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加瀬完君 私は、日本社会党を代表いたしまして、
地方税法の一部を
改正する
法律案に反対の討論を申し述べます。ただいま鍋島
委員の御説明のございました修正個所、あるいは御説明の中でお述べになりました遊興飲食税の免税点の引き上げ、その他部分的には見るべきものもございますけれども、次の諸点が解明されておりませんので反対をいたすものでございます。
一つは、国税と地方税の税源配分、地方の事業量の増大に伴うこれが補てん
財源、富裕県と貧弱県の不均衡、各
団体間の課税方式の不均衡、これらが
地方財政上の大きい問題であり、税制
改正はこれが解決に近づくものでなければならないはずでございますが、今度の一部
改正は、その基本的な問題に何ら触れておりませんのが、反対の第一の理由でございます。
第二点は、
住民負担についてでありますが、国民としては減税、
住民としては増税、こういうアンバランスがこのたびもまた繰り返されるおそれがあるのでございます。国が減税であるならば、国税の減税も地方税の減税も、差等はあっても同様に行なわれなければなりませんけれども、国の減税は綿密に計画されておりますが、地方の減税になりすまと、綿密度が非常に薄いものですから、
住民税等におきましては、逆に国の減税の影響が地方に及ばない、あるいはまた逆作用をする、こういうアンバランスがそのまま残っております。これが反対の第二点であります。
第三点は、現在の
地方財政は、地方税プラス
交付税、国庫支出金その他これらの協力によりまして地方
財源が充足される方式がとられておりますけれども、このたびの税法の
改正によりましては、特に政府が奨励をいたしました合併
市町村、その中でも人口八千から一万五千、一万五千から二万五千、これらの町村の産業構造の二次産業、三次産業の低いところは、ほとんど税制
改正によりましても新しい
財源が与えられておりません。
第四点は、具体的な点でございますが、その第一は、
住民税の課税方式が第二本文一本ということならばうなずけるわけでございますが、例外を残しておきますから、これでは相変わらず国は減税、地方は増税という根拠が残るのでありまして、やはり各
団体間の課税方式のアンバランスが解決されません。この点が不満であります。
次には、減税の効果であります。たとえば事業税にいたしましても、
住民税にいたしましても、大法人などは減税の効果が大きいわけでございますが、一般の
住民になりますと、
住民税等による減税の効果というのは非常に希薄であります。
負担能力の大きいものが、よけい減税されて、
負担能力の低いものが、減税の度合いが少ないということは不合理でありまして、もっと国、地方を通じて、たとえば大資本、大企業等の租税特別
措置法によって影響される国の税の面あるいは地方の税の面、こういうものも、この際は整理をする段階ではないか。それから
市町村間におきまして、同じ所得があっても、一方は人頭割り以外の
住民税を払わない、一方は非常に多額の税金を払う、こういうアンバランスも
改正されなければならないわけでございますが、本案におきましては、これらが完全に解決される形はとられておらない、これが具体的な不満の第二点であります。
第三点は、電気ガス税の免税点を設定したわけでございますが、先ほどわが党の
委員からも指摘がありましたように、料金値上げというものが予想されますと、低額の電気、ガス需要者に対しまして、この程度は免税をしてやろうといったことも、実質的には料金の値上げによりまして免税の恩典が薄くなる。これらは十二分に考慮をしていただかなければならないと思うわけでございます。しかし、基本的には
基礎控除を作りまして、
基礎控除をもっと引き上げるという方法をとらなければ、大衆課税的な、生活に必要欠くべからざるものに税金がかかるという、このそしりからのがれることはできない。どうしても電気ガス税は、
基礎控除
制度というものを設くべきじゃないかと思うわけでございます。
次には、ガソリン税とか軽油引取税、ガソリン税は地方税ではございませんが、軽油引取税等大衆課税的な性格のものが、だんだんと間接税がふえて参ります。減税といいながら、地方においては、その補てん
財源の苦しいために、大衆課税方式がふえてくるということは、はなはだ当を得ない点でございまして、これらの点がもっと基本的に
改正されるように、地方税の根本的な抜本的な
改正というものがなされなければならないのじゃないか、こういう主張をわれわれは続けて参ったわけでございますが、一部見るべきものはありましても、以上のような基本的な問題の解決がおくれております点を不満に思いますので反対を申し上げるわけでございます。以上。