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1961-06-05 第38回国会 参議院 本会議 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年六月五日(月曜日)    午後二時四十四分開議   ————————————— 議事日程第三十三号  昭和三十六年六月五日   午前十時開議 第一 急傾斜地帯農業振興臨時措  置法等の一部を改正する法律案  (衆議院提出) 第二 愛知用水公団法の一部を改  正する法律案内閣提出衆議  院送付) 第三 農業基本法案内閣提出、  衆議院送付) 第四 所得に対する租税に関する  二重課税の回避及び脱税の防止  のための日本国政府シンガ  ポール自治政府との間の条約  の実施に伴う所得税法特例等  に関する法律案内閣提出、衆  議院送付) 第五 建設省設置法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院  送付) 第六 原子力損害賠償に関する  法律案内閣提出衆議院送  付) 第七 原子力損害賠償補償契約に  関する法律案内閣提出衆議  院送付) 第八 児童福祉法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送  付)   ————————————— ○本日の会議に付した案件  一、日程順序を変更して日程第八   を議題とすることの動議  一、日程順序を変更して日程第三   を議題とすることの動議  一、農林水産委員長解任決議案  一、日程第三 農業基本法案   —————————————
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。    ————————
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  岡三郎君外一名から、賛成者を得て、日程順序を変更して、日程第八を議題とすることの動議が提出されました。  よって本動議採決をいたします。  表決記名投票をもって行ないます。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  4. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) すみやかに御投票願います。(「反対」「賛成」と呼ぶ者あり)——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。  ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分以内に……(発言する者多く、議場騒然拍手)すみやかに御投票願います。——時間が参りますれば投票箱閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。(発言する者多し、拍手)——すみやかに御投票願います。——時間が参りますれば投票箱閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。——時間が参りますれば投票箱閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票を願います。  制限時間に達しました。(発言する者多く、議場騒然拍手投票箱閉鎖いたします。   〔投票箱閉鎖〕   〔議場騒然拍手、「議運を開け」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕
  5. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数       ……票   白色票       二十六票   青色票        ……票  よって……否決せられました。      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名      二十六名       大森 創造君    野上  元君       豊瀬 禎一君    千葉千代世君       山本伊三郎君    小柳  勇君       鶴園 哲夫君    横川 正市君       鈴木  強君    坂本  昭君       中村 順造君    松永 忠二君       占部 秀男君    森 元治郎君       鈴木  壽君    伊藤 顕道君       藤田  進君    亀田 得治君       加瀬  完君    阿具根 登君       大和 与一君    大倉 精一君       中田 吉雄君    光村 甚助君       米田  勲君    岡  三郎君     —————————————  反対者青色票氏名      百四十名       杉山 昌作君    村山 道雄君       谷口 慶吉君    森 八三一君       柏原 ヤス君    小平 芳平君       田中 清一君    加賀山之雄君       稲浦 鹿藏君    大泉 寛三君       大竹平八郎君    加藤 正人君       白木義一郎君    鈴木 恭一君       佐藤 芳男君    吉江 勝保君       奥 むめお君    常岡 一郎君       辻  武寿君    竹中 恒夫君       三木與吉郎君    苫米地英俊君       山本 米治君    佐藤 尚武君       近藤 鶴代君    村松 久義君       堀末  治君    藤野 繁雄君       北條 雋八君    太田 正孝君       笹森 順造君    黒川 武雄君       泉山 三六君    杉原 荒太君       野上  進君    山本  杉君       谷村 貞治君    天埜 良吉君       米田 正文君    鳥畠徳次郎君       岸田 幸雄君    北畠 教真君       金丸 冨夫君    川上 為治君       徳永 正利君    仲原 善一君       手島  栄君    大谷藤之助君       鍋島 直紹君    石谷 憲男君       増原 恵吉君    佐野  廣君       後藤 義隆君    中野 文門君       前田佳都男君    上原 正吉君       岩沢 忠恭君    武藤 常介君       野本 品吉君    小柳 牧衞君       宮澤 喜一君    谷口弥三郎君       杉浦 武雄君    新谷寅三郎君       西郷吉之助君    紅露 みつ君       木内 四郎君    石原幹市郎君       斎藤  昇君    吉武 恵市君       永野  護君    下條 康麿君       小林 英三君    寺尾  豊君       大野木秀次郎君    平井 太郎君       田中 茂穂君    柴田  栄君       江藤  智君    西田 信一君       林田 正治君    木島 義夫君       村上 春藏君    植垣弥一郎君       赤間 文三君    安部 清美君       堀本 宜実君    松村 秀逸君       松野 孝一君    井川 伊平君       塩見 俊二君    上林 忠次君       梶原 茂嘉君    高橋  衛君       高野 一夫君    河野 謙一君       横山 フク君    平島 敏夫君       館  哲二君    松平 勇雄君       小林 武治君    青柳 秀夫君       井上 清一君    加藤 武徳君       高橋進太郎君    古池 信三君       秋山俊一郎君    小山邦太郎君       安井  謙君    重宗 雄三君       堀木 鎌三君    郡  祐一君       草葉 隆圓君    一松 定吉君       青木 一男君    鹿島守之助君       津島 壽一君    野田 俊作君       大川 光三君    剱木 亨弘君       重政 庸徳君    西川甚五郎君       下村  定君    湯澤三千男君       井野 碩哉君    永末 英一君       基  政七君    田上 松衞君       田畑 金光君    片岡 文重君       相馬 助治君    向井 長年君       天田 勝正君    東   隆君       松浦 清一君    村尾 重雄君       中村 正雄君    曾禰  益君       赤松 常子君    棚橋 小虎君      ——————————
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 宮澤喜一君外一名から、賛成者を得て、日程順序を変更し、日程第三を議題とすることの動議歩提出されました。  よって本動議採決をいたします。  表決記名投票をもって行ないます。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  7. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。  ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。(拍手)——時間が参りますれば投票箱閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。——時間が参りますれば投票箱閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。  制限時間に達しました。投票箱閉鎖。   〔投票箱閉鎖
  8. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより開票いたします。投票参事計算させます。議場開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票計算
  9. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数     百九十九票   白色票      百三十七票   〔拍手〕   青色票       六十二票  よって本動議は可決せられました。      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名     百三十七名       牛田  寛君    村山 道雄君       谷口 慶吉君    森 八三一君       柏原 ヤス君    小平 芳平君       田中 清一君    櫻井 志郎君       加賀山之雄君    稲浦 鹿藏君       大泉 寛三君    加藤 正人君       白木義一郎君    鈴木 恭一君       佐藤 芳男君    吉江 勝保君       奥 むめお君    辻  武寿君       竹中 恒夫君    三木與吉郎君       苫米地英俊君    田中 啓一君       山本 米治君    佐藤 尚武君       天坊 裕彦君    近藤 鶴代君       村松 久義君    堀末  治君       藤野 繁雄君    北條 雋八君       太田 正孝君    笹森 順造君       黒川 武雄君    泉山 三六君       杉原 荒太君    野上  進君       山本  杉君    谷村 貞治君       天埜 良吉君    米田 正文君       鳥畠徳次郎君    岸田 幸雄君       北畠 教真君    金丸 冨夫君       川上 為治君    徳永 正利君       仲原 善一君    鈴木 万平君       手島  栄君    大谷藤之助君       鍋島 直紹君    石谷 憲男君       増原 恵吉君    佐野  廣君       後藤 義隆君    中野 文門君       前田佳都男君    上原 正吉君       岩沢 忠恭君    武藤 常介君       野本 品吉君    小柳 牧衞君       宮澤 喜一君    谷口弥三郎君       杉浦 武雄君    新谷寅三郎君       西郷吉之助君    木内 四郎君       石原幹市郎君    斎藤  昇君       吉武 恵市君    永野  護君       下條 康麿君    小林 英三君       田中 茂穂君    柴田  栄君       江藤  智君    西田 信一君       林田 正治君    木島 義夫君       村上 春藏君    鹿島 俊雄君       植垣弥一郎君    赤間 文三君       青田源太郎君    安部 清美君       堀本 宜実君    松村 秀逸君       松野 孝一君    井川 伊平君       塩見 俊二君    上林 忠次君       梶原 茂嘉君    高橋  衛君       高野 一夫君    河野 謙三君       横山 フク君    平島 敏夫君       館  哲二君    松平 勇雄君       小林 武治君    大谷 贇雄君       青柳 秀夫君    井上 清一君       加藤 武徳君    高橋進太郎君       小沢久太郎君    古池 信三君       秋山俊一郎君    安井  謙君       重宗 雄三君    堀木 鎌三君       郡  祐一君    草葉 隆圓君       一松 定吉君    青木 一男君       鹿島守之助君    津島 壽一君       剱木 亨弘君    重政 庸徳君       西川甚五郎君    湯澤三千男君       井野 碩哉君    植竹 春彦君       永末 英一君    基  政七君       田上 松衞君    田畑 金光君       相馬 助治君    向井 長年君       天田 勝正君    東   隆君       松浦 清一君    村尾 重雄君       曾禰  益君    赤松 常子君       棚橋 小虎君     —————————————  反対者青色票氏名     六十二名       大森 創造君    野上  元君       豊瀬 禎一君    千葉千代世君       山本伊三郎君    小柳  勇君       鶴園 哲夫君    横川 正市君       鈴木  強君    中村 順造君       松永 忠二君    占部 秀男君       森 元治郎君    鈴木  壽君       伊藤 顕道君    藤田  進君       亀田 得治君    加瀬  完君       阿具根 登君    大和 与一君       大倉 精一君    中田 吉雄君       荒木正三郎君    小酒井義男君       高田なほ子君    光村 甚助君       加藤シヅエ君    吉田 法晴君       木村禧八郎君    小林 孝平君       松澤 兼人君    岩間 正男君       野坂 參三君    須藤 五郎君       米田  勲君    大矢  正君       森中 守義君    北村  暢君       安田 敏雄君    藤田藤太郎君       相澤 重明君    木下 友敬君       平林  剛君    秋山 長造君       久保  等君    永岡 光治君       戸叶  武君    椿  繁夫君       矢嶋 三義君    成瀬 幡治君       岡  三郎君    佐多 忠隆君       田中  一君    重盛 壽治君       藤原 道子君    千葉  信君       近藤 信一君    羽生 三七君       内村 清次君    江田 三郎君       野溝  勝君    松本治一郎君    ─────・─────
  10. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第三、農業基本法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。(拍手)  参事に報告させます。    〔参事朗読
  11. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) お諮りいたします。  ただいま報告いたしました農林水産委員長解任決議案は、委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  12. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 過半数と認めます。よって農林水産委員長解任決議案亀田得治発議)を議題といたします。    ————————
  13. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 宮澤喜一君外一名から、賛成者を得て、本案議事における質疑討論その他の発言時間は、一人五分に制限することの動議が提出されました。  よって、この時間制限動議について採決をいたします。  表決記名投票をもって行ないます。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  14. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) すみやかに御投票願います。(「投票中だ」と呼ぶ者あり)——すみやかに御投票願います。——(「時間制限」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。  ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。(拍手、「何でもかんでも五分じゃないか」「議長、十分と言えば賛成しますよ」「五分じゃひどいよ」と呼ぶ者あり)時間が参りますれば投票箱閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。  制限時間に達しました。投票箱を閉じます。   〔投票箱閉鎖
  15. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより開票いたします。投票参事計算させます。議場開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票計算
  16. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数      二百三票   白色票       百四十票   青色票       六十三票  よって、本案議事における質疑討論その他の発言時間は、一人五分に制限することに決しました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名      百四十名       牛田  寛君    村山 道雄君       谷口 慶吉君    森 八三一君       田中 清一君    加賀山之雄君       稲浦 鹿藏君    大泉 寛三君       大竹平八郎君    加藤 正人君       白木義一郎君    鈴木 恭一君       佐藤 芳男君    吉江 勝保君       奥 むめお君    辻  武寿君       竹中 恒夫君    三木與吉郎君       苫米地英俊君    田中 啓一君       山本 米治君    佐藤 尚武君       天坊 裕彦君    近藤 鶴代君       村松 久義君    堀末  治君       藤野 繁雄君    村上 義一君       北條 雋八君    太田 正孝君       笹森 順造君    黒川 武雄君       杉原 荒太君    野上  進君       山本  杉君    谷村 貞治君       天埜 良吉君    米田 正文君       鳥畠徳次郎君    岸田 幸雄君       北畠 教真君    金丸 冨夫君       川上 為治君    徳永 正利君       仲原 善一君    鈴木 万平君       手島  栄君    大谷藤之助君       鍋島 直紹君    石谷 憲男君       増原 恵吉君    佐野  廣君       後藤 義隆君    中野 文門君       前田佳都男君    上原 正吉君       岩沢 忠恭君    武藤 常介君       野本 品吉君    小柳 牧衞君       宮澤 喜一君    谷口弥三郎君       杉浦 武雄君    新谷寅三郎君       西郷吉之助君    木内 四郎君       石原幹市郎君    斎藤  昇君       吉武 恵市君    永野  護君       下條 康麿君    林屋亀次郎君       小林 英三君    大野木秀次郎君       田中 茂穂君    柴田  栄君       江藤  智君    西田 信一君       林田 正治君    木島 義夫君       村上 春藏君    鹿島 俊雄君       植垣弥一郎君    赤間 文三君       青田源太郎君    安部 清美君       堀本 宜実君    松村 秀逸君       井川 伊平君    塩見 俊二君       上林 忠次君    梶原 茂嘉君       高橋  衛君    高野 一夫君       河野 謙三君    横山 フク君       平島 敏夫君    館  哲二君       松平 勇雄君    小林 武治君       大谷 贇雄君    青柳 秀夫君       井上 清一君    加藤 武徳君       高橋進太郎君    小沢久太郎君       古池 信三君    秋山俊一郎君       小山邦太郎君    安井  謙君       迫水 久常君    重宗 雄三君       堀木 鎌三君    郡  祐一君       草葉 隆圓君    一松 定吉君       鹿島守之助君    野田 俊作君       岡村文四郎君    剱木 亨弘君       重政 庸徳君    西川甚五郎君       湯澤三千男君    井野 碩哉君       植竹 春彦君    永末 英一君       基  政七君    田上 松衞君       田畑 金光君    片岡 文重君       相馬 助治君    向井 長年君       天田 勝正君    東   隆君       松浦 清一君    村尾 重雄君       曾禰  益君    山田 節男君       赤松 常子君    棚橋 小虎君     —————————————  反対者青色票氏名     六十三名       大森 創造君    野上  元君       豊瀬 禎一君    千葉千代世君       山本伊三郎君    小柳  勇君       鶴園 哲夫君    横川 正市君       鈴木  強君    中村 順造君       松永 忠二君    占部 秀男君       森 元治郎君    鈴木  壽君       伊藤 顕道君    藤田  進君       亀田 得治君    加瀬  完君       阿具根 登君    大和 与一君       大倉 精一君    中田 吉雄君       荒木正三郎君    小酒井義男君       高田なほ子君    光村 甚助君       加藤シヅエ君    清澤 俊英君       吉田 法晴君    木村禧八郎君       小林 孝平君    松澤 兼人君       岩間 正男君    野坂 參三君       須藤 五郎君    米田  勲君       大矢  正君    森中 守義君       北村  暢君    安田 敏雄君       藤田藤太郎君    相澤 重明君       木下 友敬君    平林  剛君       秋山 長造君    久保  等君       永岡 光治君    戸叶  武君       椿  繁夫君    矢嶋 三義君       成瀬 幡治君    岡  三郎君       佐多 忠隆君    田中  一君       重盛 壽治君    藤原 道子君       千葉  信君    近藤 信一君       羽生 三七君    内村 清次君       江田 三郎君    野溝  勝君       松本治一郎君    ─────・─────
  17. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより発議者趣旨説明を求めます。亀田得治君。   〔亀田得治登壇拍手
  18. 亀田得治

    亀田得治君 初めに決議案朗読いたします。  本院は、農林水産委員長藤野繁雄君 を委員長の職より解任する。  右決議する。(拍手)  簡単に趣旨説明を申し上げたいと存じます。  藤野委員長は、個人的にはまことにりっぱなお人柄であるということは、皆さんも御存じの通りであります。(拍手)平素は、宿舎におかれましても、植物をみずから植えられ、わずかの土地を使って農にいそしんでおられると聞いております。私たちは、こういう委員長を持っていることを、個人的には大へんうれしく思うのであります。ただしかし、残念なことには、今回の農業基本法案扱い方につきましては、私たち委員長のやり方に同意するわけに参らないのでございます。(拍手)  その第一点は、今回の審議にあたりまして、私たち社会党は、ぜひとも、これは重要な法案でありますから、中央公聴会、場合によっては参考人でもいいわけでありますが、ぜひこの手続だけはとるべきであると、こういうことを主張して参ったのであります。今までの本院における審議の前例から見ましても当然であります。今国会においては、農林水産委員会では森林二法を審議いたしましたが、その二法ですら、農林水産委員会では参考人を呼んで意見を聞いているのであります。しかるに、農民が重大な関心を持っているこの法案について、参考人をお呼びにならないで押し切ってしまうということは、はなはだ私は間違っていると考えます。(拍手)しかも、それが、日が十分ないということであれば別であります。今回の農基法に関する審議に関する議事につきましては、社会党は継続審議を主張しているわけですから、その点についての意見はなかなか合いませんでした。自民党の皆さんと、民社、同志会・無所属の皆さんが御相談をされて、審議の日をきめていかれたのであります。その自民党の皆さんがおきめになりました審議の日程、それを動かさないでも、この中央公聴会というものは持てる格好になっていたのであります。それにもかかわらず、なおかつ頑強に中央公聴会をお開きにならない。私は、藤野委員長のこれは個人的な意見でおやりになったものとは考えておりません。おそらくその背後には、自民党の皆さんの強引な圧力というものがかかっていたのではないかと思うのであります。(拍手)しかし、藤野委員長は自民党の委員長ではありません。国会の委員長なんでありますから、そのような圧力はやはり押えて、そうして開くべき中央公聴会は持っていく、こういうふうに出られるならば、個人的にもりっぱな藤野委員長は、公人としても大へん名声を博したであろうと、私は大へん残念に思っているのであります。  第二に申し上げたい点は、三十一日に農基法に関する質疑が打ち切られました。この質疑の打ち切りの仕方にも、私たちは納得できないものを感ずるのであります。三十一日午後、藤野委員長は、第二委員会室で農林水産委員会を開きましたが、その委員会の空気は、私が入ってみますると、異様な雰囲気に包まれておりました。
  19. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 亀田君、時間が超過しました。
  20. 亀田得治

    亀田得治君(続) そういうわけで、これは何か委員長と与党の理事が陰謀をたくらんでいるのではないか、こういうことを感じたのであります。そこで私は、委員長に、非常に委員会の空気がおかしいが、この質疑の途中で、あるいは質疑が終わった適当なときに、突然質疑打ち切りの動議等を出すことをしめし合わせているのではないか。農林水産委員会は、重要な農業基本法の審議のためには、われわれも押えるべきところは押えて、慎重に協議もし、審議も進めてきたのであります。たとい意見が違いましても、もし自民党の中でそのような考え方があるならば、委員長から事前にわれわれに、こういう意見が出ているがどうかということを諮ってもらいたい。こういうことを提言いたしたわけであります。(「時間だ」と呼ぶ者あり)いろいろそこで紛糾がありましたが、今おっしゃられたような、でかい声も出ましたが、しかし、委員長も、私の言うことがなるほどその通りだということで、そのときには納得されまして、後に理事会が持たれたのであります。その理事会でいろいろ聞きますると、やはり私が懸念していたようなことがあったのでありまして、私は、農林水産委員会の、本国会における各会派の、まじめな、ほんとうに中身の入った審議を尽くしてきたこの経過から見て、そのような陰謀がたくらまれたことは、はなはだ遺憾にたえないのであります。(拍手)これも藤野委員長の勝手な個人的な意見ではないでしょう。自民党の一つの国会対策としての圧力として、そのようなことが考えられたものと思います。  以上、私は、中央公聴会並びに三十一日における質疑打ち切りに関する委員長のとられた態度に対しまして遺憾の意を表するとともに、解任決議案の理由とする次第でございます。(拍手
  21. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 質疑の通告がございます。順次発言を許します。藤田進君。   〔藤田進君登壇拍手
  22. 藤田進

    藤田進君 私は、ただいま提案せられました亀田議員に対しまして、次の諸事項をただすものであります。  亀田議員は、皆様御承知の通り、ことに包容力を持ち、実にこういう解任決議案などというものに対しては興味のないはずの方であるのであります。にもかかわらず、きょうこの決議案を提案せられるということは、よくよくのことがなければならないと私は思うのであります。(拍手)ことに、数ある自民党議員の方々の中でも珍しいほど、藤野議員は平素りっぱであると私は聞いているのであります。私は公的なおつき合いは浅いのでございますが、しかし、今度のあげられました解任決議案の二つの点、第一は中央公聴会、ないし、それができなければ、せめて参考人だけでも呼びたいという、実に謙虚な、低姿勢な、この要求提案に対しても、あえてこれを行なわなかったということが第一の理由になっているのであります。第二の点は、ことに、世上俗な言葉で言えば、あき巣ねらいのように、野党の第一党がまだ出席していない間に、強行にこれを採決して本会議に回わすというようなことは、平素の藤野委員長としては私ども考えられないところであります。おそらくこの解任決議案に関しては、藤野さん、あなたは一身上の弁明をなさる必要があろうと思うし、私はそれを期待するのであります。ゆっくりと一つ一身上の弁明をお聞きし、かつまた、提案者への質疑に対してこれから御答弁があると思いますので、その上で私は賛否をきめたい。多くの議員の皆さんもそうだろうと思う。  そこで、まず提案者にお伺いをいたしますが、あなたがよくよくのこの気持で、ここに提案をせられ、賛同を求められている中の中央公聴会の点であります。事もあろうに藤野さんは、おそらく委員長の出身地は長崎であったろうと思います。一遇間ほど前の新聞に写真が出まして、農民は家屋敷を売りに出しても売れない悲惨な農業経済の実態が書かれておりました。私も農村の出身の一人といたしまして、全く涙とともにこれを読ましていただきました。それだけに、今度の農業基本法が漸次一般農民に浸透するにあたって、御承知のように非常なる問題があり、ある県では農業会の中心的な方々が、徹底的に、この池田内閣のもとにおける農業基本法はこれはけしからぬ、本来、自由民主党に味方をせられてこられた方々が、だんだんとそういう態度をとられつつあるのも、(「そんな事実はないよ」と呼ぶ者あり)ほんとに鹿児島では、ないかもしれませんが、(笑声)それ以外は実に悲惨な状態が出ているのであります。そのようなこの農基法をめぐる百般の議論に対して、ここで、わずか一日や二日をさいてでも、なぜ委員長は公聴会という手続をとらなかったのか、この点はもっと詳しく私は提案者にその前後の事情を承りたいのであります。ことに、農基法が衆議院におけるかような採決、最近とみに乱れつつある多数の力による、多数を頼む議会の運営、これが参議院にも漸次導入されつつあるようにも思われる。このような先駆をかって藤野委員長が、大きくわが国の民主主義、議会主義というものの一端を破壊するような行動をとったに至ったところの、もっとも根本的圧力は自民党与党からかかったとか、いろいろ聞きましたが、それのみでは私はまだ満足をいたさないのであります。(「そんなことないよ」と呼ぶ者あり)なければない事情を、また詳しくお伺いをいたしたいのであります。  さらにお伺いをいたしますが、この農基法、これがほんとうに、従来、参議院における予備審査を含む審査過程において、どういう日程と、どういう身の入った審議がなされたのか。ほんとうに、第一の点の公聴会、参考人を必要としないほど、機が熟していたのかどうかという点であります。その経過を十分一つ丁寧に誠意をもってお答えをいただきたいのであります。三十一日の日に強行に採決をされたということであります。この強行採決に対して、野党第一党の日本社会党委員は出席するいとまもないままに、押し切って、何でも議決をしたとか、しないとか、その点が……。(「出席したよ」と呼ぶ者あり)出席したという声もありますので、ほんとうの真相というものはどういうものであったのか、一つ詳しくお伺いをいたしたいのでございます。
  23. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 藤田君、時間が参りました。(「時間だ、時間だ。」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  24. 藤田進

    藤田進君(続) ヤジが多いと提案者に聞こえにくいと思いますので、どうぞお静かに。議長、注意して下さい。こうやかましくちゃ発言しにくい。  私は藤野委員長が就任された昨年、全会一致、藤野さんならりっぱであろうというので、今日平林文教委員長のように、実に慎重に、しかも不偏不党、公平忠実、憲法第五十八条がきめた役員にふさわしい行動をとられるであろう、国会法第十六条にきめている任務を完全に果たされるであろう、かように私どもは期待をいたしたのであります。しかし、平素、就任以来、藤野委員長がどういうこの農水委員会の運営をやってこられたか、これも参考までに、賛否をきめるについての一つの資料として……。
  25. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 藤田君、時間が参りました。
  26. 藤田進

    藤田進君(続) 一つお聞かせをいただきたいと存じます。  さらにお伺いをいたしますが、農水で理事会がこの三十一日の日に持たれて、その理事会における模様というものは、私どもの合点のいかないところなのであります。亀田提案者は、おそらく農水の理事でもあったろうと思うので、この間の事情を一つ詳しくお答えをいただきたいと思います。  私は質疑者でありまして、五分間という、私ども不賛成でありますが、制限があるようであります。答弁者はその制限はないと私は了解をいたしております。もし許されれば、私は御答弁によりましては再度質疑に立ちたいと思います。議長においてよろしくお取り計らいをいただきたいと思います。(拍手)   〔亀田得治登壇拍手
  27. 亀田得治

    亀田得治君 お答えいたします。ただいまの藤田議員の御質問は相当多岐にわたっていたわけでありますが、委員会の運営に関する点につきまして、まずお答えをいたします。  藤野委員長の平素の運営の仕方は、きわめて熱心の一語に尽きるのであります。(拍手)われわれ社会党の委員も、この点は大へん敬服いたしております。ただ少し、ときどき大きな声を出されるので、皆さんが迷惑をされる。欠点を言えばそういうところかと、ひそかに考えているのであります。ことに、社会党の委員の諸君は耳が音楽的にできているものですから、委員長の大きな声が質疑の途中に入りますと、せっかくの身の入った質疑がときどき途切れるような格好になることがある。これは、小林委員などが特に私にたびたび訴えられたことでありましで、それ以外に、藤野委員長のふだんの委員会の運営の仕方について、あまり不足を聞いたことはないのであります。そういう方でありまして、元来、藤野委員長は、先ほど、藤田議員も御存じのように、長崎の出身でございます。(「八百長はやめろ」と呼ぶ者あり)八百長とは何ですか。——藤野委員長は、明治十八年の四月に長崎県南高来郡国見町神代にお生まれになったのであります。カミシロというのは神代と書くのであります。私は、今回の重大な解任決議案を出すにあたりまして、やはり出身がどこであるか、こういう点をよく調べてかかりませんと、人を傷つけることにもなります。ところが、お生まれになったのが神代でありまして、なるほど藤野委員長の性格にふさわしい所でお生まれになったと思って、私は、はたせるかなと思って、これを見て感心したわけであります。長じまして、東京高等農学校を卒業されたのであります。現在の東京農業大学であります。卒業された後、まず長崎県の農業技手におなりになりまして、大いに役人としての門出が始まったわけであります。いろいろ経られまして、同県の産業組合連合会の会長——農民の皆さんから大へん御支持を受けられて、この要職におつきになったわけでございます。(「それと何の関係があるか」と呼ぶ者あり)非常に関係があるのでございます。やはり人間の経歴というものは、委員会の運営の仕方なり、そういうことにこれが全部関係してくるわけであります。終わりまで聞いていただきますと、なるほど藤田君の質問に対して亀田君はきわめて詳細に熱心に答えているということが御了承願えるわけであります。(拍手
  28. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 亀田君、時間が参りました。
  29. 亀田得治

    亀田得治君(続) そこで、さらに、藤野委員長は、その後、全国農業会の監事、これも農村にとっては大へん重要な役目であります。これにおつきになりました。家の光協会の理事、長崎県指導農業協同組合連合会会長、そのほかいろいろ歴任されまして、参議院議員に三回御当選になっておるわけでございます。こういうお方でありますから、平素の参議院農水委員会の運営につきましては、私たちは全く不足というものがなかったのでありまして、藤田議員の御了承を得たいと思うわけでございます。  しかるに、その委員長が、最初趣旨説明で簡単に申し上げましたように、公聴会を開かない。あるいは三十一日無理やりに質疑の打ち切りをした。なぜこういうことになったか、そこのもっと詳細な事情を説明せよ、こういう御質問のようでありますが……。
  30. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 亀田君……。(発言する者多し)
  31. 亀田得治

    亀田得治君(続) しかし、これはなかなかむずかしい点があるのでございまして、この事情につきましては、一番よく知っているのは自民党の櫻井理事以外にはなかろうと思うのであります。私の方は外から見たり聞いたりする程度でありますが、しかし、私に対する質問でありまするので、自分の感じている、あるいはこれに間違いないというような点だけを、一つ藤田議員に申し上げまして、お答えにかえたいと思うのであります。  元来、中央公聴会を今回の農基法で開く、この話というものは、最近に出たことではないのであります。農基法が衆議院から参議院に回わってきて、そのあと連休がございまして、九日−十日だったかもしれませんが、初めて私たちはこの農基法を取り上げました。
  32. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 亀田君、発言をやめて下さい。(発言する者多し)
  33. 亀田得治

    亀田得治君(続) このときから、公聴会というものは非常に大切な問題だからということで取り上げて参っておるのでございます。自民党の皆さんは、初め中央公聴会を考えていたのであります。自民党の皆さんが、九日過ぎごろから・自民党の皆さんの方から、たしか五月十九日だったと思いますが、十九日に中央公聴会をやりたいという提案がございました。それに対して社会党の亀田理事は、(笑声)農業基本法というものは地方の農民の皆さんの意見を十分聞く必要があるのではないか。(「その通り」と呼ぶ者あり)やはりそうなりますと、中央公聴会ももちろんやるべきであるが、地方公聴会も同時にやるべきではないか。しかも、衆議院におきましては、この地方公聴会を持つにあたりまして、大阪、福岡、仙台、札幌と、こういうようなところでおやりになったことは、皆さんも御存じの通りであります。で、社会党といたしましては、せっかく地方公聴会をやるのであれば、普通のそういう型通りのことではなしに、直接農民の皆さんの御意見を聞く。従ってまた、この法案に深い関心を持っておられる農業県にこれを持っていって、直接、働く農民の皆さんの御意見を聞くということが筋が通るのではないか、こういう提案をいたしたわけでございます。これは筋が通っているものですから、自民党の皆さんも、あるいは同志会の森さんや——森さんのごときは特に共鳴していただきました。あるいは千田さん……
  34. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 亀田君、時間が参りました。(「法律を守れ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然
  35. 亀田得治

    亀田得治君(続) 議長、ちょっと説明の途中ですから、説明が終わりましたらやめます。  そういうことで、結局、地方公聴会をやろう、こういうことに相なったのでございます。ただし、この地方公聴会をやる際に、この地方公聴会をやったからといって、中央公聴会を省略するという意味ではありませんよと、これは自民党の皆さんに強く念を押しておいた次第であります。(「法律を守れよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)そのときには、大体私といたしましては、中央公聴会は会期延長後に持たれるものと理解をしていたわけでございます。決してこれは、あとから、へ理屈を言っているのではないのでありまして、その晩は私は清水谷の宿舎に帰りました。江田書記長が秋田県に出かける晩でありましたが、公聴会のことはどうなったんかと、書記長から聞かれた。
  36. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 亀田君、発言をおやめ下さい。(「時間だ、時間だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然
  37. 亀田得治

    亀田得治君(続) 地方公聴会はただいま申し上げたようなことになりましたが、中央公聴会につきましては、あらためて考えるということになっているということを、江田さんに私は直接そのときに申し上げたくらいでございます。(「早くやめろ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)まあ静かに聞きなさい。——そういうわけでありまして、この中央公聴会委員長が開かない、こういうことは、会期延長前における私たちの約束を踏みにじっているものと私は感じておるのであります。もちろん、このことにつきましては、私と櫻井理事なり委員長との間で、紙に書いたような約束などをしているわけではございません。しかし、こういう点は理事会等では間々あることでありまして、一々国会の運営においてきまったことを紙に書いて判こを押すというようなことは、めったにないのであります。ここはお互いの理事会における紳士的な、まあ言わぬでもわかっているというようなこともいろいろありますし、そういうことでやってきているわけでございます。(「紳士的にやれ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)そういうようなわけで、私たちは、当然、この農基法が最終段階になれば、自民党さんの方から中央公聴会開催ということが、むしろ先方さんから出てくると考えておりました。しかるに、会期延長後、いかにこの点について要求いたしましても、一向にお取り上げにならなかったわけであります。私は大へん残念だと考えております。
  38. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 亀田君の降壇を命じます。
  39. 亀田得治

    亀田得治君(続) そういうわけでありまして、私は中央公聴会のことだけは、はなはだ遺憾に考えている次第でございます。
  40. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 降壇を命じます。(「やめろやめろ」「法律を守れ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然
  41. 亀田得治

    亀田得治君(続) この問題について決裂をいたしますときに、櫻井理事が私の宿舎にやって参りまして、こういう提案をいたしたことがございます。それはどういうことかといいますと、五月三十日の午前にしからば中央公聴会をやろうではないかと、こういう提案を櫻井理事が私にしてきたことがあります。
  42. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 亀田君の降壇を命じます。(「やめろやめろ」「下りろ下りろ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然
  43. 亀田得治

    亀田得治君(続) 私は、そこで私は申し上げたのであります。どうせ中央公聴会をおやりになるのであれば、これは半日だけやるというようなことではなしに、一日ゆっくりとっておやりになったらどうか、自民党の考えでは六月五日までに農業基本法を上げる、こういうふうに言っておるわけでありますが、あるいは三日、あるいは四日、こういう日に中央公聴会をやろうと思えばやれるのであります。しかるに、これをやらない。これは大へんおかしなことであります。ことに五月三十日という日は、各省の大臣を七人、委員会に呼びまして、基本法についての詳細な質疑をすることに相なっていた日でございます。この重要な三十日の午前にわざわざそういうことをやるということは絶対できないのでございます。〔「やめるやめろ」「懲罰だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然〕   —————————————
  44. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 大和与一君。   〔大和与一登壇拍手
  45. 大和与一

    大和与一君 私はただいまの決議案に対しまして、若干の質問をいたさんとするものであります。  ただいまの議長さんの亀田議員の答弁に対する取り扱いは、「何ぞそのもとを正さざる」、こういう言葉がありますように、今のこの瞬間のこういう内容について、議長がまるで本気になって青筋を立てて怒るということは、全く私は笑止千万であると思うのであります。従って、私はこの質問を通じて、国会全体の正常化、このために、そういうことを私は前提として質問をいたさんとするのであります。  実は二、三日前の日本経済新聞を見ますと、もとの鹿児島の気象台長がこういう文章を出している。それは、「鹿児島の市民の目の前に桜島という島が噴火をしている。その降灰のために農民がいつも困っている。それに対する救済策というか、なかなか十分に手が打てない。だから、もしもこの桜島が東京にあるとすれば、ちょうどこの国会から荻窪か阿佐ケ谷くらいのところにあるのである。そうなれば、おそらく国会議員も政府も黙って見ておれないであろう。」こういう痛烈な諷刺といいますか、こういう一文がありました。これは私は、何も鹿児島のことだけを言うのではないのです。そうでなくて、日本の民主主義がだんだんと知らぬ間にこわれてきて、そうして、そのために日本の政治が間違った方向に多数の暴力によってこわされていくのは大へんではないか。それが遠くにあると、思い及ばない、考えつかない、考えついても、これに対する適切な措置がうまくできない。これを私はおそれるのであります。ですから、単なる鹿児島の問題を言っているのじゃない。それと同じように、今回の、このただいま進行中の本会議も、お互いにこれが最も最善最高の形であるとは思っていない。それをしかし直すにはどうしたらいいか。直せないか。私は直せると思う。ここにおいて議長が、明断、決断をされて、そして十分に話し合いをして、この参議院においては衆議院と同じような間違いをしでかさない。あくまでも参議院の独立自主の建前に立って、十分に与野党が協力をして正常運営をしようではないか。この決断が議長にできれば、私はできると思う。(拍手)そういう大前提に立って質問をするのですが、亀田議員は、この前提に対してどのようにお考えになるか、第一に御質問いたします。  第二には、藤野委員長に対しては、先ほどもお話がありましたが、私も実は宿舎が同じで、一つ隣りの部屋であります。大へんりっぱな方で、奥さんもりっぱな、夫唱婦随であります。宿舎のみんなが敬愛おくあたわざるものがあります。でありますから、私は藤野委員長個人に対しては、何ともとやかく言いたくないのであります。しかし、先ほどもお話がありましたように、委員長個人の御所見ではなくて、やはり自由民主党なりあるいは政府なりの圧力が加わっている。もっともっと委員長としては審議を十二分にしたいと思っておられたのにできなかった。この点、私は、まことに衷情掬すべきものがあろうと拝察するわけであります。しかし、これから修正案が三つも出るようでありますが、そうなると、私はやはり委員長の運営についても、そんなに出るんだったら、まだまだ農林水産委員会で審議をもっともっとしなくちゃならぬ、まだまだ検討すべき内容を十二分に盛り込んでいるのではないか、この点が私は、不手ぎわとまではっきり言っていいかどうかわかりませんけれども、その点に対する亀田議員の、委員長の運営上のやり方について御所見を承りたいと思うのであります。また私は、むしろ亀田議員がこういう提案をされたのでありますから、それはやはり大前提を亀田議員もおそらく御理解をいただけるものと思うのであります。そうすると、亀田議員はここで国会正常化の全体的な大乗的な立場に立って、議長に対して積極的に、私はこの審議のこの提案の中身を通じて、議長に要請というか主張というか、具体的に、ぜひとも議長がりっぱな運営をしてくれるように、建言と申しますか、そういうことをされなければならないと思うのであります。そうなると、私は議長に対して一体何を言うかというと、第一には、やはり議長さんが、たびたびわが党からも申し上げておりますように、まず一つ党籍を離脱したらいいじゃないか、それをしないから、今までごたごたもたもたしているのだ。こんなりっぱな議長さんに対して、あるいは、ずる平であるとか、あるいは権謀術数がたくましいとか、まことに私としても不可解な言葉を吐く人がそこら辺にいるのじゃないか。これは私はまことに同情に値すると思うのであります。第二には、私は議長さんは、常任委員長を、これはやはり話し合いによってちゃんと公平に分ける。そういうことをしていなかったかというと、かつてそういう時代があったのだから、それがあたりまえの姿なんだから、私はそのようにやってちっとも自由民主党の諸君も、多数を持っているのだから、大きな襟度を持って、そうして大いに正々堂々とやろうじゃないか。これは私はやはり正常化のための一つの大きな姿でなければならないと思うのであります。  第三に、議長、副議長をこれまた与党が独占いたしておりますが、私は変則であると思うのであります。私は、副議長には野党から出すのが当然である、そして国会の参議院の運営が円満にいく。これまた私はたびたび議長に御注意申し上げ、要望申し上げておったところでありますが、これがされていない。こういう三つの大原則に対して、私は亀田議員がいかに議長に対してお取り次ぎをされるか、これがすなわち今回の、きょうの単なる藤野委員長の運営に対する解任の動議の内容ではなくて、むしろ院のこれからあと三日間を余すこの正常な姿、その中に正々堂々とやるならば、政防法なんかはやはり十分に審議しなければならぬから、そうめちゃはできない、こういう結論がおのずから物理的に生まれてこなければなりません。そういうことを考えるならば、私は亀田議員が……。
  46. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 大和君、時間です。
  47. 大和与一

    大和与一君(続) 議長に対してどのような御提案というか、御主張をなさるか、これをあわせて承りたいと思うのであります。  最後に私は、亀田議員にさらに質問したいことは、議長が、それでは一体、臨時国会をすぐに一カ月ぐらいやろうじゃないか、池田さんはアメリカに行きたいというのだが、こういった大事な法案をかかえておって、それが十分に慎重審議されないということは、まことに残念のきわみでございますから、池田さんに議長さんから、ぜひしばらく待ってもらいたい、全日本国民の要望にこたえるために、全日本国民のすみずみの意見を十分に聞くことこそ民主主義の原則であるから、そのデモクラシーの原則に従って、国民の声を聞こうじゃないか、そのために直ちに臨時国会を開いて、一カ月でも二カ月でもやろうじゃないか、こういう私は議長の決断がこれまたなされるべきであろうと思うのでありますが、その点、私は、亀田議員のそれに対する御所見を伺いたいと思うのであります。  こういういろいろな意見がございまして、私は藤野委員長に対しては、個人的にはとやかくありませんけれども、あくまでも、人間が個人的にりっぱであっても、私はやはり安保反対闘争と同じようにめちゃをやる、その結末はどうかというと、安保反対闘争の結末は、岸内閣の退陣、瓦壊であった。あるいはまた、警察官職務執行法あるいは小選挙区法案のあの強硬なやり方に対しては、まさに全国津々浦々からほうはいとして国民大衆の反対の声が起こって、ついに政府がみずから出した法案をみずからの手によって引き下げざるを得なかった。これが私はデモクラシーの一つのまた大きな鮮明の姿でなければならないと思うのであります。こういうことをあわせ考えまして、どうか亀田議員におかれましては、私の大前提、あわせて農林水産委員会の審議の内容、第三には、議長に対する痛切なるこの民主主義の大原則にのっとった国会正常化の姿を、一時間も一日も一瞬も早く建て直すための正常な発言に対する御意見を、十分承りたいと思うのであります。  以上で質問を終わります。(拍手)   〔亀田得治登壇拍手
  48. 亀田得治

    亀田得治君 答弁時間が五分というようなことは、私は正常な国会のあるべき姿ではないと思っております。そのために藤田議員の質問にも十分お答えができない。ただいま大和議員からきわめて広範な御質問をいただきまして、五分やそこらではとても私としては意を尽くせないのであります。この点は、一つ議長におかれましても、問題の性格上、御考慮をお願いいたしておきます。  いろいろ問題がたくさんございましたが、まず第一に議長にお願いしたいことは、ぜひ早い機会に臨時国会を召集してもらいたい。(「答弁々々」と呼ぶ者あり)答弁であります。臨時国会についての御意見を聞かれておるわけです。この農基法にこれがまた非常に関係があるのでございます。社会党は、この重要な法案を十分審議をして、農民の皆さんにもわかってもらう、そのためには時間をかける、こういうことを申し上げてきたわけであります。当然これは臨時国会ということに続くわけであります。自民党さんの方ではそれを押し切って、本日こういうふうに上程されていく、こうなっているのでありますが、ところが、御承知のように、農基法というものは実は中身がないのでありまして、先だって富山の地方聴聞会に出られた藤城さんという方が、聴聞会に行こうと思うたら、友人からとめられた。どうとめられたかといいますと、政府のあの基本法というものは、ありがたや節のようなもので、中身は何にもない、そんなとこへ忙しいのに行くなと、こう言われたというのであります。そういう性格も多分にこの基本法にはあるのでありまして、基本法だけでは仕事ができない。従って政府におかれましても、農地法の一部改正あるいは農協法の一部改正、こういったようなものもお出しになっておるわけでございます。これが成立しませんと、基本法に書かれている構造改革の問題にいたしましても進行しないわけでございます。ところが現在の情勢からいたしますと、幾ら周東農林大臣が衆議院で辣腕を発揮されましても、衆議院はちょっと通る情勢にはないわけであります。そういたしますと、結局、身のある方があとへ残るわけでありますから、私は農基法のごときものは、そういう立場からしても、一緒に臨時国会で、社会党が言うように御審議なさる、これははなはだ当を得たことではないかと思う。そういうわけで、この臨時国会というもみは、農基法がここで通っても通らぬでも、通ったとしてもあとへ中身のあるやつは残っている。そういうわけでありますから、松野議長さんにおかれましては、ぜひ一つ、この国会が八日に終わりました後には、臨時国会を早期に開いて、そうして農民のために必要な議論がまたそこでできるように、御努力のほどをお願いしたいのでありまして、この点につきまして私は大和議員と全く同感でございます。(拍手)  第二の問題は、議長は党籍を離れたらどうか。——重大なこれも御質問でございます。私は国会の正常化、農基法を審議するのに正常化の形で審議していく、これは大へん重要なことなんでございます。そういうことにも関係いたしておるわけでございます。そういうわけで、私は、この点について大和議員が、国会を荒れないように、話し合いの場として持っていけるように、そのためには野党第一党の社会党に副議長を渡す。けんかの好きな衆議院ですら社会党に副議長を渡しているのでございます。いわんや参議院——良識の府といわれる参議院におきまして、それくらいのことができないということはないのでございます。私は、この社会党に副議長を渡すということと、そうして議長、副議長が党籍を離れるということ、これは大へん、われわれの農基法案なり、あるいは一昨日自民党の皆さんがこちらの方に送ったと言われている政防法——ああいう形で送ったと言っても、ちょっとおかしいと思いますが、しかし、それはまたいずれかの機会に議論をすることにいたしまして、そういう問題につきまして、正常な形で審議を進めるためには、ぜひ私は——世論もこの二つの点は支持しておるのでありますから、(「そうだ」と呼ぶ者あり)私は、議長におきまして、議長がほんとうに発言時間を五分や、六分や、七分やと、こまかいことをおっしゃる前に、こういう点について英断をふるってみずから範をたれることを望むわけでございます。(拍手)まあこういうわけで、この点につきましても、私は、大和議員の御心配、御尽瘁になっておられる点と、全く意見をひとしくする次第でございます。
  49. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 時間が参りました。
  50. 亀田得治

    亀田得治君(続) そこで、時間が来たようでございますが、私はただいま議長に、国会正常化のための根本は何か、そんな五分や六分の問題ではないのだということをお願い申し上げた直後に、こういうことを言われますると、心臓の弱い私などはどきどきするのでございますが、しかし私は提案者でございまして、(「時間々々」と呼ぶ者あり)やはり私の提案に対しまして大和議員が心血を注いで御質問になりました。これに対して答えることこそが議員の義務ではないかと考えておるのでございます。そこで大和議員がおっしゃるのは、一体、農基法の審議を打ち切ってきたが、まだまだ審議すべき点がたくさんあるのではないか、どういうことなのか、その点をもう少し……藤田議員の答弁にもこれは関連するわけですが、もう少し明らかにしてほしいということでございました。お答えにをわかりやすく短くいたしたいと思います。(「時間ですよ、亀田さん」と呼ぶ者あり)  それは、農基法の審議にあたりまして、社会党がほんとうに中身のある審議をやろうと思ったことは、これは立場が違いましても、櫻井理事は今ちょっと退席されたようですが、農林大臣も十分これは御存じのはずでございます。抽象的な論議だけじゃなしに逐条審議もやろうじゃないかと、われわれ社会党の方から実は持ちかけてやったわけでございます。世上いろいろ新聞等の評判等も聞きますと、参議院はなかなかよく審議をした、こういうことが言われておる。これは社会党の私たちがそういうふうに実は持っていったわけなんです。ところが、いばるわけではございませんが、そこで、この逐条審議をするにいたしましても、本来ならば前文から始まりまして、第一条、第二条、第三条、第四条、第五条、第六条、第七条、第八条、農基法は三十条あるわけでございます。これを一つ一つやるのが逐条審議でございます。ところが、自民党さんの方では、それでは時間がかかり過ぎるから各車別にしてくれないか、こういうお話でございました。そこで、社会党といたしましては、そうなりますと、せっかく審議しようと思っても目が荒くなる、大事なことがこぼれるおそれがある。まあ、そういう場合には、森さんの御意見なんかもありまして、一通りやって、また初めに戻ってきたらいいではないか、こういうきわめて適切な御意見等があったわけでございます。そこで、社会党も雅量を示しまして、章別に一つ進めようということで、逐条審議が始まったわけでございます。ところが、なかなか実際にやってみますると、農民の皆さんの重大な関心を持っている法案でありますから、簡単にはいかないのでございます。たとえば第一条の、他産業の者と農民の生活を均衡させる、こういうような話が、まず逐条審議の当初に小林委員から質疑がされました。これを一日やりましたけれども、結局は、はっきりしないのであります。農業従事者の生活を他産業の勤労者と均衡させるといいましても、他産業のどこと一体つり合いをとるのかということがはっきりしなければ、法律の目標というものは初めからぼけてしまうのでございます。これは、われわれ社会党としてはきわめて重大なことでありまして、何回もこれは、江田書記長の総括質問、私の最後の質問等でも、総理、農林大臣等にお聞きしましたが、いまだに明らかになっておらないのでございます。
  51. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 亀田君、時間が参りました。
  52. 亀田得治

    亀田得治君(続) こういう点は、一つの例でございまして、たくさんほかにもあるのでございます。そうして——議長の御注意でありますから、議長の御注意でありますから、簡単に一つ結論をつけるようにいたします。(「時間だ」と呼ぶ者あり)いや、晴間が参ったようでありますから、簡単に結論をつけるようにいたします。質問者には気の毒でございますが、簡単に結論をつけるようにいたします。  そこで、私が今申し上げましたのは、これは一例でございまして、こういうことは、二条にも、三条にも、四条にも、五条にも、六条にも、七条にも、ことに、第十一条というようなのは、これは農産物の価格の問題を扱った条章でありまして、きわめてこれはまた重要な個所でありますが、これが明確にいつまでたってもなりません。従いまして——私はもう終わりたいと思いますが、従いまして、この審議が一応打ち切られて、そうして六月の一日には附帯決議を何とかしようじゃないかと、こういうお話が各会派から上がって参ったのでございます。この一事をもってしても、まだまだ問題があることはおわかりでしょう。私は、あの附帯決議の案が最初出されたときに、項目別に見ますと二十幾つあったように記憶するのでございます。二十何項目の附帯決議をつけなければわからないような、そういう農業基本法であれば、これはやはり、もっと審議をして、そうして十分いいものにするのがほんとうではないかと思うのでございます。(拍手)まあ、そういうわけでありまして、なかなか問題はまだまだ尽きておらないのでございます。しかし、大体時間がちょっと超過したようでありますから、また農基法に関する本格的な議題になりました際に十分申し上げることにいたしまして、質問者に対しては、まことにふつつかな、不満足な答弁でございますが、これをもって一応私の答弁を終わりたいと思います。(拍手)    ————————
  53. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 宮澤喜一君外一名から、成規の賛成者を得て、質疑終局の動議が提出されました。  これより本動議採決をいたします。  本動議表決記名投票をもって行ないます。一本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  54. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御静粛に……。すみやかに御投票願います。——私語を禁じます。静粛に。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。  ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。——時間が参りますれば投票箱閉鎖いたします。——すみやかに御投票を願います。——すみやかに投票を願います。  制限時間に達しました。投票箱閉鎖。   〔投票箱閉鎖
  55. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより開票いたします。投票参事計算させます。議場開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票計算
  56. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数     百九十八票   白色票      百三十五票   青色票       六十三票  よって質疑は終局することに決しました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名      百三十五名       杉山 昌作君    牛田  寛君       村山 道雄君    谷口 慶吉君       森 八三一君    小平 芳平君       田中 清一君    櫻井 志郎君       加賀山之雄君    稲浦 鹿藏君       大泉 寛三君    大竹平八郎君       加藤 正人君    白木義一郎君       鈴木 恭一君    白井  勇君       吉江 勝保君    奥 むめお君       常岡 一郎君    辻  武寿君       三木與吉郎君    苫米地英俊君       田中  啓一君    山本 米治君       高瀬荘太郎君    佐藤 尚武君       天坊 裕彦君    近藤 鶴代君       村松 久義君    藤野 繁雄君       太田 正孝君    笹森 順造君       黒川 武雄君    泉山 三六君       杉原 荒太君    野上  進君       山本  杉君    谷村 貞治君       天埜 良吉君    米田 正文君       鳥畠徳次郎君    岸田 幸雄君       北畠 教真君    金丸 冨夫君       川上 為治君    徳永 正利君       鈴木 万平君    手島  栄君       大谷藤之助君    鍋島 直紹君       石谷 憲男君    増原 恵吉君       山本 利壽君    佐野  廣君       後藤 義隆君    中野 文門君       前田佳都男君    上原 正吉君       岩沢 忠恭君    岡崎 真一君       武藤 常介君    野本 品吉君       小柳 牧衞君    宮澤 喜一君       谷口弥三郎君    杉浦 武雄君       新谷寅三郎君    西郷吉之助君       紅露 みつ君    木内 四郎君       石原幹市郎君    斎藤  昇君       吉武 恵市君    永野  護君       林屋亀次郎君    小林 英三君       寺尾  豊君    大野木秀次郎君       田中 茂穂君    柴田  栄君       江藤  智君    西田 信一君       林田 正治君    木島 義夫君       村上 春藏君    鹿島 俊雄君       植垣弥一郎君    赤間 文三君       青田源太郎君    安部 清美君       堀本 宜実君    井川 伊平君       上林 忠次君    梶原 茂嘉君       高橋  衛君    河野 謙三君       横山 フク君    平島 敏夫君       館  哲二君    松平 勇雄君       大谷 贇雄君    青柳 秀夫君       井上 清一君    加藤 武徳君       高橋進太郎君    小沢久太郎君       古池 信三君    秋山俊一郎君       小山邦太郎君    安井  謙君       木暮武太夫君    堀木 鎌三君       郡  祐一君    草葉 隆圓君       津島 壽一君    野田 俊作君       岡村文四郎君    剱木 亨弘君       重政 庸徳君    西川甚五郎君       湯澤三千男君    植竹 春彦君       永末 英一君    基  政七君       田上 松衞君    田畑 金光君       相馬 助治君    向井 長年君       天田 勝正君    東   隆君       松浦 清一君    村尾 重雄君       中村 正雄君    山田 節男君       棚橋 小虎君     —————————————  反対者青色票氏名      六十三名       大森 創造君    野上  元君       豊瀬 禎一君    千葉千代世君       山本伊三郎君    武内 五郎君       小柳  勇君    鶴園 哲夫君       横川 正市君    鈴木  強君       坂本  昭君    中村 順造君       松永 忠二君    占部 秀男君       鈴木  壽君    伊藤 顕道君       藤田  進君    亀田 得治君       加瀬  完君    阿具根 登君       大和 与一君    大倉 精一君       小笠原二三男君    中田 吉雄君       荒木正三郎君    小酒井義男君       高田なほ子君    光村 甚助君       加藤シヅエ君    清澤 俊英君       吉田 法晴君    木村禧八郎君       松澤 兼人君    岩間 正男君       須藤 五郎君    米田  勲君       大矢  正君    森中 守義君       北村  暢君    安田 敏雄君       藤田藤太郎君    相澤 重明君       木下 友敬君    平林  剛君       秋山 長造君    久保  等君       永岡 光治君    戸叶  武君       椿  繁夫君    矢嶋 三義君       成瀬 幡治君    岡  三郎君       佐多 忠隆君    田中  一君       重盛 壽治君    藤原 道子君       千葉  信君    近藤 信一君       羽生 三七君    内村 清次君       江田 三郎君    野溝  勝君       松本治一郎君      ——————————
  57. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。北村暢君。   〔北村暢君登壇拍手
  58. 北村暢

    北村暢君 私は、亀田議員提出の農林水産委員長解任決議案に対しまして、賛成討論を行ないたいと存じます。  藤野委員長は、私、本院に参りましてからずっと農林水産委員会に所属して参りましたが、その間、最初の年でしたか、藤野委員とともに院の視察に派遣をせられたことがございます。このときに、藤野委員とよく話をしましたが、長い議会生活の中で、私からいたしますならば親のような委員長でございます。この委員長が国政に情熱を傾けまして、私はとにかく議政壇上で倒れたい、それまで真に国会議員としての任務を尽くしたい、こういうふうに私に話されておりました。私は、さすがに藤野委員であるということで、実に感服をいたしておったのでございます。また、人柄からいたしましても、委員会における質疑等におきましても全くきちょうめんでございまして、かく先輩があるかと、私ども日ごろ尊敬をいたしておったのであります。この藤野委員長長年の間、農林関係に関係をして参り、農業団体に関係をして参り、そうして今日農政の危機の中において農林水産委員長として農業基本法の審議に当たるということについては、私は藤野委員長の心中を察しまするときに、委員長はこの基本法の審議に全身全霊を打ち込んで、男子の本懐と心得ておったのではないかと察するのであります。この委員長が有終の美を飾るべき最終の段階において、亀田議員が提出されました理由にもありますように、との法案の審議にあたって、中央の公聴会すらも開かなかった。こういうことは、このような重要法案について中央公聴会も持たないというようなことは前例のないことである。従って私どもは、質疑打ち切りのありましたのが二日でありますから、本日の五日まで、さらに会期は八日まであるのでありますから、十分公聴会を開く日程というものは組み得る、このように熱心に主張いたしたのでありますが、ついにいれられなかった。このことはやはり、この農業基本法という法律を提案するにあたって、また国会を通すにあたって、大きな汚点であったと私は思うのであります。しかも地方聴聞会等に私ども参りまして、私は長野県の聴聞会に、田中委員、仲原委員、森委員、棚橋委員と私の五名が聴聞会に参りました。その中でも公述人が言っておりますけれども、最後にこの法案について一体どのように考えておられるか、早く通した方がいいかどうかというような質問がなされたときに、非常に数多くの公述人が期せずして、この法案は農民のためには非常にむずかしい。実際に見てもわからないくらいである。しかも、農民の将来の生活なり日本の農業のあり方というものを決する重大な法案であるから、農業近代化資金、そういうようなものもほしい。しかしながら、この三百億の農業近代化資金も、一単協にすれば、これは二百万か二百五十万くらいしか来ない。従って、単協でいえば、近代化をするにも一区か二区に過ぎないであろう。そういうものに目がくらんで、何かしら基本法が通れば、それで、日本の農業、農民の生活というものがよくなるのだといったような錯覚に陥ることなく……
  59. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 北村君、時間が参りました。
  60. 北村暢

    北村暢君(続) 真に農民の意思を代表するならば、真剣に慎重審議をしてやるべきであるということを、多くの公述人が言われたのであります。私は、そういう意味からいたしましても、わが党のとって参りました継続審議の方針、審議の過程において、各委員熱心に論議をされましたけれども、亀田議員が報告されましたように、質疑に答弁されましたように、私どもは亀田委員を中心に委員長議事運営に心から協力して参ったつもりであります。そういう中で約束されておりましたのは、やはりこの法案は抽象的でありますから、具体的に意思をただすためには、逐条審議をやって、それを一通り終わったならば、また前へ戻って総則等をやるべきである、こういう理解のもとに審議を進めたのでありますけれども、しかしながら、第五章、第六章等においては、いまでに審議をしていない状態の中で、六月二日審議を打ち切られたのであります。
  61. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 北村君、時間が参りました。
  62. 北村暢

    北村暢君(続) このような点につきましては、私どもはまだまだこの基本法は審議が尽くされておらない、このような観点からして、真に農民のための基本法を制定するとするならば、委員長においてもっと慎重な態度がとられるべきであった、このように考えている次第でございます。  藤野委員長にいたしましてはまことに惜しい結末でございましたが、心ならずも私は藤野委員長の解任決議案賛成討論をすることは、まことに忍びないのでありますけれども、私は私情を捨てて、働く農民のことを思うがゆえに、今日この解任決議案賛成討論に立った次第でございます。この決議案に対しまして、私は、亀田委員から詳細に述べられましたから、私の賛成討論は簡単にいたしたいと思います。  これをもって私の解任決議案に対する賛成討論にいたします。(拍手)   —————————————
  63. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 清澤俊英君。   〔清澤俊英君登壇拍手
  64. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいま提案になっております、亀田得治君提出の藤野委員長解任の決議案に対しまして、私も実は反対したいと思いますが、どうも反対することができないのを遺憾に思います。  前の人たちがいろいろ藤野さんのお人柄について申し述べられておりますことは、私にも同感でありまして、何か一つ、ここで、みんながほめてだけおるものだから、悪いところを一つ探し出して、こっぴどくやっつけてやろうと先ほどから考えておりますが、それは藤野さんに合いませんです。(笑声)長い間、藤野さんとは、農林水産委員として、同僚として、温厚篤実、(笑声)しかも長老として多分の経験を持たれて、常に私は兄事している藤野さんを、とこで解任決議案動議賛成しなければならないことを悲しむのであります。と申しますのは、もう結論も出ているようでありますが、藤野さん自身は、そのおとなしいことが、このたびの災いをなしたのじゃないかと思う。一生をかけて、もう藤野さんにしてみましても、私にしてみましても、もう先は大ていきまっているのであります。有終の美を考えまするとき、自己の良心に従って、少なくとも農民のためにほんとうの自己を発揮することが、この際、藤野さんには全くとられるべきことじゃなかったかと思っております。本農業基本法を審議する際にもです、大体自民党の皆さんは、政府のお方々は、これは基本問題調査会を通じまして資料を提供して、一年にわたってこの研さんは進められているのであります。自民党の皆さんは、農政委員会とか、あるいは農業基本問題調査会とか、委員会とかというような特別機関を持って、政府と並行して長い間研究してきておられるのであります。従って、皆さんの考え方の中には、何ももう質問するものはないじゃないか、社会党はよけいなことをやっているじゃないか、というような考え方は強いかもしれませんが、われわれとしましても、少なくとも自民党の皆さん方や政府の皆さん方より前に、日本の農業の曲りかどをどうするか、これに対しては四カ年の研究を積んでおるのであります。従いまして、そういうものを中心にして、現在農村に行ってこの基本案を示して、どこがいいのか、どこがどうなるのかと聞きましたならば、一人としてその正否を判断し得る農民はないと思うのであります。(拍手)こういった状態にあります中、われわれ、この取り扱いにつきましては、最も慎重なる態度を堅持して参りました。ことに、これを審議する際には、初めの申し合わせとしましては、先ほどもしばしば申される通り、逐条審議でいくのだ、その際には関連質問等はやらせない、こういうような話もありましたが、小会派等の割合に質問時間等の制限せられることは不公平であるから、これらのものを、関連質問を十分許したらよかろう。あるいは、総理大臣に対する質問に対しましても、小会派のたった一人の議員に対しまして、総理大臣の出るたびにこれを許しておるのであります。こうやってわれわれは、少なくとも、この審議が最も公平に、最もその審議を尽くすべく努力して参ったのであります。しかるに、こういった長い農林水産委員会の和気あいあいたる審議の伝統を無視しまして、そうして、温厚であり篤実の藤野さんが急にその態度を一変せられて、ほとんど、まあ、われわれとしては了解のできない、亀田君がるる申されるような方法をとってこられたのであります。公聴会の問題にしましてもそうでありますし、あるいは、各関係大臣に対する質問もそうであります。全くわれわれは、まだその全般を知り尽くすことができないのであります。われわれが知り尽くすこともできないのに、いかにして私はこの農村の人たちがこれを知り得るかどうか、知らせる材料がどこにあるかと言っている。こういう中に一方的に打ち切られようということが、聞きまするならば、自民党の一つの政策ですか何ですかわかりませんが、これは政策でもありませんでしょうが、池田さんがアメリカへ行くみやげのために無理してやるのだとすれば、全くわれわれは情けなく感ずるのであります。かかる場合こそ、私の信頼する、私の少なくとも敬愛する藤野さんが、敢然として立って、農民のためにその所信を押し通していただいたならば、私はほんとうに喜ぶ次第でありますが、党の方針に曲げられて、そうしてこのような結末をつけられましたことについては、全く私は惜しみても余りあるのであります。
  65. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 清澤君、時間が過ぎました。
  66. 清澤俊英

    清澤俊英君(続) もうじきやめますから。——まあ、こういった格好で過ぎましたことは、さっきも北村君が言う通りに、決して藤野さん一人の責任を責めるのではなく、自民党の皆さん方が、将来において、少なくとも、こういう重要法案を取り扱うときは、もっと謙虚に、もっと真剣に、少数党の意見も十分聞いて、質疑の全般を尽くしてからやるくらいの将来襟度を持ってもらいたいことを、藤野さんに言うのではなくして、自民党の諸君に私は警告して、この賛成の意見を述べる次第であります。(拍手)    ————————
  67. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 宮澤喜一君外一名から、成規の賛成者を得て、討論終局の動議が提出せられました。(「議長、なぜ共産党にやらせないのか」、「議長議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  これより本動議採決をいたします。  表決記名投票をもって行ないます。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  68. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。  ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限をいたします。(拍手)——時間が参りますれば投票箱閉鎖いたします。——すみやかに御投票願います。——時間が参りますれば投票箱閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——時間が参りますれば投票箱閉鎖いたします。  制限時間に達しました。投票箱閉鎖。   〔投票箱閉鎖
  69. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより開票いたします。投票参事計算させます。議場開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票計算
  70. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数     百八十五票   白色票       百二十票   青色票       六十五票  よって討論は終局することに決しました。      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名      百二十名       杉山 昌作君    牛田  寛君       村山 道雄君    谷口 慶吉君       小平 芳平君    櫻井 志郎君       加賀山之雄君    稲浦 鹿藏君       大泉 寛三君    大竹平八郎君       白木義一郎君    鈴木 恭一君       白井  勇君    佐藤 芳男君       奥 むめお君    常岡 一郎君       辻  武寿君    三木與吉郎君       苫米地英俊君    田中 啓一君       佐藤 尚武君    天坊 裕彦君       近藤 鶴代君    村上 義一君       北條 雋八君    笹森 順造君       黒川 武雄君    杉原 荒太君       野上  進君    山本  杉君       谷村 貞治君    天埜 良吉君       米田 正文君    岸田 幸雄君       金丸 冨夫君    川上 為治君       徳永 正利君    仲原 善一君       鈴木 万平君    手島  栄君       大谷藤之助君    鍋島 直紹君       石谷 憲男君    増原 恵吉君       山本 利壽君    佐野  廣君       後藤 義隆君    中野 文門君       前田佳都男君    上原 正吉君       岩沢 忠恭君    岡崎 真一君       武藤 常介君    小柳 牧衞君       宮澤 喜一君    杉浦 武雄君       新谷寅三郎君    西郷吉之助君       木内 四郎君    石原幹市郎君       斎藤  昇君    吉武 恵市君       林屋亀次郎君    小林 英三君       大野木秀次郎君    平井 太郎君       田中 茂穂君    柴田  栄君       西田 信一君    林田 正治君       木島 義夫君    村上 春藏君       植垣弥一郎君    赤間 文三君       青田源太郎君    安部 清美君       堀本 宜実君    松村 秀逸君       松野 孝一君    井川 伊平君       塩見 俊二君    上林 忠次君       高橋  衛君    横山 フク君       平島 敏夫君    館  哲二君       松平 勇雄君    大谷 贇雄君       青柳 秀夫君    井上 清一君       加藤 武徳君    高橋進太郎君       古池 信三君    小山邦太郎君       安井  謙君    木暮武太夫君       重宗 雄三君    堀木 鎌三君       郡  祐一君    草葉 隆圓君       青木 一男君    野田 俊作君       大川 光三君    岡村文四郎君       剱木 亨弘君    西川甚五郎君       下村  定君    湯澤三千男君       井野 碩哉君    植竹 春彦君       永末 英一君    基  政七君       田畑 金光君    向井 長年君       天田 勝正君    東   隆君       松浦 清一君    村尾 重雄君       曾禰  益君    赤松 常子君     —————————————  反対者青色票氏名      六十五名       大森 創造君    野上  元君       豊瀬 禎一君    千葉千代世君       山本伊三郎君    武内 五郎君       小柳  勇君    鶴園 哲夫君       横川 正市君    鈴木  強君       坂本  昭君    中村 順造君       松永 忠二君    占部 秀男君       森 元治郎君    鈴木  壽君       伊藤 顕道君    藤田  進君       亀田 得治君    加瀬  完君       阿具根 登君    大和 与一君       大倉 精一君    小笠原二三男君       中田 吉雄君    荒木正三郎君       小酒井義男君    高田なほ子君       光村 甚助君    加藤シヅエ君       清澤 俊英君    吉田 法晴君       木村禧八郎君    小林 孝平君       松澤 兼人君    岩間 正男君       須藤 五郎君    米田  勲君       大矢  正君    森中 守義君       北村  暢君    安田 敏雄君       藤田藤太郎君    相澤 重明君       木下 友敬君    平林  剛君       秋山 長造君    久保  等君       永岡 光治君    戸叶  武君       椿  繁夫君    矢嶋 三義君       成瀬 幡治君    岡  三郎君       佐多 忠隆君    田中  一君       重盛 壽治君    藤原 道子君       千葉  信君    近藤 信一君       羽生 三七君    内村 清次君       江田 三郎君    野溝  勝君       松本治一郎君    ─────・─────
  71. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本案採決をいたします。  表決記名投票をもって行ないます。本案賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  72. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。(「はい」「やってる」と呼ぶ者あり)すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票を願います。  ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間が参りますれば投票箱閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。——すみやかに御役票願います。——すみやかに御投票願います。  制限時間に達しました。投票箱閉鎖。   〔投票箱閉鎖
  73. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより開票いたします。投票参事計算させます。議場開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票計算
  74. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数     百八十四票   白色票       六十三票   青色票      百二十一票   〔拍手〕  よって本案は否決せられました。      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名     六十三名       大森 創造君    野上  元君       豊瀬 禎一君    千葉千代世君       山本伊三郎君    武内 五郎君       小柳  勇君    鶴園 哲夫君       横川 正市君    鈴木  強君       坂本  昭君    中村 順造君       松永 忠二君    占部 秀男君       森 元治郎君    鈴木  壽君       伊藤 顕道君    藤田  進君       亀田 得治君    加瀬  完君       阿具根 登君    大和 与一君       大倉 精一君    小笠原二三男君       中田 吉雄君    荒木正三郎君       小酒井義男君    高田なほ子君       光村 甚助君    加藤シヅエ君       吉田 法晴君    木村禧八郎君       小林 孝平君    松澤 兼人君       岩間 正男君    須藤 五郎君       米田  勲君    大矢  正君       森中 守義君    北村  暢君       安田 敏雄君    藤田藤太郎君       相澤 重明君    木下 友敬君       平林  剛君    秋山 長造君       久保  等君    永岡 光治君       戸叶  武君    椿  繁夫君       矢嶋 三義君    成瀬 幡治君       岡  三郎君    佐多 忠隆君       田中  一君    重盛 壽治君       藤原 道子君    千葉  信君       近藤 信一君    羽生 三七君       江田 三郎君    野溝  勝君       松本治一郎君     —————————————  反対者青色票氏名      百二十一名       牛田  寛君    村山 道雄君       谷口 慶吉君    森 八三一君       小平 芳平君    田中 清一君       加賀山之雄君    稲浦 鹿藏君       大泉 寛三君    鈴木 恭一君       白井  勇君    佐藤 芳男君       三木與吉郎君    苫米地英俊君       田中 啓一君    佐藤 尚武君       天坊 裕彦君    近藤 鶴代君       村上 義一君    北條 雋八君       太田 正孝君    笹森 順造君       黒川 武雄君    泉山 三六君       杉原 荒太君    野上  進君       山本  杉君    谷村 貞治君       天埜 良吉君    米田 正文君       鳥畠徳次郎君    金丸 冨夫君       川上 為治君    徳永 正利君       仲原 善一君    鈴木 万平君       手島  栄君    大谷藤之助君       鍋島 直紹君    石谷 憲男君       増原 恵吉君    山本 利壽君       佐野  廣君    後藤 義隆君       中野 文門君    前田佳都男君       上原 正吉君    岩沢 忠恭君       岡崎 真一君    武藤 常介君       小柳 牧衞君    宮澤 喜一君       杉浦 武雄君    新谷寅三郎君       西郷吉之助君    木内 四郎君       石原幹市郎君    斎藤  昇君       吉武 恵市君    永野  護君       林屋亀次郎君    小林 英三君       大野木秀次郎君    平井 太郎君       田中 茂穂君    柴田  栄君       江藤  智君    西田 信一君       林田 正治君    木島 義夫君       村上 春藏君    植垣弥一郎君       赤間 文三君    青田源太郎君       安部 清美君    堀本 宜実君       松村 秀逸君    松野 孝一君       井川 伊平君    塩見 俊二君       上林 忠次君    高橋  衛君       横山 フク君    平島 敏夫君       館  哲二君    松平 勇雄君       大谷 贇雄君    青柳 秀夫君       井上 清一君    加藤 武徳君       高橋進太郎君    小沢久太郎君       古池 信三君    小山邦太郎君       安井  謙君    木暮武太夫君       重宗 雄三君    堀木 鎌三君       郡  祐一君    草葉 隆圓君       青木 一男君    野田 俊作君       大川 光三君    岡村文四郎君       剱木 亨弘君    西川甚五郎君       下村  定君    湯澤三千男君       井野 碩哉君    植竹 春彦君       永末 英一君    基  政七君       田上 松衞君    田畑 金光君       片岡 文重君    向井 長年君       天田 勝正君    東   隆君       松浦 清一君    村尾 重雄君       赤松 常子君    ─────・─────
  75. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて一時間休憩いたします。    午後七時五十三分休憩    ————————    午後九時十八分開議
  76. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。  農業基本法案を休憩前に引き続き議題といたします。    ————————
  77. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 宮澤喜一君外一名から、賛成を得て、農業基本法案議事における質疑討論その他の発言時間は、一人十分以内に制限することの動議が提出されました。  よって、この時間制限動議について採決をいたします。  表決記名投票をもって行ないます。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君は音色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  78. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票を願います。——すみやかに御投票を願います。——すみやかに御投票願います。  ただいま行なわれております投票につきましては、自後五分間に制限いたします。時間が参りますれば投票箱閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。——すみやかに御投票願います。——時間が参りますれば投票箱閉鎖いたします。——すみやかに御投票願います。——時間が参りますれば投票箱閉鎖いたします。すみやかに御投票願います。  制限時間に達しました。投票箱閉鎖。   〔投票箱閉鎖
  79. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより開票いたします。投票参事計算させます。議場開鎖を命じます。   〔議場開鎖〕   〔参事投票計算
  80. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数     百九十九票   白色票      百三十五票   青色票       六十四票  よって、本案議事における質疑討論その他の発言時間は、一人十分以内に制限することに決しました。(拍手)      ——————————   〔参照〕  賛成者白色票氏名     百三十五名       杉山 昌作君    村山 道雄君       谷口 慶吉君    森 八三一君       小平 芳平君    田中 清一君       櫻井 志郎君    加賀山之雄君       稲浦 鹿藏君    大泉 寛三君       大竹平八郎君    鈴木 恭一君       白井  勇君    佐藤 芳男君       吉江 勝保君    常岡 一郎君       三木與吉郎君    苫米地英俊君       田中 啓一君    山本 米治君       高瀬荘太郎君    佐藤 尚武君       近藤 鶴代君    村松 久義君       堀末  治君    藤野 繁雄君       村上 義一君    太田 正孝君       笹森 順造君    黒川 武雄君       泉山 三六君    杉原 荒太君       野上  進君    山本  杉君       谷村 貞治君    天埜 良吉君       米田 正文君    岸田 幸雄君       北畠 教真君    金丸 冨夫君       川上 為治君    徳永 正利君       仲原 善一君    手島  栄君       大谷藤之助君    鍋島 直紹君       石谷 憲男君    山本 利壽君       佐野  廣君    後藤 義隆君       中野 文門君    前田佳都男君       上原 正吉君    岩沢 忠恭君       岡崎 真一君    野本 品吉君       小柳 牧衞君    宮澤 喜一君       杉浦 武雄君    新谷寅三郎君       西郷吉之助君    紅露 みつ君       木内 四郎君    石原幹市郎君       斎藤  昇君    吉武 恵市君       下條 康麿君    小林 英三君       大野木秀次郎君    田中 茂穂君       柴田  栄君    江藤  智君       林田 正治君    木島 義夫君       鹿島 俊雄君    植垣弥一郎君       赤間 文三君    青田源太郎君       安部 清美君    堀本 宜実君       松村 秀逸君    松野 孝一君       井川 伊平君    塩見 俊二君       上林 忠次君    梶原 茂嘉君       高橋  衛君    前田 久吉君       河野 謙三君    横山 フク君       平島 敏夫君    館  哲二君       松平 勇雄君    大谷 贇雄君       青柳 秀夫君    井上 清一君       加藤 武徳君    高橋進太郎君       小沢久太郎君    古池 信三君       秋山俊一郎君    安井  謙君       木暮武太夫君    重宗 雄三君       堀木 鎌三君    郡  祐一君       一松 定吉君    青木 一男君       木村篤太郎君    津島 壽一君       野田 俊作君    大川 光三君       岡村文四郎君    剱木 亨弘君       重政 庸徳君    西川甚五郎君       湯澤三千男君    井野 碩哉君       植竹 春彦君    永末 英一君       基  政七君    田上 松衞君       田畑 金光君    片岡 文重君       相馬 助治君    向井 長年君       天田 勝正君    東   隆君       松浦 清一君    村尾 重雄君       中村 正雄君    曾禰  益君       山田 節男君    赤松 常子君       棚橋 小虎君     —————————————  反対者青色票氏名     六十四名       大森 創造君    野上  元君       豊瀬 禎一君    千葉千代世君       山本伊三郎君    武内 五郎君       小柳  勇君    鶴園 哲夫君       横川 正市君    鈴木  強君       坂本  昭君    中村 順造君       松永 忠二君    占部 秀男君       森 元治郎君    鈴木  壽君       伊藤 顕道君    藤田  進君       亀田 得治君    加瀬  完君       阿具根 登君    大和 与一君       大倉 精一君    中田 吉雄君       荒木正三郎君    小酒井義男君       高田なほ子君    光村 甚助君       加藤シヅエ君    清澤 俊英君       吉田 法晴君    木村禧八郎君       小林 孝平君    松澤 兼人君       岩間 正男君    須藤 五郎君       米田  勲君    大矢  正君       森中 守義君    北村  暢君       安田 敏雄君    藤田藤太郎君       相澤 重明君    木下 友敬君       平林  剛君    秋山 長造君       久保  等君    永岡 光治君       戸叶  武君    椿  繁夫君       矢嶋 三義君    成瀬 幡治君       岡  三郎君    佐多 忠隆君       田中  一君    重盛 壽治君       藤原 道子君    千葉  信君       近藤 信一君    羽生 三七君       内村 清次君    江田 三郎君       野溝  勝君    松本治一郎君    ─────・─────
  81. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより委員長の報告を求めます。農林水産委員長藤野繁雄君。   〔藤野繁雄登壇拍手
  82. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 ただいま議題となりました農業基本法案について、委員会における審査の経過と結果を報告いたします。  今国会に、政府案、日本社会党案及び民主社会党案といわれている三つの農業基本法案が、それぞれ、内閣、衆議院議員北山愛郎君外十一名及び参議院議員天田勝正君外二名から提案され、政府案及び日本社会党案については、三月一日の本会議において趣旨説明が行なわれ、各会派の代表によって質疑がなされ、引き続き委員会において、三月二日に政府案及び日本社会党案について、また四月六日に民主社会党案について、提案者から提案理由の説明がなされたのであります。  その後、四月二十九日に閣法第四十四号の政府案が衆議院において原案通り可決、本院に送付されたのでありまして、これがただいま議題となっておりますものであります。  この法律案は、最近における農業及びこれを取り巻く条件の変化に応じて、農業の発展と農業従事者の地位の向上をはかるため、農業の向かうべき新たな道を明らかにし、農業に関する政策の目標を示す必要があるという理由によって提案され、前文においてこの法律を制定する趣旨を述べ、本文に入って、第一章総則で、国の農業に関する政策の目標と、それを達成するための国及び地方公共団体の施策、並びに、政府が毎年国会に対し農業の動向に関する年次報告及び施策を明らかにした文書を提出することについて、次に、第二章以下では、農業生産、農産物等の価格及び流通、農業構造の改善等、農業行政機関及び農業団体と、章を追うて、国が必要な施策を講ずるにあたって特にその方針を宣明すべきものについて、最後に農政審議会について規定しているのであります。  委員会におきましては、前述の三つの農業基本法案を同時に問題として取り扱い、五月九日、政府案について補足説明を聞き、五月十日及び十一日の両日にわたって、各会派の代表によって、総理大臣並びに民主社会党案及び日本社会党案の提案者代表に対して質疑が行なわれ、五月十二日から五月二十九日までの間において、農林大臣、政府委員あるいは農林省当局に対し、政府案を中心として、法案の前文及び条章を追うて質疑が行なわれ、二十二日には、福島市、富山市及び長野市に委員派遣を行なって、計三十一人に及ぶ農業従事者から意見が聴取され、五月三十日及び三十一日には関係各省大臣に対し、さらに五月三十一日には再び総理大臣に対して質疑が行なわれたのであります。  質疑の過程におきましては、法案の取り扱い方、日本農業に対する認識とその対策、基本法の目的等、その前提的な問題から、これが実施上の具体的な措置等その内容に及んで、諸般の問題が究明され、また政府当局の心がまえやその責任がただされたのでありまして、これが詳細は会議録に譲ることにいたします。  かくして五月三十一日、河野委員の動議により、ただいま議題内閣提出衆議院送付案に対する質疑を終局し、六月二日これを議題として討論に入りましたところ、北村委員から日本社会党を代表して反対、櫻井委員から自由民主党を代表して賛成、東委員から民主社会党を代表して反対、無所属クラブの北條委員から賛成、森委員から参議院同志会を代表して賛成が述べられました。  かくして討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。(拍手)  続いて、櫻井委員から、本法の実施に関して政府の善処を求める内容の附帯決議が提案され、これまた多数をもって委員会の決議とすることに決定され、これに対し農林大臣から、決議の趣旨を尊重して十分努力するとの発言がありました。  右報告いたします。(拍手)    ————————
  83. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 亀田得治君、安田敏雄君、北村暢君から、それぞれ修正案が提出されております。順次、提出者の趣旨説明を求めます。亀田得治君。   〔亀田得治登壇拍手
  84. 亀田得治

    亀田得治君 初めに修正案を朗読いたします。    農業基本法案に対する修正案   農業基本法案の一部を次のように改正する。   第十一条第一項中「生産事情」を「生産費等生産事情」に改め、「需給事情、」の下に「農業所得の確保、」を加える。  理由について若干説明いたしたいと存じます。  政府の基本法の最大の欠陥は、第十一条の価格政策に関する部分であります。基本法に対する各種の欠陥というものが指摘されておりまして、それらの全般にわたりましては別な広範な修正案が出ておりますが、私が出しました点は、少なくともこの点ぐらいは自民党の皆さんも御了承願えるのじゃないか、こういうきわめて控え目な修正案なんでございます。たとえば、先ほど委員長から報告がありましたように、私たちは、長野、富山、福島、この三カ所において、三十名以上の農民の皆さんから御意見を聞いたのであります。いろんな立場で、自民党、社会党、民社党の案というものを農民の皆さんは見ております。いろんな角度から、賛成反対という考え方もありますが、政府の案に賛成の農民でありましても、この第十一条の価格政策に関する表現につきましては、そういう人たちまでも一致して不満を述べているのが現状でございます。(拍手)従いまして、農業の憲法といわれ、農民のために作るというのであれば、農民の皆さんが満足するようにする、このことは皆さんといえでも御了承願えると思うのであります。こういう立場から、私は、これは出すならば御賛成を願えるのではないかという希望を持ちまして出しているような次第でございます。先ほど、私が附帯決議のことにつきましても若干触れましたが、この附帯決議が問題になりました過程におきまして、ある会派の方から、やはり、私がここで出しておりまするのと同じような決議案文というものが出ているくらいなんであります。そういう点等も御考慮いただきまして、自民党の皆さんがたとえプラス・アルファぐらいになることは、私は確信を持っているのでございます。  そこで、こまかい説明に若干移りたいと思いますが、まず私は、政府原案の十一条には、価格決定の要因といたしまして、生産事情、需給事情、物価そのたの経済事情を考慮してきめる、こういうことがうたわれているのでございます。ところが、この生産事情というのは一体何か。農民の皆さんは、農産物の価格安定をはかる、価格をきめる。その際には必ず生産費というものをはっきりと補償してもらいたいと考えているのでございます。(拍手)従って、私たちは、委員会の中で、この生産事情というものの中には生産費というものが含まれるのか、こういう点を農林大臣にも池田総理にもただしたのでありますが、お二人とも、当然、生産費は生産事情の中に入ると、こう申しておられるわけであります。そういうふうに、はっきりはいるのでありまするならば、農民の皆さんがわかりやすくしてもらいたい、こういうことを地方聴聞会においても盛んに申しておるのるわけでありますから、私が申し上げましたように直しましても、少しも政府の方では、そんなに、何といいますか、原案が違ったものにならないのであります。入ると言いながら、それならばそう書いたらどうかと言うと、なかなか踏み切らない。そういうところを見ますると、理論的にそういうふうに問われると、入るとは言いまするけれども、実際の腹の中は、あまりそういうものは重く見たくないという考えがあるのではないかと私は考えるのであります。  第二の問題は、所得の確保という問題であります。農民の皆さんが農産物を処理する場合に、その価格の中に、農民の自家労働の正当な報酬、所得というものが必ず見積もられていることを求めているのであります。この点につきましても、私たちは委員会で、総理並びに農林大臣に数回お尋ねをいたしまして、政府はこう申すわけであります。「政府所得の確保という問題については決して軽くは考えておらない。その証拠に、政府の基本法の第一条、第二条第一項第五号あるいは第十一条の第二項等に、所得の確保ということとも考えていることを明記している。だからそんなことは心配要りません」と、こうもうすのでありますが、ところが、実際に農民の所得が確保されるかどうか、このことによって一番大きな影響を受けるわけであります。政府がいわれるがごとく、農民の所得確保というものが重大視しているのであれば、ほかの条項で書くよりも、この、農民が一番求め、関心を持っている十一条の第一項でそのことを明記し、挿入するのが当然ではないでしょうか。私はこういうところに、政府が農民の求めている生産費所得の補償、農産物価格における生産費所得の補償、このことに対して、決して前向きの姿勢で取っ組んでいるものではない。まさしくそういう考え方が、第十一条の第一項にこういう表現となって現れていると思うのであります。で、御承知のように、米は現在、生産費所得補償方式で生産者米価を計算しております。現在、農民の収入の大半を占める、五〇%を占める米価計算において用いられている方式というものが、何ゆえにこの農業基本法において明確にされないのか。農民は、従って、米価においてすら確保されている生産費所得補償方式というものが、これができることによって逆にくずされていくのではないかということを気づかっているわけでございます。このことは、農民のほかの階層の人が心配しているところであります。その心配は要らぬことだ、要らない心配だというのであれば、私の提案いたしましたこの修正に自民党の諸君も一つ同意を願いたいと思うのであります。それができないというのであれば、私の推測というものは何も私だけではない。農民の皆さんが投げている心配なんでありますから、私はこういう意味で、きわめて簡単な修正案でありまするが、提案いたしたような次第でありまして、どうか一つ皆さんの満場一致の御賛成を期待いたしまして、簡単でありますが私の提案説明を終わります。(拍手
  85. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 安田敏雄君。   〔安田敏雄登壇拍手
  86. 安田敏雄

    安田敏雄君 私は、政府の提出いたしました農業基本法案に対しまして修正案を提出したいと思っております。  それは、政府提出の基本法案の第十七条の見出しにありますところの「協業の助長」という言葉を改めまして、「協業の促進」というようにすることであります。もう一つは、第十七条の条文の中にあります「国は、家族農業経営の発展、農業の生産性の向上、農業所得の確保等に資するため、生産行程についての協業を助長する方策として、」云々とありますが、この「協業の助長」を「協業の促進」に改めるという提案であります。  ただいま亀田議員から説明がありましたように、私どもはきわめて低い姿勢で、この「助長」を「促進」に改めることに賛同を願いたいと思っておる次第であります。というのは、今度の農業基本法について論争の大きな点は、一つには価格問題であり、一つには農業の構造改善の問題であるからであります。従いまして、私どもは農業の共同経営を主張しておりますが、政府案は家族経営を主張しているわけでございます。このことは、私どもその主張を百歩譲って、これが真に農業の発展に通じ、農民の生活を向上させるという建前からすれば、最低の要求といたしましても、「助長」という言葉ではきわめて消極的でありまして、決してそれは農民のためにならないということを心配するからであります。選挙中から引き続きまして、農業基本問題が一般の国民やあるいはまた農民の関心を深めて参りますと、社会党の主張する共同経営がよいのか、あるいは政府案の言うような家族経営がよいのかということは、大きな対立点となって参っておるのであります。そういう中で、よく政府の方々や、特に池田総理や農林大臣を初め自由民主党の方々は、社会党の共同経営はソ連や中国のコルホーズに通ずるものであるという宣伝をして参りました。そういうようなことからいたしまして、私どもは決してそう思っておりません。私どもの主張する共同経営は、あくまでも農民の自主性を尊重しているということを、十分自民党の諸君は注視していただきたいと思うわけであります。そこで、構造政策と共同経営について、しばらく、きわめて重要な問題でありますから申し上げたいと思いますけれども、現在わが国の経営規模がきわめて零細なことが農業生産性の低さの根本的な原因となっているということは、自民党の皆さんも認めることでございましょう。そこで、経営規模を何らかの方法によって拡大することが当面する日本の農業の大きな課題であるわけであります。ただし、その際、経営の共同化によって経営規模を拡大するか、それとも自立経営農家の育成によって経営規模を拡大するか、ここに社会党と自民党との論争点があるわけであります。私ども社会党は、きわめて零細農をも共同経営のワクに含めて、そしてその生産性を引き上げていこうとするものでありまして、わが党の目ざす共同経営は、農民の耕作と農地所有とを集団的に統一する形態であります。自作農の発展形態であります。それに対して自民党は、零細農を切り捨てることによって自立経営農家を育てようとしているのであります。このことは、政府所得倍増計画を見ましても、十年後に二町五反の農家を百万戸作りまして、これに年間百万円の粗収入を与えようとしている点であります。そうするならば、必ずや将来におきまして、農民、特に中農以下の農民が、農地の信託事業等によりまして、いぶり出されていくという姿があるからであります。そういう意味合いにおきまして、私どもは、この自立経営農家が、自由民主党の言うように、政府案の言うように、たとえこれが成功したといたしましても、現在貿易の自由化のもとでは、なかなか将来において営農が困難であろうということを見きわめておるわけでございます。そういう点からいたしますというと、私どもの主張する経営の共同化の方が、はるかに当面する日本の農業を振興させ、農民の生活を向上させるのに役立つということを、私は確信する次第であるわけでございます。  そこで、この基本法の審議を通じまして、協業という言葉が問題になりました。私は、基本法の前に、果樹農業振興特別措置法案が提案されましたときに、政府委員に、これは森さんもお尋ねになったわけでございますけれども、協業とはどういうことかと、こういうことで聞きますというと、協業とは共同化のいわゆる一部であるという答えをいたしました。引き続いて、農業基本法の中で、協業の意味を聞きますというと、共同化は協業の一部であるという逆な答えをしているわけでございます。しかも、政府の統一見解が文書で発表されて参りますというと、社会党の言ういわゆる共に同じくするという共同化には、これは意思が入っておらない、人と人との結合がないというようなことを言っておりまして、協業の方が意思のつながりがあって、人と人とのつながりがあるのだという、こういう自分勝手な解釈をしているわけでございます。まことに私どもは、新しい言葉といたしまして、きわめて不可解であるわけでございます。しかも、こういう協業に対して、選挙中や、あるいは農業基本法が地方で問題になっておりますときには、この協業については少しも触れないで、家族経営でなくてはだめだというきめつけをして参りましたが、審議の過程の中におきましては、今度は、家族経営中心ではないのだと、これは農林大臣も答弁しておりますが、協業も認めていくのだというような言葉を言っているわけでございまして、まことに私どもは、どういうことか、あいまいであるわけであります、こういうようなことでございますから。しかしながら、社会党の主張する、共に同じくする共同化を、この際あえて主張するものではありません。しかし、展望する農業情勢の中では、やはりたとえ一段低くても、協業という消極的な言葉でも、これを促進していくということは、きわめて重要な意義があろうかと思うわけでございますから、ここに提案に及んだわけでございます。しかも、農林省の原案の中には、協業が促進されるというようになっておりましたが、農林省原案を自由民主党の中で修正して、政府案とするときには、今度は「促進」という言葉が「助長」という言葉に早変わりしておったということは、まこと不愉快でございます。  そこで、「助長」という言葉を、これを漢字で調べてみますというと、中国に「助長の愚」という言葉がございます。助長の愚という言葉は、これは漢学者に聞いてみますというと、麦を無理やりに引っぱるという言葉でございまして、あんまり引っぱり過ぎたために枯れてしまったということになるわけでございます。(拍手)そういう意味で「助長」とは、中国では——昔の支那では非常にきらっている言葉であったそうでございまして、むしろ「助長」という言葉を使うならば、「助成」の方がいいのだ、助けて成す、助成の方がいいのだ、こういうようになっているわけでございます。しかし、ともかく助成という言葉はものわかりが悪いので、私どもはやはり農業を飛躍的に拡大させるためには、促進の方がよい、(拍手)こういうような観点からいたしましてここに提案をした次第でございます。  どうぞ、私ども最低の要求でございます。先ほど亀田さんの提案もきわめて最低の要求であり、さらに私の要求は、共同化を、これを一応譲歩いたしまして、協業という言葉に譲ったわけでございますから、これを促進するのは理の当然であるというように考えておる次第でございまして、どうぞ自由民主党の諸君も、あるいは小会派の皆さんはもとより、全部一つ賛成していただきたいことを衷心よりお願いをいたしまして、私の提案の理由にかえた次第でございます。(拍手)   —————————————
  87. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 北村暢君。   〔北村暢君登壇拍手
  88. 北村暢

    北村暢君 私は農業基本法案に対する修正案を提出いたしたいと思いますが、案文を朗読いたします。
  89. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 北村君に申し上げますが、修正案は議席に配付してございます。発言時間が十分間に制限されておりますから、案文の朗読は省略して、趣旨をお述べ願います。(拍手制限がありますから。
  90. 北村暢

    北村暢君(続) はい。   従つて、このまま、農業を弱肉強 食の自由経済に組み入れ、国際競争 にさらしたならば、零細農の転落は もとより、比較的大きな農家の自立 をも困難にし、農業の発展を阻害す ることは、必至である。   われわれは、農業がわが国の経済 社会の中にもつ重要な地位と以上に 述べた歴史的事実にかんがみ、農業  発展の支障となる自然的社会経済的 諸原因を除去し、農民の所得と生活 を豊かにし、都市と農村の文化的格 差を解消することは、国の政治の最 も重大な責務であると確信する。   この見地から、国は、その責任に おいて、積極的かつ計画的に、農用 地の大規模な拡張、土地条件の整備 及び兵同化による経営の拡大と近代 化を促進し、農畜産物の価格安定及 び農業用資材の流通価格面の適切な 政策等を強化して農業生産の発展を 図り、もって農民の地位と生活を向 上させる必要がある。   ここに農業に関する新たなる政策 の目標と原則を明らかにするため、 この法律を制定する。  以上が前文でございまするが、議長の注意もございまするので、自余につきましては、簡単に内容について趣旨説明をいたします。  まず、政府案につきましては、総則において、政府の案においては、農業の基本法としての政府の責任、国の責任というものが少しも明確にされておりません。わが党提案の農業基本法の総則第二条においては、国の行なう施策、農民の所得、流通、価格面における安定、合理化あるいは農業用資材等の確保、農業災害対策、農村の生活文化の向上等について、その助成、保護その他必要な農業政策、財政政策、金融政策等についての責任を明らかにいたしております。  第二章において、農業の計画について基本計画を制定することになっております。それと、それに関連いたしまして、第四条からは農業の年度計画をいたしまして、これを国会に提出をし、承認を経ることにいたしております。また、第五条において、これらを国会に対して報告をいたすことにいたしている次第でございます。  三章は省略いたしまして、四章に入ります。政府の考え方からいたしますというと、農業生産の拡大というものについては、生産政策、構造政策を通じて、六百万町歩の農用地というものは少しも拡大しない中において、自立経営農家二町五反の百万戸を作る、育成すると言っているのでありますけれども、わが党は、この自立経営農家の育成だけではなしに、そのことは、先ほど来も言われているように、零細農、兼業農家のいぶり出しになるのでありますから、わが党は第四章において、土地利用の高度化のために三百万町歩の農用地の積極的な拡大をうたっている次第であります。  第五章における農業経営の共同化、近代化でありまするが、ここにおいては、政府の考える自立経営農家の育成ということは、先ほど申しましたように、二町五反の百万戸の育成は、零細農、兼業農家のいぶり出しになるばかりでなく、この規模をもってしては、他産業との所得の均衡をとるといいますけれども、自立経営農家、二町五反を持つ者ですら百万円の粗収入に過ぎないのであります。従って、これはいわゆる町村段階の都市的要素を除いた勤労者の所得水準、こういうものにしか均衡をしないのでありまして、さらに一町のいわゆる非自立経営農家が二百五十万戸もあるのでありますから、さらにこれよりか低いものが、十年間たった後において、いわゆる池田総理の言う所得倍増に、はるかに及ばない階層が、農民の、農家の半数以上のものを占めるのであります。従って、こういうことでは真に所得の均衡はとれない。こういう考え方からいたしまして、農業の共同経営による合理化、近代化をはかっていく、こういう観点からいたしまして、農業の経営の合理化と近代化を規定いたしている次第でございます。
  91. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 北村君、時間が参りました。
  92. 北村暢

    北村暢君(続) この共同化は、決していわゆる政府の宣伝をしているような、一気に共同化に持っていくものではなくして、できるところから共同化を進めていく、部分的な共同化を進めていく、こういう形をとっているのであります。  さらに、第六章に農畜産物の価格の安定及び流通の合理化を規定いたしておりまするが、この価格の安定、流通合理化は、わが党はあくまでも生産費・所得補償方式をもって国民にこれを約束をする、農民が安心をして生産ができるような方向に持っていこう、こういうふうな考え方で規定をいたしておる次第でございます。(「時間だ、時間だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)  時間がございませんので、多くを申し上げられませんけれども、今申した点が政府案と明確に異なっている点でございます。  以上、修正案の趣旨説明を簡単でございますがいたす次第でございます。(拍手
  93. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 質疑の通告がございます。順次発言を許します。北村暢君。(笑声)   〔「今やったばかりじゃないか」「何が何だかわからない」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕   〔北村暢君登壇拍手
  94. 北村暢

    北村暢君 それでは、まず政府案に対する質問をいたし、続いて亀田議員提出の修正案に質疑をいたしたいと存じます。  今さら申し上げるまでもなく、今次の農業基本法の制定の動機というものが、いわゆる農業が他産業と比較をいたしまして非常に所得水準が低い、生活の水準が低い、いわゆる所得の格差というものが出てきたのでございます。その所得の格差が出て参りましたことによりまして、いわゆるこの成長経済における底辺に農民は呻吟をし、所得もまた他産業と比較して非常に低い。こういうことからいたしまして、従来の農業政策であります食糧増産政策というものを大幅に転換をいたしまして、ここに米麦中心の農業からこれを転換をいたしまして、畜産の三倍、果樹の二倍という、いわゆる成長財に対する重点を指向した選択的拡大の農業を発展させよう、このような考え方に立っているのでございますけれども、私は総理大臣にお伺いをいたしたいのは、まず、この米麦中心の農業を転換するといいますけれども、日本の農業の生産の過半はやはり米であります。また、麦に対しましても、今、大裸麦の過剰が来たされておりますけれども、この麦もまた重要な農産物でございます。従って、これらの主要農産物というものの選択的拡大の方向について、一体、今後の生産の点からいって、減産もしくは縮小をし、あるいはこれを拡大するもの、貿易の自由化によってこれを生産を合理化するもの、このように生産拡大の方向について規定をいたしておるようでありますが、一体、どのようなものがこれらのものに該当するのか、この点についてまずお答えを願いたいと思います。  これに関連をいたしまして、これらの主要農産物における今後の生産の方向と、先ほど来、問題になっております価格政策の問題は、きわめて重要でございまして、重大な関連を持っております。米は現在食糧管理法による生産費所得補償方式をとっております。麦はバルク・ライン方式による無制限買い入れの規定になっております。いも類、大豆、菜種等については、農産物価格安定法によって価格安定がなされております。繭あるいは生糸は繭糸価格安定法によって価格安定がなされております。また、今度新たに畜産物につきましては、畜産物価格安定法という法律を新しく制定をして価格安定をやろうといたしておりますけれども、これらの一貫した主要な農産物における価格安定方式というものを、一体現状においてこれを変更する意思はないのか。また、首相はたびたび米の直接統制は撤廃をしないということを言っておられるが、そういうような形の中で、この価格安定政策を続けていく中において、この基本法の想定するところの自立経営農家というものが実際に達成できるとお考えになっているのか。この価格政策について首相の見解をお伺いいたしたいと思いますが、これらの問題についての需給均衡価格の考え方もありまするが、われわれは生産費所得補償方式というものをとっておりますけれども、政府の基本法における根本的な価格政策についてお伺いをいたしたいのであります。  次に、亀田議員提出の修正案に対して御質問を申し上げます。時間が参りましたので、ごく簡単に一点だけ質問をいたしたいと思いますが……。(「何のための修正案を出しているのか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)議長、注意して下さい。
  95. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 静粛に願います。
  96. 北村暢

    北村暢君(続) 亀田議員提出の修正案について簡単に御質問申し上げます。  この中に、「生産事情」を「生産費等生産事情」に改める。——この「生産費等」というのは、生産費補償の意味を持っておるのではないかと思いますが、この点いかがでありますか。それから「需給事情、」の下に「農業所得の確保、」こういう点が出ておりますけれども、この「農業所得の確保、」とは、農業従事者の所得確保、こういう意味であろうと思いますけれども、いわゆるこの項における思想は、生産費所得補償方式をとろうという考え方ではないかと思いますが、この点御質問をいたします。  以上、私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人君登壇拍手
  97. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。  農産物の生産につきましては、需給並びに生産の長期見通しを立てまして、今後やっていく考えでございます。もちろん国民の嗜好の変化等は十分考えなければなりません。  また、価格政策につきましては、従来の公約を実行すると同時に、農業基本法第十一条の規定によりまして、その価格の安定をはかる必要な措置を講ずることといたしたいと思います。  第三点の、「生産事情」の上に「生産費等」ということを加えるべきだという御意見でございまするが、私は生産事情には生産費は十分加味される、その内容の重要なるものと考えまするので、あえてつけ加える必要はないと思います。  また生産費所得方式、この点につきましては、米につきましては今検討を加えておりまするが、全部の農産物にそういう考えをとることはただいま考えておりません。(拍手)   〔亀田得治登壇拍手
  98. 亀田得治

    亀田得治君 お答えいたします。  「生産費等」と、この「等」という意味は、生産事情の中の例示として生産費というものを書いておるという意味であります。それから「農業所得」の所得というのは、御指摘のように農業従事者の労働報酬、こういう意味になります。それから全体として、結論的に生産費所得補償方式を採用すると、こういう意味であります。(拍手)   —————————————
  99. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 清澤俊英君。   〔清澤俊英君登壇拍手
  100. 清澤俊英

    清澤俊英君 私はこれから農業基本法につきまして——というよりは、むしろ基本法を中心にして、現在農村で農民が迷っている、現実に迷っている者がたくさんあるのであります。この期に及んでめんどうな議論をしてお伺いしても、それは大した効果はないと思いますので、私がこれから御質問申し上げるのは、現に農林にある農民の声を代表して御質問したいのでありますから、議長もどうかあまり時間にとらわれて無理をせられないように一つお願いいたします。(拍手)  まず、政府に対しましてそういう建前でお伺いすると同時に、修正案に対しましても、亀田修正案、安田修正案、北村修正案に対しましても、どうもよく了解しかねる点があるのであります。(拍手、笑声)従いまして、いま少し、口は多くなくてよろしいのでありますから、はっきりと政府案との相違点をいま一度明示してもらいたいと思うのであります。  そこで、はなはだ前提は、まあ、いなかくさいことになりますが、農民というものは理屈はあまりわからないのです。だが現実に出た問題に対しましては至って敏感であります。たとえて申しますならば、これからの御答弁は要りませんよ、たとえて申しまするならば、肥料を安くしてくれ、最近におきましては、製鉄の廃液や、あるいは廃ガスをもって、非常に安い肥料ができるくらいのことは、新聞でよく農民は知っております。しかるに、それが現在生産せられているのは十七万トン、これから本気にやりますならば百万トンできるというのです。なぜわれわれに高い肥料をくれるのかと、こう思っております。一生懸命に、豚が高くなったから豚を飼おうと思いますれば、値が下がってくる、飼料は上がってくる、これは一体どうなんだろう、これは農民の考え方であります。卵がいいから、鶏を飼うにも、今までよりも、十羽養鶏だの五羽養鶏ではだめだから、三百か五百飼ったらよかろう。はて、やりましょうとかかりますれば、飼料が上がって卵が下がる、一体これはどうしたらいいんだろう。(拍手)こういった中に日本の漁業加工はだんだん進んで参りまして、大衆魚の漁獲は減ってくる、こういう中で、魚かすや飼料はだんだん絶えてきている。それを持っておりまする大資本家がこれを独占して、安いものを出して、十万羽養鶏、百万羽養鶏だという。そのあげくの果てには、養鶏は工業である。——いわれるように養鶏をやっていて、われわれは一体どうなんであろうか。豚またしかり。日本の現在の濃厚飼料というものは非常に値が上がっている、こういう中に豚を買っている、その豚は——また反面から見ますると、あなた方の出された資料等を見ますと、これから十年間には濃厚飼料を少なくとも四〇%くらいにまで伸ばすことはできるが、輸入は三〇〇%くらいふやさなければならぬ、そのふやしたところの外国の濃厚飼料をその輸入業者が中間マージンを排して、そうして豚肉工場を方々で建てようとしている。これは一体どうなんだろうかということは、農民が痛切に感じている今日の状態であります。私は、この問題に対して、今ここで御答弁をいただこうとは思いません。(笑声)こういった事情で、農民が現実の問題を中心にして一大疑惑を持っているのであります。  そこで、その第一としてお伺いしたいことは、現在もう農業基本法がまだ通らない、通らない際に、何か聞きますると、農山村振興指導要綱のような、それに似たようなものを出して、指定農村を作って、何か地方公共団体を中心にしてもう着々進められている、こういうようなことが行なわれておる。一体これからの農業基本法を中心にしている政策の進行は、また昔の農山村振興指導要綱のようなことでおじゃりんこになるのじゃないかと、こう考えておるのであります。一体、清澤さん、それはどうなんでしょうと。——おれは知らない、自民党の人やあるいは政府の人に聞いたらよかろう。——それじゃあなた聞いてくれというのだから、ここで農民にかわって農林大臣並びに総理大臣にお伺いするのでありますが、この問題は、少なくとも考え方によりましては重大な問題だと思う。指定村をばらばらに作る、そうして振興して、基本法による振興をしようとしまするには、まず基盤の整備からかからなければならない。用排水から作り直さなければならない重大な問題が、伏在しているのでありまするが、そういうような問題をちゃんと解決して農村を指定せられておるのかどうかということ、今、現在そういうものを町村にやらして、公共団体を中心にしてやらしておられることが、これは何のためにやらしておられるのか。この二点について、私は総理大臣と農林大臣にお伺いしたいのであります。  第二番目は、これはおもに総理大臣にお伺いしたいのでありますが、いわゆる総理大臣の農村の三分の一減あるいは六割減ということだけが農民の頭に一番入っている。そこで、いろいろ御説明を聞きまするならば、決してそういう減をするのじゃないのだ。日本の経済の成長のためには、農村から相当の労働者も出ていってくれなければ、こういう形にもならないので、そういう形をとることによって、第二種兼業農家のごときは、いわゆる日曜農家として成り立つのだ。そういう工場はこれから地方に、農村に続々建ててやって、お前たちをよくするのだなんて言いましたって、農民なかなか承知しません。われわれのような山間村において、はたして工場が来るのか来ないのか、少なくとも、常識をもってこれを考えてみましたならば、どこの村から村の果てまで、そんなものが行くなんということは考えられません。この間も通産大臣に聞きますれば、やはり付近の中小都市が中心だろうと、こう言うておられる。ところが、これにまあ日曜農業をやりなさいといいましても、三里もあるところを通って、そんなに肉体労働を一体大体、していくことが、農民の文化生活になるのかどうか。農民自身は自分のことをよく知っております。自分の苦労のことはよく知っておる。こういった事情の中、その伸展は大体思うようにならぬことはわかり切っております。そういうように、頭に考えておるように世の中うまくいきません。(拍手)こういう場合に考えられることはですよ、今、私がたまたま豚の問題で出しました通り、結局しまするならば、牛を飼いますならば、粗飼料を七〇%ぐらい食わして参りまするならば、それは酪農などもうまくいくでありましょう。ところが、その逆の情勢に今なっている。なぜに、これを何ともすることのできない。農村が持っておる山を開発して、粗飼料を作らして、その粗飼料を増大して、そうして日本のこれからの成長農産物だといわれる酪農などを……。
  101. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 時間が参りました。
  102. 清澤俊英

    清澤俊英君(続) だから、先ほどお願いしているでしょう。(笑声)私が農民の声を代表しておるというのですから、少しは、がまんして下さい。それくらいの寛容はあってよろしいと思う。(拍手)総理大臣、どうなんですか。今のような飼料と価格の状態でありましては、これはいかに五倍にする三倍にすると言いましても、絶対に、外国との貿易の自由が開けて参りますならば、それは数字の上からは成長の農産物であるかもしれぬけれども、事実の価格の面においては、それは絶対にできないことであります。ちゃんとそれは審議会があなた方の答申の中に書いている。なぜに、本気に成長増産を考えるならば、これらの点に思い切った金を使って、こういう貧農の人は一番、二次産業に陥るところであります。われわれは、だから社会党としましては、三百万町歩のうち二百万町歩ぐらいはそれに回して、三合牛乳を作るような、ほんとうの農村の姿を作らなければならない。われわれの手でじゃありませんよ。一体どこで粗飼料を作り上げるのですか。放牧地を搾り上げるのですか。こういうことを考えてみましたならば、いま少し親切丁寧な方法を、今までの審議の過程において、農林大臣もそうだし、総理大臣もそうだし、われわれに回答を与えて下さることがほんとうじゃないかと思っている。私はこの点について、(「時間だ、時間だ」と呼ぶ者あり)時間々々といってうるさいけれども、まあ、あまりにやかましいことを言っても始まりませんから、簡単にこの二点をお伺いしますから、もっと親切丁寧に、清浄に御返答下さるのではなく、現にそう考えている農民にわかるような御答弁をお願いいたしたい。(拍手)   〔国務大臣池田勇人君登壇拍手
  103. 池田勇人

    ○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。  肥料がなかなか下がらない。飼料と畜産価格がつり合わない。そうして、こうやってもなかなか世の中はそうはうまくいかぬと、こうおっしゃいます。私はそういうふうな事情を考えまして、今の農村はこのままで捨てておけません。すなわち農業の自然的、経済的、社会的、いろんな不利がございます。この不利を補正して、農民が喜んで農業を営むと、こういうことにしようとするのが今回の農業基本法でございます。私はこれが通過いたしましたならば、農民が五年先、十年先には、ほんとうによかったと喜んでいただけることを確信いたしております。(拍手、「そんな抽象論ではだめだ」と呼ぶ者あり)   〔国務大臣周東英雄君登壇拍手
  104. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) わかりやすく農民に徹底するように、具体的の話をしてくれということであります。その点について、まず肥料が出ました。どういうふうにして安い肥料をやるかということであります。ただいま私は通産当局とも連絡いたしまして、低コスト生産をなす工場を優先的に合理化を促進して、より安い肥料を供給することの計画を進めております。  第二の飼料の問題であります。これは確かに一時三月ごろに上がりましたが、その後、施策によって今低落しつつあります。今後におきましては、今後における各種畜産物の種類ごとに必要とする飼料、種類別に需給の推算を立て、その推算に基づいて、国内生産でまかない得る、しかも農業者がみずから自給飼料として立っていける草地、牧野の改良とあわせて飼料計画を立て、どうしても国内で供給することの不可能なもの、あるいは一時的に今日ただいま必要量を補い得ないものについでは、最小限度の必要量の輸入計画を立てつつ、月別平均に入れるような方策を立てつつ、でき得る限り低廉な飼料の供給をはかるつもりであります。また必要であれば、それに関して飼料安定需給法に関する改正も加えたいと、目下研究中であります。  最後のお尋ねでありますが、現在農山漁村に関して、その振興とかいう関係で調査しているのではないかということでありますが、現在農業基本法制定に関連して先に調査を進めておることはございません。地方自治団体においてそれぞれ地方の自主性を発揮して、その地方における新規農村経済計画等を立てておるのでございますが、私どもの方から指令を出したものではございません。   〔岩間正男君「議事進行」と述ぶ、その他発言する者多し〕    ————————
  105. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 宮澤喜一君から、賛成者を得て、質疑終局の動議が提出されました。  これより本動議採決をいたします。  表決記名投票をもって行ないます。本動議賛成諸君白色票を、反対諸君青色票を、御登壇の上、御投票を願います。  議場閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。(「議事進行」「答弁が洩れている、だめじゃないか」「やりなおせ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然)   〔議場閉鎖〕   〔参事氏名点呼〕   〔投票執行
  106. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 先ほどの清澤君の質疑に対する答弁漏れがありましたので、ただいまの動議採決を取りやめます。(拍手亀田得治君。   〔亀田得治登壇拍手
  107. 亀田得治

    亀田得治君 清澤君の質問にお答えいたします。  私の修正案と政府案との違い、これを詳細に明確に説明をしてもらいたい、こういう趣旨でありましたので、先ほど北村君に対するお答えはちょっと簡単過ぎましたが、少し資料に基づきまして詳しく御説明申し上げたいと思います。  で、私たちは、政府原案の十一条のような表現では、農民の求めている生産費並びに所得というものが確保されないおそれがある、こういうことをたびたび申し上げておるのであります。政府はそうではないと、こう申しますけれども、皆さんは納得されておらないと思います。そこで、なぜ私が、政府がそういうものを考えているのだというのにもかかわらず、それならばここに明確にしたらいいじゃないかと言いますと、現に農民のいろんな価格を通じての所得、これが確保されておらない。現に米の場合には比較的所得が確保されていると言われております。それが適正であるかどうかは別といたしまして、たとえば、よく問題になる酪農民の所得、こういう点をとってみますると、はなはだもってこれが低いのであります。現にそれが低いわけであります。だから、政府のようなこういう表現を用いることは、結局この現在低く押えられているそれを引き上げようとする意図というものが、ここからはくみ取れないわけなんです。私たちは決してただ法文上の言葉のあやを申しておるのではありません。現に農産物価格等を通じて所得が確保されておらない。その現実を直すための私は法律であると考えている。そういうわけでありまするので、たとえば乳価につきまして、農林省がみずから作ってわれわれに配付されました資料をちょっと拝見してみましょう。これによりますと、昭和三十一年の酪農民一日当たりの労働報酬総平均で、わずか一日二百四円にしかなりません。よくニコヨンというような表現が使われますが、ニコヨンさんでも最近はずっと賃金が上がっております。おそらく二百四円ということではその半分ぐらいではないかと思うのであります。もちろんこれは総平均でありますが、非常に、たとえば一頭とか二頭、こういう程度しか飼育しておらない酪農民でありますと、その一日当たりの労働報酬というものが百三十六円、百二十四円、こういう程度にしかついておらないのであります。もちろん私たちは、一頭や二頭、そういうわずかの牛を飼っているような酪農経営、そういう規模そのものをもちろん問題にしております。これをもっと拡大し、引き上げていく、生産性を高めていくということは、もちろん一方では考えているのでありまするが、しかし、現にそういう低い労働報酬しか得ておらない酪農民がたくさんあるのでございます。私は、基本法である以上は、こういう問題に対するてこになるものでなければ、基本法の値打ちはないと思うのであります。(拍手)三十二年の統計をとりましても同じような状態であります。三十三年は特別悪い年でありましたが、この三十三年の総平均を見ますると、一日わずかこれが九十円にしかなっておらないのでございます。一日わずか九十円です。これでどうして選択的拡大、大いに酪農を今後奨励するのだ、政府は盛んにそんなことを言っております。そんなことを言ったって、どうして酪農民が本気になれるでしょう。政府は十年後には日本の酪農は現在の三倍になると、こう申しております。一日わずか九十円や百円の労働報酬しか得られないようなそういうみじめな状態において、どうして選択的拡大ということができましょうか。こういうところに政府案の根本的な欠陥がある。これを改める基本原則がここに現われておらないわけなんです。私は、基本法がわれわれが主張するがごとくりっぱなものができましても、それによって一挙にして今申し上げたような問題が解決するとは考えません。しかし、問題の解決の目標というものは、基本法である以上は明確にされなければいけないと思うのであります。  時間がちょっと来ているようでありますが、特にこの点に関連いたしまして、政府案の第八条、これがきわめて重要な意味を持っておるのであります。第八条は、御承知のように、この法律ができたら政府は将来農産物の需要と生産の長期見通しを立てる、こういうことになっております。ところが、政府の考え方は、長期の見通しは立てる、農民がそれに従って自分の生産を行なった場合に、政府の方針が間違ったために過剰状態等が発生いたしまして損をした場合どうするのか、政府はそれに対して責任は持ちません。なるほど委員会における質疑の過程では、そういう事態が起きたら、その事態に即応して具体的な措置をとる、こう言っております。しかし、政府は、あくまでも農民に損失を与えないように保証する、こういうことは断じて明確にしないわけでございます。こういうわけでありまして、第十一条につきましては、農民が最も要求しているそういう点をくみ取った価格の保証というものはない。あるいは第八条による長期見通し、この中には価格に対する将来の保証というものは何もない。社会党の案はそうではないのであります。私の案でもそうではない。長期見通しの場合、もし政府がその見通しを立てたならば、農民にぜひこの見通しに沿ってやってもらいたい、そのかわり農民がそれによって損失を受けたら、われわれは責任を持つ、こういう長期見通しでなければ、農民も初めから天気予報と同じように信用しないのであります。こういうところに、私たち政府の考え方の、農民問題に対して真剣に取っ組んでおるかどうかの違い目がにじみ出ていると思うのでありまして、清浄議員の御了承を得たいと思うのでございます。(拍手
  108. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 安田敏雄君。   〔安田敏雄登壇拍手
  109. 安田敏雄

    安田敏雄君 簡単に清澤議員の質問にお答えいたします。  私は、今日の農業の実態の中で、成長産業といわれる果樹であるとか、園芸であるとか、畜産にいたしましても、確かにその生産過程において、非常に生産技術は高度化して参りました。あるいはまた、病虫害等のいわゆる防除に対しましても、集団的に共同化してやっている実態があるわけでございます。特に機械化、電化というような問題を考えましても、その生産面における方策というものは、共同化という方式をとっていかなければならないという実態の中で、農民はみずから創意工夫いたしまして、そういう自主的な農業の生産組合を作るという試みが国内のあちこちらに見られているわけでございます。先日最終の参議院の審議の亀田議員の質問の中で、池田総理みずからも、佐賀県における共同化の進展状態を説明しているわけでございます。従って、そういう実情があるとするならば、当然それは政府みずから農業の発展の方策といたしまして押し進めていかなければならないというように私は考えるわけでございます。そこで、社会党が考えておりますところの共同経営というものは、一単位当たり十ヘクタール以上の農業生産組合を育成していこう、そうして全国的に農業のサービス・センター等を設けまして、これを高度に利用することによって国際競争に耐え得るような高い生産性を実現していこうという、こういう考えであるわけでございます。ところが、自由民主党、いわゆる政府案の自立経営農家というものは、農用地におきましても、十年先、六百万町歩でございます。そこで二町五反の所有の農家を百五尺十年後に搾るというならば、必ずそれは中農あるいは零細農のいぶり出しという結果が生じてくる。そこで、そういう当面のいぶり出しを他産業のいわゆる発展に依存いたしまして、これをその方へ移動さすにおきましても、今日、各産業構造は非常に複雑でございまして、特に雇用問題、雇用構造は、いわゆる年功序列型の賃金であるとか、あるいはまたその他のいろいろな条件によりまして、結局、社外工であるとか臨時工というようなきわめて安い賃金でなければ入れません。そういうようないわゆる雇用構造の問題でなかなか就職ができないならば、当面は一つ協業でもってこれらの人たちを何とかごまかしていこうというような、いわゆるそういう意図を含んでおりまして、明らかにこの自立経営農家の問題は、これは零細農のいぶり出しだというようにどうしても考えられてくるわけでございます。こういう点からいきまして、私は、真に農業というものが他産業に比較いたしましてその格差を是正さしていこう、こういうことを考えるならば、その構造改善の問題は、あえて家族経営、いわゆる自立経営農家でなくてもよいではないか、もっと幅広く共同経営の方式を考えていかなければならないというように考えるわけでございます。たとえ政府案のいうように家族経営でありましても、それを是認するといたしましても、貿易自由化の背景の中で外国の農産物と競合する、そういうような場合におきまして、今後、あるいは飛行機やその他によって広範な種まきをいたしましても、しょせん、それは外国の安い農産物とは太刀打ちできないというような問題を考えあわせますときには、どうしても共同経営の方式をとっていくことが正しいのではないかというように考えるわけでございます。そこで、共同経営では収益の配分が困難であろうかというような、よく自民党の方の諸君から批判もあるわけでございますが、いわゆる農業生産組合の収益というものは、当然、出資に対し、あるいは、またはその就労いたしました労働に対しまして配分されることになるだろうと思うわけでございます。そういう出資への配分と労働への配分のいずれに重きを置くべきか、こういう問題は、農業生産組合の定款において自主的にきめれば問題は解決する、こういうように考えておるわけでございます。これがいわゆるこの農業構造改善の自民党と社会党との異なるところであると思うわけでございます。  そこで、協業の助長という問題でございますが、私はこの際、なかなか国会の数の問題において、とても私どもの意思が通らない。そういう意味から、まあまあ政府側におきましても、協業という問題でございますが、これを一歩前進さしたという、こういう好意の考え方の上に立っているわけでございますから、その意味において、これは当然促進させなければならぬ、こういうように考えているわけでございます。助長という言葉は、昔の支那にありましても、これはきわめて消極的な悪い言葉であるわけでございます。退嬰的な言葉であるわけでございますから、そういう意味合いにおきましても、積極的に農民の意欲を促進さしていくという強い政策を打ち出すのでなければ、真に農業政策は農民のためにならないという、こういう考え方に立って提案を申したわけでございまして、きわめて最低の提案であるということを御了承願いたいと思うわけでございます。(拍手
  110. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 北村暢君。   〔北村暢君登壇拍手
  111. 北村暢

    北村暢君 清澤議員の質問にお答えいたしたいと思いますが、価格政策の問題については亀田議員から答弁がございましたし、構造政策の問題につきましては安田議員から説明がございましたので、この点については、私、省略さしていただきたいと思いますが、基本法全般について提案をしておりまするので、わずかの時間でこれの違いをはっきりせよということについては非常に困難でございまするので、私はまず前文における考え方、こういう問題について、政府の提案されております基本法と私どもの基本的な考え方との差というものを申し上げたいと存じます。  で、まず政府の案によりますというと、「農業従事者は、このような農業のにない手として、幾多の困苦に堪えつつ、その務めを果たし、国家社会及び地域社会の重要な形成者として国民の勤勉な能力と創造的精神の源泉たる使命を全うしてきた。」、そしてこれが今度の基本法によって「農業及び農業従事者の使命が今後においても変わることなく、」こういうことになっておるのであります。との考え方というものは、いわゆる農民は、戦前においても、戦時中においても、戦後においても、いわゆる支配される階級として、非常に封建的なまた前近代的な形においてしいたげられてきた階級でございます。しかるがゆえに、今日農業の近代化ということをあえて言わなければならない、こういう事態になっておるのでありますが、これを踏みつけるがごとくに、今度の基本法の前文においても、「農業従事者の使命が今後においても変わることなく、」ということは、低所得、低生産に呻吟するということを前提にしなければ池田内閣の高度成長というものは成り立たない、こういうことを意味しているのじゃないかと思うのであります。(拍手)こういう点からいたしまして、池田総理は、先ほどの答弁でも申しましたけれども、農業の自然的、経済的、社会的諸制約による不利を補正し、そして他産業との生産性の格差をなくしていくのだと、こういうことをおっしゃられておるのでありますが、これはあくまでも政府の考え方はいわゆる高度成長政策による考え方でありまして、この成長することによって、農民の所得、農業の生産性、これが向上するのだと、所得が上がるのだということになっておるのであります。しかしながら、私どもは、確かに経済の高度成長というものは、二重構造を克服する一つの手段であるとは考えますけれども、今日の情勢のままでいくならば、このままでいくならば、二重構造は、解消はおろか、所得の格差はより拡大をするという方向に向かうのであります。そういう点からいたしまして、私どもの社会党の考えておる考え方と、いわゆる高度成長による楽観的な所得格差の解消というようなことについて、根本的に考え方が違うのであります。(「わかった、わかった」「規律を守れ」「時間だ」と呼ぶ者あり)規律を守れって何だ。時間になってないじゃないか。  こういう点からいたしまして、日本の農業の生産政策、これについては、先ほど来申しましたが、亀田議員、安田議員から触れておりませんので、私どもはほんとうに、農業の生産性を確保するということも、総生産を拡大するということも、もちろん考えますけれども、清澤議員自身が御質問になったように、今日の成長拡大しつつある畜産物、こういう問題を一つ取り上げましても、先行き不安で、なかなか政府の思うように畜産が伸びるかどうかということについて、大きな疑問のあるところであります。従って、私どもは、この考え方に立つ限りにおいて、畜産を振興するならば、まず、えさの問題を解決しなければならない。この考え方を徹底していくならば、いわゆる草地農業、牧野の改良、こういう粗飼料生産をする、このことが最も大事である。(「時間々々」と呼ぶ者あり)そのために二百万町歩草地の開発をやる、(「三百万町歩だ」と呼ぶ者あり)百万町歩は畑で、二百万町歩が草地なのであります。そういう考え方に立って、現在のえさの政策、飼料の政策について、私どもはこれについて、現在の濃厚飼料七、粗飼料三の割合を、これを逆に持っていこう。このことによって、真に有効な酪農が確立できる、このような考え方に立っておる次第でございます。  以上、時間が参りましたので意を尽くしませんが、私の清澤議員への答弁にかえさしていただきます。(拍手
  112. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 本日はこれにて延会いたします。  次会は明日午前零時十分より開会いたします。  議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後十一時四十四分散会    ————————