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国務大臣(小金義照君) それでは、私から
所管事項につきまして概略御説明申し上げます。
昨年十二月に開催されました本委員会におきまして、一応御報告申し上げましたので、本日は、その後に生じました当面の
重要課題等につきまして御説明申し上げます。
まず、今国会において御審議をいただく予定をいたしております法律案について申し上げます。
その第一は、郵便法の一部を改正する法律案でありますが、これは、
郵便料金の調整をおもな内容といたしております。
第二は、
郵便為替法の一部を改正する法律案でありますが、これは
小口送金に適する簡便な
送金制度、すなわち、
定額小為替制度と仮称いたしております制度を創設するとともに、
料金体系を合理化しようとするものであります。
第三は、
郵便振替貯金法の一部を改正する法律案でありますが、これは
郵便為替貯金の
料金体系の合理化を主眼といたしております。
第四は、
簡易生命保険及び
郵便年金積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、これは積立金の
運用範囲を拡張しようとするものであります。
第五は、
公衆電気通信法の一部を改正する法律案でありますが、これは電話及び電報の
料金体系を合理化するとともに、一部制度の改正等をも行なおうとするものであります。
第六は、
日本電信電話公社法の一部を改正する法律案でありますが、これは
公社業務にかかわる現金の預託について
国庫預託制度を改正する等を内容といたしております。
以上がただいまのところ、今国会に提出を予定いたしております法案でございますが、これらの法案につきましては、できる限り厚く国会に提出できますよう鋭意取り運び中であります。
なお、これらのほかに、次の二つの法案につきましては、目下、関係の向きと折衝を重ねております。その一つは、
郵便貯金法の一部を改正する法律案でありますが、これは、
郵便貯金の
総額制限の引き上げと利子の引き下げをおもな内容といたしております。
その二は、
簡易生命保険法の一部を改正する法律案でありますが、これは保険金の
最高制限額を引き上げるとともに、
保険料率を引き下げようとするものであります。
次に、ただいま検討中のものとして、
簡易郵便同法の一部を改正する法律案がありますが、これは、
簡易郵便局の受託者の範囲を個人にまで拡張しようとするものであります。
以上が
逓信委員会で御審議を願うことに相なります法案の関係でございますが、そのほかに、郵政省の担当として他の委員会に提出を予定しておりますものに、
公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案がございますことを念のため申し上げておきたいと存じます。
次に、
郵政事業の現況等について御説明申し上げます。
昨年末の全逓の年末闘争につきましては、組合は
非常勤職員の本務化、
電通合理化反対等の大きな問題を中心とし、二十項目にも及ぶ要求を掲げて
闘争態勢を展開してきたのでありますが、鋭意交渉の結果、比較的早期に解決することができましたことは、まことに御同慶に存じております。
しかしながら、一部の郵便局におきまして、それにもかかわらず、
年賀郵便の滞留を生じ、
国民各位に非常な御迷惑をおかけしましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。
私といたしましては、最近における郵便の
慢性的遅配が国民の痛烈なる非難の的となり、ゆゆしき
社会的関心事になっているところでもあり、この際、
郵便事業の
運行計画、
労務管理の面につきまして、早急に
抜本的対策をもって事業の
運営改善に全力を傾注して参りたいと考えている次第であります。
従いまして、近く御審議をお願いしまして
郵便料金の値上げを行ない、
郵便事業財政の健全化、事業の近代化及び施設の改善などをはかる所存であります。他方、三十六年度予算におきまして、数年来
懸案事項となっておりました
非常勤職員の定員化などに極力努力を払った次第でございます。このような事情でございますので、今後は、郵便の遅配その他、いやしくも業務の正常化を阻害するような事態に対しては、きぜんたる態度をもって臨む所存でございます。
最近の郵便の
取り扱い状況は、
引受郵便物の面から申しますと、本年度四月から十二月までの
内国郵便の
引受物数は、
通常郵便物約四十一億七千万通、
小包郵便物約七千三百万個で、これを前年同期に比較いたしますと、通常六・五%、小包五・九%と、それぞれ増加いたしております。
外国郵便では、
通常郵便物は約三千八百万通、
小包郵便物は約八十八万個で、前年同期に比較いたしますと、通常一一・六%、小包一四・四%の増加となっております。なお、今期における
年賀郵便物数は、昨年を約七・六%上回る約十億九千万通となっております。
郵便貯金につきましては、経済の好況と
関係職員の努力とによりまして好調な増加を続け、一月二十五日現在において、本
年度増加目標額千三百億円を二百二十六億円(一七%)上回る千五百二十六億円となり、貯金現在高は一兆一千二百十八億円に達しております。なお、明年度の
郵便貯金増加目標額につきましては、最近における
郵便貯金の
増加状況、明年度の
財政投融資計画からの要請等、諸般の事情を考慮いたしまして、千四百五十億円と策定し、
目標達成のために適切な
増強施策を講じまして、
郵便貯金に課せられた使命を果たしたいと念願いたしております。
次に、
郵便貯金事業財政について申し上げます。
御承知の通り、この事業は、毎
年度多額の赤字を生じ、
資金運用部特別会計等から補てんを受けて収支の均衡をはかって参った状況であります。この赤字は
郵便貯金資金の
資金運用部への
預託利率が、
郵便貯金のコストに比し低率に定められていることに起因するものでありまして、当省といたしましては、かねてからこの
抜本的改善について関係の向きと折衝を重ねて参りましたところでありますが、本年一月次のような結論を得たのであります。すなわち、
預託利率を従来の年六分から六分五厘程度に引き上げること、従来行なわれてきた赤字補てんのための
繰入金制度は廃止すること。三十六年度以前において受け入れた繰入金四百九十四億円の
返還義務を打ち切り整理することの三点が骨子となっておりますが、このための関係法の改正案が別途今国会に提案される運びとなっている次第であります。
簡易生命保険並びに
郵便年金の両事業は、
国民各位の御協力と従事員の努力により、おおむね順調な伸展を見せておりまして、昨年十二月末現在、
簡易保険の
契約件数は四千五百十八万件、
契約保険金総額は二兆五百億円に及び、
郵便年金も
契約件数は百二十四万件、
契約年金総額は四十三億円となっており、国民の
経済生活の安定と福祉の増進に寄与いたしております。
また、両事業の
資金総額は、同じく昨年十二月末現在七千十八億円の巨額に達し、これらの資金は、
地方公共団体、
政府関係機関等に対して融資され、各種の
公共施設の建設、農林漁業、
中小企業者の
生業資金等に充てられ、
国民経済の
発展向上に大きく貢献している次第であります。
次に、
郵政犯罪の防止につきましては、あらゆる機会を通じて防犯意識の高揚、
正規取り扱いの励行、監督指導の強化等をはかってきたところでありますが、幸い本
年度上半期の状況によりますと、
犯罪件数、金額とも前年度同期に比べまして相当の減少を示しておりますので、今後とも一そうこの面に意を注ぎまして、
事業信用の保持に努力いたしたいと存ずる次第であります。
電気通信行政について申し上げます。
太平洋ケーブルの設置につきましては、昭和四十年ごろ完成を目途に日、米双方において
調査検討を進めてきたところでありますが、本年前半ごろまでに
国際電信電話株式会社と
アメリカ電信電話会社との間において正式協定を締結する運びとなっております。本問題につきましては、政府といたしましても、その重要性にかんがみ、
十分検討、措置いたしまして、遺憾のないよう対処する所存であります。
次に、
有線放送電話関係についてでありますが、すでに御承知の通り、
有線放送電話は、
農山漁村地方において目ざましい
普及発達を見せ、その近代化に非常な寄与をいたしているのであります。当省といたしましては、その現状と
農山漁村等の強い要望に即応して、昨年来、
電気通信行政の立場からこの
有線放送電話の
改善普及につき
積極的措置の必要を認め、その実現に努めて参りましたが、このことは
電気通信政策上、周到な配慮を要する問題でありますので、特に来年度予算案に千二百万円の予算を計上して、
実験施設を設け、本格的に
調査研究を重ねて、その
改善普及に努力して参りたいと存じている次第であります。
次に、
電波行政について申し上げます。
現在わが国における
標準放送は、
日本放送協会二百四十二局、
民間放送百七局、計三百四十九局、また、
テレビジョン放送局は、
日本放送協会六十九局、
民間放送五十九局、計百二十八局がそれぞれ放送を実施しているのであります。しかしながら、
テレビジョン放送におきましては、
全国世帯数の約二〇%に及ぶ世帯が十分に聴視できない現状であります。当省といたしましては、
テレビジョン放送の
全国的普及の見地からこれらの
難聴地域をできるだけ救済するため、目下その対策を検討いたしている次第であります。
なお、
カラーテレビジョン放送につきましては、昭和三十五年九月二日付をもって
日本放送協会八局、
民間放送局四局計十二局に対し許可を行ない、現在実施中であります。一方、新電波の開発につきましては、人工衛星、月等を利用して行なう
宇宙空間通信の研究、その他
マイクロ散乱波、
ミリメートル波等、未
開発周波数帯の
開発研究など急増する
電波需要に対応し得る態勢を確立すべく努力いたしております。
国際放送の
拡充強化につきましても、わが国の対外宣伝を強化し、
国際的理解の増進、貿易の伸長等に資するため、これを強力に推進していきたいと存じております。
次に、当省所管の昭和三十六年度予算について申し上げます。
郵政事業特別会計の
予算総額は、
歳入歳出とも二千百六十四億五千百万円でありまして、前年度の千九百十六億一千二百万円に比して二百四十八億三千九百万円、一三%の増加となっております。
この
歳出予算の内訳を申し上げますと、
収入印紙、
失業保険印紙等の収入をそれぞれの会計に繰り入れる業務外の支出額五百五億四千四百万円を除いてみますと、実質的な予算は前年度に比し百六十七億二千万円の増加となりますが、前述の予算額のうち、郵便、
郵便貯金、
簡易生命保険及び
電気通信の
業務運営等に要する経費が千六百二億四千三百万円であり、このほかに
郵便局舎等の建設費として五十六億六千五百万円を見込んであります。
なお、この予算の中には、かねて問題となっておりました
非常勤職員六千六百七十六名の定員への組みかえと、
新規増員として定員二千四百一名の増員が含まれております。
次に、
歳入予算について申し上げます。
総額につきましては、さきに申し上げました通り二千百六十四億五千百万円でありまして、その内容といたしましては、
郵政固有業務収入において八百二十六億九千七百万円を予定しておりますが、このうちには
郵便料金の改定による
年度内増収予定額六十七億一千五百万円、為普及び
振替貯金の改定に伴う
年度内増収予定額五億二千九百万円、計七十二億四千四百万円を含めております。
郵便貯金、
保険年金、
電気通信等の各業務の
運営経費に充てるため、他の会計から繰り入れられる他会計からの
受け入れ収入が七百八十九億六千四百万円、
郵便局舎等の
建設財源に充てるための他会計から受け入れる
設備負担金が十二億四千六百万円、借入金が三十億円であります。
以上のほか
収入印紙等の売りさばきに伴う
業務外収入が五百五億四千四百万円となっております。
次に、
郵便貯金特別会計予算は、
歳入歳出とも七百六十九億七千八百万円を計上しておりまして、これを前年度の予算額七百六億七千三百万円に比べますと、六十一億五百万円、八・六%の増加となっております。
簡易生命保険、
郵便年金特別会計におきましては、歳入が千九百五十二億四千万円でありまして、前年度予算額千七百四十億七千八百万円に比べますと二百十一億六千二百万円、一二・二%の増加となっているのでありますが、歳出は六百四十八億五千二百万円を計上いたしており、これを前年度予算六百二十七億四千百万円に比べますと二十一億一千百万円、三・四%の増加となっております。以上の
歳入歳出の差額、すなわち
歳入超過額千三画工億八千八百万円は、法律の定めるところによりまして積立金として処理することになっており、
一般公共貸付の
運用資金といたしましては千三百六十億円を確保する予定となっております。
次に、
一般会計について御説明申し上げますと、
歳出総額は二十四億八千万円でありまして、これを前年度予算額二十一億七千四百万円に比較しますと三億六百万円、一四・一パーセントの増加となっております。この増加の内訳を申し上げますと、職員の人件費の増加が一億三千七百万円、
有線放送電話施設の
改善普及費千二百万円の新設並びに
国際放送助成費、
宇宙空間通信研究費、未
開発周波数帯の
開発研究費等の増加が一億六千九百万円となっております。
次に、
日本電信電話公社の
事業計画並びにその予算案について申し上げます。
昭和三十五年度当初においては、電話三十七万加入の増設を予定しておりましたが、
電話需要の激増にかんがみ、昭和三十四度末
余裕資金を充当いたしまして、四十万加入の増置を行ないました。さらに、昭和三十六年度は五十万加入の増設を行なうほか、
公衆電話増設一万七千個、
市外回線増設百六十四万二千四百キロメートル、
電話局建設三百九十九局等の施設増によりまして、
電信電話の拡充と
サービスの向上を強力に推進いたしたいと考えております。また、
町村合併対策、無
電話部落対策、
オリンピック対策にも重点を置きまして、
事業計画が策定されております。
なお、その予算の概略を申し上げますと、
損益勘定におきましては、収入は二千六百五十五億円、支出は二千四十一億円で、
収支差額の六百十四億円は
建設財源及び
債務償還に充てられることになっております。
建設勘定におきましては、その総額は千七百三十四億円でありまして、この財源は
自己資金千十九億円、
外部資金七百十五億円と予定しております。
また、この支出の内訳を申し上げますと、
一般拡張工程に千六百三十億円、
町村合併に伴う
電話サービス改善に四十五億円、
農山漁村電話普及特別対策に五十九億円となっております。
なお、
日本放送協会の昭和三十六年度
事業計画、
収支予算等につきましては、できる限り早い機会に提出いたしたいと存じております。
以上をもちまして、私の説明を終わります。