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1961-02-10 第38回国会 参議院 農林水産委員会 第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十六年二月十日(金曜日) 午前十時二十五分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
藤野
繁雄
君
理事
秋山俊一郎
君 櫻井 志郎君 亀田 得治君 東 隆君
委員
青田源太郎
君 石谷 憲男君
植垣弥一郎
君
岡村文四郎
君 河野 謙三君 田中 啓一君 仲原 善一君
大河原一次
君 北村 暢君 小林 孝平君
戸叶
武君 棚橋 小虎君 千田 正君 北條 雋八君
政府委員
農林政務次官
井原 孝高君
農林大臣官房長
昌谷
孝君
水産庁長官
西村健次郎
君
事務局側
常任委員会専門
員
安楽城敏男
君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
農林水産政策
に関する
調査
(
昭和
三十六
年度
農林省関係予算
に 関する件) (
今期国会農林省関係提出予定法律
案に関する件)
—————————————
藤野繁雄
1
○
委員長
(
藤野繁雄
君) ただいまから
農林水産委員会
を開会いたします。
昭和
三十六
年度
農林省関係予算
に関する件を議題といたします。 本日は
水産庁関係
について御
説明
を聞きます。
説明
は三十分以内に願います。まず
説明
を求めます。
西村健次郎
2
○
政府委員
(
西村健次郎
君)
昭和
三十六年度の
予算要求
のうち、
水産庁
の分につきましてその概要を御
説明
いたします。 〔
委員長退席
、
理事秋山俊一郎
君着席〕 お手元にお配りしてございますが、
昭和
三十六年度
概算要求施策別概要
、
水産庁
、三十六年二月九日というこの
書類
、
便宜
この
書類
によりまして、この順序によりまして御
説明
を申し上げたいと思います。 ここに第一に目次がございますが、これは
便宜
この分類によって御
説明
をする所存でございます。第一、
沿岸漁業
の
振興対策
、第二、
中小漁業経営安定対策
、第三、
漁業協同組合
の
整備強化
、第四、
水産物流通改善
、第五、
資源
及び
漁場調査
、それから次の
ページ
に参ります。第六、
漁業調整
及び
漁業
取り締まり
、第七、場所、第八、その他、第九、
漁港整備事業
、第十、
特別会計
、第十一、
公庫融資
、こういうふうになっております。次は合計でございますが、これはまた
便宜あと
で御
説明
してもよろしゅうございます。 まず第一に、
沿岸漁業
の
振興対策
について御
説明
を申し上げます。この
沿岸漁業
の
振興対策
は、
総額
といたしまして、昨年三十五年度四億二千七十余万円に対しまして五億五千四百万円と
増額
をしております。その
一つ
としまして、新たに
施策
として取り上げて参りますのが、そこに(一)としてございます
沿岸漁業構造改善特別対策
でございます。その
経費
として千八百六十二万五千円が計上してございます。これは
沿岸漁業
の
振興
をはかるためにおきまして、一定の
地域
を定めまして、その
地域
について
地域
の
構造改善促進計画
を定めて、それに従って
構造改善事業
を推進して参りたい。その目標と申しますか、その
内容
は、新たな
漁場
の造成あるいは既存の
漁場
の
利用関係
の
改善
、あるいはこれらの
利用関係
の
改善
に伴って必要とする
漁船
、漁具その他
生産手段
の
整備
、あるいはその
地域
内において
沿岸漁業
の
就業者
またその子弟についての他産業への転換、そういういわゆる転業の
促進
というようなものを
内容
とし、さらにこれらの
事業
に関連しまして、
漁港施設
の
整備
あるいは
漁獲物
の処理あるいは
畜養
というようなものも
整備
して参る、こういうことでございますが、この
計画
は大体数
ヵ町村
、あるいは場合によりまして、これは
地理的社会的条件
によって必ずしも一定して参りませんが、相当広範囲な広域を
一つ
の
対策地域
としまして、そこで
構造改善計画
を立てて参る。
昭和
三十六年度におきましてはそれのまず第一
着手
といたしまして、
全国
で十三
地域
についてこの
調査
を主として進めて参る。それに必要な
予算
としまして
本庁費並び
に
調査指導費
としまして府県あるいは市町村に対する
補助金
を計上いたしておるわけでございます。 次に、同じ第四
ページ
の(二)の
沿岸漁業等振興対策
、これは前年度三億八千三百七十三万九千円に対しまして四億八千三百十五万七千円になっております。このうち特に御
説明
を申し上げたいのは、2の
漁場改良造成
及び
種苗対策事業費補助金
、これが御承知のように、築磯とか投石、あるいは大型、並型の漁礁の
設置
、あるいはノリの人工採
苗施設
というようなことについて
補助
をする、いわゆる
沿岸
の
漁場
の
改良造成
あるいは
種苗対策
をやっておる
事業
でございますが、このうち、これらの
事業
につきまして、従来は
大型漁礁
が二分の一、その他の
漁場改良
につきましては
国庫補助率
は三分の一でございましたが、今回はこの三分の一を二分の一に引き上げる。しかも、その引き上げた結果といたしましても、県の
負担分
は従来
通り
三分の一である。従いまして、
地元負担
は従来の三分の一から六分の一に軽減することになるわけでございます。従いまして、それによりまする
総額
の増及び
事業分量
の増加による増がございます。なお、この
事業
のうちに、新たに来年度から予定しておりますうちに、帆立貝の採
苗事業費
の
補助金
四百九十二万円、これが新たに加わっております。五
ページ
の3の
沿岸漁業振興対策事業費補助金
、これは従来から五ヵ年
計画
をもちまして
昭和
三十三年から
実施
しております、特に低
所得地帯
に対する
特別対策事業
でございます。これは、
計画
に従いまして従来
通り
のペースでやって参る、従いまして
継続
が三十
海域
、新たに二十
海域
を
実施
して参る、こういうことになっております。 同じ
項目
の5の内
水面資源維持費補助金
というのがございます。これはアユの
放流
あるいは
サケ
・
マス
の
放流補助金
、あるいは
種苗
の
供給施設
というものでございますが、ここで内
水面資源維持費補助金
、昨年の三千万円に対しまして二千九百万円と、少し
減額
になっておりますが、昨年はこの
費目
の中に、十和田湖の
孵化場
を県に移管することに伴います
経費補助金
及び草魚の
増殖施設
の
補助金
合わせまして六百数十万円が入っておりましたので、実質は今回は昨年より
増額
しております。そのおもな
内容
は、ここに
サケ
・
マス
の次の行にありますように、
サケ
・
マス
の
人工孵化放流
の一匹当たりの単価を、従来十九銭でありましたのを二十五銭に
増額
しております、この結果でございます。 五
ページ
の(三)、
水産業改良普及事業
。これにつきましては昨年三十四年度及び三十五年度において四十八人ずつ
改良普及員
が
設置
されまして、現在九十六名の
改良普及員
が
設置
されることになったわけでございます。来年度におきましては百名増員しまして、全体で百九十六名にする。なお、本
年度オートバイ
十台を
改良普及員
なり
専門技術員
のために助成いたしましたが、これをさらに新たに三十台追加する。これに要しまする
経費
としまして四千三百九万一千円、昨年の二千七百三十四万八千円に対して
相当増額
になっております。 次の六
ページ
に入っていただきます。(四)の
漁村青壮年実践活動促進対策
。この2の
水産技術交流費
、これが
技術交流
のための
補助金
でございますが、これが昨年の百五十一万八千円に対しまして三百九十一万二千円と
増額
をいたしております。なお3の
技術修練費
、この中で新たな
項目
としまして、(3)の
漁船乗組員
の
衛生担当者
の
技術講習会
、この
費目
、これは金額としてはわずかでございまするけれども、
漁船乗組員
の衛生あるいは健康問題というものがなかなか看過できない問題でございますので、この
衛生担当者
の
講習会
というものを開いて参りたい。これによってそういう衛生なり、環境の
改善
ということを
促進
して参りたい、その
経費
が新たなものとしてここに入っております。 以上第一の
項目
につきまして御
説明
いたしました。 次に第二の
中小漁業経営安定対策
、ここの(一)の
漁業生産調整組合制度
の
実施指導
、これは今
国会
に
漁業生産調整組合
という
制度
を設けるべく
法律
の
提出
を準備しております。この
法律
によりまして、
大衆性
の多獲魚類につきまして、その
生産
が一定してないというようなものにつきまして、過度の漁獲ということに基づく不当なる
価格
の下落に基づく
漁業経営
の不安定というものを救うために、そういった
漁業者
によって自主的な
生産調整組合
を結成せしめ、そしてその
事業実施
によりまして、そこに
生産調整
といったことあるいは陸揚げの
調整
といったことによりまして、
魚価
の安定、
漁業者
の
経営
の
内容
の向上ということをはからんとするものでございます。ここでは、これは
法律制度
でございますので、
法律実施
のみの
経費
として計上してあるわけでございますが、この
生産調整組合制度
を
実施
するにあたりましては、現在
中小企業
におきましてとられているごとく必要に応じて
規制命令
を発するがごとくいたしたい。これはいずれまた別途
法律案
としまして御審議をお願いすることになろうと思います。 次に(二)の
漁業共済制度
の
実施
、これは前年度の三千四百七十九万八千円に対しまして五千八十三万四千円になっております。その中には、その
ワク
内にございますように
漁業共済金支払不足金補助金
千五百八十万一千円というものがございますために、それに基づく
増額
でございます。これは三十二年度に
赤字
が出ましたための
支払共済金
の
不足額
の補てんでございます。これは
債務負担行為
をオーバーしまして、この分だけが、この
共済
の
赤字
として残ったわけで、これを補てんしますために、ここにこの
補助金
を交付する、こういうことになったわけでございます。なお三十六年度の
契約分
に対しまする
国庫債務負担行為
は、
共済掛金
の一・四倍以内か、一億三千万円か、いずれか低い額を限度とする、こういうふうに定められております。 同じく第二の(三)
漁業中央無線局
の
設置
、これは全く
新規
の
項目
でありまして、従来から
漁業無線局
の
海岸局
は数多くございますが、
中央
に
無線局
がいまだない、これにはいろいろ技術的な問題もありまして、
中央
にないことによる非常な不便さがございますので、今回
漁業無線協会
が主体となりまして、
中央
に
漁業無線局
を
設置
して参る。これによりまして従来より一段と漁況、海況の通報、その他、
漁業者
の利便が
増大
することが期待されるわけでございますが、その
補助金
としまして三分の一の
補助
として一千万円を新たに計上しているわけでございます。次に同じく(四)の
漁船
再
保険特別会計
への
繰り入れ
、これは
加入料
の
増大
、
加入件数
の
増大
による
一般会計
からの
繰り入れ
の増でございます。特にこれは御
説明
は要しないかと思います。 次に、第三
漁業協同組合
の
整備強化
、これは前年の一億五千三百万円余に対しまして九千百八十一万一千円となっております。その
内容
につきましては、そこに(一)として
水産業協同組合
の
指導監督
、これはほぼ前年
通り
でございます。多少
減額
になっておりますが、これは
非常勤職員
の
定員化等
に伴い、この
経費
が
水産本庁経費
に
繰り入れ
られたということでこういうことになったわけでございます。 次の第七
ページ
をめくっていただきまして、今の
漁業協同組合
の
整備強化
の第二番目の
項目
、(二)
漁業協同組合整備基金貸付金
、これが三十五年度
予算
におきまして、国からの
貸付金
が一億円出されたわけでございます。そこで民間の
出資
、これは
系統団体
あるいは
農林中金等
を含めます
出資
一億五千万円を合わせまして、二億五千万円の
経費
をもって発足したわけでございますが、来年度さらに
政府
からの
貸付金
が五千万円
増額
されます。従いまして来年度からこの
漁業協同組合整備基金
が三億円という
資金量
をもちまして
系統組合
の
整備強化
ということに当たるわけでございます。同じく
漁業協同組合
の
経費
のうちの(三)
漁業協同組合連合会整備促進費
、これは前年度二千七百万円が本年度千五百九十六万三千円になっております。これは
漁業協同組合連合会
の
整備促進
がだんだん進捗して参りまして、十四
連合会
が三十六年度の
対象
となるものは九つに減って参るということで、これは当然、何と申しますか
経費
が
減額
されるわけでございます。 次に、第四
水産物流通改善
、これが前年度千六百八万一千円に対しまして来年度は二億四百六十五万五千円と大きく
増額
を見ております。その第一としまして、新たに
魚価安定基金
というものを設けて参りたい。
魚価安定基金
の
出資
としましての八千万円というものが
予算
上計上されておるわけでございます。これも新たに
法律
をもちまして
魚価安定基金
を
設置
し、
政府
が八千万円、それから
都道府県
の
出資
が四千万円、
漁業生産調整組合
あるいはその他
水産業
の
関係団体
の
出資
が四千万円、合わせて一億六千万円の
出資
をもちまして
魚価
安定についての
事業
を
実施
して参りたい。その
内容
としましては、先ほど御
説明
いたしました
漁業生産調整組合
の行なう
調整事業
でありまして、この
運用益
をもって
所要資金
を交付する、あるいは
水産業協同組合等
が浜において行ないます
調整保管事業
に対しまして、その
補助
をして参る、こういうことを
対象
としております。とりあえずは、この
魚価安定基金
の
活動
の
対象
となります
魚種
は、サンマでございます。今後におきましてこれを母体としまして、
流通改善
及び
価格
安定の
事業
の推進のまず第一
着手
というふうに考えておるわけでございます。 なお、同じ
水産物流通改善
といたしまして、そこに
最後
にございます(二)の
水産物流通対策事業
、これが昨年一千六百八万一千円が、一億二千四百六十五万五千円と
増額
されております。この中には、第一にそこにあります
冷蔵庫
の建設、これに対する
補助金
としましての九千七百五十万円、これが全く
新規
でございます。これは
漁価安定価格流通対策
の一助としまして、まずその第一
着手
として
生産地等
二カ所を選びまして、
冷蔵庫
を
設置
して参る、これは
設置主体
は
生産者
の団体でございます。その
経費
に対しまして三〇%の
補助
をして参る、こういう予定でございます。 なおこれと関連しまして次の八
ページ
にございますように
冷蔵自動車
、これはその何と申しますか
水産物流通
の一助としまして、
冷蔵設備
を持った
自動車
の購入に対しましても、これの三〇%の
補助
をして参る、これはわずか三台でございますが、
冷蔵庫
二カ所と関連しまして、これも本年から全く新しいものとして顔を出した
経費
でございます。 さらにそこに3としまして、
水産物
の
市況産地受信費
というのがございますが、これも全く新しい
経費
でございまして、
全国
で三十カ所の主要な
産地
に対しまして、そこの
産地市場
の
開設者
に
補助
をいたしまして、
消費地
及び他の
市場
における市況を迅速にそこに通報するというために、
受信料
の三分の一を
補助
して参る、これによりまして、その
当該産地市場
におきましては、
消費地等
の
市場
の
価格
の成り行き、その動向が迅速に把握できるということは、
流通改善
の非常なプラスになるかと思っております。この三つの、
冷蔵庫
及び
冷蔵自動車購入
、及び
市況通報
の
受信費
というのが、従来なかった新しい
経費
でございます。 次の
水産物流通調整事業促進指導費
、これは従来もございました
スルメイカ
に対しましてその
調整保管
に対する
補助金
でございます。特に御
説明
することはないと思います。 次に第九
ページ
に入っていただきます。第九
ページ
は第五、
資源
及び
漁場調査
、これは前年度
経費
一億二千三百二十二万九千円に対しまして
総額
一億五千三百三十四万五千円となっております。その一はそこにございますように、(一)
都道府県水産試験場
の
試験調査
、七百四十九万九千円の前年度に対しまして、一千六百十二万二千円でございます。ここで新しいものをちょっと御
説明
いたしますと、そこの2の
指定試験研究事業費
のうちのイの
魚礁研究
は従来もやっておりますが、ロ、ハ、ニ、は新たな
研究項目
でございまして、ロは最近非常に注目され、今後伸びていくであろうと考えられております漁類の
養殖
、
増養殖
に対しまして、卵から現在たとえばハマチの
養殖等
は
種苗
を海で取って来まして、それを大きくするということを大体やっておるわけでございますが、その卵からかえしてそれを大きくして参る、卵からかえすことにつきましては、これは国の
試験場
でやりますが、そのかえったものを、小さい生まれたばかりのものから
相当程度
まで伸ばすということを一貫して
研究
をさすということで、六県に対して
技術研究
をさせて参りたいという趣旨でございます。 次のハの
漁獲物畜技術
でございますが、これも今のに関連いたしまして、これら
畜養
につきまして
研究
をさして参りたい。それから二の
マス
の
養殖技術研究
は、これは十四県に対しまして、主として
配合飼料
をどういうふうに使ったらよろしいか、どういうふうに利用できるかという点を
研究
させて参りたい、こういう趣旨でございます。 なお同じ
ワク
内の3、
幼稚魚
の
調査事業費
、これは四百万円、
経費
は大したことはございませんが、これは
幼稚魚
の乱獲というものが相当
資源
の
維持
上問題であろうかと思います、ことにこれは
沿岸
の
漁業
との関連におきまして。従いましてその
幼稚魚
の採捕の
実態調査
、あるいは
幼稚魚
の生態の
調査
ということを、新たにこれは
都道府県
の
水産試験場
を使って
実施
して参る、そういうための
経費
でございます。 次に(二)の
国際漁業生物調査
、これはいろいろな
国際漁業関係
、いろいろな条約に基づくものもありますし、それらの点につきまして、従来からやっております
調査
でございますが、これはごく簡単に申しますと、1、
サケ
、
マス生物調査費
のうちのロの四十八度以南の
調査
、これは今の日
ソ交渉
で一番問題となっておるところでございますが、ここにつきまして、前年度は
用船
一隻をもって
調査
しておりましたが、もう一隻新たに増加いたしまして、
用船
二隻で
調査
して参る。さらに同じ
サケ
、
マス
につきまして、二、にあります
沿岸
の
サケ
、
マス調査
、これは
北海道
でございます。これが新たなものとして計上され、新たな
事業
としてされるわけでございます。 なお、この
国際漁業生物調査
のうちでは、純然たる
新規
のものとしまして、6の
東支那海サバ
、
アジ漁業対策調査費
五百十六万五千円というのがございます。これは
水産庁
の
蒼鷹丸
を使う。それと
用船
一隻を使いまして、
東支那海
におけるアジ、サバにつきまして、これを
調査
して参りたい、こういう
経費
でございます。 次に
ページ
をめくっていただきまして、十
ページ
でございます。(三)新
漁場開発
、これはこのうちで
一つ
御
説明
を要しますのは、3、
日本海北方冷水域
新
漁場開発調査費
四百三十七万九千円、これが純然たる
新規事業
でございまして、
日本海
のいわゆる
北方冷水域
の新
漁場
というものが相当有望に考えられますので、
調査船地方水試船三隻
を使いまして、
調査
をして参る、こういうことになっております。 (四)は特別御
説明
を要すまいと思います。(五)のその他のうちでちょっと御
説明
を申し上げておきたいと思いますのは、4、
ネズミザメ駆除調査費
、これが新たな
経費
として一千万円計上されております。これは
日ソ漁業
に関連しまして、
ネズミザメ
、これは一名モウカザメと申しますが、これの
サケ
、
マス
に対する食害が非常に大きいということがいわれておるわけでございまして、これらのために
日ソ漁業委員会
の議事の
項目
にも
一つ食害
というものがあげられておるわけでございます。いずれにしましても、わが方としてこれをいろいろ主張していきます際におきましては、その
調査
が必要である、こういうことで
調査費用
の三分の一の
補助
という格好で、これは一千万円を計上しているわけでございます。 第六、
漁業調整
及び
漁業
取り締まり
、これは前年度四億九千十万四千円に対しまして五億一千百八十七万一千円でございます。ここにつきましては特別に御
説明
を加えることもないかと思っております。これはほぼ前年
通り
でございます。(一)は
漁業調整
。次は
沿岸漁業
、これは十一
ページ
でございますが、(二)の
沿岸
及び
沖合漁業取り締まり指導費
。(三)
北洋漁業
の
指導監督
及び
取り締まり
。(四)
遠洋漁業
の
取り締まり指導監督費
。(五)その他。こういうふうになっております。 次に、第七
場所関係
、これは前年度の
経費
七億七十九万一千円に対しまして三十六年度は八億五千七百三十六万三千円となっております。このうち、その中の
ワク
内の2の
水産講習所
につきまして、
施設
としまして
運動場
の
整備費
、あるいは
化学実験室
の
新設等
によりまする相当な
増額
がこの中に含まれております。 十二
ページ
をめくっていただきますと、最初の行に3としまして
孵化場
及び
養魚場
という
項目
がございますが、新たに
サケ
、
マス
の
人工孵化場
としまして、
北海道
の虹別及び札内の
事業場
を増設するということになっておりまして、これに伴う
予算
が新たなものとして計上されております。これによる
経費
の
増額
でございます。 第八その他、ここにつきましては特別に御
説明
をする必要もないかと思っておりますが、全体として
経費
が
減額
になっておりますが、これは
水産庁所属船舶
の建造が昨年に比べて
経費
が
減額
しておる、こういう
関係
でございます。 次に第九
漁港整備事業
、これにつきましてごく簡単に御
説明
をいたします。
漁港整備事業
につきまして、前年度
予算
は七十三億四十四万九千円でございます。三十六年度におきましては八十四億五千八百十八万四千円となっております。そのうち1、
漁港修築
、これは
継続
は四百二十九港、
新規
は十港ということを予定しております。従いまして、それに要する
経費
が三十八億六千七百万円に対しまして四十一億九千九百六十万円、この内訳はそこにございますように、内地は
継続
が三百五十二、
新規
が十、
北海道
、これは
ページ
をめくっていただきます。
継続
は七十七、
新規
はゼロ、こういうふうになっております。それから2、
漁港局部改良事業
、いわゆる
局改事業
でございます。これは前年度四億二千七百万円に対しまして、四億八千六百万円、
増額
されておりますが、これは
継続
は七十港ございますが、
新規
はこれは未定でございます。3、
海岸事業
、
海岸保全
の
事業
でございますが、これは前年度の二億四千百万円に対しまして八億七千五十万円、その内訳は、
海岸保全整備事業
が四億四千百五十万円。
チリ地震津波対策事業
が四億二千九百万円。こういうふうになっております。次に4の
伊勢湾高潮対策事業
、これは前年度五億五千万円に対しまして三十六年度は八億一千五百万円。5の
災害関連事業
につきましては、前年度九千四百六十九万一千円に対しまして五千二百二十二万一千円となっております。なお6の
災害復旧事業
につきましては、前年度の十八億七百四十三万一千円に対しまして十六億四千九百八十九万三千円となっております。これはここにございますように、直轄につきましては
進捗率
は三十三年災は一〇〇%、三十四年災も一〇〇%、三十五年災は八〇%というふうに見ております。
補助事業
につきましては、三十三、三十四年災はともに一〇〇%である。三十五年災は六五%まで進捗させたい、こういう
計画
のもとにこういう
予算
を計上しております。 その他8の
作業船整備費
、あるいは9の
調査費
というようなものが
増額
されております。特に御
説明
をすることもないかと思っております。 次に第十
特別会計
、これは
漁船
再
保険特別会計
と
中小漁業融資保証保険特別会計
でございます。これにつきましても、前年度の三十九億一千八百二万五千円に対しまして、四十一億三千九百十万八千円でございますが、特に御
説明
を申し上げることもないかと思っております。
最後
に、第十一
公庫融資
につきまして、
融資ワク
の
水産分
をここに掲げてございます。前年度の五十億六百万円に対しまして六十億一千一百万円、こういうことになっております。その中でごくおもなものを申し上げますと、まず
漁船
が
増額
になっております。これが、
漁船
が前年度三十四億六千二百万円に対しまして四十二億八千万円、これはカツオ、マグロの建造、あるいは底引きの北洋転換に関する資金、こういうことに対応するために
増額
をここに見込んでおるわけでございます。 その次の共同利用
施設
のうちの製氷冷凍、これが前年度二億五千三百万円に対しまして四億三千五百万円に
増額
になっております。これもやはり先ほど申し上げました
冷蔵庫
の新設というものと関連しまして
増額
を必要とするわけでございます。 さらに水産で新しいものとしましては、そこに主務大臣指定
施設
のうちの
最後
の行に協業
施設
(
新規
)とございます。これが新たなものとしまして一億円計上されております。 以上きわめて簡単でございましたが、三十六年度の
一般会計
並びに
特別会計
を御
説明
したわけでございますが、ここでこれを繰めくくりまして、
最後
に三
ページ
にまた戻っていただきます。三
ページ
でもって全体の
予算
、これを見ていただきますと、合計としまして、本庁分としまして三十六年度は、三十五年度の三十三億七千四十万五千円に対しまして三十五億四百二万八千円、場所が七億七十九万一千円に対しまして八億五千七百三十六万三千円、合計三十五年度の二十九億七千百十九万六千円に対しまして三十三億六千百三十九万一千円、こういうふうになっております。公共
事業
は、三十五年度の七十三億四十四万九千円に対しまして三十六年度は八十四億五千八百十八万四千円、合計いたしまして三十五年度に比較しまして、三十五年度の百二億七千百六十四万五千円に対しまして三十六年度は百十八億一千九百五十七万五千円となっております。
特別会計
、
公庫融資
につきましても、ここにございますようにそれぞれ
増額
しております。これを大ざっぱに比率で申しますと、公共と非公共を合わせまして、
特別会計
を除きまして、三十五年度の当初
予算
に対しましては三十六年度は一五%の増、それから三十五年度のうち当然減の分を除いた場合につきましては、三十六年度
予算
は一七%増、こういうふうになっております。 以上をもちまして、簡単でございますが御
説明
を終わります。
秋山俊一郎
3
○
理事
(
秋山俊一郎
君) ただいまの
説明
に対しまして御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
西村健次郎
4
○
政府委員
(
西村健次郎
君) それから表題の概算要求は
予算要求
の誤りでございますので、どうも失礼いたしました。 〔
理事秋山俊一郎
君退席、
委員長
着席〕
櫻井志郎
5
○櫻井志郎君 第四の
流通改善
のところで
冷蔵庫
を二ヵ所ですか、新しく
生産
地に
建造
する
計画
、非常にけっこうだと思うのですが、
水産庁
では
冷蔵庫
建設に対して年次
計画
を持っておられるかどうか。といいますのは、もちろん魚の種類、
漁獲
の時期、
漁獲
の量その他いろいろな事情からして、流通対策のための
冷蔵庫
を建設した方がいいか悪いか、経済的にどうだといういろいろの問題もあると思うのですが、それに対してどの程度の
冷蔵庫
の建設
計画
を持っておられるか、まずそれを伺わせていただきたい。
西村健次郎
6
○
政府委員
(
西村健次郎
君)
冷蔵庫
につきましては、これは
調整保管
、それによります
流通改善
という面で非常に役に立つと思います。ただ、これは
漁業
につきましてその地方々々、
漁業
の種類、あるいは
漁場
、そこにおける輸送の持つ条件、すべてを勘案します場合におきましては、港々で非常に違うわけでございます。従いまして私どもとしましては、この二ヵ所、本
年度
の
予算
の二ヵ所も含めまして今後具体的にどこの港をどうすればいいかというふうな
計画
を至急立てて参りたい。従いまして、その
計画
の一環としてこの二ヵ所を
実施
して参るようにいたしたい、こういうふうに思っております。
櫻井志郎
7
○櫻井志郎君 突き詰めて言うと、今のところでは全体
計画
はまだ策定されておらない、こういうふうに了解していいわけですか。
西村健次郎
8
○
政府委員
(
西村健次郎
君) 率直に申し上げますと、全体
計画
というのはまだ完成しておりません。ただ、先ほども申し上げましたように、
一つ
一つ
の港によって特殊事情がございますので、抽象的でなしに具体的なものとして
一つ
計画
を至急策定して参りたい、こういうふうに考えております。
櫻井志郎
9
○櫻井志郎君 もう一点。新
漁場開発
の項の
日本海北方冷水域
新
漁場開発
、これは大体どの辺になるのですか。それから今目標とされている漁族はおおむねどういう種類のものであるか。
西村健次郎
10
○
政府委員
(
西村健次郎
君) これは
日本海
の能登半島の沖ですとか、大和堆、あれのまた沖の方にスケソウのいい
漁場
が発見されたというようなことでございまして、これをもう少し
調査
して参りたい、こう思っております。
千田正
11
○千田正君 きのう食糧特例会計の問題でここでも論議されたのでありますが、きょうの
水産庁長官
からの御
説明
でありますと、漁価安定政策の一環としましてフィッシュ・ミールの問題がある。それからいろいろ農林省の
一つ
の対策としまして、あるいは畜産行政の方にある程度転換する問題等の農業政策が出てくる。そのときにこの飼料の問題を中心としましてフィッシュ・ミールの輸入の問題、それから
生産
の方の部門、いわゆる
水産庁
が担当しておりますところの
水産物
加工製品に対する
調整
の問題からしまして非常に疑義を持つ者がおられる。食糧
特別会計
で魚かすを輸入して、その輸入した魚かすの利益差というものを、それを食管会計の方の
赤字
補てんの方に使う。しかもそれは飼料の
赤字
補てんだというのですが、実際からいうと、
水産業
に携わっておるところの零細漁民の加工
生産
であるところのこのフィッシュ・ミールの犠牲の上に立って食管会計の
赤字
を補てんをされるということは非常に矛盾しておるのです。一体
水産庁
は何をやっておるかということをわれわれ議員としては痛感せざるを得ない。その間の問題について長官から
説明
していただきたい。何らの
予算
措置を
水産庁
はとっておらないじゃ、ないか。
西村健次郎
12
○
政府委員
(
西村健次郎
君) フィッシュ・ミールの、これはペルー産でありますが、これの輸入の問題、これは国内における畜産と養鶏業との
関連
におきましていろいろむずかしい問題がございますが、私どもではっきり申し上げられることは、この輸入によって国内における魚かすの
価格
、ひいては大衆魚の
価格
安定を阻害するというような方向には絶対にそういう
施策
はとって参らないのであります、従いまして、今後どういう対策をとるかにつきましては、農林省の内部におきまして十分協議した上、適切な対策をとって参りたい、こう考えております。
千田正
13
○千田正君 そこで、将来のいわゆる自由貿易等によって影響するところの国内の産業に対しては、特に著しい問題に対しては、その面の
補助
政策を一方に掲げ上げなければならないというふうに政策を変えてあると私は思うのであります。でありますから、こちらの魚かすの問題を取り上げているならば、食管
特別会計
においてそういうふうな利益差を得た場合においては、少なくとも漁民の方の
施設
に充てるとか、あるいは漁価安定政策に役立つような方向に
予算
の計上をしなければならない。それを全然みておらないで、大豆かすの方の、マイナスの方にそれを持っていかれるということになると、どうもはなはだ漁民の方としては不満にならざるを得ないんですね。その辺の
調整
がうまくできておるかどうか。これからやろうというのでありますが、前もってそういうことを、
水産庁
としてはこの
予算
編成上、そういうことを十分に協議した上で、ああいう
予算
の計上をされておられるのか、その点はどうなんですか。
西村健次郎
14
○
政府委員
(
西村健次郎
君) 私は食管
特別会計
につきまして答弁しますことは、ちょっと権限外でございますけれども、私の承知し、われわれが現在考えておりますところは、何も
赤字
補てんのために食管
特別会計
に入れるというようなことがきまったわけでもございません。先ほど申し上げましたように、ミールの輸入ということは、国内の魚かすの
生産
価格
に非常に大きな影響ございますので、これらをたとい今後輸入する場合におきましても、これに悪影響を与えないという方向で、これが具体的な対策を内部において今後至急に樹立して参りたい、こう考えておるのでございます。
千田正
15
○千田正君
赤字
補てんのことは考えられないというようなお話でありますけれども、日本の国内におけるフィッシュ・ミールの
生産
額というのは、大体あなたの方で計数的に考えても、年々の
生産
額というものはこの程度だということはおそらくわかると思う。もちろん、漁、不漁もありますけれども、昨年のようなサンマの不漁のときには、十分なあれができないと思うのですが、一応魚かすの
生産
というものに対しての見通しがつく、見通しがついておればこそ、畜産
関係
からいうと、こういうように日本の
生産
が少ないから、これだけのものを輸入しなければ飼料として足らないのだ。はなはだしいものにおいては、畜産業が盛んになるに従って三百万トンの飼料に対する輸入が必要である。とりあえず本年は三万五千トンだということを言っておる。そうなりますというと、年々、年々外国からのそうしたフィッシュ・ミールその他の輸入が増加していく、増加していくというその根底においては、日本の
生産
品よりも向こうの
生産
品はコストが安いのだ、安いから輸入するのだということになりますから、必ず輸入と同時に利益差というものが伴ってくる。この利益差をどこに持ってくるか、こういうことをきのうも質問したのであります。秋山
委員
も私も質問したところが、食糧庁長官は、それは飼料部門におけるところの
赤字
の補てんに使うのだ、こういう
説明
である。あなた方の方の
生産者
担当の、いわゆる
魚価
安定政策の方では、何らの考えを持っておらない。そういうことであっては、いわゆる零細漁民の犠牲の上に立って、一方ではそういう官僚的なやり方にしか民主化は持っていけない。これじゃ
水産庁
はまるで面目まるつぶれじゃありませんか。それで水産行政としてどういうふうに今後の
魚価
安定政策を持っていくのか。その安定政策の一環として、少なくともそういう利益差が生じた場合においては、それを
魚価
安定政策の方へ回して
施設
の
改善
であるとか、
魚価
安定の
調整
費の、飼料としての
予算
を計上すべきであるというのが私の議論なんです。それに対してどう思いますか。
西村健次郎
16
○
政府委員
(
西村健次郎
君) ただいま千田
委員
のおっしゃるように、非常に国内におけるフィッシュ・ミール、魚かすの買付需要が今後
増大
して参るであろう。非常に現在強気であるといわれております。しかし、私どもといたしましては、これに対してはよほど慎重にならざるを得ない。はっきりしたものをつかんでおらない場合に、いたずらに入れたりすることによって、何がしなり国内の魚かすの
価格
を不安定ならしめる、暴落せしめる、ひいては業者に不測の損害を生ぜしめるということがあっては困りますので、従来とも、これは同じ省内でございますので、その点は十分協議して参る。今後どうやるかという問題につきましても、先ほど申し上げましたように、農林省としまして、内部におきましてその点は十分考慮しまして今後いかにしたら最もよくその両者の調和がとれるかという点について、適切な対策を至急樹立して参りたいと、こういうように考えております。
秋山俊一郎
17
○
秋山俊一郎
君
関連
して。今の問題に
関連
して、昨日も食糧庁長官に伺ったのですが、昨年といいますか、本
年度
ですね、本
年度
においても何がしかの輸入をしているはずなんです。これは食管でやっているわけじゃなしに一般にやっているのですが、それはどのくらい入れて、どれくらい輸入して、その差益金はどうなっているかということをお聞きしたいのです。
西村健次郎
18
○
政府委員
(
西村健次郎
君) 昨年の春でございますか、ちょうど北洋の工船ミールが出る前に、非常に国内の飼料事情が逼迫しているという事情がありましたので、二万トンを輸入、二万トンそのままは入ってこなかった、今、これが必要ならあとで数字は
提出
いたします。入りました。それからこの年がかわりまして、工船ミール等も一わたり処理されましたけれども、依然として窮屈であるということで一万トンをさらに入れる。従いまして、本
年度
中は合計三万トンに足らざるところのものが輸入されるということになろうかと思うのです。この処理につきましては、その具体的な細目につきましては、私は今記憶しておりませんので、その処理の仕方はまた必要ならば御
提出
いたしますが、これらは実需者
団体
と輸入というものと
関連
いたしまして、国内の魚かすなりあるいは北洋の工船ミールの
価格
に悪影響を及ぼさないような方法でこれは処理されたというふうに承知しております。
秋山俊一郎
19
○
秋山俊一郎
君 最近はどうですか。
西村健次郎
20
○
政府委員
(
西村健次郎
君) 最近につきましては、これはその当時の、私今その詳しいこまかいデータを記憶しておりませんのでございますが、最近この
生産者
に直接還元する、こういう方向はとれなかったと思っておりますが、ただ全漁連の集荷したものにつきまして、実需者がそれを見合いとしまして、ある程度高値に買ったというふうな処置をとったふうに記憶しております。ただしこの点につきましては、私の記憶違いがあるといけませんので、具体的なことはまた後刻御
提出
いたしたいと思います。
秋山俊一郎
21
○
秋山俊一郎
君 その点が大事なんですよ。ただいま千田
委員
からも質問がありますように、その差益金というものが全部が全部
水産業
者に還元しろとは申しません。これは一部畜産業者にも還元されるべきものかとも思いますけれども、少なくとも、食管会計に入れて、食管会計で足らぬ分を補うということは少し酷じゃないか。従来、従来と申しますか、本
年度
すなわち三十五年から入れたものに対して出ておる差益金というものはどういうふうになっておるかということは、
水産庁
は
一つ
十分検討して腹へ入れておいてもらわぬと今後の対策が立たぬと思うのです。そこで、昨日も食糧庁長官に伺いましたところが、食糧庁においても、この魚かす、魚粉を食管に入れたということについては、ほとんど知らなかったといったような
説明
でした。これは
水産庁
も知らなかったのだ。そうすると、畜産局が独断的にそういうところへ押し込んでしまったというような感じがわれわれはするのでありますが、いずれにしてもそこに入っておりますが、これを必ずしも食管会計で輸入しなくても、従来のような方法で輸入すればできると思うのです。ただその差益金というものを、せっかく
漁業者
に犠牲を払わしておるとするならば、それらに対しても
生産
上の助成をするとか何とかいう方法で還元していくということを、
水産庁長官
が考えてくれなければ、どこも考えるところがないのです。この点は
一つ
本
年度
に輸入された差益金がどうなっているかということをよく調べられて、そこに不満があるならば是正するような方法をとってもらいたいし、また今後の輸入につきましてもそういうような差益金の利用できるような方法……。これは足りなければどうしても輸入しなければならぬと思いますから、その際の差益というものは、国家が取ったって大したことはないので、それよりもむしろ産業の方に回して仕事を助成してやるということの方が私は適切だと思うのです。そういう点について
水産庁
はそういう過去のことを調べ、同時にそれをもって将来の対策に資するように、
一つ
検討をしておいていただきたいということを御注意申し上げます。
井原岸高
22
○
政府委員
(井原孝高君) ただいまいろいろごもっともな御意見だと存じますので、政務次官といたしましては、大臣にこの由を報告いたしまして、所管の部長等とも打ち合わせをいたしまして、御意見に沿えるような方向へ努力いたすように努めたいと思います。
千田正
23
○千田正君 もう
一つ
は、オットセイの国際会議が先般ここで行なわれたのでありますが、その後
水産庁
から何らの報告を承わっておりませんけれども、年々オットセイの
調査
資料としまして、日本側としまして、三十六
年度
、ここにありますところの千九百万円ですか、組んでおられる。一体それによってどれだけの
調査
ができたのか。どれくらいの一体オットセイを捕獲して
調査
したのか。 それから、新鶴紙上によるというと、ソ連側が十万頭ですか、それからアメリカ側が九万幾らか取っているのですね。これは国際条約によるというと、取ったものの一五%は日本側にこれはよこすことになっておるのです、配分することになっておるのですが、一体その配分がもう来ておるのかどうか。来ておった場合に、それをうまい工合に、これはオットセイを禁猟にすることによって日本の漁民がこうむっておるところの、生活ができなかったり何かして、オットセイを取ることに従事しておった連中が、国内法の禁止によって生活が立たなくて、ほかの仕事に従事しておる。こういう人たちのあるいは何かの保護政策、または
調査
船の拡充とか、そういう方面にそういうものが計上されておるかどうか。この点は実際ほとんど不明なんですね。これは単に
水産庁
だけの問題でなくて、やはりこれは国力に
関係
する問題でありますから、この辺は明らかにしていただきたい。一体、この国際条約ができてから、ソ連が幾ら取り、アメリカが幾ら取り、カナダや日本がどれだけの配分を受けておるのか。その配分によって、日本のいわゆるそうした問題に対する
調査
の行動が順調に進んでおるかどうか、そういう点について御
説明
いただきたいと思います。
西村健次郎
24
○
政府委員
(
西村健次郎
君) オットセイの現在の暫定条約によりまして、今、猟獲を行なっておりますアメリカ及びソ連からその商業的
漁獲
の一五%ずつの配分を受けるということは条約できめられております。ただしそれには条件がございまして、ソ連側の
漁獲
頭数について、今ここに条約を持ってきておりませんので忘れましたが、いろいろな条件がございまして、ソ連側は一五%配分の条件には現在はまだ達しておりません。たしか昨年の暮れに、コマンドルスキー島、ロッベン島の
漁獲
は二千頭に足らなかったと思います。従って条約の規定によりまして、その配分はアメリカから一五%にプラスして三百七十五頭分くれる、こういうことになっております。これはごく最近のことでございますが、条約
実施
以来、年々アメリカから、その一五%に相当するものは日本側に配分を受けております。ただしこれにつきまして、当初
予定
されておりましたより、アメリカの、ことにプリビロフ島における陸上の猟獲が雌が多かったために、雌の
価格
というものはほとんどただにひとしい、商業的価値がないということで、配分が、当初こちらで見込んでいたよりも減っていたように承知いたしております。その
総額
等につきましては、今手元に持っておりませんので、必要ならばまた後ほど
提出
いたしますが、しかしいずれにしましても、条約に基づく配分金は受け取るべきものはきちんと受け取っておるわけでございます。これが一体
調査
なりあるいはオットセイを取っていたものに対する補償というものとのつながりははっきりしないじゃないかということでございますが、これらの配分を受ける金というものは、論理的にそういうものに目的税のごとく出されるような仕組みにはなっておりません。必ずしもそこには両方の
関連
は明白ではありません。本来、明白であるものではないと思います。ただし御承知と思いますが、これは
国会
で議決をいただきまして、三十三
年度
におきまして第二次補正
予算
としまして五億円弱の
予算
をいただきまして、イルカを取っておった業者に対する転換の
補助金
にあてたということがございます。 なお、オットセイの
調査
につきまして、これは年々わが方としましては条約の規定に基づいて
調査
をしております。このオットセイ条約が一九六三年には失効になります。その場合において今後の条約をどうするかということにつきましての準備段階としての
調査
を、現在進行さしておるわけでございます。その場合におきまして日本側の主張すべき論拠は、現在やっております
調査
において十分これはできる、こういうふうな確信を持っております。
千田正
25
○千田正君 もう
一つ
私は聞きたいのですが、この
沿岸
の魚類は、このオットセイの回遊によって相当やられておる、こういうことは漁師の諸君はよく承知しておる、
水産庁
の方はどうかわからぬけれども。そうして今度は
サケ
、
マス
の
資源
の方については、ソ連側から日本の
漁業
が取り過ぎるから、これを全部日本の
漁業
の、いわゆる取り過ぎとか乱獲であるというふうに、日本だけが罪をきなければならないような方向に国際間の議論が持っていかれる。ところが現実において、今日において百万頭、おそらく最近は百万頭をこえておるだろう、百万頭になんなんとするこの魚を食う日本にすんでおらないところの動物が、日本の
沿岸
を荒し回っておる。それによって受けるところの被害の資料も十分ではない。こういう資料こそとって、
資源
が減退するというのは、必ずしも人的な問題ばかりでなく、こういう害獣を保護するような国際条約があるから、日本の
漁業
が年々衰微してゆくんだということの結論さえも出せないようじゃだめじゃないかと私は思う。オットセイやラッコは日本の動物じゃありませんよ、ソ連やアメリカの島に棲息するものをなぜ日本が保護をしなければならないか。私はそういう意味において零細漁民のために日本の
水産庁
は戦うべきであると思う。国辱
法律
ですよ、こんなものを国際法として禁止しているのは。でありますから毎年々々千九百万、千五百万という多額の金を投じて
沿岸
の業者のために
調査
をしている資料の結果はどうなんですか。どれだけ一体オットセイによって日本の
沿岸
を回遊するところの魚族がやられているか、そういうデータも出ておるはずです。どうなんです、どれくらいやられておるのですか。
西村健次郎
26
○
政府委員
(
西村健次郎
君) 先ほど申し上げましたように、現在オットセイの暫定条約によりまして、日本及びカナダは海上猟獲をやめる。そのかわりにアメリカ、ソ連の陸上で商業的に猟獲したものについて日本へ一五%をもらう。ただしこの条約は暫定条約である。従って一九六三年に失効します場合に、今後はどういう条約、海上猟獲を認めるべきかどうかというような条約の立て方をきめなくちゃいけない。そのための
調査
を現在しておるわけでございます。そこにおきまして、その中の
一つ
としまして、今のオットセイの
食害
という問題も
一つ
の
項目
としてあがっております。日本といたしましてはこれについては最も多くの力を注いでいるわけでございます。ただ現在の
調査
の段階におきまして、これがすぐどれくらいの魚族をどれくらい年々取っているかというところまでは、なかなかこれは究明ができておりません。ある程度の事情はわかっております。昨年から特に北洋の
サケ
、
マス
につきましての
食害
というものもここであわせて
調査
をするべく船をそちらの方に出してやったわけでございます。この方は率直に申し上げまして、
地域
が、
海域
が非常に広いということと、大きな船を使ったためオットセイがなかなかとりにくかったというようなために、データも数として非常に少なかったということで、ただそのうちにたまたまとれたものは相当多くの
サケ
、
マス
を持っていた。しかし何と申しましても、先ほど申し上げましたようにこの条約はけしからぬとかいう御批判は別としまして、現在はこの条約を結んでおるわけでございます。海上猟獲は日本はできないわけであります。ただ一両年あとに控えております条約の失効、その後の事態に対処するために、日本側の主張を裏づけるために現在その方向に沿って
調査
を進めておるわけでございます。
千田正
27
○千田正君 現在の
法律
ができているからやむを得ない、その
法律
に従って日本としては国際法ですからやむを得ない、日本の動物じゃないもののために日本が保護をしなければならないというのは、敗戦国のまことにこれは情けない結果になっておりますが、そのために零細漁民がその
法律
のために仕事ができないのだ、生活が困窮しておるのだ、それを救うというわけで、先ほどあなたがおっしゃったように零細漁民の転換という
一つ
の
法律
を作って、そうして一応作ったようなものの現実はどうもうまくない。これは私はここで言うまでもなくあなたは御存じだと思う。火薬を使用している者というようなことを
一つ
の限定にした。ところが全然オットセイを取っていなかった者まで転換する中へ入ってきておる、いろいろな問題が起きておる。私はこういう国際法というようなものであるけれども、実際は国内の産業に大きな影響を及ぼし、実際また零細漁民がそのために苦しむというような
法律
であれば、これはもう改正しなければならないんじゃないか、国際法との
関連
上、国内法は改正を今のところはできないんだとするならば、それによって被害をこうむっておる人たちに対しては、少なくともやはり
政府
としてはあたたかい手を伸ばしてやるのが当然じゃないか、そのために
予算
がないというのは別としまして、これは外国から一五%のあれが来るんだから、この補償が金に換算しても相当のものじゃありませんか、それを禁止されることによって
漁業
ができなかった人たちに転換する方策をなぜとらないか、もう一ぺん
水産庁
は考え直して、
予算
編成期にあたっては、これによって転落した零細漁民に対して一応ある程度あと二ヵ年の間、国内の
法律
を守るために、国際法を守るためにも、無理をしないような方策を新しく打ち出して、
予算
計上のうちに出すべきじゃないかと私は思うんでありますが、長官はどう思いますか。
西村健次郎
28
○
政府委員
(
西村健次郎
君) 今のお話は、イルカの転換に
関連
してのお話かと思いますが、オットセイは一九一一年にやはり四カ国国条約によって海上猟獲は禁止されておる。その後断層はございましたけれども、一般の猟獲というのはいまだかつて認められたことはないというふうに承知しております。ただイルカを取るという
漁業者
が東北におりまして、このイルカを取ることと
関連
しまして、これを転換しないと、まああやまってオットセイを取る、これが先ほど申し上げました
予算
をもちまして、五億円の
予算
をもちましてこの転換をいたしたわけであります。その際におきましてとにかくある時点、過去二ヵ年において正当なルートから火薬を一グラムでも買っておる者はこの実績者として転換の
補助
の
対象
にしたわけです。ところが、たまたまその後自分は正当なるルートで火薬は買っていなかったけれども、イルカは取っていたという人がこれは困るというようなことで、それに
関連
しまして国内法、ことに岩手県の規則におきましてイルカの猟獲を全面的に終年禁止したということにこの問題があったというふうに考えております。従いましてこれに対応する処置としましては、私どもとしまして現在国の規則としましては二月のたしか十五日から五月の終わりでございますが、その間だけ、オットセイの回遊時期だけをイルカの猟獲も禁止しております。これと平仄が合うように岩手県の規則も変えるということを、今県当局といろいろ相談しておりますので、そういう方向でこの問題を処置して参るべきじゃないか、こういうように思います。
千田正
29
○千田正君 今オットセイの問題、いずれ時間をかけてこういうことは論争したいと思いますが、次にもう
一つ
サケ
、
マス
の問題について、実際の
漁業
する人たちは、
水産庁
の許可を持っておる人からいわゆる看板借りをしなければ
漁業
ができない、いいですか、そうして実際許可を持っておる人からこの漁期の間何十万、場合によっては何百万という金を出して借りて、
漁業
をやっておる、こういう実情を
水産庁
は御存じでしょうか、御存じだろうと思う。実際
漁業
をやる者にほんとうの許可権がいっていないで、羽織漁師の方に許可権がいっているというような、そんな不合理なやり方は是正すべきじゃないか、これじゃ何年たったって
漁業
をやる者は決して収入はよくなりませんよ。池田内閣は所得倍増
計画
をやっていても、現実においては
漁業
権を借りて何百万、何十万というものを、わずかな漁期の間にそれだけの金を出さなければ実際に
漁業
ができないというような、そんな不合理な
漁業
制度
はどこにありますか。今度の
漁業
制度
の基本問題を改革するにあたって、こういう問題を検討するというような考えを持っておられるかどうか。その点を一言承わりたいと思います。ですからふところ手をして全然額に汗することなくして、金で船の許可権を貸してゆうゆうと遊んでおる漁民がいる。そんな
漁業
なんてどこにあるか、世界中探してごらんなさいよ。その間にブローカーは暗躍する、これじゃでたらめですよ、これに対して長官はどういうふうに考えるか。
西村健次郎
30
○
政府委員
(
西村健次郎
君) 今御指摘の点は
サケ
、
マス
のはえなわ
漁業
につきましてと承知しております。
サケ
、
マス
のはえなわ
漁業
につきましては、これは
日ソ漁業
交渉との
関連
もありますので、毎年許可を切りかえております。しかも、これは実際の
経営
者に限り、いわゆる移転は認めないという建前をとっております。そこで今千田
委員
のおっしゃったように、実際の名義人と
経営
者と違うという事態があるやに聞いております。その場合におきまして、私は今千田
委員
の御指摘のように、許可権者が必ず羽織りであって実際の
経営
者、私は羽織りという定義はよくわかりませんけれども、実際の
経営
者は実際のほんとうの
漁業者
と言えるのかどうか。これはその許可を与えるに際しまして、県を通じまして、そのときにほんとうに
漁業
をやっておったのか、これを選択して私は許可をやったというふうに聞いております。従いましてその後の経済的な事情、はえなわには零細の
漁業者
も多いのでありまして、むろん相当な資力のある者がそれを取ってしまう、実質的に取っている。そこで名義が書きかえられないもので、現在はそのそもそもの零細の
漁業者
にかわって大きな
漁業者
はその
経営
をしておるという場合も私は相当あるやに聞いております。従ってこの問題につきまして、すぐそれじゃ名義書換を自由にするということにいたしました場合に、これは一体どういうことが起こるかというと、それは経済的に力のある者にとかくこういうものが集中するということも考えられますので、私どもとしましてはその問題をこのごろ聞いておりますので、これにつきましてはむしろ逆にそういったものにつきまして、はたしてわれわれの許可の条件に反するような事態がある場合においては、それを許可すべきじゃないのじゃないかと、こういうふうな考え方すら持っておるわけであります。いずれにしましても来たるべき漁期に備えまして、私の方としましてはえなわ
漁業
あるいは流し網
漁業
につきまして、今後どうやって対処していくか、どういう規制をやっていくかということについては、至急にしかも十分慎重に考慮して参る、こう思っております。
千田正
31
○千田正君 一方では非常に長官は要領のいいことを言っておるんだが、資金を持たない人たちは、やむを得ないから金を持っている人に頼んで、そうしてやっておるような状況だ。だからそれを厳密に
調査
するというと、金のない、資金繰りのないところの零細漁民は商売がやれそうもないじゃないか、こういうふうに受け取れるんですね。だからそうなるというと、水産行政というものは資本家にだけやらせるということなのかということになる。金を持っておる者だけが
漁業
をやれるということだけじゃないでしょう。金がないところの零細漁民が困っておるというならば、それに対してあらゆる措置を講ずるのが、いわゆる水産行政じゃないか。たとえば金がなければ、それを金融面において考えるとか、あるいはそうした
団体
の協同組合の力をもってそれをやらせるとか、いわゆる手を引いてやって、金がなくても
漁業
ができるんだ、父祖伝来の
漁業
をやっていけるんだという方向に考えてやるのが当然の
施策
じゃないかと私は思う。現在の
漁業者
は金のある者がうんといばっているんですよ。何人もの分の金を出してやっておるんですよ。今ここで問題は、さっき櫻井
委員
から質問のあった
日本海
の北の方の
漁業
だってそうですよ。捕鯨の問題だってそうだ。
中小企業
じゃやれないじゃないですか。全部あなた方と密接な
関係
のあるのは大資本の
漁業
です。そうじゃない、
漁業
の本体というものを突いていったならば、零細漁民というものをどうして救うかという根本的な
施策
というものは何かということを考えて下さい。今の問題だって、よく
調査
してやれば、ほんとうの
漁業
をやる人に対して
水産庁
は許可を与えるべきだ。私は曲がりかどにきていると思うんだから、この辺で考えなくちゃならないんじゃないですか。もう一回
一つ
考え直してお答え願いたい。
西村健次郎
32
○
政府委員
(
西村健次郎
君) 私の申し上げた
趣旨
を、ちょっと私の御
説明
が悪かったかもしれません。私の言っているのは、全部が全部とは申しませんけれども、零細の
漁業者
が初め許可を持っているけれども、資力のある者が現実に
経営
している、それを取って。どういう理由か、いろいろの経済的な原因によって。そういった許可の条件に違反している場合において、そのままそれを放っておいていいのか。むしろその場合にはそういう条件、制限に違反した者については許可をやめて、新たにほんとうの
経営
者に新たな許可を与えるべきじゃないか、こういうことが申し上げている
趣旨
でありまして、千田さんの今の御指摘の点と全く別の、反対のことを考えているわけです。
千田正
33
○千田正君 今のお話しの
通り
だったら非常によろしいんです。ですからもう
一つ
よく
調査
していただきたい。これは全然——かつてあなた方が許可を与えた県の
漁業者
は、現実において
サケ
・
マス
をやっておるかというと、やってないものがたくさんあるじゃありませんか、その数が。漁期になるというと金を吸い上げて、現実において苦しい人たちは借金してその人たちに借り料、賃貸料を払って
漁業
をやっている。この
漁業
の実態をよく調べて下さい。そうしなければ、ほんとうのこの
漁業
の基本方策というものはできませんよ。ですからこれはきょうじゃなく、あらためてまた論じますが、その前に十分御
調査
願いたいと思います。
河野謙三
34
○河野謙三君 一点だけ伺いたいのですが、
公庫融資
のところで、
漁船
に対する融資四十二億八千万円というのがありますが、これは非常にしろうとで、笑われるかもしれませんけれど、船の種類は大中小いろいろあると思いますが、これは船の大きさに何か制限があるのですか。それで私はこの
項目
については、昨
年度
の三十四億六千二百万円という融資は、一体船種別に、大中小、企業形態別、どういうふうに公庫はこの金を貸したか、今度の四十二億八千万円についても融資についての何かの基準の
ワク
か何かあるのですか。
西村健次郎
35
○
政府委員
(
西村健次郎
君) これは融資の基準と申しますか、
ワク
としまして、大資本
漁業
を除いてやっております。ただ、船の船型はいろいろ
漁業
種類によってございます。たとえば今度の
サケ
、
マス
とか、以西の底びき、カツオ、マグロ中型底びき、まき網、その他、あるいは
沿岸
の小型
漁船
というような、非常ないろいろの階層がございます。ただ本
年度
増額
しておりますのは、先ほど御
説明
しましたように、
北海道
を
主体
とします底びき
漁船
の北洋底びきの転換の融資、これを大体十二隻分
予定
いたしております。それとカツオ、マグロの
建造
、これが主としてこの
増額
、こういうふうになっております。
河野謙三
36
○河野謙三君 融資の基準は、大企業は
対象
になっていないということですね。これはむしろ中小の
漁業
家に対しての融資の
ワク
だと、こういうことですか、それだけわかればけっこうです。 それと同時に、別の機会でいいですから、昨
年度
の融資は実際どういうものを
対象
にしているか、この実績を
一つ
伺いたい。 それからもう
一つ
この機会に伺いたいのですが、
予算
と直接
関係
ありませんが、最近僕らがラジオや新聞を通じて見ていますと、
漁船
、漁民の海難というのが非常に多いように思いますが、これは一体この海難がふえているのか、減っているのか。ふえているとするならば、それに対しての対策というものは、むしろこれは気象庁なり海上保安庁なり、その方の
予算
になるかもしれませんが、
水産庁
として、その海難の救助、防除に対してどういう対策を立てておられるか。
西村健次郎
37
○
政府委員
(
西村健次郎
君) 船の海難につきまして、
漁船
は割に件数が多いのです。ただしこの海難をただ隻数で比較して見ることは正確じゃないので、航海のマイル数で比較しますと
漁船
は必ずしも多くない。ところが、最近
漁船
が多い
一つ
の特異な現象が生じております。それは四十トン未満の三十九トン九というぎりぎりの船が非常に遭難が多い。これは率直に申し上げて、こういう事態があるのじゃないかと私どもは考えております。現在カツオ、マグロ
漁業
は、四十トン未満は自由
漁業
であるわけです。そうしますと、三十九トン九の船を作りまして、それで作った際には、たとえば、船室を下に置いているものを、四十トン未満の小さい船で船室もデッキの上にやるというようなことで、魚倉を極端に大きく取るというようなことで、非常にトップ・ヘビーの船ができておると、こういうことでございます。ところが、そんなことは検査すればわかるじゃないかということで、われわれの方では設計等で押えております。あるいは、船舶の
建造
の際も、これは倉庫でございますとか、これは船員のクオーターでございますとか言っておりながら、現実に操業をする場合には、そこを魚倉にするというような事態がございます。これは一方では、従来と違いまして、
漁船
の装備というものが非常に進みまして、同じ四十トン未満でも、従来の四十トン未満とは比較にならないほど機動力を増した。こういうことで、今のような安定力の喪失ということと、それから航海が非常に長期にわたり、相当遠くまで出るというようなことで、この海難がふえているのじゃないかと思います。この問題につきましては、単に船舶安全法なり、あるいはそれらの励行のみで私はなかなか防げない問題ではないかと思いますので、率直に申し上げて、これは許可制なり現在の運用と
関連
しまして、もう少しこの問題は掘り下げて考えていかなければならぬと、こういうふうに思っております。
河野謙三
38
○河野謙三君 そうすると、海難は、数字はいただきませんけれども、必ずしも減っていない、むしろふえている場合があると、そういう場合に、今御指摘のようないろいろな原因もあるようですが、これに対して、たとえば今の四十トン未満というこの線が妥当であるかないかという
研究
もされなければいかぬでしょうし、また一面気象庁なり、海上保安庁等の
関係
のこれに対する対策もあると思いますが、こういうものが実はちっとも
予算
にも出て参りませんし、また他の省の
予算
については、何か特別に、あなたの方の所管ではないけれども、海上保安庁なり気象庁の方で、本
年度
においてどういう対策をとるかというようなことがあれば、お聞かせ願いたいのですが、いずれにしてもこれは放置しておくべき問題じゃないと思いますがね。
西村健次郎
39
○
政府委員
(
西村健次郎
君)
一つ
は実は、航路標識、灯台その他、これは海上保安庁の所管でございます。本
年度
はたしか海上保安庁の所管で今額は承知しておりませんが、
予算
は充実したはずでございます。なお
一つ
は、これは郵政省の方に計上されたと思いますが、
漁船
に対する無電の通信
施設
の拡充、今聞きましたら、郵政省で要求しておりましたが、これは今度は
予算
では成立しなかったそうであります。これは私の方でもそういう
予算
を要求してしかるべきはずでございまして、そういうことを所管にかかわらず、すべて
漁船
の安全に貢献するものについては、私どもとしても所管官庁にできるだけお願いしてやって参っておりますし、今後もやって参りたいと思っております。
藤野繁雄
40
○
委員長
(
藤野繁雄
君) 他に御発言もなければ、
水産庁関係
についてはこの程度にいたします。 以上をもちまして、
昭和
三十六
年度
農林
関係
予算
の各局、各庁等よりの
説明
聴取を終わります。なお、河野
委員
要求の資料はなるべく早く御
提出
願います。
—————————————
藤野繁雄
41
○
委員長
(
藤野繁雄
君) 次に、
今期国会農林省関係提出予定法律
案に関する件を議題といたします。 本件について
説明
を求めます。なお、時間が
予定
をだいぶ過ぎておりますから、
説明
は重点的に簡単にお願いいたします。
昌谷孝
42
○
政府委員
(
昌谷
孝君) お手元にお届けいたしました資料がございますが、これに基づいて簡単に御
説明
いたしたいと思います。 まず、表紙のところで念のために備考として書いておきましたが、このリストに集録いたしましたものは、現在農林省で
提出
を
予定
して検討中のものでございます。
提出
を
予定
しているものと、それからなお
提出
するかどうかはまだ最終的にきまらないが検討中のもの、そういったものを含んでおります。相当部分はまだ省内でも文書課審議その他を終えておりませんので、そういった検討の結果では、
法律
の件名、
内容
等にもある程度変更があることが予想されるわけでございます。その辺お含みの上でお聞き取りを願いたいと思います。件数にいたしますと、
予算
に
関係
いたすと思われますものが約二十件、それから
予算
に直接
関係
のございませんものが十六件というふうなことになっております。 以下
内容
についてと申しますか、資料の順序に従って御
説明
申し上げますが、農業基本法案でございます。これは、御承知のように、本
国会
に、今後の農政の指針、農業の進むべき道を明らかにするという
趣旨
で、一番重要な法案として
提出
を
予定
いたしております。それから
設置
法の改正でございますが、これは、御承知のように、内閣
委員
会の御審議の問題だろうと存じますが、そういった新しい農政を展開いたしますについての最小限度必要とする機構を
整備
いたしたい。ことに
試験場
の
関係
につきましては、今後の新しい農業の必要に備えまして、部門別の試験
研究
機関の
整備
等を重点に置いて参りたいと思っております。 それから
中央
卸売
市場
法の一部を改正する
法律案
は、御承知の
通り
、
調査
会が中間の答申をいたしておりまするので、その線に沿いまして、
中央
卸売
市場
の
施設
の
整備
、あるいは卸売人の監督の強化等を中心とし、なお今後の抜本的運営の検討につきましては、審議会を設けて検討を行なうというような
趣旨
の
法律
を出したらどうかというふうに考えております。 それから次の公庫法の改正でございますが、これは例年の
政府
出資
の
増額
に伴います
法律
改正が主でございますが、なおこの機会に、貸付業務の拡大に伴います役員の増員等が
予算
にも計上されておりますので、その辺の
法律
改正等を中心に考えております。それから農林
中央
金庫法の一部を改正する
法律案
でございますが、これも前々から懸案でございまして、この
国会
に成案を得れば
提出
をいたしたいと考えております。 次の二件は、農業
経営
近代化資金融通法という実体法と、それからその融通法の近代化資金の運用をやって参ります際に必要となります信用保証の
関係
でございます。信用保証につきましては、在来の有畜農家創設特別措置法、あるいは改良資金助成法等にありました信用保証、あるいは債務保証の機能をあわせ、なおかつ府県等で自主的に行なっておられます信用保証の機能も吸収をはかりまして、府県別にこういった特殊の債務保証協会を作ることが系統資金の積極的な活用のために必要であろうという
趣旨
であります。 それから次の
ページ
に参りまして、肥料取締法の一部を改正する
法律案
は、葉面散布の新しい肥料が相当出回っておるわけであります。それらに関しまして、所要の規制措置を行なってはどうか、なお、規制と同時に品質の
改善
をはかってはどうかというような
趣旨
の
法律
であります。 それから災害補償法の一部を改正する
法律案
以下四つあります。これは、今回
予算
でも御
説明
いたしました農業災害補償法の改正に伴います一連の
法律
でございます。その災害補償法の改正で、通常災害の補償責任の末端集中でございますとかいったような任意加入
制度
的な要素の取り入れとか、農家単位
共済
方式の採用とか、そういったものを
内容
といたす、かなり技術的にむずかしい
法律
でございます。 それから次の保険
事業
団法は、明
年度
に備えまして、明年の二月から発足いたす
予定
の
特別会計
にかわるべき新しい
中央
の組織を規定する
法律
でございます。 それから
共済
基金法の一部改正、これは現在ございます
共済
基金をさらに強化いたしまして、
中央
におきます農業
共済
の基金その他
共済
事業
の円滑を期するための法人を
整備
したらどうかという
法律
でございます。それから
共済掛金
標準率の改訂の特例に関する
法律案
は、これは御承知のように、三十六
年度
が現行法では料率の改訂期に当たっております。しかし、明
年度
からかなり抜本的な
制度
の改正を行ない、
実施
して参りますので、本
年度
一年のために料率改訂というのもいかがであろうかという意味で、三十六
年度
は、従来の料率をそのまま延長して使うという意味の特例法でございます。 次の協同組合の合併助成法、これは農協の
整備強化
、特に新しい農業のための基盤の
整備
という意味で、末端におきます農業協同組合の強化をはかりますために、小さな、経済単位としていかがかと思われますような農協の合併を助成して参る、そのための合併奨励措置、特に税法上の優遇措置を
内容
といたした
法律
であります。 次の協同組合法の一部を改正する
法律
は、基本法でうたっております新しい方向に即しまして、たとえば協業の
促進
でありますとか、あるいは農協におきます農地の信託
制度
の問題でありますとか、そういった一連の問題を処理するための改正であります。 愛知用水公団法の一部を改正する
法律
は、
予算
で
説明
いたしましたように、今回新たに、従来
特別会計
でやっておりました豊川用水の
事業
を公団
事業
として効率的にやって参ろうということになりましたので、それに伴いまして、従前の愛知用水公団の業務範囲、目的の拡大を
内容
といたしたものであります。 それから農地法の一部改正は、やはり基本法と
関係
をいたしまして、
生産
法人、農協あるいは有限会社等によります農業
経営
の場を、農地法上の取り扱い上の処置、あるいは農地の流動性を増すための信託
制度
の処置等を
内容
といたすものであります。 開拓融資保証法の一部改正は、例年ございます
政府
出資
が本
年度
も五千万円ふえましたのに見合ったものであります。 次に、災害
関係
の暫定措置に関する
法律
は、連年災害を受けました場合の
補助
率などにつきまして、特例を設けるという
趣旨
のことを
制度
化してはいかがかというものであります。 果樹農業
振興
法は、前
国会
にも出ておりましたが、廃案となりましたので、この際多少在来の
法律案
に検討を加えまして、さらによいものにして
提出
したいと考えております。 それから次の家畜導入に関する
法律案
は、先ほどの家畜導入
関係
は、今後、従来の条件で近代化資金の貸付
対象
に統合いたしましたわけですが、その結果、有畜農家創設特別措置法で書いております府県別の家畜頭数の処理の問題とか、あるいは
経営
の指導の問題とか、そういった実態的な
内容
の問題が多少手薄になるのではなかろうか、近代化資金法だけで、あとは指導でよろしいのか、あるいは若干の
法律
措置を必要とするのか、その辺の検討の結果によってお願いいたすこととなると思っております。 次の畜産物の
価格
安定等に関する
法律案
、これは、畜産物
事業
団の
設置
に伴う
関係
の
法律
でございます。 家畜商法の一部を改正する
法律案
と申しますのは、現在の家畜商法の登録
制度
につきまして、多少資質の向上等を
内容
とした積極味のある
法律
に変えてはどうかという
趣旨
での検討の結果、お願いすることになるかもしれないと思っております。 それから家畜取引法の一部を改正する
法律案
は、現在あります家畜取引法の
市場
整備
計画
を、下からの自主的なものばかりでなく、もう少し積極的にやる場合に、場外取引の問題、あるいは取引方法についての弾力化の問題についての改正点を問題とするわけであります。 次の麦対策に関する特別措置法は、例の大、裸麦の作付転換に伴います今後の麦類の
生産
並びに管理を、合理化の方向に沿って一連の対策を講ずるわけでございますが、この場合、食糧管理法の麦に関する規定の特例を含めまして、大、裸麦の転換合理化といったような点を切り離して
法律
として規定したいという
趣旨
のものであります。 大豆の輸入自由化は、やはり例の三十億の交付金を交付して、自由化に伴う国内大豆及び菜種の保護をはかる、その
関係
を規制する
法律
であります。 国有林野
特別会計
法の一部を改正する
法律案
、これは、大蔵省の所管でございますが、在来
制度
的にはっきりいたしておりませんでしたこの
特別会計
に属します積立金の処理といたしまして、損失補償とそれからそれ以外の積極的な積立金と二本に分けまして、積極的にこの会計を一般の林業
振興
に寄与せしめる、それを
制度
的に確立いたしたいという
趣旨
の
法律
であります。 次の森林火災保険法の一部改正は、従来の火災保険に加えて、気象災害を加えるという
趣旨
です。
特別会計
法はそれに見合っての改正であります。 次の森林開発公団法の一部改正は、従来の官行造林、次の公有林野等官行造林法を廃止する
法律案
というのがございますが、従来
特別会計
が直接やっておりました官行造林をこの際打ち切りまして、今後は森林公団にもっと地元との連絡を密にして、地元の発意も取り入れて分収造林を強化していったらどうであろうかという
趣旨
の改正でございます。
沿岸漁業
等
振興
法案は、先ほど
予算
でも
説明
のありました新しい
生産調整
と
魚価
安定というようなことを主たる
内容
とし、なお、
沿岸漁業
及び中小
漁業
の健全な発展をはかるための所要
法律
措置をまとめて考えたのがこの
法律案
であります。 それから
漁業
権の存続期間の特例法案、御承知のように、
漁業
制度
調査
会が
漁業
法について、あるいは協同組合法について抜本的な検討をしておられますが、その検討の結果が、まだ直ちに
制度
改正というところに間に合いませんので、準備期間を必要とするわけであります。その準備期間中に期限の来ます
漁業
権につきまして、当面必要な期間延長をはかるという
趣旨
のものであります。 それから
漁業協同組合
整備促進
法の一部改正、これは、やはり農業協同組合でありましたのと同じ
趣旨
で、合併に伴う税法上の特例を中心としたものであります。 以上申し述べましたもののほか、なおこちらで検討いたしておりますものとして、次にありますように、天災融資法の貸付条件、被害
対象
農家の拡大等を
内容
としたものは、目下検討いたしております。 それから食肉取引特別措置法案と申しますのは、さきにも御
説明
申しました
中央
卸売
市場
法の一部改正の中で大体目的を達するのではないかと思っておりますが、食肉の取引に関して、
中央
卸売
市場
の規制によらない取引が現にございますので、そういったものをどうするかというようなことと
関連
をして、要否が決定される
趣旨
の
法律案
であります。 それから
最後
のてん菜
生産
振興
臨時措置法の一部改正は、御承知のように三十七年三月末でこの
法律
の期限が来るわけで、期限延長の問題が
一つ
ございますほか、御承知のこの
法律
による保護助長の
対象
を
北海道
に限らず内地府県にも及ぼすべしという点についての検討でございます。その辺につきましては将来の企業化の可能性あるいは現段階の検討等とからみまして、今が時期であるかどうか、なお検討を必要とすると存じております。 それから
最後
に注として述べましたのは、麦対策なり大豆対策の
法律
が出まするが、当然と申しますか、それに
関連
をいたしまして大蔵
委員
会の方にかかります食管
特別会計
法の一部改正というものが必要になってくると考えております。それからやはりテンサイと同じような意味で三十七年三月三十一日に期限の参ります立法が、ここに書きましたように急傾斜地帯、湿田単作
地域
、海岸砂地、それから畑地農業改良等ございます。これらにつきましては、前例によりますれば、本
国会
で期限の問題を処理するのが通例でございます。これの取り扱いにつきまして、なお検討の結果、要すれば、
法律
措置を必要とするわけであります。 以上、簡単でございますが……。
藤野繁雄
43
○
委員長
(
藤野繁雄
君) ただいまの
説明
に対し、御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いします。 御発言もなければ、本件については、この程度にいたします。 本日は、これをもって散会いたします。 午後零時十二分散会