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政府委員(
西村尚治君)
簡易生命保険事業が発足いたしました当時の
使命といたしましては、ただいま御
指摘されましたように、当時、まだ
国民の間に十分普及していなかった
生命保険思想を普及するということも確かに
一つであったようであります。最近になっては、その
使命は達したではないかというお話でありましたが、これもしかし、諸外国の例などから見ますと、まだまだわが国におきましては、
生命保険の普及率は低いようでございまして、そういう点から見ますと、まだ
生命保険思想の普及という
使命もやんだとは言いかねるのではないかと思いますることと、先ほ
ども光村
委員の御
質問に対して申し上げましたように、
民間の
生命保険が、現在では相当普及しておりまするけれ
ども、
簡易保険のような無審査月掛りで小口といったような保険は、
民間におきましては、これは都市中心にやっておりますので、
地方の農山漁村というところには、十分民保の手が伸びていないのであります。その辺をカバーいたしますのはやはり
簡易保険にまたざるを得ないと思いますので、そういう点でも、
簡易保険の
使命は、まだ十分あるというふうに
考えております。これが第一点であります。
もう
一つは、
簡易生命保険の
社会保障に対する補完的役割
使命という点があるように思うのであります。最近わが国でも
国民年金制度というものが発足するそうでありますし、そうすれば、
簡易保険は要らんじゃないかという声も間々ないことはないのでありますが、
国民年金の給付額というものには、おのずから限度がございます。外国の例を見ましても、
社会保障制度がきわめて進んでおる英国におきましても、
任意保険というものが、だいぶ活躍しておるようでありますし、それからソ連などにおきましても、
社会保障制度は、これはもちろん十分進んでおるのでありますが、にもかかわりませず
任意保険というものを国営でやっておりまして、それの補完的な任務を負わせておるわけでございます。
日本におきましても、
国民年金制度が発足いたしましても、給付額が少ないのでありますので、これで
国民の老後の
生活か安泰だということは言い切らないかと思います。
国民の皆さんが、老後の豊かな
経済生活を賞もうとするためには、この
社会保険のほかは
任意保険を加味いたしまして、自己の
努力と節約で老後の
生活設計を立てるという必要があろうかと思います。
そこに、
任意保険である
簡易保険の
社会保障に対する補完的な役割も、また見出されるのではないかというふうに
考えられるのであります。これが第二点であります。
〔理事野七元君退席、
委員長着席〕
そのほか、
簡易生命保険といたしましては、さきほど
先生御
指摘のように、
積立金、現在これが七千百億
程度に上っておるのでありますが、これを国の
財政投融資原資として供出しておりまして、有
意義な
方面に使われておりますこととか、また、その
公共的使命に従いまして
福祉施設、保健施設というものを現在も持って
運営しております。今後もこういうものをできるだけ
全国的な規模におきまして広く各
加入者の方々に平等に利用してもらうように、今後とも増強していきたいと思っておるわけであります。
さらには、
加入者が不可抗力などで死亡しました場合には、
民間保険にないような
保険金の倍額支払の
制度といったようなこともございます。これも最近交通事故等によりまして非常に件数が上っておるようでございますが、そういった点、今後も工夫を加えまして、できるだけ
社会保障的な
社会政策的な
使命を、今後も果たせるように研究し
努力をしていきたいと、かように
考えておる次第でございます。