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1961-04-11 第38回国会 参議院 農林水産委員会 第28号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十六年四月十一日(火曜日) 午前十一時一分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
藤野
繁雄
君 理事
秋山俊一郎
君 櫻井 志郎君 亀田 得治君 東 隆君 森 八三一君
委員
石谷
憲男
君
植垣弥一郎
君
岡村文四郎
君 河野 謙三君 高橋 衛君 堀本 宜美君 阿部 竹松君 北村 暢君
清澤
俊英君 小林 孝平君 安田 敏雄君 千田 正君 北條 雋八君 国務大臣 農 林 大 臣 周東 英雄君 自 治 大 臣 安井 謙君
政府委員
農林政務次官
井原
岸高
君
農林大臣官房長
昌谷
孝君
林野庁長官
山崎
斉君
事務局側
常任委員会専門
員
安楽城敏男
君
説明員
自治省行政局行
政課長
岸 昌君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
森林開発公団法
の一部を改正する法
律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
公有林野等官行造林法
を廃止する法
律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
藤野繁雄
1
○
委員長
(
藤野繁雄
君) ただいまから
農林水産委員会
を開会いたします。 この際、お諮りいたします。
森林開発公団法
の一部を改正する
法律案
及び
公有林野等官行造林法
を廃止する
法律案
について、
参考人
から
意見
を聞くこととし、その人選及び
手続等
については、
委員長
に御一任を願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
藤野繁雄
2
○
委員長
(
藤野繁雄
君) 御
異議
ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
—————————————
藤野繁雄
3
○
委員長
(
藤野繁雄
君)
森林開発公団法
の一部を改正する
法律案
(
閣法第
四五号)及び
公有林野等官行造林法
を廃止する
法律案
(
閣法第
四六号)両案を
一括議題
といたします。 両案は、去る七日
衆議院
から送付せられ、本
委員会
に付託されました。
衆議院
においては、両案とも修正議決されておりますが、その
修正部分
はお
手元
に配付いたしました
通り
、いずれも「
昭和
三十六年四月一日から施行する。」とあるを「公布の日から施行する。」と改められたのであります。 両案についての
資料
が提出されております。まず
資料
についてその
要点
の
説明
を求めます。
山崎斉
4
○
政府委員
(
山崎斉
君) お
手元
にお配りいたしております
参考資料
につきまして、その主要な点を御
説明
申し上げたいと思います。まず第一に、
参考資料
(1)をごらん願いたいと思います。先般
補足説明
で御
説明
申し上げましたところと重復するところもありますので、そういう点を省略いたしまして
主要点
を御
説明
申し上げたいと存じます。 まず第一が、一ページAといたしまして、
森林開発公団
が行なって参りました
熊野
、
剣山
両
地区
におきます
公団
の
林道開設事業
の
計画
と
実績
を掲上いたしております。これは三ページをごらん願いますと、
熊野
、
剣山
両
地区
合わせまして、
路線数
におきまして三十六
路線
、
計画
といたしましては
延長
で三百二十七キロ余、
事業費
が三十三億七千一百万円という
計画
に対しまして、
実績
は
延長
が三百二十一キロでもって
事業費
は三十三億七千一百万円ということに相なっておるのであります。 それから四ページにおきまして、
公団林道
の
災害復旧事業
の
路線別
の
計画
と
実績
、これを掲上いたしておいたのであります。 それから第六ページをごらん願いますと、
公団林道
の
維持管理
の
状況
を
路線別
に
年度別
に掲上いたしたのであります。 これの最終的な取りまとめは、八ページをごらん願いたいと思うのであります。これもごらん願いますと、
熊野
、
剣山
両
地区
を合わせまして、三十二年度から三十五年度まで
利用料徴収
の
状況
をそれぞれ掲上いたしておりまして、三十五年度といたしましては、二千六百五十五万円という
状況
に相なっておるのであります。で、
維持管理
はどういうふうにしてやっておるかというのが、右の表にありまして、
維持管理
の
対象
としましては、
路線数
が三十六、
延長
三百二十二キロに対しまして、
管理事務所
四カ所を持ち、
管理員
が七名、
保線夫
が五十六名、
監視人
三十二名、
合計
いたしまして九十五名余を配置いたしましてこれの
管理
をいたしておるという
状況
でございます。 それから九ページに、
林道事業
の
路線別
の全体
計画
及び既往の
実績
というのを掲上いたしまして、第一回
指定
というのは、
政令
で
路線
を
指定
することになっておりますので、第一回に
指定
したもの、次のページに第二回の
指定
の
路線別
を掲上いたしたのであります。
指定
を終わりましたものが十一ページの上の小計のところをごらん願いたいと思いますが、
延長
で百十八キロ、
事業費
で十三億一千三百万円、これに対しまして今までの実行いたしましたものが設計、
開設工事
、こういう形に相なっているのであります。今後
指定
がこれに掲上いたしておりまして、
指定
と今後
指定
、合わせまして四十
路線
を掲上いたしているのであります。 それから十二ページをごらん願いたいと思います。
公団林道事業
の
熊野
、
剣山
両
地区
の
事業
でございますが、これの
年度別
の
資金
の
借入状況
、
余剰農産物
から十億、
農林漁業金融公庫
から四億、
資金運用部
から十七億というものを借り入れて、
合計
三十一億を借り入れているのであります。 それから十三ページにこの
公団
の両
地区
につきましての
年度別
の収支の
実績
を三十五年度は
見込み
で出ておりますが、掲上いたしているのであります。 それなら十四ページに
公団林道
の
路線別
、
受益者賦課処分
の
状況
を掲上いたしているのであります。これは
工事費
に対しまして、国が五二%補助いたしまして、県が一〇%を補助する、残りの三八%を
受益者
が
負担
するということに相なっておりますので、その三八%分がこの
賦課金
といたしまして
路線別
に掲上いたしているのであります。その
総合計
が十二億八千九十九万円、右の一番下のところに掲上いたしておいたのであります。 十五ページに
公団林道
の
受益者賦課金
の
徴収状況
を
路線別
に掲上いたしておりまして、十六ページの一番最後の
合計
のところをごらんに願いますと、三十四年度末までに調定いたしました金額が三億四千五百九十万円余、これに対しまして
当該年度内
に収納いたしましたものが三億二千五百万円余、
収納未済額
が二千十万円余と相なっているのであります。これに対しまして、この
収納未済額
のうちで三十五年度中に
収納済み
となりましたものが、千百十五万六千円、従いまして三十六年四月一日現在におきます
収納未済額
は八百九十四万円という形に相なっているのであります。 十七ページは
階層別
にどういうふうな
収納未済者
があるのかということを
路線別
に掲上いたしてあるのであります。 それから二十ページ以降に今後考えております
造林関係
の
資料
を掲上いたしまして、二十ページに
官行造林地現況
、総数で
契約面積
三十万四千
町歩
、
造林面積
二十四万七千
町歩
でありまして、それを
市町村有
、
部落有
、私有という形にそれぞれ区分いたしまして、
契約面積
、
造林山積
を掲上いたしているのであります。 それから
備考
のところに、
営林局別
にどういうふうな
状況
になっているかということもあわせて計上いたしているのであります。 それから二十一ページに、分
収造林特別措置法
による
民有林造林
の
実施状況
、これを二
者契約
と三
者契約
に分けまして、三十三、三十四の
実績
、三十五年度の
見込み
というふうに掲上いたしているのであります。 それから二十二ページに
保安林整備計画
の
実施状況
といたしまして、(イ)として
民有保安林
の
年度別
の買入
実績
、これは
保安林整備臨時措置法
によって重要な
民有保安林
を国が買い上げるという制度を
実施
いたしているのであります。二十九年度から三十五年度までに四百二十五件、
面積
にして十六万
町歩余
を買い上げているのであります。それから(ロ)といたしまして、
保安林整備計画
の
進捗状況
、
国有林
、
民有林
、
保安林
の
種類別
という形に、この
進捗状況
を掲上いたしているのであります。 それから二十三ページに三十六年度以降に行なおうといたしております
水源林造林
の
道府県別
、
所有別
にどういうふうに今後やる
計画
であるか。また
備考
の欄には、
営林局別
にどういうふうに
計画
しているかということを掲上いたしておいたのでありまして、
国有林
が、
合計
の欄をごらん願いますと、十一万九千九百
町歩余
、それから
民有林
が二十三万二千
町歩
、
合計
いたしまして、三十五万一千九百
町歩余
を今後
実施
いたしたいという
計画
であります。 それから二十四ページに
公団
によってやろうと考えております
水源造林
の
年度別
の
事業計画
、
所要経費等
を
参考
として掲上いたしておいたのであります。 二十五ページには
森林開発公団
の現在の
組織
、
機構
、三十六年度に予定いたしております
組織
、
機構等
を
参考
として掲上いたし、また二十六ページには今後
森林開発公団
が
事業等
の増大に伴ってどういうような
人員配置
を、人数の増を必要とするかということを計上いたしておいたのであります。 それから二十七ページには、現在の
森林開発公団役職員
、
課長
以上を
対象
にしまして、その前歴とか、
給与予算
の概況を
参考
として計上いたしたのであります。 それから二十八ページにその他というふうな形で
関連産業
の雇用と賃金の
状況
がどういうものかということを
参考
に計上いたしたのであります。 それから二十九ページをごらん願いたいと思いますが、
官行造林法
の廃止、
開発公団法
の一部改正につきまして、その成立いたしました場合にどういうふうに事務的に取り扱っていこうかという点を、
自治省
の
行政局長
と
林野庁
の
長官
とでいろいろ数回にわたって
協議
、打ち合わせをいたしました結果、
了解事項
として覚書のようなものを交換するという形に相なりましたので、その全文を掲上いたしておいたのであります。 なお、これらの
内容
につきましては、また別途御審議の過程で十分御
説明等
をいたしたいと思います。 それから
参考資料
の(
II
)というのをお開き願いたいのであります。 これは
公団法
によりまして出さなければならない
政令
とか
省令
、あるいは
認可事項
になっております
事項
の
概要
の主要な点につきまして、御
参考
に提出いたしたわけでありますが、これらの点につきましては、まだ大蔵省その他の
関係
のところと完全に
了解
がついておるという段階ではないものもあるのであります。現在までに検討いたしました点を御
参考
に提出いたしたわけであります。 その第一は、
森林開発公団登記令
の一部を改正する。これは
登記法
によりまして
公団
を
登記
しなければならぬのであります。
資本金
を新たに持つことに相なったのでありますので、それに対する
登司事項
の
登記
につきましての
政令
を改正するということにいたしたのであります。 第二といたしましては、二ページをごらん願いますと、
森林開発公団法施行規則
の一部を改正する
省令
であります。
法律
によりまして、農林省の
省令
によって定める
事項
を
契約事項
に明記しなければならないというふうに相なっておるのでありまして、それで
省令
によりましてどういう
事項
を明らかにして
契約
すべきかということをこれで
規定
いたしたいというふうに考えておりまするのであります。
契約
の第一条にございますように、
植栽
すべき
樹種
、本数、
植栽
の
方法
、
手入れ
の時期、
方法
、その他主要な、どうしても長い間の
契約
というものをやっていく点からいたしまして、主要な一項をそれぞれ
省令
で
規定
するということにいたしたいというふうに考えておるのであります。 それから二枚めくっていただきまして、
森林開発公団
の
業務方法書
の
要綱
というところをごらん願いたいと思うのであります。
業務方法書
は、
農林大臣
が認可するというに相なっておるのでありましてこれがいわゆる
契約
をいたします場合の非常に重要なものに相なるのでありまして、これについて
概要
を御
説明
申し上げたいと存じます。 この第一は、定義でありますので、御
説明
を省略いたしたいと思います。 それの第三のところでありますが、
公団
が行なう分
収造林事業
の
対象地
は、
法律
の
規定
に基づきまして
農林大臣
が
指定
した
地域
内の
土地
であって、次の基準に適合するものでなければいかぬ。一として、無
立木地
、散生地、
粗悪林相地等
の、要
造林地
でありまして、
一団地
、これは
併括管理
が可能であるような場合には、その数個の
団地
をあわせて
一団地
とするというふうに考えまして、
一団地
の
見込み面積
が五ヘクタール以上のものであること。その二といたしまして、次のいずれにも該当しない
土地
といたしまして、その
土地
につきまして
入会慣行等
の
権利関係
がきわめて複雑でありまして、整理できない。そのために
契約
の
履行
にあたりまして支障を生ずるおそれがあるというような場合、もともと端的に申し上げますと、
入会等
の
慣行
が非常に
権利関係
が複雑であります場合は、それが話し合いがつかないといたしますと、
契約自体
もできないというふうな
事態
に立ち至るわけでありまして、そういうような
土地
は
対象
として適当でないということ。それから地位、地勢、
気象等
の
自然的立地条件
が悪くて、
造林
いたしましても
成林
の
見込み
がないような
土地
、及び
国土保全
上の
見地
から
治山工事
の
実施
によることを適当とするような
土地
、こういうものは
契約
の
対象
にならないという
考え方
であります。 それから第四として、
費用負担契約
におきまして
造林
を行なうという者は、
造林事業
を行なうのに十分な能力を持つ者でなければならぬということは、当然の
規定
のように思うのであります。 それから第五といたしまして、
造林者
の
義務
というものを明らかにしておいたのであります。これは次にあります「第八による
実施計画
の作成」、「
契約
の定めるところにより
造林地
に一定の
樹木
を
植栽
し及びその
植栽
に係る
樹木
の
保育
を行なう」、それから三といたしまして、
造林地
及び
造林木
の
保護
及び
管理
のため次の各号に掲げる
事項
を行なうこと。いわゆる
火災
の
警防
、盗伐、誤伐その他の
加害行為
の予防及び
防止
。有害な動植物の駆除、蔓延の
防止
。
造林地
の
境界
の
測量
並びに
境界標
その他の標識の
設置
及び保存。その他
造林地
、
造林木
の
保護
、
管理
に必要な
事項
を
造林者
は役務としてやらなければならない。 第六として、
土地所有者
の
義務
はどうかということになりますと、
土地所有者
は、次の
業務
を負う。
公団
及び
造林者
のために
地上権
を設定する。
造林地
に対する
公租公課
の
負担
を行なう。
造林地
における
境界
の確認を行なう。それから
造林者
の行ないます、先ほど申し上げました第五の三、いわゆる
保護
、
管理
のための
火災警防等
のことであります。そういうものに対する、
事項
に協力するということ。これが
土地所有者
の
義務
であります。2といたしまして、
土地所有者
が
造林者
を兼ねる場合には、まあ
土地所有者
としての
義務
のほかに、先ほどの第五の
造林者
の
義務
も両方、まあ
義務
として責任を負わなければならないということに相なっておるのであります。 第七といたしまして、
費用負担者
の
義務
であります。これは第九に掲げる
費用負担
を行なう。それから
契約
に掲げます
事項
の
実施
につきまして、他の
契約当事者
に対する指導を行なうこと。
損害賠償金
、及び
損失補償金
を請求する場合の
当事者
となるということ。及び
売払代金
をもって
収益分収
を行なう場合における
造林木
の売り払い及び
材積
をもって
収益分収
を行なう場合の分
収樹木
の
指定
ということを行なうのが
費用負担者
の
義務
に相なるのであります。 で、第八で
実施計画
を、まあ
手続
をきめておるのであります。これはちょっと複雑になる
関係
もありますので省略いたしまして、第九をごらん願いますと、
費用負担
の
範囲
はどういう
範囲
であるかということであります。一といたしまして、
境界
の
測量費
と
境界標
の
設置費
というものをもちろん
負担
するわけであります。新
植費
、
補植費
の
経費
、
保育
の
経費
、それから
防火線設置費
及びその
補修費
、歩道の
設置費
及び
補修費
。それから第五の三に掲げる
事項
といいますのは、いわゆる
造林地
の
保護
、
管理
、
火災警防
その他を含めました
保護
、
管理
を行なうに必要な
費用
であります。それから八として
事業施設費
。それから
森林国営保険
の
保険料
。こういうものを
費用負担
の
範囲
といたしております。これに対しましても、さらに第一号から第八号までに掲げる
費用
の支出にかかる
事業
について共通的な諸
経費
を、いわゆる雑費のようなものでありますが、それを出すということ。それから二といたしまして、前項第七号の
費用
といいますのは、この
保護
、
管理
に対する
費用
であります。通常必要とされるものにまあ限定して出すのであります。それ以外の場合の
費用
といいますのは、
天災
、風水害、その他の場合をさしておるのであります。そういう場合には、
契約当事者
でそのつど
協議
してきめていくということにいたしたいと思うのであります。 それから
費用
の
支払い
の
方法
は、
公団
の
費用
の
支払い
は、各
卒業年度
におきます
実施計画
に基づく施業の
終了
を待って
公団
の検査の
あと精算払い
によって行なう。このほかに
公団
は必要に応じて
概算払い
もすることができるということにいたしたいと思うのであります。 それから
契約当事者
の
協議
でありますが、いろいろな長い
期間
におきます
事態
もあるわけでありますので、この
協議
を十分活用していかなければならぬというように考えておりまして、
火災
、
天災等
の
災害
が発生した場合の
措置
に関する
事項
、その他、被害が異常に発生した場合、あるいは
造林地
の
貸付
及び
使用
、土石の処分売り払い、
造林木
の伐採及び販売の時期及び
方法
に関する
事項
、その他、
損害賠償金
及び
損失補償金
の請求に関する
事項
につきましては、
契約当事者
間で十分に
協議
してやっていくというように考えておるのであります。 それから第十二といたしまして、
造林地貸付
の
使用料
でありますが、
協議
によりまして、まだ植えてないような
契約地
というものを他に貸し付けたというものの
使用料
は、
特約
のある場合を除きまして
土地所有者
の収入にする。 それから第十三といたしまして、
造林木
以外の
樹木
の帰属でありますが、これは、この
土地所有者
は、当該
契約
した
土地
にあります木の、
契約
の締結前から
造林地
の上にあります木を、
特約
があれば別でありますけれども、
造林
のために取り除かなければならぬ。それからその
期間
に取り除くことが取り除かれなかった
樹木
と、
契約
を結んだ後に
造林地
に生えました木というものは
造林木
とみなすということを、これは
官行造林
、従来と同じような
考え方
でやりたいと思っております。根株は特別の約束のある場合を除いて
土地所有者
の
所有
とするということであります。 第十四でありますが、
林産物採取権
であります。これも従来の
官行造林
と大体同じ思想であります。
土地所有者
は、次に掲げる
造林地
の
林産物
を採取することができる、下草、落葉及び落枝、木の実及び
キノコ類
、
手入れ
のため伐除する枝の類、植樹後二十年以内において
手入れ
のために伐採する
樹木等
は、
土地所有者
のものになるのであります。 第十五は
地上権
の問題であります。 以下、十六は
収益分収
の
割合
で、これは
収益分収
の
割合
は、各
契約ごと
に
土地所有者
においては
地代額
、
造林者
においては、
造林
に要する
費用
の額、
費用負担者
においては
費用負担
の額というのがそれぞれきまるわけでありますので、その額を参酌いたしまして、それぞれの場合に適用してきめるということであります。 第十七といたしまして、
収益分収
の
方法
でありますが、これは
造林木
を売り払いまして、その代金を受けるということが通常であります。特別の場合には、
材積
を受けてもいい。
損害賠償
、
金等
についての処置、これは従来と同様であります。 第十九は、
持分処分
であります。これはそれぞれ
契約当事者
は
樹木
につきまして
共有権
を持つという形に相なるというのでありますので、
持分
を譲渡する場合、あるいは担保に供する場合には、あらかじめ他の
契約当事者全員
の同意を必要とするということであります。 二十といたしまして、
合意解約
をどういうようにするか。二十一といたしまして、
紛争
の処理であります。
紛争
ができた場合には、
都道府県知事
に
紛争
の
解決
についての
あっせん
を求めるものとするというのであります。 二十二が
契約
の
解除等
でありますが、
義務違反等
の場合には、
都道府県知事
に
紛争
の
解決
の
あっせん
を求めて、なおかつ、
履行
がされないという場合には、
契約当事者
、
契約
から脱退を求めることができるというふうなことをここに考えておるわけであります。 これが最も基本となります
契約
の具体的な
内容
を
規定
するものであります。
業務方法書
の
要綱
であります。以上をもちまして
補足説明
を終わりたいと思います。
藤野繁雄
5
○
委員長
(
藤野繁雄
君) それでは両案に対する
質疑
を行ないます。御
質疑
のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
石谷憲男
6
○
石谷憲男
君 私がただいまから御
質問
をいたします問題につきましては、本二
法案
を
提案
された以上、事前に十分研究されて、それぞれ明確な結論が下されておるべきはずの事柄でありまするから、そういう意味合いにおいて明瞭に
一つお答え
をいただきたい。まずもってそれをお願いしておきます。しかもなおこの両
法案
の意味する問題につきましては、それぞれの
関係
の各方面にいろいろと
反対意見
なり、
批判
の論議があることは十分御
承知
だと思います。そこでそれらに対しまして十分に問題の
要点
を解明されて、少なくとも誤解に基づくような
反対意見
なり
批判論
でありまするならば、その
説明
によって
十分解消
がつくということに相ならなければならぬと思いまするし、さらに本質的な
反対論
というものに対しましても、明確にそれを説得するだけの根拠を示して御
説明
をいただきたい。かようなふうにまずもってお願いをしておくわけでございます。 そこで
質問
の
内容
に入るわけでございまするが、今回この両
法案
を
提案
されましたのは、申し上げるまでもなく、昨年来
実施
中の
治山治水
十カ年
計画
の一環として
水源地域
における
造林
を急速かつ
計画
的に行なう。そこでまあそのために、従来
補助造林
ないしは
官行造林
という
方式
によってやって参ったこの
水源林造成事業
というものをこの際やめて、これによってかわるべきものとしていわゆる
公団造林
の
方式
でやっていこう、まあこういうことがこの二
法案
の
提案
の意味するものであると思うのでございまするが、しからばこの
森林開発公団
は御存じの
通り
まあ
昭和
三十年に発足をいたしたのでございまするが、その目ざすところは、広大な未
利用地域
にこれまた急速かつ
計画
的にこれを
開発
する必要に迫られた、従って主として
林道開発
というものをおもな
任務
として発足した経緯があるように私
ども承知
をいたしておるわけでございまして、そこでまあそのような
任務
というものはひとまず
終了
したものだ、やや
終了
に近いものだという認識に立たなければ、こういう新
提案
というものはあり得ない、こういうふうに考えるのでありまするが、はたしてそういうふうなお考えがあっての
提案
であるのか。しかもなお創設以来五年を経過いたしまして、少なくとも
林道事業
に対しましては相当な経験を持ち、実力を養ってきた
公団
というものが、それとは全く異質な
造林事業
に大幅な転換をするということで、はたしてこの
公団設置
の目的というものは完全に達成したということは言えるのかどうか。こういう点につきましてまずもって御
説明
をお願いいたしたい。
山崎斉
7
○
政府委員
(
山崎斉
君) お説の
通り
、
森林開発公団
は
熊野
、
剣山
両
地区
に対しまして申し上げますのは、これが全国的に見ましても、
民有林
が集中し、しかも、相当大きい
造林地等
を持ちまして、
開発
の
経済効果
も大きいという
見地
からこの両
地区
を取り上げまして、これのいわゆる道路で申し上げますと、国道に相当するような
幹線林道
の
開設
をやろうということで当初は出発いたしたわけでありまして、先ほど
資料
で御
説明
いたしました
通り
、三十五年度をもちましてこの
開設
を終わりまして、三十六年度以降は
受益者
負担
金の徴収とか、あるいは維持、
管理
とかいう仕事が残るという段階に相なっておるわけであります。なお、
公団
といたしましては、こういうふうな両
地区
のようなところではないのでありますが、全国的に見ますと、その流域単位に考えてみますと、千
町歩
以上等の流域で、しかも
国有林
、
民有林
両者がその
地域
に併存するというふうなことから、
民有林
の補助林道専業というものと、
国有林
の林道専業というものが両者の経済的な事情その他から、なかなかうまくマッチできないような面がございまして、そういう
地域
の
開発
が非常におくれているというふうな点からいたしまして、三十四年度から関連
林道事業
を全国的な地点にわたって
開設
していくという仕事を始めまして、これも四十
路線
を
対象
にして考えておるのでありまして、これも三十九年度までは、やはりこの
事業
はやっていかなければいかぬというふうな
計画
でおるのでありまして、そういう点からいたしまして、
開発
公団
が
開設
当初の
事態
から申し上げますと、この主体といたしておりました両
地域
の
開発
は終わったということが言えるように思うのであります。今後におきましては、その関連林道をやるという仕事が林道の面では残っておるのでありまして、この
公団
の非常に大きい林道の
開設
につきましての経験を生かしまして、関連林道は今後とも続けて予定
通り
やっていきたいというふうに考えておるのでありますが、さらにまた、この
造林
という面において考えてみますと、今後の市町村の
造林
の、市町村におきます
造林
の進行
状況
、あるいは市町村の
造林
能力というような問題、あるいはまた
治山治水
緊急
措置
法に基づきます水源林造成の緊要性というふうな点からいたしまして、この
公団
にすでにおります林業
関係
の、
造林
にも十分経験も持つような職員の能力をも活用いたしまして、国として早急にやらなければならない水源林地帯の
造林
というものも
公団
で合わせて相当主体性を持ってやっていくように今後ともいたしたいという
考え方
でおるのであります。
石谷憲男
8
○
石谷憲男
君 そこで、ただいまの御
説明
のように所期の目的でありました、いわゆる
熊野
、
剣山
の両
地域
というものの
開発
はおおむね目標
通り
に完了する。ところが、当初、森林
公団
、
森林開発公団法
というものを制定いたしましたときには、この両
地域
だけに限定をして
開発
するということが目的であったわけです。ところが、その後三十四年から関連林道という新しい仕事を
国有林
野
事業
資金
を使って、そうしてやるというのでございます。ということは、当初の目的はそうであったかもしれぬけれども、考えてみると、これらの大規模な
地域
こそ、とりあえず
開発
ができた、これに準ずるような
地域
というものは、まだまだたくさん残っているのだ。それで、せっかく結集した力をそういう面に十分活用するということが意味があるのだということで、私は関連林道というものがつけ加えられたのじゃないかと思う。それで、四十
路線
の
計画
が終われば、ひとまず使命完了だ、こう言われるけれども、はたしてそういうことに断じていいかどうか。御
承知
のように、まだまだ未
開発
の森林
地域
というものは非常に広大なものがある。なるほど、一定規模以上のものは次第に解消されつつあるけれども、全体として見ればある。しかも、
公団
による
開発
という
方式
を採用しましたときに、いろいろ議論があったと思う。それ以前に、融資による
林道開発
という
方法
も、補助による
方法
もあるにもかかわらず、こういう特別
方式
を入れたというのは、できるだけ緊急に、しかも
計画
的に
開発
をする必要があるんだという事実認識の上に立って、こういう特殊な
方式
というものが、いろいろ議論がありながらも採用されたという経緯を考えてみるならば、せっかく五年たって相当な力を持ってきた、相当な経験を積んできたというこの際に、この
公団
は、従来の主たる
任務
としたいわゆる林道
開設
の
事業
から他の
事業
へ
任務
の転換をしてもいいんだということは、私は、そう簡単に断ぜられないように思うのですけれども、まだまだ
民有林
オンリーで、
開発
対象地
域が残っている。
林野庁
が
計画
されても、思うように林道ができぬということ、これはだれしも認めている。そこで一方において、最近の逼迫した
林道事業
から見るならば、できるだけ未
開発
の森林の早急な
開発
ということが、いうならば、私はそういう間にあって、まだ
公団
方式
による林道
開設
というものを他の方面に広げてやっていくという
考え方
で、むしろそういう方面にこそ
公団
の能力を伸ばしていけば意味があるんじゃないかということを考えるのですけれども、従って、まずこの辺で
公団
の
任務
は林道については
終了
だという判断の根拠ですね、これをぜひともお聞かせいただきたいと思うのです。
山崎斉
9
○
政府委員
(
山崎斉
君) 先ほど御
説明
いたしましたように、この両
地区
はもちろん終わったわけでありますが、今後の、と申しますか、今後の
林道事業
といたしましては、お説のように、関連林道というものを取り上げて、これを
計画
的に
開設
していこうというふうに考えているのであります。お話しのように、
民有林
等におきましても、あるいは関連林道というものにおきましても、今後の
林道事業
というもののあり方という点から申し上げまして、補助林道というふうな、あるいは融資林道というふうな
方式
の行方ではなかなか
開発
ができない、困難だというものもないというわけにはいかないように考えるのでありまして、今後の林道行政と申し上げますか、そういうものを今後どういうふうに進めていくか。現在の制度によります盲点というものが、具体的にどういうふうな
計画
のものに出るのかというふうな点も、今後は十分検討いたしまして、
公団
の様式でなければならないというものが出てくるというふうに相なりますならば、やはりその時点に立ちまして、今後の関連林導ということとの関連というものを考えまして、
公団
としての
林道事業
を新しい観点に立って考えていくということの必要な
事態
もあり得るというふうに考えているのでありまして、農林漁業基本問題調査会、あるいは中央森林審議会等におきましても、この問題が十分具体的に論じ尽くされたという形のものでもないのでありまして、今後、中央森林審議会等もさらに継続してやっていくつもりでおりますので、そういう問題について十分御
意見
を伺い、検討して努力していきたいというふうに考えております。
石谷憲男
10
○
石谷憲男
君 ただいま
説明
を聞きますと、必ずしも今後の研究結果によっては、
公団
方式
を使わぬわけじゃない、こういうふうに取れるような御答弁なんだけれども、これは今後の検討ということを考えなくても、
林野庁
においては十分な
資料
もあるので、この際やはり
公団
方式
を使った方がいいのだという
対象地
域があるものだとすれば、はっきり出てくるじゃないか、こういうふうに考える。たとえば、関連林道というものの採択の基準にいたしましても、これ以上は採択できるけれども、これ以上は採択できないというような、そういう固苦しいものじゃなく、この際一番やっぱり重要なことは、緊急な未
開発
地区
の
開発
を大いに促進するのだということが私はやはり一番大事なことじゃないかというふうに考える。そこで、
公団
で研究の結果、たとえば従来
方式
のものを林道の面においてもやって参るのだと、こう言われても、
公団
というものは、
国有林
野
事業
なんかと違って、そんな大きなものじゃない。まことにちっぽけなものです。
機構
、人員の上からいって、それほど大きな力を持っていないということならば、私はやはり林道
開設
一本でいくとか、
造林事業
一本でやっていくということをやってもまだ力不足だということを考えるだけに、せっかくできた林道
開設
を主たる
任務
にした
公団
である以上は、その
任務
が明らかに終わったのだという実態認識の上に立たなければ、ただ新しい
方式
に移行するということは考えるべきものでもないという点につきまして、どうもまだただいまの御
説明
ではなかなか納得ができない。もうちょっと突っ込んで、
公団
方式
による
開設
の
任務
は終わったのだ、大体。従って、今後は、従来のような補助
方式
、あるいは融資
方式
というもので期待するだけの林道の伸びというものは完全にやっていけるのだ、責任が持てるのだということにならなければ、せっかくできた
公団
も、そういうふうに全く異質な方向に
任務
がえするということは、きわめて早計だというように考えるのは当たりまえだと思う。その点さらに一つ突っ込んで、
任務
終了
宣言をされるならば、
終了
宣言をされる根拠を明らかにしてもらいたい。今後の研究の結果また取り上げるかもしれぬというようなふらふら腰じゃ困る。
山崎斉
11
○
政府委員
(
山崎斉
君)
熊野
、
剣山
両
地区
というふうな集団いたしました未
開発
地区
というふうなものは、また積極的に
開発
いたしまして、治山、治水との関連等の
見地
に立ちまして、両
地区
に匹敵するような
地区
というふうなものは、もちろん全国的に検討しましてもないように考えられるのであります。これらの点につきましては、
公団法
等を当初に提出いたしますときにも、それぞれの
地区
についての性格その他について
資料
としても提出して御
説明
いたしたように考えております。そういう
見地
からいたしまして、両
地区
というふうな形によります
開発
というものを必要とするようなものはないように思っておるのであります。 そういたしますと、次の問題といたしまして、やはり
路線
主義と申しますか、ああいうふうな流域地、大きい流域という観念だけじゃなしに、いわゆる小さな流域、あれに比較して小さい流域
路線
主義というふうな形におきまして、全国的に必要とするものがあるかどうかという問題になってくると思うのでありますが、
民有林
の現在の段階におきます奥地
開発
というものを見て参りますと、補助
事業等
によって
開設
いたします
路線
も、奥地林道というふうなものを
対象
にいたしまして、重点的な予算編成もいたしまして
開設
するという形態をとって参っております。それで、その
事業
も相当進展は見せておるのであります。今後におきましてやはり問題として残って参りますのは、いわゆる個々の流域というものがあるわけであります。そこに生えている木というものと
受益者
負担
というふうなものとの関連におきます、
開発
者が補助等によっては
計画
的に急速になかなか進みにくい。むしろ一般公道的な性格というものを十分に取り入れた
考え方
というものでなければ
開発
困難だというふうなものが今後に残されておるように思っているのでありまして、これらの点は単なる林道という
見地
だけからでは、なかなか
開発
ができないんじゃないかというふうに考えておるのであります。また、先ほどお話のありました関連林道というふうなものにつきましても、流域の受益
面積
が一千
町歩
以上だというふうな一つの制約条件のもとにこの
事業
をやっておるのであります。これがさらに今後の受益
状況
その他から見まして、さらにたとえば五百
町歩
とか六百
町歩
というふうな限度の制限のもとにおいてもやるべきかどうかというふうな点は、今直ちにその結論を出していくということには、非常に問題点があるように思います。今後の
林道事業
の進展という点から見まして、そういう問題を現在のような様式で取り上げていくかどうかという点は、なお検討をいたしたいというように考えておる次第であります。
石谷憲男
12
○
石谷憲男
君 今後の
林道事業
の進展においてさらに考えなければならぬ場合があり得る、こうおっしゃっているけれども、従来の
林道事業
の進展というものを見ますというと、
計画
と
実施
の上に相当な食い違いができておることは、御
承知
の
通り
なんです。それからなるほど
公団法
を当初に制定したとき、これは私どもあの未
開発
林の緊急
開発
ということを目的とした、しかも当初
開発
の
資金
としては、
余剰農産物
の
資金
を借り入れてやるのだということで出発したけれども、その後の
状況
変化によりまして、そしてそれが借りられなくなったら、
資金
運刑部の
資金
を借りるというようなことでとにかくやってきた。そこで、その次にその仕事があらかた終わった段階で関連林道を取り上げてきた。そこで少なくとも、その
公団法
制定のときと現在の運用の
状況
というものを比べてみると、相当変わってきていることは事実なんです。ただ、その変わらぬ問題は何が変わらぬかというと、緊急にとにかく未
開発
林の
開発
を促進する必要があるという情勢は少しも変わっていない。同時に、せっかくついた
公団
の林道
開設
の能力というものをフルに使って、そういった要請にこたえたいということが、私はおそらく関連林道を取り上げる現在の運用だと思うのですが、そういうことから考えますと、今後だって未
開発
林がたくさんあって
開発
が思うように進んでおらないのだという現実を認めるならば、せっかく結集したこの力というものをその促進に役立てるということは、なるほど今おっしゃるように今後
開発
促進をするためには、その他のさまざまな隘路というものを同時に
解決
していかなければなかなか進んでいかぬということはよくわかりますけれども、やはりこの
開発
のための能力をフルに使っていくのだという余地は、さらに必要性というものは、依然として解消していない、こういうふうに考えるのが妥当じゃないかと思う。そうすると、あんたいろいろおっしゃっているけれども、もう
公団
方式
による
開発
というものはやらなくてもいいのだ、従来
方式
でいいのだということに理解していいのですか。
山崎斉
13
○
政府委員
(
山崎斉
君)
民有林
等におきます従来の
公団
様式による
開発
というものにつきましては、先ほど申し上げました
通り
、今後
開発
というか、林道道路を
開設
すべきそれぞれの地点というものを考えました場合に、林道というだけの
見地
からでは、なかなか
開発
が実際上
受益者
負担
等との関連において困難だ。いわゆる国の大きい面から申しました道路政策というふうなものとの関連において
解決
しなければならないようなものが多く残されているという現実にあるわけでありますから、そういう問題が根本的にやはり
解決
されるということでなければ、従来の
方式
による
開発
ができるというわけにはいかないというふうに考えている次第であります。
石谷憲男
14
○
石谷憲男
君 そこでたとえば、今度
法律
が
通り
ますというと、
公団
の性格は完全に変わる。あなたのおっしゃるように、これから研究してみて、やる必要があれば林道
開設
についても
公団
の能力を活用するようにやっていくのだ、そういうことを言ってみたって、そのときは後半なんです。従ってむしろ大きく
任務
を変えるときに、その必要性ありやいなやということを判定してかからなければ、私はやはり使命の変更ということはすべきものではない。決してこれはまだ私は
公団
というものが創設をされて今日までやってきたこの意義というものが解消するような
事態
に林業の情勢はなっていない、こういうふうに私は判断をいたしたい、判断しなければならぬと思う。やはりただいまの
説明
では、私は十分納得がいかないのですが、またあとから関連して
質問
をいたしたいと思います。
北村暢
15
○北村暢君 関連で簡単に一つ。今の問題、ただいまの
石谷
委員
の御
質問
に関連してちょっとお伺いをしたいのですが、今、
林野庁
の
説明
によりますというと、
開発
する林道は長期
計画
によりましても相当あることは事実です。それを他の産業との関連において、林道だけで
開発
していくということについてはいろいろ問題があり、ほかの産業とも関連して
開発
していくということになりますというと、従来の補助林道、林道のみについての補助をやるというやり方、これよりも
公団
等のような性格のものが、もっと多角的な目的による林道、他産業も利用できる林道という幅の広いものが考えられるならば、そういうものはやはり単独の林道の補助金、補助林道、融資林道、こういったものでなしに、
公団
といった性格でやることが、今聞いてみますというと、私は
公団
の性格からいって、今後の
林道開発
をやっていく場合に非常にいいような感じがするのです。だから、この点を私は今までの補助林道なり融資林道というものをずっと続けていくつもりなのか、あるいは
公団
というものの方が
事業
執行に適切じゃないか、こういうふうに受け取れるのですが、この点について検討中というようなことでありますが
考え方
をお伺いしておきます。
山崎斉
16
○
政府委員
(
山崎斉
君) お説のような点もあると思うのでありますが、先ほど御
説明
いたしました点は、今後のいわゆる林道
開設
という面に大きく残されるといいますか、問題点として残って参ります点は、林道としての性格ももちろんあるわけでありますが、そのほかにやはり一般交通的な要素、その他の要素を大きく持つような
路線
が補助制度あるいは融資制度というものになかなか乗りがたい。それがまあ今後の特に奥地林道
開設
等の場合に問題点として残されてきつつあるということを御
説明
申し上げたのでありまして、そういうものを、いわゆる林道という
考え方
のみに立ってこういうものをやっていくべきか、あるいは多目的な面を主体といたしまして新しい行き方というもので
開設
していくべきか、それらの点につきまして、今後われわれとしても十分検討を加えていかなければならぬというふうに考えているのでありまして、こういう
路線
はぜひとも
公団
、あるいはそういう様式でやらなければならぬかどうか、また現在のいろいろな補助制度、あるいは林道の補助制度、あるいは建設省の行なっておりますいわゆる道路としてのいろいろな育成の制度というようなもの、そういうものと、両者にどういうふうにいくべきかという問題が今後に残されているというふうに考えている次第であります。
石谷憲男
17
○
石谷憲男
君 そこでその問題は、今後研究の結果によっては、やはり
公団
方式
を活用していく面もあり得るということでもあるようでございますから、今後の検討の結果に待つといたしまして、そこで、従来主として
官行造林
事業
という形でやって参りました水源林の造成という仕事を、
公団造林
という
方式
に切りかえるということのようですが、御
承知
のように、
水源林造成事業
というものは、歴史的に見ますならば、終戦後いわゆる公共
事業
のような治山
事業
という
考え方
の中におきまして、いわゆる補助
方式
でやってきたと思うのです。ところが、御
承知
のように、多分に公共的性格の高い
造林
、さらに
造林
技術的に見ても、これは一般の経済に比べるというといろいろと問題が少なくない、こういうことで、こういう仕事はむしろ国が直接やったらいいじゃないかというふうな実は
考え方
があった。そうこうしているうちに、いわゆる民間資本による一般の分収
造林
というものが急速に伸びて、そこでこれらとの間の調整をはかる意味も合わせて、そこでまあ
昭和
三十一年からは大幅に
官行造林
事業
の
対象
としてのこの
水源林造成事業
というものを取り上げてきたというのが、比較的近来の経過の一つなんです。その中で、しかもこの際
公団
方式
に切りかえようということにつきましては、この間の功罪につきまして十分比較検討された結果、そのおのずから到達する結論として、そういう転換というものがあり得たというふうに理解をしなければならないわけだが、その積極的な意義をこの際一つ明らかにしていただきたい。少なくとも私は
官行造林
事業
によるこの
水源林造成事業
というものにつきましての功罪が、まだ出てくる段階でない。しかしながら、
官行造林
事業
というものに対しまする一般の成果というものは、昨年四十周年の記念式典をやられたときに誇示されたように、相当高く評価されているということだけは、これは否定のできない事実じゃないかと、かように思うわけですがね。そこで制度を変えてやられるということは、よりよきものにこれを置きかえていくという意味があってこそ、初めて私は制度改編というものが明らかになってくる、こういうふうに思うのですが、そこでただいま申し上げたような一つの、終戦後今日までの経緯の中からあえて
公団造林
方式
に切りかえようとされる積極的な転換の趣旨を、この際一つはっきり解明していただきたい。
山崎斉
18
○
政府委員
(
山崎斉
君)
官行造林
事業
が四十年という歴史を持ちまして、先ほど御
説明
いたしましたように、二十五、六万
町歩
に達する
造林
を実行して参りましたのであります。この
法律
制定の当初におきまして、やはり
市町村有
林等が非常に荒廃しておる。約六十万
町歩
程度
造林
すべきものが残されておる。その約半分を
官行造林
によってやり、半分は国の補助その他の育成政策でやっていこうという
見地
に立って出発したように思っておるのでありますが、その目標がほぼ完成されまして、三十六年度からはその植えられましたものが
計画
的な伐切に入っていくという段階になって参りましたところが約六千
町歩
、これが年次増加いたしまして、七千
町歩
近い
造林地
が主伐するという形に相なってきたのであります。
官行造林
事業
という形におきます当初の
計画
というものも、ほぼ達成できておるような段階にあるように思うのであります。これをこの際
官行造林
という形で従来
通り
いきますことを転換いたしまして、
公団
が今度は分収
造林
方式
による行き方をしていこうというふうに考えておるのでありまして、なぜそういうふうに転換を考えたのかという主要な点を申し上げたいと思います。 その第一点といたしましては、市町村等におきますいわゆる
造林
につきましての能力、力というものが非常にまず向上して参ったように思うのであります。
昭和
三十年、あるいは三十一、二年というころにおきます市町村の
造林
というものを見てみますと、大体
市町村有
林二百六、七十万
町歩
だと思うのでありますが、これに対しまして年々二万
町歩
強の
造林
を行なって参ったのでありますが、三十四年度から市町村等に対しましても、
造林
の長期据置融資制度を開始するということにいたしまして、それらに対する要望と申しますか、希望が非常に旺盛でありまして、市町村の
造林
は現在の見通しによりますれば、大体五万
町歩
弱程度の
造林
ができるというふうな段階に相なっておるのでありまして、その
市町村有
林に対しまして二%弱程度の
造林
が年々行なわれるという段階に相なったように思っておるのであります。
国有林
におきます
造林
は、全体の
面積
に対して一%前後であるわけでありますし、
民有林
全体について考えますと、やはり二%前後というふうな
状況
にあるように思うのでありまして、市町村等の
造林
に対しまする意欲、それから能力という点も非常に向上して参ったように思うのであります。そういう点から考えまして、やはり
市町村有
林等につきましては、その市町村みずからが
市町村有
林の経営につきまして自主的な
考え方
に立った施業をやっていくということが最も望ましいように思うのでありますし、今後われわれといたしましても、そういう線を大きい目標といたしまして、公有林対策というものを進めていかなければならぬように思っておるのであります。そういう点からいたしまして、今後
市町村有
林等の特に経済的な林地、里山地帯の
造林
等につきましては、融資、あるいは小さいものは補助等の制度で大体やっていけるように考えられるのであります。水源林につきましては、御存じのように、成果について経済的に不安がある、あるいは技術的にも困難があるというような点からいたしまして、補助とか融資とかいう制度では、なかなかこの地帯の
造林
というものに積極的に手が入ってこない、
造林
の
対象
としては、あとへあとへやはり回っていくというような性格であるように思うのであります。そういう点からいたしまして、三十一年度でありましたか、
法律
改正をいたしまして、この水源林の造成というものを
計画
的に早急にやろうということにいたしたのでありますが、先ほど申し上げましたように、市町村等の
造林
能力というものも非常に向上して参ったという
見地
からいたしまして、あるいはまた、既往の
官行造林
地の伐採というものも六千
町歩
、あるいは七千
町歩
に達するわけでありまして、それらの跡地の再
造林
というものは、やはり本質的に考えましても、市町村みずからやはりやっていただくという性格のものでもあるように思いますし、そういうものと水源林も合わせまして、地帯の
造林
と合わせまして、市町村でやはり自主的に仕事を進めていただくということが最も望ましく、いいように思うのであります。ただし、その場合におきましても、水源林等に対しましては、先ほど申し上げましたように、補助とか融資だけでは、なかなか市町村等も経済的な面等から考えまして
造林
に積極的に進んでいくという形にはならぬのでありますので、新植の
経費
だけでなく、
保育
の
経費
はもちろん、
維持管理
等につきましても、その
経費
の面その他につきましては、十分に国なり国にかわるものがめんどうを見てやっていくという、しかも
造林
等の行為、
維持管理
の行為は市町村に一つ積極的にやっていただくということを考えるのが最もいいじゃないかというふうに考えたのであります。その場合、水源林につきまして金のめんどうを見、あるいは技術的ないろいろな指導もするという行き方を考えました場合、国みずからがそういうような仕事を、いわゆる分収
造林
によりまして、
土地所有者
等の
造林
能力を活用するという
見地
から考えました場合、国みずからが分収
造林
の出資者というような立場に立つということは、これはやはり国有財産等の
維持管理
というような点からも非常に問題があるわけでありますし、国がいわゆるみずからやるというよりも、国の機関がそういうことをやるというのが最も適当しているように思うのでありまして、
公団
でそういう仕事をやるのが一番いいというふうに考えた次第であります。また、これは申しおくれましたが、今後の水源地帯の
造林
ということを考えました場合にも、五
町歩
ないし十
町歩
というふうな小さい
団地
が非常に多くなってくるというような点から考えまして、やはり
土地所有者
である市町村、その他の
土地所有者
の方々の、
造林
及び維持、
管理
についての積極的な関与と申しますか、そういうものを通じまして、この仕事をやるということが、
造林事業
の性格から申し上げましても最も適当しているというふうに考えておる次第であります。いろいろな点を総合いたしまして、国の機関であります
公団
を利用するということが最もいいように考えておる次第であります。
石谷憲男
19
○
石谷憲男
君 いろいろな点を総合いたしまして一番いいのだと思う、こういうことのようですが、まあちょっと
内容
を端的に今申し上げてみたいと思うのですが、ただいまの、最近著しく向上してきた市町村等の
造林
能力、経営意欲というものを高く取り上げて、そしてやっていくんだという
考え方
は、私決して否定はいたしません。ならばこそ、
昭和
三十四年以降は特にこれらの市町村の要望にこたえて、特別な長期低利の制度の道が開かれている、十分これにこたえてきたということなんです。しかしながら、大部分はいわゆる普通経済林を
対象
としての仕事なんです。そこでこの水源の造成
事業
に限ってこの
方式
でおやりになるということは、水源林の造成
事業
という本来の性格から見て、これは多分に公共的な性格のものです。しかも、これは
造林
技術的な立場に立って見た場合も、一般普通の経済林に比べるとむずかしい
内容
です。それだから、こういうものこそ国の力と結集した技術力をもってやることが一番安全なんだ。しかも、今度の改正
法案
の
提案
理由の
説明
書にもはっきり書いておられるように、
治山治水
の目的をよりよく活用するための森林の造成だということになりますと、いかにむずかしくともこれが失敗したのでは、
治山治水
のいわゆる目的をよりよく達成するものにならぬわけだ。必ず成功しなければならぬと思う。そういうものこそ一つ国でやったらいいのじゃないか。しかも、過去における
官行造林
事業
というものに対して非常な非難があるというなら別といたしまして、少なくとも非常に支持がある。むしろ反対というのは、支持している声のこれは反映だというふうに考えてしかるべきだ。あえてそういうむずかしい一般
造林
まで、市町村は自主的な能力を活用せぬとは言っていない、それは十分におやりなさい。しかもまだまだやる余地があるわけだ。そのときにあえてこの
水源林造成事業
を従来のいわゆる
官行造林
方式
から他の
方式
に移行するということは、これはもう少し積極的な
内容
を持った御
説明
でなければ、なかなか説得力というものはありませんよ、納得できませんよ、ただいまそういうようなことをおっしゃって、総合勘案してこうだとおっしゃられましても。問題はそこにあるわけです。これがいつもの普通林の
造林
よりも安い
造林
ならばまだしも、これはより高い
造林
です。技術的にむずかしい
造林
です。しかも必ず失敗しちゃならぬと思うのです。そういうふうに考えて参りますと、それでこそ国でやっていいのじゃないかという結論をおのずから導き出してくるのが、これは私は非常に健全な、常識的な判断だというふうに考える。そこらに焦点を合わして、もう少し率直、簡潔に、あらゆるものを総合勘案しないで、そこだけに焦点を合わして、はっきり私は
説明
をしていただきたい。
山崎斉
20
○
政府委員
(
山崎斉
君) お説の
通り
、水源林は非常に公共性が高いわけでありまして、その
造林
というものが的確に行なわれるということの必要性はお説の
通り
だと思うのであります。従いまして、この
造林
というものにつきましても、やはり経済的な不安がこれによってないのだ、それから成果というものにつきましても、技術的に十分な確信をもって
造林事業
に臨むということの必要性、並びに、単に植えて、
所有
者の自由な意思によって適当にこれを伐採したりなんかするということでなしに、やはり
治山治水
上果たすべき役割というものを前提にした作業が行なわれていかなければならぬということは、お説の
通り
のように思うのであります。その場合に先ほど申し上げましたように、この
団地
というふうなものが小さくなるところに分収
造林
をするというふうな実態から考えまして、あるいはまた、市町村の
造林
その他に対する意欲、能力という点からいたしましても、こういうものの、
造林
というもののあり方から申し上げまして、国自体がこれを
維持管理
するということよりも、やはり
所有
者の能力というものをフルに活用し、かつそれに対して
公団
はもちろん、県のいわゆる改良指導員とか、あるいは営林局署の
組織
の担当部その他が技術的な指導を十分にやっていくということでありますならば、国がみずから従来のようにやるというよりもさらにまあいい成果というものを期待できるのじゃないか、できるというふうにまあ考えておるのであります。
石谷憲男
21
○
石谷憲男
君 まあそこで、この
提案
理由の
説明
書を見てみますと、要するに、
対象地
が零細で分散してということが書いてあって、
国有林
野
事業
における生産力増強
計画
及び既往の
官行造林
地に主伐期の到来したこと等に基づく事務量の増大等の事情もあり、かつ
造林事業
につき地元市町村等に全面的協力を期待することも緊要であるので、国が引き続き
国有林
野
事業
として
官行造林
を行なうことが適切でない
状況
である、こういうふうに書いてある。これは
対象地
が零細、分散化していくことは当然のことで、これは
昭和
三十一年改正によって十分予期しておった。ここ一両年の間に大変化をきたしたことにはならぬ。それからそのあとに書いてある本来の、いわゆる
国有林
野
事業
における生産力増強
計画
、あるいはこの
官行造林
にしろ、その事務量の増大だとかということは、
事業
をやっていれば当然ある。そこで、私は、最後の方に書いてあります
造林事業
につき地元市町村等に全面的協力を期待することも緊要だということは、非常に重視される。言いかえれば、最近とみに活況を呈している市町村等の
造林
意欲というものをフルに活用するということが目的であって、一体、
公団
の中に入れたということは、これはきわめて事務的に便宜主議だというふうにまあ理解しようとすればそういうふうに理解できる、こういうふうに思うわけです。そこで、その辺の間につきまして、これまた率直、端的にその
説明
をいただくこととあわせまして、私は、営林局署というのは、なるほど現在の
機構
あるいは人員そのままで、こういったような内部事情の変化もあるときに、あえて今後の水源林造成をやっていくということはむずかしいでしょう。しかし、局署というのは、
事業
が大きくなれば人間もふやしていく、小さくなればこれは当然減るのだ。減るには問題があるかもしれぬが、そういうふうな比較的一般行政官庁の場合と違って、伸縮性があるものというふうに一般には理解できる。そこで、こういうふうに事務量がふえてくれば、何も、国の
機構
、職員というものをふやしていったらいいんじゃないかと、私はきわめて簡単な結論が出るというふうに思う。あれだけ膨大な仕事をやっているのですから、
事業
内部の整備あるいは合理化というふうなものを進めていくならば、あえてこの際、
官行造林
事業
ということを外にはみ出さなければならないようなことには相ならぬと思う。そういうことをやってみても、なおかつはみ出す必要がある程度まで、他の
事業
がふくらむというならば、これは
機構
をふくらませるならば、あるいは人員をふやしていくということでやったらいいんじゃないか。まあさきに私が申し上げましたように、特殊な
造林
だけに国の
資金
をもってやるのだという前提がくずれぬ以上は、当然それでやっていいのじゃないかというふうな
考え方
をだれしも持つということは当然だと思う。その二点につきまして、もうちょっと積極的な御答弁をいただきたい。
山崎斉
22
○
政府委員
(
山崎斉
君) お説の
通り
、
国有林
野
事業
におきましても、
造林事業
の方の量的な拡大ということも、今後やっていかなければならぬというふうに考えております。まあ
手入れ
のいわゆる
方法
と申しますか、
手入れ
のやり方というふうなものについても、まあ質的な向上というものを、あるいは植付等に対しましても、質的な向上というものを積極的に取り上げてやっていかなければならぬというふうに考えておるのであります。今後
国有林
経営におきましても、お説の
通り
経営というものを合理化し、積極的にやっていくという線には進めて参りたいというふうに考えておるのでありますが、それと
官行造林
との問題はどうかという問題になってくるように思うのでありますが、先ほど申し上げましたように、この三十一年に
法律
を改正いたしまして、従来の
国有林
という
機構
を中心にして水源地帯の
造林
をやって参ったわけでありまして、やはりそういう
事態
におきましては、
管理
等との
関係
からいって、比較的大
面積
のもの、
国有林
の
管理
、経営と比較的関連のあるような地点というようなものを従来やってこられたわけでありまして、今後残されております零細な、分散化する傾向のものは、そういう関連
組織
等と必ずしもマッチするような地点にもないというところに、一点非常に問題点が残されておるように思うのであります。で、地元の
造林
能力その他の点から考えまして、そういうふうな性格のものを従来
通り
やはり
官行造林
という形でやっていくというよりも、やはり地元の能力等を十分に活用するという
方式
を加え、しかも、経済的にめんどうと申しますか、
負担
をかけないで、しかも、指導という面も十分に行なっていきまして、水源林としてのやはり伐採その他についての制限と申しますか、規制というものを守っていけるというところに重点を置きまして、新しい
方式
でぜひともいきたいというふうに考えておるわけであります。
石谷憲男
23
○
石谷憲男
君 そこで、ただいまの答弁をやはり聞いておりますと、明らかに今後の水源林造成予定地なるものは、従来の
国有林
野
事業
の
機構
の手の及んでいなかったようなところにだんだん伸びていく。そうして、
国有林
野
事業
として取り上げていくならば、勢い、新しいものを作らなければならない、そういうふうに新しいものを作らなければならない。こういうことで、従って、必ずしも得策でない、こういうように考える
考え方
もわからぬわけではありません。でき得る限り、いかようにむずかしい
造林事業
であろうとも、合理的に、たとえば
造林
コストの引き下げというものがつくならば、やはりその辺のことを一つのねらいにするということも、それは正しい主張だろうと思う。そういう限りにおいて、市町村の
造林
も、最近の
造林
熱というものを大いに重要視してこれを活用していく、こういうように考える
考え方
もわからぬではありませんが、それならば、今言ったように、分収
造林
と同じ
方式
をあえて
公団
の中に取り込んでいってやるのだという次善の策を排して、現在せっかく開かれております公有林
造林
に対する融資のワクを拡大する。ところが、これは経済的に見ましても、一般
造林
に比べて多分に不利な条件にあるというならば、むしろ、その融資条件等について、でき得る限りの緩和策を考えて、そうしてやっていく、こういうような
方法
による活用の道というものがあってしかるべきだ。むしろ、そういうように考えることが、私はきわめてすなおじゃないかと、こう思うのです。それはどうなんですか。
山崎斉
24
○
政府委員
(
山崎斉
君) 融資等の
造林
といたしますと、もちろん全部これが無利子でいくというような性格のものではないように思うのでありますが、もちろん、ある程度の利率の引き下げというようなものは考えられぬわけではないように思うのでありますが、こういう水源地帯、比較的技術的にも困難で、しかも、成果につきましても、里山等と違って、何と申しますか、収穫量が比較的少ないじゃないかというような問題のあるところの
造林
に対しましては、
造林
というものをいたしまして、
造林
いたしました場合においては、その
造林地
の成績いかんというものにかかわらず、やはり借りた金は返さなければいかぬというのが融資
造林
であるように思うのでありまして、そういう制度では、なかなか水源地帯の
造林
というものには、私は積極性というものが生まれてこないように思うのでありまして、やはり国が経済的なめんどうと申しますか、維持、
管理
等についてまで十分な経済的なめんどうを見てやる。国なり、国の機関が十分なめんどうを見てやる。そういうものを前提にいたしまして、そのできた成果を一定の
割合
で分け合うというやはり分収
造林
というものが、こういう地帯の
造林
に対しては一番適応するように思うのであります。
石谷憲男
25
○
石谷憲男
君 それはちょっとおかしいじゃないかと思うんですがね。それはなるほど、
国有林
野
事業
が無利子の
資金
を
森林開発公団
に出資して、そして
森林開発公団
はこれをもとにして
費用負担
する、こういう建前のようですがね。まあそれはそうかもしれぬけれども、この
水源林造成事業
というものは、経済的にペイしない仕事じゃないんでしょう。ただ収益率というものは低いかもしらぬ。しかし、経済的にペイするという前提に立っておそらく計算できているはずですから、そこでおそらく計算をされたものがあるだろうと思うんだが、私はそういうものがあるなら示してもらいたい。たとえば、普通一般林が収穫
期間
を通じまして六ないし七%の利回りでいくものだとすれば、それが三分か四分に下がるかもしれないということがありましても、これは不採算
事業
じゃない。おそらくそういう前提に立ってこの仕事を分収
方式
で始められようとしておるわけだ。従って、普通林に比べればそれは確かに収穫量も少ないかもしらぬ。従って金員収入というものも少ないかもしれないということは初めからわかっているけれども、しからば、これは一体マイナスの
事業
だというほどじゃないはずなんで、むしろマイナスの
事業
になり得る公算が非常に大きいんだと。とするならば、従来の
官行造林
でやるという建前にも、当然私はその点からも返ってくるんではないか。そうするならば、今いろいろおっしゃっているけれども、たとえば金利の引き下げをするなり、無利子ということじゃなくても無利子に近いところまで金利の引き下げをして、とにもかくにも経済的にもペイするという前提に立ってこの仕事をやらせるならば、従来の公有林
造林
のワクを別に拡大をして、従って普通林とは違った条件で融資をされるということで、十分この能力というものは拡張できるということになるんじゃないかと、こう思うんですがね。
山崎斉
26
○
政府委員
(
山崎斉
君) お説の
通り
、この地帯の
造林
をいたします場合に、それが不採算で赤字になるという性格のものではないのでありまして、経済林よりもまあその収益率は非常に低いというところにこの性格があるわけでありまして、その点お説の
通り
であります。しかしながら、融資という
方法
によりましてこの
事業
を行なおうと考えました場合は、融資でありますから、どこまでもやはり従来その補助しておりました場合と同様に、積極的に必要な
保育
あるいは維持、
管理
等につきまして積極的にその経営上必要な
経費
を、その森林
所有
者が自分が借りてそれにつぎ込んでそれで水源林としてふさわしい経営というものを
所有
者の意思でやってもらうというところにまあ大きい問題があるというふうに考えます。従来水源林として補助いたしておりました当時におきましても、新植の金はもちろん国で全額を
負担
したのでありますが、
保育
等につきましては、そういう制度がなかったというような点からいたしましても、なかなかあとの
保育
、維持、
管理
というものが十分にうまくやっていけないのじゃないか、こういうところに大きな問題点があったのでありますが、融資という制度でいきますと、やはりそういうところに大きいまあ問題点が残るように思うのであります。
石谷憲男
27
○
石谷憲男
君 それは私は若干おかしい議論じゃないかと思うんです。新植のほかにもその
保育
、維持、
管理
の金というものを借りてやるんだということは、何も好きでやるわけではないので、やはり収穫時の取り分を少しでもよけいにしようということを意識して必要があってやるわけです。従ってあなたのおっしゃるようにはならない。それはあなたのおっしゃるように、かりに
水源林造林
の場合になるんだとするならば、普通林について今融資制度を拡大しておやりになっているあの政策だっておかしいということです。同じことですよ。何かその辺……。ただ問題は本来
土地
条件そのものが必ずしもよくない。あるいは気候条件その他から確かに悪い、普通林に比べれば。それだけにいわゆる収益率というか、利回りは下がるということは、これは融資の条件で見てやるということにならなければ、積極的なやはり
造林
というのは行なわれないということが言えると思うんです。私はそれだけの違いだと思いますよ、どうですかその点。
山崎斉
28
○
政府委員
(
山崎斉
君) 経済林等におきまして、もちろん、この融資制度を敷いているわけでありますが、これにつきまして、まあ
所有
者の
考え方
等によりまして、その森林というものをよくしていくということにつきまして、積極的にさらに借りて投資をするかどうかということは、もちろんまあ個人の意思でありまして、その正常な経営という面から十分なやはり借り入れというものを
所有
者がしないといたしましても、これはまあ公共的な性格という面から申しまして、そう大きい支障もないように思うのでありますが、いわゆるこの水源地帯の
造林
というものにつきましては、この植え付けたものが治山、治水というふうな面から考えましても、十分な成果がやはり生まれてこなければいかぬというところに、この水源林造成というものの重要性と申しますか、一般経済林等との違ったやはり使命、性格を持っているように思うのでありまして、個人等の意思だけによりまして、この
保育
の程度あるいは維持、
管理
等の程度が変わってくるというようなことは、やはりなくて、国が経済的な面というものを十分カバーして参りまして、その正常なと申しますか、治山、治水上も十分なやはり機能を果たすような施業というものがそこに行なわれるということを、やはり国としては考えていくということが必要ではなかろうかと思うのであります。
藤野繁雄
29
○
委員長
(
藤野繁雄
君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
藤野繁雄
30
○
委員長
(
藤野繁雄
君) 速記を始めて。 両案については、午前はこの程度にいたし、午後は一時半から再開いたします。 それでは休憩いたします。 午後零時三十八分休憩 ————・———— 午後二時八分開会
藤野繁雄
31
○
委員長
(
藤野繁雄
君)
委員会
を再開いたします。
森林開発公団法
の一部を改正する
法律案
(
閣法第
四五号)、
公有林野等官行造林法
を廃止する
法律案
(
閣法第
四六号)の二案を一括して議題といたします。 午前に引き続き
質疑
を行ないます。二案について御
質疑
のおありの方は、順次御発言をお願いします。
石谷憲男
32
○
石谷憲男
君 それでは、市町村の分収
造林
意欲というものを大いに活用して新
方式
の
造林事業
の支柱にする、こういう
考え方
は一応よくわかったわけですが、それならば、一体現在の公有林
造林
の融資のワクを拡大する、さらに
貸付
条件等を十分に検討した上でやったらいいのじゃないかという議論に対しまして、この
事業
の公共的性格等から考えてみて、むしろ
資金
のめんどう等を国が直接見るということが適当だ、こういう御答弁があったわけですが、それでは
公団
方式
といいますか、
公団
に出資して
公団
が
費用負担者
になるというような迂遠な
方法
でなく、直接に国が
資金
を提供をする、その上に十分な指導、監督をやるといったような
方法
でやっていくということについて、どうしてそういう案をおとりにならなかったか、その点を一つ。
山崎斉
33
○
政府委員
(
山崎斉
君) 国が分収
造林
の出資者のような立場に立ちましてやっていくというような
方法
も、お説のように考えられないことはないように思うのであります。そういう場合におきまして、御存じの
通り
出資者にいたしましても、その植えられたあるいは
成林
される木につきましては、
共有権
を持つという性格になるわけでありまして、国の財産と申しますか、国のものを維持、
管理
していくという責任等はもちろん国にもあるのでありますが、この考えておりますように市町村等にやはり維持、
管理
等も実質的なものをやらしていくということが適当ではないだろうかという観点に立ちますと、そこにもやはり問題点が残るのであります。そういう場合に、維持、
管理
等の仕事につきまして、国が町村等に委託をするということもあるんじゃないかという問題もあるように思のでありますが、工事等を県のいわゆる代行
事業
であるとかいろいろな形で委託するという場合も少なくないのでありますが、これにしましても、ややいろいろな問題があると言われておりますが、特に
造林地
の維持、
管理
というふうな非常に長期にわたりまして愛情というようなものを持ちましてこの仕事に当たってもらうということが、その成果に大きい影響を持つというふうな仕事につきましては、やはり委託するというようなことは適当じゃないようにも考えられるのであります。そういう点からいたしまして、国が出資者になるというところには、やはり
法律
上の問題、また今申し上げましたような委託するといたしましても、
事業
の性質からくる問題点が、やはり大きく残されるというふうに考えておる次第であります。
石谷憲男
34
○
石谷憲男
君 この市町村の
造林
能力というものを重視される意味合いの中には、確かに力があって現にその付近にあるものを十分に活用する、この仕事のために新しいものを作ったり新しい人をとり入れたりすることは、むしろ
造林
のコストというものを高め能率的でない、こういう
考え方
があると思う。それなら私は必ずしも
造林者
とか、市町村だけがその
地域
で一番適格者だと言いかねる場合が非常に多い。なるほど一般的には、水源林の造成の
対象
者というものが、次第に
国有林
野
事業
の
組織
の外に出てしまうという傾向はありますけれども、依然としてやはり
国有林
野市業の手の届く
範囲
にいて仕事をやっていくという部分もあるわけだ、さらに市町村よりもその
地域
の森林組合が適格という場合も出てくるというふうなことになりますと、国がそれぞれの適格者に対してやはり委託とかいう
方式
で一番力のあるものを選んで、一番やはり
経費
のかからぬ合理的な
方法
でやるという
考え方
の方が、非常に僕は弾力的だと思う。なるほど一般的には市町村の能力というものを認め、さらにそれを伸ばすという
考え方
はわからぬわけじゃないけれども、現実の問題とすると、あるいは
国有林
野
事業
にやらした方がいいところは
国有林
野
事業
でやる、さらに市町村でやらした方がいいところは市町村でやる。森林組合の方がよりいいところは森林組合に頼む、こういうようなきわめて選択的な
方法
というものが、そういうやり方では一つあると思うのだが、たとえば
法律
上の問題等から必ずしもそう踏み切れぬものもあるという御
説明
はあるけれども、そういう障害を突破しても、そういうやり方で進められた方が、今後の新しい
方式
なんだからベターだというふうに考えるのですが、それはどうですか。
山崎斉
35
○
政府委員
(
山崎斉
君) この
造林地
の
造林
という仕事、あるいは維持、
管理
というような仕事につきまして、やはり
土地所有者
がほんとうの熱意と愛情を持って当たっていかれるということが最も望ましいように思うのであります。お説の
通り
、その場合にいたしましても、市町村等がどうしても当面やる能力がないという場合もあるように思うのでありまして、そういう場合におきましては、森林組合とかあるいは非常に普遍的なものではないと思いますが、いわゆる愛林組合とかいうふうな地元の人々が
組織
しておる、そういう組合等も全国的に見るとだいぶあるわけでありまして、そういうものにやはり
造林
あるいは維持、
管理
というものをやっていただく、結局分収
造林
で純粋の
造林者
という立場に立っていただくということも、あわせて分収
造林
の方からいうとやっていくのが筋であります。そういう方向で考えていきたいと思っているわけであります。
石谷憲男
36
○
石谷憲男
君 そこで従来の四十年の歴史を持つ
官行造林
事業
は、確かに一般から多く支持されたということが言えると思います。むしろ支持されているがゆえに、これが
公団
方式
等に移行することについての反対が出てくると思う、こういうふうに私は考える。そこで一体何がゆえに、この
官行造林
事業
というものは支持されているかということでありますが、これは確かに四十年の事実が物語っている、それが山村にたくさんのものをもたらしているという事実が支持されるおそらく私は根源だろうと思いますが、そのことをさらに突っ込んで参りますと、これは御
承知
のように相手方との共同経営といわれながらも、実質的な全面的な責任というものを国が持っている。従って
契約
から、苗木の確保から、
造林事業
から、その後の維持、
管理
、
保育
という
成林
の最後の段階まで全面的に国が大きな責任を持っている。しかも、その結果というものが非常にいいのだという事実が、この
官行造林
事業
の支持される一番基本的な問題だというふうに考えるわけです。そこで従来の
官行造林
にかわって、いわゆる
公団造林
という
方式
をここでかりに採用するということになりますと、いろいろそれだけのものにとってかわる
公団
の責任体制というものが前提になっておらなければならない。そうしなければ制度の切りかえというものは必ずしもベターではない、こういうふうに考えるわけです。そこで一体、
公団
が実質的にどこまでの責任を持ってこの制度を運用していくかということが、これはその次の問題になるわけであります。こう考えるのですが、そこで一体、
公団
をして従来の
官行造林
事業
にとってかわらしめるという何といいますか、責任の問題、その
内容
、こういうものを具体的に
説明
していただきたい。
山崎斉
37
○
政府委員
(
山崎斉
君)
公団
はこの
契約
によりまして、市町村等の
造林
能力を活用してやるという趣旨に立っているのであります。原則的には
公団
は分収
造林
の出資者になるという立場に立っているということが考えられるわけであります。そうすると
公団
のやります仕事は一体どういうことか、どういう責任を負うのかという問題が出るのであります。
公団
が負うべき責任は、先ほど
業務方法書
等でも申し上げましたように、
造林
それから
保育
、維持、
管理
等につきましての
経費
という面について全責任を負わなければいかぬということはもちろんであります。そのほかに、いわゆる
造林事業
というものの成果を大きく左右する因子でもあります苗木等につきましても、それの品種、系統のいいもの、また苗木としてりっぱなものというようなものをどういうところから調達した方がいいか、あるいはまたその植付、
保育
等につきましての技術的な指導とかいうふうなことにつきまして、
公団
が十分に責任をもって当たっていくということが、どうしても
公団
として考えなければいかぬ問題のように思うわけであります。そういうふうな
見地
からいたしまして、また
公団
といたしましては、そういう面の十分能力を持っております技術者というものをやはり整備して、そういう仕事に当てさせていくということが必要のように思っておりまして、
公団
といたしましては、こういう点の責任を十分に果たせるということに考えていかなければならぬというふうに考えております。
石谷憲男
38
○
石谷憲男
君
法案
の上から見ますと、
公団
というのは
費用
の
負担
者かまたは
造林者
になるのだ、こういうことが書いてある。ところが、先ほど来の御
説明
によりましても、
造林者
というのは、大体においていわゆる
土地
の提供者である市町村がなる、公有林の場合にそういうふうになるというふうに理解されるわけです。おそらく
公団
が
造林者
というふうになるのは、非常にレアのケースではないかと考える。そうしますと、多くの場合は、大部分は
公団
というものは単なる
費用負担者
としての役割しかしないというふうに、
法案
の上からはそれだけのことしかわからぬと思う。それはそれとして、実際的に
公団
というものはどこまでタッチして、どこまでの
実施
責任を持ってこの制度の運用に当たっていくのか、先ほど来申し上げておりますように、
造林者
という前提に立っております限りにおいては、従来の国の立場にとってかわって、
公団
が大部分の場合単なる
費用負担者
としての役割しかないのだということでは、なかなか私は問題があるのじゃないかと思うわけです。従ってそういうことになっても、実際的にはどういうふうに責任を持って運用をやっていけるのか、その辺のことについてもうちょっと具体的に詳細にわたって御
説明
をいただきたい。
山崎斉
39
○
政府委員
(
山崎斉
君) お話の
通り
、
公団
といたしましても、市町村等に
造林
の能力がない、またその
地域
に
土地所有者
も信頼し、
公団
も信頼できるような
造林者
というようなものもないというふうな場合におきましては、
公団
が現地に機関を置きまして
組織
を持ちまして
造林
するということも考えていかなければならぬということは、御説の
通り
だと思っております。で、一般的に
費用負担者
という場合に、
公団
がやるべき仕事といいますのは、先ほど御
説明
しましたように、
業務方法書
にありますけれども、結局
土地所有者
あるいは
土地所有者
が
造林者
を兼ねる場合がありますが、それが
契約
をされましたように
造林
とか
保育
、その他の維持、
管理
をやっておるかどうかという点の指導といいますか、
契約
上の監督といいますか、そういうものをやらなければいかぬということが、第一点。一番大きい問題になるわけでございます。それと同時に、先ほど申し上げましたように、いわゆるりっぱな苗木を使うのだということを、具体的にやはり
造林者
に指導するといいますか、必要ならば、どこの苗畑のどういうものがいいか、どういうふうにして
計画
的に調達したらいいのかという、具体的問題にまで入って、やはり
公団
としては指導をしていかなければならぬというふうに考えておるのであります。
石谷憲男
40
○
石谷憲男
君 そこで、たまたま苗木問題が二、三出たのだけれども、市町村の
造林
能力に期待するとこういいましても、現実にその盛り上がりがやや具体的に相当なものを見せたというのは、ここ両三年の問題だ、私はそう思う。そこで実際苗木を林地に植裁をするという
事業
能力というようなものにつきましては、確かに持てる。同時にその後の
保育
、
管理
等につきましても、その現地に常駐するものとして最適格者であることも、これもよくわかる。しかし、少なくともこれが
造林
の成果を支配する優良な苗木なんだということを的確に判別して、そういうものを的確に購入をして、そうして
造林
をするのだというところあたりまでの責任を、
造林者
である市町村に持てということは、この段階では私はまだ無理があるのじゃないかというふうに考えるわけですが、きょうちょうだいしました
業務方法書
というものですか、によりますと、毎年
造林者
は
実施計画
というものを作って、
実施計画
というものについては、
関係
者の
了解
を得ることになっておるわけですが、そうしてその
実施計画
に基づいて
造林者
がみずからが苗木の購入をやって、そうして
造林
をする。そうしてその
状況
の調査をしたあとで精算もする、必要がある場合には前渡払いにしておいて、そうしてあとで精算をする、こういう仕組みになっておるんですね。そこで現実問題として、こういうことが私は十分あり得ると思う。そういう仕組みの上に立つ以上は、たとえば
造林者
である市町村が付近の苗木生産業者から苗木を買う。ところが、その苗木はたまたま不良苗木だというふうな場合がある。ところがたとえば市価、現在の杉苗は一本六円している。そこで、六円で供給したということにして、事実問題としては、不良苗木であるがゆえに四円で供給をしておるという場合におきましては、はたしてその苗木が六円に相当するとにかく優良苗木であるかどうかということに対する
公団
の選定責任というものはないでしょう。そこで、その六円の要求に対しては、あとから
費用負担者
である
公団
が金を払っていくのだ、こういうことになりますと、実際問題として、そういうことは私は起こり得るケースというものはあり得ると思う。そういうことが絶対起こらないだけの責任を、現実の仕組みを通じて
公団
が持ち得るということになりませんと、ただいま申し上げましたように、国にとってかわる責任というものは、苗木問題一つにしても、従来は
官行造林
事業
で直接苗木を生産するか、自分たちが非常に吟味した苗木を購入するということによって、みずから
造林
した、その一点だけとらえましても、その点きわめて弱体化しておる、安心感が持てない格好になってくるというように思うのだけれども、そういうふうに
業務方法書
を通じて理解していいのかどうか。そう理解していいというなら、私はなかなか問題であると思うのだが、苗木問題一つ通しても、どうなんですか。
山崎斉
41
○
政府委員
(
山崎斉
君) この
業務方法書
あるいは
実施計画
等の段階におきまして、それぞれの
関係
者の承認というか
了解
を得るという形に相なるわけでありまして、苗木の例をとって申し上げますと、お説の
通り
これが
造林
成績に大きく影響するわけでありますので、
公団
といたしましてもこれには重大なやはり関心を払わなきゃいかぬという問題であるように思うのであります。従いまして、その
実施計画
には、前年度にいろいろ相談するわけでありますから、平常の場合には、そういう段階におきまして、
公団
といたしましては、優良なやはり苗木業者、しかもその苗木業者の苗畑等も調査いたしまして、どの部分に植えられて、植培されておる苗木を使うんだというふうなところまで、やはり指導を積極的にやっていくということを考えていかなきゃいかぬというように思っております。
石谷憲男
42
○
石谷憲男
君 それは利害
関係
者ですから、不良な苗木などを
植栽
されることは
公団
自体非常に困る、そういう
関係
においてある程度まで共同経営者としての立場における関与はされるだろうと思う。しかしながら、それはそれだけのものであって、現実にどういうことが行なわれるかということは、人のやることを監督するとか、指導するとかいうことであって、自分みずからがやるんじゃないんですからね。そこに私は質的に違った不安感というものが出てくるんじゃないか、従来の形式は国みずからの責任でやられただけに、そういう点は安心していいですが。
山崎斉
43
○
政府委員
(
山崎斉
君) そういう点につきまして、まあ、その地元の実態というような点から考えまして、必要な場合には、やはり話し合いという過程を、相談いたしまして、
造林者
の
了解
を得るといいますか、そういう形で
公団
みずからが責任において優良な苗木を買って
造林
してもらうというようなことも可能であるし、必要な場合にはしなければいかぬというふうに考えておるのであります。
石谷憲男
44
○
石谷憲男
君 そういうこともあるでしょうけれども、元来から言うならば、今度の建前が
造林者
である者が苗木の調達をして自分みずから実行し、
保育
、
管理
の責任に当たっていく、これは要するに
造林者
がなすべき仕事になっているわけでしょう。そこでかりにいやだ、いや、私が責任を持ってやりますと言った場合には、その話は不調になるわけですね。本来の
任務
からいえば、これは
公団
の
任務
じゃないので、むしろ
造林者
の
任務
だというふうに
規定
づけがされているように読めるのですね。そこには往々にして誤りがあるということは、私は十分やはり予測してかかる必要があると思う。従来は誤りがなかった、建前上は。今度の場合には往々にして誤りが生ずるようなものに移行する。これは本質的な不安感がある。そういう点を要するに今後の運用上の問題としてでも、もうちょっと的確に明らかにされませんというと、私は依然として不安感が残ったままに見過ごされてしまうのではないかという気がするのです。
山崎斉
45
○
政府委員
(
山崎斉
君) その点はお説のようにわれわれも考えているのでありまして、それぞれこの地元の町村が従来苗木その他のものに対してどういうふうな買い方をしているのか、そういう点も、十分
契約
あるいは
実施計画
等の段階におきまして、話し合いの上で
公団
としても安心できる、あるいはまた、これがひいては
土地所有者
、
造林者
にもいいわけでありますから、的確にそういういい苗木が植えられるという点につきまして、
公団
としても十分発言権も持っているわけでありますので、その点は注意して十二分にやっていかなければならぬというふうに考えます。
石谷憲男
46
○
石谷憲男
君 そこで、
関係
者はいいことだからとおっしゃるが、いいか悪いかという結論は三十年、三十五年たったあとに出てくる。そこでそれだからいいものをお互いに話し合って選ぶだろうと考えることは、私はこの点はややイージーな
考え方
じゃないかというふうに思います。そこで今後の運用上の問題としては、そういう点を一つ十分に検討される必要があるのではないか。そこでただいま申し上げましたように、そういったような不安感からしても、自分自身の能力、判断からして必ずしも十分な自信がない、しかし
造林
はしたい、そこで国に頼みたいのだというかりに地方がある。しかもなおかつ、この
造林事業
の手の及ぶ
範囲
にもまだまだ水源林造成の
対象地
も残っているという
状況
から見ますというと、私は
官行造林
事業
でもやれるのだ、それからまた
公団造林
方式
でもやれるのだという二つの
方式
を並用するというようなことがむしろ現実に合う
方法
じゃないかという一つの
考え方
も、これは出てくるように思うのだ。あえて
官行造林
事業
は今後は一切これを廃止し、そうしてすべて
公団
方式
に切りかえるというように勇敢に踏み切られたもう少し根拠を明らかにしてもらわなければならぬと思う。
山崎斉
47
○
政府委員
(
山崎斉
君) この
考え方
につきましては、当初からいろいろと御
説明
いたしている
通り
でありまして、今後のやはり公有林なりいろいろなその他水源林等の重要なこういう地帯の
造林
というものにつきまして、経済的な
負担
というものを
所有
者にかけないで、また
所有
者等の自主的な経営意欲というものの向上の線にも沿って、やはりこの
民有林
の
造林
というものを進めていく、その場合におきまして、
公団
がもちろん従来の営林局長、あるいは県等におきましても、その技術的な面の指導その他を十分に果たしていくという形で、今後の
民有林
の
造林
というものに対処していくということが、大きい意味から見まして、最もやはりいい
考え方
でなかろうかというふうな
見地
に立って考えておる次第であります。
石谷憲男
48
○
石谷憲男
君 そこで次に、
造林
をやるといたしまして、その前提になるのは、
費用負担者
である
公団
と、二
者契約
の場合には
土地
の
所有
者との間に
契約
をいたされるわけですね。そういうことがその前提になると思うのだが、従来
官行造林
でやっておりまする場合には、その山村の住民と営林署ないしはその出先との間におきましては、さまざま多彩な
事業
関係
を通じまして、相互の協力
関係
というものがあったのですね。そういうものの一環としてやはりよく現地の人の話を聞いた上でこの
官行造林
契約
というものに応じたという事実があるわけです。今度はその相手が
公団
、
公団
というのはただ単に
水源林造成事業
というものだけをやるわけだ。そこにしかも長年にわたる協力
関係
というものは何もない。そういう事情の中にありまして、一体従来
通り
この
造林
の前提たる
契約
事務というものが、しかも話し合いの上でスムースに進むという自信がありますか。
山崎斉
49
○
政府委員
(
山崎斉
君) この水源地帯のこういう考えております
造林
につきまして、いろいろ県の何といいますか、
民有林
の
造林
政策、あるいはそれと関連しておられる方々、その他いろいろな面からの御
意見
も、私たちも十分聞いておるつもりでおるのでありますけれども、こういうふうに国が経営面のめんどうというものを十分に見る、また指導等もやっていくという
考え方
に立って、この趣旨といたしておりますところ、あるいはどういうふうにやるのかというふうな点を十分森林
所有
者の方々とお話いたしましていけば、これらの
契約
というものも大体できるのじゃないだろうかというふうに思っておるのであります。
石谷憲男
50
○
石谷憲男
君 要するに、これはあくまでも合意の上に立つ
契約
ですから、しかも、これがぜひともやり抜かなければならぬやはり
計画
造林
だということですから、私はそういうことにつきましてもそうイージーにお考えになるということは、非常に問題があるのじゃないかというふうに考えます。しかも、この
水源林造成事業
と一口に言っているわけなんですが、これは従来から言われているように、現に
保安林
であるものの
造林
か、ないしは今後
保安林
にこれを
指定
するという前提に立ついわゆる
保安林
予定地の
造林
、こういうものを含めての
造林
か、その辺をはっきりしていただきたい。
山崎斉
51
○
政府委員
(
山崎斉
君) これはお説の
通り
、現に
保安林
であるところ、並びに
保安林
として
指定
を今後していくことを妥当とするいわゆる
計画
地と申しますか、予定地というものを
対象
とするところということに考えておるのであります。
石谷憲男
52
○
石谷憲男
君 そうしますと、少なくとも将来はこれは
保安林
になるところですね、すべて
保安林
になるところ。こういうようになりますというと、
保安林
のことで、しかも水源林のことだから、あるいは禁伐
対象
ということは考えておらぬかもしれぬけれども、必ずしも
契約
満了と同時に、地上の立木を全面的に撤去してしまういわゆる皆伐
方式
で伐採するとは限らない。
状況
によっては
成林
の模様によってはもうそれを打ち切りにして、相当長期にわたって共同
所有
の
地上権
というものの撤去も考えなければならないという場合も出てくるんだが、そういうことは十分に
承知
の場合もこの
契約
事務を進められる必要があると思うのですが、その
考え方
ですか、あくまでも。
山崎斉
53
○
政府委員
(
山崎斉
君) 水源涵養
保安林
ですか、これとしてのいわゆる
事業
の制限というものも一応あるわけであります。
保安林
の中では、比較的制限の度合いというものは弱いという性格のものであるようには思いますが、それにいたしましても、その流域におきます同種の
保安林
につきまして、その
面積
を伐期令級で割るというふうな限度にしか伐採させないという
規定
もありますし、また
一団地
十
町歩
以上の
面積
がくっついてはいかぬという制限があるわけでありまして、そういう面のこれによる制限はもちろん受けるということになると考えております。
石谷憲男
54
○
石谷憲男
君 三十年たてば、あるいは三十五年たてば、地上に大きく育ったものは半分だけは自分の方にもらえるんだということで
契約
に応ずる場合と、その時点近くになったときに、それは一ぺんにそうはいかないのだから、これは打ち切りにして、三回なり五回なりに分けなければならないという場合の応ずる気持とは非常に違ってくる。しかも、それがこの時点ではきまらぬ、おそらく先にいっておいおい見てきめるのだということになりますと、いわゆる
契約
事務というのは相当私はむずかしくなってくるというふうに考えるのですが、それでもやはり
計画
造林
の
契約
事務というものが、大体円滑に進捗するという見通しと自信ありますか。
山崎斉
55
○
政府委員
(
山崎斉
君) 三十一年に
法律
改正をいたしまして、自来この水源林の造成というものを進めておるわけでありまして、その場合におきましてもやはり
造林
、その
計画
予定地というようなものにつきましては、この水源林としての
保安林
になりまして、制約は受けるという前提に立ってその点もお話をしてやっていっておるわけであります。今後におきましても、そういう点の制限の程度が一体どういうふうになるかというような点も、十分
所有
者の方々にお話をいたしましてやっていきましたならば、
契約
の事務はできるのではないかというふうに考えておりますが、また
造林
制度にいたしましても、
保安林
予定地という形でそれの
保安林
の調査その他がいろいろ進んでいけば、やはり
保安林
としての
指定
もされるという場もあるわけでありますから、そういう点は十分
関係
の方々にお話をして進めていきたいと考えております。
石谷憲男
56
○
石谷憲男
君 既
契約
の場合におきましては、
造林
しておろうとなかろうと、今度の
公有林野等官行造林法
を廃止する
法律案
によりましても、従来
官行造林
事業
としてやれるというふうな
規定
になっているにもかかわらず、三十六年度におきましては予算がない、こういう
状況
があるわけです。しかもなお、そういう前提に立って、おそらく現在の
契約
、国と市町村との間に合意の上で解約をして、そうしてまあ
公団
との間に
契約
をする、そういう切りかえをされようとしておるわけなんですが、そういう場合、
合意解約
に応じないという問題があり得る。そうすると、いかに説得をしても、やはり国がやったからやったのだと、こういうことになる、そうすると穴があく、穴があいちゃ困る、
造林
の場合には。どういう工合に考えておるか。さらにまた、こういうように今
提案
されておる
法案
によっても、既
契約地
というものは何ら支障なく行なわれるというなら、どういう問題であっても、制度が新しいものに移り変わるときには、いわゆる移行
措置
というものがあるのは通例なんです。移行
措置
があることによって、いわゆるこの移り変わりというものがきわめて円滑にいくということは、従来いわゆる水源林
方式
を
官行造林
に切りかえるときも、これは三回にわたって予算の移行
措置
というものを併用してきたという事実から考えても、私は当然移行
措置
というものがあってもいいように思うのです。それもこの際やれるようになっておるにもかかわらず、これをぴったりやめてしまって、不合理な解約というものをここに時間に限定されながらやっていくというような形に、これは切りかえに無理があるように思う、それをどういうふうに具体的に
措置
されてこれに移行されるお気持ですか。
山崎斉
57
○
政府委員
(
山崎斉
君)
提案
いたしております
法律
の趣旨からいたしましても、一方的に強制解約するというふうな筋合いでないことはお説の
通り
でありまして、話し合いの上で了承を求めて、その上で新しい行き方に賛成だということで解約をし、新たな
公団
との
契約
を結んでやっていかなければならぬ、こういうふうになることはまあ当然であるわけであります。その場合におきまして、何としてもやはり
公団
との
契約
は不賛成であるという方もいるということは、これは考えられるところなのであります。で、そういう方に対しましても、やはり
法律
の建前からいたしましても、国においてこういう
造林
をしていくと、
官行造林
、こういう形でやっていかなければならぬというふうに思っております。それでどうしても了承を得られない場合には、無理に得るということでなしに、
官行造林
という
方法
でやはり適期が過ぎないうちにやっていくというふうに考えていきたいと思っておるのであります。その場合に予算との問題でありますが、これはお説の
通り
、現在の
官行造林
事業費
を十数億予定として組んでおるのでありますが、これには新
植費
という内訳はないのでありまして、御存じのように、民間
造林事業
というものが補助という形で予算が組まれておるわけであります。その中におきまして新植等に振り向けていくということは不可能ではないのでありますが、結局今までの
官行造林
事業費
というものを、今までに植えましたものの
手入れ
とかいうものを前提にして積んでおるわけでありますから、その節の中で他に流用等をいたしますと
保育
等で足りなくなるという問題が出てくるわけであります。それらの点につきましては、大蔵省とも十分話し合いまして、必要な予算の
措置
、あるいは予備費等その他のことも考えてやっていきたいというふうに考えております。
石谷憲男
58
○
石谷憲男
君 ところで、今後いわゆる新しい
契約
をしていこうとするもので、そうしてこれもまた同じように
契約
に応じないという場合も、これは十分に予想されております。そういう場合の一体
措置
はどういうふうに考えておりますか。
公団
方式
による水源林
方式
は、その部分だけできぬということになる。
山崎斉
59
○
政府委員
(
山崎斉
君) これは御存じのように九カ年というものを目途としてやっていくという
考え方
でおるのでありますし、その間におきまして、この新しい様式によります
造林事業
の達成というようなものも十分に
関係
の方方にあるいは調査をしていただくというふうなことをやる。また
公団
あるいは
林野庁
といたしましても、十分それらの方々にそういう点の認識を深めていただくような努力をいたしまして、この九カ年のうちには一つ
契約
をして
造林
をしていただけるように、全力をあげてPRをいたしたいというように思っております。
石谷憲男
60
○
石谷憲男
君 それは希望でしょうけれども、それにもかかわらずおれはいやだと言った場合には、これは強制力はないので、どうしても穴があく、穴があいちゃ困る。こういうことになるので、私は当然こういう場合の救済
措置
も考えていただかなければ、二十三万二千
町歩
に及ぶ水源林造成を
計画
的にやるという一連の
事業
においては、なかなか筋が通らぬ、こういうふうに思うのですが、その点はどうですか。
山崎斉
61
○
政府委員
(
山崎斉
君) 御存じの
通り
、
官行造林
でやるにいたしましても、その必要のあるところだったらということで、いわゆる強制的にまあ
造林
をするということも不可能なような実態にあるわけでありますし、この制度の認識というようなものを十分していただく、あるいはまあ
実績
等も十分見ていただく。また、われわれもそれに対してPRと申しますか、そういうものを十分にやっていくということで、九カ年間には所定のものができますように、一つ全力を上げて努力するというふうに考えております。
石谷憲男
62
○
石谷憲男
君 それではちょっと問題が違うのですが、まあ本日お配りいただきました
資料
の中にあるわけですが、過ぐる二月二十一日の日付でもって、あなたと
自治省
の
行政局長
の間に
了解事項
というものが取りかわされておる。これを読んでみますと、まあ新しい
造林
方式
によるものが、公有林野等官庁
造林
法による
官行造林
よりも市町村にとって不利となることのないようすることを、まあ基本方針として、そうしてその第一番目に、分収
割合
は五〇%を標準とすることというのですね。五〇%というのは、
土地所有者
としての分収
割合
を五〇%とする、こういうことが書いてあるわけですが、そうしますと、いわゆる
土地所有者
としての立場における市町村に対するいわゆる五〇%の分収というものを、これを標準とすると書いてある。ケース・バイ・ケースだとおっしゃると思うのですが、実際問題としての運用は、この五割というものを確約するという前提に立って新しい制度の運用をなさるのですか。
山崎斉
63
○
政府委員
(
山崎斉
君) これにつきましての書き方というものは、現在の
官行造林法
の施行令によります、まあ書き方と歩調を一にしておるのでありますが、これは私たちといたしましては、
自治省
との話し合いのもとに五〇%というものを市町村に対しては分収としてやっていきたいと考えます。
石谷憲男
64
○
石谷憲男
君 そこで、従来の
官行造林
の場合におきましても、五分五分と確約したことは何もないのであって、ケース・バイ・ケースでもって、計算の上に立ってやはり五分と五分の分収
割合
が適当だろうというふうに、そういう条件の
契約
をした、まあ私はそういうふうに理解している。そこで、新
方式
によります場合に、二者ないし三者の
契約
が行なわれる。三
者契約
が行なわれる場合に、まあその代表的なもののそれぞれの分収比率というものは、おおむねどういう
範囲
におさまるのですか、三
者契約
の場合は。
山崎斉
65
○
政府委員
(
山崎斉
君) これは場合場合によって違うわけでありますが、大体の
範囲
と申しますか、標準的なものを見てみますと、
費用負担者
としての取り分は四割ないし六割、それから
土地所有者
の取り分が三割ないし四割程度、それから
造林者
の取り分が一割ないし二割程度というふうに考えております。
石谷憲男
66
○
石谷憲男
君 そうしますと、ただいまの
了解事項
で五〇%を標準としてとおっしゃるけれども、
土地所有者
の取り分というのはおおむね三割ないし四割だ、こういうことですけれども、実際運用は。
山崎斉
67
○
政府委員
(
山崎斉
君) 実際的な運用といたしまして、
土地所有者
の取り分、もちろん幾らかの差は出るということは、場合によっては考えられるわけでありますが、大部分のものが三割ないし四割だというふうに御
了解
を願いたいと思います。
石谷憲男
68
○
石谷憲男
君 そこで、きょうちょうだいいたしましたこの
資料
から見ますと、一体、
造林者
というのはどういう
費用
の
負担
をするのですか。
山崎斉
69
○
政府委員
(
山崎斉
君) この
造林者
の取り分がどういうものか、あるいは
土地所有者
がどういうふうになるかという点につきまして、いろいろ事例等をあげまして検討いたしておるのでありますが、その点は
説明員
の方から詳しく
説明
さしていただきたいと思います。
石谷憲男
70
○
石谷憲男
君 私の今御
質問
申し上げておるのは、この一般の場合に、
造林者
の取り分というものは一〇%ないし二〇%、こうおっしゃっておる。ところで、やはり
造林者
の取り分というものは、出し分があるから取り分がある。ところで、
業務方法書
の
内容
を見ますと、
造林者
の行なうべきことが、書いてある。ともかく、全部
費用負担者
であるものがその
費用
を見るということに読める、ずっと対照してみると。何にも出し分がないじゃないかと、こういうことになって、それにもかかわらず、こういう取り分があるのはどういうことか、こういうことを
質問
しておる。
山崎斉
71
○
政府委員
(
山崎斉
君) 先ほど申し上げました点は、御必要があればあとから御
説明
することにいたします。
造林者
の取り分と申しますのは、もちろん、これは
契約
の
内容
によりまして、
造林者
が、実質上どの程度の
負担
というものが
造林者
にかかるかということを前提にして考えるわけでありまして、
造林者
が経済的な
負担
が全然ないという場合には、もちろん、
造林者
取り分がないということにもなるわけでありますが、一般的に分収
造林
というようなものを考えてみました場合に、
造林者
がやはりたとえば
実施計画
等を編成いたします場合には、その編成する人が市町村の吏員であったりする場合もあるわけでありますから、そういうものの
負担
は市町村がするのだ、あるいはまた、維持、
管理
等の部門におきまして、あらかじめ月に何回か見回るというようなことを
契約
して
実施
する場合には、そういうものは
費用負担者
で
負担
することになるわけでありますが、そういう場合以外にいろいろ現地におきまして、害虫等の発生のおそれがある、あるいは
火災
等の危険があるというような場合に、不時の場合等におきまして、
造林者
としてのやはりいろいろな見回りその他を考えていただくという場合等があるわけでありまして、そういうものをそれぞれ話し合いによってどういうふうに見ていくかという点をもとにして
造林者
の取り分というものを考えていくわけでありまして、そういうものを、いろいろなものを一切
公団
が見るというような場合には、
造林者
の取り分というものはなくなるというようにもなるわけであります。
石谷憲男
72
○
石谷憲男
君 非常に悪く考えますと、要するに、
了解事項
によって、とにかく五割というものをやや保障しておられる、市町村に対して。しかも、それははっきりと
土地所有者
としての分収歩合と書いてあるが、ところが、なかなかそうはならない。事実は、いわゆる
土地所有者
の市町村が
造林者
になる場合が非常に大部分である。そこで、
造林者
の取り分というものをこういうふうにとにかく設けて、双方合わせれば大体平均五割になるのじゃないかということで、その制度を運用しようとされておるのじゃないかというようなことを邪推してみたくなるのだが、私は、そういうことがありますといかぬと思う。やはり、はっきりすべきことははっきりしておいて、町村に対していろいろな点について便宜的な支援態勢をとるのだというような、その部分はその部分として加えて、厳にすべきものは厳にする、何となしにチャンポンにしてこれでいいじゃないかというような行き方というものは、私は好ましくない、こう思うのですが、そういう隠れた意図はございませんね、はっきりと……。
山崎斉
73
○
政府委員
(
山崎斉
君) お説のような隠れた意図といいますか、こういうものは全然もちろん持っていないわけでありまして、
土地所有者
としてどうなるか、
造林者
としてどういうものを
負担
するのかという
見地
に立って考えていくわけでありまして、
造林者
として
負担
があればその分を
土地所有者
の取り分にプラスするという
考え方
で、はっきりといきたい、こういうふうに考えております。
石谷憲男
74
○
石谷憲男
君 これはですね。まあ言うまでもないことですが、この
土地
条件の悪い
土地
に分収
造林
をしますと、これはそうでないところに比較しますと、
費用負担者
の取り分というのが多くなるということにならなければ、これは理屈上おかしいと思うのであります。今度それを水源林造成一本にしぼって、
土地
条件というものは確かに悪い、それにもかかわらず従来いろいろと問題のあった五〇%というものを標準にして、しかも
土地所有者
の取り分として五〇%を標準として運用するということは、私はどうもこれは非常に矛盾ではないかというような感じがするのですが、そこで今申し上げるように、その問題はその問題として
解決
して、さらに市町村というものに対しましてはできるだけの応援態勢をとるんだというならば、それは別の問題としてつけ加えたらよろしいのじゃないかというふうに思うにもかかわらず、何かその辺がすっきりしていないように思う。どうなんですか、その点。
山崎斉
75
○
政府委員
(
山崎斉
君) お説のように、
土地所有者
としての純粋な取り分は何ぼであるか。それに対しまして国として市町村にいろいろと財政的な援助をするというような
見地
から、いろいろなものをつけ加えて、何か別の政府としても考えるべきではないかという御議論も、まことに一つの
考え方
としてあり得るように思うのでありますが、この分収
造林
という形で、しかもまあ、地元の町村等の能力というものも十分活用して自主的に経営していただくというような趣旨から、今度の制度を考えているわけでありまして、むしろ、従来からのこの
官行造林
等の経緯等から見ましても、この単なる地代論というような面だけに、拘泥というか、とらわれた感じを持たずに、やはり分収率という点でそういうものを考えていくことが、市町村等にとっては非常に従来の経緯からいってもわかりやすいのじゃなかろうかというふうな
見地
に立って、これからの新しい制度を進めていく上からいっても、その方がいいのじゃないだろうかという
見地
に立って、こういう
考え方
をいたしているわけであります。
石谷憲男
76
○
石谷憲男
君
長官
御
承知
のように、今までやってきた
官行造林
事業
というものは、あくまでもやはり経済ベースに立っての分収比率というものをきめたもので、今の経済情勢の中でこれをいろいろ分析してみますと、確かに国の援助部分というものがあったのですよ、五分と五分。しかしまあ、それはそれなりに私はよかったと思うんです。ところが、今度は
公団造林
に移行するということになりますと、
公団
の本来の性格なり、またこの
事業
が、かりに
水源林造成事業
だといいながら、収益率こそ低いかもしれないが、ペイする
事業
だということになりますと、そういう
見地
からやはり従来のものよりもこの
事業
の経済性というものが私は浮かび上がってくると思うんです。そういう
見地
から、かりにこの分収歩合というものを考えていきますと、全くこれもつじつまが合わないということになるのです。そういう立場から、一体その分収歩合の
考え方
というものを検討されたことがあるのですか。少なくとも従来の
官行造林
事業
よりも、この
公団
造林事業
ということになった以上は、そこで経済性というものが浮かび上がってくるという感じを一般の人は持つ。
公団
というものはそういう性格のものです。さらに無利子とはいいながら国からの出資を受けてやるんですよ、この仕事は。そうするならば、そこにできる限りのやはり経済性というものを保持する立場を堅持しながら、分収比率というものを研究をしていく、妥当に取りきめていくということなんです。市町村に対して国がじかに応援をするという態勢ならばこれはわかるのです。
公団
という格好のものが金を借りて仕事をやっていく、それが純粋に経済的な比率の上に立たないで、応援部分があるんだということは、やはり何かしらん矛盾に満ちた論理のように思う。そういう御検討の結果はどうですか。
山崎斉
77
○
政府委員
(
山崎斉
君) お説のように、
公団
というものが
事業
をやるという点からいたしまして、まあ経済性というものも考えなければならないのじゃないかということは、ごもっとものように思うのであります。また一面から考えまして、
公団
という国の機関というものが、特にこういう重要な地帯の
造林
をやるわけでありますから、
公団
といたしましても、
公団
という性格からいって、純粋な経済的なものの追求というだけのまあ性格でもないようにも思うのでありまして、そういう点がやはりこのこういう地帯の
造林
というものを円滑に進めていき、また進めていく上から申しまして、それぞれ市町村等が従来
官行造林
等で長くやってきました制度、やり方というものとの切りかえというような点も、非常にわかりやすくと申しますか、納得してやっていただくという点からいって、五割というものを考えていくということは、まあ政策的な
見地
に立って考えました場合に適当じゃなかろうかというふうに考えているのであります。で、お説の
通り
、五割というものが
土地所有者
の取り分としては多いのではないかという点は、お説のように私たちも考えているのであります。
石谷憲男
78
○
石谷憲男
君 そこでですね。公有林についてはそういうように運用をせざるを得ないでしょう、そういう
了解事項
があれば。ところが、水源林造成の
対象地
というものは、決して公有林だけじゃないのであって、一般私有林も含まれている。おそらくその中にはかなり零細規模な森林
所有
者の
土地
もある。これが
農林大臣
の
指定
によって水源林造成の
対象地
になったというようなものもおそらく含まれるのじゃないか、そういうことになる場合があると思うのですが、そこで、一般私有林に対しましては、従来
通り
水源林造成は四分六分で運用するのですか。
山崎斉
79
○
政府委員
(
山崎斉
君) 先ほど御
説明
いたしました
通り
、私有林等につきましては、
土地所有者
の取り分といたしましては、大体三割から四割程度ということを、まあ標準と申しますか、標準といたしまして、個々のケースに応じて一つ考えていきたいというふうに考えております。
石谷憲男
80
○
石谷憲男
君 どうして公有林に対してはこういうような
了解
を与えながら、私有林の中においてもかりに大規模な森林
所有
者が持っているというのはやはりこれは別に考えても、なけなしの小規模の森林
所有
者の持っているものが、たまたまこういうところに該当したという場合に、それはやはり私有林であるがゆえに四分六分ないしそれ以下のもので運用しながら、この公有林に対してだけこういうような
措置
をされる、そういう点がどうもはっきりわからないように思うのですが。
山崎斉
81
○
政府委員
(
山崎斉
君) 私たちがこの五割というような点を考えたのは、やはりそれがまあ
所有
者が公共的な性格を持つものである。それがまた分収率ということで、収穫されるという段階に相なりまして、公共団体全体としてのそれがまあ福利その他に大きく貢献するという
見地
に立って、まあ特別に考えているわけでありまして、私有林という範疇におきまして、それらの点をどういうふうな程度のものは特別にまあ考慮をすべきかというような点にも、いろいろと問題点もあるわけでありまして、私有林に対しては先ほど申し上げましたように、大体三割ないし四割というところを標準として個々の場合に応じて考えていく、こういう線でいきたいと思います。
石谷憲男
82
○
石谷憲男
君 この
公団
方式
の分収
造林
をおやりになろうとしているんですが、この場合のいわゆる分収歩合というもののきめ方が妥当でないと、それはそのまま一般の分収
造林
の促進にさまざまな影響を与えるということは御存じの
通り
だと思う。従来文句なしに五分々々でやってきたということが、一般の分収
造林
の進展を、
地域
によっては相当程度にはばんでいるという実例があったことは御
承知
だと思う。従って、そういう際にこそ、全体的に見渡して合理的な分収歩合というものを取りきめて、それによって運用していく。特に市町村等の場合においてこれを援助する必要があるというならば、それは別な問題として援助を考えていく、こういうふうにされないと、私は政策としては一貫性を欠いてくるのじゃないかということを非常に心配するわけですが、その点に対するお見通しはどうですか。
山崎斉
83
○
政府委員
(
山崎斉
君) 一般の分収
造林
等も分
収造林特別措置法
の制定に伴いまして漸次拡大してやっているように思うのであります。一般のそういう形において行なわれております分収
造林
の
土地所有者
としての取り分は、今お話しました大体三割なしい四割前後というところが、一般的なもののように考えているのでありますが、そういう点からも関連いたしまして、一般
造林
等とはこの
対象
がはっきりと区別されている地帯に、今後
公団
等で
造林
をやっていく、しかも市町村というようなものに公共的なそういう
所有
のものというようなことに限定して特別な考慮を払っていく、こういうふうなことになって参るわけでありますので、それらの点は従来
官行造林
等が従前におきまして一般経済林、比較的便利な一般経済林というようなところで、民間の分収
造林
等と相競合するというふうな場所というふうなものではないのでありまして、そういう点は従来のようなまあいろんな問題というものが比較的少ないのじゃないかというふうに考えております。
石谷憲男
84
○
石谷憲男
君 次は、さまざまな意味合いの
反対論
がある中で、直接
国有林
野
事業
に従事しておった側の人の、これはおそらく当然の不安から来た
反対論
だと思うのだが、要するにこれに従事していた職員の切りかえというものが行なわれるのじゃないか。あわせて一般的な労働条件の低下がもたらされるのではないかという不安、これはやはり
国有林
事業
の責任者としては絶対そういうことがないならばないということをはっきりさせられなければならぬと思うのですがね。それについてこの機会に一つはっきりしていただきたいということと、あわせて御存じのように
官行造林
事業
というものは、今から四十年前から始まった。その当時は
官行造林
事業
だけをやる
官行造林
署というものがあったことは御存じの
通り
なんですが、それが現在の営林署になった。そういうところは元来
国有林
がないのです。そこで
官行造林
事業
だけで大体従来の
事業
があった。そういう営林署担当区というものは、まず数少なくないと思うのだが、これは何とおっしゃろうと、全面的に
公団
に移管されてしまいますと、こういうことによってやってきておったこの部分というものは、おのずから縮小するなり廃止するなりということをせざるを得ないということになるだろう。そのことに伴って配置転換等も相当大幅に行なわれなければならぬというふうな心配もまた、これはあわせて私はあると思うのです。そういうことに対しまする一つ所見を明確にしていただきたい。
山崎斉
85
○
政府委員
(
山崎斉
君) 職員の問題につきましては、いわゆる定員内職員と、そうでない、まあ労務
関係
の作業員というふうに二つに分かれておりますが、定員内職員につきましては、従前
官行造林
事業
として定員内職員それから常勤労務者合わせまして五百八名を定員として持っておったのであります。今度の
官行造林法
を廃止いたしまする
措置
に伴いまして、この五百八名を減少するというようなことは、全然予算としても考えていないのであります。むろん五百八名というものは、従来
通り
国有林
で働いていただく、定員として考えていくということに相なっておるのでありまして、それの首切りというようなものは全然ないというふうに考えているのであります。 それから第二の労務者の作業員の問題についてであります。
官行造林
に
関係
しております作業員は、これを雇用区分別に見てみますと、常用労務者が百六名、定期の労務者が千七十六名、月雇いの労務者が二千三百七名というふうにおるのであります。これらの労務者の方々が全部新しい植え付けということに
関係
しておるわけではなくて、大部分がやはり過去に植えましたものの
手入れ
という仕事に、人数からいえば大きく
関係
しておるというような事情にもあるわけでありまして、
官行造林
の仕事が新植ということがなくなることに伴いまして、ここ三年ないし四年間に漸次雇用の量としては減少していくということになると思うのであります。が、
国有林
自体にいたしましても、午前中に申し上げましたように、
造林事業
の量的な拡大というものも三十六年度としても考えておるのでありまして、引き続いてやはり量的な増大をはかっていかなければならぬ、また質的にも植え付け本数がふえる、あるいはまた
手入れ
の回数をふやすとかいうことによりまして、
造林
の面だけについて考えてみましても、
国有林
自体の雇用量、労務者を必要とする量は相当増加するわけでありますので、現在三十五年度に先ほど申し上げましたように、
国有林
で使っておりました常用、定期、月雇いの方々につきましては、
国有林
自体の責任におきまして首切りというようなことなしに雇用していきたいというふうに考えておるのであります。 それから第二点の
官行造林
専門に当初設立された営林署もお説の
通り
あるわけであります。それらについて見てみますと、高知管内の徳島あたりがその尤たるもののように思われます。これは今まで二十八年度末にありました
国有林
の
面積
が三千七百五十九
町歩
であります。これに対しまして
官行造林
の既
植栽
面積
が五千七百四十七
町歩
というような形に相なっておるのであります。これにおきましても、二十八年度に
保安林
整備の臨時
措置
法ができまして、
国有林
で
保安林
を買い入れるという仕事も積極的にやって参りまして、十六万
町歩
ばかり買ったのであります。徳島営林署の管内におきましては、今まで買いました
国有林
の
面積
が七千八百二十七
町歩
と相なっておるのであります。また今後買い入れをする予定が同じく七千九百
町歩
というようなものを買い上げる予定にも相なっておるのであります。この点から見ましても、
官行造林
の今回の
措置
によりましても、徳島営林署というものは廃止されるというようなことにはならないというふうに考えておるのであります。また、大阪営林局管内の松江の営林署につきましても、大体これと同様の
考え方
でいけるように思っておりますし、山口、それから津山営林署、福井の営林署、岐阜の営林署、それから富山の営林署、飯田の営林署、こういうふうに、それから平塚の営林署でありますが、こういうふうな従来の
官行造林
を大きくやっておった営林署等も、大体買い入れ等の
関係
もありますし、むしろ営林署というものはどうしてもここに残して、場合によれば、今後の買い入れでもふえますと、営林署の増設等も考えなければいかぬというふうな
事態
にあるわけでありまして、営林署をこういうことで廃止するようなことには絶対にならないというふうに考えております。
石谷憲男
86
○
石谷憲男
君 そこで、今おっしゃることは必ずしもわからぬわけじゃないけれども、必ずしも
官行造林
がなくなった営林署に買い入れ
対象
が多いわけでもない。それから一定規模の
国有林
というものを
管理
するということが、やはり末端
機構
の整理条件になっているわけだね。そういうことになりますと、
官行造林
事業
が全然なくなることによって廃止の運命に逢着するような営林署というものはあり得る。そういう場合には、積極的に
国有林
を買い入れしても、絶対に営林署という
機構
というものは、いわゆる制度移行によって廃止するということは絶対ないという言明ができるかどうか。それから営林署はまだわかるとして、担当区のごときにおきましては、確かにその存在というものが無意味になってくるものが出てくる。そういう担当区についても、そういうことが言える。 それからもう一つは、配置転換によって決して離職する者はないようにすると、こうおっしゃっている。その御方針けっこうだと思うけれども、いわゆる定員内職員は別にしまして、定期、常用、月雇いの作業員というものは、これはやはり
造林事業
推進の、
官行造林
事業
推進の中核なんです。やはり
造林
の技能というものは高いし、指導能力もある。なればこそ、そういった作業員になっているということなんだ。そういう者を全面的に
国有林
野
事業
に配置転換して、そうしてあとは
公団
、市町村にまかせるといっても、この
造林事業
は、新しい
方式
の
造林事業
というものは責任が持てますか。内部の配置転換でやるということはけっこうなんだ。けっこうなんだけれども、そうするならば、この精鋭隊というものを
国有林
本来の
事業
に吸収してしまう。そういう中核隊というものをとっちゃう。そうしておいて、従来と同じような、従来以上にいい成績を上げるように正確にやっていくということが、実際問題として言えるかどうか。
山崎斉
87
○
政府委員
(
山崎斉
君) 最初の営林署の問題でありますが、この
保安林
の買い入れという仕事は、御存じの
通り
、やはり
民有林
の形で存在いたしまして、国が維持、
管理
するということが必要な背梁山脈地帯のような所を買っているわけでありまして、
国有林
が従来その管内にあまりなかったというふうな営林署にやはりその買い入れというものの重点が向けられるということは御
承知
の
通り
でありまして、今度の
措置
によりまして、営林署を廃止するというふうなことは絶対ないというふうにお含み願いたいと思うのであります。それから担当区の問題でありますが、御
承知
の
通り
、担当区は、
国有林
の
造林事業
の進展、あるいは収穫量の増大等に伴いまして、現在におきましても、
計画
的に相当量の増設を担当区についてはやっておるわけでありまして、場所の移動という点は、もちろん後年度においては、ある程度あるということも考えられるのでありますが、この買い入れ
保安林
のあり方並びに
国有林
自体の
事業
の増大というふうな点から考えまして、担当区自体も今後計面的に相当増大していくという方針で進んで参りたいというふうに考えておるのであります。 それから作業員の問題でありますが、お説のように、従来
官行造林
の仕事をしておりました人を全部
国有林
に雇用してしまうという形におきましては、地元に困るという場合ももちろんあるように思うのであります。
国有林
といたしましては、これらの人々、従来定期で働いていただいた人、あるいは月雇いで働いていただいた人、こういう人を
国有林
が雇用するということによりまして、その定期の
期間
というものを縮小する、あるいは月雇いの
期間
を縮小するとかいうようなことは、
国有林
としてはもちろん考えてないつもりで仕事を仕組んでおるのでありますから、地元等で
造林
にどうしても困る、ある程度の指導的な人が必要だという場合には、これらの人々にもその市町村等が行ないます新植等の
期間
は、その仕手に働いていただいて、それが終わった時点から、従来と変わらない条件で
国有林
がまた雇用するということを責任を持ってやっていくという形で、現実の問題とのギャップのないように進めていきたいと思います。
石谷憲男
88
○
石谷憲男
君 もう一点ですが、そうすると、本人と合意の上でそういうことをする、それによって支障はない、新しい形の
造林
をやっても支障はない、ということですね。
藤野繁雄
89
○
委員長
(
藤野繁雄
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
藤野繁雄
90
○
委員長
(
藤野繁雄
君) 速記を始めて。
北村暢
91
○北村暢君 私は、去る二十日の予算
委員会
におきまして、
自治省
と
林野庁
において結ばれました
了解事項
の問題について
質問
をいたしたのでございますが、この
質問
に対しまして、両大臣とも、
質問
をしたときには御存じでなかった。二日置いて、
農林大臣
から
協議
をして答弁するということで答弁があったわけでございます。しかしながら、そのときの答弁については、今速記録を持って来ておりますが、大臣は非常な誤認をしておるようでございます。速記を読み上げれば明確なんでありますけれども、誤認をしておるようでございまして、私としてはその答弁を納得しなかったわけでございます。従って、きょうは、この点について私は予算
委員会
に続きましてこの
了解事項
の白紙撤回をするように
協議
をして答弁をしてもらいたいということでございましたが、その
質問
に対しては、撤回するともしないともお答えがなかったわけでございます。 そこで、最初、
農林大臣
がおれば一番いいのでございますが、おられませんから、自治大臣に初めにお伺いいたしますが、この
了解事項
は全般にわたって幾つかの問題点があるのでございますが、きょうは第二の(1)の項にあります「公有林野の縮小を促進するような政策は原則としてとらないこと。」、このことについてしぼって私はお尋ねをいたしたいと思います。 まず、自治大臣は——林業の基本問題調査会の答申案にあります公有林野の対策の中で、実質的な
部落有
林並びに
部落有
林ではないが、地元利用施設としての薪炭林、地元利用的な薪炭林、こういうようなものについては家族経営の林家というものを作っていく上においてこれは売り払いを行なうべきである、こういう答申を行なっているのでありますが、これについて
自治省
は一体どのように検討を加えられたか、どのような
考え方
を持っておるか、この点についてまずお伺いいたしたいと思います。
安井謙
92
○国務大臣(安井謙君) この
部落有
林等を個々の人に払い下げていったらいいじゃないかという趣旨の答申があることは私も一応存じておりますが、この地方自治体あるいは公共団体がその共有の林野をできる限り有効に育成をして
造林
をしていくということは、結局そこの住民の全体のためにもなることが多いと思いますので、払い下げをしちゃいかぬという意味じゃございませんが、するのについては十分そのケースについて検討した上で、むやみに個人の私有に帰することはどうかと思っております。
北村暢
93
○北村暢君 ただいまの見解につきましてこれは農林省とお打ち合わせになっておられるのかどうか、合意に達したのかどうなのか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
安井謙
94
○国務大臣(安井謙君) 今申し上げました趣旨につきましては
農林大臣
とも
了解
を得ております。
北村暢
95
○北村暢君 それでは
農林大臣
が見えましたようでございますから、
農林大臣
にも一つこの点をお伺いいたしたいと思いますが、
農林大臣
の先般の予算
委員会
における保留
質問
に対する答弁の速記録を見ますと、大臣はこのように言われておるのです。「公有林野に関する縮小は原則として将来考えていきたいと、こういうふうな覚書があるについて、」という全く反対のことを言っておるのです。この覚書は、「公有林野の縮小を促進するような政策は原則としてとらないこと。」ということになっておるのです。これに対して大臣は、「縮小は原則として将来考えていきたいと、こういうふうな覚書があるについて、」、こう言っておるのですよ。これは速記録を大臣は読まれたかどうか知りませんけれども、全く反対のことなのです。これはあげ足をとるわけじゃないのですけれども、何か私は大臣の頭の中に公有林野というものは将来縮小をしていくのだ、こういうことがあったんじゃないか、それがはからずもこういうふうに出たのじゃないか、このように感じておるのでございます。しかもそのあとの方におきましては、ただいま自治大臣が答弁されたようなことで、「農業基本法の成立後十分にその地元々々の実情に沿いまして、あるいは民間に移してやったらよろしい場所もありましょうし、また、共同経営でやらせたらよい場所もありましょうし、また一面、直営
事業
として自治体が経営しておって、それを通じて地元民に経済的な好影響を与えるということもできましょうから、いずれにいたしましても、今直ちにばらばらにするという行き方でなくて、原則としてそういう問題を考え合わしていこうという覚書の趣旨のようであります。」、このように答弁されておるのですよ。でありますから、この答弁が私の
質問
しているのと全く一致しておらない。大臣の認識は、覚書自体の認識がもう違うのです。覚書は原則として縮小することを促進するような政策はとらないといっているのに、将来とるというこの覚書があるについてと、こういうふうにいっている、全く逆の受け取り方をされておりますから、これはどういう間違いであったのかどうか。
周東英雄
96
○国務大臣(周東英雄君) それは私は覚書をあのときも申し上げたように読んでいなかったのです。あなたの方の御
質問
に対して、原則として縮小しないということについては、という答弁であったつもりであります。
北村暢
97
○北村暢君 それではこの速記録を直しておきませんと、とんだことになりますよ。速記録は明らかにあなたが覚書と全く逆のことを言っているのですから、これは訂正しておかないというととんだことになります。 そこでお伺いしたいのは、これの原則としてということでもって大臣は逃げようとしておりますけれども、原則だから例外はあるのだ、従って縮小するようなこともあり得るのだ、このような解釈のようでありますが、私はこの基本問題調査会の答申案については明らかにそういう認識には立っておらない、原則として縮小することがあり得るわけです。従って私は自治大臣にお伺いいたしたいのは、一体公有林野というものの認識をどのように持っておられるのか、非常に複雑ですから、公有林野というのは。この複雑なものに対して、今言ったようなばく然とした答弁でなくて、どういう状態のものについてどのように対策をするのか、これを一つ明確にしていただきたい。どうですか、自治大臣からお答え願いたい。
安井謙
98
○国務大臣(安井謙君) 今の御
質問
でございますが、これは問題が起こった場合に個々のケースとして払い下げ云々の問題は考えなければならない場合もできてくるということは当然だろうと思うのでありますが、全般といたしましては村有林にしろ、
部落有
林にしろ必ずしもだんだん払い下げて縮小を原則としていくという方向はわれわれとしてはとるべきでない、こう考えているわけでございます。
北村暢
99
○北村暢君 それでは基本問題調査会の答申と、あなたの今の
考え方
とは全く違いますよ。そうすると、この基本問題調査会の答申案の
考え方
は、町村名義になっている
部落有
林はもちろん、町村の薪炭共有林的な地元利用のものについてまでこれは売り払いの
対象
としてやるべきだ、こう言っているのです。それ以外に市町村の直営の林野というものがあるのですよ。それはそれで助長しなさい、しかし、
権利関係
の
慣行
等複雑なものについては、これは売り払いをやるべきだと、こういう答申になっておるのですよ。だから、あなたの今の答弁は原則として払い下げないのだと、こうおっしゃるから、これは答申とは非常に違うのです。
面積
的にいってもこれは膨大なものになるのですよ。簡単にいく問題でないのです。でありますから、あなた、答申の
通り
にやるのかどうなのか、その点はっきりお答え下さい。これは
自治省
と農林省見解が違うのですから、お互いに聞かないとだめだ。
安井謙
100
○国務大臣(安井謙君) あまり見解が違うとも心得ておらぬのですが、答申の中には、なるほど御指摘のような趣旨が相当強く織り込まれておるようでありますが、答申案の
通り
、
自治省
としてやるというわけには参らぬと考えておるわけであります。
北村暢
101
○北村暢君
農林大臣
は一体どのように考えておられますか。
周東英雄
102
○国務大臣(周東英雄君) 私は過日の予算
委員会
においても、あとの方で御答弁を申し上げておる
通り
、基本問題調査会の答申というものは、もちろん重要な
参考資料
として今後の林野行政にあたっての指針といたしますことは当然でありますけれども、ただいま御指摘のように、従来から部落の入会になっておるとかいうところは、むしろそれは地元住民のために払い下げていった方がいいのか、あるいは
使用
権の設定をしていった方がいいのか、あるいは部落の入会のままに持たせつつ共同
使用
を認めたらいいのかということは、場所的によく考えていく方がよろしいので、必ずしもその原則
通り
、払い下げていくということの答申があったからそれをしなくちゃならぬとは私は考えておりません。
亀田得治
103
○亀田得治君 ちょっと関連して。この問題は、私たち林業全体のあり方の問題として非常に重視しているわけですが、北村君が予算
委員会
等で
質問
した経過等から私たち聞きますと、この覚書、
了解事項
は、両大臣が知らないうちにどうもできているようです。あるいは多少知っておったかもしれないが、文章それ自体はよくごらんになっておらない、でき上がる過程において。で、まあ当然盛らるべき中身のものが盛られておるのなら、これはそういうこともあっていいと思うのです。ところが、一方でこの基本問題調査会でお互い相当専門家が検討して、公有林についての
考え方
を出しておるわけですね。相当明確に出しておる。もちろん、これは基本問題調査会の結論そのままを政府が御採用になる役務はない、ないけれども、それはおのずからそこに重要な結びつきがあるということは、これはだれだって常識的に考えておるわけです。少なくともこの重要な調査会が問題を提起しておるのに、その点をよく検討しないままで、一方で別な方向のものを役所同士が覚書として作ってしまう、これは私は少し行き過ぎじゃないかと思う。おそらく私は腹の中じゃ両大臣とも、これはちょと僭越だというくらいに考えておるのだと思うのです。こういうただいま課題が与えられておらないならいいですよ。その点はどういうふうに感じておられますか。一方でこういう重要な調査会がこういう問題を投げかけておるのに、まあいろいろ
説明
はされますけれども、大体の方向としては、やはり違った方向のものが最後の責任者でない者によって、しかも官庁間の取りきめとして書かれておる。私ははなはだこれは遺憾だと思うのですね。そこら辺の、主として
手続
上のことのようなことにもなりますが、その辺のことはどういうふうにお感じですか、両大臣、これはもうこれでいいのだというふうなお考えは私はまさかなかろうと思います。
周東英雄
104
○国務大臣(周東英雄君) お話の点も御
意見
としてよく承っておきますけれども、私は先ほども申しましたように、基本問題調査会の答申、重要なもので
参考
にいたしましてやりますけれども、今申し上げたように必ずしもそのまま……、そこでだいぶ強く
部落有
林あるいは
市町村有
林も分けているように出ておりますが、それがそのままに誤解されて、実際上は入会のままで
使用
権設定をしたり、あるいはこれを払い下げるという方がよろしい場合もありましょうし、そういう意味合いでもう少し市町村財政の確立ということもありましょうし、りっぱにやっておって部落のためになっているというところは、その答申があったからといって、その答申の
通り
に払い下げたり分けるということは不適当であろうということで、そういうことで両
関係
局長の間で覚書をしたことは、これはただ委任された権限の
範囲
内でやったことであります。しかし、先ほど申しました
通り
、いろいろ今後の農業基本法等の制定後における
土地
造成あるいは牧野の造成というものに関連いたしまして、実際的にどういう運用をするかという場合には、さらに検討して
措置
すればよろしいかと思いまして、覚書は両方の行政の運用に関する
措置
の申し合わせでありますし、これは今後の運用と相待って、どういうところはどうしたらよろしいか、それがそのときに非常に弊害になる場合には両省で話し合いをされてこれを改訂するということもあり得ると思います。私はそれは地方自治体における財政的また実際上うまく動いているものは、答申に沿ってまた型
通り
動かしてもいかぬという覚書であったと思います。
安井謙
105
○国務大臣(安井謙君) 今
農林大臣
がお答えになったことと同じだと思うのでありますが、
自治省
といたしましては、地方の団体がそれぞれさらに今後とも森林経営について充実さしていこうという相当の意欲もあるようにとれておりますから、これをはなからただ原則として
部落有
林から落としてしまうのだというふうに考えるのは行き過ぎでありまして、これは今の個々のケースについて十分検討する必要があるが、原則としてはそういう方針をとらないということを事務当局同士で相談したことで私もこれはもっともだと考えております。
亀田得治
106
○亀田得治君
自治省
の方にちょっとお伺いしますが、
了解事項
の第二の小さな一に今の点が番いてあるわけですね、この条項がなければ全体の
了解事項
に同意せぬ——それほどこれは重要なことになるのでしょうか、この
了解事項
について……。
安井謙
107
○国務大臣(安井謙君) こうしなければ同意せぬとか同意するとかというように逆に考えられますと、いろいろ答弁のしにくいようなことにもなりますが、これはこういうふうな方針でいったらよろしかろうという合意に達してこの覚書になっているということで、そうでなければ今度はどうだというふうには今私どものところでは考えておらぬわけであります。
亀田得治
108
○亀田得治君 少なくとも公有林野の扱いについては、全体の農業構造のあり方に関連をして問題になっているわけです。何かこう、こういうものが出て参りますと、やはり純粋な理論的な筋というものが曲がってくる。これは大臣、そんな首かしげていますけれども、実際上両省の責任者がこういうふうにちゃんと判を押しておれば、それは農林省の審議自体だって曲がってきますよ。私は基本問題の答申もありまするし、また皆さんも実際上の立場に立ったりしていろいろ研究をされてその結果こういうものが出てきたということなら、これは一つの方向として了承する。ところが、今出ている
官行造林
の問題に関連をして、こういう一項目がここに入り込んできている。こういうことは、農林漁業全体の問題をじっくり筋を通していこうというやさきであるだけに、はなはだおもしろくない。だからそんなに意味の強いものでなければ、まあ
了解事項
全部というものを白紙にできなくても、少なくともこういうものはやはりお互い話し合ってないことにしてもらう。この
考え方
を否定するという強いことまでは要求しません。ともかくこういうことはないものにしてもらう。あるいは再検討の結果、全体の林業問題の討議の中でまたこういうものがきまることがあってもよろしい。少なくとも今の段階でこういうものが部分的にこう出されてくるということは、これはちょっとわれわれとしては了承できないのだな。だから白紙にしてほしいわけだが、その点ちょっとできないとかというのじゃなしに、少しこうそれほど重大なものでなければ検討してもらっていいのじゃないかと思うのですが、どうでしょう。しかも大臣たちの知らないうちにどうも入った条項のようですけれども。
周東英雄
109
○国務大臣(周東英雄君) それは今亀田さんのお話のことをただいま私はお答えしているつもりであります。少なくとも基本問題調査会の
意見
の少しきつ過ぎた一つの答申がある。だから私は
参考
にして、あれをそのままほっておくと、なかなか役人というものはきめたものを金科玉条にして動く場合もなきにしもあらずですから、原則としてはみな分割するのだということでも困るだろう。そこで
自治省
なんかのお考えもいれて、そこを話し合いで覚書をこしらえて、原則として縮小はとるべきでないという覚書もできておる。これも「原則として」と書いてありますから、先ほど言ったように、今後における実際の運用にあたって、「原則」と書いてあるからいいようなものの、実際上そこは払い下げたらよろしいというようなお話があるとすれば、それはそれによって運用をはかる、運用によって決定すればよろしいし、やはり実態については、これは亀田さんも北村さんも御
承知
でしょう、むしろ
部落有
林にしておいて利用権を設定しておいてよろしいし、必ずしもこれを払い下げる必要もない。いわんや個別に分散させるということは共同利用林なんかではかえっておかしい。そこらは運用によって
解決
するのであって、覚書は覚書として一つの方針を示したけれども、それは「原則として」となっているのだから、非常に妙なことになれば、またこれを運用によって改正するということもできる、こう思っております。
亀田得治
110
○亀田得治君 関連ですから、一応この程度にしておきます。
北村暢
111
○北村暢君 ただいまの大臣のお話ですというと、
了解事項
というのに大した重きがなくて、運用上でやっていけばいいじゃないかというような感じのようですけれども、一体この基本問題調査会の答申案に基づいて、
農林大臣
は
林野庁
にこれを政策化するところの六つの機関を設けて、そうして政策化するための
委員会
というものを設けておるでしょう。それの会議が今日まで一体何回持たれたのか、ほとんど一月、二月と、この
了解事項
を結ぶまでには総合的な会議すら持たれてないんですよ、検討する。それは一回くらいあったかもしれない。部会として一体どのくらい会議を持たれたのか。全然会議も、答申がいいか悪いかを論議する会議すら、役所に設けて、これから政策化する会議すら持たれていない。 それからもう一つは、私は、答申だから、その
通り
やるやらない、そういうことを言っているんじゃない。出てきたものが、それが政策化されたものがいいか悪いか私どもはそのとき判断すればいいのですから、そういうことを言っているんじゃないのですが、今言ったように検討してないんですよ。まずそういうのにあらかじめこういう
了解事項
をとってしまうということは、これは大体
土地
部会ですか何かやる気がなくなってしまう、仕事をやる気が。一つの指針を与えたといえばそうかもしれませんけれども、これは非常におかしい形です。 それからもう一つ、あなたは、部落対策
協議
会ですかの答申案も出ておるはずです。これは自治大臣見られたことがありますか。
農林大臣
どうですか。
周東英雄
112
○国務大臣(周東英雄君) まだその答申案は見ておりません。
安井謙
113
○国務大臣(安井謙君) 同様でございます。
北村暢
114
○北村暢君 出ておることは出ておるのですか。
周東英雄
115
○国務大臣(周東英雄君) 出ているそうです。
北村暢
116
○北村暢君 出ているそうですって、大臣、そういうことを、普通答申案なんというものは、出たら翌日新聞発表になるものですよ。しかもこれは諮問をして答申を出されておる。
部落有
林に対する対策ですよ。これは
内容
は私は知りません。出たということだけは知っておる。こういう段階において、一体、これは三月の十七日に出て、この
了解事項
は三月の二十一日か二日に結ばれているんでしょう——二月ですか。その部落対策
協議
会の答申案なるものは、基本問題調査会の答申案よりもさらにきついものが出ておるということを聞いておる。きついかきつくないか
内容
は知りませんけれども、きついものが出たと聞いておる。それくらい今日
部落有
林というものは非常に大きな問題になっておる。そういうものをあらかじめこういう
了解事項
で、原則として縮小を促進するようなことはやらないんだという
了解事項
をきめてしまうということははなはだこれはおかしいんですよ。これは国の
経費
を浪費してあなたたちは答申をやらしておるようなものですよ。そういうことは一体許されるのでしょうか。答申なんというものは、発表してないというのはどういう理由なんですか。
山崎斉
117
○
政府委員
(
山崎斉
君) これは
部落有
林の上実態の解明を両三年来やっておるわけでありまして、そういうものをもとにいたしまして、今後
部落有
林、特に入会権というようなものをどういうふうに持っていくのがよかろうかということにつきましての大体学識経験者を中心とする数人の方がお集まりになり、検討の結果を
林野庁長官
に出していただいたわけでありまして、これもまた今後の行政をやって参ります上の一つの重要な
参考資料
というふうに考えているのであります。
北村暢
118
○北村暢君
林野庁長官
に答申せられたことはわかっております、あなたが諮問したのですから。しかし、大臣にこういう場所で恥をかかせるようなことで、あなたは補佐の責任というものは、もうそれは私はどうかと思うのですね、その行政のやり方は。大臣に何を聞いても、しゃべっていたことがわからない。
了解事項
一つわからない。今度の答申もわからない。これで一体大臣の補佐が勤まるのか。しかも今一番問題の中心になっている、今あなたが出している
法案
に
関係
のあるこれは
部落有
林の対策の答申ですよ、これは。この
法案
の審議とも非常に
関係
のある——私はあとから
資料
案をいたしますが、非常に
関係
のある問題なんです。それを黙っているということは、これは私は責任問題だと思いますがね。そういうやり方というものは大臣、いいんですか、こういうことを許しておいて。どうですか。
周東英雄
119
○国務大臣(周東英雄君) そういうふうな答申のあった場合にすみやかに示してもらうようにいたしませんことには私の知らないことがあるかもしれません。がしかし、よく答申を見まして、今後善処をいたしたいと思います。 ただ私は、先ほど申しましたように、必ずしも
自治省
等の見解におきましても、市町村におきましても、
部落有
林とあるいはその
市町村有
の林野というものが分割して払い下げられる、あるいは全体として払い下げられるということでなくとも、それが先ほど言ったように
使用
権の設定をしたり、あるいは共同で伐採したり、共同で持つように払い下げるということもありましょう。いろいろな場合に違うのだから一がいに全部分割払い下げをすることを原則とするという書き方に対して注意をして、むしろ
部落有
林に
関係
する地方民の便宜をはかろうということで覚書が出ていると思います。従って先ほど申しますように、そこに不都合があるならば、今後における答申その他を見て実際の運用上、しかと
農林大臣
として
措置
をとっていくつもりであります。
北村暢
120
○北村暢君 それじゃお伺いしますがね、今度の基本問題調査会の答申案による公有林対策の基本的な
考え方
は、従来明治以来官民区分がなされて、そうしてこの入会権というものを公権化政策をとって、公有林政策というものを推進してきた。今度の答申案は明らかにこの公権化の政策を私権化することの政策に踏み切った、そういう重大な制度上の変革をこの答申はなされているわけです。これについて自治大臣、
農林大臣
は従来のこの公権化政策が私権化政策に変わったことについてこれは認められるのか、認められないのか。どうですか。
河野謙三
121
○河野謙三君 ちょっと関連して。私は先ほどから北村
委員
のこの基本問題調査会の答申について、別なというか、ちょっと違った解釈を、字に表わしたものだけでなしに、その意図するところを私は聞いているのですがね。それは全部の
委員
には聞いておりませんけれども、私が聞いている
範囲
では、あの答申の精神は、公有化とか私権化とかというようなイデオロギーの問題ではなくて、今までのように町村林もしくは部落林をほとんど縛りつけておくようなものでなしに、将来一番大きな問題は、労賃が上がってくるだろう。現に上がっている。そうして一人日当が千二百円ということになってきたときに、今までのような形で町村有、部落林でおくことは、
管理
において非常に事欠く時代がくるであろう、であるからそれについては今までとは違って、今後の経済情勢の変化の起こったときにもう少し弾力性を持って、先ほどから大臣が言われるように、ケース・バイ・ケースでもう少し幅の広い態度で臨んだらいいじゃないかという意味が基本問題調査会の答申であって、まあ字句に表われている点はそこまで書いてありませんけれども、そういうところを意図しておるのだということを聞いておりますが、大臣はこの基本問題調査会の答申と同時に、今まで基本問題調査会の
委員
の方にお会いになって何かお聞きになったことがありますかどうか。もしなければ、今後、私は全然別な解釈を聞いておりますから、聞いていただきたいと思うのですが、どうでしょう、それは。
周東英雄
122
○国務大臣(周東英雄君) 今の河野さんのお話でありますが、私も一、二の方には聞いておりますが、そういうふうな問題、もちろん考えがあったようです。私はそういう問題も聞いておりますが、それ以外の北村さんのお尋ねに関して申し上げたいことは、現在
部落有
林、あるいは町村有林として持っておるものを、実際うまくいって、地元も非常にそれで恩恵をこうむっておる、こういうところは何も全部払い下げていく必要はないじゃないか。こういう点が誤解があってもいかぬというところで申し合わせをしたのであります。先ほどから繰り返し申し上げているように、この点はケース・バイ・ケースによってものを考え、あまり今までのように一律に縛らないでおく。必要があるならこれを払い下げる。あるいは払い下げの
方法
につきましても、個別に払い下げた方がいいのか、共有の形に持たせるように払い下げた方がいいのか、あるいは
使用
権の設定によって持たせる方がいいかということを私は個別にきめていった方がいいじゃないか、こう思うのでありまして、従ってそういう意味の申し合わせをしたので、その答申にあるいは非常に違反するとか、あるいはそれと同じようにやらぬのか、非常に違った方向に持っていくのかというようなお尋ねでございますが、場合によってはその申し合わせと違った原則以外のことも出て参りましょうし、あるいはその原則に書いておいた覚書が非常に運用に困るということならば、先ほど申し上げましたように、
農林大臣
として善処をいたします。これは北村さんなり亀田さんの御趣旨には決してたがわないのだ、こう思っております。
安井謙
123
○国務大臣(安井謙君) ただいまのに関連して、公権を私権化するような精神でこれは出ておるのかどうかというような問題につきましては、これは主務大臣の御判断にまかせるべきものでありますが、われわれ自治体を
管理
監督いたしておる方の側といたしましては、自治体全体が従来いわれておりますような公有林の経営に不十分なところもあるというような点は認めますが、さらにそれには十分財政的の
措置
等も今後考えて、先ほど河野
委員
の御指摘になりましたように、
管理
の体制自体を強化し合理化していくという方向でものを考えたい、こういうふうな方針でおります。
北村暢
124
○北村暢君 今の自治大臣の見解は、これは基本問題の
考え方
ともう非常に差がある、違います、今の答弁はですね。従って基本問題の答申の
考え方
を賛成できないならできないで、これでいいのですけれども、答申をそのままやれということを主張しているのじゃありませんから、今
考え方
として
自治省
は、確かに私は公権化説から私権化説に変わりつつある、このことについて反対だということは知っておるわけです、
自治省
に反対の
意見
があるということは。それはまあ対立しているのですから。でありますから、その点はそれでいいと思います。今後これを調整して政策化をしなければならないわけですね。ところが、もう簡単にこの
了解事項
でもって「原則として」と、こういうことになっている。じゃ、原則として公有林野を減らさないというのだが、
農林大臣
のケース・バイ・ケースでもってやっていくということからいっても、問題は、この
部落有
林野というものがほかの公有林やほかの
民有林
に比較して非常におくれた形にある、これは山林の形態からいっても、その実態が出ております。調査会の
資料
にも明確に出ておって、ほかのいろいろなものにおくれておるということが出ております。人工林においても少ないし、天然林も、しかも広葉樹の天然林が多い、荒れているところが多い、こういう実態にある。それはどういうところに原因するかというと、いわゆる
慣行
的な、前近代的なこの
権利関係
があるために、思い切った施策がとられないから、こういうおくれた形になっておる。従って、この
権利関係
を今
農林大臣
のおっしゃったような形にするにしても、旧来の
権利関係
というものを近代化しなければならないということは答申案の中に明確に出ているわけなんですよ。
権利関係
を近代化する、これは明確に出ておる。しかも、その
権利関係
を明確にする中に、まずできるところは、この私権化をしなさい、こういうことになっておる。さらに基本問題調査会の答申では、その私権化する場合、とんでもない細分化していくことが、山林経営の上からいって合理的でないものについては、いわゆる農家経営の、適正規模の林家を作るために、一部のものにはこの権利放棄をしてもらって、集中をして、そうして二十
町歩
単位等によるそういうものを作っていきたい、こういう思想というものが明確に出ておるわけなんですよ。だから従って、自治大臣の言われる
管理
体制を強化して、悪いところは改めてということは、これは入会権というものを抹消して、そうして公権化していくという、今までの
考え方
が少しも変わっていない
考え方
なんです、自治大臣の
考え方
は。従って、
所有
者の個人的な入会権というものをこれを解消していく、こういう形、それも公権化する、公有化することの方向に変えていこう、
管理
体制に変えて持っていこうという、そういうことなんです。これは明らかに基本問題調査会の答申と違うのですよ。そういう非常に、市町村の公権に近いものはそういうことがあり得るかもしれませんけれども、そうでないものは私権化しなさいという答申になっておる。従って、この答申案をまじめにやっていくというと、相当なものが私権化せられる、こういうことが起こり得るのであります。しかしながら、答申は答申で守らなくともよろしい、ケース・バイ・ケースでやるんだ、そういう方針ならばそれでいいんですが、それは出てきたときにやります。しかし問題は、これの結論は、大臣の感じとしては出ている、基本問題調査会の答申は少しきつ過ぎるから、少しゆるめたいという感じは出ておりますけれども、肝心かなめの結論を出すための政策化の作業がまだ全然進んでいない、そういう段階でワクをかけてしまう結果になる。従って、私は先ほど亀田理事も言っておりますように、こういうものはもう少し
了解事項
として、ぴったりきめないで——原則としてやらないということになっている、私権化することはできないということになりますよ、実際問題として。大体
部落有
林野というものは自治大臣、どれくらいおありになると思っておられるのですか。
安井謙
125
○国務大臣(安井謙君) 私はしろうとでございますから、あまり詳しいことはよく知りませんが、大体市町村は百二十四万
町歩
くらい、財産区と称せられるものを含めた
部落有
林が五十八万
町歩
くらいというふうに承っております。
北村暢
126
○北村暢君 承っておるのじゃなくて、あなたそのくらいのことは、今問題になって出てきておるのですからちゃんと知っておいてもらいたい。
安井謙
127
○国務大臣(安井謙君) ちゃんと僕はメモに書いて持ってきております、そのくらいのものは。
北村暢
128
○北村暢君 それで
市町村有
の、実質
部落有
林というのは五十七万
町歩
、財産区が十八万
町歩
あるわけでしょう。この財産区についても、実質
部落有
林については、これは
権利関係
を近代化しなさいということになっている。これはまあばらばらにするということだけではもちろんないですよ。いろいろな形がケース・バイ・ケースである。それは答申案も認めている。そういう中で当然この私権化ということが出てくるというと、これは公有林というものが
面積
的に減らすことは間違いないのですよ。これは全然私は原則としてやらないという方針であれば別ですけれども、これは五十七万
町歩
もあるやつを全然やらないつもりなんですか。自治大臣どうなんですか、原則としてやらないのか。
安井謙
129
○国務大臣(安井謙君) この第二項の一できめておりますのは、公有林全体の縮小をやるというような方針をとることは原則としてやらぬということでありますから、先ほども、最初にも申し上げましたように、個々の条件——ケース・バイ・ケースについては、これは十分考えるべき問題があろう、こういうふうに解釈をしておるわけであります。
北村暢
130
○北村暢君 それではお伺いしますが、町村合併促進法の期限はこの七月で切れるわけですね。それについて、これを継続するということになるようですよ。なるようですが、その場合、市町村の財産としての
国有林
の払い下げをする、こういう問題があるわけです。これに対して、基本問題調査会の答申案の筋からいえば、これは私はもう
国有林
というものは市町村財産として払い下げるべきでない、こういう
考え方
を持っている。従ってその場合には、この
国有林
については払い下げないための
法律
改正をやるべきである、このように考えるのです。というのは、大体この基本問題調査会の答申案の趣旨は、今後の町村財政というものは財産によって行なうべきでなくて、税によって市町村財政というものはまかなうべきである、こういう方針が基本問題調査会で出ておるわけです。従って町村の町村有林というものについては、基本的に財産として町村有林を持つということはやるべきでない、こういう
考え方
が基本問題調査会の答申に出ているのです。従って今のお話を聞くというと、市町村全体として減らなければいいわけですから、
自治省
の
考え方
としては。従ってこの
部落有
林等について私権化して減ったものについては、町村合併促進というような形でその場合の
国有林
というものを町村の財産として払い下げる、こういうことで補うことが、代償ができるというと、そうするというと、
部落有
林というものは払い下げるということも成り立つ。従ってそういうようなことまで勘案して、これが原則として減らさないということ、縮小するということがない、こういうことになっているのかどうなのか、これはどうですか。
安井謙
131
○国務大臣(安井謙君) この覚書で取りかわしておりますのは、いわゆる公有林という観念で、全体として扱っておるのでありますので、今の北村さんの言われるようなケースもあり得ると思います。また、将来市町村が払い下げを受けるというふうになり得るものであるとわれわれは心得ております。 それから基本問題調査会が地方団体の財政までいろいろ御
意見
を賜わっておることは、それは
参考
としては十分伺いますが、これは一がいに財産収入を度外視しろというようなことも、これは一方的に言葉の
通り
受け取るわけにはいかない。これも十分実情を考えた上で判断するのでなければ、地方団体の財政というものは、それ自身やっていく
方法
もいろいろあろうと思います。
北村暢
132
○北村暢君 継続するか、しないか。
周東英雄
133
○国務大臣(周東英雄君) 私は、北村さんのお尋ねでありますけれども、将来合併促進法が延期されて、
国有林
野の払い下げができるから、そういうところは補いがつくから払い下げたらどうかというようなお尋ねもありますが、主として市町村なり部落の財政の基礎を固めるということも一つですけれども、問題は、持っておる部落林なり公有林を払い下げることが地元住民のためにいいのか、従来
通り
持っておって、これを使わせてやるのがいいのかという具体的の場合できむべきものであって、一がいにこれは
所有
させるべきであるというようには、実際上おかしいのではないかということの
見地
に立っておりますから、ケース・バイ・ケースによってきめたらよかろう、こういうことでありまして、従って、ただいまほかに補いがなくても、今のような
国有林
の払い下げによって補いがつくか、つかぬかという問題がなくとも、もし払い下げることがその
地区
において必要ならばやったらよろしいし、もしもそれが不利であって
地上権
を設定してやった方がいいというならば、その方向をとるべきだと思います。
北村暢
134
○北村暢君 そういうことを今
農林大臣
に聞いたんじゃなくて、町村合併促進法が継続された場合に、
国有林
の払い下げということを継続するのか、しないのか、これは継続するということを約束されたと言われるけれども、どうなんですか。
周東英雄
135
○国務大臣(周東英雄君) それは継続する考えでおります。
北村暢
136
○北村暢君 私は、この
了解事項
、それから町村合併促進法の継続で、継続に伴う
国有林
の払い下げを継続するということ、これらのことは、少なくとも、基本問題調査会の答申案とは私は軌を一にしておらない、
考え方
を一にしておらない、このように思います。しかし、基本問題調査会の答申案に対する
批判
は、今、自治大臣なり
農林大臣
が持っておられる、これは自由ですけれども、非常なやはり基本問題調査会の答申案とは違ったものであるということだけは、私ははっきりしていると思います。こういうような点について、私は、なぜそれじゃあ私権化することについて反対せらられるのか、その理由を自治大臣にお伺いいたしたい。どういう点でその私権化することには賛成できないのか、どういう支障があるのか。
安井謙
137
○国務大臣(安井謙君) これはその今のお話で、そのケースについて考えて私権化することが適当なものについては必ずしもやらぬと言っておるわけじゃない。しかし、一応こういう制度全体を要するに縮小するというような方向に初めからきめてかかるということには、
自治省
としてはどうもうなずけないということで、専門家である
林野庁長官
と
行政局長
との間でこういう趣旨の取りかわしができたのであります。
北村暢
138
○北村暢君 そうすれば、現在の自治法の中で、この入会
慣行
権を私権化するということは、自治法の建前からいって可能なんですか、可能でないのですか。
安井謙
139
○国務大臣(安井謙君) 事務的な技術的な
法律
論であるようでありますので、事務当局にちょっと
説明
をさしたいと思います。
岸昌
140
○
説明員
(岸昌君) ただいまの点につきましては、北村先生も御
承知
の
通り
でございますが、地方自治法に、財産、営造物の
慣行
使用
権として、その
使用
権につきましては、旧慣によると書いてあるわけでございます。地方自治法の建前といたしましては、そういう公有林野の財産、営造物、それから、それを
使用
する権利は
使用
権、こういう建前になっておりますものでございますから、私どもといたしましては、学説上はいろいろ御
意見
もございますけれども、
使用
権はやはり公法上のものである、こういう
考え方
に立っておるものでございます。
北村暢
141
○北村暢君 従って、今の答弁でいくというと、これは入会権を解消して私権化する場合には、これは地方自治法二百九条の条項によりまして、これは町村議会の議決を経なければならないということで、これは私権というものは押えられておるのですよ。従って、公権が優位に立って、どんなに私権化しようとしても、町村議会が議決をしなければこれはできないわけです。そういうことになっておるのだが、あなたは今、私権化することもあり得るというのですから、ケース・バイ・ケースであり得るというのだから、その場合には、
法律
改正を必要とするのですよ。だから、その
法律
改正をする意思があるのかどうか、私はお伺いしておる。
安井謙
142
○国務大臣(安井謙君) それはあり得ると思うのです。必ずしも
法律
改正を要すると心得ていないのですが、これは私、
法律
はしろうとですから、はっきり言えませんが、私の
考え方
とすれば、今の議決というような
手続
によってできないものじゃない、こういうように思います。
北村暢
143
○北村暢君 全くしろうとの大臣を相手にしておるのは、話が進まなくてとても困るのですが、あなたの言っておる、できる、できないという問題は、その町村議会の議決を要することが今まで私権を押えておるのですよ。
安井謙
144
○国務大臣(安井謙君) それは
法律
じゃない。
北村暢
145
○北村暢君
法律
ですよ。
安井謙
146
○国務大臣(安井謙君)
法律
を変えぬでもいい。
北村暢
147
○北村暢君 だから、
法律
を変えないというと……。
安井謙
148
○国務大臣(安井謙君) 今の
法律
を変えなくとも、議決を経ればできるのでありますから、それは村の代表者がそういう議決をやることによって、それがいいという
状況
なら、それはできる、こういうことを申しておるつもりであります。
北村暢
149
○北村暢君 そのことが
法律
学者の中で論争になっておるわけなんでして、いかに私権化することが実情に沿うておっても、議決をするというところで、今まで明治以来ずっととってきておるこの公権主義というものが、公権化の政策というものが入会権という私権というものを押えてきた。従って、この二百九条という地方自治法の条項は、重大な私権というものを押える条項なんです。これを改正しない限り、簡単に、あなたの言われるケース・バイ・ケースで私権化できるなんて、こういうことにはならない。あくまでも議決を経るということは、公権優位主義なんですよ。公権優位なんです。だから、この自治法の基本的なあり方について、今度の基本問題調査会の林野
関係
の答申については、地方自治法のそういう制度の根幹に、触れる問題だから、
自治省
は猛烈に反対しておるわけですよ。そこに農林省と
自治省
が今後しっかり話し合わなければならない問題が出てくる。いいですか。そんな、あなた、今言ったようなこまかいことが話し合いされない中で——今言ったように何が何だかわからない、大臣自身が。わからない中で、こういう縮小を促進することは原則としてやらないんだなんていう
了解事項
を作ってしまうということが、私はそもそもいかぬといっているんですよ。従って、これらは、私は、まずこういう
了解事項
というものを取り除いて、実際に
自治省
の基本問題調査会の答申案に対する
考え方
と、農林省はじっくりここで
協議
をすべきなんです。大臣も、その点については、非常に重大なことなんですから、これは地方自治の制度にとって非常に重大なことなんですから——制度上の重大なことなんです。従って、これは単なるこの林野問題の入会権じゃない、建物とその他の問題にも影響してくる問題だから、だから私はやかましくこの点を、この
了解事項
をとったということは、しかもその論議、審議、検討というものが十分なされない中で軽くこういうことをきめてしまうということは、公権主義、私権主義というイデオロギー上の問題じゃないと河野さんは言われたけれども、これはあなた、大へんな問題なんですよ。
考え方
の差ですね、出てきます。だから私はこれをしつこく今言っている。どうですか、これ。そういうようなところがわかればわかるほど、結んだことがおかしいでしょう、これは。そういうふうな理解にならないですか。
安井謙
150
○国務大臣(安井謙君) 非常に入り組んだ個々の
状況
、実例、むろん私は専門家じゃございませんから、詳しいものを知っておるわけじゃございませんが、原則として公有林を減らすという原則をとるまいということは、主管庁である農林省とも打ち合わせたが、しかし実際問題として、そういういろいろな非常に複雑なケースについては、これはまた農林省なり
自治省
同士でよく打ち合わせをして、事実上の問題にそごを来たさないようにこれは処理するつもりでありますが、そのためにこれを結んだのが一がいにいかぬというふうには今私は考えておらぬわけであります。
北村暢
151
○北村暢君 いかぬというふうには考えておらないということ、結んだことがいかぬというふうには考えておらないということのようですけれども、これは今後基本問題調査会の答申案を政策化する上において、非常に大きな支障になることだけはこれははっきりしております、支障になることだけは。これは私どもは、悪く解釈すれば、この
官行造林
廃止
法案
、
森林開発公団
の一部改正案この
法律
を通すために——先ほど
石谷
委員
からいろいろ
説明
がありましたが、全く矛盾だらけですよ。不備だらけですよ。そういう非常に無理な
法律
を通すために、あわてて
自治省
と交渉をして、そうしてこういう
了解事項
を取りつけて、まあまあこの
森林開発公団法
に反対をしてもらわないようにということでやられた形跡が濃厚にある。これを一体交渉されたのはいつから交渉されたのですか。この
了解事項
をやられたのは。あなたの方の
自治省
の
行政局長
は
林野庁
から
公団法
の改正についていつ相談を受けたか。これは時期的にちょっと明確にしてもらいたい。
安井謙
152
○国務大臣(安井謙君) はっきりした事実は私もよく存じませんが、ことしになって早々であったように思います。
北村暢
153
○北村暢君 このことの
了解事項
を取りつけるについて、これは二月の二十一日に結ばれているんですが、この
法案
が出たのは二月の中過ぎだったかと思うんです。大体
法案
が出てきた。地方自治体があちこちでうるさくなってきたということで問題がわかってきた。
自治省
の中にも
反対意見
が薄々あるというようなことが出てきて、私は、あわててこういう
了解事項
を取りつけて、
林野庁
が何歩も引き下がって、基本問題調査会の答申案について何歩も引き下がって、そうしてこの
了解事項
を取りつけてまあ
公団法
の改正を通す。これはね、邪推じゃないけれども、そういうふうに思われる節が多々あるのですよ。これはあわててこういう
了解事項
を作った。そういうような点からいって、これにはほんとうにこの基本問題調査会の答申案を検討されてこういうものがなされたのじゃなくして、非常に政治的に、しかも両大臣の知らない間にこういうことが
了解事項
として取りつけられちゃった。こういう
事態
からいたしましても、あっさりこういうわけのわからない、大臣の知らない間につけられた、あってもなくてもいいような
了解事項
であったならば、こんなもの撤回したっていいじゃないのですか。こだわる必要はないのじゃないのですか。また逆にいえば、あったってへでもないということになるかもしれない、大臣からいえば。言われるかもしれないけれども、私はそういう点からいって、この
了解事項
を結ぶいきさつからいって不純ですよ、これは。不純ですよ少なくとも。だから私は了承できない。だからこれを撤回してもらいたいということを言っているんです。いろいろ聞いてみれば聞いてみるほどもっともでしょう、どうですか。
安井謙
154
○国務大臣(安井謙君) 非常に造詣の深い北村さんのお話で、うんちくを傾けておられるので傾聴をしていることも大へんあるのでありますが、そのそこから先の御
批判
の部分については、これは御解釈ですから、われわれとしては今このことを取り消すつもりはございません。
亀田得治
155
○亀田得治君 私もこの
了解事項
を拝見して大へん奇異に思っていたわけですが、ちょうど問題が出ているわけですから、もう少し確かめておきたい点があるのです。それは
農林大臣
からも先ほど来何回かこの問題についてのお答えがあったわけですが、多少自治大臣との
考え方
と違うように私感じているのです。それでまあ私の方からちょっと申し上げますから、そういう意味かどうかという点を結論的にはっきり
農林大臣
からお答えいただきたいと思います。大臣の考えからいきますと、そういう
了解事項
はどういうふうに書いてあるかわからぬが、ともかくあなたの考えとしては、公有林野の払い下げ等の問題についてはケース・バイ・ケースで考えていくんだ、現在のところはそれを売り払う、あるいは売り払わない、そういう原則的なことは大して考えておらない。ケース・バイ・ケースで考えていくんだ、こういうまあ何といいますかね、安井さんよりも非常に幅のある、とらわれない
考え方
に立っておられるように思う、
考え方
が。そういうふうに理解していいかどうか、まあこの
了解事項
は別のこととして、考え自体を一つ。
周東英雄
156
○国務大臣(周東英雄君) これは先ほどからたびたび申し上げますように、自治大臣と別に
考え方
は変わっていないですよ。とにかくどっちも、先ほど申したように、少し原則ということを欠いて両極端の議論をしておられるような気もするのですよ、私は。基本問題調査会の答申も、原則として売り払うというようなことが書いてある。それはもう実際にあたっては合わぬ場合が多いのですから、そこでまた原則としてこちらはこういう考えでいこうという申し合せをしておる。これは原則と書いあるから迷うこともあると両省の
長官
は考えてやっておりますから、ケース・バイ・ケースで考えますと、こう申しておるわけであります。
亀田得治
157
○亀田得治君 そうすると、大臣の
考え方
自体は今のお答えではっきりしました。この基本問題調査会の答申と
了解事項
とがおのおのの極端をどうもとっておるようだ。そういうふうに解釈なさっておるようですね。そういう受け取り方をしておられるように今感じたわけですが、それは間違いないですね。
周東英雄
158
○国務大臣(周東英雄君) これは原則という字の置き方でそういうふうに受け取られるのです。先ほども北村さんのお話によると、基本問題調査会も公有林というようなものは私権化することが原則だとおっしゃるけれども、これはやはり実際に合わぬ場合が多いようですね。これは北村さんも百も
承知
です。これはこれからの農山村の問題を考えるときに、その
事態
に応じてやっていくということは先ほどからたびたび繰り返しておる
通り
です。おそらく基本問題調査会もその点は考えておると思うのです。
北村暢
159
○北村暢君 私は、極端とおっしゃるけれども何も極端なことを、私の私見を言っておるのではないのですよ。私の基本問題調査会の答申に対する解釈が誤りであればこれは改めたいと思いますが、私は基本問題調査会の条文を読んでもいいのですよ、ここに持っておるからね。読んでもいいのですがね。私は基本問題調査会の答申をそのまま言っておるのですよ。だからそういう点では何も極端なことを言っておるわけではない。しかし、あなた自身から言わせれば基本問題調査会の答申はちょっときつい面がある、それはそうなんです。そういうことでしょう。これは先ほどから何べんも言っておるように、相当根本的な制度的な改革なんです。これはそれを含まれておることは御存じでしょうね。従って、私は先ほどから言っておるように、河野さんはそういうことではないと言いますけれども、公権化の方向から私権化というものを取り入れるという、ケース・バイ・ケースということはありますよ、実態において共有の方がいいとか、共有にするにしても今までの古い
慣行
による前近代的な権利ではなくして、
権利関係
は明確に共有にしても切りかえなさいと、こういうことになっておるのですね。たとえば市町村という名義の
部落有
林ですね。名義は市町村、実際は
部落有
なんですね。そういうものについて名義を改めて、そうしてこれは個々に分けないで共有にする場合にしても、共有の名前をはっきりして共有の形を、
権利関係
を近代化しなさいというのが基本問題調査会の答申の趣旨でしょう。そうして私権化できるものは私権化しなさい。ケース・バイ・ケースですよ、これだっていわば。そういうことになれば自治大臣が先ほど言っているように、いわばこれは町村の議会の議決を経ればいいのでしょう、こう簡単にあなたは言うけれども、それはそうはいかないのですよ。これはこの二百九条の問題が改正をされないというと、そういう権利を近代化することが、町村側に近代化することは町村の議決によってできる。ところが、私権化することについては市町村の議会はいまだかつてこれはやってきてないのですよ。やれない。その問題があるのです。だから、私はイデオロギーの問題でないという立場を、イデオロギーとか何とかじゃなしに、権利を近代化することは、この自治法の二百九条の問題にひっかかってくるのだ、そういう検討がまずあなたの認識からやはりされておらないのですよ。私の理解からすればされておらない。そういうような段階なんだから、ぜひ一つ私はここで十分
協議
をされて、原則として公有林野を縮小を促進するようなことは政策はとらないということになるというと、これはもうまるっきり基本問題調査会の答申を無視したことになると思うのですよ、まるっきりね。ケース・バイ・ケースでやったら、これは必ずこの条項というものは私は改められなければならない、このように思います。
安井謙
160
○国務大臣(安井謙君) 北村
委員
からいろいろ非常に御注意があった点、私権化の問題というようなものは、これは一つ主管当局とも十分
協議
はし、また、答申についてその後の問題として検討はいたします。しかし同時に、今のこの私権化といいますか、
手続
の問題として市町村議会の議を尊重せんでもよろしいというようなことは、これはにわかにちょっと自治体の建前からとれまいと思いますから、そう簡単に
法律
を改正してやるのだとかいうふうには私どもは考えておりません。しかし、実際の
措置
についてはまた十分検討いたしまして、答申は答申として十分検討したいと思います。
藤野繁雄
161
○
委員長
(
藤野繁雄
君) 他に御発言もなければ、本案については、本日はこの程度にいたします。 本日はこれをもって散会いたします。 午後四時四十七分散会