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1961-08-31 第38回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年八月三十一日(木曜日)    午前十時二十七分開会    ——————————   委員異動 八月一日委員秋山長造辞任につき、 その補欠として山本伊三郎君を議長に おいて指名した。 八月九日委員山本伊三郎辞任につ き、その補欠として秋山長造君を議長 において指名した。 八月十日委員白井勇辞任につき、そ の補欠として山本利壽君を議長におい て指名した。    ——————————  出席者は左の通り。    理事            鍋島 直紹君            鈴木  壽君            基  政七君    委員            小柳 牧衞君            郡  祐一君            館  哲二君            津島 壽一君            山本 利壽君            湯澤三千男君            秋山 長造君            加瀬  完君            中尾 辰義君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    総理府総務長官 小平 久雄君    警察庁保安局長 木村 行蔵君    文部省初等中等    教育局教育課長 上野芳太郎君    文部省管理局長 福田  繁君    運輸省自動車局    長       木村 睦男君    建設省道路局次    長       前田 光嘉君    建設省住宅局長 斉藤 常勝君    自治省財政局長 奥野 誠亮君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告地方行政改革に関する調査  (道路交通に関する件)  (地方公営住宅及び学校施設建設  単価に関する件)  (防犯に関する件)    ——————————
  2. 鍋島直紹

    理事鍋島直紹君) ただいまより委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。八月十日付をもって委員白井勇君が辞任され、その補欠として山本利壽君が委員に選任されました。    ——————————
  3. 鍋島直紹

    理事鍋島直紹君) 本日は地方行政改革に関する調査を議題といたします。  本調査の一環として、地方行政状況公共事業実情道路交通法施行状況等調査するため、鈴木鍋島の両委員秋田県及び山形県に派遣いたしましたので、この際、調査概略を簡単に御報告願うことにいたしまして、別途文書報告会議録に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鍋島直紹

    理事鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう取り計らうことにいたします。  それでは鈴木君より簡単に御報告をお願いいたします。
  5. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は鍋島君とともに去る七月二十四日から六日間の日程で秋田山形県下における地方行財政の問題、特に地方財政状況地方開発の問題、道路交通法施行状況調査して参りました。詳細は別に提出する報告書によって御承知願うことといたしまして、ここでは調査事項のうち、おもなるものの概要について簡単に御報告いたします。  まず第一に地方財政状況から申し上げます。  秋田山形の両県はいずれも再建団体でありますが、最近の財政状況は次第に改善されているようであります。秋田県は、実質収支昭和三十四年度決算において二億八千三百万円、三十五年度決算において三億二千八百万円の黒字となっております。山形県におきましても、同じく昭和三十四年度決算実質収支が二億三千百万円、三十五年度決算見込みでは四億六千三百万円の黒字とのことであります。  以上のような決算実質収支を反映いたしまして、両県とも再建期間を当初計画より、ともに一カ年くらい短縮することとし、秋田県は昭和三十九年度、山形県は本年度をもって再建を完了することになっております。このように財政状況が好転してきたのは、県当局の非常な努力は言うまでもありませんが、経済の好況並びに国の財源措置の改善されたこと等もこれに寄与していると思います。しかしながら、再建期間を短縮し、超過課税地元負担金の軽減もしくは撤廃をはかり、またこの際後進地域として特に必要である行政水準向上等考えるならば、国としても従来以上に適切な措置が望まれるのであります。  次に、市町村財政状況についてみますと、秋田県では、昭和三十四年度決算実質赤字団体が七十二市町村のうち二十三団体でありましたが、三十五年度では十三団体に減少しております。ただ秋田市の場合に、昭和三十五年度の赤字額は約一億七百万円でありますが、三十六年度は国体関係施設整備ということもあって赤字額がさらに増加するのではないかと心配されております。  山形県は、四十八市町村のうち、三十四年度決算実質赤字団体が三団体、三十五年度もその数は変わりませんが、再建団体数は十七団体から十一団体に減少し、決算収支内容もかなり改善されたと見てよいと思います。  このように市町村財政県財政と同様に一般的に好転を示しております。これは関係市町村における赤字解消努力と、国の財源措置内容改善等によるものと思いますが、これに関連して注意すべきことは、両県下町村の大部分住民税第二方式ただし書きによってようやく財政収支の均衡を得ていることでもあり、さらにこれまで圧迫されてきた行政水準をどのように引き上げていくかが今後の残された問題であろうかと思います。  次に、個別的な問題について若干申し上げます。  その一は、単作農村地帯に対する交付税の配分の問題であります。私どもは特に財政力の乏しいいわば貧弱町村というべき秋田県の井川村をたずねました。井川村は再建団体で、面積四十六平方キロ、人口は七千六百十一人、世帯数が一千二百六十七戸で、そのうち一千六十八戸が農家数という純農村であります。しかも、三十六年度の予算が五千三百万円という財政規模の非常に小さい村であります。その歳入構成を見ますと、村税が三二%、交付税が同じく三二%、その他が三六%となっており、また人件費等経常費の使い方も普通のようでありますが、中学校統合県道改修負担金等投資的経費に必要な一般財源の出所がなく、財産売り払い等によってようやくこれを処理しているという状況であります。交付税単位費用は、人口八千足らずの純単作農村では、どうしても実情にそぐわない点が多く見受けられるのであります。従って、井川村のような単作農村地帯弱小町村については、辺地の町村とあわせ財政上の特別措置検討する必要があるのではないかと思われます。  その二は、義務教育施設等に対する補助単価の問題であります。この問題は当委員会におきましても取り上げられて問題とされましたが、実際、現地の実情を聞きましたところ、現行国庫補助単価ではとうてい建設が不可能であります。たとえば小中学校の木造建築では、坪当たり現行補助単価が二万七千二百円となっておりますが、これでは建設が不可能で、実施単価がどうしても補助単価よりも三、四割高となっており、さらに補助対象として認証される坪数は、実際に必要とされるそれよりも少ないのが常であることから、この差額は結局地方団体負担となるわけであります。これが各地方団体財政を非常に圧迫しており、この補助単価是正は、県のみならず各市町村からの切なる要望でありまして、私どももこの点の是正の必要を強く感じて参りました。  その三は、市町村事務改善の問題であります。山形県の米沢市は昭和三十二年度から五カ年計画を立てて、住民記録文書計算事務等集中管理をすることとし、機械の導入、機構改革等各般措置を通じて住民サービス向上に努めており、これは市民に喜ばれ、また効果も上がっているようでありますが、事務改善に対する国の一そうの援助措置が望まれております。  その四は、秋田県大館市についてでありますが、御承知のように同市は、戦後四度の火災をこうむっており、特に昭和三十一年のフェーン現象による大火災は、市街地の大部分を焼失し、いわゆる戦後三大火災一つに数えられておるところであります。そのため同市のこれまでの事業は、火災復興一本にしぼられた感があり、市当局耐火建築に対する補助措置、その他不燃都市の造成に力を注いで見るべき効果を上げておりますが、ために市の財政に大きな負担となっております。  第二は、地方税関係について申し上げます。  今次の地方税制改正の結果として特に道府県民税徴収が問題とされておるようであります。すなわち今次地方税制改正によりまして、市町村民税道府県民税とも昭和三十七年度より現行市町村民税第二課税方式を若干改めた形のものを採用することになっておることは御承知通りであります。山形県のごとく全市町村が第二課税方式ただし書きを採用しているところでは、市町村はおそらくは改正後のただし書き方式を採用することとなると思われ、道府県民税改正後の本文方式によることとなるので、この間、課税標準の取り方には食い違いがありますので、徴収委任を受ける市町村は相当に手数がかかると思われます。山形市の話では、事務量も現在より四割以上も増大するのではないかと言っております。このような事情から道府県民税徴税費に対する増額措置が強く要望されておりましたが、この点は検討を要すると思います。  第三は、地方公務員給与改定についてでありますが、両県とも県職員については国家公務員に準じて昨年の十月より全面的に実施されており、また市町村職員につきましても三十六年三月三十一日までの間に同様の改正がなされ、昨年の十月一日にさかのぼって適用されております。  第四は、地方開発の問題についてでありますが、自治省後進地域開発特例法関連して出した財政力指数によると、過去三カ年の平均財政力指数を一〇〇とした場合、秋田県は鳥取と同様、最低の二三・一、山形県は二六・二となっております。従来、この地方には国土総合開発法による特定地域の指定、東北開発促進法制定等による特別の開発補助措置にかわり、第三十八国会で成立したいわゆる後進地域開発特例法により、公共事業補助特例が強化合理化されたわけであります。この特例により公共補助率は、秋田県は二五%、山形県は二二%の引き上げとなるわけであります。これにより秋田県では、三十六年度で従来の国庫負担額よりも五、六千万円ほどの増加が見込まれております。地方開発については、県当局も非常な熱意を持って臨んでおり、秋田、男鹿の両市を中心とする地方基幹都市建設、また山形県では、酒田・鶴岡地区山形地区米沢地区新庄地区を拠点とする新都市または基幹都市建設計画推進する態勢をとっておりますが、両県とも、これらの地区を国の地方基幹都市建設、あるいは新都市建設調査地域に指定されるよう強く要望されておりました。現在、地方開発について、各省庁の間でいろいろ独自の構想が準備されているようでありますが、地方におきましては、地方開発を強力に推進するための統一した法案の制定が特に持たれておるところであります。  最後に道路交通状況について申し上げます。  両県における道路交通法施行後の状況を見ますと、全般的に関心が高まっておりますが、新法のねらいである歩行者保護、酒気帯び運転禁止雇用者義務等につきましては比較的よく守られているとの説明でありました。しかし、新道交法が施行されました当時、両県は降雪期となっておりまして、交通は県内の主要市街地に限られるようなことがありまして、交通事故は減少したのでありますが、降雪期を過ぎました四、五月ころからまた増加して参っております。三十六年度の上半期における事故発生状況を昨年同期と比較してみますと、件数、死者、負傷者とも増加の一途をたどっており、秋田県におきましては、昨年度に比較し、件数にして約二五%の増加となっております。もちろん自動車台数増加ということもありますが、このような事故増加に対して、交通信号機設置駐車禁止等による交通規制の適正、交通安全会結成優良運転者表彰等による安全運転推進交通モニター制実施等による指導取り締まりの強化に努めております。激増する交通事故防止のために両県とも懸命の努力を払っておるようでありますが、警察側説明では、現在における交通警察に関する要員及び施設ではきわめて不十分であり、たとえば秋田県では、交通警察に従事している職員は、全警察職員千四百五十二名のうち百十一名、このうち、事務関係を除いた警察官は五十三名とのことでありました。従って、現在人員の不足から、ときに応じて他の係から応援を求めたりしていろいろやりくりしておるようでありますが、事故の処理や取り締まり支障が少なくないようであります。また施設整備につきましても十分であるとは言いがたく、交通取り締まり用自動車十台、速度測定器十二台ということで、街頭に出て直接指導取り締まりに当たる警察官の増員、指導取り締まりの上最も強力で効果的な白バイの増車等が強く望まれております。山形県も同様の事情から、交通警察に対する要員施設設備の充実が一段と望まれておりました。  以上、概略でございますが、調査についての所見の一端を述べて報告といたしたいと思います。
  6. 鍋島直紹

    理事鍋島直紹君) 次に、道路交通に関する件について質疑を行ないます。
  7. 津島壽一

    津島壽一君 道路交通の問題で若干質問したいと思いますが、その第一は、道路交通対策総合性といいますか、総合的にやる、こういう問題であります。この問題は、道交法審議の過程において非常に大きな問題になって、附帯決議までも作ったわけでございますが、そののち、その対策としては、ここに配付された資料を見ますと、内閣に——れは総理府だろうと思いますか——交通対策本部というものを設けた。そこで、十二月以来、もう八カ月もたっておりますから、この対策本部がどういう仕事をしてきたか。たとえば、何回会合した、あるいはどういう施策を立てて、それを関係省に、担当しておる部面において実施した、こういうものがどうだったかということの実績を伺いたいのです。これは総理府総務長官にお伺いした方がいいかと思いますが、お伺いいたします。
  8. 小平久雄

    説明員小平久雄君) お答え申し上げます。御承知のように、昨年の十二月の閣議決定によりまして、総理府交通対策本部設置されたわけでございます。それ以前におきましては、交通事故防止対策本部というものがございましたが、昨年末以来の交通混雑等が非常に激しくあった、また、ただいま御指摘のように、議会方面におきまする御決議等もございますために、昨年十二月に交通対策本部として発足をいたしたわけでございます。この組織は、総理府総務長官本部長といたしまして、各省の次官がその委員と相なり、さらに関係課長等幹事をやる、こういうことで発足をいたしたのでございます。  自来、この対策本部活動状況でございますが、幹事会を開きますことが六回、本部会議を開きますことが三回、関係省庁間の打ち合わせ会を開きますことが四回でございます。しこうして、活動を実際の状況に適合させますために、交通調整部会道路部会交通安全部会、これらの三部会を設けましてただいま申します通り数次の会合を開いたわけでございます。なお、その間に検討いたしました事項といたしましては、木対策本部の運営の基本方針決定、さらに通勤、通学輸送対策あるいはダンプカー砂利トラック対策踏切事故防止対策車両制限令案都道府県交通対策協議会設置、これらのことを検討し、また決定をいたして参ったわけでございます。具体的に申しますならば、ダンプカー及び砂利トラック事故防止対策につきましては、四月二十日の本部のく会議におきまして、ダンプカー砂利トラック事故防止対策なるものを決定をいたしまして逐次実施に現在移しておるわけでございますが、そのおもなる内容といたしましては、安全運行確保対策あるいは砂利採取業砂利販売業経営安定対策砂利採取業砂利販売業労働条件改善対策、さらに建設業及び自動車運送事業事業管理労務管理改善対策、これらにつきまして検討いたし、それぞれの関係方面に連絡あるいは通達を出しまして目下実施中でございます。  第二といたしましては、都道府県等交通対策協議会設置して参ろう、こういうことを決定をいたしました。これが去る八月五日の本部会決定を得たものでございまして、ただいまそれぞれ地方に向かってこれが結成を促進いたしておる段階でございます。この都道府県交通対策協議会につきましては、それぞれの地方長官あるいは国の関係出先機関の長、これらの方々に参加をいたしてもらって組織いたそう、こういう考えでございます。  さらに第三といたしましては、道路交通法との関係におきまして、特に道路車両との関係につきまして車両制限令建設省において改正をされました。これにつきましても本対策本部におきまして検討をいたしたわけでございまして、この改正は去る七月十七日に政令としてすでに制定、公布されておるのでございます。大体従来対策本部がやって参りましたことは以上のような次第であります。
  9. 津島壽一

    津島壽一君 よくわかりました。そこで、この対策本部ですね、検討すべき事項が非常に多く予定されておるのですね。今の当面の問題はいろいろ検討され、また実施に移されたものがあるんですが、一応全部を短期間に一わたりして、その重要なものを先でもいいのですが、対策本部としての対策だけは早く出されたらどうかという私は希望というか、考えを持っているのですが、いずれまたこれは他日その機会があると思いますが、この程度にいたします。  次に、これに関連があるのですが、参議院の道交法の可決に際しての附帯決議の中に、法律制定してこういう総合機関を強力に設けるという附帯決議があったのですが、それが閣議決定対策本部というものがそういうように置かれたというのですが、ちょっとこの委員会というか、院議によってきまった附帯決議ですが、どうもしっかりした機構じゃないように受け取られるのです。ついては法律制定して、こういった中心機構というようなものでも作ってゆくというお考えがあるか、これは大きな方針の問題でございまして、院議というか、それに関連があることで、一応この点を伺いたいのです。
  10. 小平久雄

    説明員小平久雄君) その点につきましては、これまた御指摘通り国会における御決議等もございますので、政府におきましても、現在の単なる閣議決定に基づく対策本部を、法律に基づく交通対策審議会とも称すべきものに移行して参りたい、こういう方針のもとに、ただいま予算概算要求の時期でもございますので、そういう建前で概算要求等もいたしております。しこうして、審議会には当然事務局設置いたしまして、審議会の庶務を行ないますと同時に、各般にわたっておりまする交通対策の総合的な調整、あるいは施策推進、こういうことをぜひやって参りたい、かように考えております。
  11. 津島壽一

    津島壽一君 それから、次の問題に移りますが、これはもう長く言われていることですが、運輸省交通機関に関する監督行政と、それから警察庁というか、公安委員会というか、その交通取り締まり行政というものが、どうも見ていて、重複するか、ちぐはぐになるか、一貫性がない。これは、非常に各方面からも言われておるところですが、そういった問題は、交通対策本部で、あの協議の中ではあまり触れてなかったようですが、これは、たとえば自動車の登録、あるいは車体検査というようなことは、運輸省仕事になっている、陸運局というか、そういう部局がやっているわけです。それから運転者というものの免許は、これは警察行政の中に入っている。車と人間とを一貫して適正にやるのが、われわれ常識からいっても当然なことだと思うのですが、なかなかこれが実現しないのです。そのために、今日の事故防止ということが、非常に重大な問題でありながら、この行政の分かれておるということからも、相当運営上に支障があると、こういうふうに思うのでございます。ついては、その間の調整についてどういうふうに政府はお考えになっておるか。端的に言えば、これはやはり今の段階では、道交法というものが非常に重要な役割をするのでありますから、そこで車体検査をやるということでいいんじゃないかと思うのです。現に、道交法の六十二条か、三条でしたか、自動車検査を受けたあとで故障があるような場合は、この修理を調整することは警察仕事になっている。つまり車体というか、機械のいろいろな調整というものは、初め認可というか、免許を与える時分には、登録する時分には、車体検査もやりましょうが、それは運輸省でやるが、あと動かすようになってくると、交通取り締まり行政で、道交法にもその一条が入ったわけですが——一条のみならず、ずっと二、三条あると思うのですが、どうもそこに行政の摩擦というものがあるのじゃなかろうか。これは、今の段階においては、交通取り締まり行政ということは非常に大きく動かなくちゃ、なかなか現段階では交通事故防止というものはむずかしいというような関係から言えば、これは一ところに権限統合するという、権限統合は不可能なことであるか、これに対する御方針はどうか、一応伺っておきたいと思うのです。
  12. 小平久雄

    説明員小平久雄君) 津島先生の御指摘の問題につきましては、当局としましても、十分配慮いたしておるところでございますが、対策本部といたしましては、先ほども申しました通り、当面する交通の問題をさしあたり処理いたして参りまして、御指摘のような基本的な問題につきましても、当然これは検討を加えていかなければならぬことは万々承知をいたしておりますが、遺憾ながら今日までそこまで手が伸びずにおったわけであります。しかし、先ほど申します通り、近く審議会等も設けたい、かように考えておりますので、そのときにおきましては、十分ただいまのような問題も取り上げまして検討をいたして参りたいと思っております。
  13. 津島壽一

    津島壽一君 了承いたしました。  それからもう一つは、道路環境整備という言葉交通関係では言っているのですが、対策本部では、そういった言葉よりも、何というか、道路容量拡大対策というような言葉でやって、要するに、道が狭い、しかも、それを十分に利用するということが必要であるという意味だろうと思うのです。そこで、これも前々言われておるが、われわれ道を通ってみて、道路工事が一体何のためにやられておるのか、またそれがいつできるのか、今済んだと思ったらまた掘り返す、これはしょっちゅう目に触れることですが、かたい言葉で言えば、工事計画化とか、あるいは合理化とか、迅速化という問題ですね。これについて、今の対策本部、また関係省、これは建設省中心仕事かもわかりませんが、どういうような施策考えておられるか、現状を改善せられようとしているか、こういう点について伺いたいと思うのです。今後、国の予算等を見ますと、地方予算等を見ますと、道路の拡張とか、改修とか、その他経済の発展によって、ガスの敷設であるとか、電信柱の立てかえであるとかいう路面を使う工事というものが、予算関係を見ると非常に多くなるわけですね。それに自動車も増しておる。それをどうするかという問題は、結局早く各種の工事が連携をとって、重複しないように、一定の期間にこれをやり上げるという計画がなければいかぬだろうと思うのです。これは前々そういうことを言われておるけれども、まあ最善を尽くされておるとは思うのですけれども、こういった点について具体的にどういう措置を講ぜられておるかということをお伺いしたいのです。
  14. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) ただいまお尋ねの道路に関する工事が最近特に多くなりまして、その総合性計画性を必要とするということは、御指摘通りでございまして、われわれの方でもかねてからその調整努力しております。ことに大都市におきましては、道路の舗装の修繕とかいう道路工事以外に、あるいは電気とか、ガス、電信その他いわゆる公益事業につきましての専用工事というものが相当多うございまして、これが最近ビルの建築その他が相当活発に行なわれておりますので相当増加しております。これらの工事調整いたしまして、できる限り交通に対する障害を少なくする、あるいは近所の方々に御迷惑をかけないようにするということは、当然講ずべき点であります。これにつきまして、実は昭和三十三年でしたか、次官会議で問題になりまして、これに対するいわゆる掘り返しの規制という見地から要綱が作られております。それに基づきまして、現在各都道府県調整協議会というものを設けております。この協議会におきましては、道路管理者あるいは警察、そういう関係の方々のみならず一道路工事を担当されるところの公益事業者の代表者の方々、その他関係の方々に御参集願いまして、一般的な方針のみならず、具体的に一定の個所に工事をするにつきましての計画を持ち寄りまして調整いたしております。たとえば東京につきまして申し上げますと、年度当初に年間における工事をすべき計画を持ち寄りまして、それを一定の図面の上に落としまして、その時期なり、あるいは工事の方法その他を調整しております。ただ、その工事が相当数多くなりますので、東京都におきましてはすでに千数百回も調整をいたしておりますけれども、それ以上にも増して工事がどんどんと最近の経済の進展につれまして多くなっておりますので、残念ながら十分とは申せません。しかし、その趣旨に沿いまして、なるべくこの工事によるところの弊害が少なくなるようにと思って努力いたしておるところでございます。今後もその趣旨によりまして工事調整をはかり、道路を改善すると同時に、これに伴うところの御迷惑も少なくしようと思って、努力を続けておるところでございます。
  15. 津島壽一

    津島壽一君 それに小さいことで関連するのですが、電柱を地下に移すということ、これは諸外国ではほとんど電柱は道に出ていないのです。しかし、道路の容量を拡大する上においても非常に必要だと思うのですが、最近りっぱな電柱というか、これは電々公社のものであるかどうかもよく調べておりませんが、従来の電柱を今度新しくするには、もっと外に出して、道を狭くしておるという実例を見ておるのです。そういうところがあるということは、私もよく見て知っておるのですが、これなんかも、地下にすべきものを、さらに道を狭くするように新しいものを作っていくということは、どうかと思うのですが、これははなはだそまつなことですけれども、よく実情をお調べ願いたい。ここでお答えを要求するわけじゃありません。  もう一つ、希望ですが、一般国民は、全国でしょうが、何のために道がこう掘り返されて長くやっておるか、これは地下鉄工事か、あるいはガス管工事かはっきりしないので、いつまでもいつまでもああいう状態に置いておくということは、非常に焦慮の気分を起こし、また、国民の精神をそぐような感じがするのです。これはやっておるかもしれません。もしこういうところでやっておるということであったら、これは私の質問はむだなことですが、私は常識として、この工事は何であるか、これはいつまでに完成する予定であるということを、あの掘り返しのところには示してあるのですか。ただ片側通行というような標識でなくて、責任をもってこれは予定期間に完成しますといえば、安んじて、これは文句も言わないで、よくなるだろうという期待を持つのです。そういうことをやっておられるかどうか、それを一つ建設省の方からでもいいのですが、非常につまらぬことですけれどもお伺いしたい。
  16. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) お尋ねの点ごもっともでございます。現在、道路工事をする場合には、工事の責任者及びその道路工事施行の仕事内容、それから工事の開始及び終期、その他工事を施行するにつきましての条件を立てます。そういう条件なども看板に書かせまして、一般の人に周知すると同時に、施工業者自身もその条件に従っていくような自覚と責任を持つように指導いたしております。
  17. 津島壽一

    津島壽一君 現に、そういう標識、立札でも、みんな期間なんかも出ておりますか。それならけっこうですけれども、私はちょっと目に触れなかったものですから、あればけっこうなんですが、それを確実に実行するということなら、非常に、私は都民というか、通行者は安心するのじゃないかと思うのですが、やっておれば非常にけっこうなことだと思います。  そこで、全体を通じて道路交通というものが非常に複雑になり、また、重大化しておるのであるが、仕事は各省がばらばらというか、重複しておるか、あるのです。そこで、こういう対策本部でいろいろ御検討になるということも当然のことでありまするが、一体、そういった施策が実際に十分行なわれておるかどうかということをどこかで査察する中央の機関があっていいんじゃないか。これは大都会だけに関してやってもいいのですが、要すれば、道路交通の査察制度というか、管理制度というか、現に行政管理庁は組織の関係とか、その他のことについて、いろいろ権限を持って、特別の管理をされているのですが、その第二条の十一項でしたかに、各官庁の業務について、その実施について監察する、各省に行ってやっているのです。各省においては、自分においては自己査察というか、管理をやっているのは当然でしょうが、高い見地から公正にこれを見て歩いて、そうして堂々たる報告国会にでも出すということになれば、これは法的にきまったものの、その実施面はどうだということがはっきり出てきて、改善を促進すると思うのですが、結論的にいえば、道路交通について、こんなに複雑な仕事をどこかで査察する、管理しているということが必要だと思いますが、一体そういうことをお考えになるでしょうか、ちょっとお伺いしたいのです。政府全体として。
  18. 小平久雄

    説明員小平久雄君) 御指摘の点、まことにごもっともでございます。ただいまの機構といたしましては、やはり行政管理庁にやっていただくということになろうかと思いますので、さっそく行政管理庁の方にも連絡をとりまして、それぞれの役所でやっている仕事が、はたして中央の考えているように行き届いているかどうか、十分一つ検討していただくことにいたしたいと存じます。
  19. 津島壽一

    津島壽一君 もう一つ、各省にまたがる問題を最後にお伺いしたいのですが、車両というか、車体というか、それに対する制限があるのです。最近車両制限令というものがいよいよ九月一日から実施されるという書類をいただいたのですが、車体車両、この言葉は非常にむずかしいので、両方だと思って御了解いただきたいのですが、この車両制限令、あるものは九月一日から実施、あの車両制限というのは、道路法の関係でできたものであるのです。ところが、一方運輸省では、バスの路線、あるいは輸送、運送についての認可をするにあたって、一定の規格で、また基準によって、車体はこの道には、このルートにはこれだけのものをやるということで、また、それを制限する権能を持っているわけですね。そこで、一体車体車両の制限というのは、どこに所管があるのかという問題があると思うのです。今度の車両制限令を見ても、これで車両制限はきまったかと思うと、一方の運輸省では、バス路線その他運送業の認可にあたっては別の基準を作って、これによってやろうということになっているのです。そのことは、これは両方の権限が別なんだから、おのおのの範囲においてやるのだといえばそうですけれども、一体車体の制限とかなんとかいうものは、主管の省というか、どこと考えていいんでしょうか。その点をちょっとお伺いしたい、非常に理屈めいた質問ですけれども
  20. 木村睦男

    説明員木村睦男君) ただいまの津島先生のお話でございますが、車両の制限につきまして、運輸省が所管しております範囲内のことを中心にいたしまして申し上げたいと思いますが、運輸省で所管しております車両の制限と申しますか、車体の制限と申しますか、これは、一応道路ということをまず離れまして、車として、その内部機構あるいは大きさ、その他保安の面から一定の基準を設けているわけであります。その基準に合わない車は、原則として使用してはいけないというのが、道路運送車両法という法律に基づいた基準によってきめられているわけでございます。そこで、その基準に合う車を使ってバス業者なり、あるいはトラック業者なりが道路を走りますときに、これが事業者として新しく事業を始めたいというときには、その路線等につきまして、こういう道路においては、事業者がこういう車を使用しようとしているけれども、それでいいのかどうかということにつきましては、道路管理者につきまして、そうして具体的にこの道路においてはこの車でなくちゃいかぬという意見をいれまして、それを認めるかどうかということをきめているわけでございます。また、最近できました車両制限令は、これは道路との関連におきまして、建設省で主管されておりますが、道路の幅がこのところには、車はこういうところしか通れないというようなことになっております。対道路関係においての車両の制限令になっております。私どもの方では、車両それ自体の保安の見地その他につきまして、指導を行なっているということでございます。
  21. 津島壽一

    津島壽一君 ちょっと聞きたいのですが、時間がございませんので、その程度で、またあらためてお伺いする機会を作りたいと思います。ただ、今の陸運局関係の点ですが、そういったようなバス路線、また、それに運行するに適当な車両の大きさとかなんとかというものをきめて、これを営業を認可した後にこれを変更したり、また大きさを改訂するというか、もっと大きいものでもいいというような変更、それは警察との関係は一体どうなっているのでしょうか。実際取り締まるのは警察なんですね。初め認可の場合にはよく協議するということがあって、その後は協議はしないのだというようなことをこの委員会でも、昨年の道交法の際に質問があったのですね。それで公安委員長、国務大臣は、そういうことがないのはどうも不都合だから、やるようにしましょうというような答弁を速記録で見たのですが、今どうなっているのでしょうか。運送を認可した場合に、あとで変更する場合があるのでしょう。
  22. 木村睦男

    説明員木村睦男君) 現状を申し上げますと、御指摘通り免許、許可をしたあとにおきまして、車両の変更等の必要が起こってくる場合があるのであります。これはほかの原因もありますが、この際問題を道路に限定いたしますというと、道路の大きさとか、あるいは混雑等の結果、今までこういう大きい車を使っていたが、小さい車にしたいということを事業者みずからが発意いたしまして変更したいというときには、これは陸運局の方でやっております。それから、常に道路交通取り締まりをやっておられます警察関係の方で、この道路については従来こういうバスが走っているけれども、どうも大き過ぎていかぬ、何とか小さくすることができないか、こういう要請がありますれば、私の方はそれを受けまして、そういうふうに業者を指導いたしております。業者がどうしてもきかないときには、命令で直させることもできます。また陸運局の方も、常に事業者の運行の実態を見ておりますので、こういうふうな車を通すことを最初は認めたけれども、その後の事情の変化で、変えた方がよろしい、こう考えますときには、第一次的には行政指導によって変えさせることができます。そしてそれに必要な手続をとらしておりますが、やはりきかないときには命令で変えさせるというふうな手を用いてやれるようになっておりますし、またやっております。
  23. 津島壽一

    津島壽一君 ちょっと質問と答弁が食い違っております。私の言うのは、途中で変更する場合には、警察行政との協議なり話し合いなりをやっておるか、こういうことなんです。ただ命令とか、車両の場合は向こうの業者から言ってきた場合にはよかろうとか、そういう手続じゃないのです。政府部内の協議はどうしているか。これは前の委員会の速記録を見ますと、同僚委員からそういう質問があって、公安委員長は、どうもそういう協議はないので、何とかしなければならぬと思いますと言ったが、それを実現したかという、その点、だけでいいのです。業者が申し出たとかなんとかというようなことを聞いておるわけじゃないのです。どうですか。
  24. 木村睦男

    説明員木村睦男君) 途中で変更いたします場合には、公安委員会とも連絡をとるように申し合わせておりますし、それから道路の面でありますので、道路管理者につきましても、たとえば車の大きさでありますとか、あるいは重量の増加の必要を認めざるを得ないという場合においては、道路管理者の意見を聴取してやる、これが実態であります。
  25. 津島壽一

    津島壽一君 協議している、こういうわけですね。
  26. 木村睦男

    説明員木村睦男君) 協議という言葉の意味でございますが、申し合わせをしておりまして、その都度実際上の連絡をとっております。
  27. 津島壽一

    津島壽一君 この程度にいたします。そこで、これは多少道路交通と離れるかもしれませんが、私は重大問題だと思うから質問をしたいと思いますが、今日の大都会を見ますと、非常に往年と違った騒音ですね、わあっといったごう然たる音が、これは社会生活において非常な不安を与える。安眠もできぬというような、それがだんだんひどくなる傾向にある。これは自動車に関する限りは、道交法にも規定がありまして、警音器の使用を制限しておる。現にそれはそういった規定のない時代から自主的にやった部面もありますが、これは自動車の警音器の問題、たとえば航空機が夜間を問わずずいぶん飛ぶ。またラジオの騒音ということも、これは世上問題になっているわけです。ラウド・スピーカーであるとか、ことに最近バス、トラック等でいわゆるディーゼル・エンジンの排気ガス、これが相当多くなってきている。これはもう二、三日前のジャパン・タイムスにも論説に書いたぐらいに問題が、これはもう非常に非衛生的で、都会生活には非常にむずかしい問題を与えているということを論説にまで書いている。そこで、こういうものを通じて、音とそれから空気を正常化すということは、政府としてどこがほんとうの所管であるか。これはあるものはこっちでやる、あるものはこっちでやるということであるか。これはだんだん激しくなって、せっかくの国の政策というものが非常に不安なものをもたらすという情勢にあると思う。排気ガスについては、これは余談ですが、上へ出ればいい。諸外国では上に出るようになっている。それだけやっても違う。横へ出る、あたりへ出る、ちょうど人間のレベルに出る。この間アベベのマラソンの例のごときは最も適切な事例をみんなに見せたと思うのです。あれが上に出れば——チムニーというのですか——いいのですね。そういうもの、これはいろいろな問題に関連がある。その騒音ということについての問題を一体どこで取り扱われているか。警視庁というか、警察行政の方においては、道交法において警音器というものを押えるという規定ができているのですが、これはいいことだと思うのです。一体どこで政府はこれを考えるか。おのおの、これは厚生省であり、飛行機は運輸省だとか、ばらばらにしてやっていくのか、これを一つ、やはりこれは長官からお答え願いたいと思います。
  28. 小平久雄

    説明員小平久雄君) ガス並びに騒音の問題につきましては、環境衛生の関係からいたしまして、全般的には厚生省の管轄に入ることになります。ただし、それぞれの法規に基づいて、あるいは運輸省、あるいは警察が直接やるということもありましょうし、また地方の条例によりまして、地方によってまた取り締まりをしておる、現在のところはさように行なわれているわけでございます。
  29. 津島壽一

    津島壽一君 これはまた他の機会に多少質問する機会があるかもしれませんので、この程度にいたします。  そこで最後に、交通警察行政だけのことを質問したい。この附帯決議に関した実施要綱という書類をいただいたのですが、これにも出ておりますように、三十六年度までの警察行政の拡充その他についての実際のやったことが出ております。私の聞きたいのは、これは三十四年度から三年計画で警官の増員とかその他の計画を実行したということが書いてあるわけですが、施設についてはもっと長く……。来年度の予算で、この面についてどういうことをお考えになっているか。すでに概算要求されたと思うので、これは交通警察行政を拡充強化すべきであるということは、これは参議院の附帯決議にもはっきり要望されているわけでございまして、たとえば三十六年度に問題になった警察庁交通局というものが、これが認められなかった。また交通警察官の任用も予算査定の過程において相当の削減を見ておるというようなこともあるのですから、来年度の予算概算要求においては、これらの計画は今のうちに、早く一つわれわれ知っておきたいわけであります。あまり時期が迫って、そういう余裕のないときよりも今が適当の時期じゃないかと思うので、あるいはあまりこまかいことはここで答弁する時期ではないかとも思いますけれども、大体の骨格ですね、それを一つお聞かせ願いたい。それと同時に、中央のみならず都道府県警察本部交通関係機構というものを強化拡充することは当然だろうと思うのです。これについてはどういうような計画をもって、中央から何というか、指導というか、助成していくかという問題もあるかと思うのです。そういった意味において、一つ来年度以降の計画ですね、拡充計画、それについてでき得る程度においてこの機会に一つ答弁としてお話し願いたい、こう思う次第です。
  30. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) お答えいたします。主として交通警察機構あるいは人員の増強についての来年度予算のまあ要求構想というようなことについてのお尋ねかと思いますが、ただいま津島先生からもお話がありましたように、ぜひ中央に交通局を設置いたしたいというので、昨年、これを要求いたしたわけでありますけれども、いろいろの関係から実現の寸前でこれは実現を見なかったわけであります。で、交通局の設置ということは、すでに先生方も御案内の通り、最近の交通警察が非常にむずかしくなりまして、事務分量も非常にふえておりますので、たとえば交通違反の件数、あるいは検挙したり警告したりというのが年に千七百二十万件もあるというような状態でありまして、こういうふうな違反状態に対しての取り締まり、あるいは交通渋滞の問題というような問題がありますし、運転免許の問題、その他交通規制万般の問題がありまして、非常に中央でも国家的に考えなければならぬ問題がたくさんありますので、ぜひ交通局を来年度は設置する方向に実現して参りたい、こういうことを熱望いたしておるわけであります。それは局長以下約二十五名くらいの陣容で、非常に何と言いますか、一応、実際必要なぎりぎりの最小限度の要求でありますけれども、新たに二十五名の人員を局長以下要求いたしておるわけであります。で、その局長以下、現在交通課二課がありますが、それに一課を加えまして交通規制関係を本腰になってやるというような態勢から交通規制課というようなものを考えまして三課にしまして、交通局長以下交通警察全般の問題について、四六時中、それに精魂を打ち込むと、こういうふうな態勢をぜひ実現して参りたいと思うのであります。  それから交通警察官の増強の問題でありますが、この問題はただいま津島先生からお話がありましたように、すでに三十六年度までの間、すなわち、ことしまでの間に警察官一万人増員ということを実現しまして、その中で交通警察官が四千人であります。非常に大きな部門を占めておるわけでありまして、この四千人の交通警察官の増強ということは一応目鼻がついたわけでありまするが、さて来年度の増員という問題になりますと、実は先ほど鈴木先生からの秋田山形方面を御視察になったときの地方の切実な声にもありますように、まだまだ交通警察官は非常に足りないというような実情でありまするので、実は来年度も警察官の増員要求をいたしたいのはやまやまでありますけれども、一応三カ年計画の一万人増員が実現したいきさつもありますし、また今後は警察の装備あるいは科学化というような点に重点を置くというような関係もありまして、交通警察の面においても装備の充実、交通警察機械化の充実というところに重点を指向しまして、不如意でありますけれども交通警察官の来年度の増員要求はその辺ではいたさない予定になっております。  それなら足りないところはどうしてやるかという問題でありますので、これは外勤警察官に一般の教養を十分に徹底いたしまして、交通警察の面からその方面の向上をはかっていく、その増強をはかっていくということをいたしたいと思います。  それから地方都道府県警察本部交通関係機構の拡充の問題でありまするが、これはもう数年前から私たち警察庁におきましては、全国の本部長会議あるいは全国の公安委員会連合会などで、交通を専管する交通部やあるいは交通を専管する交通課というような独立の部課を至急整備して、その面から十分に交通警察を第一線で強化して参りたいということを訴えて参っております。その方針は今日あるいは今日以後においても持続いたすつもりでありますけれども、最近、ここ一両年、非常に独立の部課がふえまして、全国概略から申しますと七割ぐらい独立の課ができた、あるいは部ができたという状態でありまして、ここ一両年の間には全国至るところに、各県に、交通課の独立が実現するのではないかというふうに思います。
  31. 津島壽一

    津島壽一君 今のでわかりましたが、交通警察官の増員は来年度は計画していないと、こういうことですから、それも一つのやり方だろうと思います。そこで、お答えの中にちょっと触れたと思いますが、この一般警察官に対しても一つ訓練をして、弾力性を持たして運営すればいいだろう、右に関する限りは……。私はそれは非常にけっこうだと思います。これをほんとうに組織的にやっていただきたいと思うのです。一般の警察官というのは数は多いでしょう、各署を見ましても。これから交通取り締まりの規則また実際の運営が非常にむずかしくなって、一方交通あり、左折、右折禁止とか、いろいろ駐車の規定も非常に複雑になっている。だから、そういった意味において、署内においてこれを動員して助けるためには、人員の増加というものにかえてどうやるかということは、これは専門的の事項ですから、私は何も申し上げるわけじゃないのですが、なるべく全体をあげていつでも動員態勢をとる。動員しただけではだめであって、これが全部ちゃんと交通をリードしていくだけの素養と運営の技術を持っていなければならぬ。これに関して、私は昨年の道交法の初めて実施になった時分の状態を町を歩いて見たのです。これはその当初であるから非常に馬力をかけて、ほかの警官も動員して、警備というか取り締まりに当たったでしょう。その警官自体が十分のみ込んでいないから、一そう交通を混雑して、手信号もできないし、横から来た者を先に通せというと、非常な混雑を起こすということを見たのです。  でありますから、よほど専門的に知識が必要になった今日の交通取締規則は、私は一般の警察官の教養の上において、できる限り何かの具体的な措置を講じて動員態勢を作れば、必ずしも人数そのものを増加するということなしに運営はうまくいくのじゃないかという気持がするのです。そういう意味において御研究をお願いしたいという希望を申し述べておきます。  それから、いろいろありますが、最後に国民の交通道徳の高揚ということは、この委員会なり本会議の決議された中にあったようですが、ここにはこの実施状況というふうな中には、文部省へ警察庁の方からやってくれという書面を出しておると、こういうことですから、もうすでに具体化しているのじゃないかと思いますが、たとえば教科書の中へ交通道徳の高揚というか、交通のいろんな規則の概要とかいったようなものをある程度盛り込むということは、これはもう子供のときに焼きついたものはおとなになっても非常なこれは助けになり、また交通の安全ということに寄与することができると思うのです。そこで、教科書に端的にこういうことを入れるということが文部省に考えられておるか。これは警察庁の方から文書でいっておるという話ですが、私の承知しているところでは、今学習指導要綱とかいうのがあって、きわめて簡単に社会科の中でちょっと指導するようにということで、教科書自体じゃないように承っておるのですね。その他中学については、また体育との関係において何か指導要綱があるように聞いておりますが、この点について文部省の方に実際具体的にこの教科書の中へ今度は入れるんだと、それで案を作っているということであるか、いや、まだ検討の事態だというようなことであるか、そのお答えをお願いしたいと思います。
  32. 上野芳太郎

    説明員上野芳太郎君) 文部省は最近のわが国内外の情勢に即応いたしまして教育内容を改善いたしたのでありますが、本年度から小学校の教育内容が全面的に改正になりまして、明年度から中学校が全面的に変わることになっているわけでございます。その小学校の教育内容の改訂の仕方も中学と同様でございますが、学校における教育活動の基準を国が定めているのでございますが、その中で学校の教育活動を四つの領域に分けてございます。その第一は、従来ありました各教科である国語とか算数のような教科でございます。それから二番目は、道徳でございます。それから三番目が、学校において行ないます特別教育活動。四番目が学校行事等。この四つの領域で学校教育というものを編成することになっているわけでございます。その中で交通安全の問題は、非常に重要な指導内容でございますので、教科の方では社会科で、小学校一年生から、学校の行き帰りとか、あるいは道と乗り物とか、あるいはおまわりさんの仕事とか、そういうような身近な交通関係する事項について理解させることから出発をいたしまして、あるいはなお社会科の上学年に至るまで交通に関する指導内容を規定いたしておるわけでございますし、それから体育におきましては、六年生において交通事故防止その他についての危害防止の問題について詳細に定め、あるいは文部省の発行いたします指導書においてその具体的なやり方について指導いたしているわけでございます。  それからさらに道徳におきましては、道徳の指導内容の第一に、生命を尊び、健康を増進し、安全の保持に努める、これが道徳の指導の目標の中の第一でございます。それを掲げてございますし、さらに規則を守ること、あるいは公徳心を養うというような目標を掲げられてございまして、道徳指導におきましても一年生から六年生まで、あるいは中学校もそれに続きまして、発達段階に即しながら、交通安全に関する指導内容を各学校でも取り上げて指導するようになったわけでございます。  それからさらに交通安全の問題につきましては、ただ理解するとか、あるいはそういう精神を学びとるというだけではなしに、これが子供たちの行動として、習慣として形成されることが非常に大切なわけでございます。そういう面から、今の学校におきましては、小学校から特別教育活動という子供たちの自主的な活動領域があるわけでございます。そこにはいろいろな部なり委員会活動がございまして、その中に、都会の学校であれば、登下校の際に下級生の世話をしたりするような交通に関する部なり委員会を置いているものが多くございますし、あるいはそのような啓蒙的な活動もいたしているわけでございますが、この学校行半の中で、交通安全週間等におきましては、都会地——僻地以外の学校はほとんど交通安全に関する行事を行ないまして、これについては警察当局の非常な御協力をいただいているわけでございますが、そういう行事を学校で行なう。このように、教科の指導から道徳なり、あるいは自分たちの自主的な滑動あるいは学校で行なうそういう行事、こういうものを一貫いたしまして、交通安全に関するいろいろなしつけなり、あるいは公衆道徳というものが身につくような総合的な指導計画を立てまして、ことしからその実施に入っているわけでございますので、従来とはその内容において非常に強化されるものと私ども考えておりますし、その指導については今後も努力いたしたいと考えております。
  33. 津島壽一

    津島壽一君 私、まだありますけれども、他の方の質問もあると思いますので、この程度にして、また他の機会にもっとやりたいと思いますので、私の質問はこれで打ち切ります。
  34. 加瀬完

    ○加瀬完君 関連して。この前やはり局長がいらっしゃいますときに私伺ったのですけれども交通取り締まりが非常に厳格になりましたけれども、文通事故の起こる原因といいますか、条件といいますか、こういうものを徹底的に取り締まるという点については、まだ非常に欠けておると思う。この前の例にも出しました通り、たとえば旧浜街道といいますか、国道ですね、この両側には運転手目当ての飲食店が相当ある。しかも、この両側に車がとまって、短くても二十分くらい、長いと一時間くらい動かない。ですから、国道の幅は二分の一程度に縮小される結果になるのですね。しかし、これを白バイなり、あるいは交通の係なりが取り締まっているのをわれわれは何回通っても一度も見たことがない。依然として、そのまま車は放置されて、三十分なり一時間なり置かれている。それが出ると、また次の車が来るから、そういう飲食店のある周囲というものは、いつも幅員が縮小されているという結果になる。ここで事故が起こっている。こういう点がさっぱり取り締まりが行なわれていない。少なくとも、無制限な駐車というものは取り締まりの対象になるはずですけれども、あまりそれが取り締まりの対象にならない。これは一体どうしたことか、これが一点。  二点は、どうも取締官の中に、感情的な取り締まりの面がある。私は目撃したのでありますけれども、警視庁の白バイでありますが、一人の運転手をスピード違反でつかまえまして、運転手がいろいろ抗議をしております。そうすると自家用車でありまして、その乗っておった持ち主がおりまして、平身低頭あやまりまして、人だかりがありましたので、私も偶然居合わせましたので見ておりましたが、そうするとその警察官が、あなたのように初めからあやまれば問題にしないですむけれども、この運転手が強情だからこれは書類を送る、免許証をよこせ、そういう取り締まりはおかしい。免許証を見て、お前はたびたび違反があるのじゃないか。こういう違反があって、きょうも違反したからけしからぬ、こういう理屈ならわかるけれども、態度が悪いから書類を送る。態度がよければ大目に見る。こういう取り締まりがあってよろしいかどうか。しかも警視庁です。一番熟練であるはずの警視庁の白バイでもこういう態度です。一体これはどうしたことか。それが二点。  第三点は、刑事罰と行政罰の関係といいますか、均衡をどう指導しておいでになるか。具体的に申しますと、刑事罰ではまだ問題にも触れておらないのに、十日間なり二十日間なりという営業停止を行政罰でやる。この基準というのは非常に私はあいまい、だと思う。たとえば千葉県の運転手が神奈川県へ行って、初めての運転ですから前に五十キロの標識が出ておりましたから五十キロだと思って走ったら偶然そこは四十キロで、お前は十キロ、オーバーしているからというので処罰の対象にされる。千葉県の公安委員会に送られる。十日間なら十日間という何らの事情説明をも聞かず行政罰がなされる。しかしながら、刑事罰の方はまだ行政罰が出ても何も出ておらない。こういうような事例もあります。これは取り締まるのはけっこうでありますけれども、重犯者と初犯者、あるいは善意の過失と、もう初めから法規を無考えに犯そうとしておりますやり方とは、若干考慮の余地が行政指導の面からもあっていいのじゃないか。こういう点が各県によりましてまちまちですし、一つ本部長のもとでも各警察署によりまして非常にまちまちな点がありますので、これらをどう指導なさっておられるか。以上三点を伺いたい。
  35. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) 第一点の問題でありますが、交通事故が起こります背景、原因になるものはいろいろありまして、その原因についての追求といいますか、取り締まりといいますか、こういう問題を警察が見のがしているわけでありませんで、たとえば新道交法を作りました場合にも、長距離トラックとか、あるいは無免許運転、この運転をさせる雇用者側の責任がずいぶんありますので、新道交法にそれを入れまして、雇用者の責任を追及する、こういう法的改正をいたしたわけであります。それに基づいて現実に運転者だけでなしに、その背景なり原因になっている雇用者側の捜査もやっております。ただ、御指摘の旧浜街道に運転手が飲食盾なりその他の休憩のために駐車をしているということについての問題でありますが、確かにこれは加瀬先生からこの前か前の会にお聞きいたしまして、これはまあ実際道路の環境、状況によっても違いますけれども、もしこれが他の交通の妨害になる、あるいは交通に非常に危険を生じさせるおそれがあるというような駐車であれば、これは違法駐車でありますので、当然取り締まらなければならぬと思います。ただ、相当広い場所で道路が相当幅員が大きい、そういう場合には、必ずしもそういうふうにならぬ場合もあると思います。おそらく御指摘の場所は、幅員も必ずしも相当広くない、こういうような場所で現実に妨害になったり危険を生じさせると、こういうような駐車があるのではないかと思います。これについては、違法駐車の取り締まりということは絶えず第一線に指示いたしておりますけれども、具体的な個所については、まことに申しわけありませんけれども、指示いたしておりません。これはまた十分に実態を調査いたしたいと思います。  それから警察官の感情的な取り締まりの問題でありますが、これはただいま御指摘のケースは、もしそういうことが事実であるとすると、まことに遺憾なことでありまして、やはり冷静に公平に、できればむしろある程度ゆとりと余裕を持って相手に感情を害するどころか、自分が悪かったというふうな気持を起こさせるくらいの上手な取り締まりをやるべきだ、こういうような点については感情をもって取り締まりの、こちらの態度なりやり方をもってすることはまことにけしからぬと思います。そういうことのないように絶えず指導はいたしておりますし、ことに交通取り締まりの対象は一般の刑事犯罪と違いまして、むしろ良民の方が多い、そういう運転者なり、運転する人の一般の対象の性質からいっても十分にそれを取り扱う場合の態度というものについては絶えず指導いたしております。しかし、これについては大ぜいの警察官でありますから、あるいは御指摘のような事例もあろうかと思いますが、そういうことについては遺憾でありますので、是正する方向に努力して参りたいと思います。  それから刑事罰と行政罰の関係の問題でありますが、これはもうすでに御承知通り刑事罰は司法処分であって、反社会的な行為をすることに対して制裁を加える。それから行政処分は、あぶない運転をしたという者に対してそれを一時的に排除する、あるいは永久に排除する、あるいは罰金を課するというような観点からくる行政処分はおのずから目的が違いますけれども、悪質な運転事故の、違反というものは刑事罰もおのずから重くなりますし、行政処分も重くなる。そうでないものは両方とも軽くなるのは当然であります。これについて刑事罰と並行して必ず時間的にも内容的にもやらなきゃならぬという指導はいたしておりますけれども、新道交法ができる以前には、どちらかというと各都道府県公安委員会が独自に行政処分の基準をいろいろ作っております。それでは今御指摘のようにばらばであるという点もなきにしもあらずでありますので、新道交法を作ります際に、法の中あるいは施行令の中に行政処分の基準を定めるべき根拠を作りまして、その行政処分の基準を政令の中に入れたわけであります。だんだんこのでこぼこは是正されつつあると私は思います。この点についてはできるだけ努力して参りたい。また刑事罰と行政罰の関係におきまして、たとえば違反をしたという者についても免許を停止をすると、停止を受けましても、一カ月の停止を受けましても、本人の申し出があって講習を受ければ、その講習の内容によって、成績によって免許停止の期間を短縮する、こういう制度を作りまして、できるだけ妥当な処置をいたしたいという制度になっておるわけでございます。
  36. 加瀬完

    ○加瀬完君 たとえば検察庁に具体的にもう書類が送られて過料ですか、罰金ですか、そういう一応の決定が出ても、過料なり罰金なりでは実際あまりこたえない。ですから、営業停止をさせなければだめだという前提で行政罰を行なっているというように解される向きがあるので、それは違反行為を行なった者ですから、当然処罰をされるのは仕方のないことですけれども、しかし、その中にも悪意もあれば善意もあるし、情状酌量の余地のあるものもあれば、全然もう情状酌量の余地のないものもあって千差万別だと思うのですよ。それを十ぱ一からげに、一番やつらの痛いのはとにかく営業停止を食らわせれば一番きくのだから、罰金などではだめだということでやっては、これは良民に対する態度というにしてはちょっとおかしいと思う。まあ具体的に言うならば、砂利トラならば砂利トラ、これは非常に違反件数が多い。しかし、中には違反を起こすまいとしてまじめにやっている業者だっている。それももう違反の常習者と同じように十ぱ一からげに取り締まるということでは、これはちょっと警察行政態度としては私はふに落ちない。こういう点、どのような指導をなさっておられるか、私は幾つも具体的な例を持っておりますので、どうも一般良民の営業までも圧迫するような節がないでもない。それはむずかしい問題ですけれども、先ほど津島先生もおっしゃいましたけれども警察官の教養なり、人柄なりの問題にもなりましょうけれども、あいつらが悪いんだからあいつらを徹底的に取り締まってやれ。まるで刑事犯の容疑者でも追っかけるようなつもりでやってはちょっと行き過ぎではないかと思われる節がある。たとえば初めての人が、道路の中央の線からちょっと右へ寄った。それをつかまえてけしからぬと言って、営業停止十日というような行政罰を下しておる県がある。そんなばかな話はないと思うのです。さっき局長のおっしゃられるように、そんなら一応再教育の期間を二日なり、三日なり呼び出してやらせて、それで成績良好ならば一回目は情状酌量で営業停止はやらない。このぐらいの猶予があってもいいんじゃないか。軽いのも取り締まれば重いのが幾らかおそろしがるだろうというやり方は、これは少し現代的じゃないと思いますが、この点は御指導には抜かりがないと思いますが、いかがでしょう。
  37. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) 行政処分をいたします場合に、やはり当然これは情状酌量というのは重要な要素でございまして、その運転者の違反、あるいは事故を起こした場合のその原因なり、あるいはいろんな実情を十分に勘案して、情状の非常にしんしゃくすべきものがある場合には当然軽くなり、情状の重いものは重くなるというのは当然で、情状酌量を全然しないということは警察方針としては原則としてはないわけでございます。ただ、あるいは間々大ぜいの取り締まりのさなかにあって、そういう例がないということも私は断言する勇気はありませんので、これは十分に指導して参りたいと思います。
  38. 鈴木壽

    鈴木壽君 最初に道交法関係で、今の加瀬さんの取り上げられました行政処分の問題に関連することでありますが、いろいろ行き過ぎとか、適当でないというように思われるようなことが従来しばしばあることなんでありますが、こういう点から私どもは昨年の道交法が通る際に附帯決議として上げた中に、交通に関する行政処分等についての苦情処理機関の設置につき検討を加えること、こういう一つの項目を掲げまして、今の質問の趣旨と多少あるいは違うかもしれませんけれども、そういう一つの苦情処理機関の設置というものをわれわれは必要と思われるが、政府においても十分検討してほしい、こういうことで附帯決議の中に入れたわけなんでありますが、この点についてどのような検討をなさり、現在どういう結論になっているのか。これは木村さんの方から。それからもし対策本部でこういう問題を取り上げておるとすれば、そのいろいろな話し合いなり、審議の経過なり結果なりについて御説明いただきたいと思います。
  39. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) この苦情処理機関の設置のことが道交法審議の際に附帯決議でなされておりますることに応じまして、いろいろ検討いたしたのでありますが、とりあえずただいま加瀬先生からもお話がありましたように、行政処分についていろんな問題があると思います。いろんな苦情もあろうかと思いますので、この行政処分に関する一応の苦情処理の相談機関といたしまして、全国の県本部交通課、あるいは各警察署の中に交通相談所といいますか、交通相談部門を作るように指導しまして、ほとんどこれは全国にできておるわけであります。それ以外にこれは行政指導でありますが、説明会や座談会、いろいろな場合に、特に運転者などの方々にお集まりいただいて、法の趣旨を徹底させる、また理解していただく。また、その場合にいろいろな苦情を忌憚なく言ってもらうというような会を移動的にあちこち回りましてやっておるわけであります。ただ制度的に法的な根拠を持って交通違反に関する行政処分などについての苦情処理機関の設置という問題については、いろいろ法務省とも打ち合わせをしておりまして、非常に裁判との関係といいますか、あるいは司法制度との関係もありますので、なかなか結論を、踏み切って出し得るところまでは至っておりませんけれども、研究はいたしております。  それから訴願制度の改善ということが政府部内で行なわれておりまして、この訴願制度の改善を通じまして交通に関する行政処分の問題についてもある程度の苦情処理について窓口を開いていく、こういうことを、これはすでに研究がだいぶ進んでおるような状態であります。
  40. 小平久雄

    説明員小平久雄君) ただいまの苦情処理の問題につきましては、対策本部としては、先ほど申しました通り、当面する問題についてやって参りましたが、そこまでは及んでおらないのでございまするから、今後関係方面とも十分連絡をとりましてやって参りたいと思っております。
  41. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、この問題、何か小っちゃいような感じのすることでありますけれども、実際の問題になってくるときわめて重要なことではないかと思っておりますし、私ども委員会においてもそういう考え方で今こういう附帯決議の中に入れたのでありますが、確かに今、保安局長からお話がありましたように、いろいろややっこしい問題が私はあると思います。思いますけれども、だからといって、単に窓口のそういう相談というようなことだけではたして足りるかどうかという問題も現実にこれは検討されなければならないと思います。ですから、これは一つ対策本部におきましても当面する問題を今いろいろ御相談、御検討なさっておるようでありますが、この問題につきましても、これは現にもう当面しておる問題だと私は思うのですが、毎日の問題なんでございますから、そういうことで一つやっていただきたいと思います。  なお保安局長の方にお聞きいたしますが、交通相談のためのこういう窓口を開放し、あるいは何かの相談室というようなものを設けておるということでありますけれども、これを利用する程度ですね、これについて何かお調べになっておりますか。
  42. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) 相当利用しておりますけれども、現在数字を手元に持っておりませんので、いろいろ調査した上で、またどの程度ということを確認して申し上げたいと思います。
  43. 鈴木壽

    鈴木壽君 利用の度合いなり、あるいはさらにその苦情がどのように処理されたのか、これが一番問題だと思いますが、そういうことも一つこれは今すぐというわけにも参らぬと思いますけれども事情をお調べの上、私どもにも知らしていただきたいと思いますし、さらにそういう結果に基づいて、先ほど私御要望みたいな格好になっておりますけれども、ぜひやはりこういうものをやって行政処分等についての適正な処理が行なわれると、あるいはまた後日しかるべき救済をされるというようなことも考えていっていただきたいと思います。  その問題はこの程度にいたしますが、本部長一つお伺いするのでありますが、昨年の十二月に、先ほど津島先生の質問にお答えになりましたように、せっかく従来の事故防止対策本部ですか、ああいうものから今度は交通対策本部という名前も変え、さらに強力にやっていこうとする、こういう態勢を作られたようでありますが、私ども実は名前を変えたり、閣議決定と、そういうことだけでなしに、やはり法的な根拠を持つものをぜひ必要じゃないかと、こういうふうに考えたわけであります。これはまああるいは別の考え方もあるかもしれませんが、少なくとも私ども道交法審議にあたっていろいろ審議をし、検討していった場合に、単に交通事故の問題なり、あるいは交通問題というものが、こういう取り締まり的な法だけでは片づけられない問題でありますから、やはり根本的ないろいろな総合施策というものを個個に打ち立てなければならぬ。そのためには現在各省でやられておる——まあ言っちゃ悪いけれども、個々にそれぞれの対策を立てるということだけでは充分でないので、やはりどうしても総合的にこれを施策を持っていかなければならぬと、そのためにはやはり法的な一つの力のあるものが必要だと、こういう考え方、これは少しくどいような申し上げ方なんでございます。そういう考え方で、私ども現在でもそう思っておるわけでありますが、とすれば、私はやはりせっかく交通対策本部を作られたのですから、この際に多少あるいは法の改正とかなんとかいうそういうことがあっても、それをやって強力なものの設置があってほしかったと、まあこういうふうに思うのですが、今度実際に法的なものを、審議会というようなことに考えられておるようでありますが、これは本気にどこまでやるつもりなんです、これは。私はまずその点を一つ聞きたいのですがね。
  44. 小平久雄

    説明員小平久雄君) いだいま先生から御指摘のような方針のもとに、先ほど申しました通り対策本部をなるべく早い機会に法的な根拠を持った審議会に改組をいたしたい、そのためにまたすでに明年度の予算概算要求もいたしておる、こういうただいま段階でございます。先ほど申し上げましたが、これも単なる審議会というばかりでなく、事務局を当然設置をいたしまして、そこで各省庁間にわたる交通に関する問題を総合的に検討し、また施策決定し、推進をいたして参りたい、かように考えておるのでございます。さらにこれがいわゆる交通省的な機構にまで発展するということがあるいは望ましいことかも存じませんが、ただいまの段階におきましては、実はこの審議会自体がそこまで参るといういわゆる実施機関にまで参るということは実は考えておりません。ただし、御承知通り、一方におきましては政府も臨時行政調査会等の設置考えておりますので、それらができました暁においては、その審議の、あるいは決定のいかんによりましては、そういう方向に進むかとも思いますが、現在のところはその点はまだ明確にはなっておりません。
  45. 鈴木壽

    鈴木壽君 法的なものを作るということについてのお考え方は了解いたしますが、ただ、今のお話の中にありました実施機関になるかどうかという問題、これは私も、今の政府の各機関の関係からいって、いろいろ問題があろうと思いますが、できるならば、やっぱりそういう性格を持ったようなものにならないと、単にそこで審議をし、あるいは場合によっては答申し、あるいは意見を述べる、対策を立てるということだけでは、これは従来の事故防止対策本部なり、あるいはこれは現在のやつは、あまり私悪口を言っては悪いからやめますが、何かそんなものになってしまって、確かに作文としてはりっぱな対策なり、そういうものはできますけれども、各省に持ち帰って実際にそれが行なわれるかということになりますと、私は必ずしもそうじゃないと思う。そこにいろいろ問題があるわけでございますから、根本的な、実施機関にする、しないというのは、私どもも重要な問題だとは思いますけれども、単に法の上で審議会を作るんだ、そこでいろいろ検討したり、あるいは意見を出したり、答申をしたりするんだという、そういうことだけに終わるようなものだったら、私は大した意味がないんじゃないかと思うのですが、そこら辺も十分一つ検討していただきたいと思うわけなんであります、  それから、これは一つお願いでありますが、発足以来、先ほど津島先生の御質問にいろいろお答えになっておられましたが、私こまかいところまで書けなかったのでありますが、会合していろいろ話し合い、あるいは対策を立てられた。そういうことを一つ具体的に、あとでけっこうでございますから、次回の来月の委員会等のときでけっこうでございますから、それまでに一つプリントにして委員会の方へ出していた、だけばありがたいと思います。  それからさらに加えて、そういうことが実際、今、関係する各省間において、どのように具体化されておるのか、あるいはこれから具体化されて実施されるという段階にあるものもあると思いますが、あるいはそういう見通しのつくものだったら、そういうことも加えて一つ資料としてお願いできればありがたいと思いますが、いかがでございますか。
  46. 小平久雄

    説明員小平久雄君) 後段の御要求の資料につきましては、なるべく早く提出いたすように努力いたします。なお前段の審議会の性格と申しますか、そういうものにつきましては今後も十分一つ検討してみたいと思います。
  47. 鈴木壽

    鈴木壽君 建設省にちょっと関連してお聞きしますが、新聞なんか見ますと、来年度の予算要求で、建設省事業として踏切改良の仕事を大いに取り上げていくと、こういうふうなことが伝えられておりますが、これからいろいろ大蔵省との折衝になると思いますけれども、現在考えられておるそういうことにつきまして、一つあらましお話しできたらお願いしたいと思います。
  48. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) 踏切問題につきましては、最近特に事故数がふえてきておりますし、また自動車交通が相当ふえてきておりますので、かねてから道路改良の一環として、踏切除却につきまして予算を計上しておりましたが、特に今回、近く制定しようと思っておりますところの五カ年計画におきましても、踏切の改善、特に立体交差による踏切改善ということに重点を置きまして計画を立てようと思っております。これにつきましては、道路の改良に伴う分及びそうでなくても、特に交通対策として必要な、現在における無人踏切あるいはそれ以外の踏切につきましても、緊急立体交差をする必要のある個所につきましては、国鉄あるいは運輸省等と相談いたしまして、具体的に踏切を改善すべき場所を指定いたしまして、その指定に基づいて、五カ年計画の中で事業実施したいと思いまして、予算を今計算をしております。まだ具体的にどの個所につきまして幾らくらいということまではいっておりませんけれども、そういう方針におきまして、近く大蔵省に要求する概算要求におきましては、従来以上に大幅に要求したいと思って検討をしておるところでございます。
  49. 加瀬完

    ○加瀬完君 運輸省は、まあ国鉄関係はそれほどではありませんが、直接税金からは対象外ですけれども、私鉄の踏切を改善をしていろいろ設備をしますと、これに固定資産税がかかるでしょう。そのために踏切の新設が足踏みをしておるという話を私は聞いておるのですけれども、この事実御存じですか。もし自治省の方がおりましたら、税務局でも、財政局でもいいが、一体交通事故の防止ということが、こんな大きな国論になっているときに、ささやかな踏切を作るのに、これに固定資産税を一々かけなければならないということは、これはある程度考えてもいいと思うのですけれども、この点も一つ伺いたい。
  50. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) われわれの聞いております範囲におきましては、先般の国会の際に踏切改善法というものを提案したいという話が出まして、運輸省といろいろ協議いたしまして、一応原案はできましたが、その際にやはり運輸省側からそういう話が出たように思いましたけれども自治省との折衝の結果かと思いますが、一応踏切につきまして、特に財政経営の苦しい私鉄につきましては、国から踏切除却あるいは立体交差につきまして、補助の条項を入れるという話は聞いておりますが、固定資産税の問題につきまして、それが障害で踏切の改善ができないから、それをこの際解決しなきゃならぬというところまではいっていないように聞いております。
  51. 加瀬完

    ○加瀬完君 財政局長、私鉄の踏切を地域で要請しても、固定資産税がかかるので、非常にいやがるというんですね。だから、もしそうだとすれば、その地域の自治体でどうしても必要だという要望があった場合は、固定資産税を免除するといったような便法はとれないものかどうか、この点何か聞いておりませんか。
  52. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) 今のようなお話は聞いておりませんけれども、御承知のように、私設軌道の資産については、軽減措置法律上あるわけでございます。また全体として評価をしていく、そうして軌道の延長等によって市町村負担を配分するというような方式をとったりしているわけでございまして、個別にその分だけ軽減するというような措置は、なかなか実際問題としてむずかしいのじゃないかと思います。それよりも、全体から見た場合に、その固定資産税などは微々たるものじゃないだろうかという感じに私はなるのじゃないかと思います。それが設置を困難にさしているというようなことは、とうていあり得ないのじゃないか、こういうふうに思います。
  53. 加瀬完

    ○加瀬完君 微々たるものであろうとも、採算をもとにして立っている株式会社にすれば、幾らかでも出ることは、これは足踏みをしますよ。だから、当然公共のために必要だという踏切は、固定資産税の対象外とするということを一つ研究をしていただきたい。微々たるものだから、これは取らなくても大したことはないという理屈は成り立つわけですから、公共の利益を優先さした方がいいじゃないか。実際はそのために、なかなか踏切ができないという事例がありますよ。まあ研究して下さい。
  54. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは建設省運輸省と、両方にお聞きしたいのですが、車両制限令が出まして、来年の二月から実施されるということになっておるわけですが、しかし、バス等につきましては、三カ年間の猶予期間があったと思うのですね。これはどういうふうに考えるべきか。三年間猶予して、三年間は今の制限令に触れても運行させる、三年たったらあとはだめになる、こういうことは、法の建前からして私は、実際問題としてそのように考えなければならぬと思いますが、それともう一つは、道路整備関係、これとやはり相互に関係する問題ですから、こういうものともあわせて考えていかないといろいろまた問題が出てくるのじゃないかと思うのですが、そこら辺どういうふうに考えられておるのか。先ほど自動車局長の話では、走られないような道路の場合、いろいろ指導し、なお聞かなければ、権限によってその走ることをとめさせるのだということですが、今言ったように、一方私は、道路整備という点からして、いろいろ建設省としては、まだ運輸省との関係において考えていかなければいけない問題が当然出てくるのじゃないだろうかと思うために、ちょっとそこをお聞きしておきたいと思うのです。
  55. 木村睦男

    説明員木村睦男君) 車両制限令と、バスの猶予期間が三年の問題でございますが、ただいまお話の通りでございまして、私の方といたしましては、三年間にできる限り通路の方の整備をしてもらって、そうして車両制限令というものにひっかからないで従前通りバスが通れるようにしてもらうということを極力努力しておると同時に、三年たってもどうしても直らない場合には、また別途に路線を考えまして、あるいは車両を小さくして、小さい車両であれば通れるというなれば小さくする、そういう措置を別途考える、こういうふうな二本立の考え方で三年間の猶予というものを置いてもらっておる、こういうふうに考えております。
  56. 前田光嘉

    説明員前田光嘉君) ただいま運輸省からの説明がございまして、この政令ができましたときに路線を持っておる自動車につきましては、現在運行しておりますので、直ちにそれが、その政令に違反した場合に、政令違反で交通ができなくなりますと、一般に与える影響も多うございますので、道路側におきましても、その三年間に努めてその路線の道路につきましては、政令に少なくとも合致する程度に改善をしょう、同時にそれができない場合には、自動車側におかれましても、あるいは路線の変更、あるいは車体の縮小と申しますか、変えるというふうな方向にお願いしようということで、これにつきましては今後、関係当事者、運輸省及び建設省あるいは警察庁もお願いいたしまして、三者でそれぞれ協議をしながら、具体的に支障のないようにしたいと思って相談をいたしておるわけでございます。
  57. 鈴木壽

    鈴木壽君 今度作られたこの制限令に、現在のバス路線でどの程度ひっかかりますか。ひっかかりますかという言葉は少しおかしいのですが、制限にひっかかって、その猶予期間はあるにしても、本来のこれからすれば実際走れないというものがずいぶんあると思うのですが、どの程度でございますか。それを御調査になっておりますか。
  58. 木村睦男

    説明員木村睦男君) 全国的の問題でございますので、まだ正確な調査はできておりませんが、路線の長さからいいますと、五、六割はひっかかるのじゃないか、かように考えております。  それからバスは、長さと回数両方で、輸送力で考えますと、全体の三割くらい影響を受けるのじゃないか。一例を申し上げますと、東京都内について申し上げますと、都の都心部はあまりひっかからないのでございますが、たとえば杉並とか、それから北区であるとか、ああいう都の周辺部の方ではかなりあれにひっかかって措置しなければならないというふうな路線が相当ございます。これはしかしいろいろ道路がたくさんありますので、一般に与える不便については、多少忍び得る点もあろうかと思いますが、一番問題は、いなかの一本しかない道路は、これが通れなくなるというのが非常に困るのであります。こういう点につきましても、やはり三年という猶予期間を置くことによりまして。先ほど申し上げました二本立で、道路を広くするか、車両を小さくするかということで、一般利用者に迷惑がかからないように措置する猶予期間を置いておる、こういうようなわけでございます。
  59. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは三年間の猶予があるわけですが、今のお話で全国的にどういうふうな数になるか、これは正確につかめないというわけでありますけれども、しかし、私どもが昨年——これは都内の一部でございましたけれども、実地に見せてもらったところによってでも、これはもう放置できないというような個所が幾つもあるわけですね。繁華街でもうバスが通ればよけるところもほとんどない、かささしては、人のうちにもかさをすぼめて入っていかなければならぬというような所が実はあるわけであります。これが今後三年も、今そこのわきを走っておるのだからということで三年も放置されたのじゃ、これは実際問題として困ること、たと私どもは思うわけですがね。ですから、やはりある程度、三年間の猶予ということになっておっても、指導を加えて漸次そういう所はやはりこの制限令に合うような車の走らせ方をしないと困るのじゃないかと、実際上そう思うのですが、その点はどうですか。三年の間このままにしておけますか。いかがでございますか。
  60. 木村睦男

    説明員木村睦男君) 御指摘のような問題が確かにございますので、実はこの車両制限令の施行にあたりまして、先ほど建設省からもお話がありましたが、警察建設運輸省三者で中央と同時に地方におきましても連絡協議機関を作りまして、今御指摘になった問題につきまして、三者相寄りまして適切な措置を急速にとっていくというふうに、現在そういうふうな機構を作って、できるだけ早く今御指摘のような問題を解決していくように努力する準備を進めておる次第であります。
  61. 鈴木壽

    鈴木壽君 私が今言ったようなそういう所は、これは道路を改良するとか、あるいは拡幅をするといっても、なかなかそう簡単にできないと思う個所なんですね。都内で私どもが見せていただいた所、そういう所については、やはり今お話のように協議をせられて、早急に路線を変え得る所だったら変えるとか、あるいは車の制限をやはりするとか何かをしないと、これは私は、今までも相当事故が出ておるし、さらに今後も事故というものは絶えない、こういうふうになると思いますから、この点は私は、それこそ実情に即した実際指導を、同時に、単なる指導ということではなしに、やはり強い方針でやらないといけないと思いますから、それを私は望んでおきたいと思いますが、やはりそういうようにおやりになるという腹がまえでございますか。いかがでございますか。
  62. 木村睦男

    説明員木村睦男君) お説の通り考えでおります。
  63. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから警察庁の方にお聞きしますが、道交法施行後の事故の発生状況等は、この前にもちょっと資料をいただいております。どうでしょう、最近の事故の、たとえばいろいろ道交法施行以来悪質のものが多く出てきたとか、具体的に言うとひき逃げが多くなったとか、事故があっても届けないでそのまま行方をくらませたとかいろいろなことがいわれております。それからまた、場合によってはこういうこともある。これはまあ変な問題でありますが、罰金なんて少し安過ぎやしないか、もっと厳罰にしてもいいのだというような声もあっていろいろあるが、とにかく私がお聞きしたいのは、事故の特徴的なものが、あるいは皆さんいろいろ事故状況を見て指摘せられるものがあるのではないかと思うのですが、もしそういうことについての考え方がございましたらそれと、それに対する対策を、どうやっておられるのか、これ一つお聞きしたいと思います。
  64. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) 道交法施行になりましてから八カ月ぐらいになりますけれども、大体まあ半年ぐらいの統計はまとまっておるわけです。それを時間があまりありませんのでごく結論だけ申し上げますと、一月から三月ごろまでは、非常に交通事故が激減いたしました。しかし三月、あるいは四月、五月の陽春のころからまたぼつぼつふえて参りまして楽観を許さないような状況になっております。しかし、結論からいいますと、一月から六月までのことしの上半期は、件数において前年同期に比較して六%増になっている。けが人は〇・三%の増加であります、これはほとんど横ばい。それから死者においては〇・六%の減少であります。これは減少といいますか、横ばい程度です。これはすでに御承知通り、毎年二〇%から三〇%ぐらい、件数も死者もあるいはけが人も戦後ふえる一方でありまして、こういうふうに横ばいないし死者の減少ということは画期的な結果で、しかし、ただいま申し上げますように、いろいろ四月ごろからはふえつつあります。それから非常に悪質なものがだいぶふえてきておる。その中で、たとえば車両の種別についていいますと、最近特に目立って事故の多いのは砂利トラック、ダンプカーなどであります。これは本年一月までの状況を見ますと、前年同期に比較しまして、件数で五八%、非常なふえ方であります。死者で三五%、けが人で三九%増でありますので、こういう非常な目立った驚異的な増加であります。それから長距離トラックによる過労運転といいますか、スピード違反と申しますか、そういうものが原因になって起こっておる事故が、長距離トラックの面で出ております。あるいはコンクリート・ミキサーなどの大型車両による事故が依然としてふえておりまして、これらの事故は犠牲者が大きいのであります。それから最近、特にこの夏になりましてから目立っておりますのは、貨物自動車などの荷台に人を乗せまして、その運転中に転落したと、こういうようなことで正規の交通機関でない貨物自動車に安易に人を乗車させて運行する風潮が出ております。この事故も若干出ているような状況でありまして、注目いたしております。  それから踏切事故でありますか、これは依然として絶対数は相当あります。ありますが、これは国鉄側と私たち側と第一線でいろいろ協議会を作りまして、具体的に踏切の事故防止について対策など改善策をとっておりますので、これは毎年たとえば、ことに国鉄などの統計によりますと一〇%、あるいは一〇数%前年同期に比較してふえておりましたのが、最近の状況はほとんど横ばいというようなことで若干踏切事故の勢いを押えているという状況が出ておりますけれども、しかし、数としては相当多うございます。それから都市周辺にだいぶ事故が多くなっている。すなわち都市の都心部からだんだん周辺に及びつつあるという状況が出ておりまして、これはまだ統計ははっきり出しておりませんけれども、目立っておる傾向であると思います。それから大都市におきましては、都心部よりも都心部を通る道路、メーン・ストリートよりも裏通り、路地などにおける事故がだいぶふえておる、こういう状況が出ております。  それから、事故の原因といいますか、これは車間距離が不十分である、非常に密着して追尾して走っておる、こういうような状況でありまして、相手方が急停車したためにこちらもぶつかってしまう、こういうようなことで車間距離が不十分である、こういう原因が目立ってきておるのであります。それから除行しない、あるいは追い越しを適切にやっていない、こういうようなことから、そこが原因になって事故が起こっている状況が見られます。ただ、追い越しによる事故につきましては、数は多うございますけれども、これも若干増加傾向を押えておるという状況が出ておりまして、横ばいではないかと思われます。それは、センター・ラインを越えて行くということに対して、きびしく取り締まりをしておりますので、そういう影響もあるのじゃないかと思いますが、そのほかわき見運転というような原因からくるのが多いわけであります。  それからどんな運転者による事故が多いかと申しますと、大体最近出ておる傾向といたしましては、二十才台の若い運転、しかも、一年未満の運転経験の比較的短い、こういう運転者層によって事故を起こされておる度合いが大きいのでございまして、上半期の全体の事故の五五%、まあ大半、半分以上はこういう二十才台の若い運転者あるいは一年未満の経験期間の短い者によって起こされておる、こういうような状況であります。それから、さらに目立った傾向といたしましては、ひき逃げ事故が非常に多うございまして、これは上半期で全体で八千五百件ばかり出ておりますが、これは前年同期に比較しまして約一割の増となっております。また、交通事故全体の中に占める度合いとしても、これは四%を占めておりまして、相当のウエートになってきております。  こういうふうな悪質な事犯がふえておりますことに対して、対策としましては、特に悪質事犯の取り締まりの徹底ということを特に指示いたしまして、一斉取り締まりその他をやっておるような状況であります。それから、雇用者側、運行管理者側の責任を追及するという面についても、相当まあ第一線では踏み出して取り締まりをやっております。  それから安全運動等や安全教育、安全PRというような面におきましては、特に従来ありました日本交通安全協会を発展的に改組いたされまして、財団法人として、全日本交通安全協会というように改組しまして、、それが財政的にも、あるいは陣容の面においても、その他事業面においても相当これが活発に活動を開始して参りました。あるいは文部省御当局にも要求しまして、いろいろ安全教育の面についての推進の協力方をお願いいたしておるわけでございます。あるいは関係機関とも協力を……、特に先ほど総務長官からお話がありました対策本部の場を活用するという点について、踏切事故の防止なり、砂利トラックの事故防止なりという面については、そういう対策本部の場を活用する、これをまあ事故防止の面に力をいたさせていただくという、こういう点について対策推進いたしておるわけでございます。そういう状況でございます。
  65. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあいろいろお聞きしたいことも実はあるのですが、時間もだいぶ、十二時も経過しておりますからやめますが、特に事故の特徴なり、あるいはそれに対する対策等につきましては、後日またお尋ねすることにしたいと思います。  ただ一つ、最後に、駐車についての取り締まりですがね、路上駐車の、駐車の禁止区域であるのにもかかわらず、やっぱりどまん中でも堂々と長い時間駐車しておる。すぐそばに交番があるにもかかわらず、知らぬ顔をしているというような事例もあるのですがね。それから、車をいわば不法な路上放置といいますか、そういうふうにしておる、こういう問題でありますが、不法駐車の取り締まりについてどのようにやっておられるのか。  もう一つは、さっき言いましたように、普通の交番におられる警察官の方は、そういうことに対して注意をする権限があるのかないのか。してはいけないのかどうか。そこら辺を一つあわせて——僕らからすると、何かちょっと注意してやってもいいじゃないかと思うのだが、これはいわゆる交通関係の巡査でないということからかもしれませんが、そこら辺一つお聞きしたいと思います。  それからもう一つは、これは運輸省関係ですが、特に自家用車あるいは置き場がなくて、路上にその車を置くという事例がずいぶんあると思うのですが、その点について私はまあいろいろ実際上めんどうなこともあるかもしれませんが、少なくともちゃんとした草庫とかなんとかいうことは別に申しませんが、置き場ですね、道路に置かなくても置ける場所がある、そういう者に車を持たせる、それ以外には持たせないという程度までやらぬといけないのじゃないかと思うのですが、そこら辺一つ自動車局長の方からお答えいただきたいと思うのですが、まず最初に警察庁の方から……。
  66. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) 道路環境整備の点からいいまして、違法駐車なり乱雑な駐車に対して取り締まりを強化するために道交法改正をいたしまして、その措置の強化をいたしたということは、先生御案内の通りでありますが、現実においてまだまだ改善されていないという点が相当あるということは否定できないと思います。しかし、第一線におきましては、たとえば運動といたしまして、道路を広く使う運動というようなことも公安委員会中心になって相当指導いたしておりますだけでなしに、また違法駐車の取り締まりというものを、件数としては相当やっております。やっておりますけれども、なかなか限度のある警察官の数でありますので、必ずしも十分でないということはいなめない事実だと思います。ただ交番に勤務している警察官が付近でそういう違法駐車者があるにもかかわらず、それを見のがしているのじゃないか、こういうふうな点につきましては、実はいろいろ投書なり、あるいは苦情をたびたび聞かされ、また訴えられることでありまして、これについては、私たちもなるべく、先ほど申し上げましたように、外勤警察官交通の問題について専門家でなくても、実際にそれを見のがさないように十分取り締まる、こういう指導をいたしておりますけれども、何せ交番というものは若干定着勤務という点もありますので、あるいは気がつかないという点もあるのじゃないかと思います。これらの点については、今後さらに十分に指導をして参りたい。交番は当然、先ほど御質問がありました点についてお答えいたしますと、そういう違法駐車に対しては取り締まり権限と義務が確かにございます。
  67. 木村睦男

    説明員木村睦男君) 自動車を持つ者に車庫を設置することを強制するかどうかという問題になろうかと思いますが、自動車を持って、いわゆる運輸事業事業としてやります者につきましては、事業体に対する監督指導の立場から、法制的にも免許のときに車庫その他を厳重に見ております。また、その後につきましても、それぞれ変更その他の手続も含めてやっておるわけでありますが、問題はいわば運輸を事業としない者で自動車を所持する者が車庫を持つことを強制するということになろうかと思うのであります。現在自動車行政の立場から申し上げますというと、自家用車というものは、車両保安の見地からこれを登録する、あるいは車両検査を行なうということはやっておりますが、一々単に車を所有することについて干渉するということはやっていない。ただ、たまたま自家用の中でトラックだけは、これを所持する場合に届出制にしておるわけであります。これを届出制にしております理由は、かつて非常に自家用車をもって営業行為をするトラックの所有者が多く、トラック輸送の秩序を保つ意味から自家用のトラックを持っておる者の実態を把握する必要上、届出にしておるわけでありまして、トラック以外の自家用車、たとえば乗用車でありますとかその他の車につきましては、所有そのものに対しては届出も何もしておりません。しそこで、現在道路交通の面におきまして路上放置の観点から警察の方で、自家用車の路上の放置が多いので、これにつきまして車庫を十分チェックしたいということでありますので、これに十分協力しておりまして、届出を要するトラックにつきましては、届出の事実を警察の方に連絡をいたしまして、警察の方でそれに基づいてチェックをしておられるようなわけであります。問題は、それでは車を持つ者に条件として絶対に車庫を作ることを強制してはどうかという議論になるわけであります。これは単に車を所有するということだけに限定いたしましてこれを運輸行政の面でどう見るかということは、ちょっとむずかしい問題であります。それから、所有権にある程度条件なり制限をつけるという問題もありますので、目下研究問題として非公式に法制局の意見も徴して検討しております。
  68. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはまあ今の最後のお言葉の中にもありますように、所有権に条件をつけるというようなことにつきましては、いろいろ問題もあろうかと思いますが、だからといって、単に所有するというだけでなしに、実際に使っておる人、車をどこへ置いても、道路に置いてもいいということには私はならぬと思うのですよ。だから私は、りっぱな車庫を作れとか、そういう設備のない者に持たしちゃいかぬとかということまでは言いませんが、少なくとも車を道路に置かなくてもどっか自分の屋敷の中とか、あるいは隣の屋敷のどっかに置くとか、あるいは、いずれ車を置ける場所を、置き場で私はけっこうだと思うのです。土地だけでもけっこうだと思うのですが、そういうものがやっぱりない者にどんどんやっても、これは幾ら道路交通法の中で駐車がどうの、何がどうのといってもこれは処置なしになってくるんじゃないかと思うので、そういう面で私はある程度の条件をつけることは当然考えなければならぬのじゃないだろうか。また所有者あるいは実際それを使うものの立場の一つの義務として、私はそういうふうに考えるべきじゃないかと思うのですがね。ですから、私は繰り返して申し上げますが、りっぱな車庫を持て、堂々たるそれを持てと、こういうところまでは私は言わないで、ともかく道路へ、一般公衆の通る道路へ置いて、道路をふさぐような置き方をしなくてもいいような場所をやはり一応確保する、こういうことが私はぜひともこれは必要だと思うのですがね。いかがでしょう。やはりいろいろ問題がございますか。
  69. 木村睦男

    説明員木村睦男君) 実情につきましては、私たちも十分同感でございますので、今申し上げましたような線で検討していきたいと思います。
  70. 津島壽一

    津島壽一君 今のに関連してちょっと伺いますが、自家用自動車を登録する場合ですね、いろいろ車体の種類とか機械を書いてそういった手続をする。その項目の中に、この自動車はどういうところへ蔵置するというか、車庫ということは別として、自分の住宅の中へ置くとか、そういう項目はないのでございますか、申請の中に。届か申請か、全然触れてないわけですか。営業車の場合は別ですよ。ちょっと伺います。
  71. 木村睦男

    説明員木村睦男君) 登録の場合は、使います車の本拠はどこに置くかということは書くようになっております。本拠という意味は、登録は財産権の対象としての登録でございます。戸籍簿でいいます現住所と申しますか、そういう意味で書いております。
  72. 鈴木壽

    鈴木壽君 当然、その点もう一度やはり考えて、これはぜひいろいろ問題はあることはあるでしょうけれども、私はそのために現在のままでいいということにはならぬと思いますから。  それからいま一つ関連した問題としてお聞きしますが、整備業者がやはりちゃんと整備できるだけの広さを持つ何か入れものなり構内なり、そういうものを持たないで路上で整備しておる、あるいは歩道にまで出てきたり、そういう問題もあるのですから、その点も一つ私はやはり許可する場合に、あわせて考えてもらわなければいけない問題だと思いますね。だめだといって、けしからぬといって取り締まるだけでなしに、そういうことをしなくてもいいような条件を備えた者にそういう仕事をやらせる。そうでないとこれは困るのじゃないかと思うのですが、その点どうですか。
  73. 木村睦男

    説明員木村睦男君) 御指摘通りでございまして、整備業者につきましては、大体平均いたしまして、月間あるいは年間何両くらいの車を自分の工場で整備するのだということで計画を立てて、そうして認証するわけでございますから、そのときにその実態をよく見まして、小さ過ぎれば指導して拡大するようにやっておるのでございますが、往々にして一両でもたくさん修理したいということで道路にはみ出してまでやっておるというのが実情で、ございまして、その点につきましては、従来とも取り締まっておりますが、今後ともさらに厳重に取り締まっていきたい、かように考えております。原則といたしましては、一応その能力に応じた車両の修理をやる。それ以上の車を抱くというふうなことはしないという建前でスタートはしております。
  74. 鍋島直紹

    理事鍋島直紹君) 本件につきましてはこの程度にとどめます。
  75. 鍋島直紹

    理事鍋島直紹君) 次に、地方公営住宅及び学校施設建設単価に関する件につきまして質疑を行ないます。
  76. 加瀬完

    ○加瀬完君 文部省には、交付税法のときですか、財政計画のときですか、さっき鈴木委員指摘をされましたけれども、校舎の補助の基準になる単価の押え方が低いのじゃないか、こういう質問を私どもいたしましたときに、局長からは、各府県からの報告では木造二万七千円ということで十二分に間に合う、こういう報告が来ておる、こういう御説明であった。ただし、非常に経済状態が変わって、どうしても二万七千円では追っつかないということになれば、これは考えなければならないというお言葉があったわけです。今は政府も非常にいろいろ対策を立てているようでありますが、木材の値上がりというのは、これはどうにも解決のできないところまで来ておる。で、鈴木委員指摘のように、各町村とも木造建築二万七千円で押えられるという状況ではないということは、これはもう御承知通りであります。そこで、臨時国会もありますしいたしますので、この補正を考えるかどうかということと、それから建設省には、同じことが町村にとりましては住宅関係にもいわれるわけです。公営住宅のやはり単価の押え方も低いものですから、実際に合わない。そこで、まあ建設省の御説明では、何も建設省がこれだけやるからこれだけの単価で建てろと言っておるのではない。ただ一応その単価を見積もって、それに対する補助を計画しただけだから、その足りない分は当然自治体で出すべきだ、こういう御説明もあると聞いておりますが、実際公営住宅をたくさん建てようとするならば、建てやすくなる方法というものをやはりお考えいただかなければ、実際において公営住宅というものは建っていかないのではないか。交付税その他は若干伸びてはおりますけれども単価そのものの押え方というのが低いと、やはり貧弱の町村財政などにとりましては、公営住宅を増加させるというか、拡大させるということになりますと、実際において町村財政ではバランスがとれなくなる、こういうような切実な意見も私ども町村を回ってみますと受けるのです。ちょうど一切の物価も値上がりしていることは、これは自明の理でありますから、補助の額を引き上げるには格好の時期ではないかと、見ようによっては考えられるわけです。そこで建設省としては、公営住宅の補助について、これを引き上げるというお考えは持っておらないかどうか。あわせまして文部省と建設省にそれぞれの公営住宅なり学校建築なりの単価の押え方と、それから補助を増すことについて何か現在お考えになっておるかどうかという点を端的にお答えをいただきたい。
  77. 福田繁

    説明員(福田繁君) ただいまのお尋ねでございますが、当委員会におきまして、かつて、先ほどおっしゃいましたようなことを申し上げた記憶がございますが、その点につきましては、今年の春、各都道府県から小中学校等の校舎建築の実績単価を集めました際に、その資料に基づいて私申し上げた記憶がございます。その以後、ただいまおっしゃいましたように、建築費は資材費あるいは労賃の相当値上がりがはなはだしくなっておりまして、最近私ども調査を全般的にいたしておりますが、部分的に見ましても、かなり値上がりが激しいようでございます。従いまして、それらについての何らかの措置をする必要があるのではないかというような考え方で研究中でございます。ただ、どの程度どうするかというようなことにつきましては、私どもといたしましては、現在ごく最近の実績単価というものを調査中でございます。その資料の取りまとめのできました上で十分研究したい、こういうように考えております。
  78. 斉藤常勝

    説明員(斉藤常勝君) ただいまのお話まことにごもっともでございまして、建設省といたしましては、このような資材費、労賃、そういうものの値上がりから、実際問題として公営住宅を建てるといいましても、なかなか執行が困難ではないか。特に公共団体負担が過重になるのではないかという観点から、従来の実績——三十五年の実績を基準にいたしまして最近一年間の資材、労賃等の値上がりを算定いたしまして、それによってお話のありましたような標準建設費を本年度においても改訂いたしたい、そういうことで目下大蔵省と折衝中でございます。以上でございます。
  79. 加瀬完

    ○加瀬完君 建設省の方で三十六年度中に改訂をなさるということになりますと、三十六年度の建設の分に対しましては、改訂されたものを基準にしまして補助その他がきまってくるということに解してよろしゅうございますね、改訂された場合は。
  80. 斉藤常勝

    説明員(斉藤常勝君) 三十五年度の実績を基準にして本年度において何らかの是正措置をしたい、こういうことでございますから、それが通りますれば、三十六年度の単価が変わるということになります。
  81. 加瀬完

    ○加瀬完君 文部省は資料を取りまとめてということになりますけれども、やはりそれは三十六年度中にその資料のもとに何か適切な処置をしていただくということに解していいでしょうね。
  82. 福田繁

    説明員(福田繁君) その実情調査の結果に基づきまして、三十六年度工事について何らかの財政措置をしなければならぬということになれば、これはそういうふうに進めたいと考えております。
  83. 加瀬完

    ○加瀬完君 どうも歯に衣着せず申し上げると、文部省はおかしい。今さら資料を集めて調査して検討をしなければ結論が出ないということはおかしいと思います。建設省の方はまだわかる、一応改訂するという建前で大蔵省と交渉するというから。やるのですか、やらないのですか、文部省は。改訂の必要は、局長の先ほどの御説明だと、十分認められるようである。ところが、資料をこれからまとめて、それを検討してからということになりますと、文部省のやり方では、三十六年度は間に合わない。三十六年度の工事について一体はっきりと補助の単価なり、あるいは補助額なりというものを引き上げなければならないということでおやり下さるのかどうか、くどいようですけれども伺います。
  84. 福田繁

    説明員(福田繁君) 私どもといたしましては、建設省の方の事情もよく伺っておりますが、もちろん建設省と同じような事情からと思いますけれども、大蔵省には私どもの若干の資料は、時々連絡をして相談をしておるわけでございます。しかし、その幅や具体的な内容については、もう少し最新の資料を私どもは整えたい、こういうふうに考えて研究中でございます。
  85. 加瀬完

    ○加瀬完君 これは局長から大臣に言ってもらいたい。あなたの方の大臣は、やらなくてもいいことを一生懸命やって、肝心かなめのやらなければならないことには、さっぱりだめです。文部省の所管事項としてやらなくてもいいことにうき身をやつすのはやめなさい。このために地方は困っているのですから、いろいろな資材の値上がりで。この問題だけは、三十六年度中に町村財政にまた赤字の原因を作らないように処理をして下さるように、この次には大臣に来てもらって、どういう交渉の経過、見通しというものを、お持ちか伺いたいと思いますから、それをお伝え願いたい。  それから自治省にお尋ねしますけれども、今のような実情は一番御存じでございますので、政府が特別の措置をとれなくて、非常に町村財政からこういう公共事業公共事業といいますか、義務教育の施設とか、あるいは公営住宅とか、こういう問題で財政破綻を生ずるというような事態が生じました場合は、特別交付税なり、あるいは起債額なり考慮していただけるものと考えてよろしゅうございますか。
  86. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) 私もお話がありましたような事例を十二分に心配しておるわけでございます。何回入札しても落ちないというような事例が至るところに出て参っておるわけでございます。こういうような問題につきましては、私たちは地方財政法で国と地方団体がお互いに結びついて経費を分担し合うというような性格のものについては、国の負担する部分はその仕事に必要にしてかつ十分なる金額を基礎として算定しなければならないとわざわざ書いてあるわけでございます。従いまして、私たちはぜひ財政について努力していきたい、ただ国が恩恵的にめんどうを見てやるのだ、あてがい扶持だというような考え方でこの負担金を持っていかれては困るじゃないかという気持を深くいたしておるわけでございます。従いまして、どちらにいたしましても、現在の情勢においてこれをどう扱っていくかということについては、政府としてのはっきりした態度を確立してもらいたい、こういうことで関係の省とも実は話し合いをいたしているわけでございます。従いまして、単純に地方債でめんどうを見ていただくとか、あるいは特別交付税でめんどうを見ていただくというようなことにはいたしたくない、やはりはっきりした態度を政府として確立してもらうように努力をしていかなければならないのじゃないかという気持を持っておるわけでございまして、今後ともそういう気持で努力をしていきたいと思っております。
  87. 加瀬完

    ○加瀬完君 文部省も建設省も今の自治省の御見解に御同意であると解してよろしいでしょうね。
  88. 福田繁

    説明員(福田繁君) 同様でございます。
  89. 斉藤常勝

    説明員(斉藤常勝君) 別に異議はございません。
  90. 加瀬完

    ○加瀬完君 では一つ連絡のもとに今、局長の言うような方向に政府の意見を早く決定していただきたい、これは希望です。ただし、そうかといってやはり基準が引き上がる、補助額が増加されただけでは解決できない問題が残る。そういうものに対しましては特別交付税なり、あるいは起債のワクで若干やはりめんどうを見ていただくという方法をとっていただかなければ、やはり仕事そのものの完成はできないのじゃないか、この点はまあ例年以上に起債なり交付税なりで考えていただけると解していいでしょうね。全体の物が上がっているのですから。学校建築だけではないわけですから。やはりそういう財政計画からいえば、相当締めてかかっても、、どうしてもどうにもならない町村といいますか、市町村といいますか、そういうものには特別交付税や起債というものについて、一段の御配慮をいただきたいと思いますが、御心配をいただけると解していいですか。
  91. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) 先ほども申し上げましたように、この問題について政府としてどういう措置をとるのかということをはっきりしてもらった上で、今のような問題をどうするかを考えたいと思っておるのであります。最初から地方債でめんどうを見るというような考え方はいたしたくないというように思っておりますので、今せっかくの御質問でございますけれども、そういたしますという簡単なお答えは差し控えさしていただきたい、さように思っておるのでございます。事業分量を確保するのか、あるいは金額に応じて事業分量を縮小するのか、いろいろな問題があるだろうと思うのでございますけれども、一応政府としての方針がはっきりされるように努力をして参りたい、かように存じております。
  92. 加瀬完

    ○加瀬完君 その通りでいいです。しかし、そういう結論が出た上で、やはり交付税なり起債なりというもので若干心配してもらわなければ、どうもバランスがとれないじゃないかという事態じゃないかと思うのです。非常に物価の値上がりが事業に影響いたしておりますから、その点を考慮願いたい。まあ希望として申し上げておきます。
  93. 鈴木壽

    鈴木壽君 財政局長ね、あなたのお考えはわかりましたですが、私はやはりこの問題、文教施設あるいは公営住宅等、ぜひ本年度中に補正予算として国が格好をつけなければならぬ、できれば今度の臨時国会あたりではぜひともやってもらいたいと思うのですが、かりにそれにどうしても間に合わなくても、今度の通常国会当初にはぜひこういう措置をやってもらいたいと、こういうふうに思っておりますが、そういうような見通しについてはどうですか。
  94. 奥野誠亮

    説明員(奥野誠亮君) 私たちは臨時国会までに結論を出してもらいたいということで話し合いをいたしておる最中でございます。
  95. 鈴木壽

    鈴木壽君 文部省の方ですが、この前私とあなたとの間で高いとか安いとかやりましたが、あなたは二万七千円で、ちゃんとそれ以下でできているのだとお答えになっておりましたが、これは今のお話によりますと、昨年までの実施状況からの結論であったようであります。今回私ども、先ほど私現地調査概略について御報告を申し上げた中にも述べましたですが、秋田山形を回って各町村ごと、あるいは場合によっては学校、ことの事業実施済みの単価も調べて参りましたが、ことしはとてもじゃないがやっていけないと、こういうことがはっきり出ておるわけであります。先ほど奥野局長が言われたように、入札をやってもだれも引き受け手がないと、二へんも三べんもやって、そうしてようやくプラス・アルファという格好でやってもらうと、こういうことが現実の問題として起こっているわけなんです。今も調査中だというふうな話でありますけれども、これはいつごろまでの期限であなた方、各都道府県調査を、資料の提出を求めておられますか、期限をいつまでに報告せいということでやっておりますか、その点。
  96. 福田繁

    説明員(福田繁君) 一応八月末現在で調査を完了いたしたのでございますが、実際各地方工事が若干おくれている分がございますので、現在の小中学校の校舎の建築等の状況から見ますと、ことしの予定量がそんなにあまり進捗してないわけです。従って、校数も今とりました分では非常に少ない。従ってそういった点で若干これを拡張しまして、校数その他の実績ももう少し幅広く調査したいと考えております。もう少なくとも九月の、おそくとも九月の中ごろまでには全部を一応完了したいと、こういうふうなつもりでやっておるのでございます。
  97. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、先ほどのお話からいって、調査の完了が、全部到着するのが九月中ころだと、それからいろいろ集計をし、いろいろ検討するということになりますと、今度の臨時国会にいわば補正をするというようなことは事実上不可能になりますね、その点どうですか。
  98. 福田繁

    説明員(福田繁君) 私どもそう考えてないので、ただいま奥野財政局長からもお話がございましたように、早急にこれはやはり何とかどちらかに結論をつけなければならぬ。調査資料は刻刻に私どもの手元で処理いたしております。従って、それが完了して相当長期にかかるということはございません。
  99. 鈴木壽

    鈴木壽君 あれですね、まだ実際工事にかかっておらないところも確かにお話のようにあります。しかし、大体木造関係では、ほとんど設計なりやって今言ったようなことで、さっき言ったような落札しないということで手間取っておるところもありますが、大体木造関係では着手しておるというのが大勢じゃないかと思うのですが。ですから、九月の中ごろということもこれは慎重を期する意味においては確かにこういう必要があると思いますけれども、できるだけ早くまとめまして、今度の臨時回会に必要な補正措置をとる、こういうことをぜひやってもらわないといけないと思うのですから、この点をあらためて御要望を申し上げておきたいと思うのですが、なお、これはやはり変なことに私こだわっておるようでありますが、三十一日までとしますと、きょうがそうでありますけれども、すでに報告が参っておるところもずいぶんあるんじゃないかと思うのですが、そういうことからいって、やはりどうしてもこれは改訂をしなきゃならぬというようなことについての考え方については、私そういうふうになっていると思うのですが、その点はそういうふうに私ども了解してよろしゅうございますね。
  100. 福田繁

    説明員(福田繁君) 現在までの報告の資料では、やはり相当値上がりしておりますので、おっしゃる通りだと思います。
  101. 鈴木壽

    鈴木壽君 最後に自治省の方からも、大きな問題でありますから、ぜひ関係各省とお話し合いをして政府において、先ほど局長がお話しになったような線でぜひ実現できるようにがんばっていただきたいということを申し上げて一応この問題について終わります。
  102. 鍋島直紹

    理事鍋島直紹君) 本件につきましての質疑はこの程度にとどめます。
  103. 鍋島直紹

    理事鍋島直紹君) 次に、防犯に関する件につきまして質疑を行ないます。
  104. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 夏祭りの暴行事件について若干お伺いいたしますが、きょうは長官がお見えになっておりませんので、局長にお伺いいたします。前国会予算委員会におきまして辻議員の質問の中に、神社仏閣等の祭りに際して寄付を強要され、経済的な貧困のため、あるいは宗教上の問題で寄付を断わる、そうするとその仕返しに村八分をしたりあるいは祭りのみこしをぶつけて暴力をふるう、このような事件に関して厳重な取り締まりをば要望されたわけです。これに対して安井国家公安委員長や保安局長は、今後厳重に取り締まると、このような答弁があったわけでございますが、その後警察当局といたしまして、どのような指導監督をなさったか、まずこれをお伺いしたいと思います。
  105. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) 警察におきましては、さきに閣議決定内容といたしまして、暴力犯罪防止対策要綱というのが本年の二月二十一日閣議決定になっております。それに基づきましてあらゆる暴力につきまして、警察取り締まり、あるいは未然防止というような点につきまして閣議決定の線に沿いまして、警察庁の次長の名前で、暴力犯罪防止あるいは取り締まりというものについて次長通牒を三月四日に出しました。さらにただいま御質問がありました中にもありますように、前国会で祭りに関連しましていろいろ脅迫なり暴行なり、いわゆる町に見られる暴力というものの取り締まりについて御鞭撻をいただいたのでありますが、それにかんがみまして、六月五日に軽犯罪法の運用というものの適正化ということを、具体的に第一線に通達を出しまして、軽犯罪法はあらゆる日常に見られる犯罪としては罰が軽いのでありますけれども、実際には庶民生活、一般の市民生活に非常に関係のある反社会的な行為であります。そういう軽犯罪法の運用について、必ずしも従来万全でないという感じもいたしておりますので、この軽犯罪法の運用の適正化について指示をいたし、また実態調査も指示いたしたわけでございます。さらに六月九日に全国の管区の保安課長——これは全国に七つ管区警察局がございますが、その保安課長会議の際に、そういう町の暴力、あるいは恐喝傷害というような暴力につきましては、十分に取り締まりを徹底してもらいたいということを私から管区の保安課長会議で指示いたしました。それから六月十五日に管区の警察局長会議警察庁で行なわれました。その際にも、この問題について私から口頭で指示いたしました。さらに六月十六日に全国の警察本部長会議がございまして、この場合にも、私が口頭で本部長諸君にこの面について指示いたしました。さらに七月の五日に全国の管区の公安部長会議を開催しました際につきましても、同じ問題を私から指示いたしました。さらに八月の二十一日、特に祭礼その他地方的行事の際における紛争事案の防止というような面につきまして、具体的に詳細に保安局から通達を全国に出しまして、御質問あるいは御鞭撻の内容に沿うように努力をいたしておりました。
  106. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ただいま通牒なり、あるいは通達なり出した、このような答弁でございましたが、それは祭りに関する暴力事件に対するところの通牒なり通達でございましたら、それは内容はどういうものであるか、その要点だけでも示していただきたいと思います。
  107. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) 要点をかいつまんで申し上げますと、特に詳細なものを出しましたのは八月二十一日保安局の全国通達でありますが、その内容の趣旨は、こういう不法事一案の未然防止、それから半案が起こった場合の捜査の適正化、取り締まりの徹底ということを筋にいたしまして指示いたしたわけでありますが、その内容を具体的に申し上げますと、こういう夏祭り、その他の祭礼が、夏の行事が行なわれている最中には、できるだけ外勤警察官—交番や駐在所の巡査、こういうものによります予防態勢の整備をしまして、それを強化して開催中の事故防止、紛争防止というものを期するように指示いたしました。それから情報活動を活発にやって、できるだけそういう動きがあればその開催中に未然に事故防止、紛争防止をやるように指示の内容がなっております。それから開催以前の問題といたしまして、事前に主催者側と十分に協議して、犯罪なり事故防止上必要な措置を具体的に講ずるように指示の内容がなっております。それから平素からの問題といたしまして、絶えずこういう村内、町内におけるいろいろな紛争なり対立なり、いろいろな事案があるわけでありますが、そういう事案の動向について十分に査察するように、こういう指示をいたしました。それから寄付行為の取り締まりにつきましては、できるだけこれは適正に取り締まって、十分に寄付強要行為の弊害というものを除くようにいたしております。それから不法事案の発生に際しましては、的確に、迅速に、その事犯の処理をやってもらいたい、こういう通達であります。
  108. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 今その通達の内容を読んでいただいたわけでありますが、そういった通達というものは本部長までいくのか、それとも第一線の署長までいくのですか。それが一点と、いろいろ局長におかれましても努力なさっていらっしゃるわけですが、そういったようなことがどこまで徹底をしているとお考えになるのか、この二点についてお伺いいたします。
  109. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) この通達は全国の本部長のところ、それから主管課長のところ、さらに各警察署及び警察署から駐在所、交番に全部必ず中央の通牒は示達されることになっております。一応全部浸透しておると私たちは見ております。  それから一片の通牒や指示などではたしてどの程度の効果が上がっておるかという御疑問も持たれるかと思いますが、これにつきましては絶えず、警察部内においても監察の制度がありまして、監察して、はたしてどの程度の実際の警察活動が適正に、しかも、末端まで浸透しておるかということは、本部長においても、あるいは署長においても、あるいは警察庁においてもいろいろ視察をしておるわけであります。しかし、具体的な数字からいいまして、その結果が具体的に現われておるかどうかというようなことについては、まだはっきり申し上げるような数字は手元にありませんけれども、特に暴行、脅迫、恐喝などのような非常に悪質な粗暴犯につきましては、大体非常に力をいたして検挙をいたしておりますので、最近の三十四年あるいは三十五年、あるいはことしの上半期の状況を見ますと、発生件数の九五%を検挙いたしておりますので、こういう悪質な暴力事犯というものについては相当な実績を上げておるのではないかと思っております。
  110. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私が本日の委員会におきましてこういったような事件を取り上げましたのは、今、局長の御答弁にもかかわらず、現実においてはこういったような寄付の強要に関する暴力事件が全国的に非常に続発をしている。夏祭りのシーズンといえばシーズンかもしれませんが、また秋祭りということも控えておりますし、そういうことで私の手元に非常にたくさん来ている。ここに手元に持っておりますが、局長に、さらにそういったような事件に対して認識を深めていただく、こういう意味において、私は二、三件今からこれを読んでみますけれども、これも被害者、加害者及び場所もわかっておりますけれども、関東のある町に起こった事件です。部落の神社の祭りの当番が八戸ずつ毎年輪番制で回ってくる。ところが、一部の人がいろいろな事情で寄付と当番を断わった。そうすると、そこの家の前で前後七回にわたって気勢を上げ、みこしをかついで、どすんどすんと家屋にぶつけて、ついに便所の壁をこわす、商売用の扇風機を足でけ飛ばし、電気の差し込みスイッチをこわした。そうして酒を飲んで二十四、五名のものが上がり込んで、留守中の中学一年の娘さんを取り囲んで畳に裁ちばさみを突きつけて、お前らは村から出て行け、山の方へ行け、このように脅迫した。そこに警察官が二名おったけれども、いつの間にかおらなくなった。そしてその先頭をば町会議員がかついでおった。訴えても警察が取り上げてくれない。やむなくもよりの地方議員に出向いてもらって告訴状を作成して交渉したところが、局長のお話——国会でもこういうふうに厳重に取り締まる、このように申されておる。こういうことを申しましても、まあ国会においてはそういったようなこともあるかしれませんけれども、いなかでは署員が少ないからそう簡単にいきませんよ。やむを得ないから県警本部に依頼して事件を目下処理中だ。  またこれも関東のある町、村八分の事件であります。これなんかも相当ひどい。これも部落の中にある神社の改築のために寄付を強要した。私は神社の信徒ではないのでという理由で寄付を断わった。そうすると、部落民は総会を開いて村八分を決議し、その結果、たばこ耕作組合を分離する、自治会を分離する、そうしてその他一切の組合を分離して、部落共有財産の分配を停止した。そうして小児麻痺の予防接種の通知が回覧をされたにかかわらず、それも回さずに、ついに接種ができなかった。あるいは農協より和牛の購入の通知があったが、これも知らせてくれなかった。また、マムシよりおそろしいといわれておるところの猛毒のあるヤマカガシというヘビをば四匹も家に投げ込まれて、とうとうそこの人は神経衰弱になって、精神的に大きなショックを受けた。そこで、警察署に口頭で訴えたところ、面接をしたところの次席警部がこういうことを言っておる。寄付を出せば解決するのじゃないか、自分で問題を起こして警察に持ってくるやつがあるか、このように叱責された。しょうがないので、これまた知り合いの地方議員に出向いてもらった。そうすると、署長は、それは民事不介入のために言を左右にして被害者の立場を無視した態度に出た。やむなく法務局を通じて地検に告訴した。  それから、これも関東の一例でございますが、三十一年から本年、三十六年まで、連続六回も大被害を受けている。その間に一回も取り上げない。この内容は、本人からも来ておりますので読んで見ますが、まず、昭和三十一年のみこしのかつぎ込みの暴行ですね。ちょうど大売り出し中であり、店先も商品を積んでおりました。ところが、柱や商品に多くの被害を受けた。昭和三十二年、四、五十人の人々が口口にわめきながら店の中にみこしを突っ込み、陳列台を二台、並びに店の商品台をめちゃめちゃにして商品を全部ひっくり返し、螢光灯を破壊するという暴挙に出た。今度は昭和三十三年は、売り台を二台破壊され、商品の損害も多大に上がりました。昭和三十四年、服地台並びに店の西側のへい及び入口を破壊され、このときも大損害をこうむりました。三十五年は店の東側の門を破壊し、柱を根こそぎ持ち上げて羽目板をぶちこわした。そうして最後に、こういうことを言っている。しかし私は祭りの寄付はできない。これは私の宗教上の信念である。そのかわりに、神社には寄付はしない、けれども、三十四年には町に四千円ぐらいの柱時計も寄附をしておる。また一昨年、昨年と青年会の旅行のときは寄付をしたり、祭り以外のことについては、他の人よりも積極的に協力をしておる。しかるに、このような暴挙を繰り返したということは民主主義の破壊であり、社会秩序の破壊であり、国民の権利義務を根底から破る暴挙であります。まじめな国民が安心して生活を営むことのできるよう厳重なる取り調べをばお願いいたします。これは本人から来ているわけです。そこで、これも過去五年間の暴挙に対して警察に訴えても取り上げてくれなかった。それでもよりの地方議員と四、五名行って次席に会って、三十一年以来の怠慢を責めて告訴状を突きつけて強硬に談判したところ、やっと取り調べに行った。  こういった例をあげれば私は資料をたくさんここに持っている。ですから、こういうことでは、局長さんがどのようにこの委員会において答弁をなさっても、私はどうも信用できないような気がするわけですが、これに対して局長さんはどのようにお考えになるか、それをお伺いします。
  111. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) 先ほど申し上げましたように、いろいろの会議で指示いたしましたり、あるいは公文書で通達をいたしてこれらの面の徹底方については、微力ながら精根を打ち込んでいるわけでございますが、そういう点について努力をする責任については確信を持って申し上げられると思いますが、全国の非常に各方面にわたっての問題でありますので、絶対にそれが百パーセント浸透するというようなことは、あるいは不可能に近いと思いますけれども、できるだけそれに近いように指示なり通達の内容が徹底するように努力して参りたいと、こういうふうに考えております。
  112. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そこで、私はもう一つの具体的な事件をあげてお伺いをいたしますが、これも関東の一例です。最近起こった事件でございますが、やはり祭りに際して、みこしをかつぎ込み、三回も四回もぶつけて鉄製の窓ワク及びガラス戸をめちゃめちゃにこわして、窓の下のタイル張りを二メートル平方も破壊した。現場に警官が二名もいたが停止もせず、質問をするというと、私は道路の整理をしているんだと、このように弁解をしておる。警察に訴えたところが、署長が言うには、祭りのこと、だからいいじゃないか、どうしても訴えるならば告訴状を出せ、そうしなければ捜査ができない、こういったようなことを現職の署長が言っているわけです。この署長の態度はこれでよいのか悪いのか、責任ある答弁を承りたい。
  113. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) 今の事実について私の方で調査を完了いたしておりませんので、それについての具体的な返答は申しかねますけれども、かりに署長がそういう言動をしておりましたとすれば、これはまずいのでございまして、祭りに関連したもちろん特殊の雰囲気であっても、いやしくも人の身体に危害を加える、あるいは人の器物に損壊を加える、あるいは脅迫をするというようなことは、その原因あるいはその動機のいかんにかかわらず、厳正に取り締まるべきだと私は思います。また、そういうふうに指導して参りたいと思います。  また告訴について、書面でなければ捜査ができないというようなことは、これは間違いでありまして、刑事訴訟法二百四十一条にありますように、口頭または書面をもって告訴または告発ができると、こういうふうになっておりますので、もちろん口頭でいいわけであります。しかし、書面ではっきりその告訴の人の告訴意思といいますか、制裁を求める意思というものを明確にしていただき、また、その内容が具体的に出てきますと捜査には非常に便利でございますので、まあ告訴状を出しでいただいた方が、調査したり、捜査したり、あるいは検察庁に事件を送るという場合に非常に便宜かと思います。しかし、告訴状を出さなければ、書面でなければならないということは誤りでございます。
  114. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあ、今申し上げたようなこういった暴力事件について、実際現実においてそういった罪を犯しておるわけであります。こういうものは現行犯として逮捕できないものか。まあ、私は逮捕できるのじゃないか、こういうことも考えておるわけでありますが、いかがですか。
  115. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) 器物毀棄、脅迫などがありまして、その現行犯を——現に現行されておるという場合には、何人といえども原則として逮捕ができるということに、たしか三年以下の懲役でありますので逮捕できると思います。ただ、その場の雰囲気をよほどうまく見ませんと、かえってその大ぜいの中で一人、二人を検挙することによって非常に紛争が——むずかしくなったり、あるいは騒ぎが大きくなることもありますので、そういう治安も考えなければいけません。それから捜査は、一応原則として任意捜査という建前で、できるだけ人権を尊重しながら任意捜査をする。強制捜査、身柄を拘束してやる捜査というのは必要の限度でやるというのが現在の警察の根本方針でありますので、そういう場合におきまして、現行犯だから必ず逮捕しなければいかぬということでなくて、現行犯の場合は、逮捕することができるということは、その諸般の事情を勘案しながら善処していく、こういうふうに考えております。
  116. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 現行犯となればいろいろな技術的な問題もございますので、私はこれ以上お伺いしませんが、告訴をした場合、ただいまの答弁にもあったわけですが、書類をもって告訴状を出した場合は、当然これは捜査——書類を出した場合は若干捜査上便宜ではある。けれども、口頭でも当然調べなければならない義務があると、こういうわけですね。
  117. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) そうです。
  118. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで告訴を受けた場合に、署長はどのような義務があるのか、それをお伺いいたします。
  119. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) 告訴を受けました場合に、第一には、警察法第二条の規定に基づきまして、犯罪捜査の義務を署長及び警察官が負っておりますので、当然その犯罪捜査の義務を果たさなければいけません。それから第二には、刑事訴訟法百八十九条の定めによりまして、犯罪ありと思料するときは捜査を行なわなければならない、こういうふうになっておりますので、当然これも活動を開始しなければならない。さらに刑事訴訟法二百四十二条に基づきまして、告訴がありました場合に、その告訴に関する書類あるいは証拠物というものをすみやかに検察官に送致しなければならない、こういう義務が付加されておりますので、当然告訴を受けた場合には、署長はそれに必要な調査をいたし、捜査をいたしまして、できるだけ早く検察庁にこれを引き継ぐ、こういうふうにしなければならない義務がございます。
  120. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますというと、告訴状を警察に出すと、いかなる場合でもこれは取り調べなければならない義務があるわけですね。それで告訴状を出して、全然捜査に入らない、そういった署長はこれは当然職務怠慢である、そのようにみなしてもよろしいか。
  121. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) 刑事訴訟法には書類及び証拠物をすみやかに検察官に送致しなければならない、こういうことになっておりますので、当然それに必要な調査をしなければいかぬと思いますが、ただ、署長といたして本人を呼び出して、すなわち、被告訴人を呼び出して調べる、あるいは関係参考人を調べるというようなことが絶対に必要だというようには考えられませんけれども、大体において告訴を受けた場合には、そういう方面の捜査も開始しなければならない。当然その捜査の結果を検察庁に送らなければならないということでありますので、その必要な場合にそれをやっていないという場合には、署長の職責を全うしておるとは言えないと思います。
  122. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そういったような職務怠慢の署長なんかは、局長からお考えになれば、おそらくないとお考えになるかしれませんが、もしあるとすれば、当局としてどのような処置をおとりになるのか、くどいようですが、参考のためにお伺いしたい。
  123. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) 一般的には国家公安委員会が各都道府県警察に対しまして——都道府県警察は自治体警察でありますので、それぞれ独立の性質を持っております。しかし、その間における警察行政調整しなければならないということで国家公安委員会調整をする、その調整権に基づいていろいろ指示する、指導する、その手足として警察庁がその面に沿って指示、指導をしなければならないということが一つの問題であります。  それから具体的にもしかりに非常に署長に職務怠慢あるいは規律違反のことがあったということでありますれば、その懲戒問題が出てくる。この懲戒問題につきましては、警視以下は地方公務員でありますので、警察本部長権限、それから警視正以上は国家公安委員会権限で懲戒することになりますので、警察署長の場合、警視正の場合もあります。国家公務員の身分であれば国家公安委員会調査事案の対象になると思います。
  124. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いろいろと御答弁をいただいたわけでございますが、言うまでもなく警察は人の生命財産を守り、また犯罪の予防、また捜査に当たるのがその任務でございますので、今申し上げましたように、第一線の一部の人と思いますけれども、署長の態度に私は大いに不満を持っておる。そこで、繰り返して申し上げますけれども、宗教の自由というのは、憲法においても保障されておる。それにもかかわらず、現職の署長が被害者に対して、寄付をしないのが悪いじゃないか、すれば問題が解決するのじゃないか、あるいは国会委員会等において、局長がそういったような答弁をしても、地方におきましては、署員も少ないから、そう簡単にいきませんよとか、あるいは町会議員や市会議員の圧力に押されて、全然タッチをしない、このような怠慢な署長に対してどのように監督指導をなさっておるのか、これをお伺いしたい。
  125. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) 先ほど申し上げましたような一般的な指示、指導あるいは懲戒問題という問題以外に、結局署長の人選ということが非常に大きな問題でありまして、署長というものは第一線でほんとうにじかに県民、市町村民と接触して、じかにいろいろ権限を行使しているのでありますから、非常に重要な立場にあると思います。従いまして、その署長の人選ということは、第一線の警察本部長の人事権としてはきわめて大きな問題であろうと思いますので、その人事を誤れば非常に弊害も起こるし、人事を適正にやれば正しい警察行政が行なわれるのでありますから、当然人事の問題が大きな問題である。  それから幹部の教養という問題がありまして、これは警察大学校におきまして、現任教養を警視についてやっております。全国の警視をそれぞれ必要に応じて何回か繰り返して現任教養をいたす、また警察署長になる前に警部試験がありますので、その警部試験に合格した者は必ず警察大学校で一年間訓練を受けるということでありまして、その一年間の訓練の場合に、一番問題はやはり署長の人柄、署長の人格というものを最も大切な面として特に対外的なヒューマン・リレーション、部内の人間関係というものについて十分署長としては素養を持ち得るような方向に教養していくということが重要でありまして、警察大学校においては特にその幹部の教養ということに特段の力を入れているような次第であります。
  126. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあ本部長会議なり、あるいは通達等も当然必要なことでございますが、要は、そういったようなことがどこまで徹底をして、どのように実行されるか、ここまで一つ局長さんによく目を通していただきたいと思う。私はこれを要望する。それで、今後このような怠慢な署長が出ないように、局長としても末端の第一線の実情をよく把握した上、適切なる指導をなさる意思があるか、そうしてこのような委員会におけるところの局長の答弁を絶対に私は信じてもよろしいか、信じたいと思いますけれども、その答弁を承わりまして私の質疑は終わりたいと思います。
  127. 木村行蔵

    説明員木村行蔵君) 先ほども申し上げましたように、実際に全国の津々浦々の交番に至るまで、中央の方針を徹底さしていくということは非常にむずかしいことは御想像いただけると思います。しかし、委員会でこういうふうにたびたび論議されております問題でもありますし、また政府においても暴力犯罪防止という大きな方針を立てておりますし、われわれも町の暴力、目に見えない暴力というものの防止に徹底するというような点については、責任をもって努力をして参りたい。そういう面において御信頼いただければ非常に幸いだと思います。
  128. 鍋島直紹

    理事鍋島直紹君) 本件につきましては、この程度といたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  129. 鍋島直紹

    理事鍋島直紹君) 速記を起こして下さい。  ただいまの申し合わせによりまして、委員会の申し合わせといたしまして住宅建築の単価、学校建築の単価及び一般公共事業単価の増額是正の問題につきましては、当委員会の意思として、申し合わせ事項をそれぞれ委員長の責任において関係政府機関に申し入れることにいたしたいと思います。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 鍋島直紹

    理事鍋島直紹君) 御異議ないと認めます。  では本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十二分散会    ————————