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政府委員(
後藤田正晴君) 納税者の立場から見ますれば、
国税であれ
地方税であれ、ひとしく租税
負担でございますので、
国税が減税になった際に、
地方税は一体なぜ減税しないんだと、こういう要望が出てくることは、これはもうきわめて私は当然のことだと思います。ただ、私
どもは、やはり租税
負担というものは
国税、
地方税あわせて
考えるべきだと、納税者はやはりいずれにしろ税として納めるんだということでございまするので、税の
軽減は、まず減税の余裕のあるところから私は減税をすべき筋合いのものだと、こういうふうに実は
考えておるのでございます。で、
地方税でなぜ一体減税できないのかということは、先ほど申しましたように、
財政需要は国も地方も同じような
程度に伸びている、ところが、
地方税の方の伸びが非常に
国税に比べて悪いと、こういったために、
国税の方は減税の余地があるけれ
ども、
地方税は減税の余地がないと、こういうことになるわけでございます。ここに私
どもの悩みもあるわけでございます。しかし、もとより私は、
地方団体の
財政需要面のみを
考えて、納税者の立場を
考えないということではございません。やはり最近の経済の状況等ともにらみ合わせまして、でき得る限度の減税は
地方税においても行なうべきものだと、こういうふうに
考えておるのでございます。
そこで次の、
住民税のでき得る限りの影響遮断という問題でございますが、私
どもといたしまして、従来
住民税について一番のやはり問題は、
課税標準等が
国税に依存し過ぎておった、従って、地方の
財政実態いかんにかかわらず、国の所得税について減税の余地ありということで減税をいたされますというと、これは第一
課税方式であるならば、自動的に減税になる、第三
課税方式であるならば、自動的に増税になる、こういうことに
課税方式の仕組みがなっておったのでございます。つまり国の立場においてのみ
考えられた所得
税制の変更が
地方税に自動的に及んでおった。従って、その結果、
地方財政の自主的な安定的な運営が困難になる、勢い、そこから減収補てんをめぐるいろいろ複雑な問題が発生してくる、こういうようなことで、数年間経過したわけでございますが、私はやはりそういったことになるのは、現在の
課税方式の立て方があまりにも
国税に依存し過ぎるんだ、やはりここらで
地方税は
地方税として地方の
財政の
実態からいって減税すべきときには減税をする、こういう立て方に改むべき筋合いのものであろう、こういうことで、今回の
課税方式の
改正を
考えたのでございます。もとより所得
課税でございまするので、納税者の立場等も
考えまして、私
どもとしては、
国税の影響を遮断をすると申しましても、いろいろな遮断の仕方もございましょうが、やはり所得
課税であるという点から、所得の範囲及び計算について、原則としてこれは
国税に乗っかるべきであろう。ところが、所得控除以下の
段階、所得控除と税率になろうかと思いますが、この
段階につきましては、これはやはり
住民税の本質というものともにらみ合わせて考うべき筋合いのものである。この点については
税制調査会におきましても、所得控除以下の
段階については、むしろ税法ではあまり詳しいことは書かなくて、地方の
実態にまかせて運営させたらどうだ、それが地方自治の本旨に沿うじゃないかという御
意見の方が、どちらかというと強く出たのでございます。しかしながら、私
どもといたしましては、現在の
財政実態から見まして、さような
改正のやり方をいたしますというと、
住民負担に激変を招来するおそれがある、こういう点を
考えまして、やはり
財政収入なり、あるいは
住民負担と両面からいって激変を与えることは好ましくないという観点から、現行の所得控除の項目及び
金額等は据え置く、こういう
考え方に立ったわけでございます。税率等につきましても、従来と同じような、所得税における所得
段階ごとの税率に二〇%を乗じたものを準拠税率にして、納税者の
負担に変化を与えない、こういう
考えで
住民税の
課税方式の
考え方を立てたのでございます。もちろん
住民税におきましても、これは減税すべき面もあると思います。その点については、やはり
財政上の
実態とにらみ合わせてこれは
考えたのでございます。その結果、従来の
住民税の
実態から見て、どうも勤労所得者に税
負担が重いというのが
実態でございます。そういった
意味合いから、今回の
住民税の
改正では、勤労所得者については一万円のいわゆる
基礎控除的な控除を認める、同時に、退職所得等については、その所得の性格から見て、頭打ちを撤廃をする、こういうことで四十一億ばかりの
住民税の減税を行なう、こういうことにいたしたのでございます。