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1961-05-23 第38回国会 参議院 内閣委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月二十三日(火曜日)    午前十一時二十一分開会    ——————————   委員異動 本日委員吉田法晴君辞任につき、その 補欠として永岡光治君を議長において 指名した。    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     吉江 勝保君    理 事            小幡 治和君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            山本伊三郎君    委 員            石原幹市郎君            上原 正吉君            大谷藤之助君            木村篤太郎君            塩見 俊二君            下村  定君            中野 文門君            一松 定吉君            鶴園 哲夫君            永岡 光治君            大和 与一君            横川 正市君            田畑 金光君   国務大臣    国 務 大 臣 小澤佐重喜君    国 務 大 臣 西村 直己君   政府委員    法制局第一部長 山内 一夫君    行政管理政務次    官       西田 信一君    行政管理庁行政    管理局長    山口  酉君    防衛政務次官  白濱 仁吉君    防衛庁長官官房    長       加藤 陽三君    防衛庁防衛局長 海原  治君    防衛庁教育局長 小幡 久男君    防衛庁人事局長 小野  裕君    防衛庁経理局長 木村 秀弘君    防衛庁装備局長 塚本 敏夫君    大蔵省主計局司    計課長     大村 筆雄君    文部大臣官房長 天城  勲君    郵政大臣官房長 荒巻伊勢雄君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    農林大臣官房秘    書課長     和田 正明君    林野庁林政部長 高尾 文知君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織法等の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○防衛庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○自衛隊法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)    ——————————
  2. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。本日、吉田法晴君が辞任され、永岡光治君が選任されました。    ——————————
  3. 吉江勝保

  4. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 前回行政管理庁に対しまして、根本的な問題については伺ったのでありますが、少しばかり残しましたので、それらの問題について伺いたいと思います。具体的な問題でございますので行管局長一つお願いしたいと思います。  今度定員に入ります人たち処遇、要するに、給与等定員内と同じだということは当然そうでありますが、若干懸念いたしますのは、旅費とか超過勤務手当とか、あるいは人頭割り庁舎備品、こういうものはいかようになっているのか、伺いたいと思います。
  5. 山口酉

    政府委員山口酉君) 定員になる関係上、定員内職員全体を通じて、同じ基礎の予算、同じ組み方の予算となっておりますので、この間になら差別はございません。
  6. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 十九条の二項にあります、政令で特別やむを得ないということできまる、俗称政令定員と申しておりますが、この政令定員も当然定員に入る、定員に該当する人たち、従って、一年以上に及びますときには、すみやかに定員にする措置をとらなければならぬということになっておりますが、従いまして、処遇につきましては、定員内の職員と同じだというお話でございました。若干その場合に聞き漏らしたのでございますけれども、旅費あるいは超過勤務手当人頭割り庁舎備品費、このようなものはどうなるのか、その点を伺っておきたい。
  7. 山口酉

    政府委員山口酉君) これは政令定員と申しましても、実質は法律定員と何ら変わりがございませんので、政令できめてあるからという理由によってそのような経費を差別するということはございません。
  8. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次にお伺いいたしますのは、今度の定員規制によりまして、国家公務員が、形としては四つに分類される。定員と、先ほど私申し上げました、暫定的といいますか、政令定員、さらに常勤、これは法律建前はなくしていくのだという常勤と、それから非常勤、こういうふうに分かれるわけでありますが、前回におきましてもお伺いをいたし、また、御質問をいたしましたように、これは定員増加事業量業務量に見合ってふえていくという、円滑にふえていくという大前提がなければ、なかなか運営上問題が出てくる定員規制だと思っております。で、一番やはり問題は、この政令定員というのが悪用されるという点が一つだと思います。一年未満ということで、次から次に政令定員というものが出てくる。しかし、これは行政管理庁との協議によって設けられるものですから、その意味では、統制がきくのじゃなかろうかと思います。しかし、各省雇用することができるようになっております常勤的非常勤、これはどうも行政管理庁のやはり協議によってできるわけじゃなくて、各省でできますので、そういたしますと、どうしてもここのところがたまってくるのじゃないかという懸念を持つわけであります。新しい定員増加事業量に見合って、適宜あるいは円滑にふえていかないということになりますと、また、今日までそういう経過をたどったわけでありますが、どうしてもこの常勤的非常勤というものがたまるというふうに懸念をいたすわけであります。かりにそういうようなことになりますと、これは中央の行政機関ではなくて、やはり先端にあります行政機関等にたまってくるのじゃないだろうか。しかも、これらの人たちは短い期間で更新しないのでありますから、熟練はしない、経験はないというのを相当たくさん雇っていかなければならぬということにかりになりますと、これはどうも末端機関ほど労働強化をしいられてくるのじゃないかという懸念を持つわけであります。で、局長はこれについては運営の問題だ、各省協議会も作って今日まで努力してきたのだからして、その経験実績の上に、運営としてはうまくいくのだというお話でありますけれども、その懸念は、過去の定員規制等経過から見まして、これは否定できないのじゃないだろうか。その意味で、私は、依然として定員規制については問題が残るという気がするわけでありますし、それが先ほど申し上げました政令定員常勤職員も、処遇事項でがっちり縛るということになりますと、どうしてもここの常勤的非常勤がふくれ上がってきて、末端ほど労働強化に追い込まれるという懸念をするわけでありますが、その点について重ねてお伺いをしておきたいと思います。
  9. 山口酉

    政府委員山口酉君) 運営が悪ければ、制度を改正いたしましても、常勤的の定員外職員がふえて参るということは御意見通りであると存じます。従来の実績からそういう懸念があるというお話でございますが、従来まことにこの点が遺憾でございましたけれども、それは従来は二十四年以来、非常に大幅な人員整理をいたしまして、これを法律規制したということによって、これを相当強固に維持していかなければならない、しかるに仕事は年々ふえてきたというようなことから、従来の定員規制が実質的に相当無理があったわけでございます。そこで、やむを得ず従来の規則運用上、二カ月以内の雇用という形式職員を雇えるものですから、そういう形式各省が雇ってきたわけでございまして、この点はすっきりした運用ではなかったわけで、それが従来問題を起こし、本委員会でも数次の決議をされて改正要望された点でございますが、今回そういう事情のもとにやむを得ずふえて参りました職員を大部分を定員内に繰り入れをいたしまして、さらに残ったものについては、三十六年度におきまして調査をして、必要なものは定員に入れるという処置をとりますと、従来の関係で無理のあったものは一応定員化することができて、それによって事務量職員の数とは落ちつきを持つということが考えられるわけです。従って、今後の問題は新しい問題として、新たに業務量増加いたしましたものについて、その業務量に見合う定員を見ていきたい。これを無理に押さえると、やはり各省仕事を遂行する責任がございますので、変形な職員雇用することになりますので、そういうことが起こらないように、今後は業務量増加に応じて必要な職員定員として見ていくということを正しく運用していきたいと考えておるわけでございます。この点ができますれば、御指摘のような常勤的な定員外職員というものはたまらずにいけるのではないか、またぜひそういうふうにしていきたいという考えでございます。
  10. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 局長の御答弁でございますが、なかなかそうでございますかというわけにはいくまいと私は思っております。しかし、この問題は論議をいたしますとなかなか大へんの問題でありますので、私といたしましては、重ねてそういうような危険に陥るおそれがあるということを申し上げまして、十分注意をされて、また、遺憾のないように運営されるように要望いたしておきたいと思います。  次に、これはごく具体的な問題でございますが、今度残った人たちについて調査されるわけですが、割合に少ない数字になって参っておりますが、これは悉皆調査をやられるのか。すなわち、個々の人について調査をやられるのか、あるいは抽出調査——標本調査ですね、抽出調査、そういうものをやられるのか。さらに各省調査をやられるものかどうかということ。それからもう一つは、そういう調査の完了の上に、恒常的に置く必要がある職であるというふうに認定をされた場合には、かりに臨時国会が開かれるとしますれば、それに問に合うとすればそれにやられるのか、あるいはこれは次の通常国会になるのか、そこら辺について伺っておきたいと思います。
  11. 山口酉

    政府委員山口酉君) 残りの未調査分調査につきましては、これは行政管理庁で主体となって調査をいたしますが、各省の御協力はもちろん得なければならないわけです。その調査の方法でございますが、これは個々調査をすべきものでございます。ただ数量が相当多くなっておりますし、時間が非常に少ないので、一人々々ということは事実上不可能に考えられますので、同種形態同種ポストのものにつきましてサンプリングをするということにいたしまして、悉皆調査と同様の効果を上げたいと、かように考えております。それから、調査ができました際は、できるだけすみやかに国会に提案できる機会を得まして提案いたしたいと考えております。
  12. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは今度繰り入れられる数字、それが具体的に職場で繰り入れられてあとでないと調査に入れないと思いますが、そうしますと、調査は相当おくれるんじゃないかと思うわけです。そして、ずっとおくれましてから調査を始められるわけですが、そうすると、どうしても通常国会になりそうに思うのです。かりにその問に臨時国会があるといたしましてもそういうことになるのか、臨時国会になるのか、はっきりしておることは通常国会ははっきりしておりますから、通常国会になるのかという点をもう一ぺん一つ……。
  13. 山口酉

    政府委員山口酉君) これはできるだけ早い国会に提案したいと考えておりますが、実は臨時国会がいつごろになるのか、まだ未定でございますし、さらに四月一日成立を期しておりました法案関係上、この法案成立がおくれておりますし、この法案成立後において、各省繰り入れられた数量に対して具体的に人事を行なわれるという作業があるわけです。そのあと実態調査をする必要がございますので、順にかなりおくれてくる予想でございます。法案成立の時期も不明確でございますが、至近の期日に成立いたしましたといたしましても、すでに約二カ月おくれておりますので、従来各省で八千、五千という数の繰り入れの際にもかなり長い期間を要しておりますから、これは予測でございますけれども、できるだけ早い国会に提案いたしたいとは思いますけれども、まず見通しとしましては通常国会になる公算が大である、かように考えております。
  14. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 その調査につきまして、実際残った人たちは今のところははっきりしませんが、これは残るのではなかろうかという懸念を持っておる人たちは、ぜひ悉皆調査をしてもらいたい、個々調査をしてもらいたいという非常に強い希望があるように聞いております。また、そうであろうと思います。また、各行政機関も、これは恒常的に置く必要があるということで置いておる。本人も、また、恒常的に勤めておるのだという自信を持っておるわけです。悉皆調査をしてもらいたいという希望が強いということを申し上げまして、かりにおっしゃるように抽出調査になりましても、一つそういう点を十分御配慮されて調査をなさるように要望いたしておきたいと思います。  それからもう一つ行管伺いたい点は、政令定員の場合も少し問題がありますが、これから行政管理庁協議をいたしまして新しく採用することになっております。これは非常に厳格に規制をして、できるだけ少ない数字にというお話でありますが、いずれにしましても、新規協議によって採用される常勤職員というものができる。それから各省が常動的非常勤職員新規でやはり雇っていくのですが、これは更新しないということです。しかし、現実の問題としては、なかなかそういうことにならぬのではないだろうかという懸念があるわけです。そうしますと、実際の問題としては、来年で定員繰り入れ数字が終わるという意味ではなくて、次にもやはり現実には考えなければならない数は少ないだろうと思いますが、考えなければならぬのではなかろうかというふうに思いますし、また、今後の調査が相当正確に行なわれるとしましても、なお論議のあるものが出るのではなかろうかと思いますし、そういうものを含めまして、かりに今度の通常国会にお出しになるといたしますと、その次にもやはり現実にはあるのじゃなかろうかという気持を持っておるのですが、行政管理庁の御意見を承りたいと思います。
  15. 山口酉

    政府委員山口酉君) 法律改正になりますと、恒常的のポストにつきまして常勤職員をもって充てるものにつきましては、すべて定員を算定することになっております。しかし、現実の問題として、できましたものは全部ではございませんので、これを一部付則において延長をいたしまして、そうしてできるだけ早い機会に、三十六年度中に調査をいたしましてこれを付け加えるということになりますと、理論行政組織法の十九条の適用を受ける定員というものは決定されることになるわけであります。そのほかのものには全然問題がないかといいますと、現実の問題といたしましては、ともかく法律を出しますし、あるいは政令を出しますので、その際に数字は確定するわけでございますが、まあ数字が確定するまでの段階にすべてのことが全然論議なしに行なわれるということはないと思いますので、あるところにはまだ一部不満が残るというような現実がありますれば、その問題は一応そういう事実上の問題としては解釈の不一致というような点で残り得ることは御指摘通りでございます。従って、それらのものがさらにまた状況の再認識というようなことで定員の変更になるということも、実際問題としてはあるかと思います。しかし、理論上は、法律のとによって、一応現段階における入れるべきものは始末をつける、こういう建前になっております。
  16. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 理論的にはそういう建前でしょうが、局長のお認めになりますように、現実問題としては、やはり数は少ないでしょうけれども、次の定員に入れるという問題が残るというふうに確認をいたしておきたいと思います。  次に、行政管理庁長官は十二時ごろには御退席のようでありますから、これはあとでいいと思いますが、理事で御相談いただきたいと思います。順序を少し変えまして、林野庁の問題について伺いたいと思います。林政部長見えておりますので、林政部長伺いたいのですが、林野庁も今度の法律適用いたしまして定員規制をするわけでありますが、昨年の十二月、特別国会におきましても、この委員会におきまして、林野庁定員外の問題について審議をいたしたわけであります。なお、重要な問題が残っておるように思いますので、この法案審議機会に、重ねて林野庁定員外の問題について伺いたいと思っております。これは林野庁が御承知のように、常勤人たちは二百二十名ほど残りました。常用は、これは三十七条適用が三千六百二十六名残っております。それから三十七条適用以外の常用人たち、これは一万一千ちょっとおりますが、これは今回はゼロであります。一万一千余名の者が完全にそのまま残る、こういうことになったのでありますが、これらについて若干伺いたいのであります。十七条適用人たちが三千六百二十六名残ったということ、これはどういう理由で残ったものか、職種によって残されたものか。私の伺いたいのは、職種によって残ったのか、あるいは何か理由があって残ったのか、これを伺いたい。特に三十七条適用人たちは三千六百という大きな数字が残ったわけですが、理由を伺っておきたい。
  17. 高尾文知

    説明員高尾文知君) ただいまの御質問の中の問題でございますが、いわゆる常勤作業員二百二十名というものは、職種を申し上げてもよろしいのでございますが、大体内容は理容師あるいは家政婦、そういう職種作業員が残ったわけであります。それから三七適用者の残の三千六百二十六名でございますが、これも職種のただいま申し上げましたのとダブるものもございますが、いわゆる三七適用者の十二職種というもののうちで残った者が相当ある、これは予算折衝出発点におきましては、われわれは三七以上全部ということで大蔵その他関係方面にお願いをし、交渉を進めたわけでございますが、統一方式ということでそういう事情に相なったわけでございます。  それから最後に、お話しの三七を除きます一般常用作業員……。
  18. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それはまだ聞いていない、二つだけです。
  19. 高尾文知

    説明員高尾文知君) 聞き間違いでございます。
  20. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 林野庁としては、この常勤の残りました二百二十名、それから三七適用の残りました三千六百二十六名、これはすべて恒常的に置く必要が、統一方式というような形で残ったのです。しかし、今度行政管理庁として調査をされるわけでありますが、調査をされまして認定をされるわけですか。林野庁としては全部入るというふうに考えておられますかどうか。これは林野庁としては当然そうだと思いますが、確かめておきたい。
  21. 高尾文知

    説明員高尾文知君) 私からお答えするのはどうかと思いますが、林野庁要望といいますか、希望といたしましては、公平な調査というものがございまして、最後認定を受ければ、当然そういうふうにやっていきたい、こういう強い希望を持っているわけであります。
  22. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 林野庁としては、この三七適用以上は全部定員に入れたいという強い希望を持っておられる。さらに今回調査が行なわれるならば、林野庁としては、当然これは全部入れるべく認定されるという確信を持っておると解釈いたしますが、そういうことですね。
  23. 高尾文知

    説明員高尾文知君) 確信を持っておるということを申し上げておるわけではございませんので、ぜひそういうふうにしていただきたいという強い要望を持っている、こういうことを申し上げたのであります。調査の結果によりましてどうなるかわかりませんが、われわれの段階では強い要望を持っている、こういうことを申し上げたのであります。
  24. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 林野庁として、三七適用以上の者は全部定員内に入れるという強い希望を持って折衝されたわけでて認定しておられるということだろうと思いますから、調査があれば必ず問題なく解決されるという確信を持っておられるに違いないと思いますが、少し弱いですね。弱いですが、まあしかし、強い要望希望のようですから、この問題は少しおきまして、次に、一万一千余名になっております常用作業員、これは常用作業員の中が二つに分かれて、一つ就業規則三十七条適用、この適用を受けない常用作業員、この二つに分かれるのですが、これはゼロで、一万一千余名残ったというのでありますが、これが実情伺いたいのですが、たとえば自動車運転手、これは林野庁現業官庁でございますから、木材を運搬するにいたしましても、大へん自動車を持っておられますが、この自動車運転手という一つ業種をとりました場合に見ましても、定員に入っている者もいる、あるいはこの三七適用の人もいる、それ以外の人もいるというように分かれるようであります。さらに保線手、これは林野庁としても重要な職種であります。これもどうも定員内にもおりますし、常勤にもおるし、常用にもおる、どの職種をとりましても、どうもどの職種にもおるようです。実態について伺いたいのですが、ですから製炭手であれば、これは月給制の者もいる、三七適用の者もいる、三七適用以外の常用作業員もいる、制動手、いわゆる森林軌道機関車制動手、これも月給制もおれば常用作業員もおるという実情のようであります。そこら辺のところを、現実実情伺いたいと思いま般常用作業員実情というお話でございますが、一応職種別人員概要ということを申し上げたいと思いますが、これはただいま先生から御指摘のありましたように、定員内——今度定員化が予定されておりまするものを含めまして、そういうものと同じ職種のものが入っておることは事実でございます。なお、定員外でただいま問題になっております一般常用作業員以外に、定期臨時というものがございますが、その中にもこれと同じような同種職種が相当あるということもまた事実でございます。従いまして、職種だけで申しますと、今般定員化される予定になっておりまするものと、それ以外の定員外作業員との間に、共通といいますか、同種業種というものが相当あるということは事実でございまして、ただその雇用形態、これが違っておる、こういうことでございます。ただいまの一般常用作業員職種別人員概要、これは三十五年の十月一日現在のものでございますが、御指摘通りに、伐木造材が約一千三百名程度、それから製炭が百二十名程度、それから木寄せが九百六十名、その他大勢多種職種がございまして、一万一千四百名、大体一万二千名程度おるわけでございます。しこうして、この中の給与賃金支払い形態の問題でございますが、これはいわゆる出来高払制職種というものが、この一般常用作業員の中だけで約四千八百名、総数の四三%に相当するものがおるわけでございます。それ以外はいわゆる定額日給制ということになっておるわけでございます。
  25. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 要するに定員内でも、常勤でも常用でも、同じ職種のものが一ぱいいるのだというお話ですが、そこで次に伺いたい点は、この常用作業員資格要件であります。その資格要件は、御存じのように、四項目にこれはなっておる。過去一年以上継続して勤務している者、今後継続して必要のある者、過去一年以上継続して勤務しておって、さらに今後とも必要があるということ。それから配置転換に応ずることができる者、技能、経験、能率が中庸以上である者、こういう資格要件があるわけであります、従って、この常用作業員というのは、定期で雇っているのでもなければ、あるいは毎日雇っておるわけでもない。一年以上継続して勤務をし、さらに今後とも勤務をするという、この条件が大きな常用作業員資格要件だと思うのです。さらに、また昭和二十九年に、当時の林野庁長官の通達が出ておりますが、これは、常用作業員はもともと常勤職員だ。しかしワクその他の事情によって云々ということになっておる。そうして国有林野事業の根幹的職員であるという通達が出ている。これはもう当然だと思うのです。ですから今私が申し上げました常用作業員の資格という点からいって決して日雇いでもなければ、季節的に雇っておるものじゃなくて、無期限雇用のものだという点を確認いたしたいのですが、間違いありませんですか。
  26. 高尾文知

    説明員高尾文知君) まことにむずかしい問題でございますが、私どもの方でいわゆる常勤非常勤ということで従来分けておる考え方は、常勤の中には、いわゆる定員外職員はもちろん入るわけでございますが、今般二百二十名残ります従来のいわゆる常勤作業員、これはもちろん常勤の方に入る。それ以外のものはいわゆる非常勤である、こういうふうに観念し、処遇をやってきておるわけでございます。ただ、その非常勤の中で、先ほどお話がありましたいわゆる常用作業員の中の三七適用、これは常勤的非常勤職員ということで特に賃金の点につきましては、常勤職員と同じような扱いをしてきた、こういうことであります。  なぜそういうことをやってきたかと申しますのは、三七以上の定員外職員と申しますのは、いわゆる従来の定員内職員というものと同じ性質の仕事をやってきておる。従いまして、何と申しますか、定員内職員に非常に親近性があるこういうものを事務系あるいは技能系、拾いまして取り扱いをして参ったわけでございます。従いまして、それ以外のものはいわゆる非常勤である、こういうように観念して扱ってきておるわけでございますが、もう一つのただいまお話の、一般常用作業員の中でも、いわゆる無期限雇用ではないか、こういう御指摘でございますが、これは雇用形態といたしましては、常用作業員ということでふるい分けをしてやっておるわけでございますが、こういう一般常用以下の、具体的にだれをどうする等ということがきまりますのは、これは当該事業年度ごとにきまっていく問題でございます。いわゆる定員内職員と同じような意味の無期限雇用という形にはなってないわけでございます。
  27. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  28. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をつけて。
  29. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私の伺っておりますのは、従来のその給与の支払いの仕方とか、あるいは雇用の仕方とか、そういう点は、これは林野庁にも問題がありましたし、そのほかの各省にも問題があるのであって、問題は、恒常的に勤務しておるのかどうかという点と、もう一つは、林野庁という現業官庁——七百万町歩という膨大な国有林を管理をし、木を切り出し、木を植える現業官庁です。その現業官庁として、これは当然恒常的に置く職だと私は思うのです。国鉄の保線手以上のものです。それ以外に臨時もおりますし、定期の季節雇いもおりますし、いろいろおりますが、少なくとも、林野庁が永年継続して雇っているこの人たちというのは、これは恒常的に置く職だ、今度行政組織法の第十九条の第一項にまさしく私は該当しているものだと思うのです。ただ、従来のいろいろな経緯があって、林野庁としてはいろいろこの点についての感じがあるようでありますが、私は、今種々御質問申し上げ、また、御回答がありましたように、これは十九条第一項に該当する「恒常的に置く必要がある職」であるというふうに思っております。これは明らかですよ、就業規則その他からいいまして、あるいはこの常用作業員資格要件等からいって、あるいは現実の勤務条件からいって。従って、私は、行政管理庁が今回調査をやられることになっておりますが、この常用作業員もその調査の対象にして、根本的に検討されるべきじゃなかろうかというように思っております。従って、この点についての行政管理庁長官の御意見を承りたいと思います。
  30. 小澤佐重喜

    ○国務大臣(小澤佐重喜君) 林野庁のこの調査につきましては、就業規則三十七条の適用者以外でも、定員関係のある者は一応実態調査して、その効果を上げたいと思っております。
  31. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 すなわち、一般常用作業員につきましても、恒常的に置く必要があるかどうかという点について検討を加えて、もしそういうことであるとすれば効果を上げたい、こういう御答弁だと思いますが、よろしゅうございますね。
  32. 小澤佐重喜

    ○国務大臣(小澤佐重喜君) その通りです。
  33. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 その通りだとおっしゃいますから、これでこの問題は終わりたいと思います。
  34. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 今、林野庁に関する定員関係の問題で鶴園委員から質問があったのですが、それに関連して一点だけお伺いしておきますが、結局こういうことになっておるんですが、病院、療養所等の看護婦については、これは定員に入っておる、ところが、病院、療養所等、この「等」の中に、行管の見解としては診療所を入れておるわけなんです、行管としては。これは大へんけっこうだと思うのですが、ところが大蔵省は、この病院、療養所等、その「等」の中に診療所を入れてないんですね。従って、この結果、診療所の看護婦については、たとい何年勤めても定員に入ってない、こういうことになるわけです。従って、このことは行管は入れておるんですから問題ないので、行管を追及するという意味じゃないので、先ほど大蔵省をお呼びしておるわけですが、まず行管の見解をお伺いしておきたいと思うのですが、この病院、療養所等の中に、やはり診療所は入れるのが至当だと思うのです。この点行管は入っていますから、繰り返して申し上げるように、問題ないんですが、同じ内閣の行政機関であって、行管は入れておる、大蔵省は入れてない、こういう食い違いがあるわけですね。こういうことでは非常にまずいと思うのですが、これは行管としてもこういう食い違いは是正してしかるべきだと思うのですが、行管は、この「等」の中に診療所を入れておりますから、だとするならば、大蔵省が入れてないという、こういう見解に対して是正される必要があるんじゃないか。やはり同じ内閣の行政機関が、きわめて統一を欠いておるという点はまことに遺憾だと思うのです。この点いかがですか。
  35. 山口酉

    政府委員山口酉君) 今度定員繰り入れ調査をするにあたりましては、診療所につきましても、その勤務の実態において、恒常的の職である常勤の看護婦を置いてやることが至当であると思われるものにつきましては、定員の措置をとるようにいたしたいと考えておるわけであります。その点について、別に大蔵省の方と意見の相違があるとは考えておりません。もちろんこれは統一的な意見でやっていくべきものでございまして、この定員の査定につきましては、行管の方で主として実態をきわめることになっておりますので、かような線で措置いたしたいと考えております。
  36. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 お言葉によると安心できるような答弁ぶりですが、現実に大蔵省の見解としては、これはただ単に林野を一つの事例として出したわけですけれども、大蔵省は、林野に限らず、五現業の診療所の看護婦は定員に入れていないですね、従来。今度行管の見解に従って入れるというなら、これは話は別ですが、結局病院、療養所等の看護婦は定員に入るという、こういう原則に立った場合に、その病院、療養所等の中に五現業の診療所が入っていなければ定員にならないわけですね、この原則は動かせぬと思う。従って、入るようにいたしますと言ったって、大蔵省が予算化しなければだめでしょう。あなたの方で大蔵省を説得して、これはぜひこの「等」の中に診療所を入れるかどうかということを確かめないと、あなたの方だけの見解では、予算を持っているのは大蔵省ですから、現実の問題として実現しないことになるわけですね。これは小さな問題のようですけれども、一つのいわゆる不合理のいい例だと思う。同じ五現業の関係を見ても、事務系統の面は一ヵ年ぐらいの勤務でみんな定員化しているのに、看護婦を五年もやって、しかも病院、療養所、そうしてその第一線に診療所があるわけです。この第一線の診療所こそ非常に労苦も多い、苦労しているわけです。病院よりは施設も悪い所で、環境の悪い所で苦労しているわけです。そういうのを逆に虐待しているというような結果になることは、はなはだ不合理だと思うのだが。
  37. 山口酉

    政府委員山口酉君) 病院、療養所とこの診療所とは、性格が多少違いますので、診療所の方は各行政機関がそれぞれ適宜に置いているというもので、正式の行政機関、いわゆる八条における施設機関となっていないものもあるわけです。そういう関係で一律的に扱わなかったということであると思いますが、これは実質的に仕事の内容によって、やはりこういう機関がどうしてもその行政機関の事務を遂行する上に必要であるというものである限りにおいては、もとになります組織上の建前が違うということによって区別をする必要はございませんので、行政管理庁では、やはりその実態に応じて検討いたしたいと思っておりますが、実はことしの問題は、早々の間に繰り入れ定員を算定いたしたものですから、その際は、もう行政機関になっている分については一点疑いの余地がないということでやって、各省で任意に置いております診療所等については、なお検討する必要があるということで、一応はずしたものもあると思いますけれども、これは今度の検討においては全部入れて検討いたしました。その実態に応じて措置をいたします。
  38. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうしますと、この診療所については、病院、療養所等、この「等」の中に行管の見解としては従来も入れておったし、今後も入れる所存であると、そういうふうに了解していいわけですか。
  39. 山口酉

    政府委員山口酉君) その通りでございます。
  40. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうしますと、現実の問題として、大蔵省はこの「等」の中に診療所を入れてないわけなんです。で、大蔵省は今来ませんからわかりませんが、そうなると、この病院、療養所等の中に入っていなければ、その看護婦は定員に入れないわけですね。そういうことになるでしょう。だから、行管の見解と同じように、同じ政府の機関だから、大蔵省も、この診療所については一病院、療養所等、この「等」の中に含ましめなければいかぬわけですね。こういう可能、入れさせるという、そういう措置はとれますか、行管として。
  41. 山口酉

    政府委員山口酉君) 今おっしゃっております文章が、これは別にそういう規則があるわけではございませんので、ことしの査定の際にそういう一応の基準を持ったと思いますが、しかし、これはことしだけのものでございまして、今度調査して新たに繰り入れすべきものを決定する際には、その基準によるわけではございません。で、これは行政管理庁の方で責任を持ってその点は大蔵省との間の意見を一致させて実施いたしたいと思うのであります。
  42. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それでは最後にお伺いしますが、結局大蔵省が、病院、そうして療養所、その第一線にある施設の悪い、労働条件の悪い所で非常に苦労しておるその診療所については、その看護婦を定員に入れてないのが従来の例であるので、今お伺いしておる。そこで、やはり第一線の診療所の看護婦については、いわゆる労働条件の悪い所で苦労しておるのだからそういうものはぜひ入れなければいかぬ、そういう方向へ当然行管の立場としても努力すべきであるし、また、ぜひそうしてもらいたいということを最後に重ねて伺いしてこの点は終りたいと思うのですが、これはただ単に一つの林野の問題だけでなくして、五現業の診療所については、みな看護婦を入れてないわけなんです。これは小さな問題のようで、実はほかにも波及する問題だと思うので、この点については一段と努力して、必ずこの意に沿うよう、一つ必ず実現するよう、一つ今回の問題として努力していただきたいと思う。重ねて要望を申し上げると同時に、最後にお考えをお伺いして終わりたいと思います。
  43. 山口酉

    政府委員山口酉君) 御意見の趣旨を十分に尊重いたして、遺憾のないようにいたしたいと思います。
  44. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 続きまして、もう一つだけ林野庁の問題について伺っておきたいと思いますが、今行政管理庁長官お話のように、常用作業員につきましても、本年の行政管理庁調査の対象にして、恒常的に置く必要があるという認定をするならば定員内に繰り入れていきたいという御答弁でありましたので、続きまして、林野庁としましては、常勤の中で残りました二百二十名、それから三十七条適用で残りました三千六百二十六名、これにつきまして、これは政令でやれるわけでございますが、できるだけ早い機会政令でおきめになるだろうと思いますけれども、これは大体いつごろ定員繰り入れられるものか、見通しを伺っておきたいと思います。
  45. 高尾文知

    説明員高尾文知君) ただいまの御質問の趣旨がちょっとわかりかねたのでございますが、林野関係で約四千名程度当初要求いたしましたものの中から残がある、それを政令定員化する時期はいつかと、こういう御趣旨でございますか。
  46. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうです。
  47. 高尾文知

    説明員高尾文知君) それは先ほど行管の方からもお答えがありましたように、調査の結果を待ちまして事前の準備を進めていきたい。現在定員化を予定しておりまする一万幾らにつきましても、今調査その他事前の準備をやっておる程度でございますので、新規のものにつきましては、これはやはり行管を中心といたします調査の結果によらなければ、林野当局だけでは何とも申し上げかねる、こういうことでございます。
  48. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それじゃ、これで林野を終わりたいと思います。  次に、農林省の問題について伺いたいのですが、農林省は、林野庁を除きました農林省ですね、これは常勤が百二十一名残っておりまして、それで、そのうちの約七割が農地局であります。農地局の事業所だと思いますが、それから常勤的非常勤が七百六十三名残っております。同じく大体この七割程度が農地局の事業所、計にいたしまして八百八十四名というものが残ったわけでございますが、この問題につきまして若干伺いたいと思います。農地局を除きまして常勤の残が三十四名、それから常勤的非常勤の残が二百三十八名でございますが、これは今度行政管理庁調査をして入れることになるわけですけれども、従来から農林省といたしましては、五年くらい前からでございますが、特にこの常勤については、次官登録制というものを作りまして、非常に適正なといいますか、運営をしてこられておるわけですけれども、その残については、今回これから行政管理庁調査をするならば、不満なく解決するというふうに見ておられますかどうですか、伺っておきたい。
  49. 和田正明

    説明員和田正明君) ただいまの御質問にお答えをいたしますが、お答えをいたします前に、御質問数字がちょっと違っておりますので訂正さしていただきたいと思います。常勤職員の残数を百二十一名とかいうふうにおっしゃいましたが、六十八名でございます。それから常勤的非常勤が七百六十一名になっておりますので、訂正さしていただきます。  最初の常勤職員の六十八名は全部、それから七百六十一名の常勤的非常勤のうち、二百八十九名は、先ほど来いろいろ御質問もございました。今回とりあえず除外職種として処理されました看護婦とか寮母、まかない婦等でございますが、こういうもの、及び除外職種以外のものを通しまして御調査をいただきました上で、私どもとしては、業務内容の同一な定員内の職員が多い関係もございますので、全員定員化をしていただきたいというふうに考えております。
  50. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今、秘書課長の御答弁によりますと、農地局も含めまして、全体としての常勤の残六十七名、常勤的非常勤の残七百六十一名の中の二百八十九名除いたものについては全員定員化の見通しを持っておるというお話でありますが、二百八十九名というのは、寮母、家政職に当たる人たちだというお話でありますが、これは確かに本省で、立場からいいますと例外的な職種であるわけでありますが、かりに農地の現場にある農地の事業所は、さらにそこから非常に不便な所に工事事務所を持っている。その工事事務所に十五名、二十名という人たちが勤めている。その人たちが自分で三度々々の飯をたいて食う、あるいはいろいろの不便な買物をしなければならない、あるいは毎日の食料をまかなっていかなければならないというのでは、能率を阻害し、あるいは事務遂行上支障があるということで、こういう人たちがおられるのだろうと思うのです。その意味では非常に例外的な職種であります。農林省全体で六万幾らおられます定員の数からいいますと、あるいは職種からいいますと、非常に例外的な問題になるのでありますが、そういう先ほど私が申し上げますような意味からいって、これはやはり業務遂行上恒常的に置いておる人たちでありますから、その意味では恒常的に、置く必要があるというふうに見なければならぬのじゃなかろうかと思っております。従って、行政管理庁の方の調査等もあろうと思いますけれども、恒常的な職として処理しなければならぬのじゃなかろうかと思うのですけれども、農林省としてはどういうふうに考えておられますか。
  51. 和田正明

    説明員和田正明君) 常勤職員六十八名及び常勤的非常勤二百八十九名につきましては、除外職種と申し上げましたのは、今年の予算査定にあたって、一応の基準としてそういう数になっておるということでございまして、私の御説明の言葉をしていただくわけでございますから、それも含めて、できるだけ全員定員化の方向で私としては行管と話し合いをいたしたいと考えておる、こういう趣旨でございます。
  52. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、農林省もよく御存じのように、定員規制が従来きつい面もありましたし、さらに常勤的非常勤につきましても、次官登録という形で五、六年の間ずっと規制をして参ったのです。その意味でなかなか仕事がうまくいかないというところから、御存じのように、期間雇用というものが要るわけであります。これは従来十カ月ごとに更新をする形になっておりますが、実際はこれは更新しないということでありますか。現実の問題として、更新させないと事務も熟練しない、また、新しい者を雇ったんじゃ経験もないし、事務も熟練しないということから、どうも引き続き期間雇用といいながら、事実問題としてあるように思うのです。こういう人たちは大体農地の事業所に四百から五百というふうな数字がいわれているわけですが、先般農林省としましては、その中から九十八名でございましたか、九十名でございますか、次官登録の常勤的非常勤というふうに切りかえられておりますけれども、これは実態行政管理庁として調査していただくならば、今申し上げましたことは、あるいは十九条の第一項にいう恒常的に置かれている職種だと思いますけれども、その点について農林省の見解を承っておきたいと思います。
  53. 和田正明

    説明員和田正明君) ただいまお尋ねの期間雇用につきましては、従前は最長雇用期間を十カ月といたしまして、十カ月経過したら二カ月間を置いて更新をするというふうに処理をして参りましたわけですが、お尋ねのような農地の現場等におきまして、若干事業予算に比して定数が不足のために、事実上期間雇用でなしに、常勤的になっております数字が五百前後ございますことは事実でございます。先ほど鶴園委員も御質問ございましたように、今後同じような形態のものが発生をいたしませんように、そこで、先般農林省としては期間雇用を六カ月間に押えまして、再雇用をしないようにということで、今後再び、ずるずると定員外職員の発生しないような措置を厳重に講じているわけでありますが、すでにいろいろの事情であります五百名前後の人員につきましては、勤務の実態が事実上常勤的に近いものが多いわけでございますので、行管にもお願いいたしまして、今後の実態調査の際には、当然にこれも含めて実態調査をしていただきまして、来年度以降において大蔵省並びに行管と御相談をして善処いたしたいというふうに考えております。
  54. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これで農林省を終わります。  次に、文部省に伺いたのでありますが、文部省の今度の新しい定員適用によりまして、予定されております定員化並びに残ったもの、この数字でありますが、これは文部省の本省では別に出しまして、国立大学関係が、これは常勤が二千二十四名現在おられまして、そのうちから千九百九十名というのが定員化されて、残った者が三十四名、それから常勤的非常勤は五千六百八十二名、そのうちで残りましたのが四千六百三十二名約八一%の人たちが残ったわけですが、非常に奇異に感ずるわけですけれども、常勤の三十四名というものはともかくといたしまして、常勤的非常勤が八一%残ったということを非常に奇異に感ずるわけですけれども、何か特殊な理由があるわけでございましょうか、その点について伺いたいと思います。なお、残が四千六百三十二名あるという点につきましても確かめておきたいと思います。
  55. 天城勲

    政府委員天城勲君) 御指摘のように、常勤定員化いたしましたものが千九百九十名、残が三十四でございます。賃金職員で千五十名、残が四千六百三十二名という御指摘の点の通りであります。この本年度の予算定員外職員繰り入れの問題の考え方でございますが、常勤職員と賃金職員と合計して三千四十名になるわけでございますが、予算積算上の基礎として認められているものを定員化したわけでございますが、そのほかに、御指摘のように、大学でかなり今申し上げたような数字職員がおるわけでございますが、これにつきましては、勤務の実態が非常に多様でございますので、十分調査いたしまして、職務の内容、あるいは勤務の形態定員内職員と同様の者につきましては、明年度の予算において定員化をはかりたいと、こう思っております。勤務状態が非常に複雑ないろいろな種類の職員がおるというのが現実でございます。
  56. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この常勤的非常勤の今度定員に入る予定の千五十名、これは主として国立大学の付属病院の看護婦さん等が定員に入るのじゃないかというふうに見ておるのでありますが、それ以外の者はだいぶ残るのじゃないか。四千六百三十二名の数字は残るのじゃないかという懸念をいたしておるのですが、その点はいかがでございますか。
  57. 天城勲

    政府委員天城勲君) 御指摘のように、千五十名のうち、九百六十名、千名近くが病院でございまして、主体は看護婦でございます。
  58. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そうしますと、国立大学の常勤的非常勤の問題というのは、病院を除きましてほとんど解決をしないということになるわけですけれども、ですから、非常にこれは不満があるのじゃないかと思っていますが、これは今度調査をされまして、不満のないように処理されるおつもりでいらっしゃるわけですか。
  59. 天城勲

    政府委員天城勲君) この常勤的な非常勤職員の勤務状態が非常に複雑でございまして、当然定員内に入るべきものはもちろん措置いたしますし、一部研究生的な、自分で勉強しておられるような人も入っておりますので、当然定員内に入るべき性質でないものもあるわけでございますので、その辺は勤務状態の実態調査をいたしまして仕分けをいたしたいと、こう考えております。
  60. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 常勤についてもそうだと思いますが、特に常勤的非常勤について、このほかになお二千名程度の数があるのじゃないかというふうに言われているわけです。ですが、文部省として、実際いる常勤的非常勤というのは正確に把握しているというふうにお考えになりますか。私は、どうもまだまだ不十分な点があるのじゃないだろうか。特にこれは大学、研究所、病院関係でございますが、いずれもそういう所の管理者といいますか、学部長といいますか、あるいはそういう関係におきまして、ややもしますと、こういう面についての御認識なりが薄いわけでございますね。そこで正確に出てこないんじゃないだろうか。かつて定員外問題というのは、五、六年前においては、各省とも、そういうものがあるというふうには正確に知らなかった問題であるほどでありまして、長い間にやはり現場の実情がだんだんわかってきた、こういう人たちがおられることが。一番おくれましたのは、試験研究機関がやはり一番おくれておったのでありますが、私の感じとしましても、いろいろ各大学の事情等を聞いてみますと、そういう実情が国立大学、その他研究所、付属病院等に相当あるのじゃないだろうかと思っておりますが、どのように考えられていらっしゃいますか。
  61. 天城勲

    政府委員天城勲君) その点につきましては、率直に申しまして、御指摘のような点と申しますか、きらいが大学あるいは研究所にはございます。特に大学の卒業生で、何と申しますか、研究室に、助手とか、あるいは大学院の学生という形でなくて、なお研究を続けるために残っている方とか、あるいは民間の会社等に就職をして後も、自分の研究を持って教室に出入りすると申すと何でございますが、籍を置いた形で研究をしているというような方もございますので、率直に言って、主任の教授や学部の方では、その辺を一律に考えてしまうために、御指摘のような正式の公務員とそうでないものとの境目があいまいになっているきらいはあろうと思っております。
  62. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、今、官房長のおっしゃったようなものもあると思いますけれども、それ以外に、予算に限定をされまして、かりに五十人雇う予算がきた。しかし、五十人ではどうしても仕事がうまくいかないというところから、五十人の予算だが、七十人、八十人雇っておられるというような実情が各大学、病院等に相当あるのじゃないかというふうに思っているわけです。従いまして、文部省が、各大学に常勤的非常勤が何名いるか調査して出せというふうな話がありますと、この予算定員の五十名が出てくる。これは私、農林省に長くおりましたが、農林省でもそうだった。よけいなものを出すというと、これは農林本省に怒られる。国立大学でありますと、文部省の官房長に怒られやしないか、秘書課長に怒られやしないかというような点もありまして、ややもしますと、予算の数しか出てこない。しかし、実際は五十人以上、六十人、七十人いる。こういうう実情じゃないかと思いますが、そこら辺はどういうふうに見ておられますか。
  63. 天城勲

    政府委員天城勲君) 個々の学校につきましては、御指摘のような事情は確かにございます。
  64. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 従って、今度行政管理庁としても調査されますし、それから文部省としても当然調査をやられると思いますが、ぜひ実情を握っていただきたい。予算面だけの人間の問題じゃなく、現実にいるその公務員を握ってもらいたいという点を要望申し上げておきたいと思います。そうでないと、いつまでもやみくもに残ってしまう。しかも、それがなければ運営できないという実情なんでありますからして、そこら辺の調査を十分おやりになるように要望いたしておきたいと思いますが、一つ御回答をいただきたい。
  65. 天城勲

    政府委員天城勲君) 今年度の行政管理庁と御一緒にいたします調査につきましては、御指摘の点を十分考慮いたしまして、実情の把握に努めたいと思います。
  66. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう一つ、これはその一例でございますけれども、この間新潟大学の方々と会ってみますと、今申し上げましたような点が非常に出ておりますね。三十人しか予算がこなかった。しかし、三十人ではどうにも病院が運営できない、あるいは研究所が運営できないというところから五十人になっている。従って、その給与は実に低いのです。日額二百二十円ぐらいで二十人ぐらいの方々を雇っておられるという実情があるわけでありますが、さらに東京工業大学、これは理工系の大学でありますが、ここにもこれは約三百名の無給研究員というのがおるというのです。それで、その無給研究員というのは、これは会社等から派遣してきているのかと言ったら、いや、そういう者もいるけれども、それ以外に三百名ほど無給の者がいると、こう言うのです。東京大学や教育大学等に聞いてみますと、理工系のそういう学部では、かつて三年ほど前はそういう実情だった。しかし、これが明るみに出て、逐次明確になってきているのだけれども、なお残っておるところがあるんじゃなかろうか。その例が今申し上げておりますところの東京工業大学なんかもその例じゃないかと、こういう見方なんであります。内容を見ますと、この三百名というものは、これは理工系の学校ですからして、教授、助教授、助手と、こうなっております。教授は一人、助教授が一人、助手が一人と、こうなっております。その下に今申し上げました三百名というのがいる。それは結局教授は助手を使うことができるが、助教授は使えない。助教授が使うというと教授が使えないというふうになるわけです。そうしますと、どうしても一人雇ってしまう。ポケット・マネーがどうしても要る。あるいは何か国で出しているのかもしれませんが、少なくとも無給の者が約三百名ほどおるというのですね。これはどういうふうに見ておられますか、伺っておきたいと思います。
  67. 天城勲

    政府委員天城勲君) 大学の講座の組織でございますが、教授、助教授、その下に助手が原則として理工系では二人でもって一講座を形成しておるわけでございますが、今御指摘のように、東京工業大学に約三百名ほどのいわゆる無給助手がおるのは実情のようでございます。ただ、この三百名の実態はなかなかいろいろでございまして、大部分の者は会社とか、あるいは他の学校等に席を持っておる者と聞いております。大体自分の研究を続けたいというために、自分の専門の研究者のところに来まして研究の継続を依頼するわけでございますが、もちろん国立学校でございますので、部外者が勝手に出入りするということもできないことでございますので、一応教室、研究室に出入りして研究に携わることを学校が認めたという意味では、大学内の公認された職員のような形になっておりますが、先ほど申し上げましたように、ある意味では、これらの無給助手といわれておるものも、本来定員にすべき種類のものと、それから研究生となるべきものとがあろうと思うのでございます。研究生としていくべきものにつきましては、これをはっきり研究生の身分を取得して研究を続ければよい。それから助手として、教授、助教授の研究を助けるというものにつきましては、これは助手の不足しておるところにつきましては、定員を是正して正式の助手にするというようなふうに仕分けしなきゃならぬ種類のものかと思っております。ただ、研究生的ないわゆる無給助手につきましては、これは大学の研究の趣旨から申しまして、今後も絶無になるとは思えないものでございますので、それはそれとしての立場をはっきりいたしまして、要するに両者の仕分けをいたしたいと、こう考えておるわけでございます。
  68. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 先ほど林野の診療所の看護婦の定員、こういうことで関連でお伺いしましたが今大蔵省からお見えになりましたので、一点だけお伺いします。  大蔵省にお伺いしますが、林野の診療所の看護婦については、大蔵省の見解としては、これは定員に入れていない、行管についてはこれを定員に入れておる、こういう見解に食い違いがあるわけであります。と申しますのは、病院、療養所等、この「等」の中に診療所を行管は入れておるわけですが、大蔵省は入れてないですね。大蔵省にお伺いいたします。これはどういうわけですか。
  69. 大村筆雄

    政府委員(大村筆雄君) お答えいたします。  今回定員外職員の大幅定員化につきまして、昨年の春以来、行政管理庁を中心にして検討して参りました定員化の方針に基づきまして、私どもの方で予算定員を把握することにつきまして、定員化を格づけをいたした次第であります。なお、再調査の結果を待たなければならぬという問題を残しておるわけであります。御質問の点は、診療所の点でございますが、診療所につきましては、特に林野庁関係につきましては、その実態は十分つかまえられていないようでありまして、その点は行管ともよく御相談いたしまして、その後の実態調査を待つ。もう一つは、労務管理上、各行政機関等もそうでございますが、こういう診療所、あるいは食堂とか厚生施設を経営しておるわけでありますが、   〔委員長退席、理事村山道雄君着   席〕  そういうものにつきましては、今後定員化の対象にするのが適当であるかどうか、あるいはまた共済組合の経営に、一括共済的にすべきかどうかという点にも問題があるわけでありまして、そういう点を勘案いたしまして今回定員化によった次第であります。
  70. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私が言うまでもなく、診療所につきましては、病院、療養所のさらに前線にあって、施設も悪い、環境も悪い、そういう所で病院の看護婦と同じ資格で、しかも五ヵ年勤務しておっていまだに定員に入らない、こういう現実の姿があるわけです。これはまことに大蔵省の認識不足だろうと思うのです。病院より療養所よりさらに診療所の方が一般に施設も悪いわけですし、労働条件も悪いわけです。そういう所で同じ資格で骨を折っておるこういう人を定員にあえて入れないということは非常に不合理だと思うのです。これは一つの例のようですが、これは前橋の営林局の診療所に看護婦さんが四人おるのですが、だれも定員に入っていない。こういう考え方、従って、私がお願いしたい点は、ぜひ診療所の看護婦についても、これは無資格は別ですけれどもりっぱな資格のある者が、五年も待っていまだに定員化されないということ、これはきわめて不合理であるので診療所の看護婦こそ病院あるいは療養所より多く苦労しておる。しかも、同じ資格である、こういう考え方に立って、今定員化そうとする絶好の機会であるので、行管ともよく緊密な連携のもとに、一つ診療所も、病院、療養所と同様に、当然この中に入れて措置していただく、そうすることによって資格のある者はどんどん定員化される、こういうことになろうと思うのであります。その点を最後に強く要望するとともに、これに対するお考えをお聞きして質問を終わりたいと思います。
  71. 大村筆雄

    政府委員(大村筆雄君) お答え申し上げます。  御質問の点につきましては、今後行管で実態調査をなさるわけでございますから、行管の実態調査の結果、行管の方針も具体的になりますので、その点は十分行管ともよく御協議いたしまして決定して参りたいと、かように考えております。
  72. 村山道雄

    ○理事(村山道雄君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  73. 村山道雄

    ○理事(村山道雄君) 速記を始めて。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめて、残余の質疑は次回に譲ります。  午後は二時再開することとし、これにて暫時休憩いたします。    午後零時四十八分休憩    ————・————    午後二時二十一分開会
  74. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) これより内閣委員会を再開いたします。  防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  政府側出席の方は、西村防衛庁長官、白浜防衛政務次官、加藤官房長、海原防衛局長小幡教育局長、小野人事局長木村経理局長、塚本装備局長でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  75. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 私は、ミサイル計画と核装備、こういうようなことを中心に、まずもって防衛庁長官を主体に、以下若干お伺いしたいと思います。  アメリカでは、御承知のように、局地戦争で小型核兵器を使っても全面戦争にならない、こういう意味のことを公言しておるわけです。これに対して、ソ連としては、たとい小型核兵器であっても、核兵器には核兵器を、こういうことをモットーとして、直ちに報復する、こういう意味のことを公言しておるわけです。で、また、日本の防衛庁の幹部はこういうように考えておるのであろう。間違いがあったら訂正をいただきますが、全面的な世界戦争は、米ソの間の力の均衡、そして核兵器の進歩によって抑制されておる、ただし、局地戦争とか、あるいはいわゆる間接侵略、こういうことは、たとい日米安保条約があっても、起こり得ないということは言えない、まあこういう考え方に立って、防衛庁としては、いわゆる限定された抑止力を持たなければならない、こういうような戦略に立っていろいろと防衛計画を立てておるのではなかろうか、こういよううに察するわけです。で、この前提が間違っておれば意味がありませんので、まずこういう考え方に防衛庁としては立っておるのかどうか。もし間違いの点があったら御指摘をいただきたい。
  76. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 大体日本の自衛隊の考え方といたしましては、ただいま伊藤先生のおっしゃったような考え方に大体のっとってやっておるつもりでございます。
  77. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 もしそうだとすると、非常に私どもとしては、そういう戦略に立っての防衛の考え方には危険があるのではないか、そういうように思うわけです。と申しますのは、アメリカは小型核兵器を使っても全面戦争にはならないと言っておりますけれども、ソ連はさっそく、いや、そういうことはない、核兵器には核兵器、直ちに報復すると、こう言っておるわけです。ソ連が直ちに報復した場合ですね、そういう場合でも全面戦争にならないということを一体だれが保証するのか。これはアメリカが保証しても意味がない。アメリカは全面戦争にならないということを勝手に公言しておるわけです。しかし、ソ連は直ちに報復すると言っておる。で、ソ連が直ちに復讐した場合、それでも全面戦争にならないという、そういう保証を一体だれがするのであるか。こういうことを考えてきた場合に、これはあくまでも、端的に言えば、防衛庁は全面戦争はない、こういう前提に立って進めておるようなんで、そういうことは危険ではないかということをお伺いしておるわけなんです。この点いかがですか。
  78. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) もちろんこの戦略は情勢判断をもとにはいたしております。しかし、情勢判断のこれは絶対的の保証があるわけでは私はないと思います。たとえば大国間におきましても、核を使ったから全面戦争になるとか、核を使わないから全面戦争にならぬとか、簡単にはこの保証の問題はあり得ないと思うのであります。保証というものは、それぞれの考え方、政治的な考え方もありましょうとも、ただ一応世界の大勢の中から見ました判断としては、大きなる核というものが中心になってそれぞれ戦争の抑制力——普通よくはやる言葉でございますが、核の手詰まりというような表現で、核同士によっては全面戦争にいきやすい、こういう考え方がまず私は世界の大勢ではないか。そこに、ですから核はできるだけ持たないように、あるいは分散しないようにという大国間の努力は、まあ御存じの通り、核の実験停止等から始まって、希望は持っております。ただ、その裏には、政治論が、あるいは政治的ないろいろな考えがありますから、理論で割り切れないで、今日まだ停滞しておるのが世界の情勢であります。その中に立ちまして、日本の自衛ということから考えて参りますと、やはり核を持たないで、そうして日本の自衛力というものは、いろいろな制約は御存じの通り持っております、国情として。その中には憲法論も入っております。その中で、われわれとしては最小限必要な自衛力を備えて日本の安全をはかっておるのであります。ですから、理論の立て方によってはそういう理論なら保証はないじゃないか。確かに保証がないことは私率直に認めます。これは全面戦争に対しても保証がないのでございます。ですから、その保証のない限度においては危険があるのじゃないかとおっしゃられれば、またその論も私は立つと思うのでございます。ですけれども、危険を最大限に避ける方法として、率直に申しますれば、あるいは言葉に誤まりがあるかもしれませんが、全知全能を傾けて考えたところからいくというと、今の自衛隊として、あるいは日本の国防と申しますか、としては、ただいま伊藤先生がおっしゃいましたような考え方、また、同時に、それは防衛庁の考えでもございますが、そういうものによって戦争を抑止する力になってくる。また、最悪の場合におきましては、自分たちの持っておる力で被害を最小限にとどめるようにする、こういう考え方でやっていかざるを得ないのじゃないか。また、いくのが当然じゃないかと、こういう考えでございます。
  79. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この点に関係して源田空幕長はこういうことを発表しておるわけですが、限定戦争においては、日本の防衛力は相当の抑止力を持っておる。だから、どうも限定戦争の可能性を強調しやすい傾向がある。そして全面戦争の勃発を極度に押えるような傾向があるのじゃないか、こういう意味のことを警告しておるわけです、この問題に関係してですね。こういう点が防衛庁の最高幹部から出されておるので、まあ防衛庁長官としては、当然そういうことは御承知でしょうけれども、そういう源田空幕長が警告しておるような傾向も現にあるのではないか。局地戦争は起こり得ても、全面戦争は起こり得ない、こういうようなことになっておるのじゃないかと、そういうような点から察せられるわけです。この点はいかがですか。
  80. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 源田空将が、個人として多少の戦略的な意見を述べる場合はあると思います。また、多少戦略的な意見を持っておるように私聞いております。ただ同時に、日本の自衛は、源田空将だけの個人の考え等ではなくて、また、御承知の通り、三つの自衛隊がございます。これらを十分に均衡させながら考えていく。また同時に、もう一つは、かりに個人として多少いろいろな考えを戦略的に持ちましても、それらを統幕でよく調整し、同時に、それをまたさらに内局を中心に補佐をしてもらって、また、そこには一つの基本的な考え方としては、国防会議の構成もございます。最高指揮官としては総理大臣もございます。また、財政面その他を通して、法律面を通して、国会の御意見というものを十分承っていく、こういうところがら十分に私はコントロールされていくし、また、コントロールを今後もしっかり続けて参りたい。そこに調節は十分できる、それが私どもがただいま申し上げております防衛庁の考え方でございます。
  81. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 源田空幕長は個人的にそういうことも言っておるんだろう、まあ軽く考えられておるようですが、いやしくも空幕長という肩書きで戦略の一部を発表するという以上は、十分責任を持って発表しておると思う。もちろん見解の相違ということになれば別ですが、そういう警告に対しても、やはり十分耳を傾ける必要もありましょうし、いわゆる一応も二応も、こういうことをとってもって参考にしなければならぬと思う。そういうような意味合いからさらにお伺いいたしますが、源田空幕長はこういうことも言ってるわけです。日本のような、防衛のためだけのような防衛力では戦争の抑止力にはならない。まあ、こういう意味のことも言っておるわけです。戦争抑止力にとっては無能である、こういう意味のことを言っておる。もしそうだとすると、先ほどの安保条約下でも、限定戦争ないしは侵略、こういうことはあり得るから、従って、日本も限定された抑止力をある程度のものを持たなければならない。しかし、そのある程度のものが、現在の防衛力では、とうてい戦争抑止力にはならないということであるなら、こういう方面に国民の血税を使っても意味がないではないか、こういう理論も出てくると思う。この点いかがですか。
  82. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) どういう機会に源田空幕長がそういう意見を吐いておるか、また、御存じの通り意見には前提がいろいろついておると思うのであります。その全体を総合して考えて参りますと、私は、源田君の立場におきましても、現在の防衛庁の考え方に矛盾をして、ない、言いかえますれば、現在の自衛力、あるいはこれから国力、同情に応じて漸次漸増して参ろうという自衛力は、当然やはり限定戦争抑止を通して、世界のやはり平和の一翼としての、平和を到来する、あるいは安全を到来するための抑制力に当然働き得ると、こういうふうに私は考えておる次第であります。
  83. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 さらに日本の防衛庁は、これはまあ毎回そういう態度はお聞きしておりますが、小型核兵器を自衛のために使うことは憲法違反でない、こういうことを繰り返しておっしゃっている。しかし、私がここでお伺いしたい点は、小型核兵器を自衛のために云々ということ、小型について長官としてはどのように一体受け取っておるのかということ。なお、具体的に言えば、標準のいわゆる核兵器と小型との威力の相違ですね、こういう点をどのように受けとめて、おられるのか、こういう点をまずお伺いしたい。
  84. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 核の問題、核兵器、核装備の問題につきましては、政府としては、従来、また現在も、総理大臣初め、核は責任を持って自分たちは装備しない。もちろんこれは自衛隊法どころではなくて、さらに原子力基本法というのがございまして、いわゆる核の力というものは平和利用に限る、法律にも規定されておる。ただ問題は、さらに一歩進めまして、その基本となる憲法でございますが、憲法の問題になって参りますと、政府一体となりまして解釈は、核と名がつけば、いかなる核でも、もう憲法上は使用できないという解釈は出てこない。自衛力を認められる以上、自衛のために、言いかえれば、防衛としての核ならば、これは憲法に禁止をしているものでない、こういう今日まで憲法上の解釈を政府としては統一的にとっておるのでございます。これにつきましては、もちろん別のお立場から御議論が出るところでございますが、政府としては、一貫して憲法の理論上の解釈としてそういう解釈をとっております。そうすると、防御のための核はどういうものか、なかなかこれは私は理論の問題でございまして、観念論としてそういう体制がとれましても、具体的の核というものを、それじゃどの核が防御的であり、憲法に触れない核であるかという具体問題になって参りますと、私は観念論の問題までは御答弁できますが、それ以上になって参りますと、どれを称するということは、現在の段階では非常にむずかしいと思います。ただ、私どもが、将来核のいろいろな開発が行なわれまして、たとえばその放射性能であるとか、あるいは研壊力、また、相手の核の破壊力、放射能力、こういうものとかみ合わせていった場合において、憲法上一切を禁止するという解釈は成り立たない。そこいらの問題が私は観念的なけじめじゃないか。言いかえれば、防衛上の目的で開発が進んできた場合には、何でもかんでも、核というものは一切憲法上押えられるのだという解釈は政府としてはとらない、こういう態度でございます。具体的には、現在はもちろんこれは総理大臣からもこの席を通じ、委員の各位にははっきり、また国会、あらゆる場面を通して申し上げておる通り、政府は核装備はいたしません。原子力基本法、憲法の理論上の解釈として、核は一切持てないという解釈はとれない、こういう態度であります。
  85. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 ただ、長官は、繰り返して、小型核兵器を自衛のために使う場合には憲法違反にはならないということをおっしゃっておるわけですね、繰り返し。そこで、小型核兵器を核兵器と比較した場合、どのような威力の相違が出るかということについてお伺いしたかったわけですが、そこで、いわゆる発熱量とか、あるいは爆圧、こういう点で比較いたしますと、これは小型になると、ぐんと威力も下がってくる。ただし、放射線に関する限り、あまり低下しないということを、あなたの管下のいわゆる防衛研修所の高杉一等陸佐が発表をしておるわけです。これはやはり耳を傾ける必要があると思う。そういうことになりますと、結局核はやはり核だということになって、たとえば小型でも威力は軽減するのでなくして、発熱量とか爆圧の面では相当低下するけれども、放射線に関する限り、威力はそうは低下しない。そういうことであるならば、これを特に防衛のために陸上で使った場合には、相当ないわゆる損害を日本人自体に与えなければならぬ。しかし、政府の見解としては、たとい小型であっても憲法違反ではない、自衛のためなら。ただし、政策上は使わないと言っておるから、今使うわけではない、こういうことになりましょうけれども、憲法違反ということになれば、これは厳然として将来を規制するわけですが、憲法違反ではない。ただ、政策上持たないのだということになれば、これは内閣がかわれば政策が一部変わることもありましょう。全部変わることもありましょう。いろいろの場合がありましょうけれども、結局政府がかわれば政策も多少なり変わってくると思うのです。そういうことであるならば、この点は前にも総理にお伺いしたのですが、よく要を得なかったわけで、長官にお伺いしておきたい。きわめて大事な点であるので、重ねてお伺いするわけですが、これは政策上持たないということになると、政策上持つということも将来考えられるわけですね。そういう点に国民は非常ないわゆる悩みを持っておるわけです。心配をしておるわけです。これは長官が永久に防衛庁長官であり得ないわけですから、人がかわれば政策が変わり得るわけですね。こういう点は一体どういうふうに国民を納得さしたらいいのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  86. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 実は問題が憲法上の理論の問題になっておりますから、いかにも将来、政策上も核を持つような御意見も出るわけでありますが、一応現在とにかく国会の意思を体し、原子力基本法というものが、核の威力というものを平和利用ということで法律がまずきまっております。それからいま一つは、政治全般として、自衛力は最小必要限度の自衛力ということでいっておる。自衛隊法において別にこの問題を禁止しておりませんけれども、自衛隊法というものもございます。そこで、従来の憲法理論として私どもは御説明を求められた場合におきましては、憲法理論としては、核というものは一切禁止しているのではないんだというこの解釈は、どうしても私どもとしては、やはり今後もこの解釈はとらざるを得ないし、とって参るつもりでございます。そこで、それじゃ小型とかどうとかいう問題それから小型であっても威力がどうかというような問題につきましては、これは私もしろうとでございます。また、現実の問題に現在なっておりませんから、そういうことは軽々には私は御説明できないわけであります。これは一つの科学の開発等が進んで参ります場合に、一説にはきれいな、何と申しますか、核という言葉も一時は出たのであります。しかし、そういうことは現実にはないようでありますが、あるいはそういうような一つの場合もあり得るかもしれません。また、放射能等の威力に対しましても、これに対する制御の方法等も相当発達して参りますれば弊害も少ないという場合もありましょう。また、兵器でございますから、相手の攻撃力というものも、あるいは相手のその攻撃に伴う兵器の防御力といいますから、これもあわせて考えて参らなきゃなりません。いろいろな面から、そういうものは将来一つの研究課題ではあろうと私は思います。現実の問題としては、私どもは今どの核をどうと、こういうことは御説明も困難であります。ただ、観念としては、あくまでも防御上という観念で、ただ、憲法が一切それは認めないんだ、一切の核は禁止しているんだ、こういうふうな解釈はとれない、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
  87. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこで、これは専門家である防衛局長ないし官房長にお伺いいたしますが、先ほど私がお伺いした防衛研修所の高杉一等陸佐の発表しておられる小型化の核兵器との比較について、今申し上げた通り、発熱量とか爆圧、こういうものについては、小型の場合は相当低下するけれども、事、放射線に関する限り、あまり低下しない、こういうふうに発表されておるわけですが、あなた方の専門的な立場から、これはそういうふうに解釈してよろしいのかどうか、そのまま信頼できるものかどうか、こういう点について見解をお聞かせいただきたいと思います。
  88. 海原治

    政府委員(海原治君) 今先生の御質問になりました点についての、専門家ということでは決してございませんが、一応私どもが書物の上で承知いたしておりますところでは、高杉一佐の執筆いたしました時期がいつかわかりませんが、その当時におきましての一つの研究の結果が出ておると思います。ただ最近、たとえばアメリカにおきましてもデーヴィークロケットという名前で呼ばれております小型の核兵器等の研究が進んでおります。これにつきましては、発射基はいろいろございますが、そのうちの小型のものにつきましては二人で運搬できるもので、これはTNT百トン程度に相当する威力がある。直径百メートル以下の破壊力で、残留いたします放射能の効果はきわめて少ないというようなことが一応情報としてはございます。そして、この場合におきましても、はたしてその残存いたします放射能がどの程度にとどまるかという科学的、技術的な数字というものは私も承知いたしておりません。従いまして、高杉一佐が何を目標にそういう論文を書きましたかということにつきましては、私ただいまこれにつきまして正しいとか正しくないかいう意味の資料の持ち合わせがございません。一つその点で御容赦願いたいと思います。
  89. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それでは重ねてお伺いいたします。今私が申し上げておるのは一九六〇年の防衛年鑑に出ておるわけです。発熱量が標準型原爆の千分の一になった場合の威力半径の減少割合を見ると、爆圧は十分の一、発熱量は三十分の一、放射線は三分の一だと言われている、こういうふうに発表になっているわけですが、これはそれ相当の根拠があって防衛年鑑に出していると思うんです。防衛年鑑といえば、相当権威のあるものだと思っているわけです。その防衛年鑑に出ている。そういいかげんなことは出ていないと思うんです。この事実はどうなんですか。これもあまりたよりにならぬとおっしゃるのですか。
  90. 海原治

    政府委員(海原治君) その点につきましては、先ほどお断わりいたしましたように、私、科学的な知識を持ち合わせておりませんので、やはりその方面の権威者に一応当たってみないといけないと思いますが、私どもがいわゆる情報的に承知いたしております点では、そういう小型の核兵器につきましての小型化された場合の発熱量、あるいは残存放射能等の計数的に、数学的に計算しまする方式がございます。そういうものによって算定したものを、その高杉一佐がやはりそういう防衛年鑑に発表いたします以上、相当個人としましては自信のあるものを書いたものだと思いますが、防衛庁としてはこれはどう評価するかという、公的な評価ということになりますと、時間をいただきまして調査をさせていただきたい、このように考えております。
  91. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 なお、この点に関して私心配するのは、もしこれが正しいもので権威あるものだと前提すれば、防衛年鑑に出ているのですから、繰り返し申し上げるように、発熱量とか爆圧の面では相当低下するけれども、放射線に関する限りは、この線で見ても三分の一ぐらいにしか減じていないということ、こういうことから考えると、特に日本のように、国土が狭い、人口が稠密している、こういう国土でもしこれを陸上で使ったような場合、まず損害を受けるのは日本人自体ではないか。相当の被害を受ける。こういうことになると、こういうおそるべき小型核兵器が自衛のために使われるのであれば、憲法違反でないということは、どうも納得できないのですがね、そういう前提に立てば。しかし、その前提に立てばということは、その前提は権威ある防衛年鑑に出ているのですから、私はそれを信頼する以外にない。防衛庁が出している防衛年鑑に、そういう権威のないものを出そうとは考えられないのですが、そういう根拠ある前提に立って論議を進めるというと、こんなおそろしい小型核兵器でも憲法違反にならないということは、私ども了解できない。こういう点でいま一つ長官の御見解を伺っておきたい。
  92. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私ども、御存じの通り、たびたび申し上げます通り、原子力基本法なり、現在の政治としまして、絶対に核兵器、核装備はしない。ただ、憲法の解釈として、核と名づけば一切禁止しているのじゃない。言いかえれば、防衛的な意味において核というものは憲法上は持ち得るという理論に立ちます。ただ、これを具体的に、それではどの程度が憲法上許されたるものであるかということは、今後の核並びに核の制御の仕方、こういうものの開発状況に応じて、われわれは十分にこの具体の問題としては検討して参らなければならぬ。ただいま民間から出している防衛年鑑に一人の自衛官が意見を発表しているようでありますが、必ずしも私はその意見が全面的に正しいとも信じられないのであります。核の開発が進みますれば、あるいは破壊力、あるいは放射能力等において、また、さらに平和のほんとうの防衛的な意味のものが開発されてくる場合があり得るかもしれない。一がいに私はその意見そのものが全部において支配する、こういうふうにも考えられないのであります、理論の問題としてでございますが。
  93. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これはちょっと聞き捨てにならぬ点があるのですが、防衛の面の思想を普及をする意味も手伝って防衛年鑑などは出ていると思うのです。これは国民に防衛に対する認識を深くする、こういう考え方に立って、ほかにも目的はございましょうけれども、そういう目的も確かにあろうと思うんです。国民に対して防衛上の知識を普及するという、そういう趣旨の防衛年鑑であるならば、そんな権威のないものをなぜ掲載させるかという疑問が出てくるわけです。なぜ検討して権威あるものだけを防衛年鑑に載せないのか。防衛年鑑にあるうちで、どうも答弁に都合の悪い点は、どうもこういうことはあまり全面的に信頼できないと言ったり、ある場合には、これはその通りでございますとか、いわゆる立場立場でこれを解釈するということは非常に意味がないと思うのです。やはり防衛年鑑に載せる以上は、権威のあるものでなければならぬ。また、国民を誤まらしめることにもなろうとも思うのです。防衛庁の立場としては後ほどまたお伺いいたしますが、日本の防衛に関する知識、普及の程度は、列国に比較して非常に低いということを憂慮されておるわけです。そういう事情の中で防衛年鑑を出しておられるのだから、防衛年鑑に入っていることはみな正しいのだと安心してわれわれが参考に資し得るものでなければならぬと思うのですが、どうもあなたの方の防衛研修所の面の発表はあまり信頼できないということになると、われわれはどれが信頼でき、どれが信頼できないかという区別がつかないわけです。そういうことでは困ると思うのですが、その点はいかがですか。
  94. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 私から、防衛年鑑につきまして若干御説明をさしていただきたいと思います。この防衛年鑑は、防衛年鑑刊行会というのが出しておるのでございまして、これは伊藤斌という方が代表者でございますが、このほか四名の方で刊行会をやっておるわけでございます。防衛庁の職員は入っておりません。執筆する者は、これは年年顔ぶれは変わっておりますが、刊行会の方からこれと思う方に依頼をされるわけでございます。毎年度テーマ、内容、項目等を自主的にきめられまして、きめた項目について適当だと思われる方に依頼をして執筆をしてもらうということになっておるのでございます。防衛庁の内局の部員の者も、高杉君のような、防衛研修所のような職員のものもありますが、ほかに外務省、通産省、調達庁の職員のような方も依頼をされて執筆しておるような方もございます。そういうような性格でございまして、この防衛年鑑は、伊藤氏が昭和二十九年から始めております。これは全くの任意団体でございまして、行政監督上、防衛庁とは関係がないものでございます。
  95. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 どうも防衛庁に関係のないものだとおっしゃるようですけれども、これはわれわれはそう見ていない。防衛庁はやはり十分防衛年鑑については責任があるのではないかと思うのですが、今防衛年鑑のことをお伺いしているわけじゃないので、これは別の問題となろうと思いますけれども、ここでお願いしたい点は、われわれが防衛上のことについて、もちろんずぶのしろうとですから、いろいろ勉強したいと思うのです。そのときに、たまたま貴重な材料として防衛年鑑がある。この防衛年鑑を見て、ある点は正しいが、ある点はあまり権威のないものだということでは、取捨選択はわれわれはできないわけです、専門家でないから。いや、これはこう出ているけれども、それは間違いだと、そういう判断力はないわけです。やはり、事、防衛年鑑に出ていれば、これはみな正しいのだと思う。国民の皆さんにも防衛の知識を普及したいと思うから私は出していると思うのですが、そこで、これは防衛庁に直接関係のないものだとか、事実はそうであっても、結局やはりそれでは困るのです。国民をして誤まらしめるものであると思う。従って、今後防衛年鑑を出す以上は、十分目を通して、これは大丈夫だという確信をもって防衛年鑑に載せる、こういう心がけが必要ではなかろうかと思うのですが、この点について長官どうです。
  96. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) ただいま御引用なさいました防衛年鑑の一等陸佐ですか、高杉君という人の論文でございます。私は、まあ防衛研修所なり防衛庁の諸君なり、大いに研究していろいろな意見を吐いてくれることは、防衛知識普及のためによろしいと思います。ただ問題は、憲法上の議論から発展して、これを具体的に当てはめた場合の科学的な水準といいますか、その場合に、私はさっき全面的にこの意見が支配するとは考えられないと申し上げましたのは、ある時点々々においては、あるいは高杉君のような意見も立ち得るかもしれない。将来、核というものの開発というものは、とにかく私どもの想像以上にやはり各関係国ではやっておられると思います。現に私もアメリカへ参りまして、原子力の小型な炉というものを拝見いたしました。予想外に小型の炉というものを持っている。それらをさらに科学的に放射能力等をどうしたら制御するかというようなこともいろいろ研究する面もあるのじゃないかと思います。そういう点から考えますと、ある時点においてはそういう意見が立ちましょうが、これがそれじゃ未来永却ということはありませんが、将来にわたって全面的に支配をするのだ、こういう意見にもなり得ないのじゃないか、こういう意味で、これがずっと必ず小型化したら、もう放射能は多くて、小型は破壊力だけの小型だという理論も必ずしも私は論として成り立たないのじゃないか、こういう意味で申し上げたのでございます。従って、ある時点として防衛庁の研修所の諸君なりその他が、自分の集めたデータで一つの努力をしていくということ自体、私は必ずしもそう誤まりでもないと思います。ただ、言いかえますれば、それは従ってそういうようなかりに文書を書きますときに、これはこういう段階においてこういうデータではこうなる、しかし、将来を考えてみて、またどう変化するかわからぬという説明があった方がさらにていねいではないか、親切ではないか、こんなふうな考え方で申し上げたのであります。
  97. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 関連して。今の長官のお話、それから官房長のお話、海原さんのお話を聞いていますと、おかしいように思うのですが、防衛庁の有力な幹部が防衛年鑑に発表した数字を責任が持てないのですかね。これは、かりに防衛年鑑が官房長のおっしゃるような話だったとしましても、これはやはり責任があるのじゃないですかね。何か別のものだというような話をしているが、ちゃんと肩書をつけて発表しているのですよ、役所の。行政官庁の例からいったら、これに責任を持たないような話は承知できないと私は思います。さらに、また海原さんもおっしゃるのですが、去年の話ですよ、発表されたのはいかにに日進月歩するとかいうお話ですが、そんなに変わるものじゃないだろうと思うのですけれどもね、放射能の問題については。ですから、やはり防衛年鑑に出ている高杉さんの発表というものは、これはやはり防衛庁としては責任を持ってもらわなければ困ると思うのですが、そこら辺が何かぼやぼやしてしまって、わけのわからぬような形では、防衛庁として非常なこれは問題だと思いますが、いかがですか。
  98. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 核の問題は、もちろんわが国としては科学技術庁と申しますか、そういう面で平和利用の面から研究はされていると思います。また、関係国、言いかえれば、原子力を利用している国々は、それぞれの立場で研究している。従って、それらのデータを集めて、あるそのときそのときの意見というものを、防衛庁の諸君が勉強の、また、依頼を受けたときに発表することは、私は当然であり、また、ものによってはいいことだと思います。ただ、それを受け取って解釈する場合に、ただいま御承知の通り、この席でも憲法上の理論の問題から発展して、具体的に当てはめたらどうか、私は具体的に当てはめることは非常に困難でございます。しかし、御引用もありましたから、そういうような論説であれば、それはある時点といいますか、ある研究の段階においてそういうことは言えるでありましょうが、将来にわたってこれが全面的に放射能は絶対に減らぬ、破壊力は減っても放射能は減らぬ、そういうような核理論でこれは全面的に割り切れるものではない。私は、核の科学の方もそれに関して進歩して参るのではないか、ですからこういうふうに申し上げたのであります。防衛年鑑は、確かに防衛庁自体が直接関係しておりませんけれども、そこに陸佐の肩書をもって発表していること自体には、勉強した成果であるし、全面的に。くどいようでございますが、御理解していただく意味で申し上げるのですが、ずっと将来憲法論から発展していってそうして具体的な適用になったときにでもこの理論が成り立つとも言い切れないんじゃないか、こういう趣旨で申し上げているのでございます。
  99. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今の長官のお話は別といたしまして、高杉さんの御発表になったものを何か御信用にならないような話が出たものですから、もしそうなら、はっきり数字で示してもらいたい。高杉さんのおっしゃることはそうあるか、その時点においてほんとうなのかどうなのか。あるいは先ほど海原さんのおっしゃった、何かえらく発展しているというお話ですが、これは高杉さんはそういう話だという話ですけれども、これは明確にしてもらわないと大へんな問題なんですから……。長官のお話は別ですよ。私の言っているのは、官房長なり、あるいは海原さんのおっしゃったようなことに納得できない点がありますから、はっきりしておいてもらいたい。
  100. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) ただいま長官おっしゃいましたけれども、高杉君は研修所の職員でございます。現在かわっておりますが、核の方の勉強もしております。ただ、私これを考えますのに、核に関するいろいろな資料というものは、現在は米、ソ、英、フランス、中共も最近やっているようでございますが、なかなか各国とも秘密にしております。いろいろな資料を秘密にしております。高杉君のも一つの研究であることは間違いありませんが、高杉君自身は、実際自分でそういうものについて知識を持っているはずはないのでありますから、いろいろな資料を勉強して、それをもとにしてそういうふうな結論を出したのだろうと思います。その資料のとり方等につきまして私どもよく検討いたしませんと、高杉君の理論が正しいかもしれませんけれども、今すぐに高杉君の意見に防衛庁として同意であるとか何とか言うことは困難であろうと申し上げたのでございます。
  101. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこで、このことだけお伺いするわけでないので、時間をだいぶとりますから次に移りますが、ただ、けじめだけはつけておかなければならぬと思うのです。長官としては、具体的な問題から憲法論になってきて云々で、なかなか簡単に解釈できない、そういう意味のことを今お話になったわけです。そこで、憲法論を離れて、また核兵器に比較いたしますと、爆圧とか発熱量については相当低下するけれども、事、放射線に関する限り、あまり低下しないという、これは一つの原則だと思うのです。こういう結論を出しておる。これはあらゆる角度から、また、あらゆるものを参考にして高杉さんが結論を出しているということ、これが今、鶴園委員からも指摘があったように、堂々と防衛庁の貴重な資料である防衛年鑑に掲載されておる。これが信頼できないようでは、われわれ防衛の論議もできないわけですから、そういうことでは、また、そういう無責任なことでは、はなはだ困るわけです。  そこで、ここでどうも結論を出し得ない、われわれもこういうことについての知識が足りないので、どうもここでは結論を出し得ないということであるならば、次回までに十分あるいは専門家に当たって検討して、そうして結論を出していただきたい。これを信頼していいのか、いけないのかということを結論を出していただかないと、次に進展しないと思うのです。従って、いやしくも防衛年鑑に出ている以上、これはみな信頼できるんだ。これは将来に向かって信頼できるものもあるし、さほど信頼するに足らないものもあるような、そういうものであっては意味がないと思うのです。また、国民を誤まらしめることになる。これこそ防衛庁の責任であろうと思う。従って、ここで即決して、その意見は正しいと言い得ないならば、また正しいと言い得ないということは、間違っているとも言い得ないのですね。そういう意味でしょう、ここで結論が出ないというのは。そこで、この点については十分検討を深めて、次回までにその点をお答えいただきたい。そういうことで次に進みたいと思いますが、その点を一つ責任を持ってお答えをいただきたいと思います。この点いかがですか。
  102. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 御存じの通り、原子力の開発と申しますか、これも戦後において急激に発展して参ったものでありまして、これは理論の問題として非常に高度の問題でざごいます。また同時に、これは別の例を引きますが、宇宙開発も似たような問題であります。これらを急速に、何が今正しいか、ある時点におきましては、一つのデータの集め方、その他によって、そういう高杉君のような理論も立つかもしれません。しかし、これも将来憲法論から実際具体化、適用される場合においての御議論でございますから、将来において核がどうなるかということを、今各国のデータを集めるのも、おそらくちょっと困難であろう。従って、あくまでも憲法の理論の問題で、実際の政治の問題としては、総理大臣初め、政府一体になって核装備はいたしません、こういう意味で、私はそれを理論の問題として、さらに科学技術上の将来にわたっての問題をはっきりここで裏づけをもってまた次回においてやれということは、私は困難ではないか、率直に申し上げましてこう考えております。理論上の問題として、憲法の解釈でも御答弁申し上げましたけれども、核の放射能力の問題について、将来にわたっての科学的データをわれわれが発表するということは、ことに防衛庁の場合におきましては核の開発をやっておるわけじゃございません。また、日本の核の開発よりは、もっと秘密裏に各国としてはやっておると思うのであります。これらを次回において立場を明らかにせいということは、ちょっと御答弁は困難でございます。こういうように御答弁申し上げますので、御了解をいただきたいと思います。
  103. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次へ進展しようと思うのですが、そうなると問題がまた残るわけですね。防衛年鑑をとにかく堂々と出しておって、その防衛年鑑の内容は、信頼されるものもあるし、信頼できないものもあるのだ、そういう結論になると思うのですね。だから、防衛上の知識を国民に普及するという意味もあるということは、最初長官も肯定しておるわけです。それでは国民は一体どうする。この点は正しかった、この点は間違っているという判断はつかない。事、防衛年鑑にあることは、みんなこれは正しいことだとわれわれは把握するわけです。そういう信頼するに足らない防衛年鑑を出すことは、かえって世間を誤まらせることになる。無益有害ということにもなろうと思う。その点どうしますか。
  104. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 研修所その他各幕の諸君が、自分の能力においてできるだけ正確なデータで発表すること自体は、私はけっこうなことだと思うのであります。ただ問題は、それを直ちに材料にして、将来にわたっての見通しまではっきり結論づけようということは、むしろ私はそのこと自体が無理ではないか。御存じの通り、宇宙開発とか核開発という問題は、人類が大問題にしておる。非常に科学的にもまだ前途複雑なものを持っておると思います、科学上におきましても。いわんや、ですから日本の科学技術庁におきましてさえも、いろいろな議論が出てくる段階であります。さらに各国ともこれに努力しておる国々は、膨大な組織と、非常な国家機密をもってやっておる段階でありますから、われわれとしてはデータを集めて、国会を通じて、現在の段階において黒だ白だと割り切ってしまう御答弁を求められても、それは困難だということを率直に御理解いただきたいと思うのであります。
  105. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 なかなかそういう程度の答弁では了解しがたいわけです。従って、了解できませんので、この点はさらに日をあらためて追及するとして、次へ入りたいと思います。  防衛庁のミサイル計画についてお伺いするわけですが、これはまあ二つの立場があろうと思う。一つは、外国で開発したものを、それを導入して装備するという装備の場合と、日本の防衛庁自体でこれを開発していく、こういうことになろうと思うのですが、大体大ざっぱな構想を承りたいと思う。ごく大ざっぱなものでけっこうです。
  106. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 事柄が細部にわたりますから、装備局長から御説明申し上げます。
  107. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 現在防衛庁の技術研究本部で研究いたしておりますのは、地対空、空対空、SAM、AAM、それから対戦車ミサイル、こういったものを研究いたしておるわけでございます。これは大体例をとりますれば、空対空等につきましても、大体サイドワインダー程度のものでありまして、それ以上のものになりますれば、大体アメリカから直接これを導入する、こういうような考え方で今進んでおるわけであります。
  108. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこで、以下、まず装備についてお伺いしたいと思うわけですが、装備にもいろいろ段階がございましょう。第一段階としては、例のもうすでに出発しておるのだと思いますが、三月の中旬に一個大隊をアメリカに向けて出発をさせて、これは二年間教育を受けて、三十八年の春には東京周辺に配置する、こういうことが衆議院の段階で明らかになったわけです。  そこで、お伺いしたいのは、そういうこまかいことはともかくとして、アメリカから帰るときに与えられるナイキについては、アジャックスを持ち帰るのかハーキュリースを持ち帰るのかということ、これは衆議院の段階では明らかでなかったわけです。これはどちらを持ち帰られる計画なのか、これはいずれにしても二年先のことですから、計画ということになると思いますが、構想はどうですか。
  109. 海原治

    政府委員(海原治君) 米国から、教育終了後この部隊が持って帰ることを予定しておりますナイキはアジャックスでございます。このことは衆議院の内閣委員会におきましても政府側から答弁いたしております。ただ発射基は、そのときも申し上げましたように、アジャックス専用というものは現在ございませんので、ハーキュリースとアジャックスと両用に使えますユニバーサル型というものを持って帰る。これはそういうものしかないので、これを選ばざるを得ない。しかし、たまそのものはアジャックスである、こういうふうに御説明申し上げます。
  110. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこで、なおお伺いいたしますが、この発射基ですね、アジャックス専用の発射基は、もうアメリカにないのですか。
  111. 海原治

    政府委員(海原治君) そのように承知いたしております。
  112. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 このアジャックス専用の発射基については、アメリカでも現在生産を中止しておる。だからアジャックスとハーキュリース兼用の、先ほど言ったユニバーサル型を持って帰るということであろうと思うのですが、そこでお伺いいたしますが、ユニバーサル型になると、今も出たように、核、非核兼用になるわけですね。兼用になって、防衛庁の将来の計画には大へん都合がいいわけですね。このユニバーサル型は兼用という立場から、これはアジャックスに使うのだということになれば、これは非核だからあまり問題にならない。しかし、これは将来計画が進めばハーキュリースも使用できるわけですから、防衛庁の立場上は、低姿勢で将来着々としてミサイル化を進展する上には大へんいいものができたと思うわけですが、これについてお伺いするわけですが、これは一体どの程度持ち帰るのか、こういう、ものについて、大体一個大隊についてどの程度持ち帰るのか、こういうことをまずお伺いいたしたい。
  113. 海原治

    政府委員(海原治君) どの程度という御質問でございますが、一個大隊は、通常指揮中隊一個中隊、それから発射中隊四個中隊、この五個中隊編成でございます。各中隊は、それぞれ発射基の数は、通常一個中隊は十二基でございますが、日本へ持って帰りますものは、一応一個中隊九基として、たまは全部で百発、こういうことを予定しております。
  114. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 さらに第二段階としては、四十年までの第二次防衛計画でこの部隊を三大隊さらに増強して、関西とか名古屋、北九州、こういう工業地帯に配置する構想を立てているというふうに聞いているわけですが、この部隊は一体いつごろアメリカへ派遣されるのか、そうしてその後の計画は一体どうなのか、具体的にお伺いしたい。
  115. 海原治

    政府委員(海原治君) ナイキの第一大隊要員は、その先発要員がここ数日中に出発いたします。これは五、六名でございます。自後若干の日にちを置きましてから後発隊が渡米いたしまして、約二年、具体的にはあるいは一年半程度の教育期間になろうと思いますが、この教育を終えまして帰って参ります。そのときに先ほど申し上げましたような装備を持ち帰ってくるわけです。自後のナイキ大隊の編成につきましては、現在いわゆる第二次防衛力整備計画の一つの事業といたしまして、どの程度のものを装備するかを現在検討中でございます。私限りの一応の予想を申し上げますと、おそらくはもう一個大隊程度が四十一年までの間におきまして教育を受けるために米国に行く、こういうことに相なろうかと、このように考えております。従いまして、この第二大隊の配置等につきましては、まだ決定いたしておりません。
  116. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 さらにこのナイキの性能について、アジャックスとハーキュリースについて、長さとか、あるいは重量、射程、こういうものの要点だけをお聞かせ願いたい。
  117. 海原治

    政府委員(海原治君) アジャックス型は、射程が最大五十六キロ、速度は一・九マッハ、全備重量といたしまして千三十キロ、全長一〇・六メートル、直径は〇・三〇四メートル、誘導方式はコマンド、核装備は不可能、上昇限度は一応六万キロ、これに対しまして、ハーキュリースは射程が最大百二十キロ、速度は二・九ないし三マッハ、全備重量四千五百キロでございます。全長が一二・六メートル、直径は〇・七六メートル、誘導方式はコマンド、核装備は可能、可能と申しますと、ハーキュリース型におきましては、通常弾頭、核弾頭、この両方を併用いたします。その方法といたしましては、単機の目標に対しましては通常の弾頭を使う。編隊部門に対しましては核弾頭を使う、こういうふうな用法になっていると私どもは承知しております。
  118. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 このナイキについては高室用の防空ミサイルであるので、それだけでは用が足りない。低空用のものを装備しなければならない。そういう意味合いでホークをナイキと相並んで装備の日程にのせておるように聞いているわけですが、このホークの導入について、その計画のごく概要でけっこうですが、どういう構想で準備しておられるか、これを承りたいと思います。
  119. 海原治

    政府委員(海原治君) ホークの部隊につきましては、これもやはり二次計画の一つの事業でございますが、一応私どもの現在考えておりますところでは、おおむね二個大隊程度米国より供与を受けまして陸上自衛隊において編成したい、このように考えております。しかし、まだ最終的に決定いたしておりませんし、その配置場所等も、まだ現在検討中の段階でございます。
  120. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 このホークの性能についても、先ほどあったような個所についての各面をお聞かせ願いたいと思いますが、ここでさらにお伺いしたいのは、スーパー・ホークというのもあるように聞いておるのですが、このホークとスーパー・ホークについての性能をお聞かせ願いたい。
  121. 海原治

    政府委員(海原治君) 今先生おっしゃいましたスーパー・ホークというものにつきましては、私実は存じておりません。あるいは現在持っておりますところのホークをさらに改良さしたのをスーパー・ホークという形で言うておるのかもしれませんが、ただいま手元にその資料を持ち合わしておりませんので、従来のホークと考えられておりますものについて申し上げます。  その性能は、射程が最大三十五キロ、射高といたしましては一応十キロ、速度は二・八マッハ、全備重量五百七十キロ、全長四・一八メーター、直径は〇・三五六メーター、こういうのがその諸元でございます。
  122. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 このホークには核弾頭はつけられるのですかつけられないのですか。
  123. 海原治

    政府委員(海原治君) 核弾頭はつけられないものと承知いたしております。
  124. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 つけられない。ところが、防衛局長はつけられないとおっしゃるし、官房長は二月七日の衆議院の内閣委員会でこういうふうに答えておるわけです。防衛庁が三十九年に四大隊を設けようとしている低空用対空ミサイルホークには、核弾頭の装備は可能である。全然真反対のことを答弁されておるのですが、これは先ほどの防衛年鑑と同じように、どちらを信じていいかわからない。そこで、官房長にお伺いしますが、二月七日にあなたは衆議院の内閣委員会で答弁されたところによると、装備が可能であるとお答えになっておるわけですが、これは間違いございませんか。
  125. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) これは速記録をお読みいただくとわかると思いますが、私の答弁は、ホークについては通常弾頭であると承知しておるわけです。ただしかし、ある刊行物によりますると、通常弾頭のほかに、スぺシャル・ウォー・ヘッドもつくということも書いてある。特別の弾頭がつくということも書いてある。このスペシャル・ウォー・ヘッドが何であるかということについては、正確に知っていない。部内では、これは核弾頭ではないかという意見を持っている者もいるということをお答えしたのが正確でございます。
  126. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうしますと、そういう特殊なものをつけることによって核装備することは可能である、こういうふうに解釈していいわけですか。
  127. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) 今私が申しあげましたのが正確なのでございまして、通常弾頭であるが、しかし、ある刊行物によりますると、スペシャル・ウォー・ヘッドがつくということを書いたものもある。このスペシャル・ウォー・ヘッドが何であるかということについて、いろいろわれわれの方では検討しておりまするが、ただ、中には、これは核のことではないかという意見を持っておる者もおるというふうに答えたわけでございます。
  128. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうしますと、これは二月の七日の衆議院の内閣委員会で答弁されておって、それからもう相当三カ月もたっておるわけですね。防衛庁にも相当専門家がおるだろうし、日本の国内にも相当の権威者もおるだろうし、そういうことについて、まだ断定的な検討は進んでいないわけですか。
  129. 加藤陽三

    政府委員(加藤陽三君) ホークの問題につきましてのその後の検討は、防衛局でやっておるように思います。
  130. 海原治

    政府委員(海原治君) ホークにつきましては、現在防衛庁といたしまして、まだ一切の情報というものを手元に持ち合わしておりません。米軍に対しまして、詳細なデータというものを与えてくれるように、現在連絡中の段階でございます。
  131. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 なお、防衛庁としては、NATOの連合軍が非核弾頭のナイキ・アジャックスからハーキュリースに切りかえようとしてこれを進めている。それからハワイにおいても沖繩においても、みな非核のアジャックスからハーキュリースに進展している。そういうようなことで、日本でもナイキ・ハーキュリースとかホークといったようなものをぜひ装備したいという、装備する必要があるのだという考えが防衛庁幹部にはあろうかと思います。そういうのは全然そんな考えは持っていないのか、そんな考えを持っているのか、そこのところを明らかにしていただきたいと思います。
  132. 海原治

    政府委員(海原治君) その点につきましては、先般の衆議院の予算委員会の分科会でも御答弁申し上げましたように、ハーキュリースそのものは、先ほど申し上げましたように、直ちにそれが核弾頭であるというものではございません。両用でございますが、しかも、その普通弾頭につきましては、先ほど申し上げたように、アジャックスよりはるかに性能のいいものでございます。従いまして、その性能の点だけを比べますと、より進歩したハーキュリースを持ちたいという気持になろうかと思いますが、私どもはあくまでも誤解をおそれまして、あえてと申しますか、アジャックスを持ち帰ることにしたというふうにお答えいたしたわけであります。  なお、先生のおっしゃいましたNATOその他現在ハーキュリースに切りかえ中であるということは、いささか私どもの承知している事実と違っておりまして、現在イタリー、デーンマーク、ノルウェー、フランス、ベルギー、オランダ、西独、トルコ、ギリシャ等は、全部これはナイキのハーキュリースで装備されております。
  133. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 以上のようなもので防空体制を固めようとするのが防衛庁の現在の装備計画であるというふうに解釈できるわけですが、このほかにも今年中に入ってくる、すでに前から入っているサイドワインダーとか、あるいはターターというものについても、着着装備を進めようとしているわけなのでありますが、このサイドワインダーについては前にもあった問題ですからわかっておりますが、このターターについてはどういうふうにお考えですか、防衛庁としては。
  134. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) ターターにつきましては、現在契約を結んでおりまして、半額は米側が負担するということで、大体二十億程度で購入契約を結んだのであります。ただ、それを積みますところの船につきましては、現在アメリカ等のいろいろのデータを研究いたしておりまして、その結果に基づきまして実際の建造に着手する予定にいたしておりますが、まだ最終的な結論に達しておりません。
  135. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 このターターは駆逐艦につけて使用するということでありますが、日本の駆逐艦は二千六百トン、アメリカの場合にはチャールズ、アダムス級の船が三千三百五十トンということで、日本の駆逐艦はあまりにも小さい。このままの予定ではトン数が足りないからつけにくいのじゃないかという論議をみたことがあるのですが、いかがですか。現在の二千六百トンぐらいで十分足りるのか、アメリカのチャールズ、アダムス級の三千三百五十トンぐらいなければいけないのか、もしこういうことであれば計画を変えなければならないが、こういう点について一つお聞きしたい。
  136. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 大体現在のところ二千六百トン、あるいは少しは超過するかもしれませんが、二千六、七百トン程度で間に合うのじゃないかというような、先ほど申しましたように、まだ結論に達しておりませんが、そういった技術的の検討の段階でございます。
  137. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこで、この面に使う駆逐艦ですが、伺っておきたいと思うのですが、この価格はどのくらいですか、三十億くらいでいいですか。
  138. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 今ちょっと正確な資料を持ち合わせておりませんが、大体三十億見当だと思います。正確な資料を至急調べまして、あらためて御回答申し上げます。
  139. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 大体装備についてはそのような点であろうと思うので、次に、開発についてお伺いいたしますが、ことしの三月十日ごろ滋賀県の饗庭野の演習場で実験したという対戦車ミサイルのマットですか、これとスイス製のエリコンを土台にして、防衛庁のいわゆる技研が開発したといわれるTLRM2型、これはもう完成しておると思うのですが、これの性能とか、現在保有の数量、こういう点について具体的にお聞かせ願いたいと思う。
  140. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) TLRM2これは射程が大体二十キロでありまして、全備重量が七百三十キロ、全長六・二メーター、直径が〇・四二メーター、大体こういうことになっておりまして、まだ最終的な量産の段階にはなっておりませんで、実用試験の段階にあるような程度であります。
  141. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これを新島に基地を作って、そこで実験したいということであったろうと思いますが、新島も反対情勢が強くして、いまだに試射については実験不能になっておるわけです。従って、今後の見通し等については、一体どういうふうに考えておられるか、それから、また現在技研が手持ちしているのはどのくらい持っておるのか、こういうことについてお伺いしたいと思います。
  142. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) 新島の試射場の見通しについては、私から御報告申し上げます。  御承知のように、昨年来、試射場の設置につきまして反対派の中から相当の異論がございまして、ことにいろいろな各種の団体のオルグが新島に行って、そして地元の反対派と一緒になって反対運動を展開するという事情があったわけでございます。しかし、その反対の内容を検討してみますというと、かなり防衛庁に対する誤解と申しますか、あそこを自衛隊は基地にするのではないかというような誤解、あるいはあそこで原爆を実験するとか、あるいは非常に危険な発射物を発射して、あるいは海流、潮流を汚染するのではないかとか、いろいろな誤解がありまして、その点の誤解を解明するように努めて参った次第でございます。最近におきましては、新島の試射場の予定地に通じます道路、村道でございますが、これを拡幅いたしまして、いろいろな建設用資材等の運搬ができるように村の方にお願いいたしまして、現在その道路の拡幅工事の最中でございます。  今後の見通しにつきましては、まあここで予想して申し上げるという関係上、はっきりしたことを申し上げることは、あるいは不可能かと思いますが、防衛庁といたしましては、今までの工事が順調にいっております点もございまして、今後の試射場の設置の工事につきましても、できるだけ反対しておる方々とも懇談をし、納得をしてもらいまして、ある程度の誤解が解ければ円満に工事が完成するのではないかという見通しを立てております。
  143. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 反対しておるのは、多くは誤解からきておるというような意味のことをおっしゃいましたが、これは誤解でなくして、現在はこの程度のものであっても、将来積み重ね方式で、だんだん無核から核へと進展する一連の動きに対して、地元の人も平和運動の推進力として強く反対しておると思うので、そんな甘い観測をされたら大間違いだと思うのですが、今このことを追及するのが主題でありませんので、この問題について、TLRM2型の一応の完成は見たが、さらにこれに引き続いて、三十八年ごろまでにはナイキ・アジャックスの程度のものまで開発したいという構想を持っておる、そういうことでありますが、この点いかがですか。
  144. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) ただいまのところ、ナイキ・アジャックス程度のものまで技術研究本部で研究するという考えは持っておりません。
  145. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それから、先ほど出たサイドワインダーとかターター、こういうものについても国産化ということを考えておるのではなかろうかと、そういうふうに考えられるわけですが、この点はいかがですか。
  146. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) これはナイキ等につきましては、国産化はなかなかむずかしい問題があるかと思います。ただ、整備等につきまして、やはり国内に業者がいることが望ましいわけでありまして、そういう点から、ある程度の整備能力は持つ必要があるのではないか、かように考えております。サイドワインダーにつきましては、これは二次計画がきまりまして、大体二次計画中にどの程度数量を購入する必要があるかということによって、日本で国産しまして経済的にいくかどうかをきめたいと思っておるわけであります。もちろん、これにつきましてはいろいろライセンスの問題等もありまして、簡単には参らないとは思いますが、現在のところ、さような状況でございます。
  147. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 このような国産化の推進力になっておるのは、結局陸幕を中心とした自衛隊の近代化をはかろうとするそういう勢力と、それから先ほど来出ておる防衛庁の技術研究所、開発研究所、さらには業者、まあこういう三位一体となって今後ミサイル化の推進が進められると思うのですが、このことに関連して、けさの新聞でも、防衛装備の国産化懇談会、こういうものが昨日ですか、第一回の初会合を持たれたというようなこと、これはこのことと一連の関連があろうと思うのですが、こういう構想について、これは長官はどのようにお考えになっておるか。この関係について、今後のまた運営についてお伺いしたい。
  148. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 兵器の開発と申しますか、防衛装備、艦船、飛行機あるいはその他の防空装備、言いかえますと、ミサイル等、国力に応じてこれが漸次国産化されることは喜ばしいことだと私は考えております。従って、今後もあの昨日発会いたしました産業団体あるいは関係者が、国力、国情に応じ、言いかえますれば、日本の技術を高め、同時に、また日本の資本力なりその他を考え合わせて、着実に国産化を推進してくれることは、私はありがたいことだと思うのでございます。
  149. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、防衛庁のミサイルの開発、あるいは装備、こういうことに関連して、もしこの防衛二法が、かりに通るとすると、十三個師団編成がえになるわけですが、そこで、陸上部隊のペントミック化ということが当然考えられるのですが、こういう構想については長官としてはどうお考えになっておりますか。
  150. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) アメリカでは、一つのペントミック師団という意味で、小型化をはかっていることは事実でございますが、わが国の陸上自衛隊といたしましては、むしろそれよりは、従来警察予備隊として管区制度で発達して参りました比較的大きな単位のものを、日本の地形あるいは国力国情等に合わせまして効率をあげる、また、独立戦闘隊としての戦闘力を発揮させる、こういう趣旨でございまして、アメリカのように、そこに原子核の一つの核装備の中心を置いてということは毛頭考えておらないわけでございます。長い間の自衛隊における運用経験、これに基づいてわが国情に合わした効率発揮という点が中心でございます。
  151. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、方向を変えまして、滑走路に関連してお伺いしますが、これは私が申し上げるまでもなく、航空自衛隊の次期主力戦闘機F104J、この問題が論議されたさなかに、滑走路の距離が非常に問題になったわけです。ところが、先般の調査団の報告によると、当初に予定した二千四百メートルよりはるか長いものでなければ用が足りない、こういう全貌が明らかになったと思うのですが、これはまた非常に問題だと思うのですが、あのときグラマンだロッキードだということで、ロッキードでは滑走路が短いのではないかということに対して、源田空幕長も、そうして当時の赤城長官も、繰り返し繰り返し二千四百メートル、いわゆる八千フィート程度で十分だということを繰り返し答弁しておる。その当時のことが議事録にも歴然と載っているわけです。これはきわめて不可解な問題だと思うのですが、こういう点どういうふうにお考えになっておりますか。
  152. 海原治

    政府委員(海原治君) F104のための滑走路の長さにつきましては、今先生のおっしゃいましたように、二千四百メートルということで間に合うということで、その点につきましては、現在も考え方は変わっておりません。ただ、先般いろいろな飛行機の事故に近いようなケースもございます。たとえば日航が羽田で不時着いたしましたようなことも考えあわせますというと、不慮の場合に備えまして、もしもいろいろな条件が許しますならば、なるべく滑走路というものは長い方がいい。これはやはり当時におきましても、国会でそのように長官、空幕長からお願い申し上げております。従いまして、計画上の数字といたしましては、一応二千四百メートル程度で問に合うわけでございますが、オーバー・ランその他の形におきまして、もしも延長が可能な場合には、何分にも貴重な人命、かつは高価な飛行機のことでございますので、安全の上にも安全をとって、なるべく長い滑走路場をとれる場合にはとりたい、こういうふうに考えております。
  153. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これはグラマンだロッキードだという、そういう論議のさなかにも、滑走路は長ければ長いほどいいのだ、だがしかしだ、だがしかし、八千フィート、二千四百メートル程度で十分だということを、その当時の責任者の長官も空幕長も、はっきりと繰り返し答弁されておるわけです。その後長くないとどうも人命にもかかわるし、大体滑走路というのは長ければ長いほどいいのだということは、その後出てきた事態ではない。その当時もうすでに論議が繰り返されたわけです。そういう論議の中で、結論的にきっぱりと赤城長官も源田空幕長も断言されておるわけです。二千四百メートル以内で十分だ、八千フィートで十分だということを繰り返し答弁されてきたわけです。それを今になって、もうロッキードにきまってしまってからそのあとで、今度はもうこの辺で本音を出してもいいだろうということで、実は滑走路はもっと長くないと困るのだと、そういうことになろうと思う。これはもう不可解千万です。これは非常に責任問題だと思うのですが、通り一ぺんの答弁で済まされるような事柄ではないと思うのです。長官、いかがですか。
  154. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私も、前長官なり、ロッキード、グラマンの時代にその答弁はよく存じております。もちろん私どもは計画として二千四百メートル、八千フィートでございますかの計画でいくわけでありますが、ただ、御存じのように、より以上の安全度を考えて、たとえばもちろんこれは相当に訓練した人間が乗るにしましても、やはりもし地元が許される場合においては、多少なりともさらに安全の道を開けるということが考えられれば、それよりこしたことはないのじゃないか、こういう意味で防衛局長もお答えし、また、私も同様に考えております。八千フィートで足りる、ただし、より以上また念には念を入れて安全を高める意味において、地元の御納得等が得られて、あるいはというような場合においては、少しでも余分に滑走路を持っていることもよいじゃないか、こういう考えでございます。
  155. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 先ほども申し上げたように、グラマンだロッキードだというその論議の過程の中で、それでは短いだろう、現在日本にあるものでは不十分だ、どうしてももっと長くしなければならぬのではないかということに対して、長ければ長いほど安全じゃないかということに対して、そういうことを総括的に断定を下しておりました。八千フィートあれば十分だという結論がそこから出されて答弁されたわけです。これはもういろいろ今長官の言われたようなことは、その当時何回も繰り返し出された。それではあぶなくないか、人命にかかわるではないか、滑走路というものは長ければ長いほどよろしいのだ、そういう論議の中から、最終的に、いや、そういうことは十分考えて、なおかつ八千フィート、二千四百メートル以下で、その程度で十分だと、そういう結論が繰り返し出され、答弁が繰り返しなされておる。ところが、最近になって二千七百ないし三千メートルないとどうもあぶない、どうもその程度は必要だという議論に変わってきたわけです。これは何と答弁されましょうとも、この当時、長官の言われたようなことは言い尽されてきた。その結論として、いや、八千フィート、二千四百程度で十分だという結論が出ている。その後に、もうすっかりロッキードも生産に入っておる、そういう事態の後に、今になって二千七百以上三千メートルないとどうもあぶない、どうも拡張の必要があるんだということでは話の筋が通らんと思うのですが、この点いま一度御答弁をいただきたいと思います。
  156. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私は、一応国会の当時の状況も存じております。ですから、八千フィートと申しますか、二千四百で一応やれるのだが、ただ、問題は人間のことでございます。また、実際問題として、訓練を経た者がそれを使うのでありましても、さらにさらに安全度を考えていった場合、地元が納得する場合、多少なりとも余裕があればいいという意味から、二千四百を少しこえていろいろ将来考えることもまたいいのではないか、こういう意味でございます。基本はやはり二千四百、八千フィートで一応やれるという趣旨は変えていないつもりでございます。
  157. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 その当時は、繰り返すように、源田空幕長も赤城長官も、それでは短いだろう、不安定だろう、人命尊重という立場から、もっと長くする必要があるんではないか、こういうことは繰り返しわれわれで追及したわけです。しかし、最終的には二千四百メートル、八千フィート程度で十分だということで答弁が繰り返されてきたわけです。その安全の上にも安全ということを考えて滑走路については結論を出すべきではないかということに対して、その程度で十分だという結論になったわけです。おかしいじゃないですか。そうして、もうロッキードについても、すっかり製作工程が進んでいるんです。今になって滑走路が実は短い、これは人命の尊重さるべきことは、その当時も論議の中心になったわけです。安全にも安全を加えてということは論議を尽して、そうして最終的に、これで十分だという結論になったわけです。その当時はあまり安全ということは考えられないで、しかし、それは手落ちであった、安全を十分考えなければいかぬ、そういうことで拡張の必要論が出てきたわけじゃない。その当時安全論は、もう言い尽されてきておるわけです。おかしいじゃないですか。もうロッキードにきまって、もうどんどん製作の工程が進んでいる。そういう状態の中で、あらためてよく調べると、滑走路がどうも短い、不安定だ、さらに延ばす必要があるんだ、どうも筋が通らん。今、長官の言われたようなことは、その当時もう論議も繰り返し繰り返し尽されておるにもかかわらず、それで十分だというその当時の長官並びに源田空幕長の答弁であったわけです。それが今になってどうも短いのだということでは、これは防衛庁としても無責任きわまると思うのです。どうも納得しかねるわけです。この点について納得できるように御答弁いただきたいと思う。
  158. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 当時源田室将が自分で実際試乗をし、そして帰って来まして、国会での御質問でも、二千四百で間に合うと、確かにその通りでございます。ただ、御存じの通り、これからも訓練を積みます。また、訓練の優秀な者がこれを扱うでありましょう。しかしながら、私どもはそれにさらにプラス・アルファができるならば、それはさらにベターではないか、こういう趣旨で御説明申し上げ、基本は二千四百からいくべきでありますけれども、ただ、より以上ベターであるということは、より安全度が高いということはいいのではないか、私はこういうふうに考えております。
  159. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 今になって二千七百ないし三千メートルないとどうも困る、ぜひその程度必要だということになると、日本で今二千七百メートル以上滑走路があるのは一つしかないわけです。あとどうなる。結局千歳とか松島、小牧、まあ浜松もこれに近いですが、これはまあ大体八千フィート程度の滑走路だと思うのですが、二千七百以上というと、もう千歳しかないのでしょう、おそらくそうでしょう。その点はどうですか。
  160. 海原治

    政府委員(海原治君) 各飛行場につきまして一応申し上げますと、現在二千七百四十メートルの滑走路を持っておりますのは、千歳、小牧でございます。さらに二千四百メートルの滑走路は、九州の新田原、浜松、松島、それから小松というのが一応の二千四百の滑走路になっております。
  161. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこで、F104Jの第一号機は、五月末にはアメリカで完成して飛行試験を行なうと、そういうように聞いておりますが、そして本年十二月には解体して日本へ送られる、そして来年三月には防衛庁に納入される、こういう工程のようにその当時承ったわけですが、これは間違いないですか。
  162. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) アメリカでできますのは、大体飛行試験といいますのは七月でございます。日本で最初に、ノック・ダウンと申しまして、アメリカで作りましたのを組み立てるのでございますが、これが来年の三月に完了する予定でございます。
  163. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうすると、こういう年次計画に従って、次々にこれが入ってくるわけですが、もしこれも間違ったら訂正願いたいのですが、三十七年度末には四十四機、三十八年度末は八十五機、三十九年度末七十機、この数字について間違いがあれば訂正いただくとして、こういうふうに年次計画で次々に入って各飛行隊に配属になるわけですが、現在のこういう滑走路では試験飛行もできないというような実情——千歳、小牧くらいで、あとはもうどうしても拡張しなければならぬ。こういう拡張の計画もあるでしょうが、なかなかこの拡張となると、今簡単にはできないと思うのです、現実の問題として。一体どういうふうに考えておられるか。現実に年次計画に従って次々に入ってくるけです。滑走路は大体どうやら間に合うのは千歳、小牧、あとは飛行機がきても滑走路が短いのでどうにもならぬ、そういう実態だろうと思う。この点をどういうふうに一体考えて、どう措置されようとするのか、この面の計画を。
  164. 海原治

    政府委員(海原治君) F104の部隊が具体的に編成されて参りますのは三十七年度以降でございます。先ほどから滑走路の長さが問題になっておりますが、二千四百あれば間に合うということにつきましては、従来とも防衛庁の意思は変わっておりません。その上に、さらに先ほどから長官も答弁されましたように、安全の上にもさらに安全を重ねてという立場から、条件の許します所は、まず予算の許します限りにおきましては、その長さを長くしておきたいのですが、こういうのが私どもの希望でございます。そのような飛行場は、今申しましたように、相当数ございます。これにつきましては、ほかのF86F、F86D等の部隊の配置の問題もございますので年次別にどのように飛行場に配置すべきかということは、年次計画の中の作業といたしまして検討いたしております。まだ結論は出ておりません。
  165. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) F104の生産機数の生産計画でありますが、三十六年度、これは三十七年の三月でありますが、一機、三十七年度、これが四十四機、三十八年度八十五機、三十九年度、これは四十年の一月が最終になりますが、七十機、合計二百機、こういうような計画をいたしております。  なお、さっきの艦艇の正確なあれを申し述べませんでしたけれども、大体三十億と申しましたが、予算では二十九億六千万円となっております。
  166. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これは重ねてお伺いいたしますが、防衛庁としては二千四百メートル程度あればいいのだ、その当時の考えと何ら変わってない、そういうことで押し切ろうとしている気配が見えるのですが、しかし、先般帰国した調査団の報告によると、二千七百ないし三千ないとだめだ、どうしても二千七百ないし三千は必要だということを報告しておるわけです。にもかかわらず、依然としてどうもあいまいもことして、その当時の考えには変わりないんだ、その当時の程度でいいんだ、ただ念には念を入れていくということで拡張を考えておる、これはまあ実に言いのがれもはなはだしいと思う。先般帰国した調査団の報告では、二千七百ないし三千は必要だということを報告しておると思う。それはその後の事態で十分検討に検討を重ねてそういう長さを報告しておるわけです。これは動かせないと思う。そうだとすると、その当時の答弁と大いに食い違っておる。しかも、二千七百ないし三千ということになると、日本の飛行場ではあまり間に合う所がない、こういう問題が出てくるわけです。ただ、二千四百程度で大丈夫だ、そういう考え方は間違いないのだ、その当時と少しも変わらないということを、先ほどから聞いておると、言い続けておる。調査団の報告はそういうことじゃないでしょう。二千七百以上三千ないとだめだ、ぜひ必要だということを報告しておる、おかしいじゃないですか。
  167. 海原治

    政府委員(海原治君) 今、先生のおっしゃっておられます調査団が最近帰国してというお言葉でございますが、私の知る限りにおきましては、源田空幕長がおいでになりまして以来、そのための調査団をアメリカに派遣した事実はないと記憶しております。何か、ある新聞にそのような記事が出ておったことは覚えておりますが、全然そういう調査団が最近帰国して云々ということは、事実と違っておると私は考えております。
  168. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 まあ大げさに調査団などという文字を使ったから、そういう調査団など派遣した覚えがないと、そう言われると思いますが、防衛庁関係で、その後全然こういうことに関して調査報告した事実はないんですか、その後一度も。まあ調査団という名のもとにそういう調査をしてきたということはないとしても、実質そういう事実はないのですか、全然。
  169. 海原治

    政府委員(海原治君) 私どもの承知しております限り、そういう事実はございません。
  170. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これはどうも合点がいかないので、これは次回の問題として、私の方もさらにこの点を調べてみて、重ねて必要あればお伺いすることにいたしますが、いずれにしても、この程度の滑走路では不十分だということにはなろうと思う。人命尊重という立場から、その当時もそういう論議が尽くされて、その結論として、にもかかわらず、二千四百程度で十分だ、八千フィートで大丈夫だということであったわけですが、しかし、それではどうも一まつの不安があるから、さらに念には念を入れて今度滑走路を拡張したいのだ。十分であるなら、何ら拡張する必要がない。しかも、拡張ということになると、なかなかもって、口には言うべくして非常に不可能な厚い壁があるわけであります。土地のいわゆる入手、土地をまず手に入れることにも非常に困難がありましょうが、予算の上にも大いに困難がある。しかも、全国にほうはいとして起きておる基地反対闘争、これがだんだん広まりつつある。こういう事態からして、なかなか簡単には滑走路の拡張などとは、口には言えても、実際問題としては不可能だと思う。そういう前提に立って考えた場合、どうも二千四百程度では不十分だから、念には念を入れて拡張したいのだということをそのまま受け取りますと、それでは現在のままでは念には念が入っていないということになるわけですね。そこで、人命尊重という立場からのわれわれの立場としては、念には念を入れなければならぬと思う、大事な人命にかかわる問題だから。そういうことになると、結局滑走路を拡張しなければ、念には念を入れた人命尊重ということはできないということになる。しかも、だんだん年次計画で次々にF104Jが入ってくる。こういう状態の中でなかなか滑走路の拡張も進まないということになると、何らかそこに次々に問題がわだかまってくるわけです。この点はいかがですか。
  171. 海原治

    政府委員(海原治君) 先ほど来お答え申し上げておりますように、二千四百程度で問に合うということは、その通り事実に相違ございません。従いまして、これが二千七百にならなければ部隊が配置できないというものでもございません。しかし、先ほど来申し上げましたように、私どもはやはり慎重の上にも慎重であって、尊い人命なり、高価な機体なりの安全を保護するための施策というものは、これはほかの条件が許すならば考えてよかろうというふうに考えております。従いまして、関係の当局も努力すると申しますか、地元の方々の御理解をいただきまして、そのような私どもの希望いたしますような、できるだけいい条件におきまして、現実に第一線の部隊が編成されていく、このようになることを希望し、また、努力いたしたい、このように考えております。
  172. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 なお、この滑走路については、プロペラ機については大体千五百、F86F、この程度では二千、そうしてロッキードなら三千必要だ、こういうような構想で防衛庁としては今後滑走路の拡張を計画しておる、また、計画しようとしておるのではなかろうかと思う。この点はいかがですか。何か目標があろうと思う、拡張するためには。そこで、今私が申し上げたような構想でやろうとするのか、いや、そんなものではないという別に計画があれば、それを承りたい。
  173. 海原治

    政府委員(海原治君) F104につきまして、先生は三千という数字をおっしゃいましたが、私どもといたしましては、もちろん長ければ長いほどいいには違いございませんが、予算、経費の効率的使用ということを考えますというと、一応二千四百のところを二千七百程度まで延ばせることができたら延ばしたらよかろうということで考えております。
  174. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 なお、プロペラ機、ジェット機の、一応のこれなら完全に大丈夫だという目標はどのくらいですか。
  175. 木村秀弘

    政府委員木村秀弘君) 従来の考え方としましては、プロペラ機につきましては千二百ないし千五百メートルでございます。それからF86F、F86Dつきましては、二千四百というのが大体従来の考え方でございます。
  176. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記やめて。   〔速記中止〕
  177. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記つけて。
  178. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、問題を改めてお伺いいたしますが、自衛隊の現況と問題点ということについて、これは本年三月二十三日に、第三回の国防会議の議員懇談会において、防衛局長が要旨について説明をしておるわけです。これを拝見いたしますと、まず自衛隊の問題点の一つは、自衛力の厚みの欠如、こういう点をあげておられるわけです。第一次の防衛力整備計画では、骨幹兵力の整備を目標としており、自衛力に厚みがないということを言っておる。すなわち、人的にも物的にも厚みがないということをここであげておるわけです。そこで、有事の際に、人的予備兵力としては、いわゆる予備自衛官、これは一万五千だと思いますが、一万五千の予備自衛官に依存し得るのみであるということ。物的予備兵力としては弾薬とか燃料、こういう備蓄もきわめて少ない、こういう点を一つまず第一にあげておるわけです。そこで、この問題に関連してお伺いいたしますが、まず弾薬について、いろいろ大口径、中口径、小口径と分別はされるにしても、ごく概算で、現在ただいまどの程度のストックがあるのか、こういう点をまず伺っておきたいと思います。
  179. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) 現在弾薬で保有いたしておりますのが、小口径で八千二百十五トン、中口径が一万五千百五十九トン、大口径が七万三千百六十トン、その他七千九百八十四トン、合計十万四千五百十八トンであります。
  180. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この程度のストックでどの程度有事の際に戦い得るのか、どのくらいの持久力があるのか、おおよそのところ。
  181. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) この数字でもわかりますように、小口径が非常にストック状況が乏しいのでありまして、その他の大口径等につきましては、相当の備蓄を持っておるわけでございますが、小口径につきましては、現在のところ、有事の備蓄というところまでいっておりません。
  182. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に燃料について、これは陸、海、空と、それぞれ用途が違うわけですが、このストックについてはどの程度現在あるのか。これは大別でいいです、陸、海、空別で。
  183. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) これは陸、海、空別にちょっとわかりませんが、燃料別に一応申し上げますと、ガソリンが一万四千八百キロリットル、それから特殊の航空ガソリンでありますが、これが約八万八千六百キロリットル、それから軽油が四万五千八百キロリットル、重油が七千四百六十キロリットル、そのほかにボイラー重油が約十一万キロリットル、合計約二十六万七千キロリットル程度の備蓄であります。
  184. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 その程度のストックで、一朝有事の際どのくらい長持ちするのですか。
  185. 塚本敏夫

    政府委員(塚本敏夫君) この程度の備蓄では、重油等は相当の備蓄になっておりますが、ガソリン等につきましては、これはほとんどランニング・ストック程度のものでありまして、戦時備蓄という段階には至っておりません。
  186. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 第二の問題点として、装備品のいわゆる旧式化ということをあげているわけです。まあ要点は、装備品は主としてアメリカからの供与品で、大半は第二次大戦型のものであり、旧型兵器であるため、その更新と近代化が必要である、まあこういうことで、結局装備品の旧式化を何とかしなければならぬということになるわけですが、そこでお伺いいたしますが、この大半はどうしても更新、近代化しなければならない、こういうことになりますと、これは相当のものになろうと思うのですが、こういうことについて具体的に計画を立てておられると思いますが、どういう構想を持っておられるのか、こういうことについて。
  187. 海原治

    政府委員(海原治君) 二次計画に関連いたしますので、私からお答え申し上げます。先生のおっしゃいましたように、小銃とか迫撃砲とか、あるいは戦車、その他いろいろないわゆる米軍の供与品でございますところの陸上自衛隊の各種装備品はもちろん新品で、車両等におきましては取りかえたものもございますが、まあだいぶん旧式のものが多いのでございます。これにつきましては、個々にその状況にあたりまして、たとえば小銃につきましては、毎年何発撃って、あと何年使えるかというようなデータをこまかく今まで積算いたしたものがございます。それにつきましてどのような形で毎年置きかえていく、そのためにはどの程度の金がかかるかということを鋭意検討している段階でございます。これは二次計画の最終的な策定までには、具体的にこれらの装備品の更新の計画ができ上がる、このように私どもは目標を定めまして、現在作業をいたしております。
  188. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に第三の問題点として、後方の支援体制の不備、こういうことをあげているわけです。結局後方の支援機能がきわめて乏しいので、有事の際は、あるいは兵器の修理、あるいは輸送、あるいは医療、こういう点は、あげて大部分を民間にたよらなければならない、こういう意味のことを言っておられるわけです。この程度の現状では、なかなかもって日本の防衛などということは不可能ではないか、そういうふうに断定せざるを得ないわけです、こうだとすると。この点はいかがですか。
  189. 海原治

    政府委員(海原治君) 今先生の御指摘のありましたようにいわゆる後方支援組織というのは、確かにまだ十分でございません。しかし、これを一挙に組織化することは事実上不可能なのでございます。毎年関係の方々の御努力によりまして、逐次これを組織化していくということに今後の防衛努力があると、私どもはこのように考えている次第でございます。
  190. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 第四の問題点として、定員の充足状況について、自衛隊の募集は困難になって、定員に対する充足率は低下しつつある、こういうことをあげておるわけですね。これは防衛二法の防衛庁設置法でもそうで、現在二万有余の欠員がある。これは本来なら当然欠員を補充して、しかる後に定員増を要求するのが筋だと思うのですが、この防衛二法では、特に防衛庁設置法では、現在三十六年度の予算を見ても、定員についての予算は八八%しか組んでない。これは非常におかしいと思うのですね。定員について八八%の予算しか組んでいない。そうなると、今二万有余の欠員については、防衛庁としては、全然もう補充の見通しはない、それをさておいて、新たに一万一千七十四名の自衛官を増加しようと、こういうことに結びつくと思うのです。これは長官としてもまことに問題だと思うのですが、いかがですか、この点は。
  191. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 欠員の問題は、海、空につきましては、これはもう別にさほど問題はない。問題は陸上の問題で、御指摘のように、今現に欠員がございます。問題は、これに対しての充足の方法といたしまして、従来より、陸上等につきまして、予算面では、御存じの通り、充足率と申しますか、というものをもって財政措置をやっております。海、空につきましても、ある程度の充足率、九三とか四とか充足率ございます。ただ、陸につきましては、今年度の予算編成等に関しまして、事実欠員が二万余ありますから、これを一挙に百パーセント入れることは困難でありますから、そこで、私どもとしては、予算編成上から八八%の充足率は一応のみました。しかし、この充足ということは一挙にやるのではなくして、だんだんにわれわれの努力によって質のいい自衛隊員を高めて参りますというと、来年のあるいは下半期以降におきましては、相当八八をこえた。パーセンテージにずうっと上って参ることができます。予算上も当然可能であります。上期におきましては多少落ちておりましても、下期においてずっと上げて、そして次の年度において充足率をさらに高めていきたい。それでは、なぜ欠員があるのにこれだけの十七万、あるいはそれから千五百というものをふやしていくかと申しますと、御存じの通り、軍隊的性格を持っておりますと、編成というものを非常に基本にいたします。従って、現在十七万、それに建設隊を各方面の御要望で大隊その他を置くわけでございます。編成要員として一応形を作る。そこにいわゆる基幹、中堅と申しますか、基幹要員を配置して、その上で予算あるいは募集率、そういうもの等をにらみ合わせましてこれを充足して参る、こういう考え方のもとにやつているわけでございます。これは普通の官庁でございますと、四月一日なりに大体採っていくわけでありますが、自衛隊の場合には、年に何回か分けて採っております。それから、やめる方も、また一度にやめるのではありませんので、ぽつりぽつりやめる場合もあります。そういうような流れがございます。これは自衛隊と申しますか、志願兵制度をとっておることからくる一つの特色でもあろうかと思いまして、志願兵である以上は、こういうふうに期間的に山ができたり、やめていくということもあり得るのじゃないかと思うのであります。もちろんわれわれは編成定員を持っております以上、これに向かって充実かして参りたいという努力は、今後も募集上非常に努力をして参らなければならぬし、また、それについてはいろいろな方法を目下検討中でございます。
  192. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この欠員の多いのは、もちろん陸上自衛隊が大部分を占めておるわけですが、陸上自衛隊の自衛官が途中でやめたり、あるいはまた募集が予期に反して、きわめて少ない、何かこれは原因があろうと思うのです。防衛庁としてはどのようにこの理由を把握されておるのか。
  193. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 率直に申しますと、やはり一つは、所得がよくなってきておると申しますか、他の雇用率もぐんぐん上がってきております。これも一つの大きな要因だと思います。しかし、と言って、それでは金だけでもって自衛隊員は待遇をよくすればくるのだ、そういうものではないと私は思うのでありまして、自衛隊に本来志願して、そして二年間の教育、訓練を受け、また、国土の守りに服したい、公の立場で服していきたいという気持の若い人たちもあるわけであります。従って、私どもはこれらの観点、言いかえますれば、国防の意欲というようなものも十分考え、同時に、かりに自分が国防意欲を持って入ってきても、人より二年おくれ、その後において自分が一般の社会へ出ていくような場合に、より有利に、少なくとも不利にならぬように、そういう将来就職の安定化と申しますか、有利化と申しますか、そういう面に対するわれわれもできるだけのいろいろな方策は今後とも真剣になって考えて、質のいい隊員を採っていかなければならぬと思います。現在でも、もちろん採用数に対しまして応募者も倍数はあるわけであります。ただ、われわれは質は下げたくない、しかも、世の中で雇用率の上がっているときでありますだけに、これを単に待遇を改善して、率直に申せば、金で横つらひっぱたいて人を集めればいい、こういう考え方でございません。国防意欲とあわせましてそういうような努力をして参りたい、こう考えております。
  194. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 なお、第五の問題点として、国民の国防意識について説明されているようですが、国民の自衛隊に対する認識とか、あるいは理解、そういうものは各国のそれに比較してきわめて低い、これは将来ぜひ高揚しなければならない、こういう意味の説明がなされておるわけです。そこでお伺いいたしますが、これは一体防衛庁としてはどういうふうに考えているわけですか。各国のそれに比較して、日本国民の自衛隊に対する、あるいは認識、あるいは理解がきわめて低いということを説明されたからには、何かそれについての理由はかくかくであるということを頭においての説明だろうと思うのでありますが、これはどういうところに理由があるのか。
  195. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私どもは一つの大きな戦争というものを経過いたしました。しかも、その戦争の惨禍というものを経過いたしました。そこで、戦争に対する恐怖感というもの、あるいは嫌悪感というものが、同時に、平和のための備えということをもややもすると抹殺してしまう。私は、自衛隊は平和目的のための自衛隊だということは自分で確信をいたしております。ただ、それがたまたま戦争によって敗戦し、その被害があまりに甚大であったために、平和の目的のための備えさえも、率直に申しますというと、抹殺するという雰囲気はやむを得なかった雰囲気でもあろうと思いますが、漸次事態が落ちついて参るに従って、国民の広い意味、あるいは狭い直接的な、あるいは間接的な国を守るという気持は上がって参ってきていると考えておる次第でございます。従って、自衛隊に対しましても、私は率直に申しますが、漸次国民が認識をしているというふうに私確信をいたしております。
  196. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それでは時間がもうございませんので、最後に一点この点をさらにお伺いをいたしますが、言うまでもなく、憲法第九条では、陸、海、空の軍隊は持たない、他の戦力も持たないということを、世界の憲法の中で、日本の憲法だけがこれを歴然として厳然とうたっておるわけです。そういう特殊な日本の国の国民と他国の国民との考えの違いを比較しようとすること自体がおかしいではないか、私はそう思う。日本自体では、憲法第九条で、とにかく陸、海、空軍は持たない、その他の戦力も持たない、これは明確になっておるわけです。だから憲法違反の自衛隊に対して国民が認識しない、理解を持たない、こういう面は当然出てくると思う。もちろん一部の方は賛成しておられます。また、ある面はこれを支持しているでしょう。しかし、その反面、また強い反対も当然出てくると思うのですね。だから、他国民に比較して理解と協力が非常に低いということ、こういうことは、こういう憲法と結びつけて考えない限りは了解できないと思うのです。この点をいま一度長官にお伺いして、時間がございませんので、まだお伺いしたい点は山ほどあるわけですけれども、本日のところはこれで私の質問は打ち切っておきたいと思います。
  197. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私は、ちょっと御意見が違うかもしれませんが、憲法におきまして自衛隊は否定されていないと思います。また、自衛隊の存在は、国会を通し、民主主義的に存在させられており、また、存在しているものと考えているのであります。憲法のもとにおいて、自衛力として、自衛権というものは憲法は否定していないし、また、それに基づく自衛力というものは認められておる。しかも、それは国会の民主主義的な方法によって御認定をいただいて今日自衛隊は存在をいたしており、その任務についておると考えているのであります。もちろん憲法のあり方自体につきまして、お説のように、国民の直接の国防意欲に対しましては、ある程度の制約を与えていることは私も正直に認める次第でございますが、しかし、おそらく大多数の国民は、自衛権の存在、自衛力の価値というものについては、私は必要を感じているというふうに思っている次第であります。
  198. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 いま一点、もうこれ以上言いませんけれども、ただ憲法論議になると、なかなか短時間では収拾がつかないと思う。ただ、今、長官が、私もこれで終わろうと思っておったのですが、大部分の国民が云々という言葉を使われておりますから、これは聞き捨てならぬわけで、何をもって大部分とおっしゃっているのか。こういうことになると、もうとうに憲法にも否定されているわけだ。しかし、このことは今申し上げたように、私はこのまま黙っていると、もう伊藤も了解したのであろうなんて思われるといけませんから、はなはだ了解に苦しむわけですけれども、時間の関係もございますから、この点については、次回にまたさらに深くお尋ねいたしたいと、こういう意味質問を終わっておきたいと思います。
  199. 一松定吉

    ○一松定吉君 伊藤君と防衛庁長官並びに関係官諸君の質問応答を聞いておりますと、問題は、今、伊藤君の指摘されたところの憲法九条の問題だと思います。九条の問題でわが国に自衛権ありやいなや、自衛権があるということであれば、伊藤君の質問に対しては、長官は、自衛権があるのですから、自衛権に基づいて核兵器も使うことはできます、滑走路を延長することもできます、こういうように正々堂々とお答えになるがいいんです。ところが、自衛権がないんだということになると、そういうような答弁をする必要はない。核兵器を用いることもできなければ、滑走路も用いることはできない。和田博雄君が言ったように、無手で、手をあげて降伏する以外に道はない。  そこで、憲法九条の問題は、伊藤君はよほど御研究なさっておって、この点に対する研究は豊富なように承ったのであるが、憲法九条をよく読んでごらんなさい。あなたのような解釈ではありませんよ。「国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」、何を放棄するかというと、いわゆる「武力による威嚇又は武力の行使」、これを放棄する、国際紛争を解決する手段としては。国際紛争を解決する手段でなくて、外国から日本に向かって、正当の権利がなくて暴力を振うてきたようなときには、この憲法九条に入らない。(「そんな質問はないよ、討論だ。」と呼ぶ者あり)これは討論じゃない。僕の意見を言うのだ。君方が聞いて、反対意見があれば、一つ君方と何時間でも議論をするよ。だから、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれらの武力を用いることはできないのであるが、しかしながら、前項の目的を達するためにこういうようなことはできないのだから、前項の目的以外のことであれば、いわゆる武力を持つことはできる。これは、芦田君が憲法委員長であったときに、もういよいよこの憲法の案を解決して、これを通そうか通すまいかというときに、やはり委員長であった芦田君が、この「前項の目的を達するため、」という文字を特に入れて、そうしてこれを解決した。そのことは、芦田君が何回も公の席上でこれを明らかにしておる。また、芦田君の著書の中にもそのことを書いておる。そこで、この九条の「前項の目的を達するため、」という文字を入れたのは、マッカーサーの前に行って、この原案にはこういうことはないのだが、これはどうしましようかと言うたときに、それは、しかしながら正当防衛権というものは国だけではない、人間にも虫けらにもあるのだから、日本が正当防衛権を行使するために、外国から無法な侵略を受けるようなときに、武力を用いてこれを排撃することは、これはあたりまえじゃからして、それを入れておることを別にかれこれ言う必要はないじゃないかと言って、そのままにアメリカさんもこれを通過さしたということは伊藤君も御存じのはずです。  問題は、結局国際紛争を解決する手段としてやるときには絶対にできませんよ、「国際紛争を解決する」というと、国と国との争いがあったときに、Aの国はこう言う、Bの国はこう言うて、意見がどうしても合わないというじぶんに、Aの国が、それではといって、自分の保有しておる陸、海、空軍をもってBの国をやっつけにきたじぶんに、よろしいと言って、Bの国はこれに向かって応戦するということが、いわゆる国際紛争を解決する手段としての戦争ですから、これはいけません。Bの国がおとなしく、ごく何ごともせぬで、へいへいしておるときに、Aの国が暴力を持ってきてBの国をやっつけるということできたじぶんに、Bの国として、さあどうでも勝手にしなさいというようなことは、これはできますまい。人間でもそうです。正当防衛権というものは、すべての法理上認められておる。だから、これは人間に限りません。獣にもそういう正当防衛というものは認められておる。雄の鶏が雌の鶏を呼びつけようとしておるときに、ほかの鶏がその雄の鶏をやっつけようとしたのでぽんとけ飛ばした。やっぱりそれは正当防衛です。ネコでも犬でも、すべてのものがそうです。いわんや人間において。われわれが道路を通行しておるときに、何も関係のない者が私に向かって日本刀を抜いてかかってきたじぶんに、われわれは当然にこれを防衛する権利のあることは、これはもう何人も疑う余地はないでしょう。だから、今私の右におる木村君のごときは、剣戟においては日本一なんです。剣道についての師範。その方がしきりに剣術道をけいこする。これはなぜかというと、いくさをするためではない。からだをよくするということが第一目的であると同時に、もしも外部の者が自分に侵略を加えるようなことがあれば、直ちにこの者をやっつけるというようなことのためにやっておる。これは剣道に限らぬ、柔道でもみなそうです。だからして、このいわゆる防衛権というものは、これはいわゆる前項の目的を達するために陸、海、空軍その他の武力はこれを用いてはならない、しかしながら、前項の目的を達する以外に、いわゆる国際紛争を解決する以外のことであって、日本に向かって外国が暴力を用いて日本をやっつけようとしたときには、日本はこれに向かって防衛するだけの権利は当然あるのです。この点に対して片山哲君などが反対している。片山君は僕の友人で法律家だけれども、これは片山君は間違っておる。間違っておると言っても、僕はそう解釈しておると言う。それは何からくるかというと、憲法の前文からくるのだ。この前文を今度は引用する。憲法の前文にはどういうことが書いてあるかというと、そんな正当防衛権がないということは書いてない。憲法の公布記念式典の勅語の中にも、日本憲法の前文の中にも、いわゆる政府が再び戦争の惨禍を起こすようなことのないように決意をして、そうして国民の生活を守って、国民が安んじてその世を送ることができるようにするためにこういうような法律を設けるのであって、ゆえに、いわゆる他国を無視するようなことがあってはならない、また、他国もわが国を侵略するようなことがあってはならない、こういうようなことをわれわれは念願するがゆえに、この平和憲法を公布して、これを発布するのである、こういうことが日本憲法の前文にも書いてある。そして、この憲法は、いわゆるマッカーサーが押しつけたとかなんとか言われておりますが、ちょうどここにおる木村君も私も、その当時は大臣をしておって、二人で署名をしておる。そのときに憲法九条はやはり問題になったのだけれども、今のような解釈で、それは正当防衛権はあるのだから、その正当防衛権を行使するに必要な設備、必要な器具、必要な方法ということは、当然これは用意をしておかなければならぬのじゃないかということで、いわゆる防衛権というものを認めなければならぬということになった。これは伊藤君が今引用するように、憲法九条の解釈にはいろいろ議論があり、反対論があり賛成論があるが、少数の者は反対論であり、少数の者は賛成論である。だれが少数か、だれが多数かは別として、われわれ自由民主党の考えでは、今申し上げましたように、いわゆる国際紛争を解決する手段としては、戦争もできなければ、武力を用いることもできない。海、陸、空軍も用いることはできないが、自分の国を防衛するためには、これを用いても憲法違反じゃない。これがいわゆるわれわれ自由民主党の党員等の解釈なんです。だから西村長官もそういうふうに解釈すれば、核兵器を用いちゃならぬと言うが、核兵器も正当防衛権の行使でやむを得ぬ、世界各国が皆核兵器を用いて他国を侵略するというようなことをやっておるときに、日本は何も不都合なこともやらない、また、国際紛争を解決する手段方法でもないのに、日本に向かって核兵器をもってやっつけるようなことがあったならば、これは当然防衛するために核兵器を用いることができる。ただ、核兵器というものは被害が非常に大きい、核兵器を用いれば、いわゆる数十万人というものが一瞬に死んでしまう。そういうような武力を用いるということは、よほどこれは考えものだということで、池田総理が、私どもは防衛権はあると思いますけれども、核兵器を用いて防衛しようとは考えておりませんと言うのも、そういうことは一つの政治論からきた意見だと私は思う。西村長官の御意見も多分そうだと思う、政治論からきた。法理論から一貫するならば、自分の国は自分が守らなければならぬのに、他国が核兵器を用いて日本に侵略してくるというときに、日本はじっとして核兵器を用いないで手をこまねいて、他国から思うがままに侵略されるということは、これは黙認すべきものではないから、そういうときに法理論上から核兵器を用いることはできるのだ。法理論上からいえば、今、伊藤君が言う滑走路は何メートル、幾ら長いとか短いとかいうことは、自分の国を守るために今以上長くしなければ守れぬということであれば、長くしたからといっても、それは憲法違反でもなければ何でもない。その点がいわゆる防衛庁のお方と伊藤君の意見とが違うからして、幾ら議論をしても議論は尽きません。だから問題は、結局この憲法九条によっていわゆる防衛権があるかないか、防衛権があるならば、この防衛権の定義はどうだ、こちらから外国を侵略するのはいけないのだ、こういうことです。しからば外国が朝鮮まできて、朝鮮から日本に向かって核兵器を用いる、朝鮮から日本に向かって大砲を撃ってくる場合に、日本は朝鮮まで行くことはできるか、あるいは向こうまで、アメリカまで行くことができるか、外国の土地まで行くことができるかなんということは、防衛権の範囲を超越しておるかおらないかということについては、学者はいろいろなことを言っておるでしょうが、法理論からいえば、防衛権があるかないか、あるとすれば防衛権の範囲いかんということになるのでありますから、この点は伊藤君は、いわゆる憲法九条ではそういうものはない、これによって見ると、いわゆる陸、海、空軍は全部これを停止しなければならない、これは用いてはならないのじゃないか。そうして、しかるにお前の方は、防衛という名前をかりてたくさんの軍艦をこしらえる、兵隊をたくさんこしらえる、飛行機をこしらえるということはよくないのじゃないか、この程度以上にすることは、将来いわゆるいくさをすることになるのだからと言って、理路整然たるいわゆる反対論から議論をしてきておるのですから、あなた方はこれに対して、これは憲法九条の二項によって見ても、防衛権があるのだから、外国が、何ごともしないでおとなしく接しておるという日本に対してそういうことをやってきたならば、向こうが核兵器をもってきたら、こちらも核兵器をもって応戦することはできるのだけれども、政治論からすれば、そういうことはよくないから、今私どもの方では核兵器を用いるという考え方は持っておりませんと、こういうふうに長官がお答えすれば、これ以上伊藤君は追及できないはずです。ところが、全部これは何もかも法理論でないような議論をするのでどうもおかしい。この間言うたことの速記録と今言ったことが違うという伊藤君の追及はもっともです。九条のいわゆる防衛権というものを認めない、これを前提としての議論ですから、これを前提とする議論とは互いに反する背中合わせの議論ですから、幾らしたって議論は尽きません。だからこの程度において、結局防衛権があるかないかということは憲法の解釈で、憲法学者の中にも、大学の教授の中にも、われわれの意見に賛成の方もあるし、反対の方もある。要するに、国民は、独立国である以上は、外国から侵略を受けたときに防衛権があるということはだんだん認めてきておる。それがために防衛というものについて、いわゆる軍艦というものを用いて、陸軍、海軍、空軍という名前はとにかく使わぬけれども、やはり国を守るだけの力を養成すべく防衛庁が今やっておることは、これは異論のないことである。だから、そういう意味においてどの程度に防衛するための力が要るのか、武力を用いて外国を侵略するなど、憲法九条に違反しちゃいかぬのだ。しかし、憲法九条に違反せざる範囲内において、国防のために必要であるこれの費用は出さなければならぬじゃないかということであれば、伊藤君の意見も政府の意見も一致するのだ。そこが違って一致しないのであるから幾ら議論をしても尽きませんよ。伊藤君が、まだ憲法九条の議論をすれば何日も時間がかかるというのは、その議論の通りです。この程度の議論は、何ぼ議論したって一致点を見出すことはできないから、この程度で伊藤君もお考えになって、もう自民党を相手にしたって、これは自民党とは意見が違うのだから、議論はむだだというお考えを持たれて、こういうことで結論を得るようにお願いをいたしたい。
  200. 西村直己

    ○国務大臣(西村直己君) 私も一松先生の御意見と、基本において同じでございます。従って、防衛庁長官の職責を全うすべく努力をしておる次第であります。
  201. 上原正吉

    ○上原正吉君 私は、ただいま議題となっております防衛二法案につきまして、質疑を終局することの動議を提出いたします。(「賛成」「ノーノー」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  202. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 着席をしなさい。  ただいま上原君から、二法案についての質疑打ち切りの動議が出まして、小幡理事その他から賛成がございまして、動議は成立いたしました。社会党の諸君からは、まだ質疑があるので承服しがたいという御発言がお聞きのように出ております。委員長としましては、この動議をここで採決をいたしますから、社会党の諸君の方に何か御発言があれば、この際、御発言を許します。着席して発言して下さい。
  203. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 けさの理事打合会でも、ようやくきょうから本格的に一つやってもらいたいということを小幡理事から、あなたの方の理事から申し入れがあったくらいです。もうほんとうに内容に入る具体論としてはきょうは初めてなんです。衆議院のそれに比較しても、比較すべくもない。向こうでもう三十六、七時間もやっておる。しかも、重要法案だという観点から、法案の手持ちが十もあるのに、一番うしろの方から前へもってきておるわけです。そういう点もこちらは了解してやっておるわけです。慎重審議というのは両党の党代表間の話し合いであるということは、もうよく御了承だと思う。従って、もう大体審議が過ぎたということであるならば、われわれは過去の上がった法案についても、そのつどつど態度を明らかにして、大体質疑が終わればわれわれは協力してきたわけです。当内閣委員会審議した法案について、審議が尽きたものについては協力するのにやぶさかでなかったわけです。この防衛二法については、きょうからようやく具体的に、そうして次回次々に——まだほとんどやっていないわけです。また、総理については、重要法案だから、特に防衛二法というこの重要法案については、審議の当初と終わりには総理を呼ぶということ——それは二回呼んでおるじゃないかということについて、おそらくこれをたてにとって、総理を二回呼んだであろうというそういう不条理なことを言うやもしれないということで、あえて念を理事会で押しておるわけです。第一回は一時間程度しか審議できなかった。そこで、何とかしてこれを埋め合わせてほしい、補充してほしいということで、二回目が二時間有余審議せられたわけです。そこで合わして一本ということで、これは一回総理は来たということでわれわれは了承し、両理事も、このことは明確に了解したわけです。そういう原則に立つならば、まだ最後の総理も呼んでいない、こういう段階で、しかも、まだ審議が具体的にほとんど入っていない、今までほんの外輪に過ぎないわけです。にもかかわらず、この段階で重要法案、しかも、本日衆議院の方で会期延長しよう、何のために会期延長しようとするのか。慎重審議という前提に立って会期延長するのであろう。そういうことであるならば、不条理もはなはだしいじゃないですか。数をたのんでただ人に動議を出させて、数で決定しようとするならば——そういうことではないと思いますけれども、もし委員長がそういうことであるならば、これは今国会並びに将来に向かっての混乱ははかり知れないものがあるということを、あえて自民党、特に当内閣委員長の責任だということになる。こういうときにこそ、あなたは自民党の委員長でなくて、当内閣委員会委員長という立場をとって、冷静に一つ判断していただいて、無謀なこの動議を取り下げてもらいたいということを強く要望しておきたいと思います。
  204. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は、今日のこういう自民党の動議は、今後会期が延長されるらしいんですが、単に内閣委員会だけの問題でなくして、全参議院の審議に私は大きい影響があると思う。従って、理事会においても話は何ら出ておらない。従って、われわれとしては一応理事会に戻して、その上で私は内閣委員会を正常な審議に戻してもらいたい、私はそう思う。
  205. 田畑金光

    ○田畑金光君 実は昨日、社会党の両理事から私の方には連絡があったわけですが、その話を承ると、私の質問の時間は金曜日ごろであろう、こういう話で、実は私もそのつもりで審議が進められるものだと、こう予期していたわけです。今お話もありましたが、質問の時間も、私自身、まだ総理に十五分間程度やったに過ぎないし、昨日与党の理事の各位にも、最後の締めくくりには一つ総理に出てもらって、あらためて総理に質問したい、こういうこともお話してあるわけです。衆議院の方ではどうなったか存じませんが、おそらく会期延長はきまったことでしょう、きまるでしょう。そうしますと、まだ相当の日数もありますし、衆議院におけるこの二法案審議の内容を見ますと、精細にわたって審議を尽くしているわけです。これに対して、参議院の場合は、まだまだ問題点の掘り下げというものが非常に少ないと、こう見ているわけです。そういう節に、ここで今動議が出されましたが、強引にこれに基づいて処理されるということは、かえって今後の運営上よろしくない、こう考えるわけです。そこで、私といたしましては、動議は動議として委員長で預かられて、まずこの段階においてどうするかということを委員長理事打合会で十分話し合いなされて、内閣委員会の今後の運営を進められるように、強く希望を申し上げておきます。
  206. 塩見俊二

    ○塩見俊二君 この防衛二法案につきましては、単にこの国会のみならず、もう数回の国会におきまして論議が尽くされた問題でもあります。また、今国会におきましても、私が承っている範囲におきましては、おおむね審議は尽きたように思うわけであります。  なお、ただいま上原君からの動議は、賛成を得て、一応これは私は成立したものと認めているわけであります。従って、ただいま社会党あるいは民主社会党の方からの御意見もありましたので、これは休憩をいたしまして、即刻、直ちに理事会を一つ開いて御協議を願いたいと思います。しかし、動議は、これは成立しておりますので、この点は十分にお含みをお願いいたします。
  207. 一松定吉

    ○一松定吉君 今、伊藤君の御意見は、私どもの建前からいたしますると、どうかと思うのでありますが、しかしながら、社会党の諸君が、今まで法案審議に対して、微々細にいって質問を継続せられた点から考えると、この防衛二法案に対して、まだ審議が十分に行なわれておらぬということ、これはごもっともな御意見と私は思う。しかるが、ここで私は、ちょっと社会党の諸君にも少しく耳が痛いかもしれぬけれども聞いておいてもらいたい。  二週間なり三週間なり国会を延長するということに対しては、あなた方の方では会期の延長はせぬで、きまっただけの今月の二十四日までにして、その問にわれわれの賛成しない法案は、いわゆるどんどん審議をおくらかして、審議未了に至らしめようではないかというような考えがあなた方にあるとは言わない、万々一そういう考えをもって審議をおくらしたというような事実があると、会期延長は、これは政府の責任、われわれの責任もあろうが、おもにあなた方にその責任がある。だからして私は、今の伊藤君の御意見はごもっともだが、ちょっと委員長はしばらくの間一つ休憩して、よく一つ向こうも考えてもらいたい、われわれも考えて、その上で再開して、そうして適当に処置されることを望みます。
  208. 大和与一

    ○大和与一君 さっき一松委員が、質問意見かわからぬような名演説されて、われわれも非常に静かに聞いておった。ほんとうだったら質問ではないんです。だけれども、今の上原委員の発言があるとは思っていませんから、一先輩の意見としてわれわれもみんな静かに聞いておった。そうしたら、今度はひょこっといきなり言い出したものだから、まだあんたきょうから始めたのですから、それは慎重にやるということが建前です。それで私ども感じたのは、委員長が非常に落ちついておられるので、委員長の心を知らぬで、親の心子知らずで、ひょっと言ってみたのだ、こういう気持もするから、皆さんのお話もあった通り、直ちに一応休憩されて、一つ理事打合会をやって、そこで善処してもらうことが、やっぱり委員長としても当然とるべき態度だと、こういうふうに思います。
  209. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) それでは社会党の方からも、また、与党自民党の方からも、この動議につきまして、扱い方につきまして委員長理事の打合会を開くことに御意見が出ておりまして、なお、塩見委員からは、動議そのものは成立しておることを確認しておけと、こういうお話でありましたので、委員長としての計らいを申し上げたいと存じます。  私も、動議が出まして、賛成者がございますので、動議は成立をいたしております。そこで、この動議の扱い方につきまして、しばらくこのままに休憩の形におきまして、委員長理事の打合会を持ちたいと思います。どうか全員の方がこのままの姿と申しますか、着席のままでお待ちいただきますることを御了承いただきまして、委員長理事の打合会を開きたいと存じます。よろしゅうございますか。休憩いたしますが、一応このままといいますか、休憩しますが、やはり現状のままでお待ちを願いまして、そうして委員長理事の打合会をいたしたい、こういうようにいたしませんと……(発言する者あり)委員以外の方の御発言は、ちょっと御遠慮を願います。(「休憩、休憩」「速記をとめろ」と呼ぶ者あり)  それじゃちょっと速記をとめます。   〔速記中止〕
  210. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をつけて。  暫時休憩いたします。    午後五時六分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕    ————・————