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竹中恒夫君 これも大へん抽象的ですが、要するに、勤労階層の、
大臣が十ならば十に分けた場合、最上位にあるべきだという
大臣のお
考えですね、そうすると、今後の
医療報酬金の決定いかんによって最上位でないような結果が現われた場合には当然お
考え願いたいと思います。これも議論いたしません。時間がございませんから、次に私は
大臣にお伺いしたいのですが、
大臣は筋を通すことを非常に
大臣として大切にしておられる。これは当然私は
政治家としてそうあるべきだと思います。日ごろから御尊敬申し上げております。ただ、ここで私は申し上げたいのは、筋も、大きな筋もあれば、小さな筋もある、ぜん気の筋もあるわけです。小さな筋を通すことによって大きな筋から踏みはずすということがあってはならないと思う。
社会保障制度という
一つの大きな土俵がありまして、
社会保障制度の中の土俵を割ることはいけませんが、同心円で一そう半径の小さい中
医療協という土俵を割りましても、私は
社会保障制度の大きな土俵さえ割らなければ
政治の
あり方として正しいと思う。この点について、私は
大臣が常にすべての問題を白紙で中医協にまかしておるのはこれは私は正論だと思う。中医協の土俵ということに関する限りは正論だと思いますが、この中医協の土俵そのもののよしあし、私はこれから生まれ出るであろうものがどんなものかわからないということを
考えた場合に、それが生まれ出るのを待って、七月に間に合うか合わぬかわからぬというような今の状況においては、同心円のもっと大きな
社会保障制度の土俵さえ割らなければ私はいいのであって、これこそ
政治家としての私は務めであろうと思う。大行は細瑕を顧みずといいますけれども、あまりに筋々と言いましても、小さな筋を尊重することによって、角をためて牛を殺すということがあるわけです。私この点を心配するあまり、決して
大臣の信念を曲げろ、筋はどうでもいいというのじゃありませんが、今申し上げた
意味においての再考をお願いしたい。たとえば、なるほど中医協にすべてのものは
法律上聞くのだという建前であるとどうしてもおっしゃるならば私はあえて聞きたい。カナマイシンのときはどうであったか。私は、あれに対しては全幅的に賛成をいたしました。
大臣の蛮勇に対しては敬意を表しました。これこそ
政治家だ、正規な中医協を開かずしてでも、人命尊重の見地に立った場合には、
厚生行政の
最高責任者は、あえてああいう不合理な持ち回り会議のような、中医協を開いたという形だけにして、
関係団体から、
日本医師会からも
委員を推薦してあったはずだ。これに
発言もさせずに、公益
委員だけを集めて持ち回りでなさった。これは正しい中医協の運営でないと思う。しかし、人命尊重の見地からやむを得ずやられた、そういうような
意味の筋をはずされることは私はいいと思う。今回の、この問題にいたしましても、中医協、それにかわるべきもの、あるいは改良すべきものを立てるのだという
考え方はわかりますが、
医師会側の言うていることを聞きますと、中医協がどういう形になろうとも、
厚生当局が、いわゆる政府案が、単価でなしに
点数でいくのだ、
制限診療さらには地域差撤廃については、そうたやすく、財源の
関係もあってなかなか踏み切れないのだ。あるいはまた、
医師会の言われることは、もし
医療協が賛成をすれば
医師会案でもいいのだと
大臣は言っておられる。あるいは一〇%
引き上げでは低いから、一五でも二〇でも中医協の答申さえあればのむのだと言っておられる。建前論からすればいいでしょうが、
医師会の懸念することは、そういうそらぞらしいことを
大臣がおっしゃってもそういうことには絶対にならない。今のままの中医協が諮問した場合、あるいは改造されたものがどんなものか知りませんが、それに対して不安があるわけだ。
大臣はそう言うても、
医師会としてはやはり過去の
医療協議会の運営あるいはその実績からいっていつも政府案になってしまう。このことを
考えた場合に、不安でこの土俵場に残れないという心境は私はよくわかる。
大臣もその点おわかりになると思います。だからあまりそらぞらしいようなことをおっしゃるということは、これは決して筋を通す
意味から言うのじゃございませんが、聞く方からいうとそらぞらしいことになる。こういうこともあわせて
緊急対策としては、小さな筋を尊重し過ぎるということに対しては、いま一応お
考え願いたい。この席上でおそらく
大臣は、よろしい、じゃ中医協をやめて君の言うように
政治折衝をしようとはおっしゃらぬと思う。また、おっしゃれない
立場にあると思いますが、少なくとも
緊急対策として処理する場合には、当然そこまでの
考えもお持ち願いたいということを申し上げておきたいと思う。そういたしませんというと、
政治じゃなくなってくる。
政治がないから一斉休診したり、あるいは抗議大会を開いたりするわけです。やはり
政治というものは必要である。理屈だけじゃないと思いますので、この点も特に筋を通すという
大臣の
考え方には賛成いたしますが、緩急よろしきを得たいき方をしてもらいたいと思う。今
大臣が国の
努力に対して云々という御
説明がございました。漸次やるという御
説明がございました。しからば私はお聞きしたい。今回の総
予算において、なるほど
大臣の御
努力で
社会保障制度に関する諸費用は二千七百六十七億円、一一・八%ということであって、六百三十五、六億円の増額でございます。御
努力は非常に多といたしますが、しかもこの中には
生活保護基準あるいは文明病としての小児麻痺、結核、精神病
対策あるいは辺地
対策、環境衛生等、非常に多
方面にわたっての新しい
予算をお取りになっておられる。それには敬意を表しますが、私は六百三十六億ふえた中で、今次この大きな問題である
医療保険にどれだけの金を増額なさったかということを私は聞きたい。決して国の
努力として
医療保険に対して十二分な私は配慮をなされておらないと思う。
社会保障制度の問題は、
国民のあるいは国家の
予算に対しての一一・八%というのがいい悪いというような、そういう角度からの議論でなくして、
国民の総消費総額に対して、どれだけ国が金を出しておるかということが問題である。国の
予算に対する比率でなくして、
国民の総消費総額に対して、どのくらい国が出しておるかということが現実的な問題である。欧米諸国では、少なくとも
国民の総消費額に対して一〇%以上の金を出しておる。
日本では六、七%しか出しておらない。こういう観点から見ましても、
予算の上からこれだけしておるのだからいいんだとおっしゃるかもしれませんが、現実の問題としては
国民の支出に対しての比率というものが肝要であろうと思う。特に私はなぜそういうことを申しまするかというと、今回の七十四億円の増額、一〇%増額に対して私は疑点を持っております。少なくとも政府所管の
医療費が一〇%上がれば七十億円要るんです、政府所管だけで。その七十億円の見返り残金といいますか、あるいは国の援助は三億円なんです。あなたは昨年来
医療費の
引き上げはやらなければならないが、
国民には迷惑はかけない。被保険者には迷惑をかけないと言うておられたはずなんだ。政府所管の被保険者は七十億円今度は金がふえる。かりに一〇%
引き上げをするとして。その七十億円のうちで三億円しか国が出しておられない。これで国の
努力が十分だとおっしゃるのですか。少なくとも
昭和二十九年、三十年当時は、健保赤字の時代には、七十億円という金を国が貸してやって、そうして別に年々三十億円という金をずっと三年、四年と出しておられた。当時の大蔵
大臣なり、池田さんなり、総理の岸さんは、赤字の手当金の七十億円は出してやった。別に三十億円は政府所管の
健康保険の円滑なる発達のために出したのだから、将来黒字になってもこれは
引き上げないのだと言明しておられたのが、今日は
医療費引き上げという問題があっても、わずか三億円しか出さないということは、
医療保険の大きな後退だと私は思う。
予算全体から見れば六百三十六億円という増を見て、私は非常に
厚生大臣の
政治的手腕を買いますが、これをしさいに検討していくと、
医療保険に関する限りは大きな後退をしておる。
国民に差引六十七億円のしわ寄せをしておる。あなたのおっしゃった
国民に迷惑をかけぬということは一体どういうことなのか。国の
努力が足らぬと思う。また、増額は見ましても七十四億円の中で
医療保険には二十億円しか出しておられない。
生活保護法だ、結核、精神病というような、当然国が負担すべきものの増を含めて七十四億円である。
国民保険と
健康保険と日雇いと船員とこの
医療保険に対しては、七十四億円のうちで二十億円そこそこより出しておられない。政府所管
一つ見てもそうです。全体を見てもそういうことになるのですが、一体これで国の
努力は十分だとおっしゃるのですか。今おっしゃったような漸次やるのだというようななまぬるいことでは、私は
医療保険というものは今の
混乱の
原因の除去にもならぬと思う。そういう点を私は御所信を承りたい。