○野本
品吉君 今の御答弁の中で、やはり筋としてはっきり私
どもは
考えてみたいと思うのは、
教育公務員と一般の公務員とを混同させるところに相当の問題があろうと思うのです。
教育公務員は、
教育という仕事からくる当然の
要請として
教育公務員としての資格要件を必要とする。事務
職員にはそういう点をあまり必要としない。それから、
教育公務員と一般の公務員というものを同じように
考えていくことについては、私
どもとしては多少の批判的な
意見を持ちます。それはそれといたしまして、もう
一つは、言葉じりをつかまえるわけではありませんけれ
ども、なるほど定時制の事務
職員にしろ、教
職員にしろ、夕食の家族との団らんの楽しみを持つことができないということは非常にこれはお気の毒なことです。しかし、それだけを
理由にいたしますというと、昼間の先生よりも朝寝ができる、朝飯はゆっくり食べられる、昼飯も一緒に食べられるというようなことと相殺されるようなことになるので、夜間勤務の問題につきましては、同情はいたしますけれ
ども、それだけを
理由にすることはどうかといったような、これは皮肉な言い方のように思われるかもしれませんが、そこにも多少
考えるところがある。と申しますのは、実は私の
承知しております八百人という夜間の定時制の
高等学校があるわけです。これは非常にうまくいっている。この
学校に
一つの特異の現象がある。それはどういうことかというと、昼間部から夜間部の定時制への配置転換といいますか、それは希望するが、夜間部から昼間部への配置転換は全然希望いたしませんので、そこで夜間部からいまだかつて昼間部に移動した者はない、これなんです。これは私は
教育に対するものの
考え方からくるので、そこの定時制の主事を初め、働く青年の特別な持ち味というものに対して、非常な深い理解というか、そういうものを持っているのですね。昼間部の生徒の
教育よりも、働く青年の
教育の方が実際おもしろい、やりがいがある、こういうところからきているわけなんです。そこで私は、夜間部の先生に対して同情はむろんいたしますけれ
ども、もともと定時制の夜間部の教師になる人は、やはり勤労青年を真に愛する人でなくちゃならぬ、勤労青年とともに手をとって、泣いたり、喜んだり、悩んだり、働いたりする、そういう意欲を持った先生を集めることでなければ、これまた定時制の
振興にはならないのです。いやいやながら昼間部から回されて仕方なしにやっておるというような先生には、絶対に勤労青年を完全に把握して、それを作っていくわけにはいかないので、従って私は、これはやはり、
一つの
文部省の
教育行政の指導の面においても、勤労青年を相手にする定時制の教師というものは、どういう素質、どういう
条件を備えておることを必要とするかという、青年にぴったりくるような先生を選ぶことが
定時制教育振興の非常に大きな点で、それが証拠に、今言ったように、定時制の開始以来、昼間部から移動することを希望する者はあるけれ
ども、夜間部から昼間部に移動することを希望する者は一人もないという
現実のあることを私は知っておりますので、従って、これは教師論になって参りますけれ
ども、そういう点についても、やはり定時制
振興の根本問題として
考えるべき事柄であると、こういうふうに私は
考えているわけです。夜間の人たちの手当をよくするこ
とにどうこうということではありませんが、問題は、特に勤労青年の
教育を
振興する上から言うと、先ほど申しました、どうしたら勤労青年のほんとうの向学心を満足させることができるか、向学心をそそることができるかという、青年の立場からものを
考える。それから、
定時制教育というものはどうしたらほんとうに
振興されるかということを、教師論という立場から
考えると、こういうところに
定時制教育振興の根本の問題があるのではないかというのが私の
考え方で、こういういろいろな法的
措置をすることも一応はわかりますけれ
ども、問題はそこにあるように私は
考える。で、まあ大へん長いこと申しまして失礼いたしました。
最後に、これは
定時制教育の
法案につきまして私が御質問申し上げたので、他の社会党の先生方の御
提案になりました
法案とも関連のあることでございますが、これは参議院規則の五十条には、「
委員会が
予算を伴う
法律案を提
出しようとするときは、
委員長は、その
決定の前に、
内閣に対して、
意見を述べる議会を与えなければならない。」ということがあります。それから、「議員の発議にかかる
予算を伴う
法律案で
委員会に付託されたものについては、
委員長は、その議案を表決に付するまでに、
内閣に対して、
意見を述べる機会を与えなければならない。」このことは、発案の事前におきましては、あるいは必要ではないかもしれませんが、この案というものがだんだん
審議が進められていく途上において当然予想されておることで、予想されておることとすれば、立案者としては、予想されたその問題について、
内閣の
意見というものを、正式には求めなくも、打診しておいてしかるべきだ、こう思うのですが、その手続はとられておりますか、どうか。