことじゃないということであれば、それをさしていただいて、国民の御納得もいただけるのじゃないかというふうに考えた次第でございます。  まあ先ほど話がありました国鉄経営の健全化から申しまして、借入金をどうするかというような基本的な問題につきましては、なお、いろいろな比較検討等によりまして勉強はいたしまするが、今年度の予算につきましての考え方は、ただいま申し上げましたように、ただ、運賃値上げが一番やりいいからということでやったのではございませんで、そうしなければ、借入金をする能力さえもつかないというようなことも考えまして、それから、広く交通政策全般との関連におきましても、ある程度そうしなければならないというような判断をした結果でありますことを御了承いただきたい、こういうふうに考える次第でございます。
  260. 森中守義

    ○森中守義君 大へんどうも、主計官、足を取るようで恐縮ですが、まあおっしゃることはよくわかります。ただ、少しまあ私は大蔵省あたりでも見解を変えていただきたいと思いますのは、やはり運賃であろうと、あるいは税金からなる予算であろうと、国民のふところから出るのは同じだと、こういうことなんですがね。それは私は、やはり予算の効率的な使い方においてはだいぶ違うと思うんですよ。その辺は、運賃と、いわゆる税金からなっている一般会計から出すのは同じだということは、これはずいぶん、まあ議論すれば限りありませんがね、だいぶ私は違うと思うんです。ですから、まあその辺は一つ十分勘案していただきませんと、どっちからいっても国民のふところから出るんだからどっちだっていいじゃないかということになりますと、これはもう何をか言うことはありません。しかし、それならばもう予算審議も何も要らない。ただ国家財政の効率的な使い方、効率的な配分ということになりますと、意味はだいぶ違ってくると思う。まあその点だけ、私は特に言葉を返すようで恐縮ですが、一つ考え直していただきたい。  それから吾孫子さん、大へんこまかい数字になって恐縮ですが、この説明書の中で、百四十五億円は利用債及び縁故債である、こういうように出ておりますね。私、この各企業が出される債券で縁故債というのはあまり聞いたことないですが、これはどういう筋合いのものですか。
  261. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 縁故債と申しておりますのは、国鉄の共済組合に渡す債券と、こういう意味でございます。国鉄共済組合はまあ国鉄自身と非常に縁故が深い団体でございますので、まあそういう意味で縁故債という言葉が出てきたわけでございます。
  262. 森中守義

    ○森中守義君 これはどうなんですか、私が感じたのは、個々の職員で毎月月給から幾らずつ差し引いていくというようなふうにもとれるんです。しかも今申し上げたように、縁故債なんという債券はあまり聞いたことありませんしね。もう少しこれは適当な表現に変えられる方がいいんじゃないですか、誤解を生みますよ。まあそれはそういうことであればよくわかりましたが、表現が、どうもこの縁故債という字が、午前中辻さんが言われたように、国鉄一家などとよくいわれますから、何かこう適当なことをやっているんじゃないかというような印象もないでもありませんから、こういう一つ債券の表現はお変えになる方がいいと思います。  それからもう一つ、帝都高速度交通営団に五億円出資されるんですが、これはどうして出資される死金がなくて困っている、こういう国鉄が、わずか五億円だからということかわかりませんが、出資の余裕があるんですか。
  263. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) これは運輸省御当局から御説明願った方がいいかとも思いますが、国鉄としては、法律に基づきまして出資いたしておるわけでございます。実質的には、今後の都市交通というようなことにつきましては、国鉄だけでなく地下鉄その他も全部ひっくるめての交通計画というようなことも必要でございましょうし、特に今後の通勤輸送の問題その他を考えますというと、営団の輸送と国鉄とはさらに緊密な関係を保持していかなけりゃならぬというような実質的な理由もあると考えております。
  264. 森中守義

    ○森中守義君 わかりました。それからもう一つ、こまかなあれで恐縮ですが、受託工事の収入として四百億をあげてありますね。大へん膨大なお仕事を今からおやりになろうというのに、よその仕事までできるんですか。
  265. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 四十億でございます。
  266. 森中守義

    ○森中守義君 どういう仕事ですか。
  267. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) たとえばまあお話の出ました地下鉄工事等で、国鉄の線路と上下になるというような関係で、工事そのものは向こうの工事でありますけれども、片一方で国鉄の輸送運転に支障を来たすようなことがあってもいけませんし、そういうようなときに、工事の委託を受けて国鉄が直接に指揮監督をして、人の工事をやるというようなことがあるわけでございます。そういうようなのが一つの例でございます。
  268. 武藤常介

    主査武藤常介君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  269. 武藤常介

    主査武藤常介君) 速記を起こして。
  270. 森中守義

    ○森中守義君 それではまだ運輸省関係ありますけれども、一応国鉄関係だけちょっと区切りをつけさせてもらいたいのですが、けさほどから何回も質問をして、どうしても副総裁の方からはっきり答えが出ないのは、給与総額の中にことし以降幾らの昇給原資を見積もりあるいはベース・アップを幾ら見積もるのか。どうしても具体的な数字として出ないのです。昇給原資についてはこれこれ、ベース・アップの見込みについてはこれこれ、もちろん昇給原資は正確でなくちゃならないでしょう。しかし、ベース・アップについては、多少の変動があることはそれはわかります、わかりますけれども給与総額の積算の根拠としては明らかにこれだけ見ている、それが最低であるか、あるいは最高であるか、その辺は私は問いませんけれども給与総額の積算の根拠になる額だけはお作りにならないと、けさほども申し上げましたように、給与総額の体をなさない、こう思うのですが、大体幾らぐらい見ていらっしゃるのですか。
  271. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 三十六年度の予算につきましては、けさほどもお答え申し上げたっもりでございましたけれども、昇給資金の原資四・五%というものを見てあるだけでございます。ただ、先ほどもちょっと申し上げました五カ年の収支見通しを立てます際には、単なる四・五%の昇給原資だけでなく、その上に所得倍増計画と見合ったある程度の予想を見込んで計算したわけでございますが、その計算は今お尋ねがございましたから申し上げますが、一応六%程度は見てございます。ただし、これは三十七年度以降において予算化していただかなければ、まだどうなるかわからない話でございますから、ただ、五カ年間の先の収支を見る場合には、単なる昇給原資の四・五%だけでなしに、所得倍増計画の方では、たしか勤労者の所得が五・何パーセントか上がるようになっております。それから過去の国鉄のベース改訂の実績もございますし、それらの両方の要素を勘案いたしまして、大体六%程度と見まして収支計画を立てました。ただし、それは三十七年度以降予算化についてあらためてまたお願いしなければならない問題でございますので、未確定の問題でございますから、こういう率を申し上げることは差し控えておきたいと思います。
  272. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、もちろんこれはその要素としては不確定のものでしょうが、しかし、今言われた六%だけは最低見積もっておられる、こういうことですね。定期昇給四・五%、それからベース・アップされる分として六%、合計一〇・五%は給与総額の中に見込んでおる、こう理解してよろしいのですね。
  273. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 今のお話は違うのでございます。そうでなしに、四・五%を含めて六%程度人件費が出ていくだろうということで一応推定をいたしております。そういう意味でございます。
  274. 森中守義

    ○森中守義君 ちょっと、その辺あまり問いただすとあなたも都合が悪いのかわかりませんがね。さっき承りましたのでは、定期昇給四・五%、これは午前中からおっしゃっておる。ベース・アップはどのくらいかということはなかなかおっしゃらなかった。ところが、その分は六%だというふうに私は受け取った、大体あれでございましょう、私が知る限りにおきましては、まあいわゆる三公社五現業と言われている各機関におきましては平均八%ぐらい見ているのじゃないですか。そうしませんと、平均八%ぐらい見ておかないと、二、三日前の裁定はこれはまた違例なものであったと皆さんおっしゃるかもわからないけれども、おおむね過去五カ年間の実績を計算していけば、多少期間によって変動があるでありましょうけれども、平均八%は必要だ、こういうことが常識のようですよ。そこで今国鉄の場合にはあわせて六・五%だということになりますと、もちろんこれは年度の予算の編成の際の問題ですから不確定なものですから、決定したことを私は、言うわけではないけれども、一応国鉄の方でもその程度、八%ぐらい見込んでおかないと、のっぴきならぬような問題が起きるのじゃないか、こういうように思うのです。今ここでそれならば六・五%の根拠、平均八%の根拠、どちらが当を得たものかということはここで私申しませんが、おおむね平均定期昇給及びベース・アップは八%は見るのが常識だ、こういうように私は考えているのですが。
  275. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) まあ、いろいろ見方もおありになると思いますが、過去の実績、もっともこれは基準年次の取り方にもよりますけれども、最近数年間にベース改訂が何度か行なわれましたが、その実績はほぼ七%ぐらいでございます、国鉄の場合。それに理屈を申し上げるわけではございませんけれども国鉄職員給与というものは法律の規定におきましても、公務員の給与の水準とか、民間の同種事業の賃金とかいうものを勘案して、それを基準にしてきめるのだというようなことも書いてございます。しかし、片一方では所得倍増計画の方で勤労者の所得の伸びは五・何パーセントでしたか、ちょっと今忘れましたけれども、五%ちょっとぐらい伸びる。前の実績とそういう所得倍増計画で想定されております数字との間ぐらいというような考え方で、一応そういう想定をいたしたわけでございますが、これはもうたびたび申し上げますように、まだ未確定なことでございますので、三十七年度以降においては、そういう考え方で、本年度のベース・アップはだいぶ高かったのですけれども、何とか吸収していくように努力いたしたいと思っています。
  276. 武藤常介

    主査武藤常介君) それでは都合により暫時休憩いたします。    午後五時三十分休憩    ————・————    午後七時二十八分開会    ——————————
  277. 武藤常介

    主査武藤常介君) 休憩前に引き続き、分科会を再開いたします。  分科担当委員異動について御報告いたします。  本日、小山邦太郎君の委員辞任に伴い、その補欠として太田正孝君が第三分科担当委員になられました。    ——————————
  278. 森中守義

    ○森中守義君 私は、休憩前に引き続きまして、運輸省日本国有鉄道並びに建設省に対して相当質問が残っております。しかし、諸般の情勢から、本日はこれで質問を終わりたいと思いますが、ただ、速記録にぜひともとどめておきたいと思いますのは、今回の国鉄運賃改訂、これについて、昨日来の質疑で明らかになりましたことは、政府のこの種公共料金の政策が明確でない。これはやはり将来の問題としてもう少し一つの政策を持つべきである。金が足りなければすぐ利用者負担させればいい、こういうものの考え方はすこぶる重要でありますから、ぜひともこの点については、いずれかの機会で明らかにしたいと思いますが、その点だけを、審議を通じて明確になっておりますから、特に速記録に残しておきたいと思います。
  279. 武藤常介

    主査武藤常介君) まだ質疑はおありのようでありますが、各位の御了解を得て、運輸省関係及び昨日審議いたしました建設省関係の質疑はこれをもちまして終了することに御異議がございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  280. 武藤常介

    主査武藤常介君) 御異議ないと認めます。  それでは以上をもちまして、昭和三十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林省所管運輸省所管郵政所管及び建設所管に対する質疑は終了いたしました。これをもちまして本分科会審議を終了いたします。  なお、予算委員会における報告内容及び、審査報告書の作成につきましては、前例によりまして、主査に御一任願いたいと思いますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  281. 武藤常介

    主査武藤常介君) 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたします。これにて散会いたします。   午後七時三十二分散会