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1961-04-04 第38回国会 参議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月四日(火曜日)    午前十時四十四分開会    ———————————   委員の異動 三月三十一日委員大泉寛三君辞任につ き、その補欠として仲原善一君を議長 において指名した。 四月一日委員仲原善一辞任につき、 その補欠として大泉寛三君を議長にお いて指名した。  出席者は左の通り。    委員長     吉江 勝保君    理 事            石原幹市郎君            村山 道雄君            伊藤 顕道君            山本伊三郎君    委 員            大泉 寛三君            下村  定君            中野 文門君            千葉  信君            鶴園 哲夫君            松本治一郎君            横川 正市君            田畑 金光君   政府委員    総理府総務長官 藤枝 泉介君    総理府総務副長    官       佐藤 朝生君    宮内庁次長   瓜生 順良君    皇室経済主管  小畑  忠君    科学技術庁長官    官房長     島村 武久君    自治大臣官房長 柴田  護君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君   説明員    自治省行政局行    政課長     岸   昌君    ———————————   本日の会議に付した案件 ○総理府設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○皇室経済法施行法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)    ———————————
  2. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) これより内閣委員会を開会いたします。  総理府設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。政府側より出席の方々は、藤枝総理府総務長官佐藤総理府総務副長官、柴田自治大臣官房長岸行政局行政課長來正資源局計画課長でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 横川正市

    横川正市君 この総理府の今回設置される、二本ありますが、その二つ目町名地番制度審議会設置でありますけれども、この設置の理由とするところは、私はわからないわけではないわけですが、非常に疑点に思うのは、この方法で、はたして今の混乱をしているこの町名地番等改善ができるのかどうかという点なんです。もちろん、この審議会を作られて意見を聞くということは、まあたびたび言うことなんですが、きわめて消極的な方法であって、要は、行政上の処置の勇断を待たなければならない問題が非常に大きいのではないかというふうに考えるのですが、この点、一つお答えいただきたいと思うのです。
  4. 柴田護

    政府委員柴田護君) お言葉のように、審議会を作るだけが能であるとは思いません。ただ、この町名地番の問題は、御承知のように、もうここ一年以上問題になっておることでございまして、現に昭和三十五年度におきましては、自治省といたしましては、実験都市を設けまして、実験をいたしたわけでございますけれども、その結果に徴しまして、その町名地番整理という問題が、結局町名町界決定につきましては、地方自治法によりまして、市町村長の権限になっております。一方地番附定につきましては、不動産登記法の規定によりまして、これは登記所が行なっておるものでございます。行政官庁といたしましては、二つ行政官庁の意思が一体でなければいかぬという問題が一つございますのと、町名地番整理によりまして、つまり現在の町名地番による住局地表示制度というものをどこまで続けていかれるかどうか、あるいは欧米流に、町名地番制度によらずに、別の住居地表示制度というようなものを考えた方がいいかという大問題があるわけです。その二つの問題で、どちらの方法によったらいいかといったような問題は、調べて実験をして参ります過程におきまして、町名地番によるのも一案で、その方法を推進するのもいいけれども、相当厄介な問題が前途に横たわっておる。それは、町名地番整理に関連して、いろいろ住民権利関係に深く入っていく問題が起こるわけです。そこで、それらの問題の巻き起こす混乱というものを避けようとすれば、むしろそういう方法以外のもの、別の住居地表示制度というものを考えた方がいいのじゃないかというような疑問もあるわけであります。その辺のところを十分御審議願って、その結論を待って、その決定に従って、それぞれの所管において住居地表示制度を確立をいたしまして、町名地番混乱からくる住民生活混乱というものを避けるように持っていきたい、こういう方法がいいのじゃないかというように考えまして、審議会を作って、識者の御意見を承りたい、こういう運びにしたいと思ったわけでございます。
  5. 横川正市

    横川正市君 いろいろ問題があるわけですが、東京の荒川と、それから埼玉の川越、宮城の塩釜モデル地区として実際にやってみたわけですね。その結果、審議会を持つということになったのですか。それとも、そのモデル地区をやってみたけれども、実際上行政では簡単に手がつかないから、この際有識者意見を聞きたいということになったのですか。どちらを選ばれたのですか。
  6. 柴田護

    政府委員柴田護君) 実験いたしました結果だけのことではございませんけれども実験をしつつ、町名地番整理促進ということを、今の町名地番による住居地表示制度というものを存続していく建前で、いかにすれば安上がりで合理的にできるかということを実験をしているだけでございます。しかしながら、その実験過程においては、なかなかこれは大へんなことだという、いろいろ前途のネックといいますか、困難が明らかになってきたということが一点。それからかたがた、その制度をとっていくと、その混乱を起こして、現在の町名地番による住居地表示制度というものを前提にしてやっていくよりか、むしろほかの住居地表示制度があれば、それによった方がいいんじゃなかろうか、こういうような問題が新たに起こってきたわけであります。外国で申し上げますならば、外国では、町名地番による住居地表示制度ではございませんで、別に、家屋中心にした地番制度といいますか、そういうものを考えておる。これによった方が便利じゃないかというような問題もございますし、まあそれによります場合においては、不動産得喪関係につきましては、やはり現在の地番制度というものを置いておかなければいかぬ、これとの関係をどうするかといったようなむずかしい問題もあるわけでございますので、その辺のところを慎重に検討していただきたい。検討することが必要だ。それには、まあ行政官庁の何も必要でございますけれども、やはりその道の有識者意見を聞くのが一番いいんじゃないか。基本的な制度でございますので、これは軽々に扱うべきじゃなかろう、こういう考え方に立ったわけでございます。
  7. 横川正市

    横川正市君 私どもがちょっと考えただけでも、これは非常にむずかしい問題だと思うのです。私はまあ一例を言えば、パリあたりの地図を見て、そしてフランス語も知らない私たちが行っても、番地を探すのが非常に楽なんですね。それは、町と、それから家とに、それぞれ固有の記号が全部きまっておって、そこはそれ一カ所しかないというようなきめ方をしているわけです。ところが、日本の場合には、町の発展も、それからその番地つけ方も、もうその地区その地区の御都合でつけていったやつを雑然と並べてあるわけですから、これは一体有識者に聞いたら改善するものなのか、それとも、もっと別な観点から、たとえば都市計画だとか、あるいは区画整理だとか、そういったものを整然と一回行なって、そして何も金かけて家や道路を動かしたりつけたりする必要もないけれども、はっきりした都市計画の線にのっとって新しい番地町名というものをつけていくという抜本的な方法も考えられないわけではないわけで、そういう荒削りなことをするとすれば、これはもう大へんな、時間の問題その他にぶつかってくるというので、大へんな問題だと思うわけですよ。そこで、その大へんな問題だということから、私たちが今一番逃げやすいのは、まず審議会に逃げるのが、一番いいということにならないかという点ですね。だから、それなら、もうすでに三地区モデル・ケースで各地区をやったわけだから、こういう案とかああいう案とかいうものがあって、その案にのっとって、まあ行政上で一番いいやつをとっていく、そうしてそれを実施していくということがほんとうは勇断なんだと思うんですがね。審議会にまあ逃げ込んで、しかもこれは、期限は一年ですね。一年くらいでこれはちょっと私はできないような気がするわけですが、その点は、実際に担当された柴田さんの方でどういうふうに持っていくつもりなのか。私は、この案を見たときに、率直に、審議会にいけば何か名案が出るだろうというような簡単なものではないというふうに思うわけですがね。それはどういうふうに考えますか。
  8. 柴田護

    政府委員柴田護君) お話のように、町作りを初めからやり直して、そこで新たな表示制度をとっていくんだ、それが抜本的な解決方法ではないかというような御意見、ごもっともでございますが、ただ、現在の町名地番混乱と申しますのは、混乱をしている地域もございます。それから、そうでない地域も実はある。それから、町名地番といいましても、住居地表示制度が、住居地表示するのに、純粋な意味で申し上げますならば、町名地番制度によっている所と、いわゆる欧米流方式によっていると考えられる所とあるわけでございますがね。団地で申し上げますならば、団地住居地表示というのは、アパートの場合ですね、家屋番号でいっているわけでございます。これは、言うなれば、その場合の住居地表示制度というものは、すでに町名地番にある程度よっておらないということが言えるわけでございます。  そこで、現在の混乱をした地域整理いたします場合は、従来の町名地番制度というものをまず前提にして、これをどうしていくか、どう整理していくかという問題の考え方一つでございます。この場合におきましては、要するに金の問題、幾らの金をどうするか。これは結局実測をやるわけでございますので、人手と、それから手間賃がかかる。こういうことになるわけでありますが、それに対しましても、すでに混乱をした地番の、ことに新たな権利関係ができるわけでございますので、この権利関係にいろいろな問題が起こってくる。それをどうさばいていくかという問題があるわけでございます。そこで、まあそれを考えますと、なかなか現行制度基礎にいたしまして、町名地番混乱をいたしておりますところだけを対象にして、現在の町名地番制度前提にしてやって参りますにつきましても、相当の困難があるわけでございます。  そこで、まあその制度を捨てちゃって、新たにそういう混乱した地帯だけに欧米流表示制度をとるか、こういう問題が次に起こってくる。この場合には、じゃ全国を通じてやるかということが一つ全国を通じてやる必要もないじゃないか。混乱している所だけやればいいじゃないか。そうなれば、混乱している所だけをやる場合には、やはり権利得喪関係地番制度によらなくちゃいかん。そうすると、やはり基本的な制度がかえって混乱をするという問題もあるわけでございますので、その辺の利害得喪をどう考えたらいいかという基本問題がありますので、その基本問題さえどうすべきだということが大体明らかになれば、あとはもうその基本方針に従って、行政官庁としてそれぞれの役所が、それぞれの職分において全力を尽くす、こういうことになろうかと思うのでございます。ただ、その基本的な制度をどう考えるかという問題は、単に行政官庁だけの考え方で一挙に驀進するにはあまりに大きな問題ではないか。そこで、お話のように、都市計画関係権威者を含めました委員会を作って、そこで十分基本方針を練ってもらいたい、こんな気持なんでございます。
  9. 横川正市

    横川正市君 まあ言ってしまえば、今までかたりべ的に伝えられてきた言い伝えを、記号的に町名の上に明白にしようとする仕事だから、それはまあ大へんな私は仕事だと思うのですよ。そう言う私たち自身が、今までの言い伝えを実際に生活に結びつけて、非常に複雑怪奇になってきているということに頭が混乱するくらいですから、筋道を立てて、どうすればいいかということになれば、その審議会にたよるべきなのか、それとも行政機関現実仕事をやっている人たちの実際上の経験行政上の経験から、こういったことについてはっきりした意見というものを持つことがいいのか。この点は、私は、考え方としては後者の方がいいと思うのですよ。机上で幾ら論議してみても、実際に当たってみたら、これは大へん仕事になると思うのですよ。町村合併なんか見ていても、それこそ親子まで分かれてけんかをするという問題まで起こるわけですしね。だから、その指導上の問題からいっても、単に有識経験者意見だけでは、これはどうにもならない問題があるのじゃないか。そうすれば、たとえばその地方で最も混乱している所の行政担当者が、地域人たちと寄り寄り協議をして、最もいい方法というのを見ていく。それには、いろいろな形というものがあると思うのですよ。団地団地でやっぱり生活しているわけですから、それから北海道でいえば、札幌とか旭川のように、碁盤の目で、記号でもって全部わかるようになっているわけですね。どれがいいかは、その地域その地域で私は違ってくると思うのですよ。一律じゃなくて、千差万別だと思うのですよ。その中でも幾つかの方式というものがあるわけですから、その幾つかの方式をあわせていって、その地域担当者が実際にやるということであって、審議会にたよってこれができるとは、私はちょっと考えられないわけですが、まあ前の自治大臣もいるわけですがね。これは、審議会にたよるというのは、僕は毎回言うのだけれども、非常に消極的な方法だと思うのですよ、格好は。だから、そういうことでは、ちょっとわれわれの想定をする、現実の問題は混乱をしきっているのだから、それでは一体解決しないんじゃないかと、最も意欲的に解決したいという気持を私たちは持っているわけです。そういうふうに意欲を持っていて、解決方法は一体何があるかといったら、審議会じゃ私はないというふうに思うわけですがね。この点はどうですか。
  10. 柴田護

    政府委員柴田護君) 整理の具体的な問題だけを頭に置いて考えると、私はおっしゃる通りだと思います。ただ、先ほど来申し上げておりますように、整理の具体的な方法論を越えた問題、つまり住居地表示制度をどうするかという問題もこれにまつわってきたわけであります。やはりそういう制度の基本問題に関するものを行政官庁のワク内で処理するということは、かなり問題がありはせぬか。そこで、識者の御意見を十分承って踏み切りたいと、こういう気持を持っているわけでございます。
  11. 横川正市

    横川正市君 この審議会の今までの委員任命やらその構成を見ていて、それから会議の形態を見ていると、おそらくこれの場合にもそう変わらないんじゃないかと思うのですがね。委員は十五名内外ですね。それから、この会議の実際上の運営なんかも、それほど毎日々々弁当を持っていって検討するという会議でもなさそうですしね。だから、そういうふうに見ると、官房長が期待するようなものはあなたの頭の中にすでにあるんじゃないかと、それを、あんまりむずかしいから審議会に逃げ込んでしまうんじゃないかと、私どもには疑われるわけですがね。ないんですか、何も。そういう今審議会にたよって、この程度結論は出るだろうと、それならば審議会の答申でもあるからというので、それをバックにして一つこれをやろうとか、しかし、まあバックになるならぬまでも、実際にあなたの頭の中にある程度のものがあって、私はこういったものが一つ考えられるのじゃないかと思うのですがね。  そこで、この衆議院町名地番整理に関する決議ですが、これはまあ、審議会経過は私はわかりませんので、どういう経過をたどって、この審議会を設けることについての議決がされたか、その点、あわせて御返事をいただきたいと思います。
  12. 岸昌

    説明員岸昌君) ただいまの御質問の点は、参議院地方行政委員会の御決議ではないかと存じますが……
  13. 横川正市

    横川正市君 ああ、参議院地方行政委員会ですね。
  14. 岸昌

    説明員岸昌君) これにつきましては、世上、町名地番整理が非常に重大な関心となって参りましたことにかんがみまして、当時の地方行政委員会におきまして、やはりこの問題が重大であるということを御指摘になりまして、当時法務大臣、自治大臣、をお招きになりまして、それぞれ両省の考えをお聞きになりました。双方とも非常に、ただいま御指摘のようないろいろ困難な問題があるけれども、ぜひこれをやりたい、こういうお答えがございましたんで、その趣旨に沿って、こういう審議会を設けて推進をはかる、こういう御趣旨でなされたように記憶しております。
  15. 横川正市

    横川正市君 まあ決議の方はわかったわけですが、官房長としては、審議会に白紙委任するわけですか。それとも、何らかの案を持ち込んで審議するわけですか。
  16. 柴田護

    政府委員柴田護君) いずれ町名地番混乱現状説明なりから始めるわけですが、事務的に考えましたいろいろな問題点を明らかにするという手順で進められることと考えます。先ほど、何か案があるのじゃないかというお話がございましたが、別段、現在のところは案を持っておりません。先ほど来申し上げておりますように、現在の町名地番というものによる住居地表示制度というものを基礎にして、その混乱したものを解消していくと、こういう手順であくまでも進めていくべきかどうかといった場合には、こういう混乱問題が起こってくる、この問題をどう片づけるかという問題で申し上げますと、不動産中心とする権利関係に及ぼす影響、これをどう解決していくかという大問題がある。その問題とかりに正面から取っ組んでいっても、なおかつ、現在の町名地番による住居地表示制度基礎にしながら整理していく方針をとったらいいか、あるいは、むしろ地番によらない別の、先ほど来お話のありました、欧米流方式というものを思い切ってとったらどうかという問題があるわけでございます。この点につきましては、実は、私たち役所の中でも甲論乙駁がございまして、どちらがいいというふうに意見がきまっておりません。そういう状態でもございますので、むしろ率直に現状をさらけ出して、御意見を承った方がいいのじゃないか、こういう感じでおるわけでございます。
  17. 横川正市

    横川正市君 そこで、この一年という設置期限ですね。それから、委員は十五名内外になると思うのですが、この委員任命と、それから設置期限の一年というのは、あなたの方でいろいろ論議したけれども甲論乙駁で、どうも案らしいものまでもできないという、そういう困難な問題とあわせて、妥当な委員会の持ち方かどうかという問題もあるわけです。私は、実際は、こんなものならば持たぬ方がいいというふうに思っておるわけです。それで、あなたの方で今甲論乙駁しているものを何とかまとめていって、そうして一つの案というものを作る。そうしてそれができた結果、それが非常にお役所仕事で非難を、受けることになるのか、それとも、非常に住民権利義務までそこなうことになるのか、いろいろな問題が出たときに初めてそれはどうするかということで論議する場所というものを作っていいんじゃないかというふうに思うわけなんですがね。今、この簡単な審議会というものを作ったということでは、私どもの頭の中にある町名地番等混乱を収拾するような結論はちょっと出がたいし、かえってこの審議会というものはじゃまにこそなれ、あまりためにならないのじゃないか。あなたたちはすっかりあぐらをかいちまいますからね。あぐらをかかないで、一生懸命やれば出るものを、審議会を作ってあぐらをかいてしまったら、じゃまじゃないかと思われるわけですが、この点はいかがですか。
  18. 柴田護

    政府委員柴田護君) 私の御説明が少し舌足らずかもしれませんが、これにつきまして、先ほど来申し上げましたような基本的な問題がある。その基本的な問題をむしろ中心として意見を聞くと、こういうところに重点を置きたい。技術的な問題といたしましては、現在の町名地番による住居地表示制度基礎にいたしていきます限りには、技術的な方法論というものは、ある程度のものは私たち持っておるわけでございます。それから、新しい表示制度をとるとかりにいたしました場合にどうするかという問題も、この場合にはこういう方法という程度の案は持っております。ただ、その場合に、混乱を避けるためにはどういう配慮が要るとか、どうしたらいいかという問題が残るわけでございます。そういうところを中心に御審議をお願いいたしたい。そうすれば、一年もあれば十分だというふうに考えておるわけであります。かたがた町名地番の問題を御指摘されて、早く解消しろという御意見が出ましたから、実は現に実験も進んでおります。一日も早く結論に達して実施をしたい。こういう気持ちから一年、それでほぼ大体できるのじゃないか、かように考える次第でございます。
  19. 横川正市

    横川正市君 私は、このモデル地区荒川とか川越とか塩釜を選んだのは、それぞれ特徴があるから選んだだろうと思うのですが、これは、地区を指定してこの改善策実験した結果について、何か資料みたいなもので提示できますか。
  20. 岸昌

    説明員岸昌君) この三カ所におきます町名町界整理地番附定、一応この二つに分けて私ども作業をいたしておりますが、町名町界整理は、荒川区と塩釜市は昨年の十二月に終わっております。それから、川越市はことしの一月に終わっておりますが、地番附定の方が、川越市が三月一日に終わりまして、三月一日から新しい地番に入っておりますが、あとの二区市におきましては、目下地番附定作業中でございます。これは、完了次第地元から詳細な資料を取るようになっておりますので、集まり次第御提示できると思います。
  21. 横川正市

    横川正市君 まあ私は、実際問題としては必要だけれども、不便であっても、それほど日常の生活に支障を来たさないということで放任をされていることから、非常に大きな損失を来たしているという点は、率直にこれは認めなければならぬと思いますし、それからもう一つは、私たち自身この問題にぶつかって、非常にまあ迷惑をこうむったり、あるいは大きな時間のロスを来たしたりすることがあるわけですが、この点からも、整然とすることを希望するわけです。しかし、危惧される、先ほどから指摘されたような問題が、これが危惧であって、実際は着々とそれらが成果が上がっているというならば、それはそれでいいと思うのでありますけれども、ただ、何としてもこの審議会にたよるということが、行政運営についてあまりにも多過ぎるのですね。ほかにもたくさんあるわけですが、そういった点で、もっと責任ある行政という立場から問題点というものを解決するという立場をとるべきじゃないか、こういうふうに考えますので、ひとまず私は質問をこれで終わりますが、その点、十分一つ留意をして運営に当たっていただきたい。なお、他の質問がある中でまた質問を再開するかもわかりませんが、一応私は留保をいたします。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 総務長官中心に、審議会について二、三お伺いしたいと思います。  今の横川委員質問に関連して、私も、特にこの町名地番整理審議会については、一カ年くらいの審議期間では、とうていこの複雑な審議会調査審議は完了しないというふうに一応考えられるのですがね。ここで、いや、そういうことはない、一カ年でりっぱに結論を出し得る、こういう確信があるのかどうか。昨年運輸省自動車審議会設置期間は一年であったわけです。そこで、当委員会で私どもは、一年じゃ無理だ、そういうことについて追及したわけですが、運輸省当局としては、りっぱに一年でやっていけます。しかし、一年たったら、さっそくさらに一年延長してほしいと、そういうふうに態度を変えてしまったわけです。そこでお伺いしたいのは、この審議会についても、ほんとうは総理府としては二年くらい、あるいはそれ以上期間を持ちたいのだが、結論としていろいろ、特に大蔵省の事務当局は、立場上予算の関係があって、なるべく審議期間を短く短縮しようという、そういう態度を持ち続けてきておるわけです。その大蔵事務当局のそういう主張に屈服して、遺憾ながら一年にしたのではないか、ほんとうに総理府として、理論的に考えて一年で十分で足れりとしたのか、もし後者であるとしたら、ここで確約できるのですか。そういう確信があって一年ということであるならば、その点をはっきりさしていただきたいと思います。
  23. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 各種の総理府設置されます審議会、調査会等について期限がある。しかも、それが一応の期限を持っておるけれども、何かの拍子にまた延ばすということがしばしばあるのではないかという御指摘でございまして、まさにそうしたことが繰り返されることは、非常に遺憾なことであります。最初に予定したその期間に十分な審議を願って、結論を出していただくことが妥当なことと思いますので、今後もそういう点については十分留意をいたしたいと思います。  なお、現在の町名地番制度審議会につきましては、ここにも、法律案の中にもございますように、「町名地番制度に関する重要事項」と申しておりますが、先ほど来自治省からお答え申し上げましたように、その根本方針をきめていただく、しかも、ある程度行政的に調査が進んで、ただその方向を、どっちをとることが妥当であろうか、いろいろな問題点をあげて、こちらをとればこういう問題がある、こちらをとればこういう問題があるというような点は、すでに行政当局において調査をしておるわけです。それについて、根本的にどうした方針をとるのがいいかということの御決定をいただくわけでございますから、この審議会に御勉強いただきますなら、十分一年の間に結論が出し得るものというふうに考えて、提出をいたしておる次第でございます。また、お話のうちにありましたように、財政当局がこういう審議会の期間をなるべく短くしようとする傾向にあるのではないかということでございますが、審議会、調査会の性質によりまして、十分それを設置した目的が達成できるような財政措置は講じていかなければならぬと思うのでございまして、そういう点は、必ずしも財政当局の言いなりになって短い期間にするというようなことは、今後ともとらないつもりでございます。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、特に町名地番制度審議会については、基本的な方向だけを見出せばいいのであるから、一年あれば十分、従って、ここで、一カ年で目的を完成することができると公約できると、お約束できると、そういうふうに解釈していいですか。
  25. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) そういう確信のもとに御審議をいただいておるわけでございます。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この設置法案は、今申し上げた町名地番制度審議会と、海洋一科学技術審議会、この二つ審議会設置しようとするわけですが、そこで問題は、結論が出た際、総理府としては、これは十分尊重されるかどうか上お伺いすれば、十分尊重しますと、そういうふうに当然お答えになると思います。ただ問題は、政府に都合のいい結論が出たときは、むろんこれを尊重し、これを取り入れる、ただ、政府に都合の悪い面が出た場合は、えて、尊重するとのことでありますが、なかなかこれを取り入れない。こういう悪いくせが各官庁に見受けられる。そういうことはまことに遺憾なわけですが、こういう点についても、十分ここで確信を持って一つ臨んでいただきたいと思います。この点についてはいかがですか。
  27. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) もちろん、審議会、調査会等を設置いたしまして、答申がありました場合に、それを尊重することは当然なことでございます。ことに、総理府に置かれます審議会、調査会等は、各省にまたがり、あるいは総理府内部の外局等も含めた各省庁等にまたがるものでございますから、それらの各省庁が、答申に基づいて、バランスのとれた実行をいたさなければならないと思うのでございます。そういう意味においては、総理府といたしましては、各省庁と十分に連絡をいたしまして、答申の趣旨に従って、頭をそろえて実施の方向に向かうように、さらに今後とも留意をいたして参りたいと考えております。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは、そのことに関連して、総理府関係審議会等について二、三お伺いしたいと思うのですが、御承知のように、昭和三十四年一月二十二日に、ときの河合行政審議会会号より山口行管長官に対して、この審議会の面でも答申をしておるわけです。その中を見ますと、その一節に、審議会等その長所を生かして活用することは望ましいが、反面において、審議会が悪用されると、行政責任を不明確にし、行政事務の停滞を来たすおそれが多いから、次の基準によって審議会等の整理改革を断行し、その活用をはかるべきである。こういう意味の答申がなされたわけですが、その「次の基準によって」という、そういう項を見ますと、その一節に、すみやかに任務を完了して廃止するを適当、として、三つの実際の例をあげておるわけです。その一つは、特殊土じょう地帯対策審議会、それから離島振興対策審議会、台風常襲地帯対策審議会、この三つの審議会については、すみやかに任務を完了して廃止するを適当と認めておる。これは、きのう、きょうのことではない。先ほど申し上げたように、昭和三十四年一月二十二日の答申の一節に、こういうような意味の条項があるわけです。さて、先日出していただいた総理府関係審議会の様子を見ますと、この一覧表でも、依然としてこの三つの審議会がそのまま残されておる。これは、いわゆる審議会の答申の結果は尊重されるということを先ほど総務長官はおっしゃっておるわけですね。もしこの行政審議会審議の結果答申されたこの内容を、この精神を総理府長官が尊重されるということであるならば、これはおかしいのではないか。もうすでに二年有余もたっている現在ただいま、いまだにこれを取り入れないで、依然として存置しておる。  これは、いかなる理由に基づいてそのままになっておるのか。この点を一つ明確にしていただきたい。
  29. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) ただいまおあげになりました特殊土じょう地帯その他の二つ審議会でございますが、これは、御承知のように、これの審議会を設けられた基本が、それらおのおのの地帯に対する振興法に基づいておるものでございます。そうして行政審議会の答申はございましたが、この特殊土じょう地帯であるとか、離島であるとか、あるいは台風常襲地帯でありますとか、こうした点について、それでは、もうすべての対策が終わって、何ら特殊な対策を講じないでよろしいかというと、まだまだそういう段階ではない。さらに、特殊土じょう地帯とか、離島であるとか、台風常襲地帯等については、いろいろな振興対策を講じていく必要があるのではないか。となりますと、その基本の法律の存続を必要とする限りにおいては、やはりその法律に基づいて作られておるこういう審議会というものは、設置しておくほかはないのではないかというような結論を持っておるわけでございます。  ただ、今後の問題として、特殊土じょう地帯とか、離島であるとか、あるいは台風常襲地帯等について、特に法律によってこの特殊な対策を講じなくても、財政的な処置あるいは今後考えられる地方開発というような問題に含めて、こういう地帯の対策も講ぜられるという方向に持っていくといたしますならば、この基本法自体をやめる時期もあるのではないかというふうな意味において、さらに検討はいたしておる次第でございます。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、行政審議会は、今申し上げたこの三つの審議会については、十分検討した結果、それぞれ専門的な視野から検討したと思うのですね。その結果、すみやかに任務を完了して廃止するが適当だと言っている。ところが、同じ自民党政府の機関である総理府としては、これはまだまだ存置すべきであって、廃止する必要はない。まっこうから意見が対立いたしておるわけですね。一方は任務を完了して廃止しなさい、一方は廃止する必要はない、おかしいじゃないですか。同じ自民党の政府ですから、同じ一つの政府の行政機関であるわけですね。まっこうから対立しているということはですね。これでは、審議会を作っても、その審議の結果の答申について、この精神を取り入れて善処するのでなければ、大事な国の費用を相当使って宵議会を設けても、意味がないではないか。そういう意味合いから、冒頭まず、審議会審議調査の結果については尊重されるのかどうかということをまずお尋ねしたわけです。総務長官としては、尊重されるとおっしゃったので、それではこれはどうなのかというように今お伺いしたわけなんです。ちょっとおかしいと思うのですが、同じ自民党政府の一つの機関同志で、こういうふうに、一方は廃止するのが適当、一方は存置するのが適当だ、そういうまっこうからの対立になっている。この点を一つ解明していただきたい。
  31. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) ただいまも申し上げましたように、その審議会そのものと申しますよりも、特殊土じょう地帯とか、離島であるとか、台風常襲地帯に対しての特殊な対策を法律に基づいてやる必要があるかどうかということを検討をいたしました結果、まだもう少しは、こういう特殊な法律によって、こうした特殊な地帯の振興を考えていく段階ではないかという考え方で、現在は、行政審議会の答申はございましたが、まだ廃止の段階に至っていないということをお答え申し上げたわけでございます。しかしながら、こうした特殊な地帯、特殊土じょう地帯であるとか、離島であるとか、台風常襲地帯あるいは畑作地帯というような所の振興方策が、こうした単独の法律でなくて、さらに包括的な地方の開発でありますとか、あるいはその他の問題、さらには財政的な裏づけによって、こういう特殊な法律を必要としない段階に来るようにすることに努めなければならないと考えております。そういう意味では、将来に向かっては、こうした審議会の廃止ということも考慮に入れながら、そういう根本的な振興対策について、さらに総合的なものを考えて参りたい、こういうふうな考え方を持っておるわけでございます。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 どうもおかしいのですがね。これは、半年や一年経過してもう少しというなら、まだ意味があるのですが、答申を出したのは、繰り返し申し上げるように、三十四年の一月なんですね。もう二年以上も経過しておるわけです。いまだにこれは措置されてない。この問題だけでなくて、さらに、先ほど申し上げたように、行政審議会は、次の基準によって審議会等を整理すべきであるという、一つの基準に、幾つかの審議会一つに統合するのが適当だと、そういうことの一つの例として、国土総合開発審議会とか、東北開発審議会、これは総理府関係審議会だと思うのですが、それから、北海道開発庁関係の北海道開発審議会、この三つの審議会については、一つに統合するのが適当である、こういうふうに答申はなされておるわけです。この点はどうなんですか。これも同様、二年有数カ月もすでにたっておるのですね。いまだに手が打たれてないということ、この点はどういう意味があるのか。
  33. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 御承知のように、北海道あるいは東北開発のほかに、九州地方あるいは四国地方等の開発法ができまして、それに基づいて審議会があることは、御承知の通りでございます。これらは、私どもといたしましては、はたしてそういう形で、ほとんど全国を含むようなことに最近の情勢はなりてしまっておるのでありまして、そういう形で事を運んでいくことがよろしいか、むしろ現在御審議をいただいておりまする低開発地域の対策と申しますか、そうしたもとに一本にまとめる方が妥当ではないかというようなことで、行政審議会の御答申もございますし、また現実に、率直に申し上げまして、ほとんど全国を含まれるような各地方の開発促進法ができてしまいますと、はたしてそれでよろしいのかということが考えられておりますので、この点については、なるほど二年もたちまして、大へんおくれてはおりますけれども、そういう方向で、実は今、審議会を統合するというよりも、むしろそうした地方の開発促進法というものを一本にまとめて、全国のうちの開発のおくれておる面についての特殊な対策を立てるというような方向に持っていくべく研究を進めておるような次第でございます。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この行政審議会が三十四年一月に答申を出した際には、国土総合開発審議会と、地方的なものは東北開発審議会しかなかったわけです。それと北海道開発審議会、この三つを統合するのが適当だと、こういう意味の答申がなされておるわけですね。これをそのままにしておいて、なかなか統合しなかったと、その後、九州地方、四国地方開発審議会ができたのは、前の答申の精神に沿うてやるならば、今全国的にはほとんどできたから、統合できないというような意味のことを言われたわけですけれども、これはその後できたわけです。答申がなされた三十四年時代には、国土総合開発と東北開発審議会しかなかったわけです。これをそのままにしておいて、統合しなかったと、それだけでなく、逆に、行政審議会は統合せよというのに、逆に次々と、今度は九州、四国地方開発審議会を、しかも各個ばらばらの姿で設置しているということは、行政審議会の行き方と、これまた結果から見て、まっこうから反対逆行しているのではないか、そういうことは考えられると思います。そこで、われわれにはどうしても納得できない。そんな、調査審議の結果答申する、その答申が受け入れられないような意味の審議会なら、巨額の国の予算を使ってまでも審議会等を作る必要はなかろうではないか、こういうふうに当然考えられるわけです。ただ単にこれは一こまを申し上げている。答申の結果尊重されない面があちらにもこちらにもたくさんあるわけです。その一こまを今指摘して申し上げているわけです。この点、どうにも納得いかぬと思うのですが、やはり答申の結果は十分尊重するのでなければ、審議会を設けても意味がない。これは、どなたでもそういうふうに考えられると思うのです。この点、明らかにしていただきたいと思います。
  35. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 根本的には、御指摘通りなんでございまして、ただ、具体的におあげになりました国土総合開発、東北開発、北海道開発を統合するとか、あるいは特殊土じょう地帯その他の特殊な対策の審議会を廃止するという問題につきまして、今まで延びました理由は、先ほどから申し上げた通りでございます。しかしながら、行政審議会の御答申もございます。また、たとえば各地域的な開発のための審議会というようなものにつきましては、むしろそれを統合して、しかも、現在のそれらの開発促進法がねらっている趣旨が達成できるような統合的な、根本的な法律を設ける方が妥当であるという観点に立ちまして、目下調査を進めているような次第でございます。従いまして、すでに二年もたったのに、何をしているかという仰せにつきましては、まことに申しわけないのでございますが、しかしながら、方向といたしましては、やはり行政審議会の答申の方針に従いまして、その方向に進むべく努めているわけでございます。申し上げるまでもないのでございますけれども、ただいま御指摘になりました幾つかの審議会というものは、先ほど申しましたように、そのもとになる法律がありまして、その法律に基づいてその審議会ができているわけでございます。ほかの、たとえばその、審議会設置法があってやる、あるいは、現在御審議をいただいているような、総理府設置法の改正というような附表の改正だけでやっているものでなくて、これらはもとの法律がありまして、その法律に基づいて審議会ができているわけであります。従いまして、そのもとの法律そのものを十分検討をいたしまして、統合する方向に持って参りたいというふうに考えている次第でございます。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 開発審議会は、以上申し上げたように、幾つかになっているわけですが、結局、行政審議会の答申の精神を取り入れるならば、これは、いわゆる開発審議会という意味合いから、みな共通なものだと思うのです。だから、これを一つに統合して行政の簡素化をはかる、行政の簡素化ということは、政府はもうかねがねから強調している点だと思うのです。そういう点からも一つに統合して、そこで、共通な問題について統一をとりながら、さて、北海道、東北、四国、九州というふうに幾らも活動できるわけですね。調査審議は進められると思うのです。これは、いろいろりっぱなことはおっしゃいますけれども、やはり怠慢の節もあったのではなかろうかというふうに私ども見ざるを得ない。答弁ではりっぱに、目下検討中とおっしゃいますが、二年数カ月もたって、いまだに何ら方向も出ていない。相当検討されたなら、もう方向ぐらい出ているはずです。その方向すら出ていない。お伺いすれば、目下検討中ということになると、いささか怠慢のそしりは免れぬ。  そこで、もう時間がございませんから、最後に要望を申し上げたいと思うのですが、結局、先ほど来申し上げておるように、その主張があって審議会を設けられたと思うので、その審議会調査審議の結果の方針については、ただ政府に都合がいいとか悪いとかいうことじゃなくして、十分これを尊重して、文字通り実行に移すと、そういう面でないと、審議会を設けても、およそ意味がないと思う。そこで、この開発審議会についても、一つ審議会に統合して、行政の簡素化をはかる、そういう中で、十分各分野についての調査審議を進めれば、十分成果を上げ得ると思うのです。そういう意味からも、緊急にこれは統合してしかるべきだと思うのです。この点についてさらに決意を伺いたい。時間がございませんので……。
  37. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 先ほど来申し上げておりますように、御指摘になりました幾つかの審議会、たとえば開発に関するものにつきましては、たとえば共通な低開発地帯の開発促進法というようなもの、それに統合するという方向で、今考えておるわけでございますし、また、特殊土じょう地帯等の特殊地帯に対する特別な対策につきましても、あるいは全体を含めました、そうしてこれらのねらっておるところも実現できるような法制を考え、審議会を統合することがどうだというよりも、その根本になりまするこれらの開発促進法とか、その他の特殊地帯の振興法とか、こういうものの統合というものを十分に考えて参りたい、そういう決意を持っておる次第でございます。
  38. 田畑金光

    ○田畑金光君 海洋科学技術審議会設置について、二、三お尋ねしたいと思うのですが、この提案理由を読みますと、「海洋は、国民生活、産業等に、気象その他を通じて、深い関連を持っておりますとともに、動植物、鉱物その他未開発の資源を豊富に包蔵いたしておりまして、近時、科学的、資源的あるいは国際的な観点から、その重要性をとみに増して参り、世界の各国とも、海洋の科学的究明と利用開発にその力を傾注している」と、非常に提案理由の説明としてはけっこうであり、また、大よそ考え方の方向についても理解できないでもございませんが、特に科学的、資源的あるいは国際的な観点から最近重要性が増してきたという、この点について、もう少し具体的にどういうことなのか、御説明を願いたいと思います。
  39. 島村武久

    政府委員(島村武久君) お答え申し上げます。  「科学的、資源的あるいは国際的」と、非常にむずかしい言い方をいたしておりますけれども、ごく常識的に考えてみましても、まず、「科学的」でございますけれども、これにつきましては、たとえば海の深さでありますとか、あるいは海の底もたとえば山あり川あり、陸上とちっとも変わらないそうでありますけれども、その間におきますところの科学的にどうなっておるかというような点は、部分的にはわかっておりましても、全般的に言って、ほとんどつかまえられていないというような状況でございますので、ただいま申しました、川あり海ありと申しますのはほんの一例でございますけれども、それらの点につきまして、科学的に解明が必要だというような趣旨を述べておるわけでございます。なお、「資源的」と申します点につきましては、これは、御承知の通り、従来は、海と申しますと、何よりも水産資源というような感覚でとらえられておりましたけれども、やはり海底の資源の問題あるいは魚類以外の海中に溶融いたしておりますところの資源の問題というような、いろいろな角度から、海洋に関します資源的な検討調査と申しますものは、陸上に比較いたしまして、これまた非常に劣っておるところでございまして、これらの点につきまして、後に述べておりますように、世界各国とも目をつけてき出しておるということを申し上げておるわけでございます。なお、最後の「国際的な観点」と申しますのは、それらの点に関連いたしますのでございますけれども、たとえば、各国が次々に、自分の国の立場から宣言等を発表いたしまして、その結果は、何々水域の問題でありますとか、何々大陸だなの問題であるとかいうような形におきまして、各国が、まあ沿岸資源的な観点あるいは大陸だな的な観点等から、いろいろな政策を出しておるわけであります。それらの点も含め、さらには、調査一般といたしましても、共同で従来の未調査地域の調査を行なおうというような傾向もできてきております。これらをひっくるめまして、国際的な観点から重要性をとみに増しており、ということを申し上げたわけでございます。いずれも、特別に何か人の気がつかないことを言っておるわけではございませんで、常識的にお受け取りいただきたいと思います。
  40. 田畑金光

    ○田畑金光君 さらに、提案の理由説明によりますと、こういう調査研究が個々に行なわれていて、相互の有機的連絡並びに総合性がなかった、こういうように掲げておりますが、今まで海洋資源等について、あるいは今述べられたような観点に立って、どういうところで、どんな研究が具体的に進められてきたのか、これをちょっとお尋ねしたいと思います。
  41. 島村武久

    政府委員(島村武久君) 日本の国内についての研究の問題であると思いますので、そういう意味でお答え申し上げますが、現在までのところ、海洋に関します調査は、ここにも述べておりますように、いたしておらなかったわけではございませんで、非常に古くから、海洋に関する調査はいろいろなされておったわけでございます。主としてこれを受け持っておりましたのは、まず海上保安庁、水産庁、気象庁などが一番関係の深いところでございます。そのほかにも、幾つかの大学がその研究調査を行なっておられるところもございます。また、それ以外の、通産省の地質調査所でございますとか、あるいは各地方庁に付属しております水産試験場等におきましても、水産資源というような意味での立場で調査を行なって参っております。これらの調査は、一口に申しますと、海上保安庁では、水路部関係が、わが国のまわりを幾つかの管区に分けまして、主として海洋の調査を行なっておったわけでございます心水産関係では、やはり水産庁が全国を八つの海区の水産試験場のもとにおきまして、都道府県の水産試験場でありますとか、あるいは水産関係の学校などとも連携を保ちながら調査研究をしておりました。また、気象庁も海洋気象部がございまして、全国に四つの海洋気象台を持ちまして、海洋気象の調査研究をいたしております。地質調査所は、もちろん海底資源関係の調査でございます。大学関係でも、海洋物理あるいは海洋科学、水産科学、海底地質、いろいろな立場から、直接海洋に乗り出されまして調査しておられるところもあるわけなんでございますが、ここに提案理由に申し述べましたこれらの調査が、「個々の分野においてはかなり進んだものがあるとはいえ、相互の有機的連絡と総合性に欠けるうらみが多い」と申しましたのは、それぞれの立場での研究というものは、かなり進んだ点も確かにあるわけでございますけれども、どうも遺憾ながらばらばらでありまして、十分その受け持ちがはっきりいたしませんので、精粗がございまして、というような面が見受けられるということを申したわけでございます。
  42. 田畑金光

    ○田畑金光君 そういたしますと、この海洋科学技術審議会において、十分今後の総合的な有機的な方針と申しますか、海洋の科学的、基本的な方針を確立されて、その上に立って、総合的な研究機関等も将来は、今いろいろなところに分かれておりますが、統合された権威のある、あるいはもっと内容の整ったやつをお作りになろうという考えなのかどうか。
  43. 島村武久

    政府委員(島村武久君) もちろん、調査研究の体制ということも、私どもといたしましては非常に重要なことだと考えておりますので、場合によりましては、今おっしゃいましたような、調査所と申しますか、研究所というような統合したものが必要だという結論が出てくるのかもしれぬと思いますけれども、私どもの方でそういうようなプランを現在持っておるわけではございません。やはり従来の機構、調査体制というものができ上がりますまでには、長い間の歴史とそれぞれの必要性もあることと思いますので、まず第一には、それらの活動の強化ということが必要でございますし、それぞれの機関の連絡の緊密化、協力態勢というようなことがさしあたりは問題になるのではなかろうか。ただ、現在のままでの体制でいくというふうにはきめておるわけでもございません。審議会調査審議していただきたいと私どもが現在考えておりますのは、これらの海洋におきます事象、資源等に関しますところの調査研究はどういったような方針で臨んだらいいかという基本方針の問題あるいはそれらの調査技術、利用技術の問題、そうして最後に調査研究の体制の問題、大体三つを考えております。体制の問題も、当然にこの審議の対象になると考えておりますが、繰り返して申し上げますが、現在直ちにこの審議会でその体制の問題を議論し、新しい研究所、調査所等を建てることをよしときめておるわけではないということを申し上げたいと思います。
  44. 田畑金光

    ○田畑金光君 先ほど、国際的な観点から、各国がいろいろな宣言を出しておるとお話がありましたが、その通りでありまして、たとえば、今の御説明によりますと、通産省が、地質調査所で、いろいろ海底の資源の調査等もやっておられるということですが、日本の近海の海底でどういう鉱物資源が賦存しておるかなどという、相当固まった調査等ができておるのですか。
  45. 島村武久

    政府委員(島村武久君) 残念ながら、現在わが国を取り巻いております大陸だな、非常に陸に近いところにおきましても、どのような鉱物がどのように賦存しておるかということの詳細についてはわかっておりません。地質調査所の行なっております調査も、非常に小規模かつ部分的でございまして、ある地点につきましては調査を行なっておる、あるいは行なったことがあるという程度で、今お尋ねのございましたように、わが国のまわりにおよそどのような鉱物資源が賦存しておるかというようなことについて、お答えを申し上げるような調査結果、研究成果というものは出ておらないというふうに承知いたしております。
  46. 田畑金光

    ○田畑金光君 国際的な宣言と先ほどお話しにありましたが、たとえば、一九五一年の一月ですか、李承晩の海洋資源宣言、こういうようなものは、まあとにかくどういうねらいがあったか存じませんが、一つは、海洋の魚族資源の確保という観点もあったろうと、こう思うのです。またさらに、一九四五年の九月のトルーマン宣言、これらは明らかに、鉱物資源の確保と石油ですか、それから魚族確保の観点から出ておると思いますが、その他中南米諸国においても、あるいは豪州においても、いろいろこういう海洋宣言が特に第二次世界大戦後出ておるわけです。こういうような観点から見たとき、やはり国際的な観点から、今、日本政府が海洋に目をつけたということは、これはおそきに失すると私は考えておるわけですが、こういう国際的な観点から見て、今日までの日本政府の努力というものが非常におくれておるような感じがするわけで、この点については、一つ総務長官から、どのようにお考えになっておられるか、この点を伺いますとともに、今申し上げたように、各国の第二次世界大戦後のいろいろな海洋宣言その他について、一つこの次の機会までに、参考までに資料を出していただきたいと、こう思うのですが、総務長官から一つ御答弁をいただきます。
  47. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 御指摘のように、日本が海に取り巻かれておりながら、そういった面についての調査研究あるいは実施というものが非常におくれていることは、御指摘通りでございまして、今後は、こうした審議会等の御審議とも相待ちまして、できるだけ早い機会にそうした体制を整備するように、各省庁に十分推進を促したいと思っております。  なお、御要求の資料は取りそろえまして提出をいたします。
  48. 田畑金光

    ○田畑金光君 資料として、今申し上げた資料と、もう一つは、さっき官房長から答弁のありました現在各省庁で調査しておる調査の内容についても、一つ資料をこの次の機会までに出していただきたいと思います。
  49. 千葉信

    ○千葉信君 総務長官藤枝君にお尋ねしますが、三月の二十三日に参議院内閣委員会で、あなたの所管の関係の問題が論議されたことを御承知ですか。
  50. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 何の所管ですか。
  51. 千葉信

    ○千葉信君 あなたの所管です。総理府の所管。
  52. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 承知いたしております。
  53. 千葉信

    ○千葉信君 そのときの総理府関係の問題というのは、例の暴力犯罪防止対策懇談会、そのときの論議の経過をかいつまんでみますと、国家行政組織法第八条によると、行政機関の付属機関、特にまあ審議会あるいは協議会、名前は懇談会であろうと、そういう付属機関については法律によるべきだ、そこで、その対象として取り上げられたのは、暴力犯罪防止対策懇談会以外にも、たとえば輸出会議であるとか、あるいは外交問題懇談会であるとか、労働問題懇談会等が問題として取り上げられました。その中で、特に当時新聞に委員の名前なんかが発表されておりました関係上、暴犯懇談会の関係については、総理が、はっきりとその違法であるということを了承されて、この暴力犯罪防止対策懇談会については、法律によることにいたしますという答弁をはっきり総理がしておるのです、二十三日でした。ところが、三月の二十五日に第一回の会合を開き、きのうまた第二回目の会合を開いたようです。国会でその存在が違法であるという追及が行なわれて、そして、法律上その設置については疑義があるということになり、総理大臣みずから暴力犯罪防止対策懇談会については、法律によることにいたしますという答弁をしておいて、しかも、その後二回もその懇談会を正式に開いております。これは態度としては、私は、法律無視であるばかりでなく、国会を軽視するばかりじゃない、侮辱している態度だと思うんです。総務長官はその総理大臣の答弁を今知っているという御答弁でしたが、総務長官としては、この問題どうされますか。このままでやっていていいと思われますか。
  54. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 調査会、審議会、その他内閣の付属機関につきましては、行政組織法八条によって、法律でやらなければならないことは仰せの通りでございます。また、先月の二十三日の当委員会においては、内閣総理大臣並びに法制局長官からその考え方についてお答え申し上げたことは承知をいたしておるわけでございます。さような観点で、目下鋭意行政管理庁を中心にいたしまして、そうしたものを法律にすべきものはする、あるいは廃止すべきものは廃止するというようなことについて研究をいたしております。実は本日までに結論を得たかったのでございますが、まだ多少の問題がございまして、おくれましたことは申しわけございませんが、こちらの当内閣委員会における御論議その他をいれまして、早急に結論を出すように準備をいたしておるような次第でございます。
  55. 千葉信

    ○千葉信君 大体了承はしますけれども、その問題は、単に懇談会が存置されていたということではなしに、二回も正式に会合を開いた、この点が問題だと思うんです。まあおそらくただいまの答弁通りだとすれば、今後また第三回目の会合なぞを開くはずはないと思いますが、政府としては、総務長官としては、この問題を、ただいまの答弁の通りに、早急に措置すると同時に、今後そういう違法な会合は開かないということをはっきりここでお約束できますか。
  56. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 実は、率直に申し上げまして、暴力犯罪防止対策懇談会というものは、総理府の所管というような問題ではないのでございます。従いまして、私が御答弁申し上げることが妥当かどうか、一つ御容赦をいただきたいと思うのでございますが、先ほども申し上げましたようなことでございますので、早急に結論を得まして、御指摘のありましたような点を排除するようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  57. 千葉信

    ○千葉信君 答弁されるたびに問題が一つずつ出てくるようですが、今あなたは暴力犯罪防止対策懇談会は総理府の所管ではないと言われましたが、かりにこれが閣議の決定に基づいて置かれる場合は、これは違反ですが、その場合にも、それから法律によってそういう機関が設置される場合、どこに設置されるかは、内閣か、さもなければ総理府以外にないのです。総理府所管事項の中に、総理府の権限をきめている第四条の第十九ですね、各省にまたがる事項ですから、従って、法務省なり、ないしは、また警察庁も関係があるし、いろいろな各省が関係がある事項で、それを設けるという場合にはあなたの方に設ける以外に手がないと思うんです。そうして、また、これは新聞記事だから、そっくりそのまま正確かどうかは別として、政府から発表されましたこの懇談会設置の記事の中に、これは朝日の二十一日の記事ですがね、そこに発表されている政府の発表によると、総理府設置することになった暴力犯罪防止対策懇談会云々と出ているんです。これはあなた今あまり芳しい問題じゃないから、それはおれの方じゃないような顔をされることは大いに不都合じゃないかと思うんです。あなた方じゃないですか。
  58. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 法律に基づいた調査会あるいは審議会、その他どんな名称でもよろしいのでございますが、そうした問題につきましては、当然その各省にまたがるもの、あるいは非常に事の重要なものは総理府の所管という形になるわけなんです。お言葉を返すようでございますが、あの懇談会というものは、そういう随時お寄りをいただいて、いろいろフリー・トーキングをしていただくというようなことでできたものですから、どこの所轄というよりも、むしろ内閣としていろいろな御意見を伺うということだと思います。思いますが、もちろん他の官省の所轄に属さないものは、すべて雑用は私の方で引き受けることでございますから、その意味においてはお前の方だとおっしゃられれば、それもそうかと思います。ただ、従いまして、こうした懇談会その他各省にもございますけれども、そうしたものすべてを早急に整理をいたしたいということで、目下行政管理庁が中心になりまして研究を進めて、しかも、のんびりしているわけではございません。実は本日ぐらいには結論を出したいと考えまして、多少おくれましたけれども、そういう意味において鋭意努力をしておるということを御了承いただきたいと存ずる次第でございます。
  59. 千葉信

    ○千葉信君 まあこの懇談会の内容、それが法律との関係でどうこうという問題、単に懇談をする会だから、その意味から非常に軽く考えたというような問題、これは実際問題とはかなり食い違っていまして、この問題をここでまた論議を重ねれば、しまいには当然大きな声を私は出さなければならない格好になりますから、深入りはきょうは避けますが、まあ総務長官の答弁も、この懇談会等については廃止という方向で努力をされるという先の見通しについての御答弁がありましたから、私はその答弁を頼って、きょうは質問をこれで終わりますが、この次の御提出の法律案審議する委員会までには、はっきり結末をつけてから出席してもらわないと、もう一回いろはから蒸し返すことになりますから、そのつもりできょうは帰って下さい。
  60. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  午後は一時に再開することとし、これにて暫時休憩いたします。    午後零時十一分休憩    ————・————    午後一時三十六分開会
  61. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) これより内閣委員会を再開いたします。  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  関係当局よりの出席の方々は、瓜生宮内庁次長、小畑皇室経済主管、御両名でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  62. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 皇室経済法施行法に関連して二、三お伺いしたいと思いますが、皇室経済法の第三条を見ますと、結局、皇室費の種類として三つ上がっておるわけです、内廷費、宮廷費、それから皇族費と。今回のこの改正法は、この内廷費の五千万円を五千八百万円に改めたい、まあこういう意味の法案でありますが、そこで、これに関連してお伺いいたしますが、戦前には国庫から支出されておった額は四百五十万であったと思うのですね。それと、御料林木の払い下げとか、きのう拝見した牧場あるいは養魚場、それからさらに学習院の使用料、こういう不動産収入が国庫からの支出のほかにあったと思うのですね。そこで、こういうような不動産収入は、ごく大ざっぱでけっこうですが、このような不動産収入は、時価に見積もって大体どの程度の額になるものか、比較対照の関係もあって、念のためにまずお伺いしておきたいと思います。
  63. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 戦前の国庫からの四百五十万円のほかの皇室財産からの収入というのは、年によって違いまするけれども、その当時の金で約一千万前後であります。八百万ぐらいのこともありましたし、それから千二、三百万あったこともございます。今の貨幣価値だと、それに三百五十をかけますか四百をかけますか、一千万としますと、三百五十をかけますと三十五億になります。
  64. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしますが、皇居とか御料林、これは国有化ということになったわけで、そこで、かつての陛下のお住居とか、あるいは葉山、那須の御用邸、これは皇室公用財産という名目で政府から借用しておる形に現在なっておるのではないかと思うのですが、借用の形であろうと思うのですが、それから乗用車などについても、あれは宮内庁で購入したので、宮内庁の所有だと思うのですが、これも借用ということになろうと思うのですが、間違ったら御訂正いただきたいのです。それと、まあそういうふうにほかにもございますが、こういうものについては、皆いわゆる皇室の公用財産ということで、宮内庁その他から借用という、そういう形式になっておる。そこでお伺いしたいのは、陛下御自身の財産ということになると一体どういうことになるのか。その点をお伺いしたい。
  65. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この皇居ですとか御用邸、これは国有財産のうちの皇室用財産というふうになっております。で、国有の財産であるが、これを皇室の用に供する財産である。ですから、借用書を出して、借りておるというよりは、法律によって皇室用の財産と、こうなっておりますから、国有のものを皇室用にお使いになっておるということでございます。  それから自動車につきましては、これは宮廷費、つまり皇室の御活動に必要な宮廷費で購入しておる分と、それから役所仕事のために必要だというので、総理府所管の宮内庁費で買っているものと両方ございます。で、宮廷費で買われましたものも、これも国有の車でございますけれども、これは皇室の用に供する車として買ってあるわけでございます。役所の本来の用務に充てるものは、これは宮廷費ではなくて、一般の宮内庁費で買っておるわけでございます。
  66. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、三つの種類のうちの内廷費について主として以下お伺いしたいと思いますが、この内廷費は、毎年四回ぐらいに分けて支払われておるように承るのですが、はたしてその通りかどうかということと、それから、まず国庫からそういう内廷費がきますると、まず銀行に預金される。それから、これからが主としてお尋ね申し上げる点ですが、一部はやはり投資信託や、あるいは株式に投資されて利殖をはかられる、こういうふうに伺っておるわけなんですが、そういうことをはたしてやっておられるかどうか。これはもちろん陛下御自身がそういうことをやられるのではなくして、結局皇室経済主管というのが、これは局長級の公務員だと承っておるわけですが、はたしてそういう者であるかどうか。こういう方が実際適当に扱われるというふうに聞いておりますが、今お伺いしたようなことは、はたしてその通りか、どこか間違いがあれば御訂正いただきたいと思います。
  67. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 内廷費は、今おっしゃいましたように、やはり年四回に分けまして、国庫から陛下のお手元金としてくるわけであります。で、お手元金としてきましたものは、これは皇室経済主管という資格じゃないので、内廷会計主管という資格で、今ここに来ております経済主管が、陛下のお手元金の経理のお手伝いをするという意味でそれを処理をいたします。まあ銀行に預けて、必要なときに出すというようなことをいたします。  なお、お尋ねの、何か他の証券でも買うというようなこと、これはこの年度にきまったものはその四分の一ずつ分けて参りますから、そういう余裕はございません。次々に必要なときに出して参りますから。ただその年度で節約をされて、幾らか余りましたような場合、普通の余人であれば、余ったものを貯金するというような意味の場合には、その金でそれを有利に、場合によると債券を買いましたり、貯金の分もございます。そういうふうにされておるわけであります。
  68. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今お伺いしたのは、こういう内廷費を扱われるいわゆる係官ですか、これはやはり皇室経済主管という、そういう職があると思うのですが、この点はどうなんですか。
  69. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) これは皇室経済主管という資格でやるのじゃなくて、まあ一応われわれの方で内廷会計主管といっておりますが、ほんとうの建前でいくと、法律にありますように、陛下のお手元金として、宮内庁で扱う公金とはしない、こう法律にございます。従って、宮内庁という国家機関がそれを扱うということはしないのですけれども、しかし、まあ宮内庁は、陛下の側近の事務と、私的なことのお世話もやるという建前に解釈されておりますので、そういう人は国家公務員の人だが、そういうまた別の資格でお手伝いするという、別の資格でそれを経理しているのであります。
  70. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、宮内庁の項の中に皇室経済主管というのがあるわけですね、現実に。その方が、一面立場をかえて、皇室経済主管という立場を離れて、内廷費について便宜上いろいろ善処される、そういう意味に解釈していいわけですか。
  71. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) さようでございますす。
  72. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、内廷費の使途ですね、使い道について確かめておきたいと思いますが、これは結局国賓とか外国の大使、公使、そういう公式な行事に関連したもの、これはいわゆる宮廷費になろうと思うのですが、それ以外の陛下を御中心とせられたいわゆる日常生活費万般、これが内廷費、そういうふうに解釈してよろしいのかどうか。
  73. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この公式の行事の経費は宮廷費でございますが、内廷費は、今おっしゃいますように、日常の諸生活の万般の経費ということで、その内容については、国の公式行事にお出になる場合に——私的にも服装をととのえたりする経費もございますが、それはやはり私的な経費として、内廷費でまかなうわけであります
  74. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、念のためにお伺いしておきたいと思いますが、やはり所得税をお払いになっておると思うのですが、年額で大体どの程度ですか、今まで。三十五年度については。
  75. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 記憶で申しますと、数十万でございます。
  76. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 陛下は、個人の使用人については、内掌典とか掌典とか、二十五名ばかりおられると思うのですが、その二十五名の給与については、大体国家公務員のベース改定に伴って、まあ直ちにということでなくして、ベース改定に相応じて今まで出しておられたように記憶しておるのですが、その点はどうか。それから、今度のいわゆる五千万を五千八百万に増額した、そういう理由の一つとして、二十五年度のこういう人々についての給与についても、国家公務員相当にベース改定をする必要があろう、こういう意味もあろうと思うのですが、その点いかがですか。
  77. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 内廷費で支弁されておる職員については、一般国家公務員がベース・アップの場合には、やはりそれに準じて、そのつど上げてきておられるのであります。しかし、今度の理由の中に、人件費の上がっている点もあるしとうたわれておりまするのは、八百万増額になったら、そのときに一度に上げられるというのじゃございませんけれども、今までぼつぼつ上げてきておられるわけです。内廷費がそれだけ苦しくなっておられるから、この際、その点を直していただきたいということであります。
  78. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 陛下は御旅行なさって、いろいろと回られる場合もありますし、まあごくまれにはいろいろ歌舞伎とか相撲、めったないことですが、そういう際には、興業主、あるいはホテル等では休息なさっても、大体この代金を請求されないような昔からの慣習になっておるように思うのですが、そういうときには、いわゆるそのままでなく、やはり謝礼なんかなさると思うのですが、そういう点について少し明確にしておきたいと思うので、そういうことに関連して、一つ実際どうなっておるのか、こういう点をお伺いしておきたいと思います。
  79. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 地方の行幸をなさる場合、宿賃のような場合、これは宮廷費の方に報償費という項目がありまして、その項目でみてあるわけですが、大体ABCに分けまして一応基本を作りまして、一泊これくらいというので、それを請求によってお払いになるのじゃないのですが、包み金でお出しになりますが、その場合は、大体普通に支払えばこれくらいかかるだろうということを頭に置いて、それにプラス・アルファーしたものを包み金で出しておられるわけです。それから歌舞伎とか相撲なんかにおいでの場合、これは私的の場合もありますが、そういうのは内廷費の場合が多いですけれども、そういう場合にお出しになる場合は、切符を買うというのは、大体歌舞伎なんかへおいでになる場合はチャリティ・ショーの場合が多いわけです。慈善興業というのですか、ですから、何々協会の慈善興業というようなことになっておりますから、どれくらいの席を使われるかということを一応見まして、普通に切符を買えば幾らくらい、それより以上のものを主催者の方へ寄付の形で渡しておられるわけです。お相撲の場合でありますと、おいでになった場合には、お酒とかたばこを協会の人、力士の人に相当お出しになってねぎらわれるということをなさっておられるわけです。
  80. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、皇室経済法の附則の第二を見ますると、こういうふうにあるわけですが、「この法律施行の際、現に皇室の用に供せられている従前の皇室財産で、国有財産法の国有財産となったものは、第一条第二項の規定にかかわらず、皇室経済会議の議を経ることなく、これを皇室用財産とする。」こうあるわけですが、そこでお伺いしたいのは、「従前の皇室財産で、国有財産法の国有財産となったものは、」とありますから、ならなかったものも半面あり得ると思うのですが、そのならなかったものにどのようなものがあるのか、そういう点を明らかにしていただきたいと思います。
  81. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 以前の皇室財産の中には、御料林のようなものがございました。これは皇室用財産にはなっておらないので、現在農林省所管の財産、それから御用邸の中でも、たとえば浜離宮ですとか、あるいは日光の御用邸ですとか、箱根の御用邸とか、兵庫県の武庫離宮とか、だいぶたくさんありますけれども、そういうのはその地方の方へそれをお渡しになりまして、これは皇室用財産として保有せられてない、そういうのが相当たくさんあるわけであります。
  82. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、さらにお伺いしたいと思うのですが、皇室経済法の附則の今の第二と憲法八十八条との関係ですね、この点をお伺いしたいと思う。こう申し上げてもちょっと具体性を欠きますので、さらに砕いて申し上げますと、憲法八十八条では、御承知のように、「すべて皇室財産は、国に属する。」と、こうはっきりなっておるわけです。この附則の第二では、「従前の皇室財産で、国有財産法の国有財産となったものは、」ちょっと省略しますが、結論は「皇室用財産とする。」そこで附則の第二と、憲法八十八条では、「すべて皇室財産は、国に属する。」ということをはっきりうたっておるわけです。附則の第二では、今申し上げたように、「国有財産法の国有財産となったものは」と、ここへ一応条件をつけておるわけです。そこでちょっと比較しますと、何か矛盾するように一応受けとれるのですが、そこで、八十八条と附則第二との関係ですね、これを明確にしておきたいと思うのです。この点を一つ
  83. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 憲法八十八条は、皇室財産はこれをすべて国有とするというので、皇室が財産を所有されない建前、そのときのいろいろ解釈を見ますと、ただし、まあごく私的なものは差しつかえないという解釈だとか、いろいろありますけれども、原則としては、皇室財産はお持ちならないということでございます。ここの皇室経済法のは、これは国有財産のうちの皇室用財産というのでありまして、これは皇室の所有の財産ではないわけです。国有のものです。今まで皇室が持っておられた——今の皇居でも、あるいは那須の御用邸でも葉山の御用邸でも、皇室のお持ちになっておったものだが、これが国のものになった、それを皇室の用に国が供するというのですから、皇室財産ではないわけであります。国有財産でございますから、従って、八十八条との矛盾はないわけでございます。
  84. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、大蔵省の発表によりますと、現在のいわゆる国有財産、広く国有財産については二兆三千百二十九億、こういうふうに発表しておりますが、それに対して皇室用財産は、大体九十六億になっておるようですが、この内訳を申しますと、皇居が四十二億とか、大宮、京都の御所ですね、これが三十三億、葉山、那須などの御用邸、これを一括して七億、桂、それから修学院などの離宮ですね、これが一億、陵墓が八億、大体これはまだ若干あるようですが、こういうのを総括して大体九十六億と大蔵省は発表しておるわけですね。そうしますと、国有財産に対して、国の全体の財産に対して、いわゆる皇室の財源の占める割合は〇・四%だと、こういうふうに報告しておるわけですが、これで一切を含めておるのだ、大体そういうふうに了解してよろしいですか、その点を確かめておきたいと思います。
  85. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 一切を含めておると思いますから、その通りだと思います。
  86. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) なお、藤枝総理府総務長官佐藤総務副長官出席されております。
  87. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、方向を変えまして、昨日いろいろ御案内いただいた下総の牧場について一、二お伺いしておきたいと思うのですが、昨日拝見いたしました御料牧場の職員——従事員といいますか、そういう定数及び充足状況はどうなっておるのか、概略でよろしいですから。
  88. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 職員の現員は、公務員の定員の職員が九十七名、それから常勤労務者が十八名、賃金で臨時に雇われるというような人が二十一名、合わせて百三十六名というのが現員でございます。
  89. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、さらにお伺いしますが、牧場のいろいろ部門があるわけですが、年間における収入とか支出、ごく概算でけっこうですが、概数を承っておきたいと思うのですが。
  90. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 支出から先に申しますと、概数で事業費が千七百万円くらいであります。それからいろいろな営繕費というのが四百五十万円くらい、人件費が二千八百五十万円、ざっと全部合わせますと五千万円になります。で、収入としましては、現金収入として家畜、農産品の売払代というものが約概数千七百万円、そのほか小さい不用品売払代十三万くらいありますが、これは小さいので略します。それから、あそこで生産をいたします生産品の自給用生産品、つまりあそこにおりまする家畜類に与える飼料をあそこで自給しておりますが、それを市価に直しますと、そういうものが合計して二千二百万円くらいになります。それから、なお、この皇室の方へ供出されているもの、これが市価で概数で約五百万円ですから、収入の方の現物の分を合わせますと、たしか四千二百万円くらいになります。八百万円くらいの赤字になりますけれども、これはあそこから供出されている馬の評価が出ていないわけであります。乗馬が毎年一、二頭、輓馬も一、二頭出ておりますけれども、その分は評価してございません。それから、あそこをいろいろ接伴に使いますけれども外国使臣を三日にわたって接伴をするとか、いろいろな学校の生徒がこられて見学をされるとか、いろいろ教育用の点もございますけれども、なお、あの付近の農場に対する種付その他によって畜産の改良に力を入れていく、そういうような面は金額で出て参りませんから、そういうものを考えれば、普通に経営されておるというふうにとっておるわけであります。
  91. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今御説明の中にあった、また、昨日も一部承りましたが、家畜の飼料ですね、あれはほとんど完全に自給自足し得ておるわけですか。
  92. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) あそこで要りまする飼料の約七割であります。あと三割は購入いたしております。その経費は宮廷費の予算でまかなっております。
  93. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 昨日もいろいろ承ったわけですが、牧場を一切、特殊な施設だけを除いて、広く一般に開放しておる。なるほど日曜ではなかったのですが、一般県民が三々五々楽しそうにあそこを利用しておる。これは全般的に県民一般に開放すること自体は大へんけっこうなことだとわれわれもこの目で見てきたわけですが、そこでいろいろ大事な施設等もあるわけですが、今までの例で、これという被害は別に今までのところちっともなかったわけですね。
  94. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) あそこに自由に入っておられる方によって大事なものを盗まれたというようなことは聞いておりませんです。
  95. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、方向を変えまして、三十四年六月五日に皇居造営審議会が総理大臣に答申しておるわけですが、このことは前の当内閣委員会でも若干当たったことがありますが、その後の事態に即応して、また、重複を避けて、ほんの一、二の点についてこの際お伺いしておきたいと思うのですが、これは答申の中を見ますと、その中の一節にこういう意味のことがあるわけですね。造営の実施計画という面があるわけです。そこで、このことでお伺いいたしますが、昭和三十五年及び三十六年の両年度において、お住まいの増改築、そうして宮殿の設計を行ない云々とあるわけですね。そこで、さらに三十七年度からおおむね五カ年計画で宮殿の造営を実施するのが適当である、こういう意味の答申がなされておるわけです。そういう意味で皇居造営審議会の目的は達したので、これはなくなるわけですが、そこで、大体この通り宮殿の設計も取り進められておるようですが、さらにお住まい等も、これは新築なんですね、新築も今進められておる。大体こういう答申の通りが実施に移されておると思いますが、この点について確かめておきたいと思いますが、大体答申の内容の通り計画を進めておられるのか、その後変更になった面があるのか、こういう点をお伺いしておきたい。
  96. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) その答申の中のお住まいの方は、三十五年、六年と二年度で完成する、これは答申の通りに進んでおります。お住まいは、本年、三十六年の十月一ぱい、あるいは十一月までかかるかもしれませんが、いずれにしても年内にはできる予定であります。それから、公の行事をなさる宮殿の方の関係、これは答申とちょっと違っておる点が出ております。そこには三十五年、六年に設計をして、それからあと三十七年からおおむね五カ年で工事を実施するとありますが、その答申の別のところにありますように、この工事の実施に関連して、なお専門家の意見を聞いて万全にするようにという項目がございまして、建築の専門家十名の方にいろいろ御意見を聞きました。ところが、設計は二年では短い、もう一年延ばした方がいいということで、設計を三十七年までかかるということに一年延ばしました。工事の方は五年はかけなくてもいい、今非常に機械なんかが進んでおるから、だから、これは四年に短縮してもいいというような御意見がありましたので、今のところは、設計は三年、工事はおおむね四年というような計画で現在工事を進めておるわけであります。その点がちょっと違っております。
  97. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 さらに、宮殿の規模、様式、それと周囲の施設、こういう点についても審議会で答申がなされておりますが、大体の構造、様式、周囲の施設等についても、大体あの答申通りを尊重されてやる方針なのかどうか、この点を確かめておきたいと思います。
  98. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 規模、様式、施設の関係、これは現在設計等をやってもらっておりますが、その答申の趣旨に沿って設計をやってもらっております。設計はまだ途中でありまするから、形はまとまっておりませんけれども、その趣旨に沿って設計をやってもらっております。
  99. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、造営経費について一点だけお伺いしておきたいのですが、これは規模とか様式が一定しないと設計もできないし、規模、様式が決定すれば、その上に立って設計して初めて経費も大体算出されると思うのです。従って、まだそういう段階でないので、今経費どのくらいかかるか、そういう質問は無理だと思うのです。それで、そういうことはさておいて、この答申の中で、経費の財源については、国庫から支出することを建前とする、これは当然のことだと思うのですが、ただ、ここでこういうことも申し添えておる。国民から自発的な寄付があった場合にはこれを受け入れる。ただし、強制にわたったり——これは当然強制にわたっては相ならぬということですが、売名とか宣伝のためにされるような、そういうことがあっては相ならぬ。一応そういう弊害のないことを心して答申しておるわけです。ところが、前にもちょっと前例もありましたように、こういうことが一応うたってはありますけれども、非常に売名、宣伝のためにされるおそれなしとしないと思うんです。こういう点については、十分宮内庁としては確固たる信念を持って臨まれておろうとは思います。また、今後の問題ですが、こういう点についてどういうふうにお考えになっておるか。この際確かめておきたいと思います。
  100. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 皇居造営のための自発的な寄付、これは昨年の夏から受付をやっておりまするが、そういう場合にも、その金が強制にわたったり、売名、宣伝のようなものでないかどうかということは検討いたしまして、どうも弊害のありそうなものについてはお断わりした例もあるわけであります。現在まで、今お尋ねありませんでしたけれども、参考に申しますと、約千百万円集まっております。
  101. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 で、もちろん前にちょっと問題があったようなことも十分教訓となって、今御説明のあったように、宣伝、売名ということについては十分意を用いておられると思うんですが、そこで、遺憾はないと思いますが、今御回答のあったように、昨年の夏からもう受け付けを開始されて、今後ずっと四、五年の間続こうと思うんです。一つ期間も相当長いし、十分巧妙な手で、宣伝、売名という伏線をかまえてのそういう寄付もあろうと思うので、その点については、さらに重ねて十分警戒していただきたいということを最後に御要望申し上げて、時間もございませんので、きょうのところは質問を終わりたいと思います。
  102. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ二、三、一つこれは宮内庁次長総理府総務長官になるか、どちらでも答弁願いたいと思います。  実はこの前、長官にもちょっとお伺いしたことがあるのですが、旧皇族のいわゆる財産の処分についてですが、非常に問題があるやに聞いておる。その当時の経過とか、もうすでに十幾年たっておる当時でございまするから、もちろんそのときは新しい憲法ができて、旧皇族のその当時宮内省の管轄であった財産が、各旧皇族の私有財産として譲られた。それを一私有財産として処分されたことはわかっておるのですが、非常にその間問題を含んでおるように思うので、その間の事情を一つわかっておれば宮内庁次長でもよろしいし、総理府長官でも、一つお答え願いたいと思う。
  103. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 終戦後、皇室財産はこれは国有になるというので、国有になりましたが、その皇族が私有しておられる分は、その皇族が私有しておられてよろしというので、引続き私有されました。しかし、その当時相当に財産税が多くなりまして、それで相当のものを各皇族は出しておられますが、まだそのほかに残った部分について引き続き持たれるというのは、そこには殿邸と一緒に、この維持管理には、実際問題として相当経費がかかるので売り払われたという例は相当あるわけでございますので、その間に何か特別のことがあったかどうか、ちょっと今思い当たらないのでございますが、そういうふうにして処分されたものであると、こう考えております。
  104. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この前も宇佐美長官はそういう答弁で終わっておるのですが、もちろん法律的に見ればそれは仕方ないということに、現在の宮内庁の責任者としてはそうなんですが、こう言っては非常に失礼な話でございますが、当時の皇族の人には商取引の、こう言ったら悪いが、経験もない。財産税が非常にかかるということで処分されたのですが、いわゆるわれわれから見れば、相当常識以外なことで屋敷を取られたりなんかしておることを聞いておるわけであります。少なくとも、法律上宮内庁の管轄を離れたのだから、勝手にしたらいいのだということにはなりますけれども、そういう事情を十分やはりある程度法律上の問題は別として、そういう転売された際に、その前はやはり宮内省の管轄でやっておられたのですから、しかも、その邸宅なんかも、憲法は変ったけれども、国民がいわゆる差し上げたということになっておると思うのです。そういうものが旧皇族の一私有になったからといって処分されておることは、これは法律上不法ではございませんけれども、そこに何らか納得できがたいものが相当あるのです。地元でもそういう気持でもって見ておる。たとえば私たびたび例を出しますけれども、プリンス・ホテルにいたしましても、今はだれが経営しておるか私は十分調べておりませんけれども、ああいう土地なんかでも、きわめて低廉な代償で入手したように聞いておる。そういう点は、法律上の管轄はどうあろうとも、国民の感情からしたら、やはりはっきりしておいたらいいと思う。今後この皇室の経済施行法をいろいろ審議する上においても、そういう点がやはり一つのもやもやした点になってくると思うのです。この前宮内庁長官にもその点言ったのですが、今、瓜生次長が言われたような形で承っておるのです。しかし、私はどうしても納得できない点があるのです。今答弁されたけれども、それ以上わしは知らぬのだと言えば宮内庁の責任ではなかろうけれども、少なくとも、今後皇室の財産なり、そういう管理をする上においても、そういう点もやはり考えておく必要があると思うのですが、これはもう権限はないのだから、全然もうそういうものは、その経過を調べるというとどうも語弊がありますけれども、そいつを調査するというようなことは総理府でも宮内庁でもできないのかどうか、この点一つ御回答願いたいと思います。
  105. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 元皇族の方の財産がその方の都合で売却されて、あるいはホテルになったりしておるという実例はございますが、その当時の経緯、これはいわゆる宮内庁法による皇室関係の国家事務という中にはちょっと入りかねまするけれども、しかしながら、御親戚関係の関連の事項というので、これを関係の方にいろいろ事情を聞いたりするようなことはやっておったことはございます。しかし、何分古いことでございまするし、なお、最近はそういうふうな元皇族さんの関係では全然タッチしていないかというと、御親戚の関係でもございまするしするので、現在の皇族の事務官のほかに、元皇族の前の事務官で、今もある程度世話しておられるような方が、月一回、宮内庁の秘書課の方で世話しておりますけれども、集まっていろいろこの相談をしておるわけであります。そういう場合には、差しつかえない範囲でわれわれが心を配ってあげられるような場合には心を配ってあげるというふうにはいたしております。
  106. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 権限上の争いになると、これは逃げられても仕方がないのですが、やはりそういうものを一つ明らかにしておいていただきたいと思うのです。これは皇族のいわゆる土地でなかったのですが、この間皇居を視察した際に、テイト・ホテルですか、皇居の一部分であったところも、知らない間にだれかの私有地になって、今度また建てかえることになっておる、その経緯もわからないと、こういうのですね。これはまあ皇族の要するに土地でなかったのです。皇居の一部分であったけれども、あの終戦のどさくさで所有主が転々として、いつのまにか私有地になっておる、こういうことを聞いておるのですが、この点の経緯はどうなんですか。
  107. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) テイト・ホテルの場合、元宮内省の帝室林野局なんかいた建物のあった所ですが、終戦後これは宮内省を離れて、あるいはしばらく駐留軍の方で接収して、駐留軍の将兵の宿泊所にしておりました。その後駐留軍がそれを使う必要がなくなってこれを解除したのですが、これはたしか大蔵省の方の普通財産か何かになっていたのじゃないかと私は思うのですが、なお、その後どういうふうにいったかというようなことは、あるいは大蔵省の方を通じて聞いてみるとわかるかと思いますが、宮内省の所管は、一応終戦からあと切れておるものですから、ちょっと詳しい点はわかりませんが、しかし、ある程度のことは聞いております。
  108. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この点は総理府はどうなんですか。もちろん終戦当時の問題ですから、今直ちにそれをどうなっておるということを藤枝総務長官に尋ねるのは無理だと思いますが、今、次長が言われましたようこ、大蔵所の所管になって、要するに国有地に移管されたということはわかるのですが、その後どういう工合にあれが転々としたかということは、もちろん次に大蔵省を呼んでこの点は明らかにしたいのですが、総理府ではそういうことは全然タッチしておらなかったのですか、そういうことは御存じないか、これを一つお聞かせ願いたいと思います。
  109. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 今の点は、総理府としましては全然タッチしておらないのでございまして、ただいま宮内庁次長がお答え申し上げたように、終戦後国有財産の方になったはずでございますので、大蔵省の方を調べればわかると考えております。
  110. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは私の方から手続して、大蔵大臣なり、あるいはそれの関係者を呼びますけれども総理府からも、やはり一つの管轄のことですから、あなたの方からも一つ調べていただきたいと思います。次回に大蔵大臣をできれば呼んで、この点は一つはっきりとしておきたい。  なお、その前に申し上げました旧皇族の方の私有財産処分についても、これは私悪い意味で言っておるのじゃないのです。皇族がどうこうということでなくて、皇族の中では一番酷になったんですが、非常に苦しんでおる人もあるやに聞いておるのです。そういうことが天皇の親戚として、これは人間としてやはり何らか心配があると思うのですね。従って、そういう点は宮内庁では職権以外であるけれども、そういう点を十分やはり見て、正当な処分をされておるというなら、これは別の問題がありますけれども、非常に私の聞く範囲では、あの当時のどさくさでございますから、たとえばこれは私は信憑性は知りません。知りませんが、金を少し貸して、そして抵当に取ってそのまま自分のふところに入れたというようにも聞いておるのです。こういうものは、私は信憑性は、真か偽であるかわかりませんが、そういうものが流布することは、将来皇室の財産を管理する宮内庁としても、心しておくべき問題でなかろうかと思うのです。従って、この点は職権としては調べられぬか知りませんが、この点は一つ調べて、この次に、できればどういう経過で移されていったか、今の所有主にいったか、こういう点を一つできる範囲で宮内庁の方で調べていただきたいと思う。この点どうでしょう。
  111. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) これは直接公務として調べができるかどらか、ちょっと自信はございません。自信はちょっとありませんので、その点はよく調べますが、まあわかる範囲のことであれば、われわれも心がけてはおりまするから、差しつかえないことでわかる範囲のことは、これは調べてみたいと思います。まあどこが気になられますか、あまり全部ということは、実際問題としてわからないと思うのですけれども
  112. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはもう都内のおもだったところでけっこうです。まあ一つわかれば、これはもう大体そのケースは同じようにやっておるのですから、わかると思うのです。なお、実はこれは法務省関係を調べれば、登記所関係を調べれば、移転した経路はずっと私わかると思うのです。その移転する際のいろいろ取引の状態というものは登記所ではわからない。問題は私そこにあると思うのです。従って、この点は一つできればそういう点もお聞きになって、国会で正式にやるということははばかる点もあるかもしれませんが、やはりそういう点は明らかにしておいた方が、今後皇室財産の管理について、宮内庁としても、国民に対してこうなんだという点が明らかにされると思いますので、この点は強く希望しておきたい。その点どうでしょう。
  113. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) ただ公式に宮内庁の立場で、これをこうですというように申し上げられるかどうか、その点はちょっと疑問がございますので、その点はちょっと考えさしていただきたいと思います。
  114. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それから、もう一つ関連性の問題で、これはまあ正式の場所でないが、瓜生次長にも若干お話をしたのですが、いつかの新聞に出ておりましたが、天皇の旅行される際に、国鉄が必要以上に気を使ってもらわなくてもいいという宮内庁の意見が出ておるのですが、私はその趣旨は賛成です。ただ現在、終戦直後憲法が変わって象徴天皇となった当時は、私は非常に変わったように思ったのですが、年を経るたびに、やはり地方に行かれると、警備状態が昔のような、全く一般国民と遮断するような警備状態が見受けられるのです。で、これはもちろん宮内庁の趣旨ではないと思いますけれども、これではせっかくの宮内庁の趣旨が一般地方の国民全体には通じない、こういう点があると思うのですが、この前の新聞で私拝見すると、国鉄に対するあまり行き過ぎの配慮は遠慮してもらった方がいいということを思っておりましたが、警備の点についても、目に余るとは申しませんけれども、相当厳重な警備をしておる点があるのですが、この点宮内庁としてどう考えておられるか、この点を一つ伺いたい。
  115. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 警衛警備に関しましても、われわれの方から見ておりまして、こんなにしなくてもいいということがございます場合は、これを警察当局の方に話しまして、こういう点を改めてもらうようにしております。しかしながら、その警衛警備の関係は、そのときの治安状況、いろいろなまたその表面には発表にならないような警察の方で情報が入ったりして、そうして特に気を使ったというような場合も特にありまして、その警備の責任者が考えられて、必要最小限度にしようというふうに言っておるわけであります。   〔委員長退席、 理事村山道雄君着   席〕
  116. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もちろんこの警備の点については、昔からの一つの習慣と申しますか、何か事あると、その府県の警察関係の責任だ、また、知事もお伺いを立てなくちゃならぬという、そういう慣習的な考え方は私はまだあるのじゃないかと思う。従って、自分の職務の落ち度のないようにということで、必要以上にやられた点が相当あると思う。この点は宮内庁でそう言われても、ただあなたの方ではそうしてもらいたいという意向だけでもって警察権をどうするという権限はないのですから、この点は総理府はどうです。まあ直接関係はないけれども総理府は全部の官庁の総括をしておるところですから、警察に対してどういう考え方であるか、一つ総理大臣にかわって御答弁願いたい。
  117. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 天皇あるいは皇族の方々の警衛につきまして、もちろん今御指摘のように、治安当局、警察当局は、落ち度があったら大へんだというようなことで、普通常識に考える以上のことをやることが間々あろうかと存じます。しかし、これはただいま宮内庁次長がお答え申し上げたように、天皇御自身、あるいは宮内庁としての本意ではございません。そういう意味におきましては、警察側に対しましても十分その点を了解してもらいまして、必要の最小限度にとどめるように、そうして国民と天皇をあまり隔てるような感じの残らないようにということは今後も努めていかなければならぬと存じておりまするので、その辺は十分警察とも連絡をいたしたいと存じます。
  118. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この点は私いろいろ感じる点があって質問しておるのですが、十分これはやはり心しなくちゃならぬと思うのです。知らず知らずの間に、ある程度一つの象徴天皇として尊敬するという考え方が、それが一つの不幸な結果に終わっていくような、逆行ということがあっては私はいけないと思うのです。せっかく民主主義になったこの国を、天皇のそういう一つの行動によって、国民の考え方が、私はむしろ反感を呼ぶようになってはいけないという心配がある。時代が徐々に移ってきておりますから、この点は、これは単に宮内庁の皆さん方だけじゃない、われわれも十分考えなくちゃいけない。おそれ、恐懼ということを昔は申しましたが、それで私は今後の象徴天皇としての立場は失われていくと思う。やはり親しみを持った尊敬ということが象徴天皇の私は真髄であろうと思うのですが、この点は宮内庁はもちろんのこと、総理府の方でも十分考えてもらいたいと思うのですが、この点はどうですか。
  119. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 今の御意見の点は、われわれ宮内庁に勤める者としては、同じような気持でおるわけであります。日本の象徴、国民統合の象徴としておられます。特に国内に関しては、統合の象徴という点が強いわけでありまして、ですから、親しさの中心になられてみなに親しまれて、そして統合の象徴になられるということが大事でありまして、そういう点では、今おっしゃるような趣旨で、われわれも今後も皇室と国民の間の親しさを増すように努めたいと思います。
  120. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そこで、そういうことを前提にして皇室財産を私が調べるというわけではありませんが、聞いて筆記したのですが、各所に相当皇室財産が点在されておる。昨日下総の牧場を見せてもらいました。しかし、まあその運用は、その付近の住民の方に対して、できるだけの利用といいますか、貸そうという趣旨で場長も説明されておったのですが、それは私はいいと思う。そういう意味において、やはり皇室財産の管理においても、先ほど次長が答弁されたように、そういう存在の天皇としての運営を私誤まってはいけないと思うのですが、全部の私皇室財産をさしておりません。従って、その近所で相当住民が困っておるような場所にある場合には、できるだけこの付近の住民に利用さすという趣旨でなければならぬと思うのですが、この点について京都にも相当ありますが、あるいは葉山、その他たくさんあるのですが、現在、完全でなしに、そういうある程度民間の完全な利用じゃないですが、一部制限した利用をもされていないという、そういう所はどういう所にあるか、私見ていないので、一つお尋ねしておきたいと思うのです。
  121. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 御質問趣旨がちょっとはっきりくみ取りかねたのですが、私の判断で申しますと、皇居の例があります。まあ皇居の場合も、これはやはり毎日午前千人午後千人の一般参観を認めるというふうに、昔のように閉鎖的ではありません。それから京都御所、これはたくさんの方が毎日行っておられます。桂離宮、修学院離宮などは、ある程度制限しておりますが、毎日限られた人数の方が入っておられる。これはあそこの重要文化財的なものですから、これを保存する趣旨から、あまりたくさんの方が入ってもいたむものですから、数の制限がございます。そういうふうに心がけてはきておるつもりでありますが、何か特にお気になられる点がございますかどうか。
  122. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 具体的に私は全部見ていないのですから、どうこうと言わないのですが、葉山御用邸が現在どうなっておるか知らないのですが、建坪で二千五百十八坪ですか、敷地で三万六千七百四十六坪あるのですが、これは今どうされておるのか、ちょっとその点。
  123. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 葉山の御用邸は、両陛下が毎年数回お出かけになっております。あそこに御滞在になって、特に陛下は、さらに相模湾の生物の採取などをなさるわけです。特に春もおいでになります。秋もおいでになります。冬もおいでになります。夏は比較的少ないのですが、夏おいでになったこともございます。相当お使いになっております。しかし、あそこは今おっしゃいましたように、それではその地域に自由に人を入れるか、これはいたしておりません。これはやはりちょっと一応御用邸でまとまった所で、そこへ御滞在になったりしますから、自由に人を入れるのもこれは感心しない。なお、両陛下のほかに、皇太子殿下、妃殿下あるいは義宮様などもちょいちょいおいでになっております。
  124. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それからもう一つ、話題といいますか、質問の点を、まあとっぴな質問かしれませんが、実は国会の開会式に来られるのですが、私は外国の開会式は見てないのですが、日本の開会式は窮屈のように思うのですね。これは私じゃなくして、天皇自身が窮屈なような御格好でなかろうかと思うのです。もう少しこの点なごやかな空気を漂わすように、ただもう立ってお言葉をもらって、そして、ただすうっと帰って行く、こういう点で宮内庁としてはもちろんそれは発言権はないと思うのですが、どういう感じであるか、一ぺんこれはちょっと聞いておきたいのですよ。よくお尋ねられることなのです。
  125. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 国会の開会式は、まあ国会がいろいろお考えになってああいう形で開いておられるわけでございまして、まあ国会のなさることはあまりいろいろなことを言うのもどうかと思いますが、まあ国会自体でいろいろまたお考えになる点があれば、お改めになるというふうなことがあっても、それはけっこうだと思います。
  126. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ国会の方で、いわゆる両院の方の話がまとまれば、ああいう窮屈な感じのないものでも宮内庁はもちろんいい、こういうことですね。
  127. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) これは国会の方でおきめになれば、それによってわれわれの方も考えるわけでございます。
  128. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それからもう一つですが、これはいろいろこういう国民の間に聞きたいことをこういうときに聞いておきますが、皇室のことはなかなか聞きにくいのですが、開会式に皇后がお見えになったのは私経験がないのです。もちろん七十周年記念には一緒に来られました。非常になごやかな感じが御婦人ということで漂うのですが、皇太子ももう御結婚されて、そういう点で一度くらいお見えになったらどうかという気持もこれはあると思うのですが、この点は皇族の着席する席がいつもあるのですけれども、皇太子なんか来させるというようなお考えはないですか。
  129. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 皇族のお方もおいでになれるように席はございますが、これもまあ国会の方のお話で、今度はぜひこういう方をというようなその御要望を受けて、いろいろ考えてそれを実現していくというようなことでございます。
  130. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あれは国会の方ではすでにちゃんと席も設けてあるのですが、これは国会の問題じゃなくて、あなたの方で、来られたら、入ったらいかぬということは言えないはずですが、一ぺんやはり来られた方が私はいいんじゃないかと思うのですが、これはもう国会の方では来てもらいたい。ちゃんとおすわりになるべき所をきめてあるのですが、この点どうですか。
  131. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 先ほど言ったのは幾らか言葉が間違っておったかもしれませんけれども、ありのままの言葉で言うと、ぜひおいでいただきたいという場合と、一応席は従来の例によって設けてありますというのと、ちょっと感じが違いますし、やはりある機会にこういう形がいいでしょうというような御意向もございまして、そうしてそういう御意向を受けて事を運ぶということであります。
  132. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私のずっと質問の要旨をつなげてもらうとわかると思いますが、私は、やはり国民と親しみを持つような形でやはり宮内庁自身考えなければならぬということをずっと言ってきておるのです。国会の方に特に来てもらわなくてはいかぬということを言わなければならぬとか、そういうことではなくて、やはり皇太子という立場から、気軽にそういう行動をされるように、宮内庁自身が、これはどういう言葉で言っていいか知りませんが、教育するといいますか、御指導するというか、こういう点が私は欠けているのじゃないかと思います。私は国会に入りまして感じましたことは、昔と変わらないのです。先ほど統合の象徴だと次長は言われましたけれども、形式は昔と変わらない。私は、そういう点はやはり宮内庁自身が考えていかなければ、地方へ行かれた場合でも、いろいろ私はそういう気分が出てこないのです。こういう点、やはり側近におられる皆様方のいわゆる介添えと申しますか、そういうものが私は必要ではなかろうかと思います。私は大胆に言っているのです。こういうことは言いにくいことでありますけれども、やはりそういう点を側近の皆さん方が認識しないといけないと思います。知らず知らずのうちにその空気の中で育つとそうなってくる。私は皇居へ行きましても、皆さん方の関係している職員の方がもの一つ言わない、ただもうドアーを開けてそっとやるだけで、こちらの方も何となしに森閑とした気分になって親しみがわかないのですね。私はちょっと行儀の悪い方ですから、非常にもう気がねするのですけれども、そういう点がやはり一つの統合的な象徴の天皇として今後御必要ではなかろうかと思いますが、この点はどうですか。
  133. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 従前からやっておること、それで改める余地がないというふうには考えておりませんので、われわれの方でも大いに反省をしながら、一そう国民との親しさを増すように、お世話する立場の者も考えなければいけないと思っております。いろいろ御意見の点も十分一つ頭に入れて今後の問題を考えていきたいと思います。
  134. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、そういう点につきましては、私の質問の大体の意向はわかっていただけたと思うのですが、その点は一つ皆さん方にお願いしておきます。私の言わんとするところは十分おわかりになったと思うのです。
  135. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 皇室用財産一覧表というのを、これは内閣調査室の方で出したのだろうと思いますが、で、十五カ所あるわけでありますが、七百八十七万坪、この皇居、赤坂御用地、これは別といたしまして、あとの方の常盤松御用邸以下の——皇居と赤坂御用地、それから正倉院、陵墓、これは別でございますが、それ以外の所の土地並びに建坪はわかるのでありますが、これは一体どういうようなそこに常時人がいらっしゃるのか、それから、どういうふうに利用なさっていらっしゃるのか、承りたいと思います。何ならあと資料でいただいてもけっこうだと思いますが。  それからもう一つ、下総の御料牧場、これはきのう伺いましたが、これは一体、私、見まして、皇居としてあるいは皇室として、ああいう牧場を経営しなければならないという理由、これがどうもきのう伺った範囲では、なかなか薄弱なように思います、理由が。そこで、下総の御料牧場を経営しなければならない積極的な理由というものと、先ほど申し上げました諸点についての、資料でよろしゅうございますが、あとでいただきたいと思います。
  136. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 資料といいますと、何か別に使用状況を書いたような書類でほしいというような御要望でございましょうか。ここで御説明をするのでは……。
  137. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 説明していただければよろしいです。
  138. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) では、ここでわかる範囲で御説明申し上げます。  この常盤松の御用邸、これは昨年東宮御所が新築されるまで、皇太子殿下が仮御所としてお使いになっていた所です。その前は、これは元の東伏見邸であったわけですけれども、皇太子殿下がお入りになる前には、一時皇族の会館的な用に、お集まりの場所用に使われておったこともありましたが、郊外の方の皇太子殿下の御殿が焼けまして、皇太子殿下がそこにお入りになった。その後、東宮御所ができましたから、あそこはあいておるわけでございますが、しかし、義宮様も今は皇居の中におられまするけれども、あの位置は、宮殿を造営する場合には、こわす位置に一応考えられます。また御結婚なされば皇居をお出になった方がよろしい。そういう場合に、一時的に常盤松の御用邸をお使いになったらどうかというふうに考えて、現在は職員が一人あそこにおりまして管理をしておる程度でございます。  それから高輪南町の御用邸の方は、これはちょうど品川駅前でございますが、これは終戦のころまでは、よく皇族の方で師団長になられた方——朝香宮さんなんかも入られましたし、その前に竹田宮さんが入られたこともあります。そういう方が東京に帰ってこられる場合、そういう場合にお屋敷として使われたという所でございます。で、終戦のころには、東久邇さんが借りてあそこに入っておられました。特に、東久邇成子様はもとの照宮様で、陛下のお子様であるというので、ちょうどあのころは占領軍のいる、やかましいときでしたが、そういう方が皇室用の財産に入られるのはいいということで入っておられました。今はお年寄りの方の東久邇さん御夫妻がおられます。お若い方の方は現在柿木坂の方にお越しいただきました。皇室の大事な御親戚でもあるし、あそこの用地の問題については、これを皇室用財産を解除して払い下げてもらいたいなどという話もいろいろありますけれども、そういう場合、先ほど山本先生もおっしゃったように、いろいろ問題もあるので、そう簡単には考えられないし、特に今は東久邇さんもおいでになることでもありますので、そのままにいたしております。ここには現在、古い建物でありますが、利用のできる所がありますので、宮内庁の職員が数家族公務員宿舎として住んでおります。  なお、葉山の御用邸は、先ほど申し上げましたのでおわかりになっておると思いますので、省略さしていただきます。  那須の御用邸は、主としてこれは暑い夏のころ両陛下がおいでになります。そしてあそこで御静養になり、裏山は相当いろいろ変わった種類の植物の採取なんかをなさったりして御静養され、また御研究もされておられるわけであります。また那須の御用邸には付属邸というのがありまして、そこは、多分ことしは皇太子殿下、妃殿下あるいは浩宮さんあたりもおいでになるかと思います。そういうような暑い時期における御別邸として使われているのであります。もちろん、暑い目じゃない五月ごろおいでになることも、ときによってありますが、これはたまにそういうことがあるだけであります。  それから沼津の御用邸、沼津の御用邸はこれはここ二、三年は両陛下も皇太子殿下あたりもお出かけになっておりません。義宮さんが水泳なんかに行かれて、学習院の生徒と一諸に行かれた際に、ちょっと利用されたことはありますけれども、最近はあまり御利用になっておりません。建物も、ごらんの方は御存じかと思いますが、相当荒れております。なお海岸の方は海の水がぐんぐん来るものですから、少しずつ浸食されてくるというような所で、現在これについては、すぐにはどうするということもありませんが、まあ海水浴なんかされる場所としてはこの場所はよいものですから、あるいは浩宮さんでも大きくなられた場合にでも、こういう所を御利用になられるということも考えられるのじゃないかと思います。まあ研究問題の御用邸であるとは存じております。  それから下総の御料牧場、昨日ごらんいただきまして、まあ皇室用として経営している、皇室が経営しておられる、皇室が持っているというものではございません。まあ国有財産であるが、これを皇室の用に供するようにしてあるということでありまして、これは明治十八年から、その当時は皇室財産で皇室のものでありましたが、終戦後は、皇室のものではなくて国有財産として皇室用に供する、で、終戦のころには、この広さも以前の皇室財産のころに比較いたしますと、三分の一に縮小になって、周囲の土地もずっと開放されて必要な最小範囲ということで御料をされている。皇室の方では、あすこから供出せられます乗馬あるいは輓馬、これを使うわけでありますが、皇室の方では必要な乗馬、これはまあ一年に一、二頭ぐらいずつ補給していく、乗馬は現在全部で十八頭おりますけれども、馬というのは、大体ほんとうの稼働年数は十年くらいですから、ですから一、二頭の補給がいいのだ。で、そういう馬をあすこで作る。で、ほんとうにまあ皇室用に適格なものをそこで作っていくというのと、ほかから買う場合は、ほんとうに適格なものがない。ほんとうに適格なものはべらぼうに高いというようなこともありますし、そういうものをあすこで作っていくということが、ときによっては円滑にいくし、場合によっては経済的になる場合もあるということがあるわけであります。それから輓馬の方、つまり馬車を引くところの馬でありますが、これはいろいろ儀式その他で馬車をいろいろ使っておられますから、馬車を引く馬は二十頭ですか、これも毎年まあ二頭くらいの補給が要るのですが、特に競馬の関係は、最近なかなかいい輓馬を手に入れるのがむずかしいそうです。私はほんとうの専門家でないのでわかりませんですけれども、だんだんああいう馬車を引くような馬があまりおりませんものですから、そういうような関係で適格な馬を得るようにあそこで養成しておるという用も持っているのであります。それにしてはそんなにたくさん要らぬじゃないかというお考え方もあるのですが、技術者に聞きますと、馬は、あそこの種馬が十頭いるとすると、それが妊娠率はおよそ八割、その八割の、八頭になりますが、その止まれたうちの雄と雌が半分ぐらいずつになるわけです。そうすると、ほんとうに使うのは雄の方でありまして、雌の方はこれは払い下げになっていく。そうするとあと四頭あるいは三頭ぐらい残る。その中から二頭ぐらいとる。適格でないのは一般に払い下げる。払い下げる収入は、先ほど申しました千七百万の収入の中にそういうものも入っているわけでありますが、適格のものだけ残して、そのほかは払い下げるというような形で、それによって適格なものを確保していく。その他皇室でいろいろ外国のお客なり国内のお客を招かれて、御陪食あるいは午餐会、晩餐会あるいは夜会あるいは園遊会、いろいろなことをなさいますが、そういうときに必要なものをあそこで作ったものを持ってきて使っているわけでありまして、外国のお客なんかでは、ときによってはあるいはおせじかもしれませんが、なかなか材料がいいということで、ほめてくれるというようなこともよくございまして、そういうような意味で、また、お客の中でも、皇室用財産の御料牧場でできたものだといって出しますと、同じようなものであっても、あるいはまた受ける感じがいいのではないかというふうなことを思うことがございます。そういうような効果をあそこからの生産品を利用される場合に上げているわけでございます。そういうようなことがございますから、皇室用として必要最小限度に縮小してお持ちになって——お持ちというよりも、国有財産を皇室用財産として管理していくということに意義が私はあると思っているわけでございます。  それからその次の新浜猟場、埼玉猟場、これはカモ猟をする場所でありまして、これも外国の大公使並びにその館員、それから国内の方もこれは陛下がお招きになってカモ猟をされるわけですが、なお、ここも、宮中のいろいろな行事に必要なカモの肉をここでとったのをよく使っております。宴会などでここのカモを使っております。それから、ときによると、賜わりというような形で便われたりしているわけであります。陛下の御招待によるカモ猟という接伴用の点と、なお、そこからとれるものがいろいろの行事に使われているということであります。  それから京都御所、京都御所は、これは両陛下が直接お使いになるという点では、京都御所の一部の大宮御所、あの方面に御旅行のときにお泊まりになることがございます。それから外国の元首級のお人が見えますと、大宮御所を宿に提供してお泊めするというようなことに使われることがございます。なお、これは将来どうなりますか、これは研究問題ですが、以前は、代がわりの際の即位の礼が京都御所で行なわれておった。将来どうなりますか、これは研究問題ですけれども、そういうような場合にも使われる場合がある。その他は一応重要な文化財として保存されていて、多数の方の参観に供しているわけであります。  修学院離宮、これもいろいろ外国のお客が見えた場合に、こういう所へ案内をして接伴用にするという以外は、これは重要文化財的なもので、皇室が昔から持っていたもので、現在は国有財産ですが、皇室用として管理をして、外国の人の接伴、国内の人の接伴のときには重要なものだから、それを従前のなれている宮内庁で管理しているというような形をとっております。  桂離宮もこの修学院離宮と同じような趣旨であります。  正倉院、これはわかっているとおっしゃいましたので省略いたします。  その次は陵墓、陵墓は、これは全国に数百カ所にあります。御陵のほかに皇族のお墓がありますが、これは合わしたもので、要するに御先祖のお墓でありまして、これも人によると、そういうお墓は皇室の私有財産かと思ったがそうじゃないのかとおっしゃる方もございますが、これも国有財産で、これが皇室用として供されるという形になっているわけであります。  それからもう一つ下総の御料牧場は、先ほど申し上げましたので、省略いたします。  以上でございます。
  139. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この前も内廷費の費途について次長にお伺いしたわけですが、その際、所得税については年額どのくらいかということに対して、数十万というお答えがあったわけですね。そこで何万何千というお答えがあれば別に不思議も持たなかったわけですが、所得税法を見ますと、第六条にこうあるわけですね。「左に掲げる所得については、所得税を課さない。」、その第一号に「皇室経済法第四条第一項及び第六条第一項の規定により受ける給付」と。そこで皇室経済法を見ますと、内廷費については課税の対象となっていないのですね。そこで重ねてお伺いするわけですが、年額どのくらいかというお尋ねに対して、数十万円である。数十万というのもおかしいのですけれども、三十四年度は数十万。何十何万何千とお答えになったらしかるべきであったと思うんですが、そこでどういうことですか。所得税法第六条では、税を課さないとはっきり明確になっておるわけですね。ところが、実際には数十万円払っておられる。これはどういうことなんですか。
  140. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 内廷費としてお受けになる収入には所得税はかからないのであります。しかし、不時の用に供するように幾らか貯金をされて、それで貯金利子とか債券の収入なんかありますと、そういうものについて税金がかかっておるのでありまして、三十四年分は、ここにありますから言いますと、四十一万八千円でございます。
  141. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そうしますと、所得税法第六条第一項によって、内廷費には税はかからないということは、その通りになっておるわけですね。ただし、陛下のいわゆる私有財産ですか、そういうものについてはこれは課税の対象となって三十四年度四十何万何がしと、そういうふうに了解していいですか。
  142. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) さようでございます。
  143. 田畑金光

    ○田畑金光君 内廷費についてですが、内外における御交際の経費の増加ということが今回の増額の理由になっておるわけで、この数年来の外国からの元首や、これに準ずる方々の訪問等を見れば確かにそうだと思いますが、ことし外国の方から元首等の来訪というのが予定されておるのかどうか。それから、そこに関連して内廷費でそのような場合は出すのか、あるいは宮廷費で出すのか、その辺の区別がどうなっておるのか承りたいと思います。
  144. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 今年度元首級の方でお見えになるので比較的はっきりしていますのは、南米のペルーの大統領がたしか五月に見える。それから先のところははっきりいたしません。毎年どなたか見えております。多いときは多いのですが、少なくとも一、二名の方は最近は見えておるようです。  それから、そういう場合の内廷費と宮廷費の使用の区分ですが、そういう場合に、晩餐会をなさったり、あるいはそういう方のために宿舎を提供されたり、あるいは京都で宿を提供されて案内されたようなそういうような経費は、これは原則として宮廷費でございます。内廷費ではございません。内廷費でそういう場合に出ますものは、いろいろ猟にお出ましの場合の御服装をととのえられる、そういうような場合、これは内廷費、それからおみやげの中で、公式にお出しになるもの以外に、私的にごく手軽に、こういうものと特別に心をこめてお出しになるもの、そういうものは内廷費——大部分は宮廷費ですが、内廷費の方からも幾分か支出があるわけであります。
  145. 田畑金光

    ○田畑金光君 外国の元首が見えられた場合に、陛下や皇太子が、あるいはまた総理大臣も羽田の飛行場に迎えられますね。この間見えたときは、パキスタンのアュブ・カーン大統領が来られたとき、私たちテレビで見ておりますと、最近問題となっておる儀仗兵の閲兵というのか、その際、結局、陛下も総理大臣も同行されないで、儀仗隊の指揮官が外国の元首を案内して歩いておる、こういうようなことは、非常にわれわれとしては何かしらん不自然な感じを受けるわけですが、単なるあれは儀式じゃなかろうかと、こう見ておりますけれども、ところが、あの儀式にすぎないことがなおかつ終戦後今日まで続いておる。不自然なままに来ておるわけで、ああいう場合においては、もっと自然な形に、あるいは陛下なり、あるいは総理大臣が一緒に案内されて儀仗兵の閲兵をやるということくらいは、これは単なる儀式じゃないかという感じもするのですが、この点はどいうふうに考えておられますか。
  146. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 羽田の飛行場に着かれた場合の儀仗隊員の観閲ですか、あれは栄誉礼を受けるという一種の儀式的なものでございますが、それはお客が来られる一その趣旨を聞きますと、御滞在中は十分安全は御心配ないようにという意味のことで、ずっと閲兵してもらったのが最初の起こりのようですが、今はそうじゃなくて、普通の儀式のようになっておりますけれども、その場合に、その部隊の指揮者の方がずっと御案内していくというので、総理大臣ですと、その指揮者というお立場もあるわけですが、陛下の場合はそれがございませんし、しかしながら、ただ儀式で、外国の元首が日本に来られるのだから、一緒に歩かれたって何も差しつかえないじゃないかという意見は確かにあるのですけれども、しかし、外国によりますと、外国のいわゆる元首がやはり案内しないで、日本の例のように、手前に立っておられるような例もあるわけですから、その方がよかろうというので、今のような形が採用されて現在に及んだわけであります。
  147. 田畑金光

    ○田畑金光君 外国の場合に、今お話によると、元首が日本の場合と同じように、ただ立っているだけだという国もあるそうですが、どういう国々ですか。しかし、普通のわれわれの聞いておるところでは、やはり元首は、外国の元首を迎えたならば、一緒に案内して見られるというのが普通のようですが、ただ日本の場合のように、国家の象徴である天皇を元首と呼んでいいのかどうか、これも憲法上いろいろ問題があるのでございますけれども、とにかく一国のシンボルであるとするならば、外国の元首が来られたとき、儀式を儀式としてすなおに進められることも差しつかえないような感じもするわけですがね、どういう事情でそうでないのか。
  148. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) これは、今おっしゃいますようなこと、理屈ではそうなると思うのでありますが、まあ最初は、エチオピアの皇帝が見えられたのが、終戦後の外国元首の初めてでありますが、あの際、いろいろ検討した際に、やはり指揮者が案内されるという、そういう理屈から来ているから、どうだろうという疑問が……、そうじゃない、一緒にお歩きになるなら差しつかえないという考えもあり、ちょっと迷いがありまして、じゃ、いろいろ疑問を起こすのもどうだろうから、まあ一緒に御案内するのは、ほんとうのそこの指揮官が御案内するというのでいいんじゃないかというので、ああいうふうになったように記憶いたしておりますので、これは考えようによっては、いろいろにとれると思います。
  149. 田畑金光

    ○田畑金光君 はっきりわからないのですけれども、その点は。  それから、最近防衛庁長官が、陛下を、たとえば海上自衛隊、陸上自衛隊の観艦式だの、観兵式というのか、閲兵式とか、あるいは防衛大学の卒業のような場合に、陛下の御出席を願うということで、よく最近努力をしておるようですが、宮内庁がこれについても厳としてはねておる。前の場合とこれとはいささか事情は違うような感じはしますけれども、前の場合は、われわれとしても、単なる儀式じゃないかという感じを持つのですが、あとの防衛庁の問題については、いろいろこれは宮内庁としても必要以上に心配されることもわからぬでもないのですが、この辺は一つどのように考えておられるわけですか。
  150. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 観閲式というような場合、これはいろいろと見ておりますと、単に栄誉礼を受けられるという場合ですと、別に指揮権がある人じゃなければいけないということはないので、先ほどの外国の元首とか、皇族が見えても、場合によっては観閲もしてもらっても、これは指揮権とは別に栄誉を受ける栄誉礼、こう考えれば理屈の上では差しつかえないわけであります。ただ、やはり国民の皆さんの中にもいろいろと考える方がおられて、あまり誤解を受けるようなことであれば慎重に検討した上でやったらいいだろうというので、結論は出さずに慎重を期するということでございます。
  151. 田畑金光

    ○田畑金光君 自衛隊法を見ますと、御存知のように、内閣総理大臣が最高の指揮監督権を自衛隊については持っておる。自衛隊について天皇の権限というのは何もないのですね。そのような制度になっておるわけで、だから、たとえば自衛隊のいろいろな観閲式その他に陛下が見えられることも、今お話のように、単なる形式的な栄誉礼で受けられるというようなことになろうと、こら思うんですが、各地を陛下がいろいろな視察あるいは催しものなんかの場合に行かれると同じようなことであると見えないわけでもないわけですね。宮内庁としては、こういうふうな点等については検討されておるというお話ですが、いろいろ国民感情を尊重しなければならぬ、あるいは一部にあっても国民感情がこういう気持も残っておるからということもよくわかるんですけれども、将来はどういう方向でこれは処理されていこうとするおつもりですか。
  152. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 慎重に今検討をすべきであるということで、では、将来のこういう結論というようなことは、現在検討の過程にありますので、申し上げる段階にはないと思っております。
  153. 田畑金光

    ○田畑金光君 先ほど山本委員質問の中にもありましたけれども、旧皇族の方々ですね、それぞれ生業についておられて一応生活の基盤というものも確立されておられるのかどうか、あるいはまた、先ほどのお話の中にあったように、相当生活に困っておられる方々もあるのかどうか、具体的にだれがだれというわけじゃなくて、一般論として、まあ私生活に関する問題ですから、抽象的に伺いますけれども、どういう状況ですか。
  154. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 元皇族の方のことにつきましては、先ほども申し上げましたように、いろいろ心を配っております。しかし、公式に権限等ともちょっとはずれて参りますので、しかしながら、皇室の御親戚ということで心を配り、そうしてまあ事情なんかもわれわれのわかる範囲でもお聞きしたりしていることもあります。その範囲で判断しますと、まあお楽でない方もございます。しかし、そう御心配しなくてもいい生活の方もございます。で、お楽でない方についても、それじゃもう明日食べる米もない、そんな極端なことではない。ほんとうの低い生活の点から考えれば、やはりある程度生活はなさることができるという状況でございまするので、しかしながら、それにしても困るという方はございません。そういう方につきまして、まあ普通の事業収入とか、あるいは財産収入以外にまたいろいろな顧問をなさったりなんかして、それも事業収入かもしれませんけれども、そういうことをして、また特に好意的にそういう生活の立ってゆかれるようにしていただいている向きもございまして、その日に困るというような状況の方はございません。
  155. 田畑金光

    ○田畑金光君 この宮廷費というのは、これは宮内庁費のことなんでしょう。
  156. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この宮廷費というのは、宮内庁費とはまた別になっております。皇室費の中に内廷費、それから皇族費、宮廷費、そのほかに行政部費の方は予算面でも総理府の中に一緒に入っておりますけれども、われわれはこれを宮内庁費と言っております。これはわれわれ公務員の給与ですとか、あるいは旅費ですとか、宿舎の経費ですとか、純粋の事務費でございます。宮廷費と宮内庁費は別でございます。
  157. 田畑金光

    ○田畑金光君 宮廷費というのが、これが三億九千五百三万六千円になっておりますが、三億九千万というと相当大きな金額ですが、どういうものが主たる経費になっておるわけですか。
  158. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この宮廷費の大部分は皇室用財産の維持管理あるいは施設というような経費で、宮廷費三億九千五百万のうちのたしか三億五百万円ぐらいはそういうような経費になると思います。で、あとの経費、これがまあ報償費ですとか、謝金ですとか、それから御旅行になるときの経費とか、そういうようなことで、御活動費というのは、その中のたしか三千八百万円ぐらいでございます。あとはこの財産の維持管理、それから今度の吹上のお住まいを作るというような経費だとか、そういうような皇室用財産の維持管理、設営の経費の関係が大部分を占めておるわけです。
  159. 田畑金光

    ○田畑金光君 この内廷使用人の中で二十五名ありますが、内掌典というのはどんな仕事をなさる方ですか。
  160. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 内掌典といいますのは、掌典の補助をされるわけですけれども、これは御婦人であります。そして宮中三殿のあそこに実際寝泊まりをされておりまして、毎日のお供えをされるとか、そのお祭りの準備の関係のことをなさるとか、この方は全部あそこに生活をしておられる、そうして奉仕をしておられる、そうして掌典の補助をされておるということでございます。
  161. 田畑金光

    ○田畑金光君 何かみこさんみたいなものですか。
  162. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) みこさんのように鈴を持ったり、そういうこと、鈴もあります、陛下が御参拝になります際に、この神前で鈴を振ることも内掌典の仕事一つでございます。
  163. 田畑金光

    ○田畑金光君 こういうむつかしい言葉、名称で、まあ昔からあるんですけれども、もっとこういうようなところはわかりやすいような言葉で表わすような努力こそ大事じゃないでしょうかね。さっきの栄誉礼を受けるのにも大へん気を使って心配をされておるんですが、われわれの方から見ると、ああいう儀式なんかのことは儀式として済まされても一向お差しつかえないような感じがするし、むしろ内掌典とか掌典——雑使というのは、下に女中と書いてあるのでわかりますけれども、こういうような言葉なんか少し民主化されたらどうですか、どうお考えになりますか。
  164. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この用語の問題、宮廷で昔からの特殊の用語がある、非常にわかりにくいから直したらどうかと、ときどき拝聴することがあるのですけれども、しかし、神事の関係のは昔からずっと伝統でなさっておられまするので、しかも、一般の国民との接触面もあまりない、この中におられて奉仕しておられるわけですから、やはりまあ伝統的な名称で一般の方が不自由される、不便されるというようなこともないものですから、しかも、その伝統的な名称があることによってかえってずっと仕事についての昔からの記録を読む場合に、そういう名前が載っていれば、それはこういうことだと、かえってわかりやすいというようなことがあって、伝統的に継承されておるわけですが、しかしながら、仕事によっては、外部との接触の多いような仕事にむつかしい名称があるのは、なるべくこれは改めようということはわれわれも考えておるわけです。
  165. 田畑金光

    ○田畑金光君 国民と直接関係ないとお話しになっても、国民の代表であるわれわれが皇室予算を審議するについても、ちょっと内容がこれではわかりにくいことで、いろいろ関係もあることですから、もっと名称は平易に一つ将来お直しなさるような検討をなさったらどうか、こう思うんです。  生物学研究所の助手は三名いらっしゃるそうですが、こういう人がたはどの程度の経歴の人がたであり、あるいはどの程度の待遇なんかやっておられるのか、承りたいと思うんですが。
  166. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この助手の方は富山という方、吉田という方、それからそのほかもう一人製図の要員もおられる。富山、吉田さんというのは、これは相当な学者の方で、製図要員の方は、これもやはり大学を出たような方。で、一カ月の給与額が、まあ富山さんあたりは常勤ではありませんので、安いわけですけれども、この三人の方の一カ月の平均給与は七千三百三十三円となっていますけれども、これは非常勤の方なものですから安いのです。
  167. 田畑金光

    ○田畑金光君 非常勤の方々というと、何かほかに本職持っておられる方ですか。
  168. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 大学の先生をしておられます。
  169. 田畑金光

    ○田畑金光君 大学の先生が生物学の助手としていろいろ陛下の研究の手助けをなさっておられると、こういうことですか。
  170. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) さようでございます。
  171. 田畑金光

    ○田畑金光君 今、皇族の方々の中で、実際仕事を、あるいは職業といった方がいいかどうかわかりませんが、職業を持っておられる方、給与を得る職業を持っておられる方というのはどなたですか。
  172. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) いわゆる世間的にいう職業、きまった職業というのは持っておられないわけでありますが、まあ片手間になさっている、——いろんな協会の総裁をなさっているとか、まあ各宮さんいろんな協会の総裁をなさっています。なお三笠宮さんが女子大学の講師をなさっていますが、これもいわゆる教授とか助教授とかいうのでなくて、講師でございまして、本職の先生でございませんので、まあ片手間のような形でございます。
  173. 田畑金光

    ○田畑金光君 まあ外国でもいろんな王室とか王家等があるようですけれども外国でもやはり日本の今の皇族の生活と同じようなことをやっておられるわけですか。たとえば、今も質問したように、何かやはりその人が希望される、あるいはまあ一つ情熱を傾けるようなお仕事等を選んでやっているというような事例等が外国の場合あるのかどうかですね。
  174. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 外国の場合で、皇族が特別の研究をなさっていると、しかしながら、趣味でなさっているというような関係、特に大学の教授をやられるとかいうようなものはちょっと今聞いておりませんですが、しかし、デンマークの皇族で国際航空会社の重役を、取締役をしている方が、日本へその重役の資格で飛んできたことがあります。そういう例は聞いております。
  175. 田畑金光

    ○田畑金光君 義宮さんは幾つになられたのですか。
  176. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 満二十五才でございます。
  177. 田畑金光

    ○田畑金光君 今何を勉強やっておられるのです。
  178. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 動物学の研究をしておられます。東大の動物学研究室へ毎日お通いになって、動物学の研究をしておられます。
  179. 田畑金光

    ○田畑金光君 まあ義宮さんも当然近く結婚なさるんだと思うんですが、この内廷費増額の理由を見ますと、「皇太子殿下の御結婚、親王殿下の御誕生に伴う経費の増大」等々と、こう入っておりますが、皇太子殿下の御結婚はずっと前、何年か前だと、昭和三十四年じゃなかったでしょうか。もっともこれは昭和三十三年から内廷費がずっと同じ額だったので、今度引き上げられるということだと思うのですが、この点は義宮さんの結婚式の費用なんていうことも考えておられるのですか。
  180. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 今度の増額の場合に、特に強くそれを考えてはございませんが、しかし、内廷費で、やはり数年前から義宮さんが結婚されれば一時にある程度経費が要るというので、幾らかずつ節約して残された分を貯金しておられるわけであります。そういうようなのが充てられるということは考えられます。従って、幾分はこの中にも含んでいるということは、いえばいえると思います。
  181. 田畑金光

    ○田畑金光君 そうすると、年内に結婚されるとか、来年結婚されるとか、そういうあれは今のところないのですね。
  182. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 現在のところは、満二十五才にもなられたのでございますので、まあ御結婚の相手の方、適当な方がないかという調査の段階でございまして、まだそれはいつというようなはっきりしためどはございませんが、しかしながら、まあお年も年ですから、二、三年のうちには御結婚になるのが適当であろうと存じて、鋭意調査をし、いろいろ心を配っておる次第でございます。
  183. 田畑金光

    ○田畑金光君 この間、皇太子の御夫妻が長野の方に御旅行なさいましたが、ああいう場合は、私はどういう御旅行だったか、新聞でちょっと内容なんかは読まなかったのですが、ああいうような旅行は、私的な御旅行なのか、あるいは象徴としての陛下のおかわりとしての御旅行なのか、ああいうような場合の経費なんかはどこから出るわけですか。
  184. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) あの場合の御旅行は、皇族としての公的な御旅行と、これはまあ乳牛の品評会に来ていただきたいというお話があり、あるいは長野で赤十字社が中心で防災の演習をやるから、それからまた長野に博覧会があるからそれをごらんいただきたいというようなことがございまして、そういうようなことがございまして、そのついでに長野県内の産業とか教育とか社会事業などの施設もごらんになったらどうかというようなことでお出かけになったので、皇族としての公的な御旅行というふうに考えられますので、これは宮廷費の方の旅行費から出ております。もちろんごく身の回りのことで内廷費を使われることはございましょうが、これは少額でございます。
  185. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  186. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をつけて。
  187. 田畑金光

    ○田畑金光君 総務長官に、私先ほどお尋ねしました件ですね。——栄誉礼ですよ、羽田の飛行場なんかの。あれについては、内閣としては議論になったことはありませんか。
  188. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 特に問題になったことはございませんけれども、先ほど宮内庁次長がお答えしておりますように、まあほんとの儀式的なものでございますから、陛下が外国の元首と御一緒に観閲されるということも考えられないことはないと思うのですが、まあ自衛隊の性格、日本の天皇の新憲法下における地位、そういったものからいたしまして、なお研究をしなければならぬ問題じゃないかと思いますので、先ほど宮内庁次長のお答えしたような方向で考えて参りたいと思っております。
  189. 田畑金光

    ○田畑金光君 もう一つ総務長官にお尋ねしたいのですが、日本の場合は元首というとどなたをさすわけですか。
  190. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) どうも法律に弱いのでございまして、これは日本国憲法の解釈の上においても非常にいろいろ議論のある問題だと思います。そういう意味では元首という考え方の固定した解釈というものは、現在においては、まだはっきりしていないと言う方がいいんではないかと思っておるわけでございます。
  191. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  192. 吉江勝保

    委員長吉江勝保君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十二分散会    ————・————