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森元治郎君 これは先ごろのイギリスの連邦首相会議で、この際、中共を国連に加盟さすべきだということの空気が大
へん強くて、どこの国とどこの国は賛成しそうだ、あそこは引っ張り込まなければならないというような、大
へん積極的な様相を示しました。それで、私は計算をしてみたのですが、もしあの当時のイギリス連邦首相会議の報道が確かだとすれば、総会において中共の加盟を審議するということをやらない、いわゆるたな上げということに賛成をするのが三十九票で、いや、これは問題にすべきだというのが三十八票になるようであります。わずか一票の差ぐらいで、大
へん接近しているような形勢であります。ことしの秋にうまく入るかどうかもわかりません。また、
アメリカも、今のところ、なかなかこれに応ずる様子がないので、両方の陣営でこの抱き込みをやるだろうと思います、猛烈な抱き込みを。ですから、これはにわかにいずれが勝つということもなかなか想像はできないが、いずれにしても加盟ということはあるようであります。あるように思われます。そこで、一つの仮定になりますが、
小坂外務大臣も、きょうの政治だけをやっているのが政治家ではないので、やはり加盟と承認の問題というのは関連するものであるから、これは大臣の政治家としての見通しと信念を伺えば足りるのでありますが、私は、もし国連に入ることが中共ができたとするならば、これは承認すべきだと思う。
日本は、これを中国の正統
政府として承認すべきだと思うが、どうかということであります。承認と加盟はこれは別なものだ、一方の解決は必然的に他方の解決を意味しないという議論があります。なかなか強いようであります。しかし、これはよく
考えてみると、二つの中国の下地を持った議論だと思います。
日本と台湾との平和条約締結の経緯と国連主義の建前からすれば、これは自民党
政府の言う国連中心の建前からすれば、国連で中国を代表する唯一の正統
政府は中共だと認められた場合には、これは中共を
日本は承認をして、
日本と台湾との条約はやめるべきだと思う。
日本と台湾の条約は、もう
小坂さんもよく御存じの
通り、条約というのは背景が大串であります。どうしてできたかという経緯は、なかなか条約の
解釈上大事であります。あのころは、もうダレスさんが飛んで来て、台湾と
日本が平和条約を結んでくれなければ、
講和条約というものもなかなか上院の方が通らない、一つやってくれということでありますが、翻ってみると、このダレスさんのお願いから九年もたっております。吉田さんはいやいやながら——私は、いやいやながらとはっきり言います、いやいやながらダレスさんに出したあの
書簡の意味というものも消えてしまって、台湾との条約に対する義理は果たしたと思う。そこで、最近これは自民党あるいはそれを支持する方面から流れる中共承認論、これは段階的であろうとも、中共承認論は、台湾は何らかの
形式で残るものだ、残すべきものだという潜在的な
考え方、あるいは割り切れないといいますか、そういう
考え方が残っているようであります。この点について伺いたい。ということは、近ごろだんだん中共問題が大きくなって参りますと、二つの中国のかわりに一つの中国、一つの台湾共和国あるいは国連の信託統治、中共の自治州、人民の投票によって自決をさすべきだというふうに、中共は国連に入れてもいいが、台湾は台湾として何らかの形に置いていこうという議論が、
日本のみならず、自由主義陣営の間にもたくさんあるのであります。これを伺いたいということは、池田さんが近く
アメリカに行かれて、ケネディ大統領とも御相談なさる。ところが、これまでと違って、
アメリカは、アジアの一員として、大国である——大国だそうである
日本の御意見を伺ってみたい、こういう態度でありますから、これはもう今から腹をきめてかからなければならない問題であります。
小坂外務大臣御一緒にいらっしゃると思うので、まずそちらさんの意見はどうだなどという恥さらしのことであっては、これは
日本のためにはならない。これはこうあるべきだ、こう言うだけであります。簡単に言えば、中共が国連に加盟の暁には、正統
政府としてこれは承認すべきである。承認しただけではだめであって、従来の
日本と台湾との条約は、これは国連中心主義の立場から、やはり
日本・台湾条約の限定条約という不可思議なる、異例なる条約をこの際直して、憲法九十八条にいわれるところの、確立された
国際法規による国の承認ということに持っていくべきであると思う。そこで、一つの中国、一つの台湾とか、先ほど申し上げたようないろいろな
考え方が最近多く出てきているので、これについて大臣の政治家としての腹を伺いたいと思います。