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政府委員(竹内
寿平君) 前回の
委員会で、ヒモの処罰の規定を拡充強化するかどうかという点につきまして、御
質問にお答えを申し上げたのでございますが、ヒモが、ある程度許されてもやむを得ないんだというような考え方は、私いたしておらぬのでございます。ヒモを処罰するということは、国民の皆様の中でかりに売春防止法についてかなり批判的な方でありましても、その犠牲者である売春に陥った婦女から、売春でかせいだものを搾取するという者が許されていいはずがないわけでございまして、このヒモに対しましては峻厳な
態度で処理をいたすべきものであると思います。そういう考えに立っているのでございますが、現行の売春防止法の中にもヒモの規定は若干あるわけでございますが、この不備を補いますために、国連の条約等におきましても、売春による搾取ということを厳しく取り締まるべきだということが世界各国に示されているわけでございます。わが国も御
承知のようにその条約を批准しているわけでございまして、そういう観点から、ヒモに対する不備な点を補って参りたいというような考え方から
研究に当たっておりますことは、前々から御
説明申し上げている
通りでございます。
それで、私どもの立場は、不備な点を発見いたしまして、法の是正をお願いするということに目的があるわけでございますが、その過程におきまして、皆様方の
お話を伺っておりますと、これはいろいろ具体的な事例に接されての御
発言と思いますが、私も婦人団体その他から、悪質なヒモが日本にあるんだということは前々伺っておりますし、それから私どもの
関係の
検察庁の風紀
関係の検事の集まりにおきましても、このヒモを罰すべきである、法的な不備を補うべきであるという
意見もたびたび聞いております。しかし、それだけではたして立法という手段に訴えていいかどうかということにつきましては、やはり慎重に検討すべきものでございます。これは
一つの
研究でございますけれども、その
研究が決定的な
意味を持つとは私も考えておりませんが、たまたま昨年の八月から十二月にかけまして、ある種のヒモの実態の
調査というようなものを試みたわけでございます。その
資料はお手元に差し上げてあるはずでございますが、その結果を見ますと、一般に言われているよりも、日本の売春に陥っている婦女子とその同居者あるいは別居者、そういう売春のあがりに寄生しているといいますか、そういう同居者の
人たちの実態を見ますと、かなりかわいそうな事例も少なくないことが、わずかな事例の
研究の結果でございますが、出ているということを申し上げたのでございまして、私の気持なり
法務省当局といたしまして、この立法に熱意を失っているというようなつもりはさらにございません。