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1961-03-23 第38回国会 参議院 社会労働委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月二十三日(木曜日)    午前十一時九分開会   —————————————   委員異動 本日委員坂本昭君及び阿部竹松君辞任 につき、その補欠として鈴木強君及び 久保等君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     吉武 恵市君    理事            加藤 武徳君            高野 一夫君            藤田藤太郎君    委員            鹿島 俊雄君            勝俣  稔君            紅露 みつ君            徳永 正利君            久保  等君            小柳  勇君            相馬 助治君            村尾 重雄君            竹中 恒夫君   国務大臣    労 働 大 臣 石田 博英君   政府委員    通商産業省鉱山    保安局長    小岩井康朔君    労働政務次官  柴田  栄君    労働省労政局長 冨樫 総一君    労働省労働基準    局長      大島  靖君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    労働省労政局福    祉共済課長   坂本 一衛君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○労働情勢に関する調査  (一般労働行政に関する件) ○中小企業退職金共済法の一部を改正  する法律案内閣送付予備審査) ○参考人出席要求に関する件   —————————————
  2. 高野一夫

    理事高野一夫君) ただいまから本日の委員会を開会いたします。  まず、委員異動報告いたします。  三月二十三日付をもって坂本昭君が辞任せられ、その補欠として鈴木強君が選任せられました。   —————————————
  3. 高野一夫

    理事高野一夫君) 労働情勢に関する調査の一環として、一般労働行政に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 相馬助治

    相馬助治君 このたびわれわれの同僚議員川上為治君を団長として、吉武、牛田、阿部、阿具根並びに私、現地より小柳勇委員が参加をされまして、三月十八日夜こちらを出発し、十九、二十日にわたって現地において大辻炭礦災害調査をいたしました。団長より議長に対してその災害調査報告はなされているはずでありますが、この際私は、この目でその災害を見て参ったものといたしまして、当局に対して若干の質問をいたしたいと思うのでございます。  この大辻炭礦災害について、一般に知られておりまするように、今日犠牲になられた方々遺体が搬出されたと新聞で報道されておりますが、私ども調査を了したその時刻においては、二名の方の死体が搬出されたというところでありました。従いまして、この際、当局よりその後の状況について概略承っておきたいと思うのです。
  5. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 先生方の参りましたその後の状況、ちょっとその境がはっきりいたしませんので、まあ私どもの方でわかっておりますのは、大体現地から報告を受けておりますのは、二十一日の夜、七時四十五分に全員遺体の収容をまあ終了した、こういう報告は受けております。ただその後、まだ煙もあるし、すぐに調査にかかれるかどうか、調査にかかったというはっきりした連絡を受けておりません。もう調査に入っているのではないかというまあ想像をいたしておりますが、まあ本省からもやっております私ども監督官現地へずっと詰めまして、入坑できるのを待って直ちに調査を開始するようにという、待機の姿勢をとっておりますのでその後のこまかい報告はまだちょっといたしかねますが、大体大辻炭礦全般の概略が御必要ならば御説明いたしたいと思います。
  6. 相馬助治

    相馬助治君 従いまして、コンプレッサー室よりの発火と推定されるという程度で、原因その他についての調査はいまだ報告する段階に至っていないわけですか。
  7. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) さようでございます。
  8. 相馬助治

    相馬助治君 いまだ完全に調査が終わっていないという段階ではございますけれども、この際質問をいたしたいと思いますことは、とにもかくにもそういう災害が発生して多くの犠牲者が出たということ、この現実は動かすことができないのであって、一体この責任はどこにあるのかということをわれわれとしては究明しなければならないと思うのです。現地における保安部長以下関係職員のこれに対する善後措置というものはまことに熱心であって、しかも昼夜を分かたずこれに努力をされて、しょうすいの極に達している程度努力されているということは、率直に認める。心から私ども調査団は、その苦労に対して感謝して参ったのです。  それと問題は別に、一体こういう災害がどうして起きたのかということになれば、やはり保安監督責任が万全を期していたのであろうかどうかということに考えなければならないわけです。コンプレッサー室のある場所、それが炭層にごく近いというような場所、それからまた、コンプレッサー室というものが、労働組合その他からはコンクリートの柱に取りかえてもらいたい、こういうようなことが再度にわたって要望されていたにもかかわらず、それらのものが修理されず、聞くところによれば、瓜生所長はその前日早急にコンクリートに柱をかえなくてはならないと人に語っている事実がある。それにしても、ともかくこのコンプレッサー室から火が出て、こういう大事件を引き起こしたという、このことから考えてみると、保安監督が万全であったとは、結果論からではありますけれども、思えないのです。ところが、今度保安官の方をよくこれを聞いてみると、非常に乏しい旅費で、そうして激務で、暗い坑内調査に行くのに常に単身である。しかもその仕事は労使の間にはさまって、きわめて微妙である。そうしてこういう現行法規のもと、そうしてこの乏しい予算のもとでは、十分保安監督の実をあげ得ないと、その保安監督官諸君がわれわれに訴えておる。こういうような状態ですから、われわれは一方的に保安官のその措置のみを責められないような気持もいたしております。この際政府としては、との事件に関して、特に保安立場からいたして、どのように責任を感じておられるのか、そうしてこのたびの災害を教訓として、将来どのようなこれが救済の構想をお持ちであるか、この際承っておきたいと思います。
  9. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 私どもの従来の監督が決して私自身万全であったというふうには考えておりませんけれども、今先生お話のように、監督官自身は非常にむずかしい困難な仕事を、非常に大きな努力を払って監督をしてもらっておると、私自身考えております。私自身も長い監督官生活を実際に経験いたしておりますので、その辺の点は十二分に自分ではわかっておるつもりでございます。現在の監督官制度もいろいろ工夫はこらしておりますが、もちろんこれで完全な体制であるとも考えておりません。私自身もまあできますことなら、さらに上級監督官制度というものも、いろいろ批評もございますけれども、でき得るものなら実現いたしたい、かように考えておるわけであります。監督官は普通現在の状態ですと、学校を出まして十年、約十年たちますと、だんだん課長になり、部長になりという機構になっておりますので、まあ課長になりますと、やはり課内の全般のものを見るという点から、各山の実際の巡回監督という点からは、完全に離れませんけれども、一応離れざるを得ない、こういうような状態にありますので、従来の監督官は比較的若い層の方々が現場をぐるぐる回っているわけであります。また、これは非常につらい仕事で、体力も要しますので、これはもちろん若い方の方がいいわけであります。あまり年をとって参りますと、なかなか広い坑内を十分に歩き回るということがかなり困難になって参りますので、その点必ずしも若い方々監督官がどんどん元気に歩き回ってもらうという点は、差しつかえないと考えておりますが、なかなか若い監督官でありましても、同じ坑内機電関係採炭関係、それぞれかなり広い分野に分かれておりますので、その中のものを綿密にすべて見てくるということは、なかなかできませんので、もちろん大手の山につきましては、大きく分けまして、機電関係採鉱関係、この二つの専門監督官を別々に派遣いたしております。しかし、中小炭鉱におきましては、別々に二人出すだけの内容がない山もございますので、そういったような山につきましては、機電監督官はもちろん採鉱関係の教育を与える。採鉱関係には機電の概論を与えまして、一人で両方見てくるという態勢を現在とっておるわけであります。これも私、大体可能ではないかということで、私ども監督行政そのものからは、まあ人員の不足予算不足ということも毎年訴えられてはおりますけれども、まあこれが不足だから全然まあ不可能だ、非常に大きく保安に支障を来たすという点につきましては、そうまあひどく痛痒を感じてないわけであります。これはもうなかなか予算だけふやしていただきましても、一人の監督官は大体月に一週間ぐらいまあ下がるのが精一ぱいでありまして、十日とか、あるいは半月ということになりますと、現地派遣班、これはもう炭鉱のごく近くにおりますから、この連中はまあ十日とか、あるいは場合によりましては二週間くらい下がることも可能と思われますが、そうでないところから出ますと、なかなか月に平均して十日坑内に下がるということは、非常にまあ体力的にも大きい負担になってくるわけであります。これは同じ山ですとそういう事情もわかって、その割に回りで見るほど痛痒を感じないのでありますが、全然事情のわからない山に順々に下がるということは、もちろん、まあ大へん体力の消耗にもなるし、骨の折れることでありますので、私どもとしましては、あまり一人の監督官によけいな日数をかけないという方向をとっておるわけであります。まあ監督官制度につきましても、今後でき得ることなら、民間方々も、一定の年数でまあ上級監督官にも一つ中に入っていただいて、まあ官側で独善的な監督をやっているというような批評も幾らかやわらげる。諸外国でも民間監督官方々も採用いたしておるようでありますので、そういった面も、必ずしも外国の例を直ちに日本に採用してよくなるとは考えておりませんけれども、いろいろそんな面も一つ工夫をこらしてみたいと、かように考えております。  それから原因などについて、なぜ、あんな災害を起こすかという点で世間的にも大きく批判を受けておることは、私自身も承知をいたしておるつもりであります。こういった大きい災害を何とか防止できないものかということで、私ども直接責任者が真剣になっておりますが、なかなかこれが満足なる解決ができないのでありますが、最近の災害の例を見ますと、決してまあ従来のように、当然これが非常に大きい手落ちであって大きい災害を起こしたというものと少し趣が違いまして、やはりちょっとそこまでなかなか考えが行き届かなかったと思われるような点から起こっておるのであります。それは豊州炭鉱におきましても、各作業個所はもう何にも災害関係がない、全然離れた、三百メートルも離れた古洞を通じて川底の昔の採掘跡に陥没して水没した。それから上清の場合も、これは原因はほぼ判定いたしておりまして、まだ公表の段階ではございませんけれども現地監督部で見ております点といたしましては、ケーブルが非常に過負荷状態になっておった、あのコンプレッサーケーブルの力の一二〇%ぐらいの、何と申しますか、力以上の力がかかった過負荷状態、こういうふうに表現しておるのでありますが、それがまた、百馬力コンプレッサー並列運転になっておりまして、百馬力の方の空気が五十の方に逆流しておるように見られて、その過負荷状態がさらに一そう過大な状態になっておった疑いがある。従って、ケーブルそれ自体が乱雑に地上に配線されておって、そうして水とか油でそれが非常に弱められて、そういった状態で、ケーブル自体から火を発して、油その他のところに燃え移ったというような見方をいたしておるようであります。この点はなお警察とも協力いたし、警察関係指揮によって、今捜査中でございますので、これ以上深く触れることは差し控えたいと、かように考えておりますが、当然綿密な考え方で見れば、結果から見ればわかるはずなんでありますが、一見しては、ちょっとなかなか判定しにくい、機械そのものからの故障ではなく、そういった関係から出ておりまして、大辻の場合も、大辻はもう災害そのものではなくて、災害に対する、作業員としては全員退避してその消火を今度するという、全然別途の方向から幹部以下が下がってしまって、そうして処置を誤ったというよりも、まあ対処の仕方が十分でなかったと申しますか、普通ではちょっと考えられないような事態の急変で大きい変災になってしまった、こういうふうに、決して言いわけではございませんけれども、かなりむずかしい点から原因を発しておる。そこで、私どもも、今後の監督方針といたしましては、非常にむずかしい事態になってきておりますので、全部大きい目からいろいろな点を総合して、炭鉱弱点というものに対して監督を強化していくという方針をとらざるを得ませんので、今後の大きい体質改善に伴いまして、あとう限り大所高所から炭鉱全般趨勢を見て、そうして弱点と思われる点に監督方向を集中さして参りたい、こんなふうに考えておるわけであります。
  10. 相馬助治

    相馬助治君 従前この種の問題が起きて当委員会において取り上げられる場合には、通産大臣並びに監督官直属の長の局長であるあなたにここへ来てもらって、保安監督がけしからぬじゃないかということで一方的に責め立てて、そうして、それで、問題が当局を責める形においてのみ進んだと、こういうふうに思うのです。私は今度、大辻のこの災害を見てしみじみ考えたことは、現地保安官というものは、実に乏しい手当の中に、非常に重大な、しかも、陰惨な任務をしょってよく挺進しておるというこの事実なんです。ですから、私は、どうしても単身調査に行くというような形は好ましくないのではないか、いろいろの立場から、二名で視察をするというような基本線をこの際、政府は打ち出すべきではないかということを、保安官代表者の切々たる訴えを聞いて強く私外委員諸君が感じて参ったのです。ここに小柳委員もいらっしゃるので、おそらくこの点は同感だと思うのですが、現地保安官はまことに容易じゃないのですから、保安法規並びに財政措置についても、政府はこの際、一考を必要とすることを私は指摘しておきたいと思うのです。  それで第二の問題は、先ほど申しましたように、やはり保安監督実績が上がっていなかったのではないかということを追及せざるを得ないのです。そうして九州の状況についていろいろ聞きますというと、従来表彰を受けていた大辻にしてこのありさまである。従って、こういう事故は、これは偶発的でなくて、山が古くなってきておるから今後頻発する趨勢にある、かように人々が訴えておるのです。ですから、この際、この問題を中心にして、よほど当局においても考えてもらわなければならないということを指摘しておきたいと思うのです。  それから第三の問題は中小企業者の経営している山になると、ここに労働省からもおいでになっているようでありまするが、労災保険の掛金すら実は満足にいっていないところがある。事故が起こるというと、急いでかけつけて労災保険を払って何とかしてくれというような事実すらあると聞かせられたわけです。一事が万事こういう調子ですから、中小企業者の経営する炭鉱保安管理状況などというのは大体想像にかたくない。こうなってくると、やはり保安監督官責任を責めるに急になるにはなるけれども保安監督仕事をもうちょっと徹底してやっていただかなければ最後は防ぎ得ないと思う。それのみでは防げないのだけれどもですよ。しかし、まあとにかく保安監督現行法規の中でも、その実績が上がればこれらのものはある程度防ぎ得ると、こういうふうに思うので、この際それらの点について、とくと当局において考えてみてもらわなければならないとこう思うのです。それで大辻の問題について局長はこの事実をどう把握されているか、御参考のために二、三聞きたいと思うのです。  第一、コンプレッサーのある位置が非常に燃えやすい炭層に近い所にあったというこの事実なんです。それで労働組合がこれを何回か抗議を申し込んだので屋根の上を一度くりぬいたそうです。しかし、これは非常に手間がかかるのだそうです。私不勉強ですが、炭坑の中というものを全然知りません、見たことありません。ですから質問が若干的はずれなところもあるかもしれませんが、われわれの調査の結果によると、コンプレッサー位置というものが非常にまずかったというのです。保安監督コンプレッサー位置をきめるなんという場合には現実にはどうなっているのですか。その場所について、設置について申請でもしてそれを許可するということになっているのか。これは勝手なのか、その点を一つ伺いたい。  それからコンプレッサー室構造等については一定基準があるかどうかということ。あるとすればどういうふうになっているかということ。これはないとすれば私は非常におかしいと思うのです。燃えやすい石炭山の中にコンプレッサー室がある。コンプレッサーというものは動いているうちに熱を発することは明瞭である、熱を発すれば火になることもこれもまた明瞭である。そういうふうな角度からコンプレッサー室設置基準構造基準等があるのかないのか、その監督権があるのかないのか、これをちょっと局長に承っておきたい。
  11. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 現在のコンプレッサーに関しましては、五十馬力以下のものは自由設置になっております。五十馬力以上のものになりますというと届出をすることになっておりまして、どういったコンプレッサーをどういう所にどのようなふうに設置するかという内容のものを届けて参ります。もちろんこれはもう基準というものは別個にはございませんけれども保安規則がございまして、そういったものは防火構造にするということで当然その室内の機械そのものから、あるいはスイッチ関係から、あるいはケーブルからもしも万一火を吹くようなことがあっても延焼に至らないという程度防火構造及び消火施設、こういうものを必ず備えつけておくということを規則できめてございます。その内容につきましては専門監督官が随時監督に参りましたつど内容を見て、悪ければもちろん直させるというような方法をとっておりまして、まあ大辻の場合もまだ内容よくわかりませんけれども、今お話のような炭層が一部何か顔を出している、炭層の近くの位置にあったということは間違いないようであります。それから監督官自身は、防火構造の点について不備の点をちょっと伝えているようですが、その内容が詳細にまだどんな点を不備として指摘したか、その点もう少し内容報告させませんとわかりませんが、監督部長は、まあ大辻の場合はあの程度で普通ではないかという見方をしているようでありますが、その辺実情を十分調査いたしまして的確な判断をつけてみたい、かように考えております。上清の場合におきましては、これは私どもも実際に見まして、あれが防火構造であるというにはもちろん不適当でありまして、まあ、あすこの場合ははっきり法規違反を、違法性を認めているようであります。その点もうしばらくしますと、はっきり各責任者責任というものについて明瞭になると思いますが、まあ、はっきりここで申し上げかねますけれども上清の場合にはまあ条例違反というものも考えているようであります。十分な施設でなかった、かように考えることができると思います。
  12. 相馬助治

    相馬助治君 大辻の場合には保安官がやはりコンプレッサー室構造不備について所長に向かって何らかの指示をしているようです、私ども調査によっても。それで所長もまた早急に直さなくちゃならないとその前日言っていた、昼飯を食いながら。あれはコンクリートに早急にしなければならないと言っていた、その前の日に。しかもこういう災害が起きた。そこで今言ったようなコンプレッサー室設置というようなことが許可制でなくて届出制度であるということになりますと、これはやはり将来考えていかなくちゃならないのじゃないか。中共の石炭山なんかではコンプレッサー室というのは全部坑外にあるそうですね。それで私もしろうと考えコンプレッサー室坑外に全部持ち出したらどうだということを言ったところが、これは膨大な金がかかって中小企業の山主じゃどうにもならないのだということを聞いて、私ども専門外ですから、そういうものかと思ったのですけれども、この種の災害が頻発するならば、これはコンプレッサー室坑外に持ち出すか、それが不可能ならば、コンプレッサー室というものの設置については厳重な許可制にでもする以外に手がないのではないかということを指摘しておきたいと思うのです。  第二に、このコンプレッサー室係員専任でないということですね。大辻ではこれの専任かもしれないが、そこから六百メートルばかり離れたポンプ機械その他を兼務しているというのですね。常時このコンプレッサー室にいない。よくほかの山なんかの話を聞いても、コンプレッサー室が二つあると、一人の係員がこっちへ行ったりあっちへ行ったりして監督するのが常時の状態というふうに聞かせられて、私は非常に驚いたのですが、こういうふうなコンプレッサー室の要員についての指導なんというものは、一体どうなっているのかということを一点承っておきたいのです。  それから次には、この大辻災害で阿具根委員阿部委員炭鉱についての実務の経験ある人ですが、これらの人はもちろんのこと、川上団長以下全員が首をかしげたことは、保安管理についてのベテランであり責任者である瓜生所長以下幹部の者が、この消火にあたって、マスクはもちろんのこと、ガス検定器も持たずに坑の中へかけ込んで消火をしているというこの事実なんです。これは普通なのですか、こういうことは。阿具根阿部両氏にすれば、どうもどういう事情かわらぬから即断はできないけれども、不思議でたまらぬと、こう申しておる。一方では、全員入坑していた人が引き揚げて、一部ではガスで頭が痛いと訴えている者がある。一方では、所長以下、最高幹部が全部消火に入ってしまって、だれも指揮していないのです。最高首脳部は全部発火場所にいるのですから、だれも一貫した指揮を行なっていない。全くこのことは、結果的には、おなくなりになった瓜生所長の死屍にむちうつことにあるいはなるかもしれませんけれども実情、われわれには不可思議でたまらぬのです。これは局長はどのように御判断でございますか。
  13. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) コンプレッサー許可制にしたらどうかという御質問でありますが、これはもちろん、こうしてコンプレッサー火災も続き、いろいろ欠陥も多いようでありますから、この点については至急検討いたしたい、かように考えております。  それから係員につきまして人数が不足ではないかというお話でありますが、大辻の場合は、今お話のように、六百メートルは離れておりませんけれどもコンプレッサー室から四十メートル離れた所にポンプ座がございまして、そちらの方に休憩室があって、ポンプの方とコンプレッサーの方と、両方かけ持っておったことは事実でございます。しかしながら、大辻ポンプ自動運転でありまして、最近、私どももできるだけポンプ自動運転にさせておりまして、これはほんとうに自動的にポンプがとまったり動いたりしますので、たまたま休憩室ポンプ座の方にあった関係で、ちょっとどうも、反対の方から火災が起こっているので少しまずいのでありますが、ポンプ座は今お話のように、自動運転でございますから、もちろん、そう常時ついている必要もないし、主としてコンポレッサーを中心に見ることができるという判断監督官もしておったのではないかというふうに見ております。しかし、この辺、実態をさらに一そう詳細に検討いたしまして、適当に処置をつけていきたい、かように考えております。  それから最後の、なぜベテランである所長以下があんな無謀な結果になってしまったかという点は、これは新聞で、当時の入坑者が全員昇坑して、あとから二十六名入って行方不明になったという中間の実情がすっかり抜けてしまっておりますので、私どもも新聞の報道だけで、一体どうしたことかという、全く先生方と同じように理解が全然できなかったのでありますが、大ざっぱではありまするけれども、ごくあらましの現地からの報告を受けますと、決して実際はそうでなくて、私ども想像いたしましたように、非常に慎重な態度をとっているのであります。  これは、多少時間が私は狂うと思いますが、現地でもいろいろな聞き取りから、それを総合調整をとってつじつまを合わせたものを私ども報告いたしますので、あるいはこれは内容がまた変わるのではないかと思いますけれども、実際、所長が入坑しましたのは約三時——火災が起こりましてから三時間、坑外でじっくり指揮をとっているわけであります。詳細はわかりませんけれども、決して二十六名が一緒に入ったのではなくて、やはり順次ばらばらに、それぞれの者がそれぞれの目的を持って入っておりまして、所長坑外からいろいろな指揮をとって、三時前後まで坑外にいたことは確かのようであります。坑内に下がりましても、検出器を持って入ったかどうかという点については、まだはっきりはわかっておりませんけれども、一時坑内が消えたというような連絡も受けておりますし、十二分に御本人としては、環境を判断しながら指揮をして自分でも入坑したものというふうに私ども判断される点がかなり濃厚に判明いたしてきているわけであります。坑内の情勢も、四時五十分までは連絡がありまして、全員無事にそれぞれの仕事をやっておったようでありますが、ただ四時五十分に、坑内から酸素ボンベを送れということの連絡があったことも事実のようであります。  それから先がちっとおかしくなっておるところを見ますと、まあ何人かがガスで参ったんで、まあ置いて逃げるわけにもいかぬし、酸素ボンベを急送しろという連絡で、それから先は少し無理をしたのではないかと——これはもちろん想像でございますけれども、無理を多少したのではないか。四時五十分までは、はっきり坑内からの連絡もあるし、ただそのころ酸素ボンベを至急送ってくれというところの辺から、だれか隊員の中に工合の悪い方が出て、それをほって逃げるわけにもいかぬというところで処置をつけようという気持になったんではないかというふうに一応想像されるのでありますが、それから先が不明になっておりまして、もう六時ごろには全然連絡はつかぬというので、ほんのわずかの何かの急変があったんではないか。これはあとで判明しておるのでありますが、坑道の一部が崩落をいたしておるようでありますので、そういった関係で、急に、扇風機がとまっておりますし、通気の状態が変わって、従来の判断とは違う現象が出てきて、そしてそういう入坑者の一部にガス中毒者が出たのではないか。これももちろん想像でありますから、実際もう少し現地調査を待つ以外にないと思いますが、大体そんなようなあらましの状況報告を受けておりますので、私どもが当初に考えておりました二十六名が一緒に何も持たずにさっと下がって全員いってしまったというのではなくて、やはり所長としてはできるだけ坑外で、災害後三時間も指揮をとって、坑内事情の連絡を十分受けながら、まあ責任上現場に下がって、そうして何かの異変によって自分の判断が完全にくつがえされた、こんなふうに考えております。その通りであるかどうかは別にいたしまして、大体こんな輪郭であったのではないかという報告を受けておりますので、御報告いたしたわけでございます。
  14. 相馬助治

    相馬助治君 私たちの調査の時点よりあなたの方が新しいのでしょうから、それを私信じます。しかし、とにもかくにも、こういう最高幹部が全部消火に入坑してこの犠牲になったという事実は事実として動かしがたいので、私たちが話を聞いてみてわかったことは、瓜生さんという人は、非常にりっぱな人なんですね。そうして鉱夫さんはじめ、所内の幹部から非常なやっぱり尊敬を受けていた人なんですね。六十才をこえているけれども、陣頭指揮の人なんですね。ですから、察するに、この人が、「それ、火を消すんだ」、こう張り込んで入坑して参れば、みんなあとをついて行く。また、ついて行かざるを得ない。こういう状況だと思うのですね。この職員録を見ればわかりますが、全部これ入坑しているのですからね、責任者が。——所長でしょう。庶務部長、採礦課長、ほかの山の採礦課長が来ていたのも二人一緒に入った。それから保安課長、工作部次長、電気関係責任者保安責任者、そこへ持ってきて、労働組合保安部長、書記長、こういう幹部というものは一人残らず入坑してこういうふうに犠牲になっている。この姿を見ると、これはやはり異常な状態だと事実問題として指摘せざるを得ない。ただ、私の質問が、なくなられたこれらの人の死屍にむちうつようになるのは私の本意ではない。本意ではないけれども局長報告ではありますけれども、われわれの調査では、一時三十分に火が出て、二時にはもう所長は先頭に立って入坑されているという事実がある。これは私は責任者から聞いた。ですから、あなたのは時点が新しくての報告であろうから、私は一応あなたの報告を信じておくのですけれども、とにかくこれは異常な災害だと思うのです。従って、こういうものを政府では十分教訓的にくみ取って、平常の保安指導、それから非常における保安指揮系統、こういうようなものについても十分検討されることを私は期待しておきます。  それからもう一つ上清の問題なのですが、この問題にも重大な関連があると思うのですが、課長補佐の方が自殺されましたですね。その辺の問題については、それぞれ新聞が報道いたしておりまするが、この際責任者であるあなたから、差しつかえなかったらその概要を承っておきたい。
  15. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 私ちょうど現地に行っておりますときに、本人が自殺いたしたのでありますが、その朝連絡を受けまして、さっそく現地監督部長にお見舞に行ってもらったのですが、本人の遺書もきわめて簡単な遺書でありまして、家族にごく簡単に触れまして、あと次のページに、局長部長課長に御迷惑をかけて済まないという意思表示で、私もそれらの本人の遺書の点から見まして、あるいは本人の性格、本人の現在のポスト、そういうような点から見まして、どうも今回の谷君の自殺は、上清炭鉱災害だけを非常にみずから悩んで、そしてついに意を決したのではないかと思われる点が非常に濃厚に感ぜられるわけであります。それは、上清炭鉱があれだけ大きい災害を起こしました最後の巡回監督官が谷君だった、しかも谷君は、監督部のもう一番最古参の機械電気の専門監督官でありまして、しかも自分が入念に見ることができなかったそのコンプレッサー原因があって火災を起こして、ああいう事故になったという点で、非常に本人としては自分の巡回監督を強く悩んでおったようであります。たまたま参院の先生方に説明を求められて出ます前にも、第一課長にその答弁の仕方について相談に来たくらいにかなり悩んでおったようであります。それから自分は責任をとるということを家族だの、あるいは仲間の監督官にも漏らしておったようでございますが、聞いた監督官も、責任をとるということは、やめるのだというくらいに考えておりまして、とても自殺するというようには、聞いた者も家族の者も全然考えていなかった、やめるならやめてもしようがないじゃないかというくらいに家族も——奥さんの話ですが、考えておりまして、死ぬという点はだれも考えていなかった。そういった点から総合いたしまして、どうも今のポストも現在は機電課を離れて管理課の課長補佐ということで、ちょっと第一線を離れたようなところにおりますし、仕事関係から特に第一課長から嘱望されて上清炭鉱を巡回したという結果もあり、ほかに何か大きい問題があるのじゃないかという世間の見方に対して、私はもうお調べになっていると思いまするが、そういった点は出てこないのじゃないか、おそらく本人があの問題をもう非常に大きくみずから悩んで、そうして責任を感じて自殺に至ったのじゃないか、こんなふうに考えております。この点については、私ども上司として本人に深い同情を申し上げる次第であります。本人のあとの家族の始末その他につきましては、私どもとしてできる限りの方途を講じたいということで、今準備を進めております。
  16. 相馬助治

    相馬助治君 ちょっと速記をとめて下さい。
  17. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  18. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記をつけて。
  19. 相馬助治

    相馬助治君 私は通産省に対する質問は以上で終わりますが、要するに、もう非常にこれは不幸な状態なので、今後保安監督の実を十分あげるように強く要望します。
  20. 徳永正利

    ○徳永正利君 ちょっと関連しまして。  先ほど私、議運で席を立って聞き漏らしましたが、コンプレッサー設置が五十馬力以上は届出制、届け出るだけだ、許可は要らないのですか。
  21. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) ちょっと私、馬力と申したようでありますが、五十キロワットで、五十キロワット以上は届出であります。それ以下は自由設置。ちょっとそれを間違えましたので、訂正いたしておきます。
  22. 徳永正利

    ○徳永正利君 わかりました。それでわかりましたが、その届け出て、これはいかぬと言ってあなたの方で変更させるなり、あるいは指示した今まで例がございますか。
  23. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) もちろん例があると思いますが、中央に報告されておりませんので、まあ大辻の場合を見ましても、監督官が参りまして防火構造になっていないという点を指摘しているところを見ますと、もちろん届出の場合にも、修正を要するものは直さして届出をやり直さしておりますが、その後設置されてからでも、工合の悪い点は順次監督官が指摘をいたしているのでございます。
  24. 小柳勇

    小柳勇君 相馬委員質問に関連して質問いたしますが、この保安規程というものは、鉱山保安法の十条で、各山では作らなければならぬわけですね。これは保安規程をずっと読んでみますと、この規程を守ってさえおれば今まで起きましたような二つの事故——大辻炭礦上清炭鉱事故は防げたという気がしてならぬのですが、このコンプレッサー室構造についても相当きびしい制限があるようです。こういうものについてこの構造などというものは検査ではなくて、炭坑が開業したらすぐにわかるのですね。そういう開業のときの検査についてはだれがやっているのですか。
  25. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) もちろん監督官がやっておりまして、この保安規程のお話が出ましたけれども保安規程は、労務者五十名以上のところには全部この規程を持たなければいかぬということになっておりまして、各山にこの規程ができております。この規程は、保安法、保安規則で当然守らなければいかぬ。さらに規則にうたっていないようなものも、その山が自主的に、それぞれの事情が非常に山によって違いますので、その山に応じたこまかい保安規程というものを作って、そうしてそれは山の方が自主的に守っていく。従って、保安規程の違反には罰則も何もございません。ほんとうに自主的にやってもらいたい。大きいところは保安法、保安規定でやって参りまして、それに漏れるような各山の特殊事情に応じたきめがその山のいわゆる保安規程になっているのでありまして、従って、保安規程は自主的に山がきめてそうして山が守るという体裁のものでありまするけれども、もちろん私どももその保安規程できめられている内容のものが実施されているかどうかという点についても、重ねて見ることにいたしてはおります。
  26. 小柳勇

    小柳勇君 いや、この鉱山保安法十条によって、鉱業所では保安規程を作らなければならぬと書いてあります。義務づけております。それから鉱山労働者は保安規程を守らなければならないと義務づけてあります。そうしますと、この鉱山保安法十条によって山が保安規程を作らなければ、それは鉱山保安違反ではないのですか。
  27. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 当然もう違反でございます。
  28. 小柳勇

    小柳勇君 そうでしょう。その保安規程には、コンプレッサー室構造については、A級、B級、C級をきめまして、A級についてはこうこう、B級についてはこうこう、C級についてはごうごうと、こう詳しくきめてあります。その規定を見ますと、さっき相馬委員も言われましたように、大辻炭礦コンプレッサー室炭層があったということです。これによりますと、これは絶対そういうものではならないと書いてあります。そのことはもう山が開設当時わかるはずだが、そういうものはどういうふうなことで検査されたのですかと、こういう質問をしている。
  29. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 炭層が直接顔を出しておったか、あるいは炭層の近くか、その辺まだ調査ができておりませんので、私どももはっきりした報告を受けておりませんが、ときどき耳にはさむのでは、炭層が出ておったのではないかというお話をほかから聞くことがございます。あるいはいろいろな観点から、あるいは私ども炭層の顔を出しているような座にそういった機械が設置されておったのではないかという想像はいたしておりますが、この辺はまあ至急はっきりしたことが判明すると思います。
  30. 小柳勇

    小柳勇君 調査団が行きまして、組合側から意見を聞きましたときに、こういう話があった。コンプレッサー室は完全な部屋ではない、若干心配なところがあった、こういうことを説明して、法規上の対策が必要である、こういう発言をしているのです。そうしますと、この保安規程を守るとすれば、これは上清もですけれども大辻はもっとりっぱな山ですから、大辻の場合は当然こういう保安規程もありますが、その保安規程に照らし合わせるならば、コンプレッサーをああいうところに入れることはできなかったのではないか、その点についてはまだ調査していないということですか。
  31. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) まだその点明瞭になっておりませんが、まあ監督官大辻の場合も防火構造になっていないという点を、防火構造にしろということを、まあどういう点かはうたってありませんけれども、一応監督表で指示しておりますから、その辺はっきりいたしませんけれども、何か防火構造に対しては不適当な面があったのではないか。従いまして、当然山の保安規程にも、私は違反状態になっておるものと推定いたしておりますが、それらの点につきましては、近日まあ明瞭になると思います。
  32. 小柳勇

    小柳勇君 それから上清の方で、相馬委員が言われましたことに関連しますけれどもポンプを二つ一人で受け持っているのです。それから大辻の場合も一人で下におりて行きます。一時間かからぬと帰ってこれないところを一人で受け持っている。こういう機器を取り扱う場合のその山の状況による定員の問題については、監督官は注意するとか、あるいは勧告をする権限はないのですか。
  33. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 私どもに権限として与えられておりますのは、係員が人数が少ない場合、まあ私どもの方でこれは増員する必要があると思われる場合には、増員を命ずることができる。あるいは係員自体の素質がおもしろくなくて、こういう人を係員にしておってはいかぬというふうに認定のできたときには解任を命ずることができる。まあ係員については私の方で解任、増員の命令ができるようになっておりますが、それ以外の有資格者とか指定鉱山労働者といった係員以下の機構につきましては、もちろんこれは山に自主的におまかせしてありまして、私どもの方でまあ選解任と申しますか、そういった権限は全然持っておりません。
  34. 小柳勇

    小柳勇君 保安規程によりますと、機械、電気の係員というものがおるでしょう。その係員監督のもとにポンプを働かせる実際の労働者がおるわけですね。そうしますと、そのポンプ係員が、その二つのポンプを見るということがたった一人ではいけないというならば、そのポンプ係員が当然会社に要求するだけの権限があると思うのだけれども、その点いかがですか。
  35. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) もちろん電気機械の係員は増員の命令ができることになっています。できます。しかし、普通、大がい係員はもう自分の見る範囲というものははっきりいたしておりまして、自分の部下に何人か専任で充てているはずです。従って、上清の場合はちょうど百と五十がもう数メートルの距離にありますので、あれは直接の津川という、これは係員ではありませんけれども専任に見ている者が係員の下の機構でおったわけであります。これがまあ一人でよかったかどうかという点につきましては、もちろん今後私どもの方でも、こういった事故にかんがみまして、それらの人間の分担能力といいますか、管理能力といいますか、そういうものを見まして、足りない場合には方法をとりたいと思っておりますが、こんなようなこまかい点は、山に保安委員会というものがありまして、その山の保安の重要な問題は、その保安委員会調査審議するということになって、わざわざ保安法の非常に新しい法律ができておるわけであります。で、もう労使半々で、その山の保安の重要な問題はみんなその保安委員会で一応諮って解決をしていくという建前で、法律としてはかなり新しい、新味を加えた、保安法の中でもかなり新しい事項なんでありますが、そういった山の保安委員会にはほとんどそういった問題が従来かけられていない。もちろん私ども監督責任も痛感はいたしておりまするが、私どもとしましては、できるだけ、その山のいろいろな問題、たとえば、コンプレッサーの人数が兼務々々で足りないんじゃないか、そんなような問題こそ保安委員会によく諮りまして、増員するなら増員するという方向に実現を得たいのでありますけれども、なかなか、従来せっかく作ってあります法律の、保安委員会というようなものの活用についてはどうも十分にいっておりませんので、今後私ども保安委員会の積極的な活用という面につきましても、中央鉱山保安協議会でもそういった話題が強く出ておりますので、こういった委員会の積極的な活用という面にも十分な協力を払って参りたい、こう考えております。
  36. 小柳勇

    小柳勇君 保安委員会の活用なり、保安規程の順守ですね、こんなりっぱな規程がありましても、これを守らなければ、ただたなの上に飾っておくだけなんですね。まずそういうものを保安監督官というものはよく順守するようにしなければ、山の一部門を見てもだめじゃないかという気が今聞いていたしました。  それから次の問題は、上清の問題に入りますというと、谷さんの保安報告書を読んでみましても、絶縁体が悪いなどと書いてないんです。電気器具の絶縁については良好であると書いてあるわけですね。まあこういうところに責任を感じられたと思いますが、保安監督官が一人で監督するという場合、あるいは検査するということについては、もう結論が出たんですか。あなたの方の局では結論出たんですか。
  37. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 今後監督する場合に二人でやれというお話のようでありますが、もちろん現地の方からもそういった声が出ておりますし、従来ももちろん、少し大きい、中以上の山ですと、一人ではなかなか見られませんので、先ほどちょっと触れましたように、もう二人、三人、一番多いときには七、八人も一緒に行く場合がございます。今後、上田鉱業の特に残った炭鉱は、早急に一斉点検もやらなきゃならぬということも指示しておりますので、こういった点検には少なくとも四人とか、五人とか行く予定にはいたしておりますけれども、通常の原則としてどの山にも二人ずつつけろというお話につきましては、もう少し、予算の点、人員の点もまだ未解決でございますので、それらの点については早急に検討をいたしたいと、かように考えております。
  38. 小柳勇

    小柳勇君 全体的な私どもの見た感じから、あの山がこのような保安規程で見た場合はほとんど営業不可能ではないかというような気もしたんですが、専門家の局長も一緒に入られたんですが、どうですか。あなた方専門家が見て、あの山に対する検査上の考えは。
  39. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 上清炭鉱、私も初めて坑内下がりまして、非常に坑内が荒れている、荒廃しているという感じを受けましたことは事実であります。まあ私が最近の災害を見まして、原因そのものはお互いに因果関係がそう密接にあるとは私自身考えておりませんけれども、ただ一つまあ共通いたしておりますのは、まあいずれも、豊州、上清大辻は、大体まあ炭量がなくなってまあ上がり山、閉山に近いという点については私は共通しているのではないか。特に上清のごときは、全然自鉱内に炭がなくて、隣の鉱区に切羽が入ってしまっているというような状態であります。それから監督官の指示しております監督書の内容を見ましても、坑道の切り広めをしなければいかぬということは、一カ月半から二カ月ごとに行っている監督官がみな同じような指摘をしております。しかし、ただ私どもここで特に誤解をいただかないようにお願いをしたいのは、あの程度の山になりますと、坑道が狭くなっているところを直しますと、今度は別なところが狭くなるというので、まあ監督官が同じような坑道の切り広めを指示いたしておりますけれども、私どもはおそらく場所が違っているのではないか。あんなふうに先生方参りましても、炭車の中へ全く顔を没しなければ、顔を十分出して下がることができないくらいな個所が何カ所かございます。坑道全般が非常に荒廃しているというような山につきましては、私はもちろん従来の考え方でもいけませんし、これはまあ保安だけではなかなか解決のできる問題でないという点も十分に承知いたしております。従いまして、閉山まぎわの山、炭量のほとんどなくなったような山は、今検討しておりますが、やはり合理化の一つ方向として、まあ事業団などで優先的に買い上げてもらう以外にないのではないか。これはもちろん炭鉱経営の原則としましては、もう自分の山が炭量がどのくらいあって、何年ぐらい経営すればもうおしまいになるということは当然わかるわけであります。従って、経営者としてはもう終わりまで完全にいくように、まあ社内体制、経営体制を整えるのがこれは常識でありますが、まあ何と申しますか、とかくまあ中小の炭鉱は、景気のいいときはどんどん派手に使ってしまって、まあ景気が悪くなると、保安の設備も完全にできぬというような事態が実際に起こって参ります。起こってくるからやむを得ないのじゃないかといって放置するわけには参りませんので、まあ私どもは終山まぎわの山につきましての処理につきましては、一そう入念に検討を重ねまして、適当な方法を講じなければ、ただ監督官の度数を増して監督をさせましても、やはりまあ悪いところを直せと申しましても、なかなか直すだけの余力がない。また、その坑内もほとんど炭がありませんから、そういった山に大きく改善を要求しても実現が困難である、こういうような状態の山を、やはり根本的に何かこれを処理する方向をとらない限りは、非常にまあ実質的にむずかしいのではないかという気がいたしますので、閉山まぎわの問題につきましては、慎重にその処理方法をまあ検討中でございます。まあ何かの方法を講じて、保安の改善ができるように、どうしてもできなければまあ買い取りを優先的にできるように方途を講じて参りたい、かように考えております。
  40. 小柳勇

    小柳勇君 閉山間近の山は今幾つあるのか。それから整備事業団に売りに出ている山今幾つあるのか。もし山の名前を言えば、あといろいろ問題が起こるとするならば、数だけでもよろしいから言ってもらいたいと思うのですが、私は昨年豊州炭鉱事故が起こったときに、あの山も売山にされているのではないかと言ったところが、局長は知らないような答弁だったけれども現地の方はそれを前もって知っているわけです。そうすると、売りに出ると鉱員の方も、もうあまり長くないのだから保安設備についてはやむを得ないという気になりはせぬか、事業主はもう近く半年か一年で終わりだから、もうなるべく炭を出せるだけ出す、そうして危険なところは保安設備をするよりは坑道をつぶすということを考えがちであるから、その数だけでももしできたら一つこの際委員会でありますから、名前も発表してもらいたいと思います。
  41. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) これは合理化法に基づきまして事業団がいたしておりますので、私の方ではわかっておりません。ただ、こういった災害にかんがみまして、事業団にお話をつけまして、現地のいわゆる監督部の方ではできるだけ内密に申し出の炭鉱を知らしてもらうように話し合いをつけてございます。
  42. 小柳勇

    小柳勇君 時間がないので、それではあと二問だけにいたしまするが、一つ監督官監督してこれをどこどこを直しなさいと言って注意して、それをやらない場合は、これは明らかにしろうとが考えても事業主の責任だ。それから監督官が不注意にしてこれを発見できなかった、そして不測の事故が起こった場合については監督官責任は若干免れないと思う。まあ事業主の責任はありましょう。それから事業主も不可抗力である、それから監督官も発見できなかったといういわゆる不可抗力の場合と三段階事故があると思いまするが、その場合の遺族の補償の程度というものが、労災も含んで遺族補償の程度という問題がどういうふうに変わってくるのか。私どもは遺族補償の問題については、今までも過去の例も十分調査しておりませんので、御説明願いたい。
  43. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 今お尋ねの原因のいかんによって遺族補償が変わるか変わらないのかというような御質問のようでありますが、もちろん労災の補償につきましては、基準局がおいでになりますが、労働省の方で全責任を持ってやっておられるわけでありますが、もちろんその大きい災害につきましては、重大な過失が経営者側にある場合には、もちろん経営者自身が出すことになっておりますので、労働省の方と十二分な連絡をとって最後の処置をいたしておりますが、もちろんこまかい、非常に数多くの災害がたくさん起こっておりますので、こまかい災害につきましては、一々御照会を受けるということはございませんので、労働省の方で現地の機関が単独に判定をして処置をつけているわけでございます。
  44. 大島靖

    政府委員(大島靖君) 労災保険の遺族補償の問題につきましては、御承知の通り、支給制限の規定がございまして、使用者の故意、過失によります場合は、支給制限が行なわれる。その使用者の故意または過失、その責任の問題についてはおおむね今回のような事件につきましては、鉱山保安監督部の原因の究明を待ちまして措置をいたすことになっております。
  45. 小柳勇

    小柳勇君 それから最後は、豊州炭鉱の問題ですが、昨日調査団の報告をいただきました。それで結論はもう死体の搬出は不可能であるという結論が出ているようでありますが、その場合の一つ質問は、遺族の方はこれで御納得がいったのかどうか。それから二つ目の質問は、この調査団、山田先生は知っておりまするが、その他小岩井さんのほかの方の現在の職歴をお知らせ願いたい。
  46. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 調査団は、団長は九大の山田総長でございます。それから東京から参りました伊木と申します方は東大の教授でございまして、石炭関係責任者責任教授、こういったところでございます。それから現地の兼重という名前が出ておりますが、この方は熊大の教授でありまして、現地の石炭関係ではいろいろな問題に関係を持って、九州の石炭問題の解決には最も適当な方ではないかと、かように考えたわけであります。それから児山という方が団員に載っておりますが、児山さんは元大正鉱業におりました重役でありまして、大正鉱業はたまたま豊州と同じように隣鉱区の中小の小さい山が、これも豪雨で坑口から水が入りまして旧坑を通って隣の大正鉱業に全く同じように一挙にして坑内水没をさせてしまったという経験を持っておりますので、非常に適任ではないか。それからなお、筑豊の排水組合、これもいろいろ鉱区がたくさんございまして坑内を貫通しておりますので、共同して排水をやらなければならぬということで、共同の排水組合ができております。組合にも責任者として関係しておりました方でありますので、こういった問題には最適任者ではあるまいかという観点から児山という方を選んだのであります。あとは私と現地部長でありまして、大体団員のポスト内容につきましては以上の通りであります。
  47. 小柳勇

    小柳勇君 遺族代表の意見を……。
  48. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 調査団が現地に参りましたときに遺族の代表から申し出がございまして、団長にはこういうふうに語っております。自分たちは調査団が全く公平に調査をして下さるものならば、自分たちとしては遺体全員を収容してもらいたい、そういうことを強く希望するけれども、もし調査団がどんな結論が出ようとも、自分たちの考えておる反対の結論がもし出ても、調査団がほんとうに公平に判断して下さるならば、私どもあえて調査団の結論には異議を申しませんと、こういう遺族代表のごあいさつが現地であったわけであります。従って、今調査団の結論を通産省が得まして、そして今その調査団の結論は悲観的な結論でありますので、通産省としましても調査団の意向を尊重せざるを得ないという感じにまあなっておりますけれども、そういった点に関連するいろいろな付随の問題がございますので、大臣としましてはそういった見通しを一応つけてから最後の断定を下したいということで、今それぞれの関係のところに当たっておりますので、近いうちに調査団の結論によりまして通産省最後の処置、方法というものも明らかになるのではないかと、かように考えております。
  49. 小柳勇

    小柳勇君 質問は終わりますが、あと私のお願いと意見ですが、先般私ども現地調査団がいろいろ打ち合わせた結果、保安監督官の定員不足あるいは単独派遣はこれは禁止した方がよかろう、それから保安監督官の待遇をよくするというようなこと、こういう監督行政の強化についてこの際具体的に、抽象的にでなくて、具体的に対策を立ててもらわなければ、国会で幾ら局長にわれわれが責任追及したりしてもしようがないだろうということになるから、この点については予算委員会でも御答弁になったようでありまするが、早急に対策を具体的に対策を立ててもらいたい。  それからあとは山の方でありますけどれも、非常警報器の取りつけ、それから退避訓練、それから石炭合理化臨時措置法の廃止など具体的な問題を検討しておる、われわれも検討いたしておりまするが、早急に対策を立ててもらいたいと思います。それは福岡にはたくさん大辻上清に似た炭鉱があります。保安程度においても、あるいは埋蔵量においても非常に似た山がたくさんありますので、四たびそういう山で災害が起こらないとは断言できませんので、早急にこういう対策を立ててもらいたい。  それから最後は、現在の大辻とそれから上清——豊州については水を入れればそれで終わるでありましょうが、あとの二つの山については今後の措置を特に注意いたしております。炭鉱労働者もそうでありますが、家族も付近の人もみな注意いたしておりますから、上清炭鉱についてはどういう今後の措置がなされるか、それから大辻炭礦についてはどういう措置がなされるか、監督行政の上から非常に注意しておりますから、この措置についても適正にしてもらいたい。  先般の新聞紙上で通産大臣は、事故の発生した責任について閉山することはないというようなことを発表しておられる。また、小岩井局長は、上清炭鉱調査の場合、飛行場で、もし事業主に責任があるとするならば閉山することもあり得るという発言をしておられる。こういうことであれだけ人を殺しておって事業主に責任があるという場合に、それでもなお閉山はしないのか、あるいは鉱業権を取り上げるというような局長の意見などがありまして、私どもとしても個人の意見は持っておりまするが、根本的に考えてもらって、危険な山はこの際鉱業権を取り上げるというような立場で検討していただきませんと、大臣のような発言だけでは今後保安も十分確保されぬと思いますので、この点も一つ通産省全体の問題として御検討願いたいと思います。  いろいろ小さい問題がまだたくさんございますが、まだ事故調査の途中でありますので、早急に原因調査していただきまして、その原因がわかりましたならば、直ちにその事故が四たび発生しないように措置をお願い申し上げる次第であります。  以上で私の質問を終わります。
  50. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 了承しました。  ただいまの中で、私ちょっと気になりますのは、上清の場合に経営者側に悪いところがあればやめさせるというような今お話がちょっとございましたが、私はそれは申したあれはないのでありまして、今後炭鉱全般的に私どもの指摘する点が実施できない、どうしても実施してもらえないような重大な事態の場合には、操業の停止あるいは場合によっては鉱業権の取り消しをいたしますと、これははっきり申し上げております。上清の場合もどうなりますかわかりませんけれども違法性に対してはもう厳重に処置はつける所存でございます。ただ、経営者側に事故責任があればとめるということは、現在実情がまだ判明しておりませんから、そういうことは私は語ったこともございませんし、新聞にでも出ておれば誤りではないかと思います。
  51. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 保安局長はNHKの十六日の午後十時十分から三十分までの炭鉱災害についての放送をお聞きになりましたか。
  52. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 私、忙しくて全然自分の出ているものをまだ聞いておりません。
  53. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 保安局ではこの実態をとらえていますか。
  54. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 実態と申しますか、別にテレビその他のものをとらえておるということはございません。
  55. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 保安局長は、坑内保安について監督するのに何の障害もない状態監督行政をやっておる、こうおっしゃった。この二十分間のラジオ放送を私は聞きました。どういうことが言われておるか、現地のおのおのの各層の人が。私はもう一ぺん聞いてもらいたいと思う。たとえば記者がマイクを向ける、そうすると、炭鉱に働いている御主人が実はと言い出すと、奥さんがうしろからあなたは何を言うのですかと言ってとめる、こういう事態があります。それからその労働組合ですら炭鉱保安の問題について口を開こうとしない、監督官監督署というのを条件に置いて各層の方が意見を言っている。私たちが想像しておったと同じようなことが現地の録音に入ってきている、この二十分間の録音にあなたはそうおっしゃって、保安監督に何の支障もないようにやっているとおっしゃっても、現地上清大辻炭礦災害が起きてからの現地の人の事故の声というものは率直に伝えている、こういうものの実態なり、私は全国の人が炭鉱災害というものはこういうものだ、あの放送を聞いてこういうものだということを、監督行政というものはこういうものだということを考えておられると思う。私も前々から中小炭鉱保安行政について災害について非常に心配していました。監督局長は正常に監督していると今までいつでもそうおっしゃるけれども、事実はそんな甘いものではない、きのうも予算委員会阿部君が質問しておりましたが、千人の従業員を七百人減らして三百人でも、炭鉱は、石炭は同じように、炭は掘っている、炭を掘る人は減らさないと言うが、それでは七百人というのはどこを減らした、保安とか、そういうところの手当てをする人を全部減らして、これが石炭の合理化だ、中小炭鉱の合理化だと、こういうことをあなたも聞いておられると思う、この話を。この実態が、山で働いている方々のほんとうの事故のなまの声だということを知っておられるか、一日終わったならば、きょうも災害がなかったというような感じのなまの声が非常にあれにはぴったりあらゆる各層から出ている。私は、鉱山保安局としては、そういう実態を、あなた方がお行きになっても、そういうことはなかなか言わないでしょう。しかし、そういう実態が全国に放送されているという現実をあなたはよく認識されて、保安の問題と取り組んでもらいたいと思う。あの放送が間違いなら間違いである、山の労働関係はそんなものではないとおっしゃればそれまでであります。それなら今後事故が起きないようにしてもらいたいということを私は言わざるを得ないと思う。  だから、そういう点について、鉱山保安局は無関心であってはいかないと思う。で、実態はどうかということをよくとらえていただきたい。私はそう言いたい。だから、あの録音は正確に言えば夜の十時過ぎでございましたから、正確にその一言々々をここにプリントを持っておりませんが、私の印象に残っている印象はそういう印象です。でNHKにお尋ねしましたところが、あれは九州でやったそうです。今こっちにはないそうですから困っているのですが、鉱山保安監督行政の立場から、むしろそういうものがあればそういうものを作ってきて、これはどこでどういう工合ななまの声だということをお調べになって、その実態を追究するくらいの熱意があってしかるべきだと私は思う。私は残念で仕方がない。ここで表面的なお話を聞いておってもほんとうに残念で仕方がない。そこのところをどうお感じになりますか。で、お聞きになりましたかと——鉱山保安局はそういうような放送があったことを御存じですかと、さっき聞いたのです。そこで私は、今ここでお聞きになっておらないならここでどうこう私は言いません。しかし、よく調べていただきたい、よく調べていただいて、なまの声が、働いている人や町の人のなまの声がこういうものだということをよくお調べになって、そういう隘路がどこにあるかということで、私は具体的に対策を立ててもらいたい。そうでなければ、この鉱山の事故というものは、私はなかなかあの話を聞いていたら、これは大へんなことだという印象を私も持ちました。あれを聞いた人はみな持ったと私は思います。きょうは意見だけにしておきます。
  56. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 現地のなまの声につきましては、新聞は入念に東京の新聞、現地の新聞を送らしておりまして、スクラップにしてあとで入念に見ております。新聞は入念に見るように努めておりますが、ラジオ、テレビはいかんせん私どももできるだけ聞きたいと思っておりまするけれども、ほとんど現在のところ聞くひまがございませんで、唯一の報道は新聞のスクラップによって入念に見るという程度に終わっております。今お話のテレビの点も、私も各所で、いろいろな所に参りますので、一々承っておりますけれども、向こうで逆に怒られましてけんかになるようなこともたびたびございますので、自分でも興奮しておるようなときもございますし、十二分に自分の言った筋はわかっておりますが、一つ一つの言葉については十分にわかっておりませんので、御指摘の点できるだけ調べていきたいと存じます。
  57. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、そんなことを言っているのじゃない。私の言ったことを入念に云々ということを言っているのじゃない。災害の放送があるというのはその日の新聞に全部出ております。何時から何時までは災害のこういう問題があるとか何があるとかプランが出ておりますから、みんなラジオ、テレビを見る必要はない、そこだけ見れば、鉱山保安局でお聞きになったり、ごらんになったりすれば、私はやれることですから、非常に簡単なことだと思います。そういう熱意を私は言っている。あなたがおっしゃったことをどうやとかこうやとか、今ここでそういうことを言っているのではない。こういう実態を把握されておられますか、こういう実態がほんとうなのかどうかということを、どう対策を講じていくかということが問題なんですよ。あなたのおっしゃったことをここで、その実態が出てこなければ、この実態はどうかということは、私はきょうは言いませんと言っておるのだ、だからそういう熱意を私は聞いておる。
  58. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 仰せのように、できるだけ私どもそういった点を注意して見るようにいたします。
  59. 小柳勇

    小柳勇君 この問題の取り扱い方ですが、私どもは、もちろん現地からいつも情報をとっておかなければなりませんが、ほかの仕事もございますし、なかなかそれもできないのですが、通産省には現地の出先機関がありますから、しょっちゅう報告が来ると思うのです。だから、豊州炭鉱について、こういう搬出作業を一時中止して、調査団が出ておる、こういうようなことも、こちらから質問して初めてこれが明らかになった。あと、上清炭鉱事故調査についても近いうちに出てきましょうが、こちらから質問しないとなかなか報告もないように考える。従って、こういう社会労働委員会で重大な問題になったようなものは、お忙がしいので大へんだと思いまするが、簡単な報告くらいは、毎週二回ずつ社労やっておりまするから、プリントにして報告していただくととができないものであるか、一つ保安局長にお聞きしておきたいと思います。
  60. 小岩井康朔

    政府委員小岩井康朔君) 毎週二回とか回数をきめますと、なかなか御報告するほどのニュースも入らないときもございますので、一応目安をそのくらいに置きまして、もちろん御報告が必要な場合にはそれ以上の回数になりましても、まあ、大へんこう申して失礼でありますけれども、部数も多いし、簡単に概況要点を書く程度にして御報告申し上げたい、かように考えております。
  61. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  62. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記をつけて。  本件に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 高野一夫

    理事高野一夫君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  64. 高野一夫

    理事高野一夫君) この際、委員異動報告申し上げます。三月二十三日付をもって阿部竹松君が辞任せられまして、久保等君が補欠選任せられました。  暫時休憩いたします。    午後零時四十七分休憩    ————・————    午後一時五十七分開会
  65. 高野一夫

    理事高野一夫君) それでは午前中に引き続き、ただいまから委員会を再会いたします。  中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は、順次御発言願います。
  66. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 中小企業退職金の資料を出してもらいたいのですが、ここに出ている資料を見ますと、一人から九十九人、一人から二十九人の現行の事業対象の事業数というのが百四十五万と、こういう工合に出ているわけでございますけれども中小企業を含めた全体の企業数は幾らでしょうか、お尋ねしたいと思うのです。ただこれだけじゃ私はないと思うのですが、中小企業の……。
  67. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) ここに書いてありまするのは、総理府統計局の調査に基づく全数でございまして、百四十五万と申しまするのは表記されておりまするように、製造業については一人から九十九人まで、サービス業、商業的企業については二十九人までの全数でございます。
  68. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ここに中小企業の商工会議所から出している資料を見ますと、一人から四人の事業所が二百七十三万九千百七十、五人から九人が四十四万九千三百八十三、十人から十九人が十九万九千二百六十五、二十人から二十九人までが六万六百六十でございます。この三十人限度にしましても、その数だけ合わせてみますと九〇何%、九五%以上あるのじゃないかと私は思います。総計三百五十三万五百四十五事業所のうち、私が今申し上げましたものを総計しますと、三百万をはるかに突破するわけです。この調べとだいぶ違うように思いますが、これはどうなんでしょうか。
  69. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) その先生のおっしゃいました調査はあとで拝見したいと存じますが、おそらくは商工会議所その他においてこの調査は、主人及び家族従業者だけの企業数も含めているのではなかろうかと存じます。ことの調査は、雇用労働者を使用している企業というものに限定されておるので、そのような差が出ておるのではなかろうかと、こういうふうに一応考えるわけでございます。
  70. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この調査によりますと、一人から九人までの事業所数が三百五十三万五千四十五の中で、三百十八万八千五百五十六事業所ということになる。だから、いかにその中小企業、零細事業所の中に、そういうところに企業が集中し、その中の労働者の数からいきましても、いかにそこのところに労働者が集中しているかというのは、私は明らかだと思うのです。そういう意味からいって、この前の質疑をいたしまして、二度繰り返そうとは思わないわけですけれども、どうもやはりそういうところに保護の手を与えるというのが、この法律の中心なので、だからいろいろと聞いてみますと、中小企業退職金法案の審議会の答申から始まったというお話になるようでございます。しかし、私はまあ審議会の意見を尊重されておやりになったということは、民主的な一つの方法でございましょうけれども、もっと実態というものを、こういう実態なんだということを審議会の中にお話しになったのかどうか、そこらの経過をお尋ねしたいと思うのです。
  71. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) こう申しますとなんですが、前回も申し上げましたように、審議の過程におきまして三百人と、それからここの答申にもございますように、かりに二百人ときまった場合にでも、二百人の企業が膨張して三百人になるまでは、同じような扱いをせよというふうな答申も出ておりますように、三百人ということが相当強く出たようでございますが、結果といたしまして、統計的に見まして、二百人がいいところというふうに落ちついたと聞いております。なお、先生の御質問の御趣旨が、当局と審議会との実質的な接触ということについてのお尋ねでございますが、要すれば、当時、私おりませんでしたので、主管課長から説明さしてもよろしゅうございますが、私の聞いているところではそういうところでございます。
  72. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 主管課長から……。
  73. 坂本一衛

    説明員坂本一衛君) ただいま局長が申し上げましたように、最初の意見といたしましては、三百人ぐらいまで引き上げたらどうかということで、論議が審議会の中で行なわれたわけでございます。それに対しまして、三百人まで引き上げることにつきましては、あまりに大き過ぎるのだというようなことから、次いで問題となりましたのが、それでは企業の中で自前で退職金制度を持っているのはどのくらいあるのだというようなことが問題になりました。それで結局その数字をいろいろと私どもの方で材料を提供いたしまして、結局百人から二百人未満のところにつきましては、四七%程度しか自前の退職金制度を持っていないというような統計の数字が出たわけでございます。そういう点からいたしまして、過半数は退職金制度を自前で、企業内で持っていないということであれば、二百人というのが適当な線であろうと、こういうふうな結論になって参ったわけでございます。
  74. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 続いてお尋ねしますけれども、まあ外国中小企業の実態と日本の実態というような問題について、御研究なされたかどうかですね。この法律の精神に照らして御研究なされたかどうかということを私はお聞きしたいわけです。ここに日本とアメリカと西ドイツの規模と従業員の例がございます。参考までに申し上げてみますと、一人から四十九人までの日本の事業所数を言いますと、九六・二%であります。アメリカは八八・四%でございます。それから西ドイツは七七・二%でございます。数はそうあります。しかし、今度は従業員数で参りますと、日本はその一人から四十九人までの従業員数は、四八・二%でございます。アメリカは二二・八%、それから西ドイツは一三・四%でございます。ですからこういう形が私はすぐ出てきて、いかに日本が中小企業として、零細企業としての規模、その中に労働者がいかに集中しているかということが、私はお考えになられるのではないか、こう思うわけであります。だからそういう点は、それが五十人から五十九人までいくと、それに従業員数は一〇%ふえます。それから事業所数は、二・二%しかふえないわけですが、そういう実態の中でこのようなところに退職金がない。だから国の施策としてむしろ社会保障的な施策として五%と一〇%の段階をきめて保護をして上げようじゃないかというのは、全体の経済の政策から見て、私は当然とまでは言い切らなくとも、よい施策だと思っているわけです。ところが、何かこれを見ると、その中小企業のところに、その上のところのあたりが便乗をしている。工業の中にはいろいろあります。しかし、ありますけれども、二百人というような企業別ですと、この前も私が申し上げましたように、今日の趨勢からくる就労の員数なんかを……就労の場の効果の問題なんかも、労働省では今まで資料があまりなかったのですが、ずっと調べてみますと、化学工場なんかは、やっぱり千五百万円から千八百万円でなければ一つの就労の場ができない。機械工場ですと、五、六十万円から八十万円くらいの投資によって一つの場ができるということですから、その内容についても私はだいぶ違うと思います。ただ一律にカバーをするというのなら、そこらの産業別の相違のところで実際に困っているというところがどこなんだという追及があって私はしかるべきだと思う。もう一つは、商業行為の五十人なんといいますと、それは相当な大きい事業です。卸、問屋というようなところになりましても、五十人も使っておるというような規模は、そこに働いている労働者の数、それから言うと小さい。数の上では小さくなりますけれども、営業や経済面の規模なんかから言うと、大企業に匹敵する事業をやっているところが相当多いのじゃないかと私は思うのです。そういうところにこういう法律によって、そこらあたりまで国の補助金をつけていくというのでありますけれども、むしろもっと下の方につけてやるというのが私はやっぱり本筋ではなかろうか。私たちはまじめに労働行政や困っている労働者のことを思うと、その考え方が浮かんでくるわけであります。この前のときからこの問題は論議しておりますから、労働省の方もそういう点について御理解をいただいておるとは思うのですが、問題はこの法律を施行した後の処置をどうするかという問題につないでこなければ、この法律案は、はいよろしいとはすなおに言えないのが私は現実ではなかろうか、こう思っているのです。だからそういう点についてこの法律の運営上の問題をどうしていかれるか、お聞きしたいと思うわけでございます。
  75. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) ただいまの御指摘の点は、現状からいたしましてまことにごもっともな点の御指摘とも存じまするし、しばしば御指摘をいただきまする通り、日本の中小企業の現状と、最も困難ないわゆる二重構造解消という面からいきましても、あるいはこれを引き上げて従業員諸君の処遇を改善して参るという点からいきましても、まあ二百人の製造工場であるとか、五十人のサービス業、商業部面等というものは、考え方によりましては確かにそれほど重点で考えるべき分野ではないということも考えられるわけでございます。ただ、審議会におきまする御議論としまして、本来ならば当然自己共済を考えていただく筋の分野においても現状——たとえば製造工場二百人未満の規模において四七%程度しか自己共済の制度がないんだ、こういうものをもせっかく制度があるのに放置するということもならないと、加えるのは加えるが、極力指導といたしましては自己共済の方向を早く確立していただく、順次自己共済に切りかえていただくという指導をいたしながら、重点はあくまでも百人以下と申しまするか、もっと極端に申せば三十人未満あたりのところを中心として強化を指導して参るという方向に実は労働省といたしましても重点を置くつもりでございます。本改正が認められました暁におきましても、その重点はあくまでもその点を中心といたしまして行政指導を強化するというつもりでございまするので、その点一つ御了承をいただきたい、こう思っております。
  76. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこでお聞きしたいのですが、中小企業と大企業との賃金格差の問題でございます。私、的確な統計をきょうは持ってきていないのですが、日本はたしか大企業を一〇〇としたら中小企業は三〇幾つの数字で、外国を見ると、中小企業でも大企業を一〇〇にして八〇から八五という賃金の状態にある、そういう統計が出ております。その的確な資料をお持ちでしたら私はお聞かせいただきたいと思います。
  77. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) 今手元にございませんが、私どもの大ざっぱな記憶から申しまして、先生のおっしゃいましたように、アメリカ、イギリス、西独等におきましては大企業と小企業との賃金格差は一〇〇に対して八〇、日本におきましては大企業を一〇〇にして中企業が七〇、それから小金業が五〇から六〇、それに対してさらに実質的な福利厚生その他こういったような退職金等を加えて腰だめで想定いたしまするならば、大企業一〇〇に対して小零細企業は三分の一程度であろう、これはそう間違いのない常識であると考えております。
  78. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ですから、この運営の問題については、今次官からそういうところに重点をやってゆくということをおっしゃいました。だから、それに続いて、やはり将来これを実効を上げるためには、私は残念ながら段階をつけなきゃならぬようなときに来ているんじゃないか。五十人から二百人というようなところまでふやして、これも五%と一〇%の一律方式で補助をされるというなら、ただ素手で、それだけをもって中小企業、零細企業に力を入れるということはなかなか、百四十五万の中で、この資料を見てみましても、実際問題として加入している数というのは少のうございます。ですから、それにはやはり何か特別な恩典の手を加えなければ少し無理だと思うんですが、そういう点についてどういう工合にお考えでございますか。その点からいって予算の幅の問題はどうなってゆくか。たとえば本年度どれくらいふえるとして、どれくらいの予算を組まれているか、それから来年度はどういう構想をお持ちなのか。こういう論議があったんですから、この上に立って、たとえば下の方をもうちょっとふやして、上のやつをとるわけにはいかないから、この法律をきめてしまえば。だからふやして特別な指導をするとか、そういう構想を今お持ちでしたら、お聞かせいただいておきたいと思います。
  79. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) これは衆議院でもいろいろ御質問を受けたのでございまするが、率直に申しまして、国庫の補助金を適用対象企業に対して規模別に差をつけるということは、今までわれわれの方の内輪におきまして論議に実はなっておりませんので、そういう試算をいたしたことはございません。衆議院の質問の過程におきまして、今後われわれの重大な宿題として検討するということに申し上げておったような次第でございます。
  80. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、その問題については、将来の問題についてはまだ今のところ考えていないということですが、一つこの問題について十分に検討をして、よりよいものにする努力をしていただけるかどうか、それを一つ次官から承っておきたいと思います。
  81. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 御指摘の点は、当然運営の経過に応じまして検討すべき問題だと思いまするし、先刻も申し上げました通り、中心をあくまでもごく中小零細の面に置かなければならないという原則からいたしますると、何らかの方法で中心点に政策が及ぶような配慮をいたさなければならぬというふうには考えまするが、現在まだきわめて初歩と申しまするか、着手の段階でございますので、その問題等も含めて、妥当なこの制度の運営についてしばらく時間をおかしいただいて検討さしていただきたいと思いますが、あくまでも御趣旨につきましては十分了解をいたしておりますので、直ちに検討に入らしていただきたいと思っております。
  82. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで一、二事務的なことをお聞きしたいんですが、たとえばこの金を労働金庫に委託するかしないかというのは、今までに非常に問題になっていましたね、これはどうされますか、委託されますか。
  83. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) これは委託と申しますよりも、この制度の運用面におきまして、中小企業者がこの制度に加入して掛金を掛け、それから脱退した場合に従業員に退職金を支払う、そういう業務の委託を一般の銀行や信用金庫にしているのに、労働金庫になぜ委託しないかと、こういう問題と私ども理解しております。この点につきまして過去の経過を調べてみますと、この点につきまして退職金共済審議会に諮問になっておりまして、それが一昨年の暮れから昨年にかけまして小委員会の議を経まして答申を受けておるのでありますが、その結論と申しますと、一口に申しますと、労働金庫はまだ中小企業の事業主とそうなじみがない、どうかすると、率直に申しまして、事業主から見て何かこう労働金庫というのは他人みたいなものだと、こういう感触が強いので、しいて法施行早々にこの金庫に業務を委託するのは気持としていかがかと、こういうような答申でございます。しかしながら、われわれといたしましては、労働金庫も大蔵省と共管のもとにちゃんと監督もし、きっちりとした金融機関でございまするので、事務的にこういう業務を委託するに欠くるところはないというふうに考えております。で、衆議院でも同じような話がございましたので、適当な機会に、退職金審議会の答申がここしばらく模様を見よということでございましたので、今後適当な機会に再諮問をいたしまして、労働金庫がこの業務委託銀行の一つとなり得るような建前で努力、善処をいたしたい、こういうふうに考えております。
  84. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、労働金庫もこの委託の中に加えると、こういうことに了解していいですか。
  85. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) 手続といたしまして、法律上本法の運営につきましては、退職金審議会の議を経るという建前になっておりますので、私どもとしては、その気持を持ちまして審議会に諮問し、そういった答申を得たいという期待を持って、努力したいと思っております。
  86. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この問題を審議会にかけて、そして審議会の答申によってその問題を考えるということですか。
  87. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) さようでございます。
  88. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そんな問題ということになるというと、この前のそれじゃあ委託する銀行というような問題の金融機関については、審議会が一つずつ詳しく答申をしたんですか。
  89. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) 三和銀行とか三菱銀行ということでなく、都市銀行とか市中銀行と、従って、その一分類として労働金庫と、こういうことでできるだけ民主的に、本法の施行については審議会の議を経るということになっておりまするので、そういう諮問のいたし方をしておるわけでございます。
  90. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや、私の尋ねておるのは、今の委託された銀行のときには、銀行のクラスや名前をあげて審議会から答申があったから、それを委託の銀行と指名したということですかどうかということです。具体的に名前をあげて……。
  91. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) 三菱とか三井ということでなく、市中銀行、都市銀行、信用金庫、労働金庫と、こういう分類別に諮問をいたしまして、そのうち労働金庫につきましては、ここ当分模様を見る必要があるという特別の審議を経て、そういう答申を受けたわけです。
  92. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、なんですか、あなたの方からそういうサゼスチョンを与えてそういうものにきめた、こういうことですか。審議会で自主的にそういうクラスで答申したのですか、どうですか。
  93. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) こちらが一般的に金融機関の常識として分かれておりまする都市銀行、市中銀行、信用金庫、労働金庫、こういうことで諮問したと思いまするが、労働金庫はだめだという諮問はしてないと思いますが、なお、当時一番具体的に知っておりまする主管課長から、なんでしたら御答弁申し上げます。
  94. 坂本一衛

    説明員坂本一衛君) お答え申し上げます。一般的に事業団の発足いたします際に、これの掛金収納あるいは退職金支給というのがその事業団の運営の一番当初におきますところの大きな問題になったわけでございます。それで、それをどうするかということにつきましては、審議会の皆さん方も非常な関心をお持ちでございました。そこで、私どもとしましても、ただいま局長の申し上げましたように、できるだけ審議会にお諮りしてということでもって、その問題を皆さん方にお諮りいたしたわけでございます。ただその際、つけ加えさしていただきたいのは、中小企業に対するところの業務でございますから、できるだけ中小企業の金融機関を入れてほしいという要望はかなりあったわけでございます。そういうようなまあ経過を経まして、私どもといたしましては、審議会の方へ取り扱いの金融機関をいかにすべきか一つ御意見を伺いたいということで諮問いたしまして、その結果といたしまして、普通都市銀行、地方銀行、信託銀行、それから相互銀行、信用金庫、信用協同組合というようなものについて順次御意見を拝聴いたしたわけでございます。その中で、労働金庫につきましては、中で異議が提出されまして、労働金庫の問題につきましては特別に皆さん方の間で意見が合いませんものですから、小委員会を設けまして、その小委員会で御検討願って、そうしてただいま局長が申し上げたような結論に相なった次第であります。
  95. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  96. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記始めて。
  97. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 内容は、今の点、一応経過はわかりました。だから大臣にお尋ねしたいと思う。  で、労働金庫というのは、労働者の福祉、零細金融ということで、むしろ労働省が指導された金庫ですね。だれが何と言おうと、自信をもって金融機関として他に推薦をされ、また、保護していかなければならぬ労働金陣は金融機関だと思う。その労働省がおやりになる中小企業退職金のその委託ですね、委託業務を労働金庫だけはずす、まあ結果的にはそういうことになっているのですけれども、それはむしろ労働省としての宣伝——PRですか、または皆さんに理解してもらうというような努力が足らなかったのじゃないか、私はそう思う。だから経過的には審議会の答申をもう一度経て、できるだけ加えるように努力をしたいとおっしゃっている、今までの経過からはわかります。その経過はわかっている。しかし、私は経過はわかりましたけれどもあまりにも熱意がないのじゃないか。悪いところがあったら、労働省の主として監督下にあるのだから、悪いところがあれば直せばいいのであって、そうしてやっぱり労働省が唯一にこういう方法をおやりになるのに、なぜそれに加えないか、私はそういう熱意の点とそれから……、まあそれだけ一つ労働大臣からお聞きしておきたいと思うのです。
  98. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) 藤田委員御承知のように、審議会の議を経なければならぬのでありますが、しかし、私は御質問の御趣旨が生きるように努力をいたしまして、そしてできる限り早く審議会の御同意を得られるようにいたしたいと存じます。
  99. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 大臣がお見えにならなかったので、労政局長といろいろ私は議論をしたのです、この法案について。その第一点としては、私はこの統計を見ても、労働省の出されている統計書類と一般中小企業全体の書類とはだいぶ食い違いがあります。だから、それは先ほど指摘したから繰り返しませんけれども、しかし、大臣も雇用問題なんかでいろいろ私と少し議論をしてみましてよく御存じだと思うのですが、たとえば工業行為の二百人ですね、というような企業は今投資と就労の関係を見てみても、化学工場なら三十億からの投資をしなければ二百人の就労の場が作れないというような面もある。機械工業のようにその百分の一くらいのところもありましょう。だから、私は主としてこの問題を取り扱うのには産業別な配慮というものも、どうしても二百に上げたいというなら、そういう配慮が必要ではなかったか。それからまた、商業行為の点を見てみましても、その雇用の規模は小さいけれども、三十から五十人というようなところなら卸業とか、そういうその中間商業行為のところならむしろ大企業だと私は思う。この法の出発した趣旨というものは、中小零細企業の労働者に退職金がないから、何とか退職金の方法を作って、それを国が幾らかめんどうを見てやって上げなければいかぬという趣旨で出発したのです。私たちは、この法案を作るときには、三十人の百人は多いのじゃないか。もっと困っているのは二十人から十人くらいの企業が中心ではないのかということを強く主張いたしましたけれども、こうきまった。そしてまあ今度五十人の二百人にされた経過を見ると、この審議会の経過を経ているわけでございます。だから、審議会の答申に沿っておやりになったということについて私はどうこう申し上げません。そういうルールを確立していただくことは非常にけっこうだと思いますけれども、この審議会の討議に非常に実態というものを、今のこの中小企業退職金法案の法の根本的な趣旨、それから具体的な中小零細企業の置かれている位置、たとえば賃金の面から見ましても、一〇〇に対して三〇というような、一人から四人くらいのところは大企業一〇〇に対して三〇から三二、三という賃金水準にある。そういうものを見計らってみてこの法の精神が生きるように私はするのがよかったのではないか。そういう意味から言って、まじめにこれを考えてみると、どうしても私は了解できないということを労政局長を中心に議論をしてきたところであります。だから、私はそこらのお考え方を労働大臣から承っておきたい。法の精神はどこをねらっているのか、そういう点を一つ承っておきたいと思います。
  100. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) 法の精神は、今藤田さんのおっしゃった通りであります。今度範囲を三十人から五十人、百人から二百人に拡大いたしました。これは法の精神から申しますと、要するに、われわれが重点を置くべき零細企業の人々に対して水増しと申しますか、何と申しますか、まあ薄められるのではないかという懸念が生じてくることもよくわかります。ただ、実際問題といたしまして三十人から五十人、百人から二百人までの間の事業所においてまだ退職金の制度が確立されていないところが見られまするので、それらのものも加入させることができるようにする必要を感じたのでかような措置をとったのでありますが、元来退職金制度というものは経営者の責任に属するのであります。従って、この法律自身がやはり経過的、限時的な性格を持つべき法律だと思います。思いますが、零細企業の場合は、理論的にそうであろうと、実際問題としてまだこれはかなり時間を要することでありますから、ある意味において結局恒久的な機関となるわけでありますけれども、しかし、この企業の規模が大きくなればなるに従って、その経過的性格というものが大になっていくべきものだと思います。従って、三十人から五十人、百人から二百人までの企業は私はそれこそ行政指導によりまして、一日も早く自分の責任においてその制度を持つようにしていかなければならないのでありまして、この階層についてはあくまでやはり経過的な性格をより以上強めて運営していきたいと思います。それから同時に、現在百人以下という制限の中にありましても、三十人未満のところが約八〇%を占めておるわけでありますから、これを拡大されましても実質上この割合は減らないだろうと思いますし、減らないように私どもは行政指導もし、運営をして参りたいと思っておる次第でございます。御趣旨が生きるように実際の運営を通じて努力をいたしたいと存ずる次第であります。
  101. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 大臣の気持はわかりました。この労働大臣のあげられた数字でも三十から五十人、百人から二百人の間の事業所というと一万六千幾らです、四百五十二ですか、その関係のところは四〇%退職金を持っている。それから退職金制度というのは今の租税特別措置法で免税措置を講じている。本来退職金という制度が永劫末代日本にいいのか悪いのか、年金によって生活していくのはどうかという議論もあるところでございますけれども現実の問題としては、私は退職金の積み立てについてはそういう処置が講じられている、けっこうやれるようなところがむしろやっていないという現実ではなかろうかと私たちはそう思っております。今の一般的な慣例からいってはそうではなかろうかと、こう思う。だから問題はやっぱりその二十人から十人というところを今のような方式であげていきますと、どうしても、何も条件を持たずに行政指導を二十人から十人というところに中心を置いてやると言われても、その上のところと同じ条件のもとでおやりになるのはなかなか私はやはりそう期待するほど進まないのじゃないかと、だから計画的に、先ほどお尋ねしたのだが、どうしてももう少し下の零細企業のところには退職金制度なんかあるはずはないのですから、ほとんど、だから、そういうところが実際に退職金制度を作るためには今年のこれから先どうしていくか、来年度をどういう要するに財政的な裏づけをやってやっていくかという問題にまで一つの構想を持っておやりいただかないと、せっかくの法の精神が生きぬのじゃないかと私はそれを強く思っているわけです。だからそういう点の決意を大臣から聞いておきたい。
  102. 石田博英

    ○国務大臣(石田博英君) これはもう先ほども申しました通り、当然経営者が自主的に退職金制度というものは作るべきものでありますから、それを作らせるように行政指導を積極的にやって参らなければならないわけでありますから、従って、まず第一に、そこに重点を置きまして、そうしてこの法律、制度をそういう大きなところが利用することがなくて済むようにまずしていきたい。それから行政上の運営にあたっては、これはやはり規模の拡大に伴いまして私ども一般会計からの支出も増大さして参りまして、そうしてそれによって零細企業の恩恵が薄められないように格段の努力をいたして参りたいと思っておる次第であります。
  103. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、労働金庫の問題については、先ほどの質問と御意見、労働大臣のお気持を言われましたから一応これは了解いたしまして、次に退職金の十四条の問題なんです。自己の責めに帰する、また、自己の都合によるものでないということを書いておるわけです。これはやっぱし自己の都合という格好できめつけるというところに少し問題があるんじゃないか、一般的に。一般的にただ自己の都合、責め云々ということだけで少し問題があるんじゃないかと私は思うのですが、御見解を聞かしていただきたい。
  104. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) この十四条の制度はいわゆる退職金カーブと申しまして、勤続年限が高いものほど高い率の給付を受ける。そこで中小企業の間を転々として勤務をした者に、一々勤続年限を打ち切るか、場合によって通算するかということが問題になるわけであります。今回二年というような制限を撤廃いたしましたが、一方におきましてこの制度は、一つの企業にそう短時日の間に転々とされるということではいけないので、やはり中小企業に適当な労働条件のもとにおいて定着してもらうということでございまするので、ここに通算の条件として自己都合ということは排除しろという建前になっておるわけです。しかしながら、今先生のおっしゃいましたように、形の上では自己都合でありましても、客観的には無理からぬ事情もある場合もあるということで、この点につきましては何と申しますか、われわれ労働行政をやっている者の感覚からして実態に合うあたたかい扱いにしたい。客観的にどういう場合に、実質的な何と申しますか、恣意的な自己都合か、客観的に無理からぬ自己都合かということについてある程度基準がございませんと、一種の保険財政といたしましてすべてのものが通算されるということになりますと、この保険財政全体がまかなえないもんですからえらいことになりますが、何とか恣意的な自己都合と無理からぬ自己都合というものについてある程度の限界を加えまして、恣意的な自己都合は別として、無理からぬ自己都合というものは法解釈上ここにいう自己都合ではないという取り扱いにいたしたいということで検討したい、こういうふうに考えております。この考えておりますということは、この場だけの答弁でなく、実際の運用におきまして必らず何らかの形において実現したい。こういう意味でおるわけでございます。
  105. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だから、自己都合といったって感情の問題で、感情が衝突してやめる場合もありましょうし、または金銭的な迷惑をかけて自己の責めに帰してやめる場合もありましょう。だから、金銭的なような問題で損害賠償やその他のいろいろの清算その他ができた場合と、その他の場合とはだいぶ私は違うと思うのです。だから、今局長が言われたように、実際上の問題として十分な手を尽くしたいとおっしゃるのですから、私はぜひそういうことをやってもらいたいし、それ以上これは追及いたしません。  ただ、この納付月数の通算は一年以内ということでありますけれども、この法律が十分に徹底しておれば何ですけれども、一年じゃ少し短いのじゃないですか、そこらはどうですか。
  106. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) この一年ということにつきましては、実は客観的な理屈はございませんで、事業団の事務処理から申しますと六カ月でもいい。あるいは相手の便宜から申しますれば二年でもいい。ほどほどとしていわゆる法律上の時効制度の精神からいって一年といったようなところを考えたわけでございますが、そのほどほどがこの一年というのと見合わない、これは一年半の方がいいとか二年の方がいいというふうに、ほどほどが関係者の方々の御意見で落ちつきますれば、われわれとして一つもこれに固執するということはございません。ただ今のところ、制度が発足早々で退職者の実績というものがきわめてわずかでございまするが、今後退職者が実際問題としてたくさん出たという場合に、あまりこの期間を長くいたしますと、いわゆる何と申しますか、郵便貯金の居眠り預金みたいにわけのわからぬものが多くなりはせぬかという心配を事務的にわれわれ持っておるということは事実でございます。
  107. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だから、どうしようとおっしゃるのです。
  108. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) ですから、一方そういうことを思いまするけれども、一年ということに固執するわけではございませんので、たとえば集約いたしますれば、退職金共済審議会に諮問しあるいは建議に基づきまして、これを一年半なり二年に延ばすということにやぶさかではない、こう申し上げておきます。
  109. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、そういう行政指導をする、こういうことに了解してよろしゅうございますね。
  110. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) これは今の自己都合といったようなものの解釈ではなくて、これは一年とこう法律にきっちり書いておるもんですから、法律を改正せぬことには弾力的運用ができませんので、今言った審議会等の御意見を聞いて善処するという程度しか今のところお答え申し上げようがございません。
  111. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それからもう一つお聞きしたいのですが、この資料の最後のページ、三十六年一月で八億三千五百七十八万八千百八円ですが、これだけの余裕金ができておるわけです。余裕金というか積立金ですね。だから、これはこの運営がされるに応じて拡大をしていく。これは今この余裕金、積立金はどこで管理されて、それから将来どういう工合にこの積立金を管理しようとしているのか、これをお聞きしたい。
  112. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) この積立金の運用は、基本的には安全なところに、長期安定性があって効率的、いろいろ欲ばっておるのですが、安定性があって効率的でそうしてできるだけいつでも換金ができる、支払準備金にすぐなり得る、焦げつかないようにといったような趣旨からいたしまして、現在のところ、かつ中小企業から出た金でございますので、中小企業に運用されるようにということで現在八七%、ほとんど大部分のところは商工債券と不動産債券に回してございます。それから業務委託銀行に預金として約一二%、それから雑金をすぐ流動預金といたしまして、いわゆる普通預金として一%ということで、圧倒的大部分といたしまして商工債券と不動産債券に回しておるわけでございます。今後、これが十年、二十年後には何百億と、最終時点におきましては九百億、千億くらいのところを見込んでおるわけなんです。その場合には支払準備金だからといってそう全部がいつでも流動性のある運用という必要もない段階になると思いますので、その場合には、直接にこの事業団から中小企業に債券を通じないで直接に貸す、その貸し方もできるだけ従業員の福祉事業に貸し出したいということを考えておるのでありますが、現在のところ、怠慢と申しましては怠慢でございまするが、七、八億でございまするので、長期の計画を持っておりませんが、ここ一年くらいの間に長期計画を立てて、将来の明るい見通しを立てたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  113. 小柳勇

    小柳勇君 関連して。資金運用部の資金は幾らですか、何%ですか。
  114. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) これは決算上に現われました積立金の三割以内を資金運用部に委託するということに政令できまっておるのでありますが、実際上大蔵省と労働省との交渉によりまして、一割を資金運用部に預けるということに話がきまっております。で、これは決算面に現われた額の一割でございまして、従いまして、現段階におきましては、三十四年度の決算が約一億ございますので、その一割である一千万円を資金運用部に預ける、こういうことになっております。
  115. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、今のこの構想を進めて参りますと、将来これは相当、力の入れ次第で相当な金額になる、でその額の三〇%を資金運用部、しかし、現在の話し合いでは一〇%だけ資金運用部に行くということになっている。そこで今お話の中に、福祉事業にこの金をやると、こうおっしゃる、だからよくこう問題になるのは、この種の積立金の運用の問題です。厚生年金しかり、今度の年金しかりですね。いろいろの失業保険の積立金しかりです。だから、それがやはり零細なところから出した金が、実際問題として自分たちの生活福祉にどう使われているか、先ほどの局長お話ですと、金利が高うて、そうしてそれでいていつも引き出せるという条件がほしい、そこまで欲を出せば……、そんないい条件が生まれてくるかどうか私はわかりませんけれども、しかし、よりよくこれを発展さすためにいろいろの方法があると思います。しかし、えてしてやはり自主管理というものが大きく旗じるしで掲げていられないといろいろな問題が出てくるわけでございますから、だから、それは十分に一つ今の御趣旨を貫いてもらいたい。それから私はやっぱり福祉事業という設備とかそういうものにその金を明確に一つ使ってもらうようにしてもらいたい。たとえば年金の会計でいろいろのところから出てきて二五%福祉事業に融資をするのだと言われるけれども、実際の福祉事業にそれじゃ二百六十億ですか、あの年金の金が実際の福祉事業に幾ら金がそれじゃ行ったかというと今日では一億に満たないというような結果に終わっているわけですよ。そういうやっぱり条件が他にもありますから、だから私はこの点はもっと力を入れてそういう問題を、これがだんだん今の八億円の金をどうこうせいと言ったところでそれは私は無理だと思います。しかし、将来の展望の上に立てば、そういう問題もやっぱり十分考えておいてもらわないと私は困るのじゃないか、こういう工合に思います。だからその点についても決意を聞かせてほしい。
  116. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) 今回、厚生年金の金の二百何十億の運用というような問題につきまして、過去の実績から見ますと相当微々たるものである、われわれも今後これに協力いたしまして、つい人の金、零細な大事な金でございまするので、貸し倒れ金などのないようにということで、ついわれわれは借りる立場に立つと渋いと言いますけれども、貸す立場になるとつい逆に渋くなるということで、その点はまあ厚生省は私どもと兄弟省でございまして、弁護するわけではございませんが、無理からぬところもあると思います。そのうち新年度におきましては、われわれも協力いたしまして、確実なところに、労働福祉施設に相当回るように制度的にも協力したいというふうに考えております。この退職共済制度の積立金につきましても、法律にはみずから不動産を取得して何と申しますか、ハイカラな言葉では労働福祉センターを作るといったような道も開かれております。でき得るならば先生のおっしゃいましたように、ここ一年の間に明るい将来の展望計画といったようなものを立てたいというふうに考えております。
  117. 小柳勇

    小柳勇君 一つはこの大企業と比べて中小企業の退職金があまりにも少ない。さっき労働大臣もちょっと触れられましたが、自分で退職金制度を作るにはまだあまりに力が貧弱だと言うのですが、国としてこのような中小企業退職金共済法にたよっておられるのかどうか、将来の抱負について局長から御意見を聞いておきたいと思う。
  118. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) 非常に端的な御質問で、かえってこっちの理解の仕方が足りないかと思いますが、御質問に応じましてさらにお答えいたすことといたしまして、気持といたしましては、退職金制度というのは日本の全体の態様から見まして、基本的には各事業におきまして自前でやるべきものである、それでただ中小零細企業におきましては、一方におきまして支払い能力、負担能力が希薄である。それから他面におきまして、長期勤続者にはいい給付率で支給する。短期勤続者につきましては低いという、一つの企業の中において、先ほど政務次官が申しましたような自己共済の実施が、規模的に困難である。そこでこの共済制度全体のうちにおいて共済をしたい。さらにつけ加えまするならば、零細企業の御主人は、意余って手が足りない。お忙しいので、こういう制度を国の機関において処理したい。こういうサービスすることによってまかないたい。そういうことがこの制度の基本的な建前というふうに理解しております。
  119. 小柳勇

    小柳勇君 具体的な例を言いますと、大企業の方は、これは平均なんですが、五年で大企業の方が四万五千四百円の場合、この制度によりますと、二百円ずつ積みまして一万八千円、十年いたしますと、大企業で十七万円に対して、このような制度は四万三千円、二十年勤務いたしましても、大企業で八十万円出すようなときに、この制度は十一万二千円というくらいに、これは概算でございますが、そういうようなことで、あまりにも大企業と比べて低い。ところが、少ないけれども中小企業の労働者は、退職金がわずかでもあるということで、なかなか直れない。このことが労働者の移動の足かせになって、中小企業が、低い賃金で労働者を引っぱっておくという道具に、かせに使われる危険性がある。そこで、いま少しこの掛金なりあるいはこういう団体を、もう少し大きく統合するというと、大企業にも劣らないようなことに前進せしめることができるのではないかと思いまするので、労政局長の御意見を伺っているわけでありますが、いま一度、いま少し前進した退職金共済法に前進せしめる御決意はないかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  120. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) 現在この退職積立金の掛金が最低二百円、あとは百円刻みで大むね掛金を増すことができるようになっております。現在約三十万人加入しておりまして、その実績の一人平均掛金は、四百円ちょっとということになっております。もともとこの制度は、一般の企業の自主的な制度に対する補完でございまして、補完的なことを政府がサービスとしてやっておりまするので、最低賃金の、まああまり無理してはいかぬのですけれども、それ以上にあまり無理じいをするというような性質のものではないと考えております。しかしながら、この最低二百円という額が、一般的な退職積立金の率と、これは何も客観的な統計があるわけでございませんが、給料の四%といったような観点からいたしますと、五千円の給料に対する四%としての二百円でございます。従いまして、率直に申しまして、最近の最低賃金が二百三十円、それから漸次それより上に上がりつつあるという実情でございまするので、私どもの方の退職金共済審議会の、中小企業の心ある代表者の方も、この二百円を今度ある程度引き上げるということは、十分に根拠のある課題ではなかろうか、こうおっしゃっておりまするので、私どももさよう考えて、その方向に進みたい、こういうふうに考えております。
  121. 小柳勇

    小柳勇君 そのようなことで、二百円平均でありますと、最低賃金五千円のことで考えておられるようですが、一万円になりますと、四百円になりますね。四%の問題についても、少し検討してもらっていいのではないかと思うのですが、公務員あるいは準公務員などの共済一時金につきまして考えてみても、いま少し前進できると思いまするので、早急に御検討願いたいと思います。  第二の質問は、このような中小企業退職金共済法のあることすら知らない中小企業なりサービス業の人も、たくさんあるかと思うのですが、これに対するPRをどのようにしてやっておられるか。あるいは労働省などで説明会なりあるいは勧奨なりをやっておられるかどうか・お聞きしておきたいと思います。
  122. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) この仕事をやっておりまする事業団そのものに、広報調査部を設けまして、みずから解説書、パンフレット、リーフレット等を出しておりますが、そのために九百万円の予算を組んでいるのでありますが、役所みずからといたしましても、約一千万円、まあ最近の銀行とか証券会社のPRから比べますと、非常に微微たるものでございますが、これを組みまして、県の労政課、労政事務所というものを中核といたしまして、さらに労働基準あるいは職業安定機関、商工機関、その連携をとりまして、機会あるごとに、そういう資料を配り、あるいは説明し、なにしているわけでございます。中小零細企業が、広範多岐な分野にわたっておりまして、しかもわれわれもいろいろ銀行や証券会社から来た資料を、なかなか読まないということもございまして、中小企業の御主人方に、徹底は十分しているというような強気のことは、申し上げられません。おそらくは今までのところ、地方のPR機関は、効率的な商店街あるいは特殊の中小企業の集団地といったようなところに、力を入れていると思います。今後も漸次その周辺まで、力を入れて、加入に努力したいというふうに考えております。
  123. 小柳勇

    小柳勇君 最後ですが、さっきの藤田委員質問に関連いたしまして、三十六年一月で、積立金、資産高推定八億三千五百万円であります。年々増加しておりますが、この資産高増加を八七%商工債券と不動産債券に預けてあるということについて、私は少し不満なんであります。債券を買って預けておくよりも、むしろ今中小企業の労働者諸君は、非常に移動しております。産業の移動が激しいので、何かこう直接退職金として付加できるような方向で、御検討願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  124. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) お話のように、現在八億幾らでございまするので、極端な景気変動——退職率の高い場合に備えまして、現在のところ確実に運用せざるを得ないので、このようになっております。今後積立金の額が多くなるに従いまして、仰せのような方向に運用して参りたい、こういうふうに考えております。
  125. 小柳勇

    小柳勇君 労働金庫にも預託しようというような話があったようですが、中央労金だけに預けましても、地方の方は利用になりませんから、地方労金などに分散して預けるか、あるいは向こうの方で、地方で掛金が納まったやつを中央に集計する前に地方労金の中に預託して、そこから退職者の移住資金を借りたり、あるいは旅費を借りたりするような仕組みを考えたことはございませんか。
  126. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) 将来、事業団は債券を通じて中小企業に還元するのではなく、直接に中小企業に還元する場合でも、事業団がみずから貸すというのではなくて、今言った労働金庫その他を通じて貸すということになるわけでございます。その段階におきまして仰せのような場合が十分に考えられるということは言えると思います。
  127. 小柳勇

    小柳勇君 将来の場合でなく、たとえばことしなり来年なり、労働省の指導によってそういうことを示唆して、事業団の方で地方の労金にも分散して預けておいて、そして地方の分散したその金で、中小企業の労働者がそれを借りられるような方向考えていただけますか。
  128. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) 原則的に銀行——労働金庫を含めました銀行預金だけの金利では、この制度の運用が間に合いませんので、その意味ではちょっとつらいわけでございます。
  129. 小柳勇

    小柳勇君 その点も御検討願いたいと思います。  最後に、退職して退職金をもらうということで届け出て、これは大方事業主が立てかえるのでしょうが、その事業主には事業団から何日くらいしたら金が届いておりますか。
  130. 冨樫総一

    政府委員(冨樫総一君) それは事業主が立てかえて支払うのではなくして、事業主に退職金手帳というものが事業団から交付されておりまして、その手帳に毎月納付するごとにスタンプを押しておいてもらいます。そして従業員がやめますと、その手帳を従業員に渡しまして、従業員がその手帳を持ってその銀行に行ってもらう、こういうことになっております。
  131. 高野一夫

    理事高野一夫君) ほかに別に御質疑はございませんか。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  132. 高野一夫

    理事高野一夫君) 速記をつけて。  本案に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 高野一夫

    理事高野一夫君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  134. 高野一夫

    理事高野一夫君) この際皆さんにお諮りいたします。  社会保障制度に関する調査の一環として、病院経営の実情に関する件について参考人の出席を求めて、意見を聴取することといたしまして、その日時、人選並びに手続等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 高野一夫

    理事高野一夫君) 御異議ないと認めて、さように決定いたします。追って諸般の手続その他人選等につきましては、委員長理事打合会において相談を進めたいと思います。  本日は、これをもって散会いたします。    午後三時十七分散会    ————・————