○田上
松衞君 藤田
委員の方からさっき言われたことを繰り返すようなことになりますけれ
ども、大体あなたの方から
説明された中でも、この場所は昔から大小さまざまな
地すべりがあったんです。
昭和十六年の七月も雨のために部落民が六人も死んだ。十数人がけがをした。二十三年の九月の
アイオン台風のときでも、また七千五百立方メートルがくずれている。あるいは
国鉄東海道線に影響して七時間にわたってストップした、こういうような場所柄であって、これに対して
昭和二十三年から三十年までの間に一億数千万円を出して
農林省が
直轄治山事業として
実施をしてきた。県も三十一年から三十五年まで
治山事業を千二百万円でやったんだと、こういうようなことを言っておられるわけですね。逆に私
どもはこういう
土地柄なのに一体何をぼんやりしておったのだと言いたくなってくるわけなんです。もしこれで万全の処置だと考えておったということであるならば、それでなくてこの場所が指定されてから二年数カ月ですか経て、そしてこういうような事故が起こっちゃった。常に真剣に考えておられるならば、示されるようなこういう雨量の場合に、直ちにそれは大丈夫だろうかということでされなければならぬと思うわけなんです。私
ども実際は、藤田
委員からお話がありましたように、私
ども現地を見てきたわけなんです。まあこの
内容についても、私
どもの現実に見てきたところとは相当食い違いがありますけれ
ども、それは別といたしまして、一体地元の知事としてもほんとうにぼう然としてしまっている。十七日に県会がちょうど開かれたわけですが、その県会で議員の質問に対する知事の答弁の中でも、もっぱらこれは
関係の
建設省、
運輸省、
農林省、これらの人びとの合同の
調査も一致しておるということで、それで、まあ向こうの手とすれば——考えとすれば、一体、もう
恒久対策としては、これは県の範囲で考えたら、ないのじゃないかという非常な悲観……従って
避難民は言うまでもなく、付近の人々も非常な不安、動揺に包まれておったわけなんです。
いろいろな点を考えてみますると、もう少し真剣にお考えになっておるならば、直ちにあなたは行かれたと言うけれ
ども、それはいつ行かれたのか。少なくとも私
ども十七日の午前に参ったころにおいては、
政府の人々は、お偉い人々は、特に官僚は、まるで自分のことでない限りにおいては、いいかげんなものだという非難を浴せかけておるわけなんです。官僚の一番、
国民に非難されるといいますか、その点は、いいことについては、なわ張り争いをやっておる、悪いことについてはなわ張り押しつけをやっておるという状態、こういうことば、この際苦言を呈して、将来の、これはもう各省にわたってですが、御参考に供しておきたいと考えるわけなんです。
建設省に対しても言いたいことは、まるであれは
農林省管轄であるからということで、人ごとみたいに押しつけちまっておる、こういうきらいがあるわけなんです。さっき藤田さんも指摘されましたように、手っとり早く行くだけの一体熱意がないんだろうか。これは各省を問わず、所管であろうとなかろうと、そういうことを問わず、もっと深く
国民のことを親切に考えてほしいものだと思うわけなんです。
先般、福岡県の大辻炭鉱ですか、あのときに主務大臣が繰り込んでいった。もちろん坑内の、中には、入ろうとしたって入る方がそれはむちゃであるが、ともかく行くということによって、相当そのことが
土地の人々の気持をやわらげることに役立つことは言うまでもないわけなんです。琉球じゃあるまいし、
九州の端じゃあるまいし、たった何時間かで行けるような場所に、そろいもそろって、各省のこれだけの関連ある問題に、どうしてせめて局長、次官というような者でも飛んでいってくれなかったんだろうかと、まあこれが不満でしょうがないということなんです。時間がないからあれですが、行って見られなければ実感は出ないんですよ、確かに。
台風であるとか津波であるとかいうような場合は、ぱあっと来て、ぱあっと消え去るんですから、気分の転換も、従って早いわけなんです。
避難者というものも、次にはどうしようという手が出ますけれ
ども、あの場合では、ほとんど一時間おきにじりじりめりめり、こうすべつてきて、動いておる。その中に何日もさらされているあの住民の気持というものは、これは少しは一つ、人間の魂を持って考えてもらいたいと思うんですよ。真綿で首を絞められるような思いを、何時間も何十時間も続けて、二十一日に初めて一週間ぶりにほっとして帰ったけれ
ども、それはもう、みんなあき家になっておるといいますか、そういうところへ帰って、ほっと一息ついた、その次には、何か知事も期待しておったような——国が、安心できるような施策をやってくれるだろうと期待していたけれ
ども、帰ってみると、それも出てこない。さっきこういう
対策をやった、ああいう
対策をやったと各省の報告がございましたけれ
ども、実際は、それは地元がやった仕事であって、あとは、ああそんなことならば、それでいいだろう式のことははっきりしてますよ。そういうことに、もう少し熱意を持っていただきたいと考えるわけなんです。
いずれにいたしましても、
地すべり等防止法が制定されましてから三年ぐらいの間に、まだ何かこう、深い
関係筋は、なおさらのこと関心があるべきはずなのに、こういうような問題を起こしてしまうというようなことになりますと、またその他の、以外の問題も、複雑な問題がございまするから、
国民の気持は不安と動揺に包まれておるということは事実です。いやが上にも、こういうことが思想問題、あるいは納税の思想、そういうことに及ぼす影響というものは、これは大きなものだろうということを考えるときに、切にもう少し、ふんどしを締めていただきたいということを熱望しておきたいと考えるわけなんです。
建設大臣はおられないけれ
ども、大臣も何かしら、またこれもきょうの午後になって、事務当局が
協議した材料を持ち合って、それから
対策していくという、全く十日にもなって、今ごろこんなことをしておって一体、どうするのかということですよ。いわんやもうこの問題は、たった五十キロぐらいしか隔っていないところ、そうして
東海道線がある、お話になったように、すぐ並んで一級
国道があるというようなところで、この交通の上に及ぼすところの不安というものは、安心して全くもう旅行もできないというような状態、従って場所が場所だっただけに、今この問題は、全国的に大きな不安、しいて言うならば、役所側に対しまするところの一つの不信まで生まれるという状態にあるわけなんです。
聞きたいことはたくさんあるのですが、さっきお話したような事情だし、あとで、どうせせっかくいろいろと議せられたことですから、
委員会の意見を付するでしょうが、私はもう聞きたい
内容については、やめておきまするけれ
ども、どうか一つ早急に、ほんとうに真剣に取り組んでいただきたいことを各省を通じて要望しておきたいと思います。