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国務大臣(
椎名悦三郎君) ただいま議題となりました
通商産業省設置法の一部を
改正する
法律案について、その
提案理由を御
説明申し上げます。
本
法律案を提出いたしました理由は、第一に通商産業省の付属
機関として、新たに
審議会を設置するとともに、既存の
審議会の一部を廃止する等の
措置を講ずることであり、第二に、通商局及び企業局の所掌事務等に関する設置法の規定に関し所要の
改正を行なうことでございます。
まず
審議会に関する事項について御
説明申し上げますと、その第一は、産業構造調査会の新設でございます。わが国
経済の高度の成長を今後も長きにわたって持続し、国民福祉の向上をはかるには、将来の雇用事情や内外の需要動向に即応した産業構造の改革を進めることが必要とされるのでありますが、貿易の自由化とともに激化する国際競争の渦中にあって、このような産業構造の高度化を実現することは、まことに容易ならざることと申さねばなりません。かかる課題に対処するためには、産業の
実態を総合的に把握し、産業の内部及び産業相互間に包蔵する問題点を解明して、今後の産業構造のあり方について検討するとともに、こうした産業構造を実現するための対策を確立することが必要であり、この産業構造調査会において、貿易為替自由化計画の完了する
昭和三十八
年度を一応の目途として、学識経験者に慎重な調査審議を行なわしめたいと存じた次第でございます。
第二は産炭地域振興
審議会の新設でございます。石炭鉱業の構造的不況は、産炭地域に深刻な疲弊をもたらしておりますので、この地域において鉱工業を多角的に開発して、その振興をはかるとともに、地元の石炭需要を拡大して石炭鉱業の合理化に資することとし、このため新たに産炭地域振興
審議会を設け、当画三十八
年度末を一応の目途として産業の開発を中心として産炭地域の振興に関する事項を十分審議せしめ、急速かつ計画的に産炭地域振興対策を推進して参りたいと存じております。
第三は、石炭鉱害対策
審議会の新設でございます。今日石炭鉱害は、深刻な社会問題となっておりますが、かかる石炭鉱害を復旧するための基
本法である臨時石炭鉱害復旧法は
昭和三十七年七月までに失効することとなっております。このため、とりあえず今
国会においてその延長を御審議願うこととしておりますが、すでに同法は施行以来九年に近く、
実情にそぐわない点も多々生じておりますので、この際、学識経験者からなる
審議会を設け、一年間を限り、同法を慎重審議するごとにより、
実情に即した抜本的な鉱害対策を樹立いたしたいと存ずる次第であります。
第四は、鉱業法
改正審議会の期限延長でございます。同
審議会は、
昭和三十四年六月に設置されて以来、鉱業法の
改正について鋭意審議を続けて参ってきたのでありますが、御承知の
通り、同法は歴史も古く、他法令との関連においても種々調整を要する重要な問題がございますので、全面的、根本的な検討を行なう必要があり、このため同
審議会の期限を、現在の三十六年三月三十一日からさらに一年間延長することによって、十分な審議を尽すことといたしたいと存ずる次第でございます。
第五は顧問会議の廃止でございます。顧問
制度につきましては、従来の
運用の経験からしまして、会議体として
運営いたしますよりは、むしろ各個に顧問として重要施策に参画を願い、必要に応じ会議を開催して
意見を徴することの方が妥当であると考え、
審議会の増加をできるだけ防ぐという
国会の御
趣旨にも沿って、今回顧問会議の廃止に踏み切った次第でありますが、顧問
制度そのものは何等かの形で今後も十分活用して参りたいと存じております。
次に通商局及び企業局の所掌事務に関する設置法の規定の
改正でございますが、第一に、通商局の所掌事務に関する
改正といたしましては、今後の通商面における弱視
政策の重要性こがんがみ、通商
政策にかかる関税事務等に関する通商局の所掌事務規定を明確にすることといたしたいと存じます。
第二に、企業局の所掌事務に関する
改正といたしましては、産業立地に関する業務が最近年々増加しており、さらに今
国会において御審議願っております工場立地の調査等に関する
法律の
改正が成立いたしますと、一段と業務の内容が多様化することとなりますので、この際、企業局の所掌事務に関する規定に産業立地に関する規定を加えることといたしたいと存じます。
また、企業局におきましては、
昭和二十七
年度以降、国連児童基金に対し物資、役務を提供する
義務を行なって参っているのでありますが、
提案額も逐年増加している上に、さらに今
年度以降国連児童基金の希望により、同基金の資金による物資、役務の調達委託業務をあわせて行なうこととなりましたので、この際、これらの業務に関する設置法の規定を明確にすることといたしたいと存じます。
以上がこの
法律案の内容及びその
提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第でございます。