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説明員(富岡茂雄君) ただいま議題となりました
測量法の一部を改正する
法律案につきまして、逐条御説明申し上げます。
本改正の要旨は、最近における国民生活及び国民経済の基盤を拡充するための公共
事業等の進展に伴い測量業務は著しく増大し、かつ、その大
部分が測量業者によって行なわれるようになりましたので、測量業者の測量実施に
おいて果たす役割はきわめて重要なもとなって参りました。このような情勢に対応して、測量の正確さを確保し、その円滑な実施をはかるためには、測量業者に対して適切な
措置を講ずる必要がありますので、測量業の適正な運営と健全な発達をはかるため、測量業者の登録を実施し、業務の規制及び改善を行なうことといたしたことであります。
以下、逐条その要旨を御説明申し上げます。まず、目次の改正は、以下の改正に伴いまして所要の整備を行なったものであります。
第一条の改正は、今回の改正により測量業者に関する規定を設けることとしましたので、目的にその趣旨を加えることとしたものであります。
第五条及び第六条の改正は、今回の改正により、
建設大臣の登録を受けた測量業者でなければ測量業を営むことができないこととなりますので、「公共測量」及び「基本測量及び公共測量以外の測量」の
範囲を一層明確にすることとしたものであります。
第十条の二の規定は、測量業を定義して、基本測量、公共測量及びこれらの測量の成果を使用して行なう測量を請け負う営業としたものであります。
第十条の三の規定は、測量業者を定義して、測量業者登録簿に登録を受けて測量業を営む者としたものであります。
第十五条から第十八条まで、第二十五条及び第三十九条の改正は、基本測量の業務の増大に伴い、その円滑な実施をはかるためのものであります。
第十五条第一項の改正は、基本測量の実施のための国有、公有または私有の
土地の立ち入りについて、国
土地理院の職員に限られていたものを、国
土地理院の長の委任を受けた者も立ち入りできることとしたものであり、同条第二項及び第三項の改正は第一項の改正に伴うものであります。
第十六条及び第十七条の改正は、基本測量を実施する場合に障害となる植物またはかき、さく等の伐除について、国
土地理院の長またはその命を受けた職員に限られていたものを、国
土地理院の長の委任を受けた者も伐除することができることとしたものであります。
第十八条の改正は、仮設標識を設置するための
土地、樹木または工作物の一時使用について、国
土地理院の職員に限られていたものを、国
土地理院の長の委任を受けた者も一時使用できることとしたものであります。
第二十五条の改正は、仮設標識の移転について、国
土地理院の職員に限られていたものを、国
土地理院の長の委任を受けた者も移転できることとしたものであります。
第三十九条の改正は、第十五条から第十八条まで及び第二十五条の改正に伴い、公共測量に準用する場合の読みかえ規定を整備したものであります。
第四十七条の改正は、第五条の公共測量及び第六条の基本測量、及び公共測量以外の測量の定義の改正により、本条第一項は不用となりましたので、これを削除しようとするものであります。
第五十二条の改正は、用語を統一するためのものであります。
次に、新たに設けました第六章の規定は、測量の適正なる実施の確保及び測量業の適正な運営と健全な発達をはかるため、測量業者の登録の実施、業務の規制及び改善、並びに測量業者に対する
建設大臣の監督権限等を規定したものであります。
第五十五条は測量業者の登録に関する規定でありまして、測量業を営もうとする者は、この章の定めるところにより登録を受けなければならないこと、登録の有効期間は三年間とすること、登録の有効期間満了の後引き続いて測量業を営もうとする者は、更新の登録を受けなければならないこと等を規定しております。
第五十五条の二は、測量業者としての登録を受けようとする者は、
建設省令で定めるところにより、商号または名称、主たる営業所及びその他すべての営業所の名称、及び所在地等を記載した登録申請書を、
建設大臣に提出しなければならない旨を規定しております。
第五十五条の三は、登録申請書の添付書類に関する規定でありまして、登録申請書には、
建設省令で定めるところにより、営業経歴書、法人の場合は定款等の書類を添付しなければならないこととしております。
第五十五条の四は、登録を受けようとする者は、政令で定めるところにより、登録手数料を納めなければならないこととしたものであります。
第五十五条の五は、登録の申請があった場合には、
建設大臣は、欠格要件に該当する等により登録を拒否する場合を除くほか、登録申請書の記載事項、登録年月日及び登録番号を測量業者登録簿に登録し、その旨を登録申請者に通知しなければならないこととしております。
第五十五条の六は、登録を拒否する場合の規定でありまして、登録申請者が、破産者で復権を得ないもの、無登録営業の禁止の規定に違反して刑に処せられ二年を経過しないもの、登録の要件を欠くもの等の欠格要件に該当する者であるとき、または登録申請書に虚偽の記載等があるときは、
建設大臣は、その登録を拒否しなければならないこととし、登録の拒否をしたときは、その理由を示して登録申請者に通知しなければならないこととしております。
第五十五条の七は、登録申請書の記載事項について変更があったときは、
建設省令で定めるところにより、
建設大臣に変更登録の申請をしなければならないことを規定しております。
第五十五条の八は、測量業者は、毎
事業年度の営業経歴書及び財務に関する書類、並びに定款を変更したとき及び使用人数等に変更があったときは、その変更にかかる事項を記載した書面を、
建設大臣に提出しなければならない旨を規定しております。
第五十五条の九は、測量業者が廃業した場合等及び欠格要件に該当するに至った場合には、その旨を
建設大臣に届け出なければならない旨を規定したものであります。
第五十五条の十は、測量業者から廃業等の届出があったとき、登録の有効期間の満了の際、更新の登録の申請がなかったとき、または測量業者の登録を取り消したときは、当該測量業者の登録を登録簿から消除しなければならないこと等を定めたものであります。
第五十五条の十一は、測量業者が登録を消除されたとき現に実施中の測量の
措置に関する規定でありまして、第一項は、測量業者の登録が消除された場合に
おいても、測量業者であった者またはその一般承継人は、その旨を注文者に通知して、登録が消除される以前に締結された請負
契約にかかる測量を引き続いて実施することができることとし、第二項は、測量の注文者は、登録の消除の通知を受けた日または測量業者の登録が消除されたことを知った日から三十日以内に限り、その測量の請負
契約を解除することができる旨を規定しております。
第五十五条の十二は、測量業者登録簿等の閲覧に関する規定でありまして、
建設大臣は、登録簿、登録申請書の添付書類等を、都道府県知事は、
建設大臣から送付されたこれらの書類の写しを、政令で定めるところにより、公衆の閲覧に供さなければならない旨を規定しております。
第五十五条の十三は、測量業者は、その営業所ごとに測量士を一人以上置かなければならないこととしたものであります。
第五十五条の十四は、測量業者として登録を受けない者は、測量業を営むことができない旨を規定したものであります。
第五十六条は、測量業者の業務上とるべき基本的な態度を示したものであります。
第五十六条の二の規定は、測量の一括下請負の禁止に関する規定でありまして、測量業者はいかなる
方法によるかを問わず、その請け負った測量を一括して他人に請け負わせ、または他の測量業者からその請け負った測量を一括して請け負ってはならない旨を規定しておりますが、元請負人があらかじめ注文者の書面によって承諾を得た場合には、差しつかえないものといたしております。
第五十六条の三の規定は、測量業者は、その請け負った基本測量、公共測量またはこれらの測量の測量成果を使用して行なう測量を、いかなる
方法をもってするを問わず、測量業者以外の者に請け負わせてはならない旨を規定しております。
第五十六条の四は、測量業者がその請け負った測量を下請負に付した場合、その下請負人が測量の実施につき、著しく不適当と認められるときは、注文者は測量業者に対して、その変更を請求することができる旨を規定しましたが、あらかじめ書面によって注文者から承諾を得て選定した下請負人については、この限りでないことといたしております。
第五十六条の五は、測量業者の標識の掲示について規定したものであります。
第五十六条の六は、測量業者が、その企業内容の改善または測量技術の向上のために必要があるときは、
建設大臣に対して、助言を求めることができることとしたものであります。
第五十七条は、測量業者が一定の事由に該当したときの
建設大臣の処分に関する規定であります。第一項は、測量業者が不正の手段により登録を受けたとき、届出がなくて廃業等の事実または欠格要件に該当する事実が判明したときは、当該測量業者の登録を取り消さなければならない旨を規定しております。
第二項は、測量業者が変更登録の申請をしないとき、一括下請負の禁止等の業務の規制に違反したとき、法令に違反して刑に処せられたとき、その他業務に関して著しく不当の行為をしたとき等に
おいては、当該測量業者に対し、六月以内の期間を定めて、その営業の全部もしくは一部の停止を命じ、またはその登録を取り消すことができる旨を規定しております。
第三項は、前二項の処分をした場合の通知について規定し、及び営業の停止を命じた場合にも、営業の停止以前に締結された請負
契約にかかる測量を、引き続いて実施することができることとしたものであります。
第五十七条の二は、
建設大臣が登録の取消しまたは営業の停止の処分をしようとするときは、当該処分にかかる測量業者について聴聞を行なわなければならない旨等を規定したものであります。
第五十七条の三は、
建設大臣は、測量業の適正な運営を確保するため必要があると認める場合に
おいては測量業を営む者について、その業務等に関し必要な報告を求め、またはその職員に営業所等に立ち入り検査させることができる旨を規定しております。
第五十八条は、聴聞に際して出頭を求められた参考人の旅費及び手当について規定しております。
第五十九条は、報酬を得て測量の完成を目的として締結する
契約は、委託その他いかなる名義によるかを問わず、すべて請負
契約とみなし、また、これらの
契約に基づく測量を行なう営業は測量業とみなして、この
法律の規定を適用する旨を規定しております。
第六十一条の二、第六十三条の二、第六十五条及び第六十六条の規定は、今回の改正に伴い測量業者に関する罰則について定めたものであります。
付則の第一項は、この
法律の
施行の日について定めてございます。
第二項は、この
法律施行の際、現に測量業を営んでいる者は、この
法律の
施行の日から六十日間は登録を受けなくても測量業を営むことができること、及びこの
法律の
施行前に締結した請負
契約にかかる測量を、引き続いて実施することができること等を定めたものであります。
第三項は、この
法律施行の日から六十日以内に登録を申請した者が、その登録を拒否されたときに、実施中の測量があるときは、その測量を引き続いて実施できることを定めたものであります。
第四項は、
建設省設置法の一部を改正して、この
法律の
施行に関する事務の所掌を定めたものであります。
第五項は、国土調査法の一部を改正して、内閣総理
大臣、主務
大臣または都道府県知事は、国土調査に従事する測量業者に対して、国土調査の実施の状況について必要な報告を求めることができることとし、及び当該測量業者は、内閣総理
大臣又は主務
大臣に対して、国土調査の実施について必要な助言を求めることができることといたしました。
以上であります。