運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1961-03-29 第38回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月二十九日(水曜日)    午前十時三十九分開会    ——————————   委員の異動 本日委員太田正孝君辞任につき、その 補欠として山本利壽君を予算委員長に おいて指名した。    ——————————  出席者は左の通り    主査      武藤 常介君    副主査     千田  正君    委員            太田 正孝君            金丸 冨夫君            小山邦太郎君            白井  勇君            山本 利壽君            田中  一君            羽生 三七君            森中 守義君            森 八三一君   国務大臣       農林大臣 周東 英雄君       運輸大臣 木暮武太夫君       建設大臣 中村 梅吉君   政府委員    総理府総務長官 藤枝 泉介君      林野庁長官 山崎  斉君     運輸政務次官 福家 俊一君    運輸大臣官房長 辻  章男君      運輸大臣官      房会計課長 原山 亮三君    運輸省海運局長 朝田 靜夫君    運輸省船舶局長 水品 政雄君    運輸省船員局長 吉行市太郎君    運輸省港湾局長 中道 峰夫君      運輸省鉄道      監督局長  岡本  悟君      運輸局自      動車局長  國友 弘康君    運輸省航空局長 今井 榮文君    運輸省観光局長 津上 毅一君    海上保安庁長官 林   坦君      気象庁長官 和達 清夫君     建設政務次官 田村  元君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君      建設大臣官      房会計課長 三橋 信一君    建設省計画局長 關盛 吉雄君    建設省道路局長 高野  務君    建設省住宅局長 稗田  治君    建設省営繕局長 櫻井 良雄君   説明員      大蔵省主計      局主計官  宮崎  仁君      建設省河      川局次長  鮎川 幸雄君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十六年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十六年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十六年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)    ——————————
  2. 武藤常介

    主査武藤常介君) ただいまから予算委員会第三分科会を開会いたします。  本日は、初めに、昨日各位に御了解をいただいてきめました通り建設省所管について審議を行ない、同省関係は午後三時ころまでに大体の質疑を終わり、引き続き運輸省所管について審議を行ないたいと思いますが、御了承願います。    ——————————
  3. 武藤常介

    主査武藤常介君) それでは、昭和三十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算建設省所管を議題といたします。  まず、政府側説明を聴取いたします。
  4. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 建設省関係昭和三十六年度歳入歳出予算につきまして、その概略を御説明申し上げます。  まず、総額について申し上ますと、建設省所管一般会計予算といたしましては、歳入は、十億二千六百万円でありまして、これは、国が直轄で行なう海岸事業及び河川等災害復旧事業地方公共団体負掛金三億一千七百余万円、補助金等の精算による返納金二億六千六百余万円、国土地理院の地図の売払代金収入二億余万円等が主要なものであります。  歳出は、二千三百十五億二千八百余万円でありますが、このほかに、予算計上所管は異なっておりますが、実質上建設省所管事業として実施される予定経費が、別途、総理府に、北海道開発関係として二百九十四億七千二百余万円、離島振興関係として十億一千三百余万円、労働省特別失業対策事業関係として三十三億八千八百万円が計上されておりますので、これらをあわせて前年度に比較いたしますと、前年度二千二百八十五億一千四百余万円に対し、昭和三十六年度二千六百五十四億百余万円でありまして、三百六十八億八千七百余万円の増加となっておりますが前年度には、予算補正を行なっておりますので、前年度の当初予算額二千再十億六千九百余万円に比べると五百四十三億三千二百万円の増加となっております。  次に、個々の事業予算について御説申明し上げます。  第一に、治水事業につきましては、昭和二十八年に策定いたしました治山治水基本対策に基づく残事業のうち、主要な事業を、昭和三十五年度以降十カ年で達成することを目途とし、このうち、昭和三十五年度から三十九年度までの前期五カ年間に、総事業費四千億円の治水投資を行なう方針のもとに、昨年末治水事業五カ年計画を策定し、新たな構想のもとに治水特別会計を新設して事業遂行を行なっております。昭和三十六年度におきましては、その第二年度として事業推進をはかることといたしております。  昭和三十六年度の治水関係予算は、治水事業費として四百四十六億三千八百万円、海洋転業費として十二億八千七百万円、チリ地震津波災害地域津波対策事業費として三億三千五百余万円、伊勢湾高潮対策事業費として六十三億六千百万円、合計五百二十六億二千百余万円で、前年度の補正後の五百十八億五千三百余万円に比較し、七億六千八百余万円、前年度の当初の四百七十九億四千百余万円に比較し、四十六億八千余万円の増となっております。  次に、そのおもな内容について申し上げます。まず河川事業について申し上げますと、直轄河川におきましては、継続施行中の利根川等九十五河川のほか、新規に、松浦川、日野川、雲出川及び中川の四河川を加え、合計九十九河川及び北海道開拓事業に関連する特殊河川十六河川について河川改修事業実施する予定であります。これらの事業実施に当たりましては、利根川等経済効果の大きい重要河川並びに最近災害発生の著しい狩野川、太田川、豊川等放水路工事及び橋梁水門等の緊急を要する付帯工事促進をはかるほか、高潮対策促進重点を指向する方針であります。なお、このほか直轄河川改修事業については財政法第十五条の国庫債務負担行為十六億円を予定いたしております。  補助事業におきましては、中小河川改修事業として継続施行中の三百三十九河川のほか、特に緊急に改修を要する二十二河川新規に採択するとともに、最近の災害発生現況等にかんがみ、小規模河川改修促進をはかるため、継続施行中の百三十河川のほか新規に六十一河川の着工を予定し、事業促進をはかることとしております。その他高潮対策緊急性にかんがみ、特に東京湾、大阪湾地区における高潮対策事業促進をはかることといたしております。  次に、河川総合開発事業につきましては、特に継続工事早期完成重点をおいて実施することといたしております。  その内容といたしましては、直轄事業については、荒川二瀬ダム等十一ダム継続施行をはかるほか、新規利根川下久保ダム及び空知川金山ダムに着工し、合計十三ダムのうち荒川二瀬ダム完成予定いたしております。  実施計画調査としては、継続中の北上川四十四田ダム及び淀川高山ダム調査促進をはかるほか、新規に天竜川、小渋ダム調査に着手することにしております。  なお、このほか多目的ダム建設及びこれに付帯する工事実施するために、財政法第十五条の国庫債務負担行為九十九億二千万円を予定いたしております。  補助事業については、小瀬川ダム等十五ダム継続施行をはかるほか、新規に有田川二川ダム等ダムを着工し、合計二十一ダムのうち鮫川高柴ダム等ダム完成予定しております。  実施計画調査としては、継続中の沼田川椋梨ダム等ダム調査促進をはかるほか、新規小阿仁川萩形ダム等ダム合計ダム調査実施する予定にいたしております。  次に、砂防事業について申し上げます。直轄事業につきましては、継続施行中の利根川等二十六水系のほか、新規に黒部川を加え二十七水系を、また、地すべり対策事業として手取川について、実施する予定であります。  特に、昭和三十四年の大水害により甚大な被害を受けた富士川等重点をおいてその促進をはかることとしております。  補助事業につきましては、特に、重要河川水系及び最近災害発生の著しい河川工事促進重点をおいて施行するとともに、最近の災害発生状況にかんがみ、土砂の崩壊による危険度の高い渓流については、谷口に砂防ダムを施設する等いわゆる予防砂防推進をはかることといたしております。  次に、海岸事業について申し上げます。海岸事業につきましては、その進捗は著しくおくれており、このため近年の相つぐ海岸災害により、各地に多くの被害が発生している現状であり、これに対処するため、防災上緊要な地域における海岸保全施設整備重点をおき、直轄事業については、継続施行中の有明海洋等海岸のほか、に東幡及び松任美川の二海岸を追加し、合計海岸について事業促進をはかることといたしております。補助事業についても同様の方針に基づいて実施することとし、高潮対策事業及び海岸侵蝕対策事業として継続五十一海岸のほか、新規に二十二海岸予定し、合計七十三海岸について重点的な促進をはかる方針であります。  チリ地震津波災害地域津波対策事業につきましては、昨年特別立法を行ない、予備費及び追加予算により所要額を計上し、その促進に努めて参っておりますが、昭和三十六年度におきましては、引き続いて青森、岩手、宮城、福島、徳島、高知の各県について事業促進をはかることといたしております。  伊勢湾高潮対策事業につきましては、昭和三十五年度に引き続き、事業は、木曽川、鍋田川、鈴鹿川、矢作川の各河川堤防及び南陽、海部、鍋田木曽岬、長島、川越の各海岸堤防について昭和三十七年出水期までに、補助事業昭和三十八年出水期までに完成することを目途として、その促進をはかることといたしております。  なお、以上の治水関係事業のうち、河川事業砂防事業及び海岸事業補助分中には、八億一千万円の特別失業対策事業費を含んでおり、失業者の吸収をはかることといたしております。  第二に、災害復旧対策関係予算について申し上げます。  災害復旧対策関係予算総額は、三百四十二億七千七百余万円で、その内訳といたしましては、災害復旧事業費三百五億一千九百余万円、災害関連事業費三十六億五千百余万円、鉱害復旧事業費一億七百余万円であります。  次に、そのおもな内容について申し上げますと、まず災害復旧事業費につきましては、直轄災害は、内地二カ年、北海道三カ年復旧方針に基づき、三十四年災は完了し、三十五年災は内地分は完了し、北海道分は八〇%の進捗をはかることといたしております。補助災害につきましては、緊要事業は三カ年、全体として四カ年で復旧する方針のもとに、三十三年災は完了、三十四年災は八五%、三十五年災は六五%の復旧をはかることといたしております。  また、災害関連事業につきましては、災害復旧工事とあわせて適切な実施をはかり、再度の災害を防止する効果を確保することといたしております。  なお、災害関連事業のうちには、五千五百万円の特別失業世事業費予定しております。  第三に、道路整備群業について御説明申し上げます。  道路整備につきましては、現在昭和三十三年度以降五カ年間に総額一兆円を投資する道路整備五カ年計画実施中でありますが、経済成長に伴う道路輸送需要の激増は、現行計画策定時の予想をはるかに上回っている実情であります。  一方政府におきましては、昨年十二月国民所得倍増計画を決定いたしましたが、この計画を達成するためには、今後の経済成長に対応した道路整備計画を策定して、道路改良近代化促進し、輸送隘路を打開するための先行的道路投資を行ない、産業経済の基盤を強化し、国民生活向上に資す必要があります。  このため昭和三十六年度においては、現行の道路整備五カ年計画を拡充し、昭和三十六年度を初年度とする総額二兆一千億円の新道路整備五カ年計画を樹立し、急速に道路整備促進することといたしております。  新しい五カ年計画内訳といたしましては、一般道路一兆三千億円、有料道路四十五百億円、地方単独三千五百億円、を予定いたしておりますが、本計画遂行により、一級国道については五カ年間、二級国道については十カ年間に改良舗装の概成をはかり、さらに産業資源開発及び観光上重要な都市内の道路その他地方道についても急速な整備を行ない、名神高速自動車国道完成し、首都高速道路建設促進するとともに、新たにその他の高速白道車道にも着工したいと考えております。  その初年度としての昭和三十六年度の道路事業関係予算額は、一般会計分は、一千四百九十八億八千九百万円で、前年度の補正後の九百九十億二千一百余万円に比し、五百八億六千七百余万円、前年度当初の九百八十八億七百万円に比し、五百十億八千二百万円の増となっております。  なお、一般会計には後に申し上げます道路整備特別会計に対する繰入金といたしまして、建設省に一千二百四十億九千四百万円、総理府に、北海道開発関係として、二百十六億三千三百余万円、離島振興関係として八億二千一百万円、労働省に、特別失業対策事業関係として十六億三千五百万円、合計一千四百八十一億八千三百余万円が計上されております。  このほか、長大橋及び隧道等の大規模工事で二カ年以上にわたる契約を必要とするものについて、財政法第十五条の規定に基づく国庫債務負担行為六十八億円を予定いたしております。  昭和三十六年度における一般道路事業といたしましては、直轄事業地方負担金等を含め、一級国道に六百四十七億九千二百万円、二級国道に二百六十八億七千八百万円、主要地方道に二百三十一億一千六百万円、一般地方道に百七十四億一千二百余万円、市町村道に百四十三億九千二百余万円、その他機械費調査費積雪寒冷特別地域道路事業費等に八十二億二千七百万円を予定し、これにより、国道及び地方道を含めて約二千三百キロメートルの改良、約二千キロメートルの舗装実施することといたしております。  なお、従来に引き続き、内地一級国道のうち、交通量の特に多い区間を国が直轄維持修繕を行なうこととしておりますが、昭和三十六年度におきましては、さらにこの区間を約六百キロメートル追加いたしまして、合計、おおむね、三千六百キロメートルといたしますとともに、交通量の多い大都市内において舗装補修等工事実施する場合には極力夜間に行なうこととし、交通に支障を及ぼさないよう留意して参りたいと考えております。  次に、日本道路公団有料通路について御説明申し上げますと、昭和三十六年度における日本道路公団資金といたしましては、道路整備特別会計からの出資金七十億円、資金運用部資金借り入れ百億円、民間資金借り入れ二百十億円を予定いたしておりまして、これに業務収入等四十七億二千百万円を加えると、日本道路公団昭和三十六年度における予算規模は、合計四百二十七億二千百万円と相なりますが、これにより名神高速道路(小牧−西宮間)につきましては、第一順位区間である尼崎−栗東間約七十二キロの建設工事を最重点的に実施いたしますほか、その他の区間についてもこれに準じて工事促進をはかる予定でおります。また、一般有料道路につきましては、第三京浜道路、船橋−千葉道路等継続事業促進いたしますほか、新規事業にも着手することとしております。  次に、首都高速道路公団事業につきまして御説明申し上げますと、昭和三十六年度における首都高速道路公団資金といたしましては、道路整備特別会計からの出資金五億円、東京出資金五億円、東京交付金二十七億二千四百万円、資金運用部資金借り入れ六十億円、民間資金借り入れ七十億円を予定いたしておりまして、これに利息収入その他十億四千九百万円を加えますと、首都高速道路公団昭和三十六年度における予算規模は、合計百七十七億七千三百万円と相なりますが、これにより同公団の行なう事業といたしましては、前年度に引き続き、一号線、二号線、三号線、四号線及び八号線の建設継続実施いたしますとともに、新規に二方分岐線及び四号分岐線建設に着手することといたし、また、駐車場については、汐留駐車場完成をはかるほか、江戸橋駐車場継続実施し、新たに本町駐車場建設に着手することといたしております。  第四に、都市計画事業について御説明申し上げます。  昭和三十六年度における都市計画事業関係予算は、総額三百二十四億亘万円で前年度百七十九億五百万円に比し百四十四億九千六百万円の増であります。  このうち、新道路整備五カ年計画実施に要する経費として道路整備特別会計に計上されております街路事業予算額は、首都高速道路公団に対する出資金を含め、二百八十八億九千二百万円でございますが、これによりまして立体交差を含む改良橋梁及び舗装等街路事業実施して都市内交通円滑化をはかりますとともに、人家が密集し、街路の幅員が狭隘で交通に支障を来たしておりまする等、都市の発展上整備を要する地域に対し、土地区画整理による都市改造事業推進することといたしております。  また、昭和三十六年度よりは、大樹市の人家が密集した地区で、街路整備とともに、市街地高度利用をも必要とする地区について、新たな手法により、公共施設整備に関連する市街地改造事業実施いたしたいと考えております。  一般会計に計上されております都市計画事業予算額総額三十五億九百万円でありまして、これにより下水道公園等整備をはかることといたしております。下水道関係予算額は、三十一億四千七百万円で前年度に比し十一億五千一百万円の増でありますが、なお、地方債の増額をもはかることといたし、都市施設中最もおくれている下水道整備促進に努める所存であります。  また、事業実施に当たりましては、公共水汚濁防止の見地から工場廃水が多量に排出される地域において、これを一括処理するための特別都市下水路を設けるとともに、道路の堀り返しによる手戻り工事を極力防止するよう道路整備事業進捗状況を考慮いたし、下水道事業の先行をはかって参りたいと考えております。  公園関係予算額は、三億六千二百万円で国営公園一般公園及び墓園の整備をはかることといたしておりますが、特に、昭和三十九年に開催されるオリンピック東京大会に対処するため、主競技場のある明治公園整備促進いたしたいと考えております。  なお、一般会計に計上されております都市計画事業予算のうちには、八億五千万円の特別失業対策事業費予定いたしております。  第五に、住宅対策について御説明申し上げます。  政府は、最近の住宅事情の実態にかんがみ、また、所得倍増計画に即応いたしまして、「世帯一住宅」のすみやかな実現をはかるべく、十カ年に約一千万戸の住宅建設を目標とする構想のもとに新たな住宅建設計画を策定いたしたわけでございます。すなわち、昭和三十六年度より五カ年間に約四百万戸の住宅建設を見込み、低家賃住宅大量供給と不良、老朽、過密居住住宅の一掃を目途といたしております。昭和三十六年度はその初年度といたしまして、政府施策住宅二十四万六千戸の建設計画いたしております。この戸数は、前年度に比較いたしますと二万五千戸の増となっておりますが、特に、昭和三十六年度におきましては、低額所得者に対する住宅供給を強化いたしまするとともに、老朽危険な住宅の密集した地区改良促進災害を防止するため不燃堅牢な住宅建設、坪数の増大等質向上をはかりますとともに、宅地取得難の現況に対処いたしまして、宅地供給量の大幅な増加及び大都市内における宅地高度利用をはかることといたしております。  また、民間自力によって建設される住宅につきましては、最近の実績より見まして四十二万戸程度の建設が見込まれますので、これらを合わせて昭和三十六年度におきましては、約六十七万戸の住宅建設目途といたしておるわけであります。  なお、政府施策住宅二十四万六千戸の内訳は、公営住宅は、前年度より三千戸増の五万二千戸、改良住宅は、前年度より二千戸増の四千戸、公庫融資住宅は、前年度より一万戸増の十二万戸、公団住宅は、前年度より二千戸増の三万二千戸及び厚生年金融資住宅災害公営住宅等のその他住宅は、前年度より八千戸増の三万八千戸でありまして、これに対する予算措置といたしましては、公営住宅建設費として、災害公営住宅分を含めて一般会計予算といたしましては、前年度に比し、十三億八百余万円増の百三十四億九千百余万円を予定し、一般公営住宅として、第一種住宅二万一千戸、第二種住宅三万一千戸、計五万二千戸及び災害公営住宅として三百七十五戸の建設に対し補助することといたしておりますが、昭和三十六度におきましては、第二種住宅の一戸当たり規模増大等質的向上をはかっております。  住宅地区改良事業といたしましては、一般会計予算として前年度に比し、十一億三千五百万円増の十九億三千四百余万円を予定し、劣悪な居住環境を改善し、あわせて市街地合理的利用をはかりますため、不良住宅除却及び改良住宅四千戸の建設に補助いたしますとともに、新たに、昭和三十六年度より次年度以降建設用地取得に対しましても、補助することといたしております。  次に、住宅金融公庫に対しましては、産業投資特別会計よりの出資金九十億円と政府低利資金三百十億円、合計四百億円を予定いたしておりまして、これに、回収金等八十五億円を加えると、住宅金融公庫昭和三十六年度の資金総額は四百八十五億円と相なり、これにより十二万戸の住宅建設及び宅地取得造成災害による被災住宅復興等に要する資金の貸付を行なうことといたしております。また、日本住宅公団に対しましては、産業投資特別会計からの出資金七十億円、政府低利資金百六十五億円、民間資金二百億円、合計四百三十五億円を予定しており、賃貸住宅二万一千戸、分譲住宅一万一千戸の建設並びに市街地施設及び宅地の、取得造成事業を行なうことといたしておりますが、特に、昭和三十六年度におきましては、住宅の一戸当たり坪数の引き上げを行ない質の向上をはかることといたしております。  また、都市における火災その他の災害を防止し、あわせて土地の合理的利用促進及び環境の整備をはかりますため、新たに、防災街造成に対する補助金といたしまして、一般会計予算において前年度に比し、一億三千六百余万円増の二億五千万円を計上いたしております。  第六に、官庁営繕について御説明申し上げますと、官庁施設建設等に関する法律の規定により、建設省実施いたします官庁営繕のうち、建設省所管予算として計上されておりますのは、五十一億九千百余万円でありまして、前年度の二十九億一千余万円に比し、二十二億八千百余万円の増額となっております。  実施に当たりましては、特に継続施工中の大規模工事である総理府及び大手町第一合同庁舎完成札幌地方合同庁舎及び下津、長崎、鹿児島の各港湾合同庁舎完成その他一般官署の建てかえの促進等重点を置くことといたしております。  そのほか、昭和三十六年度予算中おもなるものにつきまして申し上げますと、産業開発青年隊につきましては、前年度より八百余万円増の五千八百余万円を計上しており、幹部訓練所及び新規北海道を含め中央隊九隊において訓練を行ないますとともに、新規青森県を含め、府県二十四隊の運営費等を補助することとし、また海外移住青年隊員特別訓練を行なうことといたしております。  水防対策につきましては、前年度より一千三百万円増の六千八百余万円を計上し、水害を未然に防止するために水防態勢強化充実をはかることとし、無線局の設置及び維持管理を行ない、また、近時頻発する水害状況にかんがみ、水防施設整備について補助することといたしております。  また、試験研究機関等の予算につきましては、前年度に比べ、三億三千一百余万円を増額し一そうの充実をはかることといたしております。  特に、国土地理院で行なう国土基本図の整備については、国土の総合開発及び土地の高度利用計画等の基本計画を策定するための大縮尺(二千五百分の一)の基本図を作成するため、市街地について今後三ケ年間に航空写真の撮影を終了する計画のもとに初年度分として、二億三百余万円を計上いたしております。  広域都市建設計画調査につきましては、千二百万円を計上いたしておりますが、これは、近年の著しい産業構造の変化と工業化の趨勢に対応して、大都市地域においては、過大都市の弊害を是正し、地方中核都市地域においては、地方開発の中心地域として、その育成、発展をはかる必要がありますので、これらの地域について広域的な都市建設計画を樹立するため必要な調査実施する経費であります。  建設業の合理化対策といたしましては、六百余万円を計上し、建設業の生産性向上、指導監督の強化、機械化の推進その他工事施工態勢の整備に努め、建設業者建設コンサルタントによる海外協力の推進をはかることといたしております。  以上をもちまして建設省関係一般会計予算の説明を終りますが、次に特別会計予算の概要を御説明申し上げます。  治水特別会計予算総額は、歳入歳出とも六百六十億七千八百余万円でありますが、これを勘定別に申し上げますと、まず、治水勘定につきましては総額五百五億六千三百余万円で、その資金内訳といたしましては、一般会計より受け入れ三百九十五億三千七百余万円、地方公共団体工事費負担金収入六十九億四千九百万円、受託工事納付金二十三億円、特定多目的ダム勘定より受け入れ八億四千余万円、予備収入その他九億三千六百余万円を予定しております。  その歳出内訳といたしましては河川改修事業等に二百九十八億三千百余万円、河川総合開発事業に二十億五千余万円、砂防事業に九十八億八千九百万円、建設機械整備に十二億四千百余万円、伊勢溝高潮対策事業直轄事業分に三十三億六千三百万円、附帯工事、受託工事予備費等に四十一億八千八百余万円を計上いたしております。  また、特定多目的ダム建設工事勘定につきましては、総額百五十五億一千五百余万円で、その資金内訳といたしましては、一般会計より受け入れ七十五億五千百余万円、地方公共団体工事費負担金収入二十五億八千七百万円、電気事業者等工事費負担金収入四十三億三百余万円、その他十億七千二百余万円を予定しております。  その歳出内訳といたしましては、特定多目的ダム建設事業に百四十四億二千二百余万円、受託工事及び予備費等に十億九千二百余万円を計上いたしております。  なお、それぞれの事業内容につきましては、先ほど申し上げたとおりであります。  次に、道路整備特別会計でありますが、本特別会計の昭和三十六年度予算総額は、歳入歳出とも一千六百五十二億七千四百余万円でありまして、その資金内訳は、さきに申し上げました一般会計からの繰入金一千四百八十一億八千三百余万円のほか、直轄道路事業の地方負担金収入百二十四億二千八百万円、附帯工事納付金、受託工事納付金、雑収入及び予備収入等四十六億六千二百余万円となっております。  その歳出内訳といたしましては、一般道路聖業に一千二百四十七億二千万円、街路事業に二百八十三億九千二百万円、日本道路公団出資金として七十億円、首都高速道路公団出資金として五億円、その他附帯工事、受託工事予備費等に四十六億六千二百余万円を計上いたしております。  なお、以上のうち一般道路事業及び街路事業の中には、前年度に引き続き、臨時就労対策事業として八十三億円、特別失業対策事業として十六億三千五百万円を予定いたしまして、道路事業の執行とあわせて失業者の吸収をはかることとしており、また、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に必要な道路事業費及び機械費等二十四億九千四百万円が含まれております。  以上が昭和三十六年度の予算の概要でありますが、なお、組織関係のおもなものといたしましては、本省においては、建政局を新設し、附属機関につきましては建築研究所に国際地震工学研修部を設け、また、地方建設局につきましては、関東地方建設局及び近畿地方建設局に用地部を新設する等所要の整備を行なうことといたしております。  定員につきましては、本省及び附属機関においては、機構の整備及び道路整備事業の増大等に対処して、振り替えをあわせて六十一人を増員し、地方建設局においては、道路整備事業の延びに対処し、工事事務所以下において二三〇人と増員することといたしております。  なお、多年の懸案であった常勤職員及び常勤的非常勤職員の定員化につきましては、一万一千六百二人の常勤職員及び常勤的非常勤職員を定員に繰り入れることとしておりますが、これに、昭和三十五年度における定員化数八百九十大人を合せますと、一万二千四百九十八人の定員化を行なうこととなります。  なお、残余の職員については、引き続き実態を調査の上、極力定員化をはかるよう努力いたしたいと考えております。  以上をもちまして、昭和三十六年度の建設省関係一般会計予算及び特別会計予算の説明を終わりますが、よろしく御審議の程を、お願い申し上げます。
  5. 武藤常介

    主査武藤常介君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  6. 武藤常介

    主査武藤常介君) 速記を始めて。  本会議が開催されますので、暫時休憩いたします。本会議が散会になり次第再開いたします。    午前十一時二十二分休憩    ————・————    午前十一時三十九分開会
  7. 武藤常介

    主査武藤常介君) それでは、休憩前に引き続き分科会を再開いたします。  建設省関係予算について御質疑がおありの方は御発言を願います。
  8. 田中一

    ○田中一君 河川局長おらんから、道路から一つ質疑をいたしますが、今度の新五カ年計画の手をつける路線の方針というものを伺っておきたいんです。むろんこれはもう部内には細かい路線の決定はできておると思うのです。しかし、あえて私は追及しません。私どもも知りたい。しかし与党の中でもって、おれの選挙区じゃないかとかなんとかいうことになると、せっかく優秀な計画も政治的に歪曲されるという点があろうかと思いますから、追及いたしませんけれども、大体の構想というものを一つ伺っておきたいのです。ということは、国民所得の倍増という見地から、これの一環としての道路整備計画だということになりますと、かっての新道路法による考え方から発展か後退か、どちらでもいいです。——見方によりますが、多少変革されてくる。見方によれば、大幅な変貌がもたらされるというように考えられるわけです。これは道路法をごらんになれば、新道路法できめておるところの目的というものと、また旧道路法にきめられた目的、これは変わってきておる。それは今度変わらざるを得ないと思うのです。それで、その規模、考え方、この予算書に、予算説明に盛られてある言葉では、文章にとどまって不十分です。従って具体的に——具体的にということは、どの路線がどうというのではなくて、日本の現在の道路法ですね、現在の道路法に盛られているところの性格と、新五カ年計画で持とうとする整備計画路線というものが、どういう形でつながれていくかということです。
  9. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) それでは基本的なことだけ一応私からお答えを申し上げます。実は所得倍増計画に伴ないまして後進地域の開発、あるいは産業立地条件等と今後の道路五カ年計画遂行に当たりましては、緊密な関連と配慮をいたしまして、進めるべきであると考えております。ただ産業立地条件等につきましては、まだつまびらかに結論が出ておりませんので、今後これらの調査所管省が進めることによりまして、具体的になるのに伴いまして、道路整備計画も機動的にこれと並行して進めるようにいたすべきである、かような考えをいたしておるわけであります。差し当たりといたしましては、なんといたしましても、日本全国土を結んでおります一級国道というものが、あるいは二級国道国道が大体主要地点を結んでおりますから、国道整備ということは、中央道の整備とあわせて急速に完了をいたさなければならぬ実情にあると思われますので、まず一級国道につきましては、今度新五カ年計画におきまして、改良及び舗装を完了するようにいたしたい。二級国道につきましては、今申し上げましたように産業立地その他交通事情等勘案いたしまして、急を要する地点から整備をいたしまして、大体五カ年間で半分ぐらいをやりたい。同時に中央主要道、地方道等につきましても、今申し上げましたような観点に立ちまして、整備を進めて参りたいというように考えておる次第でございます。高速道路につきましても、同じような基本の考え方に立ちまして、進めて参りたいつもりで、いろいろ施策をいたしておるような次第でございます。詳細の点につきましては、必要に応じまして、政府委員からお答えをさせたいと思います。
  10. 高野務

    政府委員(高野務君) 新道路整備計画につきましては、田中先生が御指摘の通り、こまかい作業をしているのでございますが、まださらに検討中でもございますし、また緊急措置法が制定されましたのちにおきまして、各省とも連絡、調整が必要でございますので、ただいまのところではまだ細部にわたりまして御報告を申し上げる段階にはなっていないのであります。ただいま大臣から申し上げましたように、まず一級国道、二級国道につきましては、一級国道は新しい道路整備計画で四十年までに全路線を整備したいということにしておりますので、今後の五カ年間におきまして大体一次改良を終わるということになろうかと思います。この際、一次改良した都市周辺等の二次改良とのバランスの問題があるわけでございますが、私どもはとにかく一次改良は四十年には完成するということで、各路線すべてに着工をする予定でございますし、また現に工事を進めているわけでございます。二級国道につきましては、今後大体十年で整備を完了するということをただいま大臣からもお話ししたわけでございますが、三十六年以降五カ年間におきまして大都市周辺の路線、重要産業地帯の路線、国際観光上緊急に整備を要する路線に重点を置くのはもちろんでございますが、まだ現状におきまして交通不能の区間が二級国道には相当ございます。これの開通というものにさらに重点を置いて、この五カ年間で開通をさせて参りたいというつもりでございます。一級、二級国道につきましては、それぞれ路線ごとにこまかくやっているのでございますが、また報告する機会があろうかと思います。  次に、都道府県道及び市町村道につきましてでございますが、特に重要な地方の幹線道路、重要産業地帯の路線また都市整備上緊急を要する路線、資源の開発、観光上必要な路線その他の重要な路線について整備をはかるわけでございますが、都道府県道、市町村道は非常に延長が長うございますので、これをいかに整備するかという問題があるわけでございます。補助の対象といたしましては、主要地方道に直点を置くのは、道路法の建前上もちろんでございます。新しい五カ年計画では、主要地方道以外にも補助をつけて参る所存でございます。また路線が非常に長うございますので、片端から改良工事を進めて参りますと、これはなかなかいつになったら整備を終わるかわからないという状態になることが予想されますので、新しい五カ年計画では、特殊改良、局部改良予算を従来より多くいたしまして、隘路を打開して参りたいと思っております。  また自動車国道につきましては、ただいま名神高速自動車国道をやっているわけでありますが、これの完成を一日も早くいたしまして、さらに国土開発縦貫自動車道、中央自動車道及び東海道幹線自動車国道にも着工して参りたいと思っております。首都高速道路につきましては、オリンピックもあることでございますので、ただいま着工している線以外にも着工して参りたいと思っております。  次に最近の……。
  11. 田中一

    ○田中一君 あのね、あなたのただいま説明しているのは書いてあることなんですよ。書いてあることは聞く必要ないんですよ。それで今あなたお聞きの通り主査は一人々々五十分ずつやって五十分私が質問するのは五十分ということじゃないんですよ。答弁も入れて五十分で、また役者をかえて次々にいくというのですよ。そういう御答弁、書いてあるようなことを聞くのじゃないです。時間がかかって……ここに書いてある通りでございますと言ってくれればいいんですよ、それじゃ。そういうことを聞いているんじゃないですよ。
  12. 高野務

    政府委員(高野務君) もう少し申し上げさせていただきたいと思いますが、次に最近事故が頻発しております踏切の問題でございますが、新しい五カ年計画では約九百カ所にわたる立体交差の仕事をして参りたいと思っております。さらに立体交差にはできないが、あぶない踏切がございますので、これの改良もやって参りたいと思っております。最後に、積雪寒冷特別地域道路交通確保の事業でございますが、従来の規模をさらに拡大して、特に今年度の豪雪にかんがみ、この規模を拡大して参りたい、こう思っております。
  13. 田中一

    ○田中一君 これね、答弁注意して下さいよ。書いてあることは、これはどこそこに書いてあるからと言ってくれればいいんです。この国民所得倍増計画の中には社会資本の充足を基本方針として、産業基盤の強化、住宅及び生活環境施設等の生活基盤の拡充、国土保全ということをうたっているんですよ。当然この考え方というものは、国民所得倍増論からくるところのこの新しい考え方だと私は見ているんです。現在の道路、今までの三十三年からきたところの五カ年計画では、こういう形を打ち出しておらないわけですよ。どこまでも近路法の二竜の第五条にあるものをはっきりときめておるわけなんです。そしてまた重点的に、一級国道、並びに二級国道地方道ともに今あなたの説明したようなことをやってきているんです。私の伺っているのは、一体今度所得倍増論からくるところの新道路整備計画というものはどこに重点を置くかということを聞いているんです。こまかい路線を聞くんじゃないですよ。はっきりうたっているのは、既成四大工業都市ということに重点を置いているわけなんですよ、所得倍増論には。従って生活環境整備とかあるいは国土保全とかということは、これはもう現在やっているんです。たとえば既成四大工業都市を中心としてもっていこうとするのか、あるいは現在のような形でもって道路整備を行なっていこうとするのか、その重点政策をどこに持つかということなんです、伺っているのは。従来ともに私道もございます、私道から出てそれから市町村道通り、府県道を通りあるいは一級国道、二級国道を通っているわけなんです。この国民所得倍増計画の中では、全部美しい言葉をそのまま並べているんです。これじゃ何も所得倍増計画の一環としての新道路整備計画じゃないわけですよ。どこに一体重点を置いて考えているかということを伺っているんです。具体的に言うならば、ここにはっきりと既成四大工業地帯を結ぶベルト地域の問題ですね。これを強く打ち出しておる、この五カ年間でせめてこれだけはがっちりと早期に完成させるということにならなければ同じことなんですよ。今でも四大工業地帯の連絡交通網というのは麻痺状態です。まあ名神国道建設によって幾分緩和される面もあろうけれども、その部分は。重点をどこに置くか、何も総花式なものでやるならば新道路整備五カ年計画といううたい文句にならないわけなんですよ。この大来君が占いている解説にもはっきり書いてある、こことここを結んでこういうふうになると書いてあるのです。経済企画庁はそういうことを言っておりますけれども、建設省としては、こういうものには直接関係しないでもよろしいのだ、従来通り国民の交通の面、通行の面から、あるいは保全の面からという形でもってくるのだというなら、くるのだという説明をしてくれればよろしいのです。新道路整備五カ年計画はどこに重点を置くのかというのです、所得倍増計画に伴ってですよ。これは道路局長にそういうことを伺っても困るでしょうけれども、大臣から一つ御答弁を願いたいと思うのです。
  14. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) お話のように建設省道路局といたしましては、さしあたり国道及び地方道等あわせて既存の道路整備をするということは一つの任務でございますが、同時に所得倍増計画の考え方といたしましては、後進地域の開発でございますとか、産業の適正配置というようなことを相当に考慮いたしておりますので、今後の五カ年間にわたる道路整備計画といたしましては、これにも相当深い関心と努力を払っていくべきものだと私ども考えているわけであります。会の答申に、ベルト地帯に非常に力を入れたような姿の答申がございました。これに対しましては、政府としては弾力的にやっていくのだということで、政府のきめた構想の中には、後進地域の開発、あるいは産業の適正配置等をうたっておりますので、私どもはこれに今後の道路整備計画というものを重点を置いていかなければならぬと考えております。従いまして一級国道あるいは二級国道にいたしましても、主要地方道にいたしましても、そういう主要幹線を整備いたしますと同時に、今後後進地域開発に関する調査計画が立ち、あるいは産業立地条件の調査が進むに伴いまして、これに即する連絡道路を作りますとか、あるいは今までの幹線から枝を咲かせて、その部分を新たに主要な道路として指定をして、あるいは新規に設けて道路整備をいたしますとか、そういうことに機軸的に力を注いでいくべきものであると、かように考えているわけでございます。ただ難業の適正配置や立地条件等につきましては、建設省は担当いたしておりませんので、経済企画庁、あるいは通産省がすでにこの調査費等の予算計上をいたしまして、三十六年度から活発にやっていただくはずでございます。わが建設省といたしましては、今御審議を願っております建政局等ができましたらば、建政局の中にそれとタイアップをいたしまする担当の機関を作りまして、そうしてこれと連絡をいたし、これが道路局と協調をいたしまして、そういったような所得倍増計画に即した、また地域格差是正等に役立つような道路整備方式をやっていきたい、こう考えている次第でございます。まだしかしそれらの基礎資料が整備されておりませんから、さしあたりは先ほど申し上げましたような、中心になるべき道路をまず整備し、そして枝をさかせる、あるいは関連道路を作る、こういうようなことに運んでいく段取りに相なっておる次第でございます。
  15. 田中一

    ○田中一君 そうすると、こういう理解の仕方をしていいんですか。経済会談では、四大既成工業地帯に、重点的に産業基盤の強化を行なっていくという考え方に立っておるけれども、道路行政、今度の新道路計画としては、政府としてその答申案の中心にそれだけを、それだけというか、それを車点的にやっていくという考え方でない。全体のいわゆる道路網的な考え方ですね、今の考え方、道路網的な考え方なんですよ。あらゆる面に全部枝葉を出して人の交通、物資の交流に対して用いさせようという考え方に立っておるわけなんですよ。そういうものならば、所得倍増計画の一つの片翼をになおうという考え方からは遠過ぎるし——でありますからそういう答申にこだわらずに、国としては従来通りもっておるところの国民生活のための産業基盤の強化のための、あらゆる多目的な道路というものを考えておるんだということでいいんですか。
  16. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 今お話のような次第でございますが、ただ経済審議会等がベルト地帯の諸般の産業基盤の整備ということを強調いたしておりますのは、結局するのに開発しやすいところから開発し、産業を発展して経済力を培養して、その培養した力でそのほかの地域もやるようにという構想だと私は考えておるのであります。そこでこのベルト地帯につきましても、もちろん交通量の関係、産業の発展に伴う所要の部分がございますから、これを整備しつつ、一面国全体の地域格差を是正して参りまするのには、後進地域の開発や、産業の立地条件に応じた分散計画を立てていかなければなりませんので、これと両方にらみ合ってやっていきたいというのが私どもの考え方でございます。
  17. 田中一

    ○田中一君 それには時間と金が少な過ぎますよ。あれもこれもやるんだ、それはいいでしょう。しかし実際においてはできません。ましてや二兆三千億が二兆一千億に減ったわけです。そうしてこれは建設大臣としては、その程度しか自分の所管の中では説明できないかもしれないけれども、ほんとうに所得倍増計画でいったら、私の言っておるのは、早期経済効果を期待するということ、従ってこれは重点的に既成の工業地帯、これに対するところの整備重点的にやるんだ、そうしなければ今建設大臣が言っておるように、それによって経済成長を生み、そうして後進地域にその種の事業を伸ばしていくという考え方にもならないわけなんですよ。だから私は非常に意外に思っておるのは、だれにどう聞いても、そのことをはっきり言わないわけです。それならば何も新道路五カ年計画じゃないですよ。今までの、三十三年にできましたところの道路整備五カ年計画で事足りるんです。ただ金が一兆円から二兆一千億になったに過ぎないですよ。実際に経済成長というものの早期効果というものをあげるならば、重点施策でなければならぬと思うのです。その一つとしては、今言っているように、先ほど道路局長言っているように、小牧から神戸までの道路を作るとか言っています。これもその一つなんです。それは何にもこれは新しい道路整備五カ年計画に盛り込んだものじゃない。三十三年の道路計画にあるわけなんですよ。うたい文句というものは、そういうことをうたっていながら、実費的には変わっていないんだということになる。変わってないんだ、三十三年の卒業の計画とちっとも変わってないんだ、こういうような理解でいいですか。
  18. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 大体私の考え方を率直に申し上げますと、今お話のございましたように、確かに二兆一千億で、何もかも全部やれるのかというと、実際むずかしい問題だと思うのです。そこでそれには行政的な配慮が相当私は加えられなければならない。たとえばベルト地帯にいたしましても、一級四道——東海道は一番早く整備が進みつつあります。まだ未完成の部分がございますが、これらはいずれにいたしましても、他の一級国道に比較して一番早く完成すると思うのです。また完成させなければなりませんが、これはもう残された部分が少なくなっております。これが完成され、あるいは東海道や、高速道路等ができて参りますると、そこにいろいろな工業が興こり、またベルト地帯は海との関連もよろしゅうございますから、が興こってくるといたしますと、それに所要の枝を作り、連絡道路を作るという必要が艇きてきます。しかしこれらは全部国がそれじゃあ背負ってやるべきかどうか、ということに相なると思うのであります。これらにつきましては、それだけ産業が興これば興こっただけ、興こった地方は地方収入がふえてくるわけでございますから、そういう地帯にはできるだけ地方単独を——同じ幅員何メートルと言いましても、後進地域の幅員何メートルと、そういう地域の幅員何メートルとは、おのずから本質が違ってきますから、負担力のあるところにはできるだけ地方単独を多く背負っていただく。それから政府の施策としましては、地域開発や、あるいは後進地域に対する工場の誘致、産業の分散、これらのためにどうしてもなければならないというような道路に対しましては、いわばベルト地帯においては、地方単独のことであっても、そういうものについては国が補助をつけて事業推進するというような配慮によりまして、できるだけ、もちろんベルト地帯の産業基盤の強化ということは、経済審議会の答申の趣旨をわれわれ無視しようとしている考えは毛頭ございませんが、これも必要でございますが、同時にそういうような配慮によりまして、できるだけ後進地域道路整備を充実をするようにして、蔵業の分布状態をよくする努力を道路整備の上におきましてもはかっていきたい、かように実は考えているわけでございます。一応与えられたワクにおいて、国全体を見て最も効率的な道路行政をやってゆきたいということでございます。
  19. 田中一

    ○田中一君 大蔵の宮崎君がいるから、この間例の補助金制度研究懇談会、あすこで公共事業、ことに道路に対するどういうような答申が出ておりましたか。
  20. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 補助金制度研究会の方で、公共事業の問題、いろいろ調査をいたしているわけございますが、御承知のように、あれは大蔵省としまして、いろいろこういった問題に関して、まあ学識経験者から御意見を承るというような機関でございまして、法律的に正式な機関ではございません。それで公共事業の問題は、三十五年度に、まあ非常に最近公共投資の問題、重要視されておりますので、取り上げたわけでございますが、何分にも問題が大きいものですから、まだ委員会といいますか、補助金制度懇談会としての正式の意見をまとめるという段階には実は至っておりません。先日ごらん願ったのは、一部についての中間的な意見でございます。中間答申という形のものでございます。そういうことでございまして、この道路につきましては一応問題として取り上げられておりますけれども、何しろ問題が大きいものですから、委員の方々がごらんになった部分についての意見、主として問題としては交通量とそれから投資とのバランスがとれてない点があるのではないかというような問題、それから一つの意見としまして、経済効果の判定がどうも十分にいってないので、有料道路計算方式などを取り入れていったらどうかというような御意見も出ておったと思います。大体、道路の問題として取り上げられた点はそういったことであると考えております。
  21. 田中一

    ○田中一君 実際にこれだけの、二兆一千億という予算をどう消化するかということは、むろん自民党内閣の国民所得倍増計画というものの一環としての取り上げ方をしているわけなんですよ。で、補助金制度研究懇談会でも、大体において総花式になっている。経済効果が早期に発掘できない。ある、血から見ると何か遊休化している。これはむろん私は行政の立場の方々の罪とは思ってはいないのですよ。これは政治家の罪です、実際を言うと。自分の選挙区に優先的に事業をさせよう、力でもってさせようという形が各所に見受けられる。この指摘されたものはやはり総花的なものになる。遊休化されるような施設もできてくるわけなんですよ。国民所得の分配の問題については、これはまあここでは論議しませんけれども、ただ、経済成長ということに対してはこれはわれわれも賛成です。しかし、これが総花的になったのではほんとうの効果があげられないということです。臣はこの既成四大工業地帯を重点的にやるんだということを極力避けようとする。それをするんだという答弁をあなたがすれば、逆に今度は私の方から、では他の後進地域をどうするのかという質問が出ると困るもんだから、それをうまくごまかしていこという考え方を持っているのではないか。ほんとうに今一度出そうという実施計画というものがどんなものかを伺っておきたいのです。国民全部が求めているのですよ。かっての道路予算、ことに補助金等も非常な無駄使いをされている。将来はいいでしょうけれども、道路というやつは何といっても環状になるか、全部がつながらなければその効果は出ないわけですよ。途中で切れたのではその効果は出ない。橋一本がなくても完全な道路の効能は発揮できないわけですよ。その辺の心がまえを、今度の道路新五カ年計画の中に強い意思を盛り込んでおるかどうかという問題を、これはどうしても聞いておきたかった。これだけはどうしても聞いておきたかったのです。そうじゃないんだということになりますと、これは従来通り、全国的な道路計画重点的に一級国道——一級国道は大体において既成市街地と結んでおる。貨物等の交流の地点は全部結んでおるから、それらを今まで通り計画でもって進むんだということになるわけなんですよ。  で、先ほど、まあ言葉としては大臣が言っているのは、新しい産業基盤というものを後進地域にも持っていくんだと言っている。持っていくんだ、何を持っていって、どこに持っていくのかも計画は立っていない。それは地方でずいぶんあっち、こっちで、こういうものを持ってくる、ああいうものを持ってくると言っておりますけれども、これは計画性のあるものではないのですよ。これはせんだっても総理大臣でしたか、自由経済をとっているわれわれとしては、どの種の品物をどこに持っていくなんということは考えておりません、それは国民おのおの自由におやりになればいいでしょう、やったものに対しては格差をなくすためには、それを育成して参りますというような答弁をしているのですが、私はどうも大臣からいい答弁を聞かれないことは非常に残念ですが、少なくともここで発見したのは、所得倍増計画の中の四大工業地帯、ベルト地帯を重点的にやらないんだということ、従来通り、三十三年の道路計画通り、全国に対して暫遍的にやるのだということだと思うのですがね。どれもこれも全部五カ年ないし十カ年で完成するのだということは言っておられない、そんなものじゃとても時間の面でもそれから資金の面でもできっこないのですから、そうすると、どこかに重点的な施策がなされなければならないのじゃないかと思うのです。  まあ、それ以上答弁求めませんが、私の結論としては、ベルト地帯に対しては重点的にやろうという強い方針が持たれておらないというように理解して、その点はもう質問しません。  そこでもう一つ伺いたいのは、今宮崎君の言っている有料道路方式と同じように、道路法には受益者負担というものがあるのですよ。これは非常に大きな道路計画というもの、整備にしてもあるいは新設にしても改良にしても、一番大きな問題は地価が上がるということなんです。これはそんな悪い政治家ばかりおらないと思うのでありますけれども、道路が通れば、その分の地価が上がるという、単に道路という機能の問題じゃなくて、金銭的な投機的なものが道路計画によって生まれてくるということが非常に欠点になるわけなんです。そうならば、受益者負担制度というものを何らかの形でもって掘り起こして、眠っているものを掘り起こして、そういう制度を作ったらどうか。有料道路の精神もこれは受益者負担です。この点は建設大臣どうですか、受益者負担制度というもの、これは地価の抑制ということもからんで一挙両得だと思うのです。
  22. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実は私ども若いころに、昔、受益者負担法がありまして、今の環状六などができたころだと思いますが、両側六十メートルまで、それを二段階か三段階に切りまして、何メートルまではどれだけ、それから先はどれだけという負担率がありまして、受益者負担の制度があったことを記憶いたしておるのでございます。で、昨年末就任をいたしまして、今御指摘をいただきましたような点に私も思いをいたしまして、聞いてみますると、現在も受益者負担法は廃止になっておらないということでございますが、受益者負担をとっている、その運用はやっていないようでございます。そこで私としましては、目下国会開会中でなかなか余暇ができないのでございますが、部内におきまして受益者負担制度について検討してみようじゃないかということを話しておるような次第でございます。国会等が終わりまして、それらの作業ができる段階になりましたら、真剣に受益者負担の制度についてどうあるべきか、一つ十分研究をしてみたい、かように考えておる次第であります。これは事務当局にも知恵をしぼっていただいて、十分検討いたしたいと思っております。
  23. 田中一

    ○田中一君 宮崎君、今、受益者負担を行なっている事業何かありましたかね。有料道路は別ですよ。
  24. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 公共事業につきまして受益者負担の制度は法律的には大ていの法律に設けてございます。実際問題としてこの制度が運用されて、原則的に受益者負担をとっております事業は林道事業海岸事業、それから道路事業の外部につきましては御承知の都市計画税という形をとっております。それ以外に受益者負担も取っております。それから下水道事業でございます。これも最近建設省の方でもいろいろ指導方針をおきめになりまして、受益者負担の拡充がはかられている。そういったものが主体でございます。
  25. 田中一

    ○田中一君 今大臣の答弁があったので、満足というか一つの方向をお示しになったのでけっこうです。いってこの用地問題もからんで、どうしても私は、自分も政治家でありながら政治家を非難しちゃいかんかも知れないけれども、政治家がいかんです、実際に。むろんこれは地方の選挙民から選出された議員でしょうから、その地元の利益を守るのは当然かも知れないけれども、公共事業というものはそういうものじゃないと思うのです。これは一つその点は真剣に取り組んで下さい。現にまあ都市計画税とか海岸は何ですね……海岸というのは荷揚場を言ってるのでしょう、海岸というのは。
  26. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 海岸事業でやっておりますのは、港湾の護岸とかあるいは漁港の護岸、それから堤防もございます。堤防についても受益者負担を取ってる例が相当多いようでございます。
  27. 田中一

    ○田中一君 これは一つ真剣に取り組んで下さい。時間がありませんから、道路はまたあとでやります。  それから計画局長に今度の収用法の特別立法内容を一つ説明しておいていただきたいのですが、大体の考え方を。
  28. 關盛吉雄

    政府委員(關盛吉雄君) 今の御質問でございますが、ただいま成案を急いでおる段階でございまして、まだ固まっておるわけではございませんが、根本の考え方といたしましては、用地制度調査会の答申の線に従いまして立案を急いでおるということがまず第一点でございます。それから、従ってその内容的には特定の公共事業の種類を限定いたしまして、そのような事業に対しましては、特に一般の土地収用の事業認定と違って、特別の審議会の議を経て事業を特定事業としての認定をする。そして住民関係者に対してPRを企業者に義務づけ、また現在の収用法の各種段階が途中でストップすることのないようにする特例を定めること、その他現在の収用法の中に盛られております補償のワクについては、ある程度現物補償的なものをさらにプラスをしていく立て方を検討したい。さらに緊要な事業につきましては収用委員会の裁決の際に、本裁決以前に緊急裁決もできるようにいたしまして、その場合には収用委員会が見積補償額、あるいは必要とする担保等を提供せしめることを企業者に裁決をする。こういうふうな事柄がその要点として今検討しておるような状態でございます。
  29. 田中一

    ○田中一君 公共事業推進のためにはやはり用地問題が一番重要な問題になっている。先だって大蔵大臣にこういう質問をしておいたんです。予算上の何らかの方法をとりたい、収用される者に安心させるような道がないだろうか、言明しておりました。今度の債務負担行為を拡大するということ。それから継続的な予算を用地に関しては新設することもいいだろうというような答弁をしておりましたが、私はそういう国が行政上可能なる施策を施した上に、今度の公共用地の取得問題というものは納得する形の十分なPR期間を置いてやってほしいと思うのです。というのは、私が今答申案を拝見してみると、大体いろんな意味のトラブル等手続期間を短縮する、これはいいでしょう。今日の段階において、これは現行の収用法というものを十分に使って、そしてなおいけないから短縮するのだといろ結論ならば大賛成ですけれども、今までどうにもならぬところに使って、現在下篁ダムのようにまだ解決しないものもあるわけです。これは政府自身が自分できめた法律、行政府が自分できめた法律に反しているような形になっている。で法を十分に使いこなせないで、そしてこれでやると、四年かかる、五年かかるから、だから短縮するのだ、という可能性に立つのですと私は納得できないものがあると思うのです。今まで完全に法を使わなかった。国民の前にほんとうにこの法のよさというものを、国民の権利を守るのだというこの法律の姿を見せなかった。それを十分反省して、その主にこうした意味の単独立法をしようとするならば、ある程度の理解は持つわけなんです。しかし該当する物件というものはどんなものかということになると、いろんな問題はあります。少なくとも現在争い中のものは除外するぐらいの寛容さがほしいのです。現在法律的な手続で争ってるような問題は、これを法律によってすぐに収用できるのだというような考え方を持つと、一種の国民に対する挑戦です。この点は建設大臣どういう考えを持っていますか。事務当局で今相当な案を練っていると言いますが、これは立教の宮澤さんも言ってます。その点はずいぶん心配しているようです。大臣はどういう考えを持っていますか。先だっての答申案というものの織り込んである内容についてどの辺までのものをどうしようという考え方を持っておるか、ちょっと伺っておきたいのですが。
  30. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 目下検討をしておる段階でございますが、ただいま計画局長が申し上げましたのが大体要点でございます。なおそのほかに私ども考えておりますことは、非常に公共性、緊急性が高いということで、審議会で取り上げて決定をいたしました事業を急いで施行しようということでございますから、その買収地に居住しておる人とか営業しております人とかいう人たちに対して、今までの収用法でございますと、金によって補償する、損害を補償するというだけでございますが、さらに一歩を進めて、もっと親切に、行先を、たとえば現物補償にするということも先ほどのお話の通り一つでございますが、あわせて居住を作るように骨折って、行先に困らないような配慮をするとか、ちょうどダム建設等にはかわるべき用地等を作り、あるいは入植する家屋を作り、引き続いて農民は農業ができるようになるとかいうような一歩進んだ措置が行なわれておりまするように、今度の事業につきましても、そういう配慮を一つ何とか合理的に、入れられる限りにおいて織り込むような工夫をしてみようではないか、というようなことを考えておりまする次第でございます。緊急性、公共性が高いからといって、該当する人たちをただ金銭補償だけでどこまでも移転を強要するというようなことは、考え方としてはあまり好ましくないので、もっと進んだ親切な措置も考慮をいたしたいということで検討をいたしておるような次第でございます。
  31. 田中一

    ○田中一君 大臣、あなた誤解していますよ。原則はこれは金銭補償です。収用委員会の決定によれば現物補償も可能なんです。現物補償も換地補償もできるのです。これは収用委員会のみに与えられた権限なんです。原則としては金銭補償なんです。あなた法律をよく読んでいらっしゃらないのですよ。またそういうふうなことを局長あたりから耳に入れられないのですよ。はっきり書いてあります。収用委員会の決定によれば現物補償も、換地補償も金銭以外の補償の方式というものは選ばれるわけです。現行法でもそれはあるわけなんです。今大臣がおっしゃっているように、今度の制度でもって金銭補償の原則を現物補償の形にしようという考え方を持っている。現行法でもできるはずです。それはどうですか、關盛さん。
  32. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 今現物の問題も申し上げましたが、これももちろんでございますが、何といいますか、いわゆる生活再建対策、主として緊急性の高いような事業市街地でありますとか、代替物を渡したくもなかなか渡すものがない。あるいは金で補償もらっても同一の環境に居住を求めることが至難である、というような場所が多いと観察をされますので、そこでそういう生活再建対策と申しますか、かわるべき住居を作ってやる、あるいは住宅公団と連繋してどうするとかというようなことまで、一つ織り込めたら織り込みたいという、私の言い方が悪かったかもしれませんが、考え方としましては、簡単に申し上げますと、生活再建対策のようなことも織り込んで参りたい、かように考えておるわけであります。
  33. 田中一

    ○田中一君 免活再建対策というものも収用委員会の権限にあるのです。これは一つの補償です。言葉は生活再建ということを言うけれどもそれは補償なんです。これも収用委員会で勧告できます。私は実に不思議に思うのは、どうして明治憲法以来の行政官はこういういい法律を使わないかというのです。今大臣が言っていることもこの収用委員会でできます。あなた方が今考えているのは、現在の各都道府県の収用委員に対する不信を現わしているにすぎないのです。現在のあの連中じゃどうにもならぬということを言っているにすぎないのです。そういう点、道路局長自分の方で直接やっていない、地建でやっていますから、地建局長とか現業の人たちがもっとこの法律を理解して、そうして大蔵大臣も場合によれば三年、四年、五年前の用地の問題も予算化しようという意図がある以上、また債務負担行為でもってみようとする意図がある以上、私はもう少しあなた方の計画性というものをはっきりさせることが一番大事です、事業としては。これは金をきめようとすると、なかなか大蔵省は承知しません。事業の決定というものは、今度の法律改正でもってなされる。もう河川にしても、ダムにしても、何にしたって、調査は終わった、終わってから何年間でやるんですから、その場合には三年、四年、五年ののちの仕事の用地を買っておくという制度ができる、これは大蔵大臣はできると言っている。そういう方向にしようと言っていました。またそういう考え方を現段階では債務負担行為でもって芽を出してやるということも言っております。そうするならば何も事新らしく、現行法があるにもかかわらず、どうして単独立法をもって国民に挑戦しようというような考え方をお出しになるのかということです。公共事業すべてここに引っかかる。これはしかし、今この段階になってからどうにもならぬということならばそれは一応理解します。それならば事業の対象物というものを縮めることです。まず非常に縮めることです。そうして非常に強い理解を国民が持ってきたならば喜んで提供するという形になる、その場合にそれを広げていく、対象を広げていく。あなた方の頭に考えていることは、痛切に対決しているところのたとえば下筌ダムとか、この首都高速道路公団が行なうとするところの八路線の問題とか、抵抗の強いところにこれを当てはめて実施しようという考え方があることは明らかなんですよ。国民に挑戦しちゃいけません。行政上相当まだ打つ手があるにかかわらず、単独立法で押し切ろうという考え方、これはいかぬと思うんです。そうして、建設大臣も、十分政府として反省して、公共事業を行なおうとするところの各機関が反省して、この際は一つこうだという、ほんとうに低い姿勢で自分の非を悟り、民主的な措置としてこれを行なうのだというような形にもっていくならば、これはある面においては納得するものもあるでしょう。その辺の態度はどうなんですか。それが終わらなければこの治山治水の五カ年計画も、それから道路整備五カ年計画も、下水道の問題にしてもなかなかそう簡単にいくものじゃないと思うんですよ。ことに住宅宅地の面にしたって、そう楽にといくものじゃない。その点の心がまえはどうですか。
  34. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) お説のように、現在の土地収用法は手続きその他万端にわたりまして、私ども読んでみてよくできていると思うんですが、ただ現実の問題としては非常に期間を要しますることと、いろいろな事情から十分に活用されていないといううらみは確かにあると思う。しかしながら、どうこれを考えてみましても、企業者は国だけではありませんし関係するところは非常に多いのでございますので、とにかくたれが考えても非常に緊要度の高い、緊急性を要するというようなものについてのごくしぼった事業について、特別措置を行なえるような制度がほしいという角度に立って考えております次第で、たとえば先ほどお話の出ました生活再建にいたしましても、収用法でもなるほどできるのかもしれませんが、もっとできれば今度の特別措置におきましても、具体的にこういうようにしてあげるのだというようにして、こまかく法文化ができる限り一つやってみたい。そうして、なるほどそういうようにしてくれるならやむを得ぬ、という被収用者に該当する人たちが理解のできるような道も講じたい、あるいはまた従来この土地収用法を適用いたしまするような場合には、事実PRが不足なようでございまして、関係住民なり利害関係者に十分の理解をさせる、これは法律にあろうがなかろうがすべきであると思うのでありますが、だんだんやっていきましてそうしていよいよ残った、引っかかったところだけにあとから適用するといことになりますから、今の土地収用法が手続関係その他において相当期間を要するものであるがゆえに、さらにおそく手続が開始されること等も関連がございますが、まあ新しい特別措置を考えるにあたりましては、できるだけこういうPRの必要性等につきましても、できれば立法化を講じまして、企業者がまずこの企業はこういう状況のものである、こういう緊要度の高いものであるということをPRをするようなことも、義務づけることができれば義務づけるようにいたしたい、というようないろいろな点を実は考えまして、一般世論といたしましても、非常に必要なところがなかなか用地取得ができませんので、行き悩んでおる現状にかんがみまして、なんとか措置すべきではないかという世論も相当高い現状にかんがみまして、私どもとしては決して国民に挑戦するというような意思ではなくして、むしろ国民の強い要望にこたえる道を講じて、そうして公共事業の緊要度の高いものが、できるだけなめらかに遂行のできるような配慮をいたしたい、こう考えておるような次第でございます。
  35. 武藤常介

    主査武藤常介君) 午前中はこの程度にいたしまして、午後一時半から再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時四十一分休憩    ————・————    午後一時四十八分開会
  36. 武藤常介

    主査武藤常介君) 休憩前に引き続き分科会を再開いたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  37. 森八三一

    ○森八三一君 質問者が非常に多いということで、実は建設の関係につきましてはしろうとでありますので、あまりお尋をするということを考えておりませんでしたが、ただいま主査から指名がございましたので、二、三お伺いいたしたいと思います。  その第一は、御説明をいただきました大臣の御説明の中に、海岸の侵食対策事業として、相当の七十三海岸地域を指定してこれが対策をお進めになる、きわめて大切なことでありまして、一面には国土の増大をはかりまするための干拓等が進められておる、他面侵食等によりまして国土が荒廃をしていくというような関係を見まするときに、何としても既存の国土を保全していくということはきわめて大切な問題でありますので、このことを強く御振興いただきたいという期待を持つのでありますが、そこで新年度には二十二海岸予定して七十三海岸実施をするというのでありますが、ただいまこういうような対策を講じなければなりません地点が、全国的な御調査のもとにおきまして、どういうような配置状態になっておるのか。そういうような現実の上に立って、新しく二十二を取り入れて、三十六年度には七十三地区をやるということになっておりますのか。残される部分は一体どうなって、それは今後どうしていくというような御計画がありますのか、その点をまず最初にお伺いいたしたいと思います。
  38. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいま海岸事業についてのお尋ねでございますが、海岸事業につきましては、御承知のように海洋法が数年前に制定をされまして、海岸事業についての実施は、これが本格的な事業の施行については比較的新しい段階でございます。海岸事業につきましては申し上げるまでもなく建設省関係のほか農林省、運輸省等の関係の省がございまして、建設省といたしましては、これら関係省とともに密接な連関をとりながら事業の進行を進めておるわけでございます。海津事業を進めます場合には、これらの関係省とともに調査研究の結果に基づきまして、それぞれの地域につきまして、それらの国土保全の面から緊要と思われます点を逐次実施をいたしておるわけでございますが、まだ海岸事業につきましては未調査の分も相当残されておるわけでございます。治水事業と異なりましてまだ長期計画も策定されてない段階でございますが、今後建設省といたしましては関係省とともに、未調査地域等につきましても調査を十分にいたし、さらに長期計画を策定するというような努力を払いまして、今後実施を進めて参りたいと考えておるわけでございます。
  39. 森八三一

    ○森八三一君 私のお伺いいたしましたのは、まだ完全な調査が完了いたしておらないといたしましても、新たに二十二地区建設省所管の分で追加をして、合計七十三海洋地区について、三十六年度には海岸侵食の問題にとり組んでいこう、という御説明を先刻大臣から承ったわけなんです。そこで現在までの全きものでないといたしましても、調査の結果は建設省の関係において何地区存在しておって、そのうち急を要するものとして二十二地区を取り上げたが、残りが一体どうなっておるのかというあらましをまずお伺いをいたしたい。こういうことを申し上げたのです。
  40. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいまのお尋ねの点でございますが、三十六年度に取り上げました施行個所につきましては、都道府県等から提出されました資料その他の資料によりまして、予算の編成をいたしたわけでございますが、ただいま残っておるという点はどうかというは、手元に資料がございませんので、さっそく取り調べまして御報告申し上げたいと思います。
  41. 森八三一

    ○森八三一君 今お手元に資料がなければあとで示していただきたいのですが、ただ県だとか——午前中にも田中委員からの御発言の中にあったように、何か政治的に非常に強い発言のあったところが優先をする。県の財政が多少でも豊かなやつは先へいくというのであってはならぬわけです。ですから完璧なものでないといたし談しても、二十二というものを取り上げたということについては、一応の基礎調査というものがあって、これが急を要する、国土保全上ここはのっぴきならぬ、というような一応の目安があっておやりになっておると私は了解しておる。ただ思いつきでやいやい言ってくるところは先にやっているが、だまっているところは国土保全上当然行わなければならぬところであっても、放置しているところがあってはならないと思うのですが、そういう意味で御調査の結果はどういうような状態になっておって、新た取り上げる二十二というのは、そういうような高度の政治的な感覚からみても、どうしてもこの際急速に侵食対策をやらなければならぬという必要を認めておやりになるということでありましょうから、そういう点について今は資料がなければ、詳細な資料をあとでよろしゅうございますからお出しいただきたいと思います。そういう計画なんでしょう。思いつきでおやりになっているのじゃないでしょう。
  42. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいま海岸事業については、いろいろの政治的な配慮その他によって、実施をしているのじゃないかという御指摘でございますが、私どもは海洋事業につきましては、侵食の著しい海洋の実態その他防災上、いろいろの角度から検討いたしました点について、特に関係都道府県の意見等を十分に考慮いたしまして、地区の決定等をいたしているわけでございます。従いまして、これらの点について特に要望があるという県は、もちろんでございますけれども、私は先ほど申し上げましたような観点に基きまして、事業実施いたしているわけでございまして、なお資料の点につきましては、できるだけすみやかに出すようにいたしたいと考えております。
  43. 森八三一

    ○森八三一君 あとから提出を願います資料は、建設省関係海岸侵食について調査の結果対策を必要とする地区がどういうようになっているか、そのうちすでに継続事業として行われている既設の五十一地区はどういう地区であり、新たに加える二十二地区はどういう地区であるということが明確に承知ができますような資料、それから今後できますならば、予算がまだきまっているわけではありませんから、確定のものではないといたしましても、建設省としては、残った地区はどういうような計画で進めたいということは、事務当局の案でもよろしいのですが、そういう御計画がありますれば、その御計画も付加していただければ非常にしあわせだと思います。そういうような資料をお出し願いたいということをお願いいたしておきます。
  44. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいま御指摘の線に沿いまして資料を作成いたしまして、すみやかに提出いたしたいと考えております。
  45. 森八三一

    ○森八三一君 それから、その次にお尋ねいたしたいことは、昨年——一昨年ですか、伊勢湾台風の特別委員会のときにもいろいろ論議いたしまして、被災されました農漁民諸君の住宅をすみやかに復興してやらなければならぬ。そこで住宅金融公庫からの融資の問題が、なるべく被災者にすみやかに渡るように考えてやらなければならぬということで、住宅金融公庫資金の取扱いにつきましては、それぞれ公庫の取扱い上、特定の金融機関というものが指定をせられまして、取り行なわれてきておったわけであります。そこで、農山漁村の実態によく精通をいたしております漁業の関係の信用組合連合会だとか、農業関係の信用組合連合会などを住宅金融公庫の業務の取扱機関に指定いたしますることが、災害対策をすみやかに進めていくのには非常に裨益するであろうというので、当時建設大臣の格別のお取り計らいで、東海三県の被災地についてはそういうような措置が講ぜられまして非常に成果をあげている、このことは大臣のお取り計らいで非常にけっこうな結果が生れてきておったと私は承知をいたしております。そこで、今後住宅の問題について、先刻の御説明によりますと、四百八十五億の昭和三十六年度の資金を準備いたしまして、相当の建築を進めていこう、こういうわけでありまするが、この場合といえども、おそらく私は住宅建築に要する全資金というものが、所要資金の全量が公庫から融資されるのではなくて、一部をやはり自己資金でまかなうということになると思う。その場合に低所得で難儀をいたしております農漁民といたしますると、公庫の建前上利用する資金の七割とか八割をお貸し願いましても、残りの二割とか三割とかの調達ができないということになると、そこに問題が起きる。そういう場合に、今申し上げましたような、または伊勢湾台風のときに特別措置をせられまして非常に成果を上げましたように、関係の組合金融を使うことによって、その不足分というものを、政府資金じゃなくて、まあ相互扶助の関係に立つ協同組合等の資金を充足することによって、恵まれない農山漁村等における住宅建設というものが非常に円滑に進んでいくということがあり得ると思うのです。でございまするので、住宅金融公庫資金の取り扱いにつきまして、特定な金融機関だけということに制限をしないで、伊勢湾台風の実績に徴しましても、取り扱い機関というものを拡大していくということが、住宅の不足をしておる実態に適合する施策であるというように私は考える。このことについては非常に困難ないろいろな関係がありましたが、踏み切っていただきまして、一応、伊勢湾台風の跡始末の場合にやったことが、今私もここに数字は持っておりませんが、そういうことを主張し、やっていただきました結果として、非常にその成果が上がったという数字的な事例も実は聞いておるのです。ですから、そういう取り扱いを今後にもすべきだろうと思うのですが、そういうことについて、一体方針上踏み切っていただけるかどうかという問題なんです。
  46. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実は、私ども在野当時から、今森委員の御指摘のようなことを考えておったわけでございます。しかし、これを取り扱う財源をきめますのには、大蔵省の銀行局と調整をいたしますので、銀行局としては、できるだけ、取り扱いの安全という角度から、相当にいろいろな御意見がありますわけで、非常に御指摘の点はごもっともと思いますので、今後も一つ大蔵当局とも協議をいたしまして、できるだけ一つ御趣意に沿うように努力して参りたいと思います。
  47. 森八三一

    ○森八三一君 農林大臣御出席で、田中委員の御質問があるそうでありますから、私中断いたしますが、今の建設大臣の御答弁で一応私了承いたしますが、伊勢湾台風のあとにも同様の御意見があったのです。が、一つ試みに東海三県だけについてはそういう施策をしようということで、農林当局の方からもそういうような要請があったはずなんです。そこで、踏み切っていただいた結果が、非常に期待通りの成果を上げた、そういうような実績もあることでありますし、私どもはその後、住宅金融公庫の事務当局に会っていろいろ伺いますると、当然これはそういうふうに道を開くべきだということで、事務当局は非常にこのことを期待しておる。むしろ建設省と、今お話のように、大蔵省との関係のお話がつかないということだけなんですから、これはあまり金融上のなわ張り争いをやっておっちゃいけませんので、ほんとうに農山漁民の歓迎するような方向に持っていくということを、その実績も出たわけですから、ぜひ三十六年度から広くそういうようなことが行なわれまするように、もしその場合に信用のおけないようなものがあるといたしますればこれはいかぬことですから、府県をある程度特定されてもいいのです。ある程度の条件に満つる信用連合会等は代理機関に指定する、ということで考慮していただいてもこれはやむを得ぬと思いますが、今のように門戸を閉ざしておるということは、農山漁村の住宅建築ということがうまくいかないということになると思いますので、御答弁で十分了承いたしましたが、これは十分実現するようにぜひとも踏み切っていただきたいということをお願いしておきます。
  48. 武藤常介

    主査武藤常介君) それじゃ前々日の農林大臣に対する質問の残りがありましたので、田中君。
  49. 田中一

    ○田中一君 農林大臣だいぶお忙しいようですが、両大臣そろっていただかないと質問ができないものですからおいで願ったわけですが、昭和三年十月一日に当時の内務省と農林省の間に取りかわした砂防工事の協定がございます。「砂防工事ト荒廃地復旧及開墾地復旧二関スル事務二関スル件」、この昭和三年の通牒が不十分であるというので、昭和四年十二月に両次官の依命通牒として各地方長官あてに出ているものがございます。これはお手元に、建設大臣の方にもあると思いまするが、内容を大体読んでみますとこうなっております。   標記ノ件二付別紙寫ノ通り閣議決定相成候条當省ト農林省ト夫々協議中二付決定次第何分ノ通牒可致右ニ御承知相成度    (別紙)  荒廃地復舊及開墾地復舊ニ關スル事務(農林省所管)ト砂防事業(内務省所管)トノ間ニ存スル權限整備ハ左ノ趣旨ニ依ルコト  イ、原則トシテ渓流工事及山腹ノ傾斜急峻ニシテ造林ノ見込ナキ場合ニ於ケル工事ハ内務省ノ所管トス  ロ、森林造成ヲ主トスル工事ハ農林省ノ主管トシ尚渓流工事ト雖モ右工事ト同時ニ施行スル必要アル場合ニ於テハ農林省ノ主管トス  ハ、右詳細ハ實施ニ先立チ實地ニ付兩省ニ於テ具體的ニ協定スルモノトス これは昭和三年の協定です。昭和四年の分は、   標記事務ノ權限整備ニ關スル閣議  決定事項(ハ)ニ基キ兩省ニ於テ協議ノ結果別紙ノ通り取扱フコトニ決定候ニ付将来ノ事業計画上ハ勿論工事実施ニ付テモ右決定ノ趣旨ニ依リ関係部課ニ於テ充分ニ協議ヲ途ケシメ施工後ノ効果ヲ擧クルニ遺憾ナキヲ期セラレ度    (別紙)  一閣議決定事項(イ)ノ場合ニ於ケル取扱造林ノ見込アル場合ト雖モ渓流工事ノ維持上必要トスル近接ノ箇所ニシテ面積狭少ノモノハ渓流工事ト併セ内務省ニ於テ施行スルコト  二同(ロ)ノ場合ニ於ケル取扱山腹工事ノ保護又ハ維持上必要トスル箇所ニ於ケル渓流工事ハ農林省ニ於テ施行スルコト  三渓流工事ノ維持上施行スル山腹工事ニシテ面積大ナル場合及山腹工事ノ維持上施行スル堰堤多数ニ及フトキハ各主管ノ部課ニ於テ工事ノ連絡ヲ採ル爲協議スルコト こうなっておるのです。ところが現状は、このような協定が無視されて、おのおの連絡もなしにやっているという事実を私は知っております。  そこで第一に伺いたいのは、一番国土保全上重要な砂防工事というものが、両者に分かれて力争いをしておる。現在では力争いはこの協定によって解消しておりますけれども、現地の部分的にはこれはおれがするものだ、しないものだというような争いが絶えません。そこで、これ建設省かあるいは農林省か、一つにしてしまうような考え方はありませんか。これ両大臣に伺うのです。砂防事業というものを一元化することです。——顔を見合わして笑わぬで下さい。率直に伺いたいのです、その立場々々から。
  50. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) ごもっともな御意見でありますが、これはこの前の昭和三年の覚書というか、協定にいたしましても、その翌年の覚書にいたしましても、なかなかむずかしい問題だと思うのです。一本にしたらという、そこにはまた困難が伴うと。一応昭和三年の話し合いというものは、渓流の砂防については内務省なり、建設省がやられる。それから山腹の保護、維持というものについては農林省がやるという、これはなかなかはっきりわかったようで、しかも実際上なかなかよくわかりにくい問題が起こっている、具体的には。それで、それがどういうふうに分かれたかと思うに、やっぱり山腹の方の崩壊場所には、これに関連しましてこれを崩壊をとめる土どめをやる、あるいはハゲシバリを植えてきているということになりますと、やはり造林というものにまで進んでいくものだから、まあ山腹砂防についてはそういうようにやっていこうということが一応きまったが、しかし翌年の四月の覚書のように、その崩壊の場所がもう造林も困難だと、見込みのつかぬようなところはむしろ建設省と内務省の関係で一緒にやった方がいいということで、そういうまた覚書が出ておる。そういうことを見ますと、やっぱり現実事実に即して両省間における話し合い連絡がよくとれれば、私は問題はおのずから解決するのじゃないかと思うのです。御指摘のようになかなか連絡がとれずに所管争いで現地でつまらぬむだな工事をやっておるという場所は、あるいはあろうかと思いますが、大体今日におきましては各府県におきまして土木課と治山課というものが密接な連絡をとって、大体工事事項を分担しております、あいまいなところでは。しこうしてそれが話し合いがつかぬときには中央で話をつけて工事をやらせておるような格好になっておりますから、私は多くの場合、非常に国土保全上ばらばらなことをやっているという事例は比較的少なくなっているんじゃなかろうかと思うのでありますが、これは田中さん、いろいろ現実をごらんになってそういう個所があるとすれば、その実情について私どもは両省でその問題を改めさせるように処置をしていったらいいんじゃないか、こういうふうに考えております。
  51. 田中一

    ○田中一君 そうすると現状維持だとおっしゃるのですね。現状のままでよろしいとおっしゃるわけですね。——建設大臣に。
  52. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ものは一元的に行なえればこれは一番すっきりするわけでありますが、現実は山があって水があり渓流があるという関係で、山の保全あるいは造林という関係と、それから水の方の問題処理等もありますから、実際問題としてはやはり現状で不十分な点や遺憾な点が確かに御指摘のようにあると私も思うのですが、まあ昭和三年及び四年の取りかわした事項だけで不十分である現実からみますると、もっと一つこれを両省で協調していけるようにわれわれ努力をいたしまして、やはりこの山腹の関係、渓流の関係、土砂の排出の関係等現実を見まして、現実に即するように両省が一つ協調してやれるように行政的な配慮をする。まあそれの努力にいく以外には方法がないのじゃないかと、こう思うのですが、不十分な点につきましては何とか是正をして参りまするように私も努力いたしたいと思います。
  53. 田中一

    ○田中一君 この三十六年度の予算の上に、砂防事業費として大蔵省は今度はだいぶきびしく、どの川のどの場所というようなことまでも確認して予算づけをしたというようなことを聞いております。そこで、そうなると、実際をいうと金の面は大蔵省がものを言ってもいいんですけれども、個所の面を、両省の所管を総合的に——私は常日ごろ言っているように、砂防というものはどこまでも災害復旧砂防であってはならないというのです。山腹はなるほど予防的な意味と、崩壊をしたときの原形復旧的な施策もございますけれども、建設省の砂防というものはこれはことごとく予防砂防という前提をとっておるわけなんです。  そこで宮崎主計官、あなたは今度、今言ったようにきびしく何というか判定をして、予算づけをしたそうですが、両省の主張というものをどのくらいまで理解し、また現地に行って、なるほど予防的な意味においてこの山腹に覚書にあるような、協定書にあるような意味の、これは農林省がすべきだ、これは建設省がすべきだというような判定を下して予算づけをしたのかどうか、これを一つ伺っておきます。
  54. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) ただいま御指摘の問題は、私どもも公共事業予算を実際に編成いたしますに際しまして、非常にむずかしい問題としていろいろな検討をいたしておる点でございますが、幸いにいたしまして三十五年に治山治水緊急措置法ができまして、治山治水十カ年計画ができたわけであります。この中におきまして砂防と治山の問題につきましては、特に御指摘のような点も従来ありましたので、両省において個所別に全部内容を突き合わせていただくということをやっていただいております。従いましてそれに基づいて三十六年度の予算の要求がございましたもんですから、原則といたしましてすべて各省の御意見を尊重してやっていく、こういう考え方で予算を計上いたしております。ただ問題といたしましては、総体のワクにつきまして、若干御要求の線と私どもが最後にきめましたこととはちょっと違っておりますが、そういう点で議論があった点はあるかと思いまするが、個々の水系なり個々の個所についての議論において、大蔵省が独自の考えを非常に強く出すというようなことは私いたしておらないと思っております。もちろんこの予算の査定をいたしますにあたりましては、内容について十分な御説明を伺うことはいたさなければなりませんが、それは詳細に伺ってはおりまするが、特に独自の考えでやるというようなことはできるだけしないようにしております。
  55. 田中一

    ○田中一君 私は建設省と農林省が完全に各水系ごとの突き合わせをしてないと見ているんです。従って河川局長おりませんから次長一つ、どういう経緯で今回の治山治水五カ年計画というものは策定されたか、そうしてかりに究極の目的というものが同じであっても、施行の時間的なずれによってその効果は全然認められないような、半減するようなことが往々あるわけなんです。従ってその総合的に農林砂防それから建設砂防というものが効果をあげるためには、三十六年度の予算面において計画は——今、宮崎主計官が言ったのは計画を検討したと言っておる。治山治水五カ年計画を検討した。しかし予算上の年度別の施行個所についてはどういう検討をしてきておりますか。これは両省の事務当局に伺います。
  56. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいまの御質疑の点は三十六年度予算編成に際して、砂防の個所づけその他はどういうふうにして行なったかという御質問かと思いますが、先ほど宮崎主計官から話がございましたように、治山治水十カ年計画砂防事業のワクをきめる際には、今後十カ年における砂防事業というものを、それぞれの地区の積み立てに基づいて、建設省といたしましては十カ年計画の基礎を作ったわけでございます。その際にはただいま御指摘がありましたような、農林省との関係の治山事業とも非常に密接な関係がございますので、十カ年計画の策定の際には、先ほどお読みになりました昭和三年の閣議決定事項、またこれに基づく通達等の線に沿ってそれぞれの地区について十分討議をいたしまして、その十カ年計画の策定がなされておると私どもは確信をいたしておるわけでございます。三十六年度の予算編成に際しましては、十カ年計画の線に沿いましてそれぞれ年度別の予算を策定いたすわけでございまして、そういうような基本的な考え方に基づいて年度別の予算の編成、要求及び決定等をいたしておるわけでございます。
  57. 山崎斉

    政府委員(山崎斉君) 先ほど建設省の方から御説明のありました通りでありまして、十カ年計画の段階におきましても、領域別に両者の計画をそれぞれ持ち寄りましたものについて協議をいたしまして、決定をいたしたのであります。三十六年度の予算並びにその実行につきましても、やはり県の林務関係あるいは土木関係等におきまして、その十カ年計画に従い、しかもその年度の計画がまた両者調整されますように、具体的に両者で打ち合わせるということをやるわけでありまして、両者の調整という点には十分努力を払っておるつもりであります。なお今後ともその点には一そうの努力を払っていかなければならないというふうに考えておる次第であります。
  58. 田中一

    ○田中一君 中央ではそういう折衝があったというが、現場ではそうなっていない。私は夏になると必ず山登りをする。そして現場を一つ一つ歩いて実態を見てくる。当然林野庁の場合、農林省の場合は山腹が崩壊している。しかし、この山腹のどうにもならないという場合にはやはり予算を持っている。しかしその場合にはこれは完全なるこの協定によるところの渓流砂防であるから、それは建設省の方にその予算を回して渓流砂防をしてもらうということはしておらない。相当大きなものでも、これはやはり自分の方にきている予算でありましても、山腹砂防というものは全然山腹工事をうっちゃってしまってやっておるのを私は見ているわけです。それから、各県庁におきましても、両者間の課の連絡は全然とれておりません。私ども歩いて、向こうでみんなを呼んでどうなったかと聞いてみると、同じように連絡なしにやっておる。予算をもらってしまう、あるいは補助金をもらってしまえば、何も関係はないというようなことなんです。従って中央でこまかい年度別の、地方がどうであろうとも、年度別の施行個所というものをきめなければならないと思うのです。一番困ることは、土木屋さんとそうでないものとの、農林技師ですか、なんというような違いがありまして、ことに学校なんかの関係があって、なかなか中央でこういう協定をしても、現地においてはその申合わせがなかなか守られてないことです。問題は、この協定によるところの卒業区分というものよりも、予算づけられたものの権限ということになってくる。金の権限なんです。で、もう実際に実態をお調べになって、そういう権限争い——公共事業、特に国土保全に関する事業を行なうのに権限争いなんということをやめて、一つにしてしまえということが当然起こってくるわけなんですね、日本の、わが国の国土保全を考えた場合には。ことに違い方の例を一つ申し上げますと、これは現地においては、そういう話し合いがなかなか進まないということが一つ。中央においても、それぞれの個所々々について年度別の個所を話し合ってきめるということは、私はないと思うのです。そのくらいしてくれればいいのですが、非常に違うことは、荒廃地の復旧事業に対しては農林省の関係の事業には、三十四年度から起債を認めているのです、農林砂防には。ところが建設砂防の方の緊急砂防にだけには起債を認めていますが、ほかの砂防には起債を認めておらないわけです。こういう地方負担の面から見ても——負担というか、資金の面から見ても、そういう違い方があるわけなんです。昨年の伊勢湾台風でしたか、どうしてもこれは農林砂防と同じような形で起債措置をとらないと熱意が沸かない。長野県の知事などは、昨年の十五号台風の後に向こうに行ってみますと、どうも自分のところは砂防をやったところが、利益を受けるのは他県の人で、長野県民じゃございません。何とか方法をとってくれなければ、目の前に見てわかるけれども、その金で砂防事業を熱心にやることはできない、ということを言っておりました。従ってそういう地方起債の面でも、たとえば同じような扱いをしてもらわなければならぬと思うのですが、その点は実情はどうなっておりますか。
  59. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 御指摘のような点が確かにございます。この起債の問題は御承知のように自治省と大蔵省と私どもの理財局の関係でございますが、荒廃地復旧事業につきましては、従来災害復旧事業等に準ずるという形で、それが認められておった関係がございまして、荒廃地復旧事業というものに起債を認めて、そしてその起債の元利償還金についても、地方財政上の措置をするというような規定が自治省の政令できまっております。ただこの問題につきましては、御指摘のように治山と砂防の事業の性格から見て、そういった仕分けをするということが、どうも現実に合わないのじゃないかということを私どもは感じておる。実は昨年の七号台風にあたりましてこの問題について特に自治省といろいろ御相談をいたしたわけでございますが、確かに従来の、取り扱いも問題があるので、昨年の七号台風それ以後の伊勢湾台風などによります砂防につきましては、特殊緊急砂防という形で過年度のみならず後年度にわたる計画につきましても起債を認めていく。そうしてまたそれについての元利償還に対する地方財政の措置もとるということをやりまして、一歩前進をいたしております。今後の問題としては、やはり御指摘のような面もございますから、砂防については考え方を変えたらどうか、こういう意見を自治省の方には提示しておりますが、まだ現在のところそれに対してどうするという結論が出るところまでいっておりません。これは一つ今後とも私どもとしては努力をして参りたい、こういうふうに考えております。
  60. 田中一

    ○田中一君 これについて両大臣どう考えておりますか。農林大臣は急ぎのようですから伺いますが、あなたの方にはそうした措置がとられておる、建設省にはそういう措置がとられておらぬという場合には、建設省と同じようにそうした起債の面がなくなった方がいいとお考えになっているか、あるいは建設省も同じように起債をとる方がいいとお考えになっていますか、それだけお答え願いたい。
  61. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) その点は建設省の局長からお答えになりましたように、こういう仕事に関してはかなり地元の負担関係というものも明らかでございませんから、むしろ地元の町村等の起債のワクを認めていただいて、仕事が順調にいくようにすることが望ましいと私も思います。私の方の砂防には起債がついているのでありますが、同じように一つできるように私も協力いたしたいと思います。
  62. 田中一

    ○田中一君 建設大臣、どうですか。
  63. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実は、これは河川の方も緊急の分だけしか起債が認められておりませんので、河川と非常に緊密な関係にございますので、私どもといたしましては双方ともこれは一つ大蔵当局及び自治省の方とも連絡をいたしまして、何とか同じような取り扱いのできまするように、一つ善処方、努力をいたしたいと思います。
  64. 田中一

    ○田中一君 もうこれは二年越しの問題なんですよ。私はせめて本当年度の予算は、何といっても所得倍増論からくるところのこれだけの、河川にしても道路にしても予算を投入しているのです。全体的に地方負担というものが一方的な国の意思によって重くなっていくということは事実です。これは道路予算にしても、道路の五カ年計画にしても、河川にしても、地方財政がこの負担にたえ切れるかどうかという心配もしております。また聞くところによると、建設省は一軸砂防に対しては地元負担金というものを免除しようか、なんというような考え方も一部にあるやに開いておるのです。かつては砂防事業というものはことごとく全額国庫負担だったのです。だから国の意思でこれをやれ、補助工事をしてこれをやれ、補助工事というか全額持つのですから、地力でやらすとか、やっておったのですが、今では同じように直轄砂防もこれは地元負担金が当然同じ率であるわけです。三十六年度の予算から砂防というものは大体において予防砂防的な性格を持って、各河川、この説明書にもある通り、各河川にせめては川口に一つは作っておこうではないかという考え方に立ったのは非常に前進であり、私どもそれを推進した一人として非常にいいと思うのです。しかし事業が伸びて、予防的な意味の仕事には、まあ県民感情として金を出すということはなかなか困難で、ことにそういうところは人の住んでおらぬ所が多いわけです。私は直轄砂防に対しては地元負担金をとらないような方途を考えておるということも聞いておりますが、その点はまずどうですか。
  65. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 砂防事業については、御承知のように補助砂防または直轄砂防につきましても、国の負担が三分の二になっておるわけでございまして、残りが地方公共団体の負担になっておるわけでありますが、それに基づく地元の負担の問題はお話ございましたが、私どもは現在の砂防法に基づく負担を公共団体が行なっておるというふうに了承いたしておるわけであります。特に地元の負担の免除その他については私ども話を聞いておりません。
  66. 武藤常介

    主査武藤常介君) 途中でありましたので、今度は森君にお願いします。
  67. 森八三一

    ○森八三一君 あと二点ほどお伺いしたいのですが、その第一は、新しく二兆一千億の道路整備五カ年計画をお立てになりまして、経済成長に即応するような態勢を整えるということは非常にけっこうなことで、この完成を希望するのですが、その計画の中の有料道路が四千五百億という、約四分の一に当たるものが入っておる。従来とも有料道路の問題は進んできておりますが、ここでお伺いいたしたいことは、有料道路には観光的なものと産業的なものと二つあると思います。その場合の料金のきめ方は一体どういうものをさしておきめになっておるのかということをまず最初にお聞きします。
  68. 高野務

    政府委員(高野務君) 有料道路の料金のきめ方といたしましては、そこを通る車両が、道路改良されたことによりまして得る便益の七割以内をもって料金とするというきめ方をしております。
  69. 森八三一

    ○森八三一君 その場合に、産業道路のような場合と観光有料道路のような場合と、ただ単に、今お話のように機械的に料金をきめるということであってよろしいのかどうか。もちろん観光事業というものもその地方としては大切なことであり、あるいは国民の文化的な生活、あるいは健康の場合等考えますると、観光を私は一がいに排除する、遊興的なものとは思いません。思いませんが、産業的なものと観光的なものとは、実際に扱う場合には多少ウエートの差があっていいんじゃないか。今日のように道路が非常に整備されておりませんために、民生の発展を阻害し、産業の進展をはばんでおるというときには、急速に道路整備をやらなければならぬと思うのです。といって税だけでこの問題を解決するということは、直接の国民負担の面からも制約があるわけですから、そういう面で多少考慮をすべき余地があるというふうにも思う。端的に申しますと、観光的なものについては、ある程度料率を取っても、一般の道路整備の方にそれが回っていくというようなことを考えていいんじゃないかという感じを持ちます。その点、どういうような扱いをされているのか、あるいは今後どうお考えになるのかという点なんです。
  70. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ただいま道路局長がお答え申し上げましたように、目下均一の算定方式でやっておるようでございます。なるほどそういうお話を承りますと、実際に公共でない有料道路もあるところにございます。そういうもの等との料金差などを考えて見ますると、主要の題材として研究すべき事項のように思いますが、目下のところは今お答え申し上げましたように均一の方式で算定いたしております。一つ研究させていただきたいと思います。
  71. 森八三一

    ○森八三一君 研究をするということですから、十分研究を願いたいのですが、私も先刻申し上げましたように、今の日本の経済なり産業の進展ということに即応する道路輸送の確保をしなければならぬということから、財源にはおのずから制約があるわけですから、そういうことをあわせ考えますると、有料道路の中でも区別をしていい面があるようにも思いますので、十分一つ御研究を願いまして、道路整備そのものが順調に進展いたしますように一つ御高配をいただきたいと思います。  そこで第二にお伺いいたしたいことは、そういうことで非常な努力を願っておりましても、その最たるものは東京旧市内と思いますが、全く交通が麻痺しておる。このことはごらんの通りであります。これには必ずしも道路の血だけで解決されるものとは思いません。これは車両の制限とか、あるいは取締りとかあらゆるものが関連して参りますので、建設省道路政策ということだけでは十分にその交通の安全、輸送の確保を期するというわけにいかぬ面があろうと思いますが、何といっても基本になるものは道路整備であろうと思います。そこでこういうような交通地獄というものを切り開いて参りますために、建設省としては担当されておりますのは道路の問題ですけれども、それと関連していろいろ建築上の問題もあろうと思います。諸般の問題をお考えになっていると思いますが、そういうような交通地獄緩和に関する県体的な構想というのがありますれば一つお伺いしたい。
  72. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) できるだけこの東京都内の街路につきましては、全画的に拡幅するとか、新しい道路を設けるということは、非常に困難でございますから、首都高速道路等の高速道路を大いに努力をいたしまして促進をすることはもちろんでございますが、一般道路としましては、どうしてもやむを得ない場所の拡幅等をはかりまするほかに、道路の隘路になっておりまする十字路に対する工夫でありますとか、あるいは立体交差の問題でありますとか、さしあたり、その隘路の打開のできるような道を極力講じて参りたいと思っております。同時に、近来自動車がふえまして、駐車関係で道路が障害を受けておるとか、交通が相当に減殺されておるという部分がかなりございますので、駐車場の設置につきましても、国としても力を入れておりますし、東京都としても力を入れております。また建築関係としましては——ここに建築局長おりますが、一定規模以上の一定条件に該当する建物につきましては、その建物の坪数に比例したところ、一定の駐車場を設けなければならないという建築上の制限等もいたしておるわけでございますが、この点につきましては、私どもとしては、もっと一つ総合的に、近く国会でも終わりましたら、各方面の人たちにお集まりを願いまして、総合的な検討をする機関を作って、そして何とか実行可能な名案を生み出すように努力をいたしたいと思っておるわけでございます。都の方には古都交通審議会というのができましたようでございますが、これは都限りでできるものではございませんので、総合的に、国も一緒になりまして、そういうような方法を考えて参りたいと思います。いろいろ人によりまして、現状を打開するのに非常にいいと思われるようなアイデアを持った人がかなりございます。私ども個人的に考えましても、都に今話をしておるのでありますが、道路の要所左心、ネックになっているところの解決を上手に器用に、あまりたくさんの投資でなしに解決するようにするのには、都なら都の方に道路をパトロールする。パトロールカーでも置いて、それ相当の技術者が、毎日隘路の時間的な差とか、いろいろなことを見て歩いて、そこはどうすればさばけるかというようなことなどを研究をして、それを実際に実行に移していくようなことも考えていいんじゃないかと思うのですが、これは一人々々の思いつきでなしに、総合した知能を架結いたしまして、急速に一つ東京の麻痺状態を解消するような道に突進をいたしたいと思っておるような次第でございます。
  73. 森八三一

    ○森八三一君 これは将来の問題ですから、十分御研究を願わなければなりませんが、そこで、一体旧東京市といいますか、ここの建築の平均の高さというのは一体どのくらいになっておりますか、二階程度か、三階程度か。
  74. 稗田治

    政府委員(稗田治君) 東京の二十三区内の平均階数は、あるいは正確じゃないかもしれませんが、私記憶いたしておるところでは、一・六階というふうに覚えております。
  75. 森八三一

    ○森八三一君 そこで大臣、都市ということになりますれば、やはり産業の関係も考えなければならず、美観ということも忘れてならぬことだと思うのです。そこで、住宅局長のお話のように、世界の大都市である東京の建築が一階半というのは、あるいは二階にしても、これはいろいろなことを考えましても、必ずしも妥当なものではないような気がするのですよ。しかも、それに相当多くの可燃性住宅が乱立しておるといったようなことは、将来の危険を考え、美観を考え、あるいは交通の問題を考えるということで、何かこの辺で思い切って何階以上にそろえるといったようなこと、それに対して国費で相当な援助を与えるというようにいたしますれば、スペースが立体的になってくるのですから、それだけは幅員が広がっていくように、しろうと考えを持つのですが、ただ立体交差にするとか、あるいはパトロールをしてどうだ、あるいは駐車場を作ってどうだということも、これはもちろん大切だと思いますけれども、私はしかし、基本的には幅員そのものが広がっていかなければいかぬのじゃないか、同時にあわせて、都市の美観というものを考えるという、二つから考えていくという基礎対策がなければならぬような気が、しろうととしてはするのですが、これは個人の所有権を規制することになりますから、簡単にいくとは思いませんけれども、そういったような思い切った都市整備交通対策、道路対策というものを考えなければ、これはもう日に日に麻痺していってしまうのじゃないか。その辺のところまでお考えになるお気持はございませんですか。
  76. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実は、こういった点は、住宅の面からも、不燃高層化ということに、ことに三十六年度予算の編成にあたりましては力を注ぎまして、住宅金融公庫の方も、あるいは住宅公団の方も、大いにこれを推進してもらうような配慮をいたしておるわけでございます。そして、できるだけげたばき高層住宅を奨励して、そういう町の態勢ができるように配慮しておるわけでございますが、あわせて、今回提案をいたしております市街地改造法によりまして、努めて、どうしても拡幅を要しまする主要な道路につきましては、道路事業の一環として、市街地改造法の適用による店舗及び住宅の併用された高層建築に移行させるようにして参りたいと思って、これも実は今国会に御審議をお願いしておる次第です。ただいま御指摘をいただきましたお話は、まことにごもっともで、われわれもそういう方向に向かって配慮をいたしておるような次第でございます。
  77. 太田正孝

    太田正孝君 交通全般についての問題で、建設大臣としてより、国務大臣というような立場でお考えが聞きたいのでありますが、御承知のように、日本の交通行政というものが、今建設省でものを作り、警察で取り締まり、運輸省で認可するというふうに分かれておる。内閣の中に交通対策本部、こういうものがあって調整をとっておるというが、私の見たところでは、どうも行政面から見ても、すぐ交通省を作れというような意味じゃございませんが、何かここに調整するものがなければできないのじゃないか。この点について、コミティでもよろしい。私はアメリカが一番交通行政はうまくいっていると思うのですが、これは国がやっているのじゃなくて、州がやっているように思います。何かここでこだわりがずいぶんあるのじゃないか。プロフェッサー・オーエンが、東京交通状態はもっと麻痺すると、えらい言葉を使ったのでございますが、このままで行けば私はそうなるのじゃないかと思う。よって、行政組織として、この三つの機関をうまく調整するについての交通行政上の問題について、建設大臣というよりも、国務大臣としてどうお考えになっておるか。ただいまのような、ただ注文を聞くぐらいの程度の交通対策本部ではいけないと、こういうふうに私は思うのです。よくそう言えば、すぐ交通省でも作れという、統一していいかどうか問題でしょうが、とにかく調整をはからなければならないだろう。調整をはかるいろいろな問題がございますが、大体において今のばらばらな組織で日本の交通というのはほんとうに調整されるでしょうか。私はあまりこの方の専門じゃありませんが、私ども何十年か前に交通政策というものを教わったのですが、それが日本で一番初めだと思いますが、そのころ松岡均平博士が言うのには、日本に道路なしということを言った。事実は、どうも考えてみますと、まだ道路なしと言った言葉が当たっているのじゃないか。その時分に、本郷にマカダム道路を作りまして初めてやった。これは私どものころには交通機関というものが非常に悪いときだが、その時代にほとんど松岡博士に聞いた講義が、自分も道路交通の講義をしたのですが、一こうに進んでおらない。というのは、ばらばらになっておるところにあるのじゃないか。内務省時代には、翻ってみると、一方に土木局、一方に建設局というものがあって、この点はまだいった。けれどもそれだけじゃなくて、今はもっとひどいものになってきた。何かここで国の交通行政というものをもっと引き締めていくというか、調節するというかがほしいと思うのでございますが、これはどうでございましょうか。
  78. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 太田委員のお話のように、私ども全く同感でございます。現在内閣交通対策本部ができて、その仕事は総務長官が担当しておられますが、現状において交通をどうするか、交通規制をどうするかという程度にとどまっておりまして、掘り下げた、ほんとうの根本的な施策に向かっていない段階でございます。何とか急速にそういう方法を講じませんと、道路建設、その他建設作業も必要でございますが、例をあげてみますというと、下町方面の大正十二年の大震災の例で、後藤さんが復興院総裁でやられたころの地域を見ますと、道路が相当できておると思います。あの地域だけをとって、他の土地道路面積を比較したら、私は相当な面積があるというふうに思うのです。しかしながら、その地域はなおかつ非常な混雑でございます。これは要するに打開の道は、私は総合的にやっていけばできるのじゃないか。従って、建設作業も大いに必要でございますが、そういった道路問題、交通問題を、総合した機関ができて、それで強力に行政指導をする。また施薬も講じていくということにならなければ、なかなか解決できないのじゃないか。  一例が、最近ゴー・ストップの信号は警察庁の方でやっておられるのでありますが、われわれ歩いておりましても、ゴー・ストップの信号が極度に近過ぎるところさえできてきております。これは交通の安全という面からだけ見れば、そういうことになってくるのでありますが、それならば、そういうところには横断の、わずかな人間が横断するためにゴー・ストップをつけておるというなら、そこに横断者の横断歩道を地下に作りますとか、何かわずかな工夫によって、道路交通量というものを多くするとか、あるいはローマのように道は非常に狭いが、一方交通専門でありまして、うまく流れておるので、けっこう流れておるという、他の都市の実情を見ましても、もう少し交通の流れ方について、一方交通等もまだまだその工夫が行なわれていないという段階のように思いますから、交通を取り締まる警察関係、道路関係あるいは地方行政を担当しておる東京都関係、あらゆるものが総合されて、心を一にして工夫をこらせば、まだまだ消化能力は高まってくると思いますので、私どもとしましては、できるだけ急速に折を見てそういったような施薬に一つ向かっていきたいと思います。
  79. 太田正孝

    太田正孝君 まあセクショナリズムということが問題になるのでございましょうが、そういう意味におきまして、もう一段と交通行政という立場から考えていただきたい。総合的、統一的というような言葉を今使われましたが、それを実績に合わすようにしてほしいと思うのです。そこで日本の交通行政のトラフィック・エンジニアというものがないのですね。どこの国にもトラフィック・エンジニアというものがあって、こういうものの総合的な面において働いておる。シカゴの何といいましたか、ノース・ウエスタン大学の中にはこのインスティチュートがあって、そこで出たものが世界的な交通行政の役人を作っている。日本にはトラフィック・エンジニアというものがないじゃないか。たとえば今街灯のことを言っても、街灯は道を照らすか、人を照らすか、桜の花を照らすかわからないような状況だ。私どもはしろうととしても非常に大きな問題で、トラフィック・エンジニアというものを、学校はどこでやるか問題でございますが、こういう制度としてのトラフィック・エンジニアというものを設けたらどうかと私は思のですが、これはいかがでございましょうか。
  80. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ごもっともと思いますが、私どもしろうとでございますので、一つ研究をいたしたいと思います。
  81. 太田正孝

    太田正孝君 それで松永安左衛門君のところの調べであったと思いますが、日本は交通がうまくいかぬために六千億円一年に損があるということを発表されておったと思います。これは大へん大きな問題で、所得倍増なんということを考えるときに、この交通機関をうまくしていかなければいけない。しかもセクショナリズムが相当あるかと思いますが、たとえば私がこの間聞いたところで、祝田橋のところが非常に交通が繁雑にしぼられてきて一番多い。私は興味をもって実は見に行ったのですが、交通の動きをあそこで見ると、宮城前から来まして国会の方へ回るものが三分の二見当あるのじゃないかと思うのです。そこで経済的の立場から見れば、向こうから来て左へ曲がるのが一番大切で、何とかの一つ覚えのように立体交差立体交差というけれど、実はこういう点をもう少し深く考えて、左曲がりの線を地下へ持っていけばそれでいいじゃないか、こういうようなしろうと考えですが、実は専門家もそれは一つの考えだと私は言ってくれましたが、またもう一つは、尾張町の問題にいたしましても、地下道に入っていったらいいじゃないか。むろん人命は大切であり、交通上において人の動きというものを警察が取り締まりをやっていくというのは当然でございますが、しかし、あれを地下道を四つに入っていったならばもっといくのじゃないか、こういうようなことを言われております。もう一つは、私が感じたのでは、環状線というけれども、たとえばワシントンの環状線はチェサピーク湾ですか、あそこを突っ切って、そうしてほんとうの環状になっています。学問上から環状線といったならば、曲がったところに一つの何があるのだが、日本の環状線、たとえば東京の環状線というものはそうなっておらぬように私は思うのです。こういう点についてトラフィック・エンジニアの制度の研究者があり、交通がうまく調整するような行政機関があったならば、こんな点においても考えられるんじゃないか。また一面におきまして、一般のバスなんぞに比べて、自家用車というものが、面積においても七倍もとるというようなことを私は聞いておりますけれど、こんな点についても、もう少し各省というか、セクショナリズムを出さず、トラフィック・エンジニアのようなものでもあったならば、ほんとうにいくのじゃないか。  私はしろうとでございますが、実はわれわれの一番問題にするのは、場について、一カ所が幾らかかるとか、あるいは立体交差が二億とか一億かかるというような数字ばかり頭にきますけれども、事実は交通行政というものについて、もそっと掘り下げられたる面があるのじゃないか。私はまあ交通行政の総合的な機関という問題は、もう少し考えられることが必要なことと、今言ったトラフィック・エンジニアの問題が、日本の最大の欠けた点じゃないか。そこへ持ってきて建設省にはそういうことはないでございましょうが、だいぶんにセクショナリズムが行なわれている今までの一般の行政でございますによって、そんな点について御注意を願いたい。ことに、一年六千億円の経済上の損失があるということは、これは非常に大きなことだろうと思うのです。たとえば私どもの考えでも、今の東京交通にしても、パイブとして中に入るのはあるのが、血管としての動脈ができるが、しかし東京都内に入ったものがどうさばけていくかという、毛細管のところにいく道路が私は欠けているのじゃないか。こんな点については、実はきょうは藤枝君にも来てもらったり、あるいは首都圏の方にも来てもらって、私の疑問とするところを解いてもらいたいと思ったのですが、時間もないようでございますから、どうか私の意図する交通行政というものをもう少しく高いというと差しさわりがございますが、今の三つの機関でやられておることをよく考えられると、何としてもトラフィック・エンジニアを作らなければならぬ。これは常に私の信念でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  82. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 大へん貴重なお話を拝聴いたしまして、私どもも御趣旨の点をとくと参考にいたしまして、微力を尽くしたいと思います。
  83. 太田正孝

    太田正孝君 さっきの環状線の問題で、海の方へ埋め立てした場合に、環状線の関係はどうなるのでございますか、やっぱり何か考えておるのでございますか、どうでございますか。
  84. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これはあなたのワシントンの環状線のお話があった。東京の環状線は東京湾という海があるものですから、そこになり切らぬために……。
  85. 太田正孝

    太田正孝君 埋め立てしてそこに行くときはどうなりますか。
  86. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 問題は東京港との関係ですね、今度あそこを解決するために、内側に首都高速道路公団で高速道路を作るように目下盛んに建設中でございます。あれができましたならば、西東連絡はよほどよくなるかと思うのでありますが、何かよほど工夫をしませんと、うまくいかないのじゃないかと思っております。
  87. 太田正孝

    太田正孝君 もう一言。よく名所旧跡がありまして、そういうことのために交通が非常に考えられるが、われわれローマへ行ってみると、小さい遺跡のようなものでも史跡として残しております。私がああいうことを言うのは、私はさっき祝田橋の問題で、桜田門を通ったらどうかという通俗論があるのです。桜出門のところを通るときに、べらぼうな荷物がいったり、あるいは砂利を落されちゃいかぬことだから、何かそういう制限のもとに史跡などについてもよく考えられたる方策があるのじゃないか。私は全部がそこにトラフィック・エンジニアに持ってくる、交通技師というものが必要じゃないか、こういうふうに思うのですが、史跡などの点についても同じように考えていただきたい、こう思うのでございます。それだけでございます。
  88. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 祝田橋につきましては、実は御指摘のように、非常に自動車の流れの状況がありますので、あの状況に合うような立体交差にいたしたいということで、目下いろいろな案を作っておりますが、できるだけ世間からほめられるような最良の案を作りたいということで、目下設計作業をいたして研究をいたしております。ただ、あすこも石垣等がありまして、文化財保護委員会の関係がなかなかむずかしいだろう。もちろん文化財を保護することには、われわれも、大いに協力しなければなりませんが、そこらの問題をよく話し合いを遂げましてやっていきたいと思います。
  89. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 私は大田に中央自動車道の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。この間、予算委員会の総括質問の際にもこれに触れたのでございますが、この問題はひとり私がしばしば発言するという問題ではない。もう国会をあげての強い要望であり、また建設委員会においてもこの促進についてはあらゆる機会に各委員から主張もあり、全会一致の希望決議も出ているようなわけでございます。  この際、二兆一千億というような大幅な道路整備計画ができた。この五カ年計画の中で、あくまでこれは東京−小牧間のこの縦貫自動車道路整備完成に向かって大幅に一つお力をちょうだいいたしたい、こう考えているものでございます。もちろん東海道線の交通量も非常に輻湊しているのでありますが、これらの完成ももちろん大切なことで、これを軽く言うわけではございません。しかしながら、このたびの道路整備五カ年計画予算的の大幅な拡大も、そのねらいとするところは、その輻湊しているところ、あるいは麻痺状態になっているところを整備するだけではいけない。むしろ地域格差をなくし、奥地産業を一つ振興させるために、未開発地域の開発ということに大きなねらいがあることでございますので、歴代の建設大臣がこれにはそれそれ重く見た御発言もありますものの、まだ調査に終わっておって、一歩も進んでおらないということは、はなはだ遺憾なことでございます。この際少なくとも五カ年計画の中にぜひ大幅に一つ予算の割り振りをお願いいたしたいという希望でございます。この希望について大臣の御所見を伺いたい。
  90. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) この点は、私どもも国会の議決もございますし、大いに重視しております次第で、中央道につきましても、できるだけ促進をはかって進めていきたいという考えを持っております。ただ、人によりましては、二千億かければ、二兆一千億も五カ年計画でできたら、二千億かければできるのだから、一挙にやったらどうかというお説もありますが、全国、他の地方の道路関係もありますから、そういったわけには参りませんので、緊要の部分から、また工事の難易等の関係もございまするし、できるだけ進行をさしたいという考え方で、目下検討をいたしている次第でございます。
  91. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 大臣の御説明で、この重要性は十分認めているし、一挙にというわけにいかなくても、この貫通に対しては、まず重要度の、その投資効果の多いところからすみやかに手をつけたい、そうしてねらいとするところは、これの貫通であるということに承知いたしたわけでございますが、この二月の二十四日に、特車通信社が発行しております官庁速報なんかにこういうことがあったのです。これは私ども新聞社の報道でございまするので、それによってどうということではないかもしれないけれども、中央道の促進を強く要望しているにかかわりませず、なお調査にじんぜん時を費やしているというようなことから、これに関係している者は多大の心配をいたしているので、従って、この報道も、これが政府にどういう影響があるのかお伺いをいたしたい。これには「大蔵省は道路整備新五カ年計画事業内容について検討を進めているが、このうち有料道路事業の東海道(東海道幹線自動車国道)には相当額の事業費を認める方針なのに反し、中央道(国土開発縦貫自動車中央道)については建設省、自民党」、その他野党からも、中央道にもぜひ事業費をと、そう配分すべきことを要望しておるにもかかわらず、その必要はないとの従来通りの態度で臨んでおる、これは大蔵省が、ということが書いてある。これは、両法案が昨年国会に提案された際の交通関係閣僚懇談会で、財源の関係上、両道路事業を同時に着手することは避けるとの了解が成立したということをたてにして大蔵省の役人が言っておるということであります。この交通関係閣僚懇談会の幹事は、当時経済企画庁の長官が担当いたしておられたので、当時の経済企画庁長官は菅野和太郎さんでございましたが、これは、昨年の三月の九日に開かれました参議院の予算委員会において、青木一男さんの質問に対しまして答えていわく、中央道を開設することによって、沿線各地の未開発地の開発にはその貢献するところ絶大であることを信じます、従って、中央道を設けることについては大賛成であると言明しておる。こういうような事情からして、これに反対をするという筋はないと私は信じておるのです。また交通関係閣僚懇談会は、法令に基づく機関でもない。政府が任意に作った内部機関であって、従って、主務大臣である建設大臣におかれては、議会の総意によって決定しておるこの問題、時あるごとに、また要望も重ねられておりまするこの実情を十分一つ御認識いただいて、今のお言葉のように、そのお言葉が、五カ年計画予算割当の上に、なるほどと、関係住民はもちろんのこと、議会においてそれぞれ要望をいたしておる者にも満足を与えるに足るだけの御高配を願えるものであろうと信じたいのでございますが、この点いかがでございましょう。
  92. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ただいまお読み上げになりましたようなことは、私さっぱりつまびらかにいたしません。が、いずれにいたしましても、中央道、東海道とも、国会の議決がありまして、あの議決の結論を得るまでには、国会において相当御議論になりまして得られた結論でございますから、私どもといたしましては、双方とも国会の議決を尊重して進めて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  93. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 私は、大臣の誠意あるお答えに満足をして、その具現をただ心静かに見守っていき、また応援をしていきたいと思っておる次第でございます。ありがとうございました。
  94. 森中守義

    ○森中守義君 総務長官においでいただきましたので、先に伺いますが、あなたの所管であるかどうかわかりません。しかし、おおむね官房長官あるいは総務長官が窓口のようですから、お伺いしておきます。  先刻、建設大臣説明された予算説明書の中に、「水害を未然に防止するために水防態勢強化充実をはかることとし、無線局の設置及び維持管理を行ない、また、近時頻発する水害状況にかんがみ、水防施設整備について補助すること」としたということで、六千八百万円が予算として計上されておるわけです。しかして、この種水防関係の予算は、かなり各省にまたがっておるのですね。文部省関係にもあります。中央気象台関係にも、あるいはその他電電公社とかあるいは郵政省とか、かなり国の機関としては広範に才たがって水防関係が実施されておるわけですが、こういうことは経済の効率的なあり方からしても、もう少し一元化の方向にいく必要があるのじゃないだろうかということを第一に考える。のみならず、年々襲ってくる台風あるいは水害等のために、もう少しこの種水防関係を一元化をして、できるならば、未然に防止するためには、沖繩とかあるいは奄美大島とか、大体台風のコースというものは一つの固定化されたものがあるようですから、そういうところに大きなステーションを作るとか、しかも、そういうところにジェット機を配置しておくとかいうようなことで、いわゆる水防の近代化といいますか、さらにまた統一化といいますか、こういうようなことは政府の方でお考えになりませんか。
  95. 藤枝泉介

    政府委員(藤枝泉介君) 水防を一つの問題としてお取り上げになりましたが、災害全般にわたるものもございます。で、各省庁がおのおのその本来の行政事務としまして、水防についても、建設省、文部省あるいは気象庁等にわたって仕事をやっておられるわけですが、そういう意味では、何かそこに横の連絡と申しますか、十分各省庁間の事務がむだなく、並列的に行なわれるようにならなければならないことは申すまでもございません。さような意味で、昨年の、昭和三十五年の十一月三十日に、行政審議会の防災関係行政の改善について答申もございますので、この答申に基づいて、現在そうした災害防止の全体としての運営が並行的にうまくいくような方策をどうしてやっていくか、場合によっては法的な措置も必要かと考えまして、目下鋭意総理府におきましては調査審議をいたしておるような状態でございます。なるべく早く結論を得たいと存じておる次第でございます。
  96. 森中守義

    ○森中守義君 大体そういうことで、その結論が間もなく出るということでけっこうです。  現状について多少総務長官の方でも認識をしていただく必要がありますので、先刻太田先生からも話が出ましたが、それはこの関係じゃありません。けれども、各行政機関の中でかなりセクショナリズムがある。そういうことが非常災害の際に何かの形で現われてくる場合があるのです。具体的に申しますと、一昨々年でしたか、そのときに、例の非常通信を確保するということがあります。その際に、一体非常通信はそれではだれが主宰するかということになりますと、今中心がないのですよ。たとえばアマチュア無線もある、あるいは電電公社の場合もこれに参加をする。あるいは防衛庁、さらにはその他の私設無線、漁船等も含みますがね。こういうことで、中心になるような土台がない。しかも、それは任意団体ということで、非常災害の無線通信を確保する。ただそれに入ろうと入るまいと自由だと、こういうような現状でした。しかも、そのような非常通信が、一刻も時間を争うという際に、どうも個々ばらばらでうまくない。しかも、手柄は自分の方でとりたい。悪い責任は自分はとりたくない。こういうことが今日もあるのです。一つの通信関係という断面から見てもあります。従って、これは法的にもう少し固まった非常無線通信の確保をしませんと大へんなことになるだろうというようなことが、今まで指摘をされてきました。  それからもう一つ、私がジェット機あたりを配置して予報の緊急性に対応すると、この問題ですけれども、今中央気象台が地方に持っている測候所あたりの通信の状態は、まことに旧式なモールス通信、しかも、それは経路が幾つもの経路をたどって入ってくる。しかるに、今日は超短波あるいは極超短波、こういう時代を迎えていて、それでなおかつ中央気象台においては旧式のモールス通信をやって、中央気象台に情報を送っている。そうこうしていると、台風が追っかけてきますよ。何にもならない。しかし、それならば、そういうことの維持運営のために国の予算が幾ら出ているかということになりますと、全体を通して見ると、相当膨大な金が水防対策のために国費が投じられている。しかし、その経済効果というものは、今も申し上げたように、一朝有事の際には間に合わぬ。こういうことが現状なんです。ことに、海上における漁船等は、たとえば台湾と日本との中間、東シナ海あたりを見ますと、最近は漁業民間協定ができましたから、ウースンのあたりにも待避できるようですけれども、できなくて向こうに行っちまって、それで拿捕されたという例もあるんですよ。それも結局は予報が的確でないということ。これは海上の一つの例なんです。また、陸上におきましては、これは数年前の問題ですが、福岡へ来るだろうということで、土のうをたくさん集めまして、それで待機をした。それにあとで県議会が承認を与えた金が約八百万です。その八百万の予防対策の金が、台風が来なかったからむだになっちまった、こういう例もあるんです。従って、もう少しこの種問題は統一的に、しかも敏速にやるためには、どうしても九州の南端に一カ所あるいは中央部に一カ所というように、しかも、近代的な装備を備えた、もうあとで建設省が大へん苦労されるよりも、少しでも予報を早くキャッチして、あとの始末が要らないようにするのが、むしろこれは予防対策の本旨だろうと私は思うんです。生命、財産が失われてあとの始末をするよりも、少しでも被害が少なくなるように、そのためには、今申し上げたように、予報センター、予報ステーションというようなものをどこか一つ、九州の南端ぐらいに作ってもらう。その方が私は国土のほんとうの保全である。しかも国民の生命と財産を保全していく、いわゆる真の水防対策じゃないか、こう思うんですけれども、これは私はあまりむずかしい問題じゃないかと思う。  ただ、むずかしいのは、今日各行政機関にまたがっている仕事をどういうように集約していくか、いわゆる役所相互間のコントロールがむずかしいんじゃないかと、こう思うんです。もちろん水防庁のあることも知っております。しかし、実際の業務態勢というものがかなり広範にわたっておりますので、この辺一つ総務長官の方でお考えいただきますと、ここに計上されている建設省予算等も、これはまた別な方向に使われるんじゃないか、こう思うんですけれども、どうでしょうか。一つ九州の鹿児高、ここは必ずのがれられない所です。どっか奄美大島あたりに大きな予報ステーションでも作って、そこにジェット機を配置しておく。何かあればすぐ東京まで飛ばしてくるというような近代的な対策はできないものですか。
  97. 藤枝泉介

    政府委員(藤枝泉介君) そういう気象、その他予報関係をも含めて防災関係行政の改善についての研究をいたしておるわけでございます。その予報関係そのものにつきましては、私も何ら知識を持たないのでございますが、実は数年前、これは沖繩に対する援助の形ではございますけれども、気象庁と沖繩の気象台との契約によりまして、沖繩のしかも相当南端の方に、石垣島でございますが、気象予報の設備を作る。日本政府から無償で貸与をする援助という形でありますが、また、向こうの予報を十分に日本の気象庁に知らせるような一種の義務を負わしておるわけでございます。もちろん、ただいまお話のありましたような予報センター的な大規模なものではございませんけれども、そういうようなものの充実でありますとかいうようなことも考えられると思うのでございます。いずれにいたしましても、御指摘の点は、確かに率直に申し上げまして、一つの防災という関係が各省庁にわたっておるためのロスも決してないとは申せませんので、そういう点をいかに効率的にやるかということについては、さらに至急に研究を重ねて参りたいと考えておる次第であります。
  98. 森中守義

    ○森中守義君 これは、さっき答申が出たと言われましたが、その答申を受けられて今検討されているんですか、おおむねいつごろ結論が出るんですか。
  99. 藤枝泉介

    政府委員(藤枝泉介君) 実はそういう問題になりますと、一体現行の法制をどうするか、各防災関係の、水防法、河川法、その他にございますが、そうした現行の法制をどうするか、並びに現行の行政機構をどうするかというようなことがございまして、まあ相当困難な壁にはぶつかるのでございます、率直に申し上げまして。   〔主査退席、副主査着席〕 しかし、そう言っていても、先ほどお言葉にありましたように、台風は追っかけてくる時期になっておるのでございますから、その辺を十分各省庁の連絡をとりつつ結論を出したいと考えておる次第であります。
  100. 森中守義

    ○森中守義君 これは総務長官に釈迦に説法ですが、やはり一つの改革ですよ。決断が必要なんです。これを各省の意見をもちろんお聞きにならなくちゃいかぬでしょうけれども、やはりいいことにはいいように、ある程度勇断といいますか、決断をふるわれないと、おのおの役所は自分の持ち場を離そうとしないのだから、この辺、私は、すでに答申も出ておる、検討の段階に入ったということであれば、速急に一つ早い時期に筋道を立ててもらいたいと思う。しかも、その際には、先刻申し上げましたように、諸外国にもそういうことはもうすでに採用されております。一昨年私向こうをほうぼう回ってきましたが、もうどこの国でもそういうことはある。中でも一番台風、水害の多い日本のことですから、ほんとうに国土の保全、人命財産の安全ということを私どもが念願するならば、いかなる障害をも乗り越えて、ぜひこれは一つ早急に早い機会に立法措置を講ずるなりあるいは予算措置を講ずるなりの方法によって実現さしていただきたい、これを要望しておきます。  それからもう一つ建設大臣に伺いますが、今回のこの予算の中で離島振興関係が——私も実は審議会の委員なんです。従って、何年かやってみて、ことしの離島関係の予算は比較的と言いますか、関係の者から言わせると、非常に努力に対しまして感謝をしているところですが、それにつきましても、この予算を実際執行する場合に、県に金が行くでしょう、この辺が、せっかく金は一つつけてもらったと、ところが、金をつけてもらったけれども、県に行くものだから、事業の主体が県になっている。そうなると、中央段階においては、これは離島分だと言っておきながら、何もかにも込みで県に行くものだから、県でその配分をするときに、事業を起こす場合に、何もかにもごっちゃになっちゃう。こういうことで、離島関係の方から、今回のこの予算編成に際しても、また私どもの離島審議会を開くたびごとにも問題になったのですが、やはり中央段階で離島関係に予算がついたならば、間違いなく、その金が離島振興のために使かれるというような予算執行の方法は改善できないものでしょうか。
  101. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 離島関係は、費目でちゃんと離島とうたってありまして、なるほど補助事業で県の方に金は行きますけれども、同時に予算編成の段階から個所づけをしておりますから、そうごまかせないとは思うのですけれども、まあ、実際に、御指摘になるように、あるいはうまくいっていない点があるかもしれません。この点は一つ大蔵省も来ておられるので、もしそんなことが事実あったとしたら、これは大蔵省からもしかられるわけですが、われわれの方としては、ちゃんともうきめて渡していきますから、県が、それをほかに流用するということはあり得ないはずなのでございますけれども、なお一つ、行政指導について御趣旨のようなにつきましては、万全の注意をいたします。
  102. 森中守義

    ○森中守義君 これはその趣旨からいけば、大臣の言われる通りなんです。だから、私ども毎年離島審議会で、その問題を各所の離島代表の皆さんから聞きますと、あなたと同じようなことを言ってきましたよ。そんなばかな話はない、ちゃんと費目が分かれているのだから、そういうはずはないのだと、こう言ってきたのです。  ところが、ことしもこの予算の概計が出るときあるいはその後ですね、三回離島審議会をやりました。で、その中で同じような意見がずいぶん出ますよ。必ず出る。従って、中央では、こういうふうにめんどうを見ておるが、しかし、実際県の段階になると、事業を起こす場合全部込みにしちゃう。だから県会議員とかあるいは町村長とか別の力を動員して、その問題を処理しなくちゃいかぬ。そうなると、おのずから県会議員の多い、少ない、力がある、なし、ということで変わってくる。こういうようなことが、全国の代表から言われておる。これは一つ参考までに経済企画庁に離島振興課というのがありますから、そこで会議録を持っておりますから、さもなければ、砂防会館の中に事務局がありますから、全国協議会の、ここから一つ議事録をおとりになって、一回念を押して見て下さい。  これはきょうも私特に離島関係の方から、ぜひ一つ念を押しておいてくれ、こういう話がありましたので、特にお願いをしたわけですからね、大蔵省どうなんです。そういうことはあなたの方でお聞きになっておりませんか。
  103. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘の点につきましては、私どもまことに、そういったことがあるとしますと、非常に心外な気持がいたすわけでございます。御承知のように、離島振興事業といたしまして、予算は三十三年度から経済企画庁に一括計上いたしておりまして、もちろん項は議決科目でございます。従いまして、離島振興以外に使うということは、当然財政違反でございますので、そういったことが、もし具体的にございますれば、一つお知らせ願えれば、私の方としても、そういうものの措置をとりたいと思います。  ただ、離島振興の問題につきましては、三十三年度に一折計上いたしたわけですが、その以前において、各省の予算にそれぞれに計上いたして実施しておったわけでございます。当時は、非常にそういった問題が起こりまして、そうしていろいろどうも困るというお話がありましたので、私どもも各省との相談の推進役になりまして、経済企画庁に一括計上いたすということにいたしておりまして、以後、順調に予算の執行が行なわれておると、私どもは了解いたしております。  従いまして、これが他の地域なり目的外に使われるというこはないものと信じておりますけれども、もし御指摘の点がありますれば、よく調査をいたしまして、そうして善処いたしたいと思います。
  104. 森中守義

    ○森中守義君 これは建設省あるいは大蔵省の、おのおのそういうお答えですから——もとより、そうなくちゃいけません。しかし実際問題としましてはあるのです。ですから、さっき申し上げましたように離島振興協議会もしくは企画庁の離島振興課、ここに全部そういうデータを持っております。私も機会があれば、決算委員会あるいはまた建設委員会等に一度出まして、その資料を提供しながら承りたいと思いますが、要するに、きちんと離島振興のためにつけられた予算ですから、これが財政法違反にならないように、一段の御注意をお願い申し上げたいと思います。  それからもう一つ離島関係ですが、この道路五カ年計画の中に、一緒に込んでいるのですよ、離島関係は。全部そうですね。それで、たとえば県道——町村道というのですか、これを県道に上げるには相当むずかしい基準が要るのですね。ところが本島関係の道路の規格が離島に当てはまるということになりますと、おのずからこの格差というのがひどいのですよ。ところが、今のところ、離島であろうと本島であろうと、区別なくその規格、基準によって村道あるいは町道を県道に直す、こういう仕組みになっておるようです。そうなりますと、このように五カ年計画で、せっかく国土の開発をしよう、産業経済の開発をしようという意思というものが、離島は今申し上げたように、同様な規格に当てはまっていくならば、いつまでたっても、離島の道路の改善、改革というものは私はできないと思う。  この点を一つ、せっかく離島振興ということで、建設省も大蔵省も目をかけてもらうわけですから……。どうでしょうか、こういう機会に、一つその種、規格は本島の分と離島の分は、ぜひ区別をして、離島は離島なりの体制に順応するような規格を作るというようなことで別途の扱いはできませんか。
  105. 高野務

    政府委員(高野務君) 離島の道路計画につきましては、ただいまお話の通り、五カ年計画に含まれる計画として計画されるわけであります。この計画をいたします場合には、企画庁の離島振興課と相談して計画を作るわけでございます。  私どもといたしましては、離島振興上遺憾のないように計画をするつもりでございますが、しかしながら今御指摘のような点が確かにあるわけでございます。道路の規格につきましては、交通量を勘案してきめますので、これはまた別な問題になりますが、ただ採択基準という点になりますと、確かに離島は、また別な意味で採択基準を考えなければならぬと思いますので、そういう点を勘案いたしまして、五カ年計画の作成に当たりたいと思います。
  106. 森中守義

    ○森中守義君 大へんけっこうな御答弁ですが、問題は、時間的にかなり急ぎますし、ぜひ一つ、これは早急に具体的に手をつけてもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。
  107. 高野務

    政府委員(高野務君) 五カ年計画の作業は、道路整備繁急措置法案が通りましたら、すぐいたしますから、私どもも急いで作業をいたすわけでございますので、できるだけ早くいたしたいと思っております。
  108. 森中守義

    ○森中守義君 それからもう一つ、建設大臣に伺いたいと思いますが、河川工事の場合ですね、一本の水系に対して、どうも、この統一的な河川工事計画を立てていないんじゃないか。私は今実例として申し上げますけれども、熊本県に菊池川というのがあります。大体これは水源から河口まで五十キロもありましょうかね。五、六十キロぐらいのものだと思います。それで上流と河口ですね、ここに特別に工事が行なわれて、中流が全部手がつけられてない。従って中流が全部そのしわを受けておるという実例がある。今まで湿田地帯でなかったのに、上流と河口との工事のために、まん中のところにしわが寄っちまっておる。従って、従来反収八俵ぐらいあったのが、今三俵半から四俵という実例があります。で、その内容が、経過が、どういう経過であったかは、多少差しさわりがありますから申し上げませんが、要するに上流、下流両方に工事を指定しておる。そのしわ寄せが全部まん中へくる。しかもその中流部の場合には、ここ数年前から地元の人たちが、これじゃあ困る、上流と下流との犠牲に中流がなったんじゃあ困るというので、しばしば陳情があった。私も前の大臣の村上さんのときに、この話を一度したことがあります。河川局長にもいたしております。おそらく河川局長かわっておられるかわかりませんが、なるほどそれは不均衡だと、こういうことで、さっそく調査費をつけよう、こういうようなお話のようでしたが、その結果は私は聞いておりません。もしここで具体的にわかるならば教えていただきたいんですが、そういったような実例が示しておりますように、一本の水系に対して、どうも総合的な、統一的な取り扱いが行なわれていない。しかもそれは地元の熱心な運動によって動かされたり、あるいはそれを背景にある政治力が動かしていって、政治力を持っていない運動が活発でない地域にしわ寄せがされるということは、これは正しい建設行政、河川行政では私はないと思うんです。  その点一つどういうようなことになっておるのか、伺っておきたいと思  います。
  109. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいま御指摘がございました菊池川の河川改修計画につきまして、詳細な資料はございませんが、先ほどお話で、河川改修計画については、統一的な考えでやっていないんじゃないかという御指摘でございましたけれども、河川改修計画につきましては、基本的には、いわゆる十カ年計画がございますし、またそれぞれの川につきましては、計画洪水量等を策定いたしまして、繁急なものから、逐次その仕事を実施いたしておるわけでございます。先ほどのお話によりますと、上流と下流の方に先に工事を着手して、中流部が取り残されるというお話でございましたが、この河川につきましては、非常に重要な河川でございまして、建設省といたしましても、三十六年度予算編成におきまして、これの工事促進をはかっておるわけでございますが、なおその工事が、さらに統一的なことでできますように、調査費等もつけて、その仕事が上流、中流、下流を一貫してできるようなことに進めたいと考えておるわけでございます。
  110. 森中守義

    ○森中守義君 今私が、その実例として申し上げました菊池川の場合、お手元に資料がありますか。
  111. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいまございません。
  112. 森中守義

    ○森中守義君 これは今申し上げましたように、水田だけにたよっている地域なんですよ。それが上流下流の工事が始まらない前は、反収八俵ぐらいあった。ところが、上流下流の工事が始まったもんだから、堤防を割って入ってくる。それで完全に湿田地帯になってしまった。ですから、今三俵半ぐらいだといわれておりますが、これはもう、水田だけにたよって生活をしていた農民にとりますと、大へんな犠牲ですよ。その問題が具体的にありますから、これは一つ、ぜひ一度お帰りになりまして、菊池川の中流関係のことを一つ見てみて下さい、どういうことになっているか。と同時に、上流下流だけではなくして、中流のそういう不均衡な結果にならないように、早急に中流においても工事を始めてもらいたい、そういうように私は要望しておりますが、山鹿というところに建設事務所があります。このあたりが、よくこの事情は御存じなのです。これは一つ大臣の方で、ぜひそれに手をつけるように御約束いただけますか。
  113. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 承知いたしました。
  114. 森中守義

    ○森中守義君 それから、これは多少愚問かわかりませんけれども、産業開発青年隊というのがありますね。これで、予算が五千八百八十八万三千円ついております。これは、どういうことをやるのですか。
  115. 關盛吉雄

    政府委員(關盛吉雄君) お答え申し上げます。  産業開発青年隊と申しますのは、昭和二十八年度から、建設省がその育成、支援をはかってきたわけでございまして、目的は国土の開発の推進と農村の次三男対策というものを兼ねました事業でございまして、十八歳以上の年令より二十五歳ぐらいまでの青年層を、直轄中央隊と府県の補助隊とに分けまして、一年間働きつつ学ぶ訓練をいたしておるのであります。実際の訓練内容といたしましては、オペレーターでありますとか、そういうふうに建設技術を修得せしめる、こういう仕事を今日まで続けてきておるのでございます。  最近の実情では、これらの人たちが特に南米のブラジル方面におきまして、建設の向こうの申し込みも非常に多くなりまして、南米ブラジル方面の移住も、二年前から開始いたしておるのでございます。従って、ことし——三十六年度の予算の要求におきましても、特にこの現地移住の訓練に要する事業も新たに直轄事業といたしまして実施するということで、内容を充実いたしていきたいと、こういうふうに考えております。
  116. 森中守義

    ○森中守義君 まあ今のお答えの中で、非常にけっこうなことですがね。移住の場合には、農林省がおやりになっているあの計画の中へ入るのですか、移住計画に入るのですか。
  117. 關盛吉雄

    政府委員(關盛吉雄君) 移住の問題でございますけれども、これは全般の窓口は、外務省で担当してもらっておりまして、農業移民という形ではなくて、いわゆる先ほど申しましたように、建設の技能を身につけている人でございますので、南米のブラジルの建設基地が設定されておりまして、外務省所管におきましても現地の訓練設備を二年前から設置してございますので、これらの基地において、実際に現地において仕事に従事する、こういうのが実情でございます。
  118. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、この予算書の中の説明の中では、幹部訓練所というのがありますね——あるのですか。
  119. 關盛吉雄

    政府委員(關盛吉雄君) 幹部訓練所と申しますのは、建設省の研修所というのがございまして、その中に、今申し上げました産業開発青年隊の向こうに参ります幹部としての教育をする、訓練をやるところを幹部訓練所、こういう名前で呼んでおるわけでございまして、三十五年から新たに実施をしております。こういうものでございます。
  120. 森中守義

    ○森中守義君 ちょっとこまかくなって恐縮ですが、今言われる幹部訓練所というのは、いわゆる機関としては研修所の中にあるのですか。それとも独立した機関ですか。
  121. 關盛吉雄

    政府委員(關盛吉雄君) これは研修所の一部でございます。
  122. 森中守義

    ○森中守義君 機構の一部……。
  123. 關盛吉雄

    政府委員(關盛吉雄君) はい。
  124. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、設置法の三条の一の二と、十二条の四号、この二つだけが産業開発青年隊規定している事項なんですね、そうでしょう。私は局長の御答弁からいけば、設置法というものは、もう少し正確にこの種のものは規定すべきものだろうと、こう思うのです。行政組織法の八条がそういうことを規定しております。ですからそういう青年隊というものがいいとか悪いとかいう議論じゃなくして、設置法上、もう少し明確にすべきものじゃないですか。わからなければ申し上げましょう。設置法の二章の三条の一の二にあります「産業開発青年隊に関すること。」本省の所掌事務、それから十二条の四号です。いわゆる「地方支分部局」そこの所掌事務の中に「産業開発青年隊事業実施に関すること。」この二つの条項があるだけで、どこにも産業開発青年隊の組織あるいは規定というような条項はない。しかし今御説明の中から考えられることは、相当これは重視しなければならぬものだと私は思う。特に海外に送り出して、あるいは国内において農村の中堅にするとか、そういうように考えますと、もう少し行政組織法を受けている設置法には、もっと正確に組織とか運営とか、そういうものを厳格に規定さるべきものではないんですか。それで、私はこの疑問ができたのでお尋ねしたんです。
  125. 關盛吉雄

    政府委員(關盛吉雄君) ただいまお尋ねの建設研修所の事項につきましては設置法の第九条の二にございまして、それに「産業開発青年隊の幹部の訓練に関するものをつかさどる機関」ということになっております。先ほど先生お読みになりましたのは、地方建設局において実施いたしております地方隊の所掌事務についての条文と、ただいまの建設研修所の事務の九条の二の規定、両々相待ちまして、産業開発青年隊訓練実施しておる。こういうようなことであります。
  126. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、これらの青年諸君が、公募によって集まるんですか。それとも自治体の推薦ですか。
  127. 關盛吉雄

    政府委員(關盛吉雄君) これは都道府県の機関を通じまして、公募いたしております。
  128. 千田正

    ○副主査(千田正君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕   〔副主査退席、主査着席〕
  129. 武藤常介

    主査武藤常介君) 速記を起こして。
  130. 田中一

    ○田中一君 さっきの砂防の締めくくりだけしたいのですが、現行の公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、この中に砂防指定地域は、何といいますか、砂防復旧事業としては除外されておるというのが、現行法の持ち方なんですけれども、この点は宮崎君の方に聞くのが正しいと思うけれども、どういうことで、そういうことになっているでしょうね。
  131. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法におきましては、砂防の施設も対象といたしておりまして、政令で、そのような規定になっておると思います。
  132. 田中一

    ○田中一君 私はなっていないと思うのです、現在。
  133. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) あるいは御説明が不十分であったかと思いますので……。
  134. 田中一

    ○田中一君 私の質問も不十分かもしらぬけれども、砂防復旧手事として指定されておるわけです。——災害復旧工事としては指定されておるけれども……。
  135. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法は、公共土木施設についての国庫負担でございますので、ここに対象といたします砂防設備といいますのは、現実に砂防の堰堤ができておる、あるいは水路の工事ができておる、そういった具体的の土木施設を指すわけでございます。  御指摘の点は、実際に崩壊地が起こってくるというものを元に復旧するということはどうかと思うのですが、それは、すなわちこれは砂防事業そのものでありますので、これは施設の災害復旧ということには言えない、こういう考え方でこの法律ができておるわけでございます。
  136. 田中一

    ○田中一君 そこで砂防施設が災害を受けたという例は割合に少ないのです。農林砂防には往々にして見受けられます建設省の砂防にはほんとうにごく少ないです。たとえば石が、土固めが飛んだとか何とかということはあります。  従って、砂防施設の災害というものと、それから砂防施設は残るけれども、両側の岸辺が崩壊するということがあるわけなんですが、この点は関連事業としてでも、一つの砂防施設の復旧工事という見方はできないものでしょうか。
  137. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 公共土木施設災害復旧国庫負担法は、御承知のように、現地に査定官が参りまして、そして具体的に施設の災害復旧をやるという建前でございます。そういう対象で参りますからには、復旧の対象というのが非常に明確になっていなければならないということと、もう一つは、やはり法律の建前が、原形復旧するという原則でございますので、そういったものとして運営されておるわけでございます。  従いまして、法律も、そういうことに規定されておるわけでございます。砂防事業は、御承知のように、具体的に崩壊等が起こりますと、これに対して砂防の対策をいたすわけでございますが、これはその崩壊地を、元の形にそのまま復旧するということは非常に少ないわけでございまして、いわば別の対策を打つわけでございます。普通の場合でありますと、かりに砂防堰堤を作る、そういうことによりまして、原形復旧というような考え方と全然別の対策を打つ、こういう形でございますので、こういった災害復旧というような非常に、何といいますか、ある程度限定されたような解釈ではなくして、個々の実情に沿って最も効率的な、また十分な対策を講ずるという必要がありますので、従いまして、災害復旧という体型ではやれない、こういうことで現在の法律の建前ができているものと思います。実際問題としては、御承知のように災害が起こりますると、緊急砂防事業というものがあって、砂防等を実施することになっております。
  138. 田中一

    ○田中一君 これは建設大臣に伺いますが、今申し上げたように、砂防施設というものは、割合に災害を受けないのです。しかし、その岸辺、岸の方は、相当受けるわけですね。砂防工事を施していないところですね。これは緊急砂防という制度ができたのも、その辺にあるんじゃないかと思う。大体災害復旧は原形復旧という原則で一応貫いておりますけれども、私はここに無理があると思う。災害を受けた、それは、現在の施設以上のものがなければ守り切れないということが災害を受けた理由なんです。だから原則は、どこまでも災害復旧ということは原形復旧でなくて、改良復旧ということが一番正しいんじゃないかと思う。たとえば堰堤にしても、壊れた高さのもの、それ以上に水がくるという想定のもとに、擁壁なら擁壁の高さをもつことによって、初めて災害復旧ということになる。災害復旧という言葉にとらわれて、原形復旧というものだけでは、どの場合でも、ふたたび災害を受けるという前提だということにならざるを得ないと思う。最近ずっと、大体において災害復旧は、原形復旧の原則の上に、改良工事というものを施して、次の災害を守るということを全部しております。これは結局法律が、宮崎主計官が言うのは、現在の法律が、そうなっているからやむを得ないの、だということになっておりますけれども、ここにふたたび災害が起きないという前提に立つならば、原則的に改良されなければならないというものだと思うんですがね。その点はどうですか、どうお考えになりますか。
  139. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 経費負担の問題は別といたしまして、災害が起こって、その復旧をいたしまする場合には、できるだけ将来の災害を妨げるように、改良なりあるいは関連なりで、復旧とあわせてやることが理想であり、またそうすべきものだと、私は思います。  ただ問題は、経費負担の点については、あるいは災害復旧分については国庫負担はこう、その他の改良分についてはこう、こういう区分けは、あるいはやむを得ないのかもしれませんが、事業実施自体については、極力災害復旧とあわせて、災害関連及び改良で、将来の災害を防止するように努めていくべきものだと、かように思います。
  140. 田中一

    ○田中一君 御承知のように、治水十カ年計画は、災害は全然除外しているんです。従って、これは原形復旧は、災害復旧工事として、予算は別ワクになっておりますから、これは金額はきめておりません。しかし、原形以上の改良部分に対しては、この治山治水十カ年計画のワク内でもって処理しなければならないということになると思うんですが、その点はどうですか。
  141. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 治水の十カ年計画におきましては、河川改修工事、砂防等の計画でございまして、災害復旧事業は除外されていると思います。
  142. 田中一

    ○田中一君 災害復旧は別ワクになっておりますが、今大臣が言っているように、私も言っているように、災害を受けるということは、それを原形復旧の形でもって復旧すれば、ふたたび災害を受けないのだというものではないというんですね。改良しなければふたたび受けるということが前提に立つというんです。従って、今度の治水十カ年計画というものが、一体どのくらい災害を受けるという想定のもとに考えられなければ、実際の事業というものは行なわれるか行なわれないかわからぬわけですよ。大体において地点というものがおおむね想定されて、この治水五カ年計画ができているわけです。  しかしながら改良しようという今度治水五カ年計画に入っているところの地点が、相当な災害を受けたと、かりにいたします。その場合には、原形復旧はなるほど災害でもってくるけれども、その他の改良部分については、これにも織り込んで治水五カ年計画の中に入っているはずだと思うのです。  だからその想定が、どのくらいの想定というものをもって、災害というものを考えてできておるかという点です。
  143. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) ただいまのお話は、災害関連工事が十カ年計画にどういうふうに関連するかというお話でございますが、十カ年計画におきましては、先ほど申し上げました前期五カ年計画、後期五カ年計画におきましては、災害復旧としての事業ははずされておるわけでございますが、十カ年計画の大きな目標といたしまして九千二百億円の投資をするという大きな基本的な考え方の中の前期におきましては、三百五十億円という数字が組まれております。その中には、災害関連事業が入っておるわけでございます。
  144. 田中一

    ○田中一君 その災害関連事業というのは、改良部分というみなし方をしてもいいわけですよ、災害を受けた場合の。
  145. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 先ほどからお話がございましたように、公共土木施設の災害復旧事業国庫負担法におきましては、原則として原形復旧ということになっておるわけでございますが、さらに災害によって必要を生じた事業で、災害にかかった施設を原形復旧することが著しく困難または不適当な場合において、それにかわるべき必要な施設をすることを目的とするものは、災害復旧事業とみなされておりまして、その範囲におきましては原形復旧以上のものが入っておる場合もあるわけでございまして、この範囲においては、災害復旧事業として取り扱えるわけでございますが、さらに災害関連事業、このほかに必要なものにつきましては、先ほど申し上げましたように、災害復旧事業とあわせてやっておるという現状でございます。
  146. 田中一

    ○田中一君 でありますから、前期五カ年計画、後期五カ年計画には、災害を受けたものが、どれくらいあるという想定のもとに立っておるかというのですよ、関連事業三百何十億というものを持っておる中で。
  147. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) その数字を策定いたします際には、過去五カ年における実績等を勘案して策定しております。
  148. 田中一

    ○田中一君 そうすると、その数字は、統計によりまして、過去五カ年のものをあげたということですね。過去五カ年であげたところの数字より以上の災害があった場合には、どうしますか。
  149. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 過去五カ年の数字が、今後五カ年ないし十カ年の基礎となるという見通しのもとにやったわけでございますので、われわれはその数字が、一応われわれの信頼を受けるものと考えておるわけでございますが、それ以上のものがございました場合には、その際の必要性に応じて、私どもは措置すべきだと考えております。
  150. 田中一

    ○田中一君 それ以上の災害の場合は、どうでしょうか。
  151. 鮎川幸雄

    説明員(鮎川幸雄君) 先ほど申し上げました三百五十億円という数字は、大きな見通しの数字でございまして、その資金をもって措置するという確定したものではございませんので、またその三百五十億の資金の中には、災害関連事業以外のものの事業量も入っておるわけでございまして、従いまして、そういうのが出て参りました場合には、その必要性と実態に即して措置しなければならないというふうに考ええておるわけであります。
  152. 田中一

    ○田中一君 わかりました。そうすると、一応関連事業の面、いわゆる災害、これはもう災害復旧というものは原形復旧である。しかしながら改良部分を入れなければ、それは原形だけでは、災害を守り切れないということになるわけでありますが、その場合には関連事業費でもって、それを調達していく、足りないものは、適当な予算措置をいたしますと、こういう答弁で、そういう理解でいいのですね。
  153. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) ただいま河川局次長のお話の通りでございまして、閣議決定をいたしました治山治水十カ年計画、その前期五カ年では三千六百五十億円ということで、先ほどの三百五十億円は、計画の対象としては決定いたしておらないわけであります。の投資規模約四千億というのは、従いまして推定でございます。実際において実績を上回れば、当然四千億をこえるということになりますし、そういう予算措置をいたすということに考えております。
  154. 田中一

    ○田中一君 そこで、これは建設大臣に伺っておきますが、村上建設大臣のときから、次の橋本建設大臣に移りまして、治山治水十カ年計画、前期入力年計画の中で、砂防費は大体政府の原案よりも五カ年間百億円だけ増額しろという了解が成り立っておったのです。そこで、答申案——答申案といったって、答申案のすべての作文等は、これはどの場合でも、建設大臣の手元の機関が作成するわけなんです。河川局長が僕のところに持って来て、こういう弾力性を持たせるから、これでもって今までの申し合わせは一応のんでいただきたい。従って次年度から、どうでも変わるという前提で了解を求めて参りました。これはあなたになって早々の時分だと思いますが、この答申案が出たのは。私どもそういう理解をして、まああまりひなたに出ない砂防事業というものを、どうしても国土保全のためには前進させなければならないという気持を持っておったわけでありますが、これに対しては、何か前大臣から申し送りがあったかどうか、どういう工合に答申案というもの、そのものに対する理解をしていらっしゃるのか。
  155. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これは私も、そのときの話を受けついで承っております。従いまして一応、ああいうようなワクはきまっておりますが、現実の状況を見ながら、弾力性を持たせてやっていきたい、こう思っております。
  156. 田中一

    ○田中一君 宮崎君、あなたは非常に今度は、現場も歩き、非常な熱意を持って治水事業に対する関心が深まって、あなたが主計官になったために非常に大蔵省の理解度が深まったというように僕らも見ておるのですが、今建設大臣が言われるように、一応の計画であって、これを動くものであるというように、われわれは理解してよろしゅうございますね。
  157. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 建設大臣の御答弁の通りに了解いたします。
  158. 田中一

    ○田中一君 そこで、大体これも、私ども正直から聞いたわけじゃございませんけれども、あなた方の方からも、申し伝え——申し伝えというか情報、それが自民党の与党の諸君からの情勢で、砂防の補助率を高めようというような案が出ておったように聞いておるのです。直轄工事で四分の三にもっていくと同時に、補助工事も四分の三にもっていくというようなことを聞いておったのですが、その点は、三十六年度予算に出てないように思うのだが、どうですか。
  159. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実はその法律改正問題も、前の国会であったようでございますが、出時のいきさつを伺いますと、国会内に、いろいろ議論がありまして、流産をいたしておるようでございます。実は私ども、やはり法律を基礎に補助率を扱って参りますので、政府だけでは、どうにもできないような次第で、まだ懸案のままになっておるわけでございます。
  160. 田中一

    ○田中一君 この問題は政府の方でも、そういう改正案ができれば賛成でありますというような急患表示も内々あったようですが、それが安保騒動でもって、これが流産になったわけですが、まあ、いずれ、おそらく宮崎主計官は、この実態をよく知っているから、おそらく大蔵省内部でも、あまり強い反対もなさらぬと思いますから、さっそく与野党相談をして出すことにいたしたいと思います。  次に建設業法について伺っておきたいのですが、建設局ができ上がると、一体どういう課を作って、どういう仕事をしようとするのか、大体一つ説明をして下さい。
  161. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 官房長の方から。
  162. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 建政局が、設置法の改正が成立しますれば生まれるわけでございますが、この建政局の組織といたしましては、課の名称、所掌事務等、まだはっきりきまっておりませんけれども、大体課の数は六つぐらい考えております。局の仕事といたしましては、総合計画、長期計画の立案に関する仕事をやらせる。もちろん建設省所管事業に関するものに限るわけでございますが、それが一つと、それから川地対策、これは宅地対策も含めまして公共川地ももちろんですが、川地対策を扱わせるということが第二点でございます。第三点といたしましては、建設業者の監督育成、もちろんこの場合、海外建設協力の関係等もあわせて処理させます。あるいは前払い金の保証業務でありますとか、機械抵当に関するものとか、そういう建設業関係は主として取り扱わせたいと考えております。まあ簡単に申し上げますと、そういうことでございます。
  163. 田中一

    ○田中一君 この点再三申し上げておいたのですが、建設技能者が不足しておるということは、皆さん御承知の通りです。これを単に職業訓練法に基づいて労働省にだけまかしておくということだけでは済まないわけです。建政局を作るならば、その建政局の中に建設技能者の養成ということを入れなければならないのではないかと思う。公共職業訓練所で行なっておるところの技能者養成というものに対して、入所者が全くないのです。先だっても労働大臣はその点を認めて、そうして集中的な延段関係の労働者の訓練のセンターを二、三カ所作りたいと言っております。技能者が不足して一番困るのは建設省なのです。なぜもう少し熱意を入れないかという点です。どっちみち職業訓練所で訓練する技能程度というものは非常に低い、一般的なものなのです。大学を出た技術者は、建設省に入れば道路屋になったり河川屋になったりなんかするわけですけれども、やはり専門々々というものがあるわけです。  そこで、先ほど森中委員の質問に答えて、産業開発青年隊訓練の問題を言っておりましたが、今のような問題を建設省が取っ組んでいないのですが、私は今度の建政局ができれば、その問題を一つの大きな問題として一課が持たれるであろうという期待をしておった。  一体、日本の建設技術というものは、だれが教え込もうとするのか。それは大学等でもって高度の専門にやっている教育をしておりますけれども、技能そのものを持たせるということは、かっての親方、弟子という関係がなくなった今日の労働法のもとからいって、建設大臣は、それに無責任な態度をとることはいけないことですよ。建政局を作るならば、そこで重点を置いてやってもいいと思う。業者の問題を考える前に、いろいろ高度の、しいていえば技術です、それを単に法律上の職業訓練所だけにまかしておってはならぬと思うのです。  今、官房長から伺うと、そういう対策がなされておらぬように聞きました。長期計画の問題、用地対策の問題、建設業者の問題はやっておりますけれども、この点について、どういう態度をとっていこうとするか伺っておきます。
  164. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実はこの点は、田中さんからよく強調していただきました通り、私どもも非常に一番心配している点でございます。  従いまして、労働省にも公式に要請いたしまして、数カ所専門の建設業関係の職業訓練をやっていただく方向に進んでおります。ただ建設省自体のそういう職業訓練施設を持つべきかどうかについては、まだ若干検討を要すると思いまして、研究中でございます。なお、労働省の職業訓練だけでは、とうてい及びませんので、目下この建設業関係は、官房長が担当いたしておりますので、質材長等ともしばしば話をいたし、また官房長も熱心に建設業協会、土木工業会等に呼びかけて、実は民間養成——建設業協会それから土木工業協会等と建設省が相連携いたしまして、労働省がやってくれるよりも、こちらの方で大規模に一つ民間養成を考えたいということで、目下相談を具体的に進めておる段階でございます。  何とかいたしまして、この建設関係の下級技術者の充実をはかりたいと思いまして、いろいろ努力をいたしておるのでございますが、まだ不十分な点があるかと思いますから、一そう担当当局を督励いたしまして、力を入れて参りたいと思います。
  165. 田中一

    ○田中一君 海外に技術者を送ろうという産業開発青年隊などには、五千八百余万円の費用を計上しておる。建設業には、何に使うかこれから伺いますけれども、六百余万円の経費を計上している。一番必要な建設技能者の窓口すら持っていないということがあってはならないと思う。  そこで、この建設業の合理化対策として持っておる六百万円というのは、どういう形に金を使っていくか承わっておきます。
  166. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 建設業の合理化対策といたしまして、ただいま御指摘の六百余万円は、この内容説明にございますが、これはここにございますように、おもな使途は建設業者の指導監督の経費、事務的経費でございますが、それが一つと、それから建設業者の今後生産性を高めていくための基礎的な調査をする、これは府県を通じまして調査をするわけでございますが、その調査費、これがおもな経費でございます。
  167. 田中一

    ○田中一君 どうも漠然としておるのですが、これは時間がない、時間がないというから、内訳を一つ出して下さい。どういう形で使うのか。むろんこれは今建設委員会にかかっておる建設業法改正にも関係すると思いますけれども、もう少し腰を入れた技能者対策を持たなければならぬと思う。日本の技術は、そんなに低いものじゃないはずです。希望する者がありませんよ、現在もう、大工や左官になり手がなくなっているのですよ。それはやはり相当腰を入れて養成をしなければ、これはなくなってきますよ。一面機械化、機械化というけれども、機械化だけで事足りるものではないですよ。ことに建設工事においては、外国が使っておるような大型機械は全然使えるものではないんですよ。それはその現場に行って組み立てればいいが、道路一つ、大型の機械等を持っていく道路ができていないじゃないか。橋一つ満足に重量車が通れるようなものがございません。どこかでひっかかる。機械化によって合理化をするなんということは、今の段階では限界があるということです。  こういう点はもう少し、建設大臣都市出身の大臣なんだからおわかりになると思う。事務当局ばかりにまかせるだけではなくて、今度の建政局の設置には、必ずその問題は顔を出していただきたいということを長い間要請してきておるのです。その点、村上建設大臣も橋本建設大臣も、これは了承しておることなんです。だれがそんなことを言って、はずすのですか、大事なことを。官房長がそういうことを……、あなたは、だましてやっているのですか。この点は一つ、宮崎主計官に伺いますが、あなた一体、どう考えますか。
  168. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 建設業の現在実施しております莫大な工事量から見ましても、これは非常に重大な問題であろうと思います。  ただ、そういった事務的な予算経費というような問題と、それから具体的に打つべき施策というものとの関係から見て参りますと、非常に少い予算でいかんじゃないかというお話もございますけれども、これは御指摘のように特に最近非常に深刻な問題になっておることでございますので、一つ建設省の方で十分検討願いまして、適当な対策が出れば、私の方も予算的な措置を講じたいと思っております。
  169. 田中一

    ○田中一君 今、建設大臣は民間養成といっておりますけれども、民間養成は、戦後にやったのです。幾ら金をかけてやっても、たとえば大林組なら大林組で金をかけて技能者の訓練をやっても、高賃金でなければだめなんです。あまり賃金が低いので、よくなればやめていくのです。それを縛っておく契約も何もできません。  ところが、幾ら業界で教育しようと、業界は形だけは、なるほど建設大臣が言われるようにやるかもしれないけれども逃げていく。第一雇用が保障されていないから、全部日雇いなんですから、現場が終われば追い出される。せめては親方のところにくつ付いて、その間、賃金をもらわずに食わしてもらっている。仕事があれば、そこに行って、その手間の中から、前に食った食い扶持を払っていくというような、全く情ない立場に立っているのが建設労働者なんです。契約が全部日々雇用です。日雇いなんです。それがどんなことにせよ、業者がこれを教育しようとしても、できないということは経験済みなんですよ。業界だって同じなんですよ。賃金を保障されるものでもなければ、就労をそれで保障されるものでも何でもない。職業訓練を受けても、ほかの場合は、家庭工業的なものは割合いにいいのです。洋服屋さんとか、ブリキ屋さんなんか割りがいい。なぜなら材料持ちの仕事をやっておりますから、一つの労働者でありながら一つの企業者になれる場合もあるけれども、建築関係の職人というものは、道具箱かつげば、どこへでも行ける。失業保険もございません。健康保険だけは、漸く健保でもって守ってくれるくらいで、何もない。私は、これだけの大きな公共投資を行なって事業をしようというのに、末端のそういう技能者を忘れているところに、建設省は大きな行政的欠陥がある。業者に頼ったって、業者は自分のそろばんをはじいて、自分の持っている機械、自分の持っている職員の限度以外に仕事ができるものでない。私は今度の建政局の面で、その道は解決する、解決の糸口ができると考えておった。ところが、これだけ私が申し上げても、それをやろうという気にならないのですか。
  170. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実は、実際に不足しつあります現場から、いろいろな角度のところから分析して参りますと、建設業自体が、おそらく各企業のうちで旧態勢といいますか、そういう姿にある。これを近代化して、近代的な建設業の経営形態というものの行政指導を十分にやり、またいろいろな角度から研究しまして、建設業の近代化をはかる上から、人を吸収する上から非常に必要である。従って、そういう点も、同時にやっていきたいと思っておるのであります。  ただ、建設省が直接養成機関を持つことの是非につきましては、職業訓練労働省が担当しております現状から見て、直ちに私ども踏み切れないので、研究の課題にいたしておるという段階でございますが、その他の方法に関する限りにおきましては、幸い建政局ができましたら、今は官房長のもとにあります建設業関係のものを、そちらに移しまして、いろいろな角度から、建政局として一つしっかり施策を実行させるようにいたしたいという熱意は十分持っているのでありますが、なかなか方法は、どうも一服できく良薬が出てこないというようなことでありますから、いろいろな角度から、これは成果を上げるように進めていく必要があると思っておるようなわけでございます。
  171. 田中一

    ○田中一君 そうすると、官房長は、うそつきと言っては悪いが、今まであなたは、ちゃんとわれわれの社会党ばかりじゃないですよ。与野党ともに、そういうことを、速記には残らぬけれども、言明した時期があったはずです。せめて窓口を持つということです。課が持てなかったら、係でもいいですよ。まず窓口というものを持って、実態というものを調査して、実態調査なら百万くらいは金が出せるんじゃなかろうかということを聞いておりますけれども、その点はどうですか。
  172. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 建設技能労務者の問題は、御指摘の通り非常に重大な問題でございますので、すでに私どもといたしましては、建設業課が中心となりまして、ここが窓口となっておりまして、省内の各局の意向も十分聞きまして、労働省初め関係各省とも、いろいろ相談をいたしております。  その具体的なやり方といたしまして、先月でございましたが、労務対策協議会というものを、官房の建設業課が幹事役で設けまして、全国建設業協会その他土木工業協会等のおもな団体から、民間の識者をお願いいたしまして協議会を作って、現在広範な見地から、技能労務者の対策をいろいろ検討中でございまして、その点を先ほど来、大臣からもいろいろ申されたのでございますが、こういう仕事は建設省としましては、行く行くは、建築労務者等の一部につきましては、昨年制定されました施工技術検定の制度をさらに活用し、拡充していくということも考えられますし、それに相応ずるような訓練を、労働省が中心になってやるという現在の建前でございますけれども、むしろ労働省に私ども協力いたしまして、訓練養成については、一そう充実していくということを考えておるわけでございます。  で、施工技術検定は非常に希望者も多いし、来年度は、ますますその検定を受ける人がふえると思いますし、予算も、今年度に比べて若干ふやしておりますが、そういうわけでございまして、大臣の申されました建設業の経営そのものの近代化ということとあわせて、技能労務者の充実をはかる対策をいたしていきたいということを現在具体的に検討いたしております。
  173. 田中一

    ○田中一君 建設関係の労働者の志望者が少ないということは、何と言ったって賃金が安いからなんです。そして何ら社会保障の当然な保障も受けられないというところにあるのです。PWは一体どうなりますか。PWは、元の堀基準局長が本年度で廃法とするということを内々言明しておったのですが、最近は、どうも増額するからこのまま準用ですか、これを温存していくんだというようなことを言ってるようです。これは一昨年でしたか、他の局長に伺って、PWというものを知らないという局長ばかり多くて、びっくりしたんですが、これはあらためて、そのような質問はしません。ただ宮崎主計官に申し上げますがね、PWが、どこまであなたの方の基礎数字になっておるんでしょう。あなたの方で予算を、建築でも土木でも、貸金、労銀の基礎数字になっておるんでしょう。これは全然そういうものは、PWというものは使っておりませんか。これは、ただ単に臨時とか失対とか、臨職といいましたかな、これらの者に対する基準の賃金であって、一般の建設その他をやっている者には使っておらぬということなんでしょうか、その点を一つ。
  174. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 一般職種別賃金は、現在、御承知のように国が直接雇用する労務者について適用されておりますが、国が直接やります直営事業につきまして適用いたす一般の公共事業は、御承知のように、補助事業が大部分でございまして、直営事業につきましても、請負の事業が大部分でございます。  こういうものにつきましては、法律の適用はないわけでございます。予算上、これをどういうふうに扱っておるかといいますと、ただいま御指摘のように、失業対策事業、臨時就労対策事業特別失業対策事業につきましては、賃金単価そのものは、予算の積算になりますので、政府といたしまして、現在こういった統計資料に基づく賃金というものは、これしかございません。PWをいろいろの積算の基礎にいたしております。公共事業なり一般の事業でございますと、先生御承知の通り、大体合成単価を使っていて、たとえば舗装一平米幾らである、あるいは土量どれだけ幾らでやるとかいうようなやり方でやっておりますので、通常は、前年度の実績単価をもっていたすということが予算の積算の場合の通例でございます。実際の実行に当たりますと、予算が成立いたしましたあとで、公共事業におきましては予算実施計画というものを作りまして、その際に、必要があれば単価を修正をいたす、こういうやり方で運営いたしております。
  175. 田中一

    ○田中一君 営繕局長に伺いますが、営繕局では、あなたの方で出す仕事の賃金の単価は、PWを基礎として使っておるか、いないか。
  176. 櫻井良雄

    政府委員(櫻井良雄君) 営繕局の工事は、すべて請負でございまして、今、宮崎主計官から話がありましたように、いわゆる複合単価、材料込みあるいは作業の量についての単価を記載してございまして、賃金そのものを記載した内訳は現在使っておりません。しかしながら、さらにその内訳をこまかくやりまして、複合の単価を調べたりいたしますときは、実際の賃金はもちろん調べまして、それに基づいて調査をいたしておりますけれども、そのものは使っておりません。単なる参考といたす程度にとどめておりまして、使ってはおりません。
  177. 田中一

    ○田中一君 そうすると、頭金の一万円入札ですね——金額は。その内訳明細書は、むろんとりますね。その場合に、たとえば大工の手間は幾らというものになっておりますか。それも、そういうものを必要としないで複合の材料込みということになっておりますが、私は今までの見たものでは、これは大工の手間幾らというような計算で出ていると思いますが、これはどうなっておりますか。
  178. 櫻井良雄

    政府委員(櫻井良雄君) 木工事でありますと、木材何立方メーター当たり幾ら、大工の手間は一式幾ら——何人と書いてございません。一式幾らというふうにいたしております。
  179. 田中一

    ○田中一君 一式の内訳は、どうなっておりますか。
  180. 櫻井良雄

    政府委員(櫻井良雄君) 一式の内訳は書いてございませんが、計算いたします場合には、平方メートル当たり何人大工がかかるかということを計算いたしまして、それは統計によりまして、住宅は何人、鉄筋の場合は大工が何人、その何人に対して賃金が幾らということを乗じますと、一式の単価が出るわけでございますが、その場合、やはり単価なり大工の賃金というものが、計算の内容としては出てくるわけでございますけれども、その場合に実際の賃金をいわゆる物価版等によりまて調査をいたしまして、それを採用いたしております。PWというものがございますので、参考程度に見比べておる程度のことはいたしておりますが、使っておりません。
  181. 田中一

    ○田中一君 その場合には、PWの標準賃金が、どの辺に該当するような賃金が出て参りますか。
  182. 櫻井良雄

    政府委員(櫻井良雄君) PWには、御存じのように幅がございます。まあ職種によって違いますが、あるものはこの幅の一番上のところにくっつく程度のものもございます。はずれてしまうものもございますし、いろいろでございます。
  183. 武藤常介

    主査武藤常介君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  184. 武藤常介

    主査武藤常介君) それでは速記を始めて。
  185. 田中一

    ○田中一君 そうすると、このPWの標準賃金の最高よりも上になった例はございませんか。
  186. 櫻井良雄

    政府委員(櫻井良雄君) 物価版等を参考にいたしてやっておりますので、もちろん上限よりも高いものもございます。
  187. 田中一

    ○田中一君 宮崎君、労働大臣もこの点については考えると育っているのですが、今の傾向としては、PWの廃止ということは今の段階では考えられませんか。ただ、労働省ではこう言っているのです。何も、失対労働者に対する賃金の標準は、これで見てもいいけれども、一般の公共事業等の建設工事の手間の標準としてくれなければいいんだということを言っているのですが、その点は、あなたの今までの答弁ですと、やはりそれにこだわって、こだわるよりも、そこが基礎になっているように見受けられるのですが、その点はどうですか。
  188. 宮崎仁

    説明員(宮崎仁君) 一般職種別賃金とは、御存じの通り従来は、全政府事業についてきまったわけでございます。これを公共事業等について、直営事業だけにして、あとは適用しないというふうにいたしましたのは、実は私どもの方も、そういう主張をいたしまして労働省の方に改正をしていただいたような次第でございます。私は、運営といたしましては、このこういった公定賃金制度を、公共土木事業等に使う必要はないと思います。従いまして、現在も予算の積算上は、それは失業対策事業とか、こういう必要の範囲についてのみ、これを適用するという考え方でやっておるわけであります。  ただ、御承知のように、賃金の動向がどうなるかということは、これは経済指標として非常に重要なものでございますから、それについての信頼のおける適正な統計がなければならんということは御指摘の通りであろうと思います。従いまして、この現在あります法律そのものをどう扱うかということになりますと、これは私面接の問題ではございませんので、責任をもったことは申し上げられませんが、少なくとも公共事業に関する限りでは、こういうものを適用するというような考え方には立つ必要はない、こういうふうに考えております。
  189. 田中一

    ○田中一君 それじゃ建設共済の問題を、ちょっとせんだって大蔵大臣と、いろいろ質疑をした過程で得た結論を申し上げまして、一つ大臣はどうお考えになるか伺っておきたいのです。  まあいろいろ大蔵省としては給与課の全部の各共済組合の料率積算の基準があると、その基準でやってきたものであるそうです。そこで、これをどれもこれも一律の掛金にしようという考え方は持っておらぬと、その組合、その組合ごとの特殊性、その組合の自主的な係数の、安定した係数があるならば、それをもって料率とするということを言っているわけです。  それで、建設省の共済組合が、昨年運用審議会を経て千分の四十三という線を出してきた、十分に内容については検討をしたと、こういう答えです。そこでその資料を当委員会に、予算委員会に出すことを要求して、それで承知をいたしました、建設省で出してきたところの積算の資料を出す、そうして結果として大蔵大臣の弁明は、各共済組合それぞれの特殊事情があるし、まあ構成人員その他のいろんなファクターがございます。そこで基準は、どこまでも基準であるけれども、それぞれの組合で合理的な計算が新しく出たならば、どこでも変えますと、当然これは変えます、という答弁だったのです。それから今までの建設共済という、これは特別なものですから、ほかのものと違うわけですから、建設共済の料率の問題についての折衝は千分の四十三以外にはございませんと、私は官房長あたりから、ずいぶん聞いているのは、相当強く大蔵省の方とも折衝しているのだけれども、大蔵省がのまぬからという態度に出ておりますけれども、四十三以外の数字の折衝を受けたことはないかというと、過程において受けたことはある、けれども、これが建設省の恩恵でございますというのが千分の四十三だそうです。私これ、非常に意外に思ったのです。ああして各地方の地建を中心とする抗議と申しますか、地方団交と言いますか、そうした形の争議を繰り返している、この事態を、一応おさめなきゃならぬという気持で、私は努力して参ったのです。これはやはり、そこに不十分な理解の仕方があると、これはやはり感情的なものになってくる。幸い、一切今までの過去の問題は全部押えて、そうして押え切れないものは何かと申しますと、ああいう闘争を始めますと、地方の友誼団体が、これにのしかかってくるという傾向が労働運動その他に出て参っておりますから、そのために押えがきかなくなっているというのが実情らしいわけです。  従って、この問題をおさめるために、建設大臣がどういうお考えをもっているか。それから副本部長であるところの官房長は、どういう態度をもって臨もうとしているのか、いつごろ、これを一応おさめる形にしていくか伺っておきます。
  190. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 建設省共済組合の長期掛金の率の問題についてのお尋ねでございますが、ただいまお話のように、現行の率は千分の四十三にきまっております。ただ、この掛金の問題は、国家公務員共済組合法の法律の規定にもございますように、少なくとも五カ年以内に掛金を再計算しなければならぬということになっておりますので、私どもといたしましては、組合員の実態調査を、なるべく早い機会にいたしまして、その実態調査のデータに基づいて掛金の計算を新たにいたしてみたいと考えておりますが、実は実態調査をいたしますのに、やはり相当の日子を要しますので、今その調査の方法、様式等を練っておる段階でございまして、調査方法を確定いたしましたならば、組合員全体についての実態をなるべく早く調査いたして、それに基づきまして、所定の計算方法によって、計算を一つ新たにいたしてみたい、その結果が千分の四十三より少ない率になるか、あるいは四十三をこえる率になるか、これは何とも今申しかねるところでございまして、合理的な計算によって、少ない率が出ましたならば、もちろんその率によって現行の掛金率を改定するように大蔵省方面とも折衝いたしたい、かように考えております。
  191. 田中一

    ○田中一君 官房長、もう一ぺんただしておきますが、この調査と申しますか、計数の検討には、運審の委員も入れるわけでしょうね。
  192. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 私どもの考え方といたしましては、今後の掛金の再検討の問題は、むしろ運営審議会が中心になってやる。これは専門的に、事務的にまた合理的にむしろいたさなきやなりませんから、運営審議会の全員が共同の責任におきましてやって参りたい、かように考えております。
  193. 田中一

    ○田中一君 現在の委員を変えようなんて考え持っておらぬでしょうね、この段階で。
  194. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 現在の運営審議会の委員の皆さんは非常にまじめに熱心にやっていただいておりますので、これは大臣からお答えになるのが筋かと思いますが、私としては、更迭されることは全然希望いたしません。
  195. 田中一

    ○田中一君 これは大臣の所管のものじゃないでしょう。おかしいね、大臣は組合員じゃないですよ。大臣、組合員ですか。
  196. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 代表者で、しょっちゅう組合長としてサインしております。
  197. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 大臣は、共済組合の代表者でございまして、次官が本部長、私が刑本部長ということになっております。
  198. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ただいまの点につきまして、これは、ただいま官房長からお答え申し上げましたように、実は従来の資料に基づきましても、下げる可能性があるならば、そういたしたい気持はあったわけでございますが、現段階におきましては、新しい合理的の資料ができない限りは、長期掛金の率の千分の四十三を変更するということは不可能な状態でございまするので、私どもといたしましては、今その実態調査のやり方等について検討いたしておりますが、ぜひ失態調査をいたしまして、千分の四十三が妥当であるのか、あるいはそうでない、もっと変更されるべものであるか、これの基本的な資料を整えまして、資料の整え方といたしましては、今お答え申し上げましたように、運営審議会の諸君にも一つ全力をあげて御協力をいただきまして、そうして十分の資料を得て、結論を得ましたならば、大蔵当局とも協議をいたしまして、変更すべきものは変更するように、資料のない、これはっかみでは、とても話のできないことでございますから、あくまで合理的に、一つ一つ積み上げてやって参りたい。非常にめんうどな作業のようにも聞いておりますけれども、めんどうでも、この作業は今後やるようにいたしたい、こう思っております。
  199. 田中一

    ○田中一君 大臣御承知のように、昨年の三月に協定書ができ上がって、その線で、今日まできているわけなんです。これは公式か非公式か知らぬが、官応長は、昨年の三月協定というものは、これは破棄するというような一方的な通告をしたというようなことを聞いているんですが、そういう事実はございませんか。
  200. 鬼丸勝之

    政府委員(鬼丸勝之君) 昨年の三月の全建労との協定の内容のうち、今の共済組合長期掛金率の事項につきまして、一方的に破棄すると言った覚えはございません。
  201. 武藤常介

    主査武藤常介君) それでは建設省関係は、以上この程度にしておきまして、次に運輸省所管審議に入りたいと思います。  ちょっと速記をとめて。    午後五時六分速記中止    ————・————    午後五時三十一分速記開始
  202. 武藤常介

    主査武藤常介君) 速記を始めて。
  203. 森中守義

    ○森中守義君 議事進行。説明をいただく前に、木暮運輸大臣に、特に私はお尋ねしておきたい。  私の記憶では、今月の二十四日であったと思います。予算委員会の一般質問の続行中に、しかも会議が進行している中に、予算委員長に一言のお断わりもなく、退席をされた事実があります。そのために委員会は混乱をする、こういうことはあっていいものですか。従って私は、当然予算の本委員会のときに、当然この問題は、再度あなたに質問と思われたが、きょうはここで、そのことについて触れませんけれども、この委員会は、あなたを待つために、約三十分休憩しました委員会というものは、当局の出席を待つようなことはあまりない。私も各委員会に出ましたけれども、大臣あるいは総裁等の出席を、数十分にわたって待つような例はありません。それを、運輸委員会があっていたという特殊な事情等もありますが、そのことを、ここであえて責めようとは思いませんけれども、きょう、さらに明日、運輸省関係の分科会をするのですが、主査に黙って、中座をされるようなことはないでしょうか。
  204. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 先日不用意に、予算委員会におきまして、委員長の御承諾を得ずして、私が退席をいたしましたことによって、重大な予算委員会審議を、非常に混迷に陥れましたことについて、まことに申しわけない次第であると存じて、深くおわびを申し上げる次第でございます。  従いまして、今後は、委員長または主査の御了解を得なければ、退出するようなことは決していたさないつもりであります。
  205. 森中守義

    ○森中守義君 もう一つ……。
  206. 武藤常介

    主査武藤常介君) 森中君、簡単に願います。
  207. 森中守義

    ○森中守義君 もちろんそういうことが当然です。昨年あなたを、本院は、長年の議員ということで表彰いたしました。今私が、あなたにいろいろ国会の慣例やあるいは慣習等について、とやかく申し上げる筋合いはもちろんないわけです。三十数年という長い議員生活を、あなたはお持ちになっている。そういう運輸大臣が、委員会あるいは分科会等で委員長、主査に無断で席を立たれるということは、不用意とは私は思わない。一々言葉を取り上げて恐縮ですが、あのときの状況——参議院と衆議院との関係、こういうものから判断していくならば、不用意では絶対にない。あなたは、不用意で押し通すつもりですか。どこか隠れていたじゃないですか。それでよんどころなく、予算委員会委員長が休憩を宣言した。休憩を宣言すると同時に、衆議院の予算委員会室に入ったじゃないですか。あなたは不用意ということで逃げるつもりですか。言葉を訂正しなさい。不用意じゃない。計画的です。あなたがどう弁明されても、私はそう思う。私は衆議院の予算委員会のあのときの状況を思い浮かべてもらえばよくわかると思う。不用意じゃありません。ここでそのことを追及することが目的じゃありませんから、さらに言いませんけれども、今あなたは、無断で退出をするようなことはない、こう言われた以上は、明日まで、あした何時になろうとも、守ってもらいたい。またあなたにこの席から出て行ってもらっていいかどうかは、この委員会の審議の経過にもよるのだから、主査の方でも、大臣あるいは総裁が、この委員会を出るときには、全員に諮ってもらいたい。そうしなければ、分科会の審査はできませんよ。  特に、これは主査の方に、私は警告と同時に要望しておきます。    ——————————
  208. 武藤常介

    主査武藤常介君) それでは初めに、政府側説明を聴取いたします。
  209. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 昭和三十六年度運輸省関係の予算について、御説明申し上げます。  初めに、予算の規模について申し上げます。まず、一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は十九億三百六十七万円歳出予算総額は五百五十七億二千四百十八万二千円であります。今、昭和三十六年度歳出予算総額を前年度予算額に比較いたしますと、八十九億三千三百七十三万六千円の増額であり、一九%強の増加率を示しております。  これらの増加額の内訳を申し上げますと、行政部費系統におきまして、三十五億三千九百八十八万七千円の増額であり、公共事業費系統におきまして、五十三億九千三百八十四万九千円の増額となっております。このうちには、両系統を通じ定員二百六十人の純増が含まれております。なお、今申し上げました歳出予算総額のうちには、北海道港湾事業費等他省所管分、五十六億五千三百九万七千円が含まれております。  次に、特別会計について申し上げます。まず、木船再保険特別会計の歳入歳出予定額は前年度より若干増額され、三億五十六万四千円となり、自動車損害賠償責任再保険特別会計の歳入歳出予定額は、附保自動車の車両数の増加に対応し、前年度より約十三億円増額され五十三億三千三百七十四万二千円であります。また、昭和三十四年度より設置されました特定港湾施設工事特別会計を含め、新たに昭和三十六年度より港湾整備特別会計を設置いたしますが、この特別会計の歳入歳出予定総額は、定員二十六人の純増を含めて、三百二億六千百四十三万二千円となっております。  なお、このほか昭和三十六年度財政投融資計画中には、運輸省関係分として、約千四百十七億円が予定されております。  政府といたしましては、昭和三十六年度以降約十年間に国民総生産を倍増することを目標としており、当省におきましても、この趣旨に従い、海陸空を通ずる効率的な投資計画により、輸送力を飛躍的に拡充し、また、経済成長を阻害する災害、事故の発生を防止する等の措置を講じますとともに、さらには経済規模の拡大に伴う国際貿易の増加に対応し、国際収支の均衡を維持していくため、産業の対外競争力を強化し、貿易外輸出の振興に一そうの努力を続ける所存であります。  以上の趣旨によりまして、昭和三十六年度の予算におきましては、輸送力の増強、貿易外収支の改善と輸出の振興、交通安全及び海上保安の確保、防災態勢の強化並びに科学技術の振興等の諸施策に重点をおき、これらを積極的に推進することにいたしております。  以下、部門別に重点施策の要旨を御説明したいと存じます。  まず、海運関係について申し上げますが、おもな事項といたしましては、第一に、外航船舶建造融資利子補給に必要な経費として、八億三千六百二万三千円を計上しております。本制度は、外航船舶建造資金を融通する市中金融機関にたいする利子補給を行うことによりまして、海運企業の合理化に対する自主的努力と相まって、海運企業の金利負担を軽減し、海運企業の基盤を強化しますとともに これに国際競争力を賦与しようとするものでありますが、昭和三十六年度におきましては、さらに、第二として、外航船舶に対する日本開発銀行融資に対する利子補給に必要な経費として、千八百万円を計上しております。これによりまして、昭和三十六年度外航船舶の建造に融資された日本開発銀行資金につき、年一分五厘相当額の利子補給を行なう予定であります。なお、契約限度額としては、市中金融機関に対する分は、八億三千五十一万円であり、日本開発銀行に対する分は、九億六千二百三十九万三千円を計上しております。  第三に、外航船舶の建造及び主機換装に必要な資金として日本開発銀行よりの融資、百五十億円を予定しております。これによりまして、昭和三十六年度においては、拡大するわが国の貿易規模に即応した外航船腹の整備をはかるため、約二十五万総トンの建造を行なうとともに主機換装を行なう予定であります。  第四に、戦時標準船処理対策に必要な資金として財政融資、十五億円を予定しております。この資金は、昨年十二月からの戦時標準船に対する検査強化に伴い、航行に耐えられない状況に立ち至っている船舶に対し、代替建造を行なうために必要な資金であります。この代替建造につきましては、これら戦慄船の船主が中小企業者であり、資金調達の困難なものが多い現状にかんがみ、国内旅客船公団を改組し、これとの共有方式により公団持ち分七割、船主持ち分三割として代替建造を実施するとともに、金融ベースによる建造の可能な船主については、日本開発銀行の融資によらしめることとしております。今、申し上げました十五億円のうち、公団が、資金運用部資金よりうける融資額は、八億円であり、日本開発銀行よりの融資額は、七億円となっております。  第五に、三国間輸送の拡充に必要な経費として、四億六千万円を計上しております。これにより、前年度に引き続き三国間輸送を促進して、わが国海運の発展と外貨の獲得をはかりたいと存じます。  第六に、移住船の運航費補助に必要な経費として、一億四百五十一万円を計上しております。これによりまして、わが国の移住計画に基づく移住者輸送の円滑な遂行をはかりたいと存じます。  第七に、国内旅客船公団に必要な資金として資金運用部資金よりの融資、七億円を予定しておりますが、昭和三十六年度におきましては、同公団は、約四十隻四千五百総トン程度の国内旅客船の建改造を実施する予定であります。  次に、船舶関係について申し上げます。  第一に、船舶検査体制の整備に必要な経費として、二千三百二十四万七千円を計上しております。これによりまして、検査対象船舶の増加及び船舶建造技術の進歩に伴う検査内容の複雑化に対処し、検査体制の整備をはかりたいと存じます。なお、これがため検査官三十人の増員を予定しております。  第二に、中小型鋼船造船業の合理化に必要な経費として、五百五十万二千円を計上しておりますが、中小型造船業の技術の向上をはかるため、標準船型の設計及び技術相談所の設置等を行なう所存でございます。  次に、船員関係としましては、船員雇用厚生対策の強化に必要な経費として、二千九百四十九万五千円を計上しております。このうち二千五百万円は、国内における船員厚生施設を整備する公益法人に対して、その整備費を補助する経費であります。残額の四百四十九万五千円は、戦時標準船解撤に伴う失業船員の雇用を促進するため、船員職業安定所の強化及び日本船員の外国進出等の措置を講ずるに必要な経費であります。  港湾関係といたしましては第一に、国民所得倍増計画に対応する港湾整備事業促進に必要な経費として、百六十八億百十四万二千円を計上しておりますが、このうち一般会計より、次に申し上げます特別会計への繰入金、百六十億二千九百万円が含まれております。国民所得倍増計画に基づき貿易量の伸長、工業生産の拡大及び国土開発の進展に対応して、緊急かつ計画的に港湾を整備する必要がありますので、「港湾整備緊急措置法」を制定する予定でございますが、これに基づき港湾整備五カ年計画を確立し、その上実施促進するため、新たに港湾整備特別会計を制定し、今までの特定港湾施設工事特別会計を含めて全面的に港湾整備事業の特別会計への繰り入れを行なう予定であります。  本特別会計は、特定港湾施設工事勘定及び港湾整備勘定に区分され、特定港湾施設工事の勘定の歳入歳出予定額は、八十三億五百六十一万一千円の規模をもちまして、輸出港湾として大阪港ほか二港、石油港湾として千葉港ほか二港、鉄鋼港湾として千葉港ほか十一港、石炭港湾として苫小牧港ほか八港について、港湾施設の緊急整備を行なう予定であります。また、港湾整備勘定の歳入歳出予定額は、二百十九億五千五百八十二万一千円の規模をもちまして、港湾改修事業として、京浜港ほか約三百港の整備を行なう予定であります。  第二に、港湾及び海岸防災事業推進に必要な経費として、九十七億九千三百五十八万六千円を一般会計に計上しております。これによりまして、特別高潮対策事業、チリ地震津波対策事業伊勢湾高潮対策事業海岸防災施設の整備と港湾および海岸災害復旧促進する予定であります。  以上、申し上げました通り昭和三十六年度における港湾関係予算は、一般会計と特別会計を通じて、国庫の負担が前年度に比較して、四十六億七千百六十七万一千円の純増を予定しております。  なお、地方支分部局として、臨時に伊勢湾港湾建設部を新設することといたしております。  次に、鉄道関係としましては第一に、日本国有鉄道新線建設費補助に必要な経費として、三億八百七十五万円を計上しております。これによりまして、昭和三十五年度新線建設費相当額の借入金に対する利子支払額を日本国有鉄道に対して補助する予定であります。  第二に都市高速鉄道建設促進に必要な資金として帝都高速度交通営団は八十五億円を、また、東京都、大阪市および名古屋市については、総額百三十九億円の財政資金の融資が予定されております。  次に、自動車関係について申し上げますと、第一に、自動車輸送態勢の確立に必要な経費として、二千百三十万三千円を計上しております。これによりまして、自動車輸送統計の統計機構の充実強化およびタクシー免許業務処理の体制の増強等をはかる所存であります。  第二に、自動車輸送秩序の確立と事故防止に必要な経費として、五百四十八万二千円を計上しておりますが、これによりまして、白タク、無免許トラックの取り締まり、自動車運送事業監査及び運転者実態調査等を実施する予定であります。  第三に、自動車検査登録機能の強化に必要な経費として、二億二千五百六十九万八千円を計上しております。これによりまして、激増の一途をたどる自動車車両数に対応し、検査登録要員六十五人の増員をはかるとともに、東京ほか十一カ所の車両検査場の拡張移設等を実施し、検査登録機能の強化をはかる予定であります。  航空関係の主な事項といたしましては、第一に、日本航空株式会社に対する出資として、産業投資特別会計中に三億円を計上しております。日本航空株式会社の国際競争力の強化のため前年度同様政府出資を行なうものであり、なお、これとともに、同社の発行する社債について、二十二億円を限度として債務保証を行なうことにしておまりす。  第二に、国際空港の整備に必要な経費として、十八億二千百四十万円を計上しております。このうち東京国際空港につきましては、十六億二千百四十万円と、他に国庫債務負担行為、五億一千九百万円を計上しております。これによりまして、滑走路の新設、ターミナル周辺の整備、エプロンの整備、通信施設整備及びターミナルビル増築分の買収等を実施する予定であります。また、大阪国際空港につきましては、二億円を計上しており、滑走路の新設および通信施設の整備実施する予定であります。  第三に、国内空港の整備に必要な経費として、八億六千五百六十万円を計上しております。これによりまして、既定空港としては広島空港外十一空港の整備を続行しますとともに、新規空港としては盛岡外四空港の整備に着手し、また鹿児島外六空港の追加改良整備を行なう予定であります。  第四に、国内航空聖業の助成に必要な経費として、二千万円を計上しております。前年度に引き続き、これによりまして全日本空輸株式会社等に対して乗員訓練経費の一部を補助して航空安全対策の一環といたしたい所存であります。  第五に、航空交通管制業務の整備強化に必要な経費として、一億六千四百四十四万四千円を計上しております。これによりまして、航空交通管制本部を移転し、施設の整備拡充を行なうとともに、管制の運用改善及び管制関係職員の待遇改善等の措置を推進いたす予定であります。  なお、航空交通管制本部の移転に必要な経費として、他に国庫債務負担行為、五千四百六十五万六千円が計上されております。  次に、観光関係について申し上げます。  第一に、日本観光協会に対する補助といたしまして、二億八千二百六十三万九千円を計上しております。これによりまして、日本観光協会の海外観光宣伝活動の整備充実をはかり、昭和三十六年度は、ロンドンおよびシドニーに海外事務所を新設しますとともに、海外宣伝資料作成費を増額し、海外観光客の積極的誘致を推進する所存であります。  第二に、ユースホステルの整備に必要な経費として、国立ユースホステルセンターの増設整備費三千百六十五万円、地方公共団体のユースホステル整備補助金四千七百五十万円を計上しております。これによりまして、前年度より建設しております国立ユースホステルセンターを増設整備し、国内及び国際ユースホステル大会の開催、内外青少年の交歓等の場とするとともに、地方公共団体の設置するユースホステルを前年度に引き続き整備する予定であります。  次に、海上保安関係について申し上げます。  第一に、海難救助体制と海上治安の強化に必要な経費として、七億七千二百五十八万六千円を計上しております。これによりまして、老朽巡視船艇を八隻代替建造しますとともに、鹿児島に航空基地の新設、第十管区海上保安本部の新設、巡視船の機動力と装備の強化および老朽通信施設の改良改修等を行なう予定であります。なお、巡視船の代船建造に必要な経費として、国庫債務負担行為二億八千八百万円を計上しております。  第二に、船舶航行の安全確保に関する体制の強化に必要な経費として、航路標識整備費九億円、水路業務の整備拡充に必要な経費、六千二百四十三万五千円を計上しております。これにより港湾整備に即応する港湾標識、電波標識、航路標識の自動化等を実施するとともに、水路業務につきましては、電子計算機、音響測深機、印刷機械等の整備及び海上磁気測量を実施する予定であります。  気象関係といたしましては、第一に、防災気象業務整備強化に必要な経費として、六億五千七百六十四万四千円を計上しております。これによりまして、函館、新潟に気象用レーダーの新設、東京湾に自動応答式無線ロボット装置の新設及び地震津波観測施設の整備等を実施し、台風および地震津波対策の強化をはかりますとともに、前年度に引き続き水理水害対策の気象業務、航空気象業務を整備し、さらに農業気象業務につきましては、山形県の残部および岩手県に対して新規実施する予定であります。  第二に、基礎的気象業務の整備強化に必要な経費として、九億八十五万七千円を計上しております。これによりまして、無線模写放送の整備、幹線専用線のテレタイプ化及び地方回線の無線化等を実施して、予報の精度向上、情報連絡の強化をはかりますとともに、近代風速計の整備により、観測業務の整備強化をはかり、また、気象庁本庁舎の新営の続行、金沢地方気象台ほか六官署の新営等により基礎的気象業務体制の整備を強化する予定であります。  次に科学技術関係について申し上げます。  第一に、科学技術応用試験研究補助金として五千五百万円を計上しております。これによりまして、次に申し上げます運輸技術研究所における試験研究と相待って、民間が分担する試験研究を促進し、運輸に関する技術の発達改善をはかる所存であります。なお、テーマは、特別研究として超高速優秀商船の建造に関する研究及び航空機の航行安全確保のための管制施設近代化に関する研究、一般研究として作業船の合理化に関する研究及び鉄道の高速化に関する研究等を予定しております。  第二に、運輸技術研究所の研究促進と研究施設の拡充強化に必要な経費として二億一千十一万二千円を計上しております。これによりまして、前年度に引き続き原子力船の開発研究を実施いたしますとともに、昭和三十六年度におきましては、新たに電子航法技術の研究に着手し、また、防災技術の研究、運輸機関の高速化近代化に関する研究等を実施し、各種輸送機関と施設の合理化、近代化及び防災強化をはかりたい所存であります。  最後に、航海訓練関係でありますが、第一に、遠洋航海の拡充に必要な経費として六千百三十七万六千円を計上しております。これによりまして、いまだ実施できない現状にありました商船高等学校航海科及び機関科の一部に対して遠洋航海を実施し、船舶実習の強化をはかる予定であります。  第二に、練習船進徳丸の代船建造に必要な経費として八千万円を計上しております。これによりまして、船令三十八年の老朽船であります練習船進徳丸の代船を昭和三十六年度より二カ年計画で建造いたす予定であります。なお、これがため、昭和三十六年度国庫債務負担行為五億九千八百八十万円を計上しております。  以上をもちまして、昭和三十六年度の運輸省関係の予算についての御説明を終わりますが、何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを御願い申し上げます。  次に、昭和三十六年度日本国有鉄道予算の概要につきまして御説明申し上げます。  昭和三十六年度の予算の編成にあたりまして、三十六年度は三十五年度の経済情勢の好況が引き続き持続するものと考えて収入、支出予算を組みました。また、日本国有鉄道の輸送力は年々増加する輸送需要に対応できず、現状でも国民の輸送需要をまかない切れない実情にあります。従って、所得倍増計画とも関連して考えますと、今後の経済発展の見通しから見て、日本国有鉄道の輸送力不足がその隘路とさえなるおそれがありますので、日本国有鉄道の輸送力増強をはかるように配慮いたしました。しかしながら、これに要します資金は莫大なものでありまして、これをすべて借入金でまかなう場合にはとうてい健全な経営を維持することができなくなりますので、極力経営の合理化に努めさせるとともに、外部資金をさらに増加して調達いたしますほかに、最小限度の運賃改定を行なうことによりまして、経営の基盤を確立しつつ輸送力の増強をはかり得るよう措置いたした次第であります。  収入支出予算につきまして、損益、資本及び工事の各勘定別に御説明申し上げます。  まず、損益勘定について申し上げます。収入におきましては、鉄道旅客輸送人員は、対前年度七五%増で五十三億一千万人、輸送人キロは一千二百七十六億人キロとして旅客収入二千五百七十五億円を見込み、また、鉄道貨物輸送トン数は、対前年度八・六%増で二億二百万トン、輸送トンキロ五百五十三億トンキロとして貨物収入一千九百五十八億円を見込んでおります。これらの旅、客、貨物輸送に要します列車キロは、四億八千八百万キロで、対曲年度五・九%増となっております。以上の旅、客、貨物の収入のほか、雑収入等を含めまして、収入合計は四千七百十七億円となっております。  次に、経営費について見ますと、人件費につきましては、三十五年五月の仲裁裁定実施による増額のほか、三十六年度の昇給と期末・将励手当、合計二・八九カ月分を見込みまして、給与の総額は一千五百十七億円といたしております。また、物件費につきましては、節約に特段の努力を払うことにいたしておりますが、おもなものといたしましては、動力費三百九十六億円、修繕費五百八十億円を見込んでおります。これらを合わせまして、経営費の総額は三千二百四十億円となっております。  以上の経営費のほかに、受託工事費四十億円、資本勘定へ繰り入れ一千百八億円、利子及び債務取り扱い諸費二百四十九億円、予備費八十億円を合わせまして、損益勘定の支出合計は四千七百十七億円となっております。  次に、資本勘定について申し上げます。収入といたしましては、先きほど申し上げました損益勘定から受け入れます一千百八億円のほか、不用施設等の売却による十七億円、鉄道債券六百十五億円、資金運用部等からの借入金三百八十一億円、合計二千百二十一億円を計上いたしております。  他方、支出といたしましては、このうち一千九百二十一億円を工事勘定に繰り入れ、借入金等の償還百九十五億円、帝都高速度交通営団への出資五億円を予定いたしております。  最後に、工事勘定について申し上げます。三十六年度は国民所得倍増計画に対応するため輸送力増強に重点を置き、東海道幹線増設工事推進するとともに、主要幹線の複線化、電化、電化されない区間のディーゼル化、さらには通勤輸送の混雑緩和、車両の増備等をはかるため、三十五年度に比して六百六十九億円増の一千九百二十一億円を計上いたしました。  以下、工事勘定の内容について御説明申し上げます。  まず、新線建設につきましては七十五億円を計上いたしております。  次に、東海道幹線増設につきましては、昭和三十四年度に着工してから三年目を迎え、工事も最盛期に入りますので、前年度より二百三十三億円を増額いたしまして、四百四十億円を計上し、幹線増設工事促進をはかり、東海道線の輸送の行き詰まりを早期に解消いたしたい考えであります。  次に、通勤輸送対策といたしましては、前年度より三十五億円増額し、東京付近五十八億円、大阪付近十八億円、電車増備百九十両、三十九億円、計百十三億円を計上いたし、輸送需要の増大に対応するとともに、混雑緩和をはかることにいたしました。  次に、幹線輸送力増強のために前年度より二百八億円増額いたしまして四百六十九億円を計上し、その能力の限界近くまで利用されており、輸送需要の増大に応じ切れなくなっている東北本線、北陸本線、上越線、中央本線、鹿児島本線等の輸送力を増強し、これら線区における輸送隘路をできるだけすみやかに解消することにいたしました。  次に、電化及び電車化につきましては、前年度より百二億円増額し、二百二十四億円を計上いたしまして、現在工事中の東北本線、常磐線、信越本線、北陸本線、山陽本線及び鹿児島本線の電化を促進するとともに、既電化区間の電車化を積極的に行ないまして、列車回数を増加し、サービスの改善と経営合理化をはかることといたしました。  以上のほか、ディーゼル化、諸施設の取かえ及び改良、総係費等を含めまして、支出合計は一千九百二十一億円となっております。これらに要します財源といたしましては、資本勘定から受け入れます一千九百二十一億円を充てることにいたしております。  以上御説明申し上げました日本国有鉄道の予算は、これに予定されました収入をあげ、予定工事計画を完遂するためには格段の努力が必要であろうと考えられますので、公共企業体としていま一そうの経営合理化をはかり、もってわが国経済の発展に資するように指導監督して参りたい考えであります。  以上、昭和三十六年度日本国有鉄道の予算につきまして御説明申し上げましたが、何とぞ御審議の上賛成下さるようにお願いいたします。(拍手)
  210. 武藤常介

    主査武藤常介君) ただいま大臣から御説明のありました運輸省関係予算に対する質疑は次回に行ないたいと思います。御異議はございませんか。   〔「異議なし」 呼ぶ者あり〕
  211. 武藤常介

    主査武藤常介君) 御異議ないと認めます。  次回は、明三十日午前十時より開会いたします。なお明日は本会議が開会されますので、本分科会は本会議と並行して審議を行ないたいと思います。御了承を願います。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時十八分散会