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1961-05-18 第38回国会 参議院 内閣委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月十八日(木曜日)    午前十時三十九分開会    ―――――――――――   委員異動 五月十七日委員大泉寛三君辞任につ き、その補欠として上原正吉君を議長 において指名した。    ―――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     吉江 勝保君    理 事            小幡 治和君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            山本伊三郎君    委 員            石原幹市郎君            上原 正吉君            大谷藤之助君            木村篤太郎君            塩見 俊二君            下村  定君            中野 文門君            一松 定吉君            鶴園 哲夫君            大和 与一君            横川 正市君            吉田 法晴君            田畑 金光君   国務大臣    国 務 大 臣 小澤佐重喜君    国 務 大 臣 迫水 久常君    国 務 大 臣 西村 直己君   政府委員    人事院総裁   入江誠一郎君    人事院事務総局    給与局長    滝本 忠男君    内閣総理大臣官    房公務員制度調    査室長     増子 正宏君    行政管理庁行政    管理局長    山口  酉君    防衛庁長官官房    長       加藤 陽三君    防衛庁教育局長 小幡 久男君    防衛庁人事局長 小野  裕君    防衛庁経理局長 木村 秀弘君    防衛庁装備局長 塚本 敏夫君    調達庁長官   丸山  佶君    調達庁総務部長 大石 孝章君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    大蔵省主計局主    計官      新保 実生君    ―――――――――――   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○自衛隊法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○一般職の職員の給与に関する法律の  一部を改正する法律の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○国家公務員に対する寒冷地手当、石  炭手当及び薪炭手当の支給に関する  法律の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○国家行政組織法等の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)    ―――――――――――
  2. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。昨日、大泉寛三君が辞任され、上原正吉君が選任されました。    ―――――――――――
  3. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  政府側出席の方は、西村防衛庁長官加藤官房長小幡教育局長小野人事局長木村経理局長塚本装備局長麻生防衛審議官でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  4. 下村定

    下村定君 先週の木曜日の本委員会で申し上げましたごとく、一般的な質問、たとえば国際情勢に関することだとか、こういう問題は、総理大臣の御出席の際にあわせてお伺いすることにしまして、とりあえず、ただいま上程されております防衛二法案の内容に直接関係のあるものについて質疑を申し上げたいと存じます。  その前に一つお伺いしたいことは、御承知のように、先般アメリカケネディ大統領国防予算教書を発表いたしました。日本として、何もそれに左右されることは一つもないのでございますけれども、あとの中に、日本防衛力整備につきましても多少関係のあるようなことが現われております。それにつきまして防衛庁長官の御意見を承りたいと存ずるのでございます。  もう御承知通りでございますが、私の伺いたい点を申しますと、第一に、ケネディ大統領は、自由諸国は、一連の限定戦争によって危うくされているという観点に立ちまして、全面的戦争抑止力強化すると同時に、限定戦争の対策を重視しているのであります。ケネディは、国防予算教書におきまして、限定戦争に対する軍事力は、非核兵器をもって阻止し得るように整備する、なお、通常兵器で阻止できないような大規模の侵略に対しては、アメリカは適当な兵器をもって、いかなる行動にも出来るだけの用意を整えると申しまして、在来型の軍事力強化を命じております。また、同じ教書で、彼は、限定戦争に対する局地的防衛の負担は、地元国民及び軍隊が負うべきである、事実このような事態が起こった場合、第一に侵略に対抗するのはその地元部隊であるから、それら諸国防衛力に期待する、米国地元部隊強化のために援助を惜しまないと申しております。これらの点について長官の御意見を伺いたいと存じます。
  5. 西村直己

    国務大臣西村直己君) ケネディの新政権が、国防予算教書と同時に、六億ドルの追加予算を議会に要求したわけであります。先般見まして、私どももよく検討いたしております。いろいろな点が出ておりまして、シヴィル・コントロール強化とか、全面戦争あるいは制限戦争等に対する態度、特に、ただいま下村先生からおっしゃいました限定戦争能力、言いかえれば集団安全保障体制下における与国と申しますか、一緒にやっていく国においては、制限戦争能力について十分この充実をはかることを期待し、また、米国自体も、通常兵器、あるいはその他間接侵略に対しての用意をする、こういうような趣旨でございます。それらと一応にらみ合わせまして、また、わが国独自の立場から、局地戦と申しますか、制限戦争に対しましては、十分国力国情に応じた範囲内におきましてやって参りたい。それが当然本年度予算における増勢でもありますし、また、同時に、防衛庁あるいは自衛隊法関係法律を御審議願っている部分でもございます。また、それを根底といたしまして、これから五カ年間くらいの長期防衛計画におきましても、こうした世界情勢あるいは集団安全保障体制下日本としての気持を十分織り込んで参りたい、こういう趣旨でわれわれ努力をいたしております。
  6. 下村定

    下村定君 前々回委員会におきまして、防衛庁長官に、私から――陸上部隊改編につきまして、衆議院においていろいろな観点から質疑が行なわれております。また、これに対する当局の御答弁もたびたびあったのでございますが、それを通覧してみますと、御答弁におきまして、答弁される方が一人でないために、多少ズレがあるとか、あるいは何だか少しもの足りないような点があるという点を感じましたので、前々回長官にお願いしました。この際、長官から、あらためて統一的な御見解を承りたいということを申したのでありますが、それをまず承りたいと思います。
  7. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 防衛庁設置法、あるいは自衛隊法改正におきましては、いろいろな部分が出ております。しかし、その骨幹をなすものは、陸上におきましては師団編成がえでございます。十三個の師団単位に従来の陸上自衛隊改編するのであります。ただ、これは第一次計画の定員のワク内でこれを行なおうというのでありますから、兵力を特に新しくこれによって直ちに増強するものではないことは御存じ通りでございます。  そこで、従来の十単位、六管区混成団を、なぜ十三の単位に切りかえるかというところに中心を置いて御説明申し上げますと、もちろんこれは長い間の運用上の結果こうしたのでございまして、自衛隊目的を変えたからという意味ではございません。言いかえますれば、自衛隊のまず目的は、自衛隊法によって、外敵に当たると同時に、間接侵略、その他警察支援としての公共秩序維持という本来の任務には変わりはございません。その任務遂行のために、さて十三個の単位に分けたのはどういう点であるか。一つは、従来から御説明申し上げておりますように、地形に応じたということでございます。長い車両を持ちました隊列の大きな一万以上の管区隊機動力を発揮しますには、あまりにわが国国情に即さない、こういう運用上の点から、むしろ小型化して単位数を多くするということが一つの点であります。それによってさらに機動力が発揮できる。さらにもう一つは、大隊と申しますか、中間一つ結節と申しますか、師団の中の中間のさらに組成単位一つ削りまして、下部段階のいわゆる中隊と申しますか、この部分を大きくした、これによっていわゆる独立した戦闘能力を発揮させよう、こういう部分下村先生の御指摘の通りあるのでございます。特に戦闘能力増強ということは、専門にわたりましては加藤官房長等から細部御説明申し上げますが、一応小型化しますと、従来の十の単位を持ったものを十三に分けるから、火力は落ちるじゃないかと思いますけれども、しかし、これは十のものを十三に分けて機動力を発揮すれば、必ずしも落ちるとも言えませんし、それから今度組織の中でその大隊結節を削って、中隊を大きくすることによって活動力が大きくなるとか、それに続く単位を、一であるのを三にするとか、いろいろなこまかな技術的な点を改編しておりますから、かなり戦闘力は改善されてくる。その上に、さらに今後、これは当然のことではありますけれども、従来の兵器が古くなっております。あるいは供与兵器で、使えないと申してはあれでありますが、能力がないのを、国内生産によりまして、あるいは新しい武器に切りかえまして体質改善を行なっていく、これによっても十分戦闘能力強化されていくんじゃないか。言いかえますれば、貴重な国費を使っておるのに対して、国民の期待に副うように活動力を発揮せしめるようにしたい、こういう趣旨でございます。なお、戦闘能力の向上につきましては、加藤官房長からも補足をさしていただきたいと思います。
  8. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) ただいまの長官の御答弁で大体のところは尽きておるのでありますが、若干補足して申し上げたいと思います。  師団改編目的は、わが国地形に適合するように小型化し、これを軽量化するとともに、機動性能強化する、さらに部隊戦闘能力を向上したいというのが主たるねらいでございます。このことはただいまも長官がおっしゃいましたが、今までやっておりまするわが陸上自衛隊訓練、あるいは作戦と申しますか、それにおきましては、管区隊について申し上げますと、普通科連隊中心といたしまして、これに特科、特車、施設というふうな職種の部隊を加えまして、一単位が約四千人、車両数が約六百両ということであったのでございます。これを運用してみますと、どうもわが国山岳地帯が多くて平野が少ない、機動性に乏しい地形から考えまして重過ぎる、これを軽くしたいというので、今度は人員を約二千名、車両約三百五十両というふうにして、小型化して、しかも機動力を付与しよう、これが第一でございます。  第二には、今の管区隊においては、普通科連隊三つでございますけれども、これを補助する部隊通信とか武器とか輸送というふうなものは一つでございまして、これを三つに分けてそれぞれ支援するという格好になっておりますので、どうもこれはやはり独立戦闘能力を発揮するという意味から申して適当でない、これらの通信武器輸送というふうなものを、それぞれの単位において一つのまとまった部隊として行動し得るように平常から編成しよう、現在は三個単位でございますが、これはやはり今までの運営の経験上から見まして、四つくらいの単位を持つことが、奇襲に備え、かつ、戦略的な予備力も持てることになるので、この方が適当であろうというふうな事情もあるわけでございます。御承知通りペントミック師団等におきましては五つの師団になっておりますが、これはわが国地形等から見まして、少し大き過ぎはしないか、四個くらいが適当ではないかということでございます。  それから、今も長官からお話がございましたが、中隊大隊連隊とあるわけでございますが、その大隊のところの中間結節を廃止しまして、中隊を大きくしてその装備強化しよう。今までは中隊の方では、大隊は軽火器だけしか持っていなかったわけでございますが、これは独立戦闘能力限度があった。そこで、今度は大隊結節をやめますと同時に、中隊人員を増加し、中型の迫撃砲及び大型の無反動砲をこれに装備し、その部隊の力を強化することが運用能率的であるというような結論に達したわけでございます。また、この前御意見がございましたけれども部隊移動、必要な方面に転隊するということも考えなければいけません。これもやはりこのくらいの小型化した方が便利である。また一面、国内治安の問題、あるいは災害救援というふうなことを考えました場合におきましても、十三に分けました方がその方への協力をしやすくなるというふうなことがわれわれの考えておる主たるねらいでございます。
  9. 下村定

    下村定君 十三単位に分けることによって機動力は増加し、また、個々の単位独立戦闘能力が発揮されるという点はよく了解します。  そのほかに治安関係、それから核兵器を持つか持たんかという問題がやはり衆議院でも出ております。一昨日もこの席で御質問があったようです。これ念のためにお伺いしておきたい。
  10. 西村直己

    国務大臣西村直己君) まず核兵器の問題でございますが、核兵器については、政府といたしましては、はっきりした態度国会を通して国民の各位に御説明申し上げたつもりでございます。政策としてと申しますか、政治として、核兵器というものは、核武装はしない。特に法律上の観点から見ますると、核という問題は、原子力基本法によりましても、平和利用といって、はっきり制限を示しております。いわんや、法律改正なくして核装備ということはできないということははっきりしております。ただ、憲法上の解釈といたしましては、今の憲法から、核装備は絶対にしてはならないという解釈はとれない、こういう趣旨でございます。従って、その意味から、かりに核の開発が進んで、防衛的な意味、その意味からいえば、小型化などが思い切りはかられてきたような場合においては、憲法の理論としては持てないということはいえないのではないか、これが私ども考え方でございまして、ただいまのわれわれとしては、政治としは核武装はいたさない、こういうことを、国会を通して、いつも毎回申し上げておる次第でございます。これは政府といたしまして、総理大臣も同じ考えのもとに私どもそういう説明をいたしておるのであります。  それから治安能力でございますが、もちろん警察治安の第一義の仕事をしております。従って、自衛隊任務は、自衛隊法に規定した通り動きたい、また、運用をはかっていきたいし、その趣旨のもとに訓練をして参りたい、こういう考えでございます。従いまして、第一は、直接侵略あるいはそれと相前後する間接侵略、ただ警察支援能力を失なうような段階においては、要請により、あるいは総理大臣の命令により、治安出動を行なう場合においては、治安任務が、当然公共秩序維持回復として出て参るわけであります。それにつきましては、部内におきましても、いろいろな従来も方法により研究し、多少の訓練をいたしておりますが、われわれとしまして、今後とも十分にその任務が万全に果たされるように、同時に、国民の誤解を招かないようなやり方で研究なり訓練なりして参りたい、こういうふうに考えております。
  11. 下村定

    下村定君 いま一つ前々回にお願いいたしておきました点は、この十三師団改編することを、いわゆる第二次防衛計画決定に先立ってことしからやらなければならぬか、その点でございます。御答弁願いたい。
  12. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 率直に申し上げますと、従来、昭和三十四年でございましたか、前々長官赤城長官が、北海道において、防衛庁独自の立場で、赤城構想と申しまして発表した中に、確かに十の単位のものを十三に切りかえたい陸上自衛について構想がございました。当時としては、二次防衛計画の中の一つ考え方として動いておったことは私も承知しております。しかし、これは単に当時の防衛庁独自の構想でございます。その後二年でございましたか、たちました。その防衛庁の当時の二次防衛力整備計画なるものは、結局、選挙、政変あるいは安保における国会のいろいろなできごと等を通しまして、実行されなかったのであります。その間におきまして、三十六年度の予算編成という問題も起こりました。第一次計画は、御存じ通り昭和三十五年度で一応終了したことになるわけであります。しかし、終了いたしましても、その目標まではできていない。従って、その兵力量目標範囲内において、新しくそれではいろいろやらなければならぬことは何かと考えましたところが、従来から研究しておる、陸上自衛隊は現勢力範囲内においても、防衛目的なり自衛目的なりに役に立つような方法は一日も早く取り上げるべきだという考え方から取り上げました新しいアイテムと申しますか、として取り上げたのが昭和三十六年度における十三個師団改編、しかも、これは大きな部隊改編であり、その間に移動等も必要でありますから、二カ年計画ということにいたしたのでございます。そうしてその三十六年、三十七年の二カ年間に改編する、しかも、それは三十五年までに一応形の上では終わり、内容的にはまだ不完全であったものを補完作業として三十六年度でやる、そうして、それに必要な最小限度予算を要求したわけであります。また、予算審議をいただいたわけであります。かたわら、何と申しましても、軍の単位を十から十三に変えるということは大きな構想でございますから、国防会議という、法律上で定められました国としての最高の諮問機関にかけまして御決定をいただいた。と同時に、この十三個師団構想は、当然二次計画なり三次計画、今後の自衛隊一つのベース、基礎とはなって参るものだと、こういうふうにわれわれは考えておる次第でございます。
  13. 下村定

    下村定君 次の質疑に移ります。  日本防衛力は、米国から何らの拘束を受けるものでもない、また、新しい安保条約によって新しい義務を生ずるものでもないという当局の御見解は、私も全然御同感でございますが、実際自衛隊兵力を整備するにつきましては、有事の際に米国からどのような援助を受けるか、つまり兵力の問題、あるいは改編の時期の問題、それらについてよく協議を遂げまして、双方長短相補って、一緒になって、いわゆる総合的な戦略的の態勢を整えるようにすべきだと思う。それらの点につきまして、相互連絡は目下、どういうふうにおやりになっているか、伺いたい。
  14. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 日本の安全を害する事態が起こることは、当然極東の安全、あるいは日米安全保障に影響することであります。ただ、事態の起こり方によって、日米間の協力態勢は、それぞれその事態に応じて変わって参ると思います。たとえば日本のようなきわめて小さい国における間接侵略であるとか、あるいは部分的な、極地的な紛争というような場合、それから、これが海域で起こる場合、あるいは陸上で起こる場合、また、その裏にあるところの諸政策、いわゆる大国間の諸政策の脅威、動き、こういうような問題がどの程度からむかによっていろいろ変わって参るかと思うのであります。ただ、基本原則といたしましては、すでに御存じ通り安全保障体制の大きな運用上支障ないように、安全保障協議委員会と申しますか、こういうものがございまして、外務大臣、不肖私、それから太平洋総司令部フエルト大将、それから在日米国の大使、この四人をもって構成されておるトップの会合が、それぞれの立場から要求があればやるということになっていまして、現在までのところ、昨年一回新安保のもとにおいて行なわれました。これは九月でございます。その後におきましては、特に議題に供すべきものが両方の立場においてないものでございますから、開いておりませんが、時期を得てこれは一度開いてみたいという日本側においては願望を持っておりますが、まだ十分外務省として決定したものではございません。それから、さらにそのもとにおいて日常どうしているのか、これにつきましては、各幕僚間におきまして、在日駐留米軍幕僚間と緊密な連絡をとって、あるときは研究を遂げるでありましょうし、情報交換するでありましょうし、いろいろな諸事態において平素緊密な連絡をとらしており、また、とっておるというのが、現在の状況でございます。
  15. 下村定

    下村定君 この問題はきわめて重要と存じます。しかし、この安全保障協議委員会というものは、日本から提案をされたものでありますから、これを厳格に実施をして、先ほど申し上げましたような点が、平素からしっかりと双方の力が合っておるということがきわめて私大事だと思います。  それからもう一つお伺いいたしたいのは、米国共同作戦をやる場合を考えますと、多くの場合、米国から受ける援助というものが空と海に限られるように思うのであります。従って、日本自衛隊の建設と申しますか、陸海空の振り合いにつきましては、陸上部隊兵力充実、刷新ということを重要視しなければならないという感じを持っておりますが、この点はいかがですか。
  16. 西村直己

    国務大臣西村直己君) お説の通りでございまして、日本には、米軍陸上部隊は数において五千名、これは支援部隊補給部隊でございます。戦闘力等を持った部隊はおらないのでございます。従って、陸上に関しては、戦争と申しますか、侵略と申しますか、そういう事態が起こる状況にもよりますけれども、さしあたりは陸上自衛隊において万々の、万遺漏なきを期さなければならないわけであります。その立場から自衛隊運用して参らなければならないということを感じております。もちろん海空もそれぞれの任務はございますけれども海空におきましては、アメリカの実勢力というものが第七艦隊として、あるいは在日空軍その他としてあるわけでございますから、そういう面から陸上自衛隊が、特に陸上自衛隊において私どもが今後十分考えて参りたいことは、いつぞや下村先生がおっしゃいましたように、骨格はできております。障子の骨はあるが、紙が破れておる。その破れておる部面は確かにあるのでありまして、これらは言いかえれば、普通いわれている体質改善兵力相互の備蓄の増強兵力後方支援強化、これらも十分考えて、今後は留意して参りたい、こういう決意でございます。
  17. 下村定

    下村定君 次に、統合幕僚会議機能強化についてお尋ねをいたします。  今度の案に出ております改正は、主として有事の際における三各自衛隊の指揮、運用を円滑に、また合理化するように仕組まれておるいうであります。その範囲はもっぱら運用上の問題でありまして、これによってシヴィル・コントロールを侵害するものではないという当局の御説明であります。私はその点は御同感でございますが、この統合幕僚会議機能強化するということにつきまして、これは戦時の場合だけでなく、平時の場合にもこういうことが必要じゃないかという考えがあるのであります。と申しますのは、過去の日本軍におきましては、陸、海軍が対立しておりましたために、いろいろな意見杵格とか、あるいは物の取り合いとか、好ましからぬ事態が生じたのでございます。戦後の編成は、その点については非常に改良を加えられておりますが、やはり平時におきましても、まだまだ機能を簡素化して、そうして能率を上げるという点について考えるべき余地があるのではないかと私は存じます。たとえて申しますと、情報に関すること、補給に関すること、衛生に関すること、これらはできるだけ簡素にしまして、各自衛隊の間に摩擦の起こらないように能率を上げていくということも必要じゃないかと思うのであります。そういう平時的のこれらにつきまして、どういうお考えでございますか。
  18. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 自衛隊シヴィル・コントロールは根本の問題でございます。自衛隊の存在自体につきましても、それぞれのお立場で御意見なり、御批判なりのあることは十分私は知っておりますが、自衛隊というものを、一応憲法上あるいは法律上存在し、許されたるものというわれわれの前提をとって御説明申し上げますというと、しかし、自衛隊があるにいたしましても、私は、やはりシヴィル・コントロールを将来長く民主的に続けていくという原則はくずしてはいけないというのが私の固い決意でございます。ただ、御存じ通り、当面はできるだけ、しかし同時に、シヴィル・コントロールのもとにある制服を、あたたかい気持でもって正しい姿に私は引き戻していくべき段階だ、こういうふうに考えております。いたずらにシヴィル・コントロールであるからといって萎縮してしまって、部隊そのものの本来の姿を見失うようならば、自衛隊の存在意義はないのであります。その意味では、育成しながら、同時に、シヴィル・コントロールを今後長く確立をしていく、私はこういうふうな考え方部隊運用に当たって参りたいと思うのであります。そこで、私は、政府においては、必要なる限度においてはこれを育成すると同時に、規律、訓練というものは厳重に行なう。あくまでもこれは戦争に使うものよりは、戦争の抑制力としての存在であるべきであって、戦争を直ちに予定する以上に、抑制力としても規律、訓練が正しいということは、存在の価値が私はあると思いますし、また、災害等におきましても、それがおのずから災害においての活動力の大事な基盤にもなってくると思うのでありまして、災害に際した場合に、ただうまく働くのではなくて、平素の部隊の規律、訓練が、あるいは運用が災害においてもあの効果を発揮するのではないか、こう考えるのでございます。同時に、今回の統幕の強化、これに対しまして一部御意見、あるいは誤り伝えられた点もありますが、私は、これは部内の作戦上における一つの統合機能でございまして、機能を統合するのでございます。出勤時において統幕議長が長官を補佐するところの命令の基本を立案して私のところに持って参る、それを、しかし内局の方は、従来の権限において、政策的な観点から意見を加える、ことに人事、予算、あるいは出動するやいなやというような政策的な問題は、内局においてこれを判定する権限を、十分防衛庁設置法なり自衛隊法で持っておるわけでありますから、その原則を保持しつつ、今度は軍の運用の上においての能率化、機能化、本来のよい目的を育てる、こういう意味で統合幕僚というものを強化する。で、有事の場合におきましては、各幕僚長がばらばらに立案して持ってくるのではなくて、統合幕僚部において一本になって命令を立案する、もちろん参画はさせます。そして、長官のところで補佐を受ける、同時に、内局は政策面からこれを補佐する。従って、あくまでも、今回の統合幕僚部の権限の強化は、軍事上と申しますか、作戦上と申しますか、そういう観点のみの権限の強化でございます。それから同時に、平素におきましてはそうした態勢を誤らぬ意味におきまして、統合幕僚の学校を作りまして、十分の検討を加えさして、出動時における態勢に誤りないように期して参りたい、こういう法の改正でございます。
  19. 下村定

    下村定君 シヴィル・コントロールにつきましていま一言お伺いしたいと思います。ただいまの御説明もありましたように、現在のシヴィル・コントロールの制度は、私は確立されておると信じております。ただ、その人事の面、業務の運営の面におきましては、いささかもの足りない感がするのでございます。と申しますのは、失礼な申し分でございますが、防衛庁長官、初め制服でない防衛庁の職員の方々の御転出がいかにも早い、これではほんとうに自衛隊の実情に通じられまして、そして実力あるシヴィル・コントロールをやるのに支障があるのではないかと私は考えます。これはどうもはなはだ申しにくいことでもあるのでありますが、これらの点をいま少し強化されまして、少なく毛防衛庁の職員の方は、しっかり腰を落ちつけて自衛隊の実情をよく把握をされて、そして権威あるシヴィル・コントロールをやっていただきたい。そういう点につきましても防衛庁を省に昇格するということは、私はその意味から申しましても必要なことじゃないかと思うのであります。長官はこの点について前々から強い希望をお持ちになっているようでありますが、まだ実現は不明のようでございます。それらの点について御意見を伺いたいと思います。
  20. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 率直に私、部内の状況を申し上げます。自衛隊については御批判もあろうと思います。また、自衛隊の存在そのものについても、御意見のあることは十分承知しておりますが、しかし、同時に、国会においてきめられた自衛隊、これを意義あらしめる意味におきまして、シヴィル・コントロールの原則は私は立てていくべきだ。朝鮮のクーデター等を考えましても、わが国がああいうふうになるとは思いません。しかしながら、やはり軍隊的なもの、あるいは軍というものは不断に長い目でもってこれをよく運用して参らなければいけないということは、政治基本原則だと思います。特に民主主義下におきましては、シヴィル・コントロール政治が優位でなきゃいけない。従って、朝鮮のクーデターでもわれわれは感ずるのでありますが、政治が乱れれば軍の運用が乱れやすい。そこに、事、国防に関しましては、まず政治は特段にえりを正していかなきゃならぬというのが私の考えでございます。と同時に、今度は総理大臣が最高指揮官でございます。私が次の統轄者でございますが、私を補佐する面におきましても、シヴィルの諸君がやはり十分な能力を発揮してもらいたいし、また、補佐する以上は、制服の諸君から尊敬さるべき人でなければいけないわけであります。もちろん現在防衛庁におられる内局の諸君も、各省の有為の人材でございます。また、非常なよい見識を私は持っておるとは信じております。しかし、同時に、現在の軍の首脳部の諸君は、旧軍からきた人も相当ありますから、謙虚でございます。やがて十年、十五年たった日におきましては、それぞれ防衛大学等を出身してきた諸君が軍の首脳者になってくる人もあろうと思います。その場合に、政治あるいは政治に続くシヴィルの諸君がやはり尊敬され、相当な見識を持っていく必要がある。それには、やはり防衛庁がよい人材を将来とも養っていかなきゃならぬ。シヴィルの面においてよい人材を養っていく。それにはどうしたらいいかというと、もちろん防衛庁というものも意義がありますが、同時に、一つの独立した省というような意味になりまして、そして、そこへ落ちついた人材が、漸次シヴィルの面にも長いいきさつ等を知って、正しいコントロールの研究なり手腕なりを補佐の面で発揮するようなものになってほしい。これが私が防衛庁を省に昇格すべきではないかという私の意見でございます。と同時に、いま一つは基地問題がございますが、調達庁というお役所がございますが、これが非常に毎年縮小されていって、身分が不安定でございます。同時に、基地に関しては米軍の基地もございますが、自衛隊の基地問題もございます。これらが二元的に分かれていくことがはたしていいのかという問題もございまして、調達庁のいわゆる基地行政を扱うにつきましても、防衛庁側と漸次一本化すべき段階が近づいているのではないか。この両者合わせたときに、私は、防衛庁の機構改組、できればいわゆる恒久的な体制に持っていくべきではないか。省昇格に持っていくべきではないかという考え方でございます。ただ、これは今国会での当面の問題ではございませんので、これから時間をいただきまして、われわれ部内で十分検討し、また、関係方面と打ち合わせの上、やがて次の段階におきまして、もし結論を得ますれば、国会等で御審議いただく日もあるかもしれぬ、こういうふうな強い熱望を持ちまして、私は自分の所信として申し上げる次第でございます。
  21. 下村定

    下村定君 まだ御質問申し上げたいことも残っておりますが、他の委員質問があるようでありますから、私は、本日はこれで私の質問を打ち切ります。
  22. 横川正市

    ○横川正市君 私は、主として現在の防衛庁の運営機能の問題から起こってくる幾つかの問題について御質問を申し上げたいと思います。  まず最初に、西村長官で十六代ないし十七代という、非常に十年の歴史を持っている防衛庁の責任者の頭がかわるのが早過ぎるわけでありますが、何代目かの西村防衛庁長官として、あなたを補佐するその人方のいろいろなまあ手腕、力量等も、あなたはあなたなりに評価して、そうして自衛隊それ自身が防衛任務を遂行し、それに信頼するに足る状態に発展しつつあると、こういうふうにお考えになって現在その任務を遂行されているか、これがまず第一点。  それから第二点は、実は西村長官の発言の内容を見てみますと、陸軍、海軍、空軍というふうに、ことさらにPRも含めた発言が非常に多いわけです。これは憲法解釈上その他からもいろいろ問題があるので、いわば印象的に自衛隊を、ことさらにという言葉は当たらないかもわかりませんが、国内向けに放送するということなのか、それとも、あなた自身、すでに内容も充実し、そういうふうにするということの方が正しい、こういうふうに判断をされてそういうことをことさらに使われるのか、この問題も一つお聞き申し上げたいと思います。
  23. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 防衛庁長官は、この席に先輩おられますが、私でたしか十六人、保安隊から始まりまして十六ぐらいだと私考えております。で、その間に、御存じ通り警察予備隊から、発足以来いろいろな状況の変化はございましたが、一貫してシヴィル・コントロールの線は私は十分堅持されてきていると思います。もちろん、まだ発足して日にちが浅い自衛隊でございますから、いろいろと部外からの御批判なり御意見もありました。従って、そこに実際の状況といろいろ合わないような面もあったかもしれませんが、しかし、大きな流れといたしましては、私はよく育成され、正しく運用される方向へいっていると、私は私なりにそういう感じを持っているのであります。これは見る方によっては御意見があろうと思いますけれども、私は防衛庁長官としては、ただいま申し上げたような所感を持っております。  第二の、私が時おり軍という言葉を使う場合があったのであります。これは実は国会の討論の場におきましても、社会党の方も御質問の中におきまして、衆議院等におきましては、よく三軍というお言葉をお使いになるもので、私もそれとつい一緒になって、海軍その他というような御質問があるわけでございますから、海軍では、という御返事をすることもあるのであります。意識して軍という言葉は使っておりませんが、質問が海上自衛隊陸上自衛隊といって御質問なさると非常に長くなるものだから、つい御質問なさる方も、海軍はどうだ、陸軍はどうだとおっしゃるものですから、私の方もそういう合言葉でそういうふうに言っていることがあります。問題は、それじゃ軍と言えるかどうかということでございますが、従来の憲法解釈として、軍と呼べば軍と呼べないこともないという政府考えでございます、その機能その他から。ただ、これを憲法上まともに軍というかどうかということについて、まだ研究の余地はございますが、軍隊的性格は多分に持っている。従って、それを称して軍と、こう言うなら言えぬことはないというのが、従来政府国会でとって参りました答弁でございます。もちろん現在の法律そのものにおきましては自衛隊でございます。「隊」という言葉を使っておるのでございます。軍という言葉にもいろいろな要素がございます。まあ救世軍のごときも、救世軍といって、一つの軍という言葉を使っているのでありまして、必ずしもその言葉がはっきりしたものではないけれども、われわれは、世界共通の軍隊的要素というものは、やはり自衛隊の中にあることは認めております。ただ、法律自衛隊という、「隊」という言葉をもってこれを表現しております。
  24. 横川正市

    ○横川正市君 この問題は他に関連のあるもので、前提としてお聞きしたわけです。  次に、先般非常に私どもとしては、そういう要素が、情報上は察知いたしておりましたが、起こり得る事態が、われわれ人間の弱さといいましょうか、起こってみて始めて驚標するという、こういう非常にどろなわ的な点もなきにしもあらずなんです。南朝鮮で起こった軍のクーデターの問題と関連してお聞きをいたしたいと思うのであります。  まず最初に、私は、防衛任務というものの中にはいろいろな要素があるわけでありますが、その中で、ことに訓練、あるいは装備、その他いろいろな任務につく最低の要素を整えていくためには、それを整えなければならない諸般の情勢というものが、これはまあいろいろ検討されて、一つの青写真というものが出てくると思う。この点については非常にばく然としたものしか今まではないのでありますけれども、その中の第一の点は、自衛の任務につくものの国内、国外の情報の収集については、これは一体どのようにやられているのか、これをまずお聞きしたい。
  25. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私ども防衛力増強して自衛隊運用する以上は、当然前提となる防衛構想と申しますか、防衛情勢というようなものを持つことは当然でございます。従って、その情勢の把握ということに対して、できるだけ国家国民に御迷惑をかけないように、むしろその目的の本来の姿に当てはまるように正確な把握をしたいという努力はいたしております。ただ、御存じ通り自衛隊といたしましては、海外に別に自衛隊が出るという任務はございません。あくまでも国内のもの、従って、自衛隊といたしましては、外務省の身分を持ちまして、海外情勢としては駐在官を置いております。駐在官の場所は、必要がございますれば政府委員から申し上げますが、駐在官を置いております。と同時に、国内におきましては外国の武官等もございますから、たとえば韓国のような場合には、韓国に各国が駐在武官を兼任でやっておるのが相当あるのであります。それらと接触しながら正確な情報をつかむ。また、同時に、国内的には外務省を通じ、あるいは一般に公開されるべき情報を少しでも早くキャッチして正確な判断資料にする。同時に、また、京城その他でも公開放送をやっておる。そういうものは当然われわれとしてもお受けすることができるわけであります。それらを基礎にいたしまして、誤りない情勢判断をやっておるのが現状でございます。
  26. 横川正市

    ○横川正市君 これは私は、なかなか完備のできない非常に広範な仕事だと存じます。ことに最近のアメリカとキューバ間で起こった問題でいいますと、あの問題が起こった直後、米大統領は中央情報機関CIAの改組をした。これは内部の強化をしたのか、それとも、ただ単に機構でなくて、人事までいじったのか、私どもはつまびらかにいたしませんけれども、しかし、この大きな情報機関を持っておっても、なおかつ結果的に見ると、大統領のとった行為というものが、その情報機関に頼ったことによる批判が非常にきびしかった、こういうことがあるわけです。しかし、今、長官答弁によりますと、それの何万分の一にも該当しないような状況下でも自衛隊任務遂行の情勢というものを把握しておる、こういうことで、私は非常に心もとない内容ではないか、そこで、具体的にお聞きするわけであります。南朝鮮に駐留している米軍の地位といいますか、資格といいますか、これは朝鮮事変から引き続いて、国連軍の派遣部隊としての任務をまず一つ持っている。それから韓国軍は、その国連軍の指揮下に行動している、これが韓国軍と米軍との関係ではないかと思う。同時に、また、韓国軍は、これはおそらく統帥権といいますか、あるいは軍令といいますか、そういった指揮が、米軍の指揮下だけで全部行動範囲あるいは命令系統がきめられるのか、それとも、新しい憲法改正後の大統領の権限というものは、非常に象徴的になっておるようでありますが、あるいは首相の権限下にあってどういう任務を持たされておるのか、この点がわれわれとしてはちょっと把握しがたい点なんであります。いずれにいたしましても、両者の系統が明らかにいたしましても今度の行動というのは、これは私は、われわれが考えて、他国のことだから容喙すべきことではないとかあるとかという問題もありましょうし、さらに、また、極東における共同防衛体制下の一つ中心をなしておるわけでありまして、その点から考えてみますと、これはやはり憂慮すべき問題であるというふうに判断ができるわけです。そういう点から、韓国軍の置かれておるいわゆる指揮命令系統といいますか、そういう点について一つこの際明らかにしていただきたいと思います。
  27. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 最初の問題にちょっとお触れいたします。  情報が弱いではないかとおっしゃれば、私は、まだできたての自衛隊でございますから、その面の欠点はございます。同時に、われわれは、何と申しましても、平和外交の面から入ってくる外務省情報というものとも相当連絡をとらなければなりません。ただ一つ私は情報に関しまして、あまり情報というものばかりに軍というものを頼らせ過ぎますと、今度は情報が国を誤ると申しますか、情報によって国家は政治を振り回し過ぎる、これは従来の軍に私はその批判があったのじゃないかと思います。また、アメリカのキューバの問題についてもそういう批判も起こっておるようでありますが、情報機構につきましては、十分それらを検討しながら、今後正しい情報を正しく運用するというような方向にやっていかなければならぬ、こういう考えでおります。  それから、第二の韓国の指揮系統でございますが、これはややしろうとなので、間違いがあれば――間違いがないつもりでありますが、必要があれば専門の諸君も来ておりますから説明させますが、平常状態におきましては大統領が最高指揮官で、それから総理、それから今度は統帥系統は国防部長官と申します。そうして軍がシヴィル・コントロールをやっております。それから国連軍の一翼に入っておる。特に第一軍と申します実戦部隊と申しますか、これはおもに北の方の部分部隊は集まっておるのではないか、これは国連軍の指揮下に入っておる。言いかえますれば、対共産勢力に対する行動の指揮は、国連軍なり、国連軍を通してのそれぞれの系統でいく。それから普通の国内的な軍の運用、第二軍は補給中心でありますから後方支援、これらは韓国の内部の問題としてやっていく、ただ、それに対して私が部内で聞いておりますのは、要請的要求と申しますか、韓国的要求と申しますか、リコマンド・リクエストという言葉を使っておりますが、韓国的要請という限度において注意を与えるとか、こうしたらいいだろうという程度のことは多少あるのではないか、あると、こういうふうに私は聞いておるわけです。従って、今回の事態を通じましても、補給面、言いかえますれば、燃料、武器、弾薬等の補給については、駐留軍が、ある程度供与する部分においては統制を握っておるのではないかということ、また、今後起こってくる事態というものについてのいろいろな補給面もしぼられてくるということは推察が私はできるのではないかと思う。第一軍と申します実戦の部隊は、直接国連軍司令官が指揮をとる、国内的にはリコマンド・リクエストという形をとっておる、補給面においては、米軍供与の面のごときは、当然米軍のコントロール下にある、こういうふうに私は解釈しております。もし間違いがあればどなたか……。
  28. 横川正市

    ○横川正市君 その指揮系統下の、具体的に言えば三千八百名程度の韓国軍が京城を中心として行動に入った、こういうことになっておるわけですね。
  29. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 第二軍でございますから……。
  30. 横川正市

    ○横川正市君 ですから、指揮下は、これは大統領指揮下ということになるわけです。その場合、私どもの知る限りは――一般の新聞報道から把握する以外にはないのでありますけれども、大体これは駐留する米軍がどういう出方をするかが問題の解決だという判断が、大体これはもうどの新聞を見ましても中心になっておる。その間に米軍のその新聞報道が二様、三様に変わってきておる。ことに最初は、現在民主的憲法によって制定された、しかも、合法的選挙によって作られた政権を支持する。これは今言ったような注意を喚起するという意味かどうかわかりませんが、そういう態度を現地軍が発表している。そのうちに、その発表が幾らか弱いものになっている。現在では大体静観という形である。こういう状態から推して、この中には非常に重要な判断をしなければならない問題があるんじゃないかと私は思うのですが、まずその第一点は、こういう事態を惹起した原因といいますか、これを二つに分けて判断されると思う。一つは、北鮮を対象とした国内の兵備の定員の増強その他からくる状況が、経済的にこれは相当オーバーな装備であって、そのことが民生安定に大きく影響した、そのことによるところの不満を政策の無為だといって、今度の蜂起になった、これが一つの問題。  それからもう一つの問題は、一年前の李政権下における朝鮮の実情というものが、新しい政治体制下で、期待する情勢下にあったけれども、そういう期待が裏切られた、と同時に、南北の連邦制の北鮮からの提案等も熾烈であって、思想的な統一運動が南朝鮮に起こってきた。その蜂起の時期を前にして今回のクーデターになった、こういう二つの見方をとられているわけでございますが、長官としてはこのいずれを原因としておとりになるか、まずお聞きしたい。
  31. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 私どもの方で整理いたしました情報に基いていろいろ御意見を申し上げます。  ただ、事柄は韓国の内政でございますから、私も、この問題の批判等については、できるだけ慎んで参りたいと思うのでありますが、事実は事実として、私ども情勢判断した部分を申し上げたいと思うのであります。  御存じ通り、事件が三十六年五月十六日の午前三時ごろソウル市内で起こった。そうして八時ごろまでには一応の目的を達したような格好になっている。それから革命委員会ができているわけでございますが、それは御存じ通り、反共ということをはっきり言っていることと、それから国連憲章を重んずる、親米あるいは自由諸国とは提携する、こういうようなこと、それから腐敗政治を一掃するとか、国民経済を建て直すとか、こういうようなこと等が中心になっているように思うのであります。  それから規模は、私どもの聞いている情勢では、大体全軍的なものではありますが、ただいま申しました第一軍というよりは、むしろ第二軍、言いかえれば、補給、後方支援、こういったような、直接国連軍の指揮下に入っていないような面が中心に動いている中で、憲兵隊だけは除外されているようでありますから、京城でも憲兵隊と軍との撃ち合いがあったということが報道されているわけでございます。そうして、これらによって行政支配権が握られて、各省にそれぞれの軍からの行政派遣員が行って、事実上の実権をとって政治上のいろいろの問題の打開に当たっている、これが現状のように私は思うのであります。で、その中で特に中心になったのはどの辺かと申しますと、はっきりわかりませんが、一つは海軍の陸戦隊である、海兵隊というのが多少やはり中心にもなっているように私は聞いております。空の方はあまり動いたような情報は私は聞いておりません。むしろ陸と海兵隊、これらが中心のように私は感じております。  それから、御存じ通り、新聞に出ている中心の方々は、比較的年令層が若い、李承晩革命と申しますか、李承晩前大統領が追われましてから、その後に古い軍人層はある程度退役された人もあるので、年令層が、比較的三十から四十にかけての人たちが軍の首脳者になっております。その人たちがずっと動いているように私どもは情報を得ております。言いかえますと、これは青年将校という言葉が当たるかどうか知りませんが、日本の二・二六の青年将校ではない。首脳者ではございますが、年令層が若い。それから原因というものは、はっきり私どもが勝手に分析するわけに参りませんが、最近帰って参りました議員団の諸君の報告等もかみ合わせますと、一つは経済情勢が非常に悪くて、失業者が韓国に非常に多いということが一つの大きな理由であるから、比較的市民は、軍がああいうふうに動いたことに対して当然視をしている。生活が非常に悪い、と同時に、何と申しますか、失業者が多い、こういうところがら生活改革というものを非常に望む。張勉政権としては、あの自分たちの革命を遂げてから、革命の跡始末に追われて、積極政策に入るまでにまだ手がつかないうちにあの事態が起こった。それからいま一つは、軍隊が、御存じ通り陸上がたしか正規軍が四十八個師団で四十五万くらいで、それ以外に第二軍的なものもございますから、全体で五十五、六万かと思っておりますが、新聞は六十万といっておりますが、国防費は韓国経済の中で三割といわれております、財政の中で。だから多少国防費が多過ぎるという点もあるかもしれません。と同時に、韓国自体が経済的に立ち上がるのに、非常に国内的に諸原因があって苦労をしている、失業者もあり、経済が非常に苦しい。こういうところがら国民生活のふんまんがよって出てきた。それからいま一つは、横川先生のおっしゃるように、私どもの得た情報では、やはり統一運動と申しますか、そういうような学生を中心にした動きがあったに対して、やはり軍内部でも批判があったのではないか、こう思うのであります。  それからいま一つは、韓国全体の経済が苦しくて、軍が大きいから給与が悪い、軍内部の給与が非常に悪くて、軍自体も生活苦にあえいでおったのじゃないか。これらの諸要素と、それから国際情勢全般のいろいろな影響もたくさんあるでございましょう。これらが私は諸原因になって今回の事態に立ち至っているのではないか、こんな判断をいたしているのでございます。私自体の判断でございますから、万全ではないかもしれませんが、その点はお許しを願いたいと思うのであります。
  32. 横川正市

    ○横川正市君 今の情勢判断は、それ以上は特別な何らかの手を下さなければ掌握できないのじゃないかと私は思っているわけです。  そこで、私どもの聞きたいのは、いわばこのSEATOの相互防衛関係の中で、台湾と日本と朝鮮、ビルマ、ラオス、こういうような一つの体制下の中にある、しかも、米軍の管理下の中で起こったというこの事態について、実は防衛庁としては、今言ったような新聞で知る程度、しかも、一般的な常識で知る程度の判断しかお持ちになっておらないのか。勘ぐって言えば、私どもは、アメリカがキューバの事件を起こしたときに、いろいろまあ報道されるところによれば、キューバの亡命者の実際上の軍事上の援助米国内で行なわれておって、それが米国の正統の政府の支持を受けてあの行動に移ったということは、アメリカにとって、あいくちが、のど元に位するキューバの地位というものを考えて、私は、アメリカ自身が、その目的その他はいろいろあると思うのでありますけれども、その目的のために援助をしたという事実が新聞で報道されているわけです。そうすると、今度の場合、南北連邦問題がその要因の一つであるということを、長官も大体あなたの判断だということになりますと、しかも第二軍に位する、しかも、たった二日ぐらいしか実際上の行動をする武器弾薬を持っておらないという三千八百名足らずの海兵隊を中心とした部隊に対して、指揮系統は、私は、明確に注意を喚起する程度のものではなくて、ある程度もっと強いものを持っておったのじゃないか。それが内政干渉だというようなことで干渉しないということは、どうも考えられない。ことに、最初アメリカ軍の発表したところによれば、憲法上の正当な選挙を通じて合法的にできた政権に対するクーデターであるので、これを支持しないということを明確にした報道が出ておるのでありまして、そういう時期に、私は、まあ朝鮮の不幸な事態に対して何らかの処置がとられたのではないか。しかし、それをとらないということは、どうも不連続線かどうかわかりませんが、意思相通ずる問題があったのではないかと判断される向きもある。この点について長官としてはどうお考えですか。
  33. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 米側の態度を私がこの国会を通じて批判をしたくはないのでありますが、ただ、情報として得ておる程度のことは、私それはやはり申し上げて差しつかえないのじゃないか。米軍態度といたしましては、さっき申し上げましたように、第一軍と申しますか、北鮮に板門店を中心に備えておる朝鮮軍は、当然国連軍の指揮下に入っておりますので、米軍が指揮をとっておりますから、今回は直接は参加していないというふうに私は聞いております。問題は、第二軍が中心で今回のクーデターを起こした。これはあくまでも国内問題としての正規の指揮権は韓国政府にあるだと、こう考えております。また、あったと思います。そこで、これに対して、事態が起こるにあたって、米軍としては、出先軍としては、新聞報道その他で張勉政府を支持するような少なくとも発言があったようでありますが、その後事態の推移を見まして、いわゆるなるたけ合理的な線でいくものに対して、静観をしながら事態の推移を見てやっていこう、従って、米軍としては、私が得ておる情報では、できるだけ不介入、言いかえれば、米軍自体が動くとかいうような姿は見せなかったようであります。また、もちろん在日米軍等はこれに対して何ら変化が起こっているわけでも今日ないわけでありますから、私は、政治判断はいろいろな判断があるかもしれませんが、私どもといたしましては、あくまでも間接的には国際政治の一翼として影響は受けておりましょうが、国内的な、内政上の韓国の事態である、こういうふうに判断をいたしておるのであります。
  34. 横川正市

    ○横川正市君 これは防衛任務の面からすれば、あるいはまた長官の責任範囲からは離れるかもわからぬのでありますけれども、朝鮮の状態というのは、クーデターが起こった直後にいろいろ報道されている内容と、それからその以前に、三月末ないし四月に、朝鮮の経済問題から一波乱ありそうだと報道された記事とは、大体似ております、その内容は。それから在日朝鮮人総連合中央常任委員会の宣伝部で出した「民族課題として解決する南北連邦制を提唱する」という提唱の中での南鮮の経済事情の判断、これも大体同じ判断をしておるようです。この状態としては、私はここに二つ相反する問題があると思うのです。一つは、軍事上の目的から南北の統一を阻止するという問題と、それから経済上の問題から連邦制を支持するという問題と、二つあると思う。同一の民族が三十八度線で分断されて、そうして片っ方は、正確な情報ではありませんけれども、工業、農業等々についても、相当発展を来たし、民生の安定が行なわれている。しかし、それは自由国家でなくして、これは独裁国家である、こういうふうにまあ判断をする。南の方は自由国家群に属し、そして自由な国と称されておりながら、農民は作った米も食えず、漁民はとった魚も食えず、その日の生活状態に事を欠く民生不安定の状態にある。そういう中で、南北を統一しようとする意識が相当強烈な状態によって出てきた。その直前に今度の問題が出てきた。私は、まあ、これは防衛庁防衛法によって、まあ極東におけるいろいろな状態については、できるだけこれはうみの出るものは出してもらいたいだろうけれども、いわば平和で、日本の平和を促進させるような状態に置かれるということは望ましい状態ではないだろうか。しかし、その望ましい状態も、共産国家と、それから自由国家群という、そういうイデオロギーの前線をなしているという理由によって、この朝鮮民族の悲劇というものを、これを紛争のままに置き、さらに、また、そのことが、ひいては日本の安全にも関係するということについてはほうかむりをする、こういうことでいいかどうか。これは私はまあ非常に常識的な判断として、決してこういう態度はよくはない、こう思っておるわけでありますが、その点について長官の判断をお聞きいたしたいと思います。
  35. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 非常に世界政治の中の根本問題にも触れて参るむずかしい問題でございます。しかし、特に防衛庁長官立場としましては、防衛庁長官といたしましては、国内の自衛ということだけを直接やっておりますから、国外のいろいろな諸紛争は間接的になるわけでありまして、私が意見を申し上げるのは、あるいは差し控えるべきかもしれませんが、御質問もありましたから、二、三触れさせていただきます。  確かに朝鮮の中には、統一によりまして国の繁栄をもたらしたいという考え方も南鮮に根強いものがあろうと思います。また、一方においては、強い反共の立場から、むしろ分離して、あるいは自由国家の中の大韓民国、自由国家群の中の南鮮として栄え、その上において、その力において、その立場において統一をはかりたい。今回のクーデターをやった軍隊の目標も、一つのスローガンといたしましては、最終にはこういうことがスローガンの中に入っているようでございます。国土統一のため、共産主義と対決できる実力を養成する、ですから、いわゆる反共の立場から統一をしよう、こういう思想が出ております。従って、同じ統一でも、それぞれの立場においての統一思想があったのです。そこで、まあそれが内政上、あるいはさっき申し上げましたように、そういうような反共的な立場からの統一思想を打ち出すには、むしろそうでないような立場の中立的な統一思想でございますか、そういうようなものに対してやや先手を打ったような面が私も判断として一つ申し上げたわけであります。防衛庁といたしましては、それに対して、他国の内政でございますから、あまりはっきりと私どもがこの席を通じてかれこれ申し上げるのは、いかがかと思います。ただ、事柄は、あくまでもわが国の自衛、いま一つは、共産主義に対してはどうかというならば、私どもは、日本国内において共産主義は、なるほど合法政党でございます。あるいは思想の自由がございます。ただ、共産主義を通しての破壊的な活動に対しては、私どもは、きぜんとしてこれは守り抜く、こういう強い決意を持っておる次第でございます。
  36. 横川正市

    ○横川正市君 憲法で認められ、合法な選挙を通じて作られた政権をこわしたのは、これは残念ながら共産勢力ではなくて、右翼的な性格の軍隊であったというところに、私はそれならば賛成だというような答弁が最後にあったように思われるわけです。私は、こういう格好も、もちろん共産党の破壊行為も、これは賛成できないわけなんですけれども、、そういう建前からすると、今、はしなくも長官の言われましたその考え方がどうも全体に流れておる。非常に私は危険に感ずるのは、そういう事態が起こったら国内も巻き添えを食ってしまって、そうして意識的に国内の中に、あらゆる場所に三十八度線ができてくるような状態というものは、これはもうどういう理由があったにしても、阻止しなければいかぬという考え方に私は立っている。そういう意味から今までの朝鮮の不幸な事態を見ておりますと、一つ目的はあるのだ、その目的のためには、手段がどうあったにしても、結果が大体われわれの考え方と合致すれば、これは認めていこうではないか、こういう思想が非常に強く私は流れておるように思うのです。それを防衛庁長官としても是認をされる、こういうように言われますと、これに影響する、国内におけるところの三十八度線から端を発して、自衛隊の育成、教育、それからいろいろな問題に関連をして、相当重要な問題が提起されてくる、こう思うわけでありまして、国内問題は次の機会に譲るといたしまして、朝鮮の起こった事態に対して、あなたの考え方をお聞きしておきたいと思います。
  37. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 最初に申し上げましたように、私は、直接的には、これは大韓民国の内政上の問題だと思いますから、私が国会の公式の席を通じて批判を加えることは避けたいと思いますが、ただ、何と申しましても、防衛庁という仕事を持っておりますから、日本の安全にどの程度影響するかということは、不断にこれは見て参らなければなりません。いかなる形の韓国の内政上の大きな紛擾でありましても、日本の内政にあるいは響く場合があるかもしれませんから、不断に情報収集はやって参りたいと思うのであります。  それから、韓国のクーデターを私が是認するとかしないとかいうことでなくて、これはあくまでも朝鮮内部の問題でございます。できるだけ私は、それはやはり合法的、民主的な方法で事柄がおさまっていくことは念願しておるのであります。ただ、私が共産主義等に対してどう思うかという場合におきましては、私は、共産主義の実体というものが、破壊的な要素を非常に思想的に含みやすいし、また、革命方式等をとりやすい、また、植民地の解放戦争であれば、正義の戦争は認めるのだということを共産国家が言っておられる以上は、こういうような点について、私は共産主義に対して強い批判を持ち、同時に、自衛隊としては、共産主義からくる破壊活動、これは右翼でも同じでありますが、民主主義を破壊する行動に対しては、自衛隊はきぜんとしてこれを守り、秩序を回復することが当然の任務だ、こういうように私は考えておる次第であります。
  38. 横川正市

    ○横川正市君 やはり私は、自由国家群に属しておるからという意識があまり強過ぎて、そのために行なった行為について、悪いことも悪いと言えないようなことでは、自立したものはできてこないと思うんですよ。ことに、まあ今度の朝鮮の問題は、非常に日本に影響力のあるものだと思います。たとえば、これは在日米軍の基地その他区域に在駐する部隊が、日本の基地を基点として南朝鮮の事態に対して行動を起こすというような場合が瞬間的に想定されたような時期もあったと思うんです。向こうの内情があまりにもわからないで、しかも、その面からは、さようなことには今は静観ということで、国内の問題だとして処理しようとされる態度が出てきた。しかし、その瞬間において、私は、将来の問題として起こり得ることでありますから、当然これはそういう場合でも、米軍の行動については、事前協議の精神にのっとって、政府とそれから米軍側との間で協議をすると、こういうことに該当するかしないのか、その点についてお伺いしておきたい。
  39. 西村直己

    国務大臣西村直己君) もちろん今回の韓国の事態はお説の通り、静観主義をとっておるわけであります。それから日本には、陸上部隊補給でございますから、ほとんど直接向こうに戦闘移動ということはないと思います。海軍は、御存じ通り、海上勢力でございまして、これはもしその戦闘作戦行動を、かりに朝鮮に対する事態が国際紛争等の戦闘参加ということになりますれば、これは当然基地を使うようであり、直接戦闘参加するならば事前協議の対象になります。それから、空の場合におきましても、日本にいる空軍勢力というものは過大なものでございませんので、従って、万一おっしゃるような直接戦闘参加ということになりますれば、日本の基地を使うということは、岸・アイクの共同声明のように、日本国民の意思に反してということはしないし、事前協議の対象にするということははっきりしております。
  40. 横川正市

    ○横川正市君 もう一つは、空軍で、府中で第五空軍司令部が指揮をしている部隊で韓国に派遣隊を持っている場合ですね、これはまあ常に国内と、それから朝鮮におけるところの配置機数なんというのは、これはさまったもので私はないと思う。事態に備えて、いつでも瞬間に配置がえをすることができる、こういうふうな問題が起こり得る可能性があるわけですね、そういった場合には事前協議の対象となりますか、それとも、その事前協議の対象となるならば、そういう事態をどのように把握して協議に移るのか、この点を一つお聞きしたい。
  41. 西村直己

    国務大臣西村直己君) これは御批判はあるかもしれませんが、米軍としては最大慎重な問題でございまして、言いかえますれば、日本の基地を使って直接向こうへ行って、直ちに戦場なり戦闘行動を起こすということは、安保体制のあれだけの問題になった事柄でありますから、きわめて慎重であります。従って、多少の私は事実上移動がありましても、その第五空軍の司令部は東京の府中にあることは御存じ通りでございます。これは韓国の空軍を指揮する隊形になっております。しかし、韓国には、出先のさらにそのもとにおける指揮中心があると思います。従って、移動の場合でも、一ぺん韓国内なら韓国内なり、あるいは沖繩なりへ行って、それから直接戦闘に行くという体制が多くの場合とられると思います。日本の基地から直接戦場へはせつけるということについては、当然事前協議の対象になるし、また、米軍側も日本国民考え方を十分尊重しておりますから、それについてはきわめて慎重であるということは申し上げたいと思います。
  42. 横川正市

    ○横川正市君 まあ軍事上の問題で、私どもは、いつでも非常にわかったようなわからないようなことで済まされてしまいまして、結果的にはそれが納得したというようなことになってしまう。私どもは、まあ今度の場合どういう事態に発展するかという点については、あの時点では全然判断がつかなかった。ことに、あれが右翼によるクーデターであるのか、それとも経済その他の状態が非常に悪いということは報道されておりましたから、左翼によるところのクーデターなのか、その点の判断が私どもはつかなかったわけでありまして、そういうような状態にありますから、瞬間的に、一体基地や地域を提供している日本では、その当面の責任者は相手の情報をキャッチするのはもちろんでありますけれども、しかし、すみやかにそういうことで事前協議、協約をしなければならないような事態があるかどうかという問題についてアンテナを張るということであるが、具体的に米軍との間に話し合いを持つ、いわゆる率先して事前に。あるいは米国からはその事態はよくわからないが、こういう事態が起こればこうしたいというすみやかなる処置がとられるのか、こういった点を瞬間感じたわけです。しかし、今まあ長官答弁を聞いておりますと、幸いにしてそういう事態がなかったからこれはまあよかったけれども、そういう処置がとられたというふうはまあないわけですね。これは今後ともこういう格好で推移されるのか、私は、まあ一番最初に、情報網あたりがきわめて脆弱で、責任者として防衛任務につけしめるのに、いわば的確な、しかも、寸秒を争うような措置がとれないような状態である、これはいかぬじゃないかと言ったら、そのような答弁がありましたが、その問題も含めて、配置、報道、これをどう決定していくか、あるいは協定を事前に結び、できれば戦争に巻き込まれないための最善の措置は一体どうするか、この点についてお伺いしたい。
  43. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 確かにわれわれの方はまだできたての自衛隊であるし、どちらかと申しますと、あまり従来の軍のいろいろな批判もありましたから、遠慮がちでもありますが、情報網は確立しなければならぬ。ただ、今回の事態におきましても、それじゃ全然情報は、私が防衛庁へ出勤してから知ったか、そうじゃございません。午前たしか五時ごろには私はあの事態は知ったのであります。従って、私としても、あなたがおっしゃいますようないろいろな事態の想定を考えてみました。また、おそらく外務省なりその責任者も、早く一応のこういう状態へ入ったということは知っておったのじゃないか。従って、もし事態の推移いかんによっては、われわれも、もちろんその具体的な問題に対して国内意見を交換すると同時に、あるいは米軍その他とそういう問題について打ち合わせをする必要があろうと思います。と同時に、米軍側としましてもいろいろな場合があると思いますので、私どもは抽象的にはこういった話し合いを行なう場合におきましては、きわめて慎重であるということだけはこの席を通して申し上げたい。慎重と申しますのは、日本国民戦争に対する非常な心配感と申しますか、巻き込まれ戦争でございますね、それに対しては、日本の基地から直接戦闘参加ということは事前協議の対象になるから、できるだけそれを避けていく。言いかえれば、沖繩に膨大な基地も持っております。また、海軍の場合には、フィリピンに海軍基地をりっぱなものを持っております。これらを使って、それから装備等を整えていく、こういうようなことは平素われわれも話を聞いておるわけであります。また、御注意の点もありますから、今後もいろいろな事態もわれわれも考えながら、たお研究なり、そういうことは十分そごのないようにはかって参りたい、こういう考えでございます。
  44. 横川正市

    ○横川正市君 まあ私は、今の質疑の中で非常に問題として取り上げなければならないと思うのは、目的一つであるから、南北の連邦政府等の提案、これはまあよしあしは別といたしまして、そういうことによって両者の利益がある程度はかられるということをもこれは阻止する、こういうようなことが思想的な立場の違いによって支持をされたり支持をされなかったりするということについては、これはまあ自衛隊の育成発展過程の問題等も関連して、今後国内問題としては非常に重要な問題である、こういうふうに考えておるわけなんであります。  そこで、最後に、長官としては、たとえば朝鮮の三十八度線の問題、それからインドネシアの問題、ラオスの問題、それぞれ日本を取り巻くアジアの各地域に紛争が起こっておる。ひいては、このことはすべて安保の問題と関連して悪化すれば、当然これは日本もそれに対して相互防衛任務を負わなければいけない、こういう状態に立つわけでありますけれども、それに対してあなたの考え方というものをお聞きして、あとは国内問題については次回にお聞きしたいと思います。
  45. 西村直己

    国務大臣西村直己君) 日本自衛隊国内の守りございますが、一つの基盤として、国際間では日米間の安全保障、もちろん極東の安全、日本の平和という題目でございますから、ラオスなり、あるいはベトナム、あるいはインドネシア等々が、直ちに直接日本安保上の問題にはならぬと思います。ただし、極東の安全、こういう意味で間接的には関係がある、こう私は態度をきめているわけであります。従って、防衛庁長官といたしましては、あくまでも中心日本の安全、これをまずどうするか。これには、まず自衛隊ということから発足いたしまして、そうして日本の安全と、安保体制の趣旨範囲内でこれらの事態を判断して参りたい。従って、ただいまラオス、あるいは、いわんや遠くインドネシア等のいろいろな国際政情に対する態度については、自衛隊としては、なるほど間接的な意味での影響力がございますし、勉強し検討することは当然われわれやらなければいかぬと思いますけれども、それ以上の事柄は、外交上の問題、あるいは政治全般の問題として処理をしていただくように考えておるのであります。自衛隊自体がこれに対してどうするという判断は、少し防衛庁長官としては所管外ではないか、また、それをやり過ぎることによって防衛庁長官が全般に口を広げるということは、私はすべきではないと思う。ただ私は、国務大臣といたしましては、国務大臣立場一つのそれぞれの意見総理大臣に具申することは、これは当然の責務と考えておりますが、防衛庁長官とするならば、必要な限度において、自分が防衛庁の諸君と十分その任務を果たすように考えて参りたいというのが私の所信でございます。
  46. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  47. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、両案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、残余の質疑は次回に譲ります。  午後は一時三十分再開することとし、これにて暫時休憩いたします。    午後零時十二分休憩    ――――・――――    午後一時二十一分再開
  48. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) これより内閣委員会を再開いたします。  一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  政府側出席の方は、増子公務員制度調査室長及び入江人事院総裁、滝本給与局長でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  49. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 火曜日の内閣委員会で、労働大臣のあいさつの中にありましたものを取り上げまして、五現業の関係と非現業の関係、大きな差があるという点を質問をいたしましたが、これに対しまして迫水国務大臣は、これは現業と非現業の差ではなかろうかということで、その差があることをお認めになったわけです。それは当然のことであります。入江総裁は、労働大臣の考えておられる、あるいは労働省が取り扱っている点と人事院がやっておる調査方法、あるいはその精密さ、こういうものから同一には論ぜられないという御主張でありましたが、結局は差があるという点もお認めになったのであります。この差は、私ども長いこと主張いたして参っておりました点でございますので、差のあるという問題について、これを今後人事院としてどういうふうに考えて処理していかれるのか、そのままほうっておかれるのかということを伺いたいのであります。私はやはり重大な差だと思いますので、これについて人事院が今後慎重に検討していかれることを、また、すみやかに検討されることを希望いたしたいわけでありますが、人事院総裁の所見を承りたいと思います。
  50. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 労働大臣がどういうふうに御発言になりましたか、この問題は別といたしまして、現在の段階におきまして、ただいま御指摘の現業関係一般職公務員との関係におきましては、業態が多少違いますけれども、大体において一〇%程度の差があるということはわれわれ認めておるところでございます。そこで、これに対してどうするかということでございますが、もちろん人事院といたしましては、同じ国家から、現業といえども公の仕事をし、相当国費が全体の企業の一つの資金的要素になっているわけでございますから、一般職公務員が現業の諸君よりも非常に低い俸給であるということは好ましからざることと思っております。ただ、これをどういうふうにするかという問題になって参りますと、御存じ通り一般職公務員の給与は、民間の給与でございますとか、生計費とか、その他の公務員法あるいは給与法の定めるものを基準として定められているのでございまして、もちろんわれわれ現業のことも注意はいたしておりますけれども、現業が上がったから、それに即応し一般職公務員の給与をそれに調子を合わしていくというわけには必ずしも参りません。と申しますのは、われわれは、一面民間の給与を基準にして公務員の給与考えていただく。ところが、現業は、われわれと違ったまた方式で給与が定められますから、たとえば率直に申しまして、かりにことし民間給与のことを考えて、現業関係が一〇%以上多いということ、公務員が一〇%低いということを好ましからざるものとして勧告いたしましても、そのすぐあとで、かりに現業が、今度は一〇%一般職公務員より高くあるべきだということで、すぐに上げますと、そこはやはりそれだけの差ができてくるわけであります。これはよく御存じ通り、裁判官などについても同様でありまして、われわれ率直に申しまして、防衛庁職員、あるいは裁判官のような特別職よりも一般職公務員が低くあるべきだとは毛頭考えておりませんけれども、先般の勧告におきましても、若干そういう問題に触れましたけれども、裁判官の方は、また別個の決定方法によってきめられますものでございますから、すぐにまた従来の差額がそこでつくわけでございます。そこで、裁判官が高くなるから、こっちがまたそこに調子を合わせられるかというと、こういうことではなかなか給与は実際問題としてきまりかねますので、それだからどうだということはございませんけれども、人事院といたしましては、やはり民間給与、あるいは生計費その他のこれが、やはり一番納税者の納得を願うゆえんでございますから、また、法制もそうなっておりますから、それによって給与をきめていただく。他の現業、あるいは裁判官その他特別職につきましては、これはまた大局的に政府その他において考えていただく。そうするより実際問題として定めようがないような現況であることは御了解願えるかと思います。
  51. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 総裁の今のお話し、御苦心のところのお話を伺ったわけですが、私の御質問をいたしておりますのは、一昨日の内閣委員会で労働大臣が言われましたこと、要するに、同種、同規模程度の民間賃金との関係考えている。国家公務員の場合におきましては、五十人以上の企業をとって対象にしているという点を実は今御質問申し上げた。若干それと違ったただいまの御答弁のように思います。もう一ぺん要点だけ申し上げますが、その差があるということは、火曜日の委員会におきまして、給与担当大臣も、また総裁もお認めになったのですから、そういう点をどういうふうになさるかというふうに伺ったわけです。私どもは、従来から、その点については五百人以上の企業をとってやるべきだという主張をしてきておったのです。それとの関連で伺っているわけですけれども、今の御答弁、少しばかり内容が違うように思いますが、もう一ぺんその点について、今後慎重に検討していかれるのかどうか、伺いたい。
  52. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) あるいは私がお答え申し上げたことが、若干ずれておったかもしれませんが、結局労働大臣、私は、必ずしも労働大臣の御発言というものがそのまま当てはまるかどうかは別といたしまして、かりにこの現業関係は大企業と比較しておるからあれだけ高い。それから一般職公務員は五十人以上と比較しておるからそれだけの差額が出てくるのじゃないか。そこで、現業と合わすために、一般職公務員も五十人以上という調査方法を変えて、大企業と比較することが適当じゃないか、   〔委員長退席、理事村山道雄君着   席〕  そういう一つの御質問の要旨じゃないかと想像されるわけでございますが、この点につきましては、先般も申し上げました通り一般職公務員といたしましては、やはり現業がどういうふうに定められておるかということそのことについては、私は、必ずしも労働大臣が言われる通りじゃないと思いますけれども、しかし、これは別といたしまして、やはり五十人以上の企業というものを、あるいは事業所というものを対象にして考えて参りたい。と申しますのは、これはまあよく御存じ通り一般職公務員のことで申しますと、一つの問題は、やはり一般の国民の納得といいますか、一面、よく御存じ通り、五十人以上でも高いじゃないか、三十人以上の中小企業も参考とすべきじゃないかという議論もございます。まあしかし、これは五十人以上として参りましたので、それからまたこの調査――一般職公務員で申しますと、全国にわたっておりますから、民間賃金ということから考えますと、かりに地域的には、それは東京の大企業並みに全国の公務員を考えるということが、はたしてこれがまあ納得が得られるかどうか。たとえば御存じ通り、地方に参りますと、むしろ公務員の賃金の方が高くて、民間の給与が低い。都会の方は、公務員の方が民間よりも低いというような問題もございますし、それから、たとえば職種あるいは学歴というような問題につきましても、まあ大体公務員の方は、先回お話の通り、学歴の多い者がおりますけれども、しかし、また、全国的に見ますと、中小企業といいますか、五十人以上の企業にも同様の学歴の者もおりまするし、それから、その職務内容から申しましても、やはり公務員の職種というのはいろいろございますから、公務員の職種の中には、いわゆる大企業でない職場に勤めておる職種と同じような者もおりますし、そこはやはり全体の全国的な業種を一応調査の対象にいたしまして、その中から決してその平均賃金をとるわけじゃございませんので、大企業、小企業にかかわらず、職務内容も比較しながら比較をとっておりますようなわけであります。やはり従来通り、五十人以上ということを標準にいたしまして公務員の給与をきめていく、これが納税者の各位に納得をしていただくゆえんじゃないかと思っておるわけでございます。
  53. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、現業と差があるかどうかということを申し上げておるのじゃなくて、どうも比較の対象が違っておる、大きな差があるという点を問題にいたしておるわけです。その点で差があるということはお認めになると思いますけれども、また、給与担当大臣もお認めになったんですが、これはそのまま一つ置いておくというお考えなのか、あるいは、やはりその点は十分検討したいということなのか。どうも今の話を承っておりますと、どもほうっておくという考え方にとれるわけなんです。そうじゃなくて、ここで問題になっているその差というものを念頭に置いて検討されるかどうかということを承っておるわけです。
  54. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) もちろん念頭には置いております。大いに置いておりますのでございますが、現業が上がったから、こちらをそれにスライドさせて上げるようにいたしますとか、そういう方法は、先ほども申しました通り、なかなかこれは実行困難でございますし、また、適当かどうか疑問があります。また、現業につきましても、御存じ通り、三公社と、それから郵政というような大企業の現業と、それから林野、造幣、印刷、アルコールという、いわゆる四現業とございまして、四現業の方は、大体本俸も臨時給も一般職公務員と同様なバランスをとってきめられておるわけでございます。ただ、三公社と郵政というものが、先ほど申した通り、大体公務員を上げると、また先方もお上げになって、約一〇%ぐらいの差がことしもつきましたのでございますか、まあそれが今おっしゃるように、必ずしも向こうが大企業と比較し、こちらが五十人以上と比較したから、そういうものが出てきたとも必ずしも申し上げかねるのじゃないかと思います。これはしかし、現業関係のことでございますから、われわれとかくのことを申し上げるわけではございませんけれども、まあ結論といたしましては、現業の差ということも十分われわれとしては念頭に置いておりまするけれども、しかし、やはり本筋としては、民間賃金なり生計費を基準として、公務員法なり給与法の精神に沿ってやって参りたい、そういうことであります。
  55. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私、簡単でいいのですけれども、私の伺っているのは、今の総裁のお話のような点を伺っているのじゃないのです。これはその比較のやり方はありますけれども、比較の対象において、少なくとも大きな差があるという点について、今後人事院としては慎重に検討されるかどうかということを伺っている。たとえば、今五十人以上の給与をとっていらっしゃいますが、漸次五十人以上というものを少なくしていくというとともありましょうし、昇給を少なくしていくということもありましょうし、いろいろ方法はあると思うのですが、少なくとも、その差があるということに対して、今後検討されるかどうかということを伺っている。
  56. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) まあ繰り返すようでございますけれども、差があるということは十分関心を持っておりまするけれども、その問題と、調査方法をどう考えるかということとは全然別問題だと思います。調査方法につきましては、やはり先ほども申し上げた通りでございまして、ただいま御指摘のように、五十人以上といいますか、数の少ない方を漸次少なくするということは、これは給与局長から詳しく申し上げますけれども、これは御存じ通り、大企業、小企業の一つの取り方というのは、一定の技術的な方法で取り上げておりますので、必ずしもこちらが任意に、小企業は幾らにするとか、大企業は幾らにするとかというような按分をきめているわけじゃないと思いますので、やはり調査方法としては、五十人以上というものを基準にする以上、これを任意に、適当に今後変更していくということは困難じゃないかと思っております。
  57. 滝本忠男

    政府委員(滝本忠男君) ただいま総裁がおっしゃいましたように、この人事院の調査は、いわゆる任意抽出法によってやっておることは御存じ通りであります。従いまして、昨年の調査において調査した事業場だけの数から見たら、例年より少し規模の小さい所は減っておるじゃないかという御指摘があったわけでございますけれども、まあわれわれの方としましては、意識的にこれは減らしたものではないのでございまして、あくまでも二分の一抽出とか三分の一抽出とか、そういう原則に従ってやっておるということで、われわれの調査結果は、少なくも人事院の対象としておりまする五十人以上の全事業場においてわれわれの調査の必要とする人を選んでくるということで、もう全部の者の代表である、すなわち、平均的に出て参ります値は、全部の事業場を調査したと同じである、こういうことでやっておるわけでございまして、この前も私が申し上げたのでございまするが、人事院が今やっておりまする調査の基本原則というものは、規模で何人以上とか何人以下というものではないのであります。何人以上というときには、先ほど総裁もおっしゃいましたように、五十人以上の事業所の平均賃金でありますとか、そういうことになるのでありましょうが、われわれの方としましては、少なくとも公務員と同じような仕事をしておる人を選んでくる、こういうことが原則でございます。で、そういうことによってやっておる。しかし、調査というものは、無制限に広げますと、限られた日数の間にいろいろの集計等もありますが、われわれは結果を出さなければならないというような場合に、やはり時間の制約があるわけでございます。そういう中におきまして、われわれは五十人以上の事業場というところでそういうものをとって参りますと、大体とり得る。その下にあるのかもしれません。しかし、それはやはり調査が膨大になりますので、五十人というところで切っておるということでございます。  それから労働大臣がおっしゃったというお話でございますが、これも先般総裁から申し上げましたように、労働大臣がこれをおきめになるものではないというふうにわれわれは思っておるのであります。労働大臣は一つの感想としてそういうことをおっしゃったのかもしれませんが、これはあくまでも仲裁委員会におきましてきめた問題でございまして、それに対して労働大臣が感想をおっしゃっておるのであろうというふうにわれわれは思っておるのであります。それで、また労働大臣のおっしゃったことを直接聞いたわけではございませんし、字づらだけから見るわけでございますが、同種、それから同規模というようなことを言っておられますが、それならば国鉄と同規模のものが一体あるかということになりますと、そういうものは現実にはない。そうすると、同規模のものと比較するということは意味をなさないのではないかというような感じが実はするわけであります。それから、今のは国鉄で申したのでありますが、郵政にいたしましても、それから電電にいたしましても、やはり労働大臣の言っておられる意味が十分われわれとしては理解できない点もあるように存じております。
  58. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、あなた、そういうことを聞いているのではないのです。労働大臣の言説に対して給与局長がどうこう言う必要はないじゃないですか。国鉄と比較するものがないと言うが、そんなことを一体だれが言ったのです。私が言っているのは、中小企業と比較しているのではないという点に大きな問題があるのではないか。だから、私はその点が大きな差があるということを言っているのです。さらに、また国家公務員と民間と同じような職務に従事しているものをとっていることは承知しています。しかし、それは五十人以上の小企業、中企業、大企業におるものをとっておられるのだから、対象として考える場合に、人事院は中小企業を含めて考えておられる。しかし、労働大臣の胸先の中にあるのは、中小企業を考えておられないという点を言っておるわけです。だれが国鉄と同じような組織がどこにあるかというようなことを言っておりますか。しかも、そのことは差があるということは給与担当大臣もお認めになり、総裁もお認めになっておるのだから、その違いについては検討しないというなら検討しない、それでいいというのです。その点をはっきりしてもらいたい、総裁。
  59. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 現業との差につきましては、従来われわれが非常に関心を持っておりますことは、鶴園さんもよく御存じだと存じます。ただ、率直に申しまして、これも従来の経緯をよく御存じ通り、差があると申しまして、率直に申しまして、こちらをもちろん現業にスライドして上げるわけではございませんが、上げますというと、現業はまた公務員よりこれだけ差があるべきだということで上げられて、いつまでたっても解決できないということになります。そういうことを申しますと、はなはだざっくばらんな話になりますけれども、そういう点もあったのでございます。それだからというわけではございませんが、十分考えておりますけれども、やはりたびたび申し上げますように、やはり公務員の給与というものは、民間賃金とか生計費を基準として定むべきだ、法律の方もそうなっておりますし、そういうふうにいたしたい。ただ、民間企業といっても、五十人以上と比較するから低いのだから、それを一つ大企業といいますか、五百人以上という、そういうふうに高くすべきではないかということが今の御質問のまあ最も御中心の点だと思うのでございますが、その点が、やはり人事院といたしましては、公務員の給与の定め方につきまして、現在の段階におきましては、従来通りの方針で参っていくことが適当だと思っております。そこで、調査方法はやはりそういうふうにしてやりたい。しかし、何も現業との差を当然だと思っているかということについては、決して当然だと思っているわけでではございませんので、その点はやはり従来と変わらない、感覚で参りたいと思っております。
  60. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 どうもよくわからないのですが、ですから、そういうことを念頭に置いて考えていかれるのか、全然考えないのか、今の答弁では、最後のところにいきますと、考えないということのようです。国家公務員法では、民間の給与と比較することになっております。しかし、これは五十人以上の企業と比較するということは書いてないので、民間の企業と比較する場合に、どの程度の企業と比較するかということは、これは総裁なり人事院のおきめになることだと思うのです。しかし、従来から、その点については大きな争点であることは御存じ通りなんです。その差に対して、たまたま労働大臣がああいう発言をなさっておられるから、どうも中小企業を相手にしていらっしゃらないようだ。人事院の場合はそうではないという差があるのだから、その辺のことを検討していかれますかと伺っているのです。
  61. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 検討と申しましても、労働大臣がどういうふうに答えられたか、あるいは労働大臣が答えられたようなことは、現業を、かりに大企業と仲裁委員会がするといたしまして、それが適当かどうかという問題は、人事院からとやかく申し上げるわけにはいかぬと思います。この問題は、やはり政府その他の適当な機関からお答え願いたいと思いますが、ただ、先方が大企業と比較するのだから、一般職公務員も大企業と比較すべきじゃないか、これがたびたび申し上げるようでございますが、御主張の御中心のようでございますので、そこで、私は必ずしもそうじゃないと思いますが、かりに現業がそういうような方針できめられるとしても、一般職、地方公務員につきましては、やはり従来の通りの方針で参りたい。一面、われわれ繰り返すようでございますが、現業との関係を考慮して主張いたしましても、その次に、現業が一般職公務員よりもかりに一〇%くらい高くあるべきだという、そういう一つの主張をする要素がありまして、それで政府全体としてそうおきめになるといたしますと、これは何といっても人事院の力ではいかんともいたし方ない問題で、われわれは一般職公務員というものは、必ずしも現業よりも低くあることが適当だとは思っておりません。これはいつもよく前から申し上げている通りでございます。それだから調査方法を変えるかということになりますと、これはちょっとそういうわけには参らぬ、こういうことを申しているわけであります。
  62. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それなら、くどいようですけれども答弁もなかなかくどいものですから、いま一ぺん伺いますが、先ほど滝本局長が、何か抽出でやるので、五百人以上なり、あるいは中企業なり、小企業、その差というのは自然に出てくるというお話があったが、どうも私はそうは感じていない。昭和二十七年でございますか、大企業で五百人以上のためている率は、わずか六%と伺った。それが非常にこの内閣委員会で問題になって、一挙にそれを一八%くらいに変更なさったことがある。これなんか何か非常に自然にそういうことのような印象を与えようとしておられますが、そういうふうに受け取っていないのです。それはともかくとしまして、その差があることについて、一方は中小企業を相手にしていない、一方の非現業の国家公務員については、中小企業を含めて考えておられる、その差のある点についてはお認めになるが、しかし、それについては検討する必要はないというお考えのように承ったのですが、それでよろしゅうございますか。
  63. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 検討する必要ないと、こういうことは決して申し上げておるわけでございませんので、われわれ十分現業との関係を関心も持っておりまするけれども、そのため調査方法を変えることによって検討するということは、現在の段階としてはいたしかねる、そういうことを申しているわけでございます。
  64. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 調査方法は変えないが、その点については検討したい、こういうことですか。
  65. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) これは従来から検討もいたしまするし、大いに関心を持っております。
  66. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう一つ伺っておきますが、これは火曜日に伺ったんですけれども、前田発言、非常に新聞のトップ記事に出まして、この前田発言というものにごうも左右されるものではないということを総裁は答弁なさった。しかし、まだこの点については私不安があるわけですし、疑問を持っております。まあ、ごうも左右されないと言えば自然な言葉のようですが、しかし、どうも懸念がありますので、この点について重ねて伺っておきたいと思います。
  67. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) この問題については、絶対に左右されることございません。第一、そういう御質問を受けることも意外と思っているくらいでございますから、その点は一つ御心配いただきませんように。
  68. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 しかし、これは人事院もとくと御承知ように、数字が出て参りますね。その処理については非常に微妙なところがあることは御存じ通りです。数字の処理につきまして非常に微妙なところがあることは御存じ通りであります。昨年の勧告を見ましても、出た数字のいじり方ですね、処理の仕方、これに非常に微妙な点がある。そこら辺が私は影響を受けるんじゃないかという心配をしているし、懸念を持っておるわけですが、大丈夫でございますか。
  69. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 絶対に大丈夫でございます。
  70. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 証拠を示せ、こう言いたいんですけれども、なかなかこれは証拠を示すというわけにいきませんので、従って、今後人事院の行動について、私自身としては、きびしく一つ見守っていきたい、こういうふうに思っております。昨年の勧告なんか見ましても、ああいう数字が出ましても、実際の処理になりますと、下の方は一〇%だ、上の方は三三%だという数字の処理をされる、そして、それが給与関係には決定的な影響を及ぼすということに相なるわけでありまして、そこら辺に人事院が苦慮される大きな要素があるわけですが、それらが私は相当影響を受けるんじゃないかという懸念を持っておりますけれども、たびたび総裁が絶対にありません、そういうことを御質問受けるのは心外だというようなお話ですから、この質問はこれで終わりたいと思います。  次に、これは新聞に載っておったんですけれども、公務員の給与というのは実態がつかみにくい、原簿を押えてみないことには、幾らもらっているかわからぬという新聞記事がありまして、私これを見まして、そういうふうに思っておられるのかなあと、民間の人たちはですね。私自身も公務員をやっておりますとき、友だちの連中は、おれはこれだけもらってるんだと言うと、そんなことあるかい、ばか言え、うそ言ってるんじゃないか、こう言っているんですね。公務員の給与ほどガラス張りの中にあるものはないと私は思っております。きわめて、法律に基づいて、あるいは規則に基づいて、きっちりきめられた給与をもらっている。全くガラス箱の中に入った給与だと思うのです。ところが、どうも民間の人たちが見る、あるいは新聞等が見るところによりますと、原簿をつかまえてみないことには、幾らもらっているかわからないと、こういう新聞記事なんですね。私の友だちもそう言うのです。幾らもらっているかわからないと、こう言うのですね。一体これはどういうことなのか、伺いたいと思います。私の友だちはこう言うのですよ。それはお前そう言うけれども、大体役人というのは、もらっている俸給の大体二倍ぐらいもらっているとわれわれは聞いておるがと、こう言うのですね。どうも解せないのですけれどもね。これは私は、あまり公務員の給与というのは低いんじゃないか、低いからどうもそう言っているんじゃないか、こういう感じを持っているのじゃないかと私は思っているんです。たとえば初任給等を見ましても、もう今日国家公務員の高校卒の初任給というのは、民間のちょっとした会社の中学校卒の初任給になっている、あるいは公務員の大学率も、初任給というのは、これはもう高校卒の初任給になっている、あるいは公団等の初任給から比べましても非常に差があるのです。そういう点で今申し上げたような新聞記事が出たり、あるいは私どものしょっちゅう接触する同級生の連中がそういうことを言うのじゃないかと思っているのですけれども、どういうふうに総裁は考えておられますか、伺っておきたいと思います。
  71. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 私も、鶴園さんのおっしゃいましたように、民間は、御存じ通り、俸給は社内秘ということになっておりまして、むしろ社外には出しても、社内の同僚には示さないというようなことを体験をいたしておりますのですが、公務員の方は全くガラス張りでございまして、それをどういうふうに外部で――なかなかこれは収入というものは、はたからどうということになりますと、これはつかまえどころのない問題でございまして、それに対してはいかんとも申し上げかねると思いますが、とかく月給が低いからそう言うのだろう、そういうようなことは必ずしもそうでないのではないかと思います。これは、たとえば新高卒あるいは短大卒、大学卒ということを、今これは申し上げませんでも御存じ通りでございますが、新高卒、短大卒などにいたしますと、先般の勧告案というのは、民間よりちょっとほんのわずかでございますが、民間の大企業と比較すると別でございますけれども、現在の人事院の対象としているものと比較いたしますと、ほんのちょっといいくらいでございまして、この点はどういう理由でそう見られるか、私いかんともお答えいたしかねるような実情でございます。
  72. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 人事院は、御存じ通りに、公務員の給与については、非常に法律的にいって権限を持っておられるし、大へん関心を払っておいでにならなければならないのです。しかし、私がさっき申し上げたような点は、これは始終ころがっている問題なのです。そういう問題について総裁が何とも答えがたいという話では、はなはだ不安を感ずるのです。どうも私はさっき申し上げたように、思ったより公務員が低いという点にも問題があるのではないか。だから二倍くらいもらっているという話を聞いているんだ、こう言うのです。これはとんでもない話だ、ガラス張りでこれっきりなんだと言っても、なかなか承知しない。総裁ともなりますと、なかなかそういう点はないかもしれませんが、一般の公務員の場合にはそれが常識になっている。それは先ほど申し上げたように、五十人以上という企業のお話をされるからそういうことになってくるだろうと思いますけれども、はなはだ私はみじめな状態になっているのではないかと思うのであります。まあしかし、この点はこれだけにいたします。  次に伺いたいのは、総裁は先ほどから、民間賃金、生計費、消費者物価、こういうものが公務員の賃金を考える場合に重要な問題だと、こういうふうにおっしゃいました。従って、これらの問題について伺いたいと思いますが、民間の賃金は、給与担当大臣に伺いたいのですが、この三十五年度で民間の――民間というとちょっと正確ではありませんが、勤労者の給与というのはどの程度伸びたというふうに推定しておられますか。従来は経済企画庁としては八・八%伸びる、こういうような数字を出しておられますけれども、これは数字はまだ出ていないと思いますけれども、経済企画庁はなかなか見通しをお立てになるのがお上手でありますから、一体どの程度というふうにお考えになっておられますか、伺っておきたい。
  73. 迫水久常

    国務大臣(迫水久常君) 民間の勤労者の給与水準が何%伸びたか、ちょっと今手元に私は持っておりませんが、国民所得全体として、大体一〇%程度伸びているというふうな感じを持っているのですけれども、人事院の方にいい資料を持っておられます。   〔理事村山道雄君退席、委員長着   席〕
  74. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、人事院には別に伺います。まあこの四月、だいぶ民間等も賃金が上がったようでありまして、日経連の前田さんがかんかんに、屈服賃金だということで盛んにいきまいているわけなんですが、相当上がったようでありますが、人事院としてはどういうふうに見ておられますか、伺っておきます。
  75. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) まあ給与担当大臣もおられますので、私の方としての調べでございますが、これは物価あるいは民間賃金の問題、去年の四月から今年の三月までの比較で、日銀の物価指数でございまするが……。
  76. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いや、私の聞いているのは賃金の問題でございます。
  77. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 賃金は、御存じ通り、人事院といたしましてはこの四月で調査をいたしております。そこで、われわれが賃金の動向につきまして承知いたし得るものは、現在の段階においては労働省の毎月勤労統計でございます。毎月勤労統計でございますと、十二月までしかわかっておりませんが、去年の四月に比べまして五・三上がっております。
  78. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 五・三上がっておるというお話ですが、さらに今度ずっと三千円ぐらい上がっている。あるいは前田さんの発言ですと、五千円上がっているところも相当出ているし、一万円上がっているという話もあります。相当上がっているんじゃないかというふうに思っております。さらに、これを人事院のおっしゃるように、経験年数、学歴あるいは年令、こういうものに換算をいたしますというと、これは昨年の勧告のときよりも、相当上回った状態になっておるんじゃないかというふうに思っておるわけです。ですが、その点についての総裁の所見も聞きたいわけですけれども、総裁すぐその数字を見てどうこうとおっしゃいますが、大体感じとしてどういうふうに見ておられますか。
  79. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) まあこれは非常に重大な問題でございますし、また、数字が出て参ったのはいかんともしがたい問題でございますから、そこは率直に現在の段階における考えでございますが、まあ考えというか、一つの毎月勤労統計を見た感じといたしましては、毎月勤労統計は、御存じ通り、ずっと三十人以上の賃金の動向でございますが、かりに十二月五%上がっておるといたしましても、公務員、これはまあ定期昇給その他のものも含んでおるわけでございますから、民間が、かりに五%上がりました場合に、公務員が大体御存じ通り、一カ年の定期昇給が四%ないし四・五%もあるといたしますと、これは公務員の給与の増額として、そこに差としては出てこないということが一つございます、これは変動の問題といたしまして。  もう一つは、御存じ通り、公務員の給与と民間給与を比較いたします場合には、必ずしも平均賃金の変動だけを見るわけじゃございませんので、これは一つの賃金の変動の趨勢ではございますけれども、これも百も御存じ通り、大体同一職種、同一職務につきましても、いわゆる何というか、水平的に現在のかくあるべき賃金といいますか、それで比較するわけでございますから、賃金の動向というものが、はたしてそれにどういうふうに現われて参りますか、これは今軽々には予測することができません。そこで、この四月全体の支払いの賃金につきまして、五月から、御存じ通り給与調査を始めておるわけでございまして、それがどういうふうに出て参りますか、これは全然今のところでは予想はつきません。ただ、今のお話のように、民間賃金が十二月まで五%上がっておるから、かりに四月になったらずっと上がるだろうということと、それから公務員の定期昇給による増額というものを差し引くということは必要でございます。それでどういうふうなものが出て参りますか、ちょっと現在のところでは予想がつきかねるのでございます。
  80. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 五%ちょっとこえたのが昨年の十二月だというお話ですが、これは今おっしゃるように、三十人以上の企業ですからして、非常に小さな企業まで入っておるわけですが、人事院が、五十人以上の企業ということになりますれば、その数はもっと上がるのじゃないかというように思いますし、さらに、この四月の賃金の上がり方という点等を勘案をして見まして、相当昨年と同じような、あるいはもう少し昨年より進んだ状態が出てくるのじゃないかというふうに思っておりますが、これは今ここで申し上げてみても感想になるわけでありまして、あるいは見通し的なものになるわけでありまして、これ以上御質問申し上げませんですけれども、ただ、消費者物価指数について申し上げたいのですが、この消費者物価指数は、御存じ通りに、総理府統計局のものを人事院もお使いになっていらっしゃると思いますけれども、昨年の勧告のときには、十三カ月の間に、東京都におきましても、それから全都市におきましても、三・八%上がっておる。しかし、ことしは、つまり昨年の四月から二月までの消費者物価の変動を見ますというと、すでに二月で昨年の勧告のときの数字を上回っている数字が出ているわけでございます。東京都、全都市でも、昨年は三・五%上がっているのですけれども、ことしは、すでに二月で東京都が三・八%全都市の場合は四・七%と、昨年の場合をはるかに上回りつつあるわけです。さらに、これが御存じの物価値上げブーム、政府の対策等によりまして、三月、四月と、こういう二カ月を経過しているわけですから、この今上がっている三・八あるいは全都市の四・七という数字は、もっと大きな数字になってくるのじゃないだろうか。従って、昨年勧告したときの消費物価の上昇の割合とことしの分とは、相当差が出てくる、すでに二月で上回っているわけですから。これは数字がはっきり示しているわけですが、総裁もその通りだとお答えになると思いますが、いかがでございますか。
  81. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 消費者物価指数につきましては、ただいま御指摘の通りだと思います。
  82. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、これも人事院が、先ほど総裁もおっしゃいましたが、重要視しておられますところの生計費、人事院も総理府統計局の調査に基づいてやっておられるわけですけれども、これはこの二月で、大体のところ、昨年勧告をされた数字と似通ったところにきているように思います。昨年は十三カ月の間に、生計費は東京都の場合は五%上がっている、それから全都市の場合は九・八%という数字であります。ことしの二月、これはまあ一番新しい数字ですけれども、これはまあ二月と四月を比較するにはちょっとむずかしい点もあります。日にちの点もありますし、月による生計費の違いもありますので、昨年の四月とことしの二月と比較できない点もあるわけでございますが、しかし、同月であります昨年の二月とことしの二月は比較できる、大体言えると思います。それから見ましても、すでに昨年の割合とほぼひとしい数字が出ている、こういう実情であります。これが三月、四月というふうに、人事院は四月までの状態を出されるわけでありますが、生計費についても相当上がってきている、昨年の勧告のときを上回るような数字になってくるのではないかというふうに見通しができると思いますが、どのように思っておられますか。
  83. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 現在のそれぞれの御指摘の月における数字というものは御指摘の通りだと思いますが、これはただいまお話のございましたように、なかなか月によってこういうものはいろいろ凹凸というものがございまして、一がいにある一定の月で、その趨勢でいくとも限りません。どちらにいたしましても、現在、四月現在で調査をしておりますわけで、消費者物価でございますとか生計費につきましても、これは従来通りの、大体俸給をきめます場合に、俸給表に調子を合わせて行くわけでございますから、一般の賃金などを調査して集計いたします場合に、そのときにこれらの問題もあわせて考えさせていただいて、この八月においてどういうふうに人事院が態度をきめますか、きめる材料にしたい、そういうことでございます。
  84. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、先ほども総裁のお話の中に出ました世帯主の本業収入、これも人事院が言うまでもなく、公務員の給与考える場合に、非常な要素として考えておられることは先ほどの総裁の言葉の中にある通りであります。この世帯主の本業収入は、昨年は十一カ月の間に全都市で六・四%であります。六・四%上がっている、ことしは、去年の四月からこの二月の間に九・九%上がっている。全都市九・九%、間違いありませんか。去年の四月を一〇〇とした場合、ことしの二月すでに九・九%上がっている。ですから、昨年の勧告のときには十三カ月で、四月で六・四%上がっておるけれども、ことしはすでにこの二月で九・九%という上がり方である、世帯主本業収入ですね。
  85. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 途中になって恐縮でございますが、その点は、私どもの持っております資料といたしましては、これは総理府統計局の統計調査でございますが、四・一%ぐらいになっております。
  86. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 世帯主本業収入ですよ。
  87. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) さようでございます。世帯主本業収入です。大体ずっと十二月が一・九%、一月が三%、二月が四・一%、そういうふうな数字になっております。もっとも、これは全都市でございます。東京都でございますと、それが六%というふうになっております。これは総理府の統計局の調査でございます。
  88. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私の総理府統計局で調べました数字によりますと、東京都は八・七、それから全都市が九・九%という数字になっております。その点は人事院のまた検討をお願いしたいと思いますが、いずれにしましても、相当な上がり方であります。そこで、私結論として申し上げたいんですが、民間の給与の上がり方というのは、私先ほど申し上げたように、相当上がっているんじゃないかというふうに見ております。昨年と同じ程度、あるいはそれを越した上がり方をしているんではなかろうか、さらに消費者物価指数は、先ほど申し上げましたように、この二月で、すでに昨年の分を突破している、生計費においてもそうであります、また、世帯主本業収入にいたしましても、すでにこの二月で、昨年の勧告のときの四月の数字というものを上回ってきている、このような情勢から見ますと、これはことしはまた相当なものになりはしないかというふうに思うんですが、さて総裁は、先ほど申し上げたように、またふらふらされるんじゃないかという懸念を持っておるわけです。今申しましたこの民間の給与の動き、消費者物価指数の動き、あるいは生計費、世帯主の本業収入、こういう数字等から見まして、これは相当なもんじゃというふうに総裁感じられると思うんですが、私は、その点の感覚がなくしては総裁として勤まらないと思うんです。どういうふうにお考えになっておられますか、伺いたい。
  89. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) こういう数字上の問題は、ただいまお話のように、ふらふらするとかせぬとか、しようとしたってできませんが、どちらにいたしましても、集計を見まして、それによって誠心誠意対処したいと思っておるわけです。
  90. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 どうも自信のない話ですね。民間の給与の上がり方についての大体の見通しというものはつくわけです。消費者物価指数は、二月でもうすでに勧告を上回っておる。生計費についても二月でしかり、本業収入にしても、ほぼこの二月でもう昨年の状態に達している、こういうような数字を見ますれば、これはやはり相当なものだと感じなければならない、昨年の数字よりこれは上回りはせぬかという、人事院としてはこれは御心配かもしれませんが、そのくらいの所見ができないようでは困ると思いますがね。それは数字が出たら検討いたしますという話はその通りではありましょうけれども、もっと今申し上げましたような数字等から所見があってしかるべきだと思うんですが、伺いたい。
  91. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) これは、やはりどこまでも途中の段階においてとかくの見通しを立てることは差し控えたいと存じます。やはり四月現在における全体を集計いたしまして、十分考えてみたいと思います。
  92. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 だから、それはわかっていますよ、そういうことは聞かなくても。私の言っているのは、先ほどから総裁のおっしゃるように、民間の給与はどうなった、生計費はどうだ、消費者物価はどうだ、本業収入はどうだというようなことを考えて公務員の給与はきめられるんだというお話ですから、この二月現在の数字というものが出ておるんですから、総理府統計局の数字を人事院でもお使いになる、その数字がすでにこの二月にはっきり出ておるわけです。昨年勧告なさったときの数字よりも上回ってきておる、二月現在ですでに。そういう状態からお考えになれば、相当なやはりここで見解があってしかるべきだと思うんです。それは四月末の調査に基づいてのものの言い方でなくて、先ほど申し上げたような点を考えて、所見があってしかるべきじゃないかと思うんです、いかがでございますか。
  93. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) たびたび繰り返すようでございますが、御存じ通り、たとえばただいま御指摘の世帯主の本業収入にいたしましても、その指数というのは一年間に非常に凹凸がございます。途中の数字をもって、数カ月後に集計せられる結果を予断するということは、これは非常に軽率じゃないかと思いますので、とにかく数字上の問題でございますから、途中でとかくのことを申し上げませんけれども、これは御安心願いたいと思います。
  94. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、人事院が勧告しました三月末の特別手当について若干伺いたいと思います。これは、総裁よく御存じのように、人事院は三十一年の三月末に、当時の給与担当大臣に対しまして、特別手当を出してしかるべきだという意見書を出された。しかし、その意見書は、政府のいれるところにならなくて、そこで、三カ月後に、人事院としましては、あらためて勧告の中に、三月末に特別手当を出すべきであるという勧告をなさっておる。そのときの理由、三月末に特別手当を出すべきであるという理由ですね、それは人事院の勧告の中にきわめて明らかに明示されている。申し上げましょう。それは、要するに、三公社五現業との関係について、三公社五現業の場合においては、年末手当、それから夏季手当、公務員よりも若干上回っておる。加うるに、三月末に特別手当が出ておる。かりに公務員が非現業であり、五現業等が現業であるという、その差があるとしても、この不均衡は見のがすわけにいかない。従って、三月末に特別手当を出すべきであるという勧告をなさったわけです。その理由は今日厳として存在しておると思うのですけれども、存在しているというふうにお考えになりますかどうか、伺いたいと思います。
  95. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) この問題は、当時の経緯その他については仰せの通りであります。ところが、御存じのように、あのときにああいう勧告をいたしましたのは、二十九年、三十年、三十一年でございましたか、非常に現業方面に臨時給が急増いたしまして、それで臨時給につきましても、一般の非現業の国家公務員も重大な関心を持ちましてああいう勧告をいたしたわけです。ところが、これも御存じのように、あのときに政府でもこの問題を取り上げられまして、その後四現業と申しますか、林野、アルコール、印刷、造幣という四現業につきましては、臨時給の体裁をすっかり改められまして、従来の業績手当を廃止して奨励手当とし、公務員の期末手当と勤勉手当に即応する四現業の奨励手当と期末手当を全然一緒にするというような方式をとられましたわけなんです。そういうような経緯もありまして、国会並びに政府では、あのときの人事院の勧告――三月末の臨時給をお認めにならないで、それを別の十二月でございましたか、十二月の月に加えられて、この問題を法律できめられた。そういうように、一面、政府及び国会におきましても、三月の臨時給というものをほかの月に統合され、また、一面において、四現業の業績手当の問題を整理されて、ここに現業方面と非現業方面と、臨時給については平仄を合わせるということになりましたので、その後は人事院としても、三月末の臨時給を特に増設するという方針はやめまして現在に至っておるわけでございます。それで、今御質問が、あのときの問題といいますか、差が残っておるじゃないかというお話は、あるいは今年の仲裁裁定なりで、いわゆる春闘できまりました三月の臨時給の問題ではないかと思いますが、その問題についてもしお答えをいたせということであればお答えいたしますけれども……。
  96. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私の申し上げておりますのは、三十一年三月末に、特別手当を法制化すべきであるという勧告をなさった。その勧告をなさった理由は、出ておりますように、明らかなんです。この理由は今日といえども失なわれていない、厳然として存在しているのじゃないかということを伺っているわけです。今御説明になったことは、その三月末のとき、そういう理由であっても出すべきだという主張なんです。この勧告をごらんになっておられますか。
  97. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) その三十一年の勧告は十分存じております。それで、今その理由があるのじゃないかというのは、あるいは今年の春闘できまりました四現業における〇・五カ月の奨励手当及び三公社及び郵政の〇・五カ月の業績手当、その問題があるのではないかという御質問でございますか、あるいは前に勧告したような現業との差を、現業の通りにすべきじゃないかという方針を現在も持っているかという御質問でございますか、それによってお答えが違ってくるわけでございますが……。
  98. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、その〇・五のことを聞いているのではないのです。私の伺っておりますのは三月末にああいう意見書を出されて、それが政府のいれるところとならなかった。そこで、意見書よりも強いと人事院がいつも主張されます勧告によってその意思表示をされた。しかし、実際にはそれは三月末には実現しなかった。しかし、その三月末に特別手当を出すべきであるという主張をされました理由は、今日といえども厳として残っておるではないかという点を申し上げておるのです。と申しますのは、出したけれども政府によってけられた。そこで、もう二度とこの問題については人事院は手を触れたくないということが通説になっておるものですから、もう一ぺんその問題について、理由は残っておるじゃないかという点を聞いておるわけです。なくなったのか、あのときの理由は残っているのかという点を聞いておるわけです。
  99. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 理由が残っておるかという点につきまして、二つの問題があると思いますけれども、現業との差が残っているじゃないかという問題と、それから、三月に期末手当というか、臨時給を国家公務員にも出すべきだとう一つの方針でございますね、その方針を現在も持っているかという、二つの問題があるかと思いますが、あとの問題でございますと、あのときには、先ほど申し上げました通り、現業の臨時手当が非常に急増いたしましたので勧告をいたしましたが、一たん政府がこれを整理されたわけです。そこで、現在そういう問題とは別に、公務員の給与として三月に臨時給を支出すべきかどうかという問題はございます。これはまあわれわれも始終この問題は関心を持っておるのでございますが、大体四月は子供が学校に参りますし、いろいろ支出も多うございます。そこで、いわゆる臨時給というものを六月と十二月のほかに、三月にも出すべきじゃないかということも、もちろん検討いたしておるのでございますが、民間のことで申しますと、従来の調べによりますと、大体三月に支給しておりますのは、わずか九・四%ぐらいしかございませんのです。それから、大体八五%が年に二回の支給でございます。それから、年三回支給しておりますのが、わずか二・四%ぐらいしかございません。そういう工合で、従来若干関心を持ちながら、民間の給与を調べておりました結果は、三月に特に国家公務員について出すということは、非常に民間の趨勢とは違っておる点がございまして、その後一つ給与制度としては、こういう問題を打ち出しかねているわけです。しかし、この問題は、ことしの調査におきましても、一つの問題として、調査の結果につきましては検討いたしたいとは思っておりますけれども、昨年までの趨勢では、非常にそういう工合に、今申しました統計のように、差があまりあり過ぎまして、公務員のみに三月の期末手当を増設するということはいかがだろうかということが現在までの考え方でございます。
  100. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 民間の問題が今出ましたけれども、若干私もう少し別な角度から御質問申し上げようと思っていたのですが、時間がだいぶたっておりますので、今の総裁のそっちの方向へ質問を変えまして伺っておきますが、確かに今おっしゃいますように、民間の場合におきましては、夏と年末と、この二つが大きな期末手当のものになっておると思います。しかし、それもはっきりした数字が出ておるわけではなくて、五月、六月、七月というところが手当が数字としては出てくる。それから十二月も、十二月にだけ出ているのでなくて、十一月、十二月、一月というところがどうも相当の手当を出したようだという数字が出てくるわけであって、そういう意味ではそこに集中をしているのですが、しかし、二月、三月、四月というところにも、また一つの小さな山があることは事実です。加うるに、先ほど来私が申し上げておるように、国家公務員の場合においても、五現業の場合は、三月末に出る業績手当といえども、差があることは人事院としてはまずいということを盛んに主張しておられるのですからして、この三月末の手当という問題について検討を願いたいと思っております。  次に伺いたいのは、御存じのように、昨年勧告をなさって、五月一日から実施すべきだという勧告をなさったわけですけれども、それが十月一日になって、五ヵ月おくれたわけでありますが、はなはだ遺憾であるというのが人事院の御見解であります。政府もまた、はなはだ残念に思っておるという御見解でありました。さらに、また、御存じのように、人事院は、昨年の期末手当の場合におきまして、〇・一九という、かつてない大きな数字をネグレクトされました。人事院としては、あの当時、心中穏やかでないものがあったというふうに推察をいたしております。今日そういうような問題について検討をしなければならぬのではないだろうかというふうに私は思っております。昨年〇・一九というでっかい数字をネグレクトした、さらに五月一日から実施すべしというものが、はなはだ遺憾ながら十月一日になった。一方、五現業等については〇・五というものも出ているということをちょっとは考えてみた場合に、そこら辺のことを御検討さるべきじゃないかと思っておりますが、どういうふうに考えておられますか。
  101. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 昨年の〇・一九という問題につきましては、今さらにお答え申し上げるまでもなく、御存じ通りでありまして、ことしのかりに八月に報告いたしますか、それはそのときの工合でございますけれども、そのときの臨時給をどうすべきかという問題は、いずれそのときに民間の臨時給の結果が出て参ると思いますから、それによって善処いたしたいと思います。ただ、次の四現業と申しますか、業績手当は別といたしまして、奨励手当のことしの〇・五の増額の問題は、御存じ通り、これはむしろ人事院の勧告が十月から実施されましたために、それと平仄を合わせますために仲裁裁定で〇・一五を出しましたように裁定には書いてございますようでございますが、そういう関係もありまして、あの四現業関係の〇・五に対しては、ちょっとわれわれとしてこれとの均衡というものは考えるわけにはいかぬのじゃないか。それから業績手当の関係は、これは業績手当は一つの業態の成績によることでございますから、これに即応して必ずしも公務員の臨時給を考えるわけにも参らぬのじゃないか、さように考えておるわけでございます。
  102. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私の申し上げているのは〇・五の問題についてもちょっぴりは考えてもいいのじゃないかということです。重点を置いているというのではない。重点を置いておりますのは、昨年〇・一九というでっかい数字をネグレクトされた、さらに、五月一日実施ということが主張されたけれども、これが十月一日になった、はなはだ遺憾であると言っておられる。そこら辺のことを検討し、対処されるかということを聞いているわけです。
  103. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) この問題につきましては、やはり夏に出て参ります民間の臨時給の問題等を勘案しながら結論を出したいと思います。
  104. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まだ問題は残っておりますけれども、きょうは時間が過ぎましたので、これで終わります。
  105. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  106. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記を起こして下さい。
  107. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 せっかく立ちかけられたのですから、簡単にやっておきましょう。  実は、僕は問題の二法案について尋ねたかったのです。今、鶴園君は全般的な給与の問題について尋ねられましたが、寒冷地手当法律第二百号と暫定手当の問題で、私は給与担当大臣に聞いておきたいのです。  まず、法律第二百号の寒冷地手当の問題です。この問題につきましては、すでに相当調査のときからやっていますから、くどくどした前提は省きます。この法案の審議も最終段階にきておるやに思うのですが、これについて、まず第一点は、これは人事院に聞いておきたいのですが、寒冷地手当の支給地域の指定についての基準、これについては、一応いろいろと気象庁の資料でやっておられるのです。従って、基本基準なり、あるいは補正基準その他もあって、一応の理論づけがされているのです。しかし、基本的に最高のいわゆる八〇%という基準がどういうところから最初出されたか、これを一ぺん簡単でけっこうですから、時間がないから。
  108. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 薪炭手当などとあわせまして、寒冷に伴いまする暖房増高費を申しますか、暖房に関する消費事情を勘案してきめました。それで八〇%を増額する必要がないという結論に達しているわけであります。
  109. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 増額する必要がありやなしやということは今聞いておらない。八〇%にもともときめられたその基準というもの、そういうものをどこに求めてやられたかということを聞いているわけです。簡単でいいですよ。
  110. 滝本忠男

    政府委員(滝本忠男君) これは御存じのように、最初寒冷地関係の寒冷増高費に対しまして、こういう手当を必要とするのではなかろうかというような問題が団体交渉できまっておった時代がございます。それがある時期ございまして、そのあとでこの法律二百号というものを議員発案の法律でお出しになりまして、そのときに四級地八割ということがきまっておるわけでございます。われわれの方では、あとでこれが一体適当であるかどうかという研究は特にいたしておりません。
  111. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体そういうことで、これは議員立法でやられて、一応その当時も、一〇〇%とか、いろいろの問題が論議があったことは聞いているのですが、これは人事院の方の責任でもないことはわかるのです。そこで、これが一〇〇%でも基礎づけることができるし、あるいは逆に七〇%でも基礎づけできると思うのです。この暖房の増高費をどう見るかと、いわゆる本俸の中に暖房費が幾ら入っておるかということも一つの基礎になりますから、これはいえると思うのですけれども、そういう点についての意見は、私の言うことについてどうですか、それを一ぺん聞いておきたい。
  112. 滝本忠男

    政府委員(滝本忠男君) これは、御指摘のように、まあ暖房増高費をどの程度に見るかという問題はございましょう。で、まあわれわれとしましては、先ほど総裁が言われましたように、寒冷地手当薪炭手当、両方合わして考える、しかも、無級地におきましてもやはり冬期の暖房費というものはあるわけでございますから、従いまして、そういうものは差し引いて考えるというようなことで、われわれとしましては、一応今度の給与改善がありまする以前の状態においていろいろ試算をしてみたのでございますが、まあ仮定もずいぶん入っております。しかし、大体そういうことではなかろうかということでやってみておるのでありまするが、それはかつてわれわれがやりました暖房調査というようなものを基礎にいたしまして、多少の推計を加えて実態生計費の増高がどれぐらいということを研究しました。
  113. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体それでまあ一応わかりましたが、そこで迫水給与担当大臣にお聞きしたいのですが、まあ御存じのように、この法律第二百号の制定過程というものはそういうことになっております。そこで、これは暖房増高費についてはいろいろとり方があるんです。そういうことを一々言う必要はないのですが、そこで、本法律案が人事院の勧告以外に、政府政府案を提出されるときに若干修正されておる。まあ修正ということは別といたしまして、人事院勧告以外につけ加えられておる。従って、これは人事院に尋ねると、政府の方のやられることであり、勧告以外のことをやられてもこれは何も違法でもない、これはもっともだと思うのです。従って、こういうこわされることだからいいということでわれわれはまあ納得はすることもありますが、人事院は一応ある程度科学的な基礎で勧告をしたやつを、政府提出の場合に勧告以外に修正をすると、変えて出されるのですが、かりにそれ以外にそういうものが出てきても、政府としては勧告を尊重するのだから、それ以外は文句を言えないんじゃないかと、私はそう思うのですが、その点の政府態度を一ぺん聞いておきたいと思います。わかりますか、私の質問
  114. 迫水久常

    国務大臣(迫水久常君) お話は石炭手当のこと、これは、まあ率直に答弁いたしますが、最初この問題が論議になりまして、国会の方面でも非常にこういうことを希望しておられるが、どういうことにしたらいいだろうかということの相談がありましたときに、私は人事院の勧告にないものをやるというとあとで非常に困ることになりやしないかというので、私はそれを、ほんとを言うと、好きませんでした。しかし、国会の方の側で非常に御希望にはなっているし、金目もそう大して大きな金目ではないし、それじゃ、これをもらう方にしては決して悪いことではないし、まあ人事院の御顔色をうかがってみたらどうだというので、人事院の御顔色をうかがってみたところが、これはまあそれでもよかろうというような御内意もあったということを聞いたものですから、それならばこれは決して政府としては自分勝手に人事院とは無関係給与の問題を取り扱うという意思は決してないのだけれども、この問題は人事院もそういうことで御内意もあったとすれば、国会がもし御同意になるならば、それはもうやってもよさそうに思ったものですから、国会で御相談を願うようにという意味でここに提案をいたした次第でございます。
  115. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私は、まあこれは一応若干でも、一地域でもよくなるのだからいいという、そういう僕は簡単におさまる問題ではないと思っておるのです。しかし、北海道の道南地方の諸君は、やはりこれについては希望されておることは事実です。私はそういうものを総合して、前提に立って実は大臣に聞いておるのですが、おそらく迫水大臣の性格からいったら、これは今言われたように釈然たるものではないと思うのです。で、人事院も政府からそういうものを相談を受けたときに、それもよかろうと言うのは、一体私としては聞き取れないんですよ。少なくとも今までわれわれに説明をするときには、この今まで言いました先ほどの八〇%の問題で毛、一応生成過程においては、議員立法でそうだけれども、これが増額するときにはいろいろ検討して、増額する必要はないという結論を出した。そうしてそのデータはいろいろわれわれにくれておる。私はそれを信じますよ信じますけれども、一応そういう政治的な問題があると、人事院はそれに若干でも折れてしまって、やむを得ないというお考えになるとは一体何事なんです。われわれは人事院のデータというものは、間違いは一応指摘しております。指摘しますよ。一応われわれの指摘できない点は信じてやっておる。この点について、私はそういうものがここにあるならば、一般の寒冷地手当の問題にもあるのですから、問題が。従って、その点については、大臣は率直に言われたことを私は了といたしますが、こういう問題について、この法律案を通す場合には、これだけで私は了解できないのですが、こういう点について人事院の見解と大臣は言われましたが、私は必要があれば――まあ金額が少ないから了承したということは、まああなたの言葉としては聞けないのです。金額が少額であるからいいということは、これはあなたの性格として言えないと思うのだが、しかし、そういうものがあるとするならば、やはり政治的な圧力と申しませんが、正当なものはやはりこれは修正してもいいという逆な答弁にとれると思いますが、これについて大臣の御答弁を求めます。
  116. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) まあ人事院も、率直に申しまして、大へんけっこうというふうに申し上げたわけでもないと思いますが、これは別問題といたしまして、あの問題につきましては、一つは特殊の事情がございます。これは御存じ通り、私どもが道南地方の三トンを勧告いたしまして、増額いたしません場合には、現業との関係考えまして、国鉄があのころちょうど道南地方が三・〇一という線でございまして、やはり三トンぐらいでございますが、その後それが仲裁裁定といいますか、団交でちょうどあの法律が修正される場合には三・一トンという線が出て参ったような関係もございまして、まあ一つの特殊な問題とも考えておるわけでございます。
  117. 迫水久常

    国務大臣(迫水久常君) この法律を通しますときに、きっとこういう話になるだろうということをまあ私は思いましてですね、最後までどうか、どうかとこう言っておったのですれどもけ、今、山本さんは、金目の少ない点はあまり理由にはならぬとおっしゃったのですけれども、きわめて露骨に言いますれば、金目の少ないという点も一つの要素ではありました。そこで、これは例外的な、きわめて例外的なことであって、これはまあ先例にはならないというようなふうにわれわれは、私は少なくとも考えて、この分だけは北海道の道南の方々のいろいろ御要求もあるし、もし国会が御承認下さるなら、これは、これでやっていただけたらしあわせだと思いますけれども、これを、これがあるからという理由で、さらにこの例外をよけい支出するということについては、これはやっぱりしない方がいいと、露骨に言ってそう考えております。
  118. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 給与局長何か耳打ちしたようでございますが、僕の質問の意図に相当含みがあるので、何か言われたら、答弁が非常に慎重になっておるのですが、これはいずれにいたしましても、私はこれに因縁をつけたくないのです。ありません、率直に言わせましたら。ないけれども寒冷地手当法律第二百号にいろいろの問題を含んでおるのですよ。この法律の生成過程は、これは政治立法だというようなことをいわれておりますが、むずかしい問題があるのですけれども、それをそのまま人事院は今までいろいろと理屈をつけて逃げ回ってきたのですよ。それは気の毒だと思っておるのですよ、人事院当局にはむしろ。それをこういう措置をとられると、ハチの巣をつついたようになってしまう。だから、私は正式の委員会で妥協するとか、そういう意味ではないのですから、やはりそういう個所があれば、政府は寛大な気持でこれを見なくちゃならぬ場合があると、こういうことをまあ言っておる。それを、金額が少額だから、一応大蔵省は認めたということになっておると思うのです。これはもう率直に言って。よく聞いておるのだから、僕は。だから、そういうことだけでこの法律をどうこうとは申しませんが、一応そういう含みも意見としてあるということを一つ大臣に御承知を願いたい。これ以上答弁を求めると、またいろいろむずかしい点もあると思いますから、それだけ申しておきます。人事院を私はきめつけるわけではございませんが、そういう権威のないことでなくして、率直にこういう点はこうだということを言ってもらいたい。それでは時間がかかりましたから、次の問題に……。含みのある質問として聞いておいてもらいたい。  次に、暫定手当の問題ですが、これはまあしょっちゅう問題になっておるのです。もうすでにさきに前々国会でも、三年ほど前の国会で毛問題になったのですが、これは非常に問題を残しているのですが、これについて政府は今どういう考えでおるか。この法律案についてはいろいろ問題はありますが、基本的にこの暫定手当について、附帯決議では解消するということを言っておるのですが、政府はどういう方向で解消しようという考えを持っておるのか。また、人事院はどういう考えを持っておるのか、この点についてお伺いしておきたい。
  119. 迫水久常

    国務大臣(迫水久常君) この問題も人事院にいい知恵を出していただいて、人事院からの御勧告に従って処置をしたいというのが政府のほんとうの心持だと思います。
  120. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) この暫定手当の解消の問題は、まあよく御存じ通り、また、お答え申し上げます通り、理論的には給与の地域差というものがあることが適当であると存じますし、また、現在、定額のためにだんだん率も減っておりますし、これに変更を加えることにつきましてはいろいろの問題がございまして、簡単には参らぬ問題でございます。しかし、まあ一面において、国会では非常にこれに対して御要望の線もございますので、その点と理論的な方面とを勘案しながら、まあいろいろ検討いたしております。どちらにいたしましても、これを一挙に底上げするということは、これはいかがかと思っております。いろんな要素を勘案しながら善処していきたいと思っております。
  121. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃこれで質問を終わります。  担当国務大臣には、今言われたまあ人事院の勧告を待って政府は措置する、今度の場合には十分そういうことを考え一つやってもらいたいと思います。人事院は、あなたの勧告が基礎になるのですから、今一ぺんに底上げできないけれども徐々に考えると、まあ私はとったのですが、徐々に考えるというのは、ここで具体的に言えといっても無理でしょうが、現在あれだけの格差があるために、これを人事行政上も大きく問題があるのです。これは国家公務員だけでなしに、地方公務員も実は困っておるのです、転勤する場合に。従って、これは早く解消するわけにはいかない。従って、すでにこの問題はもう煮え切っておるのですから、来年度から実施できるような勧告は考えられるかどうか、これだけちょっと聞いておきたいと思います。
  122. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) この際、来年から実施できるような時期に勧告を出し得るかどうか、必ずしも明言いたしかねますのでありますが、この問題は十分検討いたします。
  123. 田畑金光

    ○田畑金光君 関連でお尋ねしたいのですが。今の山本委員質問に関連して、迫水長官の御答弁によりますと、石炭手当について国会の方にもそのような意思もあるようであるし、こういうようなお話でございましたが、そういう意思のそんたくによって人事院の勧告にない措置がとられているとするならば、私はこの法律には詳しくございませんが、今ちょっと読んだところでは、まあ薪炭手当についても石炭手当についても、とにかく額の多い少ないは別にして、増額措置がとられたわけですね。寒冷地手当そのものについて、これをそのままにしておくということも、これは矛盾をそのまま放任するという結果になろうと考えるわけです。現に毎日われわれのところにいろいろ陳情の文書が来るわけですが、それを見ますと、今の点を非常に多くの公務員の諸君、寒冷地に勤務している諸君からそういう訴えが来るわけですが、この点はこのまま放任されるつもりであるのかどうか。国会の意思があったというので、その国会の意思もおそらく全体の意思ではなくして、大よそ推察はつくわけでございますけれども、私は、たとえ北海道の道南地区において、一部であろうとも三・一トンにされた措置そのものについては、反対するわけじゃございません。だがしかし、その他の寒冷地に勤務する諸君について、このまま放任しようというのかどうか。これについてはもっと人事院としても筋を通す措置を当然これは考えてもらわなくちゃならぬと、こう思うのですが、これはどういうお考えでありますか。この法律第二百号を読みますと、第三条の第二項には「人事院の勧告に基づいてこれをしなければならない。」と明確にうたわれているわけです。ところが、今問題になっている石炭手当については、人事院の勧告措置はとられていない、こういうことですね。先ほど人事院総裁の御答弁では、何か団交で、国鉄において引き上げ措置もとられたようであるからして、政府がそういう措置をなされるについてもあえて異議を唱えなかった、やむを得ない、こういうような趣旨の御答弁だったかとお聞きしましたが、筋が通らぬじゃないですか。そういうようなことを言われるならば、法律によってちゃんと勧告に基づいて措置をすると、こうなっているのです。そうなれば、やはりこの次の機会に、第三条第二項に基づいて寒冷地給地域の諸君に対しては公平な措置をとる準備があるのかどうか、これを人事院総裁から明確にお伺いしたい。  さらに迫水さんからは、一つ国会の意思がそうであったろうからというようなことだが、そうならわれわれは寒冷地給についても当然これは公平な措置をとるべきだという国会としてのわれわれ意思を持っておりますが、その意思にこたえられるおつもりであるのかどうか、これを一つ明確に答えてもらいたいと思う。
  124. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) まあ人事院といたしましては、率直に申しますと、せっかく十分研究いたしまして勧告いたしたものでございますから、その通り実施されることを希望するわけでございます。しかし、それがよくなるという場合には、どこまでもこれを反対いたすべきかどうかということも、そのときそのときにまた問題がございまして、あの三・一トンの問題につきましても、先ほど御指摘ございましたように、国鉄のその後の仲裁裁定の決定もございまして、われわれ内諾といいますか、いたすのがほんとうでございますが、今後といえども、やはりただいま御指摘のようにこの法律の精神は、人事院の勧告に基づいてきめていただくのが本筋じゃないかと思っております。
  125. 迫水久常

    国務大臣(迫水久常君) 国会の御意思というものはできるだけ尊重し、それから陳情もできるだけもっともなものは取り上げていくというのがこれは政治だと思うのですけれども給与の問題に関しては人事院というのがありまして・それの勧告に基づいてするのが当然の道でありまして、石炭手当をこうやりましたのは、まことに例外中の例外だと思っておりますが、さっきから山本さんもあなたも、金のことは別にしてということを必ず言われるのですけれども、その金目の少ないというところがこの問題に踏み切った相当大きな理由であったと私は思います、率直に申しまして。従って今、国会にそういう意思があるときには何でもそれをのむ気があるかと言われますが、それはケースによって十分研究さしていただかなければ、概括的なる御返事はちょっとできません。
  126. 田畑金光

    ○田畑金光君 まず第一に、私は人事院総裁に重ねてお尋ねしますが、第三条第二項を読みますと、「内閣総理大臣は、第一条第三項、第二条第二項及び前項に規定する定めをするについては、人事院の勧告に基づいてこれをしなければならない。」と明確にこれは強行規定になっておるわけです。そこで、政府が皆さんの意思と反して、これはおそらくこの法律に基づいて仕事を進められる人事院の立場からいうと、本来の気持に反するかもしれません。反しておるでしょう。やはりこの法律に基づいて人事院あるいは人事院総裁としてはお仕事をやっておられるわけですから。しかし現に、これは理由はとにかくとして、くずされたわけです。その点において、私が先ほど申し上げたように、とにかく寒冷地に勤務する多くの職員の側からいえば、これは相当の不満が現存すると私は判断するわけです。従って、人事院としてはこの点についてはすみやかなる機会に十分これは検討されてしかるべきだと思うのだが、そのような御意思があるかどうか、これを一つ明確に承りたいわけです。  それから迫水長官には、あなたは答弁が非常にうまいので、なかなか、ああ言えばこう、こう言えばああ言ってくるくると逃げられますが、金額の多い少ないは私は問題にしたくないのです。これはやっぱり法律の建前上勧告という制度がある以上は、私は、これは結果についてとやかくいうのじゃないのです。ある力が加われば、それには金額はどうとかこうとかいって、政府は入れるとか、ところが、力がないというか、あるいは問題にして提起しなかったといった場合は、何らこれを顧みて措置しない。金額の多い少ないじゃないと思う。政治は筋でしょう。筋をやはり通してもらわなければいかぬと思う。そういうことを考えてみるなら、政府としては、道南地区の人方に〇・一トンふやしたことは私は反対じゃないのです。けっこうなことなんです。しかし、それならばやはり公平の立場に立って政府みずからも寒冷地域に勤務する公務員の諸君について、これは公平の立場の考慮を払うべきだと考えまするが、迫水長官はどうお考えになりますか。金の多いとか少ないという答弁一つやめてもらいたいと思う。一つ明確に承っておきたいと思うのです。
  127. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 道南地方が〇・一トンふえましたために、本土の方の寒冷地関係について修正する必要があるかどうかという問題につきましては、一面、道南の三トンというものを、また本土の方の薪炭手当寒冷地手当関係考えたことは事実でございますが、それと同時に、われわれこの寒冷地給につきましては現業とのバランスも考えておりまして、その点から申しますると、東北その他のこちらの方の地域は現業関係とバランスがとれておりますわけでございまして、現在の段階におきまして、道南地方がふえましたために、内地について手直しをするという考えは持っておりません。
  128. 迫水久常

    国務大臣(迫水久常君) その問題は一つ人事院でよく御研究をいただいて、人事院の御勧告を得て私の方で処置したいと思っております。
  129. 田畑金光

    ○田畑金光君 まあ迫水大臣の答弁はうまいところへまた逃げたわけですけれども人事院総裁、今お聞きの通りですがね、まああなたに何事も持ってこようという気持はございませんが、現業との均衡云々というようなお話で、まあお立場上、お仕事の上からいうとわれわれも理解できないでもないのですけれども、しかし、薪炭手当も増額されておるし、また石炭手当についても、とにかく一部ではあっても、増額をされておると、この事実の上に立って私は寒冷地給の支給についても十分一つ御検討を願いたい。これだけを要望として申し上げておきます。
  130. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、残余の質疑は次回に譲ります。
  131. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 次に、国家行政組織法等の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましてはすでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  なお、本案は衆議院において、お手元に配付いたしましたように修正されております。  政府側出席の方は、小沢行政管理庁長官、山口行政管理局長、丸山調達庁長官、大石総務部長、新保主計官でございます。  御質疑のおありの方は御発言願います。
  132. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 国家行政組織法について、特に調達庁関係の定員に限定して二、三お伺いしたいと思いますが、最初は調達庁長官に主としてお伺いいたします。  御承知のように三十五年度の調達庁の定員については、七十五名の定員減があったわけです。聞くところによると、現在までに五十五名については配置転換の措置がついたけれども、現在なお二十名についてはそのままになっておるやに聞いております。もしそうだとすると、その二十名については、今後いかなるところへどのように――いつまでにいずこへ配置転換しようとするのか。それの受け入れ先とそれから等級別、地域別、職種別、性別等について具体的にお答えいただきたいと思います。
  133. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 三十五年度の七十五名の処置につきましては、防衛本庁の各部局を初め、厚生省その他の各省庁、あるいは公団等、幸いにしてその御協力を得まして、ただいま七十五名については全部完了いたしてございます。  必要があれば総務部長からその内訳等説明させます。
  134. 大石孝章

    政府委員(大石孝章君) ただいまの御質問に関連しまして、内訳等御説明いたしたいと存じます。  御指摘の通り昭和三十五年度におきましては、等級別に、四等級八、五等級十五、六等級十九、七等級二十九、八等級四と七十五名、それを三十五年度七月末二十名、九月末二十名、二月末三十五名、計七十五名という割合でやるわけでございますが、これをいわゆる人員移しかえの方式と申しますか、他省庁の協力を待って、他省庁に出血整理をしない形で移しかえをするということで参ったわけでございます。それで、ただいま丸山長官答弁申し上げましたように、厚生省関係防衛庁関係その他各省庁の地方出先機関、公団等に移しかえたわけでございます。その内訳は、厚生省関係二十六名、防衛庁、公団その他の関係三十二名、計五十八名、その他十七名につきましては、本人の関係しているような会社の関係、あるいは自家営業といったような点におきまして、総計七十五名の出血整理を見ない転出を完了しております。ただいま御質問の中に性別といったようなものもございますが、大半はむろん男子職員でございまして、一部、十七名の中に女子職員が含まれておるというような関係になっております。
  135. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これは七十五名全部完了したようですが、これはいつ完了しましたか、その時期です。
  136. 大石孝章

    政府委員(大石孝章君) 本年の二月の末までに完了いたしました。
  137. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次に、大蔵省の主計局長はお見えになっておりますか。大蔵省どなたか見えておられますか。それから行管の方にお伺いしたいと思いますが、調達庁は、三十六年度については二千七百五十二名からさらに本年も七十五名定員減ということのようですが、そこでお伺いしますが、当初の大蔵省事務当局、言いかえると主計局ですね、との折衝の過程においては百十五名であったと思うのですが、これが結局七十五名に最終的に決定したと、そういうふうに聞いておりますが、防衛庁とか建設省、厚生省統計調査部、こういうところへ配置転換というふうに伺っておりますが、現在どのようになっておりますか、この実態については。現在どこへ何名どのように配置転換になっておるかということについて。
  138. 大石孝章

    政府委員(大石孝章君) お答え申し上げます。御指摘の通り、三十六年度におきましても七十五名の定員削減が行なわれるわけでございます。その点は昨年同様やはり防衛庁中心としまして厚生省の国民年金業務関係、公団等に配置転換を企図いたしたいというようなことで各省庁協議を進めて参っております。私どもおそらく三十五年度同様三十六年度におきましても各省庁の御協力を待って無事三十七年の二月末までには完了できるというふうに期待いたしております。
  139. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これは予算上の、これは期間の規制があって三十六年七月末までに二十名減、それから九月末までに二十名減、来年の二月末までに三十五名減、こういういわゆる期間の規制のもとにこういう七十五名を配置転換しようと、こういう計画のようですが、これはそういう計画通り配置転換の見通しがあるのかないのか、そういう点を伺っておきたいと思うのです。
  140. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) ただいまこの具体的の計画に関しましては、防衛庁を初め各省庁相談中でございますが、そのような日程に応じました措置が必ずできると、私は今までの経験、それから関係の省庁の御協力が期待できますのでその通りにいくものと確信いたしております。
  141. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうしますと防衛庁とか厚生省年金局、建設省と、こういうところへ配置転換を行なうということであるならば、出向先の関係省庁においては、定員増の中にはこの調達庁職員の分も当然含まれていなければならぬと思うのですが、そういうふうに解釈してよろしいかどうか。それから出向先において与えられる職種の内容はいかなるものか、これを具体的に承りたいと思うのです。この二つの点について。
  142. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 防衛庁関係ではやはり二法案等の関係で増員の分がございます。ほかの各省の分について私は具体的につまびらかにいたしておりませんが、増員がある向き、ないしは欠員の補充と、こういうようなことによりまして、合わせまして七十五名の本年度の措置も従来通り円滑に行ない、いわゆる職員の出血の整理というようなことがなくて済みますように協力を願い、そのようにできるものと思っております。
  143. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 それでは調達庁としては、防衛庁関係だけはわかっておると、他の省庁については明確でないということでありますので、そこで、行管の方では全般的に一括しておりますからおわかりでしょうが、当然、調達庁の七十五名が配置転換ということになれば、その受け入れ省庁ではその面についての当然予算措置とか、そういう定員の中にそれを含ましておかなければ受け入れられないわけだと思うのですが、その点は遺憾なきを期しておられるのかどうか、こういう点を。
  144. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 建設省では地方建設局に増員がございまして、これは用地買収関係でございます。これが従来調達庁の業務と非常に近似しておりますので最も適当であろうと考えまして、この増員の要求審査の際に、調達庁の職員を配置転換によって吸収するようにということを条件にいたしまして増員を承認いたしております。それから調達庁の機構が地方にかなり分散しておりますので、やはり地方にそれぞれできるだけ現在地に近いところに転換する必要がございますので、国民年金の関係で相当増員がございましたので、この面につきましても、厚生省と増員の折衝の際に調達庁の職員を引き受けるようにということを申しまして承諾を得てございますので、調達庁の職員の必要な転換はそれぞれの増員の省の原則的な了解についておるというふうに考えております。
  145. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 次にお伺いしますが、調達庁は三十三年八月に防衛庁の外局として移管がきまったわけですが、しかし、それにもかかわらず、その後機構あるいは定員が削減されて今日に及んでおる。そうして、今指摘されておるような配置転換先についてもやはり既得権が侵害されて、必ずその意を得ていない、いわゆる不利益処分の面でも相当あったわけです。現実にこういう中で今回また、本年も七十五名について配置転換されるわけですが、そういうことから見て、これは先ほども言ったように、期間の規制があって、何年何月までに何名というふうにしてやっているわけですが、こういう点十分考慮されてやっておられるのか、ただ配置転換で本人の意に反しての配置転換が行なわれようとするのか、これは大きな問題であって調達庁の職員としては重大関心のあるところだと思うのです。こういう点を明らかにしておきたいと思うのです。これは大蔵省にも関係があるし、行管、もちろん調達庁長官にもお伺いしたいと思うのですが、それぞれお答えいただきたい。
  146. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) お話の通り、この数年にわたりまして年々調達庁職員の定員減がございまして、このために職員一同が、自分の身分、先行きを非常に心配する、従いましてまた、それが仕事の、業務の能率あるいは士気というものにも響きますので、歴代長官、また私も現在心配の種でございます。これに関しまして、ただいま行管の局長からお話の通り、この定員減の分に関しましては、政府をあげて各省で協力して、その調達庁職員の行く先等を御心配にあずかっておるわけであります。基本的には、私はこのような状況をなくして、職員の身分の安定をはかり、士気を高揚し、業務の能率を上げたい、こういう組織、機構の方面もぜひ考えていかなければならないと思っております。そのためには、ただいまお話がありましたように、業務が駐留米軍関係にすべて依存しておると申しますか、それを専一に取り扱っておる関係上、やはり防衛上の業務、この関連におきまして防衛庁の外局の形にしていただきました。しかしながら、現在といえどもなお同じたとえば飛行場、演習場、同様の問題でありましても、調達庁が担当いたしますのは、米軍関係のみでございます。米軍関係は、最近ほぼ安定と申しますか、あまり大きな変化をいたすような筋になっておりませんけれども、しかしながら、いわゆる基地の数等は減ってくる現象にございます。基地の数は減っても、かなり業務面におきましては、基地の関係におきまして、もっと多々やらなければならぬ仕事はたくさんあると私ども考えておりますが、いずれにしろ米軍関係自体の仕事でありますと、私どもいろいろと先々まで計画し、これを企画して、それに応ずるような態勢はとれない、自分たちの手の及ばない点においての、向う側の変動に応ずるという不安定な要素があるのが事実でございますので、この面から考えましても、安定的な機構を作ることを考えなければいかぬ。一方また飛行場、演習場等の基地の仕事の回転方面から見ましても、自衛隊のもの、米軍のもの、これを分けて取り扱うことが政府として妥当な措置であるかどうか、特にこの数年来、現在の状況を見てみますというと、同じ飛行場、演習場、米軍の飛行場、演習場というものを自衛隊が共同に使うというケース、また逆にこれからは自衛隊のものを米軍が使うというようなケースも出て参るだろうと思います。そういうような面から見ましても、これを総合的に統一的に取り扱うことが、この基地に関する行政の改善に資するとともに、そういうような筋におきまする機構の改善によりまして、調達庁職員の定員法の関係も自律的に考え得る道が出てくるというように思っておりますので、ただいま防衛本庁とともにそのような筋における問題を検討いたしておりまして、われわれの所期の目的をすみやかに実現したいと考えております。
  147. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 三十六年度の七十五名の定員減については、予算面では各等級別に規制をしておきながら、さて転出については、あまり考慮が払われていない、こういう点を私先ほどから指摘しているわけですが、これは結局、受れ入れ側の事情は優先的に考慮せられて、せっかくこちらから配置転換しても、受け入れ側でなかなかむずかしいことを言って、どうも結論としては、その意に反した配置転換が行なわれる、これが今までの従来の多くの例であったわけです。そこで、今年度の七十五名については、一つそういうことを繰り返さないように、先ほどから言っている地域別、等級別、職種別、性別、こういう点を今から十分検討して不利益処分とならないように、十分公算のある計画が立てられているのかどうか、また、そういうことをお考えになっているのかどうか、これは調達庁長官として、また行管として、こういうことに対してどういうふうにお考えになっているか、それぞれお答えいただきたい。
  148. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 防衛庁との関係は、これは調達庁と何と申しますか、向こうが本省の形、こちらは外局の形で、一つの大臣のもとにやっておりますので、その点、もちろん十分に当庁の職員の希望するところ、また適するところ、これに相応するところの防衛庁各部局なり、それに合致させる努力はただいまもいたしております。また、ほかに厚生省、建設省等の関係におきましても、先ほど行管の局長のお話しになっております地方的にも増員面がある。また私の方でも全国的に八つの地方局を持っておりまして、地方の職員がおりまして、その住所の関係等におきまして、どうもそう遠いところにいけないというような事情のある者もございます。この当方の希望するところ、住所関係、それからまた職分としましては、その職種、それから年令、あるいは階級、給与、こういう面のところにおいて、こちらの希望するところと、他の省の受け入れにおける向こうの希望するような年令、あるいは職階、あるいは性別も関係いたしますので、それらの点と合致すること、この相談をいたして参り、今後これが双方満足のいけるような措置を講じまして、この七十五名の処置を完了いたしたいと思います。
  149. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 級別につきましては、実は私どもの方では所管いたしておりませんが、従来配置転換の障害になっておりましたのは、御指摘のように級別の問題が一番大きな問題でして、円滑にやるためにはどうしても出したい方と受け入れする方の意見が級別の定数の問題で障害が起こらないように、多少その年度の予算につきましては、増額をするようなことがありましても、そういう受け入れ態勢の問題を考えて、紋別の決定予算決定を十分配慮してもらいたいということを、主計局の方と協議をいたしております。それに、そういう点につきましては、主計局でも十分考慮されて、調達庁と最終の予算の積算について協議をされたはずでございますが、具体的な人事は伴っておりませんから、将来、はたしてどうか、必ずしも安心かどうかという点まではわかりませんけれども、今回は十分そういう点も考慮されて、予算の積算をされたものであると考えております。
  150. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 調達庁と各省庁との間にいろいろ配置転換について、受け入れについていろいろと話が進められ、約束が取りかわされていって、そういう場合に中央でこれが解決できないで、地方組織に移行したような場合に、えて混乱が起きている。そうして結局、実行不能になった場合も今までにあるわけです。こういうことははなはだ遺憾だと思うのですが、これは特に調達庁の職員を調達庁から出すという意味で、調達庁長官としては、そういう場合には、十分こういう事態を調査し、そうしてそれに対して十分責任を持ってもらわないと職員の利益は守られない、いわゆる不利益処分に終ってしまう、こういううらみがあると思うのですが、これについて、調達庁長官としてはどういうふうに考えておられますか。この事態に対して行管としてはどういうふうにお考えか。この点を明らかにしておきたいのです。
  151. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) お話の通り、中央におきましては、原則的な事項に関しまして中央官庁の担当の面において話をつけまして、その方針、計画というものを地方に伝え、地方の各局と関係受け入れの方のまた出先の各局と具体的に、この人だ、この人だということになるわけでございます。今まで原則的に関係政府機関に御協力いただいていることは、この数年来の事情でその通りでございますが、まま地方の出先におきまして、その通りに実情が合わないというようなこともなきにしもあらずでございます。このなきにしもあらずのような事項を皆無にするためには、いかがすべきか。今までの経験にも徴しまして、ことしのやる分につきましては、そのようなことの絶対にないように措置をつける、中央で話がきまり、地方にいきましても、地方においてまた特殊の事情で話しがきまらない場合には、中央にまた持って帰ってその点についても話しを進める、いろいろのこのような手段をとりまして、私どもの職員が非常に行先もない、希望も達せられないというような事態の起こらないように、私、長官としては専心その処置の善処はしたいと考えております。
  152. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 具体的の人事につきましては、関係省庁で協議されて実施いたすわけでございますが、そういう特別の困難な状況が起こって、あっせんの必要があるというような場合には、行政管理庁といたしましても、十分あっせんをいたしたい。そうして本年度の配置転換を円滑にやりたいという気持を持っております。
  153. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 調達庁、行管、それぞれお答えではございましたが、これは実際問題として、過去においてはあるいは強制出向あるいは格下げ、こういうような不利益処分は現実に行なわれてきているわけです。  そこで特に調達庁長官にお約束いただきたいと思うのですが、過去はともあれ、本人の意に反した強制出向は今後やらない、そしてまた職員の既得権を侵すごとき配置転換は今後断じて行なわないということをここで確約できますかどうか。
  154. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) そのようなことにはならないようにしたい。私はそのようなことにならないように処置する所存でございます。
  155. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そのようにならないようにしたいと思います、こういうことですね。ならないようにしたいと思いますが、しかし、どうしてもなってしまえば仕方がない。どうも弱いように思うのですがね。もう断じてそういうようなことは極力避けたいと、もう少し強いことで表現できませんか。どうもそれだけ聞いたのでは安心がならぬ。過去においても繰り返し申し上げましたように、その意に反した配置転換あるいは格下げ、強制出向、こういうことが具体的に次々と行なわれてきておるのですよ、現実に。こういうことを非常に憂慮しておるわけです。これはただ単に調達庁の場合だけではございません。本日は調達庁の定員に限定してお尋ねしておるから、特に調達庁長官に責任があるわけですけれども、これは他の省庁においても全く同じことが言えると思うのです。  そこで重ねてお伺いいたしますが、こういうような本人の意に反した強制出向とかあるいは格下げ、いわゆる不利益処分にならないように、極力懸命に努力する、こういう確約はできると思うのですが、この点いかがですか。
  156. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) もちろん私は長官といたしまして、自分の部下のことで、これまで長らく調達庁の困難な業務に従事して参ったものでございます。この七十五名をぜひとも法律の命ずるところによって処分しなければならないというような事態になりましても、本人の不利益の処分になり、どうしてもいやだというものを強制出向させなければならぬ、こういうことは絶対にとりたくないと思っております。また、どうしてもそのような事態に追い込まれるということになったらどうするかということでございますので、先ほど来申し上げました通り、これに関する措置は内部で対策を立てますとともに、行先、受け入れ先の方にもお願いを申し上げまして、そのような事態の起こらないように今から措置していきたい、このように考えております。
  157. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 これは、長官の部下である調達庁職員の利益を守らなければならぬという立場で私はお伺いするのであって、あなたを何もいじめているのでも何でもない。あなたにむしろ協力しようとしているのですから。その点はこれ以上お伺いいたしませんから、一つ本年度以後こういう面については極力最大限の努力をしてもらいたいということを重ねて要望申し上げておきます。  いま一つ、これは大蔵省の原案では、最初名古屋の調達局と金沢調達事務所、これについて廃止するというような計画であった。そうして本年一月にはその旨、第一次の発表ではそういう内示さえあった。それがその後変更になって、廃止については取りやめ、名古屋調達局、金沢調達事務所については存置の方針がきまった、こういうふうに私ども承知しているわけですが、そういうことになりますと、これはどういう理由で、一たん廃止すべきものが復元したのか、存置するようになったのか、いかなる理由に基づくものか、そうして、もしそうだとすれば、一たんこれは存置にきまった以上、三十七年度以降についても、これは当然存置されなければならぬと思うわけです。そこで、いかなる根拠に基づいて一たん廃止ときまったものが存置にきまったのか、その点をまず明確にしていただくことが一つ、それと、そうであるならば三十七年度以降においても存置する方針であろうが、その点いかがですか。こういう点お伺いいたしたわけですが、大蔵省が原案を先に出されたものですから、調達庁にお伺いする前に、大蔵省の方から一つ先にお伺いいたしたい。
  158. 新保実生

    説明員(新保実生君) お答え申し上げます。三十六年度の調達庁の定員と機構の問題につきましては、私どもとしまして、調達庁の管理いたしております米軍に対する施設が、御存じのごとく、各地にあるわけでございます。それと各調達局の職員の定員等を比較いたしまして、業務量と職員の数の関係をよく考えまして、米軍提供施設の数がかなり減っているところにつきましては、あえて局という形でなくても、事務所とか、そういうもので間に合うのではないか、かような考えから名古屋調達局と金沢の事務所につきまして廃止という案を御提案したわけでございますが、これが取りやめになりました理由につきましては、まあ私、間接に聞いたもので、その場に立ち会っていたわけでございませんでございますが、いろいろ新しい安保条約、あるいは行政協定にかわる国連軍関係の地位協定というものができたわけでございます。一方、調達庁所掌の仕事の量につきましても、あるいは占領期間中の見舞金、給付金でございますが、そういう新しい仕事もふえて参っておりますので、そういう事情を考えた場合に、局の廃止あるいは事務所の廃止というものは適当でない、こういう判断のもとに取りやめになったものと私は聞いております。  今後のことでございますが、いろいろ業務量とか、あるいは地位協定に基づく業務というものは、よく今後も変わり得るものでございますからどうだというふうに申し上げるわけには参らないと思います。また一方、政府におきましては、行政機構全体について再検討するという問題も日程に上っておるやに聞いておりますし、また先ほど調達庁長官から御答弁申し上げましたように、自衛隊が使っておる基地、それから米軍が使っておる施設、そういうものの管理機構をどうするかという問題も一方においては起こっておるわけでございますので、そういう問題とあわせて考えて参りたいと、かように考えております。
  159. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 主計官のお答えの通り、当初名古屋局管内には、目下米軍が大きく駐屯し、あるいは大きな施設を持っておるのが非常に少ない、そういうことから、業務量的にも局としてではなく、たとえば隣接の大阪等の局のうちで、名古屋は事務所でよかろうではないかという御意見もございました。しかしながら、各般の業務量、それから今後また法律の提案等におきまする業務、それらのものを見直しまして、やはりこれらの業務遂行には名古屋に局が必要があるという結論になりまして、従来通りということになったわけでございます。  今後の問題でございますが、先ほども若干申し上げましたが、何としても米軍の基地関係のみに依存しておる状況におきますと、非常に不安定な要素がある。私は、この現在におきまして、名古屋管内に米軍の施設、区域が少なくなったといえども、これに関連する業務というものは、まだやり足りない、まだ不十分だという面が多々あると存じます。この面の仕事で十分にある。従いまして、私としては、来年以降といえども名古屋局は必要であると、かように考えております。ただしかしながら、米軍関係のみの業務ということになりますというと、こちら日本側では、いかんとも計画その他の及ばない面と要素があることは事実でございますので、それが不安定の要素になる、このようなところにも思いをいたして将来の対策を立てなくちゃいけない。そこで、先ほど申し上げましたように、目下防衛本庁との間に、いろいろ演習場、飛行場、いわゆる基地等の問題に関していかにせばもっとこの行政が改善になるか、また、それに応ずる機構はどうあるべきか、これらについて専心研究をしておる次第でございます。
  160. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 時間がございませんから、最後に一点お伺いしておきますが、これは調達庁の将来の機構に関して目下防衛庁で検討中ということでありますので、防衛庁長官にお伺いをするのが一番適切だとは思いますが、幸い調達庁長官が見えておる。あなたは当然この問題に参画しておるのでありましょうし、大体動向についておわかりであろうと思います。そこでお伺いしますが、調達庁は先ほど来からも申し上げておるように、機構とか、あるいは定員がどんどん削減されて、目下の調達庁の職員は意気阻喪しておる。しかしながら、調達庁は防衛庁の外局であり、国防の大本からいって、いわゆる基地行政の面において同種同様の業務を両者で扱っておるわけです。そこで防衛庁、調達庁両者の同種同様の業務のうち、これはいわゆる調達庁でやることの方が適切であるという、そういう業務については、調達庁で一括して、そうして何とか調達庁の機構が、また、その定員が削減されないように、縮小されないようにということを調達庁の職員は熱望しておるわけです。こういうことで、検討はだいぶ進んでおるように思うのですが、現段階では一体どのようになっておるかということを一つお聞きして、本日のところ、この点に関しては質問を終わりたいと思います。
  161. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) ただいまの西村防衛庁長官は、調達庁のまた私どもを担任される大臣でもございますが、この機構問題につきましては、大臣を初め防衛庁の幹部諸君におきましても、私が先ほど来述べましたように、自衛隊あるいは米軍というものの基地行政というものを別々に、ばらばらにしておくこと、これの成果がいかがか、また、これを総合的に統一することによって、もっと基地に関して周辺の方々に及ぼすいろいろの御迷惑を軽減する道、これらの改善処置に対しては、どうしても同じく一本で総合的に取り扱う必要がある。これらに関して、ここに一つの機構として、調達庁それから防衛庁内の担当局ともあわせたものを考えるという方向においては意見は一致を見ております。それを具体的にどのようなものにし、また、いつを目的にして実現できるか、これらの具体策について目下検討を加えておる次第でございます、なお、かりにこの大きな機構の改正の問題というものは、なかなかまた別の方面からのむずかしい面ができまして、早急の実現は困難だといたしましても、さしむきの状況においては、今、先生もお話がありましたように、同種同類の仕事が多々あるものでございますから、この同種同類のものを、従来長い経験と知識とを持っておると思います調達庁の方でやっていくならば、その面においても行政の改善になり、かたがた調達庁の職員の身分、定員という問題についても一つの安定の道を見出し得ると、このようなことはぜひ直ちにしていく、こういうところに話が進んでおりまして、この実現を私は防衛庁の幹部とともに目下具体的な措置を検討しておる次第でございます。
  162. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 目下検討中ということはお聞きしないでも私知っておる。目下検討中でなくして、それは目下検討中でしょうが、一体見通しについては、どういう見通しを持っておるか。目標がなくて事態が進んだって意味がないと思う。大体いつごろまでにその成果を得る予定なのか。物事にはやはり目標があろうと思うのです。もちろん、それより早くできる場合もあるし、おくれる場合もございましょう。大体目標はどういうところに置いておるのですか、それだけをはっきりしていただきたい。
  163. 丸山佶

    政府委員(丸山佶君) 大きな機構問題の大綱的な取りきめ、それからさしむきの業務の調整、これに関しましては、少なくとも来年の予算編成をし、大蔵省に提出するのが八月末日でございますから、その時期までには、これを防衛庁との間にはしっかりした話をつけたい、この目標のもとに努力をしております。
  164. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 予定がちょっと狂ってきたようですが、本問題は防衛の問題にきわめて大きな関係がありますから時間も過ぎてしまっておるようですが、せっかくですから、この問題について一間だけ、行政管理庁長官もお見えになっておるから、国家行政組織法の問題にもきわめて関係の大きい問題でありますので一つお答え願いたい。  きょうの午後の防衛二法案の審議の中でも、防衛庁長官がふれておられる今の問題ですね、調達庁を防衛庁の内局としてこれを包含したいというような意向を述べておるのです。しかし、これは私としては反対なんです。これは国家行政組織法の元締めである行管長官に私はお伺いしたいのですが、調達庁長官にも意見を述べてもらいたいと思う。今、ちょっと言われましたけれども、実は現在調達庁の事務としては駐留軍、いわゆる米軍関係の問題のみを処理するということになっておる。従って、これは米軍がだんだん帰っていくのですから、少なくなる。職員の立場からすると、減員になって非常に不安でございまするが、国の行政としても、自衛隊のいろいろな事故がある。これは昔、旧憲の軍隊のときには、陸軍なり海軍がやっておったのですが、ああいう軍隊とか、そういう権力で押えて、国民の不満が内攻しておる場合がたくさんある。しかしその当時は、軍の力が強かったから、勢いそれが出てこなかった。今はシビル・コントロール、いわゆる文民優先の自衛隊です。私は自衛隊に反対ですけれども、一応現実の問題としてあるのですから……。それからよって起こるところの事故というものは、これは当然防衛庁以外の独立した官庁で処理すべきだと思う。そうすることによって、国民の利益というものは公平に守られると私は思うのです。われわれはそういう主張で、調達庁が防衛庁の内局に入って、防衛行政の中で運営することは私は誤りであると思っております。国民はまた再び自衛隊というそういう力に押えられて、ほんとうの要求というものは出てこない。それが内攻していって、これはまあ反軍思想といいませんけれども、――私は自衛隊を軍と思っておらないのですが――そういうものが内攻して、ほんとうのシビル・コントロールの自衛隊、皆さん方自民党のいわれている自衛隊、そういうものが歪曲されてくる。非常に困った問題になると思うのですが、この点について、行政管理庁長官はどうお考えになるか、一応聞きたい。
  165. 小澤佐重喜

    国務大臣小澤佐重喜君) まだ調達庁が内局になってそれから防衛庁に入るというようなことは、正式に何も相談を受けておりません。しかし、だんだんそいう問題が起きました場合には、よくお話の趣旨を尊重いたしまして、善処したいと思っております。
  166. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは重ねて言っておきますが、防衛庁長官は、すでにそういう考え方で進んでおるようです、私の聞く範囲では。従って、私は、そのとき質問したかったのですが、きょうは残してあるのですが、たまたま行政管理庁長官が国家行政組織法の元締めとしておられるのですから、総理のお考えも聞きたいのですが、そういう点は十分考えて検討してもらいたい、こういうことを希望しておきまして私の質問を終わります。
  167. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、残余の質疑は次回に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会    ――――・――――