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政府委員(瓜生順良君) では、ここでわかる範囲で御
説明申し上げます。
この常盤松の御用邸、これは昨年東宮御所が新築されるまで、皇太子殿下が仮御所としてお使いになっていた所です。その前は、これは元の東伏見邸であったわけですけれ
ども、皇太子殿下がお入りになる前には、一時皇族の会館的な用に、お集まりの場所用に使われておったこともありましたが、郊外の方の皇太子殿下の御殿が焼けまして、皇太子殿下がそこにお入りになった。その後、東宮御所ができましたから、あそこはあいておるわけでございますが、しかし、義宮様も今は皇居の中におられまするけれ
ども、あの位置は、宮殿を造営する場合には、こわす位置に一応考えられます。また御結婚なされば皇居をお出になった方がよろしい。そういう場合に、一時的に常盤松の御用邸をお使いになったらどうかというふうに考えて、現在は職員が一人あそこにおりまして管理をしておる
程度でございます。
それから高輪南町の御用邸の方は、これはちょうど品川駅前でございますが、これは終戦のころまでは、よく皇族の方で師団長になられた方——朝香宮さんなんかも入られましたし、その前に竹田宮さんが入られたこともあります。そういう方が東京に帰ってこられる場合、そういう場合にお屋敷として使われたという所でございます。で、終戦のころには、東久邇さんが借りてあそこに入っておられました。特に、東久邇成子様はもとの照宮様で、陛下のお子様であるというので、ちょうどあのころは占領軍のいる、やかましいときでしたが、そういう方が皇室用の財産に入られるのはいいということで入っておられました。今はお年寄りの方の東久邇さん御夫妻がおられます。お若い方の方は現在柿木坂の方にお越しいただきました。皇室の大事な御親戚でもあるし、あそこの用地の問題については、これを皇室用財産を解除して払い下げてもらいたいなどという話もいろいろありますけれ
ども、そういう場合、先ほど山本先生もおっしゃったように、いろいろ問題もあるので、そう簡単には考えられないし、特に今は東久邇さんもおいでになることでもありますので、そのままにいたしております。ここには現在、古い建物でありますが、利用のできる所がありますので、宮内庁の職員が数家族公務員宿舎として住んでおります。
なお、葉山の御用邸は、先ほど申し上げましたのでおわかりになっておると思いますので、省略さしていただきます。
那須の御用邸は、主としてこれは暑い夏のころ両陛下がおいでになります。そしてあそこで御静養になり、裏山は相当いろいろ変わった種類の植物の採取なんかをなさったりして御静養され、また御研究もされておられるわけであります。また那須の御用邸には付属邸というのがありまして、そこは、多分ことしは皇太子殿下、妃殿下あるいは浩宮さんあたりもおいでになるかと思います。そういうような暑い時期における御別邸として使われているのであります。もちろん、暑い目じゃない五月ごろおいでになることも、ときによってありますが、これはたまにそういうことがあるだけであります。
それから沼津の御用邸、沼津の御用邸はこれはここ二、三年は両陛下も皇太子殿下あたりもお出かけになっておりません。義宮さんが水泳なんかに行かれて、学習院の生徒と一諸に行かれた際に、ちょっと利用されたことはありますけれ
ども、最近はあまり御利用になっておりません。建物も、ごらんの方は御存じかと思いますが、相当荒れております。なお海岸の方は海の水がぐんぐん来るものですから、少しずつ浸食されてくるというような所で、現在これについては、すぐにはどうするということもありませんが、まあ海水浴なんかされる場所としてはこの場所はよいものですから、あるいは浩宮さんでも大きくなられた場合にでも、こういう所を御利用になられるということも考えられるのじゃないかと思います。まあ研究問題の御用邸であるとは存じております。
それから下総の御料牧場、昨日ごらんいただきまして、まあ皇室用として経営している、皇室が経営しておられる、皇室が持っているというものではございません。まあ国有財産であるが、これを皇室の用に供するようにしてあるということでありまして、これは明治十八年から、その当時は皇室財産で皇室のものでありましたが、終戦後は、皇室のものではなくて国有財産として皇室用に供する、で、終戦のころには、この広さも以前の皇室財産のころに比較いたしますと、三分の一に縮小になって、周囲の土地もずっと開放されて必要な最小範囲ということで御料をされている。皇室の方では、あすこから供出せられます乗馬あるいは輓馬、これを使うわけでありますが、皇室の方では必要な乗馬、これはまあ一年に一、二頭ぐらいずつ補給していく、乗馬は現在全部で十八頭おりますけれ
ども、馬というのは、大体ほんとうの稼働年数は十年くらいですから、ですから一、二頭の補給がいいのだ。で、そういう馬をあすこで作る。で、ほんとうにまあ皇室用に適格なものをそこで作っていくというのと、ほかから買う場合は、ほんとうに適格なものがない。ほんとうに適格なものはべらぼうに高いというようなこともありますし、そういうものをあすこで作っていくということが、ときによっては円滑にいくし、場合によっては経済的になる場合もあるということがあるわけであります。それから輓馬の方、つまり馬車を引くところの馬でありますが、これはいろいろ儀式その他で馬車をいろいろ使っておられますから、馬車を引く馬は二十頭ですか、これも毎年まあ二頭くらいの補給が要るのですが、特に競馬の
関係は、最近なかなかいい輓馬を手に入れるのがむずかしいそうです。私はほんとうの専門家でないのでわかりませんですけれ
ども、だんだんああいう馬車を引くような馬があまりおりませんものですから、そういうような
関係で適格な馬を得るようにあそこで養成しておるという用も持っているのであります。それにしてはそんなにたくさん要らぬじゃないかというお
考え方もあるのですが、技術者に聞きますと、馬は、あそこの種馬が十頭いるとすると、それが妊娠率はおよそ八割、その八割の、八頭になりますが、その止まれたうちの雄と雌が半分ぐらいずつになるわけです。そうすると、ほんとうに使うのは雄の方でありまして、雌の方はこれは払い下げになっていく。そうすると
あと四頭あるいは三頭ぐらい残る。その中から二頭ぐらいとる。適格でないのは一般に払い下げる。払い下げる収入は、先ほど申しました千七百万の収入の中にそういうものも入っているわけでありますが、適格のものだけ残して、そのほかは払い下げるというような形で、それによって適格なものを確保していく。その他皇室でいろいろ
外国のお客なり国内のお客を招かれて、御陪食あるいは午餐会、晩餐会あるいは夜会あるいは園遊会、いろいろなことをなさいますが、そういうときに必要なものをあそこで作ったものを持ってきて使っているわけでありまして、
外国のお客なんかでは、ときによってはあるいはおせじかもしれませんが、なかなか材料がいいということで、ほめてくれるというようなこともよくございまして、そういうような意味で、また、お客の中でも、皇室用財産の御料牧場でできたものだといって出しますと、同じようなものであっても、あるいはまた受ける感じがいいのではないかというふうなことを思うことがございます。そういうような効果をあそこからの生産品を利用される場合に上げているわけでございます。そういうようなことがございますから、皇室用として必要最小限度に縮小してお持ちになって——お持ちというよりも、国有財産を皇室用財産として管理していくということに意義が私はあると思っているわけでございます。
それからその次の新浜猟場、埼玉猟場、これはカモ猟をする場所でありまして、これも
外国の大公使並びにその館員、それから国内の方もこれは陛下がお招きになってカモ猟をされるわけですが、なお、ここも、宮中のいろいろな行事に必要なカモの肉をここでとったのをよく使っております。宴会などでここのカモを使っております。それから、ときによると、賜わりというような形で便われたりしているわけであります。陛下の御招待によるカモ猟という接伴用の点と、なお、そこからとれるものがいろいろの行事に使われているということであります。
それから京都御所、京都御所は、これは両陛下が直接お使いになるという点では、京都御所の一部の大宮御所、あの方面に御旅行のときにお泊まりになることがございます。それから
外国の元首級のお人が見えますと、大宮御所を宿に提供してお泊めするというようなことに使われることがございます。なお、これは将来どうなりますか、これは研究問題ですが、以前は、代がわりの際の即位の礼が京都御所で行なわれておった。将来どうなりますか、これは研究問題ですけれ
ども、そういうような場合にも使われる場合がある。その他は一応重要な文化財として保存されていて、多数の方の参観に供しているわけであります。
修学院離宮、これもいろいろ
外国のお客が見えた場合に、こういう所へ案内をして接伴用にするという以外は、これは重要文化財的なもので、皇室が昔から持っていたもので、現在は国有財産ですが、皇室用として管理をして、
外国の人の接伴、国内の人の接伴のときには重要なものだから、それを従前のなれている宮内庁で管理しているというような形をとっております。
桂離宮もこの修学院離宮と同じような
趣旨であります。
正倉院、これはわかっているとおっしゃいましたので省略いたします。
その次は陵墓、陵墓は、これは
全国に数百カ所にあります。御陵のほかに皇族のお墓がありますが、これは合わしたもので、要するに御先祖のお墓でありまして、これも人によると、そういうお墓は皇室の私有財産かと思ったがそうじゃないのかとおっしゃる方もございますが、これも国有財産で、これが皇室用として供されるという形になっているわけであります。
それからもう
一つ下総の御料牧場は、先ほど申し上げましたので、省略いたします。
以上でございます。