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1961-03-28 第38回国会 参議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月二十八日(火曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     鈴木 恭一君    理事            新谷寅三郎君            手島  栄君            野上  元君    委員            植竹 春彦君            柴田  栄君            寺尾  豊君            野田 俊作君            最上 英子君            谷村 貞治君            鈴木  強君            永岡 光治君            光村 甚助君            山田 節男君   国務大臣    郵 政 大 臣 小金 義照君   政府委員    郵政省貯金局長 大塚  茂君      郵政省電波      監理局長  西崎 太郎君   事務局側      常任委員      会専門員  勝矢 和三君   説明員     郵政事務次官 加藤 桂一君     日本電信電話     公社副総裁  横田 信夫君     日本電信電話     公社職員局長 本多 元吉君   参考人      日本放送      協会会長  阿部真之助君      日本放送協      会副会長  溝上 けい君      日本放送協      会専務理事 田辺 義敏君      日本放送協      会専務理事 小野 吉郎君     日本放送協会     理事総務局長 赤城 正武君     日本放送協会     理事経理局長 春日 由三君     日本放送協会     理事編成局長 島浦 精二君     日本放送協会     理事業務局長 首藤憲太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基  づき、国会承認を求めるの件(内  閣提出、衆議院送付) ○郵政事業及び電気通信事業運営並  びに電波に関する調査  (日本電信電話公社職員労働条件  及び待遇の改善に関する件)   —————————————
  2. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) ただいまより開会いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  前回に引き続きまして御質疑のある方はどうぞ順次御発言願います。
  3. 光村甚助

    光村甚助君 会長にお尋ねいたしますが、この間山田委員からの質問に、ラジオ聴取者がだんだんなくなるじゃないかという質問に対して、会長は、ラジオの特色があるからなくならないんだと、アメリカあたりもだんだんラジオがふえつつあるんだと、こう言って非常に自信のほどを示された答弁がありましたが、私もそのラジオを聞く人は少なくならないということは同感なんです。ただラジオは聞いているが金を払わないんだと、これをどうするかということを山田委員も聞いたんだと、あとで聞いたんですが、そういうことを聞いてるんです。それで、ラジオは聞いてるんだけれども金は払わない。そういう面で会長がまだ就任される以前の委員会でも、だんだんこういう情勢になってくるんだろう、それで早くテレビラジオ料金の一本化をやったらどうかということを、再三私はNHKの人にもお話し申し上げたんです。ところがいつまでたっても二本立でやられるものですから、ついラジオを聞く人がラジオ料金を払わない、テレビ一本、こういうことになってくるんですね。それでラジオテレビ料金の一本化ということは研究されておるんですか。それともいつごろお出しになるのですか、それを一つお聞きしたい。前段会長でいいし、後段は経理局長からお聞きしたい。
  4. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) お説の通りで、ラジオはちっとも減りはしないだろう、事実上聞いている人は、たが、料金を払う人が少なくなった、こういうことであります。しかし、この間のお話では、ラジオというのは振り向きもしなくなったという調子でしたので、ついああいうお答えをしたのですが、料金を払ってくれる人はだんだん少なくなってくることは疑うべからざることでしょう。これからも減るだろう。それで自然そういう情勢のもとにおける料金体系を改めていかなければならぬから、だから少なくとも私の心づもりとしては、明年度には御質問のような御趣旨に沿うようなことを考慮に入れて、新しい料金体系は考えなければならぬだろうと私は考えております。
  5. 春日由三

    参考人春日由三君) 先生のおっしゃいますように前々から、ラジオテレビジョン両方を持っている人の料金幾らと設定し、ラジオだけの料金幾らというふうに設定する、いわゆる諸外国でやっておりますような料金体系をとったらどうかという御質問もございました。実は、昨年来この研究をいたしておるわけでございますが、何といたしましても、現在テレビジョンを持っておられます受信者が、現在のところ約八百万なら八百万というところで、そのうちの初期にテレビジョンをお持ち下さいました方は、ラジオもお持ちになったままで両方払っていただいている方々であります。全体のテレビジョン受信者のうちの二四%くらい現実にあるわけでございます。その後にどんどんテレビがふえていきます過程における新しい受信者方々は、テレビジョンだけという形になっておるような次第であります。この傾向は、御指摘のように、むしろ低所得者テレビジョンが普及すればするほど顕著になって参ると思うのであります。現実には今、先生指摘のように、ラジオそのものは相当利用されている。ただ今の放送法では、契約をしなければならないという条文がございますが、立ち入り検査をするわけにもいかず、契約勧奨は一生懸命にいたしますのですが、現実には御指摘のようにラジオ受信契約テレビジョンにどんどん食われていく、それの長い見通しとか、それから、はたして、いわゆる一本化をいたします場合に、現在の三百円という料金に若干ラジオ料金を加えるべきかどうか、そういうふうなことを考えますのは、さっき申し上げましたように、テレビジョンラジオ両方持って両方払って下さる方と、両方持っているかもしらぬけれどもテレビジョンだけしか払って下さらない方というのは、現実に混在しているものですから、その辺の妥当な数字立て方と、それから長い目で見てどういうふうな安定度というものを見出すべきかというようなことを、とつおいつ検討いたしております過程で、来年度予算を編成し、同時にこの予算書にございますように、郵政大臣から三十七年度は安定した料金体制をとれというふうな御意見もついておりますので、今会長が御答弁申し上げましたように、この予算を御承認いただきましたすぐあとに、専門委員会ないしは内部機構におきまして、至急に今までの検討した材料をもととして結論を出して、三十七年度予算編成の際にはそういう体制をとらしていただくつもりでいる段階でございます。その点一つ御了承願いたいと思います。
  6. 光村甚助

    光村甚助君 早くやっていただくならけっこうなのですがね。そうしますと、かりに、これはかりの問題ですが、テレビが三百円、両方とっている人は三百五十円とか、あるいは三百四十円になるとしますと、そうすると今までもラジオを断わっている人はやはり三百円だということになりますね。そうすると、いつまでも正直者が、長く両方払っていた人はばかを見るということになるのですよ。  私は、これは余談になりますが、会長がサンデー毎日に書いている評論なんというのは私はずっと読んでいる。今度も書いておられますが、今まで会長はずいぶん気負い込んで書いたとか、扇をぱちっとやられたような評論も書いたと言っておられますが、私は非常に尊敬しているのですが、しかし実際上自分がそういう経営の衝に当たってみられると、だいぶ違うと思う。そこで言いたいことは、やはり正直者ばかを見ないというようなことをやってもらわなければ、私なんかの収入でしたら、わずか八十五円だからこれはいいでしょうが、三百五十円になった、三百円の人もやはりラジオを聞いているというようなことになった場合には、どういう処置を講じられますか。
  7. 春日由三

    参考人春日由三君) 今先生のおっしゃった点が、実は私どももなかなか踏み切れない点の一番大きな問題なのでございます。御承知のように、たとえばイギリスのBBCの場合を見ましても、テレビジョンをお持ちの方は当然ラジオを持っているという考え方もありますし、持っていても持っていなくても幾らテレビジョンラジオ両方を持っている人はひっくるめて幾らラジオ・プロパー幾らという二本立なのです。今申しますように、たとえば三百八十五円いただくところを三百三十円とか三百四十円とかいう中間の値段を設けますと、御指摘のように、依然として三百円だけで両方使っている人と、三十円か四十円よけいとられる人というようなものがまた出てくる。金額の差は、今年度までの三百八十五円で、若干違っても同じように問題としては残るということは、非常に私どもの頭を悩ましている点でございますので、料金体制を考える場合には、テレビジョンを持っている人は当然ラジオを持っておるという推定のもとに、あるいは持っている持ってないにかかわらず幾ら、それからラジオ・プロパー幾らというふうな二本立に落ちつかざるを得ない。その二本立に落ちつく場合は、当然でございますが、テレビジョンだけの三百円と、テレビジョンラジオ両方持って三百円プラス・アルファーという値段は出てこない、そういうような考え方もかなり有力に部内では出ているわけでございます。いずれにいたしましても、来年度料金体制を確立する際には、御指摘のようにいわゆる正直者ばかを見る、あるいは持っていても黙っていたら払わないで済むのだという現象は、やっぱりこちらの方から合理化して、なくしていくような体制をとらなきやならぬということも考えております。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 関連して。この前の委員会で、これからの今問題になりましたテレビラジオ両方視聴者あるいは受信者が、料金関係でだんだんと減っていくだろうという予想を立てておるわけですね。そうして昭和三十六年から四十年までの大よその構想をお聞きしたんですが、それによりますと、四十年末で六百十二万ですか、減るという勘定になりますね。ところが、私はどうもわからないのは、今光村委員からもお話があったようですが、実際には最近のメーカー方面調査をしてみますと、トランジスターなんかの製造能力というものはかなりふえておりますし、外国向けが八割としても、相当数が国内で販売されておると思うのですね。ですから実際にはテレビを持って、ラジオも聞いておるんだが、八十五円を払うのがいやなものだから、極端にいえば廃止届けをするという、これは明らかな事実があると思うのですよ。ですから、そういうものに対して、今経理局長がちょっと触れられたんですが、協会としてはどういう対策をお持ちになって、やはり両方持っておる人は両方払ってもらう。そうしてラジオテレビのそれぞれの特性を国民に理解していただいて、協力していただくという、PRといいますか、対策といい面すか、そういうものを私は根本的に持つべきだと思うのですよ。そうしてなおかつ、どうしても減るということになると、理解ができるのですが、どうもお話を聞いてみると、そういうふうになっていくだろう。六百十二万が四十年末には減るだろうという、そういう考え方に重点が置かれておるように思うのですがね。これらは最近のトランジスターなんかの販売の点も合わせてみて、何か根本解決がないか。私は、たとえば廃止したけれどもトランジスターを持っておる、家で実際にラジオを聞いておるのかおらないのか、まさか無断で中に入って調べるという権力もないでしょうしね。やはり良心に訴えてやらざるを得ないと思うのですが、そういう点で、ある程度法的な措置をやっても、実際に聞いておる人が払わないというものに対しては、一つ必要措置があれば、法的措置も考えなればならないでしょうし、そういう点をどういうふうに克服していくかということが問題になると思うのですが、それらの問題が一つですよ。  それから、ラジオが六百十二万減っていくんだが、テレビがふえていくから、このあなた方が出しておられる予算の基礎を見ますと、テレビラジオ、それぞれの受信者によってもらう受信料によってまかなうのですから、それに期待しておると思いますが、ただちょっと不審に思いますのは、ラジオが減っても、パワーを減らすとか、あるいは難聴地域があっても、それをかまわぬでおくとかというものではないんですから、むしろその方は積極的にやらなければならない。そうするとラジオの減った分はテレビによってカバーするという格好が出てくると思うのです。そうすると現在の三百円という聴視料が必ず問題になると思うのです。だからそういう点を十分考えた上で、一本化される場合、するときに、どういう料金をきめるかということは、こういうファクターも十分考えなければいけないと思うのですね。ですから、まずテレビだけ持っておる人から見れば、ラジオテレビを引いておったって、両方引いておったって三百円ならば、テレビ料三百円は高いじゃないか、もっと二百五十円にしろという意見が出てくると思う。  ですから一本化する場合、三百円を割るということはできないと思うし、三百円を相当高くすることになると問題が出てくると思うから、その点どういうふうにマッチさせるかということも、かなり苦心のあるところと思います。ですから軽率に一本化して、料金体系を変えるということについては、私たち国民の立場から見ると安い方がいいんですからね、賛成ですわ。ただ、しかし、それだけをとらえて、この委員会政治家として無責任な、経営が成り立たない形で発言することも、これは不見識だと思いますので、だからわれわれは、協会というものがあくまでも自主健全な運営ができる、放送法に示すあまねく公平にサービスを提供するという、そういう思想をくずしたくないわけですから、この前も光村委員がちょっとその点を言われておりましたけれども、その点をどういうふうに考えておられるのか、これが基本になると思いますから、この際伺っておきたいと思います。
  9. 春日由三

    参考人春日由三君) 非常にありがたい御注意でございますが、第一点の、先日申し上げました、私どもの長い見通しで、先生が御指摘のように、テレビジョンが四十年度で約千二百万世帯ぐらいになりましたときに、ラジオが四百三十万世帯ぐらいになるというふうな見通し一つ立てましたのは、私どもの方で受信料をいただく、いわゆる契約対象としてそういう趨勢が出てくるという見通しを申し上げたわけでございまして、これには問題が内在していると思いますのは、もし、先ほども申しましたように、テレビジョン契約者契約料金の中にラジオそのものが入っているというふうな立て方を考えたといたしますと、この千二百万のテレビジョン契約者は即ラジオのいわゆる受信対象者であり、それにラジオプロパーの四百三十万が加わるというような計算も出てくるのではないかと思います。現在の八十五円、三百円で、両方持っている人は三百八十五円という考え方でいきますと、さっき申しましたような長期見通し考え方も出て参りますが、これは非常に慎重を要する問題でありますが、料金が今の三本立が二本立になって、テレビジョン料金の中にラジオの分が入っていくというような立て方になりますと、総体の数字は、依然としてラジオ・プロパーの分を除いたものは全部ラジオテレビジョン両方ある、そういう計算BBCあたりではしているようでございますので、私どもの現在の受信料体系で、契約対象としてはそういう数になるという出し方でございますので、これは第二点の御意見受信料立て方の問題と直接関連する問題だろうと思うのです。実は先日来会長が申しておりますように、ラジオ受信契約者の数は減ってもラジオ利用者というものは決して減っていないということは、いろんな面からうなずかれる点があるわけでございますので、三十五年度は今の御指摘のように、トランジスターラジオを発売する際に必ず、世帯としてほかに契約対象になっている受信機を持たない方は、NHK契約してもらわなければならぬというPRをし、印刷物を全部トランジスターラジオに入れましたり、地方によりましては、それぞれの家庭のラジオ修理班と申しますか、掃除班というものを編成しまして、そういう際に掃除をして上げることによってまた受信契約者がふえたり、それからまた、特にテレビ普及区域にも、来年度も続けてやりますが、ラジオのホーム・セットを持つ運動を展開するとか、かなりいわゆるラジオ利用者契約勧奨努力は尽くしておりますし、来年度予算におきましても、契約者が減るにもかかわらず、やはりそういう運動は続けまして、契約をして聞いていただくような努力は今後といえども続けなければならぬというふうなことを考えております。で、その場合御指摘の第二点の、この料金立て方をどうしたならば、先ほど光村先生もおっしゃったような、正直者ばかを見ないで、しかもNHKラジオテレビジョン、それぞれを通じて全国民へのサービスをすることができるような態勢になるかというふうなのが、安定料金立て方のキー・ポイントだろうと思うのでございまして、この点につきましては、なお今後十分勉強さしていただきまして、来年度予算編成までには結論を得たい、こういうふうに考えております。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 前段の、ラジオ受信機を持っているのだが、廃止するという人に対する対策ですが、まあ掃除班を作るとか、チラシを入れてやるとかいうような、そういう程度のものでいいのですかね、もうちょっと何とかそれを、実際に聞いていない人はいいですよ、トランジスターなんかであったらわからぬですから、どこかへ置けば。そういうものを少し、摘発するというのはおかしいですが、少しはっきりさせるようなうまい方法はないものですか、何か電波監理局の方で不法電波をキャッチするものがありますが、ああいうふうな格好で何かうまい方法はないですか。そこへ行ってみたら、聞いているか聞いていないか、ちょっとしたらわかる、そういう機械はできないでしょうか。何かそういうふうなものとか、あるいは玄関ぐらいまで行って、ありますか、あるかないかということは聞けないでしょう、それ以上家の中へ入っていくわけにはいきませんから。その辺は国民の、受信者の良識に待つのだが、待っていたのでは、今言ったような正直者ばかを見るような格好になるのですよ。だからそこのところが法的に何かやりいいような方法を考えても、そういう不正な受信者に対しての防止策、といいますか、そういうものを考える必要があるのではありませんか。予算が必要ならば、そういうものはとってやることが、協会の使命じゃないですか。ただ数字的に六百十二万減って四百三十万になり、テレビが千三百二十四万になるというようなことを考えているのだが、そういうあらゆることを考えた上で出しているとは思われないのですよ、僕の今まで聞いている答弁をみると。そこいらも研究をもう少し協会としても技術的に、電波監理局あたりとも御相談なさって、何かそういう防止策というものを考えることが先決じゃないですか。
  11. 春日由三

    参考人春日由三君) 御意見通りだと思います。実は昨年来NHKでは廃止防止対策、いわゆるラジオ契約をやめたいという方々を防止する対策というものを立てまして、三十五年度においては一億円以上の予算を使ってこれをやっているわけでございます。三十六年度も、ただいまの予算に盛っております事業内容といたしましては、ラジオ加入世帯ですね、その世帯の名簿の整理、これを町内会とか郵便局などに照会して、未加入世帯同居世帯契約の実態を把握して、契約勧奨のための資料とするとか、あるいは先ほど申しましたようにポータブルの新製品の中に全部契約勧奨印刷物を入れるとか、あるいはポスター、それからやめたいという世帯にはすぐこちらからかけつけて、その理由を伺い、それから、それが受信機の故障であれば、こちらが直して上げる、そういったいわゆる対策、それから受信者のいわゆる契約啓蒙のしおりとか、契約尊重のカレンダーとか、あるいは新規契約して下さった方々には、すぐに契約してもらったお礼及びあいさつ状、その他再加入をやめた方に対する再加入勧奨とか、そういうふうなものを手を尽くしてやっておりますので、三十五年度の実績だと、そのうち百六十八万ぐらいの継続勧奨をいたしまして、二十万世帯ぐらいはやめたいというものを食いとめているわけです。この措置は三十六年度も引き続き計画的にいたしまして、できるだけ廃止を食いとめる措置は、予算も、それから現実の仕事の上でも続けて参りたいと考えているわけです。しかし、今御指摘のように、せいぜいまあ受信機が故障したからやめるというのは直して上げるとか、あるいはラジオというものは、テレビジョン時代においてもなおかつ利用価値があるものだから、ぜひ続けてもらいたいという程度が限度でございまして、おっしゃいますように、中へ入ってまで調べるわけにもいかぬし、強制するわけにもいきませんものですから、現在法律及び社会通念の許す範囲におきまして、できるだけほんとうに利用されている方々契約して、フェアに、気持よく利用していただけるような契約勧奨ないし復活運動というものは続けて参りたい、今後ともいろいろな方法を考えて参りまして、できるだけ御趣旨に沿うような努力を続けて参りたいと考えております。
  12. 光村甚助

    光村甚助君 大体まあ鈴木さんの言われた通りで私もけっこうなんですが、このままでいけば、ほとんどラジオだけの予算ではラジオの維持はできないのです。私たちはこの正月、寺尾先生らとへんぴな地方へ行きましたが、鹿児島のいなかで、朝鮮放送ばかり入っているのにラジオ料金が払えるか、こういう人もおりまして、何とかしなければ難聴地域解消もできない。しかし、実際考えてみますと、トランジスターラジオを持っている人は二千万以上三千万近いといわれている。私はずっと前の委員会で、これは金をとったらどうだ、一瞬の家に一つラジオがあったらこれはとらないのだ、こうおっしゃつたので、私はなるべくとらない方がけっこうだと思ったのですが、だんだんこういう結果になって、非常に遺憾だと思っているのですが、くれぐれもその点、今鈴木さんからおっしゃったように、何とか早く立ち直りをしなければ、ラジオ予算ラジオはまかなえなくなってくる。難聴地域解消というものもますますできなくなりますので、よけいにとれというんじゃないのですから、ほんとうラジオを聞いている人からとる方法を講じてもらいたいということですから、それにはわれわれも協力いたしますから、さっき私が言いましたように、ほんとう正直者ばかを見ないようなことをやっていただきたいということを、会長に特にお願いしておきます。  それからもう一つは、私はまだ勉強不足で見ていないのですが、ラジオNHK番組編成会議というのは、どういう方法でやっておられるのですか、どういう人たちがやっておられるのですか、それをお聞きしたいのです。
  13. 島浦精二

    参考人島浦精二君) ラジオの点でございますか。
  14. 光村甚助

    光村甚助君 ええ。
  15. 島浦精二

    参考人島浦精二君) 私の部内編成会議番組関係の、簡単に申しますと、報道と教育と芸能と、三局がいわゆる番組を担当しております現場の局でございます。それに編成局が加わりましたものを中心にしまして、毎週一回番組編成会議というのをして、ラジオテレビ別々ではございませんで、一緒にやっております。具体的な番組がそれぞれの担当局から提案されまして、そこで審議をいたしまして、具体的な番組がきまっていくというのが、簡単に申しまして現場に直結した組織なり方法でございます。  それからもう一つ、多分今のは番組審議会の問題も当然御質問の中に入っていると思いますが、これは放送法の定めるところに従いまして、東京に全国のいわゆる全中番組あるいはNHK番組全体に関します中央番組審議会というのが一つございます。そのほかに各中央局別と申しますか、ブロック別の地方番組審議会というのがございまして、一つは関東甲信越、東京管轄内の地方局のための関東甲信越、そのほかに近畿、中部、中国、九州、東北、北海道、四国と、それぞれ地方番組審議会がございまして、それが原則として毎月一回会議を開きまして、それぞれの番組の特に大きな問題について御審議を願っているというのが実情でございます。
  16. 光村甚助

    光村甚助君 それはあなたの方の局の人たちだけでやっておられるのですか。民間人というのも入っているのですか、入っておればどういう人が入っているのですか。
  17. 島浦精二

    参考人島浦精二君) 先ほど申し上げました毎週のものは現場の者だけでございますが、今申しました番組審議会は、これは会長の諮問機関といたしまして、部外のいわゆる学識経験者の方々にお集まりを願っております。資料に差し上げてあると思いますが、中央番組審議会及び地方番組審議会委員をお願いいたしました方々の名簿も全部差し上げてございます。
  18. 光村甚助

    光村甚助君 そこで私のお聞きしたいことは、私たちが散髪屋に行くと、しょっちゅうかかっているラジオは民間のラジオばっかりなんです。NHKラジオなんか聞いたことはない、全然。この点についても、あなたの方の幹部諸君にもお聞きしましたところ、散髪をする時間なんかNHKのような、やはり高尚な、高級といいますか、高尚なものはあまりかけないと言うのです。やはり民間のようなラジオをかけておいて、散髪をしている時間なんか、何というか、のんびりやらしてるんで、高尚なものをかけない、こういう御意見だった。一日朝から晩まで聞いていたら、NHKのいいことがわかるとおっしゃったのですが、われわれは不幸にして一日朝から晩まで聞いていて、民間とどちらがいいなんという批評はできないのですが、実際上できないのですけれども、いわゆる散髪屋で朝から晩まで民間のラジオをかけるという点は、やはり庶民階級に愛されているということだと私は思うのです。そこで、この前の議運でも、それが問題というのじゃないのですが、官房長官にもお聞きしたのですが、官房長官に聞く筋合いではないけれども、少なくともラジオというのは金持ちとか、何というか、上流階級がおもに聞いているのじゃない。大衆が聞いているのですね。ラジオの八〇%というものは大衆なんです。そういう中からこのNHK経営をしていく。あるいは労働代表とか婦人代表というものを選んだらどうか。あるいはさっきおっしゃいましたように会長の委嘱する民間人の中から、番組の編成をするような場合には、そういうやはり大衆の中からも選んだらどうだということも質問をいたしたのですが、ただNHKラジオとか、あるいはテレビというのは、聞いている者から金をとるというだけで、ほんとうに民間と競争して、りっぱなものを聞かしてやるという気組みがあるのかどうかということを、われわれは非常に疑問に思っているのですよ。そういう点で何かお気づきの点がありませんか。
  19. 島浦精二

    参考人島浦精二君) 先生がおっしゃる通り、私どもはそば屋に参りましても、いつも鳴っているのは民間のラジオの方が鳴っている場合の方が多いように思います。私どもとしましては、この予算審議過程におきましても、しばしば問題になっておりますように、ラジオ聴取者が減って、従って協会経営の方からは、ラジオ番組に注ぎます経費も、これからどんどんふえていくというような形勢にはないということは、私どもも考えておりますが、しかし、番組を担当しております者、みなの考え方には、ラジオ聴取者が減るというのは、ラジオ番組を組んでいるわれわれの責任でもあるということを考えまして、何とか先ほどからお話廃止防止対策というもの以前に、番組聴取者をつなぎとめる、そういう意気込みでやらなければならぬというふうに考えております。  そこで、一つの問題は、大体床屋の例が出ましたけれども、床屋にこだわるわけではございませんが、民間放送の番組というのは、主としてレコードを使いました歌謡曲を中心にした音楽番組、軽音楽の番組が非常に各局とも分量にして多いということが、そういうところで聞かれる大きな原因だろうと思います。私どもといたしましては、そういうものばかりにするわけにいきませんので、おっしゃるように比較的かたいものなどが間に入って参りますので、大体かけっ放しにするそういう職場では、民放の方が多く聞かれるということも現実の姿としてはその通りだと思います。ただ私どもは、ここ一、二年考えておりますことは、テレビジョンがございませんでしたときのラジオ番組と、テレビジョンができてからのラジオ番組には、相当、非常な変化がなければならぬということを考えまして、テレビ時代におけるラジオ番組はいかにあるべきかということを一つの課題として、本年度及び明年度番組編成にあたりまして、そっちの方向に、一足二足われわれの予想します形に向かって踏み出したというわけでございます。  簡単に申し上げますと、かつてラジオは家庭団らんの中心にあったものなんです。今はテレビジョンがそれにかわりまして、いつも大体一台のテレビジョンのところに家族が集まって見ていらっしゃいます。ところがラジオは、トランジスターの普及もございまして、それぞれの部屋で別々に、母親が聞くもの、あるいは学生が聞くもの、子供が聞くものというふうに、それぞれに聞いている。それから大体、何かしながらラジオを聞いているという場合が多いということで、いわゆる「ながら番組」ということを考えまして、番組のワイド化あるいは形式を単純にして、仕事をしながらでも聞きやすく聞ける番組という方向に踏み出しまして、何とかラジオ聴取者をつなぎとめていきたいという努力はしていくつもりでございます。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 今、光村委員の御質問の中に、番組審議会の編成をする場合の審議会の中にちょっと変わった人を入れて、たとえば床屋のおやじでもいいのですが、何かそういう人から、直接民放とかNHKとかを聞いた上で、こうした方がいいだろうという意見が出てくるのじゃないかと思うから、そういう大衆向きの人も委員の中に入れたらどうかという質問があったわけですが、その点なんかも、一つ番組を編成する場合の貴重な意見になると思うのです。ですから審議会の運営についてももう少し考えたらどうかという質問があったのですが、この点についてはどうなんですか、今お答えがなかったから関連してお伺いするのですが。
  21. 島浦精二

    参考人島浦精二君) 御意見のような考え方も私どもに全くないわけではございません。ただ番組審議会の中には、現在そういう何といいますか、床屋の主人とか八百屋のおかみさんという者は入っておりませんですが、広くそれ以外の方の番組の御批判をいただいておりますモニター制度というのが別にございます。これは大体三カ月くらいを期間としまして、それぞれの方々に特定の、たとえば婦人関係番組をあなたは聞いて下さい、ドラマ関係のものはあなたお聞き願いますというふうに一応の担当をきめまして、そういう方々から直接聞いた番組に対する御批判をいただくとともに、また将来の番組のあり方に対する御希望を伺いまして、これは大体書いたもので御報告をいただいておりますが、それから大体三カ月の一期間の間に一度お集りを願いまして、一回とは限りませんが、何回かお集りを願いまして、そういう方々の会合を持って直接御意見を伺うようなことをしておりますので、今先生のおっしゃった意味のことは、そういう面で私ども努力しているということになると思います。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 そういうモニター制度、さらにモニターに集まっていただいていろいろな階層の意見を聞くのはけっこうです。私はその点を聞いたら安心したのですが、ちょっと不勉強だったと思うのですが……。そうしますと、そういう中でいろいろな意見が出てくると思いますね、それを百くらいの中で幾つくらい取り上げるというか、パーセンテージはどうなっているのですか。全然取り上げるに匹敵しないような意見ばかりなのか、それとも、それを受けて審議会が相当に取り入れているかどうか、そのパーセンテージはどの程度なんでしょうか。
  23. 島浦精二

    参考人島浦精二君) はっきりパーセンテージといわれますと、ちょっと困りますが、私どもとしましては、おっしゃる通り、必ずしも何といいますか、積極的に取り上げていくというような意見はそう多くはございません。しかし、いろいろなことをおっしゃる中から、少しでも、御意見全体でなしに、その一部にしましてもなるほどと思われる点が多々ありますので、そういう点はモニターの文書報告、あるいはお集まりになった会合の席にもなるべく担当者が多く出まして、反映させるということに努力はしております。ちょっとパーセンテージといわれますと、どのくらいの数字かということは申し上げかねますけれども
  24. 鈴木強

    鈴木強君 今局長のお話の中にもあったように、われわれがちょっと聞いておっても、長い話ですと、途中で聞いたり、それから途中で切ったりしますが、何かカレント・トピックスとか、そういうふうな形で、日常のいろいろなものをぽっぽっと入れていくような方法にしたら聞きいいのじゃないかと思うのですが、要するにバラエティを考えてやれば、かたい話ばかりやっているとつい聞かなくなって、民放の方じゃ音楽をやっているからそっちを聞くということになっているので、そこらをときどきうまくバラエティに富んだ編成をしていったらかなり聞くのじゃないかと思うのですが、しかし協会の立場ですから、民放のまねをせいというのじゃないけれども、民放は民放のよさ、協会協会のいいところがあるので、それはある面では逆に聞いているでしょうが、できるだけ大衆に聞かして、あなたのおっしゃったように予防対策というようなものの前に、番組を通じて聴取者を離したくないというような思想があるとすれば、もう少し積極的に踏み切って、前向きにいくような方法も考えてごらんになったらと思うのですが、私たちがずっと聞いておっても、多少バラエティに富む点が欠けているように思うのですが、そこらはどうですか。
  25. 島浦精二

    参考人島浦精二君) 先ほどちょっと申し上げましたラジオが仕事をしながら聞くような態勢になったということから、今先生のおっしゃったような番組が、最近私どもの方の番組でもふえてきていると思うのです。たとえば以前の番組の形からいいますと、何時何分から講演というのがございまして、そこで前の番組とは無関係にぴしゃっと講演が始まったという形のものが多かったのでございます。最近のラジオ番組としましては、一時間くらいを、大体たとえば婦人対象なら婦人対象というふうにきめまして、その一時間のうちにお聞きになっている万からは何時から何が始まって、何分から何を始めてしまうという形ではなくて、大体音楽のようなものでつなぎながら、その間にちょっとした台所メモがあったり、ちょっとした何か社会時評のようなものがあったり、あるいはちょっとした朗読あるいはドラマというようなものが簡単な形であったり、大体ラジオというものは、特に昼間のラジオはそういう形が多くなって参りました。私どもとしましても、民放のまねというのではなしに、私どもの立場からそういう形式を考えまして、特に四月の番組改定にあたりましては、そういう面の番組がかなり大幅にふえていくはずでございます。
  26. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  27. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 速記を始めて下さい。
  28. 山田節男

    山田節男君 これは委員長にお願いするのですが、郵政大臣がお見えになって、NHKの代表の方とあわせて詳しい御質問を申し上げる部分を省きまして、以外の質問をしたいと思うのです。  実は三十三年から第一次五カ年計画をお立てになって、三十六年度で第四年度になるわけですが、それに関していろいろ御質問申し上げたいのですが、まず第一に、FMの放送計画ですね。第一次五カ年計画から少なくとも三十五年度の三年間、第一次計画のプランでお示しになった程度でどのくらい今進捗しているのか、これを一つ承りたいのです。
  29. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) FM放送の計画につきましては、簡単に申し上げますと、全体の計画が非常におくれております。現在は御承知のように東京と大阪で実験放送をやっております。それからこれも御承知のように東海大学でも実験放送が行なわれております。ですから現在は東京と大阪で実験放送が行なわれるだけでございます。当初の計画におきましては、いろいろFMのチャンネル・プランの決定、あるいはその他いろいろの運営方針が決定いたしますところに応じまして、FMをだんだん展開さしていくつもりでございましたが、若干の、計画には御承知の全国的な計画も入れておりましたが、現在におきましてはそれが一応とまっておるような状況でございます。
  30. 山田節男

    山田節男君 これは計画によりますと、少なくとも三十五年度ではFM放送の受信者が十万世帯ある。三十六年度においては二十五万世帯になると、こういう計画でおやりになって、非常におくれておる。その原因はどこにあるのですか。施設がおくれているのか、あるいはFMの受信機値段が高い、その他等によって普及しないのか、あるいは郵政省のFMのチャンネル・プランがはっきりしないからおくれておるのか、その隘路はどこにあるのですか。
  31. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) 現在、先ほど申し上げました実験放送によりまして、若干の受信者がございますが、この正確な数字はあるいは十万といい、あるいは十五万といっておりますが、実験放送でございますので、正確な数はつかんでおりませんが、大体その辺ではないかと思われます。それから受信機値段につきましては、当初は相当高価でございましたが、最近におきましては、一番安いものは中波のラジオあるいは短波も含めまして六千円台のものが出て参りましたので、値段につきましては相当安い方向に向かってきたかと思います。問題はまだFMにつきましては若干の技術的な基準になりますデータの不足な点がございます。たとえばチャンネルをきめます場合に、同一の場所で放送いたします場合に、どのくらいのチャンネルを離したら、どのくらいの周波数を離したらいいかということとか、あるいは当然FMになって参りますと、ステレオ放送といいますか、立体放送というものが考えられるべきものかと思いますが、それらにつきましてのまだ技術的なデータがまだ十分そろっておらない点もございます。そういう点もございますが、また、大体、ヨーロッパあるいはアメリカにおきましては、相当前からFMが相当普及しておりますので、それらを基準にいたしますれば、大体まあ技術的な基準はそう長くかからないででき得るかと思います。問題は、あとはそれに根本的なFMをどういうふうに使っていくかというような問題、あるいはそれに伴うチャンネル・プランの決定、これは郵政省の所管されるところでございますが、これはプランがきまれば、私どもの方といたしましても、当初の計画通りFMを進め得るかと思っております。
  32. 山田節男

    山田節男君 FMのチャンネル・プランは予定通りにこれはNHKをして実行せしむることができるのですか、FMの周波数帯ですか……。
  33. 西崎太郎

    政府委員(西崎太郎君) NHKのFM放送に対する五カ年計画、これがおくれておる原因の相当大きな部分を占めるものとしましては、今田辺専務理事が言われましたように、FM放送に対するチャンネル・プランと申しますか、免許方針というものがまだ確定しておらないという点があることは、われわれとしても率直に認めざるを得ないと思うのであります。まあこの点につきましては、御承知のようにテレビの普及という問題が当面の問題でありましたために、非常に着手がおくれましたことは申しわけないと思っておりますが、先般来申し上げておりますように、世界的な情勢に対処するためにも、なるべく早く免許方針をきめたり、あるいはチャンネル・プランを決定したいと思いまして、現在それの前提になります技術的な基準の作成を急いでおるわけであります。
  34. 山田節男

    山田節男君 元来NHKが第一次五カ年計画−FM放送については、今申し上げたように三十七年度、第五年度においては三十五万世帯をカバーする受信者ができるくらいの意気込みでFM放送局を置いて、そうして行く行くはこれをBBCの第三放送的な、いわゆる高度の教養、音楽、こういう構想を描いて、これはちゃんと資金計画を立てておやりになっているにもかかわらず、これは政府の怠慢とも申せませんが、さっき電波監理局長が言われるように、いまだにFMのチャンネル・プランもはっきりしない。NHKは少なくとも数字的あるいは資金的には計画を立てている。しかもなお依然として実験放送的な段階にあるのだ。こういうことを見まして、なるほど、ヨーロッパにおきましてはFM放送が盛んです。しかし今日の日本の現状から見まして、民間放送が非常にある。NHKも第一、第二放送を持っているが、さらに超短波のFM放送がはたして必要かどうか。もしBBCの第三放送的なものにするならば、むしろ第二放送の教養番組をこれは時間的に聴取できる。これは第二放送のあるプログラムがかなり高度なものにしますと、なるほど聴取者は三十万か五十万ないかもしれない。しかしその効果というものは、BBCの第三放送と同じように、これは受信者聴取者数というよりも、質ということになれば、私は必ず専門的な高度な番組が要ると思いますが、FM放送で第三放送式にやるということは、これは私は民間放送と競合している今日、NHKとしては相当考える必要があるのじゃないかと思いますが、そこでお伺いしたいのは、NHKあるいは郵政省として、一番重大な問題はラジオの混信です。いわゆる難聴地区を解消するのに超短波のFMを使うという、こういうような御計画の御意思はないのですか、技術的に見ましてですね、その点を承りたい。これは郵政省も御答弁願いたい。
  35. 西崎太郎

    政府委員(西崎太郎君) 先ほど申し上げましたように、まだFM放送の免許方針自体確定しておりませんので、はっきりは申し上げかねるわけでありますが、当然今先生が御指摘になったように、中波に対する混信対策あるいはまた、中波自体で難聴地域を救済できない場合には、あと残されているラジオの媒体としましてはFM放送以外にないわけでございます。当然そういった場合にはFM放送が優先的に利用されてしかるべきではないか、こういうふうに私個人としては考えております。
  36. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) ただいまの御質問に関連いたしまして、若干これは私の個人的な意見も入っているかと思いますが、少し申し上げてみたいと思います。  FM放送につきましては、今の難聴地区の解消というような意味で、主としてヨーロッパにおきましてはFM放送は非常にまあ、いわゆる標準放送と申しますか、中波放送の波の割当の数が少ない各国におきまして、それを補うような意味が非常に強く、そういう状態でFMが発達したと思います。これにもいろいろございまして、たとえばBBCのように、中波放送と全く同じ番組をFMで流している国もございますし、フランスのように、大体第三放送的な意味で別な番組を流しておる国もございますが、あるいはドイツのように両方まぜたような国もございますが、要するに中波の波の不足を補うというような意味あるいは中波の混信を避ける対策、そういうような意味でFMが相当ヨーロッパでは発展してきたのではないかと思っております。しかし日本におきましては、今までの経過は、最近におきましては、非常に外国電波の混信その他で中波も夜間におきましては難聴地区が昼間に比べまして増加しておりますが、その状態におきましても、なおかつヨーロッパの状態よりもはるかに中波の割当あるいは中波の聴取状態がいいと思います。そういう意味で、それからもう一つは、FMの受信機が非常に安くなってきたとは申しますが、これを相当多数の大衆がそのFMの受信機を新しく買わなければ放送受信できないということは、非常な負担でございますし、まあそういうことをいろいろ考えまして、将来日本におきましては、必ずやはりラジオにおきましてはFMが中波にかわるような方向にだんだん進んでいくと思いますが、それにはまだ相当の時間がかかるのではないか。従いまして現在におきましては、FMというものはやはりすぐ中波にはかえられないような状況じゃないか、かように考えております。
  37. 山田節男

    山田節男君 これはまあ前回にも申し上げましたように、NHKのいわゆる国民放送として、しかもあまねくこれは普及せしめる、あまねく受信できるようにするということが、もうすでに今日戦後十数年間努力されながら、いわゆる混信を起こす原因というものは、単に地理的な状況ばかりでなくて、都会における自動車の増加、まあその他の混信のもとになるものがますますふえる。外国電波の混信というファクターがまた現われて、先ほどもどなたかの委員から指摘されましたように、ある土地にいくと日本のラジオが聞こえないというのが現状です。そういうことをこれはとにかく解消しなくちゃならぬ。これは公共放送ですから、それがためには今申し上げましたように、このテレビにおきましても、VHFでチャンネルのないものにつきましては、UHFのチャンネルで解消しようというプランが発表されておるのです。ラジオの場合、まだ民間放送でそういう問題が起きているかどうか存じませんが、せめて公共放送に関する限りは難聴地区の解消ということは何ものをおいてもまず優先的にやらなくちゃならない。それがためにはこれは技術的にというと少し口はばったいことになりますけれども、われわれ常識から考えてみても、中波の標準放送でもってはもう周波数帯もない、そしてそれよりもむしろFMで、超短波のFMで難聴地区を解消する。そういうことはテレビにおいてすでにそういうことが実現されておるのですから、標準放送におきましても難聴地区——新しい外国混信とか、こういうものに対して、単に増力するということで対抗するのでなく、これは郵政省としても増力指導をするというのは、法の精神からいってもいけないと思いますから、そういう質問を申し上げるのですが、そういうことをしないで、むしろFMで解決する。こういう根本的な一つの方策をお立てにならぬと、増力をするとか、あるいは中継をふやすとかいうことでは、一つも解決できない事態に当面しているのではないかと私は思うのですが、西崎電波監理局長が言われるように、FMのチャンネル・プランもきめていないのだ、こういうことでは、NHKがやろうとしてもできない。ですからこの間のどうですか、NHKとしてこういう第三放送的なFM放送を今後ますますふやす、当面の問題としては、それよりも難聴地区の解消国民のために急務ではないかと思うのですが、こういう根本的な問題についてNHKはお考えになっているかどうか、この点一つ承りたい。
  38. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) FMについていろいろ御指示をいただきまして、実は計画の当初からだいぶ予定が狂っておりますのは、先ほど来御説明のありましたチャンネル・プランの問題もございますが、最初は、つまり先ほど田辺専務からお話ししましたように、ステレオでない普通の方法でやろうという計画で進みましたが、最近になりまして、どうせやるならばやはりステレオ式でやった方がいい。これは世界的な傾向でございますから、そういうふうな点もあって、若干おくれているというのも事実だと思います。それから将来——将来といわず、先生のおっしゃるように、いわゆる標準放送のかわりにFMを使うかどうかという問題につきましては、たとえばイギリスのBBCのごときは、現在標準放送をやるかたわら同じものを、全く同じものをFMでも同時に放送しているわけです。二重施設をあえてしても、全然もうほとんど標準放送に見込みがないものですから、それだけの覚悟をきめてやっているわけです。そういうことまですれば、もちろんそういう方向に向けることはできますけれども、今の日本の、中波の相当悪い状況ではございますが、ヨーロッパにおけるほど混乱しておる状況ではないものですから、今ここで第一放送、第二放送全部、将来FMに切りかえる措置を今からすぐ講ずるという必要があるかどうかは、かなり疑問だと思うのです。われわれとしましては計画当初から第三放送と申しておりますのは、第三放送という形態をとって、なるべく早い機会にFMを全国的に普及しまして、その上でその普及されたFMを、その時期になってどう利用するか、あるいは中波のかわりに利用するか、あるいは第一放送とどういうふうに組み合わせるかというふうなことは、そのときになって研究したいという腹をもって、一応第三放送として受信者に魅力を持たせながら発展させる、こういうふうに考えている次第でございます。
  39. 山田節男

    山田節男君 これはくどいですけれども、やはりどの波にしましても、周波数帯というものは、バンドはこれはもう有限的なものですから、しかも、これは国民の共有物ということになれば、郵政省としては、この周波数バンドは、これは慎重な割当をしなければならないし、将来の使用計画を持たなくちゃならぬわけです。NHKが今のFMというものに対してのそういう御意見ですが、これは郵政省にお聞きしますが、民間放送あるいは新聞社等がFMの放送を相当申請しているように聞くのですが、先ほどお話があったように、まだFMのチャンネル・プランはできていない。現在かなり多数に上るように私は想像するのですけれども、そういうような需要とチャンネル・プランとの食い違いと申しますか、時差があるわけですが、郵政省としては、今まで非常におくれているFMのチャンネル・プランを、少なくとも今年度、来年度、三十六年度ならば三十六年度内に具体的にきめるというような腹がまえでいらっしゃるのかどうか。それから同時に、先ほど申しましたように、標準放送の難聴地区の解消にFM放送を向けるというような一つの案を立て得られるかどうか。これは周波数バンドの割当から申し上げているのですが、そういう余裕があるかどうかという問題ですね。他のFM周波数帯を使う需要もお考えになって、FMのチャンネル・プランというものは、そういう場合にNHKに対して割り当て得る余地があるかどうか。これは大体の見通しでいいですけれども、  これを承りたい。
  40. 西崎太郎

    政府委員(西崎太郎君) お説のように今FM放送に対して申請局数というものは約二百局に上っております。それからまた、民放連からはこのFM放送の免許についての意見書といったようなものも出ておりまして、だんだんとこのFM放送熱というものが高まってきておるようにわれわれの方で感じておるわけでありまして、そういった意味から、できるだけ早くチャンネル・プランを決定して、免許の段階に持ち込んだらいいんじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございますが、何分にも周波数のバンドが有限でございますし、またFM放送は、ラジオとして最後の媒体でありますので、標準放送あるいはテレビをも勘案しまして、総合的な観点から、その免許方針を決定すべきではないか、こういうふうに考えておるわけであります。そして、このFM放送免許についての考え方というものを、今までいろいろな方面からの意見をもとに考えてみますと、一つは、先ほど来お話しの混信対策といった考え方に立つもの、もう一つは、従来の中波によっては実現しなかったような専門的な放送、すなわち教育放送であるとか、音楽放送、そういったような、いわゆるファンクショナルのブロードキャスト、こういった面に重点を置いてもらいたいといったような二つの考え方があるわけでございまして、それをどういうふうに限られたチャンネルの範囲内において満たしていくかということが、やはりこのFM放送免許についての一番大きいポイントじゃないかと思います。しかし、いずれにしましても、いずれこういった問題は、識者の御意見を十分拝聴して、慎重に決定いたしたいと思いますが、何と申しましても、現在ある放送の代替といいますか、要するに混信対策という面は、最もFM放送の免許にあたって優先的に考えてしかるべきではないかと、こういうふうに、これは私見でございますが、そういうふうに考えております。従いまして、ただいまお話しのNHK難聴地域救済ということのためには、もちろんこの中波をさしあたっては重点を置いて考えるべきでありますが、中波によってまかなえない面につきましては、このFM放送を使っていくというのが、これがまた放送法の精神でもあるのじゃないかと、こういうように考えております。
  41. 山田節男

    山田節男君 大体概略わかりましたが、私はこの際お願い申し上げておきたいことは、たとえばテレビのチャンネル・プランにつきましても、VHF帯を初めから公共放送、民間放送に開放したために、今日となってVHF帯というものが今度混雑してしまって、UHFを使わなくちゃならない。このテレビのVHFのチャンネル・プランのような、こういうような何といいますか、結果において国民の不便、不経済な事態を現わしているのですから、少なくともFMに対しましては、超短波のFMに関しましては、ただに、テレビにおけるVHF帯の割当というような、こういう無政府的なことをやらないで、もっと計画的なプランを政府がいち早くきめておいて、それから同時に、何と申しましてもNHKは公共放送ですから、難聴地区の解消ということについて、そういう基幹的なプランを作れば、これはもちろんNHKに優先的に私は割り出てるべきだと思う。これはテレビの場合も大体そうなっているのですから、ですから、これは郵政省が立てるにつきましても、NHKの構想なりプランがありませんと立てられないと思います。  ですから私は、日本はヨーロッパと違います。先ほど申し上げたように、地理的あるいはその他の混信状況においてヨーロッパとは、日本はまだ非常に有利な状況にあるのですから、しかし、やがてはこれはヨーロッパに近いような事態に入るということは、これはもうはっきりしているのですから、今のうちにNHKもFMを、単なる将来第三放送的なものにいくのだという目的を持ちながら遅々として進まない今日、むしろ実験放送というものをそういう方面でも研究をする、こういう方に使った方が、私はむしろ国民のためにいいのじゃないか。ですからこういう点は、何も私は今の五カ年計画によるFM放送の完遂に邁進しろ、こういう激励をするよりも、むしろそういう方面のFM放送をどうするかという二とを、NHKとしまして真剣に一つお考え願いたいという希望を申し上げておきます。  それから、これはトピック的な質問になりますが、利けさちょっとニュース・ウイークを見ておりましたら、アメリカが五月以降の最も天候の恵まれた状況におきます場合には、エコー第二号を発射するかもしれない、その準備をやっている。これは昨年新谷、寺尾両君とも実地を見たのですけれども、エコー第二号が成功した場合には、電話電信、テレビの中継も実験するわけです。そういう場合に、一体日本はどこがやるのか、少なくとも映像を伴うテレビの中継試験となれば、国際電信電話会社ではできない。そうなればやはり日本の放送業者のどれかがこれを受け持たなければならない。NHKでやるか、あるいは民間放送のどれがやるか、こういうような受け入れ態勢というか、これをやはり協力のために、技術の上において相当正確な責任の持てるエコー第二号の少なくともテレビジョンの中継をどこがやるのか、こういうことについて政府なり、あるいはNHKの方で、自分がやらしてもらいたい。やらしてもらいたいというためには、相当技術的な自信がなくちゃならぬのですけれども、そういう段階にあり得るのかどうか、この点をちょっと伺っておきたいと思う。
  42. 西崎太郎

    政府委員(西崎太郎君) エコーの打ち上げられるということは、実はまだ寡聞にして私聞いておりませんが、いずれにしましても、いわゆる通信衛星というものがこれから相当ひんぴんと打ち上げられまして、それによってテレビジョンも含む国際的な通信幹線というものを設定するための実験なり努力が各国ともこれから払われていくような情勢にあるわけであります。そういう意味からいいまして、日本としてもこれに対処するところの態勢をやはり急速に整えなければならないと思っております。いずれテレビの国際中継といったような場合の形態として、運営形態といいますか、考えられるのは、やはりこれは国際電電が担当するのが筋ではないか、それを使いまして、NHKなり、あるいは場合によっては民間放送がいわゆる専用回線として利用していくということになるのではないかと思いますが、そのためのそれでは実験をどういう格好で強力に推進していくかということにつきましては、実はまだはっきりした具体的な態勢はできておりません。まあ今寄り寄り郵政省が中心となりまして、電波研究所であるとか国際電電であるとか、NHKであるとか、こういったようなところの関係者が寄り寄り相談しておるという段階でございます。いずれにしましても、今度政府の予算が認められますれば、電波研究所でも直径三十メートルのパラボラ・アンテナが年一度内に完成するということになるわけでありますし、また国際電電としましても、そういった将来に備えて実験を推進されるという計画を持っておられるようでありまするから、こういったところが全部協力しまして、早く外国におくれないように受け入れ態勢を整備して参りたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  43. 山田節男

    山田節男君 私がなぜそういう質問を申し上げるかというと、ことし、おそらくエコー第二号をもし実験した場合、少なくとも一九六四年のオリンピックが東京において開かれるまでには、今の技術の進捗状況を見ますと、大体このテレビの中継ということは、今度三千マイルですけれども、理想とする二万三千マイルまで打ち上げが成功すれば、これは三つ上げれば世界をカバーするのですから、そうなりますと、案外世界のテレビ中継ということは早いのじゃないか。  それから、もう一つ、なぜそういう質問を申し上げるかというと、国際電信電話株式会社がこれを受けるのだということをおっしゃいますが、これはいわゆるコモン・キャリアですね、公衆通信に関する外国の、エキスターナルのものについてはKDDがやる。しかし、このテレビの中継というものはコモン・キャリアじゃないのです。公衆通信じゃないのです。そこに法的にも、たとえばNHKがこれをアメリカへいって、NASAかどっかへ、NASAへいってやる。民間放送も、これもやるのだと、いや、電電公社もやるのだと、こういうとかく日本人の陥りやすい鎖国的な心理状態がもしできた場合、これは非常に日本としては不利でもあるし、また重大でもありますから、むしろこの際政府が主体になり、あるいはNHK、民間放送とも一緒にして、その受信する設備は、私はまだ日本はなかなか進歩していないと思うのです。これは電波研究所も総合的な、これはあくまで当分はこれは実験的なものですから、そういう受け入れ態勢というか、そういったようなものを、日本の悪いくせを外国へ出さないように、今からそういったようなものを作っておいて受ける。それで協力する。これは相当な金も要りますし、また今予想もしないような高度な技術も要るし、また一部は日本には国産でない資材も要るということになってくるのです。これは相当大きな問題です。ですから私の申し上げているのは、そういう事態を予想——確かにこれは予想できるのですから、すみやかにやはり郵政省が主体になって、あるいはNHKに、あるいは電波研究所、国際電電の研究所、このスタッフを総動員して、やはり一つのそれに対するオペレーシヨン・リサーチということを一日もすみやかにしておかないと、これは確かに、五月の上旬に成功した場合に、日本はどうなるのか。これは西ドイツ、イギリス、これはあるいは北欧の一、二の国もこれに対してもう受け入れ態勢を着々進めておりますから、アジアで一番重要な日本の一角においてその態勢ができていないということは、これは非常に私は日本としても威信に関するというよりも、そういう国際協力ができないということ、せっかくこれだけの、日本の、技術が進歩している国です。その国がなんて情けない話だ。ですからこれは一つすみやかにそういう態勢を作るべきだと私は考えるから、そういう質問をしたのであって、今のあなたの御答弁では、どうもまだそういう初歩的なことも、私が考えている初歩的な段階にもまだきていないようなので、これは一つ要望にもなりますけれども、私はそういうことじゃいけないと思うのですね。ですから、その点を一つ私はもう一ぺん確かに、なおまた新谷君から御質問あるでしょうから、もっと腹がまえだけでもいいから、こんなことじゃいけないですよ。そりゃもっと具体的な案を進めておおきにならぬと、これはまごつくですよ。
  44. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 いずれ午後にまたお尋ねしたいと思うのですが、山田委員の御質疑に対して電波監理局長から、テレビの国際中継という場合には国際電電が担当するだろうというお話があったのですが、これは何か私研究が不足であるか、お考えが正しくないのじゃないかという感じがするものですから伺っておきたいのです。国内の場合は、これは電電公社がそういう公衆通信及びその他の通信の施設をするということが法制上書いてあるのですよ。国際的な問題については、これは今日書いてない。それから公衆通信については国際電信電話株式会社法に書いてあるのです。公衆通信じゃないものについては、これはまた別の見地から考えていかなければならない。それで、担当するのだろうというのは、担当さしたいという意味なのか、現在の法律制度の上から当然そうなるのだということなのか。私はそういったものは、新聞社が専用通信を持っていると同じように、たとえばNHKがそのテレビの中継をやるという場合は、これは当然NHKがその許可を受けて、国際的な問題もあるか、協定でも作ってもらって、NHKがその責任者になり、NHKがそのルートを持って国際的なテレビの中継をやるのが至当だと思っているのです。私はまあ今のところは研究不足かもしらぬが、そういう考えをもって法律を読んでおるのですが、あなたの言われたのは、研究された上のことか、あるいは何か法制上に私の気がつかないような根拠があってお話しになったことか、御答弁下さい。
  45. 西崎太郎

    政府委員(西崎太郎君) ちょっと言葉が足りなくて誤解を招いたのじゃないかと思いますが、私申し上げたのは、別に現在の法律上そういう解釈になるという意味で申し上げたのじゃありませんので、いずれにしましても、そういった人工衛星を使った国際幹線路というものができることになりますれば、やはり各国それぞれこれは幹線路の端末というものはそれぞれの国際的なコモン・キャリア、そういったところがこれを担当しまして、その中にもちろん電話もございましょうし、テレビもございましょう。そのうちのテレビにつきましては、ちょうど今国内で電電公社テレビの中継業務をやっておりますような格好で、NHKなり民放がその一部を時間的あるいは周波数的に専用しておる。そういう行き方が、一応常識として考えられるのじゃないかということで、個人的な見解として申し上げたわけでございます。それにつきましては、まだ今後十分検討の余地があるんじゃないか、こういうふうに考えます。
  46. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そういう程度なら、またあなたの方も十分研究をされて、私も研究しますが、また別の機会にいろいろと御意見を伺いたいと思います。ともかく、現在のところでは、国内では電電公社、国際的には国際電電会社というもの以外にないから、とにかくどっちかだというような単純な考え方で進まれると、これは将来に対して、また国際協定を結ぶ上でも、いろいろ私は問題があると思うのです。どうせ日本で打ち上げる衛星じゃない、おそらくそうだろうと思います、将来も。国際協定によってそれは利用しなければならない。そのときにどうするかということを、国内法の見地からだけ判断していかれると、私は間違ってくるのじゃないかと思うのです。ですから、私は自分の現在の意見を固執するつもりはないけれども、もっと広い視野から、十分これは検討しなきゃならぬ問題だと思うので、これはまあ宿題にしておきたいと思います。
  47. 鈴木強

    鈴木強君 関連して。僕は新谷委員と見解が違うのですよ。これは論争の余地にはなると思いますけれども、少なくとも、株式会社法の第一条は、主たる目的が国際公衆電気通信なんですよ。しかし第二条に、このほかに付帯業務としての所掌事務をやりますよ。その場合郵政大臣の認可を受けなければならぬと思いますね。ですから、かりに宇宙ステーションをアメリカで打ち上げるか、日本で打ち上げるか、ソ連で打ち上げるか、いずれにしましても、それをめぐっての周波数の割り当てなんというものは、やはり国際的に、今監理局長がおっしゃったようなものを作って、そこで統制しない限りはだめだと思うのです。そういう意味ですから、あくまでも民間とNHKが勝手に、というと語弊がありますけれども、自由に打ち上げて、それを自由に使えるというような、そういう法の建前じゃないし、またこの事業の形態からいって、そうでないと思うのですね。私は現行の国際法からいっても、やはり現在の国内のマイクロを電電公社の専用線として使用する、半ルートなり、一ルートなり、そういうものに準じてやはりやるべきだと思うのです。だから、これも私の私見ですが、これは私の意見のあることだけは申し上げておきます。
  48. 山田節男

    山田節男君 鈴木君のような御意見もあると思いますが、宇宙衛星の中継の場合は、これは公衆通信、これは常識で考えてもそうなんで、たとえば太平洋海底ケーブルを使った場合は、これはKDDが受信しなければならない。それから大西洋の、一昨年ですか、エリザベス女王がカナダにいらっしゃったときに海底ケーブルを使ったことがある。これは現実に非常にある。これは海底電線を使う場合にはそういうことが考えられますけれども、そうでない、宇宙衛星の実体というのは、これは全くわれわれの予想から違ったものであって、そうして中継するということになれば、その受信も今NHKがやっている、BBC、KDDがやっているのとは全然違った、また相当の金が要る、また相当高度な資材が要るというようなものをこっちが設置しないと協力できない。ですから今新谷君が言われるように、これは結局強力なアメリカの国立航空宇宙局ですか、そこへ国際協定で今イギリス、フランス、西ドイツ、イタリア、これがみなアグリーメントでやっておるわけですから……。それを今のあいまいな法的解釈からいうと、たとえば民間会社のあるもの、あるいは新聞社なりが一つ行って、先にアグリーメントをやるとか、その了解を得るとかいうことになりますと、先ほど申し上げたように非常に無統制になる。それで、少なくとも電電公社関係の人が向こうにいる。そういうように、すでに西欧諸国は、アメリカと協力するための協定を持っておるのですから、日本もこれに参加しなければ、世界的なもののテストはできないのです、ことにアジアの日本としては。西欧諸国でやっているのですから、日本も少なくとも用意をし、そうして今の法的解釈もですね、これはコモン・キャリアではない。放送というものは、本質から申しても公衆通信ではありません。しかしながら、今みたように二つも三つもの組織体がこれをハンドルするようになれば、こんな不経済なことはない。ですから技術的にも可能な場合に日本としてはきているのですから、すでに郵政省としては、NASA——航空宇宙局に客員として夜勤している公社の職員を介して相当勉強をなすっておるのだろうと思う。そういうことではないですか。この五月以降において三千マイル高度のエコー二号の打ち上げに成功した場合、たちまち起きてくるのはこの問題です。ですから事前にこの問題について討議をしておかれませんと、はたして技術的に施設的に可能なのかどうか、八月までにそういうことができるのかどうか、協力部面、テストの部面において、用意をやるべきだと私は思うのです。これは今まで諸般の事情でやむを得なかったかもしれませんけれども、認識不足じゃないかと思う。これは決して遅延を許さない事情であることは、郵政省に特に私は深く認識していただいて、その対策といってはおかしいけれども、そういう受け入れるかまえを私は速急に立てていただきたいと希望申し上げます。質疑は、もう時間がありませんからこれで打ち切ります。
  49. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 暫時休憩いたします。    午後零時十七分休憩    ————・————    午後一時二十六分開会
  50. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) ただいまより再開いたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  質疑の通告がございますので、これを許します。
  51. 鈴木強

    鈴木強君 NHK予算審議の中で、特に委員長に発言をお許ししていただきまして、当面する電電公社と全電通の春闘問題について、以下質問をしてみたいと思います。  電電公社が発足をして七年、この間、事業の拡充発展というものが至上命令として電電公社に課せられた任務だと思います。しかし、この事業を推進するために全電通労働組合、さらに公社当局ができるだけ相協力をして、国民も非常に感謝をいたしておりますような事業の発展がここに見つつありますことは、われわれも非常に喜んでおったわけであります。しかるところ、今回の春闘において、十六名の馘首を含む八千名の処分が出ております。これは公労法施行以来初めての大量処分だと私は思います。事のよって来たる原因については、いろいろとあるでありましょうが、いずれにしても、こういう事態になりましたことは、国民とともにまことに私は悲しむことであるし、ざんきにたえないわけであります。おそらくこういう状態によって、これからの第二次五カ年計画の最終年度、さらに第三次、第四次と、今付託された電電事業の拡充発展についてはかなりの私は障害になってくると思うのであります。これを私は憂えるのであります。  従って、きょう最初にお尋ねしたいのは、夜も昼も、盆も正月もなく、この事業のために献身をしてきた従業員に対する労働条件の向上、待遇の改善、こういう点について、 はたして公社発足以来の現状を見ますときに、従業員がふるい立って事業のために努力しようという気持が持てるのか、持てないのか、こういう論議が出てくると思います。制度上の不備欠陥もあったでしょう。しかしながら、本年度の予算を見ましても二千六百五十五億の収入が計上され、五十万の電話をふやすのに千七百三十四億の資金を調達しておりますが、このうち千十九億というものは、これは自己資金であります。私はこれだけ事業が発展、拡充し、これだけの財源が自己資金として捻出されたということは、あげてそこに働く労働者の非常な協力があったからだと思うのであります。それにもかかわらず、待遇は、昨年国家公務員は一二・四%の引き上げが十月からなされておりますが、公共企業体関係の職員に対しては今日までその点の比較を見ただけでも、何ら措置をなされずにここにきている。まことに私はこういうやり方については、まず相手を責める前に、政府、公社当局は冷静に判断してもらわなければならぬことだと思います。昨年私は本会議場におきまして、千五百十四億のあの補正予算の際にこのことに特に言及しておきました。なぜ一般公務員が十月から賃金の改定ができるのに、三公社五現業の職員の賃金改定はできないのか。むしろ要求があるなしにかかわらず、ほんとうに現状を認識するならば、政府、公社当局が、せめて国家公務員と同じ程度の待遇改善を同じ時期にやって、それぞれの予算措置が必要であれば、なぜあの補正予算に組まなかったか、こういう点を私は指摘しておきましたのですから、片ちんばのこの措置については必ず労働者は要求するだろうし、また事がめんどうになってくる。そういう責任はだれがとるのか、このこと左で私は実は申し上げておったはずであります。  大体合理化というものも、非常にこの産業の中では急ピッチに行なわれております。かなりの労働条件の変化もきていると思います。そういう中で、職員は粒々として、そういう点もできるだけ円満に解決をする、協約等も結んで今日まで参っておるわけであります。労働条件が向上する、このことは合理化が進展することに伴って当然のことであります。おそらく、労使間においてもこの約束を私はなされていると思うのですが、職員局長にお尋ねしたいのは、この具体的に合理化が進行するに伴って労働条件を向上するという、この労働条件とはどういうことなのか。
  52. 本多元吉

    説明員(本多元吉君) お答え申し上げます。ただいまお話ございましたように、私どもの事業全般的にわたりまして、技術の革新、これに伴う事業の近代化というものは急速に進展しておりまして、私どもその点について従業員の方々のいろいろな処遇ということにつきましては、十分私どもも考えてやっているつもりでございます。御承知のように、こういう問題につきましては、設備の近代化に伴いまして事前協議というような形で、いろいろ設備の改革につきましての協議を労働組合側ともしております。もちろん、これに対して労働組合側としましては、その対象の範囲等につきまして不満の点もございまして、要求もしておられまするが、あるいはまた配置転換の問題につきましては、どうしても私ども、あるいは自動化とか、あるいは即時化とか、あるいは電報の中継機械化というような場合に、職員の方々の配置転換あるいは職種転換というようなことをお願いいたしまして、そしてやっていただかなければならない面がございます。この点につきましては、御承知の通り、私どもといたしましては、こういうものについての首切りはせぬと、解雇というものはこういうものに伴ってしませんということをお約束いたしまして、いろいろな配転あるいは職種転換についての特別措置についてできるだけのことをやっているつもりでございます。あるいはまた、労働条件をどういうふうにお考えであるかというお話でございまするが、労働条件につきましては、基本的な賃金その他の給与とか、あるいは労働時間の問題とか、いろいろございまするが、公共企業体といたしまして、あるいは企業体の性格としてのいろいろな制約もございまするし、またその労働条件の変更にいたしましても、これはやっぱり社会的な認容というような範囲において私ども漸進的にこれを改善していくというふうなつもりでやっております。その範囲におきましてできるだけ、できるものにつきましては、いろいろな機会を私ども考えまして、あるいはほかから見ておりまするといろいろ御批判もあろうかと思いまするが、できるだけの努力はしているつもりでございます。たとえば、こういう言葉でどうかと思いますが、生産性向上には、これに見合ったやはり給与というようなことにつきましても、あるいは仲裁の裁定に基づきまして、ほかにちょっと類例がないと思いまするが、そういうようなものを給与の形でできるようにしていくように私ども——もちろんこれは私どもだけの力でございません。仲裁の権威のある方々がされているのでございまするが、そういうものの実施に努めて参りましたし、また、今回はそういうようなものの基本給への繰り入れというような点について検討をするようにというふうな裁定も出てございますので、私どもその線に沿って組合側ともお話をしながら努力して参っているわけでございます。まあ、全体的にいろいろな角度から、われわれ置かれました立場で、できるだけのチャンスをつかんで、労働条件の改善に努めて参っているつもりでございますので、また今後もそういう気持でおるわけでございます。
  53. 鈴木強

    鈴木強君 事業が近代化し、合理化されていく中で首切りはしない、さらに配転、職転等についてはできるだけの配意をする。さらにまた、業績が上がっているので、その業績に見合うような手当についてもやっている。こういうお話でございますが、一般的に労働条件というものを私お聞きしたのは、もちろんそれも入るでしょう。それからそれを改善、向上するということですね。労働条件を引き上げていく、こういう約束があるわけです。従って、たとえば労働条件の中には、私は職場環境の整備もあると思います。職員局長は、今本社があそこの内幸町にできましたね。あそこは冷暖房もあるようでありますが、大体全国に事業所が幾つあって、その中に冷暖房のある局は幾つあるか、それから完全暖房している局舎は幾つあるか、そういう点を把握されておりますか。
  54. 本多元吉

    説明員(本多元吉君) 事業所の数は約二千近くと存じておりまするが、ただ、冷暖房の数というものは、ただいまここでお答えする正確な数字を持っておりません。
  55. 鈴木強

    鈴木強君 少なくとも電電公社全般の労務政策をあずかる職員局長が、労働条件の向上について、職場で真夏に扇風機が入るかどうか私は知りませんが、とにかく夜も昼も、盆も正月もなくやっているのです。仕事をやっているのです。そういう職場環境がどうなっているか、そこにできれば冷房を装置してやる、また、冷房ができないとすれば、それに匹敵するような措置をしてやる。こういう基本的なやっぱり実態というものをつかんでおられて、絶えずそれの向上に努力するということも、これは一つ労働条件の向上じゃないですか。だから、そういう心がまえが私はちょっとふに落ちないのです。人間ですから、資料がないから答弁できないということがあるかもしれませんが、およそそういう程度労働条件の一番最たるものですから、幾つあって、幾つぐらいがこうだ、従ってそれについてはどういう状況で、将来職場環境をよくしてやる、こういうふうな親心が、そして積極的な公社の施策というものが打ち出されてしかるべきだと思うのです。これは資料がないようですから後ほどまた資料として出していた.たきたいと思います。  それから次にお尋ねしたいのは、きょうは大臣がおりませんから、事務次官にお伺いしますが、ことしの特に要求を電電公社は一万四千名やったはずです。これは郵政省は認めました。というのは、五十万の設備を拡充し、その設備の拡充に伴う付帯業務の増に伴って一万四千名ぐらい必要だ、こういうことを確認をして国会予算を出したと思いますが、その点は間違いないですか。
  56. 加藤桂一

    説明員(加藤桂一君) お説の通りでございます。
  57. 鈴木強

    鈴木強君 電電公社もそうですか。
  58. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 国会へ一万名というものは出したのでなくして、過渡的にいろいろ中間報告として、いわばプライベートにいろいろ説明をさしていただいたことはあるわけであります。
  59. 鈴木強

    鈴木強君 そうじゃないのです。電電公社が五十万の設備を拡充するために、定員は一万四千六百二十三名必要だということで郵政省にお出しになった。郵政省はそれを認めて国会に出したのだから、あなた方一万四千名というものは、五十万の電話をしくためにはほしかったのでしょう。そういうことを聞いておるのですよ。
  60. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) これは私ども予算も、途中のいろいろの過程を経て最後案になるわけでありますが、その最後案になる前に、いろいろ諸先生の方の御意見も伺うし、御説明させていただいておる過程において、そういうわれわれの原案の要求がこういうことであったことは、私認めるわけであります。正式に国会に提出いたしましたのはそうなっていません。
  61. 鈴木強

    鈴木強君 問題は国会へ提案する段階において、これは郵政省の承認を得て出したものが、大蔵省で査定されたということなんですよ、そうでしょう。だからあなたの方では、五十万の架設をするためには一万四千の定員をほしかったのだろうと私は聞いておるわけです。
  62. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 私どもの原要求といたしましてはそういうふうに考えておりました。
  63. 鈴木強

    鈴木強君 そこでこれは定員問題が団体交渉権であるかどうかは、私はここでは触れませんが、とにかく、昨年度一万名の要求に対して五千六百九十一名に査定された、これは毎年々々なんです。ですから実際にあなた方は予算を編成する際には掛値のないものを一応出すでしょう。それを郵政省は妥当と認めて折衝した。少なくともあなた方が作った原案では一万四千名の要求になっている。ところが中間における大蔵の査定において八千七十一名に削られたということも事実なんです。そうして見ると、あなた方はまさかうその予算を出すわけではないだろうし、山をかけて出すわけでもない。やはりこれだけはほしいという立場に立って要求いたしましたものが八千七十一人に削られたことは、事業計画がそのままであって定員が切られたということは、やはり仕事全般について、運行する場合に万全の措置はとれないと私は思うんですね、その点はどうですか。
  64. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 私どもの原要求におきましては、いろいろ事業をやった上におきましてサービスを現在以上にしたいとか、そのほかいろいろの、われわれの仕事をやる分におけるそういう要求も含めて、そういう要求をいたしたわけでありますが、諸般の情勢でこの提出いたしました予算の人員でやっていこうということになったわけでありまして、そういう意味合いにおきまして、この最後の決定の人員においては、予期いたしたほどのサービスの改善ができないという面もある程度できてくるということはやむを得ぬかと思います。なお仕事をやる上におきまして、ある程度機械化そのほかを進めていく、あるいは一部を請負によっていくというようなことで、仕事の工夫もいたしまして、予定の仕事はできるだけやっていきたい、こういうふうに思っております。
  65. 鈴木強

    鈴木強君 ですから、私はそのことは公社の自主権限にも関係してくると思う。あなた方は一万四千名ほしいというのが、終局的に認められなかったということは、いかにもこれはあなた方残念に思っておると思うのですが、サービスを多少落とすか、あるいはその電電公社が本来すべき仕事を請負に出して、定員の足りない分は何とかカバーしていこうというような、こういう方向に進みつつある。だから定員問題一つを取り上げても、これは労働条件の向上の中で、あなた方は管理運営事項だとおっしゃるかもしれませんけれども現実に仕事をしていく人たちからいえば、労働条件はこれは悪化しておる。労働密度というものはそれだけ多くなってきている。そういう点に対する配慮がまさしく欠けていないかということを申し上げたいのです、私が申し上げたいのは。  それから給与の問題についても、私はさっき冒頭にも申し上げましたが、国家公務員が一二・四%のベースアップが十月から実施された。これは人事院勧告通りじゃないですけれども、とにかく実施された。にもかかわらず、公社が八百円程度の是正はあったにしても、公社法の第三十条から見てもこれは当然最小限度——よくこの国会でも国家公務員との均衡々々ということをあなた言われる、副総裁は。それは民間も考えなければならぬ。これは三十条に書いてありますが、国家公務員のみを見ただけでも、少なくともアンバランスがあったことは、これは事実でしょう。それであるならば、なぜこの問題についてもう少し措置ができなかったのか、私はその点を聞きたいのです。そうして組合が本年の一月一日から五千六百二十円の要求を出しました。その前の段階においてそういう事態があったでしょう。それをどうしてできなかったのですか。せめて一般公務員の程度に格差をなくしていく。これは池田内閣の政策の基本論にも立ち至っているが、そういう点がなぜできなかった。ここにも施策の欠除があったということを断じて申し上げなければならぬと思うのですが、その点についていかがですか。
  66. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 先ほどからお話のありましたように、私たちの事業は、今非常に大事なところにありますし、かつて従来とも、ただいまも御指摘がありましたように、従業員の協力のもとにわれわれの事業も伸展いたしてきましたし、今後ともますます発展しなければならぬために、従業員の協力を得なければならぬ。この点は御指摘通りでありますし、私どももそのように思っております。それについてはできるだけわれわれも事業の発展、サービスの向上とともに、従業員の生活の向上ということについては努力もいたしていきたいつもりでありますが、しかし公共企業体という、やはり一つの独占的公共企業体としての特殊性からして、ある程度の制約というものがあるのは、これはやむを得ないかと思っております。また現在の法律下に置かれている諸種の制約下においてのわれわれの努力は、その法的制約下においての努力であります。そういうことを前提にいたしますと、われわれの努力におきまして、できるだけの努力はいたしていきたい。まあ組合の今回の要求に対しましても、千円程度のものは、何とかして組合の協力を得なければやっていけぬのではないかということで、従業員の協力でやっていきたいということを、われわれも回答いたしたわけでありますが、今日までの経過におきまして、仲裁裁定を経て、今日仲裁委員会からの仲裁も出て参りましたので、私たちはもちろんこれは仲裁にはわれわれ服従すべき義務がありますし、この実現に努力していきたいと、こう思っているわけであります。
  67. 鈴木強

    鈴木強君 ですから皆さんも、一般公務員が上がったのだから、せめて一般公務員並みにしたいという気持があったことは、これは私も推測できるわけです。ところがそれが制度上できなかったということでのがれているんだが、公社本来の私は立場に戻って考えた場合に、定員法がはずれて、給与法かはずれて、財務会計法がはずれて、給与総額が認められた。昭和三十二年の四月までは、給与総額の中における移流用は総裁に認められておった。それが今度ははずされてしまったということで、公社の妙味というものはどこにあるのか。そういう不備欠陥があることを是正するという努力をなぜやらないのか。皆さんが一生懸命やってみたって、そういう制度上の欠陥があるから、なかなか労使間においてもうまくいかない、こういう事実をやはり国会としても直視しなければならぬと思う。ですから一がいに私はこの問題について公社の副総裁や職員局長にここで文句言おうとは思いません。これは国民全体の責任ですから、われわれもその一端をになっておりますが、しかし私はそれについては、公社法の立法精神から言って間違いだという考え方を持っている。だからこそわれわれ社会党も、自民党の協力を得て、何とか公社を作った使命、精神に立ち戻って、できるだけ自主性、独自制を公社に認めてやらなければ、団体交渉一つできないということになるので、そういう大局的な見地から私はものをとらえておりますが、少なくとも、できないから、これは制度が悪いと言っても、それで仕事をやらなくてもいいというなら別ですけれども、仕事はやらなければならないという立場に立っている。その責任というものは、やはり私は政府並びに公社にあると思うのです。これは国全体の、これは国会というものが入っておりますから問題になるかと思いますが、そういう不備欠陥を是正するという努力を積極的にやっていくという立場、これは非常に大半だと思います。  まあ一二・四%、二千六百七十円程度の一般公務員の引き上げがあった。全電通は、最近における物価の上昇、さらに公務員との均衡、いろいろの点を勘案して五千六百二十円という要求を出したと思うのですが、皆さんは今お話しのように千円の回答をした。国鉄は出初ゼロで、その後郵政、専売等が千円というような線を出してきた。これも何か考えてみると、一つの相談でもどこかでして、暗黙のうちにそういうものを出したようにも私たちには受け取れるのですが、大体二千六百七十円上がっている。公社法第三十条から言っても、当然そのことが問題になってきたと思うので、どうしてその千円というような金を最初に出したのですか。公共企業体仲裁委員会が一〇%ということですから、従来電電の場合ですと二千百なんぼですか、その程度になると思う。あまりにも団体交渉というものが、千円くらい出して、それでお茶を濁そうというような誠意のない私は回答であったと思うのですが、千円の根拠は、これは何ですか。
  68. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 千円の根拠につきましては、ただいま人事院勧告の一二%についてのお話がありましたが、御承知のように人事院勧告は、公務員の給与が民間給与及び公企体の職員に比べて低いからこういうように上げるのだ、こういう結論であの一二%引き上げるという人事院勧告が出たわけでありますが、われわれといたしましては、この従来の給与の関係そのほかから約千円という数が最も妥当であろうという結論でわれわれが出したわけであります。
  69. 鈴木強

    鈴木強君 では、私は人事院勧告の中にうたわれた文句をはっきり覚えておりますが、あの文句はどういう立場に立って人事院が出したのか、私には全然わからない。今度の公労協の紛争に対する仲裁の面を見ますと、明らかに一二・四%というものが上がっておるので、公務員との均衡を考えなければならぬ、それに最近の物価の引き上げも考えなければならぬ、こういうこの説明の中に書いてあるのを私は拝見しました。ここに人事院勧告と公労委における賃金のとらえ方が全くあべこべなんですよ、これは。私はどうしてもこれは納得できない。なるほど八百円でしたか、調整がございました。それを入れてみたって一二・四%に見たら下じゃないですか。それで、千円という数字がどこから出てくるのですか。それで適当だと思ったという、そんな確信のない答弁は、答弁として、根拠を出して組合に示してなんということはちょっと……。私はここであなたと団体交渉をしようとするのじゃないのですから、これ以上深く言いませんが、あまりにも、誠意をもってこれだけの生産性の向上を見ておる労働者に対して、報いる道としては、ほんとうに私は皆さんの真意を疑わざるを得ないのです。もう少し自主的な判断をもって、せめて公務員との均衡ぐらいはという考え方がなぜそこになかったか、これを私は非常に残念に思うのです。
  70. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 先ほども申し上げましたように、われわれの根本的な気持といたしましては、サービスの向上、事業の発展とともに、従業員の生活の向上ということに努力いたしてきたわけでございますが、同時に、これはやはり客観的なと申しますか、世論の認める妥当な根拠に立っていかなければならぬわけでありますし、また、われわれ電電公社、こういう基本給において電電公社だけというわけにいかぬ部面もありますので、できるだけ今後も努力いたしていきたいとは思いますが、そういう点はある程度御了解願わなければならぬ、こう思っております。
  71. 鈴木強

    鈴木強君 まあ了解しろと言っても私には了解できない。これは公平な立場に立って私は言っているのですよ。一つも無理言っていないのですよ。五千六百円の回答しろというなら、それは論議があったかもしれませんが、一般公務員との均衡を考えて、なぜそれができなかったかということですよ。諸般の情勢をいろいろ考えてみたって、せめて一般公務員との均衡をとるぐらいの前もって措置ができないなんということは、これはあなた管理者として何をやっているかということを私は言いたいのです。まあしかし、私はこれ以上はこの問題は申し上げませんが、給与の問題を一つ見てもしかり。定員措置を見てもしかり。これは合理化が進み、二千六百五十五億円の収入を上げて、五十万の電話をふやしていく、この従業員の努力というものは、私はほんとう努力に報いる道としては、この二つをとらえてみても、私は不十分だと思うのです。労働条件が向上する、合理化が進めばそうやる。しかし、そういう具体的な約束がはたしてほんとうに守られているのか、守られていないのか、私は疑問を持つのです。時間短縮問題もありますが、私はその点についてはきょうは触れませんが、いずれにしても、諸般の労働条件が向上するという中には私は大きい意味では入ってくると思うのです。そういう根本的な問題をもう少し政府も公社も、またわれわれも知恵をしぼってやらなきゃならぬことでありましょう。当事者として、こういうような矛盾が今日あるのです。私はその点をはっきりわれわれも認めなきゃならぬと思う。  そこで、まあ時間も一時間しか委員長が許してくれないようですから、あまりここでとやかく言えませんので次に入りますが、まあこういうふうな現在の公社経営の実態から見て、職員がなかなか一生懸命働いてみても待遇、労働条件もうまくいかないということで不満を持っておる中なんです。そうして、要求をすればそれだけ飛ばされてしまうということで、今度も皆さんは、最初に申し上げたような八千名近い、しかも十六名の解雇、八十六名の停職というような、これはかつてない大胆な、しかも弾圧を加えている。大体弾圧をして、それでこういう手落ちがあって、一方には事業がうまくいくとお考えになるのですか。これからは第二次五カ年計画最終年度、さらに第三次、第四次と、この計画についてあなた方はこういう措置によってこの障害がないと考えているのですか。弾圧によって物事をきめようと、その考え方自体が私は根本的に問題があると思うのですよ。この点はいかがなものでございましょう。
  72. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) お話のごとく、今後私たちの事業もますます発展しなきゃならぬ重大なときでありますし、今後とも従業員全体の協力のもとにこの事業の発展をはかっていかなければならぬ。従って従業員とともにこの事業の発展について、従業員の協力と申しますか、従業員の努力と、われわれの努力と相待って、この独占的公共企業体をあずかっておるわれわれが、国民に対する任務を尽くしていかなければならぬと思っておるわけでございます。ただいまお話のありましたごとく、処分をいたしまして、この処分は従来にない人数でありますし、その点は御指摘通りでありますが、私たちは決して弾圧のためにこういうことをやろうと思ったのではなくして、今次の闘争は御承知のごとく、従来の時間内職場大会あるいは従来の順法闘争のごとく、ちょっとそういうものと異なりまして、保安要員や保有要員も一つも残さずに、この時間内の職場大会に入って、作業につく者がないという、こういうような異常な事態を現出するということでありますので、これについては、事前にそういう問題はどうかやめてほしいということで警告もいたしたわけでありますが、遺憾ながら、そういう事態に突入していったわけでございます。そういうことを前提にいたしまして、私どもといたしましては、こういう違法行為に対してはやはり断固たる処置に出ざるを得ないのでありまして、われわれといたしましても、こういう事態に至りましたことは、非常に遺憾に存じておるわけでありますが、この違法な事態について、われわれとしてはなすべき処分をいたしたわけで、決して弾圧によってやっていこうという意味ではないわけであります。今後とも団体交渉におきまして、正当な団体交渉において、われわれとしてはできるだけ話し合いで解決する問題は解決していきたい、このように存じておるわけであります。
  73. 鈴木強

    鈴木強君 特に私は労務対策の面から、こういう委員会の席上で、はたして適切であるかどうか、ちょっと疑問もありますが、申し上げたいのは、振り返って日本の全逓労働運動史というものを見ますときに、御承知の通り昭和二十二、三年を頂点にして、日本共産党の支配というものが入って参りました。それでこれでは国家のために、特に敗戦直後の日本の再建のためには問題があるということから、自主的に組合員が判断をして、現在のような民主的な労働組合を作った歴史はあなたも御存じでしょう。そういう諸君がここ十年の間労働運動の指導に当たっております。私はこれらの諸君はりっぱな良識と判断を持っておられると思う。こういう人たちを皆さんがなぜここまで追い込んだか、こういう不幸の事態に追い込んできた責任というものは、どこにあるのか、ここが問題だろうと私は思う。ですから、あなたの言うように、弾圧でないといったって、少なくとも生活権を奪う十六名、さらに停職八十六名というような、あすから生活に困るような羽目に追い込んでおいて、そうしてこれから仲よくやっていくのだ、協力してやっていくのだ、正常な団体交渉で——不正常の団体交渉なんて私は聞いたことがない。正常なる団体交渉でやっていくのだ、そんなことでもし判断をされているとすれば、大きな間違いであって、私はさっきからも大きな声で言っておりますように、もっと根本的の労働条件の改善をあなた方責任を持ってやって、さあ協力してくれというような態度が出ない限りにおいて、私はこれから数年の間このような事態が、現実においてきわめて遺憾の事態が続くと思う。そのことが電気通信事業を負託された電電公社として、国民にやはり責任をとらなければならないことになると思うのです。そういう根本論を私はここであなたが力説をして、ほんとうに全従業員がふるい立って仕事のできるような職場環境、労働条件を整備して、われわれの方も命がけでそのことをやって、そうして組合に協力を得るいうのなら、私はわかる。そういう根本問題を抜きにして、そうして協力してもらおうなんていうことは、これはナンセンスだと私は思う。そういう日本の今日の労働運動の姿というものを見きわめているときに、私は今度のこういう処分はまことに遺憾だと思います。  それからもう一つ聞いておきたいのは、組合の闘争手段というものは十分御承知になっていると思うのです。そこで労働組合がストライキ権がある、ないは別として、ストライキ権がかりにあったとしても、これは労働運動上そのストライキ権を行使するかしないかということは重大問題ですから、伝家の宝刀を抜くときには、十分にお互いに団体交渉によってできるだけの努力をして、なおかつその要求が入れられない際には、不幸の事態に突入することも、これはあるでしょう。ですから、特に今回の組合側の動きを見た場合においても、皆さんの方では、十六日の実力行使というものに何とかして突入させないような最高度の中央における団体交渉が展開されてしかるべきだと思う。ところが、われわれが仄聞するところによりますと、残念でございますが、十五日の午後六時半ごろに、副総裁自体が、団体交渉の中で取りかわすことですから、多少常軌を逸するようなこともあるでございましょう。従って、団交というものは生きものですから、多少の言葉の行き過ぎやなんかはあると思います。そういうものがあったとしても、それらを乗り越えて、最後の一瞬まで努力をして、その行為を回避させるということをやることが、私は経営者の正しいとり方だと思うのです。そういう点について、不幸にして六時三十分ごろ団交が決裂をした。しかも、あなた方自体がまっ先に席を立って退場したというようなこと、そしてその間いろいろの経緯はあったようでありますが、とにかく翌朝の五時二十分になって団体交渉が再開されるというような事態になっております。この十一時間というものを私はきわめて大事な時間を空費したと思います。まことに残念にたえません。ですから、十六日の実力行使に入る場合でも、八時半から五時半まで交渉が決裂をしておる。国鉄動力市を見てごらんなさい。夜中の三時まで、相手側が実力行使に入った、入らぬは別として、とにかく事態を一刻も早く収拾しようという熱意に燃えて、国鉄の諸君は三時まで団交を続けた。そうして途中でそれを回避しております。そのくらいの芸は横田副総裁にも私はあったと思う。あなたは交渉の最高責任者でありますから、あの事態に対してあなたはどういうふうに自分の責任を感じていますか。
  74. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) ただいま十六日の前日、十五日の晩の交渉のことについていろいろお話がありました。私の至らぬ点についてもいろいろ御指摘があったようであります。お話のごとく、六時半ころに、言葉のやりとりからつい私が激高いたしたということは、ある意味においては、年がいもないというただいまのおしかり、これもごもっともではあると思いますが、当時言葉のやりとりにおいて、私も頭が悪いとか、腕がないとか、政治性がないとか、いろいろなことがあり、そう自分も頭がいいとも思っていないし、そういう点は案外そう怒らない方ですが、ついああいう零囲気の中でインチキ論が出て、インチキとは何だということでつい激高したので、私が年がいもないと言われれば年がいもないんですが、とにかくそういうことで一応決裂にはなりましたが、私としましても、個人的感情は押えまして、十一時ごろに私の方から再開の申し出をいたしたのであります。それがなかなか軌道に乗らなくて、お話のごとく、ようやく四時半か、五時前になって再開になったというような事態がありまして、われわれといたしましても、できるだけこれは、ああいうことに至るのを避けたいという気分で、私としましてもできるだけ努力するというつもりでやったことは、これは事実であります。そういう点についての事実だけを申し述べまして、ただいまの御指摘の点についてのお答えといたします。
  75. 鈴木強

    鈴木強君 個人的なことですから、私はどうも言いにくい面もあります、人間としてですね。しかし、私は横田副総裁とは長い間おつき合いもしているわけでありますし、あかの他人ではないわけですから、あなたのほんとうの今後の副総裁としての職責を、労使慣行の中でも十分に生かしてもらいたいという、いわば思いやりの気持もあるかもしれません、ですから、あなたがそういう意味で私の意見を聞いてもらいたいと思うんです。この経過は長くなりますから、私は省略しますが、一応団体交渉で、定員問題なんかについても、これは管理権であるかないかというような論争はあったとしても、これは団体交渉においてさらにきめようじゃないかということになっておったはずなんですね。ところが、それを確認するしないのときに、あなたがそういう管理運営事項だということを言い出したために、一回確認して、それを団交できめようじゃないかということが、そこでまた引っくり返ってインチキということが出てきたと思うんですよ。ですから、そこらのやはり経過を見てみても、もう少しそういうところにこだわらずに、このきめたこと、確認したことについては、正規の団交の中で白黒つけるという格好に持っていったらいいんじゃないかと思うんです。ラジオ東京だったと思いますが、私ちょっと聞きましたときに、組合が暴言を吐いたから団交が決裂をしたのだということで、むしろ組合側に責任を転嫁するような放送がありましたけれどもね。ああいうのは、新聞記者が原稿を作ったんだと思いますけれども、しかしだれかが言ったことだと思う。それについても、あなたの方では暴言ではないということをあとから言ったそうですが、いずれにしても、そういうふうな十五日から十六日にかけての深夜の中で展開をされているんですね。あなたが誠意をもってやろうと思っておったと言ったって、かりに六時半から十一時まで、あなたが再開を申し込んでみたって、四時間半というのは完全に空白です。なぜ三十分後に再開できなかったんです。感情がそこまで十一時まで待たなければおさまらなかったんですか。私はそんなことじゃないと思うんですね。そんな言葉じりでもってつべこべするような私は冠電通じゃないと思うんです。むしろ委員長があなたの立つのをとめたんじゃないですか。あなたがまっ先に立って、それをとめたにもかかわらず、決裂だといって席を立ったというような、こういうふうなことは事実ですからね。私もまことに長い経験もありますが、六年も私は中央で団交もやりました。ここへ作る前はですね。しかしそんなことは一度もありませんでしたがね。たまたま、そういう事態が起きて、あの貴重な時間を空費して、そのことによって交渉は煮詰まらない。さあ八時半になった、まだやろうじゃないか、もうだめだと言って、自動的に入るような形をとったことは、何といったってあなた方に責任はありますよ。その責任を感じているんですかということを聞いているんです。
  76. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) ただいま暴言であるかないかというようないろいろ問題がありましたが、これは判断の問題だろうと思います。なお、そういうニュースを何か出したというお話ですが、われわれが故意に出したわけではないのであります。同時にまた、暴言であるかないかという議論もその後いたしたわけではない。暴言であるという断定を私の方でしたわけではない。今日ああいうことでもって決裂に至ったことは非常に遺憾であるということを私は表示して、しかし、できるだけ再開をやりたいと私の方から申し込んだわけであります。いろいろの判断からいえば、あるいは私の方でああやって申し込んだ、申し込むべきかどうかにも問題がありますが、私の方としては、少なくとも、できるだけ事態を何とかおさめたいというつもりで、なるほど時間は幾分たちましたが、十一時に再開を申し込んで、その後、しかしながら再開になかなか入らなかった、こういうような情勢であります。
  77. 鈴木強

    鈴木強君 ここであなたの言質をとろうとはしませんが、少なくとも、あなたも団体交渉を再開後において、自分のとった行動がまずかったというおわびをしているようですから、心の中でそのことはまずかったということを今もあなたが思っているというように判断をいたします。答弁を求めようとは思いませんが、いずれにしても、そういう経過がございまして、私たちもよもやと思いましたが、不幸な事態に入ってしまった。私はこの責任というものは明らかにあなたのとった言動にあるということをはっきりしておきたいと思います。  そこで八千名という処分が出たのですが、中身を見ますと、解職、停職、減給から戒告ですか、そういうふうな四段階になっているようでございます。これは一体人の命を、生命を奪うというような、そういう少なくとも解雇という措置あるいは停職という処置、減給、戒告という措置をおとりになるのには、それぞれの根拠があると思いますが、ここで私はその基準をどうしてやったかということをしさいに聞こうとは思いませんが、何かそういうやはり査定についての判断をする根拠はあったと思いますが、そういう根拠になった資料を出していただくようなことはできませんでしょうか。
  78. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) こういう処分につきましては、この処分権者といたしましては通信局長でありますが、通信局長の判断に対して、われわれもこれは十分、こういう問題でありますので、慎重に相ともに検討いたしましたので、われわれといたしましても、今回のなるほど解雇というような処分については、重大なことでありますので、慎重な上にも慎重を期したわけでありまして、それぞれの理由を持っておるわけであります。大体の、根本的に申し上げますならば、ただいま申し上げました保安、保留要員を置かずに、時間内職場大会に突入するということ自体、これは大へんなことだと思います。従いまして、参加いたしました者には大体戒告、それからピケを張ったということの確認できる者については減給、それを越える者についてそれぞれ、ある意味においての、いろいろなはね上がり行為的な者に対して、あるいはそれを実行上指導したというような者に対して、その程度によって措置をいたしたわけでありまして、ただ、このおのおのについての具体的な問題につきましては、なるほど各地の問題でありますし、また一身上に関係する問題でもありますので、でき得れば御質問に応じまして事情を述べさしていただくということにお願いさしていただきたいと思います。
  79. 鈴木強

    鈴木強君 私はこういう席ですから、個々の具体的な一々の事例についてお聞きすることはかえってどうかと思うのです。ですからそれよりも、大よその基準というものがわかりましたが、特に皆さんの方で馘首に値するというようなその判断をされた大よその根拠というものですか、そういうものについて別途御提出していただければ、非常に議事進行上幸いだと思います。そういう点で私は申し上げておりますので、特にどうしても差しつかえがあるということでは、委員会の決議にもなりますから、問題になると思いますが、そういう程度の資料を一つほしいと思いましたものですから、御提示をいただいた方がかえっていいと思いまして、申し上げたわけであります。委員長一つ……。
  80. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) この問題は、今御答弁もあったように、個々の処分の問題でもありますし、まあこの処分という問題に対しては、あるいはまた司法上の問題にもなるということも考えられることでもありますし、それをしいて御要求というものはいかがかと、私はこれは委員長として考えますが、しかし、皆さんの御意見によってはさようなことにも相なるかと思っております。いかがでございますか。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  81. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 速記を始めて。
  82. 鈴木強

    鈴木強君 それで副総裁、この電電公社の全体的な労務政策の中でちょっと承っておきたいのですが、本社から現段階まで四段階に分かれておりますから、相当に管理者も多いと思うのです。その多い管理者層の労働組合に対する労務管理のあり方について万全に行っておりますかね、百点が全部つかるでございましょうかね。
  83. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) ただいまのお尋ねに対しまして、なかなかこの労務管理というものは甲乙いろいろありますが、なかなかむずかしい問題でありまして、できるだけわれわれの管理者も努力いたしておるとは思いますが、百点ということになりますと、どういうものが百点か、いろいろ判断の仕方もあるわけでありまして、しかし、労務管理についてはみんな非常に力をいたすというつもりで相当重点を置いてやっておりまして、われわれとしてはなお足りない点があれば、今後も一そう努力していきたい、こういうふうに存じております。
  84. 鈴木強

    鈴木強君 まああなたがそう言うなら、私は個々の具体的な例を出してもいいのですけれども、この席上では一応私は保留しておきます。だが、われわれは別に関係が深いですから、全国を回ってみますが、なかなかお役人さんのような顔をして、これでおれには権力があるのだからというような顔をしている方もなきにしもあらずです。ですから、そういう日常における管理者の態度なり労務政策というものが積り積って参って、そうしてこういう闘争時に一挙に爆発するというのが多いように私は思うのです。ですから、この処分を見ても、私たちが疑問になるのは、はたしてそういう人事管理上、労務政策上の点がよかったかどうか、これらの点にも疑問があります。ですから、むしろ少し何といいますか、うまく行っていないようなところは、むしろこういう事態については爆発してくるというような経過があるのです。日常のこまかい要求でも、なかなか頭が回らないのか、知恵が足りないのか知りませんが、幾つもたまっておって、そうして局長なり課長なりにおいてできること自体をやらずにおいて、あとから組合から文句を言われて、そうしてやるというようなこともあるのですね。ですから、そういうふうな点も十分考えてみると、百点というのは、これはずばり百点なんですよ。だから、りっぱな電電公社の管理者として太鼓判を押せる人がいるかどうかということを私は聞いたのですが、どうも聞いてみると、全部百点をつけるということもできないように聞こえるわけですが、そういう点はあると思うのです。私は、ですから、もう少し日常における労務管理のあり方、こういう問題について、もう少し積極的にやってもらいたいと思うのです。事業は人ですから、その人がほんとうに局長を信頼し、課長を信頼して、一緒にやろうというような気持にならなければだめだと思うのです。多少のことでも地方に行くと、いろいろな慣行もあるでしょうし、言うなれば家族みたいなもんなんですね。そういうわけですから、できるだけ事をうまく運ぼうとする気持はみなの中にあると思うのですが、それをそうさせないような要素というものが、そういう面から出てくるように私は思うのです。もう一段と、私は労務管理のあり方、人事管理のあり方について一生懸命やっておられると思いますから、一般論として、私は申し上げるのであって、そういう立場に立って特段の一つ御検討と訓育と、一つ勉強をしてもらうように、この点は総裁にも特に私はお願いをしておきたいと思うのです。これは非常に大事な労使間の基本になりますから、特に申し上げたわけですが、そういう点御注意していただけますか。
  85. 横田信夫

    説明員(横田信夫君) 従来ともそういうつもりで努力はいたしておりますが、なお今後とも努力いたしていきたいと思いますが、百点と申し上げましたのは、なかなか百点取るのはむずかしいと思うのでありますが、しかしおのおのその能力と技量と、そして持ち味で、できるだけ努力するということが、管理者も必要であろうし、従業員も必要であろうし、お互いがそういうような理解をもって進むことが必要だろうと思います。たとえば私百点かといわれますと、私が副総裁として百点かといわれますと、とても私は百点の自信はありません。しかし、できるだけ努力しようという熱意は持っているつもりでありましてそういう意味におきまして今後とも努力したいと思っているわけです。
  86. 鈴木強

    鈴木強君 時間も迫ってきたようですから、私はこれは自分の意見として申し上げておきますが、何といったってこれは弾圧ですよ。こういうような人の首を切っておいて、さあ仲よく仕事をしてくれといったって、これはとんでもない、できないことですよ。さっきも申し上げましたような根本的な問題を解決する努力と熱意を持って、組合が要求しているその要求を見ますと、私はそうむちゃなことは言ってないと思うのです。五千六百二十円の賃金にしたって、これは最近の物価高、公社の収入、成績の向上、合理化、そういう点を見ましたって、他の企業にも見られないだけの異常な努力をしております。実績をあげております。それに報いる待遇というものは、今申し上げたような、定員措置一つ考えたってそうでしょう。あなた方のほしい定員が組めなくて、そして仕事をうまくやろうといったって、これはできる仕事ではない。だからそういう点を一つ私は公社幹部がほんとうにふんまえて、根本問題の解決のために努力しなければ、今日起きているこの紛争というものは、私は解決しないと思います。おそらくこれから以後、公社の大事な第二次、第三次、第四次という、この五カ年計画に対して、相当な私は障害が出てくるということをここで断言してもいいと思う。だから、それには今申し上げたような根本論にまた戻るわけですが、そういう点も十分考えて、少しは反省してもらいたいし、そんなむちゃくちゃな、どこでもやらないようなことを、これをうまくいっておった全電通に対して、大づちを振り上げたというようなことは非常識も不見識もはなはだしいと私は思うのであります。こんなおどかしで労働運動を弾圧しようなんといったって、絶対に労働運動というものはそれにおびえるようなものではないと思います。大臣がせっかくお見えになりましたから、今NHK審議過程でございましたが、委員長に発言を求めて、お許しを得て全電通と公社の春闘問題について質疑をしておったのですが、これは直接的には労使の関係ですから、公社総裁と全電通委員長関係ですから、あなたはその上に立っての監督の立場でございますから、あなたに私は文句を言おうという気はありません。あなたは監督の立場にある大臣として、私は先ほどから申し上げておりますように、公社発足以来八年間、この間にある程度の自主性が認められておったにかかわらず、それが中途においてくずされてしまって、今日定員措置を見ても、給与問題を見ても、この大きな制約の中でもって激突をしておるというようなそういう条件が出ておるわけです。ですから弾圧をして事足りるというような、そういう考え方は私は根本的に間違いだと思うのですよ。組合員がなまけておって、仕事もしないで、それで賃金要求をして、自己の改善を要求することは、これは私は間違いだと思うのですよ。全電通をごらんなさい。二千六百五十五億の収入をあげているでしょう、五十万個の電話をふやしていますよ。正月元日から弁当を持って出ていますよ。日曜日だってお盆だって出て、みんな職場を守っておる。この従業員の努力があってこそ今日の発展が見られておるのですから、そういうことを考えるときに、私は組合の要求もしさいに検討しておりますから、そうむちゃなことは言っていないと思います。ですからこれらの点も一つ所管の大臣としても、公社法のあり方、あなたに私は、就任以来ずいぶん申し上げておりますが、だから、制度上の欠陥もあるのです。その点も政府としてやはり直して、そうして労使間の自主的な判断によってかなりのものがきめられるような制度の改革もしてもらわなければ、これは困るわけです。いずれ大臣にもこれはあらためて御相談に参りますが、わが党は、あなたが約束をした預託金の問題は、一応あなたが出すというから、私はやめましたよ。そのほかの問題について公社法の改正を提案しますが、いいことは賛成して、そうしてそのことをやらなければ、なかなか当面のいろいろな困難を除去することができないように思いますから、一つ大臣としても十分御関心を持っておいていただきたいと思いますが、今度の問題についても、こういう大量な、公労法始まって以来ないような大づちを振り上げて、粒々辛苦、事業をここまで伸ばしてきた組合員に報いる道としては、私は全くけしからぬと思うのですよ。大臣も反省を——大臣に反省と言っても、大臣にその点も一つ十分考えていただいて、今後も反省をして、この仕事がうまくいくようにその基礎を作って下さい。大臣一つその点をお願いします。
  87. 小金義照

    ○国務大臣(小金義照君) お説を拝聴いたしましたが、電電公社がうまく運営されて、国民へのサービスが十分できますように努力いたします。
  88. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 本件に関する質疑は、この程度にとめておきます。
  89. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 午前中に、引き続いて、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件の質疑を行ないます。
  90. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 郵政大臣、お忙しいようですから、ほんとうに要点だけちょっとお尋ねしておきたいと思いますが、今日放送法の問題については、実にいろいろな問題がありますけれども、その中で今度のNHK予算その他の承認案件をお出しになるにつきまして、やはりこの際に主管大臣として御所見をお述べいただきたいと思うのは、放送というものに対する構成とか制度を一体どうするかという問題だと思うのです。私から申し上げるまでもないと思いますが、今日放送事業に関しましては、第一に、NHKについてはだんだんラジオ受信者が減少してくる、収入も減る、一方ではまあテレビの聴視者が多くなってくる、その方の収入がふえてくる。しかし、放送法第七条によりまして、いかに収入が減ろうとも、ふえようとも、全国民に見てもらわなければならぬ、全国民に聞いてもらわなければならぬという性格を持っておりますから、経営の方では、一方は楽になるかもしれませんが、一方はますます芳しくなるというような実情だろうと思うのです。そこで、NHK自体としても、深くここに経営方針について考え方を変えるとか、あるいは制度を変えるとか何とかして、公共放送かその使命を達成できるような工夫をしなければならぬ。これは郵政大臣一つの大きな責任だろうと思います。  NHK自体がそうであるばかりでなしに、民間の放送が非常にたくさんできて参りまして、これがNHKこの関連を生じております、至るところで。電波の問題もそうだし、番組の問題もそうだし、いろいろな問題が民間放送との間で起こっております。それから民間放送自体の間でも、これは功罪を今さら言ってもしょうがありませんが、非常に、電波のある限り許すのだというような、むしろ何とかして見つけてでも許すのだというような郵政省の従来の御方針が今日の結果を生んだのですが、過当競争になっておると私は思うのです。で、その間に、まあだんだん番組については自制をしておるとはいいますものの、社会風教上からいってどうかと思われるような番組もときおり見受けるというような状態で、民間放送の問題だけ考えても、今後こういう民間放送というものを、免許事業としてどういうふうに扱っていくかという問題が、やはり相当これは重大な問題だろうと思うのです。  それから技術的な問題を見ましても、いたるところに、今日苦心をして作られたチャンネル・プランの上に立った放送でありますけれども、混信が起こっている。しかも周波数が足りないために、非常に地方へ伸びていこう、伸びていこうという場合に、支障が起こっておる。それをフルにやろうと思えば混信がまた出てくるというような状態で、この点も相当むずかしい問題になってきておる。  それから対外的な関係からいきましても、この問題はやはり大きな外国電波の障害等があって、いろいろのトラブルを起こしておるというようなことで、ともかく初めに作られました放送法や電波法ではもう今日処理できないというような問題が非常にたくさん出てきておるのですね。一言でいうと、放送事業全体に対する制度及び法制の一つの転換期になっておるのじゃないかというふうに考えるのであります。また、先般来、NHKラジオ受信料の問題について他の委員から質問があり、大臣からお答えがございましたが、そういう点も含めて考えますと、これは早急に処理をされなければならぬ問題だと思います。  前々国会でございましたか、私はそのほかに、現在の郵政省でやっておられる免許の方法、これは極端に申せば違法だとまで考えますということを申し上げたのですが、それをきょうは強調いたしませんけれども、ともかく非常な無理をして、ともかく免許を軌道に乗せようとしておられる努力の跡は見えますが、法制的に見ると、これは実に問題の多い免許の仕方なんです。でありますから、そういう問題も含めて、この際、大臣がこういう放送事業に対して近い将来にどうしようというのか、まあ調査会でも作ってというような御答弁が先般ありましたが、その調査会というのは一体どこにどうして作られるのか、何を対象にして調査をするのか、大体いつごろ結論を得られて、次の通常国会に間に合うように出されるのかどうか、その辺のところを一つ大臣の御方針としてお聞かせ願いたいと思うのです。
  91. 小金義照

    ○国務大臣(小金義照君) 電波行政、また放送卒業等についての御意見、まことにごもっともでありまして、今の電波法、放送法は、大体電波法そのものというようなものを中心に考えておられるようでありますが、社会生活、われわれの国民生活等からも、いろいろな関心を持って再検討すべき時期だと私も考えております。先般申し上げましたように、これは一郵政大臣が、自分だけの考えでこれは処置できない問題であって、広くいろいろな知識を集めていただいて、そうして時代に即した処置をとるべきものである、こういう考えから、私はできれば内閣に調査会でも置きまして、この問題を至急検討を始めたい。しかし、これはやはり法律に根拠を置くとか、あるいは予算措置しなければならぬような大きな問題だと思っております。そこで、この間に処して公正、中立な、そうして全国民にあまねく聞いていただき、見ていただく、日本放送協会の放送というものは特に大事でございますから、どういうふうな措置をとったらよろしいか。また受信料聴視料というようなものにつきましても、日本放送協会としてはこれ以外に財源がないはずでありますから、こういうようなものについても根本的に考えて措置すべきものだというふうに考えております。ただいま私としては、当面ただいまここでどうするかということは申し上げかねますけれども、そういう方針に沿って進んで参りたい、なるべく早く措置をしたいと考えております。
  92. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 郵政大臣のお気持はわかりましたが、これは私どもこういう案件を審議いたしますにつきましても、実は言いたいことはたくさんある、やってもらいたいことはたくさんあると考えながら、いざ、その根本的な、そういう制度上法制上の改善といいますか、その改まるのを待って、その上に立ってやってもらう以外にない。今の制度なり法制の上では、いかに希望してもこれ以上はやれないのだというようなことで、最近の二、三年は、毎年、非常に不満足ではあるけれども、これにまずまず賛成をするということを繰り返しておったのです。私は今度は政府自体としても、大臣が今ちょっと言われましたが、もうやらなければならぬという事態に立っておるということでありますが、私もそう思いますが、国会の方としても、どうも、もう長い間たなざらしをしておって、ほうっておくわけにいかぬという事態になっておると思うのです。そこで今すぐにどうこうということはできないというお話、これもごもっともだと思いますが、しかしこの国会にもしそういうふうな法律なり予算なりというものをお出しにならなければ、法制上の措置をとろうと思ってもできない。また一年待つことになります。法制上の根拠がなくても、法律上の根拠がなくても、その調査会、審議会というようなものを内閣に置いてやろうと思えばやれないことはないのですから、それでやろうとおっしゃれば、それはまた別です。それならばそれで、この会期中にこうするのだという方針ぐらいはお示しになっていただかないと、国会が終わってから、ゆっくり考えるのだということでは、これは非常にわれわれも、それじゃいっそのこと議員立法でもしようかという意見も起こるかもしれませんし、これは方針の問題としては、やはり何か主管大臣として意思表示をしていただかないと、お互いに困ると思うのですがね。私はだから大臣に希望いたしますが、この会期中にどんな調査会か審議会か知りませんけれども、機関を作って、まあ内容のこまかい点は別としまして、それにどういうことを審議させて、大体いつころまでにその結論を得てもらって、次の通常国会を目ざしてやるんだというような、大体荒っぽいスケジュールでもお示しをいただきたいと思うのです。いかがでしょう。
  93. 小金義照

    ○国務大臣(小金義照君) ただいまのところでは、郵政省関係には電波監理審議会と申しますか、それからその技術関係の方の委員会もございますが、これらだけで十分だとは私考えておりません。今の新谷さん御提案になったような根本問題がございますから、そうすると今秋のところでやっておりますのは、どういう知識を集めてどういう方針で具体的に審議を進めていただくかというようなことを今やっております、作業を始めておりますので、この会期中にその方針を示し得るような機会があればもちろん皆さんに御提示申し上げて、御意見をいただきたいと思いますけれども、まあ何分にもまだ百日ばかりの就任の期間でございまして、十分私自身も確信を持ったような意見を立てるまでにまだ至っておりません。そこで今のような大筋の考え方をさらに詰めて具体案を作って参りたい。ただ非公式な調査会というようなものではやはりいかぬので、これは事が電波法、放送法というようなものの根本に触れますような問題を取り扱うということは、やはり法律に基づいた正式の審議機関を必要とするのではないかという考えを持っておりますから、いましばらく御猶予をお願いしたい。具体案をいつ示すか、会期中に示すかというような御意見のようでございますが、まあできれば、私はまだ先もあることでありますから、お示しできるような素案でもいいから作りたいと考えております。
  94. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 郵政大臣、これはしつこいようですけれども、もし、あなたがちょっとおっしゃったように、何か法律に根拠を持ったような会ということになると、この会期中にお出しにならないとまた一年おくれますね。で、かりに臨時国会があるとしましても、それからスタートしたのでは、もう間に合いませんからね、通常国会には。だから一年おくれということになるじゃないかと思うのです。そういうふうにしてまた一年おくれてもいいというような事態ならば、私はそれでけっこうですということを申し上げているのですが、今日の事態を見ておりますと、もう一つ一つ私の申し上げたような項目をごらんになってもわかると思うのです。もうほうっておけないという状態だと思います。ですから、法律案ならばわれわれは審議いたしますが、もし法律案によらないで何かやろうということであれば、これは私たち意見を申しましてもそれは固執できないのですがね、政府の責任においておやりになることですから。しかし、そういう場合には、こういう放送という国民的なものですから、やはり少なくとも関係委員会委員意見は、これを取り入れるか取り入れぬかは別として、全然これと関係なしに政府が自分の責任においてやるんだと言われましても、そういう委員会がいいんだとか悪いんだとかということで、またここで問題が起こりますから、私はむしろ各委員からそういう問題について忌憚のない意見を述べてもらって、その上に立って、それを参照しながら、政府が適当な機関を作って、基本的な方針を練るというふうにおやりにならないと、問題をただあとに残すだけになるじゃないかということを心配するから申し上げておるので、その意味においては私は、この会期中には何らかこれについてのもう少し具体的な主管大臣としての意見をわれわれにお示し下さらないと進まないのではないか、むしろ進展しないのではないかというふうに考えるのです。これは一つ早急に御研究願って、まだ会期もあるので、他の機会でけっこうですから、ぜひそれは私の希望のように処理をしていただきたいと思うわけなんです。その点が一つです。これはぜひお願いしておきます。  それから、これは大臣が直接お答えになれる問題か、なれぬ問題か知りませんが、関係の当局からでもお答え願ってもけっこうですが、大臣一つ聞いておいていただきたいのは、午前中に山田委員からFMの放送についていろいろ質問があったわけです。実は私も同じような観点からFM放送については心配しておるのです。実は私たちは初めに放送法やら電波法やら、数年前に、あるいは十年たちますか、前にこれを国会で制定しました際に、初めは、一体民間放送がどこまで申請が出てきて、どう育っていくかということについてほとんど確信が持てなかった。そういう経済状態のもとに法律案だけが出たものですから、非常に心配した。ですから初めのうちは、むしろ電波監理委員会が、申請が出ても、むやみにそれをただ押えつけて断わるというような事態がないようにということを心配しておったのですが、しかし今日民間放送の方も非常な盛況を呈しております。そこで私は、電波関係の当局が、その当時作られたいろいろの置局の基準ですね、こういったものを早く変えなければならなかったと思うのですがね。ところがそれを一向に変えなかった。そのために今日のようにいわば非常なはんらん状態でありまして、さっき申し上げたように、非常に私から見ると、営業的には過当競争になっているし、電波の方では混信状態が随所に見られるということで、これはもうちょっと進むと収拾ができなくなるということでないでしょうか。  で、FMの周波数帯は、これは放送事業としては最後に残されたバンドだろうと私は思うのです。そこで、これも根本的な基本になる方針をきめないで、申請があったからまあまあここはいいだろう、まあまあここもいいだろうということで許可されますと、またこれも収拾がつかないことになると思うのです。で、ある地区だけで、これはこういう理由があるのだといって許されましても、他の地区で同じような理由、またそれと同様の重要度を持ったような理由をつけて、申請があれば断わるわけにいかないということで、また波のあるだけ使ってしまえという結果にしかならないと思う。ですから私は、FMについては、去年でしたかのNHK予算審議しました際にも、NHKはこれを第三放送として考えておられるのか、それならばこれはもっと慎重に考えてもらわなければならぬ問題がその前にあるはずだ。第三放送で一体何をやるのか。ローカル放送ならば、今の第一、第二の時間をもっと切りつめて整備してやればできるじゃないか。全国的に第三放送というような観念でいかれるのは、FMの周波数帯を有効に使うのには考えものじゃないかということを申し上げたことがあるのです。これは事情が私の認識不足であればいつでも訂正いたしますが、今やはり同じような考えを持っておるのです。NHK及び民間から非常にたくさんの申請が出ておると聞きますけれども、これについてはまず大臣が、これなら将来の、しかも最後のバンドですから、これを最も有効に使うのにはこの方針がいいのだということをまずおきめになって、その基本方針の上に立って、順次に免許を与えていかれるという方法をおとりになっていただきたいと思う。先ほど山田委員は私見として、非常に難聴地域がまだ残っている、そういうところではFM放送でやらせるのが経済的でいいんじゃないかというようなことを言っておられましたが、現在の段階では私もそういうことは考えなければならぬと思うのですよ。これは私の意見が主になりましたが、要するに簡単に非常に安易に免許を与えるような措置をやめて、これは中波の放送、それからテレビのVHFの放送について、もうわれわれはいやというほど経験しているのですから、その轍を踏まないように、一つFM放送では十分慎重に案を練って、放送事業全体のために最も有効な方針で免許を与えていってもらいたいという希望を非常に強く持っておりますので、この点について大臣の包括的にでけっこうですから、御所信を承っておきます。
  95. 小金義照

    ○国務大臣(小金義照君) 前段について、もちろん慎重に考えて、なるべく早く善処したいと思っておりますが、後段のFM放送につきましては、お説まことにごもっともだと思います。現にたくさんの百以上に上る申請があるやに私聞いておりますけれども、これは安易に許可する考えは毛頭ございません。ただいまのお説のように、やはり基礎的に計画を十分立てまして、逐次必要なもの、また重要なものから処理して参りたいと思っております。ただいま実験放送の段階だと私は承知いたしておりますので、十分な納得のいくプランができるまで安易な処置はいたさないつもりでございます。
  96. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それからこれも大臣が直接にお答え下さる問題かどうかわかりませんが、今度のNHK予算についての資料を拝見いたしましても、NHKがいろいろの理由からでしょうが、中心になる都市では、中央局ではだんだん大電力の放送をしようという方針のようです。私はこの大電力の主義に反対するものではないのですけれども、これはまあ外国電波から非常に妨害を受けるから、こういう大電力の放送をしないと、一般国民が非常に聞こえにくい部分が出てくるのだということも承知と思います。それから一体経済的にみたらどちらがいいのだということも考えなければならぬと思います。ときどき思い出したように——私にはそう見えるのですがね。思い出したように大電力主義を強調されるのは、これは一体どういうところに原因があるのか。これはNHK両方からお答えを願いたいと思うのです。
  97. 西崎太郎

    政府委員(西崎太郎君) ラジオの置局計画というものに対しまして二つの考え方がございまして、いわゆる大電力少数主義と申しますか、そういう考え方が一方にある。片方にはこれに対しまして小電力多数主義という二つの考え方があると思います。しからば日本はそのどちらの行き方を採用するのか、また採用しているのかということでございますが、これはやはりその国の諸般の事情によって変わっているわけでありますが、今までの歴史的な行き方を見てみますと、日本は地勢その他の関係もありまして、その折衷的な行き方をとられてきた、こういうふうに考えているわけであります。実はわれわれもそういった行き方を踏襲して参ってきているわけでございます。ただ先ほども先生からもお話のように、戦後特に特殊な事情が影響しまして、外国からの混信というものが非常に多くなってきた。これに対しましては、やはり何らかの自衛的な措置を講ずる必要があるわけです。実はそのためにやはり大電力局によりまして、最小限のサービスというものを確保できるような措置を考える必要があるのではないかということで、東京と大阪と福岡と札幌ですか、この四カ所に超大電力の電波権益と申しますか、これを国際的に確保いたしたわけであります。これを逐次実施に移していきまして、そうして、特に外国混信というものは夜間において激しいわけでありますので、これによって、こういった最悪の事態に対処して参るということは、やはり国としてぜひ考えなければならないということで、その線に沿ってNHKも来年度から実行に移していくということだと了解している次第でございます。
  98. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) 国会の方でもときどき御指摘にあずかるわけですが、難聴地域の改善ということが、もう長年続けておりましても、依然としてなかなか完全に解消できないのは、やはり雑音がだんだんふえていく、それから混信がだんだんふえていくという現象がありまして、一応いいとしても、またあとから悪いところが出てくるというようなことを継続してやっているわけでございます。それにしても、はなはだしいところにつきましては、毎年度若干の局を置きまして解消をはかっておりますが、どうしてもこれは小さな局を置くことによりましては、とても追っつかないという段階にあるように思います。それで今西崎局長から御説明がありましたように、やはりある程度は日本の国内に数局の大電力局を置きまして、その組み合わせによって、全国大体夜間二ミリボルトぐらいの電波の強さを確保すれば、どこでも、各局のどれかが聞こえるというような状態に持っていきたいというのが、大電力局の計画でございまして、従いまして、東京に最初着手するというのは、決して東京周辺を目的にしたものではなくて、それから約五、六百キロ以遠を、いわゆる技術的には第二次サービス・エリアというものを目標にして、そういう地域を全国に四カ所ないし五カ所作りたいという、それによってお互いに電波が重なり合って、全国をカバーする、こういう方式にいくことが、たとえばFM等がまたございますけれども、中波の利用に関しましては、こういう方式でいくよりしか全国くまなくカバーするということができない状況になっております。たまたま、国際的にもその周波数が確保されておりますが、そういう意味から計画を立てたわけでございますが、ただ、やはり相当技術的にもまだ問題が残っておりまして、そうすぐ数年のうちに全部できるというわけにはいかぬのですから、来年以降漸次進めていきたい、こういうふうに考えております。
  99. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 NHKの副会長お話は、そうすると、国内の難聴地域解消する意味では大電力にして、そのいずれかの電波が入ってくるようにしたいのだと、こういうことが主だということですか。
  100. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) これはローカル放送ではできませんけれども、全国的なカバーという意味からすれば、今のお話通りでございます。
  101. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そうすると、郵政当局の方では外国からの妨害電波のことを非常に考えておられるようなお話があったが、それとNHKの考えとはどういうことになるのですか。その両方なんですか。それともあなた方が主としてねらっておられるのは、これはもっと端的にいうと、日本海方面なんかは聞こえない局がたくさんあるでしょう、妨害電波を受けて。そういったものを排除して、日本の放送を聞かせるという意味で大電力の放送をするのだということを、従来これは伝統的に企画されもし、了解をしておるのですけれども、そうじゃないのですか。
  102. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) 私の御説明申し上げたのも、つまり地方の局でローカル局を聞こうと思っても、ある程度電波が弱い局になると聞こえませんから、そこでダイヤルを回しますと、東京とか大阪とか、どこか大きいのが入ります。ですから、それによって全国をカバーしよう、従いましてやはり混信の対策である、こういうふうに考えております。
  103. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そうすると溝上副会長の言われるのも、外国電波の妨害があって入らないところがあるから、これを排除して、日本のどこかの放送を聞かせようという意味でやっておるのだと、だから主たる目的は、外国からの妨害電波の排除ということを主にしているのだということですか。
  104. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) 外国電波と競合して押し出すという意味の排除じゃなくて、聞こえないところを聞こえるようにするという意味でございます。
  105. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そういう意味だと、さっき申し上げたことを私ちょっと誤解しておりましたが、電波当局の言われるのと大体同じだと思いますから、それならそれでけっこうですが、それならば、今私がこういう資料をいただきました。これを見ておりますと、いずれは札幌でしょうね、それから東京、大阪等が書いてありますが、九州なんかは非常に年度がおくれるのですか、むしろ日本海に面したところですよ。中国方面とか九州方面あるいは秋田、山形、北海道などの西岸、そういうところを先におやりにならないと、目的を達成できないのじゃないか。まず東京を、これは将来五百キロか知らぬけれども、とりあえず三百キロやるのだというので、東京を先におやりになるのは、これは一部、で、第二次計画まで参りますと、北陸方面がカバーできることになるけれども、しかし当面第一次計画ではそこまでいかないわけでしょう。そうすると一体その方針として、なぜ、そういうふうな意味の大電力放送であるにかかわらず、なぜ東京を先に三百キロにするという措置をおとりになるのか、私はその趣旨がよくわからなくなってくるのですがね。
  106. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) ただいまの東京の大電力の問題でございますが、先ほど副会長も申されましたように、セコンダリ・サービス・エリアということを申し上げたのでありますが、御承知のように、普通の中波の放送は、昼間は遠方に行くに従いましてだんだん弱くなって参りますが、夜間になりますと、ある距離からある距離の間が非常に強くなって参ります。従いまして、東京の電波は、一応理論的に計算いたしますと、静岡県あるいは愛知県辺から大体山口県辺まで、あるいは東北の方では、福島県から青森県辺まで、その辺までの間の地方は、夜間になりますと相当長距離の電波がサービスできるのじゃないか。従いまして東京におきますならば、大体本州の中央付近で出しますと、関東平野以遠の大体本州の大部分の地域で、夜間相当の感度が得られる。そういうふうな考え方でございまして、別に東京周辺を目的としたものではございません。しかしながら、大体電波の性質から申しまして、本州辺がカバーされますので、まだ北海道あるいは九州地方は十分行かないと思われますので、それらの電波につきましても、あるいは大阪あるいは札幌、そういう比較的、電波を発射しております所よりは遠い地域をサービスするような目的で考えておるわけです。
  107. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 あまり私は技術のことはわかりませんから、技術上の問題で理屈を言うことは避けたいと思いますけれども、この絵だけ見ますと、田辺さんの言われたようにならないですね。ここでは夜間は非常に遠くまで行くのだ、それはその通りでしょう。しかし九州や中国の方では昼も夜も困っておるのです。これにはいろいろ質問したいこともあるのですが、時間があまりありませんから、簡単にしますと、電波監理局の方で、そういう妨害電波がどんどん出されるという場合に、これは相手国は大体わかっているでしょう。それに対して何か外交上といいますか、あるいは主管庁同士の間で、そういうのは困るということで、相手の国に対して何らかの措置方を申し入れをしておられるかどうか、もしそれを何べんやっても、どうしてもそれはやはり入ってくる、なかなか言うことを聞いてくれないということであれば、こちらもそれに備えて、今のような非常な経費をかけてでも大電力の放送をしていかなければならぬということになるのです。そうなれば、それの一番実害を受けておるところを先におやりにならないと、そうNHKも資金が豊かにあるわけじゃないんだから、まずどこを先にやるかというと、私が今まで聞いた範囲では、間違っていれば訂正して下さい、九州や中国あたりですね。あるいは秋田、山形とか、北海道の西海岸というようなところに主力を置いて、外国の妨害電波によって国民ラジオも聞けないというような事態が起こらないようにする措置をするというのが当然じゃないですか。今NHKの言われるようなことで、電波監理局もそれでよろしいという方針なんですか。
  108. 西崎太郎

    政府委員(西崎太郎君) 前段の御質問でございますが、外国の混信源除去について何か申し入れをしてあるかというお話でございますが、御承知のように、混信源の主たるものは、中共であるとか北鮮であるとか、そういう現在ITUのメンバーになっておらないところが大半でございまして、実はこういったところにつきましては、条約上の正規な交渉ということができかねておるわけでございます。しかし、外務省の方ともそのつど相談しまして、たしか昨年だけでも七件くらいにつきまして、直接混信除去についての申し入れをいたしております。中には、これはその結果混信が軽減されたのかどうかわかりませんが、解決しているのも一部ございます。しかし、大半は未解決、また先方からはナシのつぶてで回答はない、こういうような状況で、実はわれわれの方もその対策には苦慮いたしているような次第でございます。こういった事態が一日も早く解決することをわれわれとしては念願いたしているわけでございます。いずれにしても、こういう情勢のもとにおきましては、ここ当分の間は、この事態の解決するまでの間は、やはりただいまお話の大電力主義というものも採用していかざるを得ない。もちろん、これは本道ではございませんが、やはり自衛上やむを得ないことだと、そういうふうに考えております。  それからその次の御質問でございますが、確かに現在外国配信の最もひどい地域は、九州であるとか、あるいは裏日本であるとか、こういったところだと承知いたしております。そういう、意味から申しまして、大電力局、どこから着手していったらいいかという問題になるかと思います。お手元に届いている図面は、東京に強大電力局を置いた場合に、どの程度の直接波によるいわゆる第一次サービス・エリア、空間波によります、夜間における第二次サービス・エリアはどういうことになるかということを示しているわけでありますが、この第二次サービス・エリアとして、こういうふうに書きましたのを、これは技術的な表現で恐縮でございますが、電界強度にして三ミリボルトパー・メーター以上のところを示しているわけであります。これ以下になりましても、普通の受信機で十分入るところが相当多いわけでございます。そういう意味で、まず初めての試みだということで、試験的な意味もありまして、東京でまずやっていきたい。もちろん東京でなくて、まず大阪から始めたらどうかというようなこともあるかと思いますが、いろいろこの大阪というようなことになりますと、民間放送その他の問題でまた問題になる点も多いわけなんで、まず差し向き東京ということだと了解しております。
  109. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そういう抽象的な御説明は、それはそれでいいんですが、私はもっと、実際に今あっちこっち行ってみると、国民の方が困っている問題がたくさんあるんですよ、そういう混信問題で。それを救済しようという、本気でそういうことをお考えになっているのなら、NHKの方にしたって、あなたの力にしたって、あなたは今そういうことのようですと言って、人ごとのように言っておられるけれども、これはあなた方の方とNHKの方と、やはり無線局のことなんですから、だから十分打ち合わせをして、こういう方針でいこう。ことに大電力主義なんかになりますと、これは監督権限はないにしても、あなた方の方と実に密接な関係を持っていかないとできないでしょう。だから内容的には御相談になっているのだろうと思うのだ。そうすれば、今の国民の困っている悩みを解消しようということであれば、東京はNHKの本部ですよ。しかし今お話のような、御説明のような混信、外国からの混信をまあ防ごうというような趣旨から、大電力主義をここでとっていかなければしょうがないのだというようなことになってきますと、まず第一にどこに手をつけるかということは、これは常識でわかるのじゃないですか。何も中央の、本部のあるところから先にやらなくてもいいじゃないですか。ことに今試験的にとおっしゃったけれども、大電力の放送を試験をしなければならないくらい日本の技術が私は低いとは思わないのです。メーカーの方だって三百キロがどんなにむずかしいのですか。放送の問題にしたって、機器の保守といいますか、運用といいますか、そういった問題にしろ、試験をしなければならないほどむずかしいのですか。私はそんなことは、これは試験的にとおっしゃるけれども、それは答弁のための答弁としか考えられないですよ。今あなた方にこれをどうこうしろといったってお困りでしょう、案を出した以上は。だからそれは言いません。言いませんが、もう少し本気で考えたらどうですか。外国の電波による妨害を排除して、そして国民全体に日本の放送を自由に聞かそうという、そういう趣旨から出発しているのだということであれば、一番困っているところから、どんなへんぴなところでもいいということじゃないですか。北海道からでも九州からでも手をおつけになった方がいいと思う。これはNHK予算の法則で見ますと、やれないことはないでしょうね。おやりになったらいいと思うのです。今ここでそう変えますということはお困りでしょうが、私はそういう意味で、十分両者で再検討されて、本来の趣旨に沿うような措置をこの三十六年度の予算の実行にあたっておとりになることを強く要望しておきます、よろしいですか。
  110. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) 東京から始めるということは、東京を救済という意味じゃないということは申し上げましたけれども、なお御趣旨のこと十分気をつけまして、実行上注意するようにいたします。
  111. 山田節男

    山田節男君 今の新谷君の質問に関連してですが、NHKが大電力によって難聴地区を解消しようということなんですが、この案によると、東京三百キロ、そういう増力によってやろう。しかし御承知のように、NHKの中央放送局がたしか八つあったと思うのですが、それで今日のラジオ放送法からいっても、また今日の民間放送が各県別にあるというような実情からいっても、なるべく中央放送局単位でローカル・カラーを出せ、ローカル・ニュース、それからまたローカルに何といいますか、なじむような放送、これが従来の慣行だと思うのですね。そういうような点から考えますと、ただ大電力でカバーをするということがはたしていいかどうかという問題、それからかりに三百キロにいたしましても、現に沖繩のVOAは、これは千キロワット、それから平壌が五百キロか千キロです。それから京城がやはり五百キロ、それからハバロフスクを中継とするモスクワ放送が千キロです。北京のは知りませんが、少なくとも、これも五百キロ以上のパワーであるということは、これは明らかな事実なんです。かりに三百キロの、東京中央ステーションから、そういう増力のパワーを出しましても、現にわれわれがうちでもってNHKのダイヤル、ラジオで六ですか、六を聞きますと、ほとんど同じそこのダイヤルでもってモスクワ放送が聞ける、NHKよりも明瞭に聞こえてくるのですよ。これをさらに三百キロにしますと、はたして今あなたがおっしゃるような外国の電信電波の混信に基づく難聴を解消し得るかどうか、パワーが違うのですよ。ですから三百キロ程度のもので、今あなたのおっしゃるような、日本の相当五、六百キロ、セカンド・サービスで大体六百キロ以内にできるようにしても、これは難聴地区の解消にならない。同時に放送の従来の慣行であるローカル・カラーを出す放送をあまねく受信せしめるということになれば、これは私今朝ちょっと申し上げたように、いろいろ超短波のFMというのがあるのですから、そうすればこれはもう難聴地区の解消、たとえば江差から島根、あるいは九州の佐賀県、長崎県、福岡県、鹿児島の一部、こういう地帯はむしろFMによりまして、そうして外国電波混信以外の雑音、これはまたFM一番いいのですから、もちろんそういうことになれば、ラジオについてはむしろNHKの使命を達成するためにはFMでそういう難聴を解消する。外国電波も、それに対抗する周波でもって三百キロ、かりに千キロ、これでおやりになるにしても、はたして今言ったような中波のカバレージのフリーなものができるかどうか、これは私は疑問だと思うのです。ですから、今の新谷君の質問に対する御答弁では、増力によって外国電波の何か混信が防げるのだということは、これは私は実際問題としてNHKの使命からどうかと思うのですね。  それからもう一つは、これはかりに三百キロないし五百キロという放送をしますね。これはソ連はやらないにしても、中国は今日は解消しているらしいけれども外国電波に対してジャミングをやる、そういう場合、向こうでたとえばそういうジャミングをやった場合、千キロ使う、あるいは三百キロのパワーをやってみたところで、力を大きくすることによって外国のジャミングは国内の受信者に響かないかという問題、これは向こうに聞こえる場合、海外放送ですからいいけれども、今度国内の受信者がそれでもってインターフェアーされることになりはせぬか。これは技術的に私はしろうとですからわからないが、理屈からいえばそういうことになる。ただパワーを増しさえすればいいんだと、こういう難聴地区の解消、それから、ことに外国電波から混信を避けようということは親切でない。むしろFMを使いなさい。だから私はけさ申し上げたように、バンドが残っている。今日において難聴地区の解消には超短波のFMを使いなさい。これは実際アダプターをつけるのは二千円ぐらいでできる。あるいは今日もっと安いかもしれない。だから、難聴地区を解消するというけれども、私はむしろ根本的な問題としてFMを使うほかないと思うのです。こういう点どうですか、技術的に。溝上さんなり田辺さんなんかどうでしょうか、見通としてそういうことは言えませんか。
  112. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) FMの活用の方法につきましては、けさほども御説明いたしましたように、当面第三放送という形で進めるつもりでおりますけれども先生方の御意見もあり、また、われわれといたしましても、実際上これを最も有効に活用するために、当然郵政省のもう基本方針もきまりました上は、弾力性ある活用方法をとっていきたいというふうに考えております。ただ、これをすぐに難聴の解消に利用できるかどうかと申しますと、まあ二千円ないし三千円ぐらいでできるかもしれませんが、少なくとも今の受信機がそのまま使えないという点がございますので、それを初めから予想してアダプターをつけるなり、新しい受信機を買うということを予想して、いきなり大規模にFM放送をやるということはいかがであろうというふうに考えまして、一応第三放送という形で普及をはかった上で、最も合理的に、何といいますか、併用をはかりたいというふうに考えておったわけでございます。  それからもう一つの、ローカル放送の問題につきましては、われわれといたしまして、もちろん今までも、あるいは今後も、できるだけローカルの番組を拡充していきたいと考えておりますけれども、今の段階で地方の局を少々増力するなり、あるいは置局いたしましても、非常に数がふえまして、運営上大へん繁雑になりますので、せっかく国際的にも権利を持っております大電力放送を許される範囲内で併用いたしまして、日本全体としての電波のレベルを高めたい。これは日本でもし使わなければ、場合によっては外国で利用されるということも考えられますので、そういう点を考えまして、国際的に割り当てられる電波につきましては実行したい、こういうふうに考えまして計画しているわけであります。
  113. 山田節男

    山田節男君 NHKは五カ年計画でFMを三十七年度までには十六局置いて、三十六万世帯の受信を予定して計画を立てておられる。だから今私の申し上げているのは、それもいいが、しかし第一、第二があって、さらに第三的なFMでやる。これはラジオが過剰なのですから、ですからそういうことをしないで、全国に普及するFMでなくて、たとえば江差地帯あるいは秋田、山形、その他、外国電波により混信を受ける地方をFMにおいてカバーするようにして、難聴地区をやったらどうかと言うのです。ですから今の五カ年計画では、FM放送というのは、結局は第三放送的に持っていって、全国的にカバーするのだという計画をおやりになる。私の申し上げているのはそうじゃないのです。それよりも、今当面している、一方で大電力を三百キロにもしなくちゃならぬような——それでもまだ徹底しません。同時にローカル・カラーというものはなくなってくる。NHKの使命であるローカル・カラーを生かすなら、むしろそういう極地に対してはFMの中継なり、FMによってそこにカラーをほんとうにエンジョイするような受信をし、そして難聴を解消する。しかも、それは、幾ら強力な中波の電波がきましても、FMなら防御が効くのですから、難聴地区は、いろいろなファクターがありますが、外国電波に関する限り、また地方の年々自動車とか雑音を作るような傾向のものがふえますね。あるいはその他機械がふえるにしても、FMならそれをかなりの程度防げるのじゃないかという、FMの本質からして、難聴地区の解消にFMの一つのポリシーを立てたらどうかということを申したのです。そうしますと、今の大電力主義も、これも限界があるのです。ですからそういうこともお考えになったらどうか、その点どうですか。
  114. 溝上けい

    参考人(溝上けい君) FMの問題は、これから政府御当局でもいろいろ基本的にお考えいただけると思いますので、われわれの方も実際に計画いたします場合には、十分にそういう点も考えていきたいと思います。
  115. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それではこの問題は私もその程度にしておきますが、次にNHK予算に関連しまして、局長でけっこうですが、お答え願いたい。  それは、今度の予算は非常に苦心をされた跡が見えるのですが、特色として従来にない、事業収入をもとにして資本支出の力に充てておられる。これはおそらく難聴地域解消、その他建設方面の仕事がふえたからまあやむを得ないのだ、こういうことだろうと思いますけれども、ただこれは、これだけの問題として見れば私は了承するのですけれども、一体これから先どうするのだということなんですね。そうすると、私はよく知りませんが、会計関係のいろいろの原理から見ると、こういうことはあまりやらぬ方がいいのですね。しかし、やる必要があればやるのもやむを得ないでしょう。しかしそれにはおのずから限度があると思うのです。私はこういう措置をとられるならば、事業収入のある部分、たとえば五%でも一割でも適当な、収入面から見て事業支出の方はどのくらい出さなければならぬか、従って料金はどのくらいとらなければならぬかということがきまっているわけですね、原価として。それからくるのですけれども、そのうちのある部分はさいて、これは資本収入に繰り入れる。できれば、私の考えでは、資本収入のところでどこかのファンドもこしらえて、そこに一応の資金でも繰り入れて、毎年々々ある部分を繰り入れて、それでいざという場合の建設の方の支出に充てるんだというようなことだと、これは私は意味があると思うのです。ことしのようなやり方をされると、ことしはもうたとえば八%だった、あるいは一〇%だった、来年は一五%だと言っても、これは何ら根拠がないのですからね。それもいいということになってくるかもしれませんね。それでは私は事業経営の上からいくと、これは非常に将来に問題を投げかけると思うのです。一体、料金は八十五円ですか、八十五円はどこから出てきたのかということになると、計算のしょうがないでしょう。私は今度のは異例の措置だと思って、一応了承はいたしますけれども、まあ将来に対しては今のようなことを、もしこういうことをおやりになるとすれば、今のようなことをどうしても考えてもらわないと、事業経営の基本が成り立っていかないということを心配するのですが、いかがですか。
  116. 春日由三

    参考人春日由三君) 御指摘のように、今年度の特別のと申しますか、異例の措置については新谷先生、事情を御了承願って、今年度限りこういう措置をとっていくことは、将来の安定性のためにとられている限り認めよう。しかしそれを何らの基準なしに、あるいはそのときの思いつきでやっていくと、もちろん料金の算定原価にも根拠を有しないようになるし、また、実際上仕事の運営からいっても、運営費を圧迫することにもなるわけでございまして、今年度の場合の特別措置は、いろいろ理由はございますが、それを御了承願ったものとして、先生の御指摘のように、来年度からは安定料金の問題とあわせましてこの問題も、たとえば今御指摘のように、放送債券の方は法律で一割という積み立てがございますけれども、長期借入金の方にはそういうふうな規定は何もございませんですから、たとえば減債資金のファンドを作るとか、あるいは減価償却以上の設備改善の資金のファンドを作るとか、しかも、それは事業収入の何パーセント程度がこの資本充当率として料金の間から見られても、社会通念上あるいは財政法上違法ではないとか、いろいろなよりどころがあると思います。そういうものを研究さしていただきまして、来年度予算の編成にあたりましては、二度と同じ御指摘を受けないようなきちんとした措置をとりまして御提出いたしたいと思いますので、今年度はるる申し上げますと切りがございませんが、たまたまテレビジョン運営費の借金を返し終えた機会とか、あるいはたまたま、長期借入金、その他債券などの返済期限がきておりませんために、非常に例年に比べて借金の返還の額が少ない。それから第二次チャンネル・プランができますと、きわめて短い期間に、おそらく収支相償えないような局を百局以上も作らなければならない、いろいろな事情がございましたので、たまたま昨年度に比べまして、受信料収入はかなり大幅にふえておりますので、こういう資本充当率から見まして、ほぼ妥当であろうという程度のお金を建設に回させていただいたわけでございまして、来年度からは御指摘のように、どういうやり方でやりますかを十分研究いたしまして、措置するようにいたしたいと考えておりますから、御了承願いたいと思います。
  117. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今の春日局長の言われたような趣旨で私自身は了解をしておきますが、これは会長も副会長も、この点は次の年度の予算編成には十分御注意になりませんと、その年その年の各方面からのいろいろな要望やら、いろんな意見で、この事業収入で出てきた収入のある部分ですね、資本収入の方へただ繰り入れるというようなことが継続されると、私は事業の基礎を危うくすると思いますので、この点は一つ来年は十分御注意を願って、何かここは一つの基礎的な考え方に立って、そうしてそれが経営の基礎を危うくしないような程度において、また、この事業の必要な支出を圧迫しないような程度において考えられるような措置をぜひ考えていただきたいと思います。これは同時に、郵政省の次官や局長が来ておられるから、あなた方もそういう趣旨でお考えにならないと、ただこれだけここへ持っていけばいいのだ、これはほかの公共企業体にも例があるじゃないかというようなことで簡単におやりになると、こういうNHKのような非常に経営の苦しいところでは、結局事業の支出を圧迫して、番組の製作費を減らすとか、いろんな国民に対しては悪いサービスを与えることにしかならない。これは十分気をつけてもらいたいと思うのです。郵政省に対しても注意をしておきます。  それから最後に、こまかい点ですから、これは一括して郵政省とNHK両方にちょっと聞いておきますが、今度の予算案の資料を見まして、この中に、さっき山田君から御質問になったような問題に触れるのですが、オリンピック準備の経費として、技術的な方面でしょうが、大体五千万円ほどの経費を計上されましたね。一体、これは今のところ、何か具体的に、こういう方面に使おうというお考えがあるのか。あるいは、先ほども山田委員との間でいろいろ話し合いがありましたが、これからのそういうふうなテレビの人工衛星を利用しての中継というようなものに対する研究の準備費とでもしてお考えになっているのか。実際におやりになろうとすれば、実はこれだけじゃとても問題にならないと思うのですね。だれかがどこかで設備をやってくれるにしても、あなたの方の実験費だけを.見ましても、これだけじゃとうてい足りない。で、これは研究の実態がわからないから一応こうしたということなのか、この五千万円という数字を見て、私は実は一体どういうふうな考えで何に使うのかというお考えがよくわからないのですが、それはあとでお答え願います。  それから郵政省に対してお聞きしたいのは、去年でしたかの通常国会放送法の改正案が通過して、それから番組審議会というものがNHK及び各民放の中にできましたね。そこで、この番組審議会についての資料はここにたくさん出てきましたので、議事録のようなもの、これはまだ実は拝見するひまがないのです。ですからこれをもとにして質問をするわけじゃないのですけれども、私はこの番組審議会ができて、一体、あなた方がごらんになって、番組審議をやって、番組の内密を向上さすために非常な努力が払われたかどうかということについてのあなた方の考え方ですね、これはつまり一言で言うと、ああいう法律改正をやって、あれで非常に成功をして、所期の目的を達成したかどうかということなんです、私の知りたいのは。私はその当時から、これじゃ足りない、つまり民放でいきますと、どうしても番組の内容というものは、やっぱりその社その社の営業政策に左右される、最終的には。だからその営業政策を根本的に殺してまで番組の内容を変えるということはなかなかできないだろう。やはり第三者的なものがないと困るだろうということを当時申し上げたのですよ。しかし非常にりっぱな考え方でもって皆さんがおやりになったために、所期の目的を達成したというふうにお考えになっているか、あるいは将来にわたってまだ改正を要するとお考えになっているか、その辺の、これは抽象論になりますけれども、お考えを伺いたい。  それから、それに関連しまして、その当時も申し上げたんですが、一体教養番組とか教育番組という言葉をたくさん使っておるのです。これは一体だれが判断をするのだといいますと、その当時あなた方は、これはやはり自主的に判断する以外にないのだ、こういうのでしたね。私は、それはそうじゃあるまい。やはり許可の条件にしている以上は、客観的な一つの標準があって、ものさしがないと、これは私は教育番組だと思いますというのじゃ、これは社会が納得しまい。ですから客観的な標準をどこかで作ったらどうだということを申し上げたんだけれども、この運用についてはどういうふうになっておりますか、うまくいっておりますか、どうですか、その辺の事情を郵政当局からお聞かせ願いたい。
  118. 春日由三

    参考人春日由三君) 先生の御指摘のオリンピックの準備の五千万円の費用でございますが、そのうちの、実はオリンピック強化委員会というものがございまして、それと相談をいたしまして、四年後のオリンピックまでに日本の国内の選手を育成強化するために、四年間毎年外国の選手を招聘いたしまして、NHK側としては、それをラジオテレビジョンで中継するかわりに放送費を持とうというのが、五千万円のうちの三千五百万円、残りの千五百万円ぐらいは、来年度中に敷きますオリンピック施設のラジオテレビジョンの中継施設を、これは従来の例でこちら側がいたしますものでございますから、これは毎年四年間運営的に使う金でございます。それからオリンピックの際のラジオテレビジョンの中継のための機器類は、これも一挙に準備するわけには参りませんものですから、三十六年度から四年間毎年約二千四、五百万円の建設費を盛っておりますが、これはVTRと中継車を作りまして、各地方に配置しまして、それをオリンピックには全部東京に持ってきて使うというように長期的に準備をいたして、別に先ほどお話しになりましたオリンピックの国際中継の研究費というものは、技術研究費の中に約二千五百万円来年度計上しておるわけであります。これはおそらくどういう方法で国際中継するものかということの研究に使われるものでございますから、先ほど来の御答弁にもありました衛星による中継というふうな共同研究をするような場合には、若干その方へ向け得るのではなかろうかというような推測をいたしております。
  119. 西崎太郎

    政府委員(西崎太郎君) 先生の御質問のまず第一点でございますが、先般の放送法改正によりまして、法定されました各放送事業所における番組審議会、これが実効をあげておるかということでございますが、この点につきましては、いろいろと批判なり御意見のあることは、われわれとしても承知いたしております。しかし、これはあるいは我田引水的なことになるかもしれませんが、まだ、とにかく、できましてから一年半ほども経過いたしておりません。もちろんいろいろ各省の中には相当おざなり的なものもあるように承知いたしょておりますが、また中には相当実効をあげているというふうに見ているのもあるわけでありまして、われわれとしましては、せっかくできました制度でございますから、もう少し成果を見る時間を与えていただきたい。しかし、また、先ほど大臣言われましたように、放送法の改正という問題もあるわけでございますから、そういったときにさらに再検討さしていただきたいと思います。  それから第二点で、教育番組とか教養番組あるいは報道番組、こういったものの基準の問題でございますが、確かに先生が御指摘になったように、比較的このボーダー・ラインと申しますか、不明確な点もありまして、率直に言わしていただければ、われわれも扱い方に苦慮しているという点もあるわけでございます。現在いずれにしましても、そういう判断は各業者が自主的にやるという建前になっておりまして、そういう範囲内におきまして、大部分のところでは、免許の際の条件に定められました比率というものを守っているという報告を、われわれの方としては受けているわけでございます。この点は今後十分検討の余地のある問題である、こういうふうに考えております。
  120. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 もう私の質問はこれで終わりますが、大臣おられなかったので、あとで局長から聞いて下さってもいいのですが、今番組の問題ですね、番組審議会の問題ね、それから教育番組の問題、こういったのをちょっと議題にしてみたのですけれども、今局長言われたように、私は、そういう放送法の改正を考える段階にあるから、はたして今の番組審議会という制度がいいかどうかということについては、問題になったらそのときに考える。検討してみるではだめなんですよ。やったのだから、一年やっているでしょう。だから早くその成果というものを、あなた方が集めて、事務当局として当然でしょう。それは。それでこの点を改正すべきかどうかということを大臣に早く資料をもって相談してくれないと困るのですよ。じっとされていては困るのです。ああいう行き方で、私さっき申しましたように、最後までいくと、NHKは別ですが、民放に参りますと、やはり最終的には営業政策ですよ、一番大事なのは。会社がつぶれてまでもかまわないから、こんな放送でもいいのだというようなことはありませんね。ですから私は最終的にはそういうところに支配されるのが普通だから、だからあの制度ではやはりいけまい。第三者的なものがないと、そういうふうな客観的な社会的に妥当だと思われるような標準はなかなか出てこないだろう。私は民放連に番組審議会の機関でもこしらえて、そうして第三者的にやらしたらどうだということをその当時申し上げたこともあるのですよ。しかしその当時はいろいろの事情でできない。それはやってみて考えましょうというようなことだから、もう少しそれについてあなた方が調査もし研究もして、何かこれはいいとか悪いとかということを、事実に基づいて判断する材料を提供してもらえるものと思っておったのですよ。の言うように、問題になったから、これから再検討するというのじゃ足りないですよ。今大事なときですから、すぐに調べて下さい。そうして、それに基づいて大臣に報告されて、放送法改正のときにどうするかということを検討する一つの材料にしてもらいたいと思います。  それから教養番組、教育番組の問題も同様ですが、大臣、これは私見を押しつけるわけじゃありませんけれども、しかし、私は、ある放送業者は、これは私のところでは教育番組ですと言うのですね。あるところでは、これは教養番組だと言う、あるところでは、またほかの放送業者から見ますと、こんなものは教育でも教養でもないじゃないか、こう言うのです。われわれが見ましても、教育だ、教養だといっても、どうもいかがわしいと思われるような、娯楽番組との区別ですね、これは非常にむずかしいでしょう。そこであの当時は、たとえばレスリングでも、学生のレスリングはこれは教養だ、プロレスは娯楽だ、こういうことを言った人さえあるのですから、私はそこの限界というものをもう少し客観的に国民が納得するようなところに線を引いて——私は条件だと思いません。法律上はしかし条件と心得ておられるなら心得ておられてけっこうだが、とにかくそれを守ってもらうように、何か客観的標準をお作りになる措置を至急におとりになる必要がある。それは具体的に申し上げると、これはアドバイスにすぎませんが、何か監理局の方でお作りになって、そうしてその民放連なら民放連と実際に話し合いをされて、そしてその結果を電波監理審議会に持ち出して、自分たちはこう心得ているのだということでもお出しになれば、私はこれは一つの客観的に、法的効果を持った標準とも思いませんが、しかし公平な第三者が見ての教育、教養あるいは娯楽との限界になる一つの線を公の機関がきめたのだという一つの標準にはなると思うのです。そういう意味においてば、これももう一歩前進して何かお考えにならないと、あるがままに放任して、業者が勝手にやっているのをそのまま監理局はうのみにしているという状態は、私はこれはどこから見ても感心した態度ではないと思うのです。これは意見ですからお答えはどちらでもけっこうですが、最後にこれだけ申し上げて私の質問を終わります。
  121. 小金義照

    ○国務大臣(小金義照君) 大へん示唆に富んだ御意見と承りましたので、よく勉強いたします。
  122. 山田節男

    山田節男君 大臣しばらくおいで願えるのですか。
  123. 小金義照

    ○国務大臣(小金義照君) はい。
  124. 山田節男

    山田節男君 私の質問申し上げることは、私第一回の御質問のときに申し上げたことと重複して、なおまた先ほどの新谷委員からの質問と重複いたしますが、非常に重要な問題ですから、大臣も一つこの点に協力する意味で御答弁願いたいと思う。  実は私第一回の質問のときに、NHKの三十六年度の予算を見まして、並びに事業計画、資金計画全体を見まして、まさにこれは転換期に立っているNHKだということを私は申し上げた。このことについては思い出しますことは、昭和三十三年度、すなわちNHKの五カ年計画の初年度におきまして、どうしてもこのラジオ受信料を百円くらいにしてもらいたい、六十七円を百円くらいにしてもらいたい。ところがこれがまあうまくいかないでこの予定がくずれまして、三十三年度の予算におきましては、NHKとして今までかつてない不健全財政的な予算を計上したわけです。これが最後です。で、次年度はラジオ受信料も上げていただけますからというので、非常手段として異例な、いわゆる債務の支払いを繰り延べするとか、減価償却をこれに入れるようにする、あるいはいまだかつてなかったほどの長期の借入金とか放送債券の増発、こういうようなことでやったわけです。幸いこの三十四年度におきまして、百円にはならなかったけれども、二割五分上げた。八十五円に決定している。八十五円に決定をいたしまして、そして今日の事態は一体どうなっているかという問題でありますが、これがまあこれからの大臣の一つお考えも率直に私は承りたいと思うのですが、大臣がまだしばらくおいでになるというのですから、私ちょっとその前にNHKに御質問申し上げたいことは、三十三年度から今日までのを積算しますと、外部の資本を幾ら入れているか、銀行の短期の借入金、それから長期の借入金、放送債券、こういう形で一体今日総計幾らであるか、これをちょっと承りたいと思います。
  125. 春日由三

    参考人春日由三君) ただいままでのところ長期借入金は約五十億円、それから放送債券を発行いたしておりまして、償還いたしてないものが九十億、合わせまして百四十億でございます。
  126. 山田節男

    山田節男君 そうしますと三十三年度から五年度、今年度は減価償却がNHKの収支予算からいたしまして、当然なすべき減価償却というものがなされていないのですね。これは経理局長のお考えで健全な財政のNHKとしたら、減価償却は一体今日まで、積算すれば幾らであったのが妥当であろうかという数字がお示し願いたいのです。
  127. 春日由三

    参考人春日由三君) この前山田先生がおっしゃったように、三十三年度は受信料改定をできませんでしたために、簡保の借入金と、それから減価償却を七〇%に下げまして、それと返還金の借りかえをいたしまして措置いたしましたのですが、三十四年度の先ほどお話受信料改定以来、減価償却は三十三年度の七〇%を取り戻しまして、四年度以降は百パーセント完全にいたしておりますから、現在のところ、そこに、予算にあります通りの減価償却で十分であります。つまり百パーセントいたしております。
  128. 山田節男

    山田節男君 そうしますと、いわゆる外部資金として、これは放送債券を加えますと百四十億の外部資金をしょっているということになるわけですね。  その次に業務局長にお伺いしますが、第一次五カ年計画で三十七年度まで大体収支予算を立っておられるわけですが、たとえば三十六年度の予算と対比しますと、ラジオにおきましては、今年度におきましては、三十六年の年頭の聴取契約者数を一千百十五万一千としてある。おそらくこの五カ年計画の三十六年度当初、年頭受信者は一千四百六十万ですが、そうしますとこの差が実に三百五十万のラジオ聴取者だけで違っている。しかしテレビの放送におきましては逆に三百万ふえている。これもまた第一次五カ年計画を立てられたときの見込みから申し上げますと非常にここに違いが出てくる。収入の点から申しますと、ラジオは三十六年度におきまして、この予算によりますと九十六億円、ところが五カ年計画における三十六年度のラジオ収入は百七十六億円、倍とは申せませんけれども、ほとんど五カ年計画の半分に近い収入しか入っていない。テレビはしかしほとんど倍、三十六年度のテレビ収入を二百六十五億としますと、第一次五カ年計画の中での見込みでは百七十五億円ですから、テレビにおきましては約百億円−九十何億円の増収ですから、バランスから申せばこれはどうやらとれておることになりますが、こういうような事態を抱えて、業務局長にお伺いしますが、はたして三十六年度の年度初頭の一千百十五万というのが確保し得るかどうかという正直なところの確信ですね、これは業務局長がその方の最高責任者ですから、確信をお持ちになりますかね。
  129. 春日由三

    参考人春日由三君) 全く御指摘のように三十三年度に五カ年計画を立てましたときには、ラジオはなお年々若干ずつふえていくということで、三十六年度になりますと一千百十五万世帯ぐらいになるという見通しを立てまして、もう一つ指摘のようにテレビジョンの方におきましては、今日のような状態ほどふえないと考えておりまして、三十六年度の当初には六百三十万ぐらいであろうと考えておったのであります。しかし三十四年度以降相当努力をいたしましたが、テレビジョンの普及につれましてラジオ受信契約者が年々減って参りまして、昨年度の百六十万、本年、三十六年度の百六十万減る予定に、さらにその予算書にございますような七十万程度の免除を設けておりますので、当初の立てました五カ年計画とラジオにおいては著しい差ができております。一方、テレビジョンにおきましては、これも当初立てました計画をはるかに上回っておりますので、全く御指摘のように収入といたしましては、五ヵ年計画の総収入に比しまして、かなりの収入増を見ておりますが、バランス的には、私どもの立てました当初の五カ年計画から、ラジオテレビジョンそれぞれ相当の違いを見せていることは、御指摘通りであります。
  130. 山田節男

    山田節男君 午前中鈴木光村委員から、ラジオ受信料について、いろいろ詳しい御質問がありまして、NHKとしても、いわゆる解約の防止、それから新しい契約の開発等に力を入れて、サービスの改善等でやると、こういうような御答弁があったんですが、予算面から見ましても、業務関係を見ましても、昨年に比較しまして約八億、七億八千四百八十七万という金をふやされて、そういった方面のいわゆる何と申しますか、契約受信料金を確実に、安定した収入を得よう、同時にサービスをよくしようと、こういう意味が示されておるようですが、どうでしょう、たとえばこの中で契約収納関係で約二十三億円ということでありますが、これはやはり新しい契約の開発あるいは防止、そういうことを私はやるんだろうと思うのですけれども、しかし承るところによりますと、ラジオ受信料テレビもそうだと思いますけれどもラジオ受信料が、大体特定郵便局を通じて六割くらい入ってくるように私は思うんですが、具体的に申しますと、来年度のラジオに関する、ことにラジオの解約防止、新規契約の開発に、特に八億円もふやそうということは、具体的に、どういう面を強化されるのか、効果的な方策を、どういった方面におやりか、一つ具体的にお示し願いたい。
  131. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) ラジオの解約防止については、実は、現在の制度のもとにおいて最善と思われる方法をいろいろ工夫しております。たびたび話が出ますように、ラジオ廃止者の内訳は、やはりテレビの設置者が一番、数としては多ございます。それからラジオのこわれた場合ですが、最近は、ラジオ屋さんもテレビを売る方に忙しくて、その方がうまみも多いものですから、ラジオがこわれました場合に、なかなか直さないんですね、従って聞く意思を持ちながら、ラジオがこわれて、そのまま聞かないでおるという人はだいぶたくさんございます。  で、そういう面につきましては、われわれとしまして、やはりサービスをいたしまして、たとえば今のようにラジオが故障しておるという理由によって解約の申し出があった人には、すぐにNHKの方から係員が出向きまして、またラジオ屋の方にも、われわれの方で渡りをつけまして、そうして、これを直してあげるという措置を講じております。これは非常に効果がございまして、昨年度やりました結果によりますと、そういう理由によって廃止を申し出た方で、直した結果、大体三割か四割が元通り契約に復活しております。それからあとは、テレビをつけたからラジオをやめるという方に対しましては、直接協会から参りまして、そうしていろいろお話しいたしまして、ただ単にパンフレットを上げるとか、そういうことではアッピールする度合いも少のうございますので、いろいろ懇談しまして、そうしてラジオについては、たとえばこういうふうな点に利点があるというふうなことを、いろいろなことを、ひざつき合わして懇談いたしまして、そうして戻ってもらう、そうしております。そういうふうな面で、昨年度の予算におきましても、一億以上の金を投じまして、そうして廃止の申し出者の中から、二十万ばかりは現実聴取者として戻ったという実績はございます。現状におきましては、この努力を今後とも続けていきたいと考えております。  ただいま御指摘のありました収納費のふえているものでございますが、これはその大部分が、予算井にも出ておりますように、従来、集金を三ヵ月分まとめて取っておったのでございますが、これを来年度から二カ月分というふうにしたわけでございます。今まで聴取者から、いろいろと希望が寄せられておりますけれども、一番多いのは、やはり三カ月まとめてそろえるということに対する不満が一番多いのでございます。それはやはり一回の支払い金額が多くなるとか、たとえばテレビラジオ両方にしますと、一回千何百円になるという面で、一回の支払い金額が非常にかさばるということが、やはり家計上、圧迫を感ずるという面もございます。  従いまして、もっとたとえば一月とか、せめて二月ごとに取ってもらいたい。そうぜんと、家計上経済的に困るからという希望が圧倒的に今まで多うございました。私どもとしましても、そうすることによっていわゆる収納率と申しますか、回収率が上がることは明らかでございます。  それからもう一つは、三カ月でございますと、三カ月に一ぺん、それから不在の人とか、なかなか払ってくれたい人を含めましても、三回四回と回りますけれども、二カ月にしますと、それだけつまり三カ月に一ぺん行くところを、二カ月に一ぺん参りますから、従って受信者に接する機会が非常に多くなるわけでございます。従って回収率も多くなります上に、たとえば今、現在廃止で、われわれの予算書の上では廃止と出ています者の中で、非常に多い数が、転居しまして行方がわからないというのが非常に多いのでございます。これなんかも、二カ月にいたしますと、その転居前につかめるということによって確保できるとか、いろいろな利点が多いわけでございます。従いまして、来年度から二カ月に一ぺん集金をするということを実は予算書で計上しているわけであります。その費用が、今のおっしゃった収納費の増額のほとんど全部になっているわけでございます。
  132. 山田節男

    山田節男君 そうしますと、この業務関係の三十億円の中には、特定郵便局あるいは収納委託者に対するコミッションも含んでの金額ですか。
  133. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) さようでございます。
  134. 山田節男

    山田節男君 特定郵便局へお払いになる受信料の収納に対するコミッションは、総額において幾らになりますか、たとえば三十四年度において。
  135. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 総額四億でございます。
  136. 山田節男

    山田節男君 これは今大臣も、答弁をお聞きになったと思うのですが、先ほど新谷委員から御質問を加えられて、私も申し上げたいようなことを言われて、繰り返しませんが、最初に私が申し上げましたのは、これは、はなはだNHKに対して御無礼かもしれませんけれども、三十三年度のあの危機を辛うじて三十四年度からラジオの八十五円、二割五分の値上げによって、どうにかやってきている。しかし同時に、ラジオ経済に関しては、もうこれは漸減じゃなくして、激減の状況になっています。今申し上げたようにNHKの当初計画しているものとは、たとえば三十六年度では三百五十万違うわけですね、こういう状態で、今回のこの予算が、幸いテレビは予想以上の伸びをいたしまして三百万をこえている、しかも料金は、これは一受信者に対しまして三千六百円、これも百八億の増収があったもんですから、どうにか、これはつじつまが合っているわけです。  しかし、この前にも申し上げましたように、このテレビも、かりにこれが一千万とすれば、日本としてはピークになるんじゃないか、そういたしますとラジオ受信者が減ると同じような傾向が、数年後に現われるものと見なくちゃならない。そういうような見地から見ますと、このNHKの三十六年度の予算は、非常にこれは長い目で見ますというと、不安定な予算である、やはり新谷君の言われた通りに非常に不安定な、長期の見通しのない予算である、大臣は、この意見書の中に、きわめて妥当のものであるというように意見を述べておりますけれども、非常に私は不安定なものだと思うのです。  そこでラジオの将来の見通しを見ますと、過日、大平官房長官の失言問題、放言問題で問題になりましたが、これは与党の政務調査会でも問題になったように、今日の民放が発達して参りまして、テレビが普及すれば、ラジオはあまり聞かないんだというようなことから、ラジオに関しては、もう受信料を全免しろということも、これは確かに国民の中には、一部にはございます。その現われとして、これまた与党の政調で、いろいろ問題になったと思うのですけれども、三十六年度からは、この有線放送によるラジオ受信者は全額免除、これが三十六万ということになっております。それから貧困な身体障害者に対して、これまた四十六万世帯の免除、さらにまた盲人に対しては貧困であるといなとを問わず、これまた十一万世帯免除する。そういたしますると、これだけでも九十数万というものが、全額免除になってくる。そういたしますと、先ほど私申しましたように、NHKがこの三十六年度の予算でここに出ておりますように、契約者の数は一千百十数万に出ております。これは三十七年の予算を出すときにはおそらくもう千万を下っちゃって、悪くすれば六百万か七百万になるのじゃないか、これは必須の趨勢だと思うのです。  そこで私は、大臣にお伺い申し上げたいと思いますことは、こういう不健全な、これは、はなはだ悪い言葉だと思うけれども、準禁治産的な、もうどうにかなるのだと、テレビから金が入ってくるのだから、三十六年度はラジオテレビも共通経済にする、これは私は非常に問題で、ラジオテレビの経済を、三十六年度から一緒にいたしまして、それゆえにどうにかつじつまが合う、これをラジオテレビの経済が分立いたしております場合、最初の行き方として尊重しておった場合どうなるか、ラジオは、当初に比べて約半額になってしまう、テレビの方は倍になってしまう、こういうバランスですね、これは幸い、彼此相流用するということに三十四年度いたしましたから、今日の場合、財政がどうにかつじつまが合う、しかしこれは、非常に危険なやり方だと思います。そこで私は大臣にもお伺いしたい。先ほど各委員からも、いろいろお話がありましたし、私も抽象的に御質問申し上げたように、何とかして、公共放送は、国民のものですから、安定した財政的な基礎に置いて、しかも日進月歩の技術を利用して、よりよい放送を国民に与えなければならないという絶対義務がある。しかも財政的な安定というものは、非常に矛盾と申しますか、困った問題が起きつつある。どうしてもその結果、やはり受信料の問題ですね、先ほど新谷君からも御質問ございましたように、他の委員からもありましたが、結局しぼるところ、NHKに健全なる財政をやらせるためには、この放送法三十二条の受信料をどうするかという問題、この問題は、せんじ詰めればその問題であり、また受信料をどうするかということになれば、これは今日の、ああいう自由契約と申しますか、NHKの放送を聞かない受信機であれば、金を払う必要はない、そういうものを、NHK経営の財政基礎を与えるには、これを変えなくちゃならない、これをどういうふうにするかといえば、結局受信料を、今日二千万あるいは三千万といわれるラジオを持ち、ラジオをときには聞くというような、ラジオを今日やはり受信する人からは、全部とる、それからテレビも、とにかく受信機を持てば、全部とるということになると、——これは現行法ではできないわけです。そこで、問題をこの前放送法の改正のありましたときに、前大臣にも私いろいろ御意見申し上げているように、どうにも踏み切らないということは……この受信料を強制徴収にするということに、政府が踏み切らない、それからNHKが、当時まだ踏み切らないという問題ですが、今大臣は、先ほどの新谷君の御質問に対して、これは調査会かなんか緊急設けて研究するとおっしゃいますけれども、しかし、これはもう時すでにおそいんです。ですから問題をせんじ詰めれば、受信料は、それじゃどうするかということになれば、結局今日の通念からいいますと、ああいう無線を受信するんだという、受信免許料とするか、あるいはある国がやっておりますように、物品税の形でこれをとるか、この三つしかございません。そういう一種の強制的な徴収ということを結局行ないませんと、NHKのこの状態で参りますと、ラジオ経済が行き詰まり、ひいてテレビの経済も行き詰まってきます。この点が、私は一番ポイントだと思うのですが、大臣は、できるだけ早くそういったような調査会をお作りになるんですか、この問題は、大臣としては初めてかもしれませんが、この問題はすでに五、六年間の問題なんです。こういう点についての今日までの大臣の、いろいろ御勉強なさって、NHKの建て直しをどうするかということにつきまして、御所信、御所見があれば一つ承りたい。
  137. 小金義照

    ○国務大臣(小金義照君) まだ私も、この問題について十分納得がゆくまで勉強はしておりません。そのひまが、まだございませんが、やはりNHKのよって立つ基本は、受信料にありますから、これを法律で租税に準じて徴収するか、ラジオテレビジョンに物品税を課して、これを別会計にするか、あるいは今のような何と申しますか、無線のサービスを受けると同じような一つの免許税にしますか、やはり今御指摘のような三つぐらいじゃないかと思いますけれども、これらの点について、私もう少し郵政省としても検討を加えなきゃならぬし、また客観的に、山田さんのおっしゃったように、テレビも、やがて行き詰まるだろうというような情勢にあるならば、NHK自体も、また今までの運営の長い間の歴史と経験等もありますから、よくここらも相談し、また各方面の意見を私は総合して、まとめていかなければならぬと思っておりまして、私自身が、どの方法で建て直すかということは、まだ申し上げる域に到達しておりません。しかし事が重大であり、またすみやかに検討を進めるべきであるということを考えています。
  138. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  139. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 速記を始めて下さい。
  140. 山田節男

    山田節男君 それでは、同じ問題を一つ阿部会長に御質問申し上げますが、前回に申し上げましたように、阿部会長は、すでにまあ経営委員としての、また経営委員長としての御在任中、この問題については、いろいろ私はお考えになったろうと思うのです。先ほど来、鈴木光村君等からの、きわめて好意ある質問を見ましても、先ほどから申し上げた今回のこの予算を見ても、実に前途暗たんたるもんですね。結局、私は今申し上げましたように、三つの方法しかないと思う。これは幾ら三十億に、あるいはこれを五十億になさっても、おそらく来年の三月に予算をお出しになるときには、ラジオ聴取者は前例をもってすれば、よくて七百万、悪くすれば六百万になるのではないか。  これはやはり会長として、何とか思い切った抜本的なことを、これは郵政省がどうのというよりも、NHKがこれはお考えにならなければいけないと思いますが、この点について具体的に会長は、どういうお考えをお持ちなのか、一つ率直に伺いたいと思います。
  141. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) この御質問については、この前も私お答えしたように記憶しておるのでありますが、重ねての御質問なので同じようなお答えをするより仕方がないと思っておりますが、この料金問題につきましては、幾度も御説明をしたように、今私が具体的にああするこうするという、そういう結論を持つに至りません。なかなかこれは複雑で、いろいろの方面から考えなければならぬと思うのであります。  しかし何といっても、これは明年度予算編成期までには何とか結論を出して、NHKの安定を得るようなそういう方式を見出さなければならぬ。あらためてその節は、一つそういうふうな意味の予算を組みたいと思っておりまして、その節は、十分御検討を得たいと、こう申し上げるよりほか、今のところ、具体的に私は意見を申し上げることは、少し困難であろうと思います。
  142. 山田節男

    山田節男君 まあ阿部会長のお気持はわかりますけれども、この問題は、もうすでに五、六年間野にさらされている問題でして、結論は、もう先ほど大臣も申されたように、きわめて簡単なんです。ただ、一番NHKとして不安なのは、業務局という、三十億に余る予算を使う業務関係がおりまして、何とかこの受信者の開拓と解約防止をやろうというこの努力ですね、それには何千人かの従業員がこれに携わっておる。こういう人的部面と、それからもう一つは、これは私の個人の考えになりますけれども、かりにこの受信の免許料というような形にいたしますと、これはNHKが、そういうようなものにすることはできませんから、勢い郵政省で収納しなければならない。そうなりますと、そこに私は、NHKとして非常な不安があるのではないか。いわゆる郵政省に財布のひもを握られたという、私は感じがあるのではないかと思うのです。  しかし、もう経済の、この収入の安定の上に立つNHK経営ということになれば、これはやはりそういう形の受信料というものは、これはもう、郵政省がそれを扱おうが、これは何とか忍ばなければならぬ。先ほど、鈴木委員が、何かモニターを作って、聴取料のがれというようなものをとらえるような方法はないか……、これはしかし、現在のNHKの法的地位からしてはできません。そういうことをやるのは、結局、やはり郵政省——今日では、政府しかない。放送法を変えまして、ドイツのラジオ連合会法のようなものもなし、それ自体が一つの税金的に、もう探知器でもって、受信料を払わないものを摘発していくという権限を与えているならいざ知らず、そうでない限りは現行法におきましては、どうしてもやっぱり郵政省が、今六割扱っているものを、特定郵便局の扱っているものを、もう一〇〇%にするというのですから、その機会をNHKが非常におそれて、不安に思って、何とか自力でやろうといって、来年は三十億お使いになるというけれども、しかしそれは防げない。一つの宿命的な事件が起きているのですから、そこの踏み切りということの問題になった場合に、たとえば阿部会長、これは個人の御意見でございましょうから、そういうふうになっちゃ困るとおっしゃるのか、あるいはそういうことは、NHKの健全な財政的なことからして忍ばなければならないという……、これは個人的な御意見でもいいからお述べ願いたいと思います。
  143. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) そういう問題について、これから検討しようというので、今、私が個人の意見でも、会長としてここで申し上げれば、これは非常な重大な影響をあとへ残すことでありまして、今ここで、私個人の意見を述べることは大へんなあれでございますから、差し控えさしていただきたいと思います。
  144. 山田節男

    山田節男君 これは過日、大平官房長官の放言問題が、ここでいろいろ問題になったわけですが、まあかりに、阿部会長が池田総理とお会いになったときに、座談の間においても、ラジオは全免すべきじゃありませんかということは、第一に申し上げているように、これは一つ国民の声だと思うのです。そうなりますと、先ほど来私が申し上げているように、ラジオに関する限りにおいては、これはこのままでいきますとゼロになるという見通しがつくわけですから、ですからこれは、もうくどいようですけれども、従来私は、前会長の場合にも、この点は極言して私お願い申し上げて、まあ昨年この予算が通った後に、間もなく根本的な一つ解決をするような調査機関を設けるというように本委員会で約束されたにかかわらず、いまだに実現していないわけです。今阿部会長が、三十六年度の収支予算を、ここでいろいろ審議過程において、そういうお約束をなさっても、またずるずるベったりでいくのではないか。これはさっき、新谷委員指摘されたように、われわれはもう二度も三度も、そういう目にあっているから、非常に不安に思うのですね。不安に思うということは、NHKのために抜本的なものをやらなければならないという観点に立っているから、そういうことを申し上げるので、ですから、今あなたのお約束なさることは、ほんとうに大臣もそう言っているのですから、来年度の予算を出すときには、もっとすっきりした、われわれがもうこれなら健全にやれるわい、国民の負託にこたえられるわいというようなものを、これはお考えにならなければならないあなたは義務があるのですから、ここで今言明なさったことは、必ず来年度中には実行するという郵政省の腹がきまらなければ、自分の方から、むしろ積極的に進んで自立の道を立てるという、かたい御決意があるのかどうか、これは一つ議事録に残していただきたい。
  145. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) 私は明年度予算においては、まあできるだけ根本的なそういうふうな予算を出すつもりでございます。ただし、ただいまの御趣旨に必ずしも沿うかどうか、これは検討した後でないというと、そういう方法で出るか出ないかということは今後の問題なんでありまして、その点は明らかにしておきたいと思います。
  146. 山田節男

    山田節男君 ちょっと阿部会長の、今の御発言よくわかりませんが、どういうことなんですか。私の申し上げておる、たとえば受信免許料とか、あるいは物品税かあるいは放送法の改正によりまして、NHK受信料徴収のいわゆる法的な根拠において強制徴収ができるようにする、この私の三つしかないと申し上げたのですが、あなたの今のそういうお言葉、どういうことなんですか。そういう私の申し上げている根本問題に触れないで、他の方法で、できるだけ抜本的な方法を考えるような案を作るとおっしゃるのですか。
  147. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) 私は三つしかないか、四つあるか、五つあるか、これから検討してやるつもりなんでございまして、もしも三つ以外になかったら、その三つのうち一つをとるより仕方がないと思いますが、他の方法があったら、他の方法がよりよかったら、それをやる、それを今後検討してみたい、かように思っておると申し上げたのでありまして、広い意味で一つよく検討さしていただきたい。ただし今までは、ずるずるべったりで、何かうそをついたというような御発言でございますが、私はうそはつかないつもりでございます。
  148. 山田節男

    山田節男君 まあ私は前会長、前々会長が、うそをつかれたというのではないのです。  しかしながら会長すら明確な裁断ができないほど……、NHKの首脳部はいろいろ協議されても結論が出ないほどな問題を、内情よくわかるわけです。わかりますが、しかし会長の責任において、大乗的立場においてふん切らなければ、この問題は解決しない。だから、私が申し上げた方法、それから、もちろん多々あるわけでしょう。目的は、抜本的なことを、とにかくやる決意だという御言明なり、御決意なら、私は了承いたします。そういう意味のあなたの御決意ですか。
  149. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) もちろんこの場になれば、私どもは抜本的なことを考えなければだめだと思いますが、どういうことが抜本的かということは、今、ここで私が具体的に申し上げることはできないと、かように申し上げているので、明年度になりましたら、私なりの抜本的な考え方は、ここで打ち出したいと、かように存じておるわけであります。御了承願いたいと思います。
  150. 山田節男

    山田節男君 会長の御意見は、これで私わかったのですが、了解はしませんけれども、お聞きしておきますけれども、一体、放送法の改正問題が起きて以来、独自のNHKの将来の財政問題を考えれば、少なくともNHKとしては、どこかの局か、どこかの専務理事という最高の人が、NHKの財政基礎は一体どうしたらいいかということは、相当研究されていると思うのです。——研究されているかどうか、これは一つ専務理事でも専管の人があれば、あるいは業務局の人でもいいし、承りたい。
  151. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) この問題は、山田先生から数年前から言われておる問題です。さらに三十五年の予算の編成時におきまして、また御審議をいただきました過程におきましても、いろいろ問題になったところでありまして、問題の所在がきわめて重大であり、またこれを早急に解決しなければならない必要に迫られておるということは、私どももよく存じておるわけでございまして、従いまして、いろいろ検討はいたしております。まだ遺憾ながら三十六年度予算の編成の際に、この案ならいける、こういう確信をもった案がございませんので、三十六年度の予算を御承認いただきましたあと、早急にそのような検討をさらに一歩を進めまして、抜本的な対策を講じ得るように努力をいたしまして、三十七年度の予算の編成時期には、もう問題を残さずに解決できる方策をみつけたい、このようなつもりでおります。
  152. 山田節男

    山田節男君 三十五年度のこの予算審議の場合も、今の小野専務理事は、言葉巧みに答弁されておるわけです。けれども、三十六年度また同じようなことを言われる。これは私は、決してNHKが怠慢であるとか何とか申し上げておるのではない、勇気がないからですね。日本人の悪い癖ですね、悪い癖で背中に火がつかないと、アクションが起こらないのです。これは日本人の唯一の欠点です。NHKもこれだけの、四百五十何億の予算に関して、この基礎をどうするかということは、これは少なくとも会長、副会長、専務理事の最高責任者が、夢寝の間も忘れることのできない問題ですよ。  ですから、昨年専務理事が、こういうことを言われて、また今日同じようなことを言われる、来年こそやりますと言われて、私が、いかに人がいいからといって、仏の顔も三度といわれますけれども、もう来年やるときには、五カ年計画の第五年度完了時期に入るのですよ、これは私は困るのですね。それでなぜ有能な専務理事も三名も置くことにしたのか。三人が寄って、まるで船が山の上に上るのじゃなくて、船が沈むのじゃないですか。  だからこういう点は、私はあなたたちの気持はわかるけれども、やはり日本人の悪い性格の点を、こういう面に非常に雄弁に出していると思うのです。私は、はなはだくどいようですけれども、私は決して干渉がましいことを言うのじゃないのです。ほんとうに私は国民の公共放送を守りたいがゆえに言うことであって、もう問題点は、はっきりしているのです。なぜあなたはこの川を渡らないかということです。それには今、阿部会長が言われるように、いろいろ要素があります。これもある程度、われわれもわかります。しかしいつかこれを振り切ってやらなくちゃ、ルビコンの川を渡らなければだめですよ。これが毎年、私どもは実にじれったく思うけれども、これをりっぱな最高首脳部がありながら、依然としてお座なり主義とは申しませんけれども、とにかく金が入っている間は、どうにかつじつまが合うのだというような、こういうような経営をするということは、私は阿部会長に責任があると思うのですが、あなたは最高議決機関の責任者として、かつて御在任になった方ですから、過去において、その責任者として、ずっと数年間参与されているわけですから、御理解だと思うのですが、ですからほかの方が会長になったよりも、あなたが会長になって、会長御就任中に、これは根本的に解決しなければならぬ第一の責務だと私は思うのですね。  ですから先ほど、くどいようですけれども、あなたの所信をさらに求めたようなわけです。ですから委員長、どうぞ、これは私は委員会の方のことは申しませんけれども、私個人としましても郵政大臣が今言われたように、郵政省が、そういう委員会を作るとか調査委員会を作るとかいうことより前に、NHKとして、やはり根本的な一つの案をお作りになって、そうしてこれを政府に示すというようなことをされるのがいいのじゃないかと思うのです。  もし、かりに、これはどうしてもおなたたちがやらぬということになれば、これは議員立法をもってでも、何とかNHKを救済しなくちゃならぬという気分が衆参両院ともございます。これは、衆議院で放送法の小委員会を設けたあの諸君の一、二の方は、やはり私と同感の方があるわけですね。できれば、こういう問題を議員立法でやるというようなことをしたくないのです。やはりNHKから郵政省と協力されまして、あなたの方から、これを政府案としてお示しになることが、これは私は順序だと思うのですね。ですから、それほど会長の御熱意があれば、これは希望になりますけれども、先ほどの新谷君の御質問にも答弁ありましたように、これは今度こそ、一つこれを予算が通ったら、即日でもいいのだ、これを具体的にどうするかということに対する、これは委員会でもよろしゅうございますし、会長の諮問機関でもよかろうし、あるいは経営委員会としての何かの一つの機関をお設けになるのも私は道じゃないか、それはあなたの方におまかせしますが、これはNHKの方で、一つ三十六年度の予算が発足と同時に、このことは、具体的に一つ着手していただきたい。
  153. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) ただいまの御注意、大へんどうもありがとうございますが、すでにこれは衆議院の場合にも言明しておることなんでありまするが、もうこの予算が、幸いにして御協力いただけるのならば、来月から私の諮問委員会を発足さして、そうして経営委員会と緊密な連絡をとりながら、料金問題については、根本的な考え方を固めたいと、かように存じておるわけでありまして、そんなに私はお座なりの、この場限りのことを申し上げておるのじゃないのでありますから、どうか、さように御了承願いたいと思います。
  154. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと関連して。山田委員の先刻来の御発言は、われわれも全く同感でございまして、何とかNHK経営を安定化していきたいという念願からやっておるわけです。私たちは、NHKの制度もよく存じておりますから、基本的には事業計画の大綱と、この承認をして、あとは、もうすべて皆様方におまかせをしていくというのが建前ですから、国会の場から、私はあまりつべこべ言いたくないのです。そういう考え方を持っております。  それだけに、山田先生のおっしゃるように会長以下、昨年陣容もある程度整備されているわけですから、さっきからの会長お話のように、もう一歩具体的に諮問機関をお作りになるというようなことで、前進だと思いますけれども、そういう意味で、われわれは会長以下の協会の皆さんの良識と英知を信頼しまして、できるだけ一つ基本的な構想を示していただいて、国民が安心してNHKに期待できるような態勢を作っていただくということに、きょうは結論づけて、皆さんの奮起をお願いし、われわれもまた、そういう立場にありますが、できるだけ大きい意味において、国会からお役に立つことがあったら、一つ大いに使っていただきたいと思うので、私、そういうつもりで、会長以下がんばってもらいたいと思うんです。
  155. 阿部真之助

    参考人阿部真之助君) 大へんどうも、いろいろ御親切なお話で謹しんで了承いたしました。できるだけ御期待に沿うように努めたいと思います。
  156. 山田節男

    山田節男君 今の会長の御発言は、これは全くわれわれも信頼してお聞きしますから、どうか一つ国民の負託にこたえる意味において、ぜひ一つ決行をしてもらうように私からもお願いしておきたい。  それから、もう一つの問題は、五カ年計画でNHKの事業の合理化ということがうたわれているわけです。今度の予算を通じまして、どの程度NHKの業務の合理化が行なわれておるか。これは示されておりませんが、少くとも、今日一万四千人近い従業員をそろえて、これほど多岐多様にわたる放送業務並びに関連した業務を行なう上において、合理化のためには、やはり一種の行政監察と申しますか、監察制度がなくちゃいけないと思うんです。  で、NHKの、そういう業務監察と申しますか、あるいは考査と申しますか、あるいは事業の勤評制度といいますか、そういったようなことは、一体どういうようにおやりになっているか。また、どの部局がやっておるのか、この点お伺いしたい。
  157. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 御趣旨のような線に沿いますものといたしましては、監査室と称するものがございます。その監査室が、本部の各局はもちろんでございますが、地方の各中央放送局並びにその管下の主要放送局につきまして、毎年年度計画を立てて、少くとも中央放送局は、一年に一回は漏れなく回わるように参っております。そこで数日間、いろんな方面の業務の内容、実施内容、計画と実施の状況がどうなっておるか、経費の使い方がどうなっておるかというような面につきまして調査をいたしました結果、もちろんその現場におきましても、より改善を要する問題につきましては、そのつど、こうしたらいいだろう——こういう指示をして帰って参るわけでございます。  そして本部では、理事会には必ず出まして、これには各理事が出ておりますが、その他本部の各局所長の集まる会合が、月に二回ございます。この機会にも、必ず監査いたしました結果を報告をいたしまして、本部の部局から正していかなければならない問題は、本部において措置をいたします。また地方の局につきまして改善を要する問題につきましては、現地限りにおいてやれますものは、当該局長が、また本部のやはり元を正さなければならない問題につきましては、本部関係でそれを措置をいたしまして、現場の方に、そのような趣旨に沿う措置を即刻講ずるというような方途を講じております。
  158. 山田節男

    山田節男君 たとえば会計検査の場合において、今年度まだ集計はないんでしょうけれども、三十四年度中において、NHKの社員、ことに会計上の監査において、処罰、これは訓戒を含めて、免職、停職、こういったような事例が三十四年度どのくらいありますか。
  159. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 今の会計の監査の面につきましては、先ほど申し上げました監査室で実地監査をいたしますほかに、法律の規定に基づきまして、会計検査院の検査を受けております。幸いに各年度とも、そういった検査院から批議事項としてあげられた事件は一件もございません。ただ、ある程度改善の関係につきましては、むしろこれをこのようにしたらどうか、これは押しつけではない、むしろそうすることが会計検査院の立場から見て、よく仕事がいくように思うというような点を御協議いただくことはございましたが、別段に批議事項として、従って該当職員に対しまして処分をしなければならないというような事例は一件もございません。
  160. 山田節男

    山田節男君 会計検査院の指摘事項は、今あなたの御報告の通りですが、私のお聞きしたいのは、内部監査というか、自主的な監査によっての摘発された不正事項、それによる処罰という例があれば、何件ぐらいあるか。その処罰も、いろいろなクラスがあると思うのですが、それが皆無というほど、NHKのモラル・クライメートがいいのかどうか、私は、今の小野専務理事の御答弁では、ちょっと私、NHKはよ過ぎると思うのですがどうですか、一件もないというのは。
  161. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) その監査の関係につきまして、関係職員を処分しなければならない、こういう事件を摘発いたしました件は、私の記憶する限りにおきましては、ここ最近の問題でございますが、一件もございません。
  162. 山田節男

    山田節男君 これは業務局長にお伺いしますが、額は大したことはないと思いますが、こういう委託受信料を収納されるとか、あるいは集金人というものの金の使い込みとか、あるいは持ち逃げとか、そういうような、ことは従来一件もNHKに関する限りないということなんでしょうか。
  163. 首藤憲太郎

    参考人首藤憲太郎君) 過去において絶無ではございません。これは私、ただいま記録を持っておりませんし、はっきりした記憶はございません。しかし二、三年前に一件あったような記憶もある程度ございますが、この今お尋ねの料金関係につきましては、特に制度を設けておりまして、これは普通のただいまの内部監査のほかに、日常毎日、これは監査員と申しまして、内部監査、内勤の監査と、それから外務監査、つまり外で集金します人間の監査、これを監査員を設けまして、両面から、これは毎日監査いたしております。従いまして集金につきましても、毎日集金人の成績あるいは行動というものは、毎日監査しております。そのほかに、これはときどき探問状と申しまして、受信者協会から探問状を発しまして、そうしてその事実というものをチェックしておるという措置をとっておりますので、幸いにして、このところ集金方面の業務につきましては、事故は起こっておりません。
  164. 山田節男

    山田節男君 今の御答弁で、非常にNHKの道義的な水準が高いということは、これは非常に私は御同慶にたえないと思います。  次に合理化計画について、今度技術面ですがね、三十六年度のも、ここに述べておられますが、第一次五カ年計画の初年度に立てられた、いわゆる施設の合理化、たとえば中継の無人化であるとか、その他新しいものに取りかえることによってオートメーション化する部面についても、いろいろ工夫しておられるように私はうかがうんですが、具体的に申しまして、たとえば今日まですでに三年間、五カ年計画の三年間において、計画された通りの、そういった技術的方面の合理化が順調に実現されつつあるのかどうか、 この点、一つ承りたい。
  165. 田辺義敏

    参考人(田辺義敏君) ただいまお話の無人化、自動化につきましては、予定通り進捗しておりまして、かなりの成果を上げております。
  166. 山田節男

    山田節男君 これはまあ具体的には、これ以上伺いませんが、もう一度私がお伺いしたいと思うことは、これは前の委員会で、おそらく新谷委員がこれは取り上げられた問題だと思いますが、外国にある総局と支局の問題ですが、今日総局、支局五局あるように私は了解するのですが、これには、たくさんな人間ではないにしても、三名ないし五名が配置されておると思うのですがね。今のモスクワ、 ニューデリー、それからロンドン、パリ、ニューヨーク、このくらいでしたか、私、そのように記憶しますが、外国における総局制度、支局制度というものは、これは取材を行なうという面、それからその他技術的な交流あるいは新知識を吸収するとか、その他のいろいろな意味があると思いますが、私は、この総局制度がNHKの、ことに日本唯一の公共放送の代表として、外国にそういうものが特派されているということは、これは私は大いに意味があると思います。  ただ問題は、今の総局の行なっておる、また国内で聞いているラジオあるいはテレビ受信者が、これによって受ける利益の程度が、はたしてそれにペイされておるかどうか。これは私は金の面からも、当然財政的に考えなくちゃならぬと思います。そういう見地から立ちますと、一方においては、たとえば、今日はアフリカが、東西でなくて南北の時代だということになれば、もしあれを、もっとダイナミックな交流を発揮しようとお考えになるなら、まずコンゴにおける……支局のあるニューデリーなんか、もう大したことはない、むしろアフリカが、南北の時代に来ておるならば、ニューデリーを廃止しても、コンゴに持ってくる。あるいはニューヨークよりも中米に持っていって、キューバ並びに中南米、こういうものを国民に、最も今、国際緊張の中心になっているというところに置いて、国民に、そういう放送を聞かしめるという、私は、かなり機動性を持たしてお考えにならないと、ニューデリーというのが、はたしてどのくらいの価値があるか、モスクワがどれだけの価値があるか、モスクワよりも北京の方が、今後は国民にとってはより重要な存在じゃないか、こういうように考えますと、今の総局、支局制度の成り行きが、どうなっていくかしりませんけれども予算を使わないで、常に動的に国民現実のなまの最も欲しているものを、最も知らしめなくちゃならぬものを聞かせるためには、固定したものじゃなくて、流動、移動したものをお考えになるべきじゃないかと思うのですが、どうですか、この点について、お考えになったことはないですか。
  167. 島浦精二

    参考人島浦精二君) お答え申し上げます。山田先生のおっしゃる通り、最初のスタートから、大体総支局はともにニューズの取材ということが、実際の仕事として課されまして人員を配置いたしました。おいおい仕事の分量がふえて参りますとともに、今年度中に、たとえば、パリ、ニューヨークあたりの総局には、いわゆる放送記者という形でなくて、総務関係といいますか、いろいろなそれらの外国における放送上のいろいろなものを調査いたしましたり、調べたりするための要員も増しまして、そういう仕事もさせております。  それから、ただいま御指摘の、たとえば、アフリカの問題あるいはキューバ等の問題につきましては、現在カイロに、今年度の半ばに支局を設けまして、一人そこに常駐させております。問題が起こりますたびに、パリの総局なりあるいはローマなどから、アフリカの方へ特派員を特派いたしまして、問題の中心点へ行って取材活動をさせるという例は、これまでも再々行なっております。そういう形で、そういう問題点についての取材は総支局において実行したいと思います。
  168. 山田節男

    山田節男君 この点は、やはりこの国際緊張の新しい展開が起きれば、必ずそこにロンドン派出でなくて、大体もうコンゴならコンゴという、アフリカのこの新興国が族生するのですから、将来も南北問題が必ず重要になるとすれば、そこにやはり常駐的なものをカイロに……、私はやはりモスコーよりも、むしろ認めるべきじゃないかと思うのです。  ですからこれは予算上の制約がありましょうけれども、制度そのものを、もう少し機動的なもの、たとえば、パリの総局でなくロンドン総局においてヨーロッパ全体の何をやるとか、あるいはニューヨークに総局は、これはいいでしょう。けれども支局に関しては、もう少し機動性を持たしたものにする方が、先ほど申し上げたように、国民からいえば、その方が生きたそれから教育になる、また認識を高める放送が受けられるのじゃないかと思うのですね。その点で機構の改革とは申しませんけれども、そういうものが、現在あり得るならば、そういうふうにさるべきだと思うが、現状でもいいのですか。
  169. 島浦精二

    参考人島浦精二君) 十分であるかどうかは別といたしまして、大体先生の御指摘のような御趣旨に従いまして、今申し上げましたローマの特派員がコンゴに行っておりますのは、かなり長期にわたりまして、問題が起こりました直後に特派をいたしましてそのまま、たぶんまだコンゴにいるはずでございます。  そういう形で、ローマは昨年のオリンピックのときに新しく開設しまして、オリンピックの業務が第一でローマに支局を作ったわけでございますが、それが現在まで残っておりますものをコンゴに特派するという形で移動、あるいは機動性と申しますか、そういうことは、一応先生方の御趣旨のように実行いたしておるつもりでございます。
  170. 山田節男

    山田節男君 これは、国際局長がきょう見えておりませんから、これは編成局長がおいでですから、いいですか……。  今日は、よほど改善されたと思うのですが、これはもう古い話で、一昨年の話ですけれども、たとえばブラジルで約五十万に近い日本人、ことにNHKの海外放送を最も楽しんでおるのは、年令から申しますと、中年以上の方、そういうものを標準として、もちろんNHKで海外放送されておると思うのですが、邦人向け、その中で現地の、いろいろ私意見を聞きまして、どうもなつかしいNHK番組が、種類によったら、まことにせっかくの何を使いながら、もったいない、と申しますのは、たとえば、スポーツの放送にしても、かりに相撲の放送を聞く場合、聞かされる場合、ところが現地に三十年も四十年もおる者は、若乃花だとか朝潮ということはわからないのです。だからたとえば、島浦局長の雄弁をもってしても、若乃花とか朝潮がどうのと、非常に興奮して放送しても、ぴんとこないのですね。ですからそういう点をやはり考慮してもらいたい。  それからいろいろよそのBBC等の海外放送を見ましても、やはり受信するもちろん地域にもよりましょうけれども、最も海外放送を熱望しておる、これはもちろん在留邦人、その次には英語その他自国語によるNHKの海外放送を楽しむ者もありましょうけれども、私は、NHKの海外放送の重要なる一つの目的というものは、やはり在留外人に対して、ことに多数居住しておるアメリカ、南米等に対しましては非常な向こうとしては、娯楽というよりも、むしろホームシックをいやす薬ぐらいに思っておる。そういう現地の、そういう要求といいますか、念願を、やはりこれは取り入れて、海外放送の番組が逐次改善されていく必要がある。これは、いろいろ努力されていると思いますけれどもね。海外放送にも、いろいろ反響があるようにも聞いておりますが、これはむしろ、国内の編成番組をいかに海外放送、邦人向けにこれを編成するかといった問題なんです。  そうなりますと、これは同時に島浦編成局長と国際放送局長とが、そういう点の十分な協力体制は、私はできぬことはないと思います。こういう点は、まああなた方として、そういうこともおやりになっておるかどうか。これは私は、まだ質問として質問しませんけれども、おやりになっていなければ、これは進んでこういうことをやるべきだと思う。  それからもう一つ、私は今週の英文ニューズ・ウィークを見てみますと、あれは広告料を相当取るだろうと思いますけれども、その半ページにラジオ・オブ・ジャパンというので、放送時間表を示した広告が出ております。これは私は放送で、ああいったような週刊雑誌に出たということは、これは一つの行き方だろうと思うけれども、しかし、あれで何十万の金を使うか、少なくとも数万以上の金を私は使うだろうと思うのですが、これは、なるほどサーキュレーションの多いニューズ・ウィーク誌ですから、外人の目にうつるということで、これは私は一つのアイデアだと思いますけれども、もう少しコンスタントに——不断にラジオ・オブ・ジャパンを海外に、もっとPRする方法があるのじゃないかと思う。これは国際放送局長の意見よりも、むしろ経営委員会なりあるいは最高部の会長、副会長、専務理事あたりが、こういうことは、もう少し経済的に、しかもみんなにぴんとくるようなPRのできるような方法が私はあるのじゃないかと思うのですが、国際局長、おられませんけれども、そういう海外放送に対する宣伝、PRというものが、常時ふだんNHKとして行なわれているかどうか。  なぜ私、こういうことを申しますかというと、モスクワへ行ってみますと、ラジオ・モスコーはちゃんと相手国語で、その月間の放送番組を印刷して、これはどこへ送るのか知りませんが、そういうものがちゃんとできているわけです。ですから、そういう意味におきまして私は、NHKがもう少し、予算の制約があっても、もっとおやりになる面があるのじゃないかと思うのですが、この点についての、これは、まあ御所感でいいですから、承りたいと思います。
  171. 島浦精二

    参考人島浦精二君) 先ほどの番組に関するお話でございますが、申し上げるまでもなく、国際局と国内の番組との関係は、十分密接に連絡をとりまして、国内番組のうちで、海外放送にすることが適当であると考えられるものは、どしどし海外の方へ提供しております。海外の方からの申し入れもあり、こちら側が話を出す場合もございますが、きわめて緊密に連絡をとってやっているつもりでございます。  それから、海外におられます日本人の方々、それから外国人に対する、いわゆる何といいますか、日本を紹介する、知らしめる意味の放送、両面ございますことはお説の通りでございまして、向けます各国別に、その点は十分考慮を払ってやっているつもりでございます。  それからPRの問題でございますが、おかげさまで最近、国際局へ参ります海外からの反響が非常に多くなって参りまして、先ほどお話のブラジルあたりには、非常に熱心な方もおられまして、日本の国際放送を、そのまま録音して、こちらへそのテープを送り返して来たというような例もございます。中に、熱心な方々が集まって、日本の国際放送に対する御希望なり何なりを座談会を開いて、それをテープにとって送って来るというような非常に熱心な聴取者方々が現われて参りまして、私ども大へん喜んでおりますが、お話PRの問題につきましても、そういう反響のございます場合には、私の方の国際局にも番組表がございまして、それをすぐに、そういうところの方面へは直接お送りしております。また在外の公館を通じましても、国際放送その他のPRには努めておるつもりでございます。
  172. 山田節男

    山田節男君 大臣が、また御用があるようですから、大臣に御質問申し上げますが、先ほど大臣に御質問申し上げたNHK受信料問題を、抜本的にどうするかという問題につきましての大臣の御所見を承り、重ねて阿部会長のお考えをただしましたところ、来年度こそは、もう三十六年度の予算が発足すると同時に、この受信料の問題についての根本的な解決策をはかるべく、その機関を設けたい。——設ける設けないにかかわらず研究したいと、こういう確約がございました。  そこで大臣も、ちょいちょいこれは変わりますが、少なくも小金郵政大臣の御在任中に、これはもう、数日にして新年度が発足するわけでございますから、どうか一つあなたの御在任中に、やはり画期的な、だれかが手をつけなければいけませんから、もうすでに背中に火がついております。これはやはり、当面の政治上の責任者としては、小金郵政大臣しかないのですから、どうかあなた一つ、英断と決意をもちまして、せっかくNHK当局も決意をいたしておるのですから、鉄は熱しているうちに打ちませんと、型をなさないわけでありますから、どうか一つ重ねてお願い申し上げますが、NHKと同じ気持で今いられるそうですから、どうか一日もすみやかに、われわれを安心せしめるような方策を作り出すべく格段の御努力を願いたい。  それから、このNHK予算と、これはちょっと関係ございませんけれども、私、どうも歴代の郵政大臣の、特に電波行政について非常にお気の毒な立場にあると思います。  実は昭和二十三年ですか、電波の三憲法の一つの電波法を作りました場合に、電波監理委員会を作った。これは非常に私はいい制度だと思うが、不幸にしてデモクラシーの発達していない日本におきましては、むしろそういう法的の地位を与えているがために、弱いような実情になったもんですから、これを郵政省の内局に電波監理局を置いたわけです。ところが、これはあなたも御承知のように、ここ数年来電波行政は、まことにわれわれ国民として見ておりまして、目をおおうべき幾多の事実があるわけです。それから郵政当局としましても、まことにこれは不愉快な、まことに苦しい行政をつかさどるようなことになってきたわけです。そこで、これも一つの根本的な問題になりますが、私は、前のような電波監理委員会制度、これを再び復活せしめろというのじゃございませんが、郵政省の内局として、できればこれは一番いいのですが、もしできないとすれば、これは私は、今日の電波行政は、今後ますます扱う件数も多くなります。それから扱う事態というものは複雑になって参りますから——しかもこの電波行政は、御承知のように免許あるいはときによっては、裁定である、あるいは再免許の場合には一種の司法的な行政もやらなければならぬ。いわゆる立法、司法、行政の三権を兼ねて行なわなければならぬという特殊の行政なんです。それがために、アメリカは多年困りまして、一九三四年に連邦通信法というものを作って、そうして連邦通信委員会——FCCというものを作ったのも、ここにあるわけです。日本は、そういうものを作って出発して、郵政省の内局で電波監理行政をやっておるわけです。この点は、私はやはり今日の電波行政自体を顧みまして、やはり根本的にこの問題は考える時期にも到達しているのじゃないかと思うのです。  ですから、これも私のお願いになりまするけれども、今後の電波行政のあり方、すなわち利権化しない、それから国民の共有物とされている電波というものを、やはり電波法に申しますように、最も効率高く国民の福利増進のためになるような工合にやるためには、どうしても今の制度じゃいけないと思う。  この点について、一つ大臣の御決意といっちゃ、はなはだ何ですけれども、そういうことの所在については、大臣十分御認識だと思いますが、現状において、どうですか。大臣として、どうも今の制度であれば支障がないというくらいの考えであるかどうか、改革しなければならぬというようなお気持もあるかどうか、それをまず承っておきたい。
  173. 小金義照

    ○国務大臣(小金義照君) 先ほども新谷さんの御質問に答えましたように、また今の御趣旨も、ごもっともと思いますので、私は、やはり根本的に改革を加えなければいけないのではないかというふうな考え方をもちまして、今勉強中でございます。
  174. 山田節男

    山田節男君 この委員会でも、いろいろ番組の問題その他の問題、特に民放に対する意見なり御質問なりあったわけですが、ラジオにいたしましても、テレビにいたしましても、免許制度になっておる。しかも免許期間は三年だと理解しておる、なぜそういうような有限期間を設けたかと申しますと、三年たってその三カ年の業績を見まして、放送事業として公共的な、公共性をあくまで守って、国民のためになるような放送をしたかどうかという勤評を行なって、そうしてこれは有害だとか、能率が上がっていないということになれば、再免許しない制裁規定があるわけです。これは郵政大臣としては、民放の行政に対しまして、一番の武器なんです。ところが私は今日までこの民放が始まって、再免許の場合に、そういう理由をつけて免許を中止する、あるいは再免許を拒否したという例を私は寡聞にして聞きませんが、どうでしょう。  今日民放がこれほど数多く活動しておりまして、そういう意味の私は監察と申しますか、これは、必要じゃないかと思う。現在の制度でも、郵政省の中に審議官か監理官か存じませんが、そういう何か監督官があるように思う。しかしさっぱり民間放送に対する制裁が実現されないから、円満にいっているというようには、われわれどうもとれないのですね、せっかく民間放送の番組編成についても、法制化いたしました委員会がございますけれども、しかしわれわれ民間放送の中におきましては、家庭で、これをほんとうに見ておれないようなものも、まま出てくるわけです。常時、やはりこういうものについては、監察といっては何ですけれども、免許というものが、有期限である限りにおいては、この制度を生かすためには、常時、民放に対する業務の運営並びに、ことに放送の番組に対して、政府としての監察的なものが要るんじゃないかと思うのです、こういう点についての御意見どうですか。
  175. 小金義照

    ○国務大臣(小金義照君) 電波行政に関連して、放送の内容とか番組とかについては、今のところ、私は自主的にやらせるという方針でありますので、一がいに、何か監理ができるとかあるいは審査ができるとかというふうに持っていけるかどうかということは、なかなか研究を要すべき問題だと思います。自主的にある程度是正していただけば、一番いいのでありますが、あわせてほかの問題も考えて参りたいと存じます。
  176. 山田節男

    山田節男君 ちょっと誤解されては困ることは、なるほどこれは、もう放送法におきましてNHKも一般放送事業者も、これは国家の干渉を受けることはない、放送の自由と申しますか、言論の自由、さらに番組審議会を法制化しまして、それは規制を加えております。  しかし、そういうものがありましても、いわゆる免許制度というものがあって、再免許の場合には、過去の実績を勘案して、再免許を拒否し得るということは、大臣としては、唯一の制裁権があるわけです。それを生かすのには、番組に干渉するというのじゃなくて、やっているものに対する、いわゆる勤評によりまして、再免許の場合の審議の資料にできるわけです。これはなにも業者に干渉するのじゃなくて、政府がそういう監察を、これは注意は私はしてもいいと思います、干渉じゃないのですから。  そういう意味での一極の、監察と言っちゃ語弊がありますが、何かそういうものの資料が、免許して三年間の実績を示すものがございませんと、再免許の場合、従来、ともすれば一ぺん許されたら、永久にテレビラジオも免許があるからといって、のんきになっている。こういうふうに誤解されがちだと思う。そうじゃないのですから、やはり郵政大臣の監督権というものは、それによってネックを抑えているわけですから、それを生かすには、番組の編成に干渉するとか何とかいう意味じゃなくて、監察して、資料にするという程度のものはないと、この免許制度というものは死んでしまうと思う。そういう意味で、さっきの御質問を申し上げたわけです。
  177. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 速記を止めて。   〔速記中止〕
  178. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 速記を始めて。
  179. 山田節男

    山田節男君 このNHKの三十六年度の収支予算、事業計画、資金計画について、これは全般的の質問も、NHKの当局にしましたし、大臣の大体の御所見も承ったわけですから、これは、もし討論を行なえば、討論の中で私は申し述べたいと思いますが、これはどうしても、今回の三十六年度のNHKの収支予算というものは、くどいようですけれども、小金郵政大臣、阿部会長の双肩によりまして、何とか一つ目鼻をつけていただきたいというのが、先ほど来のくどい質問意見の開陳になっているわけです。この点は一つ十分、今後は決意を固めて第一歩を踏み出していただきたい。  そういうことをいたしますれば、私はおのずからこのNHKというものの将来というものが、はっきりといたしまして、国民の負担が、これによって実現されるというように私は考えますので、この点を強く申し上げておきます。大臣が、またほかの方へおいでになるそうですから、私のNHKの三十六年度予算に関しましての質問は、これで打ち切ることにいたします。
  180. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 速記を止めて。   〔速記中止〕
  181. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 速記を始めて。  ほかに御発言もなければ、本件に対する質疑は、この程度にとどめておきます。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十一分散会    ————・————