○
政府委員(
後藤田正晴君) お手元にお配りいたしました要綱細目に従いまして、税目別に御説明申し上げたいと思います。
まず、第一が住民税でございます。そのうち、個人の
市町村民税の分であります。個人の
市町村民税の今回の改正の眼目の一つは、
所得税改正の
自動的影響を遮断するため、自主的な
課税方式に改めることにあるのでございますが、それに伴い従来は国税の課税を基礎としておりましたために、自動的に住民税についても適用がご
ざいましたととろの実質課税の原則に関する規定を新たに
地方税法に設けることにいたしております。法第二百九十四条の二ないし第二百九十四条の四、第二十四条の二ないし第二十四条の四の
改正規定でございます。
次に、障害者、
未成年者、老年者、または寡婦について、年所得十三万円以下である場合には非課税として参りましたが、その後における物価の推移等を勘案し、これらの人々の負担の軽減をはかるため、今回これを十五万円に
引き上げることにいたしております。なお、
道府県民税についても同様でございます。法第二百九十五条第一項第三号、第二十四条の五第一項第三号の
改正規定でございます。
次に、今回の改正の眼目でありますところの
課税方式の改正についてでございますが、従来の第一
課税方式及び第三
課税方式を廃止いたしますとともに、課税総
所得金額を
課税標準とする第二
課税方式に、以下申し上げますような所要の改正を加えることといたしております。すなわち、第一
課税標準であります。まず所得の計算でございますが、所得割の
課税標準は、前年の所得について算定いたしました総
所得金額、
退職所得の金額または
山林所得の金額によるものとし、総
所得金額、
退職所得の金額または
山林所得の金額は、
地方税法またはこれに基づく政令で特別の定めをする場合を除くほか、原則として
所得税法その他の所得税に関する法令の規定の例によって算定した金額とすることにいたしております。ただし、
専従者控除につきましては、
青色申告者にあっては、専従者一人について八万円を限度として総
所得金額等の計算上必要経費に算入するものとし、
白色申告者の専従者については、
専従者控除制度の性格、
負担分任を基調とする住民税の性格、
市町村財政、特に財政力の非薄な農山村の財政に及ぼす影響等に顧み、
専従者控除を認めないこととしております。法第三百十三条第一項、第二項、第三十二条第一項、第二項の
改正規定でございます。
次に、
所得計算にあたっての繰り越し控除の関係でございますが、青色申告書を提出する所得割の納税義務者につきましては、所得税と同様に前年前三年間に生じた純損失の金額で、前年前に控除されなかった部分の金額を総
所得金額等の計算上繰り越し控除するものといたしました。法第三百十三条第三項、第三十二条第三項の
改正規定でございます。
また
青色申告者以外の者でありましても、前年前三年間に生じた
変動所得の計算上の損失の金額もしくは被災たなおろし資産の損失の金額または雑損失の金額で、前年前に控除されなかった部分の金額は、総
所得金額等の計算上控除するものといたしております。法第三百十三条第四項、第三十二条第四項の規定でございます。
なお課税の合理化と納税秩序の確立の趣旨から、
専従者控除並びに純損失及び雑損失の繰り越し控除は原則として納税義務者の申告に基づいて行なうことにいたしております。法第三百十三条第二項、第三項、第四項、第三十二条第二項、第三項、第四項の
改正規定でございます。
次に、資産所得の合算課税でございますが、生計を一にする親族のうち世帯員が資産所得を有する場合におきましては、
所得税法の規定の例によりまして、合算課税の方式により、それぞれ主たる所得者及び世帯員に課税するものといたしまして、税負担の公平をはかることといたしております。法第三百十四条、第三十三条の
改正規定でございます。
次は、
所得控除の関係でございますが、まず、市町村におきましては、総
所得金額、
退職所得の金額または
山林所得の金額から
雑損控除額、
医療費控除額、
社会保険料控除額、
生命保険料控除額、
扶養控除額及び
基礎控除額を控除するものといたしております。これらの控除を行ないます
課税方式を
本文方式ということにいたしております。ただし、市町村におきまして財政上特別の必要がある場合におきましては、
基礎控除額のみを控除いたしまして、その他の控除を行なわないことができるものといたしました。なお、この場合におきまして、総
所得金額中に
給与所得があります場合は、現行通り
給与所得にかかる収入金額の百分の五の金額、最高二万円までを総
所得金額から控除するものとして、他の所得者との負担のバランスをはかっております。これらの控除を行ないます
課税方式を
ただし書き方式ということといたしておるのでございます。法第三百十四条の二第一項、第三十四条第一項の
改正規定でございます。
次に、これらの控除額の内容でございますが、まず
雑損控除額、
医療費控除額、
社会保険料控除額及び
生命保険料控除額につきましては、所得税における計算と同様の方法によって算定した金額といたしました。法第三百十四条の二第一項、第三十四条第一項の
改正規定でございます。
また
扶養控除額につきましては、現行と同様に次に申し上げます金額によることにいたしております。すなわち、扶養親族が一人の場合につきましては七万円、ただし、その納税義務者に前年の合計
所得金額が五万円をこえる配偶者があるときは五万円とし、扶養親族が一人をこえる場合、そのこえる扶養親族一人ごとに三万円を加算して得た金額とするものでございます。なお、扶養親族と生計を一にする
市町村民税の納税義務者が二人以上ある場合におきましては、ただいまの金額は、各扶養親族につきまして政令により順位を付するものとし、第一順位の扶養親族について七万円、ただし、その扶養親族を自己の扶養親族とする納税義務者に前年の合計
所得金額が五万円をこえる配偶者があるときは五万円、第二順位以下の扶養親族につきましては三万円と定めております。なお、扶養親族が青色専従者給与額の支給を受けておる場合におきましては、これらの金額から当該青色専従者給与額のうち必要な経費に算入された金額を控除した金額といたしております。法第三百十四条の二第一項第五号、第二項、第三項、第三十四条第一項第五号、第二項、第三項の
改正規定でございます。
次に、
基礎控除額でございますが、
基礎控除額につきましては、現行通り九万円といたしております。法第三百十四条の二第一項第六号、第三十四条第一項第六号の
改正規定でございます。
次に、これらの控除の順序でございます。
本文方式にありましては、まず
雑損控除額を控除し、次に
医療費控除額その他の控除をするのもとし、かつ
本文方式、
ただし書き方式とも総
所得金額、
山林所得の金額または
退職所得の金額から順次控除するということにいたしております。法第三百十四条の二第六項、第七項、第三十四条第六項の
改正規定でございます。
なお、これらの控除のうち
基礎控除を除く
所得控除につきましても、原則として納税義務者の申告に基づいて行なうものといたしました。法第三百十四条の二第八項、第三十四条第七項の規定でございます。
次に、税率及び税額の計算でございますが、所得割は、次に申し上げます金額の区分及びその区分に応じて順次に適用される率に準じまして、市町村の条例で金額の区分及び率を定めるものといたしております。この場合、税額につきましては、課税総
所得金額または課税退職
所得金額につきましては、当該税率を順次適用して計算した金額といたしますが、課税山林
所得金額につきましては、いわゆる五分五葉方式を採用いたしまして、その金額の五分の一の額に当該税率を順次適用して計算した金額の合計額に五を乗じて得た金額によって課するものといたしております。法第三百十四条の三第一項の規定でございます。
なお、税率でございますが、税率の所得段階ごとの区分は、現行の
所得税法の所得段階ごとの区分により、それぞれ税率につきましては、現行の所得税の税率の二〇%に相当する率と定めたものでございます。
次に、
変動所得及び
臨時所得の
平均課税でございますが、
変動所得及び
臨時所得がございます場合の税額の計算につきましては、納税義務者の申告に基づきまして
所得税法の計算の例によって算定することにいたしました。法第三百十四条の四、第三十六条の規定でございます。
次に、簡易税額表でございますが、税額を算定する場合におきましては、その処理を簡素化するという目的のために簡易税額表を定めることができるものといたしました。すなわち、市町村は課税総
所得金額、課税退職
所得金額または課税山林
所得金額がそれぞれ百万円以下のものに対して課税する所得割額につきましては、
所得税法別表第一及び別表第二の例によって市町村の条例で定めた簡易税額表によることができるものといたしたのでございます。法三百十四条の五、第三十七条の第一項の
改正規定でございます。
次に、
税額控除でございますが、
本文方式の市町村におきましては、納税義務者が障害者、老年者、寡婦もしくは勤労学生である場合、または納税義務者に障害者である扶養親族がある場合には、それぞれ一人につき千円を標準として市町村の条例で定める金額を所得割額から控除するものといたしております。法第三百十四条の七第一項の規定でございます。また、
ただし書き方式の市町村におきましては納税義務者が扶養親族を有する場合は、その扶養親族の数に応じ市町村の条例で定める金額を所得割額から控除するものとし、また納税義務者が障害者、老年者、寡婦もしくは勤労学生である場合、または納税義務者に障害者である扶養親族がある場合は、新たに市町村の条例の定めるところによって、条例で定める額を所得割額から控除することができるものといたしたのでございます。法第三百十四条の七第二項、第三項の規定でございます。
なお、これらの
税額控除につきましても、原則として申告に基づいて行なうことといたしております、法第三百十四条の七第六項の規定でございます。
次に、賦課制限でございますが、以上によりまして、住民税を算定するわけでございますが、総合した税負担の過重となることを避ける意味におきまして、
市町村民税の所得割額、
道府県民税の所得割額及び前年の所得税額の合計額が
市町村民税の課税総
所得金額、課税退職
所得金額及び課税山林
所得金額の合計額の百分の八十をこえることがないように
市町村民税の所得割額及び
道府県民税の所得割額を減額するいわゆる賦課制限の規定を設けております。この場合におきましては、減額する金額は、
市町村民税の所得割額と
道府県民税の所得割額の比率によって定めることといたしております。法第三百十四条の八、第三十七条の三の規定でございます。
また、所得の算定基準につきましては、総
所得金額、
退職所得の金額または
山林所得の金額は、所得税の申告書が提出され、または政府が更生もしくは決定をした場合には、その申告に記載され、または更正し、もしくは決定した金額を基準として算定するものとして、納税者が二重調査を受けることがないよう配慮いたしますとともに、この際、国、地方団体相互の協力関係を従来より一そう緊密なものとするよう運営して参りたいと考えております。なお所得税の決定額がない場合には、市町村がみずから調査し、この調査に基づいて算定することになります。法第三百十五条の規定でございます。
最後に、申告でございますが、住民税における
申告制度を整備をいたしまして、所得割の納税義務者は、
所得金額その他課税上必要な事項を記載した申告書の提出を要するものといたしまして、課税の民主化と納税秩序の確立を期しますとともに、住民の市町村自治に対する積極的関心の喚起と自主納税に対する意欲の向上をはかるものといたしました。ただし、
給与所得のみを有する者につきましては、別途
給与支払い報告書が提出されますので、原則として申告を要しないものといたしております。法第三百十七条の二、第四十五条の二の規定でございます。
次は、個人の
道府県民税でございますが、個人の
道府県民税につきましては、
市町村民税所得割の
本文方式と同様の
課税方式に改めております。従いまして、その内容の大部分は、
市町村民税本文方式と同様でございますので、
市町村民税と異なる点についてだけ御説明を申し上げたいと思います。なお賦課徴収の方法につきましては、納税者の負担感、徴税経費等を勘案いたしまして、
現行通り市町村に委任をして、当該市町村の賦課徴収の例によるものといたしております。
まず、税率及び税額の計算でございますが、所得割の税率は、現行所得税の所得段階区分ごとの税率に百分の八を乗じて得た率を
標準税率として定めたのでございます。従って、
市町村民税と異なる点は、
所得金額の区分が法定されていること及び
標準税率であるという点が異なる点でございます。この場合に、税額の算定につきましては、
市町村民税と同様に簡易税額表を定めるものといたしておりますが、
道府県民税の簡易税額表を定めた場合におきましても、
市町村民税の簡易税額表を定めていない市町村につきましては、市町村長の申し出によって簡易税額表によらないで
道府県民税を課することができるものといたしております。法第三十七条第一項の
ただし書きの規定でございます。また
道府県民税の簡易税額表と
市町村民税の簡易税額表との
所得金額の区分が違う場合は、
道府県民税の簡易税額表の
所得金額の区分を
市町村民税の簡易税額表の
所得金額の区分に合わせることができるものといたしまして、実際に事務を処理する市町村の便宜をはかったものでございます。法第三十七条第二項の規定でございます。
次に、
税額控除でございますが、納税義務者が障害者、老年者、寡婦もしくは勤労学生である場合、または納税義務者に障害者である扶養親族がある場合は、所得割額からそれぞれ四百円を控除するものといたしております。法三十七条の二第一項の規定でございます。この場合の
税額控除は、原則として納税義務者の申告に基づいて行なうものといたしておりますことは、
市町村民税の場合と同じでございます。
次は、法人の住民税の改正でございますが、法人の住民税の
非課税規定の整理が中心でございまして、その他の改正は規定の整備にとどまっております。すなわち、公益法人等につきましては、現行においては、住民税が非課税とされているものがございますが、これらにつきましても、収益事業を行なった場合には住民税を課するものといたしたのでございます。これらの法人はいわゆる法人税法の五条法人でございまして、収益事業を行なえば法人税を課するものとされておるのでございます。この場合において、住民税を課する道府県または市町村は、これら公益法人等の収益事業を行なう事務所または事業所所在の道府県または市町村とするものといたしております。法第二十五条、第二十四条第二項、第二百九十六条、第二百九十四条第二項の規定でございます。また
各種協同組合等につきましては、現行においては非出資組合である各種協同組合及び積立金額が出資総額の四分の一未満の各種協同組合について、住民税を課さないこととしておりますが、これらの組合には法人税が課されることになっておりますので、住民税も同様に課税することといたしました。なお、法人税において課税の特例が認められております再建整備中の農業協同組合、漁業協同組合、森林組合及びこれらの組合の連合会並びに事業協同組合及び協同組合連合会につきましては、附則第十条及び第三十五条の規定によりまして、現実に法人税が課されない限り非課税として、法人税と同様の取り扱いをいたしております。
次に、事業税でございます。
まず
法人事業税における法人税の改正との関係でございますが、法人税におきまする耐用年数の改訂その他
所得計算に関する
租税特別措置の改正につきましては、その改正の趣旨にかんがみ、事業税においてもこれらの措置をそのまま適用するものといたしております。ただし、法人税における配当に対する税率の軽減及び法人が受け取る配当の一部益金算入の措置につきましては、その性格にかんがみ、事業税には影響を及ぼさないよう改正をはかっております。従って、受取配当金は従来通り益金不算入となります。法第七十二条の十四第一項の規定でございます。
次に、
法人事業税に関して行なうことといたしております改正は、非課税法人、公益法人、特別法人の整理でございますが、
法人事業税における非課税法人等の分類を、法人税における分類と一致をさせますために、規定の整理を行なうことにいたしております。法第七十二条の四第一項、第七十二条の五第一項第四号、第七十二条の二十二第四項の規定でございます。次は
個人事業税でございます。
個人事業税において
雑損控除を認めることにいたしました。すなわち、災害または盗難により
事業用資産について損失を生じた場合におきまして、その損失の金額が事業所得の十分の一をこえるものである場合におきましては、当該金額を事業所得の計算上控除し、なお控除し切れない部分については、三年間に限り繰り越し控除を認めるということにいたしたのでございます。法第七十二条の十七第四項、第六項の規定でございます。
次は、
個人事業税の
基礎控除及び
専従者控除に関する改正ですが、まず
個人事業税の
専従者控除額は、所得税の
青色申告者については八万円、その他の者については五万円を限度として所得の計算上必要な経費とするものといたしております。法第七十二条の十八第二項の規定でございます。
これに伴いまして、現行の
基礎控除の名称を
事業主控除と改めますとともに、金額は現行通り二十万円に据え置きまして、これを事業の所得の計算上控除するものといたしております。法第七十二条の十八第一項の規定でございます。
次は、
法人事業税の留保金非課税に関する規定でございますが、法人税と同様の取り扱いとするために、出資組合である
各種協同組合等で積立金額が出資総額の四分の一に達しないものに対する課税の特例の規定を
租税特別措置法における
各種協同組合等に対する法人税の課税の特例の規定と同様の取り扱いとなるように改めるものといたしました。法第七十二条の十八第二項削除、附則第五十二条関係の規定であります。
そのほか、
個人事業税の賦課の方法に関する規定を整備いたしまして、本来不動産所得または事業所得であるべき所得を他の種類の所得として所得税の申告をしている場合におきましては、これをそのまま事業税の
課税標準とせず、道府県知事の調査によって事業税の
課税標準を決定することができるものとし、また
雑損控除等を新たに設けましたことに伴いまして事業の所得の計算上控除される諸控除等は申告によって行なうこととし、これに伴い事業税の申告に関する規定を整備するものといたしております。法第七十二条の十七、第七十二条の十八、第七十二条の五十五の規定でございます。
以上が事業税の改正の内容でございます。
次は、不動産取得税でございますが、まず、法人の政令で定める分割による不動産の取得に対しましては、法人の合併による不動産の取得の場合と同じ形式的な所有権の移転であると考えられますので、不動産取得税を非課税とすることといたしました。法第七十三条の七第二号の規定でございます。
次に、譲渡担保の設定及び解除に伴う不動産の取得につきましては、法律的には所有権の移転という形をとりますが、経済的には債権担保の目的のためでございますので、その譲渡担保の期間が一年以内である場合には非課税といたしました。法第七十三条の七第七号及び第七十三条の二十七の二の規定でございます。
また道府県知事が独自に不動産の価格を評価することができる場合に、増築、改築、損壊のほかに、地目の変換がある場合を加えることにいたしております。法第七十三条の二十一第一項の
改正規定でございます。
さらに新築住宅用土地の取得に対する不動産取得税の六十万円の減額規定を適用する場合に、次に申し上げる二つの場合を加えることといたしております。法第七十三条の二十四第一項の
改正規定でございます。
すなわち、第一には、土地を取得した者が土地を取得した日前一年の期間内に、その土地の上に住宅を新築した場合でございます。
第二には、
地方公共団体、日本住宅公団等から、いわゆる土地付の建売住宅をその住宅を新築した日から一年以内に購入した場合でございます。
次は、
娯楽施設利用税の改正でございます。まず法定の課税対象施設の
整理合理化を行なうことといたしました。法第七十五条第一項の規定でございます。具体的に申し上げますと、釣堀あるいは貸し船場を法定の課税対象施設から除外することといたしましたこと。第二には、法定施設以外の娯楽施設につきましては、道府県の自主的な判断によって道府県の条例の定めるところにより課税することができることにいたしましたのでございます。
次に税率でございますが、入場税及び
遊興飲食税等の税負担の均衡上、利用料金を
課税標準とする税率を引き下げることにいたしております。法第七十八条第一項の規定でございます。
すなわち、
ゴルフ場その他これに類する施設等につきましては、利用料金の百分の五十を百分の三十に、その他の施設につきましては、利用料金の百分の三十を百分の十五にそれぞれ引き下げることにいたしました。なお、学生、生徒、または児童が運動競技施設を利用する場合に適用される軽減税率百分の十の規定は、その対象施設がすでに非課税となっておりますので、削除することにいたしました。法第七十八条第二項削除の規定であります。
最後に、
ゴルフ場の利用に対する定額課税の
標準税率につきましては、利用料金が現行税率をきめました当時に比べると相当高くなってきておりますので、ビジター料金を基準といたしまして一人一日二百円を四百円にいたしております。法第七十八条の二第二項の規定であります。
次は、
遊興飲食税の関係でございますが、名称につきましては、この税の性格及び内容を的確に表現をするというために、
料理飲食等消費税という名称に改めることにいたしました。
次に、現行の免税点につきましては、おおむね
大衆負担の軽減という目的を達していると考えられまするけれども、この際一そう
大衆負担の軽減をはかるために、その
引き上げを行なうことにいたしました。法第百十四条の四、第百十四条の五の規定でございます。すなわち、旅館における宿泊及びそれに伴う飲食につきましては、八百円を千円に、飲食店における飲食につきましては、三百円を五百円にそれぞれ
引き上げることにいたしました。なお、
チケット制の飲食店における免税点については、百五十円を二百五十円に
引き上げることといたしております。
次に、
登録ホテルまたは旅館における外人客の飲食及び宿泊に対する
非課税規定でございますが、一般に消費税についてこのような
特別措置をとっている例がない、一般の旅館における外人客の飲食、宿泊に対しては非課税とされていない、また、この
特別措置の創設理由である観光誘致による外貨獲得は、
登録ホテル等の施設の充実によるべきであること等の理由によりまして廃止することにいたしたのでございます。法第百十四条の二の二項削除の規定でございます。ただ、すでになされている契約その他の事情を考慮いたしまして、附則第二十六条の規定により、昭和三十七年三月末まで経過的に存続させることにいたしておるのでございます。
次が、
自動車税でございますが、貨物自動車の税率につきましては、自家用、営業用を問わず事業の用に供されているという実態にかんがみまして、自家用と営業用の税率を統一することにいたしました。法第百四十七条の規定でございます。すなわち、トラックにつきましては、現行営業用は一万四千円、自家用は一万五千円でございまするのを、特に道路損傷度の高い車種についての税率の
引き上げを行なうという
税制調査会の答申もあり、いずれも年額一万五千円といたしております。また、三輪の
小型貨物自動車につきましては、現行営業用は三千三百円、自家用は四千三百円でありますのを、いずれも年額三千八百円に改めております。
次に、専売公社、国有鉄道、電信電話公社等の所有する事業用自動車に対する
非課税規定につきましては、事業用自動車以外の自動車及び
固定資産との負担の均衡を失しておりますので、
非課税規定は廃止をすることにいたしました。
次が、狩猟者税でございます。甲種狩猟免許及び乙種狩猟免許を受ける者につきましては、三千六百円及び一千八百円の二種の税率がございますが、現行法によりますと、相当高額な、たとえば
山林所得を有する者等も低税率の一千八百円を適用せざるを得ないことになっております。そこで、低税率を設けました趣旨にかんがみ、狩猟業もしくは林業を主たる生業とする者で
道府県民税の所得割額を納付することを要しない者、または、農業を主たる生業とする者でもっぱら自家労力によってこれを行なう者に限ることとしたのでございますが、これはいわば現行法の欠陥を整備したものでございます。法第二百三十七条第二号の
改正規定でございます。
次は、
固定資産税でございますが、まず
都市ガス事業の拡充に伴う新設の
償却資産につきまして、
固定資産税の負担の緩和をはかり、もって消費者の負担の増加を防ぐため、ガス事業法の規定による許可を受けたガス事業者が、ガス事業の用に供する
償却資産でガスの製造及び供給の用に供するものに対して課する
固定資産税の
課税標準を、その
償却資産に対して新たに
固定資産税が課されることになった年度から五年度分の
固定資産税につきましては、当該
償却資産の価格の三分の一の額とし、その後の五年度分の
固定資産税につきましては、三分の二の額とすることにいたしました。法第三百四十九条の三第三項の規定でございます。
なお、この
特例措置は、
都市ガス普及第二次五カ年計画との関連を考慮いたしまして、昭和三十四年一月一日に
固定資産課税台帳に登録されたもの、すなわち、昭和三十三年一月二日以後において新設された
償却資産に対しましても、昭和三十六年度分の
固定資産税から適用するものといたしました。附則の第四十三条の規定でございます。
次に、外航船舶との関連等をも考慮いたしまして、漁船を含む内航船舶に対して課する
固定資産税の
課税標準を、当該船舶の価格の二分の一に軽減をいたしたのでございます。法第三百四十九条の三第七項の規定でございます。
また新設大
規模償却資産の対象に、新たに建設された一の工場、または発電所のほかに変電所を加えるとともに、これらに増設された設備で、これらに類すると認められるものにつきましても、市町村の課税限度額をこえるものであれば、新設大
規模償却資産として
固定資産税の
課税標準の特例を認めて、府県と市町村との間の税源配分を明確にいたしたのであります。法第三百四十九条の五第一項の規定でございます。
次に、
軽自動車税でございます。
専売公社、国有鉄道、電信電話公社等の所有する
軽自動車につきましては、
自動車税と同様に
非課税規定を廃止することにいたしております。法第四百四十三条の第二項の規定でございます。
次に、
軽自動車等に対して課する
軽自動車税の税率でございますが、現在一律に年額千五百円とされておりますが、最近特に増加してきました三輪または四輪の
軽自動車について、
小型自動車あるいは二輪の
軽自動車との負担の均衡をはかるため、その
標準税率を、二輪の
軽自動車にあっては現行通り年額千五百円に据え置くとともに、三輪の
軽自動車は二千円に、四輪の
軽自動車のうち乗用のものは三千円、貨物用のものは二千五百円とすることに改めたのでございます。
次が
電気ガス税でございます。
まず、
非課税品目の
整理合理化を行なうこととしております。すなわち
非課税品目を新たに亜炭、鉄鉱、砂鉄等十九品目を追加いたしますとともに、黒鉛含有特殊粉末合金その他五品目を削除することにいたしたのでございます。法第四百八十九条第一項の
改正規定でございます。
次に、
零細負担排除の趣旨から新たに免税点の制度を設けまして、同一の需用場所において使用する定額電灯もしくは従量電灯またはガスの一カ月の使用料金が三百円以下の電気またはガスの使用に対しましては
電気ガス税を課さないものとし、一般の零細な家庭用の電気及びガスについての負担の
軽減措置を講ずることといたしました。なお、免税点の算定の基礎となる電気またはガスの使用料金の支払期間が一カ月をこえる場合における免税点の適用につきましては、日割計算を行なうこととし、その料金を当該料金の計算期間の日数をもって除して得た額に三十を乗じて得た金額をもって一カ月の料金とすることにいたしました。法第四百九十条の二の規定でございます。
次に、
軽油引取税でございますが、新
道路整備計画の財源の充実をはかりますために、
軽油引取税の税率を一キロリットル一万四百円から一万二千五百円に
引き上げることにいたしております。法第七百条の七の規定でございます。
次に、脱税の防止と課税の均衡をはかりますために、特約業者または元売業者以外の販売業者が軽油に軽油以外の炭化水素油を混和し、または軽油以外の炭化水素油と軽油以外の炭化水素油を混和して製造されました軽油を販売いたしました場合には、その販売量から課税済み部分を控除したものを
課税標準として
軽油引取税を課税することといたしております。法第七百条の三の規定でございます。
次に、
免税軽油の範囲につきましては、経済の発展等に即応いたしまして、道路と直接関係のない軽油を使用する場合におきましては、これを拡充合理化することにいたしております。法第七百条の六の規定であります。
最後に、災害等により
軽油引取税の全部または一部を受け取ることができなかったときは、納税義務を負わせることが必ずしも適当ではございませんので、このような場合には、特別徴収義務者の納税義務を免除することができることにいたしたのでございます。法第七百条の二十一の二の規定であります。
次に、国民健康保険税でございますが、
市町村民税の
課税方式の改正に伴いまして、国民健康保険税の所得割額は、所得割総額を
ただし書き方式による課税総
所得金額、課税退職
所得金額及び課税山林
所得金額の合計額に按分するものとし、この方式によることが著しく困難である場合は、
本文方式による課税総
所得金額、課税退職
所得金額及び課税山林
所得金額の合計額または
市町村民税の所得割額に按分して算定することにいたしました。これは住民税の
課税方式の改正に伴う規定の整備でございます。
以上のほか、住民税の実質課税の原則の規定に対応する総則規定の整理、法人住民税及び
法人事業税の
申告制度、延滞金の計算方法、個人住民税、
固定資産税の一時徴収の制度の合理化を行なう等、各税目にわたって所要の規定の整備を行なうこととしております。
最後に、施行期日でございますが、原則として個人の住民税及び個人の事業税は昭和三十七年度から、その他のものは三十六年度から実施することといたしました。
また、名称の変更、免税点の
引き上げ等の
遊興飲食税に関する
改正規定及び外人客に対する
料理飲食等消費税の非課税に関する附則第二十六条の規定は、昭和三十六年五月一日から施行することといたしまして、
登録ホテルまたは旅館における外人客の飲食、宿泊に対しましては、すでに申し上げました通り、昭和三十七年三月三十一日までの間は、
料理飲食等消費税を課さないことといたしております。附則の第二十六条でございます。
電気ガス税に関する
改正規定は、今回の
免税点制度の創設に伴う電力会社及びガス会社の事務処理上の準備期間等を考慮いたしまして、昭和三十六年六月一日以後の分、つまり五月分の料金から適用することといたしております。附則第四十三条の
改正規定でございます。
以上が税目ごとの細目の説明でございます。
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