○山田節男君 きょう午後、本
委員会で、
郵政省の要員が、
電電公社の方の要員に
配置転換されるということについての、各
委員からの
質問並びに政府
当局の応答等を見まして、私痛感しますことは、根本的な問題に対する把握がない、これはむしろ政府
当局がないのではないか。御
承知のように近代産業、ことに今度の第二次大戦以後における技術革新の著しい進歩というものが、産業の
合理化並びにオートメーション化、これはもう必然です。
ことに今日日本も、おそまきながら、民間産業におきましては、オートメーション化並びに
合理化というものが非常に急速に普及しつつある。従って、政府の
関係する三
公社五現業というものも、これは当然、この
合理化とオートメーション化は、技術の革新に伴ってこれは避けるべからざる問題です。ですから今、ここに起きている悲劇的な現象は、一方においては、主の側においては、ことに今、当面している
郵政大臣として、雇用主としては、やはり雇われている者、すなわち
郵政省の職員、これは今日、憲法上において労働権なり、あるいは生活権を保障されているのです。のみならず団結権も、いろいろな問題はあるけれ
ども、これは、当然あるのです。
そこに私は、いろいろ聞いて感じますことは、オートメーション化、
合理化ということは、これは必然的に労働力の排除ということになる、労働力が要らなくなります。そのことは、いわゆる労働者の生活権、あるいは労働権に対して非常な脅威を与える。従って民主国家におきましては、共産主義国家はもとよりでありますけれ
ども、オートメーション化、
合理化によって職を失うということになれば、これは雇用主、あるいは国家において、絶対
責任を持つ。これが、今日における民主国家の当然の義務です。労使
関係、あるいは雇用主が被用者に対する当然の義務です。
そこで、今問題になっている点につきまして、私も
個々の事例をいいますと、たとえば電信電話、これはオートメーション化いたします。そうすると、要員を団体
協約によって一人も首を切らぬ、そういう約束、
協約がございます。しかしこれを、たとえばAでオートメーション化、ダイヤル化しますと、BないしCの方へ回してしまう。ところが先ほど話があったように、ここは交通機関が一時間とか一時間半、二時間もかかる。事実上、女の子は行けない。そうすれば一応雇用主からすれば、
配置転換して、そこへ遠くて行けないなら、やめなければしょうがないじゃないか、そういうのが例になっております。そこは、今私が申し上げました
合理化とオートメーションからくる、いわゆる剰余の労働力に対しては、これでは非常に私は不十分だと思う。
なるほど、今聞いてみると、もうこれは
責任がないのだ、
配置転換してしまったのだ、
電電公社が
責任を持つというのだから、そこまでの
責任は、これでわれわれは
責任を解除されたのだというのではいけないのでしょう。私が、このことについて特に感じますことは、アメリカのような資本主義の国家におきましても、たとえば造船におきましても、労働力排除、あるいはイギリスの炭鉱、イギリスでありましたが、イギリスにおきまして、昨年、さらにことしの三月の末までに約十二万の労働力、炭鉱の労働力が不必要になった。これはオートメーショと同時に、廃鉱をいたします
——不能率なものは。そうすると、十二万人の余剰労働者を全部首切ってしまえばいいじゃないか。そうはいかないのです。そこにいわゆる国家が乗り
出して
労働組合あるいは雇用主が協力しまして、職業の再訓練をやり、そうしてその職を得さしめるためには、これは国家と
地方団体と雇用主と、これが相助けて、どこかの職につけてやるという保障をしてやらなければならぬ。これは私は、生活権と労働権を保障するのは当然のことだと思う。
どうも私、今の問題にしても、
電電公社の現在オートメーション化、
合理化によってくるその末端の、ただもう
配置転換して、お前いやならやめろ、お前何だ、これは、私はどうも、労務管理としては非常に不親切だと思う。ですから、今、いろいろ繰り返されておる質疑応答を見まして、これは単なる
郵政省だけの問題ではないのです。これは池田内閣として、これは民間産業を含めてオートメーション、
合理化というものは、避くべからざるものです。そうでなければ、日本の産業というものはやっていけないのですから、これは、その犠牲になる者を、生活権、労働権、あるいは憲法二十五条の最低限度の文化、経済の生活を保障してやる憲法ですから、これは絶対国としても、ことにこういう三
公社五現業の場合、そこまでの労務管理をやらないところに、今のように非常に不安が起きてくる。そうして不安のあまり、ある
一つの行為があると、お前けしからぬからやめろと、やめさせることも
——今日の時限においては、なるほど
大臣がおっしゃるようにけしからぬということになりますけれ
ども、その根本からいえば、そこに私は労務管理の、いわゆるオートメーションあるいは
合理化と労務管理ということに対しまする認識が、これは民間でもございますけれ
ども、ことに五現業三
公社関係に多いんじゃないか。しかしながら、これは民間と政府と、全然雇用主の
関係において違うわけでございません。ですからそういう点を
一つ——この問題が、単に
電電公社、
郵政省だけでなくて、必ず他の方面にも、これは出るのですから、
一つ閣議等におきまして、池田総理を交えて、あるいは石田労働
大臣なり他の現業
関係閣僚、
大臣をお交えになって、今のような不親切でない、やはり徹底的にやっているのだということまでの思いやりをいたされる労務管理を、
一つ池田内閣としお立てになれば、民間産業も、
——ことに中小企業はその点非常に冷たいですから
——そういうような点におきましても、私はむしろ、こういうのを機会に政府も反省し、新しい
一つの労務管理、オートメーションと
合理化からくる労働問題の対策というものを、これは根本的に池田内閣としてお立てになる
——今ちょうど、こういうまことに悲しい
事態が起きているのですから、これはいろいろ見ると、どっちがいいとか悪いとかいう前に問題の把握点が、私は政府も誤まっておるのじゃないかと思いますししますので、これは
一つ単なる労使
関係でやるよりも、根本問題についてやはりこれは、国民の生活権というものは保障してやるだけの温かい思いやりを持ってもらわないと、根本的な問題の解決にはならない。ですから、これはこういう時限に、非常に緊迫した状態にあることは、これはもちろん私は、
大臣、
責任もって、こういうことをさせるということは、これは絶対おやめになると同時に、そういう活動は、お前けしからぬじゃないか、
郵政大臣等が文句言えば、むしろ池田内閣の問題として、
一つこの問題を根本的にお立てになることを特に私発言しまして、お願い申し上げておきます。
これは、単に
大臣のみならず、
人事部長なり他の
責任者に、これは
一つ温い気持を持って、近代的な
一つ労務管理に専念されていただくように、切にお願い申し上げまして、私は発言を終わります。