○戸
叶武君 農林官僚の知恵者は、瑞穂の国に生まれただけに、神主も勤まるような
一つの文字の解釈が達者ですが、これはおそらくは進歩的な農林官僚の隠れみので、社会党の共同化とは同じだが、共同化というと、わけのわからない保守のがんこな連中が不消化のままでのんでくれないから、協業といえば、大ていオブラートに包んであるからのむだろうというので、苦心惨たんして作った
言葉かもしれませんが、これは
あと二、三年過ぎると、世界中から物笑いの種、茶話のいい材料になると思いますが、問題は協業という
表現でなければ具体的な
表現が十分でないような、そういう
言葉で
内容を説明する法律なんというものはすべきでないのであって、一々法律に——今明治時代じゃないですよ、一々法律論に入ったときに、協業とは何ぞやなどという
ところから解釈しなければ解釈できないようなのは人民の法律じゃないです。こういうことは今後、ばかも休み休みやることで、こういうばかげたことは今後はあまりやらないでもらいたい。これは社会党の方がこの点は歯に衣を着せずにはっきりものを言っているから、社会党の案の第十条を読むと、
農業経営の共同化についてもはっきりしていると思うのであります。社会党の方は、一項に「国は、わが国
農業における過
小農経営を克服するため、
農業生産組合その他の
農民の共同組織を育成しなければならない。」これが新しい
農業構造の眼目でなければならないのであります。さらに二項に「国は、
農業経営の共同化を促進するため、全額国庫負担による農用地の
造成、
土地改良及び集団化により
農業生産基盤の整備を図らなければならない。」この
ところもきのうあたりは
農業経営の共同化を促進するため全額国庫負担による農用地の
造成ということを変にゆがめて食ってかかっておりましたが、この古いドイツ風の官僚養成学校で育てられた旧官僚上がりの政治家というのは、いまだに新しい憲法の読み方を知らない、上杉慎吉流の憲法解釈から一歩も出ておらないのでありまして、そういう私は頭の洗脳をやらなければ
農業基本法には取っ組んでいけないと思います。第三項には「国は、
農業生産組合を
農業協同組合の下に育成するものとし、そのため、
農業生産組合に対し、その事業及び施設につき指導、助成、機械の貸付け、長期低利
資金の貸付け、税法上の特別
措置等の
措置を講じなければならない。」こういうふうな具体的な裏づけがなければ
農業基本法の効果はないのです。これは全く自民党の
農業基本法は香水みたいなものでありまして、においだけはぷんとするが、五分もたつとにおいが逃げていってしまう。(笑声)これは薬にすればトンプク的でありまして、胃病ですらもなおすこともできない、私は肩のこりぐらいは精神的な心境の変化によってこれがなおったという
程度にしかならないと思うのであります。こういうことはやはりはっきりしなくちゃならない。四項は「国は、
農業経営の共同化及び
近代化を促進するため、
農業協同組合の活動を活発ならしめるよう必要な
措置を講じなければならない。」と規定しているのです。こういうふうに私は
農業基本法というのは基本法だから、
農民憲章だから、なるたけ抽象的に——抽象的なら結婚式に読む
ところの神主ののりとが一番簡単にできておりますが、ああいうようなのりと的な憲章は、この人民主権の国における
ところの法律としては体をなさない。憲法はその国においては
一つしかないのだ。
農業憲章と言っても、
農民憲章と言っても、
農業基本法と言っても憲法とは違うのです。憲法に次ぐ
農業政策の基本的
方向を決定づけるものなのに、それを
農業基本法という名前をいろいろなふうに解釈して、
農業基本法というものは、いろいろなことを具体的に規定する必要はないのだというようなことを
答弁しているようなこともあるようですが、一体
政府は、
農業基本法は絵に書いたぼたもちのように
一つの抽象的な文字で羅列した
ところの
農業基本法でいいと考えているのですか、
農林大臣もこれには少し不満だと思いますが、御意見を伺いたい。